男「あ、やべぇ」女「えっ?」 (94)

男「授業サボって屋上来たのはいいけど何するか考えてなかったわ」

女「あ、あの」

男「携帯も置いてきたし暇潰すものも見当たらない」

男「あー暇やわーマジで暇やわー」

男「どっからか可愛い女の子降ってこないかなー」

女「え、えっと、その」

男「あー…暇だ…暇」

男「zzz......」

女「……」

キーンコーンカーンコーン


男「zzz......ん?もう昼休みか」

男「ふぁ~あ…コンクリで寝たから腰いてぇ」

女「…お目覚めですか?」

男「ん?」

女「…とても楽しそうな顔をしていますね」

男「なんだお前、いきなり出てきて失礼な奴だな」

男「俺の顔は面白くない」

女「す…すみません」

男「よし許す」

女「えっ?」

男「謝ったら許す。それが基本だろ?」

女「…そ、そうですね」

男「おう」

男「ところでお前なんて名前なんだ?」

女「私…ですか?」

男「うん」

女「…女です」

男「女ね、いい名前じゃん」

女「そ、そんな…」

男「俺は男、ま、同じサボリ仲間同士仲良くしようぜ」

女「あ、えっと…」

男「違うのか?」

女「…よ、よろしくお願いします」

男「おう」

男「あ、やべぇ」

女「…どうしました?」

男「腹減った」

女「まぁ…」

男「そういや弁当教室だった。あぁ面倒くさい」

男「ちょっと飯食ってくる。じゃあな女」

女「…はい、さようなら」


ガチャ…バタン











女「……」

‐教室‐


男「モグモグ」

友「おまえさぁ…」

男「ん?」

友「…いや、なんでもない」

男「なんだよ気味悪いな」

友「だってお前、いきなり消えたかと思いきや昼休みにはちゃっかり戻ってきて弁当食ってんだもん」

男「何で?昼休みに弁当食うのは当たり前じゃん」

友「いや弁当の話じゃねーよ。授業受けろって話だよ」

男「えー」

友「お前…内申響くぞ?」

男「一般で受けるからどうでもいいや」

友「いやそうだけどさぁ…お前俺と一緒の高校行くんだろ?」

男「そのつもり」

友「だったら勉強しろよ。俺が目指してるとこ結構偏差値高いぞ?」

男「お前に勉強教えてもらうから大丈夫。頼りにしてるぜ相棒」

友「やべぇコイツ殺してぇ」

幼「何の話してるの?」

男「友に勉強教えてもらう話してた」

友「おいなに綺麗に話まとめてんだしばくぞ」

幼「あら、男にしては真面目な話じゃない。頭でも打ったの?」

男「失礼な奴だな。俺はいつでも真面目だ」

幼「へぇ…じゃあいつも真面目に授業サボってたのね」

男「あ、やべぇ」

幼「今日はお腹が痛い、昨日は胸が痛い、一昨日は頭が痛いって教室出ていったっけ?」

友「だんだん下半身に移ってるな、痛み」

幼「それで明日はどこが痛くなるつもり?足?」

男「チンコが勃って痛いでオチをつけようかと…」

幼「なっ…!!」

友「ぶっ」

男「あ、やべぇ、これ言ったら面白くねぇじゃん。どうすんだよオイ」

幼「どうかしてるのはアンタの脳味噌よ!何であんたはいつもいつも!」

友「まぁまぁ」

男「そんなに怒るなよ。血が漏れるぞ?」

幼「!?」バッ!

友「え?何?どゆこと?」

幼「知らない!」

幼「(えっ…何?臭うの?何で…?)」

幼「と、とにかく…そんな陳腐な事考えてる暇あるなら受験勉強でもしなさいよ」

男「バカヤロウ!チンコ勃ったら大変なんだぞ!!もっこり隠さないといけないし皮にチン毛が絡まっt」

幼「ちぎるわよ」

男「ごめんなさい」

友(怖ぇ…)

幼「…はぁ、アンタ達相手にしてたら頭痛くなってきた」

男「頭痛薬なら保健室にあるぞ」

幼「うるさい!」

友「ん?どこ行くんだ」

幼「…職員室よ。次の授業のプリント、先生に取りに来いって言われてるの」

男「分かった、じゃあまた放課後な」

幼「……」トコトコトコ

男「ツッコんでくれなかった…」ガーン

友「ドンマイ」

‐屋上‐


ガチャ


男「ふぅ…」

男「お」



女「……」

男「よう、また会ったな」

女「あ…はい」

男「いつも貯水タンクに登ってるよな。高いとこ好きなの?」

女「……」

男「おーい…」




女「…あなたは、空を飛びたいと思ったことがありますか?」

男「んん?」

女「空を飛べば、今までに見たことない世界が見えるかもしれません」

女「でも、飛ぶことで見えてしまう悲しい現実を知ってしまうとしたら…」

女「あなたは空を飛ぶことを躊躇しますか?」

女「私は、飛んでみたいです」

女「今、私が立っているこの世界から逃げることができるのならば…」

女「私は空を飛びたいです」

女「あなたは、空を飛びたいですか?」







男「宗教の方ですか?」

女「違います」

男「……」

男「あのさぁ」

女「はい」

男「空飛んでどうするの?」

女「…えっ?」

男「飛行機とかヘリコプターでも空飛べるじゃん」

男「別に特別な事でもなんでもなくね?」

女「…あっ」

男「な?」

女「…たとえ空を飛んだとしても、人が人に与える苦しみからは逃れる事が出来ない」

女「あなたは、そうおっしゃりたいのですね…」

男「んん?俺馬鹿だからよく分かんねぇや」

女「…クスッ」

男「あれ?今笑った?」

女「えっ…?」

男「てっきり笑わない奴だと思ってたから」

女「私…今笑いましたか?」

男「うん。凄い可愛い顔してた」

女「えっ…!?」

男「あ、赤くなった」

女「か、からかわないで下さい…」

男「からかってないし」

女「も、もう…」

男「あ、やべぇ」

女「えっ?」

男「そろそろ授業終わるじゃん。早く戻らねぇと」

女「…終わり際に戻るのですか?」

男「おう、タイミング逃したらせっかくのネタがお釈迦になっちまう」

女「そうですか…」

男「明日もここにいるの?」

女「…だと、思います」

男「そうか、じゃあまた明日だ」

女「…はい、さようなら」


ガチャ…バタン



女「……」

‐教室‐


ガラッ


男「よし間に合った」

?「ほぅ…何が間に合ったのだというのだ?男よ」

男「(うわ鬼畜眼鏡かよ…)いやすいません先生。ちょっと身体痛くて保健室行ってました」
 
キチメガ「ふん…今更お前の言い訳のなど聞く耳持たんな」

男「いや今回は本当なんですよ先生。今日俺チンp」グシャア

男「」

幼「先生、男君がどこからか降ってきた六法全書が股間に当たって気絶しているので保健室に連れていってもいいですか?」

キチメガ「…え?あ、あぁ、いいぞ。うん」

幼「では行ってきます」ズリズリ


チョ…ヒキズラナイデ…コスレ…


友(今日のオナニーは床オナで決まり)

‐保健室‐


男「…ん、どこだここ」

幼「保健室よ。あんたが階段で股間ぶつけて気絶してたのを私が運んできてあげたの」

男「そうだったのか…どーりでヒリヒリする訳だ」

男「ありがとな」

幼「どういたしまして…はぁ」

男「どうした?ため息なんかついて」

幼「別に…ただあんたのせいで私まで授業サボる羽目になっちゃったから」

男「戻ればいいじゃん。俺はここで寝るから気にすんなよ」

幼「嫌よ、恥ずかしいじゃない」

男「何がだよ」

幼「あんたに関係ない」

男「(すごく理不尽。つらい)」

幼「…ねぇ」

男「ん?」

幼「男ってさ、何で最近授業すっぽかしたりするの?」

男「んー?何でそんなこと聞くんだよ」

幼「別にいいじゃない。何か理由でもあるんでしょ?」

男「いや、特にない」

幼「ないってあんた…」

男「単に授業が面白くないていうのが一番の理由」

幼「勉強なんだから面白くない授業があるのは当たり前でしょう。少しは努力しなさいよ」

男「努力ねぇ…」

幼「珍しく教室に居るなって思ってたら授業始まるとすぐ寝るし…」

幼「いきなり立ったと思いきや馬鹿みたいなこと言い出すし…」

男「いやぁ寝てると妙にインスピレーション働いちゃって」

幼「なによそれ…」

男「大丈夫だって。別に頭おかしくなった訳じゃないし」

幼「あんたが頭おかしいのは知ってるわよ、何勘違いしてるのよ」

男「あぁ…ソウデスカ」

男「何とかなるんじゃね?」

幼「ならないから言ってるのよ」

男「俺には友もお前もいるしな。教師役には困ってないぜ!」

幼「あんた…高校受験を中間テストか何かと勘違いしてんじゃないでしょうね?」

男「心配すんな。何とかなるさ」

幼「いや、だからならないのだってば」

男「お前は高校どこ目指してんの?」

幼「一応友とあんたと一緒の高校よ」

幼「…ってこの前三人でそこ目指そうって約束したじゃない!」

男「あれ?そうだっけ?」

幼「…そろそろ本気で怒っていい?」

男「冗談だよ冗談!ちゃんと覚えてるって!」

幼「もう…」

男「まぁでも三人一緒に行けるかどうかは分からないけどな」

幼「だーかーら勉強しなさいっていってるのっ」

男「うーん…」

幼「あんたそんなに勉強嫌いだった?違うわよね?」

男「何だかなぁ…」

男「やる気、出ねぇんだよなぁ」

幼「えっ?」

男「勉強したくなくなった」

幼「…どうしてよ?」

男「いや、授業サボってみたら分かったんだけどさ?」

男「屋上とかで寝てるとさ、雲がすげぇ綺麗に浮かんでるんだよ」

男「俺の事とかどうでもいいような感じでぷかぷかしてんだよあいつら」

男「そのくせ太陽が輝いてるからあいつらすげぇ綺麗に見えるワケよ」

男「そういうの見てるとさ…何か俺が考えてる事なんて無茶苦茶小さい事なんだなって思うんだね」

男「んで考えるのやめてみたら色んなことにやる気が起きなくなっちまった」

男「もうあの雲みたいに流されるままの生き方でいいんじゃなね?って感じだよ」









幼「…ねぇ、やっぱりあの事、まだ根に持ってる?」

さるくらったらそれまでだ
おとせおとせ

男「なんの事だよ?」

幼「アンタがおかしくなったのって、あの日からじゃない」

男「……」

幼「…やっぱり、そうなんだね」

男「……」

男「…別に」

幼「嘘。絶対あの事が原因よ」

幼「あの日からずっと、アンタとまともな話してない」

幼「私が真面目な事言おうとしたらすぐふざけて逃げちゃうし」

幼「今だってそうじゃない」

幼「…私、アンタの考えてることが分からない」

男「……」

幼「授業が理解できなくてつまらないなら私が勉強教えてあげる」

幼「先生が嫌いなら私が他の先生に担当してくれないか頼んでみる」

幼「あの事が嫌だったなら…謝るから」

幼「だからそんな不良みたいなことしないで」

幼「私、あんたが堕落していく姿なんて見たくない」

幼「…お願い」

男「……」

幼「…男?」

男「別に、何をしようが俺の勝手だろ」

幼「ちょっと…!」

男「安心しろよ。俺にサボリ癖がついたのはお前のせいなんかじゃない」

幼「待って!私が言いたいことはそういうことじゃ…」

男「じゃあな。お前はちゃんと教室戻れよ」




ガチャ・・・バタンッ





幼「…ばか」

‐翌日、屋上‐


ガチャ


男「ふぅ…今日は風が気持ち良いなぁ」

男「さて…」






女「…あ」

男「お、いたいた」

女「お、おはようございます…」

男「おう」

男「……」

女「……」

男「…何か喋ろうよ」

女「えっ!あ、はい…そうですね」

男「……」

女「……」

男「……」

女「……」

男(なんだこの空気)

女「あ、あの…」

男「ん?」

女「男さんは…その、どうして授業に出ないのですか?」

男「…昨日も同じこと言われた気がする」

女「え?私、昨日も同じこと言いましたか…?」

男「あ、そうじゃなくて…まぁいいや」

男「俺が授業サボってる理由か…」

女「……」

男「…反抗、かな」

女「反抗…?」

男「そ、反抗」

男「ちょっと色んな事に逆らいたくなってさ」

男「ほら、俺たち中学生じゃん?反抗真っ盛りの時期だろ?」

男「だから俺もその流行りに乗って一度しかない中学校生活を楽しく過ごそうかな~って寸法なワケ」







女「…それは」

男「ん?」

女「それは、自分では乗り越えられる事が出来ない壁にぶつかったからですか…?」

男「……」

女「…人は、自分を中心に世界が回らない事を知ると、それを受け入れようとはしません」

女「例えそれを他人が証明したとしても、それを受け止めるには多大な勇気と忍耐力が必要となります」

女「しかしそれを受け入れることができない人にとってその壁は苦痛にしかなりえません」

女「絶望や焦燥、嫌悪などから感じられる苦痛は、やがて怒りへと変化します」

女「それは他者への暴力、又は責任放棄という形で表れる事が多いです」

女「そして次第に第二者、第三者へと芋づる式に感染していき…」

女「…負のスパイラルが完成します」

男「……」

女「す、すみませんっ…私、すごく失礼なこと言ってしまって…」

男「…俺さ、基本頭悪いから女の言ってること殆ど理解できないんだけど」

男「俺が説教されてるって事だけは分かった」

女「……」






男「…分かってるんだよ。俺の自業自得だって事」

男「自分の中できちんと気持ちの整理はつけたつもりだし、あいつらとも普段通りに接してる」

男「…でもな、やっぱり嫌なんだよ」

男「俺の周りの環境がすこしでも変わっちまうのが、すごく嫌なんだ」

男「少し前の日常はもう戻ってこねぇんだって思ったら、急に何もかもつまんなくなって」

男「授業サボったら面白い事でもありそうだなって思ったけど…結局何にもねぇ」

男「だからもう、卒業までこのままボーッとしてるだけでもいいかなって思ったんだ」

男「どうせ、俺一人が抜けたところで何も変わりはしねぇみたいだしな」

女「それは違うと思います」

男「…何で?」

女「人一人が与える影響は、確かに地球規模で測るとちっぽけなものかもしれません」

女「けど、男さんの周りにいる人々にとって、男さんの変化は大きな影響を及ぼします」

男「…俺が誰かに影響与えてるって言うの?」

女「はい」

男「んな馬鹿な事あるわけ…」

女「神に誓います」

男「…な、何でだよ?」

女「例えば、男さんが授業に出ない事で先生やお友達は『どうして授業に出ていないの?』と思うはずです」

女「そしてその影響力が強ければ、男さんを更正しようと思う人も出てきます」

男「こうせい?」

女「えっと…男さんが授業にきちんと出るように行動する人がいるかもしれないって事です」

男「……」

男「…女ってさ」

女「はい」

男「超能力とか持ってるの?」

女「…はい?」

男「いや、さっきから言ってることがビシビシ当たってる気がするから」

女「え、ええっと…とりあえず、超能力は持ってないです…」

男「嘘付け、絶対持ってる」

女「持ってませんってば…」

男「んー…」

女「な、なんですか?」

男「……」ジーッ・・・

女「そ、そんなに見つめないで…」

男「……」

女「や、やめて下さい…」

女「恥ずかしい…です」

男「…やっぱ分かんねぇや」

女「も、もう…からかわないで下さい」

男「からかってないぞ」

女「…グスン」

男「でも…」

女「は、はい」

男「女に話したら何か気が楽になった。ありがとな」

女「い、いえ、私はただ一人語りをしただけで…」

男「素直にどういたしましてって言えば可愛いのに」

女「かっ、かわ…っ!!」

男「ん?」

女「…意地悪な方ですね」

男「どこが?」

女「自分で考えて下さい…」

男「あ」

男「そういや女がサボってる理由聞いてないな」

女「私…ですか?」

男「うん」

男「女ってさ、見た目的にお嬢様って感じだし、俺が分からない事ペラペラしゃべるから絶対頭いいだろ?」

男「そんな奴が何でこんな所で空見上げてるんだって思うんだけど」

女「……」

男「…女?」

女「…私も同じです」

男「へ?」

女「私も、大きな壁にぶつかり、それを乗り越えようとしないで逃げているだけなんです」

男「…俺と同じ?」

女「…いえ、正確には私の方が質が悪いですね」

男「何で?」

女「男さんはすごいです。自分が悪いということが分かっています」

女「…私は、自分が悪いと思っていませんから」

キーンコーンカーンコーン…



女「…チャイム、鳴っちゃいましたね」

男「なぁ、それってどういう」

女「私、今日は用事がありますので帰りますね」

男「へっ?」

女「では、さようなら」



ガチャ

男「…おいっ!」

女「ひゃっ!…は、はいっ!」

男「…明日もここに来るか?」

女「は、はい…おそらく」

男「…そっか、じゃあまた明日な」

女「…はい、また明日」



バタン…





男「…なんだあいつ?」

男「ま、いいや。俺も帰るか」

寝ていい?

おやすみ

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