晴絵「個人戦は見学していくからね」 (1000)


晴絵「しばらく東京に滞在するけどみんな羽目を外し過ぎないように!」

「「「「「はーい」」」」」



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咲SS

・阿知賀キャラ+他校キャラ

・短いのをちょこちょこ投下するスタイル

・のんびりゆっくり

よろしくお願いします



今日はとってもいい天気


こんな日はカーディガンを羽織って、お気に入りのマフラーを巻いてお散歩をするんだ



宥「ふふふ……あったか~い」

東京は吉野と比べて人も多い

真夏にこんな格好をしているからかな?……多くの人が振り返って見ているのを感じるけど、それももう慣れっこだ

「なぁ、あれって……」

「うん、たぶん……」

……それでも、指を指してヒソヒソ話をされるというのはやっぱりいい気はしないよね

地元では回りの人も見慣れたもので「ああ、あの子か」といった風に挨拶をしてくれたものだけど……

宥「うう……あったかくない……」


「あの、すいません」

宥「ふぇ?」

「もしかして……阿知賀女子の松実さんじゃ……?」

宥「え、あ、は……はいぃ……ま、松実宥ですぅ……」

「やっぱり!インターハイ惜しかったですね!かっこよかったです!」

宥「え、あ……ありがとうございます!」


私たち阿知賀女子学院はインターハイ団体戦三位という結果で終わった

全力で戦った結果にみんなも満足しているように思う

それにしても声をかけられるなんて……自分の格好が特徴的だから覚えてくれていたのだろうか?

もしかしたら、先程から視線を感じたのはインターハイのこともあったのかもしれない

見知らぬ自分達を応援してくれていた人もいたんだな

都会の人は冷たいって聞いていたけど……

宥「ふふふっ……あっかいねぇ~」

ちょっと嬉しくて軽くスキップしてしまう


ぽかぽか陽気で気分がいいな

スキップスキップらんらんらん

なんて、鼻唄混じりに少し歩くと小さな公園を見つけた

子供たちが楽しそうに走り回っているのを見ると私もなんだか楽しくなってくる

宥「ふふふっ」

思わず笑いが溢れてしまう

ベンチもあるし、少し休憩していこうかな?


ポーチから水筒を取りだしてあったか~いお茶を飲んで一息つく

「ひっさつ!びぎにんぐ・おぶ・ざ・こすもす!」

「ごぶれいパンチ!」

なにかアニメの物真似かな?必殺技を叫びながら熱い戦いが繰り広げられているみたいだ

やっぱり子供たちの笑顔はあったかいなぁ

宥「ん……ふぁ……」

和んでいたら少し眠くなってきちゃった……

そういえば、最近は麻雀麻雀でゆっくり休む暇もなかったなぁ

宥「……少しくらい、平気だよね……?」


――――――

「――!――――!」

宥「ん……なぁに~?」

気持ちよく眠っていたのに、肩を揺さぶられて目が覚める

お昼寝ぽかぽか気持ちよかったのに……

宥「あったかくないぃ……」

「えぇ!?その格好で寒いのはマジでヤバいですって!ちょっと、起きれますか!?大丈夫ですか!?」

宥「うぅ……だぁれ?くろちゃ……?」

「嘘っ!?ついこないだ麻雀打った仲やないですか!まさか弱すぎて覚えてないとか……って誰が雑魚やねん!?」

宥「ふぇぇ?……あれ?二条さん?千里山の……?」

泉「覚えとるやないかい!」


宥「ふぁ……どうしたの?こんなところで……」

泉「いやいや!こっちのセリフですって!ベンチで倒れてるから何かあったのかと思って……!」

宥「えぇ?……あ、私はお昼寝してただけだから大丈夫だよ~?」

泉「お昼寝ってこんなところで……!ってそれよりホンマに大丈夫ですか?そんな格好で熱中症とか……」

宥「私はちょっと珍しい体質だから……この格好じゃないとダメなの」

宥「大丈夫だから……ごめんなさい、心配してくれてありがとう」

泉「あ、いや……なんともないならよかったですけど……ってよかないですよ!」

宥「ふぇ!?」


泉「年頃の娘さんがこんなところでのんびりお昼寝って……!なんか事件とかに巻き込まれたらどうするんですか!?」

宥「あ、あぅぅ……ご、ごめんなさいぃ……」

泉「あ……す、すいません!こっちこそ大声だして……」

いきなりでびっくりしちゃったけど……心配して声をかけてくれたんだよね?

二条さんは私の隣に座って、なんだかどっと疲れた顔をしている

大きな声を出したからかな?……あ、そうだ!

宥「二条さん、お茶でもいかがですか?」

泉「へ?あ、ありがとうございます……ちょうど喉乾いたなー思ってたんですわ」

宥「はい、どうぞ」

泉「いただきます……熱っ!?」


宥「だ、大丈夫?」

泉「あ、はい!大丈夫です!すいません落としちゃって……ってかなんですかこれ!?」

宥「えぇ?あったか~いお茶だよ?」

泉「いやこれ熱湯やん!」

宥「あぅぅ……」

私にはちょうどいいあったかさなんだけど……

宥「ご、ごめんね?」

泉「え、あ、いや!その……熱々おでんみたいなもんでこれはこれでおいしいですよね!?」

宥「うん!私もおでん大好きだよ~」

泉「いやそういう意味じゃ……」

宥「?」

泉「……なんでもないですわ」


二条さんは頭を抱えているけど……なにか変なこと言っちゃったかなぁ?

でも、おでんっておいしいよね?コンビニでも一年中置いてくれたらいいのになぁ

あつあつの大根、ちくわ、こんにゃく、がんもにはんぺん……

泉「あの、松実さん」

宥「えっ?なぁに?」

泉「聞いてるだけで暑くなってくるんで勘弁してもらえますか……?」

口に出ちゃってたみたい……恥ずかしいなぁ


宥「あ、でも……二条さん」

泉「なんですか?」

宥「二条さんはその制服じゃあ寒くない……?」

泉「いやいや今真夏ですよ!?これでも暑いくらいですって!」

……普通の人はそういうものなのかな?

でも、肩も出てるし……お、おへそも見えちゃってて私はちょっと……せ、せくしー過ぎて着れないかなぁ

宥「それじゃあ、暑いから制服をそういう風にしているの?」

泉「実は……これには深い理由がありまして」

宥「な、何があったの?」

泉「あれは、私が千里山に入学した頃……」


――――――

自分で言うのもなんですが、私はインターミドルでも結構活躍して推薦もらって千里山に入学したんです

しかし、入学当初は中学生と高校生のレベルの違いを感じて少し伸び悩んでいたんですわ……

それでも名門千里山に推薦で入った以上、弱音なんて吐いてられません

千里山は昨年二位……一年に即戦力が期待されてないのはわかってましたが、全国優勝の旗を関西に持ち帰るのが自分の使命やって思ってましたからね

それで、練習時間を少しでも多く確保するために登下校はちょっと近道して……近くの病院の敷地にお邪魔して突っ切ってたんです


ある日、私がいつものように病院の敷地に入ったときのことです

男の子がサッカーボール抱えて泣いてたんですわ

気になって話しかけてみたらどうも事故で足を怪我したらしくて……またサッカーをするには手術しないといけないとか

でも手術に失敗したら二度とサッカーはできなくなる……

手術は怖いけど、それよりもサッカーができなくなる方が怖い言うてまた泣くんですわ

私もその頃、名門千里山の看板のプレッシャーや高校麻雀に対する不安やらでかなり辛い時期でしたから……なんとか元気付けてあげたいって思ったんです


その時たまたまハンカチを持ってなかったんで……制服の袖を千切ってその子の涙を拭き取って、私は言ったんです

『男の子が泣いたらアカン。私は千里山で今年中にレギュラーになるから君も頑張って手術受けるんや!』ってね

関西じゃ千里山の名前を知らん人は居ませんからね……その子も一年生がレギュラーなるんは無理や言うんですわ

せやから、『一年生が千里山でレギュラーとる確率に比べたら手術の成功する確率の方がずっと高い。私は必ずレギュラーになって大会に出るから、君の手術も必ず成功する』って言ったんです

……その男の子もそれで少しは元気が出たみたいで、頑張って手術受けるって言うてくれました

私も自分の言葉には責任とらんといけないと思ってそれまで以上に努力して……夏の予選前にやっとレギュラーの座を手に入れたんです


泉「それから手術は成功して、私も部活はレギュラー、テストは満点、彼氏もできて万々歳……って話ですわ」

宥「…………」

泉「……あれ?松実さん?」

宥「あったか~い話だねぇ……私、感動しちゃったよ」

泉「突っ込めやぁぁぁぁ!!」

宥「ふぇぇぇぇぇ!?」

泉「なんでや……なんで泣いとんねん……天然か!突っ込みどころ満載やろ!」

泉「制服ネタで外したん初めてや……いつもならこれでドッカンドッカン来るのに……」


凄く良い話だと思ったんだけど……間違った反応をしちゃったのかなぁ?

二条さんは頑張りやさんで、とっても優しい人なんだねぇ

……そうだ!

泉「うぅ……自信なくすわ……松実さんみたいなタイプうちには居らへんしどうしたら……」

宥「ねぇねぇ、二条さん二条さん」

泉「……はい?どうかしましたか松実さん?」

宥「その、松実さん……っていうのはやめにしない?」

泉「へ?」

宥「えっとね、だから……ほら、玄ちゃんもいるから、少しややこしいかなって」

宥「だから、名前で呼んでほしいなぁ」

泉「え……それじゃあ、宥さん?でいいですか?」

宥「うんっ!私も……泉ちゃん、って呼んでいいかなぁ?」

泉「あ、はいっ!もちろんです!」


えへへ……やったぁ!お友達が増えちゃった!

宥「ふふふっ……泉ちゃん?」

泉「なんですか?宥さん」

宥「えへへっ……なんでもないよ~」

嬉しいなっ 嬉しいなっ

お友達ができちゃった

わくわく どきどき

いろんなお話がしたいなぁ

麻雀のこととか、好きな食べ物、お飲み物

ほかにもたくさんたくさんお話をして……

泉「あ、宥さん」

宥「なぁに?泉ちゃん」

泉「すいません……そろそろ個人戦に向けてのミーティングがあるんでホテル戻らないといけないんですわ」

宥「……そっかぁ」


せっかくお友達になれたのに残念だなぁ……

もっとお話したかったなぁ……

泉「ちょ……そんな顔しないでくださいよ」

宥「あぅ……ごめんね?遅れたら大変だし、私は大丈夫だから帰ってもいいよ?」

泉「……じゃあすいません、これで失礼します」

泉ちゃんがベンチから立ち上がる

隣のスペースが空いたらやっぱり少し寂しくなっちゃった

泉「宥さん」

宥「……なぁに?」

泉「うっかり忘れるところでしたわ……連絡先交換しときましょ?」

宥「……うんっ!」


泉「阿知賀は個人戦は出てないですよね?」

宥「うん……だけど、見学していくからしばらく東京にはいるよ~?」

泉「それじゃあ予定空いてるときにメールしますわ……私が大会でボロ負けしたのは忘れてませんからね?今度麻雀打ちましょうよ」

宥「うんっ!楽しみだねぇ~」

宥「あっ、阿知賀は個人戦も出てないから対外試合も大丈夫だよ?」

泉「そういやそうですね……それじゃあ監督にも話して許可が出たら練習試合申し込ませてもらいますね」

泉「じゃあ、そろそろ本気で時間もヤバいんで戻りますわ!」

走り出した泉ちゃんの背に大きく手を振る

宥「うん、またね!……あとでメールするね~!」


――――――

宥「ただいま~」

玄「おかえりなさい、お姉ちゃん」

玄「……あれ?お姉ちゃんなんだか嬉しそうだね?」

宥「うんっ!お散歩してたら千里山の二条泉ちゃんに会ってね?お友達になっちゃった~」

玄「おお!それはやりましたね!お姉ちゃん昔からお友達作るの苦手だったもんねぇ」

宥「うん……だから今日はとっても嬉しいの!」

玄「お姉ちゃんが嬉しいと私も嬉しいよ!二条さんはどんな方でしたか?」

宥「とっても優しくて、とっても頑張りやさんのあったか~い人だったよ~」

玄「それはとっても素敵だね!」


宥「玄ちゃんが会いたがってた人には会えたの?」

玄「……それが、今はお出掛け中らしくて会えなかったの」

宥「それは残念だったね……」

玄「うん……でも個人戦が始まる頃には帰ってくると思うし……諦めないよ!」

宥「うん!玄ちゃん頑張って~!」

玄「うん!頑張るよお姉ちゃん!」

宥「今日はみんなはどうしてるのかな?」

玄「うーん……あ!穏乃ちゃんはラーメン食べてくるって言ってお昼前からお出掛けしてるよ!」

宥「穏乃ちゃんは元気いっぱいであったかいねぇ~」



今日も一日おひさまぽかぽかあったかかったな


あったか~いお友達もできたし


やっぱりお天気の良い日はお散歩に限るねっ!



カン!



泉「すいません!今戻りました!」

セーラ「お、泉ギリギリやで?なにやってたん?」

泉「あ、外で阿知賀の松実宥さんに会いまして……ちょっとお話しして仲良くなったんですわ」

浩子「へぇ、阿知賀の……」

泉「個人戦は見学してくからしばらく東京にいるそうです。許可が出れば練習試合もできそうって話ですわ」

浩子「よくやった泉!それじゃあおばちゃん……もとい、監督に話してくるわ」

セーラ「にしてもどうやって仲良くなったん?松実姉ってちょっと人見知りっぽかったやん」

泉「いやぁ、寒がってたから袖を千切って肩に掛けてあげたんですわ」

セーラ「はっは!……なんや!それで制服の袖無くなってもうたんか!っふふふ」

セーラ「くくく……つか俺袖ある時見たことないで?」

泉「そりゃ生えるたびに千切っては必要な人にあげてますんで」

セーラ「お前の制服何製やねん!とかげの尻尾か!ふふふっ」



泉(……やっぱりいけるやん!)


もいっこカン!

今日はここらで

次は穏乃かな?トトロ見たら寝ます

投下します

適当に一周したら落とそうかと思ってましたがキャラ名も幾つかあげていただけましたし、予定分の消化後に書けたらいいな



ここは、戦場だ


隣を見れば、今日一日図らずも戦い続けることになった相手がいる


私は今まで使うことの無かったその呪文を唱えた





穏乃「大豚ダブル全マシマシ!」




――――――

負けた……完全なる敗北だ

あれは本当にラーメンだったのだろうか?

というか、この人は私と一緒に昼前からずっとラーメンを食べ続けていたはずなのにどうして涼しい顔をしていられるのだろうか?

「――ひとつ、教えてあげマショウ」

何を言われるのだろう?

マナーを間違えちゃったのかな?

ギルティされてしまうのだろうか?



「バトルとかロットとか、ネットの中だけのネタでスヨ」

穏乃「そうなんですか!?」


「むしろどうして信じたんでスカ……」

穏乃「いや、なんかそういう話がいっぱいあったからそういうものなのかなって!」

「タカカモさんは純粋なんでスネ……」

穏乃「そうですか?あ、私は穏乃で良いですよ!ダヴァンさん!」

ダヴァン「そうでスカ?では私のこともどうかメグと呼んでくだサイ、シズノ」

穏乃「はい!メグさん!」



穏乃「ところで、ガセだったってことは、呪文の練習してこなくても平気だったんですか?」

ダヴァン「問題ないと思いマス……できた方が楽しそうでスシ、いろいろスムーズに進むと思いまスガ」

ダヴァン「それにしても日本はよくわからない呪文が多すぎマス……」

ダヴァン「コーヒーを飲むときは、ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノ、と唱えることができないと恥をかくそうでスネ」

穏乃「そうだったんですか!?私はコーヒー苦くて飲めないから知りませんでした!」

ダヴァン「モンケッソクカゲキカゲムシャキザンキザンキザンシエンシハンと唱えると相手は死ぬそうデス」

穏乃「何言ってるのか全然わからないけど強そうですね!」

ダヴァン「おそらくニンジャの術でショウ……あとは特定の条件を満たして、タッカラップトポッポルンガプピリットパロと唱えると願いが叶うトカ……」

穏乃「あ!それは知ってます!」


打ち解けた私たちはいろんなことを話した

醤油ラーメンのこと

塩ラーメンのこと

味噌ラーメンのこと

豚骨ラーメンのこと

他にもチャーシューやスープなど……話題が途切れることはなかった


――日本のラーメンはまさにムゲン

素晴らしい言葉だ

そう!醤油と塩のどっちが偉いとか、そういうことじゃない!

ムゲンのラーメンがあるからこそ全てのラーメンを等しく愛さないといけないんだ!

穏乃「うう……そのラーメンへの愛!感動しました!弟子にしてください!」

ダヴァン「弟子でスカ!?アー……そういうわけにはいきまセン……私は日本に来てまだ数年でスシ……食に対してもまだまだ不勉強ないわばニワカですカラ」

ダヴァン「むしろ、私が弟子入りしたいくらいデス!シズノの食べっぷりには惚れ惚れしまシタ!」

穏乃「そんな!私なんてまだまだですよ!最後の方は虫の息でしたし!」


穏乃「それにニワカだなんて……今日私が行ったラーメン店全部で会ったじゃないですか!」

ダヴァン「シズノが回っていたのは有名店ばかりでしたカラ……私も行ったことのない有名店を回っていたから出会ったのは必然だったのデス」

穏乃「行ったことが無かったんですか?これほどラーメンを愛しているのに……」

ダヴァン「私は麻雀留学生でしたカラ……一日のほとんどを練習に費やしていたので普段はもっぱら近所のラーメン屋とカップ麺デス」

穏乃「そうなんですか……でも、じゃあなんで今日は?」

ダヴァン「……時間ができてしまいましたカラ」

穏乃「ああ!個人戦まで少しありますからね」


ダヴァン「……そうではありまセン。私はもうお払い箱になってしまいましたカラ、麻雀を打たなくてもよくなってしまったのデス」

穏乃「え……」

ダヴァン「いわゆる助っ人外人ですカラ……三年生で結果の出せなかった私にはもう居場所が無いのデス」

穏乃「そんな……そんなのおかしいじゃないですか!?メグさんすっごく強かったのに!」

ダヴァン「仕方ないのデス……去年はリューモンブチさんへの対応が評価されて残ることが出来ましたタガ、臨海女子は結局二年連続で優勝を逃していマス」

ダヴァン「監督や仲間たちは庇ってくれましタガ……結局、お金を出しているスポンサーの意向には逆らえまセン」

ダヴァン「もっと結果を出せていればプロチームや実業団に拾ってもらうこともできたのでしょウガ……今大会の成績では不可能でショウ」


微妙な成績の外人を取るより、宮永照や愛宕洋榎を取った方が話題になるでショウ?

メグさんはそう言って力なく笑った

穏乃「でも……そんなの、酷いですよ!メグさんだって頑張ったのに!」

ダヴァン「ありがとうございマス……シズノは優しいでスネ」

ダヴァン「しかし、どうしようもないのデス……我々のような麻雀留学生にはとてもお金がかかりますカラ」

ダヴァン「結果が出せなければ捨てらレル……覚悟して日本に来まシタ、私が至らなかったのデス」

穏乃「学生の大会なのに、結果が全てなんて……!」

ダヴァン「シズノはそれでいいでスガ、私はそうもいきまセン……立場の違いでスネ。私にとってインターハイは結果が全ての世界デス。勝負事の話ですから特ニネ」


穏乃「でも……そんな」

ダヴァン「……いいんでスヨ、シズノ。泣かないでくだサイ……私も国に帰るまでの間自由時間を楽しみマス」

ダヴァン「観光はほとんどできませんでしたカラ……私、京都・奈良行ってみたいデス!大仏があって、芸者やニンジャにサムライがいると聞いてマス」

……メグさんの方が辛いのに笑っているんだから、私が泣いてちゃダメだ

ジャージの袖でゴシゴシと目元を拭う

穏乃「それじゃあ、私に任せてください!京都も奈良も案内しますよ!私の庭みたいなものですから!」

ちゃんと、笑えてるよね?



ダヴァン「それはありがたいデス!忘れていまシタ、阿知賀は奈良代表でしタネ」

穏乃「なんなら私の家に泊まってくださいよ!うち、お土産とか和菓子とか置いてるんです!」

穏乃「あ、もちろんちゃんとした宿が良ければ紹介しますけど!玄さんと宥さんの実家が旅館やってますから!」

ダヴァン「私、あまりお金を持っていないので泊めてもらえればとてもありがたいでスガ……本当に良いのでスカ?話したのも今日が初めてでスシ……」

穏乃「そんな、十食以上のラーメンを一緒に食べた仲じゃないですか!きっと波長があってるんですよ!もはや親友ですよ親友!」

ダヴァン「魂の共鳴というやつでスネ!ふふ……シズノは本当に優しいでスネ」

ダヴァン「シズノだけじゃないデス……日本の人はみんな優しくしてくれまシタ」

ダヴァン「通っていたラーメン屋のオヤジは毎日替え玉サービスしてくれましタシ、サトハにもたくさんお世話になりまシタ……」

ダヴァン「日本はご飯もおいしいでスシ、共に過ごした仲間もいますカラ……」



……帰りたくないデス



穏乃「……メグさん」

ダヴァン「あ!すいまセン!なんでもないデス!……楽しい話をしまショウ?今日はシズノと出会えた素晴らしい日ですカラ!」

穏乃「メグさん!」

思わず体当たりのような勢いでメグさんに飛びつく

ダヴァン「シ、シズノ?」

メグさんはどれだけ辛いんだろう?

私は和が転校した時も、赤土先生が実業団に行った時も……憧と中学が別れた時でさえすっごく寂しくて、泣いてしまったのに

海を隔てた距離まで離れて……しかも、メグさんの仲間もそれぞれの国に帰ってしまうかもしれない

そうなったら、日本に来たらみんなと会えるって話でも無くなっちゃうんだよね?


ダヴァン「シズノ?大丈夫でスカ?どこか痛いんでスカ?」

穏乃「うぅ……ごめんなさい……私……私……!」

ダヴァン「シズノ……」

穏乃「ごめんなさい……!でも……!」

『寂しくって』

その言葉は何とか飲み込んだけど、結局溢れる涙は止めることができなかった

昔から今までずっと元気なのが取り柄だけど、泣き虫なのも変わらないなぁ

ダヴァン「……シズノ」

それから、メグさんと抱き合ったまましばらく二人で大声で泣いた


――――――

穏乃「……ごめんなさい、メグさん」

ダヴァン「いいんでスヨ、シズノ……むしろ思いっきり泣いたらスッキリしまシタ!」

ダヴァン「国に帰るのは寂しいでスガ……二度と会えないわけではありまセン」

ダヴァン「当然麻雀も続けますかラネ!……あちらで活躍すれば日本のチームに移籍する話も出るかもしれませンシ、国際交流戦の代表になれればみんなとも会えるでしょうカラ」

……やっぱりメグさんは凄い

私は国際戦の代表になるなんて軽々しく口に出したりできないし……臨海女子のメンバーが選ばれたエリートであることを思い出させ、そして仲間の強さを信頼していることが解る言葉だ


穏乃「……そうですね!辻垣内さんなら余裕で日本代表候補でしょうし、他の方もメダリストだったり凄い強いですもんね!」

ダヴァン「……シズノもでスヨ?」

穏乃「え……?私ですか?そんな!無理ですよ……私なんかまだまだで……」

ダヴァン「そんなことありまセン……インターハイの打牌、素晴らしかったデス」

ダヴァン「自信を持ってくだサイ……あなたは素晴らしい雀士でスヨ」

……親友にこんなこと言われたら、その気持ちを裏切れないよね?

それに、実力のある人に認めてもらえたことが凄く嬉しい

穏乃「……私はまだ、代表になるとか言えるほど自信ないですけど」

穏乃「それでも!必ず今よりもっと強くなって!いつか世界で戦える雀士になってみせます!」


ダヴァン「その意気デス、シズノ!」

穏乃「よぉしっ!燃えてきたぁぁぁ!!」

穏乃「気合入れたら何だかお腹減ってきちゃいました!ラーメン食べに行きませんか?」

ダヴァン「それはいいでスネ!私もちょうどお腹が空いてきたところデス!」

穏乃「そうだ!帰国する前に臨海と阿知賀のみんなでラーメン食べに行きましょうよ!それで麻雀も打ったりして!送別会です!」

ダヴァン「ありがとうございマス!素晴らしい考えデス!……しかしラーメン屋では全員入れないのではないでスカ?」

穏乃「それじゃあ……えっと、焼き肉とか!」

ダヴァン「焼き肉!私呪文知ってマス!」




ダヴァン「タン塩カルビハラミ特上骨付きカルビレバ刺しセンマイ刺し特上ハツビビンバクッパわかめサラダ激辛キムチサンチュでサンキューや!」

穏乃「メグさんは最高です!!弟子にしてください!!」


カン!

今日はこれで失礼します

例のラーメン店まだ行ったことないんですけどネタなんですよね……?

だとおもうだろー?

>>53こういうこと言われるから怖くて入れないんだよ!

投下します

あ゙ご゙ぢ゙ゃ゙ん゙だ゙ア゙ア゙ァ゙゙ァ゙ア゙~~~~~



大好きな麻雀ではインターハイ上位入賞


成績だって上位をキープしてる


あとは素敵な恋人がいたら高校生活完璧じゃない?



「君かわいいね~」

「俺たちとお茶しない?」

……そうは言ってもこういうのは守備範囲外なわけで

ナンパとかしてる時点で軽薄な感じがするし、ヘラヘラしててなんか気持ち悪いし

あと、視線がいやらしい

東京にもこんなのがいるのか……いや、奈良にはいなかったけど

というか、この誘い文句でついてく女の子がいるわけ?


憧「ごめんなさい、人を待ってるので……」

とりあえず当たり障りのないことを言っておく

本当はシズと出掛けるつもりだったんだけど、ラーメンの食べ歩きをする!なんて言って出てっちゃったし……

誘われたけど、さすがにそれはないでしょ?太りそうだし……というか、そもそもラーメン何杯も食べられないし

どうせならシズにもかわいい服とか選んであげたかったんだけどなぁ

素材がいいだけに非常にもったいない

だいたい、普段着ジャージって女子高生としてどうなのよ?


「え、なに?友達?」

「ちょうどいいじゃん!そしたら四人で……」

あ、こいつらまだいたの?
めんどくさいなぁ……

私だって今まで彼氏とかいたことないし、そもそもずっと女子校だから男子の知り合い自体いないけど……

こんなの相手じゃちっともときめかない、私はそんなにチョロくない

そりゃあ、身長180越えの知的で優しい超イケメンとかに声かけられたらキョドる自信あるけど

でも、それは仕方ないでしょ?そんな少女漫画のヒーローみたいな人がいたら誰だってときめくに決まってるし……

そう!こういう迷惑なやつらから助けてくれるヒーローが理想なわけで

漫画とかだとこういう時にはとびきり素敵な人が『ごめん、待った?』なんて言いながら現れてスマートに助けてくれるものだ

……スイーツ(笑)とか言うな

別にそういう夢を持つぐらいいいでしょ?女の子なら憧れるものなの!


「わりぃ、待ったか?」

憧「へ?」

「で?俺の女になんか用かよ?」

ぐいっと肩を抱き寄せられる

え?え?

混乱してる間にナンパ男達は尻尾を巻いて逃げていく

「……大丈夫か?」

憧「え、あ……その」

涼しげな目元は知性的で、優しく微笑むその姿に私の心臓はドキドキと跳ねている

本当に現れた身長180越えの知的で優しい超イケメン

顔に熱が集まるのがわかる

「なぁ、本当に大丈夫か?」

テンパった私は、なにか言わないと……その一心で口を開いた




憧「す、好きです!付き合ってください!」






純「俺は女だ!」




――――――

憧「うぁー…………」

恥ずかしい 死にたい

一目惚れした相手が知り合いで……しかも、女性

……仕方ないでしょ!?シチュエーション的には完璧だったし!低めの声も好みでかっこよかったし!帽子被ってたから前と印象違ったし!

……テンパって告白したのは言い訳のしようがないけど

純「なぁ新子、もう気にすんなよ」

憧「……気にしますよぉ」


あんな恥ずかしいことして……気にするに決まってる

というか

憧「……井上さんは気にならないんですか?」

普通、同性の知り合いに愛の告白(事故だけど)なんてされたらもう少しギクシャクしそうだけど……

純「まあ、男だと思われるように出て行かないと意味無かったし……」

そうですよね!

だから私は悪くない

悪くないったら悪くない

純「それに……」

憧「それに?」

井上さんは苦虫を噛み潰すような顔をして言った

純「……慣れてるからな」


これは、あれか

慣れてるというのは男に間違えられることじゃなくて……

憧「やっぱりモテるんですか、女の子に」

純「……やっぱりってなんだよ」

憧「なんか、はい……納得というか」

純「女に……しかも恋愛的な意味でモテても嬉しくないっての」

憧「あはは!人気者ならいいんじゃないですか?」

純「いやマジで笑い事じゃないんだって!」

憧「えー?普段どんな感じなんですか?」

純「それは……とりあえず暑いし、どっか入ろうぜ?」


――――――

憧「私はベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノで」

「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノですね?」

憧「井上さんはどうします?」

純「え……あ?あー、俺も同じので」

「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノお二つで!」


純「なんだ今の……しかもコーヒーで千円も……」

憧「どうかしましたか?」

純「いや、なんでも……」

憧「で、どうなんですか?笑い事じゃないって、何かあったんですか?」

純「……俺、龍門渕の先鋒じゃん?」

憧「エースポジションだし、人気も出ますよねー」

共学だとやっぱり花形だし、先鋒はモテると聞いている

それに井上さんは先鋒戦で他校をトバせる実力者……そりゃあモテるだろうなぁ

純「うん、まぁ……それで、クラスのダチとかが差し入れだ、つって食べ物とかいろいろくれるから貰ってたわけよ」

憧「へぇ……でもそれくらいならよくあることじゃないですか?」

私たちだって、全国頑張って!なんて言われてクラスの友達からいろいろ貰ったりしたし

純「……ある時、なんかよくわかんない毛とか爪とか入ってたりするのに気づいてな?」

憧「え」


純「前々から女子に『純くん付き合ってー!』とかよく言われてたけど、冗談だと思ってたんだよね……」

憧「え、いや、それって……ヤバイやつじゃないですか?」

純「ああ……なんか本気のやつらもいたみたいで、最近はちょっとそういうのマジで怖くて食べ物とか貰えないわ」

井上さんは間食代浮いてたのになー、なんてため息をつきながらどこかズレたことを言っている

憧「……え?いやいや、それ本当に大丈夫なんですか?」

純「ん?たぶんなー……まぁ普通に過ごせてるし大丈夫じゃないか?」

……大雑把で適当だけど、その細かいことは気にしない感じはワイルドでかっこいいかも

憧「……ってなに考えてんだ私!」

純「ん?どうかしたか?」

憧「ふきゅ」


あぁぁぁ!なんか変な声出た!

恥ずかしいなもう!

純「?……そういや、新子は一人で何やってたんだ?阿知賀のやつらは一緒じゃないのか?」

憧「私はちょっと買い物でも行こうかと……みんなそれぞれ出掛けてたり用事あったりみたいで一人になっちゃったんですよ」

純「それでナンパされてたと……ま、新子かわいいから一人で歩いてたら声かけられるよなぁ」

憧「ふきゅ」


か、か、かわっ!?いや、そりゃお洒落には気を遣ってるけど!

ってだから!井上さんは女の子だってば!

純「あ、そういや新子は彼氏とかいるのか?かわいいし奈良でもモテるだろ?」

憧「え、うぁ……その、うちは女子校だし男子の知り合いすらいないっていうか!」

純「へぇ……そういうもんか」

憧「……そりゃまあ、私も彼氏ほしいなーとか思いますけど」

純「まぁ、女子高生ならそれが普通だよなー」

憧「……井上さんもほしいんですか?彼氏」

純「…………」

あ、顔真っ赤だ

純「わ……悪いかよ?いいだろ別に」

そりゃキャラじゃねーけどさ、そういうこと思うくらい……

テーブルに突っ伏してぶつぶつと小声で文句を言う井上さんはとてもかわいらしい


こういうところを見せられちゃうと、ちょっとからかいたくなるのよねー

憧「じゃあ、どういう人が好みなんですか?」

純「な、なんだよ急にっ!え、えと……そういう話をするならそっちが先に言えよ!」

憧「え!?私ですか?えーと……優しくて、かっこよくて……」




――――――



純「……スイーツ(笑)」

憧「違うもん!あくまで理想だもん!本気で言ってるわけじゃないってばぁ!」

純「あっははは!新子でもそういうこと言うんだな?頭良さそうなのに!」

憧「うぅ……言わなきゃよかった……」


そりゃ身長180越えとか滅多にいないし

優しくてー、かっこよくてー、なんて自分でも馬鹿らしいって思うけど……やっぱりそういうのに憧れたりはしちゃうでしょ?

だいたい男って奴はさっきのナンパ男どもみたいなのばっかりなのだ

頭悪そうで、ヘラヘラしてて、いやらしいことばっか考えててさ

井上さんなんかさっき道を歩くときも自然と道路側を歩いてくれたりして……声をかけてくるなら下心よりもそういう優しさを見せてほしい



……そういえば、井上さんって身長180はあるわね

女の子だからいやらしいこととかもないし

優しいし、麻雀も強いし……なによりそこら辺の男よりも全然かっこよくて男前だし




憧「……井上さん、私の彼氏になってくれません?」



純「だから!俺は女だって言ってるだろ!」



カン!

憧ちゃんは恋愛するにしてもスイーツ(笑)なり打算なりちゃんとあって相手の男のこと考えてる気がするけど、和のお嫁さんになりたいは素敵なお嫁さんの自分の姿しかイメージできてない気がします

次は灼ちゃん予定です

予定があるので離れますが書き切れればまた夜中にでも

すげー面白い

あらたそ期待

>>77すげー嬉しい

どんなものでも反応いただければ嬉しいです

あらたそ投下



憧れの人がいる


その背中に追いつくために今まで頑張ってきた


だけど、いつまでもそうしていられないこともわかっているわけで



そういうわけで偵察……いや、お勉強かな?

私は今、東京の複合アミューズメント施設にいる

都会のサービスを見て実家のボウリング場を盛り立てるアイディアでも出てくれば……と思ったのだが

灼「そもそも規模が違……」

集まる人数が違う

施設の大きさが違う

実家はそこそこ繁盛しているが、所詮は娯楽の少ない田舎の話だ

資金力も桁違いだし、都会のお店に勝てると思っていたわけではないが少しへこむ


というか、ひとつ気になっていることがある

元々、ちょっと散歩をするつもりで宿を出たのだ

何となく足を伸ばしていたらボウリングのできる施設が目に入ったので都会の店はどんなものかと入ってきたのだが……

夏休みということもあってかとにかく人が多い

男女のカップルや学生の集まりが多いだろうか

対して、自分は一人だ

灼「ちょっと寂し……」

おもちがどうとか呟きながら暇そうにしていた玄でも誘って出てくれば良かったか

というか、大変不本意ながら自分は小柄なので小学生に間違えられることすらある

下手したら迷子に見えるんじゃないだろうか?


灼「……帰ろう」

こういうところは一人で来る場所じゃない

みんなを誘って……せめて瑞原プロの写真集を眺めてニヤニヤしていた玄を誘って来よう

ドンッ

立ち止まったところで背中に衝撃を受ける

「あだっ」

……この人の多い場所で急に立ち止まればぶつかりもするだろう……私の不注意だ

灼「ごめんなさ……」


「いや、こっちも前方不注意だったんで……ん?」

灼「あ」

「……もしかしてどっかで会ったことある?」

灼「いや、初対面だと思……」

知ってる人だけど

試合の映像で見た……たしか、北海道の中堅だ

揺杏「あ、思い出した!」

灼「どうも……私は」

揺杏「小学校の頃隣に住んでた「人違いです」あれー?」

そりゃあ私は阿知賀じゃ地味な方だし、ブロックも別だったけど決勝に進んだチームの選手なのに……


灼「……阿知賀の鷺森灼です」

揺杏「……あぁ!かっこいいグローブ着けてた子だ!」

穏乃や桜子たち以外に言われたのははじめてだ

……なんとなく馬鹿にされている気もするけど

揺杏「あ、私は……」

灼「知ってる。北海道の……」

揺杏「岩館揺杏!……所属は北海道が有珠山高校、略してうん「ストップ」

おいこら


灼「頭大丈夫?」

揺杏「その言い方は傷つくなー」

ニコニコと……ヘラヘラと?とにかく笑ってるけど、いきなり何を言い出すのかこの娘は

揺杏「いやいや、これには事情があるのよ」

灼「……事情?」

揺杏「この前、部のみんなでボウリングしてさー」


――――――

二対三のチームに別れて負けた方が罰ゲームってのをやってたわけ

そんで爽……うちの大将ね、そいつが急に言ったのよ

『有珠山高校って略すとう○こだよな!』

さすがに、こいつなに言ってんの?って思ったけど別に面白ければなんでもいいからさー

負けた方はしばらく名乗るときは『有珠山高校略してう○こ』を加えるって条件に決まったのよ

でもその後のチーム分けで成香と二人になっちゃってさー

あ、成香ってうちの先鋒ね……あいつ体使う系ダメダメでね?

まぁ私もあんま得意じゃないんだけど


揺杏「そんでボコボコにされたから……」

灼「今日は練習に来た?一人で?」

揺杏「……一人でを強調しないでほしいんですけど」

揺杏「つかそっちも一人じゃん!友達いないの?」

灼「…………」

揺杏「え、ごめん……」

灼「いや、散歩のついでに見学に来ただけだから」

揺杏「見学って……そんな、居もしない友達を誘うシミュレーションを……」

灼「失礼な……実家の商売の参考にしようかと思……」

揺杏「実家?」

灼「ボウリング場」


揺杏「おお!なるほどなー……あ、それじゃあ良かったらボウリング教えてくんない?」

灼「別に構わな……」

揺杏「よっしゃ!いやーこう、見ないうちに強くなって見返してやろうと思ったんだけど……一人でボウリングはさすがにハードル高いことにさっき気づいてさー」

灼「……私もここに一人はキツかった」

揺杏「それじゃあ行こうぜ!……えーと、灼でいい?同い年だったよね?」

灼「うん……よろしく、岩館さん」

揺杏「いやいやそこは揺杏って呼ぶ流れだろー」

灼「ジョーク」

揺杏「……灼は分かりにくいなー」


――――――

揺杏「……スコア200とか本当に出るんですね」

灼「なんで敬語……?マイボールとマイシューズがあればもっと出ると思……」

揺杏「まだ出んの!?すっげー!マジウケる!」

バシバシと肩を叩かれる

なにがそんなに面白いのか

揺杏「あ、ウケるといえばさ……さっきからすっげー気になってたんだけど」

灼「なに?」

揺杏「……いや、これ言ってもいいのかなー?怒らない?」

灼「そこで止められた方が気にな……」


揺杏「じゃあ聞いちゃおっかなー!あのさあのさ」

灼「うん」

揺杏「……なんなんすかその服」

灼「うさギドラちゃんTシャツだけど」

揺杏「うさギドラちゃんTシャツ!?」

私が着ているのは三つ首のうさぎさんが描かれたTシャツだ

かわいらし……


揺杏「え、なにそれ!?どこで買ったの?」

灼「大阪で……」

揺杏もほしいのかな?

揺杏「大阪すげー!マジウケるんだけど!」

揺杏「え?なに?なんでそれを買ったの!?」

灼「……うさギドラちゃんをよく見て」

揺杏「ん?なにか秘密があるの?宝の地図とか?」

灼「ベリーキュート」


揺杏がお腹を抱えて動かなくなった

というか、笑ってる

ウヒウヒ言ってる

面白い娘だ

揺杏「ヤバい……灼マジヤバい……面白すぎ……!」

……いやまあ、回りと服のセンスとかズレてるのは気づいてるけども

そういう服も似合ってしまうのだからいいじゃないか

あまり嬉しくないけど小柄なのもそれに一役かってると思う

憧だって『私は無理だけど灼さんならアリ』って言ってたし

『普通の』かわいい服も選んでもらったし、憧がアリと言うならアリのはずだ


揺杏「ほ、他にはどんな服着てるの?」

……この場合は私の好きなタイプの服のことだろう

灼「……狸のレオナルドTシャツとか」

揺杏「レオナルド!?なにそれどんな狸?」

灼「兵庫の山奥に住んでいて漫画を描く……」

揺杏「なんだそれ!?その漫画読みてぇー!」


――――――

揺杏「あ、一応言っておくけど馬鹿にしてたわけじゃないよ?」

ひとしきり笑ったあとに言われても……

揺杏「いや、私こう見えても裁縫とか得意でさ!ユキの制服も私が作ったんだぜ?」

灼「それは凄……」

揺杏「いやー創作意欲バリバリ湧いてきた!大会中は間に合わないと思うけど、今度そういう系の服縫って灼に送るわ!マジで!」

灼「え……本当に?」

揺杏「もち!ボウリングの授業のお礼!いやーマジで新しい世界が開けたわ!」

灼「……ありがと、揺杏」

揺杏「なんだよー!照れるじゃん!……よーしとりあえず北海道の謎生物調べるかー!」


――――――

晴絵「あ、灼おかえりー」

灼「……ただいま、ハルちゃん」

部屋に戻ると風呂上がりで部屋着のハルちゃんに迎えられる

晴絵「あれ、一人?みんな居なかったから一緒なんだと思ってたよ」

灼「ん……今日はちょっと将来のために偵察に行ってた」

晴絵「将来?偵察?ああ、そういう……灼もいろいろ考えてるんだね」

……これで通じるハルちゃんはやっぱり凄いと思う


――赤土晴絵

ずっと、憧れていた

今年、みんなで麻雀を打って、追いかけて……でも、私もいつかは麻雀を棄てて家業を継ぐときが来る

だからこそ、その時が来るまではやっぱり全力でその背中を追いかけたいと思った



目の前には、ずっと憧れてきたハルちゃんの背中


無地のTシャツの背には大きく『伝説』の文字が刻まれている


灼「やっぱりかっこい……」


カン!

不適切な表現があったことをお詫び申し上げます

有珠山は「入れるところじゃなくて出すところ」のイメージが強烈過ぎたのです……

揺杏は予想できなかったな~
ボーリング対決で罰ゲーム有珠山ならやりそう
爽は下ネタのセーフ/アウトを見極めるスキル高いだろうな

>>100有珠山は回想も入ったし楽しみです。爽はツッコミのユキが入って来たことでちょっとギリギリアウトの下ネタ振れるようになった挙句、「あ、今ユキいないんだった」テヘペロとかやってそうなイメージ

投下します
わりとアホチャーのおもチャー注意



私、みんなの役にたてたのかなぁ?



団体戦における先鋒というのはエースポジション、つまり点取り屋だ

先鋒が稼げば稼ぐだけ後ろの仲間達は余裕をもって打つことができるし、チームの勢いも増すというもので

私はドラを抱えるという体質上、和了ることができれば圧倒的な火力で場を制圧することができる

反面、ドラを切れない以上手は窮屈になり相手からも読まれやすい

結局、県予選や全国一回戦はこちらの情報が出回ってないこともあり活躍することができたけど、関西の名門……千里山の新エース園城寺さんや王者白糸台のチャンピオン宮永さんにはボロボロにされてしまった


団体戦が終わってからプライベートで清澄高校の人たちと打った時にも、宮永咲ちゃん――チャンピオンの妹さんらしい――にはカンでドラを増やされて手牌を完全に縛られてしまったし、和ちゃんのスピードにも追い付くことができなかった

玄「……はぁ」

つい、溜め息が漏れてしまう

阿知賀子供麻雀クラブ時代からNo1を張ってきて麻雀には自信があったのだが、全国に来てからはいまいち戦績も振るわない……

要するに、へこんでいるのです

自信喪失中なのです


いやいや、それでも溜め息はよくない

幸せが逃げてくって言うもんね!

こういう時は楽しいことを考えよう

楽しいこと、楽しいこと……

……そういえば、久々に会った和ちゃんのおもちはすごかったなぁ

小学生の頃から規格外だったけどまだまだ成長してるみたいだし


しかも!おもちといえばその和ちゃんを越える逸材が全国の会場にいたのです!

そう!鹿児島県代表永水女子の大将、岩戸霞さんです!

あの圧倒的な質量!たまらないのです!

地区大会の映像を見たら、副将の薄墨さんがあれを頭に乗せていたりしていて大変羨ましい

私と代わってくれないかなぁ

玄「うへへ……」

おっといけない

楽しくなりすぎてしまった


赤土先生に聞いた話ではどうやらBブロックで和ちゃんたちと対戦した宮守女子の方々と永水女子のメンバーで鹿児島まで海水浴に行っているらしい

赤土先生は宮守女子の監督、熊倉さんとは以前から親しく、東京に滞在している間に何度も会っているようでその時に聞いたらしい

羨ましいなぁ……私も行きたかったなぁ

綺麗な海に真夏の日差しと揺れるおもち

想像しただけで……

玄「……おっと、危ない危ない」

先ほどから周囲の視線が痛い

よほどだらしない顔をしていたのだろう


それにしても今日は暑い

お姉ちゃんはあったかいからお散歩してくるね~って言ってお出かけしちゃったけど、私には少し辛い暑さだ

薄着の女性が増えて大変眼福だけどね

玄「……ん?あれは!」

大変なものを発見してしまった

目の前にある大きな木の下で、ちょうど日陰になっているところにベンチがある

そこに腰かけた人は暑さでへばっているのか、ぐでーっとベンチの背にもたれ掛かっている

そして、存在を主張するおもち


玄「おお……」

つい、視線が釘付けになってしまう

だいたい、阿知賀女子にはおもちが足りないのだ

おもちをおもちなのはお姉ちゃんぐらいで私としては大変寂しい

岩戸さんには会えないし、和ちゃんもおもちを触らせてはくれなかった

慢性的おもち不足なのだ

「ねぇ、ちょっと……」

玄「おもちがしゃべった!?」

「……おもち?」


玄「あ、いえ!なんでもないです!」

よく見たらしゃべったのはおもちじゃなくっておもちの持ち主の方でした

考えてみればそれはそうだろう、暑さにやられているのかもしれない

玄「あ、えーと、なにか用でしょうか?」

とりあえず、見ず知らずの人に話しかけられたのだから用件を聞くべきだろう

「こっちの台詞」

玄「え?」

「……さっきからずっとこっち見てたから」

しまった

じっと見つめていたのは気づかれていたらしい


玄「えっと、それは……その」

さすがにおもちを見てました!とは言いづらい

玄「……って、あれ?小瀬川さん?宮守女子の?」

白望「……そうですけど」

玄「そんな、今は鹿児島に居るんじゃ……」

岩戸さんと一緒に!羨ましい!

白望「なんでそんなことまで……」

玄「あ、それは!うちの先生が熊倉さんから聞いたそうで……!」

白望「先生が……?えっと、あなたはたしか……」

……ちょっとドキドキする

インターハイ決勝まで行ったことだし名前も知られていたりするのかな?

白望「ダル……誰だっけ?」

……やっぱり私ダメなのかなぁ


玄「うぅ……阿知賀女子の松実玄と申します」

白望「あぁ……ドラの方」

ドラの方って……お姉ちゃんはさしずめ赤い方だろうか

……とにかく、なんとか誤魔化さなければ

玄「えっと、鹿児島にいらっしゃると聞いていたものですから!お姿を見かけて気になりまして……その、お一人でどうされたのですか?」

白望「……さっきみんなで帰ってきて」

白望「暑くてダルかったから……」

白望「あー……しゃべるのダルい」

玄「これだけ暑いとそうなりますよね!私、水筒持ってるので冷たいお茶でもいかがですか?」

白望「……いただきます」


玄「あ、汗とか気持ち悪くないですか?」

ハンカチを取り出して小瀬川さんの額に浮かぶ汗を拭き取る

白望「……ありがと」

玄「いえいえ気にしないでください!……大丈夫ですか?」

白望「うん……それで、休んでたらいつものことだって置いてかれて……」

白望「ダルくて……動けなくなってた」

玄「それは大変ですねぇ……でも日陰は少し涼しいですし、風も気持ちいいですね!」

お話しながら、少し手持ち無沙汰になったので鞄から団扇を取りだして小瀬川さんを扇いであげることにした

白望「…………」

白望「……きもちいい」


そのままベンチで小瀬川さんとしばらくのんびり過ごす

白望「ん……」

玄「あ、眩しいですよね?私の帽子お貸ししますよ」

白望「……どうも」

……なんだか落ち着くと思ったら、小瀬川さんは少しお姉ちゃんに似ているかもしれない

玄「あ、小瀬川さんはこたつはお好きですか?」

白望「……今夏だよ?」

夏にこたつを使うのはお姉ちゃんだけでした


白望「……岩手の冬は寒いから、こたつは外せない」

玄「!……そうですか!そうですよねっ!」

白望「……ダルい」

ダルいって言いながらも、なんだかんだくだらない話に付き合ってくれる小瀬川さんはとってもいい人だ

玄「あ!私、クッキー持ってるんですけど食べますか?」

白望「……いただこうかな」

玄「では、どうぞ!」

白望「ダルい……あーんして」

玄「はい!えへへ……あーん」

白望「ん……おいし」


――――――

白望「……松実さん」

玄「なんですか、小瀬川さん?」

白望「……いや、なんだかお世話になっちゃって」

玄「そうですか?」

白望「快適だった……うちにも一人欲しい」

玄「えへへ……そんなに言われると照れちゃいます」

白望「……なにかお礼がしたいな」

玄「そんな!お礼がいただきたくてしたことではありませんので……」

白望「でも……」

玄「あ、それじゃあおもちを少し触らせてください!」


白望「……?さっきから言ってるそのおもちというのは……?」

玄「あ、これはこれは失礼しました」

玄「では、改めて……」

玄「おっぱい触らせてください!」

白望「え?」

玄「え?」

白望「……ごめん、今なんて?」

玄「おっぱい「ちょいタンマ」


白望「…………」

どうしたのかな?なにか考え込んでるみたいだけど……

あ、あんなに素晴らしいおもちだもんね!出し惜しみするのも分かるよ!

白望「……え?」

玄「え?」

白望「いや……え?じゃなくって」

玄「?……なにか?」

白望「……あれ?私がおかしい?」

小瀬川さんどうかしたのかな?


白望「……え?つまり、私の……胸を、触りたいの?」

玄「はい!大変素晴らしいおもちをおもちですから!」

白望「……それは、どうも」

玄「そういうわけで是非お願いします!」

白望「……松実さんってさ」

玄「はい?」

白望「……あー、女の子が好きな人?」

玄「……?好きですけど」

穏乃ちゃんや憧ちゃん、灼ちゃんもみんな大好きなお友だちだもんね!

白望「……ダルい」


小瀬川さんはしばらくなにやら考えたあと口を開いた

白望「……まぁいっか」

玄「本当ですか!?」

白望「なんか、凄く快適に過ごしちゃったし……なにも返さないのもダルいから」

白望「あ、でも……ここだとさすがに」

玄「そうですね!それじゃあ宿の方までお送りします!道はわかりますか?」

白望「うん……あ」

玄「どうしました?」

白望「ダルくて動けない……おんぶして」

玄「!?」


おんぶ!?

そんなことしたら……

あの素晴らしいおもちが私の背中に……

答えは一つだ

大きく息を吸い込み返事をする



玄「おまかせあれ!」




ベチャ

玄「お、重い……」

白望「……ダルい」

玄「……でも、背中におもちが……うへへ」

白望「……失敗したかなぁ」



カン!

くろちゃーは人がダメになる甘やかし方をする。宥姉を見ればわかる

そういうわけで甘えさせてくれるけど最終的には「ほら、しっかりせぇ!」とか言いながら尻叩いて送り出してくれる染谷先輩が好きです
なんでもいいからワカメ「」とかって表現されてないSSください

あ、見てる人いるかわからないですけど↓1~3までのキャラ拾うとか言ったら名前出してくれます?(乞食並感)

寝る前に埋まってて安心した……

思いついたのから形にして投下する予定です

一応一日一本を目標にしていますのでどうぞよろしくお願いいたします


岩戸……

海水浴って近場で済ませてるもんだと思ってた

朝なので大事なとこだけ

>>132マジですいませんでした!固有名詞の誤字は見ると本気で萎えるのはよくわかっているので気をつけます……

>>134ヤンガン確認しましたがはっちゃんが「霧島神境の海ですよー」って言ってますね

かすたんイェイ~を誤字で迎える痛恨のミスで心折れ気味ですが投下

霞さんはそのうち何か書いて反省の意を表す予定



夜の公園は、ちょっと怖い



ラーメンを食べ歩き、メグさんと別れた帰り道

いっぱい食べて、いっぱい話して

気づけばすっかり遅い時間になってしまった

東京の夜は明るすぎるのだ

地元だったらこの時間になったら外は真っ暗になってるもんね


なんて、ちょっと現実から目を逸らしてみたがこれはヤバい

帰りに通りがかった公園はさすがに暗い

しかも、さっきからなにやら……か細い女の子の声が聞こえるのだ

「――」

「――」

ヤバい、ちょっと……本気で怖い

早く帰ろう

本気で走ればすぐに……

「――ラ~」

穏乃「!?」

心なしか、近づいてきている?


「――ラ~」

「――ラ~」

いや、おばけがどうとか言うつもりはないけど!

そんなオカモチあり得ないって和も言ってたし!

「――ラ~」

穏乃「……うぉぉぉぉぉぉぉぉ! 走れぇぇぇぇぇ!」

一歩踏み出した瞬間、目の前に自分と同じぐらいのサイズの影が飛び出す



「スエハラ~」



穏乃「うわぁぁぁぁぁぁ!?」


穏乃「ごめんなさい! 食べないで! 私体も小さいし、おいしくないです!」

「? 私は人を食べる趣味はないのよー」

穏乃「……あれ? 人?」

「そういうあなたは阿知賀女子の高鴨さんなのよー」

穏乃「あ、はい! 高鴨穏乃です!」

由子「私は姫松高校の真瀬由子なのよー」

穏乃「あ、どうも……こんばんは!」

由子「こんばんはー」

ほわほわとした笑顔に少し気持ちも落ち着く


由子「怖がらせちゃったみたいで申し訳ないのよー」

穏乃「こちらこそ失礼なことを……」

さすがにおばけと思ったなんて――おばけなんていないけど!――失礼だった

由子「気にしなくていいのよー」

由子「ところで、こんな時間に女の子の一人歩きは危ないのよー?」

穏乃「ご飯食べてたら遅くなっちゃって……って、それは真瀬さんもですよ! どうしたんですか? こんな時間に?」

由子「私はちょっと探しものなのよー」


探しものって……まさか!

穏乃「もしかして、す、スエハラって姫松の大将の末原さんですか!? 行方不明とか!?」

一大事だ!なにか事件とかに巻き込まれてたら――

穏乃「け、警察に!」

由子「高鴨さん、落ち着いてほしいのよー」

穏乃「で、でも!」

由子「恭子は今頃ホテルで牌譜の整理をしてるのよー」

穏乃「……?」


穏乃「え、じゃあなんでスエハラ~って……」

由子「探し物の呪文なのよー? 唱えながら探し物をするとすぐに見つかるって言うのよー」

……今日は謎の呪文をいっぱい聞くなぁ

穏乃「そうなんですか……良かったぁ、事件とかじゃなくって」

由子「さっきから紛らわしくて申し訳ないのよー」

穏乃「いえ!私こそすぐに勘違いしちゃって」

穏乃「あ! 何を探してるんですか? 私で良ければお手伝いします!」

困っている人を放ってはおけないもんね!


由子「それはとっても助かるのよー! 探してるのは……こういう赤い腕時計なのよー」

真瀬さんはそう言って左腕を私に見せる

そこにはたしかに赤い腕時計が……

ん?

穏乃「……持ってるじゃないですか、腕時計」

由子「あ、これは違うのよー……ほら、よく見ると」

穏乃「……折り紙?」

暗くて気づかなかったが、よくよく見ると、折り紙が腕時計の形に折られている


穏乃「え!? うわ、凄い! 上手に折ってありますね!」

由子「時計が見当たらないって言ったら監督が折ってくれたのよー」

穏乃「優しい監督さんなんですね!」

由子「そうなのよー!前にリボンをなくしちゃった時も折ってもらったし、絹ちゃんが眼鏡をなくしちゃった時もこれで代わりを作ったのよー」

いや、折り紙じゃ眼鏡の代わりにはならないんじゃ……

由子「……でも、見当たらないのはお父さんに買ってもらった大事な時計なのよー」

穏乃「お父さんに?」

由子「うん……形見なのよー」

穏乃「形見……って」


真瀬さんも家族を亡くしているのか……

玄さんと宥さんもお母さんを亡くしているし、そのことが与える影響が大きいことも知ってる

おもち好きとか

まぁそれはともかく、別れはどんなものであれ辛い

身近な家族のことなら尚更だろう

穏乃「……絶対見つけましょう! 私もできる限り手伝いますから!」

由子「本当に助かるのよー……あ、ごめんね?電話出るのよー」



由子「もしもし?お父さん?」



あれ?


由子「えー? 大丈夫なのよー! 大阪のほうが治安悪いくらいよー?」

由子「うん……うん? もう! いい加減娘離れしてほしいのよー」

由子「はいはい、個人戦終わったら帰るのよー」



由子「……ごめんねー? 高鴨さん、電話終わったのよー」

穏乃「いやいや! え? お父さん!? 形見なんじゃないんですか!?」

由子「んー? そうよー? そのうち形見になる予定なのよー」

真瀬さん、いい人なんだろうけど微妙に会話が噛み合わないというかなんというか……


……まぁいいか!悲しいことが無かったんだから!

穏乃「……えっと、それでこの公園で落としたんですか?」

由子「たぶんそうだと思うのよー……今日はみんなで気分転換にプールに行って、そのあとこの公園でカバディしたのよー」

穏乃「だいぶハードですね!?」

由子「かなり疲れたしもうおねむなのよー」

真瀬さんが大きくあくびをする

……私もお腹いっぱいだし、なんだか眠くなってきた


由子「……もう遅いし、今日のところはここまでにしておくのよー」

穏乃「いいんですか?大切なものなんじゃ……」

由子「この暗さじゃ見つかるものも見つからないし、高鴨さんも眠そうなのよー」

穏乃「あ、そんな私のことなんて……」

由子「姫松の子だったらまぁいいとしても、高鴨さんは他校の生徒だし何かあったら責任とれないのよー」

穏乃「……そうですね、ごめんなさい」

由子「そんなシュンとされると私も困っちゃうのよー……あ、そうだ!高鴨さんにはお礼としてアメちゃんを差し上げるのよー」


由子「ちょっと待ってほしいのよー」

真瀬さんがポーチから飴玉を取り出してこちらに差し出す

由子「はい!どうぞ受け取ってほしいのよー」

穏乃「……はいっ!ありがとうございます!」

気を遣わせてしまったし、せっかくなのでいただいておく

由子「あ」

穏乃「どうしました?」

由子「時計、あったのよー!」


由子「そういえば、プールに行ったときに外してポーチにしまってたのよー」

穏乃「ポーチの中、探してなかったんですか?」

由子「えへへ……うっかりしてたのよー」

穏乃「うっかりなら仕方ないですね!」

私もよくうっかりしちゃうし人のことは言えない

真瀬さんも嬉しそうだし、私も嬉しくなってきた

やっぱり笑顔は人を元気にするよね!


由子「高鴨さんには迷惑かけてしまって申し訳ないのよー」

穏乃「気にしないでください!見つかって良かったです!」

由子「ありがとうなのよー……大阪に来るときは是非連絡してほしいのよー」

ニコニコと笑う真瀬さんと連絡先を交換する

穏乃「ありがとうございます! それじゃあ、私も奈良とか山なら案内できますから!」

由子「ふふふ……それじゃあ今度遊びにいくのよー」


――――――

穏乃「ただいまー!」

憧「おかえり! 遅かったねーシズ」

穏乃「いろいろあって……って、なにしてんの?」

憧「私の化粧水しらない? ここら辺に置いたと思ったんだけど……」

穏乃「あ、探すの手伝うよ」




穏乃「スエハラスエハラ~」



憧「急に何言ってんの!?」



カン!



由子「あ、高鴨さんから電話なのよー」

恭子「高鴨……って阿知賀の?」

由子「うん!時計探すの手伝ってもらったのよー」

恭子「そうなんか……ちゃんとお礼言っとかんとな」

由子「もしもし? 高鴨さんどうかしたのよー?」

穏乃『スエハラ効きませんでした!』

由子「それは申し訳ないことをしたのよー」

由子「ほら、恭子も謝るのよー」

恭子「ハァ……ごめんな高鴨さん」


もいっこカン!

最近気づいたけど咲日和大好きです

由子の時計とか漫ちゃんの実家とか、ひっそりとアニメ公式で出した情報たちはどっかで反映されてくんですかね?

投下します



幼馴染みで親友です、だって


そう思ってくれてたのは嬉しいけど、ちょっと照れくさい



「あの、阿知賀の新子さんではありませんか? 『WEEKLY麻雀TODAY』読みましたよ!」

憧「へ? 『WEEKLY麻雀TODAY』?」

「おや? 和から聞いていませんか?」

憧「和? なんで和が……えっと、新道寺の」

煌「すばらです!」

憧「須原さん」

煌「あ、花田煌と申します」

憧「失礼、花田さん」


――――――

憧「和、こんなこと言ったんだ……」

煌「幼馴染みで親友!すばらなことではありませんか!」

この記事を全国の麻雀ファンが読むんだと思うとさすがにちょっと……いや、かなり恥ずかしい

そりゃあ、私も……その、そういう風に思ってたけど、他人に堂々と言うのは照れくさいし……

それに、実際一緒に過ごしたのは一年ほどだし中学も離れてしまっていたから……大切な友人です!とか言われちゃうと、やっぱり嬉しいやら恥ずかしいやらで顔が熱くなる


憧「それにしても、花田さんが和の転校先の先輩だったなんて……不思議な縁ですねぇ」

煌「すばらなことです……和が以前奈良にいたことは聞いていましたが、まさか阿知賀女子の皆さんが友人だったとは」

煌「そういえば、和は奈良ではどのように過ごしていたのですか?昔の話はあまり聞いたことがないんですよ」

憧「そうですね……最近会った感じだと、奈良にいた頃からあまり変わらないんじゃないですかね」

憧「昔から玄と打ってるのに『そんなオカルトありえません!』でしたし」

煌「ふふっ……和らしいですね」

煌「長野に来てからもずっとその調子で……麻雀の腕もたしかでしたけど」

憧「奈良に来た頃から一貫してデジタル打ちでしたからねー」

牌譜を見る限りでは高校に上がってからもかなりレベルアップしたようで、ハルエも精度が段違いだって褒めてたし


煌「オカルトの話にしても……和の信念はブレませんからね!そこが彼女の強さですし」

憧「そうですねー……変わったのなんて胸が更にでかくなったぐらいで……」

昔からでかかったのにまだでかくなってるのだからずるい

私なんて、正直小六の頃の和より……

煌「新子さん」

憧「あ、はい!?」

煌「気にしなくていいんですよ」

憧「え……」

煌「みんな違ってみんな良いんですよ」

煌「和には和の、あなたにはあなたの魅力があるんですから」

……凄く良いこと言ってるけど、私より小振りな人に言われても

いや、でかい子に言われたら嫌味に聞こえるんだけど


煌「そういえば!」

憧「な、なんですか?」

煌「団体戦決勝、大変すばらな試合でしたよ」

……わざわざ話題を変えてくれたらしい

そんなに沈んだ顔をしていたのだろうか

憧「ありがとうございます……負けちゃいましたけどね」

煌「いえいえ!三位もとてもすばらな成績ですよ!全国で三番目に強い高校生チームなんですから、胸を張ってください!」

どうせ私には張るほどの胸は……って、へこむだけだしやめておこう

それに……


憧「私、決勝ではあまり……」

オーラスに役満を和了る白糸台の渋谷尭深に、悪待ちの竹井、ついでに世界ランカーと厳しい戦いだった

私がもっと稼げれば灼さんやシズにもっといい点数で回せたのだ

優勝も狙えたんじゃないかと思うと、やっぱり悔しい

煌「そんなことありませんよ、新子さんはすばらな打ち回しだったではありませんか」

煌「新子さんだったからこそ後続の鷺森さんに綺麗に繋げたのですから……私だったらもっと削られていましたよ」

憧「そんな、私なんか……そういう花田さんなんて、九州の名門校で先鋒張ってるじゃないですか」


煌「そんな、新子さんもわかっているでしょう?うちは後ろに戦力の比重を置いています」

煌「それに、私は校内でのランキングもあまり高くありませんから」

憧「え?……普通、その場合は五位の人が先鋒になるんじゃないですか?」

煌「……私の実力はけっして高くはありません。 新子さんならわかるでしょう?」

憧「…………」

実際、新道寺との対戦前に全選手の牌譜は確認したけど花田さんは……怖い相手とは思わなかった

煌「ですが、私は……少々特殊な雀士なものですから」

煌「まあ、言ってしまえば私は捨て駒……相手校のエース相手にいくら失点してもトビさえしなければ白水部長たちが取り返してくれる、というオーダーですからね」


特殊?花田さんもなにか玄みたいな……って、そっちよりも

憧「花田さんは……辛くなかったんですか?そんな、捨て駒だなんて……」

煌「まさか!私はどんな役割であれ、チームに必要とされて嬉しかったですよ」

煌「私でも、誰かに必要とされる……とてもすばらなことです」

憧「花田さんは……なんというか、凄いですね」

私だったら捨て駒扱いなんてされたら悔しいし……そんな前向きに捉えることはできないと思う


煌「新子さんはもっと自信を持っていいんですよ?」

煌「新子さんの実力はすばらです!全国大会を勝ち抜き、あの強力な雀士たちを相手に退かずに打ち合えたのですから!」

煌「実力で勝ち取ったレギュラーなんですから、ね?」

憧「花田さん……」



憧「うち、部員五人です」

煌「すばっ!?」


煌「え、えーとですね……」

……さっきまで凄く大人っぽく見えてたけど、こうして慌てている姿を見るとやっぱり同じ高校生なんだなーと思う

憧「あははっ!ごめんなさい……ありがとうございます!ちょっと元気になりました」

煌「そ、そうですか?それはすばらです!」


――――――

なかなか素敵な出会いだった

花田さんはとっても元気で、前向きで……やっぱり私よりも大人な人だと思う

連絡先も交換したし、なにか悩みごとなんかは晴絵よりも花田さんに相談した方が頼りになるかもしれない

話の方も楽しかったし……それにしても、二年間通って未だに言葉で苦労してるって怖い

英語の方がまだわかるなんて言ってたし、そんなのほぼ外国じゃないか

穏乃「あ、おかえり憧ー」

憧「ただいまー……ってみんな集まってなにしてんの?」

玄「さっきメールしたよ?気づかなかった?」

憧「え、嘘!?ごめん!急ぎの用事だった?っていうかみんな待たせてた!?」


気にしてな……って灼さんは言ってくれてるけどさすがに申し訳ない

花田さんとの話が楽しくって気づかなかった……なんて言い分けもしづらいし

宥「ほら、前に赤土先生が優勝したらステーキおごって、なんて言ってたでしょ?」

灼「やっぱりハルちゃんにはお世話になったし……」

穏乃「みんなでなにか準備しようって相談してたんだ!」

憧「すばらな考えね!私たちがここまで戦えたのはハルエのすばらな指導のお蔭だし……」



「「「「すばら?」」」」


憧「ふきゅ」


カン!

落ちてないけど許してください

すばら!とか知らんけど、なんもかんも~あたりは普段ポロっと出ちゃうので怖い


忙しいと文量も減るしそれならいっそしっかり書き溜めた方がいいんじゃないかと悩む……

最新話載ってて安心しました
ちっさいコマの髪下ろした揺杏がかわいかったです

投下します



阿知賀とは違う過ごし方が、けっこう楽しい



正午前になると、彼女はいつも日陰のベンチで本を読んでいる

団体戦も終わり、時間を持て余している私の足はついそこに向いてしまうのだ

灼「……咲」

咲「あ、灼ちゃん」

こんにちはー、と笑顔で挨拶される

灼「ども……」

なんとなく照れくさくて、愛想なく返してしまう

まぁ、私が笑顔で挨拶すると今度は咲が照れちゃうんだけど



灼「今日も暑いね……お茶いる?」

咲「ありがとう……いただきます」

咲とは、阿知賀と清澄で交流会――まあ、実質玄たちと原村さんの再会麻雀パーティーといったところか――で、仲良くなった

ハルちゃんの子ども麻雀クラブに参加してなかった私は少し場違いな気もしていたし、すぐに溶け込んだ片岡さんと違って一歩引いた位置にいた咲となんとなく固まってたら意外と話が合ったのだ

穏乃や憧は友達だけど、やっぱり先輩後輩の関係が先にあるし、単純な年下の友人というのは初めてで……ちょっとお姉さんぶってみたりするのが楽しい


灼「…………」

咲「…………」

私は、どちらかというと口数の少ないタイプだ

それは咲も同じで、二人でいると特に何も話さずに時間が経ったりもする

うちは結構騒がしいから、こうやってのんびり過ごすのは新鮮だ

ふと、咲が読んでいた本を閉じる

灼「いいの?」

咲「うん。 キリの良いところまで読んだから」


灼「ん……今日は何を読んでたの?」

咲「海外のミステリーだよ。 この作家さんは――」

咲は本のこととなると結構話す

読書は私も結構好きだし、咲からは色々な話が聞けて面白い

……それにしても、咲は毎日ここで本を読んでいるけど大会に向けて調整しなくていいのだろうか?


灼「…………」

咲「なぁに?」

灼「……麻雀はしなくてもいいの?」

咲「……私だってちゃんと練習してるもん」

プクーと頬を膨らませて抗議する咲はかわいらしい

咲「そりゃあ、毎日ここで本読んでるけど……それは灼ちゃんとお話したいっていうのもあるし」

灼「そんなにはっきり言われると恥ずかし……」


咲「和ちゃんなんかは阿知賀のみんなとか、新道寺の花田さんとか知り合いが多いからいいけど、私はこっちに知り合い少ないし……」

片岡さんは一緒に色々行ってるみたいだし、咲もついていけばいいのに……

というか、咲も知り合いは居るだろうに

灼「お姉さんとは会わないの?」

咲「……ちょっと、喧嘩中で」

灼「ごめ……」

……あまり触れない方が良さそうだ


灼「えーと……」

なにか話題は……

灼「あ……せっかく東京来たんだし、彼氏と観光でもしてきたら?」

咲「か、彼氏!?」

灼「違うの?」

咲「ち、違うよぉ!京ちゃんはただの友達で……」

灼「京ちゃん、なんて随分親しげだったからてっきり……」

咲「そ、そんなこと言ったら灼ちゃんだって赤土さんのことハルちゃんって呼んでるけど付き合ってないでしょ!?」

灼「それは比べるところじゃないと思……」


なんだ違うのか

ちょっとガッカリだ

阿知賀は女子校だから仲間内だと恋ばななんてできないしちょっと興味あったのに

灼「でも、共学だしそういう話はないの?」

咲「私はないけど……和ちゃんなんか男子に人気だよ」

灼「あー……」

そりゃモテるだろうな

かわいいし

……でかいし


灼「でも、咲も人気でるかもよ?インターハイで大活躍だし……」

咲「えぇ?それはないよ」

私地味だもん、なんて言いながらニコニコしてるけど咲はけっこうかわいいと思う

いろいろ危なっかしくて世話してあげなきゃって気になる

咲「灼ちゃんの方こそそういうのないの?」

灼「私……?」


灼「ないよ」

咲「ないの?」

灼「阿知賀は女子校だからそもそも男子の知り合いがいな……」

咲「そうなんだ」

灼「うん」

……友達もいるし、麻雀も楽しいし、寂しい青春とは思ってない


くー

咲「あぅ」

……咲のお腹の音のようだ

話している間にだいぶ時間が経っていたらしい

灼「……ご飯、食べに行かない?奢るよ」

咲「え、そんな……奢りなんて悪いよ」

灼「じゃあ、団体戦優勝のお祝いってことで……」

咲「……それじゃあ、お世話になります」


――――――

咲との食事は楽しかった

玄や穏乃とわいわい食べるのもいいけど、私はのんびりしてる方が性に合ってるかもしれない

それにしても……共学は進んでるって聞いてたけどそうでもないのか

いや、咲がそういうのに疎いだけか

晴絵「あ、おかえり灼ー!私今から熊倉さんとこ行ってくるから」

灼「ん……行ってら……」

灼「あ、そういえばハルちゃん」

晴絵「なに?」

灼「ハルちゃんは結婚とかしないの?」

晴絵「」


晴絵「……あ、いや私はまだ結婚考える年じゃないというか」

あ、これ聞いちゃいけない奴だった

凄い勢いで目が泳いでるし

晴絵「いや、ほんと……全然平気だし!ほら、小鍛治プロとかもまだ結婚してないし」

麻雀ならともかく、ハルちゃんはそこで小鍛治プロと並んでいいのか

晴絵「えっと、ほら……」



晴絵「灼がお嫁さんに来てくれてもいいんだよ?」


灼「わずらわし……」



カン!

咲さん言葉遣いは見た目で判断説に従いタメ口

土日来れなそうなのでキャラ名挙げてもらえれば拾って書き溜めとこうと思います

羊先輩投下

方言は変換サイトの使用とwikiで多少勉強して、適当に標準語にしたりマイルドに……まぁ、エセ方言だよって話です。
そこまで気にする人もいないだろうけど一応言い訳



松実館がこの先生き残るためには



東京にいても、ふとした時に実家のことを考えてしまう

例えば、今みたいにインターハイの会場にいてもだ

普段は家のお仕事のお手伝いをする時間が多いし、どうしても気になってしまう

この前、お父さんに電話した時は松実館では大部屋を使ってインターハイの観戦イベントを開いて大盛況だった、って言ってたけど……

いや、応援してくれたの素直に嬉しいんだけど……つまるところ、近所の人たちと宴会開いただけだよね?


うちはけっこう歴史のある由緒正しい旅館で、毎年泊まりに来てくれるお客さまもいるけれど……

正直、経営状況は年々悪くなっているような気がする

将来的には……いつか、その、私がお婿さんを取って旅館を継ぐつもりでもある

お姉ちゃんには自分の好きなことをしてほしいもんね

とにかく、そういうことで……しっかりと旅館を続けていくためにもなにか考えないといけないと思う


「いつもので」

いつもの……常連さんにだけ許された言葉だ

つまり、松実館でも常連さんに対してなにかもっとサービスを……

玄「……いつもの?」

ちょっと待って

ここはインターハイ会場の売店だ

いつもの、なんて言って通じるほど長期的に開いてる店舗でもないのに……

「ん?」

あ、目があった


玄「……こんにちは」

「……どうも」

この人は……たしか、準決勝で憧ちゃんと打った新道寺女子の江崎さんだ

試合中もジュースを片手に持っていた気がするけど……どれだけ買えばいつもの、で通じるのだろうか

仁美「……飲む?グァバジュース」

玄「あ、そんな……グァバジュース?」


玄「おお……仄かな甘味と酸味が……」

仁美「うまかやろ?」

……珍しい名前の響きに釣られてつい一口いただいてしまった

これはなかなかのなかなか……じゃなくって

仁美「そいで、どげんかしたと?」

玄「え?」

仁美「うちで良ければ話しば聞くよ?……話して楽になるこつもあるけんね」


――――――

仁美「なるほど……実家の旅館が」

玄「はい……どうしたらいいのかな、って」

ほぼ初対面の人に話すことでもないと思うけれど、お姉ちゃんや阿知賀のみんなに話して心配かけたくないし……いいよね?

仁美「あの……こん光熱費凄いこつになってるのは?」

玄「え?これくらいじゃないですか?そりゃうちはお姉ちゃんが一年中こたつやストーブ使ってますけど……」

仁美「……なんもかんもお姉ちゃんが悪い」

玄「えぇ!?」


玄「でも、うちではこれが普通ですよ?」

仁美「松実さんとこで普通でも他所では異常やけんね?」

玄「でも、暖房機具止めたらお姉ちゃんが……」

仁美「……ここは削れんか」

そんな、支出の原因がまさかお姉ちゃんだったなんて……

仁美「んー、新しい客層ば取り込むんは?」

玄「お客さんの新規開拓ですか……」


玄「でも、いったいどうしたら……」

仁美「娘二人がインターハイ出とうし、お客さんと麻雀打つとか」

玄「なるほど!麻雀好きな人が来てくれるかもしれませんね!」

忙しい中、お客さんと麻雀打てるかはわからないけど良いかもしれない

全国から麻雀好きなお客さんが……和ちゃんたちを招待してみたりしても良いかもしれない

仁美「あとは……そう、マスコットキャラクターば作るとか」

玄「マスコット?」


仁美「ゆるきゃらとか流行っとるの知っとーと?某市のキャラクターなんか凄い稼いでるらしいし」

玄「ああ……テレビで見たことあります!」

仁美「女性や子供が好きやし、上手くいけばグッズ展開とかして更に収入が!」

玄「ふぅ~む、なるほどなるほど……なるほどー」

仁美「実家にはなんかウリとか、名物とかなかと?」

ウリ、名物……あった!

玄「うちにはお姉ちゃんの素晴らしいおもちがあります!」

仁美「お餅?」


仁美「松実さん……あー、宥さんの方は餅つきでも趣味にしよっと?」

玄「お姉ちゃんのおもちをついたりこねたり!?」

なんて素晴らしい考えだろうか

おっきくて、やわらかくて……

玄「うへへ……」

仁美「……?」


――――――

仁美「……そいはいかんやろ」

仁美「あんたお姉ちゃんになんばさせるつもりなん?」

仁美「実家の旅館はそーゆうお店じゃなかやろ」

玄「すみません……少々取り乱しました……」

だって、江崎さんが名物って言うからお姉ちゃんのおもちしかないと思ったんだけど……

仁美「まぁ、よか……とりあえずそいは問題外としても……」

仁美「地元のものとか……あとは分かりやすく名前から取るとか」


玄「えっと、まつみかんちゃん!とかそういう感じですか?」

仁美「ん……蜜柑のキャラが『お客さんをお待ちしてます!』とかそげな感じで」

なるほど、ちょっとそれっぽいかもしれない

仁美「あ、参考になるかはわからんけど……うちにもマスコットば居るばい」

玄「新道寺女子にマスコットがいたんですか?」

仁美「ん……しんどうくんっちゅうんやけど」


江崎さんがペンとメモ用紙を取り出してさらさらとイラストを描く

仁美「……どう?」

玄「わぁ~!かわいいですねぇ!」

灼ちゃんなんかは特にこういうの大好きだと思うなぁ

仁美「……パパとママも居るんよ」

玄「家族がいるんですか?」

仁美「そりゃいるよ人の子だから」

玄「ひとのこ?」

頭にリボンをつけている方がママで、首に蝶ネクタイをつけている方がパパらしい


玄「素敵ですねぇー」

とってもかわいらしい

うちもこういうかわいいキャラクターを作れば新しいお客さまを開拓できるかな?

仁美「…………」

……江崎さんがにやけながら小さくガッツポーズしてる

なにか良いことがあったのかな?

仁美「あ、ちょうどここにしんどうくんぬいぐるみがあるんやけど……」

玄「作ったんですか!?」


仁美「ん……あんまし気に入ったけん自分で作ったんやけど……松実さんが褒めてくれて嬉しかったけん、もろうてくれん?」

玄「……いいんですか?」

仁美「ん……自分のはまた作ればよか」

玄「……ありがとうございます!いただきますね!」

仁美「それと、良かったら連絡先教えてくれん?」

玄「こちらからお願いしたいです!またアドバイスとかいただきたいです!」

えへへ、しんどうくんプレゼントされちゃった!

私もお友だちが増えて嬉しいよー!


姫子「あ、江崎せんぱーい!」

仁美「姫子!……そいに部長も」

あちらから駆け寄ってくるのは新道寺の副将・大将の白水さんと鶴田さんだ

どうやら江崎さんを長いこと引き留めすぎたらしい

哩「なかなか帰ってこんから心配……きゃっ!」

白水さんが何かに躓いたのか盛大に転ぶ

そして、手に持ったジュースが宙を舞う


バシャッ

玄「あ……」

江崎さんから受け取った、しんどうくんぬいぐるみに……

仁美「う、うちらん友情の証が……」

びしょびしょになっちゃった……

……でも、友情の証って言ってくれたのは凄く嬉しいな

哩「あ、えっと……す、すまん!しんどうくんが……」




姫子「死にました」



姫子「おしまい」



哩「死ぬオチはちょっと……」


カン!

新道寺の政治家さんは書きたいネタもあるんだけどやっぱり言葉のハードルが高くてなかなか手を出せない……
ダヴァンとかよりよほど国境を感じます

今度の単行本の特典は誰が来ますかねー


しんどうくんは色々反則ww

特典はユキ希望 ビフォーアフターで

今気づいたけどしんどうくんってまだ単行本収録されてないですね……リアルで追ってない方いたらすみませんでした

>>220チカちゃんと一緒で変身前のが好きです。ちょっと野暮ったい方が好きなのかな

爆発漫ちゃんとかはタイミングなくなりそうだし期待したいなぁ……
中華麺すするハオとダヴァンとか…あと染谷先輩特典くださいマジで

まつみかんちゃんっていいね

宥姉がみかん箱に入ってるの想像した

>>223そもそも「まつみかん」の語感妙に良いですよね
>>224かわいいほしい

グァバってフトモモ目フトモモ科らしいです。しんどうくん、まつみかんちゃん、怜ちゃんのマスコット軍団で1ネタいける…?
投下します



東京に来てからお気に入りのお散歩コース、ベンチに座ってちょっと一息


あの子は毎日荷物をたくさん持って走っている


つい気になって声をかけてみたんだ



宥「あの……亦野さん?」

誠子「はいっ!……あれ?松実さん?」

宥「はい……松実宥です……その、えっと」

……つい話しかけてみたものの、何も考えていなかった

亦野さん困っちゃうよね?

誠子「……すみません!ちょっと急いでるんで!」

宥「あぅ……」

誠子「荷物置いたら戻ってきますから!良かったら待っててください!」


どうしよう

特に用事があるわけでもないのに呼び止めてしまった

……しかも、亦野さんはわざわざ戻ってきてくれるらしい

うん、亦野さんはいい人だね

……じゃなくって!とにかく、なにか話題を考えておかないと

誠子「お待たせしましたっ!」

ぅわ亦野さん足早い


宥「えと……その、こんにちは」

誠子「こんにちはー」

宥「……あの、忙しいなら私のことは気にしなくてもいいので」

誠子「いえ、大丈夫ですよ。 私は個人戦の地区代表逃してますし……まぁ、うちからは宮永先輩と大星が参加するんで有力選手の牌譜整理したり、調整は手伝ってますけど」

それって結構忙しいんじゃ……

誠子「あ、戻ったときに尭深……中堅の渋谷がお茶淹れてたんで水筒に移して持ってきたんですよ。 あったかいですけど、どうですか?」

宥「……私、あったかいの好きです」

誠子「そうじゃないかと思ったんですよ」

亦野さんがどうぞ、と笑顔で紙コップを差し出してくる

……コップまで準備して来てくれたらしい。 かなり気を遣わせてしまったようだ


宥「……おいしいです。 とってもあったかい味がします」

誠子「そう言ってもらえると尭深も喜びます」

亦野さんも嬉しそうだ

渋谷さんとも仲がいいんだろうなぁ

誠子「お茶請けにお煎餅とかどうですか?甘いのが良ければチョコとかも持ってますけど」

宥「えっと、じゃあお煎餅を……」

誠子「りょーかいですっ!」


宥「ふふっ……おいしいなぁ」

誠子「たまにはこうしてのんびりするのも良いですね」

今日もお天気だし、とっても気持ちがいい

……亦野さんと違って、私はいっつものんびりしてるけど

誠子「あっ」

宥「どうしたの~?」

誠子「カード、三尋木プロでした!私、ファンなんですよ」

宥「よかったねぇ~」


しばらく好きなプロ雀士や日本代表ベストメンバーは誰だ、小鍛治プロが第一線に復帰するって噂が……とか、そんな話で盛り上がる

なんだかとっても話しやすくて、気配り上手な子だ

気がつけばコップはお茶で満たされてるし、お菓子も勧められるままにいただいて……

誠子「宥さん、口元チョコついてますよ」

宥「あ……ごめんねぇ、誠子ちゃん」

誠子ちゃんはサッとハンカチを取り出して口元を拭ってくれて……

あ!いつの間にか名前で呼びあってる!

私もお友だちつくるの上手になってきたのかなぁ


宥「えへへ……」

誠子「どうしました?」

宥「なんでもないよっ」

誠子「……ふふ」

誠子ちゃんがそっと頭を撫でてくれる

とっても優しい手つきできもちいいなぁ

……あれ?私、さっきからご主人様にお世話されるわんちゃんみたいになってる?


誠子「……あ、すいません!宥さんの方が先輩なのに頭撫でちゃったりして!」

宥「んー?誠子ちゃんの手、きもちいいからもっとしてほしいなぁ」

誠子「……じゃあ、失礼します」

宥「えへへ……誠子ちゃん、こういうのなれてる?」

誠子「……大星とか、なんというか犬猫的な可愛がりかたをしてますけど……それで、つい」

宥「そっかぁ」

大星さん、かわいいもんねぇ

それじゃあやっぱり私も犬的な扱いかなぁ?

宥「わんわん!」

誠子「……かわいい」

えへへ……また撫でられちゃった


誠子「えっと、それでどうしたんですか?」

宥「?」

誠子「いや、その……さっき、宥さんに呼び止められたじゃないですか?なにか用があったんじゃないかなって」

宥「あっ」

忘れてた


宥「えっとね?……特に用事はなかったの」

誠子「そうなんてすか?」

宥「私、いっつもお散歩してて……ここで休憩してると毎日誠子ちゃんが荷物抱えて走ってたから気になっちゃって……それだけなの。 ごめんね?」

誠子「そんな、謝ることじゃないですよ……宥さんとのんびりできて良かったですし」

宥「そう?……えへへ、ありがとう」


誠子「毎日ここら辺走ってたのは……うち、お菓子の消費量とか多くて」

宥「部員さん多いもんねぇ」

誠子「いや、主に宮永先輩が……なんでもないです」

誠子「まぁ、それで買い出しとか私が行ってたんですよ」

宥「……そうなの?」

白糸台の部員さんは会場にも大勢来ているのに、団体戦メンバーの誠子ちゃんが?

誠子「……身体動かしてた方が落ち着くんですよね」

宥「……誠子ちゃん?」


誠子「覚えてます?準決勝」

宥「……うん」

私たち阿知賀女子は一位抜けして、白糸台は二位通過だった。 誠子ちゃんは……

誠子「マイナス59400は……さすがに、無いですよねぇ」

宥「……決勝は、良かったと思うよ?」

誠子「私も、思ったよりよく打てたと思いますよ?」


誠子「うち……白糸台は複数のチームを組んで、部内戦で最も成績の良かったチームが大会に出るんですよ」

宥「うん……聞いたことあるよ」

誠子「まぁ、宮永先輩が圧倒的すぎてこの三年は実質宮永先輩のチームが大会に出る状態だったんですけど」

誠子「……宮永先輩が一年生でインターハイ優勝してますから、今の一・二年生は先輩に憧れて、って子が多いんですよ」

誠子「もちろん私も例外じゃなくて……虎姫に誘われた時は本当に嬉しくて」

誠子「どの部員も当然、弘世部長と宮永先輩の虎姫入り狙ってましたからね……勝ち続けて、実力を示さないといけなかった……周囲を納得させるだけの力を示さないといけなかったんです」

誠子「私一応、部内のチーム対抗戦でも、対外試合でも、団体戦の副将戦で二位以下なんてあの試合まで取ったことなかったんですよ?」


誠子「でも、結局白糸台は準決勝二位通過、優勝も逃してしまって……」

誠子「部の性質上、みんな他チームにライバル意識はありますし……失点量は私が圧倒的ですし、ちょっと居づらいんですよね」

誠子「虎姫のみんなは私を責めたりしないけど……私が気にしちゃうというか、それでみんなもちょっと気まずそうというか」

誠子「あー……ごめんなさい!こんな話を……準決勝から対戦してた宥さんに言ったらダメですよね」

……誠子ちゃん、辛そうだ


宥「……いいよ?私が聞いてあげる」

誠子「でも……」

宥「誠子ちゃんは真面目で、しっかりしてるから……回りの子にもそういう,弱いところは見せづらいんだよね?」

宥「チームの子たちにも心配かけたくないんでしょ?私なら、ほら……誰にも言わないから」

宥「んーとね?一回吐き出した方が楽になると思うなぁ」

……私も、お母さんの時はたくさん泣いて、それから少しずつ立ち直っていけたんだもんね


――――――

誠子「……ありがとうございます。 ちょっと楽になりました」

宥「えへへ……どういたしまして」

誠子「なんか、宥さんってぽわぽわしてて……守ってあげなきゃいけない感じに見えましたけど……」

誠子「なんというか……やっぱりお姉さんなんですね」

宥「うん!私はお姉ちゃんだよ~?」

誠子「あはは……妹さんが羨ましいです。 私一人っ子ですし……宥さんみたいなお姉ちゃんがほしかったかも」

宥「……それじゃあ、私がお姉ちゃんになってあげる!」

誠子「へ?」


宥「ほら、お姉ちゃんって呼んで?」

誠子「え、いやいや!さすがにそれは……!」

顔赤くしちゃって、誠子ちゃん照れてるんだ……かわいいなぁ

宥「いいからいいから……ほら、お姉ちゃんが甘やかしてあげる!」

たまには強引なのもいいよね?

隣に座る誠子ちゃんを抱き寄せて、今度は私が頭を撫でてあげる

誠子「わわっ!」

宥「えへへ……いい子いい子」

誠子「あ……う……」

宥「ほら、ね?」

誠子「お……お姉ちゃん……?」


――――――

宥「玄ちゃ~ん!ただいま~!」

玄「おかえり!お姉ちゃん、今日もご機嫌だねっ!」

宥「うんっ!今日は妹ができちゃった~」

玄「ふぇ!?」

宥「ふんふ~ん♪」



玄「お父さん……いつの間にか再婚したの!?」


宥「!?」


カン!

誠子ちゃん大好きです。決勝ではどうかプラスで終わって欲しい……

次回は巴さんで。ビジュアル的にどストライクなんだけど描写薄めで辛い。日和も永水は基本ボケっぱだし…

あ、またキャラ名挙げていただければ拾ってこうと思います

アコ咲、シズ咲

咲はアコに萎縮し、シズは咲に萎縮しそう

咲はもう出てるんで染谷先輩でお願いします

ベタだけど穏淡

一日一本目標にしてましたが多忙により書ききれなかったので今日は投下無しで…申し訳ありません

>>248シズは大会終われば「倒すべき敵」ではなくなるので普通に和の友達→友達ルートな気もします。憧は交友関係の広くて面倒見もいいタイプなんでちょっとすれば咲さんも馴染めるかも…京ちゃん枠的な?
ただ、咲は照問題解決するまでは周囲に気を回す余裕なさそうなので、このタイミングなら干渉しすぎないゆっくりできそうな灼が相性いいかなとは思いました

>>250言わせたみたいで心苦しい!実際キャラ被りってしないほうがいいですかね?阿知賀キャラは登場機会均一にしようとはしてますけど

>>251ベタを避けてた感はあるので挑戦してみます

色んなキャラが見たいから出来れば被らない方がいいかな

>>253それじゃあ、とりあえず>>248は順番調整しつつどっかで拾って、ここからは被りは避ける方向でお願いしていきましょうかね

投下するのよー



恥ずかしいから誰にも言うつもりはなかったけれど


私はお姉ちゃんが大好きだ



私が麻雀を始めたのもお姉ちゃんがきっかけだった

阿知賀女子が晩成を倒してハルエがレジェンドと呼ばれ始めた頃、一緒に戦ってたお姉ちゃんはかっこよかったし、その存在が妹として誇らしかった

そりゃあハルエは一年生で部長でエース、なんて子供でもわかる肩書きと実力の持ち主だったけどさ

私としては……普段いつも遊んでくれる、優しくてニコニコ笑ってるお姉ちゃんが、卓につくと凛々しい表情で華麗に打ち回す姿に憧れたのよね

最初はお姉ちゃんに麻雀を教えてもらって……ハルエがお姉ちゃんの奨めで麻雀教室を開きはじめてからは
シズや玄、それに近所の子供たちを誘ってみんなで麻雀を始めた

……この頃になると、お姉ちゃんは麻雀を打つこともなくなって、毎日家の手伝いをしていたと思う


神社は私が継ぐから憧は自分の好きなことを全力で頑張りなさい?

そんなことを言われた記憶がある

私はお姉ちゃんと麻雀を打つことはなくなってきたけど、その代わりにみんなと麻雀を打って……お姉ちゃんとハルエみたいに、シズや玄と一緒に戦っていきたかった

結局私は麻雀を続けるために阿太中に進学したんだけど……

って、今はこの話はいい。 お姉ちゃんの話だ


お姉ちゃんは神学――神道では教学って呼ぶらしいけど――の勉強とかもしたのかな?そこら辺は私にはよくわからないけど……

とにかく、要領のいいお姉ちゃんはお祓いとか、そういう作法もすぐに覚えたみたいで実家の神社の手伝いをこなしていた

お姉ちゃんは――身内の贔屓目もあるかもしれないけど――美人だし、優しくて気配りのできる所謂いい女だと思う

雀士としても、女としても私の目標なのだ


で、なんで今お姉ちゃんのことを思い出してるのかっていうと……

巴「大丈夫?少し落ち着きました?」

憧「……大丈夫です。 すみません、ご迷惑をかけまして……」

シズと街に出て歩き回っているときに、たまたま永水女子の狩宿さんと神代さんとすれ違って……

こう、神代さんの世話を焼く……と言ったら失礼になるとのだろうか?その狩宿さんの姿がお姉ちゃんと被って――たぶん、これは巫女装束のせいだろう――まぁ、ホームシックとでもいうのか

……ちょっと、泣いちゃった。 街中で


それで、気づいた狩宿さんと神代さんに連れられてすぐ近くにあった永水女子の宿泊先に避難させてもらったのだ

お姉ちゃんと会ってないのは二週間ほどだし、そもそも団体戦の後には電話で話したりはしているのに……
高校生にもなって恥ずかしい……!

巴「ちょっとメイク崩れちゃってるから直してきたら?私の道具でよかったら貸しますよ?」

憧「すいません……お借りします」

そういえば、中学上がったぐらいにメイクの仕方もお姉ちゃんに教えてもらったなぁ

……やめよう。 また涙出てきたら困るし


隣の部屋からはシズと神代さんの話し声が聞こえる

東京のどこのラーメンがおいしいとか、どこのお菓子がおいしいとか……

食べ物の話しかしてないし……せっかくシード校の、しかも注目選手と話す機会なんだから麻雀の話もすればいいのに

というか、鹿児島代表の利仙さんとも打ったんだし、そういう話題を振っていきなさいよ

巴「足りないものとかありますか?」

憧「えっと、大丈夫です!ありがとうございます」

巴「気にしなくていいですよ? 困ったときはお互い様って言いますし」


憧「あの、私の方が年下ですし……」

巴「ふふっ……ごめんね?居心地悪かったかな?それじゃあ、憧ちゃんも言葉遣い楽にしていいからね」

憧「あ……わかりました、えと、巴さん……?」

巴「うん、それでいいよ。なんなら巴ちゃんでも、呼び捨てでも」

憧「さ、さすがに呼び捨ては……」

巴「それは残念だなぁ」

……ちょっとからかわれてる? 見た目はそうでもないけど、今みたいな笑い方とか、やっぱり少しお姉ちゃんに似てるかもしれない


巴「ね、憧ちゃん」

憧「なんですか?」

巴「……穏乃ちゃん、心配してたよ? なにかあったのなら話してあげた方がいいんじゃないかな?」

憧「う……」

まぁ、いきなり泣いちゃったしそりゃあシズは心配するだろう

でも、さすがに「もう大丈夫、お姉ちゃんに会いたくなって泣いちゃっただけだから!」とか、言えるわけがない

……うん、絶対無理!そんなの、シスコンみたいじゃないのよ


憧「えっと……ほんと、大丈夫なんで」

巴「穏乃ちゃんそれで納得するかなぁ」

……まぁ、しないと思うけど

クスクスと笑う巴さんには、なんだか色々見通されてる気がする

……なんでだろう、お姉ちゃんにはかなわないって感じが巴さんにも発揮されちゃってる?


憧「……あの、笑いません?」

巴「ん?それは聞いてみないとわからないかも」

そりゃそうだろうけど……なんだか手玉に取られてる感じがする

宥姉はおっとり系だし、灼さんはしっかりしてるけどあまりからかわれたりはしないし……

あ、そういえば玄も年上だっけ?忘れてた

巴さんは年上のお姉さんって感じするけど、玄は全然そんな感じしないしなぁ


憧「……巴さんが」

巴「え……わ、私!?なにかしちゃった!?」

あ、慌ててる……お姉ちゃんとは十歳離れてるけど、巴さんはまだ高校生だもんね

やっぱりお姉ちゃんの方が大人な感じで……じゃなくって!なんかそれだと私がお姉ちゃん大好きみたいだし!

……いや、うん。 好きなんだけど


憧「その……巴さんが、ちょっと雰囲気がお姉ちゃんに似てて……」

巴「……ホームシック?」

憧「う……まぁ、そんなところです……ごめんなさい」

巴「謝らなくていいよ?気持ちはわかるしね」

憧「……巴さんもなるんですか?」

巴「家族と離れるのは寂しいよ、やっぱり」


巴「……うち、結構特殊でしょ?巫女装束だし」

憧「そうですね……私は実家が神社なんで巫女装束自体は見慣れてますけど」

巴「あ、そうなんだ!っていうかお姉さん思い出したのはそれが原因かな……?」

憧「はい……それはあると思います」

私のなかでは巫女装束ってイコールでお姉ちゃんだし

巴「……でね、うちでは子どもの頃から修行して、姫様のいる神境の本家にお呼ばれするんだけど」

憧「修行……ですか?」

巴「えーと、山に登ったり、滝に打たれたり?」

憧「はぁ!?」


憧「え、いやいや……冗談ですよね?」

巴「……やっぱり、普通じゃないよねー」

憧「えっ……だって、いやいろいろ言いたいことありますけど!とりあえず危ないですよ!?」

巴「今思えばそうなんだけど……私も、霞ちゃんもはっちゃんもはるるも、みんなやってたから気づかなかったのよね」

なにそれ怖い

巴「……お姉さんはそういう修行は」

憧「してないですよ!?」

……してないよね?


巴「とにかく、そういう修行をしたら親元を離れて本家の姫様に付くから……私もしばらくは両親に会いたいって一人で泣いたから……家族と離れる寂しさはわかるよ?」

憧「でも……巴さんは子どもの頃の話ですよね?私もう高校生ですし……」

巴「私は、いくつになっても家族は大事にした方がいいと思うな」

巴「私なんて一緒にいる姫様達……小蒔ちゃん達が家族同然になっちゃってるから」

巴「最近は両親とも年に片手で数えられるぐらいしか会わないし……」

巴「そういう風習とはいえ、それで平気になっちゃってるのも……なんだか、ね」


巴「……お姉さんとは仲良しなんでしょ?それなら良いことじゃない」

巴「それに、私だって霞ちゃんもはっちゃんもはるるも小蒔ちゃんも姉妹みたいなものだけど、みんなのこと大好きよ?」

憧「うぅ……でも、やっぱりこの年でお姉ちゃん好きとか、ちょっと……」

巴「好きってことは恥ずかしいことじゃないよ。今晩にでも一回電話してみたら?お姉さんも憧ちゃんのこと好きだと思うな」

憧「……そうしてみます」

巴「素直でよろしい!……あ、憧ちゃんプリン好き?さっき小蒔ちゃんと買ってきたの……ビンに入ったとろとろプリン」

憧「大好きです!」

巴「ほら、プリンは好きって言えるでしょ?」

憧「あぅ……」

巴「ふふっ……今はっちゃん達お出掛けしてるし、食べちゃえばわからないから」

三人には黒糖でも用意しておくわ、なんて言ってニヤリと笑う巴さんは、やっぱりどこかお姉ちゃんに似てた


巴「姫様、穏乃ちゃん、おやつの時間に……あら」

憧「……寝てますね」

巴「ふむ……二個づつ食べても姫様の分は残るわね」

憧「ちょ、巴さん!?」

巴「うん、いつも私ばっかり苦労してるしちょっとぐらい許されるんじゃないかしら……」

憧「いや、でも……」

巴「このプリン、とってもおいしそうじゃない?」

憧「…………」


――――――

あの後結局、シズと神代さんが起きるまで巴さんと二人で話して……プリンも二個食べた。 おいしかった。

憧「ただいまー」

宥「おかえり~」

穏乃「今日は永水の人と友達になりました!」

玄「!? 石戸さんを紹介してください!」

穏乃「あ、いや石戸さんには会ってないですけど……」

灼「玄……頼むから問題は起こさないでほし……」

玄には言うなって言ったのに……

まぁいい、とりあえず……お姉ちゃんに電話してみようかな


望『もしもし憧?どうしたのー?』

憧「お姉ちゃん!……いや、特にどうということはないんだけど……」

望『んー?お姉ちゃんに会えなくて寂しくなっちゃったかな?』

憧「ちっちちち違うわよっ!!」



憧「切っちゃった……」

穏乃「どうしたの?なんか叫んでなかった?」

憧「あ、いや……今お姉ちゃんに電話してたんだけど……」


玄「あぁ、憧ちゃん望さんのこと大好きだもんねぇ」

憧「えっ」

宥「仲良しであったかいよねぇ」

憧「ちょ」

穏乃「そういえば憧は昔っからお姉ちゃんお姉ちゃんってよく言ってたよね」

憧「ななななにを」

灼「態度でバレバレだとおも……」

憧「ふきゅ」


カン!


なんか巴さんっていうより望さんになってた気もしますがこれでいいですかね…?
人数とローテの調整したいのでキャラストックしたいです。よろしくお願いします

明日はビッグガンガン発売日ですよ!書店に急げ!

乙です
由子がみたいのよー

ま~ふふ~っ!みなさ~んこ~んばんはーっ!投下の時間だよっ☆

>>283由子は>>138から登場しているので少し後回しになるかもしれないけどご理解いただきたいのよー

くろちゃーと姉帯さん。スレ内の時系列はバラバラになりますが一応すべてあったこととして扱っていくので>>103でクロシロだったので遭遇シチュ的には繋がってますよと一応



大きいことは、いいことだ


……おもちの話です



それにしても、でかい

おもちではなく、縦に

豊音「あっ! 松実さんだー! 阿知賀のドラゴンロードだー!」

玄「!?」

情報として知っていても、直接会えば驚きもする

ほぼ2メートルもある人なんて初めて見た

龍門渕の執事さんや井上さん、それにこの間会った清澄の須賀くんが180オーバーでかなり大きく感じたけど……失礼かもしれないが……ちょっと怖いぐらいに大きい


豊音「わわっ! どうしてシロと一緒に?」

白望「さっき道端で……ダル……あとよろしく」

玄「えっ!? えっと、小瀬川さんが落ちてたので拾ってきました!」

豊音「わぁ! 凄い凄い! ありがとうございます! あのあの、サインとかもらってもいいですか?」

玄「さ、サインですか?」

豊音「うんっ!大会の時、松実さんちょーかっこよかったよー!」

玄「そ、そうですか?」

全国来てからは一回戦以降いまいち活躍できなかったような……


豊音「準決勝であのチャンピオンから直撃取ったりとか!」

玄「……あれは、園城寺さんや花田さんが」

豊音「一回戦では去年の個人戦15位の寺崎さんに勝っちゃったし!」

玄「えっと……」

豊音「なんといっても地区予選で奈良県王者、晩成の小走やえさんにも稼ぎ勝ってるし!」

……公式大会とか疎くてよく知らなかったんだけど、小走さんって有名人だったんだ

というか、初出場で別ブロックだった私の試合をよく知ってるなぁ

白望「その子、なんというか……オタクだから……」

……なるほど


豊音「ちょっと! ちょっと待ってて! 色紙持ってくるよー!」

玄「え、いや、姉帯さん!?」

白望「あー……悪い子じゃないから、相手してあげて」

玄「こ、小瀬川さん!? どこに!?」

白望「ダルい……寝る……」

玄「そ、そんな! おもちは……」

白望「おやすみ……」

玄「お、おもち……」

そんな、おもちを楽しみに小瀬川さんを背負ってきたのに……

いや、充分に背中で楽しんだけれども


豊音「松実さーん! ……あれ? シロは?」

玄「……疲れたので寝るそうです」

豊音「そっかぁ……せっかく送ってくれたのにごめんね?」

玄「……いえ、まぁ」

旅行帰りだし仕方ない……仕方ないんだ、うん

豊音「それじゃあ、お願いしてもいいですか?」

玄「はい……えと、普通に名前を書けばいいですか?」

豊音「うんっ!」


豊音「わぁ! ありがとうございます! ちょーうれしいよー!」

玄「そんな、私のでよければいくらでも……」

それにしても……見た目のプレッシャーに反して随分と可愛らしい人だなぁ

豊音「えへへ、ありがとう! またサインが増えちゃったよー」

玄「また……ってことはたくさんもらってるんですか?」

豊音「対戦相手校の人からはだいたいもらったよー? 二回戦で打った大将さんと、神代さんや原村さんにも!」

玄「和ちゃんもですか?」

豊音「うんっ! 原村さんとはお知り合いなんですか?」

玄「昔……」


――――――

豊音「わぁ! それじゃあ原村さんと打つために?ちょー素敵だよー!」

玄「穏乃ちゃんや憧ちゃんと一緒にスタートして……お姉ちゃんと、灼ちゃんが来て……優勝はできなかったけど、とっても楽しかったです」

豊音「うんうん! わかるよー……私も、負けちゃったのは悔しくて、悲しかったけど、それ以上に楽しかったから……」

玄「私たちのインターハイはもう終わっちゃったけど……宮守女子は、個人戦に参加するんですよね?」

豊音「そうだよー? だから、もう少し東京にいるんだー」

玄「阿知賀女子も個人戦は見学していきますから……応援してますね!」

豊音「ありがとー!」


豊音「あ、松実さんお菓子でもどうですか? 塞に聞いたらお饅頭があったんだー」

玄「ありがとうございます! お饅頭好きなんです。穏乃ちゃんのお家でも和菓子とか作ってるんですよ」

豊音「高鴨さんのおうちで?」

玄「お土産とかも置いてて……奈良に来ることがあったら是非お買い物していってください! 私のおうちも旅館ですから宿泊先にどうぞ!」

豊音「わぁ! 宣伝されちゃったー! 奈良に行くときは是非お世話になりますね!」


――――――

玄「それにしても、どうして私のサインなんか?和ちゃんとかは将来プロになったりしたら価値とか?そういうのも出るかもしれませんけど……」

豊音「えっと……私、土地の事情といいますか、そういうのでなかなか外に出れなかったんだー」

豊音「だから、今回このお祭りに仲間と一緒に参加できたことが嬉しくって……」

豊音「この、皆さんにもらったサインは……その大事な思い出の記念になるんだー」

豊音「それだけで……これは私にとってすっごく価値のあるものだから」


大事な思い出の記念……かぁ

玄「……姉帯さんっ!」

豊音「はいっ!?なんですか?」

玄「えっと……ちょっと……あった!」

荷物をごそごそと漁り、取り出したのは……

豊音「……カメラ?」

玄「よかったら、記念写真でもどうですか?」

三月……誕生日に阿知賀のみんなに貰ったデジカメだ


玄「私も、思い出とか、記念とか……大事にしたいなって思ってて」

玄「せっかくインターハイをきっかけに、こうして会うことができましたから」

豊音「…………」

玄「……姉帯さん?」

豊音「……ちょーうれしいよー」

玄「姉帯さんっ!?な、泣かないでくださいよぉ……」

豊音「ごめんねー……私、泣き虫で……」


豊音「うぅ……よしっ!せっかくの記念写真だから、泣いてちゃいけないよねっ!」

玄「はいっ!笑顔がいいですよね!」

豊音「えへへ……ちょーうれしいから笑顔もばっちりだよー!……それじゃあ、なんの記念にしようか?」

玄「お友だち記念でいきましょう!」

豊音「……うん!」


――――――

宥「あれ?玄ちゃんなにしてるの~?」

玄「今日はお友だちができたので、記念に写真をたくさん撮って来たんだ~」

姉帯さんと写真をたくさん撮って、今度改めて会いに行ってデータを渡す予定だ

宮守の皆さんはお疲れのようで既にお休みされてたので一緒に写真は撮れなかったけれど、次に会う約束もできたしその時にまた写真をたくさん撮ればいいよね?

玄「ほら、お姉ちゃん見て見て!宮守女子の姉帯さんとツーショット!」

宥「どれどれ~?」



「「あっ」」



玄「姉帯さん……大きすぎて首から上が見切れてる……」


宥「あったかくないぃ……」


カン!

短めで申し訳ないです…正直ビッグガンガンで動揺してますわ…

まふふが好きなんです!美人でかっこよくて可愛いとか最強。控えめなおもちも正直たまらんのです
あ、日和は阿知賀でしたね!みんなビッグガンガンを買おう!

本日も投下できなそうなので一応報告を…申し訳ない
登場キャラ要望等随時受け付けてますのでご希望がありましたらレスいただけると嬉しいです

ともきーと池田お願いします

レスいただけていて嬉しいです!順番は前後する可能性はありますが、全て拾っていきますのでお待ちください

で、本日も投下できないです本当に申し訳ない……
ちょっといろいろ忙しいので次は早くて火曜になると思います…ペースグダグダで本当に申し訳ないです…

明日の夜に染谷先輩、間に合えばあわしずも投下します

全部拾うのか…すげえな

危うく寝落ちするとこだった…投下します

>>314ネタないですし…なんだかんだキャラだけ拾って好き勝手書かせてもらってますからねー
あ、どうしてもネタ出せなかったらぺっこりんするんで(小声)

というか、描写や台詞等、違和感あればガンガン指摘していただけたほうが嬉しいです



友達に頼られれば、助けたいと思うのは当然だろう



日課になりつつあるお昼前の散歩、いつも通り咲に会いに行く

咲「灼ちゃん」

灼「おはよ……どうしたの?」

咲「あの、そろそろ個人戦も始まるから……よかったら打ってくれないかな?」

灼「ん……いいよ」

実際、全国大会を勝ち抜いただけあって清澄の雀士はレベルが高い

以前お世話になった風越や鶴賀、龍門渕の人たちとも打てるようだし、咲に付き合うことは私にとってもプラスになるはずだ

なにより咲に頼られたのだから、力を貸してあげたい


――――――

灼(これは……キツ……)

正直、甘く見ていた

もちろん楽しいし、勉強にもなるけど……まさか咲と天江さんを含む卓で連戦することになるとは……

咲と原村さんが同じ長野代表の福路さんと卓を囲めない分、ローテーションがキツくなるのは理解していたが、何故天江さんまで固定されるのか

まこ「お疲れさん」

灼「あ……染谷さん、ども……」


まこ「隣の部屋に軽食と飲み物を用意したんじゃが、休憩するならどうかいのう?」

おなか空いとるじゃろ?

そう言われてようやく気づいたが、時計を見ると昼食には少し遅い時間帯だ

思えば、お昼前から強敵と打ち続けていたし疲労も溜まっている

灼「ありがと……いただきます」


まこ「すまんのう……咲と天江さんを相手にするんはキツかったじゃろ?」

灼「……まあ、付き合うって言ったしあの二人や、他のみんなと打つのはいい経験にな……」

まこ「わしが言うのもなんじゃが、強者揃いだからのう……ただ、桁違いに疲れるんがな」

灼「うん、天江さんの支配が……咲も、地区決勝よく勝ったとおも……」

大会前に練習試合を組んだときも龍門渕には勝てなかったし、天江さんが参加してなかったとはいえ福路さんは咲や原村さんを退けて個人戦優勝だ

正直、長野はかなりレベルが高いと思う


まこ「……ありがとな」

灼「……?」

なにかお礼を言われるようなことをしただろうか?

まこ「その……最近、咲とよく話してくれとるみたいじゃから」

灼「……お母さん?」

まこ「誰がオカンじゃ!?」


まこ「わし、ばばくさいかのう……しかし今更言葉遣いも直せんし……」

……もしや地雷だったのだろうか

というか、ばばくさいとまでは言ってない

まこ「……まあええわ。咲、東京に来てから少し様子がおかしかったんでな」

まこ「チャンピオンのことなんじゃろうが……あまり踏みいったことは聞けんからのう」

灼「ん……私も詳しくは聞いてないし、なんでもない話しかしてないけど」

まこ「……それでも、それで少し楽になっとるようじゃから……ありがとな」

灼「……友だちと、話してるだけだから」

お礼を言われるようなことでもないけど……ちょっと、照れる


まこ「ふふっ……しかし、本当ならわしも力になってやりたいんじゃがのう」

灼「……染谷さんは、ちゃんと咲の支えになってると思うけど」

まこ「……ほうか?」

灼「咲は……よく、麻雀部の仲間の話をするよ。 すごく、楽しそうに」

灼「染谷さんの話もたくさん聞いたし……咲は、清澄のみんなのこと大切に思ってる」

灼「だから咲が、みんなの助けが必要になったらきっと話してくれるとおも……」

まこ「ん……そうじゃな」


咲の抱える問題がどれ程のものかはわからないし、私が力になれることはないのかもしれないけど……ちゃんと、回りの人たちが心配して見ていてくれてるのを見て少し安心する

まこ「……ところで、咲はどんな話をしたんじゃ?」

灼「んと……染谷さんのことは……」

いろいろ聞いてるけど、総合すれば

灼「……やっぱり、お母さんかな?」

まこ「それはもうええって!」


灼「……料理が上手って言ってた。 これも染谷さんが?」

目の前には、片手で食べられる――例えば麻雀を打ちながらでも――おにぎりや、サンドイッチが並んでいる

まこ「打ちながらでも食べれるもん用意しようと思ってな?さっきまでわしも卓についとったから準備が遅れてのう」

まこ「先回りして用意せんと、個人戦に参加する福路さんが準備し始めるけぇね」

たしかに、福路さんが打たないんじゃ本末転倒だ

そういえば、準決勝前に打ってもらった時もお弁当作って来てくれたっけ

灼「ん……おいし……」

まこ「とはいえ、おにぎりやサンドイッチじゃ普通は失敗しようがないからのう……腕前の披露にはならんわ」

……わざわざ普通は、なんて言うのは危ない例が身近にいるのだろうか?


灼「あとは……実家が雀荘やってるって聞いた」

まこ「あんまり大きくはないがのう……そういえば、鷺森さんとこはボーリング場じゃったか」

灼「ん……他に娯楽もないし、そこそこ繁盛してるとおも……」

まこ「羨ましいのう……うちも色々工夫はしてるんじゃが……やっぱり今はネットで気軽に打てるからのう」

灼「工夫って、たとえば?」

まこ「メイド服で接客したりとか」

灼「!?」


まこ「咲に聞いとらんかったか?」

灼「……冗談かと」

なんというか……染谷さんはそういう突飛なことはしない人だと思ってた

まこ「うちの部長に言われてやってみたら結構ウケてのう」

ああ……竹井さんか。 なんか納得した

まこ「……店の制服なら、かわいい服着る言い訳にもなるしのう」

メイド服着たかったのか


まこ「わしはほら、あんまそういうの似合わんと思うし……」

灼「……そんなことはない。 それに、着たい服を着ればいいとおも……」

まこ「ふむ……なるほど」

納得してくれたのはいいが、そんな目で見ないでほしい

かわいいじゃないか。 ライオンTシャツ


まこ「あ、風船配ったりもしたのう」

灼「それはいいかも……」

子どもたちは喜んでくれると思うし……ん?

灼「雀荘に子ども来るの?」

まこ「いや、常連に案外好評でな?」

……なにが当たるかわからないなぁ


まこ「あと、藤田プロがブログで宣伝してくれたのう」

灼「……藤田靖子?プロ雀士の?」

まこ「うちの常連さんでのう」

灼「へぇ……」

素直にすごいな

プロボウラーの常連なんてうちにはいない

……というか、今はプロボウラーなんて名前も聞かない

まこ「お蔭で出前のカツ丼目当ての客が増えてのう」

灼「……それはカツ丼屋の宣伝なんじゃ」


まこ「まあ、こんなとこかいのう」

灼「参考になった。 ありがと……」

まこ「お?メイド服着るか?なんなら何着か都合しても……」

灼「……それは遠慮する」

さすがに恥ずかしい

というか、ボウリング場の受付にメイド服で座ってたらいろいろおかしくないだろうか?

……ん? 雀荘にメイドがいるのもおかしくないか?


まこ「……お、卓割れしたみたいじゃし一局打つかのう?」

灼「ん……よろしく」

咲「よろしくね、灼ちゃん」

衣「今日は奇幻な手合いが多くて楽しいぞっ!」

まこ「…………おう、よろしく」

灼「……また、この卓……」


――――――

疲れた

とにかく疲れた

しかし、実家のためだ。 休むのはやるべきことをやってからだ

灼「ハルちゃん、サインちょうだい」

晴絵「へ?」

灼「店に飾ろうとおも……」


ハルちゃんは阿知賀のレジェンド……地元の英雄だ

未だに大人気だし、宣伝効果もあるはずだ

晴絵「え、本気? えっと……実業団の時に使ってたのでいいかな?」

灼「! うん! あと、阿知賀のレジェンドでもお願い」

晴絵「レジェンドはさすがに恥ずかしいんだけどなぁ……」

なんて言いつつ、色紙にサッとサインを書いて渡してくれる

さすがハルちゃんかっこいい

灼「ありがと……」



『博多エバーグリーンズ 赤土晴絵』


『阿知賀のレジェンド 赤土晴絵』


灼「…………」


灼「やっぱり、これは部屋に飾ろう」


カン!

ゆっくり書きすぎたせいでなんか書きながらいろいろ行方不明になってた気がする…
染谷先輩はいつかリベンジしよう

少し離れますが、あわしずも投下します

なんか、夏コミに咲のスタッフ本出るらしいですね
コミケとか行ったことないし意味不明で怖いですけど

あわしず投下します



「強敵」と書いて「とも」と読む


昨日の敵は今日の友って言葉もあるし……そういうものじゃないの?



穏乃「あ、大星さんこんにちは」

淡「げっ」

……出会い頭にそれは酷くない?

団体戦準決勝、決勝と2回も打った仲だというのに

……もしかして嫌われてるのかな?


淡「……な、何か用?」

穏乃「いや別に。 見かけたので挨拶しただけで……暑いから飲み物でも買おうかと」

コンビニに入ろうと思ったら入口で偶然会っただけだ

淡「……むっ」

あれ? なんかムッとしてる……というか、口で言ってる

……なんだか機嫌悪いみたいだし、買い物して早く帰ろう


淡「あ、ちょっと!高鴨穏乃!」

穏乃「なんですか?」

というか、入口に立たれてると中入れないんだけどなー

淡「えっと、ちょっと待って!」

なにやらごそごそと荷物をあさり始めた

淡「じゃーん!」

あ、アイスだ


淡「ふふん、いいだろー!」

穏乃「いいですねー」

淡「冷たくておいしー!」

……本当においしそうだな

淡「まあ?どうしてもって言うなら分けてやらなくも……」

穏乃「私も買ってこよっと」

「いらっしゃいませー」

淡「……むむむ」


外は地獄かってぐらい暑かったけど……コンビニは涼しいなー

飲み物は……スポーツドリンクでいっか

あと、大星さんのせいで異常にアイス食べたい

アイス買おうアイス

淡「ちょっと高鴨穏乃!私を無視するなんて……!」

「お客様、店内での飲食は……」

淡「むきー!」

大星さん、なに騒いでんだろ?


――――――

淡「やっと出てきた!高鴨穏乃!」

穏乃「あれ?大星さんまだいたんですか?」

淡「何その言いぐさは!この暑い中30分も待たせて何やってたの!?」

穏乃「いや、マンガ立ち読みしてたんですけど……もしかして私を待ってたんですか?」

淡「な、なんで私があんたなんか待たなくちゃいけないの!?」

穏乃「それはこっちが聞きたいんですけど……」


穏乃「っていうか、待つにしても中に入ってれば暑くなかったんじゃ……」

淡「アイス食べてたら追い出されたの!」

穏乃「……食べ終わってから入ればよかったんじゃないですか?」

淡「あっ」

淡「……その話はもういいの!」

気づかなかったのか


穏乃「……それじゃあ私に何か用ですか?」

私を待ってたってことは……嫌われてるわけじゃないのかな?

淡「……なんで私があんたに用があるのよ!」

あれ? やっぱりなんか嫌われてる?

穏乃「……それじゃあ、帰りますね」

淡「えっ」

穏乃「お疲れさまでーす」

淡「ちょ、ちょっとぉ!」


穏乃「……暑いなぁ」

……どうしよう

淡「ほんと、勘弁してほしいよね!だいたいなんで私が買い出しなんか……」

なんか、大星さんついてきてるんだけど

穏乃「……普通、一年生が買い出しとか行くんじゃないですか?」

淡「なに?気になる?独り言だったんだけどなー!まあ?どうしても気になるって言うなら答えてあげてもいいけど?」

うわぁ、ちょっとめんどくさい


穏乃「…………」

淡「どうしても気になるって言うなら答えてあげてもいいけど!?」

穏乃「いや、結構です」

淡「……最近亦野先輩が買い出しに言ってるんだけどさー」

話したいなら普通に話せばいいのに……

淡「亦野先輩お菓子とか全然知らないんだよねー」

淡「私とテルーのリクエストに答えきれないって言うかさー」

穏乃「……最初っから大星さんが行けばいいんじゃないですか?」

ちょっとムッとする

先輩をパシりに使うのはどうなんだろうか


淡「は? なんで? 私の方が麻雀も強いし、暇な亦野先輩が行けばいいじゃん」

穏乃「なんですか? その言い方は……」

淡「だって本当のことじゃん」

穏乃「たとえそうだとしても先輩に……」

淡「だいたい亦野先輩が個人戦選手は練習しろ! って自分が行くって言い出したんだし……」

……それならそうと余計なこと言わなきゃいいのに


淡「そうだ! 個人戦!」

穏乃「どうかしたんですか?」

淡「準決勝ではちょっと……ほんとにちょっとだけやられたけど! 決勝では私が勝ったから!」

淡「まだ一勝一敗!決着は個人戦でつけるからね!」

……もしかしてそっちが本題だったのかな?

穏乃「……残念だけど大星さん」

淡「なに?」

穏乃「私個人戦出ません」

淡「ぅえ!?」


淡「え?え、なんで!?」

穏乃「いや、なんでと言われても……」

淡「あっ! さては予選敗退!? これは不戦勝で私の勝ち……」

穏乃「いやその、予選も参加しなかったので……」

淡「なんで出てないの!? って言うか! それじゃあ奈良は誰が代表なのさ!?」

穏乃「晩成高校の小走やえさんとか……」

淡「知らないよそんなやつ!」


穏乃「知らないのにそんなやつって……というか、王者晩成の小走さんといえば結構有名だと思うんですけど」

淡「王者? ふふん、うちに高校生一万人の頂点、チャンピオンのテルーがいるもんね!」

いや私に勝ち誇られても……

というか、晩成は赤土先生の年まで連続出場して、その後も勝ち続けてる全国区の学校なんだけどなー

穏乃「……今年の団体戦は清澄に持ってかれちゃいましたけどね」

淡「ぐぬっ」


淡「……むー!サキにもちょっとやられただけで!まだ個人戦があるから勝負がついたわけじゃないし!」

穏乃「はぁ」

淡「っていうか! 同学年だから来年も再来年も打って私が勝つから実質勝ちだし!」

穏乃「へぇ」

淡「同学年といっても私は実力でいえば高校100年生だからその差は99年分だけどね!」

穏乃「すごいですね」

淡「そう! すごいの!」


淡「それにそれに……」

うーん……大星さんに嫌われてるのかと思ったけど……

もしかして、ただ構ってほしいだけなのかな?

淡「ちょっと! 聞いてんの!?」

穏乃「あ、聞いてますよ」

淡「そう? それでね? 私は……」

……そう考えたらなんか大星さんかわいく見えてきたな

桜子とかひなちゃんみたいな?

こう、妹分的な……


淡「じゃあ、今から雀荘行って打とう!」

穏乃「あ、はい……ん?」

どこがどう繋がって雀荘に?

淡「ほら、早く行こっ! 一応言っとくけど、私はあんたのことなんかライバルとか思ってないからね!私の方が100倍強いし!」

……これは、ライバル視されてるってことかな?


穏乃「……よぉーし! それじゃあ私も最初から100速に仕上げて全力で行きますよ!」

淡「むっ!それじゃあ私はその100倍の10000速でボコボコにしてやるから!」

穏乃「じゃあ私は更にその100倍の1000000速で!」

淡「ならその更に100倍の……いち、じゅう、ひゃく……とにかく!私はもっとすごいから!」

燃えてきた!沸々と煮えたぎってきた!

穏乃「あ、大星さん荷物いいんですか?」

淡「んー……全部お菓子だし後で一緒に食べよっ!」

穏乃「はい!」



穏乃「大星さん!」


淡「なに?」



穏乃「麻雀って楽しいですよねっ!」


淡「とーぜんじゃん!」


カン!

次はマホですね
一日お疲れ様でした
おやすみなさい

おつ
あわあわがいると穏乃が大人になっててかわいいな

乙 染谷先輩いいよなぁ

もーちゃんとでーちゃんがみたいです

ちょっと体調崩し気味なので土日は寝ながらスマホでちょこちょこ書き溜めて月火あたりに2,3本投下できればと思います

>>360しずは真面目で上下関係もしっかりしてるし、子供っぽいけど必要に応じてしっかり大人になれるイメージがあります
>>361染谷先輩好きすぎて供給増えろと願う日々…好きでも嫌いでもないって層が多そうなのでそこを取り込めれば増えるのかもしれないですけど、魅力的な描写をする腕が足りないという…

あ、>>306とか>>364は個別で拾っていいんですかね?
特に縛ってるわけではないんですけど阿知賀+他校の1対1で阿知賀視点でやってたんで…
ともきー+池田ァ!+阿知賀とかにした方が良かったり、もー+でー二人の劔谷日和が良かったりしたらなるべく応えたく思っていますが(必ず書けるとは言ってない)

はっちゃん一ちゃんしずの痴女3姉妹が見たいww

今日中にマホを投下します


>>367誰もあの服装に疑問を持たない以上痴女とは言えないのではないでしょうか?


一「学校で私服姿見られるのは恥ずかしいよ」
       
純「手枷に比べたら私服ぐらい…」

このやりとりは突っ込みどころ多すぎて戦慄した…

投下します



昔は、なにかあるといつも玄ちゃんに助けてもらってたっけ


でも、やっぱり私はお姉ちゃんだから……助けられるより助ける側になりたいな



宥「あの……どうしたの? 大丈夫?」

知らない人に声をかけるのはやっぱり少し緊張する

でも、泣きそうな女の子を放っておけないよね?

「うぅ……先輩と一緒にインターハイの応援に来たんですけど……はぐれてしまったのです」

宥「えっと、電話とか……連絡手段はあるかな?」

「電話……充電切れてました」


宥「番号がわかるなら、私の電話貸すよ?」

「えっと、ごめんなさい……わからないです……」

宥「そっかぁ……」

困ったなぁ……こういう時にパッと解決できればかっこいいんだけど

宥「あ、私は松実宥といいます。 よかったら名前を教えてもらってもいいかな?」

マホ「夢乃マホ、中学二年生です!」


宥「マホちゃんかぁ……よろしくね」

マホ「はいっ!よろしくお願いしますっ!」

とっても元気のいい返事だ

いつの間にか笑顔でいっぱいになってるし、少しは安心してもらえたのかと思うと私もひと安心だ

宥「ねぇ、インターハイの応援に来たって言ってたけど、もしかして麻雀かな?」

マホ「はい!長野から和先輩の応援に来ました!」

宥「長野の和先輩……って、昨年のインターミドルチャンピオンの原村さん?」

マホ「はい!マホは中学の後輩なんです!」

……もしかして、解決したかな?


宥「私、奈良の阿知賀の選手で……原村さんとも一応知り合いだし、泊まってるホテルなら案内できるよ?」

マホ「本当ですかっ!?……そういえばマホ、松実先輩が打ってるのテレビで見ました!」

宥「本当?私、どうだったかなぁ」

マホ「すごかったです!ぽかぽかした感じのがぐわーって来てどーん!ってなってて……憧れちゃいます!マホもあんな風に打ってみたいです!」

宥「えへへ……そうかなぁ」


っと、浮かれてる場合じゃなかった

まだ問題は解決してないし……

宥「とりあえず原村さんに連絡しておいた方がいいよね?」

マホ「わわっ!言われてみるとそうですね!忘れてました!」

宥「それじゃあ電話してみるから、ちょっと待っててね」

ポケットから携帯電話を取りだし、原村さんに電話を……

宥「…………」

そういえば清澄の人たちに会いに行ったときは、染谷さんや福路さん、それに龍門渕の執事さんがこたつやらなにやらをパッと用意してくれたからのんびりし通しで連絡先も交換してなかったような……


マホ「松実先輩?どうかしましたか?」

宥「え!?いや、その……ごめんね?ちょっといい天気だからぼーっとしちゃった」

マホ「あ!それわかるのです!マホもよくぼーっとしちゃってムロ先輩に叱られてしまうのです……」

なんとか誤魔化せたみたいだ

だけど、このままだとどうにもならないし……こうなったら



玄『もしもしお姉ちゃん?』


宥「くろちゃん助けてぇ……」


――――――

結局、玄ちゃんに頼ってしまった

お姉ちゃんなのに情けないなぁ

マホ「あの、どうでしょうか?」

宥「……もう大丈夫! 原村さんの方にも連絡がいったはずだし、一緒に来た……ムロさん?にも伝わると思うよ~」

マホ「わぁー!ありがとうございます!松実先輩頼りになりますっ!かっこいいですっ!」

こう素直に褒められると……ズルしちゃってるしなんとなく罪悪感が……


宥「……それじゃあ、清澄の宿泊先まで送るね」

マホ「お世話になりますっ!」

ぴょこんぴょこんと跳ねて感情を表す様子は元気いっぱいで穏乃ちゃんを思い出す

私が穏乃ちゃんに思うように、原村さんもマホちゃんをかわいい後輩に思ってるのかもしれないなぁ


宥「マホちゃんも麻雀を打つの?」

マホ「はい!……あまり上手にできないですけど」

マホ「一生懸命頑張ってるんですけど……毎回なにかチョンボしてしまうのです……」

……それはなんとも、大変だなぁ

マホ「うぅ……どうすればいいのでしょうか……」

すっごく悩んでるみたいたし、なんとか励ましてあげたいなぁ


宥「うーん……それじゃあ反対に、マホちゃんが得意なことってなにかな?」

マホ「得意なことですか?」

宥「そう、得意なこと」

マホ「えっと、えっと……ちょっと違うかもしれないですけど……」

宥「なぁに?」

マホ「マホは物真似が上手だって言われます!」

宥「……物真似?」

マホ「はい!」


麻雀で、物真似?……ちょっとよくわからないなぁ

宥「……たとえば、どういうことかな?」

マホ「んーと……たとえば私がタコスを食べると、ゆーき先輩みたいにタコスぢから全開になれるのです!」

宥「へぇ……」

つまり……麻雀の特性のようなものを物真似するってことかな?

宥「……え? そ、それって凄いことだよマホちゃん!」

マホ「そうなんですか?」


インターハイでいろんな人と打ったけど、たとえば玄ちゃんとチャンピオンの真似をしながら打つことができるとしたら……

マホ「マホがかっこいいって思った打ち方を真似しようとするとできる時があるのです」

マホ「それでも対局中に一回ぐらいしかうまくいかなくて……和先輩には真似ばっかりしてないで基本をしっかり頑張りなさい、って叱られてしまうのですけど……」

宥「…………」

つまり、力になにか縛りがあるのかな?

赤土先生に相談して研究してもらえばもうちょっと詳しくわかるかも……

マホ「松実先輩?」

宥「……あ、ごめんねマホちゃん」


うーん……私がいろいろ言っちゃってもいいのかな?

原村さんたちが指導してるなら、よそ者の私が口を出すのも悪いし……

宥「そうだなぁ……私は、マホちゃんが楽しく打てるのが一番だと思うな」

宥「だから、今言ってたみたいに真似っこして打つのもいいと思うし……原村さんに言われているみたいに基本を身につけるっていうのもいいと思うよ?」


マホ「マホは……やっぱり先輩たちみたいにかっこよく打ちたいです」

マホ「それで、先輩たちみたいに仲間たちと全国優勝するのがマホの夢なのです!」

宥「うん、得意なことを伸ばすのもとっても大事なことだと思うし……そのために頑張るのはとってもいいことだと思うな」

宥「……でも、団体戦でチョンボしちゃうと仲間に迷惑かけちゃうから気をつけないとね?」

マホ「あぅ……気をつけます」


これくらいなら、言ってもいいよね?

マホちゃんが自分で考えることも大事だと思うし……

宥「あ、見えてきたよ……ほら、あそこ」

マホ「あ! 和先輩! ムロ先輩!」

裕子「あ!じゃないだろマホ!ふらふらしないでちゃんと着いてこいって言っただろ?」

マホ「す、すみません……」

和「松実さん、わざわざすみません。 後輩が迷惑をかけてしまって……」

宥「ううん、私も散歩中で……特に用事もなかったから気にしないで」


マホ「松実先輩! ありがとうございました! とってもとっても助かりました!」

宥「どういたしまして……それじゃあ、またね」

マホ「えっ!? 帰っちゃうんですか……?」

宥「え……だって……」

和「良かったら、少し寄っていってください。 お茶ぐらいは出せますから」

宥「……それじゃあ、少しだけ」

マホ「わーい! マホ、松実先輩と打ってみたいです!」

裕子「マホ、ただでさえ迷惑かけたのにあんまりわがまま言うなって」

宥「あ、いいよいいよ! 私もマホちゃんと打ってみたいなぁ」


マホ「わーい! 松実先輩松実先輩! どうやったら松実先輩みたいに打てますか?」

宥「えっと……私は、あったかいの来て~って思いながら打ってるけど……」

マホ「なるほど……」



マホ「それじゃあマホ、とりあえずマフラー買ってきます!」


裕子「夏場にマフラーは売ってないよ!」


カン!

あとは

エイスリン
ともきー
華菜
憩ちゃん
胡桃ちゃん

もーちゃん
でーちゃん
シズ+はっちゃん+はじめちゃん

ゆーこ
咲+憧
咲+シズ

ですかね?のんやりと書いていきますのでよろしくお願いします

シズとセーラも入れようぜ

>>391二人共体育会系っぽいし相性良さそうですね

短めだけど投下。痴女3姉妹だとかわいそうだし、ファッションリーダーズとでも呼びましょうかね?



女子高生にもなって普段着ジャージはやめなさい!


そんな風によく憧に怒られるけど……


動きやすいし、この格好が好きなんだからいいじゃないか



穏乃「いいですよね?ジャージ!」

一「ボクもジャージ自体はいいと思うけど……まあ、もう少しお洒落してみてもいいんじゃないかな」

穏乃「でも今日のジャージはよそ行き用だからちょっと素材に違いが……」

一「なるほどね……こう、見えないお洒落ってやつ? 見えてるけど」

穏乃「そんな感じです! 普段のは山も登れるくらいに丈夫なやつなんですけど……」

一「いくら丈夫でもその格好で登山は本当に危険だからダメだよ!?」


……まあたしかに、お洒落する事自体に興味がないわけではないし、ジャージとはいえいろいろ気は遣ってるんだけど……普段ジャージを着ない憧にはなかなか理解してもらえない

……それにしても国広さんの私服はお洒落だ

結構肌出てるから山は行けなそうだし、手枷なんて私だったらちょっと恥ずかしいけど……攻めのファッションってやつだよね

一「あ、服装と言えば鷺森さんってさ」

穏乃「灼さんですか?」



一「センスいいよね」

穏乃「かわいいですよね!」


一「最近よくボクらの宿の方に来てるからよく見かけるんだけどさ……」

穏乃「宮永さんと話に行ってるみたいですねー」

一「うん、それでさぁ……この前鷺森さんが着てたシャツの三つ首のうさぎって」

穏乃「うさギドラちゃんですね!みんなで大阪行ったときに買ったんですよ」

一「大阪かー……ネットとかで探せば似たようなの見つかるかなー」

穏乃「あれいいですよね!私は左の頭が凛々しくてかっこいいなって思うんですけど……」

一「わかるわかる! でもボク的にはやっぱり右の頭のキュートさがたまらないっていうか……」


ヤバい……!国広さんと話すの楽しい!

話が合うっていうのはいいね!

そりゃ憧は親友だけどジャージに対する情熱を理解してくれないっていうか……

穏乃「……あ! あそこですね、神代さんに教えてもらったお菓子屋さん!」

一「みんな待ってるしパパっと買ってこうか」

一「それにしても阿知賀のみんなは顔広いよね……大阪の荒川さんたちとも打ったんでしょ?」

穏乃「いやーたまたま縁がありまして……元々は赤土先生の顔の広さからですかねー」


「おや?阿知賀の高鴨さんではありませんかー?」

穏乃「……あ、永水の薄墨さんですか? こんにちは!」

初美「こんにちはー! 先日は姫様と巴ちゃんがお世話になったそうで……」

穏乃「いえいえ! こちらこそお世話になってしまって……」

初美「そちらの方は……どこかで見かけたような気もするのですが……?」

一「はじめまして、長野の龍門渕高校、二年の国広一です」

初美「ああ! 龍門渕の……去年のインターハイの放送で見たんですねー」


初美「しかし……長野の個人戦代表は風越の福路さんと、清澄の原村さん、宮永さんではありませんでしたかー?」

一「長野はわりと各校仲良くて……みんなで応援に出てきたんですよ」

初美「それはいいですねー! うちはぽっと出ですし、赤山なんかには敵視されてるような気もしますよー」

穏乃「この前藤原利仙さんと打ちましたけど、敵視というかライバル視って感じでしたよ?
うちも晩成が壮行試合してくれたぐらいで県内で仲いいとこって他にありませんねー」

一「長野は決勝参加の四校で合同合宿なんかもやってるから……」


初美「……あれ?それじゃあお二人はどういう繋がりですかー?」

一「阿知賀とは全国前に練習試合をしてて……阿知賀と原村さんが個人的に友人っていうのもありますね。 龍門渕は清澄と同じ宿とってますから」

穏乃「集まって麻雀打ってるので、おいしいお菓子でもと思いまして」

初美「そういうことですかー! あ、私のお薦めはこっちとこっちと……」

穏乃「ありがとうございます! えっと、どれくらい買ってけばいいんでしたっけ?」

一「今日は……長野三校に阿知賀のみんな、萩原さんと須賀くん、久保コーチに赤土先生で22人かな?」

穏乃「よーし……それじゃあ、棚のそこからこっちまで全部ください!」

初美「おお……豪快ですねー」

穏乃「一回言ってみたかったんです!」


初美「それにしても……」

穏乃「どうしました?」

初美「国広さん、素敵な服を着てますねー」

そこに目をつけるとはさすが薄墨さん、お目が高い

一「わかるんですか!?」

初美「そりゃあわかりますよー! 特にその手枷なんて攻めに攻めてますねー」

一「えへへ……これ、大事な人にもらったものなんですよ」


一「それに、そんなこと言ったら薄墨さんだって……その巫女服! 凄いハイセンスな着こなしじゃないですか!」

初美「おお……わかってくれますかー! これはかなり自信あるんですよー!」

穏乃「その短い袴とかすっごくかわいいです!」

初美「えへへ……そうですかー? 高鴨さんもそのジャージかなりいいやつですよねー?」

穏乃「そうなんですよ! いやージャージとはいえやっぱりこだわりを持ってですね……」

一「ノースリーブも夏らしさがあっていいよね」


――――――

穏乃「……あれ? 気づいたら戻って来ちゃいましたね」

初美「あらら……すみません、楽しくってつい着いてきちゃいましたよー」

一「よかったら少し寄っていきませんか?」

初美「是非そうしたいところですが……これ以上遅くなっちゃうと霞ちゃんたちに心配かけちゃいますからねー……そろそろおやつの時間ですし」

穏乃「そうですか……それじゃあ、また今度遊びに来てくださいね!」

一「ボクらも個人戦終わるまで東京にいるんで……」

初美「わかりましたよー! 今日は穏乃ちゃんと一ちゃんに会えてよかったですよー!じゃんけん負けて買い出し担当になったときは厄日かと思ったんですけどねー」


灼「あ……おかえり」

穏乃「灼さん! どうしたんですか?」

灼「遅いから迎えにいこうかと……」

一「ああ、ごめんね?心配かけちゃったかな?」

初美「鷺森さん! はじめましてですよー」

灼「あれ……永水の薄墨さん?こんにちは」

穏乃「お店で会って意気投合しちゃって……ファッションの話とかで盛り上がっちゃいました!」

灼「穏乃が? めずらし……」


穏乃「私だって一応いろいろ考えてますからね!」

初美「すっかり趣味が合っちゃいましたよー」

一「ただ、そこらのお店とかだとなかなかボクら好みのがなくってね……」

灼「……そういうことなら、心当たりがある」

初美「ほんとうですかー!?」

一「えっ!?ボクも気になる!」

穏乃「どんなところなんですか!?」

灼「お店じゃないんだけど……ちょっと待って」




灼「――そういうわけでこういう服が欲しいんだけど……」



揺杏『マジやべぇ』



カン!

自分で書いてて価値観おかしくなりそうでした

実際のところシズは裸ジャージよりスパッツとか履いてたほうが良かったと思うんですがここらは意見分かれるところなんでしょうねー

じゃーおかしくなりかけた価値観を立て直すために
揺杏とか憧とかまっとうにオシャレする子たちのまっとうなオシャレ話書こう

おつ

あの世界だと裸族3人とあらたそのセンスは近いものなのか…

>>408女子高生のオシャレは正直ハードル高くないですかね…?正直全然わからん…
>>410露出に関する観念が異常に薄いようなので「普通とズレてる」という一点において非常に近しいと言えますね(適当)

横浜が巨人三タテしたので三尋木プロください
投下します



シズが服を買いに行きたい、だって!


やっと私の願いが通じたんだ!


かわいい服をたくさん選んであげて……とにかく、今日は一日着せ替え人形にしてあげるわ!



……そういう予定だったんだけど

憧「あの……シズ? 今日は服を買いに来たのよね?」

穏乃「そうだよ?」

きょとんと首をかしげる仕草は文句なしにかわいいんだけど……

憧「……えっと、お店はここでいいの?」

穏乃「うん! やっぱり都会のお店は大きいね!」

いや、たしかにお店は大きいけどそこじゃなくって

憧「ここ、スポーツ用品店じゃない?」

穏乃「そうだけど?」


憧「……今日は服を買いに来たのよね?」

穏乃「それさっきも聞いてたよ? 大丈夫? 疲れてるんじゃない?」

憧「……たった今、急に疲れが出てきたというか……」

これは、もしかしてアレか

憧「……ジャージ買いに来たの?」

穏乃「うん!」

わぁいい返事


憧「……お洒落したいって言ってなかった?」

穏乃「私、国広さんや薄墨さんと話して気づいたんだよね……やっぱりジャージでもお洒落はできる!」

よりにもよってその二人か!?

憧「あの二人は……なんというか、とってもセンスがズレてるでしょ!?」

穏乃「ちっともぼかせてないよ!?」

憧「どうして……そういう時は私に最初に相談しなさいよ!?」

穏乃「だからこうやって憧を誘って来たんじゃん」

憧「そうなんだけど……もっと早いタイミングでと言うか……」


お洒落したいと思ってくれたのはいいんだけど……

シズが国広さんや薄墨さんに感化されてしまったというのは……正直あまり好ましくない

どう考えてもあの二人のファッションは……あー……そう、尖りすぎだろう

穏乃「憧……私、わかっちゃったよ」

憧「なに?」

穏乃「はっきり言って、憧とはセンスが合わない!」

憧「!?」


穏乃「こういうことは、国広さんや薄墨さん……それか灼さんに相談する!」

憧「ちょ……待って待って待って!考え直して!その人たちは……かなりマイノリティな趣味であって……」

穏乃「? これだけ趣味の合う仲間がいるんだからそんなことないでしょ? っていうか、和だってフリフリのフワフワだったじゃん!」

憧「だから……!」

マイノリティなのを自覚しているのとしていないのではまた意味が変わってくると言うか……

穏乃「私はジャージ買ってくるから!」

憧「ちょっと待っ……あーもう! 私はシズに似合う服選んでくるからね! 絶対更正させてやるんだから!」


――――――

憧「どうしようかなぁ……」

本当だったらシズを連れ回して、勢いでスカートとか買わせちゃうつもりだったんだけど……

たぶん私がここで買っていっても山行くのに着ていけないとか、そんな理由で嫌がられると思うし……

でもシズの足、筋肉ついてるわりに綺麗なんだよなぁ……それならパンツルックでシズが好みそうなのを……いや、足が出すぎるようなのを選んでまたあの人たちに変に感化されても困るし……

うーん……でもそんなことばっか言ってたら服なんて選べないし……

ドンッ

「きゃっ!」

憧「うわっ! ごめんなさい! 考え事してて……」


どうも、考え事をしてると視野が狭まるらしい

足元には……小学生ぐらいかな? 女の子がしりもちをついてる

憧「ごめんねっ!大丈夫?」

「ったた……大丈夫、ですけど……」

憧「ほんとにごめんね? 一人? お母さんは?」

「……あの、私、高三なんで……」

憧「へ? ……いやいや、どう見たって小三……」

「うるさいそこ!チビって言わない!」

憧「まだ言ってないでしょ!?」


「人を見た目で判断しない! そりゃあたしかに、ちょっとばかり、少しだけ、他の人より背が低いけど……」

憧「は、はぁ……」

なんか変な子に捕まってしまった

だいたい、こんなちんまくてかわいい高三が……

あ、でも薄墨さんや天江さんも年上か

……ん? そう考えるとこの子どっかで見たような……

「こら! 人の話を聞くときはちゃんと目を見て!」

憧「す、すみませんっ!」

……この感じ……えっと、どこか試合の映像で……

憧「……宮守女子の、鹿倉胡桃さん……?」

胡桃「……! ああ、どこかで見たと思ったら阿知賀の新子憧ちゃんだ!」


憧「あの、すみません! 失礼なことを……」

胡桃「まぁ……よく言われるし、気にしてないけど……」

いやいや、思いっきり気にしてるじゃないですか……

胡桃「それにしても、よく私のこと覚えてたね? 二回戦負けだったのに……」

憧「あ、私中堅なので……竹井さんチェックするときに二回戦の映像も見たから……」

胡桃「なるほどね! 勉強熱心で偉い偉い!」




憧「鹿倉さんはお買いものですか?」

胡桃「そうそう! 東北のド田舎からせっかく出てきたんだし、かわいい服買わなきゃね!」

憧「服……」

胡桃「そりゃ去年の服も着れるけど! 」

胡桃「はやりとか!!」

胡桃「あるんだから!!」

憧「違います! そういう意味じゃないですから! 怒らないでください!」


――――――

胡桃「つまり……親友が変なファッションにはまって困ってると」

憧「端的に言うとそういうことで……なにかいい案はありませんかね?」

胡桃「うーん……あ!」

憧「考えつきました!?」

胡桃「あそこのスカート! 憧ちゃん似合うんじゃない?」


あ、かわいい

憧「えー? でも、ちょっと丈短すぎじゃないですか?」

胡桃「大丈夫大丈夫! 憧ちゃんなら全然平気! 足細くて綺麗だし!」

憧「ひゃっ! ちょっと、太もも撫でないでくださいよぉ」

胡桃「減るもんじゃないし気にしないの! あーあ……私や豊音は体型の問題で着れるもの限られるし羨ましいなぁ」

憧「でもでも胡桃さんみたいに……えっと、小柄でかわいらしいからこそできる格好っていうのもあるじゃないですか?」

胡桃「園児帽とスモックは着ないよ!?」

憧「いや着せませんよ!?」

……着せられたことがあるのだろうか?


……そうなのよね

私はこういう……くだらないことでもいいから、ファッションに関する話をもっとしたいのであって

灼さんはちょっとズレてるし、宥ねえは超厚着だし、玄と服の話すると胸のことばっか言われるから不快だし……シズには、なんというかまっとうな道に来てほしかったんだけど……

うーん……吉野に戻ったら久々に初瀬でも誘って出掛けようかな

胡桃「そういえば、高鴨さんのことだけど……足元から攻めるのはどう?」

憧「え……?」


胡桃「山とか登ったり、運動する用のじゃなくってかわいい……ヒールとかでもいいんじゃないかな?そういう靴を用意して……」

憧「……いくらちょっとアレなセンスでも足元はそうそういじれない?」

胡桃「そう! それで靴に合わせてかわいい服を用意してあげて、セットで着てもらうの!」

胡桃「靴を先に見せて……気に入ってもらってから服を出すの! セットのコーデって言えば着ようかなって気持ちになるかもしれないし……お洒落したいって気持ちがあるなら突っぱねられたりもしないんじゃないかな?」

おお……なんか、そう言われるといけそうな気がするかも!

憧「胡桃さん天才! ありがとうございます! その手でいきます!」

胡桃「高鴨さんってジャーでポニテの子だよね? 私も選ぶの付き合っちゃうから!」


――――――

完璧だ……これならシズをこっちの道に引き戻すことができるはず……

「――これをこっちの方に」

「それならむしろ――」

憧「……?」

なんか騒がしいけど、どうかしたのかな?

まあいい、シズが道を誤らないうちに引き戻すんだ!


憧「ただいまー!シズー? ちょっといい?」



灼「よく旅館とかに置いてある熊の置物ってすごくかわいらし……」

穏乃「わかります!しかも鮭獲ってるのがワイルドでいいですよね! それでいきましょう!」

揺杏「マジで!? ちょーウケる! よっしゃ道民なめんなよー! 熊ぐらいちょいちょいのちょいだぜー! 必殺祭り縫い!」

一「それ祭り縫いじゃ無いよね!? あ、薄墨さんの服ってここら辺の布地もっと削れるんじゃないかな?」

初美「いいですねー! 岩館さんお願いしますよー!」

揺杏「あっはっは! まだ削んの!? センスマジでやべぇ! 頭おかしくなりそう!」

憧「」


手遅れだった


カン!

イメージ的には

あらたそ→ズレてるのはわかってる。かわいいし似合ってるみたいだし着たいものを着る
あこちゃー→ヤバいと思いつつ自覚して着てるのならその人の自由だし止めるのも悪いかなーと思ってる
はっちゃん→ズレてる。布は少ないほうが正義
はじめちゃん→同上
しず→灼さん?さすがは伝説の阿知賀のファッションリーダーだ!
揺杏→自分が着るわけじゃないし楽しければなんでもいい

ぐらいかな?

この面子楽しすぎるな
せっかくだし揺杏の服もみんなでデザインしてあげよう(ゲス顔)

>>431揺杏は着ずに持ち帰って罰ゲームアイテムとして重宝されるでしょうね…


揺杏「ただいまー」

誓子「おかえりー……なに? その布切れ」

揺杏「え? いやこれ服らしいよ? センスマジヤバくね?」

由暉子「先輩が作ったんじゃないんですか?」

爽「じゃあこの前ポーカーの罰ゲーム保留してたし、成香はその布切れ着て『時にはHAYARIに流されて』熱唱アーンドダンスな?」

成香「意味不明で怖いです……というか打倒はやりんじゃないんですか?」

爽「……敵を知り己を知ればなんとかって誰かが言ってた!」

由暉子「孫子ですね」

誓子「あ、撮影は私に任せてね」

成香「ちかちゃん!?」

由暉子「ネットに上げたりするんですか?」

爽「いやこれを公共の電波にのせたらアウトだろー」

揺杏「インハイの放送で似たようなの流れてたけどなー」

的な?

土曜昼頃に投下できたらなーと思ってます

ハルちゃんメインの話があってもいいと思

阿知賀メインだし番外でレジェンド+アダルト組もいいかもね

ふくすこラジオにゲスト出演する晴ちゃんとかどうよ

申し訳ない、今から投下します

>>433阿知賀大躍進の立役者ハルちゃんメインがなかったのは>>1の怠慢だとおも…>>434でいかせていただきましょうかね



ハルちゃんにもらったネクタイ……私の宝物だ


だからいくら友人とはいえ、妙な手を加えたりはされたくないのだ



適当にいいわけをして部屋を出る

とりあえずほとぼりが冷めるまでは……私の部屋はみんなが使ってるし、穏乃の部屋で休ませてもらおう

灼「おじゃましま……」

智紀「……鷺森さん?」

灼「あれ……沢村さん? いらっしゃい……?」

智紀「こんにちは……一と一緒だったんじゃ?」

灼「ああ、それが……」


――――――

揺杏「そういえば灼の制服って一人だけネクタイで……それは普通にお洒落だよね」

灼「ハルちゃん……赤土先生が10年前にインハイ出たときに着けてたやつで……」

穏乃「赤土先生は吉野のヒーローですからね! 決勝の舞台まで一緒に行けて私も嬉しかったです!」

一「なるほど……たしかに素敵だけど、もっとお洒落にできるんじゃないかな?」

灼「えっ」

初美「いいですねー! 薔薇のワンポイントでもいれてみますかー?」

穏乃「それかっこいいですね! 基本無敵って感じで!」

一「レボってるね!!」


灼「……とまあ、危険を感じたので逃げてきた……」

智紀「それは……どうもお疲れさま」

思い出しただけで頭が痛い

彼女らとは感性に近いところがあって――揺杏は普通の感覚の持ち主だし、センスもいいが面白がって参加している――珍しくファッションの話もある程度共有できて楽しい時間を過ごしていたのだが……

揺杏の裁縫スキルの高さで自分達の思い描く服が次々に産み出されることにテンションが振りきれたのだろう……少々悪ノリが始まってしまった

……正直、国広さんや薄墨さんはもう自分で布切ってればいいんじゃないかとも思ったが


智紀「……珍しいよね、一とセンス合うのって」

灼「……私はあそこまで肌は出せな……」

智紀「わかる」

さすがにアレは恥ずかしいだろう

いや、自分のセンスも普通とはズレているのはわかっているけれども


灼「ところで沢村さんはどうして穏乃と憧の部屋に?」

智紀「今日は私たち龍門渕と阿知賀のみなさんでインハイの映像を使って研究会をするって話だったでしょ?」

灼「うん……あ、もうそんな時間?」

智紀「うん……牌譜とかの荷物がこっちの部屋にあるからって新子さんが」

憧……帰ってきたと思ったらすぐに姿が見えなくなったけど、みんなと合流してたのか……というか

灼「ごめ……憧が……せめて阿知賀の人間が運ぶのが筋だよね? 私も手伝う」

智紀「大丈夫………新子さんなんか凄く疲れてるみたいだったし……こちらこそ許可はもらったけど部屋を漁るのは申し訳ない」

そういえば、元気に部屋に入って来たと思ったら急に顔色悪くしてたけど大丈夫かな?


智紀「それじゃあ……よいしょ」

灼「!?」

沢村さんがおもむろにノートパソコンやテレビをまとめて抱えあげた

灼「だ、大丈夫? 私も持つよ?」

智紀「大丈夫……まだ余裕」

灼「でも……」

智紀「気は優しくて力持ち」

……ぐっ、と荷物を抱えたままポーズまで取るのだから本当に大丈夫なのかもしれない


灼「でも、そんなにモニター必要? いくらなんでも一度に何試合も同時には見れないんじゃ……」

智紀「透華のことだし正直ノリで用意させてるだけな気はしてる」

……龍門渕さんはたしかに勢いでものを言うところがあるように思う

灼「とりあえず私も準備手伝うから……」

智紀「ありがとう……じゃあ、そっちにプリントした牌譜があるから持ってもらってもいい?」

灼「それでいいの? 重くない?」

智紀「こっちは鷺森さん一人じゃ持てなそうだし……一たちはいいの?」

灼「あっちもたぶん勝手に盛り上がってると思うから……あとで呼べばいいよ」


牌譜といっても、紙媒体はかさばるしインターハイの主な試合を全て集めれば結構な量になる

灼「前、見えな……」

智紀「やっぱり私が持とうか?」

……沢村さん、まだ持てるの?

灼「意外と力持ち?」

智紀「こう見えて、脱いだら凄い」

灼「……脱がなくてもわかるよ」

智紀「……私、特に鍛えてはいないんだけど……」

灼「いや…… まあ、うん」

どこからどう見てもでかいしなぁ


智紀「そこの……松実さんたちの部屋でやるって」

灼「ん」

智紀「透華?手が塞がってる……開けて」

沢村さんが声をかけると、内側から扉が開く

憧「お疲れさまでーす」

灼「憧……大丈夫? さっき顔色悪かったけど……」

憧「あー……ちょっと衝撃的すぎてね……灼さんこそどうしたの? 国広さんや薄墨さん、岩館さんも来てたのに」

灼「ちょっと場が荒れてきたから避難中」

憧「あそこは最初から荒れ放題でしょ……」


智紀「…………」

灼「……大丈夫?」

智紀「……正直結構キツかった」

無理しないでモニター半分分けてくれればよかったのに……

透華「智紀、お疲れさま……鷺森さん、お邪魔していますわ」

灼「ども……永水の薄墨初美さんと有珠山の岩館揺杏さんが来てるんだけど、参加して平気?」

透華「問題ありませんわ! 特に、薄墨さんと言えば地区大会決勝で他校をトバしたり役満を何度も和了ったりとド派手に目立ちまくりですし是非ともお話させていただきたいところですわ!」

灼「ありがと……」


灼「それじゃ、穏乃と国広さんも一緒にいるから呼んでくる」

智紀「……私も行く」

灼「休んでたら?」

智紀「平気……また絡まれたら困るでしょ?」

……たしかにあの勢いで押されたらネクタイを守りきれないかもしれない

灼「ありがと……」

智紀「気にしないで」

沢村さん、私と一緒で口数も少ないしポーカーフェイスな人だと思ってたけど……

意外とお茶目で、笑顔がかわいいんだ


一「ボクたちはさ、この、服という概念に囚われすぎてると思うんだよね……」

初美「この服という枠をひとつ越えた先にあるものが……」

穏乃「つまり、私のジャージもジャージでない一歩進んだなにかに……」

揺杏「なんだコイ……この人たち……マジきめぇ……いや、褒めてるんだけどね?」

灼「…………」

智紀「…………」

どうやら議論がヒートアップした結果新たな境地に辿り着いたらしい

……正直意味がわからない


智紀「あの……研究会、始めるって」

灼「薄墨さんと揺杏も暇なら参加していく?」

初美「いいんですかー? それでは遠慮なく参加させていただきますよー」

揺杏「それじゃ私も……あ、綺麗なおねーさんいるじゃん! 私の作る服とか着てみない?」

智紀「いや……私は一たちとはちょっと趣味が合わないというか……」

揺杏「いや自分で言うのもなんだけど、私も普段は普通のお洒落な服作るんだよ!?」


――――――

なんだかんだで結構な人数になったし、大量にモニターを用意したのは正解だったらしい

初美「あ、こっちのモニター見てください! 灼ちゃんと対戦している……」

個人戦参加者で私の対戦相手と言えば……

灼「白水さん? くせのない実力者で対策は大変そうだけど……」

初美「いえ、越谷の宇津木さんです! 王冠は個性的で素敵ですねー!」

……ん?

穏乃「私は、一回戦の時凄く気になったんですけど……讃甘の新免さん! 刀はやっぱりかっこいいですよね! 私も何かアクセサリー持とうかなぁ」

一「でも、やっぱりインハイ参加者だと薄墨さんがダントツでセンスいいね」

初美「そんな、照れちゃいますよー」

智紀「……あの、なんの話を」



揺杏「え?ファッション研究会じゃないの?」


灼「もうそれでい……」


カン!


一回人数増やすと楽すぎて困る
気づいたら揺杏とファッションリーダースレになりそうで怖い…

次回はハルちゃんになるかと思います

投下します



こういった仕事は実業団時代に何度か来たし、経験がないわけではないけど……


久しぶりだし、面子の問題もあって少々緊張する



恒子「ふくよかすこやかインハイレディオーーーーーー!!」

恒子「はい今週もふくよかじゃないスーパーアナウンサー福与恒子と!」

健夜「……すこやかじゃない小鍛治健夜でインターハイ情報をお送りします」

恒子「……と! ここまではいつものオープニングですが……」

恒子「なぁーんと! 本日はこの番組初のゲストをお迎えしております!」

恒子「……初だよね?」

健夜「確認もなしに勢いでものを言わないでよ!?」

恒子「えー私の記憶では初です! さぁ! 記念すべき番組初のスペシャルゲストは今をときめくこのお方!」


晴絵「あー……はれやかじゃない赤土晴絵です……よろしくお願いします」

……自己紹介、これ言わないとダメなの?

恒子「はい! すこやん拍手!」

健夜「え、あ……うん」

晴絵「……あの、福与アナ」

恒子「なんですか?」

晴絵「何故そこまでハードルを上げるのか……」

恒子「ごめんね☆」

恒子「……ねぇねぇ似てた?瑞原プロの真似!」

晴絵「え、はい……結構……」

健夜「こーこちゃん少し自重してよ!? 赤土さんも付き合わなくていいから!」


恒子「さぁゲストの登場で私もテンション爆アゲ中です! では僭越ながら赤土さんの紹介をさせていただきます!」

恒子「赤土さんは今年のインターハイ団体戦三位、阿知賀女子学院の出身で、現在母校の監督を務めています!

 阿知賀女子学院は十年前にインターハイ初出場、準決勝まで駒を進めています! そして当時のエースが赤土さんです!

 高校卒業後は福岡の実業団チーム博多エバーグリーンズに所属し、日本リーグでプレイされてました!

 誰だよ赤土って知らねぇよ!って思ったそこのあなた! 今すぐ謝れ!」

健夜「リスナーに喧嘩売らないでよ!?」


恒子「えーそれで、十年前のインターハイでは準決勝敗退となっていますが……なんと! その時の対戦カードが新道寺女子の野依理沙、朝酌女子の瑞原はやり、そして土浦女子の我らが小鍛治健夜と現在のトッププロたちと対局されてるんですね!」

晴絵「ええ……まあ、結果は散々だったんですけど」

健夜「そんなことありませんよ。 私が今までで振り込んだ最も高い手は赤土さんの跳満ですし……私にとっても印象深い対局でした……赤土さんの日本リーグでの活躍は私もチェックしてましたし、素晴らしい雀士だと思います」

晴絵「……小鍛治さん」

恒子「つまり、その素晴らしい雀士たちをボコボコにして優勝した小鍛治プロが地上最強ってことですね!」

健夜「どうしてそう繋げるの!?」


晴絵「いや……でも実際なんで私が呼ばれたんですかね? インハイの解説で東京にいらしてますし、今名前の挙がった瑞原プロや野依プロを呼んだ方が……」

健夜「それは……」

恒子「たしかにそういう声もあったんですけど、瑞原プロや野依プロは日程も合いませんでしたし……インハイレディオということで千里山女子の監督をされてる愛宕雅枝元プロにも声をかけたんですが生徒の個人戦が残ってるということでして……」

恒子「ぶっちゃけ、暇でギャラの安い赤土さんを呼びました!」

健夜「言って良いことと悪いことがあるよ!?」

恒子「表向きは団体戦上位入賞校の監督であり、日本リーグでのプレイなど実績もある……そして小鍛治プロが二十年前の対局を忘れられなかったから、ということにしてます!」

健夜「先に裏を言っちゃってるよ!? っていうかこっそり十年増やさないでよ!?」


……一応打ち合わせとかしてたけど、アレは意味なかったな

小鍛治さんに聞いてはいたけど福与アナほんとになんでもアリだな

恒子「そういえば赤土さんは地元吉野では『阿知賀のレジェンド』って呼ばれているらしいですね!」

晴絵「え……それ、どこで聞いたんですか? この歳になるとさすがに少し恥ずかしいというか……」

恒子「ネットで調べました! やはりインターハイ常連校である晩成高校を破った印象が大きく地元では大人気のヒーローだとか! エバーグリーンズ時代はハルちゃんの愛称で親しまれていたようですね! 私もハルちゃんって呼んでいいですか?」

晴絵「え、まあ、かまいませんけど……」

健夜「こーこちゃん仕事中だよ!? そういうのは休憩中に……」

恒子「では! ここからは『スーパーアナウンサー』福与恒子と『衝撃の美人雀士』小鍛治健夜、ゲストの『阿知賀のレジェンド』ハルちゃんこと赤土晴絵の三人でインターハイ情報をお送りします!」

健夜「変にハードル高い二つ名つけないでよ!?」


恒子「赤土さんは一高校を率いる監督として選手たちの研究も進んでらっしゃると思いますので、注目選手など是非お話をうかがいたいと思います!」

晴絵「はい、よろしくお願いします」

……とはいえ、各選手の打ち筋などに関して詳細に話すわけにもいかない

当たり障りのないことしか話せないのはなんとも歯痒いけど、自分の時にやられたら絶対に嫌だし仕方ないか……

恒子「えー、個人戦の日程とルールは……」

健夜「今から確認するの!? 個人戦の日程は……」

……こうして見てるとやっぱりうまく回すな福与アナ……計算、ではなさそうなのがアレだけど


恒子「個人戦は昨年の上位三名が引き続き参加していますね」

健夜「白糸台の宮永照選手、三箇牧の荒川憩選手、臨海女子の辻垣内選手ですね


晴絵「三人とも癖の少ない……強いて言えば宮永選手は打点を徐々に高めていく傾向がありますが、攻守ともにレベルの高い優れた雀士ですね」

恒子「三人ともめっちゃ強いってことですね? 小鍛治プロの相手ではありませんが!」

健夜「いちいち変に持ち上げないで!? だいたい私も一応プロだし学生相手じゃそうそう負けないよ!?」

晴絵「でも実際、あの三人は学生のレベルは逸脱していると思いますけどね……特に、宮永選手は対局相手への観察能力も長けていて、対応力も高いです……プロ入りすればまず間違いなく日本を代表する打ち手になると思いますよ」

恒子「片手で捻ってやる! なんて言えるのは小鍛治プロぐらいですね!」

健夜「そんなこと言ってないよ!?」


健夜「はぁ……こーこちゃん今日は妙に絡むね?」

恒子「赤土さんにどこまで絡んでいいのかわからないから小鍛治プロを弄ってるんです! 大人なんだから我慢してください!」

健夜「こーこちゃんも大人なんだから少し落ち着いてよ!?」

晴絵「あはは……私は普通に絡んでくれてもいいですよ? 」

恒子「本当ですか? じゃあハルちゃんはさー」

健夜「フランクすぎだよ!? 一応仕事なんだから……」

恒子「一応とはなんですか!? れっきとした仕事なんですから小鍛治プロも気を抜かないで対局と同じぐらい真剣に取り組んでください!」

健夜「ご、ごめんなさい……って私が怒られるの!?」


恒子「小鍛治プロのせいで話が逸れました! インターハイの話に戻りますが……」

健夜「私のせいなの!?」

恒子「宮永選手の白糸台高校からは、団体戦で大将を務めた一年生の大星選手も個人戦の代表になっていますね?」

晴絵「彼女もチーム虎姫に所属する攻撃力の高い選手ですね……ん……と、ダブルリーチの多い選手ですが……攻撃は最大の防御と言うように、守備に関しても光るものを持っていますね」

恒子「大星だけに?」

健夜「…………」

晴絵「あー……まぁ……」

恒子「……失礼しました」


恒子「えー……その二人の白糸台を赤土さん率いる阿知賀女子は準決勝で破っていますね!」

晴絵「ありがとうございます……うちの生徒たちもみんなよく頑張ったと思います」

健夜「そういえば阿知賀女子からは個人戦の参加者はいないんですね」

晴絵「そうですね……生徒たちが団体戦一本で、ということでしたので」

恒子「奈良県の代表枠は小走やえ選手を始めとした晩成高校の選手で埋まっていますが、同郷ですし気になるのでは?」

晴絵「もちろん気になりますよ……奈良個人戦一位、エースの小走選手は実績も実力もありますし……個人的にも注目してますし、頑張ってほしいですね」

恒子「なるほど……小鍛治プロは個人的に注目している選手とかいますか? 地元の選手とか……」

健夜「え? いや、私は特にそういうのは……」

恒子「世界レベルの私が学生のことなんか知るか! だそうです!」

健夜「だからそこまで言ってないよ!?」


――――――

健夜「お疲れさまです」

恒子「お疲れさまー」

晴絵「お疲れさまでした」

健夜「赤土さん、急な話だったのに来てくれてありがとうね……よかったらご飯一緒にどうかな?」

晴絵「いえ、私も楽しかったんで……お供させていただきます」

恒子「あ、ずるい! 私も行く!」

健夜「じゃあ行こっか……ごめんね? こーこちゃんあんなんで大変だったでしょ?」

晴絵「いや、アレで緊張解れましたしむしろ助かりましたよ……小鍛治さんこそいつも大変そうですね」

健夜「なんかもう慣れちゃったけどね……」


恒子「……で、結局近場のファミレス? 折角なんだからもっといいとこ行くとかさー」

健夜「それはこの前行ったし……」

恒子「え!?私呼ばれてないよ!?」

健夜「私たちの集まりにこーこちゃんいたらおかしいでしょ!? 同窓会みたいなものだよ!?」

晴絵「福与アナだったらすぐ打ち解けそうですけどね」

恒子「すこやんみたいにこーこちゃんでいいですよ? ほら、私もハルちゃんって呼ぶから!」

晴絵「そうですか? まぁこーこちゃんがあの場にいても昔話に花を咲かせてたんで……」

健夜「はやりちゃんに理沙ちゃん、良子ちゃんと懐かしい面子が揃ったよね……みんな忙しいし、東京に集まるインハイの時期じゃないと集まれなかったんじゃないかな」


恒子「え!? なにそれ凄いメンバーじゃん! なんで呼んでくれないの!?」

健夜「その説明はしたでしょ!?」

恒子「十年前のインターハイの面子も揃ってるんですね? もしかして一局打っちゃったり?」

晴絵「うん、麻雀バーに集まったんで……」

健夜「結果は……」

恒子「……わかってるよ、すこやん」



恒子「対局の結果は『シノハユ~the dawn of age~』の物語で明かされることでしょう!

現在、月刊『ビッグガンガン』にて原作:小林立先生 作画:五十嵐あぐり先生の強力タッグで好評連載中!

最新2巻は9月25日発売決定だぁーーー!!」


健夜「メタ発言はやめて!」


カン!

ふくすこラジオを場に設定したらただのふくすこと赤土さんになった

ハルちゃんごめ…

赤すこ好きだがこういうのもいい

投下は明日、憩ちゃんを軍団セットで消化しますよーぅ

>>475赤すこも王道系統の組み合わせですよねー
ハルちゃんに真面目系の話当てようとすると確実に重い感じにしちゃいそうなので結果こーこちゃんに好き放題させてしまいましたが…
このスレでは本気のカップリング要素アリは扱いませんが、ハルちゃんは消化不良気味なのでそのうちすこやんかはやりん辺りで触るかと…

憩ちゃん楽しみ

投下しますよーぅ



『宮永照はヒトじゃない』

チャンピオン……たしかにとてつもない強さだったなぁ



玄「でも、見た感じチャンピオン結構ヒトっぽかったですよ?」

憩「ん?」

キョトンとされてしまった

憩「……ああ、宮永照ですかーぁ?」

玄「はい……近くで見たけどたぶんヒトなんじゃないかと……」

憩「……玄ちゃんってー」

玄「なんですか?」

憩「ちょーっとだけぇ……アホやんなぁ?」

玄「えぇ!?」


玄「そんな……こ、これでもしっかりものの若女将で通ってるんですよ!?」

憩「そうなん? にしてはちょーっとばかしズレてるというか……」

玄「どういうことですか?」

憩「わかんないならやっぱりズレとるんやろうねー」

玄「?」

憩「まあ、玄ちゃんかわいいしそういうところも魅力のひとつだと思いますよーぅ」

玄「……ありがとうございます?」


憧「でもたしかに玄って……なんかちょっとアホよね」

玄「憧ちゃんまで!? 酷いよぉ……」

憧「あーほら、憩さんも言ってたでしょ? 玄はそこがいいんだから」

玄「そう言われても……アホって言われちゃ素直に喜べないよ……」

憧「あ、卓空けたんで憩さんどうぞ! 玄は入る? 私はまだご飯大丈夫だけど……」

玄「あ、それなら私はいいよ……憧ちゃん続けてどうぞ」


今日は、荒川さんたちの練習にお付き合いさせていただいてる

団体戦の時に練習を手伝ったもらったお返しに来たのだ

憧「いいの? せっかく来たのに……」

玄「私も打ちたいけど……ほら、私って癖が強いし荒川さんたちの練習にはならないかなーって……」

灼「……気になるなら玄は一回ドラ切ればいいとおも……」

玄「……なるほど」

自分のことなのに考えつかなかったよ……

うぅ……だからアホなんて言われちゃうのかなぁ?


憧「灼さんはお昼休憩入る?」

灼「ん……それに今日はハルちゃんが……」

玄「ああ、そういえば今日だったね! 小鍛治プロのラジオに呼ばれてるの!」

憩「インハイレディオのスペシャルゲストって監督さんだったん? 先週の放送からこーこちゃんが散々煽ってたからうちはてっきりはやりんとか戒能プロ辺りが来るんかと思ってましたよーぅ」

憧「……ですよねー」

玄「赤土先生も頭抱えてたよ……」

灼「ラジオ、つけてい……?」

憩「いいですよーぅ」


玄「よろしくお願いします」

憩「よろしくお願いしますよーぅ」

穏乃「よろしくお願いします!」

もこ「…………」

個人戦の選手が同時に卓を囲めない以上、打つのは私たち阿知賀の面子が多くなる

結局私たちの練習みたいになっちゃって申し訳ないなぁ

恒子『ふくよかすこやかインハイレディオーーーーーー!!』

玄「あ、始まったみたいですね」

憩「こーこちゃん相変わらず元気やねぇ」


藍子「実際、赤土さんって知名度どうなの? 正直こーこちゃんハードル上げすぎっしょ?」

宥「吉野では知らない人はいないって感じですけど……」

絃「私はちょっと……」

利仙「私は知ってましたよ? 福岡の実業団チームでプレイされていたので……」

穏乃「当時の赤土先生ってどうだったんですか? チームにスカウトされたのは知ってたんですけど……」

憩「それ、ロンですよーぅ」

穏乃「うげっ!」

憩「お話もいいけど集中せんとねー?」

穏乃「す、すいません……」


利仙「赤土さんですが……かなり活躍されてましたし、人気もありましたよ? ただ……ここ一番という勝負を落としがちだったので……」

憧「あー……そっか、ハルエ……」

……阿知賀こども麻雀クラブも元々は赤土先生のリハビリだったんだもんね

でも、きっと今の赤土先生なら昔と変わらずかっこいい姿を卓上でも見せてくれると思うなぁ

憩「それ、ロンですよーぅ」

玄「はぅあ!?」

憩「ふふっ……みんな赤土先生気になるみたいやし、一回休憩にしよ?」

玄「で、でも! 憩さんの練習が……」

憩「まぁまぁ……ほら、インハイレディオやしなんかためになるかもですよーぅ?」

玄「……すみません、ありがとうございます」


恒子『誰だよ赤土って知らねぇよ!って思ったそこのあなた! 今すぐ謝れ!』

藍子「あ、私正直これ思ったわ……すみません」

絃「ごめんなさい……」

灼「いいよ」

憧「灼さんが許すんだ?」

宥「灼ちゃんあったかいね~」

憩「でもこれってこーこちゃんがハードル上げすぎたせいできっとたくさんの人が思ってますよーぅ」

玄「あはは……」


晴絵『三人とも……攻守に優れた……』

穏乃「あ、荒川さん褒められてますよ!」

憩「でもやっぱりチャンピオンの方が褒められてますよーぅ?」

宥「宮永さん、すごかったもんねぇ」

憧「玄なんて歯が立たなかったしねー」

玄「だってすっごく強かったよ……? 準決勝も花田さんや園城寺さんがいたからなんとかなったって感じで……」

灼「一応、最後に一矢報いた」

絃「それも園城寺さんたちがお膳立てしてましたけどね……」

藍子「玄ちゃんドラ抱えてただけっしょ?」

玄「……ふぇぇ」

藍子「ちょ!? 泣かないでよ! 冗談だから! もこもなんとか言ってくれよ」

もこ「…………」

藍子「ほら! もこもこう言ってることだし……」

穏乃「……なんて言ったんですかね……?」


利仙「しかし、実際のところチャンピオンからあれほどの打点で直撃を取ったのは団体戦では玄さんだけですしね」

憩「まぁ、まだ個人戦がありますよーぅ」

利仙「当然、三連覇などさせるわけにはいきません……私の手で神代小蒔もろともに……」

憩「うちも遅れはとりませんよーぅ」

憧「……二人とも意外と結構好戦的ですよね」

絃「これでも県の上位プレイヤーを自負していますし……プライドもありますよ」

藍子「まぁそうじゃなきゃ強くなれないって……お、噂をすれば」


晴絵『奈良個人戦一位、エースの小走選手は……』

憩「県予選一回戦の牌譜、見ましたよーぅ」

藍子「エグかったねーありゃ」

絃「小走さん、初見の玄さん相手でよく頑張りましたよね……」

玄「え、いや、その……」

憧「実際、私以外公式戦の参加経験もなかったし……メンバーの打ち筋考えれば完全に初見殺しですからね……晩成と初戦で当たれて良かったですよほんと」

穏乃「灼さんのくじ運に助けられましたね!」

灼「それほどでも……」

利仙「やえさん、悔しかったでしょうね……」

藍子「あの人のことだから団体戦終わってすぐ対策始めたんだろうなー」

憩「結局、対戦の機会は無かったんやけどねー」


穏乃「あ! でも、東京に出てくる前に小走さんが阿知賀と晩成壮行試合組んでくれたんですよ!」

憩「へぇー」

藍子「ああ、らしいっちゃらしいかもね……ただ打ちたかったってのもあるだろうけど」

灼「なんか……『か、勘違いしないでよっ! べ、別にあんたたちのためじゃないんだからねっ!』って言われた……」

憧「いや、そうは言ってなかったでしょ……」

絃「でも、不思議としっくりきますね」

宥「小走さんあったかーい」

憩「で、結果はどうだったん?」

玄「……さ、さすがは奈良個人戦一位と言いますか……」

灼「かなり研究されてて……結構やられた」

憧「もちろん!負けっぱなしってわけじゃありませんけどねー」


恒子『他に気になる有力選手などいらっしゃいますか?』

晴絵『そうですね……団体戦優勝校の清澄からは宮永選手……宮永咲選手との……原村和選手が参加していますが――』

健夜『それに団体戦では奮いませんでしたが、去年も活躍した鹿児島の神代選手なども――』

利仙「むっ」

絃「利仙さん落ち着いて……」

玄「やっぱり赤土先生も和ちゃんたちのことは気にしてるんだね」

憩「そういえば原村さんも赤土さんの教え子なんやってね」

憧「一年ぐらいでしたけどね……ま、和は安定した結果出してるし宮永さんもあれだけ暴れりゃ注目されるでしょ」

藍子「穏乃ちゃん打ってみてどうだった? 山は穏乃ちゃんの領域っぽいけど」

穏乃「結局最後は王牌を持ってかれちゃったので……」


絃「こうして考えると……なんと言いますか、支配の強度で言えばやはり玄さんが特に強力なようですね」

玄「そ、そうですか?」

もこ「…………」

藍子「もこもそう思う? じゃあとりあえず玄ちゃんにはドラ抱えたまま打ってもらって強度の高い支配を打ち破る特訓を……」

憩「ちょっと待ってー? 玄ちゃんはうちと打ってる途中やったし取らんといてよ~」

憧「よかったね玄、大人気じゃん」

灼「きゃーすてきーだいてー」

玄「えっと、こう?」

ぎゅっ

灼「…………」

憩「……玄ちゃんやっぱりアホやんな?」

玄「えぇ!? どうしてですか!?」


――――――

憩「ツモ! 2000・4000ですよーぅ」

穏乃「うわぁー!やられたっ! 憩さん強いっ!」

もこ「…………」

玄「ありがとうございました……」

憩「どーもですーぅ」

うぅ……憩さん、やっぱり強いなぁ

チャンピオンと比べても遜色ないくらいには……


憩「玄ちゃん? 大丈夫ですかーぁ?」

玄「あ、いえ! 憩さん、本当に強いなぁって……チャンピオンともきっと互角以上に戦えると思いますっ」

憩「え~本当にーぃ? ちょっと褒めすぎやない? 」

玄「私、お二人と打ってますからっ! 頑張ってくださいっ!」

憩「えへへ……ありがとっ! うちも頑張りますよーぅ」

憩「……でも、チャンピオンは……チャンピオンの強さは」



憩「宮永照は、ヒトじゃないっ!」


藍子「それ、気に入ったの?」


カン!



>>477人数多くて気づいたら憩ちゃんあまり喋ってなかったよ…すまぬ

個人的にアニメで利仙さんが喋ってから、コスプレ集団イメージにサイヤ人イメージが加わってなんかヤバい
憩ちゃんの「宮永照はヒトじゃない」発言に加えて、利仙さんの「頑張れ神代小蒔……あなたがナンバーワンです……!」臭が……
そう簡単に使い捨てたりはしないと思うけど、みんな活躍の場があるといいなぁ

憩ちゃん書いてくれてありがとう

土日のどっちかで劍谷二人をまとめて…ペース遅くて申し訳ないです

>>500こちらこそレスいただけてありがたいです
というか、見直したら憩ちゃん「玄ちゃんアホ」と「宮永照はヒトじゃない」発言ばっかですね…

遅くなりましたが、投下します



夏場には熱中症などの危険があるのでこまめに水分をとりましょう


……私には縁のない話なんだけどね



今日は灼ちゃんとお散歩だ

いつもは一人で散策することが多いのでちょっぴりうきうき気分なのです

宥「今日もあったかいね~」

灼「……どちらかと言うとあつ……」

宥「そっかぁ~」

夏場はどうしてもその辺りの感覚が周りと合わない

……もしかして、無理させちゃってるのかなぁ?


宥「……灼ちゃん、大丈夫?」

灼「大丈夫……気を遣わなくても、好きで来てるから」

宥「そう? ……ふふふっ」

灼ちゃんは……口数は少ないけど、とっても優しくてあったかい

昔、松実館で麻雀を打っていた頃のように……いや、それ以上に仲良くなれたことがとっても嬉しい

灼「あ……」

宥「どうしたの?」

灼「あそこ……劔谷の……」


美幸「あっついわもー……」

友香「私水筒持ってるんでー! 飲みます? ミルク麦茶!」

美幸「……どうしてそれを選択したのよもー」

友香「いやいや、これが結構いけるんでー! コーヒー牛乳的な?」

美幸「それならコーヒー牛乳飲むってばもー」

宥「こんにちはー」

灼「ども……」

美幸「あれ? 阿知賀の……」

友香「どーもでー」


友香「阿知賀の人って個人戦出てましたっけ?」

灼「見学で……」

宥「あ、あの……私、お茶でよければ持っているので……」

美幸「いいの? 助かるわもー……ってあっつっ!? なにこれもー!」

宥「あぅ……ご、ごめんなさい」

友香「この時期に熱いお茶を持ち歩いてるんでー?」

宥「私、あったかいのが好きで……」

灼「まあ、そもそもマフラーとか着けてるし……」


美幸「限界だわもー……どっか入ろー」

友香「お昼にはちょうどいいかもでー……あ、よかったら一緒にどうです?」

宥「いいんですか?」

美幸「せっかくだしどうぞー」

灼「それじゃあ……」

宥「ご一緒させてもらいますね」


――――――

美幸「このファミレス、会場に近いから解説のプロや関係者がよくいるらしいよー?」

宥「そういえば、赤土先生も小鍛治プロや福与アナと来たって言ってたね」

友香「飲み物取って来るんでー! 先輩はベース何にします?」

美幸「私は……ちょ、ベースってどういうことよもー」

友香「ファミレスのドリンクバーは混ぜるものだって聞いてるんでー?」

灼「いや、別にルールでは……小学生なんかは結構やるけど」

友香「? この前ラジオでこーこちゃんが小鍛治プロに特製ドリンク飲ませたって言ってたんでー?」

美幸「……あの人はちょっと特別なのよもー」


灼「宥さんはあったかいのでい……?」

宥「あ、ありがとう灼ちゃん」

友香「行ってくるんでー」

美幸「ちょっと、普通のドリンク持ってきてよもー」

灼「私が見ておきますから……」

パタパタと森垣さんが走りだし、灼ちゃんがそれを追っていく

美幸「友香は帰国子女で……ちょっとズレてるんだよねー」

宥「そうなんですかぁ」

美幸「……松実さんもズレてるよね」

宥「そうですか?」

美幸「そうでしょー……その格好、見てるだけであっついわもー」


宥「ご、ごめんなさい……」

美幸「いや別にいいんだけど……暑くないの?」

宥「あったかくてちょうどいいです」

美幸「えー? やっぱりおかしいってばもー」

まぁ、たしかに他の人と違うのはわかってるんだけど……

灼ちゃんも好きな服着てればいいって言ってたし、期にすることないよね?

灼「宥さん、どうぞ」

宥「灼ちゃん、ありがとう」

友香「先輩どーぞ!」

美幸「んー……なにこれ? 」

友香「なにも書いてないボタン押したからわからないんでー!」

美幸「なにそれもー! 自分で飲んでよー」


美幸「鷺森さんちょっとー」

灼「たぶん炭酸水なんで害はないとおも……」

美幸「そりゃあ害はないでしょうけど……友香のは?」

友香「私はオレンジジュースでー!」

美幸「チェンジ!」

友香「そんなー」

美幸「変なの持ってきたのは自分でしょー?」

友香「それなら最初から何が飲みたいのか言ってほしいんでー」


美幸「口ごたえするとは生意気よもー」

友香「いひゃいれすせんぱい」

椿野さんが森垣さんの頬をぐにぐにと引っ張る

……先輩後輩の関係ってああいうものなのかなぁ?

うちは昔から家同士の付き合いがあったりで、先輩風を吹かすこともあまりないから……

宥「…………」

灼「……宥さん?」

宥「えいっ」


ふにっ

あ、灼ちゃんのほっぺた柔らかい

灼「……?」

ふにふに

ふにふに

えへへ……あったかーい

灼「……?……???」


美幸「そういえば阿知賀! 団体戦三位おめでとー」

宥「あ、ありがとうございます……」

友香「やっぱり応援するならうちに勝ったチームだと思ったんでー」

灼「ども……ふばひのふぁんも」

宥「あ、灼ちゃんごめんねほっぺ」

灼「ん……椿野さんも個人戦頑張って」

美幸「……ありがとね」


宥「……どうかしたんですか?」

美幸「いや……敗退してからも試合は見てたんだけど……」

美幸「正直、全国上位の雀士とのレベルの違いを感じて……自信ないわもー……」

友香「チャンピオンとか意味わかんないんでー」

美幸「私は半荘一回で千里山の園城寺に5万点差つけられたけど、宮永照はそこに7万点差つけてるし……」

灼「ん……チャンピオンや辻垣内さんなんかは特に……格が違うって感じ」

宥「玄ちゃん、大変そうだったもんね……」


美幸「妹さんのドラもすごかったけど……全国はほんとに化け物揃いよもー」

宥「えっと、でも、椿野さんも激戦区兵庫を勝ち抜いた名門劔谷のエースじゃないですか」

美幸「まぁ……でも、今大会うちは友香が一番稼いでるんだよねー……もー私の代わりに個人戦出る?」

友香「!! いいんでー!?」

灼「いや、それは大会規定的に無理……」

美幸「ちょっと髪切って変装したらいけるってばもー」

宥「さすがに無理があるんじゃ……」

友香「むむ……たしかに、私先輩ほど顔丸くないんでー」

美幸「うん……って、ちょっとそれ私が太ってるってこと!? もー怒ったからねもー!」


……いいなぁ

ああいう言い合いっていうのも、仲が良くないとできないよね?

喧嘩するほど……なんて言葉もあるし

灼「あ、宥さんの来ましたよ……あっつあつの茶碗蒸し」

宥「ありがとー……ふふ、あったかーい」

……じゃなかった

えっと、えっと……



宥「灼ちゃん!」


灼「?」




宥「わ、私をあったかくしてくれないと、おこっちゃうぞ?」



灼「……じゃ、とりあえずハグで……」


カン!

劍谷と阿知賀の仲良し先輩後輩チームってことでひとつ…

準決勝の観戦描写的には劍谷はどうも帰ってるぽいけどどうなんでしょうね?
原作の日程的には個人戦出てるなら宿とってる気もするけど…まあいっか


ああいう宿説

椿野ちゃんかわいいよね
友香が一瞬誰かわからなかったけど()
剱谷は本当に容姿は恵まれてるよね、うん・・・

乙乙

池田とか王者とか玉子あたりのウザキャラみてみたいっす

>>523いろいろ考えた末一番説得力ありましたわ…あんな宿ねぇよ!って思ったけどそれは服じゃねぇよ!な世界だったしなんの不思議もない…
>>525越谷「出番も恵まれてるだろ!」 あ、次鋒の依藤さんが地味かわいいと思います
>>526王者は頼りになる先輩キャラだから…じきに拾うんでお待ちを

投下します。セーラと千里山



個人戦前に調整相手に指名されるということは、それだけ力を認められているってことだ


ここで燃えないでどうする!



雅枝「どうも赤土監督……団体三位が相手してくれるとなるとこっちも助かりますわ」

晴絵「そんな、愛宕監督……こちらこそ勉強させていただきます」

雅枝「それにしても……泉が話持ってきた時は驚きましたわ……」

晴絵「それは私もですよ……宥が千里山と試合できる、なんていきなり言い出すもんだから何事かと……」

雅枝「生徒同士交流しとるようでなによりですわ……ところで赤土監督、今回のインハイの結果とか今までの実績とか結構評価されとるようやけど、プロとか……同じ関西圏の誼で私の居たチームで良ければ紹介したっても……」

晴絵「あ、まぁその辺の話はまたのちほど……」


到着してすぐ、赤土先生は千里山の愛宕監督と挨拶してそのまま盛り上がっているようだ

……とにかく! まず最初に大切なのは挨拶だ

大事な時期に対戦相手に選んでくれたことに感謝して……

穏乃「こんにちはっ! 今日はよろしくお願いしますっ!」

竜華「阿知賀のみんな! 今日は来てくれてありがとー! よろしくなー!」


宥「泉ちゃん、こんにちは~」

泉「宥さんどもですっ!」

玄「園城寺さん、お体の方は……?」

怜「もう大丈夫やで……準決の時は倒れちゃってごめんなー? 気になったやろ?」

セーラ「よっ! 憧ちゃん久しぶりやなー! 元気やったか? 風神とか悪待ちとか決勝は楽しそうやったなぁ!」

憧「ちょ、え、江口さん! 近いって!」

浩子「本日はどうも……来年に向けてデータ取らせてもらいますわ」

灼「よろしく……ま、来年にはもっと強くなってるけどね」


竜華「えっと……一応今日は個人戦参加するうちとセーラの調整ってことになっとるんで、二人を中心に回させてもらいます」

浩子「そちらさんが5人になるんで……」

泉「とりあえず清水谷先輩と江口先輩を別にして、うちから一人づつ阿知賀から二人っつ入ってもらって……空いた二人は見学なり牌譜検討なり……あ、補欠の先輩方に入ってもらえば卓囲めますね」

セーラ「泉、一年のくせに仕切るなぁ」

泉「あっ……いやその、すんませんっ!」

宥「わぁ……てきぱきしててかっこいいよ泉ちゃん!」

泉「いや、今褒める流れじゃなくってですね……」

宥「?」

泉「あー……ありがとうございます」


竜華「それじゃあ……あ、松実さん二人おるし名前で呼んでええ?」

玄「はい! よろしくお願いします、清水谷さん!」

竜華「うちも竜華でええって! じゃあくろちゃん打とっか? あと二人ー! この指とーまれー!」

浩子「ああ、私は最初見学させてもらいますんで……お先にどうぞ」

怜「じゃ、私が入ろっかなぁ」

セーラ「あ、俺は高鴨指名や! こっち入ってーな!」

穏乃「私ですか!? よろしくお願いしますっ!」

憧「あ、私清水谷さんの方入っていい? 江口セーラ……さんとは一回打ってるし」

灼「ん……じゃあ最初は私が抜けるよ」


セーラ「ってわけで、よろしくなー!」

穏乃「頑張りますっ!よろしくお願いしますっ!」

宥「江口さん、泉ちゃん……よろしくね」

泉「宥さん……今度は私が勝たせてもらいますよ!」

さっそく四人で卓を囲み打ち始める

江口セーラさん……去年は二年生にして全国ランキング二位の千里山でエースを張った高打点プレイヤーだ

そんな人から直々に指名を受けたとなるとこっちのテンションも上がるってものだ

セーラ「リーチや!」

――速いっ!


泉「うわ……先輩速いっすね」

セーラ「おう! 個人戦に向けて今からガンガンギア上げてくでー!」

雅枝「セーラ! くっちゃべってないで真面目にやれや! あと、対外試合の時は制服着ろって言うたやろ!」

セーラ「えー……いいじゃないですか監督……なぁ?」

穏乃「そうですね……私も……あれ!? 私ジャージだ! しかもノースリーブ!」

泉「今気づいたんか!?」

宥「ノースリーブで泉ちゃんとおそろいだねぇ~」

泉「……そ、そうですね」

セーラ「あ、一発ツモや……3000・6000」

泉「いきなり親被った!?」


泉「きっついなぁ……」

セーラ「おう泉! 気ぃ抜いてるとトバすでー!」

雅枝「セーラ!」

セーラ「だぁー! わかりましたって! 黙ってやります!」

泉「先輩、それポンです」

セーラ「泉! 黙ってやれや!」

泉「それはおかしいやろ!」

雅枝「お前らええ加減にせぇよ!」


――――――

穏乃「やられたー……序盤に削られ過ぎた……」

やる気満々だったんだけど……少し、空回りしちゃったかなぁ

泉「でも、高鴨は後半かなりよかったやんな? 南2の和了なんかは巧く気配消してたし……」

宥「うん……それに、後半はなかなかあったかい牌が来なくなって……」

セーラ「ふむ……竜華もこれに……おもろいやっちゃなー」

穏乃「うー……なんか、個人的にはいまいちな感じでしたけど……」

セーラ「いや、全然よかったと思うわ……序盤に振った分点は差が出たけどな」

セーラ「それに、個人戦はお姉ちゃんみたいに手牌偏ったり高鴨みたいに……なんつーか、支配効かせてくるやつも多いから……それこそ高鴨と打った白糸台の大星とかな? いい勉強になるわ」


穏乃「そうですか……?」

セーラ「おう! もっかい頼むわ!」

穏乃「……はい! 今度は勝ちますよ!」

泉「私も今度こそ……」

浩子「あ、泉は私と交代な」

泉「……はい」

竜華「待って待って! うちお姉ちゃんとも打ちたい!」

セーラ「えー……じゃあ玄ちゃんと交換なー」

玄「おまかせあれ!」

憧「灼さん代わるよー」

灼「ありがと」

怜「なんならうちが代わるで? ほら、うち病弱やし……」

竜華「そのアピールやめ!」


それからは面子を交代しながらひたすら打ち続けた

千里山はさすがに伝統ある名門校といったところで、攻守のレベルが非常に高く、駆け引きも巧い

特に、江口さんは手作りも速いし打点も高い

愛宕監督……愛宕雅枝元プロの指導を受けれたのも嬉しかったりする

……ちょっとミーハーかな?

雅枝「そろそろ時間やな」

晴絵「そうですね……次の半荘で最後にするよー」

セーラ「よっしゃ! 高鴨! ……と玄ちゃん!最後にもっかい相手してやー!」

……今日の収支はマイナスだ

穏乃「……よろしくお願いします!」

ここで、一矢報いる!


――――――

穏乃「ツモ!」

穏乃「自摸平和三色ドラ2で3000・6000です!」

玄「……穏乃ちゃん!」

浩子「はぁ……これはこれは……」

セーラ「すごいやん! とうとう玄ちゃんのドラゴンロード破ったで!」

雅枝「…………」

セーラ「監督! 今の……」

雅枝「あんたが支配破る特訓やろ! しかも今ので捲られとるやないか!」

セーラ「はい! すいません!」

晴絵「しず……今日は来てよかったな」

穏乃「はいっ! ありがとうございました!」


晴絵「今日はみんなお疲れさま! ここで解散にするけど、私と愛宕監督はちょっと話があるからさ……」

雅枝「竜華、これやるわ」

竜華「へ……? ってこ、これ!」

晴絵「それでなんかおいしいものでも食べてきなよ」

雅枝「大会前やしな……鋭気を養ってき」

怜「え、ちょ……マジで!?」

憧「ハルエ!? お金ないのに無理しなくても……」

晴絵「うるさいよ! とりあえず問題起こさないようにね! 頼むよ灼」

灼「え、あ、うん……任せて」

雅枝「飯食ったら真っ直ぐ帰れや……浩子、しっかり見といてな」

浩子「あいよおばちゃん……にしても、洋榎が聞いたら贔屓や言うて怒るで……」


――――――

泉「いや、驚きましたわ……どうします?」

穏乃「ラーメン食べたい!」

セーラ「おっ! ええな!」

宥「あったかーい……」

憧「いや、折角なんだからそんなお小遣いで食べれるものじゃなくてもいいじゃん……」

玄「じゃあ、高価なものって……お寿司とか?」

浩子「回るやつなら行けますね」

灼「この人数で制服だとあんま凄いところは……」

怜「肉! 肉がええ!」

竜華「いや、怜はそんな食えんやろ?」


セーラ「……つか、まだ晩飯にはちょい早いしどっか遊び行かへん?」

竜華「監督に遅くなるなって言われとるやん」

宥「……まあ、少しぐらいなら平気なんじゃないですか?」

灼「ボウリングとか?」

穏乃「いいですね! あとは……バッティングセンターとか、ビリヤードとかダーツとか!」

セーラ「その後は……あ、近くに公園あったなぁ! フットサルとか……なんなら鬼ごっことか!」

玄「複数こなすの前提ですか!?」

怜「そんなんうち死んでまうわ……」

泉「なんでそんな体育会系な選択肢ばっか……」

セーラ「なんや高鴨気ぃ合うなぁ!」

穏乃「今度一緒に山登りましょう!」


憧「まったくもう……あの二人は……」

浩子「セーラは脳みそ筋肉でなぁ……」

セーラ「浩子! 聞こえとるで!」

浩子「褒めてるんや」

セーラ「お? そっか!」

穏乃「褒められましたよ!」

泉「……いやいや」

憧「……アホね」


竜華「まあどっか行くにしても、もう少し落ち着いた感じにせん?」

灼「せめてどれかひとつに……」

怜「うちら麻雀部やで……運動からちょい離れて……」

セーラ「せやなぁ……そうだ!」

穏乃「うーん……あ!」




「「帰って麻雀打とう!!」」



浩子「はい、飯食って帰るでー」

憧「了解でーす」


カン!

個人戦は謎が多い…地区ごとの代表が三人かもわからないんですよね…
今回はとりあえず代表三人の前提で憩ちゃんプラスで怜は体力的に無理かなって判断で

一年前の臨海が団体は外人部隊、個人戦にガイトさん出場だから留学生は個人戦出れないのかなーと思いつつ、団体は雇った五人で固めて日本人に個人枠はくれてやるっていう団体戦重視の方針かもしれないし…どうなんでしょうね?

乙ですわー
なんか関西組はメンバーのバランスがいい気がするな

おつ
フナQ一応ネキの一つ下だけど従姉妹だし呼び捨てで呼ぶのもありやな
あと仕切り屋泉ちゃんかわいい

>>548なんでですかねー…ボケとツッコミが自然(に見える)から?
>>549フナQが洋榎を呼んでるシーンは見落としてなければ本編阿知賀日和を通してないので…個人的に呼び捨てが一番自然かな、と
あ、でも子供の頃はおねえちゃん呼びでちょっと弱ってる時とかについおねえちゃんとか呼んじゃったりして甘えちゃう浩子がいるととってもかわいいと思います
関係ないけど泉の改造制服は一ちゃん的なのじゃなくてサッカー選手が目立つために派手な髪型にするようなものな気がする

投下は明日には来れるかと思います。ずっと後回しにしちゃってたエイちゃんで…

フナQでなんか書きたくなって愛宕家ハートフルストーリー書こうとしたらスタート地点が異常に暗くなって挫折しました
めげるわ…
とにかく投下します



高鴨穏乃にちゃんとした服を着せよう委員会発足!



灼「……で?」

憧「いや、なんというか……あまり変な道に入り込ませないでほしいと言うか……」

灼「私が率先して引き込んでるわけじゃないし……むしろ、それとなく諭したんだけど」

憧「で、でも……」

灼「穏乃がああいう服が好きなら、私は止めれない……憧が私になにも言わないのと同じ」

憧「うぅ……」

それを言われると弱い

似合う服、似合わない服だけじゃなく好きな服、嫌いな服っていうのはあると思うし……

でも、しずにはやっぱり普通にお洒落させて、そういう話題も共有したいのだ


憧「……それじゃあ岩館さん!」

揺杏「なにー?」

憧「いや、なにじゃなくてですね……」

というか、最近普通に灼さんの部屋に入り浸ってるなこの人

憧「なんというか……ああいう服を作るのは」

揺杏「あ!そうだそうだ……憧ちゃんにワンピース作ってきたんだけど」

憧「へ? うわっ! すごい! かわいい!」

揺杏「いやー昨日急にピーンときてさぁ……憧ちゃんかわいいからつい気合入っちゃったよー」

憧「わぁ……ありがとうございます!」

うわー岩館さん本当に手先器用なんだなー

センスも普通に良いし……なんであんな変な服作って……

憧「って! 誤魔化されるとこだった!」

揺杏「ちっ」


憧「変な服作ってしずを煽るのやめてくださいよ!」

揺杏「そんなこと言われても頼まれたから作ってるだけだしなぁー」

揺杏「つーかさ、今日憧ちゃんに服作ってきたじゃん? で、これがその時に余った布なんだけど……」

憧「それがどうかしたんですか?」

揺杏「これをこう……適当に縫い合わせてみると……あら不思議! 普段ーが身に付けてる服のようななにかに!」

憧「はぁ!?」

揺杏「リサイクルで地球にもやさしいし、私も楽しいし、一たちは嬉しいし誰も損しなーい」

憧「いや、私が……」

揺杏「あーそろそろ腹減ったァ」

灼「食べ行こっか……憧はどうする?」

憧「え、ちょ……私はまだいいや」

灼「そ……じゃあ、ちょっと出てくるから」


揺杏「あ、ひとついい?」

憧「……なんですか?」

揺杏「私らに言うよりさー……一や初美さん、それか穏乃本人に言った方がいいんじゃね? マジで」

憧「ぐぬっ……でも、しずに言っても聞いてくれないし……」

揺杏「一番付き合い長い憧ちゃんが言っても聞かないなら私らがどうこうしたとこで変わんなくね?」

憧「むむむ……」

灼「……揺杏」

揺杏「あいよー。 じゃ、またねー」

わかってる……わかってるんだけど……

……とにかく、まだ諦めたくない……手は尽くす!



憧「――というわけで、助けてください!」

胡桃『まかせて!』


――――――

胡桃「こんにちはー」

憧「胡桃さん!」

胡桃「今日は頼もしい助っ人を連れてきたよ!」

エイスリン「Aislinn Wishartデス! ヨロシク!」

憧「新子憧です! よろしくお願いします、エイスリンさん!」

胡桃「……ね、憧ちゃん……今この部屋来るときに高鴨さん見たんだけどさ」

憧「またジャージでしたよね? ほんと……聞く耳持たずって感じで」

胡桃「いや、一緒にいた子がさ、なんか凄い格好してて……ほっぺに星のシール貼った」

憧「……それが龍門渕の国広さんですね」

胡桃「あまりのことに開いた口が塞がらなかったよ……」

エイスリン「ンン……エット、ショウキノサタジャナイネ!」


憧「難しい言葉知ってますね……で、まぁしずがあそこまでいかないうちに何とかしたいんですけど……」

胡桃「聞いたところ、もはや高鴨さんは服を試着すらしてくれない……そこでエイちゃんの出番なわけです! 先生、お願いします!」

エイスリン「ウム、セッシャニマカセルデゴザル!」

……時代劇でも見たのかな?

とにかく、エイスリンさんが手に持ったボードにさらさらとイラストを描き始める

エイスリン「コノモンドコロガメニハイラヌカ!」

バッと掲げたボードには、阿知賀の制服を着たしずのイラストが……

憧「ってすごっ! 速い上に上手い!」

エイスリン「カタジケノウゴザル」

胡桃「エイちゃんがいれば試着要らずだからね! これで視覚から高鴨さんのイメージを膨らませて、こういう服もいいかも、って思わせればこっちの勝ちだよ!」

エイスリン「『勝訴』」

憧「エイスリンさんさっきからなんか違いますよ!?」

エイスリン「ンン……マチガエタ?」

胡桃「エイちゃんはかわいいからオッケーだよ!」


灼「ただいま」

揺杏「ちーす」

純「国広くん来てるかー?」

憧「おかえりー……って井上さん!? 」

揺杏「イケメンお持ち帰りだぜ!」

胡桃「あれ? 鷺森さんと、たしか北海道の……そっちの男の人は知り合い?」

純「オレは女だ!」

エイスリン「オジャマシテマス!」

揺杏「うぉ……コニチハー……あー、ワタシノ、ナマエハ……」

灼「なんで揺杏が片言に……」

純「日本語喋ってんだろ?」

憧「簡単な挨拶ぐらい英語でできるでしょ……」

揺杏「……ついだよ! 恥ずかしいからあんま突っ込むなよなー」


憧「きょ、今日はどうしたんですか?」

純「ちょっと国広くんと連絡つかなくてさー……高鴨のとこ行くって言ってたからさ」

灼「ちょうど下で会った」

揺杏「モデル体型のイケメンが現れたから服作って着せ替え人形にしてやろうかと……で、憧ちゃんはお友だち集めて作戦会議?」

憧「……まぁ、そうですけど」

純「作戦会議? なんの?」

憧「実は……」


――――――

純「あー……なんか、すまんな」

憧「いや、井上さんのせいでは……」

胡桃「とりあえず、すまないと思うなら協力する!」

純「まぁ、暇だしな……よーしまかせろ!」

揺杏「つーかエイちゃんさんマジで絵上手ですねー……純に作る服の案出すからいくつか書き起こしてくれません?」

エイスリン「オッケーデス!」

灼「……穏乃、国広さんと薄墨さんとしばらく買い物してから帰ってくるって」

憧「一、二時間ぐらいは余裕あるかな? それまでにいくつか仕上げてもらってなんとかしましょう!」

胡桃「エイちゃん、高鴨穏乃ちゃんってわかる?」

エイスリン「ワカルヨ! ンン……オヤマノタイショウ!」

胡桃「……山の好きな阿知賀の大将さんだからだいたい合ってるね!」

憧「……まぁ、はい……だいたい合ってますね」


純「描けた! どうだ!」

エイスリン「Oh! ジュン、ハヤイネ!」

憧「……えっ、と」

揺杏「……お、おう」

灼「……味のあるイラスト」

うん、まぁ……かろうじてしずに見えなくもない

あーその、うん、井上さんもちょっとかわいいとこあるじゃない

胡桃「下手くそだね!」

純「うっせーチビ! わかってるよ! これでも頑張ったんだよ!」

胡桃「うるさいそこ! チビって言わない!」

エイスリン「ユアン! ジュン、デキタヨ!」

揺杏「おー……純の後だから余計に上手く見える」

純「いちいち要らんこと言うなよ!」


純「あー……もういいよ!」

バタン!

勢いよく扉が閉まり……井上さんはクローゼットの中に引っ込んでしまった

……拗ねちゃった?

くそっ! イケメンのくせにかわいいな……ギャップ萌えってやつ?

揺杏「よーし……純のはだいたい揃ったから次はどうする? エイちゃんさん? 鹿倉さん?」

胡桃「……いいの?」

揺杏「いいよいいよー! 私個人戦無いからしばらく暇だし」

胡桃「……えっと」

憧「いいじゃないですか! 私が今着てるのも岩館さんに作ってもらったやつで……」

灼「せっかくだしいいんじゃないですか?」

エイスリン「クルミカラ! ニアウフク、カイチャウヨ!」

胡桃「エイちゃん……ありがとう! よろしくね!」


――――――

穏乃「ただいまー」

一「おじゃましまーす」

初美「おや? エイちゃんと胡桃ちゃんがいますよー?」

エイスリン「ハッチャン! オヒサシブリデス! 」

ガチャ

純「国広くんやっと来たかー……誰も相手してくんないから寂しくって……」

一「なんでクローゼットから!? そりゃそんなとこいたら相手されないって!」

純「みんな夢中で……まさか一時間近く放置されるとは……」

一「どうして一時間もそこにいたのさ!?」

純「なんか、自分から出てったら負けな気がして……」

一「なにと戦ってるの!?」


憧「く、胡桃さん……」

胡桃「うん……忘れてたね、高鴨さん……」

揺杏「まぁ忘れてたもんは仕方ないっしょー」

灼「ドンマイ」

つい夢中になってしまった……

っていうか岩館さんわざとやってない?

私をからかって楽しんでる気がするんだけど……

胡桃「うー……とりあえず私たちの絵になっちゃうけど、いくつか抜き出して見てもらおうか」

胡桃「ほら、最悪気に入らなくてもエイちゃんになんか描いてもらおうかなー?とか、そういう気分になるかもだし……」

憧「そうですね……なにもしないよりは……」


一「ところで、夢中になって……純くん放置してみんなはなにしてたの?」

純「んー? ほら、エイスリンに絵を描いてもらって、それを元に揺杏が服を作るんだってよ」

エイスリン「カキマス! ……エイッ! ドウ? シズノデス!」

穏乃「わぁ……すごーい! 」

初美「やっぱりエイちゃんは絵が上手ですねー」

一「かわいいなぁ」

エイスリン「……ソウ?」

穏乃「すごいですっ! これ、もらっていいですか?」

エイスリン「ドウゾ!」

初美「ただ、服のデザインは改良の余地がありますねー」

一「もう少し描いてもらってもいいですか?」

エイスリン「オマカセアレ!」


胡桃「……よし! 候補はこんなところじゃない?」

憧「それじゃあこれをしずに……」

純「新子……すまん! オレには止めることができなかった……」

憧「へ?」

純「ほら……アレ」

井上さんがそう言って指した先には……


穏乃「もうね、刀や王冠に勝つにはこれしかないと思うんですよね……ズバリ! 羽を付けましょう!」

一「その発想力……高鴨さん、やはり天才……!」

エイスリン「wings? アー……コンナ、カンジ?」

初美「おおー! 布削れば本当に飛べちゃうんじゃないですかー?」

穏乃「鳥人間コンテストとか出れますか!?」

揺杏「いや、飛ぶのはさすがに……羽ばたくギミックぐらいは仕込めるかも……」

エイスリン「You can fly! シンジレバソラモトベルヨ!」



胡桃「エイちゃん……目を離した隙に壁の向こう側に……」

憧「」

カン!

エイちゃん…といつもの人たち

次はたぶん…やえさん?華菜ちゃんかも

アコチャーが報われる日は来るのか・・・
咲がスランプ脱却するほうが早そう

ゆうたんイェイ~
なにも準備してませんごめんなさい…明日明後日ぐらいには投下に来たい

>>573咲照は個人戦でおそらく和解できるでしょうが…その頃にはきっと穏乃もはじめちゃんやはっちゃんともっと仲良くなってるでしょうね…


憧「うぅ……やっぱり私たちだけじゃ限界があるんですかね? 他に頼りになる人とかいませんか?」

胡桃「うーん……シロはダルいって協力してくれないだろうし、豊音は純粋すぎて取り込まれそうだし……塞は常識あるけどお団子パッツンにモノクルと、かなり個性的で素養あるようにも見えるよね……」

エイスリン「……カケタヨ! アコチャンデス!」

揺杏「じゃ、次の新作はこれでー」

憧「うわ……(普通に)かわいい! ありがとうございます! それにしてもエイスリンさん、この前はなんであんな……」

エイスリン「?」

胡桃「……この前エイちゃんがはっちゃん達の絵描いたでしょ?」

エイスリン「ウン! ハッチャンモ、ハジメモ、シズノチャンモホメテクレタシ……ミンナヨロコンデタヨ?」

憧「そうなんですけど……最初の目的でいうとアレじゃあ、その、逆効果と言いますか……」

エイちゃん「Why? ……アコチャントクルミ、シズノチャンノエヲカイテッテイッテタ……マチガエタ?」

胡桃「……間違ってないよ! エイちゃんは頑張ったから! ありがとう!」

エイスリン「……ウン! コレカラモガンバルヨ!シズノチャンノエ、イッパイカクヨ!」

憧「……胡桃さん」

胡桃「……エイちゃんはほら、ちょっと趣旨を履き違えてただけだから……」

なんというか、エイちゃん補足…たぶんよくわからないで頑張って絵を描いただけ

もう日付跨いだしゆうたんイェイ~はスルー(あったかくない)
シノハユと日和楽しみです。今晩か明日になにかしら投下したい

話の構成的には本編よりシノハユの方が好きかもしれません
閑無→リチャのちょっと背伸びした初恋とか書いてみたい
投下しときます



私には力があった……いや、あると思っていた


仲間の信頼、周囲の期待、多くのものを背負って戦い……最後には勝つ自信があった



きっと、この子も私と同じだったと思う

多少立場は違えど、そこで自分の戦いが終わるなんて思いもしなかっただろう

昔のこともあるし……正直、恨まれてすらいるんじゃないかと思っていた

やえ「赤土さん、こんにちは……団体戦、おめでとうございます」

晴絵「小走さん、ありがとう……東京に出てきたんだね」

やえ「そろそろ個人戦も始まりますから……今日は、たまたま近くまで来たので挨拶しておこうかと」


晴絵「そっか、わざわざごめんね? 今日はみんな出ててさ」

やえ「べ、別にわざわざ来たわけじゃないですし……たまたまですから、たまたま!」

頬を染めてそっぽを向く小走さん……結構分かりやすい子だ

これは、今流行りのツンデレってやつだよな?

やえ「……といいますか、今回はむしろ……その、どちらかというと、赤土さんにお会いしたかったので」

晴絵「私に?」

これはただの照れ隠しか? 灼と仲いいみたいだし、そっちだと思ったんだけど

小走さんからの用事って特に思い当たらないけど……まさか……

晴絵「……十年前と、団体戦のお礼参り?」

やえ「どうしてそんな発想がでてくるのよ!? 違うっつーの!」


やえ「っと……すいません、つい」

晴絵「あはは……こっちこそごめんね? 冗談だよ、一応」

やえ「一応って……まぁたしかに、また赤土晴絵にやられたって上の方は悔しがってましたけどね」

晴絵「ま、だろうね……晩成の歴史中二つの傷……その両方に私が関わっていることになるからな……」

晩成高校は40年間で39回の県大会優勝というとてつもない記録を打ち立てている

私の代で負かされるまでインターハイ30年連続出場……一度は記録が途切れたものの、その後もまた勝ち続けて9年連続出場をしていた

北大阪の千里山女子が過去35回出場、現在11連続出場……東東京の臨海女子が現在16年連続出場と、名門校と呼ばれる中でも別格の記録だ

晴絵「……実際のところ、晩成のエースで部長の小走さんとしては私に対して思うところもあるんじゃないのか?」


やえ「えっと、その……」

晴絵「……ごめん、ちょっと意地悪だったな……私も、インハイに関してはちょっとね」

……みんなの手でインターハイに連れてきてもらって、やっと一歩前に踏み出すことができたとは思う

それでも、やっぱり私にとってインターハイは特別なものだ

多少は気持ちも落ち着いたけど……まだ、冷静にはなりきれていないところもあるみたいだ

今となっては、期待を受けながら敗北した……晩成側の気持ちもわかってしまうだけに、どちらかというと私が小走さんに対して思うところがあるのかもな……


やえ「……そりゃ、なんとも思ってないわけじゃありませんけど、少なくとも恨んだりはしてませんよ」

晴絵「……そうかい?」

やえ「恨んでたら、壮行試合なんて組みませんよ」

晴絵「それもそうだね……ありがとう、あの時は本当に助かったよ」

やえ「いえ、こちらとしても……負けたのは悔しかったですし、単純にもう一度打ちたかったのもありましたから」

やえ「インターハイ……今年こそは、という気持ちもありましたし……団体でやられた分、個人戦で雪辱するつもりだったんですけどね」

晴絵「うちは個人戦登録してなかったからなぁ」

やえ「私としては、インターハイ前にその分打たせてもらったって思ってます……負けっぱなしで、悔いを残してインターハイに挑みたくはなかったので」


晴絵「そっか……私さ、小走さんと晩成には本当に驚いたよ」

晴絵「正直、団体戦でも玄相手に一万点以上プラスを維持されるとは思わなかったし……チーム全体でもあそこまで巻き返されるとは思ってなかったからね……壮行試合の時はかなりの勢いでうちの子たちやられてたしね」

みんなには晩成に勝つのは厳しい、なんて言っていたけど……実際、うちは特殊な打ち手を抱えているし情報アドバンテージを加味して大会では8-2有利ぐらいに考えていたが……想定以上に地力のあるチームだった

もし、県決勝で当たるようなことになっていたら本格的に危なかったかもしれない

やえ「……私は、今年のメンバーは私のいた三年間で一番だったと思ってますよ」

晴絵「うん……小走さん自身も去年よりレベルアップしているのがよくわかったし……巽さんは特によかったね、二年生で晩成の大将を任されるだけはある」

晴絵「……個人戦、応援してるよ……敵の私に言われても複雑かもしれないけどさ」


やえ「……いえ、素直に嬉しいです……その、この間のラジオも聞きました」

晴絵「うぇ……恥ずかしいな……結構酷かったろ?私」

やえ「詳しい情報を発信できない中で、各選手の考察なんかもしっかりしてたと思いますよ……酷かったのは福与アナでしょう」

晴絵「あはは……はしゃぎにはしゃいでたね、こーこちゃんは」

やえ「ちょっとキャラ強すぎじゃないですか? 小鍛治プロと相性いいみたいですしなにかやらかさなきゃ干されはしないと思いますけど」

やえ「って、その話は今はいいんですよ! その……赤土さんに期待しているって言われたこと……本当に嬉しかったんです、例えテレビ的なことだったとしても」

晴絵「……期待してるってのは本当だよ。 小走さんは実力もあるし、世話にもなった……それに、私も奈良の人間だしね……同郷の子に頑張ってほしいさ」

やえ「ふふ……私も、阿知賀の応援してましたよ。 県人未踏の決勝戦……私の手で果たしたかったんですけどね」


やえ「……その、阿知賀のみんなほどではないと思いますけど、私にとっても赤土晴絵は特別な雀士なんです」

晴絵「……私が?」

やえ「はい……私だけでなく、奈良の雀士にとっては多かれ少なかれ特別な雀士だと思いますよ、赤土晴絵は」

晴絵「…………」

やえ「県大会前、コンビニの前で一度見かけましたけど……夜中だったのに後輩の車井はすぐにわかったみたいですし、岡橋も名前を聞いてピンと来たみたいですし……」

やえ「それに、インハイの時期になると王者晩成! ってすぐに騒がれますけど、晩成の話題になれば赤土晴絵の名前も大概出てきますしね……」

晴絵「……そう言われてみると、たしかに奈良では知名度がある方なのかもな」


やえ「赤土さんが晩成を破った十年前のインターハイ……私はその頃には麻雀牌を握っていて、マメもできないほど練習に打ち込んでました」

やえ「大きくなったら晩成高校に入ってインターハイに出て、プロ雀士になるんだ! ってその頃からの夢でしたよ」

晴絵「ま、私もそんな感じだったよ。 偏差値70の壁があったから晩成は諦めたけどね……」

やえ「その頃から私は麻雀以外の時間は勉強してましたけどね」

晴絵「私は勉強嫌いだったんだよ……」

やえ「ふふ……ま、晩成高校は県内の幼年雀士の憧れで……衝撃的でしたよ」

やえ「晩成高校の敗北と……赤土晴絵の登場は」


晴絵「……すぐに消えちゃったけどね」

やえ「それでも、県民にとって……私にとって王者晩成は絶対的な強さの象徴でしたから」

やえ「……強い、ってのは子どもが憧れるのに十分な要素ですよ」

晴絵「…………」

やえ「赤土さんが当時の小鍛治健夜や瑞原はやり、野依理沙と打って……敗北したとはいえ、その対局は多くの人の心に残ってます」

晴絵「……酷い負け方したからね」

やえ「敗北のイメージが強かったら根強い人気はないと思いますよ」

やえ「……灼だって、赤土さんが帰ってきたのを出迎えたんでしょう?」



『はるちゃんお帰りなさい! 』


『インターハイカッコよかったです! 』


『これからも応援してます!』



晴絵「…………」

なんか、結構覚えてるもんだな……

ちんまい灼が木の陰からパッと出てきてさ……

……ヤバい、なんか泣きそ

最近涙腺ゆるみっぱなしだ

やえ「結果的には敗戦も……対局相手は現在のトッププロ三人です」

やえ「赤土さんの実力は日本リーグでの活躍でも証明されてると思いますし……」

やえ「私も……憧れの、目標の雀士である赤土晴絵に……期待していると、そう言われて……本当に嬉しかったんですよ」

やえ「だから、その、なんというか……今日はまぁ、感謝といいますか……」

晴絵「あはは……サインでもしよっか?」

やえ「……い、いただけるなら」

晴絵「マジでかー」


やえ「……壮行試合の時とか結構緊張してました」

晴絵「……インターハイで、地元以外にファンがついてるとは思わなかったよ」

やえ「赤土さんも、もっと自分に自信を持ってくださいよ」

やえ「結果も出てますし……いつまでも自分を卑下しているようじゃ、灼や阿知賀のみんなもかわいそうです」

晴絵「……そうだな」

……高校生に説教されてるよ、私

カッコ悪いなぁ……


晴絵「あのさ、灼たちはもう知ってるけど……私、プロになろうと思ってる」

やえ「……!」

晴絵「あ、これ内緒だぞ? まだいろいろ白紙だし」

晴絵「なんか……踏ん切りつけたつもりだったんだけどなぁ」

……まぁ、あの頃のことは忘れられることじゃないか

精々引きずらないように、しっかり抱えて行くとしよう

やえ「……陰ながら応援してます」

晴絵「ありがと……もしかしたら私より先に小走さんがプロ入りするかもしれないけどね」


憧「あれ? ハルエと……小走さん?」

灼「来てたんだ?」

やえ「……ついさっきね」

晴絵「おかえりー」

玄「ただいま帰りました!」

穏乃「こんにちは!」

やえ「どーも……団体戦おめでとね」

宥「ありがとうございます~」


やえ「どうだった? 全国の雀士は?」

穏乃「すっごく強くて、すっごく楽しかったです!」

憧「大会外でも去年二位の荒川さんとかいろんな人と打たせてもらってるんですよー」

玄「チャンピオンが強くて……」

やえ「そりゃ弱かったらチャンピオンじゃないでしょ」

宥「玄ちゃんが一番大変だったから……」

灼「……個人戦も始まるし、次はそっちの番だね」

やえ「ええ……個人戦、始まるわね」


やっぱり……なんだかんだ仲良くやってるなぁ、この子ら

晴絵「……どうだい? 勝算のほどは」

宥「小走さんもとっても巧いけど、全国の雀士はやっぱりレベル高かったよ?」

玄「チャンピオンに勝つのは大変だと思いますけど……」

やえ「……まぁ心配しなさんな」

灼「私はあまり心配してないけどね」

憧「ふふ……全国にニワカ雀士はいませんよ?」

穏乃「やっぱりなにか作戦があるんですね!?」


……小走さんは私に似た雀士かもしれない

やえ「私は私の麻雀を打つだけよ」

県大会以降の取り組みを見ていても、玄を中心にうちの選手の少ない牌譜からよく研究をされていた

やえ「団体戦はあんたたちにやられちゃったけどね……」

思考は止めず……基本に忠実に、時に大胆に打ち回す……彼女が私と違うところと言えば

やえ「私たちは個人戦の奈良代表としてまだ残ってる……全国の舞台で、存分に戦えるわ」

彼女が、晩成の人間だということだ



やえ「お見せしよう……王者の打ち筋を!」


カン!


眠いです…矛盾点とかあったらさーせん
気づいたら打ちきり少年漫画みたいになってた

実際、他校と晩成の記録を見比べるととんでもないし、その晩成を倒したハルちゃんは奈良県内では相当の評価がされてるとおも…



ギバ子たち見たいけどたぶん東京には来ないだろうしなぁ

ハルちゃんも王者もかっこいいな
てかそう考えれば確かに晩成もハルちゃんも咲の世界でさえかなりヤバい存在なんだな

最新話ではややーっしてたの「ッラァ!!」の人たちじゃないですか?まふふに仲裁されたあと仲良くなったんだとしたら癒し案件すぎる

>>602奈良で望さん+初瀬+こどもクラブメンバーで番外編ですかね!知らんけど
>>603数字を元にした結構荒い晩成考察ですけどね…名門校としておそらく近場の姫松や千里山と人材も喰いあってるんでしょうが、地元の強豪中学(阿太中)でレギュラー張ってたと思われる初瀬がベンチ入りすらできないみたいですし、育成のほうも十分になされてると思います。栗巣陵などのプロも輩出しているようですし…って長文失礼

1000までは続けたいと思っています。キャラ名等挙げていただけると嬉しいです

ストック:華菜、爽、玉子(登場済み:咲憧、咲穏、由子)
たぶん漏れはないはず…のんやり消化予定です

こどもたち出るんですかやったー!

そういえば和がちらっとしか出てないね

明華との絡み見たい
傘で空飛ぶとかロマン

話作るの上手いな

ハギヨシと京太郎

一緒か別々かは>>1に任せる

ハギ京純のイケメントリオに囲まれてわたわたする女子校勢とかいいね

なんかいっぱいレスついてる!ありがとうございますうれしいです
順不同で全て拾っていきますがよろしく。ハルちゃんやえさんだったしタイミング的にここかと思うので次は子供達で…木金どっちかに来ます

>>606そういえばマホのときにちょっと出ただけでしたね…阿知賀なのに和の話まったくしてない…
>>613揺杏「空飛ぶ服作らないといけないのか」
>>洋榎 ボケもツッコミもこなすから万能キャラに見えて仕方ないですわ
>>615めっちゃ嬉しかったので今後とも精進します
>>616男子了解。この場合はハギヨシさんより京太郎の方が難しい気もするなぁ
>>617あこちゃー一人でわたわたしてそう

正直>>1の話は全部面白いから俺はリクしないわ
あと誰が出たか出てないか覚えてない(小声)

はやりんをリクエストします
すこやんとの絡みなら最高
シノハユ0話から友人ぽいのに本編では描かれて無いので

あんまり褒められるとそれはそれでドキドキする…
>>619被っても他のリクキャラと学校被れば出番融通しやすいし歓迎ですよー
>>621一応阿知賀スレなのでハルちゃん交えた10年前先鋒組になるかと思います…シノハユ続けばそこらの描写も出てくるんでしょうけど何年かかるんだってとこなんですよねー

投下します
望さん+初瀬+子供達で



私の頃も同世代の雀士は少なかったし、麻雀を打つ場もなかなか無かった


だから、子どもたちにこういう場を用意してあげられることがとってもうれしいんだ



桜子「こんにちはー!」

望「いらっしゃい! ひなちゃんたちもう来てるよー」

望「団体戦の時にみんなでテレビ見た部屋! 今録画見ながら研究会してると思う!」

桜子「わかりましたっ!」

ドタバタと廊下を駆ける桜子ちゃんの姿を見てるといろいろと懐かしい気持ちになる

私たちの頃は晴絵があんな感じだったかな? いや、もう少し落ち着いてたか……

ちょっと前までは穏乃ちゃんがあんな感じだったっけ


今日はみんな来てるから……こどもクラブの子達7人に初瀬ちゃんと私とで9人か

人数分のお茶を用意して部屋に向かう

綾「岡橋先輩、今のところの打ち回し不自然じゃありませんでしたか?」

初瀬「松実……玄さんが卓にいるから、ドラ表示牌も実質使えないし危険も多いから……」

望「お茶入れてきたよー……初瀬ちゃん、来年に向けて玄ちゃんの研究はバッチリな感じかな?」

初瀬「あ、望さんありがとうございます……県予選敗退したその日のうちに小走先輩たちが牌譜かき集めて研究してたんで、その受け売りです」

望「玄ちゃんは癖強い上に一撃必殺だからねぇ……部活の方はいいの?」

初瀬「個人戦参加者以外は当分自主練です……進学校でもありますから」

未来「ってことはやっぱり晩成は宿題いっぱい出るんですか?」

初瀬「そりゃもう、かなり出るよー」

凛「大丈夫なんですか? こんなところにいて……」

望「人の家をこんなところとは言うようになったねー」

凛「ご、ごめんなさい! そういうつもりでは……」


初瀬「ま、私はもうほとんど終わらせちゃったから」

「「「「「「「!?」」」」」」」

初瀬「……え、なに?」

春菜「ま、まだ8月半ばですよ……?」

初瀬「うん……でも、団体戦も全国行ける予定だったから……宿題終わらせとかないと応援も連れてってもらえないからね」

よし子「あ、そういえば個人戦は応援いかないんですか?」

初瀬「個人戦だけになると応援よりも勉強しなさい、だって……まぁ、学校の方針ね」

望「憧は今年はインハイ優先で帰ったら宿題3日で終わらす、なんて言ってたけどねー」

ひな「み、3日で……?」

初瀬「ま、私もこうなった以上さっさと宿題終わらせて麻雀の特訓するなり遊ぶなりしたいので……」


綾「……宿題、終わってる?」

よし子「あー……中学上がったら量増えたよね……」

桜子「あとは算数と自由研究ぐらいかなー」

凛「桜子意外とやってるね!?」

春菜「私もあと半分くらいかな……」

未来「少しは進めてるけどまだ終わるってほどでは……」

ひな「……今日はみんなで宿題を終わらせたい所存ー」

望「麻雀の勉強会から普通の勉強会にシフトかー」

初瀬「ま、せっかくだしお手伝いしますかー」


初瀬「うわ、このプリント私もやったわ」

よし子「あ、初瀬さんも阿太中でしたっけ」

初瀬「そうそう……この教科教え方下手くそで苦労したなぁ」

綾「英語のプリント……終わってるんだけど、合ってますか?」

望「どれどれ……うん、大丈夫だと思うよ」

凛「自由研究かー……いっそ共同でやっちゃわない?」

春菜「うん、同じクラスだしそれもありかな……でも、それならそこそこしっかりしたのじゃないとだよね……」

桜子「インハイの牌譜まとめて考察と一緒に提出とかじゃダメかなー?」

望「んー吉野山小も地元だし、レジェンド効果でいけるかもね」

ひな「それなら私も混ぜてもらいたい所存ー」

未来「同じ阿知賀こども麻雀クラブの誼でよろしく!」


初瀬「それじゃ、みんなでささっとプリント終わらせてまたインハイの映像見よっか……わからないところがあったら教えてあげるから、丸写しはダメだよ?」

「「「「「「「はーい」」」」」」」

……初瀬ちゃん、こどもたちと顔合わせて一週間程度なのにすっかりお姉さん役で馴染んでるなぁ

ここらじゃ晩成の生徒ってだけで一種憧れの対象になるし、憧と似てるところもあるから結構話しやすいのかもしれない

望「よーし、みんな頑張って宿題終わらせてね! アイス買ってきてあるからあとで出したげる!」

こどもたちが盛り上がるのを確認してから席を立つ

お利口さん揃いで初瀬ちゃんもついてることだし心配はいらないだろう

そろそろ境内の掃除をする時間だ


憧が小学校を卒業してから、こんなにこどもたちが集まることはなかったので私もちょっとテンションが高い

退屈な掃除もなんとなく楽しい気分になる

望「やっぱり、懐かしいな……」

高校を卒業しても燻ってる晴絵のやつを見てられなくて、リハビリにこどもたちに麻雀教えたら? なんて言ったんだっけ

さすがにうちに大人数で卓は囲めないから私が学校の方に頼み込んで場所を借りて、憧が近所のこどもたちを集めて……

今の阿知賀のメンバーも元はあの教室に参加していた憧と穏乃ちゃん、玄ちゃんを中心にスタートして……その姉の宥ちゃん、晴絵のファンだった灼ちゃんか

私たちが過ごしたあの部室で、今は憧たちが麻雀を打って……もう何年かすれば綾ちゃんや桜子ちゃんたちが同じように過ごすのかもしれないと思うと感慨深い


望「……やめやめ、おばあちゃんじゃないんだから」

この時期はつい感傷に浸ってしまう

今年は特に、憧がインターハイに参加しているってのもあるけど……

晴絵が自信や誇りを失い、結果として全てであった麻雀を失った季節で……私にとっても頼れるチームメイトであり、親友を失った季節でもある

あの一戦から少し暗くなり、自虐的になった晴絵が、憧たちと麻雀に触れることで少しずつ回復してきて……

今回のインターハイで昔みたいに明るく自信に溢れた赤土晴絵が帰ってきてくれるといいな、と思う

……私が直接復活させてやれなかったのは少し悔しいけどね


望「……結局しんみり過去を振り返ってるなぁ」

これは良くない……辛気くさい顔をしてれば幸運も逃げていくし美人も台無しだ

……さっきから晴絵と憧のことばっか思い出すし、かわいい妹と10日も顔を会わせてないしちょっと寂しくなってるのかもしれない

望「この前電話かかってきたと思ったらすぐ切られちゃったしなぁ……」

ついうれしくなってからかったのがいけなかったのか

まぁ切ったってことは憧のやつも図星だったんだろうけど

望「ま、今度は私の方から電話してみますか」

時計を見るとおやつにはちょうどいい時間だ

こどもたちの声も聞こえるし、宿題も一段落したんだろう

アイス持ってってあげるとしましょうかね


望「どう? 宿題終わったー?」

綾「終わりましたー」

桜子「日記も書き終わったよ!」

凛「それは終わってたらダメでしょ!?」

未来「インハイ見よー」

よし子「自由研究で出すなら量的にも全部は無理だよね?」

ひな「決勝を使いたい所存ー」

春菜「それじゃあ決勝の牌譜作って……」

初瀬「あ、決勝の牌譜人数分コピーしてきてるからそれ使ってやろっか」

「「「「「「「!?」」」」」」」

望「……初瀬ちゃん優秀」

初瀬「今日はもともとインハイの映像見ながら研究会したいって言ってたんで……用意しといた方が便利かなって」


綾「岡橋先輩すごーい……」

よし子「できる女って感じ?」

初瀬「え、いや、どうせ自分の勉強にも使うから……ちょっとコピーしてきただけで……」

凛「さすが晩成……」

春菜「謙遜が奥ゆかしいね」

初瀬「ちょ、やめてよ……やりづらいって」

ひな「是非ご指導いただきたい所存ー」

未来「先生ー」

桜子「初瀬先生ー!」


……これは憧が帰ってきたら拗ねるわね

子どもたちを初瀬ちゃんに取られ、初瀬ちゃんを子どもたちに取られ……

まぁ、インハイ頑張ってたし私がその分かまってあげるとしよう

初瀬「はいはい、ほらテレビつけるよー」

桜子「くろちゃんだー! テレビー!」

綾「録画だよ……?」

よし子「でも、知り合い映ってるとちょっとテンション上がるわ」

凛「それはわかるかもー」


――――――

初瀬「うーん……」

未来「ど、どうですか?」

ひな「悪いところが有れば言ってほしい所存ー」

初瀬「あ、いやみんなまだ小学生……綾ちゃんとよし子ちゃんは中1か……にしては考察とかしっかりしてるな、と」

春菜「ほめられちゃったー」

望「子どもとはいえ、一応晴絵が指導してたからねー」

初瀬「はぁ……さすが阿知賀のレジェンドってとこですかね」

綾「岡橋先輩のお陰でかなり早く完成しちゃったね」

よし子「もともとちょくちょく決勝は見てたし、スムーズに進んだね」

桜子「少し時間あるし打ちたいなー」

ひな「賛成ー」

望「じゃ、牌とマット持ってくるよ……1セットしかないから順番に打ってねー」


よし子「ツモ! 2000・3900!」

春菜「うわわ……きっついなぁ」

桜子「四人で打つの久々で楽しい!」

綾「ねー」

未来「私も打ちたいなぁ」

ひな「東風で早く回したい所存ー」

凛「賛成! 早く打ちたーい!」

初瀬「へぇ……」

望「初瀬ちゃんどう? うちの子たちは」

初瀬「打つ方も年のわりにしっかりしてますね……よし子ちゃんなんて冬には団体レギュラー入れるんじゃないですか?」

よし子「ほんとですか!?」

初瀬「私が見てないうちに後輩が伸びてたらわからないけど、印象的には2年……じゃなくて今は3年か……あの子ら抜けたら余裕じゃない?」


よし子「……実は、まあ団体狙えるかなーとは思ってたんですけど」

綾「えー……まじかー」

よし子「綾も頑張んなよー」

綾「阿知賀は中等部に麻雀部ないもん……」

桜子「来年になれば私たちが入るし待っててよ!」

凛「……でも、人数揃うかわからないなら阿太中行くのもありだよねー」

春菜「そこら辺はやっぱり悩むよねー」

望「……ま、私たちの時もだったけど……麻雀するなら進学先はよく考えないとね」

初瀬「……そうですね」


望「……どうしたの?」

初瀬「……その、憧は結局阿知賀に進学したじゃないですか?」

望「……ああ」

ずっと晩成行くって話してたけど、結局昔一緒に打ってた穏乃ちゃんや玄ちゃんと麻雀打つことに決めたんだもんね

阿太中で3年間一緒に過ごした初瀬ちゃんとしては複雑だよね……

初瀬「今は……それ自体はまぁ納得してるんですけどね……少しは相談するなりしてほしかったとは思いますけど」

望「……中学で憧が一番仲良くしてたのは初瀬ちゃんだったからね……ここらでは麻雀やってれば晩成目指すのが当然だし、言いにくかったんだろうね……」


初瀬「……憧は計算できるやつだから、阿知賀に行くなんてなにやってんだって思いましたけど……今年はあいつがインハイ行ってるんですよね……」

望「正直私も1年目でインハイ行くのは難しいと思ってたんだけどねぇ」

初瀬「無理じゃなくて難しいな辺り、望さんは憧のこと信頼してますよね……」

望「自慢の妹だからね……優秀なコーチもついてたし」

初瀬「ほんっと悔しいなぁ……あいつ、すごく上手くなったし……」

望「……このまま終わるつもりじゃないんでしょ?」

初瀬「もちろんです! とりあえず来年までに……いや、冬には団体メンバー入りして王座奪還しますからね!」


桜子「ツモ!8000オール!」

よし子「はぁ!?」

春菜「と、トビです……」

綾「桜子バカヅキだね……」

未来「交替ねー」

ひな「打とう打とう!」

凛「よかったら初瀬さんもどうですか?」

初瀬「えっ? ……いいの?」

桜子「どうぞー!」

よし子「先輩の腕のほどを見せてもらいますかー」

綾「晩成の実力見せてください!」

初瀬「ありゃ……後輩もいるし、晩成の名を背負うとなるとこれは負けられないなぁ」


望「……せっかく麻雀打てるんだし、今日はうちで夕飯食べてきなよ」

初瀬「え!? さ、さすがにそこまでお世話になるのは……」

桜子「やったー!」

未来「今日はいっぱい打てるねー!」

春菜「望さん料理も上手だよねー」

望「みんなの家には連絡しとくからゆっくりしていきなよ……ね?」

初瀬「……この盛り上がりようだと帰りづらいですし……お世話になります」

望「なんならあとで相手してあげるよ……これでもインハイ出場経験あるんだよ?」

初瀬「……! そうでしたね……勉強させてもらいます!」


初瀬ちゃんも、子どもたちもこうしてみるとしっかり雀士の顔をしている

みんながこれからどこまで成長するか楽しみだ

……憧は阿太中に進学して穏乃ちゃんや玄ちゃんと別れて、高校で初瀬ちゃんと別れて阿知賀に進んだ

もう何年かすると憧たちと入れ違いで綾ちゃんとよし子ちゃんが高校に上がる

……あの子たちも晩成か阿知賀かで悩んで、学校も別れることになるのかもしれない

望「……ま、心配はいらないか」

私も晴絵が麻雀から離れても付き合いがあったわけだし、憧だって今は穏乃ちゃんとも初瀬ちゃんとも仲がいい

学校が離れたとしてもこの子たちなら仲良くやっていけるだろう


……少し時間あるなぁ

望「……もしもし? 憧?」

憧『お姉ちゃん? どうしたの? ……さては、そっちが寂しくなっちゃったんじゃないの?』

望「実はそうなのよねー……かわいい妹に会えないから寂しくって」

憧『ふきゅ』

望「そっちはどう?」

憧『え、えっと……その、わ、私も』

望「あ、こっちはあんまり寂しいから今日は子どもたちと初瀬ちゃん呼んで遊んでたのよー」

憧『えっ』

望「子どもたちも初瀬ちゃんにすぐなついてねー……みんなもう超仲良し!」

憧『えっ』

望「私もあとでみんなと麻雀打つのよねー……最後に打ったの憧が小学生の頃だから負けちゃわないか心配だわ」

憧『……お姉ちゃんのバカ!』

切られちゃった


望「あぁもう……かわいいなぁうちの妹は」

憧と長いこと打ってないのに他の子と打つってことで妬いてるんだろう

……でも、私としても? やっぱり次打つときはお姉ちゃん強い! かっこいい! ってやりたいわけで

今のうちから勝負勘を取り戻しておきたいのですよ



望「というわけで……気合い入れていきますかっ!」


カン!


なんだかリクの意図からずれてる気もしますがご容赦を…
阿知賀は地縁結合っぽいから新子家は神社だし顔も広いのかなーと思います
憧に対して子供たちは特に懐いているように見えますし、新子家も子供たちの集合場所にもなってますし

初瀬も進学先教えてもらえなかったとかネタにされてるけど憧としても阿知賀進学は言いづらかったと思います
なんだかんだ再開後は仲良くしてましたし

火曜夜には投下したいです(願望)
男子予定。京太郎とかいろいろ見直してたら時間かかってしまった…

すっかり遅くなってしまいましたが投下します



個人戦に向けて頑張る和ちゃん、宮永さん、福路さん


みんなにはお世話になったし、今度は私がお返ししないと!



玄「おや? 龍門渕の執事さんと、清澄の……」

京太郎「あ、ども……須賀です。 須賀京太郎」

ハギヨシ「こんにちは、松実さん」

玄「これはこれは失礼をば……須賀くん、萩原さん、こんにちは」

ハギヨシ「本日はどうされました?」

玄「和ちゃんたちが練習頑張っているので……そろそろ軽く食べられるものでも用意しようかと思いまして」

京太郎「え……もうそんな時間ですか?」

ハギヨシ「松実さんが気を遣われなくても、私が用意いたしますよ?」

玄「みんなのためになにかしたくって……お邪魔でなければお手伝いさせてくれませんか?」

ハギヨシ「……お断りするのも悪いですし、お願いしましょうか」


京太郎「じゃあ片付けますんで……ハギヨシさん、ありがとうございます」

ハギヨシ「……いや、そのままで結構ですよ。 せっかくですから須賀くんの腕前を披露しましょうか」

京太郎「マジですか? ……まぁ、料理のできる男はモテるっていうしアピールとしては……」

須賀くんがブツブツとなにやら呟いている

そういえば、厨房だから食材が並んでいることに違和感はなかったけど……男の人が二人で厨房にいるのって結構珍しいなぁ

玄「もしかして、お料理の途中でしたか?」

ハギヨシ「須賀くんがタコスの作り方を覚えたいとおっしゃられたので……私には幸い多少心得があったものですから」

なるほど、お料理のお勉強かぁ


玄「タコスってことは……片岡さんの?」

ハギヨシ「そうなりますね」

仲良しなんだなぁ……ちょっと羨ましいかも

地元にはただでさえ同世代が少ない上に女子校に通っていると男の子と知り合う機会もないしなぁ

京太郎「……松実さん?」

玄「はい?」

京太郎「……松実さん的にはどうですかね? 料理のできる男ってのは 」

玄「……料理のできる男の子、かぁ」


玄「うーん……素敵だと思います」

京太郎「っしゃ!」

玄「けど……」

京太郎「けど!?」

玄「私は、どちらかと言えば自分の作ったお料理を食べてもらいたいかなぁ」

京太郎「なるほど……

ハギヨシ「お相手の方が料理をできるようなら、学生のうちはお弁当の交換なんかもできるかもしれませんね」

玄「それはとっても素敵ですね!」


京太郎「松実さんの手料理……」

玄「そうだ! せっかくお手伝いに来たんですからなにか作ろっか?」

京太郎「…………」

玄「……須賀くん?」

ハギヨシ「……とりあえず、須賀くんはすぐに自分の世界に入ってしまう癖を直した方がいいですね」

京太郎「うへへ……」

玄「……えっと」

ハギヨシ「……そのうち帰ってくるでしょうから、準備を進めておきましょうか」

玄「おまかせあれ!」


玄「……とはいえ、私タコスって作ったことないんですけど……」

ハギヨシ「心配なさらずとも難しい料理ではありませんから……何かあれば私がお教えしますよ」

京太郎「ハギヨシさんそんな、手取り足取りなんて……」

ハギヨシ「言ってませんよ。 帰ってきたのなら少し落ち着いてください」

京太郎「はーい……とりあえずここは任せてくださいよ! せっかく教えてもらってるんだし、できるところ見せたいですし!」

ハギヨシ「……料理ができるのとタコスが作れるのではだいぶ話が違うとは思いますが……」

玄「でも須賀くん、結構な包丁さばきですね」

京太郎「そうですか?」

ハギヨシ「ほら、刃物を扱うときはよそ見をしないで……危ないですよ」


京太郎「あの! 松実さんは彼氏とかいらっしゃるんですか?」

玄「えぇ? 私はそういうの全然だよ~」

京太郎「マジですか? それじゃあ……」

玄「あ、須賀くんは片岡さんとお付き合いしてるんだよね?」

京太郎「違いますよ!?」

あれ?

玄「違うの?」

京太郎「違います!」

それこそお弁当……というか、タコスの交換をしているみたいだからそういうことかなーと思ったんだけど


玄「あ、宮永さんとお付き合いしてるんだっけ?」

そういえば、灼ちゃんが宮永さんが部活の男の子の話をよくするって言ってたような……

京太郎「いやいやいや! そんな事実はありませんよ!?」

あれー?

玄「違うんだ?」

京太郎「違います!」

共学だからってそういう話があるわけじゃないんだね……

京太郎「なんでそういう話になってるのかはわかりませんけど、俺としてはもっとこう……大きい、松実さんぐらいの……」

ハギヨシ「須賀くん、その発言がどう取られるか落ち着いて考えてみましょうか」


玄「私、宮永さんとそんなにかわらないよ?」

京太郎「はい?」

玄「私も宮永さんも150ちょっとだよね?」

京太郎「……ああ、はい、 そうですね! そういえば!」

須賀くん、なんだか慌ててる? どうかしたのかな?

ハギヨシ「まったく……もう少し発言には気をつけていただかないと見ていてハラハラするといいますか……ああ、須賀くん手が止まっていますよ」

京太郎「あ、すいません」

玄「……?」


玄「……そういえば、萩原さんはご結婚とかされてるんですか?」

ハギヨシ「おや、こちらに矛先が来ましたか……残念ながら私は独り身ですよ」

京太郎「え、ハギヨシさんフリーなんですか?」

ハギヨシ「……私に興味がおありで?」

玄「え……」

京太郎「ちょっ!? 違いますってば! なんでそうなるんですか!」

ハギヨシ「もちろん、冗談ですよ? ……私もなかなか女性と知り合う機会もありませんので……」

京太郎「龍門渕さんのお屋敷って結構女所帯じゃないですか?」

ハギヨシ「職場恋愛はあまり気が進みませんね……例えば、屋敷のメイドが相手だとしますと……私の立場ですとパワハラになりかねませんし」

玄「お嬢様と禁断の恋とかないんですか!?」

ハギヨシ「物語の中ならばロマンチックで素敵だと思いますが……透華お嬢様に手を出そうものなら私の首が物理的にトビかねないので……」


京太郎「はぁ……ハギヨシさんですら恋人いないとなると俺はどうしたら……」

玄「ハギヨシさん、とっても素敵な人なのにね……」

ハギヨシ「……ああ、それでは参考までに松実さんの好みの男性のタイプなど教えていただけませんか? 簡単にで構いませんので」

玄「私の、ですか? そうですねぇ……」

私の話で参考になるのかなぁ……?

京太郎「ハギヨシさん……!」

ハギヨシ「いいってことですよ」

玄「?」

なんの話だろう?


玄「やっぱり、優しくて頼りになる人がいいですね!」

ハギヨシ「なるほど……そうなるとやはり、身長なんかは高い方がいいんでしょうか? 例えば、須賀くんは180ほどありますが」

玄「言われてみるとそうですね……あまり容姿にこだわりはないですけど、背が高い人の方が頼り甲斐があるように見えるかもしれませんねぇ」

……須賀くんが小さくガッツポーズしてるけどどうしたのかな?

あ、野菜とっても上手に切れてるし嬉しかったのかな?

ハギヨシ「ありがとうございます……とても参考になりました。 私もまだまだ精進が必要ですね」

玄「いえいえ、お役に立てたのなら良かったです」


京太郎「それにしてもハギヨシさんがまだまだ精進って……今のままでも十分なんでもできるじゃないですか」

ハギヨシ「私などまだまだですよ……主に求められれば常に応えられるようにありたいですし、成長し続けなければいけません」

玄「立派ですねぇ……」

それにしても、萩原さんはすごいなぁ

インハイ前に龍門渕と練習試合したときにお屋敷に招待されたけど、あの広いお屋敷でたくさんの使用人さんを取り仕切っているらしいし……

その、こだわりはないって言っちゃったけど、すっごい整った顔だちで物語の王子様みたいだし、とっても立派な人だし……

そういえば須賀くんより身長も高いし、もしかしたら190近いんじゃないかな?

玄「……あれ?」

ハギヨシ「どうされました?」

玄「私の理想のタイプって……もしかして萩原さん?」

京太郎「!?」

ハギヨシ「……はい?」


ハギヨシ「あの……私の聞き間違いでしょうか? あと、須賀くんは私を睨まないでください」

玄「いえ、だって考えれば考えるほど萩原さんとっても素敵な人だなって!」

ハギヨシ「ど、どこかで考え違いをされているかと……だから睨むのやめてくださいって怖いです」

玄「考え違いじゃないですよ! 子どもの頃に読んだ絵本の王子様みたいですし! 白いタイツも似合いそうですし!」

ハギヨシ「し、白いタイツ? いや、私はむしろ王に仕える身でして……」

玄「やっぱり女の子の夢だと思うんですよね! 白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるっていうのは!」

ハギヨシ「あぁ聞いていない……たしかに乗馬はできますが」

京太郎「とりあえず乗馬教えてください!」

ハギヨシ「構いませんが、恐らくそのスキルを活かす場面はほぼ来ませんよ……?」


玄「あっ!」

ハギヨシ「こ、今度はどうしました?」

玄「よく考えたら……私は実家の旅館を継がなきゃいけないので王子様が迎えに来てくれてもお嫁にいけません……」

ハギヨシ「……あ、あぁ、それでは私とは縁がなかったということで……」

京太郎「え? でも迎えに実家まで来てくれたんならそのまま婿に貰っちゃえばいいんじゃないですか?」

玄「そっか! そうだね!」

ハギヨシ「……どうして話をややこしくするんですかね? 松実さん狙いなら黙ってればいいじゃないですか……」

京太郎「いや、つい……ってハギヨシさん怒ってます? 言葉遣いが……ちょ、ほんとに怖いですってすいませんごめんなさい!」


ハギヨシ「えー……ですから、年の差もありますし、まだ知り合ったばかりですから、もう少し落ち着いてよく考えてですね……」

玄「ふぅ~む……なるほど、なるほど、なるほどー」

ハギヨシ「……聞き流していませんか? ああ、タコスもほとんど出来上がりましたね」

京太郎「なんだかんだお二人が手伝ってくれたんで……一人でやるよりもかなり手早くいいものが作れたかと」

ハギヨシ「それではお二人でみなさんに渡してあげてください……私は仕事に戻りますので……」

玄「はい……って消えた!?」

京太郎「ハギヨシさんですから……逃げた? いや、二人きりのチャンスを作ってくれたと思えば……」

またなにかブツブツと呟いてるけど……まぁ、須賀くんの癖なんだろうな


――――――

玄「ご飯作ってきましたよー」

優希「この芳しい香り……タコスか!」

京太郎「ハギヨシさんと松実さんに手伝ってもらって……ってお前は個人戦ないんだから少しは遠慮しろよ! ほら、咲、和、福路さんもどうぞ」

咲「ありがとう京ちゃん、松実さん」

美穂子「ありがとう……いただくわね」

和「すみません、助かります」

しかし、こうして見ると……福路さんも和ちゃんも大変素晴らしいおもちをおもちだ


玄「おもち……」

京太郎「おもち?」

玄「ああ、おっぱいのことです」

京太郎「おっぱ……!?」

玄「いいよね、和ちゃんも福路さんもすごいよね本当に……大きくて柔らかそうで……」

京太郎「え、いや、その……」

玄「こう、やっぱりおもちっていうのは……」


――――――

ハギヨシ「おや、須賀くん……どうでしたか?」

京太郎「タコスの方はかなり評判良かったですよ……阿知賀や風越の人も喜んでくれて……」

ハギヨシ「そうですか、私も指導した甲斐がありました……松実さんとはどうでしたか?」


京太郎「……あの人は、いろいろとダメな人でした」


カン!

京ちゃんやくろちゃーは二次創作でいろいろ付け足されすぎてて取り扱いに結構悩む…くろちゃーはどの程度のアホさ加減がちょうどいいのだろうか

京太郎はわりと原作や公式に寄せたつもりなんですけど、ここまで積極的な男でもないんですよね…
好みのタイプ的には阿知賀では玄、次点で宥ねえは固いと思いますが

立さんのブログ更新してるよ!
いや、寝る前に気になったので…
まふふはリチャと同世代かちょい上ぐらいかな?


照はやっぱいいセンスやな

京太郎「やっぱりハギヨシさんが一番です……」

くろちゃーがおもちを求めるのには一応理由があったりするんだけどね…
乙でした


シノハユ1話を参考に
慕生誕時リチャードソンが16歳とすると、
真深さんと同い年
ナナさんは何歳で子持ちになったんだろう…

>>675この場合の100年前は咲世界じゃなくて現実的な100年前で想定していいんでしょうかね?
>>676京ハギかハギ京でいうなら京ハギ派です!…冗談はさておき、年上への憧れというシチュは好きです。なにが言いたいかというとリチャの立ち位置はおいしい
>>677理由付けするならそれしかないって感じですけど日頃の行いがアレですし、きっかけはどうあれただのおもち好きなんですよね…

>>678改めて考えたんですけど、周藤がナナさんを先輩呼びしてるからおそらく中学または高校が同じで年齢差は周藤=耕介として1~2歳上で、「結婚しちゃったの…!?」発言からナナさんの妊娠は卒業後として年齢は耕介‐ナナさんで14‐16か17‐19。一話の耕介の顔立ちはかなり幼く見えますし、最新話で玲奈「(耕介は)学生?」発言からやはり耕介はかなり若いように思えるので出産は16、7歳というのはどうですかね?

全レス長文とかアレだけど自スレだし許してくださいな
次は爽を予定、金曜までに投下が目標です

昨日はエヴァ見てたら途中で寝ちゃいました…相変わらず話についてけない
お昼食べたら投下しに来ます

本編最新話で杏果ちゃんは本格的に朝酌メンバー確定っぽいですね!反対に祭りの途中でいなくなり、海にも行ってない陽葵ちゃんは本格的に消えそう、というか消え始めてますね…

改めて失礼しました。投下します



友達の友達は友達、らしい



揺杏「ちーす」

灼「いらっしゃい……毎日暇だね」

揺杏「うん、まったくもってその通りだけどさー……もっとこう、毎日来てくれてうれしい! とかそういう言い方をしようぜー?」

灼「毎日来てくれてうれしいよ」

揺杏「あ、やっぱり?」

揺杏「……なんか言わせたみたいじゃね?」

灼「……嘘ではないよ」

揺杏「……えっへへー灼がデレたー」

灼「抱きつかないで、暑いから」

揺杏「……うす」


爽「ところで揺杏くん、そろそろ私を紹介してくれてもいいんじゃないかね?」

灼「何奴?」

爽「なにやつ!?」

灼「獅子原さんだ」

爽「知ってるじゃん!」

揺杏「なんかついてきちゃってさー」

爽「まぁ揺杏のダチなら私のダチだから! 仲良くやろうぜ!」

灼「馴れ馴れし……」

爽「……なぁ、こいつ結構酷くない?」

揺杏「いや、爽も相当馴れ馴れしいだろー」

爽「ゴメン……」


揺杏「じゃあ改めて……これ、獅子原爽ね」

爽「獅子原爽です! 有珠山高校3年生です! よろしくお願いします!」

揺杏「お、礼儀正しい」

爽「……今怒られたから」

揺杏「んで、こっちが鷺森灼」

灼「阿知賀女子2年、麻雀部部長鷺森灼です……実家はボーリング場を経営しています。 尊敬する雀士は赤土晴絵です。好きな言葉は……」

爽「え、え、ちょっと待って急にいろいろ喋らないでよ」

灼「ん……」

爽「えーと……」

灼「……………」

爽「……今度は黙るのかよ!?」

揺杏「早速翻弄されてますなぁ」


爽「むむむ……まぁいいや!私の方が年上だけど気にせず爽と呼んでくれ! 」

灼「それじゃあ私も鷺森さんでいいよ」

爽「この距離感! なんで!? 急に押し掛けてごめんなさい!」

灼「ジョーク……灼でいいよ……よろしく、爽」

爽「……ヨロシク」

揺杏「自己紹介も終わったところで……灼はさっきからなに書いてんの?」

灼「夢日記」

爽「夢日記!?」

灼「……夏休みの宿題」

爽「宿題で!? 奈良県どうなってんの!?」

揺杏「あ、数学のプリントか」

灼「うん」

爽「嘘かよ!」


揺杏「爽のツッコミ新鮮だわ……どことなくぎこちない感じがなんともまぁ」

爽「うっせ……もしかして灼って愉快な子か?」

揺杏「気づくの遅いなー」

灼「二人は宿題とかないの?」

爽「あ、いつもなにして遊んでんの? トランプとか持ってきたけど!」

揺杏「いつも適当にだべってるけど……」

灼「今日は宿題しよっか」

爽「あ、麻雀! 麻雀打とうぜ! 個人戦あるし練習しよう!」

揺杏「正直私じゃ爽の相手にならんしなー」

灼「爽は今年受験生だよね?」

爽「なんで!? なんで執拗にそこ攻めるの!? やってないよ! つか東京まで持って来てないよ! インハイに来たんだし!」


揺杏「……まぁアレじゃね? プロになれば受験しないで済むんじゃね?」

爽「揺杏冴えてるな! プロになるわ! どうすればいいんだ?」

灼「個人戦で上位入賞して……チャンピオンや辻垣内さんとか愛宕さん辺りの有名どころに直接対決で勝てばスカウトとか来るかもね……」

爽「なるほどなー……じゃあ余裕っぽいし宿題はいいか! 最悪チカの写せばいいし!」

揺杏「最悪もなにもいつも通りじゃん」

灼「…………」

揺杏「ん? どしたの灼?」

灼「……なんでも」

プロ入りは余裕か……凄い自信だ

……ちょっと足りてないだけかもしれないけど


爽「ん? 今なんか失礼なこと考えてなかった?」

灼「……爽は勘がいいね。 それが麻雀の強さに繋がってるのかも……」

爽「お? 褒められた? デレた?」

揺杏「うん、よく考えたらバカにされてるぞ?」

爽「あれ? ……なぁ、灼って結構辛辣な子か?」

灼「まだまだジャブみたいなものだよ」

爽「まだ苛められるのかー」

揺杏「いや、ジャブである程度距離感を掴んだら素直でかわいらしい本性を見せてくるぞ」

爽「マジで!?」

灼「……か、かわいくないもん」

爽「あざとい!」


爽「かわいくないもん、だって! かわいい! もっかいやって!」

灼「かわいくないもんっ」

爽「意外とノリいい!」

揺杏「灼マジヤバいよなー やっぱり私的に超ツボなんだけど」

灼「今なら二百万であなたに幸福が……」

爽「壺じゃねーよ!」

揺杏「お、爽もだんだん調子出てきたなー」

灼「あ、私はどちらかと言うとツッコミだからここからは爽がボケてね」

爽「酷い無茶振りだな!?」


爽「散々ボケ倒しておいてそりゃないだろーよー」

揺杏「今日は灼テンション高いなー」

灼「だって……宿題とかストレスたまるし……」

揺杏「それはわかるわー」

爽「いや、初対面の私でストレス発散してたのかよ……」

灼「揺杏のダチなら私のダチだし……」

爽「私が言い出したから反論しづらい!」

揺杏「ん? 逆説的に言えば爽は私の幼馴染みだから灼も私の幼馴染みってことに……」

爽「揺杏天才じゃね? 私たちもう幼馴染みで親友だぜ灼!」

灼「なんでやねん」

爽「ツッコミ雑だな!?」


灼「ごめ……なんかめんどくさくて……」

爽「……地味に傷つくこと言うなよ」

灼「あ……」

……ちょっと悪ノリが過ぎた?

爽「わかってるんだよ……私もこう、悪ノリする方だし、騒がしいし……ちょっとウザいかなーって……」

灼「……その、違くて……嘘、嘘だから」

爽「……ほんとうに?」

灼「うん……その、爽のことはわりと……す、好きだよ」

爽「……ちょっとキュンキュンした! お持ち帰りしたい!」

揺杏「ほら、灼は素直でかわいいだろー?」

灼「…………」

……恥ずかしい


爽「なぁ見た? ヤバい! って顔したあとちょっと泣きそうになりながら恥ずかしいけど……言わなきゃ! 私本当は爽のこと……! って頬を染めながら灼が私に告白したとこ!」

灼「……そ、それは色々違……」

揺杏「見た見た! 灼ちょーラブリー!」

爽「灼マジかわいい! 見た目もコロポックルっぽいし! 葉っぱの傘とか持ってよ!」

灼「いや、意味わかんな……」

揺杏「よし! コロポックルTシャツ作ろう! 」

……それはちょっとほしいかも

一「かわいい服ができると聞いて」

初美「登場ですよー」

灼「……あれ? いらっしゃい」

揺杏「あ、私が呼んだんだー……ほら、さっき麻雀するって言ってたし」


爽「よく来たな! まぁ自分の部屋だと思ってくつろいでくれたまえ」

灼「爽が言うのはおかし……」

揺杏「これうちの獅子原爽ねー」

初美「新たな同好の士ですかー?」

一「獅子原さんにはどんな服が似合うかなぁ」

爽「あ、違うんで! そういうのほんといいんで! 遊ぼうぜ!」

灼「……個人戦の選手は大会前の対局は禁止されてるよ」

揺杏「あ、そういやはっちゃんさん個人戦選手だったっけ? 失敗したなぁ」

初美「ハブられるよりは呼んでくれた方がうれしいですよー」

一「それじゃあトランプでもする?」

爽「あ、私持ってきてる……ちょ、今どこからトランプだしたの!?」


一「企業秘密だよ……種明かしするマジシャンはいないからね」

揺杏「あ、そんな特技あったんだ」

爽「すげー! なんか見せてよ!」

一「じゃあ……はい、親指が取れちゃったー」

初美「わぁーすごいですよー」

爽「適当にあしらうのやめてよ!」

揺杏「……うちはいつも爽のペースだから新鮮だなぁ」

爽「くっそー……よし! トランプしようトランプ! とりあえず大富豪で!」

灼「大貧民?」

一「大貧民だね」

初美「大貧民ですよー」

爽「地域差出た!」

揺杏「よーしやろうか大貧民」

爽「裏切られた!?」


揺杏「いやまぁこういうのは多数決かなーって」

一「っていうかこれルールしっかり確認しとかないとまた混乱するんじゃ……」

爽「じゃあスペ3返し7渡し8切り9リバース10付け11バック階段4枚革命階段革命都落ちジョーカー貧民隠し財産アリで!」

灼「いくつか知らないのが……」

初美「もっかい言ってほしいですよー」

爽「……何て言ったっけ?」

揺杏「さぁ?」

一「……別のゲームにしよっか」


――――――

揺杏「……トランプはやめにしよう」

初美「……賛成ですよー」

灼「ん……」

爽「え?なんで? 楽しいのに」

一「ボクは別にかまわないけど……」

揺杏「一強すぎ……つか爽今日バカヅキじゃん! 個人戦にとっとけよ!」

爽「とっとけるもんならとっとくけど……まぁどうせ勝つしいいじゃん」

初美「む! 今のは聞き捨てなりませんねー」

爽「お、やるかーはっちゃん?」

初美「前哨戦といきますかー?」

一「だから打ったらダメだってば……」

灼「みんな呼んできて2卓囲めるようにする?」

揺杏「それでいいんじゃね?」


爽「いいねいいね……阿知賀変な子多いし面白そう」

一「その言い方はどうかと……」

灼「間違っちゃいないけどね」

年中ジャージの穏乃に、反対に年中厚着の宥さん、おっぱいの人……あ、憧は割りと普通か

爽「身内にも厳しいなー」

揺杏「ま、身内だからこそ言えることもあるっしょ」

初美「それでは総合収支で勝負ですねー」

爽「よっしゃ! 負けたら罰ゲームだぞ?」

初美「ふふん……後悔させてあげますよー」

灼「じゃ、何人いるかわからないけど声かけてくる」

揺杏「よろしくー」

爽「罰ゲーム決めとくから!」

一「……ボクたちも罰ゲームありなんだね」


――――――

灼「というわけでどう?」

穏乃「初美さんたち来てるんですか!? 私打ちたいです!」

憧「獅子原さんって準決でバカみたいに暴れてた人でしょ? 興味あるし私も行くわ」

宥「それじゃあ私も……」

灼「……玄は?」

憧「さっき出てったわよー」

灼「それは残念……」

宥「玄ちゃんにはメールしとくよ」

穏乃「それじゃあ行きましょう!」


爽「というわけで罰ゲームは『揺杏が今日一に作ってきた衣装の試着』ってことで!」

憧「」

穏乃「え? それ罰ゲームになるんですか?」

初美「むしろご褒美じゃないですかー」

一「岩館さんの実力は信頼してるし別に試さなくてもいいんだけど……失敗作ってわけじゃないんでしょ?」

揺杏「うん……どうこれ?」

憧「」

宥「あ、あったかくなさそう……」

一「流石だね」

穏乃「完璧ですね!」

初美「かっこいいですよー」

爽「……え、こいつらマジなの? ネタじゃなくって?」

揺杏「面白いだろ?」



穏乃「うーん……ちょっと着てみたいかも」

一「手を抜いたりしちゃダメだよ?」

穏乃「わかってますって!」

初美「これは勝っても負けても恨みっこなしの粋な計らいってやつですねー」

揺杏「こう、自分の作品でここまで盛り上がってくれると私としてもテンション上がるなー」

憧「」

宥「ま、負けなければいいんだもんね……」

揺杏「よーし! 優勝者にも1着プレゼントだ! こっちの国広スペシャル! 優勝した人もこれ着てね!」

一「おお! これはボクとしても優勝を目指さないと……」

初美「半荘一回で役満二回和了れる私の強さを見せてあげますよー」

穏乃「そうそう好きにはさせませんよ! 燃えてきたー!」

憧「」

宥「か、勝ってもダメなの……?」




灼「……なにがあっても責任とってね」


爽「ゴメン……」



カン!

最新話の爽が思ったよりまともな先輩してて驚きました
龍門渕ウィーク入ってすぐタコスたんイェイ~もあるけどそっちまで手を出す時間が取れない…

とりあえずいい加減自分の中の 爽「トイレは~」発言のイメージを軽減していきたい所存
次回はかおりん、目標は火曜投下で

9/8は清澄高校3年生、生徒議会会計の寺平彩乃さんの誕生日らしいです。あやたんイェイ~

投下します



麻雀って、むずかしい



それはまぁ間違いではないし、最初はむずかしく感じると思う

たしかに、私も最初はむずかしく感じたけれど……何度も打っているうちにルールは自然と覚えることができた

……玄ちゃんより先に覚えてお姉ちゃんぶりたかったのもあるし、ひとつ覚えるたびにお母さんが頭を撫でてほめてくれるのがうれしかった記憶がある

……とにかく、ルールや定石というのは覚えるのがそれほど大変というわけじゃあない

人間を相手にする競技だから、駆け引きとかそういう部分はむずかしいんだけれどね

宥「……でも、どうしてうちに? 鶴賀の人や長野のみなさんの方がよかったんじゃ……?」

佳織「その、智美ちゃんと加治木先輩はこっちでも受験勉強で忙しそうで……邪魔しちゃったら悪いかなーって思いまして……」

……インターハイも終わったことだし、そろそろ私もちゃんと受験勉強始めないとなぁ

家の手伝いをするにしても大学ぐらいはしっかり出ておけ、ってお父さんにも言われてるし……

佳織「それに、私が麻雀のお勉強しようとすると、みんな『今のままでもいいんじゃない?』って……」


妹尾さんが麻雀を始めたのはつい最近だと聞いている

もともと数合わせで、県大会に参加したときにはルールもあやふやだったなんて言ってたけど……

宥「それは不思議だね……」

佳織「なんでですかねぇ……?」

……でも、そんな状態で染谷さん、沢村さん、吉留さんの3人を相手に役満を和了って区間一位だというのだからすごい

合同で行った合宿でももう一度役満を和了っていると聞いたし、なんというか……いわゆる持ってる人、なのかなぁ

佳織「とにかく、今は私も麻雀楽しいなぁって思いますし、秋からの大会や来年のこともありますから……みんなに迷惑かけたくないし、しっかり打てるようになりたいんです!」

宥「うん……気持ちはわかるし、準決勝の前にお世話になってるから……時間もあるし、できる限り協力するね」

佳織「ありがとうございます!」


――――――

晴絵「そういうわけなら任せてよ、妹尾さん」

宥「赤土先生いてくれてよかったぁ」

実際、赤土先生の指導者としての力は大きいと思う

もともと、うちのメンバーは半数が赤土先生の元で勉強していたし、冬に赤土先生が来てくれてからチームとしての地力が一気に伸びた

私自身、準決勝で戦えたのは赤土先生に授かった弘世さん対策が大きかったし……

佳織「ありがとうございます! レジェンド先生に見てもらえるなんて……」

晴絵「……レジェンド先生は勘弁してほしいんだけど」

憧「よっ! 阿知賀のレジェンド!」

穏乃「赤土先生レジェンドかっこいい!」

晴絵「やめろって!」

佳織「それじゃあ、赤土先生よろしくお願いします」

晴絵「……おっけー! 大船に乗ったつもりでいいよ!」

穏乃「レジェンド号出発進行!」

憧「いぇーい!」

晴絵「だからやめてくれよ!」


晴絵「とりあえずせっかく四人いることだし、一回普通に打ってみようか……私は後ろから見てるからさ」

佳織「わかりました!」

憧「私たちも普通に打っていいの?」

晴絵「うん、普通によろしく……県大会の牌譜は見てるけど、実際に妹尾さんの打ち方見ておきたいからね」

宥「私も入っていいんですか? その、手に偏りが出ちゃうし……」

晴絵「全然問題ないよ……玄ほど強い影響出るわけじゃないしね」

穏乃「お腹減ったのでおかし持ってきていいですか!?」

晴絵「……牌が汚れないようにね」

穏乃「はい! 妹尾さん一緒に食べましょう!」

佳織「ふふ……ありがとう、高鴨さん!」


憧「チー!」

穏乃「うげっ」

佳織「……私、あまり鳴くなってみんなに言われてたんですけど」

晴絵「うん、初心者のうちは鳴きまくった挙げ句役がなくて和了れない、なんてことがあるからね……大会でそれをやらないようにってことじゃないかな?」

宥「面前でリーチすればとりあえずそれは防げるからね……憧ちゃんは鳴くの上手だから参考になると思うよ」

晴絵「ま、とりあえず自分の思うように打ってみて大丈夫だから……知りたいことがあればあとで教えるし、今回は気にせずチャレンジしてみよう」

佳織「はいっ!」


佳織「えっ、と……3つずつ、3つずつ……」

晴絵「あー……とりあえず、それはやめた方がいいかな? 手の揃い具合とか相手に見られちゃうし、口に出さないように、牌を3つずつ区切らないように……癖になっちゃってるのなら早めに直した方がいいよ」

佳織「あっ! そ、そうですよね……つい……」

穏乃「でも、妹尾さんのそれが始まると怖いってのはあるかなー」

宥「準決勝の前に打ってもらったときもあそこから役満和了ってたもんね……」

憧「あ、フェイントに使えるんじゃない? 手が揃ってないときにもやれば相手が警戒するかも……」

晴絵「いやいや、初心者だから仕方ないっていうのならともかく、意図的にやるのはマナー的にどうなのよ……」

佳織「あっ! ツモです! これは覚えました……四暗刻、ですよね?」

晴絵「うぇ、マジで和了ったの!? もう!?」

宥「い、いちまんろくせんオール……」

穏乃「さ、さすがですね……」

憧「……トビました」


穏乃「妹尾さんトップです! おめでとうございます!」

佳織「あ、ありがとう! その、どうでしたか!?」

晴絵「……なんか、もうこのままでいいんじゃないかな……?」

佳織「ええっ!?」

宥「……それじゃあ折角来たのに意味ないんじゃ……」

晴絵「だって……私がなにか教えて、この持ち味消しちゃったらやだし……」

憧「やだし、って子どもじゃないんだから……」

晴絵「でもうらやましいじゃん! 私もポンポン役満和了りたい!」

憧「子どもか!」

穏乃「妹尾さんすごいです! 私も役満和了りたいです!」

憧「子どもだ!」


晴絵「うー……とりあえず冗談は置いといて、なんか知りたいこととかある?」

佳織「えっと、じゃあ筋がどうこうとか聞くんですけどよく意味がわからなくて……」

晴絵「ああ、1ー4ー7とか2ー5ー8とか聞いたことあるだろ? それは順子……数字が順番にくっつくときに……」

穏乃「……なんかさ、昔を思い出すね」

憧「麻雀クラブができた頃はハルエがああやって教えてたのよねー……私は最初お姉ちゃんに教わってたかなぁ」

穏乃「あ、そっか……憧は私より麻雀歴長いもんね」

憧「そういえば宥姉はいつ麻雀覚えたの? あの頃には玄も普通に打ってたけど……」

宥「私は4歳ごろから……お母さんと玄ちゃんと一緒に覚えたの……その、お母さんが亡くなってからはあまり打つ機会もなかったんだけどね」

憧「あー……ゴメン」

宥「いいよ、気にしなくて……もうだいぶ前のことだから……」


晴絵「鳴くと点数が下がったり、和了れなくなる役とかあるんだけど……」

佳織「あ、それも聞いたことあります! 染め手とかは一役分点数下がっちゃうんですよね! そういえば合宿の時に鳴いて索子の染め手を和了ったらなんかそれは役満だって言われたんですけど……」

晴絵「緑一色!? 私も和了ったことないぞそんなの……」

宥「妹尾さんやっぱりなにか持ってるんじゃ……」

憧「……あの、鳴きとか私が教えるんで役満の和了り方教えてくれませんか?」

佳織「え? え?」

穏乃「憧だって言ってること変わってるじゃん!」

憧「しょうがないでしょ! 私だって和了れるもんなら役満和了りたいわよ!」

晴絵「ま、役満は夢だよなー」

穏乃「和了ったことあるのって四暗刻と国士ぐらいかなー」

憧「私はそもそも役満狙いに行くことほぼないし……和了ったのは小学生の頃が最後かもなー」

宥「私も高い手は染め手がメインで役満はほとんどないかなぁ」


晴絵「私も役満はほとんどないかな……今年のインハイでは薄墨さんの四喜和や姫松の愛宕さんが清老頭和了ったりしてたっけね……今年はまだ役満4、5回しか出てないって話だけど」

佳織「そうなんですか? 役満ってそこそこ出るものなのかと……」

憧「いやいやいやいや! そんなに役満出たらゲームになりませんって!」

晴絵「ま、もともと運の要素の強いゲームなんだけどなぁ」

穏乃「……妹尾さんかっこいい! 役満とか普通でしょ? みたいな! 強者の余裕っぽい!」

佳織「え、その、そんなつもりじゃ……」

宥「でも、麻雀はじめたばっかりなのにいろいろな役を和了ってるんだからすごいよ~」

佳織「……そうですか?」

宥「うんうん、きっと牌に好かれてるんだよ……麻雀と縁があるんじゃないかなぁ」

佳織「えへへ……そうなんですかね?」

宥「うん! 自信を持って頑張ろう?」

佳織「……ありがとうございます、宥さん!」


――――――

晴絵「……ああ、ごめん! 私用事あってそろそろ行かなきゃなんだ」

佳織「赤土先生ありがとうございました! いろいろ勉強になりました!」

晴絵「こちらこそ、見慣れない役満もいくつか見れたし……」

憧「……この数時間で役満3つ和了るってどういうことなのよ……」

穏乃「なんか役満って普通に和了れる気がしてきた!」

宥「まぁ、これだけ役満出ると普通に和了れちゃう気がするよね……」

晴絵「瑞原プロとか大沼プロとか麻雀の指南書出してたと思うからそこら辺読むと勉強になると思うよ……じゃ、ごめんね? ちょっと準備して出てくるわ」


憧「お疲れさまでーす」

佳織「お疲れさま! 今日はありがとうね! 本当に助かっちゃったよ」

穏乃「こちらこそありがとうございました!」

宥「私たちも楽しかったよ~」

佳織「それじゃあ、私もそろそろ……」

穏乃「あ、せっかくだからみんなでちょっと出ませんか? ご飯食べたりとか!」

憧「いいねー」

宥「時間あったら、どうかな?」

佳織「……そうですね! せっかくですからどこか行きましょうか!」


智美「ワハハ、話は聞かせてもらったぞー」

佳織「智美ちゃん!?」

宥「こんにちはー」

穏乃「蒲原さん! こんにちは!」

憧「え、受験勉強は……」

智美「ワハハ、いやー佳織が阿知賀のみんなのところに遊びにいったと聞いて……交通費も勿体ないし迎えに来たぞー」

佳織「ありがとう、智美ちゃん……でも、勉強の方は大丈夫なの?」

智美「ワハハ、いやぁこうでもしないとユミちんは休ませてくれないしなー」

憧「いや、しっかり勉強した方がいいんじゃ……」

宥「……わ、私もちゃんとやらないと……」

穏乃「私は休憩も大事だと思います!」

智美「ワハハ、高鴨さんはよくわかってるなー」


智美「ワハハ、そういうわけで足もできたことだしちょっと遠出しておいしいお店でも行ってみるかー?」

佳織「……まぁ、せっかくだしそういうのもいいかも……」


「「「…………」」」


憧「そこのコンビニでおかし買ってきておかしパーティーとかもいいんじゃない!?」


宥「えっと、この前みんなで行ったあったかいラーメン屋さんもすぐそこにあったよね?」


穏乃「売店で売ってるお土産のお饅頭とかもおいしいですよね!」


智美「…………」


佳織「え、えっと……」



智美「このくらいでは泣かないぞ」


カン!

役満って四暗刻と大三元と国士無双しか和了ったことないです
清老頭はテンパったことあるけど考慮されてて結局和了れなかったなぁ

阿知ポ玄なら・・・

阿知賀のメンバーってワハハ疾風伝説知ってたっけ

玄は少しきついかもしれませんが松美姉妹は特定の牌を集めるので役満は狙いやすいかもしれませんね

>>734そういえばちょっと前に友人と打った時に東發対々ドラ11和了って暫くあだ名が阿知ポ玄になりましたわ
>>737ワハハのばーちゃんちまで車で移動、帰りも送ってもらってますね。確認したら単行本3巻の内容でした
どうでもいいけど疾風伝説とか言われると 咲「あんまチョーシくれてっとひき肉にしちまうよ?」ピキピキ !?
みたいなシーンしか浮かばない…

次は愛宕姉+姫松メンバーで、明日来れたらいいなって思います

投下します



互いに切磋琢磨することのできるライバルの存在は大切だ



由子「高鴨さん! お久しぶりなのよー」

穏乃「こんにちは!真瀬さん!」

由子「また会えてうれしいのよー!」

いぇーい! なんて言いながら勢いよくハイタッチする

真瀬さんは2つ上の先輩になるけど、気さくな人柄と人懐っこい笑顔で距離感をほとんど感じない

恭子「急に呼びつけてスマンなぁ」

灼「私たちは大会終わって暇ですから……」

憧「それに、横の繋がりは大事にしろって言われてますんで」

恭子「まぁ将来的に活きるかもしれんし……練習試合とか組みやすくなればそれに越したことはないしな」

絹恵「せっかくだし、縁があったってことでよろしくお願いしますわ」

玄「こちらこそ! よろしくお願いしますね!」

漫「……その、手をワキワキしてるのはなんなんですかね?」

宥「玄ちゃん……その、ほどほどにね……?」


憧「……っていうか、愛宕さん……洋榎さんとか個人戦ありますよね? 遊んでていいんですか?」

漫「その愛宕洋榎が言い出したんですわ」

灼「でも、なんでうち……? それこそ千里山とかと仲いいんじゃ……?」

由子「接点も私と高鴨さんがちょっとお友達ってぐらいなのよー」

洋榎「そこら辺の説明はうちがするで!」

恭子「ああ、遅かったですね主将」

洋榎「ちょっとあってな……で、なんであんたら阿知賀を誘ったかと言うとやな……あんたら、こないだ千里山の奴らと遊び行ってメシ食ったやろ?」

穏乃「はい! 練習試合の後にみんなで……」

……そういえば、愛宕さんと船久保さんは従姉妹だったっけ

江口さんとはライバル関係で昔からなんだかんだ仲良くやってる、なんて話も聞いたっけ

穏乃「船久保さんや江口さんにも、とてもよくしてもらいました!」

洋榎「…………」

あれ?


洋榎「高鴨! 騙されたらアカンで! 」

穏乃「え、騙されてる……?」

洋榎「セーラはな、悪いやつや!」

穏乃「ええっ!?」

洋榎「ほら、学校の制服着とらんし……不良の証拠や!」

穏乃「な、なるほど!」

憧「いや、しずも普段ジャージじゃん……」

洋榎「つか実はあいつ男やし! 学ランっつーのはつまりそういうことや!」

穏乃「そ、そうだったんですか!?」

恭子「……高鴨、付き合わんでええよ?」

灼「あの子素なんで……」

恭子「……やっぱりええ子なんやな、高鴨は」


洋榎「だいたいあいつもそこそこ強いけど、うちのが麻雀も強いし!」

宥「……実際のところどうなんですか?」

絹恵「小中高と打ち続けてどっこいどっこいですね」

玄「ライバルっていうとそういうものですよねー」

洋榎「それに浩子なんか……えーと、眼鏡やし!」

漫「絹ちゃんも眼鏡ですよ……?」

洋榎「だいたい! 浩子やセーラたちがなんでオカンに小遣い貰ってメシ食ってるんや! 贔屓や! ズルいやろ!」

恭子「結局そこかいな……」


洋榎「うちだってもっと小遣い欲しいわ!」

灼「……少ないの?」

絹恵「いや、不自由しない程度には貰ってますよ……そもそも、私たちバイトもしないで麻雀ばっかやってますし……お母さんにはホンマ感謝してますわ」

憧「あー……愛宕元プロってかなり活躍してたし結構稼いでますよね?」

由子「こないだ遊びに行ったらおっきいテレビ買ってたのよー」

漫「もうちょっと買い食い控えたらいいんじゃないですか?」

洋榎「……じゃあ漫んち行くの控えるわ」

漫「えぇ!? そんな、結構サービスしとるやないですか!?」

洋榎「今気づいたわ! 毎日漫んちでメシ食っとるから金無いんや! 恭子、油性!」

漫「いやいやいやいや! ちょ、それはおかしいやろ!」

恭子「油性は今ちょっと……あ、口紅ならあるで」

漫「なんでノリノリなんですか!? 止めてくださいよ!」


漫「うぅ……理不尽や……」

宥「だ、大丈夫?」

由子「いつものことだから気にしなくていいのよー」

玄「い、いつも額に……?」

洋榎「漫のことは今はええんや! 高鴨!」

穏乃「は、はい!」

洋榎「今日はお代もうちが持つから! 今度セーラに会ったら『洋榎さんの方が麻雀も強くて美人で面白かったです』ってちゃんと言うんやで!」

穏乃「え、えっと……」

憧「……江口さんと張り合いたかっただけですか」

由子「そうみたいなのよー」

恭子「金無いんやなかったんですか、主将?」

洋榎「おう、それな! それで遅くなったんや……ほれ」


恭子「……なんですか、この封筒」

洋榎「うちが赤阪監督と交渉してな……軍資金はバッチリ調達してきたで!」

絹恵「え、監督にお金出して貰ったん!?」

洋榎「そりゃもう……名門千里山の監督がやってるって教えてやったら『うちもちゃんとした監督さんになりたいから~』言うてポンっと……」

穏乃「監督さんいい人ですね!」

由子「赤阪監督とっても優しいのよー」

宥「あったかーい」

憧「いやでもそんな、一方的に出してもらうのも……」

洋榎「気にせんでええから! 誘ったんうちらやし! あ、恭子それ幾らぐらいあるん?」

恭子「……百万あるで」

穏乃「ひゃくまん!?」


洋榎「……え、マジで?」

恭子「マジや」

漫「……な、なんかヤバいお金とかじゃないですよね?」

灼「……監督さんヤバいことやってるの?」

憧「いや、ポンっと百万出すこと自体ヤバいでしょ」

絹恵「普通そんな大金持ち歩かないですよね? やっぱりなにか大事なお金なんじゃ……」

恭子「……さすがにこれは使えんなぁ」

洋榎「た、たしかにいくらうちでも百万は……」

恭子「百万円札じゃなぁ」

洋榎「子供銀行か!」


洋榎「監督それ財布から出したで!?」

玄「普段から仕込んでるんですかね……?」

絹恵「お姉ちゃん監督のボケ潰しちゃアカンやん」

由子「浮かれて気づかなかったのよー?」

恭子「減点やな」

洋榎「す、すみません……」

漫「だいたい主将は普段から……」

洋榎「漫、お仕置きが足らんかったみたいやな?」

漫「なんでうちだけ怒られるんですか!?」


漫「どうしてこんな目に……」

憧「外でアレはきついわね……」

玄「上重さん、あちらにお手洗いありますしとりあえず落としてきたら……」

洋榎「ドラローちゃん漫を甘やかしたらアカン! これはな、愛のムチなんや……漫の成長を願ってうちも涙を飲んでやっていることなんや……!」

玄「!」

穏乃「さすが関西にその人ありと言われた愛宕洋榎……!」

洋榎「せやろー? さすがやろー?」

恭子「……高鴨、あまり主将を調子づかせんでな」

漫「あの人は何を言ってるんですかね……?」

絹恵「漫ちゃん堪忍なー」

灼「……まぁそれはそれとして、このあとどうします?」


恭子「あてにしてた軍資金がなくなったみたいですけど、金出せるんですか?」

洋榎「ぐっ」

宥「その、私たちも出しますから……」

洋榎「いや! 1度言った以上意地でも今日はうちが持つで! 愛宕洋榎に二言はないんや!」

絹恵「さっすがお姉ちゃん!」

穏乃「洋榎さんカッコいい!」

洋榎「いやまぁ? それほどでもあるけどな!」

由子「いっつもあんな感じだから懐がさびしいのよー」

憧「結構なお調子者なんですね……麻雀は堅実なのに」

灼「……ふむ」


灼「……さすが愛宕洋榎、気前がいいですね」

洋榎「お! 鷺森にはうちの凄さがわかるかー」

灼「同じ部を率いる人間として尊敬……」

洋榎「リスペクト? リスペクトオブ愛宕洋榎?」

灼「超リスペクトです。 しかも関西一の高校生雀士」

洋榎「関西一? セーラや荒川よりも?」

灼「もち……しかも段違いの美人」

洋榎「……鷺森! いや灼! あんたようわかってるわ! なんかあったらうちんとこ来ぃや! あ、アメちゃんやるわアメちゃん!」

灼「ありがとうございます……」

憧「……なにやってんの灼さん」

灼「いや、つい……」

玄「あの、英語間違って……」

恭子「ホンマ恥ずかしいわ……」

灼「ん……アメちゃんおいし」


漫「で、結局どうするんです? 主将が集めたんですしなにかしらプランあるんですよね?」

洋榎「任せとき! とりあえずこっちや!」

絹恵「あ、お姉ちゃん待って!」

穏乃「かけっこなら負けませんよ!」

玄「あっ! は、早く追いかけないと!」

恭子「ちょ……あぁもう! 町中で走らんといてくださいよ!」

憧「……大変ですね、末原さん」

恭子「もう慣れたけどな……なんだかんだ言って主将の引っ張ってるチームやし、あれがないと始まらんわ」

宥「みなさん洋榎さんが好きなんですねぇ」

由子「そろそろ追いかけないと見失うのよー?」

灼「……行きましょうか」

恭子「……せやな」


――――――

恭子「……主将」

洋榎「ん? どうした恭子?」

恭子「……どうして宿に帰ってきたんですかね?」

洋榎「決まってるやろ! 監督シメて改めて金出してもらうんや!」

恭子「それただの恐喝や!」

洋榎「だってみんなの分出せるほど金持ってないもん! だいたい監督がうちに恥かかせたのが悪いんや!」

漫「いや、単に主将の不注意ですよね……?」

灼「逆恨みだね」

洋榎「うっさいわ! 監督、おるか!?」


郁乃「あれー? みんなどうしたん? あ、阿知賀のみんなはじめまして……うち、赤阪郁乃いうて姫松の監督してるんよー よろしくねー?」

穏乃「よろしくお願いします!」

洋榎「挨拶はええんや! 監督、さっきのお金なんや! 使い物にならんやろ!」

郁乃「高鴨ちゃんに、松実ちゃん姉妹に、鷺森ちゃんに新子ちゃんやんなー? 良かったら姫松にきーひん? 」

玄「え、いや、その……」

洋榎「なにスカウトしてるんや! 話聞きーや!」

郁乃「だってそれ愛宕のお姉ちゃんが大喜びして持ってったやんか? うちだって渾身のボケをスルーされて悲しかったんよ?」

洋榎「う……」

郁乃「まぁお客さんも来とることやし……ちょっと待っててー?」

漫「……マジで出してくれるんですかね?」

絹恵「うちのお母さんと赤土監督は出したらしいですけど……?」

憧「実際のところハルエ……赤土先生のプロ進出とかそっち系の話するのに追い出された感じでもあったのでなんとも……」


郁乃「じゃあはい、好きなだけお買い物してええよー」

由子「赤阪監督すごいのよー!」

玄「わぁ……赤阪監督器用なんですねー」

宥「すごーい」

洋榎「……折り紙の商品並べられても困るわ!」

郁乃「えー? でも、子供銀行券じゃ外でお買い物できひんし……」

洋榎「いいから金出せって言っとるんや! 監督失格やで!」

恭子「だからそれ恐喝やって!」

絹恵「お姉ちゃん……さすがにそれは……」

憧「むしろ洋榎さんが人間失格っぽくなってますよ……?」

郁乃「んー……まぁ、うちも息抜きは必要だと思うけど……それじゃあ条件な?」


――――――

恭子「結局麻雀か……」

憧「総合成績の良かったチームに赤阪監督がご飯を奢る……と」

漫「練習試合頑張ったらご飯奢ったるーってことですよね?」

灼「姫松の人と打てるのは嬉しいけどね」

穏乃「よろしくお願いします、愛宕さん、真瀬さん!」

洋榎「ドラローちゃんと高鴨が相手か……楽しませてくれるんやろな?」

玄「おまかせあれ! 負けませんよー!」

由子「よろしくなのよー」

絹恵「あはは……あぶれちゃいましたね? お茶でよかったですか?」

宥「あ、ありがとう絹恵ちゃん……」

郁乃「それじゃあみんながんばってなー?」


――――――

玄「ツモ! タンヤオドラ8です!」

由子「……これ、ちょっとマジなのよー?」

洋榎「はぁ……とんでもないやっちゃなー」

穏乃「玄さんの火力は桁違いですからね! いくら洋榎さんでも大変ですよ!」

洋榎「だがしかし! この関西随一の天才美少女雀士愛宕洋榎をなめたらアカンで……リーチや!」

穏乃「速い……!」

由子「洋榎今日は調子いいのよー」

玄「むむむ……通りますか?」

洋榎「通したるが……来るでー!一発来るでー!」

洋榎「ツモ! リーチ一発自摸タンヤオ平和三色一盃口で4000・8000や!」


穏乃「おぉ……すごい! カッコいい! さすが愛宕洋榎さんです!」

洋榎「ふっふーん……どうや! セーラと比べても……」

穏乃「江口さんと同じぐらい強い!」

洋榎「……高鴨! いいか!? セーラは悪いやつや!」

穏乃「ええっ!?」

洋榎「学校の制服も着とらんし……不良の証拠や!」

穏乃「な、なるほど!」

洋榎「つか実はあいつ男やし! 学ラン着てるのはつまりそういうことや!」

穏乃「そ、そうだったんですか!?」



憧「し、しず……あんたそれさっき……」

恭子「すまん……ホンマに恥ずかしいわ……」


カン!

気づいたらとーかたんイェイ~も日付を回ってた…おやすみなさい

少し間が空いてしまいましたので、日付が変わる前に短めですがじゅんたんイェイ?しに来ます

今日中に戻れなそうなのでスマホから投下します

じゅんたんイェイ?
ちなみに>>58-75が純くん回なので併せてよろしくです

何気にまだ照って出てないんだな



少し緊張するけど……いや、別に緊張しなくていいんだけど!


とにかく、覚悟を決めて通話ボタンを押した



純『もしもし?』

憧「い、井上さん、お久しぶりです」

純『お、新子久しぶりだなー! 夏ぶりか?』

憧「はい……その、お誕生日おめでとうございます!」

純『サンキュ! なんだよ、それでわざわざ電話くれたのか? つか誕生日とか言ってたっけ?』

憧「しずから……その、この間国広さんから聞いたらしくて」

……ちょっと嘘をついた

この間国広さんから電話が来てわざわざ教えてくれたのだ

国広さんは……その、ある一点においては決して相容れないけれど、そこ以外はかなりしっかりした人で気の回るいい人だ

……なんでファッションセンスだけあんなことになってしまったのだろうか

それはともかく、お蔭でポイント稼ぎを……いや別に井上さんが好きとかじゃないけど! 女の子同士だし! 違うけど!


憧「今、龍門渕は誕生日月間らしいですね」

純『ああ、先週が衣で次に透華、今日がオレで来週に国広くんだな……智紀は3月だけど』

憧「すごい固まりかたですよねー……龍門渕さんのとこだと、やっぱりでっかいパーティーみたいなのやるんですか?」

純『毎年ってわけでもないけどな……金持ちってやっぱりちょっと感覚違うわ。 でも、去年なんかはちっこくて安っぽいパーティーを衣のとこから4回やったしけっこう自由だぜ?』

憧「へぇ……コンビニでおかし買ってきたりとかですか?」

純『そうそう! まぁ、今年は透華の時にでっかいのまとめてやったからのんびりしてるんだけどな』

憧「そうなんですか……その、なにか欲しいものとかありますか? せっかくだしなにかお贈りしますよ」

純『いいよ、そんなの……新子が電話くれただけでうれしいって』

憧「ふきゅ」

こ、これはアレね? 脈アリね? こ、こここ告白しなきゃ!

純『ちょうど暇してたんだよなー 時間あるなら相手してくれよ』

……OKOK、落ち着こう

井上さんに他意はない

っていうか好きとかじゃないし! 女の子同士だしそういうんじゃないし!


一『純くーん、ちょっと……って電話中?』

純『ん、今新子から電話来て……どうかしたのか?』

一『あぁ……それじゃあ後でも』

純『あぁいいよ今行くって……悪いな新子、ちょっと用事できちまって……』

憧「あ、そんな、大丈夫です……」

純『それじゃあまた……』

一『ちょっと待った! 代わって! ……ごめんね? 新子さん……タイミング悪かったみたいで』

憧「あ、国広さん……」

一『ほんとごめんね?ちゃんとフォローしておくから』

憧「え、あ! 別に……その、そういうんじゃないですから!」

一『あはは……じゃあそういうことにしておこっか』

純『悪いな……後で電話するよ』

憧「……はいっ! それじゃあ、また!」

純『おう、また後でな』


憧「ふぅ……」

……こう、変にあがっちゃうのはよくないな

別にそういうアレじゃないんだし、落ち着いて話さないと

……後で電話してくれるのか

憧「……んふふ」

望「あーこ! どうしたの?ニヤニヤしちゃって……彼氏でもできた?」

憧「ふきゅ!? お、おおおお姉ちゃん!? み、見てたの!? 聞いてたの!?」

望「……え、マジで彼氏?」

憧「ち、違うし! 彼氏じゃなくって……っていうか電話の相手女の子だから!」

望「ふーん……?」

あ、なんか疑われてる

……っていうかお姉ちゃんに隠し事できる気がしないし、あまり詮索しないでほしい……

望「憧?」

憧「な、なに?」


望「……相手が女の子でも、お姉ちゃんは応援するからね!」


憧「ふきゅ!? ち、違うってばぁ!」


カン!



純「で? どうしたんだよ」

一「ちょっとそこの部屋でさ、棚の上の物取りたかったんだけどボクじゃ届かなくって」

純「なるほどね……それじゃ」

パァン! パァン!

純「な、なんだ!?」

「「「「誕生日おめでとー!!」」」」

純「は……?」

一「えへへサプライーズ!」

衣「驚いたか?」

透華「作戦大成功ですわ!」

純「な……この前まとめてやったから今年はそれで終わりじゃないのかよ!?」

智紀「パーティーならたくさんやった方が楽しい」

衣「ケーキもいっぱい食べられるしな!」

透華「純もまさか追加のパーティーをするとは思わなかったようですわね!」

純「そ、そりゃあまさかオレの時にやったら……国広くんの時はどうすんだよ!?」

透華「当然! サプライズパーティーですわ! 後で作戦会議ですわよ!」

一「透華……それはボクのいないところで言わないと……」


智紀「……純、もしかして泣いてる?」

衣「泣いてしまうほど嬉しいか! 衣おねえさんも準備を頑張った甲斐があったぞ!」

純「な、泣いてねぇし! これは、ちょっとクラッカーの音に驚いただけだし!」

一「それはそれで情けないよ?」

透華「まったく……もう少し男らしくしたらどうですの?」

純「オレは女だ!」

智紀「ふふ……とりあえず、はじめようか?」

衣「このケーキ! ハギヨシに教えてもらいながら衣が作ったんだぞ!」

純「マジか! すげぇじゃん! サンキュー衣!」

衣「ふわ……! こら! 撫でるな! 衣の方がおねえさんなんだぞ!?」

純「今日から同い年だろ? 固いこと言うなよ」


――――――

一「あ、そういえばさ……9月14日はメンズバレンタインデーらしいよ」

純「なんだそれ? 今度はどこの陰謀だ?」

一「なんか、日本ボディファッション協会ってとこが制定したんだって。 今は特に行事とかやってないみたいだけど……男性が女性に下着を贈って愛の告白をする日らしいよ」

純「へぇ……」

一「せっかくだし、純くんもなんかやったら? 新子さんも電話くれたことだし下着をプレゼントして愛の告白を……」

純「だから! オレは女だって言ってるだろ!」


もいっこカン!

誰得憧純スレ
純くんの誕生日に毎年下着をプレゼントしては脱がしたいよ!

おつ
憧ちゃーってマジでチョロそう

乙ー。
一から読んで腹抱えて笑わせてもらいました。
これはいいね。
灼かわええ。

>>768そういえばまだですね…まあここは基本的に安価等出さず出てきた名前全部拾っていくので気軽に気になる子の名前置いてってもらえたらなーと思ってます
>>779一回現実見えればしっかりした子なんで大丈夫だとは思いますけどね…
>>780ありがとうございます。灼ちゃんってすごくかわいいいと思います!
あまり関係ないけど「憧 灼」で検索かけるといまだに一番上に「不仲」って出るのなんなんですかねマジで

次は月曜夜、来れなかったら水曜夜に長野一の美少女華菜ちゃんの出番だし!

投下します
なにも用意してないけど胡桃ちゃんお誕生日おめでとうございます
くるたんイェイ?



兄弟姉妹にもいろいろある



昔みたいに毎日和と打てる

そんな期間は今この時、インハイで東京にいる間だけだろう

団体戦では直接打つことができなかったし、個人戦に参加していなかったことがここで活きてくるとはさすがの私でも計算できなかった

……とにかく、和の調整相手になってあげたい気持ちもあるし、清澄の宿舎には風越の福路さんもいる

お世話になった恩返しもできるし、強い雀士と打つことは私自身のレベルアップにも繋がる

清澄の宿舎に通うことは、和と旧交を温めつつ福路さんに恩返しをしながら私も麻雀が上達するという一石三鳥……いや、それ以上の効果も望める偉大なる作戦なのだ!

穏乃「あこー! 早く早く! 遊ぶんだ、和と!」

憧「はいはい……しずは少し落ち着こうねー」

玄「元気なのはしずのちゃんのいいところだよー?」

憧「……それは知ってる」

まぁ、いろいろ言ってみたところで私もやっぱり和と遊べるのが楽しみだし、はしゃぎたい気持ちもあるんだけどね


穏乃「こんにち……っと、すみません」

華菜「ああ、悪いな文堂……チビたちは……」

池田さん、どうやら電話中みたいだ

気にするな、とばかりに笑顔を見せて、ちょいちょい、とジェスチャーで中に入るように促してくれる

池田さんに小さく会釈を返して部屋に入る

咲「あ……こんにちは」

玄「こんにちは、宮永さん」

憧「どーもっ……あれ? 和は?」

咲「みんなが来る前に、って優希ちゃんと買い出しに行っちゃって……ちょうど入れ違いになっちゃったみたいだね」

穏乃「ありゃ……ちゃんと連絡しとけばよかったなぁ」

未春「せっかく来てくれたんだし、打ち始めちゃおっか?」

玄「吉留さん、お邪魔してます」

未春「こんにちは! 宮永さん入る?」

咲「はい、それじゃあお願いします」

憧「それじゃあ私最初見てますね」

玄「いいの?」

憧「いいよー 和来たらそっちと打つし」

穏乃「和と打ちたいだけかよー」


未春「でも、原村さんと片岡さん帰ってくる頃には華菜ちゃんも電話終わると思うからちょうどいいんじゃないかな」

玄「池田さん、どなたとお電話されてるんですか?」

未春「文堂さん……うちの1年生なんだけど、そこからの電話みたいだから妹さんたちと話してるんじゃないかな?」

穏乃「へぇ……池田さんって妹さんいるんですか」

咲「……姉妹、かぁ」

未春「しかも、まだちっちゃくて三つ子ですっごくかわいいの!」

穏乃「三つ子ですか!?」

玄「ちっちゃいって綾ちゃんたちみたいな感じかな?」

憧「いやいや……気持ちはわかるけどあの子らももう中学生に高学年よ?」

未春「んー……詳しくは知らないけど10歳は離れてるかなぁ」

玄「10歳ですか……」

穏乃「だいたい憧と望さんぐらいの差かー」

未春「新子さんも姉妹いるんだ?」

憧「はい、10こ上のお姉ちゃんが」


華菜「じゃあ、けっこうかわいがられてんだろ?」

憧「池田さん……えぇ、まぁ」

玄「電話、もういいんですか?」

華菜「おー……なんか、あいつら文堂になつきすぎだ……まだ帰れないって言ったら星夏おねえちゃんいるから平気ーって……」

未春「あはは……文堂さん毎日通ってくれてるみたいだし仕方ないんじゃない?」

華菜「それはそうだし、助かってはいるんだけど……」

穏乃「そうなると、ちょっと寂しいですよねー」

華菜「まーなー……もう打ちはじめてんの? どんな感じだ?」

咲「まだ東1です……あ、カン! 嶺上開花です」

穏乃「うー……早いなぁ」

未春「来年を考えるとこれを止めれるようにならないとなんだよねぇ……」

憧「玄またドラ8とかわけわかんないことになってるわね……」

玄「和了れなかったら意味ないよぉ……」


華菜「……なぁなぁ新子」

憧「なんですか?」

華菜「お姉さんとは仲良いのか?」

憧「えーまぁ、そこそこです」

玄「そこそこって……」

穏乃「超仲いいくせに照れちゃって! この前なんて寝言でお姉ちゃーんとか言ってたし」

憧「ふきゅ!? う、嘘でしょ!?」

穏乃「嘘だけど?」

憧「……しーずー!」

穏乃「あはは! 言っちゃうかもって思うくらいには望さんのこと好きなんだー」

咲「穏乃ちゃん、それカンだよ」

穏乃「えっ」

咲「嶺上開花、責任払いで12000です」

穏乃「あぁーやっちゃった……」

未春「生牌が全部危険牌に見えてきた……」

玄「カンドラが増えて手が進まないよぉ……」


華菜「そっかー……新子はお姉ちゃん大好きかぁ」

憧「あ、いや、まぁ……そ、そうですね」

玄「どうかしたんですか?」

華菜「ほら、一応電話も来るわけだし平気だとは思うんだけど……いなくても平気とか言われるとけっこうダメージがくるわけで……」

華菜「けっこう年の差もあるわけだし、やっぱり感覚も違うわけだろ? 私としてはちっこくてすっげーかわいいんだけど……下の子って姉のことどう思ってるのかなーって」

玄「私はお姉ちゃんと仲良しですし、大好きですよっ」

華菜「それは見てればわかるし!」

未春「華菜ちゃんのとこも見てればわかるぐらいには仲良しじゃないかな?」

憧「うーん……まぁ、お姉ちゃんの影響は大きいと思いますよ。 私は麻雀だってお姉ちゃんがきっかけで始めましたし」

華菜「お姉さんも麻雀するんだ?」

穏乃「望さん、赤土先生の同期なんですよ」

華菜「へぇ……ってことは姉妹揃ってインハイ出場か」

未春「お姉さんも鼻が高いだろうね」

憧「……そ、そうですかね?」

華菜「そりゃそうだろー……私だってあいつらがお絵かきで先生に褒められたとか言ってたら鼻が高いし!」

穏乃「親みたいになってますね……」

華菜「言われてみると……まぁうちは両親忙しいから普段は私が面倒みてるしなー」


華菜「ま、妹が嫌いな姉はいないけど……下の子はどうかなって思っただけだから……ほら、うるせぇババァ! とかドラマだとよく言われてるし」

未春「いやいや……それは不良少年が母親に言うやつなんじゃ……」

憧「でもたしかに、宥ねえも玄もお互いのこと大好きよねー」

玄「えへへ……そうかなぁ?」

穏乃「望さんも憧のこと大好きだしねっ!」

憧「……ま、まぁ、そうかもね?」

お姉ちゃん、そんなに私のこと好きなように回りからは見えてるんだろうか?

そりゃあ仲のいい姉妹だとは思うけど……

咲「……でも、姉妹って一口にいっても、それぞれ事情が違いますし……ひとくくりにはできないんじゃないですか?」


華菜「んーまぁ、たしかに個別の事情ってのはあるよな」

玄「……うちは小さいときにお母さんが亡くなっちゃったから、より姉妹で仲よくって感じかもしれないなぁ」

華菜「うちもそれこそ私がほとんど面倒見てるからなぁ……親みたいなとこもあるし、姉でもあるし、年も離れてるからよそとはたしかに違うかもな」

……そういえば、宮永さんのところはちょっと喧嘩してるっぽいんだっけ

うーん……この話題はまずかったのかなぁ

華菜「……宮永のとこはさ、仲悪いのか?」

憧「えっ」

未春「ちょ、華菜ちゃん!?」

いやいやいやいや! それ確実に聞いちゃダメなとこでしょ!?

咲「…………」

華菜「あ、話したくないなら無理しなくていいぞ?」

咲「……その、仲が悪いというか、私が……嫌われちゃってて……お姉ちゃん、怒ってると思うから……」


華菜「なんか怒らせるようなことしたのか?」

未春「か、華菜ちゃん……?」

憧「ちょ、もう少し言い方をですね……」

池田さん心臓に悪いってば!

っていうか、なんで玄もしずもキョトンとしてんの!? 話についてこれてないの!?

咲「……いろいろあって……去年会いに行ったときは話もしてもらえなかったから……」

華菜「うーん……でもさ、宮永は仲直りしたいんだよな?」

咲「……それは、はい」

華菜「じゃあなんとかなるって!」

憧「適当だな!?」


華菜「おいおい、上級生には敬語使え?」

憧「あぅ……すいません、つい」

華菜「……まあほら、宮永は仲直りしたいんだろ? 諦めなきゃなんとかなるって! 妹を嫌う姉なんていないからな!」

咲「……でも」

華菜「でも、とかすぐ言うなよ! いちいちマイナス方面に考えても気が重くなるだけだし! いい方に考えなきゃ疲れるぞ?」

穏乃「……そうだよ! きっとなんとかなるって!」

あ、しずこれよくわかってないけど勢いで入ってきたな

華菜「そうそう! 県大会やインハイの時も最後まで諦めないで打っただろ? それで勝ってきてるんだからそれと同じことだし!」

咲「そう……なんですかね?」

華菜「私が言うんだから間違いないし!」

未春「その自信はどこから出てくるのかな……?」


華菜「そうだなぁ……とりあえず個人戦でチャンピオンと打って、卓上でしっかり話すといいし!」

未春「そんな、漫画じゃないんだから……」

穏乃「河原で殴りあうと友情が生まれる的なアレですね!」

憧「なんでそれで納得できるのよ!?」

玄「宮永さん頑張ってるから、きっとうまくいくよ~」

咲「……そう、ですね……お姉ちゃんと仲直りして、また、家族で……」

華菜「その調子だし! チャンピオンもなかなかやるから練習頑張らなきゃな!」

咲「はい! カン! カン! もいっこカン! 嶺上開花8000・16000!」

穏乃「……トビました!」

玄「あわわわわ……」

未春「……来年までに宮永さんに勝てるようになるのって無理なんじゃ……」

華菜「みはるん弱気になるなし! 華菜ちゃんの潜在能力を舐めちゃいけないし!」

穏乃「私も全国に来たら宮永さんと打つんだし負けてられませんね!」

玄「しっかり特訓して来年こそは勝たなきゃね!」


華菜「よーし、みはるん交代だし! 来年に向けて今から宮永を倒すイメージ作ってくし!」

憧「じゃあ玄交代して! 私も打ちたい!」

玄「いいよー」

穏乃「よし! 今から来年に向けて地獄のオニ特訓だ!」

咲「私も負けないよ! お姉ちゃんに勝てるぐらい強くならなきゃ……!」

未春「……そういえば、原村さんたち遅いね?」

咲「道に迷っちゃったのかな?」

華菜「宮永じゃあるまいしそれはないだろー」


ガチャ


華菜「お、来たし! 遅いぞー? どこで油売ってたし!」

美穂子「あ……ご、ごめんなさい……ちょっとお買い物に行ってたのだけれど、阿知賀の皆さんももう来てたのね……お客様をお待たせしてしまって……」

華菜「キャ、キャプテン!? すみません! 今のは、その、間違いで! 人違いだし!」

未春「キャプテン、おかえりなさい! 華菜ちゃんそそっかしいから……」



ガチャ


華菜「あっ! こら! 本当にどこで油売ってたし! トロトロしてさっさと帰ってこないから私がキャプテンに……」



貴子「あ゛?」



華菜「」

美穂子「あ、久保コーチ……お疲れさまです」

未春「お、お疲れさまです……」

憧「お邪魔してまーす」

穏乃「こんにちは!」

貴子「ああ、阿知賀のみんな、いつも練習付き合ってくれてありがとな? お菓子買ってきたからみんなで適当に食べてくれ」

玄「わぁ……すみません、気を遣わせてしまいまして……」

貴子「いや、本当に助かってるから気にしないでくれ……池田、ちょっとこっち来い」

華菜「あ、いや……その、今のは……違うし」

貴子「何が違うんだ? いいから来いって、怒ってないから」

華菜「は、はい……」


美穂子「……華菜、大丈夫かしら?」

玄「怒ってないから、って怒ってる人が言う台詞だよね……?」

未春「久保コーチ普段は優しいんだけど……風越はけっこう体育会系だからああいうところは厳しくて……」

穏乃「熱血指導ですね!」


ガチャ


優希「たっだいまー!」

和「ただいま戻りました」

憧「あ、おかえりー!」

咲「えっと、福路さんとは打てないから私と和ちゃんが同卓すればいいのかな?」

美穂子「そうなるわね……それじゃあ片岡さん、お願いできるかしら?」

優希「よろしくだじぇ!」

憧「打とっか、和」

和「はい、よろしくお願いしますね、憧」



和「……そういえば、今池田さんと久保コーチとすれ違ったのですが、なにかあったんですか?」

憧「あー……それは」



貴子「池田ァァ!! てめぇ口の聞き方も知らねぇのかっ!」



和「……あぁ、なるほど」

優希「散ったじぇ」


カン!

華菜ちゃん多重属性につきどこを取り上げればいいのかわからない問題

日付変わって優希の誕生日です。ゆうたんイェイ~
明日はみはるんと九月生まれ多すぎる…

ちまちま京タコ書き溜めてたけど間に合わなかったよ畜生!

乙だし!そしてゆーきたんイェイ~

そういやタコスがメインってあったっけ?

>>803まだだし!そのうち書きますかね

次回の予定は未定ですが今回姉妹の話振ったし照にするかもしれません…あまり間開けたくないので一週間以内には投下したいです
みはるん誕生日おめでとう!みはたんイェイ~

特典出そろったみたいですね。前回はかなり悩んだんですけど今回は…とりあえず閑無ちゃん杏果ちゃんのメロンにしようかなぁ
正直とらみたいなのは下品で購買意欲わかないんですよね…

投下します。灼と照で



いくらすごいと言っても、やっぱり同じくらいの女の子なんだ



「「あ……」」

伸ばした手と手が触れあう

一昔前の少女漫画なら恋が始まるところだ

……咲なんかは好きなシチュエーションなのではないだろうか

図書館とか好きみたいだしもしかしたら既にこのシチュエーションには遭遇済みの可能性も……

ああ、恋人はいないって言ってたっけか

……それはともかく、引かないなこの人

普通譲り合うものじゃないのか

というか、最後のひとつとはいえ、コンビニスイーツぐらい譲ってくれてもいいじゃないか

灼「……あれ? チャンピオン?」

照「……阿知賀の、鷺森さん?」

あ、さりげなく商品手元に持ってったな

油断した私が悪いのか


灼「……すごい量ですね?」

チャンピオンは買い物かごに大量のおかしを積み重ねている

部の買い出しだろうか? チャンピオンの仕事とは思えないけど……

照「……違う。 私だけの分じゃない。 ちゃんと、みんなにも……分ける。 分けるよ?」

あ、これは一人で全部食べるやつだな

照「……麻雀で頭使うから、カロリーは充分に消費できる。 というか私は食べても……そんなに、そんなには太らないタイプだから。 太らないから」

聞いてもいないのに言い訳をはじめた

しかもこれ太っちゃうやつだ

照「……こっちは新商品だし、これはこの前淡がおいしそうに食べてたから気になって……あ、あれはこの前誠子が」

灼「そんなに食べると太りますよ」

照「……太らないもん」

なにもそんな、涙目にならなくても……


「2670円です」

照「はい」

……コンビニでどれだけ買うんだ

照「……あの、鷺森さん?」

灼「なんですか?」

照「……100円貸してもらえませんか?」

灼「……少し諦めたらいいんじゃ」

照「お願い、貸して……?」

灼「……どうぞ」

だから泣かないでほし……


照「ありがとう。 この恩は一生忘れない」

もぐもぐ

灼「……いや、そんなに恩にきせるつもりは」

照「でも、本当に助かった」

もぐもぐ

灼「あの、話すのは食べ終わってからでいいですから」

照「わかった」

チャンピオンはコンビニを出てすぐに……お礼を言う前に、シュークリームの袋をあけて食べはじめた

どれだけ食べたかったんだ

というかおいしそうだな

照「……一口食べる?」

灼「……いただきます」

照「おいしい?」

灼「おいし……」


照「やっぱり甘いものはいい」

そう言ってチャンピオンはエクレアの袋を開封する

灼「……まだ食べるんですか?」

照「こんなに買ったってバレたらまた怒られるから……少し食べてから帰らないと」

やっぱり買いすぎじゃないか

というか毎回怒られるほど買ってるのか

照「……おいしい」

……そんなにいい笑顔をされると、なにも言えなくなる


照「鷺森さん、鷺森さん、せっかくだから一緒に食べよ? まだまだたくさんあるから……」

灼「ん……ありがとうございます」

……メディア関係ではしっかりものの優等生、そんなイメージを持ってた

実際に全国大会で打ってみると……打ったのは玄だけど、少し怖いぐらいのイメージだった

しかしこうして話してみると、ちょっとおかしが好きな……いや、すごくおかしが好きな、自分達と変わらない普通の女の子なんだと思う

照「こんなにおいしいのに……菫は少し量を抑えろと言う……意味がわからない」

灼「あ、口のとこクリームついてますよ」

照「え? こっち?」

灼「反対……よいしょ」

ポケットからハンカチを取り出して、拭き取ってあげる

照「ん……ありがと」

灼「いえいえ」

……気づいたらチャンピオンはポテチを開封している……いったいどういうことなの


照「……甘いものとしょっぱいものを交互に食べることで飽きずに食べ続けることができる」

聞いてもいないのにまた言い訳をはじめた

灼「……太りますよ?」

照「……太らないもん……意地悪言わないで」

灼「……ごめんなさ」

こう、ちょっと涙目になるのが年上なのにかわいらしい

……その目や、特徴のある跳ねた髪とか……やっぱり、咲のお姉さんなんだよね?

喧嘩してるって、咲は言ってたけど……

灼「……あの」

照「なに?」

灼「……長野の」

照「私に妹はいない」


灼「……まだなにも言ってませんけど」

照「ん……? あ……」

灼「やっぱり……」

照「いや、違う。……これは、その、間違い」

灼「間違い?」

照「口が滑った」

灼「それは妹がいるって白状したようなものでは……」

照「あ、違う……その、咲は妹じゃなくって……たまたま、たまたま名字が同じだけ」

灼「私、咲がどうとか言ってませんけど」

照「……本当だ」

灼「…………」

大丈夫なんだろうか? いろいろ心配だ


照「見事な誘導尋問だった……」

灼「いや、勝手に全部喋ってたような……」

照「私がおかしを食べている間はおかしのことしか考えられないのを見越して……?」

灼「……そうなんですか?」

それはちょっとどうなんだろうか

照「ま、まさか100円貸したのもその布石だった……?」

灼「それは考えすぎ……」

照「あ、この新商品おいしい……」

……本当におかしのことしか考えられないのだろうか?

照「食べる?」

灼「……ども」

うん、おいしい


灼「……咲とは、友だちで」

照「……そうなんだ」

灼「詳しくは、知りませんけど……」

照「うん……まぁ、ちょっとね……」

灼「……すみません」

照「いや、私も……どうにか、しないといけないとは、思ってるんだけど……」

……やっぱり、あまり踏み込まない方がいいだろうな

私のせいでこじれちゃったら、咲にも悪い

灼「……あ、こっちのもおいしいですね」

照「……本当だ……おいしいね」

照「……鷺森さん」

灼「はい?」

照「……咲は……その、元気、なのかな?」

灼「……元気ですよ。 麻雀も、練習頑張ってます」

照「……そっか」



照「……あ、ごめん、電話」

灼「どうぞ」

照「もしもし? 菫? どうしたの?」

照「うん、買いもので……人と会って……」

照「……違う。 知ってる人。 淡じゃないんだから、そんな心配はいらない」

照「おかし? 食べてるけど……違う、釣られたりしてない。ついてってない。 子供じゃないんだから……」

……チャンピオン、いったい仲間にどういう風に思われてるんだろうか

照「練習……? ね、今何時かな?」

灼「ん……」

黙って時計を見せる

照「……違う、忘れてない。 ちょっと、ちょっと時間を間違えただけ」

……おかしのことしか考えられなかったから仕方ないね


照「うん……わかった。わかったから……うん、じゃあ」

灼「……大丈夫ですか?」

照「少し怒られた」

灼「……練習ですか?」

照「うん……ごめんね? 戻らないと」

灼「いえ、楽しかったです。 ありがとうございました」

照「こちらこそ……話を聞けて、よかった」

……やっぱり、本当に嫌っていたり、気にかけていないわけじゃないんだ

この人も、いろいろと悩んで、苦しんでいるんだと思う

……当然だよね。私や咲とも変わらない、18歳の女の子なんだから……

照「……その、また会えるかな?」

灼「え……」

照「あの……100円借りちゃった、から」

灼「……連絡ください。 待ってますから……照さん」

照「……ありがとう、灼」


――――――

灼「……咲」

咲「灼ちゃん、こんにちは」

灼「どう? 調子の方は」

咲「うん……いい方だと思う」

灼「そっか」

咲「この調子で……お姉ちゃんと仲直りできるように、頑張るんだ」

灼「……咲」

咲「なぁに?」

灼「きっと、うまくいくよ」

咲「……うん!」


カン!

宮永姉妹は物語の重要なポイントなので触れづらいっちゃ触れづらい。本編の進行が楽しみなとこです
しょっちゅうポンコツ姉妹扱いされてる気がしますが公式的にはポンコツ娘って優希を指すんですよね…風潮って恐ろしい。クロチャーの「ですのだ」とか…一回も言わせてないと思うけど

ブルーレイも来たことだし時間作って全国編見直さなきゃ!

乙ー 因みに照は2月生まれだからあらたそとは17の同い年だよー

二次だと咲ってかなりの方向音痴で書かれてるけど記憶違いじゃなければ原作だと建物の中でしか迷ってないんだよね

>>823あらたそ視点では一つ上の先輩だから許しておくれ
>>826ある程度の拡大解釈は仕方ないんですけどね…アコチャーのあれはただの風評被害で許せませんが

次回三尋木プロにします。大人担当ハルちゃん回で
早ければ明日、というか金曜夜にでも投下しますのでよろしくお願いします

乙です
「咲日和であったことは本編でもあったことにさせてもらってる」ってりつべブログで言ってたし咲日和は公式みたいなものじゃね?
まあそこまで激しく迷った描写は今のところはないけど

言葉が足りない上に余計なこといいましたね、失礼しました。
>>832でおっしゃられている通り、立さんの発言から>>1は咲日和を実際にあったことと認識しています。
それで、咲でいえば方向音痴なのは公式だけど別にポンコツではないよな、とか反対に照は空前絶後の不用意な発言とか割とポンコツっぽいけど方向音痴ではないよな、とか思っただけでして…

復旧したみたいなので投下します



どうしてこんなことになったのか


……わっかんねー



私は今、ついこの間……瑞原さんと野依さん、小鍛治さんと打ったバーにいる

そして隣には……

咏「…………」

圧倒的な火力でチームを優勝に導き、数々の賞を授賞。 さらに日本代表チームの先鋒でエースとして活躍している……横浜ロードスターズ所属、三尋木咏プロだ

……すごい勢いで飲んでるけど、大丈夫なのか?

咏「ねぇ、赤土さん?」

晴絵「は、はい……?」

咏「あっはっは! 赤土さんだ! 赤土晴絵だ! 隣で飲んでるよ! なんで!? わっかんねー!!」

晴絵「あ、あはは……」

……あんたが無理矢理引っ張ってきたんでしょうが

っていうか大丈夫なの? できあがっちゃってないか? いや、普段からこんなテンションなのか?


引っ張ってこられたからにはなにかしら話があったんだろうけど……

咏「おおぅ……ちょっとこれ、なかなかおいしいねぃ……あんま高い酒飲むのはじめてだからつい……」

晴絵「だ、大丈夫ですか?」

咏「あぁ、敬語はいいっすよ? 私の方が若いし」

……せめて年下って言えよ! なんか私がおばさんみたいじゃないか……年の差も、たしかひとつかふたつだろ?

晴絵「……わかった。 で、なにか話があるんだよね?」

道を歩いていたら、捕まって、バーに連れ込まれたと言っていい

初対面でこんな強行手段を使うわけだから用がないってことはないだろう

咏「そうなんだけど……ちょっとタンマ……み、水取って……」

晴絵「……どうぞ」

お酒、慣れてないみたいだな……ペース配分が酷すぎる

そんな、ジュースみたいに飲んだら頭痛もするだろうさ


咏「あー……で、なんだっけ?」

晴絵「……話があるのはそっちですよね?」

咏「そうだっけ? わっかんねー」

晴絵「はぁ……」

この子……いったいなに考えてんだか……思考を読まれないってのはプロ雀士としては強みだけど……

いや、もしかして話しづらいことなのか?

咏「……ちょっと待ってくださいね、赤土さん……少し、まとめてから話すんで」

晴絵「……ええ、構いませんよ、三尋木プロ」

咏「あ、プライベートだしプロはやめましょうってー」

晴絵「それじゃあ、三尋木さん?」

咏「もっと気軽に咏ちゃんとかでいいけどねぃ……ね、ハルちゃん?」

晴絵「……あんまりからかわないでくださいよ、咏さん」

咏「敬語もいいって言ってんのに……ハルちゃんはつれないねぇ」

けっこう妥協して咏さんなんだけど……いくら年下でも、世界クラスの雀士相手ではこちらも気が引けるってもんだ


咏「あー……そうだ、阿知賀女子、インハイ、おめでとうございます」

晴絵「え、あ、どうも……ありがとうございます」

咏「…………」

晴絵「…………」

……気まずい

そりゃそうだ、初対面なんだから

一人ですごい勢いで飲んじゃうし、どうすりゃいいんだよ私は……

咏「……すみません、本題入りますわ」

晴絵「……よろしく」

咏「…………」

晴絵「…………」

……早く話せよ!

咏「……あのさ、うちら、もう友達な?」

晴絵「……ん?」

咏「咏ちゃんハルちゃんの仲だし、友達な?」

……やっぱり普通には話しづらいってことかな、これは

ずいぶんと飲んでいるのも、踏ん切りをつけたいのかな

晴絵「……OK、一緒に酒まで飲んだんだ……友達だよ、咏ちゃん」

咏「……サンキュー、ハルちゃん」


咏「……学生時代、小鍛治さんと打ってるよねぃ?」

晴絵「……ああ」

……最近、この話をすることが多いな……私自身、考える時間が増えたことでもあるけど

教え子たちとインターハイの舞台に戻ってきて……あの頃向き合えなかった分、今からでもしっかり自分の中で昇華しなきゃいけない問題だとは思ってる

晴絵「……それを知ってるなら、結果も知ってるだろう?」

咏「もちろん……ボロ負けだったねぃ」

晴絵「……ああ」

咏「……それでも、あの対局は小鍛治さんの中に残り続けていたんだ」

晴絵「……!」

咏「団体戦準決勝、私はすぐにわかったよ……小鍛治さんの話した、たった一度の跳満……相手はあんただ」

咏「あの人は国内無敗……世界でも最前線で戦って、多くの雀士を屠って来た……」

咏「結局世界二位まで登り詰めて……結局、途中で地方リーグに隠居しちまった。こっちは対局の機会もないのに昔の牌譜まで引っ張り出して研究して!ずっと追いかけてたってのに……!」

咏「なにがあったのかは知らんけど、少なくともあの人は世界のトップだったんだ! 世界のトップクラスの雀士と戦い続けて……なのに、あの人の中にいる雀士は! 世界の強敵たちじゃなくって!あんたなんだよ……!」


晴絵「…………」

咏「……私の戦績、知ってるかぃ? 知らんけど」

晴絵「……ロードスターズと日本代表のエース、首位打点王、ゴールドハンド他多数の賞……あなたも国内じゃほぼ敵なしだ」

咏「そう! そうなんだよ! ……でも、私がインターハイに参加したときには入れ違いであの人はプロに行っちまってた!」

咏「私がプロになったときにはあの人は戦場を世界に移してた! ……私が辿り着いたときには、あの人はもう、そこにはいなかった……」

咏「小鍛治健夜……国内無敗の史上最年少八冠、永世七冠、恵比寿時代は毎年リーグMVP……」

咏「私がどれだけの大会を制しても! どれだけ賞を取っても! あの人がいないのに、それになんの意味があるんだよ!?」

晴絵「…………」

咏「わっかんねーんだ……私は、どうすれば……」

……なんというか、小鍛治コンプレックスとでも言えばいいのか?

いわゆる小鍛治世代は彼女の他にも瑞原はやり、野依理沙らトッププロが名を連ねているが……反対に言えば、トッププロ以外にはほとんどプロ人口が存在しない

……大きすぎる才能と実力に押し潰され、その道を諦めた人間も多いのだ

例えば……私とか、ね


三尋木咏は、ひとつ下の世代に当たる

そこで小鍛治健夜のように先頭に立って、現在の日本麻雀界を牽引している彼女は比較対象にされることも多いだろう

「国内最強の雀士は誰か?」なんて話題になると二人の名前は必ず挙がるが、対戦機会に恵まれなかったこともあり結局議論に決着はつかない……なんてことはざらだ

どれだけ勝っても、小鍛治さんに勝たなければ真の最強の名は手に入らない……」

……まあ、やってられないよな

晴絵「……でも、どうして私に?」

咏「……小鍛治さんが認めた、あんたと打ちたい」

咏「納得できないんだよ……あの小鍛治さんが……悪いけど、はっきり言うぜ? あんた程度の雀士に気持ちを置く理由がわっかんねー……日本リーグ時代の牌譜も見せてもらったけど、あんな縮こまった手を打つようなヘタレ雀士に、拘る意味がわからんね」

晴絵「……なるほど、ね」

随分とはっきり言ってくれるもんだ……

だけど、それは私自身認めているところだ……日本リーグ時代も、小鍛治さんの影に怯えて、踏み込んだ打牌ができなかった自覚はある

だけど……今はもう違う! あの子達のお蔭で、私の止まっていた時は再び動き始めたんだ……過去と、麻雀と向き合うことで!

晴絵「こちらこそ、望むところだ……日本代表の力、見せてもらうよ」

咏「ふん……威勢がいいねぃ……少しは楽しませてみろよ? 阿知賀のレジェンド……!」


咏「ここなら、余計な情報が漏れる心配もない……マスターも口が固いしね」

晴絵「……それなら、小鍛治さんを直接誘えばいいんじゃないのか?」

咏「わかってるくせに言うなよなー……私と小鍛治さんはマスコミにマークされてるからね……二人揃って麻雀バーに入ったら、さすがにわっかんねーでかわせないっつーの」

晴絵「ま、だよな……」

咏「マスター! 卓借りるよ!」

晴絵「ふぅ……じゃ、始めるか?」

咏「もち!」

晴絵「で、面子は?」

咏「……ん?」

晴絵「いや、二人じゃ打てないだろ?」

咏「……おお?」

晴絵「……面子は?」

咏「……存じ上げぬ」

晴絵「……あんたさぁ」

咏「いや、知らんし! だってハルちゃん見つけてつい反射的に引っ張ってきたから……」

晴絵「あんた一応プロだろ!? そんな無計画でどうすんだよ!」

咏「わっかんねー! 全てがわっかんねー!」

……結局、仕方ないから二人で飲むことになった


咏「つーかなんなの!? めっちゃはずいんですけど! 散々煽った挙げ句、楽しませてみろよ? キリッ! とかやっちゃったんですけど! 」

晴絵「あっはっは! マジで恥ずかしいなあんた! 楽しませてみろよ(笑) こっちが楽しいっつーの!」

咏「うっせー! 知らんし! 阿知賀のレジェンド(笑)」

晴絵「あぁ!? マジでそれやめろって! 洒落になんないぞお前!」

咏「さっきはノリノリだったじゃんよー」

晴絵「そっちが決め顔してたから付き合ってやったんだよ!」

咏「は? 知らんし! 実は気に入ってんだろ? 阿知賀のレジェンド(笑)」

晴絵「あーあー! マジふざけんなお前! ちょっと卓につけよ!」

咏「やっべー! 必殺のレジェンドツモ(笑)されるんですけど! 」

晴絵「また言ったなお前!? あんまり調子乗んなよチビ!」

咏「はぁ!? チビじゃねーし! 身長は関係ねーし! そういうあんたはいくつあんだよ!?」

晴絵「174だよ! どーせデカ女だよ! 悪かったな!」

咏「え……ひゃ、174……? う、羨ましくねーから!身長とかわっかんねー!」

……他に客がいなかったからまだよかったものの……二人して相当酷い酔い方をしていたと思う

それこそ、恥ずかしさとか鬱屈した気分とか、酔わなきゃやってらんない感じだったんだけどね

……そこから先は、よく覚えていない


――――――

晴絵「……あたま、いったぁ」

どうも、飲みすぎたようだ……周囲を見回せば、今はもう見慣れたホテルの部屋で

一応、しっかり帰ってこられたらしい

晴絵「うぅ……水……灼、いるか……?」

隣のベッドに灼の姿はない……時計が視界に入るが、もうお昼になろうかという時間だ

……そりゃあ、まだ寝てたりはしないだろうな

気を遣ってそっとしておいてくれたのだろうか?

というか、学校の部活の引率で来てるのに二日酔いで動けないなんて……教師失格だ

晴絵「はぁ……しっかりしないとな」

とりあえず、水は自分で用意しないといけないらしい


……それにしても体が重い

立ち上がるのにこんなに力がいるなんて……ん?

晴絵「……なんだ?」

腰に絡みついた……腕?

晴絵「……あれ? 三尋木プロ……?」

昨日一緒に飲んだのは覚えてるけど、なんで私のベッドに……?

しかも、なんで下着姿で……!?

晴絵「っ!? え? なにこれ?」

とりあえず、私は服着てるぞ? いや、同性だし間違いはないと思うけど! ないよな!? いくら酔ってたと言っても!


ガチャ

灼「……あ、ハルちゃん起きたの? 大丈夫?」

晴絵「あ、灼!? ちょ、ま、待って……!」

灼「いいよ、遠慮しなくても……水持って、き……な、なに? その人……」

晴絵「ち、違う! 誤解だ誤解! なんもない! なんもないから!」

……なんで浮気がバレた男みたいになってんだ私!?

タイミング悪すぎ! せめてもう少し落ち着いてから来てくれれば……

憧「ん? 灼さんどしたの? ……え、ハルエ……と、三尋木プロ? な、なんでそんな格好……ま、まままさか!? お、男と縁がないからってそっちの道に!?」

晴絵「違うって! あーもう! 入って! 説明するから余計なこと言わないで! お願いだから! 頼む!」


灼「……で?」

晴絵「え、いや……ちょっと待って……その、なんで」

灼「文句あるの? 二日酔いの引率教師が?」

晴絵「……ないです、はい」

生徒に正座させられて尋問される教師……最高にカッコ悪いな

憧「……なんで三尋木プロが? 知り合いだったっけ?」

晴絵「……いや、昨日はじめて会ったんだけど……いろいろあって、飲みに行った」

灼「いろいろ?」

晴絵「あ、うん……いろいろ」

灼「説明しろって言ってるんだけど」

晴絵「あ、はい……」

憧「灼さんこーわーいー」

灼「ハルちゃんが悪いし」

憧「あはは、だよねー! 心配かけといて女の子連れ込んでるとか……」

……味方はいないらしい

しずや玄、宥を呼ばれてこれ以上失態を晒すことになるよりはいいけど


晴絵「えーと、町を歩いてたら、三尋木プロに声をかけられて、そのまま飲みに行きました……」

憧「で? 酔いつぶしてお持ち帰りしたの? 好みだった?」

晴絵「だから違うってば!」

なんでこの子はそういうことを……!

憧「あはは! 図星? ちっちゃい子が好みなんだ? 灼さんと同室になったのはそのためかなー?」

灼「……生徒に手を出すつもりだったの?」

晴絵「いや、違うって! 本当に! 誤解だから!」

くそっ! 本当に望にそっくりだな!? 面白がって煽って……

灼「じゃあなんで? 三尋木プロがハルちゃんのベッドで一緒に寝てるの?」

晴絵「それは……」

正直、あまり覚えてません……とは言えないよなぁ

晴絵「……二人ともけっこう飲んで、三尋木プロがつぶれちゃったんだ」

憧「やっぱりつぶしてお持ち帰りのパターン……」

晴絵「宿がわからなかったから! 仕方なく! 連れてきたの!」

……たぶん、そのはずだ


灼「……まあ、ここにいる理由はわかったけど」

憧「なんで脱がした上に同衾してるわけ?」

晴絵「えー……それは……」

……なんでだろう? 全然覚えてないぞ……

咏「あー……うっさいぞー……ひとが、きもちよくねてるってーのに……」

晴絵「三尋木プロ! 目が覚めましたか!」

よし! 当人である三尋木プロに、なにもなかったことをしっかり説明してもらえばとりあえず切り抜けられるだろ!

咏「んー……ハルちゃん? ちょっとみず、ちょうだい……あたまいてー」

灼「……ハルちゃん?」

憧「ほほう……」

あ、これなんかヤバい?


晴絵「はい、水! そんでさ、とりあえずいろいろ説明してあげてよ! なんか誤解されてるから!」

咏「んー……なんの? だれに?」

晴絵「うちの生徒がさ、ほら! ね? なんでここにいるのかとか! いろいろ!」

咏「ん……昨日私が誘って、飲み行って……ちょっと酒回って宿がわっかんねー感じになったんで……泊めてもらった? んだよな? 知らんけど」

晴絵「ほら! なんもないだろ? 咏ちゃんはただの友達だから!」

灼「……咏ちゃん?」

憧「へぇ……で、なんでハルエと一緒に寝てて、服も着てないんですかぁ?」

咏「ん……?」

晴絵「ほ、ほら……こいつらちょっと、そういう誤解をしててさ! そういう年頃だから! なんとか言ってやってくれよ!」

咏「そりゃ、寝る場所ないし、着物に皺とかついたら……あ」

晴絵「あ?」

咏「……ほうほう」

晴絵「ほうほう?」


咏「……酔って動けなくなったところを脱がされてさー」

晴絵「はぁ!?」

憧「ふきゅ!?」

灼「……へぇ」

晴絵「ちょ、ちょ、あんた! なに言ってんの!?」

咏「実際脱がしたのハルちゃんだぜぃ? 覚えてねーの?」

晴絵「んん……?」

そういや、動けないから脱がしてー、とか言われたような気も……

憧「え? え? 嘘? じょ、冗談じゃなくって!? あ、あわわわわわ……」

灼「…………」

晴絵「ってなんで状況を掻き乱すんだよ!?」

咏「わっかんねー! 嘘言ってないし! 知らんし!」

灼が凄い睨んでる。 怖い。

憧は……なんかテンパってるな。 そこだけは望と違うな……って今はそんなことを言ってる場合じゃなくて……!

咏「そんで、隣で教え子が寝ているという背徳的な状況が余計に燃えるとか言って、無理矢理……」

憧「ふきゅ!?」

灼「……ハルちゃん、最低だね」

晴絵「いやいやいや! それは絶対に言ってない! つーかヤってないし!」

憧「ヤ、ヤ、ヤるって……ふきゅう」

……憧には刺激が強かったらしい

言葉は選ばなきゃダメだね、うん


咏「ハルちゃんちっちゃい子が好みみたいだから鷺森とか高鴨とかヤバいんじゃね? 知らんけど」

あ……! こいつ、チビって言ったの根に持ってんのか!?

灼「……今日から玄と一緒に寝る」

晴絵「え、いやいや! 待って灼! 違うから!誤解だから!」

咏「ほら、部屋別れられるの嫌なんだって! こりゃ狙ってたね! 知らんけど!」

灼「……ちょっと、半径五メートル以内に近づかないでもらえますか」

晴絵「部屋から出てけってか!?」

これはマズい。 生徒からの信頼が音を立てて崩れていく……いや、二日酔いの時点でだいぶアウトだったけれども

晴絵「いや、待って! よく考えるんだ灼! もし私が……あー、そういうことを咏ちゃんにしたならあの態度はおかしいだろ!? もっと怒るとか、泣くとか、そういう感じが普通だろ!?」

灼「……!」

よし! やっと反撃できたぞ!

灼「……どうなんですか? 三尋木プロ」

咏「え、えっと……」

晴絵「わっかんねー、とか! 知らんし、じゃ通りませんよ!」

咏「……その、すっごく良かったから」

演技派か! なんだそれ頬染めんな! 女子校生相手にそういうネタで攻めるのマジでやめろ!

灼「……ハルちゃん」

晴絵「あ、灼……」

灼「一回死んだら?」

晴絵「」



しばらく教え子に距離を置かれた上に、大会関係者に夜の方もレジェンドとかいう噂が流れた


プロになって小鍛治さんに公式戦でリベンジする、それが目標だったけど……


小鍛治さんへのリベンジより先だ……あのチビ、プロになったら真っ先に叩き潰してやる……!


カン!

真面目な話をするつもりが酷いことになってた

今気づいたんですが、国広くんの誕生日ですね。はじたんイェイ~
ちなみに、ファッションショーの日らしいですね!

やっぱりあらたそはレズじゃないか(歓喜)

>>855レズじゃないから…好意や憧れ、嫉妬の感情はあれどレズじゃないから…
あ、でも阿知賀で女子カップル書けって言われたら灼ちゃん絡みで書きたいです

次は智葉さん予定です。火曜夜に来れればいいな

水曜になってしまいましたが投下します。 すみません

今日はキャプテンの誕生日だし!みほたんイェイ~



圧倒的な強者のオーラ


……卓上で出会ったのなら燃えるけど、日常ではさすがに怖い



「高鴨穏乃だな?」

穏乃「え?」

「うちのもんが世話になったようだな」

穏乃「……え?」

町中で、急に話しかけられた

キリッとした目付き、隙のない佇まい……その上美人だ

美人なんだけど、それゆえに迫力があり、威圧感が際立つ

玄「し、穏乃ちゃん……?」

隣に立つ玄さんにちょいちょいとつつかれる

憧「……しず、なにしたの? ヤバいって……なんか、そっちの筋の人だって」

穏乃「え、いや……覚えがないんだけど」

憧「10円で高そうな車引っ掻いたりしてない?」

穏乃「そんなことしないよ!」

「……おい」

「「「はいっ!?」」」


「なにをこそこそ話してるんだ?」

憧「い、いや……なにも……」

玄「なんでも、なんでもないですから……」

「……なにをそんなビビってんだ? 別に取って食いやしない……顔色が悪いぞ、松実?」

玄「ふぇ!?」

穏乃「く、玄さんなにしたんですか? あの人の胸揉んだりしてないですよね?」

玄「し、してないよ! どうせするならもっとおもちな子に……」

憧「なにバカなこと言ってんのよ! あ、あんた今の聞かれてたら東京湾に沈められるわよ……!」

「……おい、ちょっと」

憧「ふきゅ!?」

玄「わ……私が余計なこと言ったから……二人は絶対に守るから……」

穏乃「そ、そんな……玄さんだけに酷い目に合わせるわけには……」

「いや、待て待て待て! 落ち着け!」


「そりゃ、ちょっと目付き悪いかもしれんが……ああ、そうか……これでどうだ?」

上着のポケットから眼鏡を取りだし、髪を右手でさっと纏めると……

穏乃「……あ! 辻垣内さんだ!」

智葉「やっぱわかんなかったか」

ははっ、と軽く笑顔を見せる

……なんとなく雰囲気に飲まれてたけど、そんなに怖くないかもしれない

憧「あ、辻垣内さん!? し、失礼しました……試合の時と全然違うから気がつかなくって……」

智葉「いや、こっちこそすまなかったな……急に声をかけて、随分と怖がらせたみたいだし」

玄「辻垣内さんでしたか……大会の時とおもちが違ったから気づきませんでした……」

智葉「……おもち?」

憧「あ、お気になさらず……」


穏乃「あ、じゃあうちのもんって……メグさんですか?」

智葉「……ここ最近落ち込んでたあいつがさ、友達ができたって喜んでたよ」

穏乃「 ……へへ、そうですか」

智葉「ああ……あいつが日本に来てからの付き合いだが……なかなか、かける言葉が見つからなくてな」

智葉「……臨海は実力至上の結果主義だ。 金を出してる奴らが麻雀を知っているわけでもない、力があっても結果を残せなければ……当然、あいつもその覚悟でいたわけだが」

智葉「……ただ、メグに何も言ってやれなかった自分の不器用さが恨めしい」

穏乃「……辻垣内さん」



玄「どうしておもちの大きさが違うのかなぁ? なにか詰めて……いや、むしろ大会の時は潰してたとか……」

憧「真面目な話してるから黙ってようね」


智葉「……急にすまなかったな、明るい話ではなかったし」

穏乃「あ、いえ! 気にしないでください!」

智葉「……そういや、メグと飯食う約束したってな? 昼、まだだったら一緒にどうだ? 」

穏乃「是非……って、そちらは大丈夫なんですか?」

智葉「監督は話がわかる、飯ぐらい平気だろう……ああ、私が出すからそっちの心配はいらないぞ」

穏乃「え、でも……」

智葉「私からの礼だ、気にするな……ここら辺はうちのシマだしな」

憧「……シマ?」

智葉「……地元だからな、任せてくれ」

玄「お姉ちゃんと灼ちゃんに電話してみるよ」

智葉「うちの留学生組も暇してるからな……連絡すればすぐ来るだろ」


――――――

宥「こんにちは~」

灼「ども……穏乃は顔広いね」

穏乃「メグさん……ダヴァンさんとはラーメン屋で知り合ったんです」

灼「穏乃らしいね……というかダヴァンさんラーメン屋とか行くんだ」

智葉「あいつ普段からカップ麺ばっか食ってるんだよ……ん、来たな」

ネリー「ご飯だご飯! サトハが奢ってくれるんだよね?」

ダヴァン「シズノ、阿知賀の皆サン、こんにチハ!」

穏乃「メグさんこんにちは! ネリーさんも決勝ぶりです!」

ネリー「どうも! タカカモさんに負けちゃったせいでお金ピンチだよー」

穏乃「うぇ!? す、すいません……」

智葉「こら、冗談でもそういうことは言うなって……東京湾に沈めるぞ?」

ネリー「サトハの冗談の方が怖いよ!」

憧「……すみませんでした」

智葉「ん? なんのことだ?」

玄「じょ、冗談ですよね?」

智葉「はっはっは」

宥「はっはっは……?」


智葉「で、ハオと明華はどうした?」

ダヴァン「作戦会議中だったんでスガ、明華がいつも通りで……ハオに迎えに行ってもらってマス」

ネリー「日本じゃ、時は金なりって言葉があるらしいね……明華はムダ遣いしすぎだよ! お金は大事!」

玄「お金は大事だよね……うちも最近経営大変で……」

灼「インハイで実家の宣伝もっとしておけばよかったね」

宥「それは……テレビ的にアウトなんじゃないかなぁ?」

憧「作戦会議って……やっぱり辻垣内さんの個人戦のために、ですか?」

智葉「なんだ、私がいないのにそんな……」

ダヴァン「あ、いえ、この先我々留学生が生き残るためにどうするかという会議デス」

ネリー「メグ強いけど切られちゃったからね……私たち1年生も危機感を持ったんだよ」

智葉「……そうか」


ダヴァン「優勝のために手の内を隠す……これは仕方ありまセン。 それに、決勝で活躍して目立てばいいのですカラ」

ネリー「でも今年みたいに優勝逃すとお金貰えなくなっちゃうし、ハイスクール出ても日本のチームに拾ってもらえなくなっちゃう……」

玄「うちで仲居さんでもしますか?」

宥「そういう話じゃないと思うよ玄ちゃん……」

ダヴァン「当然、勝つのが一番ですが、勝てなかったときのことも考えなければいけまセン。 転ばぬ先の杖、デス」

憧「よく知ってますねそんな言葉……」

ネリー「日本語いっぱい勉強したからね! で、やっぱり大事なのは目立つこと! 人気あればいっぱいお金貰って日本のチームに入れるからね!」

灼「それは、たしかにそうだけど……」

ダヴァン「私は痛感しまシタ……キャラ付けが甘かっタト……!」

智葉「……は? キャラ付け?」


ダヴァン「あれデス、外見はよそ者である以上目立って当然でスガ、それ以上に……はやりんみたいな強力な個性が必要でシタ」

玄「いいですよね! はやりん!」

ネリー「メグはアメリカ産で体も大きいのにおっぱい小さいのは個性だと思うけどね」

玄「そんな個性誰も得しないよ!」

穏乃「玄さん落ち着いて……」

ダヴァン「まあ、我々はキャラクター性にももっと個性を持つべきだという結論に達したわけデス」

智葉「……あー、つまり、どういうことだ?」

ダヴァン「私で言エバ、日本でよく言われる面白黒人とかですカネ? HAHAHA! ヘイジャップ! チョットジャンプシテミロヨ!」

穏乃「なんか色々間違ってますよ!?」

ダヴァン「そうでスカ? フム……ここら辺はまだまだ研究が必要でスネ……」

灼「なんだかんだ生き残るタイプと真っ先に死ぬタイプがいるから気を付けないと……」

ダヴァン「奥が深いデス……」

智葉「はぁ……」

憧「……結構、なんというか……気楽な感じなんですかね?」

智葉「……あいつらは真面目にやってるからなんとも言えん」


ネリー「ネリーが注目したのは中二病ってやつだよ!」

穏乃「へ?」

ネリー「日本では子供が大好きで、誰もが1度はなるものだって聞いたよ! つまり大人気確実だよね?」

憧「あー……それはなんというか」

ネリー「ポエム詠んだりカッコいい決め台詞とか考えればいいんだよね? みんなと協力すればなんとかなるよ!」

宥「……あの、それはやめておいた方が……」

ネリー「なんで?」

宥「ええと……だって、ねぇ?」

灼「……後々、苦しむことになる可能性が」

ネリー「あれだね? くっ……静まれッ……! ってやつだね? ちょっと勉強したよ!」

灼「あ、いや……それ、ちょっと違……」

ネリー「カッコいい設定とか考えるといいんだよね? とりあえずサトハの設定考えてきたよ!」

智葉「……は?」


ダヴァン「サトハは『組織』の所属デス」

智葉「待て」

ダヴァン「あ、『組織』と戦う一匹狼の方がいいでスカ?」

智葉「違う。 ちょっと待て」

ネリー「ここら辺は日本人の趣味に合わせた方がいいよね……この『組織』っていうのもよくわからないんだけど……」

ダヴァン「ネットで見た限り謎であることが重要らしいでスガ……」

ネリー「名前は大事だと思うんだけどなぁ……『オーバーワールド』とかどう?」

穏乃「カッコいいですね!」

智葉「いや、だから……」

ネリー「あ、サトハは普段と試合の時でナリが違うよね? だからサトハの『異能』はそれに絡めたのにしようと思ってね?」

智葉「おい、話を……」


ダヴァン「心配しないでくだサイ……私たちにカッコいい漢字を並べるのは無理でしタガ、某検索エンジンで『ドイツ語 かっこいい』という日本人の嗜好を掴みまシタ!」

ネリー「ズバリ! 『Drei Brillenードライブレリンー』……ドイツ語で『3つの眼鏡』って意味だよ! かける眼鏡によって打点が上がったり、聴牌速度が上がったりするよ! 」

穏乃「すごい強そうです! ね、玄さん!」

玄「え? あ、うん! すごいね!」

ダヴァン「個人戦では和了る時に決め台詞言ってくだサイ。 「貴様は所詮壁の内側の人間……ロンだ」とか、そんな感じでよろしくお願いしマス」

智葉「……あんま調子くれてっと痛い目見せるぞ?」

ダヴァン「あ、それいいでスネ……相手に和了られた時に言いましょウカ」

ネリー「サトハもノリノリで安心したよ!」

智葉「お前らに言ってるんだよ!」

ネリー「あ、痛い! グリグリしないで! ネリーお金持ってないよ!」

智葉「私がカツアゲしてるみたいに言うな!」

灼「臨海の人達面白いね」

憧「……それ以上に辻垣内さん大変そうだけどね」


穏乃「……ね、憧」

憧「ん? どしたのしず?」

穏乃「私もああいうの考えた方がいいかな!?」

憧「えっ」

穏乃「あ、準決の時ジャージから制服になったしそんな感じで……」

憧「やめときなさい」

穏乃「でも」

憧「やめなさい」

穏乃「でも! 玄さんだってドラゴンロードとかカッコいいのあるし!」

玄「え、私?」

憧「……ちょっと玄!」

玄「じ、自分で言い出したわけじゃないよ!?」

ダヴァン「あ、参考になるかもしれませンネ」

智葉「その話はもういい……! だいたい、私は日本人だから余計に目立たなくていいんだ!ほら、行くぞ」

ネリー「あ、そっか……ハオと明華は?」

智葉「店で合流すればいいだろ」


「お嬢、個人戦頑張ってください!」

智葉「おう、お疲れさん」

「せんせー!」「師匠!」

智葉「元気か? またな今度な」

穏乃「子どもにも人気なんですね!」

ダヴァン「サトハは面倒見がいいですカラ」

宥「あったかいねー」

玄「……ねぇ、警察の人にお嬢って」

憧「そこに触れるのやめよ……湾に沈めるってジョークなのよね……?」

智葉「ん……?」

憧「な、なんでもないですよっ!?」

智葉「あ、いや……あそこ、ハオたちだな……先に合流できたか」

穏乃「あ、あそこですね」

目を凝らすと、ハオさんと雀さんの姿が見える



ハオ「どうも……遅れて申し訳ないアル」


智葉「それはもういい!」


カン!

>>1はフェイタライザー大好き勢
明華ストック中につき、次回はこの流れのまま臨海で

明日はビックガンガンと単行本発売ですよ!シノハユ新展開楽しみです

臨海かわいいww

余裕があれば藤田プロをオナシャス!

>>878藤田プロは大好きです
つーかストックほぼ穏乃中心で消化しかねない状況になってしまっているので…つまりネタ切れ気味なのでいくらでも名前出していただきたいくらいなのです

なんか眠れないので今から臨海書き溜め始めます。ビックガンガンで手が止まらなければ明日の夜にでも投下したいなぁ

玄のためにも霞さんに会わせてあげてください

>>881じゃあ次回は霞さんでいきますね

今更ながら連載で追ってる人と単行本派の人ってどれくらいの割合なんですかね?ネタバレ配慮とかどの程度すればいいんだろう…
最新話でシノハユは話動かしてきたので思ってたより早くインハイまで行けそうですね
投下します



晴れ渡る青い空


人は空に憧れ、自由に飛び回ることを夢見ていた――


ネリー「そして宙を舞う少女は風を受け、広がる髪は美しく、その姿はまるで天使のように……」

智葉「……お前は何を言っているんだ」

ネリー「え? 明華の登場に合わせてポエムを……」

智葉「だからそれは要らないと言っただろうが!」

ハオ「アイヤー! まぁ怒らないでほしいアル……私たちも生き残るために必死で考えたアルよ」

智葉「恥ずかしいからやめろ! というか、お前らは制服も着てないしかなり目立ってるから心配すんな!」

ハオ「なるほど……メグ、ネリー、明華」

ネリー「なぁに?」

ハオ「どうやら私には……特殊な語尾は必要ないようです」

ダヴァン「あ、それ前も言ってましタネ! こちらの麻雀の話をしている時でしタカ?」

ハオ「決め台詞は目立つために大切らしいので使っていこうかと……」

智葉「だからそういうのは要らないんだよ! 麻雀で頑張れって!」


穏乃「……灼さん、見ました?」

灼「……飛んで、たね」

雀明華……欧州選手権で活躍し、風神と呼ばれる世界ランカーだ

風牌が彼女の手に集まることから付いた渾名だが……傘で風を受けて飛んでいた……ように、見えた

明華「あらあら……皆さん楽しそうで」

ダヴァン「明華、日本人は時間に厳しいデス……こちらでお仕事もらうにはきっちりしないといけませンヨ」

明華「はぁ……そうですか。 ……あ、これも個性のひとつってことにはなりませんかねぇ」

ダヴァン「いい方には取られまセン……悪目立ちしまスヨ」

明華「んー、まぁそれならそれで……欧州の方なら打つ場所もあるでしょうし」

ダヴァン「それを言っちゃあおしまいデス」


ダヴァン「あ、明華、ハオ、ご存じだとは思いますがこちら阿知賀女子の皆さんデス」

ハオ「郝 慧宇です。アジア大会と日本の大会はルールが似ているのでその勉強のために留学してきました……皆さんがプロチームに入ることになったら是非口利きしてください。 よろしくお願いします」

憧「売り込んできた!?」

ネリー「お仕事もらえないとお金ももらえなくて困るからね」

宥「さっきの……アル、っていうのは」

ハオ「ついさっき始めたキャラ作りです。 日本では中国系は語尾にアルをつけると聞いたものですから……実際どうでしょうか?」

玄「漫画とかだと定番な気もするけど……」

ハオ「では、やはりこれでいくアル……しっかり印象づけるのは大切アルね」

智葉「ああ、もう……!」

憧「……なんか、外国の方ってやっぱりどこかズレてると言いますか……」

智葉「目立って結果を残さなきゃいけないのはわかるが……努力の方向性がなんか違うんだよ……! 優勝逃して迷走始めやがった……!」


明華「雀 明華です……どうぞよろしく」

灼「……あの、今空飛んでませんでした?」

明華「ええ、まあ……こう、風に乗ってひょいっと……」

穏乃「……雀さんすごいです! え、空!? カッコいい!」

明華「ふふふ……そうですかぁ? あ、明華で結構ですよ」

穏乃「明華さん! どうやって飛んでるんですか!? 私も飛んでみたいです!」

明華「えっと……まずは、こう、風を感じて……」

ダヴァン「……シズノ、凄い食い付いてまスネ?」

憧「私としては見なかったことにしたいんですけど……まあ、しずは子どもだからああいうの好きなんですよ」

「「「!?」」」

ハオ「……私たちも空飛びましょうか」

ネリー「明華タダで教えてくれるかな!?」

ダヴァン「私はみんなよりガタイいいですが飛べるのでしょウカ……?」

憧「あー……なんか、すみません」

智葉「もういい……どうにもならん」


灼「でも、たしかに明華さんは日本人の好きなものを兼ね備えてると思……」

ダヴァン「フム……是非お話を窺いたいところデス」

灼「まず、可憐な容姿と歌声……ポイント高いです。 男性の」

ダヴァン「……見た目に関しては今からはどうしようもありませンネ」

玄「ダヴァンさんカッコいいからそれはそれで需要があると思いますよ?」

ダヴァン「そうでスカ? じゃあ、キリッとしてマス」

灼「そして麻雀強いです。 ポイント高いです……プロ側や麻雀ファンの」

ハオ「そこら辺はいくらでもカバーできま……できるアルね」

ネリー「ネリーたち麻雀強いもんね!」

宥「あの……無理して語尾つけなくても」

ハオ「そうですか?」

宥「最初は物珍しくっても、キャラが飽きられたら終わりってこともありますし……」

ハオ「……たしかに、できるだけ長く打っていたいですし、語尾はやめておきましょうか」

智葉「……ありがとう」

宥「い、いえ、そんな……」


灼「そして、最も重要なのは……」

ネリー「……重要なのは?」

灼「渾名……これはなんだかんだみんな好きです」

ネリー「そうなの?」

灼「『風神-ヴァントゥール-』……いわゆるネリーさんの言ってた中二病的要素が強いですね」

ハオ「そうなんですか? 特に変なところは感じませんが……」

灼「子どもと、この層は漢字にカナでルビ付けるのが好きなんで……穏乃、明華さんの『風神-ヴァントゥール-』ってさ」

穏乃「超カッコいいですよね! ね、玄さん!」

玄「え……そ、そうだよね! なんというか、漫画みたいだし!」

灼「そして、日本には風神、雷神というのもいて……そういうモチーフに繋げるのも好きなんですよね」

ダヴァン「なるホド……あ、そう言えば白糸台の宮永照たちのチーム虎姫というノハ……」

灼「あれも中二病……臨海もチーム名とか付けてみればどうですか?」

ハオ「考えましょうか」

ネリー「漢字はハオに任せて上にカッコいい読みを付ければいいんだね!」

ダヴァン「モチーフを取るといいらしいですがなにがいいのでしょウカ……」

智葉「……というか、鷺森は急にどうした?」

憧「諦めて遊ぶ側に回りましたね……こうなると基本的に突っ込みが私だけに……」

智葉「……お前も大変だな」


ハオ「しかし、それぞれの渾名も考えなければいけません」

ネリー「とりあえず『運命奏者-フェイタライザー-』とかどう?」

穏乃「すごくいいと思います! 夕方にアニメとかやってそうですし!」

ダヴァン「アー、明華の風神に合わせた方がいいですカネ?」

明華「日本では風神とセットで雷神というものがいるという話でしたね」

ネリー「今ネットで調べたよ! 雷の神様って言うと……ゼウスとかトールとかインドラとか、そういうのがいるらしいよ!」

灼「シドルファス・オルランドゥって言うのも……」

穏乃「なんですかそれ!? すごく強そう!」

灼「……源氏シリーズは小数点以下の確率で」

玄「灼ちゃんダメ!」

ハオ「合わせるなら雷神、龍神で」

                    ハードラック ダンス
ネリー「三鬼龍だね! 『"振り込む"奴は……"不運"と"踊"っちまったんだよ……』」

智葉「……そういうのどこで覚えてくるんだ?」

ダヴァン「この間みんなで古本屋行きまシタ! 日本文化の勉強デス!」

智葉「……そうか」

憧「……もう止めないんですか?」

智葉「疲れた。 好き勝手やらせといて後でやめさせる方が楽だ」


ネリー「臨海女子、チーム『オーバーワールド』大将……『運命奏者-フェイタライザー-』ネリー・ヴィルサラーゼ」

灼「もっとこう、ニヤッって感じの悪い顔で」

ネリー「こう?」

灼「いいね」

ダヴァン「カッコいいポーズというのはいったいどのよウナ……」

宥「え? えーと……く、玄ちゃん!」

玄「お姉ちゃん!? ……えー、こう、腕を組んだり……?」

ハオ「こうでしょうか?」

玄「……もっとおもちを腕に乗せる感じで」

宥「玄ちゃん!?」

明華「あのー、私はどうすればいいんでしょうか?」

灼「……十分キャラ立ってるからとりあえず保留で」

明華「そうですかぁ」

穏乃「はいはい! 私も飛んでみたいです! お願いします!」

明華「では改めて……まず、風を掴まないといけませんね」

穏乃「そういうの得意です! ……山に籠ってた頃を思い出せ! 自然を……自然の風を感じとるんだ……!」

憧「はぁ……」

智葉「……もう考えるだけ無駄だ、やめておけ」


穏乃「あ……なんか、そろそろ飛べるような気がしてきた!」

憧「は!?」

智葉「もう放っておけって」

明華「では、この傘をお貸ししますね」

穏乃「よし! 行くぞー!」

憧「ちょ、どこ行くのよしず!?」

穏乃「風の声が聞こえる!」

憧「んなわけあるか!」

智葉「っておい! そっちは結構長い階段が……!」


山の中でそうしていたように、走る

自然を……自然の中の風を感じながら、走る

――今だ!

思いっきり力を込めて、跳ぶ

そして背中に追い風を受けながら傘を開き、飛ぶ

そう、私はこの瞬間たしかに風とひとつになり空を飛んだのだ


穏乃「…………」

憧「しず!」

智葉「おい! 大丈夫か!?」

穏乃「……見ましたか!? 今私飛びましたよ! すっげー!!」

憧「跳んで! 落ちたのよ! バカしず!」

智葉「本当に飛ぼうとする奴があるか!」

ハオ「次は私が……」

ネリー「ネリーも飛びたい!」

明華「はいはい、順番ですよ~」

智葉「お前もやめんか!」

ダヴァン「それにしてもシズノは丈夫でスネ……」

明華「そうですね……やはり、夏の高校生は侮れません」

玄「夏の……? なんか山を走り回ってたらああなったとか……」

ハオ「山で修行したんですか?」

ダヴァン「ニンジャやサムライが行うという山籠りでスネ!」

ネリー「タカカモさんニンジャだったの!?」

宥「いや、忍者は……」

灼「……夢は壊さないでおきましょう」

智葉「変な勘違いをさせたまま放置しないでくれ!」


――――――

穏乃「いやぁ、怒られちゃいましたね」

明華「怒られましたね」

智葉「……こっちの身がもたん、さっさとどっか入ろう」

明華「なんでや! 阪神関係ないやろ!」

智葉「関係ないよ! 阪神どこから出てきたんだよ!?」

明華「ネットで調べたら日本ではこれがいい突っ込みだと……」

智葉「お前ら揃いも揃ってネットの影響受けすぎなんだよ! 自分で考える力を養え!」

ダヴァン「しかし、文化が違うとこちらも大変なんデス」

ハオ「ネットで調べるのは手軽で楽なんですよね」

ネリー「学校の備品使えばお金もかからないしね!」

明華「しかし、姫松の愛宕さんに言われた通りに……激しく! というのは意識したのですが」

憧「試合中にいったいどんな会話を!?」

灼「愛宕さんなら突っ込み指南とかしそうだけどね」


憧「ま、まぁ! とりあえずどっか入りましょう……本当に保ちませんよ?」

智葉「……そうだな、とりあえずお前らなに食べたい?」


穏乃ダヴァン「「ラーメン!!」」

明華「久しぶりにフレンチでも……」

灼「カレー」

ハオ「中華で」

玄「夏ですし、お蕎麦とか……」

ネリー「ハチャプリ!」※グルジア料理 ピザ的なもの

宥「お鍋とかどうかなぁ」



憧「…………」

智葉「…………」




明華「これが国境……!」


カン!

臨海日和はよ!

シノハユは杏果ちゃん悠彗ちゃんで残りのインハイメンバー確定でいいのかなぁ


フェイタライザー最近読んだけど咲キャラの原型がちょこちょこ出てるね
内容はその…コメントしづらいんだけど

小数点以下の確率で落ちると信じていた武器でトラウマを抉るのはやめてください(懇願)
今回はネタ満載でしたね!乙


最新話追ってる派です
シノハユ日和はよ

>>898全体的に中二全開で楽しいけどなんだかんだ一番の見どころは景色ポエムだと思います。立さんのサイト名にもなってますね

>>899いまだに本棚に黒本あります。絶許。
フランソワ「えへへ、下着つけるの忘れちゃった!」←は?
国広くん「えへへ、下着つけるのわすれちゃった!」←いつもつけてないだろ!
不思議!

>>901シノハユ日和はほんと早く来てほしいですね
もしかして両親顔出しってシリーズ通して悠彗ちゃん初じゃないですか?

単行本読み直して気づいたんですけど水着カラーの豊音と塞さんのおもち増量されてますね…個人的には巴さん辺りが好みなので残念っちゃ残念
次回は霞さんで、明日。来れなければ日月どちらかの深夜になるかと思います

投下します
霞さん。スレ内では>>256-276に巴さん。ハッちゃんがそこかしこにちょこちょこ


永水の人たちは、神様を身に宿して戦うらしい


……おもち大明神かな!



玄「憧ちゃん! 永水の狩宿巴さんとお友だちになったんだってね!」

憧「だめ」

玄「まだ何も言ってないよ!?」

憧「絶対迷惑かけるからだめ」

玄「……いわ」

憧「絶・対・嫌! 巴さんに迷惑かけたくないもん!」

玄「大丈夫だよ! 申し訳ないけど狩宿さんには興味ないから!」

憧「二度と来んな!」

ちょっと前にそんな会話をした覚えがある

そこで1度は諦めたけど……信じるものは救われる!

私はおもちと……じゃなかった、石戸さんとお近づきになれる機会を掴んだのだ!


玄「薄墨さん! こんにちは!」

初美「おや? えっと、松実……玄さんですね! お邪魔してますよー」

玄「今日も穏乃ちゃんたちに会いに来られたんですか?」

初美「はい! 穏乃ちゃんや灼ちゃんとは趣味も合いますし、個人戦に関係なく麻雀も打てますから……とっても楽しいですよー!」

玄「それは良かったです! ……その、私もご一緒してもいいですか?」

初美「もちろん! 大歓迎ですよー! 松実さんも服」

玄「そ、そっちじゃなくてですね! その、薄墨さんはインハイ屈指の高打点プレイヤーですし……私はドラ絡めるタイプですけど、得点傾向は似てるかなって!」

初美「ふむ……つまり、私と打ってみたかったんですねー?」

玄「はい! 薄墨さんの麻雀かっこいいです! 尊敬してます!」

初美「……そ、尊敬ですかー?」

玄「もちろんです! 弟子にしてもらいたいぐらいです!」

初美「……それでは! 私が一人前に育ててあげますよー!」

玄「よろしくお願いします! 薄墨さん!」

初美「初美でいいですよー! 仲良くしましょう!」

……嘘は言ってないよ?


穏乃「今日は玄さんも一緒に打ってくれるんですか?」

玄「えへへ……いつも初美さんが来てるの気になってて……まぜてもらっちゃった」

一「薄墨さんほど役満和了る人もそうそういないからね……あとは、白糸台の渋谷さんとか?」

揺杏「ま、初美さんの半荘一回で役満二回は反則だよなー……東風とか勝てる気しないし」

初美「そんなに褒めてもなにも出ませんよー?」

灼「……玄」

玄「なぁに? 灼ちゃん?」

灼「ほどほどにね」

……灼ちゃん、結構鋭いんだよね


玄「そう言えば、穏乃ちゃんは狩宿さんや神代さんともお知り合いなんだよね?」

穏乃「はい! 憧と一緒にちょっとお世話になって……永水の方たちの旅館のお部屋で少し休ませてもらったんです」

初美「ここもいいですけど、私はやっぱり和風の旅館が落ち着きますねー…… あ、いつもこちらにお邪魔してますし今度はこちらに遊びに来てください!」

一「いいんですか?」

揺杏「それじゃあお邪魔しよっかなー」

穏乃「神代さんたちにおみやげ持って行きますね!」

初美「そんなに気を遣わなくてもいいですよー?」

玄「いえ! 憧ちゃんもお世話になったみたいですし、しっかりお返しさせていただきますね!」

初美「玄ちゃんはしっかりしてますねー……姫様は甘味でしたらなんでも好きですよー」

玄「おまかせあれ!」

こ、これでおもち……もとい石戸さんに……

玄「うっへへへへ……」

揺杏「……なんか、ヤバくね? 玄ちゃん大丈夫なの?」

灼「ほっといていいよ……稀によくあるから」

揺杏「どっちだよそれー」


――――――

一「お邪魔しまーす」

穏乃「こんにちはっ! おみやげです!」

巴「穏乃ちゃん久しぶり! 気を遣わせちゃってごめんね?」

初美「あれ? 姫様はどうしましたー?」

春「お昼寝……」

霞「さっきまで起きてたんだけど……我慢できなかったみたいねぇ」

玄「おお……これは……なんという……」

神代さんと滝見さんもかなりのおもちをおもちだけど、やっぱり石戸さんは格が違う

おっきいなぁ……なんか、こう、頼んだら少しぐらい触らせてくれないかなぁ……

灼「ていっ」

玄「ぐえっ!? ……な、なにするの灼ちゃん……」

揺杏「チョップかな」

玄「ど、どうして……」

灼「なんというか、邪念が……」

春「お祓いする?」

巴「あはは……私は特に何も感じなかったけど」

玄「それは、狩宿さんにはおもちが」

灼「うらっ!」

玄「ぐえっ!?」


玄「い、痛いよ灼ちゃん……」

灼「ごめ……でも、玄も少し落ち着いて」

……たしかに、あまりのおもちにちょっと取り乱してたからこれでちょうどいいかもしれない

穏乃「いつも初美さんにはお世話になってまして……」

霞「あらあら、初美ちゃんに?」

初美「なんですかー? その言い方は……私の方がお姉さんなんですから当然のことですよー」

いいなぁ……穏乃ちゃんったら抜け目なく石戸さんとお話しして……

ってうおおおおおお!? は、初美さん石戸さんに抱きついて、あ、頭の上におもちを……

なんだあれ!? 私もやりたい! 代われ! そこ代われよ! おい!



巴「もしもし? 憧ちゃんどうしたの? うん、来てるけど……そんな気にしなくてもいいよ? 初美ちゃんがいつも遊びに行ってるし……松実さん? おもち? なんの話を……」


初美「あ、玄ちゃん玄ちゃん! こっちに来てください! 霞ちゃんに紹介しますよー!」

玄「は、はい!」

うっひょう! さっすが初美さんわかってるぅ!

初美「霞ちゃん、こちらお友だちの松実玄ちゃんですよー! 阿知賀の先鋒さんです!」

霞「初めまして、石戸霞です……初美ちゃんがいつもご迷惑おかけしていませんか?」

石戸さんにはいい印象を持ってもらいたい……

そして、石戸さんは初美さんがこちらに迷惑をかけていないか心配している……

つまり、ここは初美さんとは仲が良くて迷惑になんて思ってないことをアピールだよっ!

玄「そんな、こちらこそお世話になってますから! 初美さんとはとっても仲良しです! 迷惑なんてとんでもないです!」

さっきまで石戸さんのもとにいた初美さんをぎゅっと抱き締める

あ、この頭の上にさっきまで石戸さんのおもちが乗ってたんだよね……これはもう間接的に石戸さんのおもちに触れていると言っても過言ではないんじゃないかな!

とりあえず初美さんの頭撫でておこう


霞「……あら、そうでしたか」

初美「ほら、もう穏乃ちゃんとも玄ちゃんとも親友ですからねー! 霞ちゃんも私をあまり子供扱いしないでほしいですよー」

穏乃「初美さんは同志で親友ですから! 私にとってお姉さんみたいなものですよ!」

初美「ふふん、お姉ちゃんと呼んでかまいませんよー?」

穏乃「初美お姉ちゃん!」

初美「なんですかー?」

穏乃「呼んでみただけです!」

初美「そうですかー!」

玄「この通り、とっても仲良しですから!」

霞「……うふふ、みたいですね」



一「おいしいね、この黒糖」

春「喜界の黒糖……食べやすくてダイエットにもいい……今なら10袋セットでこのお値段」

揺杏「金取るのかよ……」

灼「安い、買った」

揺杏「しかも買うのかー」


よし……よし!

おそらく石戸さんにいい印象を与えているはずだ

……そ、そろそろおもちの話を

灼「せいっ」

玄「あたっ!? ……な、なにこれ……黒糖?」

春「こ、黒糖が……」

灼「あ……ごめ、つい」

黒糖を投げつけられました

穏乃「あ、これおいしいですね」

一「拾って食べるのはどうかと思うよ?」

穏乃「三秒ルールです!」

初美「食べ物で遊んじゃだめですよー?」

灼「すみません……強烈な邪念が」

春「……やっぱりお祓いする?」

玄「あ、あはは! 気のせいだよ灼ちゃん! 大丈夫だよ!」


巴「みなさん、卓の準備できましたよー」

霞「それじゃあ、打ちましょうか?」

玄「是非! お願いします!」

初美「私はいつも打ってますからねー……はるる先に入っていいですよー」

春「ありがとう」

初美「玄ちゃん見ててもいいですかー? いろいろ興味深いですし」

私の手は傾向がわかりやすいから今さら見られることになんの問題もないだろうし、初美さんとの仲良しアピールは石戸さんにもプラスになるはずだ

玄「かまいませんよ! 初美さんに見てもらうとなると失敗できないですね!」

初美「私の弟子として頑張るといいですよー」

霞「……松実さん、ちょっと」

玄「はい?」

ってうわっ! ち、近い! こ、これはもうおもちに触ってもいいってことなんじゃ

カリッ

霞「黒糖、髪についてたわよ?」

玄「あ……す、すみません」

石戸さん優しいぃぃぃ! おもち大きいし! 素敵! おもち大きいし! 黒糖は恋を呼ぶ!あとおもち大きい!

灼「黒糖関係ないよね」

玄「!? 私、口に出してた?」

灼「いや、顔見ればなんとなく……」

灼ちゃん鋭すぎて怖いよぉ


気を取り直して、狩宿さんが用意してくれた卓につく……面子は私と滝見さん、穏乃ちゃんに石戸さんだ

穏乃「いいんですか?」

揺杏「せっかくだし強い子達から打った方がいいっしょ」

一「ボクはインハイまで来れてないしね……見てるのも勉強になるから」

灼「私は……まあ、ストッパー?」

春「……ストッパー?」

穏乃「……ああ、お願いします」

灼「任せて」

なんの話だろう? 灼ちゃんが私のすぐ後ろについてるのが気になるところだ

玄「……ところで、なぜそこに?」

初美「宮守の胡桃ちゃんもシロちゃんとやってましたよー? でも、たしかにこれは居心地がいいですねー」

膝の上に、初美さんが座っている

初美「玄ちゃんのおっぱいがクッションになってちょうどいいですよー」

玄「えぇ……恥ずかしいですよぉ」

……小瀬川さんのおもちをクッションに? 羨ましい

というか、そういうことなら私も石戸さんの膝に乗りたいんですが!

霞「……初美ちゃん、あまり松実さんに迷惑をかけちゃダメよ? その、よかったらこっちに……」

玄「あ、大丈夫です! 私は初美さん大好きですから!」

初美「そんなに言われると照れちゃいますよー」

霞「……そうですか」


初美「……玄ちゃんの手牌、分かってはいましたがやっぱり凄いですねー」

玄「あはは……ツモです! ツモ、タンヤオ、平和、ドラ5で4000・8000です!」

霞「これは……すごいわねぇ」

揺杏「うげっ……普通に麻雀打つの馬鹿らしくなるなー」

巴「お茶ですよー……って、でたらめな和了りですね……」

春「ドラの気配が……」

一「松実さんに一回和了られちゃうとドラなしで取り返さなきゃだから大変なんだよね……」

穏乃「うーんなんとかしないとなぁ……サイコロ振りまーす」

……よしっ! いいところ見せられたよ!

この調子で活躍して……

初美「うん、もう私が教えることはないですねー」

玄「えっ……もうないんですか!?」

初美「よく考えたら、元々基本はできてますし、私はドラ麻雀できませんし……四喜和も教えればできるってものでもありませんしねー」

玄「言われてみればそうですね……」

初美「そういうわけで玄ちゃんは卒業です!」

玄「ありがとうございます!」

霞「……それじゃあ初美ちゃんこっちに」

初美「卒業のご褒美に先生の椅子になることを許しますよー」

玄「光栄です!」

霞「…………」


初美さん、かわいいよなぁ

背丈が穏乃ちゃんと同じくらいだから親しみやすいと言うか……

まあ、そんなことより対面の石戸さんのツモ動作の度におもちが凄いことになってる方が気になるけど!

牌をツモる時にパイをツモっちゃってもうっかりで許されないかなぁ……

灼「玄」

玄「ど、どうしてわかるの!?」

灼「……さぁ? 玄のこと好きだからじゃない?」

玄「そっかぁ……私も灼ちゃんのこと大好きだよー」

おもちはないけど

灼「……ども」

揺杏「いちゃいちゃすんなよなー」

霞「……松実さん、それロンです」

玄「はわっ!?」

霞「12000、お願いしますね」

玄「はい……」

初美「守備重視の霞ちゃんにしては珍しく攻めてきましたねー」

霞「親被りだったから、取り返さなきゃと思って……」

ふ、振り込んじゃった……しっかりしないと!


霞「2000です」

玄「わわっ」

霞「5800」

玄「あい……」

な、なんか狙われてる……? いや、たまたまだよね……たまたま……ドラで手が窮屈になりやすいし仕方ないんだよ、うん

はっ! む、むしろこれは好きな子に意地悪しちゃう的な!? 石戸さんからのOKサイン!?

巴「……ちょ、霞さん!?」

霞「ツモ……8000オールです」

春「……なにも降ろさなくても」

霞「えっと、ほら……練習からしっかりやらないと、ね?」

巴「……祓うのはこの対局が終わってからでいいんですね?」

霞「ええ、ごめんなさいね」

一「これは……二回戦の大将戦のやつですか」

穏乃「うーん……この感じだと私の領域までにツモ和了されちゃいますね」

初美「穏乃ちゃんの支配が山の前半に影響を及ぼすまでに霞ちゃんが和了きったら終わりって感じですかねー」

穏乃ちゃんに山は無いけど石戸さんの山は素晴らしいよね

揺杏「……私もわかるようになってきたわ」

灼「玄は顔に出るからね」


――――――

玄「あうう……」

初美「し、仕方ないですよー……霞ちゃんのと相まって手がかなり窮屈になってましたし、相性の問題もありますからー」

玄「もっといいとこ見せたかったんですけど……」

初美「諦めないで最後まで打ったじゃないですかー! 立派でしたよー!」

玄「あ、ありがとうございます……」

霞「……後半はやっぱり高鴨さんに巻き返されちゃったわね」

穏乃「それでも稼ぎきれませんでしたから……二回目の親番滝見さんに流されちゃったのが痛かったですね」

春「私ももう少し打点上げないと……」

小蒔「おはようございます! ……どうして起こしてくれなかったんですか……?」

一「あ、お邪魔してます」

巴「姫様気持ち良さそうに眠っていたので起こすのも悪いかなって……今からはるると霞さんのお祓いするので、よかったら卓に入ってください」

小蒔「わかりました! みなさん、よろしくお願いします!」

穏乃「人数いますし全員交代しましょうか」

揺杏「神代さんと、一と初美さんと……灼入る?」

灼「……いろいろ不安だから揺杏先にどうぞ」

揺杏「……監視が必要なレベルなのかー」


巴「それでは、申し訳ありませんが私たちはしばらく席を外しますので……」

玄「お、お疲れさまです……」

ああ……神代さんが来たとはいえ滝見さんと石戸さんが席を外すんじゃおもち偏差値マイナスだよ……

初美「玄ちゃん、ちょっといいですかー?」

玄「……初美さん?」

初美「これ、あとちょっとしたら霞ちゃんたちのところに持っていって上げてください」

玄「……お茶ですか?」

初美「神様を降ろしたり、祓ったりするのは結構体力使うんですよー……これで気の利くところを見せるんですよー」

玄「え……」

初美「玄ちゃん、ずっと霞ちゃんの方見てましたから……きっとお友だちになりたかったんですよね? 霞ちゃんは少し引っ込み思案なところがありますからもうちょっと強引にアピールしてもいいと思いますよー」

玄「は、初美さん……!」

初美「いいってことですよー! 私たち、親友じゃないですかー」

玄「……ありがとうございます! これをきっかけにして、きっとお友だちになってみせます!」

そしておもちを……ぐふふふふ……


一「ロンです。3900でお願いします」

小蒔「は、はいっ!」

揺杏「大会の時はすごかったのに……もしかして私とあんまり変わんない……? なーんて」

初美「普段の姫様は普通の頑張り屋さんですからねー」

……そろそろかな?

初美さんの方をうかがうと小さく頷かれる

玄「……それじゃあ、ちょっと」

穏乃「あ、玄さんどこ行くんですか?」

玄「え? あ、えーと、お手洗いだよお手洗い」

穏乃「あ、ごめんなさい」

玄「ううん、それじゃあ……」

灼「……穏乃」

穏乃「へ? ……あ、わかりました」



……よし、大丈夫だ

お茶を渡して、素直にお友だちになってくださいって言えば大丈夫なんだ

実家のお手伝いをするときのように襖の前で膝をつきしっかりと挨拶をする

玄「狩宿さん、滝見さん、石戸さん……失礼します! お茶をお持ちしました!」


――――――

巴「霞さん、終わりましたよ」

春「祓った」

霞「ありがとう……春ちゃん、巴ちゃん」

春「……少し、大人げなかった」

霞「え?」

巴「ハッちゃんがたくさんお友だち作ってきて寂しかったんですか?」

霞「な、なな、なにを言って……」

春「霞さんも拗ねてないでみんなと仲良くすればいいのに……」

巴「昔からハッちゃんのこと大好きだもんね、霞ちゃんは……神境まで追っかけてくるぐらい」

霞「ちょ、ちょっとやめてよ! そ、そんなんじゃないから……」

巴「ハッちゃんが松実さんの膝に乗ってる時とか、こわーい顔してたよ?」

春「狙い打ちしてみたりとか」

霞「それは、その……」

巴「お役目のこともあるのはわかるけど、無理して大人ぶることはないよ? 子どもの頃から一緒なんだから……ちょっと子どもっぽいところも霞ちゃんのかわいいところだしね」

春「大人ぶる前にもう少し大人にならないと……」

霞「も、もう二人とも……! ……松実さんには、後で謝ってくるから」

巴「うん、それでちゃんとお友だちとして仲良くすればいいと思うな」



玄「狩宿さん、滝見さん、石戸さん……失礼します! お茶をお持ちしました!」


霞「え、え? ちょっと、心の準備が……」

春「難しいことはないですよ」

巴「がんばれ霞ちゃん!」


玄「お茶をお持ち……おも、おもち……おもち!?」

襖を開くと、そこには一糸纏わぬ滝見さんと石戸さんの姿が――もう一人いたような気がするけど多分気のせいだ ――つまり、大変素晴らしいおもちが二組も……

霞「あ、あの……松実さん、さっきは……」

玄「お、おもちぃぃぃぃぃ!!」

霞「き、きゃああああああ!?」



灼「穏乃! GO!」

穏乃「おまかせあれ! 玄さんストォォォップ!!」



その後、穏乃ちゃんと灼ちゃんに取り押さえられましたが、たしかに一瞬、そのやわらかな感触をこの手に掴むことができました


玄「我が生涯にいっぺんの悔いなし……!」


春「……お祓いしましょうか」


灼「……お願いします」


カン!

BD一巻の特典漫画良かったよねってお話。
永水はビジュアルなら巴さん、キャラならハッちゃん、組み合わせなら霞さんとハッちゃんが好きです
もちろん姫様とはるるも好きですが


かんけいないけどBG最新号のシノハユで咏さんがはやりん倒してた

くろちゃーははやりんと遭遇したらどうなるの?

乙ん

霞さん、謝る前に服着ましょうや

>>925流石の強さでしたね。咏さんより現代で連れてない猫が気になりましたが
>>927はやりん-ハルちゃん-玄のラインを考えれば警察沙汰にはならないんじゃないですかね…?はやりん優しいからハグぐらいはしてあげそう
>>929おもちのことしか頭になかったくろちゃーは部屋の中にいる人の許可を取らずに入室するという粗相をしているのでテンパった霞さんに罪はない…はずは

少々リアルが立て込んできたので投下速度遅くなると思います…
阿知賀スレですし、差し迫ったのどっちの誕生日に向けて次回は和で10/4当日にも少し投下出来たらなと…
>>1はのどっちと誕生日一緒なんですけど、好きな作品のキャラと重なったりするとちょっと嬉しいですよね
特に一緒に過ごす人はいません(絶望)

ネリー→メグ
明華→メグちゃん
ハオ→メガン
でしたね。メグちゃんかわいいです。試合内容の方も期待が高まります

投下します



原村さんは阿知賀女子学院麻雀部にとって特別な存在だ



穏乃「のーどかっ! 早く打とう! 早く早くっ!」

和「そんなに急がなくても大丈夫ですよ」

玄「団体戦では直接打てなかったから楽しみだったんだよ」

灼「……どうもすみません」

憧「いやいや、灼さんは悪くないでしょ……オーダー決めたのハルエだし」

晴絵「悪いとか悪くないとかそういう話なの!?」

出発点は赤土先生の阿知賀こども麻雀クラブ

穏乃ちゃんと憧ちゃん、玄ちゃんたち三人と近所のこどもたち……そこに、転校してきた原村さんが参加するようになったらしい

そのうち、赤土先生が実業団にスカウトされてクラブは解散……原村さんがまた転校しちゃって、この頃には玄ちゃんもみんなで集まって麻雀を打つことは無くなっていたみたいだ

その後、中学時代にインターミドルで活躍する原村さんの姿をテレビで見た穏乃ちゃんが一念発起、玄ちゃんが守った部室に憧ちゃんが帰ってきて……そこからまた再出発

私も晴れてみんなの仲間に入ることができた


晴絵「悪いね、毎度みんなで押し掛けちゃって」

久「いえいえ、清澄にはちゃんとした指導者がついてないので助かります……咲と和、鍛えてやってください」

穏乃「個人戦、絶対優勝してよ!」

和「優勝できるとは言いませんが、私としては全力を出しきるつもりです」

憧「和は相変わらずだねー」

優希「おっぱいは大きくなったけどな!」

和「む、胸は関係ないでしょう!?」

玄「なに言ってるの!? おもちは大切だよ和ちゃん!! そもそもおもちとは……」

灼「はぁ……その話は私が聞いてあげるから、迷惑かけないようにあっち行こ……」

玄「!? 灼ちゃんもおもちに興味が」

灼「ないけど」

玄「ないの!?」

咲「あの……卓、まだありますから、お話ししながらでも打ちましょうか?」

灼「時間無駄にするよりはいいね」

玄「おもちの話は有意義だよ!?」

京太郎「失礼しまーす……優希、タコス置いとくぞ」

優希「お! 気が利くな京太郎! 誉めてつかわす!」

京太郎「へいへい」

玄「須賀くん! おもちの話は有意義だよね!?」

京太郎「へ? おもちって、そりゃあ……」

和「…………」

咲「…………」

京太郎「え、えーと……」

憧「…………」

穏乃「?」

京太郎「……あ、俺ハギヨシさんに用事あるんで! じゃあみなさん頑張ってください! お疲れさまです!」

玄「……あれ?」

灼「……男の子にその話振るのはどうかと思うよ」


久「松実……玄さん、面白い子ね」

宥「あはは……ごめんなさい、その……あの話をしているときは玄ちゃんちょっと……」

憧「アホなんで」

玄「憧ちゃんひどい!」

灼「玄の方が酷かったよ」

まこ「ほれ、いつまでも遊んでないでそろそろ始めんか?」

晴絵「そそ、せっかくなんだから打っときなよ」

穏乃「そうだよ! 早く打とう! 和! のーどーかー! へいへーい!」

和「わかりましたから! 少し落ち着いてください! ……そういうところは変わりませんね」

憧「ま、しすがおしとやかに座ってたらその方が気持ち悪いって」

穏乃「そうだよ! せっかくだからこどもクラブ面子で打たない!?」

憧「女子としてちょっとは否定しなさいよ……玄、入る?」

玄「うん!」

憧「あ、おもちの話は禁止ね」

玄「そんなご無体な!?」

灼「こっちも打つ?」

咲「うん、お願い」

優希「タコスも食べたし負けないじぇ!」

まこ「あんたはどうする? 入るか?」

久「まこ入りなさいよ……私はもう引退だし、秋以降も大会ある後輩たちが優先! ね?」

宥「はい……最初は見てますから」

まこ「すまんのう……じゃ、よろしくな」

灼「よろしく」


晴絵「やっぱり和は成長したね……インターミドルも見たけど、あの頃よりも全然」

和「……そ、そうですか?」

玄「うん! 元からかなりのものだったのに一目でわかるぐらいには……」

憧「あんたは黙ってなさい」

玄「ま、まだおもちの話とは言ってないよ!?」

穏乃「……まだ?」

和「……玄さん、ほどほどにしておかないとセクハラですよ」

玄「……はい」

和「それと、ロンです……3900」

玄「あうう……」

晴絵「デジタルもミスがなくなったし……本当に上手くなってるよ。 胸もでかくなったけど」

和「だから! 胸は関係ないじゃないですか!」

みんなが一緒に打ってたのは3年以上前になる

玄ちゃんがアレなのはともかく、みんな楽しそうだ

久「どうかしたの?」

宥「あ……その、私はこども麻雀クラブに参加してなかったから……」

久「入りづらい?」

宥「それも少し……でも、やっぱりちょっと羨ましいかなぁ……」


クラブが始まったときには私はもう中学生で……なんとなくタイミングを逃しちゃって結局参加することはできなかった

その間に玄ちゃんと憧ちゃんに穏乃ちゃん、それに原村さんとで一緒に過ごして……

そこにはやっぱり私が立ち入れない時間があるんだと思うと、ちょっと寂しいし、羨ましい

久「……まあ、時間はまだあるんだし気にしなくてもいいんじゃないの? 和だってちょっと融通効かないとこもあるけどいい子だから」

宥「……そうですね、ありがとうございます……どちらへ?」

久「ん? 須賀くん呼び戻そうと思って……せっかく赤土さんみたいなちゃんとした人いるし、今まであまり見てあげられなかった分ちゃんと先輩しないとね」

宥「えっと……頑張ってくださいね」

久「そっちこそ頑張ってねー」

ひらひらと手を振りながら竹井さんが部屋を出ていく

須賀くんは春に麻雀を始めたと聞いているし、竹井さんも指導の面でまだまだやり残したことがあるんだろう

……私も、みんなと過ごす時間はまだまだあるとはいえ、高校生活は残り少ない

悔いの残らないよう、たくさんいい思い出を共有できたらいいなと思う

優希「おねーえさん! タコス食うか? 京太郎はてんでダメな奴だがタコスはおいしいじぇ?」

宥「あ……ありがとう、片岡さん……対局はどうしたの?」

優希「東風は私の独壇場だじぇ!」

灼「……トバされました」

宥「灼ちゃんが!? それはまた……珍しいね」

まこ「まぁ、2巡目の親っ跳ねは事故じゃろ」

咲「しかも一本場で優希ちゃんが親倍ツモっちゃったので……」

……チャンピオンや辻垣内さんたち各校のエースたちと渡り合ってきただけあって、なかなかとんでもないことになっているようだ


灼「……入りますか? 代わりますよ」

宥「え、いいよ? その、すぐ終わっちゃったみたいだし……」

まこ「それに代わるなら2,3位のわしらじゃろ……うちの部長はどこに?」

宥「須賀くん連れてくるって出ていきましたよ」

咲「あぁ……京ちゃん、逃げちゃったから」

宥「……どうもすみません」

優希「お姉さんは悪くないじぇ……だから、おいしいもの食べて元気出して!」

……いろいろ考え事してたの、顔に出ちゃったのかな?

宥「ありがとう、いただきます」

優希「……どうですか?」

宥「うん、おいしいよ……あったかい味がするね」

優希「それを聞いたらうちのシェフも喜ぶじぇ!」

咲「京ちゃんいつの間にシェフになったの?」

まこ「いつの間にと言えば、いつの間にかタコス自分で作って来るようになったのう」

灼「……売ってるお店少なそうだもんね」

咲「ふふ……たしかにお店探すよりも作った方が早いかも」

優希「こんなにおいしいのに不思議だじぇ……」

まこ「そんなに不思議そうに言われるとこっちまでそんな気がしてくるのう」


片岡さんたちがタコスの話で盛り上がりはじめた

……たしかにおいしかったけど、そこまでメジャーな食べ物ではないから仕方ないんじゃないかなぁ……?

灼「……大丈夫ですか?」

宥「灼ちゃん……うん、ありがとう」

灼「私よりも……」

宥「……そうだね」

片岡さんは優しい子だね

その優しさも、見た目も昔の憧ちゃんに似ているし、なんとなく親近感……仲良くなれたらいいな

灼「……玄たち、気になりますか?」

宥「まあ、ね……灼ちゃんは? 私たちはクラブに参加してなかったでしょ?」

灼「ん……そうですね」

灼ちゃんが顎に手をあてて、ちょっぴり考えるような仕草をする

灼「……私はあの頃、自分で打たないハルちゃんに憤りを感じてたし……参加しなかったのは自分の意思だから」

宥「……うん」

灼「でも、たしかに後悔はあるかもしれません……うちの部はやっぱりそのクラブが根本にあって……穏乃や憧とも、もっと一緒にいられたのかなって」

宥「わかるなぁ……私も、もっと勇気があればよかったんだけど」

灼「……原村さんとの対局も、もっと盛り上がったかもしれないし」

宥「ふふふ……以外と気にしてる?」

灼「……少し。 三人に悪かったなーとは」


灼「……でも、結局は私が選んだことだから……昔のことはもう気にしないようにしてます」

宥「そうなの?」

灼「気にしてもどうしようもないですし……それに」

灼「私は今、みんなと一緒にいるから」

宥「……うん、そうだね」

私も、あまり昔のことを気にしてないで積極的になってもいいのかもしれない

灼「……原村さん、いい子だと思いますよ?」

宥「うん、わかってるよ? 玄ちゃんや憧ちゃん、穏乃ちゃん……みんなからいっぱいお話聞いたもんね」

灼「それこそ昔からの友だち、ってくらいいろいろ知ってますもんね」

宥「ふふ、そうかもね」

あの頃は玄ちゃんが帰ってくると、麻雀の話、憧ちゃんや穏乃ちゃんの話、赤土先生の話……原村さんのお話も、いっぱいいっぱいしてくれた

玄『お姉ちゃん! 今日の和ちゃんのおもちは……』

玄『それでね! 和ちゃんのおもちが……』

玄『おもちおもち』

……いろんな話を聞いたはずなんだけど、おもちの話の割合が多すぎるなぁ……


和「ツモ、2000・3900」

玄「和ちゃん……相変わらず速いなぁ」

晴絵「玄はどうしても手作り遅くなるからな……一発の火力で逃げ切る形が理想だとは思うんだけど」

憧「ぐぬぬ……親被りでラス転落かぁ」

穏乃「個人戦に向けてギア上がってきてるね!」

和「この調子で頑張りますから……応援、お願いしますね」

穏乃「任せて! フレー! フレー!のっどっかっ!」

憧「いや、早い早い」

玄「でも穏乃ちゃんの応援は元気いっぱいで効果ありそうだね!」

晴絵「応援ってのはやっぱり力になるよ……対局室に声は届かないけど、それでもね」

憧「公式の場で打ってた人気雀士が言うと含蓄あるねぇ」

晴絵「からかうなって……今度こそは、しっかりそれに応えられる雀士になりたいもんだ」

和「私も、応援してますから」

晴絵「ありがとな……そういやさ、実際わりといろんなとこから声かけてもらってんだけど……みんなどこのチーム好きなの?」

和「私は瑞原プロの大宮ですかね」

玄「はやりんいいよね! ……あ、新人王の戒能プロもなかなかのものをお持ちで……」

憧「あんたそれちょっと違うでしょ……チームはあんまりどことかないけど、地元出身の栗巣プロとか応援してるかな」

穏乃「ああ、和が奈良にいた頃晩成の選手だったね……私は横浜! やっぱり三尋木プロかっこいいよね! あ、佐久の藤田プロの最後の切り札感とかも大好き!」

憧「藤田……ああ、カツ丼の人ね……プロ麻雀せんべいカードのハズレア担当の」

穏乃「ハズレじゃないよ! レアだし! 当たったらうれしいから! あとカツ丼の人じゃなくて『まくりの女王』だってば!"Reversal Queen"だよ! 超かっこいいじゃん!!」


どうやら、対局も一段落して雑談が始まったようだ

灼「私はハルちゃんかな」

晴絵「あはは! まだプロじゃないし気が早いって!」

灼ちゃんが後ろ手にちょいちょいと合図をくれる

……たしかに、話題に入るチャンスだよね

宥「私は……えっと……?」

……あれ? よく考えたらプロの人とかあまり詳しくないや

灼「あー……咲は?」

咲「私、あまり詳しくなくって……」

宥「あ、私もあまり……」

まこ「プロの対局も参考になるし少し勉強してもいいと思うんだがのう……わしは大沼プロじゃろうか」

憧「染谷さん渋いですね……大沼プロって今シニアリーグで打ってるんですよね?」

まこ「そうじゃ……うちのおじいちゃんがファンで、昔から結構見とったんじゃ」

晴絵「私がみんなくらいの時はかなり活躍してたし……ってなんかすごい年取ったみたいで嫌だな……」

優希「因縁の小鍛治プロはアラフォーなんて言われてますけど……」

晴絵「アラサーだよ! ……うわ、これすごく言いたくないな……小鍛治さんの気持ちが少しわかった……そっか、区切るなら私も26だしアラサーか……」

憧「もうおばさんだねー」

晴絵「お前、自分が26の時におばさんって言われたらどれだけ傷つくか考えてみろよ! つーか望も同い年だからな!?」

穏乃「そういえば部員探ししてたときの失言で望さんにはすごい怒られたなぁ」

灼「……?」

玄「灼ちゃんが入ってくる前にちょっとね」

宥「懐かしいなぁ」


……気づいたらまた身内ではなしちゃってるなぁ

えっと、原村さんは……

和「咲さんも少しは興味持ってみたらどうですか? 染谷先輩の言う通りプロの対局は参考になると思いますよ」

まこ「あんたらの腕なら将来プロ入りも選択肢になるじゃろうし……知ってて損はないと思うぞ?」

咲「うーん……それはたしかにそうなるんですかね……?」

宥「あ、あの……それじゃあ、原村さんの好きな瑞原プロのところはどんなチームなのかな? 玄ちゃんは瑞原プロ好きみたいだけど……なんだか、その、違う感じだし」

和「玄さんは……そうですね、かわりなくて安心と言えば安心ですが、逆にいろいろ心配です」

まこ「あれはもう……どうしようもないんじゃないかのう……? 瑞原プロの大宮は安定しとるのう」

和「そうですね……エースの瑞原プロが素早く綺麗な手を作るのが得意なので、チーム全体としても早くて堅実な麻雀を打つのが特色でしょうか」

咲「へえ……プロってもっと派手な感じの麻雀するのかと思ってたよ」

宥「三尋木プロとかはそれこそ高火力のエースだし……その方がお客さんのうけもいいんじゃないのかな?」

まこ「……大宮の集客率は二位の横浜を大きく引き離してトップじゃ」

和「はや……瑞原プロがいますからね。 堅実な打ち筋は玄人の評価も高いですし、アイドルとしての活動もしておられるのでファンの数自体が桁違いのようです」

咲「……和ちゃん今はやりんって」

和「気のせいです」

まこ「大宮は……はやりんのそれもあってファンサービスも充実しとるからのう」

和「そうですね。 試合会場限定のはやりんのグッズとかもたくさん販売してますし」

咲「やっぱり今はやりんって」

和「……染谷先輩に釣られただけです」


宥「でも、瑞原プロかわいいよねー」

和「そうですよね!」

まこ「……やっぱりただのはやりんファンじゃろ?」

和「……いえ、別に、客観的な事実に基づいてですね……」

咲「そういえば、この前クラスの男子がはやりんキツいって」

和「はやりんのどこがキツいんですか!?」

宥「…………」

まこ「…………」

咲「…………」

和「……今人気のプロと言えば三尋木プロですが」

まこ「驚くほど誤魔化せとらんぞ!?」

和「別にいいじゃないですか!? はやりんかわいいでしょう!!」

咲「まさかの逆ギレ!?」

和「小さい頃、牌のお姉さんの番組で麻雀覚えましたよ! はやりんの出した麻雀の本もCDも、ライブのDVDも全部持ってますよ! なにが悪いんですか!?」

宥「誰も悪いなんて言ってないよ……?」

まこ「……というか、実はわしも」

咲「染谷先輩!?」

和「そういえば、以前お借りした服とか……」

まこ「いや、ああいうフリフリ系とかちょっとは憧れるじゃろ?」

和「今度改めてお邪魔させていただきます!」

まこ「大歓迎じゃ」


宥「なんというか……意外なところから出てきたね」

咲「……驚きました」

宥「それにしても……」

咲「?」

宥「原村さん、もっと落ち着いた子だと思ってたけど、けっこう子どもっぽくってかわいいところがあるんだね」

咲「ああ……牌譜だけ見ると完全デジタルだからちょっと冷たい感じに見えるかもしれませんね」

なかなか面白い子だ……卓上では完全にポーカーフェイスだったけど、普段は表情豊かで感情表現も大きい

晴絵「つーか和、瑞原さんのファンだったんだねー……言ってくれればこの前会ったときにサインぐらい貰ってきたのに」

和「赤土先生、はやりんとお知り合いなんですか!?」

晴絵「え、うん……友だち、かな? 勧誘も受けてるけど……」

和「なんでもっと早く言ってくれないんですか!?」

晴絵「え、ごめん……」

和「っていうかはやりん直々に勧誘受けてるんですか!? もう大宮でいいじゃないですか!! 応援いきますから!! はやりん紹介してください!!」

晴絵「おおう……思ってたより重度のファン? つーか大宮の……瑞原さんみたいな衣装は私はちょっと……」

宥「チーム全体でああいう感じなの?」

まこ「良くも悪くもはやりんがチームの顔じゃから……同じではないけど系統は揃えとるのう」

灼「ハルちゃんはどっちかと言うとかっこいい系だし……」

憧「たしかにねー……ハルエは背も高いし男装でもしたらウケるかもよ?」

穏乃「かっこいいといったら刀とか翼とか……」

優希「少年漫画的な奴かー?」

晴絵「いやそれ麻雀に関係ないだろ!?」

玄「大切なのはおもちだよ!」

晴絵「もう大きくならないって! その枠は瑞原さんだけで十分足りるだろ!」


和「まったく玄さんは……はやりんの魅力はもっといろんなところにあるのに……」

宥「……本当にごめんね? なかなか治らなくって……」

和「いえ、宥さんのせいではありませんから……」

宥「その、私でよかったら聞きたいな……原村さんのお話」

和「いいんですか!?」

宥「うん……私、玄ちゃんたちからいっぱい原村さんのお話聞いてたから……仲良くしたいなってずっと思ってたんだぁ」

和「ふふ……ありがとうございます! それでは、まずはやりんの魅力ですが……」

灼「あ……それ、長くなるやつ……」

宥「好きなことの話は長くなるものだよ……でも、そういうお話をする時は、みんなとってもあったかいんだよ?」

宥「……灼ちゃんは聞くの嫌?」

灼「聞きますよ。 その……友だちの、話ですし」

宥「……ふふふっ」

和「それでですね、アイドルとしての活動だけでなくプロの雀士としても……聞いてますか? 今いいところなんですけどっ!」

宥「うん、聞いてるよ~」

灼「……私も後でハルちゃんについて熱く語るしか」

和「あ、それは是非聞きたいです! 一時期ご指導いただきましたが、レジェンドとしての活躍は詳しく聞く機会がなかなかなくて……」

灼「……任せて」

和「それと……宥さんのお話も聞きたいです」

宥「……私の?」

和「私が奈良を離れてからのみんなのことや、麻雀のこと、宥さんのことでもなんでもいいんです……せっかくこうしてお友だちになれたんですから」

灼「宥さんの好きなあったかい話……たくさんしましょう?」

宥「……うんっ!」


カン!

のどっちははやりん好きそう
思ってたよりのどたん近くて焦った…日付回ったら短めですがイェイ~しに来る予定です

おつ
誰も挙げないのよりん涙目プンスコ

おつ

京太郎帰ってこねェ……
まぁ胸の話振ってくる女の子がいるところには戻りにくいだろうけど

京太郎がちゃんと指導される未来があるみたいで安心した


実際大宮に和とかユキとかが入ってきたらポストはやりんマジで危なくなりそう


穏乃「おはようございまーっす! 今日は和の誕生日ですよっ!」

憧「おはよ、しず。 玄ー? この前みんなで買ってきたあのでっかいペンギン、ちゃんと送った?」

宥「大丈夫、ちゃんと今日届くはずだよ」

玄「……あれだけで良かったのかなぁ? もっとなにか和ちゃんの好きなもの……はやりんのCDとかもつけた方がよかったんじゃ」

灼「ファンならたぶん自分で買ってるし被っちゃうんじゃないかな」

玄「あ、そっか……」

穏乃「……やっぱり長野まで行って直接渡した方がよかったんじゃ!?」

憧「……どうやって行くのよ?」

穏乃「電車!」

玄「日帰りで長野まで往復はおこづかい的にも……」

穏乃「……赤土先生に車出してもらおう!」

灼「ハルちゃん今日は熊倉さん来るからって言ってたけど」

穏乃「むむむ……」

宥「前もって準備してたならともかく、急に長野は無理なんじゃないかなぁ……」

穏乃「……仕方ない、走ろう!」

憧「無理に決まってるでしょ!?」

穏乃「いやいや、さすがに冗談だって……大阪辺りならともかく」

憧「それも無理だっつーの!」


穏乃「じゃあどうすればいいの!?」

灼「いや、プレゼントは送ったんだから別に長野行かなくても……」

穏乃「せっかくだから会いたいじゃないですか!」

玄「気持ちはわかるけど……会いに行くのは難しいんじゃないかなぁ」

穏乃「……ですよねぇ」

宥「メールとかしてみれば?」

憧「私は昨日、日付回ったぐらいにちょこっとメールしたけど」

穏乃「夜中にメールするのも迷惑かなって……それに昨日は九時ぐらいに寝たし……」

憧「小学生か!」

穏乃「朝は五時に起きたけど」

憧「年寄りか!」

灼「早寝早起きは健康的でいいね」

穏乃「朝からちょっと走って山登るのがまた気持ちよくって……」

宥「朝から山に登ってるの?」

穏乃「朝の空気は爽やかでいいですよ! なんなら今度一緒に行きますか?」

宥「……五時起きはちょっと辛いかなぁ」

玄「お姉ちゃん朝はなかなかお布団から出られないもんね……」

灼「でも、たまにはそういうのもいいかも……」

穏乃「ほんとですか!? それじゃあ……」

憧「ちょ、灼さんやめた方がいいって! しずのペース普通じゃないから! そもそもなんでジャージに運動靴で山の中走り回れんのよ!?」

穏乃「まぁ……経験、かな?」

憧「どや顔やめなさい!」


玄「山はともかく、和ちゃんはどうするの?」

穏乃「んー……じゃあ、妥協して電話で!」

灼「無難だね」

憧「最初からそうしときなさいよ……」

穏乃「……なんて言おうか!?」

宥「普通に誕生日おめでとう、でいいんじゃないかな?」

穏乃「なんか、もっと特別感っていうか……欲しくないですか!?」

憧「変にひねってスベると最悪よ?」

灼「こういうのは普通が一番……大切なのは気持ちだと思……」

穏乃「……そうですね! じゃあ今から電話するから、和が出たらみんなで誕生日おめでとう! ですよ!」

憧「あ、みんなでやるの?」

穏乃「みんなでやらないの!?」

玄「和ちゃんも、きっとみんなでお祝いした方が喜んでくれるんじゃないかな?」

宥「お祝いなら、みんなでした方がいいと思うよ? 私だったらその方があったかくてうれしいなぁ」

憧「……いや、私も嫌なわけじゃないのよ? ちょっと、恥ずかしいっていうか……」

穏乃「憧は照れ屋だなぁ……よし、電話しますよ!」


穏乃「…………」

憧「…………」

玄「…………」

宥「…………」

灼「…………」

穏乃「……出ない!」

憧「出ないわね」

玄「まだ寝てるのかな?」

灼「いくら休日でも宥さんじゃあるまいし……」

宥「えぇ!?」

玄「それもそうだね」

宥「くろちゃー!?」

憧「……それこそ、清澄でパーティーとかやってるんじゃない? 優希とか竹井さんとかそういうの好きそうだし」

穏乃「言われてみれば……」

玄「たしかに、それだとちょっと気づかないかもね……」

灼「……じゃあ、とりあえず練習始めようか。 終わる頃にはあっちも一段落してるかもしれないし」

憧「それもそうね……ま、和が気づいたら折り返してくると思うし、打とっか!」

穏乃「じゃあ、今日一番成績よかった人が電話出るってことで!」

灼「……いや、折り返してくるなら穏乃が出ればいいんじゃない?」

穏乃「え、でもなにか特典あった方が燃えませんか?」

灼「それは、まあ……」

玄「和ちゃんをかけて勝負だね!」


――――――

穏乃「ロンっ! チートイドラ2で6400!」

憧「うっわ……変なの振ったー! やめてよこの巡でチートイとか!」

宥「うーん……これはさすがに読めなかったなぁ」

灼「これで……うん、総合収支も逆転して穏乃がトップだね」

穏乃「このまま逃げ切れば……」

玄「……? あ、穏乃ちゃん電話鳴ってるよ」

穏乃「あ、玄さん出ちゃってください! よぉし、この勢いで勝ち抜けるぞー!」

憧「そうはさせないわよ! 私の親番だしこっから連荘で逆転あるからね!」

灼「ふふ……いい感じに燃えてるね」

宥「あったかーい」



玄「もしもし? あ、和ちゃん?」

穏乃「ちょおぉぉぉ!?」

憧「いやいやいや! え、和!? それならそうとちゃんと言いなさいよ!」

宥「玄ちゃん……それはダメだよ」

玄「えっ? えっ? でも今穏乃ちゃんが出てって言ったから……」

憧「和だったらそれは話が違うでしょ!?」

灼「ストップストップ……一回落ち着いて」

灼「……はい、じゃあ穏乃」

穏乃「はい! ……和? ちょっと待ってね……せーのっ!」




「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」



カン!


のどたんイェイ~
ぐだぐだやるのもアレなので、シンプルにお祝い

>>949のよりんの情報が新道寺出身しかないから言及しづらいんでー……
>>950この後戻って来てると思います。人数調整(小声)
>>951本気で指導してもらえないのはそういうネタの京太郎スレぐらいだろ!いい加減にしろ!実際のところ久はちゃんと大切な後輩に数えてますし…なお、のどっちの仲間ではない模様
>>952牌のお姉さんという固有の地位は揺るぎないでしょうけどチームの人気雀士という枠では熾烈な争いにはなりそうですね

そういえば、一応続ける気はあるので次スレ立てようと思ってるんですけどいつ立てるのがいいんでしょうかね?
埋めていただくにはまだあるけどのどっちで締めるのが阿知賀的におさまりがいい気もするんですよね…

スレタイだけ先に書いといてくれたら埋まった後でも探せるから大丈夫よ
970くらいで立ててくれても大丈夫よ

乙です。
ぶっちゃけ高校卒業後即プロでもその時はやりんの年齢は30になるしお姉さんの地位は譲りそう。

リチャって本編じゃ完全にオッサンになってるんだよな
シノハユキャラ絡んだ話読みたいけど原作登場はいつになるか

さりげに憧は優希呼び捨てだしいつの間にか仲良くなってたんだな

乙乙
せっかくここまできたんだし1000まで埋めてほしい

>>962ありがとうございます。立てた後にURL貼ります
>>964牌のお姉さんなんちゃって考察みたいなの書きだしてみたけど長すぎたので省略。個人的には、シノハユで語られてるはやりんの心情的にもアイドルは続けるんじゃないかと…気になる人ははやり1~5を読もう!(宣伝)
>>965だいたい40過ぎたぐらいですかね?本筋からかなり逸れますし原作参加は厳しいかもしれませんね…シノハユ大好きだしなにか書きたいですねー
>>966優希回書いてないですけど時間が10月まで飛んだので…まぁ清澄と阿知賀のコミュ力トップ同士で共通の話題も大量なのですぐに仲良くなるかと思います
>>967そうですね。なにかしら埋めネタ用意します

とりあえず次スレ立ててきます

次スレ立ててきました
灼「個人戦は見学して行くから……」
灼「個人戦は見学して行くから……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1412412627/)

埋まり次第移行します。
埋めネタは準備ができ次第投下します
変わらずリク等受け付けてますのでお気軽にどうぞ
今後ともよろしくお願いします



迷惑はかけたくなかったけど……仕方がない


ここで、決着をつける!



胡桃「今回の助っ人は頼りになるの?」

憧「はい……これはもう、最後の手段だと思ってます」

揺杏「……ねぇねぇ、私と灼ここいていいの? 一応中立の立場だと思うんだけど」

憧「敵ではないし、この際人多い方がいいです!」

灼「……もう諦めたら?」

憧「絶・対・に! 諦めない! 麻雀と同じで諦めたら試合終了!」

エイスリン「シッテル! ユウジョウ・ドリョク・ショウリ!」

憧「それですよエイスリンさん!」

この夏、インターハイで知り合った仲間たちと集まり会議を開く

今日は強力な助っ人も呼んでいることだし、状況の改善に繋がることを期待したい……いや、絶対に改善するんだ!


巴「こんにちは! お邪魔しますね」

憧「巴さん! 待ってました!」

胡桃「あ、巴ちゃんだー」

エイスリン「ウミブリデスネ!」

巴「あ、胡桃ちゃんにエイちゃんも……ひさしぶり」

揺杏「ども、こんちはー」

灼「先日はどうもご迷惑を……」

巴「そんな、気にしなくていいよ……これおみやげ、ケーキ買ってきたからみんなで食べましょう?」

胡桃「おおー」

エイスリン「ケーキ、スキ!」

灼「……私は苺のが」

揺杏「ちょい待ち! おねーさんがた、ここはきっちりじゃんけんで……」

憧「巴さん、ありがとうございます! すみませんまた気を遣わせてしまったみたいで……」

巴「この前こっちももらったから気にしないで。 それに、私が食べたかったっていうのもあるし……それで、憧ちゃん」

憧「なんですか?」

巴「相談事って聞いたけど……これは、なんの集まりなのかな? メンバーから内容がいまいち想像つかなくて……」

憧「『高鴨穏乃にちゃんとした服を着せよう委員会』です!」

巴「……うん?」

憧「つまりですね……」


巴「ふむ……つまり、ジャージとか、穏乃ちゃんの偏った服の趣味をなんとかしたいってことかな?」

憧「はい……なんとか力をかしていただけませんか?」

胡桃「恥ずかしながら……いくら作戦たてても空振っちゃって」

揺杏「憧ちゃんも胡桃さんもすぐ横道に逸れるからなー」

灼「揺杏が誘導してるんだけどね」

胡桃「やっぱりわざとなの!?」

揺杏「いやーほら、私も楽しくなっちゃって、つい? わざとじゃないですよ?」

エイスリン「タマタマ?」

揺杏「そう、たまたまです! ほら、やっぱりエイちゃんさんの素敵な絵が? 新作のイメージの具体化に繋がるっていうか?」

エイスリン「ヤクニタッテル?」

揺杏「もち! 最高ですよ!」

エイスリン「ヨカッタ!」

胡桃「……なんか、釈然としないんだけど」

灼「まあ、私たちは中立なんで」

巴「うーん……なんとなくわかったけど、私にお手伝いできることってあるのかな? 服の趣味って他人から言ってもなかなかどうしようもないような……」

憧「巴さんにしかできないことなんです! しずはもともとあまりファッションとか興味なくって今みたいに服装に関して積極的ではなかったんですけど……この大会中、ある二人の人物と出会っておかしな方向に目覚めてしまったんです!」

巴「二人の? ……あ、もしかして」

憧「……はい、龍門渕の国広一さんと、そちらの薄墨初美さんです」


灼「……国広さんも薄墨さんも……すごく、開放的な服だよね」

揺杏「一部噛み合っちゃってる灼が言う?」

灼「私は服着てるし」

胡桃「それ、あれは服じゃないって言ってるようなものだよね!?」

エイスリン「ヌノキレ!」

揺杏「はっきり言っちゃうかー」

巴「ああ……なんか、ごめんね?」

憧「いえ……巴さんは悪くないですし……」

巴「ううん……私もこの前国広さん見たときは驚いたし……そうだよね、ハッちゃんは結構すごいことになってるよね……」

憧「しずは自分と近しいセンスの持ち主を見つけたことでギア入ったみたいで……このままだと今以上にズレた感性になっちゃうと思うから……それまでになんとかしたいんです! 力を貸してください!」

巴「うん、憧ちゃんのお願いだし協力してあげたいんだけど……この場合、私の仕事って……」

憧「薄墨さん……なんとか、なんとかなりませんかね……? しずも先駆者として尊敬してる薄墨さんが普通になれば目が覚めるかも……」

巴「ふ、普通に……そうだよね、ハッちゃん普通じゃないよね……なんとか説得してみるよ」

憧「巴さん……! ありがとうございます! 大好き!」

巴「もう、憧ちゃんったら……」

揺杏「仲いいねー……あ、わり、ちょっと電話……もしもし? あ、一じゃんどしたのー?」

憧「国広さん……!? まさか、これは……」

揺杏「うん、うん……私? 今灼んとこ、穏乃は別だけど……おう、じゃ後で……はいはーい」

胡桃「国広さん来るの?」

揺杏「初美さんも一緒だって……グッドタイミング? 」

エイスリン「Good timing! ダネ!」


憧「くっ……ボスキャラが同時に……!」

灼「ボスキャラって……」

揺杏「酷い言いぐさだなー」

胡桃「まあ、憧ちゃん的にはそうなるよね」

エイスリン「Why? ハジメモハッチャンモトモダチダヨ?」

揺杏「女にはね……戦わなきゃいけない時もあるんですよ……」

エイスリン「Oh……カナシイウンメイ?」

揺杏「それですね!」

灼「またよくわからないことを……」

胡桃「エイちゃんに変なこと教えないでよー」

巴「それじゃあ、ハッちゃんたちが来たら、私の出番かな?」

胡桃「うん! 巴ちゃん頑張って!」

巴「うん……ハッちゃん、昔は普通に服着てたんだけどなぁ……」

揺杏「え、マジ……ですか?」

巴「無理に敬語使わなくていいよ? ……うん、いつからだったかな、今みたいな着こなしになったのは……」


――――数年前

巴「あれ? ハッちゃん、袴の裾の方少し破けてるよ?」

初美「ええ!? 本当ですかー? ……あぁ、これはやっちゃいましたねー……」

霞「その、私が縫おうか? この間巴ちゃんとお裁縫の練習したから、きっと上手にできると思うんだけど……」

初美「うーん……霞ちゃんの気持ちはありがたいのですが、これも結構長いこと着てましたからねー……よく見たらそこら中ボロボロになっていますし……」

小蒔「それでは、新しいものに取り替えてもらいましょうか?」

初美「今回のところはそうしましょうかねー」

霞「……そっか」

初美「それでは、これを捨ててしまうのはもったいないですしお裁縫の練習にでも使いましょう! 霞ちゃん、よかったら私に教えてもらえますかー?」

霞「……うん!」

小蒔「あ、ずるいです! 私も一緒に練習したいです!」

巴「それじゃあ、春ちゃんも呼んでみんなで一緒に練習しましょうか」

小蒔「はい! みんな一緒がいいですよね!」

霞「初美ちゃんの新しい服、もらってこないとね」

初美「そうですねー……どうせすぐに身長も伸びますし、ちょっと大きめのをもらってきましょう!」


――――――

巴「……そうだ、それでそのままハッちゃんの身長止まっちゃって……」

胡桃「じゃあ、もともとはちょっと大きめのを軽く着崩してたのかな?」

揺杏「それがいつしか……新たな扉を開いてしまったと」

憧「……もとからそういうセンスだったしずって……いや、まだ間に合うはず……手遅れじゃない、手遅れじゃない……」

灼「……穏乃のファッションセンスより憧の精神状態の方が心配なんだけど」

エイスリン「ダイジョウブ?」

憧「大丈夫です! エイスリンさん、心配かけてすみません、頑張ります!」

揺杏「つかさ、そんなこと言ったら一は何がどうしてあの服に行き着いたんだろーね、マジで」

エイスリン「Ah……ジンセイイロイロアルンダヨ?」

憧「まあたしかに……って危ない! なんか納得しかけた!」

灼「……マジシャンしてたらしいし、その衣装だったとか?」

巴「あー……ギリギリ納得できるような、できないような……」

胡桃「私、マジシャンには絶対にならない」

憧「……私も」


揺杏「んー……じゃ、とりあえず私は灼と穏乃のとこ行くんで」

憧「えっ!?」

揺杏「いや、一に呼ばれたし……こっちいるって言っちゃったしさ」

灼「私も?」

揺杏「いいじゃん私ら中立だし……灼も一緒に! って言われてるから」

灼「ん……わかった」

憧「え、ちょっと灼さん……」

灼「まあ、お呼ばれしたらしいので……薄墨さん来たらこっちに行くよう言っといてあげるから」

胡桃「……まあ、あっちに乗り込むよりも説得しやすいかもね」

憧「……じゃあよろしくね、灼さん」

灼「ん」

揺杏「あ、よかったらエイちゃんさんも来ない? お絵描きしましょー?」

エイスリン「イイネ! ……クルミ、イッテモイイ?」

胡桃「ううーん……まあ、説得には私たち絡めないし……えっと、いろいろ気を付けてね?」

エイスリン「ハイ! イッテキマス!」


憧「……なにか、作戦とかあります?」

巴「そうだなぁ……それとなく話振ってみる……とかじゃあダメだろうしなぁ」

胡桃「はっきり言うしかない、かな」

巴「……今さらその服おかしいよ、なんて言いづらいなぁ」

憧「……すみません」

巴「謝らないでよ。 まぁ、責任の一端は身内の私にもあるような気がしてきたし……ハッちゃんのためにもなるはず、だからね」

胡桃「……あのさ、揺杏ちゃんがエイちゃん連れてったけど、たぶんアレだよね? 恐怖の新作会議だよね?」

憧「おそらくは……でもエイスリンさんは……なんというか、善意の協力者だから止めづらいしなぁ……」

巴「……恐怖の新作会議?


胡桃「……センスのぶっとんだ人たちが意見を出しあって、エイちゃんがイラストに起こして、揺杏ちゃんがアレンジしながらすごい勢いで衣装を作っていくの」

憧「よくわからない生き物を貼り付けてみたり、肌の露出がおかしかったり……尋常じゃない要素が昇天ペガサスmix盛りって感じで」

巴「ぺ、ペガ……? というか、服って個人でそんなに量産できるものじゃあないよね……?」

憧「圧倒的に少ない布地がそれを可能にしてるんですよ……!」

胡桃「揺杏ちゃん、面白がってノリノリで作ってくからね……自分にはない閃きを持ってるから楽しいって……あの子たちの発想にはついてけないよ……」

憧「そりゃああんな発想、普通は出てきませんからね……」

巴「……あっちでなにが起きてるのか気になるなぁ」

憧「と、巴さん!? ま、まさか……!?」

巴「ち、ちがうよ!? 興味本意で……怖いもの見たさというか……!」

コンコン

「「「!?」」」

薄墨です、入ってもいいですかー?

胡桃「お、思ったより早い!」

憧「ど、どうぞ!」


初美「こんにちはー! 憧ちゃんから用事とは珍しいですねー」

憧「す、すみません……呼びつけてしまって」

初美「お気になさらず……あれ、胡桃ちゃんに巴ちゃんも……こちらに来てたんですかー」

胡桃「どうも!」

巴「えーと……ハッちゃんは今日はどうしたの?」

初美「私ですかー? いやぁ、なんと穏乃ちゃんがとうとう空を飛んだと聞きましてねー」

巴「……はい?」

胡桃「……飛んだ?」

憧「……あぁ、はいはい」

初美「あ! 憧ちゃんネタばらしはダメですよー? これから穏乃ちゃんにお話を聞きますからねー! すごいですねー! いったいなにが起きたんでしょうかー?」

巴「……え、どういうこと?」

憧「……飛んだというか、落下ですね」

胡桃「……バカみたい」


初美「あ、それでこちらはなんの用事ですかー?」

憧「と、巴さん」

巴「うん……えーとね、ハッちゃんの服装のことなんだけど……」

初美「……!」

巴「その……あまり、よそでは見ない着こなしだけど……」

初美「巴ちゃんも興味を持ってくれたってことですねー!」

巴「え、ちが……」

初美「そうとなれば話が早いですよー! 一緒にみんなのところに行きましょう!」

巴「ちょ! ハッちゃ……」





胡桃「……連れていかれちゃったね」

憧「……はい」

胡桃「……なんであんなに前向きなんだろうね」

憧「……どうしてでしょうね」

胡桃「……助けなきゃだよね」

憧「……放ってはおけませんね」

胡桃「……あのカオス空間に行くの怖いなぁ」

憧「ですよねぇ……でも、やっぱり巴さんを見捨てるわけにはいきません! 行きましょう!」

胡桃「……おー!」


胡桃「……この扉の先に巴ちゃんが」

憧「……なんだか、すごい盛り上がってますね」

胡桃「……やめとく?」

憧「うう……いえ、行きます!」

胡桃「……行かないの?」

憧「うぅ……胡桃さん先に入ってくださいよ……」

胡桃「いや、ここは言い出しっぺの憧ちゃんから……」

憧「……くっ! しず、入るわよ!」



穏乃「それでですね、こう、ぐわーってきて風を受けて飛んだんですよ!」

エイスリン「シズノ、スゴイネ!」

初美「すごいですよー! 私も1度は空を飛んでみたいですねー」

揺杏「うわーマジやべぇ……そういうの爽とかすげぇ好きだわ」

ダヴァン「私も挑戦しようと思ったのでスガ、サトハに怒られてしまいまシテ……」

一「それは……さすがに危ないよ! 高鴨さんもあまり危ないことしちゃダメだよ? みんなに心配かけちゃうから……」

穏乃「はい……すみません


憧「ってあれ? ダヴァンさん?」

ダヴァン「お邪魔してマス……あ、これおみやげデス! おすすめのカップラーメン持ってきまシタ!」

憧「あ、ありがとうございますダヴァンさん」

ダヴァン「同じ釜の飯を食べた仲ではないでスカ……どウゾ、気軽にメグと呼んでくだサイ」

エイスリン「キガルニメグ!」

揺杏「よろしく! 気軽にメグ!」

ダヴァン「……メグでいいんでスヨ」


胡桃「えっと、臨海女子のメガン・ダヴァンさん? どうしてここに……?」

ダヴァン「Aislinnのお友だちのクルミさんでスネ? はじめまシテ、Megan Davinデス! 今日は穏乃が呼んでくれまシテ……悩みが解決できるかもしれなイト」

胡桃「悩み?」





憧「巴さん! 大丈夫ですか!?」

巴「憧ちゃん……大丈夫だよ。 灼ちゃんが助けてくれたし……今まで飛んだお話してたから」

灼「危うく薄墨さんスタイルにされるところだったけどね」

巴「……あはは」

憧「灼さん……ありがとう……!」

灼「ん……でも、何度も言うけど私はあくまで中立だから……服装は個人の自由だと思うし、この件に関してはあまり口出ししないからね」

憧「……はい」

……タヌキのプリントTシャツ着てる人が言うと説得力があるなぁ


胡桃「……日本で活躍するために?」

ダヴァン「ハイ……私は契約が切れましたが明華やハオ、ネリーがいますカラ……同じ麻雀留学生とシテ、友人とシテ、なにかプラスになるものを残したいのデス」

穏乃「それでですね……この前あった時の辻垣内さんの言葉の中にヒントがあったんですよ!」

ダヴァン「サトハの言葉ニ……?」

穏乃「はい! ほら……」

智葉『お前らは制服も着てないしかなり目立ってるから心配すんな!』

ダヴァン「……! つマリ……!」

穏乃「よりかっこいい衣装を着れば、より目立つ!」

憧「ああああぁぁぁぁぁぁ!!」

穏乃「お、憧も私の発想力に驚いた? いやぁ、こう見えて頭も結構回るんだよねー」

初美「つまり、メグちゃんとその仲間たちの衣装を考える手助けのために私たちを呼んだんですねー?」

一「いい話だね……ボクがどこまで力になれるかわからないけど、協力するよ!」

揺杏「おお……臨海の外人部隊はみんないい素材だし楽しそうだなー……よし、いつも通り衣装作るのは任せろ! エイちゃんさん、デザイン案出すからイラストよろしく!」

エイスリン「ガンバル!」



胡桃「やっぱり……恐怖の新作会議……!」

憧「あうう……しずがまた悪の道に染まってしまう……」

灼「悪って……」

巴「……なんか、もう私にはどうにもできないんじゃ……」


揺杏「んじゃ、とりあえずメグさんからねー」

エイスリン「メグカラ!」

初美「とりあえず、方向性を決めないといけませんねー」

一「うん……ダヴァンさんはかっこいい系だから、ボクや薄墨さんより高鴨さんの意見を採用してく方がいいかもね」

穏乃「任せてください! えっと、それじゃあ……」



巴「……穏乃ちゃんがかっこいい系担当なの?」

胡桃「……一ちゃんがかわいい系でハッちゃんがオシャレ系らしいよ」

憧「……ぜんっぜんわかんない」

灼「え?」

憧「え? って……灼さんわかっちゃうの……?」

灼「布切れを身に纏おうとは思わないけど、それくらいは……」

憧「……だんだん灼さんがわからなくなってきた」


揺杏「あ、とりあえず穏乃たちの意見まとまるまでに採寸とかしちゃおっかー……メグさん、こっち来てちょっと脱いでもらえます?」

ダヴァン「わかりまシタ……ありがとうございマス」

揺杏「いえいえ……って、メグさんいい身体してますね……結構鍛えてます?」

ダヴァン「多少ハ……カップラーメンは健康的な食品とは言えませンシ、体型維持などのセルフコントロールが出来ないだらしない人間だと思われてはスポンサーたちに切られかねませんカラ」

穏乃「おぉ……腹筋とかすごい……この肉体を活かさない手はありませんね!」

一「とりあえずここら辺の布はごっそり削れるね」

初美「一ちゃんはガンガン攻めますねー! そういうところ素敵ですよー!」


エイスリン「オナカ、ダス?」

初美「そうですねー……ここは、こんな感じで……」

エイスリン「ナルホド……」

穏乃「あ、袖は切り落としましょう! それで、肩のところはギザギザに切りましょう!」

揺杏「……あっはは! そっかー! ギザギザ……ギザギザは基本だよな……くくっ」

一「ぐーんとかっこいい感じになったね!」

初美「穏乃ちゃんさすがですよー!」

穏乃「いやぁ……そうですか? えへへ」

憧「」

胡桃「憧ちゃん! 気をしっかり持って!」

灼「……背中にレオナルドを」

穏乃「おお、名前がアメリカっぽい!」

揺杏「あぁ、例の漫画書くタヌキね……この前作った型がホテルの方に残ってるから……」

ダヴァン「ア、アノ! ちょっと待ってくだサイ!」

穏乃「メグさん?」

初美「どうかしましたかー?」

ダヴァン「ソノ、大変ありがたいのでスガ……ちょっと肌の露出が大きすぎませンカ?」

憧「!!」

胡桃「あ、生き返った」


ダヴァン「これデハ……少し恥ずかしいデス……」

憧「ですよね!? しず、ちょっと目を覚ましなさいって! 普通に考えたら……その、薄墨さんも国広さんもですよ!? ちょっとその服装はマズいですって!」

胡桃「はっきり言った!」

巴「憧ちゃんよくこの場で言えたなぁ……」

穏乃「……はぁ」

憧「なにそのため息!?」

初美「いつの時代も天才と言うのは理解されないものなんですねー……」

一「いいんだよ、今はわかってくれなくても……いつかは、きっといつかはボクたちのファッションが世の中に認められてスタンダードになっていくんだから……」

憧「あぁもう! なんで国広さん普段はまともなのにこういう時だけ……っ!」

揺杏「……は、腹痛い……っ! 憧ちゃんいつまで頑張れるかなー……くくくっ」

灼「もうそっとしとけばいいのにね……」

ダヴァン「とにカク……私としてはもう少し布を足シテ……」

穏乃「メグさん! それでいいんですか!?」

ダヴァン「!?」

憧「!?」


穏乃「たしかに、前衛的な衣装かもしれませんけど……メグさんが求めているのは……仲間のみんなを助けることじゃないんですか!?」

ダヴァン「……!!」

穏乃「私だって、このファッションがみんなに……親友の憧にさえわかってもらえなくて辛い思いをしています……でも、私には一さんや初美さんがいるから頑張れます」

穏乃「でも! メグさんが帰っちゃって、辻垣内さんが卒業しちゃったら! 明華さんやハオさん、ネリーさんはどうなるんですか!? 仲間が減っていくなかで孤独な戦いを強いられるんですよ!?」

ダヴァン「あ……アア……」

穏乃「メグさんが新しい、かっこいい衣装を身に付けることで、3人に衣装を持ち帰ることで……あの3人の力になれるかもしれないんですよ!?」

胡桃「……どうして穏乃ちゃん泣いてるの……?」

巴「さぁ……?」

ダヴァン「わ、私が間違っていまシタ……」

憧「メグさぁぁぁぁん!?」

揺杏「だから! 何故泣くし……!」

エイスリン「イイハナシダナー?」

灼「そんな感じですね」

ダヴァン「そうでスネ……私が多少恥ずかしい思いをするだケデ……みんなの力になれるナラ……」

憧「ちょ、メグさん! 落ち着いてくださいよ! 冷静になってください!」

ダヴァン「いいんデス……アコちゃん、私が間違っていたんデス……シズノたちの考えてくれた衣装を着マス……」

憧「そんな……どうして……」

ダヴァン「大切な仲間たちを守るためデス……それにシズノも大切な親友デス……」

穏乃「メグさん……」

ダヴァン「フフッ……そレニ、彼女たちの誰にも認められずとも孤独に戦う姿ガ……私たち麻雀留学生の姿に重なったのかもしれませンネ……」

初美「メグちゃん……!」

一「ダヴァンさん……!」

穏乃「メグさん……!」


憧「」

胡桃「……ほんと、バカみたい」

巴「あはは……ちょっと、ついていけないかな……?」

憧「……どうなってるんですか!?」

胡桃「あ、お帰り……」

憧「なんでメグさん納得しちゃったんですか!? 普通に考えておかしいじゃないですか!?」

灼「……目立って印象づけるって点ではまず間違いないとは思うけどね」

憧「それでもあの服はおかしいでしょ!?」

胡桃「っていうか、あの3人の結束すごく固いよね……今回なんか穏乃ちゃんがグループの中心に」

憧「胡桃さんやめて! 聞きたくない……」

巴「……ごめんね、ハッちゃんの説得はもう無理だと思うな」

憧「いえ……もう仕方ないですから……」

揺杏「ほんとに面白いなーあの子ら」

憧「面白くないですよぉ……いつになったらしずと一緒に普通のオシャレできるの……?」


揺杏「……新たな仲間を加えて、とうとう悪のファッションリーダーたちとの決戦に挑んだ憧! しかし、そこに待ち受けていたのは苦難の連続であった!」

憧「!?」

灼「……新たな仲間、巴はかつての友人、ファッションリーダー初美の説得に失敗……」

揺杏「助っ人外人のメグも穏乃同様に洗脳されてしまう!」

灼「岩館博士の生み出す数々の新衣装の前に倒れる仲間たち……!」

揺杏「戦場に現れる謎のタヌキTシャツの少女は敵か味方か!」

灼「果たして憧は穏乃を悪の手から取り戻すことができるのか!」

揺杏「次回、ファッションファイター憧! 」

灼「新ファッション登場!NAGANOスタイルの恐怖!」

揺杏「君は、服を着ることができるか……!」



憧「……あの」

エイスリン「カイタヨ! サシエデス!」

揺杏「うぉ! エイちゃんさんすげぇ! 即興だったのに!」

灼「見事な腕前……」

エイスリン「カタジケノウゴザル」

揺杏「つーかなんだよー岩館博士って、死神博士かなんか?」

灼「そっちこそ、タキシード仮面的ポジションなら私よりも井上さんが適任」

憧「ふきゅ!?」

揺杏「あー……私としたことがそれは失敗したなぁ」

憧「ちょ、ちょ、それは違うってば! っていうかなんの話してんのよ!?」

揺杏「今考えたファッションファイター憧の話だけど……ほら、エイちゃんさんのイラスト、変身ヒーローみたいでかっこいいよ?」

憧「あ、しかも結構かわいいデザイン……じゃなくって! だいたい、なんですか最後の!? 私が服着てないみたいじゃないですか! 着てないのはあっちですよ!?」

胡桃「そこ!?」

揺杏「あ、気に入らなかった? それじゃあ……とりあえず」

灼「あ、了解……」




灼「「……憧たちの戦いは、これからだ!!」」揺杏


揺杏「カン!」


憧「息を合わせて煽るなぁ! 打ち切らないでよ! まだ諦めてないからね!?」




次スレに続く



岩館先生の次回作にご期待ください!

残りは埋めいただけると幸いです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月27日 (日) 16:08:09   ID: Seoq7VFL

憧淡欲しいな

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