めぐみん「何をやっているんですか!?」カズマ「え?何って……」 (28)

カズマ「屋敷の墓の掃除をしているだけなんだが……」

めぐみん「大根の収穫祭ですよ!収穫祭!」

カズマ「大根の収穫祭?」

めぐみん「緊急クエストの放送を聞いてなかったんですか!?」

カズマ「ああ。ついさっきまで寝ていたからな」

めぐみん「早く2階に上がってください!危ないですよ!」

カズマ「危ないって?大根が?あの大根だろ?何が危な―――はっ!」

カズマ(そうだ。思い出せカズマ。ここはろくでもない異世界。大根だってろくでもない奴に決まっている。キャベツの時に分かったことじゃないか。あ、でもそういえば最近、財布の中が寂しくなったような気がするなぁ。またちょっと収穫して小金持ちになりますか)ニヤリ

カズマ「分かったよ!めぐみん!俺もすぐに装備を整えて行くから!」

めぐみん「なっ……!!へ、変態ですか!?変態を拗らせて、遂にそっちの方にも目覚めてしまったんですか!?」

カズマ「は?……お前、その言い方は無いだろ!?」

めぐみん「私はアクアとダクネスと一緒に収穫祭に行って来ますから!今日は大人しく2階の部屋に籠っててください!」

カズマ「えっ?おい!それってどういう――――行っちまった」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461221321

カズマ(何で俺だけ置いてけぼりなの?あれか?もしかして俺が出ることで取り分が減るのが嫌なのか?確かにキャベツの時はけっこう採ったけどさ。それとも収穫祭って男子禁制なのか?女の子だけでキャッキャウフフと大根を――!?)






ズボォォォォォン!!




カズマ「どぅおおおおお!!!大根が!大根が地面から飛び出してきた!!」

カズマ(ヤバかった。直前で敵感知スキルがはたらいてなかったら串刺しになってた)



ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!



カズマ「大根が次々と地面から出てくる!来るな!こっち来るなあああああ!!」


バタン!


カズマ「ふぅ。とりあえず屋敷の中に入れ――ズドォン!!


カズマ「……」チラッ↑


天井に突き刺さった大根「……」



カズマ「ぬあああああああああ!!!」



ズドドドドドドドドド!!

カズマ(はぁ……はぁ……2階の床も突き破る奴がいるとか反則だろ。屋根の上は……大丈夫っぽいな)




<ぐああああああああああ!!

<逃げろおおおお!

<ちくしょおおおお!またこの季節かよおおお!!

<だ、誰か医者を呼んでくれ!う、動け……ぐああああああ!!





カズマ(あ、あちこちで大根がロケットのように飛んでる……)

カズマ「ふざけんなよ……。空を飛ぶのはキャベツだけにしてくれよ」

ルナ(町内放送)『収穫祭は夕方頃まで続く見込みです。それまで男性の方々は2階か屋上に避難してください』

カズマ(マジか。こんなのが夕方まで続くのかよ。飯とトイレどうしよう)

ルナ(町内放送)『冒険者ギルドは大根対策として魔導金属製の床と食料の備蓄があり、1階でも大根の脅威から男性を守ることが出来ます。万全の受け入れ態勢の中でお待ちしております』

カズマ(このまま夕方までずっと屋根の上ってのはきついからな。ギルドに行くか。屋根を伝って行けば大根も来ないみたいだし)





カズマ(広大な敷地の真ん中にある屋敷の屋根の上。隣の家屋までの距離約100メートル。バインドに使うヒモも1階に忘れて来たし、多分届かない)





カズマ「………………………………ふっ」イケメンフェイス















カズマ「うおおおおおおおおおおおお!!かかって来いや!大根ども!!ウチの狂犬女神と頭のおかしい爆裂狂とドM変態騎士に言いつけてやるからなああああ!!」街中を爆走中

カズマ「このすばあああああああああああああ!!」

冒険者ギルド

ワハハハハハハハハハハハハ……

セドル「収穫祭の日はギルドで飲むに限るぜ」

ヘインズ「ああ。危なくて外なんか出られないしな」

ガリル「命あっての物種だぜ」

バタン!

カズマ「ぜぇ……はぁ……やっと着いた」

ダスト「おう!カズマ!やっぱり来たか」

荒くれ者「ようこそ!地獄の収穫祭へ!」

カズマ「水……水をくれ」

ウェイトレス「か、かしこまりました!」

カズマ「くそっ。どうなってるんだよ」

ダスト「どうもこうも大根の収穫祭だろ。毎年のことじゃねえか」

カズマ「は?」

ダスト「おっと、そうだった悪い。お前、他所から来たんだったな」

荒くれ者「俺から教えてやるぜ。収穫の時期になると大根は地中を移動して、自分を食べるのに相応しい動物を探して回るんだ。そして、相応しいと思った奴の前ににょきっと地面から出てきて姿を現す」

カズマ「それを聞くだけだと可愛い奴だな」

ダスト「ただ問題はな。どうしてか分からないが、大根は人間の男が相手だととてつもない勢いでケツを掘りに来るんだ」

カズマ「はい?」

ダスト「ケツを掘りに来るんだ」

カズマ「え?」

ダスト「ケツを掘りに来るんだよぉ!!!キースなんて今日3回も掘られたんだぞ!!」

カズマ「馬鹿!この世界は馬鹿ばっか!」

カズマ「このすば!!」

ウェイトレス「お水。お持ちしました」

カズマ「ありがと」

カズマ「だから女だけの収穫祭ってわけか」

ダスト「そうそう。だから今日は飲もうぜ。俺達は居た方がむしろ邪魔になるからな」

カズマ(そうだ。ダストの言うとおりだ。わざわざ危ない目に遭ってまで大根の収穫をやる必要はない。今日は飲んで飲んで飲みまくるか!)



セドル「な、なぁ。アンタがサトウカズマだろ?他の3人はどうしたんだ?」

カズマ「あいつらなら、収穫祭に行っているよ」

ヘインズ「アンタがここにいるってことは……」

ガリル「一体、誰があの頭のおかしい子の面倒を見るんだ?」ガクブル

ダスト「ま、まさか。うっかり街中で爆裂魔法を撃ったりしないよな?」ガクブル

荒くれ者「ハハハ。まさか!あの頭のおかしい嬢ちゃんでも大根の収穫で……」

カズマ「おい!やめろ!それ以上フラグを立てるな!」






エクスプロージョン!



カズマ「やりやがったああああああああああああああああああああああああああ!!!」

カズマ「このすばあああああ!!」(殺意の波動に目覚めた声)

アクセルの広場

めぐみん「我が爆裂魔法を以てしても倒しきれぬとは……不覚」ガクッ

アクア「ちょっと!めぐみん!起きてよぉ!」

めぐみん「あの、さっきから大根が地面の下から優しく私の身体をツンツン突いてくるのですが、デリケートな部分を執拗に突いて来るので、誰かそこのテーブルの上まで運んで―――うひゃあ///」

ダクネス「くっ!なんて強さだ!一撃で鎧が……鎧が」ハァハァ///

女魔法使い「騎士様が私を庇って!」

女騎士「なんたる気高さ!私も騎士として見習わないと!」



カズマ「お前らあああああああああああああああああ!!何やってんだあああああああああああああああああああああ!!!!」ドドドドドド!!



女冒険者「あれは!鬼畜のカズマだわ!」

女魔法使い「パンツ脱がせ魔の!」

女騎士「アクセル唯一の性犯罪者(予備軍)!」

女盗賊「カスマ!」

女戦士「クズマ!」

女プリースト「後ろからたくさんの大根に襲われているわ!」

町娘「まさかそっちの趣味もあったの!?さすがだわ!!」

カズマ(うわぁ……酷い言われ様)

ダクネス「カズマ!ここは私に任せろ!」バッ

女冒険者「騎士様が鬼畜の盾になって大根から守っている!」

女騎士「あんな鬼畜でも助けを求める者に手を差し伸べるなんて騎士の鑑!」

カズマ「ありがとう!ダクネス」

ダクネス「あっ……!!んんっ……!!だ、大丈夫だ……これくら……いっ!一度、大根の突貫を味わってみたか……あああああっ///」

カズマ「うん。しばらく盾を頼むな。狂性堕(クルセイダー)」

ダクネス「今日は……妙に……んっ!クルセイダーって呼び方が……クるな!」

アクア「かじゅまさあああああああああああん!!」

カズマ「何がどうなってんだよ!この駄女神!!女にとって収穫祭はイージーモードじゃねえのかよ!めぐみんも街中で爆裂魔法をぶっ放しやがって!お陰で俺は『お前の仲間だろ!お前がどうにかしろ!』ってギルドから追い出されたんだぞ!」

アクア「だって!だってええええええええ!!」

カズマ「だっても糞もあるか!剥ぐぞ!スティールで身包み全部剥いで――

大根役者「……」ヨ~ッ!デデン!

カズマ(広場のど真ん中に、それはそれはたいそう立派な歌舞伎役者がそこに立っていました)

アクア「あれは国から高額賞金をかけられているモンスター!大根の精霊王!大根役者よ!あれのせいで収穫が出来ないのよ!」

カズマ「へ~」

アクア「何よ!その目!名前付けたの私じゃないんだから!」

カズマ「どうせあれだろ。お前が送り込んだどっかのチート持ちのバカ野郎が『大根と言ったら大根役者』とかアホな妄想をして生まれた存在なんだろ」

アクア「ぐっ……」

カズマ「お前が撒いた種なんだから、お前でどうにかしろよ。んじゃ。俺はギルドに戻るから」

めぐみん「大根一本1万エリス」ボソッ

カズマ「おい。めぐみん。今何て――」

めぐみん「大根一本1万エリス」

アクア「お願いよおおおおお!かじゅましゃん!これでツケを払うから!カズマさんから借りたお金も返すから!」

カズマ「しょおおおおおおおがねえなあああああああああああああああ!!」(¥∀¥)

カズマ・アクア・めぐみん・ダクネス「「「「このすば!」」」」

カズマ「で、あの大根役者さんとやらは何なんだ?」

ダクネス「大根っ……役者とは……ハァ……ハァ……大根の精れいぃぃっ!!ああ!そこ!気持ちいい!」

カズマ(話が進まねえ!)

アクア「大根役者はその名の通り大根の精霊。その中でも最高位の精霊王とされる存在よ。単純な強さで言えば冬将軍と同じくらいね」

カズマ「マジかよ。そんなヤバい奴がかけだし冒険者の街に来るなよ」

アクア「でも基本、大根役者は無害よ。大根役者に殺されたって話もないし。ただ――」

女盗賊「隙あり!」

大根役者「!!」ペシッ!

女盗賊「痛っ!もう少しで採れたのに!」

アクア「ああやって大根を採ろうとする人追い払うのよ。そして、いつも奇妙な踊りを見せつけてくるわ」

カズマ「で、あいつを追い払おうと爆裂魔法を撃ったってわけか」

女冒険者「大根役者まで出てきたらもう無理ね」

女魔法使い「爆裂魔法も通じないなんて、もうどうしようもないじゃない!」

女騎士「悔しいが、今年の収穫祭は諦めることにしよう」

女盗賊「撤~退!今日はもう撤退するよ~!」


大根役者「!!!!」ペシッ!


女冒険者「いたっ!」

女魔法使い「きゃあ!」

女騎士「ひゃんっ!」

女盗賊「何で!?」


カズマ(あれ……?どうしてだ?どうして大根役者は帰ろうとする冒険者達を叩いたんだ?大根を採られるのが嫌なんじゃないのか?)

カズマ(見せつけるような奇妙な踊り……大根を採ろうとしたり、帰ろとする冒険者だけを軽く攻撃する……大根役者……まさか!)

カズマ「いやぁ~凄いな~。その踊り、キレがあってセンスがあるよ~。よっ!にっぽ――じゃなかった、アクセル一!」

大根役者「///」テレテレ

アクア「カズマ!どうしてあんな踊りを褒めるのよ!私のことは宴会芸しか能のない駄女神って言うのに!褒めるなら私を褒めてよ!私を讃えてよ!」

カズマ「馬鹿。いいか。よく聞け。この駄女神」

アクア「駄女神って言った!また駄女神って言った!」

カズマ「お前だって宴会芸を「ああんっ///」褒めら「カズマっ!」たらいい「身代わり盾プレイもっ///」気分に――ダクネスうるさい!!」

ダクネス「この状況で声を出すなとは……!なんて高度なプレイだ///」

カズマ「あ~。はいはい。そういうプレイですよ。なので少し黙っててくださいね」

カズマ「お前だって宴会芸を褒められたらいい気分になるだろ。だけど、ねだられ過ぎると今度は逆に芸を渋るだろ。あの大根役者も同じだよ。あいつは芸を見せたいだけなんだ。褒めて褒めて褒めちぎれば、芸を渋るようになって引き下がっていくんだよ」

カズマ「みんなー!とにかく大根役者を褒めるんだ!」

女冒険者「あ、あの手の動き、かっこいいわぁ~」

女騎士「その衣装センスがあるな。今度、私の鎧にも取り入れてみようか」

女盗賊「その踊りの身のこなし凄いね!」

女戦士「今度の宴会でやってみるか!」

女魔法使い「キャー!カッコいいわー!」

大根役者「//////」テレテレ

町娘「アンコール!アンコール!」

大根役者「」プイッ

大根役者「……」ゲイトハタノマレテダスモノデハナイ

大根役者「……」タマシイガメイジルトキニオノズトデテクルノダ

大根役者「……」コトシハ、コレクライニシテオコウ


カズマ(お!いい感じじゃん!このまま大根役者にはお帰りになってもらおう!)






アクア「花鳥風月!」ピュー

大根役者「!?」

カズマ「何やってんだよ!駄芸者!」

アクア「だって!だってえええええ!あっちのヘンテコな芸だけが褒められるのが悔しかったんだもん!」

カズマ「お前なあ!そんなことやったら大根役者さんが対抗心燃やすだろうが!この構ってちゃんが!」

大根役者「」ギロリ

カズマ「ほぅら!大根役者さんはお前に用があるみたいだぞ!後はお前で何とかしろよ!駄女神!」

大根役者「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

アクア「な、何よ……」

大根役者「!!」カチョウフウゲツ!

アクア「水の女神であるこの私に水芸で挑もうなんて!花鳥風月!!」

大根役者「……」グゥ・・・

アクア「今度はこれでどう!?指芸!機動要塞デストロイヤー!!」

大根役者「!!」キドウヨウサイデストロイヤー!!

アクア「どうしたのかしら?大根役者!そんなデストロイヤーじゃ爆裂魔法一発で終わりね!」

大根役者「!!!!」プンスカ!

アクア「皿回し!」

大根役者「!」サラマワシ!

アクア「女性のスカートの下に頭を転がすデュラハンのモノマネ!」

大根役者「」アタマヲコロガシテ スカートノナカヲノゾイタラ リッパナエクスカリバーガアッタトキノ デュラハンノモノマネ


カズマ「こうして、アクアと大根役者の宴会芸対戦が始まった……」

アクア「このすばっ!」

大根役者「グゥ……」バタン

アクア「ふぅ……危なかったわ。女神である私が宴会芸で後れを取りそうになるなんて」

大根役者「ゥゥゥゥゥ…………」スクッ

アクア「何よ。文句あるなら芸を磨いてから――」

大根役者「!!」b

アクア「貴方も中々良かったわ。また同じ芸を極める者として競いましょう!」b

大根役者「!!!!」bグッ


カズマ(そして、大根役者さんは満足気な顔でどこかに消えて行った)

めぐみん「こ」

ダクネス「の」

アクア「すばぁ~」

数日後

めぐみん「カズマ!カズマ!」

カズマ「はいはい。カズマですよ」

めぐみん「何をやっているのですか!?ニンジンの収穫祭ですよ!早く準備してください!」

カズマ(収穫祭って……またあのろくでもない収穫祭かよ)

カズマ「嫌だよ。もう襲われたくないし。めぐみんが行けば良いだろ。どうせならアクアとダクネスも暇だろうから連れて行ってやれ」

めぐみん「私にニンジンの収穫祭に行けって言うんですか!?この変態!」

カズマ「は?」

ダクネス「執拗に私の股間を攻めてくるニンジンに抵抗するが、なす術もなく……、そしてニンジンに攻められて疲弊しきっていた私に欲望に塗れた冒険者たちの熱い視線が――くぅぅぅぅぅぅ!!」

アクア「ダクネスは私が押さえておくから!早くカズマはニンジンの収穫に行って来て!」

めぐみん「もし危なかったら遠方からエクスプロりますから!」



カズマ(ああ。ニンジンの収穫祭って……なるほど。そういうことか)


カズマ(神様。仏様。エリス様。もし次に転生する機会がありましたら、もっと野菜に落ち着きがある世界に転生させてください)

エンディングテーマ「ちいさな冒険者 カズマver」full
作詞・作曲・編曲 - 佐藤良成 / 歌 – カズマ(福島潤)

転んで擦りむいたとこ
血が滲んで 染みるけれど
へっちゃらさ すぐ治るけど
罠はった女神は 許さない

今日もまたバカにされたよ
恥ずかしいし 悔しいけれど
へっちゃらさ 覚えておけよ
スティールでパンツ 剥いでやる

財布から お金出せば
店に行き期待をする
俺は夜 童貞捨て
七人の女 股にかける

ドM騎士 叩いた手は
紫色 アザになった
へっちゃらさ 今日のところは
お願いもう無理 求めるな

丘に立ち 手を広げて
武器を捨て 頭(こうべ)垂れる
俺は今 降伏中
首チョンパは もうやめてくれ

南から 風が吹いて
急に雨 降り始めた
春はすぐ 隣にいる
大冒険の 用意をするぞ



おわり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom