サンタ VS サタン ~ 猛き童貞、聖夜に果つ ~ (22)


悪魔っ娘「なんでも一つだけ」

サンタ「願いを叶えてやろう」

男「なんでもって言った……?」

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悪魔っ娘「そう、なんでもいいよ。金でも権力でも、女でも好きな物を望んでよ」

サンタ「ただし、ワシとこの悪魔のどちらに頼むかはお主しだいじゃ」

男「何か違いはあるの?」

悪魔っ娘「そりゃもちろん。ボクは、願いの代償にキミの魂をもらうけど―――」

サンタ「ほっほっほ、その点、ワシは無償じゃぞ? どうじゃ、ワシに願いたくなったろう」


男「た、たしかに……サンタさんのほうが良いかな」

悪魔っ娘「待って! 騙されちゃだめだよ! 簡単に言うとサンタのは無料サービス。ボクのは有償サービスだ」

サンタ「チッ」

悪魔っ娘「当然、ボクの叶える願いの方が質も量も上なんだ」

悪魔っ娘「金を望めば、より多く。快楽を望めば、より高いサービスを提供できるよ」


男「でも、魂とられると死んじゃうんでしょ?」

悪魔っ娘「まあ、普通はそうなんだけどキ男くんの場合は大サービス。魂の支払いは、死後で構わないよ」

サンタ「よしたほうがいい。死後とは言え魂を取られると輪廻転生できなくなってしまうぞ」

男「う~ん、輪廻転生はどうでもいいんだけど……ところで、どうして二人は俺のところに?」

男「俺は悪魔召喚もしてないし、サンタさんにお手紙も書いてないよ」


悪魔っ娘「それはね、男くんがすごい人間だからさ!」

男「ただの、平サラリーマンがスゴイ?」

サンタ「上の世界ではの、お主は世界を3度救った男として知られておる」

男「金魚だってまともに救えたことないのに」

サンタ「直接的にはそうかもしれん。だが、お主が日常の中で選んだ行動は、巡り巡って世界を救っているのじゃ」


悪魔っ娘「バタフライエフェクトってやつだね。どうやら、キミは世界を救う星の下に生まれたようだ」

悪魔っ娘「そんなすごい奴だからこそ。僕は、キミの魂にツバをつけに来たってわけ」

サンタ「ワシのほうは、世界を救ったいい子のお主にプレゼントを持ってきたわけじゃ」

男「まさか、うだつの上がらない俺が世界の救世主だったとは。でも、世界ってそんなに何度も滅びかけてるの?」

悪魔っ娘「そりゃあね。この国にしたって、少子高齢化が進んでるからね。いつか滅ぶよ」


悪魔っ娘「そうしたら、東アジアの情勢も変わってくる。情勢が変われば、争いが起きる」

サンタ「世界は、滅びの種を山ほど有しておるのじゃよ」

男「少子高齢化ねえ。イブは、性の6時間ってのよく聞くけど」

サンタ「たった一日だけ増えても、どうにもならんよ」

男「そうなんだ……世知辛いなぁ」


男「ちなみに何だけど、両方に願いを叶えてもらうってのはダメ?」

悪魔っ娘「ボクは構わないけど」

サンタ「悪魔に魂を売るような悪い子には、プレゼントは渡せんの」

悪魔っ娘「ってわけ。要はサンタはケチなんだよ」

サンタ「あん?」


男「うーん、そもそも金にも権力にも興味はないんだよなあ」

悪魔っ娘「……へぇ。つまり、女には興味があるんだぁ~」

悪魔っ娘「もし望むなら、ボクのこと好きにしていいよ?」

男「!?」ゾクゾク

悪魔っ娘「イヤなの?」


男「いやいやいや、嫌なわけない。そもそも俺は、キミのような中世的な顔立ちが大好きだ。ショートカットなのがなお良い。更に、その悪魔でありながら露出を控えたゴシック調の男装。初めてキミを目にしたとき、あまりの完成度の高さに俺は声を失ったほどだ。筆舌尽くしがたいとは、このことを言うのだと思い知ったよ。その服に、可愛らしい角、小さな羽、跳ねた尻尾とくれば、一見すると安っぽいコスプレのように思われるかもしれない。現にハロウィンの時、そういう輩を見た覚えがある。しかし、それをキミが纏うと―――」

悪魔っ娘「ま、待って。わかった、わかったから!」

サンタ「ほう、そういう方面のほうが好みなのか。じゃあ、変身っと」ボワン


ミニスカ巨乳金髪サンタ「こういうのなら、どうじゃ?」

男「へ、変身した!?」

ミニスカサンタ「どうじゃ、ワシに願いたくなったろう?」

悪魔っ娘「騙されないで男くん! あんな姿でも中身はジジイだよ!」

男「え? そ、そうか、そうだよな……中身はシワクチャのじじいなんだ、あんなの抱けるわけが―――」


ミニスカサンタ「お主の、下腹部はそうは言っておらんようじゃが」

男「なっ!?」ギンギン

男「どういうつもりだ、息子よ!? はっ! そうか、そういうことか! 俺はよく、幼女趣味と思われがちだが実のところ豊満なお姉さんも大好きなんだ。あの、ふくよかな胸部に包み込まれることを一体、誰が拒めよう。だが、俺の目の前にいるミニスカサンタはそれだけに留まらない。一見、デメリットにも見える中身ジジイ説は背徳感が増したことによって、むしろ俺を興奮させるに至ったのだ。さらに、口調が変わらないことによって只のミニスカサンタにロリババア的要素が加わって―――」


悪魔っ娘「男くん落ち着いて!」

男「はぁはぁ……ごめん。取り乱してしまった」

ミニスカサンタ「それで、どちらにするか決めたかの?」

男「ぐぬぬ……」

悪魔っ娘「ボクとイイことしよっ?」

ミニスカサンタ「ワシとイケないことしよう?」


男「ぐああああああああああああ!!!」

男「」

男「―――決めました。ミニスカサンタさんっ! よろしくお願いします」

ミニスカサンタ「よっしゃあああ!」グッ

悪魔っ娘「な、何故?」


男「極めて僅差でした。悪魔っ娘さんも実に素晴らしいのですが、本日がクリスマスイブであることが勝敗をわける結果となったのです。クリスマスイブにミニスカサンタ、世にあり触れた組み合わせであるものの、その存在は極めて―――」

悪魔っ娘「わかった、わかったから……残念だけど今日は退くよ」

悪魔っ娘「でも、諦めたわけじゃないからね。せいぜい今後も世界を救って、その魂の価値をあげておいて」


男「任せておけ」

悪魔っ娘「くそジジイめ覚えてろよ!」

ミニスカサンタ「早う去ね去ね」

男「では、サンタさん……」

ミニスカサンタ「うむ、かかってきなさい」

男「うひょーーーメリークリスマス!」

~~~

悪魔っ娘「ちくしょうっ、中身ジジイにそんな魅力があったとは思いもしなかったよ」

悪魔っ娘「でも、せっかく現世に来たのに手ぶらで帰るのもなんだなあ。んー、適当に魂を狩ってくか」

悪魔っ娘「お、丁度よく陰気な学生発見!」

学生「うわあ! 悪魔っ娘だ!」

悪魔っ娘「はいはい。面倒は省いて、本題に入るね。魂を代償に、ボクが何でも願いを叶えてあげるよ」


学生「そそそそれじゃあ、世界中の女性の性欲を100倍にして! そうしたら、僕を含め陰キャ達がイブを一人で過ごすこともなくなるぞ!」

悪魔っ娘「いいよ、ちちんぷいっ。はい、これで願いは叶ったよ」

学生「やった! 早速、同じクラスのあの娘を呼び出して―――」

悪魔っ娘「じゃあ、魂はもらうね」

学生「あ―――」バタン


悪魔っ娘「はい、さよならっと」

悪魔っ娘「あれ? 男くんの魂の価値が上がってる」

悪魔っ娘「彼、また世界を救う選択でもしたのかな?」

おわり

メリークリスマス!

こっちもよろしくお願いします。

男「やった! ミニスカサンタの召喚に成功したぞ!!!」
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