京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」全国編 (918)

▼ご注意▼

 1.百番煎じの京太郎スレ

 2.キャラ崩壊&ご都合主義

 3.>>1の独自解釈による設定

 4.元々安価スレの予定だっため、ぶつ切り&描写薄

 5.麻雀素人による酷い闘牌描写

 6.チョロイン

 7.京太郎主観

以上のことを許容できない方はブラウザバックをオススメします


前スレ
京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」県内編
京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」県内編 - SSまとめ速報
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8月1週  

行動1回目  疲労度10

7.誰かと出かける  衣

        44       怪我    
        01~20     失敗   
        21~50     普通  
        51~80     成功   
        81~98    大成功 
        ゾロ目・77  超成功  

 1d100=60  成功  5の倍数 回復+1


 合宿が終わって数日、合宿では部屋に籠って椅子に座りっぱなしだったから、まだ体が凝っているような錯覚がある。

 そのため、俺はいつも通りというか、母親から頼まれたお遣いついでに体を解すための散歩に励んでいた。

 今日のコースは川沿い。閑静な住宅街からも少し外れた、程よい大きさの川。

 せせらぎと反射される陽光、時たま跳ねる銀の魚。熱風に近い空気にじっとりと汗が浮かぶ。

 そんな夏に相応しい情景の中を進んでいると、川縁に立つ見覚えのある姿を見つけた。


「衣さん」

「……ぬ、きょーたろーか」


 涼し気なワンピースに麦わら帽子、いつものカチューシャは帽子の中だろうか。

 小柄な体を覆わんほどの豊かな金の髪が風に揺れる。川面に向けられたままの瞳が思考の波に揺蕩っている。

 合宿では随分と楽しそうにしていたのだが、何かあったのだろうか。


「ふふっ、心配してくれるのは嬉しいがなきょーたろー。衣は大丈夫だぞ」

「そう……ですか? それならいいんですが」

「まあ、なに、簡単なことなのだ。確かに欝々と思索の海に沈んでいたが、きょーたろーと逢ってそれも晴れた。

 衣は、負けた。敵などいないとすら思っていたのだが二度も負けた。

 ああ、言うな。満月でなかったからだというのは確かにその通りではある。だがそれは力に溺れていたからこそ。

 だから気付かなかった。衣は孤独であると、父様母様に逝かれてしまい天涯孤独であると思い込んだ。

 でも、違うのだな。龍門渕では確かに蔵に押し込められたりもしたとも。換気用の窓にも鉄格子が嵌められ、時折覗く月を見るだけだった。

 しかし透華がそこから衣を出してくれた。まさに解衣推食。そして塞ぎこんでいた衣に人との関わりを作ってくれたのだ。

 一……純……智紀……それに歩やハギヨシ。そうだ、四鳥別離の果てには金蘭の契りたるものがあった。

 そうしてサキやケイ、ノノカ、きょーたろーとも逢えた。衣は、とっくの昔に孤独などではなかった。

 きょーたろーとサキ、ケイに驕りを掃ってもらってようやく気付けた……。こんなに幸せなことは他にない!

 父様母様に胸を張って言える、衣は今、幸せだって!」


 衣さんの感じていた寂しさ、辛さ、苦しさ苛立たしさ。それも麻雀を通しての出会いが払拭させた。

 それを知り、俺は顔がにやけそうだった。自分がその一助になったのだという誇らしさ、少女を幸せにできたのだという照れ。

 だからだろう、衣さんの挙動に全く反応できなかったのは。


「だから、これはお礼だよきょーたろー」




                              チュッ




「ほへ?」

「クククっ、また今度な、きょーたろー!」


 頬に柔らかい感触を受け、呆然としている俺をその場に残し、

 衣さんはいつの間にか現れていたリムジンに乗り込んで颯爽と立ち去って行ったのだった。

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∨:|        {∧ Ⅶ从=ミx \! z≠=‐|  |,イ  .!:::/

 Ⅵ          \乂」    ,         !  ! |   }∧
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                | !  /    `¨i´    |  |⊥._ / / ∧
                | ! r―rア'´ ̄ ̄!    !   |    ̄`ヽ ∧
                | ! |  .||  `ー.、   r―|   |      |/ ∧


天江衣の好感度が大きく上がった
一定以上の好感度時に出かけるを選択したため、絆を獲得
必然力がかなり上がった


評価

天江衣:きょーたろーか。我が背に相応しい覇気よ! →きょーたろーといると気分が良い!

行動2回目  疲労度8

7.誰かと出かける  美穂子

        44        怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通   
        51~80     成功    
        81~98     大成功   
        ゾロ目     超成功    

 1d100=27  普通


 衣さんに頬にキスされしばし呆然としていた俺だが、夏の暑気は我を取り戻すのに十分だった。

 あまりの暑さに太陽を恨めし気に一瞥した俺は、少し歩いてからコンビニでお茶を買い水分を補給した。

 そうしてやっと人心地ついた俺は目的の駅前までたどり着いた。

 そこで今度もまた見覚えのある金髪……。違うのは片目を閉じた、豊満な肢体を持っている点。

 そう、風越女子高校麻雀部主将、福路美穂子さんだ。しかし様子がおかしい。誰かに絡まれているというわけではない。

 ただ何かを探しているようで、きょろきょろと地面や物陰を覗き込んでいる。

 ここは男の見せどころだ。颯爽と助けて見せればポイント高いんじゃなかろうか。

 そんな下衆なことを考えるも表情には出さず、無難に声をかけることに成功した。


「福路さん、どうかしましたか?」

「え? あ、須賀君。奇遇ね。その、買い物メモを落としてしまって……。確かこの辺だったはずなのだけど」

「メモですか。風も少しありますし、見つけるのは難しいのでは……。あ、でも電話なりで家の方に聞けばいいんじゃ」

「そう思ったのだけどなぜか壊れてしまって」


 そう言ってチラリと福路さんが視線をやった先にはコードが滅茶苦茶になって白煙を上げている公衆電話。

 携帯電話は持っていないのかを聞こうとするとジャケットの内ポケットから差し出されたらくらくケータイ。

 よくよく見れば液晶が完全にバグっている……。何をどうすればこんなことになるのか。


「私が使おうとすると電気製品がおかしくなってしまうのよ。部でも触らないでくださいって懇願されてしまうくらいで」


 ちゃんと使えればみんなの負担も減らせるのに、と残念そうな福路さんである。


 咲の迷子癖もそうだが、麻雀が強い人にはオカルトじみた欠点があるものなのだろうか。

 思えば桃子の影の薄さもそうだ。……とはいえ憩さんや絃さんにそういった何かがあると感じたこともないのだが。

 そんな益体の無いことは今は置いておくとして。福路さんが使うのがマズイなら俺が使えばいいのではないだろうか。

 そう思いついた俺は早速そう提案した。遠慮する福路さんに強引に押し切り、連絡先を聞き出し俺の携帯電話でかける。


『もしもし、こちら風越女子学園麻雀部女子寮です。どのようなご用件でしょうか』


 どうやら女子寮の番号だったらしい。ここで俺が話してもいいがそれでは拗れそうだ。

 声をかけたくらいで壊れることもないだろうし、マイクをオンにして福路さんに応答してもらうことにした。


「寮監さんですか? 福路です。実は――」


 こうして無事に必要なものを確認することができ、買い物自体も問題なく完了した。

 いや、むしろ福路さんに食材の目利きやオススメの商品を教えてもらったりでいつもよりお得に買えたくらいだ。

 おかげで渡されたお金がいくらか余ってしまった。このままちょろまかして小遣い代わりにもらってしまおうか。


「今日はありがとうございました、福路さん。おかげで随分と助かりました――ん?」


 礼を言おうと福路さんを見やると、その福路さんはどこか一点をじーっと見つめている。

 その視線を追ってみると、どうやらゲームセンターに向いている。

 電気製品と相性が悪い福路さんではああいう施設を利用することも難しいのだろう。

 何かやりたいものがあってもできない、というのは寂しいことだ。だが、幸いなことに今は俺が隣にいる。

 場合によっては手助けできる可能性があるのだ、聞くだけ聞いてみることにした。


「福路さん、福路さん、どうかしました?」

「……え? あ、ごめんなさい須賀君。えっと」

「ゲーセンのほう見てましたよね。何かやりたいゲームとかあるんですか?」

「えっと、ゲームじゃなくて……あのぬいぐるみが、ちょっといいなって」


 そこまで距離があるわけでもなし、目を凝らして見ると確かにUFOキャッチャーに大きめのぬいぐるみが鎮座しているのが見えた。

 ……俺の感覚が正しければ、いわゆるぶさカワ系のゆるキャラ、だろうか。

 意外な気もするが福路さんの母性を思えば逆に腑に落ちる気もする、そんなぬいぐるみ。


「あれ……ですか? UFOキャッチャーなら俺でもできるかもですし、せっかくだから寄っていきましょう!」

「悪いわ。須賀君もお遣いの帰りなのに……」

「いいんですって! 実は福路さんのおかげで渡された金がちょっと余ったんです。

 駄賃としてもらっちゃおうかと思ってたんですけど……そんなせこいことするよりここでお礼に使う方がこのお金も喜ぶってもんです!」


 俺はそう言って福路さんを引っ張るようにゲーセンに向かう。

 実を言えばUFOキャッチャーはそこまで得意ではないのだが、まあ3,4クレジットもあればどうにかなるだろう。

「む、難しいぞ……これ」


 威勢よく挑戦したはいいものの、既に500円玉を2枚使い切った。これはさすがに格好悪いぞ。

 既に余った分は使い切り、次に入れるのは自分の小遣い。いよいよ失敗するわけにはいかない。

 そう思ってコインを投入し、操作ボタンを押そうとすると背後から衣さんに匹敵するようなプレッシャー。思わず手が止まり振り返る。

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「――押して」

「え、あっはい」ポチ


 異様な雰囲気の福路さんの指示に逆らうことはせず、素直に従う。

 合宿の対局時もそうだったが普段閉じている右目を見開き真剣そのものだ。

 かなり集中しているらしく、俺はボタンを押したり離したりするだけでいいからその目をしっかり観察できる。


「――そこで離して。……押して――そこで止めて」ウィーン……ゴトッ

「あ、取れた」


 そうして福路さんの目が左右別の色であることに気付いたところで、

 ワンコイン分のクレジットを使い切る形で見事お目当ての60cmほどの大きさのぬいぐるみが景品受け取り口に転がり込んだ。

「ありがとう、須賀君!」


 そしてそれまでの雰囲気から一転、片目を閉じるのも忘れて輝くような笑顔を見せる福路さん。実に可愛らしい。

 しかし、これだけで終わるのも芸が無い。せっかくゲーセンに男女カップルで入ったのだし、定番のプリクラくらいはしておきたい。


「い、いえ。お手数おかけしました……。あの、せっかくゲーセン入ったんですし、あれ撮っていきませんか?」


 俺はそう言って少し奥にあるプリクラコーナーを指さす。

 福路さんはそこが何のコーナーか分かっていないようで首をかしげている。

 なので写真を撮ることができるものだと説明し、次はいつ二人きりで会うか分からないからなどと言いくるめて誘うことに成功した。


「中は静かなのね」


 俺が選んだのはよくあるのれん仕切りのタイプではなく、筐体が外部から隔絶される個室タイプのもの。

 当然色々なサウンドが混ざり合うゲーセン内部の喧騒からも解放される、遮音性の高い空間。

 そんな筐体を選んだのは何も下心故ではない。福路さんに言った通り、次にいつ二人きりになれるか分からない。

 だからこの機会に聞きたいことを聞いてしまおうという魂胆なのだ。


「そういえば福路さんって瞳の色が左右で違うんですね」


 俺はプリクラの操作を進めながらおもむろにそう切り出した。福路さんは驚いたような顔をしてすぐに辛そうな表情になった。


「……ごめんなさい、こんなの気持ち悪いわよね?」

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          ,.': :': :  /: : / /: :,.l: : ,、: :'v : : : :'v: :'v ハ
        ハ,': : : :./: : / .,': :/ |: :.|ハ: : l: :l: : : :'v: :', ハ

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   小   |: :|: :,: :|l,: : |,cうz==ミ      {トッリ ,ノハ:|: :|
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        |:| | |: :| |l リ :リ > 、      ,.<「 l.: :|: |: :|
        l从小、{「「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |: :|
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 泣きそうな声でそう言い、福路さんは筐体から出ようとする。さすがに唐突過ぎただろうか。

 しかしそうでなければのらりくらりと逃げられてしまうに違いない。

 2年とはいえ人生の先達、麻雀の腕も思えば駆け引きで真っ向からどうにかできるとは思えないのだ。

 だから俺は福路さんの腕を掴み、強引に止める。久さんとの一件を経て、俺の傲慢さは増したのかもしれない。


「言い方が悪かったですね……。単純に気になっただけなんです。普段から閉じている目がどうなのか。

 そうしたら綺麗な碧眼でしょう? もったいないなって」

「綺麗……? 本当にそう思うの」


 我ながら強引な話運びだと思うが、こういうのは勢いが大事だ。このまま押してしまおう。

 何より小難しく考えるより、素直な気持ちを出す方が好きなのだ。だから本音で語りかける。

 だから一瞬の間も無くすんなり言葉が出るのだ。


「はい。透き通るようで、神秘的で……福路さんをより魅力的に感じさせる目だと思います」

「……本気なのね。私の目を綺麗って言ってくれたのはあなたで二人目よ」


 二人目。福路さんの最初の人に思わず嫉妬した。恋人でもないのに、そんな自分の心の動きに動揺する。ああ、なんて傲慢な。


「その人が羨ましいです。その人は福路さん心にずっといられる」

「ふふっ。上埜さん……久がその人よ?」

「え、久さんが」

「ええ。インターミドルのときに一度だけ対局したことがあるの。その時も何度か両目を開いていたから」


 そういえば久さんの高校以前の話は聞いた覚えがない。上埜と竹井で苗字も変わっているし色々とあったのだろう。


「そうだったんですか。……そういえば、俺との合宿での対局ではずっと両目開けてましたけど良かったんですか?」

「それだけ必死だったのよ?」

「じゃあそのぬいぐるみを取るときも?」

「そ、そうよ? いいじゃない欲しかったんだもの! それにね、須賀君なら目の色で私のことをイジメたりなんてしないって信じてたから」


 混ぜっ返した俺に向かって少しむくれながらも、甘えるような声音で信じていると言う。

 天性の男殺しではないだろうか。思わず襲い掛かりそうになるのを抑えた俺の理性は殊勲賞ものだと褒めてほしい。

 そんな俺の内心を知ってか知らずか、遠い目をして福路さんは語ってくれる。


「久にこの瞳を綺麗だって言われて、すごく救われたの。

 お父さんとお母さんが私のことで喧嘩したのも一度や二度じゃなかった。

 だから極力人目に触れないように右目を閉じる癖がついてしまったのだけれど。

 それまでずっと瞳の色のことで良いことなんて無かったけど、綺麗と言ってくれる人もいるんだって」


 やはり人と違うというのは苦労があるのだろう。イジメも受けていたのだろうし、両親からの愛情もどれだけ受けられたのか。

 合宿で見せてもらった家事の腕前などは、そんな状況を生きるために身に着いたものなのかもしれない。


「どうしてかしら。こんなこと今まで誰にも話したことなかったのに……。須賀君にはつい色々言ってしまうの」

「じゃあ、これで俺も福路さんの初めての人、ですかね? いいんです、俺が聞いたんですから。

 美人に頼られるのは男冥利に尽きますから」

「美人だなんて、そんな」

「福路さんいえ、美穂子さんは美人ですよ。俺が保証します!

 声も透き通っていて耳に心地いいですし、顔は言うまでも無く整っていてスタイルはおっぱいも大きいし

 お尻も肉付き良さそうで柔らかそうでそれでいてウェストは引き締まっている抱き心地の良さそうな体、

 内面だって優しく包むような母性があって気配りもできる……。男にとって理想の女と言っても過言じゃないです。

 目の色だってそうですよ。優し気な面差しにアクセントを加えて神秘的でさえある、福路美穂子という女性をより魅力的にしています。

 今すぐにでも押し倒してしまいたいくらい――おっと、失言ですすみません」

「はぅ……須賀君がそんな風に思っていたなんて……」


 俺の暴走気味の品評を受け顔を真っ赤にして俯いてしまう美穂子さん。言い過ぎただろうか。

 だが全て本音なのだ。この人を美人でないと言う男など信用ならないくらいに。

 そして俺はそんな美穂子さんの目をまだ見ていたいと思ってしまっている。だから顎に手を添えて強引に上を向かせた。

 驚いた美穂子さんは両目を見開き頬を赤らめている。蕾のように窄まった可憐な唇が誘うように艶めかしい。

 後は野となれ山となれ、俺はそのまま美穂子さんの両目を見つめながら唇を――






                     チュッ              カシャッ





 見開かれていた目がさらに広がり硬直している。

 俺はそれを無視して軽く唇を離した後一瞬の間を置いて強引にその口を蹂躙するようにこじ開けていく。

 少しでも隙間を埋めようとフリーだった片腕を美穂子さんの腰に回し引き寄せる。

 その間美穂子さんは特に抵抗もせず、むしろ俺の胸元を掴むように服を握りしめてくる。

 漏れる吐息と零れる水音がいやに静かな密室内に響く。その間も機会音声のカウントダウンが何度か繰り返され、記録されていく。

 そうして十数分が経ち、美穂子さんも応じるように舌を絡めだした頃。壊れていたはずの彼女の携帯電話が鳴りだした。

 そこでお互い我に返り唇を離す。唾液の橋が名残惜しそうに引かれた。

 潤んだ瞳で俺を見上げる美穂子さんの青い眼が艶めかしい。

 数コールの間に瞳は濁ったまま息を整えた美穂子さんは電話に出る。


「もしもし、華菜? ……ええ、ええ、大丈夫よ。きょ――須賀君と偶然会ったから軽く休憩していたの。

 え? うーん、そうね。それなら駅までお願いするわ。ええ、それじゃあ」プツッ


 電話を切り大きくため息を吐いた美穂子さん。タイミングが良いのか悪いのか、

 時計を確認すればそろそろ筐体を出なければ怪しんだ店員が中を確認しに来るかもしれない時間だ。

 興奮冷めやらぬままに写真受け取り口から全てのプリクラを回収して俺は呟く。

「もっと見ていたかったな」

「夏が終わればいくらでも時間はあるわ。この瞳はあなたを見るための瞳だって、分かったから」


 母性を透かした、女としての彼女が圧倒的な存在感を持って俺の前にいる。

 美穂子さんは三年だ。夏が過ぎればいよいよ進路を確定させるだろう。

 まさか自分のせいでその進路を歪めたりしないかとも思うが、それも今は先送りだ。

 彼女の口元をハンカチで拭い、手を取って俺は駅まで送っていったのだった。

      |  ! ! i |   |_,.. -‐|弋T下、\ヽ_八  | i
      |  | | i {   l ヽ -|=-`ー一'⌒´   \! |
      |  | l 、 ヽ.  ヽ 〆二ニ==ミx.     ||
.    八 { {ヽ \ \Y´ _彡ヘ::::::::ヽ `ヽ    ||
        \ヽ\\,ン⌒ 、     、:::::ハ   \ ||
        \r'`′   li\    ヾ:::::(_,  ′! l   !
                |i  ヽ     \ノハ   ||   !
                |i  }     ン'′  ||   !
                |i  ノ     / / / / ||   !
                l:/               | l   i
                |:\          |l   i
                |i  \         ||   !
                |i   ヽ.__ ノ       ! !    !
                ||       ヽ     ||    !


福路美穂子の好感度が上がった
一定以上の好感度時に出かけるを選択したため、絆を獲得
技量が上がった


評価

福路美穂子:なぜかしら、胸が苦しいの →この瞳、あなたのものだから

行動3回目  疲労度7

7.誰かと出かける  絃

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    

 1d100=92 大成功


「――ッ!?」


 遠のいた意識が戻り、俺は目を覚ました。そんな俺の視界は絃さんの顔で占められている。

 俺が目を覚ましたことに絃さんは当然気付き、舌なめずりをしながら陶酔した瞳で俺を見つめてくる。

 いったいどういう状況なのか。俺は少し記憶を過去に飛ばした――――


「それじゃ、また明後日に駅でですよーぅ!」


 東京に向けて出発する日を二日後に控えた俺達は、

 いつものようにあの雀荘で練習をした後に慰労会というか決起会というか、とにかく全国大会頑張るぞパーティを行ったのだ。

 5人だけのこじんまりとした食事会、とでも言った形ではあったが。

 そうして駅で別れ各々の帰路へと着いたのだ。

 俺はと桃子の家は同じ方向にあるから当然、二人きり。

 いつも通りに桃子の家まで送り、俺は引き返す形で自宅への数分の距離を歩いていた……はずだ。

 辿れる記憶は家のドアノブに手をかける直前で途絶えている。

 そしてそんな俺の前、前? いや、手首や足首に妙な圧迫感がある。動かそうとするとジャラリという重い音。

 気付いてみれば自分の体の上には柔らかな重量感もある。つまり、目の前の絃さんは俺の上に圧し掛かっているのだろう。

 そして俺の手足は手錠か何かで拘束されている……?

 俺がようやく状況を察したのだろうとみた絃さんが、熱い息を漏らしながら笑みを深めた。


「お目覚めね、京太郎さん。あなたが今どういう状態なのかは察しがついているでしょう。

 優しいわたしはもう少し詳しく教えてあげるわね?

 今京太郎さんは、わたしの寝室のベッドの上で手足を縛られているわ、裸で。

 大丈夫、ちゃぁんと室温は調整しているから風邪をひくようなこともないわ。

 桃子があなたを尾行していたけど、それもわたしの奇門遁甲で撒いておいたから助けなんて来ないわ。

 ああ、ああ、心配なんていらないわ。そろそろ熟したようだから今日明日いっぱいあなたを食べようと思っているだけなのだから。

 インハイ制覇はわたしも目標にしているもの、それをふいにしたりはしないわ。

 だから安心して、わたしと快楽の園に身を浸しましょう……?」

~数時間後~

 夜もとっぷりと暮れ、深夜の0時を回った頃である。

 そう、時間が分かるということは俺は今自由なのだ。

 改めて部屋を見回すと、香炉や短冊形の紙、赤いインクが満たされた墨壺。

 他にも中華風のインテリアが多々見受けられる。とはいえ時計などは見当たらない。

 ならばなぜ時間が分かるかと言えば、服や荷物を取り戻したことで携帯電話が使えるからだ。

 あの後、序盤は身動きも取れないことで絃さんの猛攻にあっさりと陥落した俺だが、

 美穂子さんとの逢瀬が中途半端だったこともあり残弾は十分に蓄えられていたのだ。

 色々と大人びたことを言っていた絃さんだが、結局のところ処女であった。

 自分でもどうかと思うが俺は高校生になってからそれなりに経験を重ねてきた。

 つまり実戦経験のない相手に負けるほど柔ではなかった、ということだ。

 途中で言葉巧みに拘束を外させ、その後は自分の体力をなるべく温存したまま絃さんを攻めまくった。

 それはもう、部屋に合わないような西洋風のベッドがぐちゃぐちゃになるくらいに。

 絃さんには申し訳ないが、さすがにゆっくり休む時間もなしではインハイを戦い抜ける気がしない。

 両親や桃子たちに心配をかけるのも嫌だ。なので閉じ込められるわけにはいかないのだ。

 結局絃さんを籠絡した俺は、虚ろな目をしてだらしなく口や脚を開いている体液で酷いことになっている状態を

 ぬるめに暖めた濡れタオルで拭い、綺麗にしてから俺自身もシャワーを浴びた。

 そうしてから書置きを残し、最後に口づけを落としてから自宅に戻ったのだった。




 ――なお家では涙で顔がぐちゃぐちゃの桃子と、苦笑いをしている両親が迎えてくれた。


「そういえば京太郎、本当に宿は大丈夫なのか?」


 桃子をあやしていると、父さんがそんなことを聞いてきた。

 俺が麻雀で全国出場というのを新聞で知ったときは両親ともに大層驚いていたものだ。

 父さんはコーヒーを噴き出すくらいに。

 母さんは俺が部活以外の何かを始めて色々やっていることには気付いていたようで、

 それが麻雀だということには驚いていたが案外どっしりと構えていた。

 だから合宿後にGoTADホテルの宿泊券を預けたときにもやはり驚いていた。

 いや、父さんが東京に行くときに定宿にしていた、というのを知ったときには俺もびっくりしたのだが。

 そして初めて、宿の手配を進めてくれていたことも知った。それもチーム全員分だ。

 とはいえやはりどこも満室だったりグレードに比べてぼったくり気味に値を吊り上げていたりで確保までは至っておらず。

 キャンセル料などが発生することがなかったのは幸いだった。


「この前見せたろ? 龍門渕さんに気に入られたみたいでさ。そうはいってもクジで当てたようなもんだから貸し借りは無しだぜ」

「それならいいが……。とはいえ宿だけあっても自由が利かないだろう。口座に東京での生活費としてそれなりに振り込んでおくからな」


 そう言ってくれる。親のありがたみを改めて感じる。金で感じるというのも卑しい気がするが……。

 しかし両親ともにこの話をするときは嬉しそうなのだ。

 会社では鼻高々で、取引先からも祝われたのだとか。それだけでなく新規契約も取れたと。

 京太郎様様、と父さんは言っていた。少しは恩返しになったと思えば悪い気はしない。

 母さんもご近所さんや趣味サークルなどで色々あったらしく、上機嫌。

 そろそろ桃子も泣き止んできた。いよいよ全国が目前。いっそう気合が入った一日になった。




霜崎絃の好感度がぐーんと上がった
霜崎絃の好感度が一定以上時に出かけるを選択したため、絆を獲得
直感がわずかに上がった


評価

霜崎絃:美味しく育ててあげる →わたしはあなたの虜だわ

行動4回目  疲労度6

8.インターネット  1d100=55 3人選択

   由暉子・洋榎・咏
 4d100=16・100・25・42

 由暉子ゾロ目でボーナス

 01~32   失敗
 34~65   普通
 67~89   成功
 90~98  大成功
 ゾロ目

1d100=52  普通


 東京出発前日、俺は荷物をまとめて時間が余っていた。

 ということで早速ネットで暇つぶしをすることに。

 おなじみのネトマサイトに手が伸びたのも当然だろう。

 とはいえ結果は散々だった。同卓したラーマヤーナさんが大爆発。

 わっかんねーさんを除く、天王寺の新星さんと俺は飛びで終了。

 いくらなんでも役満二連続ツモはどうにもならなかった……。

8月1週終了。


須賀京太郎
属性 :O
技量 :A79→S82
直感 :S86→S87
必然力:A77→S81
・スキル
【焼牌入魂炉】 (出雲八雲+一牌入魂)
 その打牌は一打ごとに魂を焼き入れする如く。燃え盛る炉を彷彿とさせる打ち筋。
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 打点を+3。
(効果D)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にして1翻として和了する。
 ただし符数は半減せずに判定する。
 また符が足りずに流局の場合は30符として計算し翻数は通常の判定で計算する。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、判定と打点をその筒子の数字の半分の段階だけ上昇させる。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【百鬼の太刀】なきりのたち
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 ドラが八索の場合、跳満以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果D)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

8月2週  全国大会 団体


「さて、皆いるわね?」


 そう言って点呼を始めたのは久さんだ。

 長野からの出場なのだからと、俺達は清澄と風越と一緒の新幹線で向かうことにしたのだ。

 ちなみに風越からは池田さんと吉留さんの二人が美穂子さんの随行として来ている。

 コーチの久保さんは後々合流するのだそうで。

 清澄は特に顧問の先生がついてきているわけでもないし、俺達だって南浦プロがいるわけではない。

 つまり大人が一人もいない状態である。

 悪ぶっていても面倒見がいい久さんが音頭を取ることになったのも自然な流れであった。


「みんないるわよ、久」

「ありがと美穂子。――それじゃ、いざ東京!」


 美穂子さんがさりげなくサポートしつつ、無事東京へと向かうことができたのだった。

                         〈  '" `〈_,,/ ,rー─ l、
                         |    l '゙、,/ _,,、 }
                             l    ノ   `-!゙'ヽ /
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.                          〉ヽ 、    /
                          /      ̄y"
               _ _         /        /
            ,,..:::"::::::::::::::::::::゙ ヽ   /        /
             /;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:,/        /
           //::::::::::::;::::;彡;::::::::::::::::::/      /
        ,:"::::::;へ;:// メル乂::i:::y'         /
       ,/'i:::/;:;/Χ    ` ゙ \;V       /
      ,l゙ レ'::::;/,.__/ ゙   , -─ t/         /  ___
      | |::::/:l" ̄ヾ     __ i         ソ /     \
      | l;:/:::| " "      '' ̄~V       / l       さ  l
         ゙'i;ッl   _ ' _ " "/     /   |  出  あ   |
        /::\  レ   丿 ,イハ     ,〈  <   発  !  |
       (/l:::i::/:::>、_ー _,,.r"i ∧   /ヘヽ  |  よ       |
         ヾN/ ./、| /.//ハ ヘ, / / 〉 .|.  ぉ      .|
         .r「'/ i i / /  l/ ヽ. ∨//   .l   !       l
       〈 ,〃 l/ /   .∧   \,〉〆     \ ___ /


「案外早かったっすねぇ」

「そやねぇ。大阪からだとリニアがあるからもっと早いですけどねーぇ」

「東京―長野間はまだリニア開通してないものね……。青函トンネルを補強しての東京―札幌ラインが去年だったかしら」

「博多と北海道が陸路で3時間、だったっけ」

「美穂子には朗報よね」

「キャプテンが乗ったら飛行機が落ちるかもだし!」

「華菜!?」


 東京駅につき、皆それぞれに感慨深げに周囲を見回している。和やかな雰囲気。

 みんな新幹線内でも楽しそうにしていた。

 ……俺は和や桃子に胸を押し付けられるわ久さんや憩さんに撫でまわされるわ、

 絃さんが足を組むときに見せつけてくる脚のラインに際どい下着などで理性との戦いで手一杯であった。

 数絵や美穂子さんは恥ずかしそうにちらちらと俺を見てくるくらいだったが、その恥じらいもまた良し。

 美穂子さんはお重に大量のお弁当を作ってきていたし、和も手作り弁当を俺に差し出してきた。

 それを見た桃子達はしまったというような顔をし、恨めし気に見てくるものだから一口ずつ貰うはめになった。

 餌付けされる雛鳥もかくや、という光景だったろう。咲や染谷先輩、池田先輩の呆れたような視線が胸に刺さった。

 ともあれ自身の幸福ぶりを思い知らされる旅路であった。


「……ここからはまたライバルだね、京ちゃん」


 俺が幸福地獄を思い返していると、咲が話しかけてきた。

 別チームである以上、確かにあの旅路も呉越同舟のようなもの。

 咲たちの実力はいやというほど知っているし、合宿でさらに一皮むけていたようなのだ。

 全国制覇を目指す上では有数の強敵。油断など欠片もできない。


「咲。ああ、1位抜けのみの1回戦では当たらないことだけ祈っておくぜ」

「お姉ちゃん……白糸台と当たるまでは全部倒すよ」ゴッ

三三三三ニ≠三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三=\
三三三ニ≠三三三三三三三_,.-、 f=|´|三三三三三三三三ニf!三三三r‐‐ュ、
三三ニ≠/三三三三ニ_,..-'´   | | |_,.!: : : : : : : : : : : : : : : : :| {: : : : / ィ ヘ \

三三/|//三三三r‐'´    _,..-! |:`¨:__,..--レ' ̄~7: : : :\: : : ヽヽ: :(='==! ̄!=\/
三r-、/ヘfー‐、: : :|  _,..-'´: : : | |: : ::j  | |;  /: : : : :__,ヽ::ノ! } }: : :==キ fニニ、ハ
ニニフ rュ、) f! !_fl: レ'´: : : : : _,..'  |: : : |__j--7 /、: : : :{ f´:!.ヽ`¨ro': :=r==、 r、_ィ=ニハ
ニァ=f |=ノ===、¨: : : :__,.-‐'´   |: : : |: : : ゝ≠}. .:i!ト、ゝ、'⌒V__ノ: : :=、=キ=、| i! /ニハ

ニ: / ,. r、_) v く: : : :/_     _,..: :': : : :|ヽⅥj.. :i!l. ..:i!:.:!(   (: : : : ::=ゝノレ'=| iK三ニヽ
ニゝ'^|_|__,ィ ヘ、__ァ: : : :!  ,..: :'!: : : : : : : ::! Ⅵ|.. :!|. :.:i!_.jゝ‐、 ノ::r、: : :|`¨rュネ| f!ヽ三ニ
ニi:、___コ`ヽ=、:Ⅶ|: ::レ': : : ::|: : : : : : :i: !..::..Ⅵ_j レ'リ´ |: ムノ/ |/ ∨: |__,=、__j__j=='三ニ

三ヽ=テ= {‐‐': :Vj: : : : : : : : ト.:.、: : : : !: i..::...Ⅵ斗≠リ㌣!. /卞、≧j: : : : :∧三三ニr、ヽ

三!: : {ゝ' }: : : : :Ⅵ: : : : : : : :!、..、 、: : :ハ: !::..::!| フセイ: : _:ソハ  心 |: : : :∧三三三ハ
三: 、__ノ_ノ: : : : : :Ⅵ、: : : : : : ト、 \、: : 、:|  レ' i! i、ゝ'_ノ |  ソ. |: : :/ |三三三|ハ
三ニ` ̄=、r=、: : : : Ⅵ\: : : : :',..:...::::\: : 、    ゝ、 `  ノノ // ,:/  /三三=|ⅵハ
三三} /:.| /: : : : :.ヽゝ'\: : : :\.: \`ヽ     `¨ ¨    / |  /三三三|  リ
三三|_/: :|_/: 、丶、: : :ヽ‥'`ー  ヽ                  .レ'三=ト三リ
三ハr=、 r=、、: :\\ゝ: : 、::'     `                 /三≠V∨/
三!、ゝ': :ゝ'\`ヽ:\ :.: ̄`        ,              ∧三≠ |/
Ⅵl \三三∧:: :: :.,:'            `             / /ノ


 咲から漏れ出した強大なプレッシャー。相変わらずムラがあるが本気の咲は計り知れない。


「つっても咲は大将のままだろ? そうなるとお姉さんじゃなくて淡と当たることになるが、いいのか?」

「大星さん……。負けられないよ、京ちゃんにだって……!」


 咲はやはり、お姉さん――宮永照さんとの再会を期しているのだろう。

 俺も淡に会うために、来たのだ。似て非なる目的だが、共に叶う目があるのは良かった。

 だがだからこそ、その障害となるなら互いに食って食われる関係ということだ。

 いや、咲からはそれ以外にも何か淡に含むところがありそうな雰囲気。

 ……咲がお姉さんと仲違いしたのはたしか淡と出会った頃だった気もする。

 ちょっとした喧嘩が淡の存在によって決定的な溝になった、のだろうか?

 咲とお姉さんの間に何があったのか、宮永家に何があったのかを知らない俺には想像すらできない。

 とはいえそれは考えてもどうしようもないことだ。立ちはだかると言うのなら――


「言うじゃねーか。俺は長野予選の頃よりも更に練習積んできたからな、簡単にはやらせねーって」

「ふふ、楽しみだね京ちゃん」ニコリ


      /      /  /|   | |    ヽ       \
.       /  /  / / / |  |. |   | |   |   ', ヽ    ∧
     /  /  /./ / |  | |   | _|L.--|.,,,_  |  |   :l ',
     /  /  |  ト|_,r|''´|`:|   |  |\ | `ト| :|    | :|
    /   |   | ィ| |─ト :|ヽ  | / ̄V|  | :| |   |  |
    /   |   レ´| \|_\|  ト、. |::::彡三=、 :| ./ / /   !
   /彡イ |    ト| 彡 ─ヾ:\|::::\::::/,'⌒ヽ \/ / /   |、
.      |  ヽ  ゝ///;'⌒',ヽ:::::::::::::::::::::|:!::::::::::!:| ||イレ' |  ハ!
.      |   ト、 || | ';::::::::!:|::::::::::   ヾ、;;;;;;;ノ  |/ ハ  / |
.      |    ハ, \:::ヾ.;;;;;...'   ,          ハ /  /
.      | /ヘ ヽ..ハ                  ハ// /
        /    \トハ      ー_,ア     ノ'´//
               |ゝ、           //イ/
              |人> ._       <:| / /
                \|\|  ー<   :|´
                     |        :|> 、
                   /|       /   \


 咲の笑顔を怖いと思ったのは、これが初めてだった。



 そうして咲たちと別れ、俺たちチーム須賀は東京での寝床、龍門渕帝都ホテルのスイートルームにいる。

 龍門渕帝都ホテル――GoTADホテルは150メートル30階建てで、スイートルームは25階から上である。

 龍門渕さん達が宿泊するロイヤルスイートルームは29階と30階をワンフロアずつ占めている。

 このくらいの高さの建物なら1階当たり4メートルほどあるものなのだが、そう考えると30メートルほど高い。

 これはスイートルームクラス以上のフロアの高さがそれ以下のフロアと違うため、らしい。

 防音はもちろん各階の間に色々な設備を備え、災害時のシェルターとしても機能させられる。

 などということが部屋に置いてあったパンフレットに書いてあった。

 ちなみにスイートルームはワンフロアに5部屋あるようだ。つまりこの28階はチーム須賀が占有していることになる。

 29,30階は衣さんと龍門渕さん達、その世話役やボディガードが詰めるとはハギヨシさんの言葉である。

 さすがに大財閥のお嬢様御一行ともなればそれくらいの大集団になるか。

 そんなことに思いを馳せつつ部屋を見回す。はっきり言ってかなり広い。

 マンションで4LDKと言ったところか? 風呂はスイッチを入れると窓の外が見える絶景付き。

 リビングのような前室にはシアタールームと最新映画まで取り揃えたラインナップ。

 ベッドルームはマスターベッドルームのほかに二つ。残り一部屋は重厚な机や書棚(もちろん中身入り)を備えた書斎。

 現代の一国一城の夢を実現したかのような感じだろう。

 自宅でも一階分だけではここまで広くないわけで、少し落ち着かない。

 そんな風に平静でなかったせいか、反応が遅れた。


「京ちゃー~~ん!」ポフッ


 桃子だ。声と息遣い、そして押し付けられたおっぱいの感触で分かる。


「やっぱり部屋の間取りは同じだわ」

「向きの問題で多少の差はあるでしょうけれど、構成が同じなのは当然ですね」

「京ちん、荷物はまだ置いとらへんの?」


 続々と集まる仲間たち。インハイの開催を間近に控えていても皆コンディションは良好。頼もしい限りだ。


「さっさと荷物片付けて色々見て回りましょーぅ!」


 組み合わせ抽選式は、明日。そしてその翌日から一日四試合ペースで進行する。

 勝ち抜くほどに長丁場になるが、俺達なら必ず駆け上れるはずだ。やってやるさ!

組み合わせ表

  Aブロック      Bブロック
第一シード:白糸台  第二シード:臨海  
第三シード:千里山  第四シード:永水



 1    2    3    4    5    6    7    8

 ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓
 1    2    3    4    5    6    7    8
  ―――      ―――     ―――      ―――
 M1 白糸台  M2 千里山  M3  臨海    M4  永水
   A       B       C       D   
         


  A1位   A   B2位     C1位   B   D2位
    ―――――――         ―――――――  
  C2位   A   D1位     A2位   B   B1位



             AA1位   BB1位
               ―――――
             AA2位   BB2位


 結局あの後、俺たちはホテル内の施設や周辺の地理を確認してからなぜか俺の部屋で眠ることになった。

 桃子や憩さん、絃さんはまだしも数絵まで同じベッド(クイーンサイズだった)で、というのは意外だった。

 とはいえみんなも移動の疲れがあったのだろう、何事も無く夢の世界に旅立った……はずだ。

 なにせ俺が意識を手放した頃に聞こえていた寝息は2,3だったので。

 結局翌朝6時には示し合わせたように皆が起き出し各々の部屋に戻り身支度を整え、いよいよ抽選会場へと出発した。

 ちなみに食事はスイートルームの宿泊客用に別にあるV.I.Pホールでビュッフェ形式。

 とはいえ普通のものとは違い、出来合いのモノが並べられているのではなく適宜目の前で調理される。

 そして別に調理されたからと取る必要はなく、やっぱりやめた、となればすぐに下げられる。

 俺としてはさすがにもったいないのではないかとも思うが……他の宿泊客はなんら疑問に思っていない様子だったし、

 桃子達も特に気にしていなかった。いや、数絵だけはややばつの悪そうな表情をしていたが。

 とにかくどれもこれも素材は一級品で調理人の腕もそこらの店ではお目にかかれないほどの一流。

 ヨーロッパの貴族なんかはこんな生活をしていたのか、と絶望的な想いに囚われた俺は悪くないはずだ。

 閑話休題。

 そんなカルチャーショックを受けながらも俺は皆に誘導されやってきた抽選会場――東京卓戯館というらしい、場所。

 インハイ麻雀の試合会場でもある。

 イカサマ防止用、テレビ中継用の録画設備を整えた対局場を最大20室抱えた大規模会場。

 インハイでは個人戦のときでないとフル稼働はしないが、

 使われない部屋はその分、控室やパプリックビューイング用の観戦場として機能する。

 それでは個人戦時はそういったものが無いのかというと、そうではない。

 単純に団体戦のほうが学校単位での応援団などがいるために必要数が多いというだけだ。

 そんな数絵の解説を聞きながら、俺たちは出場校の入場・整列が終わるのを待っている。

 部活単位での参加ではないために中途半端な順番で入場させられたためにかなり手持無沙汰なのだ。

 場所が悪いためか、前年度王者の白糸台は俺からは見えない。

 優勝旗を持って真っ先に入場しているはずなのだが。

 俺は軽く息を吐き、式次第を改めて確認する。


 まずはこの入場式と、選手宣誓。連覇中のチームもいるしディフェンディングチャンピオンもいる。

 宮永照のことだ。咲のお姉さんでもある。彼女が選手宣誓を行う。その後に抽選会が始まる。

 この抽選会だが、要は参加52チームの命運が決まる組み合わせ抽選をするのである。

 この52チームだが、東京大阪愛知こそ2地区に別れているが基本的に各都道府県毎に1チームが代表となる。

 そして前年度と今年度の成績を参考にシードを与えられるチームも存在する。

 今年のインハイでは王者白糸台・春高準優勝の千里山・傭兵軍団臨海女子・神域永水女子の4校。

 シード校は準々決勝からの出場となる。そのための52という中途半端な数字だ。

 麻雀である以上、試合1つに必要なのは4校。

 ただそれならばシードを考慮しない場合でも32か64が妥当なところ。

 もっとも準々決勝からは上位2校抜けとなる。

 またその準々決勝に進めるのは、1回戦で1位抜けした12チームとシード校。

 しかし各都道府県だけでは東京大阪愛知の増枠を含めても50チームにしかならない。

 この50にはシード4校も含まれるのだから実際は46チームとなる。

 12チームは1位抜けなのだから、2回戦目に必要なチーム数は48+シード4枠。2枠分足りていない。

 そう、ここで出てくるのが”連盟推薦枠”なのだ。今年は清澄を含む2校がそれに当たる。

 野球で昔あったという21世紀枠とかいうものと似たようなもの、らしい。

 話を戻そう。

 つまり俺達48チームが抽選するわけなのだ。ちなみに淡のいる白糸台はAブロック。

 最速で戦うなら1番か2番を引いて、勝つ必要がある。


 そんな風に考えているうちに、いつの間にか入場も選手宣誓も終わっていた。

 しまった、咲のお姉さんがどんな人なのか見ておこうと思っていたのに。

 そんな思いが顔に出ていたのだろう、隣にいた数絵と桃子に呆れ顔をされてしまった。

 仕方がないから、抽選番が回ってくるまで今度は試合日程について思い出すことにする。

 ちなみに俺がクジを引くことになっている。憩さんか絃さんに、と遠慮したのだが押し切られてしまった。

 ……日程。これは以前にも触れた通り基本的には1日4試合ずつ、だ。

 半荘10回を4試合を1日で行うのは難しいと思われるだろうが、そこはさすがの大規模会場。

 時間をずらしつつ4箇所で試合が行われるので平気なのだ。

 1番から12番卓まで4試合ずつ、まず3日。

 そうしてそれぞれの勝ち残り達とシード校のABCD卓で、1日。

 準決勝前に1日休養日を挟みさらにその上位2校ずつを振り分けてAA卓とBB卓の2試合で1日。

 最後は決勝戦で1日の、計7日間に亘る戦い。

 俺は既に決勝まで勝ち抜ける気でいる。我ながらこれは傲慢すぎるだろう。

 だが、この高揚感は抑えようがない。真剣勝負を前にした秘められた闘志に空気が震えている。

 個人戦を考えれば、やはり予選4日と休養日1日、そして本選が2日の7日間。

 14日間の長丁場。今から突っ走っていては保たないかもしれない。それでも震えるのだ。


『清澄高校、5番です』


 そうこうしているうちに、久さんが壇上でクジを引き終わっていた。

 久さんはなかなか緊張しているようで、表情が硬い。やっぱりあの人でも緊張するんだと思うと、俺も肩の力が抜けた。

 そろそろ出番だ、舞台袖に向かおう。


「須賀京太郎さんですね? 次ですから、お急ぎください」


 舞台袖に入ると、スタッフさんに急かされてしまった。確かにかなり悠長にしすぎたようだ。

 ぱらぱらと枠は埋まっているが、全部の番卓に空きがある状態。

 舞台では俺の前の少女がクジを終え、司会進行役の男性に番号の書かれたボールを渡している。

 スタッフさんに促され、俺は袖からライトアップされた舞台に足を踏み出した。

 瞬間、それまであった悲喜交々のどこか和やかにさえ思える雰囲気は霧消した。

 刺々しい視線が全周囲から刺さる。異物を見つけ、敵意を剥きだしにしている。

 そう、俺はこの抽選会場でも数少ない男。スタッフや観客にも1割くらいは男性がいるからだ。

 だが彼らは選手ではない。俺は彼女たちの敵としてこの場にいる、唯一の男なのだ。

 それが嫌でも分かる。侮る視線や馬鹿にしたような雰囲気。

 陰湿ないじめの現場の空気はこんなものなのかもしれない。

 ――無論この程度で怯むわけがない。

 視線を向ければこちらを心配そうに視線を泳がせている久さん。

 クジを引いているときよりもよほど一大事のような様子だ。

 そして選手列のほうを見れば心強い仲間たちと、ライバル。

 いつものようににっこり笑顔の憩さん。

 他人には見咎められないからと腕を振り上げている桃子。

 心配そうだが信頼のこもった視線を寄越す数絵。

 この程度で怖気づくの、と挑発的な絃さん。

 一歩一歩、俺は抽選玉の入った箱に歩みを進める。

 好戦的な笑みを浮かべそれを見る染谷先輩。

 絶対負かす、と叫んでいる優希。

 頬を赤らめさせ、胸元で手を組んでいる和。

 京ちゃんなら大丈夫、と安心した様子の咲。

 そして――そしておろおろとチームメイトを気にしながらも俺を見上げる、淡。

 そう、淡だ。俺と桃子はこいつと一緒にいるためにここまで来た。

 箱の前で立ち止まり、一度淡を見る。視線があった。

 俺はその視線を一度切り、一呼吸。そして箱の中に手を入れた。

 邪魔はさせない。半年前の俺ではあいつを満足させてやれなかった。

 でも今は違う。だから掴んだボールを持ったまま、確信をもって淡に突きつけるように腕を伸ばした。


『……須賀、――1番です』


 そのアナウンスに1番卓に決まっていた高校が俄かに騒ぎ出した。

 耳を澄まさなくても分かる。ラッキーだとか1回戦は楽勝だとか、そんなことを言っているのだろう。

 そんな声を聞いた淡は、その騒ぎの元をキッと睨みつける。

 隣にいる眼鏡をかけた巨乳の学生に宥められても、まだそれをやめない。

 心配するな。大丈夫なんだ。俺は一人でもないし、強くだってなった。だから――


「淡……大星淡! すぐ行くから待ってろ!!」


 雑音など斬り裂いて俺の声は淡に届く。驚いたようにその豊かな金の髪を翻してこちらを見た。

 だから俺は不敵にと笑ってやるんだ。


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'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
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       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
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/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////


               「俺はお前に勝つからな!」


姫松:41 新道寺:90 阿知賀:21 宮守:32 
須賀:96 有珠山:56 清澄:37 モブ:12


1:須賀 2:新道寺 3:有珠山 4:姫松 
5:清澄 6:宮守  7:阿知賀 8:モブ


須賀  新道寺 有珠山 姫松  清澄  宮守 阿知賀 鹿老渡
 ↓     ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓
 1     2    3    4    5    6    7    8
  ―――       ―――     ―――      ―――
 M1 白糸台   M2 千里山  M3  臨海    M4  永水
   A           B         C         D   
         


  A1位   A   B2位     C1位   B   D2位
    ―――――――         ―――――――  
  C2位   A   D1位     A2位   B   B1位



             AA1位   BB1位
               ―――――
             AA2位   BB2位

~連盟所属高校用宿舎食堂~

『ツモ。清一色二盃口ツモで8000オール』

『き、決まったーッ! 霜崎選手、倍満ツモで宇気郷高校を飛ばして1回戦突破です!』


「霜崎絃、容赦ないのぅ」

「結局京ちゃんは出番ありませんでしたね」


 ここは清澄高校が割り当てられた宿舎の食堂である。

 そこで清澄高校一同はインハイ第一日の第一試合、チーム須賀の試合を観戦していたのだ。

 インハイでは試合二時間前にオーダー表を提出し、そこで初めてオーダーが確定する。

 もっともそれはほとんど形骸化したルールであり、

 県予選と本大会でオーダーを変える高校が1年に1校あるかどうかであった。

 そんなルールに則り、チーム須賀は先鋒と大将を入れ替えて本大会に臨んでいる。

 つまり次鋒から副将に変更はなく、霜崎絃が試合を終わらせたということは

 大将の須賀京太郎の出番が一切なかったということであるのだ。


「そりゃぁね、憩が満遍なく削って」

「数ちゃんが前半で見極めた調子の悪い高校を狙い撃ちだじぇ」

「そして桃子さんが追い打ちをかけて集中攻撃」

「霜崎さんがトドメ、だもんね」

「エッグい布陣じゃのぅ、ほんまに」


 彼女たちの言う通りの試合運びで、1位抜けの初戦が終了したのだ。

 昨年度ベスト8である龍門渕高校を大差で破っての出場を果たしたチーム、当然の結果と言えるだろう。


 ちなみに久や和が名前呼びであるが、須賀京太郎の与り知らぬところで彼と情を通じた面々が何やら話し合いをした成果だったりする。


『いやらしい!』

『はい、霜崎選手は得意の出和了りではなくあえてのツモ和了で攻めていました』

『でも、優しい!』

『えっと、ロンされての飛びは責任やトラウマがはっきりしてしまうから、あえてのツモ縛りをしていた、のでしょうか?』

『ッ! ……しょうがない!』

『ツモ和了は止めようがないから運と実力が足りなかっただけと』

『圧倒的!』

『そうですね。須賀チームは終始他校を寄せ付けない試合ぶりでした。

 次鋒の南浦選手こそ東場での放銃が数回ありましたが、それ以外では放銃もなく満貫を何度も和了していました』


「……やっぱり数絵には悪いけど、狙い目よね」

「うー、数ちゃんは私と正反対だからな!」

「そうだね。背もそこそこ高いし胸もある――」

「咲ちゃん酷いじぇ!?」

「ゆーきも南場は狙われますよ? しっかり守らないと」

「ま、そういうことだからまこの責任重大よ?」

「わしか! いや、そうじゃな。あいつらにリベンジするにゃあ、取れるところで取らんと」


 決意を新たにして歩む少女たち。まだ彼女たちの夏は始まったばかりである――

~翌日、GoTADホテル京太郎の部屋~

『ロン! タンヤオトイトイで3900よ』

『第二日第一試合、これにて終了いたしました。二回戦進出は清澄高校、18万3600点。

 観海寺高校を中堅戦で飛ばしての快勝です』

『ベリーストロングですね。しかしテレビジョンの前の皆さまにはややディスアポインタな結果かもしれません』

『そうですね。注目の原村選手は副将ですから、お披露目前での終了です』

『ハハッ、彼女のバストはアバンダントですから男性は特にお好きでしょう』

『……私の口からはなんとも』

『キュートorビューティーな女子高生のシリアスゲームというのがセールスポイントの一つでは?』

『確かにそうですが、それをはっきり言ってしまうのは……』

『ソーリー。失言だったようですね。ではまず試合の総括から――』

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       ,                  ヽ    ハ  ',
       /     / / !          ',    , ハ
       / /    ./ / /|        |!    ',    '   !   
     l' /{     ,' ,イ/__!__      !__  |   |     ノーウェイノーウェイ
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     /ヾ    {___|/   lヽ    /!/__   __|    |  |、 \
     ' /\    >_二ニ x,,\ _/  z ニ二__<   | ,' \ ヽ
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  〃     |   l ヽヘソ      ヽヘソ !     !      ヽヽ
  /        !    |',      '        |     |       ヽ}
        |    八      _       /!   /
        |   / .>     !_ヽ    イ|  /
        | |レ   / ,>     ィ'"|_ `.!//
        |/  ./-''" / | ¨:::   |ハ !\\

               , イ ヽl_  _,,/  ヽ  ` ゙
              イ   ,ハ_ヘ     }<
         > '"  {   /////〉    l   ゙ <
      > ''"      l  / {//// \  j       ゙ <


「戒能良子プロ、やったっけ? なんやあけすけな人やねーぇ」

「和はもう無垢なる天使ではないわ。目立つ容姿なのだから言われても当然だわ」

「さすがに次の解説者はまともな人なんじゃないかしら」

「ま、どうでもいいっすよそんなこと。清澄の試合も終わりまったっすし、私達は明後日の対策をしないと」

「明日、いよいよ淡とか」


 数絵たちが色々と感想を述べているのを桃子が制し、皆の気合を入れなおす。

 そう、俺たちは無事に一回戦を突破していよいよ二回戦が明後日に迫っているのだ。

 2番卓での勝者は下馬評通り、新道寺女子高校。白糸台始めシード校対策は県予選後から進めていた。

 だから自然と新道寺の対策に比重が置かれることになる。


「そやね、ごめんですよーぅ。

 ……ちゅーことで新道寺の牌譜はもうみんな読みましたかーぁ?」

「はい、もちろん」


 そう答えたのは数絵だ。真面目な数絵だから既に昨日の夜には確認済みだっただろう。


「ウチと白糸台と新道寺と……明日決まるっすけど評判通りなら千代水っすか」

「そうね。千代水は中堅までなかなかの打ち手を並べているらしいけど、副将以降は穴だって話よ」

「わたしと京太郎さんでいくらでも畳めるわ」

「一方の新道寺は白糸台対策で大将に行くほど強い選手にしとるらしいですよーぅ」


 そうして早速みんなが新道寺の研究を始める。モニターには県予選での対局の様子が流れている。

 いよいよなんだ。自然と手に力がこもる。逸りすぎるのは良くないが抑えようがない。

 まだまだ俺も未熟なんだと自覚し、思わず苦笑いをしてしまう。

 それに気付き桃子が怪訝そうに首を傾げた。

 何でもないと首を振り、画面とみんなの声に集中する。

 俺と桃子の目的はここで一旦達成されるが、憩さんたちはそうではないのだ。

 俺とチームを組んでくれた恩は必ず返してみせる。そのためにも、勝つぞ!

強制遭遇  憧

 01~32   失敗
 34~65   普通
 67~89   成功
 90~98   大成功
 ゾロ目    超成功


1d100=28  失敗


――インハイ会場――

 意気込んではみたものの、結局牌譜の検討自体はすぐに終わってしまった。

 なぜなら俺達の次の相手はずっと研究してきて今更な白糸台、

 強豪としてマーク済みの新道寺の二校がいるからだ。

 鳥取代表の千代水こそ初見だったが、あいにく大将はこれといって特徴のない選手。

 龍門渕さんやあの雀荘の常連さん達が提供してくれた県予選のデータを見るくらいしかできず、

 またそれで十分な相手だ。

 改めて新道寺の鶴田選手の研究をしても良かったのだが、どうも白水選手とリンクする形でオカルトが発動するんだとか。

 そうなると絃さんがどれだけ抑えてくれるか次第だし、その部分で絃さんは立派に仕事を果たしてくれるに決まっている。

 つまり俺一人だけ時間が浮いてしまった。

 ということで俺は今インハイ会場に来ている。

 一回戦は出場する前に終わり、その後は他校を応援するにしても清澄や永水は別日。

 なので皆と一緒にすぐにホテルに帰ってしまったのだ。

 何を言いたいかというと、俺はまだインハイという状況、雰囲気を味わえていないということだ。

 ではせっかく浮いた時間が出来たのだから、とやってきたわけだ。

 なにせGoTADホテルからは電車で15分ほどであるからして。東京って凄い。

 そんな益体も無いことを考えながらふらふらと会場内を歩いていると、

 いつの間にか選手控室のある区画まで迷い込んでしまっていた。

 清澄は早々に試合を終えてしまい、6番卓が絶賛試合中。

 7番卓は開始までやや間がありそろそろ選手が控室入りするかもしれない時間帯だ。

 トラブルになっても困る。引き返そう。

 そう判断してちょうど空いてきた小腹を満たそうと飲食店区画へと足を向けると、

 聞き覚えのある可憐な声と初めて聴く声が会話している音が聞こえてきたではないか。


「あれは……和と優希と……誰だ?」

                     ---------ミ
                 . : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、
                   /: : : : : : : : : : : : : : : \ : : : \
             / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :\

                /: : :/: : : : :.:| : : : : : :|: : : : : : : : :ヽ : : 〈_トミ
            /: : : i : : : : : :|: : : : : : |ヽ: :|: : |、: l: ∨: /:|ヽ、`ヽ
           _.′: : :l: : : |: : ∧: : : :.:.|||',__|_|: i|: :|/: ′:'.\: \
          / i: : : : :l: : :_レ┼‐、: : : :ТТ「:i|l: l|: :|: : /: |: :i  ヽ : ヽ
.          / /^|: : :| : l/: |\|  \: :| |/x|/=ミl|: :|/: : |: :|  ‘, : :‘,
         / /  |: i: | :!\lx==ミ   \|  ノ::::ハ 》: :レヘ: :.:|: :|   i: : : :',
.       /:.,′ |八:l\ト、《 ノ::::ハ       乂_ン |:.:|  }:.:.l : |   |: : : : ',
       /: :′   |: | : : ∧  乂_ン  ,   ::::::::::: |:.:l /.: :| : |   |: : : : :i
.      /: :    |:|: : 人 ′::::::::::           |:.:|ィ: : :.:| :|   |: : : : :|
      ′: |     l: :|: : : : ゙ト',               /|: ′ : : l: : |   |: : : : :|
     i: : : |     |: :| : : : : |个 .     (_ )   /:.:|/: : __: :|: : |    |: : : : :|
     |: : : |     / 八: : : :!l : :>-      イ : : : :|:/_ヽ_l    |: : : : :|
     l: : :|  /: : : : >、 : \ : : : : /|   ̄   ト、.: : :|{:::{ r‐く_/>┐|: : : : :|
     |: : : l   /: : : : / ヽ: : : :マニ‐/ \     l ∧___l乂>-、  ̄⊂V: : : : /
     |: : :! /: : : : /   ∧ : : ヽ, |   .>┐ /へ 寸: :`:Tヽ\    ヽ: :.:/
     |: : : :∨: : : : :|   /∧:.: :∧|_/ i ∨ // >',: : : :| `ト \____ノ: /
     |i\: : \: : : :|   \ ∧: : :∧ ゝ―-ミ∨/ ̄ ̄|: : :! 「{   「、/


 思わずそう独り言ちた。確かに清澄の試合終了は12時半ほどで、昼食には程よい時間だった。

 そして今は14時前。ランチを摂っていたにしても少し遅い時間。それに久さんや咲、染谷先輩は周りにいない。

 どういう状況なのだろうか。


「? あ、京太郎くんっ」パァッ

      l:..  / . : : : : : :/ l: : :.l.:|! : :.l: : :ヽ: :.',: : : :V:    :,ノ:..  |
      |:.. /  , : : : : : : / : |:jl: :|.:|| : :.ト、: : :ト、:ハ:.:.: :j!:   く/⌒  ,ノ
     〉: ,′ /: : / l: : /|:__:|:||: :|小、孑代汁仆|l|:. :||:   .:j|:.   〈
     く:. i  /: :.:,':.厶rj´|l : |从.:| ヽ \| ∨从|l|:. :|L _/⌒ヽ /
      |:. | :,'j: :.:.j|:.:||: :l 八_」_ \    ィf乏[うメ、|: :从: :/  ヽ.-r'
     L l :l | l: :|| 八,ィ圻圷、         {ト _jハ.}}:∧|:.:.:|    } ',
.      Ⅵ,| |:.从 { {{゙ {ト、_jハ        弋jy沙 /  i: :.:レi⌒jレ'´〉
       / 八::{:.:\  Vj沙′          ,,,,、   i: : :.:.:|:.:|:.:.|
        厶__/ \:.|ハ  ,,,、     '             ,′:.:.:.:|:.:|:.:.l
          | :.:.:l:.:ヽ',              /7 / : : l .:l:.:.l
          |   ::l:.:.l八        r_ヽ     .イ/ /: : : ,′l.:. l
          |  ::l:.:.l:.:.:{丶.           ,.イ|'/ / : : :/ : :.l:.:.:l
          |  ::|:.:.|:.:.:ヽ:.:.:.:> .、_,. <  / / : :./ :.:.: :l:.:.:l
          |  ::|:.:.ト、:.:.:.:\:.:.:.ヽ}   _,../ / : :./ |:.:.:.: :l:.:.:l
.       /´}   :|:.:lト、\:. : :\__」 _/  . ′..: :.:.:.∧ |:.:.:.:.:.l:.:.:l
      ,x‐く ̄∨ .:|:.:l| \,_,>'"´   /  :.:.:.:.:.:, ′\: :.:.:.l:.:.:l
  ,. ‐く \ ヽ ∨:|:.:ll.   / /  /  : : :.:.:;/ ̄\ ヽ:.:.|: :.l
. 厶ヘ、ヽ     ∨: l| / /  /  : :.:.:.;.'′    ヽ. ∨:.:.:l



 声が聞こえたのだろうか……? 距離もそれなりにあり、とても聞こえそうにないのだが。

 それはともかく、和がそのサイドテールを揺らしてこちらに小さく手を振っている。

 ここで他人の振りをしたらどうなるだろう、という悪戯心も湧くがさすがにそれは心が痛い。

 素直に応じて呼ばれることにした。


「よう和。二日ぶりくらいか。優希も」

「開会式では顔を見ただけですし、71時間ぶりです」


           _/: : : : : :/ : : : : : : : : : : : \
        . : :´_],,] : : /: : : : : : : : : : : : : : : ヽ

.        /: // /: :|: : : :| : /: : : : : : : : : : : : : : : :.
.      /: : / /: :| : :|: :\|: :|: :\/:.: : :/ :│: : : : :.
     /: : /  : : | : :|: : : :|: :|_:/ :メ:/ /.: :/| : |: : : |
     .': : /   | : : | : :|:/⌒|: :{⌒刃ト/ / : / 七 |: : : |
.    ': : :|   | : : | : :|{{ `|: :| ヒン 厶イ刄|/│/: ′
    | : : |   /: : ;゙|: : i ゝ |: :| 、、     ヒン'イ.:|乂/:|
    | : : | .: : : /│ : i 介i|: :|.   __  ' /7i| :|ハ ∨
    | : : {/:/: :/: ∧.: :〈\i|: :|\_‘ー´ ィ77(|.:ハ }:│
    |: : :.∨:∠二二: : :∨j|: :| ∧ ̄Ⅵニニ7:/丿|:│
    | : : : ∨レ―\∧ : :Ⅵ:人,_ ∨: 〈   {厶_ }:│
    ∧: : : : ゙.|    \\: \i:iマ⌒|\∧/}} }Ⅳ /
.   /: ∧: : : : :\       ヽ: }:i: \|i:i∧ {{   ∨
  /: /|: :\i : |\}      \}人 ニニ|ン゚ノ|       〉

「えっと、和? この人は……?」

「あ、二人とも。紹介しますね。須賀京太郎くんです。私と同じ清澄高校の生徒で」


                 __
             . : :´: : : : : : : : :`: .
              /: : : : : : : : : : : : : : : : \
           .´: :/: /: : : :∧: : :ヽ: : : : : ヽ
         /: : / : :/ : : : / ヽ : : ヽ: : :',: :ハ

           /: : :,': : /: : : /,′ }:i: : : !: : : i: : :';\
        ': !: : !: _ハ:{: : ハ!   }ハ: :_:レ: :}}: : : ! : ヽ
        {:i: : :{: :/Tニヽ {!   jイ:ノハハハノ : !:}: :ヽ:ヽ
        i:ハ: :ハ: i/ん:ハ`   ゙ん:ハヽi: :i :ハ}i: : : ヽヽ

           iハ: ハゝ 辷ソ    辷ソ "ハ:レ: ノ: : : : ヽ:ヽ
             /人 !       '       /.ィ:}: : : : : : : ハ:.}
             {:{  ', "" r――┐ "" ′V}: : : : : : : } }:}
          {:{  ゝ,  ヽ  ノ   イ  ∧: : : : : : :/:/
            ,ヾく: ̄::i:::::ェ- --ェ彡!: ̄::::ハ}: : : : : //
.           /:::i:::::::::::::ヽ\::YY:/:丿::::::::´::ハ} : : : //
         /:::::::へ┐::::::\:::l l::::/::::::::::::::::j:::V : ノ
         ノ:::/ヽ‐二>、:::::::::`:l l:´:::::::::::::::::::V:::::Vノ
      ノ::ィ::ヽ::`<´,.)::::::::::::l l::::::::::::::::::::::::!:::::::ハ

       /::/:::\:ヽヽ:::フ::::::::::::::l l::::::::::::::::::::::::}::::::::::ヽ

「思い出した! 確か唯一の男子だったよね?」


 和と優希に声をかけると、和がやけに正確な時間を提示してきた。

 その様子に、和がそれまで会話していた二人組の一人、薄赤茶色というか、

 茶色がかったピンク色というかの髪をした今風のいかにも遊んでいそうな少女が

 若干引きながらも見知らぬ男の素性を訊ねてきた。

 そうしていざ紹介を始めるとなぜか紺色のジャージの上着だけを来た活発そうな茶髪をポニーテールにした少女が遮る。

 奔放というかなんというか。

 しかしおかげで俺も思い出した、確か雑誌の特集記事で見覚えがある二人である。


「そうらしいな。二人は……高鴨穏乃さんと新子憧さん、でいいのかな」

「っ、な、なんで名前……」

「憧、まだ男の子苦手なんですね」


 あからさまに警戒するように身を引いた新子さんを見て、和は懐かしそうにやや遠い目をしている。

 いつか和が話していた小学校時代に出来た麻雀友達とは彼女たちだったのだろうか。


「雑誌で見たんですよ。インハイ特集で紹介されてたんです。阿知賀女子、美少女揃いのチームって」


  判定   3d100=45・45・84
  憧追加判定 1d100=77

  穏乃:普通   和:普通   優希:成功   憧:超成功



「あはは! 私が美少女って、そんなお世辞言っても何も出ないよー?」ゴソゴソ


 高鴨さんはそう笑いながらポケットをごそごそと探り、何かを見つけたのか手を引き抜いてこちらに差し出してきた。

                     _
                   / 二>───
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        ト、: \!    |:i .斗‐┼!: :l   jノ人|:.:.`ト、:.|. . .. ..| |
        个x: : :|: : :. イト、人_∧\!   __ |: :/|:i!:.|: : :. :.| |
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 //   .: : : : : :./^ヽ∨iト、三>   .,,_ . <ニ.|.:./
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      .: : : : :/       'vヘニ>─ ┴く/ x─‐‐く |
|| i!   : : : : :′   ⌒ヽ V´ ,       Y /      v
リ |   : : : : :レ'        ∨ ({        i !     i!


「はい、高鴨堂印の特製最中だよ!」

「え、ああ、ありがとう」


 二人もいる? と和と優希に聞き、渡している高鴨さん。どこから突っ込めばいいのか……。

 その服装からなのか、いつも和菓子を持ち歩いているのか。

 一方優希は最中をもらい、でかしたぞ犬! と俺を褒めている。

 ……和は拗ねたように唸っているが俺は何も見ていない、見ていないのだ。


 そして新子さんだが。

                -‐…‐-
            /: ∪: : : : : : : : : : :`丶、

           /.: : :/: : : :|: : : : : : \: : :ヽ-
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         |:| ||'/ : |/ , <       \:ノ: : ∧ ,: :′
         |:|/{: : : :/ゝイ ∨\      \\: :∨:/

「び、美少女って。確かにお洒落には気を遣ってるし化粧だってしてるもの。
 そうやって褒められるのは悪い気はしないわよ。でもそんないきなり口説くなんてどうしよう私狙われてる?
 ダメよ憧。和の反応を見なさい。あからさまにこの男のことを好きですって顔してるじゃない。
 親友と恋の鞘当とかとんでもないわ。せっかく久しぶりに会えたのに早々に喧嘩なんて。
 でもどうしようなんかドキドキしてきちゃった。こんな感覚初めてでどうすればいいのかわかんないよ。
 お姉ちゃんこういうときどうすればいいの」


 ぶつぶつと小声で狼狽していらっしゃる。そしておもむろに爆弾を投下した。


「和ってその人とその、付き合ってるの?」

          /             \
           ,′       ヽ       ヽ
         i| i    i i l|  i!  i ! i   i
         l| { i  i i__!>!へ}_i_ ! ! !  !}
         | Vヽ ̄V/ /レ / レ ̄ / 〃
         |   !<チ牙'    テ示ト7 /イ′
         |l   ! `¨´ 、、、、、、`¨´ 7´イ.|
         ||   、 """"" ' """"'/!'  |│
          l l    iゝ    ^   イ !   | |
           ハ!   レ'二1`  ´ト7ヽ!!  | ヽ
        / !   | ヽ     /   |   !_ ヽ
       /7  /  ヽ   /   |   | `ヽ
      / _/  /  - 、 ヽ /   , -!   ! 、   l
        !//  /       _ソ /   ヽ  ヽ`ヽ、i
      /  /   /    / /      〉ヽ ヽ ヽ
      {   {{  〈     , ′ /      / / \ 〉 ',〉

「ふぇ!? ちちち、違います! そりゃそうなれたらいいなって思ってますけど……。

 別のチームだから一緒に居られる時間も少なくて京太郎くんのチームメンバーも強敵ですからなかなか」

「そ、そうなんだ。和がここまでべた惚れだなんて。でも確かによく見てみれば結構イケメン?

 麻雀だって全国に出てきたんだからそれなりよね? 実はかなりの優良物件なのかも」


 などと仰っておられる。こうなってしまうと男の身では割り込みようがない。

 助けを求めて優希と高鴨さんに視線を向けてみるも、二人は和菓子の美味しさで意気投合し、

 今度はタコスを奢るじぇなどと言って食談義に花を咲かせている。

 しばし所在なく佇んでいると話が済んだのか、場がお開きの雰囲気。


「和、片岡さん。準決勝か決勝かは分からないけど……一緒に麻雀打とうね!」

「えっと、須賀君もその、決勝で会いましょう」


 そう言って俺と彼女たちの嵐のような邂逅は終わったのだった。

強制遭遇  宥


1d100=54   普通


 あの後俺は和と優希に誘われて阿知賀の試合を一緒に観戦した。

 雑誌の触れ込みに偽りはなく、その全員が間違いなく美少女であった。

 和と優希にじゃれつかれつつの観戦であったために色々と危ういところであったが、

 どうにか自制することに成功したのだ。

 そうして時刻はもう20時。和たちを宿舎の玄関まで送り届けた俺は、ホテルへの帰路に着いていた。


「さ、寒い……」ガクガクブルブル

                    ___
                 〃    ´      `丶、 ヾ
               /: : : : : : : : : \: : : :ヽ
              /: :/: :│: : : : :ヽ : : : : : : :.
              : :/:/l: :|: : :|ヽ: : : :│: : : : :.
            {{ |: i: ト匕|\:ト-\|: :ト | : :| :| {
              } |八{{ ̄ `}}_{{ ̄`}|: :「 | : :| :|  }}
                 |汁===介===1|: :|ノ| : :|リ      プルプル
                 |: |} -〈┼‐ .:}}: :|ノー弌
                 |:个ー‐_ァ==≦l : |_______}、
                 |i人___    _リ: :厂 ̄__}\
                /{ ̄   ‐‐==厶イ__彡⌒ヽ : \
            {   {: :\_______彡 i :|/{{   }\:ハ {
           }}  ∨: 人__∧人__| : i :| {{/  |∨} : } }}
.                |八_/  {   | : i :| /{{  | 〈/
              /l〃l{  o}   \乂/ i{ リ   \
         }   //イ 八   {、    /  }} ,゙|    \
         {{ /〃 |  ヽ oヘ   / /{{/│     \ {


 その道すがら、やたらともこもこした服を着ていながらも寒い寒いと言って震えている何かを発見してしまった。

 時間帯が悪いのか、なぜか人通りがぴたりと止んでいる。

 これはマズイと思った俺は足早に通り抜けることを決意した……のだが。


「さむ――? ……あったかそう」

            ___ _

         . .<: : : : : : : : : : > .
       . : ; : : : : : : ; : : : : : : : 、: : \
     /:/ : /: : : : :i: : : : : :i: : : :ヽ: : :ヽ
   ./;/: : ; /: : : : : i!: : : : : :i!: :、: : ヽ: : : :,
  ,: :/:': : : :l:1: : : : : : !i: :、Lゝ:ヾ : i: : : :,: : :∧

  /:/:f: ; : -+イ;/、: : : :!ヽ: :! \: ヾj: : : :l: : : : :i
  }!': :|:ハ: : /V  ヽ: : :{  ,,x≠z;、」|: : : |: : : : :|
  Y: : v:| ,x≠;、   \;f 〃"   jii! |: : : |: : : : :|
  ,}: : : :i 〃  }ii!     ヾx,zX;タ |: : : |: : : : :|
  |: : : :,! ヾZzシ             .|: : : |: : : /;!
  |: : :;ノ  ,,              ''   |: : : | : ;/:/
  |: : :ヽ        o       _ .,|: : ://: :ゝz, .―.、
  |: : :| .> _ _.γy-γ_У_   /:}: ;/": : : : : : : : :<
  ヾ: :{  〉: : 「ノ  7  _〉   ヽ.Y: /; :{ ; : : : : : : : : : : 1
   ヾ{: :ノ: : /   「 介、   ゝ{へ: ゝ\: : }ヽ: :} ̄ ゙
     7: :〈    ノ  。 \   ソ       <V


 ロックオンされた。思わず硬直してしまったのが運の尽き。

 その何かがそれまでの様子からは想像できないほどの素早さで俺を真正面から拘束してきた。
 
 そして気付いてしまったのだ。――柔らかい!


 良く見てみればこの真夏に考えられないほどの厚着をした若い女性である。

 しかしその厚着の上からでも分かる大きな胸、バスト、おっぱい。

 あれか、露出狂ならぬ着込み狂の痴女なのか?


「はぅぅ~、あったかい。すごくあったかーい」


 そう言いながら俺の体にその豊満な体を擦りつけてくるのだ。

 先ほどまで堪能していた和を思い出し、危険な状態へと移行しつつある。

 はぁはぁと熱い吐息を漏らしながら胸や足を擦りつけてくる美女。実にけしからん。


「あ、お姉ちゃぁ~~~ん! ……って誰!?」

「あ、玄ちゃん……。あったかいの」

「そっかー。ってダメだよ知らない男の人にそんな……、そこの人!」

「は、はい?」


                 .. ----  .
             .  ≦        ミ  .
              /    . . . . . . . . . . . .   \
         /  . . . : : : : : : : : : : : : : : : . . . . ヽ

        . ....: : : : ..:.:./.::.:.. ..:..:..\ ..:.. ヽ: : : ∨‘,

          / ./../..:.:.:./:./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:..:Vヽ: . ∨ハ
       / \′:.:.:.:.':.:′:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.Vハ:....ノ i
        / .7T..ト....:.:i :i| :i:.:.:.:.{:.|、:{:.:.:.:.:ハ:.:.:.:ト::.i一:. . |
      ′/..:|..:|、:.:./|:.|{ :|:.:.:.:.ト:{ \:.、:.:.:/ : ヽ:|:.:.. i: .|
      : / ..:i|..:{:.\ |:ハ:{、:.:.:.廴__ 斗<:.:|::.:.:.|:.:|:.:.. |: .
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.      |:|!..:.::,| ..:.トド\ _,   `  z.、__レ|::.:.:.|´j:.:.:..|: .   ( \    / ) {_.}_} r‐
      ,|:{ .::/l| .:小≧==' '^     ´` ̄´`!:.:.: |' }:.:.:..|: . {   \ \/ /    _| |_/ )
     八| :ハ| .:.:{:.i xxx   ,     xxx |:.:.:.:|_,}:.:.:..|: . .i    .>  /    (__  __ ヽ  __
       (__) | .:. 八            |:.:.:.:}V:.:.:..:: . . {   / 〃        | |  ) } (_  ヽ
      .イ   i! .:.:| :i::..     丶 ノ     ,:.:.:./:i::.:.:. :i: . .   { {____.     | |  (_ ノ    )  }
     〃{   .}: :.:.{ :|::::i:>...      イ/.:.:/i:,′:.::.八 : .l  乂 ___ )    ._ノ         (__ノ
     {:i.:{   ハ:.:.:V :::|l:.:.:.}:.r } ̄ __ ノ/:.:./:./:.:.:.:. ::i{: . . {
.    八从 ,: .∧ :.{:::::リ::::::ノ 入_/'i{  /ィ /::/:.:.:.:. /::{:. . . .
       ∨ .:.:.:.\V‐≦ムイ  /》___.ノイ 7:.:.:.:. /廴:.. . .八
       /;..:.:.:.:.:./ \}!  r‐〉ォ´ ̄  }ノ /::.:.:.:./  , ヽ: .∧
.      /:/ .:.:::::/  ノ{{   '介′   i{ ./::.:.:.:./  /  ∨. ∧
     ノイ ..:.:.:./! く 廴. / .|乂 __人/::.:.:.:./   /    i: : . .:.
    __ノ/ ..:..::厶}/  \ ノ{ /j__ 斗-/::.:.:.. / i /      {: : . ∧

「お姉ちゃんのおもちは素晴らしいでしょう!?」

「Yes,it is!」


 突然現れた、目の前の女性を姉と呼ぶ黒髪の少女。

 最初の内は至極真っ当なことを言い、俺は不審者としてお縄に着くのかとすら覚悟したのだが。

 とんでもないことを聞いてきた、大声で。思わず英語で返答するくらいに動転してしまったではないか。


「――はっ! そうだ、お姉ちゃん待たせてごめんね。おかげでリフレッシュできたよ」

「そっか……? あ、え、わ、私なんで男の人にこんな体をっ?」グラッ

「え、ちょ、危なッ」


 妹(?)に話しかけられ我を取り戻したのか、状況の異常さを認識して慌てて体を離そうとした女性がバランスを崩す。

 当然のごとく、密着されていた俺が一番距離が近いのだから助けるのに適している。

 しかし体勢が悪かったのだ。どうにか手を伸ばして掴めたのはいい。俺も踏ん張って倒れなかった。

 そう、体勢や距離が悪かったのだ。

 俺が伸ばした手で掴んだのは、女性の臀部。むんずと鷲掴み。

 そしてバランスをとるために動かした手が思わず掴んだのは、女性の右胸。がっしりと搾り上げるように鷲掴み。


「ひゃんっ」

「お姉ちゃんっ!?」


 どうしてこうなった。お、俺は悪くねェ! 役得だが俺のせいじゃないッ!


「――その揉みテク……お兄さんもおもちに導かれし者だね」

「え、なにそれは」
 
「うんうん、皆まで言わずとも分かってるよ同志! でも今は語り合うには時間が悪いのです。

 これ、私の連絡先だからよろしくね!」

「あぅ、えっと、その、私も……。またあったかくして、ね?」


 そうして一方的に俺に連絡先を押し付けて、拒否する間もなく二人は去っていった。

 世の中おかしなことだらけだと思い知らされた出来事であった……。

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. 人- 、ゝ: : : : : : : ∧l. ヽ: : : : |    ` ー- 、         /::::|: : : :∧
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──- 、_ゝ: : : : : : : ::∧ ゝ: : :ヽ          `ー' ___ ノ: : ::/: |

⌒ヽ、   `ヽ: : : : : : : ∧ヽ\: ヽ                ./: : :/: : |
     \  ∧: : : : : : : ∧.  \ゝ 、             ./: : :/: : : !
      \  \: : : : : : :∧   `    ー- 、       /ノ:イ: : : : |
       ヽ  \: : : : : : ∧,r-、       ` ー>-、__ ' ´ノ: : : : : リ
        ヽ  〉、: : : :r´ _/`>-、     r.{  r‐ヽ、/: : : : : :∧
         〉//  \::{ / , r'´ ,r'⌒、   {.{ ./ / ̄ `ヽ、: : / ヽ
         //    .Y/ ' ´ ̄ ̄ ` ヽ 〈  .| し/ ./  / ̄` ∨  ヽ
         //    /´          ヽ .∧ { ./ / r‐-  .ト、  }
        .//}    .{            |. ! `ゝゝ.(_/ ヽ  }).ヽ  l
       // j    |            |- !     ` ー-- '´  |  .l
      _ノ/ j    .!            ! |            |  ゝ
      ノ  l     }            | ヽ            |、  ヽ


評価

新子憧:なんでだろ、でも和が信用してる人なら……

高鴨穏乃:友達の友達は友達だ!

松実宥:あったかい人?

松実玄:彼は同志かもしれないのです


須賀  新道寺   有珠山  姫松     清澄   宮守    阿知賀  鹿老渡
  ―――        ―――        ―――        ―――

千代水 白糸台   越谷 千里山   根獅子  臨海    鬼籠野  永水
    A           B            C           D  



 インハイ第四日、午前九時。それが準々決勝A卓の開始時刻だ。

 卓を囲むのは、俺達チーム須賀と第一シードの白糸台、

 2番卓を勝ち抜いた強豪新道寺、そして9番卓を下馬評通りに勝ち残った千代水。


『テレビの前の皆さまおはようございます。

 午前九時ちょうどから、第71回全国高校生麻雀大会団体戦準々決勝A卓の模様をお送りします。

 実況は私、佐藤裕子と』

『解説は私、瑞原はやりが担当するよっ☆』

            /              __
        /            .  ´        `  :、
      __∧__    (⌒ヽ .:'    ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ̄ ̄)
      `i,.、i´    ゝ /  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: f⌒ヽ  /
               /廴/ .:.:.:.∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.: ト、_,ノ ⌒ヽ
              / .:{ / .:.:.:.:/⌒  :.:.\.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.\  ト-イ.:\
          / イ人{.:.|.:.:.: |   \:.:.:.\.:.:.:.:.:.:|.:.:.:|`¨´ У.:.::.:.:.
            /// .:.:ハ`|人≫=ミ、  `¨≫=ミ、 .:!.:.: |.:.:.:.| i.:.:.:.:.:.:.|
        ///.:.:.:.:.:.|.:l: 〉{ んハ     ん ハ Y}-、l.:.:.: | |.:.:.:.:.:.:.|
        〃 { .:.:.:.:.:.|.:| ハ 弋rソ    弋_rソ :|:|ん} .:.: | |.:.:.:.:.:.:.!
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『……まずは出場する各校のオーダーからご紹介します。

 シードの白糸台高校は先鋒宮永照(三年)、次鋒弘世菫(三年)、中堅渋谷尭深(二年)、

 副将亦野誠子(二年)、大将大星淡(一年)。言わずと知れた西東京代表』


『宮永照ちゃんが入学してから破竹の五連覇達成中のチャンピオンだね☆

 今年は去年から三人メンバーを変えてるけど、中核の照ちゃんとアシストの菫ちゃんはそのままだから侮れないよっ。

 特に大将の大星淡ちゃんは他家と比べて配牌が良いことが多いし、ダブルリーチを掛けた場合の和了率がすごいんだ☆

 二年生の二人も和了率が高かったり役満率が高かったりで特徴的な打ち筋だよ☆』


『ありがとうございます。大星選手と言えば、抽選会での一幕はずいぶんと話題になりました』


『あー、須賀君の勝利宣言とそれに応える淡ちゃんの笑顔だねっ! 青春って感じで眩しかったなぁ』


『瑞原プロは10年前に51回大会に出場されておられました』


『めっ、だよ?』ゴッ


『ひっ……あ、はい。申し訳ございませんでした』


『分かればよろしい★』ニッコリ


『えー、次はこちらも強豪、新道寺女子高校。福岡代表です。

 先鋒は花田煌(二年)、次鋒安河内美子(三年)、中堅江崎仁美(三年)、

 副将白水哩(三年)、大将鶴田姫子(二年)となっております』


『――新道寺高校と言えば理沙ちゃんの出身高校としても有名だね☆

 新道寺高校は去年の夏と今年の春、白糸台の照ちゃんに完封される形で負けちゃった。

 だから今回は対照ちゃんシフトを意識したオーダーを組んだみたいだよ☆

 先鋒は他家との連携が上手い子を置いて流すことに専念、

 次鋒は打ち方が柔軟な美子ちゃんで菫ちゃんの狙いを躱す。

 そうして中堅から稼いで巻き返すっていう作戦かなー?

 特に副将の哩ちゃんと大将の姫子ちゃんは特別な絆があるみたい☆

 二人が同じ試合で戦う時は一人で戦うよりもずっといい結果を残すみたいだよっ。

 ……でも、敵は白糸台だけじゃない、ってことを忘れてるんじゃないかな★』


『麻雀は基本的に4人で打つものですが、白糸台を意識しすぎて足元を掬われる……ということでしょうか』


『うんっ、そうなっちゃうかもしれないね☆』


『なるほど。続いて千代水高校です。鳥取代表の古豪。

 先鋒は岩美望(三年)、次鋒は米子涼(三年)、中堅は鳥部綿南(二年)、

 副将は須佐世利(一年)、大将は倉吉梨佳(二年)というオーダーです』


『鳥取と言えばはやりの出身である島根のお隣さんだねっ。

 だから個人的にはちょっと応援してるんだけど……。

 この学校は中堅まで実力者を並べての逃げ切り戦術を選んだみたい☆

 後ろの二人は来年以降を見据えての配置なのかもしれないね☆

 ただ副将の世利ちゃんからは妙な気配を感じるんだけど……はやりにはよくわからないや☆』


『最後は注目のチーム須賀。高校の代表としてではなく部活外参加制度を利用して結成されたチームです。

 部活外参加制度は普通であれば麻雀部のない高校の生徒などが利用するものなのですが……。

 先鋒は荒川憩(二年)、次鋒は南浦数絵(一年)、中堅は東横桃子(一年)、

 副将は霜崎絃(三年)、大将は須賀京太郎(一年)。嵐を呼ぶと評判の長野代表です』


『須賀君と桃子ちゃんは清澄高校の出身なんだよね☆ テレビの前のみんなもこれにはびっくりかな?

 だから今回の大会には清澄高校出身選手が7人もいるってことになるんだよっ。

 去年の衣ちゃんといい、長野って怖いところだね☆

 そしてやっぱり気になるのは須賀京太郎君っ。インハイ無差別級史上初めての本大会レギュラー男子高校生っ!

 男子選手ってなるとどうしても30歳までは女子選手に劣ると思われがちだし、

 実際にこれまでのインハイエキシビションや若手プロ交流戦でもその通りの結果なんだ☆

 ……だからってみんながみんなその枠に収まるとは限らないんだよっ! 須賀君は男の子たちの希望の星かもしれないね☆』


『須賀選手と言えば先ほど大星選手の件で触れましたが、あの挑戦状は大胆不敵でした』


『そうだね~☆ でもでも、須賀君はそれをできるだけの実力があるんじゃないかなっ?

 長野予選決勝では1試合3役満なんていう離れ業をやっているし、あの天江衣ちゃんも須賀君のことは認めているみたいだよ☆

 なにより……憩ちゃんと絃ちゃんがわざわざ地元を離れてまでチームを組んでるってことはすごいことなんだよ☆』


『確かに、高校生で寮の無い場所に行ってまで組んでいる、というのはなかなかできることではないですね』


『んふふ~☆ はやりは須賀君たちとは戦いたくないかな☆』


『瑞原プロにそこまで言わせるチーム……その真の実力がいよいよヴェールを脱ぎます。

 皆さまどうかお見逃しなく。これより先鋒戦、スタートです』


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「春ぶりですねーぇ、宮永さん」


 憩がいつも通りの笑顔を浮かべて、そう話しかける。

 その声に応じ、照は足を止めゆっくりと振り返って答えた。


「……荒川憩。どうして長野から?」

「なんとなく、ですよーぅ♪ ふふっ、実は京ちんに惚れたから、言うたら本気にしますーぅ?」


 照の言葉は至極当然の疑問であった。憩が長野で出場した、と聞いた誰もが思った疑問。

 そしてそれに答えた憩の言は非常に軽やかなもの。

 しかし超常的な洞察力を備える照には、卓についておらずともその言葉に紛れもない本気さを聞き取ることは造作もなかった。

 そして憩も照が“京ちん”という単語にどう反応するかを見ていた。

 とはいえ憩が期待していたような含みのある反応ではなかったのだが。


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          /:: :: :/|:: :: :',:: |::' :: | x灰幵ミz、 \{    {::    ::} .!:/|:: /::|
            /-‐ '´.|:: :: :ヽ|::ヽ::| { {::   ::}         辷__ノ /´ ,':/:: :|
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「須賀君……。彼の源泉は見通せなかった」


「……? 京ちんと卓についたことあるんですかーぁ?」


 宮永照は同卓したものの心を盗み見る。そうして知ったことを礎に、相手を蹂躙する魔物。

 その魔物に愛する男が穢されようとしていたなど、憩に許せることではない。

 一気に空気が張りつめ、今にもスパークしそうな刺々しさが増していく。

 しかしそれを切り裂くように闖入者が現れた。


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        Vハ (oノ__           | :| : : 、: : l: :| :l l |l     }| V : ,| |l: : : : : :}: :|    _jL
         `´ 〈:辷'-、      , . -┤:| :l l |ヾ:ト∧刈_ |!     }|_,レ仏}ルイ : : l :├-. 、`l「
               `¨^}ノ_   / : : ; :l: :V{:Ν ァfチ艾ミト     }ノィfチ艾不ノィ:ノ/: l:|、: : : \
                  ⌒))イ: : : : / 从: 刈 1 r‐{::::}刈        r‐{::::}刈 } 7ノ: /}' ヽ : : : \
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                {: : : : : : : : : : : ̄:二:フ , , ,      ,     , , , \_: ̄: ̄: : : : : : : : : : }
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                     `ヾ\_         、     ヽ _ ノ     ノ          _∠:>'
                       ` ̄           >         <           ̄´
                                   _!      |__
                                    /ヽ廴   __,レヘ
                        ___, <   , ヽ._ト、   ヽ

                       /      ヽ    /  | ∨    〉ー---=ヽ

「すばら! 個人戦1位2位の方々と卓を囲めるとは実に有意義な経験です!」


 紫色の髪を二つ結びにまとめ逆立てるようにしている少女、花田煌。

 その顔には喧嘩は良くない、と書かれているよう。


「あんたよくそんなこと言えるね。アタシは今から憂鬱」

                         ___
                       ー~:: : : : : : :.: ̄  、
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              リ Vl ,' /   l´            l: :ノ,-ゝ- . ,'
                ii i ゛        ゛   ,' V ´  .) : :ilj
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           /:: : :/::: : : : : :',', i,, 。.ノ  ノー     i .l .`i  .',:: : :`ヽ_,;⌒i
          ,.':: : :/ : :,: :。: :--ー’ ノ   `ヽ     -- ソ∨ ∧ : :,--,>,' i
          ,':: : :/ ., ,'´    ノ /      .',       `ヽ 、_/  .' .i   、___ 。
         .,':: : :/ ./ i    ノ //         リ ノ    , ´   \i.      i`ヽー------
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        l : :,.' /,。・´  ,'         X     ,' .l        i     .,'  `ヽ.’、
         , ・ ' ´    ,.'        ノ        i l        l       /    ヽ ',
       ,。'  .,'     ,'    。 ・ ´       Vi .l      j´~ ̄~`/      ', i
      , .´        ,' .,。 ・ ´              Vi       Y´   ..,' `,
   . , ′        ○             ,   〉i     ,-' /   .../:: :∧
   ∧ `,       / ,'           , ´   .l .i.l  , ´ /    ,'::: : :∧

   i  l.i      ./.,'.j               ′  .  ',l l ',  . //    ,': : : : : :i
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   ' , .i       ',            |      ソ  .,'        リ  l:: : :l
    ヽ、       ' ,          ,'     ノゝ ,,'      リ  i:: : :l

        ` 、      丶           ノ   , '´ / `ヽ     ノ  ノ: :ノ
         ` ー--┬ ´゚ー-、___,,,,--ー´   /i     ヾ   ノ  ,' /
             i  i ll              へ i 、    _ノ   i j
               ,' .| .l                / ∧    /
           /   | l                 '   ∧ ̄ ̄´


 そうしてもう一人、二回戦A卓を囲むもう一校である千代水高校の先鋒、岩美望だ。

 青黒い髪をかき上げ、着崩したYシャツの胸元をパタパタと扇ぐ。

 そんな彼女に機先を制された憩が憤懣やるかたない気持ちの矛先を向ける。

 なにせこの四人の中では最も胸が大きかったので。


「酷いわぁ。何も取って食べたりはせえへんのに」

「まあまあ、笑顔ですよ! 麻雀は楽しく打ちませんと、幸運の女神さまに嫌われてしまいますから!」


 再び悪くなりそうな空気を一喝して見せる煌。照もその流れに乗る。


「……新道寺さんの言う通り。――さあ、始めよう」


 もっとも名前までは覚えていない。照にとってほとんどの同年代雀士は取るに足らないのだから。


「よろしくお願いします」「よろしゅうお願いしますーぅ」「よろしくお願いします!」「よろしくー」


荒川憩
属性 :O
技量 :A
直感 :A
必然力:A
・スキル
【ラックトランスフュージョン】金
 失われた運気を回収し、自らに注入していく異能の力。
 他家が和了する度に発動。
(効果A)
 和了判定値を+5。
(効果B)
 打点を+1。
(効果C)
 親で連荘した場合、連荘するごとに上昇した分が2段階ずつ戻る。

【鎮静の笑顔】銀
 凄惨な現場でも冷静に、患者を安心させるための微笑みを忘れない。
 聴牌判定値が1位の場合、他家のスキル効果を受けない。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。




花田煌
属性 :O
技量 :D
直感 :D
必然力:D
・スキル
【不屈】銀
 どんなにつらくとも折れない不屈の心。
 自身の点数が0以下になるときに発動。
 その原因を無効にして全員ノーテン流局させる。

宮永照
属性 :O
技量 :S
直感 :B
必然力:A
・スキル
【照魔鏡】金
 東一局0本場を和了せずに経過した場合に発動可能。
(効果A)
 次局以降、自身の直感を相手のスキルの数×3プラスする。
(効果B)
 相手の金以下のスキル効果を無視する。
 虹スキルの場合は自身が受ける聴牌・和了阻害効果を半減する。

【連続和了】銀
 聴牌に成功した場合に発動可能。
(効果A)
 聴牌・和了判定を+80。
 ただし和了するごとにスキル補正値は10ずつ低下する。
(効果B)
 和了に成功した場合、1回目の和了点が基準点となる。
 ただしこの打点は満貫以下とする。
(効果C)
 2回目以降の和了時、基準点を上回る打点とならなければ和了に失敗する。
 失敗した場合はノーテン扱いとなる。
(効果D)
 効果Cが発動した場合、スキル補正を-10することで
 本来の打点から1段階ずつ上昇させることができる。
 この効果で規定打点を上回った場合は和了に成功したものとする。
(効果E)
 跳満まで到達した場合、聴牌に成功していたら強制ツモ和了。
(効果F)
 効果Eが発動した場合、効果Aは失われる。
(効果G)
 効果Eが発動するまで打点は満貫未満となる。

【金剛環】虹
 自身のスキルを解除することで発動できる。
(効果A)
 自身のスキルを解除し続けた局数×2翻で強制和了。
(効果B)
 チャージ中に和了を放棄した場合、その局加算されるチャージ分は+2となる。
 放棄した和了の打点が満貫以上だった場合は+3となる。



岩美望
属性 :D     58
技量 :C
直感 :A
必然力:B
・スキル
なし



照:7個分アップ



望・憩・照・煌  の順

1半荘目

東一局  ドラ:四筒

 挨拶と共に、対局が開始された。そうして賽がふられ、配牌が終わる――瞬間。

 勘のいいものは一様に違和感を覚え、当事者である憩などは強烈な不快感に襲われた。


憩(ッ! 来ましたねーぇ。ほんま、これやから宮永照は嫌いやねん。

  人の心にずけずけと土足で入ってきよるんやもん)


 しかし照がこの鏡を使ったということはこの局は見に回ったという証左でもある。


憩(つまりここが攻め時ですーぅ! あんまウチを舐めんで欲しいわ――)

憩「ロン! タンピンイーペードラドラで8000ですーぅ」


望  92000
憩 108000
照 100000
煌 100000



東二局  ドラ:一索

望(マジっすか、絶好の機会が……)

煌(さすが荒川さんですね。全国個人2位。おかげで宮永さんを流すのは楽かも)

憩(……宮永さんはまだ来てへんのかな? いつもなら6巡目ならとっくに始まっとるはずやけど。

  せやけど来てへんのやったらチャンスですーぅ!)

憩「ツモ! 白トイトイで2600オール!」


望  89400
憩 115800
照  97400
煌  97400

東二局一本場  ドラ:發

煌(おお! 宮永さんが動かないことが多い東一局に続いて二局目も)トン

照「ロン。タンヤオ一盃口の1本場で2300」


望  89400
憩 115800
照  99700
煌  95100


東三局  ドラ:九筒

『……始まっちゃったね☆』

『始まりましたね。試合と、チャンピオンの連続和了がついに始まりました。

 圧倒的な速さで徐々に打点を上げていく和了を繰り返す、同卓者の絶望を煽るようなスタイルです』

『うーん、それはちょっと言い過ぎだと思うけど』


照「ツモ。トイトイのみ、1000オール」

         /.::/.: :,'.: :: ;:;イ:: :: ::i:: :: :: :: :: :: :: ::ヽ
.        /.::/.: :: i:: :: ::i/i:: :: ::i!iハ:: :: ::i:: :: :: :: ::::.
.       /.: /.: :: :/.: :: :i.:::i!:: :: :i i:ハ:: :: i!:: :: :: :: ::::.
       /.: /.: :: ::i!:: :: ::!::::i!:: :: iィ!厂ヽ:: :ii:::i:: :: i:: :::.
     .:::.: ::!i:: :: i:i:!:: :i::!::::.ハ:: ::i:::ヽ茫弐::ゝ:!:: :: :i:: :i::.

    .:::::.: :::i!i:: ::イ:i:i:: ii::!::::::: ヽ::!゛゛:::.-・゙'ヽ!i!ヾ:: ::!:: :. :.

.   .:::: ::: イ !:: :/i:!ハ:: ハi::   ' ヽ      i/i:!:: :!:: :::. :.
   .:::::/  !/!:::!::i:ハヽヽ            /'i::!:i:::i:i:: ::. :.
       /.::ヽi:: !':: ::ヽ     , ‐ -    /.: :i:: ::!ハ:!:: :::. :.
     /.: :: :: .: :: :: :: ::>    ´     ,イ:: /.: :::i:: :!i:: :::  :.
    / .: :: /.: :: /.: :/.: ::>     / !:/.: :: ::i:: ::i!:: ::   ::
  / .: ::イ.: :: ::/.: :: :/.: :/ ヤ  `     / ヽ:: :: :i:: :::i:: ::  .:
 /   .::: /.: :: :/.: :: ::/.::ノ 乂 }     /iヽ } `ヽ:: :: }:: .: .::
/  .::  /イ:: :/.::;; -゙ ニ  ヘ } ヽ   .: :: :::}   ヽ;;_ノ.::

  .::  { !ィ 二         ヘ   ヽ  .: :: :;;}      ニー._
  .::   / ヽ ヤ:.         ヘー-、  .: ::':: :}     〃/ ヽ
     /   ヽヤ:.         ヘ _ - ‐ 、::}     〃/  .ハ
.    /    ィ  ヽヤ::.        ヘ    :: }     〃/     ヽ


望  88400
憩 114800
照 102700
煌  94100

東三局一本場  ドラ:白

『せっかくだからここで先鋒の選手を紹介しながら見ていこっか☆

 まずは王者、宮永照ちゃん♪ 1年生の頃から国内で活躍して個人団体連覇中だから言わずもがな、かな?

 でもテレビの前のみんなには分からない人もいるかもだし、気にせずゴー☆ ゴー☆ だよ!

 さて、宮永照ちゃん。白糸台の三年生で、さっきも言ったけど高校生になってから公式大会で連勝中だよ☆

 そんな照ちゃんのスタイルは、圧倒的な速度での、そして徐々に打点を上げていく連続和了☆

 和了るほどに打点を高く吊り上げていくんだよね。

 何かジンクスみたいなものなんだろうけど、他家はじりじりと削られる形になるから辛いみたい★

 とにかく強い、ってことだよ☆』


憩(……宮永さん、前局で無理矢理打点を上げたのが響いてるんかな?

  今局は手が重そうですーぅ。ならウチが黙ってるわけにはいかへんよね――)

憩「ロン! チャンタドラドラの1本場は8000ですーぅ!」

煌「すばっ!?」


望  88400
憩 122800
照 102700
煌  86100

東四局  ドラ:八索

『次は今和了った荒川憩ちゃん☆ 憩ちゃんは去年のインハイ個人2位なんだ☆

 そんな憩ちゃんだけど、元々は北大阪地区の出身なんだけど……今回は長野からの出場だね☆

 彼女のスタイルはオーソドックスで逆境に強いタイプ☆ 不利なほど燃える、って感じかな?』


照「ロン。七対子のみで1600」


望  88400
憩 122800
照 104300
煌  84500


南一局  ドラ:七索

『次は新道寺女子の花田煌ちゃん☆

 今さっき放銃しちゃったけど、照ちゃんが速いから安牌も分からなくて回避は難しいんだよね☆

 5月放送の“牌のお姉さんと楽しく麻雀”で触れたように、序盤は河を参考にできないからね☆

 煌ちゃんは……他の三人と比べると技術はまだまだかな。勘もそこまで鋭くない。

 でも精神的にタフみたいだから、照ちゃんを凌ぐための捨て駒なのかも★

 あんまり好きなオーダーの組み方じゃないんだけど、時にはそういう方法も必要なのは否定できないのが哀しいよ』


照「ロン。七対子赤1で3200」


望  88400
憩 122800
照 107500
煌  81300

南二局  ドラ:一索

『最後は千代水高校の岩美望ちゃん☆

 この子はクセが無い真っ直ぐな打ち方をするね☆

 勘もいいしツモもなかなかのなかなか、普通ならエースとして十分活躍できる実力だよ☆』

『普通なら、ですか?』

『そうなんだよね~。この卓には高校最強格の選手が二人もそろってるから、

 普通に強いってだけだと焼け石に水かも☆

 彼女の頑張り次第で試合の趨勢が決まると言っちゃってもいいかもしれないね☆

 テレビの前のみんなも、普通に強い雀士と牌に愛されている雀士との違いをしっかりと見ておいてね★』


 瑞原はやりの解説というか寸評は、当然ながら隔絶された対局室の選手たちには届かない。

 しかし、奇しくも彼女のこぼした……牌に愛されているという事実の一端をまざまざと見せつける。


照「リーチ」

望(ダブリー!? そんなん何待ちかなんてわかるわけないじゃん! ……とりあえず、これっ)タンッ

照「ロン。ダブルリーチ一発、タンヤオ一盃口で8000」


 照の右腕に、風が渦巻き始めた。

         ,..: ' ´ ̄Τ ̄`丶、

         /: : : : : : : : : : : : : : :\
       /: : : : /:..:::::..:::::... ::... :... : :`、
      ./ ./::i::|::::/::i::::::::::::::::::::、::..、:: !
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      i ::/!::|:::|::|:::::|:::ハ:::::::::::i:|::::::|::::::|:.!
    i:.:/ |:::|、|::|:::::|::| !|:::::::i:::i|:::::i|::::::!:|

    !/  |::::{ 、!ハ:::!| ヾ::::|i::| |:/i:::/:::!
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    r、<´ ̄ ヽ:::、:リ `ー--イ/w/::/
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 /  !  \、   `ヾニー-ニ/  ソ  /∧|
(    \ !ヾ、   `、   /     /イ  ゙、
. ヽー‐-、  ヽ! ヾ、、  ヽ /   /イ ノ   i


望  80400
憩 122800
照 115500
煌  81300

あ、ダブリー一発だと人和……人和は無しってことでおなしゃす!

南三局  ドラ:二索

憩(まずいですねーぇ。宮永さんの親で、あの腕の荒ぶり……)

煌(ダブリーでしかも役付きですか……。とんでもない。そして何やら不穏な雰囲気ですよ。

  宮永さんの牌譜でよく見られるアレが思い出される)

望(ん? 風……。ここ密室で空調も管理されてるはずなんだけど)


 配牌が完了した時点で、既に物理的な現象まで引き起こしている宮永照の右腕。

 荒川憩も牌に愛された子の一人ではある、それでも同じかそれ以上に愛された相手の力は止めようがない。

 4巡目、照がおもむろに卓の向かって右端を左腕で掴む。

                           _,....::―:::...
                         ,..:'´::::::::::::::::::::::\
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            /:        ...::::/    |:::::i:::::丶   \_   \
          r{\::.     :::: .:{     }::::::|ヽ:::::i       ` 、_.  \
            /::::\ィー-ァ--‐イコ〕     /:::::/  }::::i        ` .、  ヽー-、
         /::    ̄ ̄ ̄Y´  |  <_;::-‐'   |::::|          ` 、__゙、
       /          メ -‐へ、       i:::::i


 そうしてから渦巻く風を伴った右腕を山に伸ばし、ツモ。

         ____\    \:::::::::::::::::{    \
      __>::::::::::::::::::..     \::::::::::::::.    \             }\
      \:::::::::::::::::::::::::::::::::::...    \::::::::::.     \   \       ,  , /\
       \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..   \:::::l \     \   \ヽ/⌒7  ′ ′  ,         |      li\
        /::::: -‐/ ̄ ̄ ̄/ ̄\  \}  }\     \   } ∨ /   ∧ ,  ′ /{ }\   | \   l|  \
      / /  /      /     y'⌒ヽ\人::/\    \_}/ ,/ ̄ / ∧   ∨,√|   \_}  \__}   \
   _ -‐    /   -‐       /  /../ / ̄ ̄ ̄\    ∨  }  ′/ ∧  | ∨ l|   }i
-‐         //           {  ,.../  {       \   |  |  |  / i|   |  l ll|   |li
、        /           \/l  l...|  |          ∨ |  |  |                   ii|    i|
 丶     ,′    >‐-      八 ll...|  |___        |   l|  |  |l    ill|   |  l ll|   |lli    ii|    i|
   \    | -‐      {.:.:ト---≠ ┴ァ‐- {/ ̄  ‐-  __|   l|  |  |li                      ii|
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    ̄\.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.`ー‐‐.:.:.:.:.:/,/ ̄ ̄\ト、 }   \         ′リ    l| |′ l |       \从,/   | /
      \.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ,/       ̄ `ー-  _〉                 リリ   リ′             }′
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.       |.:              |  |
      〈/〉-‐=ニ二ニ=-- _,,| ∧

       }ニ=-  ̄ ̄ ̄ -=ニ=- _〉
       〈  }           ̄「\

照「ツモ。面前一盃口小三元で6000オール」


 回転しながら引き寄せられたツモ牌が、倒された手牌の脇でぴたりと止まった。


望  74400
憩 116800
照 133500
煌  75300

南三局一本場  ドラ:南

「「「「ノーテン」」」」


望  74400
憩 116800
照 133500
煌  75300



南四局流れ二本場  ドラ:六索

憩(相変わらずエグいわーぁ。満貫まで持っていかれたら次のツモは止められへん)

望(跳ツモの直後からは一気に鈍るのだけが救いだよほんと。親ッ跳ねとか痛いってもんじゃないけどさあ)

煌(さて……宮永さんは今回は聴牌していない気配。調子が悪いのでしょうか。

  荒川さんは聴牌こそしていても待ちが良くなさそう……?

  親は私。でも、私の役割は宮永さんのような突出した怪物から少しでも多くの点棒を残すこと。

  欲張ろうものなら奪われる点棒が増えるだけ……。ここは崩して半荘を終わらせましょう)トン

憩「聴牌ですーぅ」

「「「ノーテン」」」


望  73400
憩 119800
照 132500
煌  74300

2半荘目

東一局  ドラ:一索

照「リーチ」

憩(! やられたっ!)

照「ツモ。リーチ一発ツモ、中で2000・3900」


望  69500
憩 117800
照 140400
煌  72300


東二局  ドラ:九筒

望(うえっ、親ッ被り)


『宮永選手後半開始早々の一発ツモ! 圧倒的な速度からのツモ和了はさすがの一言ですね』

『そうだね~☆ ただ、彼女のジンクス的にあまり高い打点を和了るとその後が少し苦しいかも☆』


煌「すばら! 聴牌です」

「「「ノーテン」」」

望  68500
憩 116800
照 139400
煌  75300


東三局流れ一本場  ドラ:三筒

憩(宮永さん、また調子よく和了ってくれはりますねーぇ。せやけど……今回はウチのが速い!)

憩「ツモですーぅ! 白混一色ドラの1本場で2100・4100!」

望  66400
憩 125100
照 135300
煌  73200

東四局  ドラ:三索

 憩が照の連続和了を止め、安どのため息を一つ。しかしそれは油断というものだ。

 この程度で止めきれるなら、同卓者全員から最大限の対策をされながらも連覇を成すことなどできるはずがないのだから。


照「ロン。東一盃口ドラ2で8000」


望  58400
憩 125100
照 143300
煌  73200



南一局  ドラ:五索

憩(くっ、確かにあの程度で止まるようならチャンピオンは続けられませんよねーぇ!

  また腕の竜巻が溜まってるようやし、止め切れんわッ)

                                 ____
                            . : : : : : : : : : : : : : : : . .
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                   /: : : : : i| : i:|i |Nトミ V |i: :.|:|i\_: 」L:|: : : : :|

                      ̄ ゙̄"ア从 : 弃忝ミメ、 八: 「[[  \. :Ν: : /: |
.                      /:/: :ハ乂V)ツ    \扞弃不)/.; : //: :.
        __                 /:/: :/: ∧          V)ツ 仏イ/|: : :.
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   |il|/ /{__,リ.       // : /: :/ : :|::::::父: 、 `¨’    イ::::i|::::: i |i: : : : :,
   | /  `´       //厶: /: :/-|i : |i」L辿」:::}iト __,,  (:::::::|i::::i|::::: i |i : : | :.′
   |il|   /        { ア^|/| : {゙ |i : |i     〈     ん:: :::|i::::i|::::: i |i : : | :.:. ,
   |il| /(/  /       /  |i | : {゙ |i : |i    ∧    {  \:::::i|::::: i |i : : | :.:. ′
   |i//   ,/     //   乂\:\ \:,      ←‐ ミト   ``丶: i |i : : ;  } ;
   `¨    //    //         〉、      ‘ _    }.      リ仏: :.′ } }
.     /〉  // -‐  /          /∧\       ‘,\  }       //   /
  ∠//〉.//{   〈     -‐=ミ    //ハ:i:i:i: .、   ‘, }  ′    //∧
.     〈/.//  \ ___〉, /  ____ \   /  }i:i:i:i:i:\.   ‘, /    /i; / ,∧
.     //       (_/    \ | /   ``丶、i:\  ‘,′  /i:i://|., /  ,         , /
.      〈/.       ノ  ,. ‐ァァ〈 √,     、 \x<⌒ヽ/ -=≦:i:i:i:i//; /   }     / /
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     \\   ,   ;′  , // / / / /     \   \\丶 、i「 /  //,,  /// /
       '\\、\ i{    // / / /         \  \__  \___  ,/ //   /
        \   \、,  i{ {i  i{ i{ __」     、_,   `、\ \)\____) /′/   /
           \   \ i{ {ir冖 乂  \___、  \\ `、,__>、 \_)       /      -‐
          \,\    \ \ \  丶\ `、 .\ \  \___}        //ニ=‐ -‐
       {三三三三三三三三三三三三三三}  }‐三\ \三三三三三三三三三三三三}

照「ツモ。面前清一色で3000・6000」


望  52400
憩 122100
照 155300
煌  70200

南二局  ドラ:三索

『宮永選手の和了が留まるところを知りません! またも跳満をツモり追い縋る荒川選手を突き放します!』

『さすがは照ちゃんだねー♪ 彼女ならプロでも即戦力だよ☆

 ……でも、それは照ちゃんだけじゃないからね★』


 何度も和了し稼いでも、それ以上に和了られ自分以上に稼がれる。

 そんな相手はどれほどの幸運なのだろうか。そして他者が幸運であればあるほど、

 抱えきれない運はその手から零れ落ちる。人の身では全てを得るなど不可能なのだから。

憩(――ウチは自分以外の誰かの幸せを願っとる。そしてそのおこぼれに与るんや。

  これまでもそうして生きてきたし、これからだってそう生きる。つまり――)


 俯くように顔を伏せていた憩のおとがいが持ち上げられる。

 そうして現れるのは満面の笑みだ。身の回りのツキは、巡り巡って彼女に山と積もる。

 笑顔の中に秘められた冷ややかな光を照は捉えられただろうか。

 憩にそれを知る由はない。だって結果は変わらないのだから。

 トン、っと照が自らに不要な牌を河へ置く。彼女が粛々と前に進むために。

 知らず知らず取り落とした大事なものに気付かず。

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憩「ロン、ですよーぅ。タンヤオイーペードラドラで11600!」


望  52400
憩 133700
照 143300
煌  70200

南二局一本場  ドラ:七索

『ほ、放銃! チャンピオンが放銃しました!』

『そりゃあ照ちゃんも人間だもの、放銃することだってあるよ。

 とはいえ1万点以上の点数を振り込むことは滅多にない珍しいことだけどね☆

 確か……ここ1,2年は跳満以上を放銃したことがないんじゃなかったかな?』

『そんな王者宮永照から値千金の11600直取り! いやあ、さすがは個人2位ですね!』


 はやりが裕子のテンションに苦笑いを漏らす頃、対局室では淡々と照が和了を続ける。

 憩の感慨など歯牙にもかけず、強者として動揺などせず。鳴いて手を更に加速。


照「ロン。チャンタドラの1本場で2900」

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望  52400
憩 133700
照 146600
煌  67300


南三局  ドラ:四萬

煌(うっ、まずい。和了もできずATMのように点を……。

  しかも宮永さんの親番、子での始動からですと連続和了の制限が一気に緩和されて)トン

照「ロン。タンヤオ三暗刻で7700」


望  52400
憩 133700
照 154300
煌  59600


南三局一本場  ドラ:發

照「ツモ。面前純チャン一盃口の1本場で4100オール」キュルッ


望  48300
憩 129600
照 166600
煌  55500

南三局二本場  ドラ:八索

 滾る風。暴れ出しそうな腕。それを支えるために左腕で卓を掴み、右腕が奔る。

                          ――― 、      /;';';';';/
               ______/\;';';';';';';';';' \    /;';';';';/
                 /;';';';';';';';';';';';' ;' ;';';';';';\;';';';';';';';';';';';';';/;';';';';/
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.     ((// -‐ァ\;' \/.     |       V)炒`. \{‐ァ'≦芹トリ /}/}  ∧{.: : : : : : : : : : : : : : : : :. :. :.|
.      (// // }; ; lリ       l / l圦   :::::::::::::::::....V)炒 //__,ノ / {: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|
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                          {/   ̄\  \                           ,
                          /        ∨  ∧         __ -‐               ′
                         /         ∨  ∧  __ -ヘ ̄.: : : : : :.‐-  _            ,
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照「ツモ。面前一盃口チャンタドラ2で2本場は6200オール」


『止まらない、宮永照が止まりません。本日3回目の跳満ツモ!

 2位との差を6万点にまで広げました』


望  42100
憩 123400
照 185200
煌  49300

南三局三本場  ドラ:西

憩(宮永さんはやっぱ強いなーぁ。今のウチでもまだ手が届かへん、まさに怪物やわ。

  それでも人間と変わらない、集めたツキを全て抱えきって使い切るなんてことはできひん。

  せやからウチにだってチャンスは来ますーぅ。だって、京ちんが一緒にいてくれるんやから!)

憩「リーチ! ――一発ツモ! リーチ一発ツモ清一色の3本場は4300・8300ですーぅ!」



望  37800
憩 140300
照 176900
煌  45000


南四局  ドラ:西

望(倍ツモとか、宮永相手にやれるってなんなのよ……。やっぱ全国トップクラスは人外魔境!?)

煌(すばら、実にすばらです! かく言う私は既に5万5千点を失い……。同学年だというのに情けない。

  うん? 宮永さんは……随分と安い気配。私の仕事は、少しでも多くの点棒を後ろの皆さんに託すこと。

  であれば迷う必要などありませんね!)タンッ

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照「ロン。タンヤオのみ、1000」

望  37800
憩 140300
照 177900
煌  44000


『注目の先鋒戦、たった今終了いたしました。


 1位は王者白糸台。宮永選手はさすがの試合運びで

 前半を+32500、後半を+45400の合計+77900点で当然ながら区間トップ。


 2位はチーム須賀。荒川選手が貫禄の2位です。

 前半を+19800、後半を+20500の合計+40300点。


 3位は大きく落としました新道寺。花田選手はだいぶ苦戦しました。

 前半を-25700、後半を-30300の合計-56000点。


 4位はこちらも大苦戦の千代水。岩美選手は放銃こそ少なかったのですが親被りなどを多く受けました。

 前半を-26600、後半を-35600の合計-62200点です。


 解説の瑞原プロ、この先鋒戦でどうでしたか?』



『はーい。やっぱり宮永照ちゃんの強さが際立ってたね。

 荒川憩ちゃんも直撃を取ったりで食いついてはいたけど、点数から分かる通りに一歩及ばずだったよ。

 最高打点で言えば憩ちゃんが倍満で上回ったけれど、コンスタントに跳満をツモられちゃうとそれくらいじゃ全然追いつけなかった。

 20回の和了中14回も取られちゃったら当然とも言えるんだけど。

 それでも和了回数で2倍以上の差をつけられながらも3万7600点差で抑えた、と褒めるべきかも。

 照ちゃんの1和了当たりの平均獲得点は7607点、一方の憩ちゃんは10100点。

 1.33倍以上の和了回数を和了られちゃったら追いつけないのも仕方ないからね☆

 ……? あ、ごめんね、数字があるとつい平均とか出しちゃって。


 先鋒戦の総括だったよね。

 そんな二人に対して望ちゃんと煌ちゃんは焼き鳥で終わっちゃったのは残念だけど実力の差ってとこかな☆

 放銃回数だけで見れば望ちゃんが3回で煌ちゃんが7回、あと照ちゃんが1回、だけど

 最終的な点数を見ると逆になっているからいくら守っても和了れないとダメ、というのが分かるかな。

 照ちゃんの和了速度は尋常じゃないけど、それを凌いで和了れる雀士じゃないと荷が重いってこと☆

 憩ちゃん以外にもそういう子が今回の大会で見つかるといいね☆』



『ありがとうございました。既に休憩時間もほとんど終わり、いよいよ次鋒戦が間近です。

 チャンネルはそのままでお願いしますね』

――須賀控室――

「憩さん、お帰りなさい」「お疲れ様です」「おかえり憩」「お疲れ様っす」

「ただいまですよーぅ」


 憩さんが戻ってきた。端から見ていても激戦だったのだ、当事者たる憩さんの疲労は相当だろう。

 心なしか顔に疲れが見えるし、憩さん自身も自覚があるのかおどけるようにしつつも疲れを吐露した。


「いやぁ、しんどかったわーぁ。宮永さんは相変わらずの強さで……。4万点くらいリードされてしもた」


 憩さんは何やら責任を感じているようだが、違うのだ。

 そもそも宮永照が先鋒だと分かった時点で、ある程度のリードを許すこと自体は長野にいた頃からずっと話し合ってきた。

 その上でどう巻き返すか。次鋒からの出来次第になる、と。だから絃さんは諭すように言う。


「まあ予定通りだわ」

「そうっすね。憩さんでもここまで苦戦するというのは衝撃っすけど……」

「それでもあとは私達の仕事よ。私達は5人で戦っているのだから」

「だな。数絵の言う通り。それにマイナスどころか4万のプラスじゃないっすか。

 これで勝てなきゃ俺らの責任ですよ」

「せやろか?」

「せやせや、っすよ。ってことで数ちゃん責任重大っすね!」


 俺達の言葉で少しは気が晴れたのか、表情が和らいだ。

 そんな憩さんの様子を見て、桃子が数絵に豪速球を投げ込む。


「私!? いや、確かに次は私だものね」


 突然の送球にたじろいだ数絵だが、気を張っていたからだろうすぐに平静を取り戻した。


「相手はシャープシューター弘世菫だわ」

「つっても数絵なら序盤さえ凌げばどうとでもなるだろ?」


 それでも相手はディフェンディングチャンピオン。意識してしまったのかやや強張っている。

 だから俺は軽い調子で笑い飛ばした。信頼する仲間なのだ、そうそう後れを取るわけがない、と。


「……ふぅ。そうね。京太郎が信じてくれているんだもの、やってみせるわ」

「ふふっ。じゃあ数絵ちゃん、後お願いしますねーぇ!」

「はい。行ってきます」


 真面目な数絵らしいキリッとした表情を取り戻し、数絵は戦場へと足を向けた――

――白糸台控室――

「ただいま」

「「お疲れ様です」」「おかえりテルー!」「想定の範囲内だな、照」


 照の帰りに二年生二人は礼儀正しく、淡は天真爛漫に、菫は冷静に迎えた。

 尭深がお茶の準備を終えて注ぐ頃には、淡がソファに腰掛けた照にお菓子を渡しながらじゃれついていた。


「荒川憩、分かってたけど面倒」

「えー? 結局テルのぶっちぎりじゃん!」


 照はそんな淡を受け流しつつ、対局を振り返っていた。

 荒川憩の力は自身の連続和了とはあまり相性が良くない。

 照としては鏡で明らかにしても底が見通せない荒川憩は不気味で苦手な相手なのだ。

 結局大きく稼ぎ勝っているのだから、そんな本音を言っても誰も信じはしない。

 照自身がそれを分かっているので淡を窘める程度に留めるのだが。


「淡。須賀との差は4万点ない。誠子も十分な強さだけど……相手は霜崎絃だから」

「先輩、私だって虎姫の一員です。最低でも淡に繋ぐくらいはやってみせます」

「亦野、相手は霜崎だけじゃなく、新道寺の白水もいる。お前は防御が薄いからな」

「弘世先輩……」


 照がセーフティリードではないと言い、後輩の中でも特に防御に定評の無い誠子を心配する。

 無論誠子とて自覚はあるが黙ってはいられなかった。虎姫なのだから、と。

 しかし菫が追い打ちをかけるように言い募り、悲しそうな目をして項垂れる誠子である。

 すかさず同学年の尭深がフォローし、むしろ不安なのは自分だと庇ってすらみせた。


「誠子ちゃんなら大丈夫だよ。むしろ私の相手のほうが問題かも」

「たかみ先輩の相手はモモだったっけ。確かに大変そー」

「牌譜を見てもなんで和了れているのか、なんで放銃しないのかがさっぱりな選手だな」


 淡は桃子との対局経験があるのだから当然その特性を知っている。

 菫に問い質されて先日知っている限りのことは話してもいる。

 それでも菫は納得がいっていなかったようで、自分の対戦相手ではないにも関わらず気にしていたようだ。


「……あの子は私と淡に近いかも。たぶんすれ違ったことはあると思うけど、匂いだけで姿は見れなかった」

「モモはステルスだから! 淡ちゃんもたまに直撃されてびっくりしたもん」

「淡ちゃんの絶対安全圏を突破できる実力者、ってことだよね」


 照が桃子のオカルトの強力さを示唆し、淡も同調する。

 その様子に尭深は本気で心配になってきたようで現在1位のチームとは思えないほど表情が暗い。

 そうなってしまえば先輩であり部長でもある菫は安心させるように振る舞う。

 一種の様式美なのかもしれない。


「それは厄介だが……安心しろ尭深。私が撃ち落としてやるさ」

「そうだね。頑張って菫」


 他の一同も弘世先輩が言うなら大丈夫だ、と見送りにかかる。

 そんなチームメイトに一度笑いかけると、射手たる少女は神妙な表情を作り、控室を出るのだった。


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               |`¨Τ=苧芹     V_ノ |::::::::::|:::::::|
               |::::::::::. V_ノ        l:::::/|:::::::|
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               |::::::::::|::::::::::Τ    ∨|:::::::|:::::::|
               |::l:::::::|:::/У     り:::::: l―┴ 、
               |::|:: 斗{/-、 , -/|::::::::::|   /-、
            ┌‐  ̄    |´ ̄ ̄/  :|::::::::::|--//
               ∧  \    |  /    .::::::::::///    |
              { `ト  \   l /   . -=/:::::::/´ /     {
           ノ |二ニ=- {  -=ニ二/:::::::::{  /      \
          /  /\二二ニ、∠二ニ= i::::|::::::|         }

            /  /   >‐〈ニニ/ニニ\ |::∧::::|    \__/  /
.          ∨ {  /二ニ/¨¨゙\ニニニl/、∨|  l「 ̄ ̄ ̄ `く
           ∨--/二ニ/  }  `¨¨¨¨¨   /{ニニニニニニニ |
              } 厶=イ    〉          /::|_ ┬―‐┬v'
          /__}     {         /::::::`¨|   :|¨′

「ああ、行ってくる」


ということで今日はここまででー

ご覧いただきありがとうございました
前スレに引き続きお楽しみいただければ幸いです

そろそろ始めていきまする

って安価スレじゃないからこういうのいらないっすね


『さて次鋒戦が始まろうとしています。瑞原プロ、それぞれの選手紹介をお願いします』


『はいはい、お任せあれ☆ それじゃ順位順に紹介していくね☆

 まずは白糸台の弘世菫ちゃん。シャープシューターとも呼ばれるロン和了が得意な選手だよ☆

 麻雀はツモ和了よりロン和了のほうが確率的に多いんだけど、それでも狙った相手から和了るっていうのはかなり難しいんだ☆

 そんな難しいことが得意、といえば菫ちゃんの凄さは伝わるかな?

 去年は照ちゃんの前でのオーダーだったけど、今年は照ちゃんの後でのオーダー。

 東京地区大会でも見られたけど、2位を狙って勢いを殺ぐとかいっそ4位を狙って試合を終わらせるか。

 そんな柔軟な戦術を採れるんだよ☆

 照ちゃんが1位で次鋒に回すのは既定路線だろうから、本当の試合はこの次鋒戦からかも☆

 

 次はチーム須賀の南浦数絵ちゃん。数絵ちゃんはマスターズクラスで活躍されている南浦聡プロのお孫さん☆

 熟練した渋い打ち回し、状況を読んでの追い上げ。そういった通好みの打ち方をみっちり仕込まれたみたい。

 前半は大人しいけど、南場に入ると一気に燃え上がるのが特徴だよ☆

 そんな数絵ちゃんを次鋒にオーダーするのはちょっとリスキーだと思うけど、先鋒の憩ちゃんをチーム皆が信頼してる証拠かな?

 そんな数絵ちゃんだから、ここでの成績次第で以降の試合展開を決定づけることもあるかも☆

 
 お次は3位の新道寺、安河内美子ちゃんだね。

 新道寺高校は、次鋒から順に強くなっていくようなオーダーを組んだらしいよ☆

 だから美子ちゃんは新道寺麻雀部で4番目に強いってことになるんだけど、全国で戦えるだけの実力者と言えるね☆

 美子ちゃんの特徴は、打ち筋を何パターンも持ってる柔軟さかな。

 相手に合わせてスタイルを変幻自在に対応させる、そんな打ち手だね。

 とはいっても良子ちゃん――戒能良子ちゃんね――ほど洗練されてはいないんだけど。

 そこはプロと学生の差、ということで納得してもらうしかないかな☆


 最後は4位の千代水高校から、米子涼ちゃん。この子は強いよ☆

 特徴のないオーソドックスな打ち手なんだけど、それだけに技量は高校生でも指折りなんだ☆

 勘も良いし、突出した点はないけど隙もない、お手本みたいな子だね☆

 全国でのエースクラスはみんなこのくらいは打てる、っていう子だからテレビの前のみんなはしっかり見ておくといいかも☆』

『ありがとうございました。……それでは次鋒戦、いよいよスタートです』



「「「「よろしくお願いします」」」」


南浦数絵
属性 :O
技量 :B
直感 :C
必然力:B
・スキル
【南風の神】銀
 スロースターターな運気を溜めることで後半の場を制す打法。
(効果A)
 場決めコンマに-50。
(効果B)
 南場の間、判定値を+40。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+20し打点を+2する。
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが2枚以上乗る。
(効果E)
 東場の間、判定を-5。


安河内美子
属性 :D
技量 :C
直感 :C
必然力:D
・スキル
【守備信頼感】
(効果A)
 放銃判定値を+15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-1。

【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。



弘世菫 
属性 :D 
技量 :A

直感 :B
必然力:B
・スキル
【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【シャープシューター】金 (狙い撃ち+キレ◎+選牌眼)
 難度の高い狙い撃ちを可能とする高い技量を称えた二つ名。
(効果A)
 素の聴牌コンマで2位以上のとき、和了判定値を+20する。
(効果B)
 このスキルが発動中に和了に成功した場合、任意の対象から出和了りできる。
 ただしこのスキル効果でロン和了する場合、最高打点は倍満となる。



米子涼
属性 :O      53
技量 :S
直感 :B
必然力:C
・スキル
なし




涼・美子・菫・数絵  の順

1半荘目

東一局  ドラ:七萬

美子(想定通りっちはいえ、削られしゅぎったい。ここは私が踏ん張らんといけんっち)

菫(優先標的は南浦数絵だ。3位4位を狙ってもいいが、この2回戦からは2位まで抜ける。

  ならば大将まで引きずり出して実力を見極める必要がある……)ギロッ

数絵(白糸台の標的は……やはり私ね。特に東場の私では凌ぐのは難しい。

   南入するまでは我慢よ、数絵)

涼「辛気臭いねぇ。せっかくの大舞台、麻雀は楽しまないと損だっての――ツモ。

  トイトイのみで1300オール!」


涼   41700
美子  42700
菫  176600
数絵 139000



東一局一本場  ドラ:二筒

涼「チッ。こりゃダメそ」

数絵(随分とあけすけな人。この程度で惑わされるつもりもないけれど)


「「「「ノーテン」」」」


涼   41700
美子  42700
菫  176600
数絵 139000



東二局流れ二本場  ドラ:九萬

数絵(よし、聴牌。次辺り引けそうな気がする)タンッ

涼「んー…… チャッ しゃーなし。ツモ。ツモのみの2本場で600・1000」


涼   43900
美子  41700
菫  176000
数絵 138400

東三局  ドラ:九萬

美子(やられた。安いばってん速か)

菫(和了られたが、いずれも安い。捨ておいても問題ないな。

  ……南浦の筋もだいたい読めてきた。そろそろ詰めていくか)タンッ

涼「お? 余所見するならもらうかんね。ロン、チートイドラで3200!」


涼   47100
美子  41700
菫  172800
数絵 138400



東四局  ドラ:北

菫(チッ。……まあいい。この手なら狙いを付けつつ高めが期待できる――)ギュッ

菫「リーチ」

数絵(リーチ! それにこの悪寒、狙われている……? 

   私の不要牌に寄せつつ狙うなら平和などの順子系で攻めるはず。

   とはいえ読めなければそれが分かっても……安牌がない)トン


                 /_ ̄`::ヽ_ ゚           マ /////ヌ ム

             / ̄::::´ ̄ヽ:::::::::::゚ヽ`ヽ          マ    ム ム
                /::::ア:::::::::::::::::::\:::゚::::::\::::::、         マ  //r v≦オ{
            //::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::ハ:::::::.         _ゝュ/八_j≠‐'
               ア::::::::::::::::::::::::::::::i:::::ハ:::: ....i:::::l::i       ィf 」ム__jムハ
           / :::::!:::::::!::::::::';:::::::::::゚:::::i!:::::::::::|:::::i:::.        Y  三三. ム
             '  ...i::::::::iハ::::::ヽ::::::゚ィz::i::::::::::::i::::::::::i       ⌒ヾ 「 マ ム
          i..:::::::l:::::::::};> ´ 7マ tji::::::::::::|:::::::::::!         {_リ  ハ  ム
           L::::」:;:ィハテj    ゞ'´!:;::::::::::j j::::::::|          マ Vハ  ム          _ ―rォ
           |:::::::::::ハ ゞ'        j:L;!/ /:!:::::::!           マ Vハ_ム __  ―=   ̄ ̄
           |:::::::::::::ハ  `        ィ{::::l::::::::|        r≠キ /////ハ―=   ̄ ̄
           |::::::::::::::::ム   ゚ `   イ  {::::::i::::::::|__ ―=  ̄ ヾ=<///`ー―
           j> ´ ̄ ̄ `ヽ,_, _ ―=7  ̄ ̄_\_    >-、  マ///[ ヽ
     -ー  ̄ ̄       ヾ{` 〉≦ ̄ ̄ /:::::::/ィ ̄ ア7⌒7 ̄  7{   ヽ マ//  イ
   /        _z、__ ヽ_)/ /  /:::::::/   イ/ /  仁ニニ{! ; > __)イ  / ヽ
   {        ,ィ T     ハ` ´ /=≠ /:::::/|    リ /  「≦'==ヘ!    |八_ ィ    {
   `ヾ _ イ | !     { |   /  / ィ/::::ム|    { !  !r―ニ二{.   i/(_  イ  ノ
      ` ヽj j! !      i八  ! /゚ /{::/ニi|    ム 、   マニニニ人  |!_( _  ィ {
          ̄ ̄>、   个ミ丶{ /  /゚j/ニニム    ム≧ュ_ゝ=キ  ´ ̄ L≧ュ__ イ
           /::::::`ヽ  j }`ヾj/ ムニ゚ニニ八     了/::::::::::::i      j了 ///|
            /::::::::::::::::7  ゝア ムニニ.゚ニニヽ    !::::::::::::::::::::|     h! /////{
            /::::::::::::::::/ /イ⌒ ムニニニニ゚ニニュ、 人:::::::::::::::::::i     人丶///ハ

菫「ロン。リーチ一発純チャン三色平和一盃口で16000!」ヒュンッ

数絵「うっ」ドスッ


『おっと、これは非常に痛い直撃!』

『数絵ちゃんはちょっと迂闊だったねー。チャンタ系で順子多め、ってところまでは読めてたみたいだけど、

 それで中張牌じゃなくてヤオチュー牌を切っちゃうのは反省点だゾ☆』


涼   47100
美子  41700
菫  188800
数絵 122400

南一局  ドラ:北

美子(しゃしゅのにやる)

涼(狙い撃ちで倍満とか、やっべーな!)ヒュゥッ♪

菫(ふっ。この程度で終わらせると思うなよ?)ギロッ

数絵(……倍満はさすがに痛いわね。これより痛いのかしら? っいえ、いったい何を考えてるのかしら!

   おかげで落ち着いてしまったというのが癪だわ。それに、南入してしまえばこっちのもの)

数絵「ツモ。ツモのみで300・500」


涼   46600
美子  41400
菫  188500
数絵 123500



南二局  ドラ:南

数絵「リーチ」

菫(安い、安すぎるな。さすがに一年では流すのが精いっぱいということか?)トン

数絵(安い、と思っているのでしょうね。だからって迂闊よ――)

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ヽ::::::::::::::::|::||:ト     `、 `ヽ、                           /::::::

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::::::;;;;;;`、;;ノノ    `、       `ー--、......____,,,....,、、‐''     ,/::/:::::::/:/

二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
::::゙l::::|ト ハ       `、                      ,,,//::::::;":;;/ /
:::人::ハ::::::`、        ヽ                ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/
::::::::Y::::\:::`、        `ヽ、,,,,,,,,         ,,,,,,/:::::::/::::ハ::::::::/
                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙

数絵「ロン! リーチ一発、南混一色ドラ3で16000!

   歯牙にもかけてないつもり? 南場は私のステージよ」ゴッ


涼   46600
美子  41400
菫  172500
数絵 139500

南三局  ドラ:七索

『南浦選手、見事な倍満返しです』

『菫ちゃんのお株を奪う勢いだねっ☆ ただ今のは菫ちゃんが油断しすぎだったかなあ』


美子(負けてられんけん)

美子「リーチ」

涼(む、もう安牌ない。……他も差し込むにはちょっと怖い感じだ。南無三!)タンッ

美子「ロン。リーチタンヤオ三色ドラ2で12000」

 <  /   /         /          ヽ、  } ',
   .冫   ./      ,ィ ./   !        !    . ヽ,/i  i
   /   /    /// .l   !      .l! .',  .ト、.i/i  l
  /  , イ   / l/  l   l,,イ    .!ト,,!_ | .', i/!  l
  / / ,'  /   l  l  l,, -‐''! jハ    i i !  厂 ! ! l   !
 ,'/  ,' ,ィ´    l ,.l-‐''.l\ l.    ':,  ! |/j∠  lハノl   !
    ,'/ l     l  ト{\{  ≧ミ   ヽノ イ,ィo:.ミヽ、l l  !
       l     l\i /,.ィ::O:ヽ `      { {:::::)}  ,l l   .l
       .l     l___''  { {::::::}}  r==ュ  乂ー'.ノ  l} !   l
       l     i-{  乂ー' ノ  .ノ   ヽ、_ _,,. イ l   !
          ',     ', ヽ、  ̄ /    ',       l  !  l
        .',     ',   ̄ ̄             l  ! ,'
        .',     ',         __ .、     イ / .,'
          ', 、   ',::..       ´     /.ノ .//
          ヽ{\  \:::>::...       イl/j/´
           ` \(\ヾ /, }≧  ー'  |\

涼   34600
美子  53400
菫  172500
数絵 139500

南四局  ドラ:四索

数絵「リーチ」


 数絵の背を押すように、暖かな風が吹いているような錯覚がその場を包む。

 三人ともに感じる、嫌な予感。このままではまずいと直感が囁く。


涼「チー!」シャッ

涼(これでツモ順もズレる、一発も消せた。上々だろ)

数絵「甘い。言ったはずよ? 南場は私のステージ。

    !: : : //::::::/: ::::::/:::::::::i::::::::::|ヽ::::::ヽ:::ヽ:.. 、ヽ
   丶/!: i:::: ::/   i  :: :!::  |:| ゙、:. ヽ :ヽ 、.i
      /: .i::::::::i:::::::::::!:::/::::/:::::::i::!   i:|::::::i::::::::i:::::i |
    /: : : i:::::::::|::::::::::|::/::::/!:::://ノ  |:|::::/::::::/:::::ハ!
.   / : : : λ:::::|:::::::::: /i∠ミ、/ノ   ナi:/ハ!/::::/
   \__/:::::、/,!::::::::::if/'´;;::i゙     f´;;::iY i::/
        |::::::{ i| :::::::::| ゝ;;;;ン     ゙、;;ン i::::|
        |::::::ヽ|::::::::::|             !::::|
        |::::::::::|::::::::::|          `     /:::::|
        |:!::::::::|::::::::::i\    - -   /:::::::::|
       |!:::::::::|::::::::::|| `...._      / |:::::::::|
      !::::::::::|::::::::::リ    `ーr‐'"´  |:::::::::|
       |:::::::::::!::::::::::|       |、ヽ    |:::::::::|
      ノ-‐'"´|::::::::|i|       | ヽ \ |:::::::::|

   ツモ。リーチツモ南チャンタ一盃口で6000オール!」


涼   28600
美子  47400
菫  166500
数絵 157500



南四局一本場  ドラ:九萬

数絵(さあ、まだまだ行きましょう!)トン

菫「ロン。あまり調子に乗られてはな。一気通貫ドラの1本場は2900」トスッ

.i.::.::.::{.::.::!.::.::.::.}::.}!::.::.i}::.::.:}i::.::.:.',:.ハ
.!.;:.::.::{.::.::i:i:.::.::.}!::}i::.::.}i:リ::.}i::.::.::.::,ハ
{.::.::.::.{.,i;;;;!};;;;;;;;}!;;} !;;_}ェz-チ}::.::.::.:i:ハ

.i.}.:',.::ヽ乍示勿    ゞ=゙'チ.::.::.::.:.i}从
.ヾ!',.',.:::ヾー ´        i::.:i::.:i;;;i゙
 }.i.:;ヾ;:.ゝヽ   丶    ハ;;i尤リ!
 i:.}.ヾ,,ヽヾ、     ‐ -  イ::.::!::.ii}i
. i::}::.:l:.::.:::.::}>:..  _. .: '.:{.::.::.:i::.i}::!
  !::i::.:!i'´`ヾー 、::. , '.: ./、::.::.::.:i.!::!
. {::.i::.:{  ::.. i≡ヾ   :.iノメ.ヾ、::i.i::i
,メi:::i : !   :i.:  :.ゝ  i./:. ヽ,冫i::i
//i:::.!/ヽ、  !ヾ、: : :ゝ、. }ゝ : .i ノリ从ゝ、
//i:::::!///ヽ、! ヾ、 ::〈 .iノ.:}. i }/////i//ヽ

/、 i::::i/////ヽ  ヾヤ三廾} i.}/////i///ハ
/.ヽi::::i、 /////ヽ  .ヾ≡=} i.!////冫///y

涼   28600
美子  47400
菫  169400
数絵 154600





『次鋒戦前半、終了いたしました。意地と意地がぶつかりあうような一幕がありましたね』

『そうだねえ。みんな若い★』

『……。休憩の後、後半スタートです。CMのあともチャンネルはそのままでお願いしますね♪』

2半荘目

東一局  ドラ:九萬

数絵(調子は悪くないのだけれど……たぶん、また狙われている)トン

菫「ロン。タンヤオ三色で3900」トスッ


涼   28600
美子  47400
菫  173300
数絵 150700



東二局  ドラ:二筒

数絵(今はまだ我慢ね)

菫(開始よりも点を減らし、着実に差を詰められてしまっている。存外、やる)

涼「蚊帳の外は寂しいねぇ。リーチ」

美子(……私だけやなくみんな聴牌できておらん。止められんけん)

涼「ツモ! リーチメンタンピンドラで2000・4000!」


涼   36600
美子  43400
菫  171300
数絵 148700



東三局  ドラ:六筒

                                               「!
                                                /⊥x‐-. .、__
                                             }>'´ ゚。: : ‘,: `: .、
                                              /: : : : : :゚ : : : ! : : : : :.
                                            ′ : : : : !: : : i : : : : : :
                                         /|_:_:_:_:i!_:_:}: : :|: : : : : |

                                          / ./} r‐┬|: : :| : : : : :|
                                          ! }ノ 廴ノ ,: : :__! : : : : : |
                                           } 八      ̄ ノ : : : : :|
                                         _}__:|_≧=r‐┬─ |: : : : : : :!
                                  _____`弋__|__|_|  |   | : : : : : !
                                  ` ────‐r‐ミ:  || 「 `ー‐!_:_:_:_:_:_/
                                           \_}  || |     ト、 ヽ
                                          ‘,゚。|| }───‐{ ヽ )
                                             ‘, { ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}三
                                                ‘,/  ̄ ̄ ̄ ̄‘, ̄
                                            }」≧‐r----r‐彳
                                             廴リ   廴リ

菫「ロン。タンヤオ平和で2900」

菫(私は須賀の勢いを殺すことに注力すればいい)


涼   36600
美子  43400
菫  174200
数絵 145800

東三局一本場  ドラ:一筒

『弘世選手、またも南浦選手を狙い撃ちです』

『菫ちゃんの今回の役割は、たぶん大将まで出させての情報収集だろうからね☆

 そうなると現在2位の数絵ちゃんを集中狙いして勢いを止めておきたい、ってことかな』

『なるほど。弘世選手は既に準決勝や決勝を見据えてのプレイングをしている、と』

『そういうことだね☆ ここら辺の意識は連覇中っていう自負があるからできることかも☆

 でも、あんまり先を見過ぎていると足元が疎かになっちゃうんだよね★』


涼「私も意地ってもんがあるからね。ツモ。白東混一色ツモの1本場で2100・4100!」


涼   44900
美子  41300
菫  170100
数絵 143700




東四局  ドラ:八萬

涼(うーん、届かないかな。聴牌維持しつつオリ傾向で)

菫(点数的に問題にはならないが、それでも調子は狂わされる……)

数絵(みんな手が重い? なら、ここはオリに徹して聴牌は崩しましょう)ニヤリ


「「「聴牌」」」

数絵「ノーテン」


涼   45900
美子  42300
菫  171100
数絵 140700

南一局  ドラ:北

数絵(さて、ここで、攻める!)

数絵「リーチ!」チャッ


 千点棒を放る数絵。吸い込まれるように溝にホールインワン。

 数絵の表情は無自覚に怪しい笑みを形作る。確信があるのだ、和了すると。

 配牌時点で一向聴、ドラ暗刻。ここで攻めずにいつ攻めるのか。


菫(……笑っている? 他の二人はオリるようだ。私も続くか? しかし、それは)トン 打:白

数絵「ロン!」


『あちゃ、菫ちゃんリーチ直後の字牌切りは迂闊過ぎだよ~』


数絵「リーチ一発北三色ドラ3で16000!」


 密室に風が吹き荒ぶ。


涼   45900
美子  42300
菫  155100
数絵 156700



南二局  ドラ:南

『逆転! ここで白糸台が捕まり2位に転落しました!』


菫(マズイ、今のはとんでもなくマズイぞ)

美子(……しゃしゅのに動揺しゅるか。牌が乱れとう)


数絵「聴牌」

「「「ノーテン」」」


涼   44900
美子  41300
菫  154100
数絵 159700

南三局流れ一本場  ドラ:六萬

涼(ひゃ~、倍満とか私が振ってたら試合終了だったよ)

涼「お、それロン! 三色のみの1本場で2900」


涼   47800
美子  38400
菫  154100
数絵 159700



南四局  ドラ:三萬

数絵(手なりで進めていたら聴牌してしまったけど……安いわね。どうしようかしら)

美子(うーん、分からん)トン

数絵(出ちゃったか。まあ、拾っておいてもいいわよね?)

数絵「ロン。七対子のみで2400。……続行で」


涼   47800
美子  36000
菫  154100
数絵 162100



南四局一本場  ドラ:八索

菫(ははは、欲張ったか一年! しかしこれは仕方ない。南場が得意だというなら尚更、稼ぎ足りないだろうからな)

涼「欲張るねぇ。ま、おかげで楽しかったよ南浦ちゃん。ロン! チャンタドラ2の1本場で8300、お疲れ!」


涼   56100
美子  36000
菫  154100
数絵 153800

『えー、次鋒戦終了いたしました。後半途中、一時順位が入れ替わりましたがオーラスで元鞘。


 1位は変わらず白糸台で154100点。

 弘世選手は前半を-8500、後半を-15300の合計-23800点でした。


 2位はチーム須賀で153800点。

 南浦選手は前半を+14300、後半を-800の合計+13500点でした。


 3位は千代水で56100点。

 米子選手は前半を-9200、後半を+27500の合計+18300点で区間トップ。


 4位は新道寺で36000点。

 南浦選手は前半を+3400、後半を-11400の合計-8000点でした。


 いかがでしたでしょうか、瑞原プロ』



『うーん、そうだねぇ……最後の数絵ちゃんはちょっと迂闊すぎたね☆


 涼ちゃんは打点はそこまで高くなかったけど、この二半荘で和了回数はトップ。

 それは卓についている数絵ちゃんも分かってたはずで、つまり涼ちゃんの調子がいいって分かってた。

 それに菫ちゃんにもずっと狙われてたからね☆

 最後に欲張らず和了り止めを選択していればトップでバトンを渡せたんだけど……。そこが残念な点かな☆

 それでも数絵ちゃんは南場10局中5回も和了していて平均打点も8000点を超えてるから、

 やっぱり調子に乗っちゃうのも仕方ない出来だったんだよね~☆

 そこをしっかりコントロールできるようになればさらに一段上に進める、って感じかな?


 あとはぁ……菫ちゃんもちょっと中途半端になっちゃったね。

 狙い撃つためには聴牌を維持したかったんだろうけど、その結果オリれなくて放銃に追い込まれる、

 ってことが何度かあったのが残念かも。


 最後は美子ちゃん。この卓内では実力が一段低かったかな。

 その分聴牌や和了が遅れて結果的に跳満和了の得点だけじゃ守り切れなかった感じ☆

 菫ちゃんも失点で言えば相当だけど、これ自体は研究されてる前年度優勝校だから仕方ない★』



『ありがとうございました。

 白熱のトップ争い。中堅戦で大きな動きはあるのか!? 乞うご期待です』

――須賀控室――

「ただいま戻りました」

「お疲れ数絵」「お疲れ様ですーぅ」「お疲れ様っす」「お疲れ様」

「すみません、最後の最後に捲られてしまって」


 控室に戻ってきた数絵は開口一番謝罪した。最後に続行を選択し、見事満貫を放銃したことを気に病んでいるのだろう。

 俺達はそんなこと気にしていないのだが、真面目な数絵のことだから自力ですぐ切り替えるというのは苦手なのだ。

 だから俺は軽く茶化すようにして慰めることにした。


「弘世さんに倍満直撃されたときはヒヤヒヤしたけど、きっちり盛り返してるんだから上々だって」

「そやね。次の渋谷尭深はオーラスの役満率が高いけど、必ず役満で和了れる言うわけやなさそやし」

「桃子なら先に和了ってしまうことも可能なはずよ」

「そういうことっす。私の後ろにはさらに絃さんと京ちゃんがいるっすからね!」


 皆もそれに続き、むしろ次があるのだから大丈夫だと目を逸らさせる方向のようだ。仲間を信頼しろ、ということでもある。


「おうよ。だからあの程度のミスは気にすんな」

「……ありがとう」


 そんな俺達の気持ちが伝わったか、強張っていた数絵の表情もふんわりと解けて可愛らしく笑顔を浮かべてくれる。

 やっぱり美人は笑っていてこそだ。


「さって、数ちゃんの憂い顔が晴れたところで私は行くっすよー」


 そうしていると、桃子の出場時間が近づいてきていた。

 既に準備を整えていたようで、すっくと立ち上がり体を捻るように軽いストレッチをして解している。


「モモ、応援してるからな」


 当たり前のことだが、改めて言葉にしておくことは大切だ。それを聞いた桃子は軽く目を見張り、そして朗らかに笑う。


「ふふっ。京ちゃんが応援してくれるなら百人力っすね。行ってくるっす!」

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『お昼の11時30分、いよいよ中堅戦となります。

 瑞原プロ、各校の選手紹介をお願いします』


『はーい☆

 それじゃまずは白糸台の渋谷尭深ちゃんから☆

 尭深ちゃんはオーラスに高い手を和了する確率がとっても高い子だよ☆

 でも何かジンクスがあるみたいで、それ以外の局は攻めっ気が薄いのが欠点かな。


 お次は須賀の東横桃子ちゃん☆

 桃子ちゃんはとっても影が薄いの☆ そのことで色々嫌な目にも遭ってきたらしいけど、

 今では大切な人のおかげで幸せなんだ、って言ってたよ☆』



『大切な人……それは』



『ダメだゾ☆ 女の子の秘密だからね~☆

 それで打ち方の特徴だけど、影の薄さを磨いて麻雀に活かしてるみたい。

 注目されなければ表情や雰囲気から手を読まれるってことを避けられるからね☆


 次は3位の千代水、鳥部綿南ちゃん☆

 ワタナちゃんは上手さと運で言えば望ちゃんや涼ちゃんには劣るんだけど、聴牌にこぎつける天性の勘があるんだ☆

 それだけじゃなくて一人聴牌かな、と思った時の思い切りの良さも魅力的☆

 情熱的な打牌は可能性を感じさせる、将来が楽しみな子だね☆


 最後は新道寺の江崎仁美ちゃん☆

 オーソドックスな打ち手だけど、不利な局面で力を発揮する逆境が得意なタイプだよ☆』



『ありがとうございました。それでは中堅戦、スタートです』

東横桃子(恋人特殊)
属性 :O
技量 :B68
直感 :A70
必然力:A70
補正値:43
・スキル
【神出鬼没】
 影の薄さを極め、帰る場所を見つけたことで覚醒した異能の力。
 異能に身を委ねても必ず見つけてもらえる愛の力。
 彼女は常にどこにでもいてどこにもいない。
(効果A)
 自らよりも必然力の低い他家に放銃しない。
(効果B)
 聴牌・和了判定値を+30。
(効果C)
 和了形がロンのとき、和了判定値をさらに+20。
(効果D)
 和了を放棄することで、次の局に満貫以上の和了が確定する。
 この際の和了における和了形・出先を自由に決定できる。
(効果E)
 和了連続放棄の回数が増える度に確定和了の打点が+1されていく。
(効果F)
 聴牌に成功した場合、聴牌コンマを反転した数値分を和了判定値に50まで加算する。


江崎仁美
属性 :D
技量 :D
直感 :D
必然力:D
・スキル
【なんもかんも政治が悪い】
 ミスを責任転嫁して開き直る強い(?)心。
(効果A)
 自身が不利な状況で判定コンマを+20。
(効果B)
 放銃した場合、打点を-2。

渋谷尭深
属性 :O
技量 :D
直感 :C
必然力:B
・スキル
【ハーベストタイム】銀
 因果応報の異能力。第一打牌がオーラスの配牌で結実する。
 オーラスまでの経過局数に応じて効果が変動。
(効果A)
 聴牌・和了判定値を-10。
(効果B)
 聴牌判定値を(局数-6)×10上昇、和了判定値を(局数-6)×10上昇。
(効果C)
 局数が7~8のとき、打点を+2翻。9~10のとき、打点を+3翻。
 11のとき、打点を+4翻。12~13のとき、打点を+5翻。
(効果D)
 オーラスまでの経過局数が14のとき、天和地和人和を強制和了。
(効果E)
 連荘になった場合、14局の場合は1局、それ以下の局数の場合は
 2局に1ずつ仕込みが減少していく。
(効果F)
 オーラス時には効果Aを無視する。
(効果G)
 このスキル効果は原則無効化されない。




鳥部綿南 
属性 :D        54
技量 :A
直感 :D
必然力:C
・スキル
【アベレージヒッター】
(効果A)
 聴牌判定を+20。
(効果B)
 和了判定を+15。
(効果C)
 打点が流局である場合、一度だけ再判定する。
 ただしこのとき再判定された打点は満貫未満になる。

【チャンス◎】
(効果A)
 リーチをかけたとき、和了判定を+20し打点も+2する。
(効果B)
 一人聴牌のとき、和了判定を+20し打点を+2する。効果Aと重複する。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。




桃子・尭深・仁美・綿南  の順

1半荘目

東一局  ドラ:六筒

モモ(さて、どう動くっすかね。事前のデータを見る限りではオーラス以外の渋谷尭深は警戒に値しないっすけど)

尭深(まずは一蒔き。オーラスまであまり失点しなければいいよね)トン

仁美「ロン。東チャンタで3900」


桃 153800
尭 150200
仁  39900
綿  56100


東二局  ドラ:北

モモ(む、悩んでる間に和了られたっすね。今回は……待ちが悪すぎて無理かも)


モモ&尭深「「聴牌」」

仁美&綿南「「ノーテン」」


桃 155300
尭 151700
仁  38400
綿  54600


東二局一本場  ドラ:二索

モモ&尭深「「聴牌」」

仁美&綿南「「ノーテン」」


桃 156800
尭 153200
仁  36900
綿  53100


東二局二本場  ドラ:三筒

綿南(よくないな。渋谷尭深は局が嵩むほどオーラスでの和了率と打点が上がる。

   無理矢理にでも和了って流すべきだ)

仁美(……鳥部やったか、安いん張っちるな)トン

綿南「! ロン。タンヤオのみの2本場で1600」


桃 156800
尭 153200
仁  35300
綿  54700

東三局  ドラ:八筒

モモ(張ったはいいっすけど、ツモのみのゴミ手っすね。ここは和了らずに忍ぶっすよ)

綿南「ロン。一気通貫のみで1000」


桃 156800
尭 153200
仁  34300
綿  55700


東四局  ドラ:一索

モモ(うひゃぁ、九種九牌……。いっそ国士狙ってみるのもアリっすかね)

綿南(また安手……。ダメだ、これを和了っても渋谷のオーラス次第ではむしろマイナス。崩そう)


「「「「ノーテン」」」」


桃 156800
尭 153200
仁  34300
綿  55700



南一局流れ一本場  ドラ:一萬

モモ(変なことしたせいで和了りが遠のいた気が……。もっかい仕込み直しっす)

尭深「聴牌」

「「「ノーテン」」」


桃 155800
尭 156200
仁  33300
綿  54700

南二局流れ二本場  ドラ:西

モモ(さて、また連荘されても面倒っすからね。お覚悟――)

尭深(ここまでは順調。でもまだ大三元は仕込めてないから)トン

モモ「ロン! っすよ。メンタンピンイーペードラの2本場は8600!」


桃 164400
尭 147600
仁  33300
綿  54700


南三局  ドラ:七索

モモ(……ツモっちゃったっすね。どうするか……。いいや、和了っちゃおう)

モモ「ツモ! トイトイのみで700・1300!」


桃 167100
尭 146900
仁  32000
綿  54000


南四局  ドラ:五筒

尭深(東横さん、本当に気付いたら和了られてるって感じだ。でも……オーラスなら関係ないよね。

   蒔かれた種は芽吹き、結実する――ハーベストタイム!)

                         /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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                 /  /:::::/:::l::::l:::l八{_ 从:::::::l:| ___ }从:人リ::::::|
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                    \:八:{::::::::.、    ‘='  ー=≠彡仏イ
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                        \{⌒_}  --   {__
                        /~\__ノ     乂_ `丶
      _         __  -‐      ‘,        }
     ⌒ヽ: : : :.―――<\\         ‘ー- __   _,|      \
        ∨: : : : : : : : : : \\\        { ̄    `丶 /       //〉
        ∨: : : : : : : : : : : :\\\       { ̄ ̄〉  __,/       //∧
.        _人: : : : : \: : : : : : :\\\      ‘, /´ /        // ∧
    /: : : : : \: : : : : \: : : : : : :\\\     ∨   ,/      /// / ,∧
   /´ ̄ ̄\: : :.\: : : : : : ---: : }: :.\\\    ∨ ∠ニニニニニ /:/ ∨ / ∧
          ̄ ̄{\:_:_:_:_:_彡ヘ:.{: : : : \\  ̄ ̄ ∨  . . -‐=彡: : / ̄ ∨
            ∨   /    \: : : : : :≧===‐ ┼‐==≦:_:_:_:_/    ∨
              \__{     \: : : : : : : : : :}/\: : : :\         }
              {-- 八      \: : : : : : /7:l: : }: : : : : }       八

尭深「ツモ。……小三元ツモで2000・4000」


桃 165100
尭 154900
仁  30000
綿  50000


『中堅戦前半が終了いたしました。渋谷選手は役満を和了りませんでしたね』

『局数は十分だったと思うけど、あまりいい手が引けなかったみたいだね~。

 桃子ちゃんと綿南ちゃんも聴牌してたし、和了れないよりは、って選択かな☆』

『なるほど。実際に僅かとはいえプラスに戻しましたし、妥当な判断だったのかもしれませんね。

 CMの後は後半戦。お見逃しなく』


『中堅戦前半が終了いたしました。渋谷選手は役満を和了りませんでしたね』

『局数は十分だったと思うけど、あまりいい手が引けなかったみたいだね~。

 桃子ちゃんと綿南ちゃんも聴牌してたし、和了れないよりは、って選択かな☆』

『なるほど。実際に僅かとはいえプラスに戻しましたし、妥当な判断だったのかもしれませんね。

 CMの後は後半戦。お見逃しなく』

2半荘目

東一局  ドラ:東

モモ(さて、聴牌。……でも渋谷さんから出そうにないんすよねぇ。それにザンク程度では)トン


『おっと、東横選手ツモりましたが見逃すようですね』

『これは悪手だね☆ ちょっと他家を侮りすぎ。見えないんだからしょうがないけど……』


綿南(これは天祐。配牌時点で小三元。そしてついに大三元が揃った。この流れなら当然、次に引くのは――)

  fヾ:.:.:l:.i:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./  ./:.:/ /           !:.ハ:.:.:.:.:.:.:.:':.:.:.:.:.:イrく.
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  | l:.:.:!:.!:.:.:.:.:/}:.:.:.:.:.:/、   ./:.:/ /          ,.斗" }i:.:./:./:.: ィ:.:.:!  .l
___キ .!:.r‐キ:.:.:/=j:.:.:/=ミ≧x/:.:/       _,.<=≠=ミ!:.片:/- .、:l   !___
:.:.:∧.!:.\l:.:./ 〈.|:./ じ{::}`!`ミ!:./≧´   `≦ 彡ィ' じ{::}`!¨j://ァ  /)ノ:! /:.:.:.:.:.:
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:.:.:. イ|:.:.:.:!"ゝ.    ー――    ノ イ ̄ヽ ゝ   ――一   /.イ:.:.:.:.! `i>.:.:
'´| :| !:.:.:.圦  ミx____..イ/ ::!   ヾミx _____..イ//:.:.:.:.:.! .!   i
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 :  ! l:.:.:.:.:|     ゝ::                 、    イ    |:.:.:.:l  .′ ′
 ミ :、 .!:.:.:.:.|     ∨>、     --- ―― ‐一 "´   ///    .|:.:.:.'  /   /
  ヽ ヾ:.:.:.:.ト、    V∧\               / //     !:./ ./   /

綿南「私の当たり牌だよなァ! ツモ! 大三元で8000・16000!」

モモ「えっ!?」

                   ______
                 ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..、
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          |:! !::::::|:::::::|::::::::|::|/ /`¨    .|-!';:::!:::::|:::::::::l::::::|::!
         |! ヽ::::トレ::|斗イ/ / }     _| ';|::l:::!:::://::::/:/

桃 149100
尭 146900
仁  22000
綿  82000

東二局  ドラ:八萬

モモ(役満親被りは痛いってレベルじゃないっすよ!

   ……とはいえ点差を考えれば千代水と新道寺は飛ぶかどうかくらいしか気にしなくてもいいっす。

   淡ちゃんと京ちゃんを戦わせてあげたいっすから。それでも積極的に狙わないってだけっすけど!)

モモ「ロン! イッツ―イーペーピンフドラドラで8000!」


桃 157100
尭 138900
仁  22000
綿  82000


東三局  ドラ:五萬

『挫けず白糸台狙いを継続するみたいだね☆』

『東横選手も弘世選手のような狙い撃ちの名手なのでしょうか?』

『うーん、見逃すと次局以降に良い手が入って、それが取りたい相手の不要牌を上手く待てるものになる……のかな?

 暗殺者みたいだね☆』

『物騒な例えですね。しかし、東横選手が新道寺高校を狙わない理由は何かあるのでしょうか』

『抽選会での一幕は知ってるよね? だから須賀君と淡ちゃんを同卓させたいんじゃないかな』

『それはその、言いにくいのですが……』

『あ、手抜きってわけじゃないと思うよ? 須賀君たちとしてもきちんと白糸台の実力を確認しておきたいんだと思う☆

 多少狙ったくらいじゃ3位以下になるとも思ってないのかも』


仁美(この点はまずいちゃ。攻めるにも守るにも中途半端やけん……)トン

尭深(……タンヤオのみとはいえ、和了るべき? 新道寺は聴牌してなさそうだし、しても崩すかも。だったら)

尭深「ロン。タンヤオのみで1000」


桃 157100
尭 139900
仁  21000
綿  82000

東四局  ドラ:三筒

綿南(意外だな。安手なら聴牌維持で見逃すだろうと思っていたんだけど。

   まあいいさ。役満のおかげでようやく2位の背が見えてきたんだ。ここは攻める――)

綿南「通らば――」

モモ「通さないっすよ。ロン! 純チャンのみで5200っす!」


桃 162300
尭 139900
仁  21000
綿  76800



南一局  ドラ:六索

モモ(ふむ、配牌は良かったっすけど……ツモが完全に裏目でちぐはぐっすね)

綿南(くっ、なぜあんな見え見えの手に私は振り込んだ? 油断したとでもいうのか!)タンッ

尭深「ロン。七対子ドラ2で6400」


桃 162300
尭 146300
仁  21000
綿  70400



南二局  ドラ:西

綿南(チッ! いや、落ち着け。ここで焦ってはせっかく縮めた差が水の泡だ。

   幸い須賀は私を狙う気はないようだ。新道寺はとにかく点が欲しいだろうからお構いなしだろうけど……。

   でもまだ聴牌にたどり着いてないはず。だったら仕掛けて取り返すのみ!)

綿南「リーチ!」

モモ(あれは……まずいっすね。渾身、って感じっすよ。桑原桑原)

尭深(っ! 安牌がない。……通って)トン

綿南「ロンだ! リーチ一発西ドラ3……裏は無しで12000!」


桃 162300
尭 134300
仁  21000
綿  82400

南三局  ドラ:六筒

『今のは気持ちの入った良い和了だったよ☆

 尭深ちゃんは気を付けないとこのままずるずると捕まっちゃうかも?』


綿南「ロン! チャンタのみで2600!」


桃 162300
尭 131700
仁  21000
綿  85000


南四局  ドラ:二筒

尭深(くぅっ! でも、仕込みは万端です。スロットは最低だけど白と中は対子、發は刻子で揃えられた。

   さあ、ハーベストタ――)

「甘いっすよねぇ」

              ....-―…―-..
            /:::::::::::::::::::::::::::::\

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            _/:::::::::l::::::::::::!::::::l::::::::::::::::::::::\
           ノ、!::|::|::::{\::::::|;ハ::}:::::::::::::::::::::::::::ヽ
         lヽ)l::|::|:::|:l テ刈 ヽ:::ヽヽ:::::::::::::ヽ:::!
         |人ヾ!从ノ  ゞ'|!  ト:::::V:::::\::::::::\
           /   /\__  |!   ノ|\:::::\:::\::::::::\
        /   ,:::!|::ヽ. |! '    {ヽ:::::::l:::::::ヽ:::::::::ヽ
          /   /::::!|::::::`二ニ1   У}:::「7::::ト 、::l:::::::',
       , '   ム-‐ ´|「.:.:.:_/' _,.. /.:.从!/}/´ ヽ\ハ::!
     /     ノ  _| {{!.:.:./○>'.:.:.:._:.ノ=- ヽ 〉.:.\
      |    /}} /  ヽミ|/-=フ/      /.:.:.:.:.:.:\
      |  _,. -}},イ -=,.ィ }-{ ヽ   }     l ム.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
     `¨ \/ム  /  /ニ=}  Уニニミ  / {   ̄ ̄ ̄`
            ヽ}  ハ-イヽ/二ニニミ`ヽ}/
               } /= __ ヽ/   ヽヽ /
             |' -=ニニ/   /-∨

尭深「え?」

モモ「二度もやらせるわけないっすよ? ロン。リーチ一発タンピンドラで8000。人和じゃないのが心残りっす」

   ,′.:.:/.:.!.:.:.:.|.:.:!.:.:.|.:.:.|.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.|    }.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
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   |.:/!.:.:.:ハ.:.:|.:.|:/: : : :/ |`: . 、         , .イ: :|! :.|: :/.:.:.:.:.:.:/.:./--、

桃 170300
尭 123700
仁  21000
綿  85000


『中堅戦、終了いたしました。なんと順位が入れ替わり、王者が1位を明け渡しました!


 1位はチーム須賀で170300点。

 東横選手は前半+11300、後半+5200で合計+16500点となりました。


 2位は白糸台高校、123700点。

 渋谷選手は前半+800、後半-31200で合計-30400点となりました。


 3位は大きく伸びて千代水高校、85000点。

 鳥部選手は前半-6100、後半+35000で合計+28900点となり区間トップ。


 4位は残り点数が厳しくなってまいりました新道寺高校、21000点。

 江崎選手は前半-6000、後半-9000で合計-15000点となりました。


 中堅戦の総評をお願いします、瑞原プロ』



『はい☆ やっぱり尭深ちゃんの失点が大きかったね。

 前半のオーラスは和了りこそしたけど満貫止まりで、後半は読まれちゃったのかむしろ満貫放銃。

 自分の中のルーチンを守るのはリズムを作る上で大事なんだけど、それに頼り過ぎているとこうなっちゃう、って見本かな★


 それは桃子ちゃんにも言えることだね。結果だけを見れば悪くないんだけど、

 後半の東一局、見逃しをしなければ役満の親被りは避けられたからね☆

 親被りの16000点がなければ収支でもトップだったから、ここは反省点だゾ☆


 そして綿南ちゃん。綿南ちゃんは良い麻雀してたね☆

 前半こそ揮わなかったけど、後半はなかなか良かったよ☆

 役満和了で浮き足立っちゃったのは減点だけど、放銃してまた持ち直したから帳消しかな?


 最後は仁美ちゃんだけど……安手に差し込んだりとテクニカルな動きも見せてくれたけど、

 それでツキを逃しちゃったのかも。開幕で3900を先制して以降は和了もできなかったねー。

 放銃回数も4回とちょっと多めだから、残念だけど当然の結果になっちゃった☆』



『ありがとうございました。

 中堅戦も終わり2位争いが荒れる予感を湛え、副将戦へと移行します。

 王者は持ち直すのか! あるいは失陥してしまうのか!? お見逃しなく!』

――須賀控室――

「ただいまっすー」

「おかえりモモ」「おかえりですーぅ」「おかえりなさい」「おかえり」

「役満親被りはやっちまったな、モモ」


 そーっと帰ってきた桃子に、俺達は気にせずそう声をかけた。

 変に気にしているようなら笑い飛ばしてしまえば桃子も気が楽だろうからだ。

 桃子はぼっちだったからか、他人の機微に聡いところがある。だからそんな空気を察したのだろう素直に話題に乗ってきた。


「うっ、で、でもさすがに役満は読めないっすよ」

「瑞原プロがダメ出ししてたわよ?」

「ひぇっ、わ、私の体は京ちゃんだけのものっすからね!?」

「いや、嬉しいけどなんでそうなるんだ……?」


 素直にプレイングミスを認めた桃子に追撃する数絵。そんな数絵の追撃に桃子はなぜか過剰反応を示した。

 俺だけの桃子、男としては非常に胸が熱くなる言葉だが、どうしてそんな言い方をするのか理解が追いつかない。


「モモちゃんは瑞原プロに牌のお姉さん候補としてロックオンされてたみたいやしねーぇ」

「私は京ちゃんと一緒にいられればいいんすよ! だから芸能界とか嫌っす、汚っさんにおべっか使うとか無理!」

「いや、さすがに枕営業強制は……」


 理解できていない俺を見かねた憩さんが言葉を足すように言う。

 確かに合宿中、瑞原プロが桃子や和、美穂子さんにそんな誘いをかけていた覚えはある。

 半ば本気の勧誘であったとは感じていたが……それでも桃子の発言は飛躍しすぎじゃないか?


「芸事の世界は醜い人の欲望が渦巻いているわ。

 瑞原はやりは賢しいもの、遠回りこそ近道だと理解していたわ。

 でも賢しくもなく意思もないのであれば、黒い沼に呑まれるのがオチだわ」


 首をひねった俺に今度は絃さんが追い打ちをかけてくる。

 瑞原プロを呼び捨てにしているのもそうだが……芸能界の何を知っているのか。

 前々から発言が意味深で大物感を覚えさせる上から目線ではあったが、18歳の女の子であるはずだ。

 眉をひそめてしまった俺を見た絃さんはふっと表情を和らげ、淫靡な雰囲気を漏れさせて俺の手を取る。


「くふっ、安心して頂戴京太郎さん? わたし達はあなたの女なのだから。

 ……それじゃ、行ってくるわ。京太郎さんの歩く道はわたしが均してあげる。クフフフフ」

――白糸台控室――

「申し訳ありませんでした」


 尭深が深々と腰を曲げ、頭を下げる。それを困ったように見る照と菫。

 淡は我関せずといった自由さでスティックチョコをポリポリと齧っていて、誠子はやや心配げに三人を見ている。


「……お前に謝られたら私も堂々とはしていられないんだがな」


 そういう菫も2万4千点ほどの失点をしているのだ。尭深は3万点。結果にそれほど大きな差はない。


「東横さんの実力も肌で分かった。2位以内で終わらせてしまえば次の機会もある」

「モモ? やっぱ尭深じゃあれは躱せないよねー」

「淡、残るは亦野とお前だけなんだからあまり気を緩めるんじゃない」

「えー? スミレは心配性すぎ!」

「先輩をつけろと言ったろ?」

「2万点も取られた部長なんて知らないよーだ」

「」ブチッ


 照が尭深を諭すがそれを淡が混ぜっ返す。そしてそれを注意する菫だが聞き耳持たない淡。

 白糸台高校チーム虎姫のいつもの日常風景。

 安心感すら覚える光景に自然と尭深の表情も緩む。

 それを見て誠子も安心したように息を吐く。


「誠子、相手は霜崎絃だけど……誠子ならやれるはず。頑張って」


 弛緩した空気の中で不意の照からの激励。油断していた誠子は鼻の奥にツンとしたものを感じた。

 憧れの先輩から直接の激励を受けたのだ、これで気合が入らないなど、嘘だ。


                 、、_,/(ィ-―ァ
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            /ィ   ,.、,、、  、    \
            /...;、;リ'"  ` ヽiヽ:.、:.:.:.:.:.. ヽ
            /;.:リ'           jハ:.:.:.:.:.:.:!、
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           | !、i< ('::i゙     ´Lン'゙ |^ }:i:N
               、!               /ル
                 i   ′      ,:‐'/
                  丶   ‐--   ,.:V′
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                      〕´     |-.、
              _,...-‐''/7   __/   `丶、_
           rrr''"    i   ′/        >>、
          λi:!      |   /         //  ヽ
          / ヽヾ、     |  /    ,,:=='"イ

「――はい、先輩。白糸台レギュラーの実力……しっかと見せつけてきますよ!」


『ついに2回戦A卓も折り返しを過ぎ、副将戦が開始されようとしています。

 瑞原プロ、見所をお教えいただけますか?』



『そうだねー、先に紹介からしちゃおっか。


 まずはトップに立った須賀の霜崎絃ちゃんから☆

 絃ちゃんは去年は千葉から出場してたねー☆ でも今年は長野から♪

 ミステリアスな美人さんだけど、打ち方もなかなかに不思議なんだ。

 理牌が独特で、何かそこにジンクスを持ってそうな感じ☆

 そして絃ちゃんはロン和了が得意みたいで、ノってくるとかなり妖艶な感じになるんだよね~。

 全国でも十分エース格としてやっていける実力者だから、この副将戦は彼女の動向が鍵かも☆


 次は2位の白糸台、亦野誠子ちゃん☆

 誠子ちゃんは三回副露すると高確率で和了する、っていうことが多い選手だね☆

 ただ多くの副露をするってことは手牌が晒されて読まれやすいってことでもあるから……

 さらに打点も下がらないようにするには役が絞られて難しい打ち方だよ☆

 研究もされてるだろうからなかなか厳しい戦いを強いられちゃうね。


 3位の千代水、須佐世利ちゃん☆

 世利ちゃんは……うーん。妙な威圧感がある子だね。槓をすると槓ドラが乗りやすいみたいだね☆

 その分手に刻子や槓子を作るように待つからこの子も役が限られて読まれやすいかも?

 盛り返した千代水がどこまで頑張れるか、これが見所だよ☆


 最後は4位の新道寺、白水哩ちゃん☆

 哩ちゃんは普通に強いよ☆ たまに自分で飜縛りをしてる感じだから、何かジンクスがあるんだろうね☆』



『ありがとうございました。副将戦、ついにスタートです』

霜崎絃
属性 :O
技量 :B
直感 :B
必然力:A
・スキル
【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【奇門遁甲:石兵八陣】
(効果A)
 他家の判定コンマを-10。
(効果B)
 自身の素の判定コンマに1が含まれ、
 かつ他家の素の判定コンマに6が含まれる場合はその他家から直撃を取る。
(効果C)
 効果Bが発動するためには、聴牌成功かつ和了判定値が3位以上でなければならない

【邪仙術:人頭桃】
 他家からロン和了するたびに全ステータスが+5されていく。



白水哩
属性 :D
技量 :A
直感 :B
必然力:C
・スキル
【アベレージヒッター】
(効果A)
 聴牌判定を+20。
(効果B)
 和了判定を+15。
(効果C)
 打点が流局である場合、一度だけ再判定する。
 ただしこのとき再判定された打点は満貫未満になる。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【リザベーション:縛】
 オカルトの域にまで達した強い絆。
 翻数を指定して聴牌判定時に発動できる。
(効果A)
 指定した翻数×10だけ聴牌・和了判定値をマイナスする。
(効果B)
 この状態で和了に成功した場合、指定した翻数の打点で和了する。
(効果C)
 効果Bでの和了を鍵として【鶴田姫子】に託す。

亦野誠子
属性 :O
技量 :D
直感 :C
必然力:C
・スキル
【ピンチ×】赤
 放銃判定を-10し、放銃した場合にその打点を+1。

【対リーチ×】赤
 他家がリーチをかけた場合、自身の判定を-10。

【キレ×】赤
 自身の和了形がロンの場合、判定を-10し打点を-1する。

【守備難】赤
(効果A)
 放銃判定値を-15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を+1。

【浮沈の見極め】銀
 三副露後に間を置いて必ず当たりを引ける異能力。
 自身の素の聴牌コンマが2位以上のときに発動できる。
(効果A)
 和了判定値を+30。
(効果B)
 聴牌コンマで自身と自身以下の他家との差が35~50以上の場合、強制和了。
 ただし差が30~35の場合は2翻、36~50の場合は1翻打点が下がる。
(効果C)
 効果Bによって打点が下がったときに0翻以下になった場合、
 和了不能となり和了権が他家に移動する。




須佐世利
属性 :D        88
技量 :B
直感 :D
必然力:G
・スキル
【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【厄寄せ】黒
(効果A)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果B)
 効果Aが発動中に和了に成功した場合、槓ドラを丸々乗せる。打点を+4翻。
(効果C)
 効果Aが発動中に他家にロンになるゾロ目が出ている場合、槍槓となり放銃する。





世利・誠子・哩・絃  の順

1半荘目

東一局  ドラ:白

誠子(霜崎絃と白水哩……。強敵だが、私だって白糸台で宮永先輩のチームに選ばれたんだ。

   倒してみせる)

絃「ツモ。トイトイのみで500・1000」


世  84000
誠 123200
哩  20500
絃 172300


東二局  ドラ:八索

哩(こぎゃん点差、なんぼ私と姫子っちしても厳しか。

  やけんちょこっとばってん仕込まなかっち――リザベーション3!)キュッ

        -‐…‐-ミ
    / . : : : : : : : : . ヽ
  〃 . : : : : : : : : :.\ : . \                                                      ] [
  / . : : ト 、: : : : : :. :.\ : : :.                                                 |ロ|
 .' . : : 八  \:.ヽ从,xzっ=、::.                                                 ] [
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 |八: : : .\\ゝ   ″.:.:.   i /i人从/ ___ ノ . : : -───く                             ] [
 |:.:..ヽ:.:..ヽ:.:,xz=   '    从/VV//⌒≧: : : : : : : : : : : : : : : : :.\                             |ロ|
 |: : : :.\、C".:.:.:.   ,r‐ ∠ニハし'   ´    `ヽ___< ̄ ̄ `ヽ)                            ] [
 | : : : : : i ミt、      ∠ニニニア、⌒         ∨7=- _`ヽ                                 |ロ|
 |:.i: :. :. :.|    ≧=≦くニニニアニア=-   _     ∨7=-  ̄ ̄ ̄ `ー─-------/\                    ] [
エ:.:i: : :. :.ハエエエエア `"´  ̄ \ニニニニニ「レアニニニニニニ二二\     __/  /て                    |ロ|
  {:.i: : : :. :.\,≦/            \ニニ/, 〈ニニニニニニニニニニニニニ\ ̄ ̄ {  {ー=彡'ニニ{               ] [
  |八: : : : : : .\{´  `ヽ'.         `ー'^'┴=ニニニニニニニニニニニニニ>     {ニニニニニニ/=-  _            |ロ|
  |  \: : : : : : :.>    八                    \ノノ           /{  {ニニ三三j         =-   _         ] [
  |   \ト、__>  ,xニヘ              O\      /   廴ノニニニ△/                }\人从|ロ|人,ィ
  |             \〃´   >一           〃  \__∠__彡'ニニニニ{                     /ニニ=┘ _〈
                 \     ` _                   ∨ニニニニ=‐-  _ニニニニ}                   /ニニニニニニ〉_
                 \     \`ヽ }          ∨ニニニニニニニニ=‐r=/                 /ニニニニニニ7
                 \〉    ⌒\∨ , -=ニ>        ∨ニニニニニニニニ/V                 /ニニニニニニ7
                    {       \マ´          ∨ニニニニニニニ/ニ=‐-  _           ,ニニニニニニ〃
                      \{         ヽ           ∨>ニニニニ/、       ニ=‐-    _   {ニニニニニニ{
                       \      ヽ            /∨ニニ=‐v   \            〃 Lニニニニニニj__
                       \     ハ      / ∠ニニニ7       \           ⌒ヽ    ̄ ̄ (
                       \ 人从人ヾヘ  / ∠ニニニニ/           \           Y⌒Y⌒Y⌒ヽ
                         _)     ∠ニニニ、__∠ニニA__ノ              \
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                                  LLLヲ        ` 、                    \

哩「くぅっ……ツモ! 面前三色で1000・2000!」


世  83000
誠 121200
哩  24500
絃 171300

東三局  ドラ:東

                   /: : :/: |: :|: :|: !: : : : : ,'!: |: |: |:|: :.|:'; :!
                   i: : : :|: :ハ: ! i.:|:.ト; : : :./ !/i;.'i :l:,l: :.ト、',:i
                   | ; : :|;|:|-|:廾:トヾヽ: :/ /'ナナナハノi|ー-,トi
                   |:|: : : N,ィ=朴、:::..ヽ|   ''テ=メ、イ;.:':/ |
                   |:|: ; : `i弋_,!..       .廴,_ノ ´ !:./.:| |
                   |:|: |: : :|::..              ハ:.!: | |
.                  i:.|: |: l: |::.       ′      / ,!:|: :!」
           ィ'|       |:.|: |: |: !:::..   ー‐_‐,ァ    //: :!: | |
         /| |      ! |: |: :! |ヽ、:         /´!: : : !:.! |

  __ ,. 、    | ,l |      i: ト、|: :| :!: :!;ゝ、      ,イ: : : :!: : : :!:.! |
._/ / /`メ-、 」,ハ| |__/',   !:/ ヽ !.:|: :|!: i ` ー-ー ´ |: !: : : :|: : : : !:! |
/ / / / f´メ-^' ヽ、  i  .i/    \!: |: :|       !: |: : : :!: : : : :!ド
         {_'>-、, ,./  | /  ,、   \ノ         !: !: : : |: : : : : !!
         ! `> ,// ̄i  !/  ハ: iヽ、  ヽ ____ヽ、: :.|: : : : : :!!
      / / レ//  ,!    /´|: |: : `!ヽ、 __,.. -ー '´__ ゝY、_: : : :!!
      イ /  //-、'´ |   /   !: !: : : !            | |  ` ー- 、
|  _,. -=彳 ヽ//  ヽ  !  /    |: |: : : |             | |       〉、
ィ'    /ソ   ド   ヽ ト '"    l人: ヽ|            //    ,  / |
    / イ   _!     !       | |\;.!           //      ! /  !

世利「うふっ、リーチです」


 千代水の副将、須佐世利が妖しげに笑いリーチを宣言したその瞬間。

 既に晒されている槓子が突如色を失ったように錯覚した。

 槓ドラとして丸々乗っている、和了れば満貫が確定している手。

 枯れるように失われた色はその不気味さを際立たせ否応なく警戒させられる。

 絃は背筋に走った怖気を鬱陶しそうに振り払うと、改めて須佐世利を眺めた。


絃(良くない気だわ。

  わたしが言えたことじゃないのだけど……京太郎さんに会わせてはいけないと勘が言ってるもの)

世利「ツモです。リーチツモドラ4で3000・6000……ふふふ」


世  95000
誠 118200
哩  18500
絃 168300

東四局  ドラ:五筒

絃(……アレは早めに潰しておくべきだと思うのだけど、それでもここで固執するのも良くないわ。

  リーチもできるけど、崩して流しましょう。幸い誰もわたしの陣から抜け出てはいないのだから)


哩「聴牌」

「「「ノーテン」」」


世  94000
誠 117200
哩  21500
絃 167300


南一局流れ一本場  ドラ:北

誠子(ここまで和了がないのは私だけじゃないか。……今は二副露、あと一回鳴ければ――)

誠子「! ポン!」シャッ


 三回目の副露と共に、誠子の目に映る卓上は様変わりする。

 山から流れる清らなかな川と四人の釣り人。揺らめく水面はその奥を見通すことを妨げる。

 しかしそれで焦ってはいけないのだ。釣りとは気息を整え、魚に合わせること。

 それができれば――


誠子「ツモ! 白トイトイの1本場は1700・3300!」


世  90700
誠 123900
哩  19800
絃 165600

南二局  ドラ:一萬

絃(今のは……呂子牙!? まずいわ。もしもそうであるなら、今の陣では――)トン

誠子「――ロン! 純チャン三色で11600だ!」

                ,  -──‐-  ,
             ,  '´ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ
          ,   :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::\
        / :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::ヽ

       / :: :: :: :::i :: :: :: :: :: :: ::| :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: '、

.       / :: :: :: :: ∧ :: :: :: :: :: :: |:: :: :: :i: :: :: :: :: ',:: :: :: ::',
        ' :: :: :: :: :::! |:: ::i :: :: :: :::|:: :: :: :|:: :: :: :: :: |:: :: :: :::'
      ,' :: :: :: :: :: :|  l:: ::!, :: :: :: :!:: :: :: :|:: :: :: :: :: |:: :: :: :::|
     ,:: :: :: :: :: :i:::|  ' ::| \ :: ::|::i, :: :: |:: :: :: :: :: | :: :: :: :|
    ,':: :: :: :: :::|:l :|    ',|  \/リヽ, :/| :: :: :: :: ::| :: :: :: :!
    ! :: :: :: :: ::|リ',|     、__ - x=V、|:: :: :: :: :: |_:: :: :: :!
    , :: :: :: :: :: :! _`ニ´      ん:::::iヽ!:: :: :: :: :: ! ', :: :: |
    |::i :: :: :: :: ::',{´iテチ,      辷_ノ |:: :: :: :: ::i:! }:: :: :!
    |::!',:: i:: :: :: ::, 弋_ノ         .| :: :: : :: :| / :: :: ::|
    リ ヽ:|:: :|: :: ヽ            !:: :: :: :: :!´:: :: :: ::|
      '!ヽ,|:: :: :: i     '         |:: :: :: :: :|:: :: :: :: :|
        | :: :: :::! u    __,      |:: :: :: :: :! :: :: :: :::|
        |:: :: :: :::\     ̄    ,!:: :: :: :: | :: :: :: :: |

        |:: :: :: : ::: :: ` .. 、   ,  '´ | :: :: :: ::|、:: :: :: :::|
        |:: :: :: i :: :: :: :: :: :>-,.´   /|:: :: :: :: | `.─.┴-─‐ 、
        |:: :: :: |、:: :: :: :/!  ヽ_/  |:: :: :: :: |          '.,
        |:: :: :: |_ヽ-‐/ //f├,.   ! :: :: :: ::!    /      ,
        |:: :: :: |  / /// イ.ト ',   |:: :: :: :: |   /       |
      /´! :: :: ::! /./// / | | ', l /.! :: :: :: ::!  /          !
      /   |:: :: :: | ヽ l_ヽ'_/  | |__!.| |:: :: :: :: | ./            |

世  90700
誠 135500
哩  19800
絃 154000


南二局一本場  ドラ:二索

誠子(っし! やってやったぞ! これで4万2700点差が1万8500点差……いけるッ!)

絃(やってくれる……! いつもいつも我が覇道の邪魔をッ)ゴッ

哩(む、悪くはなかの鍵ば姫子ん託しゅんは難しいか)

哩「ツモ。メンタンピンイーペードラの1本場は2100・4100!」


世  88600
誠 131400
哩  28100
絃 151900

南三局  ドラ:四筒

「「「「ノーテン」」」」


世  88600
誠 131400
哩  28100
絃 151900


南四局流れ一本場  ドラ:東

哩(ツモっちしもた。しゃあない)

哩「ツモ。ツモのみの1本場は500・800」


世  88100
誠 130900
哩  29900
絃 151100

――須賀控室――

「絃さん、白糸台に直撃されたとき珍しく焦ってたな」

「そやねーぇ。あんだけ焦った絃ちゃん見たのは久しぶりかもしれへん」

「親番での和了を見逃ししているし、何か考えがあるのでは?」

「絃さんはあれで京ちゃんにべた惚れっすからね。大将戦に回すための演出っすかねぇ」

「かもなぁ。ま、このまま終わるような絃さんじゃないか」




『副将戦前半が終了いたしました。亦野選手が意地を見せましたね』

『絃ちゃんがあれだけ感情を出すのは珍しいんだけど、何かあったのかも?

 それでもこのまま終わるようじゃ全国で名を馳せるなんてできないから、お楽しみに、だね☆』

『なるほど。いよいよクライマックスが近づいてまいりました副将戦後半、始まります』

2半荘目

東一局  ドラ:西

哩(前半はいまり鍵ば残してやれんかったけん、ちょこっとこまめちゃんばしゅるっちもやろう)ギュルン

哩「リーチ! …………ロン! リーチタンヤオ赤2で7700!」


世  80400
誠 130900
哩  37600
絃 151100


東二局  ドラ:四筒

哩「ロン! 三色のみで2000!」

               ,. : :´          `: : 、
            ./                `ヽ
        ,.:                     :.
        ,.:゙ ,      |  |             ),
       ./ /         |  |             / ハ
      厶ニ| i     l   |  |
.     「 ̄ | l     ト,| |  |
.       i   | |   _,以 || 「二ニ=‐- ..,,_
     |   l,斗<  .| i |`||
      |  ∧ | j云ニL」ノ .|├=Y⌒ヽ
     .从  .从 jI八::rⅱ || ヾ   }
.      ヾ:、  ハ   ,)ヅ ||       ./
          `ト己   .:::::: ノイ    ,.イ     \
         | .ノ           :' 从       \  jI斗┐
         | ,心、             `ヽ   ___(   |
        ||| 心r_;          ,.厶=孑ヘ\ ├ヘ,_|
            || |!.心、  ,.。o心,  ´    _,,.⊥、L| |
         ! |[レ' `i´  rく    /     `ヽ|
            ! ;||     r 1 :|   /        ∨
.            ! 小|    ,ハ|| /           ∨
          ! |     _|///|/               ∨
           !|     /  / /              ___∨
            弋   厶イ/            /////∧
                / //             ////////∧
             / ./          \////////// ∨
            ./ ./        ヽ  \///////   ∨

哩(姫子、私っちん絆だけではたわんかもしれんけんの、姫子ならやれるはずやけん!

  そいでも一本でもえらいたくさんの鍵、渡しゅから!)


世  80400
誠 128900
哩  39600
絃 151100

東三局  ドラ:八萬

誠子(さすがは白水哩……。だからって舐められては白糸台の名が泣く!)

誠子「ロン! 三回鳴かなきゃ和了れないってわけじゃない、白混一色ドラで8000!」


世  80400
誠 136900
哩  31600
絃 151100


東四局  ドラ:六筒

絃(さすがに点を減らしすぎたわ。後ろに京太郎さんがいるという安心感に、溺れていたんだわ。

  わたしらしくもない……だからここではオリてなんてやらない)

誠子(ほんとに調子が良い。これで弘世先輩も少しは見直してく――)トン

絃「ロン。きちんと返してもらうわ。二盃口ドラドラで12000……ククッ」


世  80400
誠 124900
哩  31600
絃 163100



東四局一本場  ドラ:九索

誠子(くっ、油断していた……。だがまだ)

絃「リーチ」

誠子(こっちを見た? 狙われている気がする。でも既に二副露していて安牌もない。崩すか?

   ……とりあえずこれで)タンッ

                      __
                 , -‐ .. ´ :: :: :: ::` ' .. .. 、
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            / :: :: :: :: :: :: :: / :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: '.. 、
             / :: :: :: :: :: :: :: :: / :: :: :: :: :: :: ::/ :: :: :: :: :: :: :: ::ヽ
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         |:: :: :: :: :: :: i  .!:: :: :: ::\ :: |.  ミニニニ    、_,l:: :://
         | :: :: :: :: :: ::ヽ  | :: :: :: :: | ヽ,!            `i:: /!´
         | :: :: :: :: :: :: ::ヽ_', :: :: :: : l            ヽ.|::,'
         |:: :: :: :: :: :: :: :: :::i:: :: :: :: :!            '/,'
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         |:: :: :: :: ::,/     ',:: :: :: ::,`ヽ,| .iヽ,ヽ :: ::!,:: :: ' :|
         |:: :,  '´  ',    ' :: :: :: i   .! .|/ .|、, :|.', :: ::',i
      , -‐ ´      ヽ     ', :: :: ::l   | .|ヽ | ',`' , :: ::ヽ
    , '            .',   !:: :: :: '  i  .|,>-‐,  , :.', :: :: ',‐-、
   ,        `ヽ,     i    ',: :: :: :',´| ¨´ ,.└ヽ,', ヽ :: :ヽ ヽ
   |          ヽ  ヽ_   ! :: :: ::', i  /  ノ'、 i  | :: :: l   i
   |            、   `'ヽ|:: :: :: :i .',   / , .| /  | :: :: i  |

絃「ロン。リーチ一発一盃口平和ドラで1本場は12300。手玉ね」


世  79400
誠 112600
哩  31600
絃 176400

東四局二本場  ドラ:九筒

『霜崎選手、かなり悪い顔してますね』

『そうだねー☆ 離したツキを取り戻した感じ☆ でもそう甘くないのが麻雀だよ★』


哩「リーチ!」

絃(……先に行かれたわ。仕方ないわね)

   _ _            〃 /:/     / .: .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
   {/〃7        {{ /:/   / /.: /.: .: .: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.′
  __)  人_         ∨/   イ  {/\\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:′
  `ー<::/ ⌒≫x、  }iレ'′.:\:〃.: .: /:У.:/j.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
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       / .: .: .: .: /.: .: .: /⌒ Ⅳir庁冬、....|.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.八 .:.:.:.:.:.::|
      /.:.:./.: .:/.: .: .: /     } 乂ソ  ...|.:|.:./.:.:.:/.:/.:ハ :.:.:.:.:.:}
     ″:/⌒/.: .: イ:〃 、     八 ,,     ..{/|.:.:./|/γ⌒) :.:.:. ノ__
     {     /:/   }/   \     、  ′  ...,,j/........._,. くヒマく、 /
          {′   ′      ヽ /   _へ ` =ヽ....... イ´ 〉   \}.:∨
                      〉   /  介ー=:≦   /       、:.:〉
                       .′  ⌒〔 ⌒ハ   /       〉ーx
                   {    人  ≫|_,/        /
                   |     /::::::>'′        /

哩「ロン! リーチ一発清一色ドラ……裏2で2本場は24600!」


世  54800
誠 112600
哩  56200
絃 176400

南一局  ドラ:六筒

 再び卓上の景色が変わり、川のせせらぎを思わせる幻聴が絃を襲う。


絃(分かっていれば不意など衝かれないわ、太公望!)


 絃の喝破した通り、誠子の垂れた釣り糸に大きな力がかかった。


誠子(なんとしても取り返す、それが私の麻雀だからッ)カンッ

                 、、_,/(ィ-―ァ
             ≦゙        ` ヽ、
            /ィ   ,.、,、、  、    \
            /...;、;リ'"  ` ヽiヽ:.、:.:.:.:.:.. ヽ
            /;.:リ'           jハ:.:.:.:.:.:.:!、
             i;.:.|  _     ,.=-   iハ!:.:.:.:.:!、
               iハ:.:! __`ニ  ´ ‐_,...、  |:.:.:.:.:.i`
           | !、i< ('::i゙     ´Lン'゙ |^ }:i:N
               、!               /ル
                 i   ′      ,:‐'/
                  丶   ‐--   ,.:V′
                     `丶 _  _,..::'   !
                      〕´     |-.、
              _,...-‐''/7   __/   `丶、_
           rrr''"    i   ′/        >>、
          λi:!      |   /         //  ヽ
          / ヽヾ、     |  /    ,,:=='"イ

誠子「カン! ――ツモ! 三槓子トイトイドラ6赤1で6000・12000だ!」


世  42800
誠 136600
哩  50200
絃 170400


南二局  ドラ:八筒

世利(なん、なの? 10万点まであと少しだったのに気付いたらこんな!)

絃「ツモ。純チャンのみで1300・2600」


世  41500
誠 134000
哩  48900
絃 175600

南三局  ドラ:南

絃(千代水にもう龍脈は向かない。新道寺も間に合わないでしょう。

  ……なら狙うのは一人だわ)ニタァ

誠子(っ! この寒気、霜崎絃! ど、どれが当たり牌なんだ? スジに頼るしか)トン

絃「ロン。南ドラ3で8000」


世  41500
誠 126000
哩  48900
絃 183600



南四局  ドラ:南

誠子(役牌ドラなんて、見落としていた……)

哩(姫子んためにえらく稼ぐ必要があったんに、これの限界か。しゅまなか姫子)

絃(最後にもうひと齧り、と思ったのだけど……ダメね。それでもわたしの勝ち)

「「「「ノーテン」」」」


世  41500
誠 126000
哩  48900
絃 183600

『副将戦終了いたしました!


 1位は変わらずチーム須賀。

 霜崎選手は前半-19200、後半+32500の合計+13300点です。


 2位は同じく白糸台高校。

 亦野選手は前半+7200、後半-4900の合計+2300点です。


 3位は入れ替わりまして新道寺女子高校。

 白水選手は前半+8900、後半+19000の合計+27900点で区間トップです。


 4位は大きく沈んで千代水高校。

 須佐選手は前半+3100、後半-46600の合計-43500点です。


 いやはや、白水選手が大活躍でしたね』



『うーん、点数だけ見るとそうなんだけど……

 ゲームの行く末をコントロールしてたのは絃ちゃんと誠子ちゃんだったかな☆


 前半では絃ちゃんは余裕を持って誠子ちゃんを泳がせていたんだけど、予想外に直撃されてちょっとムキになってたかも☆

 後半では持ち直してきっちりプラスに持っていったのはさすが、ってとこだねー。


 誠子ちゃんは惜しかったね☆

 打点の低くなりやすい打ち方のはずなんだけど、実は総得点と平均打点ではこの卓でトップ。

 それでもこの点数っていうのは防御に課題がある、ってことだよ☆

 鳴きを多用するから場の流れをかき乱すんだけど、それでも他家に大きな手をツモされてたりするから

 いわゆる無駄鳴きになっちゃってることが多いのかも。そして無駄に手を晒すと読まれやすいから……。

 厳しいことを言ったけど、放銃回数は二半荘で4回だからちょっと多いかな、ってくらい★

 振り込んだ点数がそれだけ大きかったってことなんだよね☆

 その辺を改善できると打点が悪いときでも安定してつなぎ役になれると思うよっ!


 世利ちゃんは……三倍満に振り込んじゃったのが運の尽きだったねー。

 後半は焼き鳥でもあったし、そもそも前半も跳満1回しか和了れてない。

 これじゃどうしようもなかったかも★ まだ1年生だから来年以降に期待、かな☆


 最後に哩ちゃん☆ 哩ちゃんの調子に大将の姫子ちゃんが大きく影響されるくらい仲が良いんだよね。

 だからこの点差で3万点の稼ぎだと……だいぶ厳しいかも。

 和了回数自体は多いけど僅差だったし、同格の相手が並ぶ全国で大きく突出するのは難しかったね☆』



『ありがとうございました。次が泣いても笑ってもクライマックス! 準決勝に進むのはどこだ! お見逃しなく』

――須賀控室――

「戻ったわ」

「お疲れ様です絃さん」「お疲れ様です」「お疲れ様ですよーぅ」「お疲れ様っす」

「前半は肝が冷えましたよーぅ?」


 控室に戻ってきた絃さんをからかうように憩さんがにやりと笑いかけた。

 絃さんはそれを受けてわざとらしく表情を作り、嘆いてみせる。


「フィッシャーという二つ名だからといって呂尚とは思っていなかったわ……」

「呂尚……太公望っすか?」

「太公望と言えば確かに、釣り師の代名詞ですね」

「つっても後半は狙い撃ってましたよね」

「残影だもの、不意を打たれただけだわ。種が割れてしまえば後はわたしの術中」


 太公望と言えば古代中国の偉人、有名な軍師のことだ。

 さすがに封神演義のほうではない……よな?

 そうなると絃さんは妲己に――いや、やめておこう。

 絃さんから一瞬殺気のような恐ろしい視線を感じたのも気のせいのはずだ。

 とにかく、どうやら絃さんのオカルトは白糸台の亦野さんと相性が悪かったようだ。

 それも相性が悪いと分かってさえいれば対処のしようはある、ということか。

 そのあたりが数絵や桃子、俺と違って場数を踏んでいる経験の差。見習わなければいけない。


「そんなことより京太郎さん、道は作ったわ」

「いよいよ淡ちゃんとっすね」

「大星淡……予選ではあまり使っていなかったようだけど、とんでもないわね」

「こっちは配牌が五向聴、向こうはダブリーで槓ドラ丸乗せ。えっぐいわーぁ」


 俺が一人頷いていると、絃さんが可憐な笑みとともに俺にバトンを預けてきた。

 そう、いよいよ淡との再会。電話でもメールでもない、対面となる。

 淡と本気で麻雀をしたことはない。

 淡には気に入られていたが、それでも俺の前でオカルトをそこまで全開にはしていなかったように思う。

 淡は他人と違うことで嫌な目にあったのだろう、桃子と似たような。

 涙無く泣いていた淡に話しかけたときから分かっていたことなのだ。

 普段は強がっているが、それは怖いからなんじゃないか。

 そんな淡とようやく、真正面から向き合う機会を得たのだ。


「あはは……。ま、なんとかしますよ。ダブリーかけたらあいつ、すぐ和了るってことは滅多にないんで」

「先に和了ってしまえばいいだけっすよね。……ってそれが難しいから厄介なんすけど」

「幸いみんながリードを作ってくれたから、点は気にせず流すの念頭におけばいけますよ」

「京太郎さんなら勝つわ」

「そやね。役満でも受けへんかったら2位以内は確実やし……気楽になーぁ?」

「当たり前です。みんなと一緒に全国制覇、やるならここで躓けないですから!」


 みんなからの信頼が俺の背を押してくれる気がする。

 一人じゃここまで来れなかっただろう。感謝してもしたりないくらいだ。

 だから自信を持って踏み出そう。一歩一歩確実に前へ。

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                   / イ  / /| 弐_ V | /   __}/   _ヽ
                     | / , :  ー':, ∨/   イ乎(_ ヽV |
                    ∨ {/ '   / /      Vzソ   V}
                    {   、                 リ
                         ∧   `
                        、
                         ∧ `
                         |l∧      ̄         <
                          「´∧           ´
                        .:'//>--==≦ゞ
                      ////////\        /
                       /////// /   ∧
                        {/////〈/{   / |      //,


「――行ってきます!」

「「「「いってらっしゃい」」」っす」

うーん、キリがいいので今日はここまででー

後は大将戦だけなんですけど時間が微妙なので。

お読みいただきありがとうございました。

新道寺のセリフがおかしな感じですみませんでした、もう少しの間ご辛抱ください。

そろそろ始めますー

1レスごとの間隔ってどれくらいがいいんでしょうかね?

書き溜めをコピペするスタイルなのでAAを探す時間がなければ25秒刻みでもできなくはないんですけどもw

――A卓対局室――

 対局室の扉を押し開け、いよいよ全国での初対局となる場に踏み入った。

 室内には既に新道寺と千代水の選手――鶴田姫子と倉吉梨佳――が雀卓の椅子に座っていた。

 二人ともに神妙な表情で目を閉じ、集中を高めているようだ。

 卓上の席決め用の字牌で既に開かれているのは西と北。

 俺は手近にあった牌を裏返し、東を引いた。なんとなく幸先のいい席だと思う。

 俺が一人頷き椅子に掛けようと思ったその時、圧倒的な威圧感を放つ少女が部屋の扉を両腕で押し開けたことを察した。

 ゆっくりと振り返り、その姿を確認する。

 端正な容貌に、抜けるような白い肌。豊かに波打つ髪は金糸を思わせる繊細で豪奢な色。

 どこか周囲を見下すような傲岸な笑みを唇に乗せ、自信を漲らせた所作は目を引いてやまない。

 以前はさほどでもなかったスタイルも、俺の知らない三ヶ月の間によくぞここまでと言いたくなるほどに育っている。

 それが――大星淡だ。

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        r;='"´//i: : : ://ーメ<_      ! /__,..」:! : | : |  ヽ,
       リ / !イ: : : ハ! .,ィ=≧ミ、    ,/._,∠二/!|: : !: :|   ノ
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   i: :r―ー-‐'"/: :!: i:.丶.i ヒ二⊥  ,/ /ヲ-:!/ ;! :/:/リ

.    |: |       ノィー|: |‐-‐'゙、 """     レ′ / /: /://
 ー=ノノー---< ,.┤ |:.|    \     '     _ノ/: :/、
  '" `ヽ、: : :/  ! |:|     iー- 、` ´ _,..-‐'/: :/   ̄/7ヽ,
        \/   ゙、 !|     |    ̄,.:'.;"´: :/     // /ヽ
          /     ゙、゛、    |_  //;.イ´     //    ゙、
        /  ヽ  ヽヾ    ト、 ` i / ̄/     //       |
    r'"´      \  ト、、   ! フノ―/    /// i      |
.    ゙、.           |`i:、゛、.   i'"´   /   //::::/ i...:;    ヽ
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     |、ヽ       λ |:::::::\\! / //:::::::::::/ ̄ノ           l

「……キョータロー、久しぶり」キリッ


 きょろきょろと室内を窺うように見回していた淡は満足したのか、キリッとした表情で俺に声をかけてきた。

 そんなキャラじゃないだろう、とツッコむのもいいが、ここはあえてノるべきか。


「おう、淡。……相変わらずの美少女っぷりだな」

「そーゆーのはモモに言ってなよ。ま、ありがと」


 言葉はすげなく躱されたが、俺が軽く突き出した拳に淡は拳をぶつけてお互いにやりと笑う。

 とはいえあっさり流されてしまったのは何か悔しい気がするので、さらに突っかかってみよう。


「美少女っぷりは相変わらずだが体の方は変わったなぁ。4月にはもっと薄かったのに」


 淡の胸をじっと見ながらそう言ってみる。すると淡は胸を手で隠すように抱き、ジト目で睨んできた。

 ぎゅっと抑えられたことでその柔らかさを想像させるように形が変わった胸元は実に扇情的だ。


「ほんと、キョータローっておっぱい好きだよねー」

「だなー。好きなもんは好きなんだししょうがない」

「……清澄追い出されたのってそれが理由じゃないの? 確かおっぱいおっきいのいたよね。はら……はなむら?」


 呆れたようなほっとしたような微妙な表情の淡。

 俺は気にせず堂々と好きだと言い切った。男で嫌いな奴もそうそういないだろうし、普通だ。

 そんな俺をからかうような口調で、その実少し心配そうな目をしている。

 そういう優しい所をもっと表に出せば淡を疎む奴も減るだろうに。

 もったいないという思いとそんな淡を独り占めしているような満足感。

 そんな歪んだ気持ちを出さないように気を付けながら話を終わらせにかかる。


「原村和な。確かに眼福だったけど、それが理由じゃねーよ。俺が弱かっただけだ」

「そんなか弱いキョータローがこの淡ちゃん様に勝てるって本気で思ってるわけ?」

「当たり前だろ? それをこれから証明してやるってんだ。惚れても知らねーかんな!」

「もう……や、いいや。まあ見せてよね。この私に挑むだけの力。

                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \

           ,          /         \
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         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕

 もし口だけだったら――捻り潰してあげるから!」


『第71回インハイ準々決勝A卓大将戦がついに始まろうとしています。

 チーム須賀が大きくリードしている状況です。

 そんな大将戦ですが、須賀京太郎選手と大星淡選手、何やら親し気に会話していたようですが』



『あはは……。まあ男の子だもんね☆ ま、それはともかく紹介していくよ☆

 まずは須賀京太郎君から♪

 須賀君はこの年頃の男子選手としては飛びぬけて強いよ☆

 県予選の牌譜を見ても分かるけど、防御型ではない、完全な攻撃型の選手。

 しぶとく和了を目指してもぎ取っていくスタイルだね☆

 呑み込みも速いから、今年の4月から本格的に始めたばかりだって聞いても信じられないよねー。

 点数も余裕があるし、伸び伸び打てるだろうから活躍間違いなしかも☆


 次は大星淡ちゃん☆

 照ちゃんの登場から連覇中の白糸台で1年生ながらレギュラーに選ばれたわけだけど、

 第二の宮永照、後継者って言われてるくらいに強いんだよ☆

 淡ちゃんと同卓するとみんな配牌があまり良くないって言うんだ。

 一方の淡ちゃんは向聴数が少ないから、

 照ちゃんの作ったリードを活かして速攻で試合を終わらせちゃうってスタイルで予選は戦ってたみたい。

 それだけじゃなさそうなんだけど……はやりにはよくわからないや☆


 新道寺の鶴田姫子ちゃんにいってみよー☆

 姫子ちゃんは哩ちゃんとすごく仲良しらしいんだよね☆

 だからなのか、哩ちゃんの調子次第で姫子ちゃんの出来も大きく左右されるみたい。

 だからと言って哩ちゃんの調子が悪いからって弱いなんてことは全然ないんだけどね☆

 さすがに名門で大将を任されるのは伊達じゃない、ってことかな☆


 最後は千代水の倉吉梨佳ちゃん☆

 梨佳ちゃんは……普通の子だよ★

 これまでは先鋒からの三人が作ったリードを守り切っての逃げ切りって形が多かったんだけど、

 今回は稼がないといけないから真価が問われる一戦になると思うよ☆』



『ありがとうございました。

 起家は場所通り、須賀選手に決まったようです。

 ベスト16の一角が決まる注目の大将戦、スタートです』

須賀京太郎
属性 :O
技量 :S82
直感 :S87
必然力:S81
補正値:35.83+16.2=52.0
・スキル
【焼牌入魂炉】 (出雲八雲+一牌入魂)
 その打牌は一打ごとに魂を焼き入れする如く。燃え盛る炉を彷彿とさせる打ち筋。
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 打点を+3。
(効果D)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にして1翻として和了する。
 ただし符数は半減せずに判定する。
 また符が足りずに流局の場合は30符として計算し翻数は通常の判定で計算する。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、判定と打点をその筒子の数字の半分の段階だけ上昇させる。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【百鬼の太刀】なきりのたち
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 ドラが八索の場合、跳満以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果D)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

鶴田姫子
属性 :O
技量 :A
直感 :B
必然力:B
・スキル
【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【リザベーション:解】
 オカルトの域にまで達した強い絆。
(効果A)
 【白水哩】が【リザベーション:縛】を成功させた局で発動できる。
 鍵となった和了の2倍の翻数での和了が確定する。
(効果B)
 【白水哩】と同じ場風でスタートする。


倉吉梨佳
属性 :D         92
技量 :F
直感 :D
必然力:C
・スキル
なし

大星淡(特殊)
属性 :O
技量 :B
直感 :B
必然力:S
・スキル
【闇煌希淡】虹 
(効果A)
 他家の聴牌コンマを-15、和了コンマを-20。
(効果B)
 聴牌を確定し、自身の和了コンマを+(聴牌コンマの一桁目-5)×5する。
(効果C)
 効果ABにより自身の和了判定値が1位の場合、強制和了。
 ダブル立直ドラ4の跳満が確定する。
 なお、和了コンマ35を超える他家が居ない場合はツモとなる。
(効果D)
 最低打点が跳満となる。
 ただし他家からのドラ妨害効果があった場合は2翻以上となる。
(効果E)
 発動中は常にリーチ状態。

【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【あの日の絆創膏】虹
 幼い頃にもらった絆創膏。孤立を免れた絆の証。
 任意のタイミングで発動可能。
(効果A)
 【闇煌希淡】を解除する。
(効果B)
 【須賀京太郎】との絆の強さ分、判定値をプラスする。
(効果C)
 自身が敗色濃厚なとき、聴牌が確定する。
(効果D)
 効果Cによって聴牌するとき素の聴牌コンマが1位or85以上の場合、
 逆転に必要な和了形と役となる。
(効果E)
 効果Dが発動したときに和了コンマで1位の場合、強制和了。




京太郎・淡・姫子・梨佳  の順

淡のダブリーはよく分かんないっすよねぇ

最後の山の直前の角、というのと船Qの推測した270度……まあ、このスレではこう解釈しました、ということでご勘弁を

1半荘目

東一局  ドラ:西

淡「キョータロー、最初っから全力でやったげる! せいぜい足掻いて見せてよ!

  リーチ!」


『大星選手、開幕ダブルリーチ! 他家は配牌五向聴スタートでいきなりの聴牌です。

 これはいきなり大星選手の和了になるか!?』


淡(出目は7で最速。確かにキョータローは強くなってるみたいだけど……

  五向聴からリーチを警戒しながらじゃ間に合わないよ!)

姫子(ダブリー警戒しなのらや間に合わんけんッ)タンッ

京「――ポン!」シャッ   Σ西西西


 京太郎のおもむろな鳴き。それはツモ牌を37枚残した状態でのことだった。


淡(あーッ!? 角まであと一枚だったのに! ピンポイントすぎだよキョータロー!)タンッ


 最後の山牌直前の角、淡はそこでカンをするつもりだったのだ。

 そうすればすぐにでも和了できる。それが淡の力であるのだから。

 しかしそれをずらされてしまえば、後は運任せ。むしろやや分が悪いかもしれない。


淡(ま、しょうがないよねー。そうそう簡単に和了っても面白くないし。

  ずらすだけならまぐれで亦野センパイがやることも無くはないもん。

  もうすぐ海底だし……ラッキーだったねキョータ――っ!)ゾクッ

                       ___/ ̄ ̄\_
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                 {∧          「ノ|/}/イ
                '  、       | /`/ } '
                   } ∧     /イ   /
                   |' ,} \__/イ__ /
                   |ニニニ=-〈
                 /7ニニニニニニ=- ,,_
                 /二|ニニニニニニニニニニ=-
              -ニニニ|ニニニニニニニニニ/ニニ|
              |∧ニニニ|二ニニニニニニニ/二ニニ∧
              |=∧|ニニ:|二二ニニニニ\ニ/二ニニニ∧
              |=二|ニニ:|二二二二ニニニ∨二二二二∧
             r''=二:|ニニ:|二ニニニニニニ',ニニニニニ/
.              ノニ二:∧ニニV二二ニニニニニ',ニニニニ∧
             /ニニニ∧ニニVニニニニニニニ',二ニニニニ|
         /ニニニ二∧ニニV二二二ニニニニ',ニニニニ|

           /ニニ二二/   、ニニV二二二ニニニi二二二 ∧
.          /ニニ二二/     \二Vニニニニニニ|ニニニニ∧


 勝ち誇った表情を浮かべようとしてその途中で走った悪寒。

 その悪寒は淡の顔を固めるに十分な衝撃であった。

 ゆっくりと、油の切れた人形のようなぎこちなさでその悪寒の元に顔を向ける淡。

 蕾のような唇から、思わず言葉が零れる。

淡「キョー……タロー……?」


 須賀京太郎。彼は最後のツモ牌を切ろうと手にしている淡に語り掛ける。


京太郎「淡、ハンドに限らないけどさ、スポーツでそこそこ以上になるには馬鹿じゃダメなんだよ」

淡「何を」

京太郎「別に成績云々じゃねーけど、記憶力だけはないとダメなんだ。

     そうじゃないと戦術とかサインとか覚えられないからな。

     ……何を言ってるか分かんねーか? ま、そうだろうな。お前にとっちゃ日常だった。

     そう、お前は俺の前で何度もソレを見せてくれた。あの時の俺には何が何だかなんて分からなかったさ。

     でも今は違う。完全に分かってなんていないけど、少しは分かってるんだよ」ゴッ


 宮永照以外からは久しく感じさせられたことのない、危機感、焦燥感。

 自らが今虎口の上にいるのだと理解させられるような、死の予感。

 それでも淡は手にした牌を河に放たなければならない。

 だってリーチをかけているから。

/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
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京太郎「――ロン。混一色ドラ3河底撈魚で18000!」


京 202600
淡 107000
姫  48900
梨  41500

東一局一本場  ドラ:二筒

『い、一閃! 須賀選手の河底狙い撃ちが決まりました! 王者白糸台、これは痛い失点です!』

『須賀君はこれがあるから最後まで気が抜けないんだよねー☆』


淡(狙ってやったっていうの!? ……ふ、ふふふふふっ! やるじゃんキョータロー! いいよ、もっと私を熱くさせて!)

淡「リーチ!」

京太郎「またダブリーかよ、懲りねーなぁ」

淡「ふんっ。あんなまぐれで勝った気になるのは早すぎるんじゃない?」

京太郎「くっははははは! 早くなんかねーよ。リーチだ!」

淡「え……?」


 それは淡と淡の力を知るものにとってはありうべからざる宣言。

 淡の絶対防御の力、それによって配牌は五向聴より良くなることなど無い、はずなのだ。

 今はまだ二巡目。物理的に有りうるはずがない。しかし――

                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/
.          ,イ/////////////>'////////////////}ニア゙
.         /////////////ア´ {{////////////////ニア
.         ,イ////////ニ=-     寸////////////イ¨´
      ,イ///////イ´         マ/////////ア´
.     /ゞ===イ´           マ/////アイ
      ム:::::::::::::::::}              {:::::::::::::リ
   く::::::::::::/¨¨´.               {:::::::::::/
    ¨¨¨                     ゞ─'゙

京太郎「ツモ! リーチ一発ツモにタンドラで1本場は4100オール!」


京 215900
淡 101900
姫  44800
梨  37400

東一局二本場  ドラ:六索

淡(絶対安全圏が……。でも、まだ、まだ負けてないんだから……!)

淡「リーチ!」

京太郎(チッ! 今回は出目も悪い、ツモも間に合いそうにない)

姫子(なんて勢い……。ばってんおかげで差は縮まった。ここで攻める!)

梨佳(うぅっ、ぜ、全然向聴数が落ちないよ……)ウルッ


淡「まったく、高校100年生の淡ちゃんでもちょーっと焦ったよ!

  でも毎回私を阻めるわけないもんね。カン!」


 京太郎たちも今回ばかりは鳴くこともできず、淡の角カンをなす術なく見送る。

 そうなれば当然。


淡「ツモ! ダブリーツモの槓裏4で2本場は3200・6200っ!」


京 209700
淡 114500
姫  41600
梨  34200

東二局  ドラ:五筒

淡「リーチ!」

京太郎(……この局は確か白水さんが3飜で和了した局だったか?

    なら無理に攻める必要もないか。振り込まないようにだけ気を付けて、っと)

姫子(開始時点では7万8100。でも今は7万2900。ちょこっとだけど差は縮まった。

   先輩っちん絆の後押ししとってくれる。鍵、使わしぇてもらいます!)

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       乂从ト:.:.:.:.:.:.:.::}            〈(;;ン゙ ///.:.:.:.:.:.:lヽ:゙、
           \∧:./      r-   ` `Y/ノ/ l.:.:.:.:.:.:l }:.}
             / ̄>x \   乂 _)>    /:.:.:.:/  i.:.:.:.:.:.:l ノ:ノ
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        /       ヽ   メ、ノ:.:_:./ノ    }:.:.j:.:.l
       \/         Y O {/メ ̄     、_ /:.ノ }.:j
        ∨           l\ノ\}         ̄  ノノ
          ∨         ヾ::L             /
            ∨            〈::::::}
          ∨      / /  ヾ┤
              ∨ミx/ //    ヾx、
                ∨/ /         V゙、
               V/          V゙、
               ∨         }::ハ

姫子「ツモ! 面前三色一盃口ドラ2で3000・6000!」


京 206700
淡 107500
姫  54600
梨  31200

東三局  ドラ:一筒

淡「むー。リーチ!」

姫子(これで5万2900差! ……千代水の点もまだあっけん。拾わしぇてもらう)

姫子「ロン! 清一色のみで12000!」

          /    /     /  /     /         \
       /    /    ,/  /  、//  ,/ /   |       \
.    _人_, / /    /   ,  /  / /\   / / l     |   |  ||     ,         _
.   `Y´/ /    /   / /  / / / /\/ //        |   |  ||    ′      ,ノ /
 _人_  / /    /  / /  / / |l // /∨/    !    ∧  l|  リ    |      └1_|
 `Y´/ ,    /  / /  / /_,|/ l / /∧   |   / } / | ∧    | |         _
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/ //   /{ |  l|  |  l|' {{ {:.:{:.:_):十i     /  / __/__,,ノ' / リ`  / ,
 //     /| |  l|  |  l| 八乂:.:.:.:.:.:丿   / /  ー=≦苧ミx, /   /  ′       l7
 /  / ,/八|  l|  |  l|   ` `¨¨´     /    /:.。:(_,ハ  ∨  ./ / ,′       o
   / / //|  l|  |  l|  l\l\l         {:.:{:._)十} / / / ′ +
  / / / {/∧  l|  |\l|             /   乂:.:.:.:.:.ノ 厶   ,/ /  _人_
/ / イ   ∨∧ il| l∧       /           `¨¨´ /   ,/ /|   `Y´
  \川川川川川川川/       |      \    l\l\l/   / / l|
―‐三            三\          /        / // / 八
  二   し  イ     二      ` --           ..イ/ // / \\
  三   ん   ケ    三    \         -=≦/|  /  {\  \_____彡'
  二   ど   て   二    /  ----=≦/    /l 人     |  \  \
  三    |   ん    三   /      / /  /  l|\ \   人       \ ̄ ̄\
  二   じ   じ    二 /         /  イ'ー―┬..┬ 、 \   \  |___}\    \
  三   っ  ゃ   三            / / l|    |::::::|  |  }\   \}     }\   }
  二  !! ん.   二           /  l|    |::::::|  |  }  \     ̄ ̄ ̄ノ  }  /
  三          三

  /川川川川川川川\

京 206700
淡 106500
姫  67600
梨  19200



東三局一本場  ドラ:九萬

姫子(3万8900点! 役満、は厳しかばってん倍満2回なら……)


 急接近した点差。姫子はこの親で稼ごうと逸る。そしてそれは、冷静さを欠いたことに他ならない。

 戦場での油断は最も恐るべき行為だというのに。


淡「カン――ロン」

姫子(しまっ)

淡「ダブリー裏4の1本場で12300」


 怪物はその迂闊さを嗤った。


京 206700
淡 118800
姫  55300
梨  19200

東四局  ドラ:一索

梨佳(う、うぅ……! 親だし頑張らないと)トン

京太郎「あ、それロンです。三色のみで2000。淡のおかげで千点棒1本もおまけでつくな」


京 209700
淡 117800
姫  55300
梨  17200


南一局  ドラ:二萬

淡「リーチ。……キョータロー、私がリーチマシーンとか思ってない?」

京太郎「そこまでは思ってないけど……結局あんま回収できてないじゃん」

淡「カン。ムッカー! そんな京太郎には親被りをプレゼントだかんね!?

  ――ツモ! 宣言通りのダブリー裏4で3000・6000なんだから!」

京太郎「うえっ、またかぁ。何度被せる気だよ」

淡「何度でも! 鈍感なキョータローだから何度やったって懲りないでしょ?

  そんなだからモモがいるのにドーテーなんだよ!」


 あまりの言われように京太郎もさすがに黙っていられず、窘めにかかる。


京太郎「え、違うけど。つーか女の子がそういうこと言っちゃダメだろうが。

     しかもカメラで撮ってるんだぞ? 対局室内の会話も電波に乗るんだったよな」

            -‐==‐-
         ´            `
      /             ヽ

     / ,      !   :  |   |     i
.    / |i  , ‐‐i|  .:ト、_|‐‐ |  :i|  |
    l :/:|i  | |/八 .:|     | |  :i|  |
    |/ :〔!|  N ○ \|  ○ |ノ  ,リ
.   〔 八! l圦 ,,   '   ,, l //  |
       N |  .  v ァ  . ∨/  .:|
        ヽ|:| l_≧=ァ≦ト /_,′  八
       ノ厂| l  〔,   / / `丶、 `

      /∧ i| |  「⌒ / /  /∧
    / イ′ j ト、∧  / ′´ .イ
   :'  /    | |\ハヒ/| |ニニ/   〉    :
  /  ノ〈    i i   >ニ| |  ´y'    !     |
  .' /   〉  / j / ノ<i| |  〔___!   ト、〕
. 〔′|  `ー‐'  ///  | |  i| Υ─|  | .′


 しかし京太郎の返答に淡は硬直した。

 桃子が傍にいるのだから、もしかしたらとは思っていたのだ。

 他のチームメンバーも自身には劣るが美人揃いであると認めている。

 しかし、しかし。淡はどうしてもそうだとは思いたくなかったのである。

 それが脆くも崩れ去ったのだ、動揺もするというもの。


淡「……え? あ、相手は誰!? 不潔! 変態! えっち!」

京太郎「理不尽だ……」

姫子「破廉恥たい」


 新道寺控室からはお前が言うなと言う声が聞こえたとか聞こえなかったとか……。


京 203700
淡 129800
姫  52300
梨  14200



南二局  ドラ:東

淡「……リーチ」ブスッ

京太郎(うへぇ、怒ってらっしゃる……)トン

姫子「ロン! チートイドラ2で6400」


京 197300
淡 128800
姫  59700
梨  14200

南三局  ドラ:八索

淡「リーチ」

京太郎(まだ怒ってる……。ま、いいか。俺も今回は配牌で聴牌だからな。

     やっぱりドラが八索だと特に調子が良い――)

           ̄7::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.
            /イ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.{
          _/_:::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::|!
.         ̄´ {∧ . :::::O:::::::::::::::::::::::::::::::ト\
            {从.ハ::::::::::::::::::::::::::::::::ミ`
              ' ;.v   ァ::::::::::::マ_

京太郎「ツモ。發混一色面前ドラドラで3000・6000」


京 210300
淡 124800
姫  53700
梨  11200



南四局  ドラ:南

淡(また、絶対安全圏が破られてる……! それでも私の全力はこのやり方だからっ)

淡「リーチ!」


 淡のダブルリーチ。今回は順調に最後の角まで達し――


淡「カン!」


 しかしそうして捨てた嶺上牌を京太郎が拾う。


京太郎「っと、それポンだ――ツモ。W南ドラ3赤1で3000・6000」


京 223300
淡 120800
姫  50700
梨   5200


『大将戦前半終了いたしました。千代水が風前の灯火です。

 このまま須賀と白糸台が通過を決めるのか、あるいは新道寺が巻き返すか。


 現在午後2時16分。大将戦後半開始まで11時より並行して開始されたB卓の様子を速報としてお伝えします。

 準々決勝B卓はシード校千里山女子・越谷女子・姫松・有珠山の4校の対局です。


 現在中堅戦までを終え、1位は千里山で189200点。

 先鋒で園城寺選手、中堅で江口選手が躍動しました。


 2位は姫松高校で149700点。先鋒は僅かにマイナス、次鋒は真瀬選手が区間トップ。

 中堅で愛宕洋榎選手が役満を和了したものの江口選手には稼ぎ負けています。


 3位は越谷女子で41600点。次鋒までは2位でしたが中堅で水村選手が愛宕選手に役満を放銃し一気に転落。


 4位は有珠山で19500点。先鋒から3万・2万・3万と失点を重ね崖っぷちです。


 なお準々決勝C卓は14時30分からのスタートとなっております。


 ……お時間のようです。A卓の決着はどうなるのか、最後までお見逃しなく!』

2半荘目

東一局  ドラ:四萬

淡「リーチ!」

姫子(こん局は先輩の和了った局やけん――)ゾクッ

                   -‐…‐-ミ     _人人__
                _人ノ/. : : : : : : : : : . ヽ  __)  (_
              _ノ  〃У: { ; :{ :廴Ⅵ〃ヾ.  _)  (_
              __,) // : { ィ≦: : ≫=ミ、|: : : .\`YY´
              _)  ノ :/ :Yr'ハ ⌒`辷リ j: : : :\`ヽ  n_00
              `て(/ /. .:ハ.ゞ゚'   ""` 从: : : : ヽノ  |┌‐┘
               //{ : : イ:.ハ'"" tっ   /j从: : : : }   L.二コ
                {ハ: :( ヽ从≧ッ。 イ |;从ハハ 从ノ   n_00
                  ⌒ヽ_ . イ{j rイ`ァー .ノ′    |┌‐┘
               〃 γ   { V>≦/  〃ハ    L.二コ
                ″ i ,   ∨ニア   ! /   '.   r─┐
                    }/   /ニア     v     i   く,勹|
                  {7  〃=7     マ二二|    く_ノ
                  {{ ∧,イ        }   ',   __
                  i:! ム く}        ハ    ′ └┘/7
                  リ/Уア        / 〈     ,   <ノ
              -‐=ニニ彡'´|ヽ      〈  〈   ′
           ∠ニニ二/ノ io|ヽ       〈   Y    ,
            `¨二=‐- 、  j,人 \   fニニ、  〈    ′ヾ
              . -‐γ´三ニ=-  _      ハ  〈   ,  }}
         〃 〃ニニ仁ニニニニニニニ`ヽマミ 八  '.   ′
         ″ ニ二二{ニニニニニニニマニニ}》 〉<ヽ }   ハ
          ∠ニニニニマニニニニニニニマニフ ∨ / トj 〈 `ー- 'ヽ
          Щニニニニニ寸ニニニニニニア   ∨ij !  「jヽ__..イ
         ニニニニニ}=寸ニニニニニ     辷ノ      j」」」
          ニニニニニ `ー寸ニニニニニ=-‐ ´
             ニニニニニ   寸ニニニニ
             ニニニニニ    寸ニニニ
              ニ二二      寸ニニニ
               ニニニニ     寸ニニ
            ニニニニ         寸ニニ、
               :ニニ二       寸ニニ、
                ニニニ          寸ニ=

京太郎「リーチ」

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 後半の半荘が開始され、淡は変わらず開幕リーチを選択。しかしこの局は姫子のリザベーションが発動する――はずであった。

 だが無情にも姫子と哩の絆の結晶を阻むように、視えるものには卓が何重もの垣根で覆われているのが分かっただろう。

 姫子が戦慄する本能に従い目を向けたその先で、男の刃が振るわれた。


京太郎「ツモ。リーチ一発ツモ混一色で6000オール。これで終わりだ」


京 242300
淡 113800
姫  44700
梨  - 800


『け、決着! 開始数巡での決着です! 須賀選手が跳満をツモり千代水の5200点を無情にも削り切りました!

 ……どうでしたか、瑞原プロ』


『あ、あはは……。これはやっぱり前見た時より強くなってるなぁ。

 ……あ、大将戦の総評だったね☆ でもその前に一応収支のまとめをお願い裕子アナ☆』


『は、はい。

 1位は須賀で242300点。

 須賀選手は前半+39700、後半+19000の合計+58700点で区間トップです。


 2位は白糸台高校で113800点。

 大星選手は前半-5200、後半-7000の合計-12200点です。


 3位は新道寺女子高校で44700点。

 鶴田選手は前半+1800、後半-6000の合計-4200点です。


 4位は千代水高校で-800点は飛びです。

 倉吉選手は前半-36300、後半-6000の合計-42300点です』


『それじゃ、まずは大将戦の総評だね☆

 最初はトップの須賀京太郎君☆

 収支を見ただけでも分かると思うけど、圧倒的だったねぇ。

 1回放銃しちゃったけど、そもそもの打点がむっちゃくちゃ高かったから問題にもならなかったね☆

 1和了あたりの得点平均は15000点、親跳か子倍って打点だから……咏ちゃんも褒めてくれるかもな高火力だね☆

 結局淡ちゃんから直撃を取ったのも須賀君だけだし、これで男子選手だからと見くびる人は居なくなったんじゃないかな?

 次からが正念場なのかもね☆』


『次は2位の大星淡ちゃん☆

 和了回数は12局中で3回だから十分な回数だし、打点だって全部跳満だからすごいんだけど……。

 須賀君に全部持っていかれちゃったね☆

 毎回ダブルリーチをしてたから和了れなかった9回分のリー棒9000点もちょっと痛いかも☆

 自信満々なのはいいんだけど、そこから相手に合わせて引き出しを多くできればさらに一歩進めるんじゃないかな☆


 3位の鶴田姫子ちゃん、いってみよー☆

 姫子ちゃんは淡ちゃんをだいぶ警戒していたのもあって、須賀君よりも2歩3歩遅れちゃってた。

 哩ちゃんが前半ではあまり調子が良くなかったというのも運が悪かった……かな?

 強敵を相手に自力でどうにかできるようにならないとダメだからただの運とも言えないけどね★

 それに後半の東一局は須賀君が和了ったから……そういうこともあるのが麻雀☆

 収支では2位だけど結局マイナスだし、ちょっと褒められないかな☆


 最後は倉吉梨佳ちゃん☆

 うーん、まだまだ未熟だねー。ツモ和了が多い対局だったから放銃回数こそ多くないけど、

 それは姫子ちゃんが2位の淡ちゃんを狙っていたからっていう要素もあるから★

 千代水は来年大変なんじゃないかな? また来年も全国で見れればいいんだけどね☆』


『ありがとうございました。続いて試合全体の講評をお願いできますか?』


『はーい☆ まずは収支ランキングを見てみようか☆』


 収支ランキングA

  1位 宮永照     +77,900   11位 鶴田姫子    - 4,200

  2位 須賀京太郎  +58,700   12位 安河内美子  - 8,000

  3位 荒川憩     +40,300   13位 大星淡     -12,200

 
  4位 鳥部綿南    +28,900   14位 江崎仁美    -15,000

  5位 白水哩     +27,900   15位 弘世菫     -23,800

  6位 米子涼     +18,300   16位 渋谷尭深    -30,400

  7位 東横桃子    +16,500   17位 倉吉梨佳    -42,300

  8位 南浦数絵    +13,500   18位 須佐世利    -43,500

  9位 霜崎絃     +13,300   19位 花田煌     -56,000
  
 10位 亦野誠子    + 2,300   20位 岩美望     -62,200



『先鋒で白糸台は3万7600点リードしたんだけど、そのリードも次鋒戦でほぼ消化されちゃったんだよね。

 その後も中堅戦では大きく巻き返されて4万6600点のリードを奪われちゃった。

 副将戦で一時的に追い縋ったんだけど……結局突き放されてそのまま大将戦が終わっちゃった感じ☆


 新道寺は先鋒での失点が最後まで響いちゃったかなぁ。

 そうはいっても最終的に6万9100点の差があったから結局届いてないんだけど。

 でも先鋒だけじゃなくて、副将の哩ちゃん以外はマイナス収支だから……これじゃ勝てないのは当然だよ。


 先鋒での苦戦は千代水にも言えるねー。

 後ろ二人が不安だったから前三人で稼げるだけ稼がないとダメだったんだけど、

 その一番手で大きな大きなマイナスだからプランが完全に狂っちゃった。


 でも最終的にはこの一言に集約されるかな、チーム須賀無茶苦茶強いよっ☆

 特に憩ちゃんと須賀君はとんでもないね☆ 照ちゃんだけじゃとても抑えられないから……、

 チーム須賀の優勝もあり得るかも! ってこれは始まる前にも言ったかな?

 はやりの見立て通りだったってことだね~☆☆☆』



『ありがとうございました。

 皆さま準々決勝A卓はご覧の結果となりました。

 喜びに湧く者、悲嘆にくれる者。

 高校生たちの真剣勝負によって織り成されるドラマをお楽しみいただけましたでしょうか。

 本日の当局の第71回全国高校生麻雀大会中継は終了です。

 実況は私佐藤裕子と』

『解説は瑞原はやりで』

『『お送りしました』  明日も見てね☆』

準々決勝終了後

行動1回目

強制イベント  誰かと出かける  淡 

        44       怪我   
        01~20     失敗  
        21~50     普通  
        51~80     成功  
        81~98    大成功 
        ゾロ目・77  超成功 

        1d100=94 大成功


 対局が終わった。ゲームのキャッチコピーであったように最後の一撃は切ないものだ。

 俺が感慨深さに目を閉じ溜息を一つ吐き、改めて周囲を見渡した。

 新道寺の鶴田さんは溢れる嗚咽と涙を手で必死に拭っている。

 千代水の倉吉さんは呆然自失といった風情。全国で、必死に繋いだ点を吹き飛ばされたら当然の反応か。

 そしてあの淡ですら今にも泣きだしそうな気配で俯いている。長い髪が影になって表情は窺えないが。

 そんな光景を作りだしたのは結局は俺であり、そうであるならばここで何かを言うべきではないだろう。

 だから俺はありがとうございました、とだけ残し席を立った。




 そうして対局室を後にし控室へ向かう道すがら、抑えきれない喜びがふつふつと漏れてくる。

 きっと俺の顔は今気持ち悪い感じで中途半端ににやけているだろう。

 誰もいない通路で良かったとしみじみ思う。だがこれも仕方ないことなはずだ。

 だって、あの淡に勝ったのだ。いつも麻雀では傲慢なまでに他者を見下し、蹂躙していた淡を。

 好きなもので自分よりもずっと上だった相手に追いつき、追い越す。

 これほど痛快で嬉しいことはそうそうない。

 そんな思いを噛み締めていたからか、俺は背後から駆け寄ってくる足音に気付くのが遅れた。

 気付いた時には既に遅く、トスっという重いと言うほどでもない衝撃にしがみつかれていた。


「……淡か?」


 背後で肯定するような気配。間違えるはずが無かった。

 今年の三月末まではしょっちゅう会っていた淡。

 桃子ほどではなかったが、淡も気安くスキンシップを取ってくる少女だったのだ。

 いくらスタイルが変わり背中に感じる柔らかさが暴力的なまでに増していようとも。

 俺は迷った。先程の対局室で見た淡は最初に出会った頃の淡にどこか似ていたからだ。

 振り向いてしまっていいのかどうか。


 立ち止まった俺は背中に鼻をすするような音とじんわりと熱い湿り気を感じた。

 やはり悔しかったのだろうか。それはそうだろうなと自分で納得する。

 俺もハンドボールで完敗した時などは悔しくて涙が出たものだ。

 だが悔しいと思えるならば大丈夫。

 だって悔しいとすら思えず、相手との絶対的な差を納得してしまうことだってあるのだから。

 俺はそうして数秒間悩んだ末に、振り向くことにした。

 体を動かそうとすると淡がイヤイヤするように顔を擦りつけてきたが、強引に振り向く。

 そしてすぐに淡を抱きしめてその頭を胸に押し付けてやった。

 そうすると一瞬驚いたように硬直した淡が、決壊したように泣きだした。

 顔を押し付けているからか、それとも意地か。声はうーうーと唸るようなものだけ。

 俺はそんな淡の長く艶やかな髪を撫でつけ、背中を軽くトントントンと叩く。


 そうしてどれくらい経ったか、十分はかかっていないがそれなりに時間が過ぎた頃にようやく淡は落ち着いた。

 自分から身体を少し離し、その顔を俺に見せる。涙の跡が残り、目も赤い。鼻水の跡だって見える。


「落ち着いたか? 勝った俺が言うのは嫌味かもしれないけどさ、やっぱ負けたら悔しいもんな。

 麻雀では本格的に始めるまで負けて当然って感じであんま悔しくなかったけど、

 俺もハンドの時はやっぱ負けたら悔しかったよ。だからあんま気に……淡?」


 悔しいなら泣いても当然だし気にするな、そう宥めようと思った俺だが、どこか上の空な様子で俺をぼうっと見つめている淡。

      ∧  ト、\ヽ   ヽ 
  /ハ/  } |ヽ , -‐ !  l 
 ハ_」/   .|  | /Vり  l  | 
ィチ∨_ ̄`|  l ィ巧ミ< |  | 
 |ァ豸坏| ソ ' i  } 〉| !  
 l〈 {  j レ'   -‐'' リ 八    
 ト `  ̄     '  "" ノ ハゝニニ二
 ヽ ""   △    ノ人\ヽ   
.\\ゝ        /     } \\
\ \ ヽ ー- r i, --  / \ヽ! \

  \ } }-、  r‐/ /   \  ヽ!ヽ 
ヽ.  ト j !` ̄ / /      \  | }


 あまりに反応が無いため俺は言葉を止めてしまった。心配になったというのもある。

 そうして見ていると、淡はその焦点を合わせて何かを言おうと口を開いては躊躇して閉じるということを繰り返す。

 普段闊達な淡にしては珍しい、どころか初めて見るような態度に俺はじっと待つことを選んだ。

 そうしてその目を揺れる淡の目に合わせていると、淡は一度目を閉じて深呼吸。

 目を開いた淡は何かを決意したような色を纏っていた。


「決勝でまたやろ? 次は負けないから!」


 顔を拭ってそう言った淡は常の獰猛な笑みを浮かべていた。それに応えずして何が友か。


「おう、待ってる」


 そのまま数瞬、不意に緊張感が緩む。淡が一瞬顔を背けたからだ。

 なんだろうと思い淡が顔を向けた方向に目線をやった直後、俺の両頬をふわりと何かが包んだ。


「えっ――」チュッ


 その感触に目を正面へと戻した時には淡の顔がぐんとアップに。唇を襲う柔らかでいて少し湿った感覚。

 一秒くらいか、固まっていた俺を置き去りに淡は朗らかに笑いながら駆けだしていったのだった。


        /   /  //  . :〃  . :iト、|:. |             ヽ    ヽ  ヽ
      乂 .′ / ,イ .:/ !   . :i| |:. |\: .                  ハ
      .′ i`ーァ′/ ! .:i |   . : | |:. |  \: .  ヽ: .  ____ i-‐ ´   .
     .′  !/ . : ′| .:| |   . : | |:. |   \: .        ̄| ̄ ̄ `ヽ:
        /i|  :|. :|  | .:| |   . : ! |:. |_,,-‐====‐\   . : :|   . :|: . i
    j〃 . :i|  :|. :|‐===┼-  | : j   -‐     \: .    . : |   . :|: . |
    /  . :i|  :{. :!  \八  . : | jノ   , -‐ __,,.⊥   . : }   . :|: . 人
   ′ . : 八  Ⅵ ≫=ミ、 . : !     ≫≦Y⌒'マハ:、  . : .′ . :|: . : .\
   i . :i    . :\{ハ 《  )i:::::::ハ\{     ″{ .)::i::::::::::}::} 》 . : /  . :/!: . \: .\
   | . :|   . :i   '. ヾ い;::::::jj         八∨乂 _;ノ:ノ  . :/  . :  |: .    : .`ー-
   | . :|   . :| . :| . :l'.   V辷ク            ゞ゚-‐ '  . :/   . :/ . :|: .  .
   | . :|   . :| . :| . :|ハ               /    . :/   . :/ .:.:|: .    : .
   | . :|   . :| . :| . :| :.       ,        /  . . : .′ . / . : :|: .     : : . .
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   |..:i:|   . :| . :| . :|   ゝ.     、   ノ .′ // / . : : /  . :.:/  \: .\: .
   l :从  . : :| . :| . :{   / > .        { /'   / . : / . : : .:′    \: .\: .
   乂{: \. : :!\〉、:\_/   . : .:〕jッ。.     . ィV`ヽ /. :/ . . : :/       \: .\: . .
    `\ \{   \;/  . : .://{{   ` ´ | |│ ,// . : .:/             \: .\: . .


大星淡との絆を獲得
必然力がわずかに上がった


評価

大星淡:キョータロー? 好きだよ →大好きっ♪


というところで書き溜めが尽きたのでここまでですー

また1ヶ月程度お待ちいただくことになるかな、と

何か質問やら言いたいこと等ございましたらどしどし言ってやってくださいませ

それでは、お読みいただきありがとうございました!

今回もちょーよかった
分割して投稿してくれてもいいんじゃよ
その都度感想もかきやすいし

>>179
前スレ終了後から書き溜めたのが今回投下した分なのです

ですのである程度分割するとしても時間がかかってしまい……申し訳ない

リッツ遅筆とか思ってましたけど牌譜まで考えるなら1局に半年くらいはかかっておかしくないよなー、と思った次第でw

途中体調崩したりしてるので1か月後がちょっと怪しいです……

ということでお茶を濁す程度ですが更新しますー

――須賀控室――

「ただいま帰りました!」

「お帰りなさいっす!」「お帰りですよーぅ♪」「お帰りなさい」「お帰りなさい京太郎さん」


 控室に入った俺をわざわざ立ち上がって迎えてくれる仲間たち。

 淡にキスされたことがやや後ろめたいがどうにか表には出さないように努める。

 そうしていると桃子がにやりと笑って言葉を発した。


「圧倒的だったっすねぇ、あの淡ちゃん相手に」

「ま、記憶頼りとはいえだいぶ研究したからな。モモだって覚えてる範囲で協力してくれただろ?

 それに憩さんと絃さん、数絵もさ。俺一人の勝利じゃない、皆がいたからこそだ」


 一瞬ドキリとしたが、淀みなく返せたはずだ。なにより本音でもあるから不自然なところはないに違いない。


「京ちんは謙虚やねーぇ」

「褥での京太郎さんとは別人みたいだわ」

「ちょっ、絃さん!」

「そ、そう……京太郎って夜は……」


 何かを思いながらうんうんと頷く憩さん。混ぜっ返すようにからかってくる絃さん。

 そしてそれを聞いてたじろいでいる数絵。いつも通りの日常に癒される思いだ。


「ふふっ。数ちゃんの妄想は置いといて。お弁当食べるっすよね?」

「ああ、試合前は軽く食べただけだったから。試合が終わったと思うとだいぶお腹が空いたように感じる」

「麻雀は頭を使いますからねーぇ。おべんと食べながら清澄の応援でもしましょーぅ♪」

「あ、そうでしたね。今はもう午後三時ですか」

「14時半スタートだからそろそろ先鋒の前半が終わる頃ね。

 片岡さんは私と逆で先行逃げ切りタイプだから少し心配」

「まあ優希だって遊んでたわけじゃないんだ。全国でも通用するレベルだってことは俺達がよく知ってる」


 そう言って、俺は桃子が作ってきた弁当を受け取りながらテレビのチャンネルを合わせた。


『ツモ! タンドラで500・1000だじぇ!』

『清澄の片岡選手、前半オーラスで意地の2飜ツモです。原点に戻しました』

『清澄のタコスガールはプリシーディングゲティングスタイルですから、この和了りはグッドです』

『これにて前半戦は終了。

 現在1位は臨海女子の辻垣内選手。10万6300点。

 2位は宮守女子の小瀬川選手。10万3800点。

 3位は清澄の片岡選手。10万100点。

 4位は根獅子女子の対馬選手。8万8900点。

 まずは静かな立ち上がりとなりました。引き続き準々決勝C卓をお楽しみください』



「ちょうど前半の終わりだったか。優希頑張ってるじゃん」

「辻垣内って言えば去年3位のあの辻垣内っすよね?」

「そやねぇ。その辻垣内智葉さんで間違いないですーぅ」

「まだ様子見、と言った風だわ。それでも十分凌いでいるんじゃない」


 少し安堵したような数絵と、お手並み拝見と目を眇めた絃さん。

 そんな絃さんの言葉。つまり様子見を止めたら……。一抹の不安を残す。

 そしてその不安は見事に実現してしまった。


『ロン。メンタンピンドラドラ、8000』『ツモ、メンタンチートイで1600・3200』
『ロン。イッツー清一色ドラで16000』『ツモ。トイトイのみ、1本場で900・1700』
『ロン。三色同刻のみ、5200』


『先鋒戦終了いたしました。後半は前年度個人3位の辻垣内選手が大爆発で大きく差を広げました。

 1位は臨海女子は辻垣内選手。14万6400点。

 2位は変わって清澄は片岡選手。9万7600点。

 3位は宮守女子は小瀬川選手。9万6100点。

 4位は根獅子女子は対馬選手。5万9900点』


『辻垣内選手がセブンタイムスの和了とトップですね。片岡・小瀬川両選手はスリータイムス。

 対馬選手はワンタイム。しかし対馬選手は放銃もメニータイムスですからこれだけの差になってしまいました。

 個人3位はノットミアショウということでしょう』



「優希の出来は悪くなかったんだけどなぁ」

「全国トップクラスともなれば、悪くないという程度では届かないってことね」

「まあまだ2位っすよ。うちだって次鋒終わりまでは2位だったっすからね!」

「清澄の次鋒は染谷さんですねーぇ」

「彼女の力には生半な支配力では書き換えられてしまうわ」

「染谷先輩と、次にも久さんがいますからね。心配なのは咲だけど、案外どうにかなるかな」


 そんな俺の楽観は裏切られることなく、次鋒の染谷先輩は大活躍だった。


『ロォン! 四暗刻で32000!』
『ツモじゃぁ! 緑一色で16000オール!』


『え、えー、次鋒戦終了いたしました。染谷選手が大大大爆発。

 1位は清澄の染谷選手。7万3300点を稼ぎ17万900点としました。

 2位は臨海女子のハオ選手。2万8100点を失い11万8300点です。

 3位は宮守女子のウィッシュアート選手。1万4800点を失い8万1300点。

 4位は根獅子女子の島原選手。3万400点を失い2万9500点となりました』


『染谷選手、ベリーストロングでしたね。グラッシーズをキャストオフしてから一気にエクスプロード。

 ハオ選手もウィッシュアート選手も完全にトスドゥアバウトされてしまいました。

 とはいえさすがはアジアジュニア銀メダリストでもありました。

 前半で役満を放銃し、後半でも親役ツモを受けながらロスを3万点以内にサプレッシングしたのは見事と言えます。

 満貫なども和了っていましたから。

 それはウィッシュアート選手にも言えることですね。

 ネームレスペインターでしたが、岩手県予選での活躍はフロックではないと示したと言えます』



「うはぁ、染谷先輩すっげ」

「京ちゃんも県予選では3回役満和了ってたっすから、そう思われてたんじゃないっすかね」

「えっ」

「あはは。京ちんが化け物でもウチらは愛してますから気にせんでなーぁ?」

「えっ」

「ま、まあ……ほら、次は竹井さんよ。応援しましょう?」

「その前に、15分の休憩の間にホテルに戻りたいわ」

「そうっすね、久先輩なら最初の方を見逃しても大丈夫っす」


 ショックに打ちひしがれる俺を引っ張り、チーム須賀一行は卓戯館を後にするのだった。


「遅いですわ!」

「えっ」「龍門渕さんがなぜここに?」


 引っ張られてだいぶ意識が浮上してきた頃、入り口で懐かしい声を聞いた。

 その声に視線を向けるとそこには波打つ金の髪を持ち自信満々な立ち姿をした女性。

 押しも押されぬ日本の大富豪、龍門渕財閥御令嬢龍門渕透華さんとその御一行である。

 ちなみにその背後にはででんという擬音を伴っていそうなリムジンと、

 ひっそりと佇んでいる執事服の涼し気な美丈夫。相変わらずのハギヨシさんである。


「ころもも個人戦は出場できるからな!」

「ボク達は透華と衣の付き添い……ってそれが聞きたいんじゃないよね。

 近くまで来たついでに、試合を終わった須賀君たちを迎えに行くって聞かなくて」

「一時間待ち」

「智紀!」

「ははは、ま、そういうこった。車ん中にテレビあるからホテルに帰るまでの間も観戦できるぜ」


 つまり衣さんと龍門渕さんが個人戦出場のために早めに東京に出てきたと。

 そして何かの用があって卓戯館の近くに来ていたので、試合の終わった俺達を迎えに来てくれていた、ということらしい。

 しかし、一時間待ったということはつまり次鋒戦開始あたりから待っていてくれたのだろうか。

 悪いことをしたと思う気持ちと連絡をくれればよかったのにという気持ちでいっぱいだ。

 沢村さんの暴露に悲鳴を上げた龍門渕さんが可愛らしかったからなんでもいいか。


「きょーたろー、腑抜けている場合ではないぞ! そんなではころもの椅子にしてやるからな!」


 そして衣さん。ほっぺチューとはいえまったく意識しないというわけにもいかない。

 天真爛漫に笑っている姿はやはり魅力的である。

 ともかく、俺達は促されるままにリムジンへと乗り込むのだった。


「それにしても、どうやってホテルまで帰るつもりだったんですの?」

「どうって、電車と徒歩でですけど」


 龍門渕さんが清澄の試合中継をモニターに表示するよう指示しながらそんなことを聞いてきた。

 そして気を取り直した俺がそれに答えた。一般人として当然の行動のことをだ。


「言ってくだされば送迎用の運転手も用意いたしましたのに」

「いえ、電車でも20分もあればつきますから」

「20分……案外短いんですのね」


 龍門渕さんの好意はありがたい。

 というかホテルの部屋に置いてあったルームサービス案内にも書いてあった記憶はある。

 しかしさすがにインハイ会場にリムジンで乗り付けるというのは気後れするものがあったのだ。

 それに運転手と車の貸し出しは一日当たり20万円~ という値段だった。

 それならタクシーを借りた方が財布にも優しい。


「萩原さんの運転だからこの車は15分でつける……」

「ハギヨシだからな!」


 そうなのだ。俺達が電車を選んだ最大の理由がそれだ。

 観客や出場校の関係者も車で来場する人は少なくない。

 そうなると必然、会場周辺は渋滞しやすくなる。

 東京なら会場周辺に限らずピークタイムに渋滞が発生するくらいは十分ありうるのだ。

 その点電車ならば乗り込んでさえしまえばそうそう遅れることも無い。

 ハギヨシさんならば15分で着けるというが、普通の運転手なら30分程度はみておかなければ危うい。

 下手をすれば45分かかっても着かないかもしれない。


 そんなことを言っていると車内に取り付けられた大型モニターに試合の様子が大写しになった。


『中堅戦が開始されます。注目はやはり臨海女子、欧州の歌姫、風神の雀明華選手でしょうか』

『イグザクトリィ。欧州での統一プロ規格はテニスのポイント制にイミテイトです。

 ですからランカーだったということはアトリィスト、一年間はステイボーアクティビティを示したということになるのです』


 ちょうど始まるところであったようで、東一局の配牌が進められていた。

 俺達も一斉にそれに注目する。俺達としては明後日の対戦相手が決まる戦いであるし、

 龍門渕さん達にとっては来年、あるいはさらにその先。

 いや、1月にあるニューイヤージュニアワールドクラシックで日本代表として、

 戦うかもしれない相手になるのだ。世界のレベルを計るにはうってつけの選手。

 自分たちの未来の目標に立ちふさがる強敵の一人。注目しないわけがない。

 そんな視線は当然対局室に届くわけもなく、対局は進められていく。

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ヒュッ『ツモ! 中三色ツモドラドラで3000・6000よ!』パシンッ


「うわぁ、全国でもあのツモり方するんだ……」

「? 目立ってよろしいではないですか。……はっ、私が目立てないのでやっぱり駄目ですわ!」


 国広さんが呆れたようにこぼし、龍門渕さんは問題ないとおおらかだ。

 マナーは最悪のツモだけど、確かにあれは格好いいのだ。悪待ちで雀明華から満直を奪ったりもしている。

 久さんはそうして前半を順調に消化した。


「前半は終わり。今のうちに車を降りよう」

「あら、いつの間にか着いておりましたのね」


 そう、気付けば車は既にホテルの地下駐車場だ。

 ハギヨシさんの運転テクニックが素晴らしいのか、加減速はもちろんカーブやブレーキのGも感じなかった。

 それでいておそらく15分で到着させたというのだからとんでもない。ハギヨシさんマジパネェ。


「それでは参りましょう」

「「「「「?」」」」」

「さて、私たちのお部屋にレッツゴー、ですわ!」


 車を降りた俺達をどこかへ誘おうと声を上げた龍門渕さんに、5人で揃って首を傾げた。

 そうしていると行き先が宣言される。……龍門渕さんたちのお部屋だそうで。


「お夕飯はまだ食べておられませんわよね?

 それでしたら私たちのお部屋で一緒にいただきましょう。

 喫飯中にテレビを見るのはお行儀がダメダメですけれど、私が許可いたしますわ!」


 あれよあれよと話は進み、思考が回復した頃には既に龍門渕さんの部屋の中であった。

 俺達の泊まっている部屋も十二分にグレードは高いはずなのだが……

 それとすら隔絶した贅沢な部屋だと一目でわかってしまう。

 調度品一つとっても嫌味にならないさりげない存在感を放ち、

 それでいてしっかり目を向ければ高級品であることを如実に感じさせる。

 広さもとんでもない。もしかしたらワンフロア全てをぶち抜いているのではなかろうか。

 促されるままに円卓に着くと、その中央に立体映像が浮かび上がる。


「ホロモニターっすか……。確か来年に一基500万円で市販されるって発表された」

「我がGAD電機技研からの発売ですわね。

 皆さんのお泊りになっているスイートルームにも標準で設置してあるはずですわよ?」

「あはは、気付かんかったわーぁ」


 あっけらかんと言い放たれた情報に、さすがの憩さんも笑顔が硬い。


「女性の部屋に上がるってことであった緊張感がなんかもう吹き飛びましたよ……」

「あら、意外とシャイな面をお持ちですのね」

「そりゃまあ、龍門渕さんといい皆さんお綺麗ですから」

「突然の口説き」

「いやあ、こうやってハーレム作り上げてってんのか? 俺でもここまでじゃねーぞ」

「――――」

「透華、透華! びっくりしたからって固まってないで。ほら、試合始まってるよ」

「ふむ、さすがはきょーたろー。万の女神と情を通じたという大国主命が如き言行だ」


 思わず口にした言葉が予想外の反応を引き出してしまった。

 桃子達はどこか遠くを見るような目をしているし、ハギヨシさんは微笑ましいものを見るよう。

 一方で龍門渕さんは顔を真っ赤にして口をぱくぱくと動かしている。

 言われ慣れているだろうに初心すぎる反応ではなかろうか。少し心配になる。悪い男に騙されなければいいのだが。

 そんな俺達を斟酌せず無情にも試合は進んで行く。


『ロン! チャンタ混一色で8000!』


『おっと竹井選手、ダマ聴の鹿倉選手に満貫を放銃! どことなく険しい表情で竹井選手を睨んでいますね』

『先程もアブトゥルーシヴなツモをアテンションしていましたから、マナーを重視しているのでしょう』


『ツモです。西三暗刻ドラ3で3000・6000です』


『雀選手の跳満ツモで終局です。この和了で雀選手は区間トップとなりました。

  やはりランカーだけあり安定した強さでしたね。


 1位は清澄の竹井選手。1万3200点を失い15万7700点となりましたが依然トップ。


 2位は臨海女子の雀選手。1万5200点を稼ぎ13万3500点と伸ばしました。


 3位は宮守女子の鹿倉選手。7500点を稼ぎ8万8800点。


 4位は根獅子女子の松浦選手。9500点を失い2万点ジャストです』


『全体的に和了がディスパースしましたね。

 それでも前半と後半で松浦選手と竹井選手が失点役を押し付けられる形となりましたから、

 上手く放銃を減らせた雀選手と鹿倉選手がプラスに収めました』


 食事をゆっくりと摂っている間に、中堅戦は終わった。

 久さんは前半はそこそこ上手くいっていただけに悔いの残る展開だったのではないだろうか。


「久先輩は大丈夫っすかね?」

「順位は落としていないから、問題ないんじゃない?」

「問題なのは雀明華ですわ。私が取り寄せたデータと比べても明らかに打ち筋が鈍らでしたもの」

「つまり、手を抜いてたってことか?」

「手の内を隠すのは勝ち抜き戦では当然だわ」

「卓の力量に合わせて抑えてた感じやったねーぇ」


 結果よりも手抜きされたことのほうが久さんには屈辱だろう。

 しかし、それをモチベーションにしてリベンジのために奮起する、ということもありうる。

 夜にでも軽くメールをしておくべきかもしれないな。


「ま、あの人なら次の試合までには持ち直すんじゃない?」

「そうですわね。……いよいよ次は原村和ですか」



『皆さまこんばんわ。時刻は18時30分になろうとしています。

 男性諸氏お待ちかね! いよいよ副将戦は原村和の登場です!』

『彼女はキュートですから。本人は麻雀も含めなかなかクールらしいですけどね』


「……」ギリィ


 モニターの向こうでは和のプロフィールやこれまでの経歴が紹介されている。

 中には隠し撮りと思しき映像もあったが……。

 そんな和の目立ちっぷりに当然龍門渕さんは嫉妬している。

 もはや言葉も無く、歯ぎしりだけである。

 周りは皆苦笑するより他ない。和には負けるが龍門渕さんも相当の美形だ。

 特にいわゆる冷やし透華と言われる状態の龍門渕さんはその威圧感と存在感が浮き彫りとなり、

 いっそ妖艶さすら感じさせる冷厳な女主人を思わせるのだ。

 俺にMっ気があったらすっかり魅了されていたかもしれないくらいに。


『! ろ、ロン! 国士無双で48000!』


『あ、ああっと! 原村選手、臼澤選手の役満に振り込んでしまいました!』

『それでも表情を変えていないのはさすが、です』


『リーチ――ロン。リーチ一発清一色で24000です』


『親倍で返しました原村選手。狙いすましたかのような鋭い一撃でした』

『ノータイムでの打牌が上手くプレッシャーになっていました。

 ぬいぐるみとそれに乗っかるバストも視覚的には相当効果的かもしれません』



 開幕こそ親の役満に直撃してしまった和だったが、それ以降は倍満や満貫を幾度も和了り、

 前半を終える頃にはマイナスを1万点未満にまで抑えてみせた。

 つまりは4万点弱を稼いだということだ。この平常心は俺には真似できない、和の強さだろう。


「まだ後半がありますわ! のどっちがこの程度でへこたれるわけがありません!」


 などと龍門渕さんさえ応援している。……のどっちという愛称で呼ぶほどの仲だったろうか?

 俺の疑問が解決されることも無く、試合はそのまま後半戦を迎える。


『ツモ。タンヤオトイトイ三色ドラ2で3000・6000です』

『リーチ。――――ツモ。リーチ發混一色ツモドラ……裏2で4000・8000です』



『副将戦終了いたしました!

 1位は清澄の原村選手。

 親の役満を放銃しましたが最終的には2300点を稼ぎ16万点とプラスで終了しました。

 2位は臨海女子のダヴァン選手。1万9700点を失い11万3800点です。

 3位は宮守女子の臼澤選手。1万5000点を稼ぎ10万3800点。見事区間トップ。

 4位は根獅子女子の長崎選手。2400点を稼ぎ2万2400点となりました』

『最終的な結果を見るとダヴァン選手がマイナスをサステインした形ですが、

 開幕の48000点を抜きにしてみるとインディード、臼澤選手も3万3000点のマイナスです。

 一方原村選手はそうなれば5万点のプラス。こうしてリヴィールすると、原村選手の稼ぎっぷりが分かります。

 そもそも役満に振り込むというのがケアレスだとも言えますが……そこをクリアできればかなりの選手になりますよ』


「ふぅ、最初はどうなることかと思ったけど、やっぱ和は強いな」

「そうっすねぇ。あのおっぱいは脅威っす」

「そやねーぇ」「確かに」「京太郎さんの好みど真ん中だわ」

「……そっちなの? そっちの話なの? 俺麻雀の話してたよね!?」


 真面目に感想を漏らしてみればこの弄られっぷりだ。口で勝つのは無理がある……。

 ちなみに龍門渕さんはこの一連の会話中、顔を赤くして聞いていないふりをしていた。

 ちらちらと気にしている風であったので、それを見た国広さん達がクスクスと笑っている。


「はあ……。とにかく、次が大将戦だな」

「サキの出番だ」

「気合十分だったっすから、問題ないっすよ。点差も十分あるっすから」


 そう、咲は怖いくらいの気迫だった。

 空回りしないかとか、やりすぎないかとか。むしろそっちが心配なくらいである。

 それも数分後には分かることなのだが……。




『いよいよ準々決勝C卓も最後、大将戦が始まります』



『根獅子女子の大将、諫早選手はガードの上手い選手ですから飛び終了はまずないでしょう。

 しかし残念ながらパワースタイルではないので逆転は厳しいでしょうね。


 そして2位を争う臨海女子のヴィルサラーゼ選手と宮守女子の姉帯選手。


 ヴィルサラーゼ選手については詳しく触れるまでもなく、ジュニア選手権で頭角を現したホープ。


 姉帯選手は昨年まで実業団でコーチをなさっていた熊倉トシマスターズプロの見出した魔物とのことです。

 岩手予選では追っかけリーチで狙い撃つトリッキーな打ち方を駆使してメイクアパイルしたようです。


 そしてトップの宮永選手ですが……チャンピオンの宮永照選手と同じ苗字ですね。

 ザットアサイド、宮永選手は槓を多用する選手です。そして嶺上開花での和了率がとても高い。


 どうなるにせよインタレストな試合になることでしょう』


『リーチ……ロン。リーチ純チャンドラの、裏1枚で12000だよ』


「咲……? 今、臨海の子が何かしたっぽいな」

「ああ。彼奴は察するに自らの運命を好きな機会に上下できるとみえる」

「調整したタイミングなら絶対に聴牌できる、いう感じですねーぇ」

「それだけではなさそうだわ。最低でも満貫手が来る、そういう流れを操作しているもの」

「世界ジュニア選手権での牌譜を見ましたが、2万5千点持ちでは序盤に集中して和了って飛ばす、という戦術を選んでいたようですわ」

「団体戦では満貫4回直撃させても飛ぶかどうか怪しいですよ」

「……そこが攻略の鍵、っすね」


 たったの数局見ただけで瞬く間に解明されていくネリー・ヴィルサラーゼのオカルト。

 頼もしすぎる仲間たちだ。個人戦では彼女たちが敵として立ちはだかることになる……。

 今から恐ろしくなってくる。俺のことも既に研究済みなのだろうから。



『先生には温存しろって言われてるけどー、それじゃ勝てないよねっ。

 我が手我が口我が牙は紅く赫い……。――ツモ、三色赤3で2000・4000♪』


「な、なんか厨二っぽい口上っす」

「いやまあ、うん。カッコイイんじゃないかな?」

「手牌には赤ドラと萬子が中心でしたわね」

「赤口……六曜の力を使うか、山女め」

「ちゅーことは追っかけリーチは先負ってことですかーぁ」

「それなら先勝や友引に大安、仏滅もあるはずだわ」

「先勝はダブリーあたりかしら。友引は単騎待ちとか?」

「大安はやばそうだね。逆に仏滅なんかはオカルトにありがちなリスクかも」


 俺と桃子が言い合っているうちに、憩さんたちがすらすらと解析してしまう。

 合っているかどうかはともかくとして……そういった取っ掛かりの有無は対オカルト雀士では重要なのだ。

 俺だって索子がドラでなければ手は遅いし、それを補う筒子での加速もあるがそれをすると必然的に絶一門状態に近づく。

 高めを狙う時は清一色や混一色になりがちなのは憩さんや衣さんに指摘されている。

 今は意識して散らすようにしているのだが……強敵を相手にしたら小手先の誤魔化しがどこまで通じるか。


『リーチ』

『追っかけるけどー。リーチ♪』


 そうしているうちに予言されていた追っかけリーチ、先負を発動する姉帯さん。

 ヴィルサラーゼさんは相手の特徴を知らずに卓に臨んでいるのだろうか?


『ロン! リーチ一発白チャンタで12000!』


『背向のトヨネ、ついに逆転です! ヴィルサラーゼ選手手痛い放銃~!』




「手札を隠そうとしすぎて宮永咲の支配を躱しきれていないわ」

「咲が何かしてるんですか?」

「サキの悪い癖だ。プラマイゼロを志向しているのか……誘導して他家に和了を譲っている気配がある」



 全部倒す、と言っていたはずなのだが……。




『前半戦終了いたしました。熾烈な2位争いの結果宮守女子が一時2位に浮上するも

 直後に差し返されて元の順位に戻りました。しかしその点差は1300点と僅差!

 いよいよ目の離せない戦いになって参りました!』



 この段になって、俺達はようやくデザートまでを完全に食べ終わった。

 コース料理だったので一皿ごとに10分15分とかかったからだ。

 味自体もとてもよく、しっかり堪能させてもらった。


『先んずれば人を制す、リーチ!』

『――人を制した程度であまり調子に乗らない方がいいよ、ロン。12000』



「やっぱりありましたねーぇ、先勝」

「発動に失敗すると逆撃を受けるみたいだわ」

「何にせよ、これで趨勢は決まりましたわね」


 透華さんがそう断じた。他のみんなも同意見のようで……。

 俺としてはまだ諦める局面でもないと思うのだが言い出せる空気ではない。

 そして――


『ぼっちじゃないよー、ツモ! 1本場で600・1100!』


『ヴィルサラーゼ選手、前局に責任払いで宮永選手から受けた跳満が致命傷か!

 姉帯選手のツモ和了でついに、ついに逆転! 600点差ですが逆転です!』



「おお! やっぱ諦めたらダメじゃないですか! ここで逆転はすごいですよ!?」

「あはは、京ちんはそれでええ思いますーぅ」


 憩さんの意味深な苦笑い。どういうことだ。

 そんな俺の疑問はすぐに解消されてしまった。



『聴牌だよ』『うぅっ、ノーテン……』

『これはシーソーゲームです! 600点差が2400点差となって立ちはだかります!』

『……ゲームセットですね』

『え?』


                   -=ニ二ニ          ニ二二二二二二二
                 二二二二  二二        二二ニ  ニ二二二

                     ニ二二二   ニ二  ニ二二ニ           ニ二二
                 ̄    ____       ̄ニ二二ニ  ニニ       二二
             ニ二ニ   ニ二二二二二ニ     二二ニ ニニ      二二
              ニ二         ┐  ̄ニ二二二二ニ=  ニ二 二ニ     二二
                    /::::/       ̄ニ二二二ニ  ニ   ニ    ニ二二
               /  /::::::::/...-―≠ニア{    ̄ニ二ニ  ニ二ニ     ニ二
                   /{ /::::::::::::::::::::::::::::::::-=<.. 二ニ  二ニ ニニニ ニ   ニ二
             二{::∨::::::::::::::::::::::::::::::::::-=く:::::\二ニ ニ二  二二二二  二ニニ
               二二〉::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\⌒    ニ   ニ二二ニ  二ニニ=
               二/:/:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::\二ニ ニ   二二ニ   ニニ=
               /:::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.⌒丶ニ __二二二二ニ   ニ=
           ⌒i::|:::|:::::|::|:::::::::|:::|::::::::|::::::::: |::::::|乂__ /: :.:|二二ニニ   =
ニ             ニ二|::|:::|:::l:|::|::::l:l::|:::|::::::l:|::::l:::: |:l::l:| ̄/: : : : |二二ニニ     ニ
二.            二|::|:::|:::l:|::l::::l:l::|:::l\从:::l:::: |:l::l:l/: : : : : :/二二ニ  二二二
ニニ            二|从:|::从八从乂{´廴}乂::::从劜: : : : : :./二二二二二ニ 二ニ=-
 ニニ.          二二)イ::圦     ,     ∧/----: : :__:_/二二二二二ニ  二二ニ=
   二ニ= =ニ二 ニ=  二}//> . - . イ:::::: : : : :/´ ̄∨ ̄ ̄\二ニニ    二二ニニ
=ニ二二ニ  二二二 ___∠{: : : : : :| ̄ _」::: : : : :./    l|     | |__     二二二ニ
  ニニニ   ニニニ //   ∧: : : : :.ー―.:: : : :/} ___ }   リ リ    =ニ二二二ニニ
   二ニ=  =ニニニ ノノ   \{ {\: : : :.  .: : :/ニ/ l/ ̄\__彡'--  、  \ニニニ=
=ニ二二ニ 二二 { {      ̄ハニ、:_:_,:.//ニニ/   |ニニニニニニニニニニニ二\   \ニニニ
二ニ  ニ二 二=/\   ___/二|`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=-  \   \二
ニニ   二二ニ/   / ̄ ̄ 二八   ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`   \
ニニ  二  ´   /二ニ  =ニ二二}    \三ニ=- ̄{ ̄ ̄    =ニ二二ニ==   \
ニニ:/   /  二ニ ニニニニ|     \三三三ニ=- __    -=ニ二二二ニ
二/    /二ニ= =二 二二ニ _|     /≧=====┬=ニ三三三ニ=- ニニニニニニニ
. /   =ニニ二二  二二二ニニ/ {廴___/´  / ̄ ‘,     ___ .... . -――-
/ /ニニニ二二二二____. .: ::|  \     ___/  --- ‘,  /: : : : : : : :./::}:_:_:_/::
,/ニニニ:/ ̄ ̄/: : : : : /: : :人    ̄ ̄   /: :|: :\: : ̄: : : : : : : : : :/::/: : /::::::




                    『――カン』



 モニター越しでも分かる、プレッシャー。

 咲の目は酷く冷たく感じられた。



『ツモ。ツモチャンタ嶺上開花の1本場は2100・4000』



『しゅ、終局! 宮永選手の嶺上開花で根獅子がついに持ち点を失い飛び終了です!


 これによって1位は清澄高校。

 宮永選手は1万7300点を稼ぎ17万7300点と区間トップで終了しました。


 2位は臨海女子高校。

 ヴィルサラーゼ選手は2100点を失い11万1700点です。


 3位は宮守女子高校。

 姉帯選手は7400点を稼ぎ11万1200点。


 4位は根獅子女子高校。

 長崎選手は2万2600点を失い-200点と飛びです』





「咲は最後なんであんな和了りを……?」

「落とすなら臨海のほうが後々楽だったはずっすけど」

「流れ的に宮守は臨海に抑えられ始めていたわ」

「無粋ではある。しかし……介錯するのも武士の情け」

「それでもあれだけ泣かれてしまうと……」


 衣さん達の言うことももっともなのだが、数絵の言葉も無視できない事実だ。

 モニターには戒能プロの試合総評をバックに、姉帯さんがわんわんと泣いている。

 俺よりも高いだろう身長をした人だが、その様は年端もいかぬ少女を思わせる様子だ。

 敵だったかもしれないとはいえ、さすがに同情を禁じ得ない。


「京太郎さん? 可哀想だと思っているでしょうけど……負ければわたしたちがああなるわ」


 絃さんの言葉が重く響く。

 インハイの団体戦は、負けたら終わり。

 個人ならよほどのマイナスでなければ1回2回なら取り返すチャンスはある。

 しかし団体は違うんだ。絃さんは三年生。俺達5人で戦える夏は、今だけ。

 敗者の憂き目を胸に刻み、俺達は龍門渕さんに会食の礼を述べてから部屋に戻ったのだった。


須賀  新道寺   有珠山  姫松     清澄   宮守    阿知賀  鹿老渡
  ―――        ―――        ―――        ―――

千代水 白糸台   越谷 千里山   根獅子  臨海    鬼籠野  永水
    A           B            C           D       


       須賀    A   有珠山     清澄   B   阿知賀
        ―――――――         ―――――――  
       臨海   A    永水      白糸台   B   千里山



                AA1位   BB1位
                  ―――――
                AA2位   BB2位


8月2週


行動2回目 準決勝までの休養日

強制遭遇。 白望・洋榎・怜竜華・由暉子・咏

 01~32    失敗(?)
 34~65    普通
 67~89    成功
 90~98   大成功
 ゾロ目    超成功

9d100=97・74・28・54・77・67・31・81

  白望  大成功  ・ 洋榎  成功  ・ 怜   超成功  ・ 竜華  成功 
 由暉子  失敗    ・ 咏   成功




『皆さまおはようございます。○×ニュースが朝7時をお知らせいたします。

 それでは早速最初のニュースです。

 可憐な女子高生たちの白熱した戦いが繰り広げられる全国高校生麻雀大会。

 昨日ついにベスト8が決定しました――』


 朝、俺は起きて身支度を整えながらテレビを点けていた。

 やはりというか、和のビジュアルが話題になっている。

 しかしそれだけではない、俺達が次に戦う有珠山高校の真屋選手も大きく紹介されていた。

 それは二回戦の収支ランキングを見れば納得だ。

準々決勝収支ランキング

    
 1位 真屋 由暉子  +95,400   41位 清水谷 竜華   - 2,600
    
 2位 宮永 照     +77,900   42位 安芸 雨      - 2,900
    
 3位 染谷 まこ    +73,300   43位 小瀬川 白望   - 3,900
    
 4位 江口 セーラ   +61,200   44位 鶴田 姫子    - 4,200

    
 5位 須賀 京太郎  +58,700   45位 上重 漫      - 5,500
    
 6位 薄墨 初美    +53,900   46位 船久保 浩子   - 5,600
    
 7位 神代 小蒔    +52,200   47位 安河内 美子   - 8,000
    
 8位 高鴨 穏乃    +47,700   48位 松浦 紫苑    - 9,500

    
 9位 辻垣内 智葉  +46,400   49位 狩宿 巴      -10,600
    
10位 愛宕 洋榎    +42,300   50位 大星 淡      -12,200
    
11位 荒川 憩     +40,300   51位 竹井 久      -13,200
    
12位 松実 宥     +29,000   52位 新子 憧      -13,400
    
13位 鳥部 綿南    +28,900   53位 エイスリン・W  -14,800

    
14位 白水 哩     +27,900   54位 江崎 仁美    -15,000
    
15位 園城寺 怜    +26,700   55位 桧森 誓子    -16,800

    
16位 鳴門 藍子    +23,000   56位 世羅 雅      -17,900
    
17位 石戸 霞     +18,900   56位 龍宮 いろは   -18,900

    
18位 米子 涼     +18,300   58位 メガン・D     -19,700

    
19位 松実 玄     +17,700   59位 諫早 花音     -22,600
    
20位 東横 桃子    +16,500   60位 江田島 蓉子   -23,400
    
21位 宮永 咲     +17,300   61位 弘世 菫      -23,800
    
22位 雀 明華     +15,200   62位 瀬戸 風音     -24,000
    
23位 臼沢 塞     +15,000   63位 ハオ 慧宇    -28,100

    
24位 佐々野 いちご +14,700   64位 宇津木 玉子   -28,400
    
25位 南浦 数絵    +13,500   65位 渋谷 尭深     -30,400
    
26位 霜崎 絃     +13,300   66位 島原 貞子     -30,400
    
27位 末原 恭子    +12,900   67位 岩舘 揺杏     -31,000
    
27位 真瀬 由子    +12,900   68位 鷺森 灼      -32,100
    
29位 新井 ソフィア  +11,500   69位 本内 成香     -32,700
    
30位 獅子原 爽    +10,700   70位 勝浦 羽美     -33,100
    
31位 滝見 春     + 8,300   71位 対馬 舞      -40,100
    
32位 鹿倉 胡桃    + 7,500   72位 倉吉 梨佳     -42,300
    
33位 姉帯 豊音    + 7,400   73位 一条 天      -43,200
    
34位 浅見 花子    + 2,600   74位 須佐 世利     -43,500
    
35位 長崎 夜々    + 2,400   75位 尾道 由美     -45,900
    
36位 原村 和     + 2,300   76位 花田 煌      -56,000
    
36位 亦野 誠子    + 2,300   77位 愛宕 絹恵     -61,400
    
38位 二条 泉     + 1,300   78位 岩美 望      -62,200
    
39位 ネリー・V    - 2,100   79位 水村 史織     -72,500

    
40位 片岡 優希    - 2,400   80位 八木原 景子   -83,900


 そう、真屋選手は宮永照を上回る収支を記録したのだ。

 ルックスも、背はかなり小さいのに和に劣らぬ爆乳っぷり。

 有珠山自体が北海道での代表校インタビューからずっと“打倒 瑞原はやり!”と息巻いている。

 つまり牌のお姉さんの座を狙っている、のだろうか。

 あるいはアイドル雀士としての人気を奪おうということか?

 その辺は試合後に受けているインタビューを見ても良く分からなかった。

 いや、獅子原選手や岩舘選手は由暉子をアイドルとして売り出すのだ、と主張していたのだが。

 当の本人があまり乗り気には見えなかったのだ。

 なにか、無理矢理やらされているような雰囲気を感じた。

 俺と会ったばかりの桃子や淡に通ずる雰囲気。

 やっと出来た友達に嫌われたくない、見放されたくない。そのために少々嫌なことでも受け入れてしまう。

 そんな危うい状態に見えた。

 絃さんの言葉が思い出されるのだ。意思なき覚悟では沼に呑まれるだけ、と。

 他人事ながら心配になってしまう。しかしそれは傲慢なのかもしれない。

 赤の他人の俺には何もできないし、俺が受けた印象がそもそも間違っているかもしれないのだから。

 そういえば今日の休養日は珍しく俺は一人きりだ。

 数絵は南浦プロの付き添いで何やらあいさつ回りをさせられるらしい。

 桃子と憩さんは応援に来た親族の相手で拘束される。

 絃さんだけは分からないが……息吹を浴びに行く、と言っていた。

 どこかに行くというのであれば俺がついて行かない限りは離れるということだ。

 そんなわけで、今日一日はホテル周りを中心に色々歩き回ってみるつもりだ。

 麻雀は好きだが、元々運動部だったせいかたまに体を動かさないと鈍ってしまう気がして落ち着かないのだ。


ということでここまでですー

清澄の闘牌部分はアンケートにお答えいただいた皆様のご意見を受け、このようなダイジェストとなりました

もし希望があるようなら敗退が決定した原作校のステータスとかも貼りますのでよろしければどうぞ

それではここまでお読みいただきありがとうございました。またしばしお待ちくださいませ

乙~
姫松が落ちたか~姫松と鹿老渡のステは見てみたいです

>>212
あー、鹿老渡はちゃちゃのんしか作ってないのです。それ以外はさすがに想像すらできないので……申し訳ないです

なのでちゃちゃのんのを載せますー


佐々野いちご     →佐々野いちご(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :B63      技量 :B67
直感 :D48      直感 :C56
必然力:C50      必然力:B60
補正値:35       補正値:39
・スキル
【人気者】銀
(効果A)
 公式戦などの公開されている局面で判定を+10。
(効果B)
 1位でない場合、判定を+10し打点を+1。

【そんなん考慮しとらんよ……】
 公式戦などの公開されている対局で大物手(倍満以上)を放銃した場合、泣く。

作ってないとはいってもモブとして設定した分は当然あるのですが、名前とかも適当なのでちょっとねw

以下姫松です


上重漫          →上重漫(イベント後)
属性 :O        属性 :O
技量 :E32      技量 :D40
直感 :D49      直感 :C56
必然力:C50      必然力:C55
補正値:29       補正値:33
・スキル
【爆発】
 場を取り巻く環境によって爆発力が変動する不安定な力。
 聴牌・和了判定で共にゾロ目もしくはその前後のコンマを出した場合に発動。
 対局者の必然力によって効果が変動する。
(効果A)
 D以下のみの場合、効果なし。
 C以上の者がいる場合、打点を+1する。
 B以上の者がいる場合、和了判定値を+5・打点を+2する。
 B以上の者が複数いる場合、和了判定値を+10・打点を+3する。
 A以上の者がいる場合、和了判定値を+15・打点を+4する。
 A以上の者が複数いる場合、和了判定値を+20・打点を+6する。
 S以上の者がいる場合、聴牌が確定し和了判定値を+30、最低打点が満貫となる。
 S以上の者が複数いる場合、聴牌が確定し和了判定値を+40、最低打点が跳満となる。
(効果B)
 素の聴牌コンマが4位のときは発動しない。
(効果C)
 このスキルでの打点上昇では三倍満以上にはならない。
 また満貫以降の上昇には+2ずつ必要となる。
(効果D)
 聴牌判定値を+10。

  ↓

【爆発】(上記に効果Eを追加)
(効果E)
 3段階目以降の効果が発動している場合、自身の和了は流局しない。

【爆風ターボ】
 恩人である末原恭子の教えにより火力に拘泥することをやめ速度を重視した。
 【爆発】発動中に使用可能。
(効果A)
 【爆発】で上昇する打点ランク×5だけ和了判定値に加算。
(効果B)
 和了した場合の打点が満貫以上の場合、自由に打点を下げられる。
(効果C)
 効果Bで下降させた打点ランク×5だけ和了判定値を上昇させる。
 この効果を使用して和了する場合、打点は満貫以下となる。

真瀬由子        →真瀬由子(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :C57      技量 :B67
直感 :D48      直感 :C56
必然力:C50      必然力:C55
補正値:33       補正値:38
・スキル
【守備信頼感】
(効果A)
 放銃判定値を+15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-1。

【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。



愛宕洋榎        →愛宕洋榎(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :A76      技量 :S80
直感 :B68      直感 :A76
必然力:B60      必然力:A70
補正値:43       補正値:47
・スキル
【ささやき戦術】
(効果A)
 自身がリーチをかけられる場合、他家の和了判定値を-10。
(効果B)
 他家がツモ和了する場合、打点を-1。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【広角打法】
(効果A)
 聴牌に成功した場合、判定値を+15。
(効果B)
 打点を+2。

【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【守備職人】
(効果A)
 放銃判定値を+25。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-2。
(効果C)
 他家が満貫以上をツモ和了する場合、打点を-1。


次の戦いにはダヴァンに板仲間がいるな
オーダーが変わらなければ

愛宕絹恵        →愛宕絹恵(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :C55      技量 :B65
直感 :C56      直感 :B64
必然力:C50      必然力:C55
補正値:33       補正値:38
・スキル
【ブロック○】
 自身を対象に取ったロン系スキル発動時に発動。
 その効果を無効にする。

  ↓

【ゴールセーバー】
 自身を対象に取ったロン系スキル発動時に発動。
(効果A)
 その効果を無効にする。
(効果B)
 聴牌に成功していた場合、自身がスキル発動者からロン和了する。



末原恭子        →末原恭子(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :B67      技量 :A72
直感 :C56      直感 :B60
必然力:C55      必然力:B65
補正値:38       補正値:42
・スキル
【守備信頼感】
(効果A)
 放銃判定値を+15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-1。

【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。

  ↓
(【対オカルト○】を削除し以下の二つを追加)

【人間の意地】
 天才ではないただの人間の精一杯。
(効果A)
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。
(効果B)
 対局者に必然力がA以上のオカルト属性がいる場合に発動。
 判定値を+15。
 素の聴牌・和了コンマ共に1位である場合、自身が受けるスキル効果を無効にする。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

宮守のステも見てみたいです

お願いします

姫松はこんな感じでした

末原さんと漫は2回戦を突破していればイベントをこなした、ということで右側のステータスになっていたのですが……残念


>>216
一応劇中でも触れていますが、原則他校はオーダー変更はしてきません
京ちゃんたちも先鋒と大将を入れ替えた以降は変更する理由も無いのでしない可能性が高いです

>>218
はいさいお任せあれ!

小瀬川白望       →小瀬川白望(イベント後)
属性 :O        属性 :O
技量 :B64      技量 :A72
直感 :B62      直感 :A72
必然力:B65      必然力:B60
補正値:39       補正値:42
・スキル
【妖:マヨヒガ】銀
 時に人を惑わせ、時に幸運をもたらす異界の邸宅。
 聴牌判定が5の倍数のとき発動。
(効果A)
 自身の判定値を+30。
(効果B)
 放銃しない。
(効果C)
 自身の打点+3。

  ↓
(以下を追加)

【遠野の小楽土】
 身の内にこの世のものと思えぬ蓄えを持つ安寧の地。
 チーム戦にオーダーされた場合に発動。
 チームメンバーの打点を+1。


エイスリン・ウィッシュアート  →エイスリン・ウィッシュアート(イベント後)
属性 :O             属性 :O
技量 :F20           技量 :E28
直感 :E37           直感 :C50
必然力:A75           必然力:S80
補正値:28            補正値:35
・スキル
【妖:ドリームペインター】銀
 自らの希望を雀卓と言うキャンバスに描き上げる。
(効果A)
 聴牌コンマor聴牌判定値がゾロ目の±1の場合でも、聴牌に成功する。
 この場合はリーチにはならない。
(効果B)
 効果Aによって聴牌した場合、打点を下降させることで5ずつ和了値を増加できる。
(効果C)
 効果Bによって和了に成功した場合、流局しない。
(効果D)
 このスキルは他家のスキルを優先する。

  ↓

【妖:ドリームペインター】金
 自らの希望を雀卓と言うキャンバスに描き上げる。
(効果A)
 聴牌コンマor聴牌判定値がゾロ目の±1の場合、聴牌に成功する。
(効果B)
 効果Aによって聴牌した場合、打点を下降させることで5ずつ和了値を増加できる。
(効果C)
 効果Bによって和了に成功した場合、流局しない。


鹿倉胡桃         →鹿倉胡桃(イベント後)
属性 :O         属性 :O
技量 :C56       技量 :B64
直感 :C55       直感 :B62
必然力:C50       必然力:C55
補正値:33        補正値:37
・スキル
【妖:座敷童】
 屋敷に住み付き主人に幸運をもたらす童女姿の妖怪。
(効果A)
 リーチをかけない。
(効果B)
 聴牌に成功したとき、和了判定値を+20する。
(効果C)
 和了コンマで3位以下のとき、自身の放銃判定値を+30。
(効果D)
 自身との絆を持つものと同チームにオーダーされた場合、
 自身含むチームメンバーの判定値を常時+5。
(効果E)
 同チームに【小瀬川白望】がいる場合、さらに判定値を+5。




臼沢塞          →臼沢塞(イベント後)
属性 :O         属性 :O
技量 :B68       技量 :A76
直感 :B61       直感 :B68
必然力:C50       必然力:B60
補正値:36        補正値:41
・スキル
【道祖神:塞ノ神】
 他者救済を掲げる地蔵菩薩の化身の一つ。旅路の行く末を司る。
 対象を取って任意に使用可能。
 使用のたびに対象と自身の必然力/5の差分+1ずつ体力を失う。
 なお初期体力は12とする。
(効果A)
 対象の和了を無効にする。
(効果B)
 効果Aによって和了が無効にされたとき、
 和了判定値2位が1位と20以内の判定値でない場合、流局する。

【補助具:増強のモノクル】
 目や視線を通して発動する異能の力を増幅することができる片眼鏡。
 装着者のスキルの最終発動コストを-1する。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。

【対エース○】
 エースと呼ばれるほどの強者と対局する場合に発動。
 判定を+10。

姉帯豊音         →姉帯豊音(イベント後)
属性 :O         属性 :O
技量 :B60       技量 :B64
直感 :A75       直感 :S80
必然力:A75       必然力:S85
補正値:45        補正値:50
・スキル
【妖:山姫】
 山奥に棲むとされる黒づくめの美女。人の生き血を啜るという。
(効果A)
 男性との絆を持っている場合、その絆の強さに応じて判定コンマを上昇させる。
(効果B)
 このスキルを持つ者は【六曜】が使用可能となる。

【六曜】
 様々な力を内包した山女としての側面が垣間見える力。
 各条件を満たした場合に発動可能。
 対象を取って発動するものの場合、自身を上回る必然力の対象に対しては
 その差分だけ素の判定コンマで上回っていなければ発動に失敗する。

(効果A)先勝
 自身がリーチをかけられる場合に発動可能。
 素の判定コンマが99・00のとき、天和or地和で強制和了。
 素の判定コンマがゾロ目の場合、ダブルリーチ一発ツモ+αで強制和了。
 つまり3翻の打点上昇で和了。
 また、素の和了コンマで1位であれば強制和了。
 ただし素の和了コンマが56~75の場合は自身が放銃する。

(効果B)友引
 自身の素の判定コンマに1が含まれる場合に発動可能。
 強制ツモ和了する。ただしリーチ可能状態の場合は発動できない。

(効果C)先負
 他家がリーチをかけた際に自身もリーチできる状態もしくはその±1のコンマである場合に発動できる。
 自身もリーチをかけた状態となり、リーチをかけた他家から出和了りする。
 その際の打点判定をさらに1翻上昇させる。
 ただし自身の和了判定値が3位以下の場合は発動に失敗し、逆に放銃する。

(効果D)仏滅
 自身の判定コンマで40が出た場合に発動。倍満以上を放銃する。

(効果E)大安
 和了判定コンマの一桁目と二桁目の合計が6の倍数かつ
 他の六曜スキルが発動しなかった場合に発動。
 役満を和了する。

(効果F)赤口
 ドラが赤い牌であった場合に発動。
 聴牌順位2位以上であれば打点に+4翻して強制ツモ和了する。

こんな感じです

補正値50以上というのが魔物の条件だったりします

ただ豊音は強制和了を多く持っているので補正値をやや低くなるようにしています

宮守は普通に強くしたんですけど……くじ運が悪かったです

乙です!
やっぱり面白い!

>>224
そう言っていただけると励みになります。ありがとうございます


越谷失点激し過ぎィ

>>232
おぅっふ、申し訳ないです。越谷大将の八木原景子の点数ミスってますね……

本来はマイナス21,000点です。なので59位になり、以降1つずつ順位がずれます。

マイナス8万になってるのは飛び無しで最後までやった場合の点数でした。

まあ、その場合は爽が後先あまり考慮せずにカムイを使って役満叩きこんでるのでむべなるかな、なのですがw

まだ準決勝書き終っていないのでおためごかしですが、投下していきますー

>>210からの続きです


 そうして街に繰り出した俺だが、想像以上に人の数が多い。

 今日は金曜日、つまり平日だ。その朝方だというのに長野では催し事でもないとみられない程の人波。

 しかしそれも当たり前の話だったとしばらくして知れた。

 人の流れに逆らわずに歩いていると、どうやらイベントスペースのようなものに辿りついたからだ。

 出店のようなものが広場に開かれ、醤油の焦げるいい匂いや肉が焼ける匂いなどが漂っている。

 朝を軽く済ませた男子高校生の身として、ちょうど小腹の空いてきた時間帯であった。

 早速何か食べようときょろきょろと当たりを見回す。


「お姉ちゃん、さすがに食べすぎやって」

「うっさいわ。こんなん食べなやっとれんやろ」


  愛宕姉妹判定 1d100=96  大成功
  洋榎追加判定 1d100=08  失敗


 ちょうど串カツの屋台近くまで来たときに聞こえてきた声。

 その声に何となしに視線を向けると、二人の少女が気まずげにしていた。


 薄茶桃色の髪をポニーテール気味にアップでまとめた垂れ目の少女と、

                              -‐ 、
                             _ _/: : :._ハ
                       ,. :'": : : : : : : : : `ヽ

                        _,../: : : : : : : : : : : : : : :\
               _,,   -‐: :'"´/: : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
          !I    /; :'-ァ'´: : : :,;イ : : : : : : ;ィ: : : : : : i: : : : : : `ト\
          ||.    /:./ /: : : : : :./: : : : \/ .i i: : : :ハ.|\/: : : :i.  )
          ||    {.:/ ,': : : : / ./ ;ィ: :. :ハ l.\!ハ: : | リ/`ヽ: : : :}
          ||   {'  {: : : ::;'  .{: :i.|l: : i x=テ芹 \i 斧テ=x! : : ノ
          ||       ';: : : :i.   `ヾリ\i 乂り    乂:ソ.厶イ
          ||i;,,      \: :i       从     '     i/ |
          ||::し/,      `ヾ、    //. 丶   (⌒)    ノ i:.|
          || イ,;/,;          {:i     > .__,,  イ  i.:i
  ゙ii;ヾ;;,,,.vV;:|  i/;// ,//;..,     リ, --‐i   `i__,ィ´\//_
\゙ミi;,,;' ヾ  ! /;:;''/ ,,/.  .-‐‐  ´   ! ハ   .ト、,ハ  ,i/  `ヽ
  \V  \    イ イ ∠.._         |   `ー=ニテXく ̄   ヽ  \
ヾ   \           彡| /\      i     //i.|. } }    | 〉 \___
≧;;,,_           ,/し/ ,___ \   /  _,,_,, . 斗‐_つ     V    \ `ヽ
<            :.≦=--    ̄ ̄ `''"´  -‐ -‐'ァ⊃    }!       }
-==>          ≦=---.     _,, 、_     ‐- - チ_)     八       /\
=≦_          <.       ≦    .i  ̄` ー - ‐'′      /.  \_ -<.    \

 青紫陽花色の長い真っ直ぐな髪をした眼鏡で巨乳の少女だ。

      /                  \
                       \

    /   /                \  ヘ
    ,'   ./     /´゙`\         ',
            /     \           }
    ,  ,'    , '           \          i
         ,             ' 、     }
   ! ,'  /`` ー‐丶    -- '"  ∨    !  |
   ! {  ,' __  __      _,,,   __V       |
   , ,」z=f"徒笈㍉、      ,。s===、ニミ、  ,'
   ,〈::{/卞 { .::ij:: } ヾxzzzイ/ { .::ij::. リ }:::} 7

   ', V', ,乂ッ,ノ  ノノー‐、ヘ 弋ュ,少 /::/     i|
   ハ ヾミュ___  彡"    ` ミx,__ _彡",' 7  ,'  i
       ',  ̄      ’     ̄    ハ7  ,'
     V .ハ                 从  .7!  ',
     V. 入   r ~ ~ ーvォ  //   仆、  V
     __,V   >  `  --  ' イ } /   7   >s。、
   ∨   V    Y´ >ォ __, イ   ハ           \
   , '    }   i!   {         / ',   {       i!  ヘ
  .〈     }   i}    ヽ     ノ  ヘ   i       ノ
  i}    ノ   7    /⌒ヽ_ イ \  ヘ  !    |      ヘ
  /_,,,/     ,'   /ミュ、   } 彡、 ヽ {    i/

 その見覚えのある気がする二人の顔に、注文した品を待つ間に記憶を探る。

 そうしていると、今は機嫌が悪そうな方と目が合った。見計らったかのような瞬間に相手が誰なのかを俺は思い出した。


「愛宕洋榎」「あんたァ……須賀京太郎」


 思わずこぼした俺と、そんな俺を忌々し気に見て舌打ちをした愛宕さん。

 そんな少女と俺を困惑してちらちらと見ているのは妹の愛宕絹恵さんだろう。


 串カツを受け取り金を払い、俺はどうしてものかと思案する。

 別にお互いを認識したからと言って何かアクションを起こす必要はない……はずだ。

 しかも愛宕姉のほうはかなりの不機嫌。触らぬ神に祟りなしともいうのだ、このまま見なかったことにするのがベストだと思う。

 しかし、妹さんの居た堪れない様子がどうにも気にかかる。

 愛宕絹恵さんはスタイルも良く美人、ここで恩を売って格好をつけておくのもいいかもしれない。

 そんな下心もあり、それだけでもなく、これからも麻雀に関わるのなら一応は先輩とも言える人なのだから

 挨拶をしておいたほうが礼儀的にもいいだろうと自分に言い訳をしながら近寄ることにした。


「えっと、はじめまして。須賀京太郎です。愛宕洋榎さんと愛宕絹恵さんですよね?」

「……フンッ。そや。うちが元天王寺の綺羅星こと愛宕洋榎や」

「お姉ちゃんがすみません。私が絹恵です。よろしゅうな。

 お姉ちゃんは私が不甲斐ないばっかりにちょっと機嫌が悪うて……勘忍な」

「絹は悪うない。麻雀なんやから勝敗は秋の運や。

 うちがエースやっちゅうのにセーラに稼ぎ負けとる時点で言い訳も何もできん」


 挨拶した俺に不機嫌さを隠さずぶっきらぼうに応じた愛宕さん。

 そしてそれを取り成す妹さん。妹さんのフォローによって愛宕さんの不機嫌の理由もおおよそ分かった。

 確か妹さんは真屋由暉子に釣瓶打ちにされて大失点し、有珠山に逆転されてしまったのだったか。

 その結果、同様に撃ち落とされていた越谷女子が大将で飛ばされてしまった。

 大将の末原恭子さんも必死に巻き返しを図り、実際に飛び終了の前局までに二連続和了で1万点差にまで迫っていた。

 つまり大将戦までにあと2万点ほど稼げていれば状況が変わっていた可能性が高い。

 そして愛宕さんは4万点強を稼いだが、同卓した江口セーラ選手は6万点を稼いでいる。

 やってやれないことではなかった、と目の前で証明されてしまった形なのだ。

 それ故に、気持ちの整理が付けられないのかもしれない。


 実際、俺が同じ立場だったら悔しくて1週間はのたうち回っていると思う。

 失点したチームメイトを詰るのは簡単だ。そうすればその瞬間だけは悔しさも紛れるかもしれない。

 だがそれは結局、自己嫌悪となって帰ってくる。安易な逃げ道。

 愛宕さんはそんな低きに流れるのを良しとしない、強い精神力を持っているということに他ならない。


「須賀は新道寺と白糸台を相手にして5万8千稼いどる。男子やからって舐めとった自分が情けなあて……」


 実力を見抜けなかった、それだけ自身の勘が鈍り、腑抜けていたと思っているようだ。

 実際勝ち残っている俺には何を言っても嫌味になりそうな話題だ。

 ……ならばいっそ、悪役になりきってみるのもアリだろうか?


「なんだ、姫松のエースも案外たいしたことないんですね」

「あ?」ギロッ

「でも安心です。これなら個人戦でもだいぶ楽になりそうで。ライバルの脱落は歓迎ですから」


 あからさまな挑発だ。愛宕さんはその挑発に――乗った。

 いや、鋭く睨んでから一度歯を食いしばり瞬きをした。

 その一瞬で冷静さを取り戻して俺の見え見えの意図を見抜いたのだろう。

 しかしそれでもあえて受けた。おそらく、奮い立つために。


「よう、言うた。――須賀ァ、必ず吠え面かかせたるからな!」ダッ

「え、お姉ちゃん!? あ、須賀君ありがとうな。縁があったらまた会おなー!」タッタッタッ


 愛宕さんは捨て台詞を残して駆けだし、それを見た妹さんは慌てて追おうとするも俺を見て礼を述べてから走り出した。

 余計なお世話だったかもしれないが、自己満足に浸るくらいは許されるだろう――



愛宕洋榎の好感度がぐぐーんと上がった
愛宕絹恵の好感度がぐーんと上がった


評価

愛宕洋榎:生意気な一年や、勝ったるわ!

愛宕絹恵:お姉ちゃんを励ましてくれてありがとう、須賀君


 小腹を満たした俺は再び当てもなく街を彷徨い歩いていた。

 大通りから離れるとがらりと雰囲気が変わるのは散歩していて実に楽しい。

 ふと時計を見ればそろそろ昼時、駅に戻ろうかと思い歩を進めていると――


「ね? あなた可愛いからいい宣伝になると思うんですよ。ぜひ協力してもらえない?」

「えっと、私みんなを探してて……」

「大丈夫大丈夫! すぐ、1時間もあれば済むから!」


 聞こえてきた問答が気になり路地を覗いてみると、そこにいたのは今朝ニュースで見たばかりの顔。

 インハイ二回戦での収支一位を記録したニュースター候補、真屋由暉子だ。

 どこかおどおどした様子で、そんな少女を数人の男女が囲むようにして迫っている。

 どういう状況か分からないが明らかに困っているのは見て取れる。

 ……愛宕さんに先ほど言った、ライバルが減るのは歓迎、というのは当然挑発するための方便だ。

 真屋さんは明日の準決勝の対戦校の選手。

 油断できる相手などではないが、それでも不本意な形で勝利したところで面白くない。

 なにより和に比肩するほどの爆乳だ。それだけでも俺が首を突っ込む理由として十分。


「おーい、ユキ! こんなとこに居たのかよ……探したぜ」

「え?」

「いいからさっさと来いって。明日の準備もあるってのに」


追加判定 1d100=64  普通


                      -‐ ━━ ‐-
                  /  /. . . .    . . \
                   . ./: : : : :/ : : : : : : : : : . .
                / . : /. :./ : ∠|: : : :./: : : : : : : :.
                  / : : / : /l: :/  |: : :./ |: : : : |: : : :
              / : : / : /抖午ミ八_/ 八:.: : :.| :l: : :

                / : : /.:.:.:l/{ Jh^`  午ミX : | :|: : :
.               / .:/ l´l:.:| 乂_,ソ     { Jh^Y: :|: : :|
.              ⌒7 : :人l:.:|  〃   '  乂ソ '从:|: : :|
              / : : .:.:.:l从      -、      /): 八:.:.|
                / : :.:/ .:/ / \   `¨     人 /:. :∨
            / : :.:/ .:/ / : :ノえト .__....-=≦:.:.:/:.:.|: :|
              / : :.:/__厶斗 ´|  `L∧:.:_|:.:.:|/:.:.: | : :
          / .:/  | l......... |  /:i:i:i:l\\j:.:.:.: : : : : :

            / .:/    | l......... |/,\:i:iノ\〉.. `┬ 、: : : :.
          / .:/  \ ,| |..Χ..........’ 「i:i:, |........... ', 丶 : : :.
.        /.:/ :/ /⌒ 人[.......\.......∨:i:i:i:i|..............', ∧:. : :
     / /': /        /⌒\........... ∨:i:i:i|..............// {:. : :|
..   / / /: 〈  ___  /'    \.........∨:i:i|.........../ \ \:.|

 真屋さんは混乱している。それはそうだろう。

 見知らぬ男がやけに馴れ馴れしく話しかけてきて、さらには腕を掴んで強引に連れ去ろうとしているのだから。


「ちょっと、あなた何なの!? この子は私達とお話してるとこなんだけど!?」

「あ? オバサンは黙ってろよ。ツレをどうしようが俺の勝手だろォが!

 おら、行くぞユキ」

「ふぇっ? あ、……はい。行きましょうか京くん」


 追い縋ろうとする男女を威嚇した俺。そんな俺が助け出そうとしていることを察したのか、真屋さんも演技に乗ってきてくれた。

 ユキと呼ばれた瞬間呆けたような顔をしたがすぐに取り繕い、腕を掴むどころか絡めてきた。

 その様子にさすがの不審な男女達も諦めたのか角を曲がる頃には追いかけてきていなかった。




「えっと、ありがとうございました」

「いや、いいって。こっちこそ馴れ馴れしくして悪かった。ごめん」


 しばしそのまま歩いて人通りのある広場までやってきてから、俺達は演技を止めて謝罪し合った。

 腕を絡めている間はおっぱいが押し付けられて実に役得であったのだ、むしろ感謝したいくらい。



「それにしてもノッてくれて助かったよ真屋さん」

「……はい。須賀君は悪い人ではない、と神のお告げがあったので」


 俺が真屋さんと言った時、少し悲しそうな顔をしたのが印象に残る。

 しかし、神のお告げとは……。


「有珠山高校はミッション系ですので」


 怪訝な表情が出ていたのだろう、真屋さんがそう補足してくれた。

 なるほど、つまり電波なお方ではないと。しかしそうなると結局は勘なのではなかろうか。

 そう訊ねると真屋さんは目を逸らして神のお告げ、と繰り返した。

 ……まあ、真屋さんは9万点も稼いでのけたのだ。そんな人の勘と言われれば信じるのも悪くないだろう。

 そんな風に折り合いをつけると、何やら可笑しくなってきた。

 二人してくすりと笑みをこぼし合う。

 そんな柔らかな雰囲気に水を差すように、真屋さんから携帯のコール音。


「あ……。すみません、みんなからです」

「そういえば探してたんだっけ? いいよ、ここらでお開きだ。明日は俺達が勝つぜ?」

「……負けません」


 寂しそうな真屋さんの目。俺はそんな目を見なかったフリをしてその場を後にしたのだった。



真屋由暉子の好感度が上がった


評価

真屋由暉子:須賀君、ですか……


 真屋さんと別れた俺は、昼食をどうしようかと悩んでいた。

 するとちょうど近くにデパートがあることに気付いたのだ。

 デパ地下で見繕うか、上階のレストランスペースで探すか……。

 いずれにしろ悪くなさそうな閃きだ。少しワクワクしながら俺はデパートに入ったのだが――



「――須賀京太郎」

「え?」
                         イ/

                    > '"  /
                  /   ,, - ''"‐‐-  ,,_       ,
                 /!   = 、        ` ‐-- ''"/
                -(   ´   ヽ、 ̄` -      彡
             / ゝ-   ,,      ー--  ニ==彡

            イ  /  /   ヽ         -= ヽ、 __
           (〃 イ     イ   "'' - ,,       ヽ ヽ -=`
           イ   ,'   ,' l  丶    `"''<"''<  }      >
         / /    /! !  ,  !   ヽ ,,     ヽ  ) /"' -‐<
         ( /  // !  l    、  \~"''<  ヽ ./     ヽ、
          {  /〃  il  ̄  三 \ゝ - ,,斗= ミ ヽ} ヽ  }\ 、`
           ゝ { ヽ l}/弐芯示    ´ 以:゚:リ/ l }  l/ 丶) ヽ)
            j   、!  ゝ‐ '       `¨´  ' / 丶  ヽ
            / l   lヽ',       '     '''  ,' '   } ',   }
           / l     、           /   / / /〃
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               `  ̄  _..>     < j _ ´
                 , ': : ノ: :ハヾ≧≠彡...ハ: : :`: ヽ..._
                 γ´| : : : : / : :|.: : l: : :|: : :|..._i  ,.::/: : : : :.ヽ
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               |:::.′:.′: :./: : : /.: : : ′:::.}: : : l: : : : :ヽ : : : : :′
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 エレベーターではなくエスカレーターで上階に向かうことを選んだ俺は、

 ちょうどスポーツ用品の陳列されたフロアで唐突に声を掛けられた。

 声のした方向を見やると、女性用水着を扱う店のほど近くにあるベンチにダルそうにもたれている白髪の美女だ。

 櫛をあまり通していないのか少しぼさぼさとした艶のある白髪に整った容貌、そして服の上からでも分かる肉付きの程よさ。

 全身で発する気怠い雰囲気が妙な塩梅でなんとも目が惹かれる。



「えっと、確か宮守女子の……小瀬川さん、でいいですか?」

「そう。……京太郎はきょーだよね。私はlazy」


 まさかの身バレである。ネット麻雀でのハンドルネームをなぜ知っているのか。

 いや、lazyさんと言えば確か対局した経験があったはず。目の前の美女がそうなのか。


「どうして……」

「牌譜。……あと雰囲気。ダルくないから」


 要するにネトマで何度か対局した際の牌譜と俺の普段の牌譜を照らし合わせて特定した、のだろうか。

 さらに雰囲気、小瀬川さん曰くダルくない雰囲気が決め手だった、と。


「なるほど。なんか凄いっすね」

「うん」


 それきり会話自体は途切れてしまったが、無視されているわけではなさそうだ。

 共通の話題……麻雀のことでも話そうかと思ったが、昨日敗退したばかりの小瀬川さんに振って良い話題か躊躇する。

 どうしたものかと思っていると、小瀬川さんがこちらをじっと見つめていることに気が付いた。


「あー、何か飲みます? 俺買ってきますよ」

「自分で選ぶ。……連れて行って」


 たぶん喉でも乾いたのだろうと思ってそう問いかけたのだが、当たりだったようだ。

 しかし小瀬川さんは立ち上がるわけでもなく、俺に向けて両腕を伸ばした姿勢。

 ダルいとかダルくないとか言っていたし、これはつまり俺に背負っていけということなのだろう。

 そうなれば当然その胸が俺の背中で押しつぶされるわけで、感触も楽しめる。

 魅力的なおねだりに拒絶する気も起きず、俺は促されるままに小瀬川さんを背負った。



「ん。やっぱりダルくない」


 エレベーターホールにあった自販機で適当にジュースを買い、元居たベンチに戻ってくると

 そんなことを小瀬川さんが耳元で囁いた。

 それからやけに甘えてくるような空気を感じるのだが、どうにも距離感が掴みづらい人だ。

 美人でスタイルも良いのだから男としての本能が刺激されて困ってしまう。


  宮守一行判定 4d100=91・49・12・74
  エイスリン:大成功  胡桃:普通  塞:失敗  豊音:大成功 
  白望追加判定 1d100=66  特殊イベント



 しかしそんな俺を救うかのように、

 試着室のカーテンがドアが開かれて中から赤毛のお団子頭な腰のくびれが見事な女性が顔をのぞかせた。


「シロー? ちょっと見てほしいんだけ、ど……!?」

                         __
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        ヒ⌒レ'i/(     / _,厂 ム/⌒ー'了
      / てォ ( ヽ   // j   /      | i  '´i`ヽ、
     /    ヾュ   Y) レイ  rく⌒      iヘ!   /   `ヽ、
     !      ^! ノ Y _,f‐'"           l |  /      \
     ',      `ーァ八          ヽ^ト、/         \
      ',    _,.ィ''"´  `ヽ、、      ,、_∠イj!
      ヽ /          `丶、 _ -'"´  /
       `!                   /


 確か臼澤塞さん、だったか? C卓では収支5位にランクインした実力者。

 そんな彼女が、無防備にかなり際どいラインの水着を見せつけるようにして立っていた。

 そこはかとないエロスを感じさせるその艶姿に思わず目が釘付けになってしまう。

 そうして見ていると、小瀬川さんが俺の腕に身体を押し付けてきたことでようやく意識が戻る。


「あー、大胆ですけどスタイルが良いですからとてもお似合いですよ」

「~~っ!?」バタン


 とりあえず褒めてみたのだが、臼澤さんは顔を真っ赤にして ――顔だけでなく胸元もだったが――試着室に慌てて戻ってしまった。


「シロ?」「シロー、ちゃんと待ってるよね?」「どうかな、似合ってる?」


 にやりと笑っている小瀬川さん。

 どうしたものかとため息を漏らしたところで三人の女性が臼澤さんとは違いポーズを取っていないが試着室から現れた。

 白い肌に金の髪をしたスレンダーな少女がエイスリン・ウィッシュアートさんだろう。

 フリルのついた可愛らしいピンクの水着がいいコントラストになっていて本人の容姿を引き立てている。

                       入、.:.:.:.:.:.:ヽ.:.入 .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:入 、  ’,.:.:.:.:.::
        .            /   >ミ.:.: /    ≧ ー≠= <\ \\  \.:.:.:.:
                   /   |.  |.:. Yl | ll \   |l\  | ハ l|  )    ー=
        .           ′  |   !.: ∧ .| 斗- |\ リ _)ノイ  リ'
                    | | {   Ⅵ |l { 从 八 }/ /心∨ ∧
                    | |〃    八 \x云ミ)'   V)リ'∨ ∧
                   |  | |l l \ \l\/ん 刈    `~.::.‘, \
                  l  | |l | | \ \{{乂),ツ     `    }\  \
                  l  | |l | |_//\  \\.:::::.   ┐ /  \  \
                 ,′ | リ | /::){/ ̄\  \\  ` =' ∧\  \  }
                    ′ l/  |‘イ个ー=ニ=┬  \\____∧ ‘,\  )ノ
                  / /  {   l| | l|  | l lト  _} }/( l| l ll l |l/
                { {  |   l| | l|  | | l|    |厂 ヽ)ハ八リリ ノ'
                 八八  l  从 l|八  乂乂ー=ミ 丶、
                   )八 ( ./∨  \廴_彡'    ヽ.::{
                     )V                Y ヽ. /yヽ
                        l             人 Y ニニ
                       |   }   l        ′ 丶r ミ {
                       |  ',.  |       ./    ヽ ノ
                       |   八  ′     /      ',
         __            l|   V       /          :.
      ,. : : ´_ : : : :≧=ュ __ イ j    V      /      _ 从
.     /γ´     ミ: :.> ゚///// 入 __ V    ∧     /////
    /: :′        V.//////ノ ///////    ∧入= 彡////ノ


 なぜかスケッチブックを持っているが……。

 そしてウィッシュアートさんよりも更に幼い、黒髪のおかっぱ少女。鹿倉胡桃さんだろうか。

 その体躯に見合ったワンピースタイプの水着……ではなくなんとビキニだ。

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   V::::::ハ ≧三ミゝ ノノ  "´ん//ハ` i::::::!::::::::::::j

    i:::i::::ヘ〃ト//心        弋 ‐フ  |:::::!:::::::::ハ}
    ハ::V:::ヘ \ヒフ         ̄   }::::j:::::::://
    i V::::::::ハ      '     ""   ィ:::/:::/
     i V::::::::ハ  U       ,    /:!://
       Vト>>     `     イ ̄ レ
        V     >┬‐ ´    i
        ,ィ‐|ー-ァ7''´ }       \
  .    /    //ー-、       //` ー- 、

      i    //    ´ ̄ ̄ ̄/:/      ',
  .    i   j ノ::{         //       i
  .   i  //::::\ィ、, -、   ,ノ:::{  y     l

     i ./: : : : :,ィ'/ ィゝj、-‐´: : ::l   l     l
     i  i : : : :/     --}: : : : : : :i.  l      l
    i  {: : / ー´、 `ヽ.フ : : : : : : ヽ./.l     l


 布面積はそこまで少ないわけでもないために犯罪チックではない。

 最後は俺よりも高いだろう背をした、姉帯豊音さんだ。

 小瀬川さんほどではないがメリハリのあるスタイル。その長い髪と同じ黒いパレオビキニ。

 大人っぽいはずなのに雰囲気はやけに幼い気がする。



「……ダレ?」「確か須賀、じゃなかった?」「熊倉先生に見せられたビデオに出てたよー! そだ、サインください!」


 水着のはずなのにどこからともなく色紙とペンを取り出した姉帯さん。

                       ____

                      ´       `
                    /            \
                 /-―=ニ二二ニ=―-   ┌∧
                 /-‐======‐-...    { ∧__
                //:::l::::::|::::::::::::|::::|:::l::::::::::`ト└ヘ_r、_}
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.         〈_i_ノ}_ノニフ´) |八:从、Vリ  \{ Vリノ::::/:::l:::|:::::|\\_と_/´ヽ_
        {      _/    }:::| ,,, ′   \ ,,,|:::/::::::l:::|:::::||  ̄l |_/_/_/_ }
.         }   /´      /::人         ) l/|::::::::l:::|:::::|:.   〈 `>'´   /
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 俺はどこか遠い目をしながらサインをした、と思う。


「それにしても皆さんお似合いですね。

 ウィッシュアートさんは水着と肌の色がマッチしていて可愛らしさが引き立てられて天使みたいですし、

 鹿倉さんは大胆ですけどそれがセクシーで大人っぽいです。

 姉帯さんはスタイルが強調されていてとっても魅力的だと思いますよ」


 と、とりあえず褒めてみた。桃子達からも褒められて嫌な女はいない、と常々言われている。

 そうすると、三人ともに満更でもなかったのか少し頬を染めてから試着室に引っ込んでしまった。

 ミスったか?

 それにしても眼福、だろう。そういえば小瀬川さんはどんな水着を買うのだろうか。



「小瀬川さんは――」

「名前で呼んで」

「え、あっはい。……白望さんはどんな水着を買われるんです?」

「普通の……ちょいタンマ。

                    / / `ヽー、     ー、   `ー /´
               _ -‐ァ'/       ´⌒ヽ  、 ヽ、_ 彡 ´
              /⌒ィ'´ /            ',  \  ヽ
                /´ア´ /  / /       !   ',   ヽ
            ({ /  ノ  / /       ! l    \   、   \
             `Y ィ´   / /    i l  '.   、 ヽ.  ',_  `ー-
             / /    /イ/i{    j{ j  、      \ ヾ  ̄´
            , ィア,' イ  /`7~ヽ   ハ 八  (ヽ    ト、 }  ー、
           j/ / { { イzx、_エ、  j |~~、 ヽ Y`ヽ }! ソ \}⌒j

             ´ {  ヽハ、{i  佞i「ヽ. ハ{\{zュ.jYハ }  〉ハ    ヽ.
             ∨   ハ `  ̄   \{ ヽ `芒!リイ ノ /イ     ハ
              ヽ { j! !    、     } ヽ!  〈 /フ   j!  / リ
               `ヘハ ト          j       /´j}   ハ ノ
                  `  \  ゚ `   /    / ノ j_ノ ´
             _ -=ニ7⌒ヽ __ .. イ    / `7=ュ。_

            イ  「ニニニ7   人j  ハ   〈  /ニニニ´⌒ヽ
           ´ i  ニニニ{  /l] `Y  ',   V /ニニ/    '.
               l  ニニニ、/!  [! (   '.   Vニニ7       }
      /     ハ  ニニニニニ|  マ、  ィハ    Vニ7        ′
     /       ',  ニニニニニ|  マ、ィ´  。    V       /

                                 ――――これにする」

「あんた何言ってんの!? こ、こんな紐みたいなの絶対ダメだから!」


 なぜか名前呼びをねだられたので従ったのだが、それで正解だったらしい。

 初対面の男に無防備過ぎではないだろうか。非常に理性を削られる。

 そして興味本位で購入する水着を聞いたのだが、タンマと言ってから数分の間長考して手に取ったのは……スリングショット。

 乳首と股間を隠すだけの紐水着。重ねて理性ががりがりと削れていく。

 しかしそんな白望さんを叱りつけるように、一度は試着室に籠った臼澤さんが私服に着替えて飛び出してきた。

 これにはグッジョブと言うしかないだろう。

 スリングショットを身に着けた白望さんを見たい気持ちはあるが、

 海水浴かプールに行くかは知らないがどちらにしろその場に俺はいないのだ。

 俺は見れず、その場にいる男たちが得をするだけであるのだからここは俺も止めた方が良かったかもしれない。

 そんな醜い独占欲を俺が抱いた瞬間、白望さんが艶めかしい呻き声を漏らして体を捩った。

 人の目が無ければどうなっていたことか……。


 そんな俺をジト目で一瞥した臼澤さんだが、ふいっと視線を逸らして白望さんに説教を始める。

 そろそろ昼食にしたい時間でもあるし、こちらに火の粉がかかるのも勘弁願いたい。

 なのでお暇することにした。


「あー、それじゃ、俺はこの辺で失礼しますね。個人戦でまた」

「……京太郎、また」ギュッ


 最後に俺の掌を包むように掴んだ白望さん。柔らかな手の感触以外にもがさがさとした、紙の感触。

 その場を離れて確認すればどうやら白望さんの連絡先が書かれたメモ、だと思われる。



 ――後日俺の携帯の画像フォルダにどんな写真が増えたのかは言うまでもないだろう。


                \ー―――‐`         }
                  \         --- 、 __ノ_⌒ヽ
                 /⌒    /     /    Y^ ,
               ー=≠       /           |   ',
              ./     /      / /         \_
              /     /     / / /        /      Y´
          /  / /   / _/_/イ_/,  、__/ ∧
             | /./ /   /´/|/´-l/   // /`^ヘ |   | l|
            八{ /  j/ ll ∧ :|芹苧豕 /l/苧豕, ∧|   | l|
              / イ / Ν/-、| | 乂_ソ}/   ヒソノ∧八 リノ
             {  | \、_jノ  , ,     、 ,, ,   ∨
                \八    〕ト     ._   .人  i|\).\
                    ,. -)/.\从..> .´_  _)..イ.::::::..)ノ:: / .::::\
                 /        ハ     ├… ⌒\:::::::::::ー=ミ、
                  .′     \   }            ':::::\:::::::::::>ー-、
              i          \     /          ':::::::::ヽ::::f=ー-  :.
                 ,|   ノ        /         .:  ':::::::::|::::{=ー- 、 }
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   .\  / イ\::::::::`::ー≧=-‐ ´     ` ー----=彡::::::/:::::::::\ /::}::|
     \  ノー‐\::::::::::::::{              /:::::/|:::::::::::::ー=彡':::|
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小瀬川白望の好感度がぐぐぐーんと上がった
エイスリン・ウィッシュアートの好感度が大きく上がった
鹿倉胡桃の好感度が少し上がった
臼澤塞の好感度がわずかに上がった
姉帯豊音の好感度が大きく上がった


評価

小瀬川白望:落ち着く……ダルくない

エイスリン:ソーグッド!

鹿倉胡桃:破廉恥!

臼澤塞:見られた……最悪!

姉帯豊音:良い人だよ


 昼食を堪能し、気分転換もしっかりできた。

 気付けばそろそろ16時、ホテルに戻るのにもちょうどいいくらいの時間になっていた。

 しかし、俺は何か惹かれるものがあり近くの公園に足を向けていた。

 自分でも何故かは分からないが、そうしたほうが良い予感がしたからだ。

 そうして向かった公園は、日本庭園やイングリッシュガーデンなどが整備された閑静な場所。

 東京は、イメージされる光景とは違い存外緑が多い。

 代々木公園や明治神宮ほどではないが、この公園もそんな東京を形作る一角だ。

 途中で買ったお茶を片手に英国式庭園区画をぶらついていると、ふらついている少女を見つけた。

 酒に酔っているような千鳥足ではなく、貧血などで意識が朦朧としているようなふらつき方だ。

 俺は直感に従ってその少女の方へ近づく。そしてその直感は正しかった。

 いよいよぐらりと崩れるように倒れそうになった少女に大急ぎで駆け寄り、どうにか受け止めることに成功したからだ。


「大丈夫ですか、もしもし、大丈夫ですか」

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..  /----=ニ二.:: : : : : : : : : : :\从::::::::l≧=--------‐┬=≦>-/::::::: l::::::::: l:::::::::l::::|: : ニ=-

  二/ /二二二二二ニ===ニ二ニ==\/           /::::::::::::::::/:::::: : :l::::::::: l:::::::::|)ノ: : : : : : :\
/ニ/ /二二二二二二二ニ二二二二′           /:::::::::::::: /::::::::::::::l::::::::: l:::::::/: : : : : : :/ ̄|
 lニ/ /二二二二二二ニニニ二/    /            /:::::::::::::: /::::::::::::::: l::::::::: l::::/: : : : : :/: : : :.:|

 とりあえず支えながら声掛けをしてみるが、呻き声が返ってくるだけで明瞭な返事はない。

 英国庭園区画は高い生け垣によって迷路のようになっている区画だが、ここに来るまでに何度か飛び跳ねて道を確認していたのだ。

 ちょうどこの近くに屋根付きの東屋があったのを見ていた。

 もっとも、背の低い子供でもなければ屋根のおかげで別に飛び跳ねずとも見つけられるのだが。

 なのでひとまずそこへ運ぶことにする。支えた体勢から背負いなおすのは揺れが大きい。

 そのため、俺はお姫様抱っこのようにして運ぶことにした。



 そうして東屋に辿りついた俺は少女をベンチに寝かせた。

 生憎ハンカチくらいしかもっていないので枕になるようなものはなく、首が少し辛そうだ。

 ……無いよりはマシだろう、そう思って俺は膝枕をすることにした。

 そうすることでようやく、少し表情が和らいだように見える。もしかしたら自己満足の勘違いかもしれないが。

 そんな風に観察してようやく気付いたことがある。この少女の名前だ。

 おそらく、千里山女子の先鋒、園城寺怜さんではないだろうか。

 儚げな烏の濡羽色のショートボブ。体つきは、抱きかかえた感触からすると案外肉付きが良い。

 そして病弱だという噂。特徴は見事に合致しているし、携帯で調べてみればすぐに分かるだろう。

 そうして考えながらつい膝に乗せた頭を撫でていると、どうも園城寺さんが目を覚ましたようだ。


「――んっ……? あー、……誰やったっけ」


  追加判定  1d100=76
   怜  成功


「はじめまして、須賀京太郎です。とりあえずお茶でもどうぞ、飲みかけで申し訳ないですが」

「おー? ありがとうな。んっ」


 目を覚ましたとはいえまだあまり意識が明瞭でないのか、無防備だ。

 ひとまず水分を補給させてみようと提案し了承を得たので、少し頭を傾けてペットボトルを口に寄せてやる。

 するとこくりこくりと小さく喉を動かして飲み下していった。その様は実に艶めかしい。

 先程の白望さんの体の感触を思い出してしまう。

 飲み終えた園城寺さんは、頭の座りが悪いのか位置を整えようと俺の内股をまさぐる。

 その行為でついに俺は限界を迎えた。思えばインハイが始まってからはタイミングが無く、

 桃子達にお願いすることはおろか自分で処理することもできていなかったのだ。

 そんな状態で色々なアピールを受け、刺激を受け……。卓上遊戯とはいえ戦いの渦中。

 高校生という盛んな時期であることも重なりこれまでよく保ったほうだ。そう自分に言い訳する他ない。


「ん? これは……溜まっとる、いうやつやな。しゃーないなー。

                   _人_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
                 Y/ :::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::\:::::::::::::::::::::.   
                 /:::/::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ:::\ :::|:::::::::::::::::::::.

                 :::/::::::| ::::| :|::::::::::/|   \__ヽ|::::::::::::::::::::::
                 |::i| ::|:::|`ト|/| ::::/|斗テ气宀〉>|::::::::::::::::::::::|
                 |::i| ::|斗テ气{/   辷_ソ / |::::::::::::::::::::::|
                 |:: V从 辷ソ          |::::::::::::::::::::::|
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                 |:::::i从     \/        .ィ|::::ii::::::::::::::::|
                 |:::::ii::个           ,イ<:|::::ii :::::::::i:::,゙
                 ∨八 |\:::\>‐r‐ ´ /   |/入::::::/|/
                    \ :::\ >'´   |¨¨¨7      |/\

 私がそんなんさせてもうたんやし……、介抱してくれた礼っちゅうことでちょちょいと抜いてあげよか?

 なんやろ、おっぱいでも見せればええ?」ニヤリ


 それまでの茫洋とした表情が一変、挑発的な笑みを口元に浮かべてそんなことを言ってくる。

 冗談、からかいだと分かってはいても思わず生唾を飲みこんでしまった。

 しょうがないのだ、実際溜まってしまっていて、美少女が性感帯を刺激しながらである。

 実際園城寺さんは既に襟を締めるボタンをゆっくりと外して見せていた。

 首元の肌など夏場であればありふれている。そのはずなのに目が離せない色香があった。

 園城寺さんの目を真っ直ぐ見つめ、俺はその首元に手を滑らした。

 そうして右手で頬を撫で、親指で唇をなぞる。軽く目を瞠り硬直する少女。

 その隙に腕を滑らせ、さっとブラウスの第二、第三ボタンを外した。

 そうしてからゆっくりと今度は意識せざるを得ないように、肌を愛撫しながら右手を首元に戻した。

 さすがにそろそろ我慢するのも辛い。俺からの反撃はここまでにしないと

 男子高校生をからかったことを後悔するだけでは済まないようなところまで行ってしまう可能性すらある。

 園城寺さんのためにも、ここで引いてくれれば良いのだが。


「あっ……ぅ……お、女は度胸やって……!」プチッ


 俺の願いもむなしく、顔を赤くしながらも園城寺さんは小さく呟いてぎゅっと目を瞑ると一気にブラウスのボタンを全て外してしまった。

 露わになったレース仕立てのパステルブルーなブラジャー。

 産毛一つない輝く腹と引き締まったくびれのある腰、女を感じさせる鎖骨。

 気付いた時には、俺はその肌を確認するかのようにしっかりと手を這わせていた。


「んっ、ふふっ、こしょばいわ」


 その言葉で俺はようやくわずかばかりの理性を取り戻した。


「はっ、すみません」

「あん、やめてまうん? 小さい頃から病弱やったから、少し仲良うなった子はみんな私を女として見てくれへんねん。

 やから君が、須賀君が私で興奮してくれてちょっと嬉しかったんやで?

 麻雀に青春掛けたんは後悔しとらんけど、それでもこういうことに興味ないわけやあらへんから……」キュィン

                     __
                  '"      `  、

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      ./- "´..:::::::::::::::::::::::::::::::::/\::::::::::\ ヽ::::::::::: ヽ    ~  、
     ./´" /::::::::::::::::::::::::::::::::::/   \::` :::::ヽ :::::::::::::::::::、   ヽ ヽ
     "   l:::::/{::::::::::::::://       \ .l`、i:::::::::::::::::::: :ヽ、 、  ヽ
        {::/ ./:::::::.メ、∠、    _ -‐  ̄ l::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ`ヽ .、
        l' / ::::::ヽ,、一、     ─‐‐ヽ、 {::::::::::::::::::::::::::::::::::::: } ヽ }
         / ./:::::::i ( {:。:.     i::。::ヽ/ `l 、ヽ::::::::::::::::::::::::::::: }
        ./ /:::::::::::::l ゝ-'     ゝ ''    ′ .ヽ:::::::::::::}ヽ、 1 }
        {./ :::::::::::::.l              ′  /:::::::::::::::: i } }/
        l{.{:::::、::::i{:::::l   `         、_/:::::::::λ }
          〈::l{ .{ lλ:ヽ    t ュ     /lλi '"}/ .}/
          V N 〈{.\.:::ゝ _  _  <  {"`'  "
            ヽ `  `' ` ` "_.}     ゝ‐"ヽ、__ -' ' " ` ヽ、
               -‐ _ - '"./      〉      〃/ー _  \
              { {{    ../    ./     /' /        ヽ
              .{ .{{    ./-ー '"/     /' /'~ 'ヽ
               l {{   / ''" /     /' / /   ヽ
               l.{{   /   /     /-'"{  /     \


 訥々とこぼされた言葉には、からかいの欠片など一つも感じられなかった。

 ただただ、園城寺さんが今思っていることをそのまま言葉にしている。そう直感した。

 つまり、据え膳だ。鴨が葱を背負って目の前で鍋の用意を整えているような状態だ。


「な? 自分で言うのもなんやけど、私は見た目もそこそこやで?

 手ェ出したからって束縛する気もあらへん。犬に噛まれた思て」


 真剣な表情の園城寺さんが、俺の膝に跨りスカートをたくし上げる。

 肌蹴たブラウスから覗くブラジャーと、同じ色合い拵えの薄水色のショーツ。

 ここまでされて何もしないのは男が廃る、とはいえ場所が問題だ。


「園城寺さんの気持ちはありがたいですし、大変魅力的なんですけど……場所がですね」

「場所……? あー、確かにここやと丸見えやな」

「生け垣と透き通しで遠くからじゃ見えませんけどね。

 だから、団体戦が終わったら改めて、というのはダメですか?」


 ホテルのベッドの上だったらとっくに襲っているだろう確信はある。

 しかし園城寺さんは初めてのようなのだ、ロマンチックにとは言わないがアブノーマルなのは気が引けてしまう。

 そんな風に俺がヘタレてまごついていると、園城寺さんは何を誤解したのか悲しげに問う。


 ア  ヽ    /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
 カ  |  / .:.:/:.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:ヽ:.:.:.:/  :

 ン   |  .:.:.:.′:.:.′.:.:.:.:.:.:.| ヽ: |:.:.:.:|   :  |
 か   | |:.:.:.:.:.:/:.:.;.:.:.:.:.ー┼─:.:|:.:.:.:|   :
 な   | |:.::|:.斗イ:/:.:.:/:. /  Ⅳ:.: 八 _  ノ
 ?   | |:.:.|:.:.:|:.:/}:.::/7/ィ云斥、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ

    く |:.:.|:テ云芹    廴 ソ 》:.:.:.\:.:.:.:.:.

ー─イ ̄  :.:.::.:.《 廴ソ     =¨´|:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.{\
       ,:.:.:.::.:.  =  ′     j:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ
       ィ:.|:.:圦     _ _   /}/:.:.:.:ノ:.:.:.:.:.
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      八:|:.{{\:.\:.:>-イ .// ̄)/⌒ll

           \/  |i /     __|
            /   /    /   \

「私そんなに魅力ないん?」


 俺はそれを否定する言葉を紡ごうとしたが、それではダメだ。

 そう、園城寺さんはこれまで随分と過保護にされてきたらしいではないか。

 つまりここで彼女を思いやった行動をしてもそれは響かない、届かない。

 壊れ物を扱うようにではなく、むしろ壊れるくらいに強引にしてほしいのだ。

 だからたとえアブノーマルな野外での行為であっても、むしろ望むところなのかもしれない。

 それすらも俺の独りよがりかもしれないが、いい。俺はそうなのだと思い切ることにした。

 だからといって初めての女性と野外で、というのは俺自身があまり気乗りしない。

 どうせなら抱いた女には俺との情事は良い想い出であってほしいという我儘な感情があるからだ。

 だから、ひとまずお茶を濁すことにしよう。


「んむっ!? んあっ  んぅっ   ぷはっ ぁぅ」


 膝上に跨る園城寺さんの腰を引き寄せ、強引に上を向かせてから貪るように口付けた。

 最初の内はわざと息継ぎをさせづらいように唇だけでなく口内を蹂躙するように深く。

 酸素を奪って何も考えられないように。

 驚き、しかしその中にどこか歓喜を湛えたような見開かれた瞳。

 自らが貪られていることに気付きながら進んで差し出すように、抑えた腰は勃起した逸物に擦りつけるように動かされている。

 それを確認した俺は腰から手を離して少女の輪郭を確認するように頬まで滑り上げ一度キスを止める。


「園城寺さん」

「怜」

「え?」

「こないな時くらい、名前で呼びや」

「――怜」

「なんや、京♪」

「今日は最後までしないから」


 体を重ねている相手。確かに苗字で呼ぶのは距離が感じられてしまう。

 だからリクエスト通りに怜と呼び捨てる。その上で俺は言い切った、今日は最後までしない、と。

 先程よりは軽いが、やはり不満そうな顔をする。とはいえ不満だけではない、ほっとするような色も見えた。

 俺が理性を感じさせないような激しいキスをしたことで、自分に魅力が無いわけではないと思ったのかもしれない。

 だが俺の言葉はまだ終わりじゃない。


「俺は個人戦が終わってもしばらく東京に残る。だからその時に怜が倒れるまで、いや倒れても犯す。

 こんな場所じゃ俺が満足できそうにないんだ。だから場所を改めてしっかり味わわせてくれないか」

「むぅ。……まあ、ええよ。高校最後の夏やし、麻雀もちゃんとやりたいとは思ててん。

 京がうちのファーストキスを強引に奪ったのも怜ちゃんの魅力故だと思えば我慢できひんこともないしな。

 ……でも京のここは苦しそうやから、私が楽にしたげよか♪」


 ひとまず納得してくれた――と思ったのだが。怜は互いの股間を刺激していると分かりやすいように大きく腰を動かす。

 そうしてから俺の肩を掴むようにしていた腕をおもむろに下ろし、ズボンのベルトを外しにかかった。

 俺は止めようと思えば止められたのだが、実際問題理性の限界だった。

 白魚のような手が下着を下ろして逸物を掴むがされるがまま、むしろ怜のブラジャーを外してその乳頭に吸い付いた。

 最後まで、最後までしなければセーフ! 俺の理性はそんな言葉を残してフェードアウトしたのだった。


~一時間後~

「やっぱり美味しいもんと違うなぁ」ゴックン

「そりゃまあ、食べ物でも飲み物でもないですからね」

「ソーセージに例えられたりするやん。うちの喉は京のボロニアソーセージにぐっちょんぐっちょんに犯されてもーた……」ヨヨヨ


 怜がそんな風に泣き真似をしながらもてきぱきとお互いの唾液やら体液やらを拭き取っていく。

 最初の内は俺が怜を圧倒してイラマチオしたりクリトリスを責め抜いて絶頂させたりとやりたい放題だったのだが、

 途中から慣れたのか、怜も攻勢に回ってきていたのだ。

 適切に締め付けたりバキュームしたりと、とても初めてとは思えない技巧を披露してくれた。

 おかげで俺もこの1時間で3,4回達していた。……怜は数えていないが倍はいっているはず。


「んー? なんや初めてとは思えんみたいな顔しとんなぁ。正真正銘、私の初めては全部京やで?

 それにしてはテクが凄かった思とるんやろけど……そこは企業秘密や♪

 まあ、京がアナログの時を持っとったし……血だって心臓から心臓までちゃあんと一巡するしな」

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      |'  |:,r=、:、:'/::::_:ノ >、 r<´   7イ:::/;'  /-  、 i!
          /   ` `ヽ.、 ノ、 `ヾ >、  //:':::;'  ハヽ   li!
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      /二ニゝ       //「|:トヽ、7/:::::::::::| .,'l     |
    r'´-‐ 、\       ,.チ/|| |:| \'./|::::::::::::|.,' |      |

 悪戯っぽく笑う怜。情を通じ合ったからなのかもしれないが、雑誌やネットの画像で見るのとは比較にならないほど魅力的だ。

 彼女の周りにいた男共が紳士だったことに俺は感謝すべきだろう。


「しかし京はおっぱい好きやなぁ。赤ちゃんでもあないちゅうちゅう吸わんのと違う?」

「乳首で軽くイってた怜に言われてもな……。まあそれだけ怜がエロくて可愛かったってことで勘弁してくれ」


 汚れを拭きおわり今度は服を整えている怜が改めて、という具合に俺のおっぱいへの執着をからかってきた。

 言われるまでもなく自覚していることではある。男だから当然だ、と開き直っているくらいだ。


「そ、そんなん言うなら私の喉で気持ちよさそうにしてた京も可愛かったで?

 しかしおっぱい大好きなら私より竜華のほうが好みかもしれへんな」

「竜華……大将の清水谷さんか」


 乳首で絶頂まで達するというのが普通ではない、ということは怜も知っているようで。

 それを誤魔化すように攻撃してきたが俺はあっさりと躱す。

 それにしてもなぜ今清水谷さんの話を始めたのだろう。確かに巨乳で肉付きも良さそうな健康的清楚美少女ではあるが。


「せやせや。監督に言われてた用事ももう終わっとるはずやし……

 京と会う前に待ち合わせ場所指定しといたからそろそろ来るはずなんやけど」


 怜がそう言ったのを見計らったかのようにコール音が鳴った。


「噂をすれば、やな。……おー、竜華ー? 今はえっと」チラッ

「公園のイギリス庭園区画です」

「ちゅーことらしいで。うん、分かった。ほな噴水のとこでな」


 つまりそろそろ清水谷さんと合流する時間だったから話に出した、ということだろうか。

 時間も17時を過ぎて日が傾きつつある頃合いだ。ホテルに戻らないと夕食を一人で食べるはめに陥りかねない。

 俺にとっても良い時間ということで、怜を送ることにしよう。

 そう思って俺は立ち上がり、手を差し出した。ちなみに俺の服もいつの間にか怜が綺麗に整えていた。


「噴水ってこの公園の入り口広場のところだよな? 送るよ怜」

「頼むわ京。ちゅーてもアレやで、呼び捨ては二人っきりのときだけにしてや」

「そうですね。変に勘繰られたら園城寺さんに迷惑がかかりそうですし」

「むぅ、まだええ。竜華見つけるまでは恋人気分でいさせてーな」


 そう言って拗ねながら俺の手を取った怜。拗ねる姿も可愛いが言わないでおこう。


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     __|二ニ=-‐¬i:.:::::::::::::::| \        /__〉   !.::::::i:::::|:::i|   ̄ミへ、
   ,,へ へ        |i:.:::::::::::::::|  \        '   |     !.::::::i:::::|:::i|    j j / \
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                        「怜ぃー!」タタタタッ







 合流場所についてみれば間を置かずにそう声を上げながら駆けよってくる人影。

 艶やかで長い黒髪を靡かせ胸を揺らしながら軽快に走る姿は溌剌としているが清楚さを損なわずどこか上品さすら漂わせている。

 確か春高出場選手人気投票(非公式)では5位以内に入っていた、とネットで見た気がする。

 その人気も頷ける。


「そない叫ばんでも……恥ずいわ」


 そう言いながらも声に合わせて軽く手を振っている園城寺さん。いい友達なのだろう。

 そしてその際に絡めるようにしていた手を離した。これから次に逢うまではライバル同士に戻ったということだ。


「散歩してくる言うて出ていってから連絡つかへんし……心配したんやで。

 ……ところでそちらの方は? ――須賀京太郎くんやったっけ」

「はい。須賀京太郎です。お初にお目にかかります」


  追加判定  1d100=99
   竜華  超成功


「私がちょーっとクラッときた時に助けてくれたんよ。恩人やで」

「そうなんか。うちの怜がご迷惑おかけしたようでえらい

「そういえばまだきちんとお礼しとらんかったわ。須賀君お礼受け取り」

すみませんでした――」バサァッ


 お礼はもう受け取ったとかいらないとかそんなことを言う暇すら無かった。

 園城寺さんはしっかりと目を伏せて頭を下げて礼を述べている清水谷さんの隣に音も無く近寄り、

 無造作に清水谷さんのスカートの裾を両手で引っ張り上げた。


    /..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧

.   /....../...::::::::::/ :|::|  \:::::斗-、:::::::::::::::::::::::i:: ∧
    '....../..{:::::::::〃:{ 弋{  〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
   i...../...::|::::::::ト-|:{  \  ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
   |... 7..::|::::::::| |:{_     ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
   |ハ:::::::::ヽr ::y 弌       弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
   |{ i::::::::::∧〃_)::ハ        `     _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
   |{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、      :::::::::::    ´   }::::::|:::::::/::∧
   `  >へ::i :::::::::         u     /:::::::|:::::::::/::∧
         }.:.       -‐- 、        rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
         |.∧    V_ ノ     イ:::::|:::::::::::|::::::::::::::/::∧
         |...:::ゝ          /  |::::::|:::::::::::|::::::::::::::: /::∧
         |...::::::::>      <   八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
         |...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ        〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
         |...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉      /::::|:::::::::::|     // ⌒ヽ.∧
         |...:::::::::::::|__//     _/{:::::|:::::::::::|   //     V∧
       r―|...:::::::::::/    ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 '          V∧
.      ∧ { |...::::::::/     // ̄ ̄ 7  |:::::|:::::::::::|=-  /         V
.     / } ト|::::::::/     〃      /  |:::::|:::::::::::|  ./  /        V
「  」「  」

                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ
                   、 └―┘ ィ/∨
                  「¨>-- rく「 ̄ }

             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}
                {/{////// \∧ r'  ヽ }' {///////

 絶句であった。怜だけがしたり顔でにやついている。

 時間が止まったように固まった俺と清水谷さんをしり目に、怜が俺に声をかけた。


「ほら須賀君、こういうときは褒めたらなあかんで? 褒められて嫌がる女はおらへんからなー」


 そんなわけがあるか! と怒鳴れたらどれだけ楽だったか……。

 俺の身長はそこそこ高い。そして地毛ではあるが金髪である。

 そんな奴が怒鳴ったらどう見え、どう思われるか。

 本人に怖がられるだけならまだいい。

 だがもし他に見ている人がいて、俺が恐喝でもしていると誤解されたらチームメイトに迷惑がかかってしまうではないか。

 そんな可能性に思い至ってしまえば怒鳴るなどの攻撃的行為に出られるわけがないのだ……。

 事ここに至っては開き直って園城寺さんの唆しに乗る方がまだマシではないか。

 奇妙に時間が引き伸ばされたような感覚で頭がおかしな回り方をした俺はそう結論づけてしまった。


「――そうですね。まず清水谷さんはとてもお綺麗です。

 長く真っ直ぐな黒髪は艶やかで思わず触れてみたくなる魅力がありますし、

 目元は温かそうな懐の深さを感じさせて男女問わず惹きつけるでしょう。

 鼻梁も通っていて口元も蕾があるかのような愛らしさ。

 またスタイルもメリハリがあって素晴らしいです。

 胸もお尻も豊かでありながら腰はくびれを見て取れる程度に引き締まっていて傾城の美姫のようです。

 そんな男を惑わす色香を備えながらも下着は純白。

 それも安物ではないだろうしっかりとした布地に丁寧な刺繍が施されていてこだわりを感じさせます。

 適当に選んだわけではない、しっかりと自身の魅力を理解して引き出せるような心遣いは貞淑さを強く意識させて高嶺の花を演出して。

 しかし同時に目に入る太股は下着に劣らぬ真白さで柔らかさを見せつけるような絶妙な細さ。

 崩れてしまわぬかと躊躇させながらも一歩踏み込みたいと思わせ蠱惑する、官能的ですらあります。

 それでいてくすみや傷の無い脚は健康的で活力を存分に見せつける……女性としてこの上ない魅力に満ちて。

 美しいとしか言えない自分の語彙が呪わしいほど、綺麗ですよ竜華さん」


 とりあえず感じたままを素直に言語化することに成功した。

 しっかりと目を見つめてそう語っていると、固まっていた清水谷さんはぷるぷると震え始めみるみるうちにその顔を紅く染めていく。

 そんな清水谷さんを見ているとようやく混乱が収まってきたのか頭が冷えてきた。

 ……とんでもなく失礼なことをしてしまったのではないだろうか。

 初対面の女性のパンツを見て、それを含めて言葉を尽くして褒めちぎる。どんな変態か。

 謝るべきか迷っている俺と、ジト目で俺を見る園城寺さん。

 そんな状況も清水谷さんがどもりながらもどうにか言葉を発することで解決する。


「そ、そんな言われたら怒れへんやんか。うぅ、恥ずかしい……。

 パンツ見られただけやなくてこれでもかと褒められるとか、何が起こっとるんや……。

 それを嫌やない思とる自分が一番訳分からん……。

 なんやの、うちどないしてしもたん?

 こないなってもうたらもう、お嫁に行けへんっ」


 ……どういうことなの。思えば桃子を見つけて以降、やたらと女子に好かれやすく嫌われにくくなった気がするのだ。

 自分でもこれはダメだろうと分かるくらいの対応をしても滅多に嫌われない。

 逆に我ながらあれは見事だった、と思うような時は目に見えて好意的に受け取られる。

 しかしそんな不可思議なことも今回ばかりは感謝してもしきれない。

 あんな変態的なことをしたにも関わらず嫌悪されなかったのだ、ラッキーなんてレベルじゃない。

 俺がそうやって現実逃避をしていたのが悪いのか、園城寺さんは追撃の手を緩めなかった。


「お嫁に行きたいんやったら須賀君にもろてもらえばええ。ウチもついてお得やで♪」

「あ、あは、ははは……。ま、まあご縁があればということで」


 気付いたことがある。園城寺さんは時たま一人称を私とうちで変えているようなのだが、

 ウチと言っている時はだいたいはからかっている時なのだ。

 だから今のもからかいだ、と思いたかった。……本気の目であったが。

 逃げの一手を打つ以外に俺にできることはないのだ。

 いくら桃子や絃さんが何人増えようが構わない、という嘘のような甘言を囁いてくれているとはいえ、

 だからこそ彼女たちの与り知らぬところで手を出してしまうのは気が咎めるのだ。

 もしやそれが目的か? 俺は気付かぬうちにしっかり飼いならされている……?

 まあ、いい。いつまでもそんな男にとっての楽園が続くとも限らないが謳歌してしまっている以上は

 いずれ来るしっぺ返しも覚悟して受け入れるしかないのだから。


「まったく、ええ加減にせえよ怜!」ペシン

「あいたっ。…………せやな。冗談やで京。ちゅーことで電番交換してーな」

「なにがちゅーことでやねん。ま、まあせっかくやしな。

 華の女子高生ライフで男の子の番号一つも知らんいうのは寂しすぎるし」

「あ、はい。それじゃ」


 清水谷さんが園城寺さんにツッコミを入れて場の雰囲気はだいぶ和んだ。和んだのだ。

 そして唐突な連絡先交換要求である。清水谷さんもなんやかんや言ってそれに乗ってしまった。

 与り知らぬところでどうのと考えはしたが、それでも美人の連絡先を入手するというのは心が躍るもので。

 お互いに交換してどうにか和やかに俺達は別れたのだった。

 また決勝で会おう、とエールを送り合って――



園城寺怜の好感度がぐぐぐーんと上がった
清水谷竜華の好感度がぐぐぐーんと上がった

 
評価

園城寺怜:色男やわ。私のこと好きになってくれるやろか?

清水谷竜華:うぅ、もうお嫁に行けへんっ


――インターハイ団体戦6日目・準決勝――

「さて、いよいよ準決勝ですよーぅ!」

「京ちゃん、今日は試合開始前の8時30分に実況解説担当のプロアナコンビの取材があるっすから、少し早めに出るっすよ」


 ということなのだ。ちなみに今日の実況解説は、俺達AA卓は三尋木咏プロと針生えりアナ。

 咲達のBB卓は小鍛治健夜プロと福与恒子アナのふくすこコンビである。

 俺達以外は既に昨日のうちに突撃インタビューは終わっているのだが……。

 スケジュール管理をするマネージャー的存在はおろか学校という監督責任組織すら背後にいないせいかもしれない。

 その辺りはあまり有効に利用されてこなかった制度を活用している弊害だ。出場できている以上は文句を言える筋合いでもない。


「今日の対戦相手は臨海女子と有珠山、そして永水女子ね」

「悪いけれど、薄墨初美の裏鬼門はわたしには防げないわ」

「マジっすか、絃さん」

「ええ。わたしは常に影響を広げられるけれど……

 薄墨初美の方角支配は機会を制限することで一点特化型の強力な支配力を獲得しているわ。

 だから申し訳ないのだけど、副将ではある程度失点すると思って頂戴」


 思わず俺達1年三人組は息を呑んでしまった。

 普段あれだけ堂々としている絃さんが自身の敗北を断言している、異様な状況。

 薄墨初美、裏鬼門と絃さんは言っていたか。

 そうなると奇門遁甲という人間の方向感覚を狂わせる絃さんの術とは相性が最悪なのかもしれない。

 そして問題なのはそれだけではない。


「臨海のダヴァン選手もいますしねーぇ」

「去年のインハイで金髪アンテナさんがしてやられた人っすよね」

「それだけじゃないわ。9万点稼いだ真屋由暉子もいる」


 桃子と数絵の指摘の通りだ。ただでさえ相性の最悪な相手がいる中でさらに強敵と対峙する必要がある。

 これぞ全国大会なのか。


「臨海と言えば先鋒の極道さんは憩さんと戦える人っす」

「それを言ったら神代小蒔だって侮れないわ」

「モモ、憩さんなら大丈夫だって。それよりお前の相手は欧州ランカーだろ?」

「私は歌姫さん一人だけが相手っすから。余裕ではないっすけど、どうとでもするっす」


 そう自信満々に言い切る桃子。勢いよく胸を張ったせいでその胸に携えた二つの白桃が揺れた。

 思わず視線が吸い寄せられる。

 それを見て数絵が不機嫌そうに呟く。


「私のことは心配してくれないの? 相手はアジアジュニアの銀メダリストなのだけど」

「ああ、すまんすまん。でも数絵はきっちりやってくれると信じてるからな!」

「っ……ずるいわ、そんな言い方されたら勝って見せるしかないじゃない。ふふっ」


 そんな数絵との会話に嫉妬したのか、微笑む数絵を横目に憩さんが冷ややかに切りつけた来た。


「そやね。心配なのはむしろ京ちんかもしれへんなーぁ」

「うっ……確かに」

「相手は未だ底の見えぬ獅子原爽」

「そしておっぱいお化けの石戸霞」

「極めつけは世界ジュニア優秀選手賞受賞のネリー・ヴィルサラーゼ」

「全員が全員、ウチらでも勝てるか際どい魔物ですよーぅ?」


 嗜虐的な微笑みを口元に湛えた憩さん。言われてみればその通りではある。だが。


「俺だってここまで来れる男です。絶対とは言いませんが、それでも勝ちます。

                          みんなで優勝台に並ぶ、そう決めましたから!」

「ふぅ。京ちんはあっついわーぁ。でもそんな京ちんだから惚れたいうことですよーぅ♪」

「そうだわ。わたしが傅く男が戦場で死する道理がないわ」

「御爺様が認めた人ですもの、私の想いは京太郎と共に歩むわ」

「京ちゃんあるところにステルスモモ在り、っすよ! 嫌だって言われても絶対離れてやらないっすから♪」


 皆でそう笑い合った。何か決戦前のような空気だがまだ準決勝、通過点に過ぎない。

 俺達ならやれる、そう信じて進めば必ず前へ行けるのだ。


というところで今回はここまでですー

京ちゃんたちの試合描写自体は書き終えているのですが、事後処理はまだでして……

それではここまでお読みいただきありがとうございました

何か質問等ございましたらどしどしどうぞ


方言は上手く再現できず毎度申し訳ないっす。ダヴァンはじめ臨海勢もちょっと微妙かもしれませんがご寛恕を……

乙です
質問じゃないけど塞さんの名字白沢じゃなかったけ?

女性陣チョロすぎてやばい

>>270
oh……沢の字でしたね。申し訳ありませんでした

乙です

面白い……すげえ面白いんだけどハーレム&短期決戦志向が強すぎて御都合主義感がヤバい
もっとじっくり目に進めるか攻略対象を多少絞ってみるのは如何か

読者様な感想で申し訳ない

>>276
いえいえ、そういう感想もありがたいのです

短期決戦(攻略)なのは単純にダイスの目がおかしなことになってるんですわ

失敗=1 普通=2 成功=3 大成功=5 超成功=8  という上昇値で、

15以上になってからデートすると攻略完了になるのですが……ピンポイントでゾロ目が出るというね……(遠い目)

あと私はハーレムが好きなので、嬉々としてダイス神のお告げを受け入れたせいでもありますがw


麻雀部分もダイスは全部そのままなので、これはもう自分にはどうしようもなく……

まあインハイ終了でスレも終了なので、京ちゃんのステータス自体はそこそこ上がりやすくしてたんです

ただテストプレイにあたってほぼ最適な鍛練を行った結果スキルが……想定外に……

>>277
ダイスなら仕方無いな(迫真)

冗談はともかくこんな批判まがいの感想に答えて貰って感謝です
あくまでちょっと気になった程度なので気にせず好きなように進めて下さい
その為の非安価でしょうし

なんのかんの言いつつ続き楽しみに待ってます

>>278
なんというか、当初予定では清澄勢&チームメイトと長野勢のうち合計で5,6人くらいしか攻略できないだろう、という見込みだったのです

コミュ機会にテコ入れをしたとはいえ、全国編で他校キャラを複数人攻略できるはずがなかったんですけどねぇ

まあ怜等の微エロが書けたから良しとしうことでどうかおひとつ

俺としては良いぞもっとやれ・・いやもっとやってくださいお願いしますって感じ

>>281
エロ(?)いれた場合はあんまり反応する方が居られないのであんま評判良くないのかな、

と思っていたのですが喜んでいただけているようで良かったです。ありがとうございます。


ポケモンスレも今日の更新終わったみたいなので自分も投下していきますー

>>278
ご都合主義についての補足というかなのですが、劇中でも幾度か触れている通り京ちゃんのオカルトの源泉は素戔嗚尊と大国主命です

素戔嗚尊は征服神でもありますし、最古の和歌にある通り妻を物理的に囲うくらいヤンチャというかな神様です

また大国主命は6柱の妻女神を得、180柱もの子神を儲けたという逸話もちです。パない神様っす

そう言う点が麻雀強い女性たちに影響しやすい、という裏設定だったりします

8月2週  準決勝

――第71回全国高校生麻雀大会会場・東京卓戯館――

「△○テレビの針生えりです。今日はよろしくお願いしますね」

「知ってるだろうけど三尋木咏だよん。いや~高校生は若いねい」


 俺達は今、インハイ会場の控室に居る。時刻は8時過ぎだ。

 そこでインハイ恒例となった試合前突撃インタビューを受けることになったのだ。

 だいたい8時30分から25分ほどのインタビューが生放送される。

 準決勝まで残った実力あるチームの意外な一面が見れる、と人気のあるプログラムである。

 一人5分ほどのインタビューがなされ、場合によっては複数人を交えた質問がされる。

 試合を控えた俺達としてはあまり歓迎したくないのだが、プロを目指す人であればこういうことは日常茶飯事であるため

 実際に受ける高校生たちにも予行演習みたいなものだと割と好意的に受け取られている。

 インタビュアーは大抵の場合そのチームが出場する試合の実況解説コンビが担当するため、他人事ながら移動などが大変そうだと思う。


  追加判定 1d100=69  成功


「しっかし両手どころじゃないねい。花に囲まれてるじゃないか」

「まったくです。マスコミとしては快進撃を続けるチームの恋愛事情なども気になるのですが」

「みんな魅力的ですから」


 誰かが何かを言う前に俺はそう素っ気なく答えた。

 ハンドボールで俺も一応は国別ジュニア代表の候補として合宿や試合に帯同したことがある。

 もっとも俺はレギュラークラスではなかったが。

 しかし蚊帳の外に近い場所であるからこそ、マスコミの下衆さが良く見えたのだ。

 期待のエースがいたのだ、見た目も良く才能だって日本ではさほど人気のない競技としては十分以上にある。

 人気が無い故に全国ネットレベルのマスコミは来ていなかったがそれでも2,3人は付いていた。

 そしてその記者たちに張りつかれたことでエースは練習時間を削られ、それを補うためにコンディショニングを誤ってしまった。

 大怪我こそしなかったが体調不良で活躍などできるはずもなく。

 しかし報道では――ネットニュースで小さく報じられただけだ――天狗になっていただとか遊び回っていただとか

 それはもう、現場を見ていた選手としては憤慨ものの無責任な記事であった。

 それ以来、俺はマスコミというものを軽蔑するようになってしまった。

 目の前の針生アナウンサーはどうか知らないが、女子アナと言えば芸能人や業界関係者とのスキャンダルでよく取り沙汰される人種だ。

 油断していい相手ではないだろう。


 そんな俺には関係なく、インタビュー自体は順調に進んだ。


「須賀選手は男子選手ですが実際どうなんでしょう?」
「やっぱり身近に男性がいると色々とあるのでは?」
「恋愛などでトラブルになったことは?」


 などと言う質問もされていたが……全員が全員、バッサリと切り捨てていた。


「私は京ちゃんのことを愛してるっすから」


 などという桃子の爆弾発言もあった。それに対して憩さん達も負けじと発言していたが些細なことだろう。

 むしろ針生アナをドン引きさせていたくらいだからまあ、大丈夫なはずだ。

 そうしてついに俺の番が回ってきた。


「それではいよいよ注目の大会唯一の男子選手、須賀京太郎さんに質問させていただきます。

 ここまでの対局、どのように感じられていますか?」

「ここまでと言ってもみんなのおかげで先日の2回戦が初対局でしたから、なんとも」

「はっはっは! そりゃそうだ。今のはえりちゃんの質問が悪いねい。

 しっかし落ち着いてる。ネット麻雀ではもっとあたふたしてる印象だったんだけどねい」

「確かにネット麻雀はたまにやらせていただいていますが、三尋木プロと卓を囲んだことはない気が……」

「ふふん。そりゃプロが野良試合でガチるわけないっしょ?

 県予選での打ち筋も合わせてかるぅく調べさせてもらったよん。んで……だいぶ変わった打ち方するみたいだね」ニヤリ


 俺がマスコミを嫌っているとはいってもそれを殊更前面に押し出すほどではない。

 なので自然体で対応していると三尋木プロは実に楽しげだ。

 そしてなんと俺はネトマで三尋木プロと対局したことがあったのだとか。

 やたらと強い人と卓を囲んだことは確かにあるが……そのうちの一人だったのかもしれない。

 そんな風に妙な親近感を覚えて油断してしまった俺に、三尋木プロはずばりと斬り込んできた。

 たかが一選手、とまで自分を貶めるつもりは毛頭ないが……それでも驚いた。

 三尋木プロからすれば俺は実力を示している貴重な若い男子選手に過ぎないはず。

 そんな風に思っていたから、わざわざこんな探りを入れるほどに研究をしていると考えてもいなかったのだ。

 それが実際はどうだ。バサッと持っている扇子を口元で開き、吊り上げた口角の半分を隠している。

 視線は獲物を見定めようかという鋭く油断のない光。

 思わず手を握り締めると滑りを感じた。背筋もじっとりと寒気がする。これがプロの圧力……。


「たまたま、でしょう。俺はハンドボールをしていたので一筒の柄は懐かしく感じるんですよ。

 だからつい手に残したくなっちゃうんです。そういう癖は良くないとは分かってるんですけどね」


 俺は苦笑いしながらそう告げる。韜晦したのだ。


 そんな俺を見て三尋木プロの目はすっと細められた――が次の瞬間にはけらけらと笑い謝罪してくる。


「くっ、ははは! いやあ、すまないねい。そういう癖は悪くないけど、分かりやすいと狙われちゃうぜ?」

「でしょうね。今年まではまだ通じてくれるかな、と思いたいですけど……。

 それでも来年以降はそんな簡単じゃないでしょうから気を付けようと思います。ご指摘胸に刻みます、三尋木プロ」

「ほお。来年以降も麻雀続けるつもりってことかい。そりゃめでたい。めでたいついでにアラサー連中もらってやってくれないかい、須賀」


 自分でも自覚している弱点なのだ。オカルトに頼りがちということは普通よりも読みやすいということ。

 高校レベルまではそれで通じるのかもしれないが……大学、実業団、プロリーグに海外大会。

 まだまだ上のレベルがある。そして臨海女子には日本の高校レベルで収まらない打ち手が揃っている。

 俺達にだって憩さんは間違いなくプロ即戦力クラスだと言える人がいる。そんな相手を敵に回すには俺はまだまだ未熟だ。

 三尋木プロは一見した印象とは違って油断ならない人だが、忠告はありがたく受け取ろう。


 と思っていた所に爆弾を放り投げてくる……。

 なぜか女子プロ雀士は年齢に反して若い見た目であることが多い。

 それだけでなくやたらと美人なことも多い。トッププロと呼ばれる人達は例外なく美女揃い。

 だからと言って、言い方は悪いが俺は女に不自由していないというありがたい状況なのだ。

 情を通じ合っていない状態では答えようもない。


「え。……いや、そういうことは当人の意思が重要ですから俺からはなんとも言えませんよ」

「そうかい? 君は見た目も良いし実力も見所がある。小鍛治さんでもなければ十二分に釣り合いが取れると思うんだけどねい」

「こんなこと言ってますけど、この人も彼氏とかいないので今度デートでもしてあげたらどうですか須賀さん。

 そして是非その様子を△○テレビで取材させていただければ」

「ははは、人の恋路を邪魔する烏は馬に蹴られたほうがいいと思いますよ」


 困惑する俺に惜しそうにする三尋木プロ。そして混ぜっ返す針生アナ。

 その混ぜっ返し方が気に喰わないものだったのでつい冷たい対応をしてしまった。


「くくっ。良い気迫。うん、須賀なら準決勝、決勝もしっかり活躍できるだろうさ。この咏さんが太鼓判を押したげるよん」


 だがその言葉をどう解釈したのか。三尋木プロがエールを送ってくれた。

 プロに認められるというのも悪い気はしない。尚更負けられないな。


「ありがとうございます。――優勝して見せますよ、ここまで来たんですから」


『テレビをご覧の皆さまおはようございます。

 休養日を挟み、いよいよ佳境に入ったインターハイ麻雀団体戦の準決勝A卓の模様をお送りしていきます。

 実況は私針生えり、解説は三尋木咏プロが担当します。よろしくお願いします三尋木プロ』


『はいよろしく』


『準決勝A卓は台風の目・チーム須賀、ダークホース・有珠山高校、

 黒船・臨海女子高校、神域・永水女子高校の4チームが対局します。

 チーム須賀は先鋒・荒川憩、次鋒・南浦数絵、中堅・東横桃子、副将・霜崎絃、大将・須賀京太郎。

 有珠山高校は先鋒・本内成香、次鋒・桧森誓子、中堅・岩舘揺杏、副将・真屋由暉子、大将・獅子原爽。

 臨海女子高校は先鋒・辻垣内智葉、次鋒・ハオホェイユー、中堅・雀明華、副将・メガン・ダヴァン、大将・ネリー・ヴィルサラーゼ。

 永水女子高校は先鋒・神代小蒔、次鋒・狩宿巴、中堅・滝見春、副将・薄墨初美、大将・石戸霞。

 早速ですが各チームの特徴などをお教え願えますか、三尋木プロ』

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『おっけーだよん。と言いたいけど時間もないし各チームの総評と先鋒の紹介だけにしとこうかねい』


『まずは2回戦A卓トップ通過の須賀から。

 ま、総合力では今年の出場校でも1,2を争うねい。全員が全員強い、攻撃型のチーム。

 そんで先鋒の荒川憩。まあ言わずもがな。個人二位の看板は伊達じゃないってこったね。

 
 次はB卓2位通過の有珠山。

 まあ、後ろ二人がめっちゃ強いって感じ? 副将まで繋げればワンチャンあるかも、しらんけど。

 そんなわけで先鋒の本内成香は上手く凌ぐのが仕事だねい。

 失点を3万点以内に抑えられれば合格点。


 C卓2位通過の臨海。

 ネットじゃ課金デッキとか金満チームとか色々言われてるらしいねい。

 そんな中で一人日本人の先鋒は辻垣内智葉。

 わっかんねーけど無課金ガチャから出た最高レアカード的な感じ。

 前年度個人三位なんだから強いのはみんな知ってるだろうけど。

 荒川憩がいるから雪辱を晴らしたいところなんじゃねーの。


 最後はD卓トップ通過の永水。

 ……まあでかい。わかんねーけどデカい。男ならみんな好きなんじゃねーの、しらんけど。

 戦法としては先鋒が稼いで次鋒中堅が流し、副将でトドメを刺しにかかる。

 それでも相手が生き残るなら大将がシャットアウト。分かりやすいけどだから強いチームだよん。

 先鋒の神代小蒔はお姫様らしいよん。つってもそんなの関係なく強いときは強いんだけどねい。

 ま、むらっ気が強すぎてどうなるかわっかんねー。神代の出来次第でこの試合はだいぶ変わるんじゃねーかなー』


『……ありがとうございました。途中から何か適当になってませんでしたか?』


『だってディレさんが巻きでって』


『あっ。……えー、時刻は9時ちょうど。いよいよ準決勝A卓先鋒戦が始まります!』



本内成香
属性 :D
技量 :E
直感 :E
必然力:D
・スキル
なし


辻垣内智葉
属性 :D
技量 :S
直感 :A
必然力:B
・スキル
【安定感◎】
 判定コンマを35以下の場合は35、75以上の場合は85として計算する。

【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。

【抜き打ち】銀
 研ぎ澄まされた集中力は一瞬の隙をも過たず斬り捨てる。
(効果A)
 自身の素の聴牌・和了コンマが共に1位の場合、ロン和了する。
(効果B)
 効果Aによって和了したときに聴牌・和了コンマが共に4位の者が存在した場合、
 その者から満貫以上で出和了りする。

【鞘当】金
 他家をけしかけ、利用する戦術。
(効果A)
 【威圧感】を受けているかつ自身より技量の低い他家の聴牌・和了判定値を±20。
(効果B)
 和了を放棄して和了順位3位に譲渡できる。
 この場合、放銃者を自身より技量値が低い者から自由に選出できる。

神代小蒔
属性 :O
技量 :E
直感 :D
必然力:C
・スキル
【六女仙:姫巫女】虹
 天孫から続くいと貴き血筋の結実した姫。神に愛された子。
(効果A)
 【石戸霞】が生存しているとき、自身が受けるデバフ効果を肩代わりさせる。
(効果B)
 【天孫降臨】を使用可能とする。

【天孫降臨】虹
 い)東場の聴牌コンマで10の倍数を出す
 ろ)南場の聴牌コンマで5の倍数を出す
 は)自身の持ち点を30%以上減らした状態で聴牌コンマで4の倍数を出す
 に)敗色濃厚状態で他家が和了した次の局
 ほ)2位以下でオーラスを迎える
  い)~ほ)のいずれかの条件を満たした場合に発動する。

 へ)1位に返り咲きかつ2位以下と1万点以上の点差がある
 と)3局発動状態が続いた
 ち)倍満以上の和了をした
 り)終局した
  へ)~り)のいずれかの条件を満たした場合は解除される。

(効果A)
 自身の判定を+60。
 さらに発動した際の聴牌コンマの3分の1を和了コンマに加算。
(効果B)
 打点が満貫以上になる。
(効果C)
 和了コンマがゾロ目の場合、強制和了。
(効果D)
 聴牌コンマが00の場合、役満強制和了。
(効果E)
 跳満以上には放銃しない。

【威圧感(特殊)】
 【天孫降臨】が発動中のみ効果を発揮。
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。





小蒔・憩・智葉・成香  の順

1半荘目

東一局  ドラ:六筒

憩「聴牌ですーぅ」

「「「ノーテン」」」


小蒔  99000
憩   103000
智葉  99000
成香  99000



東二局流れ一本場  ドラ:七索

『始まりました準決勝、まずは静かな滑り出し』


憩「ロン。中のみの1本場で2300ですよーぅ」

小蒔「あぅっ」


小蒔  96700
憩   105300
智葉  99000
成香  99000



東二局二本場  ドラ:一筒

小蒔(うぅ、欲張ってしまいました。今回はツモが良くないです……)

智葉「リーチ――ロン。リーチ一発平和、2本場は4500」


小蒔  92200
憩   105300
智葉 103500
成香  99000

東三局  ドラ:六索

憩(うーん、やられてしもた。とはいえ今回は悪くあらへんし……)

憩「リーチですーぅ」

小蒔(荒川さんのリーチ……。無理をしてもう二回も放銃してしまっていますから、ここはオリですっ)

                          ___
                       ..::.::.::.::.::.::.::.::.::.`丶、

                      /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\
                    /.::.::.::.::.::.::.::.  イ:.::.::.::.::.::.::.:.::.
                   .::.::.::.::.::.::.::/  |::丶.::.::.::.::.::.::.:.

                    |::.::.::.::.:_::/     \{\ .::.::.::.::.:|
                    |.::.::.::./|/`丶     /\ ::.::.::|
                  _,,..、¬冖づ庁外、   斗劣、ハ::.::.|
                   / ヘ. } し小 うソ ノー{ うソ/ /:/|/
                     /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行
                    ノ  八‐:、    ′   厶|
              丿  ´__/  \丶、  ‐‐    イ |/
              /    / ______〕: |> _. イ、_______
                /    //二ニァ¬ア_]       |¬r<二,¨¨ ̄\
            /   /´ ̄/ /  〔∧     〕 ∧   | ̄ ̄\〉
                    /     |      |--  --|   |   |  \ \
              /    /    [ │     マ¨¨¨¨¨ア  |   |    ヽ  \

                     智葉「……リーチ」


 智葉の追っかけリーチ。眼鏡をくいっと指で押し上げる様はまさに不遜である。

 そしてその仕草を見た憩は自らの失策を悟ってしまった。


智葉「ロン。リーチ一発、平和で7700だ」ニヤリ


小蒔  92200
憩    96600
智葉 112200
成香  99000


東三局一本場  ドラ:一筒

憩(……やってくれますねーぇ。さすがに辻垣内さんは一筋縄ではいかへんか。

  きっちり、お返しせんとあきません。まずは――)

憩「ツモ! 面前チャンタ一盃口ドラドラの1本場は3100・6100!」


小蒔  89100
憩   108900
智葉 106100
成香  95900



東四局  ドラ:北

智葉(チッ。やはり7700程度では臆すはずもない、か。

    むしろこちらの流れを吸われたか、聴牌にも届かないとは)

憩「聴牌」

「「「ノーテン」」」


小蒔  88100
憩   111900
智葉 105100
成香  94900



南一局流れ一本場  ドラ:西

成香(うー、蚊帳の外って感じですっ。でも今回はいけそう――)トン

憩「ロン。チャンタドラドラの1本場で8000ですーぅ」


小蒔  88100
憩   119900
智葉 105100
成香  86900



南二局  ドラ:六索

智葉「聴牌」

「「「ノーテン」」」


小蒔  87100
憩   118900
智葉 108100
成香  85900

南三局流れ一本場  ドラ:一筒

憩(しくったわーぁ。狙いすぎて裏目ってしもた。……せやから今回は素直に)

憩「ロン。タンヤオ一盃口で1本場は2300ですよーぅ」

小蒔  84800
憩   121200
智葉 108100
成香  85900


南四局  ドラ:五索

小蒔(あぅ……前半ももう終わりなのにビリです……。負けたくないですっ。でも、このままじゃ――)カクン


『おや、神代選手……居眠りですか?』

『えりちゃん、よぉっく見てみな。確かにふらふらと覚束ない感じだけど、目は薄く開かれてる。

 雰囲気的にいわゆるトランス状態ってやつなんじゃね、しらんけど』


智葉(来たか、神代小蒔。近くで見るのは一年ぶりだが……気を抜けば気圧されそうな威圧感があるな)

憩(うっ、急に雰囲気が変わって危ない感じですねーぇ。このプレッシャーは宮永さんや天江さんにも匹敵しとる。

  幸い神代さんの親やあらへんし、慎重に行きましょーぅ)

成香(? 何か、皆さん様子が変……? どうかしたのでしょうか)トン


 一人場の空気を察することも無く、無造作に差し出された牌。

 それは神への供物か。本内成香の家業を考えれば、まさにうってつけであった。

 血肉を捧げ、神を言祝ぐ。異教の神へ帰依していようと――

                    -――-
                  / . : : : : : : : . \
                     / : :::::::::::::::::::: : : : : \
                  ′:::::::::::::::::::::::::::::|:::::::|:ハ
               ,' :::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::|八
              ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::从

                {::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::,イ
                乂::::::::,,ィ´`ゝ、::::::::::ノノ
                 只 }   {只
                ,':::ノ ィ==ミヽ:::ヽ
                 /. ̄       ̄ `゙丶
.                ∧             /\
              / ',             /   ∧
                /   {.            /   { ',
            /.   {.           { ,   ∨ 〉
             j{    {           〉 '    ∨
             ハ    ∨        /  |     ‘,
         /.     ∨//____/__/_|    /,

          /.         |ニニニニニニニ|   / |

           小蒔(?)『ロン。満貫』


小蒔  92800
憩   121200
智葉 108100
成香  77900


『前半戦終了いたしました。幾度か流局までもつれましたが……あまり時間が経っていませんね』


『さすがに準決まで残る子たちだからねい。点数のやり取りも比較的おとなしい範囲だから、

 長考どころか5秒くらいでみんな切りだしてる。それでも実力通りの推移になるのが面白いっちゃ面白い』


『ほぼ下馬評通りの先鋒戦、後半はこのままかそれとも荒れるのか。CMの後もお楽しみに』

2半荘目

東一局  ドラ:七萬

成香(配牌で二向聴、素敵です!)

成香「――リーチします!」


小蒔&憩「「ノーテン」」

智葉&成香「「聴牌」」


小蒔  91300
憩   119700
智葉 109600
成香  78400



東二局流れ一本場  ドラ:六筒

成香(ダメでしたっ)トン

智葉「……、ロン。タンヤオのみの1本場で1300」


小蒔  91300
憩   119700
智葉 111900
成香  77100



東三局  ドラ:五筒

智葉(神代も荒川も聴牌しているようだ。満貫までは届かないが……私も聴牌。

    安手だったが逃さず拾ったのは正解だったか、流れが私に来ている――)

智葉「ツモ。七対子ツモ赤1で3200オール」


小蒔  88100
憩   116500
智葉 121500
成香  73900


東三局一本場  ドラ:七索

「「「「聴牌」」」」


小蒔  88100
憩   116500
智葉 121500
成香  73900


東三局二本場  ドラ:九萬

憩「ポン」

智葉(最初が一萬、二副露目がドラポン……。荒川ならば清老頭もありうるか?

    そうでなくとも清一色か、安かろうとチャンタ。さすがに満貫以上に振り込みたくはない。

    癪だがオリよう。無理する局面でもない)トン

憩(――と考えてくれてるやろか。いややわーぁ、実は聴牌すらしてへんのに)


憩&智葉「「ノーテン」」

小蒔&成香「「聴牌」」

                      . .-――-. .
                   . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

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              .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
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           /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\
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            ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
                   /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
                  ___/  \ __ /   \_____
               /      \  /ー一ヘ   /     ハ
               ハ        \/     }/ ̄}    /
                 i  ヽ                }      }
                |   У                 } ∨   .|
                 ′ /                   }  }::..   {

小蒔  89600
憩   115000
智葉 120000
成香  75400



東四局流れ三本場  ドラ:七萬

憩「ロン。チートイのみの3本場で2500ですーぅ」

成香「ぅっ……はい……」チャラッ


小蒔  89600
憩   117500
智葉 120000
成香  72900

南一局  ドラ:南

智葉(チッ! ブラフにまんまとかかって流れを逸した!

    やはり温存したまま勝てるほど甘い相手ではない、か……)

小蒔「……」カクン


憩「聴牌ですーぅ」

「「「ノーテン」」」


小蒔  88600
憩   120500
智葉 119000
成香  71900


南二局流れ一本場  ドラ:八萬

憩(っ! 神代さん、また“入った”ようやね。

  せやけど前半オーラスの時に比べれば気配が弱いですーぅ。それに――ウチが親やから一手速い!)

憩「ツモ! 純チャン三色ツモドラで1本場は6100オール!」


小蒔  82500
憩   138800
智葉 112900
成香  65800


南二局二本場  ドラ:西

憩(ふぅ。たぶんさっきの局はギリギリでしたねーぇ。同巡で神代さんがツモってたはずや。

  とはいえ今局は無理がたたってもうたかな。神代さんも相変わらずやし……オリや)

智葉(逸した流れは簡単には戻らない。ここは我慢だ)

成香(うーん、荒川さんも辻垣内さんも素敵です。私も頑張らないと!)トン

小蒔(?)『ロン。満貫』


小蒔  91100
憩   138800
智葉 112900
成香  57200


南三局  ドラ:八筒

『おや、神代選手一瞬起きましたがすぐに寝てしまいましたね』

『えりちゃんえりちゃん、寝てたら麻雀はできねーって。

 しかし二度寝たぁ、よっぽど負けたくないんだねい、しらんけど』


小蒔(?)『ツモ。満貫』


小蒔  99100
憩   136800
智葉 108900
成香  55200



南四局  ドラ:二筒

成香(あうぅ、カモにされてる気がします! ……こ、これなら平気かな?)トン

                        /.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::\

                        /...:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                      .:.:.:.:/.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::.:..
                        /.:.:.:/.:.:.:.:/l:::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ.:.:.:
                     l.:.:.:/.:.:.:.:/  |:::::::::::::::::::::::::::l:::::.:.:.l.:.:.|
                     |八{.:.:.fレ'\ |.:.:/j.:.:.:.:/i.:.:.::|:::::.:.:.l.:.:.|
                  ,...---ミ  //∧.:ハ_〉ぅ `l.:.:{/.:.:.:,'斗―|.:.:.:.:.リ.:.:′
             / ̄ ̄⌒>=弍犲ハ 斧ミメ乂: 彡イ ./::/.:.:.:.:/.:/
              /      /   ` ̄`} `''’    f斧ミメ::イ/./:}
                        _  -―へ    '   `''”.∠/// /
                 / /  / . 个   ー     <r<  /
                   /  .{  / j i  { ¨¨´/'  /j:「 \
              r'⌒   |  //  |  ヾ  〃_彡リ |  ヽ
      / ̄` ー--rヘ {    乂〃.   ヽ/ ̄/ ̄ ̄`7 /   ∧
     /       /⌒ヽ __/        У /   /Y   ./
    /       /     У /      ./ /      ト、 /   〉
.   /    r'  ̄    / /  {      / /       } V    厂ヽ
  厶斗- '  __彡  /  乂   / /        /  ト---<ソ⌒
 ./               /      }ト、/ /         /   〉
こ{              /        }三ニ=--   --=≦    /     }

                 小蒔(?)『ロン。満貫』


小蒔 107100
憩   136800
智葉 108900
成香  47200


『先鋒戦終了いたしました。

 トップは須賀で136800点。

 荒川選手は前半+21200、後半+15600で合計+36800点とし区間トップです。


 2位は臨海女子で108900点。

 辻垣内選手は前半+8100、後半+800で合計+8900点です。


 3位は永水女子で107100点。

 神代選手は前半-7200、後半+14300で合計+7100点です。


 4位は有珠山で47200点。

 本内選手は前半-22100、後半-30700で合計-52800点です。


 いかがでしたか三尋木プロ』


『やー、実力通りって感じだねい。とはいえ何も言わないってのはテレビ局の偉い人に怒られちゃうからてきとーに言ってくよん。


 まずは1位の荒川憩。

 和了回数も6回とトップで、その和了も結構テクニカルだった。

 小さく出和了りすることで周囲を牽制しながら他家の大物手を流しつつ、

 自分の大役はきっちりツモってのける。理想的な進め方だったと言える。

 1回だけ放銃してるのが残念だけど、相手が置物じゃない以上はしゃーなし。


 次は2位の辻垣内智葉。

 荒川憩が気を逸らした瞬間を狙い撃ったのが見事だったねい。

 それも含めて前半はプラン通りに進められたんじゃないかね、しらんけど。

 その分後半にツキを失ったのが痛かったんじゃねーかなー。それでもマイナスに落ちずに踏み止まったのはさすが。

 身近に目標と出来る同年代の海外の強者達がいるんだ、これからも伸びてほしいよ。


 んじゃ3位の神代小蒔。

 前半はだいぶもたついてたのが惜しかったねい。

 後半も南入するまではぱっとしなかったけど……最後の方は取り戻すように爆発した。

 波があるが当たれば宮永照にも匹敵する、という噂は伊達じゃないってことさね。

 もっと安定感が出れば名実ともにエースを張れるんだけどねい……。来年どうなるかを注目したいよ。


 最後は4位、本内成香。

 試合前に言ってたけど、面子的にも3万点までの失点で抑えられれば上出来だったんだが……。

 5万点強取られちまった一人沈みになってしまったねい。これに関しては力不足としか言いようがない。

 チームが後半に巻き返すオーダーを組んでいるのを差っ引いてももうちょっと頑張ってほしかったところだね』



『ありがとうございました。須賀が一歩抜きでた先鋒戦。ここからどう転がるのか。注目の次鋒戦、間もなく開始です』


――須賀控室――

「ただいまですよーぅ!」

「おかえりなさいっす」「おかえりなさい憩さん」「おかえり憩」「おかえりなさい」


 憩さんが控室に戻ってきた。その表情はいつもの笑顔である。

 滑り出しは上々、残る山場は絃さんが事前に苦戦すると予言した副将戦と俺の大将戦くらいか。


「結構余裕な結果だったっすね」

「せやねーぇ。でもたぶんやけど、辻垣内さんは手ェ抜いてたん違うかな」

「そうだわ。辻垣内智葉にしては温かったわ」

「確かに、憩さんに次ぐ前年度3位という触れ込みの割にはだいぶ点差がついたわね」

「3万点弱なら十分ありうるんじゃ?」

「京ちゃんは去年の夏はテレビとか見てなかったっすから仕方ないっすね……。

 去年のインハイ個人戦、宮永照・憩さん・辻垣内智葉・湯佐こずえ。

 俗に言う決勝卓っすけど、その中でも宮永照と憩さんの間にははっきり差があったっす。

 でも憩さんと辻垣内智葉はそこまで大きな差はなかったっすよ、見てる限りはっすけどね」


 そういうことらしい。だがそれで勝てるという思い上がりは絶対にへし折ってやる。


「先鋒が手を抜いた、ってことはそれ以降もその可能性があるかな……。まあ、それなら二回叩き潰してやるまでだ」


 そんな俺の苛烈なセリフに皆驚いた表情を浮かべたが、それも一瞬のこと。

 揃いも揃って好戦的な笑みを表した。頼もしい女たちである。


「ふふっ。それなら……さっさと済ませてしまいましょ――行ってきます!」


 数絵が立ち上がり、髪を払って颯爽と対局室へと向かっていった。

南浦数絵(イベント後)
属性 :O
技量 :B
直感 :C
必然力:B
・スキル
【南風の神】銀
 スロースターターな運気を溜めることで後半の場を制す打法。
(効果A)
 場決めコンマに-50。
(効果B)
 南場の間、判定値を+40。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+20し打点を+2する。
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが2枚以上乗る。
(効果E)
 東場の間、判定を-5。


桧森誓子
属性 :D
技量 :D
直感 :D
必然力:C
・スキル
【チャンス○】
(効果A)
 リーチをかけたとき、和了判定を+10し打点も+1する。
(効果B)
 一人聴牌のとき、和了判定を+10し打点を+1する。効果Aと重複する。


ハオ・ホェイユー(手加減)
属性 :D
技量 :B
直感 :B
必然力:B
・スキル
【安定感×】赤
 判定コンマを30以下の場合は01、80以上の場合は100として計算する。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【華式打法】
 中国麻雀という日本や世界とやや違う打ち筋で対局者を翻弄する。
(効果A)
 リーチをかけない。
(効果B)
 ただし和了判定値を+30する。
(効果C)
 リーチをかけられる判定値かつ聴牌コンマで1位の場合、打点が満貫以上となる。
(効果D)
 効果Cの状態かつ和了コンマが1位である場合、打点が【国士無双】となる。




狩宿巴
属性 :O
技量 :C
直感 :C
必然力:C
・スキル
【六女仙:散華の巫女】
 祓いを担当する巫女の一人。刹那に咲き散る花に瘴気を移し祓う。
(効果A)
 判定コンマを20以下の場合は25、80以上の場合は85として計算する。
(効果B)
 他家がスキルを発動した時、素の判定コンマ全てで自身が上回っている場合はそのスキルを無効にする。



巴・ハオ・数絵・誓子  の順

1半荘目

東一局  ドラ:四索

数絵「リーチ」

『さて始まりました次鋒戦。12巡目にして南浦選手のリーチ。これはどうなんでしょうか三尋木プロ』

『ま、あたしらには手牌が見えちゃってるからねい。でも……卓についてる子たちには怖いリーチに見えてるんじゃね?』


数絵「聴牌」

「「「ノーテン」」」


巴  106100
ハオ 107900
数絵 138800
誓子  46200



東二局流れ一本場  ドラ:三筒

『リーチを警戒した結果他三人は見事にオリちまったね。ま、ちょうどいいし選手紹介もやっちゃおうか。

 まずこの南浦数絵だ。この子は……藤田靖子プロは知ってんね?

 靖子ちゃんほど極端じゃないが、後半追い上げ型の選手だよん。南入してからが強いんだ。

 ……そんな奴が開幕でリーチをかけてきた、わっかんねーけど怖く見えたんだろね。

 前局三人がオリたのはそのせいなんじゃねーかな?』

『南浦選手は自身の特性を研究されていることを前提にブラフを張った、ということですか?』

『そゆこと。――そんでそういう果敢な攻めは運を引き寄せることがあるんだよねい』ニヤリ


数絵「ツモ。メンタンドラ2の1本場は2100・4000」


巴  104000
ハオ 103900
数絵 148000
誓子  44100

東三局  ドラ:三筒

誓子(惑わされた……。やっぱり全国は楽じゃないよね。なおさら私が頑張って爽達に繋げないと!)

誓子「ツモ。メンタンピン三色同順で2000・4000です!」


巴  102000
ハオ 101900
数絵 144000
誓子  52100



東四局  ドラ:八索

『次は今さっき和了った桧森誓子で。

 まあこの子は普通だねい。小学生の頃に地元の小規模大会で入賞経験があるらしいよん。

 そこから順調に育ってるなら全国出場者の平均くらいにはなってるんじゃね、しらんけど。

 ……チャンスとみたら躊躇わず攻めに出る肝の据わった一面もあるっぽい。

 見た目は清楚な金髪ちゃんなんだけど、ギャップ萌えってやつ?』


数絵(特にマークしていなかったけど、実力はちゃんとあるわけね。

    まあ、私は南入させてからが勝負。東場でチッチーは出来過ぎだったもの。

    だから安くても和了るわよ――)

数絵「ツモ。タンドラで500・1000」


巴  101500
ハオ 101400
数絵 146000
誓子  51100

南一局  ドラ:三索

誓子(この配牌からなら行けるはず……)

誓子「リーチ」

数絵「リーチ」


『おっと、南浦選手が桧森選手を追っかけリーチ』


数絵「ロン。リーチ南ドラで5200。南場でやらせるわけにはいかないのよ」

           /|   __
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        -─……─‐-: : `∧

     /: : : : : : : : : : : : : : : : :.\:.
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  :' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.,:.:.:ハ

  ′: :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∨:.l
 |: : : :i: : l / l!: : : ト、 : : : :ト、 : : : : |:.::.,

 |: : : :|: : |'   |: : : :|'´\: : |‐-: :}: :|i.:.::.,
 |: : : :|\|'⌒ | l: : :|   \|  ∨: :八:.:.:.,
 ' : : : |:l   __ 乂 : :|  ,イ示冬、〉:/ ミ:.:.:.:.,
 |l: : : |:l_ ,竹冬、\|  .乂:ン / }::|  〉:.:.:.:..

. 八: : :|:l〃乂ン/ ̄`ー─‐‐′|::|〉/.:.:.:.:.:..`、

   \{:|i:ハー‐"  '     u r|::| '.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
     |:| 人"     __     ,イ_}∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:..\
    ':}         ‘ ′ ...:  |八:∧:::|.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:.:..
            >-<::   /  〉-}/|.:.:.:.:.:.:.:.| \|
           / ∧::   /  /  \.:.:.:.:.:.:.|   }

巴(放銃したのは私だけど、なんかとばっちりを受けた気分……)

巴   96300
ハオ 101400
数絵 152200
誓子  50100

南二局  ドラ:七索

『南浦選手が競り勝ちましたね』

『本人が言ってる通り、南場に強いこだわりがあるっぽいねい。

 わかんねーけど、桧森ちゃんの勇敢さが裏目に出ちゃったんじゃね。

 ……ついでだし狩宿巴の紹介もしちゃおうか。

 そもそもが永水女子ってのは先鋒の神代ちゃん、副将のロリっ子、大将の超おっぱいが軸のチーム。

 次鋒と中堅はその三人がいかに活躍できるか場を整える役目なんだよねい。

 そんな次鋒に座ってる巫女眼鏡ちゃんは去年もだったけど、堅実なタイプだよん。

 だからさっきみたいな放銃は滅多にしないんだけど……気圧されたのか。わかんねー』

『超……!? それに巫女眼鏡って。三尋木プロ、開会式では狩宿選手だけは制服でしたよ?』

『今は巫女服じゃん。だからおっけーなんじゃねしらんけど』


ハオ(……配牌は私としては最高だったのですが、一巡の差で先行されましたか。

    札を隠した私とならば対等。ならば今局は仕込みに徹させてもらいましょう)


「「「聴牌」」」

誓子「ノーテン」


巴   97300
ハオ 102400
数絵 153200
誓子  47100

南二局一本場  ドラ:七索

誓子(ツモが来ない……? 裏目ばかり)

数絵(……風向きが変わった? ツモがちぐはぐ。オリるにしてもハオ・ホェイユーの打ち筋が読めない)トン

ハオ「和ー……ロン、です。チンイーソー、1本場は12300」


巴   97300
ハオ 114700
数絵 140900
誓子  47100


南二局二本場  ドラ:三索

ハオ「ツモ。清龍……メンゼンイッツーで2本場は2200オール」


巴   95100
ハオ 121300
数絵 138700
誓子  44900


南二局三本場  ドラ:東

『ハオ選手連続和了! 勢いが止まりません』

『中国麻雀でも清一色系は高いからね。ちょうどいいしハオ・ホェイユーちゃんの紹介といこうか。

 ホェイユーちゃんは名前から分かる通り、中国からの留学生だよん。

 臨海女子がスカウトしてるってことでお察しだけど、この子も当然世界レベルでの経験がある。

 アジアジュニア大会では銀メダルを獲得している、つまり同年代ではアジアで二番目に強いってことだねい。

 まあ、小学生の頃に国内ではチャンピオンだったって話だけど。

 そんな子がなんで二位に甘んじたかっていうと……どうやらルールの違いに対応できなかったみたいだね、わかんねーけど。

 南二局1本場の和了は清一色、中国でも日本でも、世界でも同じ和了役だねい。

 そんで2本場のは清龍、日本で言えば一気通貫。中国麻雀のルールでは16点役だから

 それ単独でもチッチーか満貫に相当するんだけど……イッツーは4点相当の面前2飜役だからかなり損してることになるねい。

 まさにこの部分がホェイユーちゃんがアジアジュニアで二位に甘んじた理由。

 とはいえ中国麻将へのこだわりを捨てたら魅力も半減、ジレンマだねい、しらんけど』


数絵(好き放題やってくれる……! 他の二人は呑まれてしまっている。なにより、南場で譲るものですかッ!)

数絵「ツモ! チートイツモドラで3本場は1900・3500よ!」


巴   93200
ハオ 117800
数絵 146000
誓子  43000


南三局  ドラ:五筒

『南浦選手、意地を見せるチートイツモでハオ選手の親を止めました』


ハオ(……どこまで力を出しましょうか。世界ジュニアを考慮すれば奥の手は晒せませんし)

数絵「考え事? 手を抜いたままなら飛ばすわよ、リーチ――ツモ。

    リーチ一発ツモチャンタ……裏2で6000オール!」


巴   87200
ハオ 111800
数絵 164000
誓子  37000


南三局一本場  ドラ:八萬

『さすがに舐められたままじゃ終われないって感じだねい。熱いのは嫌いじゃないぜい。とはいえ――』


誓子「ロン。純チャンのみの1本場で4200です」


巴   87200
ハオ 111800
数絵 159800
誓子  41200



南四局  ドラ:三萬

数絵(しくじったッ! でも、今回は一騎打ち……。負けてなるものですか!)

ハオ「和ー……ツモです。七対混幺九――メンゼンホンロートーチートイツで2000・4000」


巴   85200
ハオ 119800
数絵 157800
誓子  37200

『次鋒戦前半終了いたしました。ハオ選手を抑える形で南浦選手が気を吐いています。続いての後半もお見逃しなく』


2半荘目

東一局  ドラ:九萬

「「「「ノーテン」」」」


巴   85200
ハオ 119800
数絵 157800
誓子  37200



東二局流れ一本場  ドラ:六索

ハオ「和ー。ロンです。七対……1本場で2700」


巴   85200
ハオ 122500
数絵 155100
誓子  37200


東二局二本場  ドラ:五索

数絵(くっ、東場で親に放銃するなんて最悪の失点の仕方を……!)

誓子(……南浦さん、集中が途切れた? 南入したいなら通行料くらいは構わないでしょう?)

誓子「ロン。タンヤオ平和一盃口ドラ2で2本場は8600です」


巴   85200
ハオ 122500
数絵 146500
誓子  45800


東三局  ドラ:三索

ハオ「――槓」ゴッ

数絵(っ! 何、このプレッシャーは。ハオ・ホェイユーが何かをしようとしている?)

ハオ「槓。……槓です」シャッ

巴(三槓子確定……。鳴かずに四暗刻を目指されるよりはマシだけれど)

ハオ「和ー、ツモです。サンカン……ツ、トイトイで2000・4000」


巴   83200
ハオ 130500
数絵 142500
誓子  43800



東四局  ドラ:北

数絵(マズイわ、通行料にしても取られ過ぎている……。これでは前半ほどの稼ぎは難しいかも)

誓子「ツモ。W東發で2000オールです」


巴   81200
ハオ 128500
数絵 140500
誓子  49800



東四局一本場  ドラ:西

ハオ「和ー、ツモです。……メンゼンタンヤオピンフの1本場で800・1400」


巴   80400
ハオ 131500
数絵 139700
誓子  48400

南一局  ドラ:六索

『ハオ選手、あまり高い手ではありませんでしたが……』

『ありゃ中国麻雀なら三色三歩高そこにタンピンと不求人、おまけに全帯五も乗るから倍満相当の手だよん。

 こういうところを克服しないと世界ルールではなかなか結果が残せない、ってことだねい。

 全帯五なんて満貫相当の役なのに日本や世界じゃタンヤオに過ぎない。無論一盃口やらトイトイやらが複合することはありうるけど』


誓子「リーチ」

巴(この手なら……黙って満貫、リーチで跳満。裏が乗れば倍満も。

  南浦さんはハオさんを意識しているはず。だったら巡目が浅い間なら見逃すかも。

  桧森さんもリーチしているけど……こっちはブラフの安手だと思うし)

巴「リーチ」


 巴はリーチ棒をはめ込みながら、ちらりと数絵を見やる。するとばっちりと視線がぶつかった。そして数絵はそんな巴を見て、にやりと口角を上げる。


数絵「リーチ」


 数絵のリーチ宣言。その瞬間に巴は悟ってしまった、誰が和了るのかを。

 巴は祈るようにツモ、自身の和了牌でないことを確認し勘が間違っていなかったことを受け入れた。

 そしてこのツモ切りが数絵の当たり牌でないことを願いながら河に置く。

 数絵は動かない。

 そしてハオのツモ。ハオ自身も数絵の手の危険さには気付いている。しかしチャンタ系であることしか読めていない、浅い巡目であった。

 侮っている故か、やってきた字牌を少し躊躇しながらも河に捨てる。その瞬間卓上に暖かな風が吹き、三人の頬を撫でた。

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数絵「――ロン。リーチ一発中西混一色チャンタ……裏2で24000!」



巴   79400
ハオ 107500
数絵 165700
誓子  47400

南二局  ドラ:白

『三倍満直撃! これは大ダメージ必至です!』

『いいリーチだったねい。あれは裏が乗ることを確信してたんじゃね、しらんけど。

 待ちを字牌で統一してたからチャンタだと読まれていても躱しづらいのも良かった』


ハオ(っさすがに侮りすぎました。冷静にならなければ)トン

巴「ロン。七対子ドラドラで6400」


巴   85800
ハオ 101100
数絵 165700
誓子  47400


南三局  ドラ:南

『追撃のチートイ、これで臨海女子は一気に原点付近まで転落。3位の永水女子も影を踏める位置です』

『……やっべー。眠れる獅子か虎の尾を踏んじまったねい』

『え?』


巴(やった! このまま進めてはるるが上手く流してくれればはっちゃんが捲ってくれる)


 喜ぶ巴、だがハオは一瞬歯を食いしばり瞑目、その後明らかに存在感が変わる。

 数絵はその様子に思わず息を呑んだ。今のハオ・ホェイユーは、危険だ。


ハオ「こんなところで無様を晒すわけにはいかないのです。
          ___
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         从:/:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./二二二ニ=-、
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          八:l:.:|:/´ ̄Ⅵ:.:.:.|:.:.:.:.:.伝ミ `ヽ |:.:.:.:.:/::/::/
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           }:.:l:.::/ 、      ‐┘    /ソ'::::::::::|:|
           ノノ}:/              、∧:::::::::|:|
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            }: : : : : ゚。: : ゚。\
             /: : : : : : :゚。: : ゚。: \__
          / /: : : : : : : : :゚。: : ゚。: :∧`ヽ
.         / /: : : : : : : : : : :゚。: : ゚。: :∧
       / /: : : : : : : : : : : : :゚。: : ゚。: : i」 |

    和ー、ツモです。国士無双、8000・16000」


巴   77800
ハオ 133100
数絵 149700
誓子  39400

南四局  ドラ:四索

ハオ(ふぅ、このくらいなら平気でしょう。札の一枚に過ぎませんから)

数絵(……隙があれば役満、か。さすがに世界の一線で戦える雀士なだけあるわね。

    だからって私が怯むわけではないのだけど――)

数絵「リーチ!     ツモ! リーチツモ純チャン一盃口――裏2で4000・8000よ!」


巴   73800
ハオ 129100
数絵 165700
誓子  31400


『次鋒戦後半、終了いたしました。


 1位は須賀で165700点。

 南浦選手は前半+21000、後半+7900で合計+28900点でした。


 2位は臨海で129100点。

 ハオ選手は前半+10900、後半+9300で合計+20200点でした。


 3位は永水で73800点。

 狩宿選手は前半-21900、後半-11400で合計-33300点でした。


 4位は有珠山で31400点。

 桧森選手は前半-100000、後半-5800で合計-15800点でした。


 次鋒戦、どうでしたか三尋木プロ』



『桧森ちゃんがそこそこの回数和了していてかつ放銃無しなのに収支でマイナスってので分かると思うけど、高めのツモ和了が多い試合だったねい。

 和了回数自体も全体で19回、一方全体の放銃は8回。ツモ率が6割近い。

 これは防御を意識した卓で多い傾向だけど、そんな中で3万点近く稼いだ南浦ちゃんは見事だった。

 決勝まで進出すればホェイユーちゃんもある程度本気で打つだろうし、楽しみなんじゃね』



『ありがとうございました。

 次鋒戦も終わり準決勝は中盤の中堅戦に移ります。この後もお楽しみに!』


――須賀控室――

「ただいま戻りました」

「お疲れ数絵」「おかえりですよーぅ」「おかえりなさいっす」「おかえりなさい」


 控室に戻ってきた数絵だが、表情が硬いというか、不満げだ。

 3万点近く稼いだのだから十分だと思うのだが……。


「十分な活躍だったけど、不満そうだな」

「……それはまあ、手を抜かれたんだもの。それなのに役満を和了られては」


 気になったら悩むよりも、ということで訊いてみれば相手の手抜きのせいだったようで。

 確かに公式試合での舐めプレイをされればムカつくのも当然だ。

 しかしそこは気配りのできるチームメイト達である、即座に宥めにかかった。


「手を抜いたことを後悔させたげればええんやない?」

「三位以下に落としてしまうのが一番だわ」

「えへへ、私達後続の責任重大っすね!」


 そう言って桃子が俺に唐突に抱きついてきた。避ける暇もない見事な不意打ちだ。

 そうしてしばし抱きついたままの桃子だったが、そっと離れる。


「さて、京ちゃん分も充電したっすし――アサシンモモの暗殺術をお見せするっすよ!

 それじゃ行って来るっす」

「え、おお、行ってらっしゃい」


 俺でもすーっと消えていくように見えるほどのステルスっぷりで去っていった桃子。

 ……なにか妙なテンションだったようだけど、大丈夫だろうか。少し心配になってしまった。


ということで今日はここまででー

お読みいただきありがとうございました。

何か質問やご意見等ありましたらどしどしどうぞ。


中国麻雀は全然分からないのでほんとてきとーっす。マジすんませんっした……


次は何時になるかなー

>>325
京ちゃんたちの試合は書き終っているので明日……の予定です

麻将てきとうってわりに結構しっかり調べてそうな感じだけどな。いちおつ
チカセン前半で10万点失点してたら試合終わってるじゃんという野暮な突っ込み入れつつ姫様のスキルの


 【石戸霞】が生存しているとき、自身が受けるデバフ効果を肩代わりさせる。

霞さん死ぬ展開がありそうで怖いぞこれ

>>327
おぅふ、気付いてませんでした……1万点の失点っす。

霞さんは……うん。バトル物なら死ぬプロット組みますねw

細かいがメンタンピン三色をツモったらハネマンですなー

>>332
三色同順なら面前2飜でセーフのはずっす。というか平和複合なので同順しか無理ですな

メンタンピンのメンはリーチの意味なので、リーチ、タンヤオ、ピンフ、三色、ツモで6ハンでありんす
と言うか同コウも2ハンでありんす。食い下がりがないだけでありんす

>>334
マジっすか。これまでずっとメン=面前清自摸和だと思ってました……なのでかなりのミスがあったことになります、申し訳ございませんでした

うーむ、ここまでミス多いと闘牌ものとは口が裂けても言えないっすね。まとめられないのはあまりににわかだったからかぁ。

理由が分かってすっきりしました、ご指摘ありがとうございました。

あと細かいことついでにタンヤオイーベーは(普通は)30符だから2600は2900だね。
苻計算はちょっと難しいからさっきはスルーしたけど、基本的に面前ならピンフ以外は30か40苻。

>>336
>>300のところですかね? 一応子の30符2翻のつもりで2000の1本場は2300としたのですが……

それと使用してる打点表の関係で咲さん以外は20符・25符・30符40符50符のみで計算しています

平和ツモは数が少ないですけどねw 25符と50符は飜数がひとつズレる程度なので描写上は都合の良い方で採用していますが

ポケモンスレが中断の間だけ再開するっすよー


『皆さまこんにちわ。時刻は午前11時32分、間もなく準決勝A卓中堅戦が開始されます。

 解説の三尋木プロ、中堅戦に出場する選手の紹介をお願いできますか』


『はいよ。順位順にやってくからね。

 まずは東横桃子。この子は気ィ抜くと見失うくらい影が薄いんだよねい。

 その存在感の薄さが卓上でも発揮されてんのかね、わかんねーけどやたら放銃が少ない。

 大胆に攻めても放銃を全然しないから手の進みも速くなるし練って火力を上げやすくもある。

 まさにステルスって感じだねい。一部ではステルスモモって呼ばれてるんだと。


 次は雀明華。言わずもがなの欧州の若き歌姫、風神ミョンファと呼ばれる欧州ランカー。

 世界ランカーじゃないのは欧州では20位以内に入ったけど世界では60位止まりだからだよん』


『ちなみに三尋木プロは世界12位です』


『えりちゃん、そこで挟まれるとちと恥ずい。

 ま、まああたしは12位なわけだけど。世界麻雀連盟のランクはポイント制。

 獲得ポイントはヨーロッパとアメリカの認定大会は1.2倍、アジアの認定大会は0.8倍されっちまう。

 そんな状態で60位では、ってことだねい。とはいえそれも理由はある。

 まだ学生だから住んでいたフランスと近場のイギリス・ドイツ・イタリア・スペインの大会にしか出ていなかったんだよねい。

 加えて歌手としても活動していたから他の麻雀に専念している選手に比べると出場大会数が半分くらい。

 にもかかわらず上位ランカーに名を連ねた実力は本物。本気を出せば相当の強者。

 ……とはいえインハイルールではトラッシュトークはセーフでも歌うのはアウトだから。

 ミョンちゃんの本領は発揮されないのがちょっと残念かもね、しらんけど。


 んじゃ滝見春。この子はすんごい甘党なのかね、わかんねーけど局の合間によく黒糖をかじってるよん。

 鹿児島は黒糖が有名だし、地元大好きっ子なのかもしんねー。

 それはさておき、打ち方はあんまりあたし好みじゃないねい。

 鳴いて安手の早和了り、安手への差し込み差し込ませ。とにかく半荘を手早く畳もうとする。

 永水のオーダーでは副将に超火力の薄墨初美がいるから、ってことが大きいんだろうけど。

 ……こういう打ち方は下手打つとカモにされるからオススメできねー。


 最後は岩舘揺杏。揺れる杏でユアンってのはなかなか変わった読み方だねい。

 打ち方の特徴は特になし。オーソドックスって言や聞こえはいいけど、そういうのが強みになるのは地力があってこそ。

 須賀も臨海も敵の実力を見るためにあんまり有珠山を狙わないだろうから、それに上手く紛れられるかってとこかね、しらんけど』



『ありがとうございました。ロサンゼルス東南トーナメント銅メダリストの三尋木プロの解説でした。中堅戦、スタートです』

岩舘揺杏
属性 :D
技量 :E
直感 :E
必然力:D
・スキル
なし



雀明華(手加減)
属性 :O
技量 :B
直感 :B
必然力:A
・スキル
【風神――ヴァントゥール――】虹
 風を操る異能の力。
(効果A)
 和了判定値を+30。
(効果B)
 西家のとき、打点を+2翻する。
(効果C)
 西家のとき、和了判定値をさらに+30。
(効果D)
 西家のとき聴牌・和了コンマが1位の場合、打点が【四暗刻】になる。
(効果E)
 打点判定で1翻は確定する。

【捧げ歌】金
 優れた歌唱の才能による讃美歌に牌は応える。
 歌うことができる状況でのみ発動可能。
(効果A)
 自身の判定コンマを+30。
(効果B)
 打点を満貫以上にする。




滝見春
属性 :O
技量 :C
直感 :C
必然力:C
・スキル
【六女仙:風化の巫女】
 祓いを担当する巫女の一人。流るるものは不浄を祓う。
 他家が満貫以上を和了するときに自身が聴牌判定値2位以上の場合に発動可能。
(効果A)
 自身の和了判定値が3位以上かつ和了権がない他家の和了判定値との差分が15以内であるとき、
 差し込みを受けることができる。ただしこの場合の打点は2翻以下となる。
(効果B)
 他家がリーチをかけて和了に至った場合、打点を-1翻。
 ただしこのスキル効果では流局させられない。



桃子・明華・揺杏・春  の順

1半荘目

東一局  ドラ:一萬

桃子(この手はツモれて500オールのクズ手っすね……。

    他の人達も似たり寄ったり、ここは仕込みに入った方がいいっす)


「「「「ノーテン」」」」


桃 165700
明 129100
揺  31400
春  73800


東二局流れ一本場  ドラ:

桃子(外人さんの親。連荘されても面倒っすから――)

                ____   ___
               / ̄>―‐`´    \
             /  /        \   \
                /                \
                  /     /   ∧  ',    \
              /,    / / l     ',  }    l\\
             //   - /l/^ l|   | -l ,∧    l| |\\
.           //  ′   /-l- j|   | -l/l ∧   l\  \\
          l | {   |斤苧i从  :|,斤苧ミ l   | |\  )ノ
           八{ 八  八 ヒ)ソ  \:{_ ヒ_)ソ^》  | | |  \
           \ i\从|\    ,   、、、、/  /}ノ |   }
              /   人 u    _     フィ^   l|   ノ
               /   / /个ト ../)´ '/)、.. イ  | |   ,
           /   / / //⌒// ///-- .  | |   ′
.           /   / / (∨/_,ノ// /)  `゙丶|    ,
          /   //:    ∨   └ /∨   ∨
.         /   /       |    /  ∨   //\   \
.       /  /二ニ=-    l    /\   |  //ニニ \   \
     / / {二ニニニニニニ |   /___Y⌒V/二二ニ \   \
    / /   {二二二二}ニ'  /二ニニ|  ∨二\二ニ、 \   \
.   //    /{二二二二l/   ,二二二|   ∨二ニ∨二〉  \   \
   {{    / {二二二二′  ,ニニニニニ|   ∨二ニ∨/    \   \

                明華「……?」

桃子「ロンっす! トイトイ白ドラ2で1本場は8300!」


桃 174000
明 120800
揺  31400
春  73800

東三局  ドラ:西

桃子(今、こっちを見てたっすか……? まさか)トン

春(位相のずれた人がいるからやりづらい。差し込むにしろ差し込ませるにしろ、見えなければ)トン

明華「ロン。北ドラ3で8000です♪」


桃 174000
明 128800
揺  31400
春  65800


東四局  ドラ:

桃子(さすがに風神と呼ばれるだけあるっすね。自風とドラ西を確保してお手軽に満貫に乗せたっすか。

    そして外人さんの得意の西家。確か西家のときは四暗刻の和了率が高め、らしいっす。

    さすがに放銃せずとも役満ツモされたら痛い。前局の仕込みを早速使わせてもらうっす)

                /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
            /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
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.            ,:::::::::/::::::/:::/::::/::::::::/:::::/:::::∧::: !:::::::::::::::::::::::l::::::!
           /:::::::/:::::〃::/::::::|:::::::/:::::/::::::/ !::::!:::::::::::::::::::::::l::::::!
           .′:::::|:::::::l:|:::|::::::::|:::l//:::/::::::/ |::|:::|:::::::::::::::::::l::::::!
           |::::::::::|:::::::l:|:::|l:::::::|:::l/l::::|:::::::i  __!::::!:::!::: !:::::::::::::!:::::|
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       |/   \/: : : : : /: : :/ ∧    /厶厶イ: :/: : : : : \
              /: : : :/:/: : : :i /_∧__ /   /: : : /: : : : : : : : :\
          /: : : : i:/: : : : :|/イ:i:i:i:∧   /: : : /: : : : :/: : : : : :∧

            /: :/: : :/: : : : : :| |:i:i:i:l:∧ /: : : : /: : : : :/: : : : : : : : :i

           桃子「ロン! 中チャンタドラで8000っす!」

明華「……なるほど」


桃 182000
明 120800
揺  31400
春  65800

南一局  ドラ:五筒

桃子(……不穏っすね。憩さんクラスの相手には通じないことも度々あるっすから、もしかしたら外人さんにも通じない可能性が?

    とはいえスタイルを変えるのは。破られてから考えるっすよ)

明華「ロン。W南で2600です♪」


桃 182000
明 123400
揺  31400
春  63200


南二局  ドラ:

桃子「ロンっす。タンピンイーペー三色で8000!」


桃 190000
明 115400
揺  31400
春  63200


南三局  ドラ:四萬

桃子(よしよし、ちゃんと通るっすね。じゃ、また仕込んで次を――)


 桃子が警戒を緩め、それでも目立たぬように場に溶け込もうと打牌した直後。

 場にふんわりと、柔らかでいて無視できない圧迫感のある風が舞う。


明華「ツモ。北ドラで500・1000です♪」


桃 189500
明 117400
揺  30400
春  62700

南四局  ドラ:南

桃子(くっ、間に合わなかったっす。そして外人さんの西家……。放銃しなければ御の字っすかね)トン


 桃子は失念していたのだ。開幕で明華が桃子を一瞥していた気配のことを。

 そして今この場には、緩やかにだが確実に風が吹いていることも。

 明華の顔に獲物を前にした肉食獣の笑顔が浮かんでいたことも。

                 ,...:'.´へ\ ,..-、____

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      /-‐'"_イ .//λ { i′-、!j__.,,  } / _!.`トjハ  }、 i | 、 i
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      { /   // レ//^|! | |         :::ヽ=,、/ 人.| }ハ.!  リ
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     i:! / / ! V //!|. i|   !  `V    ハ 、!||  リ                         f:| .|. ||
     ゝ' / / \V/ |.| .| |\  `ー-'′   ノ  i  iリ                           i:i | ||
   / / __./_  )メ .!.| .! !. ` 、_    ,..イ  i  i  |                       i: i ! | .!
 / /,.::┴\\、 ̄ヽ!| トi |    `T ´|  |   i  i  |                      ./:      |
'" / /::  '" ::.\\、 | | .i !、    〈-、 |  |  i   i  |                           /:       i}
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ヽ/  _,..-‐''"´        ,.リ'" ||     ヽ ヽ' ̄ ̄\   :.:.`rー-.、             /    /
./,..:'"          / ノ   リ      ヽ 丶    ヽ  :/  ::::::i          /       /
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  / ,..イ /    /ハ:::::. ..::           |  `i 、`'" .ハ、_>、          /
/ / ノ/    / !::::::::::            i  | |iイ . | |\\      /
./  //     i! .ノ:...                i. | /  i!゙、 ゙、 \\_,.ィ′
   //       |/:::::               リ .! /   ハ ゙、 ゙、  \ ヽ ゙、
    i !     /::::: ー===、         ○ } V   / |.| ゙、 ゙、 | \ 丶゙、-、
    ! |    /:::::::                  /   !   / | |  ゙、  ゙、 !   ヽ! ト、丶
.   | .|  /:::::::::               /    | /   ! |   ゙、  ゙、!    ゙、 ゙、 \\
   | | ノ:7ー--、             /      V /  ! .!   ゙、   !    ゙、 i  \\
   | !/:::/::  / \          / ヽ         V  | |    ゙、  |     i .|    ヽ丶
   |/:::/   /   7ヽ、      /   丶       ゙、  | |    ゙、.|    | |     ヽ丶

       明華「ロン♪ ――四暗刻で32000です♪」


桃 157500
明 149400
揺  30400
春  62700


『中堅戦前半、終了いたしました。舞うように刺す東横選手をついに風神が捉え四暗刻直撃。

 3万6600点差が8100点差まで詰まりました。トップ争いがいよいよ熾烈になり後半に突入します』

                .  ´ ::  ̄ :: `  .
              /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

             . ' .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ
            / .::::::::::::::::::::::::::::::::: ト、: 、.::::::::::ヽ
             . . :::::::::::::::::::::::i ::::: i ::| ヽ::ヽ.::::::::::: .
              l.:::::::::!i:::!::::! :: l ::::: l::::!  i::::i :::::::::::::i
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              |:i::::::ル:1j八: i::!::::::::i::リ  ノ リ::: l::::::::|
              |:l::::i:{ル' 芹K从.:::::ル' ,ィ芹 く!:::::|::::::::|
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           从::リ::ハ """   .   ""|"l|::::::|:::::从
          厂: : :「∧         j リ|::::::|::/⌒ヽ

            i : : : :.|: : i\  r== -っ / ノ:::::リ: : : : : .
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            |: : : : : : :/: : : : : 「 Ⅴ/\: : j: : :〉: : : : : :|
            |: : : : : : :\: : : :∧:::::| : : :∨: :./: : : : : : :|

2半荘目

東一局  ドラ:一萬

桃子(やられたっす……! 見えてるっすかね、やっぱり。……それでもこれは止めさせないっすよ!)

                   /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
               /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ

                 /::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
               /::::/:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::!:::::::!
              /::::;ィ:::::::/:::::::::!::::::::::::::::::|:::::!:::!:::::!:::::::|
            /::://:::::::/:::|:::::::|:::::|::::::::::::L:::|:::|:::::|:::::::;
         /::〃 /:::::::/::::::}::/‐弋:|:::l::l::::|-!::!:/:::/:::::::;

           /イ  ./:::::〃:::::::lイ圷ミヽ::!:ト、:!行心/:::!:::::j
           !{   /:::/:::::::::::ハ弋ツ  ヽ   弋ツ'!::/::::/
         ゝ   !:/::::::::::::::::::::!..:..:..   ,   /ィ77::::::/
          ヽ !}:/!::::::::::::::::::ゝ.    ,ィ7///!-:メ、
             l:ハト、:ヽ:;ィ´.:.:.}`>././イ-",.イ/}'.:.:.:.:.`.:...、
              /.:.:.:|:.:.:.:.:.:! ヽ}     /:';.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ

              /.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.ハ  !    /.:.:.∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.7.:.:.:.:.:/!/.:ヽ  メ、.:.:.:.:/.:.:.:.:/:.:.:.:.;
           |.:.:.:.\.:.:.:.:.:`.:.-/.:/.:.:.ヽ::''::!:{.:ヽイ.:.:..::/.:.:.::./

           |::.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:/.:/.:.:、.:.:.:.:.7イ.:.:.<.:.:.:.:V.:.::::../

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              ∨:::.:.\.:.!.:.;イ.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:;:;{.:.:./.:.`.:-:'.!:::./
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             ∨.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:ヽ.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.}
             ∨.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.○}.:.:.:.:.:.:.:.:/.:./:!

               ';.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.::::::::!:::::::_:;イ.:.:.:.:/
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    桃子「リーチ。――ロンっす! リーチ清一色、裏1で24000!」


桃 181500
明 149400
揺  30400
春  38700


東一局一本場  ドラ:三索

春(そんなっ!?)

明華「ふふっ、ロン。南ドラの1本場で2300」

揺杏「うわっ、ついにかー。ここまで置物だったししゃーないなー」


桃 181500
明 151700
揺  28100
春  38700

東二局  ドラ:八筒

明華「リーチです♪」


『おっと、雀選手がリーチです。確かに手自体は倍満も見える良手ですが……』

『ミョンちゃんは自風を手に集めるからそれを使った攻防の自在さが強みだからねい。

 防御を捨てるんだからよほどの確信があったんだろうけど……』


桃子「ロンっす! 純チャンドラで8000」


桃 190500
明 142700
揺  28100
春  38700


東三局  ドラ:六萬

明華(やはり今の状態では完全には捉えられませんね……。

    他家を狙って付け入る隙を与えない方がいいでしょうか?)

明華「ロン。北ドラで2000です♪」


桃 190500
明 144700
揺  28100
春  36700


東四局  ドラ:五萬

春(だめっ、狙われてる……!)トン

明華「ロン。西ドラ2赤1で7700です♪」


桃 190500
明 152400
揺  28100
春  29000

南一局  ドラ:六筒

春(これ以上の失点は、まずい。無理に動かずオリに徹する……)


「「「「ノーテン」」」」


桃 190500
明 152400
揺  28100
春  29000


南二局流れ一本場  ドラ:六筒

明華(ニンジャさんが来るでしょうから、そろそろ気を付けないとです)トン

            ,/: :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ハ
         //: :': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :’

         /: :l:./: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .'
       .  ',: |/:./: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : | : : : l: : : : : : : : : ',
         ヽ': : : : : : : : : : :/: : /: : : : l : : : : : : ! : : : |: : : : : : : : : :',

          ' イ : : : : : : : : /: : :l: : : : : l : : : : : : |: : : : l : : : : l : : : : }
          { l : : : !: : : ::!/―: ト : : //!: : : : : :/.!: : : : !_: : :!: : : !: !
          { |: : : :| l : : l | | : ll : : 〃/ : : : : 斗.}  ̄/:|: : : : :!: : : l ,'
           ー-': --:' └ -' /‐- !:_:_:_:/ /l:_:_/i/:/: : : l/: ://

            V: : : :| .Z竓芸ミx       x=芯ミ、/_:_:_:/:_://
           /:|: : : :l弍 {  o :!ヾ    ィf o  灯》: : : T

           ヽ!: : : :|   廴 _ ノ      弋 _ ソ 〃 : : : !
            .l: : :∧    , ,         ¨   ./ : : :
           /!: : : | ヽ         '       / : : : ,'
          /´ .|: : : :! ._\     __       イ: : : :,'
             l: : : ! /ヽ .\    ´ .'     < |: : : : ,'
             ',: : :!   ヽ   ヽ ___   <     !: : : :,'
        ,, -''"" .', : !   \     /| ヽ\-、 | : : :/
     > '"   ヽ  ',: !',     ヽ    .!  ヽヾ Y: : :/
    /"     ヽ ヽ | ',:| ',     ヽ   .|   } ヽ :l : /
    /        \ |  !. ',     ヽ   !   !   l::/ \

        春「! ロン。白ドラ2の1本場で4200」


桃 190500
明 148200
揺  28100
春  33200

南三局  ドラ:二索

明華(いけませんね。気付いていない演技をしつつというのは無理がありましたか。

    実力も大体読めましたし、そろそろ終わらせてしまいましょう)

明華「ツモ。北のみで300・500です♪」


桃 190200
明 149300
揺  27600
春  32900


南四局  ドラ:

桃子「ロンっす。チートイタンヤオドラドラで8000!」


桃 198200
明 141300
揺  27600
春  32900


『中堅戦終了いたしました。


 1位は須賀で198200点。

 東横選手は前半-8200、後半+40700で合計+32500点でした。


 2位は臨海で141300点。

 雀選手は前半+20300、後半-8100で合計+12200点でした。


 3位は永水で32900点。

 滝見選手は前半-11100、後半-29800で合計-40900点でした。


 4位は有珠山で27600点。

 岩舘選手は前半-1000、後半-2800で合計-3800点でした。


 中堅戦、いかがでしたか三尋木プロ』


『そうだねい……モモちゃんがちょっと迂闊だったかな。

 西家のミョンちゃんは世界上位でも通用するレベルだから、それに無警戒だった前半はちょっちいただけない。

 とはいえ後半には修正して狙い撃ったから及第点かね、しらんけど。

 ミョンちゃんはさすが、ってとこだ。二半荘通してずっとモモちゃんに狙われてたけど凌いだ。

 役満を直撃させてすらいるからねい。今大会だとモモちゃんの放銃は初じゃね?

 県予選で龍門渕の中堅相手にも1回やられてたから本選ではってことだけど。

 ま、相手のミスを前提にした戦術は外れると痛い目見るってことだねい。

 黒糖ちゃんは残念だったね。臨海としては飛ばす気がないから有珠山は避けてたからその分のしわ寄せがあった。

 一矢は報いたがそこまで。地力をしっかりつけて来年出てきてくれればいいんだけど。

 ユアンちゃんは……厳しいことを言うけど蚊帳の外だったねい。

 全国で戦うには不足。頑張ってるのは分かるんだけど、それで肯定されるほど甘い世界じゃないよん』


『ありがとうございました。

 1位と2位が定まったかに見える準決勝A卓。

 2回戦B卓で奇跡の大逆転を決めた真屋由暉子はまた爆発するのか、注目の副将戦をお見逃しなく』

――須賀控室――

「ただいまっす」

「おう、おかえりモモ」「おかえりですよーぅ」「おかえりなさい」「おかえりなさい桃子」


 どこか浮かない顔の桃子。やはり前半オーラスでの役満直撃が響いているのだろう。


「雀さん、確実にモモちゃんのこと見えてましたねーぇ」

「……やっぱそうっすよね。その割には私の狙い撃ちを避けなかったっすけど」

「桃子の暗撃は仕込みさえできればプロでも躱せないはずだわ」

「そうね。あの雀荘の人達も、モモの奇襲だけはどうしようもなかったみたいだし」


 やはり自身のステルスを破られたことを気にしていたようだ。

 しかし防御は破られても攻撃までは破られていない。

 桃子の伏撃は分かっていても準備を整えさせてしまえば躱しようがないのだ。

 認識を歪められているというか、俺ですら桃子の姿かたちは見えていても手と河だけが見えなくなる。

 明らかに異質な異能。そんな異能のおかげで桃子と出会えたのだから痛し痒しなのだが。


「ま、モモを見逃さないのなんて俺くらいのもんだ」

「それはおっぱいの話っすよね京ちゃん。麻雀では普通に喰らってるじゃないっすか」

「うぐっ、それはほら、なあ?」


 痛いところをツッコまれ言葉に窮する。助けを求めるように周りを見るも、目を逸らされるか冷たい視線か。

 とても助けが得られる状況ではなかった。


「ふふっ、いいっすいいっす。京ちゃんに愛されてるのは分かってるっすからねー」


 桃子も表情を明るくし、にひひと笑って流した。

 それを見て絃さんが席を立つ。


「京太郎さんの愛はわたし達も呑み込んでくれる懐の広いものだわ……。

 綺麗にまとまったところで、行って来るわ。京太郎さん、後はよろしく」


 いつもの傲然とした態度は鳴りを潜め、どこか儚げですらある。

 絃さんの言っていた通り、これから赴く戦いは彼女にとって相性があまりに悪いもの。

 飛びさえしなければ俺が捲ってみせるという思いもある。

 なによりどんな結果だろうと俺達が絃さんを責めることなどないだろうから、気楽に楽しんで打ってきてくれると良いのだが……。


『皆さまこんにちは。準決勝A卓副将戦の模様をお送りしていきます。

 解説は引き続き三尋木咏プロです』


『はいはい、よろしく。それじゃお仕事するかね。

 1位の須賀から、霜崎絃だね。

 この子は理牌に癖がある。山と河、それと四人の手牌を何かに見立ててるらしいんだけど。

 風牌が重要な役割を果たしてる、んじゃねーかなしらんけど。

 なんにせよ実力は全国でも一線級。それでも火力があるタイプではないから今回の卓は厳しそうだねい。


 次は2位の臨海、メガン・ダヴァン。

 去年も出場してるアメリカ出身の雀士。特に目立った大会入賞記録があるわけじゃないけど、

 臨海の監督は世界でもトップクラスの麻雀大国ドイツ出身のアレクサンドラ・ヴィントハイムだからね。

 世界ランク5位だったこともあるヴィントハイム女史の眼鏡に適った逸材ということを考慮すれば実力に疑問符は付かない。

 前年度の準決勝では須賀と同じ長野ブロックの龍門渕に苦杯を舐めさせたのもこの子だ。

 追っかけリーチからの和了率が並外れているのも見逃せないね。

 それ以外にも奥の手は持ってるっぽい。2回戦でも真屋由暉子の爆走を止めるために何度か札を切ってたよん。


 3位の永水から、薄墨初美。

 この子はいいね、あたしは好きだよこういう子。とにかく北家での役満和了率が高い、超火力型。

 東北を刻子で揃えた場合は四喜和を聴牌してると思っていいってくらい。まさに裏鬼門の子鬼って感じだねい。

 風牌を多用する傾向があるから、かみ合い方次第では霜崎ちゃんと薄墨ちゃんのどっちかがぼろぼろになるかもねい。


 最後は4位有珠山、真屋由暉子。

 まあ、デカいよね。あたしより身長低いのに、デカい。

 打倒瑞原はやり、らしいんだけど……。ルックスだけなら十分ありえんじゃね、しらんけど。

 麻雀の方は2回戦の結果を見ればとんでもないってことは分かる。

 とにかくチャンスに強くて、副将と大将で捲る戦術のオーダーをどうにか成り立たせてる。

 この子でどこまで巻き返せるかが勝敗に直結してるねい。

 今回も大暴れしてくれるかどうかは……ちょっと難しいかもな、わかんねーけど』



『ありがとうございました。

 ちょうどお時間となりまして、副将戦開始されます。

 新たなスターとなるか、注目の真屋由暉子選手の真価が問われる一戦、スタートです』


霜崎絃 (イベント後)
属性 :O
技量 :B
直感 :B
必然力:A
・スキル
【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【奇門遁甲:石兵八陣】
(効果A)
 他家の判定コンマを-10。
(効果B)
 自身の素の判定コンマに1が含まれ、
 かつ他家の素の判定コンマに6が含まれる場合はその他家から直撃を取る。
(効果C)
 効果Bが発動するためには、聴牌成功かつ和了判定値が3位以上でなければならない

【邪仙術:人頭桃】
 他家からロン和了するたびに全ステータスが+5されていく。



真屋由暉子
属性 :O
技量 :C
直感 :A
必然力:B
・スキル
【ディバインレフト】
 テトラ・クテュス・グラマトンを刻んだ左手は御神の代行者となる。
 1日に1回まで発動可能。
(効果A)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが最低2枚乗る。
(効果B)
 聴牌が確定する。
(効果C)
 和了判定値を+50。
(効果D)
 最低打点が満貫となる。

【ビーストライト】
 聖字で封じるは内なる獣性。右手に宿るは黙示録の獣。
 6日に1度だけ発動可能。【ディバインレフト】との同時使用は不可能。
(効果A)
 役満を聴牌する。
(効果B)
 和了判定値が4位の場合、強制和了。
(効果C)
 このスキルを発動中は効果B以外では和了できない。

【チャンス◎】
(効果A)
 リーチをかけたとき、和了判定を+20し打点も+2する。
(効果B)
 一人聴牌のとき、和了判定を+20し打点を+2する。効果Aと重複する。

【対オカルト◎】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+20する。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

メガン・ダヴァン(手加減)
属性 :O
技量 :B
直感 :A
必然力:D
・スキル
【Duel!】
 アメリカンとしての矜持。
 誰かがリーチをかけた場合に対象を取って発動可能。
(効果A)
 聴牌判定値に+30。
(効果B)
 自身と相手の和了コンマを比較し、高い方が低い方からロン和了。

【ウェスタンリボルバー】
 愛銃は信用を裏切らない。
 【Duel!】発動時に1日に6回まで発動可能。満貫で強制ロン和了。

【Bleak Black】
 光を閉ざすことで這い寄る闇の加護を受ける。
 任意で発動可能。
(効果A)
 聴牌が確定する。
(効果B)
 和了判定値を+50。
(効果C)
 放銃判定値を-50。
(効果D)
 和了コンマが4位の場合、放銃する。
(効果E)
 打点が満貫以上になる。
(効果F)
 このスキルは1週間に6回までしか使用できない。1日1回分ずつ回復する。



薄墨初美
属性 :O
技量 :D
直感 :B
必然力:D(S)
・スキル
【六女仙:悪石の巫女】虹
 太陽を喰らう仮面の神の力を行使する調伏の巫女。
 自身が北家のときに発動。
(効果A)
 聴牌が確定する。
(効果B)
 和了判定値を+20。
(効果C)
 聴牌判定値が2位以上の場合、四喜和を聴牌する。
(効果D)
 聴牌判定値が3位以下の場合、2翻以上の打点になる。
(効果E)
 聴牌判定値が2位以上の場合、和了判定値をさらに+30する。

【合法ロリ】赤
 18歳でありながら童女にしか見えぬ身体に引き摺られたか、意固地になりやすい。
 【六女仙:悪石の巫女】発動中に和了できなかったとき発動。
(効果A)
 親がロン和了可能なコンマである場合、自身の和了コンマの半分を親の和了判定値に加算させることができる。
(効果B)
 効果Aを使用して和了に成功させた場合、放銃者は自身で固定される。


ユキ・絃・初美・メグ  の順

とりあえずは一旦ここまでですー

しばしお待ちをお願いしますー

今の所、京太郎の好感度が高いキャラって誰?

>>358
モモ=憩=和=久≒絃=数絵>美穂子=衣=淡=咲>まこ=優希=透華>小蒔=霞=怜=白望≒竜華>etc

って感じですかねぇ。基本的には身体を重ねたキャラが上位になりやすいです。

透華は色々恩が積み重なってるのでその分高い感じで。

意外にもまこが高いのに驚いた。地味にいる人もすごい

>>361
実は、好感度だけならまこや優希はゾロ目出しまくりな怜竜やシロよりも高いんすよ

まこに至っては淡よりも高いという。

京ちゃんが押し倒せば怒りながらも「しゃあないの、京太郎は。……優しくせぇよ?」みたいに許してくれるくらいには高いです。

久も上位にいるのが驚きwwwwww
前スレで見逃した所があたっけ………?

>>364
ヒッサは京ちゃんが初めて自分から押し倒した相手なんやで(小声)

自分もちょっと暴走して挿入寸前まで書きましたからね、あれはちょっとやりすぎたと反省してます。

怜? ……知らない子ですねぇ。

さて再開しますよーぅ

1半荘目

東一局  ドラ:五萬

メグ(2回戦では暴れられましたが、今回はそう簡単に……)

メグ「リーチデス」

由暉子「……ツモ。タンヤオドラで1000オール」


ユキ  31600
絃  197200
初美  31900
メグ 139300

東一局一本場  ドラ:五萬

メグ(ム、親ですから安手で連荘も当然デスカ)

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   l    八从 : | |    |:.l〕iト  ___    [[      /lノ|:. 八
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      由暉子「左手を使ってもよろしいでしょうか?」


『おっと真屋選手、今回も左手で打つようですね』

『古い人らには左手でのプレイはマナー違反なんていう人もいるけどね、

 チョンボしなけりゃどうでもいいだろうってのが世界での認識だよん。

 世界ランカーにも左利きでやってる人がいるからねい』


 由暉子の希望を他三人は了承し、由暉子は左手でのプレイを開始する。


由暉子「リーチ!」


 順調に向聴数を落とし、ついにリーチを宣言。リーチ棒を取り出す際に左腕を高く掲げた。

 その左手の甲には薄らと文字が光ることに卓上の三人は気付いた。


メグ(前回もあの光る腕を出したら高めの手を張っていマシタネ。ならばこそ、勝負――デュエル!)

メグ「リーチデス!」


 先行してリーチを掛けた由暉子を追いかけるメグのリーチ。

 しかし今の由暉子に生半可な攻撃は逆効果であった。


由暉子「ロン。リーチ一発三暗刻ドラ――裏2の1本場で18300」


ユキ  50900
絃  197200
初美  31900
メグ 120000

東一局二本場  ドラ:中

メグ(やはり力を使っている時のマヤに中途半端な攻撃は無意味デスカ)

絃(さすが、9万点を稼ぐだけの力はあるわ。……今のうちに、少しでも食んでおくべきだわ。

  迂闊に真屋由暉子に挑むのは下策。なら北家でない日喰いを撃っておきましょう)

絃「ロン。純チャンのみで2本場は4500」


ユキ  50900
絃  201700
初美  27400
メグ 120000


東二局  ドラ:六萬

初美(うーん、北家じゃないにしても風が少し変なのですよー)

絃(まずは一口。……これならば――来た)

絃「ロン。W東ドラドラで12000だわ」

由暉子「……はい」チャラッ


ユキ  38900
絃  213700
初美  27400
メグ 120000


東二局一本場  ドラ:一萬

由暉子(さすがに前回のように上手くはいきませんね……。でも、ここで稼がないと!)

由暉子「ツモ。タンヤオ平和一盃口ツモドラの1本場で2100・4100」


ユキ  47200
絃  209600
初美  25300
メグ 117900


東三局  ドラ:八萬

絃(満直程度では止まらない……。わたしの手も決して悪くないわ。

  この手ならリーチをかければ和了れる確信もある。だけど、それがまやかしでわたしにとっての死門であることも分かってしまう)

由暉子「リーチ。――ツモ。リーチ一発ツモ三色の裏2で3000・6000」


ユキ  59200
絃  206600
初美  19300
メグ 114900

東四局  ドラ:六萬

初美(さて、ようやく私の北家ですー。配牌時点で東と北は暗刻。誰かが落とさなくともカンすればいいわけですしー)

絃(! いけない、日喰いは既に手をかけている気配……。

  東と北を流さなければいいはずなのだけど、それでもダメ? 悪寒が酷いわ)

初美「カン! ――もいっこカンですよー」

由暉子(自力で東と北を……!)

    ト、 `ヽ、                                \  \/    \    ´ _,..
    /  `ヽ、`ヽ     ,..-‐:.:.:--、                 ,..-‐/ 丶  `    i    \\  __
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     ゙、::..  ムィ:::!.::::::::i.ー、:{._ ヽィr=-、`'"'!:::::iー | / / /. / .:/ .:::..:i.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;...-イ´i
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                           〈:::::::/y'::::::ハ:::/:::::::::::::::::|::::::::::V:::}::::::::\     /::::::/
                                V::/-‐:┘:レ:::::::::::::::::;:::::|:::::::::::i:/:::::::::::::::〉    /::::::/
                               ̄ー-<__;::ィ´  ̄ |::ノ:::::;::::::|::::::::::::/::.  /::::::/

              初美「ツモ! 小四喜で8000・16000ですよー」


ユキ  51200
絃  198600
初美  51300
メグ  98900

南一局  ドラ:一索

メグ(チッ、ヘビーデスネ。限定的とはいえ役満を何度も和了れるというのはなんどもズルイデス)


由暉子&初美「「聴牌」」

絃&メグ「「ノーテン」」


ユキ  52700
絃  197100
初美  52800
メグ  97400


南一局一本場  ドラ:東

メグ(そろそろ取り返しておきたいデスし、攻めてみマショウ)

メグ「リーチ」

由暉子(……親被りはしないと言っても、下手をすればさらに2万4千点をツモで削られる可能性が。

     ならば臆している場合ではないです)

由暉子「ツモ。トイトイ三色の1本場は4100オール」


ユキ  66000
絃  193000
初美  48700
メグ  92300


南一局二本場  ドラ:二萬

『おや、ダヴァン選手、手牌を伏せて俯いたままツモを進めています。どうしたのでしょうか』


メグ(またネリーに怒られるかもしれマセンが、さすがに減らされすぎましたカラネ。

   あまり使っていて気持ちのイイものではないのデスガ)

メグ「ふむ……。――ロン。純チャン三色、2本場は8600デス」


ユキ  66000
絃  193000
初美  40100
メグ 100900

南二局  ドラ:八萬

由暉子(親が流されてしまいました……。あ、安いですが私の当たり牌……。

     他家がツモる可能性もありますし、それよりはマシでしょうか)

由暉子「ロン。タンヤオのみで1000」


ユキ  67000
絃  193000
初美  40100
メグ  99900


南三局  ドラ:二萬

絃(次はまた日喰いの役満チャンスだわ。強引だけど、攻めてみようかしら)トン

初美「ロンですよー。トイトイドラ3で8000」


ユキ  67000
絃  185000
初美  48100
メグ  99900


南四局  ドラ:西

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初美「今日は絶好調ですねー。ツモ! 大四喜で8000・16000!」


ユキ  59000
絃  177000
初美  80100
メグ  83900


『副将戦前半が終了いたしました。

 薄墨選手が下馬評通りの大暴れで大きく点数を取り戻し2位を猛追しています。

 まずます目が離せない副将戦、後半も間もなくスタートです』

2半荘目

東一局  ドラ:八筒

由暉子(できればトップか2位から直取りしたいのですが……)

由暉子「リーチ」

メグ(ム、先行されてしまいマシタカ。とはいえやることは変わりまセンが)

メグ「リーチデス」

初美(む、むむむ……。せっかく波に乗っていますからー、できれば当たりたくないのですよー)トン

由暉子「ロン。チートイドラ2で9600」


ユキ  69600
絃  177000
初美  70500
メグ  82900


東一局一本場  ドラ:三萬

メグ(マズイデスネ。ここで調子付かせてはどこまで走られるカ……)スッ

初美(メガンさんはまた自分の世界に籠りましたかー。北家でない私ではちょっと読み切れないんですよねー)トン

メグ「ロン。タンヤオ平和二盃口の1本場ハ8300デス」


ユキ  69600
絃  177000
初美  62200
メグ  91200


東二局  ドラ:六索

絃(……。方角を狂わされ過ぎたわ。この局、死門はわたし。生門は真屋由暉子)トン

由暉子「ロン。清一色のみで12000」

ZZZZZZZZZZZZZ\
ZZZZZZZZミア"<><> ̄オi
ZZ二==/ミミ/‐¬¨三三ミ{
ニニニ二lミミミ〈二二二二ミミl
=¬¨´Zlミミミュ、<><>`>‐-、
ZZZZZZlミミミミ}Lニ===ニニ三三ミユ)
ZZ / ̄Vミミミミミリ  `ヾ7-ミZZ「 ̄ ´
ZZ:{ r'/ミミミ/-‐''7lヽ,'
ZZ.`、_lミミミ/  // ヽ、

ZZZ l lミミミ/   `    >
ZZZZl,'ミミミミ、      r'´
ZZZZリミミミ}   -‐,. '゙
ZZZ/ミミミ/ヽ、__./

ZZ/ミミア´l
Z./ミミミ/  l
Zlミミハ`¨¬ー- _
Zヾミミ`ー-..、.  ∧
ZZZl}ヾミミt-ミミt、 ',

ユキ  81600
絃  165000
初美  62200
メグ  91200

東三局  ドラ:六索

初美「あっ……ツモですー。ツモのみで700オール」


ユキ  80900
絃  164300
初美  64300
メグ  90500


東三局一本場  ドラ:北

「「「「ノーテン」」」」


ユキ  80900
絃  164300
初美  64300
メグ  90500


東四局流れ二本場  ドラ:六筒

絃(これは……日喰い以外はノーテンだわ。これでは――)

初美「ツモ! 小四喜で8000・16000! いやー、ほんとに今日は出来過ぎですねー」


ユキ  72700
絃  156100
初美  96900
メグ  74300

南一局  ドラ:白

絃(さすがに、このままでは皆に顔向けできないわ。京太郎さんは溺れさせてくれるだろうけれど。

  でもわたしにだって意地はあるもの。だから――)

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:::::::::::::::Ll::::-‐::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l_l:::l  ',.l  }::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_:::::::::::l ', l l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l l‐-‐.iノ'"l::::::::::::::::::::::::::__:::;; ノ.l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_ `  ̄´  ` __::::::::::::::::::_...,,...ノ       ̄ _,,.. -zェェ‐-  l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ミぇt 、       ̄ ̄ ̄          _,,...ィオ三三;fへ、`、  l:::::::::::::::::::::::::::::l` 、:::::::

ニ::へミ.、                    //チ三三三弋_イ. 丶 l:::::::::::::::::::::::::::::l   ',:::::
三`-イ `、                   / l三三三三三心    l:::::::::::::::::::::::::::::l   i:::::
ニl ̄l l                       にl l三三リ  l l    l:::::::::::::::::::::::::::::l   l::::
‐´ノ7                        弋 `‐-‐´ /リ    l:::::::::::::::::::::::::::::l  ,':::::
ェシ´                         ヾェzzzzェシ.     l:::::::::::::::::::::::::::::l  /:::::::
                                      l:::::::::::::::::::::::::::::l /:::::::::
                                       l:::::::::::::::::::::::::::::レ::::::::::::
  l                         l  |   l     l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
                                 !       l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
                                    ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
                                   / .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    絃「ツモ。白チャンタドラ3で3000・6000だわ」



ユキ  66700
絃  168100
初美  93900
メグ  71300


南二局  ドラ:八萬

由暉子(2位が見えてきました。ここまでくれば、後は爽先輩に任せるだけ……。

     小和了りでも問題ないですね)

由暉子「ロン。三色のみ、2600」


ユキ  69300
絃  168100
初美  91300
メグ  71300

南三局  ドラ:白

絃(オーラスでは日喰いがまた大和了りをするはず。ならば少しでも打ちこんでおくわ)

絃「ロン。白ドラ3、7700」


ユキ  69300
絃  175800
初美  83600
メグ  71300


南四局  ドラ:五索

            /    .:      \
         ―-′|   / ,.     ヽ

      /  ....,  ノ / /    |l  |  |
.     /  / / /|爪/ /__./ :;  |   |  | |!
     ′/  . :/f⌒彡/7  |ヽ/  ハ |  | :从
     |/   /.:/∧ |!Yん弐Ⅳ!//⌒!/}  |/
        . :/| | ∨ 弋炒`   rテミく/  ハ  }!
        | ||! ∧ト  "   ,  炒ノムイ  | /
        |リ    /  \ ー    イ7/|| j!/
          ーイ   />ー 、   / }ノ
       /   `ー-  /  ヽ }ヽ
      /               | | (
.      八   ヽ          | | |\
    r<二ヽ__l!_      | | |  ー――――  、
    ∨        \    {八ト   \ー―    \
     \―――-    \   !\\    \__    \
      〕!      \  \/|::::::\〉  _____    \

初美「さてさてー、これにて店仕舞いの神楽舞ですよー。ツモ! 大四喜で8000・16000!」


ユキ  61300
絃  167800
初美 115600
メグ  55300

『副将戦終了いたしました。


 1位は変わらず須賀。167800点。

 霜崎選手は前半-21200、後半-9200で合計-30400点です。


 2位は大躍進で永水女子。115600点。

 薄墨選手は前半+47200、後半+35500で合計+82700点です。


 3位は持ち直して有珠山。61300点。

 真屋選手は前半+31400、後半+2300で合計+33700点です。


 4位は急落した臨海女子。55300点。

 ダヴァン選手は前半-57400、後半-27600で合計-86000点です。


 いかがでしたか三尋木プロ』



『なんというか、しょうがないって感じだねい。

 ロリ半裸巫女ちゃんが役満を4回もツモ和了しちゃったから、

 親被りしたメグちゃんは32000点分は差っ引いて考えてあげないとちと可哀想だ。

 あるいは全員からさらにマイナス32000を無視して考えてみると……

 絃ちゃんはギリギリプラスに転じるし、由暉子ちゃんもプラス6万5千とかなりの稼ぎになる。

 実際、マイナスの二人は放銃回数は1回と2回で他の面子と比べても少ないんだよ。

 絃ちゃんなんかは得点だけ見ると3万6千点稼いだはずなのにこれだからねい。

 とにかくこの卓は平均火力が高く、そしてツモ和了が多かった。

 全員が1回当たりの打点8000点を上回る高火力卓。

 ちょっとこの卓だけを見て論評はできねーかな。巫女やべぇ、って感じ? しらんけど』



『ありがとうございました。

 いよいよ順位が入れ替わり決勝進出校が分からなくなってまいりましたA卓。

 次は非公式ファン投票1位に輝いた怒涛のバストこと石戸霞と、女性雀士の救性主こと須賀京太郎の登場です。

 皆さまチャンネルはそのままでどうぞ』

――須賀控室――

「戻ったわ」

「おかえり絃さん」「おかえりですよーぅ」「おかえりなさいっす」「おかえりなさい絃さん」

「だいぶ点数を減らしてしまって……ごめんなさい」


 戻ってきた絃さんは開口一番、そう謝罪をした。明日は槍でも振るのかというくらいに珍しい。萎れて謝る絃さんなど初めて見た。

 俺を監禁しようとした後ですらここまでの様子ではなかったというのに。さすがにこれは予想外で、俺達は口々に慰めに掛かる。


「確かに3万取られましたけど、あんなに役満やられたらしょうがないですよ」

「そやね。それに結局2位とは5万点の差がありますーぅ」

「いつでもプラスだったら楽勝過ぎて微妙っすよ」

「相手も強い全国なら当然だと思います」

「そう、ね。ありがとう」


 実際、大幅なリードを保った状態で3万点を失ったくらいは許容範囲内なのだ。

 そう、要は俺が勝てばいいのだから。


「ま、絃さんが気にするっていうなら俺が大将戦でかっ飛ばして来ればいいですよね!」

「京太郎が頼もしければ安心して任せられるわね」

「京ちんは十分強いですよーぅ?」

「京太郎さんのことは信頼しているわ。だから……お願いするわ」


 からかうように追従を述べる数絵。苦笑いして呆れる憩さん。そして申し訳なさそうに見上げてくる絃さん。

 抱いた女に頼りにされて嫌がる男がいるだろうか。だから俺はそれに応えるように笑ってドアを開ける。

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  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
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 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
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/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////

       「もちのロンですよ! っし、それじゃ行ってきますか!」

強制遭遇  霞

 01~32   
 34~65   
 67~89   
 90~98   
 ゾロ目


1d100=41  普通


「須賀選手、試合の意気込みをお聞かせください!」


 控室から対局室に向かう最中、俺はマスコミに追われていた。

 2回戦まではこんなことは無かったのだが、さすがに準決勝ともなれば注目度が段違いらしい。

 しかし、試合直前でこんなことをされては水が差されるとは思わないのだろうか。

 確かに視聴者はこういう情報も知りたがっているのかもしれないが……。

 とはいえ無言で突っ切ってしまうのも印象が悪い。マスコミならば仕返しとばかりにネガティブキャンペーンを張りかねない。

 適当に一言述べ、さっさと振り切ってしまうのが一番いい。

                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、


「勝ちますよ。チームのみんなが5万点もリードしてくれた。

                          これで1位抜けじゃなきゃダメでしょう」


 そう言って俺は対局室のドアに辿りつき、さっさと入室した。

 いくらマスコミとはいえ対局室内にまで入ることはできない。

 もし入ろうものならその記者の所属社が取材資格停止となる、らしいからだ。

 いまや麻雀はドル箱コンテンツ。高校生の試合ですら、大規模公式大会であれば安くない放映料が発生するという。

 大人の汚い世界に守られているというのは、なんとも複雑な気分だ。

 そう思って渋い表情をしていたからだろうか、対局室内に一人だけいた先客――石戸霞さんが苦笑しながら声をかけてきた。


「テレビの方たちは強引よね」

「石戸さん。お久しぶりです」

「ええ、お久しぶりね。……あの時はごめんなさいね、きつく当たってしまって」

「……? ああ、気にしないでください。神代さんは無防備で危ういですから。

 ってこういうのは前もやった気が」

「ふふっ、そうかもしれないわね。でも改めて言わなければ私の気が済まなかったの。

 ……須賀君は強い。あの大星淡を打ち負かしたのを見たらそう認めざるを得ないわ」


 そう言って石戸さんは複雑な表情を浮かべた。

 その表情からは、どこか俺を品定めしていたような雰囲気を感じる。

 石戸さんは神代さんの保護者のように振る舞っていたし、そういう役目でも担っているのだろう。

 石戸さんや神代さんは由緒正しい家柄のようだし、付き合う人間についても細かく言われているのかもしれない。

 交友関係にまで口出しされるというのは窮屈そうだが、俺みたいな男が相手では仕方がないのか。

 そこまで考えて違和感を覚えたのは“認めざるを得ない”という言い方だ。

 つまりはお眼鏡に適った、ということだろうか。

 ……もしかしてあれか、良質な種馬を見つけたということか?

 そんな突飛な発想に至った俺は思わず石戸さんの胸に視線を向けてしまった。


「……やっぱりあなたも見るのね」

「え、あ、すみません。……でも石戸さんみたいな美女で、さらに一目で分かるほど特徴的なら見ないなんてのは無理ですよ」


  判定 1d100=67  成功


「――はぁ。なんて言えばいいのかしら、そこまで正直に言われたら怒る気にもなれないわね」

「あはは、すみません。魅力的な人に嘘は吐けない性分でして」


           ,  ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::..ヽ
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          l:: .:::.::/ ゝ´ll  /,':::::::::::::::::./> 、
         l: .::::::///  ! / /::::::::::::::: イ./   ヽ
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           ,':::l  ./      i:::::::::::: / /    / l! .l
        /::丿, '     /!:::::::::::;' /    /     !

「もう、調子がいいんだから。

 まあいいわ。ちょうど同卓するお二人も来られたようだから。

                     ――後は卓で語りましょう」


 正直に思ったことを告げた俺に対し、やや呆れながらも感心したように吐息を漏らした。

 そんな彼女だが、すぐに柔らかな雰囲気は硬質なものへと変わる。

 そう、今は戦いの秋。ただ麻雀でのみ語るべきなのだ。


「よろしくお願いします!」

獅子原爽
属性 :O
技量 :B
直感 :S
必然力:C
・スキル
【神憑き:五色雲】
 天地創造を司る青黄赤白黒の五つの雲とカムイに憑かれた少女。
 
 聴牌判定値を+20。

 以下の効果を1色につき1回、任意で発動可能。色によって効果が異なる。
 なお1度発動した色は北海道に帰還するまで使用が不可能になる。
 聴牌・和了コンマ共に1位かつ和了コンマ90以上で和了した場合、
 打点が役満となる。

・青
 流れる水こそ生命の源。全員有効牌をツモれなくなる。
 聴牌判定で自身以下の他家は全てノーテンとなる。

・黄
 草木が生い茂り一帯を覆い尽くす。全員のツモが緑の牌のみになる。
 他家の判定値を-30し、自身の聴牌・和了判定値を+30する。

・寿命の支配者(パコロカムイ)
 このカムイは対象の命脈を絶つ。相手に当たり牌を掴ませる。
 対局者の一人を対象にして発動。放銃判定値を0にする。

・ホヤウカムイ(羽蛇)
 このカムイは纏う悪臭で生命を害する。
 他家のスキル効果を最低50%ダウンさせる。
 自身の素の聴牌コンマの下一桁×5だけさらにダウンさせる。
 他家の和了コンマにゾロ目が出た場合、効果終了。

・アッコロカムイ(蛸)
 このカムイは自身の体色である赤で世界を染める。全員のツモが赤い牌のみになる。
 他家の判定値を-30し、自身の聴牌・和了判定値を+30する。
 
【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

ネリー・ヴィルサラーゼ(手加減)
属性 :O
技量 :B
直感 :A
必然力:S
・スキル
【FATALIZER】
 運命奏者。人の運命を繰り紡ぐ者。死を齎す者。
 任意で発動可能。
(効果A)
 聴牌を確定する。
(効果B)
 和了判定値を+50。
(効果C)
 聴牌コンマが3位以上である場合、スキル効果以外では放銃しない。

【ファム・ファタール】
 運命の女、悪女。牌にとってはまさに最愛、他家にとっては災厄となるだろう。

 自身より必然力が低い者が強制和了効果を発動したときに発動。
 強制和了者の聴牌・和了コンマがともに自身より低ければ、その和了を無効にして代わって和了する。

【聖人たれど死に抗うに能わず】
 人はどこまでいっても人である。
 聴牌・和了コンマともに2位以上である場合、打点が満貫以上になる。


石戸霞
属性 :O
技量 :B
直感 :A
必然力:S
・スキル
【六女仙:天倪の巫女】黒
 姫巫女という霊にとっての誘蛾灯ともいうべき存在を守護するための身代わり。
 【神代小蒔】が受けたデバフ効果を全て肩代わりする。

【絶一門:攻撃モード】金
 身に受ける厄を巫力の源として超常的な牌の偏りを起こすオカルト能力。
 任意に発動可能。ただし【絶一門:防御モード】と同半荘中には発動できない。
(効果A)
 他家の判定値を-15。
(効果B)
 自身の判定値を+30。
(効果C)
 自身の最低打点が満貫となり、リーチした場合は最低打点が跳満になる。
(効果D)
 他家が和了した場合の打点が+4。

【絶一門:防御モード】金
 身に受ける厄を巫力の源として超常的な牌の偏りを起こすオカルト能力。
 任意に発動可能。ただし【絶一門:攻撃モード】と同半荘中には発動できない。
(効果A)
 他家の聴牌・和了判定値を-30。
(効果B)
 自身の放銃判定を+50。
(効果C)
 あ)聴牌判定値で1位
 い)和了コンマで2位以上
 う)和了判定値1位との差が15以内
 あ~うの条件を満たした場合、自身が代わって和了する。
(効果D)
 効果Cによって和了する場合の打点は2翻以下となる。
(効果E)
 親の場合は効果C以外での和了はできず、ノーテンで流局する。
(効果F)
 子での和了の場合は強制的に1翻となる。



ネリー・霞・爽・京太郎  の順


『皆さまこんにちは。いよいよ準決勝A卓は大将戦を迎えます。

 前年度人気投票1位と今大会唯一の男子選手、世界ジュニアでの麒麟児、ダークホース。

 この4人が相見える対局室。どうやら石戸選手と須賀選手が言葉を交わしているようです。

 ひとまずこの4人の紹介をお願いできますか三尋木プロ』


『はいはい。今回は4位から紹介していこうかねい。

 ということで獅子原爽だ。

 この子はあれだね、カミツキだ。県大会から何度も窮地からのジャイアントキリングを繰り返して、格上に噛みついてきた。

 永水の神代ちゃんとは違う意味で神懸った打ち方をする。とはいえちょっとツモ運が悪いねい。

 テクニックは高校生としては一流だし、勘はプロ顔負け。その運をどうするかが獅子原ちゃんの勝負って感じだよん。


 次は3位のネリー・ヴィルサラーゼ。

 世界ジュニアでは団体戦でジョージアを予選突破させた立役者。

 個人では6位ながらも金メダルを獲得したイネス・ヴァーグナーを唯一飛ばすという快挙を成し遂げたのも有名かな。

 小鍛治さんが負けたニーマン女史の弟子が揃うドイツ代表から何度も和了った、というだけで実力は言うまでもないよねい。

 家庭の事情かもしれないけど、お金にシビアでスポンサーウケもいい対局を心掛けることが多いらしいよん。

 つまり劇的な展開を好んで演出するきらいがあるみたいだ。強いていうならそういう打ち方が弱点といえば弱点かもしれないねい。


 んじゃ次は2位の巫女おっぱいこと石戸霞。

 なんだ、デカいの一言でいいんじゃね? ……え、ダメ? 

 まあ男はこういうの好きそうだよねい、わかんねーけど。

 麻雀の方は主に防御を得意としてる選手。

 先鋒と副将が稼いだリードを守り切って試合を締める役だよん。

 無論それだけで全国を渡り抜くことは不可能だから、攻撃にも奥の手くらいはあるだろうねい。

 今回は3位に対して5万点のリードがあるから攻撃モードは見れそうにないけど。


 最後は須賀京太郎。

 しぶとい上に火力もなかなか。ロリ巫女の後に見るとちょっと落ちるかもしれないけど、それはあの巫女がとんでもないだけだ。

 単純に強い選手だねい。ただ、ちょっと防御が甘いのが玉に瑕かにゃ。

 その辺も含めてあたしが指導してやりたいとこだけど……はやりさんもつば付けてるらしいんだよねい。

 おっぱい巫女のおっぱいをガン見してるし、はやりさんのが好みなんかね、しらんけど。

 ……コホン。ま、なんにせよ期待したい選手だよん。日本が世界を獲るためにはこういうのが上手く成長してくれないと』


『ありがとうございました。それでは大将戦、スタートです』

1半荘目

東一局  ドラ:七萬

ネリー(どーしよっかな。あんまり後の方に波をまとめるとウスザンが飛んじゃうかもしれないし……。

     適当に、満遍なく和了れる可能性を残そうか。まったく、メグも情けないよね)


 ネリーが不気味に笑いながらも山は削られ、ついには海底牌が目前。

 誰も和了ることなく流局するかに思えた。


ネリー(ダメか。ネリーじゃ届かないよこれ。聴牌維持して次に――)

爽(まっじーな。たぶん私だけノーテンだよね……っと、ラスツモで役無しだけど聴牌じゃん。ラッキー)トン

京太郎「ロン。タンヤオ平和二盃口河底撈魚で12000」

              ―=ミ:....
                 \\
              ――=}: : ヽ__

.       __    /: : : : : : : : : : :/: : : : . .
.    /: : \  /: : :/: : : : : : : :/:: : : : : : :\
   //⌒ヽ: : Y: : :/ : : : : : : :/7:r ヘ: : \ : : :.

   //――|:.: :|:: :/: : : : : : / .::/   ∨: : \ : :.
 /:: : : : :/: /: :.′: : : :/_  ;/  ´ ̄∨: : : : : :.
./: : :{:: :/: : /|: : : : : :x云ミ、/   x=ミ ∨:|: :ハ:.:|
′: : ∨: : : / : :| : : i{ r':c::;l゙     イr'c:;!ヽ:.:|: :| |:.|
{: : : : : ヽ : {  |:.:|:: :/ ∨)ソ    ,  ∨)ソノ i |: ; :.:!
.∨: : : : : : 八 リ从{             ∧:|/  リ
 ∨:: : : : :}:.:.| |: :|、 、     , 、    ム|:.|
.  〉: : : : /: :.| |: :| ヾ:\        ..  //
 /:.:.: :/:.:.: :| 乂{  V: :>  __  イ:|  //
./:: :/ |: : :/     イ: : : |    |: : ト
: /   j : /      ムイ|   / ̄>―――- 、
:{    //           ,く7 /   /        \

              爽「えっ?」


ネリ  55300
霞  115600
爽   49300
京  179800

東二局  ドラ:五萬

霞(さすがね、須賀君。……さっきから私の胸をちらちらと、えっちな男の子にしか見えないのだけど。

  それでもしっかり跳満を和了るのはどういうことなのかしら。

  私には上手く牌も入ってこないからノーテンで終わりそうなのに)

ネリー(そのホーテイは見えてなかったよ……。ウスザンが想定外に弱いんだもんなあ。

     ま、今回はネリーが貰うけどね!)

ネリー「ツモ。純チャン平和ツモで2000・4000」


ネリ  63300
霞  111600
爽   47300
京  177800


東三局  ドラ:五筒

ネリー「ロン。發混一色ドラで8000」

爽「くっ……はい」チャラッ


ネリ  71300
霞  111600
爽   39300
京  177800

東四局  ドラ:三萬

爽(やっぱ使わないとダメか! 五色の雲、天地の礎たる雲よ。我が盟友との契りに約し恵みをもたらさんことを……)

爽「リーチ! ――っし、来た来た。ツモ!リーチツモ混一色で2000・4000だ!」

                 _       |   |
                 \ヽ_-‐=ミ、│  │
                 /_∨:.:.:.:.:.、.:.:.: |  │
               〃.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:\  │

            f ´ ̄ 7:.:.:.:./:.:.:メ、.:.:.:.:.:.:.\}   |
           从   {:.:.::{/{:.:/ _\.:.:.:.:.:|    |__
            ー=∧ .l{:.:.:.{-乂   _,,ヽ.:.:.:|   | \
            /:.∧ l{l:.:.:{ ._,,  ´⌒ }ノ)|`ー─= 7
              /_;/ :ハ八{:.ト⌒`   _ '" 从:|l     /
             {:.:/. Уヽ人''' ∨ .ノ   リ    ./}
             {:/ 〈     >‐ r<_/´}   /.:}
            ノ′  \   ( \ .|_/\_/   _丿
              _, \ >:`ー┘フ      |
              /.: .: .: .:`: 〉:/⌒ ̄ /      .|
            {;/ ̄ ̄ ̄{    .:/     /|
                   {i   \:       /.:{
                   リ    \     /.::j!
                  /__         /.:.:j!
                   〈 丿 `ー,-ミ.,_    :{!
                 _Уー─=ニ二>x、:{!

               _,.ノ⌒ニ/ニニニ/ニニニニΧ
           _, r<ニニニニ/ニニニニ/ニニニニニニニ、
        _,. r≪ニニニニニニ/ニニニニニ/ニニニニニニニニ}
    ,.  '⌒`ヽ二ニニニニ>'⌒ マ.ニニ/ニニニニニニニニリ
   '′      ー=>'"       \/ニニニニニニニニ/
  /      _,.。z'′         寸ニニニニニニニ'′
. /       / /          _,.。∨ニニニニ/
       /        _,..。s≦ニニニⅤニ/

ネリ  69300
霞  109600
爽   47300
京  173800

南一局  ドラ:二筒

ネリー「リーチだよ」


 爽の健闘を嘲笑うかの如く、ネリーは冷たい口調でリーチを宣言した。

 その姿に、卓を囲む3人は理解せざるを得ない。この局を和了るのはネリー・ヴィルサラーゼだと。


ネリー「ツモ。リーチ一発、純チャンツモ……裏乗らずで6000オール」


ネリ  87300
霞  103600
爽   41300
京  167800

南一局一本場  ドラ:八筒

霞(さすがに強いわね、ヴィルサラーゼさん。5万点差があっという間に1万6300点差に……。

  とはいえ防御モードの今は私自身が高い手を和了ることは難しい。それなら他の二人をアシストでもするべきかしら)トン


 気を緩めたというほどのものではなかった。しかし霞が何の気なしに河に投じた牌。

 マットに置き、手を離す瞬間に猛烈な悪寒が霞の体を走る。

                        /:::::::/::::/.::::::::::::::∧::::::::::::::::\
                     /:::/::::/::::/_/:::::::: /l/- 、::::::|:::|::::::::|::.
    _____           /:::/::::::|:::|:|八:::::::://   |::::|l::|::::::::|::::.

   ⌒>――‐ ..、          | /|::::::::|从{-‐)ハ{   _‐从八|::::::/::::::l
   /:::  --- 、::: \         li |::::::l ,斥苅`   ´斥苅ト リ::::/:::::::::|
.  /::/      \:::::|::.       | |::::::::|{ Vソ     V__,ソ 》:: /::::::::::::
  l::/     ____\|:::\_     |::::::::| ´,,  ′   ,,, ` /:::/::::::::::::/
  |:′  /        ̄ ̄  ..   |::::::::l    (⌒ヽ     {::///⌒i:/
  i   /                 ` 、 |:::::八.. -‐  ̄ ̄ ̄  ‐ {:{//__ノ ′
     ′                    \//            `ト、/
     .                  /                 |::::|___
     i                 /                |::::|∨\
     |                     ′               |::::||
                                        八:::. |
                      :                      \|
.       \                |                        ,′
  ――‐ 、\           -、                       /
       / ≧=‐┬ 、_,.∠....___  \
      /     {∠二二二二二二ニ=\            //
    /    _ノ二二二二二二二二二≧=-   ___  -= /
   /     {二二二二/二二二二\二二二\   /  /

 思わずその悪寒に従って顔を向けた、先には――


京太郎「くくっ、油断するなんて余裕を見せたらダメじゃないですか……ロン。


      1p2p3p 1p2p3p 7p8p9p 7p8p 9p9p  ロン:9p

          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
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     清一色二盃口純チャン平和ドラ2で数え役満、1本場は32300!」


ネリ  87300
霞   71300
爽   41300
京  200100

南二局  ドラ:一索

『うはー、えっぐい手を和了るねい』

『こ、この失点は痛いなんて言葉じゃ済みません、致命的な放銃ですッ』


霞(まさか、そんな……。確かに絶一門になっているはず。須賀君の河にも萬子と字牌しか)


ネリ&京「「聴牌」」

霞&爽「「ノーテン」」


ネリ  88800
霞   69800
爽   39800
京  201600


南三局流れ一本場  ドラ:四萬

ネリー(……須賀がどういうつもりか分かんないけど、これならもうウスザン飛ばしちゃってもいいかな?

     スポンサーウケを考えるとまだ早いかな。……でもいくらなんでもそう簡単に飛んだりはしないか)

ネリー「ロン。南三暗刻トイトイドラ3で1本場は16300だよ」


ネリ 105100
霞   69800
爽   23500
京  201600

南四局  ドラ:東

爽(くそッ、カムイを使う隙さえないなんて!)タンッ

京太郎「ロン。東ドラ3で12000」


ネリ 105100
霞   69800
爽   11500
京  213600


南四局一本場  ドラ:東

爽(自力で和了れってんだろ!? 分かってるさ! 化け物どもと比べたらちょっと運が無いとはいえ……

  私は弱いわけじゃないぞ!)

                         -‐= :_: - . .
                             ` 、: : 、
                        . . : : ¨¨¨ヽ: :≧: : . .、

             ,. 斗=: .、     ´: : : : : : : -‐: : : : : : : : `: . 、
           /'´  ヽ: :.  /: : : : : :>´: : : : : : : : : : :ヽ: : : : : ,
         ,. -──-. . . 」__レ´: : : : >´ : : : : : : : : : : イ: : : :‘.,: : : :
         /: : : : : : : : : :-‐:7: : : : :/: : : : : : : : : : : : /: i : : : : :‘,: : : : ‘,
.      /: : : : : : :, : ´: : //: : : /: : : : : : : : : : : : イ : ∧: : : : : ‘,: : : : ‘,
.     /: : : : : : : :/: : : / ,′: :′:__: : : : : : :/ }: /  ヽ__:‘,:゚。: : :‘
    /: : : : : : : : : ‘,: /   !: : ′:´ : : : : : : : >´   ,: :′´   ヽ: : :‘, ゚, : :
   ‘,: : : : : : : : : : Ⅵ    Ⅳ : : : : : : : : >´     /:.'        ゚。: : i: : ゚ : : !
.    \: : : : : : : : : :‘,   .i!: : : : : : :.> ¨¨   /'′  ¨¨     ゚。: !: : キ : !
.     〉: : : : : : : : : イ   i! : : : : : 斗笊.示ト、       斗笊.示ト、、 ゚: : : :ハ: :!
.      / : : : : : ィ: : : ′  i: : : :/ {{ { ト::リ }        { ト::リ } }ト }:f´`! i: !
    /: :斗 ´  |: : /     !: : ∧  乂 .ノ       乂 .ノ    !:i / .レ

               爽「ロンだ! 白混一色で1本場は4200!」


ネリ 100900
霞   69800
爽   15700
京  213600



『大将戦前半終了いたしました。須賀選手の数え役満で2位の永水が失陥!

 順調に稼ぐヴィルサラーゼ選手が3万点強の差をつけ2位に返り咲きました。

 このまま永水は3位に沈むのか。そして有珠山高校は踏み止まることができるのか。

 運命の後半戦、間もなくスタートです』


2半荘目

東一局  ドラ:三筒



霞(守っていては駄目ね。巴ちゃんと春ちゃんには負担をかけたけど……

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    |:::|:::l:::|::::::::::::|:::::l|:::|\::::: l::| 八:::::::::: |:ト、::::::::::::: l::|    ̄ ̄`   l:::|::::: |:::::::::::::::|::::::::::::::|
    |::l|:::l:::|::::::::::::|:::::l|从  \j八 ___,\:::: lノ \:::::::::l::|  _____     |ノ|::::/|::::::::::::::从:::::::::::|
    |::l|:::l:::|::::::::::::|:::::l|  _,,x竓芹苧笄ミ\{    \:::|ノ ァ芹苧苧笄ミx, ノイ ,::::::::::: /:::::::::::::::八
    |::l|:::|八::::::::八:: l|ァ'^´|. :|: : : : l: :l           \    |. :| : : : |: :f癶> ,:::::::::: /::::::/::::/
    |从::l::::::\::::::::\   乂: ー‐: :ノ             乂: ー‐: :ノ    ,:::::::/:::/::::::::/
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                     後半は攻撃モードで!                      )ゴッ


京太郎(……? さっきまでと石戸さんの雰囲気が違うな。大きな岩のようだったのが、今はもっと薄い、刃物のような気配だ。

     つまりこれが憩さん達の言ってた“攻撃モード”ってやつか。

     さっきは筒子や八索を使わないと越えられる気がしなかったけど……今ならイケるぞ――)

                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、

  京太郎「ツモ! 一気通貫清一色ツモドラで4000・8000!」


ネリ  92900
霞   65800
爽   11700
京  229600

東二局  ドラ:一萬

霞(先に行かれた……。

  須賀君は筒子の清一色や索子の混一色が来やすい、んだったかしら。

  そういう異能の前では私の絶一門が逆効果になってしまうのね

.            _,.. -- 、__, 、___
            .⌒>.::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ、
.        _,....::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
           ̄7::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.
            /イ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.{
          _/_:::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::|!
.         ̄´ {∧ . :::::O:::::::::::::::::::::::::::::::ト\
            {从.ハ::::::::::::::::::::::::::::::::ミ`
              ' ;.v   ァ::::::::::::マ_
               ヽ;:::::::::::::::::::::::::

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            :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
          .ノ.::::::::::::::::::○::::::::::::::::::::::::::ィ-、::::::::::::.ヘ
          |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.  ヽ::::::::::::::::..
         ,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/    〉:::::::::::::::ヘ
          /.:::::::::::::::::::::○::::::::::::::::::::,'.    /.:::::::::::::::::/
        ./.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;    ./.:::::::::::::::; '
       /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l   ,.:'::::::::::::::::; '
        /.::::::::::::::::::::::::::○:::::::::::::::::::::| /..::::::::::::::; '
        /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::':´:::::::::::::o; '
.      ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_::o:;
     /.:::::::::::::::::::::::::::::::○::::::::::::::::::::::::::::::::|`V
    ,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,'

    ,'o:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
.   l:o::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l

    .`i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::了
      |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉
      |::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
     ヽ::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
       lJ |::::::::::::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::|
        |:::::::::::::::::::::::/  ∨.::::::::::::::::::::::::l

                                    ――ヒッ!?)


 霞が京太郎を横目に見ながらその力を分析していた刹那である。

 悪霊や神霊に慣れ親しんだはずの霞ですら怖気に囚われるほどの強烈な圧力を感じた。

 震える唇を抑えながら寒気に耐え、周囲を見回す。

 獅子原爽も霞と同様に圧倒的な何かに怯えるように顔をしかめている。

 特に影響を受けていなさそうなのはネリーと京太郎の二人。



霞(今のは、ヴィルサラーゼさんが? それにしては気配に嵐の気が強すぎる……つまり――)


 霞が気付いたのはギリギリであった。震える指でどうにか安牌だろうという牌を切った。

 爽もそれに続く、本能に根差した逃避。

 渦巻く風の内は不思議と凪ぐもの。

 秋津洲に守られた東ユーラシアではあまり縁がない故に、彼女には気付く素養がなかったのだ。


             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
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                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /
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        _,.{///////////|

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  京太郎「ロン――国士無双で32000……!」

ネリー「……はぇ?」


ネリ  60900
霞   65800
爽   11700
京  261600

東三局  ドラ:四萬

ネリー(……やってくれる。さすがにちょっと予想外だったよ。運を和了できるほうに寄せた分のしわ寄せかな。

     それが役満放銃っていうのは痛すぎるけど、5千点ならすぐだ。問題ないよ)

爽(やっべー。私も大概なはずなんだけど、全国ってやっべーよ。

  こりゃ本格的に出し惜しみしてる場合じゃない……。アッコロ、ホヤウ!)


 爽の背後から禍々しくも神々しい、羽根を持つ蛇と体色で天を焼くように赤く染める大蛸が現れた。


爽(こっちに来てるのは萬子と索子。ってことは石戸霞には筒子メインで入ってるってことだろ。

  ホヤウの臭気は毒も草木も枯らす祓いの臭い。つまり私の索子はここから枯れる。

  そしてアッコロのおかげで萬子と赤ドラ、中しか手には来ない!)

霞(これは……蝦夷の神? 蛸と蛇ならばアイヌのアッコロカムイとホヤウカムイのはず。

  アッコロカムイは世界を赤に染める蛮神。ホヤウカムイは病を退ける益神ともなられる。

  ……さすがに神格が相手では、それも祓いの神格では私の力はっ)トン

爽「ロンだ! 中混一色ドラで12000!」


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::l:::::l:::l::l l: /l:::/  :|::/ ,x≦斧⌒|:::::::::::::|

::l:::::|八{ l/´|/,,_ノ´   h_刈   |:::::::::::::|
::l:::::|  x≦芹⌒`     辷ソ  |:::::::::::::|
::l:::::l /{h_j刈           '''  |:::::::::::::|
八从{ 乂_少^        、     |:::::::::::::|
ー ||                      八::::::::::
`ー:||、             _     /::::::::::::/
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ネリ  60900
霞   53800
爽   23700
京  261600

東三局一本場  ドラ:六筒

霞(うっ、せっかく2位になっていたのに。ひとまずアッコロカムイはお帰りになられたようだけれど、

  ホヤウカムイはまだ御在しあそばされていらっしゃる……。これでは……)

京太郎「ははっ、すっげープレッシャー……! これじゃ上手く力が出ない……ってなるんだろうな?

     でもよ、良く言うだろ。神を殺すのはいつだって、人間だってさ! ポン!」


 京太郎が啖呵を切り、ドラの六筒をポン。だがそれだけで止まるならば啖呵など切るはずがない。


京太郎「カンだ!」シャッ


 次巡で自ら六筒をツモり、加槓。そして王牌へと手を伸ばす――


                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/
.          ,イ/////////////>'////////////////}ニア゙
.         /////////////ア´ {{////////////////ニア
.         ,イ////////ニ=-     寸////////////イ¨´
      ,イ///////イ´         マ/////////ア´
.     /ゞ===イ´           マ/////アイ
      ム:::::::::::::::::}              {:::::::::::::リ
   く::::::::::::/¨¨´.               {:::::::::::/
    ¨¨¨                     ゞ─'゙

     京太郎「嶺上ツモ! トイトイドラ4嶺上開花で1本場は3100・6100!」


ネリ  57800
霞   50700
爽   17600
京  273900

東四局  ドラ:二索

『おお、今の和了はかっこよかったねい。お姉さんドキっとしちゃったよ』


爽(マジか!? これまでも強い力で潜り抜けた奴はいたけど、こんな強引に振り払われたのは初めてだぞおい!)

霞(須賀君……やはり彼の力は素戔嗚尊。まだ完全に目覚めてはいないけれど、逆境は英雄の化粧みたいなものだものね。

  そして返してくれたおかげで私も自由に動けるのよ……!)

                        ,,   ¨ ̄ ̄ ̄¨: : : .
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                    { { . .: ..:.:.:{ x==ミ、:.:.{ x==ミ }イ:.:.:. | ツモ!
                   乂从人代 辷リ `⌒  辷リ 刈:.:.:. |
                    |.:.:.:.:.ハ .:.:.:.:.  '   .:.:.:.. ハ:.:.:.:.l  2000・4000です!
                    |.:.:.:.:゙圦    t‐_ァ    ム':.:.: i|
                       i|.:.:.:.:.:.:.:|ゝ.       イ .:.:.:.:. 八
                     八:.:.:.:.:.:.j.:.:.:.:}≧=≦{:.:.:|:.:.:.:.: /:.:...\
                      \__;/ : .;人   ,人: |:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.. \    「厂|
                          /:7 / \\//  `!:.: / :.:.:.:.:.:.:.:.:... \_{i ノ___
   ,, -=ニ二ニ==ニニ二三}}二ニ二彡ヘ    \/   j{:.:.{`¨ミメ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:「 }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..`ヽ
  /   r‐i          /         \    /    乂_`二三三二ニニ≠ニニr‐iニニ==ミ、
/   r‐、| |       /  /       ヽ/    /       ‘.    ム_」  | |‐、    \
   /ヽ }ニj   γ¨7 /  У       /    /        } ヽ  「ヽ   {ニj /ヽ
   /\У 廴__ノ / / /       /    /           `ヽ ‘, ヽ 廴_ノ し /ヽ
   V¨¨´  ,   ノ / /       /    /              :.ヽ {    、 し{_ノ}
    ’,     {  / / '       . '____.'                :.ハ \   }    ノ
    ゝ. __,__ イ/   {:. .       /    /                   . .:} \ ヽ __,__ イ
       |    |   j{:.:.:. . . .  /    / . ..: .:. :.. .           . . . .: .:.:}   ヽ |   │
       |   人   ,八.:.:.:.:.:.:.:. {.:.:.:.:.:.:.:.:{.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,′   人   |
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  ∠__レ________\:.:.:.ヽ .:.:.:.:.:.:{.:. ,xf壬込、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.イ____  ____ ヽ |,_\
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       │萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│|萬|
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄

霞「ツモ。清一色のみで2000・4000」


ネリ  55800
霞   58700
爽   15600
京  269900

南一局  ドラ:七萬

『ここで永水2位を奪い返しました!』


ネリー(まったく、映えるゲームにしてくれるよ……。ネリーが勝つのは当然だけどね)

ネリー「ツモ。タンヤオ平和ツモドラ2で4000オール」


ネリ  67800
霞   54700
爽   11600
京  265900


南一局一本場  ドラ:七索

『ネリー・ヴィルサラーゼ選手譲らない、シーソーゲームです!』


霞(ここまできて、諦めてなるものですか)

霞「ツモ。W南混一色で1本場は2100・4100です」


ネリ  63700
霞   63000
爽    9500
京  263800

南二局  ドラ:五筒

                ...-―――-...
               /:::::::::::::::::::::::::::::::::\
             /::::/:::::::::::::::::::::::::ト:::\::\
           /::/::/:l::::l::::|l::l::::::::::::i‘:::::::ヽ::::ト、

           .:::::l::::l:l:l::::l::::リ:ハ:::::::::リ-‘:::|::|l:::|i|
            |:::::l::::l从/i::// }::::::/__ l::|::リ:::|i|
            |:::::l::::|,斗≠ト 厶イ,斗=ミル::::::|i|
            l::八:::l〈 V炒    V炒 〉|l::::::リ |
            |:::::个ト、 ,,    、  ,,, ,小::/ !
.          ‘::::::i:∧      __     //::/  ノ
             ‘::::i::::分、   ` '   ...:i/::/i
             ‘::∨:::::::i〕i=-  -≦::/::/:::|
            ‘::i:::::l:::|∧   l ∨:/::::::|

             /‘:::::l:::| ∧_// ∨:/::::|
            /  /‘卅li   ∨/  Ⅳ:::::::ト 、
        ∠   i  |:i::l|\   /  |‘::::::::|   \
.        ∧ `ヽ l _|:l::リ_ヽ./  / ‘:::::|\  i‘.
       ′'.   V´ ノ::/  / ̄\/   ‘:::\\i i
.           \ //:::/  /   /⌒ヽ   ゞ===ニ≧ミi
        i    \::::/  /   /     ∨/      ∨ノ
        i     -==ミヽ /_  /      }'         ‘.
        |  〃    / ̄ `丶       i         i
       〈  {i   〈 ,ィ  、   \  ノ        ノ
        |\八   ∨⌒ト、 〉 ! ! i/        /{
        |  \\   ヽ  }/}_j_j_,ノ⌒>=-- -=≦  |

   霞「ツモ。純チャン一盃口ツモで4000オール……!」


『ついに逆転、白熱の2位争いはまだ終わりを見せません!』


ネリ  59700
霞   75000
爽    5500
京  259800

南二局一本場  ドラ:五筒

京太郎(うーん、こう白熱してると手出しできないな。……お? 八索の4枚目……とりあえず槓はしておくか。

     ……さすがに嶺上はそうそう出ないな)カンッ トンッ

ネリー「それロン。南混一色チャンタで1本場は12300」


ネリ  72000
霞   75000
爽    5500
京  247500


南三局  ドラ:四筒

京太郎(やっべ、水差しちゃったよ……。まあ3千点差ならいいか? 失点も取り返したいし……)

京太郎「ポン」シャッ  四筒Σ

               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、

                     ///// |   /////////////////> 、
               /////// { //////////////////////}
             //////////∨///////////////////////|


         京太郎「――ツモ。發ドラ3で2000・4000」


ネリ  70000
霞   73000
爽    1500
京  255500

南四局  ドラ:九萬

霞(……これは、駄目かしら。でも諦めてしまうのは小蒔ちゃんに申し訳がたたないわ。

  それに、須賀君の前で無様は晒したくない。なにより攻撃モードでは退くに退けない
……。だから無理やりにでもっ)トン

ネリー「ふふふ。なかなかいい試合になったんじゃないかな?


           「 ̄`ヽ-―‐---、__

           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
           {ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|!  }!'^゙
           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
            |:::|:i| "  '_   " .!::::.{! o|!、
             |、::|ハ:.,、  、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、
         /.:ヽハ!:r‐` T"´  !イ':":.:.:.:.:\i!
       r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、   ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ
        ∀  ! `Zf┬‐-≧ーイ:.:r'´       |_)i::}
      / .,.:彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ::::..       !::、:::i!
      <  ̄  ノ''"   ...::::..... ::::::::.   ,.ィ:::::i!:::|
     ,.へ  / ........:::::::::::: ::::.   ::: ,:<_,.ノ::::::|:i::|
     `>'"           ::::: :::..:/  \:::::|::i:|
     ∠.._________;:.-'"´  __,.イ:::::|::::i!
       /  `ー┬‐;--------―irイヽ、|::::!:::i:|
       / 「 ̄ `ニY⌒r―''" ̄ ̄i .i! | i ヽ!::/::::|:|
     /  L...イ:.:./i T|`iー―--┘ i||  {/::::::ハ!
      / __/:.:// | |:.:.i____ i! ゙、  }::::::/
    / ̄_/:.:.:./ i  ||:.:.:i____i|ヽ、| /:::::/
    / ̄.:.:.:.:.:.:./ /   ||:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|!\_|::::ノ
  /:.:.,:ィ―-イ L___| └―---r---|!、:.:.:.|'"

.  <__ |   |   |       |   | \:|

     ロン。トイトイ三暗刻赤1で8000。

     ネリーの方がちょっと運が良かったみたいだね」


ネリ  78000
霞   65000
爽    1500
京  255500


『準決勝A卓、終了いたしました。もつれにもつれた2位争いでしたが無情にも決着です。


 1位は須賀、255500点。

 須賀京太郎選手は前半+45800、後半+41900の合計+87700点でした。


 2位は臨海女子、78000点。

 ネリー・ヴィルサラーゼ選手は前半+45900、後半-22900の合計+23000点でした。


 3位は永水女子、65000点。

 石戸霞選手は前半-45800、後半-4800の合計-50600点でした。


 4位は有珠山、1500点。

 石戸霞選手は前半-45900、後半-14200の合計-60100点でした。


 見ごたえのある試合でしたね。それでは三尋木プロ、大将戦の論評と試合の総評をお願いします』


『りょうかーい。

 それじゃまずは大将戦。1位の須賀京太郎から。

 想像してたよりずっと強かったねい。これで男子、しかもまだ15歳だってんだから。

 わかんねーけど引く手数多のモテモテ生活突入なんじゃね?

 とそれはともかく。全体的に満貫以上で和了り続け、ツモとロンのバランスも4の3で良い感じ。

 役満2回も熾烈な争いを繰り広げる二人から1回ずつと格の違いを見せつけながらも試合を壊さない演出家っぷり。

 末恐ろしいね。これでまだ未完成ってんだから……マジで弟子にしちゃダメかい?

 ま、良い遺伝子を残すっていう仕事も頑張ってほしいもんだ、しらんけど。


 次は2位のネリーちゃんで。

 今回の2半荘では子倍か親跳が最高打点だったけど、コンスタントに満貫以上を和了っていたねい。

 世界レベルは伊達じゃないってのを存分に示してくれたんじゃないか、わかんねーけど。

 そしてオーラスの満直は魅せてくれた。3千点差だったからツモでもいいしなんならもっと安くても良かったんだけど、

 そこを満貫で締めるっていうのが実力の証明なんじゃねーかな。今回はまだ本気って感じでもなかったのが怖いところだねい』

                        . . -――‐- . ..
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                   /: : : : : : : ::|: |: : : : : : ::|: : : : :|:: : : : : : : : :.
                 ′: : :|: : : : :|: |: : : : : : ::|: : : : :|: : :|: : : : : : :.
                    : : : :l: |::|: : :.:l从: : : : : : :ト、: : :.:|: : :|: :.:| : : : ::
                    : : : :l: |::|: : :.:|  \:: :、_:_|__\::」: : :|: :.:| : : : ::|
                    : : : :l: |:.|_:_;:イ     ̄ ̄__ _,)ハ: :.:|: :.:| : : : ::|
                    |::i : l: i∧: : :l___     斗斧i^狄 : |: :.:| : : : ::|
                    |::| : | : :∧:: :「苅     V以  }:ノ:.:.:.|: i:.: :.:|
                    |::| : |: : : :iハ::|i以       ,,,  j/: :.|: |:.: :.:|
                    |::| : |: : : :|.:l::| ,,  '       /: : : : |: |: ::从
                    l八 八: ::八人     v ´} / : : : : : 八|: : : : \__
                 \|\: ::\≧: .. .._ ー/: : : : : ::.イ: : |: : : : : :.:Χ⌒
                    |\: ::\: --:/:_: : -‐<※|: : :|: : : : :\: : \__
                     _   |/⌒>\/斤/...(※)......リ: : :ト、: : : : :i\ :「 ̄`
              /※)..||  /※|...(※/::|../※).....+...//:: : :八..\:.:.:.|  )'
             /※)...... ||三三三三三三三|...+.../... {: : :/......(※∨:|
             /※)..... (※||/..+......|※)l.|: : ∨※./...(※|: :/....+./.... Ν
           /※)..(※)..+ /リ.....(※ノ......从{\{...../...(※)....|:/...../... (※|
.          /※)..+.... (※//......... /......./.. ※)...../....... +(※|'... /.... (※)...|
         /+....(※).. +...〈/..(※)/...+./※)....+../※)..... +........./..※)... +.. |
       {※).......+......(※∨.......i..... /.+.....(※/+........(※)../...{...+.......(※).|

.        ∨...(※)+......(※∨... |......{....(※).../....(※).....+...∨{.... (※/ +...|
         ∨ ...... (※)......+∨. l‐''┴――┴―――――''| .... /...(※|
.          |...(※)...+.. (※).∨|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|..../.. (※).. |
.          |+........(※)..... +... ‘|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:il../ ...... (※..|

『んで3位の霞ちゃん。

 防御に徹した前半だけど、これは悪手だったねい。

 場の流れが絶一門に偏っていたから、京ちゃんの得意な染め手を作りやすくアシストした形になっちまった。

 その上で他家も防御をものともせずに抜いてくるもんだから攻勢に出れない分を毟られちゃったねい。

 攻勢に出た後半、結果的に稼げこそしなかったけどそう悪くない打ち筋だったんじゃね、しらんけど。

 もうちょっと思い切って最初から攻めに出ていればあるいは、と悔いの残る結果かもねい。


 最後は4位の獅子原ちゃん。

 まー、頑張ってたんだけど……。相手が悪かったんじゃね。

 実力を発揮しようにも他家の圧力も強くてさらに地の速さで負けちまっちゃどうしようもない。

 もたついているところを狩られて後はそのままずるずるとやられた、ってとこじゃねしらんけど』


『んじゃ試合の総評に移ろっか。


 なんだな、須賀が副将以外で区間賞総なめなんだから1位は当然の結果だ。

 唯一凹んだ副将も3位であって4位じゃないってんだからお話になんねー。

 常にトップで推移したから応援してる人からすりゃちょっと面白みに欠けたくらいなんじゃね、しらんけど。

 だからまあ、評論するとしたら須賀以外かねい。


 まずは臨海女子。

 ここは収支を見ていると副将以外で安定して2位につけるように推移してる。

 安定して実力を発揮して、躓いた奴がいてもしっかりフォローできた。

 傭兵軍団とか言われるけど存外チームワークがあるのかもね、しらんけど。

 まさにスタンドアロンコンプレックスってやつ。個人個人のパフォーマンスをきっちり発揮すれば自ずと連携してる、と。


 次は永水女子。

 ここは先鋒と副将以外が安定しなかったのが敗因かねい。

 次鋒と中堅が維持に失敗したのを副将がどうにか盛り返したけど、大将で戦術をミスして差し負けた。

 先鋒に気持ちよく打たせようと配慮しすぎた結果、かもねわかんねーけど。

 もうちょっと仲間としての意識を持たないとチーム戦では致命的だぜー?


 最後は有珠山。

 ここは中堅が踏ん張って副将が頑張ったからどうにか最後まで保ったって感じ。

 収支だけで見れば先鋒と大将以外はそこまで悪くないんだけどねい。

 いかんせん先鋒から中堅までの流れで既に試合の趨勢が決まってたようなもん。

 副将の真屋由暉子も2回戦ほどの大暴れができなかったから力負け。

 ここもやっぱりチームとしての完成度が低いから負けたようなもんだ。

 前三人がもうちょっと点を稼げる編成ならあるいは2位もあり得たんじゃね、しらんけど。


 こうしてみると上2チームはチームとしてしっかり組まれてたから全員が安心して打てたんじゃないかと思えるねい。

 これが団体戦の面白いところさ。個人の実力だけじゃ勝ちきれない。

 プロリーグが団体ルールを採用してる理由の一つが見れたんじゃねーかなー』


『ありがとうございました。決勝へ駒を進めたのはチーム須賀と臨海女子高校。

 波乱の大会を台風の目が北上してついに決勝へと至りました。

 もう二チームは16時00分よりスタートの準決勝B卓の結果次第です。

 ただいま15時08分、およそ50分後にチャンネルを変えて放送されます。

 実況解説はふくすこコンビでおなじみの二人が担当します。

 明日15時30分より開始の決勝戦も合わせて、皆さま是非是非お見逃しのないようお願い申し上げます。

 高校生たちの一夏にかけた青春は、儚い。

 以上、実況は私針生えりと解説は三尋木咏プロでお送りしました。皆さままたお会いしましょう。さようなら』

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: :|: :::l:::::::::l::::|::込 |::::::::|じリ           ら{::::::リj 犲 |::l:.:./:::l: : |
:/|: ::::l:::::::::l:::ト:::::{ 乂::::|少          乂辷少 /   从::/: : l: : |
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| 从::::::\  \ヽ |::::::::|                  / ':::::::::::: : :l: : |
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行動(Aで対局した高校から3人)

 01~32
 34~65
 67~89
 90~98
 ゾロ目

 霞  1d100=55  超成功

 小蒔 1d100=85  成功

 智葉 1d100=02  失敗


――対局室――

 試合が終わり、俺は満足げな溜息を吐いた。良い意味での緊張ではあるが、やはり体力を消耗させる。

 ありがとうございました、と頭を下げた獅子原さんは悔しそうなそれでいてどこかすっきりしたような表情を抱いてすぐに対局室を出て行った。

 ヴィルサラーゼさんもさっさと引き上げていった。なので場に残っているのは俺と石戸さんだけだ。

 そんな石戸さんだが、溜息を吐いた俺にジト目を向けてきた。


「2位を争う私とヴィルサラーゼさんの両方から役満、お見事ね」


 賛辞、にしては視線に呆れの色が強い気がする。

 どうにも、対局中に上手くいくと言動が挑発的になってしまう。

 そのあたりのことで不快な思いをさせてしまったのだろうか。ひとまず言い訳をすることにした。


「ええと、ありがとうございます? 見逃すというのも失礼かなって」

「全力で相対してくれたのは雀士としては嬉しいけれど。

 でもそうね、自信を持つのはいいことだけど、行き過ぎて傲慢になっては駄目よ?」

「確かに……。世界レベルの相手から直撃を取ったってことで少し浮かれてたかもしれません」


 つまり石戸さんは心配してくれた、ということだろう。

 負けた直後、色々と思うところもあるだろうに他者を思いやれるというのは立派だ。

 しかしそれでは気疲れするばかりなのではないだろうか。

 どうにか解してやれないものかと、俺は少しからかうように軽口を言うことにした。


「あれです、石戸さんみたいな美人に無視されるのは悲しかったのでつい、どかんと」

「……はぁ。まったく、私じゃなかったら怒ってるところよ? 褒め言葉に免じて許してあげるわ」


 石戸さんがそう首を振りながらこぼすと、数瞬を置いてどちらからともなく笑いだした。

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            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
          /     \:: ∧ \ソ' |     \::::::: | \


「霞ちゃ~ん!」


 まだ試合終了から10分経っていないはずだが、聞き覚えのある声が勢いよく室内に飛び込んできた。

 巫女服に両のお下げ、朗らかな清潔さを振り撒く神代小蒔さんである。


  3d100=19・74・95      巴  失敗  春  成功  初美  大成功
  追加判定1d100=82     小蒔  成功


「小蒔ちゃん。ごめんなさい、負けちゃったわ」

「そんな、いいんですよ霞ちゃん。それより大丈夫ですか?」


 神代さんが石戸さんへ心配そうに声をかけている。

 雰囲気から察するに、負けてしまったことにショックを受けていないかと気遣っているのだろうか。

 石戸さんはさほど悔しいという気配ではない。俺なら悔しいと思うところだが、心持が違うのかもしれない。


「姫様、走ったら危ない」

「急に走って転んじゃいますよー?」


 そんな神代さんを追いかけるように入ってきた三人組。

 クールそうな雰囲気をした胸の大きな巫女さん、滝見春さんだろう。

 巫女服を肌蹴させているにも関わらずクリティカルな部分はギリギリ見えていないという謎のロリっ子、薄墨初美さんもいる。

 そして無言のままこちらを気にするようにチラ見してくるのは眼鏡をかけてポニーテールをした狩宿巴さん。

 狩宿さんだけが俺に対してあまり良い印象を抱いていないように見える。


「須賀さん、決勝進出おめでとうございます。

 負けちゃったのは悔しいですけど、須賀さんのことは応援しますっ」


 俺が三人を観察していると、石戸さんは大丈夫だと判断したらしい神代さんが胸の前で拳をギュッと握りしめて激励の言葉をかけてきた。

. /:::::ィ´          、  \//   .l      \:::::::::::ヽ
// .ノ            \  ゙/   .l     /  \::::::::i
/  〈      、   -  \{   ./     { /  {ヽ::::|
 r--}、     ゙y       }  ./      丶_厶 '.:::|
 Y  ノト-、   /        l  .l        `く} Λ|
  `Z__j`ー ニ7        l   l、          Y{ /
   | 、  .′       /  .ハ           l{ /
   }  \ l        / /            ll
   '   \、       / /  ,,         八
   ノ   _ヾ、    /./  / 、        ィ .{
  〈  /   子`'' < ∠ イ'" ̄≧=---- 彡=ニ≧=-
  } /    /'   ̄`ヽ、、:::::::::::::: ̄:::::/::|V / Λ 廴_
. イ}     l   ーイ .}:::ヽ:::::::::_::イ:::::イ i.| { T´ー

 「       .l、  二うー':ァJ⌒}'::::、:`≦、人|. | l. 匕二... ィ

 危うく形の変わった胸元に目を吸い寄せられそうであったが、どうにか踏み止まりそれに応じる。


「ありがとうございます。神代さん達の分までしっかり戦いますよ。……神代さん?」


 にこやかに応じたはずなのだが、神代さんは不満そうに頬をぷくっと膨らませている。


「私のことは小蒔とお呼びください」

「えっ。いやぁ……?」


 唐突な願いにどうしたものかと戸惑う。

 狩宿さんなどはキッと俺を睨みつけているし、薄墨さんはにやにやとからかうような笑いを向けている。

 滝見さんはじーっと見てきているが、その視線に刺々しさもないので特段悪く思われてはいなさそうだ。

 最後に石戸さんに目を向けると、諦めたように軽く頷いてきた。どうやらお許しが出たらしい。


「えっと、じゃあ……小蒔さん」

               .  -‐──‐- .
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         ′.八.:.|      Ⅴ/     |   |.:.}.:.: |
         |.:.:.:.:从ゝ ,.二     ,二..._  /./ . .:.|
         |.:..:.:.:.| l.〃⌒^      ^⌒~ヾ .イ.:. .:.:.|
        八.:.: ∧ム      '      /ノ.:.:.:. /
          \.:.:.:込    v:::ァ     ′.:.:.:/
           \.: 、>        イ /. /

            /./  ノ`  ‐‐ <\:≦
.           ,.:.:.:./ / i|    l} \. ′\
          /7.:.;≦  八.    /   ヽム.:.:′
        ,.  ´;.:.:.′    \/′  /  ′.|≧ 、
.       ハ   |.:.:|  ∧    /.   /   |.:: |  λ
       / i| 八.:.|  ∧.  . ′  ′.   |.: ′/ Ⅴ
.      /.  i|   、{   ∧. ′.  /.    八 /   Ⅴ

                 「はいっ」

「はは、俺だけ名前で呼ぶのもなんですし、小蒔さんも京太郎とお呼びください」

「は、はひっ。……いいんでしょうか? それならえと、きょ、京太郎さん」

「はい。小蒔さんの分まで決勝で暴れてやりますよ、俺は」


 名前で呼ばれた小蒔さんは喜び嬉しそうに返事をした。

 俺は、意趣返しというわけでもないがどうせならと名前で呼んでくれるように頼んだ。

 恥ずかしそうにしながらも小蒔さんはそれに応えてくれた。

 これで何か壁が一枚崩れたような、そんな気がするのは男としての自己満足が満たされたからだろう。


「姫様、楽しそう」

「ですねー。しっかし、あの姫様が男の子と積極的に仲良くなるなんて驚きなのですよ」

「ご当主様になんと言えばよいやら……」

「巴ちゃん、彼の力は本物よ。力とその質だけで言えば同年代に比肩する男性はいないかもしれないくらい。

 むしろ私達全員でどんな方法であろうとも確保しろ、と言われかねないわ」

「そう、ですか。私はあまり……」


 石戸さん達が何やら剣呑な話をしている。

 同年代で最高クラス、という評価には自尊心を大いに擽られるが……。

 その後の全員とかどんな方法でもとか、あまりに不穏すぎる。

 俺には桃子や憩さん絃さんに数絵達と、既に何人も情を通じた女性がいるのだ。

 ……押されれば流されるだろうと確信している自分がなにより情けないところである。

 それもこれも、麻雀をしている少女に美人が多いのが悪いのだ。そう現実逃避するしかない。

 それでも狩宿さんの反応は俺にとってはむしろありがたい。久々にニュートラルな反応をされた、そんな気がしたのだ。


「うーん、でも負けちゃいましたから明日から3日間が暇になってしまいました」

「え? 明日は5位決定戦があるんじゃ。それにその後の2日間も個人戦ですし、小蒔さんは個人戦出場しますよね?」

「あ、そうでした……。でも個人戦の最初の予選はシード校特権で免除なんです!」


 なんと、シード校って凄い。

 団体戦から連続で出場しているとなかなかの過密日程であるインターハイだが、

 シードともなるとその辺りの配慮もしてもらえるというのか。羨ましい限りである。


「そうなんですか。しかし、それなら海に行くとかどうです、夏ですし?

 宮守女子の方達も個人戦まで暇だから海に、と言ってましたよ」

「宮守……遠野の」

「あの子たちですかー。あ、だったら上手く時間を合わせられれば行けるかもしれませんよー」

「東京には高尾山もあるから神境入りは比較的楽ね、確かに」

「私達で増幅・調整すれば霧島にも行ける」

「それもそうね。だったらすぐにでも水着を用意しないと」


 とんとん拍子に話が進んでいるようだが、何が何やら。

 霧島と言えば神代さん達の本拠地の霧島市のことなのだろうが……。

 いくらリニアや国内線があるとはいえ二日で行ったり来たりは疲れるのではなかろうか。


「京太郎さん、良いお話をありがとうございました。それではまた、個人戦でお会いしましょうっ」


 そう言った小蒔さんは他の4人を連れ、対局室を出て行ったのだった――

――インハイ会場内――

 小蒔さん達が去った後、俺は彼女たちに引きずられて気が逸れていたマスコミを掻い潜り、控室へと戻った。

 そこで待っていたのは役満や戻ってくるのに時間がかかったことに対するからかいだったが。

 大人しく降参した俺を嬲った少女たちだが、俺を省みることも無く荷物をまとめている。

 この後はホテルに帰ってもいいのだが、せっかくだから会場で観戦していく予定なのだ。

 咲達の試合まではあと40分ほど。一般席は満員であるだろうが、関係者観覧席や選手観戦席であれば空いているはずだ。

 とはいえ関係者席は白糸台や千里山が卓に着く以上は応援団などが席を占めている可能性もあるので、

 大人しく出場選手用の観戦ルームを使うことになるだろう。

 一般席などとは違い一区画ごとのスペースが広めであるし、牌譜確認用の電子機器などが完備されている……らしい。

 実は俺達はそのルームを使ったことが無い。

 憩さんや絃さんは個人戦での出場経験しかないために、団体戦を会場で観戦したことはないとのこと。

 数絵はお祖父さんが解説に呼ばれた際に関係者ルームで1,2度。

 俺と桃子は当然ながらインハイ会場は今年が初めて。

 試合の疲れを取ったりを優先していたために俺は会場内の設備についてほとんど意識していなかったというわけで。

 そんな俺がタブレットで会場案内図を見ながら廊下を進んでいたので気付くのが遅れてしまった。


  4d100=18・90・45・4     ハオ  失敗  明華  大成功  メグ  普通  ネリー  失敗
  追加判定1d100=28      智葉  失敗


「荒川……須賀……!」


 警戒するような低い声に、俺は眉をひそめながら視線を上げた。

 するとおよそ10メートルほど先だろうか、見覚えのない、長めの黒髪をした巨乳の制服美女がいた。

 その後ろにも目を向けると、青いタートルネックにカチューシャと一つのシニヨンで青髪をまとめた美少女、ハオ・ホェイユー。

 緩やかにウェーブした長い灰髪を持ち室内であるのに日傘を差した美少女、雀明華。

 浅黒い肌に茶色い髪、中南米系であろう精悍な印象を受ける背の高い美女、メガン・ダヴァン。

 そして白と赤の民族衣装のような服を着た、茶髪をポニーテールにしているネリー・ヴィルサラーゼ。

 その更に後ろの最後尾には、金髪でスーツ姿の女性。おそらくは監督のアレクサンドラ・ヴィントハイム。

 つまりは臨海女子高校チーム御一行様である。

 俺が立ち止まったことで、後ろについてきていたチームメイトも当然足を止め、そして気付く。

 期せずして睨みあいとなってしまった。


「ああ、彼が須賀京太郎ですか。なかなか体を鍛えていそうですけど、何かスポーツでもされていたのですか?」

「え、ああ、はい。中学生の間はハンドボールを」

「まあ! ご存知ですか? フランスではハンドボールが日本よりも人気なんですよ」

「ええ、そうみたいですね。一応、日本ジュニア代表としてフランスでの大会に帯同させていただきました。……補欠でしたけどね」


 黒髪美女とハオさんとヴィルサラーゼさんが俺を険しい顔で見てくる中、雀さんだけが妙にフレンドリーだ。

 一瞥で俺の筋肉を見抜いたらしいことといい、観察眼が優れているのかもしれない。

 そして俺がハンドで補欠とはいえジュニアでの国家代表に選出されていたと聞いた雀さんは、

 花が開いたような笑顔を浮かべてこちらに歩み寄ろうとした、のだが。


「明華、奴には近づくな」

「そうだよミョンファ。いくら加減していた上にそこそこだったとはいえ、ネリーから役満和了る奴だよ。

 こいつの力は危険だ」

「そうですよミョンファ。彼の視線はサトハと私、そしてあなたの胸を舐っています。ケダモノです」


 黒髪美女――ハオさんの発言から察するに辻垣内さんか? とヴィルサラーゼさんの発言には少しムッとしてしまった。

 だが直後のハオさんの指摘によってぐうの音も出ない状態になってしまった。


「京ちんはおっぱい大好きやからねーぇ。うちの旦那が不躾でえらいすみません」

「まったく、京ちゃんは私の胸だけじゃ満足できないっすかねぇ」

「破廉恥よ、京太郎」

「あー、ごめんなさい」


 憩さん達の前には大人しく謝罪せざるを得ない。

 これはきっと険悪な雰囲気を和ませようという心遣いなのだ、そうに違いない、違いないはず。

 現実逃避しかけている俺を余所に、各々は言葉を交わしている。


「シモサキイト、デシタカ。決勝ではハツミがいませんから、平場で決着をつけマショウ」

「あら、いいのかしら。差し合いならわたしも負けないわ。地の利はこちらにあるのだから」


 などと、絃さんとダヴァンさんが好戦的な笑みを浮かべていたり。


「モモコ、でしたか。次も楽しく打ちましょうね」

「楽しくっすか。手抜きするんならきっちり殺させてもらうっすよ」

「あら怖い。それなら私もまた役満をもらいます」


 と笑顔で刺し合っているのは桃子と雀さんである。


「日本の高校レベルでは本気を出すまでもない、という表情ね」

「?。当たり前のことでは? 

 あなたのように場を限定しなければ力を発揮できない者は、プロリーグくらいでしか戦えないでしょう。

 私はあなたよりも霜崎道士のほうが気になります。

 霜崎道士、あなたのタオはどの師から教授されたのですか」

「このっ……!」


 挑発をあっさり受け止められ、むしろ眼中にないと挑発され返した数絵である。

 一方の絃さんはいつの間にか取り出した竹扇で口元を隠し、妖し気に目を細めている。


「はいはい、皆その辺にしとこう。あんたらはこれからホテル戻って今日の反省会!

 キョータロー君。臨海にちょっと欲しいけど、女子高だから無理なのが残念だよ。

               ――決勝でまた会おうじゃないか。せいぜい健闘してくれ」


 手をパンパンと叩いて全員の注目を集め、引き払いにかかるヴィントハイム監督。

 ニヤリと笑ってきっちりこちらに挑発を入れてくる辺りはなんともやり手に感じさせる。

 このまま帰しては俺がすっきりしない。だから一言くらいは言ってやらなければ。


「ハッ! 接待プレイしてくれるんなら喜んで勝ちますよ! また役満ぶち込んでやるから覚悟しとけ!」


 俺の言葉は果たして届いたか。

 不意にヴィルサラーゼさんが振り返り、にやぁっと見下した笑みを残して去っていった――


ということで今回はここまでですー

お読みいただきありがとうございました。

対局中はほんとに臨海と永水どっちが勝つのかハラハラしたものですが、結果はこうなりました。

ご意見や質問等ありましたらどしどしお願いしますー

おつ~
面白かったよ~

個人的にはまこさんが大好きだから彼女には頑張ってもらいたいところ

霞と小薪ちゃんの好感度は何処らへんだろう
ハーレムに加えられるかな?

あ、一応京ちゃんのステータスを張っておきます。

前スレやこのスレにも貼ってはあるはずですけど、一応


須賀京太郎
属性 :O
技量 :S82
直感 :S87
必然力:S82
補正値:35.83+16.4=52.2
・スキル
【焼牌入魂炉】 (出雲八雲+一牌入魂)
 その打牌は一打ごとに魂を焼き入れする如く。燃え盛る炉を彷彿とさせる打ち筋。
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 打点を+3。
(効果D)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にして1翻として和了する。
 ただし符数は半減せずに判定する。
 また符が足りずに流局の場合は30符として計算し翻数は通常の判定で計算する。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、判定と打点をその筒子の数字の半分の段階だけ上昇させる。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【百鬼の太刀】なきりのたち
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 ドラが八索の場合、跳満以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果D)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

>>421
ありしゃす

まこさんは……私も結構好きなんですけどね。安価スレではなかなか選ばれないので、元がテストプレイでございまして、ええ(目逸らし)

>>422
そこら辺はおいおいですね。

好感度15以上でイベントを起こせるようになるので、ゾロ目2回か大成功3回出てるキャラはイベント起こせば……。

乙~
Aブロック準決面白かった~Bブロックも楽しみにしているんだよね~

>>425
京ちゃんたちの試合みたいに詳細に描写したほうがいいっすかね?

今のところは清澄の2回戦よりやや詳しく書くくらいにするつもりなのですが

いや、それで良いよ

しかし永水は惜しかったなぁ……舐めプした挙句落とされる臨海見てみたかったよ
あと由暉子が超気になるんですが

主役は京ちゃんとその仲間達だからイッチの書きやすい方法でどうぞ~

>>427>>428
ではそうさせていただきます。清澄・阿知賀・白糸台・千里山の対戦ですからね。

組み合わせがダイス神の御意思に沿ったんでしょうなぁ。


どれも燃える闘牌だった
京太郎のスサノオ完全覚醒は決勝かな
それとも個人戦に持ち越しかな

そう言えば永水と臨海の評価はどうなんですか?

教えてください、お願いします。

>>433
そう言っていただけると嬉しいです。ただAAがワンパなので個人戦はいっそAA無い方がマシかもしれませんね……

>>434
そういえば入れ忘れてましたね。こんな感じです

評価

神代小蒔:京太郎さん……瞼を閉じれば顔が浮かびます……

狩宿巴:姫様も霞さんも、どこがいいのかしら?

滝見春:姫様たちが認めてる。悪い人じゃない

薄墨初美:霞ちゃんまでお熱ですかー。やりますねー

石戸霞:私も、満更じゃないわね

園城寺怜:京、好きやで?

二条泉:同じ一年……

江口セーラ:ええ麻雀するやん

船久保浩子:呑まれましたかね。悪い気がせえへんのが厄介や。

清水谷竜華:好き、なんやろな

辻垣内智葉:こいつは危険だ

ハオ・ホェイユー:いやらしいですね

雀明華:将来的には世界レベルでしょう

メガン・ダヴァン:手強いデスネ

ネリー・ヴィルサラーゼ:くすっ

ポケモンスレが始まるまで投下しますぜー

行動(Bでこれから対局する高校から3人)


 01~32   
 34~65   
 67~89   
 90~98   
 ゾロ目   

 和  1d100=61  普通

 宥  1d100=49  普通

 怜  1d100=64  普通


「思わぬ時間を消費してもたなーぁ。京ちんとモモちゃんは清澄の激励行ってき」


 臨海女子一行と遭遇した後、憩さんはそう告げて颯爽と観戦ルームに向かってしまった。

 残されたのは俺と桃子のみ。

 場所的には、ちょうどA卓控室とB卓控室と観戦ルームの三点の中間あたり。

 急げば2,3分で控室に行けるだろう距離である。

 先鋒の優希はまだ控室にいるだろう、ギリギリの時間でもある。

 そんなタイミングで訪れるのはかなり非常識ではあるが……実際に顔を合わせて激励したいという思いも強い。

 結果、俺と桃子はさっと顔見世してさっと立ち去ればセーフ、などと言い訳しながら駆けだすことになった。


「失礼します。須賀京太郎と東横桃子が激励に来ましたよ、っと」



  4d100=12・52・86・17    優希  失敗  まこ  普通  久  成功  咲  失敗
  追加判定1d100=25       和  失敗


「失礼するなら帰って、って言えばいいのかしら? ふふふっ」


 俺と桃子の突然の来訪にも関わらず、見慣れた悪巧みするような笑みを見せたのは久さんだ。


「須賀、東横。決勝進出めでたいの」

「はい、染谷先輩。ありがとうございます」


 そう祝福してくれるのは染谷先輩。程よい緊張感を保っているように見える。

 これぞ頼れる先輩という風情だ。実際ここまで清澄の稼ぎ頭であるから、それも妥当だ。


「犬ゥ! タコスはないのかタコスは!」

「おぉ、優希。悪い、試合終わってすぐ来たから手土産用意できなかったわ」

「なってないじょ……」


 手土産にタコスを持ってくるべきだったか、これは失敗したな。

 これから試合なのだから既に食べているか、そうでなくとも自前で用意してあるはずなのだが。

 それはそれこれはこれ、ということか。要は誠意の問題なのだろう。

 優希はこれからインハイチャンプ宮永照との対局を控えているのだ。

 ナーバスになっているのは俺自身が予想していたことであり、完全な俺の落ち度。申し訳ない。


「ゆーき、落ち着かないと勝負にもなりませんよ?

 ……京太郎くん、決勝進出おめでとうございます。桃子さんも」

「臨海は完全に流してたけどな。決勝でもそうするつもりならぶっちぎって後悔させてやるけど」


 優希を窘めるのは和だ。いつも通りに落ち着いた……と言いたいが、どこか様子がおかしい。

 いつも以上に表情が硬いのだ。今更緊張に押しつぶされるタマではないと思うのだが……。


「ところで咲は?」

「咲は……ほれ」

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 いつの間にか久さんに捕まって渋谷さんとの対局の様子を聞き出されている桃子を横に、俺は見当たらない咲について尋ねる。

 それに応えたのは染谷先輩で、あごで指示した場所には果たして何かどす黒いオーラを漂わせた咲が目を閉じて集中していた。

 異様な雰囲気に、俺は思わず染谷先輩と和に困惑した表情を向けた。


「大星さんと宮永照さんが楽しそうにショッピングしているところを見たそうです」

「あー、それであんなに……。こりゃ話しかけても声は届かないかな。

 ところで和、お前はどうかしたのか? 少し気負ってるように見えるぞ」

「! ……いえ、何でもありません。憧や穏乃との対戦でもありますが、同時に準決勝は通過点です。 私は、――絶対勝ちますから」


 咲の様子に踏み込めそうにないと引いた俺は、言いようのない罪悪感を誤魔化すように和に水を向けた。

 しかし和は驚き、一瞬嬉しそうな表情を浮かべたがそれもすぐに打ち消してしまった。

 阿知賀にいる和の友達たちは個人戦には出ないのだから、残念ながら和との直接対決は起こらない。

 新子さんは中堅、高鴨さんは大将。和は入りと出で二人と言葉を交わす機会がありうるのだが。

 以前彼女たちと遭遇した和はその再会を喜んでいたはずである。

 新子さんたちは和と、清澄との対戦を楽しみにしていたようであった。

 和も受けて立つというような、麻雀を楽しもうという気配だったはずなのだが……。

 何か、絶対に勝たなければならない事情でもできたのか?

 そんな素振りは新子さん達との遭遇までは無かった。となれば今日見るまでの間に何かあったのだろう。

 和は頑固なところがあるから、迷って心が弱っているときでもないとなかなか頼ってはくれない。

 時間を掛ければ、俺と和の仲だ、事情を打ち明けてくれるとは思うのだがその時間が今はない。

 チラリと時計を確認すれば、試合開始まであと20分。そろそろこの控室を出るべきデッドライン。

 俺は咲と和の様子に後ろ髪を引かれる思いであったが、しぶしぶ久さんと染谷先輩に断って清澄の元を去ったのだった――


 清澄の控室を出た後、俺は桃子に断って用足しに行った。もちろん桃子には先に観戦ルームに向かってもらった。

 言わなければ男子トイレの中までついてきかねないからだ。そんなこんなですっきりした俺が少し急ぎ足で桃子を追おうとしたところ。


  4d100=90・14・91・36     玄  大成功  憧  失敗  灼  大成功  穏乃  普通
  追加判定1d100=11       宥  超成功


「ん? あ、須賀君じゃん」

「そういう君は高鴨さん……だけじゃないか。阿知賀女子の皆さんはこれから控室入りですか?」


 そう、阿知賀女子の方々と遭遇したのだ。最初に俺に気付いて声をかけてきたのは高鴨さんだ。

 確か、和から聞いた限りでは山登りが趣味だとか。自然の中で過ごしていれば目は良くなる……のかもしれない。

 そういう俺も長野でも比較的田舎のほうである清澄出身ではあるのだが。


「あ、あの時のあったかーい人……。――やっぱりあったかーい」


 いつの間にか、気付いたら茶髪で赤いマフラーをした美女――松実宥さんだろう――に抱きつかれていた。

 真面目にこの人の挙動が読めない……。

 セーター(それもサマーではなく冬仕様のもの)を重ね着しただろう厚い服の上からでも分かる巨乳が押し付けられる形だ。

 緩みそうな頬を懸命に抑え、困惑した目を向けた先は妹の松実玄さん。

 とうの玄さんは良い笑顔でサムズアップしているではないか。

                 .. ----  .
             .  ≦        ミ  .
              /    . . . . . . . . . . . .   \
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     {:i.:{   ハ:.:.:V :::|l:.:.:.}:.r } ̄ __ ノ/:.:./:./:.:.:.:. ::i{: . . {
.    八从 ,: .∧ :.{:::::リ::::::ノ 入_/'i{  /ィ /::/:.:.:.:. /::{:. . . .
       ∨ .:.:.:.\V‐≦ムイ  /》___.ノイ 7:.:.:.:. /廴:.. . .八
       /;..:.:.:.:.:./ \}!  r‐〉ォ´ ̄  }ノ /::.:.:.:./  , ヽ: .∧
.      /:/ .:.:::::/  ノ{{   '介′   i{ ./::.:.:.:./  /  ∨. ∧
     ノイ ..:.:.:./! く 廴. / .|乂 __人/::.:.:.:./   /    i: : . .:.
    __ノ/ ..:..::厶}/  \ ノ{ /j__ 斗-/::.:.:.. / i /      {: : . ∧

(お姉ちゃんのおもちはハリも質感も最高なのです!)

(こいつ、直截脳内に!?)


 錯覚である。だが、玄さんの表情から俺はそう言われていると理解した。


「やっぱり男って女性の体目当てなの? 確かに宥姉のスタイルは女のあたしでも羨ましいけど。

 あ、でももうちょっとウェストは絞りたいかも。そうしないと水着着れないし」


 そう呟いているのは新子さんだ。本人は小声のつもりなのだろうが、俺にはしっかり聞こえている。

    /. . . . /. . . ///.ハ. {. . . . .l. .ハ. . . ヽ. . . .ヽ. . . .}/i`ト,__. . .
   /./. . ./. . . /./// レ{. . . . .lート、; . . .ハ . . . .!. . . /⌒ヽ、' ' トァ.}
   l./. . ./. . . .i!.レイ´ヽヽ. . . .ヽヽ.ヽー‐.ト、._L.-./      ∨ .}
   l.ハ. . .{. . . iイハ{  {ハ. . . .ヽヽゝzニゝ_\.}. ./      ヽ. !

   {レ!. . .{. . . {,_z三ミミ \. . .ヽ""んo//77;レ ̄⌒\    ∧|
.   /ハ. .ハ . .ハ⌒んo//ハ   ー- ゝ {///////       ヽ  /. . .ヽ
  /    V. .\.ゝ V////:}       ゞ/とつ´      ∨―:、. . )
  /     !. . . . . ゝとつ‐'´ 、         ""/       〈: . : . : ̄:ヽ
. /      |. . . . .!. j              /        /:ニ: .⌒: . : )
/     {. . . . .!: (""   ┬一⌒_ユ. .―.:{        /:_: . \. . 〈

l      l. . . . .|/: >. . _ >:´: . : . : . :/.l        l   ヽ: . :ヽ. }
'      {. . . . .ハ:―:´: . : . : . : . : . : ./. . {         ∧   '; . : . ヾ
       ヽ.、. . 、. ヽ: . : . : . : . : . : . :/. . ./!        { ヽ  i: . : . : ヽ

 そしておそらく松実さんにも聞こえているだろう。新子さんの言葉に反応して肩がびくりと震えていたのだ。


「君が須賀京太郎君か。なかなかの暴れっぷりだね。

 うーん…………なんだろ、ちょっとあの人を思い出させる何かがある気がするんだけど」

「はるちゃんが認めてるなら悪い人じゃな……」


 進退窮まった俺を救うかのように声をかけてくれたのは赤毛で快活な雰囲気をした大人の女性。

 和が昔お世話になったという、赤土晴絵……だったか? 知る人ぞ知る有名人らしい。

 そしてその赤土さんに合わせるように言葉を発したのは黒いおかっぱ頭のクールそうな少女。

 語尾が良く聞こえなかったのだが、イントネーション的に悪い人じゃない、と言ったのだと思う。

 視線に敵意などの刺々しさを感じないのでそのはずだ。

「あー、そろそろ時間マズイのでは?」

「あ、そうだった。っべー、危うく遅刻だね、あっはっはっは!

 ――んじゃ、皆行くよ! あんたらの力で阿知賀のジンクスを打ち破ってくれるんだろ?」

「モチ! うおー! 燃えてきたあああああ!!」
   _
.  { ヽ

.  八
    :. ’
     ヘ ::.
    r‐、ヘ. ヽ
  ,-マ ,廴__ \                        γ==‐
  入. \ーュ、 ̄`ヽ                  ム - : : `
  { \_ く.| ̄`  V                    ´: : : : : : : ` 、: \
.  `寸‐二八    ト、            /: : : :/: : : : : : : : : \: \
    \   ヽ   // 勹ュ          ′ : : /: : : : /: : : :,ィ: : : ヽ: :\
     ヽ__   // /./二\         /|: :\/:/: : :/ : : : / ハ: : : : :ヘ: : :` ー-_- __
       `寸ニ/ノ /二二ハ.     |λ:!: ,l:/: :\|: i: ;.イ / | : : : : : ヾー- 、: : : ` 、-- _‐-、
        守三ヲ二二二入      lハ:|:ハト、i: |_|ヽ: | |/ ||: :|:ト、:\  ` 、: : : ヽ  `ヾ、
         マ二二二二二ニヽュ_  V´.|:l ,ィ示心ト、ハ| -┼|: :|:| |トヽー-- \: : : \   `
.            `寺二二二二二ヘ\八 ハヘ. 弋_ツ   ヽン芯ムイ:./|: | j! ヾ.    \: : : \
.              `寸二二二二ヽニマ.迅ヘハ ""    .辷ツ/|_j厶レ'二≧、ヾ     ヽ: : : ハ
                   ` 二二二二{ニ.ハ、ヾ、| Y`ー、_ '  ∧:|二/ムァ‐ 、二ヽ\、    }: : : |
                   \二二ニ./ニヘヽ.|ト、`ー_'_ ィニ∧、〈 { / / /ヽニ{       ノ: : :/
                   \二/二二二リ「} ̄二ニ/ニ/ニ.ヾ、>ニュ{_ム}‐'    _/: : /
                   |_/二二二二 ||二二ニレニ.厶ィ´ }:|        ー―‐z/
                   |二二二二二ニ||二二ニ厂    リ
                   |二二二二二ニ||二二./
                   |二二二二二ニ||二ニ./
                   λ二二二二ニ ||ニニ./
                  ハ.}二二二二ニ/'二 /\
                  二二二二二./'二 /ト、ニヽ
                   |二二二二二.{{二ニノ ヾュニ}
                    |二二二二二.ハヤ二二二ノタ
                     |二 「l二二二二ヾ二ニ/.,イ
                     |二 |.|二二二二ニ}} /./ '
                八二l」二二二二_ム' /   ト、

                  }二二≦==‐rヘ´     .|ヾュ、

 俺の苦し紛れの指摘に赤土さんが思い出したように音頭を取り、発破をかけている。

 高鴨さんはその発破を素直に受け取って叫びながら控室の方へと走り出していく。

 そしてそれを追いかける阿知賀女子一行。

 去り際にふんわりと笑顔を浮かべて、「またね、京太郎君」と言い残した宥さん。

 彼女たちとの対局で和も調子を取り戻してくれるといいのだが……。


 阿知賀一行との邂逅はほんの4,5分のこと。とはいえ試合開始まで10分程度である。

 そろそろ急がないと開始を見逃してしまう。そう思って足を速めようとした瞬間、すぐ近くの控室のドアが開いた。


「あ、と……園城寺さん」

「ん? おー、決勝行き決めた大将さんや」


  4d100=37・91・100・79  泉  普通  セーラ  大成功  浩子  超成功  竜華  成功
  追加判定1d100=84      怜  成功


 開いた扉に目を向けたのは俺としては当然のことだ。急に開いたのだから、ぶつからないように注視したのだから。

 とはいえその中から出てきたのが怜であったことは驚きだ。

 考えてみれば、この会場西区画はB卓出場校の控室が集められているのだから予想できたことなのだが。


「怜ーぃ? どうしたん、やっぱうちがついてこか――ってす、須賀君やんか」カァーッ


 扉の前で立ち止まった怜を心配したのか、ひょっこり顔を出したのは清水谷さん。

 そして俺に気付き、あの時のことを思い出してしまったのか顔を真っ赤に染めて固まってしまった。


「竜華ァ? お、須賀京太郎やん。なんやもう竜華を落としたんか? 手ェ早いわ」

     > : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : __

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:/ /: : : : :|: : :.:十―八: : :.:|  V─一: : : :.|: :\: : : :.
  /: : : : : :|: /|:/=ミ、 \: | r=≠ミ、: : : :.|: : : :\ : :.
. /: : : : : : :|/: 〈{ rし心    "rし心}〉: : :.八: : : : |\|

/ : : : : : 7:/: : : 弋ぅツ     弋ぅツ |: :/^:: : : : :.|
 ̄ ̄  //|: : :|       ,     ,,, |:/ ,:.|\: : |
      |: 从_}              /: |  \|
      |:./ 八    r- ,   u/|: /\|

          \        イ /j/
           _>  _ <   |
         f´    |   r=≦ニ三|
         |   >―i   |ニニ三三|__
     ,=≦ニニ/ニ/__   _|三三三三三≧=-


 固まった清水谷さんを心配して部屋の外に出てきたのは男子用の学ランを着たオレンジの短髪をした少女。

 江口セーラさんだったはずだ。雑誌の紹介で見た時は名前の可愛らしさとは対照的な印象を受けたものだ。

 とはいえ爽やかで姉御肌という雰囲気で、麻雀も強いのだからさぞモテるのではないだろうか。



「江口先輩、須賀言いました? ……これは、なんやデータも美味しそうでしたが本物もなかなかのイケメンやないですか」


 眼鏡のお下げに独特な目つき。スタイルは残念だが……。千里山の分析担当だという船久保浩子さんだろう。

 緻密なデータ麻雀は全国でも十分な威力で、 監督の愛宕雅枝さんが所属していたという阪神ティーガースからも

 コーチングスタッフとしての育成スカウトを打診されるほどだという。


「須賀……同じ一年でも全然違うやんか。原村だけやない、宮永、高鴨、大星、南浦、東横、真屋。

 準決に残っただけでもこんだけの一年がおる。私が高一最強なんて、でもっ」


 僅かに顔をのぞかせてすぐに引っ込んだのは二条泉だろうか。なにやらぶつぶつと呟いているようだが。

 思えば俺の知っているインハイにレギュラーとして出場している高一は淡以外は皆弱小というか、無名と言ってもいい高校だ。

 阿知賀は古豪というには全国出場回数が少なすぎるし、清澄や有珠山、鶴賀などはまさに無名校。

 風越は名門だが……あいにく文堂さんとはあまり親しくなっていないので知っているとも言い難い。

 とにかく、そんな気楽な一年しか俺は知らないのだ。淡はレギュラー当確だろうし。

 二条さんは、レギュラーを勝ち取ったものの補欠といつ交代させられてもおかしくない程度にしか実力差を付けられていないのかもしれない。

 人数ギリギリである俺達には俺達の苦労もあるが、彼女には彼女なりの苦悩があるのだろう。


「あー、せっかくですし、対局室まで送りましょうか園城寺さん」

「いや、ええ。ここは戦いの場やからなー」

「そうですか、出しゃばってすみませんでした。皆さんも試合頑張ってください。それでは失礼しました」


 俺の大きなお世話を怜はすげなく断った。それも当然で、俺自身も本気で言ったわけではなかったから良いのだが。

 それでも怜ならからかってくるかと思っていたのにそうではなかった。

 失敗した、と頭を軽く掻きながら歩き出す。そんな俺の耳に怜の抑えた笑い声が聞こえた気がしたのはせめてもの慰めかもしれない。


「ギリギリですよーぅ?」

「すみません、途中で色々あって」


 俺が観戦ルームに入ったのは、試合開始直前だった。

 既に試合直前の選手解説やふくすこコンビのショートコント(?)も終わっている。

 この試合で、決勝の相手が決まる。どこが勝ち上がろうとも難敵には違いないのだが。


『ロン! 純チャンのみで3900だじぇ!』


 開幕は優希が松実さんからロン。さすがに東場の優希なら安心か、と思ったのだが……。

                 ____
                ´       `
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             ′j/' : :_:_///: : : : /:/__}:il: : :\}
           |/: : |: :// /ィ: : /j/   j八: : l: :|
           |: : : : |灯¨苅 /イ   灯¨苅ミ |: /: : ,
           ': : : :.:ヘ 辷,ソ      辷,ソ jイ: : : ′
         /: : : :.ハ\:':':':   _'_   :':':':: /|: : : : :,

          {: : : : :| :.     /  ヽ     │: : : :ハ
         |: : : : :ゝ{    /    :,   /ノ: : : : |i:|
            八: : : : : \  j       ′ /: :/ : : : jリ
             リ\:{\ト:≧,′r==┐ }ィ: : /: : :/}/
        ___r===- ―‐ ´  |:.:.:.:.|ノ / ´/イイ
      /   /  {    __,|:.:.:.:.|{ヽ
     /ニニ/  │    | ,ノ |:.:.:.:.|\}ニ=-
    /イ ,. { {   |    |   .|:.:.:.:.|  |ニニニニ=-
  ,ノ...../   | l   {     |   .|:.:.:.:.|  |ニニニ=- イヽ
.  ∨ /     | ’:,  ‘,    }   .|:.:.:.:.| ̄` ー―‐ 、 |
   ∨    \ \ ゝ __ノ____,,.|:.:.:.:.|___     ,ノ   、
   {       `¨¨`¨´   r===l:.O.:|}ニ}ニ=< Υ  \

    『ロン。リーチ白東混一色で1本場は12300や』


 怜が一瞬遠い目をしたかと思えばリーチをかけ、優希が一発消しの鳴きをするもその捨て牌が当たってしまった。

 それにしても優希にしろ怜にしろ、あの宮永照にしろ……その手に一切のドラが入っていない。

 松実さん、確か阿知賀のドラゴンロードと二つ名がついたのだったか。その力の一端なのだろう。


『ロン! 東ドラ4で8000です!』


 俺が松実さんに注目したところで、早速の満貫和了。手にはドラを雀頭に赤が二つ入り、役牌を鳴いての速攻だ。

 もし本当にドラが集まるのであればもっと高い手を目指せたはずだが……宮永照のいる卓でそれは深追いなのだろう。

 俺が松実さんと同じ力を持っていたら間違いなく高めを欲張って焼き鳥になりそうだ。

 そこを堪えて早く仕上げるというのは、想像以上に忍耐力が要求されるのかもしれない。


『ロン。タンヤオのみ、1500』

 \ ヽ ヽ
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  \ \\ \                                 ,..- "´: : : :  ̄:‐-...
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                    \          : : : : : : :l}.|   ヽヾ、'::从/: : :/    `"´ ´´ 〈㌦::::!
                    `  、     . . : : : : : : : :/ ハ ヽ.!|!:::::|Y:/: :ハ       ,ィ'::,':::::!
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                        |三三ニ|ニニゝ、ヽ:ノ'ノ    ∧!::::::::| ∨ィ´|:::λー:彡'::/从/
                         l三三ニlニニニヾヽ''     / ゙:、::::::!ー ´,ィ!:://!  ̄ー '  ´
                         |三ニ:,'ニニニ/>ヽ─ ''    ∨::::l-‐' ∧::/λ
                         |三ニ|ニニニ:/ .'           ∨:::!  ハ:::ハ., /}
                         |三ニ!ニニ/ ,'          ∨::!. ,':::/  :/
                         |三ニ:!ニニ'  '        __    |∨!/::/_.ァ<´
-..._                       |三ニ|ニニ:'  '      r'"::::::`:ー-ゝYチ<   ヽ
: : : : ─-. . _  /l ̄ ̄``i       |三ニ!ニニ| ,'      ヽ::_:::>-''7ハ::ヽヽ    ` 、
:.r─/''ー-、  /  |_________.|  . - 、  !ニニ:!ニニ/ヽ            /|::::::ノ  \     ヽ、
: :、〈:.:.:.   \'   /:': : : : :, k'´   \.┴--!--' /...________/_´___`_、.__\__
: : :.、、:.:.}:. . .  \': : : : : :/_ヽ \  _-'ヽ: : : : : : : : : : : : : :i'、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、: : : :
: : : :. ∨_. . . . . ./──''´   \ ヽ'   /──────‐|.;| : :|: : :|: : :|: : :|: : :|: : :|: : |: : :|: : :|: : :|: : |: : |──
: : : : : 、  ̄"ー''           ヽ、,-''
                 『ツモっ、タンヤオトイトイの1本場で1100・2100や!』



 宮永照さんが連続和了に入ろう、としたところで怜が噛みつくように鳴きを連打しツモ。



『――ロン。リーチ混一色で7700』

.    \丶      ,     /.!  / ,.ィ  ,    _  -‐   ̄            ̄  ‐-  ._       ` ー- , -
.      ヽ.ヽ  ,ィ  ./ l .//  .j '" / /!-‐ '"´       ,. -‐   ‐- 、              ‐ ._
      {ヽ.l l ./ { / .l/ '   ' ,イ     !           ////////////,ヽ                 、     ー-
     `、ヽ .l   !'        ,' ,'     j     _ -‐,.'///////////////ハ          , -‐ ⌒ 、` 、   ` 、
       }ヽ l  :   '   / ./      /' ,.、'"- '"   //////,ハ'///,lヽ/////ハ        .:::::::::::::::::..  、  \
     j  ヽ ',  :. / ,. -〈_ イ.    r 、 i .l     /////V/{ ∨/,ハ.‐V////ハー- _   、 ::::::-‐   丶_ ー- 、 ヽ    _- 、
  ヽ丶.{   〉_jー-' '"      }.     '. ','"l .l_ ,. -ー {'i///ハィf;示 `ヾ 示;卞l'//ハ    Tー- >、:::::....    `ヽ 丶_.ヽ
.   ',  ゝ .,' 、  , ' ,. ' ⌒  ',  ./ 、 , j .l   ,.イ  !.l'//,{ vzリ     .vzリ リ//∧‐- ._ノ   : ゝ、:::::::::::::::::::...../,.ノ { 、   ヽ
    、  ,j、_  ; j / ,.イ   ヽノ  , '.    ', ´,.-‐'" ///ハ      '    ノ///∧   `  、.;  .! ヽ  ハ ,.'./,- 、  .} ,ィ,   ヽ、
    _ヽ. { 、__` Y ,.イ ノ/  ',  ', ;l .!,.. '   ゝ -‐ー、////ハ   {  ̄ }  //////,ヘ、      \ ノ ! ト/ j /  /  ._ ノ,イ ` ゝ
    \ ` )ゝィ'",.ー;  ̄   .ノ /、 lイ、 l._,.ィ'' <///////> _` ´_ イ////////,\      ヽ ト、  /r ,./::ー',:  ) ノ
       ` ; `  '", '   /",..イ  .ノ ' `|| '" ,.'  `</-、///-, 二 ‐V///////////> 、    ,.-ー'  /./':::::::ノ /、-ァ   、
.        ノヽ  ,: 'ヽ  ,.イヽ,.' ,. イ _`‐l| |l イ    .l、  ;  `ヽ./ ,.-‐_-ヽ//‐- 、///////,> 、 .f,、ヽ,..、:::::l/:';::::::'r-、',. ヽ'.l     ヽ
.     r'、ヽ.'" r 'ノ /イ:::::/ '/ _, ―=ニ  .ニ=―   l.', l.;  r―-ヽ{r'"   \ ./ .V/////////,> 、' .i ヽ:::::::::/,.イ   / !   ト、
.      ( ゝ- '"     .ノ::::/;  //'  .,.ィ/l| |l///,>.、 ヽ .ノ   }   ,ィ、` 、    ',  .l'/////////////,\ニ.}:::::::'":::r'_ ,.イ! .l    .{
      ヽ_,..,-― ーイ:;:::::;'..l ,'/ ,.ィ'////,ll///////,\.; '   ./-‐イ/ l.ゝl,{    l  .l'///////////////,ヽ!  -_-‐',..イ  l `  ゝ
        ヽ!  .{ ト!::!::::l,ト! ,'.'/'///////l'/////////    ⌒ ∧/l__,.lハ    l / !//////////////,ヘヾヘ   ̄ ´    l    '
           j,j::::::::トj ,.イ/'////////////////{          o   ヾ!    ',  {'///////////////ハ. V',.        l  .ト、'
          ヽ、;:;:;:ノ.}'// ./////////////////ハ:..      , :.     !.     \ }'/////////ハV///ハ. V}         ;   ! `
              ,ハニ二,// .///////////////////,ヽ:::::::::::::::::::  ヽ:::::::::',       .jV///ハV//ハヾ////!. jリ        ,
.          ( { 、  , !/ '//////////////////////iー     o  ` ーヽ     .八////ハ∨/,ハ V///! ,ソ      ,    ゝ
              ` ` l{ .{////////////i///,i////,l/,l           `iヽ .イ//ハ'///,ハ∨//,!. }'//リ          ,   .ハ.}
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               ヽ∨//,l////l///l V//V////,r'       o.       Vl.}//,リ }//リ}/! .}/// ノ/          /  ; j
                  \ハ、/ハヾ'/,{ ヾ'ハ\'//リ             iノ/.jソ .j//ノj,リ ノ/ソ            /    j .;
                    `"'ゝー-ゝ ヾ、  ``ー `./                   ' '  .// '゙ '"´             /   ノ ソ
                          『ロン! タンヤオドラ6で12000です!』



 次は松実さんが配牌から綺麗に流れてタンドラで跳満まで重ねるという離れ業。

 さしものチャンピオンでも一筋縄ではいかないのか、と俺が頷いたときだった。


「京ちん、甘いですよーぅ? 団体では当たらないとしても、個人では京ちんなら絶対当たるんやから、よーぉく見ててな?」


 隣にいた憩さんが俺の顔を覗き込むように見てから妖しく頬を吊り上げた。ちなみに桃子は気付かれないのをいいことに俺の膝の上だ。

 桃子もスタイルがいいので座高が高くないからいいものの、人によっては前が見えなくなると注意すべきなのか……。

 俺がスクリーンに目を凝らしたときから、その蹂躙は始まった。


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             『ツモ。トイトイ三色、2000・3900』


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             『ツモ。リーチ一発ツモタンヤオ平和で4000オール』



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      / /  /      /     y'⌒ヽ\人::/\    \_}/ ,/ ̄ / ∧   ∨,√|   \_}  \__}   \
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、        /           \/l  l...|  |          ∨ |  |  |                   ii|    i|
 丶     ,′    >‐-      八 ll...|  |___        |   l|  |  |l    ill|   |  l ll|   |lli    ii|    i|
   \    | -‐      {.:.:ト---≠ ┴ァ‐- {/ ̄  ‐-  __|   l|  |  |li                      ii|
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      \.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ,/       ̄ `ー-  _〉                 リリ   リ′             }′
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      〈/〉-‐=ニ二ニ=-- _,,| ∧

       }ニ=-  ̄ ̄ ̄ -=ニ=- _〉
       〈  }           ̄「\

      『ツモ。清一色ツモで6100オール』


 怒涛の連続和了で一気に38200点も稼ぐ。

 俺達のいるブース以外からも息を呑む音や溜息、感嘆賞賛嫉妬。様々な響き。


「京太郎、笑っているの?」

「え、俺?」

「ふふっ、京太郎さんには喰らうべき好敵手ってだけだわ」

「そんなギラついた目ぇで見て……うちらが居りますのに」

「京ちゃんは昔っから闘争心が強いんすよねぇ」


 俺は笑っていた、らしい。圧倒的な強さを見て無自覚に笑みを浮かべていたと。

 そんな俺を見たみんなは呆れるやら感心するやら、わいわいと盛り上がっている。


『ロン! W南ドラ3の2本場で8600です!』

『ノーテン』


 みんなが盛り上がっているうちに、1半荘目はいつの間にか終了していた。

 優希だけがマイナスの一人沈み、それも5万点を失った。

 あれで繊細なところもある優希だが、麻雀への情熱は本物だ。

 この状況でも折れず、戦い食い下がることができる。そう信じて見守るしかできない。


 |       | ∨: : : :::|: : ::|: ://ィ´|/゙│: :/ }: : :: : }: : : : : : :: : : : : ',.
 {       |  ヽ::',: : !: :: :!/イ;=ヾ  !Ⅴ │: :: :/|: : :/: : : : : : : : ::', x ⌒ヽ、

 ∨      !  /:::::',: : ::.| ! ん::::::リ     |: : ィ´゙|: :/.|: ::|: : : : : : :::|: :トー 、_゙¨`'.,
.  ∨     .!  |:::::::ト\ { { 弋_.少     j/イ=∨./} /::.ノ::./: : : :}:人     ゙',: .}
   ∨     |  「¨丶\.\!:::::::::::       ん:::::リ |///::./}: : : :ノ: : :.',    ソ
   .∨    .!  |!  }::::::::>`=‐' rv 、   .辷.゙ソノ /: :: :.(丿 ィi゙: :::}',::}
    ∨   |  リ .j\::::::::::\  |   \ .::::::::::.  /).: : : : :\.ノ|:: : :|}::|
     .∨   |  .{ / ヽ\.ー─'. !    .y' :::::::  //: : : : : :/: :}: : ノ|/
      ∨  !  ./ i i!\\ヽ、 ヽ ,./    , イ:: : : : : : : : : : :!// .j
      ∨    /  .| 巛ヘ:::: ̄>= -‐ , ' "´. : : : : : : : ::/ヽ,: ::|‐'゙
     /.∨  ./  .| .}三=ヾ:::ヽ._,.、 /ミヘイ`゙イレイ|/  ヽ:j

    //  !  /     \三=\::!ィ^つ ¨` 、_   .′
    //   {  /       \三=.\儿 |::::::::::::::::::゙`丶、
   .//    ヘ/         .ゝ三三} |::::::::::::::::::::::::/ヽ、
  //     ノ            ヽ三| ./:::::::::::::::::://   .>.、
 .//     {              ∨丿∠三三三/   ./   ヽ、
../__二二二二ヽ             {二..}´ ̄ ̄ ̄´ |  /      `ヽ、
         ∧            .ハ        }/         \

     『ツモ! W東チャンタで3200オールだじぇ!』

   『ローン! リーチ一発三色――裏2で1本場は12300!』

         『ロン! 三色のみで2000!』


 俺の心配などどこ吹く風、優希は東場躍動し、見事な闘牌を見せてくれる。

 しかし、南場ともなればそう甘くはない。


『ツモ。ツモのみ300・500』

『ロン。リーチタンヤオ、2000』


 勢いの落ちた優希を狙い撃つかのように連続和了が重ねられ始めたのだ。

                  -‐……‐-
           __ .  '"           ``ヽ、
           __(_,:'     . : : : : : : : i : : : .   \  __
      , -=ニ(__)′ . : : : : : :/: : : :¦: : : .    〃ヽ_)ニ=‐-

     /   . : /   . : : : : : /: : : : : | : : : : .     乂ノ  ``ヽ、
   //  . : ,′ . : : /: : :/:{: : : : :i:| i : : :i: : .    i:    \\
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.    ;′ : /: : :i{ : : : :i{: :乂: |: |:{ : : |:¦: | :卞: : .   ;i | }: .    `、
   {  : i{: : 八 : : i{ { ,,ィ茨氷 : :l: ィ茨氷、}i: : }i | }: :

   乂_ : :{i : : i个ト:乂;《 {i _j゚} \j  {i _j゚},》}i: : 八:.|;゙: : /¦ }

      \{\ i|¦: : ::|  とつ'°    とつ'゚ 厶イ: :|:,厶イ  jノ
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               _jI斗       :ト、__
             .斗=ニ  八__     _,/ ⌒ミトミ__
.            ∧\___________》竺吝竺-《____________,/>、
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『――ロン。リーチ一発三色で7700や……はぁっ、はぁっ』

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 そこを止めたのが怜だ。宮永照からリーチ一発で直撃を取るという金星。

 しかし、前半と比べて明らかに体力を消耗しているようだが……。


「園城寺さん、やっぱり体力をコストにしたオカルト持ちみたいですねーぇ」

「園城寺怜と言えば、まるで先を読んだかのような打ち筋を見せることがあるとか」

「限定的な未来予知、だわ。人の身にはいささか過ぎた異能。代償は……」

「寿命、ってことっすか? さすがにそれは麻雀に全てを捧げすぎっすよ」

「せやねーぇ。……でも、春と比べるとだいぶ消耗が薄そうや。

 何か、何か強い力を外部から取り入れたような……ドーピングしとる感じやねーぇ」


 憩さんが分析しながら俺に流し目をくれる。ばれたか?

 憩さんはとにかく勘が鋭いのだ。桃子はその体質故、絃さんは経験則からの洞察。

 数絵は追い込まれない限りはさほど常識外の直感は示さない。

 ともあれここで何か反応しても藪蛇だ。素知らぬ顔で躱そう。



『いやー、先鋒戦がささっと終わっちゃいましたよすこやん』

『こーこちゃん……。うん、確かにかなりスムーズに対局が進んだね。

 それも照ちゃんが和了るときはかなり浅い巡目だから、それを出し抜くために他家もかなりの早和了りに徹してたからなんだけど。


 前半でかなりやられてた片岡選手が後半はかなり頑張ったね。前半は-5万200点だったんだけど、最終的には-3万800点まで戻した。


 松実選手は前半は上手く凌いで+2300点だったんだけど後半捕まって結局は-1万6600点。

 ドラが手に集まる分、他家が打点を上げるのに難儀していたけど松実選手も手が狭まって結果的に出遅れることが多かったからしょうがないかな。


 園城寺選手は前後半共に上手く照ちゃんをいなしてたと思うよ。+2600の+3400で終わってみれば6000点のプラス。

 この数字だけだとエースとしてもエース潰しとしても不発に見えるだろうけど、相手が宮永照だというのを考えれば十分って評価してもらえるんじゃない?

 欲を言えばトップとの差をもう1,2万点抑えてほしいところだけどね。


 そして宮永照選手。

 2回戦と比べれば少し物足りない稼ぎだけど、卓の平均レベルが高めだったから仕方ないかな。

 そうは言ってもプロで活躍したいならこの程度じゃ全然足りないよ。このメンツ相手なら8万点は稼いでくれないと合格点はあげられない』


『ありがとうございました、小鍛治プロ。おなじみの鬼畜評価を下していただいたところで、次鋒戦に移ります』


『鬼畜評価って。というかおなじみなの!?』

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「小鍛治プロからすれば低レベルに感じられるんですかね?」

「……悪い人じゃないらしいのよ? ただいわゆる天才タイプだからどうしてできないのかが分からない、ってだけで」

「理屈は分かっても実感や共感が出来ないっすかねぇ」

「だから圧倒的強さなのに好感度圧倒的一位じゃないんですよーぅ」


 な、なんかみんな辛辣だ。さすがに自分たち世代のトップ選手を子供扱いされれば反感も抱くか。

 強者故の傲慢を無自覚に撒き散らす、小鍛治健夜。

 彼女は隣に立てる何者かを待っているのかもしれない。強さは孤独を生むというのは良く聞く話だ。

 そんな益体も無いことを考えていると次鋒戦が開始されていた。


                 /_ ̄`::ヽ_ ゚           マ /////ヌ ム

             / ̄::::´ ̄ヽ:::::::::::゚ヽ`ヽ          マ    ム ム
                /::::ア:::::::::::::::::::\:::゚::::::\::::::、         マ  //r v≦オ{
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               ア::::::::::::::::::::::::::::::i:::::ハ:::: ....i:::::l::i       ィf 」ム__jムハ
           / :::::!:::::::!::::::::';:::::::::::゚:::::i!:::::::::::|:::::i:::.        Y  三三. ム
             '  ...i::::::::iハ::::::ヽ::::::゚ィz::i::::::::::::i::::::::::i       ⌒ヾ 「 マ ム
          i..:::::::l:::::::::};> ´ 7マ tji::::::::::::|:::::::::::!         {_リ  ハ  ム
           L::::」:;:ィハテj    ゞ'´!:;::::::::::j j::::::::|          マ Vハ  ム          _ ―rォ
           |:::::::::::ハ ゞ'        j:L;!/ /:!:::::::!           マ Vハ_ム __  ―=   ̄ ̄
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     -ー  ̄ ̄       ヾ{` 〉≦ ̄ ̄ /:::::::/ィ ̄ ア7⌒7 ̄  7{   ヽ マ//  イ
   /        _z、__ ヽ_)/ /  /:::::::/   イ/ /  仁ニニ{! ; > __)イ  / ヽ
   {        ,ィ T     ハ` ´ /=≠ /:::::/|    リ /  「≦'==ヘ!    |八_ ィ    {
   `ヾ _ イ | !     { |   /  / ィ/::::ム|    { !  !r―ニ二{.   i/(_  イ  ノ
      ` ヽj j! !      i八  ! /゚ /{::/ニi|    ム 、   マニニニ人  |!_( _  ィ {
          ̄ ̄>、   个ミ丶{ /  /゚j/ニニム    ム≧ュ_ゝ=キ  ´ ̄ L≧ュ__ イ
           /::::::`ヽ  j }`ヾj/ ムニ゚ニニ八     了/::::::::::::i      j了 ///|
            /::::::::::::::::7  ゝア ムニニ.゚ニニヽ    !::::::::::::::::::::|     h! /////{
            /::::::::::::::::/ /イ⌒ ムニニニニ゚ニニュ、 人:::::::::::::::::::i     人丶///ハ

              『ロン。タンドラで2000だ』トスッ

『ロン! 混一色ドラドラで8000じゃ』

             『ロン。チートイドラ2で6400』ドスッ

                                   __     /ヽ/ヽ
                 . -‐: 7             |:.:.:.:.:. !    ./:.:./:.:./
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         /:{   /: : : : : ///____       |:.:.:.:.: !   ./:.:./:.:./
          /: :{ .-‐ : /⌒ヽ: : : : : : : : : :/        .|:.:.:.:.:.|   ヽ./ヽ/                    /′
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     |: : : { \{ヽ     , ‐- 、 乂_ノⅥ/       ィ/                \/    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
    Ⅵ: :廴__     /   V   ,ィ}       イ  // ,. ャ                       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ヽ: : : : :ヽ   .′ ∧{ /{//      ./ {/ /'´/
         \ト、 : ≧-廴_./  /. :/───ァ / . : : /
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            ,i `ヽ{    .> ========{  .〉 ===========---
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          ,′./ :} / : : : : : : /  ‘.,   \!   `¨`
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                      ㌧ノ }
                       ヽ./

 弘世さんと染谷先輩が二条さんを集中砲火。気付けば10万点強あった千里山の点数が9万点を割っているではないか。

 弘世さんは数絵も苦しめられた狙い撃ちの名手だし、染谷先輩は予知レベルの先読みと誘導がある。

 その二人に的に掛けられては一年では荷が重い、ということなのだろう。


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    "\ハ::::::\   `ー‐ '  /  ト-、__|    /!ノ
      ノ |/フヽN二ニー-- '    λ r/    !/
        _, -/..:..::/〉       |/〈    ノ、

        『ツモじゃあ! 1000・2000!』

    『ツモォ! チャンタ平和ツモで1300・2600!』

      『ロォン! 小三元ドラドラで12000じゃ!』


 二条さんの攻めっ気が失せたために圧力が弱まったのか、染谷先輩が怒涛の和了を重ねる。

 しかし弘世さんがその様子を見て的を変えたようで、今度はそちらを射貫き始めた。


『ロンだ。タンピンイーペードラで8000』

『ロン。チートイ赤1で4800』


 ここで弘世さんは和了り止めを選ばず、続行。しかしそれは良い判断ではなかった。


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  |:::::::::::::::::::::「 _,-、、 `     b:::。|      |::r´ ̄V:::::::::::ト 、\
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|∧:|::∧〈 ト:::::| ヽ /,   _, -‐' ,-ー^ |   __/:::::::::::|::::::::::|

  丶| ヾ 〉::::::|    _, ‐'_ , ‐'  __,.-┤   /:::::::::::::::::::::::|:::::::V
     /人::::::|    くー'    /   /   イ:::::::::::::::::::::::/|:人::ト、
   //{:::::::::::ト、   \   /   /   |:::::::::::::::メ:::/ レ  ヾ
   (/ |/ {::::::::::::::::\   \/__, - '       |:::人::|/ レ   ___
     |  |:::::::::ト::::::::::` ー- 、____/      レ_N, -―' ̄/,-、\
       〉人:| \川\N∧;;;|      /:..:..:..:..:..:..:..:.//// \\
       / フ____, -‐‐コ    /:..:..:..:..:..:..:..:.//  | | /  >ヘ
 -ー、_ / _,イ. |..:..:..:..:..:..:..:.√__'   ,-/:..:..:..:..:..:..:..:.//   //
^ー-、_ Y/l ̄|. |..:..:..:..:..:..:../  `  /..:..:..:..:..:..:..://   .//
ー-、 `J| .|  |. |..:..:..:..:..:.├──‐/:..:..:..:..:..:..//    //
ー、 `J. /./  |. |..:..:..:..:..:..:|   /.:..:..:..:..:.//     //

『やられっぱなしは癪じゃけぇのぅ、ツモ! リーチ純チャン三色ツモで1本場は3100・6100!』


『弘世さんは最後欲張ったね。6千点のプラスでは満足できなかったのかな。我慢できていれば跳ツモは受けずに済んだんだけど……』

『すこやんじゃあるまいしそんな予知はできないってー。ともあれ前半は弘世選手-200点、染谷選手は+29700点ですから惜しかった的な?』


 さすがの染谷先輩と言えるだろう。これで清澄は最下位から一気に二位浮上。

 トップまでまだ差があるとはいえ、かなり持ち直したと言っていいはずだ。

 ――しかしことはそうすんなりとは運ばないのが麻雀だと、俺はうっかり忘れていたのだ。


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『ロン。チートイタンヤオで3200だ』トスッ

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        く/⌒>'´ ̄ \` <⌒丶 レヘ: :|         |: : l :|/           }   \:|      \}
.            // ̄\  |==  \  \-┴─……─  .,_\| / /        .′     }
          〈\ ̄ }    /==         \            \厂       /
        \  ̄    /==            \            \      /

            『ツモです。三色同順一盃口平和ツモで2000・4000』

       『――あったかーい。ツモ。リーチ中混一色赤1……裏2枚で16000です!』

                 『ツモです。清一色のみで2000・4000』

                 『ツモ。三色同刻のみ、1000オールです』

『ロンだ。チートイ赤1で1本場は3500』トスッ

『……ロン。タンヤオドラで2600』トスッ


 途中の倍満と最後の2600こそ先輩ではなく二条さんが撃たれたが、狙い撃たれツモで削られで一気に3位に転落。

 染谷先輩は既に眼鏡を外して本気で打っているというのにこの状況だ。

 だからといって手をこまねいているだけの先輩ではない、そう信じてモニターを見つめる。


                       『ロンじゃあ! 清一色ドラで18000!』

                                     、.:.:.:.:::::::::|  !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..!;;;;;::::::::::...::..:.:.:`ヽ、
         / ̄`ヽ、_,、_                        ヽ.:.:::::::::| /ー-、::::::::::::::::::.、ー-、:::::::::ノ:::::::::::::::::::::..:.、ヾ、
         /      `| \                    ) :.::|'´  _,..-、_ヽ:::::::;:::::::i)` }ヽ/::::::::::::::::::::::::::::::.iヽ:i
     /      i  / !|. \---、               /.:. :::::.、 ∧`.、  !ハ:;ハ;ノ   ノ:::リ::::::::::::::::::::::::::::::::::! リ
      /  i;へ    ノ/  ノ  ,.イ.  ヽ             /:.:.::::::i::;ハ   ゙、,i   リ   r/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
      | /  /   ,.イ'´ / /!/     \           !|:::::::/、;! ノ   `'       |:::::::::::!::::::::/i:::::::; 、:::{
    {! !./ / `ヾ<  /  リ        ` 、          ゙ 、::::! /            ヽi、:;ノ、i、v!--レ'、  ヾ!
    h.ノ |タく      Y              `ー-、          ヽ!  \   /             ゛ \_ノ:.:.:`ー‐--、
.     K/,イ_,!       !               `ー-、          ー、´                  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`
      `!_ノノ       `ヽ                  \          \    ,..-、           /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.

                     『ツモ! チャンタ混一色一盃口ツモで6100オールじゃ!』


『清澄の染谷選手、破竹のオヤッパネ連続和了! トップから直取りしてすぐにツモったー!』

『弘世さんは油断してたね。阿知賀の松実さんの勢いが凄いから、そっちを制するべきだと思ったのかな。

 染谷さんから注意が逸れて警戒が疎かになってたよ。そこを衝かれた結果になったね』


「やっぱりまこさんは強いねーぇ」

「染谷先輩は今大会ずっと稼ぎ頭っすからね」


 そうなのだ。部内の対局では久さんのテクニックや優希の勢いに押されていた印象がある先輩だが、全国では既に10万点以上稼いでいる計算になる。


『ツモです。七対子ツモ赤1で2本場の1800・3400』

『ツモです。トイトイのみで800・1600』


『次鋒戦決着!

 1位は変わって清澄が11万8300点!

 2位は微かに差された白糸台、11万7000点!

 3位はこちらも急浮上の阿知賀、11万5800点!

 4位は大きく沈んだ千里山、4万8900点!

          /       \     /      ::::::::::::::::::::::\
           |             〉   ./     :::.. \::::::::::::::::::::::
           |        大   !   / :/!::::::   ヘ、::::::. \:::::::::::::::::
           /       波   |   /.:./!::::::  ヘ` ーァー\弋:::::::
.          /     の  乱   |. ,′ |  \ト、  ヘ/,ィチ〒ヽV:::::
        〈     展      〉|  |―--\`ー-ゝ/{ュ::j:リ ノ V::::
            \   開     / ! :::| ァチテ、    `ー'    V
            |   だ.     (   V:::ハ〈弋:::リ       //  ∠
            |   |     \  V:::ハ  ̄    '   , ィ    .rO
            |    !!       __> V:::ハ //    ,  ´ .!   /::::::
              \       / ̄.    V:::ハ.   <_   ノ   ./!:::::/
              \  /        V:::::\        / 人/::
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 3校が拮抗した大波乱の展開だぞーッ!』


『こーこちゃん、落ち着いて。いや、実況アナならこれでもいいのかな……?

 なかなか見応えのある面白い試合だったんじゃないかな。

 途中で弘世さんが躊躇したことが試合の流れを完全に決めたよ。

 前半絶好調の染谷さんだけど、後半東場は一気に熱を帯びた松実さんの果敢な攻めもあって失速。

 でもその松実さんを狙おうと逡巡したところで染谷さんが跳満を直撃させた。これがすごく大きかった。

 波に乗った染谷さんがさらに跳満をツモったことで万事休す。トップを奪取されて先鋒でのリードが丸々消化されちゃったね。

 次の中堅戦、この試合の趨勢を決める一戦になると思うよ』


「染谷先輩さすがだよ。これで2回戦からの稼ぎが12万点だっけか?」

「何言ってるっすか。京ちゃんもその条件なら13万6400点で2位っすよ」

                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
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                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ
                   、 └―┘ ィ/∨
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             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
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「あー、そうだっけ。ま、まあ何にせよ染谷先輩強ぇ、ってことでさ」


 桃子に指摘されて初めて、自分の荒稼ぎっぷりを自覚した俺である。というかよくそんな細かい数字を覚えてるな……。

 そう思いながら俺が視線を逸らした先には数絵のジト目。慌てて別方向に目をやれば憩さん、絃さんのジト目が出迎えた。


「大将戦はそんな簡単じゃないはずなんやけどなーぁ」

「わたしたちの京太郎さんだもの。抱かれた身としては誇らしいわ」

「抱かっ……! や、やっぱり私もその、捧げた方がいいのかしら……」

「数ちゃんは数ちゃんのペースでいいっすよ。私達はあと二年は一緒に居られるっすからね。……無論私は死ぬまで側にいるっすけど」


 呆れたみんなが何やら耳に痛い不穏な話に興じ始めてしまった。振り返ってみれば4月と比べると別人のように上達したなあ。

 そしてその最初のきっかけをくれた久さんの試合がこれから始まる。現実逃避したくなるのを堪え、しっかりと応援しなければ……。


                             ,从  , 从
           __            _, /圭7 /圭7 _ -‐' ニニ≧==ー――  ―  ー= ニ 三

        , '" 二ニ≧ー''  ,,。s≦壬圭7´ /圭7 /圭7" '"  ̄≫ '"´     __              ``
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.      、ー=‐ __,,> ´   /-‐ '' ‐- 、: . : . : . : . : . ヘヘ-‐'": . : . : .ノ{/ ィ芳㍉、     '"´  ノ: . :.,  ノ
   ∧   \ ̄ _ __     ノ'´     「 ̄>、ニニ : . : .ィノノ : . : .:_,/: .{ ‘ .乂,ュ;ノ`   ,ィf苅゙ア: . :./
    ∧       辷=―        i:;ii:;:;:;:;:;:;:;:;>‐- 、 \: . : . : . : 〈 i!     ´     ゞ-’イ: . ,
ヘ  ヘ ∧へ、   ニ=-` ‐- /二、 ‐- ヘ:ii:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\ ` ー '' } }         ,   /: ../
    ヽ. \ ` ̄   ― ‐‐    ヽ  ヽ  ̄ ⌒ ー≦、⌒ヽ‐-\   _,'ヘ   、_      ノ: . ,
  \   ヽ  、     ニ=―    :}   }       ヘ  マ:;:;:;:; ̄´:ムノ   \   ー ’  イ: .>
\.  \ ヽ   >  ,_        ::i   i!        ヘ  マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;ム    ` - <:.ヾr ´
\\  へ  、     >  ,_   ..:::i!   }     ',      マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム   / ̄: . : . /‐-、
   ヾ、    >、       ヽ ‐-::{  .リ      ヘ   ',  乂:;:;:;>--゙: . ‐:.'"´: ..:./:;:;:;;ii:}`ヽ
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                      \_ノ_,ィ‐-、    ヽ ヽ ,'   /'´ \:;:;:;:;:;:;:ムー-7:;:;:;:;:;:;:;リ   }
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                     『ツモ! 清一色ツモドラで8000オールよ!』


 杞憂というかなんというか、よりにもよって親倍ツモ。

 しかも今回は悪待ちではなくて綺麗な待ちでそのまま和了ってのけた。

:.:.:.:| :.:. |:.:.:. I斗ヘ、/:.:.:/ { |:.:.:.:.:.:. /Χ}  ヽ:. | :.:.:.:. }{:.:|
:.:.:.:| :.:. |:./ / //>< j:.|:.:.:.:.:.:/´ V=㍉ i:. | :.:.:.:. }{:小、

:.:.:.:| :.: 」/:/ヱZた㍉ `7 | :. /  んヘ Ⅵ:.:|:i:.:.:.:.:}{:.:|:.∧
斗キ:.:.:Ⅳ jリ / ̄ヽ  j/|/   {{ {] } }}ヽ|:|i:.:.:.:.ハ∧:.:∧
V^ }:.:.:.:{  j「  { [] }        {  }  }:.:.||:.:.:/:.:i ∨:.∧
:.}  ] :. { 《   {    }        v ノ  }:.:.|l: /:.:. |   V:.:∧
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:キゝ] :. { \i\i\i\            } :.:.:. |:.:.:.|  |:.:. |
:.:iヽ,_] :. {      Γ`^ー < ̄}      人:.:.:. |:.:. |  !:.:.:.|
八:.:.∧:. { し    {       ヽ }    ,ィ升:.:.:.:.:′八  ‘:.:.i.:|
:.:.:ヽ:.:∧ {       {        } , イ |i:.|:.:.:.:.}:.:.:{:.: ヽ   j:i| |
:. : ∧:.: j:.{   `` 、       , イ:.:.: |: |i:.|:.:.:. }:.:.:{:.:.:.∧ {:.i| |
:.:.:.:.:∧ 「Ⅵ丶、        r<:.: |:.:.:. |: |i:.| :.:. }:.:.:{:.:.:.:.: i {:.i| |

 新子さんは人読みもするのだろう、その待ちに翻弄されて出遅れたようだ。

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           ,, . :. :. :. :. :``丶、
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        /:. :. :. :. j|:. ji\:. :. :. _:ノ

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        __:.|:. |   , ― ヽ:. :. :. : :.
       i:. |:. |: /「   ,,x=ミ、 : :. :. :. .

       |:. |:. |/,x=ミ  / vソ i: |:. :.i:. |

.       i|:. |:. :.:《 vソ     :./:./:. |:. :.|:. |
.      八:.j : : ハ :./: '  _  {:. :.|:. :.|:. |
        ヽ :. 圦    rvノ  ハ:. |:. :.|:. |
           |:|:个   /ノ _,,   |V:. :.:|:. |
         ノ:.|:.:|:.ノ//_|    |/: : 人 |
       / {:./: /_ / ⌒〉、__,,|:. :/≧=- _

      / \\:(_ 7  rヘ )  ∨_-_- /} ヽ


『へっ、やるやん。地獄単騎が好きやって話聞いとったけど、俺は安手は嫌いやねん。

               ト、_       /
.             {: : : : : ー . 、  |:{
            \: : : : : : : :\|:乂___
         . . -―‐` : : : : : : : : : : : : : :.<
      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\

      ―――ァ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
         ∠/: : /: : : : :/: : : |: : : : : :.\:.\ ̄
.          /: : /: : :./ /: : : : l\: :.:|: : : ∨: \
         /: : :.|l: : /l:/、|:l:.: :.:| ,\Ν: : ::∨ : :\
.        /イ : 八 :芹≧|八 : |ィ≦芹ミ: : : ::∨ ⌒ヽ
         |/l: :∧乂ツ  ヽ{ 乂ツ '/): : |:.:|
             |:/` .    '       ∧{\八|
           ノ'  人   、― ァ  人二llヽ__
             ∠二ニ=- __  イ{二二llニ|   \__
           ∠二二二二\    ∨二llニ|   | |
         /ニニ/  `マニ \__jニニリ='    ノ 「`  --  ___  -- 、
.         /二ニ{  _\__`マニ∧ |ニニΧ_/ ,人__/⌒ ー――‐ 、  ̄ ̄)
        /ニニニ!/ ----、〉 `マ∨ニ/| \__/ /   、____  \ー‐
.       /二二ニ|/、: :   ‐┴‐=ミ大ト、 ノ    ‐'´  、   \_.イ  \   \
.        /ニニニニニ} \:        ` ー`―‐/{    〈\   ∨    ー‐‐'
       ̄ ̄ ̄ |\八: : .             /      ‘,: :ー、  \――-- 、
             |  二ニ=- : : : . . . . . .   {: :  ̄\   , : : \  \    )
             |       二ニ=‐┬―― 、: : : :_,\  '、_ノ⌒\  \ ̄
             |            〈       ̄   \ \    \__ノ
             |               \          \__)

 せやから……ツモや! 純チャン一盃口ツモで2本場は2200・4200!』

『そんでもっかいや、ロン! タンピンイーペードラドラで8000!』


 久さんがテレビで放送していいのか微妙な表情をした後は、気が緩んでいたのか江口さんに連続で満貫を献上。

 いいのか竹井久。……そういえばここ一週間久さんと深いコミュニケーションを取れていないな。

 ダメだ、あの表情のせいで妙なことを考えてしまった。

 そういうことはせめて個人戦が終わってお互いがフリーになってからにしなければ。

 久さんのインハイにかける情熱は生半でないのだから。



『ハァ。ロン。トイトイドラで1本場は8000です』

『なんや溜息なんて。運が逃げるで? お、それロンや。小三元ドラで2本場は8600』


 江口さんが積極的にトラッシュトークを仕掛け、久さんもそれにほどほどに応えている。

 そんな二人をしり目にお茶を啜る渋谷尭深さん。そして三人を見て呆れたような雰囲気を漂わせるのが新子さんだ。

 俺もトラッシュトークは割とやるほうだから、もしかしたらこれまでの対局相手にも呆れられていたのかもしれないな。

 客観視して見ないとなかなか気付かないものだ。


『あれ、竹井選手聴牌を崩して流局させましたね。なんでなのすこやん?』

『こーこちゃん、試合前にちゃんと資料見たよね? よくそれでアナウンサーできるよね……。

 オーラスの渋谷さんは試合が長引いているほどに高い手を聴牌しやすい偏った運があるんだよ。

 眉唾なオカルト話だけど、運の要素が大きい麻雀ではそういうジンクスに敏感になるらしいから。

 竹井さんは高い手を和了れそうにないと思った時点でその局を捨てて流しにかかったんだよ』


 さすがに渋谷さんの力は分かりやすい部類で、ディフェンディングチャンピオンチームの選手なのだ。

 こぞって研究されていて対策を打たれているということだ。

 いくら悪待ちが好きでもそういう定石はきっちり詰めているのが久さんである。

 そしてその結果は……。

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              {-- 八      \: : : : : : /7:l: : }: : : : : }       八

             『……ツモです。大三元、2本場は8200・16200です』


「大三元はしゃーなしですねーぇ」

「オーラスまで今回は10局でしたからね」

「大三元の仕込みプラスαまでできてたっすから、止めるのは難しかったっすよ」


 ということだ。

 いくら対策をしてもその上を行かれたらどうしようもない。

 強者であるためにはそういう気構えでいないとならないのだろう。


『ツモです。小三元トイトイで3000・6000』


 後半は、久さんの悪待ちも何度かあったが、9回の和了中8回が満貫以上という乱打戦となった。

 その中でも特筆すべきは江口さんの倍満ロンだ。

 新子さんが大三元を張ったことで無理攻めをしたところをきっちり撃ち落とすという展開。

 この和了が完全に試合の趨勢を決めたような雰囲気である。

 新子さんは最後の方は泣くのを必死にこらえている、といった有様。


 清澄が13万4200点、白糸台が12万600点、阿知賀が8万2100点で千里山が6万3100点。


 久さんが+15900で区間トップを獲得。振り返ってみると完全に場の流れをコントロールしていたように思える打ち回しだった。

 ちなみに江口さんは+14200、渋谷さんが+3600、新子さんが-33700だ。

 渋谷さんはオーラスの帳尻合わせが上手くいったという、おそらくはプラン通りの結果。

 江口さんはかなり不満の残る結果だろう。満貫5回と倍満1回を和了するという、これだけを見れば十分な得点をしている。

 だがその和了が全て子での和了だったことと、ラス親であったことが点数の伸び悩みの原因だろう。

 新子さんは……和了回数も少なく、致命的な放銃もしてしまったことが残念だ。

 倍満の放銃がなければ-17000程度、阿知賀も9万8000点強と2位との差もほぼないと言える状態に抑えられたのだから。

 中堅戦が終わり対局室から去っていく新子さんの姿は見るからに消沈していて憐れを誘った。

 和のことだからすぐにでも対局室に向かっただろうし、もしかしたら廊下で鉢合わせているかもしれない。

 その和も精神的に余裕は無さそうだったのだから、鉢合わせが良いことかどうかは微妙なところではあるが……。

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『中堅戦が終わりいよいよ、いよいよテレビの前の君たち! そう、男性諸氏お待ちかねの副将戦だ!

 アイドル顔負けのスタイル、クール故に際立つ整った面差し、それでいて媚びるところのない雰囲気!

 芸能関係者も熱視線を送っているらしい原村和選手の出番ですよ、出番!』

『はぁ。まあ、ね。はやりちゃんも後継者に是非、って注目してるうちの一人だから……。

 打ち方は極端なほどのデジタル打ち。初手の長考以外ではほぼノータイムで打牌してくる。

 対局する子にはそれも結構なプレッシャーになるんだよね。

 インハイに限らずテレビ中継のある大会や、スケジュールの厳しい大会では考慮時間に制限もあるから。

 インハイでは2回戦までは一手30秒、持ち時間10分。準決勝からは持ち時間が20分。

 まあ、破ったからって特にペナルティがあるわけじゃないんだけど……審判員が急かしてくるから万全の考慮はできない。

 そんな中で躊躇なく走ってるをの見せつけられたらやりにくいのもちょっと分かるかな』

『そういう小鍛治プロは考慮時間短めですよね?』

『あれ、こーこちゃんよく知ってるね。……いやどや顔はいいから。コンビアナならむしろ当然だよ?

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           / / ./   /          //     /⌒トミ

 まあ私は欲しい牌が欲しいときに来るから特に考える必要ないしね』



 などと小鍛治プロが言い切った瞬間、どこからともなく羨望と嫉妬、薄らと殺意までもが漂った気がした。

 実際、雀士からすれば先の小鍛治プロの発言は噴飯ものだろう。元世界二位という実績があるから誰も文句を言えないだけなのだ。

 そんな人よりも強い人が世界にはいる、という事実が一般の雀士にどれだけの安心と絶望を感じさせるか……。

 ともあれ和の対局だ。どうなるか、俺も気になる対局である。


                 、、_,/(ィ-―ァ
             ≦゙        ` ヽ、
            /ィ   ,.、,、、  、    \
            /...;、;リ'"  ` ヽiヽ:.、:.:.:.:.:.. ヽ
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             i;.:.|  _     ,.=-   iハ!:.:.:.:.:!、
               iハ:.:! __`ニ  ´ ‐_,...、  |:.:.:.:.:.i`
           | !、i< ('::i゙     ´Lン'゙ |^ }:i:N
               、!               /ル
                 i   ′      ,:‐'/
                  丶   ‐--   ,.:V′
                     `丶 _  _,..::'   !
                      〕´     |-.、
              _,...-‐''/7   __/   `丶、_
           rrr''"    i   ′/        >>、
          λi:!      |   /         //  ヽ
          / ヽヾ、     |  /    ,,:=='"イ

    『ポン! ――ツモ! 中混一色ドラで2000・3900だ!』


 開幕でいきなりの白糸台先制。確か亦野さんは三副露すると3~5巡後に和了牌を引くんだったか。

 つまり三副露されたら3巡以内に和了れなければ持っていかれるということだ。

 今回は和も含め誰も間に合わなかった。鳴きを多用する関係で打点が上がりにくいという弱点もあるが、十分強力な力だろう。

 ただ、憩さんや絃さん曰く力に頼りすぎで怖さが無いのだとか。

 絃さんは大物手を振り込んだことを弄られていたが、怖い笑顔で黙殺していたのは面白い光景だった。


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    八  i: :| :iァテ外 \:| ァテ笊芥ハ:i ル' |: : 八: \: :\  \  =-
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      『ツモ。平和一盃口ツモで700・1300です』

『リーチです。    ツモ。リーチ一発ツモタンヤオドラで2000・4000です』


 いきなりの亦野さんの和了で1800点差にまで迫られた和だが、全く動じることなく綺麗に平和を和了。

 次局もリーチから一発ツモでタンドラを満貫に化けさせるという理想的な打牌。


「悔しいけど、綺麗ね」

「そうっすね……。ネトマのCPUと同じ速度でほぼミスのない牌効率での打牌っすよ」

「ツモ和了りが多いというのも癪だわ」

「対局相手なんていらない、言うてるようなもんですからねーぇ」

「和は確かにそういう打ち方しますけど、それでも四人で打つから麻雀が好きなんだと思いますよ」


 みんなの言い様に、さすがに掣肘せずにはいられなかった。

 俺は和が麻雀を始めた理由を知っている。彼女は何より孤独を恐れ、人の温かさを欲した。

 俺の前で見せた涙と心、笑顔。忘れようとも思わない、むしろ忘れたくない大事な想い出。

 やはり俺は和のことを愛しているのだろうと思う。

 そして嫉妬からとはいえ色々と言ってしまった彼女たちも、ばつの悪そうな顔をして素直に謝罪を口にしているのを見れば許せた。

 謝罪をできる彼女たちもまた俺には愛おしい人達なのだ。


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          『くっ……ツモ。チャンタ一盃口ツモドラは2000・4000……!』


 少し目を離していた隙に前半戦も佳境、厳しい表情ながらも気迫のこもった打牌で鷺森さんが満貫をツモっていた。

 どうやら亦野さんに跳満を直撃されたらしく、開始からだいぶ点数を減らしている。

 筒子を好んで使うらしい彼女には勝手に親近感を覚えていたのだが……どうにも厳しい状態だ。


『ツモ。純チャンツモで2000・3900です』


 オーラスは和がすらっと和了り、二位に2万5千点の差をつけるという圧倒っぷりだ。


「和ちゃんも純粋に強いなーぁ」

「おっぱいさんっすからね……。たまに私も見えてるっすから、強敵っす」

「褥でも強敵だわ。京太郎さんも温泉でお楽しみだったようだし」

「え。ちょっ、なんで!?」

「京太郎……。その、お湯だと固まってしまって掃除が大変だって……」


 絃さんはいきなり何を言いだすんだ!? というか見られていたのか。

 そして数絵もいったいどこでそんな知識を得たのか。

 合宿所での情事では全て和の中に出したからお湯の中で固まるということは無かった……はず。

 その後もちょくちょく体を重ねていたが、記憶にある限りでは和が体外に出すことを許してくれなかったのだ。

 さすがに胸を使った時は難儀していたが……それでも最後は口に咥えて吸い上げていたくらいで。


「ハッ! い、今は応援に集中しないとですよ絃さん」

「ククッ。カマをかけただけだから安心してね京太郎さん。初めてを覗くほど無粋ではないわ」


 それは初めてじゃなければ覗くということか? そう問いたかったが自分で応援に集中しろと言った手前、何も言えなかった。

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从|::|::::::/:::|:::::\__,  、、、     .   、、.//::::::::::::;           ´ ノ:::::::ノ
  ハ|:::|:{:::::|::::/|:::::::\           //::::: /::/,       /   .....:/
    ̄X|  ̄   ̄ ̄ >    ´ `   //::::::/:://  __,.:⌒::::::、::/:::/
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   『ロン!! リーチ混一色平和で8000!!』


   『ツモ!! 清一色ツモで6000オール!!』


『おお! 鷺森選手凄い気迫ですよ!』

『鷺森さんは……赤土さんの弟子だって話だからね』

『赤土……赤土……ああっ! 確か20年前のインハイですこやんがボコって泣かせたっていうあの!』

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=ニニニ/    ′         }=ニニ/:.:.:.:.:.:.:.: :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,イ : }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.        }     Y⌒ ̄ ̄`ヽ
ニニ/\     γ⌒ヽ__rく==ニ′: : :i:.:.:./|:.:.:./{ハ: :./ |:.:/\:.:./ハ:.:.:|:.:.:.:.:.i        }     }      }
ニ/ー-  ⌒7 ̄}      /{.   i:.:.:.:.: :|:.:/ :l:.:./   ∨ レ'  ∨  }Ⅵ:.:.:.:.:.|       Y      /       /
ニニニニニ/⌒ /      /   } 〃|:.:|.:.:.:.Ⅳ  V                |:.:.:.:.:.|   / ̄ ̄⌒)    /     /
ニニニニニ}           ⌒)/  {{ |:.:|.:.:.:.|   ___,.   、____  |:.:.:.:.:.|____/,ィ彡'´  Y⌒ヽ/   /==ニ
ニニー=彡 ヽ_ _  O       |:.:|.:.:.:.| ´                ` |:.:.:.:.:.|:ニ/  /   /       /==ニニニ
ニニニニ\      >`¨´       |:.:|.:.:.:.| ,斗ぅ芋ミ      斗ぅ芋ミ  |:.:.:.:.:.| {__/   ./⌒ヽ     /ニニニニニニニ
ニニニニ厂⌒ヽ/\}  ,ィ彡'⌒    |:.:|.:.:.:.| {. 乂辷ソ::::::::::::::::::乂辷ソ .} |:.:.:.:.:.|  /    /==ニニニ\/    / ̄ ̄ ̄
:ニニニ/⌒)      \/     〃  |:.:|.:.:.:.|ハ   :::::::::::::::::::::::::::::    ハ|:.:.:.:.:.| ./    /ニニニニニニニ〉    /
=ニ/   _}ヽ   ー=彡'´    |:.:|.:.:.:.lヽ{        '         }ノ|:.:.:.:.:.| | __/===ニニニニ/⌒\/
/   __)   }          |:.:|.:.:.:.|:.人     __       人 |:.:.:.|: | | |=====ニニニ/O  Y
  /  / \/  ___________}\ |:.:|.:.:.:.l: :|:.:|:...    ̄ ̄    イ:l:.: :|:.:.:.|: | | |===ニニニ/ `¨´ /|
/ニニニ〉    Y  {ニニニニニニニニY.|八:.:.:.ト、|:.:|:.:.r‐}` ー--‐  {‐ァ: |:.|: : |:.:.:.|: | ∨ニニニニ/     / :|
\===/     |   〉ニニニニニニニニ   \l:_:|-‐'{厂         ア}ー- .:_:|:.: 八|===ニニ/       /  ヽ___/
  \/    /  /====ニニニニニ_ ,. <     |        |    ノ/=ー-、ニニ〈    〃   /ニニニニニニニニニニ
   `¨´ ̄ ̄`ヽ====ニニニニニ〈           |        |            〉/\_//   {ニニニニニニニニニニニ
⌒ヽ ー───ニニニニニニニニニ∧           ヽ       /           ∧    { {____/ニニニニニニニニニニニ

『――こーこちゃん、ちょっと黙ろうか。……はあ。私から跳満を取ったのは国内ではあの人だけなんだよ?

 まあ、私が負かせちゃったのが準決勝だから。赤土さんがコーチングしてる阿知賀の選手、

 特に弟子である鷺森さんはこの試合に賭ける思いが一入なんだろうね。

 ボウリングのグローブをつけて、球に見立てた筒子での有効手を引き寄せてるみたい。

 でも、準決勝ともなれば思いが強いのはみんな一緒なんだよね』


    『ツモ。タンヤオドラで1本場は600・1100です』

           ,∠、  /            ヽ
            /   |: :/                  \へ
     / ̄¨ヽイ     |:/ / / /||:! ! | !         .|
     !:   〈〈:     /:{: ': ,': ':::|::|: l::l: l::l  ,ィ: ! l    ,!
     ∨   ノ¨ト==イ: :! l斗十ナナノ.:|: /::l. /十ト、l:     i〉
      ¨フ´/ !: : : :! 、トト、!ィチ^:丁:::}/ :::}'::::::!ノ :: !: l   リ
.     /: 〃 |: : : :|ミソ :::〈 l{::::::::| :::::::::::::::rf示、 ノ ノ/ /
     レイ ト、_|: : : :l ヽ  弋:zソ       !::::}l }イノイヽ
     |.: : :|: : : : .: |     ::::::::      ,  辷リ !:. :. :.:ト、 \
     |.: : :|: : : : .: ト、            :::::: |: : : : | ⌒
     / : : :|: : .: .:  lミ、Y       ‐ -    ノ: : :. :.|
.    /, : : : |: : .: .:  l   !  ヽ           イ|: : !:.|
   //   : :|: : : :  :ハ  |   `  . _ x<: : |: :!: : :|:. :!
.  //  . :/!: : : :   ∧. !       |  |: : : :.|: :!: :. :.、|
  //   . ::/∧: : .:   ∧`ヽ.      l ヽl、:: : |: :l : : : : ト
. //  . ::/厶 ヘ.:     ∧  \   `ヽ.  ヽl : l : : : : | ヽ
//   , <   \      \  \    ∨  `|: :. :. :.|   \

        『ロン。チャンタ三色で8000です』

                『ツモや。白チャンタツモドラで2000・4000』

 『リーチです――ツモ。リーチ一盃口三色ツモで4000オール』

                『ツモや。タンピンツモで1本場は800・1400』

                 、、_,/(ィ-―ァ
             ≦゙        ` ヽ、
            /ィ   ,.、,、、  、    \
            /...;、;リ'"  ` ヽiヽ:.、:.:.:.:.:.. ヽ
            /;.:リ'           jハ:.:.:.:.:.:.:!、
             i;.:.|  _     ,.=-   iハ!:.:.:.:.:!、
               iハ:.:! __`ニ  ´ ‐_,...、  |:.:.:.:.:.i`
           | !、i< ('::i゙     ´Lン'゙ |^ }:i:N
               、!               /ル
                 i   ′      ,:‐'/
                  丶   ‐--   ,.:V′
                     `丶 _  _,..::'   !
                      〕´     |-.、
              _,...-‐''/7   __/   `丶、_
           rrr''"    i   ′/        >>、
          λi:!      |   /         //  ヽ
          / ヽヾ、     |  /    ,,:=='"イ

『リーチ! ――ロン! リーチ一発清一色で16000だ!』


          |:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:| l八{\:.:.:.:.:/  ___   ∨:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
          |:.:.:.l:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.lノ } \_  ̄ ̄ ̄       ∨:.:、:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
          |:.:.:.l:.:|:.:.:.:..:.//_'    ´ ̄         ∨:.:\:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
          |:.:.:.l:l:l\// ´        =芋 苧苧芋=   ∨:.:.:.>┴ 、:.:.:.:.:.:.:.:|
          |:.:.:.l从  ̄    /〉: : : : : : : : :.|::::::(::):::::|  }  ∨:/    ∨:.:.:.:.:/
        八.:.:.:.:.:.     /..ベ : : : : : : : : ::乂:::::::::::ノ /    }/    |:.:.:.:.:/
         \:.:.:.:. =彳::(::ハ.: : :.==、: : : : : : ¨¨´ /          八:.:/
          \∧  乂::::::::}: }: : : : :.ー――            /:.:.:./
            {\:.   ¨¨´ノ '             )`ヽ    〈___/:.:.:.::′
            \:.__            //ノ    /「:.:.:.:.:.:.:.:.|
                            / ´    .イ:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:|    |
                          __ -‐         , : :| :.|:.:.:.:.:.:.:.:.:|    |:.
                、  `¨´            /: : :.| :.|:.:.:.:.:.:.:.:.:乂__ノ:.:
                             /  : : : | :.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:

                   个:::...       /   : : : |:.:乂:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:

            『リーチや。    ツモです。メンタンツモで2000オール』







『こんな風に、ね。麻雀って一人でやるものじゃないんだから、周りをきちんと見ないと。


㌢.; ㍊爨㍻ ::::;.;爨;㍊;,. ;;:::  :;;; ::;              ____
  ;爨㍻;,.            ㍊爨;,.㍊;       ,. .:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`丶
㍊爨;.;爨;;..㍊㍽,㍊ . ;爨;;: ::;              /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
. .,;㍊′:;㍊爨;,.  ; ;;: :;;  ;;::: :;          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ
 ;㍊㍊爨;;:, ;;:: :::   ;;;:::;㍊ . ;爨       ∠.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
㍊爨;. ;;:::::㍉,,.....;;;.:::.. ;:::: ;;㍊爨;.     //|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i

 ㍊;,. .    ㍉::::::;;;::::;;;::::爨;;         {;'  Ⅳ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: :|
 ..;㍊;;'㌢爨;,   ㌧::::::::::::::::::::㌔          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
            ㍊ . ;爨 . ;㍊.;;㌣;;,,     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: :.|
, .;,㍊;   ;;::: :::.  :;爨㌢';;:::::;;;::::;::::;;;:㍑;    /:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: :.|
㌧爨;;::: ;;㌦,       '"´㍉;;;;㌢ ,;:;㌦爨㍊/:.:./:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: :|
 ㌦:::::;;;::;;㌢        ;;爨;. ;.,       /:.:./|:.:.:.:./:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.八
  ;爨;;;;::::;㍊;,.       ㌦; ;: ::;  :.;   /:.:./ :|:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: :l:.:.:.:.:.:.:.:.|
 ㌃;;;;:: ;;::::;爨:.,                {;V′:|:.:|/|:.:i:.: :i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.i:.:.:.: |
.;爨㍊;; :㌻     ,;爨 ::; ㌧, :: ;::,        八| V{\|:.i:.:.:.:.: :|:|:.:|:.:.|:.:.∧/}人  _
爨㌶;; ::,         ㌘ :: ::;爨㍊;, ::         r=Tヽ   レ'\:.:.:.乂人/∨ヽ__rf¨´く
㍑;;:㌣      ,;爨㌢';,. .  ::;; ;:;,     /ヽ \\   ヘ/       ∧__ ,. ' ̄
             ;;爨 ;㍊ .;;   /   \. \\         / ∧
   , .;,㍊;.         ;爨㌢.;;.::; :,  /      }   ∨ヽ         》
    ,;爨;,.               ㍊爨;.{           {.,.   ∨r=======ァ′
         .,;㍊′  ..;;㍊;. ;;;:::: ::; {\       /    マ7 ̄⌒¨¨⌒ “
        ㌢.; ㍊爨㍼㍊   ;;;:: ::人. \   /      ./
     ㍊t㍊; ::;; ㍑爨㌔    /  \ ヽ/       {{
   ,;;爨㍻;,.  ;;:: ::;; ::チ㍊;;,        / ̄           ∧
  .,;㍊チ㍊;;,.. ; :;:::;㍾㌶/     /             / \
 ;爨㍊;, ;::  :;爨㍾;;: :, /     ∧               /./
㍊爨; ㍊爨;..;'㌢爨;.      ≠´ .圦\.          / /ヽ
  ㍊爨 ;;::: :;;::: '    /   ./ \  ̄ ̄ ̄ ̄  /   ,'\
 ㍊チ㍊::,,;;;爨;./     /     ./      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         \


                                           私みたいになっちゃうよ』






『くっ……。連れてくんだ、決勝に……!

       / .:.:/::::::::::::/::::::::::::::::::::ハ:ハ::::::::::::。::::::.:.:.:、.:.:.:。
      .:.:.:.:.:.:/::::::::::::/{:::::::::::::::::::::| || :,::::::::::゚。:::::::.:.:.゚,:.: °
     /./   .′ ::::::/ |:::i::::::::::::ハ:| リ  :,_;;:::::::゚,:::::::::.:.i:.:.:.:.:.
      |..|:::::イ::j:::::::::/l  |:イ::::::::::::| リ  / \::::::}:::::::::.:.|:::..:.:.:.
      }イ::/ |::ハ:::::::{ ̄ ≧L:::::::::」ーv斗ff{干下 |:::::::::: |:::::.:.:.|
     {/ 乂::}:::/| 灯干下         |:.:し!| }:::::::::: |:::::.:.:.|
       /.::::リ:::l } |:.:し!|       ゞ‐…/::::::::::::,::::::.:.:.l

        / ::::::::: ∧ ゞ‐…  ,      ::'::'::/::::::::::::::ハ:::::.:.:|
      .:.:.::::::::::::{   ::'::'::         /イ::::::::::::,ノ::::.:.:.|
      /.:.::::::::::::::::.、_}     ,. ―-   / /:::::::::::/:::::::.:.:j:}
.     /イ:.:.::::::::::::::::::::::、             / イ:::::::::::::{::::::::::}/リ
    / }.:.:.::::::∧::::::::i|:::>.          イ{:::::::::::::jL::::ノリ
     ルL::::::」 L:::::八:::::::::j::≧z -- ´  |_:::::::::/
                 /|     <ハ ̄
                    /../l| r<............/`ーr‐-  __
            __ -=≦//../....Уヽ............/: : : : }: : : : : : :/: :ヽ

   ――ツモ!! タンヤオ一盃口混一色ツモで1本場は3100・6100!!』









 見惚れていた。



 鷺森さんの情熱と気迫に。



          亦野さんの意地に。



              船久保さんの技量に。



                        和の精密さに。








 だが、それもいつまでも続くわけではない。もう、副将戦はオーラスなのだから。

.

   :::::::::/: : : : : :,: : : :ヽ/::::::::::::::\ /::::::::::|
   :::/: : : : : :/: : : : : :}:::::::::::::::::::「.|::::::::::::::ト、
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   : : : : : : ::,': : : : \: : :!::::::::_//|:\:::::::::::〉 : :',
   : : : : : : :.:: : : : : : : : : 7 ̄::: :ィ .}::::::\/.   !
   : : : : : :,': : : : :: : : : ∠ィ、:::::::::| :|:::::::::}/: // リ
   : : : : :.:|: : : : : : : : : : : / \_| :|/^リ/// /
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   ,: : : : :.',: : :,,,_: : : :〃 : : : : | : :! ̄ /

   ト、 ̄´: ',:.: : : : : : : :/ : :/: : |  !   ;
   : :\: : : ヽ: : : : : : /  :./: : :.|  |   /
   : ||: :\: : : : : : : :/  : /: ::|: i|  | /
   : ||: : : :\/\:/  : /: : /!: i|゙  |′
   : ||: : : : .リ   /  : /: : //!:.:i|.  |
   : ||: : : ::/__./  : /: : //=!:.:.|.  |

『ツモ。トイトイタンヤオドラ2で2000・4000です』



『最後を綺麗に締めたのはやはりこの人! 桃色天使の原村和だああ!


 原村選手が前後半共に1万5千くらいずつを稼ぎ、+32200で16万6400点と1位を盤石に!

 亦野選手はいささか削られ-17500で10万3100点!

 鷺森選手は気を吐くも前半の失点が響いたか-13000で69100点と2位がやや遠いぞ!

 船久保選手は凌ぐのが精いっぱいだったかプラマイゼロに-1700でチームは61400点と4位だ!


 熱い試合だったけどもう1位は決まっちゃったって雰囲気だねすこやん』


『いやまあ、うん。なんかこーこちゃんのテンションが乱高下でこっちがびっくりだよ……。

 それにしても原村さんは強かったね。確率に従っていても普通はそうそう上手くいくものじゃないんだけど。

 和了も8回で放銃は無し。貫禄って感じだったかも。

 唯一のプレイングミスは後半東二局、鷺森さんの跳ツモを予測できずにリーチしちゃってた場面かな。

 千点の違いだけど、個人戦ではそういう細かい部分も大事になってくるから』


『さて小鍛治プロの若さに嫉妬した辛口評価も挟みまして、いよいよ決勝行きが決まる大将戦です。皆さまどうぞお見逃しなく』


『え!? こーこちゃんいきなり真面目になってどうしたの!?』

1半荘目

東一局  ドラ:九筒

咲「よろしくお願いします」

淡(宮永咲……テルの妹だっけ? んでキョータローの幼馴染。

     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶

  ま、カンケーないよね! この淡ちゃんが負けるわけないんだから――)

淡「リーチ!」


 大星淡は自身の力に絶対の信頼を置いている。

 これまで彼女の力を正面突破できたのは宮永照やトッププロなどの猛者くらいだったからだ。

 つい先日、須賀京太郎にも破られているという事実に目を向けていれば、思考停止ダブリーを思いとどまっただろうか?


淡(じゅんちょーじゅんちょーっ。これでカンすれば後は――)

淡「カン」

竜華「甘いわ、ロン! トイトイドラ2で8000や!」


咲 166400
淡  94100
穏  69100
竜  70400

二局  ドラ:一萬

淡(なっ、絶対安全圏とダブリーが抜かれた!? ありえない、ただのまぐれに決まってる……!)

淡「カン! ――ツモ。ダブリー裏4ツモで6000オール」ギュルンッ


咲 160400
淡 112100
穏  63100
竜  64400


東二局一本場  ドラ:三筒

淡(ふふん。やっぱそうだよね。この淡ちゃん様に勝てる奴なんてそうそういないんだから! ……ま、ちょっと焦ったけどね♪)リーチ!

竜華(くっ!)

穏乃(これを潜り抜けないと、決勝には……)

咲「……」


 淡が鼻歌でも奏でそうな雰囲気でダブルリーチを宣言。

 それを見てやや表情を強張らせる竜華と穏乃。

 開幕こそ出し抜けたが、それでいつでも破れるなどと思えるほど甘い考えはしていないからだ。

 だが咲だけは不気味なほどに静かだ。口元には微かに笑みすら浮かんでいるように見える。

                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
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               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
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            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
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            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |

咲「ポン。  ――チー」カシャッ

淡(むっ、角からずらされた……。ま、無駄な足掻きだよね)トンッ


 一見無駄に見える咲の鳴き。それを一顧だにせず淡はツモった牌を切り出した。

 強者故の、慢心。


穏乃「! ロンです! チートイタンヤオドラの1本場で6700!」


咲 160400
淡 104400
穏  70800
竜  64400

東三局  ドラ:二筒

淡「リーチ!」


 淡は懲りずに、めげずにダブルリーチで攻める。

 通常であればリーチをかけると相手が聴牌した場合は避けづらくなる。

 それ自体は淡も変わらないことだが、彼女の場合は他家の配牌を悪化させる盾を兼ね備えてしまった。

 それ故に、棒攻めの危険性を知識としてしか理解できていないのだ。

 使わずとも勝てる相手か、使えば勝ててしまう相手とばかり敵対したのだからしかたのないことではある。

 しかしそれは本気の勝負では明確な弱点に他ならない。


咲「リーチです。…………ツモ。メンタンツモで1000・2000」


咲 165400
淡 102400
穏  68800
竜  63400


東四局  ドラ:四筒

         淡(サキ……テルほどじゃないけどこいつも速い)

     淡「だからってねえ! ツモ! ――地和、8000・16000!」

             .      ,  ´            ` 、
                /                 \
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          淡(6回ツモらせる前に和了っちゃえばいいだけっ!)


咲 157400
淡 134400
穏  60800
竜  47400

南一局  ドラ:白

『ち、地和ですよ地和! 私公式大会では初めて見た!』

『大星さん……そっか。たまたまだろうけど、そこに辿りつく素地はあるんだね』


竜華(地和とか、そんなんされたら手も足も出えへん……。

    これで8万7000点差……。このまま負ける? ――それこそ怜やセーラに顔向けできひんやないか!)カッ


 一瞬目を見開いた竜華はその瞬間から雰囲気を一変させる。

 おっとりとした天然お嬢様の竜華は、そこにはもういない。

 いるのは龍の眼を得た雀士。

                      ... -―━━..、―- ..
                        /:::::::::::::::::::::::::::::\:::::::\
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                 //::::::::::l::: l:|    \:{≧=┤:::从{::::::::::.
       __         |:|:::::::::l::ト、从   y'´_)心}〉:::/::::::::::::::::::.
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            竜華「ツモ。チートイツモで800・1600や」


咲 155800
淡 132600
穏  60000
竜  51600


南二局  ドラ:二索

淡(……千里山の雰囲気が変わった? ま、それがどうしたってね!)

淡「ロン! ダブリー裏4で18000!」

咲「……はい」チャラッ


咲 137800
淡 150600
穏  60000
竜  51600

南二局一本場  ドラ:一萬

 親からの跳直を受け1位陥落の咲だが、その表情に変わりはない。

 他者の圧力など無いかのように飄々と漂う花弁のよう。


竜華「ツモや。純チャン平和ツモで1本場は2100・4100」


咲 135700
淡 145500
穏  57900
竜  60900


南三局  ドラ:二筒

淡「リーチ! ……?」

淡(なに、これ。リーチはできる。でもすっごい違和感……。

  空を見上げたら木が邪魔でオリオン座が見えないみたいな……)

咲「リーチ……カン。――嶺上ツモ。リーチ白嶺上開花で1300・2600です」

淡「なっ!」


 咲は声を上げた淡を一瞥し、笑みを深めた。

      /      /  /|   | |    ヽ       \
.       /  /  / / / |  |. |   | |   |   ', ヽ    ∧
     /  /  /./ / |  | |   | _|L.--|.,,,_  |  |   :l ',
     /  /  |  ト|_,r|''´|`:|   |  |\ | `ト| :|    | :|
    /   |   | ィ| |─ト :|ヽ  | / ̄V|  | :| |   |  |
    /   |   レ´| \|_\|  ト、. |::::彡三=、 :| ./ / /   !
   /彡イ |    ト| 彡 ─ヾ:\|::::\::::/,'⌒ヽ \/ / /   |、
.      |  ヽ  ゝ///;'⌒',ヽ:::::::::::::::::::::|:!::::::::::!:| ||イレ' |  ハ!
.      |   ト、 || | ';::::::::!:|::::::::::   ヾ、;;;;;;;ノ  |/ ハ  / |
.      |    ハ, \:::ヾ.;;;;;...'   ,          ハ /  /
.      | /ヘ ヽ..ハ                  ハ// /
        /    \トハ      ー_,ア     ノ'´//
               |ゝ、           //イ/
              |人> ._       <:| / /
                \|\|  ー<   :|´
                     |        :|> 、
                   /|       /   \

咲 141900
淡 143200
穏  55300
竜  59600

南四局  ドラ:一筒

淡(むっっっっかつくぅぅぅぅううう~~~! なに、あれ! こっち見て嗤った? 私を? この淡ちゃんを嗤ったっての!?)

淡「リーチ!」

咲「ポン」ニヤリ

                      }  }'////////}
                      }   リ////////}                      /
\                {! //////////                //
\\              {∨/////////               //
  \\            {//////////                  //
   \\           {/////////               //
\\                   {////////                   //
  \\              〉/////〈                //
   \\          ム//////ゝ               //
      \            人///人  /          /
\\               〃////ヽ ,/{             //
  \\             {//////リ/ !               //
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       穏乃「――ロン。南混一色一盃口で8000」


咲 133900
淡 142200
穏  64300
竜  59600


「宮永咲、か」

「すこやんどうかした?」

「んーん。なんでもないよこーこちゃん」

「そうなの? ま、いっか。後半も気合入れて実況しないとだね!」

「そうだね。……今年は豊作だなあ」

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2半荘目

東一局  ドラ:二索

淡(んー、違和感は消えた……? ま、どっちにしろダブリーするけど)トン

竜華「ロンや! トイトイ三暗刻ドラ2で12000!」


咲 133900
淡 129200
穏  64300
竜  72600


東二局  ドラ:南

竜華「ツモ! タンドラで500・1000や!」


咲 133400
淡 127200
穏  63800
竜  75600


東三局  ドラ:三筒

竜華「リーチ!」

咲「チー」

竜華(……? 不自然な鳴きやな。三色狙ってるようでもあらへんし、染め手でも。

    ほなら一発消し? 清澄の子はさっきからなんや嫌な感じや)

淡「――ツモ。ダブリーツモ裏4で3000・6000」


咲 130400
淡 139200
穏  57800
竜  72600

東四局  ドラ:五索

穏乃(うーん……二位まで7万400点は親が残り1回じゃかなり厳しいよ。

    それでも、まずは一歩踏み出さないと登れるものも登れないから――)

穏乃「ロン! 北チャンタで6400です!」


咲 130400
淡 138200
穏  65200
竜  66200


南一局  ドラ:北

咲「ツモ。混一色一盃口で3900オールです」


咲 143100
淡 133300
穏  61300
竜  62300


南一局一本場  ドラ:一筒

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           {.     |:./   ∨{. Y/ |:.:.:.:./i:.:¨7 T¨¨¨¨¨¨´    ^ー 、     ` ̄

    咲「リーチ――ツモ。リーチ一発七対子ドラ2……裏2枚で1本場は8100オールです」


咲 168400
淡 124200
穏  53200
竜  54200

南一局二本場  ドラ:北
    /..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧

.   /....../...::::::::::/ :|::|  \:::::斗-、:::::::::::::::::::::::i:: ∧
    '....../..{:::::::::〃:{ 弋{  〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
   i...../...::|::::::::ト-|:{  \  ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
   |... 7..::|::::::::| |:{_     ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
   |ハ:::::::::ヽr ::y 弌       弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
   |{ i::::::::::∧〃_)::ハ        `     _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
   |{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、      :::::::::::    ´   }::::::|:::::::/::∧
   `  >へ::i :::::::::         u     /:::::::|:::::::::/::∧
         }.:.       -‐- 、        rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
         |.∧    V_ ノ     イ:::::|:::::::::::|::::::::::::::/::∧
         |...:::ゝ          /  |::::::|:::::::::::|::::::::::::::: /::∧
         |...::::::::>      <   八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
         |...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ        〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
         |...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉      /::::|:::::::::::|     // ⌒ヽ.∧
         |...:::::::::::::|__//     _/{:::::|:::::::::::|   //     V∧
       r―|...:::::::::::/    ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 '          V∧
.      ∧ { |...::::::::/     // ̄ ̄ 7  |:::::|:::::::::::|=-  /         V
.     / } ト|::::::::/     〃      /  |:::::|:::::::::::|  ./  /        V

竜華(やりたい放題やないか……! これじゃアカンわ。うちとセーラは個人戦があるからええ。

    けど怜は団体戦だけなんや。5位決定戦があるからって、どうせなら優勝までせな――最後の夏なんやから!)

              /        `丶
           /. .:/. : : : : : : : : : : .ヽ
             /. .:/.:.|. : : ;イ:. :. :. : : : :i
         /. : :i.: :Иフフ´;ノト、ト|: :.i|

           / .γ'|: : |≡z ̄ ノノイ. :八
.          {イ: 乂| : ハ'''   ≡zム:. :. :i コ
            |从:.:.:.:. ノ  ⊿  '''' {:. :. :!:| ホ
           j从/{⌒vァ^ャ-=彡'| : |ノ  :
.              /_冂 ト┘^^´ 从ノ
           _ -=ニ=-仁エヽ
      -=ニ    |  |_,∧_|ニ=- _
     |       |             |
     |   _ -=|=- _         |
     |-=ニ _ =-=l=- _ ニ=- _  |
     └=ニニニニニニニニニニ=‐ _ ¨|
            ¨  ‐=ニニニニニ=- ¨
               ̄

??(おー、りゅーかはあっついなー。熱すぎてうちが火傷しそうや)コホッ

竜華(気合で火傷なんてするかい! ……って怜!? なんでここに、というか病弱過ぎてついにはSD化されてもうたんか?)

怜?(アホか! うちはそうやなー、あれや、枕神っちゅーやつや。

    りゅーかはいっつもそのやらかい太股でうちの枕を提供してくれとったからな。これまでのうちとりゅーかの結晶とでも思い)

竜華(え)

怜?(なんや訳分からんって顔しとんな。ま、詳しい理屈とかはええねん。大事なのはうちがりゅーかに何をしてあげられるかや。

    あんま時間もないし簡単に説明するで?

    うちはりゅーかに未来を見せたる。配牌が終わってから、りゅーかが手にできる最高の牌姿をな。

    ちゅーても未来なんて瞬間瞬間で揺らぐもんやから、絶対やない。それでもりゅーかにはうちと違うて才能がある。

    うちには過ぎたこの力も、りゅーかなら武器の一つとして使いこなせるはずや。だから……この勝負を楽しむんやで!)

竜華(怜っ! ……せや、ここでやらな女やない、やったる!)


 竜華にとっては数分とも数十分ともつかぬ邂逅。

 しかし端から見る分には、自らのツモ順が来ても十秒ほど虚空を見つめたままでいるだけのこと。

 不審ではあるが、咎めるほどではない挙動だ。

竜華「っ、うちの手番やったか。すまんな、ちょっと気ぃ抜けてたわ」タンッ


 言葉とは裏腹に力強い打牌。同卓する3人はその打牌を見てより警戒を強めることとした。

 それでどうにかなるほど、二人の育んだ絆は脆くなかったが。


竜華「ツモや。北混一色ツモドラ3で2本場は4200・8200……!」


咲 160200
淡 119000
穏  49000
竜  71800

南二局  ドラ:發

咲(……一人なのは、私だけ。お姉ちゃんと私の邪魔をするならみんな――)

:;,.:;,.:;,:;:;,:.;:,.:;,...:...;:;.....:;::;;...               ....:;.:,:;,:.:.:,,,:;:;,,,,.,:;::,.,:;;:.,.:;::,;.:;,:.;:,;,.;
:;.:;,.::.,::,:;:,;,:.,;.;;.,:.;,:,::.;..:;..      ,,.:.:.::. ̄:.:.:.. .、   :;:;:;:;:;;  rァ  ,,.,:;:;:;:;:;;:;:;:;::;,.:;
:;,;.:;,:.;,:,:..;,.:.:,;.:,,;.;.:,;..:  ー-=‐''" ......::..:.:.:..:.:.:..::.:...丶            ,.:;.,:.,:,.;.,:.;,:,;.:;
:,;.;.,:.;;.;..,;.:.;,:;..;:,:,:;..    `¨ラ..:. .:. .:.: .:.:.:.: : : :..::.:.:::ヾ 、         :;,:.;,:;.;,.;,::;,.:;
:;:,:.;.:;,:.;,:;:;.;,;.:,;.:.:;,..       /.:::/::.. :i]:..:::.:::::i: .::...:.:::.::.:..:'  ヽ  . -イ    ,:.;,:.;::,;.:;
:;.,:;.;;.,;:.;,:;,::,:.:;..:..:;,:;..   ./..::/..:.:::..|A .:::::: |:::ハ::::::::::::l:l  } /   .l      :;,;:;,.:
:;,.;,...:;,:.;,:;.:,,.;..;:,;.:;;:;,.:;  厶イ::/:::::::'.ニ\::::|/○}イ:::ィ:N   .l    ノ      ,.;:,;.,.
:,;.:;.;.;;.:,;.:;,::,:::.;,:..;:,;.,:.;    |Λ:〔ト、'.ニニヽ|-ニニノイノ .ノ    }. 斗'        ::;:;,.
:;,.:,;:,:.:.;.:.;:;,:;.:,;:;.:,:,:.;:  ノ)   `}:入       /ン     ´           ;:,.;:;
:.;,:.;:,:.,::.:,:.;,:;.:,;:;.:;:    `    }Λ{:.>r--- ´l<_                   ,:,;.:;
:,;:.;..;,:;.:,;:::.;,:;.:;:   ___   r--y''"´ |   ノ    ̄二二ヽ  .  -‐'フ    .,:.;:,
:,;.:;.:,::.:,;.::,;...:;  ./    )  .|     ‘. ̄´ /   .ィ⌒ 、 ヽ'く   /    '',,::
:,;:.;.;,:;.:;,:;,:;:,;:..   l 厂 ̄   Λ     ‘. ./  .イl7    、  ` ァ        ;:.,:;.
:,;:;.:;,:;...:.:.:...:,;:,.. ヾ     イ  \    ‘ / .ィl|:|ル      \/     ,.....,:,:;.:,
:;,:.;;.......;,:;,:;.:;,,,.;:,:.,,...  く\  .|弋≧=彡□≦=-彡 、    /ム      ,..,:.;,:.;,:,;.:;
:,;.:.;;.;,:::;,:,:.;.;;.,:;:,:,:,:;..;.;,:;. \\ :|   ̄ /liノ心     〕ト、//ヽl  ,.,,:;,.:;,:;.,:;.:,:.,.:,;:

                      タ  オ  ス  


咲「ロン……! リーチタンヤオ平和一盃口赤1で8000……!」


咲 168200
淡 111000
穏  49000
竜  71800

南三局  ドラ:三索

淡(あわっ、これはちょっとやっばいかも? サキのプレッシャーが怒ったときのテル並……!)

穏乃(山は私の庭。木を愛で花を言祝ぎ川を遊び岩を撫でる。深山幽谷の中でなら!)

竜華(うぐっ、腕が重い、頭が痛い……。空気が薄い……まるで高い山の八合目や)


 淡が遅い危機感を抱き、穏乃はその力をついに目覚めさせつつある。

 その影響を受け竜華は集中を欠いてゾーンに入り切れずに無駄ヅモを引いてばかり。

 場の空気が澄んでいく……。雲を払い、大地には祝福するような陽光が降り注ぐ。

                    ,.‐:⌒:>:―:-. . .、
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   __..<⌒\::::::\ヽ: :ー!: :{, , ,     んソ彡イ: :/:/

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         ̄!: ̄::: ̄:⌒ヽ- _´二つ萬/:::/::ヽ       ): :)
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           V::::::::::::::::::::::::::::、::::::〃::::::::::::i::::::::::::::ヘ


「……っ! これは、とんでもないですねーぇ」

「山は天然の要害……。その主が相手では、わたしの陣も及ばないわ。悔しいけれど、わたしはあくまで利用する者だから」

「この圧力……堅牢でありながら熱い、いったい何が起こっているの?」

「確かに、すっげープレッシャー……。これを、高鴨さんが」

「さすがに全国、よね。天江さんに匹敵するんじゃないかしら?」

「うむ。衣もここまでとは読めていなかった。

 いささか強大な神の欠片を目覚めさせてしまったやもしれぬ」


 観戦する京太郎たちが穏乃から発せられた力の余波に慄いていると、美穂子と衣が言葉を紡いだ。

 いつの間に来たのかと驚く京太郎たちだが、当然共に来ている透華が不機嫌そうに答えた。

         /    |i:|  //|   \ \/
        i      ト、i /// |     i  ヽ
          i    i ト、ヽ//-┤    ゙、  i
          /    | |`゙/'´   |.!      丶  i
        /   ._| | /    |ハ ___  \ i
  _, -‐ ´     ∧‐{-、  、/.-f       \゙、
/ /       ノ、__゙、\   ,,==、ェ-‐       ̄ ̄\
 (      _/!.|´ ̄`:::::ヽ::::::::::  \_        )ヽ
.  ヽ    / // | :::::::::::::;:::::::::::::::::::::: _ノ \      人__,ノ
    )  i ./ノノ  丶::::::::::::::::::::::::::::::::ノ \   ゙、  /  `ー='、
-=ニi   V     /. \   ̄  _,..イ.、\  \ i  (    ヽ ゙、
--ノ   ゙、   ノ  /`コァー ´ ,.┴ ヽ_    /   \_   \ )
'´   _ ノー-、____r‐'´ > r' ´     >ー'´ ̄`ー---、\  (
-―' ´ イ       |  / 艾\____/      /  |)ノ  \
.     | i     ⊂∀二/  ヽ__\/ノ      /   |/  , ノ
.      | i   ー―----┘    ゙、 ̄_,..-- | /    .|  / (

「せっかく私が特等席を用意して差し上げていましたのに、須賀さんたちが来られないんですもの。

 ですから風越の方々を拾ってわざわざ出向いてあげたのですわ」


 京太郎は申し訳なさそうに謝罪をするが、他の面々はそれをみて微笑ましそうに笑うだけだ。

 なぜなら透華が言葉とは裏腹に自分たちと一緒にいたいのだという内心が透けて見えるからだ。



「しかし、そうなると咲の奴は大丈夫か……?」

「きょーたろー。それは杞憂というものだぞ。

 山には確かに森林限界というものがある。草木も凍えては芽吹かず、息吹無くば花咲くことはない。

          ,. '"  ,,. -‐ ''___`‐- .,,   ;ヽ;';,''          '';'';,,  ,, ,,
        /   /-‐''¨. . . . . . . ̄ ,,   ;;  ヽ  ..:::.  .: :. . .   ''  ''";'"
        ,.'    . . : : : : : : : : : : :.l: :,;'' :;,;''.       :  :  :  . .:  .      ;,
      /  . : . : : : : : :/://: : :;,: :l: :;''      .''::. :  .: .  . :   .     ;'
      ,' . . : : : : : : : :./:/!{: : :/:|: :l: ;'       : :. :  . .  . .  :.    ;''
       l ̄ 7 ̄/ ̄ ̄/l/! ll--{::::!: l! j'',,        : : .:  : .  :.:  :. . .  ;
       !_ ../..-‐.:7:`''lッl/,,l_|ヽ: l:::l:./:/;,: ';..       : .: :  : :  :::  :.' :  ;'
      ', : l: : :.l!:ト、ヽ|,,===ミ、`、!.j///,' '';;     .'  :.;   ...:  ::   :::  : ';,
      '、:ト、: :l:、!:.〉 {{ l:::():::!l::::::::::::::'丿.イ'';..   :  ::   ''  '     : ;'
.       ``/>‐:`ヘ:',.``ー‐''     '" / '',,    :               :::;'
       / : :./:ゝ.、      '  __, /  '';,    :            . ;'
.     ,. ' ' . : : /: : : :;>. ._. ` ̄-‐ ´.'  ../;    :           . ;'
.    / . : : : /: : : : /: : : :/.>.--/ . .:/: : ',   :            ;;'
.   /  . : : : ./: : ,; -‐_‐_ v_/〉:.:/ . ,: :': : : / ';  :           ;'
../  . : : ; ':/l¨¨'´ ̄ ...../: :._/. : '': : : :; ''  / ;             ;'
´ . : : ; ' /: :l:!   ..::;  ''": : : : : :;, '}::}   /  ',            ;''\
. .: : ; ',/: : : 人,, ィ'.". : : : : : :, ''"  )::l   },ィ''"l ';          ;'\  \
: : ;'/: : : : ://: : : : : : : : /\ .   /:/. -==/::|, ┴ '''       ;; '' \:\  \

 だがな――サキの腕は峰ノ上まで届くのだ。山よりも高く、誰知らずとも一輪、咲き誇る」




 衣の言葉と同期するかのように、その場にいる全ての者は天から降る幾百の花びらを幻視した。



                    /: : : : : : :/: : :/: : : : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
                      ̄ ̄ ̄¨ア : : : /: : ://: : /: : // : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
  ノ⌒ ー--‐ '⌒^ ー-     -‐…・・/ : : : /: : ://: : /: : /// : : : : , :.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::}
f《: . :   . :/      . : . : . : . : ./ : : : ; : : /{/ヘ/: : /// : : : : / : : |: : :.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.}

V》       (      \. : . : . : . :/ : : : :j{: :.rf嶺峠い/イ: : : : : :/: :イ:.i|: : :.:i.:::::::::::::::::::::::.:.:,
 ¨⌒ー '"~¨`ヽ \    \: . : . // : : :イリ.:.从 _)開ハ刈i |: : : :/ |i: :|: ||: : :.:|.::::ノ⌒ヽ:.:.:.:.:′ ,,ル'⌒

          ^\  : .   // : ィ仁|i.:/  Vし℃仆|i | : : :  |i: :|: r冖れノ^  ノ⌒廴__ノ^⌒¨´
.               丶  : .  j/{ニニ|iイ    'ー '゙  八| : : |ー─-fソ:. :.  辷?い: :.:.:. ′
                \ : . : ; {ニ二い   :.:.:  ::::::::::八: : |j埖fソ^;. :. :.fら ). : :.:.:.:/
.                   \ : .l {ニニ八       , ::::::ヽ| ヒ^爻_廴 ノノ^. . : :.:./ニニ},
                    ヽ| {ニニニニニ:、   、         ー'⌒)ソ)メ . . : :.:.:/ニニニ}}
                    | k二ニニニ/\     ー    :.:.:   才イ. : /}/ニニニニ}}
                    | |ik.ニニニ{〉  \__        イニニノ/ニニニニニニニ圦
                    | |ikikニニ{入____    ̄¨アニたニニニニニニニニニニニニニハニニ\
                  /|人kikik.ニ{    >-=ニニニニニニニニニニニニニニ=-  ∧ニニニ〉

                    《    :. トミメ{   -=ニニニニニニニニニ=-     . : . / :〉 ̄
                      j}   :.   ≫→ァニニニニニ=-ァア       . : . : . : ., :/:∧⌒L_
                  リ}     :. /ikikikヽ\ikikikikikik/      . : . : . : . : . : . : . : . : /〉

             咲「カン。――嶺上ツモ。チャンタツモ嶺上開花、2000・4000!」



咲 176200
淡 108000
穏  45000
竜  69800

南四局  ドラ:三萬

穏乃(負け、た? 親が流され、これじゃ、もう……。ごめん、みんな、ごめん!

    //|: : : : | : : // |:∧/  |/           |八∧/ \ |;ハ: : :| : : : |)〉
    |:| |: : : : | : /:   ≫去干气ト         ィ去干气≪   |: :/: : : : |\
    |:| |: : : : |: :|:::; 〃 んJ:::::::爿         トJ:::::::::::爿ヾ |:/: : : : :/ : ∧
    |:| ∨: : :乂{::::〈{  V辷七歹        V辷七歹  }〉/ : : : : /: : : :∧
.   乂 \{\: Ⅵ  とつ'⌒~ /////// `⌒とつ  /|: : //: : : : : :∧
         / `トh   /////////////////  ハl/Ⅳ: : : : : : : :∧
          { |: : :|ハ                     | ! : | }: : : : : : : : :∧
.        八|: : :l }       /~⌒^⌒^ヽ          j | : レ : : : : : : : : : ∧
        |: :从,_|      ´           `        厶イ : |: : : : : : : : : : : ∧
        |: :|  人                        人 : : : |: : : : : : : : : : : | }|
        |: :|   >                 <  |: : : :|: : : : : : : : : : : | ||
        |: :|       >          <     |: : : :|: : : : : : : : : : : | ||
        人_|       r=≦}___   T爪  {≧=ミ,   |: : : :|: : : : : : : : : : : | ||
                    |{      ̄`Y^Y´ ̄      }   | : : / : : : : : : : : : : /∥
     __          从  ー---〈 ∥---―=彡〈  ∧/ : : : : : : : : : : / /
   /     ̄¨ニ=- _幺  ー―===У===-一  r公=―=ニ¨ ̄ ̄  \:/

    私が大将なのに、みんなの想いを背負ってここに座っているのに!)

竜華(これでオーラス、うちの親……。可哀想やけど阿知賀はもうノーチャンスや。

    せやけど悪く思わんでな、これは真剣勝負なんやから。だからうちは勝ちに行くで……! 怜! 力貸してーな!)キュインッ

淡(オーラス、悔しいけどサキに好き勝手やられちゃった。それでもまだ次があるもんね。キョータローも決勝で待ってる。

  だけど、本当にこのままでいいの? 今回はリーチすらできてない……。

  阿知賀が何かやってるのは分かるけど、今はもう何も見えない。

  空を見上げればその光は全部星だった。いつもパパとママが言ってたっけ、あの光はあなたのものよ、って。

  本当にそうなの? 子供の私は疑うことなくそれを信じ、最後にはみんなから嫌われた。キョータローがいなかったら、私はずっと一人だった……)


 淡が自らの内に視線を向ける。

 一方の竜華は怜の予知を借り受け、着実に勝利へ向けて手を伸ばす。

 拮抗した力。そのせめぎ合いを制するのは、気持ち。希う想いの強さで天秤は傾く。つまり――

       /  / ::/ :::::::::::::::::::://:´ ̄::ヽ:::/ /::/   |:l |:::::::::::::::::|::::::.     i
.      /  / : ::::| :::::::::::::::/ /:::::::::> ´ /,: ′  |:l |:::::::::::::::::|::::::::.    l
     /  /...::::::::|::i:::::::::::/ァ===ミ、 ヽ /イ      .:j_|:::::::::::::::::|::::::::::.   │
.     ′.:: :::::::::::リ、:::::::;《 ん干ハ\        〃 j\:::::イ::/::::::::::::.   /|
.   / .::: ::::::::/  ∨ |  {:ト::::::ノ:'         ,ノ  /::::::ヾ }/}::::\ __/ .′
   ′::::  ::::::::{    ヽ{  ゝ:こソ        =ァ=/:::/  ソ/::::::/::\   /
  / :::::! :::::::::∧     。              ん干ハ㍉  /::::::/::::::  ヽ.′
 ′:::::::|...:::::::::::::∧__   :.:':.':.:           {:ト::::::ノ:′|} /:::/:::::::   //
/ . ::::::::i|..::::::::::::::::::::|::{              、     ゝ:こソ //彡::::::::  //
.....::::::::::i|.:::::::::::::::::::::|∧                     ヘ:/::::::  / ノ
...::::::::::::i|::::::::::::::::::::::l::::∧     「   、    :.:':.':.° ′ノ┬=ァ ´
:::::::::::::::i|::::::::::::::::::::::|:::::/ :.     ` -- ′       ,: イ: / /
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-=ニニニム::::::::::::::::::::{ニ\        /:::/::::i|:::::::::::::::::::. ,′/

竜華「っツモ!! 清一色ツモドラ2で8000オールや……ッ!!」


咲 168200
淡 100000
穏  37000
竜  93800

南四局一本場  ドラ:一筒

『倍満ツモ! 千里山オーラスでの倍満ツモで望みを繋いだあああ!!

 清水谷選手は当然続行! 千里山の夏はまだ終わらない!!』


竜華(怜……! 未来を、うちに!)

怜?(あかん、時間切れや……。やっぱ、ここまでか……。すまんなぁ竜華。私が力を出し切らへんかったから、充填が足ら)スッ

竜華(怜……? そんな! 置いてかんで、うちは一人じゃ……!)

淡(配牌で聴牌――できた。でもこれでリーチしてもきっと和了れない。

  和了れないのにリー棒を出したら負けちゃう。テル、菫先輩、たかみ先輩、亦野先輩――キョータロー!

  そうだ、これじゃない。これは私じゃない! 私の麻雀はッ!)


 穏乃による圧し潰さんばかりのプレッシャーの中。竜華の手の内から怜の偶像は溶け消えた。

 淡はダブルリーチをあえて見送り、いっそ聴牌を崩す。


淡(そう、一人じゃない。こんな私でも見捨てないでくれた人達がいる。だから、これが!)

淡「リーチ!」


 一度崩しながらも、フリテンにもならずに再聴牌。異様な卓の上での離れ業。

 彼女の一歩を固唾をのんで見守る者。運命の選択を驚愕とともに瞠る者。

                 /. . . . . . . . . . . . . . \
                 /. . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
            /. : : : : . . . . . . . . . . . . . . . . . :.ヽ

              // : : : : : : : : . . . . . . . . .: . : : : : : :゙、
           i. :.  : :/: : : : : : : . . : . : : : : :.|: : : : ゙、

           ノ, : : : // : : : : ;.ィ: : :∧: : : : : :|:   ゙、
          /イ. : : /: /: : .  :// ://  、 ;、: : |: . : : : i
           (:( i/: /: /: : : :// : //   i:| |: : : |: : :!: : |゙、
           シ;.ィ: : : : /:/ /: //    !:|/: : : :|: : :|: : | ゙、
        r;='"´//i: : : ://ーメ<_      ! /__,..」:! : | : |  ヽ,
       リ / !イ: : : ハ! .,ィ=≧ミ、    ,/._,∠二/!|: : !: :|   ノ
    ,..-:.‐:.':.´: : : ノ| : ;、'^ 〈 !;::::::::i゛    //イ!::;レ7:/i|: : !: ;! /
   i: :r―ー-‐'"/: :!: i:.丶.i ヒ二⊥  ,/ /ヲ-:!/ ;! :/:/リ

.    |: |       ノィー|: |‐-‐'゙、 """     レ′ / /: /://
 ー=ノノー---< ,.┤ |:.|    \     '     _ノ/: :/、
  '" `ヽ、: : :/  ! |:|     iー- 、` ´ _,..-‐'/: :/   ̄/7ヽ,
        \/   ゙、 !|     |    ̄,.:'.;"´: :/     // /ヽ
          /     ゙、゛、    |_  //;.イ´     //    ゙、
        /  ヽ  ヽヾ    ト、 ` i / ̄/     //       |
    r'"´      \  ト、、   ! フノ―/    /// i      |
.    ゙、.           |`i:、゛、.   i'"´   /   //::::/ i...:;    ヽ
     ゙、.          |  i::\\ i   /  //::::::::/_ //      ゙、
     |、ヽ       λ |:::::::\\! / //:::::::::::/ ̄ノ           l

淡「ロン! リーチ七対子――裏2で、8300!!」


咲 168200
淡 108300
穏  37000
竜  85500


「淡……!!」



 俺はそれしか言葉にできなかった。


 打牌一つ一つから、想いが溢れていたのが分かる。


 傲慢に他者を見下し続けたがために周囲から孤立した少女。


 それがついに孤独でないことを全身で叫んでいたのだ。


 これを見て野暮な言葉など吐けるはずがない。


 震える俺に、周りの女性たちが静かに寄り添う。


 事情を知らない彼女たちをしてそうさせる何かが、淡の麻雀には宿っていた。


 俺はただ、その場で万感の思いを噛み締め続けたのだった――――


             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /
         |' ,} \__/イ__ /
         //////////∧

        _,.{///////////|

     -=≦//////|////////≧=-- 、_
  r≦//////////////////////////////ヽ
  |//l///////////|///////////////////∧
  |/∧//////////l|///////////////|/////}
  |//∧/////////l|///////////////|/////|
  |///∧////////l|///////////////|/////|
  |//// }////////l!///////////////}/////}



というところで今日はここまでです。

このような結果になりました。途中で何度かミスが発覚し、実は投下直前まで勝負の行方が分からなかった試合でした。

阿知賀の敗因はひとえに準決勝であったこと、です。

決勝まで進んでいれば更に一段階強化される予定だったのですが……無念。


それではここまでお読みいただきありがとうございます。質問やご意見等ございましたらどしどしお願いしますー

次は何時になるのかな?
負けちゃった阿知賀と京太郎がどんな感じになるか気になる。そこそこフラグ立てて記憶が…

おつです

個人的にはすこやんの「欲しい牌が欲しいときに来るから」って台詞が気になった。
これって能力に麻雀打たされるままなのか単なる強運なのかはわかんないけど、ひょっとしたらすこやん能力と強運取り除いたらルール知ってるだけのへぼ雀士になっちゃうのかなって

>>504
あくまでこのスレのすこやんの設定ですが、淡よりも超強力な運とオカルトのせいで晴絵以外には苦戦させられることもなく、

リオ東風で初めてニーマンに稼ぎ負けた、ということにしています。直接対決では互角かやや劣る程度で負けられなかったということです。

そのことに失望したすこやんは、その後真っ当な雀士としての麻雀の勉強はしましたが強くなりすぎたために半隠居状態になった、という設定です。

ドイツ系のオカルトはウィッチクラフトかテンプル騎士系のものという裏設定にしているので……神(もしくはそれが零落した大悪魔)を殺すことはできないので。

>>503
信じられるか……? 阿知賀でフラグ構築済みのキャラ、いないんだぜ? 憧と宥がリーチですけどねw

龍の眼を得た雀士(変なポーズ)でワロタ
あとチートイが妙に多い希ガス

残るのは千里山のステだけですね・・

見てみたいです,お願いします

>>507
チートイが書きやすいのが(ry

たぶん書いた際に頭が茹っていたんだと思われます、すみません。

対子揃えてポンポン鳴いて対々和、というのが>>1の得意打ち筋ですので、つい。お察しの通り雑魚ですがw

雑魚でもノリにノッてるときなら起家で連荘重ねて9万点に到達して他家ハコらせるくらいはできるのが麻雀の面白いところですよね、みんなやろう!


2年くらいやってるけどいまだにどうそろえれば平和なのかがいまいち理解できてない俺がいる
タンヤオとチャンタと役満いくつかと清一色ホンイツしか覚えてないからまず勝てない

>>508
千里山貼って……ないですね。ついでに阿知賀も載せますー。個人には出ない彼女たちは、もう……ね。


園城寺怜         →園城寺怜(イベント後)
属性 :O        属性 :O
技量 :E28      技量 :D36
直感 :E32      直感 :D42
必然力:C50      必然力:B65
補正値:23        補正値:30
・スキル
【プリコグ】
 死の淵から返ることで身に刻まれた異能。ほんの少し未来を見通すことができる。
(効果A)
 スキルによる強制和了・放銃判定で05以下のコンマ の場合以外では放銃しない。
(効果B)
 聴牌判定値が規定値以下でもリーチをかけられる。
(効果C)
 リーチをかけた場合は2翻上昇で強制和了。
(効果D)
 任意の他家の判定値を-10。

【エクステンションダブル】
 普段は一巡先を視るだけに留めている予知能力を更に解放し、二巡先へ。
 1試合につき5回まで任意に発動可能。
(効果A)
 聴牌・和了判定値を+30。
(効果B)
 このスキルを使用して和了に至ったとき、打点下降による流局を無効にする。
(効果C)
 【プリコグ】の効果と重複する。
(効果D)
 このスキルの使用可能回数を使い切った場合、以降和了不可になる。

【オーバーロードトリプル】
 生命力を削ることで更に一歩先へ手をかける。
 1試合につき1回だけ任意に発動可能。
(効果A)
 聴牌・和了判定値を+50。
(効果B)
 このスキルを使用して和了に至れるとき、流局を無効にする。
(効果C)
 他家に和了を譲渡できる。
(効果D)
 【エクステンションダブル】の効果と重複する。
(効果E)
 このスキルの使用可能回数を使い切った場合、
 それ以降の局では技量・直感を0として計算し、和了不可になる。

  ↓

【プリコグ】
(効果D)アップデート
 任意の他家の判定値を-20。

【エクステンションダブル】
 1試合につき7回まで任意に発動可能。アップデート
(効果A)アップデート
 聴牌・和了判定値を+40。

【オーバーロードトリプル】
(効果A)アップデート
 聴牌・和了判定値を+60。

>>510
手に3枚・4枚同じ牌で構成されたパーツがなきゃいい、とでも。そもそも平和使わなくてもちょっと不利くらいですしね。
ネトマなら気付いてなくても宣言ちゃんとしてくれますから、そこから慣れればよろしいかと。

二条泉          →二条泉(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :C59      技量 :B63
直感 :C52      直感 :B60
必然力:C50      必然力:C55
補正値:34       補正値:37
・スキル
【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【短気】赤
 放銃した次の局・満貫以上を聴牌したが和了できなかった局の次局、
 判定を-10。

【対エース×】赤
 エースと呼ばれるほどの強者と対局する場合に発動。
 判定を-10。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【高一最強の誇り】
 自らを高校一年生最強の雀士であると鼓舞する意地。
 対局者に高校一年生がいる場合に発動。
(効果A)
 判定値を+5する。
(効果B)
 和了コンマが51以上のとき、和了コンマを+15し打点を+2する。
(効果C)
 和了コンマが15以下のとき、放銃判定値が半減する。
(効果D)
 素の聴牌・和了コンマがともに51以上かつどちらも1位のとき、
 自身の最低打点が満貫になる。



江口セーラ        →江口セーラ(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :B66      技量 :A72
直感 :A72      直感 :A74
必然力:B60      必然力:B65
補正値:40       補正値:43.1
・スキル
【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【対エース○】
 エースと呼ばれるほどの強者と対局する場合に発動。
 判定を+10。

【山茶花より夜空の大花】銀 (PH+三振+ハイボールヒッター)
 端役を刻むよりも大役1回で豪快に攻めることを好む気性。
 素の打点が3900以下の場合、その和了を放棄して発動。
(効果A)
 和了を放棄した次の局は聴牌が確定する。
(効果B)
 効果中に和了に成功した場合、打点が12000以上になる。
(効果C)
 素の打点が3900よりも上の場合、さらに打点を+4。
 ただし12000よりも上に上げる場合は必要打点上昇値が+1される。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。


船久保浩子      →船久保浩子(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :B66      技量 :A71
直感 :B60      直感 :B64
必然力:C50      必然力:C55
補正値:37       補正値:40
・スキル
【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【妖怪データ啜り】金 (対オカルト◎+対エース○+慎重打法+流し打ち)
 対戦相手のデータを分析することでオカルトじみた打牌にも対応できる名手。
 分析済みの対局者に対して発動可能。
(効果A)
 和了コンマで自身が2位以上の場合、研究済みの相手一人の和了判定値を-20する。
(効果B)
 ロン和了するとき、分析済みの任意の相手の放銃判定値を半減させられる。
(効果C)
 分析済みのスキルの判定値増減効果を-15できる。
 ただし全体デバフ効果には干渉不可能。
(効果D)
 対局者の研究済みのスキルの数だけ自身の和了・放銃判定を+5する。


清水谷竜華      →清水谷竜華(イベント後)
属性 :D        属性 :D
技量 :A71      技量 :A75
直感 :C52      直感 :B60
必然力:A70      必然力:A75
補正値:42       補正値:45
・スキル
【パワーヒッター】
(効果A)
 和了判定を+15。
(効果B)
 打点を+2。

【無我の境地】金
 極限まで集中力が高まることで天才のみが到れる極地。
 ア)聴牌コンマに10の倍数が出る
 イ)素の判定コンマで1位を2回連続で取る
 ウ)満貫以上の直撃を受ける
 エ)倍満以上をツモられる
 オ)跳満以上を和了する
 以上のいずれかの条件を満たすことで発動。
(効果A)
 他家から受けるデバフ効果を半減する。
(効果B)
 判定値を+30する。
(効果C)
 聴牌コンマが1位のときに和了に成功した場合、最低打点が跳満となる。

【膝枕神】
 刻を見る少女との絆の力。
 特殊イベント後に発動可能となる。1試合につき3回まで。
 使用する場合、【無我の境地】は解除される。
(効果A)
 素の判定コンマが聴牌・和了ともに80以上のとき、
 他家の強制和了がない場合は自身が強制和了。
(効果B)
 和了値へのデバフ効果を無視する。
(効果C)
 聴牌・和了コンマのいずれかが1位の場合、和了判定値を+30し打点を+3。
(効果D)
 最低打点は子の3900となる。

松実玄         →松実玄(全国時)  →松実玄(イベント後)
属性 :O        属性 :O        属性 :O
技量 :C52      技量 :B68      技量 :A76

直感 :F20       直感 :E31      直感 :D44
必然力:S80      必然力:S85      必然力:S90
補正値:27       補正値:33       補正値:39

・スキル
【阿知賀のドラゴンロード】金黒
 母に言われた“大切なものを大事に扱う”ことを一所懸命に守った証。
(効果A)
 打点が最低でも4翻になる。
(効果B)
 聴牌判定値を-20。
(効果C)
 他家の打点を-3。
 ただしこのスキルでの打点下降効果では1翻未満にはならない。
(効果D)
 和了コンマがゾロ目で和了するとき、最低打点が7翻となる。
(効果E)
 リーチしない。

  ↓
(以下を追加)
【待つ身は恋い焦がれ煤を被ろうと】
 母の言葉に囚われ逃げることを止め、身を切るような別れの先に歩む覚悟を決めた。
 任意のタイミングで発動可能。
(効果A)
 和了最終値が3位以上のとき、倍満を強制和了。
(効果B)
 このスキルを使用した場合、その試合中は【阿知賀のドラゴンロード】及び
 【待つ身は恋い焦がれ煤を被ろうと】の効果を失う。




松実宥        →松実宥(全国時)  →松実宥(イベント後)
属性 :O        属性 :O        属性 :O
技量 :C52      技量 :B68      技量 :A76
直感 :C53      直感 :B64      直感 :B68
必然力:C50      必然力:B65      必然力:A70
補正値:32       補正値:40       補正値:43
・スキル
【灰は灰に】
 母を喪ってから徐々に強まり制御不可能となった異能の力。
(効果A)
 聴牌判定値が2位以上のとき、判定値を+30。
(効果B)
 自身の判定コンマにゾロ目がある場合、打点を最大4翻上昇。
 11~33:1翻 44~66:2翻 77~99:3翻 00:4翻

  ↓
(以下を追加)
【刹那の見切り】
 研究により癖を見抜くことで攻撃の気息を制する。
 研究済みの相手から受ける自身を対象としたスキルが発動するときに発動。
 そのスキルを無効にする。

  ↓
(以下を更に追加)
【待つ身を焦がす熱を抱いて】
 心にぽっかりと空いた穴に自身の熱を奪われていたが、それでも消えない想いがある。
 【松実玄】もしくは【須賀京太郎】と同チームにオーダーされた場合に発動。
 判定値を+20。

新子憧        →新子憧(全国時)  →新子憧(イベント後)
属性 :D        属性 :D        属性 :D
技量 :D35      技量 :B64      技量 :B68
直感 :D40      直感 :C56      直感 :B64
必然力:E30      必然力:C55      必然力:B65
補正値:21       補正値:37       補正値:41
・スキル
なし

  ↓

【盗牌○】
 聴牌コンマが3・4の倍数のとき、聴牌・和了判定値を+10。

【鳴き○】
(効果A)
 聴牌・和了判定値を+10。
(効果B)
 自身の打点を-1。
(効果C)
 他家がリーチをかけて和了した場合、その打点を-1。

【速攻】
(効果A)
 聴牌判定値が2位以上の場合、和了判定値を+15。
(効果B)
 打点を-1翻することで更に和了判定値を+10できる。

  ↓
(以下を追加)
【鳴弦】
 自身の鳴きにより場の流れに干渉する。
(効果A)
 鳴きに関連するスキルの効果を+1段階。
(効果B)
 自身の判定値が3の倍数のとき、他家の判定値を-5。



鷺森灼        →鷺森灼(全国時)  →鷺森灼(イベント後)
属性 :D        属性 :D        属性 :D
技量 :F24      技量 :C53      技量 :B61
直感 :F24      直感 :C52      直感 :C56
必然力:D40     必然力:C50      必然力:C55
補正値:18       補正値:32       補正値:36
・スキル
【ボウリング打法】
 祖母に懐いた少女は幼い頃よりボウリングに慣れ親しんだ。
(効果A)
 ドラが筒子の場合、打点を最大で+3翻する。
 下一桁が3:+1翻 下一桁が6:+2翻 下一桁が9:+3翻
(効果B)
 自身の判定コンマに丸が含まれる場合、
 その個数×10だけその判定コンマを上昇させる。

  ↓
(以下を追加)
【伝説への意志】
 敬愛する【赤土晴絵】を決勝へと連れていく決意。
 【全国大会準決勝】での対局中に発動。
(効果A)
 他家からのデバフを受けない。
(効果B)
 自身の和了コンマがゾロ目の場合、跳満で強制和了。

  ↓

【ボウリング打法】
(効果B)アップデート
 自身の判定コンマに丸が含まれる場合、
 その個数×15だけその判定コンマを上昇させる。

【伝説は今ここに】  【伝説への意志】に上書き
 敬愛する【赤土晴絵】の実績を超え、更に優勝旗を捧げんとする意思。
 【全国大会決勝】での対局中に発動。
(効果A)
 他家からのデバフを受けない。
(効果B)
 自身の和了コンマがゾロ目の場合、跳満で強制和了。
(効果C)
 聴牌に成功した場合、和了判定値を+20。

高鴨穏乃      →高鴨穏乃(修行後) →高鴨穏乃(全国準決勝時)
属性 :O        属性 :O        属性 :O
技量 :F24      技量 :D40      技量 :D48
直感 :F24      直感 :D41      直感 :B60

必然力:D40     必然力:C50      必然力:B60
補正値:18       補正値:27        補正値:36
・スキル

【お祭り女】
 大舞台でのここ一番という局面での出番に燃える性癖。
 団体戦で大将にオーダーされた場合に発動。
(効果A)
 判定値を+20。
(効果B)
 南入した際に敗北が近い状況の場合、聴牌が確定する。

【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。

【スロースターター】赤
 東場の間、判定を-10。

  ↓
(以下を追加)
【???】
 未だ目覚めぬ大いなる力の片鱗。
 試合最後の半荘で南入したときに発動。局が進むごとに他家の判定コンマを-5。

  ↓
(【???】を削除し以下を追加)
【大山鳴動】
 ついに目覚めた神なる力。幼い頃よりの山遊びは自然と禊となり、巫に通じた。
 南場に発動。
(効果A)
 局が進むごとに他家の判定コンマを-8。
(効果B)
 他家の強制和了効果をキャンセルする。
(効果C)
 このスキルは自身より必然力の低い者には干渉されない。

【威圧感(特殊)】
 【大山鳴動】の効果で他家が2回ノーテンになって以降発動。
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 打点が最低でも満貫になる。


高鴨穏乃(決勝時) →高鴨穏乃(イベント後)

属性 :O        属性 :O     
技量 :C52      技量 :C52     
直感 :B65      直感 :A71    
必然力:S90      必然力:S100     
補正値:44       補正値:48       
・スキル

【お祭り女】
 大舞台でのここ一番という局面での出番に燃える性癖。
 団体戦で大将にオーダーされた場合に発動。
(効果A)
 判定コンマを+20。
(効果B)
 南入した際に敗北が近い状況の場合、聴牌が確定する。

【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

【大山鳴動・火天降臨】
 ついに目覚めた神なる力。幼い頃よりの山遊びは自然と禊となり、巫に通じた。
 南場に発動。
(効果A)
 局が進むごとに他家の判定コンマを-12。
(効果B)
 他家の強制和了効果をキャンセルする。
(効果C)
 このスキルは自身より必然力の低い者には干渉されない。
(効果D)
 自身の和了判定コンマが11のとき、倍満以上で強制ツモ和了。


【威圧感(特殊)】
 【大山鳴動】の効果で他家が2回ノーテンになって以降発動。
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 打点が最低でも満貫になる。

千里山と阿知賀のステータスはこんな感じです。

改めて見ると決勝以降時の穏乃化け物っすわ。たぶん対局することになったら京ちゃんじゃ勝てないと思います、穏乃には


ちなみに晴ちゃんは以下

赤土晴絵          →赤土晴絵(プロリーグ時)
属性 :D          属性 :D
技量 :S129(S86)   技量 :S83
直感 :S108(A72)   直感 :A72

必然力:S120(S80)   必然力:S80
補正値:76   (50.6)   補正値:49
・スキル

【トラウマ】赤
 刻み込まれた傷跡。
(効果A)
 ステータスが3分の2に低下。
(効果B)
 対局者に【威圧感】系統のスキルを持つ者がいる場合、判定値を-20。

【阿知賀のレジェンド】金
(効果A)
 判定値を+30。
(効果B)
 和了コンマがゾロ目の場合、聴牌順位4位の者からロン和了。
(効果C)
 打点を+3。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。

【対エース×】赤
 エースと呼ばれるほどの強者と対局する場合に発動。
 判定を-10。

  ↓

【阿知賀のレジェンド】金
(効果A)
 判定値を+30。
(効果B)
 和了コンマがゾロ目の場合、聴牌順位4位の者からロン和了。
(効果C)
 打点を+3。

【七転八起】
(効果A)
 局が進むごとに自身の判定値を+5。
(効果B)
 オーラス時1位でない場合、逆転に必要な最低役を聴牌する。
(効果C)
 【威圧感】の効果を受けない。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。

【打たれ強さ×】
 放銃した次の局に発動。
(効果A)
 判定を-10。
(効果B)
 連続で放銃した場合、その回数×10だけ判定をマイナスする。
 最大で50まで。

ちょろっとですが投下しますねー


行動1回目
7.誰かと出かける 竜華

        44        怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功   
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    

  1d100=68  成功



 咲や淡の試合が終わり、俺達は龍門渕さんにホテルまで送り届けられた。

 こみ上げるものが治まらない俺を見かねて一人になれるよう手配してくれたことに感謝のたえない思いである。

 龍門渕さんは目立ちたがり屋という欠点こそあれど、そういう人の心の機微をフォローする気配りが上手い。

 国広さん達が慕っているのも納得の素晴らしい人なのだと、改めて感じる。

 そうして俺は一人にしてもらい、部屋に届けられた夜食を食べ終えてからようやく人心地がついた。

 時間にして夜11時頃だろうか。

 明日の決勝戦は午後4時からのスタートだから別に夜更かししても大きな問題はない。

 むしろコンディションを整えるためにあえて睡眠時間をずらすというのも一案だ。

 とはいえ俺は気分転換を欲している。このまま寝ることもできそうにないし、部屋で一人籠るというのも性に合わない。

 なのでもはやお馴染みといっていい、散歩に出かけることとしたのだ。

 ちょうどGoTADホテルのすぐ近くには緑豊かな公園がある、昼間とはまた違った風情が楽しめるに違いない。


 そんなわけで公園にやってきたのだが……見覚えのある人影がふらふらとおぼつかない足取りで歩いているのを見てしまった。

 艶やかな腰まで届こうという黒髪、白を基調とした夏用セーラー服、程よい肉感を覚えさせるスタイル。


「清水谷さん……なんでここに」


 様子が明らかにおかしい。そして時間が時間である、女子高生が出歩いていていいとは思えない。

 だから声を掛けずにはいられなかったのだ。


「……あ、須賀君。いやー、負けてしもた。あともうちょっとやったんやけどなー?

 そんでセーラが俺がもっと稼いどけばーなんて。それ聞いた泉が同じ一年の新子よりも2万点多く失点した自分が悪いーとか……。

 うちらはそんなんしゃーないやんって言うたんやけど、3年の先輩からレギュラー奪ったのに申し訳ないとかうじうじとな。

 もう、宥めんの大変やったんよ? 浩子ももっとデータ集めてチームに貢献できたはずーとかなあ。

 みんなで悪かったとこ探しみたいになってもて、監督もスポンサー対応で居らんで。

 うちも最後直撃されてもうたからちょっと凹んでてな……。怜が、個人もあるんやから今凹んでもしゃーないやろって。

 それで気付いてしもたんよ。うちとセーラは個人戦があるけど、怜には……無いんやって。

 怜の夏は終わってしもた……。せっかく、せっかく怜と一緒に戦えるようになって、怜が力貸してくれたんに……!

 うちが負けて終わらせてもうたんや! うちが取らなあかんかった満貫を直撃されてっ!

 京太郎君とも決勝で会おう思てた! 最後のチャンスやったのに……」


 清水谷さんの嘆き。大将戦後半の清水谷さんは鬼気迫る勢いがあった。

 その一端に自分の存在があったというのも衝撃だが、怜と清水谷さんの深い絆になんと言葉をかけて良いやら分からないもどかしさ。

 最後の夏に賭ける思いが砕かれてしまった。そう吐露する清水谷さんに俺は何をできるのだろう。

 壊れてしまいそうに震える少女にかける言葉などあるのだろうか。

 あるはずがないではないか。彼女たちは力を尽くして戦い、敵わず、叶わず。

 一方の俺達は他校を圧倒しての一位通過。何を言おうと塩を塗るようなもの。

 それでも、目の前の女を放ってなど置けない。だから……。


「んっ、す、須賀君、何を……あかんて。うちのがお姉さんなんやで? それが、こんな」


 俺はただただ無言で清水谷さんを抱きしめた。

 最初こそ抵抗するようにもがいていたが、俺が力を入れて離す気が無いと分かったのか胸元に顔を押し付けてしゃくり上げ始めた。

 熱く湿るシャツ、吹き付けられる断続的な吐息。

 左腕で包むように体を引き寄せ密着させ、右腕は頭や背を撫で、ときに軽く叩く。

 お互いを強く感じながら、俺は彼女のこぼす想いに耳を傾け、相槌を打ち、受け止め続けた。






 短くも長い時間が流れどれほど経ったか。清水谷さんも落ち着き、今では恥ずかし気に顔を赤く染めそれを隠そうと俺の胸元に顔を埋めている。


「なんや、恥ずかしいとこ見せてもーたなあ。こんなん誰にも見せたことない」

「男として嬉しいですよ、こういうのは」

「ふふっ、悪い子ぉやね須賀君。怜のためにもうちが情けないとこは見せられんかったからなあ。

 うちが不甲斐ないと怜まで悪く言われてまう。それが嫌やったから、ここまでずっと気張ってた。

 でも……たまには、ええかな。っし、須賀君のおかげでだいぶ元気出てきたし、明日のためにもそろそろ帰らな」

      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::.
.    / ::::::::/::::::::::,イ::.|::::::::::::::::::::::::::::::::.
    ′::::::,′::::::/ | ::ト、:::::::::∨::::∧:::::::.
   i| \:|i__:::;|:/ 八::| _\ ::::i:::::⌒|i::::::i

   || ⌒:N:∨〔   `{   \|_|:::::::リ::::::|
.   八::::::|::!庁示ミ、   ァ芹示〕:::::/::::::::|
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 そう言って清水谷さんは顔を上げ、腫れた目元を擦りながらも俺に笑顔を向けた。

 このまま帰していいのか? いや、せめてホテルまで送るくらいはしないとダメだろう。

 そう思って声をかけようとした俺を遮ったのは――――

行動2回目
7.誰かと出かける 怜

  1d100=66 超成功


「待ちぃや、竜華」

「「怜!?」」


 園城寺怜。千里山高校の先鋒、儚げな雰囲気が庇護欲を誘う美少女。

 いつからいたのか、おそらく清水谷さんの独白はそのほとんどが聞かれていたことだろう。

 清水谷さんもそれに気付いたようで、怜と呼び捨てた俺を驚いたように一瞥したもののすぐに怜に向き直った。

 しかし、当の怜は清水谷さんを呼び止めてからは彼女を一顧だにせず、その目は俺だけを見ている。


「京、私を抱いてくれへん?」

「怜! い、いきなり何言い出すん!? まだ会って一日二日やで!?」

「怜……。全部終わってからだって言ったろ?」


 怜の爆弾発言に驚き慌てる清水谷さんである。

 一方の俺は自分でも不思議に思うほどに落ち着いていた。

 だから先延ばしにするような言葉、咎めるような言葉が自然に口を吐いて出た。

 それでも怜は俺を見据え、黙って首を縦に振るだけ。少し悲し気に微笑む。

 その笑みで俺も気付いてしまった。そう、怜にとっては全て終わってしまったのだと。

 5位決定戦こそあれど、それは興行的な都合による蛇足以外の何物でもない。

 選手としての夏は今日の敗戦で終わってしまった。それだけではない。

 怜はもしかしたらこれ以降はもう麻雀をする気はないのではないか。

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  ′: : : :: :: :: :: :代. トiv li! ,刈          トiv li! rf;}  }.|:: :: :: :: :: :: :: :: :: : : :
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:: :: :: :: :: :_:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::斗'´  !          .|  //j:: :: :: : :: :: :: :: :: :: :: :: :

:: :: :/                r ' j            /// ':: :: :ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
: / |                /             // /:: /

「私は竜華やセーラとは違う。ずるしてようやく隣に並べた程度や。せやから……」


 俺の想像を裏付けるかのように言葉を紡ぐ。

 怜は、一手先だけを読んだような打ち方をすることが牌譜で散見された。

 それがズル……つまり彼女のオカルトということなのだろう。

 それらしいことを以前の逢瀬で言ってはいなかったか。アナログ時計の針、人の血液。一巡する。

 準決勝の対局でも、最後の方はどんどんと息を荒げていった。

 麻雀がいくら頭を使うとはいえ、過剰なほどに憔悴してはいなかったか。

 つまり、怜は限定的に未来を予知できるのだ。そしてその代償が体力の消耗。

 元々が病弱だったという怜でなくても人の身には余るほど強力な異能。

 それを手に入れて初めて、親友たちと同じ舞台に立てるようになった。

 それがなければ彼女は友の隣に立つことさえできなかったのかもしれない。

 では麻雀への情熱や執着が無かったのかと言えば、違うだろう。

 友達と一緒に居たいというのも大きな理由だっただろうが、それだけで続けられるほど楽しいだけのものではないのだから。

 怜には麻雀しかないというわけではない。だからこれからどんな道でも選べる。

 それでいいのか。怜にここで麻雀を辞めさせていいのか。俺には分からない。

 分からないが、今決めてしまえるほど怜が賭けてきた時間は軽くないはずだ。

 俺は怜の瞳を真っ直ぐ見つめる。

 今にも消えてしまいそうな儚さが引き立てる魅力。壊れてしまいそうな少女に掻き立てられる欲。

 俺の腹の底がふつふつと沸き立つ。この女を逃がしてはならないと。

 怜がすっと俺に歩み寄る。そして俺の首にしがみつくように腕を回した。


「京……頼むわ。んっ」


 俺は怜の尻を持ち上げるように抱き、互いの顔を近づける。

 そうすると怜は躊躇することなく、俺の唇を貪り始めた。ちゅっちゅっと鳴る水音。当たる吐息。

 俺が怜に応えて愛撫を返すと嬉しそうな笑顔を浮かべた。妖しく香る色香が、ここが野外であることを一瞬忘れさせる。

 そんな俺に気を良くしたか、怜はさらに笑顔を深めてここまで無視するようにしていた清水谷さんへと顔を向け、誘う。









                        一  緒  に  来  る ?







 清水谷さんは答えられない。怜はそれを気にすることもなく、再び俺の唇を貪ることに集中した。

 今度は舌を互いの口内で絡ませ合う深いキス。艶やかな吐息が漏れ、俺の興奮もいや増す。


「う、うちは……うちだって……!」


 何度も口を開けては閉じ、喘ぐように呻きながらも生唾を呑む清水谷さん。

 スカートを掴むように握り、追い詰められているのが一目瞭然だ。

 俺はそんな様子を見ながらも怜のスカートの中に手を差し入れ、尻を撫でるように触り掴む。

 怜はその背筋をかるく仰け反らせ、既に瞳は熱に浮かされるように濁っていた。

 唇だけではなく、顎、頬、首筋にキスを降らせては吸い付き舐め上げる。

 そんな友の姿を見て少女の目には涙が浮かんでいる。そしてついに、掠れた声が俺達の耳朶を震わせた。

    /..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧

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   i...../...::|::::::::ト-|:{  \  ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
   |... 7..::|::::::::| |:{_     ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
   |ハ:::::::::ヽr ::y 弌       弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
   |{ i::::::::::∧〃_)::ハ        `     _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
   |{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、      :::::::::::    ´   }::::::|:::::::/::∧
   `  >へ::i :::::::::         u     /:::::::|:::::::::/::∧
         }.:.       -‐- 、        rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
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         |...::::::::>      <   八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
         |...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ        〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
         |...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉      /::::|:::::::::::|     // ⌒ヽ.∧
         |...:::::::::::::|__//     _/{:::::|:::::::::::|   //     V∧
       r―|...:::::::::::/    ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 '          V∧
.      ∧ { |...::::::::/     // ̄ ̄ 7  |:::::|:::::::::::|=-  /         V
.     / } ト|::::::::/     〃      /  |:::::|:::::::::::|  ./  /        V

          「うちも……一緒に――――――――




清水谷竜華の好感度が大きく上がった
園城寺怜の好感度がぐぐぐーんと上がった
清水谷竜華の好感度が一定以上の時に一緒に出かけるが選択されたため、絆を獲得
園城寺怜の好感度が一定以上の時に一緒に出かけるが選択されたため、絆を獲得
技量がわずかに上がった
必然力がわずかに上がった


評価

園城寺怜:私のこと、これからも好きにしてな?

清水谷竜華:怜と一緒に捧げたんや。逃がさへんよ♪


 その後、俺達は龍門渕ホテルの俺の部屋に向かった。日付はまだ変わっていなかったはずだ。

 そしてシャワーを浴び、色々あったのだ。

 最初こそ余裕のあった俺だが、途中からは怜の絶妙な攻めに押され、

 最後の方には竜華さんもそのテクニックを身に着けたのか抵抗の余地がほぼ無い状態まで追い込まれていた。

 おそらく怜は未来予知を応用していたのだろう。もしかしたら竜華さんも似たような力を持っているのかもしれない。

 それ故か二人はついに体力を使い果たし泥のように眠りについた。現在時刻は午前4時である。

 俺は最後の力を振り絞ってどろどろになったシーツやらを片付け、二人の体を応急処置的に濡れタオルで拭った。

 俺自身はシャワーで汚れを落としている。それでもいつ倒れるか分かったものではない。

 どうにかシャワーを済ませてろくに水気を取らずにバスローブを羽織った俺は、ついにベッドに倒れ込み意識を失った。

――???――

「……? ふわ~ぁ。……ってやべっ、今何時だ!?」


 見慣れぬ天上で目覚めた俺は、それに気付いた瞬間に一気に目が覚めた。

 そして時計を探して周囲を見回す。天上、という表現が間違っていなさそうな風景である。

 俺が座っているのは純日本風な屋敷の一室に据え付けられた布団。

 だが屋敷のはずなのにどこまでも続く畳と天井、その向こうに霞むでもなくはっきりと映る細い滝や青い空。

 四方から照る陽光。障子やふすま、天井があるはずなのにそれを透過して見えているのだ。

 尋常な状況ではない。

 であるにもかかわらず、俺の心は不安どころか懐かしさを覚えている。訳が分からない。

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 :::l:::::,::::ヽ::!::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::,'::::::::l!:::::::::l:::::::::::::::::::::::::::',::∨
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  \::::::::/. ,:::::::::::::!               /::::::::::::l
  /:::<  .',:::::::::::|ヽ             ィ:::::::::::::!
   >::/  /,::::::::::!  >...,       ィ ´|::::::::::::,'
 / ´  /  ',::::::::l     /` ー ´   .!:::::::::/

「お目覚めになりましたか、須賀殿」


 その声に目を向けると、そこにいたのは巫女服に薄い半透明の布を漂わせた女性。

 どこか、永水女子の滝見さんに似ている気がするのだがその顔には一切のパーツが無い。

 どうしたものかと固まった俺を見て(?)いる滝見さん風巫女だが、その視線が切られたことがなんとなくわかった。

 そしてその直後に四方のふすまが一斉に全て開かれ、これまた顔の無い巫女が四方に揺らめきながら近づいてくる。

           /|   __
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        -─……─‐-: : `∧

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 ' : : : |:l   乂 : :|  、〉:/ ミ:.:.:.:.,
 |l: : : |:l_     \|      }::|  〉:.:.:.:..
. 八: : :|:l              |::|〉/.:.:.:.:.:..`、
   \{:|i:ハ            r|::| '.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
     |:| 人            ,イ_}∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:..\
    ':}            ...:  |八:∧:::|.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:.:..
            >-<::   /  〉-}/|.:.:.:.:.:.:.:.| \|
           / ∧::   /  /  \.:.:.:.:.:.:.|   }

「準備が出来ました。須賀殿、ご同道を」


 髪形とスタイル的に狩宿さんがモデルだろうか、やってきた巫女が有無を言わせぬ雰囲気でそう俺に告げる。

 逆らってもいいことは無さそうだと直感が訴えているのに従い、俺は促されるままについて行く。


 どれだけ歩いたか分からないほどの時間が経ったような錯覚。その間も俺は何が起こっているのか問いかけることすらできなかった。

 問うたところで答えが返ってくる気がしなかったというのもあるし、

 気を逸らしたら危険だという本能からの警鐘を無視できなかったというのもある。

 そうしてついにたどり着いたのは、何の変哲もない普通の和室の前。

            /    .:      \
         ―-′|   / ,.     ヽ

      /  ....,  ノ / /    |l  |  |
.     /  / / /|爪/ /__./ :;  |   |  | |!
     ′/  . :/f⌒彡/   |ヽ/  ハ |  | :从
     |/   /.:/∧ |!Y   Ⅳ!//  !/}  |/
        . :/| | ∨          く/  ハ  }!
        | ||! ∧ト           ムイ  | /
        |リ    /  \       イ7/|| j!/       
          ーイ   />ー 、   / }ノ          
       /   `ー-  /  ヽ }ヽ               
      /               | | (                
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 その和室のふすまの両脇には薄墨さんを思わせる小柄な顔の無い巫女が虹色に輝く直剣を二振りずつ佩いている。

 そして道を塞ぐように座っているのが石戸さん似の巫女。

 この巫女だけは目と口こそないものの鼻や眉がある。この違いにどんな意味があるのか。

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「ようこそおいで下さいました。我が君はこの奥にございます。生きてお帰りくださいませ、京太郎様」

「生きて……? どういうことでs  うわっ!?」


 不穏な言葉。生きて戻れとは、つまり命の危機があるということか?

 それにこの巫女だけは俺のことを須賀ではなく京太郎と名前で呼んだ。

 事ここに至っては疑問を捨て置けず、問い質そうと声を上げた頃には既に顔が少し無い巫女がふすまを淑やかに開け放っていた。

 そして開けられたふすまの奥は光の差さない闇。しかも猛烈な力で俺を吸い込もうとする。

 突然ことに抵抗することすらできず、俺はその闇の中へと引きずり込まれたのだった。


「いったい何だってんだよ、ほんと……!」


 闇に呑まれた俺は意識を失うこともなく、僅かな浮遊感とその終わりを以てふすまの向こうの部屋だろう空間に降り立っていた。

 いつの間にか視界も戻り、数歩先に一段高い御簾で遮られた場所があることが分かる。

 耳鳴りしそうなほどの静寂をあやすように聞こえてくる寝息は御簾の向こう側からだ。

 つまり石戸さん似の巫女が言う我が君とやらがこの向こうで眠っているのだろう。

 ここまでの様子からして、今度は小蒔さんに似た顔の無い巫女がいるに違いないと当たりを付けた俺は、

 この状況への苛立ちもあり乱暴に御簾を払って眠り姫の寝所へと踏み入った。

                                  -='''':::::::::::::::>..、
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                        l,' {::::::::::::lV:::⌒从:::', }ハ 从   ノ}:イヽ:::} '}
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                         ゝ. ゝ::::::爻 ィzzァ'           ,イ:::,イ
                                ヘ::≧ゝゝ‐'  '     /=彳≧ミ
                               ゞ、:::ヘ    -‐  ,イ/\ ヾ::::ヽ`ヽ
                         , -──ァ'':::ヾー>-., .._ イ//  !¨''',::::ハ- ',
                       / ,,,ィ''"::::::彡イ  _ -イ ',∨/   / |  }:::} }!  `ヽ
                       { /:::ア'" ̄  ,.ィ  /   .V  ,イノ  ', .リ::从.}   ∨
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                        { i!     ,イ   ヘ /   /  / __,,, イ'"  ヽ {     ./
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                         ,'....,イ- 、 V   ,   ,'            }'   }  ∨
                          , イ7   `ヽ{   ,   ,'            ハ.   ,'   ∨
                      ノ ./      }',  {   {           / ハ  /
                     ,         〉゚ゝ、 ',  ',  、___. イ  {  ∨      ヽ
                     /   /       {   {ヽヽ、、≦ニニニニニミzイ   }       ‘, 、
                -‐            }.    {ニニニニニ≧''"ニニニ}.  ,'         ヽ  ヽ
            _ -‐        ,       /    )ー''"{ニムニニニニヽ.ニム.  l          `、
          イ          ,'       ,イ    /ニニ/ニマニハニニニニ〉`¨ヽ !
         ,へ          ,'     ≠.     ,ソニニ{ニニ,'ニ}ニ',ニニニアニヽ  マ
        /  ,,ム           ,'.    /    /ニ{ニムニリニ}ニ',ニニアニニニ\!       ..,。=‐- ∨
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   イイ /_イ      ヽ        ,イ  ,ィニニニニニ/ニニニニ|ニニ|ハニニムニニニニソ< ¨  !   {
           ヽ 、       -‐ "x≪ニニニニニニ/ニニニニ.|ニニ|/{ニニニムニニニニニ≧z!   {、
              ゝ -‐ '‘ イニニニニニニニニ/ニニイニニ|ニニ|/{ニニニ/ニニニニニニV   }ニヽ≧s 。_

「なっ……なんで小蒔さんだけ顔があるんだよ」


 寝所にはやや生活感が感じられる散らかりようが見られた。

 床の間には丸い鏡・淡く輝く直剣・見る角度で色の変わる勾玉が安置されている。

 そしてその手前に真白い装束に身を包んだ、小蒔さんに似た……いや、小蒔さんそのものの少女が寝入っているではないか。

 なぜ小蒔さんだけがのっぺらぼうでないのか、疑問に体が動きを止めていると、不意に小蒔さんが目をカッと見開いた。


「見極メネバナラヌ、目覚メツツアル神ノ力」

「なんだこの声、気味の悪い……!」


 小蒔さんの花のつぼみのような唇が動き発せられた声は、

 老若男女複数のものがひび割れたように重ね合わされた正気を揺さぶる不穏な音色。

 思わず軽く頭を抑え、片膝をつく。

 俺の体は、ストロボモーションのように動作の間が抜け落ちて起き上がった小蒔さんの手の届く場所。

 俺がそれに気付き小蒔さんの全身を視界に収めようと顔を上げた瞬間――――


「グッ……な、にを……!?」ググッ


 小蒔さんが伸ばした繊手が俺の首にかけられ、徐々に徐々に力が込められていき締め始める。

 いよいよ息がつまるようになったところでようやく俺の体は動かせるようになり、

 本能的な恐怖と危機感から小蒔さんの腕に痣が残るだろうほどの力を込めて外そうと掴む。

 ハンドボールで鍛えた握力はしかし、小蒔さんの腕を外すどころか痣を残すことすらできない。

 苦しみに喘ぐことすら許されぬ中、俺の視界は揺らぎながらも小蒔さんの顔を至近距離で見ることはできた。






                         泣いていた





 小蒔さんの目からは涙が一筋、二筋。能面のように固まった表情であるのに涙が溢れている。

 瞬間俺は悟った。この小蒔さんはやはり本物で、この行動は小蒔さんの本意ではないと。

 となれば操られている? 誰に、何に?

 こういう不可思議な、オカルトな状況である。小蒔さんの力は神を降ろすこと、だったか。

 つまりは小蒔さんを泣かしているのは神様か!

 俺は言ったはずだ、神を殺すのは人間だと。淡たちとの戦いの最中そう宣言したではないか。

 俺にそれができるのかという疑念は今は捨てよう。できると思い込め。ではどうすればできる?

 俺にも、異常な力があるはずだ。八重の索子が象徴する力が。

 これまで何度も俺はその力を使ってきた。最初は県大会決勝、オーラス。

 美穂子さんや優希、井上さんが驚いていたっけ。

 その試合でさらに数度。このときの俺は自らに秘められた強大な力に振り回されていたんだろう。

 それからも何度も、俺はこの力に助けられてきた。淡たちとの対局中にだって。

 ならば。

 ならば今使えぬはずがない。黄泉平坂を背にし、目前には哀しみ嘆く、助けを乞う乙女。

 視界が徐々にブラックアウトしつつある。

 気にしている暇はない。




 普段俺はどう力を使っていた?



 まずは索子だ。八索、八重垣……垣根で囲う。



 そうしてから自分だけが通れる道を斬り裂いて造る、障害を征する。



 右手に渦巻く嵐を感じる。いけるか? ……ダメだ! 右腕を振るったところで小蒔さんを救う未来が視えない。




 体が揺れる。小蒔さんの腕は、肘から先にこそ人外の膂力が込められているがそれ以外はむしろ脱力しているよう。



 直接だ。

   直接この力を小蒔さんの中に吹き込めば、

                          敵の繰糸は断ち切れる。

                                        確信した。



 心臓が五月蠅い。酸素を求めて拍動する。だがありがたい。



 この脈打ち巡る血液は、右腕に集まった力を全身に駆け巡らせるイメージの助けになった。



 俺は    小蒔さんの両頬を    掴み        引き寄せ強引に        口付けた



 閉じられた唇と歯をこじ開け、強引に舌を差し込み、唾液と共に俺の中に巡る力を吹き込んだ






「――――っ……? !? んっ、んぅ!?」


 俺が体の中で焼べ、火勢を強めて送り込んだ息吹は目論見通り小蒔さんを正気に戻したらしい。

 混乱する小蒔さんが手を離すと、俺は空気を求めて荒く息を吸っては吐いて。

 安心したせいか身体から力が抜け、密着した状態で小蒔さんを布団に押し倒す形となった。


「きょ、京太郎さん……? はわっ、く、口付けをっ……め、夫婦でないとしちゃいけないって霞ちゃんが……。

 あっ! では私と京太郎さんはついに婚ぐことになったのでしょうか!? えへへ」


 至近距離で混乱する小蒔さんも可愛いなあ、などと俺は現実逃避していた。なんとなくこれからの展開が読めてしまったからだ。

 よくよく見てみれば、小蒔さんの着ている服はやたらと薄く透ける寸前。布団の周囲にはちり紙や手拭いなども配置されており……。


「その、京太郎さん。不束者ですが、よろしくお願いします。……小蒔をあなた様に捧げますっ」


 なにより小蒔さんにこう言われてしまっては、男として据え膳を頂かないわけにもいかず。

 生命の危機に瀕した影響もあり、下半身は既に準備万端となっている。

 圧し掛かる体勢であるから小蒔さんの膝上あたりに押し付けられており、気付かれているだろう。

 なし崩しという状況にはやや不満もあるが……きっとこの不可思議な空間から解放されるには必要なことであるに違いない。

 俺はこうなったら楽しまねば損だし失礼だと思い直し、小蒔さんの胸に手を伸ばしたのだった――――

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行動3回目
7.誰かと出かける 小蒔

  1d100=83 大成功



神代小蒔の好感度がぐーんと上がった
神代小蒔の好感度が一定以上の時に一緒に出かけるが選択されたため、絆を獲得
必然力がわずかに上がった


評価

神代小蒔:えと、インハイが終わったらお父様お母様に一緒に報告……京太郎さんの御両親にも御会いしないと


8月2週  インハイ決勝

「――っ! ……あー。戻ってこれた、か」


 小蒔さんとの夢の中(?)での逢瀬を無事切り抜けた俺は、向こうで疲れ果て眠ったはずである。

 そうして気付いてみれば、ここ1週間世話になっている龍門渕ホテルの自室。

 すっかり見慣れたといってよいシックな天井、視界の下隅に黒髪が見えている気がする……。

 身体の上にやや重たさを感じながらもそれを意識的に無視し、俺は左右を見渡した。

 すると両隣に、俺に抱きつくようにして裸で眠る怜と竜華さん。良い夢でも見ているのか少し頬が緩んでいる。

 そうしてから、俺は深呼吸を一つ。改めて視界の片隅に見える黒髪へしっかりと顔を向けた。


「なんで小蒔さんがここに……」


 思わず独り言がこぼれたのは仕方のないことだろう。

 眠る三人に配慮しつつも驚愕を吐き出すギリギリのバランスだったのだから。

 というか小蒔さんも感触からして裸なのだ。どうしたものかと思いながら、俺はフリーな両手で怜と竜華さんのおっぱいを優しく弄ぶ。

 張りのある柔らかさと捩られた身が擦りつけられる感覚に癒される、女体ってすげぇ。

 そうやって現実から逃避していたからだろう、寝ている二人にかまわず揉みしだいたからかついに目を覚ましてしまう。


「んっ……おあよ、きょー」「んっ、ひゃぅっ……おはよう、京太郎くん」

「おはよう、怜、竜華さん。起こしてごめん」

「京はほんまおっぱい好きやなぁ。私のでよければいくらでも触らしたるけど――ん?」
「京太郎くんは甘えたやねえ。なんならもっかいすr――は?」


 すやすやと俺の上で眠る小蒔さんに気付いた二人である。

 それまで誘うような色気を乗せた表情なのがぴきりと固まり、徐々に能面のような表情に変わっていく。

 さて自分でもどうしてこうなっているのかはっきりと分からないのに説明ができるのか。

 チラリと時計を見れば時刻は午前7時前。時間はあまり、無い。


「それで結局どういうことなん?」

「えっと、旦那さm」
「京太郎くんな」「京やな」

「「「…………」」」

「うぅっ……だ、京太郎さんがどうしてか私達の領域にいらっしゃったので、そのまま」


 絶賛尋問中である。場所は風呂場だが。

 俺も含め四人は多少汚れが残っていたので朝風呂と洒落こんだのだ。

 やや寝不足な怜と竜華さんの目を覚ますにもちょうどいいというのもあるし、

 裸で逃げ場のない密室という意味合いも含まれているのかもしれない。

 しかして尋問であるが、俺自身もオカルトすぎて説明のしようがない上に当の小蒔さんもはっきりと把握しているわけではないため一向に進まない。

 三人ともに股間から白い体液が垂れていたので避妊薬をしっかりと(小蒔さんは渋っていたが二人が無理矢理)飲んでいる。

 その光景に少し興奮したがどうにか理性を総動員して抑え、身体を洗っているところを眺めた。


「くっ、竜華は全体的に程よく肉がついて柔こいし、お姫さんは身体はそうでもないのに胸や腰にはしっかり……」

「どうかされましたか?」キョトン

「くぅっ……こりゃ特に努力とかしてへん感じや。それでこのスタイルとか反則や」

「竜華はそれでもおっぱいおっきいんやからええやん。私なんて全部程ほどやで?」


 ……非常に理性にクる。とはいえ怜達は12時から5位決定戦があるのだ。時間に余裕はない。

 それに三人ともにチームメイトなどに行き先を告げているか不明なため、場合によっては騒ぎになっている可能性もある。

 風呂を上がったら連絡させなければ非常にマズイ状況になるだろう。


「はあ。まあ、なんや分からんけど。お姫さんが実家で寝とって起きてみたら京にディープキスされとったと」

「そんで腫れあがったおちんちんが苦しそうやったからどないすればええか聞いたらエッチしとったと」

「はいっ! 恥ずかしかったですけど、その、とっても幸せにしてもらいましたっ♪」

ギギ「――京?」「京太郎くん?」ギギ


 小蒔さんの話をどうにか要約し、そんな結論に至ったらしい二人が錆びた蝶番のような音を鳴らさんばかりに首を回してくる。


「二人と十回もして力尽きて寝たと思ったらオカルト不思議空間に放り出されてたんですよ。

 小蒔さんは明らかに何かに操られてる感じで首絞めてくるし……」


 俺は冷たい視線を向けてくる二人に事の次第を説明した。

 怜は未来視などというオカルトを身に宿しているし、竜華さんも似たような雰囲気がある。

 そうであれば自分自身俄かには信じられない不可思議な事象でも少しは理解してくれると思ったのだ。


「不思議といいますか……霧島の神域だと思いますよ京太郎さん。霞ちゃんたちが無貌というのは気になりますけど」


 小蒔さんはそう言ったきり首をひねっている。

 一方怜と竜華さんは釈然としない表情ながらも俺が嘘を言っているわけではないらしいと判断したのか複雑そうだ。


「まあ、こういう男に惚れて身も心も捧げたんは私ら自身の意思やし」

「好きになってもうたんや。京太郎くんならもうチームメイトにも手ぇ出しとるやろから、うちと怜だけの人になってくれへんのも承知の上や」


 酷い言われようだが全くもって否定のしようがない。ここは話を逸らしてしまうのが得策。


「そういえば皆さんはチームメイトに連絡とかしないで平気ですか? 外泊したわけですけど」


 俺の出した話題はクリティカルだったようで、怜と竜華さんはバッと顔を見合わせ風呂から飛び出ていった。

 音からしてハンガーにかけてある制服に飛びついて携帯を確認しているのだろう。

 小蒔さんはのほほんとしているが……俺達が二人を追うようにゆっくり脱衣所に戻り体を拭いていると、

 大慌てで電話をしているような声が聞こえてきた。


「小蒔さんは石戸さん達に連絡しないで大丈夫ですか?」

「霞ちゃんたちならもうすぐ迎えに来るはずですから」


 そう言って微笑んだ小蒔さんは可愛いながらも、どこか超然とした住む世界の違う人に見えた。


 運がいいと言えばいいのか、怜と竜華さんは誰に見咎められることもなく龍門渕ホテルを脱した。

 今更だが、無断で宿泊者以外を泊めるというのは宿泊費を詐取したようなものなのだ。

 正直龍門渕さんやホテルから注意される可能性は低くない。

 龍門渕さんにはただでさえ色々お世話になっているというのに申し訳なさがマッハだ。

 ……それに気付いた俺だが身動きが取れずにいる。龍門渕さんに今からでも謝罪しに行くべきだというのに。

 なぜ動けずにいるかというと――


「えへへ、愛しい殿方と一緒に居られるってこんなに幸せなんですね♪」


 そう、小蒔さんである。小蒔さんに左腕を取られ、憐れな俺の左腕は小蒔さんの柔らかな双丘にがっしりとホールドされているのだ。

 そんなときである、インターホンが鳴り、俺が内線で出ると訪問者の存在を告げられた。


『京ちゃん……? なんか永水の石戸さんがロビーに来てるらしいっすけど』

「石戸さんが。分かった、すぐ行く。……ということで小蒔さん、お迎えのようですから行きましょうか」

「むぅ、霞ちゃんもう来ちゃいましたか。ちゅっ」


               ぐ る ん


「!?」


 小蒔さんを促し立ち上がろうとした瞬間である。唐突に小蒔さんが唇に吸い付いてきた。

 ちゅっというリップ音とともに俺の体から少し力が抜ける感覚がしたかと思えば視界が暗転。

 気付いた時には俺と小蒔さんはロビーにいくつもある応接ソファーの一つに身を沈めていた。


「――……は? え、な、え?」

「霞ちゃーん、こっちですよー!」


 混乱の極みに落とされ周囲を見回し狼狽する俺。

 一方小蒔さんは何事もなかったかのように平然としており、見つけた石戸さんを呼びつけている。


「姫様、お迎えに上がりました。……その御様子ですと首尾よく本懐を果たされたようで、おめでとうございます」

「もう、霞ちゃんったらそんな堅苦しい言い方しないでいいじゃないですか!」

「拙は御身の盾なれば。ご理解くださいませ」


 石戸さんってこんな喋り方だったか? 小蒔さんのこともちゃん付けで呼んでいたはず。

 疑問に思った俺だが、石戸さんの他にも同行者が数名いることに気付いた。

 一様に鼻から上を隠すような白い面を被った男女が2名ずつ。

 石戸さんは明らかにその4人を意識している。小蒔さんは姫と呼ばれているのは永水女子の面々を見ていれば分かることだ。

 そして神代家はおそらく一千年以上、彼らの主張を信じるなら三千年近く前から続いている家柄。

 時代錯誤な身分制度的なものが家中には残っているのかもしれない。

 そして御付の4人はチームメイト達とは違ってそういった礼儀作法などに五月蠅いのだろう。

 面で分かりにくいが、良く観察してみれば男女は若い人でも40歳ほどに見える。

 さすがに石戸さん達の親ということはないだろうが……いかにも粗相は見逃しそうにない雰囲気だ。

 ちなみにそんな彼らは俺を最初に一瞥しただけで以降は居ないものとして扱っている。

 種馬にかける情も言葉もない、という考えが脳裏に閃く。……神代やばい。

 俺が内心慄いている間に話は済んだようで、小蒔さんは俺に身体を擦りつけるのを止めて立ち上がった。


「それでは京太郎さん、また近いうちにお会いしましょう」


 そう言って嵐のようにやってきた姫巫女は去って行った。


『皆さまこんにちわ。お昼のニュースです。まずは現在開催されている全国高校生麻雀大会のニュースです。

 昨日行われた準決勝、注目の白糸台高校と臨海高校はそれぞれ別卓で――』


 小蒔さん達を見送った後、俺はさっそく龍門渕さんにアポイントを取って謝罪に向かった。

 俺からの突然の謝罪に龍門渕さんは首を傾げ、意味を理解したのか次第に顔を赤く染めた。

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 その後しどろもどろになってなんやかやと言っていたが……どれも耳に痛い言葉であった。

 そうして30分ほどお説教を賜り、無事俺は赦免されたのだ。

 そのせいもあり朝食がやや遅れてしまい桃子達に怪しまれはしたが夕方から試合という日。

 些細なことと割り切ったのか決勝への対策に話題は移って行った。

 そのままミーティングを続けて時刻は11時30分、休憩ということでテレビを点けたのは誰だったか。

 ちょうど点けたチャンネルで昼のニュースが始まっていた。


『――決勝は前年度王者の白糸台高校、前年度準優勝の臨海高校、

 そして長野からのダークホース清澄高校と在野の虎チーム須賀となりました。準決勝の収支はこのようになっています』


 1位 須賀 京太郎 (須賀)(一年)  +87,700   21位 渋谷 尭深  (白糸台)(二年)  + 3,600
    
 2位 薄墨 初美  (永水)(三年)  +82,700    22位 宮永 咲     (清澄)(一年)  + 2,800
    
 3位 染谷 まこ   (清澄)(二年)  +49,100    23位 船久保 浩子(千里山)(二年)  - 1,700
    
 4位 宮永 照  (白糸台)(三年)  +41,400   24位 岩舘 揺杏  (有珠山)(二年)  - 3,800
    
 5位 荒川 憩  (須賀)(二年)    +36,800   25位 鷺森 灼   (阿知賀)(二年)  -13,000

 6位 真屋 由暉子(有珠山)(一年) +33,700   26位 桧森 誓子 (有珠山)(三年)   -15,800
    
 7位 東横 桃子  (須賀)(一年)  +32,500   27位 松実 玄   (阿知賀)(二年)  -16,600
    
 8位 松実 宥   (阿知賀)(三年)  +32,400   28位 亦野 誠子  (白糸台)(二年)  -17,500
    
 9位 原村 和    (清澄)(一年)  +32,200   29位 弘世 菫   (白糸台)(三年)  -24,400
    
10位 南浦 数絵  (須賀)(一年)  +28,900   30位 霜崎 絃   (須賀)(三年)    -30,400
    
11位 清水谷 竜華(千里山)(三年) +24,100   31位 片岡 優希  (清澄)(一年)    -30,800
    
12位 ネリー・V  (臨海)(一年)    +23,000   32位 高鴨 穏乃 (阿知賀)(一年)  -32,100
    
13位 ハオ・ホェイユー(臨海)(一年) +20,200   33位 狩宿 巴   (永水)(三年)    -33,300
    
14位 竹井 久    (清澄)(三年)   +15,900   34位 新子 憧   (阿知賀)(一年)  -33,700
    
15位 江口 セーラ(千里山)(三年)  +14,200   35位 滝見 春    (永水)(一年)   -40,900
    
16位 雀 明華    (臨海)(二年)  +12,200   36位 石戸 霞    (永水)(三年)   -50,600
    
17位 辻垣内 智葉 (臨海)(三年)  + 8,900   37位 本内 成香 (有珠山)(二年)   -52,800
    
18位 神代 小蒔   (永水)(二年)  + 7,100   38位 二条 泉    (千里山)(一年)  -57,100
    
19位 園城寺 怜 (千里山)(三年)  + 6,000   39位 獅子原 爽  (有珠山)(三年)  -60,100
    
20位 大星 淡   (白糸台)(一年)  + 5,200   40位 メガン・D   (臨海)(三年)    -86,000


『準決勝に出場した40人の選手のうち三年生が15人、二年生が11人、一年生が14人という内訳です。

 例年と比べ一年生の割合が高くなっており世代交代が――』


「わたしだけマイナスというのも情けないわ」

「薄墨さんが絶好調やったからしゃーないですよーぅ」

「確かにあの役満連発は……。真屋由暉子も本物でしたし」

「そんな人を抑えて収支一位の京ちゃんは何なんっすかね?」

「俺かよ! いや、調子良かっただけだって」


 そんな俺達のじゃれ合いである。昨晩の顛末などおくびにも出さない。……勘の鋭い彼女たちは察しているかもしれないが。

 その間にもニュースは進み、これから行われる5位決定戦の見所だとか、決勝のプレ解説などが行われる。

 新欧州共同体でのテロ問題などの深刻なニュースも聞き流しながら、俺達は準備を重ねる。

 そしてついに決戦の時間がやってきた――――

――卓戯館エントランス――

「午後3時、試合まであと1時間だな」

「京ちんの出番は夜の8時くらいですけどねーぇ♪」


 俺がエントランスで感慨深げにモニターを見上げて呟いた言葉に憩さんが反応して茶々を入れてくる。

 憩さんは先鋒。つまり俺の言葉通り1時間後に出番なのだが……だいぶ余裕そうに見える。


「余裕そうだ、なんて思ってるのね京太郎さん。よく見なさいな」


 俺の内心を見透かした絃さん。少し驚きながらも促されるままに憩さんをじっと見つめる。

 いややわーぁ、と笑いながら手を動かしている憩さんだが……確かに少しぎこちない気がする。

 いや、やはり僅かにだが肩を震わせているのが分かった。つまり憩さんだってしっかり緊張しているということだ。


「憩さん、気付けなくてすみません」ギュッ


 それに気付いた俺は申し訳なさと不甲斐なさに苛まれるが、そんな自己嫌悪はさておき謝罪しながら憩さんを抱きしめた。


「ふぇっ!? ちょ、ちょっと京ちん、こんな人前でいきなり――」

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          |ハ  }ァ'./ {   `ー-ゝ、レ_∠≠=- ´ /   . :/ l|     ト:l | l: :ハ|
          | ∨} j |l|      {_j} /    / イ  Y ヾjl;     |::|Ⅳ}/ }|
              / / イ 八l      /:/:::Y    // l |/    Y      |::l / リ|
               l〃/l|   \   {::八::::}    /    |ハ|    }   ;/ |::|  /|

「全くです。公衆の面前でいちゃいちゃしないでくれませんか京太郎くん」

「こら和、邪魔しちゃダメじゃないの」

「そういう部長だってさっき怖い顔してたじょ……」

「優希、やめときんさい。嫉妬に狂う女は蛇より怖いけぇ」

「誰が蛇ですって?」

「部長でしょう」


 狼狽しながらも嬉しそうに頬を緩めた憩さんだが、それに水を差すように冷たい言葉がかけられた。

 俺がその声に振り向くと、和だった。そしてそれを窘める久さんにツッコミを入れる優希と染谷先輩。

 笑いながら怒るという器用な表情で染谷先輩を睨んだ久さんに、和はしれっと追撃。

 懐かしさすら覚えるやり取り。――彼女たちがこれから戦う相手。


「咲は――」

「ここだよ京ちゃん」


 姿の見えない咲を探して視線を彷徨わせると、果たして本人から声を掛けられそちらへと視線を向ける。

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                           「楽しそうだね、京ちゃん」


 ぞっとするほど冷たく重い声。思わず俺は憩さんに回していた腕を解いて一歩後退った。


「っ、楽しいさ! 最初の頃はぼっこぼこにされてたけど、そんな俺でも強くなった。

 そして高校生の頂点を決める場所にまで上り詰めたんだぞ。みんなのおかげさ」

「そっか。――言ったよね、私は京ちゃんも倒すよ」ゴッ


 言葉に一瞬詰まるが、それでも俺は楽しいと咲に告げる。本心からの言葉でなければ何も言えなかったかもしれない。

 しかしそんな俺を見て咲からのプレッシャーはさらに増す。いっそ物理的な圧力すら感じるほど。


 そんな重い空気を切り裂くように。

                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \

           ,          /         \
.           /     .   /            ヽ
           ′     / /              `、
.          .' /   /,     // /|   |       `
         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕

「キョータロー! へっへっへ、淡ちゃん只今参上!

 まぐれとはいえ私に勝ったくせに、なにビビッてんのそんなぺったんこに」


 訂正。矛先が変わっただけで重い空気は継続、むしろ倍化しました……。

            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、

////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\

//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧
「おいィ!? 淡さんそこは空気読もう!?」

「や! この淡ちゃんが好きなキョータローはそんな情けない男じゃ……ない……? やっぱへたれなのもキョータローらしっかな」

「淡ちゃん、そういうのは優しいって言ってあげるのが女の甲斐性っすよ」

「モモ」

「夜は優しいだけじゃなく荒々しいのが京ちゃんっすからね!」

「うっ……ちょ、ちょっと先行してるからって負けないんだからね!?」

「ほほぅ? 遠距離恋愛は寝取られるまでがセットっす」

「だったら引っ越すし!」


 淡のあまりの発言に思わず妙なリアクションで返してしまった俺である。

 さりげなく俺を好きだと言っているが……気付いているのだろうか。

 そんな淡に諭すようにつっこむのが桃子だ。いや、からかいにかかっている。

 そんな二人がキャーキャーとじゃれ合う様に咲も毒気が抜かれたか、威圧感が収まっている。


「こら淡! どこに行ったかと思えば……。弘世先輩が呼んでたから早く来い」

「え、スミレが!? やっば、モモ、勝負はお預けだよ。キョータローもまたね!」


 女性にしてはかなり短い髪をした亦野さんが淡を呼びに来たらしく、それに従い淡は風のように去って行った。

 相変わらず台風みたいな奴である。

 なんともお開きといった空気になり、俺達は互いの健闘を誓ってわかれたのだった。


『テレビの前の皆さまこんにちは。

 1半荘5回戦で行われた5位決定戦は


 5位  永水女子高校    17万5600点

 6位  阿知賀女子高校  16万 100点

 7位  千里山女子高校   5万6000点

 8位  有珠山高校         8300点


             という結果となりました』



 1位  松実 宥     +55,200   11位  新子 憧     - 7,400
    
 2位  石戸 霞     +51,900   12位  鷺森 灼     -11,200

    
 3位  真屋 由暉子  +49,200   13位  岩舘 揺杏    -14,900
    
 4位  神代 小蒔    +44,200   14位  船久保 浩子  -17,100
    
 5位  江口 セーラ   +22,900   15位  薄墨 初美    -20 900
    
 6位  高鴨 穏乃    +21,300   16位  桧森 誓子    -22,500
    
 7位  園城寺 怜    +14,000   17位  清水谷 竜華  -30,100
    
 8位  松実 玄     + 2,200   18位  二条 泉     -33,700

    
 9位  狩宿 巴     + 1,000   19位  獅子原 爽    -43,100
    
10位  滝見 春     -   600   20位  本内 成香    -60,400



『解説の三尋木プロ、この試合の総評をお願いできますか』

『はいよ。

 まずは先鋒戦からかねぃ。

 先鋒戦の収支は


 神代小蒔>>園城寺怜>松実玄>>>>>本内成香


                                   なわけだけど。

 オーラスにお姫ちゃんが親三倍ツモで3位から一気に捲ったからねぃ。

 ツモ5回ロン4回で本内ちゃんが放銃を3回押し付けられちゃったのも大きい。

 11600・18000・8000とことごとく高めに振ってる。

 先鋒としては役者不足だったと言うしかない。

 園城寺ちゃんは安定してたから及第点。オーラスを止められてれば満点だったけど、それでも結果には影響ないからねぃ。

 松実妹ちゃんは悪くなかったがドラが手に入りやすい分警戒された。

 団体みたいな持ち点の多い場では高火力で飛ばすというのも難しいからちょっと相性が悪かったんじゃね、しらんけど。


 次は次鋒戦。

 松実姉が大暴れだった。10回の和了中5回を占め、一番安いのが子の5飜で8000点。

 親の30符4飜は11600だから点数的にはね。他の和了も親子跳満。気持ちの入ったいい麻雀だったよん。

 狩宿ちゃんは+1000点と、暴れる妖怪を上手くいなして次に繋げた。役割的には文句なしなんじゃね。

 桧森ちゃんも頑張ってはいた。でも持ち点が少なすぎて逸ったところを狩宿ちゃんや松実姉にカモ撃ちされてたねぃ。

 んで二条ちゃん。まあ、どんまい? わかんねーけど気負いすぎなんじゃねーかな。

 他が三年で一人だけ一年。

 とはいえ今大会は須賀京太郎・真屋由暉子・原村和・大星淡・宮永咲・東横桃子・南浦数絵・高鴨穏乃、

 外国人だけどネリー・ヴィルサラーゼやハオ・ホェイユー。

 実に10人もの大物一年が生まれた大会だ。一年だから活躍できないなんてのは言い訳になっちまう。

 インターミドルでは原村ちゃんと並んで世代トップを争う逸材だっただけに意識せずにはいられなかったんじゃねーの。

 なんだな……化け物共に真っ向からぶつかれるほど人間は強くないんだよねぃ。

 女子に対する男子も同じだけど、きっちり基礎を鍛えていればいずれ実力で勝負できるようになる。

 悔しいだろうけど今しばらくは雌伏の秋だと思って我慢するっきゃないと思うぜぃ』


『んで中堅戦。

 ここでは江口ちゃんが一人勝ちだった。

 とはいえ+22900で三人は-600・-7400・-14900だから……。

 高火力型のエースと言うにはちょっと物足りないかもね、しらんけど。

 黒糖ちゃんは先に言った通り-600で形勢を維持したままポイントゲッターに繋ぐという役割をきっちり遂行した。

 新子ちゃんとの鳴きの連携で上手く勢いを殺いで見せたのは見事だったねぃ。

 その新子ちゃんは黒糖ちゃんに体よく利用された、と言うべきか。

 開幕満ツモこそしたが、その後は翻弄されて放銃させられたりと……。

 センスはあるからもうちょっと経験積めば化けるかもね、わかんねーけど。

 んで岩舘ちゃんだけど……良い所なしだったのは残念だ。

 場の勢いを作っていた江口ちゃんが持ち点の少ない岩舘ちゃんを狙えないおかげで生き残ったと言えるねぃ。

 黒糖ちゃんも岩舘ちゃんが振らないように鳴きで調整してる場面があった。

 本人は気付かずのびのび楽しんで麻雀してたのが救いかねぃ、しらんけど。


 そして副将戦。

 真屋ちゃんが気を吐いたってとこか。

 2200点の崖っぷちから約5万点を稼いで望みを繋いだから、見所としてはばっちりだったんじゃね、しらんけど。

 一方のロリ巫女ちゃんは完全にメタられててご愁傷さま。

 鷺森ちゃんが頑張ってたんだけど完全に真屋ちゃんに押し負けてサンコロ。

 目の隈も凄かったし……準決勝敗退で相当堪えたっぽいねぃ。

 最後を除いて冷静に対処してただけに、続行からの6400放銃が痛かった。

 船久保ちゃんは分析してもデータを超えてくる相手の厄介さに最後まで苦杯を舐めさせられ続けたね。

 技量は十分で運も悪くない。それでここまで押されるんだから麻雀の奥深さって奴を証明してくれてると思うよん』


『最後は大将戦。

 おっぱい巫女ちゃんが準決勝の敗因をきっちり修正してきた、って感じだねぃ。

 防御を捨ててのガン攻めで序盤を支配した。その甲斐あって優勢に持ち込めた。

 終盤は高鴨ちゃんが圧倒的な支配を見せてくれたけど時すでに遅し、だったよん。

 清水谷ちゃんは終始惜しいラインで動いてたんじゃね。

 点差が点差だから大きい手を狙って……結果他家に掠め取られた。

 終盤の高鴨ちゃんの支配にも唯一真っ向から対抗できていたけど、

 5万点の差をひっくり返すためには手が足りなくて和了を蹴って手替えに走ってた。

 獅子原ちゃん? あの子は今回ダメだったよ。怖さもないし上手さもない、完全に蚊帳の外だった。


 試合全体を通して見ると、安定して強かった永水と阿知賀、

 次鋒と副将での失点が響いた千里山、副将以外論外な有珠山って感じだねぃ。

 突出した戦力が居ても枚数が揃っていないと谷間を抉られて勝ちを逃す。

 プロチームでも良く見られる敗着だよん。うちの横浜とかね……。

 チームを構成する選手の実力がそれぞれ場の最低水準に到達できているかどうか。

 できていたとして突出した実力者に相対した時に凌ぎきれるか。

 永水と阿知賀はその辺を上手くこなした、チームとしての完成度が違ったってことだねぃ。

 千里山は長らく強豪、名門として君臨してきたからイレギュラーを取りこぼしてるんじゃねーかな、しらんけど。

 有珠山は悪いが論外だ。優勝を目指すんだったら前三人をもっと鍛えないと。

 準決勝まで勝ち抜いたのは見事だし、真屋由暉子の知名度稼ぎというのが目的なら十二分に達成したけどねぃ。

 確かもう大手の芸能事務所やプロチームが接触してるんだろ?

 あたしは畑違いだからあんま言えねーけど……芸能界は怖いとこだよ』


『ありがとうございました。時刻は15時45分です。15分後に、いよいよ夏の終わりが始まります。

 高校生の熱い想いを賭けた団体戦決勝、皆さまお見逃しなく。実況は私針生えりと解説は三尋木咏プロでお送りしました』

というところで今回はここまでです。

お読みいただきありがとうございました。

ご質問・ご意見等ございましたらどしどしお書き込みいただければ嬉しいです。

それではまたー

乙!
あいかわらず面白いぜ!
姫様を抱いたおかげで京ちゃんのオカルトは最終段階まで行ったのか?

>>562
解放フラグが立った状態です。この状態でもう一回試合中に発動させた上で敗北確定になったら覚醒します。

団体戦で完全覚醒せずとも個人戦時には対照や対覚醒憩などの超強敵相手に敗色濃厚となった場合には……。

まあ発動するかはお楽しみに、というところでございますれば。

楽しんでいただけているようでなによりっす。面白いと言っていただけると嬉しいですぜ。

>>563
成る程、完全覚醒は個人戦になりそうだな
ああでも団体戦の相手に咲さんが居るから団体戦で覚醒するかな?
とりあえず次の更新楽しみにしてる

まだ大将戦書き終っていないのですが二週間経っちゃったのでやっていきますー

>>565
咲さんのスキルは面倒なんでちょくちょくミスがあったので厳密に適応しなおしてみた結果、割を食ったキャラが一人……


『皆さまこんばんは! いよいよインハイ団体戦も決勝戦です!

 時刻は現在15時55分。実況は私福与恒子と解説は小鍛治健夜プロ(40)でお送りします!』

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|_:::」 :::i::::|-‐ヘヽ    `ァ‐ャ┬‐- :、:|イ.:::/   |:::|          |   rv‐,   {
. . ..|:::::| ::!  _乂     ,′ V》.. .. .ハノ.:/   j::;′        |   |/l/  |
. . ..乂:ト、|   `    ´ ̄   }..》.. . . .V    /'′        }   o o   (
. . . . .《{. |              |..》. .{. j .}           \     )       (
. . . . . 《{`Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y´|..》.. .Y..│    \\   \ \`Y⌒Y⌒Y´
. . . . . . 《{ 爻=====}><{====|.》 . . } . |   \   \\    \ \

『アラサーだよ!? 私まだアラサーだから! さすがに一回り上って言われたら見過ごせないからね!?』


『健やかじゃない小鍛治プロも今日はこんなに元気いっぱい、決勝戦を楽しみにされていたようですね』


『えっ、いや確かにそうだけど……なんか納得いかない……』


『なにせ今日の大将戦には注目のイケメン男子が登場しますから! すこやんもロックオンしてたんだね~』


『違うよ!? そういう意味で楽しみにしてたんじゃないから!』


『でもイケメンですよ?』


『まあ、確かにそうだけど……って違う! こーこちゃん、いい加減にしないと怒るよ?』


『割と怒っていたような……コホン。えー、そんなわけで我らふくすこコンビがお送りする決勝戦。
もう間もなく先鋒戦が開始されます。

 先鋒戦の出場選手は準決勝AA卓1位通過のチーム須賀から、荒川憩選手!』


『前年度インターハイ個人2位の実力者だよ。

 大阪地区で出場せず長野地区での登録というサプライズはあったけど、実力は順調に伸ばしているみたい。

 二回戦でチャンピオンの宮永選手に力負けしたから、そのリベンジなるかってところに注目だね』


『同じくAA卓2位通過の臨海女子高校から、辻垣内智葉選手!』


『この子も前年度インターハイ個人で3位に入賞した実力者。

 去年の臨海女子の件もあって今年から導入された先鋒日本人限定ルールによる抜擢かな。

 実力だけで言えば去年から臨海女子では確実に五指に入ってただろうけど学校の方針で選出されなかったちょっと不遇な子。

 ここ数年間の世界ランクでは日本人は揮わないけど、だからって日本が実力的に劣ってるわけじゃない。

 私はちょっと臨海女子の方針は好きじゃないかな……。

 それはさておき、辻垣内選手も高校トップクラスの打ち手。宮永選手との対局は見所として十分だよ』


『続いて準決勝BB卓1位通過の清澄高校から、片岡優希選手! おなじみのマントを羽織って堂々の入場!』


『この子は他3人と比べると劣るけど、面白い子だね。

 東場の勢いに限って言えば十分通用するレベルだと思う。ただそれはつまり竜頭蛇尾ってことなんだ。

 失速してしまったらそこを逃してくれるほど甘い卓じゃないから、いかに凌ぐかが彼女の戦いだよ』


『そして最後ォ、BB卓2位通過は前年度王者白糸台女子高校から、絶対王者宮永照選手!』


『言わずと知れた高校生最強の選手。プロでも即戦力として通用するだけの実力を持っているよ。

 ただ開始すぐは慎重に相手を見極めようとするから、そこが唯一の弱点だね。

 団体戦では問題にならないけど、個人戦では他家が役満でもロンしちゃったら終わりだから。

 その辺の対策ができれば世界で十分やっていける逸材だと思う。楽しみな選手だね』


『『『『よろしくお願いします』』』』


『起家は片岡選手、白熱の決勝戦、開始だー!』


荒川憩
属性 :O
技量 :A76
直感 :A77
必然力:A75
補正値:47
・スキル
【ラックトランスフュージョン】金
 失われた運気を回収し、自らに注入していく異能の力。
 他家が和了する度に発動。
(効果A)
 和了判定値を+5。
(効果B)
 打点を+1。
(効果C)
 親で連荘した場合、連荘するごとに上昇した分が2段階ずつ戻る。

【鎮静の笑顔】銀
 凄惨な現場でも冷静に、患者を安心させるための微笑みを忘れない。
 聴牌判定値が1位の場合、他家のスキル効果を受けない。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。


片岡優希(全国時)
属性 :O
技量 :E32
直感 :B61
必然力:B60
補正値:35
・スキル
【東風の神】
 名前にタコと付くものを取り込むことで自身の力を一時的に高めることができる。
 タコと名の付く物を食べた直後の対局時、東場の間のみ発動。
(効果A)
 場決めコンマに+50。
(効果B)
 聴牌判定値を+15し、和了判定値を+40する。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+30・打点を+1する
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが2枚以上乗る。
(効果E)
 南入した場合、判定を-5。


辻垣内智葉
属性 :D
技量 :S81
直感 :A72
必然力:B60
補正値:45
・スキル
【安定感◎】
 判定コンマを35以下の場合は35、75以上の場合は85として計算する。

【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。

【抜き打ち】銀
 研ぎ澄まされた集中力は一瞬の隙をも過たず斬り捨てる。
(効果A)
 自身の素の聴牌・和了コンマが共に1位の場合、ロン和了する。
(効果B)
 効果Aによって和了したときに聴牌・和了コンマが共に4位の者が存在した場合、
 その者から満貫以上で出和了りする。

【鞘当】金
 他家をけしかけ、利用する戦術。
(効果A)
 【威圧感】を受けているかつ自身より技量の低い他家の聴牌・和了判定値を±20。
(効果B)
 和了を放棄して和了順位3位に譲渡できる。
 この場合、放銃者を自身より技量値が低い者から自由に選出できる。


宮永照
属性 :O
技量 :S84
直感 :B60+14×3=S102
必然力:A75
補正値:41→56
・スキル
【照魔鏡】金
 東一局0本場を和了せずに経過した場合に発動可能。
(効果A)
 次局以降、自身の直感を相手のスキルの数×3プラスする。
(効果B)
 相手の金以下のスキル効果を無視する。
 虹スキルの場合は自身が受ける聴牌・和了阻害効果を半減する。

【連続和了】銀
 聴牌に成功した場合に発動可能。
(効果A)
 聴牌・和了判定を+100。
(効果B)
 和了に成功した場合、1回目の和了は最低点(1000点)となる。
(効果C)
 2回目以降の和了時、直前の和了を20符or1翻上回る打点となる。
(効果D)
 和了するごとにスキル補正が-10。
(効果E)
 既定の打点を下回った場合、次局以降の判定値プラス補正を
 下回った打点段階×10だけ減算する。
(効果F)
 連続6回目の聴牌に成功した場合、跳満で強制和了。
(効果G)
 効果Fが発動した場合、効果Aは失われる。

【金剛環】虹
 自身のスキルを解除することで発動できる。
(効果A)
 自身のスキルを解除し続けた局数×2翻で強制和了。
(効果B)
 チャージ中に和了を放棄した場合、その局加算されるチャージ分は+2となる。
 放棄した和了の打点が満貫以上だった場合は+3となる。



照:14個分アップ


優希・照・智葉・憩  の順


1半荘目

東一局  ドラ:白

憩(さて、前回はこてんぱんにされてしまいましたからねーぇ。京ちんからも行ってきますのちゅーしてもろたし……リベンジせなな。

  とはいえ今回は揃わなさそうやけど)トン

優希(むー、チャンピョンは最初は動かないのは前回通りみたいだじぇ。だから攻めるなら今なんだけど……手が悪すぎ)

智葉(宮永照以外は手が悪い気配……。かくいう私も九種九牌のほうがマシな有様。無理に攻めてみるか……?)


照「聴牌」

「「「ノーテン」」」


優  99000
照 103000
智  99000
憩  99000


東二局流れ一本場  ドラ:二索

智葉(……ダメか。自分で和了れないなら他を支援したいが)

優希(今度こそ!)

憩(宮永さんももう聴牌してますよねーぇ? でも、この手なら押せば満貫が見える手……通れ)タンッ

照「ロン。タンヤオ平和ドラ2、1本場で11900」キュルッ


優  99000
照 114900
智  99000
憩  87100


東二局二本場  ドラ:六筒

憩(しくった!)

智葉(チッ。荒川憩……男が出来て腑抜けたか? やはり、トッププロに浮いた話が無いのはそのせいなのか。

    しかしそうは言っても自力で聴牌できなかった私が言えたことではない。

    宮永照が満貫に乗せればその次の跳満はまず止められない。ここで止めなければ)

憩(……これは)チリッ


 ツモった瞬間に唇が震えるような違和感。憩は自らも超常的な異能を操る雀士である。

 そんな自分の勘は常から信用するようにして生きてきた。そんな憩だからこそ、今の仲間と出逢えたのだ。

 その勘を信じるならば、この牌――


憩(これは宮永さんの当たり牌やね。まだ6巡目やからどんな手ぇなのかまでははっきり断定できひんけど。

  さっきはしてやられましたからねーぇ。流れからしてうちが当たり牌を掴まされる場……。

  だったらぜぇんぶ、止めたりますよーぅ!)ニヤリ

智葉(笑った……? 何かの確信を得たか。捨て牌にもあまり一貫性がない。

    七対子? 違うな、和了りを目指している雰囲気じゃない。掴まされた?

    そしてそれを止め続けているな。しかしあの宮永照がその程度で和了りを逃すはずもない。

    つまり――手替えからの当たり牌変更は私にも矛先が向くということだ。

    今局の私は手が悪い。荒川憩、お前の動きに乗ってやろうじゃないか!)タンッ


『チャンピオンの素早いピンピンロクから一転、今回はなかなか和了りませんね』

『そうだね。今回もそこそこ早い巡目で荒川さんが当たり牌を掴んだんだけど、察するところがあったのか止めた。

 照ちゃんはそこからすぐに手替えでまた聴牌したけど、今度は辻垣内さんが止めた。

 だからもう一回手替えに入ったけど……これは間に合わないね』


優希「聴牌だじぇ!」

「「「ノーテン」」」


『価値ある流局だよ』


優 102000
照 113900
智  98000
憩  86100


東三局流れ三本場  ドラ:六索

優希&憩「「聴牌」」

照&智葉「「ノーテン」」


優 103500
照 112400
智  96500
憩  87600



東四局流れ四本場  ドラ:七萬

『東二局の流局で場の流れが変わったね。

 連続和了も途切れて、その分荒川さんや辻垣内さんが前に出れるようになって照ちゃんも守りを意識しなきゃならなくなった。

 その結果が東三局の流局。そして――』


智葉「ツモだ。東トイトイで4本場は2000・3600」


優 101500
照 110400
智 104100
憩  84000



南一局  ドラ:五萬

憩(さて――)ゴッ

憩「リーチですーぅ♪」

智葉(むっ、流れを持っていく気か!)

優希(ひぇっ!? な、荒川さんからヤバイ感じがするじぇ……。こんな時に限って安牌も無いし、これで)トン

憩「ロン! リーチタンヤオ三色ドラドラで12000ですよーぅ♪」


優  89500
照 110400
智 104100
憩  96000


南二局  ドラ:四筒

憩(さてさて、この調子で)


『点棒に手をかけて打牌の荒川選手次巡でリーチをかける気か! ノッてきたぞー!』

『確かに調子がいいみたいだね。でも、甘い』


照「ロン。タンヤオのみ、2000」


優  89500
照 112400
智 104100
憩  94000


南二局一本場  ドラ:三萬

憩(聴牌してましたかーぁ。もう少し大きい手で来るかと思って油断してましたねーぇ)

優希「あっ……えと、九種九牌です」


優  89500
照 112400
智 104100
憩  94000


南三局流れ二本場  ドラ:一萬

憩「取られたら取り返さなチームメイトに顔向けできません、ロンですーぅ!

                      . .-――-. .
                   . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

                      /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ
                . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.
                    /: :/: : :/::::/ l:::l:::::::::::::l:::::::::::::::::::: : : ::.
                 ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l
              |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|
              |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l

              |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八
              |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :
              .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
             /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\
             /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >
           /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\
        -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`
            ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
                   /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
                  ___/  \ __ /   \_____
               /      \  /ー一ヘ   /     ハ
               ハ        \/     }/ ̄}    /
                 i  ヽ                }      }
                |   У                 } ∨   .|
                 ′ /                   }  }::..   {
.                 /   {                  }  }:::.
               |   |                  } ,.:::::  i
                i    ハ                 } '::::::::.  |

                 白混一色ドラで2本場は8600!」


優  89500
照 103800
智 104100
憩 102600


南四局  ドラ:南

『荒川選手、チャンピオンから満直です! 宣言通りに取り返しましたね!』

『11900と2000を取られてるから8600だと5300点足りないけどね。

 それに伊達にチャンピオンと呼ばれてるわけじゃないみたいだよ?』


照「ロン。一気通貫平和ドラで7700」


優  89500
照 112500
智  96400
憩 101600




『前半終了です! 大注目の先鋒戦ですがあまり動きがありませんでした』


『あはは。こーこちゃんはこう言ってるけど、荒川さんと辻垣内さんが

 照ちゃんの当たり牌をことごとく止めてノーテンに追い込んだり、なかなか見応えのある半荘だったと思うよ』


『マジで? やっぱすこやんもプロなんだね!』


『ちょっとこーこちゃんそれどういうことかな?』


『小鍛治プロのプロらしい一面をお送りしたところで後半戦開始です』

2半荘目

東一局  ドラ:二萬

照「ツモ。東のみ、400・800」


優  88700
照 114100
智  96000
憩 101200


東二局  ドラ:西

『チャンピオンなんと3巡目での速攻! 仕切り直して再び場の流れは宮永照のものか!?』

照「……っ」

憩(宮永さん……あれは配牌事故りましたねーぇ?)


智葉&憩「「聴牌」」

優希&照「「ノーテン」」


『荒川さんが早めに聴牌したけど、今度は照ちゃんが当たり牌を止め返したね。

 配牌が最悪だったところを切り抜けただけ十分、と思いたいところだろうね』


優  87200
照 112600
智  97500
憩 102700


東三局流れ一本場  ドラ:八筒

照「ロン。タンヤオドラで1本場は2900」


優  84300
照 115500
智  97500
憩 102700


東四局  ドラ:三筒

                          -── ── -
                       ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: `::..
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                 |/!::! ::|:: :: :|:: ::ヽ:: !/  ̄ /}       ! ̄ }  ̄!:: ::/ ─--  、
               ! |::|::| :: :|,  ´     { __   , -─ |   | ::/       \
                   ヽ!:: |::: :: |        \   `      |   |:/          ヽ

                    照「ロン。純チャンのみ、5200」


優  84300
照 120700
智  92300
憩 102700



南一局  ドラ:九索

『チャンピオンの連続和了がついに決まった! このまま突き放すか!?』

『……うーん?』


智葉(宮永照……調子が悪いのか? 聴牌はしているようだが怖さがないぞ。ならばここが攻め時!)

智葉「リーチ!」


 智葉がリーチを宣言して打牌した瞬間である、その吊り上がった笑みを見たのは。


憩「待ってましたよーぅ、ロン。チャンタ三色ドラで8000!」


優  84300
照 120700
智  83300
憩 111700


南二局  ドラ:六索

憩(追いつけませんねーぇ。配牌が悪すぎました)

照「ロン。タンヤオのみ、1500」


優  82800
照 122200
智  83300
憩 111700


南二局一本場  ドラ:九筒

憩「聴牌ですーぅ」

「「「ノーテン」」」


優  81800
照 121200
智  82300
憩 114700


南三局流れ二本場  ドラ:中

『これは完全に見放されたかな』


憩「リーチですーぅ。…………ツモ! リーチタンヤオ平和ツモで2本場は1500・2800!」


優  80300
照 119700
智  79500
憩 120500


南四局  ドラ:西

憩「ツモ! 白トイトイで2600オール! ……これで止めにしときますーぅ♪」

                 /:/:: : : : : : : : : :/: : : : : : : : /: : : : : : : :\: : : : :\
              / : /: : : : : : /: ://: : :/: : : : :./:| : : : : : : |: : :゚: : : : : : :.
                / : /: : : : : : /:.:/ / : :./: : : : :./:.:Ⅳ: : : :.:.:.|: : : :゚: : : : : :.:.
             ′/: : : : : //:_/__,/:_: :/: : : : :./: :.:| ゚: : : : :.:.|: : : : :゚: : : : : ::.
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         /: : : :从{: : ::|ァ´ ̄ ̄`ヾ   \{ __-‘__, |//:/: : : /::/ : : : ::| :|
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               l/ : : : :./`ト . _   _  -‐   |:_:_:_:/|: : /  \: : : :\
                    八: :./  |:.∧ Τ        {_ノ∧ l/     ` : : : \
                 ∨  j/ /´ |   __ -‐    \          ̄ ̄
                      __/ /lノr‐              \
                 --‐   / /~⌒l           / \
                / {     / ∧   \         /    \

 憩は満面の笑みで和了り止めを宣言。彼女は確信しているのだ、仲間の活躍を。


優  77700
照 117100
智  76900
憩 128300


『先鋒戦終了しました。

 1位はチーム須賀。荒川選手は前半+1600、後半+26700で合計+28300。

 チームは12万8300点としました。


 2位は白糸台高校。宮永選手は前半+12500、後半+4600で合計+17100。

 チームは11万7100点としました。


 3位は清澄高校。片岡選手は前半-10500、後半-11800で合計-22300。

 チームは7万7700点としました。


 4位は臨海高校。辻垣内選手は前半-3600、後半-19500で合計-23100。

 チームは7万6900点としました。


 先鋒戦の論評お願いします小鍛治プロ』


『はい、任せてこーこちゃん。

 まずは宮永照選手からにしようか。

 宮永選手は前半3回後半4回の計7和了、放銃も前半の満貫1回だけ。

 とはいえこれで2万点稼げなかったということはつまり打点が低かったってことだね。

 和了するときは速いけど、その分最初の内は打点を低く制限する打ち方だからその弱点がはっきり出ちゃったかな。

 宮永選手の圧倒的な和了速度は確かに脅威だけど、初回を除けば決して追いつけないほどじゃない。

 だから実力的に近しい相手がいる場合にはこういう半端な結果に収まりやすいんだよ。

 プロ入りは確実視されてるし、実際即戦力だと思う……けど。今のままだとまだトッププロには一歩遠いかな。

 個人戦でどうなるか次第だけれど、頑張ってほしいね』


『次は荒川憩選手。

 荒川選手は前半2回後半3回の計5和了、放銃は前半に2回。

 放銃先は共に照ちゃんだけど、結果では上回った。つまり1回1回の打点効率が良かったと言えるね。

 しっかり構えてチャンスを逃さなかった、綺麗な麻雀をしたと思うよ。

 オーラス親で和了したけど止めたのは、後ろの四人をよっぽど信頼してるんだろうね。

 ちょっと羨ましいかも。


 次は辻垣内智葉選手。

 辻垣内選手は前半の1和了のみ、放銃は前半1回後半2回の3回。

 6400点での和了こそあったけど……このマイナスということはその分放銃が響いたってこと。

 麻雀は攻撃も大事だけど防御だって疎かにしたらダメだって分かる結果だね。

 攻撃だけでいいなら理沙ちゃんがトッププロとして活躍できないはずだもの。

 ……あ、理沙ちゃんが攻撃弱いって意味じゃないからね?

 コホン。とにかく1位との差が5万点を超えているのはエースとしてはマズイね。

 後ろの四人が実力者とはいえ、世界大会に向けてなるべく手札を温存しようとしてる子達だから厳しくなるかも。


 最後は片岡優希選手。

 片岡選手は放銃が前半1回後半2回の3回で、残念ながら焼き鳥の和了無し。

 それでも3位で踏み止まってるのは放銃した時の点数が跳直1回を除いて低かったから。

 今回の卓はあまり波立たない卓だったけど、実は一番ツキがあったのは片岡さんだったのかも?

 次鋒に控える染谷選手は今大会屈指のポイントゲッターだからもしかしたらもしかするかもしれないね』


『ありがとうございました。さァて……すこやんの解説の間にいよいよ次鋒戦の時間だ!

 テレビの前のみんなもご飯やセクシーな私に生唾飲み込むだけじゃなくて熱い試合に注目してね☆』


『……こーこちゃんさすがにキツイよ?』


「行ってきます」


 こつこつと革靴が廊下を叩く乾いた音が心地よく響く。

 憩さんは十分なスタートを切ってくれた。チャンピオンの宮永照を抑えて1万1200点のリード。

 スロースターターな私が力を発揮するための場を、これまで何度も整えてくれた。

 京太郎の寵を競うライバルでもあるが、同時に心から頼りにできる先輩だ。

 最初に会った時は、その圧に気圧された。全国最強格とはこれほどかと。

 お爺様に鍛えられたにもかかわらずなんと惰弱な。自分自身の不甲斐なさが湧いたものだ。

 しかし京太郎たちと共に歩むうちに、そんな思いも変わっていった。

 そうして私はそれまで一人きりで戦っているつもりだったことに気付いた。

 そんなはずがないのだ。麻雀だけで見ても私にはお爺様という庇護者がずっといたというのに。

 今度は自分の傲慢さに気付き、驚き、失望した。

 だがそんな私を皆は放っておくはずもなく、モモや絃さんが私をからかっては殻に閉じこもらんとする私を引っ張り上げてくれた。

 そうやって長野で決勝に辿りつき、全国行きの切符を手に入れた。嬉しかった。

 でも嬉しいだけではとてもいられなかった。

 天江衣という怪物、宮永咲という得体のしれない魔人。

 原村和という使徒に竹井久という魔女。

 龍門渕透華という調停者、福路美穂子という策士。

 長野だけでも数え上げたらキリがないほどに、私を上回る強者で溢れていた。

 そんな中で、京太郎と憩さんはワンツーフィニッシュで個人も全国出場を勝ち取った。

 ……私は彼らと出逢えなければ高みに手をかける資格にすら届かなかったのだと、悟った。

 それからだ、私がそれまで以上に練習に打ち込んだのは。今思えばお爺様には無理を言って付き合っていただいてしまった。

 そんな私を見かねたのか、ある日突然お爺様が京太郎を家に呼べと仰った。


 言われるままに京太郎を呼び寄せた私は、そこで鉄火場を見たのだ。

 お爺様のご友人、カイジ小父様と京太郎の差し合い。見惚れた。

 京太郎の麻雀は熱く、私の好きになった人は格好いいのだと改めて思ったがそれだけではない。

 小父様の狂おしい熱を秘めた冷たい打ち回しに、自身の光明を見たのだ。

 だから京太郎に誘われた時、半分上の空であった。どうすればあの域に踏み込めるのかと。

 京太郎と過ごす時間はそれでもなお楽しいものであった。そうでなければキスを受け入れるわけもない。

 そして、ああ、この口付けが契機だったのかもしれない。

 はっきりと自覚した、自らの力の根源。狂ってしまいそうな熱気。北風では醒ませない。南風が撫でることでようやっと身を解す。

 心身の内に眠る悪魔。京太郎によって心火を熾された暴威。

 では、もし彼を胎に迎え入れてしまえばどうなるか。私はまだ恐れている。

 恐れながらも震えることもなく、対局室の扉を開け放った。


「おや、ずいぶんと……。まあいいです。果たしてあなたは私のタオを明かすに値するか。見定めてあげましょう」

「――ハオ・ホェイユー」


 扉の先から届くは既に暴威を掌中に収めた、道の先にいる女の誘い。


「この熱で灼いてあげるわ、あなたを!」


南浦数絵(イベント後)
属性 :O
技量 :B68
直感 :C58
必然力:B60
補正値:37
・スキル
【南風の神】銀
 スロースターターな運気を溜めることで後半の場を制す打法。
(効果A)
 場決めコンマに-50。
(効果B)
 南場の間、判定値を+40。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+20し打点を+2する。
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが2枚以上乗る。
(効果E)
 東場の間、判定を-5。


染谷まこ(全国時)
属性 :O
技量 :B64
直感 :B62
必然力:C55
補正値:37
・スキル
【ヘイトコントロール】
 幼い頃より幾多の闘牌を見続けた少女の脳裏にはその記録が残っている。
 素の判定コンマがゾロ目の場合に発動。
(効果A)
 次局から自身の判定値を+30。
(効果B)
 打点+3。
(効果C)
 他家が強制和了系スキルを発動するとき、
 素の和了コンマor和了最終値で自身が上回っている場合、
 無効にして代わりに自身が和了する。
(効果D)
 自身より技量が低い他家の判定値を-10。


ハオ・ホェイユー(手加減)
属性 :D
技量 :B60
直感 :B60
必然力:B60
補正値:37
・スキル
【安定感×】赤
 判定コンマを30以下の場合は01、80以上の場合は100として計算する。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【華式打法】
 中国麻雀という日本や世界とやや違う打ち筋で対局者を翻弄する。
(効果A)
 リーチをかけない。
(効果B)
 ただし和了判定値を+30する。
(効果C)
 リーチをかけられる判定値かつ聴牌コンマで1位の場合、
 打点が満貫以上となる。
(効果D)
 効果Cの状態かつ和了コンマが1位である場合、打点が【国士無双】となる。


弘世菫
属性 :D
技量 :A72
直感 :B60
必然力:B60
補正値:41
・スキル
【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【シャープシューター】金 (狙い撃ち+キレ◎+選牌眼)
 難度の高い狙い撃ちを可能とする高い技量を称えた二つ名。
(効果A)
 素の聴牌コンマで2位以上のとき、和了判定値を+20する。
(効果B)
 このスキルが発動中に和了に成功した場合、任意の対象から出和了りできる。
 ただしこのスキル効果でロン和了する場合、最高打点は倍満となる。


ハオ・まこ・数絵・菫  の順

1半荘目

東一局  ドラ:九筒

『さあ次鋒戦が開始されました。小鍛治プロ、各選手の紹介をお願いできますか』

『うん。ってその前に局が終わっちゃいそうだね。次局からにするよ』


ハオ(南浦数絵……まだ殻を破っていない赤子ですが、どこまで見せてくれますか。とはいえまずは一打――)

          ___
        /:.:.:.:.:.:\
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        乂:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
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         从:/:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./二二二ニ=-、
          |:.:.:.:|:.:.:.:.:.: /:/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./::::/:::|:.:.:.:.:.`ヽ∧
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          |:.:l:.:|:.:.:.:/:.:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:.:/-l/八/l|:.:.:.:.:.:.:.::リ::
          八:l:.:|:/´ ̄Ⅵ:.:.:.|:.:.:.:.:.伝ミ `ヽ |:.:.:.:.:/::/::/
.           ∨八 _/ ノ \:.|:.|:.:.:.:|刈ト、  }厶仏イ::/
            ∨:.:\〈   \|:.:.:.:|_ソ´`   云/::::l/ |
           }:.:l:.::/ 、      ‐┘    /ソ'::::::::::|:|
           ノノ}:/              、∧:::::::::|:|
                /              /⌒\:_从
         ┌‐'-       \   ´`
.       `ヽノ: : : : : : `: . . /  --=≦
          \: : : : : : : : : :.\
              ∨: : : : : \: :_/
            }: : : : : ゚。: : ゚。\
             /: : : : : : :゚。: : ゚。: \__
          / /: : : : : : : : :゚。: : ゚。: :∧`ヽ
.         / /: : : : : : : : : : :゚。: : ゚。: :∧
       / /: : : : : : : : : : : : :゚。: : ゚。: : i」 |


ハオ「和ー……ツモです。三色同順ツモ……タンヤオで3900オール」

 4m5m6m 4p5p6p 4s5s6s 4m4m 6s6s  ツモ:4m


慧  88600
染  73800
数 124400
菫 113200

東一局一本場  ドラ:二索

菫(さっきのハオの手、確か全中……だったか?)


『今和了ったハオちゃん。ハオちゃんについては準決勝で咏ちゃんが詳しく解説してるんだけど……。

 今のは全中・三色三同順・不求人・四帰一・無字で39点。中国麻将の1点は日本麻雀の約500点くらいと思えばいいよ。

 全中って役なんか単独で24点だから跳満相当だね。それでも日本では三色が複合するタンヤオ止まり。

 3900オールは決して安い和了りじゃないけど、ちょっと損してる気がしちゃうね』

『元世界二位の独身や若いアジアンビューティーにも容赦がないぞー!』

『こーこちゃん!?』


菫(親で連荘されるのも良くないな。ここは牽制だ)

菫「リーチ」

数絵(弘世菫がリーチ……。狙い撃ちスタイルの彼女ならブラフでしょうね。

    だったら振り込んでもハオの親を流せる必要経費。でも、あわよくば)

数絵「リーチ」


 数絵と菫による二家リーチ。よほど自信があるのでもなければオリを検討する状況。

 ――だがその程度でアジアジュニア銀メダリストは止まらない。


ハオ「和。ツモです。七対子ツモで1本場は1700オール」


慧  95700
染  72100
数 121700
菫 110500



東一局二本場  ドラ:六索

まこ(こりゃいかんのう)

数絵「ポン!」シャッ  Σ東東東

まこ(む、捨て牌からしてあってもトイトイかの。なら、これはどうじゃ)タンッ

数絵「ロン。東のみ、2本場で2200」

慧  95700
染  69900
数 123900
菫 110500


東二局  ドラ:一萬

まこ&菫「「聴牌」」

ハオ&数絵「「ノーテン」」


慧  94200
染  71400
数 122400
菫 112000


東二局一本場  ドラ:四筒

まこ(さて、眼鏡は外させてもらおうかの……。そんで自分から振り込んだ言うてもやられっぱなしは気持ちのいいもんじゃないけぇの!)

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 ̄\__  |  / / /  | \       /  / / // _/  ̄ ̄ ̄
      | フ ̄ ̄  /   |   \    /  | / /__/
.      |/ ____/    |____二二二!  / / /

まこ「ロォン! 混一色ドラドラで1本場は12300じゃ!」


慧  94200
染  83700
数 110100
菫 112000


東二局二本場  ドラ:發

『それじゃ染谷さんの紹介。染谷さんの御両親はルーフトップっていう雀荘を経営してるらしいんだけど、

 染谷さんは小さい頃から家業の手伝いをしてたんだって。――それはつまり、何千局という対局を見てきたってこと。

 眼鏡を外すことをスイッチにして過去見てきた麻雀をおぼろげに思い出せるみたい。

 人の顔写真を何百何千と重ねて行くと最大公約数的な美人顔が浮かび上がるなんていうけど、

 麻雀にもそういうところがあるのかも? そういう偏りの共通項を利用することで予知に近い読みをするのが染谷さんの麻雀だよ』


ハオ「和。ツモです。満貫で2本場は2200・4200」


慧 102800
染  79500
数 107900
菫 109800



東三局  ドラ:七萬

まこ(やってくれるの……。じゃが付け焼刃とはいえ中国麻将の動画を何十局と見てきたけぇ――)

まこ「ツモ! メンタンピンツモで……裏2の3000・6000じゃァ!」


慧  99800
染  91500
数 101900
菫 106800



東四局  ドラ:四索

まこ「ツモじゃ! タンヤオ三色ドラドラで2000・3900!」


慧  97800
染  99400
数  99900
菫 102900


南一局  ドラ:六萬

『長野のスコアラー染谷まこ本領発揮の怒涛の連続和了だァ!』

『さすがに見事だね。高校生とは思えない精度だよ。でもどこまで行けるかな?』クスッ


菫(チッ。照の稼いだ点がほぼ消えてまっ平らだぞ……。

  いや、清澄が須賀から直撃を取ったおかげで逆転してはいるんだ。このまま狙って――)


 菫の目論見は、甘い。2回戦での対局を反省したのかと問われても仕方のない認識である。

 なぜなら。


数絵「ツモ。……タンドラツモで1000・2000」


 風が吹き始めた。


慧  95800
染  98400
数 103900
菫 101900


南二局  ドラ:一萬

数絵「リーチ」

まこ(南場、来たか!)

ハオ(……。南場ではさすがに)

    !: : : //::::::/: ::::::/:::::::::i::::::::::|ヽ::::::ヽ:::ヽ:.. 、ヽ
   丶/!: i:::: ::/   i  :: :!::  |:| ゙、:. ヽ :ヽ 、.i
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    /: : : i:::::::::|::::::::::|::/::::/!:::://ノ  |:|::::/::::::/:::::ハ!
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        |::::::{ i| :::::::::| ゝ;;;;ン     ゙、;;ン i::::|
        |::::::ヽ|::::::::::|             !::::|
        |::::::::::|::::::::::|          `     /:::::|
        |:!::::::::|::::::::::i\    - -   /:::::::::|
       |!:::::::::|::::::::::|| `...._      / |:::::::::|
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       |:::::::::::!::::::::::|       |、ヽ    |:::::::::|
      ノ-‐'"´|::::::::|i|       | ヽ \ |:::::::::|

数絵「ツモ。リーチチャンタツモ裏2で2000・4000」


慧  93800
染  94400
数 111900
菫  99900


南三局  ドラ:一萬

菫(くっ、原点割れ……! だがこのままでいると――思うな!)ヒュッ

| |.     ',
| l      ',
| |       ',                  ,  -=<ヽ
| |       ',               /::::::/::::::::`::::⌒ヽ
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!          ',             ノ/ 、///_人_/:::ノ:::::i
  ',  /〃   ',  _        /::::i ヽ    Y//::::::::/
 Ⅵ∨/、 __',__>- 、--=彡--:込     <::::::::/:
 √ V ノ _ ̄彡⌒/   {斗r≦ニニ≧s=- r彡イ:/::::/
 i: 0 |ヽ   -=彡 /--- /⌒Yニ=----====彡:::::/:::::::/
__乂ノ、: :\¨ < __/  乂ノ::::::/ノ-      ̄i::::::::::::'
__ , '/ヽ: :i==ミx 、     <::/ニ (__        八::::::::i
    '/ i八 ̄ ̄ ̄\\     ノ<=ミ    /::::::::::::::|
  / /i: : :∧     \\/´ / ⌒>ヽヽ  /:::::::::::::::::|
 ,/ /_i|: :/: ∧      r ', /   /-=彡⌒ ::::::::::::::::::|
)Ⅹ(彡ヽ: :/: ∧__    >彡ヘ  イ:::/::::/::::::::::::::::::::::::::|
/∧  =≦=/_  ヽ<_/  ', ´ <::/::::/::::::::::::::::::::::::::::|
/  ゞ'   ノ〃/ _ }i_ノ- ≦ ',    \:/:::::::/::::::::::|i::::::::|
      ゝ'_/- ノ /       ', _   \: / ::::::::: |i::::::::|
        '/: :∧'     //      ヽ::::::::::::::|i::::::::|
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菫「ロンだ! W南ドラで5200!」ドスッ


慧  93800
染  94400
数 106700
菫 105100


南四局  ドラ:六筒

数絵(さすがに、2回目の対局だから対策される……。でも南場なら!)タンッ


 それは油断と言うにはあまりに小さな綻び。数絵を責めるものなど、誰もいないだろう。

 たとえ今この場で止められたのが彼女だけだったとしても。

 牌を河に置いた直後、数絵自身がその失敗に気付いた。

 突如走った悪寒。背には冷や汗。喉は粘つき、息が苦しい。体の芯から寒からしめられる感覚。

 少女に宿る熱を一瞬とはいえ忘れさせるのは――豪傑からの殺気。


ハオ「和。ツモ。国士無双、8000・16000。カズエ、これが世界です」






                       あなたは届きますか?






慧 125800
染  86400
数  98700
菫  89100


『次鋒戦前半が終了しました。4位だった臨海女子が役満で大まくりの1位奪取!

 他3チームは果たしてどう戦うか! 引き続き決勝の模様をお送りします!』

           ____
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  『(こーこちゃん気合入ってるなあ)』

2半荘目

東一局  ドラ:三萬

まこ(さて、いつ攻めに転じるかの)

菫「リーチ」

菫(役満の親被りはさすがに想定外だ……。しかし私の仕事は変わらん。落とすべき相手を狙い撃つだけ!)

菫「ロン。リーチドラ、2000」トスッ


慧 123800
染  86400
数  98700
菫  91100


東二局  ドラ:四萬

菫「リーチ!」


 味を占めたかのように棒攻めを繰り出す菫を鬱陶し気に一瞥するハオ。

 立直をかけない彼女からすれば、怖さの無いリーチなど和了りから遠ざかる愚行にしか感じられなかった。


数絵(弘世菫、攻め急いでいる? とはいえ東場の私ではまだ勝負に出られない……とりあえず現物切って邪魔はしないように――)トン

ハオ「和、ロンです。タンヤオ対々和三暗刻、8000」


慧 132800
染  86400
数  90700
菫  90100


東三局  ドラ:六索

菫「……っ、リーチ」

菫(四暗刻も狙えたはずの手を。私が頭にしているのに気づいたのか?

  まあ、いい。ここはプレッシャーをかけて少しでも手を鈍らせる、そのためのリーチ……!)

まこ(ふむ。白糸台はすっかり萎れておるの。攻めているように見せて逃げに徹しているんじゃあ――わしが貰っていくぞ!)

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レ::::/|∧:::::::::|::::\    ー==ニ二ノ    /:::/::::::/ レ'

    まこ「ロン! 發ドラ3で8000じゃ!」


慧 124800
染  95400
数  90700
菫  89100


東四局  ドラ:南

「「「聴牌」」」

ハオ「ノーテン」


慧 121800
染  96400
数  91700
菫  90100


東四局一本場  ドラ:四筒

菫(ダマってみても躱される……。前年度王者の常とはいえ、厳しいな。少し手を変えるか)

ハオ(むぅ、不聴罰符というのは面倒です)


「「「聴牌」」」

菫「……ノーテン」


慧 122800
染  97400
数  92700
菫  87100


南一局流れ二本場  ドラ:一索

まこ(さて、そろそろ良いかの。南浦が動く局面じゃが……わしも動けばリードを奪うチャンスじゃけえの!)

ハオ(あっ。つい三色双龍会にしてしまいました……。

    でも良かった、待ちは五索ですからヤオチュー牌に切り替えれば純チャンにできます)トン

まこ「余所見はいかんのう、ロンッ! 純チャンイーペードラドラで2本場は12600じゃあ!」


慧 110200
染 110000
数  92700
菫  87100


南二局  ドラ:東

ハオ(迂闊! しかし、清澄はやりづらい相手です。思い返してみれば先程は明らかに誘導されていた節がありました)

まこ(よしよし。これで1位と200点差じゃ。ここまでやれば十分ではある……)

数絵「リーチ」

菫(清澄がハオ・ホェイユーを落とした。私がやらなければならない役目なんだがな)トン

数絵「ロン。リーチ南一盃口ドラ、裏2で12000!」


慧 110200
染 110000
数 104700
菫  75100


南三局  ドラ:八索

菫(しまった……! これで原点割れは私だけか。せめて意地は……徹す!)

菫「ロン。チートイタンヤオで3200」トスッ


慧 107000
染 110000
数 104700
菫  78300


南四局  ドラ:北

 菫がドラ表示牌を捲り、示されたのは北。場に北風が一陣吹き抜ける。

 冷たい風。空調と紛うような、夏の室内では心地よいはずの風。


ハオ(北夷の馬蹄は我が長城を超えるに能わず……ですがそれは我が道も同時に塞ぐ。

          ___
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          八:l:.:|:/´ ̄Ⅵ:.:.:.|:.:.:.:.:.伝ミ `ヽ |:.:.:.:.:/::/::/
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           }:.:l:.::/ 、      ‐┘    /ソ'::::::::::|:|
           ノノ}:/              、∧:::::::::|:|
                /              /⌒\:_从
         ┌‐'-       \   ´`
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             /: : : : : : :゚。: : ゚。: \__
          / /: : : : : : : : :゚。: : ゚。: :∧`ヽ
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       / /: : : : : : : : : : : : :゚。: : ゚。: : i」 |


    あなたは自由なようですね、カズエ)


 ハオが目を向けた数絵であるが、その視線は陽炎の如き揺らぎに惑う。

 場に吹く風を無視するように、彼女を包むように逆巻く熱風が故に。

 その不可視の壁を挟み、二人の視線が確かに交錯した。ただ事実を確かめ合うように、静かに。

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      ノ-‐'"´|::::::::|i|       | ヽ \ |:::::::::|

数絵「リーチ――ツモ! リーチ一発ツモドラ2……裏2枚で3000・6000……!」


慧 104000
染 107000
数 116700
菫  72300


『次鋒戦終了です! 目まぐるしく順位が入れ替わるシーソーゲーム、熱戦でした。


 1位は最後に捲り返したチーム須賀で11万6700点。

 南浦数絵選手は前半-29600、後半+18000の合計-11600点です。

 2位は順調に伸ばした清澄高校で10万7000点。

 染谷まこ選手は前半+8700、後半+20600の合計+29300点の区間賞です。

 3位は惜しかった臨海女子高校で10万4000点。

 ハオ・ホェイユー選手は前半+48900、後半-21800の合計+27100点です。

 4位は大失速、白糸台女子高校で7万2300点。

 弘世菫選手は前半-28000、後半-16800の合計-44800点です。


 いやー、面白かったねすこやん』


『あはは……。まあ、論評していくね。

 最初は区間賞の染谷さんから。

 染谷さんは前後半共に安定してたね。放銃も差し込みの1600点1回だけ。

 和了は5回で満貫以上が4回、残りの1回も7700という高火力。暫定だけど今大会最良収支。

 清澄高校の躍進は彼女の力が大きかったと言えるね。


 次は収支でプラスのハオさん。

 前半は役満含め4回の和了。打点も満貫前後で中国麻将の癖が抜けないという割にはかなり高めだったね。

 放銃も前半は無しでかなり順調に進行してたよ。……ただ、卓のレベルを甘く見過ぎたね。

 染谷さんに撃ち落とされて、弘世さんにも後半からは狙われるようになって。

 南浦さんも調子を上げたから一気にブレーキをかけられちゃった。

 それでも3万点近い稼ぎはさすがの一言だよ。


 次は区間3位の南浦さん。

 彼女は元々スロースターターだからちょっと苦戦したね。

 それでも後半の南場には意地を見せてちょっと盛り返して首位を堅持。

 まだ1年生だから伸びに期待したいところかな。


 最後は弘世さん。

 他家を狙い撃つスタイルの弘世さんだけど、それに固執しすぎたかな。

 リーチをかけて牽制してみたりと動いてはいたけど和了回数を稼ぐか打点を上げるかしないとプロでは通用しない。

 今回の結果ではスカウトたちもちょっと評価できないだろうし、インカレでどこまで力を伸ばしてくれるか。


 試合としては全体的に実力の伯仲した戦いだったと思うよ。

 厳しいことを言ったけど、弘世さんも劣っていたわけじゃないから。

 チャンスの時にことごとく他の三人の誰かに上回られていただけでね。

 ずっと二番手三番手なことが多くて勝ちきれなかったんだよ。

 そのせいで彼女が失点役を押し付けられる形になっちゃったのは残念だったな。

 白糸台は次の中堅での動き次第では試合自体から脱落しかねない。

 実力が拮抗してる4チームだからこそ。目を離せないね』


『ありがとうございました。すこやんのお眼鏡に適う逸材はどれだけ現れるのか?

 中堅戦を座して待て! CMの後引き続きお送りします。    すこやん晩御飯何するか決めt――』


 対局室から出て、マスコミの目があるうちは俯くことなど許されない。

 しかし、控室付近ともなればマスコミは立ち入り禁止、部員も応援席にいるのだから人目は無い。

 無様な結果だ。あれだけの啖呵を切りながら。気が重いが、戻らなければ後輩達や照が心配するだろう。

 意を決して扉に手をかけ、開けた。


「どの面さげて帰ってきたのかしらね、弘世部長さん?」


 40歳前後のスーツに身を固めた女性が開口一番罵声を浴びせてくる。


「――っ、申し訳……ありません」


 私は部屋に入り、後ろ手でドアを閉めてから頭を下げる。

 後輩たち、特に淡が心配そうにこちらを見ている。普段は生意気な奴だが、根は優しいのだ。

 しかしこんなでも相手はスポンサーの一人。必要以上に機嫌を損ねることはそれこそ淡たちにとって望ましくないことになる。

 私は重ねて謝罪をし、深く頭を下げ続けた。


「……はあ。ほんと、照といい失望させてくれる。やっぱり相応しい場を用意してあげないとダメね。

 学校の部活など、遊びの延長に期待した私が馬鹿だった」


 誰もがその言葉に反感を抱き、しかし言葉を飲み込んでひたすら耐える。

 静寂が降りた室内でただ一つ、カツカツとヒールが床を叩く音が響き、かちゃりとノブが回される。


「……どちらへ?」

「あなたに言う必要があって? 私は暇ではないのよ、遊びではないのだから」


 怪訝に思った私の問いかけを切り捨て、女は部屋から去った。

 一呼吸、二呼吸。

 間を置いて全員がようやく重い溜息を吐いた。


「ほんっと、あのババアむかつく」

「淡。私が不甲斐ないのが悪い。

 ……尭深、すまないが後を頼む。照の最後の年、傷を付けたくない」

「部長、大丈夫です。私は部長が選んでくれた虎姫の一員です。お茶が大好きなだけの子猫ではない所を、見ていてください」


 重苦しいままの控室の空気を和ませる茶の香。私は尭深の淹れたそれを味わい、ようやく人心地ついたのだった。


東横桃子(恋人特殊)
属性 :O
技量 :B68
直感 :A70
必然力:A70
補正値:43
・スキル
【神出鬼没】
 影の薄さを極め、帰る場所を見つけたことで覚醒した異能の力。
 異能に身を委ねても必ず見つけてもらえる愛の力。
 彼女は常にどこにでもいてどこにもいない。
(効果A)
 自らよりも必然力の低い他家に放銃しない。
(効果B)
 聴牌・和了判定値を+30。
(効果C)
 和了形がロンのとき、和了判定値をさらに+20。
(効果D)
 和了を放棄することで、次の局に満貫以上の和了が確定する。
 この際の和了における和了形・出先を自由に決定できる。
(効果E)
 和了連続放棄の回数が増える度に確定和了の打点が+1されていく。
(効果F)
 聴牌に成功した場合、聴牌コンマを反転した数値分を和了判定値に加算する。


竹井久(全国時)
属性 :D
技量 :B69
直感 :B60
必然力:C50
補正値:38
・スキル
【ノビ○】
 自身の和了形がツモの場合、判定を+10し打点を+1する。

【清澄の悪女】
 順当でない分の悪い賭けを好み、不思議とそれが功を奏しやすい宿運の持ち主。
(効果A)
 判定値を+15。
(効果B)
 判定コンマが15~79の場合、反転コンマと比較し高い方を採用する。
(効果C)
 効果Bによって聴牌に成功した場合、和了判定値を+30。
(効果D)
 効果Cによって和了に至った場合、最低打点が満貫となり打点を+2。


雀明華(手加減)
属性 :O
技量 :B60
直感 :B60
必然力:A70
補正値:39
・スキル
【風神――ヴァントゥール――】虹
 風を操る異能の力。
(効果A)
 和了判定値を+30。
(効果B)
 西家のとき、打点を+2翻する。
(効果C)
 西家のとき、和了判定値をさらに+30。
(効果D)
 西家のとき聴牌・和了コンマが1位の場合、打点が【四暗刻】になる。
(効果E)
 打点判定で1翻は確定する。

【捧げ歌】金
 優れた歌唱の才能による讃美歌に牌は応える。
 歌うことができる状況でのみ発動可能。
(効果A)
 自身の判定コンマを+30。
(効果B)
 打点を満貫以上にする。




渋谷尭深
属性 :O
技量 :D48
直感 :C54
必然力:B60
補正値:34
・スキル
【ハーベストタイム】銀
 因果応報の異能力。第一打牌がオーラスの配牌で結実する。
 オーラスまでの経過局数に応じて効果が変動。
(効果A)
 聴牌・和了判定値を-10。
(効果B)
 聴牌判定値を(局数-6)×10上昇、和了判定値を(局数-6)×10上昇。
(効果C)
 打点が最低で満貫になる。
(効果E)
 局数が7~8のとき、打点を+2翻。9~10のとき、打点を+3翻。
 11のとき、打点を+4翻。12~13のとき、打点を+5翻。
(効果F)
 オーラスまでの経過局数が14のとき、天和地和人和を強制和了。
(効果G)
 連荘になった場合、14局の場合は1局、それ以下の局数の場合は
 2局に1ずつ仕込みが減少していく。
(効果H)
 オーラス時には効果Aを無視する。
(効果I)
 このスキル効果は原則無効化されない。


久・明華・尭深・桃子  の順

1半荘目

東一局  ドラ:八萬

モモ「ロンっす! チャンタのみで2600!」

久「うぐっ……はい」


久 104400
明 104000
尭  72300
桃 119300


東二局  ドラ:八萬

久(相変わらず桃子は見えないのよ! でも、これまでなら1回見送って高めを狙ってきたはず。
どういうこと?)

明華「ロンです。東ドラで2000♪」


久 104400
明 106000
尭  70300
桃 119300


東二局一本場  ドラ:五索

『紹介、と思ったらかなり進行が速い卓だね。ひとまず前局の解説も合わせて。

 渋谷さんはオーラスまでの局数が多いほど最後に高い手を張りやすいんだ。

 だから雀さんの手が低いと見て即座に差し込みにかかったみたい。

 雀さんも渋谷さんの癖は知ってるはずなんだけど……歯牙に掛けてないつもりかも』


久(全く、世界ランカーとはいえ舐めすぎじゃないの?

  ま、そういうつもりならそこを衝いて稼いで見せればいいわよね!)

久「ツモ! タンヤオツモの1本場で600・1100よ」


久 106700
明 104900
尭  69700
桃 118700


東三局  ドラ:一筒

明華「リーチです」

久(速い……。やっぱり自風が暗刻で手に入るってのは反則よ。1飜だけなら宮永照よりも速いんじゃない?

  だからってここで逃げたらまこに申し訳が立たない、勝負!)

久「リーチ!」

明華「ロン♪ リーチ北一盃口で3900です」


久 101800
明 109800
尭  69700
桃 118700


東四局  ドラ:二索

『雀さんはやっぱり堅実で速度もある。世界で戦えるレベルの標準だと思って見ていいと思うよ。

 ただ、インハイではガチガチの歌唱は禁止だから本領発揮には程遠いけどね。――だから付け入る隙はしっかりある』


モモ(場は平たい……。そして雀さんは)

明華(くすっ。モモコは動こうとしてますね。音を風に乗せなくても、そのくらいは分かります)

モモ(っすよね。でもこれなら関係ないっす!)

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                        |::::::|:::|:l八ハ从:::::l八{´_}从リ:::リ:::l
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モモ「ツモ! 純チャンツモドラで4000オールっす!」


久  97800
明 105800
尭  65700
桃 130700


東四局一本場  ドラ:一萬

尭深(連荘は本来はありがたいけれど……東横さんからは取れないから須賀を伸ばしすぎるわけにも……。

    あ、雀さんは自風のみ……かな? なら――)トン

明華「ロン♪ 西のみで1本場は1300です」


久  97800
明 107100
尭  64400
桃 130700


南一局  ドラ:六萬

明華(ふぅ。配牌が酷かったですが、私には風の加護がありますからね。

    そして――見えてますよモモコ♪)

                 ,...:'.´へ\ ,..-、____

                //'"´ ̄ ̄´ ̄`ヽ、ー-、ヽ、
             _// / /  ハ   、  \ ヽヽ
        ,..-‐==ニ二ノ   / /  / }.i  i i 、 ゙、 ヽ、`ヽ
      /   _,...:'´,..イ  // / ,イ}  }.!  |.ハi i ゙、 ゙、\
      し,....:'´,...:',.イ {! i.ハ .ハハ {´` !ハ ハ|_ !ハ  ゙、 ij、 ヽ、
      /-‐'"_イ .//λ { i′-、!j__.,,  } / _!.`トjハ  }、 i | 、 i
     /'"/´  //i // i`! |     ゙̄`::::レ::..    jハi ハ|i }ノ| ヽ .!
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.    {(   //{ |! i 、_|!. | |    r―-.、     {ィ''" | !|  !|                         nf h
     i:! / / ! V //!|. i|   !  `V    ハ 、!||  リ                         f:| .|. ||
     ゝ' / / \V/ |.| .| |\  `ー-'′   ノ  i  iリ                           i:i | ||
   / / __./_  )メ .!.| .! !. ` 、_    ,..イ  i  i  |                       i: i ! | .!
 / /,.::┴\\、 ̄ヽ!| トi |    `T ´|  |   i  i  |                      ./:      |
'" / /::  '" ::.\\、 | | .i !、    〈-、 |  |  i   i  |                           /:       i}
./ /::     ::ヽヽ!\、!ト、.| ! \_,..---、 \_i!   丶 丶゙、                      /:     /
 /  /=\ i  :.:.:..V:.:.:.:.:.!|/i ! ̄ ̄`ヽ┴-、  ̄`ーn、丶.゙、                        /::    /
.,ハ∠===、 \ :.:.:.:.:|:.:,. -'|.!  i |   __ 、\\   ノハ`ヽ.:゙、                  i::::    /
}'( /   \ ヽi );..-'"   .!.! _,!.!'"´  \\) `ー'=''",ノ.:.:.:.:.\                      /::::    /
ヽ/  _,..-‐''"´        ,.リ'" ||     ヽ ヽ' ̄ ̄\   :.:.`rー-.、             /    /
./,..:'"          / ノ   リ      ヽ 丶    ヽ  :/  ::::::i          /       /
'"            /               |ヽ ゙、    i:、 :i /´\!        /      /
         /i::::              | i  ヽ   i y' /'"_,.、ゝ,     ,..:'′     ./
     _,...ィ'''" / i::::              | |   \.ノ / /' /   \ ,...:'"´      /
:、_,.::::'" / /  |::::               | ト、-、  .V / /     /          /
/   / ,.イ    !:::::.             i  、\\/7、 {、               /
  / ,..イ /    /ハ:::::. ..::           |  `i 、`'" .ハ、_>、          /
/ / ノ/    / !::::::::::            i  | |iイ . | |\\      /

      明華「ロン。タンヤオ一盃口ドラドラで7700です♪」


久  97800
明 114800
尭  64400
桃 123000


南二局  ドラ:八筒

久(桃子から……! 悔しいけど力では私よりも遥かに上……。でも、それがどうしたっての!

  私はこれまでずっと待ってきたんだから。真っ当に進めないなら、邪道でも――)ヒュッ

             /: . : . : . : . : . : . : . : . : . \
            , : . イ: . : . : . : . :/: . : . : .ヽ: . : . ,
            彳: . : . : . : . :/:.:/ : . : . : . : .ヽ: . : .,
         //: . : . : . : .., ': . : ネ: . ;イ: . : . : . :ヽ: . :,
        〃 {: . /: . : . :/: ./ {: . 从ヽ: . :.ヘ: . : . : .,

        /   : ./: . : . :7/   ',: { ヽ \: .:V: . : . :.,
       ,'   レ': . : . :イ´     ヾ、    ヽ;}V: . : . :
           ',: . : . /.i!``ヽ      '" ´  ̄ ',: . : . :}
      ,     {: . : 7 {  -、       ィ'    }: .}: . .
      {     i: . :ハ,ア芸ミュx、    ,。s=オヽi!: i: . :|
      ',     ,: .:{: .ベ ) ::: リ`     乂.:: リ ノハノ: . :
            V: . : ヘ `ー'        ¨´ ノ: . : . 7
            ヽ: . : ヘ      '     , ': . : . :ノ
          _  _)={ >、     __    {: . : ./   >--┐
     >.': .  ̄: . : . : . : ..ノ   >  ` ´  イ {=={ `>-< :;:;:;:;:;:;:;i!
   /: . : __: . : . : . : ,/ -‐":;:;:;:;{ ',  ̄   i{: .. : .} :;:;:;:;:;:;:;>、:;:;:;i!
  /-‐ァ´: . : . : イ  ̄/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム      i!. : . 7 :;:;:;:;:;:;:;:// ヽJ!
 .{  {: . : ./   ./マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム ___   {: . : .ヘ :;:;:;:;:; ///`ヘ
  ``ヽ!: . :{   , '`ヽ .マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ム     7、: . : . ヽ :;:;/    V
    ヽ: .',  / {  ヘ ヾ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム    7:;:;:;`ヽ. : .ヘ {     ',
      \、ノ  ',     \ :;:;:;:;:;:;:;:;ム   .7:;:;:;:;:;:;:;:;`ヽ.:}       ,
       /    ヘ    /  \ :;:;:;:;:;:ム   7:;:;:;:;:;:/  }ソ ', ヘ -ー- ヽ
    , ´ー 、    ヽ 7    \ :;:;:;ム 7:;:;: /   ノ   /   --、 〉
   〈 _   \    Y      \ :;:∨:;/        Y  /::::::,'`ヽ}
   ',  /::\  \   i!         {  }          }、 ./ ヽ:::   ',

 自身にはできないことをあっさりとやってのける明華。しかしそんなことで嘆くほどぬるま湯に浸かっていた女ではないのだ。

 そして足掻いてでも掴もうとするものに、牌は応えるのだ。


            ,.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::...、                  // \
          /:;;;:::::::::::::::::::_;;;::::::::;;_ミ;:::`、                  //   /ヽ
         /::/:::::::::;;;;_zx=-‐''^~/:::;:丶}               \、 _ ,/丶、 丶
     ,;;~r":/:::::::::/,;=z、\  !;::::/|;li::::\                `丶   / ー、
    (:://::::i::/l::l  ! /:::::゙)ヾ  V' |/;::::::::;ヽ.                    ノ   } ミ
   ._,{;:::l::::::l∧_ヾ!、 `-゚'    _ニヽ, .リ:l::::;;、ト、!                _/,,-‐‐ー─、
      、 ̄ ̄\::::(⌒ヽ`゙      /::y〉 /丿;;;イ;:|;;;l                   / '    ヽ、,_ノ
.     ー _\゙ニミ、 ^ 、  ' `゚"///ア::ノ/;リ                /       、__`ッ-、
       .   \)ヾ) `ー‐`  ゙/:::::::::::l" 彡"              /        / , i
.          ̄ ̄ ゙̄≠ー-、._,, イ;;;;:::::;;;:ノ  .、  }ヽ、             ./         ,/_/
.             /    \ {;::::≦ニ、_,,,/)/:::丿  _ _,,、-‐''"`            / ̄
          /     / ̄ ̄>-‐''" ̄  ̄  ̄  ̄                 /
  .\      /    ./   / "

 ツモった牌を盲牌、弾き上げ、宣言。


久「ツモ! リーチ一発清一色ツモで4000・8000!」パシンッ


久 113800
明 106800
尭  60400
桃 119000


南三局  ドラ:三筒

『こーこ知ってるよ。ああいう待ちを地獄単騎っていうの』

『……? まあ、そうだけど。竹井さんはあえて悪い待ちに張ることがあるんだよね。

 しかしあのツモり方は……下手すると牌が割れちゃうし、そうでなくても傷がつくからやったらダメだよ』


久(ん~! 地獄で倍満っ、最っ高よね!! 

  あ~、京太郎君と全然二人きりになれなくて潤いが不足してたんだけど……補充できちゃったわね。

  こういうときはまだまだイけそうな気がするから――)

    ,..::::::::::::;::::::::::ハ;' \::;k;ヾxヘ⌒  ,,>、:ヽ;:::::::::::::::::::::::\

.    /::::::::::::/:::::::::イ  ヽ   ' 〆'  ,;;≠ヌミヾ;:!;::::::::::::::::::::::::::ヽ
   i:::::::::::/:::::::i::/i       /'   ;彳::::::::::::::ヽi! |::::::::::::::::::::::::::::ヽ
   |::::::::::i :::::::i::i:.|      "  斤ヾろ:::::::::c} |::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.   !::::::::i ::::::::i:i. |         '  ゙ゝ;:::::::ノ  |::::::::::::::::::::::::::::::::}

    !::::::i ::::::::::レ|"`              // |::::::::::::::::::::::::::::::::}、
    .!:::::i ::::::::/i | _`__ _              i:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
.    !::|| ::::::':!| レシ;キ=ミ;            {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、_

     ゙:i|.::::::::::|, ;il゙ヘ;:::::::::::ヽ             ,  \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::~ヽ,
      :iト::::::::::'l:;ゞ、 ゝう;:::゚ノ  ,      / l    `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.     !| ゙、::::::::|ミ\.          /  /     / `ヽ、::::::::::::::::::i~\:::::|
       :i|. \::::|;::::::\ i l !     ー-  '           ゙ミ::::::::::::::|  ):/
       'i!  \.{:::::::::::\               /       i:::::::::::ソ   '
       '!     ヾ; ::::::::::.ヽ.._____ , .イ"         ノ:::::/
.         \     \ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\         {:::::/
           ヽ    ゞミ,;;;:::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::/i\    , ヾ;:i|
                  ̄ ̄ ゙ ミ、::::::::::::Y ,イ  ヽ  ./ /j

久「ツモ! チャンタツモで1000・2000!」


久 117800
明 105800
尭  58400
桃 118000


南四局  ドラ:

モモ(久先輩、気持ちよさそうに打ってるっすねぇ。

    ま、簡単に抜かせたりは――するわけないっすよ!)

モモ「ツモっす! ダブリーツモ混一色で6000オール! ……ここで止めとくっすよ」


久 111800
明  99800
尭  52400
桃 136000



『中堅戦前半終了です! 東横選手は和了り止めを選択しました』


『雀さんがいるし、渋谷さんもいる。欲張って無理をするのを嫌ったんだろうね』


『須賀選手を狙ったフィルム内ではかなり大胆なのに麻雀ではなかなか慎重派なんですね。

 っと、後半も引き続きご覧ください!』


2半荘目

東一局  ドラ:二索

モモ(後半戦……油断なんてしない、できるわけがないっすよ。だから、ここは仕込みで)トンッ

明華(モモコに仕込みを整えさせてしまいましたか。そうなるとできるだけ高く和了っておきたいのですが……清澄がなかなか速いです。

    親に連荘させるよりは、マシですかね)

明華「ツモです。南ツモで800・1600♪」


久 110200
明 103000
尭  51600
桃 135200


東二局  ドラ:三筒

明華「……」トン  打:東

尭深(……? 自風で場風の東を落とした。雀さんならわざと、何か狙いがあってのことだと思うけれど……。

    でも、それなら攻め時はここだよね?)タンッ

明華(ハーヴェスターが押してきた……。相当良い手なのでしょうか?

    まあ、私の手順に影響はないのですけど――)

明華「リーチ――ツモ♪ リーチ一発ツモで2600オールです♪」


久 107600
明 110800
尭  49000
桃 132600


東二局一本場  ドラ:三筒

久(急な自風切りからリーチ一発、さっぱり分からないわね。すっごい私好みの手運びじゃないの!

  雀さんがそういうサービスをしてくれるならお姉さんも――頑張らないとねえ)ニヤリ

尭深(っ、笑ってる……? 竹井さんのあの笑い方、ろくなことじゃないはず。とりあえず、これで)トン

久「それ、ロンなのよねぇ。イーペータンドラの1本場で4200!」


久 111800
明 110800
尭  44800
桃 132600


東三局  ドラ:八萬

久(うっ、まずったわね。大人しく重ねた方が良かったかしら。今更字牌切りは無理だからこの手じゃ平和は諦めないと)

明華(清澄はミス……? 一瞬動揺しましたね。おや、モモコはまだ仕込みに……。

    次は私の西場。そこを塞ぐつもりですか……厄介な)トン

久「ロンよ! チャンタイーペードラで7700!」

明華「なっ……はい……」


久 119500
明 103100
尭  44800
桃 132600


東四局  ドラ:

『雀選手、動揺しているぞ!? 振り込んだ瞬間に震えて胸が揺れていたッ!』

『どこ見てるのこーこちゃん……。んー、途中で竹井さんが裏目を引いてたからね。

 きちんと乗れていれば四暗刻も狙えた手だったけど、そこから雀頭字牌で面子は順子のみのチャンタ。

 ミスったって気付いた瞬間の竹井さんも動揺してたから、それを察知して完全に油断しちゃったんだと思うよ』


久(裏目を引いて……それでも和了る。偶然だけどまさに悪待ちだったのよね。

  麻雀の神様ってほんと意地が悪いんだから)クスッ

明華(さすがに甘く見過ぎましたか。それよりも、モモコはこの局に動くはず……。

    でも風を読めばたとえ不可視の暗殺者だろうと――)

モモ「ほんと、甘いっすよね。本気を出せないとはいえ……でも言ったっすよねえ?」





         そ ん な ん じ ゃ 私 に 殺 さ れ る っ す よ ?





明華「……? しまっ――」

              ....-―…―-..
            /:::::::::::::::::::::::::::::\

           /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
            _/:::::::::l::::::::::::!::::::l::::::::::::::::::::::\
           ノ、!::|::|::::{\::::::|;ハ::}:::::::::::::::::::::::::::ヽ
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         |人ヾ!从ノ  ゞ'|!  ト:::::V:::::\::::::::\
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       , '   ム-‐ ´|「.:.:.:_/' _,.. /.:.从!/}/´ ヽ\ハ::!
     /     ノ  _| {{!.:.:./○>'.:.:.:._:.ノ=- ヽ 〉.:.\
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     `¨ \/ム  /  /ニ=}  Уニニミ  / {   ̄ ̄ ̄`
            ヽ}  ハ-イヽ/二ニニミ`ヽ}/
               } /= __ ヽ/   ヽヽ /
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モモ「遅い! ロンっすよ! リーチW東混一色で18000!」



久 119500
明  85100
尭  44800
桃 150600


東四局一本場  ドラ:五筒

『親ッ跳直撃ーーーぃ! これは臨海女子大打撃だーーー!』

『歌えていない雀さんでは今の東横さんは捉えきれないみたいだね。

 でも東横さんもこのスタイルはいつまで続けられるか。プロクラスなら卓上では見失わないから』


明華(油断、です。認めましょう。力を過信しすぎました……。幸い連荘では私の西場ということに変わらず。ここから――っ!?)


 自省し、仕切り直しと割り切ろうとした明華。しかしその背筋を悪寒が駆け抜けた。

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ヽ::::::::::::::::|::||:ト     `、 `ヽ、                           /::::::

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二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
::::゙l::::|ト ハ       `、                      ,,,//::::::;":;;/ /
:::人::ハ::::::`、        ヽ                ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/
::::::::Y::::\:::`、        `ヽ、,,,,,,,,         ,,,,,,/:::::::/::::ハ::::::::/
                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙

                  久「リーチ……!」


 悪寒の正体はこれだと直感的に悟る。表情や雰囲気には出ていないが明らかに大物手の気配。

 河を見ればあからさまな染め手気配。清一色ならばリーチツモで倍満にも届く、他役やドラが絡めば三倍満すら見える。


明華(あれは和了らせたらダメです……! しかし対子や順子崩れの面子はない……。

    自風でカン? ダメ、他家が槓ドラを増やさせる私の風をこの局面で捨てるなんてありえない。誰か!)


 明華の願い空しく、誰も鳴くことすらなく久の手番。そして――


久「ツモ! リーチ一発一気通貫一盃口平和ツモドラドラ……4100・8100よ!」


久 135800
明  81000
尭  40700
桃 142500


南一局  ドラ:三萬

「「「「聴牌」」」」


久 135800
明  81000
尭  40700
桃 142500


南一局一本場  ドラ:七索

久(流れを手放したくなくて崩さず維持しちゃったけど……うん。

  ここまで来たら稼げるだけ稼いで渋谷尭深が役満を和了ってもいいくらいにしちゃえば問題ないわよね!)

     /: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : ヘ
    , . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :ヽ: . : . : . : . : . : . .
    , ; . ; . ; . ; . ; . ; . ;‐- 、: . : . : . : . : . ヽ: . : . : . : . : . : .
   . : . : /: . :i: . : . : . : . : . :\: . : . : . : . :.ヘ: . : . : . : . : .: . .

    , .: . :{: .{: .ヾ <: . : . : . : . :.メへ、: . : . : .}: . : . : . : . : . : .
   イ: . : .iヽヾ ミュ、 ` ー- 匕ィ  ヽ: . : . : . : . : . : . : . : . :
  〃: . : ii  ` ー       /     ,: . : }. : . : . : . : . : .
  〃{: . : .ii        /     _  ,: . : . : . : . : . : . : .
  {i ', : . :ヘ',     ィ'/  ,,ィヘ´ }   , . : . : . : . : . : . : .
  i!  , . : . :{ヾ‐      ,ィif:::::::::.}     }: リ : . : . : . /: . :
  i!  ∨: . :.ヘ ヽ _      ゞー'’     i:/: . : . : . :/: . : .
  i!  ∨: . : .ヽ弋:ハ`           〃}: . : . : .:/: . : . :
  ヾ   , . : . : .:ヽ.ゞ’           {{ }: . : . :./ : . : . : .
   ヽ   , : . : . : ヘ  ’          {i ,': . : . / : . : . : . :
      ヽ: . : . : . ヘ      _    ヾ{: . : ./: . : . : .:/

        ,: . : . : . `  ,_  ‘ー’  / ヘ: . :{: . : . :./:;:;:;:;:;:;
          , : . : \: . : .¨. : .‐- ' ノノヘ ヽ_i_;/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
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久「リーチ! ……通さないわよ、ロン! リーチドラドラで1本場は6100!」


久 142900
明  73900
尭  40700
桃 142500


南一局二本場  ドラ:一索

尭深(……これで9枚目。竹井さんはまだ勢いが止まってないから、もしかしたら15局になっちゃうかも?

    そうなると蒔いた種が腐ってランダムになっちゃうから、そろそろ止めてしまおう)

尭深「ロン。タンヤオ赤2で4500です」


久 138400
明  73900
尭  45200
桃 142500



南二局  ドラ:三元牌

久(む、でもこの程度じゃ止まれないわよ?)

明華(……清澄はまだ止まっていませんねこれは。では、これでどうでしょうか)

明華「ツモです。東南ツモで2600オール♪」


久 135800
明  81700
尭  42600
桃 139900



南二局一本場  ドラ:四筒

明華「ロン♪ 東ドラで4200です♪」


久 135800
明  85900
尭  38400
桃 139900



南二局二本場  ドラ:四筒

久「ツモ。中ツモ海底撈月の2本場で1800・3400よ」

久(みんな配牌で事故ってたっぽいわね、天江さんや京太郎君じゃあるまいし、ラッキー)


久 142800
明  82500
尭  36600
桃 138100


南三局  ドラ:二索

モモ(今更っすけど、これって渋谷さんを狙い撃っておけば飛ばして勝ちだったっすよね……。

    雀さんとの勝負に気を取られてすっかり頭から抜けてたっすよ……。

    ま、まあほんとに今更っすから、スタイルは変えないでいくっす)トン


『……東横さん、気付いてなかったんだね』

『へ? すこやん何に気付いてたの?』

『ん、あのね。東横さんは割と狙い撃ちが得意だってのはここまで見てれば分かると思うんだけど。

 だから和了りを全部渋谷さんから取ってれば今頃試合終了だったんだよ』

『またまたすこやん。いくら私が麻雀そんな詳しくないからって、それってそれが出来たら苦労はないってやつじゃ?

 東一局で役満ロンすればそれで勝てるー、とか言うのと同じっしょ?』

『あれ、みんなできるよね?』

『えっ』

『え?』


尭深「……ツモです。タンヤオ三色ツモドラで4000オール」


久 138800
明  78500
尭  48600
桃 134100


南三局一本場  ドラ:七萬

尭深「あ……ツモです。タンヤオツモドラで1本場は2100オール」


久 136700
明  76400
尭  54900
桃 132000


南三局二本場  ドラ:一萬

尭深(これで15……さっきはツモっちゃったから和了ったけど、15枚目が3枚揃えてる牌で良かった)

モモ(ぐぬぬ、渋谷さんのオーラスに重ねて切る予定だったっすけど……仕方ないっすね)

モモ「ロンっす! 清一色のみ、2本場で12600!」

久「うっ……やっぱ狙われるわよね……」


久 124100
明  76400
尭  54900
桃 144600


南四局  ドラ:北

尭深(さあ――大地に蒔かれし可能性の種子たちよ。今こそ目覚めの秋……ハーベストタイム!)

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      _         __  -‐      ‘,        }
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          ̄ ̄{\:_:_:_:_:_彡ヘ:.{: : : : \\  ̄ ̄ ∨  . . -‐=彡: : / ̄ ∨
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              \__{     \: : : : : : : : : :}/\: : : :\         }
              {-- 八      \: : : : : : /7:l: : }: : : : : }       八

              尭深「ツモっ。――地和で8000・16000ですっ」


久 116100
明  68400
尭  86900
桃 128600


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        从:::::l:::ll::ll::::::lル'ル'レハノ  !ル'ルlト l::::::::::l
          人::!::li::l!::::::llk     x==l=´ ||::l::::::::: |
          |トルリx==|=´     ||   ll::l:::::::::::!
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            ルハ:ノ::::ルハ::::::ノ、 Y   /\: : : :`  、
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             l: : :{: : : : : : : :レ圭l: /: : : : : : : : : : }: : : : :.!
             |: :从: : : : : : :.|l圭|/: : : : : : : : : : :ノ: : : : :.|

「あ゛~……そりゃそうっすよねぇ」


 尭深が地和を宣言した直後、脱力した桃子がそんな情けない声を上げる。

 それを聞いた三人は苦笑いだ。


「これならさっくり白糸台狙いに行った方が良かったっす」

「あら、そうしたら私が勝ってたかもしれないわよ?」

「いえいえ、それを言うなら私でしょう。まあ、実際はそうならなかったわけですから……。

 モモコを挑発してヘイトを向けさせた私の策に見事嵌ったモモコは滑稽でしたよ!」


 桃子が自身の打ち回しについて反省の弁をこぼしたがそれを混ぜっ返すようにからかう久。

 明華も我が策成れりと胸を張ってみせた……が、他三人はことごとくがジト目を向ける。


「……それ、今考えついたっすよね?」


 代弁するようにツッコミを入れる桃子。

                ____   ___
               / ̄>―‐`´    \
             /  /        \   \
                /                \
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              /,    / / l     ',  }    l\\
             //   - /l/^ l|   | -l ,∧    l| |\\
.           //  ′   /-l- j|   | -l/l ∧   l\  \\
          l | {   |斤苧i从  :|,斤苧ミ l   | |\  )ノ
           八{ 八  八 ヒ)ソ  \:{_ ヒ_)ソ^》  | | |  \
           \ i\从|\    ,   、、、、/  /}ノ |   }
              /   人 u    _     フィ^   l|   ノ
               /   / /个ト ../)´ '/)、.. イ  | |   ,
           /   / / //⌒// ///-- .  | |   ′
.           /   / / (∨/_,ノ// /)  `゙丶|    ,
          /   //:    ∨   └ /∨   ∨
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.       /  /二ニ=-    l    /\   |  //ニニ \   \
     / / {二ニニニニニニ |   /___Y⌒V/二二ニ \   \
    / /   {二二二二}ニ'  /二ニニ|  ∨二\二ニ、 \   \
.   //    /{二二二二l/   ,二二二|   ∨二ニ∨二〉  \   \
   {{    / {二二二二′  ,ニニニニニ|   ∨二ニ∨/    \   \

「な、なんのことでしょう? La~La~♪」

「誤魔化したっす!?」


 目を泳がせて頬を引き攣らせながらも歌って逃げる明華であった。


『中堅戦終了です! いやあ、対局室は和やかなムードですね。私も花の女子高生時代を思い出すなー』


『はいはい、こーこちゃんはリア充してたんだろうね。

 それはさておき論評やってくから。まずは東横さん。

 本人も自覚してるけど、雀さんを意識しすぎたせいで試合を決めるチャンスを逸したね。

 それでも最低限抑えるべきところを抑えはしたから、次に活かせばいいって言ってあげてもいいかな。

 テレビ的にも試合を続けてくれたのはありがたいことだから……。

 点数的にも役満親被りが痛いくらいで、堅実に進めていたから褒めるところも怒るところもないよ。


 次は竹井さん。

 ……うん、派手でエンターテインメントだけどあのツモはちょっとね。

 和了回数は8回とこの2半荘同率1位だから十分。放銃も渋谷さんに振り込んだとき以外はほぼ想定内だったと思うよ。

 1位に収支で勝ててないのは残念だけど、安定した強さを見せてくれた。さすが三年生ってところかな。


 次、雀さん。

 前半はマイナスながらも内容は悪くなかった。放銃もないし和了も4回だから。

 でも竹井さんや東横さんが高めをツモってたからそれで削られちゃったね。

 後半は一転、放銃も増えて残念な状態だったね。

 とはいえこれが欧州ランカー雀明華の実力かと言えば全く違う。

 本領は1月のジュニアクラシックまでお預けなんじゃないかな。


 最後、渋谷さん。

 普段はオーラスしか怖くない子なんだけど……今日の後半は別人だったね。

 積極的に攻めてそれが上手く嵌ってたよ。その結果が区間賞だから合格点。

 どうにか優勝争い脱落は避けられた。チームとしてはまだまだ正念場が続くけど。

 この調子で腕を磨いていけば来年はもっと強くなれるよ。


 さて、こーこちゃん。先に論評しちゃったけど、各チームの点数お願いね』


『は、はい。……うぅ、すこやんが怖いよ。なんか地雷踏んだかなあ?

 コホン。

 1位は次鋒戦から変わらずチーム須賀で12万8600点!

 東横選手は前半+19300、後半-7400で合計+11900点です。

 2位は追い縋る清澄高校で11万6100点!

 竹井選手は前半+4800、後半+4300で合計+9100点です。

 3位は踏み止まった白糸台女子高校で8万6900点!

 渋谷選手は前半-19900、後半+34500で合計+14600点で区間賞です。

 4位は急ブレーキの臨海女子高校で6万8400点!

 雀選手は前半-4200、後半-31400で合計-35600点です。


 まだまだ勝負は分からない決勝戦、舞台は折り返しいよいよ副将戦!

 男共お待ちかねの原村和も登場だ! いまのうちに用事は済ませとけ!』


霜崎絃 (イベント後)
属性 :O
技量 :B68
直感 :B67
必然力:A70
補正値:42
・スキル
【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【奇門遁甲:石兵八陣】
(効果A)
 他家の判定コンマを-10。
(効果B)
 自身の素の判定コンマに1が含まれ、
 かつ他家の素の判定コンマに6が含まれる場合はその他家から直撃を取る。
(効果C)
 効果Bが発動するためには、聴牌成功かつ和了判定値が3位以上でなければならない

【邪仙術:人頭桃】
 他家からロン和了するたびに全ステータスが+5されていく。



原村和(恋人)
属性 :D
技量 :A79
直感 :E32
必然力:A70
補正値:43
・スキル
【安定感◎】
 判定コンマを35以下の場合は35、75以上の場合は85として計算する。

【勝ち運】
 判定を+10。

【オーバーヒート】
 熱い想いが高い演算処理能力をフル稼働させる。
(効果A)
 判定値を+10。
(効果B)
 他家からの妨害を受けない限り、和了に成功した場合は流局しない。
(効果C)
 聴牌コンマで1位のとき、判定値を+20。


メガン・ダヴァン(手加減)
属性 :O
技量 :B60
直感 :A72
必然力:D40
補正値:39
・スキル
【Duel!】
 アメリカンとしての矜持。
 誰かがリーチをかけた場合に対象を取って発動可能。
(効果A)
 聴牌判定値に+30。
(効果B)
 自身と相手の和了コンマを比較し、高い方が低い方からロン和了。

【ウェスタンリボルバー】
 愛銃は信用を裏切らない。
 【Duel!】発動時に1日に6回まで発動可能。満貫で強制ロン和了。

【Bleak Black】
 光を閉ざすことで這い寄る闇の加護を受ける。
 任意で発動可能。
(効果A)
 聴牌が確定する。
(効果B)
 和了判定値を+50。
(効果C)
 放銃判定値を-50。
(効果D)
 和了コンマが4位の場合、放銃する。
(効果E)
 打点が満貫以上になる。
(効果F)
 このスキルは1週間に6回までしか使用できない。1日1回分ずつ回復する。




亦野誠子
属性 :O
技量 :D40
直感 :C53
必然力:C50
補正値:31
・スキル
【対リーチ×】赤
 他家がリーチをかけた場合、自身の判定を-10。

【守備難】赤
(効果A)
 放銃判定値を-15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を+1。

【浮沈の見極め】銀
 三副露後に間を置いて必ず当たりを引ける異能力。
 自身の素の聴牌コンマが2位以上のときに発動できる。
(効果A)
 和了判定値を+30。
(効果B)
 聴牌コンマで1位となったとき2位以下との差が40以上の場合、強制ツモ和了。
 ただし差が40~59の場合は1翻打点が下がる。
(効果C)
 効果Bによって打点が下がったときに0翻以下になった場合、
 和了不能となり和了権が他家に移動する。
(効果D)
 放銃判定を-10する。
(効果E)
 自身の和了形がロンの場合、判定を-10する。



和・メグ・誠子・絃  の順


「いよいよ我らが娘の出番ね、あなた」

「……ああ」

「まったく。まだあの子が麻雀をやることを認めてないの?

 教えてほしいって言われた時はあんなに嬉しそうにしてたじゃない」


 二人の男女が観覧席でそんな会話を交わす。男のほうは険しい表情でモニターを見つめている。

 女の方はその大きな胸を組んだ腕で押し上げるようにして、呆れたように笑う。


「インカレで幼馴染の彼女にこてんぱんにされたのがそんなに堪えた? もう20年も前の話よ」

「24年前だ」

「……細かいわね」

「お前と付き合うきっかけだ。忘れるわけがない」


 不意打ち気味な一言に思わずたじろぐ女。しかしすぐに気を取り直して意趣返しを計る。


「なんていうか、恵くんってそういう不意打ち好きよねえ」

「その呼び方はやめろと何度言えば……」

「凹んだのを慰めてあげたときから変わらないでしょ」


 にやりと唇を歪めながら追い詰める女だが、男はついと視線を外し話を変えた。


「和にはイカサマじみた特別な力などない。麻雀では、才能と言う名の絶対的な壁は決して越えられない。

 ……あの子にそんな躓き方はしてほしくないだけだ」

「大概過保護よね、男ってさ。あの子は私の娘なのよ? そんなことで潰れる子じゃない。

 ……それに、須賀さんのところの息子さん。彼がついてるんだから平気よ」


 男の娘に対する思いを過保護と切り捨てたのは母であるが故か。それだけ娘を信用しているのだと言えば美談ではあるのだが。

 しかし彼――須賀京太郎の存在を肯定した女に対し、男は声を荒げギロリと睨みつける。


「認めんぞ! 和をあんな男に……!」

「何が不満なのよ? 将来有望、ご両親も立派な方で家柄も良好。見た目だってかなりのもんだし……良い子じゃない」

「あいつはまだ俺に挨拶に来てすらいないんだぞ」

「はあ? 娘さんを下さいって言いに来いっての。さすがにまだ早いでしょ。」

                   ,..、__
               ,.ィ:、フ、: : \:`:ヽ.、
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                i: i !  , _.. .._  /
               ゙i"\ ` 二  /
                 /i_   \___,.イ
             _/   \_  /,ノ\
          _,..-'′\    /―<    ト、_
     _,....-‐''"       \ ∧::_::;!\  |  `ー--、
    /'"               `′ヽ::::i  `゙′      \

「だが、和はもう……くっ!」


 突然豹変した男の態度に面食らったものの冷静に反論する女。

 そしていざ男の言い分を聞いてみれば呆れかえるもの。声が冷たくなるのも仕方がないだろう。

 しかし続けて言い募ろうとして言いよどんだ男を見て、ついに女も察した。


「んあ? あー? あ、あー! あーあー、そうね、そっかそっか。

 あの子がすっかり女の顔するようになったわねそういえば。

 でも婚前交渉なんて今時普通っていうか。須賀君の周りには他にも美少女たくさんなんだから。

 出し惜しみしてたら売れ残っちゃうわよ。ただでさえ麻雀の強い女は婚期を逃すってジンクスがあるのに」


 言われてみれば女にも思い当ることがあったのだ。男に似てどこか冷厳な雰囲気のある娘であったが、

 ある日を境にふと夢見がちな乙女のような顔をするようになっていた。

 さらに、7月末の合宿から返ってきてからは嬉しそうに腹を撫でることもあった。

 さすがに避妊薬は飲んでいるだろうが、惚れた男の精を胎で受けたという記憶がそうさせたのだろう。

 自身も夫を陥とした直後に同じようなことをしていたと懐かしがったものだ。血は争えないらしい。

 そう考えて感慨深げに頷く女だが、なおもぐずる男である。ついにはあまり言いたくないことまで言うことにしたようだ。


「それはそうだが……しかし」

「だいたいあなたは堅いのよね。私はあなたのこと愛してるんだからお妾さんの一人二人作ったっていいって言ったのに」

「……私が嫌だったからお前だけを娶っただけの話だろう」

「あのねえ? 恵くんは東大首席入学かつ第44回全国高校生麻雀大会男子の部優勝、

 六大学麻雀50周年記念大会最優秀選手賞、在学中に受けた司法試験で合格。

 他にもあるけど、挙げたらキリがない。そんな男の寵愛を受けてるってことで私がどんだけ苦労したか聞きたいの?

 私だけを愛してくれたのは嬉しかったわよ? でもそれと同じくらい嫉妬されたりで大変だったんだから。

 今ほど男女での能力格差が大きくない時代だったからどうにかなっただけなの。

 私が奈良地検に飛ばされた原因の事件、覚えてる?」


 女が俎上に上げた話。数学五輪入賞を成し遂げた男子高校生の恋人が同級生女子により拷問を受けたというセンセーショナルな事件だ。

 事件に暴力団関係者が関与していたことから大規模な地下組織摘発まで発展した大事件。

 女はその事件の担当検事であったが、捜査の途中で危険な目に遭い大事を取って転勤させられたのだ。


「ああ。あれも、痴情のもつれだったか」

「数学オリンピック三位の子を取り合ってあれなの。インハイチャンプとでもなれば……」

「優秀過ぎるのも考え物か。……龍門渕氏に協力を願うべきか」

「だから気が早いってば。そろそろ和の試合が始まるわよ。今は応援しましょ」


 男は女の言い分をある程度認めたのか、今度はそれを踏まえて別の考えに没頭しそうになる。

 それを諌めた女は、愛娘の晴れ舞台へと熱い視線を注ぐのだった。

1半荘目

東一局  ドラ:一萬

絃(さて、原村和の起家。一皮むけて確実に強くなったわ。どこまで喰えるか……)


 絃だけでなく、メグも誠子も警戒の目を向けるは電子の申し子。

 その正確無比な打ち回しが、どれほど驚異的か。


和「リーチ――ツモ。リーチ一発ツモで2600オールです」


和 123900
メ   65800
誠  84300
絃 126000


東一局一本場  ドラ:三筒

『速い……ね』

『すこやんが褒めた!? 明日は槍でも降るの!?』

『こーこちゃん……。原村さん、あまり調子が良くないかと思ってたんだけどこの安定感はプロ並かも』


和(この一戦、父と母が仕事を休んでまで見に来ているんです。負けられません……!)

            ,. . . ---. . . .,

        _,,,,.  '.: : : : : : : : : : : : :`゙'. ,   _
       i/              ._,./::iヽ,
     i'"~::/ . .; .i: : ; : : : : : : : : : : : ィ´::::`v":::ィ
     i: :./: :.i : l: :l: : il: : : : i: : :.li: : ; i: ヽ::::;;:::i::i:::::|
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    く;;;|:|'|:.l: :.||'ャii;;;;;;;i \! l/ヤi;;;;;;i;'ヤl|_,.! '´:|: :l: |
     l! l!,\l !:ヽ辷ソ    ヽ==ソ .! |: : :.|: :|: |

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    ;´ /:.i|i : :l_,..-‐'''´:/:イ   /:::::::::::|:| . i|.,| |: : ハ
   ; /: :i:|: : :|:::::::::::::::iニ-ー,/::::::::::::::::|:| . :.l|;´ヽ,: : ハ

    i /: :.l/|: : |::\::::::::|   /:::::::::::_,.‐'_;i ; : : l; /`il: :i: :',
   ,': : :/.l: : |i.\;;:`ヽl /;;;.:-::':;´‐''~/;': : //   :|i: :l: : i
.   iil: :.i .l: : i .'._ .゙''.‐.,y,._≠'' ´,,..‐//: : / i    |:l: :i :i: l
    l!i :i; lil! l  `゙''ー;-'‐;:-‐ ''´  //: : .;'`;.|.    |::|i:|: .i |
   ', / l:!l:l l     トーィ;"    ;'/i:.i .i   i|     |::||:l: | l!
    ;' li l:l i    / .i ,!    ;' l:li :l  ';  i   |::|: i:| !

   和「ロン。七対子ドラで1本場は5100です」


和 129000
メ   60700
誠  84300
絃 126000


東一局二本場  ドラ:八萬

絃(京太郎さんの女の一人だもの、これくらいはやってくれねば……。

  とはいえわたしだってそう。だからそろそろ水は差させてもらうわ)

絃「ツモ。ツモのみの2本場で500・700。くふっ」


和 128300
メ   60200
誠  83800
絃 127700


東二局  ドラ:北

『おや、ツモのみのゴミ手です』

『……面倒くさい子だね、霜崎さん。東洋ウィッチクラフト系は搦め手が主体で相手したくないんだよね』


 健夜の怪しい解説とは関係のない対局室。

 しかし和も同様にやりづらさを感じてその花の顔を僅かに歪めた。

 それも配牌の間、長考に入るまでのこと。麻雀に集中すれば煩わしさに囚われることなど、今の彼女にはない。故に――


和「ツモ。リーチタンヤオツモで1000・2000です」


和 132300
メ   58200
誠  82800
絃 126700


東三局  ドラ:五筒

『――へぇ?』


 小鍛治健夜が唸った。それがどれだけ珍しいことか。

 無論それは和が自身の力を意識的にコントロールできる域に達っしていないと判断していたことが大きく関係している。

 それでも彼女を唸らせるほどの“何か”が迸ったことだけは確実なこと。


絃&メグ「――ッ!」

誠子(……? 空気が変だ、これは……宮永先輩の跳ツモの先と同じ雰囲気!)


 絃とメグは和から発される力の波動を明確に、誠子もおぼろげながら理解した。

 その力の発生源に目を向ければ、そこには顔を赤らめた少女である。


絃(……オーバーヒート! 何を熱源に、って決まってるわ)

和(顔が熱い……。お腹の底が燃え滾るよう。そしてこの配牌、ツモ……。迷う必要はありません。真っ直ぐ――)

            __  ‐ ''" ̄ ̄ `゙' ..、
.           | . / : : : : : : : : : : : : :.' ,
          ≠ / : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨゙\
          | _イ. /: : : :/ ハ: :、: 、: : 、: : r‐┴| く
         イ:/: /: /:/:Χ./ .}: 八:.|::!:.:.|: : !  :| .ノ
         {:::{: /:|/レ|ィ心≧ |/ .ィナ什ノ: : L...ノイ.、
.        //|',::::(,| .ヒ::リ゙. ′ 匕:::リレ∨: : |\冫

        //::ハ: : : : :', :::::::     `'-'゙ :: ハ:.: レイ
       / : ノ ∨: : : ヘ   __   :::::: ,≠ヽ',: : ::ト、
     ,./: : : :/._,.-∨: ::_丶  _ .  イ    ∨: :.!: \
.    , '>.-‐''二>''.´\ ,.二つ ̄ ̄ ̄二>.  ',: :',: : : :\
   く    く//__.ハ .i\.ヾ{_:_: : :_ : : :__ミ、__  マ: :ヾ、: : ::ゝ

.  ,' .\  .{|::|─、U (/゙ .二⊃|ヽ\  {:::::::|:|.、  マ:..'., ヽ: : : : :>ー - 、
     { .\_.>‐ "  ̄ ゙̄´!.: :: :.∨\\|:::::::|:}. ',.  ',: :..'.,   × : : : : : : : : :ヾ
     ∨: : ├──.!  /      マ::::::┐::://::k.}  マ: :...'.,       ̄ ヾ´
.     ∨: : \.  |.Y.        ヾ.__{_/彡Χ   ',: : : .'.,

.      マ: : : :ー┤| ,'         ∨゙|   \  ∨: : : :\
        \_ イ! | :          ∨、     \  ' ,: : : : .:\
            ∨.',          }::::ヽ      ∨ .\: : : : ヾ
.             ∨.' ,     / ,' ノ.::::::::.\   :ノ    \: : :::

     和「――ツモです。四暗刻、8000・16000」


和 164300
メ   50200
誠  66800
絃 118700


東四局  ドラ:七筒

和「ツモ。タンヤオ平和一盃口ツモドラ2で3000・6000です」


和 176300
メ   47200
誠  63800
絃 112700


南一局  ドラ:三萬

和「リーチです」


 宮永照を彷彿させる圧倒的速さ。気付いてみれば既に6万点もの稼ぎ。

 そして今回もまた、6巡目を待たずにリーチ。卓に着く誰もが予感した、一発ならずとも2,3巡で必ず当たりを引くと。それでも。


絃(見事に羽化した……いえ、まだこれも蛹であるのかもしれないわ。

  でも……想いで負けるつもりなどわたしには無いッ!)

絃「リーチだわ!」

メグ(なんて無茶をするんデスカ、イト!)


 瞠目したメグ。そんな彼女を一瞥しながらも絃は止まらない。


絃「人間には――退けない時があるわ。わたしにとってそれが今!

  ロン! リーチ一発純チャン、裏2で12000……ッ! 人って面白いでしょう? くふふっ」


和 163300
メ   47200
誠  63800
絃 125700


南二局  ドラ:六筒

和「ツモ。白のみ、400・800です」

メグ(確かに、退くべきでないときはアリマス。ノドカとイトにとってそれが今ならば……)


和 164900
メ   46400
誠  63400
絃 125300


南三局  ドラ:七筒

和「リーチ」

メグ(やはり、そう来ますよネ。ならば!)

メグ「リーチ! (DUEL!) ……ロン! リーチ三色平和ドラ、8000デス!」


和 155900
メ   55400
誠  63400
絃 125300


南四局  ドラ:九萬

絃「ツモ。ツモのみで500オール。ひとまずはこれで終いにするわ。フフフフ」


和 155400
メ   54900
誠  62900
絃 126800


『副将戦前半終了! 原村選手の破竹の快進撃で一気にトップに立ったぞォ!

 このまま清澄高校が逃げ切るのか!? それとも3チームが意地を見せるのか!

 再開は10分後、しばし待たれよ!』


『なんかこーこちゃんがまた変なテンション……』

2半荘目

東一局  ドラ:六萬

絃「ロン。チートイのみ、1600だわ」

和「……はい」


和 153800
メ   54900
誠  62900
絃 128400


東二局  ドラ:四萬

和「ツモ。タンヤオ平和ツモで700・1300です」


和 156500
メ   53600
誠  62200
絃 127700


東三局  ドラ:二筒

絃「ロン。東一盃口ドラ、5200。くふっ」

和「……っ、はい」


和 151300
メ   53600
誠  62200
絃 132900


東四局  ドラ:六筒

『女の意地のぶつかり合いッ! 霜崎選手ってほんとに18歳なんですかね?

 私にはあんなエロい表情はまだできないよすこやん……あっ』

『何? 何に気付いたのこーこちゃん』

『いや、うん。すこやんに色気の話を振っちゃってごめんね?』

『えっと……こっちこそ、なんかごめん』


和(完全に狙い撃ちに……。確かに私の手を完全に読み切っていれば確率を算出して狙うのは不可能ではないでしょう。

  しかし霜崎さんはそういう雀士ではないはず。では何か別の……? そんなオカルトありえません。


     |   \ /ー/ ̄ ̄ ̄`¬: : : : : : : : : : :\

    r'   ー--イ  ト‐‐‐、   /: : /: : : : : : : : : \
    |     ,,,,ト-∧_     /:/: : : : : : : : : : : : : :\
    ト-┬‐‐'' / T\     「/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ゙、

     /     |  \    | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :゙、
    ∠__    /    ヾ-イ: : : :/: : : :/|: : :i : : : : : : : : : ゙、
    Y : \  / ___    |: |: : : :/: : :/ / : /: : :| : : : : : i: i:゙、
    /: : : : : Y:::|_」:::::\_」:| : //: :/ ソ;,; /: : : / : : | : : :| :|: |
.   /: : : : : :/:/ :| : : :| : :| |: :/ | :/   /:/X; :/ /: :| : : :| :| :|
  /: : : : : :/: |:: :| : : : : : | ゙、/ .V _  '' /;;;;ノ  /: :/: : ::/:/: |
  /: : : : : :/ : |: : | : : :|: : |        ヾミ_〟   /: :/.: : :/レ レ'
.../: / : : : : :./:|: : : : : : | : |           イ  ̄/: :./

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: : : : :|: /     |: : : :゙; : : : : : : : : :゙,  | | し | .| |

  と昔なら言ったんでしょうね、私は。京太郎くんの強さの秘密。

  ならば私だってそれをあるものと考えていくべきなのかもしれません。

  ではどうすれば対抗できるのか、というとまるで分からないのですが)

絃「ツモ。純チャンツモで3900オールッ」


和 147400
メ   49700
誠  58300
絃 144600


東四局一本場  ドラ:四索

絃「ロン。平和ドラで1本場は4200……」

誠子(くっ……。まさか2半荘だけで対応されたのか。私の力は分かりやすいとはいえ。このままでは……)


和 147400
メ   49700
誠  54100
絃 148800


東四局二本場  ドラ:四萬

誠子(……いや、いいんだ。この配牌、私に運が向いてきてる!)

メグ(さすがにやりマスネ……。イトもノドカも、全力でなければ難しい相手です)トン

誠子「ロン! トイトイ赤1で2本場は5800だ!」


和 147400
メ   43900
誠  59900
絃 148800


南一局  ドラ:九萬

『今のは良くなかったね。当たり牌を掴まされたのはしょうがないけど、

 亦野さんは既に三副露していたから警戒しないといけなかった。でもそれで覚悟が固まったみたいだね』


絃「ロン。純チャンのみ、3900だわ」


和 143500
メ   43900
誠  59900
絃 152700


南二局  ドラ:七萬

メグ(後々を見据えるなら、ここで力を見せすぎるのは悪手デス。

    デスガ、それが敗着となってしまえば私はモチロンのこと、チームに迷惑がかかりマス。

    それはさすがにダメデショウ。なんのための団体戦なのか。デスカラ少しだけ……全力で)

絃(――ッ! メガン・ダヴァン……ここで使うの。彼女の周りだけ闇に堕ちていく。

  陣ごと隠されては私の力も届かない……どうしたものかしら)


 メグが手牌を伏せ、俯きひたすらにツモをする。普通ならば盲牌ができたとしてもやらない暴挙。

 しかしメグがツモる度に、その手から発される気配は不気味に増していく。

 手探りで闇の中を一歩一歩進む。その先に得たのは光明――


メグ「ツモ! 清一色ツモで6000オールデス」


和 137500
メ   61900
誠  53900
絃 146700


南二局一本場  ドラ:九筒

『お、おお? ダヴァン選手前局に引き続き珍妙な打ち方です』

『暗中模索……アステカ?』


絃(スポットライトがいやに眩しいわ……? これは、いけない。この光は――)トン

メグ「ロン! 1本場で12300デス!」


和 137500
メ   74200
誠  53900
絃 134400


南二局二本場  ドラ:三索

『霜崎さんが光に中てられた……。光を災いに見立てている……?』

『えと、すこやん? すこやーん? 一応テレビだから、ちょっとマズイかなーって』


誠子(三副露が遠い……! 二副露までは辿りつけるのに、そこからぱったり止まるっ)トン

メグ「ロン! 2本場は12600デス!」


和 137500
メ   86800
誠  41300
絃 134400


南二局三本場  ドラ:發

『うん、たぶんそうだね。ん? あ、ごめんごめん。ちょっとした雑談になるけど。

 アステカ神話の神様って言えば有名なのはケツァルクァトルとテスカトリポカだよね。

 そしてテスカトリポカは特に多様な権能を司る神様で、俗に夜の神とも言われる。

 だから最初はそっちかなって思ったんだよ。テスカトリポカの祭司は神様に似ているとされた男性が務めるし。

 でも光を災いに見立て、目を閉じることでそれを避けるということはたぶん……トラウィスカルパンテクートリ。

 追っかけリーチでの差し合いも投げ槍のメタファーとして相応しいし、格上に弾かれたら自滅するというのもリスクとして分かりやすいね』

『すこやん? すこやんが神話に詳しいのはよぉく分かったんだけど……なんて言ったらいいか』


メグ「ツモ。3本場は4300オール!」


和 133200
メ   99700
誠  37000
絃 130100


南二局四本場  ドラ:九索

和(すごい追い上げですね。霜崎さんに直撃してくれて結果逆転したのはありがたいですが。

  さすがにそろそろ止めないと詰められ過ぎてしまいます)

絃(光……まだ解明はできないけれど、それが分かれば対処のしようもあるわ。

  空から降り注ぐものなど戦場では雨のように降り注ぎ命を刈り取る流れ矢で慣れているもの。

  つまり、我が布陣でも正面から打ち合える。盾翳せ、前進――)

絃「ツモ。中のみ、4本場で800・1200」


和 132400
メ   98500
誠  36200
絃 132900


南三局  ドラ:三元牌

誠子(や、やっと止まった。でも私だけ点数が……。少しでも取り返さないと!)

誠子「チー!」

絃(あれで三副露。……船を飛び移られては捉えきれないわ)

誠子「ツモだ! タンヤオ三色赤2で3900オール!」


和 128500
メ   94600
誠  47900
絃 129000


南三局一本場  ドラ:一萬

『亦野選手意地の和了! ダヴァン選手のように起死回生の連続和了なるか!?』


 実況が煽る中、しかし麻雀とは無情である。

 そもそもが和という牌効率最高級の打ち手が席についているという状況。

 最短でも6~8巡を和了に必要とする誠子では、いささか分の悪い卓なのだ。

 むしろ先程の和了こそが奇跡的な一撃だったと言うものもいるかもしれないほどに。

 そしてその速さについて行けるものもまた、いるのだから。


絃「ツモ。W南ツモで1本場は1700・3300」


和 126800
メ   92900
誠  44600
絃 135700


南四局  ドラ:四筒

絃「これにて終局。ツモ。混一色のみで1300オール」


和 125500
メ   91600
誠  43300
絃 139600


『おっ? 最後は随分あっさりでした。副将戦終了です!

 1位は貫禄のチーム須賀で13万9600点!

 霜崎選手は前半-1800、後半+12800の合計+11000点です。

 2位は悩ましの清澄高校で12万5500点!

 原村選手は前半+39300、後半-29900の合計+94000点です。

 3位は再浮上の臨海女子高校で9万1600点!

 ダヴァン選手は前半-13500、後半+36700の合計+23200点で区間賞です。

 4位はがけっぷちで4万3300点!

 亦野選手は前半-24000、後半-19600の合計-43600点です。

 小鍛治プロ、この試合どうでしたでしょうか』


『連荘が多い卓だったね。二半荘で25回の和了というのはとても多い。

 前半は原村さんが、後半はダヴァンさんが大活躍だったけど……

 実は全体的に試合をコントロールしてたのは霜崎さんだね。

 和了回数11回でトップ、放銃も1回だけという安定ぶり。

 和了も速さ重視、掣肘重視で低く抑えていたけど結果的に2位との差を僅かとはいえ広げた。

 前後半共に勢いづいた二人を止めたのは霜崎さん。いやらしい麻雀をしてたよ。

 麻雀に限らず勝負事では相手に力を発揮させない、自分の力を押し付ける。それが勝利の鉄則だからね。

 亦野さんは残念だけど今回は完全に力負けかな。精進して来年の活躍を祈りたいよ』


『ありがとうございました。

 第71回全国高校生麻雀大会団体戦もいよいよ佳境、大将戦に移ります。

 情熱のぶつかり合い、迸る若さ。高校生たちの夏はいよいよ終盤を迎えます。お見逃しなく』


「ただいま」

「「「「おかえりなさい」」」」


 絃さんがいつものように悠然と帰ってきた。いつものようとは言っても、笑みにはさすがに満足そうな雰囲気が漂っている。


「いよいよ、ね」

「ですねーぇ。次が締めですよーぅ」

「咲ちゃんと淡ちゃんっすか。二人ともかなり気合入ってるっすからねぇ」


 数絵、憩さん、桃子がしみじみとこぼす。

 実際、数絵は一時3位まで順位を落としたこともあった。結局は取り返し1位に順位を上げたが。

 絃さんも、和の大爆発によって一時的に大きく捲られたのだ。

 得意の狙い撃ちで確実に引きずりおろし、最後は1位で俺にバトンを渡してくれた。


「京太郎さんなら問題ないわ。

 ――京太郎さん。道はわたし達が均したわ。あなたは征きなさい、覇道を!」


 絃さんは俺の勝利を信じて疑ってすらいない。

 絃さんだけではない。皆の顔を見れば、爛々と輝き、口元は余裕の弧を描いている。

 事ここに至っては長々とした言葉は不要だ。

 俺は全員としっかり視線を合わせ、ただ一言。


「はい!」


須賀京太郎
属性 :O
技量 :S83
直感 :S87
必然力:S84
補正値:35.91+16.8=52.7
・スキル
【焼牌入魂炉】 (出雲八雲+一牌入魂)
 その打牌は一打ごとに魂を焼き入れする如く。燃え盛る炉を彷彿とさせる打ち筋。
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 打点を+3。
(効果D)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にして1翻として和了する。
 ただし符数は半減せずに判定する。
 また符が足りずに流局の場合は30符として計算し翻数は通常の判定で計算する。
(効果E)
 ドラが筒子の場合、判定と打点をその筒子の数字の半分の段階だけ上昇させる。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【百鬼の太刀】なきりのたち
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 ドラが八索の場合、跳満以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果D)
 このスキルは一切の干渉を受けない。


宮永咲(全国特殊)
属性 :O
技量 :A72
直感 :A72
必然力:A75
補正値:45
・スキル
【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【威圧感(特殊)】
(効果A)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果B)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【嶺上からの睥睨】
 勝利を許されず敗北も避けたいがために生み出した歪んだ打ち筋。
(効果A)
 聴牌判定値が3位以上の場合、判定値を+40。
(効果B)
 効果Aによって和了判定1位になる場合、その和了を任意の他家に譲渡できる。
(効果C)
 効果Bにより譲渡後の打点は相手に関わらず±4できる。
 ただし自身より必然力が高い相手には、素の判定値で上回っている必要がある。
(効果D)
 このスキルは自身の和了には使用できない。

【嶺上開花】
 高い山の頂上にすら咲き誇る、常軌を逸した妖しい花一輪。
(効果A)
 和了コンマor判定値がゾロ目のとき、強制ツモ和了。
 ノーテン時は2位以上でなければならない。
(効果B)
 効果Aによる和了かつ本来ロンのコンマである場合、責任払いでの出和了りとなる。
(効果C)
 このスキルで和了するとき、符数は半減せずそのままの数値を取る。
(効果D)
 他家の妨害効果を無視できる。


ネリー・ヴィルサラーゼ(手加減)
属性 :O
技量 :B60
直感 :A72
必然力:S80
補正値:45
・スキル
【FATALIZER】
 運命奏者。人の運命を繰り紡ぐ者。死を齎す者。
 任意で発動可能。
(効果A)
 聴牌を確定する。
(効果B)
 和了判定値を+50。
(効果C)
 聴牌コンマが3位以上である場合、スキル効果以外では放銃しない。

【ファム・ファタール】
 運命の女、悪女。牌にとってはまさに最愛、他家にとっては災厄となるだろう。
 自身より必然力が低い者が強制和了効果を発動したときに発動。

 強制和了者の聴牌・和了コンマともに自身より低ければ、
 その和了を無効にして自身が代わって和了する。

【聖人たれど死に抗うに能わず】
 人はどこまでいっても人である。
 聴牌・和了コンマともに2位以上である場合、打点が満貫以上になる。


大星淡(特殊)
属性 :O
技量 :B60
直感 :B60
必然力:S90
補正値:43
・スキル
【闇煌希淡】虹 
(効果A)
 他家の聴牌コンマを-15、和了コンマを-20。
(効果B)
 聴牌を確定し、自身の和了コンマを+(聴牌コンマの一桁目-5)×5する。
(効果C)
 効果ABにより自身の和了判定値が1位の場合、強制和了。
 ダブル立直ドラ4の跳満が確定する。
 なお、和了コンマ35を超える他家が居ない場合はツモとなる。
(効果D)
 最低打点が跳満となる。
 ただし他家からのドラ妨害効果があった場合は2翻以上となる。
(効果E)
 発動中は常にリーチ状態。

【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【あの日の絆創膏】虹
 幼い頃にもらった絆創膏。孤立を免れた絆の証。
 任意のタイミングで発動可能。
(効果A)
 【闇煌希淡】を解除する。
(効果B)
 【須賀京太郎】との絆の強さ分、判定値をプラスする。
(効果C)
 自身が敗色濃厚なとき、聴牌が確定する。
(効果D)
 効果Cによって聴牌するとき素の聴牌コンマが1位or85以上の場合、
 逆転に必要な和了形と役となる。
(効果E)
 効果Dが発動したときに和了コンマで1位の場合、強制和了。



淡の絆補正+22


咲・ネリー・京太郎・淡  の順

というところでここまでです

今回のステ貼りはクライマックスということでマスク部分も解放していたり

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました

何かご質問やご意見等ありましたらどしどしどうぞー

おつー >>647でのどっちが+94000になってるよー

>>654
おぅっふ、ご指摘感謝です。+9400っすね

菫さんと亦野がちょっと割を食ってる感じですけど、決勝らしく割といい勝負で結構満足な試合です

それでは大将戦分だけですが投下していきますー

書き溜めが完全に尽きるので次はかなり先になりますが


 対局室に入り、席に着いた。試合開始まであと5分もない。


「ん、スガキョータロー」 「ネリー・ヴィルサラーゼ」


 席で深呼吸をしていると、ヴィルサラーゼさんが入室してきた。

 そして俺に気付くとすぐに人を小馬鹿にする笑みを浮かべて話しかけてきた。

           「 ̄`ヽ-―‐---、__

           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
           {ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|!  }!'^゙
           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
            |:::|:i| "  '_   " .!::::.{! o|!、
             |、::|ハ:.,、  、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、
         /.:ヽハ!:r‐` T"´  !イ':":.:.:.:.:\i!
       r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、   ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ
        ∀  ! `Zf┬‐-≧ーイ:.:r'´       |_)i::}
      / .,.:彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ::::..       !::、:::i!
      <  ̄  ノ''"   ...::::..... ::::::::.   ,.ィ:::::i!:::|
     ,.へ  / ........:::::::::::: ::::.   ::: ,:<_,.ノ::::::|:i::|
     `>'"           ::::: :::..:/  \:::::|::i:|
     ∠.._________;:.-'"´  __,.イ:::::|::::i!
       /  `ー┬‐;--------―irイヽ、|::::!:::i:|
       / 「 ̄ `ニY⌒r―''" ̄ ̄i .i! | i ヽ!::/::::|:|
     /  L...イ:.:./i T|`iー―--┘ i||  {/::::::ハ!
      / __/:.:// | |:.:.i____ i! ゙、  }::::::/
    / ̄_/:.:.:./ i  ||:.:.:i____i|ヽ、| /:::::/
    / ̄.:.:.:.:.:.:./ /   ||:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|!\_|::::ノ
  /:.:.,:ィ―-イ L___| └―---r---|!、:.:.:.|'"

.  <__ |   |   |       |   | \:|

    「4万8千点差でまさか安心してない?」

「ヴィルサラーゼさんみたいな実績もない新人だぜ、俺。そんな余裕はないよ」

「ふぅん。殊勝な心掛けだけど、勝つのはネリーだから。あ、長ったらしいだろうからネリーでいいよ。私も須賀って呼ぶから」

「え、あ、おう」


 名前呼びを唐突に許された。しかし、口調といい表情といい須賀呼びといい……長さ呼びやすさ以外の理由はなさそうだ。

 外国では名前で呼ぶのが普通だというから感慨もないのは不思議ではないのだろうが。


 俺が釈然としない表情をしていると、新たな入室者がやってきた。

     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶

「キョータロー、ここで会ったが百年目ってやつだよ!」 

「淡か」


 その綺麗な金髪をうねつかせ、こちらに向かってビシッと指を突きつけるのは大星淡だ。

 以前見た時よりも胸が大きくなっているような気がするのだが……?


「……? っ! キョータローのえっち! おっぱいじろじろ見てでりかしーが無い!」

「悪い。……でもさ、なんか前より大きくなってんじゃん。そら見るよ」

「乙女の秘密だよーだ! そんなことより、2回戦のリベンジ……するから」

「9万6千点の差があるんだぞ。俺個人で負けてもチームとしては負けられないな」

「そんなん親で役満直撃させれば一発じゃん。淡ちゃんにかかればちょろいっての!」

「いいのか? ダブリー対策はばっちし積んできた。それに相手は俺だけじゃない」ピクッ


 ネリーさんは俺と淡の会話に参加することもなく黙って席で座っている。

 そのおかげというべきか、俺は淡と気の向くままにじゃれあい程よく緊張が抜けた。淡も同様だろう。


 しかしそんな時に、対局室の入り口から暴力的な圧力が吹き付けた。思わずそちらへ顔を向ける。


「……咲」

「――――」


 入ってきた咲は、明らかに余裕のない切羽詰まった表情だ。

 元々咲は麻雀を楽しくないと言っていた。それでも全国に来るまで続けたのは、別の目的があるからに他ならないのだろう。

 俺は、清澄を出てからそのことを忘れてはいなかったか。

 自分の麻雀の楽しさにかまけて、咲のことを見ないようにしてはいなかったか。

 合宿で楽しそうにしていたのを見ただけで、咲は大丈夫だと思い込みはしなかったか。

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             .|/'  |: / ∨: !、:.::/ |>o。_          /  .!-ー--  .._
           {.     |:./   ∨{. Y/ |:.:.:.:./i:.:¨7 T¨¨¨¨¨¨´    ^ー 、     ` ̄

                        「大星淡。――倒すッ」ゴッ

「ハァ? なんで私があんたにそんなこと言われなきゃなんないわけ?

 第一いくらテルの妹だからって私に勝てるわけが――っ!」


 殺意。淡の口を強制的に閉じさせたのは、咲から感じられた明確なそれだ。

 宮永さん自体は咲のことを妹だと認めていない。かねてからのインタビューでそう答え続けている。

 俺から見れば彼女たちが姉妹であることは一目瞭然だ。

 異様に癖の強い前髪といい、顔つき、雰囲気。姉の方がスタイルはいいが。

 しかしてそれほど似ている妹が、否認され続けて何も感じないはずがない。

 ネット上では人気雀士の盗撮写真なども出回っているが、淡は照さんと度々一緒にいるところを撮られている。

 咲は機械に弱いが……知らないと考えるのは楽観的に過ぎる。

 直接向けられていない俺やネリーさんでも感じたほどの殺気。

 それを向けた咲、向けられた淡。どちらも平静ではいられないはずだ。


「おいおい咲、その目怖いって。長野以来なんだし、今日は楽しく戦ろうぜ?」

「……京ちゃんも邪魔をするの? だったら、みんな倒すよ」ゴォッ

「っ……ったく、気合入るのはいいけどほんと怖いって。

 淡、お前も気にせず楽しくいこう。麻雀は楽しんでなんぼだからな!」

               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
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            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
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 上手く笑えただろうか? 今の咲には俺の言葉じゃ届かない。どうすればいいのか……。


『さてさて! いよいよ大将戦、高校団体最強が決まる卓だぞ野郎どもーッ!』


『こーこちゃんは元気だね……。まあ、解説していこうか。

 まず、1位と4位の差は9万6300点。親の役満を直撃しても逆転には300点足りない絶妙のセーフティリードだね。

 ここまで来るレベルの子達なら役満を和了ることも無いとは言えないし、高レベルで拮抗してるから誰が放銃してもおかしくはない。

 1位3位はその半分の4万8000点差。子三倍か親倍直撃でひっくり返る。

 1位2位は1万4100点差。子跳ツモで逆転できる。

 須賀君は防御が厚い選手ではない、攻撃型の選手だから狙うこと自体は難しくない。

 無論、ここまでの結果を見ればわかるけど失点をものともしない稼ぎ方をする子なんだけどね。

 須賀君はひたすら和了を、他の子達は須賀君の和了を防ぎつつとにかくどこからでも稼ぐ。

 これが基本戦術だと思うよ。狙い撃ちをするには大星さんが鬱陶しいだろうからね。

 飛びギリギリまでは普通に見逃されるなんて期待はしないほうがいいかも。何にせよ楽しみな対局だね』


『ありがとうございました。……奇しくも全員が1年生という対局!

 次代のスターは誰になるのか、ここまでトップで走り続けた須賀が突き抜けるか!?

 それとも前年度王者が意地と奇跡を見せるのか!?

 はたまた留学生が世界の壁を叩きつけるのか! ダークホースが牙を突き立てるか!!



                    運命の対局、開始です!                     』

1半荘目

東一局  ドラ:白

淡「リーチ!」


『大星選手先制のダブリー!』

『すっかりお馴染みになった、って感じかな。確かにダブルリーチは放銃リスクを考えると非常に厄介なんだけど』


京太郎(淡、ダブリーはやめないか。賽の目はやや良しって程度。だったらやりようはいくらでもッ)

京太郎「ポン!」シャッ

淡(む、キョータロー、またずらす……!)

ネリー(役牌ポン……。清澄も聴牌してるし、流局させて仕切り直すほうが良さそう)


『……そろそろ流局です』

『全員が全員、聴牌維持しつつ相手の当たり牌を抱え込んでる。

 須賀君が角をずらしたから大星さんも槓不発で和了れないみたい』


ネリー(……あーもう! 清澄がまずい気配。この局はネリーの運が一番悪いから蹴散らせないのがもどかしいな)タンッ

            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`
      /:::..     |  ,. _/
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
.  /:     |::::.....      ..............:::_,:::-‐'′
 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
/----、\   ::::/ |::  ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"

京太郎「ロンだ! 發河底撈魚で3200……!」ニッ

ネリー「くっ、往生際の悪い……!」


咲 125500
ネ  88400
京 143800
淡  42300


東二局  ドラ:中

『須賀選手ホーテイロン! 大星選手のリー棒も回収で4200点ゲットだ!』

『須賀君はこのしぶとさが魅力だね。確実ではないけど、嫌いじゃないよこういうの』


ネリー(清澄を意識して警戒が抜けた……? あんな殺意、サカルトヴェロじゃ日常茶飯事だったのにっ。

     日本で腑抜けたってこと? そんな馬鹿な事あるはずない! ほら――)

ネリー「ロンだよ。白混一色、12000」


咲 125500
ネ 101400
京 143800
淡  29300


東二局一本場  ドラ:四筒

淡(うーっ、マズイかも……。キョータローはまたずらしてくるし、もう完全にバレてるよねこれ)

ネリー(ククッ。おっと、ダメダメ。まだトップとは4万2400点の差があるんだから。でもこれなら今回も満貫和了って連荘だ――)

            ,. : : : ̄ ̄ ̄ ̄: : : : .、

            /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ー: イ
           ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :<´
         .': : : : : : : : : : : : : : : |: : : ,: : :、: : :
         /: : : : : : : : : : : : : : : :{: : :ハ: |:|: : {:|
        .' : : : : : : : : : |: : : : : : :Ⅳ:{´ 从}: : :\
        |: : : : : : : : : : {: : : : : : :|ィ斧ミ  Ⅵ:{ー'
        |: : : : : : : : : : :Ⅵ: : : :从 マソ  乂_〉
          ,: : : : : : : : : :r \∧: : \     }
         |: : : : : : : : : 乂 `    ̄      /
         Ⅵ:∧: : : : : : : : ー 、      ´,
        从{  、: : ,: : : : :从 > ..___/

              ∨ `ヽ: : {     ,
                __}Ⅵ    {
           / ̄一-- ̄ \  |`ヽ
          /  ,..:::―- 、 \ \ ∨}∧

             咲「……カン」カッ

淡「!」

京太郎(戻した!? これじゃ淡が――)

淡「カン! ……ツモ! ダブリーツモ裏4で3100・6100!」ギュルッ


咲 121400
ネ  94300
京 140700
淡  43600


東三局  ドラ:九索

京太郎(チッ。咲、やってくれる。今の状況なら淡が飛べば俺の勝ち。

      倒すと言うからにはそれじゃダメだわな。ネリーさんがロンしそうだったし、それは許さないってことか)

咲「――カン」ゴッ


『! あぁ、これやられたら私でも止められないかなさすがに』


                           ┐
                    /::::/
               /  /::::::::/...-―≠ニア{
                   /{ /:::::::::::::::::::::::::::::::-=<...
               {::∨::::::::::::::::::::::::::::::::::-=く:::::\
                   〉::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\⌒
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             |从:|::从八从乂{´廴}乂::::从劜: : : : : :./
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                   }//> . - . イ:::::: : : : :/´ ̄∨ ̄ ̄\
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            ノノ   \{ {\: : : :.  .: : :/ニ/ l/ ̄\__彡'--  、  \
           { {     ̄ハニ、:_:_:.//ニニ/   |            \   \
           /\   ___/  |`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=-  \   \
        /  / ̄ ̄   八   ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`   \
      .  ´   /         }    \三ニ=- ̄{ ̄ ̄               \
   /   /            |     \三三三ニ=- __
  /   /            _|     /≧=====┬=ニ三三三ニ=--
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/ /         ____. .: ::|  \     ___/  --- ‘,  /: : : : : : : :./::}:_:_:_/::
,/   / ̄ ̄/: : : : : /: : :人    ̄ ̄   /: :|: :\: : ̄: : : : : : : : : :/::/: : /::::::

          咲「ツモ。東チャンタ嶺上開花……2000・4000」


 二巡目のことであった。


咲 130400
ネ  92300
京 135700
淡  40600


東四局  ドラ:七筒

淡「リーチ!」

京太郎(ドラは七筒。三歩は前に進める)

京太郎「リーチ!」チャッ


 京太郎は淡のリーチをものともせずに筒子を集め、一気に手を進めリーチ。

 しかし普段ならば十分な加速であっても、ここは決勝卓……猛者の集う場所。


ネリー「無駄だよ須賀。ロン。三色トイトイで8000」


咲 130400
ネ 102300
京 135700
淡  31600


南一局  ドラ:一索

淡(ダブリーが……。絶対安全圏を突破できる相手だと棒攻めは狙われちゃうか。

  でも準決のオーラスはタカカモシズノの妨害があったからこそ、それを躱すためのダブリー拒否だった。

  この卓はそんな妨害もない、単純な速さで負けてる……。それでも跳満確定のこの手を捨てるわけにはいかない)

京太郎(この状況でのリー棒放出は痛いぞ。咲がもう5000点差まで迫ってる。

     だからって俺にできるのは和了を目指すことだけなんだけど)トン

咲「カン。――ツモ。嶺上開花のみ、2000」

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

京太郎「うっ……はい」(これでリードは300点だけ……!)


咲 133400
ネ 102300
京 133700
淡  30600


南一局一本場  ドラ:一萬

ネリー(清澄、ネリーの運を超えてくるっていうの……?

     やっぱり役無しからワンアクションで和了まで飛ぶ奴は厄介!)

ネリー「ロン。タンヤオ平和二盃口で1本場は8300だよ」


咲 133400
ネ 111600
京 133700
淡  21300


南二局  ドラ:三元牌

京太郎「チー!」

京太郎(これで角槓は防げたはず。淡がいると面前で待てないからきついぜ。

     ネリーさんは今回ツモ最悪っぽいし、俺はあと一巡か二巡でツモれるはず――)


 京太郎が自身の和了牌に当たりをつけ山を眺めたその時、唐突にその山から光が消えた。

 いや、そう感じただけで実際は変わりない。しかし京太郎には一枚の牌を除いて暗く見えたのだ。

                    /: : : : : : :/: : :/: : : : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
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  ノ⌒ ー--‐ '⌒^ ー-     -‐…・・/ : : : /: : ://: : /: : /// : : : : , :.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::}
f《: . :   . :/      . : . : . : . : ./ : : : ; : : /{/ヘ/: : /// : : : : / : : |: : :.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.}

V》       (      \. : . : . : . :/ : : : :j{: :.rf嶺峠い/イ: : : : : :/: :イ:.i|: : :.:i.:::::::::::::::::::::::.:.:,
 ¨⌒ー '"~¨`ヽ \    \: . : . // : : :イリ.:.从 _)開ハ刈i |: : : :/ |i: :|: ||: : :.:|.::::ノ⌒ヽ:.:.:.:.:′ ,,ル'⌒

          ^\  : .   // : ィ仁|i.:/  Vし℃仆|i | : : :  |i: :|: r冖れノ^  ノ⌒廴__ノ^⌒¨´
.               丶  : .  j/{ニニ|iイ    'ー '゙  八| : : |ー─-fソ:. :.  辷?い: :.:.:. ′
                \ : . : ; {ニ二い   :.:.:  ::::::::::八: : |j埖fソ^;. :. :.fら ). : :.:.:.:/
.                   \ : .l {ニニ八       , ::::::ヽ| ヒ^爻_廴 ノノ^. . : :.:./ニニ},
                    ヽ| {ニニニニニ:、   、         ー'⌒)ソ)メ . . : :.:.:/ニニニ}}
                    | k二ニニニ/\     ー    :.:.:   才イ. : /}/ニニニニ}}
                    | |ik.ニニニ{〉  \__        イニニノ/ニニニニニニニ圦
                    | |ikikニニ{入____    ̄¨アニたニニニニニニニニニニニニニハニニ\
                  /|人kikik.ニ{    >-=ニニニニニニニニニニニニニニ=-  ∧ニニニ〉

                    《    :. トミメ{   -=ニニニニニニニニニ=-     . : . / :〉 ̄
                      j}   :.   ≫→ァニニニニニ=-ァア       . : . : . : ., :/:∧⌒L_
                  リ}     :. /ikikikヽ\ikikikikikik/      . : . : . : . : . : . : . : . : /〉

                       咲「ロン。三色ドラドラ、7700」


咲 142100
ネ 111600
京 133700
淡  12600


南三局  ドラ:北

『逆転! ついに逆てええええん! 宮永選手が7700を和了し、大星選手の千点も回収して須賀を8400点差でトップに立ちました!』


京太郎(ぐっ……そういうことか! 咲の和了が決まっていたからあれ以降の牌は既に死んでいた!)

ネリー「ツモ。北ツモドラ3で2000・4000」

            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
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     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
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//////////\{    /`¨¨ 、

////////////>、  {、     〉
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///////////////`¨¨¨|/\////\

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/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧

咲 140100
ネ 120600
京 129700
淡   9600


南四局  ドラ:發

京太郎(親被りッ! 咲との差が2000点増えた……。なんとか和了って差を縮めたいんだが、これでは)


 京太郎の意気とは裏腹に、その配牌もツモも揮わない。

 その一方で表情の抜け落ちたような淡からは、いつも以上のプレッシャーを感じる。

 ネリーと咲の表情を窺う京太郎だが、咲は忌々しげに顔をしかめており、ネリーも諦めたように流して打っている雰囲気。

 それはつまり。

                        ____
                      ´      `丶

                    /              \
                        /        \    ヽ
                 /   ,イ            ヽ    .
                     // |  |   ' ト、           .
                 j/  ;  |  | │:!∧     i    :
                /  i |¬|ト│ |八--:一   i    i
                .:   Ν 八八 Ⅴ´\ハ         |    
               i:  Λ x= ミ \ル‐ =ミV:| │  i │   
               | i  iハ   .       |.:| │  i │
               | i  i:  :. "       ""  ; :| .:|  i :.
               | i:. ∨込.  マ::::フ   / イ :リ  i  :.
               人八 ∨ 个ト  ,,_  <「∨ :/i   i  :.
                    /\[  |  __j_」   ∨∠:リ  リ   ::、
                /  リ jレ'´ 乂    У∨   ∧     \
                  /  /  /ー  --/ /  /⌒>、    \
                  / / /  /   广⌒゙ア  /  ///⌒\   \
            /     /   /  /   /  厶イ     ,  \ \
                 /   イ\   ,゙ /   __/   {//       |   \ \
             //  /イ 「\\_/  .:::´:::八 ∨ ′     | \      ヽ
              (/ ノ   人;::::\[__/ ::::::/::/ \∨{        人     ∨)_ノ
           \{    /   >::[_[\__;;;/    )У       〉   ト、 │
                 \__{ /::::::::几::::::\      〈          /|   |ハ |
                    [__∨::::::::∨| \::::::丶    込,,______ノ |  /  ∨
                   |__7 :::::::: ノ│  〈:::::::::|    〈 [_____________〕 |  ,   /

      淡「カン――ツモ。ダブリーツモ裏4で6000オール! ……続行!」


咲 134100
ネ 114600
京 123700
淡  27600


南四局一本場  ドラ:發

ネリー(配牌が五向聴ってのはめんどくさいよ。ツモが悪いとあんな感じになっちゃうし。

     ま、その分はこの局で――返してもらおうかな!)

ネリー「ロン。白南ドラ2、8300!」


咲 134100
ネ 123900
京 123700
淡  18300


『前半終了! 順位が大きく、大きく入れ替わりました!

 これまでトップだったチーム須賀はなんと3位に転落!

 2位は須賀に200点差の臨海女子、1位はさらに1万200点差をつけた清澄!

 とはいえまだまだ3校全てに優勝の可能性は残されています!

 熾烈な争いは果たしてどういう決着を見るのか? 10分間の休憩の後、後半戦スタートです』


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           __ -=ニニニニニノ           ∨ニニ=- __

                  「京」「京太郎くん」

          /..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧

.         /....../...::::::::::/ :|::|  \:::::斗-、:::::::::::::::::::::::i:: ∧
          '....../..{:::::::::〃:{ 弋{  〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
         i...../...::|::::::::ト-|:{  \  ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
         |... 7..::|::::::::| |:{_     ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
         |ハ:::::::::ヽr ::y 弌       弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
         |{ i::::::::::∧〃_)::ハ        `     _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
         |{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、      :::::::::::    ´   }::::::|:::::::/::∧
         `  >へ::i :::::::::         u     /:::::::|:::::::::/::∧
               }.:.       -‐- 、        rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
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               |...::::::::>      <   八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
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               |...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉      /::::|:::::::::::|     // ⌒ヽ.∧
               |...:::::::::::::|__//     _/{:::::|:::::::::::|   //     V∧
             r―|...:::::::::::/    ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 '          V∧
.            ∧ { |...::::::::/     // ̄ ̄ 7  |:::::|:::::::::::|=-  /         V
.           / } ト|::::::::/     〃      /  |:::::|:::::::::::|  ./  /        V

 休憩時間、俺は用を足し、水分も補給して対局室に戻ろうとしていた。

 そこで呼び止められたのだ、怜と竜華さんの二人に。

 共にやや心配そうな表情。無理もない。僅差とはいえ3位に転落したのだから。


               ....-―――-....
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        |:::l:::::l::|:::::|!:i-i:::!::::::ハ:::|--|::|:::::/i:::::::::::::.

        |:::l:::::l::ト、ハi从:ト、:( '::|  l/!::/`|::::::::::::::.
        |:::l:::::l::i ,x芹ミx  ヽ :| x芹ミx/!:::::::::::::::\
        |:::l:::::i::|{ {i|.::i:}       {i.:::i:} } |::::::::::\::::::ヽ
        |:::l:::::i::| .辻ヅ      辷ヅ i::::::::ト、:::\::::::.
        |:::l:::::i∧.::.:|    ,    .::.::.  ∧i:::::!:::\:::\:::i
        |:::i:::::i:::∧|          ∧::i:::::!:i:::::::ヽ:::∨
        |:::i:::::i::i::个ト .   ` ´   . イ::::!::i:::::!:ト、:::::::i::::i
        |:::i:::::i::i::::|::|::i::i` --  ´!::|::::i:::::i:::!::::i::! ::::ノ|:/
        八:i\!八从斗ト、     /i`丶:!::/:::j::::ノリ i/ ノ'
        __ヽ斗</: : :.| {ハ_ハ! |: : : }厶厶イ/ /'

      / : : : : : : / : : : |, Y三Y , |: : : :',: : : : :`丶

     /: : : : : : : : / : : : : | 〉ニ〈  :! : : : :',: : : : : : : :∧
      !: : : : : : : : : \: :/! {ニニ} l\: /: : : : : : :./:.∧

       「京ちゃん」「京ちん」「京太郎」「京太郎さん」

                      . .-――-. .
                   . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

                      /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ
                . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.
                    /: :/: : :/::::/ l:::l:::::::::::::l:::::::::::::::::::: : : ::.
                 ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l
              |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|
              |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l

              |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八
              |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :
              .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
             /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\
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        -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`
            ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
                   /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
                  ___/  \ __ /   \_____
               /      \  /ー一ヘ   /     ハ
               ハ        \/     }/ ̄}    /
                 i  ヽ                }      }
                |   У                 } ∨   .|

 二人に近寄ろうとしたところで、今度は背後からそんな声。



「ああ、みんなも。どうしたんだ?」

「そら激励に来たに決まってるやん」

「園城寺さんが。なんでなん?」

「う、うちらは京太郎くんに抱かれた女やから。好きな男の子を応援するんは当たり前やろ?」

「「「へぇ?」」」


 何の気なしに応じた俺だが、怜と竜華さんの存在に気付いた憩さんが訝しむ。

 そこに竜華さんのぶっこみである。絃さんは竹扇で口元を隠し、三人は口元だけに弧を描かせた。


「……はあ。京ちゃんが据え膳食べないはずないっすからね。特に清水谷さんは巨乳っすし」

「京太郎さんに女が鈴生りに付くのは分かっていたことだわ。

 京太郎さんを困らせさえしなければ何十人でもその胎を差し出せばいいの。

 以前の主は千人単位で後宮を築いていたわ。私が彼に捧げたのは知略だけだったけれど」

「千人って……中国じゃないあるまいに」


 絃さんのフォロー(?)に呆れ顔の数絵。考えてみればこの6人の中で致していないのは数絵だけである。

 さすがに思うところがあるのだろう。


「まったく……。京太郎、長野に帰ったら一日付き合って。今は、目の前の麻雀を精一杯やるべきよ」


 溜息をこぼした数絵だが、きりっと見つめながら約束を取り付けてきた。インハイ後の楽しみが増えたな。

 そして空気を締めるように激励というか、発破をかけてくる。


     , ´   /  .' / .'  '        | l  | l |  |
   /    / '   |  | | l|  |    l | ,  } l |  |
 _/    イ /   l|  |_,∧_{  :.   ,-|-}-/、 ,  |  {   _   ___,-、 __
  ̄ ´   / /    {  |、{ l∧  {、   | }/イ/},イ /  l_、  { Y´ /  '   }- 、
      {〃   r∧ |ィ斧ミ从 、Ⅵ , イ斧ミ、 } /l|  l、r  ̄ {   {  |  / _ }、
      /    /{ 从{、 Vzリ  \Ⅵ/ Vzり /イ } / |   乂_人_/、_/   / \
       /   //从 l∧\       ,\        | /イ/   }==   ̄ ̄ ̄ ー く
     /  イ'  {/l∧ ∧      、        ,イ/j'  /             \
    ̄ ̄        ー∧         _,     从    ,                 \
               ヽ 、    ` ¨  ̄   ィ }/    /     / '
                 ∧ \       / |/>  ,      /
                  {(从_|     --  ´ 「/// |  {
                  |/ ̄}}          |////|_ |
            _,.:<|///||          l/////` |
     _,.. -=<///// \//}         ,r-/////// |
  <//////////////////∧-- 、    {///////l{


「ああ、もちろん。みんなには言いにくいんだけど、……楽しいんだ。

 こんな追い詰められて、このままじゃ負けちまうかもしれないって状況なのに」

「楽しい……」

「全力で打ってもなお互角か、いや、ちょっと俺の方が下だな。そんな卓で戦えるのが。

 ハンドを諦めてからは無かった。全身全霊で戦んでる感覚……。麻雀はこんなに楽しいものなんだ」

「京ちゃん」「京ちん」「京太郎」「京太郎さん」「京」「京太郎くん」


 麻雀は楽しい。俺の言葉にみんなが驚いたように俺を見る。みんなだって同じはずだ。

 好きでもないものに全力を傾けられるほど人は無感動ではいられないと俺は思う。

 それはつまり、今あの卓で戦うあいつも同じはず。俺はそう信じるのだ。


「ま、楽しいからって負けていいわけじゃない。勝ってこそだ。勝負事で負けても楽しいなんて嘘だからな。

 だから……俺は勝つ。みんなの想いも連れて、勝ってみせる」

          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__
.      / / :|  ::|/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `「⌒:.
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 俺がそう言い切ると、一瞬硬直したみんなが一斉に抱きついてきた。柔らかな感触や鼻をくすぐる香り。

 戦いを前に昂っている今は非常にマズイのだが……。

 邪心の無いハグに悩まされながらも、俺の心は対局に向けて研ぎ澄まされていった。

2半荘目

東一局  ドラ:八筒

淡「リーチ!」


『さあ大星選手のダブリーで再開された感増し増しの大将戦です。崖っぷちの大星選手は踏ん張れるか』

『……良い表情だね。今回もきっちり大星さんのツモ順をずらして、できることを確実にこなしてる。だから――』


                      ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、

                     /_,..-         ヽ  `  、
                    __../´     /    ∨   \
                      ,/ `i      / ,'     :    、 ヽ
.        Y ヽ        //   i   ., / /|  |  :.  | | |    ∨
        |  ‘,  .._/  i   i   . | |..|...|  |   _} | | | |  | :
        i   ∨    ̄ ̄.|   .i .{ ´| |\.{  |: , ´//}∧ |  | |
        ‘,   ∨     .|   .i , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
.        ∧  .‘,     .i   i . { 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
r <                  i   i.}从lム     ; \     ,ノ /  \
.', .\               _ .j   i  | ∧          ∧,イ
 ',   <    .∧         .i  Ⅵム  .-===-  ...イ //
.  ヽ    ` ─ .´ヽ        ∨  ヽl\       //イ
.     >                ‘ ,  |.≧` .ー . ´.≦|
     >  ´     /          ̄ ̄ ̄ ̄)三三└x
 > ´     _             __  ≦i.iミ&三三三ニ≧ -   _  、
(_  <   ∧           ィマY三三三三i.i三三三三三三三三三三.iニ',

           〕 ─  ´ ´/ィ三ミi i三三三‘,○三三三三三三三三三三.i三i
           i三.ミ x\ //三ニ/三三三三.i三三三三三三三三三三三i三.i
           i三三三≧彳三ニ././三三三三i三三三三三三三三三三三i三.i
           ∨三三三三三,///ニ,’三三三.i三三三三三三三三三三ニ.i三ミi

.            ∨三三三三/.//ニ/三三三三三三三三三三三三三三三三.∧
             ∨三三三ニノ/ニ/三三三三ニ.Yヽ三三三三三三三三三三三ミi
              マ三三三 /ミ/三三三三三ニ`´三三三三三三三三三三三ニi

             京太郎「ツモ! 發ドラ海底撈月で1600・3200だ!」


咲 130900
ネ 122300
京 131100
淡  15700


東二局  ドラ:八萬

『須賀選手和了1回できっちり捲った! 必要最低限の和了、200点差でトップに返り咲いたぞー!』

『卓に着く4人の力量が見事に拮抗してる。こうなると後は運否天賦だから……こういうこともあるね』


淡「ツモ! ダブリーツモ裏4で3000・6000!」


咲 127900
ネ 116300
京 128100
淡  27700


東三局  ドラ:九索

ネリー(チッ、止められなかった上にツモられた……。

    でも今回はネリーの和了かな。清澄も須賀も聴牌してない。大星もまだ時間がかかる。

     ってことで遠慮なくいただk――えっ?)ゾクッ


 ネリーが自らの勝ちを確信し、打牌。しかしそれが早計であったことは走った怖気が裏打ちする。

 京太郎が山から牌とツモ、


京太郎「カン」  槓:八索


 王牌へと伸ばされる手。止められない。

                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/
.          ,イ/////////////>'////////////////}ニア゙
.         /////////////ア´ {{////////////////ニア
.         ,イ////////ニ=-     寸////////////イ¨´
      ,イ///////イ´         マ/////////ア´
.     /ゞ===イ´           マ/////アイ
      ム:::::::::::::::::}              {:::::::::::::リ
   く::::::::::::/¨¨´.               {:::::::::::/
    ¨¨¨                     ゞ─'゙

   京太郎「嶺上ツモ。三色タンヤオ嶺上開花、4000オール!」


咲 123900
ネ 112300
京 141100
淡  22700


東三局一本場  ドラ:五萬

『宮永選手のお株を奪う嶺上開花!』

『あの形に持っていけば須賀君は必勝だね。まだ満貫止まりなのが弱点だけど、15歳だっけ?

 まだまだ時間はあるから。特にこの年代は伸び盛りだし』


淡(キョータローは今ので前半のマイナスを帳消し……。大きなマイナスなのは私だけ?

  ざっけんな! この淡ちゃんがそんなで言い訳ないでしょ。だからここで……和了る!)カッ

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         淡「ロン! ダブリー裏4で1本場は12300!」


咲 123900
ネ 100000
京 141100
淡  35000


東四局  ドラ:一索

淡(このまま攻め切る……!)「リーチ!」


 淡が続けてのダブルリーチ。暗槓後に槓裏が乗るという淡のダブルリーチは恐ろしさと脆さを併せ持つ。

 強力であるが故に優先的に対策され、バレてしまえば凌ぐことは決して難しいわけではない。

 その性質上和了に至る時には巡目が相応に深まっているから手牌の推測もされやすいからだ。

 そう、二つ目の山の最後で槓すれば、の話だ。


淡「カン!」


 淡がカンし、王牌からツモった牌をそのまま河に落とした。すると。


咲「それカン」

京太郎(咲がカンして和了らない……? どういうことだ)トン


 咲が一瞬、笑みを浮かべていた気がした京太郎の油断。気を逸らした迂闊な打牌。


淡「ロン! ダブリー裏よ……え?」

      /      /  /|   | |    ヽ       \
.       /  /  / / / |  |. |   | |   |   ', ヽ    ∧
     /  /  /./ / |  | |   | _|L.--|.,,,_  |  |   :l ',
     /  /  |  ト|_,r|''´|`:|   |  |\ | `ト| :|    | :|
    /   |   | ィ| |─ト :|ヽ  | / ̄V|  | :| |   |  |
    /   |   レ´| \|_\|  ト、. |::::彡三=、 :| ./ / /   !
   /彡イ |    ト| 彡 ─ヾ:\|::::\::::/,'⌒ヽ \/ / /   |、
.      |  ヽ  ゝ///;'⌒',ヽ:::::::::::::::::::::|:!::::::::::!:| ||イレ' |  ハ!
.      |   ト、 || | ';::::::::!:|::::::::::   ヾ、;;;;;;;ノ  |/ ハ  / |
.      |    ハ, \:::ヾ.;;;;;...'   ,          ハ /  /
.      | /ヘ ヽ..ハ                  ハ// /
        /    \トハ      ー_,ア     ノ'´//
               |ゝ、           //イ/
              |人> ._       <:| / /
                \|\|  ー<   :|´
                     |        :|> 、
                   /|       /   \

           咲「どうかした? 点数申告してよ」


 淡の自信満々な点数申告が途中で止まった。本来であれば4枚乗るはずの槓裏ドラが1枚しか乗らなかったのだ。

 それを嘲笑し傲然と促す咲。淡は唇を噛み締め、絞り出すように申告する。


淡「……っ! 裏1で9600……っ」


咲 123900
ネ 100000
京 131500
淡  44600


東四局一本場  ドラ:三筒

『うわぁ。今の宮永選手、怖いときのすこやんみたい』

                 ,. -──……──- .
                /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、
              /:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:\
           /:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:./:.:/.:.:.:}:.:.:|:.:.}:.:.:.: ヽ

              ′:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:. //}/∨ハ/レ'ヽ:.:.:i:l:i
           i:.:.:.:.:.:.:.:.: i:.:.:.:.:.:.:.:|         V从|
           |:.:.:.:.:|.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:| ー ─'´   ^ー-|:.:|
           |:.:.:.:.:|.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|          |:.:|
           |:.:.:.:.:|.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:| 〃⌒ヾ    癶{:.:|
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         {      { | |             | | / |

                     『えっ』


京太郎(咲……。淡を目の敵にしてるのは、お姉さんのことだよな。

     確か中日に一緒に町で遊んでたのを見たとか和が教えてくれた。

     でも、だからって麻雀を憎しみで打っちゃダメだ。ゲームで恨みをぶつけるのは……)


咲「カン――嶺上ツモ。嶺上開花ドラ、1本場で1400・2700」


咲 129400
ネ  98600
京 130100
淡  41900


南一局  ドラ:七筒

淡(なんなの、いったい……。なんであんな目で……! わ、私が何したっていうの!?)ダンッ

京太郎(動揺してるな。そりゃ、そうだ。あんな……。思い出さなければいいんだが)

京太郎「ロンだ。タンヤオ三色一盃口ドラで7700」


咲 129400
ネ  98600
京 138800
淡  33200


南二局  ドラ:七筒

淡(くっ……。違う、キョータローは違う。あの日キョータローがいてくれたからこそ今がある……)


 淡が何かを掴むように、胸の前で左手をぎゅっと握り込む。

 しかしそんなものを今の咲は斟酌しない。


咲「それカン――ツモ。中嶺上開花、責任払いで4500」

                       ´              \__

                         /                    マ三三三三三三ニ=-
                  /     /           \     ∨ /⌒> 三三三ニ=-
                         ,′          ヽ           \三三三ニ=-
                   /     _/ │  ∧          .     | ニ二  -=ニ\三三三ニ=-
.                /    / /│ '|  |\  :.       :. i   |\        ̄`丶三三三
           __/      / /  │/│  |   :. |\       :.   |             \三三
         _/´/ /    /| \| | |  |  |│ ::.     |   八   ー―‐=ニマ三\  マ三
       厂| |∨//    人 レl   | ト-|  |  |│ ::.     │ \ \       `マ三)  }三
__,,...  -┤│レ/゙∨   /\l |_|斤テ外八 ^ト--|/--│              ー=ニ二 `マ  /_三
       ││|{ {.  /  ∧ンリ 乂ツ   \|斗テ外、.|       卜、        丶、______ く_三三
       | ∨\八  {  /  Y::/::/  ,    乂)ツ 》│    | /\       \≫==≪\ マニ三
__,,,... -‐ヘ_ \,,>\∨廴_,人          ::/::/ / リ│  │  >ー──=ミ〃    `ヽ∨ニ三
          ̄    \__,))       ヽ      ∠/_7  イ /⌒)丿    \_ノ{ -‐~‐- }ノ三三
                      ≧=‐   -=≦ / ∧|/ / ,.二二二二∨|\___/| ̄ -=

                                 / /  厂∨ / -――=マ 〉|      |
                               ((⌒´     ∨ 〈       ∨/l.     │
                                           `ーヘ      ∨|     │
                                         `、      ヽ、____丿
                                               \     \
咲 134900

ネ  98600
京 138800
淡  27700


南三局  ドラ:四筒

淡(いやだ、こんなの……やだよ……)

京太郎(悪いな、淡。本当なら今すぐ抱きしめてやりたいが……この卓は俺達だけのものじゃない。

     俺もお前もチームメイトがいる。応援してくれる人がいる。だから――)

         /             /    /  / 〃                i{   | \
       /           /    /  / 〃         |         i{   |
      /              /    /  / i{          |         i{   l    ',
   __/      /     ′  〃 /{  ハ   {    |  |ヽ
 ⌒ ̄ ̄ ̄ ̄  ア        i{    l l  i{{ l i{   {    |  | }  i{       /
.          /  ィ'       i{    | l 从| l i{   {    |  | } 从   〃   ′    l
         {/ /       i{    |jI斗===ミ i{   {    |   厂}/}/ }/ }   /⌒ 、
            '         ∧  狄Ⅵ汞≧八  {\  | ィ'“ 汞笊ぅ/ / 厂^ l    ′
         /  /    { ', {   ∨こリ \l   、! /   Vこツ{/i /    从  ′
        /  /    人 ', ',{            }ノ          }/   / ハ/
       ∠  ∠   イ  l\ 、 V                       }   / /
                  八  !  Ⅵ ヽl          j               l=‐≦/
                   \〉   v 汯         {              爪 〃
                    }  ∧                        / //
                       \{ 込、    ___           /{ ィ/
                     _ -=\   に ̄ ̄_)       {从
                      〃    }N\            /   j_ノ_}Y
                       ri{      i{   、          /_ -=ニニニニ|
                       |ム      i{    ー―― r≦ニニニニニニニ=|
                       |ニ}    /{            |ニニニニニニニニ=‐ |

                   京太郎「ロン! 清一色のみで18000!」


咲 134900
ネ  98600
京 157800
淡   8700


南三局一本場  ドラ:三索

ネリー(さっきからことごとく……! 清澄に掠め取られてる! 今回はいけそうだけど、駄目。

     3900じゃ須賀に直撃しても差は5万点……オーラスで三倍満直撃させても届かない。

     役満じゃないと……。それならここで和了っても状況は良くならない。……ああ。

     ここは須賀に取らせて次で大役を狙うほうがいい)

京太郎(っし、聴牌だ。まだまだいくぞ……!)

京太郎「ツモ! タンヤオ一盃口ツモで1本場は2100オール!」


咲 132800
ネ  96500
京 165100
淡   5600


南三局二本場  ドラ:三索

ネリー(よし、これで跳満。リーチかけて上手くいけば三倍満まで見える。

     全力出すなって言われてるけど……これくらいはいいよね?)トン

                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
            /                         /
              / {                            /
          /  \                     /  イ
            /\_ \ _                   ∠ イ |
        /  ,ィ   ̄ ̄    |    │   l  :| :|    | | |
.        厶イ |  i    |   ト.    ト、 .:ト、 .| :|    | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、 │゚. :| ゚. | :|    │!
                 |  ト、圦乂| 乂| \| \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´
               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |

                      咲「ポン」


 ネリーの何の変哲もない捨牌を咲が唐突に鳴く。

 ネリーの感覚からすれば向聴数も変わらない、完全な無駄鳴き。首をひねらざるを得ない行動。

 その怪しさを警戒すべきだったのだ。


淡「ろ、ロン! ダブリー裏4で12600!」


咲 132800
ネ  83900
京 165100
淡  18200


南四局  ドラ:北

京太郎(咲、なんでだ? あの鳴き……不自然なんてもんじゃないぞ)

ネリー(やられたッ! 目の前の勝ちに目が眩んだ……。これで役満直撃でもダメか)

咲(さて、邪魔なのは黙らせた。後は京ちゃんからカンして終わらせよう)


 この瞬間、誰もが咲を見ていた。このオーラスでの動き次第で優勝者が決まる。

 会場中、テレビの前、そして京太郎も。

 淡のことを誰も見ていない。いないものとして扱われている。昔と似たような状況。あのときはどうしたのだったか。




(『あんたたちこんなこともできないの? ばかみたい! キャハハ』

         ´          ` 、
      /              \
.     /   ,   | |   ト、      :.
    /  / /  | | \| \ /  |
    .′ /|../__`八 |  / __.Ⅴ   |
    |i  / _ \ヽ  / _\  |
    |i   { 〈 厄 ) }  { 〈 厄 )リ  |
.    八   >x 二/   \二vヘ、|
     ,.ヘ_人    v ア     >/´_ヽ
   /  、 > ≧=‐::r‐=:::ト< \/_∧
  ./ 、/ / x<  ._/  /ヽ∧   i
  /  / / ノ   \ ∨ /   } 、}   |

 『あわいちゃんはてんさいなんだから、あんたたちみたいなのとはちがうの!』

                       ´              \__

                         /                    マ三三三三三三ニ=-
                  /     /           \     ∨ /⌒> 三三三ニ=-
                         ,′          ヽ           \三三三ニ=-
                   /     _/ │  ∧          .     | ニ二  -=ニ\三三三ニ=-
.                /    / /│ '|  |\  :.       :. i   |\        ̄`丶三三三
           __/      / /  │/│  |   :. |\       :.   |             \三三
         _/´/ /    /| \| | |  |  |│ ::.     |   八   ー―‐=ニマ三\  マ三
       厂| |∨//    人 レl   | ト-|  |  |│ ::.     │ \ \       `マ三)  }三
__,,...  -┤│レ/゙∨   /\l |_|斤テ外八 ^ト--|/--│              ー=ニ二 `マ  /_三
       ││|{ {.  /  ∧ンリ 乂ツ   \|斗テ外、.|       卜、        丶、______ く_三三
       | ∨\八  {  /  Y::/::/  ,    乂)ツ 》│    | /\       \≫==≪\ マニ三
__,,,... -‐ヘ_ \,,>\∨廴_,人          ::/::/ / リ│  │  >ー──=ミ〃    `ヽ∨ニ三
          ̄    \__,))       ヽ      ∠/_7  イ /⌒)丿    \_ノ{ -‐~‐- }ノ三三
                      ≧=‐   -=≦ / ∧|/ / ,.二二二二∨|\___/| ̄ -=

                                 / /  厂∨ / -――=マ 〉|      |
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                                               \     \

 『いたっ な、なにすんのよ! いやっ やめ う、うわああああん!』)





淡(そうだ、あのときの私は……自分の力に溺れて友達もどんどんいなくなっていってた。

  それが怖くて、どんどんエスカレートしていったんだ。だからお父さんお母さんからも見捨てられた。


  あの日。世間体のためだけに連れて行かれた長野旅行でも私は相変わらずだった。



  傲慢に振る舞って、同じ年ごろの女に突き飛ばされたんだ。




  怪我をして、歩くのが遅くなった私を振り返ることもなくお母さんたちは……)


 淡が追憶に耽る中、配牌が終わる。


  1m1m1m 1p9p 1s9s 東 南 西 北 白 發 中


淡(一萬を切って九萬待ちリーチ? それでいいの……?)


 固まる。普通であれば迷うことのない絶好の配牌。

 ダブルリーチの利点、浅い巡目の間は安牌を察知させない隠密性。

 特に今回であれば、一萬を切ることでチャンタ色を薄めることも望めるのだ。

 最初から国士無双を考慮していなければ回避は難しい。

 自分を見ていない同卓者が警戒しているとも考えづらい。

 ここでリーチしなければ、かえって注目させ潰える可能性も高い。

 いつも通りに、跳満だと思わせてのダブルリーチでいい。いつも通り。


淡(違う! それじゃあの時と同じ……。大星淡は何がしたいの?)









          さびしいのはいや。 

                     ひとりぼっちはいや。












  『お前、辛気臭いな。ん? 足擦り剥いてんじゃん。

   ……痛いか? 綺麗にしないとばい菌入っちゃうから我慢しろ。っし、これで大丈夫。

   なんだよ、泣いてんのか。まあ辛いときは泣けばいいって。

   涙が心の汚れを落としてくれるんだってサキが言ってたし。

                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
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     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、

                 ん、俺? 俺は――――』




淡(そう。私はキョータローと一緒に居たい。キョータローに私を見てほしい。

                 /. . . . . . . . . . . . . . \
                 /. . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
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           ノ, : : : // : : : : ;.ィ: : :∧: : : : : :|:   ゙、
          /イ. : : /: /: : .  :// ://  、 ;、: : |: . : : : i
           (:( i/: /: /: : : :// : //   i:| |: : : |: : :!: : |゙、
           シ;.ィ: : : : /:/ /: //    !:|/: : : :|: : :|: : | ゙、
        r;='"´//i: : : ://ーメ<_      ! /__,..」:! : | : |  ヽ,
       リ / !イ: : : ハ! .,ィ=≧ミ、    ,/._,∠二/!|: : !: :|   ノ
    ,..-:.‐:.':.´: : : ノ| : ;、'^ 〈 !;::::::::i゛    //イ!::;レ7:/i|: : !: ;! /
   i: :r―ー-‐'"/: :!: i:.丶.i ヒ二⊥  ,/ /ヲ-:!/ ;! :/:/リ

.    |: |       ノィー|: |‐-‐'゙、 """     レ′ / /: /://
 ー=ノノー---< ,.┤ |:.|    \     '     _ノ/: :/、
  '" `ヽ、: : :/  ! |:|     iー- 、` ´ _,..-‐'/: :/   ̄/7ヽ,
        \/   ゙、 !|     |    ̄,.:'.;"´: :/     // /ヽ
          /     ゙、゛、    |_  //;.イ´     //    ゙、
        /  ヽ  ヽヾ    ト、 ` i / ̄/     //       |
    r'"´      \  ト、、   ! フノ―/    /// i      |
.    ゙、.           |`i:、゛、.   i'"´   /   //::::/ i...:;    ヽ
     ゙、.          |  i::\\ i   /  //::::::::/_ //      ゙、
     |、ヽ       λ |:::::::\\! / //:::::::::::/ ̄ノ           l

        サキなんかじゃない、私を、真っ直ぐに!)タンッ  打:一萬


『大星選手、土壇場での役満聴牌! しかしここで和了れても追いつけないぞ!?』

『親だし、和了り続ければいいだけだよ。問題はそれができるかってことなんだけど――あれ?』


 健夜が思わず首を傾げた。なぜなら淡がネリーの落とした九萬を見逃したからだ。

 1位には届かないまでも、ネリーから取れば順位は3位に上がる。

 翌年を考えればここで和了るのも正解なはずであるにも関わらず。




淡「――っ!」タンッ  ツモ:東  打:一萬



『お、おー!? な、なんと大星選手国士を崩しました! 何が目的なのかさっぱりわからーーん!』

『え、え? いやまさか、そんな』


          /    /     /  /     /         \
       /    /    ,/  /  、//  ,/ /   |       \
.    _人_, / /    /   ,  /  / /\   / / l     |   |  ||     ,         _
.   `Y´/ /    /   / /  / / / /\/ //        |   |  ||    ′      ,ノ /
 _人_  / /    /  / /  / / |l // /∨/    !    ∧  l|  リ    |      └1_|
 `Y´/ ,    /  / /  / /_,|/ l / /∧   |   / } / | ∧    | |         _
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 /  / ,/八|  l|  |  l|   ` `¨¨´     /    /:.。:(_,ハ  ∨  ./ / ,′       o
   / / //|  l|  |  l|  l\l\l         {:.:{:._)十} / / / ′ +
  / / / {/∧  l|  |\l|             /   乂:.:.:.:.:.ノ 厶   ,/ /  _人_
/ / イ   ∨∧ il| l∧       /           `¨¨´ /   ,/ /|   `Y´
  \川川川川川川川/       |      \    l\l\l/   / / l|
―‐三            三\          /        / // / 八
  二   あ  イ     二      ` --           ..イ/ // / \\
  三   の   ケ    三    \         -=≦/|  /  {\  \_____彡'
  二   明   て   二    /  ----=≦/    /l 人     |  \  \
  三   る   ん    三   /      / /  /  l|\ \   人       \ ̄ ̄\
  二   い   じ    二 /         /  イ'ー―┬..┬ 、 \   \  |___}\    \
  三   の  ゃ   三            / / l|    |::::::|  |  }\   \}     }\   }
  二  !! ん.   二           /  l|    |::::::|  |  }  \     ̄ ̄ ̄ノ  }  /
  三          三

  /川川川川川川川\

  ツモ:南       (『キョータロー、あの一番明るいのなんていうの?』)       打:一萬  


             __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__

                > ´ ̄  /   `   `、  、
          、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
           `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
             /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
            {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
            /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
          <__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
               {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
                从Ⅵ              /.: ノ  |
                 叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从
                   、           イj   / /
                     :.          < |'  /}/
                      、__   ´    } イ从/
                         |        |/
                        「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
                        |//l|     |//////// 、
                  ,. <// ∧      |//////////> 、

  ツモ:西         (『あれか? あれは……たぶん北極星かな』)         打:一筒

        
                             ____
                       ,. ´ __    `¨¨ヽ

                    ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
                   /  _     ,:   ∨   、    :.
                          / /,´      /    |    ヽ     .
               / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
               l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
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              ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
                  / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
                   / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
                 ´    \∧  '        ,r ' /
                       、  v   ァ    / 从/
                             \ `こ     イ  _|、
                          ` r  ´   //∧
                             /|     /////∧
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  ツモ:北       (『淡は北極星よりむしろ北斗七星って感じだけど』)        打:九筒

       
            _ / ,  / //|     , | ,:  |  V  :.
            ` ̄ /  ' | |∧ |  / },l --|   |   |
              /,イ  { |-- 从 / /,ィrtォ、 , |   |
              /  ∧ |,ィtォ、∨ '  Vり {,イ /-、  }
             / イ{从{ Vり }/       |イ l) } 从
             ̄    Vr:l    '           //
                 l叭    _      r ' /

                    、  `ー`    イ  {
                    \      /  |∧」
                       ` r‐ ´「 ̄ ̄ ̄}
                     「 } |    |///// ∧
                      |/|_,ノ   /////////≧=-
                  _//∧   「/////////////////≧=- 、
              -=≦/////〈 ∧_///////////////////////∧

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  ツモ:白            (『北極星は時代で移り変わるけど』)            打:一索


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                  ,  ´/          |   \
                    _/  '   '    ,:      |    \
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                   / イ  / /| 弐_ V | /   __}/   _ヽ
                     | / , :  ー':, ∨/   イ乎(_ ヽV |
                    ∨ {/ '   / /      Vzソ   V}
                    {   、                 リ
                         ∧   `
                        、
                         ∧ `
                         |l∧      ̄         <
                          「´∧           ´
                        .:'//>--==≦ゞ
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                       {// ∧// ∨V{  |  「 ̄/´///
                     ///,'/ ∨/ ∨V〉 ' r/ |//////
                       /// {///∨/ ∨{  r,/ ///////
                     {///|////////V__/ ////////
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  ツモ:發       (『北斗七星は昔から変わらない。人を魅了し続けた』)      打:九索


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㌧爨;;::: ;;㌦,       '"´㍉;;;;㌢ ,;:;㌦爨㍊/:.:./:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: :|
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 ㌃;;;;:: ;;::::;爨:.,                {;V′:|:.:|/|:.:i:.: :i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.i:.:.:.: |
.;爨㍊;; :㌻     ,;爨 ::; ㌧, :: ;::,        八| V{\|:.i:.:.:.:.: :|:|:.:|:.:.|:.:.∧/}人  _
爨㌶;; ::,         ㌘ :: ::;爨㍊;, ::         r=Tヽ   レ'\:.:.:.乂人/∨ヽ__rf¨´く
㍑;;:㌣      ,;爨㌢';,. .  ::;; ;:;,     /ヽ \\   ヘ/       ∧__ ,. ' ̄
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   , .;,㍊;.         ;爨㌢.;;.::; :,  /      }   ∨ヽ         》
    ,;爨;,.               ㍊爨;.{           {.,.   ∨r=======ァ′
         .,;㍊′  ..;;㍊;. ;;;:::: ::; {\       /    マ7 ̄⌒¨¨⌒ “
        ㌢.; ㍊爨㍼㍊   ;;;:: ::人. \   /      ./
     ㍊t㍊; ::;; ㍑爨㌔    /  \ ヽ/       {{
   ,;;爨㍻;,.  ;;:: ::;; ::チ㍊;;,        / ̄           ∧
  .,;㍊チ㍊;;,.. ; :;:::;㍾㌶/     /             / \
 ;爨㍊;, ;::  :;爨㍾;;: :, /     ∧               /./
㍊爨; ㍊爨;..;'㌢爨;.      ≠´ .圦\.          / /ヽ
  ㍊爨 ;;::: :;;::: '    /   ./ \  ̄ ̄ ̄ ̄  /   ,'\
 ㍊チ㍊::,,;;;爨;./     /     ./      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         \

                  『門から放たれた狼は、神をも貪る』


京太郎(咲はもう聴牌したか……? 俺は安手でいい。

                    _, ⌒\/ ̄ ̄ \

                ,    ̄ ̄ /     、     _\
             ´      /        \     `ヾ
            /         '     、 、 、     \
             /          |   {  :. | | ∨、\   \__
           ′        |    l|  } | |、 | |\ \ ̄ ̄´
           .        {   从 /-}/-Ⅵ {  ヽ |
          /       ,.-从   | }/ ィ≧、 {  \ }'
          /イ      { ⌒\ {   、 Vj ∨、  \
            八       、   \       ヽ  ̄
            Ⅵ        ,ー、         ,:'
            ヾ\    / ∧         -,
                  ヽ /{/     、       '
                _从/____ >  __ノ
              |///////////l :l//|

              |///////////|  //|
                /////////// ∧ :./|
          , <////////////////\l/、
        //////////////////////\l、

          //////////////////////////} }

     今回は五向聴スタートでもなかったから、これで聴牌ッ!)タンッ



                        淡「ロン!」

                 .      ,  ´            ` 、
                    /                 \
                    //: ..::              ....:.:ヽ
                   //:.:.:.:/.:.            ..:.:.:.:.:.∧
                //  :.:.:´:.:.:.:.:....:.:.:   ...  .......:.:.:.:.:.:.:.:、: ',
            .1}   } .:./  .: ::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ト;.:.:.:.:',:.:.:.:.:.:. ', .',
    .         7ミニ彡 .:/:.:.:// /  ://}.:.:/ ,' .ヽ:.:. .',.:. 、.:.: |..:.∧
        __  { ,'.|   /}/:.:.://:/:.:.:.:.:..´/. ./ ./ /   V...ノ:.:.:.',.:.:|.:.:|:∧
    .  /7}  ヽ{| ./.ノ.:.:.:./:/.:.:.:.:.:./  メ;..':.:/.     .V.;.:.:.:.:.}:::|.:.:|:.トヘ
.        {人_ .ヽ_ミx´,:.:.:./:/:.:.:.:ーx_  //ァ/    ./イ:.:.:.:.:.|.:.|.:.:|:.:ヽ.ヽ
.       ゝ   ̄...:.:.:., |:.:./:.:':.:.:./  _≧≦_.´    ._x≠キ":.:.:.|.:.|.:.:|:.:.:.:》 〉

       __`''ーt―r ' ./.:.,:.{:.l.:.:イ ',.〈丁≧ァ`    k´r‐=≠、.:.:.:.!.:.:.:.:!;/,_'_
    r''´,-=、::`''ー==≧:.:.:.{{::';|:/ ゝ_,  r';_; }.    ./ 5、_/;}lノ:.:.:.|.:.:.:.:|.// ,Xァ
    .` .≧=-`''-、_.:.:.:.:.:.:.:r<ヘ:.|.  ヘ ``'''.        ヾソ-'./.:.:./|.:.:.:.:|/ /  `、
             ̄´ /´.ヘ V   :ヘ      ,      /:.:.:/:/:.:ノノ /:::   .∧
            ト ./   ヘ ,ヘ   ::::> _  __ __   ,/イノ::::レ'/ /:::l:::    ∧
            |:`,'    :ヘ ヘ   ::::::::::::>.、 _, =r<:.,'.:.:.:.://// :/:::      ` ー、
              八_}    .:::.ヘ ヘ  ::::::::∧‐-   ./:/.:.:.:.:/::.//イ .l.::: .:::::::::::     }
            ,イ   .. ::::::::.ヘ .ヘ   ::::::∧`''ー.〈_:ゝ、:.:∧//:/:  |::::::::::::;:': .::::::  /



               私を見て

        /   /  //  . :〃  . :iト、|:. |             ヽ    ヽ  ヽ
      乂 .′ / ,イ .:/ !   . :i| |:. |\: .                  ハ
      .′ i`ーァ′/ ! .:i |   . : | |:. |  \: .  ヽ: .  ____ i-‐ ´   .
     .′  !/ . : ′| .:| |   . : | |:. |   \: .        ̄| ̄ ̄ `ヽ:
        /i|  :|. :|  | .:| |   . : ! |:. |_,,-‐====‐\   . : :|   . :|: . i
    j〃 . :i|  :|. :|‐===┼-  | : j   -‐     \: .    . : |   . :|: . |
    /  . :i|  :{. :!  \八  . : | jノ   , -‐ __,,.⊥   . : }   . :|: . 人
   ′ . : 八  Ⅵ ≫=ミ、 . : !     ≫≦Y⌒'マハ:、  . : .′ . :|: . : .\
   i . :i    . :\{ハ 《  )i:::::::ハ\{     ″{ .)::i::::::::::}::} 》 . : /  . :/!: . \: .\
   | . :|   . :i   '. ヾ い;::::::jj         八∨乂 _;ノ:ノ  . :/  . :  |: .    : .`ー-
   | . :|   . :| . :| . :l'.   V辷ク            ゞ゚-‐ '  . :/   . :/ . :|: .  .
   | . :|   . :| . :| . :|ハ               /    . :/   . :/ .:.:|: .    : .
   | . :|   . :| . :| . :| :.       ,        /  . . : .′ . / . : :|: .     : : . .
   | . :|   . :| . :| . :|  :.             /  ,. : ,イ  . :/  . : 人: .       : : : . . .
   |..:i:|   . :| . :| . :|   ゝ.     、   ノ .′ // / . : : /  . :.:/  \: .\: .
   l :从  . : :| . :| . :{   / > .        { /'   / . : / . : : .:′    \: .\: .
   乂{: \. : :!\〉、:\_/   . : .:〕jッ。.     . ィV`ヽ /. :/ . . : :/       \: .\: . .
    `\ \{   \;/  . : .://{{   ` ´ | |│ ,// . : .:/             \: .\: . .

                          キョータロー


               淡「字一色、48000!」


咲 132800
ネ  83900
京 117100
淡  66200



『ちょ、直撃ィいいいい! 大星選手が国士から張り替え、役満をトップに直撃です!! ひっくり返ったああああ~~~!!』


南四局一本場  ドラ:六筒

京太郎「字牌のみの七対子……大七星だったか」

淡「うん」

京太郎「思い出すな……。北斗七星のほうが淡らしいって、そう言ったっけ」

淡「……うんっ」

京太郎「心配すんな。俺はお前のこと、ちゃんと見てる。あの時からずっと」

淡「んっ。ぐすっ」


 涙がこぼれそうだった淡が、ついに決壊させその頬を濡らす。

 手が届くのならすぐにでも拭ってやりたい。だが、今はそれも許されない。

 だからせめて、安心させるように俺は笑う。ひとりぼっちではないと。

:;,.:;,.:;,:;:;,:.;:,.:;,...:...;:;.....:;::;;...               ....:;.:,:;,:.:.:,,,:;:;,,,,.,:;::,.,:;;:.,.:;::,;.:;,:.;:,;,.;
:;.:;,.::.,::,:;:,;,:.,;.;;.,:.;,:,::.;..:;..      ,,.:.:.::. ̄:.:.:.. .、   :;:;:;:;:;;  rァ  ,,.,:;:;:;:;:;;:;:;:;::;,.:;
:;,;.:;,:.;,:,:..;,.:.:,;.:,,;.;.:,;..:  ー-=‐''" ......::..:.:.:..:.:.:..::.:...丶            ,.:;.,:.,:,.;.,:.;,:,;.:;
:,;.;.,:.;;.;..,;.:.;,:;..;:,:,:;..    `¨ラ..:. .:. .:.: .:.:.:.: : : :..::.:.:::ヾ 、         :;,:.;,:;.;,.;,::;,.:;
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:;.,:;.;;.,;:.;,:;,::,:.:;..:..:;,:;..   ./..::/..:.:::..|A .:::::: |:::ハ::::::::::::l:l  } /   .l      :;,;:;,.:
:;,.;,...:;,:.;,:;.:,,.;..;:,;.:;;:;,.:;  厶イ::/:::::::'.ニ\::::|/○}イ:::ィ:N   .l    ノ      ,.;:,;.,.
:,;.:;.;.;;.:,;.:;,::,:::.;,:..;:,;.,:.;    |Λ:〔ト、'.ニニヽ|-ニニノイノ .ノ    }. 斗'        ::;:;,.
:;,.:,;:,:.:.;.:.;:;,:;.:,;:;.:,:,:.;:  ノ)   `}:入       /ン     ´           ;:,.;:;
:.;,:.;:,:.,::.:,:.;,:;.:,;:;.:;:    `    }Λ{:.>r--- ´l<_                   ,:,;.:;
:,;:.;..;,:;.:,;:::.;,:;.:;:   ___   r--y''"´ |   ノ    ̄二二ヽ  .  -‐'フ    .,:.;:,
:,;.:;.:,::.:,;.::,;...:;  ./    )  .|     ‘. ̄´ /   .ィ⌒ 、 ヽ'く   /    '',,::
:,;:.;.;,:;.:;,:;,:;:,;:..   l 厂 ̄   Λ     ‘. ./  .イl7    、  ` ァ        ;:.,:;.
:,;:;.:;,:;...:.:.:...:,;:,.. ヾ     イ  \    ‘ / .ィl|:|ル      \/     ,.....,:,:;.:,
:;,:.;;.......;,:;,:;.:;,,,.;:,:.,,...  く\  .|弋≧=彡□≦=-彡 、    /ム      ,..,:.;,:.;,:,;.:;
:,;.:.;;.;,:::;,:,:.;.;;.,:;:,:,:,:;..;.;,:;. \\ :|   ̄ /liノ心     〕ト、//ヽl  ,.,,:;,.:;,:;.,:;.:,:.,.:,;:

咲「どうして、どうして京ちゃんは笑っていられるの……!」


 淡に笑いかける俺に、咲は苛立たしげに問い詰めてきた。


       .ハー──仆、 /   /  /〃ヽ/〃 /   ノ}   |   |   | |   \
      >      フ/   /  / / // \ |   //    |  イ   | |\てー~从彳
      |て  何  |. |   | ィ>===ミー=//    イ  /|  / j ト     〈
      | |   で  ゝ|   | |〃 /::::::::::ヽ ヽ 〃  /人∠⊥L厶 / ノ   何  (
      | 〉  ! !  ノ |   | l〈 ひ( )::} ノ/  /  >=ミ、jノ  / <   故  {
     ノV       }ミ|   | |V(´`)─C」 ∠./  ´ /:::ヽ\/  /ノ    !!   L
ト圦_乏       入 |   | |:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:....      /rう:::::} }ヽ /Z       「
)        f丁 ̄ヽ ヽ.  | ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:\C:::ノ ノ /  `V⌒へイW
|       ≧ |   \_、\ゝ       ,. ─ 、 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヾ://    |  \ |
|   ど   Z ト、 |   ト      /_   `ー-、 :.:.:.:.:/イ /ト从へハィ1 ヽ|
|   う    |∨ } | |.  | \    /     ̄ `ヽ、 }    / /ノ     フ
|   し   |   リ ∨ゝ._|  \  ゝ.        V    ノ/ <.  何   |
|   て   |       / |    \  ` ー- _ ノ   /     |   で   |
フ       L     / {ノ     \     _  -‐ ´      |    !!  >
ノノ !?  >   /  ヽ       ` ┬イフノ         )     {
厶へ──へ人  /     \       { \          そ⌒ヘWイ

咲「オーラスで役満受けて、私との点差は1万5700点なんだよ!?

  ツモじゃ跳満でも届かない、私に満貫以上を直撃させるか倍満以上をツモらないと負けなんだよ。どうして!」


 そう、泣いているのは咲も同じだ。涙こそ流していないが、心から絞り出すように叫ぶ様は泣いているとしか形容できない。

 俺は咲の涙も拭ってやりたい。だから、ここで見せてやらないといけないんだ。


/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////

京太郎「どうしてかって? 簡単な話だ。俺が麻雀を楽しんでるからだ!

     だから咲、お前にも見せてやる……これが俺の最高の和了――リーチ!」


咲「楽しい……? なんで……勝てるようになったから楽しいの? だったら今は」

京太郎「俺は最初のぼこぼこにされてた時だってつまらないとは思ってなかったさ。

     そりゃ、悔しかった。お前に完膚なきまでに負けた時なんて特にな。

     でもさ。それでも俺は麻雀を嫌いにはならなかった。桃子や憩さん、数絵に絃さん。

     それだけじゃない。俺とみんなを繋ぐ絆が麻雀だ……。俺はみんなと出逢わせてくれた麻雀が大好きだ!

     お前だってそのために打ってるんだろ!? 分かれよ!

     ――――ツモ!  リーチ一発ツモ……一気通貫混一色ドラで4100・8100……ッ!」

                       ___/ ̄ ̄\_
                   ,  ´        <⌒
                  ,:'            `ヽ、
                 ,                \_
                                \ } ̄´
                  '              ,  \
                / ,          |/} ∧ }`ー`
                 {∧          「ノ|/}/イ
                '  、       | /`/ } '
                   } ∧     /イ   /
                   |' ,} \__/イ__ /
                   |ニニニ=-〈
                 /7ニニニニニニ=- ,,_
                 /二|ニニニニニニニニニニ=-
              -ニニニ|ニニニニニニニニニ/ニニ|
              |∧ニニニ|二ニニニニニニニ/二ニニ∧
              |=∧|ニニ:|二二ニニニニ\ニ/二ニニニ∧
              |=二|ニニ:|二二二二ニニニ∨二二二二∧
             r''=二:|ニニ:|二ニニニニニニ',ニニニニニ/
.              ノニ二:∧ニニV二二ニニニニニ',ニニニニ∧
             /ニニニ∧ニニVニニニニニニニ',二ニニニニ|
         /ニニニ二∧ニニV二二二ニニニニ',ニニニニ|

           /ニニ二二/   、ニニV二二二ニニニi二二二 ∧
.          /ニニ二二/     \二Vニニニニニニ|ニニニニ∧
         /ニニ二二/       ∨ニV二ニニニニ∧二ニニニニ|
.        / 二二二/>、__    マ(二ノ二ニニニニニ|ニニニニ人
       |二ニニニ//ニニ\彡イニ「ニニニニニニ/∨ニニニ\(
      `ー=ニニ=--=ニ二ニニニニニニニニ/二ニ∨二二ニニ∧

            /ニニニニ`丶、ニニニニ__彡'"ニニニ:∧二二ニニ∧
.          .゙ニニニニニ/ニニ\ニニニニニニニニ/=∧二ニニニ∧
        lニニ>''"⌒V二二二 \ニニニニー==彡:/│V二二ニニ∧

        |/    ./二二ニニニ\二二二\ニ/゙ニ| ∨二ニニ:∧

.                .゙二二ニニニニニ\二ニニ∨ 二l   V二二ニニ∧
.               /二二ニニニニニニ`ニ=-=彡ニニ/  :| 0二ニニニ:〉
              /ニニニニニニ/^ヽ二二二二ニニl′   |ニ0ニニ_彡′
.             /ニニニニニニ/  ニニニニ二二|.    \0/  ‘,
            /ニニニニニニ/   ニニニ二二二|     「|`|    :i
              /ニニニニニニ/    ニニ二二二二|      :|」│    :|
          /ニニニニニニ/     ニ二二二二二|       `ト' :|│| | i.
            /二二二ニニニ,:′   .ニニニニニニ二|        `弋,ノノ// ` .
        /二二二ニニニ/     ニニニニニ二二|        `¨´`'`     \
          /二二二ニニニ/      ニニニニ二二二|                 `   \


咲 128700
ネ  79800
京 133400
淡  58100

ということで今回はここまでです

これ全部調整なしの一発勝負で起こった展開です。

これがあったから投稿しようと思ったくらいに。

以下に決勝戦の収支表というか、画像を貼っておきますのでよろしければどうぞ

http://www1.axfc.net/u/3671948.jpg

元画像を作ってくれた名無しさんには感謝っすわ

まあダイス弄ったことってないんですけどね

よりにもよってここで出てくれるか、というところで完璧に条件満たした淡はマジヒロイン


調整なしって乱数神でも降りてたのかw

>>716
ちなみにですが、乱数の取り方が10D10なのですが、京ちゃんと淡は席順的に判定位置が隣なんです

そして南四局の淡の和了判定乱数が88。一つずれてたら京ちゃんが完勝してたという……。

淡の役満はツモにするかロンにするか迷ったんですが、あくまで勝ちに行くならトップ直撃かな、と

え、この咲さんのまおゲフンあばれっぷりもあわあわのヒロイン力激高も京ちゃんの主人公っぷりも一発ツモなの?

ダイス神最高や!

ネリーちゃんがなんか痴話ゲンカに巻き込まれたみたいになっちゃいましたね

>>721>>722
最初は咲さんのスキルの使用や判定を緩めにしてたので、ネリーが区間賞の活躍だったんです

ただ咲さんの活躍を期待されている方が居られたので厳密に適用した結果……。

前回割を食ったキャラがいる、と言ったのはネリーのことでして。

和了のほとんどが咲さんの嶺上や±0志向による譲渡で奪われました。

それが無ければ+25,400だったんですが。咲さんは強制和了率高いのでほんと強いですね。

>>1
咲初心者だが、こんなにはまるSSにいきなり出会えるとは思わんかった
前スレから三回四回と読み直してる、超面白いです

個人戦と、前後最中のイチャイチャがまだ残ってると思うと…

期待せずにはいられないな

普通に評価されとるんやから訳のわからん言い訳せんと素直にぼくのかんがえたさいきょうのきょうたろう書きますて言えばええんやで
なんぼでも前例あるし二次創作なんぞそんなもんでええやん

ともかく乙

くさいはくさいが気持ちはわからんでは無い
こう偶然偶然念を押されるとそう……なんだ……みたいなね
俺が捻くれ過ぎなんかね

ともあれ乙ですー

言い訳ってなんだろう、と思っていたのですが>>730ということですか、なるほど。

まあこればっかりは証明方法がないので……。

対局ルールや打点表、各キャラのステータスは公開していますので

実際ダイス振って再現できるかも検証は可能、ということでどうか。

ただ、>>727さんのおっしゃる最強の京太郎はまだ書けてないですね。

大将戦、上に上げた画像を見ていただければ自明ですが、京ちゃんは3位の収支赤で負けてますからねw

淡の役満をツモで処理していれば2回戦以降の総収支で1位だったのですが……ダイス神の配剤を活かすにはトレードオフだったのです。


>>724さんはじめ面白いと言って下さる方々もありがとうございます。書く励みになっております。

でも続きはもうしばしお待ちを。    長々と失礼しました。

何度読み返してもチーム須賀っめネーミングだけはダサすぎで笑う
おつおつ

2週間間隔くらいで……と思ってたら前回投下は5月末でしたか。

6月4日のほうで見てました。途中までですけど明日投下します。

それじゃ投下していきますねー

>>735
さすがに須賀らぶをパクるわけにもいかなかったのです……。

自分のネーミングセンスはモブの名前からお察しください(遠い目)

>>711から続き

 静寂。殴るように叩きつけたツモ牌がマットに沈み、しかしその存在をしっかりと主張している。

 それを切り裂くようにネリーさんが椅子を蹴り立った。


「――っ、次は、こうはいかないから……!」


 次、彼女の言う次とは個人戦のことではない。世界で会おうということか。

 俺が何も言えないでいると、痺れを切らしたように駆け出し、対局室を飛び出して行った。

 それを見送り、改めて淡を見る。淡は手で口を押え、時折流れる涙を拭っている。

 俺はそんな淡を無言で抱き寄せ、頭をゆっくりと撫でる。制服がぎゅっと握られた。

 咲は泣きじゃくる淡を見て、複雑そうな表情である。


「京ちゃん!」「京ちん!」「京太郎!」「京太郎さん!」


 そう大きな声をあげながら対局室の扉を勢いよく開け放ち雪崩れ込んできたのはチームメイト達。

 そしてその後ろには清澄高校と白糸台女子高校の面々、さらにはフラッシュを焚くカメラの砲列。

 チームメイト達は歓喜の表情、しかし淡の様子を目にしてすぐに神妙な表情をしようとして失敗している。

 勝った者が喜ばないのは武道でもなければかえって失礼だ。

 だから俺は、淡の頭を撫でながらも満面の笑みをチームメイト達に向けた。

 一方で久さん達はというと、和と染谷先輩、優希は仕方がないと苦笑気味。

 久さんはむしろ清々しいとばかりに穏やかな笑みを湛えている。

 白糸台の面々は淡を心配そうにしているのと同時に、敗北に消沈しているようだ。




  特殊判定 1d100=22 イベント


 カメラが回りレポーターが俺達を背景にカメラに何かをまくし立てている中、淡もようやく落ち着いてきた。

 それを見計らったかのようなタイミングで、宮永照さんがこちらに近付いてくるのが見えた。

 淡に声をかけるのだろうと誰もが思い、気にする人はいない。

        /: : : : : : ..::..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.::. : |: : :!
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. レ'´   /: : .:::::::::/::/ //  ̄     /:::/- !:/ !::::∧::::::: ゙、!
    /: : :::::::::::::/;ィ^i  ,:r==ミ、   ,!/,;ニ二レ、 i:ノ::::i:::::::::. :!
   //: :::::::::::::/::|ヽ! ヾ p:::::。|      b::::。l メ:′:;ィ:::::::::!::l
 /イ: :.::::::::::;:イ:::::::::! i    ̄ ̄      ´フ'"´::::://:::::::;ハ人
  ̄/: ::::::::/ /:::/:::::::ヽ !  """   ;    /:::::::::/!. /::::/:::リ::::`、
  i: :::::/  |::/::::::::::::::λ     _    i:/:::/ /,ノ:/:::::::/::::、::::i
  ! :::/    Y::::::::::::/:::丶    `┴―' リ::/ ノ::'"´::::/::ハ::::: ト:::!
  ヽ:i      |::::::::;イ:::::::::::: `>、      Vイ::::::::::::/::::ノ |::: :! !:i
    `     !:::::/ |:::::/ ̄  ト、 `ー--‐' ´,.ノ:i::::イ::/-‐ ´  |:: ノ レ
                /:::::  ̄Τ: ̄:::::::::::ヽ、
          _,,...-‐:i´:::::::::::::::::::||::::::::::::::::::::::::|`ー-..、


「須賀君、久しぶりだね。何度か顔を合わせて挨拶した程度だけど、思い出したよ」


 てっきり俺は関係ないと思っていたために、声をかけられて驚いてしまう。

 今俺に話しかける意図はなんだ? さっぱり分からない。


「淡を引き上げてくれて本当にありがとう。私じゃ見ることしかできないから……。

 私の力の一端、銅鏡は色々なことを見せてくれる。淡と須賀君の絆もその一つ。

 “力”を持った人を見ると、その力の源泉を私は見せられる。

 そして力の源泉は、多くの場合陰惨。親を亡くしたとか、友達に裏切られたとか……。

 私はそういったものを見続けているうちに、耐えられなくなった。だから淡を助けてくれた君に、お願いしたいことが――――」


「照、そこまでにしなさい。さっさと引き上げるわよ。スポンサーに謝罪して、個人戦に向けた練習をするの。

 あなたはただ麻雀をしていればいい。私の夢を叶えてくれると言ったのは嘘だったの?」

「お、母さん……」


 咲のお姉さんの言葉を遮った女性。いつの間にか照さんの肩を掴み、耳元で囁くように脅した。

 その女性を咲は母と呼んだ。しかし。


「誰だったかしら。あなたのような出来損ないは生んだ覚えもない。ほら、行くわよ照。大星も」

               ___
         ,. : : : : : : : : : : : : : : .、

         /: : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
       .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、
      ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ

     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.

     .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、: : :.
     {: : ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}: : l: 、
     |: :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /): :|: : |、: :.
     |:∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ{∧:|:|: : | \〉
     }'  、: : : : : : : : : : : : : : : : l: / Ⅵ/∧: :!
       ∨:、: : : : : : : : : : : : :/イ  u |/  ∨
          }:/\:|: : : : : : : : /    人
          /   -从-----イ{     イ
     _,.::―/:::::::::::::::::::::::::::≧≦--r---、

     /:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:/`ヽ
     ,::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ {::{  ,:∧
    /:{{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::|/'  }
    {::|| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::|   |
    |::|| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::|   |
    |::|| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::|   |
    |:::ー====================_'_」::|   |
    ´ T T ―r――r、―――――‐ '     }

          「――――っ」


 娘ではない。そう吐き捨てる女性。あんまりだ。酷過ぎる。

 照さんのお願いとはいったいなんだ? この女から解放してくれということだろうか。

 児童虐待とでも訴えればいいのだろうか……?

 俺が困惑に包まれていると、その女性は俺に縋り付く淡を強引に引き剥がそうと髪を掴んで引っ張った。


「痛っ」


 淡が呻く。既に涙は収まっていたが、この女は何様のつもりなのか……!

 俺は感情のままに淡の髪を掴む女の手首を掴み、やや強めに握る。


「うっ!? 何をするの! 離しなさい!」

「離すのはあなたのほうだ。淡も照さんも、あなたの人形じゃない……ッ」

「私が娘をどうしようと関係ないじゃない! あなた何様のつもり!?」


 耳障りな声で喚きたてる女。俺は手首を握る手に力を籠めるだけで、言葉を返さない。


「ま、まあまあ、落ち着いてください宮永さん。カメラもありますし、ね?」

「……フンッ。いいわ。大星淡、とんだ見込み違いだった。勝手になさい!」


 睨みあう俺達の間に見かねたように大会委員が入り、女の方を宥める。

 カメラがあると言われてようやく気付いたのか、憎々しげに表情を歪めて俺の手を振り払おうとした。

 しかし俺はまだ手の力を緩めない。淡の髪から手を離していないからだ。

 それに気付いたか気付いていないか、手を開いて振り払おうとしてきた。

 淡の髪を掴んでいないのならこの女に触っていたいなどと思わない。

 掴まれて歪んだ髪の毛を撫でながら、俺は一歩引くようにして手を離す。

 急に手を離されたことで女はバランスを崩してたたらを踏む。

 すると八つ当たり気味に俺をぎろりと睨みつけてくる。無論相手にするわけもない。

 怒りで顔を紅潮させた女は、照さんの腕を掴むと足早に去って行く。

 慌ててそれについていくのは白糸台の3人だ。


「個人戦で、会おう」


 最後に照さんが残した言葉は誰に向けてだったのか。

 少なくとも、俺の幼馴染には再び火が灯ったようだ。

                     ____
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           i.:.:.:.:.:.:{i灯示圷   'T r' ,r'":.:.:.:.:.ハ:.|
              :.:.:.:.:.:.:.:. 乂'ツ     乂'ツ 川:V リ
.             jハ.:.:∧ゝ::         ::: /イ::.′
             V  ゝ.     ′    ィⅣ
               八j> ´ `   ≦i/j八
              r‐ ´  Ⅵ  ̄   i   ̄ ̄ ̄厂:::::.、
                /|      「       Ⅳ    〃、::::::::::::::::...
             ,: |     i>  </    /| 丶::::::::::::/
              ト、    、    /     /:::レ′ ヽ:/
            ri  '|::::\    ヽ. ̄/   /:::〃    }
            |′八:::::::::丶   ' /  /:::::/√ ̄   \
            ∧ /i'ー‐::::::::\ i_/::::::/  ̄ ̄ ̄     〉


「ぐすっ……。ありがと、キョータロー」

「当たり前だろ。髪を掴むとか酷いってもんじゃない」


 淡の感謝と俺の照れ隠し。

 周囲でハラハラと見守っていた面々もその通りだと頷いている。あれはあっちが悪いと。


「だから、これはお礼♪」チュッ


 目元が赤い淡の顔が近づき、距離はゼロに。顔を少し傾けて、わずかに開かれた唇が俺のそれに合わされた。


「「「「「「なっ!?」」」」」」


『わっ、ちゅーだよ、キッスだよすこやん!』

『はわわっ、わ、若いってすごいなあ……』


 俺は後で知ることだが、このキスはちょうどテレビの中継映像が対局室に戻された瞬間だったらしい。

 色々と騒がれそうだが、嫌な気はしないな……。


                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \

           ,          /         \
.           /     .   /            ヽ
           ′     / /              `、
.          .' /   /,     // /|   |       `
         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕




団体戦を優勝しました。

チームメイトの好感度が大きく上がった

長野キャラの好感度が上がった(ただし清澄の好感度はわずかに上がった)

魔物級の相手に勝利したため、全ステータスがわずかに上がった

団体戦決勝時にスキルでの特殊和了を成功させたため、スキルが成長しました

大星淡が特殊スキルによる和了を成功させたため、大星淡の好感度がぐぐぐーんと上がった

宮永照の特殊判定を成功させたため、宮永照の好感度がぐーんと上がった

大星淡とイベントを発生させていたかつ勝利したため、大星淡の好感度がぐぐぐーんと上がった

須賀京太郎
属性 :O
技量 :S83→S84
直感 :S87→S88
必然力:S84→S85
補正値:36.3+17.0=53.3
・スキル
【焼牌入魂炉】 (出雲八雲+一牌入魂)
 その打牌は一打ごとに魂を焼き入れする如く。燃え盛る炉を彷彿とさせる打ち筋。
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 打点を+3。
(効果D)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にして1翻として和了する。
 ただし符数は半減せずに判定する。
 また符が足りずに流局の場合は30符として計算し翻数は通常の判定で計算する。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、判定と打点をその筒子の数字の半分の段階だけ上昇させる。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【八重垣祓う叢雲の太刀】
 大事なモノは自分だけが立ち入れる場所に置くものである。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+20。
(効果B)
 打点を+2。
(効果C)
 他家の判定値を-8。この効果は試合終了まで累積する。
 最大で-40まで。
(効果D)
 ドラが八索の場合、役満を強制ツモ和了。
(効果E)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果F)
 このスキルは一切の干渉を受けない。


8月2週  祝勝会  須賀・清澄・龍門渕・鶴賀・風越・阿知賀・永水が参加

  5人まで選んで好感度上昇
 咲・透華・もこ・玄・春


 01~32   失敗
 34~65   普通
 67~89   成功

 90~98   大成功
 ゾロ目   超成功

5d100=89・43・81・35・14

 咲:成功  透華:普通  もこ:成功  玄 :普通  春 :失敗


「京ちゃん、優勝おめでとう」

「おう、咲。ありがとう。……って大丈夫か?」

「えへへ、ようやくお姉ちゃんと麻雀を打てる……。そうしたらきっと……」


 所は龍門渕ホテルは大宴会場。ビル内にあるとは思えないほどの広さと天井の高さ。

 吊られたシャンデリアは一つ一つがクリスタルをメインに宝石で飾られている、凄まじいもの。

 並ぶ料理も最高級、さすがに酒は無しだがその分デザート類に注力されているらしい。

 そう、祝賀会なのだ。

 俺達チーム須賀と清澄はもちろん長野から応援に来ていた龍門渕・風越・鶴賀、さらになぜか阿知賀と永水が参加している。

 そんな中で話しかけてきた咲。祝福の言葉をかけてくれたがやや様子がおかしい。

 どうも既に意識は個人戦に向けられているようで上の空だ。

 料理も環境も最高なのにもったいない。

 なんとオーケストラの生演奏をBGMに、やや恥ずかしいのだが俺達の戦いの記録を編集した特別映像をホロモニターに大写し。

 ちょくちょく龍門渕さんが映り込んでいるのはご愛嬌だろう。

 決め顔ではなくその直前直後のカットなのは……ハギヨシさんの趣味だろうか?


「個人戦もいいけど、今はこの場を楽しめよ、咲?

 普通に食べようとしたら10万クラスのコース料理ばっかりなんだから」


 そう俺が言ったものの、咲はおざなりな返事のみ。

 これはダメかと思い、近くにいた和に咲を任せてぶらつくことにする。


「あ~、肉うめぇ」

「ふふっ。須賀さんも楽しんでくれていますわね。そのお肉は米沢牛ですわ。

 他にも信州牛のシチューなどもございますから是非ご賞味くださいまし」


 俺がローストビーフを堪能しているところにそう声をかけてきたのは龍門渕さんだ。

 今回の祝賀会を主催してくれた、それだけではなく色々と恩のある人だ。

 普通に美人で人柄も良い、非の打ち所がない……わけではないが素晴らしい人である。

                   l´    ,'::\ヽ∨//_ ヘ:l:.   ',

                   l     !| ̄  ̄/' ´     ',ト::    ',
.                    ,'   Ⅵ    /'        l!∨   ',
                  /   :,'_!|__.{(   _≦千‐<へヽ

.                 //レ//「 ',l -- ´ \   ‐‐ /  ',iヽヘ`ト、
                 //ノヘ // -ヽ_‐   |  , ====ミ  !|:: :: `\
               //  :::i! ! '´ ̄ ̄`  /      ` jレi::: :::.  ', \
.              ///   :::|ヘ.',        '        /!´ !::::   ∧ `',
              // {    ::::|  ト     ー-....‐:::丶l    ,'  }:::   ノ  i!
.             l ! ヽ   :::\.ヘ    ',::::::::::::::::,'     -'/:::  /ヘ. j!
              ヾ / \   ::ヽ人    ヽ:::::; -'-‐っ /「/:::  :::   ∧
.              ∨  ::\  ∨!>   . /, ィ≦ イ  /:  ∧::    ヘ
              /   ::/ ヽ :∨::_レ ´ ヽ _.,ィl }┤ ::|:::  / ∨    \
.             /    /   !_ |/  \  ヽ'‐ヘ」つ、:!:: :{  ::\    :::\
              /  --‐‐ フ::::::ヽ       /´__   l  ├──-ヽ _  ::\
.           / / \ イ::::::::::::::::::::ト  r‐‐   {/ /   ヽ::: \     |  `.i \ ト、
.           /  !  イ⌒ヽ:::::::::::::::::∧ヽ    __ 、イト 、   / \ ヽ   l      \ \
        / /` 彡'      ∨:::::::::::::::∧ク ̄ // .!', `ヾ /、    Y: i   !   |、   \ \
.     / /イ           ∨:::::::::::::イ.  /イ  | ヘ   `i }   ノj/ i  ,'   ,┐、    ヽ
  ___./_/´            ∨::/ ヾ//i !.  !|ヽ\ /,'   / :::i /   ' ::| \   ∧ 、ヽ

「そうそう、この度は団体戦の優勝おめでとうございますわ。

 ……ですが! 個人で勝つのは私龍門渕透華ですわよ! おーっほっほっほっ!」


 祝辞と共になされる宣戦布告と勝利予告。それを聞きつけた周囲の人達は和やかに見守り、いっそ囃し立ててくる。


「簡単には勝たせませんよ。全力でお相手しますからね!」

「うむ。きょーたろーの気は実に清々しいな!」

「衣さん」


 龍門渕さんの挑戦状に俺も奮い立った。恩人ならばこそ手を抜くことなど許されない。

 俺のやる気に龍門渕さんがやや頬を引き攣らせた気もしたがきっと気のせいだろう。

 そんな俺達に話しかけるのは幼いながらも禍々しいまでに覇気を放つ金の少女、天江衣さん。


「衣の夫に相応しいぞ!」

「ちょーっと聞き捨てなりませんねーぇ?」

「そうだわ。京太郎さんは奔放でなければ」


 衣さんの言葉に真っ先に反応したのは、近くで対木さんと話していた憩さんと絃さんだ。

 何やら火花を散らしている様子だが……。触らぬ神に祟りなしと俺はその場を少し離れた。


            _     _
          : :´: : : : : : : : : :`丶、

.       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
.      / > 、 : : : : /: : : : : : : : : : : : :\
     人    >、/: : : : : :|: : : :|: : : ヽ: : :

     ': : : :> 、  l. r―-、 |: : : :|: : : : :l: : :i
    ’|: :: : : :|_ム≧|ト|   _`ト-r'´ ̄ ̄ }: : |
.    |/: :|: :: :l|/_」-_ | |   イ__K⌒ヽ /:l : |
.    ||∨| : : | 心 ヽ` L.. ィ´|: ::ト 、  /: : |: |
    | ∨|: : 代_ ノ   7 リ: :ハ `マ //l: |

      ’|\ト :::::::    l   レ' ∧  ∨l/ |/
.        ∨ハ      |   |  ∧  ∨
        ∨ゝ 、   |  ∧ /ィト 、 \
          〉ト` ト |  ┴く     ̄
          マ<L⊥、レイ √フ

       -‐ r‐┴ヽ、「 ∨7/∠、ニ ‐- 、
.    /     |    `l¬´-   |    \
   /       {    - ト┴- 、   }     ∧

     「 京 太郎   おめで と  う  」


 そう祝福してくれるのは対木さんだ。どうやらそそくさと逃げた俺を見て追いかけてきたらしい。


「ありがとう。個人戦は惜しかったもんな」


 そうなのだ。対木さんは長野個人同率13位。11位の桃子までがワイルドカード出場である。

 12位の池田さんと13位の加治木さん&もこは非常に惜しい位置だった。


「だか ら こそ  素直 に 応 援で きる  

   で も 秋大 会  や 国麻で  また 勝負 する  」

「もちろん。その時はインハイチャンプとして受けて立つぜ」


 対木さんから向けられた真っ直ぐで熱い眼差し。その闘志に応じなければ雀士ではない。

 俺は自分を鼓舞する意味も含めて、個人優勝を宣言してしまった。

 そのためにはこれまで頼りにしてきたチームメイト全員すらライバルとなる。

 団体決勝での俺の個人収支はマイナス6200だ。皆の奮闘がなければ、俺はこうしてここにはいられなかった。

 なかよしこよしも悪くはないが、自分の弱さから逃げてはいけないと思う。

 笑顔は威嚇。場に似つかわしくない獰猛な笑みを浮かべた俺を見て、対木さんは応じるように笑んだのだった。


「須賀君! 今日はお招きありがとうなのですっ!」


 対木さんと別れてデザートの並べられたテーブル付近に来た俺は、そんな風に声をかけられた。

 目を向けるとそこには松実玄さん。

 手にした皿には食べかけのプリン……いや、あれはいわゆるおっぱいプリンか? なぜここに!?

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「いや~、本当に感謝感激だよっ。

 須賀君の周りにはおもちをお持ちな娘がたくさんで……うへへへ」


 俺の疑念のこもった視線にも気付かず、松実さんはチラリチラリと参加者の胸部に目を飛ばしている。


「和ちゃんもますますたわわに実ってるし、何より永水の巫女さんたち!

 神代さんの無邪気な揺れと石戸さんの他を圧倒する暴力的なそれでいて母性に溢れた――」


                        -――-
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                  /   :| `¨7{ l l ̄        |   |
              /   /  └ l_|           |   |       ※イメージ映像です

「あ、京太郎さん! 今朝方ぶりですね♪

 私の名前を呼ぶ声が聞こえたのですけど、何か御用でしょうか?」ギュッ


 松実さんが熱弁をふるっていると、神代さんという部分に反応したのか背後から小蒔さんが現れた。

 そうして小蒔さんは俺が振り向こうとするのを抑えて、するっと俺の左腕をとりその豊満な胸で包むように押し付けてくる。

 俺が驚いてその顔を見つめると、上目遣いで小首をかしげる。思わず言葉に詰まった。


「京太郎くん――と神代さんと玄さん?」

「ああ、和。楽しんでるか?」


 ちょうど近くにいたのか、和が俺に気付き嬉しそうに笑みを浮かべながら小走りに駆け寄ってきた。

 視線が俺の全体を捉えたところで小蒔さんと松実さんを視認したようで、表情がわずかに固まったのが俺にも分かる。


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    ヽ ! .{: :{:| | | 」|:.| :|: :ィ‐十ト|:|:} : : }:::::\
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   ヽ:::::.{',从|レィ==、   ィ==x .リ/:|」|

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     |:.:.|',| : :人    r─‐┐  ハ/  /:|
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     |...:|::| ! :リ.|::::{_   __.//゙ / ヽ!|
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     |:.:.|:.| / /─'、,..ィ‐-、_,..|:|  |_    ||
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     |.:.:| | {     .:::      :} ! :!
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     |:../ ヾ.\__, : : :人: : : : :,.イ〃.ノ/
     ゝ |  `ーイ:: ::::/:|:::::::::/゙_.∠.ィ゙/
      |  ::\.|_ :::/ ::! ::,ィ゙    {"
      ∧  ::::\ } : ::::: ::/    ∧

「京太郎くん、優勝おめでとうございます。

 負けたのは悔しいですけど、かっこよかったですよ」ムニュッ

「え、ああ、うん?」


 一瞬固まった和だったが、それが気のせいだったかの如くすすすっと俺の右に来ると、

 腕を両手でとって胸に押し当てるようにしながらそう言って来る。非常に幸せな感触だ。


「むぅっ……。原村さん、今は私が京太郎さんとお話ししていたんですよっ?」スリッ


 拗ねるように和に対して苦言を呈した小蒔さん。いつの間にか俺の指を内股で挟むようにしてはいないだろうか。


「そうでしたか? 少なくとも京太郎くんはあなたに話しかけてはいなかったと思いますが」


 しれっとそう言い放つ和。やばい怖い。というか、俺が話していたのは松実さんなのだが……。

 その松実さんに目を向けてみると、カタカタと小刻みに震えている。皿の上のプリンも揺れる、ふるふると。


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.        /   ′i i i     i      i           :.
        ′   ′ i i ii  i  i i      i   i   i  :.
.        i    i   i i_」iLi _i  i i       i   i   i   :
.        i    i i i ´i i i i`  i i  ii i  _i_!_ ,′   i } i
        八 i ii i ii i { i !{  ii i  ii i  从  /`ヽ   i ′i
.           ヽ从小「八八八从__i从__ハノ__//ハ//   ノ ノ/ i |
.           ′|{   ___      x''丐ミメ、ヽィイl/   |
            ′   i ゞ=≠''      し':::::::::ハV/^   i  |
           ′   i :::.:.:.           r辷'゚シ′/     i  |
          ′    i       ,       ̄^` /     i |
          ′    人            :::.:.:  ///    i   |
       ,′  / / へ、    ‐ -         イ//    i  |
       ,′   / /  // ト .         .イ //      ii  |
       ,′    /  // /  }  ー   ´{ |//      jj   |
       ,′  / /  // /..斗ノ      ト .」.'/ / /        |
.     {{{ { i{  {>'" r{       ノ〉 `ヽ/ /        |
     r‐くく { i{  |     |ー-、     ,′  { {     //从ノ
    /`ヽ \ヽハ i |     |________,′   ヽヽ从///ヘ、

「二人とも、いけないわ。京太郎君が困っているもの。京太郎君、優勝おめでとう。はい、あーん♪」


 八方塞がりの俺を更に包囲するようにやってきたのは美穂子さんだ。

 おもむろに差し出されたスプーン。抵抗するには……両目を開いた美穂子さんの圧力が強すぎた。

 俺は大人しくその匙を受け入れる。卵とミルクの甘味の中に何か別の味があるような。

 俺が首をひねるに捻れない状態でいると、美穂子さんは俺が口にしたスプーンをそのまま口に咥えた。……ん?


「あっ、ずるいです! 京太郎さん、私も、私にもキスしてください!」

「福路さん……さすがに手強いです」グヌヌ

「あら、なんのことかしら原村さん?」ニッコリ


 生きた心地がしない(断言)

 いや、本当にどうしろというのだ。騒ぎを聞きつけたのか徐々に周囲から視線が集まっているような気もする。


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            |Λ:: |l:::::::::: l|     \:Г _____ノ―-=ミ|].::::::::::|l:::::.
              八 Ⅵl::::::::::八抖芋ぅ  /   /     ヽ:::::::::|!!:::::.
                   |八ハ八Λ////// /_____|. .   \___ノ\::: |||::::::.
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              从 |::::::::::::::: 个o。  `⌒′  Jl{: :  .:    V:::::::::::.
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             /:/{ |::::::::::::::::: |l:::::::: : /〉}__厂 /: : \/.      --=ミ:.
            {Λ{ |::::::::::::::::: |l:::::::: /,仏{⌒ヽ::::::::::: /:        V    \
.              丿    |::::::::::::::厂 ̄ Λ:|  /:Λ___/!: :       V  . . ハ
               /|:::::::::::/  | ̄ ̄\/ ̄ ̄ ̄ ̄|: :.         V⌒ : : :|

「うっ、うぅ……羨ましいのですっ!! うわーん、おねえちゃ~~ん!」ボフッ


 その状況を切り裂くように叫び、松実さんはすぐ近くにいたらしい松実宥さんの胸元に泣きながら飛び込んで行ったのだった。


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 ::::∧:::γ!:::::::::::::::::| .斗均弍ミ、-' ' /_:_:/ ./::::///:::/::::::/ 〃
 ::::::::ヽ::{ !::::::::::::::::|,《   )::::::::汽    戔芝ミt-'-- '  '
 /::::::ヽ, l::::::::::::::::!  ..{::::::::::リ      )::::灼:::::::::!

 ::::::::::::くヽ l:::::::::::::::|.   ゝ =='      {:::://::::::::::l
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   >::/  /,::::::::::!  >...,       ィ ´|::::::::::::,'
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「姫様、目立ち過ぎ。須賀様、優勝おめでとうございます。今日はお招きいただきありがとうございました。

 いずれまた神代がご挨拶に伺いますので……。姫様、そろそろお暇する時間」


 周囲の視線が松実さんへ向き、すぐに散った頃合いに現れたのが永水女子中堅の一年生、滝見春さんだ。

 あののっぺらぼうのせいか初めてあった気がしない……いや、その前から一応面識だけはあったか。


「春? もう時間ですか! む~」

「姫様、須賀様は明日から個人戦。邪魔しちゃダメ」

「~~っ、名残惜しいですけど、京太郎さん。本日はここでお暇させていただきます。

 またお会いしますのでその時にはどうかお慈悲を……♪」


 ぐずる小蒔さんであるが、言いくるめて回収することに成功した滝見さんである。

 ようやく俺から離れた小蒔さんを促して歩かせると、こちらに一つ目礼をしてそのまま去って行った。


 軽く体を傾けた際に揺れた滝見さんの胸に視線を引っ張られていると、突如寒気が。

 そちらへ顔を戻すと、そこには。

「京太郎くん、後でまたお祝いしたいので……分かってますよね?」
「京太郎君、後でまたお祝いしたいの。だから、分かるわよね?」

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

 二人も俺も明日試合なのだが……寝不足になりそうだ。

 こうして祝賀会は恙なく終了したのであった――――



8月3週  インターハイ個人戦

五捨六入 2万5千点持ち3万点返し ウマオカなし

  

個人戦出場選手まとめ

長野
 京太郎  憩  美穂子  和  咲  衣  絃  久  透華 数絵 桃子 

東京
 智葉  照  菫  淡

大阪
 洋榎 恭子 セーラ 竜華

北海道    岩手
 由暉子    白望 豊音

鹿児島          福岡
 小蒔 初美 利仙     哩 姫子

広島     静岡    奈良
 いちご    藍子    やえ


以上ネームドキャラクター30名+30名のモブ




 各試合前に1人と、「一緒に出かける」扱いのコミュイベント
 イベントは要望があれば後日追加で実施

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98     大成功    
        ゾロ目     超成功  


『昨日行われた第71回高校生麻雀大会団体戦の決勝戦、まさかの結末でした』

『そうですね。前評判では前年以上に強化された白糸台と臨海、

 雪辱に燃える千里山と姫松の4校が優勝の最右翼と言われてましたけど』

『蓋を開けてみればなんとなんと、決勝に残ったのはその内2校だけ!

 1校は初出場の無名高校、そして優勝したのは高校ですらない在野の選手チーム!』

『小鍛治プロを始め多くのプロが解説をしていましたが、

 大半の解説者の皆さんは「先鋒で宮永照を抑えたのが勝因」と口を揃えてましたね』

『言ってましたねー。その後も途中途中では順位が入れ替わってましたけど、

 最終的には全員が1位のまま卓を終えてる安定感! 霜崎選手は三年生なので来年いないのが残念です』

『そうですねえ。でもでも、須賀京太郎君がいるなら勧誘も簡単なんじゃない?』

『あー! 格好良かったですもんね! 「これが俺の最高の和了……ッ!」  いやぁ、痺れた!』

『南四局の役満がツモだったら須賀選手が71回大会団体最優秀選手賞受賞してたんですけどねえ』

『須賀君は13万点、失点が3万点なければ16万点で1位の染谷選手を上回ってました。惜しいですねー』

『その須賀選手ですけど、昨夜は試合後に龍門渕ホテル東京で祝勝会を行っていたらしいですよ』

『GoTADホテル! え、まさか水龍の間ですか?』

『それが……龍門渕関係者だけが使えるっていう深淵の間だったんです。その時の映像がこちらで――』


「んっ。そういえばカメラが入ってましたね」


 俺達は今、龍門渕ホテルの俺の宿泊部屋のベッドの上である。

 あの後結局、俺は和と美穂子さんに押されて夜を過ごした。

 とはいえ翌日――つまり今日だが――は全国個人戦前半、通称ふるい落とし、足切戦。

 月曜からの四日間を費やし上位60名を絞り込む地獄の東風連戦がある。

 さすがに夜更かししすぎるのはマズイということで……祝賀会から帰った23時から3時間ほどで切り上げた。

 いや、怜と竜華さんによる連携戦を経た俺はより腕を上げたらしく、

 和と美穂子さんの二人をそれぞれ1時間ほどで腰砕けにさせることに成功したのだ。

 美穂子さんの初めてを奪うのに和もいるというのはどうかと抵抗したのだが……。

 先に和を抱いている間に覚悟も決まったようで、

 むしろどこからか取り出した“夜の教本”を参考に俺にちょっかいを出し始めていたくらいだ。

 さすがに肛門を舐めようとしたところでは止めた(その後にキスをしたくない)が、

 結局最後の方では恍惚とした表情で舐るのを止めることはできなかった……。

 寝る前にきちんと洗いに行ったようではあるが。どうにも奉仕するということに精神的充足感を得る性質らしく。

 和も最初は信じられないものを見る顔をしていたのだが脇やら足裏やらを丹念に舐め上げる様は大差がないようにも感じられた。

 そんな和と美穂子さんだが、今は二人ともきちんと寝巻に身を包んでいる。

 起き抜けに二人で俺の下半身に“奉仕”していたのには驚いたが、

 和が受け止めた精液を一度竿にかけるように吐き出して美穂子さんと二人で分け合っていたのにはさらに驚かされた。

 てっきり和ならそのまま一人で飲み込むと思っていたからだ。

 ……二人で微笑みあって何か通じ合っているようで少し疎外感を感じるが、

 テレビを見ながらそんな俺にキスしたり体を擦りつけたりと構ってくれるのは悪くない。


『いやあ、早速モテモテですね。あれは全中王者の原村和と、神域の神代小蒔ですよね』

『やっぱりこの年頃でこれだけの才能となると、二年前のハンドボール、三浦一良君以来ですから』

『それも結局フランスでは揮いませんでした……。しかし麻雀ともなれば話は別ですよね!

 日本にも小鍛治永世プロ、三尋木世界12位プロがいらっしゃいますから』

『牌のお姉さんの瑞原プロも世界ランク35位、野依プロは22位。日本は決して麻雀弱小国ではないです』

『絶対王者だった宮永選手を始め現高校生世代は逸材揃いだと言われています。須賀選手が順調に実力を伸ばせば――』


「まったく、失礼な人達です んちゅっ」

「そうね。私達は優勝したから京太郎君が好きってわけじゃないもの」


 テレビのアナウンサー達の好き勝手言う内容に憤慨する二人。

 和は俺に胸を押し付けるようにしながらキスをし、

 美穂子さんは俺がおっぱい好きだと思い知ったからか手持無沙汰の俺の腕を自らの胸に誘い触らせてくる。

 実に至福の時間であるが……龍門渕さんに再びの無断宿泊を謝罪したり朝食を摂ったりということを考えると、

 そろそろ7時というのはあまり余裕のある時間ではない。

 俺は二人に軽く口付けて促し、朝の用意を始めるのだった。


――8月3週 土曜――

 やや寝不足で迎えたいわゆる足切戦。上位60人を絞り込む4日間。

 俺達は全員が無事突破することに成功した。

 概算でも50×3+α、150人ほどの高校生が入り乱れるのだ。

 県予選や全国団体で鎬を削った強敵達とはほとんど相見えることもなかったおかげである。

 もっとも、本選ともなればそう甘いことはないのだが……。

 1試合目 コミュ 透華 1d100=83  大成功


「須賀さん、お覚悟はよろしくて!?」

「えっ。龍門渕さん、いきなり何をおっしゃるんですか。そりゃあ、あのときは悪かったと思ってますけど……」


 割り当てられた対局室に入り、卓について程なくしてから龍門渕さんがやってきた。

 どうやら本選初日の第一局目からヘビーな対戦相手に当たったらしい。

 そんな龍門渕さんがいきなり覚悟を問うてきた。いったいなにがなにやら。

 分からない俺は、おそらく朝食の席での挨拶のことだろうかと当たりを付けた。

 あの日、謝罪して苦笑を得た俺達だが、またも朝食をご相伴に与ったのだ。

 その席でお約束のように沢村さんや国広さんにからかわれ、それにより龍門渕さんが顔を赤らめるという。


「そ、それはどうでも良いですわ! す、須賀さんも男性ですもの、モテモテなのは分かっておりましたしっ」

「でしたらいったい何の覚悟なのか……?」

「ふっふっふっ、それは当然

                 ... -―――‐- ....      /}
               /:::::::::::/::::::::::::::::::::::::\  / /
              /:::::::::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::∨ ∠...__
             /{_:::/::::/::/l::::::| :::::: :ト、:::::::::::::::∨\__彡'
.             ∧__::|::::/::/八::::|\:::::| \:::::|__∧\\
           /イ::::::|:/l:/ ̄`ヽ{  \{´ ̄ }从::|:::|  \\
.          {::::|:/∧{ /芹うト     /芹うト }:|:::l    }::::}_
          _ノミV ノ{∧ 、V炒      V炒/ 小リ   ノ-=≦}
.          /::::::::::/   {ハ   ̄   '     ̄  /^l/  /≧=-く__
.       {/:::::::::{   ヽ圦    r― v    //  {/-=≦彡'_
.          廴:::::::l            `ニ ´   . ´    \/≧=-く
           `^^′        `ト  __ ィ        辷_ -=≦)
                   ┌ |   __ノ\__ __       /∠
                / /∨ \____// ̄\    ̄} /

             __∠二ニ≠==≦二二/:.:.:{   /∧   くく
             //:.:.:{二二二襾二ニニニ/.:.:.:.:|  /   }   ノノ
.          / /.:.:.:.:}ニニニニ/ ∧二ニニ{:.:.:.:.:.:| ,/  \_〉 /

              「負ける覚悟だろう!」


                             ですわ! ……あら?」


 思い出したのかまた恥ずかしがっていた龍門渕さんだが、気を取り直して啖呵を切ろうとしたところに闖入者である。

 龍門渕さんは当然の如くそちらに突っかかってしまう。


   |        ∨三二少」′   ∨         /        ` == 、_ `ヽ \
   |        ∨彡>1 7     ∨   丶 _  /               \ 丶 \ \
   !           ∨´  | !       ∨ヾ 、   7─ _ ,ィ               ヽ  ヽ ∨ \
.  /          Y  | |      ∨ヘ  ̄ 7  __,∠ `ヽ        `ヾ  ヽ  ∨∨
 〈             i  | i         ∨ヘ.  /   /  ヾ j         ∨  ∨ ∨|
.  ∨          |  ∨i、       \ゝ./   /     Yヽ         ∨  ∨ ||!
   ∨           |   ∨ヘ           ∧ヘ. /      }} ∨         i i  .|  リ
   ∨           |、  ∨ヘ       / `7ヾ       //  ∨        | |  ト
    ∨          iヘ   ゝ_ゝ_ (  、/  /  `ヾ、  /    i            | !  | \
      ∨       |∧     ¬ ニヾユ _/       /     !          |j   l   丶
      ∨       ト ∧       ハ ヾi ´ヘ、    /∧ ∧ /            !′/
      }       | ∨ヘ===≡ー' ′ }}   ` ̄ ̄´ / レ′/ !         ' /
      |       ==|´ ∨ヘ    _-べ  !|        /      |            /\
      |       |   ∨∨-'¨´    ! リ                  i             ′ 丶
      |       ト、 イ´ヾ、     j                    | |           { \ヽ \
      |         i| ∧ヽ  `    /                   | |           |    \
      |         ||   \\ _ ,ノ′           -‐ュ  | |i        |
      |         ||    、` ̄´∧ ∧/      /´./    | ||        |
      |         || i    ヽ / ∨       / /     /| ||        |
      |         || |   ヽ∧           / /     / ! |ヾ         ゝ
      |         || |    ∨ 、        レ′    /  ∨、 、        \
      |         || ゞ    ∨ ゝ、              ィ、  ∧ヘ ヽ         `
      |         ||   \   ∨   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |∨ト / ∨i  ゝ
.      !       j|    \   ∨       ヽ     ∨ | ∨/   ∨i    7 ──-、
        |       ||      \  ∨       ∨   ∨|  んへ   ヾ   /      i

      「きーっ! 私のセリフを取ろうだなんて身の程知らずですわ!」

「ふんっ! お前や須賀とは違う。

 私は小3の頃からマメすらできんほど打ちこんでいる。

                      __
                    ´        ` 、 r―ァ
                     ' . : : : : : : : : : : : : : ヾ  /
                ′: /: : /:::::/i∧:::i:::: i::::::::く

                  |: : /: : : :/⌒ヽ:/}:::::ト::.. ハ::\
                V/:::i: ::f斧刈 / /⌒i:::::::::i }:::〉

     _rvヘ^ヽ         / ミ/|::::| " `    f斧/::::://::/
    比∧}く>'7     /::::::::/\:::ト  、 __ ` {::::イ-==く
.     人  _ノ     ヾ::::::/ ⌒ヾ 、      人⌒>:::::::}
   / __彡ヘ__ -==ニ¨¨ヽ\  `ー-y< ≧ニ=<
    ∨  _ 人   `ヽ       \:ヽ/^ヽ{ ∧ `≫
    ∨    /}          }:::r≠‐rァ=ミVi {{ r'^ヽ
      \         __,  /::八///⌒7/〈  { `ヽ ヘ
       \  _,. =-   Y^ヽ/::::::::::∨∧::{//>ハ f   /
                     |::::::i : : : : : ⌒~:::|。: : :::iヘ〉  ∧
                   \:::: : : : : : : : : :|. : ::::::| | V/〉ヘ
                       Y: : : : : : : :::::|:::::::::::1j ∨7 }\
                    >ァ: : : : :::::::|。:::::八  \/  ヽ
                     /: : : : ::::::::::::::|:::::::::::::::ヽ     ヘ
                /: : : : : : :::::::::::::∧::::::::::::::::ヘ     ハ

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   \: : : : : : : :>--へ: : : : : :::〉:::::::::::::::::::::::i::::::::::|:::::::::::::|:::::/::∧
     \: : : :/: :::::::::::::::\_: :二ニ=-----へ:::::::|:::::::::::::|::::::::/::∧

                     にわかは相手にならんよ!」

「あら、須賀さんはそこらの馬の骨ではありませんわよ? いうなれば……龍の骨ですわね!」

「ま、何にしろ……勝つのは私ですわ!」
「ふっ。大差ない。勝つのは私だからな!」


 仲が良いのかなんなのかよく分からない二人だ。

 確か小走やえさんだったか? 奈良の実力者のはず。

 団体で新子さん達が出場していたということは団体戦では負けたということなのだろうが、

 目の前の紫髪の少女が負けたままで良しとする人とはとても思えない。

 油断も手抜きもするわけがない。そんな傲慢になるには実績が無さすぎるのだから。


「楽しみましょう、全力で!」










「えっと、ちゃちゃのんもおるんじゃけど……

 空気じゃ……でもちゃちゃのんだって負けんもんっ」

             ____

           . . : : : : : : : : : : . .
           /: : : : : : : : : : : : : : \
        /: : :/: : :.!: : : : : :.!: : : ヽ: \__

      _./: : :〃:.:_/i: : :i: l: :.ト:_:_:.:.:ト:: : \`ヽ
    〃: :.′: : lイ.:l:||:.l:l: |i: :} ‘: `トi |: : : :.}: : :.
    |: : : |: : :l: i八从八从八ノ ノノリi |i: : : :|: : : i

     {: : 八: : i: i ,ィテ斤     乍テ刈ノi: : :八: : リ
    八: : : {ヽ:从〈cV少   ,   V少ぅ'厶イ:{ }:i/
      ヽ:_:乂{:i{  ij.::::.       .:::. }: : : Vノ'
      ./: :./: 小. i   ´  ̄`ヽ    .∧: : : :.
     /: :./ : : i:込、  ー‐一 '  ..イi: :iヽ: : :.
.    /∧:{ : : : !: : :个ト . _  . イ: :i:i: :{: :}: : :}
.     {:{ }:.\ : !: : :.:|:.|:_〕    〔:.:i: :リ:}: :∨: :∧
     ゞ.ノ: }: :}: |: : :.リイ \__/`ヽ':/: :.〈: :〈: :.}
    /: ;イ:.∧リ ̄/.| / `i }\ i:{ : /}∧:.∨
   /:./ _j:.{_,ノ'   ノ/ヽ≧≦/ \乂_{   )ノ\
  .{: i / ゞ=-'       VニV          ∧
  八:.{,/   /         }ニ{         / ‘,
.   ∨   ‘,i }       |ニニ!       ∨ /
   /     ∨         |ニニ|        ∨   :.
  ./     {          .|ニニ|        }




龍門渕透華の好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
龍門渕透華の好感度がぐーんと上がった
技量がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します


龍門渕透華(強化)
属性 :O
技量 :A76
直感 :C59(S83)
必然力:A75(S100)
補正値:40  (54)
・スキル
【目立ってなんぼですわ!】銀(対エース○+チャンス○+闘志+安定感×+対オカルト×)
 富豪の家に生まれた一粒種であり、蝶よ花よと愛されてきた生粋のお嬢様。
(効果A)
 公式戦などの重要な局面でエース級の相手と対局する場合、判定を+20。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。
(効果C)
 リーチをかけた場合、
 そのコンマが奇数の場合は01、偶数の場合は120として計算する。
 この効果が発動して和了に成功した場合、打点を+4。
 ただし満貫以上の場合は+2。
(効果D)
 一人聴牌のとき、和了判定を+20し打点を+2する。効果Cと重複する。
(効果E)
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を-20する。

【治水】
 激流や大波という水龍の化身を調伏するために編み出された強大な力。
 ア)同卓者に必然力A以上の者がいる状態で、他家のスキル効果により判定値で3位以下になる
 イ)同卓者に必然力B以上の者が居りかつ自身が敗色濃厚になる
 上記のいずれかの条件を満たした場合に発動する。
(効果A)
 このスキル以外のスキル効果を全て無効にする。
(効果B)
 和了判定値を+30する。
(効果C)
 自身より必然力が20以上高い者には効果を発揮しない。


小走やえ
属性 :D
技量 :B68
直感 :B64
必然力:B65
補正値:41
・スキル
【安定感◎】
 判定コンマを35以下の場合は35、75以上の場合は85として計算する。

【負け運】赤
 判定を-10。

【対オカルト×】赤
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を-10する。

【にわかは相手にならんよ】銀
 小3の頃からマメもできないくらい優雅で力強い打牌を見せる自負。
 自身より技量が低い他家の和了値を-15する。

【王者の打ち筋】
 他家の判定値変動効果を自身も受ける。ただし上昇量は2分の1とする。





佐々野いちご
属性 :D
技量 :B63
直感 :D48
必然力:C50
補正値:35
・スキル
【人気者】銀
(効果A)
 公式戦などの公開されている局面で判定を+10。
(効果B)
 1位でない場合、判定を+10し打点を+1。

【そんなん考慮しとらんよ……】
 公式戦などの公開されている対局で大物手(倍満以上)を放銃した場合、泣く。

東一局  ドラ:北

いちご(須賀京太郎君……近くで見ても整った顔しちょる。

    たまに視線がおっぱいに向いてるのさえなければ文句なしなんじゃけど)

やえ(ふっ。王者の打ち筋を見せてやろうとも)

透華(むー、ダメダメですわ! この局は私含め皆さん手が重い様子……。

    もう海底が見えてきていますし、ここは聴牌維持で――っ!?)

京太郎「リーチ!」

いちご(えっ、海底前でリーチって)

透華「ええいっ、衣じゃあるまいし引けるはずがありませんわ!」タンッ


 京太郎のおよそ馬鹿げたリーチ。普通であれば引けるはずがないリーチ。

 いちごも優勝チームの大将を付け焼刃でも研究しないわけもない。

 確かに牌譜の中で何度も見られた打ち回し、海底・河底率の高さ。

 ひとまず安牌を切ることで逃れたいちごであるが、透華はそれを良しとしなかった。

 悪寒を覚えた自身の勘ではあるが、目の前にいるのは彼女の従姉ではないのだ。

 そうそう当たるはずがない。聴牌維持しつつもできるだけ当たり確率の低い牌を切り出した、が。


京太郎「それです、ロン。リーチ一発タンヤオ一盃口赤1河底撈魚、12000!

/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////

     俺は諦めが悪いんですよ。龍門渕さんもご存知でしょう?」


透 13000
京 37000
や 25000
い 25000


東二局  ドラ:二索

透華「――――」スッ


 いきなりの跳満放銃。もともと京太郎一人だけでも閾値ギリギリ。

 やえかいちごの実力がもうわずかにでも高ければ開始早々からであっても不思議はなかった。

 そう、透華の異能――治水。それが場を凍りつかせ、凪がせにかかる。


京太郎(ぐぅっ……! 龍門渕さんのアレか! だが不思議だ……今の俺には前ほど脅威に感じられない)


 透華の支配に晒されながらも、京太郎はその力を奪われていない。

 ちらりと右腕を見やる。芯に感じるは鋼。小蒔を貫いた京太郎の剣。

 荒れ狂う水龍を殺したことで得られた遍く地平を斬る刃。

 力を合わせることはあっても潰し合うものではないのだ。


京太郎「リーチ!」

やえ(くっ、さすがは優勝チームの大将ということ……。

    その勢いは受け難い……。ここはひとまずいなして――)トン

         ,. . .-―: : : : : :―-. . _
        . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
     /: :': : : : : : : : : : : : : : : : : : ': : :`: .
.    ,. : :/: : : : : : : : : :': : : : : : 、: : 丶: : : :.`ヽ
.   / : : ': : : : :./: : : /: : : : : : : : ヾ: : ヽ: : : : : :ヽ
.   ': : : :i: : : : :/: : : / !: : : : : ト、: : !、: : :ヽ: : : : : :.}
  {: : : :!:l: : : :!_!: : :゙‐{: : : : :!:!‐!: : }_l: : : lヽ: : : :,.'

.   ヽ:、:.:{: : :.! ヾ:{  ヽ、: : };' ノ:ノ  l: : : :リ: : :/
    ゙、i ゝ、: :{ ,ィ兀下     '"兀心、l !/: -‐'ソ
      l: l: : : :! 比少       込刈. !: : : :.l: :l
.    ; :l : : l:.i   ,,,   ,.    ,,,  .!: : : : !: :l
     , :.! : : l: ト、              ,.':{: : : :l:!: :、
.    /,' : : : :.!:l: :> 、  ` ´  ,. <〃l.: : :l: :、: :、
    '〃: !: : :!:{: :l: : :l:.i.      !: :l: :{!: :.!: :.!: :.ヽ :゙、
.   {;'゙!: :、: : :!:ゝヽ/\    /\:.:゙、: }: ;': : : :): ;!
    ゙、、ヾ;ヽ:.;..'"ソ!   >ー<   !`ヽ'{:/:_: : ;'. '"

いちご「ロンじゃ! 純チャンドラで7700っ♪」


透 13000
京 36000
や 17300
い 33700


東三局  ドラ:三索

やえ(なっ……! らしくない、らしくないぞ私。

    奈良の団体戦を思い出せ……。初手こそ乱されたが、その後持ち直しただろう!)

いちご(えへへ♪ 上手く待ちがはまったのぅ! たぶん須賀君の卓は中継が入る……。

     だったら麻雀アイドルの一人として負けられんけぇ!)タンッ

京太郎「ロン」 いちご「えっ?」

京太郎「小三元ドラドラ……12000!」


透 13000
京 48000
や 17300
い 21700



東四局  ドラ:七索

いちご(しょ、小三元……確かに場に三元牌は1枚ずつしか出ちょらんかったけど……    そんなん考慮しとらんよ)

京太郎(よしよし、ドラの索子が俺を導いてくれる……。龍門渕さんが水面を凪がせようと、オールで漕げば船は進むんだ)


透華&京太郎「「聴牌」」

やえ&いちご「「ノーテン」」


透 14500
京 49500
や 15800
い 20200



南一局流れ一本場  ドラ:九索

京太郎「聴牌」

「「「ノーテン」」」


透 13500
京 52500
や 14800
い 19200


南二局流れ二本場  ドラ:一筒

透華「――……っ」


 透華がその表情を歪める。治水モードに入った透華はその感情も凍りつかせたように冷たい打牌をするのが常である。

 しかし、今はそれが明確に崩れているのだ。いったいなぜなのか……。


京太郎「ロン! 三色タンヤオ一盃口の2本場で12200!」


透  1300
京 64700
や 14800
い 19200

南二局三本場  ドラ:西
                         マ二ニニニ|
                       マ二二二|

                           マニニニ|
                         マ二二|
                   ,へ        ヤ二ニ|
               <二二\      l、ニニ!
               <二二ニ, -‐ニ`ヽ   .ト、ニ./
          <二二二ニ/ー<ニニ\. __|二/__
      <二二ニ>‐… '      >、ニヽ|./   `
   <二>  ¨          /   >ニヒ二ミ、    ヽ
/> ¨                   /   /´ /     ヽ  、  :.
                    / /  ./ .| |   |   |  ヽ ::.     ト、
                    /  /   .l. |ハ .|  λ|/|、|  | ::.     .八 ヽ
.                /    ||  .l‐ト 、ト、 /j斗也、j     :::.     ヽ \
            / /   ヽ!、l、 ヤ作芯 ソ 代_リ'| |   ::::.       マ \
、 _      ____   /  /   ヾ ヽミゞ-'     '''' | |  ::::.       ヤ  ヽ
_ ̄ ̄ ̄ ̄____/  /    /  ハ`''' 、`_-ァ _イ!. ′   :::.      マ   ,
   ̄ ̄ ̄   /  . イ   / ./   ′ ` ァ‐r-  ´/ / ム、 _   ::::、     ヽ
.        イ 才´      / / γ⌒フ´`ヽ、><´,.-/ ./::/  ヽヽ   ヽ      j\. Y
 ̄ ̄ ̄__ /       厶'  / /  {::::::::::ヽYY::/ /::::〉    Y     \.    |  ヽ |
 ̄ ̄     / ー‐=ニ ̄   / 厶  .r':::::::___ノレ’  ./-、{⌒   、!  \   \.  |   マ
.        /    /  /   /.ノ___≦ヲ//  /‐ァベ__ヽ   〉   \   \.l.   ハ
      /   /  イ   ,イ,ベ:ー=ニ二´,イ /  //へ`ぅ/込_{       \   |    ',
.     /  /  ´/___∠/;イ入:::ヾ:/「`/ /  ./「 ‐くーァ`ヽ}/  \    \ !.    ト、
――‐- 、 ´ ィ千―ァ‐チi´ | Уx'_ィ、/ /  /::|ー┴¨´ ./ー'     \      l     | \
.       \  | /   j / `i   _/ /  lミx!、    / |, イ ̄|   \   .l     |   ヽ
      \   \ |. ′  .//   `丁千|.∧   ト、:! ` ー '_ノ    .|    \ ノ     |\   ,
____\.   `| ト、__ ′      ノ {. !′、  |/〉 ̄ ̄入彡  _/    /     /   \
   l  | 「¨l\  ヾ   `ー-ュ―‐ムイ .|!  ヽ ヾ  /   >、_}_  _rイ       /    ヽ |
   l  |.八. !  \ `  γ´      マ% ヽ   寸==-  x夕’    `ヽ、      /、.      ヤ
.  八 l  ヽト、   |\__>- _.  マ%     |::〉  x夕       ノ‐- 、_ イ   ヽ     |
....  ヽ|   | ヽ .|    _/  ̄ ̄ ̄アヽ. ___|/_ノー―――一 ´   /∧        〉、    |
.          ヤ|   「        /      |      |        ////∧     /  )  /
.            |.|ヽ   ヽ       /              |        ノ//////〉   / / /
         「龍を飼い慣らすものと龍を殺すものの違いであろうな」


「衣?」「もう対局終わったの?」

「天江さんは火力高いですからねーぇ。組み合わせ次第やけど、遊ばなければ相手さんが保ちませんよーぅ」

「透華のあの力は確かに強大。海と月を根源とする衣を抑えるにはまさに適材」

「英雄殺しの陣もあるけれど、京太郎さんならいずれそんな小細工も斬り捨てられるわ」


京太郎「リーチ」

やえ(早い……!)  いちご(なんじゃ、体に絡みつくような……)


 オカルトへの造詣が深いものであれば気付けただろう、京太郎を中心に築かれ生い茂る緑の壁。

 瑞々しい緑が這い伸び、京太郎以外の全てを絡め取っていく。

 それは透華ですら例外ではない。波すら立たぬ水面も、藻が草が花が茂る。


京太郎「ロン。混一色ドラ3、18900」

    : : .    ヾ 、:     丶: .
    . : :、: .   ‘,ヽ: : . .    ヽ: .
  . : : : ;,;ヽ: .   ',== 、: : : .   ヽ:.
. : :,;才"´  ‘, .   ',   丶: : :.   ‘,.
イ    _- . ‘,   ハ   ‘,: : .   ', :
  ,.ィ"´  . . . .‘,:.  i: : : : : :', : : :   '; :
イ  . : : :,,;。-≦='; :  lミ≧=-} : :   . : :
. . :,:ィ升''"´    _',: : !  ` '''l : :  .: : :
ィ匁'"     ,+±-, :. l、   l : :  i : :
才        rTlllllllllli, : l+  l :   .! : :
       丈llllllllllllli : ll  八 : . .ハ : :
        于+lllllllllllli, :.!   .ヽ : . ヘ : :
、       '±┼十´l:.l    ヽ : . ', :

ミ爻x、            l:l     ,ィx : .
ベ''爻≧ト.,,_       l:! _,,.。ャ爻彡ム: : :
`: 、ヾミミ=爻三圭ニ圭非圭圭彡''"- ',: :

  ` ー` ‐=ニ:三三三ll三ニ≠二 ‐ ! :
           ̄ - l!=ニ= ´   .! :

透 -17600
京 83600     +54
や 14800
い 19200


                         i

                          /!
                             //
                        / 7
                          /ィ 7
                         "レ .〈  `て
                            /, 冫   ゝ
                       〆 ./     (
                       /  7,   i´
                         /  '/
                    _/   /__
                   . -‐<     \ >‐-、
               /       \    /    \
               /        \ / ,.へ      \

       「――はっ! え? な、なんなんですのこの点!?」

「そういえば冷えてる間の龍門渕さんって記憶飛ぶんでしたっけ」

「な、なにも出来なかったとは……。ま、まだ本選初日、しかも第一試合っ。

 さすがにただのにわかではないようだし、次はこうはいかないからな!」

「焼き鳥でもないし2位じゃけど……マイナスは痛いけぇ……」


 対局が終わり各々がそう呟く。しかし親交を温めるほどの時間の余裕はない。

 あと10分ほどで次の試合なのだから――

 2試合目 コミュ 宥  1d100=60  成功


「あ、京太郎くん……」

「え? ああ、松実さん。お久しぶりです。日曜の祝勝会以来ですね」


 試合が終わり移動中のことである。松実宥さんとばったり遭遇した。

 なにせ個人戦は全体の試合数が膨大だ。

 1試合がだいたい40分くらいとして、移動や休憩用の合間時間が毎試合5分用意されている。

 それを朝9時から夜19時までぶっつづけである。

 いや、昼の12時~13時は昼休憩で大きく時間がとられているのだが。

 だいたい9時間、一日当たり12試合をこなす計算になる。

 しかもそれはあくまで一人に焦点を当てた場合の話。

 本選は60人いるのだから毎試合15個卓が設けられているということ。

 不正を禁止するためにも一卓一室になるよう調整されているわけだが……。

 足切戦ほど悲惨ではないとはいえ、会場全体を使うことに変わりはないのだ。

 つまり、選手専用スペースというものは対局室以外に存在しない。

 応援は部屋が確保できないために会場内のホールや廊下に展開された大型モニターを利用するのが基本となる。

 必然、応援者と選手が行違うことも少なくない。

 以前に選手の通行を妨害して対局に遅刻させる、

 ということが散見されたためにそういった行為にはペナルティが課されるようにはなったのだが。

 結局は現会場ではどうしようもないということで棚上げになっている。

 卓戯館も建設されて20年ほど。そろそろ会場移転かと言われているが……。


「うん。……やっぱり京太郎くんはあったかいね」

「えっと……?」


 俺が少し考えに耽っていたら、何を納得したのか松実さんが頷いている。

 そういえば名前で呼ばれている。いつからだったか。


「あ、ごめんね。みんなとはバラバラになって応援して回ってるんだ。

 せっかくだから、次の試合は京太郎くんを応援するね」


 俺の困惑をどう勘違いしたのか、松実さんが一人である理由を説明してくれた。

 確かに阿知賀の人達は和繋がりで清澄、対局したからなのか千里山、祝勝会で交友ができたのか永水、

 それだけではなく宮守や他にも様々なチームと縁があるようなのだ。

 5、6人で全てを応援するのも難しいだろうが、一塊でいるよりは手が回せるということか。


「ありがとうございます、松実さん」

「ふふっ。宥でいいよ……? 玄ちゃんと一緒にいたら分かりづらいもんね。それじゃ、試合頑張って」


 柔らかく笑んで流し目を寄越し、宥さんは最寄りのモニターまで立ち去った。



                      / 〉/〉 へ
                        / //// / >_ _
                    / .//' ./ /// /             r――-  _ _ -―…‐-
                      /  ム'     //              r―… ̄             \
                        /       /                r三ニ                  ヽ
                     /      /        _  -――-  _ [_                    ,
                 /      / _ -――< ̄          {__/  _ -‐-
                    /      厶 : : : : : : : : : : : : `       __{三ィ _-<       ` 、      /
                |        /.: : : : : : : : : : : : : :\:\\ ̄ ̄ ./ー‐ ´/     _ -‐´` 、   /
                | ____/.:: : : : : : : : : : : : :.\、: :\ヽ、.:. /    厶 -‐  ̄            ` 、/
                |____i: : : : | : : : : : : : |;: : :.|Lミxヾ、.:.><   -‐ ¨                 /
                         l: : : : |: : :l : : ;ィ: |ト: : ハ|_}!ト: }\`}/                    /
                     八: l: :ハ.: :.l://|-jj }:/ ネ灯〈ィ、: く             _____/
                      、:'; : ハ: :ヽ/ ネィ    ゞ',, ;{ l ト、: :.   _ ―   ̄
                            ', '; : :ヘ: : :込_リ   `  ハヽ、ヽ マ ̄
                            ’:';: : :ヘ : ヽ''''  r ア /、「イ   Ⅵ
                            ハ: : マ\:.`マァ<ニユ込、` ノ'ヘ
                       ____/: : |ヘ:.`\ \:`|     } 入 ̄  `ー
                /二ニ=-: : : //. ヽ: : : ̄ア    {‐'   ト    \
                   /: : : : : : :/: :> 丁 ` ー-|     |   ハ:`ー--イ  \
                  ′ ̄ ̄{イ: :λ{ `| 、   ハ     {`ぐ、__}`、ゝ´ヽ   |
        _               八: { ヾ  ヽ.`ー才     .|: : }ヽ       ::._|、
     γ´  `、r‐、             ヽ、    `/ ノ      .|イ:j ::.      j   \
      |       |          __ - ― …´ヘ {      l リ   }o    ノ      \
      |.        ノ      γ´          ヾ、     /   /o t‐ ´       `ー- 、
     ヽ    x }        ヽ                 }\  ./       |             ヽ
        \  ><´..       _}               「   ` ´    o   .L   /アi__     }
          `´  `ー‐…  ̄ ̄             /くヽ、           | γ  { .|   `ー-一´
                            |   `ー`         〉 j   ヽ/
                          /               o  〈 l   _ {
                          >、            o  〉 `ー' し'

                  _____/:.:.:.:`  、        ∧o,.イ
                 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.>‐-  ____/:.:.:′|

                   |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.|:.:.:.:.:λ
                     八:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:./:.:.:.:ヽ:.:.\
                   >‐ ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:/:.:.:.:.:.:.:ヘ:.:.:. \

松実宥の好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
松実宥の好感度が大きく上がった
直感がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します

福路美穂子(イベント後)
属性 :D
技量 :A79
直感 :B68
必然力:B65
補正値:45
・スキル
【パラレル・ヴィジョン】
 怪しくも美しい異色の双眸は卓上を遍く見通す。
 想いを成就させたことで異能の力として確立された。
 任意のタイミングで発動できる。
(効果A)
 判定値を+25。
(効果B)
 自身未満の技量の他家の判定値を±20できる。
(効果C)
 和了コンマが30以下の場合、放銃しない。


弘世菫
属性 :D
技量 :A72
直感 :B60
必然力:B60
補正値:41
・スキル
【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【シャープシューター】金 (狙い撃ち+キレ◎+選牌眼)
 難度の高い狙い撃ちを可能とする高い技量を称えた二つ名。
(効果A)
 素の聴牌コンマで2位以上のとき、和了判定値を+20する。
(効果B)
 このスキルが発動中に和了に成功した場合、任意の対象から出和了りできる。
 ただしこのスキル効果でロン和了する場合、最高打点は倍満となる。


末原恭子
属性 :D
技量 :B67
直感 :C56
必然力:C55
補正値:38
・スキル
【守備信頼感】
(効果A)
 放銃判定値を+15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-1。

【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。


東一局  ドラ:三索

「「「「よろしくお願いします」」」」


美穂子(さて、京太郎君を相手にする以上、最初から本気で……!)ギンッ

恭子(新たなチャンプ候補……。一年でこの圧迫感とか怖いわ。

   せやけど私かて指をくわえて待っとったわけ違う。どこまでやれるか、勝負や……!)

菫(須賀相手に狙う余裕は、悔しいが無い。そこは認めなければ。だからと言って戦いを放棄するわけじゃない。

  できることはしっかりとやる。失った信用は戻らないが、それでも……!)


 三者三様の意気込み。それぞれがそれぞれで気炎を吐く。

 それでも意に介さず、京太郎は真っ直ぐ前へと進んでいく。

  !|   | |   |ト|、_ |i |i      | |   _,A-┼―‐!|
  |.|   |i |i    !、A    |V|     川.   -H  !  /|
  ゝ! _」┘ー‐┘  ̄ ̄   ̄ ̄ ̄`   ̄ ̄` `ニー┘L
-┬:!^´                     彡'=≠==ミ、、
 | !.|                         ´ /::::::::::::::::::ヽヽ
 | N     __,............、                 L:::i:::::::::i::::::i ヾi
 | | |  __彡ィ≠ーテ‐┬-               ィ..{:::::::::::!.....!
 | | :i. 7'")_!、__ノ_C′              !::..、;;;;;ノ..r┘
 | | |                       ゝ=====シ
 .!.| .!    ,, ,, ,, ,,                     ,, ,, ,, ,,
  |.ト、 !  ///////                   ///////
  | | ヽ!   " " " "        ′         " " " "

美穂子(隙が無いわね……。私の力では京太郎君の道を逸らすことも難しいかも。

    これでは他を使うしかない……。私では追いつけなさそうだけど、弘世さんならどう?)リーチ!

菫(! リーチを避けて須賀が一歩退いた? ならば攻め時はここ……!)

菫「――ツモ! タンヤオ平和一盃口ツモドラ2で3000・6000だ!」


恭 19000
京 22000
菫 38000
美 21000


東二局  ドラ:二索

恭子(弘世菫……狙い撃ちスタイルに固執するのはやめたんか。そらそうやな。団体と個人は別物やし)トン    ゾクッ

美穂子(いけない! 京太郎君はリーチした直後で、最後のツモ順っ。それは――)

京太郎「――ロン。リーチ一発純チャンドラ河底撈魚……裏2で24000ッ!」

.      /.: : : : : : :.:/  ',: r: : : : : : : {: :r: : : : : : : : : : : : : ヽ
.    /: : : : : : : :/    \\: : : : : :\い: : : : : : : : : : : : : ',
.  /.: : : : : : : : /      、_\--ー‐‐一 '.: : : : : : : : : : : : Λ

./: : : : : : : : : :/          `         ',: : : : : : : : : : /: :'.
: : : : : : : : : : -/‐‐''             ,. -‐‐-、   i: : : : : : : : : : : : :.}
> : : : : : : : : ′            イ′  -ミ \|: : : : : : : : : : : :.}
\: : : : : : : : {                  f      } |: : : : : : : : : : : : :i
  `ー 、: : : :i / -ミ         |  |   |: : : : : : : : : : : : |
      }: : : |/  f   }         乂__ノ ノ |: : : : : : : : : : : : |
      | : :: i{  |   |                  |: : : : : : : : : : : : |
      | : : 八  乂__ノ   ,            |: : : : : : : : : : : :人
     |: : : :.‘,                  | /: : : : : : : : : : : Λ
.       |: : : : : :.                      //: : : : : : :/ /: : : : : ,
.      |: : : : :Λ        r  つ      //!: : : : : : /:/: : : : : : :.;,
.     |: : : : : : : .                 //|: : : : :/:/: : : : : : : : :}
       |: :|i: : : : : : :=-.             // .|: : : :/:/: : : : : : : : : 八
      |: 八: : : : : : : : : : =-. . .. イ   {{- 十: : :.{:.{: : : : : : : : ::/
      |/  \: : : : : : : : : : : : :ノ_-=' ̄¨|八.,八: : : :\: : : : : : : :/
      |i    \: : : : : : : : :厂7/    |  \ \: : : : \: : : : /

              恭子「えっ……?」


恭 -5000
京 46000     +16  +16+54=+70
菫 38000
美 21000


                 /: : : : : : : /:_ノi: : : : : ;\: : : : \:\
                 /: : : : : : : : ://  i: : : : : l.: :ヽ: : : : :i : :|
               /: : : : : : : : ://    ヽ、: : : マ、:`、: : : :i : :!
            /: : : : : : : : ://        \゙ヘ_少、:〉: : :i : :|
                `丶、: : : : : /‐‐-- u    ‐´    ヤ:!: : i : :|
                   / : : : : !  __丶_    ´γー寸 ! : :| : :|
                  ヽ、: : : | /γ-ミ      イ   !冫: : ! : :|
                   | : : :!. i l  |     弋_ノ 〉: : :! : :|
                    ! : : ト、弋.ノ          i: : :/ : : |
                      !.: : i.:ヽ      ′    U |: ':/ : : : |
                      !: : : : 〉     __    , '!: : !.: : : : |
                       ! i : : : l:≧..-. . 二 / | i:.!: ! : : : : |
                   i ヤ: : :.!: : |!匕_|  _ - ´|!: :! : : : : i
                    ヽヽ_〉-/  〉_〈     仆:ヽ: : :/
                     _>-γ′  /  マ   冫-- ′`ヽ、
                    ./   l   ハ._/\_/          \
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                  /    |        |   !         | /        ヽ
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                   | `丶- |                   | _ _ - ‐ イ

 驚き、呆然と項垂れる末原さん。心が痛むのと同時に嗜虐心が疼く。いけないいけない。

 弘世さんは安堵の溜息、美穂子さんは唇を突き出して拗ねるような気配。

 普段お淑やかで大人っぽい美穂子さんのその仕草はまた可愛さ一入だが、見惚れてばかりはいられない。


「悔しいけど、まだ終わりじゃないもの。京太郎君、また卓で相見えましょう?」

「もちろん。美穂子さんには最後の夏ですけど、全力で叩きますよ」

「ふふっ、怖いわね♪ でも望むところよ。そうでなければ、私はあなたの隣にいられないものね」


 互いの健闘を祈り、俺達は席を立った。頼もしい人達は今ライバル。

 だからといって負けるつもりは欠片もないのだ。麻雀を好きだからこそ。

.          /                    ヽ
         /                      ',
         ,′  ,′  i i  ii  i  i  i i  i i   ', i
.         ′| | i  | |i  ||   |i |i | | !| | i !  ! |
        | | | | |  | ||  ||   || |i | | !| | ! !  ! |
        | | | 斗r‐弋T!ヽ.{ト、 |l 厂!刀7ナト、j  |! |
        ト、ヽト、八!丶lリ  ` 丶リ/ ハノルノ|/ ノ|! !
.          } ヾミ= ,ィぅ示ト      テ示ミy、ムィ′|! |
.          | i   iハ〃{ri_ ,j::}      {ri:::::j:} }! ,l   | !
        | l   | ,l゛ 之少        乏沙  ハ!   | |
         | l  |ヘi  .:::::::.    .    .:::::::. l|  | |
          | |  |i八                   ハ!   | |
.        | |  ||  \     ヽ フ    /  |  | |
.        | |  ||   `  、_     _,.ィ´|i   |  | |
          | !   ||      | ` ‐-‐ ´ || !i   !   ! |
         l !   |l   _ .ノ⌒}       |⌒ヽ. _ j  /  |
        {ヽ、斗'"´     !′      }     `丶、 /ノ
       /、       ├‐- 、 , -‐ァ       /7ヽ
      rく\ヾ:、        ヽ--―--、/         // / へ

 3試合目 コミュ 白望 1d100=73  成功



「京太郎」


 俺が次の試合に向けて少し早歩きで移動しているとき、それは起こった。

 仰々しく表現したが別に事件というわけではない。小瀬川白望さんが廊下の角から現れ、俺の背に乗っかったのだ。


「白望さん!? えと、お久しぶりです」

            --   >   ̄   ` 、  __
         /     ム __      `/    ヽ  _
        ム      >   | '' <  ,'  連  ,´ -- `
         >   ´  ..-||  ̄T  ニ二 !  .れ   |   ヽ
      /     Y:::。::|| i | -―― |   て   | \
      ,         乂:::::||/ =-    /   っ  |   ヽ
.      /          〃/      ̄!  て  |
     /      `      /  -‐ ''"/  ',   :  | ヽ
     l  !}            i/    ∧.  :  /  l
    ',           __  〃|    / 、___/ }  |
   / 、        Y:::。::|| //!   イ   /   ,'  !
 ̄ \   \        乂:::::|| 〃 イ/    '    /   、
\  \_ \          ||// /  /   /  ヽ
  \ ´   ヽ>x        /   ./!    / /ヽ 、
  /         \ ヽ  ー、 /    /     / /  ヾ  、
  /           ヽ / ー‐/ 〃  / /   ' .{/ヽ   } } !ヽ
. /            |!〃  !∥  / 从   | |!  l  j  リ }

「連れてって」


 簡潔なおねだり。確か次の試合では白望さんとの対局だったはず。それを白望さんも分かっていてのことだろう。

 押し付けられる胸の感触に、否やとは言えなかった……。



「……見てくれた?」


 向かう途中、背中に負ぶった白望さんから唐突にそんな言葉。

 一瞬の間を置いて、思い至るものがあった。

 確か白望さん達宮守女子一行は敗退した後に海水浴に行くと言っていたはずだ。

 そして先週の土曜日の夜に写メールが届いていたのだ、際どい水着の。

                            _  \ー- 、
                         ∠二 _  ̄\ヽ   !
                      -=_,,ニ二_   ヽ  )}  }
                      / _,, -‐     ゝ   ノ、
                   ___// /              ヽ
                  ⌒フ  /                 }
                   .ノ       /           ヽ`ヽ、
                 /.     /     /    l   !   l   ヽ
                /  /    /     / /    \ 、'  ヽl⌒ )
                ./  /       /-~/   /l | ~ーヽ∨  l
               / ./ /   {  i.ァ┬‐┬ ./ N┬‐┬! リ  }
              (/{  { /  l|\从 乂゚_ノ /.ノ 乂゚ノノ)トノ\人

                乂 .八ハ  八 入 ,,,         ,, ∧    ,ゝ
                  ` {   从\__        `    / }   .l
                    \八 { 込、     _   /、ノヽ/)ノ
                        __ )/ /ノ}.> _´_ イ八jノ
                 , '"      ll k   / ー
                     /          ll ハ. (  i `ヾ
                /              |l ̄`ヽ  ノ    `メ、
               ,/            {:}          `ー'- ニ_
             ,/         _∠     |l     \ ,      \
        /        _ ,. イ´:       |l      \      ,λ
       /   -‐‐‐-<´   .!   /    |l       ' ,   _,ィ'ンy}
        〈            \  .ノ`ー斗rェ,,_,_,_|l          ,.ir'彡イy-´ !
        `ヽ、        ` ' <._ {jt=t-t-ミ`^Yーrヘr-彡'水k} !:} .ノ
            ` ー-  .._       ` -ヽ.  l`亠^{:i ̄ {:リ |ハ ノノ/ノ
        _,. -‐ '  ̄ ´ ̄` ー- 、    \{{   {:l   {:i ノ_,ィニ_ン´
      //                  `ヽ 、\ \  {:l  {∠ニァ--'
     / /                 `ヽミニ>ァ┴ '´
   /\V|                          /
  ./   ヾ.、                  ,. ' ´
  l     \、                 ´/
  |    (ム水Tー、         .. イ
  !    `7ハじ'\ー--ェァー‐ ' ´じト!
.  !     // {{.   `Y´       ト\
  !   ム'  ))    !         | ,))
.   !        {{    !         !</
   !           !         !

 いや、最初の一枚こそちゃんと(?)水着を着た白望さんだったが、

 二枚目以降は別の水着でどこか室内で撮ったもの、ずらして乳首が露出しているもの。

 下半身の繁みまで晒したものとどんどんエスカレートしていたのだ。

 怜と竜華さんとの情事がなければ自分で処理していた可能性も高い逸品であった。


「アレですか。ビックリしましたけど、すっげーエロかったっす」

「そう」


 素直にそう答えた俺に白望さんは一言。微かに身を捩るような感覚が伝わってきた。照れているのだろうか。


「京太郎にしか見せてないから」

「あ、はい。その……ありがとうございます」


 自分だけ。あさましい独占欲が刺激される。……魔性の女とはこのことか。


「次は生」

「え?」


 それきり黙り込んでしまった白望さん。つまり次の機会があれば……?

 喜ばしいながらもさすがにモテ(?)すぎではないか。

 対局室の扉を開け中に入る。

 既に来ていたらしい愛宕さんと江口さんのじゃれ合いをBGMに、俺は頭を悩ませるのだった。




小瀬川白望の好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
小瀬川白望の好感度が大きく上がった
必然力がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します


愛宕洋榎
属性 :D
技量 :A76
直感 :B68
必然力:B60
補正値:43
・スキル
【ささやき戦術】
(効果A)
 自身がリーチをかけられる場合、他家の和了判定値を-10。
(効果B)
 他家がツモ和了する場合、打点を-1。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【広角打法】
(効果A)
 聴牌に成功した場合、判定値を+15。
(効果B)
 打点を+2。

【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。

【守備職人】
(効果A)
 放銃判定値を+25。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-2。
(効果C)
 他家が満貫以上をツモ和了する場合、打点を-1。


江口セーラ
属性 :D
技量 :B66
直感 :A72
必然力:B60
補正値:40
・スキル
【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【対エース○】
 エースと呼ばれるほどの強者と対局する場合に発動。
 判定を+10。

【山茶花より夜空の大花】銀 (PH+三振+ハイボールヒッター)
 端役を刻むよりも大役1回で豪快に攻めることを好む気性。
 素の打点が3900以下の場合、その和了を放棄して発動。
(効果A)
 和了を放棄した次の局は聴牌が確定する。
(効果B)
 効果中に和了に成功した場合、打点が満貫以上になる。
(効果C)
 素の打点が3900よりも上の場合、さらに打点を+4。
 ただし満貫よりも上に上げる場合は+2ずつ必要とする。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。



小瀬川白望(イベント後)
属性 :O
技量 :A72
直感 :A72
必然力:B60
補正値:42
・スキル
【妖:マヨヒガ】銀
 時に人を惑わせ、時に幸運をもたらす異界の邸宅。
 聴牌判定が5の倍数のとき発動。
(効果A)
 自身の判定値を+30。
(効果B)
 放銃しない。
(効果C)
 自身の打点+3。

【遠野の小楽土】
 身の内にこの世のものと思えぬ蓄えを持つ安寧の地。
 チーム戦にオーダーされた場合に発動。
 チームメンバーの打点を+1。


東一局  ドラ:二索

洋榎「おう須賀ァ、覚悟はできとんのやろな?」

京太郎「覚悟ですか?」

洋榎「せや。この大阪の大エース愛宕洋榎にこてんぱんにノされる覚悟や」

セーラ「洋榎ェ、二回戦負けしたエース様がイキってもおもろいだけやで?」

洋榎「んなっ! 言うてくれるやんけ、この男女!」トン

京太郎「あ、それロンです。タンドラで2000」

白望「……ダルい卓」

. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
/ / / i: : : : : : : : : :i: : : : : : : :.\
__i /  /: : : : : : : ;ィ: :}: : : : : : : : : : :.
 i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i

=-x /// : :/   ! 「 卞}: : : : : : : : :}
::::i.   / / ==ェx、_ i/i: : : : : : : :/
:C        !::::::::::「ヾ' i: : : : :..:/
''′      |::::::::C  /イ: : :/
        ∨::::ソ i,厶イ\

          ̄`  .!: : / \\
             }: :.!   )::)
  /\        ノ|: .:| //
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    | ̄           !: :|/
    |∧           |: :|
ヽ_,/   ',__        |: :i
_/ ヘ    .i  \.    !:/
》ェ≪    |    \   /
.|| || 》__/     `ヽ

.|| |〃 ̄`ヾ      ハ

白 25000
セ 25000
洋 23000
京 27000


東二局  ドラ:二萬

洋榎「ちっ、しくったわ。ようウチから直撃取った」

白望「ちょいタンマ。………………こっち」

セーラ「なんやえらい長いこと考えるやん。そんだけ良い手が入っとるんか?」

京太郎(白望さんのタンマは、確かその後のツモが良くなったはず……)

京太郎「とりあえずリーチで」

洋榎「なんやなんや。とりあえずて。リーチ言うんやったらこう、ビシーッとやらんかい」タンッ

白望「ロン。2000」

. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
/ / / i: : : : : : : : : :i: : : : : : : :.\
__i /  /: : : : : : : ;ィ: :}: : : : : : : : : : :.
 i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i

=-x /// : :/   ! 「 卞}: : : : : : : : :}
::::i.   / / ==ェx、_ i/i: : : : : : : :/
:C        !::::::::::「ヾ' i: : : : :..:/
''′      |::::::::C  /イ: : :/
        ∨::::ソ i,厶イ\

          ̄`  .!: : / \\
             }: :.!   )::)
  /\        ノ|: .:| //
;,、  ̄ ̄   _,,   <  |: :.!//
    | ̄           !: :|/
    |∧           |: :|
ヽ_,/   ',__        |: :i
_/ ヘ    .i  \.    !:/
》ェ≪    |    \   /
.|| || 》__/     `ヽ

.|| |〃 ̄`ヾ      ハ

洋榎「んげっ」


白 28000
セ 25000
洋 21000
京 26000


東三局  ドラ:五索

セーラ「あっはっはっはっはっはっ! 聞いたか須賀! 今の洋榎の……んげって!

    俺でもそんなはしたない声よう出さんわ、ははははは!」

洋榎「――」プルプルプル

京太郎「あー、うん。ご愁傷さまです……? っと、リーチ」

洋榎「な、なんや須賀。またへなちょこリーチか? そんなんじゃウチには勝てへんぞ」トン

京太郎「――ツモ。リーチ一発ツモ、發ドラ3で3000・6000です」

. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
/ / / i: : : : : : : : : :i: : : : : : : :.\
__i /  /: : : : : : : ;ィ: :}: : : : : : : : : : :.
 i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i

=-x /// : :/   ! 「 卞}: : : : : : : : :}
::::i.   / / ==ェx、_ i/i: : : : : : : :/
:C        !::::::::::「ヾ' i: : : : :..:/
''′      |::::::::C  /イ: : :/
        ∨::::ソ i,厶イ\

          ̄`  .!: : / \\
             }: :.!   )::)
  /\        ノ|: .:| //
;,、  ̄ ̄   _,,   <  |: :.!//
    | ̄           !: :|/
    |∧           |: :|
ヽ_,/   ',__        |: :i
_/ ヘ    .i  \.    !:/
》ェ≪    |    \   /
.|| || 》__/     `ヽ

.|| |〃 ̄`ヾ      ハ

白 25000
セ 22000
洋 15000
京 38000

東四局  ドラ:二索

セーラ「おー、しょぼい和了の後に跳満か。ええやん!

    洋榎も魂口から出してる感じやし……俺も攻めさせてもらおか、リーチ!」タンッ

京太郎「そうは問屋が卸しません。ロンです。W東トイトイ三暗刻、18000!」

        <:_: : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
           フ:/: : : : : /: : : : : : : : : : : : : : ヽ

           /:;/: : /:/:/: : : : :/: : : : : : : : : : : \
         /: : /: :/\_ハ: : l: :ハ: : : : : : : : : :\: :\
       ∠―フ:l: /fァミミ  l: :ト:LLレ: : : !: : :ト:ヽ  ̄

            /:レ:i 辷ソ  ∨‐ァミハ: : :/: : : :{ `
           /:/j "" 、    (z/ソ 〉:/V: :j: :ヽ
          レ  {   _    ""´ /;イ:./: :/\:ゝ
             \ ヽつ  u -イ:∧:/
           rァァ―ミ..┬  T´:< レ'
            ///:::::::::/'┘ /:::::z彡ミ\
            /〈〈::::::::/⌒フ´:///⌒Y:ハ
            / \:::::' /:// /     }::::i


白 25000
セ  3000
洋 15000
京 57000



東四局一本場  ドラ:六索

洋榎「俺も攻めさせてもらおかー、やて。ひー、腹痛いわ!」

セーラ「う、うっさいわ! 俺が差し込んどらんかったら四暗刻やったかもなんやで!?

     そないなったら洋榎は飛びで終わりやったんや、感謝せぇや!」

      //ア    /  / イ   :ト、    \      \        \   \
.     // /     /  /  |    | \    \      \       \   \
.      /′i    /  /i   |    │  \      `ヽ      `ー- 、      Y⌒ヽ}
     {  |  ,:イ   :ハ`¨´`T´   |  、  \ト、  ヽ `ー- 、    \_   }
         |  | |  ト、ハ≫=zzz、   !   `¨´`¨´`¨´`¨´   |  |\    ヽ`ヽノ\
.      人  | |  |  代 {  __} \|    ィ=- ..,,__\ト、 j │ \    }     \
         \! 〉、 !  :. 乂_フ     ´下¨¨“_卞ゝ  jイ  ノ    ヽ  ノ      i
           /  ヽ ハ             弋  `フ ノ  j/`ヽ    j/       |
.           / /   / :.    ,      `¨¨´        ノ      ト、   ト、  }
         i  |  i :从                       /  ト、   | ヽ.  ; } /
         l 人  ト、  ト、    _          rー-イ  イ ! \ !   } / j/
         ∨  \! ∨V .>   `       イ {ス人jヽノ jノ    jノ  j/
               , ´∠ニニ>、 _ ... イ   /  \
                  / /ニニニニニ7   λ    /    /入
              /  {ニニニニニ7/「八.  /     //二\

           白望「ハァ、だる……。ロン。1本場は4200」


白 29200
セ  3000
洋 10800
京 57000


南一局  ドラ:四索

セーラ(洋榎煽ってどうにか凌いどるけど、さすがにきついわ。

     須賀がことごとく俺より一歩先に居る。趣味やないけど安手でもいいから和了るか?)

洋榎(あかん、セーラと煽り合っとっても何も意味ないわ。

    腐れ縁を意識しすぎて須賀だけやなく白髪巨乳にまで喰われとる)

京太郎「っと、ツモ。タンヤオ平和ツモで700・1300です」


白 27900
セ  2300
洋 10100
京 59700



南二局  ドラ:五索

白望(……京太郎の囲い、そろそろ突破するのも限界かな。ダルくないからいいけど)

洋榎(セーラも攻めに入っとるな……。確かにもう南二局、巻き返すならここは引けんなあ)トン

京太郎「それです、ロン。發ドラ4で12000。ありがとうございました」

. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
/ / / i: : : : : : : : : :i: : : : : : : :.\
__i /  /: : : : : : : ;ィ: :}: : : : : : : : : : :.
 i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i

=-x /// : :/   ! 「 卞}: : : : : : : : :}
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白 27900
セ  2300
洋 -1900
京 71700       +42   +42+70=+112


「洋榎ェ、調子悪いんか? 防御型のお前がこんな取られまくるなんておかしいで」

「ちゃうねん、危ない牌は避けて切っとんのに須賀がことごとく網張っとったんや。

       /: : :______/ / : : : : : / /: /  |: : : : : :|ヽ: : : : :ヽ\
       /: ''7´: : ∧: : :/:/ : : : : : /  ∨ /   :|: : : : .:.: ||',: : : : :‘,\
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    (:(  /: : : : : |: >┘|: : :.:/ _,,x====ミ \ ′ : //  :リ ': : : : : :.|ヽ |
     \/_: : : /: : _: :∧: : |⌒ん::::::l |    /: : /厶斗<| : : : | ト | |、
.      / ̄: : : / : / |: :|V\|  | {::::: リ  ,厶イ  宍ミ、  |: : : : :| |: |∧ヽ
     /: : : :.:.:八: 圦 |: :|:     乂_少'        ん::l|\./|: : : : :| |ノ  ': i
.    /: : : : : : : :.:\(ヽ|: :|   //////          | {:::リ  {/: : : :./l/    }ノ
   / : : : : : : : : : / \|: :|ヘ                 ヒ少 _/ : : :/ノ  _/
  /: : : : : : : : : :./ __.|: :「`,>、   l⌒    、   //// TTТヽ\
/: : : : : : : : : : :/    |: :|Y \ ., 乂    \      ||:|  ) )
: : : : : : : : : :.:〃     八::l |   \≧x._ ‐---‐'     ,.ィ: |:| /
: : : : : : : : :/{___      | |  /     \ニニ===ニ二    :|:|
: : : : : : / ̄          |  ′      ', ) /\´ ̄\:|:|
: : : : /_           ∨       ├{ { 、 }    /:/
: :/{    \         /|        | ノ }/  T   /|

 悔しいけど力負けや……けど、負けたままのウチやないで。

 必ずリベンジしたるからな。首洗って待っとけよ須賀ァ!」

「は、ははは、はぁ」


 愛宕さんを心配そうに見る江口さんに、自身の不甲斐なさを素直に受け止めた愛宕さん。

 が、そこで立ち止まるような軟弱さは持っていないらしい。

 俺に向かって吼えると、江口さんと連れ立って部屋を出て行った。

 なかなか上手いたこ焼き出す出店見つけたから行こうや、と切り替えが早い。

 運次第で勝敗が流れる麻雀という競技に生きる以上はそのメンタルの有りようは得難い資質だろう。

 のそりと俺の背中に負ぶさる白望さんを感じながら、俺は苦笑と共にライバルたちを見送ったのだった。

                     _  \ー- 、
                   ∠二 _  ̄\ヽ   !
              -=_,,ニ二_   ヽ  )}  }
              / _,, -‐     ゝ   ノ、
                 / /              ヽ
              / /                 }
            .ノ       /           ヽ`ヽ、
          /.     /     /    l   !   l   ヽ
         /  /    /     / /   .}   l .l  }ヽl⌒ )
         ./  /       / /}∠!_  ./l__l__ l  l  l
        / ./ /   {  /7____|  /´j_∠!_/! リ  }
       (/{  { /   \{/(。::厂`;ノ ´(。厂)トノ\人
         乂 .八ハ  /   l ,,,`¨      ¨,,, ∧    ,ゝ
           `   )/从  l、      `   / }   .l
           _,,,../l \{::\   , 、 ./、ノヽ/)ノ

        ,, -<//////∧ \::::>..._ ,,..イ∧ ヽ
      /  \ ヽ/////∧  \  / .}///l  }
    ./      .、.}/////∧   〉∧ .|///l  l
  /        }.l//////∧  ,.ヘV∧ .l.//∧ .l
 /             ////////∧/ }::::} Y////∧ノ
.〈         , イ/////////∧ノ:ハ:ヽl.//////\
./\      / }////////////∧イ  Vl.////////ハ

 4試合目 コミュ 霞  1d100=51  成功


「須賀京太郎が相手ですかー。……ちょっときついですねー」

                  ... ----- ...

                ..::´::::::::::::::::::::::::::::`::..
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                |::::::l::::|八{__\从ノ __j::ノ|::::::l:|
                |::::::|:::抖ぅ竿   ´竿冬、 l::::::/ |
                |::::::l从乂ツ    乂ツ'仏イ:::;
            ‘::::∧{ 、、   '   、、 }∧:::/
                 ∨::八    ┌‐┐    八:::/
.             ∨::::::::...   ` ´   . イ::::::/
              ∨:::::|:::〕iト -- i〔|:::|::::/

                _|=ミl/´ |    ll |:/::/
               / /:::/|  |    /l |:::::{ ̄ ̄`丶
             / /∠..._ |  |\_,// :|:::::|\   }∧
           {/´       `ヽnm/´|:::| ̄`丶{ ∧
           /         r|| l〈   |:::::|    \ :|
.          /         /l:|| | ∨八::::\    ‘,|
.          ,′       / ノ|l |  \::::\   !
.           |      /  /  !   ',     \::::\  |
.         从     /   _/  |   ',__    \::::\|
         {/∧     { .//  .人   \\   \:::}八
       /} \__/ /  /_\   }  \__,/|  \
       / /´ ̄ /  {/{三三三≧=ヘ    \  |   \

          「須賀君は強いわよ、初美ちゃん」

「霞ちゃんが断言するレベルですかー。嫌になりますねほんと」


 初美ちゃんがやれやれとばかりに腕を上げて首を振る。気持ちは分からないでもない。

 須賀君は準決勝の時点でさえ私の防御をものともしなかった怪物。

 決勝の戦いを経たあの人の力は研ぎ澄まされ、強まっている。

 小蒔ちゃんとまぐわった以降はある程度制御できるようになったのだと思う。

 小蒔ちゃんを迎えに行った時に見た須賀君は既に覇者の気を纏っていた。

 天児として、私が彼の毒牙にかかるべきだったのではないか。

 本家筋の従者たちに何度そう詰られたか。

 帰ってきた小蒔ちゃんを巫女頭様が鑑定した結果が出ればまた違う方向で責められもした。


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    |::l|:::l:::|::::::::::::|:::::l|从  \j八 ___,\:::: lノ \:::::::::l::|  _____     |ノ|::::/|::::::::::::::从:::::::::::|
    |::l|:::l:::|::::::::::::|:::::l|  _,,x竓芹苧笄ミ\{    \:::|ノ ァ芹苧苧笄ミx, ノイ ,::::::::::: /:::::::::::::::八
    |::l|:::|八::::::::八:: l|ァ'^´|. :|: : : : l: :l           \    |. :| : : : |: :f癶> ,:::::::::: /::::::/::::/
    |从::l::::::\::::::::\   乂: ー‐: :ノ             乂: ー‐: :ノ    ,:::::::/:::/::::::::/
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 私の身体は小蒔ちゃんを悪霊・悪神から隠すために発達させられたという。

 男の人は胸が好きだ。女はそれを妬む。男女両方からの負の思念を私が惹きつける。

 九面様のお力で、破邪の巴ちゃんと太陽殺しの初美ちゃん以外の女仙はスタイルを良くさせられたのだ。

 その究極形が私。であれば、この身を使って須賀君という女の異能を守り育む者を籠絡せよと言われるのも道理ではある。

 小蒔ちゃんはもちろん初美ちゃんにすら話していないが、私はあの神域での出来事を覚えている。

 九面様に首を絞められ苦しむ須賀君を見た私の心はどうだったか。

 力があればこの手で救いたかった。結局須賀君は自らの力でそれを乗り越え、小蒔ちゃんを抱いた。

 羨ましかった。彼は私の胸をギラついた目で見ていたのに。

 神域だったからか、小蒔ちゃんが感じた感覚は私にも流れ込んできていたのだからいっそう……。


 対局室に須賀君がやってきた。

 彼を見て、想う。

 私は彼に抱かれよう。周りには小蒔ちゃんを獣欲から守るため、上からのお達し故と言えばいい。

 ああ、破瓜の悦(いた)みを二回も味わえるのはわたしだけ。小蒔ちゃんにはできないこと。

 彼がどうすればどう感じるかは小蒔ちゃんのおかげで分かっている。

 ずるい女。それでもいい。京太郎様に私自身を捧げるためなら……。

 熱い視線。それに気付いたのか彼は一瞬呆けたような顔をしてから、穏やかな笑みを浮かべてこちらに近付いてくる。

 今はまだダメよ、霞。準備を整えなければ――――

                    -――-
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   {::::::::::Χ    /: : : l: : : ::|: : : : : : :::|: : : : l:.∨   :∨
   {:::::: /  \_,/: : : : l: : : ::|: : : : : : :::|: : : : |: :|    |〉
.   八:::::{   / く/: : : : :::l: : : ::|: : : : : : :::|: : : : |: :|\  |



石戸霞の好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
石戸霞の好感度が大きく上がった
必然力がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します


東横桃子(恋人特殊)
属性 :O
技量 :B68
直感 :A70
必然力:A70
補正値:43
・スキル
【神出鬼没】
 影の薄さを極め、帰る場所を見つけたことで覚醒した異能の力。
 異能に身を委ねても必ず見つけてもらえる愛の力。
 彼女は常にどこにでもいてどこにもいない。
(効果A)
 自らよりも必然力の低い他家に放銃しない。
(効果B)
 聴牌・和了判定値を+30。
(効果C)
 和了形がロンのとき、和了判定値をさらに+20。

【逢魔ヶ時の影踏み鬼】
(効果A)
 聴牌に成功した場合、聴牌コンマを反転した数値の半分を和了判定値に加算する。
(効果B)
 効果Aによって和了権1位になった場合、その和了は放棄しなければならない。
 なお放棄したときに流局した場合、自身が聴牌を維持できるかどうかは
 他家の状態による。多数に同調する形で決まる。
(効果C)
 和了を放棄することで、次の局に満貫以上の和了が確定する。
 この際の和了における和了形・出先を自由に決定できる。
(効果D)
 和了連続放棄の回数が増える度に確定和了の打点が+1翻されていく。


薄墨初美
属性 :O
技量 :D44
直感 :B67
必然力:D40(S90)
補正値:34  (44)
・スキル
【六女仙:悪石の巫女】虹
 太陽を喰らう仮面の神の力を行使する調伏の巫女。
 自身が北家のときに発動。
(効果A)
 聴牌が確定する。
(効果B)
 和了判定値を+20。
(効果C)
 聴牌判定値が2位以上の場合、四喜和を聴牌する。
(効果D)
 聴牌判定値が3位以下の場合、2翻以上の打点になる。
(効果E)
 聴牌判定値が2位以上の場合、和了判定値をさらに+30する。

【合法ロリ】赤
 18歳でありながら童女にしか見えぬ身体に引き摺られたか、意固地になりやすい。
 【六女仙:悪石の巫女】発動中に和了できなかったとき発動。
(効果A)
 親がロン和了可能なコンマである場合、自身の和了コンマの半分を
 親の和了判定値に加算させることができる。
(効果B)
 効果Aを使用して和了に成功させた場合、放銃者は自身で固定される。



鶴田姫子
属性 :O
技量 :A72
直感 :B69
必然力:B65
補正値:42
・スキル
【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【リザベーション:解】
 オカルトの域にまで達した強い絆。
(効果A)
 【白水哩】が【リザベーション:縛】を成功させた局で発動できる。
 鍵となった和了の2倍の翻数での和了が確定する。
(効果B)
 【白水哩】と場風でスタートする。


東一局  ドラ:三索

初美(まったく、霞ちゃんまで妙な感じでしたねー。

    そんなにこの男が……? 探知ははるると巴ちゃんのお役目ですから私にはよくわかりないのですよー)

姫子(須賀……二回戦の雪辱、必ず晴らしちゃるけん……!)

姫子「リーチ!」

桃子(京ちゃんが相手では迂闊に切れないっすねぇ。

    とはいえ……攻めないのはそれはそれで悪手っす。

    京ちゃんはまだ聴牌してない気配っすから、他が出すのを期待で……)

桃子「リーチ」


 各々が想いを篭めての駆け引き。初美は北家でない以上は積極的に攻めに出ない。それは果たして正解だったのか。


京太郎「リーチ」

初美(――っ! な、なんですかこの気はー!? やばいですよーこれは!)

桃子(……っ! まさかここで来るっすか!! ダメだ、鳴けない……ずらせないっす……!)


 異能の力とはいえ二人きりの閉じた力を持つ姫子には、卓の異変を感じ取ることはできなかった。

 しかし他の二人が慄いたことだけは理解する。それでもリーチ中である。動きようが無かった。

                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/
.          ,イ/////////////>'////////////////}ニア゙
.         /////////////ア´ {{////////////////ニア
.         ,イ////////ニ=-     寸////////////イ¨´
      ,イ///////イ´         マ/////////ア´
.     /ゞ===イ´           マ/////アイ
      ム:::::::::::::::::}              {:::::::::::::リ
   く::::::::::::/¨¨´.               {:::::::::::/
    ¨¨¨                     ゞ─'゙

京太郎「――ツモ。リーチ一発ツモ、清一色一気通貫一盃口ドラ2……数えで16000オールだ!」


京 75000
初  9000
姫  8000
桃  8000


東一局一本場  ドラ:四索

初美(ぐぬぬ。あれは無理ですよー!? 姫様みたいな太陽神系列でもありませんしー)

桃子(リーチが裏目だったっすね……。

    やっぱり京ちゃん相手なら下手に小細工せずに私の得意技を決める隙を窺う方が分がいいっすよ。

    というわけで、早速……)

京太郎(モモのやつ、アレをする気か? さすがに仕込みの終わった不意打ちは俺じゃ躱せない)


「「「聴牌」」」

初美「うー、ノーテンなのですよー……」


京 76000
初  6000
姫  9000
桃  9000


東一局二本場  ドラ:

京太郎(仕込んでるうちに叩くのがモモの攻略法なんだが……やられたな)

        /..........................................\
       .'...../_........./.........ハ....................丶
      /...../\\/.....,.../ | |........lト、...、..:,

.     ///........../...../|./  И.......リ...∨==
     /.-/........./|..../,/'_`ヽ |....../ __:,.. ∧、
    //..../ ......./...|./''竹不、. |/ ´__ レ'...∧\
  .'./l..../......../=〔  乂:ソ     ア刃`l...........,\\
  (′ ../.......,イ     ´        Vソ '..............:, 、.:.
  \ .'......./人 __  ""      ' ` ,:....、...........:, )′
    :{.....................八:..u     -  "".:......ハ.....、 ..l
     \{\八ト、..l.〕:::.....      .イ...../ .|...ハ..}
          /ノ    >- <l.../}/ ..}/  }'
          /  `\   ト、  }'′
     -=≦ \     ,ヘ人∧
   /´⌒ヽ    \  /、   >,〉 ` 、

姫子(また東一局……。勝負はこれからっちゃ)

初美(まずいですよー。僅差ながらも4位……。

    ウマ無しだから順位はあまり関係ないですけど、それでも気持ちよくはないですからねー)トン

                  ...-――━―-...
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桃子「余所見はダメっすよ……ロン! 満貫で2本場は8600! 終局っすね」


京  76000       +46     +46+112=158
初 - 2600
姫   9000
桃  17600


「うぇっ!? な、いつの間に……?」


 桃子の和了宣言に初美は狼狽した。思い返せば確かに東横桃子は卓にいたはずで、

 しかし打っている最中の初美は桃子の存在を全く認識していなかったからだ。

 北家限定とすることで威力を高めた異能の欠点。指定した状況以外では力を発揮できない。

 そのことが見事に隙となったのだ。


「見えてないんじゃ手玉っすよ。京ちゃん相手ではこれが最善っす。


 さすがに開幕役満ツモは予想してなかったっすが、それならそれで飛び圏内に落ちたところを刺すだけ」

「モモは相変わらずエグい攻め方するよな、ほんと」

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    ::::::::::::::/:::::::::|::|::::>         ,. r介i:l::::::::::::::':::::::::::!
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.  八::仏::r....''.../..........|  ∧ ニニ∧   /'.........V^'トv:/:::::::ハ: }
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/....|..........\{..../...............|    厂 {    /................′..{//.........../\

「ただで負けたら面白くもなんともないっすから!

         京ちゃんと麻雀を楽しく遊ぶ手段の一つっす!」


 そう言って桃子は大型犬を思わせるような雰囲気で抱きついてくる。

 尻尾があれば大きく振られているに違いない。

 俺はそんな桃子の頭を撫でつつ、半泣きの薄墨さんと厳しい顔つきで俯いた鶴田さんを眺める。

 俺も力が及ばなければ彼女たちのように悔しい想いをするのだ。他人事ではない。

 このまま調子よく進んで行ければいいのだが……。


 5試合目 コミュ まこ 1d100=43  普通


「おう、京太郎」

「あ、染谷先輩。お疲れ様です」


 初日最後の試合が行われる対局室に向かっていると、扉の前で染谷先輩と鉢合わせた。


「何を言うとるか。わしは久や和、咲の応援しとるだけじゃから疲れようがないわ」

「あー、そうか、次は久さんとの対局か……」

「久も気合入っとったがな、くくっ」

「どうかしました?」


 染谷先輩は咲達の応援に回っていたらしい。

 和は優希や阿知賀の人達がいるし、おそらくは久さんと咲をメインにしていたのだろうけれど。

 そう思っていると突然思い出し笑いを始めた染谷先輩である。どうしたのだろうか?


「いや。京太郎もほんの数か月前はわしらに負けてぴーぴー泣いとったのにのう」

「えっ!? さ、さすがに泣いてはいなかったですよ……」

「くっくっくっ、そうじゃったかの? ま、お前は今でも清澄の仲間じゃき、なんかあったら頼りんさい」

「先輩……」


 仲間。不意の一言が胸に迫る。裏切ったも同然の俺に対してそう言ってくれるとは。

 染谷先輩には頭が上がらない……。無意識に感じていた罪悪感が薄れた気がした。

 だから言うべき言葉は謝罪などではない。そもそも言葉すらいらないのかもしれない。

 しかし、野暮は承知で示す必要がある。先輩への感謝を。


「ありがとうございます!」


 俺は去り行く先輩の背中に向けて、深々と頭を下げたのだった。

              ____

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            )::::::/  \    L >,-´
           _,.K´/     冫 、   /
       _,..-‐.:´.:..:..:.\   イ、  `ー '
      /‐‐>、__.:..:..:..:..:..:..\__ ヾヽ
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.     レ /    ゙、  \`ー-、,,;..:..:\|..:..:.〈
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    i'        | /   ̄ ゙、    -‐}‐ |
.    |        K _      ゙、  -‐|'´ |
   /       , イ         |  , -个r'
   /     /∧             └'l   | \
.  /    / /. |             /   ,! /〉
 /   /  /   |          `ー'´VイY
. |       /    | /               | |


染谷まこの好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
染谷まこの好感度が上がった
技量がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します


竹井久(全国時)
属性 :D
技量 :B69
直感 :B60
必然力:C50
補正値:38
・スキル
【ノビ○】
 自身の和了形がツモの場合、判定を+10し打点を+1する。

【清澄の悪女】
 順当でない分の悪い賭けを好み、不思議とそれが功を奏しやすい宿運の持ち主。
(効果A)
 判定値を+15。
(効果B)
 判定コンマが15~79の場合、反転コンマと比較し高い方を採用する。
(効果C)
 効果Bによって聴牌に成功した場合、和了判定値を+30。
(効果D)
 効果Cによって和了に至った場合、最低打点が満貫となり打点を+2。




南浦数絵(イベント後)
属性 :O
技量 :B68
直感 :C58
必然力:B60
補正値:37
・スキル
【南風の神】銀
 スロースターターな運気を溜めることで後半の場を制す打法。
(効果A)
 場決めコンマを-50。
(効果B)
 南場の間、聴牌判定値を+25、和了・放銃判定値を+40する。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+30し打点を+2する。
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが2枚以上乗る。
(効果E)
 東場の間、判定を-5。



三船依子
属性 :O       89  巨乳だな!
技量 :A76
直感 :A74
必然力:B60 
補正値:43
・スキル
【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。


東一局  ドラ:九筒

   /: . : . : . : . : /〃   {:iヘ: .从:.:ノヽ: . : . : ',. : . : . : . : . : .}
   イ: . : . : . : . :/〃   i! ヾ ヽ{  ヽ: . : . :}: . : . : . : . : . ,
  / {: . : . : . : .:/ .7    ヽ  _,, -‐''''ヽ: . :.i: . : . : . : . : ..,
 ,' .: . : . : . : /  {       ´      V: .i: . : . : . : . : . ,
 {  i: . : . : ../``'''{ー      -‐   __,, Vリ: . : . : . : . : . :
   : . : . : /   !       _,ィf≦乏}  }: . : . : . : . : . : .i

   {: . :..:/   __,,.ィ        乂///ノ  ,': . : . : . : . : . : . ,
    ,: . :7:ヘ 仟//ハ         `¨   ハ: . : .7: . : . : . : . }
    ,:. : {: .ハ ゞvツ            ハ: . : .:..{. : . : . : . : .:
    .: . : . : ハ       '        7: . : . : ..i: . : . : . : . :.
    V: . : . :',          _   {: . : . : . i: . : . : . : . リ
     V: . : . へ      < ´::::::::ノ   ',: . : . :.:.i: . : . : . : .ノ
     ヽ: . : . : .:}> 、      ̄    ,ィヽ: . : . i!: . : . : .ノ
       \: . : i: . :/`    __   <    iヽ: . i: . : ./
        /==={   /}        .|ノ}===ヘ

      久「京太郎君、また泣かせてあげるわよ」

                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ
                   、 └―┘ ィ/∨
                  「¨>-- rく「 ̄ }

             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}
                {/{////// \∧ r'  ヽ }' {///////
                |l∧////////Ⅵ,〈      | |///////|
                |/∧/////////|l∧     ,l |///////|
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                |////}////////// 「/////∧/////{
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                |////|//////////////\//////,イ
                |////|//////// ()/////|:.\////:.|

     京太郎「いや、だから泣いてませんってさすがに!」

依子(チャンプチームの大将とか……帰りたい。

    役満直撃しなければ3試合6半荘で18万点稼いでた化け物相手とか!)


 久がからかい、京太郎がそれに反応する。清澄麻雀部ではよく見られた風景。

 それを横目で見つつ数絵は黙る。南場の自分ですら届くか危うい今の京太郎相手に、東場ではさすがに分が悪いと。

 しかし、場も深くなりいよいよ海底牌が見えるとそうもいかなくなった。


数絵(……ここでこの牌。おそらく全員が聴牌している。

    親の竹井さんが聴牌を崩さないなら、私が崩したら3千点を失うだけで南場に近付かない。

    だったらせめて聴牌を維持しておくべきかしら。南無三!)トン

京太郎「ロンだ、数絵。清一色ドラ3、16000!」


久 25000
京 41000
依 25000
数  9000


東二局  ドラ:南

数絵(くっ……。まだ河底じゃないからと油断をッ!)

久(あちゃー。あれは痛いわね……。それにしても、本当に京太郎君は強くなった。

   ここまで育つって見抜けなかったのは私の落ち度よねー、まったく!)

依子(うはー……。桑原だよぉ。ま、牌譜通りに染め手に寄せる傾向があるっぽいのは分かった。

    だったらそう簡単には振り込まないだろうし……いけるかも?)

京太郎(チッ。強引に持っていったせいかツモが良くないな。ならもっかい――)

京太郎「カン!」  Σ發發發發


 各々の思惑が空回りする中、またもや流局が近づく。しかし――


久(まっずいわね。京太郎君のカンのせいで海底コース……。ずらさないとツモるんじゃないかしら)

  久の危惧は不幸にも的中する。場を支配しているのは間違いなく京太郎なのだから。


京太郎「ツモ! 發海底撈月、1600オール!」

               . . -――..、--- .、
                . : ´: : : : :_:_:/: : \: : : \
          /: :/: : / /:/リi:l: i\: : : :\

         /: :/: : /   i// 从ハ: :\: : : :.
        /〃:./: : :./ノ    ̄ ‐‐- ∨: :.i: : : ::.
.        // l/: : : /´     ‐‐ 、,__ ∨:.|: l: : ::.
      // /: : : :/ ニ、      ィ斥心ヽi: :|:リ: : : :
        i/  .: : ://ィ斥心     V沙゚ ノi: :l/ : : : |
        l   |: : |/从 V沙  ,    ,,,   l〃: : : : :|
        i   |: : i:∧  ,,,          /: : : : / : |
        |: : |: ∧           〈: : : : /: : :;
         八: :i/: ∧      ´`       〉:l: :.i: : :/
            ヾi/:/i:介: . ..,        .イi: :l: l:|: :/
          ∨ノ: :i: :l:_:〕 --   i:.|:l:/:/:.|:/

          〃: : :l:.ノ.:.:i        ト〃:/: ノ:{
          -=´i/:/:./ニニニ\     i/: /:./: : :ヽ
      // ̄ ノ从ハニニニニニ\__i从i:/`ヽ: :l:.i=-、

      ///\   {::\二二二\   |'二ニi从リ二/、
.     i/{  i \ \:::\二二二\ |二二二ニ/} ∧
.     l/|  八  \ \:::`<ニニニニ\|二二>'":://  i


久 23400
京 45800
依 23400
数  7400

東二局一本場  ドラ:六索

依子(染めと發……。いくら強くたって麻雀歴が浅いなら付け焼刃ってことかな?

    パターンが少ないなら読みやすい。案外怖くないじゃん!)

依子「リーチ!」


 リーチによる強気の攻めも、一発はならず。

 否。一発で引けないのならばリーチなどすべきではなかったのだ。

         /             /    /  / 〃                i{   | \
       /           /    /  / 〃         |         i{   |
      /              /    /  / i{          |         i{   l    ',
   __/      /     ′  〃 /{  ハ   {    |  |ヽ
 ⌒ ̄ ̄ ̄ ̄  ア        i{    l l  i{{ l i{   {    |  | }  i{       /
.          /  ィ'       i{    | l 从| l i{   {    |  | } 从   〃   ′    l
         {/ /       i{    |jI斗===ミ i{   {    |   厂}/}/ }/ }   /⌒ 、
            '         ∧  狄Ⅵ汞≧八  {\  | ィ'“ 汞笊ぅ/ / 厂^ l    ′
         /  /    { ', {   ∨こリ \l   、! /   Vこツ{/i /    从  ′
        /  /    人 ', ',{            }ノ          }/   / ハ/
       ∠  ∠   イ  l\ 、 V                       }   / /
                  八  !  Ⅵ ヽl          j               l=‐≦/
                   \〉   v 汯         {              爪 〃
                    }  ∧                        / //
                       \{ 込、    ___           /{ ィ/
                     _ -=\   に ̄ ̄_)       {从
                      〃    }N\            /   j_ノ_}Y
                       ri{      i{   、          /_ -=ニニニニ|
                       |ム      i{    ー―― r≦ニニニニニニニ=|
                       |ニ}    /{            |ニニニニニニニニ=‐ |

京太郎「ロン。三色タンヤオ平和一盃口ドラ、1本場で18300です」


久 23400
京 65100
依  4100
数  7400


>>780
立直一発と河底は絶対に複合しないよー


東二局二本場  ドラ:三筒

依子(うわあああ~~! 調子乗り過ぎたっ! こ、これは迂闊に攻めれないよ……)

数絵(連荘……南場まで進まずに終わりかねない)

久(うーん、私ここまで置物? とはいえ攻めに出れるような配牌でもツモでもないのよねぇ)

数絵(……。そう、ここでこのツモ……。私に攻めろと、そう言うのね?

    たとえ東場でも、チャンスと信じれば前に出る! 京太郎の前で縮こまるなんて無様、見せられないものッ)

数絵「リーチ!」


 京太郎の手が止まったと見るや、数絵は苦手の東場にも関わらずリーチを宣言。

   / : . : . : . : . : . : . : . : . :/:./ /:.イ: . : . : /: . :ヘ: . : . : . : . :∧

   . : . /: /: . : . : . : . : . :/: /  7:/ {: . : . /ヘ: . : .ヘ: . : . : . : . : .
   . : /: /: . : . : . : . : //:./    {:.{ i: . : .7  ',: . :}ソ∨: . : . : . : .
  {: ./:/: . : . : . : . :, ' ./:/     い i: . : {   }: .ノ 从: . : . : . : . .
  : .//: . : . : . : . :/.  //      ヾ、 \: .i  ノノ ノ ヘ: . : . : }: .:
  :.//: . : . : . : . /  〃          ヾ  '´     , : . : . i: ..|
  〃: . : . : . : , '、,,,__〃             _,,, -‐ ''  ̄ , : . : .i: . :
  〃, : . : . : .:/   {! ̄``丶       '' ´         } : . :.i: . :
 〃 : . : . : .:/ ―ォュs、,,_ ``        '" _,,,..z=ュ、 i. : . :i: . :
 {i  , : . : .:∧ ,《  {   ヾ`ヽ      ,イ´{    }`》 i!: . :7: . }
 ii  ,: : : :,'ヽ, ヽ v   リ             v   ノ ′ i}. : /. : .,
 i!  ,: : : :{、 ,    `¨¨´           `¨¨´   ノ: :/. : ..
 {  .∨: . :ヘ. ,                     ノ: イ: . : /

 ヽ  ∨: . : ヘ_,                     /イ: /: .:.,
     ヽ: . : .ハ           ’          〃´ノ: . : ノ

 久と京太郎はそんな数絵を驚きの目で見る。

 久は悔しそうに唇を歪め、京太郎は好戦的に頬を吊り上げた。

    !: : : //::::::/: ::::::/:::::::::i::::::::::|ヽ::::::ヽ:::ヽ:.. 、ヽ
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数絵「――ツモ! リーチ一発、西中チャンタツモ……裏1で4200・8200!」


久 19200
京 56900     +37     +37+158=+195
依 - 100
数 24000


「ありがとうございました。……さすが数絵だな」


 三船さんがギリギリ飛んでの終局。俺は数絵に声をかけた。


「惚れた男の前で格好悪いところ、見せたくなかっただけよ」


 そう言った数絵はふいっと顔を逸らす。耳まで赤くして、自身の言葉に自分で照れているらしい。

 俺は思わず笑いがこぼれた。


「むー、それじゃ私が一番格好悪いってことじゃない。ゲームに全然関与できてない、置物よ?」

「久さんの魅力は分かってますから、大丈夫ですよ」

「調子のイイコト言っちゃって……。こっちに来てから随分ご無沙汰だから説得力ないわよ」


 拗ねる久さんを宥めようとしたのだが、それも効果はなくむしろますますへそを曲げられてしまった。

 確かに久さんから来なかったとはいえチャットや通話すらしなかったのはやりすぎだったかもしれない。


「久さんが団体戦に入れ込んでることは知ってましたから。集中を乱すのは悪いじゃないですか」

「京太郎は私のチームメイトなんですから。他所のチームの部長さんに構う暇はなかったんです」

「あら? その割にはいろんな女の子引っ掛けてたみたいよ?

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:::::::::::::::゙l::゙|:゙l  `、                        イ         : : : : : : i
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ヽ::::::::::::::::|::||:ト     `、 `ヽ、                           /::::::

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::::::`、:::::::::|::|:|:::`、      ヽ、    `ヽ、..._               ,,     爪::::::
:::::::::ヽ::::::|: /           ` 、_     ゙̄`'ー‐‐---------ゥ-‐''    /::/::::::;/,
::::::;;;;;;`、;;ノノ    `、       `ー--、......____,,,....,、、‐''     ,/::/:::::::/:/

二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
::::゙l::::|ト ハ       `、                      ,,,//::::::;":;;/ /
:::人::ハ::::::`、        ヽ                ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/
::::::::Y::::\:::`、        `ヽ、,,,,,,,,         ,,,,,,/:::::::/::::ハ::::::::/
                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙


 ちゃんと京太郎君の性欲を発散してあげてくれないと人が増えて困るんだけど」


 俺が重ねてフォローしようとしたのだが、そこに数絵が割り込んで久さんを牽制。

 だが久さんも一筋縄でいく人ではない。逆に数絵たちが俺をしっかり繋ぎ止めることができていないと詰る。

 久さんはどこまで知っているのか。小蒔さんはテレビにも撮られていてバレているだろうが、怜と竜華さんは……。

 数絵たちとは大将戦の休憩時間に鉢合わせたので知られているが、どうか。

 そんな危惧に逃げている俺を余所に、二人の空々しい笑みが深みを増していく。

 恐ろしい空気が自分に向けられないことを祈りながら、俺は初日を終えたのだった。

ということで今回はここまででー

>>807さん重ねてご指摘感謝のお礼を。ありがとうございます。

ご質問ご要望等ございましたらどしどしお願いします。

それではここまでお読みいただきありがとうございました。

追い付いた!
やはり持ち点25kでこの火力は驚異というかルールが選手に追い付いてない(謎)……というか末原(´・ω・`)
まぁ同格以上と当たれば京太郎も同じ目に遭う可能性も否定出来ない辺り平等ではあるよね

>>819
満貫以上が出る確率は、一応20%程度のはずなんですけどね

その確率に干渉できる打点上昇系スキルは相応の格を持たせています(咲さんですら点数調整以外では直接干渉不可)

魔物系や超火力系(セーラ等)は満貫保障がついてたりも……。

それで京ちゃんがこんだけ暴れるなんて予想外で(白目)


そんなわけで投下していきますー

――個人本戦 二日目――

「あー……ちょっと寝不足かもしれないわね……」


 結局、昨夜は久さんに押し切られて泊めることになってしまった。

 いい加減龍門渕さんに謝っても許してもらえないのではないか、というほど繰り返している。


「2時には寝たじゃないですか。うーん、龍門渕さんになんと謝れば……」

「ん? 龍門渕さんには昨日許可取ってるから大丈夫よ」

                 _
            , . : . : . : . : . : . : . : . ,
         , . : . : . : . : . : . : .: .: . : . : . :.\
        /: . : . : . : . : .>'"7ヘ: . : . : . : . : .: .

       イ: . : . : .>'"  /爪:.:}. : . : .i: . :.ヘ: ..ヘ
     //: . //    /  { ヽソ}: . : . :!: . : .ヘ: . }
    / ,: . :イ/     ,' -‐-、 i: . : ..ノ: . : . : }: .:
    ,'  ,: .,':7イ令ォ        `i: . :./: . : . : .:i: . :
      {: :.:., { ら:リ    ,イ乃㍉、i!:.:./: . : . : . 7: .,
      ,: . ,  ゞ’     ら :::リ 〉!:/: . : . : . :/: ..,
      V: ,   '     ゝ少’ .ソ: . : . : .:.:/: . ,
      V{             ノ: . : ./: . : . : ..
       }:ヘ  `  -     イ: . : . /: . : . : ..
      イ: ..ヘ       /: . : . :.〃: . : . :.,
      {: . : . ..ー ―‐‐/: . : : ./: : . : . : ,

      i: . : . i: . ,ィ ‐-、_: . : /: . .: . : . ,
      ゝ: . : !/       /: . : . : . 7

        }: .i!        {: . : . : . :i
        i: . j        }:A : . : .iヽ
        ゝ´i      ,ィ {: i i: . : .:i
       /  |     if   リ {: . : リ }
          i     |     }: ./ ,
    ,       i       i   /  ノソ
   Y       |       /  ,′   ,′
    {\     i      i /  ,
     \    !    i   ,
    }   \  i       ,   ,′
         `|    i

    }   \ !     !、    ,′
      ヽ.   i  ,'  ! \ー-/
    i      j  ゝ. {  .\{

 いつの間に? しかしだからといって何も言わないというのも……。

 悩みながら久さんを見ると、軽くシーツで体を隠して下腹部の辺りを愛しげにさすっている。

 シャワーを浴びた後に冷えた水で薬は飲んでいたはずだから妊娠はしないはず。

 そう分かっていても、その仕草は色々な意味で心臓に悪い。


「ふふっ。そんな目で見て……。もう一回、する?」

「え、いや、さすがに時間も無いですよ。もう7時ですし」

「そ? 残念♪」


 にやりと笑った久さんが身支度を整えていくのをなんとなしに眺めていると、不意にこちらへ向き直った。

 髪色に合わせた、白い肌に映える赤い下着姿が艶めかしい。

                  _, ,, - ─- ,,
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       _,ッ':::::::;::::;::-‐'    ..:: ;:::::;//,バ、::::.、:::::::::::ハ
     ,//フ:::;;;/ン::::::::::::::::::::::// ノ   ヾ\::::::.、   i
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    ノ/      \:::: '〃Z⌒      ‐ ___ヽ:::l::::::::l

    /       、   ヽ;:/_/_      ,/;  ̄`、!:/::::::::|
. /          |    V/゙广'ヾ         |::::::ci 〉:::::::::::|
 厂`、        |     ハ. l::::::ci         ヽ-‐' ;゙:::::::::::|
 {:.:.:.:.ヽ  l    |    .| `ー‐′      ' ' ' /:::::l::::::|
  } .:.:.:\ |   |       l; ' ' '     ′      {::::::l::::::l
 /.:.:.:,ッ'"ヽl.   |      .|\     ,- ¬    |::::/:::::/
 l.;/     ゙、 |        l:::::`: .     ̄     /|:::l:::::/
/        ,| l         |ヽ:::::::`i   . _ , イ:::::::}丿:::l
.       /::∨        |::::\‐ '       |:::::://:::::;!
    ,ィ'- ''"7        |、::::ハ、     ``7::::::::ム、. _

   /   ,イ          | \:::::|`ヽ  , -―'/::::::/|   ` 、
 /     /.|    l     |  ゙、:|        |::::/l. |     ゙.
"      _,/|    |    |、   リ         ゞ' |.|  ,、  l
::: ' ":: ̄:/ |     |    |i:、             丿 .l  /   |
:.:.:.:.:.:.:.:.:/ .|       |    .|::::\       /    ヽ.!    |
:.:.:.:.:.:.:.:/  |     .|    |::::::: \    /        .:l    |
.:.:.:.:.:.:./   |       |     |:::::::::  ミ、__,/         .::::::|    !
.:.:.:.:.:/   .|       |   .|:i' ̄ ̄二| lミー─.、  ..::::::: !    |
.:.:.:.:/   |       .|    .|::| :::::::::::::;jー'ト、::_::::::: |.::::::::::::/     |
.:.:.:/    |         |   |'" ̄`7"::l. |:::::l`゙'<:::::::::::/    |
.:.:.i     |         .|   |   /:::: /  |:::::ヽ  ` ー-'.      |
:.:.l     |____    |   |/:::::::: /   |::::::::\    |     |
:.:|      ゙>'.:.`〉:ー.-、l   | `ー-、/     レ-ー .ゝ  |    |
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:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:八___,,-―、|                  |:.:l     |
:_.;-──-、_/  ノ      ″               {:.:.l     |
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く   / |   \                     /   |::、\:::::::::〈
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    \l |               y⌒ソ               |゙∨
..    |             i  /

「あなたも着替えなさいな。……私の下着姿がそんなにいいのかしら。もう中身まで全部見てるじゃないの」

「それとこれとは別ですよ。久さんが可愛いのが悪い」

「悪いって何よ? ま、いいわ。優勝したらご褒美でもあげようかしら」


 不意に呟いた一言。これは聞き逃せない。


「ご褒美ですか? それなら……首輪とリードだけつけた久さんを連れて散歩でもしますかね」

「えっ。いやいやいや、無し、やっぱご褒美は無し!」


 慌てて取り下げる久さんである。こうしてじゃれ合いながら、試合前のひと時は過ぎ去っていった。

 6試合目 コミュ 咲  1d100=40  普通


「犬ぅ、朝一からヘビーな卓でご愁傷さまだじぇ」


 対局室前の廊下でそう声をかけてきたのはご存知片岡優希。

 おそらく咲の激励に来たのだろう。俺への声掛けはそのついでみたいなものだ。


「せめて人目のあるとこでは犬呼びはやめろって。変に誤解されても面倒になる」


 そう窘めるものの、優希はどこ吹く風と馬耳東風。

 そんな優希に呆れつつ咲に目を向けると、どうも心ここにあらずといった風情。


「咲? そんなじゃ俺に勝てねーぞ」

「……? ああ、京ちゃん。大丈夫だよ。お姉ちゃんと打つ前に負けるわけないもん」

「まったく……あんま舐めてっと足元掬われると思うんだけどな」


 暖簾に腕押し、だろうか。糠に釘と言った方がいいかもしれない。

 決勝では悔しいことに、咲は+3200で俺は-6200なのだ。

 この状況では俺の言葉は咲の心まで届かないのかもしれない。

 それをここで叩き直してやらないと取り返しのつかないことになる、そんな予感がするのだ。


「咲ちゃんはここまで全部1位だからなー。京太郎もそうだし、天江衣と大星淡もそうだ。まさに天王山だじぇ」

「……ゆ、優希が天王山なんて言葉を知ってるだと!?」

「こんの馬鹿犬ッ! この優希様が知らんわけなかろーが!」

「赤点常習犯のお前が知ってるなんて思わんわ!」


 優希の思わぬ最適な例えに思わず驚愕してしまった。

 そしていまや懐かしい言い合い。おかげでだいぶ緊張がほぐれた。サンキューな、優希。



宮永咲の好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
宮永咲の好感度が上がった
直感がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します

宮永咲(全国)
属性 :O
技量 :S80
直感 :S85
必然力:S80
補正値:51
・スキル
【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【威圧感(特殊)】
(効果A)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果B)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【嶺上からの睥睨】
 勝利を許されず敗北も避けたいがために生み出した歪んだ打ち筋。
(効果A)
 聴牌判定値が3位以上の場合、判定値を+40。
(効果B)
 効果Aによって和了判定1位になる場合、その和了を任意の他家に譲渡できる。
(効果C)
 効果Bにより譲渡後の打点は相手に関わらず±4できる。
 ただし自身より必然力が高い相手には、素の判定値で上回っている必要がある。
(効果D)
 このスキルにより和了に至る場合、自身は1位になるような和了はできない。

【嶺上開花】
 高い山の頂上にすら咲き誇る、常軌を逸した妖しい花一輪。
(効果A)
 和了コンマor判定値がゾロ目のとき、強制ツモ和了。
 ノーテン時は2位以上でなければならない。
(効果B)
 効果Aによる和了かつ本来ロンのコンマである場合、責任払いでの出和了りとなる。
 ただしツモで和了ることもできる。
(効果C)
 このスキルで和了するとき、符数は半減せずそのままの数値を取る。
(効果D)
 他家の妨害効果を無視できる。

天江衣(イベント後)
属性 :O
技量 :S80
直感 :A70
必然力:S100
補正値:50
・スキル
【水底の幽月】虹
 強すぎる力は不幸を呼ぶ。愛する両親を喪い、自身と対等な存在を諦めた水底の龍。
 月齢により効果が増減する。新月の時は南中している昼間以外は発動不可。 
 満月時は150%、満月前後は100%、半月時は75%、三日月時は50%。
 満月時以外は日没していないと発動不可。
(効果A)
 他家の聴牌コンマを-50。
(効果B)
 効果Aにより自身以外がノーテンの場合、強制和了。
 立直一発海底撈月の最低3翻役が確定する。
 ツモ和了の場合は4翻役となる。
(効果C)
 聴牌コンマが1位の場合、打点を+4。ただし満貫以上のときは+2。
(効果D)
 自身の放銃判定コンマが60以上の場合、放銃しない。

【金蘭水魚の交】
 自身の孤独がまやかしであったことを悟り、自らの歩を進めるきっかけを得た証。
 オーラス時に1位でない場合、逆転に必要な役を聴牌する。

大星淡(恋人)
属性 :O
技量 :B64
直感 :A74
必然力:S100
補正値:50
・スキル
【闇煌希淡】虹 
(効果A)
 他家の聴牌コンマを-15、和了コンマを-20。
(効果B)
 聴牌を確定し、自身の和了コンマを+(聴牌コンマの一桁目-5)×5する。
(効果C)
 効果ABにより自身の和了判定値が1位の場合、強制和了。
 ダブル立直ドラ4の跳満が確定する。
 なお、和了コンマ35を超える他家が居ない場合はツモとなる。
(効果D)
 最低打点が跳満となる。
 ただし他家からのドラ妨害効果があった場合は2翻以上となる。
(効果E)
 発動中は常にリーチ状態。

【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【あの日の絆創膏】虹
 幼い頃にもらった絆創膏。孤立を免れた絆の証。
 任意のタイミングで発動可能。
(効果A)
 【闇煌希淡】を解除する。
(効果B)
 【須賀京太郎】との絆の強さ分、判定値をプラスする。
(効果C)
 自身が敗色濃厚なとき、聴牌が確定する。
(効果D)
 効果Cによって聴牌するとき素の聴牌コンマが1位or85以上の場合、
 逆転に必要な和了形と役となる。
(効果E)
 効果Dが発動したときに和了コンマで1位の場合、強制和了。
(効果F)
 効果Dが発動せずに和了コンマで1位かつ85以上の場合、打点が役満となる。

東一局                                              ドラ:八索

              /  /   /'´           `\ \.   ∧
               /  /                ヽ    ヽ   ∧
                /  i     /  /  i!      |     |    |   ∧
            /   .|    i  /   |     |     |    |     ハ
             /    !    { i!  ,.イ|     |     |    |     | |
          /     ',  i ∧{i>く 从!    | i!   !i!   i!ハ   i!ト、
            /     ∧ i!.|r芹ぅ.ミ\i!   } !|.|  ,リ!   }! i!   ハ|. \
         /       / ∧.从 {:{fj:}:}ヾ |   . イ从| .//|   ./i! |  / i!   \
       /      / /  \{ .乂zク :::::|./:::::'/'///'/ ./ /,イ ./ /'     \
      /        / /   |ハ      ´     ´  厶イ  ////           \
    ./         / /   .!.∧             / i! /' /'.\          \
  /         / /     |'  \   `   ´   /  |      \          \
./          / /     ハ   `i::....    ....イ   .l       \          \
           / /     / i!  /^\. `¨´ /^\   |   __   \
          _/     /f ̄ ̄ ̄ ̄:\></ ̄ ̄ ̄:`:Y´    > 、 \
        /´ ./     / {: : : : : : :こニ=「 ̄i=ニこ: : : : : : : }        \ \
       ./  /     /  Y´: : : : : : : :ィーiく: : : : : : : : : `Y             Y. \
      /  /     / !   }: : : : : :/:/| |: ヾ`ヽ: : : : : : :{  i        ∧   \
       /  /     / |   {: : : :/: :/.::| |: :∧: : :\: : : :リ  |       /:::∧     \

          衣「きょーたろー、この時を楽しみにしていたぞ!」


 配牌が進む中、衣が無邪気に笑いながら闘志を漲らせる。

 淡はそれに応えるように不敵な笑みを浮かべ、咲は一瞥しただけで無表情である。

 そして京太郎は――


京太郎「衣さん、悪いですが……今はまず咲を正気に戻さないといけないので」ゴッ

「「「――っ!?」」」


 卓に着いた三人、いや会場中の勘の良い者のことごとくがその圧力に背筋を震わせた。



衣(……っ、きょーたろーの右腕に留められた荒れ狂う剣気!)

淡(それだけじゃない……。

  キョータローの全身から湧き上がってくる力っ!

  ってダブリーかけちゃったよ!? 1000点確実に損したっ)

咲(この……! いくら京ちゃんでも邪魔しようなんてッ!)

京太郎「ツモ。緑一色……8000・16000だ。

     咲。お姉さんを意識するのは良いがな、

     目の前の麻雀を楽しまないお前じゃ何もできねーぞ」


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             .|/'  |: / ∨: !、:.::/ |>o。_          /  .!-ー--  .._
           {.     |:./   ∨{. Y/ |:.:.:.:./i:.:¨7 T¨¨¨¨¨¨´    ^ー 、     ` ̄

                        咲「馬鹿にしてッ」ギリッ

淡  8000
衣 17000
京 58000
咲 17000

東二局  ドラ:六索

 笑顔を浮かべる京太郎と、忌々しげに歯を食いしばる咲。

 対照的な二人の様子。そして京太郎は楽しく麻雀を続ける。


淡(まったく……開幕役満親ッ被りとかマジ最悪! ……でも京太郎が楽しそうだからいっかなー。

  むすっとして打ってるより笑って打ってる方が楽しいもんね!)

淡「リーチ!」

京太郎「お、またダブリーか。既に俺に破られてるのにいいのか淡?」

     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶

淡「これが私のスタイルだし? ていうかそこの金髪……私とキョータローもじゃん。

  えっと、そこの子供「子供じゃない衣だ!」……そこのチビのせいでこれ使わないと聴牌妨害されるんだもん」

衣「ふふん! ころもの力はまだ日が高く本領ではないがな。

  この卓を楽しく過ごすためには積水成淵の面持ちで臨んでいるのだ!」

淡「楽しむためなら仕方ないかー」

京太郎「だな、仕方ないない。ってことでリーチ――ツモだ。 

     リーチ一発ツモ、混一色ドラ2で4000・8000!」


淡  3000
衣  9000
京 75000
咲 13000

東三局  ドラ:五筒

 三人が和気藹々と、笑い合いながら楽しく打牌する横で。

 咲だけが苦虫を噛み潰したような険しい表情で牌を操る。

 そしてついに爆発した。


咲「衣ちゃんも大星さんも、京ちゃんも……遊びで私の邪魔をしないでよ!

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:,;.:;.;.;;.:,;.:;,::,:::.;,:..;:,;.,:.;    |Λ:〔ト、'.ニニヽ|-ニニノイノ .ノ    }. 斗'        ::;:;,.
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:,;:.;.;,:;.:;,:;,:;:,;:..   l 厂 ̄   Λ     ‘. ./  .イl7    、  ` ァ        ;:.,:;.
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  カン! ――――ツモ、チャンタ嶺上開花で2000・4000……!」


淡     0
衣  7000
京 71000
咲 22000

東四局  ドラ:西

                       ´              \__

                         /                    マ三三三三三三ニ=-
                  /     /           \     ∨ /⌒> 三三三ニ=-
                         ,′          ヽ           \三三三ニ=-
                   /     _/ │  ∧          .     | ニ二  -=ニ\三三三ニ=-
.                /    / /│ '|  |\  :.       :. i   |\        ̄`丶三三三
           __/      / /  │/│  |   :. |\       :.   |             \三三
         _/´/ /    /| \| | |  |  |│ ::.     |   八   ー―‐=ニマ三\  マ三
       厂| |∨//    人 レl   | ト-|  |  |│ ::.     │ \ \       `マ三)  }三
__,,...  -┤│レ/゙∨   /\l |_|斤テ外八 ^ト--|/--│              ー=ニ二 `マ  /_三
       ││|{ {.  /  ∧ンリ 乂ツ   \|斗テ外、.|       卜、        丶、______ く_三三
       | ∨\八  {  /  Y::/::/  ,    乂)ツ 》│    | /\       \≫==≪\ マニ三
__,,,... -‐ヘ_ \,,>\∨廴_,人          ::/::/ / リ│  │  >ー──=ミ〃    `ヽ∨ニ三
          ̄    \__,))       ヽ      ∠/_7  イ /⌒)丿    \_ノ{ -‐~‐- }ノ三三
                      ≧=‐   -=≦ / ∧|/ / ,.二二二二∨|\___/| ̄ -=

                                 / /  厂∨ / -――=マ 〉|      |
                               ((⌒´     ∨ 〈       ∨/l.     │
                                           `ーヘ      ∨|     │
                                         `、      ヽ、____丿
                                               \     \

淡「まったく、何ヒステリー起こしてんの? テルはサキのためにいろんなことを我慢して頑張ってるのに!」

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      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
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      |:./  \:.:{\          /  |:.::/
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
                  __]       {___
                _/三l       /三三三≧=-__
           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>

.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´  

                咲「えっ?」

淡「ウチのスポンサーにあのババアがいるの知ってんでしょ?

  あのババアはテルを……麻雀の才能がある娘を道具にして自分の夢を押し付けてる。

  あんた、小っちゃい頃はテル相手に舐めプできるくらい強かったんだっけ?

  だったらもう言わなくても分かるでしょ? テルが我慢してるのは誰のためかって」

咲「……そんな。でも、お姉ちゃんは妹なんていないって」


衣「宮永のアレから守ろうというのだ、少しでも執着を見せるのは得策でないと考えたのだろう。

  アレは国内外の組織と繋がって裏麻雀に影響力があるからな」

咲「裏……」

衣「上位プロの中にも奴らに協力するものはいるらしい強大な組織だ」

京太郎「衣さんはなんでそんなこと知ってるんです?」

衣「ぬ? 知れたこと。きょーたろーとの未来への障害となりうる奴らを見逃すはずがないだろう?

  ハギヨシが一晩で調べてくれた!」

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        !:| i::::|i:::i::::::、              /:/};/
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     _,...-:‐::::{!:::、{:ハ:|::V:::|i |\   ´ `   ,.イ i!:.:.:.:ヽ::.:.:.:.`:ー:-.、_
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:.:.:.:.:.:.:...::::::::::::::::::::::/.:.:.:.:.:.:::i ト、 \|\ / _|//  !::.:.:.:.:.:.|::::::::::::::::::::::::::::::::....

京太郎(ハギヨシさんパネェ)

咲「お姉ちゃん……私、どうしたら」トン

淡「あ、それロン。子供の私達じゃどうしようもないって。だから精一杯今を楽しまなきゃ。

                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \

           ,          /         \
.           /     .   /            ヽ
           ′     / /              `、
.          .' /   /,     // /|   |       `
         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕

          ってことで字一色、32000!」


淡  32000
衣   7000
京  71000       +41   +41+195=+236
咲 -10000


                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
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                「また大七星か」

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           \{    /   >::[_[\__;;;/    )У       〉   ト、 │
                 \__{ /::::::::几::::::\      〈          /|   |ハ |
                    [__∨::::::::∨| \::::::丶    込,,______ノ |  /  ∨
                   |__7 :::::::: ノ│  〈:::::::::|    〈 [_____________〕 |  ,   /

              「そだよー。これも愛の力ってやつ?」

                  \::::::::∧    /:::::::::::/
                   \:::::∧´ ̄/:::::::/_
                ,  ´ \::∧ /:::/   ` 、
              /    ,..>.:∀∠...._    \

             ., '    ∠>―`´ ―<_ヽ     ヽ
            //        /     ヽヽ `     ',
              // / / / /  / |  i!  ', ', ハ ハ  i!
           ' ' / / /_/  /!/!  ハ  |!|i!_ ',  i! ∧
           |.ハ ! /|  i!|「 >く/' !  ./ハ /リリ} !i リ  ∧
           |! i! i!ハ !  i!{xィ乞ミト/ イィ乞ミxリ ./!   ∧
           {∧ |i 从  l《 う::::r'}'    う:::r'} 》 / .!   ∧
          /  从. `ト、{ 乂zン     乂zン/イ  |    ∧
        /  /    ト.ハ      _'_      /i!  !     ヽ
       /   /,. -―-._ 込、  f´:::::::::`i  ,.イ i!  i!`ヽ    \
     //  //       ||:| > ゝ._ .' <`Y´|  i!!  \.  \\
    //  / /    / i i:i    >v<   〃 .!  |ハ ヽ ',.   \\
  , ´/   /  /   /   f=ニニニ=.r‐r=ニニニ=|  ∧  \!_    \\
 ./ ,/   /  /ヽ_/   i! {: : : : ≠=|: :|こヽ: : : : : !   ∧     \    \\
../ 〃  / .〈        i! }: : : : : : : /仆、: \\: :∧   ∧      〉    ヾ \
///  ./  ∧       i!{: : : : : /.:/ |: :\: : : :/ ∧   ∧   ,.イ      ハ\\

    「何? それなら衣にもできないとおかしいではないか!」



 俺と二人がじゃれ合う中、咲は目を閉じて俯いてしまった。

 俺の目論見とは違ったが、結果的にはより良い結果に繋がるような気がする。

 というか淡と衣さんが事情通すぎてむしろ俺が驚かされたんだが……。


        「今を楽しむ、か。そうでないと……」

            ,. : : : ̄ ̄ ̄ ̄: : : : .、

            /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ー: イ
           ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :<´
         .': : : : : : : : : : : : : : : |: : : ,: : :、: : :
         /: : : : : : : : : : : : : : : :{: : :ハ: |:|: : {:|
        .' : : : : : : : : : |: : : : : : :Ⅳ:{´ 从}: : :\
        |: : : : : : : : : : {: : : : : : :|ィ斧ミ  Ⅵ:{ー'
        |: : : : : : : : : : :Ⅵ: : : :从 マソ  乂_〉
          ,: : : : : : : : : :r \∧: : \     }
         |: : : : : : : : : 乂 `    ̄      /
         Ⅵ:∧: : : : : : : : ー 、      ´,
        从{  、: : ,: : : : :从 > ..___/

              ∨ `ヽ: : {     ,
                __}Ⅵ    {
           / ̄一-- ̄ \  |`ヽ
          /  ,..:::―- 、 \ \ ∨}∧

 顔を上げた咲の目は、真っ直ぐ前を見つめていた。

 7試合目 コミュ 豊音 1d100=100 超成功

               __
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      .  /::::::::::::::/ :::::::::::|ヽ:::::::::::::::::::::,
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        !:::::::::=== ヽ::::::::::,==::::::::::::!
        l::::::,'       \::::::'., l::::::::::::::!
      .  l:::从     l´ ̄ }\:::ヽ、:::::::::|
          !::::::::>-....ゝ -'_   ヽ;ヽ::!:::::!
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          「サイン下さい!」


 対局室内に入ってすぐに、卓の方からそんな声が聞こえた。

 聞き覚えのある声と内容に誰だかすぐに思い至る。姉帯豊音さんに違いない。

 白いリボンがアクセントの黒い幅広帽子に真っ黒いセーラー服、スカートの裾に届こうかという長さの漆黒の髪。

 背丈は俺すら上回り2メートルが窺えるだろう長身。

 154センチの和と、139センチの真屋さんを前にするとその背の高さが嫌に強調されてしまっている。

 困惑しながらも差し出された色紙にサインを書いてやっている二人の姿はより可愛らしく見えてしまうのだ。


「……あ! 須賀君だー! 久しぶりだねっ」

「そうですね、お久しぶりです。1週間ぶりでしたっけ」

「そうだよー。もらったサイン大事にしてるからね」

「団体戦とはいえチャンプのサインですからね! 大事にしてもらわないと悲しいっす」


 こちらに気付いた姉帯さんに挨拶しつつ、少し大きく出てみた。

 きっと姉帯さんなら相手に関わらずサインを大事にするだろうが、美人相手に見栄を張るのも甲斐性だ。


         `<:::::::::::::::::::::/::::::::::::/:::::::::::::/:::::イ:::::::::::::::::::::::::::::}::::::::::::::: ̄゛゛'''‐ ::::::::::::::`:<人 _ ,__ 丿
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:::::::::::::::::::::::::::::` <.     乂{人::::|ミ=‐        \:::::::'x===x、,   /:::::::::/Y:::::::|:::::::|
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   >、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`7┬く ̄  \ ー- 、_,  ` \:::::::::::::::::::::\/ー彳::::jノ::::::::::::::|

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.         >::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::\::::::::::::::Y⌒::::::::::::::::::::::::`\:::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::|
          > ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\-=ニ二:::::::::::::::ヽ\::::::::::丿::::::::::::::::::::::::|
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      _  -=ニ ´::::::::::::>、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::Y:::::::::::::::::::::::::::::::::::|
_  -=ニ ´  ,/:::::::::::::__∠/::::::x{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::|
    , ´/::::::::::::/:::::::::::\/\\丿:::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::|

    「あはは! そんな須賀君と麻雀できるなんてちょーうれしいよー!

                    原村さんも真屋さんも、一緒に麻雀楽しもうね!」


 無邪気な笑顔を見せる姉帯さん。麻雀を楽しむという意味では非常に純粋なようで。

 和や真屋さんにもそう呼びかける。

 和はいつも通り冷静に、いや、やや普段より気合が籠った声音で応じた。


「京太郎くんに情けないところは見せたくありませんから、全力で打ちますよ」

「おー、和気合入ってるな。真屋さんもよろしく」


 和やかな雰囲気。こういう卓はリラックスして臨めるから非常にありがたい。

 少し浮ついた気分の俺は勢いで真屋さんにも声をかけてみた。


「ええ、よろしくお願いします。あなたを倒して目立てば、みんなが喜ぶので」

「……? みんなのためってのも大事だけど……まずは自分が楽しまないと損だぜ?」


 俺を倒す、勝つという言葉ではあるのだが、どこか空虚な響きに聞こえた。

 応援してくれる人たちのためにもという気持ちは俺にも分かるし、

 実際これまでも何度となく奮起するきっかけとなってくれた思いだ。

 だが根底に自分自身の想いが無ければそれも薄っぺらくなってしまう。

 真屋さんは何かを諦めたような笑みを浮かべ、対局の開始を促すのだった。




姉帯豊音の好感度がぐぐぐーんと上がった
魔物級とのコミュでゾロ目が出たため、敗色濃厚時にスキルが覚醒します


原村和(全国特殊)
属性 :D
技量 :S87
直感 :D48
必然力:S80
補正値:49
・スキル
【勝ち運】
 判定を+10。

【のどっちモード:羽化天翔】
 想いを昇華し、ポテンシャルをフルに発揮できるようになった電脳世界の天使。
(効果A)
 判定値を+20。
(効果B)
 和了に成功した場合は流局しない。
(効果C)
 聴牌コンマで1位のとき、判定値を+30
(効果D)
 打点が流局である場合、一度だけ再判定する。
 ただしこのとき再判定された打点は満貫未満になる。
(効果E)
 判定コンマを50以下の場合は50として計算する。
(効果F)
 このスキルは無効化されない。


真屋由暉子
属性 :O
技量 :C56
直感 :A70
必然力:B60
補正値:40
・スキル
【ディバインレフト】
 テトラクテュスグラマトンを刻んだ左手は御神の代行者となる。
 1日に1回まで発動可能。
(効果A)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが最低2枚乗る。
(効果B)
 聴牌が確定する。
(効果C)
 和了判定値を+50。
(効果D)
 最低打点が満貫となる。

【ビーストライト】
 聖字で封じるは内なる獣性。右手に宿るは黙示録の獣。
 6日に1度だけ発動可能。【ディバインレフト】との同時使用は不可能。
(効果A)
 役満を聴牌する。
(効果B)
 和了判定値が4位の場合、強制和了。
(効果C)
 このスキルを発動中は効果B以外では和了できない。

【チャンス◎】
(効果A)
 リーチをかけたとき、和了判定を+20し打点も+2する。
(効果B)
 一人聴牌のとき、和了判定を+20し打点を+2する。効果Aと重複する。

【対オカルト◎】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+20する。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。


姉帯豊音
属性 :O
技量 :B60
直感 :A75
必然力:A75
補正値:45
・スキル
【妖:山姫】
 山奥に棲むとされる黒づくめの美女。人の生き血を啜るという。
(効果A)
 男性との絆を持っている場合、その絆の強さに応じて判定コンマを上昇させる。
(効果B)
 このスキルを持つ者は【六曜】が使用可能となる。

【六曜】
 様々な力を内包した山女としての側面が垣間見える力。
 各条件を満たした場合に発動可能。
 対象を取って発動するものの場合、自身を上回る必然力の対象に対しては
 その差分だけ素の判定コンマで上回っていなければ発動に失敗する。

(効果A)先勝
 自身がリーチをかけられる場合に発動可能。
 素の判定コンマが99・00のとき、天和or地和で強制和了。
 素の判定コンマがゾロ目の場合、ダブルリーチ一発ツモ+αで強制和了。
 つまり3翻の打点上昇で和了。
 また、素の和了コンマで1位であれば強制和了。
 ただし素の和了コンマが56~75の場合は自身が放銃する。

(効果B)友引
 自身の素の判定コンマに1が含まれる場合に発動可能。
 強制ツモ和了する。ただしリーチ可能状態の場合は発動できない。

(効果C)先負
 他家がリーチをかけた際に自身もリーチできる状態
 もしくはその±1のコンマである場合に発動できる。
 自身もリーチをかけた状態となり、リーチをかけた他家から出和了りする。
 その際の打点判定をさらに1翻上昇させる。
 ただし自身の和了判定値が3位以下の場合は発動に失敗し、逆に放銃する。

(効果D)仏滅
 自身の判定コンマで40が出た場合に発動。倍満以上を放銃する。

(効果E)大安
 和了判定コンマの一桁目と二桁目の合計が6の倍数かつ
 他の六曜スキルが発動しなかった場合に発動。
 役満を和了する。

(効果F)赤口
 ドラが赤い牌であった場合に発動。
 聴牌順位2位以上であれば打点に+4翻して強制ツモ和了する。


東一局  ドラ:西

豊音「よーし、やるよー! リーチ♪」


 豊音による先制のダブルリーチ。京太郎は思わず目を瞠った。


京太郎(ダブリー、確か先勝だったか。発動するトリガーも和了に至るトリガーも分からないのがきついな。

     つっても、発動したからって絶対和了れるってわけじゃないのは確認済み。

     最近はあんまりしてなかったけど……やるか、勘だけで打つ博打)タンッ

和(……? 第一打がドラの西ですか。

  ダブルリーチは当たっても事故みたいなものとはいえ、京太郎くんも変わった打ち方を)


 和の困惑と呆れ。しかしそんな和に関わらず場は進んでいく。


豊音(……? もう和了れてておかしくないんだけどな。もしかして、失敗パターン――)トン

京太郎「ロンです。清一色のみ、12000!」

豊音「うっ……はい……」チャラッ


豊  12000
京  38000
和  25000
由  25000


東二局  ドラ:四筒

豊音(うぅ……失敗パターンな上に跳満っ。でも、今回はすっごい手が良いよー)チラッ

和「……リーチ」


 配牌から好調で既に聴牌していた豊音。それに追いついた形になる和。

 その和はタンヤオ三色が確定した平和型の両面待ち。

 ツモれば満貫、リーチしていれば跳満という綺麗な聴牌。

 和であれば当然ながらの即リー。しかし、この卓ではリーチは危険であった。


豊音「追っかけるけどー。リーチ♪」


 そう、背向けの豊音こと姉帯豊音がいるのだ。彼女の前で迂闊なリーチなどすれば狩られる、普通ならば。


京太郎「ポン」シャッ

豊音「えっ――」


 狼狽した豊音。彼女の先負はリーチ宣言後に先行く者に自らの当たり牌を掴ませる異能。

 それがずらされたらどうなるか――――

            __  ‐ ''" ̄ ̄ `゙' ..、
.           | . / : : : : : : : : : : : : :.' ,
          ≠ / : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨゙\
          | _イ. /: : : :/ ハ: :、: 、: : 、: : r‐┴| く
         イ:/: /: /:/:Χ./ .}: 八:.|::!:.:.|: : !  :| .ノ
         {:::{: /:|/レ|ィ心≧ |/ .ィナ什ノ: : L...ノイ.、
.        //|',::::(,| .ヒ::リ゙. ′ 匕:::リレ∨: : |\冫

        //::ハ: : : : :', :::::::     `'-'゙ :: ハ:.: レイ
       / : ノ ∨: : : ヘ   __   :::::: ,≠ヽ',: : ::ト、
     ,./: : : :/._,.-∨: ::_丶  _ .  イ    ∨: :.!: \
.    , '>.-‐''二>''.´\ ,.二つ ̄ ̄ ̄二>.  ',: :',: : : :\
   く    く//__.ハ .i\.ヾ{_:_: : :_ : : :__ミ、__  マ: :ヾ、: : ::ゝ

.  ,' .\  .{|::|─、U (/゙ .二⊃|ヽ\  {:::::::|:|.、  マ:..'., ヽ: : : : :>ー - 、
     { .\_.>‐ "  ̄ ゙̄´!.: :: :.∨\\|:::::::|:}. ',.  ',: :..'.,   × : : : : : : : : :ヾ
     ∨: : ├──.!  /      マ::::::┐::://::k.}  マ: :...'.,       ̄ ヾ´
.     ∨: : \.  |.Y.        ヾ.__{_/彡Χ   ',: : : .'.,

.      マ: : : :ー┤| ,'         ∨゙|   \  ∨: : : :\
        \_ イ! | :          ∨、     \  ' ,: : : : .:\
            ∨.',          }::::ヽ      ∨ .\: : : : ヾ
.             ∨.' ,     / ,' ノ.::::::::.\   :ノ    \: : :::

       和「ロン。リーチタンヤオ平和三色で8000」


豊   3000
京  38000
和  34000
由  25000

東三局  ドラ:三萬

京太郎(姉帯さんには悪いけど、和も真屋さんもいる卓じゃ甘いこと言ってられない。

     強力な分隙も大きいタイプのオカルト、逆手に取らせてもらった。

     強い人が相手なら流れがあるうちに勝ち切る。俺は鉄壁の守りなんかじゃないからな)

                       > 二三二ニ <
                   >/: : : : : : : : : : : : : : : : :`. . 、
                . . :´/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
                /::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
              /: :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨
             r: : : /: : : : :/i: :/| /+ : : : : : : : |、:_}_!、 : : : : : : ∨
             i: :/! : : : :/ ̄/ / l: : : : : : : : | l/ } ∨ : : : : : : ∨
             l:::l l : : : / ≫=ミ ',: : : : : : : :≫=ミ : : : : : : : : ,
             ヾ:V: : : :/〃γ ⌒ヽ  、: : : : : :V´⌒ヽ l: : : : : : : :,

              ヽ/: : : !{{ {    }   \ : : :ハ.   }.l: : : : : : : :,
               '/: : : :从 ゝ - '   , ト .: :\ー '人: : : : : : : :,
             . /: : : : :/.! レ        ヾ!\: : :ヽ  ! : : N: : : : :,
             /: : : : : :! .!            ヽ: : ヾ/: : //: : : : : ∨

            ./ : : : : : :∧l     r―----― 、  ン : : 〃: : : : : : : ∨
            . /: : : : : : : : : :ゝ    、   __    ノ/: :ノ: : : : : : : : : : : : 、
           /: : : : : : : : : : : : : >  ,,  ̄    ̄ /::<: : : : : : : : : : : : : : : ヽ
           /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :_l二  二__:!/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : /    V    \: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
         : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; イ  イ   ト   .!ト : : : : : : l: : : : : : : : : : : : 、: :\
      /: : : : : : : : : : /l: : : : : :>ニニ | ./::\_/::\ |ニ` < /|: : : : : : : : : : : : ヽ\::\

     // / : : : : : : / | : > ´ニ二ニ|/  {´::`}  ヽ| ニニニ` <: : : : : : : : : : : : :', ヽ: :\
   //  ./ : : : : : : /  ,'r二ニ二ニ二ニl_/::ll::\ / ニニニニニニハ: : : : : : : : : : : : .,  ヽ: ヽ
  // .  / : : : : : : :'  /二ニ二ニ二ニニ!::::::::ハ:::::/ ニニニニニニニ| : : : : i、 : : : : : : ,   ヽ:.ヽ
//    /: /i: : : : : | /二ニ二ニ二ニ二 !::ン l::/ニニニニニニニニ | : : : : |ヽ: : : : : : |    ヽ ',

 一気に持ち点が吹き飛び慌てふためく豊音を、京太郎は横目で見ながらそう考える。

 小動物のようで可愛らしいのだが、その見た目に絆されて痛い目を見るのも馬鹿馬鹿しい。

 楽しむためにもお互い全力で。手抜きなどされて勝っても大して嬉しくはないと身をもって知っている京太郎である。

 だから手心など一切無しで向き合っていた。


和(聴牌。次か遅くても3巡後にはツモれるはずです。京太郎くんも速いですが)トン

京太郎「それだ和。ロン。北混一色トイトイ、12000」


豊   3000
京  50000
和  22000
由  25000


東四局  ドラ:二筒

和(やられました……。姉帯さんが危険水位、真屋さんが満ツモでもしたら終局ですか。

  基本は1位狙いのはずですが……京太郎くんの運が良いようですし、傷を抑えて終わらせる可能性もあります)

由暉子「左手を使ってもよろしいでしょうか?」

京太郎(来たか! 真屋さんは左手を使う局はツモ運も良くなって打点も伸びる……!)


 全員が由暉子の希望を是とし、少女は着実に手を伸ばす。一方浮かない顔が一人。


豊音(ふえ~ん! まずいよー! さっきからちぐはぐな筒子しかツモれないっ。

    たぶん誰かの当たり牌なのは分かるけど、つまりどれか落としたら……。

    でももう通りそうな牌は無いし……。こ、これでっ)トン


 祈るようにぎゅっと目を瞑りながら河へ牌を置き、指を離す――――

                      -‐ ━━ ‐-
                  /  /. . . .    . . \
                   . ./: : : : :/ : : : : : : : : : . .
                / . : /. :./ : ∠|: : : :./: : : : : : : :.
                  / : : / : /l: :/  |: : :./ |: : : : |: : : :
              / : : / : /抖午ミ八_/ 八:.: : :.| :l: : :

                / : : /.:.:.:l/{ Jh^`  午ミX : | :|: : :
.               / .:/ l´l:.:| 乂_,ソ     { Jh^Y: :|: : :|
.              ⌒7 : :人l:.:|  〃   '  乂ソ '从:|: : :|
              / : : .:.:.:l从      -、      /): 八:.:.|
                / : :.:/ .:/ / \   `¨     人 /:. :∨
            / : :.:/ .:/ / : :ノえト .__....-=≦:.:.:/:.:.|: :|
              / : :.:/__厶斗 ´|  `L∧:.:_|:.:.:|/:.:.: | : :
          / .:/  | l......... |  /:i:i:i:l\\j:.:.:.: : : : : :

            / .:/    | l......... |/,\:i:iノ\〉.. `┬ 、: : : :.
          / .:/  \ ,| |..Χ..........’ 「i:i:, |........... ', 丶 : : :.
.        /.:/ :/ /⌒ 人[.......\.......∨:i:i:i:i|..............', ∧:. : :
     / /': /        /⌒\........... ∨:i:i:i|..............// {:. : :|
..   / / /: 〈  ___  /'    \.........∨:i:i|.........../ \ \:.|
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   |′  |: |: : :.|Lノ ̄ 人          \]/        人.:. |
   l    八从 : | |    |:.l〕iト  ___    [[      /lノ|:. 八
.          \ |    |:.|〈  `ー      '   、 Τ  | |:/
.             |    |:.|ノ__       ‘, Χ  |ノ'
.             |    |/--  `       ‘, _〕  |

由暉子「ロンです。清一色二盃口、24000。飛びですね」


豊 -21000
京  50000      +20    +20+236=+256
和  22000
由  49000



         /:::::/::::::::::::::://!:::::::::::::::::::::::::!::::::::::∨∧
.       /:::::/::::::/:/:::// l::::::::::::::::l:::::|::|::::l::::::::∨∧
.         /:::::/::::::/:/:::/   l::::::::::::::::l:::::ト|::::|::::::::::∨∧
      .′::′::/:/,l:::|-‐ l::::::::::::::::lヽ:||::|:::::::::::::l::::::|
      |::|:::|::::::l/´ l:::|   ∨ ::::::::::l !||∧:::l:::::::l::::::|
      |::|:::|::::::|  八|___`ヽ∨:::::::::l ノ'_ノ'__ リリ:::::リ:::::リ
      |::|:::|::::::| ,,ィ て心ヽ ∨::::∧/て心∨:::::/::::::{
      |::|::」:::::〃 {_ リ   l∨:::∧__リ':::::::∧::::::|

      |::|(_|:::::l て  )~     }/∨::∧-'/::::/::::|::::::|
      |::|:::::::::ヘ  l /````   ' \:::∨/`∧八:::::
      |::l:::::::::l込. |l            /∧::\/::∧:::ヽ|
      |::l:::::::::|::::介o。.   ~ー~ーl/ .∧::::∨::∧::::::\
      |::l:::::::::l::/:::|:::::::::≧=----=≦:/::::}::::::}:/:::∧--- \

.       ノリ::::::::リヘ三三三三三三三三三ヲ三厂 ̄ \   \
    / /:::::::/ \`≪三三三三三三≫'彡イ/    / \   \

「あ゛、あ゛り゛がどう゛ござい゛ま゛じだ~~」ヒック


 終局し、涙を堪えきれなかったのか大泣きし始めてしまった姉帯さん。

 俺と和はどうしたものかと目を見合わせた。ちなみに真屋さんはすぐに席を立って退室した。

 クールと言えばいいのかなんというか。所詮は初対面の対局相手。無視して退室するのも薄情とまでは言えないが……。

 ひとまずこのまま去るというのも後味が悪いし、どうにか宥めてみよう。


「姉帯さん、そんなに泣かないで。俺達で良ければ力になりますから」

「……悔しくて泣いているのでは?」


 和の冷静なツッコミにハッとする。確かにその通りだ。

 姉帯さんに何か事情があってそれで泣いているのだという思い込みに毒されていた。

 俺も自覚している以上に混乱していたらしい。


「ぐ、悔じぐな゛い゛わ゛げじゃな゛い゛げど、違ぐで」

「あ、やっぱ何か事情があるんですか。だったらあらためて、俺達にできる範囲で力になりますよ。

 俺は体力くらいしか取柄ないですけど、こっちの和は親御さんが弁護士さんなので」

「ちょっ、京太郎くん!」

「悪い和。でもさ、さすがにこれを見捨てるのは無しだろ?」


 俺の独断専行というか、無責任な口約束にだろうか、咎めるように声を高くする和。

 しかし子供のようにえぐえぐと泣いている姉帯さんを見捨てるのは罪悪感が半端ないのだ。

 俺はさっと帽子を取り、その頭をあやすように撫でる。

 するとそれまで泣いていた姉帯さんが固まり、おそるおそると言った風にその赤い瞳が俺に縋り付くように向けられた。

 俺はその瞳に自信満々に笑いかけてやる。


「できることは多くないですけど、みんなで力を合わせればどうにかなりますよ、ね?」

「――――うんっ」


 涙はまだ完全に止まってはいないが、それでも嬉しそうに笑う姉帯さんはとても可憐だった。

 8試合目 コミュ もこ 1d100=62  成功

 あの後落ち着いた姉帯さんを応援に来ていた鹿倉さんに引き渡し、和に事情を説明してもらうことで事なきを得た。

 事情を説明するまでの冷めた視線は非常に痛かった……。

 なにはともあれ、ようやく昼をすぎての2日目後半戦である。対局室に向かってみれば既に対局相手は揃っていた。


「あらあら、京太郎さん。お手柔らかにお願いするわ」


 いつも通りの不敵な笑みを竹扇で隠して目を細める絃さん。

 今日の服はチャイナドレスというよりもカンフー道着というか、スリットの入ったスカートではないパンツスタイル。

 ひたすらに麻雀に向き合う、本気の衣装ということかもしれない。

 ここでの勝負が、真の勝負。これまで漂わせていた余裕や皮肉を捨てた真剣勝負。

 俺も強くなったと思うが、どこまで通じるかが試されることになるだろう。

 そうして自然と笑みが浮かんだ俺に声をかける少女が二人。


「君がもこと絃の言ってた須賀君。いや団体戦はテレビで見てたから知ってはいたけどね?

 私は百鬼藍子。全力でやらせてもらうから簡単に潰れないでおくれよ?」


 赤いアンダーリムの色付き眼鏡をした、栗色のショートヘア。

 ワインレッドのノースリーブタートルネックと白いパンツを身にまとったカッコイイ女性。

 そんな彼女が挑戦的に眼鏡を指で押し上げながらにやりと唇を歪める。


「そう虚勢を張っても無意味かと、百鬼さん。お見苦しい所をお見せいたしました。

 わたくし、藤原利仙と申します。魔を断ち神を斬る剣を持ちしあなたにどこまで及ぶか分かりませんが、

 陰陽に通じカミを宥める我らの手管は決して温くないと自負いたします。どうかよしなに」


 そう言って嫋やかでありながらはっきりと挑戦状を叩きつけてくるのは藤原利仙さん。

 和服……に天女か乙姫かのような細い帯状の羽衣を侍らせる、長い黒髪の少女。

 黒髪は一部を後ろでまとめ、また眉は平安時代の貴族を彷彿とさせるような高い位置に薄くある形。

 雰囲気からしてただものではないと俺の勘が警鐘を鳴らす。しかし、だからといって黙って引き下がるのは納得できない。


「ご丁寧にどうも。ご存知のように須賀京太郎です。対木さんと絃さんとは仲良くさせていただいていて……。

 ま、強い人を倒すのも醍醐味。精一杯やらせてもらいますよ。対木さんも応援よろしく」


 俺の宣戦布告。隣にいた対木さんへと目をやりながら頬を吊り上げると、それに応えるように対木さんもにやりと笑い、呟く。


「  負 けたら  弱 く  見られ  るそ  んな の 許 さ な いか ら  」


 つまり、自分に勝ったのだから百鬼さんと藤原さんにも勝ってみせろということだ。

 素直ではない信頼の表し方。そんな対木さんのご期待に沿えるよう、楽しませてもらおう。




対木もこの好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
対木もこの好感度が大きく上がった
直感がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します


霜崎絃 (イベント後)
属性 :O
技量 :B68
直感 :B67
必然力:A70
補正値:42
・スキル
【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【奇門遁甲:石兵八陣】
(効果A)
 他家の判定コンマを-10。
(効果B)
 自身の素の判定コンマに1が含まれ、
 かつ他家の素の判定コンマに6が含まれる場合はその他家から直撃を取る。
(効果C)
 効果Bが発動するためには、聴牌成功かつ和了判定値が3位以上でなければならない

【邪仙術:人頭桃】
 他家からロン和了するたびに全ステータスが+5されていく。


百鬼藍子
属性 :O
技量 :B64
直感 :B65
必然力:B65
補正値:40
・スキル
【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【超感覚】銀
(効果A)
 和了コンマが2位以上の場合、放銃しない。
(効果B)
 聴牌コンマが1位かつ和了判定値が2位の場合、他家の和了を無効にし流局させる。

【アースシェイカー】金
(効果A)
 他家の判定コンマを-10。
(効果B)
 ノーテン時に和了コンマが80以上で1位の場合、強制和了。


藤原利仙
属性 :O
技量 :A72
直感 :B69
必然力:B65
補正値:42
・スキル
【対オカルト◎】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+20する。

【八卦卜占】
(効果A)
 自身の判定コンマに8が含まれている場合、1度だけ強制和了。
(効果B)
 2度目以降は他家の判定値を-4、自身の判定値を+4。

【仙術:縮地】
 他家の強制和了系スキルの対象にならない。

【仙術:反魂屍法】
 他家が他家のスキル効果で失点した場合に発動可能。
 その次局で自身の最終値が2位以上のときに、前局で失点した他家が失点の1.5倍分を前局の和了者に直撃する。


東一局  ドラ:北

京太郎(さて、大きく出たは良いものの……配牌が悪いな)

利仙(うふっ、配牌良し、ツモも良し。これならば……)

絃(布陣は悪くないわ。しかし、利仙が和了り気配濃厚。

   ――それで八陣を抜けると思うなんて甘く見られたものだわ。くふっ)

絃「ロンだわ。タンヤオ三色ドラ、7700」


京  25000
絃  32700
利  17300
藍  25000





東二局  ドラ:西

利仙(……。絃の陣を見誤りました。軽視できない失点ですわね)

京太郎(藤原さんの手が鈍った……? なら、ここだな!)

京太郎「リーチ!」

藍子(私の目には怖くないリーチに見える。これは通るか?)トン

京太郎「ロン! リーチ東ドラ、3900です」


京  28900
絃  32700
利  17300
藍  21100


東三局  ドラ:北

京太郎(っし、まずは一和了り。このまま攻めて行ければいいんだけど)

藍子(くっ、私の目、といっても耳だが……空気の振動が振り払われているとでもいうのか?)

利仙(迷ったことで先を行かれましたね……)

絃(くふふっ。いくら京太郎さんといえど、常にその力を発揮できるわけではないわ。

  そして北はこの局の死門……塞がれて水に沈めてあげる!)

絃「ツモ。北チャンタツモドラ3、3000・6000……!」


京  25900
絃  44700
利  11300
藍  18100


東四局  ドラ:四萬

利仙(さすがは絃。ですがこの局は私の和了りと出ました。4位ですから、たとえ小役でも……)

利仙「ロン。白ドラ、2000です」


京  25900
絃  44700
利  13300
藍  16100


南一局  ドラ:二筒

利仙(静か、ですね。この局はこのまま流局でしょう)

藍子(と利仙は見るだろうな。でも私は誤魔化されないぞ。須賀の河から湧き立つ力!)

京太郎「リーチ」


 利仙の読みは外れ、藍子の直感が当たった形となるリーチ。

 彼女たちも当然京太郎の打ち方は研究している。だから分かっているのだ、この後の展開が。


絃(くっ、流局目前でのリーチは京太郎さんの十八番……! せめてその手が伸びるのが海底であって……)トン


 憐れなのは絃である。ツモ順が京太郎の直後、現物もない。

 お互いに癖をある程度以上理解し合っている。迷彩など共に見抜いているのだ。

 当たるか当たらぬかは、まさに運――――

         /             /    /  / 〃                i{   | \
       /           /    /  / 〃         |         i{   |
      /              /    /  / i{          |         i{   l    ',
   __/      /     ′  〃 /{  ハ   {    |  |ヽ
 ⌒ ̄ ̄ ̄ ̄  ア        i{    l l  i{{ l i{   {    |  | }  i{       /
.          /  ィ'       i{    | l 从| l i{   {    |  | } 从   〃   ′    l
         {/ /       i{    |jI斗===ミ i{   {    |   厂}/}/ }/ }   /⌒ 、
            '         ∧  狄Ⅵ汞≧八  {\  | ィ'“ 汞笊ぅ/ / 厂^ l    ′
         /  /    { ', {   ∨こリ \l   、! /   Vこツ{/i /    从  ′
        /  /    人 ', ',{            }ノ          }/   / ハ/
       ∠  ∠   イ  l\ 、 V                       }   / /
                  八  !  Ⅵ ヽl          j               l=‐≦/
                   \〉   v 汯         {              爪 〃
                    }  ∧                        / //
                       \{ 込、    ___           /{ ィ/
                     _ -=\   に ̄ ̄_)       {从
                      〃    }N\            /   j_ノ_}Y
                       ri{      i{   、          /_ -=ニニニニ|
                       |ム      i{    ー―― r≦ニニニニニニニ=|
                       |ニ}    /{            |ニニニニニニニニ=‐ |

            京太郎「ロン。立直タンヤオトイトイドラ4、24000」


京  49900
絃  20700
利  13300
藍  16100


南一局一本場  ドラ:四萬

絃(まったく、京太郎さんらしいというか……。だったらわたしもその道に続くのみ!)

絃「ツモだわ! 2100・4100!」


京  45800
絃  29000
利  11200
藍  14000



南二局  ドラ:發

利仙(親倍直撃で止まるかと思いましたけど、絃の勢いは未だ死なず……ですか)トン

京太郎「余所見する余裕がないですよ、ロン。發ドラ3、8000!」


京  53800
絃  29000
利   3200
藍  14000



南三局  ドラ:一筒

京太郎(ん……ダメっぽいな。一筒だとどうにも加速しきれない)


「「「「ノーテン」」」」


京  53800
絃  29000
利   3200
藍  14000



南四局流れ一本場  ドラ:三萬

藍子(……っ! これは、届かないか。完敗だな)


 藍子が何かを悟り、敗北を認める。

 無論そんなこととは露知らず絃は自らの理に則って牌を切り出す――が。


京太郎「ロンですよ絃さん。發チャンタイーペードラドラで1本場は12300!」


京  66100      +36      +36+256=+292
絃  16700
利   3200
藍  14000

 9試合目 コミュ 憧  1d100=95  大成功


 対局の後、張っていた気を緩めたのか俺の知るいつもの絃さんに戻ったらしく。

 藤原さんと百鬼さんの前にも関わらずキスを強請ってきた絃さんである。

 さすがにマズイと躱そうと説得したのだが、完全にスイッチが入った風の絃さんが相手では抗しきれるはずもなかった。

 結局藤原さん達が苦笑して見ている前で深くキスをし、どうにか満足してもらってから俺は次の対局室に向かっている。

 途中でトイレを見つけ、用足しついでに絃さんに色々跡を付けられていないか確認。

 軽く見た限りでは無事だと判断した俺が手洗いから出てみると……そこで所在なさげに壁に寄りかかっている新子さんを見つけたのだ。

 新子さんに気付いてどうしたものかと迷う俺だが、すぐに向こうもこちらに気付いたようだ。

 何か躊躇う素振りを見せる新子さんだが、意を決したように一度頷くとこちらにおそるおそる近付いてきた。

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             /: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、

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  ': :′       |: :|: : : |、|:|                ,|: | イ         :l: |
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 |: :|     ′  :l: : : :{ ′  ∨ヽ{ _厶>┐∧: : :|  ,      |: :|
 |: :|    |:   ∨ /=-ミ,_   〉‐{_}‐‐   {   ∨: :|  i     :|: :|
 |: :|:     ノ     ∨       ¨〈/| |\   }   ∨ |  |    |: :|

         「えと、その……ご、ごめんなさい!」

「え?」


 突然の謝罪。全く訳が分からない。俺には新子さんに謝罪されるような覚えはないのだが。


「その、私男の人が苦手で! だから和の恋人なのに酷い態度取っちゃってたから!」


 要は、男嫌いであるために友人の恋人に対してキツイ態度をしてしまった。それを謝りたい、と。


「まあ、とりあえず謝罪は受け取るけど。新子さんはそんな酷い態度してなかった気がする」

「そんなことないわよ! 和が嬉しそうにあんたのこと紹介してたときもじろじろと不審者見るような目してたし!

 その後もテンパっちゃってろくな挨拶も無しで……。

 だ、だいたいあんたも悪いのよ! こんな見た目だけど私男の人に免疫全然ないんだから!

 それなのに可愛いとか綺麗だとか意外と頭良さそうとか褒めるから!

 あんたイケメンなんだから少しは意識しなさいよ、勘違いしちゃうでしょ!?」


 俺が別に謝罪されるほどのことをされた覚えはないとフォローしたのだが、

 逆効果だったのか一気にまくしたて始めた。というか可愛いと言った覚えはあるがそれ以外は覚えがないぞ。

 その後も新子さんは顔を赤くしながら俺を褒め(?)、叱り(?)……。

 とはいえ時間も押してきた。


「あー、まあ、悪かったよ。次からは気を付ける。

 できればもっと新子さんと話したいけどもう時間で……また今度会おう。これ、俺の連絡先だから。それじゃ」


 そう言ってさっと赤外線で連絡先を送り、すれ違いざまに新子さんの肩を軽くぽんっと叩いて対局室に向かう。

 軽く振り向くと、新子さんが顔を真っ赤にして口も半開きのまま硬直しているが……見なかったことにしよう。



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斗キ:.:.:Ⅳ jリ / ̄ヽ  j/|/   {{ {] } }}ヽ|:|i:.:.:.:.ハ∧:.:∧
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新子憧の好感度が一定以上時に一緒に出掛ける相当のコミュを取ったため、絆を獲得
新子憧の好感度がぐーんと上がった
技量がわずかに上がった
イベント発生予約。機会をみて発生します


白水哩
属性 :D
技量 :A74
直感 :B64
必然力:C55
補正値:41
・スキル
【アベレージヒッター】
(効果A)
 聴牌判定を+20。
(効果B)
 和了判定を+15。
(効果C)
 打点が流局である場合、一度だけ再判定する。
 ただしこのとき再判定された打点は満貫未満になる。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【リザベーション:縛】
 オカルトの域にまで達した強い絆。
 翻数を指定して聴牌判定時に発動できる。
(効果A)
 指定した翻数×10だけ聴牌・和了判定値をマイナスする。
(効果B)
 この状態で和了に成功した場合、指定した翻数の打点で和了する。
(効果C)
 効果Bでの和了を鍵として【鶴田姫子】に託す。


神代小蒔(イベント後)
属性 :O
技量 :E32
直感 :D49
必然力:C55
補正値:30
・スキル
【六女仙:姫巫女】虹
 天孫から続くいと貴き血筋の結実した姫。神に愛された子。
(効果A)
 【石戸霞】が生存しているとき、自身が受けるデバフ効果を肩代わりさせる。
(効果B)
 【天孫降臨】を使用可能とする。


【天孫降臨】虹
 い)東場の聴牌コンマで10の倍数を出す
 ろ)南場の聴牌コンマで5の倍数を出す
 は)自身の持ち点を30%以上減らした状態で聴牌コンマで4の倍数を出す
 に)敗色濃厚状態で他家が和了した次の局
 ほ)2位以下でオーラスを迎える

  い)~ほ)のいずれかの条件を満たした場合に発動する。


 へ)1位に返り咲きかつ2位以下と1万点以上の点差がある
 と)3局発動状態が続いた
 ち)倍満以上の和了をした
 り)終局した

  へ)~り)のいずれかの条件を満たした場合は解除される。

(効果A)
 自身の判定を+60。
 さらに発動した際の聴牌コンマの3分の1を和了コンマに加算。
(効果B)
 打点が満貫以上になる。
(効果C)
 和了コンマがゾロ目の場合、強制和了。
(効果D)
 聴牌コンマが00の場合、役満強制和了。
(効果E)
 跳満以上には放銃しない。


【威圧感(特殊)】
 【天孫降臨】が発動中のみ効果を発揮。
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。


清水谷竜華(イベント後)
属性 :D
技量 :A75
直感 :B60
必然力:A75
補正値:45
・スキル
【パワーヒッター】
(効果A)
 和了判定を+15。
(効果B)
 打点を+2。

【無我の境地】金
 極限まで集中力が高まることで天才のみが到れる極地。
 ア)聴牌コンマに10の倍数が出る
 イ)素の判定コンマで1位を2回連続で取る
 ウ)満貫以上の直撃を受ける
 エ)倍満以上をツモられる
 オ)跳満以上を和了する
 以上のいずれかの条件を満たすことで発動。
(効果A)
 他家から受けるデバフ効果を半減する。
(効果B)
 判定値を+30する。
(効果C)
 聴牌コンマが1位のときに和了に成功した場合、最低打点が跳満となる。

【膝枕神】
 刻を見る少女との絆の力。
 特殊イベント後に発動可能となる。1試合につき3回まで。
 使用する場合、【無我の境地】は解除される。
(効果A)
 素の判定コンマが聴牌・和了ともに80以上のとき、
 他家の強制和了がない場合は自身が強制和了。
(効果B)
 和了値へのデバフ効果を無視する。
(効果C)
 聴牌・和了コンマのいずれかが1位の場合、和了判定値を+30し打点を+3。
(効果D)
 最低打点は子の3900となる。


東一局  ドラ:九索

哩(暫定1位の須賀……。油断できんね)

小蒔(京太郎さんに格好悪いところは見せたくないです……。ですから、全力でお相手します!)

竜華(京太郎くんは間違いなく強い。ここまでの結果で僅差の1位。せやけど。

    怜も力を貸してくれる言うてたし、惚れた相手やとしても負ける気はあらへんで……!)トン

京太郎「あ、それです、ロン。8000」


小  25000
哩  25000
京  33000
竜  17000



東二局  ドラ:三萬

    /..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧

.   /....../...::::::::::/ :|::|  \:::::斗-、:::::::::::::::::::::::i:: ∧
    '....../..{:::::::::〃:{ 弋{  〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
   i...../...::|::::::::ト-|:{  \  ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
   |... 7..::|::::::::| |:{_     ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
   |ハ:::::::::ヽr ::y 弌       弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
   |{ i::::::::::∧〃_)::ハ        `     _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
   |{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、      :::::::::::    ´   }::::::|:::::::/::∧
   `  >へ::i :::::::::         u     /:::::::|:::::::::/::∧
         }.:.       -‐- 、        rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
         |.∧    V_ ノ     イ:::::|:::::::::::|::::::::::::::/::∧
         |...:::ゝ          /  |::::::|:::::::::::|::::::::::::::: /::∧
         |...::::::::>      <   八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
         |...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ        〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
         |...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉      /::::|:::::::::::|     // ⌒ヽ.∧
         |...:::::::::::::|__//     _/{:::::|:::::::::::|   //     V∧
       r―|...:::::::::::/    ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 '          V∧
.      ∧ { |...::::::::/     // ̄ ̄ 7  |:::::|:::::::::::|=-  /         V
.     / } ト|::::::::/     〃      /  |:::::|:::::::::::|  ./  /        V

竜華(くぅ……。ちょっとでも前出たら狩るっちゅうことか?

    違う、京太郎くんかて完璧やない。必ず追えてない線はあるはず。うちはそれを信じて辿る……!)

小蒔(うーん、こっちでしょうか)トン

竜華「ロンや! 純チャン一盃口ドラ2、12000!」ギンッ


小  13000
哩  25000
京  33000
竜  29000


東三局  ドラ:四萬

京太郎(竜華さんの目つきが変わったな。以前の大将戦で対局したときもそうだった。

    怜と一緒に攻めてくるときにもそういうことがあった……)

京太郎「っと、ロンです。W東で4800」


小  13000
哩  20200
京  37800
竜  29000



東三局一本場  ドラ:八萬

哩(むっ……。気が逸れとると思って攻めたんを撃たれた。

  この局は……もう流局っちゃね。須賀が聴牌しちょらんならやけど)

京太郎「リーチ」

哩(……。現物無し、スジもなし。河を見るに順子系なんは分かるっけど)トン

京太郎「ロンです。リーチタンヤオ平和ドラ、河底撈魚で1本場は12300」


小  13000
哩   7900
京  50100
竜  29000



東三局二本場  ドラ:三筒

小蒔(むぅ。全力なのですが全然追いつけません……)

哩(狙われちょる……。ちょっとゾクゾクすっね)トン

京太郎「ロン。七対子河底撈魚、2本場は5400」


小  13000
哩   2500
京  55500
竜  29000


東三局三本場  ドラ:二索

小蒔(良い所なしです……。このまま負けるなんて嫌ですっ。でもどうした……ら……)カクン

京太郎(小蒔さんが寝たか。たぶん敗色濃厚になると寝やすくなるんだよな……。

     ってことは前局の白水さんにロンしたのが引き鉄か。跳ツモか40符2翻直撃で飛び終了だもんな)

                  ___
               <: : : : : : : : >. . .
            . : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
          /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .

.          ,: : : : : : : : : : : /}ハ: : :|: : : : : : : : : : : :.
         /: : : :/|: : : : : : :{T} |: : ト}: : : : : : : : : : : :.
        ,: : : : {斗: : : : : : lノ / : ノ ハ: : : : : : : : : :∧

        : : : :从_乂: :_:_: (ィ斧芋ミ、|: : : : : : : : / :∧
         ,: : : : :{.芹ハ`¨゙   {r': :リ }〉: : : : : : : : : /: :|
.       {: : : : :} 弋ノ     `¨´  ノ:: : : : : : : : : : : !
          |l : : : :|   '        ム:イ⌒Y: : : : : : !
.       {ハ: : /{              } .リ: : : : : ハ{

.       | ∨: :、   r ,         イ: : : : : / :l}
.        乂. ∨: \          イ: : : : : : : /  ノ
           `ヾ: : : .      <   ト : : : ::/
             >: :`: :≦:}    //: : :{
         _ 。r≦: : : : : :r´ .ノ  .//: : : : ∧
      ,r≦: : : : : : : >'´ // .//: : : : : :/ }!、
     ,イ /: : : > 7´  ィ////: : : : : :/  .リ \
.    /  {: : /  / < /// / : : : : /  /    Y
    l{   !: :{  //   / /   {: : /{: { <
    ゝ_ゝ:乂 /  /   乂  |: / .乂         |
  /   - ‐アイ. /       ゞ   |        |

. /   ´-っ ././             }!
../   ィ7  /               ノ     r ミ  ハ
   /,' {.  {               ∨    /  ∨  〉

 卓上の圧力がぐっと上がる中、京太郎は冷静に見極める。

 哩も飛びを警戒して感覚を鋭くしていたのが不幸中の幸い。

 竜華も気付いてはいるのだが……。


竜華(寝た神代小蒔は怖い。浩子にさんざん見せられたから分かっとるよ。

    せやけど、たぶん全員が同巡に聴牌したはずや。ここで引いてもピンチは変わらへん。

    それに……あのパーティで京太郎くんにあんなにベタベタと……! ここは女としても雀士としても引けへんわ!)タンッ


小蒔(?)「ロン。満貫」


小  21900
哩   2500
京  55500
竜  20100


東四局  ドラ:二索

竜華(くっ……しゃあない。引いたら京太郎くんの子ぉを生む資格もなくなる気がしたんやから。切り替えてこ)

哩(姫子に見せられる様、このままではおれんけんね……!

  安くても一矢も報いず死ぬのは私の気概が許さん!)

哩「ツモ! タンドラは500・1000!」


小  21400
哩   4500
京  55000
竜  19100



南一局  ドラ:八筒

京太郎(俺もそこまで悪くはなかったんだけど……白水さんが完璧だったな。

     つっても、それが何局も続くのは和くらいだろ……!)

京太郎「ツモ! 發ドラ3、2000・4000!」


小  17400
哩   2500
京  63000
竜  17100


南二局  ドラ:九索

京太郎(ドラは索子……ツモもほぼ完璧! また和了、もらうぞ――)ゾクッ


 意気込んだ京太郎であるが、対面から突如膨れ上がった熱気に思わず肌が粟立つ。

 竜華も同じく、伸ばしかけの手を止めてまじまじと小蒔を見つめる。

 半眼の小蒔から発される超常的な気配。

 一度跳ねのけたことのある京太郎はまだしも、竜華と哩には魂から震えあがるほどの何か。

 それでも竜華は、まだマシだ。


竜華(あかん、あかんて……。なんやあれ、おかしいわ。怖い、怖いよぅ……!

    うっ、うぅ……。きょ、京太郎くんっ助け……? そか、そやな怜。

    うちには怜も居てくれるし、京太郎くんの注いでくれたアレがお腹の奥で守ってくれとる……。

    怖いけど、それなら逃げるくらいは……やってみせんでッ)トン


 京太郎と交わり、その精を胎に受けたことが幸いしたのだ。

 怜との絆があったことも救いだろう。二本もの命綱がある。

 片方だけでは呑まれていたに違いない、そう、片方だけでは。


哩(な、なんね……? から、からだがふるえちょう……。ひ、ひめこ……こわかよ……)ポロッ


 落とすように牌を河に出す哩。耐えられなかったのだ。


                        /.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::\

                        /...:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                      .:.:.:.:/.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::.:..
                        /.:.:.:/.:.:.:.:/l:::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ.:.:.:
                     l.:.:.:/.:.:.:.:/  |:::::::::::::::::::::::::::l:::::.:.:.l.:.:.|
                     |八{.:.:.fレ'\ |.:.:/j.:.:.:.:/i.:.:.::|:::::.:.:.l.:.:.|
                  ,...---ミ  //∧.:ハ_〉ぅ `l.:.:{/.:.:.:,'斗―|.:.:.:.:.リ.:.:′
             / ̄ ̄⌒>=弍犲ハ 斧ミメ乂: 彡イ ./::/.:.:.:.:/.:/
              /      /   ` ̄`} `''’    f斧ミメ::イ/./:}
                        _  -―へ    '   `''”.∠/// /
                 / /  / . 个   ー     <r<  /
                   /  .{  / j i  { ¨¨´/'  /j:「 \
              r'⌒   |  //  |  ヾ  〃_彡リ |  ヽ
      / ̄` ー--rヘ {    乂〃.   ヽ/ ̄/ ̄ ̄`7 /   ∧
     /       /⌒ヽ __/        У /   /Y   ./
    /       /     У /      ./ /      ト、 /   〉
.   /    r'  ̄    / /  {      / /       } V    厂ヽ
  厶斗- '  __彡  /  乂   / /        /  ト---<ソ⌒
 ./               /      }ト、/ /         /   〉
こ{              /        }三ニ=--   --=≦    /     }

                  小蒔(?)「ロン。満貫」


小  25400
哩 - 5500
京  63000       +33     +33+292=+325
竜  17100


                 <: : : : : : : : : : : > .
               イ: : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
             .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ

               /: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :/ : }
            / {: : : :/: : ::/-: : : //: :/!: : : : : : : |
           ,′!: : :/{ {: / { : / /: :ス }: : : : : : : :

           {. |: : :|, ===ミ. ∨ // /: : /: : : : :|
           |. |: : {! f : :r}`   -=x :乂/: : : : : ::

           { 从: | ゞ-'     r': : r∨: : : : : : |
              ∨{    ,    ゞ_:ン  ̄Y : : : :
                >ゝ          _ .イ : /}:リ
            /: / \ ‘'      イ: : :_:>'
          γ./: : /   }` ---ァ<{ .Y: {、
.          / /: : /  /  {! /  / ヽ !: :!!
         / {从:{  {.  l/  /    .ノ: :|l、
.        _{  , '∨.   |./  /   . / : : リ Y
       < ィ     /  /    / /: /
       , ´             -=_彡      !
      .:     /  /        {     ノ
     i     ,′ /          :!     }
     :       /          ::}     ノ
     ∧     /             ト--==彡`>
   / .ゝ  {  {            |   ∨∧>
  /      >--=x            人   ゝ'´}

   「ふぇ……また終わってしまってます……」


 終局してすぐ、小蒔さんは目を覚ました。

 俺と竜華さんは苦笑を浮かべる限りだが、白水さんは肩をびくりと跳ねさせ視線を逸らすように左に顔を向ける。


「むぅ、せっかくの京太郎さんとの麻雀でしたのに」

「ははは、まあまた機会はありますよ」

「うちはインハイではもう打てんやろうけどなあ」


 拗ねる小蒔さんを宥めるようにかけた言葉に、今度は竜華さんが唇を尖らせる。

 竜華さんは三年。国麻やWMJC(ワールドマージャンジュニアクラシック)予選ではまた当たることもあるかもしれないが、

 インターハイで当たることは時間も考えればもう無さそうである。


「そういうわけで不完全燃焼やから、明日か明後日付き合ってな京太郎くん」

「あ、ずるいです! だったら私は今夜予約しますよ京太郎さん!」

「神代ちゃんはいけずやなぁ。今日はチームメイトさんや龍門渕さんがまた祝賀会準備しとるやろうし、譲ったり」

「小蒔ちゃん、清水谷さんのおっしゃる通りよ。良い女はきちんと弁えるものなの」


 何がどういうわけなのかは分からないが約束を取り付けようとして来る竜華さん。

 それを見て自分もと体を乗り出してくる小蒔さん。

 ちなみに竜華さんはさりげなく、小蒔さんははっきりとその胸が俺に当たるように体を寄せている。

 おっぱい好きとしてこの攻めに抗うことは不可能、陥落は目前である。


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          | Y⌒Y    \
          |  Y⌒|       ,
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      |   .ノ::::::l::|        ′
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  \  {                |
  \}   {                    |
    \ {                 人
     \〉                /
       \   __  -‐
        |厂 ̄

        |

--=ニ二    |
      `丶  |
        |


 しかしそこに颯爽と現れたのは石戸さんだ。

 小蒔さんの要望を窘める竜華さんに加勢する形でやんわりと押しとどめてくれた。

 その際に石戸さんの人智を超えたおっぱい様が俺に触れたのは不可抗力である、ナイス。


「霞ちゃん! むぅ、霞ちゃんが言うなら仕方ないです……」

「ふふ、イイコね。須賀君、近日中にお時間もらえるかしら?」


 小蒔さんも石戸さんに言われると弱いのか、渋々といった態度を隠さずに引き下がる。

 それを見て霞さんもふわりと微笑み、その笑みのまま俺に向き直って約束を取り付けにきた。


「え、あ、はい」

「ありがとう。それじゃ、また連絡するわね? 次の試合も頑張って」


 龍門渕さん達のご厚意もあって8月いっぱいまで東京に滞在することが可能なのだ。

 竜華さんと小蒔さんの想いを受け取る時間には十分余裕があると言えるだろう。

 そう思って頷いた俺に、石戸さんはすっと身を寄せて激励の一言。

 それと同時にするりと俺の胸に手を当てていった。あまりの自然さと妖艶さにされるがままであった。


「なんか全部持ってかれてしもた感じやわ。京太郎くん、この勢いで優勝してな? そんならご褒美あげるから」

       /  / ::/ :::::::::::::::::::://:´ ̄::ヽ:::/ /::/   |:l |:::::::::::::::::|::::::.     i
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     /  /...::::::::|::i:::::::::::/ァ===ミ、 ヽ /イ      .:j_|:::::::::::::::::|::::::::::.   │
.     ′.:: :::::::::::リ、:::::::;《 ん干ハ\        〃 j\:::::イ::/::::::::::::.   /|
.   / .::: ::::::::/  ∨ |  {:ト::::::ノ:'         ,ノ  /::::::ヾ }/}::::\ __/ .′
   ′::::  ::::::::{    ヽ{  ゝ:こソ        =ァ=/:::/  ソ/::::::/::\   /
  / :::::! :::::::::∧     。              ん干ハ㍉  /::::::/::::::  ヽ.′
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.....::::::::::i|.:::::::::::::::::::::|∧                     ヘ:/::::::  / ノ
...::::::::::::i|::::::::::::::::::::::l::::∧     「   、    :.:':.':.° ′ノ┬=ァ ´
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-=ニニニム::::::::::::::::::::{ニ\        /:::/::::i|:::::::::::::::::::. ,′/

 竜華さんも呆れ半分感心半分。ほっと一息つき、頬に軽く口付けてから俺に発破をかけ立ち去って行った。


10試合目 コミュ 照  1d100=13  失敗


           荒川  憩   (長野)  +738

           須賀 京太郎 (長野)  +732

           宮永  照   (東京)  +731

           辻垣内 智葉 (東京)  +726

           原村  和   (長野)  +69

           天江  衣   (長野)  +6

           宮永  咲   (長野)  +

           大星  淡   (東京)

           神代 小蒔   (鹿

           真屋 由暉子

           姉帯 

           福













   第二十二試合  F卓  宮永照(3年):荒川憩(2年):辻垣内智葉(3年):須賀京太郎(1年)












    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__

      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Ⅵ              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/
            、__   ´    } イ从/
               |        |/
              「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
              |//l|     |//////// 、
        ,. <// ∧      |//////////> 、

 俺は対局室脇のモニターを見上げていた。

 暫定一位は憩さん。その後に僅差で俺と宮永照さん、辻垣内さんと続いている。

 5位以下はそこからだいぶ下がる。

 そんな状況での、このメンツでの対局。

 試合はまだ残っているとはいえ、実質この卓の結果次第で優勝者が変わる。

 そんな緊張感が漂う。俺の掌にじっとりと汗が浮かぶ。

 周囲の人も、そんな俺に配慮したかのようにぽっかりと穴が開いた形で誰も近づかない空間ができている。

 全員が全員、強敵。高校生最強格がまとめて相手になる。

 緊張はしているが、不思議と心は平静が保たれている。

 心の湖面はさざ波一つ立たず、まるで磨かれた鏡のように張りつめている。

 その心の有りように満足した気がして、ようやく対局室に足を踏み入れる。


 そこには既に、三人が座っていた。

                          ___
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                     /  _,-Уy个ー   ゚   ゚ ー- =行
                    ノ  八‐:、    ′   厶|
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              /    / ______〕: |> _. イ、_______
                /    //二ニァ¬ア_]       |¬r<二,¨¨ ̄\
            /   /´ ̄/ /  〔∧     〕 ∧   | ̄ ̄\〉
                    /     |      |--  --|   |   |  \ \
              /    /    [ │     マ¨¨¨¨¨ア  |   |    ヽ  \

 扉を開けた俺に、ジロリと眼鏡越しの視線が鉄棒のように冷たく刺さる。

          . ´         `ヽ
         .' /            :.
        ' / . :/|.:. .:.:| :|: : : : :.ヽ :.
        ′. : ;厶r‐:. :.| :|‐- ミ| : i : i
       j |: : ハ {ハト、:ト、! \: :!: :| : !
.     /. :.{: :.|ィ忙ミ、  ,ィ忙ミj!: j : |
    /. : :Yヽl弋rク   弋rク jノ} 人
  _ノ .: .:.人ハ .:.:.:.    :.:.:. ,' ノ. : : \
  `アノ. : : : :ヘ   ( ̄ )  イ´ : : : : <⌒
   ムイ彡ヘ: ::,`:ッ .   . イ: }: :| トミ=‐'⌒
        ∨∨r|    |>、ソノj;ノ
        _ . r〈  `>=<´  〉- . _
      ハ    ∧/  `\/┐   ハ
.      ′'.           |  /
    .′ v             ! v
    .′  .'          |. '.     |
   .′   {              |  }     |
    {ニニ圦           ,′ムニニニ}
      |   ハ        / / |   |

 白衣の天使からは、口元とは裏腹の研ぎ澄まされた鉄火の視線。

               /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           /: : :/ : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : : : ヽ
             /: : :/: : : : : : : :./|: : : : : :| : : : : : : :ヽ : : :.
         /: : : i: : : : : : : |: | |: : : : : :|ヽ:.:i: : : : : :i : : i

            ′: : :|: : :i.: : :./|: | |: : : : : :| i:.|: : : |: :.| : : |
          / : : : : |: : :|:|i: :|‐|‐ト: : : :|i:斗‐|┼: i:.|: :.| : : |
.         /: : :/|八 : |八 |_.レ'.._|: : :八/__.}/∨}/: : | : : |
        厶イ  |: : ヽ{{ 午不か}/  午示下}.: : :| : : |
           |: : : :| 弋__ソ       弋__ソ  レ': : : |
           |: : : :|ハ                /| : : : : |
           |: : : :|ヽ}       '        /´| : : : : |
           |: : : :|: :人    _    /.: :.| : : : : |
           |: /i: |: |: : `: :._     ィ: : i: : :.| : :i.: :.|

           {/.人{: |/}: :厂}   ー  .{ア}_l_: : |: : i :. ′
            ,. -‐乂¨ ̄{¨       ¨}   ¨八/}/
          r<. 、       |          |        >、
       /   \\      |          |    //  \

 しかし王者からの視線はない。こちらを一顧だにしていない。

 それぞれがそれぞれに集中し、着実に場の空気が熱されていく。


 そんな空気を切り裂くように響くひび割れたサイレン音。


「よろしくお願いします!」「よろしくお願いしますーぅ」「よろしく頼む」「……よろしく」


 対局が始まる瞬間、一瞬だけ彼女は俺を見た。

 王者が何だ。俺は――勝つぞ。



宮永照の好感度がわずかに上がった


宮永照
属性 :O
技量 :S84
直感 :B60→+(3×17)=S111
必然力:A75
補正値:41→58
・スキル
【照魔鏡】金
 東一局0本場を和了せずに経過した場合に発動可能。
(効果A)
 次局以降、自身の直感を相手のスキルの数×3プラスする。
(効果B)
 相手の金以下のスキル効果を無視する。
 虹スキルの場合は自身が受ける聴牌・和了阻害効果を半減する。

【連続和了】銀
 聴牌に成功した場合に発動可能。
(効果A)
 聴牌・和了判定を+80。
 ただし和了するごとにスキル補正値は10ずつ低下する。
(効果B)
 和了に成功した場合、1回目の和了点が基準点となる。
 ただしこの打点は満貫以下とする。
(効果C)
 2回目以降の和了時、基準点を上回る打点とならなければ和了に失敗する。
 失敗した場合はノーテン扱いとなる。
(効果D)
 効果Cが発動した場合、スキル補正を-10することで
 本来の打点から1段階ずつ上昇させることができる。
 この効果で規定打点を上回れた場合は和了に成功したものとする。
(効果E)
 効果Dで上昇させる際、
 本来流局の打点であった場合はさらに補正を-20しなければならない。
(効果F)
 跳満まで到達した場合、聴牌に成功していたら強制ツモ和了。
(効果G)
 効果Eが発動した場合、効果Aは失われる。

【金剛環】虹
 自身のスキルを解除することで発動できる。
(効果A)
 自身のスキルを解除し続けた局数×2翻で強制和了。
(効果B)
 チャージ中に和了を放棄した場合、その局加算されるチャージ分は+2となる。
 放棄した和了の打点が満貫以上だった場合は+3となる。


荒川憩(イベント後)
属性 :O
技量 :S84
直感 :S84
必然力:S85
補正値:52
・スキル
【ラックトランスフュージョン】金
 失われた運気を回収し、自らに注入していく異能の力。
 他家が和了する度に発動。
(効果A)
 聴牌判定値を+5。
(効果B)
 和了判定値を+8。
(効果C)
 打点を+1。
(効果D)
 親で連荘した場合、連荘するごとに上昇した分が2段階ずつ戻る。

【鎮静の笑顔】金
 凄惨な現場でも冷静に、患者を安心させるための微笑みを忘れない。
 聴牌判定値が2位以上の場合、他家のスキル効果を受けない。

【堕天使は踊る】金
 人を救うには穢れの無い天使ではいられない。
 【ラックトランスフュージョン】の効果が持続中の自身の親番で発動。
(効果A)
 聴牌が確定する。
(効果B)
 和了判定値を+30。
(効果C)
 最低打点が満貫となる。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。


辻垣内智葉
属性 :D
技量 :S81
直感 :A72
必然力:B60
補正値:45
・スキル
【安定感◎】
 判定コンマを35以下の場合は35、75以上の場合は85として計算する。

【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【エース○】
 エースとしてオーダーされている場合に発動。
 判定を+10。

【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。

【抜き打ち】銀
 研ぎ澄まされた集中力は一瞬の隙をも過たず斬り捨てる。
(効果A)
 自身の素の聴牌・和了コンマが共に1位の場合、ロン和了する。
(効果B)
 効果Aによって和了したときに聴牌・和了コンマが共に4位の者が存在した場合、
 その者から満貫以上で出和了りする。

【鞘当】金
 他家をけしかけ、利用する戦術。
(効果A)
 【威圧感】を受けているかつ自身より技量の低い他家の聴牌・和了判定値を±20。
(効果B)
 和了を放棄して和了順位3位に譲渡できる。
 この場合、放銃者を自身より技量値が低い者から自由に選出できる。


東一局  ドラ:發

 配牌が終わり、照が山へ手を伸ばす前。

 憩、智葉、京太郎は自身の奥底を覗こうとする視線に気付く。


智葉(宮永照……今回も見から入るか。私と荒川は既に見ているのに随分と慎重だな)

憩(うちらが1週間の間に成長しているってことも考慮してるんやろけど、やっぱり一番は――)

京太郎(俺、だよな。照さんは間違いなく俺を警戒してる。

     憩さんも団体戦決勝のときとは段違いの力みたいだけど……それでもこの見は俺に対してだ)


 高く買われたもんだ、と唇を歪める京太郎。左の犬歯が覗く様は獰猛で好戦的だ。


京太郎(ま、そんだけ警戒してくれるなら全力で――)

京太郎「ツモ! タンヤオ平和一盃口ツモで1300・2600!」

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    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////

           京太郎(いつだって全力だけどな!)



照  22400
憩  23700
京  30200
智  23700


東二局  ドラ:四筒

智葉(澱みの無い真っ直ぐな和了……やはり手強いな)

憩(京ちんに大事な東一局を取られてしもたねーぇ。

   まあ、うちも強なっとりますから……まだまだ勝負はこれからですよーぅ)


 智葉が油断の無い視線を京太郎へ向け、改めて闘志を沸かす。

 憩は普段通りの笑顔に黒さを混ぜ、自らと対等に戦える存在を祝福すらしている。

 しかし彼女は既に動き出したのだ。止めることは至難。

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       八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く}        ト/.:/
       \{──<´ ̄  \\      |:イ \_
      /⌒      \    ::::\     |:::|  } =- .,_
      /            丶    、::::、   }:::}  }        、
.     /                 ::::  /::/
    /             `、     :::∨::/           ∧

   照「カン――ツモ。東ドラ嶺上開花、1300・2600」



照  27600
憩  21100
京  28900
智  22400


東三局  ドラ:一索

智葉(嶺上ツモで和了など、確率的にはそうそうできるものじゃないんだがな。

    魔物共に確率などと言っても無意味か)チッ

憩(さすがに始まった一打目は序盤のうちには止められへんわ。

   残念やけど今回は聴牌も遠いし、オリるしかあらへんなーぁ)


 二人が聴牌が難しいことを悟り歯噛みする中を、京太郎と照は駆ける。

 照は打点が低い間ならば8巡しないうちに和了することが多く、

 しかし今局では既に12巡、珍しく和了にてこずっていた。なぜならば。


照(竹の垣根……迂回しないと)


 異能を感じ取る才覚のあるものであれば照の目にする光景を見ることができたかもしれない。

 彼女の進もうとする道に度々現れる、草木の壁。

 全てではないが照の進みを遅らせるには十分な妨害。

 あと一手。その距離が今の照には遠かった。


京太郎「――ツモ。一盃口ツモで1300オール!」



照  26300
憩  19800
京  32800
智  21100


東三局一本場  ドラ:三筒

智葉(おそらく宮永と須賀の進みは同じだったはず……。最後の最後で躱したか)

照(……無理押ししていたら直撃されていた。3900ならさほど痛くないけど、それでも避けたのは間違いじゃない)

憩(白糸台の弘世さんみたいなずらし方してましたねーぇ。それも自分でツモるまでのブラフやったみたいやけど。

   ま、今回は前局と違うてもう聴牌やし……このままいk――あっ)


 配牌も良くツモも順調。憩がその気配に気づいたのは幸か不幸か。

 これまで近くでずっと好敵手として磨いていたからこそ気付いてしまった。




 既に卓上は――囲われている。




 ツモられた牌。

 盲牌すらせずにそれを晒し、手牌は切り払うように振られた腕によって全てが同時に暴かれた。

                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/
.          ,イ/////////////>'////////////////}ニア゙
.         /////////////ア´ {{////////////////ニア
.         ,イ////////ニ=-     寸////////////イ¨´
      ,イ///////イ´         マ/////////ア´
.     /ゞ===イ´           マ/////アイ
      ム:::::::::::::::::}              {:::::::::::::リ
   く::::::::::::/¨¨´.               {:::::::::::/
    ¨¨¨                     ゞ─'゙

京太郎「ツモ。清一色ツモの1本場は6100オール……ッ!」


 彼の刃が地平の先まで切り裂いた。


照  20200
憩  13700
京  51100
智  15000


東三局二本場  ドラ:七筒

智葉(何だ、今のは……。走った視線で斬られた……? じくじくと痛む、幻覚がッ)

照(私の跳満と同じ気配を感じた、やはりあれは素戔嗚の力に違いない。

   索子がドラの時だけじゃないんだね。私の嵐は他を吹き飛ばす竜巻。

   須賀君の力は妻籠の八重垣と龍殺しの草薙剣……。

   女性の胸にやる視線にはいやらしい意思以外の何かもある。

   気を惹いて乱す……分からない。それぞれが別々に絡み合って面倒)

憩(さすがに跳ツモはいったいわーぁ。何度見てもあの京ちんは怖くてかっこええですねーぇ。

   せやから……うちもそろそろええとこ見せな胸張って隣に居れへんし!)ニタァ


 鏡で見通した力と見通せなかった力。実際に発動した力を前にして分析を進めていく照。

 同質の力を持つが故に影響は半減しているとはいえ、確実に絡めとられつつある現状に危機感を抱く。

 智葉は特筆すべき異形さのない、人として至れる最高峰の雀士の道を歩む王道派。

 それが故に自らの追い込まれつつある状況に動揺した。

 その結果は良かったのか悪かったのか。


憩「ポンですよーぅ」


 裂けるように口元を吊り上げた憩が智葉の落とした牌を拾う。

 惚れた男の力など、とうに承知しているがために。そこには動揺も怯えもなかった。


憩「ツモ! 白トイトイドラ3で2本場は3200・6200ですよーぅ♪」



照  17000
憩  26300
京  44900
智  11800


東四局  ドラ:八筒

憩(ギリッギリ京ちんを躱せましたねーぇ。一巡でも遅れたら和了られてましたよーぅ)トン


 憩が自らの和了に満足し、つい気を緩めてしまったのは人間である以上は責められるべきことではない。

 しかし下手なプロ顔負けであるこの卓においては――致命的な隙である。


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    {:::::::{ヽ /\::::|ヽ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',

    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     ∨:::∧ /灯  /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     \\∧∨   ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __

       \. 〉      ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、
          ノ       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
          ヽ -    /::::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ̄ `ヽ::::::',
            ` - ./::::∧ //\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  ヽ::::',

               {/|::} 〉/////\::::::::::::::::::::::::::::::::::',\  〉::}
               |} |///////// \:::::::::::::::::::::::::::::::', ヽ }:/
                  |/////////////ヽ:::::::::::::::::::::::::::::',

    智葉「迂闊だ荒川憩、ロン。タンヤオ七対子、4800」




                    一閃




照  17000
憩  21500
京  44900
智  16600


東四局一本場  ドラ:七索

憩(完っ全にノーマークでしたーぁ……。京ちんと宮永さんに気を取られ過ぎてましたねーぇ)

智葉(ふぅ。どうにか虚を衝いて一閃できたが……。今の私になら分かってしまう。

    須賀のこの圧力……。ドラは索子、八索でこそないが……これでは)

照(悔しいけど、地力で負けてる。出し惜しみして勝てる相手じゃない……。

        /. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \
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     ′  ./ .:::::/ .::::::/::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::. : ::::. ハ:::::: i
     ′:. / ::::/ :::::::/:::::::::/ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::, :::::::: i::::: |
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.//    ヾi:::::i:::::::i:i:i:::::i:i:::i::|:::::i::::::::i'::::::i::::::::::::::::::′i:::::/:::::i
.´     少:::::::',:::::l:i::i:::::i:゙、ト:|::::ヘ:::::::i:'::::|:゙::::::::::::/i::/i::/::::::::i\
    /  |::::::::::、:ハ ヾ:i  、.i   ヘ::::i::',::i ゙、:::::/ iノ. i/::::i:::::i  \
  /   |::::::::::ハ ヾ ゞ.    ,丶i ゙:j  ヘ/ / 厶::::ハ:::i    丶

 ∧ヾ   |:::::::/    ヽ.、   ._ ヾ.,    イ   /::/i::::′      ゝ_
../ ∧ヽ.  |::::/.      i > _  ̄ . r  ./.  // i:/         /.:/i_
.i  ∧ヽ  |:/       丶    ̄    /  /  レ         /.:// ヽ

   使いどころが難しいけど――――――――岩戸は光を堰止める)キィー……ンッ

京太郎(照さんが何かを始めた……? でも関係ないさ。今の俺は止めらんねーぞ!)

                ,.-、__
             , ´   ヽ、
           /    _ムノ

          . '   , ¨´       _,  ´ ̄\__
          /   /           _> ´ /⌒、   -、__
                   _ - ´          |    ヽヽ
        /    /        _>   ' ,  / 、 } , : |  ∨
        .'    ,        /⌒/ | | _/从| ∨ / l|_,|  | :.
         /     /           /   { |/ \_| / /}ィ´|/|  | :
      /      ,      _/  ィ , 从ィ芯ォ∨'/ ,ィ芯ォ }  /  |
      ,       /        ̄´  { / l {     /     ム /-、 :.
       {       、             Ⅵ | |   '         /' } } ∧
      、     ` 、_         }/从  ,. ----,     _,ノ /
        \     \}\       /   、 ∨  ノ   人/ }/
         \     / /¨¨¨ヽ         \  ̄   イ |-、/
          \  ,:  /    | `ヽ、___/ | |`¨¨´ / / \
           {\/ /      |      /  Ⅵ   /「\   /ー  __
            、/ /     :     / /⌒ 〉    /   \/       }\
            \'            {/    ∧  「´            /   .
                 \      |       、 } /          l /    ヽ
                `   、   |        \「               |'
                   \,            /   「 ̄ ̄ ̄ !  ,     __、
                      |         |。   |     |  |    /   \
                      |         |l     |____」   |   /  ____〉
                      |         |l           ,:  ,  /   ∨       / ̄ヽ
                      |         |l            { / / :.      、   「⌒ヽ ̄ }
                      |         |。           |∨/_∧     、_,.乂`¨Y´,.-〉
                      |         |l         、     |  ̄    、    ´      `イ
                      |         |l        \   |       \       /´
                     ,         |l          \ |        `  _ /

           京太郎「ツモ! 發混一色ツモドラで1本場は3100・6100だ!」



照  13900
憩  18400
京  57200
智  10500


南一局  ドラ:發

照(この力は……。でも、まだ、まだ溜めないと)

智葉(くっ、宮永照並の化け物か! ネリーたちも難儀だな……)

憩(えへへ。やっぱ京ちんはこうでないとあきまへんよーぅ!

   宮永さんともここでしーぃっかり白黒つけさせていただきますかねーぇ!?)

憩「ロン! 小三元ドラ2、12000ですーぅ!」


         ,..: ' ´ ̄Τ ̄`丶、

         /: : : : : : : : : : : : : : :\
       /: : : : /:..:::::..:::::... ::... :... : :`、
      ./ ./::i::|::::/::i::::::::::::::::::::、::..、:: !
      /   ! .| | :| .:|::::.   |、  ! ..:| ::|
      i ::/!::|:::|::|:::::|:::ハ:::::::::::i:|::::::|::::::|:.!
    i:.:/ |:::|、|::|:::::|::| !|:::::::i:::i|:::::i|::::::!:|

    !/  |::::{ 、!ハ:::!| ヾ::::|i::| |:/i:::/:::!
       |::::`ー、ヽ!   ,ヽ!V ´ ノィ:::/
       |∧:::::::ヽ、  _ __  /::/::/
    r、<´ ̄ ヽ:::、:リ `ー--イ/w/::/
   /  \゛、  `、:!:i      リ  !:/ ` ヽ,、
 /  !  \、   `ヾニー-ニ/  ソ  /∧|
(    \ !ヾ、   `、   /     /イ  ゙、
. ヽー‐-、  ヽ! ヾ、、  ヽ /   /イ ノ   i

照   1900
憩  30400
京  57200
智  10500


南二局  ドラ:一索

憩(くくっ、あはははは! そしたらーぁ!)


 照が憩に喰われ、次局。憩の親番。それは少女が最大限に力を発揮することができる、修羅場。

 常ならぬ大きな大きな笑顔が猛禽のように躍動し、その背には黒白二色の羽がいくつも覗く錯覚。

 悪魔が次に狙うのは――


憩「ロンですよーぅ? 白東南トイトイドラドラドラドラ! 24000ッ!

                 /:/:: : : : : : : : : :/: : : : : : : : /: : : : : : : :\: : : : :\
              / : /: : : : : : /: ://: : :/: : : : :./:| : : : : : : |: : :゚: : : : : : :.
                / : /: : : : : : /:.:/ / : :./: : : : :./:.:Ⅳ: : : :.:.:.|: : : :゚: : : : : :.:.
             ′/: : : : : //:_/__,/:_: :/: : : : :./: :.:| ゚: : : : :.:.|: : : : :゚: : : : : ::.
.             |: /.|: : : :.:/7´/ _」: : / : : : :.:/┼:┼ ゚: : : : :.l: : : : : :|: : : : : :|
.             |//:l: : : /| |:./   : :∧: : : : : ,」:.:.:|  ゚:.\:.リ: : : : : :|: : : : : :|
.             |/: :|: :./:.:| l/   l/ ‘: : : :.| 八: |  |: : /: :l: : : : :|: : : : : :|
          /: : :|::/: : | | ___--、  ‘: : :.|  ‘ |  |: /}: /: : : リリ: : : : :.:.|

         /: : : :从{: : ::|ァ´ ̄ ̄`ヾ   \{ __-‘__, |//:/: : : /::/ : : : ::| :|
        / : : : : : : : : : : |            ´ ̄ ̄`ヾ/イ: : : / / : : : : ::| :|
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    `ー------=彡ク: : : : : |     _      〃〃   |/´ ̄`∨: : : : :∨
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         /_:_:_:_::彡   //l: : :\   `ー‐        _. .:≦: :|: : :.从 : : : 八  --- `
               l/ : : : :./`ト . _   _  -‐   |:_:_:_:/|: : /  \: : : :\
                    八: :./  |:.∧ Τ        {_ノ∧ l/     ` : : : \
                 ∨  j/ /´ |   __ -‐    \          ̄ ̄
                      __/ /lノr‐              \
                 --‐   / /~⌒l           / \
                / {     / ∧   \         /    \

                アハハハハハハハハハハハハハ!!」


 愛ゆえに牙を立てるのだから。


照   1900
憩  54400
京  33200
智  10500


南二局一本場  ドラ:六索

            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、

////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\

//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧

京太郎(ぐっ……痛ェ……。

     くそっ、警戒だって怠ってなかったんだぞ……!)

智葉(カンで手を晒しながらも須賀を食い千切った! 去年とは段違いの、悪魔じゃないかッ!)

照(早く……! こんなにもどかしい麻雀は咲以来……!)タンッ


 悪魔の哄笑が卓を包む中、それぞれが焦り、もがき、進む。

 そしてその修羅場で晒された照の捨て牌。それを見て京太郎の顔が初めて懊悩に歪んだ。


京太郎(うっ……俺の当たり牌……。でも、駄目だ……! これで和了っても跳満止まりッ。

     跳満程度じゃ憩さんに直撃でも捲れない……)



 俺はなんて思った? 対局開始前に、俺はどう思った!


 そうだ、勝つ。勝つと決めた……。ならこんなカス手で満足するんじゃない!


 見逃し、もっと高い手に組み替えろ……ッ! さァッ!




智葉「ちっ……ノーテン」

「「「聴牌」」」


京太郎(くそ、届かなかった……。でも、まだだ。俺は諦めが悪い……せっかく掴んだチャンスはもう、離さない)


照   2900
憩  55400
京  34200
智   7500


南二局二本場  ドラ:一索


憩(さすがやねーぇ。京ちん、最後は国士張ってはりましたしーぃ。そうでないと面白うないもん、気張りや!?)


 舌なめずりをしながらの視線は熱く京太郎に注ぐ。無論京太郎とてその視線に気付いている。ならば――


京太郎「ツモ。タンヤオドラドラ、2本場は1200・2200!」

憩「随分安う仕上げましたねーぇ?」

京太郎「チャンスは離さないことに決めましたからね。それに……

          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__
.      / / :|  ::|/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `「⌒:.
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             次は俺の親番ですよ。真っ向勝負だ……ッ!」


憩「アハハハハ! そう来なくちゃねーぇ? 受けて立ちますよーぅ!」



照   1700
憩  53200
京  38800
智   6300


南三局  ドラ:五索
                . .-――-. .
             . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

                /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ
          . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.
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           ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l
        |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|
        |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l

        |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八
        |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :
        .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
       /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\
       /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >
     /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\
  -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`
      ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
             /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
            ___/  \ __ /   \_____
         /      \  /ー一ヘ   /     ハ
         ハ        \/     }/ ̄}    /
           i  ヽ                }      }
          |   У                 } ∨   .|
           ′ /                   }  }::..   {
            /   {                  }  }:::.
         |   |                  } ,.:::::  i
          i    ハ                 } '::::::::.  |

            楽しいなーぁ  京ちん



                            そうですね  憩さん




          こんなギリギリの戦い            滅多にできないから





       だから全力でっ                            だから全力でッ





               「ロンッ! 三色ドラドラドラドラッ! 18000!」


                             /イ         /    V ヽ、    `
                          ,  ´/          |   \
                            _/  '   '    ,:      |    \
                          ̄ ̄/  /   //     }       |
                             /    /    〃     /   |    |
                       /      {   /.'       ∧  }    |
                       /_, ィ   ∧ /_ |       / V ∧
                         / /  / ∧{tォミ、  ,  /   | '  、
                           / イ  / /| 弐_ V | /   __}/   _ヽ
                             | / , :  ー':, ∨/   イ乎(_ ヽV |
                            ∨ {/ '   / /      Vzソ   V}
                            {   、                 リ
                                 ∧   `
                                、
                                 ∧ `
                                 |l∧      ̄         <
                                  「´∧           ´
                                .:'//>--==≦ゞ
                              ////////\        /
                               /////// /   ∧
                                {/////〈/{   / |      //,
                               ∧//// ∨、  ,   }   ,://
                               {// ∧// ∨V{  |  「 ̄/´///
                             ///,'/ ∨/ ∨V〉 ' r/ |//////
                               /// {///∨/ ∨{  r,/ ///////
                             {///|////////V__/ ////////
                            rく///|//////r=ミ// イ////////

照   1700
憩  35200
京  56800
智   6300


南三局一本場  ドラ:一筒

 趨勢は決した。モニター越しの者も、智葉でさえもそう確信した。


京太郎「まだまだ! ロンですよ憩さん! 發イッツードラ2で12300!」


 追撃の親満で雰囲気はさらに加速し――


           照(まだまだ……ここから)

        /: : : : : : ..::..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.::. : |: : :!
      /  : : : : :.:/:::::::::::::/  . :: ::::    :::::: :: ゙、 : :!  |
   ,.. '´. . ....:::. . . ..../  ......../:::.:::::../:::/|::::::....:::|:::::..|::::!:::: :|: . |
  /: : ....::::::::_/: : :.::/::/:::::::::/:::::::/_,.::ノ !:::::::::;ハ:::::::|:::::i::::: :i: : !

 /'´--― '´/: :.::::::::::/:::::∠-‐/ ´    i:::::ー/-|、::/!::::::!:::::: i: :|
. レ'´   /: : .:::::::::/::/ //  ̄     /:::/- !:/ !::::∧::::::: ゙、!
    /: : :::::::::::::/;ィ^i  ,:r==ミ、   ,!/,;ニ二レ、 i:ノ::::i:::::::::. :!
   //: :::::::::::::/::|ヽ! ヾ p:::::。|      b::::。l メ:′:;ィ:::::::::!::l
 /イ: :.::::::::::;:イ:::::::::! i    ̄ ̄      ´フ'"´::::://:::::::;ハ人
  ̄/: ::::::::/ /:::/:::::::ヽ !  """   ;    /:::::::::/!. /::::/:::リ::::`、
  i: :::::/  |::/::::::::::::::λ     _    i:/:::/ /,ノ:/:::::::/::::、::::i
  ! :::/    Y::::::::::::/:::丶    `┴―' リ::/ ノ::'"´::::/::ハ::::: ト:::!
  ヽ:i      |::::::::;イ:::::::::::: `>、      Vイ::::::::::::/::::ノ |::: :! !:i
    `     !:::::/ |:::::/ ̄  ト、 `ー--‐' ´,.ノ:i::::イ::/-‐ ´  |:: ノ レ
                /:::::  ̄Τ: ̄:::::::::::ヽ、
          _,,...-‐:i´:::::::::::::::::::||::::::::::::::::::::::::|`ー-..、


               魔女は一人笑った。


照   1700
憩  22900
京  69100
智   6300


南三局二本場  ドラ:一萬

京太郎(っし! いっそこのまま八連荘までいくか!?)


 京太郎が緩んだのも当然と言えた。

 憩は憑き物が落ちたかのように晴れ晴れとした笑顔を浮かべていたし、智葉も苦笑いで自らの幸運を願う姿勢。




 
                 誰か、何か忘れていないか?





 一瞬過ぎる違和感。

 そうだ、宮永照はどうしたのかと。この程度で終わるようなら完全王者と呼ばれることはないはずなのだ。

 京太郎が振り向いた時には、



                                   もう   遅かった





                      照「ロン」

                    ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ` 、
                /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
               , : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ: : : :.
                /: :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
              ': : ': : : :' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',: : ∨: :i
            / : : : : : : i: : : : : : : | : : : |: : : : : :|: l : : |: : :|: : :|

            /.: : : |: |i: : : | |: }   l: :| : : : | \.: : :|: l : : |: : :|: : :|
          /: : : : : :|: |i: : : | 乂─人:ト、: : :|  \ | ─ |: : :|: : :|
        /: : : :__|: |l: : : |,,___   ` \{ '´  }  ,,N: : 八: :|
         ̄ ̄ ̄   | 八 : 小'庁示ミ、      '乏示庁`|: /: i|:八
              ハj: :\{  乂:ソ        乂:ソ  レ'| : :|: : ヽ
               /: : |: : Λ                ハ〕.: :|: : : 丶
       .       / : : :|: : トハ       '           /‐'| : :|: : : : : :,
             /: : /: |: : |:.:込、                ,イ.:.:.:| : :|: : : : : :′
               /: : /: : |: : |:.:.:l.:.::...    ` ’   ...::.:.:.i:.:i:.| : :|: : : : : : !
           ,.: : :/: : :i|: : |.:.:i|:.::i|:::.〕ト     イ.:.:i.:.:.:l:.:l:.| : :|: : : ; :l: |
          /{ ,r─‐=:i|: : | ̄ ̄ ̄`ノ      .;ト..,|.:.:.:l:.:l:.| : :|: : :/ :|: }
         /⌒ヽ   八: :|      ヽ        〈::::::::`゛l:.:l:.l : 八:/  |:/
        /     \  ヽ}      ∨___∧      |:/ .,)  }'
      /′      \           :,_     ` :::._    ,}′   >、
     //            、\        :,_        }      / λ
   /:::/            :::〉〉x、         :,_     ′     /′/ ∧
  / .:::/            :::'/ニニ>      :.,_     /   /ニ/  / ∧
/___〈       ___   ..::::∧ニニニニニニ     :..,_   /   /ニニ/     / ∧
     :._ / ___ \ /  _ニニニニニニニニ__ :.,_ / /ニニニ/       / ∧
      ∨ /    `ヽ|ノ'     ニニニニニニ_三\Ⅴ/ニニニニ/      / ∧
        〉′ . =====‐-  .,_   ̄ ̄ ̄/ニニニニ>〈ニニニニノ'        / ∧

                  照「大三元――――32600」



照  34300
憩  22900
京  36500
智   6300


南四局  ドラ:九萬

京太郎(ここにきて、2200点差! 2翻ツモか40符1飜直撃でひっくり返る……。

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

     チッ。気付くべきだった。發が一枚すら俺に来なかった時点で何かあるって)


 悔やむ京太郎。ドラは彼にとどめを刺すかのような萬子。

 愛し情熱を注いだ球は彼に力を貸さず。

 血脈に眠る神力が迸る草木は遠い。

 卓に着くのはただの人間である須賀京太郎。
















               京太郎(それがどうした……! それがなんだってんだッ!)













 男は吼える。

            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`
      /:::..     |  ,. _/
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
.  /:     |::::.....      ..............:::_,:::-‐'′
 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
/----、\   ::::/ |::  ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"

              天に、地に、人に。






 俺がここまで積み上げてきたのは
 彼がここまで積み上げてきたのは



               麻雀だけじゃないだろ!
               想いだけではないのだ。



                      倒れるなら前のめりッ
                      死するならいくさばで



                            みせてやる、これが俺だッ!
                            死地こそ英雄が安息地なれば



                       ___/ ̄ ̄\_
                   ,  ´        <⌒
                  ,:'            `ヽ、
                 ,                \_
                      \ } ̄´
                  '              ,  \
                / ,          |/} ∧ }`ー`

                 {∧          「ノ|/}/イ
                '  、       | /`/ } '
                   } ∧     /イ   /
                   |' ,} \__/イ__ /
                   //////////∧

                  _,.{///////////|

               -=≦//////|////////≧=-- 、_
            r≦//////////////////////////////ヽ
            |//l///////////|///////////////////∧
            |/∧//////////l|///////////////|/////}
            |//∧/////////l|///////////////|/////|
            |///∧////////l|///////////////|/////|
            |//// }////////l!///////////////}/////}

                      リーチ!
                 須賀京太郎の生き様を



                                 ,.ー-‐.、
                               ヽ、   ヽ  __
                               /,..-ニ‐- '"_,..)
       _,.‐-、                      ' ´/  , _ 、´
        ' 、 .ノ                    ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\
       r   ヽ                , ',. -一' ./..'/     .}
        !    l               / ,. '′  ,..,.  ,/    ./
.       !     !                / /    {  \ヽ      i'
       l      !              ー'´        `´\ ヽヽ   !
      └! .i! .!┘   _   _             ,.'⌒   `,. l   !  ー"ヽ  ヽ
        l !l .!    .l l  //.           ! ゝ-‐'´ /l  .!  `ー-、   }
       l .l ! l    .| |//          __. \  /  }  .}    ヽ/
        l .! l .!    l  、 ヽ   、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ   `ヽヽ  j  ノ
    __r' 」 l、゙、__| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___ ゙、`'   / ___
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }   ./  ̄ ̄ ̄
                        / ./.              ヽノ
                          ̄

       「ツモォ! リーチツモ、海底撈月――1000・2000!」


照  33300
憩  21900
京  40500        +10     +10+325=+335
智   4300





全ての対局で勝利したため、須賀京太郎が優勝しました

遭遇済のキャラクターの好感度が上がった

ステータス全てが上がった

特定のスキルが三種類全て合成されます


須賀京太郎
属性 :O
技量 :S84→S90
直感 :S88→S94
必然力:S85→S90
補正値:38.83+18.0=56.8
・スキル
【斬神斬魔】(出雲八雲+一牌入魂+八重垣祓う叢雲の太刀)
 神を祀り神を殺す、人間の想いを結実させた一打。
(効果A)
 判定を+50。親番のときは+75。
(効果B)
 最低打点が満貫となる。
(効果C)
 和了する度に発動。
 他家の判定値を-8。この効果は試合終了まで累積する。
 最大で-80まで。
(効果D)
 ドラが索子のとき、その索子の数字の段階だけオカルト属性の他家の判定値をマイナスする。
(効果E)
 ドラが八索の場合、役満を強制ツモ和了。
 88での八索の場合はツモロン自在で出先も自在となる。
(効果F)
 判定値が82・85・88の場合、跳満以上で強制ツモ和了。
(効果G)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果H)
 自身の放銃コンマが1位のときに他家がオカルトスキルによる強制和了効果を発動した場合、
 その和了を無効にして自身が直撃を取る。
(効果I)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

というところで今日はここまでですー

ここまで長らくお読みいただき、誠にありがとうございました

まだもうちょっとだけ続きますがお付き合いくださいませ


照のスキルは使いどころがほんとに難しかった……

乙!
さすがはテルー凄すぎ!だが京ちゃんは更にその上を行ってカッコ良すぎだろ

>>893
照はもう一局チャージ開始が早ければたぶん勝ってましたね

鏡の防御が剥がれる上に連続和了も使えなくなるのを躊躇った結果……

予約したイベントいつ発生しますか?

それにしても十戦全勝すごすぎ!

国麻編ありますか?

>>897
予約分は8月4週を使ってこなします

国麻は……インハイ優勝しなければ予定してたんですが、もう残る強敵はプロくらいなのでカットです

6戦目と10戦目はかなり難易度高くしたんですが……まさか全勝するとは自分も思ってなかったくらいで

>>903
分かる
けど今日日劣等生にガチのファンなんているのだろうか

お気にのスレやweb小説が立て続けにおわってしまったのでどうにもアウトプットが……

なのでちょっと更新は遅れます。ごめんなさい

>>905
お兄様好きですまん(小声)

中途半端なので次スレ建てました

よろしければどうぞー


京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」エピローグ
京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」エピローグ - SSまとめ速報
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