女「恋ってもんは辛いっすね!」(12)

私たちは小学校に上がる直前、知り合った。

女(6)「・・・」

男(6)「・・・」

男友(6)「紹介するよ、俺の友達。男だ!こっちは女」

女「よ、よろしく・・・」

男「こちらこそ・・・」

私たちの出会いは、ここからだった。

女「(男くんって、どんな人なんだろう)」

最初は、はっきり言って嫌いだった。

私の近所の唯一友達、男友くんを取ってしまった気がしたから。

男女の差からか、二人の世界には着いていけなかった。

ポケ○ンとか、分かんないよ・・・


でも、過ごしていくうちに彼はとても優しい人だと分かった。

彼には兄弟がいて、弟が二人。私、男くん、男友くん、男弟、男弟弟、五人で放課後ほとんど遊んでいた。

男くんは、小学一年生ながらに気配りができて、その場を楽しくしてくれて、とても優しかった。特に私には。

でも、逆に男友くんが乱暴になってきて、私に見せつけて立ちションしたり、ボールを投げつけてきたり。

それを見て男弟、男弟弟も同じことしてきた。

私は毎日泣いて帰った。


本当に辛かった。

でも、親には言わなかった。

毎日誘ってくる遊びを、断ることも出来なかった。

男くんが、笑顔で誘ってきてくれてるのに。小さいながら当時の私はそう思っていた。

男くんは、男友くんたちがやっていることに、気づいていない。

私は彼の笑顔を見ていれば、耐えられると思って耐えていた。

しかし限界が来て、私は家の前に『遊べない日』と書いてチラシを貼った。

すると男友くんの反感を買ったのか、学校でも・・・同じことをされるようになった。

男 一組

女・男友 三組


男友「こいつ知ってる?俺らと遊べない日とかつくってんの」

男子「マジでー」

小1の癖に、陰湿なことをよくやるよ。

本当に。


でも、こんな日々もすぐに終わって、二年生に上がる頃には仲良く遊んでいた。

小学三年生。男君は、急に引っ越すことになった。


引っ越した場所は近所で、はじめはよく遊びに行ってた。


でも、男君は、サッカー部。男友君は野球部へ。そして、私はピアノ。


忙しくなって、三人とも顔を合わせないようになってきた。

そして、五年後。

私たちは再会した。


中学二年

女「……あ。男君と、男友君」

二人の名前は載っていた。少しだけ、嬉しかった。

教室に行くと、すでに少しグループが出来ていた。

仲のいい女の友達がいなかったので、男子と話すことにした。

男友君は、男君が引っ越してからも、少しだけ遊んでいた。

だから今は、女・男友と、呼び捨てだ。

男友「よ、女」

女「おひさ」

男友「久々。男君も一緒だ」

女「知ってる」

男友「んー…ま、よろしく」

女「こちらこそ」


男「おはよー」

来た、男君。

男「俺の席どこ?」

男友「おはよ、男君。ここだってよ」

男「おー男友君同じクラスじゃん!女ちゃんも」

女「ひさひさ」

男「久しぶりだね、このメンバー」

三人とも、同じことを思っているみたい。

そして、何もないまま。一学期と夏休みが過ぎていった。

夏休みが終わるとすぐ、体育大会で、本当にダルい。


女「うへーあつー」

男「頑張ろー」

私と男君は同じ係。旗をあげる係だった。


女「……男君」

男「何?」

女「彼女と、別れたんでしょ?」

男「……うん」


男君には中一から付き合っていた彼女がいた。

私も影で実は祝福してた。初々しい二人で、可愛かった。

でも、初々しすぎて話せなくて、別れたらしい。

女「大丈夫?」

男「うん。すっきりした。付き合ってるのに話せないなんて、おかしかったし」


体育大会が終わり片付けの時、私は少し事故(?)に遭ってしまった。

女「あはは、女友ださー」

女友「もーやめてよー!」ドンッ

私が、女友も少しからかって、女友が軽く私の胸の辺りを押した。

場所が悪かったのか、息が出来なかった。

女「う……」

女友「え?え?え?」

涙が少し出てきて……苦しかった。

男「!?、何したの?」

女友「じょ、冗談で軽く押したら……」

女「……ふぅ。だ、大丈夫っぽい」

本当はまだ、少しだけ苦しかった。

男「無理しないでね」サスサス

男君は私の背中を優しくさすってくれた。本当に楽になった気がした。

このときは、まだ全然『男の子』として意識していなかった。


私が、彼のことを好きと思い知らされたのは、ある一つの出来事があったからだ。

~10月~

女友「ねー女ー?」

女「ん~?」

女友「女ってさ、クラスでかっこいいって思う男子誰?」

女「えっ、男君」

速答だった。とっさに出た。

女友「へぇ。ん?好きとかそういうじゃないの?」

女「んー?幼馴染みだし、考えたこともないなぁ」

この日から、私は男君を『男の子』として見た。

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