エレン「俺達は幸せになるために生まれてきた」(28)


※スレを立てるまでもない短編たちを続けて載せていきます。
 ちなみに初投稿。
 もしかしたらどれかは続いたり番外編書くかもしれない。

※軽い作品紹介

 『人間になりたかった怪物のお話』→ライクリ、即位前の時系列…なのか?捏造時系列の話。ハッピーエンド。
                  ベルトルさんは死んじゃってます、リヴァイ兵長優しいです。
                  ジャンミカ、エレユミ、コニサシャ描写あり。

 『聖なるかな』→上の話の続編のような、そうでないような。愛の結晶を捏造してるので注意。

 『The lost Innocent』→ミカマルでちろっと書いてみただけの代物。ガンガン行くミカサと、押しに弱いマルコ。
             そして不憫ジャン。

1.『人間になりたかった怪物のお話』

わたしたち二人が、お互いから秘密のベールを取り去った時。
残酷な世界は、初めてその姿を表した。

「ライナー」

すでに端の方が崩れ去って、盾の役目を果たしていない元『壁』の上に立って、わたしは呼びかける。
青く澄み切った空、音のない街。眼下には死体の海、後ろには調査兵団の生き残り達による善意の護衛。

目の前にいるのは、鎧の巨人。
わたしは彼との交渉人に、選ばれた。いつでも突撃できるよう待機している104期のみんなは、
何故かだらんと腕を下げて、ブレードを地面に向けている。きっと、まだみんな迷っているんだ。
心のどこかで、ライナーを敵だと憎みきれない。それはわたしも同じ。
「ライナー、……ふふっ、なんだか変な気分。あなたが鎧の巨人だって知った後も、
 わたし、あなたのこと全然怖いなんて思えないの」
同期の中でもひときわガッシリしていた胸板と、目の前で蒸気を上げている装甲のような体躯が、重なる。
「見て、わたし……立体機動装置をつけてないでしょ。ここまでは、リヴァイ兵長に運んでもらったの」
数少ない生き残りの一人__リヴァイ兵長は、いつもと同じ仏頂面で、わたしの後ろに立っている。
「無茶だって思う?……これは覚悟。あなたと本気で向き合うための」
ごおっと強い風が吹いた。わたしの着ている、濃緑色のマントが、金の髪がはためいて、視界が一瞬金色に染まる。
狭い足場でなんとか踏みとどまると、訓練が始まったばかりの頃、吊り上げられていたエレンが思い出された。
立体機動で鍛えられた足腰は、これくらいではへこたれないはず。
「もうユミルから全部聞いてる……ライナーは二人いるんだって、兵士のライナーと、戦士のライナー。
 わたしが見ていたのは、兵士のライナーで、偽物なんだって。でもね」

__どっちのライナーも、ライナーなんだよ。


そう言うと、鎧の巨人がぴくり、と動いたような気がした。
いくつもアンカーを打ちこまれ、拘束されてから、初めて見せた動き。
『やけにあっさり捕まったな』とリヴァイ兵長は訝しんでいた。仲間を……ベルトルトを失う前までの戦意がなかったから。

「だから、もう悩まなくていい。あなたはあなた、ライナー.ブラウン。それはたったひとつの"本当"だから」
わたしは大きく息を吸いこんで、両手を広げた。
「わたしは、ヒストリア.レイス。もう、わたしは何も恐れていない。何も秘密なんて持ってない。
 だから、あなたも……まだわたしを少しでも、信じてくれる気持ちがあるならッ……そこから出てきて!
 ……お願い、ライナー」

しばらく、静寂があたりを包みこむ。
やがて、鎧の巨人のうなじから、出てきた腕。
同化している部分を引きちぎるように、巨大な体躯に手をかけて、メリメリと人間の体を引き剥がす。
腰の立体機動装置は誰のものなんだろう、でも、きっと彼は優秀だから、どんな癖があっても乗りこなすんだろうけれど。

「…………」

クリスタ、と言いかけたのかな。
kの形に反って歯茎に当たった舌の先を、ハッと気づいたように手で隠して。
すとんっと壁に降りたったライナーは、「ヒストリア」とおぼつかない発音で言い直す。

「ライナー……」
「……ヒストリア、俺は……兵士で、ありたかった」
「うん」
「俺は……」

ライナーはそれきり言葉が続かないのか、俯いて拳を握りしめる。
リヴァイ兵長が合図しようとした手を「待ってください」と止めて、わたしはそちらへ一歩踏み出した。
こわがらないで、逃げないで。わたしの手をとって。

「___あッ!」

ぐらり、と風で体がかたむいた。ライナーの方へ走ることだけを考えていたわたしの体は。
上位成績者の中でも体術が不得手だった体は、バランスを崩して、重力にからめとられる。

「ヒストリア!」

叫んだ、と思った次の瞬間、わたしの体は落下していた。高さ50mの空中、誰よりも速く、その人は飛び出していた。
「ライナー!?……まさか!」
ガスが噴射される音はしなかった。ワイヤーも射出されていない。あれ、でも昨日は飛べていたような……
巨人体からの離脱で使い切ったガス……もしかして、あなたも覚悟の上でここまで来たというの?
「……安心しろ。
 お前のことは、絶対に受け止める!!」
わたしを空中で抱きとめたライナーは、そのままぐりん、と体を回転させて、わたしのクッションになるよう体勢を入れ替えた。
親指の腹を噛み千切ろうとして、やめる。
「やっ……」
ライナーは、笑っていた。どうせ再生する、とでも言うつもり?もう巨人化する力もないのに……
「やめてぇぇぇーーーーっっ!!」

わたしの叫び声が消えるか消えないかのうち、短いガスの噴出音がして、わたしの襟首を誰かがガシッと掴んだ。
「ぐっ……」
聞いたこともない、苦しげな声に、わたしの意識が急激に元の動きを取り戻す。
地面までおよそ20メートルに迫っていた。その衝撃を殺して二人分の体重を支えるなど、並大抵のことではない。
それができるのなんて……

「リヴァイ兵長!」

思わず叫んでしまった。
兵長はアンカーを壁面に突き刺して、抱き合う形になっていたわたしたちを左腕一本で支えていた。

「……とりあえず、合格、だ」
「リヴァイ兵長……」
ライナーも力のない、呟くような声でその名前を呼ぶ。
「お前がッ……どう、出るかを…見たかった。だから……こいつに、何かあっても……
 決して、手は出すなと……命令を、出してあった」

壁のひび割れに右手の指をかけて、自分の体重を支えている。左腕はプルプル震えていて、今にも離れそうだ。
そんな命令が出ていたなんて、知らなかった……ユミルはよく了承してくれましたね。

「知ってる、か?……自分の、命を…犠牲にしてでも、他者を助けるのは……人間、だけの……本能だ。
 だから、ライナー.ブラウン……おまえを助ける前にひとつ、確認しておきたいことがある」
兵長はポーカーフェイスを崩さないまま、聞いた。

「おまえが望むなら、人間にも、怪物にもなれる。
 ……おまえは、どうしたい」

ライナーはまっすぐに兵長の目を見上げて、「人間、に……なりたいです」と答えた。

「そうか……なら、それでいい」
兵長はパッと、襟首をつかんでいた手を放す。ライナーはわたしを横抱きにしたまま、両足を軸にしてスタッと着地した。
ワアッ、とどこからか歓声があがる。壁の上で待機していた調査兵団と、わたしたちを遠巻きにして陣形を張っていた兵士たちだ。
「ヒストリア!……うっ、ライナー!」
その中から、よく知った顔が駆けてくる。サシャは涙と、それから鼻水も垂らして、ぼすっとライナーの胸板に突っ込む。
「……サシャ」
「っ……うっ、わた、わたしっ……ライナーが巨人だって知らされてから、ずっと……
 ずっと、考えてたんですっ…もう、二度と会えないのかな、って……もう、二度と、
 一緒にゴハン食べたり、お喋りしたり、全部、できないのかなって……ううっ」
うわあああん、と胸に顔を埋めて泣き出したサシャの横に、コニーがやれやれ、と肩をすくめる。
「正直さ、俺はお前が殺した人の事考えたら、こいつみてえに素直に泣けねえよ?」
「……すまん」
「でも、俺はやっぱりお前との絆の方を、捨てらんなかった。人間だもんな、仕方ねえよ」
ぽんっとライナーの肩に手を置いて、にへっと笑う。コニー、あなたはまるでこんな真実を知る前みたいだね。
104期は、優しい人ばかりだ。泣き続けるサシャの向こう、回復したばかりのエレンと、隣に付きそうミカサ、
どうしていいのか分からないといった表情で、立ち尽くすジャンが見える。
二人を見つけたライナーは、また苦しそうな顔になって目をそらす。
エレンは「……おい」と低い声で呟いて、ずんずんずんと近づいてきた。
サシャをぐいっと退けて、ライナーと向き合う。

「……俺は、お前を一生許さない。きっとジャンも同じだ」

予想通りの言葉に、ライナーは「それでいい」と返した。

「でも、お前を殺したって、俺は永遠にお前を憎み続けて、それでなんとか自分に折り合いつけるんだろうな。
 ……ベルトルトを、殺した時みたいに」
ベルトルト、の名前に、ライナーはぴくりと眉根を動かす。

「だから、もう終わりにしよう。俺が殺すのは巨人だけだ。
 俺もいつか、時間がかかるけど……それでも、乗り越えてやる。ベルトルトも、母さんも、ハンネスさんも、
 リヴァイ班のみんなも、……マルコも、死んでいった人たちを、みんな」
ん、とエレンは拳を突き出した。ジャンも「ほら、ちゃんと前足出せよ」とエレンに言われて「手だ!」と
怒鳴りながら、同じように拳を作る。
「どうしたよ、忘れちまったか?訓練兵団で誰かがモメた時、
 お前いっつもこう言って止めてただろ」

__ほら、お互いに拳を合わせて、それでおしまいだ。
  今夜は悔しいかもしらんが、明日からはちゃんと仲良くしろよ?

「俺とエレンもしょっちゅうやられたよな。
 その場では渋々仲直りしたフリして、男子寮に帰ったらまたケンカしてた。 
 ベルトルトは体育座りで我関せず、コニーはやれやれって煽るし、マルコは……困ったみたいに笑って、
 "しょうがないな、ジャンは"って言うんだ……」

ジャンはぐいっと袖で涙を拭いて、「ほら、お前もさっさと出せよ!」と叫んだ。

「マルコはバカなくらいのお人好しだからよ……きっとお前らに殺された事だって、
 恨まねえようなやつだよ……つまりだな、お前が拳を出さなかったら、
 あいつが怒るだろうが!俺はお前なんか絶対許したくねえけどよ、
 マルコのために仲直りすんだからな、さっさと出せ、ライナー!!」

ライナーはおずおず、と拳を出した。エレンは待ってました、とばかりに、ジャンはため息混じりで
ごつんっと拳を合わせて、にっと笑う。

「おかえり、ライナー」
「ったく、ゴリラが人間並みに考え事なんかしてんじゃねえよ」

ライナーの目から、ぽろっと涙がこぼれた。
わたしがきゅっと袖を握って引っぱると、ようやく嗚咽混じりの言葉を返す。

「……たっ……ただいま……」



□ □ □ □ □ □ □

「しっかし……ここでの生活もだいぶ慣れたなあ」
コニーはうーん、と伸びをして、耕された畑を見回す。朝から作業をしていたおかげで、
今日中には苗を植える段階まで行きそうだ。
あぜ道にしゃがみこんで、狩りに使う弓矢の手入れをしていたサシャも「そうですねえ」としみじみ言う。

彼ら104期の上位成績者だった者のうち、サシャとコニーは自ら願い出て自由の翼を脱ぎ、
ウォールローゼの南にある開拓地へ入植していた。小さな家を建てて、畑を耕し、日々の糧を得る。
巨人の脅威が以前に比べればだいぶ治まりつつある今、農作物は前よりもずっと安定して得られるようになった。

「あ、そういえばさ……ライナーは、どうしてるかな。地下牢での暮らしって結構退屈なんじゃねえのか?」
「彼なりに働いてるみたいですよ。憲兵団の中に、事務仕事を押しつけていく駄馬がいるんだとか」
「駄馬、って……まさか、あいつか?……つーか、ゴリラに機械なんか扱えるのか?」
「それ、本人に言ったら怒られますよ……」
「冗談だって!まあ、ジャンなりに生きがいみたいなのを探してやってんだろうけどさ」

コニーはクワを置いて、サシャの隣によっこらせ、と腰を下ろす。

「あれからもう3年が経つのか……思えば長かったよな」
「ですね……みんなで頑張って、ライナーの助命と減刑をお願いしましたけど……」
「キース教官が口添えしてくれたのが意外だったな」
「ええ。それよりもっとびっくりだったのが……」

二人で声を合わせて「「リヴァイ兵長!」」と名前を言う。

「……俺達、息ぴったりだな」
「あはは、夫婦になったら仲よく年取りそうですねえ」
「……本当にそうなるか?」
「えっ?」

コニーは真っ赤な顔で「なんでもない」と目をそらした。
「……でも、早く本当に帰ってこないかなあ、ライナー」
「そしたら、俺達と一緒にここで暮らせるもんな」
「……はい。今度こそ、みんな一緒に……」

【被告人、元訓練兵団104期、『鎧の巨人』ライナー.ブラウンを、無期懲役の刑に処す】

地下牢への長い、石造りの階段。一段ごとに、ひんやりとした空気がヒストリアの肌を突き刺す。
ヒストリアは肩にかけたショールの前を結んで、寒さをこらえる。
雪山での行軍はこんなものではなかったというのに、平和な暮らしが長すぎてひ弱になっているのだろうか。
面会室に着いて、腰を下ろす。しばらく待っていると、キイ…とためらいがちにドアが開かれて、
待ち人が現れた。

「ライナー、元気にしていた?」

ライナーは「ああ」と答えて、鉄格子の向こうに座る。服装はいつも大体同じ、
訓練が終わった後に着替えていた白いシャツと、ねずみ色のズボン。
3年前に比べて、筋肉はやや衰えているように見えた。面会以外は地下牢に幽閉されているから、
簡単な筋トレぐらいしかできないためだろうか。
あまり切れない髪も伸びて、遠目にはジャンと見分けがつかないくらいだ。

「少し痩せたんじゃない?ちゃんとご飯食べてるの?」
「お前こそ……そうだ、エレンから聞いたぞ。今度結婚するんだとか……しかも相手があのユミルとはな」
「びっくりしちゃった。わたしもてっきりミカサだと思ってたから」
「そのミカサはどうするんだ?」
「来年にはミカサ.キルシュタインになるって」
「大穴だな。ジャンのやつ、一生分の運を使い果たしたんじゃないのか」

【地下牢獄における幽閉期間は、基本的には被告人が死亡するまでとする】

「ねえ、私たちはいつになるのかな」
「さあ……リヴァイ兵長いわく、20年はかかるらしいが」
「いつまでも待ってるよ、わたし」
「え?」
「だから……わたしがおばあちゃんになっても、ずっとずっと、好きでいてくれる?」

【ただし、被告人の精神状態を常に鑑定し……人格の乖離が解消、安定したと判断された段階に於いて】

ヒストリアはじっ、とライナーの色素の薄い瞳に映る自分を見つめる。
光によって灰色にも、はしばみ色にも見える目は、前よりずっと落ち着いた光をたたえていた。

【元.調査兵団の兵士による24時間監視下のもと、開拓地での試験的な釈放を行うものとする】

ライナーは手錠のはまった両手をそっと持ち上げて、鉄格子の隙間から左手だけを出す。
小指をきゅっとからめて、「もちろんだ」と笑った。



「おーい、ライナー!こんなデッカいキャベツ取れたぞー!」
「私も今日はこーんなおっきいウサギ仕留めましたよ!」
「こら、サシャもコニーも手洗いが先でしょ?……ね、ライナー。今夜は何作ろうか?」
「そうだな、俺は……」


【終】

ライクリが幸せになるルートが欲しくて書いた。
ベルユミ、ジャンミカの裏話も書いてみたいかもしれない。

ちなみに終身刑って、仮釈放ありとなしの2パターンあるらしいですね。
オープン.プリズンみたいなところに入る自由度高いバージョンもあるとか。

今年の訓練兵団には、巨人の子供たちがいる__。

キース.シャーディスは靴音を高らかに響かせて、ぴしっと並んだ訓練兵たちの前に立った。
ここへ来た時点である程度覚悟を決めているはずだが、それでも幼さの残る顔立ちに、
ついゆるみそうになる表情を引き締めて叫ぶ。

「貴様は何者だ!」


2.『聖なるかな from -125th-』


最初に問うたのは、小柄だが生意気そうな目の少年だった。肩の上で切りそろえたボサボサの黒髪にそばかす。
その目つきに既視感を覚える間もなく、少年は自らの身分を名乗った。
「ウォールマリア南、シガンシナ区出身!クリスタ.イェーガーです!」
「クリスタ……?」
キースは、そばかすの散った顔をじっと見つめる。滑らかな喉と、男にしてはふっくらした体格。
そこで初めて、キースは相手が少年ではなく、肉づきの悪い少女だと気づいた。
「……何をしにここへ来た」
「父の意志を継ぎ、壁外の巨人を駆逐するためです!」
一切の迷いもなく言い切った言葉に、訓練兵たちがかすかにざわめく。
「……お前の父親が、何者か……知っているか」
「はい」
クリスタの瞳には、一点の曇りもない。父親そっくりの目をしていた。
「クリスタ、という名は誰がつけた」
「母がつけてくれました!大事な人の名前だという事です!」
「そうか……貴様は何者だ!」

叫ばれた隣の少年は、弱々しい瞳を揺らして「ひっ」と悲鳴をあげた。クリスタと同じ黒髪の、ひときわ背の高い少年だ。
「お、同じくウォールマリア南、シガンシナ区出身!ベルトルトッ…イェーガーです!
 な、名前は母の、初恋の人だと聞いてます!」
聞いていないのに、名前の由来を教えてきた。ほほう、そうか。あいつは超大型巨人が初恋か、
しかし同時に超大型は、こいつの祖母の仇ではないのか?
キースは頭の中でメモをする。同時に、そんな因縁深い名前を呼ばなければならない父親の心境を思った。
「そうか、貴様らは双子か……似てないな……何をしにここへ来た!」
「へっ?え、えっと……」
敬礼の姿勢を取ったまま、おたおたし始めた弟(なぜかキースは一片の疑いもなくそう思った)に、
隣のクリスタは「さっさとしろよ」とイラだった声でつぶやく。
「ね、姉さんが訓練兵団に入ると言ったからです!」
しーん……とあたりが静まり返る。たしか書類では15歳だったはずだが、ずいぶんと姉への依存度が高い。
そうだ、書類には確かこう書き添えられていた……『この年でまだ、姉と同じベッドで寝ている。男子寮での生活が危ぶまれる』
「……努力しろ」
キースはもう、何も言おうとも思わなかった。
背が高いところも、黒髪も、弱気な顔つきも、ついでに言うと自分の意志がハッキリしないところも、
104期のベルトルトにそっくりだ。

キースは再び何人かに通過儀礼を済ませ、次の列へ移った。
「貴様は何者だ!」
「ウォール.シーナ東、ストヘス区出身!マルコ.キルシュタインです!」
やはりな、とキースは思う。104期の数少ない生き残り達の子は、それぞれに親の願いを背負って生まれてきたようだ。
マルコは父譲りの茶髪に、母と同じ黒々とした瞳をたたえた、東洋の面影を残す顔立ちだった。
きっと両親に愛されて育ったのだろうな、と思わされる、幸せそうなオーラを纏っている。
敬礼の美しさは、『マルコ』もそうだった。
「何をしにここへ来た!」
「憲兵団に入り、政治の側からこの国を支えるためです!」
志望先は同じだが、やや前向きな動機だ、とキースは思った。次に、マルコの隣に目を向ける。
長い金髪を後ろで三つ編みに編んだ少女が、緊張を隠し切れない面持ちで敬礼していた。
小人のような母とガッシリした父の血がうまい具合にミックスされて、体格は平均値。顔は輪郭が母似の目は父親似だ。惜しい!
「貴様は、何者だ!」
「ウォールローゼ南.ダウパー村近郊開拓地出身!フリーダ.ブラウンです!」
急に聞き覚えのない名前が出てきた。だが確実に両親に関係ある人間の名前だろう。後で調べておこうと考えて、続ける。
「何をしにここへ来た!」
「……父が成し遂げられなかったことを、するためです」
「それはなんだ」
「……迷いのない、"兵士"になることです」
フリーダの目には、すでに迷いがない。彼女の父親も、巨人であることと精神分裂状態であることを除けば優秀だった。
なにせ次席、規格外の怪物、ミカサがいなければ主席で卒業した男だ。
きっとこの娘も優秀な成績で3年後、ここを出て行くのだろう。

モグモグ……ムシャムシャ。

またもや、デジャブ。
キースは咀嚼音のした方に目を向ける。やはり、というべきか。黒髪を長いポニーテールにした少女が、
蒸かした芋を片手に持って、骨付き肉をかじっている。こちらは行動も見た目も見事に母親のトレースだ。
よりレベルアップしているな、とキースは吹き出しそうになるのをこらえて聞いた。

「なぜ芋を食べているかは……聞かん。私の予想が正しければ、かつて貴様の母親と同じ会話をした。
 だがこれだけは聞こう。貴様は何者だ?なぜ、ここで飯を食べようという気になった?」

少女は骨付き肉を口から離すと、湯気のたった芋の方だけをガブガブと急いで食べきって敬礼の姿勢を作った。
もちろん、肉は盗られないように後ろ手にしっかり握ったままだ。
「ウォールローゼ南出身!……あれ、あそこってなんて地名だっけ?ダウナー…いや、違うな。
 カウパ…あ、違う違う、それはヤバいって!まあいいや……「ダウパーだよ、お父さんが教えたじゃない」
諦めかけた少女に、フリーダがこそっと教えた。
「あ、それそれ!ダウパー村「近郊開拓地」「きんこうかいたくち出身、アニー.スプリンガーです!」
絶対に意味が分かってない。国語力は両親に似てしまったようだ。
おそらくライナーは、このアホの子が自己紹介だけは無傷で通過できるよう、
彼女の両親の代わりに文面を作って覚えこませたようだが、ここに来るまでで頭からすっぽり抜けてしまったのか。

「……アニー?たしか、それは……」
キースはつぶやく。
あの結晶体に入ったままの女型の巨人は、未だ眠り姫のように若い姿を保ったまま、地下の研究室に保管されたままだ。

「名付け親は誰だ」
「父の友人、ライナー.ブラウンです!」
「……これはもはや、業と言ったほうが正しいか」
額に手を当てたキースに、アニーは「は?」と呆けた返事をする。
「……ああ、そうだった。なぜここで飯を食べている?」
「15時。おやつの時間だからです。実家ではいつも、15時になるとおやつを食べていました」
「貴様の実家では骨付き肉をおやつと呼ぶのか?」
「いえ、私は極端に大食いなのでしっかり食べてましたが……名付け親のライナーの家では、普通にケーキを焼いてました」
「その肉……どこから持ってきた」
「厨房です!」
いい笑顔で答えたアニーの頭に、キースは今度こそ全力のチョップを叩き込んだ。


「やれやれ……104期以来の問題児揃いだ」
キースは書類とにらめっこしながら、深いため息をついた。
今期には、ちょうど104期の子供たちが勢揃いしているとも言えるが、親たちに似て皆アクが強い。
「……楽しくなりそうだ」
ここ数年でだいぶ丸くなったと噂されるキースは、つるっぱげの頭を撫でて書類をしまった。


『通過儀礼』から一週間ほど経った日の夜。
寝床に入った訓練兵たちの中、小さなランプを灯して、フリーダは手紙を書いていた。

お父さん、お母さん、元気ですか?フリーダは元気です。
ちょうど一週間前、キース教官からの通過儀礼がありました。でも、コニーおじさんが言ってたほど怖くありませんでした。
むしろちょっと優しかったかも。お父さんたちの時はそんなに怖かったんですか?

そうそう、ベルトルトったら、ものすごい寝相が悪いんですって。私は女子寮だから見れないけど、
ベルトルトの寝相で一日の運勢を占う男子までいて、もう大人気!でも、エレンおじさんも
ユミルおばさんも寝相はいいのに、一体誰譲りなんだろう……。
マルコはとってもいい人です。私より年上だからかな?しっかりしてて、優しくて、
リーダーになったらいいだろうなって思うけど、憲兵団志望なんだよね……でも、
訓練兵団で友達がたくさん出来たら、気が変わって調査兵団に一緒に来てくれるかも、なんて。

アニーは、こっちに来てもよく食べてます。訓練でお腹が空きすぎて死んじゃうんじゃないかって、
サシャおばさんは心配してたけど、だいじょうぶ。アニーはちゃんと厨房から自分で芋を取ってこられる子です。

女子では、クリスタと仲良くなりました。私が困ってるといつもそつなく助けてくれます。
クリスタによると私は「なんだか一緒にいないとダメっぽい」とのことです。でも、私一人で色々できるのになあ……
まるでお母さんとユミルおばさんみたいですね。私、もっとしっかりしないと……。

ああ、もう紙がなくなっちゃう。
それじゃあ、さようなら。お母さん、体には気をつけてね、寒くなってきたらきちんと重ね着してね。
お父さん。最近、傷の再生が遅くなってきたって本当ですか。昔は手足がもげても
すぐに治ってたってお母さんが言ってたけど、若いころに無理をしたせいじゃないんですか。
とにかく、気をつけてください。巨人が来たら、ちゃんと立体機動装置を使ってくださいね。
またお手紙書きます。

可愛い娘より。


【終】



凄く幸せでよかった。

>>19
ありがとう!感想もらえて滅茶苦茶嬉しい。
このスレでは基本みんなをいろいろな形で幸せにしたい短編を載せていくので、
気が向いたらまた読んでみてくれ。

そうか、これが恋というものか。
実感してしまえばそれは意外にあっさり受け入れられる程度の真実だった。
同時に、自分の中で年頃の乙女らしい感情が死滅していなかったことに、
ミカサは素直に驚き、初恋を成就させるべく立ち上がった。

「マルコ、私はあなたが好きだ」

男子宿舎のベッドで、読書を楽しんでいたマルコの上に馬乗りになって告げる。
これで合っているのだろうか、と心配になったが、エレンとアルミンが食堂で交わしていた会話によると、
押しの強い女に思春期の男は弱いらしい。これで大丈夫なはずだ。

「一生私のそばにいて欲しい。愛してる」

突然の告白に石化しているマルコの額に、ミカサはちゅっと軽いキスを落とした。

【The lost innocent-1-】

始まりは何時だったか。
エレンとジャンがお互いの持つ性質を嫌悪しているのは明らかだった。時と場所を選ばず喧嘩を始めるたびに、
彼らを羽交い締めにして止める役。それは自然と、マルコとミカサの役目になっていた。
その日も、夕食の時間に他愛もない口喧嘩が始まった。

「おいジャン!今日の対人格闘、お前わざと手ェ抜いただろ!」
「お前なんか本気で相手するほどじゃねえんだよ三下!」
「今なんつった!言っとくけどなあ、俺だって教官が言わなきゃお前なんか絶対ペアに選ばねえよ!」

ことの発端は、中間発表の時点で成績が拮抗している二人を、教官が強制的に組ませたことだった。
なにかと和を乱す二人にお灸をすえるという意味合いもあったのだろうが、
嫌な予感というのは当たるもので。

はじめは互いを罵り合うだけだったが、段々とヒートアップした二人は、
空腹が解消されたことで回復しつつある体力を、暴力に転化しようと立ち上がる。
顔を突き合わせるたびにこれなので、ストッパー役の二人は、ゆっくり食事を摂る間もない。
それを見たマルコは「まただよ…」とでも言うように額に手を当て、近くで食べているミカサに目で合図する。
最初のうちは「ミカサ、エレンを止めてくれ!」と叫んでいた。それが段々「ミカサ!」まで短縮されて、
今では視線だけでなんとなく、マルコの思惑が分かるようになっている。それは多分、マルコの方も同じだろう。
ミカサは頷いて、ジャンの髪を引っ張るエレンの手首を『ガッ』と掴んで止めた。

「……エレン、皆の食事の邪魔をしてはいけない」

淡々と正論を述べる。ミカサの言葉には何の間違いもない。だが、それを受け入れられるほど
大人だったら、エレンもこんな事はしない。「なんだよ!ミカサには…」
関係ないだろ、と言いかけたところで、マルコがまだ殴りかかろうとしていたジャンの肩をつかんだ。

「ジャン、いい加減にしろ!皆疲れてるんだ、食事の間ぐらい静かにできないのか!」
「だってこいつがッ…」
「だってじゃない!ほら、エレンなんてまだ一口も食べられてないんだぞ。
 ……ごめんね、エレン」

心底申し訳無さそうに目を瞬かせるマルコに、エレンは「い、いや」と口ごもった。
エレンにとっても、マルコは好意に値する相手だ。隣のジャンが気に喰わないのは別として、
彼にそんな顔をさせたいわけではないので、どうしていいか分からない。
「……お前らの言うとおりだ。騒いで、あと……髪の毛引っぱって、ごめんな」
今日はエレンが先に折れた。ジャンはまだ足りないようだったが、マルコが「ほら」と促して、渋々「悪かった」と頭を下げる。

「ミカサも、いつもごめんね」
それは毎回繰り返される、お決まりのやり取りのはずだった。少し情けない笑みと共に、
能力値が高いせいかあまり他人から顧みられることのない自分に対する、貴重な気遣い。
「……いい。私は、大丈夫」
答えながら、鼓動がいつになく早いことに気づいた。どうしたのだろう、らしくない。
マルコにちらっと目を向けると、もうジャンを座らせて、静かな食事を再開していた。
スープをすする口元をじっと見つめていると、エレンが「おい」とミカサの服を引っぱる。
「突っ立ってないで、座れよ。……お前も食い終わってないんだろ」
「原因であるところのエレンがそれを言うと、なんかアレだけどね」
アルミンは珍しく食卓にのぼっていたオレンジの房を半分に分けて、大きい方を「はいっ」とミカサのトレイにのせる。
「いつも嫌な役割を押しつけてごめん。せめてもの気持ちだよ、受けとって」
「……ありがとう」
アルミンの心遣いは嬉しいが、マルコの時とは違って、心臓は至って静かだ。
「……甘い」
ミカサはオレンジを薄皮ごと奥歯で噛みしめて、その理由に思いを巡らせた。


「ほほう……それは、恋というものですね!」
湯けむりの中、一通り話を聞いたサシャが目を輝かせる。
体を洗っているミカサは、サシャが食べ物以外にも興味を持っていることに今さらながら安心して、「恋」とくり返した。
自分からは最も遠い次元の話だ。女子寮で毎夜のように繰り広げられる恋話をぼんやりと聞き流していたミカサには、
どうもその一員に加わる資格を得た実感が沸かない。
「マルコが気を遣ってくれるとドキドキする?」
湯船に浸かっていたミーナが、体を反転させて聞いてきた。
「……する」
「じゃあ、同じことをエレンがしたら?」
「……熱を測る」
「うわあ」
ミーナは呆れ顔だ。
「エレンは……そういう事が苦手だと、分かってる」

「じゃあ、他の男子が気を遣ってくれるとどう?例えばいつも一緒にいるアルミンとか、
 対人格闘でよく組んでいるライナーとか、面倒見がいい人なら他にもいるじゃない」
クリスタが例を挙げると、ミカサは首を傾げて少し考えた。
「アルミンは……家族みたいなものだから……特別に気を遣ってもらうことは、ない」
言ってしまった後、誤解を招く表現だと気づいたのか、言い直す。
「いつも一緒にいて、快適なようにしてくれる……こちらが意識しなくても。
 ライナーは、誰にでも優しいから……私もその一人というだけだと、思う。
 対人格闘でよく組んでいるのは、総合成績が同じくらいだから、お互いに高め合うため。それだけ。
 二人とも、楽しい。好きか、嫌いかで言えと言われれば、好き。だけど、何か違う」
珍しく長い答えを返したミカサに、クリスタはふーん、と感心したようになる。ミカサがエレン以外の男子に対しても、
きちんと関心を持って接しているというのがそんなに意外だったのか。彼女にしてみれば、エレンの他に興味が無いのではなく、
単純に興味や友好度の比率が違うだけなのだが。
「じゃあやっぱり、マルコだけの現象なのね」
「だから、恋だって言ってるじゃないですか!ミカサがとうとう、恋する乙女になったってことですよ!」
やっぱりミカサも女の子だったんだ、明日は赤飯だとはしゃぐサシャとミーナを落ち着かせて、
クリスタは「ねえ」と聞く。
「今までは、そういうこと……なかったの?」
「……ない」
「じゃあ、初恋ってことね」
にっこり笑ったクリスタに、ミカサはハッと気づいた。
「……初恋」
そうか、これが初恋か。
自覚してしまえば、後は一直線だった。


それからの一週間、ミカサは半分夢心地で過ごしていた。
もちろん訓練の手は抜かない。だが、潤いのない厳しい日々に、ひときわ鮮やかな色が加わったのだ。
気がつくと、マルコを目で追っている。それを見ているうち、心臓以外にも異常が現れた。マルコを見ていると、
顔にカーッと血がのぼって赤くなる。視線に気づいたマルコがニコッと微笑み返したりすると、それだけで頭がボンッと破裂する。

考え事をするときにうなじに手をやる仕草だとか、パンをかじる口元だとか、眠たそうな顔で宿舎へ向かう姿だとか、
とにかく色々なマルコを見るたびに、恋心とやらが加速していくのを実感している。

「おーいミカサ……って、お前どうしたんだ」
「何?」
対人格闘の訓練が一段落ついたのか、アニと組んでいたはずのエレンがこちらへ歩いてきた。
「いや、何……って、お前があいつ見てるなんて珍しいなって思って」
「あいつ?」
「ジャンのことだよ。あいつにもとうとう春が来たのか……」
なんだか、盛大に勘違いされている。ミカサは首を振って、「違う」と否定した。こんな風に勘違いが生まれるのは、
ジャンがいつもマルコとべったりな所為だ。なんと羨ましい。このままにしておいてもいいが、
エレンは大事な家族だ。お互いに隠し事はしたくないし、自分の気持ちは知っておいて欲しい。
「じゃあ誰だよ」
「おいエレン。人の心中を、あまりあけすけに聞くものじゃない」
ムスッとへそを曲げたエレンを、投げ飛ばされて転がっていたライナーが、起き上がりながらたしなめる。
「……エレン。私にも心の準備というものがある。女子はみんな知ってるけど、
 男子に広まると、あっという間に知れてしまう。だからこの話はまだ、内緒にして欲しい」
「……アルミンには言ってもいいか?」
「分かった。じゃあアルミンとエレンだけ」
「じゃあ、俺はちょっと向こうに行ってるか」
「そうしてもらえると、助かる」
ライナーはよっこらせ、と立ち上がってその場を離れた。聞こえないくらいに距離をとったのを確認したミカサは、
エレンの耳元でごにょごにょ……と囁く。一連の流れを聞いている間、エレンは「えっ!?」だの「嘘だろ!」だの
叫んでいたが、全部聞き終わると口元に手を当てて「……マジかよ」と信じられないものを見たような顔をする。
「さっきの条件、忘れないで」
「お、おう……」
「じゃあ、私は訓練の続きをする。あなたも頑張って」
隣にしゃがみこんでいたミカサは立ち上がり、木陰で待っていたライナーの方へ歩いて行く。
それを見送ったエレンは「……どうしよう」と力なく呟いた。

対人格闘の訓練が終わった後、アルミンは男子トイレですれ違いざまに、エレンから紙片をポケットにねじこまれた。
「……何だろ」
開いてみると、『今夜、資材倉庫に来い』とある。エレンがこんな事をするのは珍しい。男子の中には皆が寝静まった後
逢引する者もいるし、一人湖に行って思慮に耽る者もいるが、エレンに関してはどちらでもなさそうだ。
「……面倒くさいことになりそうな予感」
アルミンの予感は、見事に当たった。

「はーい。じゃあ第一回"ミカサの初恋応援プロジェクト~恋心をマルコに捧げよ!~作戦会議"を始めます!」
いよっ、とかけ声をあげて、一人パチパチと拍手するエレンを、木箱をはさんで向かい合うアルミンはジト目で見た。
「えー、わたくし議長のイェーガーです。どうぞよろしく」
オッホン、と重々しい咳払いをして敬礼したエレン。完全に面白がっている。
「では作戦部長のアルミンくん、意見をどうぞ」
「だから、何の会議なのこれ!話が見えないんだけど!?」

話を聞き終わったアルミンは、「はあ……」とため息をついて頭を抱えた。
「つまり、ミカサはマルコに片思いしていると。で、それを幼なじみの僕達がそれとなく応援してくっつけてやろうって、
 そういうこと?」
「おう」
胸を張ったエレンに、「あのさあ」とアルミンは今度こそ本気で呆れた顔を向ける。
「こんな事して、ミカサが喜ぶと思ってるの?君に片思いを打ち明けたのだって、信用あってのことだよ?
 僕はまだ経験がないからよく分からないけど、こういうのは成り行きに任せるものじゃないか」
「マルコはいい奴だろ。俺もあいつにならミカサを任せてもいいと思ってるからこうやって……」

「それじゃ、マルコの気持ちはどうなるの?僕達が無理してくっつけたって、磁石じゃないんだから、いつか離れてしまうかもしれない。
 その時傷つくのは君じゃない。甘い恋に終わりがある事を知ってしまうミカサと、大事な友だちである君の幼なじみを
 悲しませなければならない、マルコだ。君の言いたいことは分かった。だけど一方的な善意を押しつけるのは、最低の行為だと僕は思う」
「…………」
ずーん、と肩を落としたエレンに、「あ、別に君を責めようってわけじゃなくて」とアルミンはあわてて弁解する。
「もちろん、それとなく応援してあげるのはいいと思う。ミカサはあの通り恋のこの字も知らない子だ。
 現に一週間も経つのに、いまだにミカサはマルコを目で追うだけで止まってしまっている。
 このままじゃ一ヶ月経とうが、一年経とうが、大して進展しないだろうというのは予測がつくよ」
「だろ?じゃあ……」
「待ってくれ、僕が考えるから」
「さすがアルミン!」
「君に任せるのが不安なだけだよ……」

とうしても続きが浮かばないので、
すみませんがここまでにします。

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