男「俺は一度見た技をすぐ覚えることができる」 (16)

男「俺は一度見た技をすぐ覚えることができる」

友人「マジで?」

男「マジで」

友人「じゃあ、ちょっとやってみせてくれよ」

男「いいよ」

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友人「スラッシュチョップ!」シュッ

ザシュッ!

友人「へへっ、どうだ? 木の板くらいなら、簡単に切断できるぜ」

友人「さ、やってみろ」

男「スラッシュチョップ!」シュッ

ペキッ!

男「あいたたたたた……!」

友人「ハハハ、なんだよ、全然できてねーじゃん!」

キキッ!

友人(なんだこれ? リムジン?)

黒服「こちらにおられましたか」ガチャッ

友人「え」

黒服「さ、どうぞ」

男「わざわざ迎えに来てくれてありがとう」

黒服「せっかくです、あなたもどうぞ」

友人「え、あ、うん」

ワァァ…… ワァァ……



友人「ここは?」

黒服「ここは闘技場です」

友人「へえ……こんな場所があったなんて……」



黒服「ではよろしくお願いします」

男「ああ、行ってくる」

黒服「あなたはこちらで試合をご覧ください」

友人「はぁ……。ところであいつは?」

黒服「男さんは、この闘技場になくてはならない人材なのですよ」

友人「……あいつが?」

友人(まさか、あいつが試合に出るってのか? あんなに弱いのに……)

友人(あ、もしかしたらさっきのは演技だったとか!?)

黒服「お、試合が始まりますよ」

男「さぁ、いよいよ始まりました!
  長らくファンから直接対決を望まれていた、格闘家と棒術達人の歴史的一戦!
  果たして勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか!?
  おっと、格闘家、いきなり得意の“正拳七連打”を繰り出してきたぁ!
  かつてこの技で105人を病人送りにしてきた驚異の連撃だ!
  しかぁし、棒術達人もさすがです!
  棒をグルグル回転させ、空を飛ぶことで難を逃れましたぁ!
  この“プロペラの舞”を行える棒術使いは、世界に五人とおりません!
  さぁ、着地した棒術達人、鋭く敵を突く“疾風迅雷突き”を放ちます!
  まっすぐのはずの棒が鞭のようにしなり、格闘家を突く突く突くぅ!
  ですが、格闘家、鉄壁の構え“鋼鉄城”により防御を固め、
  “疾風迅雷突き”をなんとかこらえている!
  おっと格闘家も守ってばかりではないとばかりに動いたァ!
  出ました、大ジャンプからの大技! “飛翔龍王脚”が炸裂だ!
  “飛翔龍公脚”の弱点であった、蹴る寸前のスキが完全になくなっている!
  よろめく棒術達人! 格闘家、さらに詰め寄る!
  棒術達人、ここで猛スピードで棒を振り下ろす“天罰撃”を出してきたァ!
  対する格闘家は――」





おわり

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