男「俺が勇者!?」女神「そうです」 (150)

男「は? マジで言ってんの!?」

女神「選ばれし勇者よ。あなたが世界を救うのです」

男「それって、地球を救えってこと?」

女神「違います。こちらの世界を救ってもらいます」

男「えっ、じゃあ何で俺の部屋に来てるの?」

女神「えっ?」

男「えっ?」


二人「えっ??」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1389629873

女神「えっ、あれ? 何で?」オロオロ

男「えっと、家族にお別れ言ってきても良いですか?」

女神「あ、はい、手短にお願いします」

男「はい」タタタッ



女神「うわぁ……元の世界への帰り方わかんねぇよ……」



男「家族への挨拶終わりました」

女神「な、何て言ってました?」

女神(家族が突然異世界に行くとか言ったら止められるわよね。そしたら、うまいこと言ってなかったことにしてもらいましょう)



男「がんばれよ、って」テレテレ///



女神「」

男「両親はお前ならやれるって、妹は寂しいけど自慢のお兄ちゃんだよって言ってくれました。姉は今バイト行ってるのでこの際仕方ないです」

女神「いやいやいや、なんならバイト先に行ってきたらどうですか!? 今生の別れかもしれませんし!」オロオロ

男「……大丈夫です。女神様の世界の危機の方が大事ですから」ニコッ

女神「うっ///」ドキッ

女神(他世界の男の子でもこんなにしっかりしてるのに、女神の私は……)ズーン…

男「?」

女神「す、少し儀式があるのです。だから、気にせずバイト先まで行ってきてください」

男「はぁ……分かりました」

女神「………」ホッ

男「それじゃあスマホで連絡入れますね」

女神「便利な世の中ですねーーーーーっ! で、でで、でも直接別れを言うべきだと思います!」

男「……? 分かりました」タタタッ

女神「………」ホッ…

女神「どどど、どうしましょう。本当なら私が勇者を自分の世界へ呼びだすはずなのに、何故か私が勇者の世界に来てしまいました」オロオロ

女神(原因を思い出してみましょう……)



回想



女神「えーっと、勇者を呼びだす魔法陣は、と」

女神(私の代になってから全然そういうのやってないからなー。失敗したら嫌だなー)ガサガサ

女神「あ、これだ。勇者召喚の書」ジャーン

女神「ふーん……こんな感じなんだぁ。簡単じゃん」

女神(魔力の量や魔法陣の形は適切なものを、か……まぁ適当でも女神だし大丈夫でしょ!)アハハ

女神「ここをこうやってこうやって……えぃ♪」



異界の門『吸い込みます』



女神「ぎゃぁああああ! 吸い込まれるぅうううう!」

回想終わり




女神「完全に自業自得でした」シクシクシク

女神「……でも、今は私の世界の危機。反省などいつでもできますし、今はなんとかして勇者を向こうの世界に連れて行かなきゃ……」

女神(私が覚えてるのはせいぜい村人の髪の毛を薄くすることぐらい……)

女神「魔力ならいくらでもあるんです! 適当にこうやれば!!」シャララァン



男「女神様、何をしてるんですか?」



女神「」クルクルクル




女神「もうやだ/// お嫁に行けない///」

男「姉への挨拶終わりました」

女神「そ、そうですか」

女神(やっべー、まだ方法分かってねーよ……)アセアセ



prrrrr



男「? ちょっと幼馴染から電話なんで出ても良いですか?」

女神「もちろんもちろん! 何なら長電話してきても良いわよ!」

男「いえ、すぐ終わります。もしもしー」

女神(頼む、一時間くらい電話してきてくれ)

男「明日? あー無理。ていうか俺明日もうこの世界いないから、じゃ」ピッ

女神「」

男「準備おっけーです!」

女神「え、え-っと……幼馴染さん、でしたっけ? 仲良いのかしら?」

男「いや本当にただ家が隣ってだけですよ」

女神「いやいやいや、世の中には隣に同世代がいなくて寂しい子供時代を過ごす人だっているんですよ? なんなら挨拶行ってきたら?」

男「いえ、ほんとそういうの良いんで」

女神「うぬぅ……」

男「女神様! 俺は早く勇者として戦いたいんです!」

女神「!!」

男「今こうして苦しんでる人がいる。それを救えるのが俺だけだと言うのなら! 俺は!!」

女神「ちょちょちょ、ちょーーーっと待って!」

男「?」

女神(名案だわ!)

女神「あなた、今世界を救えるのはあなただけって言った?」

男「違うんですか?」

女神「ちっちっちっ、大間違いも大間違いよ」

男「?」



女神「あっちの世界にはね、およそ一億の勇者がいるわ」



男「い、一億ですか!?」

女神(うわーーー、ちょっと盛りすぎたかしらーーーっ)

男「その中に地球人は何人いるんですか?」

女神「え、えっと……そうね、一千万人くらいいるかしら」

男「一千万人!?」

女神「そうなの。だからあなたが焦る必要「おっしゃぁああ! 負けねーぞぉおおお!」

男「早く! 早く連れて行ってください!」ハァハァハァ

女神「」


男「最初はどうすればいいですか? 初心者の塔とかあるんですか!? 各地で困っている人々を救っていくんですか!? 仲間は!? 酒場に行けばいいですか!? もしかして俺一人で戦うんですか!?」

女神「………」

女神(うわー、凄い良い子を引いちゃったわー)

男「うわー、なんかテンション上がってきたーーー! 俺が! 俺が勇者だ!!」ウォオオオッ

女神「………!」ピコーン

男「色んなところで出会いがあるのかなー。どんな世界なのかなー。わくわくするなー」ウキウキ



女神「あなた、何か勘違いしてるんじゃないの?」



男「えっ」

女神「勇者を舐めてるんじゃないのかって言ってるのよ」

男「………」

女神「勇者って職業はお金の契約じゃない分、本人の意志と覚悟が大事だわ。そんな浮ついた気持ちでやり遂げられると思ってるの?」

男「………」

女神「そもそも、勇者と言うのはあなた達は華やかな職業と勘違いなさってるようだけど、実際は本当に大変な仕事なのよ」ペラペラ

男「………」

女神「10人が勇者になれば5人が途中で挫折し、3人が怪我に倒れ、1人が結婚をして、残り一人が命からがら成し遂げられる。そんな茨の道なのよ」ファサッ

男「………」

女神(だ、だいぶ嘘をついたけど、これで諦めてくれるかしら……)




男「うぉおおおおお! 燃えて来たぁあああ!」




女神「」

男「十人に一人ってけっこう簡単そうな数字だけど、意志と覚悟でやり抜いてやるぜぇええ!」

女神「あー、この子勇者だわー。さすが私が選んだだけあるわー」

男「さぁ! 行きましょう女神様!」

女神「あーうんうん、そうだねー」

女神(どどどどど、どうすればっ!?)



女神「!!」ピコーンっ

女神(名案を思いついたわ!)






女神「う、あっ、うぅぅ!」ガバッ



男「女神様!?」

女神「こ、これは魔王の攻撃!?」

男「な、なんですって!?」

女神「や、やばいわ……。これはヤバい。何がヤバいって、もう向こうの世界に行けないくら――」




男「聖なる波動!」バァァァッ




女神「うわー、治ったわー。健康的になったわー」

男「こ、これが勇者の力……」ゴクリ

女神「知識と経験を積んだ勇者のみが使える聖なる波動。いきなり使えるなんてすごいわー。天才だわこの子ー」

男「大丈夫ですか女神!」

女神「え、ああ、うんっ、すごく大丈夫♪」テヘッ

男「さぁ! 行きましょう!」

女神「う、うぅん……」

男「?」

男「それで、具体的にはどうやって行くんですか!?」

女神「あ、えーっと……そうね、なんかこうやってばーっと行ってどばーっと帰ろうかなーって」ババッ

男「おお! すごいです! さすが女神様です!!」

女神「そ、そう? やっぱり?」エヘヘ///

男「さぁ! 行きましょう!」

女神「う、うん……」

男「………」グッ

女神(こ、こうなったら……)グググッ

男「すごい! 女神の身体からなんか色とりどりの光が!」



女神「えいっ!!」



男「あぁあああ!」ファサァ……

女神「あーーーーっ! 勇者のフサフサの髪の毛を薄くしてしまったぁあああ!」

男(薄毛)「………」プルプル

女神「あ、あの、ごめんね? わ、わざとじゃないの」オロオロ

男「………」プルプル

女神「あー、えっと、あの、お、おっぱい揉む?」ネェネェ

男「………」ガバッ

女神「きゃーーーっごめんなさいごめんなさい!!」




男「これが魔王の攻撃か!! おのれ卑怯者め!!」




女神「」

男「くっ、向こうの世界に行く前からこうやって精神攻撃をしてくるなんて、やっぱり女神様の言った通り意志と覚悟がなきゃ続けられそうにないぜ!」

女神「あ、あう……」ズキズキ

女神(この子の前向きな姿勢に私がハゲそうだよぉ……)

男「それにしても本当に卑怯な奴だ!」

女神「うぐっ……」ズキッ

男「女神様の頑張りに水を差すような行為!」

女神「ぐはっ……」ズキッ

男「女神様がわざわざ選んでわざわざ迎えに来てくれた俺の髪の毛を薄くするなんて器の小さい攻撃!」

女神「ぐふっ……」ズキッ

男「こんな下らない攻撃に屈する俺じゃないぜ!」

女神「ぐはーーーーっ」ゴフッ

男「め、女神様!?」

女神「はぁはぁ……」

女神(女神の唯一の自由に使える能力が人の髪を薄毛にするなんて本当に下らない女神ね……)ズーン

男「まさかまた魔王の攻撃!?」クッ

女神「勇者よ聞きなさい」

男「は、はいっ、身体は大丈夫ですか!?」

女神「大丈夫です。そして、あなたの髪の毛もほら」パァッ

男「あぁ! 女神様の手から放たれた黒いふりかけが俺の頭部を見る見るウチに黒くしていく!!」

女神「大人のふりかけです」

男「女神様あざーーーっす!」

女神「実は、重大なことが起きました」

男「!?」

女神「……まことに残念ですが、今回の




魔王「ふははははっ、ここにいたのか女神よっ!」バーーーンッ




女神「えっ!?」グルッ

男「ま、魔王!?」

魔王「貴様が世界から消えて良からぬことを企んでいるのだろうと睨んでいたが、まさか勇者を直々に迎えに行ったとはな!」フハハハハッ

女神(やっべー……今来んなし…)

男「お、おのれっ! どこまでも卑怯な奴め!」

魔王「なにっ!?」ゴォオオっ

男「うわぁあああ!」ドンッ

魔王「雑魚は引っ込んでいろ」

男「くっ……」

女神(やっべー……早くお引き取り願わないと勇者の勘違いがバレちゃう……)

魔王「……人間、卑怯という言葉は取り消してもらうぞ」

男「なにぃ!?」

魔王「我は卑怯な行為を最も嫌う魔王だからだ!!」

男「な、なんだとぉ!?」

女神「嫌な予感しかしない」

魔王「そもそも、我がここに来ただけで卑怯とは決めつけが過ぎるんじゃないのか!?」

男「何を言っている!! お前が「わーーーっ、勇者だめーーーっ」ムギュッ

男(お、おっぱいがおっぱい!!)カァ///

魔王「な、何をやっている女神! 貴様破廉恥だぞ!」

女神「はんっ、そういうあなただって、今にも毛がはみ出そうなビキニにマントってどう見たって痴女じゃない!」

魔王「き、貴様という奴はぁああああ!」ゴゴゴゴゴ

男「む、むがっ、ぷはっ……魔王!」

魔王「むっ?」



男「貴様のせいで俺は大人のふりかけをかける羽目になったんだぞ!!」バーンッ



魔王「あ、頭に黒いつぶつぶが乗っている……」

女神(あー、終わったー。女神人生終わったわー)

男「お前が俺をこんな目に遭わせたんだろう!?」

魔王「なにぃ!?」

男「最初は卑怯な行為だと思ってたが、よくよく考えるとこれほど効果的な攻撃はあっただろうか!

いやない!

なぜなら勇者とは人々の希望であり人類が魔族と戦うための道しるべ!

その道しるべがツルツルのハゲロードだったら人々はついてくるだろうか!

否! 圧倒的否!

滑って転んで誰もついては来られない!

くっそーっ、何て効率的でスマートな攻撃を仕掛けてくるんだこの美人な魔王はー」




魔王「お、おお……そういえば…そんな攻撃もしたっけか?」ドヤァ



女神「うわ、あいつ馬鹿だ」

魔王「ふはははっ、よくぞ見抜いた勇者よ! 我は卑怯な行為は嫌いだが、魔族の繁栄のためならどんな手段もいとわん! 分かったら降参してこの世界に大人しくとどまれ!」

女神「!!」ピコーン

男「くっ……俺はこんな奴に勝てるのか…」

女神「……そ…」

男「女神?」

女神「それもそうね! あなたはまだ若いんだし、むざむざ危険なことするよりも未来に向かって勉強した方が良いわね」

男「女神様! 何を言ってるんです!?」

魔王「ふはははっ、そうだ勇者! 我に怖れをなしたとしても、今なら黙っておいてやる!」

男「なにぃ!?」

女神「そうよ勇者。私はあなたに生きて欲しい。強く、生きて!」

男「女神様……そこまで俺を…」

女神(よし……いける!)




男「俺!! 一生女神の手足となって戦います!!」ポロポロ




女神「いえーいだぶるぴーす☆」

魔王「女神!? 何をしている!?」ビクッ

女神(あーもう! どうすればいいのよぉぉおおお)ピースピース

男「そうとなったら魔王! 今すぐ俺を殺さなければ、いつか命を落とすことになるぞ!」

魔王「ふ、ふんっ、脅してもむ、無駄だぞっ。我はなんせすごくて強いんだからなっ!」フハハハハッ

女神「ころせー、ゆうしゃをいまころせー(小声)」

男「それとも、今本当に殺してやろうか!!」バッ

魔王「いやっ!!」グスッ

女神「なにやってんだよばか、ちょっとまりょくでやればいいんだよ(小声)」

男「………?」

魔王「くっ、我に防御させるとは流石は女神が直接迎えに来ただけあるなっ」プルプル

女神(あ、ダメだこいつ。完全に腰引けてるわ……)

男「お前……まさか…」

魔王「!!」




男「魔王城で決着を着けようと言うのか?」




魔王「!!」

女神(はいでましたー! クソ勇者のクソ解釈ー!)ゴンゴンゴン

男「俺を敵だと認め、魔王は魔王らしく王座で正々堂々と待つと、そういうのか!?」

魔王「………」

男「くっ、俺は魔王を侮っていた。殺せる時に殺す卑怯な奴だと。魔族の頂点の風上にも置けない奴だと」

魔王「………」

男「だが実際には違った。高貴で華麗で誇り高き最強で最高の魔王だった。……しかも美人だなんて漫画でもありえねー展開だ……」

女神(まぁ漫画だと素直に異世界に行けるんですけどねー)

魔王「………」

男「どうなんだ魔王!」

魔王「……ふ…」

女神(あーもう分かったよ。ふの時点で何を言おうとしてるか分かったよー)



魔王「ふははははっ! その通りだ勇者!」



女神「うっせークソ魔王!」パシンッ

魔王「いたぃっ!」

女神「………」ゴゴゴゴゴ

男「め、女神様?」

魔王「………ぐすっ…」ジンジン

女神「お前は昔からそーだよな! 誉められるとすぐに調子に乗って! 自分に自信がねーから嘘も平気でつくし!」ゲシゲシ

魔王「や、やめっ……」

女神「なぁ誰の力で勇者をハゲにしたって? 言ってみ? あ? 言ってみ?」グイッ

魔王「髪引っ張らないでぇ! わ、私じゃありません!」

男「えっ!?」

女神「そうだよなぁ! じゃあ何で自分だって嘘ついたんだ!?」アァ?

魔王「………」グスッ

女神「はよ言えやこら!」バンッ

魔王「ひっ、ゆ、勇者のキラキラした目に気分を良くして嘘つきましたーーーー!」ドゲザーーーッ

女神「本当は!?」バンッ

魔王「私は髪の毛をフサフサにする魔法しか使えない魔王ですーーーーっ」

男「えっ?」

女神「えっ」

魔王「しまった!!」

男(フサフサ)「ほんとだ、フサフサになった」

魔王「うぅ……」

女神(良かった……若者の人生を潰すところだった…)ホッ

男「で、でも、その魔法しか使えないのにどうやってここに来たんだ?」

魔王「あう……じ、実は女神の部屋に行ったら…」

女神「!!」



回想


魔王「女神ー、ジャリジャリ君買ってきたよー」ガララッ

魔王「あれ? いない……」

魔王「……ん? 勇者を召喚する本?」

魔王「………まさかこれで勇者を?」

魔王(まずい……私、魔王になってから女神がハゲさせた村人の髪の毛をフサフサにして遊ぶ魔法しか使ったことないよぉ…)

魔王「こ、こうなったら私も勇者を呼ぼう!」

魔王「え、えーーっと……魔力量はよく守ってください?」

魔王「………」エイッ



魔王「ぐぁあああああ!! 吸い込まれるぅうううう!!」



回想終わり



魔王「ということがあったんです」

女神「なんで勝手に人の部屋入ってんだよ!」ゲシゲシッ

魔王「だ、だってぇ! 女神にライン入れても既読つかなかったんだもんー」ウゥ……

女神「こっちはこっちにいるんだから魔力電波なんて届く訳ねーだろ!」ゲシゲシ

男「おい」

女神「お前、こらっ」ゲシゲシ

魔王「ふぇえええん、やめてぇええ」




男「おいこらクソ女神」ゴンッ




女神「痛い!?」

魔王(み、見事な頭突きだわ!!)パチパチパチ

男「こいつ今、女神がハゲさせたって言ったよなぁ?」

女神「あ……」

魔王「?」



男「お前の魔法じゃねぇえかぁあああああ!」グリグリグリ

女神「うにゃぁあああ! グリグリ攻撃やめてぇええええ!」イタイイタイイタイ



魔王「あれ? 知らなかったの?」

男「魔王! お前さっき女神になんか攻撃したか!?」

女神「だ、だめっ」アセアセ

魔王「ほへ? だから我は人をフサフサにする魔法しか使えないよ?」キョトン

男「………」

女神「あ、あう……」

男「言ってみ?」

女神「あ、あの……」

男「正直に言ってみ?」

女神「で、でも勇者怒るから……」モジモジ

男「怒らないからさ」ニコッ

女神「あ、あのね……」




男「やっぱ嘘ついてたんかこらぁああああああ!!」モミモミモミ!!

女神「うにゃぁああ! 予想通りの展開きたーーーーーっ!!」アンアンアン!!

魔王「………」モミモミ




男「何羨ましそうに自分で揉んでんだこの野郎!」ソバット!!

魔王「うぎゃっ!」ドサッ

女神「魔王を蹴り倒すなんて流石勇者ね……」フッ

男「うっせーーババァ!!」ソバット!

女神「うにゃぁ!」ドサッ

魔王「ふぎゅっ!」



男「はぁはぁはぁ……」



女神「………」

魔王「………」

男「他に言うことはあるのか?」

女神「えっ……」

男「他に何か隠してることはないのかって聞いてんだよ?」ギロッ

女神「あ、あの……ね」モジモジ





女神「あっちの世界に帰る方法がないの(* ^ー゚)ノ☆」




男「そいやっそいやっふんっ!」

女神「うにゃぁああ! コブラツイストーーーーっ!」イタイイタイイタイ!!





魔王「………」ウゴウゴ

男「お前も羨ましそうに抱きつこうとするなっ!」ゴンッ

魔王「………」イタイ…

男「……で? どうすんの?」

女神「………」

魔王「………」

男「あっちの世界、大変なんじゃないの?」

女神「う、うんっ!」

魔王「戦争中だもんね!」



男「戦争中のトップがジャリジャリ君買ってきたりライン入れたりすんなっ!」ゴンゴンッ



女神&魔王「………」イタイ…

男「……もう良いよ」ハァ…

女神「えっ……」



男「もう、どっか行けよ。俺は勇者やらねーから」



女神「ほ、ほんとっ」ニパーッ

男「お前の笑顔の使いどころほんと女神として間違ってるよな」

女神「あ、あのねっ、本当に迷惑かけたと思ってるわ! 期待させるだけさせといて裏切るなんて最低よね……」

男「ああ、最低だな……。俺は自分の命を女神様に捧げようとしたのにな……」

女神「あう……」

魔王「わ、我の者となれゆうちゃ!」

男「お前、何勝手にアニメ見てんの? しかも噛んでるし」

魔王「あう……」シュン…

女神「わ、私だってこんなつもりじゃ!!」

男「魔力量は守ったの?」

女神「うぐっ……」

男「守ってないんだな?」

女神「あうぅ……」



男「大事なっ、大事なっ、勇者召喚を適当にするってどういうことだよ!」ツンツンツン



女神(あれ……なんか…ドキドキする……)ドキドキ///

魔王「女神ちゃん嬉しそう」ニコッ

男「は?」

女神「よよ、喜んでなんかねーわ! こんな奴!」

男「お前にだけはこんな奴呼ばわりされたくねーよ!!」ギューーーッ

女神「女神の乳首を摘むなんて前代未聞ーーーーー!」ンホーーーッ///

魔王「………」ツネッ

男「だから羨ましそうな顔で真似すんなって言ってんだろうがぁあああ!」ギューーーッ

魔王「にゃぁああああ!! 乳首いたいいぃいいいいいい!」ビクンビクン

男「……ちっ…」スッ

女神「えっ?」

魔王「はう……」

男「聖なる波動使えただろ?」

女神「う、うん……」

男「実はな、もう一つ使える気がするんだわ」

女神「えっ」

魔王「もしかして!」

男「ああ…。たぶん、空間移動の呪文」

女神「!!」

魔王「!!」



男「お前らを向こうの世界に送ってやるけど、俺はもう勇者やらねーからな!」



女神「う、うんっ! 本当にごめん! ごべんべぇ~」エグエグッ

魔王「………」ギュッ

男「………」ズキッ

男(何で俺……ちょっと寂しいとか思ってんだよ…)



男「女神……お前はもっと自分が女神だと自覚を持て」

女神「うんっ!」ニコッ



男「魔王、お前はもっと威厳を身につけろ。部下はついてこねーぞ」

魔王「はいっ!」ニコッ



男「行くぞっ!!」ブゥンッ

女神「す、凄い魔力だわっ!」

魔王「これなら、本当に帰れる!!」





男「いっけぇえええええ!!」パァアアアアッ!!




女神「こ、これはっ!!」

魔王「この押し寄せるような感覚は!?」







二人「「尿意!!」」ジョボボボボボボッ






男「」



 こうして、人をハゲにすることしかできない女神と。


 人をフサフサにすることしかできない魔王と。


 そんな二人をお漏らしさせてしまう勇者の。



 愚かしくも、下らないラブコメが始まるのだった。




男「いや、はじまらねーよ!?」



 完?

二個前のssがまとめであまりに不評なので勢いでやってしまった。

続くかどうかは未定。今日は寝ます。おやすみなさい。



ちなみに別ルートでお父さん(ハゲ)の髪がフサフサになるオチも考えたけどやっぱりラブコメが良いと思いました。






 魔王の部下が怒りの形相で魔王を連れ帰った翌日、俺と女神は近くの神社へと訪れていた。



女神「神様!! 神様ァ!!」パンパンッ

男「異世界の神に神頼みする女神……」ゲンナリ




女神「勇者が私にもっと優しくなりますよぉにっ!!」




男「もっと他に頼むことがあるやろがぁ!」スパァンッ

女神「具体的には優しいキッス!!」オネガイシマスッ!!

男「このエロ神がっ!」スパァンッ



 当分の間、異世界に平和は訪れそうにない。

男の部屋

男「あのさぁ……」

女神「なぁに?」ムキムキ

男「コタツでミカンとかマジでイメージダウンだからやめてくれる!?」

女神「あはは、指先が黄色くなっちゃった~♪」ホレホレ

男「立場を考えろっ!」グイグイ

女神「ぐえっ」ギュッ

女神(首絞められて意識が飛びそうなのに……き、気持ちいいっ///)

男「うわ、きもちわるっ」パッ

女神「ごほっごほっ、ひ、ひどい……」ウルウル

男「後、一つだけ言っていいか」

女神「こ、このミカンはあげないわよっ!」

男「いらねーよ! ……あのさ、これ」スッ

女神「ん、なにこれ写真……って、私?」

男「………///」

女神「私にそっくり……まさかっ!!」

男「じ、実はそうなんだ……///」

女神「今はやりのコラ画像!」

男「ちげーよっ! 俺が一年片思いしてる先輩だよっ!」スパァンッ

女神「私そっくり!」アハハハハッ

男「だから分かるだろ!!」

女神「っ!!」カァ///

男「え、何で赤くなってるの?」

女神「せ、先輩への叶わぬ想いを私に顔射しようというわけねっ」ニヤニヤ///

男「ツッコミ所多すぎて言葉に迷うわっ!」ゴスッ

女神「あぼふっ」グェッ

男「まず叶わぬ想い言うな! 最近は一か月に一度喋れるくらい仲良いんだよ」

女神「うわぁ」

男「あと、先輩の顔で顔射言うな! 俺の勇者の剣が反応するだろ!」

女神「うわぁ」

男「そして、先輩は可憐で純粋な俺の憧れなんだ! そのイメージをお前が崩すなっ!」

女神「……分かった」

男「……分かってくれたのか…」



女神「そいつをハゲにして勇者へちょっかいを出させないようにすれば良いのね!」ヨシッ



男「よしじゃねぇよ!」ブンッ

女神「ミカンっ!!」ベチャッ

女神「でも、そんなに大切なら何であの時挨拶に行かなかったの?」キョトン

男「あ、ああ……まぁいろいろあるんだよ」プィ

女神「???」

男「それより、お前このままで良いのかよ」

女神「………」

男「魔王は向こうに帰ったぞ。お前がいないと好き放題暴れるんじゃないのか?」

女神「………」

男「女神……?」

女神「……うぅ…ひっぐ…えぐ…」ポロポロ

男(何かいきなり泣き出したーーーーっ)

女神「私だって……やりたくなかったもん…」グスグス

男「………」

男(そうか……女神なんてどのゲームや小説でも孤独な存在だもんな……)

女神「本当なら……今頃…部屋の中でゆっくりとゲームを…」グスッ

男「ん?」

女神「でも……クラスの女神決めの時に風邪で休んじゃって……それで勝手に……」ウゥ…

男「んん?」

女神「あとで職員室言っても、一度決まったことをウジウジ言うなって怒られちゃったし……もうやだぁ…」

男「………」

女神「……でも、選ばれたからにはやらないと近所の評判が悪くなるってお母さんが言うからやるのっ!」ニコッ




男「何一つお前の好感度上がるところなかったんですけどぉおおおお!!」グリグリグリ




女神「ぎゃぁあああ! 本音を言ってしまったぁああああ!」

男「まじかよ……女神って押し付けられてやるのかよ……」ハァ…

女神「ふふん、内申が良くなる訳でもないのに頑張ってる私を褒めてもいいよ」エヘンッ

男「俺に説教垂れてた頃のお前に戻れっ!」バキッ


女神「ぐはっ、意志と覚悟ゼロでしたぁああ!」ドサッ



男「……き、聞きたくないが、魔王はどうやって決めるんだ?」

女神「えーっと、魔王ちゃんはね」

男(どうせクジで決めたとかいうんだろうなぁ)



女神「人間を何万人殺したかで決めるんだよ」ニコッ

男「バカにしてすまんかったぁあああ!」



その頃の魔王

魔王「くしゅんっ」

側近「風邪ですか?」

魔王「風邪なんか引いたことないからわかんない」

側近「さすがでございます」

魔王「えへへ」

男「ということは、お前がいなくてもすぐ代理の女神を作るんじゃね?」

女神「えっ」

男「まぁこんな役立たずな女神が居座るより、もっと優秀な女神作ったほうが無効の世界も安泰かもなぁ!」アハハ

女神「………」プルプルプル

男「!!」

男(怒ったのか……?)

女神「ゆ、勇者……」プルプル

男「……な、なんだよ」




女神「おしっこ漏れた」ハフン///




男「このダダ漏れ女神がっ!!」バキッ

女神「だって向こうで女神やってる頃はおしっこなんてしなかったもん!!」ヒリヒリ

男「えっ、マジ?」

女神「………」コクン

女神「女神は神聖な存在だからねっ、そんな排泄物出したりしないもんっ」フンッ///

男(下半身びしょぬれで神聖とか言われても……)

男「じゃあ、なんで今は……」

女神「勇者が変な魔法使うからでしょぉおおお!!」

男「そうだったぁああ!」

男(でも、あの魔法は確かに時空間を移動するような、そんな魔法だったんだけどなぁ……)

女神「うぅ……なんかびちゃびちゃして気持ち悪いよぉ……」

男「あ、姉を呼んでくる!!」タタタッ

女神「あう……」

マクドル

男「姉様に追い出された……」ズズズ

男(マクドル謎のシェイクうまい……)

幼馴染「だーれだ」ギューッ

男「……ち、痴女…」アセアセ

幼馴染「マジ顔で言ってる」ガーン

男「冗談じゃないよ」アハハ

幼馴染「冗談じゃないの!?」ガーン

男「久しぶりだな」

幼馴染「昨日言ったこと覚えてる?」

男「えーっと……尿意! だっけ?」

幼馴染「にょうい?」

男「ボケを繰り返すなバカ」

幼馴染「いや、ボケないでよ」

男「で、何? 昨日?」

幼馴染「明日暇って聞いたら無理って言ってたじゃない! なんでこんなところで油売ってるのよ!」

男「あー……うん、そうだな。あの時は俺も意志と覚悟があったんだ」

幼馴染「何の話?」

男「今では俺もわかんねーよ……」ハァ…

幼馴染「座っても良い?」

男「おう」

幼馴染「えへへ///」

男「何で四人掛けの席で同じ方向に座るわけ?」

幼馴染「だって寒いじゃない?」アワアワ///

男「ふーん」

幼馴染「………」ホッ…

幼馴染「男と同じ学校行けばよかったなー」

男「急にどしたん?」

幼馴染「だって、男が彼女できてもわかるし」

男「お前の進学選定そこ? そんなんでいいの?」

幼馴染「大事なことだよ!」

男「お、おおう……」コクコク

幼馴染「好きな人できた?」

男(あ、そういえばこいつに言ってなかった……)

男「………」アウ…

幼馴染「今の間……できたのね」

男「………」スッ

幼馴染「うわっ、写真持ち歩いてるっ」

男「うぐっ……」

幼馴染「それになんか湿ってない?」

男「それはあいつがおし――」

幼馴染「おし?」

男「姉が押入れに隠したんだよ……」プイッ///

幼馴染(嘘を吐くときそっぽ向く癖直ってない……)

幼馴染「それで、この髪の長くておしとやかそうな女性が好きなのですかな?」ニマニマ

男「……さらに言うなら可憐で清楚で純粋だ」

幼馴染「あう……私とは正反対だ……」ガクッ

男「そうか?」

幼馴染「そうだよっ! 私なんて髪短いしガサツだし男と趣味合うし、ちょっとエッチだし!」

男「ちょっとエッチなのか?」

幼馴染「ばっ、ばかっ///」ポカッ

男「ちょっとエッチな上にスキンシップが激しいのか?」

幼馴染「もうっ! 男の意地悪!!」

男(こういう所可愛いんだけど、やっぱ幼馴染は幼馴染だよなぁ)

幼馴染「それで、どこまで進展してるの?」ニマニマ

男「一週間に一回会話する程度だよ」

幼馴染「ふぅん」




幼馴染「一週間に一回会話する程度の仲の相手が、ガラス越しにぶんぶんと手を振ってきますかねぇ」

男「えっ!?」グルッ



女神「~~~♪」ブンブンッ

男「」

幼馴染(どこが清楚でおしとやかよっ!)





女神「勇者! おしっこはトイレでするんだなっ」アハハ

男「ぶふっ」

幼馴染「」




幼馴染「い、一週間に一度しか会話しないのに、内容がおしっこの仕方……」ガクガク

男「ちょっと待て、誤解だ」

女神「五回? 私は勇者に二回しか漏らされてないぞ!」

幼馴染「は?」

男「だーーっ、余計にややこしくなるぅううううう!」

姉「男」

男「あ、姉様。さっきはありがとう」

姉「おらよっ」ブンッ

男「あぶふっ」ベチャッ

幼馴染「えっ、な、なにそれ……」

女神「あーーーーっ//// 私のパンツぅうううっ///」アウアウ

男「くっさっ、しょんべんくっさ!!」

幼馴染「」ボウゼン…

幼馴染(男を勇者と呼ぶ女の人が男に二回もおしっこを漏らされて、その漏らした時のパンツを男の姉が持ってきて男の顔にぶつけた……。私はこれを見て死ねばいいのかしら。それしかないよね)ウフフ…

男「お、幼馴染?」フキフキ

幼馴染「ちょ、ちょっとトイレに行ってくる!」

男「お、おう……」

女神「なにこれ美味しー☆」ズズズ

姉「んじゃ、バイト行ってくる。お前こいつの下着買ってやれよ」

男「あ、ああ……。てか勝手に飲むな」ヒョイ

女神「あ、あう、もっと、もっとちょうらい」

男「バニラシェイクを口から垂らしながら、もっととかいうな危ないから!」

女神「………へへっ」ジュルリ

男「いや、何で主人公をかばって口を切ったライバルが血を拭うような良い顔になってんだよ」

女神「勇者の白い奴もっと欲しい!」

男「おいこら」スパァンッ



男「あー、で、その、あれだ」

女神「?」

男「い、今は姉のパンツ履いてるのか?」

女神「うんっ! 水色と白の縞々模様だよ!」ニコッ

男「あう///」

女神「?」

男(せ、先輩の下着姿を想像してしまった……)ハァハァ///

女神「見たいの?」グイ

男「それ以上は俺の社会的地位が脅かされるからやめろ」

幼馴染「………」ハァハァ///

男「幼馴染?」

女神「?」





幼馴染「これが欲しかったんでしょ!」ブンッ///

男「あぶすっ!?」ベチャッ

女神「あー、イチゴ柄のパンツだぁ」イイナァ




幼馴染「男のエッチスケベ変態!」ハァハァ///

男「その言葉包装開けずにクーリングオフだよ!」

女神「勇者!」

男「ん?」

女神「そ、そういう趣味があったんなら早めに言ってほしかったな///」モジモジ

男「あるかボケ!!」

幼馴染「うわーーーん、男の超ドレッド級の変態ーーーー!」ダダダッ

男「視線が! 俺を見る人々の視線が痛い!!」

女神「おいしー☆」ズズズ



幼馴染(お股がスースーするよーーーっ///)タタタタタッ



いったんここまで!
結局変態ssになってしまった……。

ショッピングモール

男「どれでも良いから選んで来いよ」

女神「はーい」タタタッ

男「………視線が痛い…」

男(やっぱり俺じゃ先輩と歩いてもカップルに見られないか……中身はあほ女神だけど)ハァ…

女神「勇者ーーー! これにするーーーっ!」パンツーッ

男「っ/// あー、はいはい好きにして」

女神「はーい」タタタッ

男(くそっ、あいつ日本円の使い方なんてわかんねーだろうから離れられねーし……)

女神「勇者ーーー! これも買うーーーー!」パンツーッ

男「くそっ、くそっ! いっぺんに持ってきやがれ!」

女神「はーい」

男(なんか背中に刺さる視線がどんどん鋭くなっていくような……)

女神「勇者ーーー! いっぺんに持ってきたよーーー!」テンコモリ

男「」

女神「もーっ、勇者はわがままだなぁ」タタタッ

男「………」

男(全力で死にたい!!)

先輩「あらあら、男君、こんなところで何してるのかしら?」フフッ

男「\(^o^)/」

先輩「姉ちゃんと買い物かしら?」

男「あー、え、えっと……その」オロオロ

先輩「………」ポンッ

男「な、なんですかその閃いた!みたいなポーズは!」

先輩「また学校でね」ニコッ

男「ご、誤解ですぅうううう!」

先輩「うふふ」バイバイ

男「………終わった。俺の青春が今、終わった」ガクッ

女神「勇者ー! これにするー」タタタッ

男「あーうん、それにして」

女神「?」

男「はぁ……ロープ買って帰ろうかな」

女神「ロープ、な、何に使う気なのよっ」ハァハァ///

男「土下座するからその顔で変態チックな顔しないでくださいませんか?」

女神「?」



<放して下さい!

<いいじゃねぇか!

<ざわざわ



男「なんだか騒がしいな」

女神「なんだろうね」

男「!?」



先輩「警察を呼びますよ!」キッ

ヤンキー「へへっ、警察なんて怖くねーよ」

ヤンキー2「いい加減にしねーと殴っちゃうよ?」

先輩「………」クッ


男「先輩!!」ダッ

女神「あ……」



初代勇者『女神!』ダッ

女神『来てはダメ!』



女神「……勇者…」ボソッ

男「先輩を今すぐ離せ!」

先輩「男君!?」

ヤンキー「なんだぁ?」

ヤンキー2「知り合いかぁ?」

男「離せって言ってんだろ!」ブンッ

ヤンキー「あぶなっ! おめぇ!」

ヤンキー2「よーし、お前から手を出したからな。屋上こいやっ!」

男「………ああ」

先輩「男君……」

男「先輩は危ないんでこの階の人が多い場所で待っててください」ニコッ

ヤンキー2「ああ、おれおれ、今から凹るから屋上集合な」

ヤンキー「ひひっ、終わったらあいつも……」

先輩「………」

屋上

ヤンキー×10「へへへっ」ズラズラ

男「………」

女神「勇者!」

ヤンキー「あ? あんたついてきちゃったの?」

ヤンキー2「あれ? でも服ちがわねーか?」

ヤンキー3「へー、ほんとに上玉じゃねぇか」ヒヒッ

男「なんできたんだよ!」

女神「勇者、気を付けて」

男「分かってる!」

男(喧嘩なんかしたことない俺がどっちみち勝てる訳ないんだ。適当に殴られて勘弁してもらうしか……)

ヤンキー4「それじゃあ、まずは俺がタイマンで」

男「でか……」

男(こんな奴に殴られたら死ぬんじゃ……)ゾクッ

女神(勇者は分かってるのかしら……)



〝自分が勇者だってことを”



ヤンキー4「おらぁ!!」ブンッ

男「!!」



 なんだこれ?

 世界が、とてつもなく遅くなったような。

 いや、〝俺が速くなってる”?

 こんなデカい男が本気で殴ってきているというのに、まるで水中で子供が身体を動かしてるようにノロい。

 どうしよう、右に避けたらいいのかな。でも、左から回り込めそうだし。


男「………」サッ

ヤンキー4「なっ!?」ヨタヨタ

ヤンキー達「なっ!?」ザワッ

男「………」

男(もしかしてこれは……)ジッ

女神「そうです……」コクリ

ヤンキー4「よけんなよおらぁあああ!」ブンッ

男「………」スッ

先輩「………」ソワソワ

先輩(だ、ダメ、やっぱり警察に!!)スッ


男「先輩」


先輩「えっ? 男……君」

男「もう大丈夫ですよ」ニコッ

先輩「えっ、な、なんで?」

男「真摯に説得したら許してくれました。まぁ、許すって言い方はおかしいですけど」ハハハ

先輩「………」

男「やっぱり、暴力はダメだと思うんで」

先輩「………」ホロリ

男「せ、先輩!?」オロオロ

先輩「うぇぇ……、男君が無事でよかったよぉ……」ペタン

男「せ、先輩! 人がいますから!」オロオロ

先輩「そんなのどうでもいいよぉ。駄目な先輩でごめんねぇ……」ポロポロ

男「そそそ、そんなことないですよ!」



女神「……先に帰ろうっと」ヤレヤレ



屋上

ヤンキー「なぁ」

ヤンキー2「ああ」

ヤンキー「人間って壁に拳の型をつけれるんだな」

ヤンキー6「ああ」

ヤンキー7「俺……ちょっとチビった」

ヤンキー8「俺はうんこ漏れた」

ヤンキー10「くせっ」

ヤンキー3「こいつよりましだろ」

ヤンキー4「」ピクッピクッ

ヤンキー5「あいつ……カッコイイな」

ヤンキー2「彼女可愛かったしな」

ヤンキー「俺、真面目に生きようかな」

ヤンキー×9(これ、俺らで弁償だよな……)ハァ…

帰り道。

先輩「………」グスッ

男「………」テクテク

先輩「………」

男「………」

先輩「ねぇ、男君」

男「は、はい」



先輩「彼女、私に似てたね」



男「あ、あのっ、それは///」アウアウ

先輩「……あの、さ」モジモジ

男「?」






先輩「先に出会ったのが私なら、彼女にしてくれたかな?」ジッ///





男「そ、それって……」ドキドキ

先輩「……っ!」ハッ

男「あ、あの、先輩!!」

先輩「え、えっと、その、ね。い、今のなし!」アウアウ///

男「先輩!!」

先輩「は、はい!」

男「………」ジッ///

先輩「………」ドキドキドキドキ

男「あの……俺…」



男「先輩の事が――魔王「どっぴゅーーんっ、呼ばれて飛び出て魔王だよ!」ギュッ



男「」

先輩「………」

魔王「寂しかったかぁ?」ナデナデチュッチュ

男「」

中途半端ですがここまでです!では!

男の部屋

男「………」ムスッ

魔王「」グチャグチャ

女神「うわぁ……魔王の顔面がぐちゃぐちゃになってる……」

男「ふんっ、どうせ魔力ですぐ戻るんだろ」

魔王「」グチャグチャ

女神「え、だから私たちにそんな力ないよ」

男「えっ」

魔王「」グチャグチャ

男「え、マジ?」

魔王「」グチャグチャ

男「うわーーーっどうしよーーーーっ」オロオロ

魔王「」ウゴウゴ

男「顔面ぐちゃぐちゃのままこっち来るなぁあああ!」

女神「お、落ち着いて! ステータス画面開くのよ!」

男「す、ステータス画面?」

女神「ああ、もう! これよ!」スッ

男「ほえ?」ブゥン



名前:男
職業:勇者
LV:10

特技:
・聖なる波動……対象の付加効果を消しさる。

魔法:
・回復魔法LV1……体力や怪我が少し回復する。

特殊:
・大いなる力……その時によって何が起きるか分からない。



男「なな、なんだこれぇ!?」

女神「勇者なんだからステータス画面くらいあるでしょ」

男「そ、そうなの? で、でもこっち地球だよ?」

女神「何言ってんの? 私女神だよ? これくらいできて当然でしょ」フンッ

男(出来て当然のことが何一つできない女神のくせに……)ジトーッ

女神「ほら、その回復魔法で回復してあげなさいよ」

男「う、うん……」スッ

魔王「………」ウゴウゴ

魔王「………」グチャグチャ

女神「ほとんど変わらないわね」

男「回復魔法がレベル1だからかな」

女神「たぶんそうね。これからレベルを上げればきっと大丈夫よ」

男「えっ、レベルなんてどうやって上げるん!?」

女神「そりゃ、今日みたいに敵をやっつけたり、いろんな経験でレベルは上がるわ」

男「い、色んな事って」ゴクリ

女神「もちろんセック「だぁああ! その顔で言うなぁあああ!」ギューッ

女神「モガモガ」

男「頼む俺の幻想を打ち破ら「お兄様、入りますね」ガチャッ

女神「モガモガ」

男「………あ」ギューッ

魔王「………」ウゴウゴ

妹「………失礼しました」ガチャ

男「ご、誤解だぁあああ!」

女神「ぷはっ、だから勇者が私を漏らしたのは二回だって!!」

男「黙れぇえええ!」ドゴォッ

女神「ぶはっ……」ガクッ

男「い、妹のことは後回しだ。今は魔王の傷を治さないと」

魔王「………///」ギュッ

男「ん? どうした?」

魔王「………」ウゴウゴ

女神「私のためにありがとう大好き、だって」

男「お、おう///」

女神「こりゃ典型的なDV関係を築けますな」

男「築かねーよ。それより、一番効率的に経験値稼ぐ方法は?」

女神「……んー…」

魔王「………」ンッンッ

男「ん? それはホーリーランド……えっ…」

女神「……ふむふむ、ああ、そういうことね。いってらっしゃーい」バイバイ

男「マジかよ……」

女神「まぁ、勇者の力があるんだし負けないでしょ」モグモグ

男「ミカン食って他人事かよ……」

女神「他人事だし……」プイッ

男「なんだよ急に……」

女神(勇者は……勇者は私のためだけに戦ってくれたんだもんっ!)プクーッ

男「……ごめんな魔王。俺が何とかするから」

魔王「………」ウゴウゴ///

男「………行きますか」スクッ

路地裏

不良「な、なんだよこいつっ!」

不良2「つ、つぇええ」

不良3「こんなひょろそうな奴がどうしてこんぶふぇぇ!」ズザザザザッ

男「………」シュッシュッ

不良4「こ、この野郎!」ブンッ

男「………」サッ

不良4「はぁ!?」ガキィンッ

男「……ふんっ」ドゴォッ

不良4「ぐふっ……」ドサッ

不良達「や、やべぇ! 逃げろぉおおお!」

男「……はぁはぁ…」ピッ





レベル:11



男(不良を10人倒してやっとレベル1上がっただけか……)

?「………」スッ

男「えっ―――ぐふっ」ドゴォォォッッ

男(な、何が……)フラフラ



HP15/80

男(何て攻撃力だ……)クッ

?「………」

男(フードで顔が見えない……一体誰なんだ…)

男「………」フラフラ

男(このままじゃ殺される……)ウゥ…

?「……死ね」ダッ

男「くっ……」グッ

男(こうなったら大いなる力だ!)ブゥン


男「だぁあああああ!!」パァアアアッ


?「なっ!?」

男「!?」






後輩「いやぁあああああ///」バリバリバリ






男「なっ、こ、後輩ちゃん!?」

後輩(全裸)「………」ハァハァ///

男「な、何で後輩ちゃんがこんな所に!?」

後輩「うるさいうるさいうるさい!」

男(錯乱してるのか!? ……でも攻撃は的確だし…)

後輩「先輩は裏切った! 裏切ったんだぁあああ!」ダダダッ

男「な……何だったんだ…」ペタンッ




男はレベルが上がった!

回復魔法がレベル2に上がった!


魔王「治ったぁ♪」エヘヘ

男「……良かった…」ホッ

女神「って、勇者の方がボロボロじゃない」

男「……なぁ女神」

女神「何?」

男「この世界に俺以外で勇者っているのかな?」

女神「……どうだろ、歴代の勇者は全員向こうの世界で死んだけど、私の世界だけが異世界じゃないし」

男「……そっか」

魔王「ねぇねぇ男ー。私やったよー♪」

男「魔王キャラ変わりすぎじゃね?」

魔王「あー、あれは外行きのキャラだよ!」アハハ

男「……で、何をやったんだ?」



魔王「世界征服」ニコッ




男&女神「……マジ?」


続く。。。

一旦離れます!では!

女神「ままま、まず、まずぅ……まずぅで?」アセアセ

男「落ち着け」

魔王「うん、人間を一人残らず魔族の奴隷化☆しちゃった♪」エヘヘ

男「ほめてほめてみたいなノリで来られても笑えねー……」

女神「ど、奴隷化って具体的には……」オロオロ

女神(アホ魔王のことだから、実際にはほとんど人権なくなってなくて、平和な感じになってるんでしょ?)アワアワ…




魔王「男は死ぬまで飯なしの労働力として、女は人型魔族の慰み者や寄生魔族の媒体とかストレス発散用とかいろいろ使ってるよ!」




女神「さすが1000万人殺して魔王なっただけあるわー。次帰ったら人間いないわー」

男「………」アゼン…

魔王「えへへ、皆に優秀な魔王だって誉められちゃった」

女神「優秀すぎるでしょー……」エー…

男「そ、そんなことって……」

女神「で、何であんたこっち来てるの?」

男「ま、まさかっ!?」

男(こっちの世界まで!?)

魔王「えへへ、部下の皆が旅行に行って来いって言ってくれて」エヘヘ

女神「ん?」

男「それって……」





魔王「あうあうあーーっ!! 迎えにきてぇえええ! 私要らない子じゃないからぁあああ!」





女神(哀れ魔王……)

男(もしかしたら人間達の扱いの酷さに見かねた魔族の策略かな……だといいな…)

魔王「……うぅ…」

女神「まぁ、あれだ」ポン

魔王「……?」




女神「この部屋に悪い奴はいらねーんだよ。出てけ」ニコッ




魔王「あうぅ……」ボロボロ

男「………」

男「お、おい、やりすぎじゃねぇか?」

女神「ふん、あなた勇者でしょ? 善悪の判断くらいちゃんとしなさいよ」フンッ

男「………」カチン

女神「……ほら、出て行きなさいよ」グイグイ

魔王「やだぁ……わだじをみずでないでぇぇ」ポロポロ



男「いい加減にしろよ」グイッ



女神「……放して」

男「じゃあ、魔王を放してやれ」

女神「………」ギロッ

魔王「あうあう……」

女神「………」ムカッ




女神「あんた、魔王のエロい格好に欲情したの?」




男「お前っ!!」

魔王「やめてよっ!!」

男「っ……」

女神「………」

魔王「……出てく」グスッ

男「えっ……」

女神「………」

魔王「出てくっ!」ダッ

男「お、おいっ」

女神「勇者!!」

男「っ……」

女神「あなたは勇者でしょ! だったら魔王に優しくしないでよ!!」

男「………」

女神「私だけのために生きるって……あれはウソだったの?」

男「……俺は…」





妹(えー……お兄様の修羅場が意味不明すぎです)

妹「要約しますと、お兄ちゃんが女神と呼ぶ三年の先輩が彼女で、お兄ちゃんの同級生の女さんが魔王。そしてお兄ちゃんが勇者でファンタジーごっこをしていたけど、なぜか恋のもつれに発展した、と」

妹(………)

妹「寝ます」テクテク





公園

魔王「うぅ……ぐすっ…」

魔王(私、本当に騙されたのかなぁ……)ウゥ…

魔王「女神ちゃんが怒るのはしかたないけど、仲間の皆はなんで私が邪魔だったのかなぁ……」

魔王(勇者さん迎えに来てくれないかな……)チラッチラッ

魔王「………」ハァ…





後輩「………」ザッ





魔王「えっ、あなた……誰?」

後輩「死ね!!」

魔王「えっえっ?」

魔王「ぐぅ……」ボロボロ

後輩「………」ドカッ

魔王「ぐふっ……」ドサッ

後輩「………」バキッ

魔王(あう……ダメだ…力が入んないや……)

後輩「………」グイッ

魔王「あぐっ……」

後輩「あんた本当に人間?」

魔王「………」ギロッ

後輩「……むかつく」ドカッ

魔王「ぎゃっ……」

後輩「………」

魔王(あ……そういうことか…)



魔王「私……魔力奪われてるや……」アハハ…



後輩「………」

魔王「でも…、私は魔王…」グググッ

後輩「本当に……人間なの?」

魔王「……ふっ、愚問だな…人間」




魔王「我は魔王! 魔族の頂点にして絶対なる存在だ!!」フハハハハハッ




後輩「……うざ、死ね」ダッ

魔王「………っ」





魔王「………」フラフラ




後輩「………」

魔王(あはは……魔王も魔力がなければ人間と何も変わらないや…)

後輩「しつこい……」ジャキッ

魔王「……何…その剣……」ゾクッ

魔王(本当に……死んじゃう…)

後輩「綺麗に殺してあげる!」ブンッ

魔王「っ!!」




―――ギィィィィンッ!!




魔王「……えっ」

後輩「っ!?」バッ

魔王「あ……」




魔王「やっと……ここまで来たのか、勇者よ」




男「お前を助けにな、魔王」ニッ

魔王「それは……聖剣?」

男「ああ、女神がな……持って行けって」ポリポリ///

男(でも……なぜこうなるって分かったんだあいつ……)

魔王(女神ちゃん……初代勇者にしか渡さなかった聖剣を渡したってことは……)

男「で……もう顔隠さないのな。後輩」

後輩「………」

男「何でこんなことをするんだ?」

後輩「………」ジャキッ

男「……お前もただの人間じゃないんだな」ジャキッ

後輩「先輩のせいだ……」ボソッ

男「えっ……」

後輩「先輩が!! 先輩がぁあああ!!」ダッ

男「お前……何を!?」

後輩「あぁああああああ!!」ブンッ

男「くっ……」サッ

男(速い!? こいつ、めちゃくちゃ強ぇ!!)

魔王「………」

男「俺が何をしたってんだ!」ブンッ

後輩「ふざけるな!」ドガッ

男「ぐぅうう!」ズザザッ

後輩「私はあんたが勇者として異世界に行ったというから!!」ブンッ

男「は!?」ギィィンッ

後輩「私は! 先輩を助けるために!! 先輩のために!!」バチバチッ

魔王「あれは、勇者しか使えない雷魔法!?」

男「えっ!?」





後輩「何で先輩は異世界に行ってすらないんだよぉおおおお!!」ブゥン





男「あばばばばばばばっ」ビリビリビリビリ

男「………」ハァハァ…

後輩「……私は、向こうの女神に勇者になるように言われたけど、断った」

男(勇者……内容からすると俺の後に?)

後輩「だって向こうの世界に先輩はいないから!!」

男「えっ」

後輩「私は先輩が大好きだ! 先輩のいない世界なんて考えられない!」

男「あ、あう……」

女神「突然の告白に戸惑っているわね」

魔王「あれ? 女神ちゃん?」

女神「しっ、今良い所なんだから」

後輩「そしたら、女神は先輩なら先に勇者として世界を救うたびに出てるはずだって」

男「………ん?」

女神「………ん?」

後輩「あっちの世界では何人かの女神が異世界から勇者を連れて来てて、今回世界が被ったんだって。少し前に先輩が勇者に選ばれてたって言ったんですよ」

男(まさか……)

女神「………」ダラダラダラ

後輩「そんなの! もう! 運命じゃないですか!!」

男「後輩……」

後輩「先輩勇者として華麗に戦っている所へ私がサポートしに行く。でも、やっぱり先輩は先輩だからすごくて、私なんかじゃ到底足元にも及ばなくて、でも先輩は最後まで私を支えてくれて、そして魔王を討伐して……討伐して……」グスッ





後輩「向こうの世界に行ってから“あ、男君諸事情で来れないやごめんね”って先に確認しとけやぁあああ!!」ガンガンガンッ





男「………」ジトーッ

女神「あ、あう……」

女神(うわーーーっ、私のせいで一人の人生を狂わせちゃってるぅううう!)



後輩「ふふっ、それから大変だったんですよ。なんか先輩が行かなかったせいで世界は魔王に支配されてて、しかもその魔王がかなり残虐非道だから村や町はほとんど滅びてるし、まともな人間は奴隷として働かされてるから情報も仕入れられなかった……」アハハ

魔王「その魔王は私です」

後輩「知ってるわよ!! アンタが世界中に自分の巨大石像無駄に建設させまくるから大量の人間が飢えと疲労で死んでたんだから!!」

魔王「あう……」

女神「……私の世界そんなんになってるんだ…」ガーン


後輩「まともな食糧にもありつけず……、泥水すすったり、良く分からない虫みたいなモンスターを食べて飢えを凌いでレベル上げを続ける日々。夜は怖くて寝れないし、昼も身体を沼の中に潜まして少しだけ眠って体力を回復させたりした……」

男「マジで辛すぎるだろそれ……」

女神「だから言ったじゃない意志と覚悟がいるって」

後輩「うっせーーー歴代最駄目女神!! こっちに帰る時に教えてもらったんだよ! 何で先輩が勇者として異世界に行かなかったかを!!」

女神「その節は本当に申し訳ない」ドゲザ

後輩「女神のくせに土下座なんかすんなぁあああ!」ウガーッ

魔王「石造建てまくってごめんなさい」ドゲザ

後輩「お前も魔王のくせに土下座すんんぁあああああ!」ガンガンガン!

男「でも、ということは……」

後輩「……ええ、こいつじゃない魔王が世界を支配してたので、速攻で殺して世界に平和を取り戻しましたよ」フフフ

魔王「ということは」



後輩「今、あっちの世界は人間のものですよ」ニコッ



魔王「」ズーン

女神「っしゃぁあああ! ワシのもんじゃい!!」

後輩「お前は永久追放って言ってたわぁあああああ!」

女神「」ズーン



男「後輩……今お前レベルいくつなんだ…?」



後輩「そんなの、レベル99に決まってるじゃないですか」

男「」ズーン

後輩「三人そろってうなだれるなぁあああ!」ガンガンガン

後輩「でもね、私はこっちの世界に先輩がいるならそれでよかったんです」

男「えっ」

後輩「だって、私は先輩が大好きだから。辛かった日々も笑い話になる。そう思ってたんです」

女神「………」



後輩「でも、あんたはマクドルでイチャイチャ! 下着ショップでイチャイチャ! 他の女とイチャイチャイチャイチャ!! 私の苦労も知らずに!!」



男「……あの時の突き刺さるような視線……お前だったのか」

後輩「あの瞬間、私は決めたんです。私をこんな目に遭わせた奴らに復讐しようと」

男「………」

後輩「私を苦労させた魔王にはそれ相応の痛みを。私を失望させた先輩には失う苦しみを。そして―――」ギロッ

女神「………」



後輩「全ての元凶のあんたには全てを失う絶望を与えることをね!!」ブゥンッ



男「な、なんだそれ!?」

魔王「ゲートだ」

男「ゲート!?」

後輩「そうです。ここをくぐれば、向こうの世界に行けます」

女神「えっ!!」

後輩「私は今から、あっちの世界に行きます」

男「ま……まさか…」

男(全てを失う絶望って……)






後輩「向こうの世界を無茶苦茶にしてきますね」ニコッ






女神「だ、だめっ!!」

後輩「あなたにそんな権限があると思ってるんですか? 召喚術の魔力量すらまともに測らない人をハゲにすることしかできない害悪女神が」

女神「……あ、う…」ガクッ

魔王「だ、だめっ!」

後輩「ああ、魔王の石像は全て破壊されましたよ」

魔王「えっ」


後輩「あなたが従えていた魔族共があなたがいなくなった直後にね」フフッ


魔王「あう……」ガクッ

男「………」

後輩「ねぇ、先輩……」ジッ

男「?」

後輩「一緒に……行きませんか?」

男「えっ」

後輩「もし、一緒に来てくれるなら、私……世界を無茶苦茶にするの、止めます」

男「!!」

後輩「私、旅してて思ったんです。確かに魔族に支配されて文明はめちゃくちゃだったけど、自然や動物は地球とは全然違ったんです。すごく……綺麗だったんです」

男「………」

後輩「私!! 先輩と一緒に旅したい!! 先輩にあの景色を見て欲しい!!」

男「後輩……」

後輩「好きです!! 今でも、先輩の事が大好きなんです!!」

男「………」

後輩「そしたら……そこの女神と魔王も一緒に連れて行って、皆幸せに……なれると思うんです」

男「!!」チラッ

女神「………」

魔王「………」

男「………っ」

後輩「え、エッチなことも……していいですよ?」モジモジ///

男「後輩……」







――うっざ。






後輩「………は?」

女神「うざいって言ったのよ」

後輩「……あんた、そんなこと言える立場だと思ってんの?」

女神「立場? 立場なら女神だからあんたより上だけど?」

後輩「だからあんたはクビだっての」

女神「悪いけどね、女神は職業じゃなくて種族なの。私が勇者を導く女神の役をやらなくても女神は女神なのよ」ハッ

後輩「屁理屈を……」ギリッ

女神「あんた、自分が今までベラベラと喋った内容を本当に理解してんの?」

後輩「……当たり前だろ」ギリッ




女神「私には下心で受けた結果失恋したから八つ当たりしてるだけのクズ野郎に聞こえたけど?」




後輩「っ!! 貴様っ!!」カァ///

女神「はんっ、自覚あるんじゃない! 自分がいかに女々しくて恥ずかしいかってことを!!」

後輩「きさまぁあああああ!」バチバチバチ




女神「女神に勇者の力が効くと思ってんのかぁ!!」ブンッ




後輩「あ……」ガクッ

男「えっ」

魔王「えっ」

後輩「あ、あんた……ハゲにする魔法しか使えないんじゃ……」ハァハァ

女神「こんなの魔法じゃないわよ。私が女神である限り、勇者に力を与えることも奪うこともできる」

後輩「………」クッ

女神「何でこんな力を持ってる女神が勇者に頼ってるか教えてあげましょうか」グイッ

後輩「ぐっ……」ギロッ




女神「あなたたちに成長して欲しいからよ」




後輩「………」

男(め、女神がまともなことを言ってる!!)ガクガク

魔王(女神ちゃんがまともなこと言ってる!!)ガクガク

女神(絶対失礼なこと考えてるな……)ムカッ

後輩「……なら、何で助けて「は?」



女神「泥水すすった? 虫喰った? その程度で助けを欲しがるなら最初から勇者なんてしなければ良かったんだ」



後輩「っ!!」

女神「確かに私のミスで男は勇者になり損ねた! でもね! 男は歴代の中でも最も勇者らしい勇者よ!! あんたとは違う!!」

男「!!」ドキッ///

男(女神……俺の事をそんな風に……)ドキドキ

女神「それに比べてアンタは何? 好きな人が勇者だから自分も勇者になる? 誰も助けてくれない世界だから私たちを恨む? ただのクソガキのわがままじゃない!」

後輩「……うぐっ…ひっく…」ポロポロ

女神「誰も助けてくれない世界ってことは、それだけ苦しんでる人がいるってことなのよ? あなたはその人たちのことを少しでも考えてあげたの?」

後輩「………ぐすっ…」ブンブン

女神「勇者ってのはね」ギュッ

後輩「ふぁ……」





女神「誰よりも他人の痛みに弱くて、誰よりも他人の幸せに喜べる。そんな心の澄んだ人間しか選ばれないのよ」ナデナデ





後輩「!!」ポロポロ

男「………」グスッ

後輩「……わ、わた…わたし……」ポロポロ

女神「分かってるわ。誰にも言えなくて、辛かったのよね」ナデナデ

後輩「ほ、本当に……いつも……いつもやめたくてっ…でもっ、誰も助けてくれなくて……あぁ…うぁ……」

女神「良いの。泣いて良いのよ」ナデナデ



後輩「あぅ……うぅ…うぁああぁあぁぁぁああああ!!」ギューッ



男「………」

魔王「うぇぇぇぇん」ポロポロ

男(いや、お前はそこに共感したらダメだろ……)

男の部屋。



女神「あの子は魔王と一緒に一晩過ごすわ」

男「そうなんだ」

女神「魔王のダメージが思ったより深刻でね。あの子レベルの回復魔法でもけっこう時間がかかるらしいの」

男「あ、う、うん……」

女神「………」

男「………」




女神「お別れ……だね」




男「っ!!」ドキッ

女神「ふふっ、寂しそうな顔してる」

男「そ、そんなことっ……ある、かも」

女神「あの子みたいに抱っこしてあげようか?」フフッ

男「い、いらねーよっ///」

女神「あら、せっかくのチャンスなのに」

男「……あのさ」

女神「うん……」

男「俺さ……女神の話聞いて、やっぱ意志も覚悟も足りてなかったわ」

女神「………」

男「後輩と同じ旅をしてたら間違いなくお前を恨んでた。世界を恨んでた。地球に帰りたいと思った」

女神「そんなことない、あなたなら――」

男「分かってる。分かってるけど……自信がない…」ホロリ

女神「……勇者…」



男「俺……お前に…何もしてやれなかったな」ポロポロ

女神「……そんなことないよ」ギュッ

男「すまん……偉そうなことばっか言って…結局何もできてなかった……」ポロポロ

女神「ううん、いっぱい大切なモノ貰った」ナデナデ

男「俺、俺っ……」

女神「うん」





男「お前の勇者として、世界救いたかったよ」ツーッ





女神「っ!!!」ドキッ///

翌日。


男「………」///

女神「………」ポーッ

男(は、恥ずかしい!!)

男「も、もうそろそろかな」

女神「………」ポーッ

男「め、女神?」オーイ

女神「……あ、え、何?」ニヘラ

男「お前……」

女神「?」



男「ニヤニヤして気持ちわ「バカっ!」ベチャッ



男「ミカンっ!」グハッ

女神「………ばか///」プイッ

男「………///」

女神「あ……そう言えばさ、あれ覚えてる?」

男「ん?」

女神「ちょっと小声じゃないと言えないから近づいて」チョイチョイ

男「?」ズズイッ

女神「あのね、私が神社でね、何を頼んだか覚えてる?」ボソボソ

男「えっと……勇者が私に優しくなりますようにって」

女神「その後」

男「え……優しいキッ―――」



女神「ん」チュッ



男「!!」カァ///

女神「………」スッ

男「………///」ドキドキ

女神「ふへへ/// 神様も当てになんないね。私からキスしてるもん///」

男「お、お前……///」ドキドキドキドキ



女神「今度は……勇者から…してくれる?」ジッ///



男「!!」ガタッ

女神「………」スッ

男(目を閉じた!!)

男「………」スッ





魔王「完全復活魔王ちゃんだよーーーっ!」バァンッ




女神「!!」ババッ///

男「!!」ババッ///

魔王「???」アレェ?

後輩「………」アヤシィ…

女神「あ、あはは、もう大丈夫なんだ///」アハハ

男「そ、それじゃあ、やろうか///」アハハ


魔王&後輩「???」


後輩「………できました」ブゥン

魔王「……皆…私の事迎え入れてくれるかな……」

女神「さぁ? でもまぁ、追い出されたらウチくれば良いじゃん」

魔王「ほ、ほんと!?」

女神「でも大丈夫なんじゃない? あんたを騙した魔王は死んだんだし」

魔王「う、うん……」

男「なぁ女神」

女神「ん?」

男「俺は勇者じゃなくなるのか?」

女神「ううん、私からの贈り物よ。その力、好きに使いなさい。ただし――」

男「意志と覚悟を持って、だな」ニッ

女神「やっぱりアンタは最高の勇者よ」ニッ

後輩「……そろそろお引き取りください!!」ムスッ

魔王「はーい」スッ

女神「後輩ちゃん」ボソッ

後輩「?」

女神「私に似た女性に負けないようにね」ボソッ

後輩「あう……///」

男「?」


女神「じゃあね!」スッ


後輩「……ふぅ…」ブゥン

男「行った…な」

エピローグ 春を迎えて


妹「お兄様、まだこたつを出してるんですか?」

男「あ、ああ……そうだな」

姉「あ、そう言えばあの子用に買ったパンツ余ってんじゃん。ちょうだいよ」

男「だ、ダメだ!」

姉「……やっぱり、忘れられないんだね」

妹「お兄様……」

男「………そういう訳じゃない。……訳じゃないけど…」

姉「けど?」

男「……あいつはドジだから…、また……間違えてくるかもしれないだろ…」

妹「お兄様……」

姉「それを忘れられないっつーんだよ!」ワシャワシャ

男「………」




 出会いがあれば別れがある。


 勇者がいれば魔王がいる。


 当たり前のことを当たり前だと気付かずに、人々は日々を淡々と消化している。


 春の強い風に吹かれながら、俺は空を見上げて考える。



 意志と覚悟。



 女神が教えてくれた勇者の条件さえ守れば、いつか、いつかきっと、



「この世界に勇者が要らないなんて決まってないもんな」



 俺にもなれるかもしれない。


 人をハゲさせることしかできない女神が認めてくれた。




 ―――歴代最高の勇者に。




 おわり。

勢いだけで書いたので矛盾や伏線放置あったらごめんなさい。感想頂けると嬉しいです。

乙 可愛かったよ
後輩ちゃんとはどうなったんだ?

>>117

一応好評だったら続編もやろうかと思ってて、後輩ちゃんは勇者としての力を手放す予定です。男と結ばれるかどうかは未定です。

先輩はあの時男に惚れて以来、変な暴走をする予定です。

でも、もし続編やった場合は女神じゃなくて皆大好きな僧侶ちゃんか魔法使いちゃんが来る予定です!

まぁあくまで某ssまとめにまとめられた前作に対するコメを読んで勢いだけのssの良さを少しでも見て貰うために作った話なので、続けるかどうかは今のところ未定です。

二次創作で一つやりたいなぁってのもありますし。かなり(キャラが)マイナーなクロス作品ですけど。

エピローグより少し前 学校 屋上


男「はぁ~……」

男(結局、勇者になったからと言って、地球じゃその能力を生かすことはできないんだよなぁ……)

先輩「………」タタタッ

男「いっそ格闘家になるか? ……でも、そんな卑怯な真似は勇者の風上にもおけないし…」

先輩「……あ…」サッ

男(警察官? それも悪くない。けど、俺は悪を取り締まりたいだけなのか?)

先輩「………」ジーッ///

男(いっそ世界中を旅してまわるか? 世界には苦しんでる人たちがいる……)

先輩(昨日練習した通りにやれば大丈夫……)ドキドキドキ

男「………」

先輩「……お、男君♪」ポンッ

男「………」

先輩「………男君?」プニプニ

男「おわっ、先輩!?」ビクッ

先輩「ひ、久しぶりね///」

先輩(やっぱり男君かっこいい……///)ジーッ

男「あれから、危ない目にあってませんか?」

先輩「う、うんっ大丈夫だよ」ニコッ

男「!!」ドキッ

女神『勇者』ニコッ

男「………」

先輩「?」

男「そ、そういえば先輩ってもうすぐ卒業ですねっ」アセアセ///

男(先輩の顔見て女神の事思い出すなんてサイテーだ!!)

先輩「うん……」

男「……先輩?」

先輩「………」モジモジ

男「進学も決まってるんですよね?」

先輩「うん……某国立大学」

男「すごいじゃないですか!」

先輩「うん……」シュン…

男「???」

男(嬉しくないのか?)

先輩「あ、あのねっ」

女「男君! 探しましたよっ」ハァハァ

男「あ、まお――」ハッ…

男(しまったあいつはクラスメイトんお女じゃねーか!!)

女「まお?」

男「あ、いや、こっちの話」

先輩「あの時の……」ジーッ

女「ふぇ!? せ、先輩!?」

男「知り合いだったのか?」

女「ちょちょ、ちょっとこっち!」ガシッ

先輩「………」ムッ…

女「男君、この学校のトップアイドルと屋上で密会する仲だったんですか!?」ボソボソ

男「ばっ/// ち、ちげーよっ、たまたま会っただけだよっ」

女「……良かった…」ホッ

男「えっ?」

女「あ/// そ、そのっ、男君に先輩は不釣り合いなんですっ///」

男「お、おう……」

女「あう……ごめんなさい…嘘です」シュン…

男「何で自分で言って落ち込んでんだ?」

女「……男君かっこいいですから、先輩と並んでるとまるで恋人同士みたいです……」フフ…

男「……んなことねーよ」

先輩「わ、わたしも混ぜてほしいな」ニコッ

女「わっ、ご、ごめんなさいっ」アセアセ

男「も、もう話は終わりましたからっ」アセアセ

先輩「デートの約束かしら?」プルプル

先輩(うぅ……確認とりたくないよぉ)

男「で、デートだなんてっ」

女「い、一回もしたことないですよっ///」アセアセ

先輩「??? あの時の――」

女「あの時?」

男「わーーーっ、せ、先輩こっちへ!」ギュッ

先輩「あっ///」ドキッ

女「………」ムッ…

男「あの時の人は女さんじゃないし、デート中でもなかったんですよ」

先輩「で、でも……抱き合ってほっぺにキスまで///」

男「あ、あう……誤解です…」

先輩「………」

男「………」チラッ



先輩「今すぐキスしてくれたら信じてあげる」ボソッ



男「えっ///」ドキッ

先輩「ふぇっ!?」

先輩(ななな、何言ってるの私ぃ!?)カァ///

男「どどど、どうしてそうなるんですか!?」アセアセ///

先輩「あ、あの……その……」モジモジ

男「………///」ドキドキ

先輩「私、男君のことが!」

男「!!」



――脳裏に浮かぶ女神の笑顔。



男「ちょちょ、ちょっと待ってください!」

先輩「!!」ガーン…

男「ほ、本当にあれは誤解なんです! 俺は誰とも付き合ってませんから!!」ダッ

先輩「あっ、男君!!」

女「男君!?」

男(何で今、俺は、くそっ……)ダダダッ



先輩「………」

女「………」



二人「………」ハァ…

廊下

男「あー……告白だったのかなぁ…」

男(もしそうだったら両想いだったのに……)ハァ…


後輩「あれ? せんぱーい」ブンブン


男「後輩ちゃん」

後輩友「ほんとだかっこいー」

後輩友2「私たちもいこっ」

男「あ、え、えっと……」

後輩「二人は私のクラスメイトの」

後輩友「後輩友です」ペコリ

後輩友2「後輩友2です」ペコッ

男「あ、ど、ども……男です」ペコリ

後輩「最近人気急上昇中の男先輩の事が見たいっていつも言ってたんですよ?」ニマニマ

男「へっ?」

後輩友「ちょ/// こ、後輩!」

後輩友2「先輩と知り合いたい後輩けっこういるんですよ!」

男「そ、そうなんだ……」

男(正直昔の俺なら跳んで喜んだだろうなぁ……)

後輩「ちょっとごめん二人とも先に行ってて」

後輩友「うん」

後輩友2「じゃあ先輩、次会ったら後輩いなくても話しかけて下さいね」ニコッ

男「あ、ああ……」

男「えっ、勇者の力手放したの!?」

後輩「………」コクリ

男「あんなに強かったのにもったいない……」

後輩「……良いんです。私は勇者の力なんて興味ないし……それに」チラッ

男「?」



後輩「私が勇者だったら先輩にお姫様だっこしてもらえないじゃないですかっ///」



男「っ///」ドキッ

生徒<オイキイタカヨ

生徒<リア充シネッ

生徒<クソーッアイツバカリーーッ


後輩「だから、もっと私にかまってくださいね♪」ニコッ

男「………」コクリ///

後輩(よし、作戦成功!)グッ

男(俺って幸せ者……なのか?)

いったんここまで離れます!

☆登場人物紹介☆

男……勇者になり損ねた勇者

 とある女神によって勇者に選ばれるが、異世界への移動手段がなく断念。紆余曲折あって地球に留まることに。先輩に片思いしていたが、様々な出会いと別れで……?

◆―――◆

女神……ハゲ魔法の女神

 自称優秀な女神。勇者召喚の儀式で魔力の量をまちがえて地球へ転移してしまう。人をハゲにする魔法しか使えないため元の世界に帰れなかったが無事帰ることができた。お漏らしをしたのは地球で二回。

◆―――◆

魔王……フサフサ魔法の魔王

 一時は世界を征服したが部下の謀反によって魔力を奪われて地球へと送られる。心が純粋(魔王として)なため騙されやすい。趣味は人を惨殺すること。お漏らしは一回。死にかけること数回。

◆―――◆

後輩……伝説の勇者。

 女神とは違う女神によって勇者なった男の後輩♀。男への憧れから勇者になったため、あまり勇者としての気質は備わっていない。女神の説教によって縛られていた心が解放される。現在は勇者の力を手放し男を射止めようと奮闘中。

◆―――◆

先輩……おっとり系策士。

 いわゆる学校のアイドル。常に落ち着き払っていて気品があり、ダメなものはダメとはっきり言う。ヤンキー達に襲われた事件以来男への想いを募らせすぎて(こじらせて)暴走気味に。男は女(魔王)と付き合っていると勘ぐっている。

◆―――◆

幼馴染……パンツを投げた少女。

 男のよき理解者だがしばしば暴走してしまう。男が女神のパンツ(びちょびちょ)をぶつけられると、それが好きなら自分の分も投げてやるわよ、とトイレに行く豪傑っぷり。思いは基本報われない。

◆―――◆

女……魔王に似た同級生。

 基本敬語の男のクラスメイト。まだ出番が少ないが、男のことを慕っている模様。

◆その他◆

姉……姉様と男に呼ばれている実の姉。女神のパンツを持って出かけ、それを男に投げつける豪快さを持つ。

妹……お兄様と男を呼び慕う義理の妹。少々妄想癖があり、男の恋模様を勝手に妄想している。

後輩友1・2……男に憧れている後輩の友達。あくまでも恋心ではない。

ヤンキー達……現在は改心して真面目に生きている。

不良達……トラウマで引きこもり中。

夜 男の部屋。


男「……えっと…」

僧侶「……ここは、天国でしょうか?」キョロキョロ

男「いや、ここは俺の部屋だけど……」

男(この格好ってどう見ても某国民的RPGの僧侶の格好だよな……)

僧侶「オレノヘヤという場所ですか……」ハァ…

男「いや、場所は地球の○○って場所だけど」

僧侶「地球……?」

男「うん」

僧侶「●●ではないのですか?」

男「うん、違うよ」

僧侶「……では、失礼します」ペコリ

男「あ、うん……」



――ガッガッガッ



男(あ、やっぱり階段下りるとあの音がするんだ……)

<マ、マホウツカイサン!!

<ウワッ、アンタダレダ!?

<ナンデソンナコトイウンデスカーッ

<ダ、ダキツクナッ! オソウゾ!

<キャーッマホウツカイサンノエッチー!

男「………あーもう!」ダッ

僧侶「あう……あれはそういうモンスターだったのですか…」シュン…

男「あれは相当危険(百合的な意味で)だから気を付けるんだよ」

僧侶「はいっ」ニコッ

男「で、どうしてここに来たか覚えてないの?」

僧侶「……いえ、たぶん賢者さんが使った魔法のせいかと……」

男「?」

僧侶「賢者さんはずっと遊び人で勇者様に迷惑をかけていたんですが、賢者になった途端に勇者様を束縛し始めたんです」

男(やっぱ勇者ってたくさんいるんだ)

僧侶「私は魔法使いさんと戦士さんが勇者さんと仲良くしてるのを外から見るのが好きだったのですが、ある時勇者様から告白されまして」

男「へー、旅の途中に告白する勇者なんているんだな」

僧侶「そうですよねっ!」ガシッ

男「ほへっ!?///」カァ///

男(きゅ、急に手を握ってこないでっ!? しかもおっぱいでかい当たってる!!)

僧侶「勇者様は禁欲的であるべきだと思うんです!」ウルウル

男「そ、そこまでは言ってないけど」

僧侶「私は断りました。けど、意地になった勇者様は私にべったりくっつくようになって……それで」

男「嫉妬した賢者に飛ばされた、と」

僧侶「はい……私はただ人々を救う旅がしたかっただけなのに」ギュッ

男(ほえぇぇぇっ!?)

僧侶「すみません。あなたの清らかな心に触れているとつい……」スリスリ



男「分かった、君の所為だ」

僧侶「???」キョトン

男「いきなりこんなことされたらどう思う!?」ギュッ

僧侶「………照れます」エヘヘ///

男「勇者にされても?」

僧侶「勇者様はそんなことしません」キッパリ

男「でも、してきたんでしょ?」

僧侶「あ、そうでした」

男(天然……なのか?)

僧侶「あ、あの……///」モジモジ

男「?」

僧侶「あなたに抱きしめられると……すごく落ち着くんでもう少しだけ…」ギュッ///

男「い、いや……それは///」ギュッ

僧侶「ふふっ、うれしいです」ギューッ

男(な、なんだこの魔性の僧侶は!?)

僧侶「私……これからどうすれば良いんでしょう」

男「……うーん…」

男(後輩ちゃんが勇者の力を手放してなければなんとかなったんだけどなぁ……あ、でもあの世界かどうか分からないしな……)

僧侶「……なんだか眠くなってきちゃいました」ヌギヌギ

男「はぁ!?」

僧侶「……すみません。濡れタオルとかありませんでしょうか?」

男「え、えっと何の為かな……」

僧侶「汚れを拭くためです」ニコッ

男「………」

僧侶「こ、これがお風呂というものですかっ!」コウフンッ///

男「………」

僧侶「で、ではさっそく湯船に……」スッ

男「あ、ちょっと待って、先に身体洗おうか」

僧侶「……洗っていただけるのですか?」

男「……ちなみにいつもは誰に拭いてもらってたの?」

僧侶「魔法使いさんと勇者様です」ニコッ

男「そりゃ勘違いするわな……」

僧侶「?」

男「俺、男だけど裸見られて平気なの?」ワシャワシャ

僧侶「はい、あなたは心の清い方ですから」ニコッ

男「………」

僧侶「あ、もう少し強くこすってもらってもかまいませんよ?」

男「………///」ゴシゴシ

僧侶「んっ///」ビクッ

男「あ、ごめっ///」

僧侶「はぁはぁ/// お、お上手ですね///」ハァハァ…

男「お、おっぱいとかは……」ハァハァ///



僧侶「お願いします……ね」モジモジ///



男「」ムクムク



勇者のひのきの棒はタケヤリになった!

男の部屋

男「」ボロボロ

僧侶「この世界では男性と女性は一緒にお風呂に入らないんですか……」

姉「そうね。まぁ恋人同士ならありえるけど、てかたぶんあんたの世界でも一緒よ」

僧侶「えっ」

姉「簡単に言えばあんた騙されてたのよ」

僧侶「……そ、そうだったんですか……」シュン…

男「勇者は騙すようなことをして平気だったのか…?」ギリッ

僧侶「あ、あのっ、ゆ、勇者様は悪い子じゃないんです! ただちょっとませてる部分はありますが……」アセアセ

男「?」

姉「ちなみにその勇者様って何歳なの?」




僧侶「10歳ですが?」




男「」

姉「なるへそ」

中途半端ですがいったんここまでです!では!

姉「つまり、我が弟は10歳の勇者と同じ扱いを受けて一緒にお風呂入ったり抱き合ったりしてたわけか」

男「………あう」

僧侶「何か問題がありますか?」キョトン

姉「他にはどんなことをその勇者君としてたの?」

僧侶「そうですねぇ……おやすみのほっぺにチューとかですかぁ?」

男「っ!!」ピクッ///

姉「何で今反応したのかなァ?」ニマニマ

男「な、なんでもねーよ!!」アセアセ



僧侶「今して欲しいのですか?」チュッ




男「ほぇ!?」カァ///

姉「あらまぁ」



扉の外


妹(とうとう女神も魔王も捨てて、僧侶に行きましたか。お兄様の性欲はとどまることを知りませんね)テクテクテク

男「それで、僧侶さんは――」

僧侶「僧侶と呼んでください!」グイッ

男「そ、僧侶は元の世界に戻りたいのか?」

僧侶「はいっ、それはもう!」

男「なら後輩にたのん……あ」

男(あれ……後輩は勇者の力を失っている……どうすれば…)

僧侶「……あ…」

男「えーっと……ごめん」

僧侶「……そう…ですか」シュン…

姉「まぁまぁ、当分二人で暮らしぃや」ポンポン

男「えっ?」

姉「私らはアンタが勇者になった記念に世界一周旅行を予約してたから、今日から一か月くらいいないよー」




男「……え?」




家族「「いってきまーーーす」」

僧侶「行ってらっしゃいませー」ニコッ

男「……え?」

男「………」

僧侶「~~~♪」ホジホジ

男(ま、まさか男の夢である女の子に耳かきを異世界の僧侶にやってもらえるとは!!)

僧侶「痛くないですか?」カリカリ

男「う、うん///」

僧侶「それじゃあ、次は私のもお願いしますね」ニコッ

男「ふぇ!?///」

僧侶「?」

男「あ、ああ……」

お風呂


男(凄い体験をしてしまった……)チョポン

男(耳かきであんなに悶えるものなのか……?)チャプチャプ

僧侶「いーお湯ですねぇ」ニコニコ

男「そうだねー」チャプチャプ

僧侶「~~~♪」

男「僧侶っておっぱいでかいなー」

僧侶「そうですか? 賢者ちゃんはもっと大きいですよー」ニコニコ

男「マジかよ……」

僧侶「それじゃあ私は先に上がりますねー」ザパァ

男「ああ(毛も青色か…)」





男「……は?」チャプンッ






男「それじゃあ、学校に行ってくるけど、大人しくしておくんだよ」

僧侶「はいっ♪」

男(心配だな……)



学校

男「おはよう」ガラッ

女「男君、おはようございます」ニコッ

男「ま……女さんおはよう」

女「ま?」

男「な、何でもないっ」アワワっ

男(ほんと魔王にそっくりだなぁ……)

イケメン「男君、おはよう」シャララァンッ

男「イケメン……今日もしっかりイケメンだな…」

イケメン「僕の事より君の事を教えて欲しいなぁ」

男「俺?」

青年「お前、先輩と良い感じなんだろ?」

男「うっ……」


先輩『男君! 私はあなたのことがっ!』


男「……良い感じ…じゃねぇよ」

イケメン「そうなのかい?」

青年「じゃあ、後輩ちゃんは? あの子下の学年で一番人気があるんだぜ」

男「え、そうなの?」

イケメン「学校一のアイドルと、一年生のアイドルと噂になるなんて、君は本当にすごいな」

男「いや……イケメンほどじゃねぇよ」

青年「それに、二年のアイドル女とも仲良いしなっ」ニッ

女「せ、青年さん!」アワアワ

男「???」

青年「さらに、幼馴染とも仲良いんだろ?」

イケメン「幼馴染? 可愛いのかい?」

青年「ああ、中学の時ダントツ人気だったな。男を前にすると暴走するけど」

男「幼馴染は幼馴染だよ」ハハハッ

イケメン「腹立つねぇ」

青年「同感だ」

男「えぇ!?」

屋上

男「あの後も、質問攻めにあった……」

男(くそー……俺は先輩と付き合いたかったんじゃなかったのかぁ…)

男「くそーーっ、先輩とエッチしてーーーっ!」



先輩「ほ、ほんと?」



男「」

男「ふんっ」ドゴッ

先輩「がふっ」ドサッ

男「し、しまった……つい勇者の力を利用して気絶させてしまった!」

男(き、記憶を奪う方法なんてないし……どうすれば!?)アウアウ

男「こうなったら責任をとる……し…」



 往々にして、主人公と言うモノは女性の裸を見て不幸だと叫ぶものだが、ヒロインは落下するものである。


 なぜ落下するか。


 それは、ヒロインは落下をしても自力でなんとかできない非力な存在であることを示すためである。

 そして、主人公はヒロインを抱きかかえる。

 舞台を見ている男たちはその瞬間、主人公に同調してヒロインを助けたという達成感と、か弱いヒロインを助けたと言う優越感に浸るのである。



魔法使い「………」ヒューッ



 落下する黒い塊。

 それが人だと認識した瞬間には男は腕を伸ばしていた。

 抱きかかえる。

 男は両腕に収まった少女を軽いと感じる。


 魔法使いの少女はゆっくりと目を開く。


 その光景はまるで運命の出会い。物語の主人公とヒロインが初めて出会った瞬間のよう。


男「あ、あの……」

魔法使い「………」


 虚ろな瞳。事態を把握していないのだろう。

 それでも、誰かがそばにいてくれるだけで安心したのか、再び眠りに着こうとした。



 気絶させてしまった少女と眠ってしまった少女。



 二人の少女を前にして男はただ頭を抱えるのみであった。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom