DIO「『ザ・ワード』ッ!」 (60)

――DIOの館

ガヤガヤ…

ホル・ホース「こいつら全部DIOの部下か……しっかしまたインドに行かなきゃならねえっていうこの忙しい時に……何でオレらは集められたんだ?」

ダービー兄「定例会議だ……それにヌケサクはクソザコ故呼ばなかったので全員ではない」

ホル・ホース「定例会議ィ~? あんだあそりゃ」

ヴァニラ・アイス「部下達に今後の計画内容を話し連携を深める……懐深いDIO様の素晴らしいお考えだ」

ダービー弟「もうすぐDIO様が来る。黙って座ってろ、ホルホース」

ホル・ホース「チェッ! はいはい……っと」

エンヤ婆「会議の資料ですじゃ。DIO様が到着するまで各自読みなしゃれよ。奥にいる者にも渡すのじゃぞ!」ガサガサ…

ホル・ホース「おっ、用意がいいじゃあねーかエンヤ婆。どれ、その資料とやら……読んでみるとするか」

ホル・ホース「……」

ホル・ホース「……ん?」

ホルホース「はっ! なっ、何だとォ!? こ、この資料――」

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ホルホース「読 み や す い !」





ホルホース(普段本なぞ読まないオレだがこの活字は見た瞬間に伝えたい事柄を『理解』させてくれる)

ホルホース(全20ページのちょいと長めの内容だが読者退屈させない文章構成。見出しッ)

ホルホース(レイアウトッ!)

ホルホース(こういうのを作るヤツらの中にゃあたまに行間を無くし、ギチギチに文章を入れ込んで来るのがいる。しかしこれはなんだ!)

ホルホース(適度な改行だとォ~~~~~!)

ホルホース(一行分か? や、違うね! このホルホース0.7行分とみたッ)

ホルホース(目に優しい。優しすぎる。まるで目薬みてーに目を労ってくれるこの心遣い……)

ホルホース(この資料を作った奴は余程の手練れ!)

ホルホース(そして……この部下達を鼓舞するような語り口!)

ホルホース(肝っ玉の小せえスタンド使いでもこれを読みゃあ『おれだってジョースターをブッ倒せる!』って思うに違いねえ)

ホルホース(それとだ)

ホルホース(何に似てるかと思えば……絵だ……これは『絵』! 絵に似てるぜ!)

ホルホース(繊細なタッチに気品を感じる。まるで一枚の絵画を見ているような気になってきやがる。美術館かよここはよ~~~っ)

ホルホース「はぁ……はぁ……はぁ……」

ホルホース(疲れた……逆に癒されすぎて疲れた)

ホルホース(なんなんだ……この資料)

ホルホース「……」ハァ

ホルホース(で、誰が作ったんだ?)

ホルホース「っ」チラッ

ヴァニラ「素晴らしい資料だ……」ジュン

ホルホース(こいつは違うようだな。それじゃあ一体――)

ホルホース(エンヤ婆か? 資料を渡したんなら『作っている』可能性もある)チラッ

エンヤ婆「素晴らしい資料ですじゃあ……」ジュン

ホルホース(違うようだな。じゃあ誰がこれを一体)

ホルホース(DIOの部下の内の誰かか? 数が多くてよく分からないぜ)

ホルホース「はっ!」ガタッ

ホルホース「まさか――」

ホルホース(この『資料』も『スタンド』!)

ホルホース(違いねえ。こんな良い資料、『スタンド』に決まってる! ってことは――)

ホルホース(スタンド使いがこの資料を作った……のか!)

ホルホース(エンヤ婆のスタンドは『霧』のスタンド。なら容疑者(?)からは除外だ)

ホルホース(いや待てよ)

ホルホース(エンヤ婆のスタンドが……もし)

ホルホース(『霧』と『資料を作る』能力、二つの能力を持っていたとしたら――)

ホルホース(スタンド能力は一人に一つ。こんなことは天地がひっくり返ってもありえねー)

ホルホース(ヴァニラ・アイスはどうだ! 奴はDIOの側近。それくらいできて当たり前)

ホルホース(いやいやいやいや)

ホルホース(それならオレの知らねー全てのDIOの部下に可能性があるってことかあぁ~!?)

ホルホース(う~む)

ホルホース「なら……」

ホルホース「なら一体……」

ホルホース「なら一体誰がこの素ン晴らしい資料を作ったって言うんだよおおォ~~~~~~~~!!」






DIO「わ た し だ」





ホルホース「げェ~っ! DIO!?」

エンヤ婆「DIO様!」

ヴァニラ・アイス「いつの間にそこに!」

DIO「今着いた……で、エンヤよ。資料の方は」

エンヤ婆「はっ。全員に行き渡ってございますじゃ」

DIO「良し。内容の方はどうだ?」

エンヤ婆「ええ、とても素晴らし~いものでしたぞ」

ホルホース「……な」

ホルホース(何ィ~~~! この資料をあ、あのDIOが作っただとぉ!)

ホルホース「ど、どうやって!?」

DIO「ん?」

ホルホース「どうやってこの資料を作ったんだ!」ペラッ

エンヤ婆「馬鹿もの! DIO様いけませぬ! そんな易々とスタンド能力を見せて――」

DIO「ふ。良いではないかエンヤ婆。せっかくだ。ここに集まる諸君らに……わたしの『スタンド』の一片を見せてやる」

ホルホース「マジか」

DIO「ダービー(弟)、PCを持って来い」

ダービー弟「はっ」



ホルホース(PC! この何のヘンテツもないPCを使って何をしようってんだ!)

DIO「……特別だ。お見せしよう。これがわたしの――」






DIO「『世界(ザ・ワード)』ッ!」 ※wordは世界的に使われている





DIO「ダービー(兄)、プリンターを」

ダービー兄「はっ」



DIO「これが5分間の内に作った。ジョースターの面々とその仲間の性格や能力をまとめた資料だ。先の資料に加えて読むといい」

ヴァニラ・アイス「さすがDIO様」

ホルホース(何て能力だ……あっという間に資料を作りやがった)

DIO「ふふ……わたしがこの速さで資料を作っている時、冷や汗の一滴も垂らさないとはさすがホル・ホース」

ホルホース(褒められてんのかそれ)

ホルホース(でも……)

ホルホース「この資料も素ン晴らしィイ~っ!!」ウオオオオッ

アレッシー「うるせえ」

ホルホース「だがこれはただの紙だぜ! 正確に言えばコピー用紙! それが何でそんな魅力を……」

DIO「半年前」

ホルホース「!」

DIO「わたしがこのスタンドに『資料をいい感じで作成する能力』があると知ってから」

DIO「この身体がなじむまでの間、特訓に特訓を重ねた。主にユーキャンで」

ヴァニラ・アイス「さすがDIO様」

DIO「そしてこの『ザ・ワード』が完成したのだ。誰にもマネできん最強のスタンド……それが……これだ。それがこの資料の魅力」

DIO「これが……我がスタンドの全てよ」

ドドドドドドドド

ホルホース「……」

ホルホース「!」

ホルホース(嘘だッ!)

ホルホース(今スタンドのビジョンが二重……いや三重、それ以上に見えたぞッ!)

ホルホース(DIOが見せたスタンド能力は本当に『一片』に過ぎない……あれは……恐らく――)

DIO(『ザ・エクセル』)ズァッ

DIO(『ザ・パワーポイント』)ズァッ

DIO(『ザ・一太郎』)ズァッ

DIO(『ザ・勘定奉行』)ズァッ

DIO(このDIOのスタンド……一枚岩な訳がなかろうが)

DIO(これはジョースターと戦う時見せる言わば『切り札』よッ!)

ヴァニラ・アイス「さすDIO」

エンヤ婆「DIO様の『ザ・ワード』は今やどのスタンドにも負けん! 最強のスタンドですじゃ」

DIO「いやまだだ」

ホルホース「何!」

DIO「俺の首から下は、ジョナサンジョースターという男のボディでな」

DIO「見ろ、このタイピングを。左の方が遅いだろう?」カタカタカタ

DIO「これはまだ完全に俺に馴染んでおらん証拠。Officeマスターではない。奴らと戦うには、まだ準備不足というところなんだ」

ホルホース「……」

ホルホース「……」フッ

ホルホース(……今のが……DIOの『スタンド』『世界(ザ・ワード)』なのか! ジョースター達と戦うには準備不足だと……?)

ホルホース(ウソつけッ!や……やっとわかった。DIO様……あんたにとことんついていかなきゃあならねーことが。か……完敗だ……)

DIO「さぁ、会議を始めよう。皆席に付け」

DIO「ペット・ショップ、プロジェクタを出せ。ジョースターを殺す計画用の『PV』を作った」

ペット・ショップ「」バサバサ

ホルホース「ぷ、プロジェクタだとォーーーーッ!」

オインゴ「うるせえ」

承太郎「いや逆に資料作る能力だけで俺に勝てると思ってたのかよ」オラァッ

DIO「あべしっ」グシャアッ





DIO ――死亡



お わ り

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