未央「安価で他のアイドルに告白する!」 続 (148)

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4部みおあいの続きです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1453389544

再開します。

この後どこに行く?

1.未央の家
2.藍子の家
3.ラブホテル
4.その他

↓3

未央「あーちゃん、あーちゃん! ……大丈夫? ぼーっとしちゃって……」

藍子「…………ふぇ?」

外に出て軽く肩をぽんぽんと叩いてあげると、ようやくあーちゃんは意識がはっきりしたようだった。

藍子「……あれ? 私……」

未央「あ、気づいた? よかった、あれからずっとふわふわしてたから具合悪いのかと思ったよ……」

藍子「あれから、ですか? えぇと……」

と、そこまで言って彼女は考えるような素振りを見せると――数秒経ってから、みるみる顔を赤くしていった。
……さっきの事を克明に思い出したんだろうか。

藍子「…………わ、わたし、なんてこと……!」

多分、個室を出る直前に意識が朦朧としたまま私にキスを「おねだり」してしまったことを思い出しているんだろう。確かに……あーちゃん、アレは相当こっちもドキッとしたけれど、しかし当の本人にしてみればかなり恥ずかしかった筈だ。


藍子「わ、忘れてください! あんな……うぅ」

未央「えっと……いや、その、私もなんかついやりすぎちゃったっていうか……。あーちゃんがあんまり可愛すぎて、我慢できなくなっちゃったっていうか」

藍子「わーー! わーー! 何だか今になって急に恥ずかしくなっちゃうのでやめてくださいーー!」

思い返せばさっきの事だけじゃなく、今日一日あーちゃんには色々と誘われているような節もあったような気がする。当時はまさかあーちゃんが私の事が好きだなんて考えてもいなかったから、気づかなかったけど……。

藍子「うぅ……私、自分でも知らない間にすごいこと……」

と言いつつ、あーちゃんはカフェを出るときからずっと私の腕に抱き着いたままだけど。

未央「あはは……。まぁ、私はさっきみたいなあーちゃんもすっごく可愛いなって思ったけど……」

藍子「……っ、そ、それを言うなら私にキスしてくれてた時の未央ちゃんだって、いつもと全然違って……ご、強引で、すっごくドキドキしちゃったんですけど……」

未央「えっ……。あ、あれはねー……なんか、自分でも訳わかんなくなっちゃって……うぅ、今から思い返せば恥ずかしい……」

そう言えば私もあーちゃんの事ばっかり言ってられない。さっき……あーちゃんにキスしてた時は、まるで自分が自分じゃなくなってしまったような感覚で……。
加蓮に散々「ヘタレ」と言われてきたこの私がなんだけど、だけど今ならずっと言えなかった事まで言えるような気がする。



未央「あの……あーちゃん、さ。さっきは私ついあんなことしちゃったけど……あそこまでして、嫌じゃなかった?」

そう聞くと、あーちゃんは私の腕に顔をうずめるようにして、小さな声で呟いた。


藍子「……嫌なわけ、ないじゃないですか。ずっと好きだった未央ちゃんからあんなことされて……」


未央「……っ」

彼女のその一言で、私の気持ちがまた揺れ動かされる。
今までも可愛い女の子だって思っていたけれど。今日これだけ関係が縮まって、今まで知らなかった彼女の新しい側面に触れると、それらを全て手に入れたいと思ってしまう自分がいる。

ふと気が付けば――時間は夕方を少し回った程度。
曲りなりにも先程「あんなこと」をしてしまったからか心理的なハードルが少しは下がっているんだろう、あーちゃんからぎゅうと強く抱き締められた自分の右腕を見て、ふつふつとさっきのような感情がまた湧き上がってくる。

――このままずっと、あーちゃんと一緒にいたい。
まだ帰したくない、なんて。


頬を赤く染めて、私よりも心なしかゆっくりとしたペースですぐ横をつきっきりで歩く彼女に――もう隠しようがないほど見詰めてしまって、見惚れてしまっている自分がいた。


どくん、どくん、と心臓が脈打つ。

腕に感じる彼女の体温、柔らかさ、愛おしさ。
ほんの数十分前に掴みかけて、掴みきれなかったものが、手を伸ばせばすぐ届く距離にある。その事実がまたどうしようもなく私の心を揺さぶって――





未央「……ねぇあーちゃん。……この後さ、まだ時間ある……?」


そんなことを口走る程度には、私の内側の声は自己主張が激しいようだった。

藍子「っ……」

ぴた、と、横で歩く彼女の足が一瞬止まる。
私のその言葉を受けてか、あーちゃんの大きな瞳が少し遠慮がちといった風にこちらを見つめた。

藍子「……はい、大丈夫ですよ。明日もお休みですし……」

どこに行きましょうか。未央ちゃんはどこか行きたいところはありますか? と彼女は続ける。


勿論、あーちゃんと一緒ならどこだって楽しい。一緒に何かをやるだけでも充分以上に幸せだ。


――だけど。
今の私は、残念ながらそれだけじゃ満足できなくなってしまっている。
あーちゃんの事を言えた義理じゃないくらい、私だって欲しがりなんじゃないかと思うくらいに。

私も彼女に合わせて足を止め、改めてあーちゃんの方に向き直り、気を抜くと羞恥で引っ込んでしまいそうな言葉を口から追い出すように……言葉を紡いだ。



未央「――あのね。できれば今日は……ずっと、あーちゃんと二人っきりでいたいな……って」

あーちゃんは……一瞬言葉を詰まらせたかと思うと、視線を忙しそうに右往左往させたあげく、耳から火が出るんじゃないかと思う程に顔を茹らせた。

そして、行き場を失った思いを全て私にぶつけるかのようにこちらに倒れこんでくる。
ぎゅうう、と私の胸元に思いっきり顔を押し付け、まるで搾り出すかのような声で呟く。



藍子「…………はい。……分かりました……」



藍子「……あの、わ、私も……さっきからずっと、おんなじ気持ちだった、ので…………」



――いや、もう、どこまで私をドキドキさせたら気が済むんだろう、あーちゃんは。
そんな風に言われたら、私が今よりもっと舞い上がっちゃうって……ひょっとしてこの子は知っているんじゃないだろうか。



藍子「あの、それだったら……私の家に、来ますか……?」

未央「……え?」

藍子「その、今日は家族はみんな出かけてますし……ここからも、電車で近いですし」


上目遣いな彼女の瞳が、こちらを見つめる。


藍子「…………二人っきりに……なれますよ……?」



こんな形であーちゃんの家にお邪魔するなんて、とか。
このまま本当にあーちゃんの家に行ったら、私がどうなっちゃうかわかんないよ、とか。
多分色々思うところはあったんだろうけど。



未央「…………うん、いこっか」


私の口がそう勝手に動いた事が、私自身もう自分が止められなくなっているという、何よりの証拠なのかもしれない。

今回はここまでにしておきます。
次回はまた明日の予定です。もうちょっと書きたい。

数日前から風邪でダウンしてました。治るまで更新はお待ち下さい……。
多分明日か明後日には調子戻ると思います。

ようやく体調戻ったので続き書いていきます。

藍子「ただいま……」

がちゃり、とドアを閉める音とともに、人気の無い家にあーちゃんのその声がこだまする。
ここに来る途中であーちゃんが言っていた通り、今日は家族の人たちは全員留守にしているみたいだ。

未央「…………」

しん、とした静寂に、一瞬心臓がどきんと動く。

未央「(ふたりっきり、だ……)」

さっきの個室カフェも確かに二人ではあったけれど……でもあそこはお店で、本当の意味での二人きりではなかった。
あんな大胆な事までしておいて何をいまさらという話だけど、あそこではあれ以上の事なんてとてもできなかったし。

――だけど。


藍子「えと……と、とりあえず、お茶でも淹れますね?」

伏し目がちにそう言う彼女との距離が、これ以上なく近く感じる。

今日はこれから――あーちゃんと、この家で、ふたりっきりなんだ。
そんな実感が玄関をくぐった途端、熱く茹るような私の脳にこれ以上なくリアルに沸いてきた。

藍子「ど、どうぞ……入って待っててください」

案内された先は、二階にある彼女の部屋だった。
あーちゃんはお茶を二人分淹れてきてくれるそうで、私を部屋に入れて小さなクッションを渡してくれると、ぱたぱたと一階の台所へと駆けていった。

未央「(……あーちゃんの部屋、初めて入るなぁ。というかあーちゃんの家に来ることが初めてなんだけど……)」

あまり人の部屋をじろじろ見るのも気が引けると思いつつも、無意識に視線が周囲に漂ってしまう。
お兄ちゃんと弟がよく無断でマンガを借りて行ったりする私の部屋とは違って、なんというか、あーちゃんらしいゆるふわな……女の子らしさに溢れた部屋だ。センスの良い小物や可愛らしいぬいぐるみがそこかしこに置かれていて、それに何だか――いい香りもする。

未央「(やばい……なんだか今日、とんとん拍子であーちゃんとの距離が急接近してる気がする……!)」

今更ながら二人っきりになって、好きな人の部屋に上げてもらった事を実感すると、どことない緊張感のようなものが沸いてくる。
こんな時に一人で部屋にいても……待っている間に何をすればいいのか分からない。今どきの女子高生よろしくスマホをいじって時間を潰すにしてもそんな気にはなれないし、かといって無音のまま彼女の部屋を眺め続けるというのも……。



藍子「お待たせしました……」

数分ほどそんな居たたまれなさを私が感じていると、あーちゃんがおぼんに二人分のお茶を持って帰ってきた。
ふわりとした紅茶のいい香りが私の鼻をくすぐり、心なしか少し落ち着いたような気がする。

未央「あ、ありがと……ごめんね、私何もしなくって……」

藍子「えっ、い、いいんですよっ。未央ちゃんはお客さんなんですから……」

1.未央がお茶を持つ指をやけどして、あーちゃんがその指を舐める
2.二人で映画を見てたらキスシーンに遭遇


↓2

未央「ふぅ……わっ、これ美味しいね……すっごくほっとするよ」

藍子「そうですか? ……ふふ、お口に合ったなら良かったです」

二人で紅茶を飲んでいると、リラックス効果もあるからだろうか、私も少し浮足立った気分が収まった気がする。
あーちゃんの淹れてくれたお茶は本当に美味しくて、今日一日緊張しっぱなしだった体にすっと染み込んでいった。



未央「えっと……それじゃあこれからどうしよっか。まだ寝るには早いよね……」

藍子「そうですね……。……あっ、とりあえず二人で一緒にテレビでも見ませんか? 何か面白そうなのがやってるかも……」

未央「そうだね、じゃあこの部屋のテレビでいいかな?」

あーちゃんの部屋には小さなテレビが置いてあったので、私たちはお互いベッドの上に隣同士で座ってテレビを見ることにした。あーちゃんがいつも寝ているのであろう可愛らしいベッドに腰掛けるのはいささか緊張したけれど、それ以上に彼女と肩をくっつけるようにして隣に座るという事が私の心音をかき乱した。

とは言え、こうやって二人でテレビを見るというのは私としては凄く助かったところもある。
正直何もやる事がないのに静かな部屋に二人きりでいたんじゃあ、そっちの方がきっと私の心臓は追い込まれていただろうから。


未央「おっ、映画やってるね。……海外のやつかな。面白そうだしこれにしよっか?」

藍子「いいですね。私は未央ちゃんの観たいものでいいですよ」

テレビのチャンネルを適当に変えていると、数年前に話題になった映画の再放送をやっていた。
ちょっとだけ話のさわりを聞いた程度でしかなかったけど、話題作なのに当時は観ていなかったし……丁度いいや、これにしよう。



――と、安易に番組を決めてしまった一時間前の私に、是非ともお説教をしてあげたい。

未央「(わ、わわわ…………!)」

映画が始まって一時間ほど。
内容は話題作だっただけあって面白く、途中から見始めたにも関わらず終盤には結構熱中して観てしまっていた自分がいた。

ただ――この映画、ちょっぴりオトナな風味が多分に含まれるラブロマンスものの映画だったようで、今の私たち二人がこういった二人っきりの空間で観る映画としてはいささか適切性に欠けるというか、隣に肩が触れあう程の距離で一緒に見ているあーちゃんとどういう会話をすればいいのか分からないというか、端的に言って今私たちが観ているシーンは映画のクライマックスの、その……何というか、キスシーンなわけなのだが。

……うん、いや、きす、しーんで。

それも、すっごく濃厚な。

未央「(……き、気まずい……すっごく気まずい……)」

テレビの画面の中ではもう数分以上、主役の二人が舌を使ったディープキスでお互いの愛をぶつけあっているシーンが映し続けられている。
いや、確かに映画としてはすっごく面白いんだけど……面白いんだけど、そうじゃなくって! さっきから声が聞こえなくなったあーちゃんの方を振り向くことができないんですけど!

なまじついさっき個室カフェで私もあーちゃんに似たようなことをやってしまっている手前、少しは落ち着きかけていた雰囲気に、一気にその時の空気がフラッシュバックしてしまう。
あの時の、あーちゃんとのキスが。体温が。感触が。事細かに思い出されてしまう。

未央「(どうしよう……と、とりあえず、このシーンが終わるまでは変に動揺した素振りは見せないほうがいいよね……)」

映画のキスシーンに触発されて動揺してるなんてあーちゃんに気付かれたくないし……。
それに――あ、あの時の事を思い出して、またキスしたくなっちゃってるなんて、もっと気づかれたくないし……。

私は画面から入ってくる情報を極力素通りするよう努めつつ、隣のあーちゃんに動揺がバレないように至って平静を務めた。



藍子「…………すごい、ですね。キス……」


未央「へ?」


勿論それは、隣からそんな声が聞こえてくるまでの間、だったけど。

えぇ……と、うん? 気のせいかな?
なんだか今あーちゃんの口から、キスがどうとか聞こえたような気がしたけれど。


そう思って恐る恐るといった風に隣を振り向いてみると、そこではクッションを胸の前で抱き締め、顔を赤くしたあーちゃんがテレビの画面を見ながら、時折こちらにちらちらと目線をやっていた。

未央「えと……え?」

藍子「あ、いえ、その……えっと、すごいですよね、映画」

未央「ん、んん……そう、だね。すごい……よね」

すごいかすごくないかで聞かれたら、それは勿論前者としか言いようがないけれど。
でも多分、それ自体は大事なことじゃない気がする。

テレビに映る二人の口づけはどうやらますますヒートアップしており、18歳以下が観るものとしては教育上よろしくなさそうな空気に発展してしまいそうな雰囲気まである。
あーちゃんと二人きりで、あーちゃんの部屋で、こんな空気で、こんな映画のこんな場面を観ているということが既にこれ以上なく気まずい事態なんだけど、あーちゃんはなんだかますます映画のキスシーンを覗き込むように鑑賞している。


藍子「…………すごかった、ですもん。……今日の、未央ちゃんも……」

ふと、隣から小さく漏らすようなそんな声が聞こえたかと思うと。


あーちゃんの頭がそっと、私の肩にもたれかかってきた。

未央「あ、あーちゃん……?」

突然の事に、一瞬体がびくんと跳ねあがってしまった。
あーちゃんの柔らかな髪が私の服から覗く肩甲骨にふわりと触れ、その感触に不意にどきりとしてしまう。

未央「ど、どうしたの……?」

努めて平静を装ってそう尋ねると、あーちゃんは私の首元にぐりぐりと頭を押し付けるように、甘えるような素振りを見せた。
彼女の髪が私の肌に擦れる感触と漂ってくる甘い香りに、嫌でも心拍数が上がってしまう。

藍子「えっと、今日……さっき、カフェで未央ちゃんにされたキスも、あんな風に凄かったな……って、思い出しちゃいまして……」

未央「……っ」

ほんの数時間前の記憶が私の脳裏に鮮明によみがえる。

――そうだ、私はあーちゃんに……今日既に、目の前の映画に勝るとも劣らないような激しい口づけをしてしまっている。
決して忘れていたわけではないけれど。というよりもどうやったって忘れようがないけども。この家に上がってからは私自身そのことを意識しないように頑張っていたんだ。

だって――そんなに強く意識していたら、私がこの家に上がった瞬間に、我慢ができなくなっていただろうから。

未央「え、えぇと、それは……」

こんな雰囲気に何を言えばいいのかわからずに、何か考えているような素振りをしてしまう。
実際は頭の中がテンパってしまって何も考えられない状態だったけど……。

すると、私の肩にもたれかかっていたあーちゃんが、より近くに――私の体にその身を預けるようなポーズをとってきた。
その頬には朱が差し、瞳はかすかに潤んでいる。視線の先には――


私の、唇があった。


藍子「……未央ちゃん、あの……」

搾り出すような声でそうささやいてくる彼女の体は、小刻みに震えているようだった。



――私だって、事ここに至って。
あーちゃんが何を考えているのか、何を想っているのかがまるで見当も掴めないほど鈍い訳ではなかった。



あーちゃんは、キスを……誘っている。……私に。

それが分かってからは、私の体の芯が一気に熱くなるのを感じた。

さっきは――カフェの中では、個室とは言えお店の中だったし、どこかで頭の中にブレーキがかかっていたのかもしれない。
だけど、今ここはあーちゃんの部屋で、明日の昼まで誰も帰ってこないことが分かっている。
この空間にいるのが今私たち二人だけだという感覚が、私の心臓の鼓動を一気にエスカレートさせていくのに、そう時間はかからなかった。

気づけば隣のあーちゃんがこちらを見つめる視線と、私の視線がバッティングする。
映画を見るために少し落とした部屋の明るさに、テレビから漏れる光のフラッシュが彼女の唇を妖しく照らし出していた。その煽情的な輝きに、カフェでの一件がフラッシュバックしてしまう。


そして――あーちゃんは、いつしか瞳を閉じていた。




未央「……あーちゃん」


私は――彼女の腰に手を回し、ぐいっとこちらに抱き寄せると。



あーちゃんの唇を、奪った。

藍子「ん……っん、んぅ……!」

繋がった唇を通して、そんな漏れるような彼女の声が伝わってきた。
柔らかなその感触に酔いしれるように彼女の唇についばむようなキスを交わし、その後閉じた唇をこじ開けるように舌の先端をねじ込んでいく。

藍子「ふぅ……っ、ん、んん……ぁ……」

蕩けたような表情で私の舌を受け入れてくれる彼女に、私の頭もどんどん奥底の欲望に支配されていく。
舌を使ったキスは今日二回目ということもあって、慣れたわけではないけれど以前よりは自然にキスできている。と言うよりも私の方が我慢が効かずに、彼女の口内を早く味わいたくて舌を使ってしまったというのが正しかったけれど。

こじ開けられたあーちゃんの狭い口腔に舌を届かせると、熱く濡れたその場所の感触や味を敏感な舌の先で感じ取ってゆく。
私が舌を動かす度に彼女の体がびくんと震え跳ね上がるのが心地よく、あーちゃんをその手の内に入れているという感覚が私の脳髄の熱をより加速させていった。


とろとろと溢れてくる彼女の唾液を本能が欲して、掬い上げるような舌の動きで甘い蜜を啜っていく。その背徳感に法悦感に酔いながら彼女の体を抱き締めると、細かく震える手であーちゃんも私の体を抱き締め返してくれる。
お互いの気持ちが通じ合っている、という安心感に似た快楽が脳内麻薬となって、私の舌の動きを余計に加速させていった。

藍子「んぁ……み、みお、ひゃん…………んんっ」

時々漏れ出るような、彼女が私を呼ぶ声。
その声が耳に届くたびに、彼女にそんな自覚はないかもしれないけれど、私の理性はボロボロと剥がれ落ちて奥底の本能が剥き出しになっていくのだ。


未央「ん……あーちゃん、舌、出して……?」

私がそう呼びかけると、あーちゃんは瞳を閉じたまま、おずおずといった風に自分から口を開けて舌を突き出してきた。
一旦唇を離してそれを見ていた私は、彼女のそんな求めるような表情が琴線に触れ、そんなふるふると震える舌先にちゅっと唇を触れさせると――また、彼女の舌に私のそれを巻き付けるように触れさせる。


藍子「ふぅ、っ、あ、んぅぅ……ん……!」

未央「ん……あーちゃん、さっき映画見てて……自分もキス、したくなっちゃったの……?」

藍子「ふぁ…………は、はい……隣に未央ちゃんがいるって思ったら、その……し、して欲しくなっちゃって……」

既に半ば分かり切っていることを改めて聞くなんて意地悪かなとも思ったけど、私はつい彼女にそう尋ねてみた。
私のキスを欲してくれて、私のキスを受け入れてくれる彼女につい、そんな意地悪な質問をしてみたくなってしまったのだ。

カフェでも感じたほんの少しの嗜虐的な気分が、今の私に甦ってきている――のかもしれない。

しだれかかるような彼女の仕草やキスの感触に、私の頬が燃えるように熱くなっているのが自分でも分かる。
この欲求を解消するためには、唇だけでは既に足りなくなってきていた。

未央「ん、ちゅ………ん、あーちゃん……」

私は――いつしか、彼女の腰に回した手を少しづつ上に這わせていき、胸元にまで持っていっていた。私の手が彼女の柔らかな服越しに胸に届くと、繋がった唇からあーちゃんの噛みしめるような声が漏れて伝わってくる。

藍子「ふぁ、あ……」

ふにふにとした心地よい感触が手のひらから伝わり、私の感情を揺さぶっていく。
彼女がそんな風に艶のある声を上げるものだから、私の興奮はどんどん高まっていくっていうのに。ひょっとしたらあーちゃんにはその自覚が無いんじゃないだろうか。


遂に我慢ができなくなり、私の唇はあーちゃんの唇を離れた。
次に目指すところは――。


藍子「……っ、あっ、ふあぁっ……み、みおちゃ……! そこは……!」

彼女の柔らかな耳たぶに、ついばむように唇を触れさせる。
その後さっきと同じように舌を出し、つつーー……と彼女の耳たぶにそって舌を這わせる。彼女はその熱く濡れた感触がこそばゆかったのか、びくんと身を震わせてしまった。

藍子「み、みおちゃん、わ……わたし、耳はよわくって……っ、あ……!」

そんな彼女の漏れだす声が、私の気持ちに更に火をつけていく。
たまに私の漏れる吐息が彼女の耳の中で反響するのか、あーちゃんは今までに見たこともないくらい蕩けた表情で喘ぐような声を上げた。

藍子「ふぅ、う、っ……んぅぅっ……あ、はぁ……あん……」

煽情的な、そんなあーちゃんの声が二人しかいない室内に響く。
実際は響く、というほど大きな声ではなく、あーちゃんとしては内側から漏れ出ようとするそんな声を必死に押し殺しているのだろうけれど、すぐ近くで聴いている私にとっては世界をいっぱいに埋め尽くすほど存在感のあるものだった。

途切れ途切れになりながらも彼女が紡いだ言葉のように、耳が弱いというのは本当なんだろう。私がそこに舌を這わせると、ともすれば彼女は唇でのキスの時よりも蕩けた表情をしているようにも見える。
真っ赤に染まった耳たぶはそんな外見から想像できる以上に熱くなっていて、実際私は、彼女のそんな喘ぎ声を聞くたびに――言いしれない、心の奥がぞくぞくと沸き立つような感覚を覚えていた。



 する………


気づけば私は、あーちゃんが着る服に手をかけていた。


藍子「ふぇ……っ、あ、み、未央ちゃん……!」

すると、急にあーちゃんは、そんな私の手を震える手で掴んで必死に静止してきた。

未央「ん……どうしたの……?」

急にはっと思い出したような彼女の行動に少し戸惑いながらそう尋ねると――彼女はおずおずと、顔を赤くして呟くように言った。

藍子「えっと、あの……その、今日は……ほら、厚かったので…………わ、わたし、いっぱい汗かいちゃったというか……」

もじもじとそう呟いたあーちゃんを見て、そう言えば、と初めて気づく。
この季節だと、今日一日外を歩いていればそれなりに汗をかく。私が彼女の服に手をかけようとしたところで、あーちゃんはそれが恥ずかしかったのだろう。



1.お風呂に入る
2.構わずこのまま押し倒す

↓2

1.別々に入る
2.一緒に入る

↓1

藍子「その、だから、ごめんなさい。一度お風呂に入ってきてもいいですか……?」

上目遣いでこちらを見上げながらそう言う彼女の気持ちを考えると、確かに無理は言えない。
その旨を了承すると、彼女は汗をかいた体で私に迫られずに済んだことが安心したのか、ほっと息を吐いた。

藍子「ありがとうございます。じゃあ……その、ちょっと待っててくださいね」

さっきまでの雰囲気で、今から汗を流しに行く――というのは、これはもう、私も漫画とかでしか見たことのない描写ではあるけれど、きっと、うん、そういうことなのだろう。
それが彼女も分かっているからなのか、その頬にはやはり朱が差したままで、いそいそとベッドから立ち上がった。


未央「……あーちゃん」

――だけど。
私は不意に、部屋から出ようとする彼女の腕を掴んでいた。


未央「私も、あーちゃんと一緒に入る」

藍子「…………ふぇ?」


一瞬、狐につままれた、というような表情を浮かべるあーちゃん。
しかしすぐに我に返ると、彼女は顔を今までよりも赤くして慌てふためいた。

藍子「え、ええっ!? ふ、二人で……ですか……? どうして……」

確かに今日は二人で、水着でプールに入ったけれど。でも、それとこれとは全く違う。
二人きりで、裸で、この雰囲気で一緒にお風呂に入るということが、あーちゃんには想像の外になるほど羞恥を感じさせられるんだろう。

だけど、「どうして」と問われてしまえば。その理由は一つしかない。


未央「今日は……あーちゃんと、一瞬でも離れたくないから……。ずっと、あーちゃんと一緒にいたいんだ。…………駄目?」


藍子「……っ」


ぼん、と。爆発するかのように、彼女の顔が赤くなる。
その後彼女は、急に俯いて腕を掴んだ私の手を握り返すと、消え入りそうな声で呟いた。


藍子「…………じ、じゃあ……その、一緒に……よろしく、おねがいします……」


彼女の耳たぶは、私が口づけた時よりももっと赤くなっていた。

今日はここまでにしておきます。

次回はお風呂パート頑張ります。

遅くなりましたが、続き書いていきます。

藍子「未央ちゃーん……あの、そ、そろそろいいですよ……」

 あーちゃんが先に入っていった脱衣所の方から、そんな声が聞こえてきた
 その声色は、どこか湧き出てくる羞恥心を必死に押しとどめようとしているような、そんな空気を孕んでいる。

未央「……うん。今行くね」

 あの後あーちゃんは、お風呂の用意をしてくると言って一人で浴室がある方へ向かっていった。
 ――本当は少しでもあーちゃんと一緒にいたかったから、お風呂の用意も一緒にしたくはあったけれど――そこは彼女がどうしても私がしますと言って譲らなかったので、私は一人リビングで彼女の用事が済むのを待っていた次第だ。


 待っている間ずっとドキドキとうるさかった心臓の鼓動を感じながら脱衣所の扉を開けると、そこには丁寧に畳まれた彼女の来ていた服一式と、お風呂上り用であろうバスタオルが二つ用意されていた。
 脱衣所には既にあーちゃんはおらず、扉一枚隔てた浴室にすでに入っているようだった。耳を澄ますと、時々ちゃぽんという浴槽のお湯が跳ねる音が聞こえてくる。

未央「えっと……じゃあ、入るね」

藍子「は、はい。大丈夫です……」

 さっきから――自分でもびっくりするくらい、ドキドキしているのと同じくらい落ち着いている。
 緊張が一周回ってしまっただけかもしれないけれど、さっきあーちゃんの唇を、舌を味わってしまってからというもの――私の心はひどく燃え盛り、だけど変に冷静だった。

未央「……お邪魔しまーす……」

 服を脱いで片隅に畳み、そう一言言って浴室の扉を開けると、白く濃く立ち上がる湯気の向こうに――膝を抱え、浴槽に肩まで浸かってしまっているあーちゃんがいた。
 湯船には入浴剤が入っていたのでお湯の中まではよく見えないけれど、湯船から浮かんでいる部分――水滴の張り付いた肌色に光る細い肩に、どうしても私の視線は奪われてしまう。

未央「あ、先に入ってたんだ」

藍子「は、はい……すみません、お先に……」

 ちゃぽん、と両肩まで濁ったお湯の中に納めてしまうと、あーちゃんは恥ずかしそうにそう言った。――そうか、彼女が一人で足早にお風呂を掃除して、先に一人で湯船に浸かっていたのは――私に着替えや体を見られるのが恥ずかしかったから……だったりするんだろうか。

 私はとりあえずシャワーを借りて汗を流そうと思い、椅子に座って水流を体に当て始める。
 ほんの一メートルもしない距離に、好きな人が――私の大好きな女の子が、生まれたままの姿でそこにいる。それを意識すればするほど勝手に目線がそっちに行ってしまうけれど、彼女はそんな私の視線がどうにも恥ずかしいといった風に、細い顎の先がお湯に触れるくらいまでその体を湯船の中に押し込んでしまった。

未央「あーちゃん、もう体も髪も洗っちゃったの?」

藍子「あ……はい、すみません。未央ちゃんが来る前に済ませちゃいました……」

 お風呂の用意にしては少し時間がかかるなと思っていたけれど、どうも彼女は後はもう温まってお風呂から上がるだけになっているらしい。
 思えば今日は……二人でプールにデートに行って、愛の告白もして、個室で二人で食べさせあいっこだったり、キスまでしたり、もはや階段を五段飛ばしくらいの速さで駆け上がってしまった日ではあるけれど……。そんなあーちゃんでも、流石にいきなり一緒にお風呂に入るのはハードルが高かったのか。見れば彼女の背けた横顔から覗く耳は、お風呂に入っているからというだけでは説明できないほど赤く染まってしまっていた。

未央「……私、あーちゃんの髪洗ったりとか、したかったな」

藍子「ふぇっ!? あ、す、すみません……で、でもやっぱり、ちょっと恥ずかしくって……!」

 私が少し冗談交じりにそんなことを言うと、あーちゃんはびくっと湯船を揺らしてそんな反応をした。

未央は湯船に入る体勢は?

1.向かい合って
2.あーちゃんの後ろから抱きかかえるように

↓2

未央「えっと……じゃあ、そろそろ私も湯船に入っていい?」

藍子「は……はい! どうぞ……」

 髪も体も一通り洗い終わった私は、そう言って立ち上がった。
 あーちゃんは少し背中を詰める形で、浴槽の前側に私の入るスペースを作ってくれる。

未央「あ……えっと、ごめんあーちゃん。そっちじゃなくて、少し後ろ開けてくれる?」

藍子「?」

 不思議そうな顔をするあーちゃんを尻目に、私は彼女の背中側に回り込んだ。そっとあーちゃんの肩に手を当てると、そのまま滑り込むようにして彼女の背中の後ろから湯船に入ろうと足を差し込む。

藍子「えっ、みっ、未央ちゃん!?」

未央「ごめんね。こっちの方が、あーちゃんをいっぱい感じられそうだったから……」

 呆気にとられたように動かない彼女の両肩を抱きとめるようにして、あーちゃんを後ろから抱きかかえるような体勢で湯船に浸かってしまう。
 突然の私の行動にびっくりしたのか、あーちゃんは固まってしまったかのように微動だにしない。私は完全に両肩を残して体を温水に沈めると、少し震えるような彼女の腰回りに腕を回すようにして、あーちゃんの体を静かに抱きしめた。

藍子「……わ、わ、えっと……え、あの……」

 お湯の中で抵抗を感じる私の両腕はしかし、彼女の細く柔らかい腰の少し上、お腹のあたりをできるだけ優しく包み込んだ。そのすべすべとした地肌の心地よい感触が私のドキドキを更に加速させ、目の前にある湯船から露出した彼女の白い首筋が、蠱惑的なまでの色香を放っている。

 普段は纏めている髪をほどいた彼女とはいつもとはまた違った雰囲気があって、後ろから覗けば火照った耳端が嫌でも視界に入ってくる。
 当のあーちゃんはいきなり私が後ろから、抱き着くようにして湯船に入ったことに未だに動揺を隠せないでいるようで、こちらを振り向かないまま焦っているようだった。

未央「……嫌だった? 向かい合って入った方がよかったかな」

藍子「い、いえ……、ただちょっと、その、びっくりしちゃって……」

 固まったように動かないあーちゃんは、声を絞り出すのが精いっぱいといった風にそう答えた。
 私はと言えば、そんな彼女の腰に回した肌のきめ細やかな触り心地に既に半ば夢中になってしまっていたのだけれど。
 あーちゃんは私の手の感触がこそばゆいように、時々口から漏れ出ようとするのを我慢するかのような声をあげる。

未央「あーちゃんの肌、きれい……」

 自然に言葉が口から出てくる。
 やがて私の火照った頭は――目の前にある、白く細い彼女のうなじに見惚れるように視線を合わせてしまう。


 ――ちゅ


藍子「ひゃんっ!」

 気づけば私は、そんな彼女のおろした髪の隙間から見え隠れするそのうなじに、静かに唇を寄せてしまっていた。

藍子「み、未央ちゃん……?」

未央「あ……ごめん、つい……。その、あーちゃんの肌、綺麗だなって思って……」

 ぎゅう、と彼女の体を抱き締めたまま、彼女の首筋に唇をくっつけながら喋る。
 お風呂のお湯なのか彼女の汗なのか分からない水滴が私の唇に吸い付き、きめ細やかなさらさらとした肌の感触と相まって、私の気持ちはどんどん温かいものに変えられていってしまう。
 あーちゃんは急に私が首筋にキスしてしまったことに驚いたようだったけれど、しかし拒否するような素振りは見せなかった。そのいじらしさのようなものが余計に私の気持ちをかき乱す。

未央「……あーちゃんさ、髪も綺麗だよね。……キスしても、いい?」

藍子「……ふぇ?」

 いい? と聞いているにも関わらず、その台詞を言い終わる前に私の唇は、次に彼女の濡れた髪に近づいていた。

 湯船から出ている彼女の髪に、そっと唇を寄せる。ふわふわとしたそのしなやかな髪は、私が鼻先を近づけるとふんわりとシャンプーの甘い香りが漂った。
 人間の体で最も敏感だと聞いたことがある唇の先端をそっと髪に添わせると、彼女のほどけるような髪の一本一本の存在を感じられるようだ。

藍子「ん……みお、ちゃん……?」
 
 肩をふるふると震わせる彼女のそんな仕草が、やけに煽情的に見えてくる。
 湯船から掬い上げた彼女の髪に口づけをすると、なんだか――いけないことをしているような気分になってくるのは何故だろう。

未央「あーちゃん……可愛い」

 立ち込める湯気と湯船の温度で、私の頭も茹ってしまっているんだろうか。普段だったら気持ちが引っ込んでしまって出来ないようなことが、今なら何故かすんなりとできてしまう。
 こんな風にあーちゃんの肌に、髪に、気持ちをぶつけるように触れるのは、私に嗜虐的にも似た高揚感を与えてくれる。

 見ればあーちゃんは、身を縮めるようにして必死に羞恥の声を漏らさないように努力しているようだった。
 こんな風に、後ろから抱き締められながら首筋や髪にキスされるって、確かに逆の立場からしたら相当恥ずかしいかもしれないけれど……だけど、本当に嫌がられているという感じは受けない。



未央「……ね、あーちゃん」

 だからだろうか、少し熱くなった頭で。
 私は自然と心の中身を思うままに、あーちゃんにぶつけていた。

未央「あーちゃんの胸……さわっても、いい……?」

だいぶ遅くなってすみません、続き書いていきます。

藍子「え……ええぇっ!?」

 ばしゃっ、と、肩の周りのお湯を跳ねさせながらあーちゃんの体がびくっと震えた。湯気で覆われた浴室内に、一際大きな彼女の声が反響する。

藍子「む……むね、ですか……?」
未央「ん……だめかな……」

 私の両腕は彼女の腰に回しているので、そこからほんの少し上へ持っていけばあーちゃんの胸に触れることになる。
 彼女の柔らかくすべすべした背中の感触が私の体に当たるなか、あーちゃんは急な私のお願いに戸惑いを隠せないようだった。

 ――さっきからの、この雰囲気。二人きりでこの家に入った時から、きっとあーちゃんも「そういう」覚悟はあったことだろう。
 だけど彼女はさっきまでよりも増して耳を赤くすると、しずしずと俯いて顎をお湯に付けてしまった。

藍子「ど……どーしても、ですか?」
未央「……うん。あーちゃんの全部に触りたい」
藍子「……で、でもあの、わ、私のむね、未央ちゃんみたいに……おっきくないし……」

 ――今日のプールでもそんな事を言っていたけれど、あーちゃんは自分の体……特に胸のサイズがどうもコンプレックスらしかった。
 でもそれは……あーちゃんには悪いけど、私はそんな彼女の体も含めて全部を大好きになってしまっているんだから……もっと自信を持っていいのに、と思う。

未央「……私ね、あーちゃんの体なら全部、ぜんぶ好きだから……。だから、触らせて欲しいな。私にだけ……。あーちゃんの体、全部、知りたいから……」
藍子「……っ、み、未央ちゃん……」

 私が心の中の素直な気持ちを言葉にすると、あーちゃんは……少し悩んだような素振りを見せる。
 だけど、三十秒ほど無言のまま空気が流れると――あーちゃんは、ゆっくりとお湯の中の私の両手をとり、少しずつ自分の胸の方へと持ち上げた。

未央「……あーちゃん?」
藍子「…………わ、分かりました。でも、あの……や、優しくしてくださいね……?」

 そう言って私の両手を自分の乳房にそっとあてがったあーちゃんの肩は、触れなくても分かるくらい震えていた。緊張と羞恥が入り混じったようなそんな仕草と彼女のその行動が、私の心臓をまたどきどきさせる。

未央「ん……ありがとね、あーちゃん」

 彼女に受け入れて貰えたような、そんな感覚が嬉しくて。ふにふにとした柔らかな感触が、私の両手から伝わってそんな気持ちを優しく包み込んでくれるようだ。
 改めて、目の前の女の子はアイドルなんだという事を思い出させるくらいのきめ細やかな肌の触り心地が、浴室の熱気でのぼせそうな頭を余計に揺さぶってくる。

藍子「ん……っ、……あ……」

 軽く乳房全体を揉みこむように手を動かすと、たまに指が彼女の小ぶりな乳首に擦れるように当たる。その度に、私の体で抱きしめられるような格好になっているあーちゃんは、上ずったような声をわずかに漏らす。
 彼女の小さな声が湯気で充満した浴室に反響するたびに、なんだか――凄くいけないことをしているような気分になってくる。
 いや、それは実際いけないことをしているのかもしれないけど……まだ高校生なのに、今日告白したばっかりの好きな女の子と、一緒にお風呂に入って胸を触らせて貰ってるって、それはもう、とんでもなくいけないことをしているのかもしれないけど――。だけど、今の私にはそんな脳裏に感じる背徳感すら、心臓の鼓動が早くなる要因にしかなっていないようだった。

 手のひらの中に感じる感触と、その奥から痛いほど伝わってくる彼女の心臓の鼓動。たまに漏れる彼女の吐息が、浴室の湯気に溶けて混ざっていく。
 私は――自分の奥底から湧いてくる感情に我慢が効かずに、あーちゃんの可愛らしい突起を指で優しく摘まむように触り始めた。

藍子「……っ! ……ふぁ、あ……ん……」

 びっくりしたからか、ほんの一瞬だけあーちゃんが大きな声を漏らした。
 私は溢れ出てくる欲求に従って、彼女の乳首をわずかな力で擦るように触ってみる。

藍子「……は、ぁ……み、みおちゃ、ん……」

 甘く溶けるような彼女の声が耳に入って、私の脳髄を刺激してくる。ほんの少しずつ固くなってきているそれは段々と存在を主張し始め、弾むような感触で私の指を押し返してくるようになった。

藍子「み、みおちゃん……む、むね、じんじんします……」

 上ずったような声でそう言うあーちゃんは、しかし私を拒否しようとしている素振りは無い。

 ――首をこちらに振り返った彼女と、目が合った。


1.未央からあーちゃんにキスする
2.あーちゃんが未央にキスをおねだり

↓2

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月13日 (土) 19:57:34   ID: TbfuB97Y

続きはよ

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