春巻「深海棲艦?」 (104)

浦安鉄筋家族の春巻が深海棲艦になるお話です。

※ギャグです

※深海棲艦はみやすいようにひらがな表記

※キャラ崩壊注意


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春巻「ホイ?」

港湾棲姫「目覚めたか」

春巻「ここはどこちょー?」

港湾棲姫「ここは我々、深海棲艦の鎮守府だ」

春巻「ちんじゅふ?」

港湾棲姫「そうだ。お前は海で漂流していたところを我々に捕獲された」

春巻「ほぁぁああー!思い出したちょー!湖でボートを漕いでいたらいつの間にか海に出て遭難したんだちょりそー!」

港湾棲姫「……すごい遭難の仕方だな」

春巻「1週間何も食べてないからお腹がすいたちょー。食べ物ほしいホイ」

港湾棲姫「もうお前にそんなものは必要ない」

春巻「リャン?」

港湾棲姫「まだ気づいていないのか?自分の体を見てみろ」ニヤリ

春巻「わぁぁぁー!体が黒くなってるちょー!」

港湾棲姫「お前はもう人間ではない。深海棲艦として生まれ変わったのだ」

春巻「深海棲艦?」

港湾棲姫「人間は我々のことをそう呼ぶ。つまりお前は我々の仲間になったということだ」

ガサガサ……トコトコトコ

春巻「ちょー!ザリガニだちょりそー!捕まえるちょー!」ダバダバ

港湾棲姫「お前はこれから深海棲艦の駆逐艦となり……」

春巻「ザリガニおいしいちょりそー」モグモグバリバリ

港湾棲姫「話を聞けぇー!ザリガニ食ってんじゃねぇぇええ!」ガンッ

春巻「ホッポーッ!」

港湾棲姫「人選間違えたか……?」

春巻「痛いウー」カタカタカタカタ

港湾棲姫「というわけで新たな駆逐艦の教育を頼む」

ル級「はぁ……」

港湾棲姫「気のない返事だな」

ル級「あまり関わりたくない奴なので……」

春巻イ級「わははは!この飛行機面白いちょー!」バキグシャ

ヲ級「私の艦載機を壊すなぁー!」バキッ

春巻イ級「レップー!」

港湾棲姫「……何とか戦力になるように頼む」

ル級「はい……」

春巻イ級「このちくわ太くておいしいちょー」モグモグ

ヲ級「いやぁー!やめてぇー!」

港湾棲姫「ヲ級の触手食ってんじゃねぇええええ!」ドカッ

春巻イ級「キンポッ!」

ル級「絶対に戦力にならない気がする……」

~数日後~

港湾棲姫「さて、今日はあの駆逐艦の初陣だが……大丈夫かな……」



ー海域ー

春巻イ級「わはははは!海の上をスィスィすべるスィー!楽しいちょー!」

ル級「そろそろ戦闘海域に入る。陣形を崩さずに気を引き締めろ!いいな?」

春巻イ級「ちょー!イルカが跳んだちょー!サメサメー!海鳥が飛んでるちょー!」ウロウロ

ル級「言ってるそばから陣形崩してるんじゃねぇぇー!話をきけぇー!」ドガッ

春巻イ級「マッソー!」

へ級「今日のル級さん、めっちゃイライラしてる……」

ワ級「私達は大人しくしとこうね……」

ル級「見えたぞ!艦娘だ!」

ヲ級「よーし!私の艦載機で攻撃を……あれ?」

ル級「どうした?」

ヲ級「あれ?あれれ?艦載機がでない……」キョロキョロ

春巻イ級「この鳥おいしいちょー」モグモグバリバリ

ヲ級「」

~艦娘側~

雷「変ね。敵空母がいるのに艦載機の攻撃がこないわ」

赤城「それが……」

北上「何かあったのー?」

赤城「敵の駆逐艦が敵空母の艦載機を食べてます」

雷「えっ」

北上「えっ」

山城「えっ」

古鷹「えっ」

霞「えっ」

春巻イ級「わはは、海老みたいな味がするちょりそー」モグモグバリバリ

ヲ級「食べるなボケェーッ!」バキッ

春巻イ級「ヲーッ!」

ヲ級「私の艦載機返してよー!このバカァー!」ガンガンガンッ

春巻イ級「痛たたたた!痛いちょー!やめてちょー!」

古鷹「えっと……仲間割れしてますね」

霞「……今の内に攻撃しない?」

ヲ級「ハァ……ハァ……」

春巻イ級「痛いウー」ピクピク

ル級「落ち着けヲ級」

ヲ級「だって!コイツが私の艦載機をー!!」

ル級「今は仲間割れしている時ではない」

春巻イ級「あの子怖いちょー」ガタガタ

ル級「艦載機を食べた責任は後でとらせる。とにかく戦闘準備だ」

へ級「艦載機を食べる奴初めてみた」

ワ級「うん……」

ヲ級「うぅ……艦載機が全滅……もう攻撃に参加できない……」シクシク

雷「なんか可哀相……」ホロリ

ル級「いいか、よく聞け!標的は正面にいるあいつらだ」

春巻イ級「可愛い女の子だちょー」ホジホジ

ル級「お前は我々の後方からあそこにいる奴らに向かってその主砲を打つのだ」

春巻イ級「これを撃てばいいホー?」カチカチ

ル級「ま、待て!銃砲をこっちに向けるな!」

春巻イ級「ちょ?」ズドーン

ル級「ナトリッ!」

へ級「あっ」

ワ級「あっ」

ル 級 小 破

春巻イ級「リャン?」キョトン

ル級「こっちに向けて発砲するなぁぁあああー!」ドガッ

春巻イ級「ニーチェ!」

ル級「いいか!あっちに向けて撃つんだ!あっちだ!」

春巻イ級「わかったちょー」スィー

へ級「なんかやな予感がする……」

ツルッ

春巻イ級「うあちょおぉー!」ゴロゴロゴロー

へ級「イ級の奴、滑ってそのまま転がってる……」

ワ級「えぇ……」

ヲ級「やった!そのまま艦娘達に突っ込んで轟沈しちゃえ!」

春巻イ級「ぽっぽちゃー!」ゴロゴロゴロー

古鷹「て、敵の駆逐艦が……転がって来ます!?」

北上「うわぁ!こっちに来るなぁー!」

ドカンドカンッ キャー!アッチイケー!

春巻イ級「ジャッキィィイイ!」ゴロゴロゴロー

赤城「あら、方向転換しましたね」

霞「あー良かった。あんな奴と衝突して大破とか絶対にしたくないわよ」

春巻イ級「誰か止めてちょー!」ゴロゴロゴロー

ヘ級「うわっ!今度はこっちに来た!来るな来るなー!」

ドカンドカンッ ウワー!ヤメテー!

ワ級「いやー!こないでぇぇええ!あ、私攻撃できな……」

ドカーンッ!

ヘ級「ひびきー!」

ワ級「アカツキッ!」

ヘ 級 撃 沈

ワ 級 撃 沈

ヲ級「」

ル級「」

山城「あっちにも不幸な艦がいたのね……」ホロリ

春巻イ級「やっと止まったちょりそー。死ぬかと思ったチェン」ムクッ

ル級「味方を撃沈するなボケェェエエー!」ドカッ

春巻イ級「コンゴー!」

ル級「いい加減にしろぉおおおー!ふざけんなボケェー!」ガンガンガンッ

春巻イ級「やめてちょー!痛いちょりそー!」

雷「敵の戦艦が敵の駆逐艦を叩いてるわ……」

北上「あれは誰でも怒るよねー」

霞「あの駆逐艦すごい馬鹿ね……」

ル級「もういい!お前は何もするな!」

ヲ級「[ピーーー]」

春巻イ級「この二人怖いウー……」ガタガタ

ヲ級「どうしよう。艦載機がないから援護できない」

ル級「攻撃できるのは私だけか。戦闘開始すらしてないのにどうしてこうなった」

ヲ級「ル級さん、ここは一旦引いたほうが良い気が……」

ル級「深海棲艦に撤退の文字はない!私一人でも奴らを倒してみせる!」スィー

ヲ級「ル級さんかっこいい!私も弾除けぐらいには!」スィー

赤城「敵艦向かって来ます!」

古鷹「あんな状況でも撤退しないんですね……」

雷「敵ながら天晴れだわ……」ホロリ

ドカンドカン

春巻イ級「楽しそうなことをしてるちょー。さびしいツィー……」ポツン

シズミナサイ!ホウゲキヨウイシテ!ウテェー!

春巻イ級「そういえば足の方にも何かついてるちょー」魚雷ポチー

プシュプシュッ

春巻イ級「リャン?足から何か飛んでいったマオ」

ル級「くっ!やはりこの差は覆せないか……」

ヲ級「もうだめ……私も沈みそう……」

赤城「! 気をつけて!敵の後方から攻撃が……」

ル級「えっ」

ドカーン!

ル 級 大 破

赤城「来ました……ね」

ル級「」

霞「えっ何?何が起きたの!?」

古鷹「どうやら敵の駆逐艦の魚雷が敵の戦艦に命中したみたいです……」

山城「不幸だわ……(敵が)」

春巻イ級「大丈夫ちょー?」スィー

ル級「大丈夫なわけねえだろボケェー!!」ドグシャアッ!

春巻イ級「ギョラァァアッ!」

ル級「何もすんなって言っただろボケェェエエエ!」ガンガンガンッ

春巻イ級「ジャッキィイイイ!」

ル級「どこまでも足を引っ張りやがって、ふざけんなテメェェエエー!」ドガドガドガドガドガッ

春巻イ級「カンコォオオオ!」

ル級「ハァ……ハァ……」

春巻イ級「」ピクピク

古鷹「……」

霞「……」

北上「……あのさ、今日はもう帰ったら?」

ル級「うん……そうする……」

雷「ま、また今度相手になってあげるから。ね?」

ヲ級「はい……」

マタネー!キヲツケテネー!ソイツ カイタイ シチャエバ?フコウダワ……

ル級「……」スィー

ヲ級「……」スィー

春巻イ級「帰るちょりー?」スィー

ヲ級「誰のせいでこうなったと思ってんのー!」バキッ

春巻イ級「ずいほーッ!」

ル級「お前はもう喋るな……」

~深海棲艦の鎮守府~

ル級「報告は以上です」

港湾棲姫「……」

ル級「あの駆逐艦の教育は無理です」

港湾棲姫「うん……」

ル級「早く解体してください」

港湾棲姫「したいんだけど、あいつなぜか解体も破棄もできない……」

ル級「えぇ……」

春巻イ級「うまいちょー」モグモグ

ヲ級「だから艦載機を食べるなっていってるでしょー!」バキッ

春巻イ級「かがーッ!」

港湾棲姫「どうしよう……」

かくして深海棲艦の鎮守府は呪いの駆逐艦を手に入れてしまったのだった。 ―完―

皆さんありがとうございます。

第二話 春巻イ級 VS 伊勢海老

はじまり。

春巻が深海棲艦になってから一ヶ月。
春巻こと春巻イ級は相変わらずの生活をしていた。

ヲ級「艦載機を食べるなって何回言わせればわかるのよこのバカァー!」ガンッ

春巻イ級「りゅうじょー!」

港湾棲姫「またイ級か」

ル級「棲んでるだけで迷惑な奴だ……」ゲンナリ

港湾棲姫「何であいつ轟沈しないの?」

ル級「沈んでも何事もなかったように戻ってくるんです」

港湾棲姫「えぇ……」

春巻イ級「この黒い煎餅、固くておいしいちょー」モグモグバリバリ

港湾棲姫「って、大事な補給物資を食ってんじゃねぇぇえええ!」バキャー

春巻イ級「ブッシー!」

ル級「ここにいても戦闘に出しても味方に損害が広がるだけ……あ、頭が……」クラッ

春巻イ級「ここでも友達が出来ないちょー。さびしいチェーン……」

そんな皆に嫌われている春巻イ級だったが、
友達と呼べる深海棲艦が出来た。北方棲姫である。
良い意味でも悪い意味でも純粋な彼女は春巻イ級に寛容であった。

北方棲姫「イ級ー!海でえびを捕まえたぞー!」

春巻イ級「ほあぁああ!それは伊勢海老だちょりそー!」ブルブルブル

北方棲姫「ほしいのか?」

春巻イ級「くれちょー!くれちょー!くれちょちょー!」ピョンピョン

北方棲姫「5匹捕まえたから、1匹イ級にあげる」ニコニコ

春巻イ級「うれしいちょー」ウルウル

港湾棲姫「ほっぽちゃーん、ちょっとこっちにこれる?」

北方棲姫「あっ、呼ばれたから行かなくちゃ」

春巻イ級「また遊びにくるちょー!」

北方棲姫「うん、また後でね!」フリフリ

タッタッタッタッタ……

春巻イ級「ほっぽちゃんはやさしいちょー」ジーン

伊勢海老「……」カタカタカタ

春巻イ級「伊勢海老なんて人間の時でも滅多に食べられなかったチェン」キラキラ

伊勢海老「……」サササササーッ

春巻イ級「ちょ?……わぁー!伊勢海老が逃げるちょー!」ダバダバダバ

伊勢海老「……」ガサササササ

春巻イ級「まってくれちょー!」ズタタタタタ

伊勢海老「……」ガサササササー

春巻イ級「くそー!逃げ足が速いちょー!……そうだ、主砲で仕留めるチェン!」ズドンズドンッ

伊勢海老「……」サッ ササッ

春巻イ級「よけられたマオー!くぬぅ!くぬぅ!」ズドンズドンッ

ワ級「あれ?こんな所に伊勢海老が……って、にゃああああ!?」

ドカーン!

ワ級「いっせー!」

ワ 級 中 破

春巻イ級「待つホーイ!」ズドンズドンッ

伊勢海老「……」ササッ ササッ

春巻イ級「くぅー!こうなったら魚雷ちょー!」シュパシュパッ

伊勢海老「……」ピョンピョンッ ササッ

ツ級「あら、なんで伊勢海老が……わぁぁあああー!魚雷ー!?」

ドカーン!

ツ級「ひゅうがー!」

ツ 級 大 破

春巻イ級「くそー!このえびー!いい加減にしろちょー!」シュパシュパッ

ル級「いい加減にすんのはテメーだぁぁあああー!」ゴーン

春巻イ級「ペルシャッ!」

ル級「鎮守府内で発砲してんじゃねぇえええー!」グシャ

春巻イ級「ワンガンー!あががががががッ!」

ル級「クズが」ペッ

春巻イ級「い、痛いちょー」ピクピク

ツ級「またイ級か」ブスブス

ワ級「このバカー!アホー!ドジー!マヌケー!」ブスブス

ル級「すまん、とにかく修理しに行こう」

伊勢海老「……」サササッ バーカバーカ

春巻イ級「また怒られたちょー!お前のせいだウェイ!」

伊勢海老「……!」ムカッ

春巻イ級「もう許せんちょー!絶対に食ってやるちょー!」バッ ムンズ

伊勢海老「……」

春巻イ級「わはは!捕まえたちょー!……ホイ?」フワァ……

伊勢海老「……」ブンッ ポイー

春巻イ級「わぁぁあああ!投げられー!?」

ガンッ

春巻イ級「あががががー!顔ー!かべぇぇええ!」ビクビクビクッ

伊勢海老「……」グイグイ

春巻イ級「わぁぁああ!やめてちょー!体を掴むなちょー!」

伊勢海老「……」フタタビ ブンッ ポイー

春巻イ級「こっぽらぴー!」ドガシャーン

伊勢海老「……」ピョンピョン

バーカバーカと手を上げる伊勢海老

春巻イ級「フッ……」ペッ

伊勢海老「……?」

春巻イ級「こうなったら本気で戦ってやるチェン……!」

伊 勢 海 老 VS バ カ

春巻イ級「今度こそ本気の主砲をくらうちょー!」ドカドカドカンッ

伊勢海老「……」サッサッサッ

春巻イ級「マオー!また全部よけられたちょー!」

ヘ級「ん?何やってんだあいつ」

春巻イ級「くそー!何てすばやい奴だちょりそー!」魚雷シュパー

ヘ級「おいイ級。そんなところでなにや……ばにゃー!」

ドカーン!

ヘ 級 撃 沈

春巻イ級「わぁー!今度はへ級に当たっちゃったチェーン!」

伊勢海老「……」コソコソ

春巻イ級「リャン?伊勢海老はどこに行ったちょー?」

伊勢海老「……」カサカサ

春巻イ級「わぁぁああ!いつの間に頭の上にー!」

伊勢海老「……」ドスッドスッ

春巻イ級「アタマァァアア!!」血ガドバー

伊勢海老「……」ズボズボッ ズボズボッ

春巻イ級「つめぇー!やめろちょー!頭に手足を突っ込むなちょー!」ドタバタ

伊勢海老「……」サササッ

春巻イ級「あががががが!く、口の中にー!」

伊勢海老「……」グリグリグリッ 歯ヲ ズボーッ

春巻イ級「奥歯ァァアアア!」ブシュー

伊勢海老「……」グリグリズボッ グリグリズボッ グリグリズボッ

春巻イ級「やめちょー!歯を取らないでくれミャー!」

伊勢海老「……」ガスッ!ガスッ!ガスッ!

春巻イ級「あがががががぁー!誰か助けてミャオー!」


ヲ級「今、イ級の叫び声が聞こえたような……」

ル級「ほっとけ。あんな奴どうでもいい」

~数分後~

スタタタターッ

北方棲姫「イ級ー!えびはどうし……ほわぁぁあああー!」ペタンッ

伊勢海老「……」ドスッ ドスッ ドスッ

春巻イ級「ゴポッ……」チマミレー

ヘ級「」チーン

北方棲姫「あわわわわわ……」ガクガクブルブル

伊勢海老「……」ズボッ ドスッ ズボッ ドスッ

春巻イ級「」ピクピク

伊勢海老「……」ギロリ

北方棲姫「ひっ!」ビクッ

伊勢海老「……」ジー

北方棲姫「にゃああああー!殺棲艦えびぃぃいいいー!!」オタタタタタタタタ

―対戦結果:2ラウンド 5分35秒―

○伊勢海老 ― ●春巻イ級 顔面をズタズタにされた挙句、歯を全部抜かれKO負け。

場外参加者
●ヘ級 春巻イ級の放った流れ弾に当たってKO負け。
●ツ級 春巻イ級の放った流れ弾に当たって大破。
●ワ級 春巻イ級の放った流れ弾に当たって中破。
●北方棲姫 逃走。

第二話 ―終―

皆さんありがとうございます。

第三話 株式会社アオイ

はじまります。

―深海棲艦 鎮守府―

ゴロゴロゴロ……

集積地棲姫「補給物資を届けにきたぞ」

港湾棲姫「ありがとう。これでしばらくは持ちこたえることができそうだ」

集積地棲姫「ところで何故わざわざトラックを使って運ぶようにしたんだ?」

港湾棲姫「それは……。食われるからだ」

集積地棲姫「えっ」

港湾棲姫「補給物資を丸出しで運ぶとうちに棲んでる駆逐艦に食われるからだ」

集積地棲姫「えぇ……」

港湾棲姫「だからトラックで中身を見えなくする必要があるのだ。さあ、奴に見つかる前に……」

春巻イ級「ちょー!大きな運搬車両だちょりそー!」ガチャリ ガサゴソ

港湾棲姫「勝手にトラックの中身をあさってんじゃねぇー!」ドガッ

春巻イ級「はやすぃいー!」

集積地棲姫「う、うわぁ……何も蹴らなくてもいいんじゃないか……?」

港湾棲姫「お前はコイツのことを知らないからそう言えるんだ」ゲシゲシ

集積地棲姫「そ、そうか……大変なんだな……」

港湾棲姫「何ならそっちで預かってくれてもいいぞ」

集積地棲姫「それは無理。集めた物資を食われたら私は色々な意味で死んでしまう」

港湾棲姫「ですよねー」

集積地棲姫「それで、物資はどこに持っていけばいい?」

港湾棲姫「ああ、とりあえず第二倉庫まで運んでくれ。ヲ級達も手伝ってくれ」

ヲ級「了解です。……イ級はどうします?」ヨイショヨイショ

港湾棲姫「このまま眠らせておけ。下手に仕事をさせたら手間が増える」

ヲ級「確かに何もさせなほうがいいですね」ヨイショヨイショ

春巻イ級「」ピクピク

―数分後―

春巻イ級「うぅー顔が痛いちょー。頭がクラクラするくらー……」フラフラー

シーン

春巻イ級「ホイ?誰もいないちょー。皆かくれんぼでもしてるのかミャオ」キョロキョロ

ガチャリ トコトコトコ……

春巻イ級「トラックの中はガラガラだちょー。一体どこに隠れてるマオ」

バタン!ガチャガチャガチャリ

春巻イ級「リャン?」キョトン

集積地棲姫「よし、物資も運び終えたし私はこれで帰るぞ」

港湾棲姫「ああ、気をつけて帰るんだぞ」

この時、港湾棲姫も集積地棲姫も
物資運搬用のトラックに春巻イ級が入り込んだことに気づかなかった。
また、港湾棲姫は春巻イ級の戦闘時の危険性を集積地棲姫に教えていなかった。
これが後に深海棲艦達に大きな影響を与えることになる。

―深海棲艦・物資集積所―

集積地棲姫「ふう……なんとか無事に帰ることができた。ただいま」

沿岸砲台「お帰りー!」

春巻イ級「ここから出してちょー!」

ガタガタ ゴトゴト

魚雷艇群「ぎゃー!」「ぎゃー!」「ぎゃー!」

集積地棲姫「ん……どうした?」

沿岸砲台「トラックの中に何かいるよ!」

集積地棲姫「何?そんなはずは……」

ガチャガチャガチャリ キィ

春巻イ級「ちょりー!やっと出られたちょー!」

集積地棲姫「わぁぁああああー!」ペタン

春巻イ級「ホイ?ここはどこミャオー?」キョロキョロ

集積地棲姫「お、お前!いつの間にトラックの中に!」

春巻イ級「皆を探してたら閉じ込められたんだちょー……」

集積地棲姫「あぁ……迂闊だった!帰る前にちゃんと中を確認しておくんだった!」頭カカエ

春巻イ級「ちょー!色々な物が置いてあるホーイ」ウロウロ ガサゴソ

沿岸砲台「ねーちゃん、こいつ誰?」

集積地棲姫「港湾棲姫のところにいたイ級駆逐艦だ……」

沿岸砲台「ふーん、お客さん?」

集積地棲姫「いや、偶然トラックの中に入り込んだだけだ……」

魚雷艇群「あんぎゃー!」「きゅぅぅぅ!」「きゅぅー!」

集積地棲姫「どうした?」

沿岸砲台「うわあぁぁー!イ級が集めた物資を食べてるー!」

春巻イ級「この白い煎餅、甘くて美味しいちょー」ボリボリボリ

集積地棲姫「」

春巻イ級「こっちの長い棒も美味しいノラー」バリバリムシャムシャ

集積地棲姫「砲身と装甲板を食べるなぁー!」バキィ

春巻イ級「ミッチィィイイイー!」

集積地棲姫「よりによって上等な方を食べるなんて……」ガックリ

春巻イ級「うりょりょりょりょ~」カタカタカタ

沿岸砲台「補給物資を食べる奴初めてみた……」

集積地棲姫「いいか!ここに集めてある物資は他の仲間に運ぶ大切なものなんだ!絶対に手を出すな!」

春巻イ級「わかったちょー。ごめんなさいちょー」ペコリ

集積地棲姫(なんだ、言えばわかるじゃないか)

春巻イ級「それにしても長時間トラックに乗ってたから疲れたちょー。どっこいしょ」バキグシャ

沿岸砲台「わぁー!空母用のカタパルトがー!」

春巻イ級「ホイ?椅子が壊れたマオ」グシャグシャ

集積地棲姫「言ったそばから物資の上に座ってんじゃねえぇぇー!」ボゴォ!

春巻イ級「ジャッキィィイイ!」

集積地棲姫「私を馬鹿にしているのか貴様ぁー!大切な物資だって言ってるだろぉー!」ガンガンッ

春巻イ級「やめてちょー!許してちょー!叩かないでちょりそー!」

沿岸砲台「温厚な集積ねーちゃんがめっちゃ怒ってる……」ガクガクブルブル

春巻イ級「椅子に座っただけなのに……この子怖いちょー」ガタガタ

沿岸砲台「こいつ怒られてる原因わかってない……凄い馬鹿だ……」

集積地棲姫「はぁ……。お前のいた鎮守府までのルートを教えてやるから早く帰ってくれ」

春巻イ級「わかったちょー。お手数かけます」ポリポリ

魚雷艇群「ぎゃー!」「わぁー!」「くすくす……」

集積地棲姫「今度はどうした魚雷艇群……うっ!あれは艦娘の艦隊!」

沿岸砲台「えぇー!ついにこの集積所にもやってきたんだ!ど、どうしよう!」オロオロ

集積地棲姫「落ち着け。おいイ級、帰るのは後だ!先に艦娘の迎撃する。手を貸してくれ!」

春巻イ級「お安い御用だちょりそー」コリコリ

集積地棲姫「艦娘共め、陸上型の力を見せてやる……」

利根「よーし、奴らの集積所が見えたぞ!」

暁「あれ?そこにいる駆逐艦……人型だわ」

夕張「初めてみる形ね……新型かしら?皆注意して!」

雷「あの形……」

古鷹「どこかで見たような……気がしますね」

集積地棲姫「砲台は私のそばに!イ級は郡の前方、郡はイ級後方で援護射撃だ!」

沿岸砲台「はい!」

春巻イ級「了解だちょりそー」ホジホジ

魚雷艇群「くすくす……」「くす……」「きゃはは」

集積地棲姫「よし、我々は一番厄介な航空巡洋艦を狙うぞ。イ級と郡は敵の駆逐艦を狙え」

春巻イ級「わはは、俺の力を見せてやるホーイ!まずはあの子を狙うちょー」ジー

霞「うわ、あの駆逐艦こっち見てるわ。きもっ!」

春巻イ級「ちゃんと狙って……ふぇっ……ぶえっくしん!」主砲シュポー

魚雷艇群「ぎゃ!?」「ふぁっ!?」「ぎょー!?」

春巻イ級「わぁー!主砲がすっぽ抜けたちょー!」

古鷹「敵の駆逐艦の主砲本体が……」

暁「真上に向かって飛んでるわ」

雷「砲撃するんじゃなくて主砲を飛ばすのね……」アゼン

春巻イ級「ちょー!待ってくれミャオー!主砲主砲ー!」ピョンピョン ドタバタ

集積地棲姫「何やってんだあいつ……」

春巻イ級「ちょりー!」

ガシッ

春巻イ級「ふう、何とか掴めたホーイ。さて、ちゃんと腕にはめて……」カチリッ

ズドーンッ!

春巻イ級「わぁー!砲撃翌用のスイッチを押しちゃったマオー!」

魚雷艇群「えっ」「えっ」「えっ」

ドカーン!

魚雷艇群「ミクマァー!」「スズヤァァア!」「モガミ!」

魚 雷 艇 群 撃 沈

春巻イ級「リャン?」

沿岸砲台「えっ」

集積地棲姫「……は?」

春巻イ級「ほあきーん!魚雷艇群がやられちゃったちょー!」

集積地棲姫「オメェがやったんだろぉー!」グシャッ

春巻イ級「ペキンッ!」

集積地棲姫「味方に砲撃してんじゃねえぇー!」ガンッガンッ

春巻イ級「どらむー!」

沿岸砲台「ねーちゃんねーちゃん!味方同士で争ってる場合じゃないよ!」

集積地棲姫「はぁ……はぁ……。そ、そうだったな……すまん」

春巻イ級「きゅうー」ルリルリルリ

集積地棲姫「お前はあの丘の上から砲撃しろ……」

春巻イ級「わかったちょー」ポリポリ

沿岸砲台「だ、大丈夫かな……?また誤射するんじゃ……」ビクビク

集積地棲姫「我々は丘の下に移動し丘を背にしよう。それなら誤射される心配もない」

春巻イ級「良い眺めだホーイ」トコトコ

集積地棲姫「よし、奴は丘に登ったな。改めて砲撃戦用意だ!」

―丘の上―

春巻イ級「ありゃ?トラックが邪魔であの子達を狙えないちょー」ジィィー

ワーワー チクマノヤツニハマケンゾー! ドカドカンッ

春巻イ級「しょーがない、トラックを少しどかすホーイ」ヨイショヨイショ

―丘の下―

利根「あいつは陸上型だな!よーし、三式弾で仕留めてやるぞ!」

古鷹「はい!」

沿岸砲台「ねーちゃんはやらせない!」ドカンドカンッ

夕張「二人を援護するわよ!」

雷「まっかせてよ!」

―丘の上―

春巻イ級「うじゅー……このトラック重たいちょー……」ズズズー

ガタン!

春巻イ級「はぁはぁ……ちょっと一休みするちょー」

ガタッ!ガタガタッ!ガタガタガタ……!

―丘の下―

沿岸砲台「うう、敵の攻撃が激しい……!」

集積地棲姫「お前は丘を壁にして、あっちの重巡洋艦を狙え!」

沿岸砲台「は、はい!」タタタタタッ

―丘の上―

春巻イ級「さて、もうひと運び……リャン?トラックが消えたちょー」キョトン

ガタガタガタガター ズザァァアアアー!

春巻イ級「わぁぁああああ!トラックが丘を滑り落ちてるリャーン!」

―丘の下―

パラパラ……

沿岸砲台「ん?何か上から砂利が……」

ガタガタガタガタガタロー  ゴオオオオオオ……!!

沿岸砲台「わぁぁああああー!トラックがぁー!?」

ガラガラガラ……ドカーン!

沿岸砲台「かっこー!」グシャー

沿 岸 砲 台 撃 沈

集積地棲姫「」

古鷹「敵の砲台が……」

暁「トラックの下敷きに……」

春巻イ級「ちょー……トラック落っことしちゃったチェン」ションボリ

集積地棲姫「やっぱりテメーの仕業かあぁー!」ベキィッ

春巻イ級「トラァー!」

集積地棲姫「うぅ……郡に続いて砲台もやられてしまった……」ガックリ

春巻イ級「よかったちょー!トラックはどこも壊れてないホーイ」ニカッ

集積地棲姫「うっせえええぇぇー!良かったじゃねええぇぇー!!」ドゴォ!メシャァ!

春巻イ級「ジョーカァアアア!」

雷「やっぱりあの駆逐艦……」

霞「この前、馬鹿なことをしてた奴ね……」

集積地棲姫「くそっ!だ、だがまだ物資がやられたわけじゃない……!」

春巻イ級「物資を守ればいいちょー?」

集積地棲姫「黙れぇぇぇええー!お前はもう何もするなぁー!」

春巻イ級「わ、わかったちょー……ぶえっくし!」魚雷ポチー

シュパー

夕張「気をつけて!魚雷が……ってどこ狙ってるのかしら」

暁「全然違う方にいってるし……」

春巻イ級「ぶえっくし!……ぶえっくしゅ!!」魚雷ポチー 魚雷ポチー

シュパシュパー

雷「なんでくしゃみするたびに魚雷が飛んでるの!?」

春巻イ級「風邪をひいちゃったマオー」ズズズッ

集積地棲姫「だから勝手に魚雷を撃ってんじゃねぇー!」バチーン

春巻イ級「ぎょらー!」

雷「待って、あの魚雷……なんか後ろの方に向かってない?」

利根「敵の物資が置いてある方に向かってるのう」

集積地棲姫「えっ」

ズボボボボボー!

集積地棲姫「えっ……えっ……」

ドカーン!ドカカーン!
┣¨┣¨┣¨┣¨ド……ガラガラガラー!べしゃーん!

物 資 崩 壊

集積地棲姫「」

春巻イ級「わぁぁあああ!物資に当たっちゃったちょー!」

集積地棲姫「いい加減にしろこのクソ野郎がああぁぁー!」ズバゴーン

春巻イ級「コッカァァアア!」

集積地棲姫「早く壊れた物資をどかさないと他の物資にも被害が……!でもまだ艦娘共がいるし……」オロオロ

利根「チャンスじゃ!今のうちに攻撃を仕掛けるのじゃ!」

古鷹「で、でも今攻撃するのは少し気が引けるような……」

春巻イ級「大変だちょー!早く元に戻すちょー!」ガサゴソ

集積地棲姫「やめろぉぉおおお!!お前が触ると碌なことにならな……」

春巻イ級「ぶえっくし!」主砲ポチー

ズドーンッ ゴォオオオオオ……

物 資 引 火

春巻イ級「ほあきーん!今度は間違えて主砲を撃っちゃったミャオー!」

集積地棲姫「ああああああぁぁぁぁぁー!このバカァー!」ガンガンガンッ

春巻イ級「いたたたた!やめてちょー!痛いちょりそー!」

暁「あの子、泣きながら駆逐艦を叩いてるわ……」

雷「なんだか可哀相……」ホロリ

春巻イ級「火事になっちゃったチェーン!」

集積地棲姫「は、はやく火を消さないと……!水だ水ー!!」

春巻イ級「水が入ったバケツ……あったちょー!」ガシッ

集積地棲姫「まぁぁぁぁああああー!それ違うぅぅうううー!」

春巻イ級「はちょー!」油バシャー

―炎はますます燃え広がった!―

春巻イ級「ほあきーん!これは油だったちょー!」

ボォォォオオオオオオ!

春巻イ級「熱っ!熱っ!あちちちちっ!炎が燃え移ったちょー!」ゴォオオオオ

夕張「あの駆逐艦も燃えてるわ……」

春巻イ級「熱いちょー!誰か火を消してくれミャオー」オタタタタタ

霞「あの馬鹿が走り回ってるせいで、余計に火が広がってるし……」

集積地棲姫「はっ……ははっ……ははははっ……!」カタカタカタカタ

春巻イ級「もう駄目だちょー!海に逃げるリャーン!」バシャーン

夕張「……」

雷「……」

利根「……えっと……あっ!や、やったぞ!我輩達の勝利じゃ!」

古鷹「利根さん、私達何もしてないですよ……」

夕張「でもこれは……私達の勝ちってことに……なるのかしら?」

雷「えぇ……」

霞「何これ……」

暁「私に聞かないでよ……」

集積地棲姫「もえろー……もえろー……炎よもえろー……」カタカタカタカタ

夕張「ねぇ、早く帰りましょう……凄く居た堪れないわ……」

古鷹「そうですね……」

雷「あの子可哀相……」ホロリ

霞「惨めよね」

夕張「しーっ!」

集積地棲姫「ほのおー……うつくしいわぁ……」ポロポロ

暁「司令官にどうやって報告しよう……?」

利根「うむ、我輩達が物資を破壊したということにしよう」ウンウン

古鷹「利根さん、それって捏造……」

利根「し、仕方ないじゃろ!敵の駆逐艦が壊したなんて報告できんぞ!」

かくして春巻イ級の功績により深海棲艦の補給物資に大ダメージを与えたのだが
その功績は艦娘達によって事実を歪曲される形となった。

第三話 ―劇終―

ありがとうございます。

第四話 春巻イ級が鎮守府に着任しました

はじまります。

補給物資を燃やした春巻イ級は命からがら戦闘海域から抜け出し
元いた鎮守府を目指し単艦で海域を横断していた。

春巻イ級「焼け死ぬかと思ったチェーン。早く鎮守府に戻るちょー」スィー

ウロウロ ウロウロ……

春巻イ級「それにしてもここはどこちょー?」キョロキョロ

港湾棲姫がいる鎮守府を目指していた春巻イ級であったが
どういうわけか全く逆方向に進んでしまい一日が過ぎる。
二日目、やっと東方面に大きな大陸が見えてきた。

春巻イ級「リャーン!やっと陸についたちょー!」スタスタ

ワイワイ ガヤガヤ

春巻イ級「それにしてもここはどこちょ?あそこの人に聞くちょー」

吹雪「よいしょ、よいしょ……。ふう、さすがにドラム缶3つは重いなぁ……」

春巻イ級「すみませんちょりそー」

吹雪「はい、なんでしょう?」クルッ

春巻イ級「ここは一体どこちょー」

吹雪「」

春巻イ級「鎮守府への帰り道がわからないチェン」ホジホジ

吹雪「いやああぁぁー!深海棲艦ー!」ドラム缶ポイポイ

春巻イ級「まぁぁああああー!艦娘だったちょりそー!」ドタドタバタバタ

赤城「どうしたの!?」

吹雪「あ、赤城さん!あそこに深海棲艦が……!」

赤城「大変!攻撃隊、範囲を駆逐艦一点に絞って攻撃して!」シュパシュパ

ブーン……ドカドカー

春巻イ級「やめてちょー!痛いちょー!」スタタタタタ

赤城「攻撃が命中したのに……」

吹雪「沈みませんね……」

春巻イ級「ひとまずあそこに避難するマオー!」オタタタタタ スポー

赤城「しまった!逃げられた!?」

吹雪「私、司令官に伝えてきます!」

赤城「お願い!私は逃げた駆逐艦の捜索をします!」

―鎮守府 第二公舎―

春巻イ級「死ぬかと思ったチェン。それにしてもここはどこちょー?」キョロキョロ

館内放送「緊急事態発生!鎮守府内に深海棲艦が一隻侵入した模様。各員――」

叢雲「いたー!」

曙「このクソ深海棲艦!私達の公舎に侵入するとは良い度胸ね!」

春巻イ級「わぁぁあー!また艦娘だちょー!」オタタタタタタ

曙「待てぇぇぇえ!」ズドズドズドッ

叢雲「逃げるなぁー!」ズドズドズドッ

春巻イ級「ほあきーん!」窓ガシャーン

山城「えっ 深海棲艦……!?」

叢雲「あっ」

曙「あっ」

ドカーン!

山城「みつにゃーん!」

山 城 中 破

曙「あわわわわ……!私達の攻撃が山城さんに……!ど、どうしよう……」ボノボノボノボノ

叢雲「に、逃げるのよ!全力で逃げるのよ!」スタタタタタタ

曙「え、ちょ、ずるい!私も逃げるー!」オタタタタタ

山城「ふ、不幸だわ……」プスプス

―公舎外―

春巻イ級「どうなってるちょー!ここは艦娘だらけだちょー!」ゼェゼェ

大井「見つけたあぁぁあー!おらっしゃぁぁあああー!」ドバキー

春巻イ級「ガミィィイイー!」

大井「やったわ北上さん!深海棲艦を生け捕りよ!」

春巻イ級「ほっぽー……」ピクピクピク

北上「やったね大井っち!」

春巻イ級「やめてちょー!離してちょー!」ジタバタ

大井「離せって言われて離す馬鹿いないわよ。提督は一体どうやってコイツを拷問するのかしら」ワクワク

春巻イ級「ふぇ……ぶえっくちゅん!ぶえっくしん!」鼻水ビチャー

大井「」ネバー

北上「お、大井っち……大丈夫?」

大井「何さらしとんじゃテメェー!」ドバキィ

春巻イ級「ジャッキィィイー!」

大井「汚ねぇ鼻水を顔面に浴びせてんじゃねぇ!ボケェー!」ガンガンガンッ

春巻イ級「バルサーン!」ゴロゴロゴロー

大井「顔に何かぶっ掛けていいのは北上さんだけだゴルァー!」ゲシゲシゲシゲシッ

春巻イ級「の、のらぁ~」ピクピク

大井「はぁ……はぁ……。あ、あら~。私ったらつい……」

北上「大井っち、本当にいい性格してるよねー……」

春巻イ級「ほあきーん!あの子怖いちょー!誰か助けてミャオー!」オタタタタタ

大井「誰も助けてくれませんよー?逃げるなら魚雷で撃たれても仕方ないですよね!」魚雷シュパー

春巻イ級「わぁぁぁあー!魚雷が追っかけてくるちょー!」スタタタタ

扶桑「きゃっ!深海棲艦……!?ここにいたのね!」ジャキ

大井「あっ」

北上「あっ」

ちゅどーん!

扶桑「ひこにゃーん!」

春巻イ級「だっちゃっぴー!」ヒューン

扶 桑 大 破

大井「……」オタタタタタ

北上「わぁ!待ってよ大井っち!無言で逃げるなぁー!オタタタタタ

扶桑「な、なにがおきたの……?」プスプス

―鎮守府倉庫ダクト内―

春巻イ級「ちょおおおー!止まらないちょおおおおー!」

ゴロゴロゴロー ビタンッ!

春巻イ級「ちゅん!」

大井の魚雷の爆発に巻き込まれた春巻イ級は、
鎮守府地下倉庫に繋がるダクト内に飛ばされ、そのまま地下倉庫まで転がり落ちた。

春巻イ級「いたたたたた……ここはどこちょー?」キョロキョロ

シーン

春巻イ級「真っ暗で何も見えないちょー」

スタスタ……ガンッ!

春巻イ級「かべぇぇぇえ!……こっちは壁だチェン……じゃあこっちに行くちょりー」

スタスタ……ガンッ!

春巻イ級「うぉーる!」

春 巻 イ 級 遭 難 開 始

遭難一日目。
真っ暗な倉庫内で方向感覚を失った春巻イ級は
向きを変えるごとに壁にぶつかり振り出しに戻ってしまう。
156回ほど壁にぶつかった後、疲れ果てて睡眠をとる。

春巻イ級「おなかすいたチェーン……こうなったら魚雷を食べるちょー」モグモグ

遭難二日目。
海と倉庫内で計3日ほど彷徨った春巻イ級は
空腹に耐えかね、ついに自分の主砲と魚雷を食べつくしてしまう。
暗闇に慣れたため倉庫内を歩きまわれるようになったが、
食料になるものはおろか、倉庫内には道具ひとつ落ちてなかった。

春巻イ級「ちょー!ドアがあるちょー!」

ガチャガチャ

春巻イ級「ほあきーん!鍵が掛かってるちょりー!」

遭難四日目。
ついに倉庫の出入り口を発見。
しかし当然外部からも鍵が掛かっており、扉を開けられず。
主砲や魚雷もないため、物理的に破壊する手段もなかった。

春巻イ級「だれかここからだしてちょー!」ドンドン

伊58「ひぃぃぃ!また地下倉庫から扉を叩く音がー!」ガクガク

伊168「や、やっぱり地下倉庫にお化けがいるって話は本当なんだわ……!」ブルブル

一日中必死にドアを叩く春巻イ級であったが、逆効果。
艦娘達を怖がらせ、余計に誰も近寄らなくなる。

遭難7日目。
ダクトを昇っての脱出を決意。

春巻イ級「も、もうちょっとで……外に……ひ、光が見えてきたちょー!」ゲッソリ

ノシッ ノシッ ノシッ

電「……? 何か変な音が聞こえるのです」キョロキョロ

春巻イ級「ぜぇ……ぜぇ……!や、やったちょー!」ガシッ

電「ひっ!?あ、足に手が……!?」

春巻イ級「ちょー?何か掴んだちょー」グイグイ

電「お、お、お……お化けぇぇえええー!」魚雷シュパー

ちゅどー!

春巻イ級「ライデーン!」ゴロゴロゴロー ビターン!

電「怖いのですぅー!」オタタタタタタ

脱出寸前、電の足を掴んでしまいお化けと間違われる。
魚雷を撃たれ、再び地下倉庫内に逆戻り。

遭難10日目。
ついに脱出のチャンスが到来。

春巻イ級「腹が減ってしにそーちょー……」グッタリ

チュー

春巻イ級「ほあぁぁぁあー!ねずみだチェーン!」

チュー スタタタ

春巻イ級「待ってちょー!一週間ぶりの食料待てちょー!」ガサガサガサ

―倉庫外ー

電「よいしょよいしょ……はぁ、よりによってこの倉庫に保管するなんて……怖いのです……」ゲンナリ

―倉庫内―

春巻イ級「待て待てー!エサエサー!」ガサガサガサ

チュー スタタタ ササッ

ガーン!

春巻イ級「でずにー!」グシャ

―倉庫外ー

電「にゃああああー!倉庫内から凄い音がー!怖いのですぅー!」ピュー

電の手によって倉庫が開かれようとしてたが、
『倉庫にお化けがいる』という理由で別の倉庫を使うことに。
脱出のチャンスを失う。

遭難20日目。

電「本当に見たのです!」

伊168「絶対にお化けがいるわ!」

提督「幽霊なんているわけないだろ。ここはずっと前に封鎖されて今は使われてないんだぞ?」

伊58「だから中に幽霊が沸いたのよ!そうに違いないでち!」

提督「全く……。とにかく中を調べてみよう」ガチャガチャ

ついに鎮守府の提督が地下倉庫を調査。
春巻イ級、再び脱出の大チャンス到来。

春巻イ級「あーうー……お腹が減って死にそうちょー……」カラカラー

ガチャリ ギィィイ

提督「えーと……電気のスイッチは……これだ」カチッ

春巻イ級「そこのおまえー……食べ物をくれちょー……」フラフラー

提督「」

伊58「」

伊168「」

電「」

伊58「ばやぁー!ゾンビィィイイー!」魚雷シュパー

伊168「こっちに向かってきてるぅぅうう!」魚雷シュパー

電「いやあああー!怖いのですー!」ドカンドカンッ

提督「ちょ、おまえら、ここで……!」

ちゅどちゅどちゅどー

春巻イ級「ノラァァアアアー!」ヒューン

提督「ふなっしー!」ゴロゴロビターン!

提 督 大 怪 我

伊58「あっ」

伊168「あっ」

電「はわわわ……!提督さーん!」

提督「せんとー」プスプス

電「い、急いで医務室に運ばないと……!」スタタタタ

伊58「あれ?さっきのバケモノがいなくなってるでち……」

伊168「や、やっぱりさっきのはお化け……」ガクガク

大井「あーあ。結局あの深海棲艦の捜索は打ち切りか……今度見つけたら絶対に捕獲して……」

春巻イ級「みゃおー!」ヒューン ドサッ

春巻イ級、爆発の勢いでダクトから外に脱出成功。
鎮守府公舎付近に落下。

春巻イ級「はっ……地上だチェーン!脱出できたちょー!」バンザーイ

大井「……」

春巻イ級「リャン?」クルッ

大井「見つけたぁぁぁあああー!」ドカンドカン

春巻イ級「ほあきーん!あの時の怖い艦娘だちょー!」タタタタタ

大井「まてやゴルァー!今度こそ生け捕りにして拷問してやるわー!」

春巻イ級、再び艦娘達に追われる。
結局、深海棲艦の鎮守府に戻れたのはそれから更に14日経ってからであった。
春巻イ級がいなくなってくれたと思い喜んでいた港湾棲姫だったが春巻イ級が戻ってきたと同時に落胆。
3日寝込んだという。

なお、春巻イ級の働きによって艦娘側の航空戦艦1隻が中破。もう1隻が大破。そして提督を大怪我させるという
大功績を収めたが、深海棲艦のメンバーは誰もそのことを知らないので春巻イ級が評価される日は永遠にこなかった。

第四話 ―終―

ありがとうございます。
次の投下は間が開きそうです。

第五話 不幸テロ

はじまります。

春巻イ級「ほっぽちゃーん!」ホクホク

北方棲姫「あ、イ級ー!」

春巻イ級「ケーキを拾ってきたマオ。一緒に食べるホーイ!」ニコニコ

北方棲姫「ケーキ!?」キラキラ

春巻イ級「大陸のゴミ捨て場で拾ったんだちょりそー」ガサゴソ

北方棲姫「ぐちゃぐちゃ……みどり色……これ食べれるの?」

春巻イ級「大丈夫だちょー。美味しいマオ」モグモグ

ル級「大丈夫なわけねーだろぉー!生ゴミを子供に食わせようとしてんじゃねぇぇええー!」ガーン

春巻イ級「アオイィ!」ドサッ

北方棲姫「ひっ!」ビクッ

ル級「ほっぽちゃん。こんな奴と遊んじゃだめよ?」ニコリ ズルズル

春巻イ級「まっぽー」ルリルリルリ

ル級「さあ来い!港湾さんがお呼びだ」グイグイ

春巻イ級「やめてちょー!頭を掴まないでちょりー!」ズルズル

ル級「連れてきました」

港湾棲姫「来たか。実はお前に一つ頼みたい用事があるのだ」

春巻イ級「用事マオ?」キョトン

港湾棲姫「そうだ。今回お前には遠征に行ってもらう」

春巻イ級「どこに行けばいいちょー?」

港湾棲姫「お前には艦娘共の本拠地の一つ、この鎮守府に向かってもらうことにした」カキカキ

春巻イ級「リャーン!敵の本拠地だちょー!怖いちょりそー!」ガクガク

港湾棲姫「大丈夫だ。お前は鎮守府内部を偵察してくるだけでいい。つまりスパイだ」

春巻イ級「スパイ?」ピクン

港湾棲姫「そうだ。スパイだ」

春巻イ級の脳内にスパイの劇画が駆け巡る。

春巻イ級「ほわぁぁあああー!何だかカッコいいちょー!」

港湾棲姫「どうだ、やってくれるか?」

春巻イ級「やるちょー!よーし、がんばるちょー!」ピョーン ガシャー

ル級「喜びながら備品を壊すなぁー!」バチーン

春巻イ級「めぎょっ」

港湾棲姫「ふっ……」ニヤリ


―春巻イ級が遠征に向かって数分後―

ル級「なぜあいつにスパイの仕事を?お言葉ですが絶対に成功しませんよ」

港湾棲姫「ああ、スパイなんてどうでもいい。奴が艦娘達の鎮守府にもぐりこめればそれでいいんだ」

ヲ級「え、そうなんですか? まあ、そのまま居なくなってくれればちょうどいいけど……」

港湾棲姫「この遠征は二つの狙いがある。一つは当然、奴を我々から遠ざけること」

ヲ級「もう一つは?」

港湾棲姫「艦娘共に奴を近づけることだ」

ヲ級「あっ!」

港湾棲姫「奴は傍にいるだけで様々な災厄を呼ぶ。そんな奴を艦娘共の本拠地に送り込めば……」

ル級「そうか!あの馬鹿がしっちゃかめっちゃかにしてくれますね!」

ヲ級「港湾さんすごーい!」

港湾棲姫「ふふふっ。そんなに褒められると照れるじゃないか」テレテレ

ル級(かわいい……)

港湾棲姫「ついでに轟沈して完全にいなくなってくれないかな」

ル級「それは無理じゃないですか……?」

ヲ級「無理ですね」キッパリ

港湾棲姫「やっぱり?」

この時、港湾棲姫は一つ大きなミスを犯していた。
底なしの方向音痴でドジな春巻イ級を単艦で向かわせたことである。
案内役や監視役を一人でも共に向かわせていたら、今回の結果は違っていたかもしれない。

―深海棲艦鎮守府海域―

春巻イ級「えーと、地図によるとこっちの方角だちょりそー」スィー

ウロウロ

春巻イ級「はちょー!この羅針盤、グルグル回るぐるー!楽しいちょー!」グルグル

イルカ ザパー

春巻イ級「ちょー!イルカイルカー!」

トビウオ バシャー

春巻イ級「まぁぁぁあー!美味しそうな魚だちょー!捕まえるちょー!」バシャバシャ


色々な物に目を奪われながら海域を進む春巻イ級。
当然、地図や羅針盤の通りに道を進むはずもなく、
艦娘達がいる鎮守府とは全く違う方向に進んでいくのであった。
出発してから5時間後、どういうわけかキス島沖に到着。

―キス島沖―

春巻イ級「ここはどこだちょー。リャン?あそこに誰がいるちょー!」

当然の如く遭難した春巻イ級であったが、
今回は幸運にも、他の鎮守府の深海棲艦部隊を発見。接近を試みる。

へ級「くっ、さすがにここに来るだけあって、練度の高い駆逐艦達ね……!」

ト級「こりゃちょっと不利かもな……」

春巻イ級「おーい!キミ達ちょっといいかマオー!」

ワ級「あ、仲間だ!仲間が来たー!」

ニ級「え、増援?やったー!」

―艦娘側―

天龍「げっ……敵の増援だぜ」

浜風「くっ……厄介なことになりましたね」

雷「あら?あの姿……」

霞「待ちなさい。皆何もしないで待機。それとあの駆逐艦には絶対に近寄らないこと。いいわね?」

島風「えっ なんで?」

霞「いいから!上手くすればそれだけで全部終わるから」

皐月「あ、うん……」

へ級「ちょうどいい所に来てくれたわ!どこの鎮守府の艦か知らないけど、手をかして!」

春巻イ級「戦闘中だったのかミャオ。お安い御用だちょりそー」ポリポリ

ト級「じゃあキミはワ級の後方。ワ級はイ級の前に移動してくれ」

ワ級「わかったー!」スィー

春巻イ級「はいちょー。……マウー?海に何かいるツィー」スィー

ズザザザザザ……ザザザザザー!

春巻イ級「わぁあー!人喰い鮫だちょりそー!」

ザザザザザー!

春巻イ級「ジョーズ!こっちに来るなちょー!あっちいけちょー!」カチカチッ

魚雷シュパパパパパー

ワ級「にゃ?」クルッ

ちゅどーん!

ワ級「たまぁぁぁああ!」

ワ 級 撃 沈

ト級「なぁー!?ワ級がいきなり沈んだー!?」

ニ級「一体何が……え、魚雷が」

ズガドーン!

ニ級「テンリュー!」

ニ 級 撃 沈

へ級「」

ト級「」

ザザザザザー!ズザザザザザー!

春巻イ級「まだ追いかけてくるシャーク!誰か助けてミャオー!」魚雷シュパパパパー

ト級「お前の仕業かぁぁあー――!」

へ級「あんたさっきから何してんのよぉー!」

ズゴゴゴゴゴー

ト級「あ、今度はこっちにき」

ちゅどちゅどちゅどどどー!

ト級・へ級「むさしー!」

ト 級 大 破

ヘ 級 大 破

春巻イ級「ちょ?」キョトン

ヘ級「」プスプス

ト級「」プスプス

春巻イ級「リャーン!いつの間にか皆がやられてるホーイ!」ワナワナワナ

ト級「おめぇの仕業だぁー―――!」ガンッ

春巻イ級「かがぁー!」

ヘ級「邪魔するなら最初から近寄ってくんなボケェー!」グシャッ

春巻イ級「あかぎぃー!」

ヘ級「私達の前から消えろぉおおおおおおー!!」ズドンッ ズドンッ ズドンッ

春巻イ級「タイホウー!あの子怖いちょー!」ズザザザザザザザー


皐月「……」

天龍「……」

霞「ね?」

浜風「えぇ……」

島風「なにこれ」

ヘ級の砲撃と人喰い鮫から逃げ回った春巻イ級は、南西諸島海域に到着。
カムラン半島の小さな島でしばし休憩していた。

―カムラン半島―

春巻イ級「死ぬかと思ったリャン……ん?」

ち ん

春巻イ級「まぁあー!こんな所にジェットスキーがあるちょー!」

ガサゴソガチャガチャ

春巻イ級「よーし、これに乗って目的地まで行くちょー!」

ガタガタプスプス……!

春巻イ級「リャン?」

チュドォー!

春巻イ級「まちゃぁああああああああー!」オガガガガガガガガー

―バシー島沖―

春巻イ級「わはははははー!凄いスピードたちょー!これならあっという間に着くスキー!」オガガガガガガガガー

―東部オリョール海―

春巻イ級「よーし、ここで右に曲がるマオー!右に……右……右……」オガガガガガガガガー

グイグイググイ

春巻イ級「わあぁー!全然曲がらないちょりそー!」オガガガガガガガガー

―沖ノ島沖―

深海棲艦・空母機動艦隊

ヲ級改「そろそろ艦娘達との戦闘海域に入るわ。気を引き締めて!」

リ級「はい!……あれ?何か近づいて……」

春巻イ級「なかちゃーん!誰か止めてちょりー!こいつ全然減速しないちょりそー!」オガガガガガガガガー

ヲ級改「ニャパー!?何アレー!?」

ト級「人型のイ級がこっちに突っ込んでくるぅうう!?」

ニ級「うわぁー!急速回せ……」

ズガガガガガガガー!

ニ級「みっちー!」グシャー

ニ 級 撃 沈

ト級「あらしぃぃい!」グシャー

ト 級 撃 沈

リ級「おおしおー!」グシャー

リ 級 撃 沈

ヲ級改「」

春巻イ級「ほあきーん!許してちょりそー!」オガガガガガガガガー

ヲ級改「わ、わたしの……機動……部隊……」ポツン

―艦娘側ー

龍驤「……あかん、ウチの偵察機が凄いもん見てしもーた」

加古「何かあったの?」

龍驤「敵の駆逐艦が水上バイクで敵部隊を壊滅させたんや……」

加古「えっ」

筑摩「えっ」

暁「ああ、敵にいるわよね。そんな間抜けな奴」

神通「えっ」

龍驤「えっ」

暁「ん?」


ジェットスキーは壊れていたためか、勢いが全く衰えず猛スピードで爆走を続ける。
約5時間ほどかけて春巻イ級は中部海域まで移動した。

―グアノ環礁沖海域―

春巻イ級「もう5時間もずっとこのままちょー……」ゼェゼェ オガガガガガガガガー

春巻イ級「こうなったら主砲でこいつを破壊するリャン」ズドンッズドンッ

ビスビスッ ボカーン!

春巻イ級「ドルバー!」ピューン

ジェットスキー「」ピューン


留守泊地旗艦艦隊

駆逐棲姫「残りのメンバーは?」

タ級「私は問題ありません」

リ級「中破したけどまだいけます!」

駆逐棲姫「よし……あんな奴らにやらせはしない!」


千代田「う……。さすがに手ごわいわ……」

五十鈴「ここが正念場よ!気を引き締めて行くわよ!」

ひゅ~ん……

阿武隈「あれ?深海棲艦の方に何か落ちていきますね……」

夕立「バイクっぽい?」

川内「敵の駆逐艦が空を飛んでる……」


リ級「貴様ら、余所見するとは随分と余裕が……」

駆逐棲姫「ほちゃぁああー!二人ともうえー!うえぇー!」

リ級「う?」ジッ

タ級「え?」ジッ

ジェットスキー「」ヒュー

春巻イ級「インペラァー」ヒュー

リ級「なぁぁああー!?バイクー!?」

タ級「ばやぁぁああー!?駆逐艦ー!?」

ちゅどーん!

リ級・タ級「やまとー!」

リ 級 撃 沈

タ 級 大 破

駆逐棲姫「」

春巻イ級「あいたたたた……死ぬかと思ったチェン」

駆逐棲姫「このばかちーん!」ベチィ

春巻イ級「あがのー!」

駆逐棲姫「いきなり何なのよー!あんたどこの部隊よー!」ベチベチベチ

春巻イ級「やめてちょー!叩かないでくれちょー!」頭カカエ

タ級「……」プスプス

駆逐棲姫「あ……!だ、大丈夫……じゃないよね、タ級」

春巻イ級「はっ……!バイクから脱出できてるちょー!良かったツィー!」バンザーイ

タ級「おい」

ガシッ!グイィー!

春巻イ級「りゃん?……わぁぁあああー!」

タ級「一体何が」

ブオオォォ……!

春巻イ級「おちゃちゃちゃちゃちゃー!降ろしてちょりー!」ジタバタジタバタ

タ級「良かったんだオラァァアアー!」

グワシャーン!

春巻イ級「ジャッキィィイイー!」ピクピクピクピク


阿武隈「敵の戦艦が敵の駆逐艦に……」

五十鈴「パイルドライバーを決めたわ……」

夕立「すごいっぽい……」


春巻イ級「あがががががが……おりょりょりょー!」ブルブルブルブル

タ級「テメェーは一体何なんだぁぁぁああああー!!」ゲシゲシゲシゲシッ

春巻イ級「いたたたたた!やめてちょー!苦しいマオー!」

タ級「うっせぇぇえええー!」ガーン

春巻イ級「ローマー!」

駆逐棲姫「タ級!タ級!こんなバカ相手にしている暇ないって!」

春巻イ級「あのお姉さん怖いちょりそー!」ブルブル

タ級「やかましゃー!さっさと私の視界から消えろぉおおおー!」ガンッ

春巻イ級「りっとりおー!ちょらぁああああー!」オタタタタタタタ


中部海域から急いで脱出した春巻イ級は、
その後も南方海域や西方海域の方に迷い込む。
そしてそこにいた他の深海棲艦の部隊を、無意識に壊滅させていった。

―春巻イ級が遠征に出かけてから一週間後ー

ル級「あ、あの……伝令が来てます。それも全深海鎮守府から……です……」

港湾棲姫「全鎮守府からの伝令だと?わざわざ私のところにか?」

ル級「は、はい……」

港湾棲姫「そうか、ついに大規模な作戦に移行するのだな!ふふっ、腕がなる……」

ル級「違います」

港湾棲姫「えっ」

ル級「戦闘に関する伝令ではありません」

港湾棲姫「じゃあ一体何の知らせ?」

ル級「そ、それが……非常に申し上げにくい内容なんですが……」

港湾棲姫「待って。なんか凄い嫌な予感が……」

ル級「……結論から言ったほうがいいですか?」

港湾棲姫「あ、はい。お願いします……」

ル級「『お前の所のイ級駆逐艦が我が艦隊に大損害をもたらせた。弁償しろや』……です」

港湾棲姫「」

ル級「どれもこれもほぼ同じ内容です。他の深海鎮守府その全てから来てます……」

港湾棲姫「えっ……。えぇ……」

ワ級「にゃああああー!大変大変ー!ポストに請求書がいっぱいー!」

港湾棲姫「」

ヲ級「他にも駆逐艦、戦艦、軽巡洋艦、空母達からの抗議の手紙が殺到してます!」

港湾棲姫「」

ワ級「請求額が合わせたら凄いことに……。こ、こんな数の資材……うちじゃとても賄えないよ……」ガクガク

港湾棲姫「ふうぅ~……」フラッ

バターン!

ヲ級「わぁぁあー!港湾さんが倒れたぁー!」

ワ級「にゃああああー!医務室ー!」

この日から港湾棲姫は1週間寝込むことになる。
知らせが来てから3日後、目的を忘れた春巻イ級が何食わぬ顔で戻ってきた。
当然ながらル級他、様々な艦から手厚い歓迎を受けたのであった。

―第五話 完―

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