【ガルパン】ホワイトハンター・レッドハート (27)

・ミカ主演
・独自設定有り

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 こういう雪の多い日にはフィンランドで暮らす叔父のところに滞在していた
ときのことを思い出す。特に狩りに連れていってもらったときのことを。
 まだ子どもだったから銃には触らせてもらえなかったし、狩りといっても
本格的な狩猟行ではなく、近場を日帰りでまわる山歩きみたいなものだったが、
それでもいろんなことを学んだ。例えば…

『知波単学園フラッグ車、走行不能!よって、継続高校の勝利!』

絹代「いやあ、参りました。やはり雪上の戦いにおいては継続高校のみなさんに
一日の長がありますね、我々の完敗です」

アキ「いやいや、知波単の人たちもすごかったじゃない、最後のほうはこっちも
あぶないところだったし。ミカもそう思うよね?」

ミカ「まあ、そう言えなくもなかったんじゃないかな?」

アキ「ちょっと、なにそれ。すみません、彼女いっつもこんな感じで…、本人
悪気はないんですが…、せっかく練習試合に来てくれたのに…」

絹代「いえ、そちらこそ気になさらずに」

ミッコ「でもまあ、前よりは多少はマシになったんじゃない?大洗の人たちと組んで
戦ってからなんか変わったよね」

ミカ「そうかな?」

絹代「あ、それわかります、我々も大洗の皆さんと共に戦ってから、変わってきたって
よく言われます」

アキ「本当に不思議な人たちだよね」

ミカ「ああ、その通りだよね、彼女たちは本当に興味深い子だったね」

絹代「あれ

ごめん、変なとこで切れた。

絹代「あれ?なんか騒がしいな」

アキ「ちょっと、なんかケンカしてるみたいだけど…」

絹代「ああっ!お前たち何をやってるんだ!」

玉田「隊長!いいところへ!」

細見「聞いてください!あいつが…!」

池田「あいつが戦車道のことを『子供のお遊戯』だなんて…!」

しずか「すまぬな、私は『道』と名のつくものは好かぬものでな。それに
あのような婦女子の暇つぶしにはさしたる興味もない」

鈴「すっ…、すみません!姫!なんで行く先々でケンカ売るようなことするのよ!」

絹代「お前ら!気持ちはわかるが遠征先でもめ事おこすやつがあるか!継続高校の
皆さんにも迷惑をかけることになるんだぞ!」

ミカ「今のはちょっと聞き捨てならないな、戦車道には人生の大事なものが詰まってる
と常々思ってるからね。それにはるばるやって来てくれた友人に無礼な口をきいたこと
も見逃せないし」

しずか「人生の大事なものか、あのような温い馴れ合いにか?」

鈴「ちょっと!いいかげんにしてよ!」

ミカ「君らのことは知ってるよ、タンカスロンの界隈で赤いテケ車に乗った
二人組が腕貸しや道場破りみたいな真似をしてまわってるって有名だからね」

鈴(うわぁ…なんか変な評判が広まってる…)

アキ「ちょっとミカ、こんなの相手にしないほうがいいよ」

ミカ「ここまで言われてなにもしないんじゃ戦わないで負けたことになりそうなんでね。でも、
君らの流儀に合わせた戦車がないんだ。一番軽いピック・ソトカでも14トンだからね」

絹代「どうしてもやると言うなら我々の九五式を出します。そもそも喧嘩を売られたのは
我々ですし」

ミカ「彼女たちの評判は聞いているよ、西隊長には悪いけど福田さんと九五式の手におえる
相手とは思えない」

しずか「我らはそのピック・ソトカとやらで一向に構わぬ、戦車道などというお遊戯のおもちゃに
負ける気がせんのでな」

アンチョビ「よっ、姫、久しぶり。練習試合を見物に来てたらなんか面白いことになってるね」

鈴「面白がらないでよ!」

ミカ「君たちは武道の試合じゃなくて喧嘩がやりたいんだね」

しずか「まあそう捉えてもらって構わぬな」

ミカ「いいだろう、ミッコ!ピック・ソトカをこっちにまわしてくれ!予備車輌として
1輌もってきてただろ!」

アンチョビ「あーあ、姫、知らないよ?あいつら大学選抜チームのパーシング3輌向こうに回してBT-42で
勝つようなバケモノなんだよ?あたしだって実際に見てなかったら信じられないようなやつらなんだから」

鈴「姫!T-50って言えばソビエトの最優秀軽戦車って言われてるヤツだよ!その上フィンランド軍仕様の
ピック・ソトカは全面に増加装甲を装備して中戦車並みの防御力を持ってるんだから!」

しずか「それは戦車道に於いてのことであろう?我らがやるのは戦車道に非ず。一向に問題はない」

つづく

絹代「それにしても、あの物言いは礼を失するにも程がある。同じく戦車に乗る者として許せません」

ミカ「言ったように彼女たちは私たちのように武道をやってるんじゃなくて喧嘩をやってるんだ。どちらが
勝つか、誰が強いか、それ以外に興味がないのさ。まあ、ある意味我々よりもずっと純粋なんだろうね」

絹代「よろしければ、自分と福田とで加勢します。九五式の予備車が1輌ありますので」

ミカ「いや、連携の訓練もなしで組んだだけでは却って付け込まれるだけだと思う。それよりも
西隊長たちにはウチの仲間と一緒に周辺の警戒をお願いできるかな?タンカスロンってのは乱入
ありだからね、途中で邪魔が入ったらいけないからね」

絹代「わかりました、ご武運を」



アンチョビ「姫、どうする?少し待ってくれればカルパッチョがトラックでCV33
持ってきてくれるんだけど、加勢しようか?」

しずか「いや、助成は無用だ。我らのみで充分、あ奴等、狩りでもやるつもりでおるのだろうが、
どちらが狩人でどちらが獲物なのか思い知らせてくれる」

アンチョビ「…まあ、気が変わったら無線で知らせてよ、いつかの借りも返したいし」

つづく

ミカ「アキ、ちょっと頼みがあるんだ。ミッコや他のみんなには気付かれないようにね」

アキ「なに?」




ミカ「待たせたね、今回はレギュレーション外の戦車を使わせてもらってるから、それ以外は
極力君たちの流儀に合わせることにするよ。本来は4人乗りなんだが私とミッコの二人でいい」

しずか「無理をせずともよい、それとも負けたときの言い訳作りか?」

ミカ「なんとでも言えばいいさ、でも、もし君たちが負けたら西隊長やみんなに一言詫びをいれてもらうよ」

しずか「叩き潰されるのと引き換えかもしれぬというのに、欲のないことだな」

ミカ「いいさ、始めよう」

しずか「アンチョビ殿、重ねて申すが助勢は無用に願う。狩り場に迷い込んで獲物に間違われたい
というのなら別だがな」

アンチョビ「脅かさないでよ、ほんじゃまあ姫、よい狩りを!」

しずか「応!猟果を楽しみにしておれ!」

アンチョビ「カルパッチョ、姫にはああ言ったけど、CV33いつでも出せるようにしといて」

カルパッチョ「そうくると思ってもう準備してあります。ソロサーンの対戦車ライフルも用意できてます」

アンチョビ「さすがは我が副官。でもあんまり面白くし過ぎると留守番してるペパロニが『なんで連れてって
くれなかったんだ!』って怒りだすからなあ、ま、お呼びが掛かるまで待機だ」

ミッコ「ミカ、アキに来てもらわなくて大丈夫?あたしは操縦だけだけど、ミカは
車長と砲手と装填手をいっぺんにやらなきゃならないんだよ?」

ミカ「大丈夫だよ、それともミッコは私一人だけじゃ不安なのかい?」

ミッコ「そうじゃないけど…」

ミカ「それじゃあ行こうか、戦車道を愛する者としては負けられない試合…いや、喧嘩だな」

ミッコ「ピック・ソトカ運転するの久しぶりだな」

つづく

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