二宮飛鳥「幸子、キミは友達が多いのか?」 (37)






ーセット裏ー


幸子「なんですか急に、ボクは今テストの見直しで忙しいんですよ」

飛鳥「へぇ、大変そうだね」

幸子「いや、同学年なんですから飛鳥さんもテスト返却されてますよね?」

飛鳥「…大人がつけた勝手な数字なんかに興味はないよ」

幸子「成績悪いんですか?」

飛鳥「失礼な、平均点はとってるよ」

幸子「めちゃくちゃ大人のつける点数を気にしてるじゃないですか」



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幸子「それで友達が…なんでしたっけ?」

飛鳥「あぁ、幸子は友達が多い方なのかなってね」

幸子「まぁボクはかわいいですからね!友達からも大人気ですよ!!」

飛鳥「ダウト」

幸子「え?」


飛鳥「幸子、キミ消しゴムをふたつ持ってるだろう?」

幸子「持ってますけど…それが何か?」

飛鳥「それってアレだろう?クラスメイトから『消しゴム貸して』って言われた時に貸したのはいいけどなかなか返してもらえない時のために2つ持ってるんだろう?」

幸子「!!?」ギクッ







幸子「そそそそそんなことありませんけど!!!?」

飛鳥「本来ならば貸した物なのだから返して欲しいといえばそれで終わりだろう…しかしその一言を放つ勇気がキミには無い…そうなぜなら」

飛鳥「アイドル活動で忙しく中々学校には行けずさらに言えば幸子のようなキャラで売ってるのならば…同性のクラスメイトからは距離を置かれているに決まっている!!」

幸子「勝手に決めつけないでください!!」

飛鳥「それにだからといって男子のクラスメイトと距離を縮める訳にもいかないしね…まさしくアイドルとは束縛のメタファーってやつさ」

幸子「だから勝手に決めつけないでっていうか後半意味がわからないんですよ!!」






幸子「そそそそそんなことありませんけど!!!?」

飛鳥「本来ならば貸した物なのだから返して欲しいといえばそれで終わりだろう…しかしその一言を放つ勇気がキミには無い…そうなぜなら」

飛鳥「アイドル活動で忙しく中々学校には行けずさらに言えば幸子のようなキャラで売ってるのならば…同性のクラスメイトからは距離を置かれているに決まっている!!」

幸子「勝手に決めつけないでください!!」

飛鳥「それにだからといって男子のクラスメイトと距離を縮める訳にもいかないしね…まさしくアイドルとは束縛のメタファーってやつさ」

幸子「だから勝手に決めつけないでっていうか後半意味がわからないんですよ!!」







幸子「消しゴムを2つもってるのは大きい消しゴムと細い消しゴムを使い分けているからですよ!だいたい消しゴムの数だけで何がわかるって言うんですか!」

飛鳥「わかるさ…ボクの調べによると、ね」

飛鳥「『消しゴムの数と友達の多さは反比例する』これが世界の真実にして答えだよ」

幸子「なんですかその超絶理論!?」

飛鳥「それにこの仮説が真実だと裏付ける証拠もあるよ」

幸子「証拠?」









飛鳥「知っての通りこのボクは漫画を描くのが趣味でね、授業中や休み時間でも描いてるくらいなのさ」

幸子「真面目に授業受けましょうよ」

飛鳥「だからか必然的に筆記用具も豊富になってくる、当然消しゴムもそれこそ多種多様な物を持っているよ」

飛鳥「そしてボクは学校に友達がいない!これが何よりの証拠さ…」

幸子「なんで社交性が無いことをそこまで声高らかに言えるんですか飛鳥さんは…」

飛鳥「フッ…もうその領域(ライン)はとっくに超えているよ、最近では休み時間に漫画を描いていようがゲームをしていようが誰もボクをいじらなくなったしね、しかしそうなる事を望んでいたのは事実だけどいざそうなると寂しさを感じるのも事実…どうやらこのセカイってやつは虚偽に紛れて事実が幾つも存在するらしいね」

幸子「なんかもう飛鳥さん中二病とかじゃなくてただのめんどくさい人ですよ!?」




飛鳥「フッ…つまりボクと幸子は似た者同士、同じ運命を歩くしかない共同一体ってことさ」

幸子「だから勝手にボクを友達いない人認定するのやめてくださいよ!」



飛鳥「へぇ、なら聞くけど幸子は席替えの時にテンション上がるタイプかい?」

幸子「あー…どちらかというとそんなに好きでは無いですが」

飛鳥「理解るよ、アイドルをやってると知らない間に席が変わってて前の席に座ったりするよね」

幸子「確かにやっちゃいますね」

飛鳥「その時誰が教えてくれるんだい?」

幸子「先生ですね、もしくはその席の人とか」

飛鳥「…友達いる人は友達に教えてもらうんだよアレ」



幸子「そうなんですか!!?」





飛鳥「ほら、如実になってきたよ」

幸子「う…確かに教科書忘れた時とかは鬼門ですが…でもこんなに可愛いボクが好かれてないわけはないですから!いつも隣の席の子が快く見せてくれますよ!どうです飛鳥さん!これは立派な友達でさよ!」

飛鳥「なるほど…幸子にとって友達とは教科書を見せてくれる人なんだね」

幸子「いやそんな事はないですけど」

飛鳥「…友達いる人はね、隣のクラスから借りるんだよアレ」

幸子「隣のクラスに友達がっ!!?」



飛鳥「そう、部屋と部屋を隔てる壁があれど友情を隔てる壁はない…それがリア充ってものらしい」

幸子「そんな……ボクはじゃあ本当に友達がいない人…!!?」







飛鳥「そう悲観することはないさ幸子」


飛鳥「言ったろう?ボク達は共同一体…同じ運命を歩む者……そう君とボクは同じアイドルであり同じ事務所の仲間でありそしてなによりも同じクラスメイトのTwitterアカウントを1つも知らず文化祭の二次会に誘われない過去を持つ者…」

幸子「飛鳥さん……」

飛鳥「大丈夫さ、ボク達は優しいセカイに包まれている…例え休み時間にノートの清書しかやることがなかろうがハンカチ落としでハンカチを落としてもらったことがなかろうがそれは変わらない」

飛鳥「幸子とボクは…友達だよ」

幸子「飛鳥さん……!」

飛鳥「みずくさいな幸子…飛鳥と、いや」

飛鳥「むしろアスリンとでも呼んでくれてもかまわないよ、さっちゃん」

幸子「あ…アスリン…!」




幸子「いやいやいやなんですかこの空気!!!?流されないですよ!!?こんな訳わかんない展開で終わらないですよっ!!!?」







飛鳥「なんだいワガママだなさっちゃんは…わかった、特別にアスアスと呼ぶ許可をしよう」

幸子「呼ばないですからね!?確かに認めたくはありませんが学校には友達が少ないかもしれないですけど事務所にはいますから!!そんな初めての友達みたいなテンションで言われても困りますよ!?」

飛鳥「事務所ならボクもいるさ、蘭子とか」

飛鳥「そして今この瞬間から幸子もその仲間入りさ」

幸子「え?」

飛鳥「ん?」


幸子「あぁ…いや、その」

飛鳥「…ボクと友達になるのは嫌かい?」

幸子「そうじゃなくってですね…その」










幸子「ボクは今、飛鳥さんに言われたからとかじゃなくて結構前から飛鳥さんの事は友達だと思ってたんですけど、違いましたか?」

飛鳥「………」

幸子「ち、違うんだったら違うっていってくださいよ!!!?でも前から同じ一人称だから一緒に仕事することも多かったですし今だってお喋りとかしてたのでボクはそう思って接してたんですが…」

飛鳥「………」

幸子「…飛鳥さん?」






ー二時間前ー

蘭子『天より降りた可憐なる御子と同胞の契りを結びたい…?ならばそう御子自身に伝えるがいい、例え我々の言葉で伝えようとその真意を彼女は知るだろう』

蘭子『臆することはない、かつて貴女が我にしたことをもう一度繰り返せばいいだけ…奮いなさい我が最高の友、二宮飛鳥よ!』








飛鳥「…いやすまない、どうやらボクは何も理解っていなかったようだ」

飛鳥「勿論だよ幸子、何度も言った通りキミとボクは共同一体……いや」

飛鳥「友達だよ、ね?」


幸子「ふ、ふふーん!!ならよかったです!まぁこんなにも可愛いボクと友達じゃないなんて人生の損失ですからね!感謝してくださいよ飛鳥さん!」

飛鳥「フフッ、ならまずは呼び方からだよね?手始めに呼び捨てで呼んでみてほしいな」

幸子「う……それはなんか恥ずかしいので心の準備を……」

飛鳥「冗談さ、キミはキミのままでいい」





飛鳥「ありがとう…ボクの友達、幸子」










ー後日ー


飛鳥「ってことがあってね、まったくお笑いだね…ボクはなにも気づいてなんかなったってことさ」

飛鳥「でもそう言ってくれた幸子の言葉、とても嬉しかったよ…その後2人で収録が終わってからご飯に行ったんだ」


乃々「あの……」

飛鳥「もちろんアイドルとはいえボク達は14歳だ、ファーストフードで済ましたけどとてもいい時間を過ごせたよ」

乃々「それはよかったですね……それでその…」

乃々「どうしてそれを森久保に伝えるんですか…?」



飛鳥「…乃々、キミは消しゴムを何個もってる?」

乃々「…え、その下りやるんですか……?」



終わり


終わりです
お付き合いいただきありがとうございました

なんとかイベントは飛鳥を二人迎えられましたがその代償に睡眠時間を削られ仕事とかどうでもよくなりました


過去作
モバP「島村卯月の飼い方」シリーズ


それではまた


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