魔王「君達は本当に馬鹿だなぁ」(57)

勇者「何っ!?」

魔王「君達は僕等が君達の国に侵略したと言うじゃないか」

勇者「当たり前だ!」

勇者「お前達は人間の国を征服し、人間達を殺して来たじゃないか!」

魔王「うん、それは認めよう」

魔王「私の配下の軍が君達の住む国や村、街に侵攻し、老若男女皆殺しにした」

魔王「そこに居る戦士君の村だって私の近衛部隊が直々に潰した」

魔王「戦果もちゃんと報告されている」ツイ

魔王「えっと…
  村に残っていた守備隊1650名と交戦。
  弓兵隊と魔術師部隊の効力射3時間後、重装甲ケンタウロス兵の突撃。
  駐留していた部隊と残留していた村人1000人を全員処刑。
  間違いないよね?」

戦士「ああ、そうだ!
  父さんも母さんも隣のおじさんもおばさんも皆殺しにされた!!」

魔王「うん、だから、そう言って居るじゃないか。
  同じ事を何度も言わなくても分かってるよ、君は馬鹿なのかい?」

勇者「貴様!!」チャキ

魔王「直ぐそうやってカッとなる。
  だから、君達人間は『馬鹿』と言うんだ」

魔王「大体、僕はこうして話し合いの場を設けて、対等に接しているじゃないか。
  もし、君達を殺す気なら、こんな事をしない。
  僕達は君達の国に侵略する時も事前に領土返還の交渉を25回も設けたんだよ?」

魔王「でも君達は、僕達の要求を突っぱねたよね?
  知らないとは言わせないよ。
  ちなみに、先代の魔王も先々代の魔王も同じ様に君達に交渉してきたはずだけど?」

勇者「嘘を吐け!!」

魔王「ふむ… と、言う事は君達の、人間界の王様達はその事実を国民に告げていないのか…
  まぁ、良いさ。
  それは、君達人間の問題だ。
  そもそも、今、僕達魔王軍が駐留している最前線より先に何故進まないか知って居るかい?」

勇者「お前達の軍は我々人間の抵抗が激し過ぎて前進できないだけだろう!!」

魔王「馬鹿言え。
  前線には3053師団駐留し、君達は100師団ばかりじゃないか。
  食料も武器弾薬もあと6カ月は自軍と同等の戦力を持った敵と対峙しても渡り合える。
  でも、そうしないのは、あそこが、元々の僕達魔族の領土だからだ」

勇者「ふ、ふざけるな!
  地上は人間達の物だぞ!!」

魔王「ふざけてないって。
  僕達魔族がこんな僻地に来たのは君達に領土分割したからだよ」

魔王「だいたい1万5千年前かな?」

側近「はい、そうで御座います陛下」

魔王「うん。
  本当は、いま、軍が駐留している辺りまでだったんだけどね。
  でも、君達に領土分割して5千年経った時に、君達が行き成り攻めて来たんだよ。
  現在の『魔界』と呼ばれる地域まで」

勇者「う、嘘だ!
  そんな、嘘信じないぞ!!」

魔王「別に、君達が信じなくても良いよ。
  僕だって生まれてないんだから、そんな昔は。
  でも、公文書館にはそう言う資料がちゃんとあるんだ。
  なんなら、君達も後で見せてあげるよ」

側近「準備しておきます」

魔王「うん。
  で、最近になって、魔界で『人間に領土を盗られたままで、魔王は何をやっているんだ』という世論が高まってね。
  先々代の魔王から君達の世界の王達に領土返還するように言ってたんだ」

魔王「でも、君達は使者を殺してその手紙を破り捨てたりしてさ」

魔術師「あれは、王を殺しに来たと!!」

魔王「威圧感を与えない様に一番人間に近い奴を選んで帯刀させてないのに?
  まぁ、良いよ、過ぎてしまった事を責めても仕方がない。
  問題は『今』だからね」

魔王「で、先代の魔王の時に、一部の過激派が魔王城に放火してね。
  勿論、犯人は捕まったけどさ。
  流石に、責任とって辞任してね、で、お鉢が僕に回って来たんだ。
  ちなみに、先代は僕の父親でね」

勇者「だ、だから何だよ!!」

魔王「いや、別に?
  で、お鉢が回ってきた僕はこれ以上国内を抑えるのが無理だと分かったから、君達の国に武力交渉をする事にしたんだ。
  勿論、侵略する国々はちゃんと宣戦布告しして、1年の猶予を与えたんだけどね?
  でも、結果的に、君達は逃げないし、愚かにも抵抗して来た。
  酷い時には『投降する振り』をして部隊を攻撃した。
  それが数回続いたから、君達人間から捕虜を取るのを止めたし。
  報復として今まで捕虜にして来た人間を殺したんだ。
  そうでもしないと、国内でも暴動が起きかねん感じだったからね」

側近「その際の資料のコピーです、どうぞ」ツイ

賢者「どうも…」

格闘家「ありがとうございます」

こんな上から目線でバカにして何が目的なんだろう

魔王「ちなみに、同じ様な宣言書を君達の国の王達にも届けたからね。
  それが今からちょうど150年前だね。
  君達も聞いた事無い?」

賢者「き、聞いた事有ります…
  ですが、今の様な事では無く、魔族は捉えた兵士達をなぶり殺しにしたと…」

格闘家「わ、私も…」

魔王「嬲り殺しって…
  全員、首を撥ねただけだよ。
  ちゃんと、死体も弔ってあげたし、失礼だな」

勇者「……」

魔王「まぁ、良いよ。
  それで、君達に聞きたいんだけどさ」

勇者「な、なんだ!?」

魔王「君達は今人間界が送って来た『使節団』として対応しているんだけど。
  君達の『目的』は?」

まあ実際ここまで人間にやられ続けたらイライラして上から目線にもなるよね④

魔王「僕個人もさ、実は、魔族の最右翼って言うのかな?
  『人間を皆殺しにしろ』って言う人たちの意見に賛成なんだよ。
  でも、僕は魔王だ。
  僕の感情でそんな事をしたら、それは君達人間と同じだろう?
  僕個人としては『暗殺者』として君達が来てくれた方が非常にうれしい。
  だって、人間を一人残らず殺せるんだからね。
  でも、『魔王』として言うなら、君達が『使節団』としてやって来た方が嬉しい。
  だって、これ以上馬鹿な戦争をしなくて良いんだもの。
  知ってる?
  戦争って、一部の経済は潤うけど、全体から見れば損の方が多いんだよ。
  しかも先に述べた様に軍が戦線を維持するだけで食料や燃料を必要とするんだ。
  で、時々君達は抵抗するから、それにより負傷者や死者が出る。
  すると、その家族に補償等をしないといけないんだ。
  また、兵士達も常に前線で張ってる訳にはいかないから1年ごとで部隊を交換していく。
  その兵士達の為に休養地を用意したりしないといけない訳だ。
  で、その兵士達の移送費用やその際に飲食した食糧費、移送時の燃料も全て国が負担するんだよ、知ってた?」

結局は個人の感情が出て煽っちゃってるのか

勇者「そんなこと知るか!」

魔王「だろうね。
  だから、君達は『バカ』って言うんだよ」

魔王「それに、君達は今、魔王の城って言う場所に居るらしいけど。
  ここって、僕の城じゃないからね?
  最前線の中央戦線指揮所って名前だからね?
  ここに僕が駐留している理由は、君達を出迎える為なのだけ。
  終わったら、僕は本国に帰ってその結果を国民や大臣、貴族たちに伝えないといけないんだ」

魔王「ちなみに、僕が言いたい事は全て言った。
  さて、聞くぞ、君達は、『何者』だい?」

勇者「お、俺は、国王から、お前を討伐するように依頼されただけだ。
  それを決めるのは俺達では無く、王の仕事だ!」

魔王「はぁ…
  じゃあ、君は暗殺者って事で良い?
  そうなると、君達人間、21億人を皆殺しにする事に成るけど」

勇者「お前と俺で一騎打ちをして、お前を殺せば 魔王「馬鹿だろ、お前、本当に!」

魔王「話聞いてたの、僕の、話!!」ドン

側近「へ、陛下!
  落ち着いてください!!」

魔王「僕は父上やおじい様の様に出来た魔人じゃない。
  現に、こうして、個人の感情を表してる訳だ。
  人間の年齢に直せば16,7だ」

勇者「!?」

魔王「そうだよ、君と同じぐらいだ。
  お父様なら僕の様に愚痴を交えてこんな事を言わないだろう。
  僕はね、君達人間が『糞程に嫌い』なんだよ。
  君達は何時も何時も何時も何時も、殺し合いしかしない。
  魔族が村に現れたからと言って問答無用で切り殺す。
  大体、君達がなんでここまで『無事』で来れたのか知ってるの?」

勇者「俺達が強かったからだろうが」

魔王「寝言は寝てから言えバカ。
  僕がそう計らったからだよ!
  勇者が来たら関所を開けろって!
  まぁ、君達は最初の関所で全員を皆殺しにしたから、怒ったその地区や隣の地区が戦う事に成ったけどさ。
  最初の魔物は君達を見て攻撃したか?」

僧侶「そう言えば、あのスライムは何もしなかった……」

戦士「それ何処か、抵抗せずに切り殺されたな…」

魔王「だって、命令したからね。
  『何が有っても攻撃してはいけない』って。
  でも、君達は彼等の話を聞く前に殺してしまった。
  まぁ、行き成り、飛び出て来た彼等にも非が有るさ。
  でも、君達は、街角で行き成り飛び出て来た人間を切り殺すのか?」

勇者「する訳ないだろう」

魔王「当たり前だ。
  だが、君達は現に切り殺した。
  正直、その時、僕は侵略して君達を一人残らず滅ぼしてやろうと思ったね。
  でも、母様と爺や達が止めたから何とか思いとどまった」

側近「陛下、そろそろ本題に…」

魔王「ああ、済まない。
  でも、僕としては彼等に言いたい事は山ほどあるんだ。
  彼等のせいで僕の父上は早くに亡くなったんだから。
  いわば、親の仇だよ、君達"糞"は。
  ほら、さっさと言いたまえ、君達は『何者』だ」

賢者「返事は今直ぐ、と言う訳にはいきません。
  我々はいわば『兵隊』です。
  貴方を殺す様に言われただけです」

魔王「じゃあ、人間全員殺して良いのね」

賢者「ま、待ってください!!
  我々は貴方の話をそのまま国王陛下達に伝えます!
  そして、再び、貴方の下に返事を持って来ると言う事は出来ないでしょうか?」

勇者「賢者!?」

賢者「勇者様は黙って居てください!」

魔王「まぁ、良いよ。
  僕個人としては、煽りに煽って、逆上した君達が切りかかって来てそのままゴミ掃除って目論んだのに。
  勇者、君はその人間の小娘に命を救われたようだ。
  運の良い奴め。
  じゃあ、今、書面に認めるから、それを君達の王達に持って行くと良い」

側近「紙とインクです」ツイ

魔王「うん、ありがとう」サラサラ

魔王「ほら、書いたぞ。
  まぁ、今日は遅いから、泊まって行けよ。
  一応、宿泊の準備はしてあるから」

賢者「ご配慮ありがとうございます」

魔王「側近、案内してあげてくれ」

側近「畏まりました。
  では、勇者様方、私の後にどうぞ」

勇者「……」

魔王「……」

賢者「行きましょう、勇者様」

勇者「ああ、分かってる」

魔王「ふん」

かまわん続けろください

なんだかめだかボックスの球磨川禊みたいな魔王だな

 夜

勇者(敵地のど真ん中でグースカ鼾を立てて眠れるほど俺は図太い神経はしていない)

勇者(辺りを散歩するか)

見張り「どちらへ?」

勇者「眠れんから散歩だ」

見張り「左様ですか。
   足元が暗いので、これをどうぞ」ランプ

勇者「あ、ああ…」

勇者(馬鹿に優し狼男だな…)

勇者(にしても、本当に何もしてこないな。
  食事は豪華で、毒も入って居なかった。
  ベッドも何処の宿屋よりもフカフカで、蚤すらいない。
  兵士達の視線は千差万別だったが、それでも敵意は無い)

勇者「ん?」

勇者(明かりが漏れているぞ…)

魔王「……」ジー

勇者(魔王だ…)

魔王「……」ボロボロ

勇者(泣きだした!?)

魔王「父上、僕は如何すれば良いですか?
  このまま人間どもがあの手紙を承諾すれば、父上の仇が討てない!
  だが、このままあの手紙を承諾しなければ、父上の託を守れない!」

勇者(魔王が泣いて居る…)ギィ

魔王「!?
  誰だ!!」

勇者「……俺だ」

魔王「今のを見たか?」

勇者「ああ」

魔王「笑いたければ笑え。
  所詮、僕はその程度だ。
  魔王魔王と言われてもそれだけの事。
  きっと、戦えばお前の方が強いだろう。
  ほら、殺したければ殺してみろ、糞人間」

勇者「お前は俺達を殺せたのに殺さなかった。
  だから、俺もお前を殺さない」

魔王「そうか。
  まぁ、そこに座れよ。
  どうせ、眠れないんだろ?」

勇者「邪魔をする」ガタリ

魔王「最初に言って置くぞ。
  僕はお前が嫌いだ。
  正直、お前と同じ空気を吸うなら、ゴキブリにキスする方がまだ『マシ』だ。
  だがお前達人間と違って僕達魔族は心が広い。
  特に、僕は魔王。
  だから、こうして僕、魔王との対話を許してやる」

勇者「俺だってお前は嫌いだ。
  正直、借りが無ければ、今直ぐにでも切り殺してやりたい」

ゴキブリときすはやだなぁ…

背景が気になるなー、政治体制とか、お偉いさんの思惑とか、国民性とか

魔王「そうか。
  まぁ、良いさ。
  どうせ、君達を殺すも生かすも、お前達の王達の返事次第。
  僕個人としては、あの手紙を破り捨てて、再び君達が戻ってくる事を切に願うよ」

勇者「俺は、お前はもっと厳つい奴だと思って居た」

魔王「厳つい奴?
  ああ、これだろ?」ピラ

勇者「あ、ああ」

魔王「これは鎧だ。
  僕の特注だ、カッコいいだろう?
  あらゆる魔法攻撃を受けつけない。
  お前が束になって掛って来ても、この鎧を着た魔王には勝てない」

勇者「お前は、俺に勝てないとさっき言っただろうが」

魔王「この『生身の状態』でならな。
  鎧さえ来てしまえば、如何と言う事は無い」

勇者「で、俺をここに招き入れた理由は?」

魔王「お前の世界の体勢はどうなっている?
  先程、あの小娘は『国王陛下』と言った。
  僕の記憶が正しければお前達は小国が集まって連合を組み戦っていたはずだが?」

勇者「何時の話をしているんだ、それは?
  お前達が諸国を滅ぼしたから、一番デカくて安全な今の王国に吸収されたんだ」

魔王「ほぉ、成程。
  じゃあ、その吸収された国の国王はどうなったんだ?」

勇者「王国配下の貴族に成った」

魔王「成程、つまり、一つの絶対君主制国家なのか?」

勇者「???」

魔王「お前はほんっとぉぉぉぉに『馬鹿』だな。
  誰か居らぬのか!!」

近衛兵「どうかなさいましたか!?」

魔王「賢者とか言う小娘をここに呼んで来い」

近衛兵「はい、ただいま…」

そっちの体制かよーwwww

無抵抗のスライムを切り殺す勇者△

賢者「お、お呼びでしょうか?」ビクビク

魔王「ああ、そこに座れ」

賢者「あ、勇者様…」

勇者「ああ」

魔王「貴様は人間の癖に随分と利口そうだ。
  貴様に質問が有る」

賢者「は、はい、何でしょうか?」

魔王「ああ、お前の国の政治体制を聞きたい。
  絶対君主制なのか?」

賢者「えっと…
  王様が居て、全て一人で取り仕切ってます」

魔王「それを『絶対君主制』又は『絶対王政』と言うんだ。
  知らないのか?」

賢者「は、はい…
  初めて聞いた言葉ですし…」

魔王(何たることか!
  人間はこれ程までに愚かなのか…)

魔王「まぁ、良い。
  じゃあ、技術を聞きたい。
  前線の報告を見る限り、どうにも、弓矢や魔法しか使わない様だが、火薬の使用は?」

賢者「かやく?」

魔王「硫黄とか木炭とかそう言うの混ぜて作った爆発する粉だ。
  黒い奴」

賢者「ああ、あの不思議な粉の事ですね」

魔王「……我々はこんなアホ共と戦争していたのか。
  お前達、逆によくそれで我々と戦っていたな…」

賢者「あの、えっと…
  逆に聞きますけど、魔界ではどう言う感じなんですか?」

魔王「政治体制は立憲君主制だ。
  いや、形的には一党独裁、いや、一族独裁か?
  兎も角、『魔王』と呼ばれる家系から生まれた者がその国の長だ。
  そして、魔王は個人の思いだけでは国政は出来ん。
  一応、貴族諸侯に国政の是非を批判できるだけの力を持ち合わせて居る。
  この戦争だって、一応、議会を通したんだ。
  反対3、賛成98だったがな」

そういや魔王側も事前に相手方を調べたりしないんだな

賢者(貴族も王様に反論できるなんて……)

魔王「また、目安箱を設置し、国民の意見を聞ける様、配慮もしている。
  ほら、そこの紙が側近達が選んだ物だ」

賢者「は、拝見しても?」

魔王「魔族の字が読めれば読むと良い」

賢者「し、失礼します…」

賢者(『近くの山が崖崩れを起こし、畑が使えなくなったので、どうにかして下さい』
   『代官が徴税を着服している』
   『隣村と諍いが起きそう』
   凄い、これ、全部、国内の問題だ…)

賢者「あ、ありがとうございます……」

魔王「構わん。
  科学技術は、近年、鉄砲を開発した。
  まだまだ、生産かするには時間が掛るがな」

勇者「テッポウ?」

魔王「これだ」ツイ

魔王「火薬が爆ぜて、弾を飛ばす。
  そんな事も知らないのか……
  だったら、前線の師団を半分に減らしてもお釣りが来るではないか!!」

賢者「あの、戦争をする際に、我々の方を調べなかったので?」

魔王「そんな余裕が無かったのだ。
  父上がお亡くなりに成られ、国葬だの、政務の引き継ぎだの、諸侯へのあいさつ回りだの。
  それが済んだら済んだで、お前等人間への不満が噴出。
  だから、取り敢えず、我が国と同等以上の技術と戦力を持っていると仮定して開戦だ。
  開戦から1年は本当は開けたくなかったが、生憎、我が軍の部分的総動員すら発令する前だったんだ。
  どっかのバカが先走って宣戦布告したから、1年の『猶予』と言う事で間が空いた」

賢者「そ、そう言う事だったんですか…」

魔王「まぁ、今は第一級戦時体制で、総動員を掛ければ何時でも1億の兵員を前線に出せる。
  また、1億の敵兵相手に1年は十分に渡り合えるだけの物資も備蓄している。
  だが、それもしなくても十分だ。
  気負い過ぎた、馬鹿馬鹿しい。
  そもそも、よく考えれば、使者を平然と切り捨てる様な屑の集まりにそんな技術が有る筈がないのだ!
  もう、寝て良いぞ、僕は内政で忙しいんだ」

突っ張り稽古やな

 廊下

勇者「賢者、俺には魔王の言って居た事がさっぱりわからないんだが」

賢者「えっと、簡単に言えば、魔王様は我々の事を過大評価し過ぎたと言う事ですね。
  勇者様的に言えば、鼠1匹相手に重装した騎士団を投入するぐらいに馬鹿馬鹿しい、と言う位ですかね?」

勇者「……え?」

賢者「だから、我々は鼠、魔王軍は重装の騎士団、ok?」

勇者「お、ok…
  え、じゃあ、何、俺ってそんなに弱いの?」

賢者「いえ、勇者様は強いです。
  人間の中では一番強いです。
  ですが、魔王からすれば、勇者様一人、本気を出さずとも『殺せる』と言う事です」

勇者「……」

賢者「それに、魔王様を殺せばここで戦争が終わると思って居ました。
  ですが、魔界では『一応』魔王様が国主ですが、『魔王』と言うのは役職で
  何をするにも『議会』で話し合って『決定』するんです。
  勿論、『議会』で却下されればそれは『魔王』はその議題は諦めないといけないんです」

勇者「魔王は、王様なんだろう?」

賢者「はい」

勇者「じゃあ、何で態々『議会』で話し合うんだ?
  魔王が決めれば良いじゃないか」

賢者「だから、それが『決まり』だからですよ」

勇者「???」

賢者(やっぱり、勇者様はアホでいらっしゃるのですね…)

賢者「と、兎も角、今日は寝ましょう。
  帰り道でユックリと説明してあげますから」

勇者「あ、ああ……」

勇者(賢者の言う事は半分も理解できなかった)

勇者(何故、魔王なのに態々、議会で人々の意見を聞くのだ?
  魔王は横暴で横柄で暴虐だと聞かされてきたのは間違いだったのか?)

何度か戦ってるんだから相手の分析くらいしようぜwwww

 翌日

魔王「おはよう、ゴキブリ以下の存在共。
  朝食を食べ終わったら王都まで一気に転移させてやるから、早急に返事を持って来い。
  あと、君達の間抜けな王が頭に乗りやすい様に、前線の戦力を『3分の2減らす』から」

賢者「何故、それを私達に言うのですか?」

魔王「決まってるだろう。
  今、前線に居る軍隊のお蔭で国費の半分を取られているんだ。
  君達みたいな虫けら以下の糞の掃き溜めにあれだけの師団は無駄過ぎる。
  本来なら。10分の1まで減らしたいところだが、一応、君達には軍備の様子を見られてしまったからね。
  950師団残してあとは撤兵だ。
  これで少しは内政が楽に成る…
  僕はまだやらなければならない事が山ほどあるから、失礼させてもらう。
  食事が終わったら、側近が王都まで届けてくれる。
  『良い返事』を期待しておくよ」

魔法使い「何なの、あの凄まじく偉そうな態度!」ギリ

戦士「完全に舐められているな」ギリ

格闘家「あんなモヤシみたいな癖に!」ギリ

賢者「ま、まぁまぁ、落ち着いて!
  朝食を食べたら、王様に報告しましょう!
  ね?」

凄く後味の悪いエンド

なんかどっかで見た事有る様なエンド

普通エンド

の3つが有ります

どれから見たいですか?
>>39

どれも見たいwwww
普通ってのがよく分からないから、普通エンドで

普通→後味悪い→どっかで見た
がいいな

>>39 了解

 数日後

勇者「魔王、久しぶりだな」

魔王「ああ、さっさと返事を聞かせたまえよ。
  それで、君達の愚かな国王陛下はなんていう答えだったんだ?」

勇者「お前の要望を全部呑むそうだ」

魔王「何だ、詰まらん。
  分かった、じゃあ、君達は帰っていいよ」

勇者「ああ、もう会う事は無いだろう」

>>40 なら、それで

 数十年後

賢者(王様は魔王様の停戦条約を全てのみ込み、この長い戦争は終わった。
  両国間には長さ数千キロ、高さは数十キロと言う大きく長い長い鉄のフェンスが作られ
  両国間が互いに『国境』と定めた。
  そして、人間界では絶対君主制に反対する国民が暴動を起こし
  遂に、人間界も、魔界の様に立憲君主制に成った。
  そして、人間界の君主は)

勇者「明日は、魔王との会談か」

賢者(そう、英雄勇者です)

 普通エンド完

次、後味が悪いエンド

 数日後

側近「ま、魔王様、ご報告が…」

魔王「何だ?」

側近「勇者一行が『処刑』されました」

魔王「……は?」

側近「ですから、勇者一行は『処刑』されました」

魔王「何故?」

側近「え~…
  罪状は『魔王に誑かされ、国王に反逆した罪』との事です」

魔王「ふーん……
  で、一応聞くけど、手紙は?」

側近「そ、それが、その……」ツイ

おぉー、全部やってくれるのか、サービスいいねー

ある意味こっちが普通っちゃ普通?

勇者の首

賢者の首

魔法使いの首

戦士の首

格闘家の首

魔王「…君達は本当に馬鹿だなぁ」

側近「して、如何しますか?」

魔王「害虫駆除だ。
  『人間』と言う種族をこの世から消せ。
  僕は王都に帰るぞ、馬鹿馬鹿しい」

側近「はい。
  おい、このゴミを捨てて置け」

近衛兵「はい」

 後味が悪い編完

次、どっかで見た事が有るエンド編

 数日後

賢者「ひ、久しぶりです…」ボロボロ

魔王「?
  何故、この者共はこんなにもボロボロなのだ?」

側近「人間界から亡命して来たのです」

魔王「亡命?」

勇者「あの国王、お前の手紙を見せたら、俺達を国家反逆罪だとか抜かしやがって、殺そうとしてきたんだ!!」ボロボロ

戦士「だから、命からがら逃げて来たのよ!」ボロボロ

格闘家「魔法使いが深手を負ってるの!
   治療して!!」ボロボロ

魔法使い「ハァ…ハァ…」

魔王「仕方あるまい。
  そっきん、手当してやれ」

側近「はい、分かりました」

魔王「して、返事は?」

勇者「そんな物、俺達を見ればわかるだろう!」

魔王「ハハハハ!!
  そうだったな!
  それで、お前達はこれからどうするんだ?
  お前達は人間だから、殺すが、黙って殺されるか?」

賢者「あの、一つ提案が有ります」

魔王「何だ?」

賢者「人間の国を、貴方方が管理するのです」

全員「!?」

魔王「成程、我々がお前達の国王に無条件降伏をさせ、お前達が二度と、バカな事をしない様に
  我々が政治介入すると言う事か」

賢者「はい。
  国王の政治に反発する国民も多いです。
  貴方方から見た人間は馬鹿だったり、ゴキブリだったりするでしょう。
  ですが、全員が全員同じでは無いです」

魔王「ふむ…
  では、取り敢えず、我々は予定通り、王都まで軍を進める。
  その後、降伏勧告をするから、勇者、お前がそれに調印しろ。
  調印式には国王の首を下げて来い。
  それで、僕はお前達『痰』と『痰壺』を管理してやる」

勇者「……分かった」

魔王「側近、全軍進撃開始。
  王都まで攻め込め。
  王は殺すな、勇者が殺す。
  やれやれ、面倒臭い事に成った。
  僕は憲法草案を作らねば成らないから失礼させてもらうぞ」

賢者「魔王様!」

魔王「何だ」

賢者「ありがとうございます!!」

魔王「礼を言われる筋合いはない。
  保守派のアホ共相手に口実も作れるし、こっちとしても利害が一致しただけだ」

 数年後

賢者(あの後、魔王軍は怒涛の勢いで王都まで攻め上り、王宮を取り囲んだ。
  そして、魔王様は約束通り、降伏勧告をし、潜り込んだ勇者様達が王の首を撥ね
  無条件降伏書に調印した。
  こうして、長く続いた魔族と人間との戦争は終結したのだった。
  人間界は魔族の属国と成り、軍備、治安、法律、行政すべてを魔王の指揮下に置かれたが
  王が政治を敷いていた頃よりもずっと良く、初めは反発が有った物の、ものの数年でそれらも息を潜めた。
  世界はこうして、平和に成ったのだ)

 どっかで見た事有るエンド編完

乙、ちなみに>>1はどれが書きたかったの?

此処まで見てくれた人はありがとう

思い付きでやるもんじゃねぇな

書き溜めせずに、勢いで書いたから変な感じだと思うけど、そこは各々でどうにかしてくれ

元ネタは言わずもがな大東亜戦争だよ

確かに太平洋戦争だ

>>51
別にどれでも良かった
個人的に、どっかで(ryが最初に浮かんで、そっから、派生した後味(ryと普通編を思い付いただけ

そっか、乙

確かに思い付きでやるもんじゃなかったな
見れたものじゃ無かった

乙!

書き溜めでやったらもっと面白いものができたんだろうな。>>1の次回作に期待してます

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom