【ガルパン】エリカ「ネトゲをやってみるわ」 (95)


・・・・・・

~黒森峰寮・エリカの部屋~


エリカ「最近話題になっている戦車ゲーム……の、オンライン版」

エリカ「黒森峰でも流行っているみたいだし、もしかしたら隊長もやってるかも……話題を合わせるためにやっておいて損は無いわね!」

エリカ「それにゲームとはいえかなりリアルらしいし、実戦に活かせることがあるかも」

エリカ「PCにインストールして、と……」ピッ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1451489884


\バーンバババババーン!/


エリカ「……派手なオープニングね」

エリカ「さて、早速アカウントを作りましょう。まずはユーザー名を…………名前、ねぇ……」

エリカ「まぁここは普通に『エリカ』でいいかしら」カタカタ

まほ「駄目だ」

エリカ「ぎええええええええええぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇ!!!?!?!???!?」


エリカ「た、隊長! 何故ここに!?」

まほ「エリカの危機を感じてな」

エリカ「えぇ……?」

まほ「ネットの世界で実名を特定できるようなHNはやめておいた方がいい。万が一リアルの知り合いとネットで鉢合わせた場合にバレる可能性が高くなる」

まほ「ましてや黒森峰の生徒でこのゲームをやっている人は多い……もし周りがエリカだと認識した状態で変な事をしたら……すぐに学校中に」

エリカ「ひっ……!」

まほ「それに、名は体を表す。エリカはこのゲームでどのようなプレイがしたいの?」

エリカ「え、あ、そりゃあまぁ……普通にプレイしたいですよ」

まほ「なら無難な名前にしておきなさい。それじゃ、私は部屋に戻るわ」ガチャ、バタン

エリカ「な、なんだったの今の…………」


エリカ「名前……ならちょっと私だと分からないように……『お団子娘』にしておきましょうか」カタカタ

エリカ「これなら私だと分からないわね! まぁユーザー名は後から変えられるようだし今はこんなもんでしょ」

エリカ「次はいよいよ戦車選びね!」

エリカ「私はもちろんティーガーⅡ…………って、あれ? 無いじゃない!」

まほ「当たり前だ」

エリカ「ぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!?!?!??」


エリカ「た、たたた隊長! いつからそこに!? というか帰ったはずじゃ!?」

まほ「最初からそんな強い戦車が使えるものか。この中から選ぶしかない」

エリカ「この中……えぇ!? なにこの低スペック集団!」

まほ「初期はそんなものだ。このゲームは自分のレベルと階級を上げてポイントで戦車やスキルを買うようになっているから、ティーガーⅡはしばらく経ってからだな」

エリカ「そんな……」

まほ「まぁこのⅣ号でも使うといい」

エリカ「ええっ!? 嫌ですよ。これ大洗の……」

まほ「だが初期に選べる中で一番バランスが良いのはⅣ号だぞ」

エリカ「ぎぎぎ……! 仕方ないですね……」カチッ

まほ「とはいえ並居るランカーの駆る戦車に比べて弱いことに変わりはないから、自分の能力を過信せずに最初はコツコツやることね」

エリカ「分かりました」

まほ「じゃ、私は部屋に戻るから」ガチャ、バタン

エリカ「…………」


エリカ「…………よし、アカウント作れたわ」

エリカ「他諸々決まったし、いよいよゲームスタートね」ピッ


\シュゥン、パパラパーパパパパパッパラー/


エリカ「まずは、チームを結成して隊を作る……なるほど」

エリカ「この集会所みたいなところで仲間を集うのね。ランクごとに分けてあるから接しにくい雰囲気は無いみたい」


ピコン


エリカ「ん、チャット?」

上杉:はじめまして! もしよろしければ私とチームを組んでくれませんか?」

エリカ「早速勧誘ね……まぁ、この私を味方に選ぶチョイスは褒めてあげてもいいけど」

エリカ「えっと……『初対面なのに随分馴れ馴れしいわね。まぁいいわ、どうしてもというのなら付き合ってあげる』……これでいいかしら」カタカタ

まほ「駄目だ」

エリカ「もう驚かなくなってきましたよ……」


まほ「ネットとはいえ、初対面の相手に礼節を欠くことは許さんぞ」

エリカ「うぅ……分かりましたよ」カタカタ

お団子娘:はじめまして。こちらも始めたばかりでよく分からなかったので助かります。よろしくお願いします

エリカ「(ああああなんで私がこんな文を……! せ、背中がかゆくなっちゃうわ!)」

まほ「うむ。では私は部屋に戻る」ガチャ、バタン

エリカ「……一応鍵かけておきましょう」ガチャ


 上杉:ありがとうございます!早速この任務をやってみましょう

 お団子娘:分かりました

エリカ「……こいつもⅣ号ね。戦車が被ったけどまぁいいでしょ」カチカチ

エリカ「さぁ、初陣よ!」


ドォン!バババババババ!!ボガァン!!


エリカ「ふぅ……まぁ最初の任務はこんなものね」

 上杉:やりましたね!

 お団子娘:そちらもお上手でした

 上杉:今日はありがとうございました! では私はもう落ちますね。おやすみなさい

 お団子娘:お疲れ様

 上杉:フレンド申請送っておいたので、またインしてたら一緒にやりましょう!

 お団子娘:了解です。楽しみにしていますね

 上杉:ではではー!ノシ


エリカ「私はどうしようかしら……」チラッ

時計【22:39】

エリカ「まだやれそうね。もう少しレベル上げしておきましょう」カチカチ


ボボボン!


エリカ「何かしら、この音…………『Kさんに勝負を挑まれました』?」

 K:Hey! 初心者同士、勝負と行きませんか!?

エリカ「(ウゼー……確かにネットで礼節を欠くと酷い有様ね……)」カチカチ

 お団子娘:受けて立ちましょう

 K:Wow! Thanks!

 お団子娘:サバイバル戦ですね

 K:OK。よかったー戦ってくれるってー!

エリカ「え?」

エリカの日課ネットサーフィンじゃないのか
それとも見てるだけなのか


 特型駆逐艦:ありがとうございます

 ゴッシュ@ヘッツァーキラー:ありっす!

 パウル@ヘッツァー許さねぇ:どもっす!

 K:じゃあサドンデスね!

エリカ「聞いてないわよこんなん! 卑怯よ!!」ジタバタ

まほ「うろたえるな」

エリカ「なんでいるんですか!! 鍵かけたでしょ!!」


 特型駆逐艦:ありがとうございます

 ゴッシュ@ヘッツァーキラー:ありっす!

 パウル@ヘッツァー許さねぇ:どもっす!

 K:じゃあサドンデスね!

エリカ「聞いてないわよこんなん! 卑怯よ!!」ジタバタ

まほ「うろたえるな」

エリカ「なんでいるんですか!! 鍵かけたでしょ!!」


まほ「こういう時は、臨時仲間募集をかけるんだ」

エリカ「募集……これですね」

まほ「うむ。試合が始まる前にこの募集を見た人が来てくれれば……」


ピコン


エリカ「やった! 2人くらい集まりました!」

まほ「相手は4人だが、1輌の差ならなんとかなるだろう」

 ねこにゃー@新垢:募集見ました。よろですー

 ハイパー会長:サドンデスと聞いて

エリカ「人のつながりって素晴らしい……!」

まほ「頑張れよ。では私は部屋に戻る」ガチャ、バタン

エリカ「…………チェーンもかけて、窓も厳重に……」カチャカチャ


\バーンバババババーン/


 チームサドンデスマッチ(殲滅戦)


Aチーム

・K ・特型駆逐艦 ・ゴッシュ@ヘッツァーキラー ・パウル@ヘッツァー許さねぇ

Bチーム

・お団子娘 ・ねこにゃー@新垢 ・ハイパー会長


エリカ「流石に皆同ランクだからどれも似たり寄ったりな戦車ね……まぁ、ここは助っ人さんの腕を信じましょうか」


・・・・・・


\パーパパパパッラッパパー!/


エリカ「か、勝ったー!」

 K:Oh NOOOOOO!!

 特型駆逐艦:お疲れ様でした

 ねこにゃー@新垢:それでは、私は野良に戻りますねノシ

 ハイパー会長:楽しかったね!

 ゴッシュ@ヘッツァーキラー:なんで38tにやられた……

 パウル@ヘッツァー許さねぇ:お疲れ様でした!

 お団子娘:お疲れ様でした。機会があればまた

エリカ「ふっふっふ……なによ、意外とやれるじゃない私」

まほ「よくやったな」

エリカ「本当にどこから……」


まほ「今のはカモにされかけたな。対人戦でも経験値は稼げるから、野良初心者はカモにされやすいのだろう」

まほ「援軍に来てくれた連中が強くてよかったな」

エリカ「ぐぐぐ……もっと強くならないと」

まほ「その意気だ。だが気合を入れるのもいいが、もう夜も遅い。ゲームはまた明日にするといい」

エリカ「そうですね。今日はこの辺にしておきましょう」

まほ「では私は部屋に戻る。お休み」ガチャ、バタン

エリカ「……窓に今度鉄格子でも付けようかしら」

>>11
エリカはただのまとめ民だったということでひとつ……

今日はここまで また時間があるときに更新


・・・・・・


エリカ「今日も充実した練習だったわね」

エリカ「…………さて」ピッ


\パーンパパパパーン/


エリカ「今日こそⅣ号から脱却してせめてもう少し強い戦車を手に入れるわよ!」

 上杉:こんばんは

 お団子娘:こんばんは。今日はどうします?

 上杉:チームを大きくしたいので、とりあえず今のところは戦果を稼ぎましょう


エリカ「チームを大きくしたいならまずメンバー集めじゃないの……?」

エリカ「まぁいいわ。適当に目に付いた人でよさげな人に声をかけてみようかしら」


 ピコン


エリカ「ん?」

 レッドスター:はじめまして。始めたばかりで右も左も分からないのですが、チームに入れてもらってもいいですか?

エリカ「初心者ねぇ……まぁ、私もあんまり人の事言えないけど」

 上杉:本当ですか!? ありがとうございます! どうぞどうぞ(謎)

 お団子娘:よろしくお願いします

 レッドスター:ありがとうございます。よろしくお願いしますね

エリカ「ま、仲間が増えるのはありがたいわね」

まほ「そろそろ本格的にチームでの行動をしなければな」

エリカ「…………」


まほ「チームミッションをこなすか、他チームと対戦することでチームとしての戦果が上がり、規模が大きくなったり受けられる恩恵が増えたりする」

エリカ「恩恵ですか?」

まほ「ああ。チームスキルと言って、そのチームに所属しているだけで耐久がアップしたりとか」

エリカ「なるほど」

まほ「個人とチーム、両方とも上げておいて損は無い」

エリカ「ありがとうございます隊長」

まほ「うむ、じゃあ私は部屋に戻るから」ガチャ、バタン

エリカ「………………寮でもセコムとかできたかしら」


 お団子娘:じゃあ早速チームミッションですね

 レッドスター:楽しみです

 上杉:あ、ちょっと待ってください。今他の人からこのチームに入りたいって来たんですけど

 お団子娘:上杉さんのフレンドですか?

 上杉:そうです! 入れてもいいですか?

 お団子娘:いいと思います。人が増えると楽しいですし

 レッドスター:私も賛成です

 上杉:じゃあ呼びますね! その人レベル高いからかなり強くて戦力になりますよ!


 ピコン


 上杉:よろしくー!

 ボコLOVE:よろしく

 レッドスター:よろしくお願いします

エリカ「ん?」

エリカ「ボコって確か……」

まほ「ボコられグマ――通称ボコだな」

エリカ「(これって……副隊長の好きだった……?)」

まほ「最近はミュージアムの方もやや盛況のようで、みほも27回行ったようだ」

エリカ「ま、まさかね……」

まほ「エリカ、聞いてる?」

エリカ「戻って来るの早いですね」


 レッドスター:ボコさんもⅣ号なんですね(笑)

 お団子娘:レッドスターさんもⅣ号じゃないですか

 上杉:私達全員Ⅳ号!?

 レッドスター:ボコさんのはH型仕様なんですね

 ボコLOVE:個人レベル50になればシュルツェン改造キットを報酬で貰えるからオススメです

 上杉:早く砲身長くしたいなぁ

まほ「H型でもⅣ号のみを使い続けるのはこのゲーム的に上級者だな……レベルだけではなく、腕前も相当だろう」

エリカ「それが味方になってくれるなんて運がいいですね」

まほ「そうだな。仲間の人脈に感謝すべきだろう」


エリカ「ま、私は早くⅣ号から他のに変えたいですけどね」

まほ「だがⅣ号は大戦時にドイツで最も生産された戦車と言うだけあって信頼性と拡張性は評価できる」

エリカ「そりゃそうですけど……やっぱりゲームくらい、強い戦車を乗り回したいですよ」

まほ「そうだな、なんでも近々センチュリオンなど大戦後の戦車も導入されるらしいから、ティーガーⅡより強い戦車も使えるかもしれないな」

エリカ「そ、そうですね! 強けりゃいいですよ強けりゃ!」

エリカ「(色々言ってるけど……なによりこれ使ってるとあの副隊長の顔がチラついて集中できないのよ!!)」

まほ「チームミッションが始まるぞ。じゃ、私は部屋に戻るから」ガチャ、バタン

エリカ「いっそ戻らない方が手間かからないんじゃ……」


・・・・・・


 \完全勝利ー!/


エリカ「…………へ?」

エリカ「え、ええええ強ッ! 私達、完全にこのボコLOVEの金魚の糞だったわよ!?」

 レッドスター:ボコさん強いですね!

 ボコLOVE:皆もこれくらいすぐですよ。一緒に頑張りましょう

 上杉:じゃあ今日は時間も時間だし、ここまでということで!

 お団子娘:お疲れ様でした

エリカ「これが副隊長の実力……!」

エリカ「って違う違う! これが副隊長なわけないじゃない! というか、ネトゲで周りの知り合いが出てくるわけないし、ボコ好きな人は副隊長以外にもいるでしょ!」

エリカ「そうよ、これは他人! ただボコが好きってだけの一般ピープル!」

エリカ「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

エリカ「…………私も寝よう」


・・・・・・

~数日後~


エリカ「(このゲームを初めて数日、私はこのチームでそれなりに頑張った)」

エリカ「(気付けばⅣ号から脱却してT34-76……まぁプラウダが使ってた戦車だけど、ちょっとは強くなった)」

エリカ「(チームリーダーは上杉って人……正直、この人が一番一緒に戦っていて気が楽。最初に知り合ったからかもしれないけど)」

エリカ「(でもチーム内で一番強いのはボコLOVEなのよねぇ……この名前を見るだけであの西住元副隊長を思い出すわ……)」ムカムカ

エリカ「(ま、彼女がこんなゲームやってるわけ無いし気にするだけ損よね)」

エリカ「(寮個室専用のセキュリティサービスと契約したし、これで私のプライバシーも守られる!)」


 上杉:チームも整ってきたことだし、今日は10vs10のフラッグ戦をどこかに申し込みましょう!

 お団子娘:日ごろの成果を見せるチャンスですね

 レッドスター:早く強くなって、ボコさんみたいになりましょう!

 ボコLOVE:いや、私もあんまり強くないですよ

 紅茶好き:早く強くなりたいっていうのは分かるけれど、『険しい丘に登るためには、最初にゆっくり歩くことが必要である』という言葉もあることだし気楽にいったらどう?

 橙礼:それシェイクスピアですね

 恋愛マエストロ:格言使うとかモテ度高wwww

 上杉:じゃあ対戦申し込んできますねー


エリカ「……結構増えたわね。チームメンバーが10人って」

エリカ「まだまだ大きなチームとは言えないけど、最初の2人きりのミッションから10人になったのは大きな進歩に感じるわ」

まほ「チームの人数は多ければ良いというものではない。このゲームのチーム戦は1チーム最大30輌までだから、仮にチームメンバー数3桁あったとしてもあぶれるだけだからな」

エリカ「馬鹿なッ!? 私以外の人間が部屋に入れば警報が鳴るハズッ!!」

まほ「エリカのいるチームはボコLOVEが頭ひとつ抜けて強く、他は似たり寄ったりのやや中堅チームね。チームワークを鍛えた方がいい」

エリカ「ネットのチームでチームワークですか?」

まほ「ネット上でもチームはチーム」

エリカ「ぐぬぬ(これ前にも言われた気が……)」

まほ「フラッグ車はボコLOVEか……現状一番耐久度のある人だから正しいといえよう」

エリカ「隊長、始まるんで部屋に戻ってください」

まほ「頑張れ」ガチャ、バタン

エリカ「…………いっそドアを溶接……って、それじゃ私が出られないじゃない!」


 \ペーペペペッパラッパパー/


エリカ「ぐっ、結構強いわね相手チーム! 既にこっちは半分やられた……」

 上杉:生き残った車輌でフラッグ車を守りましょう!

 お団子娘:私フラッグ車に近いのですぐ護衛に回れます

エリカ「と言っても、私のも耐久そろそろヤバいけど……」

 恋愛マエストロ:やられた! ゴメン!!

 レッドスター:私もやられちゃいました……

エリカ「言ってる間にあと3輌!?」

 ボコLOVE:上杉さん、お団子さん、とにかくやられないように私の周りに

 お団子娘:相手はあと何輌?

 上杉:6輌!

エリカ「ぐううう……! これは、今回は負けかしら……」


 お団子娘:ボコさんと合流

 上杉:こっちちょっと待って!

 ボコLOVE:敵来てる

エリカ「え、敵? どこ……ってヤバッ!撃たれ――」


 ドォォン!


エリカ「えっ? ちょ!」

 お団子娘:何してるんですか!

 ボコLOVE:お団子さんにやられると困るし、こっちまだ耐久あったから

エリカ「バカじゃないの!? フラッグ車が他を庇ってどうするのよ!」


 上杉:合流

 上杉:あ、北に敵

 ボコLOVE:え!?


 \テレレレレ~ン/


エリカ「…………け、結局負けた……」

エリカ「というか、さっき私を庇ってなければ今のは耐えられたじゃないのよー……」


 上杉:お疲れ様でした。相手強かったですねぇ

 レッドスター:やられちゃってすみません……

 紅茶好き:我らの目的は成功することではなく、失敗してもたゆまず進むことである

 橙礼:スティーブンソンですね

 お団子娘:負けたからって気にするなってことですか?

 ボコLOVE:久々に負けたからその言葉が染みますね!

 恋愛マエストロ:出たww強者の余裕ww

 上杉:それじゃ、今日もお疲れ様でしたー

 お団子娘:お疲れ様でした


エリカ「…………」カチカチ

 お団子娘:今いいですか?

 ボコLOVE:個チャなんて珍しいですね。どうしました?

 お団子娘:いや、なんでさっき庇ってくれたのかなって思いまして

 ボコLOVE:ん? あー……なんとなく

 お団子娘:あれさえなければ敵の奇襲にも耐えられたのに……

 ボコLOVE:ですね(笑)でもなんか放っておけなくて

エリカ「な、なによ……変な事言って」


 お団子娘:なんかボコさんの戦い方は知り合いを思い出します

 ボコLOVE:知り合い?

 お団子娘:私、戦車道やってるんですけど、同じ戦車道の知り合いに似てて

 ボコLOVE:お団子さんも戦車道やってるんですか!? 私もです!

エリカ「へ?」

 ボコLOVE:どこのチームですか?

 お団子娘:え、いやそれは流石に(笑)

エリカ「えええぇぇ!? コイツも戦車道やってるの……!?」

エリカ「ま、まさか本当に西ず…………いやいやいや、戦車道なんてチビッコから社会人まであるんだし、まだ確定したわけじゃないわ!」

 お団子娘:ボコさんが強いのは戦車道やってるからなんですね(笑)

 ボコLOVE:いやいや、お団子さんも強いじゃないですか


エリカ「うううう……なんで私個チャなんて飛ばしたんだろう……早急に撤退しなきゃ」

 お団子娘:ではそろそろ寝るのでまた今度

 ボコLOVE:はい、また今度。おやすみなさい

エリカ「ふぅ…………あっ」

 お団子娘:あ

 ボコLOVE:?

 お団子娘:今日はありがとうございました

 ボコLOVE:いえいえ(笑)

エリカ「…………」

エリカ「ふぅ……ま、もうこれで2人きりで話すこともないでしょ」


・・・・・・

~数週間後~


エリカ「やっと……やっとティーガーⅡが使えるわ!!」

エリカ「レベルもかなり上がったし、これでバンバン戦えるわね!」

まほ「おめでとう、お祝いにうまかっちゃん火の国とんこつをあげよう」

エリカ「…………」


エリカ「隊長、気になることが」

まほ「ん?」


エリカ「隊長はいつもどうやって私の部屋に入って来てるんですか?」

まほ「普通に」

エリカ「ドアに8重ロックをかけて窓は鉄格子なのに?」

まほ「なにか不思議なことか? それより、何故そんな厳重な戸締りを?」

エリカ「いえ…………」

まほ「ではお湯を沸かしてくる。具のリクエストは?」

エリカ「きくらげ多めで」

まほ「了解した」ガチャ、バタン

エリカ「今のうちに鍵をかけて、窓もチェック…………ん? 通風孔…………ここにも鍵をかけようかしら。南京錠でいいわよね」


エリカ「(まぁとにかくゲームを始めて数週間、レベルも上がりついにティーガーⅡをゲット!)」

エリカ「(チームも大きくなり結構強くなったし、順風満帆とはこのことね)」

エリカ「(まぁ気がかりがあるとすれば……)」

 ボコLOVE:ティーガーⅡですか? すごいじゃないですか!

 お団子娘:ありがとうございます。ボコさんはⅣ号から変えないんですか?

 ボコLOVE:なんか愛着湧いちゃって(笑)

エリカ「(なんか懐かれたっぽい……)」


エリカ「どうするのよ……妙に馴れ馴れしいし、それでいて今もウチのチームのレベルでトップだし」

エリカ「というか、何故私にこんな……」

 ボコLOVE:あ、そうだお団子さん

 お団子娘:?

 ボコLOVE:お団子さんって学園艦に住んでるんですよね? 今度の日曜日に大洗に寄港したりします?

エリカ「ブーーーーーッ!!」

エリカ「お、大洗ィ!?」

エリカ「う、うわぁぁぁ……なんか、本当に…………」

エリカ「…………しかも、日曜……大洗に寄港するし」

エリカ「内緒で黒森峰の生徒って教えたのはまずかったかしら……あああぁぁぁ…………どうしよう……嘘つく?」

エリカ「…………」カチカチ


 お団子娘:そうですね、丁度大洗に寄港しますよ

 ボコLOVE:本当ですか!? 実は私、今度大洗に行くんですけど……

エリカ「ちょ、ちょっと待ちなさい……この流れは」

 ボコLOVE:もしかして、リアルでお団子さん見れたりします?

エリカ「オフ会じゃないのよおおおぉ!!」

まほ「落ち着きなさいまとめ民」

エリカ「うるさいですよ! というかなんで私がまとめしか見てないこと知ってるんですか!」

まほ「それで趣味がネットサーフィンとは笑わせる」

エリカ「放っておいてください!!」


まほ「とりあえずうまかっちゃんを食べよう。はいキクラゲ多め」

エリカ「ありがとうございます……」ズルズル

まほ「ニンニク風味が絶妙だな」ズルズル

エリカ「同感です………………ん?」

まほ「ん?」

エリカ「隊長、今どこから入ってきました?」

まほ「ドアから」

エリカ「………………ん?」

まほ「ん?」


エリカ「ともかく、ネットの人と実際に会うなんて……」

まほ「宇宙人と交信しているわけでもなし、そこまで緊張する必要は無い」

エリカ「そうは言いますが……隊長はこういった経験は?」

まほ「うむ、昔ある」

エリカ「どのような?」

まほ「とあるSNSでテンションの高い面白い人と知り合い、オフ会に行ったことが」

エリカ「(隊長がSNSでテンションの高い人と絡んでるのが想像できない……)」

まほ「そしたらお母様だった」

エリカ「え?」

まほ「待ち合わせ場所の喫茶店で、数十分重苦しい空気と共に苦いコーヒーを――」

エリカ「ストップ! ストップ!! もういいです!」

まほ「そう?」


エリカ「非常に嫌な思い出じゃないですか……」

まほ「家族が……特に親がSNSではっちゃけているのを見るのは心に来るものがあるぞ」

エリカ「隊長、私の緊張をほぐしてくれるんじゃなかったんですか!?」

まほ「そういうことだから、少なくともエリカは私よりまともなオフ会を送ることができると思う」

エリカ「あ、そういう励まし方ですか」

まほ「やっと気付いたか」


エリカ「じゃあ……まぁ、断るのもアレですし……」カタカタ

まほ「うむ」

 お団子娘:いいですよ

 ボコLOVE:本当ですか! ありがとうございます!

 お団子娘:どこで待ち合せます?

 ボコLOVE:じゃあマリンタワーの喫茶パンツァーフォーで、お昼に

 お団子娘:分かりました

 ボコLOVE:楽しみです

エリカ「前向きに話が決まってしまったわ……ま、まぁこうなってくると若干楽しみね」


 お団子娘:ボコさんはどんな格好で来ますか?

 ボコLOVE:恰好?

 お団子娘:お互い見分けがついた方がいいかなと

 ボコLOVE:なるほど

 ボコLOVE:じゃあ、私はボコが大きくプリントされたトートバッグを手に持って行きます

 お団子娘:服装は……

 ボコLOVE:お楽しみに(笑)


エリカ「ボコのトートバッグね……」

 ボコLOVE:お団子さんは?

 お団子娘:じゃあ私はジーンズを履いていきます

 ボコLOVE:……情報それだけですか?

 お団子娘:お楽しみに

 ボコLOVE:ひどい(笑)

 お団子娘:もう夜も遅くなってきましたし、そろそろ私は落ちますね

 ボコLOVE:逃げる気ですか! お疲れ様です

 お団子娘:お疲れ様です。おやすみなさい


エリカ「ふぅ……日曜は大洗かぁ」

まほ「『今日は久々に彼氏とデート! 調子に乗っておめかししすぎちゃった?』」

エリカ「何してるんですか」

まほ「お母様のテンションの高いSNSでの言動をスクショしたのを見直している。ネイルや足下しか写してないのが生々しい、だがリツブヤキやイイゾが沢山」

まほ「ちなみに夫や旦那ではなく彼氏というのがお母様なりの若づく――」

エリカ「分かりましたから!! 今日はもう遅いので部屋に帰ってください!!」

まほ「おやすみ」ガチャ、バタン

エリカ「おやすみなさい………………」ゼーハー

エリカ「…………」ピポパ

エリカ「あ、もしもしお母さん? ちょっと相談が……」


・・・・・・

~日曜日~


エリカ「よし! 出かけるわ」

エリカ「無理言って頼んでつけてもらった生体認証システムのロックもかけて……と」

エリカ「これで私以外の人間はこの部屋に入れないわね」

エリカ「それじゃあ……行くわよ……!」


・・・・・・

~マリンタワー~

\ガヤガヤ/


エリカ「やっぱり日曜だと人が多いわね……誰がボコの人か分かったもんじゃない……」

エリカ「喫茶パンツァーフォーの前……前…………」


 クイクイ


エリカ「(ん?服を引っ張られ……)」

「ジーンズ……」

エリカ「ッ! ぼ、ボコ――」

愛里寿「お団子さん……?」

エリカ「」


エリカ「(こ、この子……! 島田愛里寿!!)」

愛里寿「お団子さん……だよね?」

エリカ「え、ええ……まぁ(ボコのトートバッグ持ってる……)」

愛里寿「よかった……」ホッ

エリカ「ま、まさかボコさんが……あなただったなんて……」

愛里寿「面識あった?」

エリカ「一応この前試合したじゃない……大学選抜と大洗で」

愛里寿「…………あっ、お団子さん黒森峰だったから……そこの」

エリカ「そう。逸見エリカ、黒森峰の副隊長よ」

愛里寿「私は――」

エリカ「知ってるわ。有名人だから」

愛里寿「うぅ」

エリカ「(終始顔が赤い……この子、人見知りとか?)」


エリカ「まぁいいわ。とにかく入りましょう、ボコさん」

愛里寿「うん……エリカ?」

エリカ「そっち!? しかも呼び捨て!?」

愛里寿「だって全然お団子娘って気がしなくて……」

エリカ「ぐっ、まぁそれは否定しないけれど……」

愛里寿「呼び捨て嫌だった?」ウル

エリカ「……別にいいわよ」

愛里寿「本当? ありがとう」ニコッ

エリカ「(なんなのよもーーーー!!)」


・・・・・・

~某戦車アニメ喫茶パンツァーフォー~


エリカ「私はアンツィオ屋台の鉄板ナポリタンで」

愛里寿「カジキカツカレー……」

「かしこまりました」


エリカ「そういえば、よく私が分かったわね」

愛里寿「ジーンズ履いてた女の人、あそこだとエリカだけだったから」

エリカ「そうだったの?」

愛里寿「それに人を探してる感じあったし、すぐ分かった」

エリカ「そう……」


エリカ「………………」

愛里寿「………………」

エリカ「(き、気まずい……本当に数十分重苦しい空気になってしまう!?)」

「とりあえずメニューのやつ全部ください」

「ええっ!? おひとりですよね……?」

「はい、そうですが……?」

「か、かしこまりましたー……」

エリカ「(なんか近くにヤバい客もいるし……)」


愛里寿「…………すごい」

エリカ「確かに1人でここのメニュー制覇はすごすぎよ……」

愛里寿「でも、たくさん食べたら大きくなれそう」

エリカ「横に大きくなるかもしれないわよ」

愛里寿「それはイヤ……」

エリカ「どっかの肩車隊長と違ってあなたは成長期なんだから、朝昼晩ちゃんと普通に食べれば自然と大きくなるわ」

愛里寿「そういうもの?」

エリカ「そういうものよ」


「お待たせしました、アンツィオ屋台の鉄板ナポリタンと、カジキカツカレーでございます」コトッ

愛里寿「ありがとう」

エリカ「いただきます」

愛里寿「いただきます」

エリカ「…………(美味しい)」モグモグ

愛里寿「美味しい!」モグモグ

エリカ「よかったわね」


愛里寿「大洗にはよく寄るの?」

エリカ「学園艦が寄港できる港は限られているから、それなりにね。数ヶ月に1回くらい」

愛里寿「へぇ……」

エリカ「そういうボコちゃんは――」

愛里寿「愛里寿でいい」

エリカ「そう? じゃあ愛里寿はどうして大洗に?」

愛里寿「友達に会いに……」

エリカ「ふぅん、友達に」

愛里寿「その友達の学園艦が寄港するのが昨日だったから、シーサイドホテルに泊まって今日観光して帰るつもりだったの」

エリカ「お友達と観光しなかったの?」

愛里寿「うん。友達の学園艦の方を案内してもらったから」


エリカ「なるほどね……ん? てことは……」

愛里寿「これから観光…………一緒にしてくれる?」

エリカ「ええっ!?」

愛里寿「ダメ……?」

エリカ「うっ……初対面のくせに馴れ馴れしすぎよ…………」タジッ

愛里寿「厳密には初対面じゃないし」

エリカ「顔覚えてなかったでしょ!」

愛里寿「それじゃ……ダメなの?」

エリカ「ううっ……! わ、分かったわよ! 付き合うから……」

愛里寿「やった」ドヤ

エリカ「あんたねぇぇぇ~!」


愛里寿「じゃあまずここと、次にここと……」

エリカ「言っとくけど夕方までよ? それまでに回れるの?」

愛里寿「大丈夫よ、シミュレートしてきたから」

エリカ「そ、そう……」

エリカ「(確か、13歳だったわよねこの子……そう考えると年相応というか……可愛げがあるというか)」

エリカ「(というかそもそも、こんな小さな子ひとりでこんなところまで来て平気なのかしら……誘拐とか……)」

愛里寿「……今、私1人で誘拐とかされないのかとか思ってる?」

エリカ「ひぇ? お、思ってないわよ?」

愛里寿「思ってた!」

エリカ「そりゃ思うわよ!!」

愛里寿「やっぱり!」


・・・・・・

~夕方~


エリカ「はぁ……疲れた…………」

愛里寿「楽しかった!」

エリカ「そう? ま、愛里寿が楽しかったんだったらいいけど」

愛里寿「エリカは楽しくなかったの?」

エリカ「私?」

愛里寿「うん…………」ジー

エリカ「ウッ…………ま、まぁ楽しかったわよ」

愛里寿「まぁ……?」

エリカ「とても楽しゅうございました!」

愛里寿「本当? よかったぁ……」

エリカ「(まったく……今日一日ずっとこんな感じよ……)」


愛里寿「本当はちょっと心配だったの……」

エリカ「なにが?」

愛里寿「強引に一日中連れまわしちゃったし、それに……チャットとキャラ違ったでしょ?」

エリカ「キャラが違うって、それ言ったらお互いさまよ」

愛里寿「そうかしら……なんかウチのチームのメンバー、皆実際にもあんなキャラな気がする」

エリカ「それは私も感じてるけど……」


愛里寿「あ、そろそろ時間……」

エリカ「そうね……駅まで送るわ」

愛里寿「ううん、大丈夫」

エリカ「えっ?」

愛里寿「行きと帰りはルミが車で送ってくれるから」

エリカ「ルミ……?」

愛里寿「大学選抜の。副隊長」

エリカ「………………(そういえば私が最後に倒したパーシングの車長がルミって人だったような……)」

愛里寿「とにかく、誘拐とかされたりしないってこと」

エリカ「それならよかったわね」


愛里寿「………………ねぇ、エリカ」

エリカ「何よ」

愛里寿「またどこか観光したいね」

エリカ「…………そうね」

愛里寿「次会うのはゲームかな?」

エリカ「そうじゃない? あなた強いんだし、しばらくは頼りにさせてもらうわよ」

愛里寿「レベル100超えればセンチュリオン買うことができるようになるし、頑張る」

エリカ「私はティーガーⅡ一本だから」

愛里寿「いいと思う。ティーガーⅡ強いし」

エリカ「そうでしょ。なんてったって――」

愛里寿「時間」

エリカ「あ、ごめんなさい……」

愛里寿「ふふっ、今日はゲームできないから、また明日か明後日ね」

エリカ「そうね。また」

愛里寿「ばいばい」

エリカ「じゃあね」


・・・・・・

~帰りの車内~


ルミ「どうでした? 大洗観光」

愛里寿「楽しかったわ」

ルミ「なによりです。あ、今度は私達ともどこか出かけましょうよー!」

愛里寿「……考えとく」

ルミ「さっすが隊長!」

愛里寿「前見て運転して……ルミの運転、たまに怖い」

ルミ「あ、ソーリーソーリー」


愛里寿「……」ポチポチ

 ありす:大洗楽しかった

 みほ:そう? よかったぁ!

 ありす:お団子さんとも会ったよ

 みほ:おおー、あのお団子さんと……どんな人だった?

 ありす:うーん

 ありす:見かけによらずいい人だった

 みほ:どんな見かけだったの……(;´Д`)

 ありす:あと優しかった

 みほ:そっか! よかったね!

 ありす:うん

 みほ:私も会いたかったなぁ!

愛里寿「ふふっ」

ルミ「だーこの!! 前の車おっそい!!」

愛里寿「ルミ、クラクション鳴らしすぎ」


・・・・・・

~エリカの部屋前~


エリカ「……よし」ピッ

『指紋、網膜、声帯認証を行います。パネルに指をつけ、スキャナーを除きながらお名前をどうぞ』

エリカ「逸見エリカ」

『認証しました。おかえりなさいませ』

エリカ「ふぅ……」ガチャッ


まほ「おかえり、エリカ。オフ会楽しめたみたいでなによりだ」

エリカ「」


ミカ「人とのつながり……それは人生に必要なことだろうね」ポロロン

沙希「……」ボー

エリカ「誰よあんたら!!!!!!」



 ~おしまい~

ネトゲをする話だったのにどうしてこうなったか聞くのはNG
エリカと愛里寿ちゃん、2人が一緒なんて想像しにくいですが、2人とも大好きです

ではでは、読んでいただきありがとうございます

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