島津豊久「ほうかごていたいむ?」 (41)



『ドリフターズ』×『けいおん!』


・マイペースに書きます
・書くの久しぶりだけど頑張ります

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オルテ帝国 議場跡地


澪「は、ははは……はい……そのバンドでベースを担当していました……」コロサナイデシニタクナイ

豊久「ていたいむか、ていたいむ」

豊久「……とは何ぞ、信?」

信長「知らね。与一」

与一「私もワカンナーイ」

サンジェルミ「」パクパク

信長「お? オカマ知ってんのかこのお嬢ちゃん」

サンジェルミ「……トヨちゃんアナタこの子何処から拾ってきたの」

豊久「城市ん外じゃ。泣きながら悪そうな面ばしとった男共に引っ張られおっててのう」

豊久「そやつら撫で斬りばして連れてきた」フンスッ

澪「首が……首がスパッて……ははは……」ミエナイキコエナイ

信長「ふーん、奴隷商人の類かねぇ。徴兵に徴兵を重ねたせいでこの国には人がいない。人がいなければ人は高く売れる。これは何処も一緒じゃあな」

与一「悪そうな面って、豊サン人のこと言えないでしょ」アハハハ

信長「つーかお豊よ、おみゃー何で城の外ほっつき歩いてんだよ。つい先日大怪我して包帯グルグル巻きだっただろ動けてんのが不思議なくらいなんだけど」

豊久「身体ば動かさにゃすぐに鈍る」

与一「うーんこの死にたがり」

信長「バカは死ななきゃ直らない」

豊久「誰がバカぞ誰が」

サンジェルミ「全員おだまりっ!!! 話が進まないっ!!!」

サンジェルミ「アナタ、もう一度自分が何者なのか言ってもらえるかしら?」

澪「ひっ! は、はい……」

澪「わ、私の名前は秋山澪です。桜が丘女子高校の三年生で軽音部……放課後ティータイムってバンドのメンバーをしてます……」

サンジェルミ「アナタは何故自分がココにいるのか分かる?」

澪「……っ!」

澪「……『分からない』です。学校の帰りに……部の皆と少し寄り道してから帰ろうってことになって……街のデパートに行こうとしたんですけど、その途中の横断歩道で赤信号なのにトラックが猛スピードで私達に突っ込んで……きて……」

澪「そしたらいつの間にか沢山のドアが並んだ通路に立ってて、そこに男の人がいて……それからはよく覚えてません……」

サンジェルミ「……」

サンジェルミ「ねえ、もしかして……」

豊久「女子高校って何ぞ」

信長「軽音部って何ぞ」

与一「バンドってデパートってトラックって何ぞ」

サンジェルミ「あーもう話が進まないったらありゃしない!!!」キーッ!!!

サンジェルミ「かくかくしかじか」

豊久「分からん」

信長「要は俺らよりも遥か未来の日本から来たんだな? 身なりからして、随分と西洋に被れたようであるが」シッテタ

与一「なるほど小奇麗にされてますねぇ。よほど身分の高い方なのか、それともよほど未来の日本は平和なのか……」

澪「あ、あの……皆さんはいったい……?」

豊久「おいか。俺は島津家光が息子、島津豊久じゃ」

信長「オッスオラ織田信長」

与一「那須資隆与一に御座います。ねーねー、未来の日本では私より私が使ってた弓の方が有名ってホント?」

サンジェルミ「サン・ジェルマン伯爵。現在進行形で売国奴やってるわ」

澪「は……え?」グルグル

澪「……きゅう」バタッ

信長「アッ気絶した!」

与一「無理も有りませんね。この子どうみても一般人ですよ」ミンナカオコワイシ

豊久「『おるみぬ』ば呼んでこん女子の世話ばさせい」

サンジェルミ「……」

信長「おーいオカマーさっきから難しいして何考えてんだー」

サンジェルミ「少し、ね」

サンジェルミ「(『秋山澪』……あの子は『何者』? 『漂流者』? 『廃棄物』?)」

サンジェルミ「(だってあの子は……)」

とりあえずここで一区切り

どちらか、またはどちらも分からない人の為に次である程度説明を入れるつもりです

澪「うーん……うーん……怖い顔したオジサンがショットガンとビーム撃ちながら高笑いしてるよぉ……」

澪「……う、ん? ここは……?」パチリ

オルミーヌ「あっ、気が付きましたか。ここは場内の寝所ですよ」

オルミーヌ「お腹空いてます? 簡単なスープとかでも良ければお出し出来ますけど」

澪「あ、あの、あなたは……」

オルミーヌ「私は魔道結社十月機関の魔術師、オルミーヌと言います。主な役目は『漂流者』の監視を務めていますね」

オルミーヌ「あ、『漂流者』ってのは別の世界からこの世界に来た『意思ある者』のことを指します」

澪「……その、えっと」

オルミーヌ「つ、ついていけてますかね?」

澪「な、何とか……ハイ……」

オルミーヌ「そうですね……まぁぶっちゃけて言えば、あなたもその『漂流者』です、多分。元居た自分の世界から、この異世界へと呼ばれてしまった人」

オルミーヌ「さっき、豊久サン達と会いましたよね? 彼らもまた『漂流者』ですよ」

澪「……てことは、あの人達みんな『本物』の……?」

オルミーヌ「本物? ……ああ、『本物』ですよ?」

澪「」ポカーン

オルミーヌ「……この世界は今、『廃棄物』達の驚異に曝されています」

オルミーヌ「『廃棄物』もまた、『漂流者』と同じように別世界からこちらの世界に飛ばされてきた者達です。しかし、その実態は『人ならざる悪しき者達』……」

オルミーヌ「現状、『廃棄物』に対抗出来る力を持っているのは『漂流者』以外に有り得ません。ですから私は、我々魔道結社十月機関は『漂流者』達の存在を見極め、『廃棄物』達に対抗させるべく暗躍しているのです」ドヤァ

澪「」ポカーン

オルミーヌ「つ、ついていけてますかね?」

澪「そ、そろそろ限界かも……」プシュー

オルミーヌ「ス、スープ……飲みますか?」

信長「どーよ、与一。あのお嬢ちゃんの様子は」

与一「オルミーヌさんと一緒にご飯食べてますヨーご飯」

与一「紛れ込んだ『廃棄物』である可能性も考えて、部屋の裏からコッソリ殺気飛ばしてみたりもしたんですけど何の反応も無い。ありゃ本当に普通の人ですね」

サンジェルミ「……分からないわねぇ」

信長「だーかーらー何がだよオカマ。さっきから一人でウンウン言いやがってウンコかウンコなのか」

サンジェルミ「誰がウンコするかッ! 乙女はウンコなんてしないのよッ!」

サンジェルミ「私が分からないのはね、彼女の存在そのものなのよ」

信長「……どーいう意味だ?」

サンジェルミ「彼女、人間じゃないわよ」

与一「……人じゃあない? 『廃棄物』ってこと?」

サンジェルミ「違うわね。正確に言えば人であって人で非ず」

サンジェルミ「彼女……『架空の人間』よ」

信長「……!」

与一「……」

信長「あー、お豊じゃねぇけどよぉ……何言ってるかさっぱり分からんのじゃが」ヨボヨボ

与一「信長おじいちゃんにも分かるようにお願いします」キリッ

サンジェルミ「んもう、本当に本当に話が進まない……いい? 彼女は本当は生きてはいないの! 想像、架空、偽物、つまりお伽話の物語の中の人間なのよ!」

サンジェルミ「それが何の因果か、私達と同じようにこの世界に確かに存在しているわ。呼吸もするし、食事だってする、普通の人と何ら変わりない存在としてね」

信長「お伽話、ねぇ」

与一「あはは、すげい。これまた現実味の無い話だ。もっとも、この現状こそ現実味の無い話ではあるけど」

サンジェルミ「笑い事じゃーないわよ、ったくもう。こんな『漂流者』、前例が無いわ前例が」

サンジェルミ「それに……私の考えが正しければ、彼女と同じような『漂流者』か『廃棄物』が、あと4,5人は出てくるハズね」

信長「何故にそう言い切れる」

サンジェルミ「そのお伽話の登場人物は彼女一人だけじゃないってことよ」

澪「ご馳走様でした、美味しかったです」

オルミーヌ「お粗末さまでした。疲れてるでしょうから今日はこのままこの部屋を使って休んでください。何かあればこの水晶に話しかけてくれればお話出来ますので」

澪「あ、ありがとうございます」

澪「(綺麗だ……)」

豊久「おるみぬ」ヌッ

澪「ひぃっ!?」ビクゥッ!

オルミーヌ「と、豊久サン……なに?」

豊久「腹ば空いた。メシ。『すうぷ』の良か匂いちした」

オルミーヌ「犬かアンタは。分かりました分かりましたから、この部屋から出てく! 怖がっちゃってるじゃないですか!」グイグイ

澪「」アワワワワ

豊久「俺は何もしちょらん」

オルミーヌ「豊サンのファーストインプレッションが妖怪首置いてけとか年頃の女の子にはキツすぎるんですよ、ほら!」

豊久「あ、ちくと待ち」スタスタ

豊久「おう」

澪「な、な、な、何か……?」

豊久「こん三味線はおまあのか? 変な形ばしとるがのう」スッ

澪「あ」

澪「あーーーーーッ!!! 私のエリザベス!!!」

豊久「お前を助けた場所の近くに転がっとった」

澪「……ありがとうございます。これは、エリザベスは大切な、大切な私のベースなんです」

豊久「ほうか。良かったの」スタスタ

澪「……」

澪「あ、あのっ! 他に、他にも誰か居ませんでしたか!?」

豊久「誰か?」

澪「……私の世界でトラックに轢かれた後……私達は『五人』であの長い長い通路に立っていたんです!」

澪「だ、だから、もしかしたら私以外にあと『四人』……この世界に来ているのかもしれないと思って」

オルミーヌ「四人……」

豊久「いや、主とその三味線以外にゃ何も見んかった」

澪「そう……ですか……」

オルミーヌ「ま、まぁ焦ることは無いですよ」

オルミーヌ「恐らくその方々も『漂流者』となってるでしょうし、であるならば我々十月機関が総力を挙げて搜索にあたりますから」

オルミーヌ「澪サン……でしたね。きっと澪サンの友達とこの世界でも会えますよッ」

澪「はい……」グスッ

豊久「……」

豊久「おるみぬ、メシ」グゥ

オルミーヌ「空気を読めぇ!!!」

翌日


澪「……」

澪「……夢、じゃなかったな。うん」

澪「ちょっと怖くて変な夢だったけど、起きて目が覚めたらそこはいつも通りの私の部屋で律と一緒に学校へ行って……」

与一「オッハヨー未来の日本の人。元気デスカー」ヒラヒラ

澪「なんてことはなかった。あはは……」

与一「早速で悪いんだけどさ、信サンが呼んでるんだ。一緒に来てくれる?」

澪「信……織田信長……?」

与一「うん、織田信長。あのおっかないヒゲ眼帯」

澪「ひぃいぃぃ……な、なんで私が……」ブルブル

与一「そう怯えなくったっていいよ。オルミーヌさんから僕らのこと色々聞いてるでしょ?」

与一「望む望まざるに関わらず、君は僕らの『お仲間』になってしまったんだ。だったら君の扱いをどうするかこれから考えなきゃね」ニコリ

信長「おーう澪とやら、昨晩はよく眠れたかのう?」

澪「は、はひっ……」ガクガク

信長「……」

信長「与一、ワシ何かしたっけ?」

与一「後世に伝えられてる信サンはねー、そりゃあもう悪鬼羅刹阿修羅の如くらしいからね」
オドリダイスキ サツリクダイスキ ホトトギスコロシマクリ ブルァブルァ

信長「なんたる風評被害ッ」ホトトギスッテナニ

信長「……澪、そう構えんでよい。何もお主にどーこーするつもりは無い」

信長「ちいとばかりな、聞いておきたくてな」

澪「は、はぁ……」

信長「俺らは今、大きな大きな戦争を始めようとしてる」

信長「国奪りじゃ。この世の支配を賭けた大戦じゃ」ヌヒッ

澪「」ゴクッ

信長「だから我々は戦力が欲しいッ! いくらでも欲しいッ! もんの凄く欲しいッ!」バッ

信長「そ、こ、で、だ」

信長「お主は何が出来る?」

澪「わっ……私っ!!?」

澪「ま、待ってくださいっ! なんで私なんかが……いやそうじゃなくて!」

澪「私は、私の元居た世界に帰りたいです! せ、戦争なんて……そんな……」

信長「……帰るだぁ?」

与一「あ」

信長「……」

信長「元の世界に帰るとか、そんなん一回も考えたことなかったな俺ら……」

与一「流れ流されてここまで来たよねぇ」

澪「えええ……」

澪「……の、信長さんも与一さんも帰りたくならないんですか? 自分の元居たところに……」

信長「ならん。今はコッチが面白い」

与一「同感」

信長「だいたいよー、もし俺戻ったらまた本能寺の丸焼き大脱出大作戦だぞ。キンカ頭なんぞにおめおめ殺されてやるつもりは毛頭無いが、そっから天下取り直すにどんだけ掛かるか分かんねーもん。もう五十路超えとるんじゃ俺ァ」

信長「……それに、王やんのはもう飽きた。その資格も持ち合わせ取らん」

与一「……」

澪「……?」

信長「俺はこの世界で天下取る。豊久を王にし、俺が成し得なかった夢を掴ませる。その為なら何だってする」

信長「澪よ。お主も選ぶが良い」

信長「元の世に戻れぬ理不尽を嘆きこの世界で朽ち果てるか、理不尽に抗い戦って戦って戦い抜いて生き続けるか」

信長「どうするよ?」

澪「……元の世界に……戻る方法は無いんですか?」

信長「もとより知らぬ。有るやもしれぬし、無いやもしれぬ」

澪「……」

信長「……」

信長「ま、今日のところはよい。『漂流者』とはいえ、女子には辛い選択だろうな」

信長「その気になったら来るがいい。『我ら』はいつでも歓迎するぞ」

澪「……」コクッ

澪「……」スタスタ

与一「ズルいね、信サンは」

与一「あの子の『逃げ道』全部潰しちゃった。それでいて自分ならそれをなんとかしてやれるという『希望』を目の前にぶら下げた。あとは時間の問題だ」

信長「人を誑かすなんてのはこの第六天魔王様の十八番よ」

与一「そんなにあの子が欲しい?」

信長「ああ欲しいねぇ。あやつの頭の中身がな」ニタァ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年10月30日 (火) 10:48:51   ID: IFbc4qgT

言ってもしょうがないが続きめっちゃくちゃ気になるなこれ

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