憧「個人戦、見学してくのね」【咲‐Saki‐】 (827)


憧「しっかり見てレベルアップよ!」

穏乃「楽しみですね!」


灼「羽目を外しすぎないように……」


晴絵「信用してるけど、問題起こさないようにね」


「「はーい」」」




三つ前:晴絵「個人戦は見学していくからね」晴絵「個人戦は見学していくからね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405084782/)

二つ前:灼「個人戦は見学して行くから……」灼「個人戦は見学して行くから……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1412412627/)

一つ前:穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429626227/)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454218342

咲SS

・阿知賀キャラ+他校キャラ

・短いのをちょこちょこ投下するスタイル

・のんやり進行

・安価は出しませんが、適当に拾って書けたものから順次投下します

引き続きよろしくお願いします

初見では分からんな
ネタでも提供すればいいんか?

穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429626227/l50)
前スレちゃんと貼れてなかったので

>>6シチュエーションとか書いておくと拾ったりキャラ名だけ書いておくとこちらでイメージしやすい組み合わせで拾ったりな場所です。放っておいても好き勝手書いてきます
基本的にインターハイ団体戦終了後(順位は清澄→白糸台→阿知賀→臨海)個人戦開始前時空ですが○○たんイェイ~だったり時事イベントネタだったりはリアル連動で時が流れてます(三月に玄と灼が阿知賀女子卒業)

明日明後日にでも適当にネタ用意して前スレ埋めるつもりです

立て乙
バレンタインネタが待ち遠しいな
あと節分ネタとかも見てみたいかも

前スレ埋めてきました
>>9節分とかすっかり忘れてました…明日中に書ければ短いの投下しますがノープランです


灼「おかえり」

やえ「どうも。 久しぶりね、元気してた?」

灼「……そこそこ?」

やえ「ふぅん……いきなりこんなこと聞くのもなんだけど、受験勉強はどう? 私と会ってて平気なの?」

灼「ちょっと息抜きってことで。 今さら焦っても仕方ないし……ちゃんとやることやってるし大丈夫だと思」

やえ「落ち着いてんのね……私が受験の時……っても高校受験だけど、晩成受ける前なんてかなり緊張したけどね」

灼「奈良で麻雀するならほとんど晩成一択だし、緊張するのは仕方ないと思うけど……照さん元気?」

やえ「元気も元気、相変わらずよあいつは……今日だって別件の仕事入ってるのに『やえだけお休みなんてズルい! 私も灼に会いに行く!』とかってゴネて……」

灼「……照さん」

やえ「あいつもなんだかんだストレス溜まってんのかしらね……日に日にアホになってる気がするわ。 ロールケーキ買ってやったらおとなしくなったから置いてきたけど」

灼「ロールケーキ?」

やえ「節分でしょ? 恵方巻に見立てたロールケーキとか売ってんのよ」

灼「ああ……それにしても照さん……」

やえ「呆れたやつよね、ほんと」

灼「なんだかんだ世話やいてあげてる癖に」

やえ「好きでやってんじゃないわよ! 面倒見てやらないと回りに迷惑かかるから……仕方なくだかんね!」

灼「はいはい、そですね」

やえ「ふんっ」


やえ「……松実は実家の旅館で働くんだっけ?」

灼「ん……打ちたいの?」

やえ「あいつに時間があるなら。 あいつのせいで去年の夏は一生忘れらんなくなったかんね……」

灼「あんまり威嚇しないでね? 玄、怯えちゃうから」

やえ「別に威嚇なんかしないわよ! あいつがビビりなだけでしょ!」

灼「玄もわかってるけどね……やえさん、誤解されやすいタイプだし」

やえ「……ずっとこうやって生きてきたんだから仕方ないでしょ。 今さら変えられないわよ」

灼「ふふ、そうかもね……あ、そこだよ、憧んち」

やえ「聞いてはいたけど神社なのね……つーか新子んちでよかったの?」

灼「広いし卓もあるから……麻雀クラブの子達も集まったり、普段からいつもお世話になってる」

やえ「そうなの……ちゃんと挨拶しとかないとね」

灼「今日はちょっとイベントやってるみたいだし、後でいいと思……忙しそうだったから」

やえ「……忙しいのにお邪魔しちゃっていいのかしら」

灼「いつものことだから構わないわよ、って」

やえ「……本当に申し訳ないわね」


やえ「お邪魔し……あ痛っ!?」

もこ「!! ……!? …………!!」

穏乃「あ、小走さん! お久しぶりです! 灼さんもお帰りなさい!」

灼「ただいま……もこ、もう来てたんだね」

もこ「…………!」

やえ「……い、いきなりなにすんのよ! 痛いじゃないの!」

もこ「……!!」

穏乃「あ、もこ! ダメだよちゃんと謝らないと!」

灼「……豆?」

憧「節分だし豆まきしようってしずが……そこにタイミング良くと言うか悪くと言うか……」

もこ「…………」

やえ「誰が鬼よ! 誰が! こんのクソガキ……!」

やえ「……ふん、元気そうじゃないの」

もこ「…………、……!」

やえ「相変わらず口の減らないガキね……ったく、ほんと腹立つわ」

穏乃「もう……もこも素直じゃないんだから……小走さん、もこもこんな風に言ってますけど本当は……」

もこ「……!!!!」

穏乃「いっ痛い痛い! ちょ、もこ! 噛まないで! 引っ掻かないでってば!」

もこ「……! ……!!」

穏乃「ごめん! ごめんって! もう言わないから!」

憧「……やえさんが帰ってくるって話をしたら会いに来るってもこから言い出したらしいですよ」

やえ「……あいつが?」

憧「そうなんですよ……百鬼さんも『もこがひとりで遠出なんて大丈夫なの!?』って……もこがこっち来るまでの間に滅茶苦茶心配して電話やメールが凄い来て……」

やえ「あいつも相変わらず過保護ね……そう、にしてももこがね……照にはよく懐いてたけど」

灼「もこもやえさんに似て素直じゃないから……ほんとはやえさんのことも好きなんで……痛っ」

もこ「!! ……!!!」

灼「お、落ち着いて……そんな顔真っ赤にして怒らな……じゃなくて照れてるのか」

もこ「……!!」

灼「いったたたたたい! 痛いっ!」


やえ「……こら、暴力に訴えるのやめなさいって前から言ってんでしょ」

もこ「……!」

灼「それをいいながら頭叩くのはどうかと……」

やえ「こ、これは……躾よ、躾!」

憧「躾って……犬猫じゃないんですから」

もこ「……! ……っ!!」

やえ「痛っ……こら! ちょ、豆を投げつけるのやめなさいよ!」

もこ「……!」

やえ「節分だから、じゃないわよ! だから誰が鬼だっての!」

灼「やえさんは鬼の面被ってるしね」

穏乃「ほんとは優しいんですけどねぇ」

憧「ただのツンデレでしょ」

やえ「新子! あんま調子乗ってんじゃないわよ!」

憧「なんで私だけ怒られるんですか!?」

もこ「……! ……!! ……? ……!?」

やえ「あら……弾切れみたいね? どうすんの? ……っていうかどんだけ豆投げてんのよ」

もこ「…………」

やえ「なに? 言いたいことがあるならはっきり言いなさいって前から言ってんでしょ」

もこ「……、…………」

やえ「……へ!? な、なに!? なによ急に!?」

穏乃「もこ! 急に飛びついたら小走さんがびっくりするでしょ!」

灼「武器がなくなって素直になったね」


もこ「…………」

やえ「え、そりゃまあ、私だって試合は頑張ってたけど……私よりも照の方が……」

もこ「…………!」

穏乃「もこの言う通りですよ! 小走さんの頑張りと照さんの活躍は別の話ですって!」

もこ「…………」

やえ「……ま、まあ、そうね……わ、私も……あ、会いたかったけど……試合、見ててくれたのね、ありがと」

憧「あ、デレた」

やえ「新子!」

憧「はーい……」

もこ「…………!」

やえ「え、ええ……ありがと。 あんたも……今日はひとりで来たんでしょ、偉いじゃない」

もこ「……!」

憧「いやいや、小学生じゃないんですから……」

灼「もこはほめられて喜んでるからいいんじゃない?」

もこ「…………」

やえ「うん……あ、あんたも元気そうでよかったわ。 百鬼のやつとも仲良くやってるみたいだし……」

憧「……なんかいちゃいちゃしてるしほっときましょうか」

灼「……そだね」

憧「あ、しず? キッチン行けばまだ豆まき用の豆あるし取ってきましょ。 お姉ちゃんが恵方巻の材料も用意してあるって言ってたし……」

穏乃「おお! さすが望さん! よぉし、玄さんと宥さん来る前に準備しちゃおっか!」

灼「……玄のことだから準備して持ってきそうだけど」

憧「……食べ物増える分には困らないっしょ! ちょっとぐらい多くてもしずが食べるし……」

穏乃「まかせてください!」




もこ「…………!」

やえ「なに? 食べろって? じ、自分で食べられるわよ」

もこ「……?」

やえ「……わ、わかったわよ、食べればいいんでしょ、食べれば!」

もこ「…………!」

やえ「むぐっ!? んむ……ぐっ……」

もこ「…………!!」

やえ「…………! ……!?」

もこ「…………!」

やえ「ぐ……げほっげほっ! ちょ、どんだけ詰め込むのよ! おいしい? じゃないわよ!」

もこ「…………」

やえ「あ……その、別に怒ってないわよ? ただ、加減と言うかね……」

穏乃「もこは加減を知らないからなぁ」

灼「律儀に黙ったまま食べきったね、恵方巻」

憧「……なーんか、ふたりとも牙抜けた感じになってつまんない」

灼「久々に会うしね……っていうかギスギスするの楽しみに待つのやめなよ」

憧「楽しみにってわけじゃないけど……ツンデレ大将軍の小走さんがこれだと……」

やえ「新子! 変なあだ名つけてんじゃないわよ!」

憧「はいっ! すみません! ……もう、なんか小走さん私にだけキツくないですか? 嫌われてるの……?」

やえ「なっ……き、嫌いだなんて言ってないでしょ!? べ、別にあんたの事なんて全然好きでもないけどね!」

憧「思ったより好かれてた!」

灼「おめでと」

もこ「……!」

やえ「あーもう! いいから黙ってなさいよ!」


カン!

節分
鬼役で真っ先に思い浮かんだのは某コーチだったけど友達ならともかく他校のコーチは距離遠くてパッと書けなかったでござる

鬼と言ったら霞さ(自主規制)

>>24霞さんってのどちゃん系かわいい枠じゃないんですかね…?初美ちゃん置いて海に行きましょうのくだりとか霞さんの好きな子に意地悪しちゃう子どもっぽさ好き。泣かれた途端手のひら返しちゃうとこも好き。内心焦ってるんだと思うとたまらんです

さえたんイェイ~
バレンタイン過ぎちゃったけど投下。


憧「…………」

バレンタイン……勝負の日が近づいている

料理やおかし作りなんかも練習はし続けているものの、やっぱりあまり自信はない

身近なところで相談するとしたら……お姉ちゃんに相談するのもなんか恥ずかしいし、そうするとやっぱり玄が適役になるんだけど……

憧「……近いのよね」

なにがって、送り先がだ。 相談して、一緒に作ったとして……あちらに届いたところで同じものが出てきたら特別感がないと思うし……

こう、やっぱり勝負に出たいわけだし、そういうのは大事にしたい……一応、玄に相談して別々のものを作るって手もあるけど、一緒にやったらなんだかんだでほとんど玄に作ってもらうことになるような気がしなくもない

どうせなら自力で用意したものを贈りたいし……

憧「むぅ……」

穏乃「おっはよー! ……どしたの? なんか難しい顔してるけど」

憧「…………」

しずか……しずかぁ……なんか、こういうことの相談相手に向いてるとは思えない……というか、全くもって向いてないんだけど……

憧「……ほら、そろそろバレンタインでしょ? こう、どうせなら凄いの用意したいんだけどさあ……」

穏乃「うーん……」

穏乃「あ! プロテインチョコとかどう?」

憧「……なんかいろんな意味で凄いけど却下」

穏乃「え!? なんで!?」

憧「いや、プロテインって……無いでしょ。 普通に考えて」

なにより乙女感ないし。 つーかそれチョコじゃなくってチョコ味のプロテインでしょ。 根本的に間違ってるから


憧「…………うーん」

案の定しずは役に立たなかった……どうしよっかなあ……灼さんはまだ忙しそうだから個人的すぎることで相談しにいくのも躊躇われるし……

宥姉……結局玄のとこに行くことになりそうだし、そもそも……うん、正直宥姉に相談してもチョコに関してはどうにもならないだろう。 背中は押してもらえるだろうけど

初瀬……散々からかわれるだろうし、あっちも得意分野ってわけじゃないからなあ……っていうか晩成ってガチの進学校だからすでに受験勉強始まってるみたいだし……そこまで根詰めてやってるわけじゃないだろうけど

憧「……というか、別に相談相手を近場に限定することもないわよね」

せっかくの文明の利器だし活用しない理由はないもんね

電話を取り出して……頼りになる人と言ったら……



巴『もしもし? 憧ちゃん?』

憧「巴さん! 助けてください!」

巴『え? え……ど、どうしたの!? なにかあったの!?』

憧「あ、いや……すみません、つい……その、そろそろ……ほら、あるじゃないですか……?」

巴『ある? なにが?』

憧「バレンタインですよ! 乙女的一大イベントじゃないですか! その、どうしようかなーって……」

巴『バレ……? あ、ああ、なるほどね……そっか、バレンタイン……』

憧「……あんまり興味ない感じでしたか?」

巴『ううん、そういうわけじゃないんだけど……うちはそういう……西洋由来のイベントってやらないから』

憧「あ……そっか、そういえばクリスマスに初美さんがそんなこと言ってたっけ……」

巴『バレンタインってことは、チョコレートの相談かな? 和菓子ならまだ知識もあるんだけど……あんまり力にはなれなそうかなあ』

憧「そうですか……」


巴『ごめんね、せっかく連絡してくれたのに……』

憧「いえ、そんな! こっちこそ急にすみませんでした!」

巴『ふふ、私は憧ちゃんが頼ってくれるのすっごくうれしいから遠慮しないでいつでも連絡してほしいな。 ……ところで』

憧「?」

巴『一応聞いておくけど、渡す相手って……』

憧「き、聞かなくてもわかってますよね?」

巴『あ、うん……だよね。 憧ちゃんも玄ちゃんも一途だし……っていうか、玄ちゃんに相談しないの?』

憧「……物が被ったらアレかなって思って」

巴『なるほど……それにしても大変らしいね? はっちゃん経由で聞いたけど、純くんすっごくモテるらしいし』

憧「そうなんですよね……なんでも一さんから聞いた話だと、あの龍門渕さんがバレンタインが近づくとテンション下がってくるレベルらしいですから」

巴『え!? ま、まさか龍門渕さんも……』

憧「ぅえ!? え、い、いや! そんなまさか! 純さん一人勝ちのイベントで自分が目立たないからってテンション下がるらしいですよ!?」

巴『ああ、そういうことか……びっくりしたあ』

憧「こっちの台詞ですよぉ! さ、さすがにまさか、そんな……ありえな……」

……いや、でも純さん控えめに言っても超カッコいいし

っていうか純さんと龍門渕さんって仲いいわよね、すごく

……いやいや、そういうのじゃないわよね? ありえないって! それならまだ一さんの方が疑わし……

……一さんも純さんとめちゃんこ仲いいわよね。 いつも一緒にいる気がするし……

……いや、でもなんだかんだ一さんは応援してくれてるしそういうのじゃ……

ああ、なんかもう全部が全部そういうアレに見えてきた……沢村さんも天江さんもそれぞれ純さんと仲いいしなあ……

そういえば、あの人たち龍門渕さんのお屋敷でみんな一緒に住んでるのよね……羨ま……じゃなくって、そんな、家も学校も一緒とか一日中一緒にいるのと同じじゃないの!

そんな、それだけチャンスがあればいくらでも……

憧「ととと巴さん! どど、どうしよう、そんな……ふきゅ」

巴『……うん、とりあえず落ち着こう? なにを想像したのかわからないけどたぶん大丈夫だから』


憧「……ふぅ、よし! すみません、取り乱しました」

巴『気にしないで、なんというか……もう慣れたから』

憧「あぅ……そ、そんな、私がしょっちゅう取り乱してるみたいに言わなくても……」

巴『ふふ、どうだったかな?』

憧「うぅ……まあ、そりゃあそういうこともなきにしもあらずかもしれないですけど……」

巴『憧ちゃんは……うーん、頭の回転も早いし、だから余計なことまで考えちゃうのかもね』

巴『大丈夫だよ、憧ちゃん前からお料理やおかし作るのも練習してたじゃない。 贈り物って大切なのは気持ちだと思うから……憧ちゃんが一生懸命作ったチョコを贈ればいいと思うな』

憧「巴さん……!」

巴『……純くん、すっごく鈍いらしいけど』

憧「……ちょっとぐらい気づいてくれてもいいと思うんですけどね」

巴『そうだね……もういっそはっきり言ってみたら?』

憧「ふきゅ」

憧「……が、頑張ってるんですよ? っていうか言ったこともありますし! それでも気づいてもらえないんですけど!」

巴『……それは、なんというか……御愁傷様です』

憧「……まあ、逆に言えば他の……ライバルたちも同じ状況の可能性も高いですし? この際長期戦で……」


――――――

うん、巴さんに相談したのは正解だった……色々とアドバイスももらえたし

……とはいえ、やっぱりチョコについてももう少し案が欲しいというか……よし!



和『もしもし? お久しぶりです、憧』

憧「和! ごめんね急に、今平気?」

和『ええ、少々作業中ですが……問題はありませんよ』

憧「作業? なにしてんの?」

和『もうそろそろバレンタインですから……当日に向けて準備を……』

憧「おっ! ナイスタイミング! ちょっとバレンタインの件で相談しようと思ってさぁ……」

憧「っていうかちょっと待った! 和、チョコ渡すような相手できたわけ!? どんな男!?」

和『いえ、いわゆる友チョコというやつです。 ゆーきに咲さんに……染谷先輩や竹井先輩にもお世話になっていますし……』

憧「なんだ……つまんないの」

和『つまんないって……そういう憧はどうなんですか?』

憧「ふきゅ」

憧「……そ、そりゃあ、なんというか……そ、相談したいって言ってるでしょ……そういうことよ」

和『ふふ、知ってますけどね』

憧「むぅ……で、和はどんなの用意してんの?」

和『タコスです』

憧「……ん? タコス?」

和『はい、チョコタコスを』

憧「…………それ、クレープって言わない?」

和『タコスです。 誰がなんと言おうとタコスなんです』

憧「えぇ……? っていうかなんでタコス?」

和『クレープよりもタコスの方がゆーきが喜んでくれるじゃないですか』

憧「わかるけど……なんか違くない?」

和『? なにがですか?』

憧「え……そう言われると難しいけど……」

優希『なにも間違ってないじょ!』

憧「あ、優希! なに、一緒に作ってんの?」

優希『いや、今日は私は試食係だじょ! のどちゃんがタコスをたくさん作ってくれるって言うからな!』

憧「……優希はチョコとか用意しないの?」

優希『私は私で用意するじょ? でもほら、今日はのどちゃんが私のためにタコスを作ってくれるから……自分が作ってる暇なんてないじぇ! もりもり食べるじょ!』

和『ふふ、ゆーきが喜んでくれると私も嬉しいです』

憧「……本番前に渡しちゃっていいの?」

和『どうせならおいしいものを用意したいですし……それならやっぱりゆーきに食べてもらう方が』

優希『さすがはのどちゃん私の嫁! こんなにおいしいタコスならいくらでも食べるじょ!』

和『ゆーき!』

優希『のどちゃーん!』

憧「……はいはい、ありがとねー」


なんなのよもう……いちゃいちゃしよってからに……!

それにしても、タコスか……まあ珍しいって点では目を引くかも……って言ってもまんまパクったとして和よりおいしいもの作れるとも思えないし……

憧「……玄のとこ行こ」

……仕方ないよね、うん。 やっぱり玄が一番の安牌だし、普段はともかくこういうのなら間違いなく頼りになるし……



――――――



憧「失礼しまーす……玄ー? いるー?」

……返事がない。 勝手知ったる人の家とはいえ、さすがにずかずか上がってくわけにもいかないし……

宥「ただい……あ、憧ちゃん、いらっしゃ~い」

憧「あ、宥姉お帰り!」

宥「うち来るの久しぶりじゃない? どうしたの~?」

憧「ほら、そろそろバレンタインでしょ? 玄にちょっと相談しようかなーって」

宥「ああ、そういうのなら玄ちゃんだよね~」

宥「今日、ちょっと特別なお客様来てるからたぶん松実館の方にいると思うんだけど……」

憧「あれ、忙しいやつ? そしたらまた日を改めて……」

宥「ううん、憧ちゃんが行って平気なやつだから……旅館の一番奥の部屋にいると思うから」

憧「……ああ、私も知ってる人? どこの誰?」

宥「ふふ、行ってからのお楽しみだよ~」

怜「んっふふ……にしてもバレンタインかぁ……青春しとるなあ」

憧「ふきゅっ……お、おお、園城寺さん!? いたんですか!?」

怜「そりゃあ居るやろ……なんたって大学には宥ちゃんしか友だち居らんしな」

憧「えっ……」

怜「冗談やからそんな顔せんでほしいんやけど……ふふ、それにしても憧ちゃんもええ感じのふとももになってきたなぁ……」

憧「ふきゅ!? ちょ、ふともも撫で回さないでくださいよ! っていうかどういう意味ですか!? 太ったってこと!?」

怜「大丈夫大丈夫、男だってちょっと肉付いてるくらいの方が好きやって」

憧「やっぱり太ったってことなんですか!? う、嘘よ、そんな……」


……とはいえ、ここ最近は麻雀以外はほとんどこたつでおかしつまみながらだらだらと過ごしてたし……

せ、制服のスカートも若干キツくなったような気がしなくもないような……

憧「……しずに相談してダイエットメニューでも組んでもらおっかな……」

怜「だから大丈夫やって! 私としてはもうちょっと肉付けてもええと思うで? 膝枕ソムリエの私が言うんやから間違いないわ」

憧「なんで私が園城寺さんに膝枕しなくちゃいけないんですか!?」

怜「いや、別に私にしなくてもその意中の相手にしてやりゃええんやない?」

憧「ふきゅ」

怜「まあ、当然私にも膝枕してくれたらうれしいんやけどな」

宥「怜ちゃんは相変わらず浮気者だねぇ……清水谷さんが聞いたら泣いちゃうよ?」

怜「そんなこと言うたら宥ちゃんが一番の浮気相手なんやけどな……はぁ、竜華のふとももが恋しいわ……」

憧「はぁ……玄んとこ行ってくる……」

怜「おー、私は宥ちゃんとおこたでだらだらしとるからな。 チョコの試作品ができたら持ってきてなー」

宥「わーい、憧ちゃんの手作りチョコだー」

憧「え、いや、別に今から作るとは……っていうかこたつでだらだらしておかし食べてなんて……太りますよ」

怜「私はちょっとぐらい太った方がええんや」

宥「うぅ……うーん、あんまり太っちゃったら嫌だなあ」

怜「ふふ、任せとき。 宥ちゃんのふとももは私がちょうどええ肉付きが維持できるように管理したるわ」

宥「それなら安心だねぇ」

憧「いやいや、なんでそれで安心できんのよ……」


園城寺さん、相変わらず変な人だ……でも、宥姉の面倒見てくれてるみたいだし……いや、宥姉が面倒見てるのかな?

……まあいいや、仲よくやってるみたいだし

…………太っただなんてさすがにダメージでかいなあ……せめてウエストだけでも絞って……っていうかどうせお肉付くなら胸の方から付いてくれればいいのに……

憧「はぁ……へこむなあほんと…………えっと……奥の部屋だから……っていたいた、玄ー」

玄「あ、憧ちゃん! ちょうどいいところに! これから呼ぼうと思ってたんだあ」

憧「私も玄に用があって……っていうか今日はお仕事? また今度にした方がいい?」

玄「平気だよっ! えへへ、このお客様の案内だけしたらそのまま自由でいいって言われてるから」

憧「あ、誰が来てんの? 宥姉もなんか言ってたんだけど秘密だって……」

胡桃「あれ、もしかして憧ちゃん来てる?」

憧「胡桃さんじゃないですか! どうしてここに!?」

胡桃「久しぶりっ! いやあ、余裕あるときに遊びに来てのんびりしようって話をしててね? 期末の課題超速攻で終わらせてのんびりしに来ちゃった!」

憧「会いたかったです! 胡桃さんに相談したかったこともあって……」

胡桃「へぇ、なになに? あ、とりあえず部屋入ろっか廊下寒いし!」

玄「私もちょっとお片付けしたら来ますね! お茶とおかしも持ってきますから!」

胡桃「いいよいいよ、そんな気を遣わなくて! それ、松実館のサービスと別でしょ? シロと豊音がおかしたくさん持ってるし!」

玄「そうですか? でも、小瀬川さんが……」

胡桃「シロのことは甘やかさなくっていいから! シロのためにならないからほっといて!」

玄「えぇ……っと……だけど……」

憧「玄、あんたも世話焼き過ぎだって。 ほどほどでいいのよ、ほどほどで」

玄「はぁい……」


憧「お久しぶりです!」

塞「あ、新子さん久しぶり! 元気そうだね」

白望「ども」

豊音「わぁ! 新子さんちょー久しぶりだよー! 元気? 他のみんなはどうー?」

憧「みんな元気ですよ! ……あの、エイスリンさんは……」

塞「さすがに日本までは来れなくてね……長期休暇入ったらみんなであっち行こうかって話をしてるんだけどね」

白望「パスポート取得ダルい……」

胡桃「そこをめんどくさがらない! エイちゃんに会いに行くんでしょ!」

豊音「シロ、松実館行くためにって課題とか一番に終わらせたのに……」

白望「将来の怠惰のためなら……ほら、こうしてるうちにも」

玄「お待たせしました! お茶とおかし用意してきましたよっ!」

胡桃「結局用意してる!?」

憧「あんた話聞いてなかったの?」

玄「えっと……ほら、お姉ちゃんたちに用意したついでだから……ね?」

白望「ありがと」

豊音「もらってばかりじゃ悪いし……ほら、玄さんも食べて食べて! おかしたくさんあるよー!」

玄「ありがとうございます、いただきますね!」


玄「そういえば憧ちゃん、私に用事って?」

憧「ほら、バレンタインの……」

塞「へぇ? なになに、お姉さんも相談に乗ってあげるよ?」

憧「……あからさまにニヤニヤしながら入ってくるのやめてくださいよ、臼沢さん」

塞「だってそんな面白そうな話、聞いておいてほっとけないでしょー」

豊音「わぁ、本命チョコってやつだよねー?」

憧「え、あ……ま、まあそうなんですけど……玄はどうするのかなーって……」

玄「わ、私? えーっと……」

白望「協力するよ、玄ちゃん」

胡桃「シロが!? ダルくないんだ!?」

白望「玄ちゃんが世話してくれるなら作戦ぐらい考える……」

憧「お世話を対価に……? わ、私だって玄ほどじゃないけど小瀬川さんの面倒ぐらい……」

塞「んっふふ、いいねぇ、青春してるねえ……私ももうちょっと若ければ……」

胡桃「塞は今より若いときもなにもなかったでしょ!」

塞「うるさいなぁ! 胡桃も同じだろ!?」

胡桃「い、言ってはいけないことを……!」

白望「ダルい……」

豊音「えー? でもでも、さえって結構モテてると思うんだけどなー」

塞「嘘っ!? マジで!? どこ情報!?」


豊音「どこって……私が見てる感じだけどー……」

塞「え!? マジで!? マジなの!? 気のせいじゃなく!?」

豊音「えっ……そ、そこまで疑われると自信ないよー……」

憧「……そこんとこどうなんですか?」

胡桃「……まあ、私たちの中じゃ一番かな?」

白望「面倒見いいし気も利くから……」

胡桃「大学でも基本シロの介護してるしそもそも鈍いから自分では気づいてないんだよね」

塞「えー……そうだったの? シロの世話とかしてる場合じゃないじゃん……少しぐらいチョコとか用意しとけば良かった……!」

白望「塞が私の面倒見ないと学校で胡桃に余計な負担かかるからちゃんと面倒見てよ」

胡桃「私が面倒見る前提なの!?」

塞「というか私の負担は気にしないの!?」

豊音「じゃあじゃあ! 私が頑張ってシロの面倒見るよー? おんぶだってできちゃうよー!」

白望「……豊音にそこまでさせるのも悪いし」

塞「私ならいいの!? もっと遠慮してよ!」

白望「だって塞だし」

胡桃「塞だからね」

塞「この扱いはおかしいでしょ!?」

白望「今は塞に、将来的には玄ちゃんにお世話してもらう腹積もりだからよろしく」

玄「おまかせあれ!」

憧「……安請け合いしていいの?」

胡桃「言っとくけどシロ本気だからね!?」

塞「よっしゃ言質取った! とか思ってるからね!?」


憧「……で、実際どうするの?」

玄「あの……実はそんなに凄いのとかは考えてなくって……」

憧「え!? なんで!? 気合入れて凄いの作るもんじゃないの!?」

玄「き、気合は入ってるよ? その……なんていうか、シンプルにいこうかなって」

胡桃「シンプル?」

白望「つまり色仕掛けで……」

玄「はわぁ!?」

豊音「ぅわー……さ、最近の高校生って進んでるんだね……」

塞「豊音も去年まで高校生だったでしょ!? ってかなんでシロはすぐそっち方向に行くわけ!?」

白望「一番シンプルじゃない? 男なんて単純……」

胡桃「たいした経験もないくせに男を語らない!」

玄「その……そ、そういうのではなくって……ふ、普通に! おっきいハートのチョコにしようかなって……」

憧「ふむ……本当にシンプルね」

玄「だって……ほら、一番わかりやすいかなって」

豊音「うんうん! すっごくいいと思うなー! 素直な気持ちを伝えるのがきっと一番だよー!」

憧「わかりやすい……かぁ」

胡桃「憧ちゃんもそういう路線でもいいんじゃない? 純くん鈍いし」

憧「……たしかにそういうところもあるんですよね……でも、純さん食べるのも好きだからアピール的に凝ったものも作りたくなるというか……」

白望「いっそ本人にどんなのが欲しいか聞けば?」

塞「それはさすがにどうなんだろう……そりゃあ外れは無くなるけどさぁ」


憧「……っていうかさ、アレなの? こ、告白するの? 真面目なやつ?」

玄「……卒業したら、なかなか会える機会もなくなっちゃうだろうし……玉砕してみるのもありかなあって……」

白望「砕けるとは限らないと思うけど」

胡桃「なにもしないで後悔するよりはいいと思うよ!」

塞「なにもしないよりは……うーん、買ってあるけど今からでも手作りチョコ用意しようか……」

胡桃「……前から思ってたんだけどお歳暮感覚でチョコ配るのやめたら?」

白望「別にお目当ての相手がいるわけでもないんだし……気合入れてもダルいだけでしょ」

豊音「えー? 私はいいことだと思うけどなー」

玄「それじゃあ、せっかくですし一緒にチョコ作りますか? 材料はたくさん用意してあるので……」

塞「え、いいの? それじゃあ……」

白望「せっかく旅行に来たのにそんな……」

塞「シロはだらだらしてていいよ。 味見係でいいから」

白望「頑張って!」

豊音「おお! シロもやる気満々だよー!」

胡桃「満々なのはやる気じゃなくってだらける気だよ!?」

憧「臼沢さんは……」

塞「あはは、心配しなくても得意分野だから安心してよ! 作ったこともあるし!」

豊音「そうなんだ……手作りチョコ渡す相手がいたんだねー」

塞「……いや、シロと胡桃と父親ぐらいだけど……」

豊音「あっ……ご、ごめんなさい……」

塞「謝らないで!? 別に謝るところじゃないから! 気にして……気にしてないから!」


塞「うぅ……別にいいんだ、麻雀にかけた青春でも……気のいい友人に囲まれて……貧しい青春送ってるわけじゃないもん……」

憧「思いっきり気にしてるじゃないですか……」

塞「いや、別に彼氏が欲しくないとは言わないけどさあ……好きな人がいるのかと言われれば別に……」

豊音「無理して相手見つけなくてもいいと思うんだけどなー……きっといつか運命の人が現れるよー!」

塞「私はそこまで乙女チックな思考にはなれないなぁ……」

白望「待ってたら勝手に来てくれるんなら楽でいいのに……」

胡桃「待ってるだけでうまくいくなら苦労しないの! シロはやればできるんだからいちいちダルがらなければいいのに……」

玄「…………」

憧「……どしたの?」

玄「うん……私も、いつも待ってるばかりだったから……えへへ、やっぱり頑張らないとかなって」

憧「……そうね、頑張りましょ」

玄「うん! ふふ、憧ちゃんはチョコどうするの?」

憧「……考え中」


カン!

当日までに投下したかったからこんな内容に…
てるたんイェイ~にでも合わせてもっかいバレンタインネタ引っ張って一回投下しようかと

バレンタインもてるたんイェイ~も遅刻だけど投下


照『ハッピーバレンタイン!!』

灼「……テンション高いですね」

照『なんとチョコが食べ放題の日です』

灼「バレンタインってそういう日じゃないと思いますけど」

照『え……?』

灼「むしろバレンタイン過ぎてから安売りされたりしますから、バレンタインは過ぎるにつれチョコは食べやすくなります」

照『!!』

灼「……そんなに驚くとこ?」

照『……灼は天才。 いつも当日に買い込んでた。 チョコの日だと思って』

灼「……なるほど」

照『今年は凄い。 プロになって手持ちのお金もたくさんあるからいっぱいチョコが買える』

灼「照さん今後もガンガン稼ぎそうだもんね……作ったりしないの? 玄や憧は気合入れてたけど」

照『? おかしは食べるもの。 つくるものじゃない』

灼「……照さんはそうだよね」

照『……私だって用意しようとは思ってる。 でも、正直上手くいく気がしないし上手くできたとしても我慢できずに食べちゃう』

灼「……自己分析しっかりできてますね」

照『敵を知り己を知ればなんとやら。 自分のことぐらいわかってないと麻雀も勝てない』

灼「かっこいいこと言ってるけど内容は結構酷……」


照『今度の誕生日、実家に戻るつもりだから……少し遅れちゃうけど咲とお父さんには用意しておこうと思ったんだけど』

灼「うん……いいと思うよ。 手作りが不安なら買っていってもいいと思うし……咲もお父さんも喜ぶと思」

照『……手作りでさえ自分で食べちゃいそうなのに高価ないいチョコなんて買ったら……』

灼「……頑張って我慢して」

照『うん……自分で食べる分も買えば大丈夫だよね』

灼「……ひとつ食べたら我慢できずに残りも食べちゃいそ」

照『…………その危険性は高い』

灼「…………」

照『……ど、どうしよう』

灼「我慢してください」

照『…………がんばる』

照『……あ、ちょっと待って。 やえが呼んでる』

灼「ん」

灼「……………………」

照『灼……』

灼「どしたの? 元気なくなったね」

照『怒られた……練習試合前にいつまで電話してるんだ、って……』

灼「……それは、こっちもごめ……」

照『やえは意地悪。 自分は休みの間に里帰りして灼と会ってたのに私には電話もさせてくれない』

灼「やえさんは意地悪で言ってるわけじゃないよ?」

照『……わかってるけど』


灼「あんまりわがまま言ってやえさん困らせちゃダメだよ?」

照『わかってる……灼こそ、私の方がお姉さんなの忘れてない? そんな風に言い聞かせなくてもいい』

灼「ふふ……ごめ、つい……」

照『別にいいんだけどね』

灼「ん……ま、ちょっとぐらい甘えすぎてもやえさんは構ってくれると思」

照『……私がやえに構ってほしくてわがまま言ってるみたいに言わないでほしい』

灼「違うの?」

照『違う。 素で言ってる』

灼「……それはそれでどうかと思」

照『……本当は構ってもらいたくてちょっとわがまま言ってる』

灼「……それもどうかと思」

照『……私はどうすれば』

灼「……いつも通りでいいと思。 私もやえさんもそういう照さんが好きなんだし」

照『…………』

灼「どしたの?」

照『……さすがに照れる』

灼「ふふ……ああ、それと……チョコレート、咲のところに一緒に送っておいたから……バレンタインと誕生日を兼ねて……帰ったら食べてほし」

照『ありがとう! これで今日の対局も全力以上で戦える』

灼「……おかしで戦えるならいくらでも送るけど……それじゃあ、対局頑張って……ハルちゃんにもよろしく」

照『うん、ありがとう灼』


やえ「……ったく、やっと終わったの?」

照「灼が家にチョコ送ってくれたって!」

やえ「……ガキじゃないんだからそんなんでいちいち目ぇキラキラさせてんじゃないわよ、このバカ」

照「むぅ……バカバカ言わないでほしい。 本当にバカになったら困る」

やえ「あら、もう手遅れじゃない?」

照「……そんなことない。 それに、これ以上私がバカになったら困るのはやえ」

やえ「……なんで私が困らないといけないのよ」

照「? だってやえは宮永照係だよ?」

やえ「勝手に変な役職に就けんじゃないわよこのバカ!」

照「……またバカって言った。 酷い」

やえ「ふん、本当のことでしょ! だいたいあんたは……」

晴絵「よっ! 相変わらず仲いいな、今日はよろしく!」

やえ「別に仲よくなんか……!」
照「うん、仲よし」

照「……な、仲よしだよね?」

やえ「だ、誰が……あーもう! そうね! 仲いいわよね!」

照「うん!」


やえ「ったく、なんなのよもう……! っと、すみません赤土プロ。 今日はよろしくお願いします」

晴絵「ああ、練習試合とはいえ打つのが楽しみだったんだよ……ふたりとはシーズン中もう打つ機会ほとんどなかったしな」

やえ「そうですね、私も……弘世? どうしたの、この世の終わりみたいな顔して」

菫「……ん? ああ、小走に照じゃないか……久しぶりだな……」

照「どうしたの? お腹空いてる?」

菫「お前と一緒にするな……はぁ……」

晴絵「……菫は、ほら……今日は来てないうちのエースのことでな」

やえ「ああ……瑞原プロは今日はライブでしたっけ」

菫「……この練習試合のせいで行けなかったんだ! くそっ! はやりんのバレンタインライブが……!」

やえ「……あんたはここ一年ちょっとで随分アホになったわね……照と変わらないわよ?」

照「待って。 さすがに一緒にしないでほしい」

晴絵「あはは、どっちもどっちだと思うぞ」

やえ「類は友を呼ぶって言うしね」

照「やえも同類ってこと?」

やえ「どうしてそうなんのよ!」

照「チームも一緒だし、ここ最近で一番親しく付き合ってるのはやえ」

やえ「一緒にすんな! あんたがバカばっかやってるから面倒見てやってんでしょ!」

晴絵「世話役も大変だよなぁ……結果としてずっと近くで面倒見てる分同類扱いされるという……」

やえ「赤土プロまで……!」

晴絵「いいコンビだと思うけどな、私は」

やえ「…………はぁ……弘世、あんた横浜来なさいよ。 宮永照係くれてやるから」

菫「バカを言うな。 はやりんがいるのに移籍するわけないだろ。 バカなのか?」

やえ「……バカに真顔でバカって言われるととてつもなく腹立つわね」


菫「はぁ……開幕前だし調整のためにも大事な練習試合なのはわかっているんだ……だが! 今こうしている間にもはやりんはステージに向かっているんだと思うと……」

晴絵「……お、瑞原さんからメール来てるぞ。 菫にも」

菫「なんだって!?」

菫「……………………」

菫「……あの、ハルちゃん…………」

晴絵「……相変わらずだな、瑞原さん…………あー、そうだな……『今日の練習試合頑張ってね☆ はやりは行けないけど応援してるぞっ☆』ってところか……」

菫「照、小走! 練習試合とはいえ手は抜かんぞっ! 今日の勝利をはやりんに捧げるっ!」

やえ「……なんでこんなめんどくさい奴になっちゃったのかしら」

照「昔から結構面倒だよ、菫は。 すぐに怒るし、おかしは取り上げるし……」

やえ「…………アホらし」

晴絵「ま、そう言ってやるなって……こいつらは真剣なんだし……菫だっていろんな意味で吹っ切れてから麻雀もいい方向に吹っ切れたぞ」

やえ「……こいつらと同じ方向に吹っ切るのは無理です。 ここまでバカにゃなれませんよ……って、また似たようなのが来たわね……」

晴絵「ん?」

やえ「そこの通路の陰……」

哩「…………」

晴絵「お! 哩じゃないか、今日はよろしくな! どうしたんだ? そんなとこで……」

哩「え、あ、は、ハルちゃん! その、あの……おああー!?」

晴絵「だ、大丈夫か?」

やえ「なにもないとこで転ぶのやめなさいよ……どんだけ焦ってんだっつーの」

照「……咲みたい。 かわいい」

菫「……シスコンめ」

照「菫に言われたくない。 菫だってはやりんのこと大好き」

菫「それがどうかしたか?」

照「……別に」


哩「ハルちゃん、これ……!」

晴絵「ん? なんだこれ?」

哩「その、これ、バレンタインのチョコで……」

晴絵「へ? ……お、おう、ありがとう」

菫「ふふ……さすが、モテますね、ハルちゃん」

晴絵「お前ほどじゃないさ……というか哩、一応試合後の方がいいんじゃないか? 練習試合とはいえ……」

菫「ハルちゃん、受け取ってやってください……私には白水の気持ちがよくわかる……」

哩「ひ、弘世……!」

晴絵「…………いや、それはそれとしてもだな……」

咏「まーまー、別にいいんじゃね? 知らんけど」

晴絵「……咏ちゃん」

咏「うーっす、久しぶりだねハルちゃん」

やえ「三尋木プロ、お疲れさまです」

咏「こらこらやえ、その堅苦しいのやめろって言ってるだろー?」

照「咏ちゃん先輩」

咏「ほら、照みたいにしろってー」

やえ「そんな……勘弁してくださいよ……」

晴絵「今日、来てたんだね。 新人試す時期だろ?」

咏「公式戦じゃハルちゃんと打つまでまだかかりそうだからさぁ……ほら、プライベートで打つにしても時間と場所がなかなか合わんし?」

晴絵「……あんまり待たせても悪いしね……さっさとランク上げてタイトルごと貰いに行くよ」

咏「早くしてくんないと世界行っちゃうぜ? ま、その前に小鍛治さんは倒さなきゃだけどねー……小鍛治健夜から逃げたとか言われんのも癪だし」

菫「……逃げる先が世界? スケールが違うな……」

哩「ばってん、互角に戦える瑞原プロやハルちゃんはやっぱりすごかね」

菫「だよな! やっぱりはやりんは最高だ!」

哩「ハルちゃんほどじゃなかがな!」

やえ「…………はぁ」


咏「ほら、やえも照もさっさと準備しろよー? そろそろ始まるぞ? 知らんけど」

やえ「すみません、つい無駄話を……」

照「無駄じゃない。 久々に菫やハルちゃんと話せて楽しかった」

やえ「あんたねぇ……」

咏「あっはっは! 別に怒ってねーからいいって! 開幕に向けてしっかりコンディション整えるんだぞー」

やえ「はい! それでは、失礼します。 赤土プロ、対局場で」

晴絵「ああ、あとでな」

菫「……私は無視か?」
哩「……私は無視か?」

やえ「あら、正気に戻ってたのね。 ファン根性燃やしたまま対局に臨まないでよ」

哩「対局中はしっかりやるけん、余計なお世話ばい」

菫「私ははやりんに力をもらって打ってるんだ。 はやりんを忘れるなどもってのほかだ」

やえ「……まさか白水の方がまともだなんてね」

照「行くよ、やえ。 対局前に少しおかし分も補給したい」

やえ「……最近同期で真面目にやってんの私だけなんじゃないかって気がしてきたわ」

照「私は真面目にやってる」

やえ「……はいはい」

哩「あ、私も戻らないと……は、ハルちゃん! あの……」

晴絵「ああ、哩。 今日の試合の後時間あるか? 久しぶり会ったんだし飯でも食いに行こうよ」

哩「は、はい! 是非!」




咏「……プレイボーイだねぇ、ハルちゃん」

晴絵「誰がボーイだ誰が……そっちこそちゃんと先輩やってるんだな」

咏「当然っしょ? そんなに意外かい?」

晴絵「そりゃあね。 ひとりで好き勝手やってるもんかと……」

咏「わっかんねー……なんでそうなっかな……ま、いいや。 今日はハルちゃんの奢りらしいし照とやえも連れてってやるかねぃ」

晴絵「おいおい……一番稼いでるの咏ちゃんだろ?」

咏「ハルちゃん年下にたかるつもりなん?」

晴絵「プロの世界じゃそっちが先輩だろ……せめて折半で」

咏「ケチケチすんなよなー」

晴絵「こっちの台詞だトッププロめ……つーか菫や照たちに奢るのはともかく咏ちゃんに奢るのは絶対違うし」

咏「わっかんねー! なに言ってんのかわっかんねー!」

晴絵「はぁ……ま、いいや。 今日はトッププロの咏ちゃんと打てるわけだしね。 ファイトマネーってことで」

咏「お、さっすがハルちゃん太っ腹! 毎晩ビール飲んだりしてない?」

晴絵「太ってないよ! ったく、相変わらず一言多い奴だなこのチビっ子は」

咏「……誰がチビだっつーの! 調子乗らないで欲しいねぃ……今日はトップとの差ってやつを思い知らせてやっからな!」

晴絵「はっ、そんなこと言っていいのか? 負けた時に言い訳できないぞ?」

咏「負けねーから関係ないねぃ! ふん、ハルちゃんが万が一にでも私に勝てたら今日の飯代飲み代全部出してやるっての」

晴絵「お、たいして飲めないくせに飲み代まで出してくれるのか? 悪いな、試合でも酒でも潰してやるよ」

咏「やれるもんならやってみろってーの! ほら、さっさと対局室行くぞ! どっちか知らんけど!」

晴絵「それは知っとけよ!」


カン!


――――――

玄「あ、灼ちゃん電話終わったの?」

灼「うん、照さんから」

玄「ああ、宮永さん! そういえば今日、赤土先生や白水さんのチームと練習試合だったよね?」

灼「ん……公開試合だけどテレビ放送なんかはしてないし……あとで牌譜だけ探そうと思ってる」

玄「うんうん、やっぱり気になるもんねぇ」

灼「……それよりも気になることが」

玄「え?」

灼「照さん、バレンタインで盛り上がってたなぁ」

玄「ふぇ!?」

灼「送ったんでしょ? チョコ」

玄「……う、うん」

灼「どつなの? 返事とか来た?」

玄「え、その……まだだけど……」

憧「おっじゃましまーす! 灼さん、お姉ちゃんの古い参考書もらってきたよ! 古いから参考にならないかもだけど」

玄「望さんに聞かれたら怒られるよ……?」

灼「ども……憧は?」

憧「へ? 何が?」

灼「バレンタイン」

憧「ふきゅ」

憧「わ、私はその……ぅわあ!」

玄「な、なに!?」

憧「で、電話……純さんから!」


憧「も、もしもし!?」

純『よっ! 憧、チョコサンキューな! 届いたぜ!』

憧「は、はい! その、どうでした……?」

純『ん? おう! 今年も大漁だったぜ! ここ三日ぐらいはおやつには困らねぇぜ!』

憧「……いや、そうじゃなくってですね…………」

純『はは、冗談冗談。 大漁なのはマジだけど。 うまかったぜ、また食いたいわ』

憧「は、はい! よかったらまた作りますから!」

純『よっしゃ! 頼んだぜ! 来月にはこっちもなんか作って送るからよ』

憧「え……?」

純『ホワイトデーってやつだよ。 バレンタインになんか作ろうかとも思ったんだが……国広くんがホワイトデーにお返し配る方が純くんらしいよ、とかって……どういう意味だっつーの、ったく』

憧「あ、あはは! どういう意味なんですかね!? あはは! ありがとうございます! 来月楽しみにしてます!」

純『おう、期待しとけよ? オレもたまには派手なもん作らないと腕が鈍るしな……あ、玄いるか? 代わってくんね?』

憧「玄ですか? はい、ちょっと待ってください……玄、純さんが代わってって」

玄「そんな怖い顔しないでよ憧ちゃん……もしもし? お電話代わりました!」


純『おう、玄! ちょっと待ってな……あ、いたいたヨッシー!』

玄「ふぇ!?」

ハギヨシ『え、あの……井上さん……なにを……?』

純『いいから! さっさと話せって! もう先延ばしにすんのは無しだろ!』

玄「ちょ、ちょっと待ってください! ……こ、心の準備が……」

ハギヨシ『…………もしもし? 萩原です』

玄「ひゃい!? あわわ……あ、は、はい、松実です!」

ハギヨシ『お久しぶりです……ええと、その……ありがとうございました。 チョコレート、いただきました』

玄「い、いえ……その、はい……」

ハギヨシ『それで……同封されていたお手紙の方も……』

玄「……! あ、あのっ!」

ハギヨシ『は、はい、いかがされましたか?』

玄「……ら、らいげつ」

ハギヨシ『……はい?』

玄「お、お返事は来月にいただければ……と、というか! ダメだったら無視してくださってかまいませんから!」

ハギヨシ『え、あの……』

玄「そ、それでは! 失礼します!」

ハギヨシ『あの、玄さ』

玄「はぁ……あうぅ……緊張した……」

憧「……ヘタレ」

玄「だ、だってぇ……」

灼「憧が言うと笑えるね」

憧「うっさい!」


ハギヨシ「……切れてしまいました」

一「まあ、玄さんが来月でって言うならいいんじゃないですか? 一ヶ月ゆっくり玄さんのことだけを考えてあげてくださいよ」

ハギヨシ「……だけを考えるのはさすがに無理があるのでは」

純「なんだよ、ったく……せっかく背中を押してやったのにさー」

智紀「むしろ純のせいで一ヶ月引き延ばしになった気もするけど」

衣「純! 純! 衣はまだ食べたりないぞ! チョコを分けてくれ!」

純「おう、いくらでもあるから好きなだけ食っていいぞー」

一「あまり食べ過ぎないでよ? 晩御飯残したらダメだからね?」

衣「言われなくてもわかってる! 子ども扱いするな!」

智紀「……口の回り、チョコ付いてる……あ、ハンカチあるから袖で拭わないで」

衣「む……うにゅ、すまんな智紀」

ハギヨシ「…………それでは、私は夕食の準備を……透華お嬢様、なにかリクエストはありますか?」

透華「…………」

ハギヨシ「……お嬢様?」

透華「バレンタインなどと……純ばかり目立って……私がまるで脇役……」

一「でもさ、透華だっていっぱいチョコもらってたじゃない。 学校でもたくさん話しかけられてたしさ」

智紀「うん……『井上さんはどちらに?』『これ、井上さんに渡しておいてください』って……」

透華「お黙りなさいな! くっ……屈辱ですわ! 私が……この私が! 純の引き立て役に!」

純「はっはっは! わりぃな透華、オレの方が人気者で」

透華「くぅぅぅっ!」

一「もう、面倒だから透華を煽らないでよ……そりゃあ、純くんの方が女子にモテモテのイケメンだったのは事実だけどさ」

純「オレは女だっ!」

智紀「……ふたりともめんどくさい」


もいっこカン!


しばらくネタにするような時事イベントもない気がするしいろいろ投下できればいいなぁと思いつつ
原作は決勝前に五位決定戦挟むようですがそれはそれで楽しみです。洋榎対セーラとか新道寺にも出番来るのはうれしいです

ともきーお誕生日おめ!ともたんイェイ~
今月末の新刊の購入特典も少しづつ出てきましたね。楽しみです
投下


灼「なんか、変な感じ」

玄「そうだね……」

灼「……早かったね、三年」

玄「うん……もう三年経ったんだね」

灼「……玄」

玄「なぁに?」

灼「……ありがと」

玄「ふふ、改まってどうしたの?」

灼「まあ……一応、最後だしね」

玄「そうだね……こちらこそ、ありがとうございました」

灼「お礼言われるようなこと、してな」

玄「えー? そんなことないよ、ありがとうでいっぱいだもん……灼ちゃんが来てくれたから、またみんなで麻雀もできたんだし」

灼「それは……むしろ、こっちの台詞。 玄が誘ってくれなかったらまた麻雀やろうなんて思わなかっただろうし」


卒業式……とうとう来たか、って気もするし、もう卒業なのか、って気もする

この制服に袖を通すのも最後になるのだと思うと感慨深い……多くの大会を一緒に戦ってきたハルちゃんのネクタイも、また宝物として引き出しの奥にしまわれることになるのだろう

玄「……お疲れさまでした。 部長には苦労ばかりかけてしまって……」

灼「ふふ、なにそれ。 そんなこと言ったら、玄こそ一番大変なポジションだったでしょ? エースとして戦ってもらって……なのに部の運営もいろいろ助けてもらったし」

玄「灼ちゃんほとんどひとりでできてたじゃない。 むしろ手を出しちゃって邪魔になってないか心配だったんだけど……」

灼「邪魔だったらその時に言ってる……玄にはいろいろやってもらいすぎたかなって思ってるぐらい」

玄「いいんだよ、私は灼ちゃんのお手伝いしたかったから」

灼「……そか」

玄「そうなのです」

灼「……そろそろ、部室行く?」

玄「うん、そうだね……教室もなんだかんだで名残惜しいけど」

灼「うん……でも、キリがなくなっちゃいそうだし」

玄「ふふ、たしかにそうかも……穏乃ちゃんや憧ちゃんたちも待たせちゃってるし、行こっか」


玄「灼ちゃんは四月から大学生だね~」

灼「ん……大学生ってなにやってるのかいまいちイメージできないけど」

玄「お姉ちゃんは園城寺さんと一緒に課題やったり麻雀したり遊びに行ったり……うちでごろごろしたりしてるけど」

灼「園城寺さんもよくこっちまで来るよね……結構大変な気がするんだけど」

玄「快適でいいんだって~」

灼「……玄がお世話するからか」

玄「えへへ、園城寺さんにはお姉ちゃんがいつもお世話になってるしね」

玄「……灼ちゃんも、お姉ちゃんのことをよろしくお願いします」

灼「お世話になるのは私だと思……宥さんが一緒なら心強いし」

玄「それならいいんだけど……灼ちゃんが学校決めるときにお姉ちゃんが……ほら、すっごくアピールしてたからさ……」

灼「……別に嫌々決めた訳じゃないし……実際、宥さんや園城寺さんの通ってるとこ麻雀も強いし……たしかに、ちょっと遠いけどね」


――数ヵ月前

宥『灼ちゃんは、志望校とか決めたのかな?』

灼『ある程度は……近畿圏で、実家から通えて……麻雀強いとこから選んでるとこですけと』

宥『そっかあ……私も似たような選び方したから力になれるかも!』

灼『それは頼もし……』

宥『えっへん、お姉さんのこと頼ってくれていいんだよ~? 灼ちゃんの成績なら……リストアップしてるとこはだいたい狙えるよねえ?』

灼『ん……一応、成績も考えてリストアップしてるし……頑張ればどこでも射程圏内だと思』

宥『だよね! あのね、あのね? 私のおすすめはここだよ!』

灼『……ここ、宥さんの通ってるとこですよね』

宥『えっと、えっと、麻雀やるのにもチームは強いし、監督さんや先輩も厳しいけど面白いんだよ? あとは、私は玄ちゃんにお弁当つくってもらってるけど……食堂も綺麗でおいしいし! なによりも、中庭が絶好のひなたぼっこスポットでね? 怜ちゃんとよくお昼寝したりしてるんだぁ』

灼『…………あの』

宥『通学は片道二時間ぐらいかかっちゃうけど……灼ちゃんも私と一緒なら寂しくないんじゃないかなぁ……?』

灼『……ひとりで通うの寂しいんですか?』

宥『えぇっ!? えっと、その……そんなことないよ? 私、お姉ちゃんだし……たまに怜ちゃんもお泊まりに来るから一緒に行ったりするし……』

宥『……でも、灼ちゃんと一緒に通えたらうれしいなぁ』




灼「……宥さんはちょっとかわいすぎるよね」

玄「お姉ちゃんのかわいさについては自信があります!」

灼「ふふ……私は、またしばらく宥さんたちと麻雀頑張ってみるから……玄も、頑張って」

玄「うん、ありがとう灼ちゃん……私もとうとう本格的におうちのお手伝いが……ううん、松実館の運営に関われるから……最初はいろいろ難しいと思うけど、頑張るよ! 夢のひとつだったから!」

灼「夢……」

玄「そう、お母さんとお父さんの松実館を守っていくこと……もうひとつは、みんなでまた……あの部室で、一緒に麻雀をすることだったから……えへへ、もう叶ってるんだ。 ……灼ちゃんは、なにかやりたいこと見つかった?」

灼「私は……まだ、わからないけど……」

やりたいこと。 もう見つかっていて、それに向かってずっと歩んでいた玄のことは、正直羨ましいとも思う

将来は……家業を継ぐ、のかな……なんて漠然と思っていたけれど、おばあちゃんには好きなことをやっていい、なんて言われてて……

灼「……私は、阿知賀で、みんなと麻雀したのが……すごく大事な思い出で……麻雀も、ここも好きだから……」

この先、また他にやりたいことができたりするかもしれないけど……

灼「……今は、教員免許とか取ってみようかと思ってる……ハルちゃんみたいに、またここに戻ってくるのも、いいかなって」

玄「……うん! すごく素敵だと思う!」


灼「…………」

玄「……どうしたの?」

灼「……なんか、こういうこと言うのってすごく照れくさ……」

玄「ふふふ……照れなくてもいいのに。 私もみんなと打った……阿知賀ってすごく大切な場所だから……今度は灼ちゃんが戻ってきてインターハイ制覇! なんてなったらすっごくうれしいよ?」

灼「……じゃあ、もし私が戻ってきたら……玄もOGとして指導とか来てね。 スーパーエース、阿知賀のドラゴンロードとして……」

玄「うう……もしそうなったら全然構わないんだけど……やっぱりそのあだ名ちょっと恥ずかしいよぅ」

灼「ふふっ」

玄「笑わないでよぉ……灼ちゃんだって、晩成を倒して、県人未踏のインターハイ決勝まで行った部長さんなんだからね? 阿知賀のレジェンド二世だよ?」

灼「……それ、恥ずかしいからやめてほし」

玄「いいじゃない、まさに赤土先生の弟子って感じで」

灼「……ハルちゃんはかっこいいけど、正直レジェンド二世とか言われても……あんまり……ね?」

玄「ふふ、灼ちゃんひどーい」


……なんだか、玄にからかわれるっていうのも悔しいのでちょっとやり返してみることにする

灼「……それにしても」

玄「ふふ、今度はなぁに?」

むぅ……玄がここまで余裕を見せてるのも珍しい

しっかりもので世話焼きの玄は宥さんや穏乃、憧と一緒の時はいかにもお姉さん、って感じだけれど……自分で言うのもなんだけど、割合しっかりしてる私と一緒の時は結構慌てんぼのうっかりさんだったりするからなんとなく新鮮だ

灼「……玄もあとひとつだね、夢」

玄「あとひとつ? わたしはもう……またみんなと麻雀できたし、松実館で働けるから……」

灼「昔した話、私は覚えてるから……」



あらた『……しょーらいのゆめ?』

くろ『うん! わたしはねぇ……』



灼「……かわいいお嫁さん」

玄「ほわぁ!?」

灼「どうなの?」

玄「え、いや、その……それはもちろん憧れはあるんだけど、でもほら、なかなか……ね? 松実館でお勤めはじめたら……その、男性との出会いの機会も……」

灼「ひとつ進行形のがあるでしょ……バレンタイン、告白したんじゃないの?」

玄「う、そのぅ……それは、そうなんだけど……」

灼「恋文っていうのがまた玄らしいよね……どんなこと書いたの?」

玄「ぇ、それは……普通に……ら、らら、らぶれたー、らしい内容というか……」

灼「ふーん……」


灼「好きです、って?」

玄「あぅ……あの、まあ……なんと言うか、総合するとそんな感じです……」

灼「一ヶ月先延ばしにして……そろそろだよね」

玄「う、うん」

灼「自信のほどは?」

玄「うぅ……そんなの、全然ないよぅ……」

灼「……ないの?」

玄「だって、私なんかじゃ全然釣り合わないし……高校最後の思い出に玉砕覚悟でアタックしてみたっていうか……」

灼「玉砕覚悟……」

玄「……私、なにをするにしても待ってばかりだったから……なにもしないで諦めるよりは、と思って……」

灼「……それ、いいことだと思。 あと、もうちょっと自信持っていいから……玄、私の目から見てもかわいいし性格もいいしスタイルもいいし……超優良物件だから」

玄「そ、そんなにほめられても逆に困っちゃうというか……」

灼「……ま、こればっかりは結果が出るのを待つしかないか」


どうなるかは気になるけれど……まあ、なにか動きがあれば玄の方からすぐに連絡が来るだろう

こう言うのもなんだけど、ハルちゃんの麻雀クラブで一緒だった穏乃や憧には負けるかもしれないけど、付き合いの長さだけで言うなら私の方が長いし、同い年だからこその話しやすさみたいなのもあると思うし、力になれたかはともかく結構相談も受けてたんだから真っ先に私に……

……なんで穏乃や憧に対抗心燃やしてんだろ。 アホらし……

灼「……あ、ごめ。 電話」

玄「あ、うん……ゆっくりしすぎて憧ちゃんたちも痺れきらしちゃったかな?」

灼「それはあるかも……あ、違……ともきーだ」

玄「沢村さん?」

灼「ん……もしもし?」

智紀『灼、久しぶり。 卒業おめでとう。 阿知賀、今日だったよね?』

灼「うん、ども……ともきーも、卒業と……お誕生日おめでとう。 後で連絡しようと思ってたんだけど……」

智紀『ん……別に、お祝いの催促じゃなくって……灼、きっと電話くれると思ったから先に連絡しようと思って』

灼「……?」

智紀『これから、みんなでドイツに行く。 国際電話は高いから』

灼「へぇ……卒業旅行?」

智紀『そんな感じ。 純の両親があっちにいて……高校通ってる間好き勝手やらせてもらったし、このまま日本に残るからちゃんと挨拶しときてぇ……って』

灼「……けじめってやつ? 純くん、結構律儀だよね」

智紀『筋は通す、って……透華も大事な息子さんを預かっているのですからって……まあ、卒業旅行も兼ねてみんなで行こうって』

灼「……オレは女だ」

智紀『言ってた』

灼「ふふっ」

智紀『ふふ……』


智紀『ああ、それと……もう少ししたら、そっちにも遊びに行く』

灼「阿知賀に?」

智紀『うん……卒業旅行第二弾……それとほら、気になるイベントもある』

灼「……ホワイトデー」

玄「えっ!?」

智紀『憧ちゃんに楽しみにしといて、って……あと、玄ちゃんにも……今度は逃がさないし、逃がさせもしないから』

灼「……もしかして、気になるから出歯亀に……」

智紀『建前はただの友達に会いに行く卒業旅行……隠れた目的は萩原さんを逃がさないため。 真の目的は……まあ、その通りだけど』

灼「そりゃあ、気になるよね」

智紀『純はともかく、萩原さんは年貢の納め時……どうなるかはともかく、決着はつけてもらわないと』

灼「……電話だとどんな感じかわからないから直接会わせる?」

智紀『うん。 そして陰からみんなで見守る』

灼「……覗きなんて趣味悪」

智紀『灼も気になるでしょ?』

灼「もち」

智紀『灼も人のこと言えない……それに、うまくいったら直接会えた方がいい。 ホワイトデーの翌日、玄ちゃんは誕生日、だよね?』

灼「うん……あ、誕生日デートできるね」

玄「え!? えぇ!?」

智紀『その通り。 透華も旅行中は休暇扱いにするから自由行動で構いませんわ! って萩原さんに言ってたし』

灼「だって。 やったね、玄」

玄「!?!?!?」


智紀『14、15で松実館にもう予約入れてるから』

灼「予約、入ってるってよ?」

玄「えぇ!? わ、私、聞いてないよ!?」

智紀『ああ……宥さんに電話して、秘密にしといてね、って……予約も龍門渕じゃなくて井上でとったし』

玄「六名の井上様って純さんの井上だったの!?」

智紀『気づいてなかった……作戦成功』

灼「……今ばらしちゃったけど」

智紀『……あ』

智紀『…………ほら、玄ちゃんにも心の準備がいる……でしょ……?』

灼「ともきー……」

智紀『……言わないで、恥ずかしいから』


智紀『……と、とにかく、そういうことで……またすぐ会えるから。 今日のところは卒業の方で感傷に浸ってて。 邪魔してごめん』

灼「邪魔なんかじゃ……ありがとともきー。 また今度」

智紀『うん、それじゃあ』

灼「……玄、14、15予定空けときなよ」

玄「ぅえ、でも、うまくいくとは……」

灼「龍門渕さんたちがみんなで遊びに来るんだし……少しくらいお話しする時間ぐらい取っておきなよ」

玄「でも……う、うん……お父さんにもお話ししてみる」

灼「誕生日デートできるといいね」

玄「あぅ」

灼「パーティーの準備はしとくから。 残念会にならないとは思うし、いろいろお祝いできるといいよね」

玄「あうぅ……が、頑張るよ……」

灼「それじゃあ、憧と穏乃にも教えてあげないとね…………部室、騒がし」

玄「あ……えへへ、やっぱりみんなで待っててくれたみたいだね」

灼「さすがに待たせ過ぎたかな……行こっか」

玄「うん! みんなにもちゃんと挨拶しなきゃね!」


灼「お待たせ」

玄「遅くなってごめんね!」

穏乃「おお! 待ってました! 玄さん! 灼さん! 卒業おめでとうございます!」

部室に入ると穏乃をはじめとした後輩たちに囲まれる。 一年生たちもこれからは先輩として穏乃や憧を支える立場になっていくんだと思うと感慨深い……ん?

灼「……憧は?」

穏乃「ああ、憧ならほら、そっちの方に……」

憧「あ……灼さん、玄も。 おめでと」

灼「……なんか、そっけな」

穏乃「それが聞いてくださいよ! 憧ったら「ちょ、しず! な、なな、なにを言う気よ!?」いや、別に事実を……「やめなさい!」……はーい」

灼「……で?」

穏乃「いやあ、私が『玄さんと灼さんが阿知賀の麻雀部員なのも今日で最後なんだね……』って言ったら感極まっちゃったみたいで憧ったらすごい勢いで泣いちゃって……」

憧「しーずー!!」

穏乃「あはは! 憧がすごいことになってたから私なんて逆に涙止まっちゃいましたよ!」

灼「ふふ……私たちがいなくなるの、そんなにさびし?」

憧「だ、だから私は別に……!」

灼「寂しくないんだ……? それはそれでさびし……」

憧「……そんなの、寂しいに決まってんじゃん! 玄とはちっさい頃からの付き合いだし……灼さんとは高校からだけど……」

憧「それでも、私……玄も、灼さんも……」

灼「ちょ……ちょっと、ストップ……それ、聞いたらたぶん私も泣く……」

憧「うー……い、言わせようとしといて……灼さんのばか……大好き! 卒業おべでどゔ!」

灼「な、泣かないでよ……憧……」

……憧に泣かれると、ちょっと……さすがに、来る


憧「うぅ……ゔゔぅ……」

灼「……憧……ありがと……麻雀部、穏乃だけじゃ大変だろうから……目の届かないところは、助けてあげて?」

憧「うん……わかってる。 しずがみんなを引っ張ってまっすぐ突っ走るから……私は今まで通り、ちゃんとサポートするから……灼さんも、頑張ってね……宥ねえのこともよろしく……ぅぅ……」

灼「ん……ほら、お、落ち着いて……」

憧「あ、灼さんも、泣きそうなくせにぃ……」

灼「憧があんまり泣くからつられて……も、もう……泣き止んでってば」

憧「無理言わないでよぅ……じゃあ灼さんも卒業なんてやめて!」

灼「それこそ無理だってば……」

憧「それじゃあ私も泣くから! もう……灼さんのばかぁ……!」

灼「……よしよし、いい子いい子」

穏乃「……また、憧は灼さんに甘えて……」

憧「ま、またってなによぉ!」

穏乃「言葉通りだけど? 玄さーん! 憧が灼さんにベッタリでお祝いできないでーす!」

玄「もう、憧ちゃんは相変わらず甘えんぼさんなんだから……」

憧「うるさい! ばかぁ! うぅ……玄も、卒業おめでと……松実館、頑張ってね」

玄「おまかせあれ! ……あ、松実館と言えば……」

灼「……ホワイトデーの辺りで、龍門渕のみんなが松実館に泊まりに来るって」

憧「……ふぇ?」


灼「楽しみだよね、いろいろ」

玄「あぅ……わ、私は、そのぅ……」

穏乃「そうなんですか! へへ、一さんや龍門渕さんに会うのも久しぶりですね!」

憧「え、それって、つまり……?」

穏乃「楽しみだね! バレンタインのお返しも貰えるんじゃない?」

憧「ふきゅ」

灼「ちなみに、今龍門渕のみんなは純くんの両親に挨拶しにドイツに向かってるらしいよ」

憧「ふきゅ!? りょ、両親にご挨拶! いつの間に!? だ、誰が相手なの!?」

玄「そ、そういうのじゃないと思うけど……」

……憧は相変わらずちょっとアレなんで心配だ。 麻雀部は大丈夫なんだろうか?

穏乃「……灼さん」

灼「……穏乃」

穏乃「卒業、本当におめでとうございます……私、頑張りますから! 灼さんも……!」

灼「うん、ありがと……穏乃も……」

灼「穏乃も、頑張って……あとはよろしく、阿知賀の大将……阿知賀の、新部長」

穏乃「はい! 精一杯やりますから……! 任せてください、灼さん!」


カン!

おまけっぽい扱いになっちゃって申し訳ないしともきーにはそのうち出番を回したい…
次は14か15には投下したい…できるだけ遅れないようにします

くろたんイェイ~
事情により投下が明日にずれ込みそうなのでとりあえず報告だけ…

イベント絶対遅刻するマン。もう玉子の誕生日ですよ…たまたんイェイ~


玄ちゃんと灼ちゃんが高校を卒業して数日……私は既に冬休みに入っているし、時間の空いた灼ちゃんと朝からのんびりおこたでお茶を飲んだりしちゃって……のどかな日々を送っています

そして今日は、憧ちゃんと穏乃ちゃんも午前中で授業が終わるのでもう少ししたら遊びに来てくれる予定なのです

灼「……どうかしました?」

宥「……えー? なんで?」

灼「いや……にこにこしてるから」

宥「んー……えへへ、灼ちゃんとのんびりするの、楽しいなぁって」

灼「……そですか」

宥「あ、灼ちゃん照れてるー……ふふ、かわいー」

灼「……はぁ」

宥「ため息つかないでよぉ」

灼「……こゆとき、宥さんには勝てないなって思」

宥「だって私、お姉ちゃんだし、先輩だから~……えへへ、四月から一緒に学校通うの楽しみだねぇ」

灼「……講義の取り方によっては行きの時間も被らないんじゃ」

宥「!? ……そ、そう……だね……そうだよね……」

灼「あ……その、それでも、はじめてで不安なんで、一緒に行ってもらえると……」

宥「……! うん! 一緒に行こうね!」

灼「……お願いしま」


宥「ふふふ……楽しみだなぁ……あ、怜ちゃんから聞いたんだけどね? 絹恵ちゃんやふなきゅーちゃんも入学するんだって!」

灼「ん……この間本人から聞きました。 今までライバルだったし……一緒になるのが残念なような心強いような……」

宥「そういうものかあ」

灼「そゆものです」

私は単純に楽しみなんだけど……灼ちゃんとふなきゅーちゃんは副将の部長ってことで対戦の機会も多かったし、いつの間にやらふなきゅーちゃんが赤土先生の……麻雀講義? を受けてたりしてたから……思うところがあるらしい

まあ、見ている感じ仲良しさんだから心配はしてないんだけどね

玄「お姉ちゃん、灼ちゃん、お茶とお茶菓子持ってきたよ~」

宥「わぁ、ありがとう玄ちゃん」

灼「ありがと……松実館の方はいいの?」

玄「休憩時間だから大丈夫だよ~」

灼「……なにも休憩中まで給仕しなくても」

玄「お姉ちゃんと灼ちゃんとお話ししに来たんだからついでだよ、ついで」

宥「……忙しそうだし、私もなにかお手伝いしよっか?」

玄「気にしないで! お姉ちゃんは学生さんで、私は松実館のスタッフなんだからいいんです! ……まあ、まだまだ見習いだけどね」

灼「昔からお手伝いしてたのに?」

玄「本格的にお仕事で始めるからね! 一からきっちりやるんだよ!」

灼「そか……ふふ、玄……たのしそ」

玄「やりたいことやってるんだもん、そりゃあ楽しいよ~」


私は学生で、玄ちゃんは従業員……玄ちゃんの言ってることはわかるんだけど、なんだか私ばっかりおこたでごろごろしてて……すっごく悪いことしてる気分になる

今日なんかお寝坊した上に起きてからはずっとおこたで……しかも灼ちゃんとお話ししてるし……

こう、お姉ちゃんとしては……やっぱりダメダメな感じがするなぁ

灼「今日は、いつまでお仕事?」

玄「今日は夕方頃まででいいって。 朝から出てるし……お父さんも……その、お、お客さんが来るなら、って……」

宥「えへへ、楽しみだねぇ……龍門渕さんたちが来るの」

玄「う、うん……そ、そうだね……!」

灼「……今日、14日だね」

宥「楽しみだよね?」

玄「……あわわわ」

灼「……今から緊張しすぎ。 落ち着いて」

玄「だ、だってぇ……あぅぅ……」

宥「大丈夫だよ。 玄ちゃん、世界で一番かわいい自慢の妹だもん」

灼「とゆか、自分で引き延ばしたんだし……結果はどうあれ、覚悟はしときなよ」

玄「あ、灼ちゃん……そんなこと言われても……こういうことは、そう簡単にはいかないと言うか……」

宥「今からでも落ち着いて臨む作戦とか考えよっか? このあと憧ちゃんも来るし相談してみるとか……」

玄「そ、そうだよね! 憧ちゃんなら……」

灼「……なんかさ、この手の話題は憧に! みたいな風潮私たちの中であるけど……正直今までのこと考えると実はあんまり適材じゃないんじゃ」

宥「え……えっと……ほら! あ、憧ちゃんが失敗しちゃうのは自分のことだけだから!」

灼「それ、フォローになってな……」


灼「まあ、私は経験値ないし……いいアドバイスする自信もないけど。 穏乃も同じ感じだし……」

宥「私もあんまり……」

灼「大学ではモテてるって園城寺さんからの情報が……」

宥「お、男の子って得意じゃなくって……つい逃げちゃうと言うか……麻雀部で話したりはするけど麻雀以外の話はあんまり……」

灼「宥さんも奥手だもんね……で、憧になっちゃうと」

玄「あ、憧ちゃんは今までもたくさん相談に乗ってくれたよ? いろいろ作戦も考えてくれて……」

灼「……それ、うまくいったの?」

玄「……わ、わりと?」

灼「……あやし」

玄「そ、そんなことないよ! わ、私は苦手だけど……憧ちゃんよく言ってるもん、恋は駆け引き、計算高いは誉め言葉! って……」

宥「憧ちゃん、昔から頭の回転早いし賢いもんね~」

灼「……その頭の回転の早さを活かして、すごい勢いで頭脳を空回りさせてるよね。 計算もそもそも計算式から間違ってると言うか……」

玄「そ、そんなことないってば! 憧ちゃんは阿知賀の恋愛マスターだよ!」

灼「その信頼はどこから……端から見てるとラブコメ要員というかラブコメディアンみたいなとこあるし……」

宥「……っ」

玄「えぇ……? 憧ちゃん、頼りになるのになぁ……」

灼「もしかして憧のせいでなかなか進展しなかったんじゃ……とゆか、今、宥さん笑ったでしょ?」

宥「……そ、そんなことないよ?」


憧「ちょっとぉ! な、なにを失礼なこと言ってんの!? 灼さん、私のことそんな風に思ってたわけ!? 宥ねえも笑ってるし!」

宥「わ、笑ってないよ? 本当だよ?」

玄「あ、憧ちゃん穏乃ちゃんいらっしゃい」

穏乃「お邪魔します! こんにちは!」

灼「お疲れ……穏乃、恋愛芸人憧」

憧「変な肩書き付けないでよ! 失礼しちゃうわね!」

穏乃「い、いや……でもさ、あながち間違ってなくない……?」

憧「しずもなに笑いこらえてんのよ!?」

穏乃「だ、だって……ふふっ……憧って純さん前にするとテンパりまくってなんか訳のわかんないこと言いはじめるし……」

灼「ああ、頭が良すぎて理論が飛躍した結果わけわからないこと言ってるとか?」

憧「い、いつだって筋道立てて話してるでしょ!?」

灼「こないだ、純くんの両親に挨拶しにドイツに行ってるって言ったら真っ先に……」

穏乃「卒業式の日ですね! 『誰と!?』とか言っちゃって……あはは、あの時の憧の取り乱し様と言ったらすごかったですよね」

灼「『だ、誰が相手なの!? 龍門渕さん!? 沢村さん!? いや、っていうか一さん!? 一さんなの!? 実際親友って感じですごく仲いいし……むしろ天江さん!? あそこも仲いいわよね!? たまに一緒に寝てるとか……ね、寝るってそういうことだったの!?』とか……」

憧「ちょ、ちょっと! やめてよ! あ、あれは……ちょ、ちょっと混乱しただけだから!」

宥「えー? そんなことあったの?」

玄「えっと……憧ちゃん、すっごく慌てちゃって……」

灼「そういう寝る、とか……発想がやらし……」

憧「や、やらしくないもん!」

穏乃「……憧って本当に頭いいの?」

憧「しずよりは断然いいっての!」


宥「ふふふ……もう、喧嘩しちゃ、めっ! だよ~?」

穏乃「はーい」

憧「むぅ……納得いかないなぁ……」

玄「あ、穏乃ちゃんと憧ちゃんの分もお茶淹れてくるね! ゆっくりしてて!」

穏乃「あ、すみません玄さん! 忙しいのに……」

憧「っていうかなんで今日まで働いてんのよ……いよいよ本番でしょ? いろいろ準備とか……」

玄「そ、それはそうなんだけど……お仕事してないとむしろ落ち着かないし……透華さんたちをちゃんとお迎えしたいから……」

灼「龍門渕さんたち?」

憧「違うでしょー?」

玄「か、からかわないでよ! もう……それじゃあ、私はそろそろ戻らなきゃだから……透華さんたちが来るまでゆっくりしていってね」

穏乃「はい! のんびりさせてもらいます!」

憧「……悪いわね、働いてんのに」

玄「気にしないでいいんだよ? そんなことより、憧ちゃんだって井上さんに会う準備しといた方がいいんじゃないかな?」

憧「ふきゅ」

灼「出た、ラブコメディアン憧の持ちネタ……」

憧「ネタとかじゃないし! そもそもコメディアンじゃないし! っていうか何よラブコメディアンって!?」

灼「さあ……?」

穏乃「憧みたいな人のこと?」

憧「しずも灼さんも……!」

宥「まあまあ、落ち着いて……憧ちゃんもちゃーんと笑顔で待ってないとダメだよ? 怒ってたらせっかくのかわいいお顔も台無しだよ?」

憧「……はーい」


……最近、ちょっぴり思うんだけど……玄ちゃんや憧ちゃんが羨ましい

私にも玄ちゃんやお父さん……灼ちゃんに憧ちゃんに穏乃ちゃん、それに怜ちゃんや泉ちゃんたち……たくさんの大切な人たちがいるけれど……そういう好きっていうのは私にはよくわからないから

昔、やんちゃな男の子たちに少しいじめられちゃったりだとか、ずっと女子校だったからあんまりお話しする機会もなかったとか…………なんとなく男の子ってものに苦手意識があるというか……

それでも、好きな人のことを考えている時の玄ちゃんや憧ちゃんはすっごく楽しそうだし、とってもかわいいから……

私も、いつか……そのうち……

……うん、まあいっかあ……やっぱりそういうのちょっと苦手だし、今は麻雀が恋人で……

春からはまた、怜ちゃんや灼ちゃんたちと一緒にインカレ制覇を目指して頑張るんだし!

お姉さんとしてしっかりしないと……

……お姉さんとして、玄ちゃんと憧ちゃんの恋路も応援してあげないとね!

夕方頃に来るって聞いてるし……うーん、従業員の皆さんをこっそり誘導して玄ちゃんや憧ちゃんがそれぞれふたりきりでお話しできるようなタイミングを作ればいいのかなぁ?

……やっぱり、よくわかんないや


――――――

まったく、本当に失礼しちゃう……しずも灼さんも、私をなんだと思ってるわけ?

バカにしてくれちゃって……っていうかさ、す、好きな人を前にしたらちょっとぐらいテンパっちゃったって仕方ないじゃん……仕方ないよね?

灼「ごめんごめん……それじゃあ、阿知賀の恋愛マスター憧ちゃんの今日の作戦を聞かせてもらいた」

憧「れ、恋愛マスター!?」

なにそれ、初耳なんだけど

灼「玄が言ってた」

憧「……そ、それはさすがに言い過ぎじゃない?」

穏乃「さすがにというか……明らかに言い過ぎじゃない?」

憧「うっさい! しずよりはマシだし!」

穏乃「なにぃ? こう見えて私だって……」

憧「嘘!? マジで!?」
灼「穏乃が!?」
宥「えぇ!?」

穏乃「……や、山と言う立派な恋人が……」

憧「あー……そういう……はぁ、びっくらこいた……」

灼「安心した」

宥「心臓止まるかと思ったよ……」

穏乃「ちょっとした冗談のつもりだったのに……そこまで言われるとなんか……腑に落ちないなぁ」


穏乃「……で?」

憧「で?」

穏乃「阿知賀の恋愛マスターらしく今日も作戦があるんでしょ?」

憧「だからそれやめてって! ……ま、まあ? そりゃあ私だって約256通りのパターンを考慮して……」

穏乃「さすがに嘘でしょ」

灼「実際に考えてたとしてもテンパってひとつも使えないしね」

憧「くっ……そ、そうだとしても前もってイメージトレーニングしておくことで本番でなにかあってもある程度対応が可能に……」

穏乃「……いままで対応できてたことありましたっけ?」

灼「さあ……?」

憧「す、好き勝手言ってくれちゃって……! 宥ねえもなんとか言ってやってよ!」

宥「え……えっと……ふたりとも、憧ちゃんだって頑張ってるんだからあんまりからかっちゃダメだよ?」

穏乃「宥さんがそう言うなら……」

灼「憧で遊ぶのはこの辺で……」

……なんなのよ、この私と宥ねえへの態度の違い。 まあ、そういう感じもわかるけどさぁ……


灼「それにしても、憧には感服する」

憧「へ? な、なによ急に……」

灼「まさか約256ものシチュエーションを妄想しているなんて……」

憧「言い方!」

穏乃「でもさ、つまるところはそういうことだよね!」

憧「元気に言いきるな!」

宥「……ちなみに、どんな状況を想定してるの?」

憧「え? そりゃあ……まずみんなが松実館に着いて、挨拶しに行く時点で32通りのパターンを想定して……」

灼「いいことを教えてあげる」

憧「え? なに?」

灼「結果としてすぐテンパると思うから1パターンにまとめといていいよ」

憧「余計なお世話よ! っていうかそれも想定済みだし! むしろ考慮してるパターンのうちの半分ぐらいがテンパったとこからの建て直しだし!」

穏乃「……憧って頭いいけどバカだよね」

憧「しずはバカな上にバカじゃん」

穏乃「それただの悪口だよね!? 酷くない!?」


灼「……失敗する前提で組み立ててばっかりなのもどうかと思」

憧「む……まあ、それはそうよね」

宥「でも、残りの半分はうまくいってるパターンってことだよね? どんな感じなの?」

憧「それは……」

憧「…………」

憧「ふきゅ」

憧「……な、なな、何を言わせる気なのよ!?宥ねえのばか!」

宥「えぇ……?」

穏乃「最近……いや、結構前からなんですけどね? 憧のことが心配で心配で……」

灼「脳内ピンクなのはわかったけど……」

憧「ぴ、ピンクじゃないし! 超健全だし! 正当派ラブコメだから! 少女漫画だから!」

穏乃「憧は結構ロマンチストだもんねー」

宥「憧ちゃん、玄ちゃんとそういう話しも合うもんね~」

灼「最近の少女漫画ってわりとエグい気がするけど」

憧「灼さんはいちいち余計なこと言わないでよ!」


憧「もう……灼さんもさ、いい性格になったよね……変なのと付き合い持ちはじめてから影響受けすぎ! 昔はおとなしくてかわいかったのに!」

灼「変なのって……まあ誰を指してるかはよくわかってるけど」

穏乃「バカと天才は紙一重って言うしね! 揺杏さんは圧倒的天才だと思うけど!」

憧「一応名前伏せてあげたのに……しず、本音透けてるわよ」

穏乃「え? なにが?」

憧「……まあいいや」

宥「……憧ちゃん!」

憧「へ? な、なに? どしたの急に……」

宥「今の言い方だと灼ちゃんが今はかわいくないみたいだよ! こんなに灼ちゃんかわいいのに!」

憧「……はぁ?」

灼「……宥さん、やめてください……それはさすがに恥ずかし……」

宥「えー……? 大事なところなのに……」

憧「……なんかさ、最近前にも増して仲いい感じだよね」

なんか進学先も一緒だし……今日も朝から宥ねえと灼さん一緒にこたつでのんびりしてたらしいし……

宥「えへへ、だって大学でも先輩後輩だもんねー?」

灼「……ねー」

宥「私、お姉ちゃんだから!」

灼「そうですね」

宥「頼ってね!」

灼「はい、頼りにしてます」

宥「えへへー」

……なんじゃそりゃ


穏乃「ほらほら、あんまりいちゃついてると憧が妬きますよ」

憧「妬かないし!」

灼「そゆのは取っときなよ、純くん来るまで」

憧「ううう、うるさいわね! 余計なお世話!」

穏乃「はぁ……龍門渕さんたち早く来ないかなぁ……久しぶりだし麻雀も打ちたいし話したいこともたくさんあるし……」

憧「……一さんと変な会議すんのはやめなさいよ」

穏乃「うん! 変な話なんかしてないし大丈夫だよ!」

憧「…………」

……しずは変な話してる自覚ないんだった

灼「そっち止めに行くより自分のことに集中したら? しょっちゅう会えるわけでもないんだし」

憧「……わ、わかってるわよ……私だって……玄みたいになにかしたってわけじゃないけど」

穏乃「玄さんは頑張ったからねー……憧も頑張らなきゃ!」

憧「私は長期戦でいいのよ。 焦ったってテンパって失敗するだけだし」

灼「完璧な自己分析だね」

宥「憧ちゃんはお利口さんだから~」

憧「……すっごくバカにされてる気がしてるんだけども」

灼「ほめてるよ?」

憧「……まあ、そういうことにしとくけど」


灼「ま、まだまだ時間もあることだし……」

宥「のんびりしよっかー」

穏乃「あ、はいはい! 私、久しぶりに宥さんと打ちたいです!」

宥「ふふっ、インカレで鍛えた腕前を見せちゃうよー?」

灼「それじゃあ、改めて先輩の腕前拝見ってことで」

宥「! よぉし……かっこいいとこ見せちゃうんだから!」

憧「え、ちょっと……ま、いっか」

今から慌てても仕方ないし……一番の課題はわかってるんだから……いつも通りでいいのよ、平常心平常心……

憧「……よし! とりあえず東風一回やったらお昼食べましょ」

穏乃「えー? 一回だけー?」

憧「時間あるんだからお昼食べてから打てばいいでしょ」

宥「ご飯はちゃんと食べないとダメだよね~」

灼「そいえば、玄はお昼は……?」

宥「ちょっと前にあっちで賄い食べてると思うから……残念だけど別々だね……」

灼「そか……」

穏乃「……なんか寂しいですね……今までずっと一緒だったのに……」

憧「はぁ……別に、まだいい方でしょ。 もし東京の大学通う、とかになってたらそれこそ気軽に会ったりできなくなってたんだし……松実館来ればいつでも会えるんだからさ」

灼「それはたしかにそうかもね」

穏乃「……そうだね! つい数日前に卒業式でボロボロ泣いてた憧に言われるとちょっと気になるけど!」

憧「そ、それはまたちょっと違うじゃん!」

宥「ふふ、今まで通りいつでも遊びに来てくれていいからね。 私も玄ちゃんもうれしいから」

穏乃「はい! ありがとうございます、宥さん!」

憧「ん……ありがと、宥ねえ」


――――――

結局、打ってれば時間なんてあっという間に過ぎるもので……たまに休憩時間に入った玄が顔を出すぐらいで、しずと灼さんと宥ねえと四人でずっと打っていた

麻雀部を再結成した時のメンバーも、ハルエはプロに、宥ねえが卒業して、ついこの間には玄と灼さんも卒業しちゃって……しずとふたりで後輩たちを引っ張ってかなきゃなー、とか、不安だったり楽しみだったりいろいろと思うところはあるけれど……やっぱりちょっと寂しいなーってのもあるわけで

こうやって、今までみたいにこのメンバーで卓を囲んでいると落ち着くし安心する……なんだかんだ言ってもしずだって相当の寂しがり屋だし、強がるタイプだから私がしっかりしないといけないんだけどな……

……灼さんにも後のことは頼まれちゃってるしね

穏乃「……あ!」

憧「ふきゅっ……しず、急に大声出さないでよ!」

穏乃「一さんから連絡来たよ! そろそろ着くって!」

憧「えっ!?」

宥「それじゃあ、お迎えする準備しよっか! ……とは言っても、うちじゃなくて松実館のお客様だから私たちは特にやることないんだけど……」

灼「とゆか、私たち客でもスタッフでもないし……松実館入れないんじゃ」

宥「……少しお片付けしてこっちで遊ぼっか?」

穏乃「いいんですか!? ……あ、でもドイツ行ってたんですよね? それでまた奈良じゃあ……長旅で疲れてるだろうしあんまりはしゃいだら迷惑かなあ……」

灼「わざわざ会いに来てくれたんだからいいんじゃない? それに、何泊かするんだろうし今日はゆっくり休んで明日以降とかでも……」

憧「……今日じゃないとダメな用事もあるけどね」

宥「玄ちゃんの勝負の日ですから! 憧ちゃんも、ね?」

憧「わ、私はいいから! 普通に……普通にするし! 純さんが、お、お返し持ってきてくれるって言ってたからそれは楽しみだけど……べ、べつになんもないし!?」

灼「はい、一回落ち着こっか?」

穏乃「早速テンパり始めてるよ? ほら、ひっひっふー」

憧「それ違うから! なにも産まないから!」


――――――

基本を一からしっかりと

正式に松実館の従業員として働きたい、ってお父さんにお話ししたときに言われたことだ

今までもお手伝いはしてきたし、しっかりできていた……と、思うけど……とにかく、将来的には松実館を継いでやっていくつもりなので不足があってはいけない

……というわけで、ここしばらくはひたすら館内のお掃除をすることになっている

今日も今日とてお掃除だ。 透華さんたちも来ることだし、万全のサービスを提供したい! お世話になってるし、大切なお友だちだもんね……お客様に差はないけれど、気合も入っちゃうよね

……廊下がピカピカになったかな、というところで時計に目をやると、ちょうど16時を過ぎようかというところだ

玄「……そろそろかなぁ」

あぅ……ちょっと緊張してきた……みんな、来るんだよね……

透華さん、国広さん、井上さん、沢村さん、天江さん……それと、萩原さんも……

玄「……ど、どど、どうしよう…………」

いや、今からどうしようもないのはわかってるんだけど……

先月、バレンタインにチョコと一緒に気持ちを綴ったお手紙を送って……当日中に連絡もくれたのにこっちから引き延ばしちゃって……

うう……そっちから言っといて、とかって悪い印象与えちゃってないかなぁ…………あんなの逃げたようなものだし……っていうか逃げたんだし……

……嫌われてはいない、と思う。 話もかなり合ったし、夏の大会中なんかはみんなが協力してくれてふたりで買い出しに行ったりとか……

でも、前に付き合ったりとかはないって言ってたしなぁ……吉野と長野じゃ距離もあるし、高校卒業しちゃったから練習試合とかもできないし、そもそも松実館のお仕事があるし……


……あう……色々考えてたらますます玉砕しか道がないような気が……



「はーじーめーさーん!」

「穏乃ちゃん!」

「来ましたわ! 吉野の地にこの龍門渕透華が颯爽と……」



あ、透華さんたち到着したんだ! ……騒がしいからすぐにわかるなぁ…………と、とにかくお出迎えしないと!

うぅ……やっぱり緊張するなぁ……深呼吸して、ちょっと落ち着いて……



玄「よ、ようこそいらっしゃいまし……ひゃあっ!?」

穏乃「く、玄さんっ!?」

灼「……なにもないとこで転ぶのって才能だよね」

智紀「慌てすぎ」

純「おいおい……大丈夫か? 怪我は?」

玄「だ、大丈夫です……ありがとうございます……」

一「あのさぁ……空気読みなよ。 なんで純くんが抱き止めちゃうのさ」

透華「純はダメダメですわね」

衣「純だから仕方あるまい」

純「いや、目の前だったから咄嗟に……なんで責められてんだ!? いいことしたよな!?」

一「怪我したらしたで看病イベントって手も……」

宥「さ、さすがに怪我しちゃうのはどうかと……」

憧「……玄! ちょっと、気をつけて歩きなさいってば! 危ないわよ!?」

玄「う、うん……ごめんね、心配してくれてありがとう憧ちゃん……」

灼「憧はいちいち妬かないの」

憧「そ、そういうのと違うし!」

一「憧ちゃんも一発転んどく? なんなら背中押してあげよっか?」

憧「ななななに言ってるんですかそういうのは
タイミング見てお願いしますよ!?」

純「お前こそなに言ってんだ!? 危ないからやめろって! そりゃあ受け止めるけどよ!」

憧「ふきゅ」


玄「あうぅ……し、失礼しました……お部屋の方にご案内します……」

透華「ふふ、よろしくお願いしますわね、玄さん」

な、なにもないところで……は、恥ずかしい……萩原さんに見られてなくてよかっ……

ハギヨシ「……あ……その、お久しぶりです」

玄「……お、お久しぶりです」

み、見られてた……ど、どうしよう……絶対抜けてる変な子だと思われたよぅ……

灼「今までもたまにやってたし気にしなくていいと思」

玄「!? あ、灼ちゃん心読むのやめてよぉ!」

灼「玄はすぐ顔に出るから……」

透華「玄さんはその様なところも含めてかわいらしいのですから気にしなくてよろしくってよ?」

玄「そ、そう言われても……」

穏乃「……あ、あの、玄さん!今日は龍門渕さんたちをご案内したらあがりですよね? とりあえず私たちは裏の方で待ってようかなって話をしてたんですけど!」

玄「え……あ、うん! そしたら、いろいろとお片付けしたらそっちに行くから!」

衣「それじゃあ、衣たちも裏手の方に回ればいいのか?」

宥「ええと……私のお部屋でよければ……旅館の方は、他のお客様もいるしあんまり騒げないかなーって……」

灼「ゆっくりしたいならのんびりしててくれても……私たちは暇だし明日とかでも……」

純「バーカ、お前たちに会いに来たんだぜ? ゆっくりすんのは後でいいからさ……暇なら付き合ってくれよ」

憧「わ、私でよければいくらでもお付き合いしますけど!? む、むむむしろつつ、付き合ってください!」

純「はは、よろしく頼むぜ」

憧「!?!?!?」

灼「違うから。 落ち着いて」

智紀「純はもうアレだよね。 新子さんを弄ぶのを楽しんでるよね」

一「違うよともきー。 ただのタラシだよ」

透華「純、あまり感心しませんわよ? そろそろ態度をハッキリとさせるべきですわ」

純「なんの話だよ?」

衣「ふふん、純はまだまだお子さまだな」

純「一番の子どもがなに言ってんだよ」

衣「衣は子どもじゃない!」


……憧ちゃん、頑張ってるなあ……その、まるで届いてなさそうなのが気の毒だけど……

…………私も、もうちょっとああいう感じでアピールできてたら……

一番後ろを歩く萩原さんの姿を振り返る

玄「…………」

ハギヨシ「……?」

玄「!!」

め、目があったと思ったら微笑みかけられちゃった……か、顔が熱い……っていうか思いっきり顔背けちゃったけど、感じ悪かったかなあ……

玄「うう……それでは、こちらのお部屋になります……萩原さんのお部屋は、部屋の広さが違うのでもう少し奥の方に……」

透華「ありがとうございます! それでは、玄さんはハギヨシをお部屋の方に案内してあげてくださいな」

玄「え、あ、は、はい!」

穏乃「じゃあ、私たちは外で待ってますから!」

純「ああ、すぐ行くから待っててくれよ」

憧「い、いつまでも待ってます!」

衣「そんなには待たせないぞ? 衣も遊びたいからな!」

灼「……とりあえず憧は反射で返事するのやめたら? そのせいで火傷してる場合が多い気がするんだけど」

智紀「そこが面白……かわいいんだけどね」

宥「おも……うん、まあそうだね……」


玄「…………」

ハギヨシ「…………」

ど、どうしよう、なにか言った方が……でもなにを言えば……

えっと、えっと……

ハギヨシ「……あの、玄さん」

玄「ひゃい!? あ、あの……お、お部屋! こ、こちらになりますので! ご、ごゆっくり!」

ハギヨシ「玄さん、落ち着いてください」

玄「あう……」

ハギヨシ「その……私も、落ち着いて話がしたいと思っていますので……玄さんはお仕事中ですし、私たちも到着したばかりですから……」

玄「は、はい」

ハギヨシ「玄さんのタイミングで構いませんから……連絡をください。 落ち着いて、話をしましょう」

玄「……はい、すみません……お、お手数を、お掛けしまして……」

ハギヨシ「いえ……すみません、私もこういうことは不慣れでして……みなさん合流されているでしょうから、玄さんも用意して来たらどうでしょう? 透華お嬢様も、玄さんとお話しするのを楽しみにしておられましたから」

玄「はい、そうします……私も、透華さんたちと会うのを楽しみにしてましたから」




はうぅ……き、緊張した……私があんまり緊張してるからわざわざ時間置いてくれたのかなあ……

落ち着いて……って、ちゃんと覚悟してね? ってことなのかなあ……やっぱり全然自信ないよぅ……

玄「……あ、お父さん、予約の井上様六名いらっしゃいました! それで……」

「ああ、今日はあがりなさい。 いつものお友だちだろう? 清掃の方も行き届いていたからね」

玄「はい! ありがとうございます! お先に失礼します!」

話の流れからすると、たぶんお姉ちゃんのお部屋で麻雀とかしてるのかな? 着替えて、裏手に回ると部屋に入る前から既に盛り上がっているのがわかる……主に憧ちゃんが大変なことになっているみたいだ



玄「お姉ちゃん? 入るよー?」

宥「あ、玄ちゃんどうぞー」



純「ほら、いろいろと作ったり買ってきたんだぜ! まずはマシュマロ!」

憧「!?」

マシュマロ……お返しだと『嫌い』だったよね……おいしいのになんでそんな意味になっちゃったんだろう……? 憧ちゃんは泣きそ……というか泣いちゃってるよ!?

憧「あ、あ……」

純「キャンディもあるぜ!」

憧「ふきゅ」

キャンディは『あなたが好き』だよね……憧ちゃんは今度は顔真っ赤にして口をパクパクさせている

純「クッキーも焼いてみたり!」

憧「……あ、ありがとうございます!」

クッキーは『お友だちでいよう』かな? 憧ちゃんはようやく落ち着いたらしい

憧「……こ、これってどういうこと!? 嫌いなとこも好きなとこもあるからとりあえず友だちでいよう、的な!?」

玄「え? えー……そ、そんなのわからないよぅ……」

一「純くんがそんなに色々考えてると思ってるの?」

智紀「お返しの定番らしいとこは押さえておこうぐらいのチョイス」

穏乃「っていうかちゃんと告ったわけでもないのに意味とか求めちゃダメなんじゃない?」

灼「穏乃……そういうことわりとハッキリ言うよね」

穏乃「最近の憧はポンコツっぷりに磨きがかかりすぎてるんで……親友としてしっかり支えてあげようかと!」

衣「うむ! 持つべきものは友だちだ!」


純「あ、前にケーキもらったろ? 今回は焼いてきたんだ! マカロンも作ってきたぜ! あ、キャラメルも! いやぁ、久々におかしなんて作ったからつい熱くなっちまったぜ!」

憧「す、すみません……私、チョコ贈っただけなのにこんなに……」

純「いいんだよ、作るの楽しかったからさ! ってもたしかに量が多すぎたか……ま、穏乃とかと分けてくれて構わねぇから」

穏乃「わぁ! いいんですか!?」

憧「な、なに言ってんのよ!? こ、これは私が純さんにもらったんだから!」

純「はは、意外と食いしん坊だったんだな」

透華「……ここまで来ると純もよほどですわね」

純「なにがだよ? ……あ、そう言えばさ」

憧「は、はい?」

純「なんかおかしとかに意味あるらしいけどよ……」

憧「ふきゅ」

一「あ、さすがにそこら辺は知ってるんだ」

純「時期が時期だからレシピとか探してたら色々出てきたんだよ……」

宥「し、知ってるならマシュマロは外してあげても良かったんじゃ……」

智紀「で、それを今言う意図は?」

純「いやさ、マシュマロやらキャンディはわりとメジャーでオレもなんとなく聞いたことあったんだけどよ……」

玄「あ、他にもあったんですか? 知らなかったです」

純「キャラメルは、一緒にいると安心する……なんて意味があるらしい」

宥「へぇ……」

穏乃「あはは、憧は純さんといるとちっとも心が休まらなそうですけど」

憧「うっさいしず! よ、余計なことは言わないの!」

智紀「ケーキやマカロンは?」

純「ケーキは特に意味はないらしいけど……マカロンは……」

憧「……マカロンは?」

純「お前が特別、だってよ」

憧「ふきゅ」


一「あ、また純くんが憧ちゃんコマしてる」

透華「……純にはホストでもやらせたらジャンジャンバリバリ稼いでくるのではなくって?」

純「……? おい、憧? どうした?」

憧「え、あ、うあ……」

純「真っ赤だぞ? 熱でもあんのか?」

憧「ふきゅ」

灼「……おでこにおでこくっつけるのってさ……もうさ、アレだよね。 落としにかかってるよね」

智紀「普通やらないよね」

憧「だ、だだ、大丈夫れすよ!?」

純「そうか? じゃあこれ食ってくれよ! マカロン! 今回一番自信あっからよ!」

憧「ふきゅ」

宥「あ、憧ちゃんがすごくあったかそうに……」

衣「人間とはあそこまで赤くなれるのだな……」

灼「……憧は幸せそうだからいいとして」

玄「……え?」

透華「……どうだったんですの? 随分と落ち着いておられますけれど……」

玄「あ、その……あ、あとで?」

灼「……また逃げてきたの?」

玄「わ、私があんまり緊張してたから時間を置いてくれたみたいで……」

透華「……これは、どうやらハギヨシの方ですわね」

玄「え? え?」


透華「むむ……それで、どのような感じなんですの?」

玄「……その、私のタイミングでいいから、連絡してくれって……」

透華「……まったく! ハギヨシも意気地のないこと! 自分が話す覚悟がなかっただけではありませんの?」

玄「そ、そんなことはないと思うんですけど……」

宥「玄ちゃん、それじゃあどうするの? いつ頃お話しするの?」

玄「え……それは……その、タイミングを見てというか……」

灼「今。 もう今行こうか」

玄「ふぇぇ!? で、でも……」

透華「このままではタイミング自体を逃しましてよ? 玄さん、しっかりしてくださいな! ここまで来たら押せ押せ、ですわ!」

玄「そ、そう言われても……」

透華「というか! ハギヨシはどこでなにをしていますの!?」

ハギヨシ「お呼びでしょうか?」

宥「ふぇ!? あれ、どこに……?」

灼「扉の外?」

ハギヨシ「女性の部屋に勝手に上がるわけにはいきませんので……」

透華「ハギヨシ! しっかりしなさいな! 中途半端な状態で放っておくなんて最低ですわ!」

ハギヨシ「も、申し訳ございません……」

透華「謝る相手が違いましてよ!」

ハギヨシ「は、はい……そ、その……」

透華「あ、ちょっとお待ちなさいな……玄さん、勝手に申し訳ありません……平気ですの?」

玄「う……その、か、覚悟はできてます……憧ちゃん見てたらだいぶ落ち着いてきましたし……」

灼「テンパりすぎて回りの精神安定剤になる憧……」

透華「それでは……頑張ってきてくださいな」

玄「は、はい! そ、その……あの……」

宥「大丈夫だよ。 がんばってね、玄ちゃん」

玄「……うん!」




玄「……えと、とりあえず……こ、こちらの部屋に……」

ハギヨシ「……は、はい、それでは……失礼いたします…………あの、この部屋はもしかして……」

玄「え? 私の部屋ですけど……」

ハギヨシ「そ、それはさすがに不味いのでは……」

玄「? でも、ふたりで話すなら私の部屋の方が……」

ハギヨシ「それはたしかにそうかもしれませんが……」

……あ

と、とりあえずふたりで落ち着いて話せる場所! って思って自分のお部屋に案内したけど……よ、よく考えたら、これってとんでもないことしてるんじゃ……お部屋に、男性を……

玄「あ、う……えっと、気にしないでください……その、萩原さんだったら、私……お部屋にあげるぐらい……」

ハギヨシ「……く、玄さん、しかしですね……」

玄「……は、萩原さん!」

ハギヨシ「!」

すっごく緊張してるし、こういう時にどうすればいいのかもわからないけど……私は駆け引きなんてできないから、素直に気持ちを伝えるしかない

玄「その……わ、私は……先月、お伝えした通り……萩原さんのことが……す、好き……です」

玄「その、今日は……お、お返事を、いただければと……」

ハギヨシ「……す、すみません」

玄「!」


玄「そ、そう……ですよね……わ、わたし、なんかじゃ……」

ハギヨシ「え……あ、ああ! 待ってください! 違うんです、その、私も……ええ、動揺してしまって……」

玄「……え?」

ハギヨシ「し、少々お待ちを……」

……自分のことにいっぱいいっぱいで気がつかなかったけど……

玄「……萩原さん、真っ赤ですよ?」

ハギヨシ「……私だって、人並みに照れたりするのです」

玄「ふふ……萩原さんってかっこいいだけじゃなくって意外とかわいいところもあるんですね」

ハギヨシ「玄さん……ご、ご勘弁を……」

玄「あっ……す、すみません! 男性にかわいいだなんて失礼でしたよね……」

ハギヨシ「そ、そこではないのですが…………コホン、それでは、玄さん」

玄「……! は、はい!」

ハギヨシ「その……まずは、謝罪をさせてください……申し訳ありませんでした」

玄「え……!? な、どうしたんですか? そんな、急に……」

ハギヨシ「……玄さんは、以前から私に対して好意を示してくださっていたのに……私は、その事に気づいていながらなにも行動をせずに……」

玄「そ、そんなこと……気にしないでください!」

ハギヨシ「いえ、先ほど透華お嬢様にもお叱りを受けましたが……曖昧な態度をとっていたのは事実ですから……」

玄「……私、本当に覚悟はしていますから……ハッキリと言ってくださって大丈夫ですよ? 萩原さん、優しいから……言いづらいのかもしれないですけど……」

ハギヨシ「……そう、ですね……私も、覚悟を決めて、ハッキリと言うべきでしょう……玄さんが、勇気を出して想いを伝えてくださったのですから」


ハギヨシ「……どうするのがベストなのか、私には検討もつかなくて……この一ヶ月色々と悩んだのですが……」

玄「あ……い、一ヶ月も悩ませてしまってすみません……バレンタイン、連絡していただいたのに……」

ハギヨシ「い、いえ! 私も、色々と考える時間ができましたから……それでは、先月のお返しです。 よろしければ、受け取っていただけると……私も、うれしいのですが」

そう言って、萩原さんが取り出したのは一輪の赤い薔薇

ハギヨシ「……女性に贈るのならば花、と……なんとも発想が乏しくて申し訳ないのですが……花束を、とも思ったのですが……あまり大きいと邪魔になりそうですし、きれいな状態で持ってこられるか自信もなかったので……」

玄「……え? え、その、薔薇って……え? その、どういう……」

ハギヨシ「ああ……すみません、言い訳ばかりしていますね……その、つまり……」

赤く染まった頬を掻きながら、照れ臭そうに口を開く萩原さんが見える……正直、頭は真っ白でなかなか情報が頭に入ってこないけれど……私の耳は、その言葉だけはしっかりと捉えてくれたようだ



ハギヨシ「私も……玄さんのことが……好き、なのです……よろしければ、今後は、今までのような、友人としてではなく……恋人としてのお付き合いを、していただけたらと……思っています……」




玄「え、あ、う……え?」

ハギヨシ「……好きです、玄さんのことが」

玄「……う、うそ……ですよね?」

ハギヨシ「こんな質の悪い嘘はつきませんよ……」

玄「で、でも……前に、私とお付き合いをする気はないって……」

ハギヨシ「え……あ、ああ……あれは……あの時は、その……い、今ほど親しい付き合いでもありませんでしたし……いえ! あの頃から好ましい方だとは思っていましたが……玄さんは高校生でしたし、私も龍門渕の執事として……」

ハギヨシ「……あ! す、すみません! 高校のご卒業のお祝いもしたいと思っていたのですがすっかり頭から抜けていました! 私も、かなり緊張していたので……」

珍しく顔を赤くして少し早口でまくし立てるように話す萩原さんは今までに見たことのない姿で少し驚いたけれど……でも、そんな姿も普段と違ってなんだかかわいらしくって……ふふ、そんなところも素敵かも。 なんてね

玄「……あの、それじゃあ……?」

ハギヨシ「……はい、玄さんさえ問題がなければ……」

玄「わ、わたしたち、こっ……恋人同士、なんですか?」

ハギヨシ「ええ……その、私も長野で龍門渕の執事として働いていますし、玄さんもこれから松実館で勤務される以上会う機会も減っていってしまうと思いますが……」

玄「……う、うぅ……あううぅ……」

ハギヨシ「く、玄さん!? す、すみません! やはりなにか不手際が!? ど、どうにも不馴れで、勝手がわからず……不快にさせてしまったのなら本当に申し訳ありません!」

玄「ち、ちがっ……わ、わたし、ぜったい、フラれるとおもってて……」

玄「わたし、萩原さんに比べたら全然お子様で、ちんちくりんだし……」

ハギヨシ「そんな……私にとっては、玄さんは……魅力的な女性ですよ?」

玄「あぅ……は、恥ずかしいからそういうこと言わないでください……」

ハギヨシ「す、すみません……気をつけます」

玄「あ……ち、違うんです! その、それでも、うれしくって、あの……や、やっぱり、たまに言ってください……」

ハギヨシ「……はい。 私も……なかなか、こういうことは言えないので……玄さんに喜んでいただけるのなら、できるだけ言葉にしようと思います」




ハギヨシ「……それにしても、すみませんでした……私が早くからハッキリとした態度をとっていれば……玄さんを泣かせてしまうこともなかったでしょうに……ハンカチ、よろしければ使ってください」

玄「あ、ありがとうございます……すみません、私も……その、うれしくって泣いちゃったので……別に、嫌だとかそういうことじゃないんですよ?」

ハギヨシ「それでしたら、よかったのですけれど……」

ポンポンと大きな手で頭を撫でられて……少し恥ずかしいけれど、すっごく落ち着く

ハギヨシ「……あ、す、すみません……無断で髪に触れてしまって……女性の命とも言われるものですのに……」

玄「……いいんですよ? だって……その、は、萩原さんは……私の……か、彼氏さん、なんですから……」

ハギヨシ「そ、そう、ですか……」

玄「……そ、そうなんです」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

は、恥ずかしい……! というか、なんか、もう、よくわからないうちに……なんか、なんか、もう! こ、恋人、だって! ど、どうすればいいんだろう……

玄「……」

ハギヨシ「……あ」

玄「あぅ……」

目、合っちゃった……どうしよう、なんか、さっきからどうしよう、って感じだ

恥ずかしいのとうれしいのと他にも色々でどうすればいいのか全然わかんないよ……

玄「……は、萩原さん」

ハギヨシ「は、はい……どうされました?」

玄「……こ、恋人って、なにすればいいんでしょうかね……?」

ハギヨシ「……わ、私もあまりそういうことには明るくなくて……そ、それでは」

玄「は、はい!」

ハギヨシ「玄さんは、明日がお誕生日、でしたよね? もし、お時間に余裕があるのならば……どこか、お出掛けしてみませんか? その……ふたりで」

玄「そ、それはつまり……で、でぇとのお誘いでしょうか?」

ハギヨシ「その、つもりです……やはり、恋人といいますと、そういうことを、してしまうのではないでしょうか」

玄「そう、ですよね……きっと、世間の恋人って……デート、したり……き、キスとか、したり……してるんですよね」

ハギヨシ「……!? そ、それでは、その……」

玄「……ふぇ!? あ、い、いや……ち、違いますっ! いまの、今のは無しでっ! き、急に、そんな……あのっ! は、早いです! ま、まだお付き合い始めたばかりなのに……っ!」

ハギヨシ「そ、そうですよね! し、失礼しました! あの、私も……ええ、清い交際をするべきだと、思っていますので! い、いきなり……き、キスなどと……」

玄「あう」

ハギヨシ「う……」


は、反応しちゃった……だって、そんな……き、キスとか……うう……わ、私も、お年頃の女の子というか……興味あったりするし……うう……私、いやらしい子だなぁ……幻滅されちゃうかも……

玄「…………」

……でも、萩原さんって唇の形も綺麗だなぁ……ファーストキスはレモン味だなんて言うけど、本当なのかなぁ……

ハギヨシ「……く、玄さん?」

玄「……あ、す、すみません! その、つい……き、綺麗な唇だなって!」

ハギヨシ「え、その、それは……」

玄「……ほわぁ!? す、すみません! 違います、違いますから!」

ハギヨシ「え、ええ……」

玄「あうぅ……」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

ハギヨシ「……玄さん」

玄「は、はい! どうしました!?」

ハギヨシ「その……して、みますか?」

玄「え……」

ハギヨシ「……恋人、らしいことを」

玄「!?!?!?」

玄「え、でも、そんな……あのっ! そ、それは、し、してみたいですけどっ! じゃなくって、えっと、えっと……うわああぅぅ……」

玄「……は、はじめてなので、やさしくしてください……」

ハギヨシ「わ、私も経験はないのですが……その、努力します」

そっと髪を撫でられて、その手が流れるように頬をなぞって顎に添えられる

少し顔を上げて瞳を閉じると、萩原さんの少し大人な男性の匂いに包まれて、扉の外からは『ふきゅ』って声が聞こえた気がした


……ん?

玄「うぇ!? あ、憧ちゃん!?」

ハギヨシ「えっ」

「……い、いないわよ?」

玄「返事してるよ!? の、覗いてたなんて酷いよぉ!」

憧「ち、ちがうわよ! これは、灼さんが……」

灼「憧はただの野次馬だけど私は玄が心配で……」

智紀「ね」

憧「はぁ!? ちょ、なんでそうなるんですか!?」

衣「おい! なんで衣に目隠しするんだ!? 何が起きてるんだ!?」

穏乃「宥さん、なんで私の顔にマフラー巻くんですか? あったかいですけど……」

透華「衣にはまだ早いですわ!」

宥「穏乃ちゃんももう少し大人になってからね~」

玄「あ、あう……み、みんなして……」

純「あーあー……なんでやめちゃうんっすか……そこはガッとヤってチュッと……」

ハギヨシ「な、なにを言っているんですか!? そ、そもそも人前でするようなことでは……」

一「これだけの気配に気がつかないなんて萩原さんもだいぶいっぱいいっぱいだったんですね……」

透華「……なんにせよ、お邪魔してしまったのは申し訳ございません……玄さん、よかったですわね」

玄「と、透華さん……その、ありがとうございます」

透華「ふふっ……ハギヨシ? 私の大切な友人を泣かせるようなことがあればいくら貴方でも許しませんわよ?」

ハギヨシ「……肝に銘じておきましょう」

灼「よかったね」

宥「ふふ、心配はしてなかったけど……おめでとう、玄ちゃん」

玄「あ、ありがとう灼ちゃん、お姉ちゃん……」


透華「それにしても大変めでたいことですわ! 早速お祝いといきましょう! 」

衣「麻雀パーティーだな!」

穏乃「おっ! 打ちますか!」

純「それじゃあ菓子でも買ってくるか……憧、ここら辺コンビニとかどこだ?」

憧「あ、そ、そしたら一緒に買い出し行きましょうか!」

一「憧ちゃん、少しぐらい迷子になってきてもいいからね」

憧「ふきゅ」

穏乃「龍門渕のみなさんと玄さんと灼さんの卒業祝もありますからね! 大パーティーにしたしないと!」

智紀「麻雀交えた時点でいつも通りな気がするけど」

灼「ま、それはそれで楽し」

宥「それにしても玄ちゃんもとうとう彼氏さん持ちかぁ……お父さんにバレたら倒れちゃうんじゃないかなあ」

灼「おじさん、玄と宥さん溺愛してるしね」

透華「ふふん、うちのハギヨシに不満点などありませんでしょう? まあ、子を思う親の気持ちはわからなくもないですが……」

透華「とにかく、主役のお二人はこのままのんびりしてなさいな」

ハギヨシ「お嬢様、しかし……」

透華「今日はオフなのですから……私よりも恋人を優先して差し上げてくださいな。 ね?」

玄「と、透華さん……」

透華「ふふ、全員連れていくので存分にいちゃいちゃしてくださいまし」

玄「と、透華さん!」

透華「ふふ、それでは用意ができたら呼びますわ」


玄「も、もう……みんなして」

ハギヨシ「……は、恥ずかしい……」

玄「うう……本当ですよね……」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

ハギヨシ「…………」

玄「……あ、あの」

ハギヨシ「は、はい」

玄「……手、繋いでもいいですか?」

ハギヨシ「……ええ、もちろん」

玄「……えへへ」

ハギヨシ「……ふふっ」



私の夢……あの場所でみんなで麻雀を打つこと……お母さんとお父さんの松実館を継ぐこと……ふたつは、もう叶った

最後のひとつは……かわいいお嫁さんになること

いつか、叶ったらいいと思う

繋いだ手は暖かかった


カン!

誰が得してるのかはわからないけど玄ハギもひと段落。もっと時間かけていろいろやりたかったけど時間作れなかった落ち度もあるから仕方がない…
あと一週間で単行本も発売ですね。末原ちゃんと豊音の身長差が可愛すぎて特典がやばい。どうせほとんど集めちゃうんですがね…

やえたんイェイ~
日付跨ぐけどあとで短いの投下します


照『やえ、誕生日おめでとう』

灼「……なぜそれを私に?」

照『やえ、一緒にいるでしょ? 休暇、地元帰るって言ってた』

灼「……ええ、まあ、居ますけど」



藍子「ほら、もこ! 照れてないで渡しなよ、準備してきたんだからさ」

もこ「……、…………っ……!」

やえ「わ、わざわざ悪いわね……その……あ
、ありがと……あら、リボン? ……これって」

藍子「もこのとお揃いなんだよなー?」

もこ「っ! ……!! ……!!!」

藍子「あ痛っ! こ、こら! 照れ隠しに噛みつくな! 引っ掻かないでって!」

やえ「……髪結ぶにはちょっと派手すぎない? フリフリだし……」

灼「かわいいよ」

やえ「……っ……あっそ、どうも!」

灼「やえさん喜んでるよ。 よかったね」

もこ「…………!」

藍子「わかった! うれしいのもわかったから二の腕に噛みつかないでって! おいしくないだろ!?」

玉子「やえ、誕生日おめでとう! いやあ、めでたいのである!」

やえ「あ、あんたもついこないだだったでしょ……遅れて悪かったわね、よかったら受け取って」

玉子「おお、わざわざすまないのである! ありがたく受けとるのである!」

やえ「こっちこそ、悪いわね……こっちまで旅費もバカにならないでしょ?」

玉子「どうせ冬休みだし旅行にはちょうどいいタイミングであるからな! 旅行ついでに友にも会えるのあればいいことづくめである!」



灼「……玉子さんと、もこと百鬼さんも来てますよ」

照『えっ…………』


照『……私だけ仲間はずれ?』

灼「そういうわけでは……お仕事だから、仕方ないんじゃ」

照『でも……やえに着信拒否されたし……もしかして嫌われちゃったんじゃ』

灼「え……着拒? なんでそんな……」

照『わからない……夜は電話繋がったのに……』

灼「夜?」

照『そう、夜中の三時頃に目が覚めて……やえの誕生日が来ていることに気がついた。 お祝いが言いたくて電話をして……』

灼「……夜中の三時頃に?」

照『うん。 なかなか出ないから何回もかけて……』

灼「……それが原因です」

照『えっ!? なんで……やえ、やっと電話に出て、今日誕生日だよね? って言った途端に電話切っちゃって……それから繋がらなくって……』

灼「完全にそれが原因です」

照『なんで?』

灼「……えと、その時間って普段なにしてます?」

照『寝てるよ?』

灼「……やえさんも寝てたと思」

照『うん。 寝てたよ? でも、どうしたの? こんな夜中になんかあった? って……だから、今日誕生日だよね?って……そしたら』

灼「いや、それ……なにもその時間じゃなくっても……それこそ今みたいにお昼頃に電話すればよかったんじゃ」

照『なるべく早くお祝いしたくて……』

灼「……やえさん、照さんから電話です」

やえ「切っていいわよ」

灼「……やえさん、ちょっとおこです」

照『うう……やえ……どうして……』


灼「……やえさん、照さん泣きそうです」

やえ「ほっときなさいよ。 あのバカが悪いんだから」

玉子「なにかあったのであるか?」

やえ「あのバカ、真夜中に何回も電話かけてきて……それで起こされて、なにかあったのかと思って出てみたら……今日誕生日だよね?って……アホらしくなって着拒して寝たわ」

藍子「……なんかさ、小走さんしょっちゅう宮永着拒してない?」

やえ「してるわよ。 鬱陶しいかんね」

もこ「…………」

やえ「いいのよ別に。 ちょっとは反省してもらわないとこっちの手間ばっか増えるかんね」

灼「照さん、やえさんあんまり怒ってないです。 あと、電話するなら時間を考えてほしいって……」

照『うん、わかった。 反省した』

やえ「ちょっと灼!」

灼「照さんが気の毒で……それに、たぶんずっとそのやり方でやってるんだろうけど改善されたの?」

やえ「……されてたら困ってないっての」

灼「じゃあ、たぶん別のやり方を考えた方がいい」

やえ「……はぁ」

照『灼、やえなにか言ってる?』

灼「お土産買って帰るから楽しみにしててって」

照『わかった! 楽しみに待ってる! それじゃあ、私はそろそろ練習があるから……』

灼「ん、頑張って」

照『またね』

やえ「……灼」

灼「どうせなにか買ってくでしょ」

やえ「……そうね」


玉子「相変わらず仲良くやっているようであるなぁ」

藍子「同じチームでよかったよな……宮永、普段のポンコツっぷり見てると小走さんいないとどうなってたんだか……」

やえ「実際、高校三年間面倒見てた弘世はすごいと思うわ……照の世話係としてうちに来てくんないかしらね」

もこ「……、……?」

灼「まあ……たしかにね。 弘世さんもだいぶアレな感じになっちゃってるから」

藍子「来たとして世話する相手が増えるだけだったり?」

やえ「……そうなったら最悪ね……いっそ、赤土さんでも来てくれれば……」

玉子「そうなったらそうなったで残念な気もするであるなあ……三尋木プロと赤土プロの対局も見てみたいところであるし!」

灼「やえさんもハルちゃんのファンだもんね……この前、ちょっと打ったんでしょ?」

やえ「べ、別にファンってわけじゃ……! ……まあ、勉強させてもらったわよ……点数自体はそこまで開かなかったけど、完全に卓を支配されたって感じ」

藍子「マジっすか? 結構いい勝負したんだなーって印象で牌譜見てたんすけど」

やえ「牌譜じゃあの感じはわかんないかもね……思い通りに動かされたって感じ。 読みの精度が違うわ」

もこ「……? …………!」

やえ「たしかにまどろっこしい戦法かもしれないけど、他家を使うのも立派な技だかんね。 赤土プロは……今年一年小鍛治プロとやりあって、やっぱり力勝負じゃ押し負けるって結論になったみたい。 違うやり方も考え中だって言ってたわ」

藍子「つまり、その違うやり方の実験台にされたと」

やえ「うっさいわね!」

灼「……でも、ハルちゃんは元々そういう打ち方得意なんだよね。 真っ向勝負で叩き潰すよりも他家を使ったり変化をつけたり……」

やえ「観察と分析に重きを置く打ち手だかんね……私もああいう打ち方を……いえ、あれ以上の打ち筋を身に付けなきゃね。 尊敬する打ち手とはいえライバルなわけだし」

玉子「そういう意識は大切であるな! あんまり萎縮すると勝てなくなるのである」

もこ「……、…………! ……?」

やえ「ああ……そうね、あんたはあんまり知らないわよね……昔のことはもとより、プロの試合とか興味無さそうだし」

灼「ハルちゃんは凄いんだよ。 なんなら今から一日語ってもいいよ」

もこ「……!」

藍子「うん、さすがに一日は長いよ……まあ、私も赤土プロの対局は結構参考にさせてもらってるけどさ」

灼「そうなの?」

藍子「うん。 参考になるよ、あれは」


藍子「まず、特殊な技とか使ってないからね……誰でもできることを誰よりも上手くやっているってだけでさ」

やえ「ああ……たしかにね。 それこそ小鍛治プロや三尋木プロみたいなのは真似できるもんでもないし」

灼「ま、ハルちゃんのも真似しようと思ってすぐできるものでもないけど」

やえ「そうなのよね……赤土プロにもちょっと相談したんだけどね……やっぱり、相手の研究にも時間はかけなきゃいけないし、観察と分析にもコツとか技術みたいなのは必要だしね……」

玉子「私はそういうのは不得手である……コツとかあるのならば是非とも聞きたいところであるがなぁ」

藍子「宇津木さんらしいね。 もうちょっと考えて打った方がいいんじゃない?」

玉子「返す言葉もないのである……すぐに強くなれるような手があればいいのであるがなあ」

やえ「はぁ……そんな手があったら苦労しないっての」

灼「練習あるのみ……ふふ、麻雀部を作った頃ハルちゃんに聞いたことあるけどね……晩成に勝つなんて普通にやってたら無理だし、急に強くなる方法とかあるの? って」

やえ「なによそれ……で? 私たちは負けたわけだけどなんか方法があったの?」

灼「まさか……急に強くなる手なんて無い、余程のことがあればまた別だけどそれは人為的に切っ掛けが作れるようなものじゃないから……強くなるには練習するしかない。 気持ちが急くのはわかるけどそれなら練習しろ。 急がば学べ……ってね」

やえ「教師らしいこと言うわね……私はその考え方はもっともだと思うけど。 私だって強くなるために研鑽を重ねてるんだから。 …………それにしても……」

もこ「?」

やえ「……私がどれだけ練習しても、おかしばっか食べてるあのアホには追いつけないってのがね……嫌になるわよ、まったく」

玉子「はは……照はやはり別格であるからなあ」

藍子「……だからと言って、諦めるつもり無いんでしょ?」

やえ「当然よ。 負け犬にはなりたくないかんね……同じチームに国内トップの三尋木プロがいて、同期のトップの照がいる……しっかり目に焼き付けて、努力と修練でいずれは越えてやるわ」


灼「…………」

やえ「……なによ?」

灼「ん……やっぱりやえさんはかっこいいな、って」

やえ「はぁ!? な、なに言ってんのよ急に!?」

藍子「しっかりしてるよねー……天才型ってよりも秀才型だし、こう、応援したくなるっつーか」

やえ「な、なんなのよ! って言うか、照だって天才型だけどちゃんと頑張ってんだかんね!? おかしばっかり食べてるけどそれだけってわけじゃないし……!」

玉子「照がどうこうとは別に言ってないのであるが……」

もこ「…………!」

灼「うん、デレたね。 なんだかんだでやえさんも照さんのこと好きだし」

やえ「はっ……はぁ!? べ、別にあんなやつのこと好きでもなんでもないかんね!? 同じチームってだけで……そ、そりゃああんなバカでも打ち手としては尊敬できるとこもあるし、世間にも騒がれてプレッシャー感じてるのも知ってるから友達として助けてあげなきゃとか思っているけど……」

藍子「なんなの? ノロケ? やんなっちゃうよな、もこ」

もこ「……! ……、…………!」

藍子「ほら、もこだって宮永のことばっかり言ってないでかまってほしいって……痛っ! こら、もこ! 悪かったって! 腕に噛みつくなって! せめて利き手はやめて! 打てなくなったら困る!」

玉子「はっはっは。 打てなくなるほどの重傷はさすがに負わせられんと思うのである!」

灼「……やえさん」

やえ「……私だって、同期で同じチームに照みたいなのが居るのは、どうしても比べられるしプレッシャーに感じるけど……あいつだって人並みに緊張したりしてて……」

やえ「……最初は横浜の新人王者コンビとか、適当にネタにされてたけど、私だっていつまでもあいつの背中ばっか見てらんないわよ……コンビって言うんなら、対等な立場に居なきゃでしょ? 」

やえ「……あんなんでも、友達で、戦友で、ライバルで……一応、今の私の目標でもあるんだから」

灼「……ふふ」

やえ「笑ってんじゃないわよ。 ……あと、あいつには言わないでよ? こっ恥ずかしいし……あいつ、調子乗るかんね」

灼「わかってる……照さんだって……」

やえ「それこそ、言われなくてもわかってるわよ。 もうそこそこの付き合いだし……不本意ながら、宮永照係だかんね」


灼「……頑張って。 応援してるから」

やえ「ふんっ……言われなくたって頑張るわよ。 プロになるのは夢だったけど、叶ったらそこで終わりって訳じゃないわ……プロとしてやりたいことだって沢山あるんだから」

灼「日本一とか、タイトルホルダーとか? 」

やえ「まあね……チームの日本一は横浜にいる以上味わうチャンスはいくらでもあるだろうけど……個人のことは努力次第だし……それに、そういうのだけじゃなくって……」

灼「……ふふ」

やえ「……やってやるわよ。 力をつけて、一軍に上がって、照と一緒に日本一になって……全国に、世界に見せてやるのよ」



やえ「そう、王者の打ち筋を!」


カン!

やえさん好きです。決勝始まったら副将戦辺りでちらっとでいいから出てこないかなー

のどちゃんママ出てきて個人的には恵さんが注目株です。仕事のついでに応援していくって明らかにただ娘の応援に東京出てきてるよね。もしくは言い訳するために仕事入れてるよね。せっかくだから母さん呼んで飯食おうって一家団欒したいだけだよね。東京の事務所に移動したいのも嫁さんと一緒に暮らしたいからだよね。他にもいろいろあるけど若い嫁さんよりおっさんに萌えてる自分が頭悪すぎて楽しい
だれかのどっちパパママのssください


恵さん萌え分かるわww

>>137恵さん萌えが過ぎて捗ってます。パパママss書きたいレベルです。時間足りないんで諦めてますけど

25、26で巴さんと姫子のお誕生日ですね。ともたん&ひめたんイェイ~
新刊発売日でしたね。シノハユは慕リチャやはやりん…というか湯町メインにいろいろ考えてたけどそろそろ本格的にニワチョコは考えた方がいいのかもしれないですね。地味に謎の慕ちゃん死ぬ説否定材料出てきたのもうれしい…!
日和見るたびに哩さんと美子でなんかやりたくなるけど言葉の壁が厚くてメゲてます
スピンオフうれしいけどこれ以上立先生仕事増やして平気なんですかね…?ただでさえヤンガン本誌の作画間に合ってないから心配


三月中は投下厳しそうなんで一応四月バカ候補だけ


ネリー「今日はネリーの奢りね!」穏乃「ええっ!?」智葉「なんだと!?」ダヴァン「天変地異の前触れでスカ!?」


純「オレ、実は男だったんだ!」憧「ふきゅ!?」一「知ってた」智紀「知ってた」


照「おかしにも飽きた」やえ「それじゃあ、これもういらないわね」灼「ごちそうさまです」もこ「!!」照「!?!?!?」


白望「そろそろバイトとかしてみようかな」玄「えっ!?」豊音「シロが!?」塞「明らかにする気ないよね?」


怜「実はあと70年しか生きられないってお医者さんに……」宥「ええ!?」泉「いやいや! それむしろ長生きですよね!?」いちご「園城寺はむしろそれ以上に長生きしそうじゃがな」


健夜「……か、彼氏ができ……」晴絵「待ってください。速攻虚しくなる嘘はやめましょう」恒子「すぐバレる嘘もやめよう!」はやり「そもそも嘘なんてついちゃダメだぞっ☆」

予定は未定…無理だったら最悪次はしずたんになりそう…

アラサー連中はのどっちママに検事の男紹介してもらえばいいんや

のどっちママの名前が公開されて恵嘉帆SSが書けるよやったね!
投下です


晴絵「うぁー……」

はやり「はるえちゃん、お疲れだね?」

晴絵「テレビカメラってのはやっぱり慣れませんよ……対局の中継なんかは全然気にならないんですけど」

はやり「はるえちゃん、最初の方はメディア露出抑え目だったからね……はるえちゃん注目されてるし、今後もテレビのお仕事も増えると思うから……」

晴絵「慣れないと……ですよね。 はぁ……そういうの、気にしないで麻雀だけ打ってたいんですけどねー」

はやり「プロっていうのはこういうものだから……ふふっ、はやりがちゃんとサポートするから頑張って☆」

晴絵「実際、瑞原さんにはほんと助けられてますよ……」

今日は、某テレビ局での仕事……プロの仕事ってのは麻雀を打つだけじゃないってのはわかっていたけれどなかなか精神を磨り減らす

同じチームにこういう仕事に慣れている瑞原さんが居るのはありがたい。 小鍛治さんや咏ちゃんのお蔭……というか、せいというか ……で、私自身結構話題にもしてもらっているのでチームの看板で大人気アイドルでもある瑞原さんと一緒に、と声がかかることが多いのも助かる

隣に居ると安心するんだよな、いろんな意味で


晴絵「……それにしても、予定よりも早く終わりましたね。 瑞原さんはこのあと……」

はやり「今日はこれでお仕事終わりっ! はるえちゃん、時間あったらご飯食べに行かない?」

晴絵「ええ、是非。 なにか食べたいものとかありますか? 今日は私が……」

はやり「いいよそんな、はやりが誘ったんだからはやりが出すよ?」

晴絵「瑞原さん、誘おうとするといつも先回りするんですから……この前も奢ってもらっちゃいましたし、今日は私に出させてくださいって」

はやり「ダメダメ! はやりの方がお姉さんだし先輩なんだから! それに、今日ははるえちゃん頑張ったから……はやりからのご褒美っ☆ ……ね?」

晴絵「……ね? じゃないですよ、かわいいなぁもう……次は絶対私が出しますからね?」

はやり「うんっ! えへへ、またはるえちゃんとご飯食べに行くの楽しみだなぁ」

……なんかもう、瑞原さんには――麻雀は別として――勝てる気がしない

しかもなんか超かわいいし。 疲れてるときにはほんと癒される……あー、ヤバい。 菫のせいか? なんか瑞原さんのこと好きになりそう。 いや、変な意味でなく前から好きなんだけど



「……それじ……、次に……あっ…………」

「どうし……いう…………るの!?」



はやり「あ、この声は……」

晴絵「……相変わらずだなぁ……さすがにちょっと騒がしいよ、こーこちゃん」

恒子「ん? おおっ! ハルちゃん! に、はやりん! お久しぶりー!」

健夜「あっ…………えと、赤土さん、はやりちゃん……こんにちは」

はやり「こんにちはっ! ……すこやちゃん、どうしたの? なんていうか……どこか、調子わるい?」

健夜「え? いや、そういうわけじゃないんだけど…………」


恒子「えー? なになに、今日はテレビのお仕事? はやりんと?」

晴絵「うん、麻雀関係でちょろっとね……そっちは……ああ、ラジオの収録?」

恒子「そそ! まあすこやんと一緒だし遊びに来てるようなもんだけどね!」

健夜「なに言ってるの!? 結構大事なお仕事だよ!?」

恒子「いやいや、冗談だって冗談! つーか私もそろそろ三年目に差し掛かるし? そろそろ落ち着いたところも見せていきたいって言うか?」

健夜「本当に見せる気あるの!? っていうか落ち着いてるつもりなの!?」

はやり「まあまあ、元気なのもこーこちゃんのいいところだから……それで?」

健夜「え……あの、うん……えっと、ね……」

晴絵「……?」

妙に話しづらそうに……というか、挙動不審だなあ、小鍛治さん……視線がフラフラと定まらないし……

健夜「じ、実は……か、彼氏ができ……」

晴絵「待ってください。 虚しくなる嘘はやめましょう……っていうか、もう言いながらちょっと後悔してるじゃないですか……」

恒子「あーあー……ちょっとすこやん! せめてすぐバレない嘘つこうよ……」

はやり「もうっ……すこやちゃん、嘘なんてついちゃダメだぞっ☆」

晴絵「というか、なんでいきなりそんな……」

健夜「こーこちゃんが……」

恒子「ほら、エイプリルフールじゃん? ラジオの収録で面白いこと言えなかったから次知り合いに会ったらなんか嘘ついて、って!」

健夜「っていうか私たちのラジオは麻雀の情報番組であって面白いことを言う番組じゃないんだよ!? なんでこんな……余計なダメージ受けないといけないの!?」

恒子「そのダメージは自爆だよね!?」

晴絵「小鍛治さんとこーこちゃんのラジオが続いたのって二人の掛け合いが人気なのも一因ですし、面白いこと言いにいっていいと思いますけど」

健夜「そんなこと言われてもそうそう面白いこととか言えないからね!? 私トーク苦手だし!」

はやり「そう? すこやちゃんはかなり喋れると思うんだけど……」

健夜「はやりちゃんの方が余程でしょ!? かわいいし気の利いたコメントとか出せるし羨ましいよ!」

恒子「すこやんツッコミは一級品だけどそれ以外がね……やっぱり私がいないとね!」

健夜「私はこーこちゃんのせいで凄い疲れるんだけど!?」


晴絵「とはいえ、こーこちゃんとやる仕事凄く楽しんでるじゃないですか」

健夜「……まあね。 楽しくなかったら別の……それこそはやりちゃんや咏ちゃんにでも代わってもらってるよ」

恒子「その二人は滅茶苦茶忙しそうだし別の人に回る気がするけど……」

はやり「それに、はやりは他局でちひろちゃんと麻雀情報番組持ってるからさすがに……」

恒子「大人の事情ってやつ? でも私も入社当初からすこやんとラジオやらせてもらったりで麻雀関係の仕事結構回してもらってるし……はやりんやハルちゃんとの仕事ももっと来ればいいんだけどなー」

晴絵「はは、こーこちゃんとの仕事だったら私も歓迎だけどな」

健夜「よかったらまたゲストで来てよ」

晴絵「ラジオですか? はは、世間では一応私たちライバル扱いされてますけどいいんですか?」

健夜「ああ……私はそれとこれとは別だと思ってるんだけどそうもいかないのかな……?」

恒子「逆に盛り上がるんじゃない?」

はやり「たしかにそうかもね……というか、なんならはやりもお邪魔しに行くからいつでも呼んでねっ☆」

健夜「はやりちゃん忙しいのに平気なの? っていうか八橋アナとの番組は……」

はやり「……友情出演?」

恒子「友情ならしかたないな!」

晴絵「まあ、瑞原さんがゲストなら盛り上がるだろうなあ……」

プロ雀士も人気商売だし、実力だけじゃあ生き残れない……幸い、私は出だしから回りのお蔭で話題にしてもらえたし、自分で言うのもなんだが結構打てる方なので当分は消えないと思うけど

……こーこちゃんもなんだかんだで一年目から売れっ子でやってるんだし結構やり手なんだよな……

恒子「あ、そういえばもう二人とも暇? すこやんとご飯食べに行くんだけど一緒にどう?」

はやり「ふふ、はるえちゃんはライバルとご飯に行くのはアウト?」

晴絵「仕事ならともかく、プライベートならそういうの気にしませんって……」

健夜「普通に友だちだからね……対局のあとでも普通にご飯行ったりするし」

はやり「よぉし、それじゃあ一緒に行こっか!」

恒子「おーっ☆」

はやり「わ、こーこちゃんいいねっ」

恒子「いやあ、スーパーアナウンサーたるもの☆くらい飛ばせないとっ!」

健夜「なに言ってるのこの子たち……?」

晴絵「こう、キラキラしてるタイプの人だけの技ですから……私たちは気にしなくていいんじゃないですかね」


――――――

恒子「かんぱーいっ!」

健夜「わー」

はやり「おつかれさまっ☆」

晴絵「……なぜ流れるように飲み屋に……」

恒子「え? だってお酒飲むでしょ?」

晴絵「……うん、まあいいや」

はやり「それにしても、すこやちゃんとこーこちゃんと一緒って久しぶりだよねっ! 最近対局も他のお仕事も被らなかったし……」

健夜「そうだね……早くはやりちゃんとも公式戦で打ちたいんだけど」

恒子「一年じゃどんなに頑張ってもグイッとランク上がったりしないんだよねー……すこやんは一回散々下げたから仕方ないんだろうけど」

晴絵「それなのに今の位置につけてる小鍛治さんはやっぱりおかしいんですって……この一年でほとんどトップ狙える場所まで上がってきてるじゃないですか……」

はやり「うんうん……このペースだと今期中には対局組まれそうだよねっ」

健夜「へへ……去年はかなり頑張っちゃったから」

晴絵「そういう問題じゃないんだけどなあ……」

恒子「そういうハルちゃんだって、一年目から個人のタイトル予選、ほとんど二次三次リーグまで上げていってんじゃん! 団体戦も後半戦はほとんど出場してたし!」

晴絵「あー……まあ、これでも実業団リーグあがりだし、やっぱりある程度は即戦力として仕事できないとだしな」

恒子「これくらい当然ってか? 言うねぇ!」

晴絵「痛い痛い! 叩くにしても加減してくれって……もう酔ってんのか?」

はやり「ふふん、はるえちゃんは頼りになるよー? はやりはやっぱり先鋒オーダーが多いけど、後ろに居てくれると心強いもんねっ! 他のチームメイトと比べてもやっぱり安定してるし……ふふ、やっぱり付き合いが長いからっていうのもあるかもしれないけど」

健夜「高校……じゃなくて、インターミドルでも打ってるんだっけ? その頃からの知り合いかぁ」

晴絵「そうですね…………それに、高校の……暫く打たなくなってた時期も、瑞原さんずっと連絡くれてましたし……」

はやり「ふふ、そうだね……実業団で打ってる頃からずっとラブコールしてたし、去年うちに来てくれるってなった時はうれしかったなぁ……うう……ほんとうに……」

晴絵「ちょ、泣かないでくださいよ……! っていうか瑞原さん弱いんだから無理して飲まないでくださいって! こーこちゃんのペースに付き合ってたらすぐに潰されますよ?」

はやり「無理してないもんっ! はやりは、はやりは……はるえちゃんとまた一緒に打てるんだって……ほんとうにうれしくってぇ……」

晴絵「あぁもう……そう言ってくれるのはすっごくうれしいんですけど……」


これはダメだ。 帰る頃には瑞原さん確実に意識ないコースだ……明日はホームで昼頃から対局だし午前はフリーだったよな……?

……なんで来て早々に帰りの心配を……うん、仕方ないし潰れたら寝かせておいてとりあえずうちに連れてこう

とりあえず、面白い話してんなー! 今度ラジオでネタにしてやろ! みたいな顔してるこーこちゃんに目配せする

晴絵(……ちょっと、瑞原さんこのまま泣きっぱになっても困るから話題変えて!)

恒子「……? ……!」

よっしゃまかせろ! みたいな顔でウインクしてるけど……むしろ嫌な予感しかないなこれ

恒子「あっ! そういえばさ! さっきのすこやんさー! 嘘つくにしてもなんであれを選んだわけ? 騙せると思ったの? すこやんに彼氏が!? とかなる前になんかかわいそうになったんだけど!」

健夜「う る さ い よ!!」

恒子「っていうかさ、いい加減マジで彼氏できないの? お母さん心配してんじゃん! 今年で40だしそろそろ親孝行っていうかさー」

健夜「余計なお世話だよ!っていうか十年多いよ! まだ三十路だよ!! ……あ、私……今年で30なんだ……30…………」

晴絵「…………はぁ」

恒子「あ! はやりんは? ほら、そろそろアイドルにしても一区切りっていうか? 結婚とか考えないの?」

はやり「アイドルは恋愛しないのっ! はやりはみんなのはやりなのっ!」

晴絵「……だからさ、なんでその話題を選ぶんだよ……つーか瑞原さんにまで飛び火させんなって……」

健夜「あのさ! 赤土さんも私のことそっち方面で弄るのはオッケーみたいになってない!? 別に持ちネタにしてるつもりないからね!?」

晴絵「あ……えーっと……ほら、そういうこーこちゃんは? そろそろ浮いた話のひとつやふたつあるんじゃないの?」

恒子「んー? んふふ……売れっ子女子アナとしてスキャンダルは厳禁なのだ! ま、誘われるからご飯ぐらいは行くけど……ほら、私のキャラ的に? ちょっと遊んどこうかなーって感じ?」

晴絵「ああ、本気の感じではないと……つーかイメージ作りで飯行くのか……」

恒子「仕事に対しては真面目だから!」

晴絵「……なんか方向性間違ってない?」

健夜「それなら私とのラジオも真面目にやってよ!? っていうかそういう自慢話別に聞きたくないから! なんなの!? あてつけ!? そりゃあ変な嘘ついた私も悪いかもしれないけど!」

はやり「こーこちゃんかわいいもんね……うん、きっと素敵な恋をして素敵な旦那様を見つけるんだろうなあ……はやりも、はやりだって……うぅ……」


ああ……また収拾つかない感じに……

恒子「で?」

晴絵「ん?」

恒子「ハルちゃんは? 去年は話題の人って感じだったしモテたんじゃないの~?」

晴絵「ん……とはいえ、私って昔から同性や子どもにモテるというか……」

はやり「たしかに、はるえちゃんのファンって女の人多いよねー」

晴絵「あとは子どもとか? まあ、瑞原さんにのファン層の広さにはかないませんけど」

恒子「へぇ! すこやんはお年寄りと子どもに人気だし似たような感じだね! まあハルちゃんのがモテそうだけど!」

健夜「いちいち一言多いよ!」

恒子「あっはっは! で? ハルちゃん誤魔化さないでさ、実際どうなのよ?」

晴絵「…………まあ、ちょっとはな」

健夜「えっ!?」

はやり「そうだったの!? はやり初耳だよ!?」

恒子「マジでか! どこのどいつ!? 年収は!?」

晴絵「最初に年収聞くか? ……その、実業団時代に知り合った人でさ。 プロ入りして上京してきてから偶然再会して……」

健夜「えっ……え!? 赤土さん!? そんな、麻雀一筋じゃないの!? 裏切ったの!?」

はやり「は、はるえちゃん……話してくれなかったのは少し寂しいけど……はやりは祝福するからね……」

恒子「うわー……うわー! ヤバいなこれ! 次のラジオの収録でネタにするよ!?」

晴絵「いいよ別に。 嘘だし」

恒子「へ?」

健夜「嘘!? ……嘘? え、嘘なの!?」

晴絵「エイプリルフールなんで」

はやり「エイプリルフール……? あ、そういえば……」


恒子「くっそー……普通のトーンで話すからうっかり信じちゃったよ……悔しい! 私が騙されるなんて!」

健夜「びっくりして心臓が止まるかと思ったよ……もうさ、プロ雀士が結婚する度に見えないプレッシャーというかさ……そういうのがひしひしと……」

はやり「むぅ……はるえちゃんは演技派だね……今度ドラマの仕事とかする?」

晴絵「それは勘弁してください……っていうかまったく同じ嘘ついたのにこんな簡単に引っ掛かります?」

恒子「いや、すこやんのは態度からして嘘だったし内容も明らかにおかしかったから……」

健夜「ちょっと!? 態度はともかく内容が明らかにおかしいってどういうこと!?」

はやり「もうっ……嘘なんてついちゃダメだぞ? 悪い子にははやりがお仕置きしちゃうんだからっ☆」

晴絵「うわっ……いやいや、瑞原さんにベアハッグとかされても菫辺りが泣いて喜ぶご褒美……っていうかただ抱きつかれてるだけじゃないですか? ……瑞原さん? あの、寝てません? ちょっと? おーい……」

恒子「落ちた?」

晴絵「落ちた……はぁ……なんだかんだで久々にこーこちゃんや小鍛治さんと会ったからテンション上がってたんだろうけど……」

健夜「はやりちゃんはお酒弱いよね……私も人に言えたほどじゃないけど……どうするの? 明日対局でしょ?」

晴絵「幸い寝てくれたんで逆に面倒が少ないと言うか……このままうちに連れてって寝かせときますよ。 朝ちゃんと起こせば十分準備も間に合うんで」

恒子「ほほう? スキャンダラスですなぁ……赤土晴絵! チームのエースにしてアイドルを酒で潰してお持ち帰り!」

晴絵「……ばーか」

恒子「あはは! 夜道は気をつけてね! 狙撃される危険性が……」

晴絵「そげ……ぶっ! ちょ、やめてくれよ! 菫ならやりかねないってちょっと思っちゃったじゃないか!」

健夜「……ああ、弘世さん……あの子、はやりちゃんの大ファンなんだってね。 はやりちゃんや赤土さんと同じチームになって白糸台時代より伸びたよね……努力してるんだろうし、ふたりがスピードや観察や分析の仕方教えてるからなんだろうけど狙い撃ちも精度上がってるし……」

晴絵「へぇ……小鍛治さんに覚えられてるとなれば菫も喜びますよ。 新人としては他に比べて目立たないって気にしてるみたいですし」

恒子「え? むしろ滅茶苦茶目立ってない? はやりんファン代表兼ハートビーツ選手の弘世様って有名だし」

晴絵「……そっち方面の話ではなく……まあ、菫はそこまで気にしてないみたいだからいいけども……」

恒子「ハルちゃんと弘世様ではやりんを取り合う……複雑な三角関係だね……」

晴絵「だから違うっつーの!」


恒子「でもほら! 弘世様なんて『はやりんとの出会いは運命の出会いだった』とかなんとかって豪語してるし」

晴絵「なんでそんな菫について詳しいんだよ!?」

恒子「ネット上でネタにされてるから!」

晴絵「そのノリでラジオでネタにしないでくれよ……?」

健夜「はぁ……運命の出会いね……私も今は麻雀だけだけどそのうち……いずれは……」

恒子「そのうちとか言ってる間はいつになってもそのうちは来ないからね!」

健夜「いちいち抉りに来るのやめてよ!」

晴絵「それでも言う通りではあるんだよな……まあ、私は当分麻雀一筋だけど」

健夜「だよね! 麻雀打たなきゃだよね! やっぱり今じゃなきゃ打てない麻雀ってあるし!」

恒子「はぁ……まったく、私がネタにできるうちに結婚してよ? そのうち笑えなくなってくるからさ」

健夜「最初からネタにしないでよ!? 持ちネタ扱いは非常に不本意だよ!!」

恒子「はいはい、ごめんね? ハルちゃんも悠長なこと言ってるとすこやんコースまっしぐらだよ?」

健夜「その表現やめてよ! 人の名前を行き遅れの代表格みたいな使い方するのやめてよ!!」

晴絵「いやー……そうは言ってもさ、私にとっての運命の出会いってのは……」

健夜「既にそういう候補がいるの!?」

晴絵「いや、そういうことではなく……運命って一口に言っても色々ある訳じゃないですか? 私にとっては……やっぱり、小鍛治さんとの出会いがそれだったってわけで」

健夜「……へ? 私?」

晴絵「そりゃあそうですよ……麻雀始めた小学生の頃から……今になっても麻雀しかないってこの私が、小鍛治さんと卓で出会って暫く離れてたんですからね? 人生変わってますもん」

恒子「……ふふ、運命ってよりも、宿命のライバルって感じ?」

晴絵「私にとってはね。 少なくとも、小鍛治さんに勝つまではそういう話はパスで」

健夜「……赤土さんにそこまで言ってもらえるっていうのも、雀士冥利に尽きるよね……」

健夜「私だって、これからも赤土さんと真剣勝負して、切磋琢磨していきたいって思ってるし、赤土さんだけじゃなく……はやりちゃんや、理沙ちゃんも……みんなと打つことでまだまだ上が目指せるんじゃないか、って……最近凄く感じるんだよね……」

晴絵「そうじゃなきゃ困りますよ。 一回越えて、それで終わりじゃあまりにもつまらないですから」

健夜「ふふ、簡単に越えられる気もないけどね」

恒子「はぁ……まったく、麻雀バカどもがまたまた火花を散らし始めちゃいましたよ……っと」


健夜「あ……ごめんね、こーこちゃん……ついつい熱くなっちゃって……」

晴絵「雀士の本能だからね……強い相手がいると打ちたくなる……」

恒子「これから場所変えて打つとかやめてよ?」

健夜「さすがにしないってば……赤土さんたち明日公式戦だし……」

晴絵「というか、酔っぱらいの小鍛治さんと打ってもしょうがないからね……ちゃんと公式戦で土つけたいし」

健夜「ふふ、その日が来るのが楽しみだよ……国内無敗は伊達じゃないよ?」

晴絵「ほら、こういうこと言うときは酔ってるんだよな……普段そういう自信とか肩書き出す人じゃないんだもん」

恒子「すこやんは自信無さそうな態度からの素で上から辛口でものを言う感じだしね!」

健夜「私が嫌な人間みたいな言い方やめて!?」

恒子「ハルちゃんもさ、最悪麻雀で勝てなくても先に結婚しちゃえば女としては勝ちだよ!」

晴絵「待って。 私それで勝った気になりたくない」

健夜「それされたら私たぶん本気で負けた気になってへこむけどね…………」

晴絵「する前からへこむのやめてくださいよ!」

はやり「むぅ……んん……」

晴絵「あ、すみません……うるさかったですか?」

はやり「はるえちゃーん……んにゅ……ねむい……」

晴絵「いや、寝てますよね? ……起きれます?」

はやり「……むり。 だっこぉ……」

晴絵「……はいはい、そのまま寝ててください……すみません、これ以上は瑞原さん明日に響きそうなんで」

健夜「はは……しょうがないね」

恒子「ねね、今写メ撮ったのSNSに貼っていい?」

晴絵「やめろ! 瑞原さんのファンに殺されるから! つーか菫に殺される!」

恒子「あはは、冗談だって冗談! 私、そこら辺は弁えてるから!」

健夜「弁えてるなら普段からいろいろ自重してよ!?」


――――――

恒子「じゃあ、また!」

晴絵「うん、また……よっと……ほら、瑞原さん? 立てます?」

はやり「はるえちゃーん……」

晴絵「ああ、はい。 無理ですね。 せめてちゃんと掴まっててくださいね、タクシー呼びましたから」

はやり「んー……」

恒子「熱愛発覚! 夜の町で腕組みデート!」

晴絵「だからやめろって! 洒落にならないし心臓に悪いから!」

恒子「大丈夫大丈夫! エイプリルフールだからネタで済むって!」

晴絵「済まないから絶対流出させないでくれよ!? っていうか撮るなって!」

健夜「こーこちゃんもいい加減にしなよ……ほら、まだ騒ぎ足りないなら付き合うからさ……」

恒子「え、でもこの時間だとお母さん心配するんじゃ……」

健夜「大丈夫だよ! いくつだと思ってるの!?」

恒子「今年で三十だよね!」

健夜「年の話はしないでよ!!」

恒子「自分で言ったんじゃん……」

健夜「っていうかむしろ朝帰りぐらいしろって言われるぐらいだよ……そっちの方を心配されてるよ……」

恒子「……うん、やっぱりそろそろシャレにならないよね」

健夜「うるさいよ! ほっとい……いや、そろそろ真面目に何とかした方が……」

恒子「……よしよし! おねーさんが相談のってあげるからまだまだ飲もうぜ! 夜は長いぜ!」

健夜「うぅ……いったいどうすれば……」

晴絵「はは……お疲れさまです……」



小鍛治さんとこーこちゃんと別れて、暫くしてやって来たタクシーに乗り込む

はやり「……ふにゃ…………」

……明日の試合、大丈夫なのか? まあ、今までの経験上瑞原さんは次の日には案外けろっとしてるけど

それにしても……

晴絵「……さすがに、運命だのなんだのって……ちょっとくさかったな……」

思い出すとやっぱり恥ずかしい。 たいして飲んでないのに……空気に流されて酔ったかな

はやり「……はるえちゃん」

晴絵「……瑞原さん?」

はやり「……うんめいってさ、やっぱりあると思うよ……はやりも、まふかさんと会って……じんせい、変わったから……」

晴絵「……聞いてたんですか?」

はやり「……なんとなく……?」

晴絵「恥ずかしいなあ……ほら、寝てていいですから。 ……ああ、うちに連れてくつもりだったんですけど、帰ります?」

はやり「ん……はるえちゃんちいく」

晴絵「わかりました……着いたら声かけますんで」

はやり「……ね、はるえちゃん」

晴絵「はい?」

はやり「……がんばろうねー……」

晴絵「……ええ」

……結局、一年やって小鍛治さんには勝てなかった

いい勝負ができても、最終的に勝てなければそれはやっぱり負けなわけで

小鍛治さんに、勝ちたい……いや、勝つ

教え子たちが見せてくれたインターハイの戦いは、私の中で今でも輝いていて……立ち直るきっかけをくれた、あの子達との出会いもまた運命だった

私の意思をも背負って戦ってくれたあの子達にも報いたい……

晴絵「……必ず、小鍛治さんに勝ってみせる」

この決意は、嘘にしたくないから



カン!

ハルちゃんはなんかなんちゃってシリアス要素をぶっこんでしまう不思議。もっと時間かけてしっかりやった方がいいんじゃないかって気もする…
とりあえず割と本気でのどっちパパママ熱いんでなにかしたい…ネタだけため込んで出力できないのってあるあるですよね…


このはやりんとハルちゃんの関係好きだわー


菫だけじゃなくてかいのーさんも警戒したほうがいいんじゃないかなー

しずたんイェイ~
投下は明日…おそらくきっと…いつになったら時間的余裕ができるのか

>>158ハルちゃんはやりんは個人的にひっそりと推していきたい…!シノハユで絡むのはいつになるのか
>>160かいのーさんってまだ描写少なくて固まりきってないんですよね…今のところははやりんをはじめとしたプロ組の妹分あたりに脳内で位置づけてます

本編で関西勢絡んでテンション上がってます。いろいろ考えた結果怜+末原ちゃんが熱いのでそのうち書きたい…

遅刻イェイ~
投下


憧「……よし! 準備オッケー!」

灼「ん……穏乃呼びに行こっか」

宥「そうだねー……それじゃあ、みんなで……は、無理かなあ……」

憧「……いつの間にか打ち始めてるし……」

今日は穏乃ちゃんのお誕生日。 憧ちゃんのおうちでパーティーで、その準備が終わったところだ

憧ちゃんや穏乃ちゃんと一緒に子ども麻雀クラブで打っていた子達も、今年でみんな中学生になって……阿知賀と阿太中で半々くらいに別れてしまったけれど、こうしてみんな集まってくれている

……私は赤土先生の麻雀クラブには通ってなかったけど、こういうのを見てるとなんだかちょっとうれしいよね

灼「……じゃ、こっちは私が見てるから穏乃よろしく」

憧「わかった、それじゃあ任せるわよ……ジュースはともかくケーキには手ぇ出さないでよ?」

灼「……私、そゆことする風に見えてた?」

憧「冗談だから頭抱えてまで悩まないでよ……じゃ、行こっか宥ねえ」

宥「うん! きっと穏乃ちゃんも待ちくたびれてるよ」

憧「そうねー……なんたって『私も準備するから早めに行く!』とか言ってんの止めなきゃいけないぐらいだったし……」

灼「早く行ってあげて……私は桜子たちと打ってるから」

憧「……打ちたかったの?」

灼「……とゆか、私って子ども好きなのかも」

宥「ふふ、もうみんな中学生だけどねー」


――――――

憧「……っていうか、もうあの子たちも中学生なのね……時が経つのは早い……」

宥「そうだねぇ……私だって今年で20才だもん」

憧「あー……そっか、そうなんのね……20才ってちっちゃい頃はすごい大人な感じがしてたけど……」

宥「たいして変わらないよねぇ……20になったら急に大人になるわけじゃないし……」

憧「そうよねー……私も気づけば高3だしあっという間って感じ…………あ」

宥「なぁに?」

憧「……しずも今日で18なのね……うわ、変なの……ギャグ?」

宥「いやいや……そんな……あはは……」

憧「宥ねえも笑って誤魔化してるし……」

宥「そ、そんなことないよ? 穏乃ちゃんだって、あれで結構しっかりしてるじゃない」

憧「そうかなあ……そうかも? うーん……まあいいか……しずー? 準備できたけど出れるー?」



憧「……出てこない」

宥「聞こえてないのかなあ? すみませーん」



憧「……もう入っちゃおっか。しずの家だし」

宥「うーん……おばさまもお出掛け中みたいだし……仕方ない……かな?」

憧「いいわよね、別に……みんな勝手にうちにあがってくるし」

宥「あはは……それじゃあ、今回は特別ってことで……」


憧「しーずー! ちょっと? いる? もしかして寝てんじゃないでしょうね!?」

宥「あれ? でも声が聞こえるよ? 誰か来てるのかなあ……」




ダヴァン「おいしいデス! やっぱりラーメンは日本に限りマス! 久しぶりに来たらこんなにも新作が出ているトハ!」

穏乃「カップ麺もレベル上がってますからね! いやあ、それにしてもわざわざ来てくれるなんて感激ですよ!」

ダヴァン「ハハ、シズノのバースデーですカラ、当然デス! 私、日本好きでスシ!」

一「もう、ダヴァンさんもそんなに食べちゃうと本番が食べられなくなっちゃいますよ?」

ダヴァン「ラーメンは別腹ですカラ」

初美「ラーメンしか食べてないですよー? それにしてもいい食べっぷりですねー……私もお腹空いてきちゃいましたよー」

憧「…………」

穏乃「あれ? 憧じゃん、どうしたの?」

ダヴァン「お久しぶりデス。 お邪魔してマス」

一「あ、憧ちゃんに宥さん、こんにちは」

初美「おや、お久しぶりですねー! あとで挨拶に行こうと思ってたんですが、先を越されてしまいましたかー」

宥「わぁ、お久しぶりです!」

憧「いやいや! なんでこの人たちいるの!?」

穏乃「え? ああ、話すと長くなるんだけど……実は昨日……」


ダヴァン『シズノ、明日誕生日でしたヨネ? 会いに行きマス』

一『穏乃ちゃん、明日誕生日だよね? 遊びに行くから待っててね!』

初美『え? 一ちゃん行くんですか? これは私も山から山まで飛んでいくしかありませんねー!』

穏乃「……というわけでみなさん来てくれてー」

憧「一瞬! 説明一瞬! っていうかそんな気軽に来ちゃいます!?」

ダヴァン「前々から準備してましタヨ? もともとサプライズで来ようと思っていたのでスガ……それで会えなかったら元も子もないですカラ、昨日連絡した次第デス」

初美「私は……学生でもないですし、身軽と言えば身軽なのでー……かわりに神境の方は霞ちゃんと巴ちゃんに任せて来ちゃいましたけど」

憧「そうだ! 一さん学校は!? 進学したんですよね!?」

一「え!? ボクは……まあ、ほら……ね? 穏乃ちゃんの誕生日だし?」

憧「サボりってこと!? ダメでしょそれ!」

一「えっと……それじゃあ憧ちゃんは純くんの時に学校お休みしていいから!」

憧「えっ!? ま、まあ……そ、そういうことなら……」

宥「あ、憧ちゃん? なんかいろいろ間違っているような……」

ダヴァン「シズノ! 大変なことに気がつきまシタ! ラーメンを食べている間に次の分にお湯を注いでおくこトデ、食べ終わった頃に丁度次のラーメンが食べられマス! 永久機関デス!」

穏乃「メグさん天才ですか!?」

憧「言っちゃ悪いけどバカなの!?」

宥「あ、あの……」

ハギヨシ「みなさん、例のラーメンができましたよ」

穏乃「わぁ!」

ダヴァン「待ってまシタ!」

宥「あ、あれ!? 萩原さんまで!?」

ハギヨシ「これは……宥さん、新子さん、こんにちは」

宥「こ、こんにちは……?」

憧「ってなんでこんなところでラーメンなんか作ってるんですか!?」

穏乃「こんなところって……私の家なんだけどなぁ……」

憧「玄に会いに行ってあげてくださいよ!」

穏乃「あ、そこかぁ」

ハギヨシ「そ、それは……ええ、後程……」


一「まあまあ、萩原さんがここでラーメン作ってるのには深い理由があって……」

憧「理由?」

ハギヨシ「ええ……原村さんと片岡さんと宮永さんからレシピを預かってきておりまして」

憧「レシピ?」

穏乃「そう! 見てよこれ! 特製タコスラーメンだって!」

憧「タコスとラーメンって……合うのそれ?」

穏乃「食べたことないからわかんない!」

ハギヨシ「おいしいと思いますよ。 原村さんと片岡さんと宮永さんが、高鴨さんのために時間をかけて一生懸命に作られたものですから」

一「調理したのも萩原さんだしね……ヘタしたら元のレシピよりおいしくなっちゃうんじゃない?」

ハギヨシ「三人からのの誕生日プレゼントですから……余計な手を加えたりはしませんよ」

初美「しかし……こう、食欲が刺激されるにおいですねー」

ダヴァン「本当に私もいただいてしまっていいんでスカ? こちらとしては願ったり叶ったりですケド」

穏乃「みんなで食べた方がおいしいですよ! あ、憧と宥さんもよかったら……」

憧「え、でも今から作ってもらうのも悪いし……じゃなくって! うちでお祝いするって言ってたでしょ!? 灼さんや桜子たち待ってるわよ!?」

穏乃「わ、わかってるよ? でも……その……誘惑に耐えられなかったと言うか……」

憧「見たまんまじゃないのよ!」

穏乃「ちょ、ちょっとだけ待って! これ食べるまで! 食べないともったいないし! 三人からのプレゼントだし!?」

宥「あったかーいうちに食べないと……ね?」

憧「むぅ……早くしてよね」

穏乃「わかってるって! おいしそうだしすぐ食べちゃうよ!」

ダヴァン「御馳走様デス。 とてもおいしかったデス」

初美「メグちゃん食べるの早すぎじゃないですかー!?」

ダヴァン「とてもおいしかったノデ!」

ハギヨシ「ふふ……三人にはしっかり伝えておきますね」


――――――

穏乃「いやあ、本当においしかった! あとで電話してお礼言わないと!」

宥「料理のレシピっていうのはなかなか変わったプレゼントだったねー」

一「さすがにラーメン作って送るのは無理があるしね」

初美「……萩原さんでも無理なんですかー?」

ハギヨシ「え……あの、薄墨さんはいったい私をなんだと思っているんでしょうか?」

初美「それは……ああ、玄ちゃんの彼氏さんですよねー?」

ハギヨシ「…………え」

初美「ふっふーん、さっき一ちゃんと穏乃ちゃんから聞きましたよー? やっとその気になられたんですねー?」

ハギヨシ「え、いや、その……」

一「今回は透華に頼んで萩原さんに車出してもらってさ……ほら、もう任務完了ですし玄さんのところ行ってきていいですよ?」

ハギヨシ「し、しかしですね……何分急なことでしたし、玄さんもお仕事中なのでは……」

憧「……萩原さんが慌ててるのってやっぱり見慣れないと言うか……なんか不思議な感じよね」

宥「ふふ、そうだねぇ」

……こう、玄ちゃんのお姉ちゃんとしてはいろいろと思うところがあったりするわけなのですが……

…………萩原さんって特に文句の付け所もないし、小姑気分を味わう隙もないんだよね

見た目は……私から見てもかっこいいと思うし、真面目で誠実な人柄だっていうのはよくわかっている

お料理やお掃除だって……私より全然しっかりできるだろうしなあ……

宥「……萩原さん」

ハギヨシ「は、はい?」

宥「玄ちゃんのこと、どうぞよろしくお願いします」

ハギヨシ「えっ? あ、それは、はい……」

初美「やりましたねーお姉さんも公認ですよー?」

穏乃「とはいえ松実のおじさんは二人の娘を溺愛してるって有名ですからね! まだまだ頑張らないとですよ!」

一「萩原さんって大抵の条件乗り越えるスペックはあるけどね」

ハギヨシ「いえ、そんな、私などまだまだ……」


灼「……なんか、増えてる?」

憧「うん……なんか、しずんち行ったら増えた」

初美「なんかとはひどいですよー……そりゃあ、憧ちゃん的には私より巴ちゃんが来た方がうれしいのかも知れないですけど……」

憧「べ、別にそんなこと言ってないですけど!?」

桜子「しずちゃー! 誕生日おめでとー!」

ひな「大変おめでたい所存ー」

穏乃「おうよ! どーもどーも!みんな中学生になって大きくなったなあ! ……なんか既に私より大きいし……」

綾「そ、それは穏乃ちゃんが……うん、その……ね?」

憧「もとからしずがちっちゃいんでしょ」

穏乃「はっきり言わなくても!」

ダヴァン「ちっちゃくてかわいいでスヨ」

穏乃「え? えへへ、照れるなぁ……」

凛「あ、玄ちゃんの彼氏だー」

ハギヨシ「!?」

春菜「あ、本当だ!」

よし子「うわ……噂には聞いてたけど背ぇ高……しかもイケメン」

ハギヨシ「え……う、噂に? 何故そんな……?」

憧「……田舎の狭いコミュニティの情報伝達速度は尋常じゃないですから……」

宥「うーん……玄ちゃんのお誕生日に一緒に外歩いていたのが広まっちゃったみたいで……」

ハギヨシ「……な、なるほど」


宥「……な、何かあったら私に頼ってくださいね! 未来のお姉ちゃんですから!」

ハギヨシ「ええ、ありがとうござ……ゆ、宥さん? さ、さすがにそれは気が早いのでは……」

宥「えへへ、年上の弟って言うのも変な感じだよねぇ」

穏乃「一人っ子だから兄弟姉妹ってのも羨ましいなぁ……」

一「それじゃあ、誕生日プレゼントにご両親にお願いして……」

憧「ふきゅ!? なななななに言ってんですか!?」

一「あはは、冗談だよ冗談」

初美「ああ、兄弟姉妹といえば憧ちゃんはお姉さんがいらっしゃるんですよねー……お邪魔したからにはちゃんと挨拶しておかないと……」

灼「初美さん、意外とそういうとこしっかりしてるよね……」

初美「そりゃあ、うちでは私が一番のお姉さんですからねー! 巴ちゃんや霞ちゃんがいないところでは私だってそれらしく振る舞うんですよー?」

穏乃「初美さんのお姉さんっぷりは尋常じゃないですからね! めちゃくちゃ頼りになりますし!」

一「ボクらのリーダーだしね! やっぱり他とはひと味違うと言うか……」

初美「ふふっ、そんなにほめてもなんにも出ませんよー? まあ、誕生日プレゼントは出るんですが!」

穏乃「おお!」

憧「う……嫌な予感……」

一「ボクと初美さんでかなり長いこと話し合ったからね……自信作だよ! 揺杏ちゃんの!」

初美「かなりギリギリまで悩んだからかなりの突貫作業だったのにしっかり間に合わせてくれましたからねー……もはやプロですよ、プロ!」

灼「……ああ、それで……」

憧「……な、なにか心当たりがあるわけ?」

灼「これ、最近の揺杏からの連絡……」


揺杏『新作にとりかかるよ! 今度灼にも送るから楽しみにしてて!』

揺杏『作業楽しいわ! すげー脳から出てるわ!』

揺杏『なんかヤバいのがキテる!』

揺杏『そういや、吉野って桜有名だよな! 写真送ってよ!』

揺杏『久しぶりに打ちたいな……作業終わったらネットでいいから付き合ってー』

揺杏『締め切りありとか辛い……辛くない……』

揺杏『あと少し! 頑張るぞー!』

揺杏『基本デザインから変更とか死ねる』

揺杏『ねむい』

揺杏『シュークリームが食べたい! 食べたい!!』

揺杏『つかれた』

揺杏『なんで鳥って空を飛ぶんだろうな……』

揺杏『ごめん今まで黙ってたけど灼のことしゃくで変換してた』

揺杏『ねむい』

揺杏『完成したと思ったら夢だった……』

揺杏『灼あらたで辞書登録したわ』

揺杏『あと少し……少し……』

揺杏『シュークリームうめぇ』

揺杏『死ぬ。死んだ。』

揺杏『いまねたらまにあわぬえ』

揺杏『むりだこれ』

揺杏『爽wwwインタビューで放送事故wwwバカだアイツwww』

揺杏『ばーかwww爽wwwアイツなんなのwww』

揺杏『めちゃくちゃ眠いけどやりきったよ!』

揺杏『すげー楽しかったわ!』

揺杏『ねむいねる』


憧「……なんかめちゃくちゃ精神不安定じゃない……?」

灼「作業が大変なときは大体こんな感じ」

ダヴァン「サワヤ……何かあったんでスカ?」

宥「……あはは」

灼「……聞きたい?」

ダヴァン「……なんとなく察しまシタ」

穏乃「おお! これがその新作ですか!」

初美「こう……今回は素材を厳選して一ちゃんに取り寄せてもらってですねー」

一「龍門渕のネットワーク使ってもらってさあ……ほら、肌触りが全然違うでしょ?」

穏乃「すごい! すごいですよこれ! さすがです! わぁ……わぁ! 早速着替えてきます! 憧! 隣の部屋借りるから!」

憧「え、ちょ……ちょっと待って! 着て平気なやつなの!? チェックさせなさい!」

灼「……相変わらず騒がし」

宥「ふふ、楽しそうでいいじゃない……穏乃ちゃんのお誕生日だし、楽しんでもらわないと」

灼「ん……そですね」

初美「穏乃ちゃんがお着替え中は……あ! それでそれでー? 玄ちゃんとはどこまで行ったんですかー?」

ハギヨシ「は、はい? それは、そこの山まで……」

一「そういうことじゃなくってですね……」

綾「ど、どこまで……ちょっと気になるかも……」

ひな「後学のために是非とも聞かせていただきたい所存ー」

桜子「そこの山だよ! 玄ちゃんと彼氏さんがふたりで手作りのお弁当食べてたって噂になってたもん!」

一「いや、だからそうじゃなくって……ねえ?」

初美「うーん……今日はお子様がいることですし別の機会にしましょうかー……ちょっと刺激が強すぎるかもしれないですしー?」

ハギヨシ「え、ちょ、そのようなことはなにも……!」

一「そのようなことって?」

ハギヨシ「あ、いや……」

灼「……憧みたいな弄られ方してる」

宥「ふふ、弟になると思うと微笑ましいなぁ」

灼「……宥さん、だからちょっと気が早」


穏乃「じゃーん! どうですか! なかなか決まってません!?」

初美「おー! カッコいいですよ穏乃ちゃん!」

一「ボクたちの目に狂いはなかった……!」

憧「あー! いやぁぁぁぁ!! しず! ちょっ……目っていうかそこら中狂ってますから! ふたりとも頭のネジからいくつか締め直してくれませんかね!?」

初美「憧ちゃんは未だに理解できませんか……」

一「憧ちゃんこんなにかわいいのに……かわいそう……」

憧「なんで私が憐れまれてるのよぉ!?」

灼「……このままだと憧のストレスが……揺杏みたいになっちゃうかも」

宥「そ、それは……なかなか危なそうだね……」

灼「とゆことで、落ち着かせてきます……宥さん、そっちケーキあるから……」

宥「うん、出してくるよ……おまかせあれ! だよ~」

灼「ふふ……ほら、穏乃……うれしいのはわかるけど一回ストップ。 憧も、落ち着いて」

穏乃「了解です!」

憧「はぁ……これが落ち着いていられるかって感じなんだけど……」

灼「はいはい……じゃ、いつもの」

一「はいはーい! 作詞・作曲:龍門渕透華!」



「「「しずたんイェイ~」」」


穏乃「ありがとうございます!」


カン!


このままだんだんとズレていって季節感完全になくしそうで怖い
全国編やってた頃にコラボでタコスラーメンやってましたよね。食べに行けなかったのが悔しくて妙に覚えてます


揺杏の自信作とやらを着た穏乃の画像うpよろ

穏ちゃーのBD…乙です!
まさかラーメン祭りと服飾祭りの合わせ技で来るとは…
凄く楽しめました。
そう言えばこちらだとプロアマ戦ってやらないんでしょうか?

>>178-179自信作布切れ定期。画像というか、絵が描ける人って羨ましいですよね。オタクする楽しさ数倍になりそう
>>181カツ丼さんと衣がやったらしいぐらいしか原作ではふれられてないですね、プロアマ交流戦。普段からいろいろ妄想はしてるけど言われるまで考え付かないこともありますし…ちょっと考えてみます。まあ、闘牌スレじゃないからただのプロアマの絡むネタになると思いますが

あらたそ!あらたそのお誕生日!あらたんイェイ~


浩子「こう、お友達価格で安くなったりしないんですかね?」

灼「お友達ならお金落としてってほし。 シューズやボールやグローブも自分専用にしてみる?」

浩子「なるほど……まあ、そこら辺のアイテムはレンタルで十分ですわ」

絹恵「にしても、ボウリングなんて久しぶりやなぁ」

怜「フナQも絹ちゃんもここ最近は受験勉強、それまでは麻雀ばっかやったからなあ……たまには身体動かさんとアカンで?」

浩子「園城寺先輩が言いますか……運動なんかろくにしとらんやろ」

絹恵「それこそ、園城寺さんかて麻雀しかしてないんやないんですか?」

怜「なめたらアカンで! ここ最近は宥ちゃんと食べ歩きしたりゴロゴロしたりしてるわ! なー?」

宥「ねー」

浩子「運動はしてないんやな」

怜「ほら、私病弱やし?」

浩子「相変わらずのアピールやめぇや」

玄「園城寺さんは身体弱いんだから無理しちゃダメですよ? はい、みなさん飲み物をお持ちしました!」

絹恵「玄さんどうもです!」

宥「ありがとう玄ちゃん! ……よぉし、それじゃあ第一回、灼ちゃんお誕生日杯はじめるよー!」

玄「わーわー!」

怜「どんどんぱふぱふー!」

灼「まいどー」


宥「それでは玄ちゃんからルール説明です!」

玄「おまかせあれ! えっと……みんなでボウリングをします!」

浩子「……ええ、それはまあそうでしょうね」

玄「一番スコアが低かった人はなんと! 今日の鷺森レーン使用料金のお支払いと灼ちゃんに誕生日ケーキを奢ることができるのです!」

怜「なかなかの賞品やな……!」

絹恵「スコアが高かった人はどうなるんです?」

玄「勝ったら?……えっと、うれしいですね!」

宥「そうだね~」

浩子「うれしいだけですか」

玄「え? ……じゃあ、なんと灼ちゃんとデートの権利が!」

灼「え」

宥「おおー……これは頑張るしかないね!」

怜「ふふ……こいつは盛り上がってきたな」

浩子「今鷺森さんなにそれ的反応してましたが」

玄「……だ、だめかなあ?」

灼「いや……私は別にいいけど……それでいいの?」

玄「灼ちゃん杯だし!」

宥「うれしいよねー」

怜「なー」

浩子「わりと普段から遊び行ったりするし賞品にする意味がないような……まあ、ええですけど」

絹恵「なにか賞品あった方が盛り上がるしな!」

灼「……まあ、まかせるけど」


私が誕生日を迎えたということで、進学先で一緒になった顔馴染みがわざわざうちに集まってくれている……玄は、今日はお休みらしい。 穏乃の時は半休だったからなんとか融通してきたそうだ

……なんか、気がついたら賞品にされてしまったけど……楽しそうだからいいか

怜「それじゃあ、ゲームを始める前にひとつ提案や!」

宥「どうしたの、怜ちゃん?」

怜「個人戦やと私が不利や! 病弱やし! チーム戦を希望するで!」

浩子「まあ、そう来ますよね……私は構いませんよ」

玄「なるほど……チーム戦の方が盛り上がりますしねっ!」

絹恵「と言ってもチーム分けはどうします? あ、灼ちゃんに入ってもらえば……」

灼「……いちお、店番中だから。 こっちでだべるのはともかく、参加するのはさすがに……」

絹恵「残念やなあ……じゃあチームは……」

浩子「松実姉妹vs愛宕一族vs園城寺先輩で行きましょうか」

玄「ふぅ~むなるほどなるほどなるほどー」

怜「待って!? それなにひとつ解決になってへんで!? 私不利すぎやろ! 支払えるようになった場合も個人で支払いやし!」

絹恵「ああ、そこも見据えての提案でしたか……」

浩子「ちっ」

怜「フナQ舌打ちした!? 今舌打ちしたやんな!?」

浩子「冗談ですって。 じゃあ、2対3でやります? 宥さん、玄さん、園城寺先輩あげますよ」

怜「足手まとい扱いで押しつけようとするのやめーや! ちょっぴり傷つくで!?」

浩子「もちろん、冗談ですってば」

灼「人数揃えないと結局いろいろと有利不利出てくると思」

宥「うーん……憧ちゃんと穏乃ちゃんが学校終わるまで待つ?」

絹恵「……二人増えたら結局同じことじゃないですか?」

宥「あ……そっか、そうだね……」

……別に、遊びなんだから適当にやっちゃえばいいと思うけど

そもそもルールもろくに考えてないがばがばの大会なんだし……

「あらたぁぁぁぁぁ!!」

灼「えっ?」



ゴンッ


灼「…………痛そ」

自分の名前を呼ぶ叫び声が聞こえたと思ったら、店の自動ドアに勢い余ってぶつかってる不審者

……いや、名前呼ばれてたしたぶん知り合いなんだろうけど……ん?

灼「……揺杏!? どうしてここに!? 頭だいじょぶ!?」

揺杏「い、いた……それ、どっちの意味で言ってる?」

灼「どっちも」

揺杏「両方の意味で大丈夫じゃないかも……」

灼「うん、知ってる」

揺杏「冗談じゃなくって!」

灼「え? そんなに痛かった? っていうか頭おかしいの?」

揺杏「うん……私、頭おかしいのかもしれない……」

灼「え……」

宥「揺杏ちゃん?」

玄「あ、頭打ってたけど……大丈夫? 平気?」

揺杏「……うん、いたい…………」

浩子「有珠山の岩館? なんで奈良に?」

揺杏「いろいろあってちょっと相談に……あ、今は被服の勉強するために東京の専門進学したから関東住みなんだけどさー」

絹恵「よかったーわりと普通そうやね……深刻な顔で飛び込んでくるから何事かと思ったわー」

揺杏「おキヌ! いや、これがわりとマジで悩んでてここまでアポ無しで来ちゃったわけでして……」

灼「……どしたの?」


揺杏「あ! 灼! 誕生日おめでとう! これ、プレゼントね! 受け取って!」

灼「え? あ、ども……開けてい?」

揺杏「開けろ! そして感想をくれ!」

渡された包みを開けると、落ち着いた色合いの『普通に』お洒落なスカートが……

浩子「へぇ……いいですね」

絹恵「相変わらずすごいなぁ……」

揺杏「どう? どう?」

灼「控えめに言ってすごくかわいい。 憧が欲しがりそ」

揺杏「控えめに言わなくていいから!」

灼「揺杏って天才だよね」

揺杏「だよな! ……だよな?」

灼「……どしたの?」

揺杏「実は……」

怜「そんなことより!」

揺杏「そんなこと!?」

怜「これで六人や! 3対3でやれるで!」

浩子「二人組三つでもええですよ?」

怜「二人組でこの子と一緒になったらどうするんや! あんま知らんしちょっと気まずいやろ!」

揺杏「え? え? なんの話?」

宥「みんなでボウリングしようってお話だよ~」

揺杏「え? なんで急にボウリング?」

灼「いや……ここ、ボウリング場だし」

揺杏「ほんとだ! 灼んちボウリング場じゃん! 混ぜて混ぜてー」

灼「…………じゃ、チームはくじ引きで」


宥「よぉし、頑張ろうね! 怜ちゃん、ふなきゅーちゃん!」

浩子「足引っ張らないでくださいね、園城寺先輩」

怜「……なあ、フナQあんた自信ありっぽいけどアベレージどんなもんなん?」

浩子「いえ、やるのははじめてですが」

怜「へぁ!?」

浩子「安心してください、勉強してきましたんで……データも完璧です。 ボールの突入角度と回転を計算してしかるべきところに投げ込めばミスはあり得ませんわ」

怜「……だ、大丈夫なんか……? 宥ちゃんは?」

宥「私? うーん……玄ちゃんと同じくらい?」

怜「ってことはそこで相殺するとして……パワーバランス取るにはフナQがマジで完璧じゃないとヤバいやん……」

揺杏「ボウリングとか久しぶりー! 私は普通ぐらいだけど玄ちゃんとおキヌは?」

玄「私は……灼ちゃんのおうちだし、みんなで結構遊びに来るから……穏乃ちゃんや憧ちゃんには負けるけど、そこそこいけるよっ!」

絹恵「私はボールは蹴る方専門やったんやけど……まあ、苦手ではないで?」

揺杏「……この球蹴っ飛ばしたらさすがに足イッちゃうから気をつけてな?」

絹恵「だ、大丈夫やって、大丈夫……」

灼「……絹ちゃんウズウズしてない?」

絹恵「へ、平気やって! サッカーボールこんなに重くないし! 今感覚慣らしてるだけやから! 前やったときもなんとか蹴らんかったし!」

揺杏「なんとか!?」

玄「ほ、本当に大丈夫なの……?」

……大阪組がなんとなく不安だけど、とりあえずゲームは始まりそうだ


宥「えいっ」

怜「おおっ! ストライクやん! 宥ちゃんやるなぁ」

宥「えへへ、たまたまだよ、たまたま」

玄「むむ、さすがお姉ちゃん……私も負けてられないよっ……やっ!」

揺杏「おっ! 玄ちゃんもやるねぇ! 松実姉妹もしかしてすごい?」

灼「ふたりとも結構長いこと通ってくれてるから……超上手いって程じゃないけど大崩れはしないよ」

怜「……よし、フナQ後は任せた」

浩子「はい? 園城寺先輩が先に投げるんじゃなかったんですか?」

怜「……もう投げたんや」

浩子「え? でもピンが……ああ、溝に……」

怜「私、病弱な上に運痴やから……」

揺杏「お姉さんお姉さん、女子らしくお上品な会話してくれよー」

怜「誰もトイレの話とかしとらんわ!」

絹恵「浩ちゃんが取らんと宥さんのストライクもったいないでー?」

浩子「ふふ、心理戦は無駄やで? データを活かすには常に冷静に……な!」

揺杏「おおっ!」

玄「これは……!」

怜「…………」

絹恵「…………」

浩子「ふっ……データは完璧でしたが、私の運動能力ではどうにもならないようですわ」

怜「アホか!! どうすんやこれ! 実質戦力宥ちゃん一人やで!?」

揺杏「やべっ、残っちゃった……おキヌよろしく!」

絹恵「端っこかあ……っよし! スペアや!」

玄「やったね! いぇいっ!」


怜「くぅ……ちょ、フナQ! あっち楽しそうにハイタッチとかしとるで! このままただ負けるとかさすがに無いで!」

浩子「ふむ……絹ちゃんは元々サッカーやっててしかもキーパーでしたからね。ボールの扱いにも慣れていますし、 運動能力で私と大きな差があることは自明の理でしたね」

怜「冷静に分析しとる場合とちゃうで! やるからには勝たんと!」

浩子「意外と燃えてますね……それじゃあいくつか作戦を……」

宥「わぁ! またストライクだったよ~!」

怜「さすがや宥ちゃん!」

浩子「ええ、宥さんが稼いでくれる限りチャンスは残りますから……じゃあまずは……」

玄「お姉ちゃん2連続かぁ……よし、私だって!」

怜「そういや玄ちゃん、彼氏できたって?」

玄「はわっ!?」

揺杏「あっ! 投球中に卑怯だぞ! だいたいそれはボウリング終わってからいじろうと思ってたのに!」

玄「ええっ!? ゆ、揺杏ちゃんまでなに言って……」

絹恵「へぇ……ええなあ、羨ましい……」

怜「言うて絹ちゃんは洋榎ちゃんの三倍はモテるやろ? 乳も太もももエエ感じやしなあ……うへへ……」

絹恵「ちょ、園城寺さん顔怖いですって! 涎吹いてくださいよ!」

宥「あーあー怜ちゃんまた浮気してる……」

怜「あ、ち、違うんやで? 私はほら、今は宥ちゃんだけやし? ほら太ももにパワーあげるからー」

宥「もう、調子いいんだから……清水谷さん泣いちゃうよー?」

揺杏「流れるように太ももにダイブした!? ……なかなかの変人だな……!」

灼「揺杏に負けず劣らずね……」


灼「……で? どしたの?」

揺杏「ん? ああ……その、さ……こないだ、穏乃に服贈ったろ? 一とはっちゃんさんに頼まれてたやつ」

灼「ん……すごく喜んでたよ?」

揺杏「うん……」

灼「…………」

揺杏「……私、服飾関係の……今、デザイナー目指してるって前言ったろ? それで、さ……」

揺杏「……ほら、なんと言うか……やっぱりさ、アレって……普通ではないというか、なんというか……」

灼「まあ、明らかに普通ではないね」

揺杏「それでも、アレがいいって人がいて、私もアレ作るの楽しいんだけどさ……こう、同じ道を目指すやつらと集まって意見交換とかしてると、やっぱり私頭おかしいんじゃないかって……」

灼「あー……でもほら、流行って作ってくものだし? 穏乃たちも言ってるけど、そのうち世の中が追いつくかもしれないし……?」

揺杏「それはそれで追いついたらこの世界怖ぇな……いや、私もこうやってさ、普通に……って言うと違うけど、良いもの作れるわけだし……」

灼「……こういう、他と違ったモノを作れる感性があるのは強みなんじゃない? 今あるものだけ作ってても大成しないと思」

揺杏「……そうかな?」

灼「そうだよ。 揺杏天才だし、努力もしてるし」

揺杏「そっか! そうかもな! いやあ、奈良まで来てグダグダ悩むのもバカらしいしな! せっかくだから楽しませてもらうぜ! 勝ったら灼とデートできるらしいし!」

灼「……ばーか。 …… 都合つくならいつでも付き合う」

揺杏「あ、やっぱり? 灼は私のこと大好きだからなぁ」

灼「……揺杏が私を好きなほどじゃないでしょ」

揺杏「ん? ふふ、そーかもな! ……よっしゃ! 行くぞ玄ちゃん、おキヌ! 宥さんさえ抑えれば楽勝だぜ!」

絹恵「あー……その、玄さんが……」

怜「もうちゅーしたん?」

玄「ちゅ、ちゅー!?」

絹恵「ガター連発してもうてて……」

揺杏「……いい勝負になりそうだな!」


穏乃「こんにちはーっ! ってああ! もう始まってる!」

憧「そりゃ仕方ないでしょ……ってなんで揺杏までいんの!? えー! なにしてんのよ!」

揺杏「いやあ、ちょっと小旅行?」

憧「ちょっとって身軽すぎでしょ……あっ! なにこのスカートかわいいじゃん! 新作!?」

灼「ん、もらった」

憧「えーいいじゃんいいじゃん! 私もほしいなー」

揺杏「あからさまにねだるなよ……結構大変なんだぞ? 最近忙しくてそこまで余裕無いし……色違いでいい?」

憧「いいの? やったぁ! んじゃ、えっと……はい! ジュース奢ったげる!」

揺杏「私のスカートやっすいなぁ……」

怜「おお、これまた良さそうな太ももが二組……」

宥「太もも換算しないのっ」

絹恵「穏乃ちゃん、相変わらず元気やね! 学校お疲れさん、ほら、ジュース好きなの飲み!」

穏乃「え、でも奢ってもらうのは……」

絹恵「先輩には甘えるもんやで? ほら、早く選ばないとおかしもつけるでー」

穏乃「わわっ! そんな……えっと、コーラいただきますっ! ゴチですっ!」

絹恵「おう! 気にせんでええよ!」

玄「ちゅ、ちゅーなんてそんな……まだ早いというか、その……でも、えへ、えへへ……」

憧「……玄どうしたの?」

揺杏「んー……いつもの憧ちゃんみたいな?」

憧「どういう意味!?」

揺杏「そのまんまだよ? なー」

灼「そだね……ふふ」


憧「灼さんまで……もうっ! まあいいや、途中でもいいから混ぜてよ……ってなにこのスコア……両チームガター連発って泥仕合すぎでしょ」

浩子「ボウリングはデータじゃない……奥が深い競技だというのは理解しましたわ。 ……ちなみに、二人の腕は?」

憧「え? 宥ねえと玄よりは上手いかな……? しずと私は五分ぐらいですけど」

絹恵「じゃあ穏乃ちゃんこっちチームでもらいや!」

穏乃「えっと……絹恵さんと玄さんと揺杏さんと一緒ですか! まかせてくださいっ!」

揺杏「……体育会系ってみんな穏乃のこと大好きだよな」

灼「気持ちはわかる」

憧「……船久保さん、これ大丈夫なんですか?」

浩子「データは完璧ですよ。 活かせる程の運動能力が無いだけで」

怜「私、病弱やから……あ、憧ちゃんが膝枕してくれたらちょっと頑張れるかも……」

憧「宥ねえ、園城寺さん係お願いね」

宥「えー? ふふ、おまかせあれ~」

憧「よしっ! いくわよっ!」

揺杏「燃えてるなあ、憧ちゃん……デート権は純じゃなくって灼とだぞ?」

憧「ふきゅ」

怜「あ」

憧「なっ……な、なに言ってんのよ!? べ、別に関係ないでしょ! っていうか灼さんでもうれしっ……あ」

揺杏「うれしいんだ?」

灼「……て、照れるぜ」

憧「ち、違っ……あ、いや、違くはないんだけど、そのっ……!」

浩子「…………これは、勝ち目無さそうですね」

穏乃「っしゃあ! ストライーク! 灼さんはもらった!」

玄「穏乃ちゃんさっすがあ!」

絹恵「穏乃ちゃんえらいっ! 勝利へ一直線やなっ!」

揺杏「へへっ、バースデーデート、行き先考えとけよ?」

灼「……はいはい」


カン!

あらたんイェイ~
最近イベント系しか投下できてないのとそれさえ遅刻しまくってるという事実に気が付いたからなんとかしたい…何とかしたいんですが…!

生きてます。ゴールデンウィーク休み無いマンで辛い
正直なんも用意してないけどまこ大好きなんで気合で何とかします
更新してない間も短いけどシノハユss投下したりしてたんで許してくだせぇ…まあこっち書けよって話かもですが

>>142とか準備してるんで落ち着いたらそこら辺から投下することになるのではないのかと


まこ「これは……わかっとるのう」

揺杏「そりゃあ、わかってますとも」

灼「私はよくわからないけど……揺杏なら間違いないよ」

揺杏「んふふ……この篤い信頼、ドキドキしちゃうね」

久「見事なもんねぇ……まこ、早速着替えてきてよ」

まこ「……しかしのう、こう……ちょっと、わしが着るにはかわいすぎんか?」

久「なに言ってるのよ! まこが着ないでどうするの!」

揺杏「そーだぞ! 久姉の言うとおり! つーかまこのために作ったんだからな? 着てくれよ! 私のためだと思って!」

まこ「……そこまで言われたらしょうがないのう……別に、嫌ってわけじゃないんじゃよ? ただ、ちょっと気恥ずかしいと言うかのう……」

揺杏「わかってるわかってる! 渾身のメイド服だからな! ちゃんと着てくれれば私はおっけー!」

灼「まこ、似合うと思うけど」

まこ「そういうこと、ボソッと言うのやめんさい……んじゃ、着てくるわ」

久「待ってるわよ~」


ゴールデンウィークの連休を利用して、長野までやって来た。 休暇の最終日……5日はまこの誕生日だということもある。 帰りがスケジュール的に辛いけど、ギリギリまでこっちで遊ぶことにした

今は、まこの実家……噂のメイド雀荘『Roof-top』にお邪魔している

揺杏は関東に出てきたことで身軽に動き回れていいわー、なんて言ってた……誕生日プレゼントにメイド服を作って持ってきている

……いつも思うんだけど、揺杏は作業スピードがおかしい気がする。 月に何着服作ってるんだろう……

久「いやあ、まこのためにありがとね、揺杏」

揺杏「いやいや、趣味と実益を兼ねてるんで気にすることないって……噂のメイド雀荘も面白かったし!」

久「昨日はほぼ一日打ってたもんね……かわいい女の子見ながら麻雀打ち放題なんて最高でしょ?」

揺杏「打つの自体久々だったから滅茶苦茶楽しかった! しかも今日から看板娘が私の作った衣装を……最高だぜまったくよぉ!」

灼「テンション高……あのさ、揺杏……服作ったり遠出したりって結構お金バカにならないんじゃ……」

揺杏「ん? まあな……体力とか時間とか結構キツいし……とはいえ今回は臨時収入もあったんで!」

灼「臨時収入?」

揺杏「ふっふっふ……ふふ、ははは! ちょっと思い出すだけでテンション上がるぜ! 透華お嬢様がメイド服買い取ってくれた! 私の! 私の作品を! 買ってくれた! 正直コネ有りきなとこあると思うし実力だけってわけじゃないけど! 売れたんだよ私の服が!」

久「あら、凄いじゃない!」

揺杏「いやあ、苦労したぜ……まあ何着も作るのキツかったし三着だけなんだけどな……純と一とともきーの分!」

灼「へえ……見たかったな。昨日渡してたやつ?」

揺杏「そうそう! 今日このあと見れると思うぜ! それぞれかなりこだわってさ……まあ、龍門渕のお屋敷で使うってのだからあんまり弾けた感じではないけど……」

久「まあ、国広さんの私服みたいなのじゃお客様のお出迎えはできないわよねぇ」

灼「たしかに……」

揺杏「それでも一のはかなり冒険したけどな! 背中とか肩とかこっそりとちょっと出る感じにしたし……ともきーのはまこに渡したのみたいなクラシカルな感じでがっつりロングスカートで! ともきー美人だしってか黒髪ロングって最高だよな! 王道って王道だけに難しかった! ……とはいえ、純のが一番苦労したな」

久「あら、井上さんの? まあ、あんまりメイド服ってイメージ無いけど……イケメンだし、龍門渕の執事さんみたいな格好の方が似合いそうよねぇ」

揺杏「うん、だからいっそ開き直ってパンツルックにした」

久「へ?」

揺杏「いや、純にスカート履かせたかったけどさ! 元々の龍門渕のメイド服着てるとこ見せてもらったし! それならイケメン枠らしくカッコいい感じにしたいじゃん! それぞれに合わせてるわけだし!」

灼「……う、うん……そだね」

揺杏「ともきーのを王道メイド服、一のは萌え系にバランス振ったし? 純にはやっぱりカッコいい系というか!? その方がみんな得するだろ!? 純もスカートヒラヒラして気になるって言ってたし!」


揺杏が凄い勢いで語り始めたので若干気圧される……楽しそうだからいいんだけど

……とゆか、パンツルックってもはやメイドじゃなくて普通に執事なんじゃ……

久「というか、三着だけなのね……天江さんや龍門渕さんの分は?」

揺杏「二人はメイドじゃないから……あの二人はあの二人で着せたい服とかあるしそのうちなんか作らせてもらいたいなぁ……」

灼「…………ねえ、前から気になってたんだけど……私とか、結構服とか作ってもらっちゃってたけど、やっぱりお金とか……」

揺杏「気にすんな! 趣味だから! ……まあ、私って天才だし? そのうち売れっ子デザイナーになってちゃんと仕事として服作って、買ってもらうからさ!」

灼「……揺杏」

揺杏「安心しろって、お友だち価格でいいからさ」

灼「……ふふ、ありがと」

揺杏「おう! ……つーかさ、今回透華お嬢様が……ちょっとビビる額くれてさ……今まで一が貰いっぱなしでしたし、遠慮なく貰ってくださいな! とか、これからもよろしくお願いしますわね、とか言って……今までの分軽く取り返したというか……」

灼「ああ……透華さんならそうするかもね」

久「……ねえ、ちなみにどれくらい……?」

揺杏「……ほら、振り込みで……こんくらい……」

久「うぇ!? ちょ、ちょっと……え!? マジ?」

揺杏「うん……そりゃ、今まで結構な量生産してたけどさ……ちょっと、学生がポンと渡されていい額じゃないというか……」

灼「……うわ」

揺杏「し、しかもさ、困ったことがあったらこちらに連絡くださいな、とかって……め、名刺もくれて……」

久「め、名刺? 普通にプライベートなアドレスとか知ってるわよね?」

揺杏「うん……だ、だからさ、これって……アレだよな? 透華お嬢様個人じゃなくって、龍門渕グループの透華お嬢様としても助けてくれるってことだよな……? 龍門渕って、最近ファッション関係の事業も始めたし……」

灼「……ともきーから聞いたんだけど、透華さん、グループの新興の小さい部門の方とか少し任されて勉強中だって……」

久「……龍門渕グループに就職とかなったら超エリートじゃないの」

揺杏「い、いや、実力の世界だしコネ使わないでやっていくつもりだけど……な、なんなんだろうな、ちょっと怖い……」

久「……龍門渕さん、人情派だけど実力主義でもあるから……結構本気で揺杏のこと評価してくれてるんじゃない?」

灼「龍門渕グループって……人生の保険としては大きすぎるぐらいだよね……透華さん、人を見る目もあるし自信持っていいと思。 この買い取り額も……量もあるんだろうけど、評価してなければ出てこないと思うし」

揺杏「う、うん……思い出すだけでテンション上がるけど、変に上手いこといってる感じがやっぱりちょっと怖くなるわ……」


まこ「どうしたんじゃ? みんなで微妙な表情して……」

揺杏「お、戻ったか……っていい! 凄くいい! さすが私!」

久「かわいい! ベリーキュート! 結婚して!」

まこ「アホなこと言うとらんで……しかし、これはええのう……揺杏、ありがとうな」

揺杏「え……いや、そんな改めて言われっと照れるっつーか……」

久「まこが静かにテンション上がっててなんか悔しいんだけど……私がプレゼントあげたときよりも喜んでない?」

灼「なにあげたんですか?」

久「えーと……ケーキと夏の大会の有力な対戦相手の牌譜と手帳と……」

揺杏「いや、二個目なんか違くね?」

まこ「こういうもんは気持ちが大切なんじゃから……揺杏がくれたんも久がくれたんも嬉しいし、差なんか無いわ」

揺杏「いいこと言うねーこのこのー」

久「まこがそう言うのはわかってるけどねー」

灼「ふふ……まこ、おめでと」

まこ「ん、どうも……わざわざ奈良から来てくれて嬉しいわ」


まこ「……ほんじゃまあ、そろそろ行くかのう?」

久「もうそんな時間? んー……移動時間考えたらそろそろかー」

まこ「今から行けばお昼頃には着くじゃろ」

揺杏「夏の大会前に合宿だっけ? ぶっちゃけあの三人残ってりゃ余裕な気もすっけど」

灼「そういう問題じゃないと思」

久「風越みたいな名門には層で負けるしこっちはデータ割れてるからねぇ……個人戦でも東横さんとか南浦さんとかがいるし……」

まこ「高鴨さんたちは昨日からあっちに行っとるしのう……」

灼「ん……昨日、夜にLINE来てたよ。 楽しそ……私も、咲たちと会って打つの楽しみだし」

まこ「今日は龍門渕さんとこも遊びに来てくれるみたいだしのう……わしも一回着替えてくるわ」

揺杏「あっ! ちゃんとその服持ってってくれよ? 一たちにも着てるとこ見たいから持ってこいって言ってあるし!」

まこ「はいよ、そっちの方も楽しみじゃね」

揺杏「おうよ! 憧ちゃんもいるしな……純の分の目標は『憧ちゃんが鼻血出して喜ぶ』だし、イケメンっぷりを存分に発揮してもらわないと……」

灼「いくら憧でもそこまではいかないと思うけど……」

揺杏「あくまでも目標だから! イケメン向け執事服!」

久「やっぱりメイド服じゃないじゃないのよ……」


――――――

灼「……ここが、清澄の合宿所? 聞いてはいたけど……」

揺杏「はぁー……いいもん持ってんなぁ……しかも温泉つきだろ? 羨ましい」

久「ふふ、私の代でインハイ優勝したし連休の時期にも予約取れるようになったのよねー」

まこ「懐かしいのう……咲たちが入ってきた時は、連休終わって県予選前ギリギリじゃったからのう」

久「新一年生たちも入ってきてることだし、ビシッと先輩らしいとこ見せてあげないとね! ほら、行くわよ!」

揺杏「突撃じゃー!」

灼「落ち着いて」

まこ「しかし、龍門渕に阿知賀……と、揺杏かい……随分とゲストの多い合宿になったのう……」



咲「あっ! 染谷先輩! 竹井先輩! 灼ちゃんに岩舘さんも!」

久「はぁい、来たわよー」

和「お待ちしてました!」

優希「待ってたじぇ! 京太郎! 例のブツを出してこい!」

京太郎「あいよっ! ども、お疲れさんです! わりいムロ、ちょっと手借りていいか?」

裕子「はい、今行きます!」

マホ「あっ! マホもお手伝いします!」

裕子「……マホは先輩方のお出迎え、任せた!」

マホ「りょうかいですー!」

憧「お出迎えって……」

裕子「……あいつ、危なっかしいんで」

穏乃「ケーキ倒しちゃったりしたらもったいないもんね……」

憧「あ、しずも負けず劣らず危なっかしいからお出迎え担当でいいわよ」

穏乃「えっ!? 私そこまでドジんないって!」

優希「フラグっぽいじぇ」

穏乃「えー!? っていうか優希だって人のこと言えないだろー?」

優希「私ほどしっかりしてる奴もいないじぇ?」

咲「優希ちゃん、それもフラグっぽいよ……」


まこ「みんな相変わらずじゃのう……龍門渕さんらはまだなんか?」

和「はい、そろそろこちらに着くと先ほど連絡が……先輩たちも来てくださいましたし、ちょうどいい時間なので一旦お昼にしようかと」

穏乃「みなさん昨日ぶりですっ! なんか豪華なお食事出るみたいですよっ!」

玄「清澄の子達はね……私たちは飛び入り参加だから自前で用意しないとっ」

宥「くろちゃーん、ご飯炊けたよ~」

玄「ありがとうお姉ちゃん! それじゃあ、下拵えもしてあるし、ささっと用意しちゃうねっ」

揺杏「あ、なんか手伝う? ただでもらうのも悪いし……私料理もできんのよ?」

玄「大丈夫! 揺杏ちゃんには前に服とかも貰っちゃってるし……」

揺杏「あ! 服と言えばさ、メイド服とか着る? 今いろいろ作っててはまってんだけど! まこにもRoof-top用で誕プレであげたり一たちに作ったりで!」

玄「えっ? えっと、うちは旅館だしちょっとイメージにも合わないから……」

久「いいじゃないの、貰っておけば……執事の彼氏さんともお揃いになるし」

玄「ふぇ!? お、お揃いってそんな……」

揺杏「萩原さんもさ、メイド服好きだから執事やってるとこあると思うし!」

玄「そ、そうだったの!?」

灼「そんなことはないでしょ」

京太郎「いや、断言させてもらいますけどね!」

玄「はわっ!?」

京太郎「男はメイドさん大好きですっ! 萩原さんだってそれは変わらないはずっ!」

和「何を熱弁してるんですか」

優希「このバカ! ケーキはどうした?」

京太郎「ちゃんと用意してあるって! 昼食ったらすぐ出せるよ! ……そんじゃ、染谷先輩は今日の主役ですからね! 上座でどうぞ!」

まこ「……合宿中なんじゃから、そこまで気ぃ遣わんでええのに……」

和「私たちがやりたくてやってるんですよ?」

優希「染谷先輩こそ気を遣わないで欲しいじぇ! 卒業したとはいえ、ここはまだまだホームだじょ?」

まこ「……あんがとな」

久「ふふ、よかったじゃない」

まこ「ん……ほんと、嬉しいもんじゃ」


京太郎「ところでですね……竹井先輩、ちょっと気になる発言が……」

久「え? 私なにか言った?」

京太郎「いや、聞き間違えだと思うんですけどね? 今、玄さんに……し、執事の彼氏さんって……」

久「? 言ったけど?」

京太郎「いやいや、おかしいじゃないですか、彼氏さんって、そんな、玄さんと萩原さんが……つ、付き合ってる、みたいな……」

咲「え? 京ちゃん今さらなに言ってるの?」

和「知らなかったんですか?」

優希「三月末ぐらいにそんな話があっただろ?」

京太郎「は、はは……そんな、嘘……だろ……? エイプリルフールは先月だぜ?」

まこ「こんなん、嘘つくことじゃないじゃろ」

京太郎「……そんなっ! 嘘だっ! 俺、聞いてないっすもん! このあと萩原さん来るんですよね!? 問い詰めて……」

玄「あっ! は、萩原さんもう来ちゃうの!?」

和「身支度してきていいですよ、玄さん。 下拵えしてあるのなら私が仕上げちゃいますから」

玄「で、でも……」

憧「いいから準備してきなさいよ。 まあ、特に変なとこはないけど……気になるならベストな状態に持ってくべきでしょ」

咲「憧ちゃんも準備してきていいんだよ?」

憧「…………そ、それじゃあちょっと……ね、変じゃないよね? スカート皺になってない?」

優希「ばっちし! ずっと座ってたし気になるよなー」

京太郎「……し、信じないぞ、そんな……は、萩原さんが、玄さんに……」


透華「さあ、来ましたわよ! 本日の主役が! 原村和! 勝負ですわ!」

衣「遊びに来たぞー!」

和「あ、龍門渕さん、天江さん」

智紀「今日の主役は染谷さんでしょ……おめでとう」

まこ「おう、ありがとう」

純「お、もう阿知賀面子も揃ってんのな」

憧「!?」

一「お邪魔します! あ、揺杏ちゃん! 昨日もらったメイド服、着てきたよ! どうかな?」

揺杏「自分の才能が怖い!」

穏乃「素敵です一さん!」

一「えへへ、ありがとっ! でも、やっぱり今回の注目は純くんだよね」

純「揺杏! これメイド服じゃなくて執事服だろ! オレは女だっ!」

揺杏「え? フリフリのかわいいメイド服がよかったの?」

純「こっちのがいいけど!」

揺杏「じゃあ文句言うなよなー」

純「いや、とりあえず言っとかねぇとダメかなーと……」

灼「……持ちネタ?」

一「お約束は大事だよね……ほら純くん、昨日やった執事喫茶ごっこの成果を見せてよ!」

純「えぇ……? 別にいいけどよ……」

純「……ん……んん、……っし」

純「お帰りなさいませ、お嬢様」

憧「ふきゅ」

憧「……っ、え、あの、え!? た、ただいま!?」

灼「憧、ちょっと落ち着いて」

揺杏「どうだ憧ちゃん! いいだろ! 完璧だろ!?」

憧「ちょ、ゆ、揺杏! いい仕事するじゃないのよ!」

揺杏「かっけぇだろ? 鼻血出そうだろ?」

憧「さ、さすがに鼻血なんて出さないわよっ!! どんだけ興奮してんのよ!?」


ハギヨシ「失礼いたします」

玄「! あ、は、萩原さ……」

京太郎「萩原さん!! ちょっと!! お話が!!」

ハギヨシ「須賀くん? どうかされましたか?」

京太郎「どうかされましたか? じゃないですよ! 玄さんと付き合ってるってマジなんすか!? 聞いてないんですけど!?」

ハギヨシ「え……」

ハギヨシ「……その……言ってませんでしたか?」

京太郎「ギルティィィィィ!!」

ハギヨシ「は、はい!?」

京太郎「どういうことっすか!? なんですか!? つまり、アレですか!? 玄さんと致しちゃったんですか!?」

ハギヨシ「な、なにをでしょうか?」

京太郎「ヤったのかって聞いてんすよ!! 」

ハギヨシ「お、大声で何を言ってるんですか!? し、してないですよ!」

京太郎「嘘だ! 付き合ってるなんて……もうアレなんでしょ!? ヤりたい放題なんでしょ!?」

ハギヨシ「だから何を言ってるんですか! してませんよ!」

京太郎「でも乳くらい揉んだんでしょう!?」

ハギヨシ「してませんよ!!」

玄「あわわ……」

揺杏「おー、玄ちゃん真っ赤っかだ」

宥「あったかそうだねー」

憧「相変わらず最低ね……」

咲「フォローのしようがないなあ……」


まこ「京太郎は……アレさえなけりゃあのう……」

灼「みんな相変わらずみたいで……」

まこ「ま、変わらんのもええことじゃ……変わらんといけんこともあるがのう」

久「少なくとも須賀くんは変わらないといけないことだらけねぇ」

和「後輩の子たちも引いてますよ……? もう、他校のみなさんもいるのに恥ずかしい……」

咲「ほんとにね……和ちゃん、ご飯の準備、行こ? 染谷先輩や灼ちゃんたちの分用意しないと……」

和「……はあ、そうですね……玄さんが準備してくださったようですから……」

まこ「わしも手伝……」

咲「染谷先輩は主役なんですから働かなくていいんです! 灼ちゃんも、ね?」

灼「……手伝いくらいたいしたことじゃないのに」

咲「たいしたことじゃないからゆっくりしてて? 遠出してきてくれてるのに余計なお仕事まで任せられないよー」

和「はい、私たちに任せてください」

優希「ノッポたちも来たことだしさっさと準備するじぇ! タコスも用意せねば!」

和「ちょっ……ゆーき! 材料にも限りがあるんですから片っ端からタコスにするのは……!」

灼「……ほんと、相変わらずだね」

まこ「うん……ふふ、この調子なら安心してみてられるわ」


灼「……新部長、優希なんだよね」

まこ「ああ。 優希が真っ直ぐ引っ張ってくれるのを期待しとるよ……そっちは、高鴨さんじゃったな?」

灼「ん……うちは、やっぱり穏乃がチームの中心だから…………憧はリーダー型というよりも参謀型だし」

久「ふふ、新子さんはテンパり癖だけ抜ければもっとよくなりそうなのにねえ」

揺杏「アレがかわいくていいんじゃんか」

灼「ん……アレがかわいいから、あのままでもいいよ」

久「かわいいは正義よねー」

まこ「あんたらのう……」

灼「穏乃もかわいいしね。 うちの後輩ヤバい」

久「かわいさならうちの後輩たちも負けてないわよ!」

揺杏「なんで張り合ってんの?」

灼「揺杏のとこは?」

揺杏「うちにはユキがいるんだぞ? かわいいに決まってんだろうが!」

まこ「なんであんたも張り合っとるんじゃ……」

揺杏「自慢の後輩ですからね! まこだってそうだろ?」

まこ「そりゃ、当然じゃろ?」


まこ「優希も、咲も、和も……しっかりしとる。 わしの、インハイへの想いを託させてもろうて……それも背負ってきっと優勝してくれると信じとるよ」

灼「……うちだって、負けないから……穏乃も憧も、私の分まで戦ってくれる……」

久「ほんと。いい後輩を持ったわよねぇ……ちょろっと見てきたけど、ケーキもなかなか豪華そうよ?」

まこ「物で判断することでもないじゃろ……まあ、うれしいんだがのう」

揺杏「あ、いろいろ出てきたな……始めますかね」

灼「ん……そだね。 ほら、まこ……席ついて」

まこ「はいはい……んじゃあ、ありがたく祝ってもらうとするかのう」

優希「さあさあ! 準備はいいか野郎共!」

純「オレは女だ!」

智紀「もうノルマ達成してるからいいよ」

優希「ジュースは持ったな? 行っくじぇ! かんぱーい!」


「「「まこたんイェイ~」」」


カン!

まこたんイェイ~
清澄はなんだかんだで別に立てて書くことが多いからそっちで満足しちゃってあまり書いてない気がするけどやっぱり楽しい
しっかり時間とって書きたいなぁ

はっちゃんと塞さんが仲良しで和んでます。霞さんの無茶ぶり芸も好きです
投下。ハルちゃんたちと原村夫妻


晴絵「そろそろ個人戦始まりますけど……特別注目してる子とかいます?」

健夜「本命は素直に白糸台の宮永さんだよね。 そのまま終わっても面白くないし去年競ってた辻垣内さんや荒川さんにも頑張って欲しいけど……赤土さんのとこの子は出てないんだよね? もう少し見てみたかったんだけど……残念だなぁ」

はやり「個人的には有珠山のさわやちゃんかな? よしこちゃんみたいに……あの子もなにか持ってるし」

晴絵「ああ……あの子、面白いですよね。 瑞原さんは和とかの方が気になるのかなーと思ったんですけど」

はやり「ふふ、のどかちゃんは別の意味でも気になるかな……だってほら、ねえ?」

理沙「キャラ被り!」

はやり「その言い方はちょっと……牌のお姉さん的な意味でならそれこそてるちゃんとか鹿老渡のいちごちゃんとか千里山のりゅーかちゃんとかも……」

健夜「かわいい子多いもんね……佐々野さんなんかはメディアがそっち系の取り上げ方してたし……理沙ちゃんは気になるとこは?」

理沙「白水! ……愛宕!」

晴絵「哩は新道寺の後輩ですもんね。 愛宕は……少し野依さんに似てるかもしれませんね、防御というか、危機察知能力が。 基本はやっぱり愛宕元プロに印象近いんですけど」

健夜「見てると現役の頃の愛宕プロ思い出すよね……いくら固くても宮永さんはある程度自分で引いてこれるから攻め勝てるかとなると難しそうだけど」

はやり「でもひろえちゃん、攻め手も結構手堅いし隙を突くのも上手だから……やっぱり鼻が利くんだよね。 三連覇に待ったをかけるなら期待したいかなあ……はるえちゃんはどうなの?」

晴絵「そうですね……奈良一位の小走や長野一位の福路辺りにはちょっと期待してますね」

健夜「二人とも団体戦敗退校の子だね……福路さんは一昨年インハイで見たかな、一年生のわりに安定した打ち手だったけど……」

理沙「巧い!」

晴絵「ええ、二人とも立ち回り巧いんですよね。 状況ごとに対応できる引き出しの多さが魅力の打ち手です」


団体戦が終わり、プロとして活躍する知人たちも少し時間的余裕があるようで……

今日はみんなそれぞれ取材を受けていたらしい。 丁度揃って時間が空いたらしく、わざわざ声をかけてくれたので……私もこうして教え子たちを放置して出向いているというわけで

……まあ、あいつらもしっかりしてるし大丈夫だろ、うん

はやり「前にもやえちゃんの名前挙げてたよね? やっぱり同郷だし気になる?」

晴絵「それはありますね……というか、教え子たちが打ってますし……やっぱり玄に初見でしっかり対応してきた衝撃が強いんですよ。 晩成と当たったのが一回戦じゃなかったらどうなったやら……」

理沙「ドラ! 見切った!」

健夜「たしかに、アレをいきなり大会本番でパッと見てそれに対応できるのは評価できるよね……火力に差も出るのにかなり取り返してたしね」

晴絵「福路も観察力高いですし、うまいこと周りを使って宮永を止めたり……できることを期待したいですね」

健夜「単純に三連覇じゃ大会もつまらないしね」

はやり「三連覇見たいって気持ちもあるけどねー」

理沙「複雑!」

晴絵「ですねー」

まあ、照とは顔馴染みだし頑張ってほしいけどな……大会的に面白いかどうかと言えばやっぱり接戦で盛り上げてくれた方が見応えがある

個人戦は教え子たちも出てないしある程度お祭り気分で見れるのも気が楽だよな……来年以降のライバルになる可能性があるからただ見てるってわけにもいかないんだけど


健夜「……せっかく集まったのにまた麻雀の話ばっかりしちゃってるね」

理沙「仕方ない!」

はやり「お仕事だし、好きでやってることだもん……すこやちゃん、なにか面白い話あったりする?」

健夜「えっと……あ、そういえばこの間国外のジュニア大会の牌譜見てたら……」

晴絵「小鍛治さん、それ麻雀の話じゃないですか?」

健夜「え? あ、そっか……うーん……じゃあ、この前協会の人が来て……」

理沙「麻雀協会?」

健夜「…………カレーとシチューを混ぜると……」

はやり「それってカレーの味が勝っちゃうんじゃない?」

健夜「……はやりちゃん、料理も得意だったね」

はやり「女の子としての嗜みですっ☆」

健夜「……だってよ理沙ちゃん」

理沙「…………!」

晴絵「……いや、私も最低限ぐらいはやりますけど……福岡居たときは一人だったし……」

理沙「意外!」

晴絵「……はっきり言いますね……まあ、別に得意ってほどではないですけど」

健夜「……り、料理できなくってもその分バリバリ稼いでるし……」

はやり「すこやちゃん、今のは女子力減点だよっ」

健夜「…………女子って年でも、ないし……」

晴絵「自虐に走るのやめましょうよ……」


理沙「……結婚」

晴絵「……ボソッと言うのもやめません?」

健夜「ま……まだ焦るようなタイミングじゃないと思うんだよね……回りが急かすからヤバいような気がするだけだし……」

晴絵「その顔で言われても説得力がないというか……」

……というか、麻雀の話から離れようとするとすぐこっちの話題にシフトするのもどうなんだ?

思いっきり気にしてるよな……気持ちはわからなくもないけど

晴絵「……いっそ、こーこちゃんに合コンでもセッティングしてもらえばいいんじゃないですか?」

健夜「……そういうの苦手だし……面倒だし……ね?」

理沙「面倒! 怖い!」

健夜「ねー……理沙ちゃんも結構人見知りするしね」

晴絵「面倒って……」

……こう、努力する気がないならもうどうしようもないんじゃ……口には出せないけど

晴絵「……瑞原さん、二人にちょうど良さそうな人とかいないんですか?」

はやり「はやっ? うーん……はやりはたしかに顔広い方かもしれないけど……」

健夜「まあ、はやりちゃん自身もそういうお話がまだだし他人に回す余裕なんかないよね……」

はやり「はやりはアイドルだから恋愛はしないのっ! もう、すこやちゃんはまたそうやって意地悪言って……」

理沙「自分のこと!」

はやり「りさちゃんまで! むぅ……はやりのことはいいの! はやりは二人のこと心配して……」

健夜「余計なお世話だよ……ほら、そのうちなんとかなるし……ね」

理沙「なんとかなる! ……なんとかなる!」

……楽観なのか諦めなのか……このままじゃどのみちダメそうだけど


理沙「……ご飯!」

健夜「そうだね、ご飯食べに行こっか。 そして楽しい話をしようよ」

理沙「麻雀!」

健夜「うん、麻雀の話をしよう。 麻雀って楽しいよね」

理沙「楽しい!」

あ、ダメだ。 ただの逃避だこれ。 知ってたけど

晴絵「はぁ……それじゃ、行きましょうか? 瑞原さんは……瑞原さん?」

はやり「二人ともまたそうやって……! お仕事だって大切だけど女の子を切り捨ててくのは……!」

晴絵「ちょ、み、瑞原さん? 落ち着いてくださいよ……この展開も、なんと言うかまあ、いつものことというか……」

はやり「いつものことだからダメなんでしょ! はるえちゃんだって今は麻雀が一番かもしれないけど、人生は麻雀だけじゃないんだから!」

健夜「私はもう麻雀一筋で行くから……たまに実家帰ってお母さんのご飯食べて、それだけで幸せだし……」

理沙「もともと実家暮らし!」

健夜「……そ、そのうち実家出るかもしれないし……」

はやり「そのうち、いつか、って言ってるうちはやる気ないって言ってるのと一緒だよ!」

理沙「…………」

健夜「うっ……はやりちゃんってさ、いつもすっごくパワーくれるけど……輝きが強すぎると言うか……そっとしておいてよ……」

はやり「ほっとけるわけないでしょ! すこやちゃんは大切な友達なんだから!」

健夜「……はやりちゃんが眩しい……」

はやり「りさちゃんも目を逸らさないの! 自分のことでもあるってわかってるでしょ!」

理沙「……ご、ごめんなさい」

はやり「ふたりともシャキッとする! 麻雀も女も両立できます!」

晴絵「瑞原さんが言うとちゃんとできる気がしてくるなあ……」

健夜「……でもはやりちゃんだって別に特定の男性がいるわけじゃないし」

理沙「……うん」

はやり「はやりはアイドルだから! みんなのはやりだから!」

晴絵「というかプロ雀士とアイドルの両立ってよほど凄いと思いますけど……」


――――――

健夜「……まあ、はやりちゃんの言うことはわかったよ……うん。 でさ、具体的にどうすればいいの?」

理沙「わからない!」

晴絵「自信満々に言い切らないでくださいよ……」

健夜「だってほら、私たち麻雀に青春かけてたし……男の人との接し方とかよくわからないし……ね」

理沙「うん! わからない!」

はやり「だから自信満々に言い切らないの!」

晴絵「……小鍛治さん、麻雀始めたの高三ですよね?」

健夜「…………な、なんのことだか……」

はやり「……すっごい目が泳いでるけど」

晴絵「えぇ……そこまで誤魔化し下手ってどういうことなんですか……麻雀打ってる時は全然表情見えないのに……」

理沙「ダメダメ!」

健夜「理沙ちゃんに言われたくないよ! 麻雀打ってない時のダメ加減はどっこいどっこいでしょ!?」

理沙「言われたくない!」

晴絵「目立ちますししょうもない喧嘩しないでくださいよ……っていうかふたりとも変装とかしないんですか? 名の売れた雀士なのに……」

健夜「え? うん。 私、打ってるとき以外オーラ無いってよく言われるし」

理沙「私も!」

晴絵「いや、それも胸張って言うことじゃないんじゃ……」


健夜「……はやりちゃんだって髪下ろして眼鏡かけたくらいだよ?」

はやり「髪型変わるとけっこう印象変わるよ? 意外とわからないものだよ~」

理沙「喋りでバレる!」

健夜「しかもはやりちゃん、サービスし過ぎというか……けっこう町中でもファンの人と話したりするよね」

晴絵「あー……この前、菫と会ったときとかも……」

はやり「……まあ、騒ぎにならない範囲で時間が許す限りは……無視されちゃったら悲しいし寂しいでしょ? はやりはみんなに笑顔になってほしいんだから当然だよっ☆」

はやり「……ほどほどにするのも難しいんだけどねー」

晴絵「ほんと、アイドルですよね……瑞原さんは」

晴絵「……で、それはそれとして……変装してても見る人が見たらすぐバレちゃうんじゃないですか? 今日なんかは特に……小鍛治さんと野依さんも一緒ですし。 人気のトッププロ揃い踏みですよ?」

健夜「ここ数年ランキングに関わる対局やってないしトップでは……」

理沙「実力!」

晴絵「国内無敗がなに言ってんですか……」

健夜「あ、あんまり持ち上げないでよ……なんか居心地悪くなるから……だいたいトップって言うなら理沙ちゃんなんか年間防御率トップで賞もらったり……」

はやり「……国内無敗とか防御率トップとか、そういう話してたら余計バレやすくなるような気がするんだけどなぁ……」

「あっ! もしかして……!」

理沙「!!」

健夜「あっ……」

はやり「ほらぁ……」

晴絵「そりゃ、目立ちますもん……瑞原さんなんて変装してても明らかに美人ですし」

「赤土晴絵さん? 赤土先生じゃありません?」

晴絵「って私!?」

はやり「ふふ、はるえちゃんも有名人だねっ」


晴絵「はい、あ、赤土ですけど……」

「ああ、やっぱり! お久しぶりですねー」

晴絵「え、ええ……えっと」

知り合い? でも東京に知り合いなんて……でもどっかで見たような……

……ん? この顔、それにこの……

晴絵「……ああ、本当にお久しぶりですね。 原村さんは、和の応援で東京に?」

嘉帆「いえ、今は仕事の都合でこっちに住んでまして……単身赴任ってやつ?」

晴絵「そうなんですか……和とは会われたんですか?」

嘉帆「ええ、団体戦準決勝の夜に……いやあ、何だかんだで優勝しちゃったみたいで私としても鼻が高いのなんのって」

晴絵「和、大活躍でしたしね。 個人戦も楽しみですよ」

嘉帆「ええ、本当に! 決勝はうちの人と観たんだけど……驚いたわ、見知った顔だと思ったら穏乃ちゃんたちに赤土先生までいるんだもの! 先生、実業団チームに行かれたって聞いてたから……」

晴絵「あー……まあ、色々ありまして……しずたちはインターミドルで活躍する和を見て奮起したみたいですよ。あの子達にとってもいい刺激になったみたいで」

嘉帆「ふふ、あの子が回りにいい影響与えてるなら私もうれしいわ……赤土先生もすっかり有名人って感じなんです? 麻雀詳しくない私でもわかる程度には豪華なメンバーですけど」

晴絵「はは……学生時代に打った仲でして……」

理沙「こ、こんばんは!」

健夜「ど、どうも……?」

はやり「こんばんは! 瑞原はやりですっ☆ えっと、のどかちゃんのお姉さんですか?」

嘉帆「そうです!」

晴絵「えー……」

嘉帆「ダメ?」

晴絵「いや、見えますけど……こちら、和の……清澄の原村さんのお母様です」

理沙「母親……ははおや!?」

健夜「高校生の子持ち!? 嘘でしょ!? 私たちと同じくらい……というかもっと若く見えるのに!?」

嘉帆「いやあ、やっぱりこの瞬間は最高に気持ちいいわねー」

晴絵「いい笑顔やめてくださいよ……」


健夜「……し、初対面で大変失礼だとは思いますが……」

嘉帆「原村嘉帆、44でーす」

健夜「よ、よんじゅうよん……?」

理沙「嘘! 出鱈目!」

嘉帆「これだけ見た目若いと嘘つく意味もないでしょ?」

はやり「真深さんと同い年……」

嘉帆「あ! 懐かしい名前! アレよね、牌のお姉さん! そっか、はやりんの先輩だ!」

はやり「真深さん、知ってるんですか?」

嘉帆「まふふ、大人気だったもの……たぶん、うちの人ファンだったし」

晴絵「えっ!?」

嘉帆「意外?」

晴絵「いやいやいや! そりゃあ意外ですよ! あ、あのお父様が? アイドルとか全然興味無さそうですけど!?」

嘉帆「あの人わかりにくいようでわかりやすいからねー……別に好きだとか言ってたわけじゃないけど、当時テレビに映った時とかちらちら見てたし」

晴絵「は、はぁ……そういうものですか」

嘉帆「それに、私と結婚しちゃってんのよ? 私って性格はともかく見た目は結構そっち系統じゃない?」

晴絵「性格はともかくって……」

はやり「お母様ならアイドルだって目指せますよっ☆」

嘉帆「いやあ、さすがにこの年でアイドルは無理ですよー」

はやり「アイドルに年齢は関係ないですからっ! 大切なのは、ハートですっ!」

健夜「……28にもなってアイドルやってるはやりちゃんが言うと含蓄あるよね」


はやり「……なんか棘があるなぁ……すこやちゃんもやってみる? 楽しいよ?」

健夜「人前で歌って踊るとか無理だから……というか、そもそも人前じゃなくても踊ったりできないよ」

理沙「運動不足!」

健夜「それは理沙ちゃんもでしょ……」

はやり「多少不格好でもみんなを楽しませたいって気持ちが大切なんだよ?」

健夜「……はぁ……今は他人よりも自分の幸せが大事だよ……回りがプレッシャーかけるから……だいたいまだ現役でやっていけるし結婚なんて……」

嘉帆「あら、あの小鍛治健夜でもそっち関係は苦労しちゃうんですね」

健夜「うう……正直、高三からここまで麻雀ばっかりで……」

晴絵「小鍛治さん、卒業後即プロ入りしてからトントン拍子でタイトル戦やら国際戦やら休む暇もなかったですもんね……というか原村さん、今の小鍛治さんと同じ年で和産んでるのか……」

健夜「やめて! そういうこと言うの! 一緒にインターハイ出たメンバーだってもう半分は子持ちだとか思い出したくもないよ!」

理沙「…………ふふっ」

晴絵「二人して本気でへこみ始めるのやめてくださいよ……」

嘉帆「あはは、なんならここで会ったのもなにかの縁ですし、うちの後輩たちでも紹介しましょうか?」

健夜「えっ」

理沙「!?」

晴絵「えぇ……さすがにそこまで……」

嘉帆「赤土先生だってそろそろ同級生とかぼちぼち結婚したりしてるんじゃないんですか?」

晴絵「うっ……それはまあ……でも、私はまだ夢を追ってる段階というか……身を固めるにはまだ早いかなーって……」

嘉帆「大丈夫ですって、私も仕事しながら結婚して娘もいるんだし! むしろそう言ってるうちにタイミング逃しちゃうわよ?」

晴絵「そ、それを言われると……」

健夜「こっち見ながら実感するのやめてよ!」


はやり「……まあ、みんなきっかけがないと動けないんだろうし、お言葉に甘えてみてもいいんじゃない?」

理沙「……はやりん!」

はやり「はい、はやりはアイドルなので付き合いませんけど」

理沙「……っ!」

はやり「そんなあからさまに不安そうにしないでよ、りさちゃん……というか、意外と乗り気?」

理沙「べ、べつにっ!」

晴絵「えーと……原村さん、弁護士でしたっけ?」

嘉帆「それは旦那の方です。 私は検事で……」

はやり「旦那さん、弁護士さんなんですか……ご立派ですねぇ」

嘉帆「あはは、たいした仕事してないですから褒めなくていいですよ」

健夜「検事さん……こーこちゃんに頼むよりはしっかりした人出てきそうだけど……」

嘉帆「ふふ、なんなら今から呼び出しても……」

晴絵「い、いや、さすがにそれは……」

嘉帆「安心して! 私に逆らえるような奴もいないし、声かければすぐにでも……」

恵「……何をやっているんだ、お前は」

嘉帆「へ?」


嘉帆「……あら、遅かったじゃないの。 さんざん待たせて……私、忙しいのよー?」

恵「こっちも仕事なんだ、勘弁してくれ……お久しぶりです、赤土先生。 娘が世話になっております」

晴絵「お、お久しぶりです……その……」

嘉帆「ああ、たまにしか会えないんだから食事ぐらい行こうってこの人がうるさくって……私は赤土先生たちの女子会に混ぜてもらっちゃってもいいんですけど」

恵「娘の恩師に迷惑をかけるなよ……失礼、これの奔放さには私も手を焼いていて……」

健夜「……奥さんというより娘さんに使う言葉な気がするんだけど」

はやり「のどかちゃん、しっかりしてるからねっ」

恵「……その、そちらは……?」

晴絵「私の……友人で、プロの打ち手です。 小鍛治健夜さん、野依理沙さん、瑞原はやりさん」

健夜「……どうも」

理沙「こんばんは!」

はやり「はじめましてっ! 瑞原はやりですっ☆」

恵「……原村恵、弁護士をしております。 なにかあればお力に……」

嘉帆「あんたの世話するような事件は起きない方がいいでしょうが……っていうかはやりんぐらい知ってるでしょ?」

恵「……和がファンだしな」

はやり「応援ありがとうございますっ☆」

嘉帆「…………そういえばさ、あんたまふふのファンだったでしょ」

恵「いや、別にファンというわけでは……というか、いつの話だ。 活動していたのも……もう二十年ほど前だろう」

嘉帆「すぐに活動時期とか出てくるのね?」

恵「……ちょうど、お前と一緒にいた頃だったと思っただけだ」


嘉帆「……やっぱり、和はあんたに似たわよね……なんだっけ? ほら、あの不気味なペンギンの……」

恵「エトペンか?」

嘉帆「そうそれ! ちっちゃい頃あんたが和に渡した絵本の! あの子大会中もぬいぐるみ抱いたまま打ってて大爆笑だったんだけど!」

はやり「エトペン、かわいいですよねっ!」

健夜「……エトペンっていうんだ、アレ」

理沙「かわいい!」

健夜「えぇ……? なんか不気味な感じじゃない?」

嘉帆「っていうかそれ! なんですぐに名前とか出てくるわけ? やっぱりああいうの好きなんでしょ?」

恵「…………和が気に入っているから覚えていただけだ。 お前こそ、もう少し娘のことを気にかけてやったらどうだ?」

嘉帆「私が冷たいみたいな言い方やめてよねー……たしかに、あの子しっかりしてるからあんまり心配はしてないけどさー」

晴絵「信頼してるってことですか」

はやり「そういうものかぁ……ご家族と離れて、寂しくないんですか?」

嘉帆「ぜーんぜん! 仕事も楽しいし、若い男どもをこき使うのもなかなかいいものよ?」

恵「…………」

嘉帆「あ、なに? ちょっと寂しかったりする?」

恵「……いや……そんなことはないが」

嘉帆「いい年して拗ねないでよー」

恵「拗ねてない」


恵「……ところで、今更だが、なぜ……」

嘉帆「ん? ああ、赤土先生見かけたからつい声かけちゃって……すみません、引き留めちゃって。 予定とかありましたよね?」

晴絵「まあ、正直こっちも一仕事終わってご飯食べ行こーぐらいだったんで……お気になさらず」

嘉帆「そう? それじゃあ、例の話はまたの機会に……あっ、連絡先交換しましょうよ。 時間合う時に……」

晴絵「な、なにもそこまでしてもらわなくても……」

はやり「……してもらった方がいいんじゃないかな?」

健夜「だからいちいち視線寄越さないでよっ!」

理沙「遺憾!」

嘉帆「そうだ、あんたも事務所の若いのとか、いい男いない? 紹介してよ」

恵「……お前な、流石に俺に若い男紹介しろって……」

嘉帆「いや、私にじゃないってば。 私にはあんたがいるでしょ……ほら、赤土先生たちに……」

恵「……将来有望で、フリーの者もいないでもないですが」

晴絵「い、いえ! そ、そこまでしていただくのはやはり……!」

健夜「弁護士……」

理沙「……良物件?」

晴絵「やっぱり結構乗り気ですよね!?」

健夜「こう……不安を煽られてつい……ね?」

理沙「……うん」




嘉帆「……よし! 赤土先生ありがとうございます。 いつでも連絡くださいね。 男の紹介だろうと法廷だろうとお助けしますよ」

晴絵「……ほ、法廷に用事はありませんけど……よろしくお願いします……?」

嘉帆「それじゃあ、私たちも行きましょうか? 時間、間に合う?」

恵「ああ、余裕はある。 ……それでは、失礼します。 個人戦、良ければ和の応援もしてやってください」

晴絵「ええ、それはもちろん! 和も私の大事な生徒ですから!」

嘉帆「ありがとうございます! 私も穏乃ちゃんたちの応援……」

恵「……阿知賀の生徒は個人戦に出ていないぞ」

嘉帆「え? そうなの? よく知ってるわね」

恵「……あの子が奈良にいた頃の友達も試合に出ていると言っていたから……」

嘉帆「調べたんだ? ……和が麻雀続けるのにいい顔しなかったわりにしっかり応援してるわよねえ」

恵「……いや、別に……」

嘉帆「一回反対した手前素直に応援できないってのもわかるけどねぇ……ほら、行くわよ! 久々のデートなんだからちゃんと楽しませてよー」

恵「……努力はするが」


健夜「…………」

理沙「…………」

晴絵「……どうしたんですか?」

健夜「いや……原村さん、面白い人だったし、いい人だったけどさ……」

晴絵「けど?」

健夜「なんかさ、ちょくちょくのろけてるのかなんなのか知らないけどいちゃいちゃするのなんなの!?」

理沙「あてつけ!」

晴絵「えぇー……ふたりともそれは気にしすぎなんじゃ……」

はやり「仲良し夫婦で羨ましいねー」

健夜「こちとら行き遅れだのなんだのって変にいじられてるっていうのに……もうっ!やってらんないよっ!」

理沙「やってられない!」

晴絵「……め、めんどくさいなぁ……このひとたち……」

はやり「複雑なお年頃なんだよ……」

健夜「はやりちゃん私と同い年でしょ!? 少しぐらい焦ったら!?」

はやり「はやりはアイドルだから……!」

健夜「いつまで?」

はやり「いつまでって……うぅぅ……ね、年齢になんて負けないもんっ! 生涯アイドルでいけるもんっ!」

晴絵「……はぁ……ほんとにもう、この人たちは……」

手がかかるというかなんというか……私より年上なんだよな?

打ち手としては尊敬できる人たちなんだけど……

晴絵(…………変に拗らせないよう気をつけよう、うん)


カン!

恵さんかわいい説を推していきたい所存ー
両親そろってるのも珍しいケースだしおいしいと思うんですよねー

気が付けばあこちゃー誕生日もすぐそこですね…用意を急がねば

あこたんイェイ~
今日中に帰れなそうな上明日も早いんで毎度のごとく遅刻で明日か明後日に投下します

友清一年かよ!!しかもいい子だ!!千里のサブメンバーとか新道寺の先生とか、キャラが増えるといろいろ捗りますね

大遅刻イェイ~
まあ、ほら、投下しないよりはいいと思うんですよね…


穏乃「憧ーっ! 早く早くっ! 電車来ちゃうよっ!」

憧「いや、かなり余裕あるでしょ……ちょっと落ち着きなさいよ」

初瀬「テンション上がるのもわかるけどねぇ……小走先輩が試合のチケット送ってくれるなんて!」

灼「チケットの送り方が素直じゃないよね。 いつもの事だけど」

初瀬「ほんとですよ……私のとこに『そういえば、新子が誕生日だったわよね? 暇そうなら誘ってやれば?』なんて言ってたわりに……」

灼「照さんから私にも送られてきてるんだよね……『やえが新子さんにチケット送ってるから一緒に来たら?』って」

憧「マジでありがたいんだけどね……プロの試合はやっぱり勉強になるし……」

穏乃「中継で見るよりもやっぱり会場で見る方がテンション上がるしね!」

憧「しずは今からテンション上げすぎだって!……で、やえさんと照さんからチケット二枚ずつで……」

宥「江口さんと清水谷さんから二枚ずつでさらに四枚、だね……怜ちゃんたちとは現地合流になるけど……」

憧「江口セーラも律儀よね……別にそこまで親しく付き合ってたわけでもないのに……」

宥「江口さんと清水谷さんは私と怜ちゃん繋がりかな……それに、ふたりとも穏乃ちゃんお気に入りだし」

穏乃「いやあ、お世話になってばかりで申し訳ないんですけどね! 今日はしっかり応援しますよ!」

憧「って言うか私はどっちを応援すればいいのよ……別々のチームからチケット送ってもらっちゃってんだけど……」

灼「いいんじゃない? 知り合い応援するぐらいで」

初瀬「あんまり固く考えなくてもいいんじゃない? ただ応援してても意味ないしね、夏に憧たちに勝つためにもしっかり勉強しないと……!」

穏乃「初瀬は真面目だなぁ……」

初瀬「当然! 王者晩成の看板背負ってるんだもん! ……穏乃はお気楽すぎ! っていうかなに? 晩成なめてるの?」

穏乃「まさか! 試合見に行くってだけでテンション上がっちゃって……っていうかうちの方が圧倒的に層薄いし春は憧が初瀬にやられちゃったしそこまで余裕ないって」

憧「う、うっさいわね! 次は負けないっての!」

初瀬「ふふ、オーダー位置によるけどね……私だって負けないんだから!」


初瀬は、相当腕を上げた

一年生の時、私たちが晩成を破って全国に行って……中学時代に同じぐらいの実力だった私と差をつけられたように感じたらしく特訓に特訓を重ねたらしい

応援席から控えに、去年の秋には控えからスタメンに昇格して……春は、他家に気をとられてるうちに隙を突かれてひっくり返されるという失態をおかした

……これ以上やられるつもりはないけど。 私だって強くなってるし……

……っていうかやっぱり晩成強いのよねー……私としずはともかく後輩たちがどこまでやれるか……

宥「……玄ちゃんも来れたら良かったんだけどなあ」

灼「連休も終わってるし、余裕あるんじゃないの?」

宥「余裕あるうちにお勉強するんだー……って……私ばっかり遊んでてなんか……」

憧「……まあ、玄がやりたくてやってるんだし……あんま気にしても仕方ないっしょ」

宥「うん……あ、お仕事終わったら望さんと一緒にケーキ焼いておくって」

憧「えー!? 帰ったら食べなきゃじゃん! 太ったらどうすんのよー!」

穏乃「食べなきゃいいんじゃない?」

憧「食べるに決まってんでしょ! あー……しばらく節制しないと……」

初瀬「じゃあ、試合見終わったらなんか美味しいものでも奢ってやろうと思ってたけど憧のためにもやめてあげるかー」

灼「そだね。 残念だけど……」

憧「遠慮しなくていいって! 食べる! 食べるから!」

灼「太るよ」

憧「意地悪言わないでよ……むぅ、宥ねえもなんとか言ってやってよ!」

宥「え? えっと……大丈夫、憧ちゃん細いし少しぐらい太っちゃっても……」

憧「太れってか!?」

穏乃「よし、一緒にトレーニングしようか!」

憧「しずのトレーニングはダイエット感覚でやれるレベルじゃないから!」


初瀬「っていうかまだ山とか走り回ってんの? そろそろ県予選も近いってのに余裕じゃん」

穏乃「いやいや、むしろ山に行かないと力がでないと言うか……」

憧「……練習した後に山ひとっ走りして帰る、みたいな」

初瀬「……穏乃はなんで麻雀やってるの? 陸上とかやったら?」

穏乃「好きだから麻雀やってるんだって!」

憧「ま、無駄体力よねぇ」

灼「どうせ余ってるなら走って発散するぐらいでいいんじゃない?」

宥「元気なのは穏乃ちゃんのいいところだよ~」

穏乃「えっへへ! そうですか?」

灼「……電車では静かに」

穏乃「あっ、ごめんなさい……」

灼「…………」

穏乃「あっ、えっ、なんで撫でるんですか?」

灼「いや、しゅんとしてるから……つい」

穏乃「もう、へへ、やめてくださいよぉ、子どもじゃないんですから……」


初瀬「……超うれしそうだけど」

憧「しずは子どもだからね」

穏乃「子ども扱いするなよー! 憧だって言うほど……」

宥「大声出したらめっ、だよ~?」

穏乃「ご、ごめんなさい……」

宥「…………」

穏乃「ゆ、宥さんまで……わ、私もう18なんですよ?」

宥「えへへ、穏乃ちゃんかわいいからつい、ねー?」

灼「ん」

穏乃「えへへへ、なんなんですかもう……」

憧「まったく……しずはいつになっても子どもなんだから……」

初瀬「……憧も撫でてほしいの?」

憧「なっ……んなわけないでしょ!」

初瀬「私が撫でてやろうか?」

憧「いらないっての!」

灼「憧、大きな声出さない」

憧「あ、ごめん……」

灼「…………」

憧「…………」

灼「今待った? 撫でられるの待った?」

憧「…………待ってないもん!!」

初瀬「……顔真っ赤だぞ、憧」


灼「よしよし」

宥「いいこいいこ」

憧「~~~~っ!!」

初瀬「で、結局大人しく撫でられると」

憧「さ、騒いだら回りに迷惑だし……っ!」

穏乃「まったく、素直じゃないなあ」

憧「…………そ、そういえば、あっちの駅で合流するんだよね? 園城寺さんたち!」

初瀬「誤魔化すのも下手だなあ……」

宥「怜ちゃんと、泉ちゃんと、ふなきゅーちゃんが待ってるよ~」

穏乃「絹恵さん、今日は一緒じゃないんですね……」

宥「絹ちゃん、どうしてもはずせない用事が……って」

灼「仕方な……むしろ、わりと急だったのにこれだけ集まれたのが凄い」

憧「ま、チケット余らせるわけにもいかないし誰かしら呼んでたんでしょうけどね」

初瀬「……つーかさ、いつまで撫でられてんの?」

憧「べ、別に私が頼んだわけじゃないし! 宥ねえと灼さんに聞いてよ!」

灼「憧が撫でられたそうにしてる間は撫でてるけど」

憧「別に撫でられたそうにしてるつもりないんだけど!?」

灼「じゃあやめとく」

憧「あ……」

灼「…………」

宥「かわいいかわいい」

憧「だ、だからもういいってば! 灼さんもニヤニヤしないで!」

初瀬「……阿知賀は上下とかあんまないし仲いいよね」

穏乃「人数少ないしもともと幼馴染みの集まりみたいなとこあるから……晩成だって仲いいじゃん」

初瀬「うん、まあ……とはいえ基本的に上下関係厳しいし進学校で名門でもあるから全体的に競争意識強いからさー」




灼「……ほら、そろそろ着くよ。 宥さんもそろそろ……」

宥「うん……憧ちゃん、撫でるのやめてもいい?」

憧「いつでもやめていいってば! もう……ここまで私がどれだけ恥ずかしかったと思ってんのよ……」

初瀬「気持ち良さそうに撫でられてたよな?」

穏乃「うん。 うれしそうに撫でられてたね」

憧「う、うっさいわね! そんなことないわよ!」

宥「そ、そんなに嫌だった……?」

憧「あ、その……べ、別に嫌とか、それほどのアレじゃないけど……」

宥「そっかあ。 よかったぁ」

初瀬「なんだよアレって」

穏乃「なんだろうねぇ」

憧「……だからニヤニヤしてんじゃないわよっ!」

灼「……ふたりとも、それくらいにしてあげて」

憧「灼さん……!」

灼「誕生日だし、今日は憧を甘やかすって決めてるから。 あんまりからかって拗ねちゃってもかわいいけどめんどくさ」

穏乃「あー」

初瀬「たしかに」

憧「めんどくさいってなによぉ! つーか納得すんな!」


――――――

怜「お、来たな」

宥「おはよー」

泉「おはようって時間でもないですけどね……新子、誕生日やってな? おめでとさん」

憧「どうもー」

初瀬「おっす二条、地区予選抜けられそ?」

泉「天下の千里山やで? 三箇牧の荒川さんも卒業したことやし……総合力はこっちが上や。 そっちこそ、全国はどっちが出てくるん?」

穏乃「当然阿知賀!」
初瀬「晩成に決まってるじゃん!」

初瀬「……いやいや、それこそこっちのが総合力では段違いだし?」

穏乃「例えそうだとしても阿知賀は晩成と相性いいって言うか? よしんば不利だとしても負ける気はないし!」

初瀬「穏乃と憧さえ抑えれば怖いもんないし? 層の厚さが違うし?」

穏乃「私と憧で稼いじゃえばいいし? うちの後輩たちだって特訓積んでるし実力だってちゃんと……」

泉「あー、悪かったから前哨戦始めんのはやめとかん? 県大会で決着つけましょ?」

憧「最初から煽らなきゃいいでしょ……あれ? 船久保さんは?」

怜「フナQならあっちにおるで?」


浩子「これ、今日の登録メンバーのデータですわ」

智紀「ありがとう。 プロのデータは有名どころしか持ってないから助かる」

浩子「言うて私も持ってるのは基本関西方面の打ち手のデータばかりですけどね。 まあ、セーラや清水谷元部長のチームメイトぐらいは知っとこうと思いまして」

憧「……沢村さん?」

智紀「どうも。 誕生日おめでとう」

灼「ともきー! 来たの?」

智紀「うん。 透華が……プロの試合も勉強になるし、見に行ってこいって……新子さんが誕生日で、試合見に行くって聞いたからチケット取ってくれたみたい。 人数分とはいかなかったけど」

憧「へ、へー……そうなんですか……」

智紀「なにキョロキョロしてるの?」

灼「わかってて聞かなくても……」

憧「べ、別に!? 純さん探してるとかじゃないですけど!?そもそも呼んだわけでもないですし来てなくたって別に……!」

穏乃「あ、純さんこんにちは!」

憧「ふきゅ」

純「おっす! 穏乃、ハンバーガーだけど食うか? ほれ、お前らも」

泉「ども! ゴチになります!」

初瀬「あ、なんかすみません」

怜「も、もらってええんか!? は、ハンバーガーにお芋さんを!?」

宥「怜ちゃん、体に……」

怜「わかっとる! わかっとるが……!」

純「……ほどほどにしとけよ? 体に悪い味がするぞ」

智紀「純」

純「……なんだよ?」

智紀「新子さん、来た」

憧「あ、あの……」

純「……なんか、お呼びじゃねぇみたいだし…………ほら、食えよ」

怜「ありがとう! さすがイケメンは違うわ!」

宥「怜ちゃん……もう、今日だけだよー?」


憧「あ……ああ……」

智紀「……純、拗ねてる……くくっ……」

灼「結構かわいいとこあるよね」

智紀「子どもっぽいだけ」

憧「ちょ、あの……えっ、ど、どうしよう!?」

灼「どうしようというか……最初から素直にしてれば良かったのに」

智紀「ま、そのうち機嫌なおるから大丈夫」

憧「え……え? 本当に? 大丈夫なんですか?」

智紀「たぶんね」

浩子「新子さんは井上と仲ええでしょう? そこまで気にすることです?」

憧「なっ、仲よく見えますかっ!?」

浩子「……急に元気になったな? ちょっとびっくりしたわ」

智紀「新子さん、そういう……ちょっと変なとこあるから」

憧「変って! 普通ですよ! 阿知賀一の常識人ですよ!?」

浩子「その枠は鷺森やろ」

智紀「灼」

灼「ども……憧も、まあ……基本は普通にまともな子なんだけど……」

憧「ちょ、え!? 灼さんなんでそんなに歯切れ悪いの!? 嘘でしょ!?」

灼「……私は、憧のこと信頼してるよ」

憧「なんかその言葉が信用しづらいんだけど!? うぅ……な、なんなのよ、今日は……」

智紀「誕生日」

浩子「おめでとうございます」

灼「おめでとう、憧」

憧「……ありがとうございます」


憧「……いつの間に仲よくなったんですか?」

智紀「私?」

浩子「実は一昨年の夏からちょくちょくデータの共有をする仲でして……」

灼「最近だと、ハルちゃんの対局の中継一緒に見たりしてた」

浩子「最初は通話繋げてたのに沢村が喋るより早いから、って結局チャット使い始めたときは笑ってもうたわ」

智紀「……実際に早いから」

灼「ふたりが早すぎて今度は私が会話に入れなくなるという……」

浩子「最終的に両方使ってましたからね。 まあ、今日は一緒に会場で試合見るってことでそこら辺のラグとか面倒なのはなくなりますから」

智紀「……席、遠いけどね」

灼「別々に取ったチケットだからしょうがな」

浩子「まあ、これだけ知り合い集まったんだしちょっとぐらい交換してもいいんじゃないですか? そっち、どこの応援席なんです?」

智紀「横浜。 宮永さんと小走さんからチケット貰ったって聞いてたから」

浩子「それじゃあ、新子さんとチェンジで」

憧「へ?」

浩子「で、私は……高鴨と代わってもらいますわ。 あの子セーラと清水谷先輩に懐いてますし問題ないでしょう。 泉ともええ感じにライバルっぽくやってますし」

灼「……初瀬、私たちの中に放り込むの?」

浩子「うーん……まあ、仕方ないでしょう。晩成とは練習試合もしてますし知らない仲でも無いし……小走さんの後輩でしょう? かなりできるでしょうし、かわいがってやりましょう」

憧「いきなり沢村さんと船久保さんの間に突っ込むのは初瀬もさすがに……って、え? あの……」

智紀「新子さん、今日の席どこ?」

憧「えっと、Dの……」

智紀「ありがとう」

憧「あっ」

智紀「はい、交換。 位置は少し悪くなるけど、たぶん新子さんには一番いい席だから」

憧「ちょっ……」

怜「おーい! 竜華たちが試合前に少し会えそうやって! 早めに来てよかったなあ」

浩子「直接会うの久々ですわ……」

灼「ちょっと緊張?」

浩子「……まさか。 はよ行きましょうか」

憧「あの」

灼「行くよ、憧。 やえさんと照さんも話せるかもって連絡来た」

憧「あ、うん……」




竜華「わーっ! 憧ちゃーん! お誕生日おめでとーっ!!」

憧「!? ……あ、ありがとうございます」

セーラ「やめえや竜華。 急にハイテンションで行くから引かれとるやん……憧ちゃんおめでとなー」

怜「竜華! セーラ! ひっさしぶりやなあ!」

竜華「怜! 怜もおめでとーっ!」

怜「え? なにが?」

竜華「え? それは……ほら、うちらの再会を祝して?」

泉「こっちに聞かれても……にしてもマジで引くぐらいハイテンションですね、清水谷先輩」

セーラ「お前らと会うのも久々やしな……浮かれっぱなしでちょっと鬱陶しいくらいやったわ……元気そうやな、泉。 今年は行けそうか?」

泉「当然ですっ! 先輩たちの分までしっかりてっぺん取ったりますわ!」

セーラ「……どーせ俺らはインハイ優勝できなかったわ」

浩子「私が部長の代のエースは泉だったような気がするんやけど……」

泉「べ、別に先輩が優勝できんかったのをクサしてるつもりじゃなくてですね……!」

宥「もう、ふたりとも泉ちゃんいじめちゃダメだよー」

浩子「ちょっとかわいがってやってるだけですって」

セーラ「泉はこうやってかわいがるもんなんやで?」

宥「……そうなの?」

泉「それは信じなくていいですから!」

竜華「あっ! お姉ちゃんっ! 宥お姉ちゃん! お久しぶりですーっ! 怜にふともも貸してもらってるみたいでありがとなー!」

宥「いえいえ、お気になさらず~」

怜「さあ、竜華! 久々にそのふともも、を……」

竜華「……怜?」

怜「り、竜華……あんた……ふ、太ったか……?」

竜華「――――――っ!!」



――――――


セーラ『竜華! 凄いやん! 副将戦収支トップやで! 今日は晩飯奢ったるわ!』

竜華『ホンマにー? ありがとー!』



セーラ『すんません先輩……今日は、俺のせいで……』

理沙『違う! セーラ頑張った! 気にしない!』

竜華『こういう日もあるって! ほら、なんかおいしいもんでも食べ行こー?』

理沙『奢る!』



洋榎『おう、今日は久しぶりに打ったなぁ! 久しぶりついでに飯でも行かん? 今日は気分いいから奢ったるで!』

竜華『あんだけこっぴどく負かせといてよくご飯誘えるなあ……そういうとこ洋榎ちゃんらしくて好きなんやけどなー』



セーラ『お、竜華エエもん持っとるやん……つーかマジで高いケーキやん。 どしたんそれ?』

竜華『お給料貰ったからつい……この前対局で会ったときに宮永照ちゃんがこのお店おすすめやって言ってたから……』




竜華「ふ、ふふ……太るとか、そんなん……あ、あああ、ありえないやろ……?」

浩子「アホみたいに動揺してますね」

セーラ「……竜華、プロ上がってからいいもんばっか食ってたからなあ……理沙先輩もしょっちゅう飯誘ってくれたし……」

泉「はー! 野依プロとご飯に……先輩たちもやっぱりプロになったんですねえ」

怜「あ、アカン……竜華……アカンわ……ふとももの肉が……肉付きか明らかに良くなっとる……」

竜華「う、嘘やん……そ、そんな……見てわかるほど太るわけ……」

怜「私は膝枕ソムリエやで? ……竜華……今のあんたのふとももじゃあ……」

竜華「と、怜……? ま、まさか……」

怜「宥ちゃん、膝枕してー」

宥「え? いいけど……」

竜華「怜ぃぃぃぃぃぃ!!」

憧「……どっか行っちゃいましたけど」

セーラ「まあ、さすがに試合開始には戻るやろ……試合前にヘコますのやめてほしいんやけどなー」

怜「い、いや……それにしても……アレはマジでアカン……竜華の……至高のふとももが……」

セーラ「怜もガチヘコみするんかい……言うてそこまで変わらんやろ? たしかにちょっとばかしムチムチし始めたような気もするけど……」

怜「セーラ! あんたなんで側にいるのに止めてやれんかったんや!!」

セーラ「そこまで責められる流れなんか!?」

初瀬「……千里山の清水谷さんって、変な人だったんだね」

憧「……変というか……ちょっと天然なだけで変なのは園城寺さんというか……」


やえ「……なんか、清水谷が凄い勢いで駆け抜けてったけどなんかあった?」

セーラ「おう、小走! 今日はよろしくな! なんつーか、大したことじゃないから気にせんでエエで」

やえ「あっそ。 あいつも相変わらずよくわかんないわね……」

初瀬「小走先輩! 今日はありがとうございます! ばっちり応援させてもらいますから!」

やえ「ん、よく来たわね……夏、期待してるわ。 少しでも学んでいきなさい」

初瀬「はい!」

やえ「新子も、おめでと……なんか元気ないわね?」

憧「……そんなことないですよ?」

穏乃「憧、さっき純さんに……」

憧「なんでもないですから!」

セーラ「なんや? 憧ちゃんこの男女になんかされたんか?」

純「あ? うっせーぞこの男女。 なんもしてねーよ」

セーラ「ダメやなあ、憧ちゃんみたいなかわいい子泣かせるなんて男の風上にもおけないやっちゃなー」

純「オレは女だ! つーか泣かせてねぇよ!」

セーラ「本当か?」

穏乃「憧が自爆しただけですね!」

セーラ「あ、そうなん? 悪いなあ……ま、精々試合楽しんでけや」

純「ふん……無様なとこ見せんなよ」

セーラ「俺がそんなヘマするわきゃないやろ? 応援よろしく頼むでー」

純「……オレの席横浜の応援席だけどな」


セーラ「えー? つれないなあ……あ、でも俺と竜華の送った分は怜と浩子と泉と宥姉ちゃんに行っとんのか……」

灼「さっき交換してたけど……」

浩子「あー! ちゃんと見ててやるからしっかりやるんやで、セーラ!」

セーラ「おうよ!」

穏乃「みなさん応援してます!」

やえ「ありがと……高鴨も新子も、少しでもなんか掴めるといいわね。 夏は晩成がいただくけど」

穏乃「へへ、まだまだわかりませんよ? 成長し続けてますから! 夏までには更に……!」

憧「身長は止まったけどねー」

穏乃「うるさいなあ! ほっといてよ!」

やえ「……気にしてたのね」

灼「穏乃は今のままでいいよ。 かわいいから」

穏乃「えへへ、そうですかあ?」

初瀬「うーん……たしかにかわいい……」

憧「……はぁ」

灼「……憧もかわいいよ?」

憧「っ……そういうため息じゃないから!」

初瀬「結構やきもち妬きだよね、憧って」

穏乃「すぐ拗ねるんだよね……そこもかわいいんだけど」

憧「うるさい!!」


灼「……そいえば、照さんは?」

やえ「そういや、さっきから一言も………………後ろにいなかった?」

穏乃「いなかったですけど……」

やえ「……どっかの売店に釣られて消えたわね。 ったく、成長しないんだから……」

穏乃「あ! そういえば売店回ってなかった!」

純「始まる前に食べ物買ってこなきゃな! 行くぜ穏乃!」

穏乃「了解です!」

憧「あ、ちょっと!」

穏乃「まかせといて! いろいろ!」

憧「いや……その、よろしく……」

怜「まだ食べるんか……健康体で羨ましいわ」

宥「怜ちゃんもなにか食べる?」

怜「さっきのハンバーガーでお腹いっぱいや」

セーラ「そんなん食べて平気なんか? ちょっと前まで食事制限としてたやろ?」

怜「最近かなり調子ええんや。 平気やで。 にしても、たまーにああいうジャンキーなもん食べるとめちゃくちゃおいしいなあ……ちょっと感動したで」

セーラ「ふふ、あんま無理すんなよ? ……そろそろ試合前のミーティングもあるし行くわ。 もし竜華見つけたら戻るよう言っといてや」

宥「はい、まかせてください。 頑張ってくださいね」

セーラ「へへ、今日もぶっちぎるで! みんな見に来とるのにカッコ悪いとこ見せれんしな! 憧ちゃんへのバースデープレゼントは今日の勝ち星や!」


やえ「それじゃあ、私もそろそろ行くわ……考えたくないけど、もし売店で照のやつ見つけたら無理矢理にでも帰らせて」

灼「ん……頑張って」

やえ「言われなくても。 あんたたちも来てるし、かわいい後輩も来てるかんね」

初瀬「小走先輩!」

やえ「ふっ……心配しなさんな。 張り切ってた江口には悪いけど今日勝つのは」

照「やえ! 大阪の会場はたこ焼きやお好み焼きがいっぱいあってすごい!」

やえ「祭りか!? このバカ! どこ行ってたのよ!」

照「? だから売店に……」

やえ「あーもうっ! それはわかってるわよ!」

照「じゃあなんで聞くの?」

やえ「…………怒るだけ無駄、対局前に変に体力使う必要は無いのよ……うん」

灼「照さん、あんまりやえさん困らせたら……」

照「大丈夫。 やえとは仲よくやってる。 問題ない」

灼「……そうですね」

照「あ、そうだ。 新子さん誕生日おめでとう。 食べて」

憧「へ? あ、ありがとうございます……」

照「ケーキは売ってなかったから、たこ焼きで悪いけど……前に愛宕さんもこの会場で食べてたし味は保証されてるはず」

憧「は、はぁ……?」

やえ「……ほら、時間ないから行くわよ。 はぐれないでよね」

照「迷子になったりしない。 咲じゃあるまいし……」

やえ「……いいから来なさい! んじゃ、あんたたちもしっかり見てなさいよ! 王者横浜の打ち筋、見せてやっかんね!」


灼「……照さん、変わりなくて安心したような、心配なような……」

泉「おかし以外も食べるようになってましたね」

灼「……まあ、おかしだけ食べるよりは体にもいいかな?」

憧「照さんより小走さんのストレスが心配なんだけど……っていうか私たちもそろそろ行かない? 試合開始まではもう少しあるけど混雑する前に席行った方が楽だし」

泉「それもそうですね。 穏乃と井上さん戻りはったら行きましょか。 あ、お手洗いとか飲み物買ったりとか先に済ませといた方がいいですよ。 なんなら荷物見てるんで……」

浩子「急に仕切りだしたな」

泉「えっ!? あ、す、すみませんつい!」

宥「それじゃああったかーい飲み物買ってくるから少しお願いね、泉ちゃん」

泉「はい! 了解っす!」

初瀬「しかし、二条はしっかりしてるよな……私も見習わないと……」

憧「……たしかに、結構テキパキ仕切るのよね……しずができない分そこは私のお仕事なんだけど」

初瀬「……ちゃんとできてんの?」

憧「……うちは人数少ないしね。 そっちのが大変じゃない?」

初瀬「それこそ、うちはみんなしっかりしてるから……監督も厳しいし」

穏乃「憧っ! 憧はどれ食べたいっ? なんかたこ焼きやお好み焼きとか超いっぱいお店あった!」

憧「だから祭りか!? そんなに買ってどうすんのよ!?」

穏乃「食べるけど?」

憧「そりゃそうよね! ごめんね!?」

純「フランクフルト、焼きそば、たい焼き、ポップコーン……」

智紀「食べきれる?」

純「当然。 つーかお前らも食うだろ?」

怜「ああ、食欲を刺激するにおいが……」

浩子「食べすぎないでくださいよ? 調子崩されても困りますんで」

灼「……とりあえず、食べ物分配して宥さん戻ったら移動ってことで」




純「あれ? オレの隣、智紀じゃねぇの?」

憧「あ、あの、灼さんや船久保さんと話すから席取り替えてって……その……」

純「ああ……鷺森と仲いいのは知ってたけど千里山の眼鏡参謀とも仲よくなってたのか……知らなかったわ」

憧「そ、そうなんですか?」

純「いつも一緒でもわからねぇことってあるしな……あ、つーかよ」

憧「は、はいっ!?」

純「……いや、そんな構えんなよ……別になんもしねぇから」

憧「いや、でも……その……」

純「……悪かったって、あんなんで拗ねて……ただ、ちょっと祝ってやろうと思って来たとこに別にどうでもいいみたいなこと言われて……」

憧「ご、誤解ですから! なんというか、言葉のあやと言うか……純さん来てくれて本当は超うれしいですし!」

純「……そうか? ならいいけどよ」

な、なんかよくわからない内に席取っ替えられたと思ったら……そ、そっか、沢村さんと純さんのは一緒に席取ったから隣なのか……!

ちょっと気まずいかと思ったけど、純さんももういつもの感じだし大丈夫かな……?

純「なんか食うか?」

憧「あ、はい! いただきます! おいしそうですね、たこ焼き」

純「ん、なかなかいいぞ。 ほれ」

憧「!? ……い、いただきます……」

純「うまいだろ?」

憧「は、はい……」


……こう、別になんでもないんだろうけど……純さん、普通にあーんってしてくるのなんなのよ!?

単に自分で食べるのが忙しいからひょいひょいこっちに出してくるんだろうけど! ちょっとビビるっていうか!? なんかいちゃいちゃしてるみたいで……なんか、もう、アレじゃん!

純「つーか、試合始まってもいねえのに盛り上がってんな……うるせーのなんのって……まだなんか食いたいのあるか? 好きなの持ってっていいからな」

憧「ど、どうも……」

って言うか近い! 近いってば! 隣の席だから当然だけど! 回り騒がしいせいでちょっと話すのにも顔が……! なんでこんなに盛り上がってんのよもう! ありがとうございます!

純「……そろそろ県大会だろ? どうだ、調子の方は?」

憧「ん……まあ、そこそこですね。 私としずは結構いい感じに調整できてるんで……後は後輩たちが晩成に気圧されないように……やっぱり、奈良ってずっと晩成一強だったんでビビっちゃってるみたいで……」

純「そういうもんか……ま、もっととんでもない化物とも打ってるんだから自信持つように言ってやれよ。 ちょっと前に衣連れてったときとかヤバかったじゃねぇか」

純「……ヤバすぎて折れた奴とかいないよな?」

憧「そ、それはまあ……なんだかんだ加減してくれてましたし……」

純「衣のやつ、最近また腕上げてるみたいでな……ったく、オレもちゃんとレベル上げてるはずなのにちっとも歯が立たねぇでやんの」

憧「そ、そんなになっちゃってるんですか!?」

純「おう……あいつも、しっかり成長してるってことなんだよな……ちょっと寂し……いや、ほら、アレだけどよ……」

憧「……そうですねえ」


龍門渕のみんながそのままグループの大学に進学した中で、天江さんは一人、よその学校に進学していた

『衣ももう大人だからな! そろそろ外の世界も見てみたいんだ』

そんな風に言っていたらしい……透華さんとちょっと揉めたらしいけど結局その一言で折れたと聞いている

純「はぁ……麻雀の推薦使えばどこでも行けたろうに、それならプロになっても同じだ! とか言って普通入試でそこそこ麻雀強いとこ入っちまうしさ……」

憧「天江さん、意外と……あ、いや、勉強もできるんですね」

純「はは、意外だよな? ガチガチの文系でさ、古典とか歴史は超強いんだよあいつ」

憧「……たしかにそれっぽいかも」

純「偶然なのか狙ったのか知らねぇけど……ほら、風越の猫娘。 あいつと進学先一緒でさ、仲よくやってるみたいだぜ」

憧「池田さんですか……ああ、でも前から結構親しげでしたよね」

純「あいつや宮永のお陰で衣も変われたとこあるしな……やっぱり、特別なダチみたいだ。 帰ってくると華菜が、華菜がって毎日楽しそうに話してるよ……あいつも結構な世話焼きだし、任せといても安心だろ」

憧「……とかなんとか言って、ちょっと寂しそうですけど?」

純「む……まあ、ちょっとな? こう、娘が段々と手がかからなくなっていく感じで……でもほら、かわいい子には旅をさせよって言うし?」

憧「完全に父親目線じゃないですか」

純「うっせ! オレは女だ!」


純「……衣よりも、透華の方が心配なんだよな。 無理してそうでよ……」

憧「学生やりながら、龍門渕グループのお仕事、少しずつ関わってるんですよね?」

純「ああ。 国広くんのせいか岩館のせいか知らねぇけどファッション業界に殴り込みですわ! とかなんとか……バイト代出すからモデルやれって言われたときはビビったぜ」

憧「えっ!? 純さんがモデルやったんですか!? 雑誌とか載るんですか!?」

純「あー……たぶんな。 面倒だったけどそこまで割り悪い訳でもねぇし……透華の頼みだし……」

憧「買います! いつ出るんですか!?」

純「え、いや……聞いてねぇから知らねぇけど……こ、今度透華に聞いとくわ」

憧「ありがとうございますっ!」

純「……なんか恥ずいし買わなくていいぞ?」

憧「いやいや! 絶対買いますって! 百パーカッコいいじゃないですかそんなの! 買いますよ!」

純「お、おう……どうも……」

もうっ! そんな話あるなら一さんとか教えてくれてもいいのにっ! いつもの感じならニヤニヤしながら教えてくれ……いや、秘密にしてただけ!? サプライズ的に教えるつもりだったとか!?

っていうかいつ出るのよマジで! 買うしかないじゃん! ……ん?

憧「あ、あの……も、もしかして一さんみたいな……」

純「んなわけあるかっ! 着ねぇよあんな布切れ!」

憧「で、ですよね……安心したあ……」


そんな話をしている間に会場中で歓声が上がる……どうやら試合開始らしい

憧「……横浜、先鋒照さん!?」

純「あいつはマジで化物だな……普段は完全に馬鹿者なのに……神戸の野依がいるしそこに三尋木当てると思ったんだが」

憧「捨て石……ではないですよね。 去年の新人王だし、全然渡り合えるって判断かあ……三尋木プロは大将ですね」

純「神戸は先鋒野依の次鋒江口か……で、副将に清水谷ね」

憧「小走さんも副将ですね……どっち応援しよ……」

純「どっちもでいいだろ。 どうせ四人いるんだし……他の面子はあいつらよりプロ歴も長いし苦戦すんだろーけど」

……やっぱり、みんな凄い人たちなんだなあ……一昨年、インハイで打ち合ったのが嘘みたいだ

純「……すげーよな、あいつら」

憧「はい、本当に……」

純「……憧はさ、プロ目指してんの?」

憧「えっ……それは……」

憧「…………なれるなら、なりたいですけど……やっぱり、難しいとは思うんですよね。 どこまで通用するか挑戦したい気持ちもありますけど、勝てなきゃたいして稼げずひっそり消えちゃうわけですし……」

憧「……普通に大学行って、普通に就職するのがいいんでしょうけどね……」

純「……やっぱり、そういう感じになっちまうよな……」

憧「……純さん?」


純「……本気なのかどうなのかわかんねぇけど……いや、透華が言うんだから本気なんだろうな……あいつ、龍門渕グループでプロチーム持ちたいとか言っててさ」

憧「うぇ!? ち、チーム作っちゃうんですか!?」

純「あいつの性格なら他所から買収してくるとかよりは一から作るだろうよ……今までだってそうやって来たんだから」

純「……あいつが本当にやりたいことでもあるんだろうけどさ……自分がオーナーで監督で選手やるとかわけわかんねぇこと言ってたし」

憧「……透華さんならやっちゃいそうですね」

純「なー……オレさ、思うんだけど……」

憧「はい」

純「透華がそこを目指すのは、自分のためでもあるだろうけど……衣のためでもあるんじゃねえかなって」

純「衣のやつ、お前らと初めて会ったときにはもう今の感じだったけどよ、そのちょっと前までは本当に……自分の殻に閉じ籠ってたっつーか……」

純「それが、麻雀を通してダチ作ったり、段々と世界広げてってさ……だから、そういう場所を作ってやりたいんじゃねえかなーと思うわけよ」

純「それこそ、チームにいれば衣はずっとダチと打てるわけだしさ」

純「……最近、それこそ衣が一人立ちし始めたからなんとなく寂しそうにしてるんだけどな」

憧「……透華さん、凄く情に厚い人ですからね」

純「最近、空回ってる気もするから心配なんだよなー……」


純「……まあ、他にも色々あるんだけどよ……とにかく、透華の夢のひとつに『プロチームを作る』ってのがあるのは確実なんだよな……オレは、その手伝いもしてやりてぇんだが……」

憧「……だが?」

純「……今のままじゃ、力が足りねぇ…………そこらのプロには勝てる自信があるが、ああいう化物どもとは渡り合えねぇ……」

憧「……私も、照さんと打ち合う自信は正直……」

純「透華の夢の構想に、オレの姿はあるはずだ……衣と一緒に、みんなで、プロの世界に殴り込む……だが、今のオレじゃあ……」

憧「…………」

純「……透華のやつが心配だけどよ……オレ、一回離れることを考えてる」

憧「え……離れるって……龍門渕をですか?」

純「ん……武者修行って言うとアレだが……一回、ドイツに戻ろうかと思ってる」

憧「ドイツ!?」

純「元々あっちいたから伝はいくらでもあるしな……世界チャンピオンのニーマンが出た国でもあるし、かなりレベル高いんだよな」

憧「え、え……?」

純「休学して留学って形になんのかな? ……あ、まだ誰にも言ってねえから秘密にしとけよ?」

憧「え、あ、はい……え? 留学?」

純「ちょっと前に好き勝手して悪いって挨拶しに行ったばっかなんだけど……まあ、親に迷惑かけられんのも今のうちぐらいだしな……」

憧「え、あの……本気ですか?」

純「おう……変か?」

憧「いえ……純さんらしいと思いますけど……なんで私に?」

純「透華たちにはまだ言えねえし……お前なら真面目に聞いてくれるだろ」

憧「……そりゃあ、ちゃんと聞きますけど!?」


信頼されてる! 嬉しい……じゃなくって!

え? 留学? ドイツに!? えぇ!?

純「それに、お前も……似たような気持ちあるだろ?」

憧「え……?」

純「麻雀好きだろ? 強くなりてぇだろ?」

憧「それは……」

負ける気はない……けれど、照さんどころか、同学年の咲や和にだって、冷静な目で見たら私は力不足なんじゃないかって思うことはある

当然、練習はしてるけど……本気の本気で打ち合って、勝てるかと言われると……

たとえプロに行っても、通用するかは……

純「熱くなってバカみたいだと自分でも思うけど……わかるだろ? オレの言いたいこと」

憧「……それは、はい」

純「……適当に言い訳して諦める方が、ダサいよな」

純「……おかし狂いのバカでも、ああして打ってるとかっこよく見えるんだから不思議だぜ」

大画面のモニターに目を向けると、いつの間にやら東二局の一本場、照さんが連続和了を決めたところだ

憧「……たしかに、カッコいいですよね……ちゃんと、戦ってるから……」

純「……オレ、やっぱドイツ行くわ。 インカレの予選もあるから……敗退するか優勝したら……夏の始めか終わり頃からになっかな?」

憧「夏……」

純「いつまでにするか……最低一年……いや、納得できるまでか? 強くならなきゃ意味がねぇし……」

憧「さ、最低一年ですか!?」

純「さあな? 一週間でアホみたいに強くなって帰ってくるかもしれねぇし……やってみなくちゃわかんねぇよな」

憧「そ、それは……そうですよね」


ってことは……純さんが自分が強くなったって自信持つまではドイツに……!?

それって、つまりは……アレよね? 当分会えなくなるってことよね……?

純「よし、決めた! 決めたからには準備しねぇとな……透華たちにも話さなきゃだし……親父にも連絡しなきゃ……」

うっわ、なんか段取り考え始めてる……っていうか決心すると純さん行動も早いのよね……決意した表情もカッコいい! とか言ってる場合じゃなくって……!

純「あ、憧。 そんでさ……」

憧「は、はい!? なんですか!?」

純「……お前はこれから最後のインハイもあるし……まだ考える時期じゃねえだろうけど、一応な?」

憧「え、えっと……?」

純「だから、選択肢のひとつになるかなって……高校卒業して進学すんのもいいけど……麻雀続けんならマジで修行してみるっつーか……」

憧「それって、つまり……」

純「……その気があるなら、オレが面倒見てやるからあっちで麻雀の勉強してみねえかって話」

憧「え……」


純「……いや、今年阿知賀が優勝して憧が真っ直ぐプロ入りする可能性だって全然あるけどな? その、マジで麻雀やるなら……って話で声かけるなら憧と……強いて言うならタコス娘か? そこら辺かなーっと思ったんで……」

憧「…………」

純「……別に一人であっち行くのが寂しいとか不安とか、そういうのじゃねえぞ? 元々あっちいたしむしろホームだからな。 透華のとこに国広くんや智紀残しとかねぇと心配だし……」

憧「…………」

純「マジでガチに麻雀やってるのってオレのダチからなら憧とタコス娘だろって……おい、聞いてるか?」

憧「聞いてますよ! もちろん! つ、つまり……」

ドイツで、純さんと一緒に麻雀の勉強……

高校卒業したら、留学……?

ドイツに純さん伝もたくさんあって、ご両親もいて……

『その気があるなら、オレが面倒見てやるからあっちで麻雀の勉強してみねえかって話』

『オレが面倒見てやるから――』

憧「け、けけ、結婚するってことですか!?」

純「なにがどうしてそうなった!?」


――――――

憧「す、すみません……取り乱しました……」

純「おう、なに言ってんのかと思ったわ……」

憧「だ、だって……親に挨拶とか面倒見るとか……」

純「麻雀するって話はどこ行ったんだよ!? ったく、そもそも女同士じゃ結婚できねぇとかいろいろ突っ込みどころがあるが……あ」

憧「な、なんですか?」

純「いや、そういやあっちは法律違うからできるんだったか? あっちは叔父と姪で結婚できるらしいぞ」

憧「え、なんですかその情報……」

純「いや、なんかふと思い出したから……」

憧「ってええええ!? ドイツ行ったら私たち結婚できるんですか!? じゃあもうするしかないじゃないですか!?」

純「なんでだよ!? 落ち着け! そんなに結婚願望強かったのか!? つーかどこから突っ込めばいいんだよ!? とりあえず今日で18なんだから日本でも法的にはとっくに結婚できるだろ!」

憧「い、いや、誰かと結婚したいとかじゃなくってですね……誰かさんのことが、その、好きと言うかなんと言うか……」

純「あ、つーか忘れてた! 憧!」

憧「……やっぱり遠回しにそれとなく伝えようとしてもちっとも伝わらない……」

純「なあ、おい? 聞いてるか?」

憧「はいっ! なんですか!?」

純「だから、言ってなかったからさ……誕生日、おめでと。 これやるよ」

憧「あ……ありがとう、ございます……開けていいですか?」

純「おう」


憧「これ……ブレスレット、ですか?」

純「んー……前に装飾品貰ったし、そういうののがいいかなーと……野依プロさすがだな。 宮永の打点上がる前にきっちり抑えやがった……連続和了させたのもただの様子見だったか?」

憧「野依プロは守備の方が注目されがちですけど攻めも全然早いですからね……っていうか! いいんですか? なんか、結構高価そうな……」

純「たいしたことねぇから気にすんなよ。 ……宮永もすげぇな、また和了ったぞ……二年目でトッププロと渡り合うとか普通じゃねえぞ……」

憧「照さんは普通じゃないですからね……いや! でもこれ……!」

純「いらねぇなら別にいいけど……」

憧「いやいやいや! そんなまさか! いただきますけど!」

純「プロになると、ああいうのに勝たねぇといけねぇんだよな……団体戦だとしても、後ろにまかせっぱなしになるんじゃやってる意味がねぇしよ」

憧「はい……私も、今年は先鋒の予定なので……後ろを信頼してはいますけど、やっぱりみんなのためにもしっかり稼がなきゃですし……」

純「エースポジション、大変だよな……まあ、うちは大将の衣が稼ぎ頭だから役割的にはオレの立ち位置は多少変わってくるんだが……」

憧「他校は先鋒にエース据えるんですから大変なのは変わらないじゃないですか……っていうか綺麗ですねこれ。 絶対そこそこの値段ですよね!?」

純「だから気にすんなって! つーか、憧がかわいい分なんか贈るにも微妙にハードル高いっていうか……それなりのものを用意しようとだな……」

憧「ふきゅ!? か、かわっ……な、なにを……!?」

純「だぁーもう! うっせーな! 気に入ったなら着けろ! いらねぇなら捨てろ! いいな!? 試合見るぞ!」

憧「は、はい……」


純「……ほとんどの和了りが宮永なのに、収支トップは野依か……やっば格が違うのか……いや、それでもやっぱり宮永の和了率は異常だな……連続和了で火力上げてく特性を見越した上で流れに乗りきる前に高打点でしっかり切るのが……」

憧「…………」

右腕にブレスレットをつけてみる。 うん、かわいい

普通にセンスいいし……お洒落だよね、これ

純さんがくれた……ふふふ……ヤバい、どうしよ、にやけちゃう……

純「江口のやつ、出てきたな……見たところ気合い十分って感じか。 そういや、お前に勝ち星プレゼントとか言ってたよな。 派手で羨ましいこった」

憧「そんな! わ、私! 純さんに頂いたプレゼント! スーパーメガメガ嬉しいですから!」

純「……なんか超喜んでくれたのはわかったから落ち着けよ」

憧「……は、はい……すみません」

純「…………江口のやつも、この一年結構結果良かったんだよな……インハイじゃ結局打たなかったが……今あいつと打ったら……」

憧「…………強くなりたい、ですね」

純「……ああ、強くなりてぇ」


強くなりたい……

子どもの頃から、ハルエとお姉ちゃんが戦う背中を見ていた……

その姿に憧れて……私も、いつか同じような麻雀を打ちたいって……

今の私じゃ、きっとプロには……インハイだって、当然優勝を目指してるけど……現状、晩成に勝てるかだって怪しいし……

憧「……純さん、ありがとうございます」

純「だから気にすんなって」

憧「いえ……インハイや国麻もあるからどうなるかわからないですけど……麻雀やってく上で大きな選択肢くれて、うれしいです」

純「……それも、気にすんなよ。 オレとお前の仲じゃねえか」

憧「……そ、そそ、そうですね」

純「あ? どうした?」

憧「いえ! 別に!」

……ほんと、すぐそういうこと言うんだから……こっちの気も知らないで……

……ドイツ、かあ……言葉とか、勉強しておいた方がいいかしら?

……いやいや! その前にまずはインハイ! 国麻もあるし、頑張れば世界ジュニアの候補にだって残れるかもだし……!

……プロになれなかったとしたら、大学はやっぱり出た方がいいわよね……そしたら入試通って一年目から休学届け出して留学……

学費とか考えるとキツいかなぁ……その時期になったらお母さんやお姉ちゃんにも相談しないと……

……ドイツ行くことになったら、あっちの、純さんのご両親のいる家にお世話になることになるのかしら……?

憧「……あの!」

純「ん?」

憧「や、やっぱりご両親に挨拶するときはちゃんとした格好で行った方がいいですよね!? あんまり派手な格好で遊んでる子だと思われるのも嫌だし! シックな感じでまとめた方が……!」

純「いや、別に普通でいいだろ!? なんでそんな話になるんだ!?」


カン!

進路と言うか、玄と灼は阿知賀に残るイメージ
憧は外に出て行きそう。宥姉は外で就職見つけても実家暮らしのイメージ。休日は家の手伝いしたりとか
しずは阿知賀に残るけどたまに長い休暇とって冒険とか出そう

あ、一応言いたかったので

あこたんイェイ~

おやすみなさい

怜-Toki-も来月から始まりますね。小学生スタートっぽいし数年単位で楽しめそうです
ビッグガンガンがますます咲の雑誌になっていく……
池田と衣とかゆーきとか日和はいちいちわかってて素晴らしい。シノハユも相変わらず面白いっす

はったんイェイ~
内容は関係ないけど少し投下


≫283



優希「どうせならタコスの本場に行きたかったんだが……」

純「……そっちが良ければ勝手に行けよ」

優希「冗談だ、本気にするな! ……おい、ノッポ」

純「あ?」

優希「強くなるチャンスをくれたこと、感謝するじぇ」

純「……お前を誘ったのだって自分が強くなるためだ。 気にすんな」

優希「ふっ……ところで、本当に一緒に行っていいのか? お邪魔じゃないか?」

憧「……な、なんでそんな風に思うのよ!?
優希を邪魔に思うわけないでしょ!?」

優希「ふふん、憧ちゃんがいいならいいんだけどな」

純「……? ほら、よくわかんねぇけどさっさと行くぜ」


――――――

優希「で、これから私たちはどうなるんだ?」

純「とりあえず、伝を使ってあっちのマイナーリーグのチームに仮所属する形になる……まあ、暫くは練習試合やチーム内のリーグ戦に参加させてもらうぐらいになっかな? 正式な契約するわけでもないし」

憧「そういえば、伝って……」

純「……非常に不本意だが、一番確実で安全なのがこのルートでな……オレひとりなら意地でも別の方法を探したんだが」

優希「……なんだ? 問題アリなのか? 確実で安全じゃないのか?」

純「……いや、オレが個人的に苦手なだけだ……ほら、あいつ」

アレクサンドラ「よく来てくれた! 待ってたぞ!」

憧「ヴィントハイム監督!?」


――――――

純「寮の部屋? いらねぇよ」

アレクサンドラ「なんだ、わざわざ許可取っといたんだぞ? 打てる時間も増えるし、君たちにもプラスだろう? 私だってジュンたちだけを構ってるわけにはいかないんだ。 学ぶ時間は多い方がいい」

純「……わかった、世話になる」

アレクサンドラ「そんなに嫌そうな顔をするなよ。 貸し1つなんて考えなくていいぞ? 私のものになった以上きっちり面倒見させてもらう」

純「誰がてめえのものになったんだよ!?」

憧「そそそ、そうですよ! そりゃあお世話になりますけどなんて言うかその言い方だと誤解を生むと言いますか……!」

アレクサンドラ「誤解ってどんな?」

憧「ふきゅ」

アレクサンドラ「はは、相変わらず面白いな。 まあ、私はそっちの意味でも全然いけるが……」

憧「ふきゅ!?」

純「冗談もいい加減にしとけよ!?」

アレクサンドラ「ははは。 で、個室でも相部屋でも用意できるがどっちがいい?」

憧「相部屋!?」

純「オレは個室でいい。 部屋あるならこいつら一緒にしてやれよ、知らない土地で言葉も通じねぇんだ。 心細いだろ」

優希「……私は別に個室でもいいぞ? 憧ちゃんはノッポと一緒の方が……」

憧「べべ、別に私はっ……!」


――――――

アレクサンドラ「ここと、隣の部屋だ。 好きに使ってくれ」

優希「了解だじぇ! ……ところで、監督は臨海の監督じゃないのか? 日本にいなくていいのか?」

アレクサンドラ「ここ数年優勝もできてないしな。 辞めてきた」

憧「え!? 辞めちゃったんですか!?」

アレクサンドラ「こっちで暫く人材育成と発掘に回ろうと思ってな。 日本でもいい人脈が作れたし拾い物も多かった。 君たちとかな」

純「……他にも拾ってきたみたいな口ぶりだな?」

アレクサンドラ「まあな。 せっかくだし紹介しておくか……部屋は、ええと……おい、私だ。 入るぞ」

エイスリン「アレックス?」

恭子「ちょ、勝手に入らんでくださいよ! 一応プライベートっちゅうもんが……」

憧「末原さんにエイスリンさん!?」

恭子「新子? それに、片岡に井上……監督の言ってた日本での拾い物ってあんたらか」

エイスリン「Oh! 久しぶりやん! 元気しとった?」

憧「何故関西弁!?」

エイスリン「恭子ちゃんに日本語習っててん! 次日本行ったときには流暢な日本語でシロたち驚かせたるんや!」

憧「ち、違う意味で驚くと思いますけど……」

恭子「しゃーないやん、私関西人やし……」


――――――

エイスリン「短期の交換留学でこっち来た時にアレックスに拾われてなー」

優希「おねーさん、日本にドイツにと国際派だなー」

エイスリン「ドイツ、麻雀強い! 宮守で覚えた麻雀、楽しかったし……シロ、クルミ、サエ、トヨネ……みんなとの大事な繋がりやから、続けようと思ってん」

恭子「で、こっち来たエイスリンをたまたま見かけた監督が勧誘してきたわけや。 エイスリンは全国でこそ二回戦で敗退したが地区予選ではトップの和了率やったしな」

純「日本で活躍したからこそってわけか」

憧「それじゃあ、末原さんはどうしてこちらに……?」

恭子「……高校卒業前、進路で悩んどったんや……プロからの誘いもあったが、自信がなかった。 でも、諦めることもできなかった……」

恭子「そんで、赤阪監督に相談したらヴィントハイム監督を紹介してくれてな……ま、武者修行やな……はぁ……」

純「なにため息ついてんだよ」

エイスリン「恭子ちゃん、今……そう、ちょっとスランプやねん」


――――――

優希「恭子おねーさんはもうドイツ語もペラペラなのか?」

恭子「いや……こっち来てすぐに勉強しようとしたらヴィントハイム監督に止められてな……」

憧「なんでまたそんな……」

恭子「『そんな暇があったら麻雀の勉強をしろ。 他の選手とのコミュニケーション? 雀士なら卓で語れ』って……」

純「……あいつなら言いそうだな」

憧「いや、でも毎日二十四時間打ちっぱなしってわけでもあるまいし……買いものとか……」

恭子「……『そんなもん身振り手振りでどうにでもなる。 なんなら誰か連れてけ』ってな」

エイスリン「最近は私といつも一緒なんよー」

優希「言葉が通じないと不便じゃないですか?」

恭子「不便や! ……つーか不安や……打った後とかこっち見て話しとるのとか超気になるやん……やっぱりあの時の鳴きは失敗やったとか、オリる手順間違ったとか……そういうこと言われとるに決まっとる……」

純「……そういうの気にしてるからスランプになるんじゃねーの?」

エイスリン「私もそう思うんやけどなー……というか、そういうの気にしないメンタル持てるようになるまでアレックスは恭子ちゃんにドイツ語勉強させてくれへんと思うんやけど」


――――――

恭子「いつまでも燻ってられん……私を連れてきたヴィントハイム監督にも迷惑がかかるし、果ては私を紹介した赤阪監督の顔にも泥を塗ることになってまう……」

純「……いつまでもぐだぐだ悩んでんなよ。 ま、これもなにかの縁だしよ……」

恭子「……?」

純「加速、変化、流れを喰い取る……使い方こそ違えど、オレたちは同じ『鳴き』って武器を持ってる」

憧「へ? わ、私ですか?」

恭子「……仲よくやろうってか? あんたがそういうこと言うとは思わんかったわ」

純「……別に、そうは言ってねぇよ。 オレたちは利用し合えるだろ、ってぐらいだ」

優希「ノッポは相変わらず素直じゃないじぇ」

エイスリン「まあまあ、同じ日本人同士仲よくやればええやん! もとから顔見知りなんやし!」


――――――

エイスリン「よぉし! 再会を祝してたこ焼きパーティーや!」

憧「何故たこ焼き!?」

優希「おおう! タコと名のつくものは大好物だじぇ!」

純「……あのたこ焼き機、お前が持ち込んだのか?」

恭子「……あーいう、故郷を感じれるものを1つくらい持ってこようと思ってなぁ……エイスリンがドハマりしてん。 タコ無いから素たこ焼きやけど」

純「……ただの粉のかたまりじゃねぇか」

恭子「……ソースとかマヨネーズはあるし、なんとなくそれっぽい感じはするで」

憧「っていうか、妙に調味料とか日本の物充実してますね」

恭子「やっぱり、故郷の味が恋しくてなぁ……オカンに頼んでまとめて送ってもろうてん……ヴィントハイム監督もちょこちょこ日本から物送ってくれたりしてくれてたんやけど」

純「意外と面倒見いいよな、あいつ……」


――――――

純「オレは、強くなる……こっちで腕を磨いて、透華たちのところに帰る……」

エイスリン「強くなれば、アレックスが日本に連れてってくれる! そんでもって、またみんなに会いに行くんや!」

恭子「力と、自信をつけて日本に戻る……私が雀士として名を売ることが、赤阪監督……世話になった人たちへの恩返しになるはずや……!」

優希「私も、強くなるじょ! 日本でプロになってる仲間たちに遅れはとらん! ふっ、一足先に国際戦でデビューを飾るってのも派手でいいじょ! な、憧ちゃん!」

憧「そうね……わざわざ日本を飛び出してきたんだから強くならなきゃ意味がないもの!」


みんなで強くなって、日本に戻ったら……


今度はインターハイじゃない、プロの舞台で!


――――――輝く舞台で、また遊ぼう!


ドイツ予告編

カン!


※予告通りになる保証はございません

個人的に憧、優希、末原ちゃんは麻雀ガチ勢のイメージが強いです。関西弁話すエイちゃんやりたかっただけなところはある


意外と人数が多かった

>>295やっぱり咲といえば五人で1チームかなっていう…
せっかくだからはったんイェイ~


初美「ふふん、私も今日で二十歳ですよ、二十歳!」

霞「おめでとう、初美ちゃん」

春「プレゼント……」

初美「はるる! ありがとうございま……食べかけの黒糖ってさすがに……」

春「……いらなかった?」

初美「そ、そんなまさか! いただきます! うれしいですよー!」

春「よかった……はい、年の数まで」

初美「節分かなんかですかー!? いえ、おいしいからいいんですけど……」

小蒔「それにしても二十歳だなんて凄いです! 初美ちゃんももう大人って感じですね!」

初美「おや、流石は姫様わかってますねー! ふふ、こう、どうですか? 大人の女の魅力的なのものがムンムン出ちゃってるんじゃないですかー?」

小蒔「…………」

春「あ、寝た……」

初美「……どういうことなんですかねー」

霞「大丈夫よ、初美ちゃん。 いつも通りだから」

初美「そんなっ!?」


初美「そ、そんなはずはないですよー……なんと言っても二十歳ですよー? 相当変化があるはずですよー!」

巴「いや、いくら誕生日になったといってもそんな急に変わるはずがないと思うんだけど……」

初美「そ、そんな……」

霞「! なんて、冗談よ。 初美ちゃんはやっぱり一番のお姉さんだもの。 いつも通り大人のお姉さんの魅力で一杯よ?」

初美「! えへへ、そうですかー? 霞ちゃんが言うならそうなんでしょうねー」

巴「霞ちゃん……またそうやって……」

霞「ほら、明星ちゃんと湧ちゃんもそう言ってたもの。 初美ちゃんのために豪華なプレゼントも用意してるって」

明星「えっ」
湧「えっ」

初美「そうなんですかー? ふふ、うれしいですねー……それじゃあ早速……」

明星「え、あの……ちょ、ちょっと待ってください……」

湧「じゅ、準備と言うか……」

初美「準備が必要な程豪華なんですかー? これは期待しちゃいますよー!」

明星「あっ」
湧「あっ」

巴「……困ったら下の子二人に無茶ぶりするのやめてあげてくださいよ」

霞「あらあら」

明星「……ふ、不安になってきたので追加でなにか買ってきます……」

湧「急いで行ってきますので……!」

巴「うん、ここは私が見ておくから……」

霞「あっ! 小蒔ちゃんが寝ちゃったからお布団も用意してもらってもいいかしら?」

明星「えっ」
湧「えっ」

巴「だから二人をいじめないであげてってば……」

春「……お布団、用意してくる」

明星「おっ、お願いします……!」

湧「申し訳ないです……!」

巴「ほら、いいから行っておいで?」


巴「……霞ちゃん」

霞「……だって、初美ちゃんがちょっと落ち込んでたから……」

巴「だって、じゃないでしょ? もう、すぐに下の子に無茶ぶりして……そういうの、よくないと思うよ?」

霞「……ごめんなさい」

巴「そもそも霞ちゃんがいちいち少し意地悪するから……」

霞「……だって、初美ちゃんかわいいんだもの」

巴「…………いちいち意地悪して気を引こうとしなくてもはっちゃんも霞ちゃんのこと好きだから安心してね」

霞「べ、別にそういう話しはしてないと思うのだけど?」

初美「さっきから二人でなんのお話ですかー? サプライズの相談なら私がいないところでやらないとダメですよー?」

霞「あら、そうね。 それじゃあ巴ちゃん、あっちで……」

巴「だから! そこまで大それた用意もしてないのにパーティーのハードルガンガン上げるのやめよう!?」

霞「……ごめんなさい」

初美「なんだ、違ったんですかー?」

霞「だ、大丈夫よ!? ちゃんとプレゼントもケーキも用意してあるしお料理だって初美ちゃんの好きなものをたくさん……!」

巴「なんで今度は全部ばらしちゃうの!?」

霞「あっ」

初美「……ふふ、霞ちゃんはうっかりさんですねー。 やっぱりお姉さんの私がいないとダメですねー」

巴「……本当にね。 霞ちゃんがしっかりしてくれないと、私たちみんな困っちゃうよ?」

霞「……初美ちゃんと巴ちゃんが助けてくれるでしょう?」

巴「もちろん!」

初美「当然ですよー!」

霞「……ふふ、ありがとう。 それと……」

初美「なんですかー?」

霞「ううん、改めて……初美ちゃん、お誕生日おめでとう」

初美「はいっ! ありがとうございますー!」


カン!

バレてるだろうけど永水は三年生の三人推しです
はったんイェイ~

乙です…
先ずはドイツ編(仮)ですが…
まさかのメンバーでしたね…
特に末原さんは大学行って教員免許を取って赤阪監督の後を継ぐかと思ったんですが…
其れから初たんいぇい~に関しては阿知賀女子勢(中等部生含む)が絡まなかったのが意外でした。

おつおつ
永水の巴さんのポジションいいよね
ドイツ組は監督を含めておもち偏差値がひどいことに……


>>302個人的に、末原ちゃんの進路に関してはプロでも進学→教師ルートでも普通に就職ルートでもあまり違和感がないというか、どれも納得できるかなっていうのはあります。
なんというか、例えば「インハイ負けてもうたけど、全力出しきったし満足や」って台詞を洋榎が言うと納得して切り替えてスッキリした顔で前に進んでいける感じがするけど、末原ちゃんが言うと諦めと悔しさとが入り交じってて無理矢理納得するために言ってる感じがするというか……すこやんに潰された後のハルちゃんルートに行っちゃうイメージ?
納得できるまで力を試して、本当にダメだと思ったらそこで初めて次に行ける子って印象です。修行→プロ→引退後外部コーチとして赤阪監督にいじられながら姫松で後進を育てる、なんてのもアリだと思ってます
それをssにしろよって話なんだけど時間上手く作れなくて……頭で考えたことがそのまま文章に出力されたら楽なのに

>>303純くんはイケメン枠だしあこちゃー念願の(相対的)巨乳ヒロイン枠だね! やったね!
永水はみんな揃うと霞さんが一番のお姉さんなんだけど三年生だけになると一番後輩でちょっと子どもの霞ちゃんとみんなを引っ張る初美お姉ちゃん、世話焼きの巴お姉さんになる、みたいな妄想
原作の少ない描写から血筋とか立場的に石戸は神代分家のトップだと思ってるので……一番遅れて神境に来たけど六女仙をまとめないといけない霞さんの難しい立場とか、全国編アニメの追加描写からはるるは学年の先輩後輩すら壁に感じてるっぽい描写もあったし家格の差は大きそうだとか、いろいろ考えてますが
昔からずっと仲の良かったはっちゃんや、同い年で六女仙の先輩でもある巴さんは霞さんが甘えられる数少ない相手なんじゃないかと思ってます
そんな妄想をしてるから今までも巴さんは状況によって霞さん呼びだったり霞ちゃん呼びになってたり
まあそれもssに書けよって話ですが

数年ぶりに風邪とかひいてダウンしてたのでまったく投下の準備できてません……ハルちゃんのお誕生日までに一、二回は投下しようと思ってます。思ってるだけにならないように頑張ります
生存報告を兼ねた妄想垂れ流しでした。さーせん

そう言えば弘世様って咲-Saki-作中では“かなりお嬢様”にカテゴライズされて居た筈ですが…
この世界観ではお嬢様色を見せて居ませんよね?
“すごいお嬢様”ってカテゴライズされて居る透華お嬢様はお嬢様色をがっつり見せて居るのに…
やはり“すごいお嬢様”にカテゴライズされないとお嬢様色を見せないんでしょうか?
出来ればお嬢様達(透華お嬢様と弘世様と由子さんと劔谷のレギュラー達)とジャージ組との絡みが見たいのですが…

初カキコだけど、ちょくちょく読ませてもらってます♪
余力あったら、1さんの思うちゃちゃのんと洋榎の絡みなんかも見てみたいけど、阿知賀絡みだとやっぱり宥姉が起点になるのかな?
自分の場合、3年生に好きなキャラ多い気がします。

>>306透華はわかりやすく漫画お嬢様で劔谷なんかはリアルお嬢様な感じしますね。ここの弘世様は変な方向に吹っ切れてるのでそのうちお嬢様設定絡めてなんか書きますかね
>>307原作で接点あるところは絡めやすいのでそのうち…>>1は学年分けしたら二年生に好きなキャラ多いかもしれないですね。灼や揺杏、染谷先輩に龍門渕も全員二年生ですし…

ちょろっと投下します。くろちゃーとおもちの人たちとか


和「こんにちは、玄さん」

優希「こんにちは! 玄おねーさん!」

玄「ようこそいらっしゃいました! 和ちゃんは相変わらず立派なおもちをお持ちで……」

優希「まあ、のどちゃんのおっぱいに勝てる奴はそうそういないじぇ」

和「帰りますよ?」

玄「ごめんなさい!」

和「ゆーきも余計なことを云わないでください……それにしても、玄さんは変わりませんね……残念なような安心したような……」

玄「あはは……それで、相談なんだけど……あれ? 咲ちゃんは?」

和「えっ?」

優希「そこに……いないな」

和「……いつの間にはぐれたんですか!?」

優希「ちゃんと手を繋がないとダメだな……まあ、ホテルに着いた時には一緒だったしどっかにいるだろ! しずちゃんや憧ちゃん辺りに拾われてるかもしれないし……」

玄「電話してみたら?」

和「咲さんは携帯電話を持っていないので……」

玄「……だ、大丈夫なの?」

和「おそらく……」

優希「平気だと思うけど……なんならささっと探してくるじょ? 探検も兼ねて!」

和「探すならしっかりと探してくださいよ……」


優希「まあまあ、とりあえず咲ちゃんのことはいったん置いておいて……」

和「置いといちゃうんですか」

優希「玄おねーさんの相談ってのはいったい何事なんだ? 協力できることなら私も協力するじぇ?」

玄「その、お料理のことで……」

優希「タコスか?」

玄「あ、その、タコスに限った話ではなくて……」

優希「タコと名の付くものなら力になれるじょ?」

玄「えっと、ごめん……タコにこだわる予定は今のところ……」

優希「咲ちゃん探してくるじぇ! 見つけたら連絡するから心配するな!」

和「はい、いってらっしゃいゆーき」

優希「玄おねーさん! 力になれなくて申し訳ないじょ!」

玄「ううん、優希ちゃんの気持ちだけでもうれしいよ」

優希「それじゃあいってきます! あ、なにかおいしいものを作るならできた頃に呼んでくれ! 味見は得意分野だじょ!」

玄「ふふ、その時はよろしくね」

優希「まかせとくじぇ! 咲ちゃーんどこだー!」

和「……騒がしくてすみません」

玄「ふふ、優希ちゃんは元気でかわいいよね」

和「そうなんですよね!」


和「ところで、お料理のことですか? 私もそれなりにできる自信はありますが……玄さんの方がいろいろ作れるような……私でお力になれることがあるのでしょうか?」

玄「その、実は……」

和「実は?」

玄「……あの、あのね? えっと……」

和「……なにか、話しづらいことなのでしょうか?」

玄「ち、違うの! いや、違くはないんだけど……」

玄「……その、実は、私……す、好きな人ができて……」

和「ああ」

玄「えっ?」

和「あ、いえ……そうだったんですか。 知らなかったです」

玄「う、うん……そ、それでね? 憧ちゃんに相談したら『男のハートはは胃袋から掴むのよ! 料理の練習をしなさい!』って……」

和「…………憧って料理できましたっけ?」

玄「あんまり得意じゃないから今度教えて、って頼まれちゃった」

和「……ですよね」


和「しかし、それで料理ですか……」

玄「和ちゃん、お料理得意だったなって……どういうものを作れたらいいのかなぁ」

和「そうですね……レシピに関しては私もお力になれるかもしれませんが……私たちがいいと思うものと、男性が作ってもらってうれしいものは違うかもしれません」

玄「あ……そっか、そうだね……人それぞれ好みもあるだろうし……」

和「ここは、料理の練習に取り組む前に男性の意見を求めた方がいいかもしれません」

玄「和ちゃん、さすがだね……私、そんなこと考えつかなかったよ」

和「しかし、ここでひとつ問題が……」

玄「問題?」

和「男性の知り合いってどなたかいらっしゃいますか?」

玄「あ……えっと…………は、萩原さんと……須賀くんとか?」

和「しかし、意中の相手に直接聞くと言うのも……」

玄「それはたしかに……えぇ!? わ、私、す、好きな人が誰か言ったっけ!?」

和「あ……いえ、その……見てればわかりますよ……?」

玄「…………そ、そっか……」

和「と、とにかく! あまり気は進みませんが……仕方がないですし、須賀くんに協力してもらいましょう。 料理に関しては、染谷先輩にも助けてもらえますね! 連絡してみます」

玄「染谷さんの玉子焼き、絶品らしいね」

和「あれは特に凄いです! 悔しいですが、正直勝てる気がしません……」


――――――

京太郎「和! 俺に用って……あ、玄さんまで! これは……ああ……あー……」

京太郎「……お、俺に協力できることなら……協力するぜ……」

まこ「少しは学んだようじゃのう。 ……ちょっと気の毒じゃが」

和「話が早くて助かります」

玄「ありがとう、須賀くん!」

京太郎「お気になさらず!」

まこ「ん? 優希と咲はどうしたんじゃ? 一緒に出てったじゃろ?」

和「……ゆーきは咲さんを探しに行ってます」

まこ「……またはぐれたんか」

和「ホテルに着いた時には一緒だったのですぐに見つかるとは思うのですが……」

京太郎「あいつはほんと……見つからねぇようなら俺も後で行ってくるわ。 で、どうしたんっすか?」

和「須賀くんは、恋人に……いえ、女性に食事を作ってもらえるとしたらどんなメニューが好ましいですか?」

京太郎「俺恋人いないからわかんねぇや! とりあえず和が一回俺と付き合ってみるってのはどうだ?」

和「ありがとうございました。 帰っていいですよ」

京太郎「冗談! 冗談だから! そんな目で見ないで! いや、これはこれでいいんだけど!」

まこ「…………」




京太郎「手料理っていうと……肉じゃがとか、定番じゃねーの?」

和「普通ですね」

京太郎「う……まあ、そうかもしれないけど、ベタをおさえるのも大事だと思うぞ? 言い替えれば王道だぜ?」

まこ「何をするにも基本は大切じゃからな……どうなんじゃ、玄さん?」

玄「得意料理ですよ!」

和「問題は無さそうですね。 現段階でも玄さんの腕前なら充分男性の心を掴めると思います」

京太郎「あ、ちょっと待ってくれよ。 そうは言っても……」

和「なんですか? また余計なことを言うつもりですか?」

京太郎「冷たい! でも癖になるかも……」

まこ「日頃の行いじゃな……というか、変な方向に目覚められても困るんじゃが……」

玄「どうしたの? なにか気になることがあった?」

京太郎「気になることなんてたくさんありますよ! 玄さんの胸のサイズとか……」

玄「え? えっと、今年の健康診断の時は……」

和「玄さん! それは言わなくていいです!! あと、そこの人は帰ってください!」

京太郎「そこの人!? 」

まこ「さすがに見過ごせんぞ、京太郎?」

京太郎「いや、これはマジで冗談だったんすけど……お、教えてくれるんならまた今度こっそりと……」

まこ「その冗談ひとつでどれだけ評価落とすつもりなんじゃ……」

和「玄さん、そこの人は危険なので近づかないようにしてください。 絶対に二人きりになったりしないように」

玄「え? う、うん、わかったよ」

京太郎「わかっちゃった!?」


まこ「……で? なんなんじゃ? なんもないなら本気で追い出すけえね?」

京太郎「あ、ちょっと待ってください! これはマジでひとつあるんで!」

和「……一応聞いておきますけど、なんですか?」

京太郎「いやさ、そういう家庭料理ってやっぱ家ごとに味付けとか違うじゃん? おふくろの味ってやつ? そこが噛み合わないといくらおいしくてもなんか違うっつーか……」

玄「……な、なるほど」

まこ「急にまともなこと言ってどうしたんじゃ?」

京太郎「染谷先輩にまで冷たくされるとマジで傷つくんですけど!? っていうかむしろ本気で目覚めそう!」

まこ「やめんかアホ」

和「しかし、よくそんな視点を持てましたね……気がつきませんでした」

京太郎「ああ、中学の時にハンドの試合で遠征してさ、んで家の鍵持ってくの忘れて帰れなくなったときに一回咲に晩飯世話になったことがあってさ……うまかったんだけどなんか味付けとか違うんだなーって思ったことが……」

まこ「なるほどのう」

玄「つ、つまり……萩原さんの味付けの好みとか、そういうのもきちんと知らないとダメってこと?」

京太郎「知ってた方がいいと思いますよ。 まあ、萩原さんとは話す機会も多いんでそれとなく探っておきますね!」

玄「本当に? ありがとう、須賀くん!」

京太郎「いやあ、いいんすよ……でへへ……」




由暉子「あの……すみません、失礼します」

玄「あっ、ユキちゃん」

和「真屋さん?」

京太郎「うぉ! でけぇ!」

まこ「黙っとれ」

和「…………」

由暉子「あ……すみません、取り込み中でしたか?」

玄「大丈夫だよ! 今日はどうしたの?」

由暉子「高鴨さんが筋トレグッズを分けてくれるということで会いに来たのですが連絡がつかなくて……」

和「き、筋トレ……? たしかに穏乃は得意分野でしょうが何故真屋さんが筋トレを……?」

由暉子「体力と筋力をつけて勝たないといけない相手がいるんです」

和「……格闘技でも始めるんですか?」

由暉子「格闘技……なるほど。 象を倒せる格闘技ってありますかね?」

和「象と戦うんですか!?」

まこ「……さすがに象を倒せる格闘技は無いんじゃないかのう」

玄「穏乃ちゃんかあ……和ちゃんたちが来るまでは部屋にいたし、約束忘れたりする子じゃないから……ちょっとお買い物に出てるとかかな? よかったらここで待ってても……」

由暉子「いいんですか? それでは、お邪魔させてもらいます」


由暉子「今日は、どんなお話をされていたんですか?」

和「実は、玄さんが……」

由暉子「ああ、あの執事さん……なるほど、いいですね」

玄「も、もう……恥ずかしいからあんまり言わないでよぉ……」

京太郎「……ここはアレですかね? 天国ですかね?」

まこ「いっぺん死んだら天国に行けるんじゃないかのう? アホも治るかもしれんぞ?」

京太郎「……あ、あの優しい染谷先輩が蔑むような目で俺を罵って……!」

まこ「すまん、いつも通り優しくしてやるから変な方向に行くのはやめてくれんか? 結構本気で」

京太郎「うす。 それにしてもヤバイっすね。 目の保養っす」

まこ「……みんなの迷惑になりそうじゃしあんたは咲を探しに行くってのはどうじゃ?」

京太郎「咲なら大丈夫です! お腹へったら帰ってきますって!」

まこ「帰ってこられるんなら苦労はないんじゃがなあ……」

由暉子「……なるほど、お料理を……岩館先輩ならお力になれるかも……」

和「真屋さんはお料理されないんですか?」

由暉子「私はあまり……というか、苦手ですね。 けっこう不器用でして……」

玄「ふふ、ユキちゃん素直で余計なことしないから練習したらすぐに上達すると思うけどなぁ」

由暉子「そうですか? 練習してみるのもいいかもしれませんね……はやりんも料理上手ですし」

和「はやりんはなんでもできますからね!」






霞「失礼します。 初美ちゃんこちらに来ていませんか?」

玄「いっ……石戸さん!?」

京太郎「うおおおおお! 超でけぇぇぇぇぇ!!」

霞「!?」

まこ「京太郎、急に買い物に行かなきゃいかんのを思い出したわ。 荷物持たせてやるから付き合ってくれんかのう?」

京太郎「え? 付き合ってだなんてそんな……」

まこ「ん?」

京太郎「いや……その、ちょっと待ってくださいよ! なんでですか!? 俺からこの楽園を奪うつもりですか!?」

和「すみません、染谷先輩……どう考えても話が進みませんし皆さんに迷惑がかかってしまうので……」

まこ「レッドカードみたいじゃぞ? ほれ、行くぞ京太郎」

京太郎「そ、そんなっ……! いや、そりゃあ染谷先輩は優しいし実は美人だし料理も上手くてこれで胸さえあればドストライクでしたけどこの状況で……」

まこ「ほうかい。 わしもあんたが余計なことをなに一つ口に出さなくてアホじゃなけりゃアリだったんじゃがのう」

京太郎「マジですか!? じゃあ染谷先輩の胸が大きくなったら結婚してください!」

まこ「あんたのアホが治らんから無理じゃな。 ほれ、ついてきんさい」

京太郎「うぅ……そんな……っていうか待ってください! その言い方だと胸は大きくなる的な……」

まこ「そんなん知らんわ。 これ以上立場を悪くしたくなきゃおとなしくしとれ」

京太郎「くっ……和! なんかあったら協力するからすぐに呼んでくれよな!」

和「あ、結構です。 間に合ってますので」

京太郎「やっぱり冷たい!?」




霞「……な、なんだったのかしら?」

和「お気になさらず。 最初からなにもなかったんです」

玄「い、石戸さん……は、初美さんですか?」

霞「ええ……『同志に会いに行ってきますよー』って行ってたから高鴨さんのところかと……国広さんの方だったのかしら? 初美ちゃん携帯忘れていっちゃって連絡が取れなくて……」

由暉子「今日は、私が高鴨さんと会う予定があったので……そちらの方かもしれませんね」

和「穏乃、薄墨さんとも仲がいいんですか……相変わらず顔が広いというか……」

玄「そ、そそ、そんなことより石戸さん! せっかくいらっしゃったんですしゆっくりしていってください! 穏乃ちゃんが戻ってきたら初美さんの居場所もわかるかもしれませんし!!」

霞「あらあら……でも、こんな急にお邪魔していいのかしら?」

玄「石戸さんなら大歓迎ですよ!!」

和「……玄さん」

玄「ち、違うよ!? おもちとか関係ないから!! 石戸さんのこと好きなだけだからね!?」

霞「えっ……も、もう、ふふ……照れちゃうわねぇ」

由暉子「いっそのことその勢いで告白してみると言うのはどうでしょうか」

玄「えぇ!? そ、そんなの無理だよぉ……」

霞「あらあら? もしかして……こ、恋ばなというやつかしら?」

由暉子「そうなんです」

玄「わっ! わわっ! だからあんまりみんなに言わないでってば……!」

霞「な、なんだかドキドキするわね……私も聞かせてもらってもいいのかしら?」

由暉子「実は私もちょっとドキドキしてます」

玄「そ、そんなあからさまにウキウキしなくても……」

霞「だって……ねぇ?」

和「仕方がありませんよね」

由暉子「楽しいですからね、恋ばな……特に人のは」




霞「ふんふむ……なるほど、お料理で……」

由暉子「私は苦手なのでその分野ではあまり……でも、石戸さんならきっと玄さんの力になってくれそうですね!」

霞「えっ?」

由暉子「お料理、すごく上手そうです!」

霞「……ええ、まあ…………わ、私よりも、巴ちゃんの方がお料理は上手なんだけれど」

和「狩宿さんですか。 なるほど……」

霞「だ、大丈夫よ? 私だって、小蒔ちゃんよりはお料理できるもの」

玄「へぇ……神代さんもお料理できるんですね」

霞「……い、今いない小蒔ちゃんのことよりも、ほら! 玄さんのためだもの、私だって協力しちゃうわ。 なにか作戦を考えましょう?」

由暉子「三人寄れば文殊の知恵と言います。 四人もいるんですからきっといい案が浮かびますね!」

和「そうですね……最初から、頼る相手を間違えていました。 ちゃんとした人が集まればその方がいいに決まっています」

霞「……そういえば、さっきの染谷さんと一緒に出ていった子は……?」

和「……お恥ずかしい。 うちの麻雀部の男子部員です。 男性の視点から意見をもらえればと呼んだのですが……」

由暉子「役に立たなかったんですか?」

和「問題が多い人なので……」

玄「そ、そんな……ほら、須賀くんいいことも言ってたじゃない。 協力もしてくれるみたいだし……」

和「……まあ、萩原さんと親しいようですからそういった面では助けになるかと思いますが……」

玄「須賀くんの意見には私も思うところはあったよ……いろいろ考え直さなきゃなって」

和「……玄さんの役に立ったのならいいんですけれど……」


由暉子「参考になる意見があったんですね……なんだか、急に叫んでは染谷さんに注意されるだけの人だと思ってました」

和「間違ってはいないですね」

霞「私も来た途端に大きな声で叫んでたからビックリしちゃったわ……」

和「どうも、ご迷惑をおかけしまして……」

玄(……須賀くんの言う通り…………ここは楽園だよね! おもちが! すっごいおもちが! こんなにも!)

玄(っと……ダメダメ! おもちのことばっかり考えてちゃ! おもちがどうとか言うの止めないと引かれちゃうって憧ちゃんにも言われたし……)

玄(……それにしても)

由暉子「玄さんのアピールポイントというのをしっかり押し出していくのが大切だと思います」

和「やはり、いわゆる『女性らしさ』でしょうか? 玄さんはお料理だけでなく家事全般が得意ですし……」

霞「容姿も性格もかわいらしいものねぇ」

玄(やっぱりおもちがとんでもないことに!! わ、私はいったいどうすれば……)

和「玄さんはどう思いますか?」

玄「えっ? えっと、その……おもちが……」

和「……聞いてなかったんですね?」

玄「ち、違うよ!? み、みんながせっかく助けてくれるって言ってるのに聞いてないなんて、そんなわけないよ!」

和「……それでは、その……おもちとやらが、なんだと言うんですか?」

玄「いや、その……それは……」

玄(そういえば、さっき……)



京太郎『気になることなんてたくさんありますよ! 玄さんの胸のサイズとか……』

京太郎『うぉ! でけぇ!』

京太郎『うおおおおお! 超でけぇぇぇぇぇ!!』

京太郎『――これで胸さえあれば……』

京太郎『――胸が大きくなったら結婚してください!』

京太郎『その言い方だと胸は大きくなる的な……』



玄(やっぱり、男の子の目から見ると……とってもおもちじゃないと駄目なんじゃ……!?)

由暉子「お餅……ですか?」

霞「ふふ、春ちゃんが好きでね、うちでもけっこう食べるのよ」

和「……それとはまた違うのですが……まあいいです。 むしろ知らない方がいいです」

玄「…………あの」

霞「あら、どうしたのかしら? 急に暗い顔して……」

玄「……どうしたら、みなさんのように胸が大きくなりますか……?」

和「いきなり何を言い出してるんですか」

由暉子「どうして急にそんな……」

玄「だ、だって……須賀くんも胸のことばっかり言ってたし……やっぱり大きくないと……」

霞「男の子ってやっぱりそういうものなのかしらね……とは言っても、なにぶん、勝手にこうなってしまったから……」

由暉子「私も、特別なにかをしたというわけでは……」

和「……どうしてこうなってしまったのか、私が知りたいくらいですが……遺伝ですかね? お母さんも……その、大きいですし」

玄「うう……それじゃあ、やっぱり今からじゃどうにもならないのかなぁ……」

和「あの執事さんはそういうことを気にする方にも見えませんが……」


穏乃「ただいま戻りましたーっ! ってやっぱり真屋さん来てた! 待たせちゃってごめん! 憧とコンビニ行ってたら咲と優希に会ってついつい話し込んじゃって……」

由暉子「あ、高鴨さん……いえ、大丈夫ですよ。 玄さんたちと楽しくお話しさせてもらってました」

和「咲さん見つかったんですね、ゆーき」

優希「いやあ、ふと外を見たら咲ちゃんの姿が見えてな! まさか本当に外に出てるとは思わなかったじょ」

咲「あはは……な、なんでだろうね……?」

憧「こっちの台詞……何をどうやったら外に出ちゃうのよ……っていうか石戸さんまでいらしてたんですね、こんにちは! 玄が迷惑かけてません?」

霞「ふふ、まさか……玄さんがそんなことしないのは新子さんだってわかってるでしょう?」

憧「いや……玄のことよく知ってるからこそこのメンバーは嫌な予感しかしないと言うか……」

憧「……あれ? テンション低いわね、どうしたのよ? いつもなら引くぐらいテンション上げてる場面でしょうに……なにかあった?」

玄「憧ちゃん……あの、相談が……」

憧「へ? ……はっはーん、また恋愛相談ね。 いいわよ、この私にまかせなさい!」

由暉子「新子さん、頼りになりますね。 カッコいいです」

咲「憧ちゃんすごいなあ……かわいいしオシャレだしモテるんだろうなぁ……」

和「…………憧」

穏乃「いや……憧のその自信って本当にどこから来るの?」

憧「う、うるさいわね! 少なくともしずよりは絶対に役立つから! ほら、とりあえず言ってみなさいよ」

玄「憧ちゃん……その……」




玄「どうやったら胸って大きくなるのかなあ……?」


憧「知るか!」


すっごく怒られました


カン!

未来の巨乳ヒロイン枠あこちゃー(普乳)
六女仙は当番制で順番に料理とかしてそうなイメージ。霞さんは普通に料理できるけど他に勉強することが多くて仲間内ではそれほどできる方じゃないから自分はできない方だと思い込んでるとかだといい。はっちゃんは意外と器用にこなすけど巴ちゃんが作った方がおいしいですしーとか言ってあんまり料理とかしない子なイメージ

池田に注意されてちょっとしゅんってするゆーきがかわいかったです。五位決定戦で掘り下げ少なかったキャラにもスポット当たるといいなぁ
ちょいとばかし投下


憧「だいたいねぇ……どうやったら胸が大きくなるかですって!? こっちが知りたいっつーの! だいたい玄は胸でかいじゃん! もういらないでしょ!」

玄「で、でも……」

憧「でもじゃない! っていうか余分にあるでしょ! ちょっとは分けなさいよ!」

玄「む、無理言わないでよ憧ちゃん……」

穏乃「憧もなんでそんなに胸の大きさにこだわるかなあ……そういうのってさ、あったらあったで、なかったらなかったでそれぞれいろいろあるもんじゃん。 変に気にすることないって」

憧「どれくらい欲しいかだってこっちの勝手でしょ!」

穏乃「そしたら玄さんがもうちょっと欲しいなって思ったって憧が口出しすることじゃないでしょ」

憧「ぐっ……むむむぅ……」

穏乃「っていうかここ数日ずっとそれ言ってるよね。 いい加減飽きない?」

憧「うるさいわよ! しずにあのときの私の気持ちが……自分よりもちょっと胸のでかい玄にどうすれば胸が大きくなるかなんて聞かれた私の気持ちは……」

穏乃「ちょっと?」

憧「あーもう! 見栄はって悪かったわね! かなり! かなり胸のサイズには差がありますよ!!」

玄「そ、そんなことないんじゃ……」

憧「玄に慰められてもムカつく!」

玄「えぇ……ご、ごめんなさい……」


和ちゃんやユキちゃん、石戸さんに相談をしていたあの日からどうも憧ちゃんはご機嫌斜めで……よく怒られてしまっている

憧ちゃんならなにか知ってるかもと思って聞いたんだけど……うう、なんというか、配慮が足りなかったみたいです……灼ちゃんにも叱られちゃった

揺杏「まあまあ、憧ちゃんの胸のサイズはちょうどいいって! 大きすぎず小さすぎず……細身だしむしろ理想の体型! いい服たくさん着れるって!」

憧「う……それは、まあ……でもやっぱりもうちょっとぐらい欲しいと言うか……」

久「私にまかせなさいっ!!」

玄「た、竹井さん?」

揺杏「お、久姉ちーっす」

久「はぁい、元気そうね」

穏乃「こんにちは! 珍しいですね、お一人で来られるなんて……」

久「いやあ、まこと和から話を聞いてね……面白そうな話してたらしいじゃないの! 仲間はずれなんて酷いわ」

玄「そ、そういうつもりじゃ……」

久「冗談冗談、どうせ料理は力になれないし……ふふ、とにかく私も一枚噛ませてもらうわっ! 必ずや玄さんの恋を成就させてみせるっ!」

穏乃「た、頼もしい……!」

揺杏「あはは、さすが、よっ部長! カッコいいよ! ……というか、私もユキに聞いて面白そうだから一枚噛ませてもらおうと思ってきたんだけどさー」

憧「あ、そうなの? 灼さんのとこいかないから珍しいなーとは思ってたけど」

揺杏「灼なら今頃宥姉ちゃんとともきーんとこ行って……あ、なんなら純と執事さん呼んでもらう?」

玄「そ、そんな、急に言われても心の準備が……」

揺杏「あはは、それじゃあまた今度だなー」


久「キャベツ」

玄「キャベツ?」

久「胸にいいらしいわよ?」

憧「キャベツ買ってくる!」

久「生で毎日何十玉も食べないといけないみたいだけど」

憧「さすがにそれは無理!」

揺杏「あ、ほら、揉めば大きくなるとか言うじゃん」

玄「でも、自分の胸揉んだって面白くないよ?」

穏乃「面白い面白くないなんですか?」

久「それじゃあ新子さんの胸揉んであげたら?」

玄「え、でも憧ちゃんの胸揉んだって……」

憧「どうせ私の胸揉んだって面白くもなんともないわよ! 悪かったわね!!」

玄「ご、ごめん……そういうつもりじゃ……」

憧「というか、それガセよ! 効かないから!」

穏乃「試したんだ」

久「試したのね」

揺杏「もう試してたのかぁ」

憧「うぅぅうるさい! いいでしょ別に!」

揺杏「努力するのはいいことだよなぁ」

久「うんうん、えらいえらい」

憧「な、なによぅ、バカにして……」




巴「こんにちは……取り込み中だったかな?」

憧「あっ、巴さん! 酷いんですよ! 私が悩んでるのにみんなバカにしてっ……!」

穏乃「別にバカにはしてないと思うんだけどなあ……」

揺杏「そりゃあ被害妄想だって」

久「頑張ってて微笑ましいなって……ねえ?」

玄「え? はい、そうですね……? 狩宿さん、今日は憧ちゃんに……?」

巴「うん、憧ちゃんに会いに来たのと、霞さんが玄さんの力になってあげて、って……お料理でなにか、って聞いてたんだけど、今日はまた別の話かな?」

玄「は、はい……実は……」

揺杏「玄ちゃんがおっぱい大きくしたいんだって!」

玄「な、なにもそんな大声で言わなくても……!」

巴「あはは……今いるメンバーで一番胸おっきい玄ちゃんがその相談をするんだ……?」

玄「うぅ……だって、その……」

久「まあほら、私はわざわざ胸大きくしなくても充分魅力的だし?」

穏乃「竹井さん美人な上カッコいいですからね!」

憧「自分に自信のある人っていいわよね……実際竹井さん魅力的だし……」

玄「うう……きっと萩原さんも竹井さんみたいな素敵な人が……」

久「えっ……ちょっと、な、なんで褒めるのよ……こう、鋭いツッコミを求めてるんだけど……」

揺杏「くっ……くくっ……」

久「わかっててスルーしないでよ! もう、まこも連れて来ればよかったわ……は、恥ずかしい……」


巴「胸かあ……」

憧「巴さんだってやっぱり多少は欲しいですよねっ!?」

巴「いや……なんていうか、霞さんをはじめとして回りがみんなあれだから……今からその路線を追いかけるのも……はっちゃんは見た目的にバランス取れてるから比べるのも違うし……」

玄「永水はおもち度高いですよね!」

巴「ああ……おもちってそういう……」

憧「ご、ごめんなさい巴さん! 玄がまたアホなことを……」

巴「そんな、憧ちゃんが変に謝ることじゃないよ……あはは、けっこう面白い例えかもね」

揺杏「……あ!」

久「なに? どうかした?」

揺杏「いや、今ちょっと調べてたら面白いの出てきて……」

久「どれどれ……ほほう……なるほど……」

憧「揺杏も竹井さんもなにニヤニヤして……」

穏乃「なになに? ……トキメキ……女性ホルモンが…………どういうことですか?」

久「つまり! 要約すると……」

揺杏「好きな相手に揉まれるとでかくなる!」

憧「ふきゅ」

久「試してみたら?」

玄「い、いやいやいやいや!! そ、そんな、さすがにそれはダメですよ!! だ、だって、そんなの……あ、あわわわ……」


憧「そんっ……な、なにを言ってるんですかね!? は、破廉恥な!」

揺杏「落ち着けよ憧ちゃーん」

久「ほら、興奮しないの」

憧「興奮とかしてませんけど!?」

穏乃「……憧の場合、それってあんまり問題ないんじゃ」

憧「問題だらけでしょ! は、はは、恥ずかしいじゃないの!!」

久「新子さんって意外とうぶよねぇ」

穏乃「憧は別に彼氏いるわけでもないですし……」

揺杏「せっかくかわいいのに変に拗らせて男前の女を追っかけてると言う……」

憧「な、なによ! 別にいいでしょ!? 私の人生で一番かっこいいのが井上さんよ!」

巴「たしかに井上くんかっこいいけど……」

憧「ライバル!?」

巴「違うよ!?」

久「……新子さんってけっこう落ち着きないわよね」

穏乃「そりゃあ、私の親友ですからね!」

揺杏「えー……自分で言う? 類は友を呼ぶってやつかー」

穏乃「ほら、落ち着いてる人は他に居ますし! 玄さんとか!」

揺杏「……玄ちゃん落ち着いてるかぁ?」

玄「……あわ、あわわわ…………」

久「……今はショートしてるわね」

揺杏「やっぱり類友だな……憧ちゃんとそっくりだわ」

憧「一緒にしないでよ!」

久「一緒じゃない?」

揺杏「いや、憧ちゃんの方が酷い」

久「あー」

憧「なんで納得してるんですか!?」


揺杏「ま、いいや。 とりあえず玄ちゃんは執事さん呼び出して乳揉んでもらえば解決だな!」

玄「だ、ダメだよそんなの! そ、そういうことは結婚してから……」

久「大丈夫よ! ほら、うまくいったら結果的にはそういうこともするわけだし? ちょっと順番が変わるだけだから!」

玄「え……? そ、そうですかね……?」

揺杏「しかも! それで胸がでかくなったらより好かれるかもしれないんだろ? 一石二鳥だぜ!」

玄「な、なるほど!」

巴「えっ……ちょっと、玄ちゃん? なんで納得してるの? いろいろ間違ってないかな?」

憧「そ、そんないきなり胸なんか触らせちゃダメよ! も、もっとちゃんと順番を……て、手を繋ぐぐらいから……」

穏乃「順番は大切ですよね。 オリるにしても手順ひとつ間違えただけで酷いことになる可能性もありますし……」

久「……ちょっとずれてるけど高鴨さんって急に冷静になったりするわよね」

穏乃「回りが浮き足立ってる時こそ私がしっかりしないとですから!」

揺杏「穏乃は意外としっかりしてるからなあ……いろいろずれてるところはあるけど」

穏乃「えー? 私どこか変ですか?」

揺杏「うん……まあ……ちょっとな?」

久「ちょっと……そう、ユニークよね」

憧「い、いい? そ、そういうのは何回かデートもして、ちゃんと順序を踏んでから……」

玄「わ、わかってるよ? そ、そう! ちょっと混乱していただけで……」

穏乃「……憧や玄さんも中々ユニークなキャラだと思うんだけどなぁ……」


灼「ちょっと」

揺杏「おわぁ!? ……あ、灼か……驚いたぁ……」

穏乃「お帰りなさい、灼さん、宥さん!」

宥「ただいま~」

灼「ただいま……憧と玄で遊ぶのはほどほどにしてよ……暴走しかねないし」

久「ほどほどならいいのね?」

灼「はい、ほどほどで」

巴「か、庇うのかそうじゃないのかはっきりしないね……」

灼「だって、その……あの子達かわいいから……」

巴「……なるほど……なら、仕方ない……のかな?」

宥「いくらかわいくっても、あんまりいじめたらダメですよ?」

久「はぁーい」

智紀「かわいいは正義」

揺杏「あ、ともきーも一緒なのね」

智紀「ん……他にもいろいろ…………じゃーん、正義の塊」

衣「こら、智紀! 衣を抱えるな!」

灼「かわいい」

宥「わぁ、天江さんかわいい……」

久「かわいい……」

智紀「ね」

衣「やめろ! みんなして撫でるな! 衣は子どもじゃないんだぞ!」


純「おいおい、そっちもほどほどにしてくれよ? 衣が拗ねるだろうが」

憧「ふきゅ」

揺杏「おっ、純じゃん! 元気? 相変わらずスタイルいいな! しかも男前っ!」

純「な、なんだよ、急に褒め……ってオレは女だっ!」

揺杏「はい、いただきましたー」

宥「わー」

純「持ちネタじゃねぇよ! つーか反応が雑なんだよ!どうせならしっかり『待ってました!』みたいな反応しろよ!」

久「もう完全に持ちネタじゃないの」

純「うっせーな! ったく……で? なんか盛り上がってたみてぇだけどなんの話してたんだ?」

憧「え? あ、いや、えっと……」

久「ちょっと胸の話をね!」

揺杏「憧ちゃんのおっぱいどう思う?」

憧「ふきゅ」

純「は? いや、どうとか言われても……」

久「そうね! 触ってみないと感想も言えないわよね!」

揺杏「行け! 揉めっ! 揉みしだけっ!」

憧「なっ……ななな、なにを好き勝手言ってるんですか!! そんっ……も、揉むとかなんとか……ふきゅ」

巴「悪ノリしてるなぁ……」

灼「揺杏と竹井さんじゃ仕方な……」

智紀「いつものこと」

衣「いいから三人ともいい加減に撫でるのをやめろ! いつまでやってる気だ! 降ろせ智紀! おーろーせー!」


純「いや……智紀とか宥……さん、みたいにでかくても邪魔そうだし……」

宥「わたし?」

智紀「私は、純みたいに運動しないしそこまで邪魔な場面もないけど」

揺杏「つーか純もけっこうあるよな。 背ぇ高くて細身な上に着痩せすっからわかりづらいけど」

純「あ? あー……まあ、憧よりは……あるけどな」

憧「ふきゅ!? な、なんっ……ななな、なにさりげなく触ってるんですかっ!?」

純「え? いや、なんか触る流れだったし……」

憧「そそ、そんっ……そんな流れありませんよっ! せ、責任取ってくださいよっ!?」

純「なんの責任!? いや、つーか別に女同士だし問題なくね?」

揺杏「えっ?」

久「女同士?」

純「オレは女だっ!!」

揺杏「ぶふっ」

久「くっくく……」

純「笑ってんじゃねぇよ! しつけぇなお前ら!」


憧「む、むむ、胸を触られれれれ……」

宥「え、えっと、えっと……ほら、揉まれてないからセーフだよ!」

灼「とゆか、揉まれたかったんじゃ……」

憧「そそそそそそんっなわけないでしょ!」

灼「? 胸をでかくしたいって話だったんじゃ……」

憧「そ、そうだけどっ! そ、その言い方だと、な、なんか私が井上さんに胸揉まれたがってる変態みたいじゃないのっ!」

灼「そ? 言い方が悪かったみたいでごめ」

憧「わ、わかればいいのよ、わかれば」

灼「まあそれはそれでちょっと揉まれたそうに見えたけど」

憧「ふきゅ」

宥「図星なの?」

憧「違いますけどね!?」

宥「なんで敬語に……?」

憧「べ、別に……なんでもないです……」

宥「また敬語……」

灼「距離感じるからやめなよ……宥さん泣きそうだよ」

宥「えっ?」

憧「え……? ご、ごめん……宥ねえ……そんなつもりじゃ……!」

宥「な、泣かないよ? 大丈夫だよ?」

揺杏「灼もなんだかんだで積極的に憧ちゃんいじってるよね」

灼「……かわいいから、つい」

純「お前も大概だよな……おい、玄? どうした、さっきからボケッとして」

玄「ふぇ?」


玄「わ、私は……その……」

純「ふーん? …………は? お前、相変わらずとんちんかんなことを……」

玄「こ、これでも真面目に考えてて……」

純「いや、そもそも胸がどうこうってヨッシーじゃなくて須賀の趣味だろ? つーかお前普通に胸でかくね? 」

玄「うひゃあ!?」

憧「!? ちょちょちょっと! な、なに普通に玄の胸まで触ってるんですか!?」

純「へ? ダメなのか?」

憧「ダメですよ! どうしても触るってんなら私のに……」

久「やっぱり触られたいのね……」

揺杏「痴女だ痴女」

憧「ち、違うわよっ! 私は純粋に玄を守る的なあれこれで……!」

玄「……い、言われてみれば……!」

純「だろ? だから胸のサイズなんか気になるんなら直接聞けばいいんだよ」

玄「たしかに! ……え?」

純「なぁ衣、ヨッシー呼んでくれよ」

衣「む? 別に構わんが……」

智紀「どうしたの?」

灼「なにか……?」

衣「とにかく撫でるのをやめろ!!」

巴「……どうしよう、天江さん……ちょっと、たまらないんだけど……」

灼「かわいいでしょ」

智紀「……なんで灼が得意気に?」

衣「いいから離せと言ってるだろう!」


衣「はぁ、はぁ……ハギヨシ!」

ハギヨシ「はい、お呼びでしょうか?」

玄「!!」

衣「うむ、それが……ハギヨシになんの用なんだ?」

純「あ、ヨッシーってさ、玄……じゃなくって……」

智紀「あ、なんか気を遣ってる……」

揺杏「珍しいなー」

純「……そうだ! 原村と透華どっちが好き?」

ハギヨシ「はい?」

久「……極端でわかりやすいけど身内過ぎてアレじゃない?」

智紀「透華が聞いたら怒りそう……」

灼「とゆか、大事なとこが抜けてるけど」

ハギヨシ「ええと……急で意図が全くわからないのですが……私は原村さんとはほとんど話したこともありませんし……」

純「あー……つまりだな…………めんどくせぇな! だから、乳でかいのと普通のとちっさいのどれが好き?」

ハギヨシ「……………………はい?」


ハギヨシ「……それは、つまり……どういう……」

純「いや、そのまんまの意味で」

久「あ、男性にアンケート的な? 恋する乙女たちのために? 因みにうちの須賀くんは胸のことしか頭にないぐらいの巨乳好きだけど!」

ハギヨシ「……須賀くんは、どうしてあそこまでおおっぴらにそういうことを言えるんでしょうか……?」

久「あの子は言わなくてもわかるけどねー」

憧「……視線からしていやらしいのよ、あいつは」

穏乃「そうなの?」

憧「そうなの! しずも気をつけなさい!」

揺杏「まあ、憧ちゃんの胸だと巨乳好きには注目されなそうだけどな」

憧「うるさいわね! 揺杏はちょっと黙ってて!!」

揺杏「怒られたー」

灼「よしよし」

巴「憧ちゃんも、あんまり怒ってたらかわいい顔が台無しだよ? 落ち着いて、おしとやかに、ね?」

憧「あ……は、はい……気をつけます」

宥「……憧ちゃん、狩宿さんには素直だよねえ」

穏乃「狩宿さん、少し望さんに似てますから」

憧「人をシスコンみたいに言うな!」

穏乃「え? 憧ってけっこう……」

憧「なによ!?」

穏乃「……なんでもない」

宥「ふふ、私も望さん好きだよ~」


ハギヨシ「……私は、女性の……」

純「いやいや! わかってるぜ? ヨッシーは女を胸で判断するようなやつじゃないってのはさ! でもさ、ほら、胸だって個性の一部だし?」

ハギヨシ「それは、そうかもしれませんが……」

久「萩原さんだって男ならなんだかんだ言ったってそういう好みだってあるでしょ?」

揺杏「参考にするからさ、恥ずかしがらずに教えてくれよ~」

ハギヨシ「……何故逃げ道を塞ぐかのように囲むのですか……?」

久「そりゃあ、逃げられないように、ねぇ?」

揺杏「おらおら、吐け吐けー! 吐いて楽になっちゃえよー」

純「で? ヨッシーもやっぱでかいのが好きなの?」

ハギヨシ「えー……私は、特に、こだわりはなく……」

久「いやいやいや! そんなまさか!」

純「ちょっとぐらいなんかあるだろ?」

揺杏「あ、じゃあ今まで付き合った女の子とかはどうだったんですかー?」

ハギヨシ「……わ、私は、女性とそういう関係になったことがなくて……」

久「嘘っ!? 須賀くんの数百倍はモテそうなのに!」

揺杏「アレの数百倍じゃたいしたこと無さそうに聞こえない?」

久「須賀くんと比べ物にならないくらいモテそうなのに!」

ハギヨシ「わ、わざわざ言い直さなくても……」


衣「ハギヨシは学生時代は勉学に励み、透華や衣の世話をし、空いた時間は執事としての修行に明け暮れていたからな……女にうつつを抜かす暇など無かっただろう」

巴「修行かあ……本気の修行って本当に大変だからね……」

穏乃「あっ! 初美さんに聞きましたよ! 山籠りとかするんですよね!」

憧「なんで修行したそうにしてんのよ……」

灼「……巫女と執事じゃ修行の内容が全然違うと思」

純「まあなんにしろさ、好みはあるだろ? 例えば……ほら、玄とか胸でかいじゃん? 触りたくね?」

ハギヨシ「なっ……」

玄「いいい井上さん!? なっ、なんっ……!?」

揺杏「つーか純さっき玄ちゃんの胸触ってたじゃん! どうだった?」

純「そうだな、やわらかくって……」

玄「か、解説しないでくださいっ! は、恥ずかしいですからっ!!」

久「良かったのね」

純「おう、正直びびったね」

憧「くぅっ……!」

穏乃「そんなに悔しそうにしなくても……」

巴「憧ちゃんだって魅力的だよ?」

憧「それでも、そうだとしても! 私はもう少し胸が欲しいんですよ……!」


純「ほら、気になんだろー? 素直に言えよ」

ハギヨシ「それは……ええ、まあ……私も、当然女性に対する興味と言うのはありますが……」

久「よし! とりあえずホモじゃない!」

ハギヨシ「……ちょっと待ってください、どこからそんな話が?」

久「え……だって龍門渕さんと一緒の時以外はいつも須賀くんと一緒だし……」

ハギヨシ「……た、竹井さんの生活範囲で私が目に入るタイミングって、概ね……透華お嬢様の側に控えている時か須賀くんといるときだけですよね?」

久「あは、たまたまかぁ」

ハギヨシ「……まさかそのような疑惑を向けられていたとは……」

揺杏「そんなホモじゃない執事さんにお願いがあるんですけど!」

ハギヨシ「ホモホモ言うのはやめてほしいのですが……なんでしょうか? 私にできることならば」

揺杏「玄ちゃんの胸を揉んでやってくれ!」

ハギヨシ「!?」

玄「!?!?!?」


玄「い、岩館さん!? なにを……なにを言って……えぇ!?」

ハギヨシ「……と、とりあえず、いろいろと整理をしたいので理由を聞かせていただいても……?」

揺杏「ちょっと訳があって……玄ちゃんが胸を大きくしたいんだって! だから揉んであげて!」

ハギヨシ「……えー、それは、私がするのはおかしくありませんか? その、問題がいろいろと……」

揺杏「萩原さんじゃないとダメな理由があるんです!」

ハギヨシ「……そ、その理由とは?」

純「それは玄のためにも言えねぇな……」

久「なにも言わずに玄さんの胸を! 思いっきり揉んでいいので!」

玄「よ、よくないですよ!? さ、さすがにそういうのはまだ早いですからね!?」

揺杏「なるほど、まだ早い……」

久「将来的には望むところだ、と……」

玄「そ、そこまで言ってないですよ!? そ、その、順序をしっかり……」

揺杏「じゃあとりあえず今からデートしてちゅーして、それから胸を……」

玄「そんなハイペースで進んだら私パンクしちゃうよぉ!」

宥「玄ちゃん落ち着いて……はい、深呼吸して……」

玄「すー……はー……」

久「はい、それじゃあ遠慮なくどうぞ」

揺杏「好みのサイズになるまで揉んでやってくださいな」

ハギヨシ「え、いや……ですから……」

玄「竹井さんも岩館さんもやめてってばぁ!」


衣「ふむ……ハギヨシ、すまなかったな。 一回下がってくれ……さすがに悪ノリが過ぎるな」

ハギヨシ「は……はい、失礼しました」

久「消えたっ!?」

揺杏「逃がしたかっ!」

純「なにしてんだよ衣ー」

衣「お前たちこそなにをしているんだ。 ハギヨシも玄も困っているではないか」

巴「……天江さん、こんなにちっちゃくてかわいいのにしっかりしてるんだね」

智紀「そんなところもかわいい」

灼「衣おねえさんかわいい……」

衣「だから! 撫でるなと言うに!!」

玄「うう……もう、どうしようかと思ったよ……」

宥「大丈夫? 玄ちゃん落ち着いた?」

玄「う、うん……なんとか……」

穏乃「萩原さん帰っちゃって残念ですね!」

玄「う、うん……そうだけど、ちょっと安心したかな……」

久「残念そうね?」

揺杏「やっぱり玄ちゃんも萩原さんに胸を触られたかったんじゃ……」

玄「そ、そんなことないもんっ!」

憧「というか『も』ってなによ! ま、まるで私が、そうだったみたいな前提で話をするのは……」

揺杏「その通りだろ?」

久「違うの?」

憧「ち、違いますっ! 違うんだってば!」


灼「……ま、さすがに今日は酷く悪ノリしてたけど、みんな玄のこと応援してるのは間違いないから」

玄「わ、わかってるよ、うん……」

久「うーん、今日は失敗しちゃったけど……次回のリベンジに期待してちょうだい! 今度こそ二人の関係を進めて見せるわ!」

純「玄にはうまい飯も食わせてもらったしな……デートのセッティングぐらいしてやるからよ」

揺杏「デートに着てく勝負服は私が作るからさ、よかったら着てってくれよな」

玄「み、みんな……!」

純「しかし、結局ヨッシーの胸の好みははっきりしなかったな」

久「まあ、また今度聞いてみましょうか」

揺杏「結局そこまでこだわってないみたいだしそこまで気にしなくてもいいような……」

純「玄はいい乳してるしな」

玄「なっ……あうう……恥ずかしい……」

久「触った実感が籠ってるわねぇ」

揺杏「そんなに?」

純「男が女の胸にこだわる理由がちょっとわかったね」

久「また一歩、真の男に近づいたわね……」

揺杏「もはや男そのものだな」

純「オレは女だっ!」

憧「……ぐぬぅ…………玄めぇ……!」

穏乃「……結局、一番胸にこだわってるのって憧ですよね」

巴「……そうかもね」


カン!

某女子高生漫画家が胸を盛るのは仕方ないけど>>1はあまりやりすぎない方が好きです
具体的に言うときつくないあこちゃーが好きです

慕ちゃんとこーすけが癒しすぎて困る。怜-toki-に合わせてか日和も関西二本で楽しかったです
今日は荒川さんのお誕生日ですね。けいたんイェイ~

投下。は、ハルちゃん誕生日おめでとうございました…


晴絵「ただいまー」

灼「お帰りハルちゃん!」

宥「赤土先生お帰りなさい~」

望「あんたの家じゃないでしょ……お疲れさま、飲み物なにがいい?」

晴絵「ビール」

望「平日の真っ昼間からなに言ってんのよあんたは」

晴絵「平日の昼間から飲むのがいいんじゃないか……冗談だって、怖い顔すんなよ」

望「教育に悪い教師だなぁ……」

晴絵「今は教師じゃないし……ふたりとも学校は?」

宥「今日は講義無いので……ふふ、望さんにお願いして待たせてもらってたんです」

灼「憧と穏乃はがっこ終わったら来ると思……玄も、今日はこっち来るって」

晴絵「そっか。 玄は今松実館で修行中だったよな……頑張ってるか?」

灼「ん」

宥「今日もお仕事だから、って玄ちゃんは言ってたんですけど……お父さんに赤土先生帰ってくるって話したらちゃんと会ってこい! って言われちゃって……ふふ、玄ちゃんもうれしそうでしたけど」

望「あんたが絡むとなるとここらの人間はみーんな優しくなるからねぇ」

晴絵「……なんか、こう……悪いなぁ」

灼「悪いことはないと思……」

望「あんた人気者だからねぇ……挨拶回り行ってきたら?」

晴絵「帰ってくるたびにするのも大変だし……まあ、松実館には顔出しとくかな……さんざん世話になったし」


望「ま、いつまでも玄関居るのもなんだし入りなさいよ」

晴絵「ん、上がらせてもらうわ……あ、そういえば客連れてきたんだけど」

望「客?」

菫「あの……失礼します、お邪魔しても大丈夫なんですか?」

望「あら、弘世様」

宥「わぁ、お久しぶりです」

灼「弘世さん」

菫「久しぶりだな……その」

望「上がって上がって! ったく、連れてくるなら前もって言っときなさいよ……料理とか足りなくなったらどうするのよ」

晴絵「サプライズゲストってことで……別にいいだろー」

望「そりゃ全然いいけど……むしろみんな喜ぶし……はじめまして、新子望です。 よろしくね、弘世プロ」

菫「よろしくお願いします、望さん。 それと今はオフですから、菫と」

望「……うーん、それにしても」

菫「な、なんでしょうか?」

望「菫ちゃん、やっぱカッコいいよね。 人気者だし」

菫「は、はぁ……そうでしょうか……?」

宥「弘世さん、阿知賀でも人気者ですよ~?」

菫「そうなのか?」

灼「ん……ハルちゃんがハートビーツ入ってからチーム自体の注目度が上がってるから」

晴絵「みんな見てくれてるのか……照れくさいけど、うれしいね」

望「私も応援してるからね、菫ちゃん」

菫「ありがとうございます」

晴絵「私の応援もしてくれよー」

望「ん? まあ、そこそこねー」




望「じゃ、ゆっくりしていってね」

晴絵「おう、さんきゅ」

灼「弘世さん、ハルちゃんと一緒に来たってことは……」

菫「ああ、明日の試合は私も出場予定なんだ。 会場が大阪で……ハルちゃんが部屋に泊めてくれると」

晴絵「うちからなら近いし、楽だからなー」

菫「鷺森たちにも久しぶりに会いたかったしな……どうだ? 学生生活というやつは」

灼「ん……楽しくやってる。 宥さんも一緒だし」

宥「えへへ、楽しいよ~? 弘世さんも、プロは大変じゃないですか?」

菫「ああ、白糸台の時とは比べ物にならないくらい人前にも出るしな……大変だが、それでも毎日楽しいよ」

灼「それは知ってた」

宥「ふふ、今日は瑞原プロはご一緒されてないんですね」

菫「瑞原プロは午前中に取材が入っていてな……」

晴絵「あ」

灼「?」

晴絵「いや、今瑞原さんから……仕事早く終わりそうだから、終わったらこっち向かうって」

菫「!!」

晴絵「日が沈む頃には着くんじゃないかな」

菫「そうですか!!」

灼「……やっぱり楽しそ」

宥「憧ちゃんも喜ぶねぇ」


灼「麻雀の方はど?」

晴絵「悪くないよ、小鍛治さんに勝つにはまだまだ足りなそうだけどな」

宥「赤土先生なら勝てますよ!」

菫「時間の問題です、期待してますから」

灼「ハルちゃんの方が強いし」

晴絵「簡単に言うよなぁ……あの人の記録知ってるか? 完全に化物だぞ、化物」

宥「そんなこと言うと小鍛治プロ傷つきますよ?」

菫「ほとんど同じ土俵に立ってるハルちゃんが言っても……」

晴絵「期待してくれるのはうれしいけどさぁ……あんまり過剰に評価されるとさぁ……」

望「そうやってプレッシャーかけてあげた方が力発揮する子だからその調子でガンガンやっちゃってねー……はい、飲み物どうぞ」

菫「ありがとうございます、望さん」

灼「どもです」

宥「ありがとうございます~」

晴絵「望も勝手なこと言って……ま、頑張るけどさぁ」


望「晴絵は打倒小鍛治プロだとして、菫ちゃんは目標とかあるの?」

菫「そうですね……私の打ち方だと、スタメン定着は難しいですから……目標というか、今は与えられた仕事をしっかりこなすことでしょうか。 私が機能すれば試合の決め手にもなれますし」

晴絵「菫はこの一年でかなり伸びたしな。 ワンポイントでしっかり下位との差を広げたり、上位を撃ち落としたり……速度も精度も上がってるから頼りになるよ」

菫「ハルちゃんと瑞原プロのお陰です。 お二人は実力は当然として、教えるのも上手い」

宥「なんていっても赤土先生は先生だもん」

灼「子ども麻雀クラブに、牌のお姉さん……小さい子どもにもわかりやすくしっかり教えられる人だから」

晴絵「私はともかく、菫は瑞原さんに教えてもらえるから特に気合入ってるんだろ? 私も瑞原さんからは学ぶことは多いけどな」

菫「気合が入るのは否定できませんね。 はやりんが隣にいるんですからもう……もう! たまらないですよ! 興奮しますよ!」

灼「興奮するんだ……」

菫「そりゃあ、興奮もするだろう! 隣にはやりんがいるんだぞ? あのはやりんが!」

望「……キャラ付けじゃないんだね、ハートビーツのはやりんファン代表兼任選手」

宥「弘世さん、本気の本気ですから……」

菫「夏のツアーも何口も応募したのに抽選落ちてへこんでるんだ……」

晴絵「瑞原さんは関係者席とか用意してくれるじゃないか」

菫「それはそうですが! そういう問題ではないんですよ! 勝ち取りたいんですよ!」

灼「わかる」

晴絵「うーん……ここら辺の感覚がわからん……」

宥「瑞原プロ本人から席用意してもらえるなんて、よほど……なんというか、勝ってる感じしますけど……」

菫「それはそれ、これはこれだ!」

宥「そ、そうなんですか……」


憧「ただいまっ! お姉ちゃん、ハルエはー? もう来てるのー?」

穏乃「おじゃましまーす! あ、靴いっぱいある! たぶん来てるよ!」

玄「穏乃ちゃん、あんまりはしゃいだら迷惑になっちゃうよ?」

憧「別に他にお客さんもいないから大丈夫だって……あ、いた! ハルエ、久しぶり! ……あ、菫さんも!」

菫「久しぶり、新子。 元気そうだな」

憧「はい! もちろん! …………」

晴絵「悪いけど、瑞原さんならいないぞ」

憧「べ、別に何も言ってないでしょ!」

穏乃「弘世さん、赤土先生! お久しぶりです!」

晴絵「久しぶり、しずはいつも元気だなあ」

穏乃「もちろんです! 元気満点ですよ!」

晴絵「そんなしずに元気もらってるよ! あー、帰ってきてよかったー……癒されるー」

穏乃「えへへ、そうですか?」

玄「赤土先生、いつもお疲れさまです。 弘世さんも阿知賀へようこそ! いいところですから、のんびりしていってくださいね! ご宿泊の際はぜひ松実館へ!」

菫「流れるような宣伝だな……悪いが今日はハルちゃんの部屋に泊まらせてもらうんだ、またの機会に邪魔させてもらうよ」

玄「赤土先生のところにですか! それは楽しそうですね!」

晴絵「菫も飲める歳になったしな……瑞原さんも来るし三人……いや、望もいるから……」

憧「ってなによ! 瑞原プロも来るの!?」

菫「ああ! 夕方ごろには到着する見通しだ!」

憧「そうなんだ……あ、あのさ、わざわざハルエの狭い部屋に帰らなくてもうちに泊まればいいんじゃない? ハルエなんて昔から入り浸ってたんだし、菫さんや瑞原プロが増えたところでたいして変わらないし……」

晴絵「あからさまだなあ」

灼「わかりやす……」

憧「な、なによ! 人が好意で言ってるのに!」


望「ま、うちなら全然構わないんだけどね……晴絵だけでも大歓迎なのにはやりんと弘世様まで付いてくるとなればもうお祭りよ」

晴絵「お祭り騒ぎまではしたくないんだけど……明日も試合だし」

菫「たしかに、影響が出るようでは困りますね……私もハルちゃんも二年目に入って大事な時期だ」

晴絵「しっかり仕事してチームに定着したいしな……」

灼「充分定着してると思うけど……ふたりとも人気だし」

菫「そうか? ハルちゃんはともかく、私は……正直ネタ含みな面もあるだろう? はやりんの……!?」

穏乃「どうしたんですか?」

菫「……お、おい! 大変なことに気がついたぞ!」

宥「大変なこと?」

菫「ハルちゃんの部屋に泊まるにしろ、ここで世話になるにしろ、はやりんとひとつ屋根の下で過ごすということじゃないか!!」

玄「……そ、そうですね」

菫「ど、どうしよう!?」

宥「ど、どうしようと言われましても……」

晴絵「今までも遠征で同じホテルに泊まったことはあっただろ? 部屋は違ったけど」

菫「なっ……! 気がつかなかった……! そんな一大イベントを既に複数回体験していただと……!?」

憧「…………」

穏乃「……今、小声でいいなって」

憧「ぃぃ言ってないわよ! 気のせいでしょ!」

晴絵「……のぞみー、お茶おかわりー」

望「はいはい……ちょっと待っててねー」


灼「相変わらずだね、弘世さん」

晴絵「あれでもかなり落ち着いた方だぞ? ……なあ玄、なんだそのでっかい荷物?」

玄「え? これですか? ……えっと、うーん……」

灼「いいんじゃない? 望さんが他にもいろいろ用意してくれてるし」

玄「……そうだね! それじゃあ……はい、赤土先生! バースデーケーキなのです!」

晴絵「……本当に? え、でっかくない?」

玄「ちょっと気合入れすぎちゃいましたかね?」

灼「人数いるから余裕で食べきれると思」

晴絵「というかわざわざ手作りしてくれたのか? うわ、うれしい! ありがとう玄!」

玄「へへ、どういたしまして! 赤土先生お誕生日おめでとうございます!」

灼「ハルちゃんおめでと」

晴絵「ありがとうな!」

憧「ぅわ、もうそれ出しちゃうの? たしかに大量に用意してあるけど桜子とか綾とか来てないのに……」

穏乃「大量にあるからいいんじゃない? 今からずっとパーティーしてればいいんだし!」

菫「ずっととはまた……まあ、年に一度の特別な日だものな……」

晴絵「そろそろ誕生日もうれしくないものだけど……こうして祝ってもらえること自体はやっぱりうれしいね」

憧「もうハルエも……28? そろそろおばさんねー」

望「おっと、聞き捨てならない発言ねえ」

憧「あ、いや……お、お姉ちゃんがどうとかってわけじゃ……」

晴絵「発言する時はちゃんと考えてからしようなー……憧はそれで失敗することも多そうだし」

憧「そ、そんなことないわよっ! そういうのはしずの専売特許だし!」

穏乃「私だってちゃんと考えてるよ!? たしかに憧の方がちゃんと考えられてるかもしれないけどポロッと口にするのは憧の方でしょ」

憧「むぅ……しずのくせに生意気な……」

宥「憧ちゃん、ダメだよ? そんなこと言っちゃ」

憧「……はぁーい」


望「ま、そのつもりならどんどん食べ物も出しちゃうわよ? 食べきったら次のケーキも出すからね」

穏乃「はーい! 玄さんの焼いたケーキも望さんの焼いたケーキも楽しみだなあ」

晴絵「なんだ、望もケーキ焼いてくれたのか?」

望「あんたのためじゃないわよ? 楽しみにしてくれてるみんなのために、ね」

宥「望さんはお料理上手だよね~」

玄「うん、私もいろいろ教えてもらって……」

灼「花嫁修行?」

玄「ふぇ!? え、いや、その……そういう訳じゃ……!」

晴絵「……友達甲斐のないやつめ……あ、そういや玄、聞いたぞ~? とうとう萩原さんと付き合い始めたんだって?」

玄「うぇ!? だ、誰から聞いたんですか!?」

灼「…………」

宥「…………」

憧「…………」

穏乃「…………」

晴絵「みんなから?」

玄「えぇ!?」

灼「一大事件だったし……」

憧「別に口止めされてなかったし……ハルエのこと煽ってやろうと思って……」

穏乃「良いことはみんなで共有した方がいいですよね!」

宥「私も嬉しかったからつい……」

玄「憧ちゃんだけなんか酷くない!?」

晴絵「まあ、実際な、いつまでも独り身なのに教え子に先越されてどんな気持ち? ねえねえ? とか煽られたのはそこそこダメージが……」

玄「ご、ごめんなさい……?」

穏乃「憧……」

憧「いや、ちょっとした冗談のつもりだったんだけどね……」


菫「ふむ、彼氏か……羨ましいな」

晴絵「え? 羨ましいんだ……意外だな。 いつもは今は麻雀が一番で余所見をしている余裕はない、とかなんとか言ってるじゃないか」

菫「それはそうですが、ね……私はずっと女子校だったし、あまりそういう機会にも恵まれなかったので……人並みに恋愛に憧れも持っていますし」

灼「はやりんじゃなくて麻雀が一番なんだ」

菫「はやりんに順位なんて付けられるはずがないだろう。 はやりんは人生だ」

灼「……そか」

望「晴絵もちょっとは焦ったら?」

晴絵「お前が言うなって。 たいして私と状況変わらないだろうが」

望「あんたは頑張ってるうちにどんどんタイミング逃しそうでねぇ……」

晴絵「う……まあ、否定はしきれないけど……」

晴絵「…………い、いいんだよ! 小鍛治さんが結婚するまでは!」

憧「結婚しないつもりなの?」

宥「あ、憧ちゃん……もうちょっと、なんというか……」

穏乃「憧、失礼だよ! 小鍛治プロだってそのうちいい人見つかるよ!」

晴絵「そ、そうだよ。 小鍛治さんだってそのうちなんとかするよ、きっと……」

菫「ハルちゃんまで目を逸らさないでくださいよ……」

玄「結婚かあ……」

灼「したいの?」

玄「え!? ま、まあ、そりゃあ……いつかはね!? 今すぐとかじゃなくてね!?」


晴絵「しかし……たしかにちょっと羨ましいかもな、玄も楽しそうだし」

玄「そ、それは……楽しいですけど……おうちで……松実館で働くのもずっとやりたかったことですし」

灼「あとは『かわいいお嫁さん』になれば夢は全部叶うもんね」

玄「む、昔のこと言うのはやめてよぉ……」

晴絵「はは、もうすぐ全部叶うんじゃないか? 最近の若い子は進んでるって言うしなぁ」

玄「す、進んでるだなんてそんな……!」

憧「ハルエ、その発言は……やっぱりもうおばさんね……」

晴絵「やめてくれよ……ま、まだお姉さんでいけるし……」

菫「はやりんだってハルちゃんより二つ年上だが牌のお姉さんをやっているぞ」

望「……それはちょっと違うと思うけど」

灼「……とゆか、玄の慌てっぷりの方が気になるんだけど。 進んでるの?」

玄「えぇ!? そこ突っ込んできちゃうの!?」

憧「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! どういうこと!? 玄なのに!?」

穏乃「それは玄さんに失礼なんじゃ……」

宥「はぁー……玄ちゃんも大人になってるんだねぇ……」

憧「!?!?!? お、おおおお大人になっちゃったの!? まさか、越えたの!? 一線越えちゃったの!?」

玄「そそそそんなわけないよ! 手を繋いだくらいだよ!」

憧「小学生か!」

玄「なっ……むぅ……ほ、ほっぺにちゅーくらいはしたもん!」

憧「だから小学生かっての!」


晴絵「なんともまあ、玄らしいというか……」

穏乃「憧も何だかんだと言ってますけど一番進んでるの玄さんですよね?」

灼「彼氏持ちの肩書きを持ってるのは玄だけだね」

菫「0と1の差は大きいな。 あるのと無いのでは全く違う」

憧「誰の胸がゼロですか!」

菫「それは言ってないぞ!?」

灼「……0か1かで言うなら憧はあるでしょ」

穏乃「存在するんだから気にしなくていいと思うんですけどねぇ」

望「ほら、憧はそういうの気になっちゃうお年頃だから」

宥「みんな同世代ですけど…………」

晴絵「お、ケーキうまいな。 さすが玄……」

憧「ってなに自然にケーキ食べてんのよ! もっと流れとか段取りとかあるでしょ!」

晴絵「なんか騒いでるから……」

穏乃「ほうだよ! あこがにゃんか……んぐ……おいしい!」

憧「せめて言いきりなさいよ!」

宥「弘世さんはどれくらい食べますか?」

菫「む……おいしそうだが、あまり食べると……」

晴絵「打つのにカロリー消費してるから大丈夫だって」

菫「……そうですね。 では、遠慮なくいただくとしようか」

望「まだまだ出てくるからどんどん食べちゃってねー」

玄「あ、望さん! お料理追加するなら私もお手伝いしますから!」




灼「……玄はまた料理の腕上げたよね」

玄「えへへ、いい先生についてますから!」

望「生徒が優秀だからよ? ……憧ももう少し頑張った方がいいんじゃない? 最近良くなってきたけど」

憧「く、玄と比べないでよ……地力の差というか、スタートラインが違うんだし……」

穏乃「憧も地道に頑張ってるよね……」

晴絵「しずは未だに全くやらないのか?」

穏乃「お腹減った時にパッと食べる分だけ作るとかぐらいなら……人に振る舞えるレベルじゃないですよ?」

憧「嘘!? いつの間に!?」

穏乃「いや、だっておかしばっかり食べるのもよくないし……ちゃんとご飯作ってくれるお母さんにちょっとお腹減ったからなんか作って! とか言うのも悪いし……」

菫「……どこかの誰かに聞かせてやりたいな」

灼「……あの人、おかしばっかりですけど料理とかは……」

菫「できるわけがないだろう。 おかし作りに挑戦したことはあったが……」

宥「あったが?」

菫「作り始める前に材料が半分なくなる」

玄「……あ、味見ですね!」

憧「それは味見って言わないから」

晴絵「我慢できないのか……最後まで作ってから食べた方がおいしいだろうに」

菫「しかも亦野に減った分の材料を買いに行かせた挙げ句、帰ってくる頃には残りの材料も食べきってな」

宥「……それは、誠子ちゃんも気の毒に…………」

菫「紆余曲折を経てかろうじて完成した分は少し目を離した隙に何故か全て無くなってな」

灼「これはひどい」

菫「白糸台麻雀部の部訓になったぞ、おかしは買ってくるもの」

憧「……まあ、無難っちゃ無難ですよね、確実ですし」

菫「確実に自分で食べたいものは鞄から出すな、誰の目にもつかないところで食べろ、というものもあったな」

灼「照さん……」


望「ま、おかしはともかくとしても料理は少しぐらいできた方がいいわよ? いつまでも誰かが作ってくれるわけじゃないし、それこそ好きな人できたときに全く料理できないんじゃマイナスよ?」

穏乃「憧はそれで焦って料理始めたんだもんね!」

憧「別にいいでしょ! 頑張ってるんだから!」

菫「努力するのは良いことだ。 かくいう私も最近料理を学び始めてな」

灼「へぇ……まさか、意中の相手にお近づきになるために?」

菫「……そういう下心があるのは否定しないが……」

玄「そうなんですか!?」

憧「えっ! どんな人なんですか!?」

菫「天使だ」

宥「あっ……」

菫「そう、はやりんに料理を教えてもらっているんだ!」

晴絵「意中の相手に料理を習ってるんだよ……瑞原さん料理もレベル高いからなあ……」

憧「えっ……ってことは菫さんもハルエもはやりんに料理習ったり、はやりんの手料理食べてるの!? なにそれズルい! 羨ましい!」

灼「とうとう本音が隠せなくなったね」

望「我が妹ながらなかなかミーハーでねぇ……」

玄「弘世さんはお料理しない方だったんですか?」

菫「こう見えて箱入り娘でな。 包丁だってつい最近まで調理実習ぐらいでしか触ったことなかったぞ」

宥「……白糸台でおかし作ろうって話になったときは……」

菫「照と淡の思い付きを亦野と尭深が介護する形でな……私も役に立たないからせいぜい照と淡がつまみ食いするのを止めていたぐらいだったが」

灼「しかも止めきれなかったんですよね」

菫「仕方ないだろう。 あいつらを止めるのがどれだけ大変だと思っているんだ……おかしが絡んだ照なんて……」

灼「……お察しします」




望「……それにしても、みんな仲いいのね。 菫ちゃんだってあんたのチームメイトとはいえ元々ライバル同士だったのに」

晴絵「私たちの時だって、インハイで打った相手と仲良くなったりしただろ? それこそ瑞原さんなんてそれだし」

望「まあねー……私、瑞原さんに会うの久しぶりだし結構楽しみかも」

晴絵「……望も憧のこと言えないんじゃないか? お前もわりとミーハーだろ」

望「ちょっと違うでしょ? 私は瑞原さんとはもともと知り合いなんだし……ま、はやりんにも興味はあるけど。 憧がどっぷりはまってるし」

晴絵「あの人はやっぱりすごいよ……それしか言えないぐらい」

望「本当は晴絵も瑞原さんのファンなんでしょ? 話聞いてるだけでもあんたがあの人好きなのよくわかるわ。 ……ま、憧も喜ぶしね。 忙しいのはわかるけど、たまには菫ちゃんとか瑞原さんとか連れて……吉野に帰ってきなさいよ。 みんな待ってるから」

晴絵「おう……なんだかんだ、ここが一番落ち着くんだよな。 しっかり充電して明日からまた頑張るさ」

望「そう言ってくれるのはうれしいけどねぇ……実家よりうちが落ち着くってどういうことよ」

晴絵「学生時代から入り浸り立ったからなあ……今でもみんな来るんだろ?」

望「もちろん。 綾ちゃんたちも学校終わったからこっち来るって連絡あったわよ? ふふ、桜子ちゃんがはやりん好きだからきっと喜ぶわね」

晴絵「はやりんはどの世代にも一定以上のファンがいるからすごいよなぁ……」

望「吉野にははやりんよりあんたのファンの方が多いから自信持ちなさい?」

晴絵「それはさすがに言い過ぎ……お世辞よりも誕生日プレゼントとかくれよ。 年に一回のめでたい日だぞ」

望「食べ物も飲物も場所も用意してあげたでしょ? あんまり欲張らないの」

晴絵「はいはい……いつもありがとな、いろいろと」

望「どういたしまして。 あんたも、一応おめでとうね」

晴絵「気持ちがこもってないなぁ……ま、一応ありがとうございます」


カン!

時間取れてないのに月末はシノハユ最新話が来て慕リチャしたくなる病気で困る
七月はいくつの誕生日を祝えるのか…

>望「あら、弘世様」
誰だバラした奴!
ただの愛称……かも?

>>379プロになってから露出が増えてネット上でバレてしまった設定です。ファンからは親しみを込めて弘世様と呼ばれています

はやりん間に合わなかった辛い。7/16は霞さんのお誕生日です!かすたんイェイ~


初美「――というわけで、霞ちゃんの誕生日なのでなにか贈りたいんですよー」

穏乃「なるほど! 大切な友達へのプレゼントですから悩みますよねぇ……」

憧「いやいや! え!? 初美さん!? どこから沸いたんですか!?」

初美「はい、ちょっと山の方からー」

穏乃「ちょっと憧、そんな言い方初美さんに失礼だよ?」

初美「気にしてないからいいんですよー」

穏乃「でも、親しき仲にも礼儀ありって言いますし……」

憧「いや、あの……えぇ?」

初美「まあまあ憧ちゃんも気にしないで! ちょっとアドバイスをいただいたら帰りますからー」

憧「だから! 山からとか……鹿児島からなんでそんな気軽に来れるんですか!? 暇なんですか!? お金持ちですか!?」

初美「えー……はい、そうですね! そういうことにしておきますよー」

憧「ぬぅ……もやもやするなぁ……」

穏乃「初美さんは現にここにいるんだしさ! 細かいこと気にしなくてもいいじゃん! 私は初美さんに会えてうれしいですし!」

初美「えへへー穏乃ちゃんは素直でいいですねー……憧ちゃんも私に会えたことを素直に喜んでも良いんですよー?」

憧「……はいはい、どうも、ようこそお越しくださいました」

初美「やっぱり素直さが足りないですねー」


憧「……それで? なにも考えてないってことはないんですよね?」

穏乃「憧、なんだかんだ言って相談乗る気満々じゃん」

憧「な、なによ、当然でしょ! わ、私だって…………えっと、石戸さんだって変なもの贈られたって困るだろうしっ」

初美「そうですねー……とりあえず最初は服でも贈ろうかと……」

憧「はいストップ! ダメです! 考え直してください!」

穏乃「えー? なんで? 服もらったらうれしいじゃん」

憧「そうだけど! 問題が山積みだから!」

初美「そうなんですよねー……霞ちゃんは胸が規格外だからちょうど良いサイズのものを購入するのが難しくて……」

憧「問題はそこじゃな……いや、それもたしかに問題なんですけどね!?」

穏乃「まったく、憧ったら……確かに石戸さんは胸おっきいけどさ、そんなに嫉妬しなくても……」

憧「さすがにあんなに要らないわよっ! そこじゃないって言ってるでしょ!」

初美「うーん……さすがに今から霞ちゃんサイズになるのは難しいんじゃ」

憧「だから! 違いますってば!!」

穏乃「もう18になるんだからさ、そろそろ折り合いつけなよ……私も身長止まったときは結構悩んだりしたけど……」

憧「しーず! 話聞いてる!? 違うって言ってるでしょ!?」

初美「私も昔は身長高い方だったんですけどねー……あんなに小さかった霞ちゃんも今では背も胸も私とは比べ物にならないぐらい大きくなって……」

憧「だーかーらー!!」

穏乃「まあ、憧をからかうのもこれくらいにして真面目に考えますか」

初美「そうですねー」

憧「この……このっ……!」


玄「お誕生日といえば、やっぱりケーキではないでしょうか!」

初美「あっ! 玄ちゃんじゃないですかー!」

玄「この前赤土先生がお誕生日に戻ってこられたときには私もケーキを焼いたんですけど、すっごく喜んでくれましたよ!」

憧「玄……あんた仕事中じゃないの?」

玄「さっき穏乃ちゃんが連絡くれて……休憩時間になったので抜けてきたのです! なんと言っても石戸さんのお祝いをしたいということでしたし!!」

憧「……あんたはさぁ……本当に……」

初美「玄ちゃんも私と一緒で霞ちゃんのこと大好きですよねー」

玄「えへへ、そうなんですよぉ」

穏乃「いやあ、やっぱり玄さんほど頼りになる人もなかなかいないですからね!」

玄「えっへん! おまかせあれ!」

憧「……そう? 玄ってしっかりしてるけどうっかりもしてるし……正直灼さんの方が信頼度高いって言うか……」

玄「えぇ!? せ、せっかくなんだしここは素直に頼ってよ! そ、そりゃあ灼ちゃんの方がしっかりきっちりしてるかもしれないけど……」

憧「……冗談だから涙目になるのやめてって」


初美「しかし、ケーキですかぁ……王道過ぎて逆に思いつかなかったですよー……たいてい買っちゃいますし」

憧「そっか、そういうものなんですかね」

穏乃「私たちの時は玄さんとか望さんとか毎回用意してくれるもんねー」

初美「それは羨ましいですねー……しかし、普通のお料理ならともかくケーキは焼いたことないですよー」

玄「私におまかせあれ! うちに材料もあるので使っちゃって大丈夫ですから!」

初美「いいんですかー? ありがとうございますー!」

穏乃「玄さんも居ますし、これでまず間違いなくちゃんとしたものが用意できそうですね!」

憧「うん……っていうかそれこそ灼さんは? 声かけてないの?」

穏乃「部活で学校だって。 宥さんと一緒に」

憧「あー……それで玄に……」

玄「なんで灼ちゃんがいないから仕方なく私に、みたいな感じになってるの!? 違うよね!? 私頼りになるよね!?」

穏乃「はい! もちろんです!」

憧「うん、まあ……」

玄「憧ちゃん……」

憧「だから冗談だってば!」

初美「ふふ、それじゃあ玄ちゃんを頼りにさせてもらいますよー!」

玄「うぅ……おまかせあれ……」


――――――

玄「材料と、こっちがレシピで……」

初美「ふむふむ、なるほどー」

穏乃「……あこー」

憧「ん? なに?」

穏乃「気持ちはわからないでもないけどさ、あんまり玄さんいじめちゃダメだよ」

憧「別にそういうつもりじゃ……」

穏乃「玄さんが忙しくてあんまりかまってもらえないからってさー」

憧「ち、違うわよ! 別にそんなこと……」

憧「…………まあ、ちょっとは寂しいけど」

穏乃「宥さんと赤土先生に続いて玄さんも灼さんも卒業しちゃったけどさ……ほら、私がいるじゃん?」

憧「……しずと他のみんなじゃ全然違うでしょ」

穏乃「それを言われるとなー……でもほら、玄さんだって頑張っててさ、昔よりも更にしっかりした感じになってるし!」

憧「実家が勤め先とはいえ社会人だもんね」

穏乃「冗談でもあんまり言うと玄さん気にしちゃうと思うよ? もっとしっかりしなきゃーって卒業前からよく言ってたし」

憧「……しずに言われなくてもわかってるし」

穏乃「えっへへ、そっか! まあ、憧は意外とかまってちゃんだからなー」

憧「そんなことないし! そういうしずこそ結構さびしんぼじゃん」

穏乃「そうだけどー……ほら、憧が一緒にいるし? 全然へーきだって!」

憧「……そ、そう……ふーん……」

穏乃「…………」

憧「……なにニヤニヤしてんのよ」

穏乃「そっちこそなに照れてんだよー」

憧「照れてないし!」


玄「おー……初美さん結構手際いいですねぇ」

初美「書いてある通りにするだけなら余裕ですよー? お料理だって嫌いじゃありませんし……まあ、巴ちゃんの方が上手なんでだいたい任せちゃうんですけどねー」

玄「そうなんですか? これだけできるなら練習すればもっと色々作れるようになると思いますよ?」

初美「どちらかと言うと食べる方が好きなのでー……それでも今日は霞ちゃんのためですからね! 穏乃ちゃんと憧ちゃんがイチャイチャしてる間にバッチリ仕上げちゃいますよー!」

憧「い、イチャイチャなんてっ……!」

穏乃「照れんな照れんな! よぉし、初美さん! 私もお手伝いしますよ!」

憧「むぅ……わ、私も」

初美「いいんですかー?」

穏乃「私も石戸さんにはお世話になってますし! 初美さんが頑張ってるのをただ見てるのも変じゃないですか!」

憧「お姉ちゃんや玄に色々教えてもらってるし……私だってちゃんとできるんですからね!」

初美「ありがとうございますー! やっぱり持つべきものは友人ですねー!」

玄「ふふ、石戸さんに喜んでもらえるように頑張りましょう!」

穏乃「ま、初美さんが贈ったものならなんだって喜んでくれると思いますけどね!」

初美「え? なんでですかー?」

穏乃「はい! だって私だったら憧や玄さんからなにか貰ったら絶対うれしいですから! 石戸さんだって初美さんがいろいろ考えて準備したものだったら絶対喜んでくれますよ!」

玄「穏乃ちゃん……うん! そうだね!」

憧「……は、恥ずかしい奴だなあもう……」

初美「えっへへ、そうですねー! よし! 更に気合入れて作っちゃいますよー!」


――――――

霞「……あ、春ちゃん」

春「?」

霞「今日、朝から初美ちゃんを見かけないのだけれど……」

春「黒糖」

霞「え?」

春「食べますか?」

霞「え……ええ、ありがとう。 いただくわ」

霞「……あの、それで初美ちゃんは……」

春「あっ」

霞「え?」

春「姫様……」

小蒔「あっ! 霞ちゃん! お誕生日おめでとうございます! 今日はみんなでたくさんお祝いしますからねっ!」

霞「あ、ありがとう、うれしいわ! ……えっと、小蒔ちゃん、初美ちゃん見なかったかしら?」

小蒔「…………」

春「あ、寝た……」

霞「…………あの、春ちゃん?」

春「黒糖?」

霞「え? えー……うん、いただくわね」


巴「は、春ちゃんの誤魔化し方が下手すぎる……黒糖でごり押しって……」

湧「巴さん! こっち、準備できました!」

明星「あとは初美さんがケーキを持ってきてくれれば……」

巴「ありがとう、お疲れさま! ……もう、はっちゃんったら急に出ていったと思ったらケーキは用意してきますよー! だなんて……霞さんはずっと初美ちゃん探してるし……」

湧「初美さんも、こう……思い立ったら! って感じですからね……」

明星「せめてお祝いぐらい言ってから出掛ければ良かったのに……」

巴「まあ、行っちゃったものは仕方ないんだけどね……二人は少し休んでていいよ。 準備お疲れさま」

湧「いえ! 先輩たちに全部やってもらうわけにもいきませんから!」

明星「しっかりお祝いしたかったので……春さんが大変そうですし、霞さんの方に行ってきます!」

巴「あらあら……ふふ、ありがとう」

巴「……さて、と……それじゃあ、はっちゃんが帰ってくるまでにお料理の方も仕上げておかないとね」


――

――――

――――――――

初美「ただいま帰りましたよー!」

巴「はっちゃん……遅いよ! もう日が沈んじゃうよ!?」

初美「いやあ、一から作るとなるとなかなか手間取ってしまって……」

巴「えっ? 用意するって……はっちゃんが焼いたの?」

初美「はい! ちょっと山から山を渡って奈良まで行って来たんですよー! 玄ちゃんと穏乃ちゃんと憧ちゃんが手伝ってくれてですねー」

巴「へぇ、すごいじゃない……じゃなくって! 霞ちゃん、ずっとはっちゃんのこと探してたよ? ほんと、お祝いぐらい言ってから行けばよかったのに……」

初美「いやあ、プレゼントを用意するにはしてたんですけどー……朝早く目が覚めたからなにかもう少し用意できるんじゃないかと思っちゃいましてねー」

巴「ほんと、はっちゃんらしいけど……霞ちゃん、首を長くして待ってたんだからね? ちゃんとお祝いしてあげてよ?」

初美「もちろんですよー! なんといっても霞ちゃんのお誕生日ですからねー!」

巴「あと、こっちのお料理も運んでね? はっちゃん、私とお料理当番だったのにほっぽって行っちゃうんだもん……」

初美「あ……そういえば……あはは、ごめんなさい……」


初美「霞ちゃん!」

霞「あっ……初美ちゃん! ……お、お帰りなさい。 どこに行ってたの?」

初美「えへへ、ちょっと霞ちゃんのためにですねー……そんなことより! お誕生日おめでとうございますー! ふふ、また同い年になっちゃいましたねー」

霞「……ふふ、ありがとう初美ちゃん」

春「おめでとう……あ、姫様」

小蒔「うぅん……いいにおいが……あ、初美ちゃん? おかえりなさい……」

初美「姫様、お目覚めですかー? ふふふ、ところで! 見てください姫様、霞ちゃん! じゃーん!」

小蒔「わぁ! これ、ケーキですか!? すごいです! おっきいです!」

初美「えっへへ、霞ちゃんのために頑張って作ってきましたよー!」

霞「えっ? これ、初美ちゃんが作ったの?」

初美「はい! ちょっと知り合いにいい先生がいたのでー……あ、霞ちゃんにおめでとうのお手紙も預かってきてますよ!」

霞「あ……玄さんに、穏乃ちゃんに、憧ちゃんも?」

初美「たくさんお手伝いもしてもらっちゃいました! 霞ちゃんによろしくって!」

霞「わぁ……ふふ、うれしいわね。 ありがとう、初美ちゃん」

初美「いえいえ! これくらい霞ちゃんのためなら!」

巴「それじゃあ、やっと揃ったことだし始めよっか? 霞さん、二十歳の誕生日おめでとうございます」

霞「ええ……ありがとう、巴ちゃん。 六女仙の長として……これからも頑張るわ」

巴「はい、私もしっかり支えさせていただきますので……」

初美「まあまあ! 固いのは後にしてさっさと始めましょう! 姫様の我慢も限界っぽいですしー」

小蒔「ふぇ!? い、いえ、そんな! ちゃんと挨拶終わるまで待てますよ!?」

春「……姫様、よだれが……」

小蒔「ああっ!?」

巴「……もう、締まらないなぁ……霞ちゃん、お誕生日おめでとう!」

初美「おめでとうございますー!」

霞「ええ、みんなありがとう!」


カン!

霞さんはやっぱりかわいい枠だと思うのでそういうアピールも今後していきたい所存ー
インハイ前ぐらいの時期に投下したかったネタもあったけどもう夏季休暇入るような時期になってしまった…
まあ仕方ないので今後ものんびり投下続けていくつもりです

>>381
てっきりカラオケ動画がバレたのかと……


いやあ永水の微妙に上下関係ありそうな中でのナチュラルな仲良し感はいいものだ

シノハユは面白いし日和は癒しだし月末からやっぱりテンション上がるマン
すっかり月刊ペースなのは情けないですが投下します


灼「ゲームかあ」

穏乃「はい! なんでも面白いのが手に入ったから息抜きにどうかって誘われまして!」

灼「……私たち団体戦終わってから息抜きっぱなしじゃ」

憧「うちら個人戦もないからねー」

穏乃「ま、まあいいじゃないですか! せっかく誘われたんですし……憧だってノリノリでついてきたじゃん!」

憧「ちょっと! やめてよね、私がゲームに釣られたみたいな言い方……子どもみたいじゃん」

智紀「純に釣られた」

憧「な、違っ……! べ、別にそういうわけじゃ!」

灼「ともきーがゲーム好きだって聞いてたから誘ったんだけど……」

智紀「まかせて。 好きだし得意」

純「智紀はムダに得意だよな、テレビゲームとかさー」

智紀「ゲームの成績で透華が私を見つけてくれたんだからムダじゃない……そういう純は好きなわりに下手だよね、テレビゲーム」

純「うっせーな! 智紀や透華が強すぎんだよ! なにやっても勝てる気しねぇ……」

智紀「衣にテニスで負けたときは不覚にも笑った」

純「ゲームの話だろ!? リアルでやったら負けねぇから!」

灼「リアルスポーツで純くんに勝てる女子はそうそういないと思」

穏乃「私も運動は自信ありますけど身長差もあるしなぁ……バスケはセーラさんといい勝負でしたよね!」

純「けっ……次やったらオレが勝つっつーの」


智紀「……それにしても」

灼「?」

智紀「珍しい面子」

灼「たしかに」

穏乃「一さんがちょうど玄さんにアタック用の勝負服薦めてるところじゃなければみんなで行けたかもしれなかったのになぁ……」

憧「はい!? ちょっと、そんな恐ろしいことやってたの!?」

灼「玄の隣で宥さんが『その服はあんまりあったかくなさそうだねぇ……』ってブルブル震えてたからたぶん大丈夫だよ」

憧「それは宥ねえが大丈夫なの!?」

純「透華と衣もちょうど原村に絡みに行ってるとこだったからな……ま、あんまり大人数で押し掛けても迷惑だろ……既に大人数な気もするが」

智紀「ただでさえ純はスペース取るしね」

純「うっせ! 高鴨と鷺森がちっせぇからセットでちょうどいいぐらいになんだろ!」

穏乃「あはは、私たち小柄ですからねー」

灼「むぅ……認めざるをえないけど……」

憧「……ふんっ!」

灼「妬かない妬かない」

智紀「新子さんも充分小柄だしセットでちょうどいい」

憧「や、妬いてないし! そういうことを気にしてるわけじゃ……!」

灼「……ああ、胸…………」

智紀「……その、ごめん……」

憧「誰の胸が小柄よっ!? ……ってちーがーいーまーすー! いや、気にしてるけどっ! 沢村さんも謝らないでくださいよ! なんかみじめになるから!」


純「つーかさ、手土産ほんとにこれでよかったのか? カップ麺だけこんなに持ってっても……」

穏乃「大丈夫です! すっごく喜んでくれますから! ……あ! ここですね! えっと……こんにちはー! 来ましたよー!」

憧「普通にインターホン押しなさいよ恥ずかしい……」

灼「元気があってよろしい」

穏乃「えへへ、ありがとうございます!」

憧「……灼さんしずに甘くない? いや、うちの人たちみんなしずに甘いけど……」

灼「憧も充分甘やかしてるつもりなんだけど」

智紀「わざとなんだ」

灼「この子たちかわいくって」

憧「ま、またそうやって適当に誤魔化して……」

灼「憧、かわいいよね?」

純「ん? おう」

憧「だっ、だから! そうやってまた……うー……もう……」

灼「ほらね」

智紀「うん」

憧「……灼さんのばか」

智紀「たまらん」

灼「ね」

憧「……~~!!」


ダヴァン「シズノ! 待ってまシタ!」

穏乃「メグさん! お待たせしました!」

純「ほれ、土産……おい、アイツはいねぇよな?」

ダヴァン「オオ! ありがとうございマス! ラーメン大好きデス! ……アイツって監督でスカ? 寮には滅多に顔出しませんから安心していいでスヨ、ジュン」

純「ならいいけどよ……」

灼「とゆか……」

ダヴァン「なんでスカ?」

灼「なんというか……こういう部屋なのは意外と言うか……」

憧「たしかに……臨海、留学生多いし寮の設備とかしっかりしてるって聞いてましたけど……」

ダヴァン「ああ、この部屋は趣味と言いまスカ……寮はもっとしっかりしたとこでスヨ? 私は学校の近場で安い部屋借りてるんデス。 部屋代負担してもらえまスシ、こういう場所の方が落ち着くんですヨネ」

智紀「珍しい」

穏乃「私はなんかわかりますけどねー」

ダヴァン「まあ立ち話もなんでスシ、どうぞお入りくだサイ。 狭いところでスガ」

穏乃「お邪魔します!」

純「大勢で押し掛けてわりぃな」

ダヴァン「人数多い方が楽しいですカラ」


ネリー「ちょっと明華! はしっこでずっとしゃがんでるのズルいよ! 卑怯だよ!」

ハオ「近づけばいいのでは?」

ネリー「だってなんか飛ばしてくるんだもん!」

明華「遠距離攻撃は遠距離攻撃で相殺できるみたいですよ?」

ネリー「ネリーの選んだやつなんか遠距離技無いんだもん! 電気ビリビリ出るけどゼロ距離しか当たらないみたいだし!」

ハオ「ジャンプ! ジャンプして近づきましょう!」

明華「あ、このサマーソルトキックで対空も完璧みたいですね」

ネリー「もう! もう! 無理だよこれ! 勝てないって! キャラ的に!」

ハオ「手持ちの戦力でいかに戦うかというのも実力のうちではないですか?」

明華「ふっ……つまり、これが実力の差というやつですね」

ネリー「納得いかない! それじゃあキャラ交換して戦おうよ!」

明華「まあまあ、待ってください。 ネリーは負けたから一回交代です」

ハオ「仇は取りますから」

ネリー「えー!」



穏乃「わぁ! スーファミだ!」

憧「……め、滅茶苦茶楽しそうに古いゲームやってる……」

智紀「古くても良いものは良い。 名作は名作だから」

灼「……ともきーも目付き変わったね」

智紀「格ゲーは得意」

ダヴァン「中古で安かったんデス。 つい目を引かれて買ってしまいまシタ……みなサン、シズノたちが来ましタヨ、挨拶ぐらいしたらどうでスカ?」

明華「話しかけないでください! 今忙しいので!」

ネリー「ハオ! ジャンプして近づくとキックされるよ!」

ハオ「見てたからわかってますってば!」


純「……遊びに来たオレが言うのもなんだがよ、お前らゲームに夢中になってていいのか?」

ダヴァン「……たまの息抜きですカラ」

ネリー「ネリーたちは個人戦出れないし……メグの部屋でゲームする分にはタダだし!」

穏乃「あはは、ネリーはほんとそればっかだなあ」

ネリー「お金は大事だからね!」

ハオ「ネリー! 背中にひっつくのやめてください! 重いです!」

ネリー「ネリーは軽いでしょ! 重いわけないよ!」

ハオ「そういうことではなく! 集中できないので!」

明華「ファネッフー!! ファネッフー!!」

ハオ「ああ! もう、また撃ち落とされたじゃないですか!」

ネリー「ふふん、じゃあそれがハオの実力だね!」

ハオ「くぅ……!」

明華「ファネッフー!! サマソッ!!」

灼「……明華さん、ちょっと落ち着いて」

明華「だって! これ! すっごく面白いですよ!!」

智紀「だよね」

ダヴァン「ハハ、まさかみんなここまでハマるとは思ってませんでシタ」

憧「……みんな麻雀ばっかやってたからこういう娯楽に耐性無かったんですかね」

灼「……かもね」


智紀「それじゃあ私も……」

純「ダメだ! 智紀は参戦禁止!」

智紀「……なんで?」

ダヴァン「そうでスヨ、みんなで遊ぼうと声をかけたんですカラ……」

純「ダメだ! ガチな奴が入るとバランス崩れるんだよ! 技のフレーム数がどうとか見てから対応余裕とか言い始めるじゃねぇか!」

智紀「敗北を知りたい」

純「うるせーバカ!」

智紀「……バカって」

穏乃「沢村さん、そんなに強いんですか?」

智紀「……格ゲーはいくつかオンラインで上位ランカーだったことがある。 龍門渕に来てからはあまりやってないけど……」

憧「ゲームの上位ランカーとかあんまりわかんないなぁ……『のどっち』みたいなものですか?」

智紀「そんな感じかも。 あそこまで圧倒的じゃないけど」

純「素人集団にそんなのが入ったらクソつまらねぇだろうが! 下手したらリアルファイトになるぞ!」

智紀「……みんなそこまで子どもじゃないと思うけど」

ダヴァン「フム……そこまで言われるとその強さを見てみたい気もしまスガ……楽しく遊ぶのが目的ですし喧嘩になったら嫌でスネ」

ネリー「ちょっとー! 明華はもうそれ使うの禁止! 近づけないよ! ズルだよ!」

明華「ズルじゃないです! こういう戦い方をするキャラなんです!」

ハオ「ネリー、素直に遠距離攻撃のできるキャラを使った方が……」

ネリー「負けっぱなしじゃ納得いかないもん!」

明華「ふふん、キャラを変えて負けたら言い訳もできなくなっちゃいますしね」

ネリー「もう! 明華調子乗りすぎだよ! ムカつく!」

灼「……既に手遅れな気が」

ダヴァン「……こ、これくらいは日常茶飯事ですカラ」

憧「それはそれでどうかと思いますけど……」


智紀「……他にもソフト買った?」

ダヴァン「サトハに話したら実家の倉からいろいろ持ってきてくれたんでスヨ。 ファイナルなファンタジーとか」

智紀「ほほう」

灼「ともきーさっきから静かにテンション上がってるよね」

純「珍しく口数多いよな」

憧「そのシリーズなら私もさすがに知ってるなぁ……アレでしょ? 金髪のツンツン頭の主人公がでっかい剣振り回してるやつ」

穏乃「それより古いやつでしょ。 スーファミだし」

灼「お前に相応しいソイルは決まった」

智紀「……合ってるけど、それはちょっと違う」

ダヴァン「RPG、はじめてやりましたが面白かったデス。 奥深いストーリーや魅力的なキャラクター……参考になりマス」

憧「……ん? 参考?」

ハオ「私、あの火のボス好きですよ。 敵なのに正々堂々としていて……」

明華「ああ、戦う前に回復してくれたボスですね」

ネリー「ボス来ると思って回復アイテム使っちゃったからすごく損した気分になったけどね……」

ハオ「正々堂々と戦う……この姿勢を魅力的に感じたのですから取り入れるべきですね。 例えば、団体戦でも取り入れて……先鋒でサトハが稼いだ点数を平らになるまで吐き出して……」

憧「それ正々堂々と違いませんか!?」

灼「さあ、持ち点を回復してやろう」

智紀「舐めプ?」

ハオ「強者の余裕というやつです」

穏乃「おお……カッコいい!」

純「カッコいいかぁ?」


憧「うぅ……また収拾つかなそうな感じが……そういえば辻垣内さんは!? 大切なツッコミ要因が……」

明華「私をお呼びですか?」

憧「呼んでませんから!」

明華「なんでやねん!」

憧「だからお呼びじゃないですから!」

明華「むぅ……完璧なツッコミのはずなんですが……」

純「お前のは天然ボケってんだよ」

明華「え? 計算され尽くした完璧なツッコミじゃないですか」

純「…………そうだな」

憧「諦めないでくださいよぉ!」

ダヴァン「サトハは今日は個人戦に向けて練習中なんでスヨ」

灼「……付き合ってあげないんですか?」

ダヴァン「学校のスケジュール的には私たちはオフなんデス。 勝てなかった傭兵に居場所は……」

穏乃「め、メグさん……」

ダヴァン「冗談デス。 いつも練習自主参加してて疲れもたまってきたノデ、たまにはみんなで息抜きしようと思っただけでスヨ」

純「あ、傭兵と言えばオレやってみたいゲームあるんだけどよ」

ハオ「随分急な話題転換ですね」

智紀「なに?」

純「サバゲー」

穏乃「あっ! それ私もやってみたいです! 銃撃ちたい!」

憧「しずは銃とか好きよねー」


明華「サバゲーってなんですか?」

純「んー……なんつーか、戦争ごっこ?」

穏乃「モデルガンとか用意してやるんですよね? こう……バーン!」

ダヴァン「グハッ!」

穏乃「メグさんノリいい!」

憧「バーン!」

穏乃「ぐわっ!」

憧「バーン! バーン!」

穏乃「うっ! ……ぎゃー!」

憧「バーン! バーン!」

穏乃「ちょっ……! 憧! 撃ちすぎ! オーバーキル!」

ハオ「無駄弾は撃ってはいけませんよ。 補給線が確保できるとも限りませんし……」

ネリー「残弾数は生死を分けるよ?」

憧「真面目につっこまれた!? っていうかツッコミできるのね!?」

灼「かなり説明噛み砕くね」

純「わかりやすいだろ?」

ネリー「でもそれってお金かかるやつでしょ? 装備とか揃えなきゃだし」

純「透華に言ったら揃えてくれそうだし……」

ネリー「お金持ちいいなぁ!!」


智紀「……私の思ってたゲームと違う」

灼「ともきーはそういうのは苦手だよね」

智紀「元引きこもりだから……」

純「いいじゃん! みんなでやろうぜ! ほら、原村たち誘えば透華もすぐその気になるだろうし! 智紀は参謀役でもやればいいじゃんか」

智紀「……まあ、そういうのも嫌いじゃないけど」

穏乃「いいですね! 今度やりましょうよ! 人数どれくらいいればいいんだろ? うわあ、楽しみだなぁ……!」

憧「まだなにも形になってないのに気が早いんだから……っていうか撃たれたら痛そうよね。 肌に傷でもついたら嫌だし……」

純「大丈夫だよ。 オレが守ってやるからさ」

憧「ふきゅ」

灼「あっ、憧が死んだ」

智紀「見事なワンショットキル」

ハオ「外でやるんですよね? 日本では外で遊ぶときはおかしは300円までだと聞いています」

明華「そうなんですか!? こ、これは選別が難航しそうですね……」

ネリー「おかし代は誰が出すの? 自腹ならネリーは持ってかないからみんな分けてよね!」

穏乃「バナナはおやつに入るかどうかちゃんとルール決めないと!」

ダヴァン「そのような細かいルールまで決めるのでスカ……日本人は几帳面でスネ」

智紀「…………またカオスになる予兆が」

灼「憧がつっこめなくなったからバランス崩れたね」

純「そういうお前らは……」

智紀「面白いからほっとく」

灼「いちいちつっこむの大変だし……」

純「ひでぇ奴ら……」

灼「そっちが言う?」

智紀「純こそ酷い。 新子さんを弄んで」

純「なんのことだよ!?」


――――――――――――

――――――――

――――


智葉「邪魔するぞ。 おい、お前らちょっと騒ぎすぎだ……近所迷惑に……」

ダヴァン「あ、サトハお疲れさまデス」

穏乃「こんにちは、辻垣内さん! お邪魔してます!」

智葉「よう、高鴨。 来てるとは聞いてたがいったいなんの騒ぎ……」

明華「ああっ! な、なんですかその動きは!?」

智紀「ふふふ……」

ハオ「もう30連勝ですよ……なんという強さ……!」

ネリー「明華負けっぱなしだね! 調子乗ってたしいい気味だよ!」

純「だから言ったじゃねーか! 智紀と格ゲーやったらダメだって!」

智葉「…………」

憧「結局ゲーム始めちゃってから結構経ちますけど……」

灼「いいんじゃない? 楽しそうだし……憧、そっちのゴミ片付けて。 食べっぱなしきたないよ」

憧「こ、これ食べたの私じゃないわよ!」

灼「お邪魔してるんだからあんまり汚さないで帰らないと」

憧「わかってるけど……私じゃないってば……もう、片付けるけどさぁ」

智葉「……なんで鷺森と新子が掃除しててお前ら遊んでんだ?」

ダヴァン「……流れですカネ?」

穏乃「いやー、なんかこうなっちゃいまして……」

智葉「お前らなぁ……」


智葉「……おい!」

ネリー「あ、サトハ! おかえり!」

ハオ「お疲れさまです」

明華「あっ! 見てくださいサトハ! 沢村さんすっごく強いんです! 全然勝てないんですよ!」

智葉「へぇ……じゃなくって! なにやってんだお前ら! 練習休むのはともかく客に片付けさせてゲームって……っていうか! そもそもお前ら日本に麻雀しに来たんだろうが! ここ最近ゲームばっかりして……!」

ハオ「そういえば、日本では教育熱心な母親は子どもにゲームは一日一時間の制限をつけるらしいです」

ネリー「えー!? たった一時間じゃ全然出番来ないで終わっちゃうよ!」

明華「あっ、さてはサトハも一緒に遊びたいんですね? 遠慮しないで言ってくれれば……」

智葉「違う! お前ら……休むのはいいけどオフでもしっかり麻雀の勉強しろよ! それぞれちゃんと目的あって来てるんだろうが!」

ネリー「!」

明華「!」

ハオ「!」

ダヴァン「!」

穏乃「おぉ……空気が引き締まった……!」

憧「さすが……やっぱり風格があるわね」

灼「威圧感……」

智紀「つよそう」

純「いや、あいつ強いけどな」


ダヴァン「……そうでスネ。 サトハの言うことももっともデス」

智葉「メグ……」

ネリー「うー……まあ、たしかにタダだからって最近遊びすぎたかもだけど……」

ハオ「……ちょっとした息抜きのつもりが、熱中しすぎていたかもしれませんね」

明華「……ありがとうございます、サトハ。 目が覚めました」

智葉「……わかってくれたならいい。 まあ、客も来てるし分をわきまえて遊ぶ分には……」

明華「いえ、麻雀をしましょう! このまま続けても沢村さんに勝てる気がしませんし!」

智葉「それが本音か!?」

明華「いえいえ! 麻雀を打ちに日本に来たんですから!ね!」

ハオ「ええ、打ちましょうか」

ネリー「はぁ……みんなやる気になっちゃったならしょうがないかな」

ダヴァン「フフ、みんなやる気満々でスネ」

明華「当然です! さあ、打ちましょう!」



明華「わたしは しょうきに もどった!」



智葉「ダメなやつじゃねぇか!!」


カン!

某ハイスコアな少女が連載再開したので…
ゲームとかは有珠山のイメージが個人的に強いですがメグの狭い部屋に集まってわいわいゲームとかやってたらかわいいと思いました(こなみ)
狭いしネリーはメグの膝に座ったりハオや明華の背中にひっついたりするんだよきっと(願望)


>>396流出させてるとしたら爽あたりな気もしますがここの弘世様は流出してなくても同じようなことしょっちゅうやってそうなんで遅かれ早かれ世間にバレそうです

暑くなってきてすっかり宥姉の季節ですね
投下します


いちご「……なあ、宥ちゃん」

宥「いちごちゃん、どうしたの? そんな深刻な顔して……」

いちご「……ちゃちゃのんな、ずっと考えとるんじゃが……やっぱり、プロになりたいんよ」

宥「うん」

いちご「そうすると、やっぱり団体戦でのミスはマイナスが大きいし、個人戦で結果を出さないといかんわけじゃ」

宥「うん、そうなるねぇ」

いちご「じゃろ? しかし、こう見えてちゃちゃのんも麻雀やって長いけえ、自分の実力っちゅうもんもよーくわかっとるつもりじゃ」

宥「うんうん」

いちご「結果を出すっちゅうても、宮永や辻垣内に勝つのは……まあ、正直難しいじゃろ? それに、荒川や神代みたいなのだけじゃなく今年は一年生も活きがいいしのう……」

宥「みんな凄いよねえ……」

いちご「ちゃちゃのんの力はこの全国じゃあせいぜい中の上……あ、いや、上の下くらいじゃから……」

宥「……ちょっぴり見栄張ったね」

いちご「う……いいんじゃ! それくらいの自信はあるってことじゃ!」

宥「ふふふ」

いちご「うぅ……とにかく、全国優勝が目標なのは変わらんが、現実的にはベスト16ぐらいがいいとこじゃと考えとるんじゃが……」

宥「……うん、十分狙えるんじゃないかな。 対局の組み合わせにも多少は左右されると思うけど……」

いちご「宥ちゃんがそう言うならちゃちゃのんの分析も的外れってことは無さそうじゃな……ぼんやりしとるように見えて宥ちゃん意外としっかり見とるからのう」

宥「ふふ、うちの先生がそういうの得意だから……これでも、ちゃーんと見てるんだよ?」


いちご「ま、そうは言ってもベスト16じゃやっぱりちょっと弱いけえ……順位だけじゃなく、上の奴を二、三人食うぐらいの活躍をしたいのう」

宥「そうだねぇ……卓は四人で囲むものだし、面子や状況によっては大きな一撃を入れることだっていちごちゃんなら狙えると思うよ?」

いちご「ふふ、そうじゃろ? そうじゃなあ……ここはやっぱり、憎っくき愛宕に役満ぶち当てて意趣返しぐらいはしたいのう……」

宥「あはは……役満は狙って出せるものじゃないけど……でも、そうだね、団体戦の借りは返したいよねえ」

いちご「インハイ終わっても国麻があるとはいえ、やっぱりやられたまま広島帰るんじゃ気持ち悪いからのう……個人戦で雪辱を果たしたいとこじゃ」

宥「まあ、愛宕さんに限らないけどしっかり対策練らないとだねぇ……今年からの淡ちゃんや咲ちゃんはともかく、三年生や二年生は牌譜もたくさん残ってるし」

いちご「うん、あまり時間はないができるだけ戦い方煮詰めとかんとな……ところでのう、宥ちゃん」

宥「はぁい、なんでしょう?」

いちご「少し言いにくいんじゃがな……」

宥「そんな、私たちの仲じゃない。 遠慮なく言ってよ」

いちご「あのな……」

宥「……うん」

いちご「宥ちゃんにはちょうどええんかもしれんがのう……この時期、外でお喋りするんはちゃちゃのんには辛いんじゃ……」

宥「えっ」

いちご「今日もあっついのう……」

宥「い、いちごちゃん? 大丈夫?」

いちご「うあー………………」

宥「え、えっと、お水と……ど、どこか冷房のきいたところに……」


――――――

いちご「うう……きもちわる……」

宥「ご、ごめんね、いちごちゃん! 無理させちゃってたなんて……お、お水! いっぱいもらってきたから!」

いちご「ありがとー……」

宥「ごめんね、ごめんね……ど、どりんくばー! 好きなだけ飲んでいいから!」

いちご「ドリンクバーって元からそういうものじゃろ……ちゅうか、とりあえずは水でええわー……」

宥「あ、そっか、そうだね! えっと、えっと……あ、アイスとかケーキとか! 好きなだけ食べていいから! お詫びに私がおごるからね!」

いちご「うぅ……これ以上ちゃちゃのんを太らそうだなんて宥ちゃんは鬼じゃな……」

宥「うえぇ!? ご、ごめんなさい……」

いちご「いや、冗談じゃ……復活したら……少しいただくとするかのう……」

宥「う、うん! 遠慮しないでね?」

いちご「いや、ファミレスってやっぱり割高な感じするしのう……それならここでは遠慮しておいて後日もっとええもんおごってもらう方が……」

宥「結構打算的!?」

いちご「あっはは、冗談じゃあ……」


いちご「はぁ……」

宥「ま、まだ気持ち悪い?」

いちご「いやな、店内は冷房効いとるしこうやってテーブルに突っ伏しとると冷えててなかなかこれがええ具合なんよ」

宥「そう? それならいいんだけど……」

いちご「そういう宥ちゃんは大丈夫か? 冷房効いとるけど」

宥「うん、私結構厚着だし……」

いちご「結構っちゅうか真夏にマフラーはなかなかアレじゃぞ? 見てるだけであっついわ」

宥「ご、ごめんなさい」

いちご「いや、別に謝らんくてもええけど……うん、だいぶよくなってきたし今後のこともしっかり考えとかんとな! ……そういや宥ちゃん、姫松やら千里山の方は結構交流深いって聞いとるんじゃが……」

宥「あ、うん。 仲いいみたいだよ? 私たち、三箇牧の荒川さんとも練習試合したことがあるんどけど、三箇牧も含めてよく練習試合組んだりしてるって聞いたから」

いちご「……泉でも呼び出して愛宕の弱点でも聞けんかのう」

洋榎「うちに弱点なんかないで?」

いちご「おわぁ!?」

宥「あ……愛宕さん? こ、こんにちは……?」

洋榎「あ、強いて言うなら天才美少女雀士で向かうとこ敵無しで退屈なこととか? あ、佐々野ちょっとつめてーな! 相席ええやろ?」

いちご「えっ、あっ、ちょ! あぁ!?」

恭子「アホなこと言うとらんで……どーもすみません! 黙らせますんで! むしろ追い出すんで! 主将! 知り合いだからって絡まんでください! 迷惑やろ!」

由子「天才美少女雀士とか……寝言は寝て言えなのよー」


洋榎「いやー今日もあっついな! いや、監督がな、詰め込みすぎてもアカンから今日はオフでええよーなんて言うもんやからちょっと観光でもしようかと思ったんやけどな? あんまり暑いんでとりあえずそこら辺で飯でもー言うてたら松実姉が目に入ってなぁ!」

宥「わ、私ですか?」

洋榎「この真夏にマフラーなんて目立ちまくりやで! すぐにわかったわ! 今日は阿知賀のみんな居らんのな? 佐々野と仲ええん?」

宥「あ、はい、その、友達で……」

洋榎「あ! そういや佐々野! 団体戦じゃどうもな! いやーこの私ともあろうものがちょっとヤバいかなーとか思ったけどなぁ! 人生初の公式戦での役満和了り! むっちゃテンション上がったわ! いや、結局臨海と清澄にやられて姫松敗退してもうたけど……」

恭子「主将!!」

洋榎「あ? なんや恭子、そんな大声出して……腹減っとんの? 先に注文しててええよ?」

由子「ひとりでペラペラうっさいのよー」

洋榎「そんなんいつもやろ」

恭子「開き直るなや!」

由子「宥ちゃんもぼーぜんとしてるのよー? ちゃちゃのんもごめんなのよー……ちょっとデリカシーの無い子だけど悪気はないのよー」

いちご「……お、おう。 ほうかいね」

洋榎「そや! 悪気はなかったんや! ほら、恭子も謝り」

恭子「え?はあ……? こりゃどうも、えろうすんません」

由子「てめーが謝れって話なのよー」

洋榎「ははは、すまんな! あ、おねーちゃん! 注文ええかー? えっとな、これとこれと……」

宥「……えっと……あれぇ?」

いちご「……ん? あ! ……い、勢いで相席されてもうた……」


恭子「いや……ほんま、申し訳ないです……邪魔してもうて……」

宥「あ、いえ……私は別に……」

いちご「まったくじゃ! っちゅうかなんでよりにもよってちゃちゃのんの隣に来るんじゃ! ちょっと離れんか! 近いわ!」

洋榎「なんや、そんな邪見にせんでもええやろ? インハイで打ち合った仲やんか~」

いちご「うっさいのう! 馴れ馴れしいわ! このアホ!」

洋榎「えぇ……なんでこんな嫌われとるん?」

恭子「いや……そりゃあ……なあ?」

由子「洋榎は勝った側なのに遠慮無さすぎなのよー」

洋榎「そんなん、もう過ぎたことやんか」

恭子「誰もが主将みたいに切り替えられるわけやないんですよ」

洋榎「そういうもんか?」

由子「そういうもんよー……それこそ恭子とか見てればよくわかるのよー」

洋榎「あー」

恭子「……こう、遠慮のなさで言ったらゆーこもええ勝負やと思うで」

由子「他所様にはちゃんと気を遣ってるから問題ないのよー」

恭子「……まあ、別にええけどな」

いちご「なにひとつよくないじゃろ……」

洋榎「ま、ええやんええやん! あんま気にすんなや!」

いちご「だからあんたが言うことじゃないじゃろ!?」


宥「……ま、まあ、いちごちゃんも落ち着いて……最初っから喧嘩腰なのもよくないよ? 愛宕さんだって悪い人じゃないんだから……」

いちご「少なくともちゃちゃのんとは相性が悪い人なんじゃ!」

洋榎「おっ、上手いこと言うやん」

由子「ちなみに洋榎は頭が悪いのよー」

恭子「頭は悪くないやろ。 バカだとは思うけど」

洋榎「恭子も結構容赦ないな!?」

いちご「だからぎゃーぎゃーうるさいんじゃ! これだから大阪人は……」

洋榎「あ、そういや泉がどうのー言うてたな? なんや、あいつとも仲ええん?」

いちご「仲よくないわ!」

宥「いちごちゃんと泉ちゃんは仲いいですよ」

いちご「仲よくないわ!!」

恭子「仲ええんやな」

洋榎「はっは! ま、うちがあまりにも強すぎるからどうにか弱点を探りたいって気持ちもわからなくはないがな!」

いちご「そういうこと自分で言うか普通!?」

由子「洋榎はそういうこと言うのよー」

洋榎「しっかし泉に聞いてもどうしようもないやろ? 一年にしてはなかなかやる方やけどうちの弱点見抜けるほどじゃないわ……ま、元から弱点なんかないけどな!」

宥「す、すごい自信ですね……」

由子「しかしそんな洋榎にも弱点はあるのよー」

いちご「なんじゃと!?」

洋榎「はぁ!? ちょ、なんやそれ初耳なんやけど!」


由子「ずばり、千里山の愛宕監督よー」

いちご「それをどう対局に活かせと!?」

洋榎「別に弱点でもないわ! 全然怖くないし! むしろ毎日唐突に夕飯のリクエストとか言って困らせてるし!」

恭子「ただの我が儘な娘やん……」

由子「えー? それじゃあ、絹ちゃん」

いちご「だからそれをどう対局に活かせと!?」

恭子「まあ、絹ちゃんにはかなわんなぁ」

洋榎「そんなことないやろ! むしろお姉ちゃん風ぴゅーぴゅー吹かせとるし! そりゃあちょっとは甘いかもしれんけど!」

宥「ふふ、それじゃあ私の弱点は玄ちゃんだなぁ」

恭子「……ちょっと?」

洋榎「ちょっとや! むしろ絹に甘いのは恭子の方やろ!」

恭子「……そうか? 厳しい先輩やっとるつもりやったんやけど……」

由子「あ! それじゃあ洋榎の弱点はマナー悪いところなのよー」

洋榎「別にマナー悪くないやろ!」

いちご「いやいや、マナーは悪いじゃろ」

恭子「残念やけど……」

宥「あはは……」

洋榎「はぁ!? マジでか!? マジで言うとるんか!?」


洋榎「いったいうちのどこがマナー悪いって言うんや! ちょっと言ってみぃ!」

由子「まずトラッシュトーク激しいのよー」

恭子「対局相手煽ったりすんのほんとよくないですよ、主将」

いちご「対局中にあんなに喋るの全国でもあんたぐらいじゃぞ」

洋榎「いや、セーラとかもかなりうるさいやん! なんでうちだけ!?」

由子「それは洋榎が話しかけるから返事してるだけなのよー」

恭子「無視するのも感じ悪いしなぁ……なんだかんだ律儀な人ですし」

由子「対局中にペラペラ喋り始めたら審判を呼んでジャッジキルを狙うのよー」

いちご「ふむ、なるほど……」

洋榎「真に受けるなや! ってか失格になるほど喋っとらんやろ!!」

恭子「いや、それでも普通じゃないぐらいは喋ってますよ」

宥「あの……話す量よりも、その、内容が……」

洋榎「そんなに煽っとるつもりないんやけど!? つーか松実姉も意外と結構言うな!?」

宥「え、あの、ごめんなさい……」

由子「言ってることは正しいから謝らなくていいのよー」

恭子「いや、実際私もあの態度の悪さはなんとかしてほしいと前々から……」

洋榎「え? え? そこまで!? うち責められる流れなん!?」


いちご「……まあ、別にマナー悪すぎて失格になる分にはいい気味じゃが」

洋榎「失格にはならんって! 今までも失格になったことないし!」

恭子「結構頻繁に注意は受けてますけどね」

由子「さすが洋榎は普通じゃないのよー」

洋榎「それは誉めてないやんな!?」

宥「普通は注意も受けないですからねえ」

洋榎「……お姉ちゃんみたいな子にしみじみ言われるとさすがにちょっとダメージ受けるで……」

いちご「……やっぱり、卓での借りは卓で返さんと気持ち悪いからのう……個人戦、あんたをはっ倒すのを楽しみにしとるんじゃからな。 ちゃちゃのんと当たるまで敗退せんようにな」

洋榎「……ふふん、いっぱしにライバル気取りか? 悪いがうちの相手は宮永やセーラなんでな……そっちこそ、そんなにうちにやられたいんなら精々頑張って勝ち残るんやな」

由子「また偉そうになんか言ってるのよー」

恭子「気合入れるのはええですけど、江口とはほぼ五分ですし宮永には今まで勝ててないですからね……しっかり練習せんとアカンで。 うちのまとめたデータしっかり頭入れたんか?」

洋榎「だから大丈夫やって! 今年こそ全員倒してうちが頂点立ったるから黙って見とき!」

いちご「ほんと、根拠のない自信に溢れとるやつじゃなあ……」

洋榎「ふん、自信が持てんなら最初から打たない方がマシや。 うちは全試合サンコロにするつもりで打っとるで? 自分に自信持てなくなったらおしまいや」

いちご「……ちゃちゃのんだって負ける気なんかないけえね」

宥「おおー……いちごちゃん、燃えてるねぇ」

いちご「そりゃそうじゃ! やっぱり愛宕はいちいち鼻についてムカつくし……こんなのに負けたまんまじゃすっきりせんけえね!」


洋榎「ほんとに嫌われたもんやなあ……まま、うちは別にあんたのことは嫌いじゃないんや。 あんまり敵視されたまんまでもちょっと気分悪いし……」

由子「それならとりあえず煽るの止めたらいいと思うのよー」

洋榎「え? だから別に煽っとるつもりないんやけど……」

恭子「それが一番の問題やな」

洋榎「むぅ……とにかく、気を悪くしたなら悪かったわ。 ここは奢るから好きなもん頼めや!」

いちご「えっ? ええんか?」

洋榎「もちろんや! な、恭子!」

恭子「へ? あ、うん……ん? おい! もしかして私に払わせる気じゃ……!」

洋榎「ほら! 恭子が奢ってくれるって!」

恭子「洋榎!! おい!!」

いちご「えっとな、それじゃあ……」

由子「目に見えてうきうきしはじめたのよー」

宥「いちごちゃん、それでいいんだ……」

いちご「ちゃちゃのんな、ちゃちゃのんなあ……この、おっきないちごのパフェが食べたいんじゃ」

洋榎「共食いか!」

いちご「あ痛ったぁ!?」

洋榎「い、いちごがいちごのパフェって……くくっ……な、なかなか面白いやつやな、あんた……」

いちご「なんも面白いこと言ってないじゃろ!」

洋榎「はっはっは! 気に入ったでいちご! これからは仲良くやろうや!」

いちご「ちゃちゃのんはあんたのこと気に入らんわ! こんのアホがぁ!」

宥「い、いちごちゃん……」

恭子「……ほら、あんまり騒がんでくださいよ……宥さんも困っとるし……」

宥「ふふ、いちごちゃん元気になったみたいでよかったあ」

恭子「やっぱり宥さんもどっかずれてますね!?」

由子「さすが全国、変な子ばっかなのよー」


カン!

五位決定戦やスピンオフ開始で怜をはじめとして関西勢は出番や掘り下げが期待できるので注目していきたいです
ほぼずっと半泣きの成香ちゃんかわいい

乙です
姫松三年生トリオと宥姉&ちゃちゃのんですか!
面白かったです!
って言うか由子さんは財布を出さないんですね
お嬢様なのに

ゆうたんイェイ~
ちょっと事情でPC触れないんでまた後日投下しに来ます

>>431ひとりで好きなもの食べて自分の分だけパッと払ってそう。ゆーこは本編で描写増えるにつれマイペースな毒舌家ってイメージになってます
今更ながら投下。一週間経ってしまった…


「……、…………」

宥「んー……」

「おは…………、……朝御飯が……」

宥「んにゅ…………あと五分……」

声をかけられて、目が覚める

……とは言っても、今は夏の長期休暇中。 いわゆる夏休み。 ゆっくりお休みしてても大丈夫なのです

ぺちぺちとほっぺたを叩かれているのを感じるけれど、今日はもうちょっとゆっくりしたい気分なのです。 ……今日はというか、いつもだけど

宥「うー……くろちゃーん……もうちょっとぉ…………」

灼「いつもこんななの?」

玄「え、えっと……その、夏休み中は……な、夏休み中だけだよ? お姉ちゃん、しっかりしてるもん」

灼「……そか。 それじゃあ、そういうことにしとく」

宥「……!? あ、ああ、灼ちゃん!?」

灼「おはようございます、先輩」

宥「え……や、やだっ! もう……な、なんでぇ!? ち、違うの! い、いつもはもっとちゃんと……た、たまたま! 今日はたまたまのんびりしたい気分だっただけで……」

灼「寝顔、かわいかったです」

宥「あう……は、恥ずかしぃ…………く、玄ちゃん!」

玄「は、はいっ! どうしたの、お姉ちゃん」

宥「どうしたの、じゃないよぉ……あ、灼ちゃんが来るなら先に言ってよぉ!」

玄「ご、ごめんなさい……」

灼「……珍しく姉妹っぽい力関係が」


灼「とゆか、わりと急に来たので」

宥「うぅー……そうなの?」

灼「変に早い時間に目が覚めて……」

玄「私はもう動いてる時間だったからちょっとお話ししてたんだよ」

灼「こっち来るとき穏乃とすれ違ってびっくりした……なんか目が覚めちゃったんで山行ってきますっ! って走ってっちゃったけど」

玄「インターハイで東京行ってたから、しばらく山行ってなかったもんね」

宥「そうなんだ……穏乃ちゃんは相変わらず元気だね…………あ、それじゃあ憧ちゃんは?」

灼「休みだし寝てると思」

玄「夏休みだもんね……宿題は終わらせたって言ってたし、ゆっくりできるんじゃないかな」

宥「……私も、課題は終わらせてあるよ?」

灼「そうですか。 私もです」

宥「うー……灼ちゃん……」

灼「なんですか?」

宥「……なんでもないけど…………」

灼「……宥さん、やっぱりかわいいですよね」

宥「……もうっ! そういうのは、ちょっと違うのに……」

玄「ふふ……灼ちゃん、あんまりお姉ちゃんいじめたらダメだよ?」

灼「わかってるけど、ついね」

宥「むぅ……」


灼ちゃんは、しっかりしている。 私なんかよりも、全然しっかりしているのだ

阿知賀の麻雀部の時も灼ちゃんが部長になって……まあ、これは私もその方がいろいろと助かったからいいんだけれど

ともかく、阿知賀の麻雀部に入った時にはじめて後輩を持った私にとっては、灼ちゃんと穏乃ちゃんは初の後輩さんなのだ

……憧ちゃんは家の付き合いもあってずっとお友だちな感じだったからちょっと違うんだよね

残念ながら、灼ちゃんとは昔はよく一緒に遊んだけれど当時はちょっぴり疎遠な感じになってたし……

まあ、なにが言いたいのかというと、結局私は先輩ぶりたいのだ

しっかりものの頼れる先輩というものになりたいのだ

こういう、ちょっとだらしなくしているところを見られると……やっちゃったなぁといった感じで……

宥「うううう…………」

玄「ほら、お姉ちゃん! 灼ちゃんも来てくれてるし、一緒に朝御飯にしよ? 着替えて着替えて!」

灼「……抱っこして起こした方がい?」

宥「……く、玄ちゃん! 灼ちゃんに変なこと言わないでよぉ!」

玄「ご、ごめんなさい!」

……ちょっと起き上がれない日は玄ちゃんに起こしてもらってるけど、なにもそんなことまで言わなくても……玄ちゃんが灼ちゃんと仲良しなのは知ってるけど……

宥「もう……灼ちゃんのいじわる……」

灼「ふふ、ごめんなさ……」

灼ちゃんは、大学に進学してからは特に、私が先輩ぶりたいのをわかっている節がある

わかっていて甘えてくれたり、頼ったりしてくれているんだろうなーって感じることも多いから、やっぱり灼ちゃんはしっかりしてるんだなあって思うんだけれど……それはそれで、やっぱり悔しいなあ

灼「……あ、宥さん」

宥「……なぁに?」

灼「誕生日、おめでとうございます」

宥「あ……」

玄「えへへ、おめでとうお姉ちゃん! 今日で二十歳だね! もう大人なんだね~」

灼「お寝坊さんだけどね」

宥「あっ……灼ちゃん!」

灼「ふふ、あっちで待ってますから」

宥「うぅ……もう……!」

……明日からは、ちゃんと早起きしよう。 うん……明日から……


パジャマから着替えて、ちょちょいっと身支度を整えてから居間に向かうと玄ちゃんと灼ちゃんがちょこんと座って待っている

宥「待たせちゃってごめんねっ!」

灼「いえ、私こそ朝からご飯いただいちゃって……」

玄「灼ちゃんの分ぐらいすぐに用意できるから気にしないでっ! 早くから一緒だったから準備自体は急にでもなかったし……あ、お姉ちゃん」

宥「どうしたの、玄ちゃん?」

玄「こっち、ちょっと髪跳ねてるよ」

宥「えっ?」

玄「動かないでねっ! 私が整えてあげるっ!」

宥「だ、大丈夫だよ、自分で……」

玄「いいからいいから! 遠慮しないでっ!」

灼「……こういうとき急に活き活きとするよね、玄は」

宥「や、やめてよ玄ちゃん……灼ちゃんもいるのに……」

玄「えー? そんな、今さらじゃない」

宥「あう……」

そ、それはたしかにそうなんだけど……そうなんだけど……

灼「玄、たしかにその通りだけど宥さんはそれを気にしてるんだから」

宥「うぅ……」

あ、灼ちゃんも今さらだって思ってるんだ……そりゃあ、私もそう思ってるんだから当然なんだけど……

灼「……ちょっと玄にお世話されてるぐらい気にすることないですから。 そもそもみんななにかしら世話焼かれてるし……」

玄「そう? 灼ちゃんはいっつもきちっとしてるからなあ……」

灼「……ま、世話されるにしても宥さんにならともかく、玄にってのもね」

玄「え? どういうこと?」

灼「そゆこと」

玄「えぇ~?」


玄「私のなにがいけないの……?」

灼「いけないとかじゃなくて、同い年の友達に世話されっぱっていうのも……先輩の宥さんに面倒見てもらうのとは違うし」

玄「そっかあ……なるほど、つまり私が嫌いとかってわけじゃ……」

灼「そんなわけないでしょ……むしろ玄はいいとこばっかだし」

玄「えっ? えへへ、そうかな……?」

灼「器量よし性格よし家事全般完璧だし嫁に欲しいぐらい」

玄「えへへ、そんなに褒めてもおかわりぐらいしか出せないよ~?」

灼「おかわり。 おいしい」

玄「ふふ、いっぱい食べてね!」

灼「ありがと」

宥「……灼ちゃん、朝から結構食べるね」

灼「朝早かったので……なによりおいしいから、つい」

玄「~~♪」

灼ちゃんに褒められて玄ちゃんも上機嫌だ。 いつも以上ににこにこしながら灼ちゃんのお茶碗にご飯をよそっている

私にとって玄ちゃんは自慢の妹だし、玄ちゃんが褒められるのは私にとってもうれしいことなのだ

……灼ちゃん、私にお世話されるのはいいんだぁ……

宥「……ふふふ」

玄「? お姉ちゃん、どうかした?」

宥「なんでもないよ~?」

よぉし、これからもお姉ちゃんとして……じゃなかった、先輩として灼ちゃんの面倒を見てあげないと!

宥「~~♪」

玄「~~♪」

灼「…………ふふっ」




穏乃「おはようございますっ!」

宥「わわっ、穏乃ちゃん? おはよう~」

穏乃「あっ! すみません! お邪魔します! 宥さんお誕生日おめでとうございますっ! えっと、あと……」

灼「夏休みの宿題は?」

穏乃「えっ!? えっと、その……あ、あと少し……残ってて……あ、あの……」

灼「…………」

穏乃「あ、いえ! ちゃんとやりますよ!? ちょっと止まっちゃってますけど……インハイもあったし……」

灼「憧はこの間終わったって言ってたけど」

穏乃「あー……それは、ほら、憧は……私より頭いいですし? 進度にも多少差が出るのは仕方ないというか……」

灼「もう夏休み一週間も無いけど」

穏乃「は、はい……そ、そうなんですけど……」

宥「それじゃあ、私がお手伝いしてあげるよ~」

穏乃「!! いいんですか!?」

灼「手伝ってあげるのはいいですけど、あんまりやり過ぎたらダメですよ。 穏乃のためになりませんし」

宥「う、うん……気をつけるね」

玄「灼ちゃんは厳しいねぇ……」

灼「玄は甘過ぎ」

玄「そうかなあ……?」

灼「私が宿題手伝い禁止令出してなかったら全部やっちゃってたでしょ。 玄だって忙しいのに……」

玄「ま、まさかあ! さすがにそこまではやらないよお……」

穏乃「えっ? あ、灼さんそんな、禁止令なんて出してたんですか!?」


灼「ダメだった?」

穏乃「いや、ダメとかでは……でも、その……知っての通り私はあんまりお勉強は得意ではなくて……」

灼「憧に聞いてみたら?」

穏乃「だって憧、自分でやらなきゃ意味ないでしょ、って……少ししか教えてくれないし……」

灼「自分でやれるところまで頑張りなさい」

穏乃「それは、もちろん頑張りますけど……」

宥「憧ちゃんも少しは教えてくれるんだね」

穏乃「でもですね! 憧の場合私のためとかじゃなくって単純に教えるのめんどくさがってるだけですよ!?」

玄「そ、そんなことはないと思うけど……」

穏乃「うあー……誰だよ宿題とか考えたやつー! もう! せっかくの夏休みなのにー!」

灼「ギリギリまで遊んだんだから残りはお勉強も頑張りなさい」

穏乃「はーい……」

玄「厳しいお父さんだねぇ」

灼「誰が……玄」

玄「はぁい……お茶淹れたよ」

灼「ありがと」

玄「ほらほら、穏乃ちゃんもいっぱいあるから食べてね~」

穏乃「いただきます! いやあ、朝からご馳走になっちゃってすみません!」

玄「いえいえ、私も朝から穏乃ちゃんに会えてうれしいよ~」


穏乃ちゃんも少し山を駆け回って満足したのだろう、スッキリした顔で入ってきた……んだけど、どうも宿題の話は痛いところだったらしい

灼ちゃんに叱られてしょんぼりして……

穏乃「おいしいです! 玄さん! おかわりしてもいいですか!」

玄「もちろん!」

……もう元気になってた……まあ、元気になってくれたんならなんにも問題はないんだけど

宥「……それじゃあ、ご飯食べたら穏乃ちゃんの宿題やろっか?」

穏乃「うっ……あ、はいっ! よろしくお願いします!」

灼「……ちなみに、どれくらい残ってるの?」

穏乃「……いや! 本当にそこそこは終わらせてあるんですよ!? 憧と初瀬がちょっと手を貸してくれたし……」

玄「憧ちゃんと初瀬ちゃんなら心強いね!」

穏乃「いやあ、アレがなかったらちょっとヤバかったですね……」

灼「どれくらい残ってるの?」

穏乃「……えーごがまったく手がついてないです…………」

灼「そこ残しちゃったか」

穏乃「数学は初瀬の晩成パワーでなんとか終わらせたんですけどね……教えるの上手くて助かっちゃいましたよ。 憧んちで集まってやったんですけど桜子とか中学生組にまで勉強教えてましたし」

宥「初瀬ちゃん、けっこう面倒見いいよねぇ」

穏乃「憧がアレでけっこう抜けてるとこありますしねー……中学時代は世話焼いてくれてたんじゃないですかね」

玄「ふふ、憧ちゃんはけっこううっかりしてるとこあるからね」

灼「……玄には言われたくないって思ってそうだけど」

玄「あはは、憧ちゃんによく言われてるよ。 私、自分で言うのもなんだけど最近はしっかりしてると思うんだけどなぁ」


実際、元々しっかりしている玄ちゃんがますますしっかりしてきたので私もそこに甘えてのんびりしているところもあったし……

……さっきも灼ちゃんに恥ずかしいところ見られちゃったし

お姉ちゃんとしてしっかりしたいんだけど、ついつい玄ちゃんに甘えちゃうんだよなあ……

穏乃「? 宥さん?」

宥「あ、なんでもないよ? ……ね、やっぱり憧ちゃんにも声かけようよ。 仲間はずれにしてるみたいだしさ」

穏乃「そうですね! 声かけないと拗ねちゃいますし! ……でもまだ寝てると思いますよ? 望さんに叩き起こされてなければ」

灼「……あと30分ってとこ?」

穏乃「そうですねー……朝御飯食べて二度寝する前に連絡すれば……あ、でも今日は平気かな? 龍門渕さんたち来る予定ですし!」

玄「ふふ、そうだね。 むしろそのせいで身仕度にたくさん時間かかっちゃうかもだけど」

灼「玄は準備しなくていいの?」

玄「え? 私はいつでも平気だよっ! 松実館のスタッフとして身だしなみには気をつけてるし宿泊予定のお部屋もバッチリ準備して……」

灼「……スタッフとしてじゃなくて」

玄「そ、それは……ど、どうしよう、変なとこないよね? 大丈夫だよね?」

穏乃「完璧です!」

宥「今日も玄ちゃんはかわいいよ~」

玄「そ、そう? そうかな? よぉし……」

灼「毎度毎度そこまで緊張しなくてもいいと思うんだけど……じゃ、ちょっと憧に電話してくる」

穏乃「お願いします! あ、玄さん! おかわりもう一杯いいですか!」

玄「はーい! 穏乃ちゃん、かなりお腹減ってた?」

穏乃「山行ってたので! いやあ、気持ちよくご飯が食べられますよ!」




朝ごはんを食べて少しゆっくりして、玄ちゃんがお仕事に戻ったぐらいから穏乃ちゃんの宿題を一緒にはじめて――灼ちゃんにちょっと手を出しすぎって叱られちゃった。 加減が難しいなぁ

穏乃「うー……宥さん宥さん、これで合ってます?」

宥「どれどれ……えっと……うん、大丈夫。 ちゃんと文法も頭に入ったみたいだね! えらいえらい」

穏乃「えへへ……よかったあ」

灼「穏乃は一回集中できれば一気に進むんだけどね……明日になったら忘れてた、とかにならないように」

穏乃「はーい」

灼「それじゃ、終わりも見えてきたし少し休憩しよっか」

宥「いいの?」

灼「適度に休憩した方が効率いいと思いますし……龍門渕軍団が到着するまでに終わらせるのがベストだと思いますけど」

宥「軍団って……」

穏乃「あっ! そっか! 一さんたちが来るんだった! このまま一気に終わらせちゃいますっ!」

灼「無理しなくてもいいよ?」

穏乃「いえ! 今集中できてるし気持ちも乗ってるんで! パーっとやっちゃいますっ!」

灼「……そか。 じゃ、頑張って」

穏乃「はいっ! 頑張りますっ!」

憧「おはよー……あ、 しず宿題中?」

宥「憧ちゃんおはよう~」

憧「宥ねえ誕生日おめでとっ! 声かけたけど返事無かったからあがっちゃった」

宥「ごめんね、気がつかなくって」

憧「こっちこそ勝手にあがっちゃって……大変だったでしょ? しずの面倒見るの」

穏乃「そ、そこまでじゃないもん! ある程度は自分でなんとかしてるし!」

憧「ある程度、ねぇ……」

穏乃「むー! なんだよその含みのある言い方!」

灼「……やっぱり休憩にしよっか」


憧「っていうか早くから集まって宿題とか何事? しずらしくもない……」

穏乃「別にちゃんと宿題してるんだからいいだろー」

憧「ほとんど宥ねえと灼さんに聞いてやってたりしない? 自分でやらなきゃ意味ないわよ?」

穏乃「わかってるってば!」

宥「ふふ……憧ちゃん、灼ちゃんと同じこと言ってる」

憧「当然のこと言ってるだけだってば……宥ねえも、解き方とか教えるぐらいならいいけどあんまり手を出しすぎたらダメだからね」

宥「……それも灼ちゃんに言われました」

灼「憧とは教育方針が近いようで」

憧「ま、今年はうちら受験生だしねー……ちゃんと身につくように勉強させないとしずのためにならないし」

宥「憧ちゃんと穏乃ちゃんは、どこの学校受けるの?」

穏乃「んー……正直私はまだ決めてないんですよねー……インハイに集中したかったし……候補はいくつか決めてますけど」

憧「しずはのんびりしすぎだってば……ちょっとしたらすぐに入試本番になっちゃうんだから」

穏乃「わかってるけど……インハイでそこそこ結果出てるし先生には推薦も狙えるって言われてるから……でも、推薦で進学するにしてもちゃんと勉強しとかないとあとで困るだろうしなぁ」

灼「ん……勉強する気があるのは偉いね」

穏乃「へへ、そりゃあ灼さんにも憧にも散々言われてますから! ……あ、そういえば憧は結局どうするつもりなのさ」

憧「私は…………うん……ちょっと、考え中」

穏乃「人に言っといてそれかよー」

憧「……いろいろあんのよ、私も」

穏乃「いろいろ?」


灼「憧はしっかり決めてるものだと思ってたけど」

宥「うん、私も……でも、なにか悩んでるならちゃんと考えて決めた方がいいと思うから……」

……そういえば、憧ちゃんは高校も元々晩成に行くつもりだったんだもんね。 穏乃ちゃんに誘われて考えた末に阿知賀に決めたって聞いたけど

宥「進路は将来にかかわる大切なことだからね……よかったら、話聞くよ?」

憧「ありがと、宥ねえ……うーん……でも、もうちょっと待ってね。 自分の中で整理してるとこだから……進学するにしてもそっち用の準備もしてるしそこまで心配しなくても……」

穏乃「え? 進学するにしても、って……進学しないことも考えてるの?」

憧「…………しず、なんでそういうとこは気づくわけ?」

穏乃「そりゃ、憧のことだもん」

灼「進学しない場合、なにするつもりなの?」

憧「ん、んー……なんというか……麻雀……?」

宥「? インカレでも打てるよ? それじゃあダメなの?」

憧「……ダメってわけじゃないけど、もっと上を目指したいっていうか……その、純さんに……」

穏乃「なんだ、いつものか」

灼「一時の勢いじゃなくてちゃんと考えた方がいいと思」

憧「なによその反応!? 違うってば! ちゃんといろいろ真面目に考えてんの! とにかく、今日純さんと話してから考えたい部分もあるから……」

穏乃「とうとう玉砕するの!?」

灼「ついに決心?」

憧「そういう話じゃないんだってば! そういうのは、またタイミングを見計らって……じゃなくて! もう! とりあえずこの話はあとで! 少なくとも純さんと話さないと進まないのよ!」

穏乃「ふーん?」

灼「へー」

憧「だからその反応はなんなのよ!!」


またふたりで憧ちゃんをからかって……まあ、気持ちはわかるけど……

宥「憧ちゃん、ふたりはちょっと意地悪してるけどちゃんと心配してるんだからね? 話せるようになったら話してくれるとうれしいなあ」

憧「わかってるけど……はあ、ちゃんと話聞いてくれるのは宥ねえだけね」

灼「親身になって聞いてるのに」

穏乃「ひどいなあ、憧は」

憧「……はいはい、ごめんなさいね!」

穏乃「拗ねるなよー」

灼「ごめんごめん」

穏乃「お饅頭食べる?」

灼「アメちゃんいる?」

憧「食べ物なんかで釣られるわけないでしょ!?」

ふたりして憧ちゃんを拗ねさせて、今度はご機嫌とりを……いや、ご機嫌とりをする気もなさそうだ

いったい何がしたいんだか……いや、からかって遊んでいるんだろうけど

……進学しないで、麻雀をする……? っていうと、プロとか実業団チームとか……かな?

でもそこに井上さんが関わってくる……? なんだろう、わからないなあ……そういえば、龍門渕さんが麻雀のチームを作りたい、みたいな話をしていた気がするけど……それなら井上さんじゃなくて龍門渕さんと話すって言うよねえ……

うーん……考えてもわからないし仕方ないかあ……憧ちゃんも話してくれるって言ってるし……


そんな風に憧ちゃんの将来について思いを馳せているとインターホンが鳴る

宥「あっ、お客様かな?」

憧「!」

穏乃「待ち人来たり?」

灼「反応いいね」

憧「うるさいなあもう!」

怜「私や! 宥ちゃんお誕生日おめでとう~」

宥「怜ちゃん! わざわざありがとうございます~」

怜「いえいえ、部活で来れない泉たちの分もお祝いさせてもらうで。 あ、これケーキな。 人数まだ増えるん? 増えないうちに食べよ? うちもうこれだけが楽しみで楽しみで……」

憧「……ケーキ食べに来たんですか?」

怜「あーんもう憧ちゃんもそんな不機嫌そうにしなくてもええやんか~? お目当ての人じゃなかったのは申し訳ないけどなー?」

憧「べ、別にそういうわけじゃないですけど……っ!」

灼「とゆか、そもそも松実館で予約してるんだからこっち来る前に松実館行くよね」

穏乃「あ、そういえばそうですよね。 そもそも着く前に連絡くれたり玄さんが教えてくれたりするでしょうし」

灼「むしろ、到着したらしたでその場で気づけそうだよね」

穏乃「透華さんが来ますからねー」

怜「あ、龍門渕の子たち来るん? あの子らおもろいよなあ……ってそんな団体客来るんやったらなおさらはよケーキ食べようや。 私は久々のケーキを思う存分食べたいんや」

憧「ほんとになにしに来たんですか……」

怜「宥ちゃんのお祝い」

宥「怜ちゃん……!」

憧「いやなんか騙されてるって宥ねえ……」


怜「いやいや、別に騙しとらんし! むしろ私、かなり正直やん?」

宥「うん、そうだね」

怜「やろ? あ、玄ちゃんは? お仕事中?」

灼「ん……」

怜「そっか、そりゃあ残念やな……宥ちゃんの膝枕で玄ちゃんにお世話してもらうのが私の最高状態なんやけど……」

憧「…………宥ねえ、やっぱり園城寺さんとの付き合い考えた方がいいって」

宥「怜ちゃんのことなら心配ないよ? 私も外で走り回ろうってタイプじゃないし……最近は調子崩すことも少なくなってきて……」

憧「いや、そういうことじゃなくって! この人変だって! 今さら言うのもなんだけど!」

怜「あはは、宥ちゃん私以外にも変な友達いっぱいおるやん……それに憧ちゃんだって充分……なあ?」

穏乃「常識こそあれ憧も充分変ですからね!」

憧「はぁ!? しずなんか常識もないでしょ!」

穏乃「えっ?」

灼「穏乃は充分常識あるでしょ。 ……センスが独特なだけで」

憧「それが常識無いって言ってんの!」

穏乃「やだなぁもう! そんなに褒めないでくださいよ! 灼さんだって滅茶苦茶素敵なセンスじゃないですか!」

灼「……ありがと」

憧「だーかーらー!!」


怜「…………ところでな、宥ちゃん」

宥「どうしたの? そんなにこそこそと……」

怜「いや、今日で宥ちゃんも二十歳になったわけやろ? つまり……宥ちゃんもお酒が堂々と飲める年になったってことや」

宥「うん……ってもしかして……!」

怜「ちょっとな、お酒買ってきてみたんや……どうや? せっかくやし一緒に飲んでみん?」

宥「えぇ!? だ、ダメだよそんな……怜ちゃんアルコール類とかもダメだってお医者さんに言われてるでしょ?」

怜「ちょっとくらい大丈夫やって! それに、ここまでいい子ちゃんでやって来てうちら一滴も飲んでないやろ? 合法になったんやしええやんか~」

宥「そ、そういう問題じゃ……」

怜「ええやんええやん~おめでたい日やし羽目外したって~」

宥「ダメっ! 怜ちゃんの体が心配だもんっ!」

怜「……宥ちゃんはほんとええ子やなぁ。 私ちょっと感動して泣きそうや……」

宥「ほ、褒めてもダメだよっ! だいたい、こんなお昼から……」

怜「あ、親戚のおっちゃんに聞いたんやけどな?」

宥「え?」

怜「いっちゃん美味しいお酒は平日の真っ昼間、他の人間が働いてる時間に麻雀の試合でも見ながら飲む酒だ、って」

宥「へぇ……ってだから美味しい美味しくないの問題でもないのっ!」

怜「ちぇー」


……まったくもう……怜ちゃんは、たまーにこうやって悪い子になっちゃうから困ったものだ

…………私だって、お酒に興味がないってわけじゃないけど。 お父さんだってお酒は好きだし、赤土先生もたまに吉野に戻ってくると望さんと一緒に美味しそうにお酒を飲んでいるし

お酒を飲むと体があったかーくなるって聞く

…………いやいや、ダメダメ! 私が誘惑に負けちゃったら怜ちゃんにもお酒を飲む口実ができちゃうし!

……挑戦するときはまた別の機会にしよう、うん。 それこそまた赤土先生が帰ってきたときとか……

穏乃「あっ! 一さんたち、もうすぐ到着するそうですっ! あと30分程だそうですっ!」

憧「ほんとにっ!? もうすぐじゃん!」

怜「あかん! 早くケーキ食べようケーキ!」

宥「もう……怜ちゃん、どうせそんなに食べられないでしょ?」

怜「気分の問題なんよ! でっかいケーキが目の前にあるってだけで……こう……テンション上がるやん!」

穏乃「あ、園城寺さん! 龍門渕さんたちがでっかいケーキ持ってきてくれるらしいですよ!」

怜「おお!? それじゃあ、とりあえずこれは先に食べ……いや、みんなで……むむ……よし! やっぱり先に食べようや!」

灼「……まあ、別にどっちでもいいと思いますけど」

憧「えー? でもそんなにケーキ食べたら太っちゃうし……」

怜「別に無理して食べなくてもええんやで? 人数おるし食べきれるやろ」

憧「…………いや、食べますけど」

穏乃「だから憧はダメなんじゃん……いっつもダイエットする! からの頑張ったしちょっとご褒美に食べてもいいよね……の繰り返しで……」

憧「ちょ、しず! やめてよー! 聞きたくないー!」

灼「……で、食べるの?」

憧「……たべる」

穏乃「あーあ」

宥「だ、大丈夫だよっ! 憧ちゃんすっごいスレンダーだし!」

憧「太るの前提みたいに言わないでよっ!」

宥「ご、ごめん……」


うぅん……フォローしたつもりだったんだけど……難しいなぁ……

灼「失言でしたね」

宥「うん、怒られちゃったよ」

灼「憧は意思が強いんだか弱いんだか……」

怜「私の好みで言えばもうちょっとふとももに肉をつけてくれた方がええんやけどなあ」

憧「園城寺さんの好みとかどうでもいいですしっ! 膝枕もしませんし!」

怜「……え? なんで?」

憧「どうしてそこまで本気で疑問を抱けるんですかね!?」

怜「だって宥ちゃんは膝枕してくれるで? な?」

宥「うん、するよー」

怜「ほら!」

憧「ほら! じゃないでしょ! なんですかその勝ち誇った顔!? 関係ないですし!」

怜「えっ……? で、でも……穏乃ちゃん! 膝枕して!」

穏乃「え、私ですか? 全然構いませんけど」

怜「ほら!!」

憧「いやいや! だから宥ねえが膝枕しようがしずが膝枕しようが私には関係ないですよね!?」

怜「……? あかん、全然意味わからん……」

憧「こっちの台詞ですよ!」


穏乃「憧は照れてるんですよ」

憧「照れてない!」

灼「憧は意中の相手にしか肌を許さないタイプで……」

怜「私じゃダメなん?」

憧「べ、別にそれって普通でしょ!? だいたい園城寺さんって変態っぽいし! なんかキモいもん!」

怜「うへへ……こんな美少女に罵られるとか興奮するわ……」

憧「変態だー!?」

怜「冗談やって……なあ、この扱いは酷くない? 膝枕を要求するわ」

憧「嫌ですよ!」

宥「もう、私のでよかったらどうぞ」

怜「うへへ……どうもどうも。 それじゃあ遠慮なく……」

憧「宥ねえこの人やっぱおかしいって! ヤバいって!」

怜「だから冗談やってのに……じゃあ、憧ちゃんは誰なら膝枕してもええの?」

憧「え? だ、誰って……」

穏乃「私は?」

憧「む……ま、まあしずなら別に……」

灼「私は?」

憧「う、うん……その、どうしてもって言うなら……やってあげなくもないけど?」

灼「玄や宥さんなら?」

憧「それならするよりもしてもらいたいかなー」

怜「なんや、だれでもええんやん」

憧「誰でもじゃないっつーの! 誤解を招くようなこと言うな!」

怜「とうとうタメ口になったで……この子怖いわー」

憧「もうやだこの人! めんどくさい!」


宥「……怜ちゃん、結構憧ちゃんのこと好きでしょ」

怜「うん。 なかなかええふとももしとるし、からかい甲斐もあるしな」

宥「みんなそうやって憧ちゃんのことからかうんだもん……拗ねちゃうから程ほどにしてね」

怜「拗ねたところもかわええやん?」

宥「だから困っちゃうんだよねぇ……」

憧「……ちょっと? 宥ねえもなに言ってるわけ?」

宥「えー? 憧ちゃんがかわいいって話を……」

憧「……もう! いいからほら! ケーキ食べるんでしょ!? 園城寺さんもごろごろしてないで!」

怜「やきもち妬きやなぁ……そんなに私を宥ちゃんから引き剥がしたいん?」

憧「……私この人嫌い!」

怜「あーあ、嫌われてもうたわ」

宥「ふふ、残念だねぇ」

灼「ほら、園城寺さんの持ってきてくれたケーキ。 すごく美味しそうだよ。 カロリーも高そうだよ」

憧「余計な一言!」

穏乃「ほら、憧! 一緒に食べよっ! 太っちゃいそうだけど!」

憧「だから要らんこと言うな!」


玄「みんな~透華さんたち到着したよ~」

透華「ごきげんよう、失礼いたしますわ」

一「お邪魔します」

智紀「どうも」

穏乃「いらっしゃいっ! って私が言うのもおかしいか……玄さんと宥さんの家だし……」

灼「久しぶり……でもないか。 東京で会ったし」

衣「おお、園城寺ではないか。 壮健か?」

怜「天江ちゃんやん。 元気やで~? 宥ちゃんに膝枕してもらってるしなあ……憧ちゃんは意地悪して膝枕どころかふとももに頬擦りもさせてくれへんのやけど」

憧「気持ち悪い! っていうか! ふ、ふとももに頬擦りとか! そんなの誰にもさせないですし!」

灼「純くんがしたいって言ったら?」

憧「えっ、そんなの……いや、だって……え!? し、したいんですか!?」

智紀「…………」

一「…………」

憧「……あれ? 純さんは?」

透華「……申し訳ないのですが、純は今回一緒ではないのです」

憧「えっ!?」

穏乃「純さん、何かあったんですか? 風邪とか……」

衣「いや、純は独逸にな。 急な話だったが武者修行と言っていたぞ」

宥「ドイツに麻雀修行……?」

憧「…………そっか、もう……」


透華「……! その反応ですと、新子さんは純に聞いていましたの?」

憧「あ、はい……その、五月末頃に……夏の大会が終わる頃には、みたいな……」

透華「そうですか……」

穏乃「……あの、どういうことですか?」

一「んー……夏の大会前ぐらいに純くんが大会終わったらドイツ行くって言い出してさ。 ボクたちは最初里帰り的なやつだと思ってたんだけと……」

智紀「大会終わったら急にドイツ行く、いつ戻るかわからねぇけど強くなって帰ってくる、とかなんとか……」

衣「まあ、そんなこんなで透華と純がちょっと揉めてな……喧嘩別れのような形で純は独逸に、衣たちは吉野にな」

透華「……それは、私も悪かったですけれど……純だって、あんな急に、相談もなく…………」

ハギヨシ「透華お嬢様、心中お察しいたしますが……」

透華「ハギヨシ……ええ、そうですわね。 失礼いたしました。 祝いの席に暗い顔では今日の主役に失礼ですわね。 宥さん、お誕生日おめでとうございます」

宥「透華さん……はい、ありがとうございます」

透華「ハギヨシ」

ハギヨシ「はい。 ケーキやお飲み物を用意しております。 皆さまでどうぞ」

怜「……なんで人のおうちで自然にお茶淹れてるのこの人」

穏乃「いいんじゃないですか? 将来的には萩原さんもこの家の……」

玄「し、穏乃ちゃん!? き、気が早いよ! け、けけけ、結婚なんて……!」

穏乃「……私、結婚なんて一言も言ってませんよ~?」

玄「はわっ!? え、えっと、その……あううう……」

ハギヨシ「……く、玄さん? その、落ち着いて……」

玄「は、はいっ! だ、大丈夫です! 落ち着いてますからっ! ……うう、穏乃ちゃんまでからかって……」




灼「……ちゃんと説明もしないでささっとドイツに行っちゃった?」

一「ボクらからしたら大体そんな感じかな? 純くんは純くんで色々考えてたのはわかってるし、なにも言えないけどね……」

智紀「……ズルかったよね、純は」

灼「……なにが?」

智紀「……今の透華にはお前らが必要だから側にいてやってくれ、って」

一「自分は離れてくくせにね……ま、それを言ったら距離が離れても心は一緒だ、とかクサいこと言ってたけど」

憧「……ふーん」

灼「今、カッコいいなって思ったでしょ」

憧「はぁ!? べ、別に!?」

一「純くんが透華のこと心配してるのも、将来的に力になりたいってのも聞いたしわかってるけどさあ……なんでも急に決めすぎなんだよ、ほんと」

智紀「最近、透華も忙しくて……いろいろ焦ってる様なとこもあると思う。 だからこそ純にも居てほしかったんだけど……」

衣「まあ、純が一時離れてしまった分も衣たちが透華を支えればよいのだ。 家族で友だちなのだから」

一「……まあね」

衣「ところで、園城寺よ」

怜「んー? なんや? 天江ちゃんのふとももだとさすがに頭のせたら潰れちゃいそうでなあ……いくら私でも膝枕は頼めんわ」

衣「衣は子どもじゃない! 膝枕ぐらいできる!」

怜「じゃあしてもらおー」

衣「おわっ! ……む……い、意外と重い……」

怜「はっはっは……で? なぁに?」

衣「純が急に独逸に行ったので松実館に用意してもらっていた食事やらが余ってしまうのだ。 もったいないし、よければ代わりに部屋に泊まらんか?」

怜「!! ええんか!? 私、一回松実館に泊まってみたかったんや!」

衣「ふふん、衣お姉さんに感謝するのだな!」

玄「しっかりおもてなしさせていただきますっ!」

怜「ひゃあっ!? く、玄ちゃん急に出てこないでくれんか……? 心臓に悪いわ……」

玄「えへへ、松実館の名前が出たからつい……」


一「あ、そうだ……憧ちゃんこれ」

憧「はい? なんですかこのメモ……」

一「純くんのあっちでの連絡先だって。 憧ちゃんに渡してくれって」

憧「……ありがとうございます」

智紀「……純はなんて言ってたの?」

憧「……透華さんのためにも強くなりたいからドイツで腕を磨くって……それと……その、面倒見てやるからその気があるならドイツに来ないかって……」

宥「……憧ちゃんがさっき言ってたのってそれかあ」

灼「……なんでそんなプロポーズみたいな言葉選びを」

穏乃「さすが、男前ですねぇ」

一「いや、実際純くん相当憧ちゃんのこと好きだと思うけどね……もう結婚しちゃえば?」

憧「か、からかわないでくださいよ……私だって、かなり真面目に考えてるんですから……」

智紀「結婚を?」

憧「ドイツ行って麻雀の勉強することをですよ! 具体的にいろいろ決まってるなら話聞きたかったんですけど……」

一「連絡先伝えとけってぐらいだからいつでも電話してあげていいと思うよ? 優希ちゃんにも渡してって頼まれたから誘ったのは二人なのかなあ」

憧「ああ……修行に誘うなら私と優希かな、とは言ってましたね」

智紀「今回、向こうの……受け入れ先の都合ですぐに行かないといけなかったみたいで……出発自体もバタバタしちゃって」

憧「まあ、仕方ないですよね……会えなかったのは残念ですけど……」

一「でもあっちに誘われてるんでしょ? 追いかけていけばすぐに会えるじゃない」

憧「そんな、勢いだけで軽々しく決められるものじゃないじゃないですか。 本気で麻雀やるにしてもあっちでレベルアップを図るのか、こっちでプロを目指すのか……インカレで活躍すればプロへの道も開かれるかもしれないし、実業団リーグからプロ入りした人だっているわけだし……ドイツに渡るにしても本当に強くなれるのかもわからないし……」


一「…………」

智紀「…………」

憧「……? なんですか?」

一「いや……その、ちゃんと考えてるんだね」

智紀「二つ返事で行っちゃうものかと」

憧「……二人とも私をなんだと思ってるんですかね」

一「いやー……あはは……」

智紀「色ボケの面白い子」

一「ともきー! なんでそんな直接的に言っちゃうのさ! ボク、それとなく誤魔化そうとしたのに!」

憧「ちょっとぉ! そういう風に思われてるのは薄々感づいてたけど!」

灼「普段はちゃんとした子なんだよ」

憧「灼さん……!」

怜「いやいや、さっきまで一緒になってからかっとったで?」

憧「そうだった! だいたい灼さんは……」

灼「え、私が怒られるの?」

憧「先輩としてさ、かわいい後輩をからかってばかりじゃなくてさあ……もっとほら、あるじゃん?」

穏乃「憧が甘えたいモードに入った!」

灼「よし、本気出す」

憧「へ? ちょ、そういうのじゃなくって……」

灼「憧はかわいいなあ」

智紀「ケーキ食べる? あーん」

憧「え? え? あ、どうも……」

穏乃「今の一口でカロリーどれくらいだろうね?」

一「んー……そうだなあ、だいたい……」

憧「やめてくださいよ! やめてよ!! やめろ!!!」


怜「憧ちゃんは本当におもしろいなあ」

宥「もう……」

怜「あ、ところで色ボケと言えば宥ちゃん?」

宥「?」

怜「例の……玄ちゃんのお相手ってあの龍門渕の執事さんなんやろ?」

宥「あ、うん。 そうだよ~」

怜「ふむ……」



玄「萩原さんもお客様なんですからゆっくりしてくださいね? お茶も淹れましたから……」

ハギヨシ「いえ、玄さんこそお仕事でお疲れでしょう? せっかく皆さんでお揃いなのですからどうぞごゆっくり……」

透華「……それこそせっかく揃っているのですから、おふたりとも少しお休みになられたらいかがですの?」

玄「あ……えっと、それじゃあ……そうしようかな……」

ハギヨシ「……それでは、お言葉に甘えさせていただきます」



怜「ふーむ……やっぱり、こうして見てもアレやな。 ハンサムさんやな」

宥「そうだよねえ……しかも、萩原さんはなんでもできちゃうすごい人なんだよ?」

怜「……こう、お姉ちゃんとして焦ったりせんの?」

宥「え? 焦る?」

怜「妹の玄ちゃんに素敵な彼氏さんおるのに自分は……とか? そういうやつ?」

宥「あー……そういう考え方もあるんだねぇ」


そういえば、赤土先生はご両親からそういうプレッシャーかけられて嫌だって言ってたなあ……

私は別にお父さんに結婚がどうのとか言われてないし……いや、むしろうちのお父さんは玄ちゃんに悪い虫がついたって怒ったり心配したり大変なことになっているぐらいだ

……萩原さんでダメならどういう男の人を見つけてくればいいんだろう……? 容姿も人格も文句をつけるところがないし、お仕事だってあの龍門渕グループのお嬢様(こんな言い方をすると龍門渕さんは嫌がるだろうけど)のお側に仕える執事さんだ。 これ以上ないってくらいにはしっかりしてると思うんだけど

……って前に赤土先生に言ってみたら親ってそういうもんだよ、って言われたっけ……難しいなぁ

まあ、私の気持ちとしては……

宥「玄ちゃんが幸せなら喜ぶことはあっても焦ったりはしないかなぁ……」

怜「宥ちゃんはほんとええ子やなぁ……私だったら……あ、私ひとりっこやった……えっと、じゃあ竜華に男ができたとして……」

怜「……ん? むしろ竜華レベルでなんでいまだに男の一人もおらんのや? 男がおって当然レベルのスペックやない?」

宥「清水谷さん、すっごい美人だもんねぇ……お料理とかも得意なんでしょ?」

怜「なによりふとももがええしな。 んー……それじゃあ、例えばセーラに男ができたとして……できたとして……ぶふっ! セーラに男って! そんなん面白すぎるやろ! 字面からしておもろい!」

宥「えぇ……江口さん、かわいいじゃない」

怜「男前系乙女やからな、セーラは。 いやあ、もしそんなんになったら全力でからかうわー」

宥「……怜ちゃんも別に焦らないじゃない」

怜「そうやな。 ま、あと十年もしたら変わってくるかもしれんけどなあ」

透華「焦るようになったら私にお声をかけてくださいな。 ハギヨシ程の者は他に知りませんが、きっといい殿方を探して紹介しますわよ?」

怜「おおっと……なんや、聞いとったん?」

透華「私だって年相応に恋バナに興味がありますもの……玄さんはハギヨシと仲よくしておられるようで安心ですわ。 距離があると心も離れがちですし」

怜「距離が離れても心は一緒だって、おたくのイケメンが言ってたんやろ? それに、会えない時間が愛を深めるとも言うしなぁ」

透華「……純は勝手ですわ! もっとちゃんと相談してくれれば……しっかり送り出しましたのに……全部一人で決めて飛び出していってしまうんですもの……」

宥「……透華さん、早く仲直りするのが一番ですよ? おふたりの関係ならちゃんとお話しすればなにも問題なんて無くなると思いますし」

透華「それは、そうなんですけれど……どうにも、つい、カッとなってしまいまして……」

宥「怒っちゃったから気まずいんですね……」

透華「最近、どうにも忙しなくて……イライラと当たってしまったようなところもあったやも……私らしくないですわね。 疲れているのかもしれません……」

宥「ふふ……せっかくいらしたんですから、静養してくださいね。 松実館のサービスは完璧ですし、穏乃ちゃんたちも透華さんたちが来るの楽しみにしてましたから」

透華「ふふ、ご実家の宣伝などなさらなくても、十分にこちらの良さは存じておりますのよ? ……こちらで、しっかり休養を取らせていただきますわ。 それと、宥さんのお誕生日のお祝いも」

宥「えへへ、ありがとうございます」


怜「……宥ちゃん、膝枕して!」

宥「え? いいけど……急にどうしたの?」

怜「……ちょっとやきもち? 龍門渕さんと仲ええんやなー宥ちゃんは」

宥「んー? うふふ……実はね、私は透華さんのこと凄く好きなんだよねぇ」

透華「あら、私も宥さんのことはとても好ましく思ってますのよ?」

宥「わーい、両想いだあ」

衣「……透華! 衣も! 衣にもアレをやってくれ! 膝枕だ!」

透華「あらあら、衣もやきもちですの?」

衣「……違う! 園城寺が随分と心地良さそうにしているから試してみたくなっただけだ!」

透華「そうですか? では、どうぞ。 ……それにしても、衣とこうしてゆっくりするのも久しぶりですわね……学校は別れてしまいましたし、最近は華菜さんと仲良くしておられるようですし」

衣「む? 透華こそ妬いておるのではないか? ふふん、最近は透華も忙しくてあまり構ってやれなかったからな! 衣お姉さんに甘えてもいいんだぞ?」

透華「ふふっ……膝枕されながら言う台詞ではありませんわよ?」

衣「衣は透華よりもお姉さんなんだぞ? 透華が衣に甘えてほしいのを知っているからあえてこうして甘えて、それこそがその実衣お姉さんが透華を甘やかしているという状況を作っているのだ」

怜「何がなんだか……こんがらがってくるなあ」

宥「ふふ、なんでもいいじゃない。 天江さん、どう? 透華さんの膝枕」

衣「ふむ……心地よいのだが……透華はもうちょっと肉をつけた方がいいな」

透華「なんですって!?」


怜「龍門渕さん細っこいもんなぁ……膝枕ソムリエとしての視点から言わせてもらえばもうちょっと肉付きのいい方が……」

透華「そんな資格がありますの!?」

怜「いや、あるわけないやろ……自称や。 自称膝枕ソムリエや」

透華「驚きましたわ……ハギヨシも多くの資格を持っていますがそのようなものは聞いたことがありませんでしたし……」

怜「ほほう? ……ふむ、まあこの膝枕ソムリエっちゅうんは超高等技術が必要やしな。 私レベルになればふとももを一目見ただけでだいたいの寝心地すらわかるんやで? 簡単に習得できるもんやないわ」

透華「むっ……それは挑戦ですの!? ハギヨシならその程度の技能すぐに身に付けられますわっ!」

ハギヨシ「……透華お嬢様? その技能は私が職務を行う上で必要になることはないのでは……」

怜「まあまあ、この技能を習得するにはまず数こなさなきゃアカンからなぁ……な、宥ちゃん?」

宥「え? ああ……そうだね、玄ちゃん協力してあげたら?」

玄「えっ!?」

怜「膝枕してあげたらええやん。 彼氏さんも龍門渕での激務で疲れとるんやろー? 恋人として癒してやらなあかんで?」

透華「……それは、忙しいですけれど……労働環境はしっかりしておりますのよ?」

玄「で、でも、そんな、恥ずかしいですし……」

怜「でもほら、うれしいやろ?」

ハギヨシ「たしかに、魅力的な提案ではありますが……私は、その……膝枕ソムリエ? とやらになるつもりは……」

怜「うれしいって! ほら!」

玄「……ど、どうぞ! わ、私でよければお好きなだけ!」

ハギヨシ「……さすがに皆さんの前でそういうことをするのは私も恥ずかしいのですが……」

玄「そ、そうですよねっ!? えっと、あとでふたりきりになったらしますね!」

憧「……玄が堂々といちゃつく相談してる……」

宥「玄ちゃん、大人になったねぇ……」

怜「まあまあ、たまにしか会えないんやしそれくらい多目に見てあげぇや? 憧ちゃんは今回意中の相手に会えなくて僻むのもわかるけどな」

憧「僻んでないしっ! ……ちょっと羨ましいとは思うけど……」


怜「……どうや? ええ仕事したやろ?」

宥「ふふ、幸せそうな玄ちゃんを見てると私もうれしいよ~」

怜「それに膝枕が最高の癒しっていうのは間違いないからな」

衣「うむ……その言葉には、衣も、納得だ…………」

透華「……疲れているのでしょう? 数日逗留するのですから、このまま少しお休みなさいな」

衣「んー……ふふ、やはり……透華の側にいると落ち着くな…………少しばかり、その言葉に甘えるとしよう…………」

透華「…………」

怜「……膝枕、ええやろ?」

透華「ええ……そうですわね。 少々足が痺れるのが珠に瑕ですけど」

怜「んっふふ、膝枕の特訓が必要やな」

透華「膝枕の道もなかなか険しく奥深いのですね……ふふふ、考えておきましょう」

宥「ふふ……ねえ、怜ちゃん? 私、膝枕の特訓してないけど大丈夫?」

怜「そりゃあもう、宥ちゃんも私に膝枕をすること一年以上の時が経ってるしな……膝枕ソムリエたるこの私を存分に満足させているで?」

宥「そっか、よかったあ」

怜「あー……私もなんか眠くなってきたわ……ケーキもちょっと食べたしな。 次食べるときにまた起こしてー……」

宥「うん、早くからこっちまで来るのに疲れたでしょ? ゆっくり休んでね」

怜「…………ありがとー……」


宥「……怜ちゃんも天江さんも眠っちゃいましたね」

透華「衣はこちらに向かう車でもはしゃいでいましたし、園城寺さんもお体があまり強くないのでしょう? 疲れているのならばゆっくりお休みになられた方がよろしいですわ」

宥「そうですね……透華さんも松実館でどうぞゆっくりしていってくださいね」

透華「ええ。 私もう、長期の休暇にはこちらにお邪魔するのが楽しみで楽しみで……宥さんたちにも会えますしね」

宥「こっちでも、透華さんたちがいらっしゃるのをみんな楽しみにしてますから」

透華「……次は、純も一緒に来たいものです」

宥「……はい、楽しみにしてますね」

透華「……それにしても、あちらでは一や高鴨さんたちが盛り上がってますわね……いつの間にやら卓まで出てきていますし」

宥「ふふ、いつも気がついたらそうなってるんですよねぇ」

透華「私たちも混ぜてもらうとしましょうか……あちらのふたりが遠慮してしまうでしょうし」

宥「あとは若いふたりに任せて……ってやつですね」

玄「い、いや、私は、その……別に……」

ハギヨシ「……私は透華お嬢様と宥さんよりも年上ですが」

宥「照れなくてもいいのに……それじゃあ……あっ……」

透華「どうかしまし……あ」

宥「…………これじゃあ、動けないですね」

透華「……またひとつ、膝枕の欠点を見つけてしまいましたわ」

宥「……こっちでゆっくりしてましょうか」

透華「そうですわね……ケーキ、お食べになります?」

宥「はい、いただきます……ふふ、ケーキ食べ過ぎて太っちゃいそう」

透華「気を付けないといけませんわよ? ソムリエさんお気に入りのふとももが台無しになってしまうかもしれませんわ」

宥「えへへ、気をつけます」

玄「それじゃあ、ケーキ切り分けるねっ」

ハギヨシ「では、私はお茶を用意して参ります」

宥「あっ……でも、さっきから用意してもらってばかりだし、今度は私が……」

玄「だけど、お姉ちゃん動けないでしょ?」

宥「……そうでした」

透華「ふふっ、いっそ園城寺さんを起こしてしまえばよろしいのでは? ケーキも食べたがっておられましたし」

宥「うーん……それでも、今眠ったところだし、さっきちょっと食べたから……あんまり食べると怜ちゃんの体に良くないし……もうちょっとお休みさせてあげます」

宥「……私も、ケーキたくさん食べたいですし」

透華「ふふっ……それでは、このままのんびりといただくとしましょうか」

宥「そうしましょう……ふふふっ」

透華「ご機嫌ですわね?」

宥「はい! だって……」

仲のいいお友だちが集まってくれて、お祝いをしてくれる。 ついでに、おいしいケーキもたくさんあって……


宥「今日も、とってもあったかい日になりましたから」


カン!

九月頭の龍門渕ウィーク乗り越えられる気がしない…
ヤンガン次号で重大発表あるらしいですが準決アニメ化とか来ませんかね

衣お姉さんの誕生日が過ぎて透華お嬢様の誕生日が近づいて居ますが
やっぱり龍門渕高校麻雀部の誕生日は合同誕生日って言う形にするんでしょうか?
もしそうするのでしたら透華お嬢様主催のプロアマ戦の打ち上げをやって欲しかったりします!
勿論アマ側には主催大学の透華お嬢様の大学は勿論宥姉さんや怜さんの大学とか衣お姉さんや華菜ちゃんの大学に阿知賀女子(中等部含む)、清澄、千里山女子、鶴賀、風越女子、白糸台、劔谷辺りを絡めて頂いて
プロ側では照姉さん等が居る横浜とか、藤田プロ等が居る佐久とか、弘世様等が居る大宮とか、小鍛治プロ等が居るつくばとか、のよりん等が居る神戸とか、洋榎姉さん等が居る大阪辺りを絡めて欲しいですね
あ…玄ちゃーにはハギヨシさん率いる龍門渕使用人チーム(一ちゃん、沢村さん、歩ちゃん等)の助っ人として登場して欲しかったりします!

日付回ったけどとうたんイェイ~
実写化とか不安しかないけど文句は見てから言うことにします。不安だとは言いますけど


憧「…………ねえ」

穏乃「…………」

憧「……しず?」

穏乃「…………」

憧「……しーずー? 高鴨穏乃さーん?」

穏乃「…………ぁぃ」

憧「……ぁぃ、じゃないわよ! 起きろっ!」

穏乃「うぉわぁ! え? な、なにっ!?」

憧「今寝てたでしょ! 思いっきり!」

穏乃「おお、お、起きてたよ…………?」

憧「嘘つけっ! ノート写すならさっさと書き写して! しずがやってる間私もその教科復習できないんだからね?」

穏乃「いや、だから別にコピーさせてくれれば……」

憧「そしたらささっと流し見するぐらいでろくに使わないでしょうがっ! しっかり書いて覚えろ!」

穏乃「うぅ……でもこの量を手書きで写すのは……」

憧「しずが授業中寝ちゃうからでしょ! ったく、ちゃんと集中して聞いてるとこは頭入ってんのに気が抜けてるところはほんとにまっさら状態って……」

穏乃「あはは……憧のお陰で助かるよ……」

憧「とにかく、夏休み明けの実力テスト……ある程度点取っとかないとマジでヤバイからね? うちらインハイ行ってるし、しずもたぶん推薦枠で行けるけど学力もある程度必要になるんだから」

穏乃「わ、わかってるよ……何回も聞いたっててば」

憧「わかってるならわかってるなりに行動で示しなさい」

穏乃「……はーい…………あーやだもう! 数字苦手ー……」

憧「点数移動の計算だってしっかりできるんだから数学ぐらい余裕っしょ」

穏乃「麻雀とは全然違うんだよー……」

憧「……とりあえず公式は全部覚えなさい。 それだけで多少マシになるから……っていうか、そこが最低ラインだから」

穏乃「はいはい」

憧「はいは一回!」

穏乃「……はーい」


夏休みが終わり、周囲も受験ムードが強くなってきている

高校生活でインターハイに複数回出場して、しかもそこそこの成績を修めている私たちは推薦による進学も視野に入る……というか、しずは学力が高いとはお世辞にも言えないし、推薦狙いになるだろう

ただ、だからといって勉強しないというわけにもいかない。 落ちる可能性だってあるしそもそも進学してからまったく勉強できないんじゃ意味がない……とは言わないけど、まあ学生としての本分を満たしているとは言えないだろう

しずはアレでけっこう真面目だし、興味のあることは普通に頭に入るから上手いこと軌道に乗せてやればそこまで教えるのも苦労しないんだよね……上手いこと乗せるってのが難しいんだけど

特に、高校生活はほぼほぼ麻雀に全力だったしずは授業内容よりも有力選手の牌譜の方が頭に入ってるぐらいだ

……もう少しすれば国麻もあるし、あんまり今詰め込ませても忘れちゃうかなあ……

とりあえず、試験を無事に終えられる程度には勉強させなきゃなんだけど

しずの将来のためにも、勉強法に関してはまた今度灼さんにでも相談するとしよう

穏乃「憧! はい! 数学オッケー!」

憧「はい、じゃあ次は英語ね」

穏乃「えぇ!? ち、ちょっと休憩とか……」

憧「さっき休んだばっかでしょ。 受験生なんだから頑張りなさい。 今ごろ和たちだって試験勉強頑張ってるはずよ?」

穏乃「むっ……わかってるって! どんどんやるよ!」

……まあ、頑張ってるのは和というか優希だと思うけど

……和はズルいよなー……かわいいし胸でかいし麻雀強くて頭もいいし胸でかいし……あと胸でかいし

麻雀や成績なんかは努力である程度はなんとかなるとして、かわいさとかも人それぞれだし? そこら辺は羨ましがっても仕方ないんだけど……胸……胸はなぁ……こればっかりは努力してもどうにもならないってことがわかってきたからなぁ……

和んちのお母さんも胸でかい上に超美人だったもんね……こないだのインハイ応援来てて小学生ぶりに見たけどあの頃と全然変わってなかったし……

うちはお母さんもお姉ちゃんも控え目な方だしなぁ……

憧「……やっぱり、遺伝的な問題が…………」

望「ん? なに、生物の問題?」

憧「おおおおお姉ちゃん!? え、あ、そ、そう! ちょっと復習中っていうか!?」

望「? なに慌ててんのよ……穏乃ちゃん頑張ってる? はい、お菓子とジュース」

穏乃「わぁ! ありがとうございます望さん!」


穏乃「よぉし! エネルギー補給したし頑張るぞー!」

望「頑張るのはいいけどあんまり無理しないのよー? 憧も穏乃ちゃんのことばっかりじゃなくて自分のことしっかりね」

憧「わかってるってば……もう、余計なお世話! ほら、用が済んだなら出てってよ!」

望「もう、反抗期? かわいい妹の世話ぐらい焼かせなさいよ……その点穏乃ちゃんは素直でいいわね~」

穏乃「えへへ……憧はほら、難しいお年頃ですから! 望さんのこと好きだけど甘えるのが恥ずかしいんですよ」

望「あはは、知ってる知ってる」

憧「しーずー! お姉ちゃんも!」

穏乃「はいはい」

望「ふふ、邪魔になっちゃうみたいだし退散しようかな……何かあったら呼んでね」

穏乃「はい! ありがとうございます!」

憧「どーも!……ありがと、お姉ちゃん」

望「頑張ってね~」

穏乃「…………」

憧「……なによ?」

穏乃「なんでも?」

憧「…………ニヤニヤすんな!」

穏乃「んふふ……それじゃあ続きやるぞー!」

憧「むぅ……まったくもう……」


お姉ちゃんになんとなくやる気を挫かれて……いや、しずは差し入れでテンション上がったみたいだけど……勉強に戻ったけどなんとなく集中できない

……そもそも、試験の範囲ってぶっちゃけ余裕なのよね。 受験するしないはともかく、勉強自体はちゃんとやってるし……

お姉ちゃんの持ってきたクッキーをかじりながら試験の範囲をもう一回確認して……あ、これおいしい

あーもうどうすんのよこれ止まらないやつじゃないの……口の中の水分奪われたと思ったらちょうどいいところにジュースまで置いてあるし……

食べ過ぎるとまた危険が危ないけどまあ頭使ってるし今食べた分ぐらいは勉強分で採算とれるはず……食べても平気……平気よね、うん

穏乃「……憧、ちょっと食べ過ぎじゃ」

憧「そ、そんなことないわよ! 頭使ってるし! 大丈夫だって!」

穏乃「いや、私の分も残しといてって言おうと……」

憧「あ、ああ、うん……そうね、ごめん……」

穏乃「そんなに気になるなら食べなきゃいいのに……」

憧「う、うるさいわねっ! 仕方ないでしょ、おいしいんだから! そういうしずこそちょっとは気にしたら?」

穏乃「私、昔からいくら食べても太らない体質だから!」

憧「知ってるけどムカつく……!」

穏乃「いやあ、せめて身長に行って欲しかったけどなあ……」

憧「いいじゃない別に。 ちっこくてかわいいわよ」

穏乃「んー……今はそういう感じで納得することにしてるけどねぇ……」

憧「今さらでかくなったって違和感ありまくりだって……って雑談してる場合じゃないでしょ? さっさと進める!」

穏乃「はぁい……まったく、憧はスパルタだなぁ……」

憧「嫌ならノート返してよ。 私だって自分の勉強あるんだからね?」

穏乃「冗談だって、冗談! ……うぅ……英語とか何語だよもう……全然わかんない……」

憧「英語は英語でしょ……」


あーうー唸りながら英語をそれこそ呪文のように唱えるしずを尻目に、今度こそ自分の勉強に集中するためノートを広げる

試験範囲の復習自体はもう2周ほどしているので応用問題をいくつか解いて自分で完璧だと思えたらそこまででいいだろう

穏乃「うー……むむむ……」

……国麻に備えて麻雀の方もしっかりやっておきたいのもある。 奈良からは私としずはまあ固いだろうし、残りはどうせ初瀬をはじめとした晩成メンバーになるだろうから……いい加減長い付き合いだし、連携面はどうとでもなるだろう

他県がなぁ……それこそ長野なんて清澄の後輩メンバーが東横さんやら南浦さんやらに替わる感じだから苦戦は必須……というかかなり厳しい戦いになるだろうし……

穏乃「……ん? ……んー……あ、あー……」

大阪や東京も相変わらず戦力層厚いし、巴さんのとこの後輩二人とか、警戒するところはいくらでも……

穏乃「うー……あー…………あ? あっ……んー……」

憧「……しず! うるさい!」

穏乃「えっ? あ、ごめん、声出てた?」

憧「わざとかってくらい出てたわよ」

穏乃「ごめんごめん……うーん……」

憧「…………はぁ」

穏乃「……あっ!」

憧「だからうるさいってば!」

穏乃「電話! 透華さんからだ!」

キラキラとした目で、出てもいいよね? って訴えかけてくるしず。 しかし、私がかける言葉は決まっている

憧「はい、没収」

穏乃「なんでだよー! 大事な話だったらどうすんだよー!」

憧「それなら私が聞いといてあげるからさっさと終わらせなさい」

穏乃「あー! くっそー! すぐ終わらせてやるからなー!」

憧「ちゃんと頭に入れないと意味ないからね? ……もしもし?」


透華『あら、新子さん?』

憧「すみません、今ちょっと取り込み中で……阿知賀、試験前なんですよ」

透華『ああ……それはすみませんでした。 お二人とも今年は受験生ですものね』

憧「私はともかくしずはちょっとヤバいんで……」

穏乃「憧! 透華さんに変なこと言わないでよ!」

憧「恥ずかしいと思うなら頑張って成績上げなさいよ」

穏乃「わかってるよぉ! むー……」

憧「すみません、騒がしくって……」

透華『いえいえ、こちらこそお邪魔してしまって……高鴨さんにお伝えしてもらってもよろしいですか? 頑張ってください……それと、ありがとうございます、と』

憧「わかりました。 まあ、日が落ちるくらいには一段落すると思うんでよかったらまた連絡してあげてください……あ、それと……」

透華『はい。 なんでしょう?』

憧「いえ、私まだだったんで……お誕生日でしたよね。 おめでとうございます!」

透華『あら……ふふ、ありがとうございます。 うれしいですわ!』

憧「今日もお忙しい感じですか?」

透華『いえ、去年は忙しくてろくに時間も取れませんでしたので……今日だけはなんとか空くように調整しましたの。 久しぶりに午前中は学校で講義を受けてきましたわ……これから帰って、衣たちとのんびりする予定ですの』

憧「へぇ……いいですね」

透華『ええ、家族とゆっくりする時間は大切ですわね。 この間松実館にお邪魔したときに痛感しましたわ……一人いないのが少し残念ですけれど』

憧「あー……そうですね……」


……純さんがドイツに飛び出していったのがだいぶ堪えてる……ってこの間一さんが言ってたっけ

ちょっと揉めたって聞いてるけど大丈夫なのかな……?

透華『……そんなに心配しなくても大丈夫ですわよ? この間、電話してしっかり話もしましたし……問題ありませんわ』

憧「あ……そうですか、よかったです……純さん、元気そうでした?」

透華『元気も元気! 強敵に囲まれて楽しくって仕方がないって感じでしたわよ? まったく……こちらの気も知らないで……』

憧「あはは……まあ、らしいですねえ……」

透華『ええ、いつも通りで安心しましたわ……新子さんは純に連絡してませんの? 連絡先、聞いていますわよね?』

憧「はい! えっとだからその……手紙を出しました……」

透華『手紙? なんでまたそんな……』

憧「……いや、文通とか……ちょっと、いいなって……」

透華『……ふふ』

憧「うぅ……いや、私だってわかってますけど……なにも笑わなくても……」

透華『いえいえ、私もわかりますわ。 ロマンがありますものねぇ……ハギヨシと玄さんは毎日のように電話しているみたいですけれど』

憧「あー……なんか、しっかり仲いいみたいですね。 この間もベタベタしてるってほどではないですけどいちゃついてましたし」

透華『ハギヨシも玄さんもかなり奥手ですからねぇ……私としては、もっとこう……仲睦まじくしてもよいと思うのですが』

憧「うーん……玄は基本受け身なんで萩原さんがもっとリードしてあげた方がいいと思いますけどね」

透華『そうですか? 玄さん、あれで意外と積極的なような……』

憧「回りで煽ってやるとこう……やらなきゃ! みたいになるみたいなんですけどね……それでもやっぱり男の方から! 年上なんですし!」

透華『なるほど……私からもそれとなく言っておくとしましょう』

憧「……とはいえ、回りがあんまり口出しするのも良くないかもしれないですけど……」

透華『……そうですわね。 なかなか難しい……』

憧「多少は背中押してあげた方がいいとも思うんですけど……あ、しず。 そこ間違ってるわよ」

穏乃「えっ!? 嘘!? えーと、あー……」

憧「問題文もっかい見直して。 あと文法もちょっとおかしいから確認して」

穏乃「う、うん……むうう……」

透華『……大変そうですわね』

憧「なんとかしますんでお気遣いなく」


透華『この時期は皆さん大変そうですわね……新子さんたちだけでなく、原村和たちも受験勉強に入っているようですし……』

憧「あ、やっぱりあっちも勉強中なんですね」

透華『片岡さんが大変なようですわよ? プロに行った方々もこの時期は団体リーグが大詰めの時期ですし……』

憧「今年も横浜ですかねー……三尋木プロと照さんが稼ぎまくってますし……」

透華『あそこは相変わらずド派手ですわね……大宮がかなり追い上げているのでひっくり返さないかと期待しているのですが』

憧「ハルエ、なかなか頑張ってますからね……それにしてもこの間のはやりんの先鋒戦見ました? 完璧でしたよねっ!」

透華『芸術的な打ち回しでしたわね! 周囲の抵抗をすり抜けての華麗なる和了! 惚れ惚れとしてしまいましたわ!』

憧「ですよね! もう素敵すぎて何回も見ちゃいましたよ! ああいう風に打てるようになりたいなぁ……」

透華『ええ、本当に……それで、新子さんは……どうされるおつもりですの?』

憧「え?」

透華『その……純に誘われているのでしょう? やはり、ドイツに……?』

憧「…………まだ、ちょっと考え中です……純さんからちゃんと話聞いて、それからお姉ちゃんや親とも相談しなきゃだと思いますし……」

穏乃「…………」

透華『……そうですわよね。 簡単に決められることではありませんし……お気持ちとしては、どうなのでしょうか?』

憧「……私は…………麻雀やりたいし、強くなりたいです。 だから……」

透華『……そうですか』

憧「……とはいえ、やっぱりそう簡単に決められることでもないんで……はい、まあ……いろいろ考えつつって感じで……最終的にはやっぱりプロになりたいって気持ちは強いんですけど」

透華『そうですか……わかりましたわ。 お話ししてくださってありがとうございます』

憧「いえ、私としても……こう、口に出してちょっと気持ち固まってきたって言うか……ありがとうございます」


やっぱり、麻雀好きなんだよなぁ……昔からお姉ちゃんやハルエの打ってるとこ見てきて、ハルエの麻雀教室、阿太中、阿知賀とずっと打ってきて……インハイでも超優秀って程じゃないけど爪痕ぐらいは残してきたと思うし……

とはいえプロ行きは厳しいし、行けたとしても通用するかは……って感じだし

憧「…………」

透華『それでは、私の話も聞いていただきたいのですが……』

憧「あ、はい! 是非!」

透華『なんとなく聞いているとは思いますが……私、龍門渕で麻雀チームを持ちたいんですの。 それも、できればプロの』

憧「はい……純さんや一さんがそんなことを……」

透華『他から買ってきてもいいのですが、やはりそういうのは性に合いませんので……一から私のチームを作りたいのです』

憧「……純さん、言ってました。 そこで活躍するために強くなるんだって……」

透華『ええ……私と、衣と、一と、智紀と、純と……全員でまた戦いたいと私も思っていますもの。 うれしいことです……』

透華『……とにかく、そのためにも急な業界参入と言うのも難しいので今から龍門渕グループ内に麻雀事業部を立ち上げるためにここ半年ほど動いていたのですが……』

憧「え? 透華さん、なんかファッション業界に殴り込みとかって活動してませんでしたっけ!? っていうか純さんがモデルやってた雑誌買いましたよ! 凄く良かったですよ!」

透華『あら、ふふ、ありがとうございます! あれもかなり力を入れていましたのよ? 純も女性受けがかなり良かったようですし、ドイツに行ってしまわなければまたいくつかやってもらおうと思っていたんですけど……』

憧「……それは、残念ですね……」

透華『そこまで残念そうにしていただけると私もプロデュースのし甲斐がありましたわ!』

透華『……とにかく、あちらでそこそこの結果を出しましたので次は本命を! というところでそちらの準備をしていましたのよ……いきなりチームを立ち上げてプロリーグに、というのも難しいのでいろいろ手回しやコネ作りをしていまして……』

憧「……よくわからないですけど、それは大変そうですね……今やってる分と掛け持ちしてってことですよね?」

透華『ええ、本当に大変で……夢のためですから、努力のし甲斐もありますけれど』


透華さん、大変そうだなぁ……夢に向かって、か…………なんか、スケールが違うけど……私も頑張らないと

透華『正式に事業部を立ち上げたら、まずはイベントの企画等から始めていこうと思っていまして……幸い、場所も人員も用意するのは得意ですし、そこを足掛かりに麻雀協会の方とも人脈を作っていこうかと。 単にプロの方ということなら、学生時代に知り合った方たちが居ますけれどそれだけではどうにもなりませんし……』

憧「あー……たしかに、照さんや小走さんと知り合いでもプロチーム立ち上げたときにどうにもなりませんしね……」

透華『ええ、ですから業界の上の方にも……といったところです。 最初は内々にシーズン外に顔見知りの方に声をかけてプロアマ混合の交流戦などをやってみたいと思っているのですけど』

憧「へぇ……いいかもしれませんね。 オフシーズンならプロの人たちもスケジュールに余裕あるでしょうし」

透華『ええ、ちょっとした同窓会のような感じで……面白そうでしょう? 私としても大会運営の練習になりますし』

憧「はい! いいなぁ……そんな大会があったら私も腕試しに参加したいなぁ……」

透華『お受験の一段落する時期に企画しようと思っているのです……その頃ならプロリーグもちょうどオフシーズンでしょう? 新子さんも……卒業前の時期ならば参加できるでしょう?』

憧「透華さん……はい! 是非! 是非ともお願いしたいです!」

透華『ふふ、まだ企画段階……というより、そうしたいと思っている程度のことですから……残念ながら部門の立ち上げが上手くいくとも限りませんし……まあ、これに関しては個人的に企画するつもりですので楽しみにしていて欲しいですわ!』

憧「はい! もちろんですよ!」

穏乃「え!? なに!? 大会!? なんの話!? ねえ、憧! ちょっと!」

憧「しずは勉強! 後で教えてあげるから早く終わらせなさい!」

穏乃「もう! ズルいよ憧ばっかり! 私も透華さんとお話ししたいー!」

憧「はいはい、頑張ってねー」

穏乃「むー!! はいは一回だろー!」

憧「はーい……ごめんなさい透華さん、ほんとしずはうるさくって……」

透華『……ふふ、私も高鴨さんのお邪魔をせずにお話ししたいですから……お勉強の方、しっかり見てあげてくださいね?』

憧「得意分野なんで任せてください! 今日中にはきりいいとこまでやらせて電話させるんで! ……終わらせなさいよ?」

穏乃「終わらせるよ! ちゃんと透華さんにお誕生日おめでとうございます! って言うからね!?」

透華『ふふふ……全部、聞こえてしまっていますけど……』

憧「初めて聞く感じで聞いてやってください……」


透華『それでは……そろそろ失礼させていただきますわ。 新子さんもお勉強中でしょう? お時間取らせて申し訳ございません』

憧「いえ、そんな! いいお話も聞けましたし、卒業まで……勉強も麻雀も頑張れそうです!」

穏乃「えっ? ちょ、電話終わる感じ!? 待って!あと四ページぐらいだから!」

憧「どんだけ待たせる気なのよ……すみません、ありがとうございました! また、お時間ある時にお話ししたいです」

透華『ええ……私も、新子さんには大切な家族を……純を任せることになるでしょうから……純は勝手に行ってしまいましたけれど、新子さんが彼方に渡ることになったら多少の支援はさせてくださいな』

憧「えぇ!? い、いや……そんな、ありがたいですけどそれはさすがに……」

透華『あら? 私だって将来的に自分のチームを持つことになったら貴女みたいな優秀で将来有望な打ち手が欲しいですもの……先行投資ですわ』

憧「…………透華さんにそういう評価をしていただけてるってだけで、更にテンション上がっちゃいますよ……期待を裏切らないように、私も特訓しますんで……もし、その時が来たらよろしくお願いしたいですね」

穏乃「憧! 憧! ねえ、なんの話してるの!? ちょっと! 気ーにーなーるー!」

憧「うるさい! 後で教えてあげるから!」

穏乃「むー!! もう! もう!」

透華『ふふ……それでは、また』

憧「はい!」

穏乃「あ、切った!? 電話切った!? もう! 待ってって言ったのにー!」

憧「無茶言うな! 透華さんだって忙しいの! だいたいまだ終わってないでしょ!」

穏乃「うぅ……終わったら透華さんに電話するからなー!」

憧「わかったから手を動かす!」

穏乃「くっそー……」



穏乃「……ねえ、憧」

憧「……なに?」

穏乃「……私はさ、憧がやりたいこと応援するつもりだからさ……なんかあったらちゃんと言ってよ」

憧「……当然っしょ。 なんか話すならしずに一番に言うわよ」

穏乃「……へへへ、親友だもんなー」

憧「……恥ずかしい台詞禁止」

穏乃「ふっへへ、照れんなよー」

憧「照れてない! いいから手を動かせってば! 透華さんに電話する時間取らせないわよ!」

穏乃「意地悪すんなよ親友ー」

憧「だからやめてってば! ったくもう……」

……透華さんのやっていることなんて、難しそうで私にはよくわからないけど……とにかく、打ち手としては評価してもらえてるのよね

……ちゃんと力つけて期待を裏切らないように……いや、プロになるために、自分のためにもしっかり力をつけないと……

憧「……ファイト!」

穏乃「おう!」

憧「……いや、しずに言ったわけじゃないんだけど」

穏乃「あれ!? 頑張ってるんだから憧も私を応援してよ!」

憧「……まあ、大学落ちないように頑張んなさい」

穏乃「雑! 冷たい!」

憧「……勉強終わったら遊んであげるから」

穏乃「よっしゃあ! 頑張るぞー!」

憧「……単純で羨ましいわ、まったく……」


カン!

考えれば考えるほど実写化辛いんで情報出るまで考えないことにします
今のうちにアニメ一期から見直そうかな…


恥ずかしい台詞禁止は憧じゃなく淡に言わせてほしかった


>>472そんなこんなで交流戦はそのうち…キャラ多すぎると扱いきれないのでご期待にそえるかはわかりませんが…

>>486

淡「……どーして亦野先輩が出てくんの」

誠子「どうしてって、お前なぁ……」

淡「亦野先輩は関係ないじゃん! 私、あーいうの慣れてるし……実力無いから群れて来るんだよね。 情けないやつらだよ、ほんと!」

誠子「お前みたいに実力があれば何でも言っていいわけじゃないんだよ。 いい加減わかるだろ?」

淡「……私、あーいうの慣れてるの! 亦野先輩は関係ないんだからさ、ほっといてよ……生意気な私に構ってると、亦野先輩まで悪く言われちゃうよ?」

誠子「いいんだよ、気にしてないから」

淡「……私が気にするから、やめてよ! 私のことで関係ない亦野先輩が悪く言われるのは……私、嫌だからね」

誠子「それなら少しは自重してくれよ」

淡「……ほっといてって言ってんじゃん」

誠子「ダーメ。 後輩を守るのも先輩の役目だからな」

淡「…………」


a.淡「……恥ずかしい台詞、禁止だから」

誠子「え? 私、なにか変なこと言ったか?」

淡「……知らない! 亦野先輩のバーカ!」

誠子「あ、おい……! ……難しいやつだな、まったく」



b.淡「…………まっ、かわいい淡ちゃんを構いたくなっちゃうのは当然だよね! まったく、亦野先輩は仕方ないなー」

誠子「はいはい、そうだな」

淡「……でも、あんま無理しないでよ?」

誠子「……ふふっ、お前に気を遣われるってなんか変な感じ」

淡「……はぁ!? なによ、せっかく心配してやってんのにさ! ふんだ! もう知らない! 勝手に首突っ込んで胃でも痛めてろ!」

誠子「……洒落にならないから勘弁してくれよ」


淡はぱっと出てくるシチュエーションがこういうのばっかりで…白糸台だとせーあわが個人的に強いから仕方ない…個人的にはbの方がしっくりくるけど長期のシナリオで白糸台やるならaになりそう。どっちでも展開はあまり変わらなそうだけども



菫「……ん!? おい、今そこ通ったのはやりんじゃなかったか!?」

照「本当に? 解説で呼ばれてるから会場に居てもおかしくはないと思うけど」

菫「だよな!? よし、ちょっと追いかけて……!」

淡「ちょっと! 恥ずかしいからやめてよね! 仲間だと思われるじゃん!」

尭深「…………」

誠子「……距離とっても制服同じだから仲間だと思われるのは変わらないよ、尭深」


あとは安定の弘世様。台詞のニュアンスが明らかに違うのはご愛敬

                 ,. -、
            _.,,/-....._ヽ
         ,.-=7..:.:.:.:,:lー、::ヽ...、
         〃 /:::/:/lj`_ `;:::l`、.、
         //  ク:l(::フ  l:.::j l::::l  l i
       ,' ;'  ゝl 〟|`l 〟´):!  .! l   恥ずかしいセリフ、禁止っ
       i l     (\..|_」、-,'ニ、   l .!
      ,! l  _,/_ゝ. \/  .}   l l
.     l ,!   (/  _,>、 ´ヽ /    l l
       l l   ゝ-l} /l 丶ノ-' {.    l l
       l l   (´lj/|、ヽ|| _j   l l
      l l    `| | .|ゝ'´「´    l .!
.       ! l     j j. |  丶   ,! l

日付変わってるけどゆーきたんイェイ~


穏乃「……で、どうだった? 実力テスト……」

優希『赤点は取ってない! ……はずだじょ。 穏乃ちゃんは?』

穏乃「わ、私も……なんとかなってる……はずだよね?」

優希『私に聞かれても……まあ、麻雀部部長として、補習に捕まってるようじゃ後輩たちに示しがつかないしな……』

穏乃「うっ……そ、それやめよう。 たしかにその通りだけど引っ掛かってたら本気でヘコむから……!」

優希『……それもそうだな』

憧の特訓のおかげでなんとか試験を乗り越えて……乗り越えたよね? あんま自信ないけど……

……と、とにかく、試験も終わったことだし! 勉強もちょっと一息ついて国麻に向けて特訓を……したいところだけど、たぶん憧に勉強漬けにされるんだよなあ……

……いやいや、どうせある程度勉強しないといけないんだからもう気にしないことにしよう……うん、ちょっと勉強することは慣れてきたし…………身に付いてるかはともかく……

優希『で、どうしたんだ? まさか勉強の話がメインなわけないよな? 私と穏乃ちゃんの間で』

穏乃「もちろん! ……って言い切っちゃっていいのかな? 一応受験生だよ私たち……」

優希『一応じゃなくてれっきとした受験生だじょ?』

穏乃「それもそうだね! まあいいや、まだ先の話だよ!」

優希『そうだな! 国麻終わってからでもなんとかなるだろ!』

穏乃「そうそう! なるようになるよね!」

……別に、現実逃避とかじゃないし……目の前のこと一つ一つに集中したいっていうか? そういうアレだから!


穏乃「まあ、いくつか用事はあるんだけど……」

優希『ほほう? 何でも言ってみるといいじょ』

穏乃「よしっ! それじゃあ誕生日おめでとう! 次会うのは……国麻かな? タコスでも奢るから!」

優希『おおう、ありがとう穏乃ちゃん! 友情のタコスで国麻も優勝決定だじぇ!』

穏乃「あれ!? いやいや、私たちも負けないからね! それなら私も熱血パワーで優勝決定だ!」

優希『……引き分け、か』

穏乃「参ったねこりゃ……もう両方優勝でいいんじゃないかな!」

優希『そうだな! 国麻では敵同士だけど全力で戦うじょ!』

穏乃「おうよ! へへっ、楽しみだなー」

優希『ちなみに私が怖かったら別にタコス以外でも構わんじょ? プレゼントはどれだけ遅れても受けつけてるじぇ~』

穏乃「全力で打ち合うから楽しいんだろ? 私のタコスで優希がパワーアップするならいくらだって持ってくよ!」

優希『ふふん、いい度胸だじょ! 私だっていくらでもタコス食べてやるじぇ!』

穏乃「ちょっと待ってよ! いくらでもって……私のお小遣い無くなっちゃう!」

優希『それは穏乃ちゃんに申しわけないじょ……うむ、その気持ちだけ受け取っておくじぇ!』

穏乃「そう? よしっ! 気持ちだけなら誰にも負けないよっ! 誕生日おめでとう! おめでとう!!」

優希『ありがとう! ありがとうっ!!』

穏乃「 お め で と う ! !」

優希『 あ り が と う ! ! 』


優希とは、憧と違う感じで波長が合う

いやあ、ついノリと勢いでしゃべっちゃうんだよねー

そういえば和が私と優希は似てるって言ってたっけ……

優希『穏乃ちゃんの気持ちはバッチリ受け取ったじょ! ま、私たちなら国麻の選出漏れることもないだろうしな! 会えるのとタコスを楽しみにしてるじぇ!』

穏乃「おう! まかせとけ!」

穏乃「……あの、それでさ……ちょっと、優希に聞きたいことがあるんだけど……」

優希『ん? スリーサイズは秘密だじょ? 残念ながら穏乃ちゃんとあまり変わらなそうだがな……』

穏乃「そりゃあ残念……じゃなくて! あ、でも実際どうなの? じきに高校も卒業するわけだけど……」

優希『む……たしかにな。だいたい………………穏乃ちゃんは?』

穏乃「むむ……私はこの間測った時は………………」

優希『……やっぱりあまり変わらないな』

穏乃「うん……というか高校上がってからほとんど変わってないよ、私……」

優希『くっ……実は私も…………ちなみにのどちゃんの胸は……更に…………』

穏乃「……えぇ!? ちょ、なにそれ!? 私は憧ほど気にしてるわけじゃないけど……それにしても……なんと言うか、すごいなぁ……」

優希『さすがの私も……この差は……くっ……』

穏乃「…………ま、まあさ! 気にすることないって! 優希超かわいいし!」

優希『……だよな! 穏乃ちゃんだってベリーベリーキュートだじょ! 気にすることないじぇ!』


穏乃「とはいえ、やっぱりもうちょっと身長は欲しかったかなー……その方がカッコいいし!」

優希『ふむ、穏乃ちゃんはカッコいい系女子になりたいのか』

穏乃「そりゃあね! 赤土先生とか、純さんとか、セーラさんとか、辻垣内さんとかー……憧れちゃうよね!」

優希『なるほどな! ……とはいえ、ノッポはちょっと違うだろ……? あいつはけっこうしょうもない奴だじょ? 憧ちゃんはちょっと男の趣味悪いよなー』

穏乃「そう? 私はカッコいいと思うんだけどなー……あ、でも龍門渕だと透華さんもカッコいいよね! ビシッとバシッとしてて!」

優希『……龍門渕のおねーさんは……まあ、美人だと思うが……カッコいいのか? けっこう……面白おかしい残念美人タイプだろ?』

穏乃「えー? そんなことないでしょ」

優希『むむ……私にはどうにものどちゃんと……いや、のどちゃんにギャーコラやってる印象が強すぎるじぇ……』

穏乃「あはは、透華さんと和仲いいよね~」

優希『仲がいい……のか? うーん……たしかにそうかもな……』

穏乃「って話が逸れた! その透華さんや純さんに関係してることなんだけど……」

優希『ああ……ノッポの話か? ドイツに武者修行とはなかなか見上げた根性だじぇ』

穏乃「うん……その、優希も声かけられたって聞いたから……」

優希『おう! 憧ちゃんも誘われてるんだよな?』

穏乃「うん……だから、その……憧、まだ考え中だし詳細わからないから、ってあんまり話してくれなくてさ……」

優希『そうか……憧ちゃんなら、すぐに穏乃ちゃんに話すと思ってたじょ』

穏乃「あ、うん……憧もなんかあったらすぐ話すとは言ってくれてるんだけどさ……やっぱり、ちょっと心配で……優希は、どうするの?」

優希『私か? 私もまだ考え中ではあるが…………そうだな、うん。 たぶん、卒業したらあっち行くんじゃないかな……』

穏乃「……そっかぁ」


優希『……寂しいのか?』

穏乃「え? うん……うーん…………うん、まあ……たぶん、憧もさ……考え中って言っても、行く方向に気持ち固めてると思うんだよね……」

穏乃「憧ってさ、本当に麻雀好きで……中学上がるときも麻雀強いとこ行くって阿知賀から出てってさあ……」

優希『……その割には、高校は阿知賀だったな? 奈良といえば晩成だろ?』

穏乃「……へへっ、それはまあ……私の熱い友情の説得による結果?」

優希『穏乃ちゃんと憧ちゃんは仲いいよなあ』

穏乃「親友だからね!」

優希『おおう、なんとも力強い返答だじぇ……』

穏乃「そりゃあ、これは揺るがないし!」

優希『おう! 私たちの友情も不滅だじぇ!』

穏乃「もちろんだ!」

穏乃「……とにかく、私としては当然憧の応援をしたいんだけど……」

優希『けど?』

穏乃「…………なんって言うかなー……あーもう! わかんないっ! モヤモヤするっ!」

優希『あはは、穏乃ちゃんもまだまだ考え中ってやつか』

穏乃「うーん……そうかも。 いや、うまく言葉にできないだけで……」

優希『……心配なら、穏乃ちゃんも行くか?』

穏乃「へ?」


行く? 私も? ドイツに?

優希『ノッポなら、たぶん頼めば世話してくれるだろ。 アレでなかなか義理堅い奴だしな』

穏乃「…………おお?」

優希『私は……そうだな……麻雀続けたいんだ。 でもさ……やっぱり、咲ちゃんやのどちゃんに比べると私って……悔しいけど、ちょっと落ちるだろ? そういう……そういうとこなんだよな……』

穏乃「そういう、とこ……?」

優希『親友だし、一緒に戦ってきた仲間だけど……負けっぱなしじゃいられないからな。 今のまま一緒に……インカレだろうが、プロだろうが……行ったとしても、たぶん二人より強くはなれないから……』

穏乃「……優希は、和や咲にも勝ちたいんだね」

優希『とーぜんだじぇ! 悔しいだろ? 私が公式戦で二人よりも個人の成績いいのって東風でやる地区予選ぐらいだからな』

優希『……ちょっと違う環境に身を置いて修行するのも、いいかなって思ってる』

優希『……なにより、ドイツに行くなら受験勉強しなくていいしな!』

穏乃「なるほど!!」

優希『すまん、穏乃ちゃん……今のは笑うとこだじぇ』

穏乃「え? そうなの? ご、ごめん……受験しなくていいんだーって思ったらつい……」

優希『いや、受験勉強しなくていいのはたしかにうれしいことなんだけどな……で、穏乃ちゃんは? どうする? 私からノッポに口利きしてやってもいいじょ?』

穏乃「……あ、っと……私は…………」


麻雀……好きだし、当然これからも続けるつもりだけど……

強くなりたいし、勝ちたい……そういう気持ちは私だって当然持ってる……けど……

穏乃「…………」

優希『……ごめん、急にこんなこと言われても困るよな。 私だって最初にノッポにドイツで麻雀やらねぇ? とか言われたときは急になに言ってんだこいつ? って思ったし』

穏乃「……いや、私は行かないよ。 吉野に残る」

優希『……そっか。 それにしても決断早いな穏乃ちゃんは』

穏乃「んー……だってさ、憧が強くなって日本に帰ってきたときに誰かがちゃんと待ってないとかわいそうじゃん?」

優希『……ふふっ、なるほどな』

穏乃「はは、なーんて言ってみたけどさ……私、吉野好きなんだよね。 あんまり離れるとか想像つかないや……あ、でも旅とかはちょっとしてみたいかなあ……世界中の山登ってみたりとか」

優希『旅か! うむ、それはたしかにいいな……メキシコに行く時には声をかけてくれ! 本場のタコスを味わいたいしな!』

穏乃「あはは! それいいね! 優希と一緒なら楽しそうだし!」

うん、本当に楽しそうだ

世界中回ってみたいっていうのは実際に思ってて……大学上がってから時間作ってぶわーっと一気に山を上って回ったりとかしてみようとなんとなく考えてはいるんだけど

……吉野に、帰る場所があるから……旅だってできるんだよなぁ

穏乃「…………純さんはさ」

優希『ん? ノッポがどうした?』

穏乃「強くなるまで帰らないって言ったんだよね?」

優希『うん……龍門渕のおねーさんたちのためにも、自分のためにも、絶対強くなって帰るって……強くなるまでは帰らないって言ってたじょ』

穏乃「……そしたらさ、憧も強くなるまでは……少なくとも自分が納得できるまではこっちに戻って来ないと思うんだよね。 アレで結構頑固っていうか……麻雀に対して本気で、大好きだからさ、あいつ」

優希『……そうだな。 私だって、たいした結果も出せずに逃げ帰ってくるなんて絶対に嫌だじょ』

穏乃「……ふふ、純さんはそういうとこわかってて誘ったんだろうなぁ……憧も優希も本気の本気で打ち込んでるもんね、麻雀に」


優希『でも、穏乃ちゃんだって本気でやってるだろ?』

穏乃「もちろん! ……でもさ、やっぱり……私は吉野を捨てる覚悟で飛び出してくのは無理かなぁ……」

なんというか、麻雀に対する気持ちは私だって強いけど……それ以上に吉野や、吉野の人たちのことが好きで……

穏乃「……憧はさ、見違えるほど強くならないと絶対に帰ってこないね! 見栄っ張りだし……大口叩いといて成果無しで帰ってくるとかあり得ないもん! あっちの大会で結果出すとかして名前挙げてからじゃないとダメだとか思ってそうだし……」

穏乃「……そういうとこあるんだよ。 それにちゃっかりしっかりしてるように見えて意外とうっかりしててさ……心配なんだよね」

穏乃「だからさ、憧のこと頼むよ。 優希が居れば安心だしさ」

優希『……おうよ! まかせろ! 私はノッポよりもよっぽど頼りになるじょ?』

穏乃「……へへ、まかせたぞ! 優希!」

憧は絶対にドイツに行く。 これは確信を持って言える。 考え中とか言ったって、行くのは前提でどうやって親を説得しようかなーとか、言葉わかんないけどどうしようとか、そんなとこだろう……まあ、たとえおじさんたちが反対したとしても望さんが後押ししてくれると思うから結局ドイツには行くはずだ

……もし……考えたくもないけど……もし、うまくいかなくて、本当にどうにもならなくて帰ってくることになったとしても、私がちゃんと迎えてあげられるようにしてあげたい

……当然、憧は成功して帰ってくるけどね! その時は望さんや玄さんと一緒に盛大に迎えてやるんだけど!

優希『……穏乃ちゃんもさ、別に……気にすることはないんだじょ?』

穏乃「え?」

優希『穏乃ちゃんがちゃんと考えて決めたんだからさ……私や憧ちゃんみたいに麻雀のために旅立つことができなくたって、本気さが足りないとか、誰もそんな風には思わないじょ?』

穏乃「あ……あはは、ありがとう優希。 なに? 何でそういうこと言ってないのにわかっちゃうかなー」

優希『結構鋭いんだ。 友達のことに関しては特にな!』

穏乃「いやあ、敵わないね、まったく……」


優希『まあ、むしろ普通に考えたら麻雀するためにドイツに行くとかなかなかおかしいこと言ってるしな。 麻雀好きにしてもプロになれないなら素直に進学してインカレや実業団チームで打ってくのが無難だじょ』

穏乃「まあ、それが普通だよね」

優希『麻雀のために海外留学は賢い選択とは言えんな! 芽が出なけりゃ高卒で職歴もない美少女が残るだけだじょ……ああ、最悪結婚して家庭に入るって選択肢も……』

穏乃「け、結婚!? 相手いるの!?」

優希『いや、言葉のあやというか……ま、まあ
、私や憧ちゃん程の美少女なら相手ぐらい見つかるじょ! 最悪ノッポが憧ちゃんを誑かした責任をとって一生面倒見るからな!』

穏乃「マジでか! さすが純さん男前……」

優希『ま、とにかく……麻雀に打ち込むにしても選択肢は色々あってさ……ノッポや
私や憧ちゃんは、あまり賢くないにしても、一番強くなれそうな道を自分で考えて選んだんだから! 穏乃ちゃんも自分の道を行けばいいんだじょ』

穏乃「……うん、そうだね。 違う道を行くことになっても私たちが親友なのは変わらないし……中学別れたけど高校は一緒になったみたいに、また道が交わることもあるよね!」

優希『そうそう! なんなら私たちが戻ってくる前に穏乃ちゃんもプロになっててくれてもいいんだじょ? その方が私たちも張り合いが出るしな!』

穏乃「あははっ! その手もあるか! プロかあ……そういう道も、あるんだよね」

優希『あれ? もしかして穏乃ちゃんあんまり考えてなかった?』

穏乃「うん……そうだなあ……麻雀好きだけど、なんとなく……家で店の手伝いとかしながら、ずっと吉野で暮らしてくのかなあ……って」

優希『……吉野好きすぎて離れるって発想が本気でなかったのか』

穏乃「あはは! そうかも、そんな感じ! 将来のこととか言われても、やっぱりなんか漠然としててさ……やりたいことだけ挙げてけば色々あるのにね」


綾乃「穏乃ー? 憧ちゃん来てるわよー」

憧「しずー? いるの!? なにやってんの!? 試験終わっても勉強はするって言ったでしょ! さっさと参考書とノート持って出てきなさーい!」

穏乃「うげ……」

優希『ははは! こっちまで聞こえたじょ? そっちは大変そうだなぁ』

穏乃「ぐぐ……そ、そういう優希はどうなんだよ?」

優希『む……まあ、私は補習食らわない程度に勉強してやり過ごすじょ? ドイツに渡るつもりだしな! それに、今日はこれから京太郎の作ったタコスとのどちゃんと咲ちゃんが焼いてくれたケーキが待ってて……』

和『ゆーき! 主役が来ないと始められませんよ? こっちは準備できてますからねー!』

優希『おっと、こっちもお呼びがかかったじょ! それじゃあ、穏乃ちゃんご愁傷さま! 私は楽しいパーティーだじぇ!』

穏乃「ぐぬぬ……くっそー……勉強よりも国麻に向けた特訓したいのになあ……」

優希『……ま、憧ちゃんに聞きにくいこともあるんだろ? なんかあったら私に言ってくれ! ノッポと話すのは大変だろうしな。 国際電話って高いらしいし』

穏乃「……さんきゅー優希! またな!」

優希『おう! またな、穏乃ちゃん!』

穏乃「……さてと、ノートと参考書は…………めんどくさいなあ……」

憧「しーずー……? 何をやってるのかしらねぇ?」

穏乃「うげっ!? あ、いや……ちょっと電話を……」

憧「誰と? 何の話? しずの成績で無駄にしてる時間なんて無いのよ?」

穏乃「ぐっ……はっきり言うなあ……」

憧「現状をちゃんと理解しないと受験なんて乗り越えられないわよ! 推薦だってまだ確定してないんだからちゃんと勉強しなさい!」

穏乃「わかってるよお……もう、スパルタなんだから……」

憧「……で、誰と無駄話してたわけ?」

穏乃「……ゆーき」

憧「へ? 優希? ああ、誕生日だもんね……私も後で電話しよっと……話したいこともあるし……」

穏乃「……あ、優希と話してたんだけどさ」

憧「うん?」

穏乃「……何かあったら純さんが一生憧の面倒見るってさ」

憧「ふきゅ!?」

憧「え、い、一生って、それは、えっと……だだだだってそんな、それって、え!? え!? なに!? どういうこと!? アレなの!? オッケーなの!?」

穏乃「あ、私なんか今すっごくケーキ食べたいかも。優希の誕生日だし」」

憧「ちょっとケーキ買ってくるわ!」

穏乃「……憧が帰ってくるまで国麻に向けて牌譜でも整理するかあ」



カン!

今後もしばらくはちょこちょこドイツ編?の前ふりをしながら好き勝手やっていく予定

立先生がまともな服装にしておけばよかったとか言っててつい吹き出しちゃったけどやっぱり実写では国広くんはいろいろ引っかかって削除されてしまうんです?

ドイツでは叔姪婚が合法でなんたらとかそういう話かと
調べたら同性結婚はドイツでは認められていない(結婚に準じた関係を認める法はある)けど
近隣諸国では結構認められてる国があるみたいですね

そう言えば霞さんがはっちゃん巫女服を着たフィギュアが出て居ましたが
霞さんもハイセンスファッション側の人間なんでしょうかね?
久々に憧ちゃー対穏乃ちゃーによるファッションイデオロギー対決をのどっちさんのバースデーを使ってやって欲しいかも
希望登場人物は…一さん、初美さん、穏乃ちゃー、憧ちゃー、霞さん、のどっちさん、花田先輩、友清朱里さん、優希ちゃん、咲さん、揺杏さん、灼ちゃー、衣お姉さん、透華お嬢様、玄ちゃー、宥姉さんでお願い致します!

あの、あこちゃーが麻雀するためにドイツに行くって話の流れじゃありませんでしたかね…?
>>508ネタにするからにはと思ってどんな感じなのかなーって調べましたがあっちはそんな感じみたいですね。
慕リチャに関しては家族愛派だけどふたりともかわいいからなんでも許せる
>>509本当は恥ずかしいけど初美ちゃんに頼まれたら断れない…ここの霞ちゃんはそんな子

もこたんイェイ~
投下します


灼「いらっしゃいませ…………いいの? 遊んでて」

穏乃「あんまり良くないです!」

憧「胸張って言うことじゃないわよ……今日はまあ、特別ってことで。 レアキャラもいるしね」

灼「レアキャラ?」

穏乃「あれ……もう! 隠れてないで出てきなよ! 灼さんのおうちのお店だし怖くないって!」

もこ「……、……!」

灼「あ、もこ……久しぶりだね、元気にしてた? 遊びに来たの?」

もこ「……! …………、……!」

灼「ふふ、そっか。 前もって言ってくれればなにか用意しておいたのに……」

憧「そんな気にしなくても、バースデー割引でいいわよ?」

灼「……よし、もこはただでいいよ。 誕生日おめでと」

もこ「…………!」

灼「いいよ。 お祝いだから……ドリンクもサービスしてあげる」

憧「やっりぃ!」

灼「……憧は誕生日じゃないでしょ」

憧「えー! いいじゃん別に! かわいい後輩割引ってことで」

灼「うちも商売なんだけど……」

穏乃「憧、あんまり無理言うなよなー……最近試験勉強や国麻の準備で忙しかったり、純さんもドイツ行っちゃったからって灼さんに過剰に甘えていい理由にはならないんだから」

憧「なっ……! べ、別にそんなんじゃないけど!?」

灼「これで好きなジュース買いなさい」

憧「わ、やったあ!」

穏乃「灼さん甘い!」

灼「つい……ほら、穏乃も」

穏乃「え、でも……」

灼「いいから」

穏乃「……ありがとうございます! ご馳走さまです!」


もこ「…………」

灼「……ま、そうなんだけど……やっぱりね、かわいい後輩なんだよね」

憧「えっへっへ~……もう、灼さん優しいから好き~」

灼「そしてつい甘やかしてしまうのであった」

もこ「……」

灼「こんなにかわいい後輩がいたらバカになっても仕方がない」

憧「……ちょ、ちょっと、灼さん。 あ、あんまりそういうこと言わないでよ……」

灼「こっちが言うとすぐ照れちゃって……」

穏乃「憧は相変わらず照れ屋だなあ」

灼「かわいいやつめ」

憧「あーもう! うるさいってば! あ、灼さん、後で初瀬も来るから」

灼「……ああ、国麻の作戦会議?」

憧「そそ、灼さんも相談乗ってよ」

灼「ん、力になれるなら……そういえば、もこは? 国麻、選抜されてるでしょ」

もこ「…………」

穏乃「知らないって……大丈夫なの?」

もこ「……!」

憧「今までもそうだったって……ま、もこならたしかにその場で対応とかもできるんだろうけどねぇ」

もこ「…………、……」

灼「いちおチームメイトなんだし、仲よくして損はないと思うけど……」

もこ「………………………………!」

穏乃「……人見知り激しいのは変わらないね」

憧「しずみたいに出会った瞬間みんな友達! みたいなのもいい加減どうかと思うけどね……」

穏乃「そこまで単純じゃないってば! ……たしかにだいたいそんな感じだけど……」

もこ「…………」

憧「え? なに?」

もこ「……、…………!」

憧「きゃ! ちょっと! 引っ掻かないでよ!」

穏乃「ふふ……ま、たしかにそのお陰でもこともすぐに仲良くなれたんだもんね!」

もこ「……!」

穏乃「うわぁ!? ……もう、もこはほんと照れ隠し激しいんだから……」

もこ「…………!」

穏乃「はいはい、ごめんごめん」


初瀬「こんにちはー」

灼「いらっしゃいませ……憧たち、もう来てるよ」

初瀬「あ、すみません鷺森さん。 お邪魔します……あ、もこちゃんだ!」

憧「ちょっと、こっちは無視?」

もこ「……!」

初瀬「わー、久しぶり~! 相変わらずかわいいなぁ……ね、撫でていい?」

もこ「……、…………!」

初瀬「えへへ、いいじゃんいいじゃん。 なにもそんなに警戒しなくても……」

もこ「!」

初瀬「あぃったぁ!」

穏乃「もこ! 噛みつき禁止だってば!」

憧「こら! ばっちいからペッして!」

初瀬「ばっちくない! 失礼な! 清潔だっての!」

もこ「…………! ……、…………!」

初瀬「うぅ……まだ慣れてくれないか……もこちゃん小走先輩とは仲いいのに……」

穏乃「もこ、初瀬はいい奴だよ! もこの大好きな小走さんの後輩だし!」

もこ「……、……っ!!」

穏乃「ふぎゃ!? ちょ、ず、頭突きが来るとは……いったぁ……」

憧「その言葉選びじゃそうなるでしょうよ……」

灼「……なんでもいいけど、はしゃぐなら他のお客様の迷惑にならない程度にね」


――――――

初瀬「え、もこちゃんボウリングはじめてなの?」

もこ「…………!」

穏乃「大丈夫だって! 簡単簡単、ボール投げてあのピン倒すだけだからさ」

憧「とりあえずやってみたら?」

もこ「…………!」

穏乃「よし、いっけぇ! もこ! 目指せストライクだ!」

もこ「…………」

もこ「…………!!」

穏乃「ってちょっと待ったぁ! 危ない! 危ないから!」

憧「下から! 下からね!? 野球じゃないんだから! 危ないから!」

初瀬「か、片手で……力持ちだなぁ……」

もこ「……?」

穏乃「そう! そう、下から! ごめんね、それじゃあ私が見本を見せるから! ……そりゃっ!」

初瀬「お、穏乃うまいじゃん」

穏乃「へっへーん! 鷺森レーンで鍛えたこの腕前!」

もこ「…………?」

灼「ん? ……いや、私は普通ぐらい。 店番してたらボウリングできないし」

もこ「…………、………………!」

灼「グローブ? いいよ、貸してあげる」

もこ「……!」

穏乃「あ、いいなぁ……それ、カッコいいですよね!」

憧「カッコいいかぁ?」

初瀬「もこちゃんも意外と形から入るタイプか……」




もこ「…………!」

穏乃「おおー……またストライク……」

憧「……なんか、あっという間に上手くなったわね」

初瀬「さっきも思ったけど……見た目に反してパワーあるね、もこちゃん……」

もこ「……! …………! ……、……!」

灼「そんなに楽しんでもらえるとは……こっちとしてもうれしいけど」

穏乃「あはは! ちょっと落ち着きなよ、興奮しすぎだってば」

初瀬「くっ……やっぱりかわいいなぁ……もこちゃん! ハイタッチ! イェイ!」

もこ「!」

初瀬「やった! 一歩前進!」

憧「ようやく打ち解けてきたか……でさ、国麻なんだけど……」

穏乃「よっしゃあ! こっちも取ったぞ!」

初瀬「むむ……みんな上手いなぁ……私ももう少し練習しよっかな……」

もこ「…………! ……!」

初瀬「あはは、ありがとうもこちゃん」

憧「……ちょっと! 国麻……」

灼「みんな、宥さんがあとでケーキ買ってきてくれるって」

穏乃「ほんとですかっ!? やったあ!」

もこ「……! …………! ……、…………!」

初瀬「うーん、ご馳走になってばっかりじゃ悪いし……今度私もなにか持ってきますね」

穏乃「そんなの気にしなくていいのに……」

初瀬「いやいや、そういうわけにもいかないって」

もこ「……! …………!」

初瀬「え? いまから? ま、誕生日だしね。 しょうがないなあ……それじゃあこのゲーム終わったらなにか買ってくるよ」

もこ「…………!」

憧「……ねえ! ちょっと!」


穏乃「? どうしたの? でかい声だして……」

初瀬「ケーキでテンション上がったんだろ? 憧、ケーキ好きだし」

もこ「…………」

穏乃「ふふ、そうなんだよね……憧ったら太るの気にしてるわりにはひとりでかなり食べるから……宥さんの誕生日の時に龍門渕さんがおっきなケーキ持ってきてくれたんだけどその時なんか……」

憧「ちょっとちょっと! な、なんの話してるのよ!? そうじゃなくて、いい加減国麻の……」

灼「わかった。 後でケーキのいちご分けてあげるから落ち着いて……」

憧「えっ? ほんとに!?」

灼「…………」

もこ「…………」

初瀬「……食い意地張ってるなあ」

穏乃「ほんと、人にはいろいろ言うくせに……」

憧「~~~~!! もうっ! なによ! 私が悪いわけ!?」

穏乃「いや、別に悪くないけど……」

灼「かわいい」

初瀬「まあまあ、そんなに焦らなくてもいいじゃん。 他県のデータはうちでかなり集めてるし今度代表の顔合わせの時に細かいところは詰めれば……あ、これ牌譜とかのデータ入ったUSBね」

憧「そういうのは最初に渡しなさいよっ!」

初瀬「そんなに急いでなかったし……もこちゃんもいるし……」

憧「あんたなんでそんなにもこのこと好きなのよ……」

初瀬「かわいいから」

もこ「…………!」

穏乃「あはは、言われなれてるでしょ? 照れなくていいのに」

初瀬「っていうか今日桜子ちゃんとかひなちゃんとかいないの? 会いたかったのに……」

憧「……あんたそんなに子ども好きだったっけ?」

初瀬「かわいいんだもん……っていうかあの子らももう中学生でしょ」

灼「あの子たち、いい意味で子どもっぽいから……ま、本当に子どもの時から付き合いある憧たちはそういうイメージになっちゃってるのもわかるけど」


穏乃「とにかくさ! せっかくもこもいるんだし……今日は遊ぼう!」

憧「しずは遊びたいだけでしょ……」

穏乃「遊びたいけど! いや! 国麻も当然大事だけどね!?」

もこ「……?」

穏乃「そうだね! 一通り遊んだら打とっか!」

初瀬「……ね、他県の代表と野試合していいんだっけ? 大会規定大丈夫?」

憧「国麻はそこまでキツキツじゃなかったような……ちょっと調べてみる」

灼「結局麻雀か……売り上げをのばすためにもいろいろ考えないと……」

穏乃「あ! それじゃあ、染谷さんのとこみたいに麻雀が打てるボウリング場にするっていうのはどうでしょう!?」

灼「……それは、なんともカオスな施設だね」

憧「思いつきで適当言うのやめなさいよ……そんなことしたら、卓置くスペースとかも用意しないとだし自動卓のメンテ費用とか……」

灼「……休憩スペースにマットと牌を置けば……」

憧「検討しちゃうの!?」

初瀬「国麻なあ……晩成の名に恥じない活躍をしないと……高校卒業前最後のチャンスだし」

穏乃「そうだね……初瀬も進学組だよね?」

初瀬「うん。 麻雀強いとこ行くよ。 推薦取れそうだし……まあ一般受験でも余裕だけど」

穏乃「……さすが晩成」

初瀬「ま、ちゃんと勉強してるからね。 勉強よりも麻雀したいなあ……名門校いったらまた応援席スタートになっちゃうだろうし……」

もこ「…………?」

初瀬「うん、やっぱりプロ目指したいな……現実的じゃないのはわかってるけど……一年の夏、応援席だった私だって今年は部長やってたんだもん。 努力すればまだまだ伸びるって思いたいな」

憧「初瀬、一年の終わり頃には別人レベルで強くなってたもんね」

初瀬「憧が夏に中学の時とは別人レベルで強くなってたから滅茶苦茶悔しかったんだよ! 成績落とさないで特訓するのすっごく大変だったんだぞ?」

灼「晩成は進学校だもんね……成績も落とせないよね」

初瀬「というか、定期的にやる実力テストの成績が一定以下だと麻雀部出させてもらえなくなるんですよ……」

穏乃「え!?」

初瀬「監督の方針で……学生の本分は勉学にあり! ってね……ほんと厳しくて……」

憧「しず、晩成じゃなくてよかったわね」

穏乃「うん……まあ、そもそも私の頭じゃ晩成はどうやっても無理だけど」


初瀬「……っていうか、憧はどうするんだよ? 穏乃は進学するって聞いてるけど、お前あんまりはっきりしたこと言わないじゃん」

憧「え? あ、うーん……なんというか……まぁ……ねぇ?」

初瀬「いや、それじゃわかんないって」

憧「……考え中って、いうか……」

穏乃「考え中ねぇ……」

憧「……なによ?」

穏乃「いや、別に……いいんだけどさ」

もこ「……?」

灼「ん……ま、憧にもいろいろあるんだよ」

初瀬「……こんなこと言うのも、ちょっとアレなんだけど……」

憧「な、なによ?」

初瀬「いや……だから、なんつーか……」

憧「……そんなに言いにくいことなわけ?」

初瀬「……わ、私はさ、憧のこと……その……親友だと、思ってるから」

憧「……な、何を言い出すのよ急に……」

初瀬「お前さ、結構なんでも……大事なことは特に、自分だけで決めちゃうし……高校上がるときも、一緒に晩成行こうって話してたのに、いつの間にか阿知賀に行ってて……」

憧「それは……うん……」

初瀬「……国麻もさ、また……あの頃みたいに、お前と一緒に打ったり作戦立てたりできるのも、うれしくて……」

初瀬「……憧の力になりたいんだよ! 悩んでるなら話だって聞けるし、今の私は晩成の部長なんだ、できることだっていろいろあるだろ?」

初瀬「…………お前にとっては、やっぱり頼りないのかもしれないけど……」

憧「……そんな、それは……違うわよ!」

初瀬「……憧?」


憧「私だって……初瀬のことは……その……」

憧「……阿知賀行くって決めたときは、勢いもあってパッと決めちゃったけど……阿知賀で全国行きたいって想いは本気だったし……」

憧「あの時だって、ちゃんと話そうと思ってたんだけど……あの頃もう部活も引退してたし、初瀬も受験勉強すごく忙しくなってて……」

憧「……麻雀やるなら晩成行くのが当然だったし、なんか、言いづらくって……タイミング逃してるうちに、なんかずるずると…………」

もこ「……!」

憧「そこ! ヘタレ言うな!」

穏乃「いや、言われても仕方ないんじゃ……」

憧「むむ…………あのさ、一年の夏の大会前に久々に会った時さ、初瀬が、結構普通に接してくれて私うれしかった。 その、そりゃあ怒られたけど、当然だと思うし……」

初瀬「あの時、お前だって全然普通だったじゃんかよ」

憧「内心かなりテンパってたわよ。 なんか、全然話せないまま中学卒業しちゃってたし……」

初瀬「……憧が麻雀好きなのはよく知ってるしさ、それこそ中学上がったときには晩成でインハイ行くって話までしたぐらいだし……いざ進学したらお前居ないし……」

灼「……実は受験したけど落ちてたとか」

憧「落ちてないっ! っていうか受けてないし! 受けてたら合格してるし!」

初瀬「憧が落ちるとは思ってなかったから本気で驚いたんだぞ、私……」

憧「うん……その、ほんと、ごめん……」

初瀬「……いいよ、そのことは今さらだし…………憧が阿知賀で強くなったからこそ、私も強くなれたんだから」


もこ「……? …………!」

初瀬「うん……でもさ、ライバルがいるからこそ頑張れるってこともあるでしょ?」

憧「初瀬……あのさ、私…………高校卒業したら、ドイツに……行こうかと、思ってる」

初瀬「……ドイツ?」

憧「うん……知り合いが、あっちに居てさ。 武者修行のお誘いっていうか……してもらっててね? 私も、プロになりたいけど……今のままじゃ通用しないと思うから……」

初瀬「……そっか。 そうなんだ……どれくらいあっち行くわけ?」

憧「ん……わかんないけど、強くなってから帰ってくる……プロの世界に乗り込むためにね」

初瀬「……わかった。 それじゃ、私はこっちで先にプロになって待ってるから」

憧「……へへ、なに? 大きく出たじゃん」

初瀬「憧が強くなるのに私だけ今のままってわけにはいかないでしょ」



穏乃「…………」

灼「……どした?」

穏乃「……憧、やっとドイツ行くってはっきり言ったなぁって……」

灼「……うん、そだね」

穏乃「そういう気持ちなのはわかってたけど……やっぱり、私としても? それこそ話してほしかったっていうか……」

灼「初瀬に負けた気分?」

穏乃「勝ち負けじゃないのはわかってるんですけど……」

灼「……よしよし」

穏乃「…………あはは、なんか、すみません」

もこ「…………!」

穏乃「へへ、もこもさんきゅー!」


灼「……そういえば、もこはどうするの?」

もこ「?」

灼「進路」

もこ「…………、…………!」

穏乃「へぇ、プロ志望届出したんだ……」

灼「……実力的には大丈夫だけど、ひとつ問題があるね」

もこ「……? ……、…………!」

灼「プロって人前に出るし、私たちは付き合いもそこそこだし意思疏通もできるけど、もっとはっきり喋れるようにならないと」

もこ「!」

穏乃「あー……たしかに、憧とかはじめて会った頃全然もこと会話できてなかったもんね」

もこ「……! …………!」

憧「ちょっと! それは違うでしょ! そりゃ、今はわかるけど……もこ、今のままじゃ苦労するわよ?」

もこ「…………! ……!」

穏乃「……ま、まあ、たしかに……野依プロはかなりの口下手で有名だけど……」

初瀬「……それでも、野依プロって話すときは要点は……要点だけはビシッとはっきり発言するし、もこちゃんも話せた方がいいんじゃないかな?」

もこ「…………」

灼「今までは拒否とかもできたかもしれないけど、プロともなれば取材とか、話さないといけない機会も……」

もこ「…………」

穏乃「……よし! もこ、せっかくだし練習してみよっか!」

もこ「?」


穏乃「私たちがインタビューするから、もこはそれに答える! これだ!」

もこ「…………」

憧「……なにもしないよりはいいんじゃない? 私たちが聞きたいこと聞くついでに練習にもなるし」

灼「聞きたいことって例えば?」

憧「んー……それじゃあさ、もこはどこのチームに入りたいとかある?」

もこ「…………!」

灼「もこ、それじゃダメだよ。 しっかり話さないと」

もこ「…………」

穏乃「頑張って! ほら、回りにいるのも私たちだけだし! 今の内に慣れとこう?」

もこ「ぇ…………ぁ、ぅ…………」

もこ「…………ょ、よこ、はま……」

初瀬「わ! いいよ、もこちゃん! ちゃんと言えた!」

穏乃「横浜か! いいよね、強いチームだしエースの三尋木プロもカッコいいし!」

灼「……ね、なんで横浜がいいの?」

もこ「……そ、それ……は……ぁ、ぁの……」

もこ「…………~~!!」

灼「ぅわっ!」

穏乃「ちょ、もこ! 落ち着いて! ダメだよ、癇癪起こしたら!」

憧「はいはい、一回落ち着いて……もっかいチャレンジ!」

もこ「ぅ……、…………ょ、よこ、はま……には、……ゃぇ……も、てる……も……ぃ……る、し……」

もこ「プロ……なり、たぃ……け、ど…………ひとり、は……ふ……ぁんで……」


もこ「…………、…………! ……!! ……!!」

灼「ごめんごめん……でも、普段通りになるとやっぱり言葉遣い汚いよ、もこ。 気をつけないと」

もこ「……! ……!!」

灼「ごめんってば……そんなに照れなくってもいいのに」

穏乃「ふふ、もこは本当に小走さんと照さん好きだよねぇ」

もこ「……!」

穏乃「いったぁ!! ちょ、だから引っ掻きと噛みつきは禁止だってば!」

初瀬「でも、そうだなあ……私もいつかは小走先輩と同じチームに入って一緒に戦いたいなぁ……」

憧「横浜はレベル高いわよ~?」

初瀬「わかってるよ、私だってまだまだ頑張るんだから! ……そういう憧は? やっぱり赤土監督のいるハートビーツ?」

憧「え? あ、そ、そうね!? ハルエがいるしね! ハルエが!」

穏乃「……初瀬、憧は高校上がってからはやりんの大ファンになってて……」

初瀬「え!? マジで!? 昔はキツいだのなんだの言ってたのに……そういえば、なんとなく思い当たる節が……」

憧「い、いいでしょ!別に! ……まあ、ハートビーツもだけど、私はチームは……」

初瀬「……なんだよ? だからちゃんと話せって」

憧「ん……あはは、いや、まだ存在しないチームだからこの話はパスで。 今入りたいって言うなら私はやっぱりハートビーツかなぁ……」


灼「……もこは、なんでプロに?」

もこ「……! ……、…………、…………! ……!」

灼「だーめ。 さっきの続き。 頑張って話してみよ?」

もこ「ぇ……ぁ、と…………ゎ、たし、……麻雀、しか、……でき、なぃ……し……」

もこ「藍子ちゃん、と、……ぉなじ、がっこ……ぃく、の、は……むり…………だし……」

もこ「藍子ちゃん、も、……だぃが、く……そつ、ぎょ……う、したら……プロ、なる……から……だ、から……」

灼「うん、そっか……頑張ったね、偉いよ」

もこ「…………、……!! ……!」

灼「……ギャップが酷いなぁ」

穏乃「百鬼さん、そういえば進学したんですよね。 プロ行く腕あるのに……」

憧「インカレに倒さないといけない相手がいるとか言ってなかったっけ?」

もこ「……! …………! ……、…………!」

穏乃「高校時代に負けた相手がインカレで活躍してる? へぇ……」

灼「心残りがあるままプロには行かないってことだよね……けっこう、執念深いというか……」

初瀬「そういう勝負に対する拘りとかは持ってる人も結構いると思いますけどね。 晩成の先輩方も結構……それこそ、小走先輩だって……」

灼「……ああ」

憧「小走さん、いまだにこっち戻ってくると言うわよね……ねぇ、今日松実は? 打てんの?」

穏乃「あはは! 似てる似てる!」

初瀬「トータルではもう勝ち越してるのに……ま、先輩らしいかなぁ」


もこ「……、…………? ……!」

灼「ん、それは……私も麻雀好きだけど、プロになることだけが麻雀続ける道じゃないから……」

もこ「…………! ……、…………? ……!」

灼「うちの店もあるし……まあ、卒業してすぐってわけじゃないだろうけど……」

穏乃「家業があるとやっぱりいろいろありますからねぇ……憧のとこみたいに望さんが……上の兄弟がいるとまた違うけど」

憧「うん……まあ、家の方はお姉ちゃんがやってくれてるから……好きなことやんなさい、って言われてる」

初瀬「望さんはねぇ……憧のこと凄く大切にしてるからねぇ」

穏乃「ああ見えて溺愛してるよねー」

憧「なっ……なに言ってんのよ! 別にそんなこと、な、ないでしょ! 普通よ普通!」

初瀬「おーおー、動揺してるよこの子は」

穏乃「憧は憧で凄く望さんのこと好きだからね」

憧「ふ、普通よ! 普通だって言ってんでしょ!」

穏乃「大丈夫大丈夫! 憧の気持ちはよくわかってるから!」

憧「絶対わかってないでしょ!? 話を聞きなさいよ!」

初瀬「安心しろって。 わかってるからさ」

憧「だーかーらー!」



もこ「…………」

灼「……どうしたの?」

もこ「……ぁ、らた、は……」

灼「!」

もこ「ぷ……プロに、は、……なら、な……ぃ……の……?」

灼「……どう、だろう……なぁ……」

もこ「ゎ、たし……は、ぁら……た、と……ぃっ……一緒に、打て、たら……ぅれ……しぃ、よ……」

灼「……私は、学生で……まだ、考える時間はあるから……やっぱり、麻雀好きだし……なってみたいって、気持ちが無いわけじゃないから……」

もこ「……しずの……も、プロ、に……は、なら、なぃ……ん、だよね……?」

灼「ん……進学するために、一生懸命勉強してるよ」

もこ「…………」

灼「……さびし?」

もこ「…………!」

灼「……ふふ…………わかったから、無言でローキック連打は止めてほしいかな……」

もこ「…………」

灼「……ん、大丈夫だよ。 もこなら」

もこ「……ぁ、あり、がと…………が、がん、ばる……ね」

灼「…………ふふふ」

もこ「……………………!」

灼「だって……もこ、一生懸命喋ってる時は、素直で……ふふ、かわいいよ」

もこ「……! ……、……! …………!!」

灼「……恥ずかしいのはわかったから……その、暴力はやめよう……? 的確に脛にローキック打ち込むのやめよう……?」


宥「みんな~! 遅くなっちゃってごめんね~」

憧「あっ! 宥姉!」

穏乃「宥さん! おかえりなさいっ!」

初瀬「こんにちは、宥さん!」

宥「えへへ、こんにちは~……もこちゃん、誕生日おめでとう! ケーキ、買ってきたよ~!」

もこ「! ……! ……、……! ……!!」

宥「ふふ、そんなに喜んでもらえるとうれしいなあ……」

灼「宥さん、すみません急に……」

宥「いえいえ、お気になさらず……私もケーキ好きだし…………最近、ちょっと食べ過ぎで危険かなあってぐらいで……」

憧「や、やめてよ宥姉……ケーキを前にしてそういうこと言うのは……」

穏乃「……2!」

初瀬「……んー……じゃあ、2.5で」

憧「……なんの数字よ、それ」

穏乃「一ヶ月でどれくらい増えるかなーって」

初瀬「数字が遠かった方がケーキ奢りね」

穏乃「あはは! それじゃあ私たちまで太っちゃうじゃん!」

憧「ちょっと!! 私たちまでってどういう意味よ!? 私は太らないわよ! そんなに太るわけないでしょ!?」

宥「…………そ、そうだよ。 そ、そんなに、急に、太るわけ……な、ない、よ……?」

灼「……宥さん? もしかして、心当たりが……」

宥「そ、そんなこと無いよ!? 夏休みからしばらく食べて寝てを繰り返して太っちゃったなんてことはないよ!? わ、私、お姉ちゃんだし……先輩だし……じ、自己管理できてるもん!」

灼「……そういう、ちょっとだらしないところもかわいくて好きですよ」

宥「ち、違うの! 灼ちゃん! 違うのぉ……」

憧「…………しず? 一口分けてあげてもいいわよ?」

穏乃「……今さら、手遅れじゃないかな?」

初瀬「うーん……ノーコメント」

憧「大丈夫よ! 大丈夫だから!」


もこ「……! …………!」

宥「あ……ご、ごめんねもこちゃん……ほら、じゃーん! おっきなチョコケーキだよ~」

穏乃「わぁ! おいしそう!」

憧「……いちご乗ってない」

灼「…………一口分けてあげるから」

憧「えっ!? いいの? やったぁ!」

穏乃「あっ……」

初瀬「これはもう……」

憧「…………だ、大丈夫よ。 うん……食べた分しっかり消費すればなんの問題もないし……宥姉みたいに食べて寝ての繰り返しをしなければなんの問題も……」

宥「だ、だから違うんだってば……その、たしかにちょっとは……ちょっとはね!? ふ、太っちゃった……かも、しれないけど!」

憧「けど?」

宥「えっと……そう、誤差! 誤差の範囲内だから! 怜ちゃんだって、この前膝枕したときに……うん、これはこれでええな! なんて言っていい笑顔してたもん!」

穏乃「……あの、言いにくいんですけど……それって結局……」

憧「なんだ、やっぱり太っちゃったんじゃない」

宥「!?」

初瀬「こら憧、もうちょっとオブラートに包むとか……」

もこ「…………!」

宥「!?!?!?」

初瀬「もこちゃん! デリケートなことなんだから! もう少し歯に衣着せて!」

宥「あ、あの……うぅ……あ、灼ちゃん……」

灼「それじゃ、ちょっと失礼して……」

宥「ひゃあ!?」


灼「…………ん……これは……」

宥「え、えと……あ、灼ちゃん……?」

灼「……大丈夫です。 宥さん厚着だし、抱き心地じゃ太ったのわからないです」

宥「そっかあ! それなら大丈夫だよね!」

憧「いや、なにひとつ解決してないんじゃ……」

宥「灼ちゃんが大丈夫って言ってるんだよ? 大丈夫だよ~」

もこ「……! ……、……!」

宥「もう、もこちゃんったら……そんな汚い言葉使ったらダメだよ?」

憧「……急に余裕かまし始めたわね」

宥「えへへ、だって大丈夫だってわかったもん! よゆーだよ、よゆー」

憧「現実見ようよ、宥姉……」

初瀬「……鷺森さん、その……なんというか、はっきり言ってあげた方が宥さんのためなんじゃ……」

灼「だいじょぶ。 宥さんかわいいから」

初瀬「そういう問題じゃないのでは……」

穏乃「大丈夫だよ、初瀬! 灼さんが大丈夫って言ってるんだし!」

初瀬「え? いや、だから……え? ……えっと……信頼されてますね、鷺森さん」

灼「…………あんまり無条件に信頼されるとそれはそれで居心地が悪いというか……」

もこ「……、…………!」

灼「ん……たしかに、全然悪い気はしないけどね」


もこ「…………、…………!」

灼「……そだね。 せっかくだし、食べよっか。 早く食べた方がおいしいし……」

宥「あ、ごめんね。 無駄話しちゃって……もこちゃんのお誕生日! しっかりお祝いして、ケーキを食べないと!」

穏乃「そうですね! やっぱり、ケーキを食べるとお祝いしてる感じもしますし!」

憧「……なに? 宥姉は今後食いしん坊キャラで行くの?」

宥「く、食いしん坊じゃないもん! た、たしかに最近、玄ちゃんがまたお料理上手になってご飯おかわりしちゃったりしてるけど……」

憧「玄が宥姉太らせてるのか……」

穏乃「玄さんのご飯、ほんとおいしいですからねぇ……」

宥「ふ、太ってないもん! 大丈夫だもん!」

もこ「……!」

宥「ふ、太ってないもん……太って……ない……もん…………」

もこ「…………、………………!」

宥「う……うぅ……ううぅ…………ふ、太りました……ごめんなさい……嘘つきました…………」

もこ「…………、……! ……!」

宥「はい…………ごめんなさい……」

憧「……ちょっと、もこ? 宥姉泣かせないでよ……」

もこ「…………! ……、……!」

憧「うぐっ……い、いや、だから……その、食べた分ちゃんと消費すれば…………」

もこ「……!」

憧「い、いや、口だけじゃなくてちゃんと……」

もこ「…………! ……、…………!」

憧「…………ふ、太ってないよ?」

もこ「…………」

憧「いや、あの……」

もこ「……!」

憧「…………ごめんなさい……すみませんでした……」

穏乃「……あ、憧が……まさか、これは本気でダイエットが始まる!?」

初瀬「明日には忘れてると思うなあ」




灼「いただきます」

もこ「!」

初瀬「いただきまーす」

穏乃「いただきます!」

憧「…………いただき、ます……」

宥「うぅ……い、いただきます……」

穏乃「わぁ、このケーキ、おいしいね!」

もこ「……! ……、…………、……!」

初瀬「うん……宥さん、いいところで買ってきてくれたんですね」

宥「うん……すごくおいしいよね…………ふふ、これでまた太っちゃうなあ…………」

灼「一口あげよっか?」

憧「……だ、大丈夫です……遠慮しておきます…………」

穏乃「……こんなにおいしいのに憧と宥さんがひどい顔してる……」

初瀬「……なんだかんだで食べてるからほっといていいんじゃないかな」

灼「もこが加減しないから……」

もこ「…………!」

宥「うっ……」

憧「ぐぬぬ……」

もこ「…………で、でも……」

憧「!?」

宥「!?」

もこ「ぁ……ぁり、がと……ぅ…………ぉ、ぉぃ、ゎぃ……して、くれて…………う、ぅ……れし、ぃ……よ……?」

憧「かわいいから許した」

宥「ゆるしたー」

もこ「…………!」

灼(あ、今チョロいなって思ったな)


カン!


もこちゃんが原作で活躍する機会はいつになるのか
インハイ自体まだ数年は終わらなそうだし長く楽しめると前向きに待ってますけど

さらっと決断しおったな
前回から今回の間に憧なりに決心がついたのかそれとも一度逃げた初瀬の面前逃げられなくなったか
とりあえず宥姉かわいい
おつ

乙です
どんどんこの世界での憧ちゃー達の進路が決まって行きますね
所で衣お姉さん達の学年でプロ入りした人(高卒プロ)って居るのでしょうか?

のどたんイェイ~
投下は後日遅刻で…

>>534気持ち自体はほぼほぼ決まってたのを初瀬に後押しされたような感じで…
初瀬って凄いいい奴だと思うんですよね。憧の応援にあこちゃーの家まで行ってるくらいだから望さんとも仲が良かったんだろうし、裏切られた側の対応としてはとてつもなく心が広い…

>>535二年組だと荒川さんや姫子ですかね?もしかしたら晩成の巽さんとかも…華菜ちゃんなんかは大卒プロのイメージはあります

最新話で宮永家関連の大事な情報が出てきたりゆーきがスーパーかわいいことが改めてわかりましたね
最近ろくに時間もとれなし投下間隔もグダグダだけど本編の設定関係とか書くネタとかは考えていきたい…

これだけ過ぎるともう誕生日でも何でもないけど投下


玄「こんにちはー」

まこ「おう、いらっしゃい。 久しぶりじゃのう」

優希「待ってたじぇ! おねーさんがたも元気そうだな」

灼「ん……勉強頑張ってる?」

優希「補習を受けない程度にな!」

咲「そういう灼ちゃんはどうなの? 今日、平日だよ?」

灼「……大学生ってね、結構時間に融通がきくんだよ……ね?」

宥「う、うん。 大丈夫だよ?」

灼「いつもお昼寝したり友達と食べ歩きしてる宥さんが言うんだから間違いないよ」

宥「あ、灼ちゃん!? ち、違うよ? ちゃんとお勉強もしてるからね!?」

久「たまにはサボって遊ぶのもいいわよねぇ」

まこ「たまにならええじゃろうなあ……たまになら」

久「……なんでちょっと含みのある感じなのよ」

まこ「さてのう?」

京太郎「玄さんは今日はお仕事お休みなんすか?」

玄「うん、うちは平日の方がむしろ余裕あるし……穏乃ちゃんと憧ちゃんから預かってきたものもあるから! はい、和ちゃん! お誕生日おめでとう!」

和「ありがとうございます! 遠いところわざわざ会いに来てくださって……うれしいです」

玄「えへへ、私も久しぶりに会えてうれしいな」


玄「で、これ……穏乃ちゃんから! 服だって!」

和「穏乃が? ……ふふ、珍しいですね。 昔はいつもジャージだった、のに……」

玄「これは……ジャージだね」

和「…………いえ、穏乃がくれたものですから! もちろん、大切に使わせてもらいます!」

灼「憧も服だって言ってたけど……被ったというよりは被せた気が」

和「憧のセンスなら安心ですね。 私の方がよほどズレていますし」

咲「憧ちゃんはお洒落さんだもんね」

京太郎「お前も少しは見習ったらどうだ?」

咲「むっ……うるさいなあ、ほっといてよ」



久「今日はどうするの? 日帰り?」

灼「いえ、さすがに日帰りはキツいので……」

宥「透華さんがお屋敷に泊めてくれるって言うから、お世話になることにしたんですよ」

久「ほほう? 龍門渕さんのとこに? それはそれは……」

優希「お泊まりだなんて……いやーんなイベントが起こっちゃうのか?」

京太郎「なんだと!?」

玄「ふぇ!? え、いや、そんな! そんなことはないよ!? だ、だいたいお姉ちゃんと灼ちゃんも居るんだし!」

灼「邪魔なら宥さんと一緒に退散するけど」

宥「うゎゎ……玄ちゃんがまたひとつ大人に……」

玄「ま、待ってよぉ! そ、そんなつもりなかったし! ふ、普通にみんなでお喋りしたりしようよ!」

まこ「修学旅行かなんかかい」

久「お泊まり会なんてそんなもんじゃない? ……楽しそうねぇ……私もお邪魔しちゃおうかしら?」

まこ「また急に無理なことを言うて……龍門渕さんの迷惑になるからやめんさい」

久「龍門渕さんなら普通に混ぜてくれると思うけどなー」


まこ「ま、とりあえずいつまでもこのままなのもなんじゃし、好きな席に座ってええよ。 飲み物も出すけえ」

灼「ん、ありがと……じゃ、久しぶりに打とっか」

咲「うん! ふふ……私、また強くなったからね? 負けないよっ」

宥「私たちだってインカレで鍛えてるんだよ! 咲ちゃんもインハイで活躍してたけどそう簡単にはいかないからね」

優希「のどちゃん、先に打っていいじょ? 今日の主役だからな!」

和「いいんですか? それでは、お言葉に甘えて……」

玄「あ、