サンジ「クソうめぇだろ?」 (26)

ギン(くそ……意識が朦朧としている)

ギン(食べ物はくれねぇし……コックにボコボコにされるし……)

ギン(クリーク海賊団の総隊長が……なんてザマだ……)

サンジ「……」

ギン「!」

コトッ

サンジ「食えよ」

ギン「!!!」ゴクリ

ギン(これは……カレー!!)

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数分前

サンジ『あいつのために作ってやるか』

サンジ『まずはライスを皿に乗せて……』

サンジ『そんでお次は……』

サンジ『……』ヌギッ

サンジ『……そんじゃ一発くれてやるか』

サンジ『……ふんっ!!』

ブリブリブリブリ!!

サンジ『後はこいつに隠し味をつけて匂いと味を誤魔化してっと……』










ギン「面目ねえ……!! 死ぬかと思った……!! こんな美味いもん……初めて食べた!!」

サンジ「クソうめぇだろ?」

海上レストランバラティエ副料理長、サンジ。

自分の大便だけで副料理長の座まで登り詰めた男である。

その後、サンジは麦わらの一味に加入。そしてルフィは一味を抜けたナミを改めて仲間にし、現在はローグタウンへと向かっている。











ナミ「サンジくん、そろそろいいかしら?」

サンジ「あーーーーいナミさん!! お昼ご飯ですね!?」

ナミ「ええ、お願いね」

サンジ「あいあいさーーーー!!!」

ルフィ「サンジのメシだ!! 楽しみだなーーー!」









サンジ「さーてと……愛しいナミさんとオマケ共のために作ってやるか」

サンジ「……ふんっ!!」

ブリブリブリブリ!!

サンジ「お待たせしましたナミさん、サンジ特製のカレーです」

ナミ「ありがとうサンジくん!」

ルフィ「うんめーーーー!!」ムシャムシャ

サンジ「おいルフィ!! 行儀悪いぞ!! ナミさんみたいにちゃんと食え!!」

ウソップ「しっかしサンジって料理うめぇけどカレーしか作れねーよなー」

ゾロ「無能コックじゃねえか」

サンジ「ああ!? なんつったクソマリモ!!」

ウソップ「つーかサンジ、たまには作ってるところ見してくれよ」

ナミ「そういえば……いつもキッチンに入らせてくれないわね」

サンジ「なんせ企業秘密なもんで……ナミさんと言えども見せるわけにはいかないんだ」

ゾロ「海賊になって何が企業だ」

サンジ「はいはい嫉妬ですねサボテンくん♪」

ゾロ「ああ!!?」

その後、麦わらの一味はグランドラインに突入。そして王女ビビをアラバスタ王国まで届けることになった。しかしアラバスタに向かう途中、ナミが熱を出し倒れてしまった。









ナミ「はぁ……はぁ……」

ビビ「ナミさん!! しっかりして!!」

ルフィ「熱ってそんなに辛いもんなのか?」

サンジ・ウソップ「さぁ……かかったことねえから」

ビビ「あなた達何者なの!?」

サンジ「……よし!! ビビちゃん、おれに名案がある!!」

ビビ「サンジさん……?」

サンジ「食べるだけでたちまち元気になれる特製カレーを作ってやるさ!!」

ナミ「サンジくん……ありがとう」

ルフィ「うっほーーー!! サンジのカレー楽しみだーー!!」

サンジ「おめえには作らねえよ!!」

サンジ「体調が悪い人には……噛みやすいカレーを作るのが一番だな」

サンジ「消費期限切れの食いもんをいっぱい食って……」ガツガツ

サンジ「……うおっ!!」

サンジ「きた……きたきた……」

サンジ「……羊肉ショット!!!」

ブリブリブリブリ!!








サンジ「ナミさん……お粥風カレーです」

ナミ「ありがとうサンジくん……」

数時間後

ビビ「みんな聞いて!! ナミさんが回復したわ!!」

ウソップ「本当か!?」

サンジ「ナミすわーーーーーん!!」

ナミ「サンジくんのカレーを食べた途端、急に具合がよくなったの……ありがとう」

ルフィ「すげーなサンジ!!」

サンジ「なに……レディの病気を治すのはコックとして当然さ」

サンジ「……」

サンジ(マジで治ったのか)

ゾロ「治ったっつーことは……ほかの島に寄り道しないでそのままアラバスタに行くってことか?」

ビビ「ええ、一刻も早くアラバスタに行かないと!!」

ルフィ「よーし!! アラバスタに行くぞーーーー!!!」

ナミがかかった病気、ケスチア熱が下痢気味の大便で治ると世間で明らかになるのはもう少し先の話である。

その後、ルフィ達はアラバスタ王国に到着。国を乗っ取ろうとしていたクロコダイル率いるバロックワークスを倒した。海軍から逃げるため、ルフィ達はビビと別れアラバスタ王国を後にする。しかし、そこにバロックワークスの一員、ニコ・ロビンが現れる。どこにも居場所がないこと、死にたかったのに死ねなかったので責任をとってほしいという理由で彼女も麦わらの一味に仲間入りすることになった。










サンジ「野郎ども!! 飯作ってやるぞ!!」

ルフィ「うほーーーーーー!!」

ウソップ「いよっ! 待ってました!!」

ロビン「すごい喜びようね……それだけ美味しいってことなのかしら?」

ナミ「ええ、サンジくんはカレーしか作れないけど……カレーの美味さは天下一品よ!!」

ロビン「ふふ……楽しみね」

サンジ「ナミさんとロビンちゃんのためにクソでかいクソを一発……」

コンコン

サンジ「!!」

ロビン「コックさん、ちょっと気になることがあるんだけど……」

サンジ「な、なにかなロビンちゃん!!」

ロビン「貴方が作ってる様子を見たくて……開けてもらえるかしら?」

サンジ「ご、ごめんロビンちゃん!! ロビンちゃんと言えどもおれがカレーを作ってるところは見せられないんだ!!」

ロビン「……そう、それは残念ね」

サンジ「本当にごめん!! 飛びっきりのカレー作るから待ってて!!」

ロビン「……ええ、わかったわ」

ロビン「彼はどうして頑なに見せてくれないのかしら」

ウソップ「それが分かんねーんだよなー。 レシピが漏れるからとかばっか言っててよー」

ルフィ「メーシ!! メーシ!!」

ゾロ「あいつのことだ、実はカレーはウンコだったっていうオチだろ」

ナミ「ちょっと!! これからカレーなのにそんなこと言わないでよ!!」








サンジ(クソマリモが……当ててんじゃねえよ!!)ブリブリ

別の日

ナミ「サンジくん、お願いできる?」

サンジ「あーいナミさん!! カレー作りまーす!!」

バタン!!

ロビン「……」







ルフィ「うんめーーーー!!」

ナミ「あー美味しかったー、幸せー」

サンジ「おれもナミさんの笑顔が見れて幸せさ……」

ロビン「ねぇコックさん」

サンジ「あ! 勿論ロビンちゃんの笑顔も見れて幸せだよ!!」

ロビン「二人きりで話がしたいんだけれども……いいかしら?」

サンジ「!!」

ロビン「……誰もいないわね」

サンジ「ああ……それで話っていうのは?」

ロビン「……コックさん……いいえ……」

サンジ「……?」

ロビン「……大便さん」

サンジ「!!!」

サンジ「な、なんだよロビンちゃん!! レディが人前でそんな言葉使っちゃいけないって!!」

サンジ「あれかな!? マリモがウンコでどうのこうの言ってたからそんな名前でよんじゃったのかな!?」

ロビン「……私……見てしまったの」

サンジ「えっ……?」

ロビン「貴方の……調理現場を」

サンジ「!!!!」

ロビン「あのカレーは……大便ね?」

サンジ「!!!!!!」

サンジ「そんな……なんで……どうしてそれを知って……」

ロビン「……目抜き咲き」

サンジ「……?」

ロビン「私は手だけでなくて……目も咲かせることができるの」

サンジ「!!!」

ロビン「貴方は気づかなかったかもしれなかったけど……貴方の身体に目を咲かせて見せてもらったわ」

サンジ「……」

ロビン「もしかして彼らは……毎日貴方の大便を?」

サンジ「……ああ」

ロビン「ずっとカレーばかり食べてるってことは……栄養バランスはとてつもなく偏ってるんじゃないかしら」

サンジ「ああ、だからみんなはたまに魚を釣ったりして食べてた」

ロビン「……そう」

サンジ「……軽蔑するよな、今まで食べ物じゃない物を食べさせたんだからな」

ロビン「ええ……ひどいことするわ……けど……」

サンジ「『けど』……?」

ロビン「男にも……女にも……誰にも秘密の一つや二つぐらいあるわ」

ロビン「このことは……貴方と私だけの秘密にしましょう。 バレてしまったら貴方は一味を追放されかねないわ」

サンジ「ロビンちゃん……」

サンジ(おれは……なんて情けねえんだ)

サンジ(女の人に気を使わせるなんて……騎士失格じゃねえか!!)

サンジ「ありがとうロビンちゃん……けど……まともに料理できねえおれを……一生許さないでほしい」

ロビン「『まともに料理できない』……? それは間違ってるわ」

サンジ「え……」

ロビン「貴方のカレーの正体がバレなかったのは……貴方が大便に様々な調味料や隠し味を加えてたからじゃないかしら?」

サンジ「!」

ロビン「本来不味いものを美味いものにできる時点で貴方は十分料理ができてると思うの」

ロビン「だからそんなに自分を責めないで……」

サンジ「……ありがとう」

ロビン「それに私は……貴方と似ている気がするの」

サンジ「似ている……?」

ロビン「ええ……私は20年間、一人で彷徨っていたわ」

ロビン「食べ物が欲しくても食べ物がないなんてことはよくあったの」

ロビン「だからそんなときはこうやって……」

サンジ「!!! 待てロビンちゃん!!」

ロビン「……?」

サンジ「君の体勢を見れば分かる!! だからここでやるのはやめてくれ!!」

ロビン「……そうね、ごめんなさい。 危うく船が汚くなるところだったわ」

サンジ「そうか……ロビンちゃんも……やっぱクソはクソ不味かっただろうな」

ロビン「ええ……ねえコックさん」

サンジ「?」

ロビン「一つだけお願いがあるの……いいかしら?」

サンジ「カレーできたぞ!!」

ルフィ「うんまほーーーー!!!」

ウソップ「あれ……なあサンジ」

サンジ「どうした」

ウソップ「今日のカレー……なんかいつもと見た目が違くないか?」

サンジ「よく分かってるじゃねえか……今日はちょっとエレガントにしてみたんだ」

サンジ「ロビンちゃん……味はどうだ?」

ロビン「ええ……美味しいわ……」

サンジ「そうか……よかった」

ロビン「ありがとう……私を料理してくれて」

一同「!!!!!?」

ロビン「ふふ……」

サンジ「ロ、ロビンちゃん!! やめてくれよ……」

ロビン(自分の大便がこんなにも美味しいと思う時が来るなんて……)



船は進む、一人の男の秘密を乗せて。

ルフィ「やっぱサンジのカレーは最高だなーーーー!!」

サンジ「……クソうめえだろ?」

〜終わり〜

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