人魚「すぐに立ち去りなさい」 (35)

男「まさか家の近くにこんな開けた場所があるなんて......」

男「綺麗な湖だ。歩いてみると見つかるもんだなあ」









??「...人間...?」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446904202

男「しかしあまりにも澄んだ水には魚は住めないんだっけ?見たところなにも......」

人魚「脆弱な人間よ、今すぐここから立ち去りなさい」

男「......おわっ!!人が湖から!」

人魚「立ち去りなさい、と言ったのです。貴方の居て良い場所ではない」

男「い、いきなり人に話しかけてなんですかその対応は。名前くらい名乗るのが礼儀でしょうに」

人魚「......私はこの湖に棲む人魚。これでいいですか」

人魚「分かったなら速やかに立ち去りなさい、これは警告です」

男「......もし無視してまた来ちゃうような事があれば?」

人魚「食べます」

男「以外に雑食ですか」

人魚「いや、別にそういう訳では......ともかく、立ち去りなさい!」

男「くっ......また来ます!」











人魚「......嫌な事を思い出しますね......」

男「また来ましたよ」

人魚「......警告、したではないですか」

男「食べられちゃうんですか?」

人魚「はぁ......なんだか貴方の表情に毒気を抜かれました」

男「それはどうも」

人魚「褒めてませんが......で、何の用です」

男「話相手になって欲しくて」

人魚「......変な人ですね本当に。こんな化け物を捕まえて話を聞いてくれですか」

男「でも、なんだか寂しそうな表情してましたよ」

人魚「誰が」

男「人魚さんが」






人魚「ハッ、馬鹿な事を」

人魚「人間風情が私の何を分かるというのです!」

男「気に障ったならすいません......」

人魚「......」

男「......」

人魚「ふん、あまり私の機嫌を損ねない事です。食べますよ」

男「......気を遣ってくれたんですか」

人魚「何のことだか」




男は来る日も来る日も湖に足繁く通うようになった

男「また来ましたよ」

人魚「......」

男「おっ、今度は無視ですか」

人魚「......」

男「でも話し続けるのは結構得意なんです。昨日は────────」

人魚「......」

男「─────────っと、もうこんな時間だ」

人魚「......」

男「今日のところはもう帰ります。ではまた」

人魚「......」













男「こんにちは」

人魚「......」

男「流石にもう無言には慣れましたよ。でも絶対諦めません」

人魚「......」

男「いやー、今朝なんですけど─────────」

人魚「......」

男「───────と、きりもいいですし今日はこの辺で。」

人魚「......」

男「人魚さん、ではまた」

人魚「......また」

男「......!ええ、また来ます」









人魚「......ふふっ。変な人」

人魚「......」ソワソワ

人魚「......今日は遅いです」

人魚「......」ソワソワ

人魚「......」













人魚「......何かあったんでしょうか」







人魚「......!」

男「こんにちは」

人魚「......独り言です」

人魚「例えば明日急に眠れなくなったら......いつもしてる事が出来なくなると......」

人魚「その......不安になります。私は人魚ですからその気になれば人間に擬態出来ますし」

人魚「風邪を引いたりしたなら家を教えて頂ければ看病ぐらいしますから」

人魚「だから何か言って欲しい......という独り言です」

男「......人魚さん!」ギュッ

人魚「きゃっ」

男「あっごめんつい......すぐ離れるね」

人魚「い、いえ、その、嫌ではないので」ギュウウ




ちょっとデレるの早すぎた 反省

図書館

男「久しぶり」

女「あ、男君!お久しぶりです!」

男「やっぱりここに就職したんだね」

女「ええ、都会の雑踏はどうにも合わなくて......」

女「この狭い図書館が、昔から一番居心地が良い事に気付いたので」

男「そっか......うん、悪い意味じゃなく君に合ってると思う。やっぱり人生やりたい事やるのが一番だね」

女「......男君は、これからどうするんですか?もし、よければここで」

男「ありがとう。でも遠慮しとく。僕もこの片田舎で自分のやりたい事を探すよ」

女「そうですか......気が変わったら、いつでもまた言って下さいね」



女「それで、今日はどんな用件で?」

男「ああ、えっと......この辺の伝承とかそういう文献、ないかな」

女「伝承......ですか。どのような?」

男「......」

男「......妖怪、みたいな」

女「妖怪......?」

男「魚......とか」

女「相変わらず男さんは不思議な人です......」


女「該当するの、少しですけどありましたよ」

男「あったの!?正直ダメ元だったんだけど......ありがとう」

女「いえいえ。ではごゆっくり」

男「......」



『続報 人語を介し人間を騙す事も 童女を見つけたら注意』

『人魚の生き血を騙り水を販売 男を孤島の牢へ』

『山海経 女媧のような化け物目撃 ○×湖にて 情報求』

『湖の化け物 里の英雄によって退治される 深く湖の底へ沈む』

『湖から引き上げられるも、抵抗の末逃亡 失踪した模様 情報求』



男「これ、全部明治の文献か......よく現存してるなあ」

男「順番がバラバラだけど、大体内容は......昔も今も人間の考える事は変わらない」

男「というか、これは───────!!」

人魚「なんです来るなりいきなり土下座して!よく分かりませんが顔を上げてください!」

男「ごめん────!謝って済むような事じゃないけど、本当にごめん!」

人魚「えぇ......何の話です一体」

男「......人魚さんの事、色々調べたんだ。その......昔の事も」

男「人間の事が恐いし、憎いと思う。それなのに、僕は初対面であんなに無遠慮に......」

男「......望むなら、僕を殺してくれて構わない。けど、けどどうか人間という種族を憎まないでやって欲しい」

男「弱い人も、優しい人だって居るんだ!だから────────」

人魚「落ち着きなさい」ベシッ

男「うお尻尾が!」



人魚「......別にもうそんなに恨んでるわけじゃありません。昔の話です」

人魚「それに貴方のような優しい人も居るので、ね」

男「人魚さん......人魚さん!」ギュウウウ

人魚「わわっ、すぐ抱き付くの嫌じゃないとは言いましたけど恥ずかしくないわけじゃないんですよ!」

人魚「ただ......その......情けない話ですが、生き血を飲むと不死に、みたいな根も葉もない嘘を信じて」

人魚「結構何回も武器を持って襲われたので......まだちょっと恐いです(小声)」

男「次からは僕が護るよ」

人魚「......何故でしょう、その言葉だけで救われた気分です。ありがとう」



人魚「でも、私みたいな化け物にこんな親身になってくれる人は初めてです」

男「人魚さんは化け物なんかじゃない。とっても綺麗だし」

人魚「ふふっ。なんですかそれ」

男「......うん、やっぱり人魚さんは笑顔の方がかわいいよ」

人魚「え、あ、ありがとうございます......」

男「ずっと近くで笑ってて欲しい。僕と付き合ってください」

人魚「......私、人魚ですよ」

男「知ってる。とってもかわいいよ」

人魚「......私、人間の常識に疎いですよ」

男「これから学んでいけばいい」

人魚「......浮気したら食べちゃいますよ」

男「もう君しか見えてない」

人魚「......後で後悔しても知りませんよ♪」ギュウウウ

男「人魚さん!......oh、二つの膨らみががが」

明治から生きてて見た目が若いってことは寿命が長いってことか
男の方が先に死んで取り残されるBADENDにしかならないな

☆対面

女「男さんこんにち......!?」

男「紹介するよ、僕の恋人になったにn......黒さん」

黒(人魚)「始めまして、男さんの恋人の黒です」

女「」

女(片想い中の男の子が私と一緒に田舎に戻ってきてライバルも居なくなったと思ったら恋人連れてきてるうううう)

女「え、えっとお......男さんとはいつ頃からの付き合いで?」

黒「つい最近でして......すいません、少し耳を」

女「......?」

黒「まだ男さんの事、好きなんですか?」ボソッ

女「────────!まだ可能性は潰えていない!負けませんよ!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

黒「ふふふ......望むところです」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



☆ごまかせればよかった

人魚「なんで黒なんですか?」

男「人魚さん、黒髪が綺麗だから」

人魚「......あ、そういえば私黒かったんでしたっけ」

男「えっ」

人魚「水中だと薄い青に見えるんですよ、これ」

男「こんなにハッキリした黒髪なのに.....不思議な髪だ」

☆ご飯

男「人魚さん、オムレツ作りますけど卵食べられますか」

人魚「基本何でも食べられるので大丈夫ですよー。お気遣いなく」

男「基本?」

人魚「......軟体動物が生理的に苦手なのです。なんかこう、うねうねっとしてて」ブルッ

男(かわいいけどちょっと意外だ)

☆飲み物

男「人魚さん、飲み物の好みは」

人魚「相当昔に一度だけ飲ませていただいた『抹茶』というものがすごく好みでした」

男「抹茶かあ......じゃ次買ってくるよ」

人魚「手間の掛かるものですいませんすいません......」

男「いえいえ。人魚さんの笑顔が見れるならやすいやすい」

人魚「......そういうの、ズルイです」

男(かわいい)

☆明治って事は...

男「随分前にって事は、人魚さんは今何歳なの?」

人魚「......」ビターン、ビターン

男「僕が悪かったから尻尾の素振りするのやめてもらっていいですか」

>>20

☆真面目な話

男「あんまりこういう話はしたくないけどさ、やっぱり先に死ぬのは僕だと思う」

人魚「......いいんです。私の一生のうち男さんと一緒に過ごせるのはほんの少し」

人魚「貴方が死んでしまっても私の心の中に貴方が生きてる限り、本当の意味での死は永遠に来ない」

人魚「このかけがえのない『今』の想い出があれば私は生きていけますから」

人魚「だから、ね?涙を拭いてください。今は全力で『今』を楽しみましょう」

男「ごめん......っ.....人魚さんは強いね、僕なんかよりずっと......」

人魚「年の功、とでもいいましょうか。ふふふ」


まーた30もいかないうちにネタ切れ......思い付きでスレ建てるとこういう事になるぞよ
前もおんなじようなスレ建てました 時間がある時にでもどうぞ
男「無口な彼女」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443442006/)

☆湖底探検

男「今日は潜水ヘルメットと水着なんだ。人魚さんの見ている景色を一緒に見たいなと思って」

人魚「男さん......!」

男「よいしょっと......ヘルメット付けてるとはいえ、ちょっと勇気が要るね」

人魚「手をつないで、せーので行きましょう。はい、せーの!」

ドボンッ

ブクブクブク......


男「わあ──────────!この湖、こんなに綺麗なんだ!」

人魚「でしょうでしょう。私にとってはここがたった一つの家で帰る場所」

人魚「さあ、湖とはいえ結構広いんです。海底ならぬ湖底探検といきましょー」



☆イメージは初代KHのアトランティカ

人魚「まずはこのでっかい岩」

男「丁度窪みにはまってる感じだね」

人魚「これをこう......」ゴゴゴゴゴ

男「あっ意外と簡単に動くんだ」

人魚「見た目ほど重くないんです......あっほらおもちゃの王冠がはさまってますよ」

男「ぼくなつみたいに見つけると体力増えたり」

人魚「......?」

男「ごめんなんでもない」


※ぼ○のなつやすみ4には水中におもちゃの王冠があって見つけると水中滞在時間が増えていく(息が長く続く)システムがあった
ぶっちゃけ4に限ってはゲーム本編より王冠集めと50円ゲームの方が面白かったのは>>1だけか

☆ご近所さん

人魚「この岩には湖の漂流物が流れてくるので時々こうやって......あ、こんにちは」

男「......おお魚だ。この湖、魚居たんだ」

人魚「あ、すいません。あちら側に用でしたら、ええ、昨日のアレ取ってきてもらえませんか?後で伺います」

男「いやでも人魚さんも魚っちゃ魚だしなあ......でも妖怪とかそっち寄りか」

人魚「本当すいません。どうもー!......さて、行きましょうか」

男「いや、何事もなかったかのように......魚とは会話出来るんだ」

人魚「最初は何も分からなかったんですけど暮らしてたら慣れました」

男「慣れとかあるんだ......魚の方一言も喋ってなかったように見えたけど」

人魚「喋れませんよ。私と違って普通に魚ですから。でもご近所さんだし意思の疎通はもう全然問題ないです」

男「湖でもご近所付き合いとかあるんだ......結構大変なんだね」

人魚「そうでもないですよー。人間で例えればいきなり外国で暮らすようなものですし、慣れればどうとでも」

☆湖入ってからずっと気になってた

男「この湖、地上から考えられないくらい深いしもう中は海みたいになってるけどさ」

人魚「そうでしょうか......長く住んでると感覚が麻痺してどうも」

男「......この珊瑚みたいなの、刺さったりしない?」

人魚「めっちゃ刺さります」

男「やっぱり」

人魚「素足でかなり大きい画鋲踏んだ、くらい痛いと思っていただければ」

男「いやにリアルだ......」

☆終えてみて

男「凄く楽しかったよ!人魚さんは普段こんな景色を見ていたんだね」

人魚「それならよかったです」

男「ただ珊瑚は痛そうだった。すっごい尖ってたもんアレ」

人魚「めっちゃ痛いです」

男「やっぱり」

☆二日遅れですが

男「今日はポッキーの日、なんだってさ」

人魚「ポッキー......?」

男「はい人魚さん、このお菓子咥えて」

人魚「......?」パクッ

男「......」パクッ

人魚「え」

男「......」カリカリカリ

人魚「え、ちょ......わわわ」カアアアアアアアアア

ベキッ

男「惜しい」

人魚「えっ、ええ、なんなんです一体!?」


このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom