島村卯月「みんな、なんでも聞いてくれるんです」 (89)



※キャラ崩壊

※よく見るネタ
 被ったらスイマセン

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452686871



卯月(みなさん、こんにちは! 島村卯月です!)

卯月(突然ですが――私、超能力に目覚めちゃいましたっ!)

卯月(ユッコちゃんが聞いたら驚くかもしれませんが――)

卯月(でも、私自身はそうも言っていられないんです……)



卯月(ことの発端は、今朝――事務所に向かう途中で、ある女の人に出会ったことでした)

卯月(なんだか、すごく不思議な雰囲気を持っていた人だったんですけど……)

卯月(とにかく、その人から道を――近くのピザ屋さんへの行き方を尋ねられて……)

卯月(教えたら、そのお礼にってこの能力を貰っちゃったんです!)

卯月(彼女曰く――『王の力はお前を孤独にする』だそうなんですけど……よく分かりませんでした……)



卯月(それに――具体的にどういう能力なのかも不明なんです……)

卯月(ただ、鏡で見て分かったのは、意識すると自分の左目――その瞳が赤く光ること……)

卯月(さらに、その瞳の中に鳥? みたいなマークが現れることです……)

卯月「普段は普通の目なんですけど……これ、元に戻るんでしょうか……?」



卯月「……おはようございます」ガチャ

モバP「おお、卯月! 丁度いいところに!」

P「悪いんだけど、乃々のやつを一緒に探してくれないか?」

P「あいつ、もうすぐレッスンの時間なのに、どっかに隠れてるみたいでな……」

P「いつもの机の下にも居ないんだよ」

卯月「わ、分かりました! 私も手伝います!」

P「おお、頼むよ!」



卯月「乃々ちゃん……確かに、机の下には居ないみたい……」

卯月「どこだろう……あえて意表を突いて、上に居るとかっ!」

卯月「なんて――」


森久保乃々「――!!」ビクッ


卯月(棚の上に乃々ちゃんが……!!)



乃々「うっ、見つかったんですけど……」

乃々「もりくぼの、『灯台上暮らし』作戦が、こうもあっさり敗れるとは……」

卯月「の、乃々ちゃん! プロデューサーさんが探していましたよ?」

乃々「知ってます……知ってて隠れてるんですし……」

卯月「レッスンしなくて良いんですか? 乃々ちゃん、今度のライブの主役だって……!」

乃々「分かってます……分かってて隠れてるんですし……」



乃々「やっぱりどう考えても、もりくぼにライブ――しかも主役なんて無理です……」

乃々「もりくぼは精々、皆さんのバックダンサーとか、黒子とかで良いんです……」

乃々「というか――正直、ずっと隅でひっそりと暮らしていくのが正しいんです……」

乃々「ですから、どうぞお構いなく……」

乃々「今からなら、まだ代役を立てることだって十分できますし……」



卯月「そんなこと無いです!!」

卯月「確かに、乃々ちゃんの普段のキャラクターだと、大勢の前で歌うのは大変かもしれない……」

卯月「でも、そんな乃々ちゃんを応援してくれるファンの人は、絶対いるんですよ!」

卯月「乃々ちゃん、いつも自分を過少評価してるけど……」

卯月「そんなこと全然無いです! 乃々ちゃんは、とっても良いアイドルになれるって私思ってます!!」

卯月「だから、そうやって自分の殻に閉じこもらないでください!!」ガッチャガッチャ!!

乃々「ちょっ! 危ないんですけど!? 棚を揺らさないでくださいっ!!」



卯月「一歩踏み出すのを恐れないで!! 乃々ちゃんは一人じゃないです!!」グアングアン!!!

乃々「今が恐怖の絶頂なんですけど!? 一歩踏み外したら終わりなんですけど!?」

卯月「私たちが傍にいますっ!!」ガコンガコン!!
 
乃々「死神が傍に居ますけどーー!?」グラグラ!!

卯月「だから、ファンの人たちのためにも、乃々ちゃん自身が変わるためにも――」

乃々(あれ? 卯月さんの左目が、赤く光って――)



卯月「『レッスン、頑張ってください!!』」キュピィイイイン――



乃々「…………」――キィィイイン

乃々「……はい」スタッ

卯月「え……?」

乃々「分かりました……もりくぼ、レッスン行ってきます……」スタスタ

卯月「う、うん……頑張ってね……?」




P「お、卯月! 乃々を見つけてくれたのか!」

P「なぁ、乃々……。お前の気持ちも分かるが、今回のライブはだな――」

乃々「プロデューサーさん、もりくぼ、レッスン行ってきます……」

P「お……? おぉ、行って来い」

乃々「はい」スタスタ

P「……すごいな卯月。乃々を見つけただけじゃなくて、説得までしてくれるなんて……」

卯月「えっ……! あの、いえ私、大したことは何も……」



P「――で、悪いんだが……」

P「今度は杏のやつを見つけてくれないか?」

卯月「杏ちゃん?」

P「今、トレーナーさんから電話が来てな……」

P「あいつ……わざわざ家まで迎えに行って、レッスンに連れていったんだが……その先でバックレやがったみたいでな……」

P「今日はきらりも居ないし……」

卯月「分かりました! 頑張って探してみます!」



卯月「えーと……杏ちゃん、あんずちゃん……」

卯月「うーん、全然見当がつかないなぁ……」

卯月「当然ながら――いつも杏ちゃんが座ってる、このソファにも居ないよね……」

卯月「通称、人をダメにするソファ――だっけ……」

卯月「あはは……。仁奈ちゃんじゃないけど――もしかして、これに座ったら杏ちゃんの気持ちになれて、居場所が分かったりするかなー……」

卯月「よいしょっ!」ギュム


「ぐえっ!」




卯月「あれ……? 今、声がしたような……?」

卯月「うぅ……なんか、怖いかも……」ギュウウウ

「うぐぐぐぐ……」

卯月「ひぃぃい!! やっぱりどこからかうめき声が!!」ピョーーーン

ドス

「あばらっ!!」

卯月「い、いやーーー!!!」


双葉杏「いや、それこっちのセリフだよ……」モゾモゾ


卯月「!?」



卯月「あ、杏ちゃん!? どこから出て来たんですか!?」

杏「卯月ちゃんが座った、そのソファの中に居たんだよ……」

杏「しっかし――流石、卯月ちゃんはお尻を武器にしてるだけあるね……」

杏「まさか、きらりんルームに連れ込まれる以上の恐怖を味わうとは……」

卯月「え、ええ……!?」



杏「それで、杏を探してたみたいだけど何の用――」

杏「なんて、聞くまでもないか……」

卯月「杏ちゃん、プロデューサーさんが探していましたよ!!」

卯月「レッスンサボっちゃダメじゃないですか!」

杏「あー、うん。そだね」



卯月「さぁ、すぐに戻って、レッスンを――」

杏「いやー、でもなぁ……」

杏「ホラ、やっぱ人間、動いてばっかりじゃ、もたないっていうか……」

杏「卯月ちゃんだって分かるでしょ?」

杏「頑張った後には、ちゃんと休んで頑張らない状態を作らないとね。じゃないと、次の機会に頑張れなくなっちゃうんだよ」

卯月「そ、それはそうですけど……」

杏「昨今はブラック企業なんかが話題になってるけどさ――」

杏「個人を顧みず、鑑みず――使い捨ての部品のように酷使するような、劣悪極まる労働環境で以って成り立っている組織なんてのは、長続きしないのさ」

卯月「確かに……過労が原因で自殺なんてニュースもありました……」

杏「そうでしょうそうでしょう」



卯月「あれ……? でも、杏ちゃん最近はずっと休みだったような……?」

杏「ギクッ……」

杏「……そもそもさ、卯月ちゃん」

杏「人は何のために働かなくちゃいけないんだい?」

卯月「そ、それは、ちゃんと働いて、生活して――」

卯月「幸せに生きていくためですよ!

卯月「憲法にだって、『労働の義務』って書いてありますよ!」

杏「……いやいや、それがおかしいんだよ」

杏「そんな風にして、労働をしなくちゃ生きていちゃいけないなんて、幸せになれないなんて――それこそ憲法にある人権、生存権の侵害だよ」

杏「社会規模での虐め――脅迫と言ってもいい」

杏「大体、生物本来の目的――生命の根源は、生存すること――食う、寝る、遊ぶことだけなんだよ」

杏「社会のために尽くすなんてことは、自分の活動時間を犠牲にしてまですることじゃない……」

杏「自分のためにだけ行動する」

杏「太古から脈々と受け継がれてきたその真理を――生命の歴史から見れば、昨日今日生まれたばかりの人類なんて若造に、縛る権利なんてありはしないのさ……」

卯月「あ、あう……それは……」オロオロ

杏(まぁこんな感じで、適当に長ったらしくて回りくどいことを言っておけば、卯月ちゃんなら丸め込めるでしょ……)



卯月「で、でも杏ちゃんはやればすっごくできる子じゃないですか!」

卯月「それで、頑張って――ファンのみんなを喜ばせられたら、それって、アイドルとしてすっごい幸せなことだと思います!」

卯月「だから、あの――」


卯月「『レッスン、行ってきてください!!』」キュピィイイイン――


杏「…………」――キィイイイイイン



杏「……分かった」

卯月「……え?」

杏「うん。杏、レッスン行ってくるよ」スタスタ

卯月「あ、はい……」

卯月(あ、あれ……。杏ちゃん、あんなにいろいろ言ってたのに、ずいぶんあっさり引き下がりましたね……?)



P「いやー助かったよ、卯月」

P「乃々だけじゃなく、杏まで見つけて、説得してくれるなんて」

P「もしかして、意外にカリスマ性があるのかもな。はははっ!」

卯月「い、いえ、そんな……」

卯月「あ、私もそろそろレッスンの時間ですから、行ってきますね!」

P「おう、頑張ってこい!」



――――――
――――
――


トレーナー「ふむ。今日はここまでにしよう」

卯月「あ、ありがとうございました!」


卯月(はぁ……)

卯月(結局、この変な力のことをずっと考えちゃって、レッスンには集中できませんでした……)

卯月(でも、そのおかげでちょっとだけ、分かったことがあります)

卯月(分かった――というより、分かってきた、思い出したみたいな感覚の方が正しいですけど……)

卯月(それは――)



ガチャ

卯月「って、あれ……?」

卯月(か、考え事をしながら歩いていたら、更衣室、間違えちゃいました……)

卯月「って、ん……?」



城ヶ崎美嘉「あっ……う、卯月……。オハヨー……」



卯月「美嘉ちゃん? おはようございます……」

卯月「椅子に乗って、そんなロッカーの上の方で――何をしているんですか……?」



美嘉「あ、いやホラ――アタシのスマホがね!?」

美嘉「上の方に乗っちゃったから、撮ろ……取ろうと思って!!」

卯月「そうだったんですか」

卯月「じゃあ、良かったら私、足場にしてる椅子を押さえますよ!」スタスタ

美嘉「い、いや、気にしなくても――」グラッ

卯月「美嘉ちゃん――!! 危ない――!!」



どんがらがっしゃーん!!

カッカー!!

ハルカー! マタ、ミズカケタワネー!!

ヴァーーーイ!!!



美嘉「イタタ~……。やっちゃった~……」

卯月「み、美嘉ちゃん!? だ、大丈夫ですか!?」

美嘉「あはは……ダイジョブダイジョブ★」

美嘉「こういう時のための受け身の練習だって――」

卯月「……あれ? 美嘉ちゃん、何か床に散らばっちゃいましたよ?」

美嘉「――――!!!」

卯月「拾うの、手伝います――」スッ


おきにの下着のみりあちゃんNo.72

新しい下着の千佳ちゃん

ちょっと大人なのを付けた千枝ちゃんNo.11

付けてくるのを忘れた――

卯月「――――!?!?!?!?!?!?」

美嘉「――――!!!!!!!!!!!!」



卯月「み、美嘉ちゃん!! こ、これって――!!」

美嘉「り、莉嘉がね!?」

美嘉「ホラ! あの子、いつもやんちゃで生傷とかよく作ってくるから!!」

美嘉「アイドルとして! そういうのマズいから!!」

美嘉「そういうのが無いか、チェックをね――!!」

卯月「だ、だからって、こういうのは……」

卯月「と、盗撮はいけないって思います!!」

卯月「美嘉ちゃん! 私の目を見て!!」

美嘉「へ……?」

卯月「美嘉ちゃん、お願いします――」


卯月「『もう、盗撮はやめてください!!』」キュピィイイイン――


美嘉「…………」――キィイイイイイン



美嘉「分かった」

美嘉「もう、こういうことはしない。全部やめるよ」

卯月(うぅ……ついに、自分の明確な意思で、この能力を使っちゃいました……)

卯月(私が貰ったこの能力――それは、相手になんでも言うことを聞かせられる力)

卯月(私のこの赤く光る目を相手に見せることで、その人にどんなことでも――)

卯月(例え、それがその人の意に沿わないことでも、やりたくないことでも、させられてしまう――絶対遵守の力)

美嘉「仕掛けたカメラも外さなきゃね」

卯月(もの凄い力だと思う反面――やっぱり、罪悪感がすごいです……)

卯月(今回のこれだって……美嘉ちゃんの言う通り、本当に莉嘉ちゃんを心配してのことだったのかもしれませんし――)

美嘉「各更衣室に仕掛けたのも――」

美嘉「お風呂場に仕掛けたのも――」

美嘉「各女子トイレに仕掛けたのも――」

美嘉「年少組がよく通る、道路の側溝に仕掛けたのも――」

美嘉「全部、取り外さなきゃね」

卯月「そうしてください」



卯月「はぁ……もう美嘉ちゃんたら……」

卯月「さっきの力の使用は仕方ないって考えよう……」


ドドドドドド――――


卯月(あれ、誰か走ってくる……?)



喜多見柚「あっ! 卯月チャン! ちょっと助けてっ!!」



卯月「へ……? えっ……?」

柚「アタシ、このゴミ箱の中に隠れるから!」

柚「卯月チャンは、何とか誤魔化して!!」ガポン

卯月「あ、あの……どういう……」



村上巴「柚のやつ、どこ行きおった!?」タッタッタ

橘ありす「こっちの方に走って行きましたが……」タッタッタ

卯月「あ、巴ちゃん、ありすちゃん――おはよう」

ありす「おや、卯月さん。おはようございます」

巴「おう卯月、おはよう」

巴「で、早速で悪いんじゃが――柚のやつがどこ行ったか知らんか?」



卯月「えーと、柚ちゃんに何か用なんですか……?」

ありす「実は、柚さんのために作った橘流イタリアン、『ブラック・イチゴパスタ』が完成したのですが――」

卯月「ブラック!?」

ありす「ええ。従来のイチゴパスタにイカスミのこくを加えたものです」

ありす「しかし、食べると言っていた柚さんが――」

巴「あいつ、自分で作ってと頼んでおいて、なぜか土壇場で逃げ出しおってのお」

柚(頼んでない頼んでない!!)



ありす「全く……。もしかして柚さんはこれではなく、もう一つ――まだ、開発途中の『イチゴパスタ=Σ』の方を食べたいんでしょうか……?」

巴「なんにしてもじゃ――他人様の好意と、食いもんを粗末にするなんてのは許せん! 筋が通らん!」

ありす「出来立ての今が一番おいしいのに……、このままじゃ冷めてしまいます……」

ありす「そうだ、卯月さん!」

卯月「えっ……」

ありす「良かったら、柚さんの代わりに食べてくれませんか?」

卯月「ええぇ!? いや、でも、私――」

巴「その恰好、レッスン帰りじゃろ? 丁度、腹も空き時じゃろうしな」



卯月「あ、あのでも……! 私、ありすちゃんのイタリアンを楽しめるほどの舌なんて持ってないですし……!」

ありす「それなら、大丈夫です」

ありす「イチゴはバラ科の植物――そして、バラ科と言えば、四季を尊ぶ日本人ならお馴染みのソメイヨシノ――桜があります」

ありす「そして、桜の季節は四月――つまり卯月です!」

ありす「つまり、卯月さんの名前は、イチゴパスタと出会うために生まれてきたと言っても過言ではありませんっ!!」

巴「花見で一杯――は、まだ出来んが、花見で一皿というのも、風情があるのう……」

卯月「た、確かに……そう言われてみると、ストンとお腹に落ちるような――」

柚「イヤイヤ!! どう考えてもおかしいからね!?」ガチャ

柚「卯月チャンが堕ちそうなのは、二人の話術にだから!!」

ありす「いました!!」

巴「おう!!」

柚「ぎゃーっ!!」



ありす「喜多見さん! ナズェニゲルンディス!」

柚「それ、橘さんが言われる方でしょ!?」

巴「柚ぅ!! 大人しく往生せいや!!」グググ

柚「言葉のチョイスがおかしいじゃん!!」

柚「嫌だ! こんなオチはいやだぁああああ!!!」

卯月(ゆ、柚ちゃん……あんなに怯えた顔で……)

卯月(まるで、そこの箱に一人ずつ入ってもらおうって抗えない力で言われた時みたい……)

卯月(よし……ここは二人には悪いけど……)

卯月「ありすちゃん! 巴ちゃん!」

ありす「はい?」

巴「ん?」

卯月「二人とも――」



卯月「『イチゴパスタを他人に食べさせようとするのは、やめてください!!』」キュピィイイイン――



ありす「…………」――キィイイイイイン

巴「…………」――キィイイイイイン

柚「……??」



ありす「分かりました」

巴「分かった」

ありす「イチゴパスタを他人に勧めるのはやめましょう」

巴「そうじゃな」

ありす「じゃあ、私たちは行きますね」スタスタ

巴「パスタが冷めてしまうしのう……」スタスタ

卯月「ふぅ……なんとかなりました……」

柚「いやー助かったよ~!!」

柚「まさか卯月チャンがあんな強権パワーを持っていたとは!」

卯月「きょ、強権!?」

柚「ありがとね。今度、何かお礼するからー!」



卯月(ちょっと、悪い気もしますけど……柚ちゃんは救われましたし、イチゴパスタだって二人が食べるみたいですし……)

卯月(きっと良かったんですよね……)

卯月「さて、更衣室で着替えましょう」ガチャ


前川みく「だーかーらー、マグロなんて食べないって言ってるにゃ!」

高峯のあ「……みく、それでは貴方は次のフェーズ、より高次元の存在になることは出来ないわ」

アナスタシア「ダー。ミク、お魚おいしいですよ?」


卯月「あ、三人とも……」



みく「にゃにゃ! 卯月チャン、ナイスタイミング!」

みく「卯月チャンからも、この二人に言ってやってほしいにゃ!」

のあ「おはよう――卯月」

アーニャ「わずらわしいたいようね――おはようございます、ウヅキ」

みく「なんでブリュンヒルデしてるにゃ」

卯月「おはようございます!」

卯月「それで、ええと……」



みく「聞いてにゃ! しょーこりもなく、またこの二人――っていうか、のあチャンとそそのかされたアーニャチャンが、みくにしょーもないことをしようとしてるにゃ」

のあ「仕様が無いじゃない……貴方が、いつまでも自己の進化を拒むんだもの」

みく「進化の選択圧が強すぎんだにゃ! 一億匹の魚を陸に放ったって死ぬだけにゃ!」

アーニャ「勿体ないですね」



みく「そうにゃ。だから、マグロを捕ってきたんなら、みくじゃなくそれを喜ぶ人にあげるにゃ」

のあ「でも、私はみくに喜んで欲しくてマグロを持ってきたのよ……? 捕った真奈美だって同じ気持ちのはず」

みく「自分で釣ってきたんとちゃうんかい! 他人を巻き込むなや!」

アーニャ「ミク、ミク。キャラがブレてます」

みく「おっといけないにゃ」

のあ「間違えた。真奈美じゃなくて七海だったわ」

みく「十歳以上離れてる子に頼むとか、尚更、性質悪いわ!」

みく「大体、マグロ漁って趣味でできるレベル越えとるやろっ!」

アーニャ「ミク、ミク。キャラがブレてます」

みく「おっといけないにゃ」

のあ「さてはみく……貴方――」

のあ「まさかっ! 海洋生態系トップのマグロにおける、有害物質の生物濃縮を恐れているのね!?」

みく「人類トップクラスに話聞かないのあチャンの方が恐ろしいにゃ!!」

みく「みくはお魚嫌いなの! みくはそこで自分を曲げないから!」

アーニャ「ミク、ミク。キャラがブレてます」

みく「これはいいんだにゃあ!!」



みく「助けて、卯月チャン!」

みく「みく、このままだとこれから三食鉄火丼にゃ! きっと飲み物もマグロの生き血だにゃ!」

卯月「え、ええと……」

卯月(みくちゃん……とっても悲しそう……)

卯月(まるで、釣りに行くと思っていたら動物病院が見えてきた時の猫ちゃんみたい……)

卯月(うう……良し! ここはみくちゃんのために――)

卯月「あの! のあさん! アーニャちゃん!」

のあ「?」

アーニャ「はい?」



卯月「『みくちゃんに、お魚食べさせようとするのは、やめてあげてください!!』」キュピィイイイン――



アーニャ「…………」――キィイイイイイン

のあ「…………」

のあ「卯月、貴方……」

卯月「えっ……?」



のあ「どうやら、随分なモノを抱え込んでいるようね……」

卯月「へ……? あれ?」

のあ「……まぁ、いいわ」

のあ「ここは大人しく、『貴方の』言葉に従ってあげる」

のあ「ただし――くれぐれも気を付けなさい」

のあ「それは人の身には過ぎた力――さしずめ、『魔人』が持つに相応しい力よ……」

のあ「下手に使えば、それは貴方を孤独にする」

のあ「それを忘れないで」

卯月「は、はい……」



のあ「アーニャ、行きましょう」スタスタ

アーニャ「ダー」スタスタ

卯月(のあさんだけ、他の人と様子が……)

卯月「のあさん……どういう意味なんでしょう」

みく「のあチャンの言うことは、話半分の半分くらいに聞いておくのが吉にゃ」

みく「でも。卯月チャンありがとね! おかげで助かったにゃ!」

みく「卯月チャンの純真な瞳には、流石の二人も敵わなかったようだにゃ!」

卯月「あ、あはは……」



卯月(純真な瞳――なんて……)

みく「卯月チャン? どうかした?」

卯月「い、いえ!」

みく「それにしても、あの二人はどうにかならんもんかにゃあ……」

卯月「あ、でもホラ! お二人だってみくちゃんが嫌いでやってるわけじゃないんですし……!」

みく「それもにゃあ……。嬉しい反面、余計に性質が悪い気がするんだよね……」

卯月「二人とも、みくちゃんの好き嫌いを無くそうと考えてくれているんですし――」



卯月「これからは、みくちゃんもちょっとくらい、『お魚食べてみてくださいね!』」キュピィイイイン――



みく「…………」――キィイイイイイン



みく「……い、いや……!!」

卯月「みくちゃん……!?」

みく「いや……みく……曲げたくない……自分を曲げたくない……」

卯月「あっ……しまった……」

卯月(うっかり、力を使っちゃいました!?)

みく「曲げたく…………」

みく「……そうだにゃ」

みく「みく、お魚食べるにゃあ!!」ダッ!

卯月「みくちゃん!?」



みく「アーニャチャン! のあチャン!」

みく「みくにお魚ちょうだいにゃあ!」

アーニャ「ミク!? どうしたんですか!?」

のあ「みく……貴方……」

みく「魚にゃ! 魚をよこせにゃ!」

アーニャ「だ、ダメですミク! 私、ミクに魚食べさせないって決めました!」

みく「聞こえなかったのかにゃあ!?」

みく「全力をあげてみくに魚を食わせろと言ってるにゃあ!!!」



卯月「あわわ……」



――――――
――――
――


卯月「はぁ……みくちゃんにあんなことしちゃうなんて……」

卯月「流石に可哀想だったよね……」

卯月「でも、そのうち元に戻るだろうし――」

卯月(あれ……元に……戻るよね……?)

卯月(どうしよう……今まで考えてなかったけど――)

卯月(みんなのあの状態――それっていつまで続くものなんでしょうか?)

卯月(一生あのままなんてこと……ないよね……?)



卯月(と、とにかくもうこの力を使わないようにしよう!)

卯月(強く、使わないって意識してれば大丈夫だよね)

卯月「それにやっぱり、プロデューサーさんに一度相談したほうが……」


ガチャ

P「ただいま帰りました……」


卯月「ぷ、プロデューサーさ――」


和久井留美「お疲れ様、P君」


留美「じゃあ、これにサインしてもらえる?」スッ

P「いや、流れるように婚姻届差し出さないで下さいね!? N○K職員ですか、あなたは!」

留美「アイドルとして私をスカウトしたあなたには、私と結婚する義務があるわ」

P「すっとばし過ぎだし、矛盾してません!?」

佐々木千枝「だ、ダメですよ! プロデューサーさんは、私とずっと一緒にいてほしいです……」ギュウ

千枝「プロデューサーさんに、千枝を大人にしてほしいんです……」

P「はっはっは、千枝、大丈夫だよ」

P「大丈夫だから、俺の股に顔を突っ込むのはやめようなぁ!?」

千枝「千枝、子供だから分かりません……」スリスリ

P「千枝は悪い子だなぁ」

留美「ち、千枝ちゃん! そこの印鑑は私の――」

「スタッンプ! 印鑑で淫姦なんて、イカンぞ~。ふふっ」

「判子う動機はなにかね~? ふふ……」



卯月「ぷ、ぷろ――」


渋谷凛「やってくれたよね、まゆ」

凛「プロデューサーの使用済みワイシャツ――三日モノの貴重品を二枚も洗ってくれるなんて……!」

凛「危うく、私のコレクションまで洗われそうになったよ!」

佐久間まゆ「だからどうしたんですかぁ?」

まゆ「あなたたち、クンカーの餌が二枚洗われようと、二兆枚洗われようと……知ったことじゃありません」

まゆ「Pさんがまだ、ギリギリで許しているのでなければ――あなたたちなどに好きにさせてはおきませんよ……!」

まゆ「グダグダ言わずに、言うことを聞きなさい? クンカーの雌犬がっ……!!」

凛「雌犬……?」

凛「流石、泣く子も黙るヤンデレアイドル――言うことが違うね」

凛「結局アンタは、事務所に入った時から何も変わっていないってわけだ……」

凛「……まゆは今、プロデューサーのワイシャツを馬鹿にした――アンタ、無事で帰れると思わないでね……?」

凛「ぶち嗅ぎ回すよ? ポンコツ!」

P「お前らは何、物騒な会話してんだ! そういうのは大英博物館でやれ!」



まゆ「おお、怖い! 怖くて身が竦んでしまいます!」

まゆ「だから――凛ちゃんがそういうつもりなら、こっちも答えましょう……?」

まゆ「拮抗状態を、用意しましょう――!!」

まゆ「きらりーーんっ!!」

P「いや、きらりを巻き込むなよ!?」

諸星きらり「にょわ~? Pちゃん、呼んだかにぃ?」

P「いや、呼んだのはまゆだけど……」

P「お疲れ様、きらり。今日はどうだった?」

きらり「うんうん☆ すっごいイイ感じで、スタッフさんからも褒めてもらえたよぉ~!」

まゆ「――!? きらりちゃん待っ――」

きらり「だからPちゃんからも、ナデナデしてほしいにぃ~!」ダキッ

P「はっはっは! きらりは甘えん坊で頑張り屋さんで――パワフルだなぁ……」ベキボキバキ……



卯月(ああ……、なんだかお取込みの渦中みたいで、近づけません……)

卯月(しょ、しょうがない……こうなったら、一回だけ――)

卯月「み、皆さん!!」



卯月「『プロデューサーさんと、二人にさせてください!!』」キュピィイイイン――



――――キィイイイイン

「分かったわ」「分かりました」「分かったよ」「はぁい」「にょわ」

スタスタ


P「あはは……助かったよ、卯月」

P「なんだか、今日の卯月は頼もしいな」

卯月「あ、あのプロデューサーさん……」

P「ん……? 何か話があるのか……?」

P「……少し、元気が無いか?」

卯月「いえ……。今日の私は、頼もしくなんてないんです……」

P「……? 俺で良ければ、相談に乗るぞ?」



卯月「……今日の私は、ちょっと変なんです」

卯月「信じられないかもしれませんけど――今の私が本気で何かを頼んだら、誰だってそれを聞いてくれるんです……」

P「はははっ。まぁ、卯月に頼まれて断れるやつなんて、そうそういないさ」

卯月「もうっ! そうじゃないんですよ!」

卯月「なんだって聞いてくれるんです――それがどんな無茶なものでも」

卯月「だから、例えば――」


卯月「『私と結婚しなさい』って言ったら、プロデューサーさんの気持ちとは関係なくそれも――」

キュピィイイイン――――

P「………………」



P「…………」

卯月「あれ? プロデューサーさん?」

卯月「もしかして、こんなこと聞かされて、呆れちゃいました……?」

P「……分かった」

卯月「へ……?」

P「そうだなっ! 卯月と結婚しよう!!」ガタッ!!

卯月「ええぇ!?」



P「よし、卯月! 結婚だ! 今すぐに!!」

卯月「ぷ、プロデューサーさん!? 何言って――」

卯月(ち、違う! これは私のせいだ)

卯月(私の、力のせい――!!)

卯月(そんな……。私、こんなことしようなんて思って無かったのに……!!)

卯月(意識して、使わないようにって……!)

P「早速、婚姻届を貰ってこなくちゃな」

P「それで後は、式の段取りも――」

卯月「待ってください! プロデューサーさん!!」



卯月(そ、そうだ!)

卯月(プロデューサーさんが私のせいでこうなったなら、また私の力で命令すれば――!!)

卯月「ぷ、プロデューサーさん! 『今のお願いは忘れてください!!』」キュピィイイイン――

――――キィイイイイイ

P「何言ってるんだ卯月? 俺たち早く結婚しなきゃだろ?」

卯月(き、効いてない!?)

卯月(なんで!? もしかして、一人一回までしか効果が無いの!?)

P「そうだっ!! このことをみんなにも知らせないとな!!」ダッ!

卯月「あっ――!!」



P「みんな、聞いてくれ!!」


「「「「????」」」」


P「結婚だっ!!」


P「俺は卯月と結婚する――!!」


「「「!?!?!?!?」」」


P「結婚しなければならないっ!!


「「「!?!?!?!?!?!?!?」」」


「ちょ、どういうこと!?」

「ぷ、プロデューサーさん……うそですよ……ね……」

「Pさぁん? そんなのは冗談でも聞きたくないですよぉ……?」

「そうだよ。プロデューサーは私と結婚してるんだし……」

ナニイッテルンデスカ? ナニ、モンクアル?

Pクン、ワタシトイウモノガアリナガラ…… コ、コレハ、イマスグキセイジジツヲ…

Pチャン! セツメイスルニャー ジャナイト、オシオキダニィ~?

マグロデネ ダー!

ハナヨメッパイ、イチドモンデミタカッタンダヨネー

ワーワー!!

ギャーギャー!!

ヴァーーイ!!!

ピニャアアアアアアア!!!!



卯月「ああ……そんな……」

卯月「これがのあさんの言っていたこと……」

卯月「みんなが……壊れちゃう……」

卯月「関係も……日常も……全部……」

卯月「嫌……嫌だよ……」

卯月「誰か……助けて――」



「――お困りのようだね!!」



卯月「!?」




卯月「あ、あの……。どなたか分かりませんけど……」

卯月「た、助けてください! みんなを元に戻して――!!」

「よかろう!」

「すべて任せたまえ!!」

「この情熱の人――」



ジェレ未央「ジェレミオ・ゴッドバルトにっ――!!」



卯月(未央ちゃんが、変なマスク付けて現れました……!?)



ジェレ未央「やぁやぁ、しまむー。大丈夫かな?」

卯月「み、未央ちゃん!? あの、そのマスクは……?」

ジェレ未央「ああ、今日の取材先がオレンジ農園だったんだけど――」

ジェレ未央「そこの農家さん――なんと外国人さんに貰ったんだよねー」

ジェレ未央「なんでも、『君には私と同じものを感じる』とかで……」

ジェレ未央「オレンジ農園だからって、オレンジの服着ていったのが良かったのかな?」

卯月「え、ええ……?」



ジェレ未央「まぁいいや! 話は後だよ!」

ジェレ未央「今は、みんなを元に戻さなきゃね!」

ジェレ未央「いくよーー!!」カシュッ


ジェレ未央「キャンセラー!!」リィイイイイイン――



――――リィイイイイイン

「あれ?」 「ん?」 「アレ?」

「おや?」 「おう?」 「シトー?」 「にゃ?」

「あら?」 「え?」 「あれ……?」 「あらぁ?」

「おぉ……?」 「……ふむ」



卯月「み、未央ちゃん……? 何を……?」



ジェレ未央「まぁいいや! 話は後だよ!」

ジェレ未央「今は、みんなを元に戻さなきゃね!」

ジェレ未央「いくよーー!!」カシュッ


ジェレ未央「キャンセラー!!」リィイイイイイン――



リィイイイイイン――

「あれ?」 「ん?」 「アレ?」

「おや?」 「おう?」 「シトー?」 「にゃ?」

「あら?」 「え?」 「あれ……?」 「あらぁ?」

「おぉ……?」 「……ふむ」



卯月「み、未央ちゃん……? 何を……?」



ジェレ未央「みんなに掛かっている――全ての命令を解除したの」

ジェレ未央「これでもう、大丈夫!」

卯月「み、みおちゃん」グスッ

卯月「ありがとうございます……!! 私、私――」

ジェレ未央「ホラホラ泣かないの!」

ジェレ未央「そんな変な力使わなくてもさ――」スチャ

未央「きっとみんな、しまむーが心からお願いすれば、聞いてくれるって」

未央「ちゃんと、相手の目を見て、ね」

卯月「は、はい……!」



卯月「本当に良かった……。これで……」


「それでプロデューサー? きっちり説明してもらうよ?」

「約束しましたよね!? プロデューサーさんが千枝をシンデレラにするだけじゃなくて、大人の階段を昇らせてくれるって!」

「H2О懐かしいですね!」

「和久井流、血婚術――!!」

「佐久間式、血婚道――!!」

「にょわーーーー!!」ズガン!

「グフッ……」

「おったぞ、ありす! この着ぐるみの中じゃ!!」

「イヤ!? ボク違うよー!! ボク、ぴにゃこら太デスー!!」

「丁度いいです! ぜひ、ぴにゃこら太さんの感想も聞きたかったので!」ぐさぁー

「ぴにゃこら太ーーー!!」

「さあ、みく――あれだけ渇望していたマグロの兜焼きよ!」

「やめるにゃー!! 悪意がいっぱい! もうお腹もいっぱいにゃー!!」

「ミク! クラープ――カニもありますよ。お饅頭みたいで、スベスベしていて気持ち良いにゃ?」

「磯に返してこいにゃーー!!」

「お、おおお★ もう少しで、みりあちゃんの――」

「え、あなたなんですか……? あの、ちょ……むぅーり――」かっかー あもっ……

「落ち着け、お前ら、落ち――」グシャ



卯月「……未央ちゃん」

卯月「一つ、お願いしてもいいですか……?」

未央「おっ? なんだいなんだい?」

卯月「今、みんなを元に戻したアレ――」



卯月「無かったことに、してくれません……?」



未央「へ……?」







お察しの通り、能力の元ネタは、コードギアスというアニメのものです。

お察しの通り、ジェレ未央がやりたかっただけです。(元ネタでは確かジェレミア・ゴットバルト)

ネタが被っていたらすみません。許して下さい。しまむらがなんでもしますからっ!!

読んでくれてありがとう


>>59 『ゴッド』じゃねくて『ゴット』かな? 酔ってるからね仕方ないね

おまけ



棟方愛海「うへへ……」ワキワキ

大沼くるみ「やめてくだしゃいーー!!」ビエー

卯月「ちょっと、愛海ちゃん!?」

愛海「あれ、卯月さん。おはよう」

くるみ「おひゃようごじゃいまずーー」ビエー

卯月「おはよう――じゃ、なくて!」



卯月「だ、駄目だよ、愛海ちゃん! くるみちゃん嫌がっているじゃない!」

愛海「卯月さん……分かってください。これもくるみちゃんのためを思えばこそ、なんです」

愛海「不条理と不合理――嘘と欺瞞、偽善、支配、欲望……」

愛海「そんな腐りきった世の中を、この素直で心の清い――純情なくるみちゃんが渡っていくには、今のままではあまりにも危険過ぎる……!」

愛海「だからこうやって、日頃からその身を艱難辛苦に曝し、臥薪嘗胆の精神を養うことで、くるみちゃんの心身と、お胸の成長を――」

卯月「だからって、こんな方法は良くないと思います!」

愛海(あれ? 卯月さんには、小難しい単語並べておけば、誤魔化せるって聞いたのに……)



くるみ「うぅ……。これ以上、お胸が育って頭が育たないのは嫌でしゅ~!」

卯月「愛海ちゃん!」


卯月「『他人の胸を揉むのは、やめてください!!!』」キュピィイイイン――


――キィイイイ……

愛海「『やめてください』……?」

愛海「それは、本当に卯月さん自身の言葉かい……?」

卯月「え……?」



愛海「そんな借り物の、付け焼き刃の力に頼った主張――」


愛海「虎の威を借る狐、他人の褌で相撲を取るみたいな行為……」


愛海「一つとして、そこにあなたの努力、苦労が無く、『やめてください』などと――」



愛海「なぁぁあんたる、愚かしさかぁぁあああ!!!」バーーン



卯月「ええぇ……!? 効いてない!?」

くるみ「ひぃいいいん!!」ビエー



愛海「卯月さん。あなたは今まで一度も、叱っても、意見をしてもいない――」

愛海「そんなあなたじゃ――」


ズボッ

愛海「んほぉ!?」


卯月・くるみ「!?」


「あらあら、愛海ちゃん」

「あなた、言ったわよね?」

「もう、嫌がっている子の胸を、無理やり揉んだりしませんって……」


柳清良「私――嘘は嫌いよ……」


愛海「おっ……おお……」

清良「ごめんなさいね、二人とも」

清良「ちょっとまだ、調整が足りなかったみたいで――」

卯月「あ、愛海ちゃんが、亜里沙さんのウサコちゃんみたいに……!」ガクガク

くるみ「串刺し公でしゅ……」


おまけ2


――夜・卯月自室


卯月「はあ……。なんとか未央ちゃんのおかげで、みんなへの命令は解けたけど……」

卯月「私自身のこの力までは消えませんでしたね……」

卯月(うーん……。これって、そもそも何のための力なんでしょう……)

卯月(世界征服? 麗奈ちゃんが喜びそうですけど……)



卯月(そもそも、どれくらいのことを相手にさせられるんでしょう……)

卯月(例えば、みくちゃんに犬キャラに――いえ、犬になれって言ったら、ワンちゃんになっちゃったりするんでしょうか?)

卯月(だったらいっそ――誰か、この無個性な私に命令してくれないかなー……)

卯月「そう、例えば――」



卯月「島村卯月、お前は今から鬼畜キャラになれー!」



卯月「なーんて――」キュピィイイイン――


 『鏡』


卯月「あっ……」――キィイイイイイン







本当に終わり。読んでくれてありがとう。



html依頼出してきます

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom