瀬尾「若!! 祝って!!」 (21)

若松「『祝って』って……なんですか急に」

瀬尾「私、今日誕生日!!」

若松「!!」

瀬尾「ねーねー!! 誕生日プレゼントちょうだい!!」

若松「……」

瀬尾「あ、その顔!!『誕生日プレゼント忘れてたー』って顔だろ!!」

若松「瀬尾先輩にも誕生日があったなんて……」

瀬尾「お前私をなんだと思ってんだよ」

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佐倉「結月ー!! 誕生日おめでとうー!」

鹿島「おめでとー!!」

若松「!!」

瀬尾「あ、二人とも」

佐倉「はいこれ! プレゼント!!」

鹿島「どーぞ!!」

瀬尾「うわーすげー!! キーホルダーとバッグ!? サンキュー!!」

若松「……」

佐倉「あ、もしかして若松くんもプレゼントあげたの?」

若松「!! い、いや……俺は……まだ……」

瀬尾「つーか聞いてよー。 こいつ私が誕生日なのにプレゼント何も用意してないんだって」

若松「いやだって……今日が誕生日だなんて知らなかったから……」

キンコーンカンコーン……

瀬尾「あ、チャイム」

鹿島「じゃあまた後でね!!」

佐倉「うん!」

若松「……」

佐倉「若松くん……早く自分の教室に行かないと怒られるよ?」

若松「!! は、はい!」

若松(瀬尾先輩の誕生日かぁ……)

若松(誕生日プレゼントといっても……何をあげればいいんだろう)

若松(……いや待てよ、そもそも誕生日プレゼントは仲のいい人が本人に渡す物じゃないのか?)

若松(だったら友達でもなんでもない俺が先輩にあげる必要はないんじゃ……)

若松(お世話になってるならまだしも……別にそういうわけじゃないし……)

昼休み

瀬尾「いやーみんなにいっぱいプレゼントもらったわー」

瀬尾「あとは若だけだなー」

若松「……」

瀬尾「あ、若!!」

若松「!!」

瀬尾「誕生日プレゼントさ、まだ何も買ってないんだったら私が欲しいの買ってよ!!」

瀬尾「あ、それか何か奢って!! いつも私が奢る側だし!!」

若松「……いらないでしょ」

瀬尾「へ?」

若松「誕生日プレゼントって友達とか仲のいい人達から貰う物ですよね?」

若松「俺達友達でもなんでもないじゃないですか……ただ先輩が一方的にやってくるだけで」

瀬尾「……」

若松「それに誕生日ってことを利用して俺を振り回す気じゃないですか?」

瀬尾「……」

若松「……すいません、俺もう行きます」

スタスタ……

瀬尾「……」

佐倉「あ、いたいた!! 結月ー!」

瀬尾「……」

佐倉「……結月? 早く教室移動しよ?」

瀬尾「……」

佐倉「!! ど、どうしたの結月? なんでそんな固まってるの?」

瀬尾「……」

佐倉「な、何か嫌なことでもあったの?」

瀬尾「……なんで」

佐倉「?」

瀬尾「……なんであいつ、私の考えてること分かったんだ」

佐倉「ええっ!? 結月、誕生日を利用しようとしてたの!?」

瀬尾「うん、主役なら何やっても許される。 ブイ」

佐倉「ブイじゃないよ!!」

瀬尾「きっと若はあげないとか言っておきながらサプライズでくれるかもなー」

佐倉「うーん……」

佐倉(若松くん、結構本気で結月のこと嫌ってるって野崎くん言ってたからなぁ……サプライズはないかも……)

佐倉「ね、ねぇ結月。 もし若松くんが本当に何も誕生日プレゼントあげなかったらどうする?」

瀬尾「あげなかったら? そりゃショックかも」

佐倉「ショック!? あの結月が!?」

瀬尾「えっ、だって仲のいいやつから貰えなかったらショックじゃね?」

瀬尾「まぁみんなに好かれる私が貰えないはずないけどね」

佐倉(結月、ポジティブだなぁ……)

放課後

瀬尾「わーかー!!」

部員「うわっ!! 瀬尾が来た!!」

瀬尾「……あれっ、若がいない」

部員「ああ、若松なら早退したぞ」

瀬尾「えっ」

部員「風邪らしい」

瀬尾「えー……誕生日プレゼントでいっぱいボール当てさせてもらおうと思ったのにー」

瀬尾「それー」ブンブン

部員「うわあああああ!!!」

部長「……」

部員「部長?」

部長「……いつもの瀬尾じゃない」

部員「へ?」

部長「なんつーかその……いつもより迫力がないっつーか……」

瀬尾「やーめた」

部員「!!?」

瀬尾「私、もう帰るわー」

部員「や、やった!! なんか知らないけど今日の瀬尾は帰るみたいだぞ!!」

部員「やったーー!!」

瀬尾「……あーつまんね」

部長「瀬尾は行ったか……」

部員「部長!!」

部長「なんだ」

部員「今日、瀬尾が誕生日プレゼントをいっぱいもらってました」

部長「! そういやお前は瀬尾と同じクラスだったな」

部員「!! もしかしたら……家で誕生日会をやるから早く帰ったんじゃ……」

部員「それだ!!」

部長「いやー今日が瀬尾の誕生日で助かったなー」

瀬尾「……」スタスタ

瀬尾「……若……」

瀬尾「……」

瀬尾「プレゼント……」












若松「瀬尾先輩!!!」

瀬尾「!!!!」

若松「はぁ……はぁ……」

瀬尾「若……」

若松「……見つけましたよ……はぁ……」

若松「昼休みは……あんなひどいことを言って……すみませんでした……」

瀬尾「お前……早退したんじゃなかったの? 部活のやつらが風邪って……」

若松「早退したのは本当です……でも風邪って言うのは嘘です」

瀬尾「! なんで嘘ついたんだよ?」

若松「……これ!! 誕生日プレゼントです!!」

瀬尾「!!」

若松「先輩、寿司好きでしたよね? だから寿司買ってきました」

若松「あと最近発売されたばっかりのゲームと……歌が上達する本と……映画のDVDと……ケーキと……」

若松「これ全部……俺からのプレゼントです」

若松「瀬尾先輩……誕生日……おめでとうございます」

瀬尾「……」

若松「……!! も、もしかして……これだけじゃ足りませんでしたか?」

瀬尾「……ゃん」

若松「へ?」

瀬尾「そんなわけねーじゃん!!」

瀬尾「サンキュー若!! 私の好み、よく分かってんじゃん!! あ、本は別にいらないけど」

若松「ええっ!?」

瀬尾「まーでも折角だしもらってやるよ!!」

瀬尾「マジでありがとな若っ!! スッゲー嬉しい!!」ニコッ

若松「!!!」

若松(なんでだろう……今の瀬尾先輩の笑顔……いつもバスケやってる時と何も変わらないのに……)

若松(……何故かいつもと違うような気がする)

瀬尾「けど私の予想は当たったな!!」

若松「予想……? なんですか?」

瀬尾「お前がサプライズするって予想してたの」

若松「!」

瀬尾「昼休みの時にさ、あげないって言ってたのはサプライズしたかったからだろ?」

若松「!! は……はい……そうだったんですよ……あの時は本当にすみません」

瀬尾「気にすんなって!! 今のでチャラ!!!」

若松「……」

回想・昼休み

若松『……』

若松(これで良かったんだ……うん……これで良かったんだ……)

若松(あれだけ言っとけば先輩も俺にやって来ることも……バスケ部に来ることもやっとなくなる……)

若松『……』

若松『……あっ!!』

若松(ま、待てよ……もしかしたら……もしかすると!!)

瀬尾『若てめぇ……なんで何にもくれねえんだよ……なんで祝ってくれねえんだよ……』

瀬尾『……殺す!!!』

若松(……なんてことを言って部活中に俺を襲って来るかもしれない!!!)

若松(マズイ!!!! こうなったら早退して先輩が喜びそうな物全部買いに行かないと!!)













若松(……ああ思ったのは一応内緒にしておこう)

瀬尾「若!! お前の誕生日の時も祝ってやるからな!!」

瀬尾「そういや今日七夕じゃん、お前は短冊に何か書くの?」

若松「俺ですか? 別に家では書かないですけど……もし書くとしたら……『ローレライさんに会えますように』……ですかね」

瀬尾「……変な願い」

若松「そ、そういう瀬尾先輩はどんな願い事を書こうとしてるんですか!?」

瀬尾「私? そんなん決まってんじゃん」

若松「……?」

瀬尾「これからもお前と色んな所に遊びに行けますように」

若松(……嫌な願いだなぁ)














野崎「若松の願いが叶いませんように……」

~終わり~

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