モバP「だりやすかれんとセーラー服と……」 (81)



―――駅前・ファストフード店


がやがや……


加蓮「~♪」モグモグ


加蓮「うーん、やっぱりフライドポテトさいこー♪」

「はむっ……お前、ほんとこういうとこ好きだよなー」

加蓮「だって美味しいし♪」

「や、まぁ不味くはないけどさ」

加蓮「あと体に悪そうなのもポイント!」

「……それは分かんねぇ」モグモグ

加蓮「ふふ。……こういうの、憧れだったしね」ボソ

「え? なんか言った?」

加蓮「ううん、なんでも。いつか話すよ――奈緒にも、ね」


奈緒「はぁ……? たまに謎だよな、加蓮って」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446367298

加蓮「ほら、だって加蓮ちゃん、アイドルだし?」ドヤ

奈緒「秘密のひとつやふたつあるって? そうなんだろうけどドヤ顔やめろ腹立つ」

加蓮「奈緒もウチにおいでよー、歓迎するよ?」

奈緒「なっ、……あたしがアイドルなんてできるわけないだろ!!」

加蓮「ちょ、大声出さないでよっ、バレるバレる!」

奈緒「うわわっ、ご、ごめんっ」

加蓮「あはは……奈緒ってば顔真っ赤~♪」

奈緒「お、ま、え、の、せいだろ!」

加蓮「ふふっ♪ ……でも、ほんとにアイドルになる気ない? 何度か見学にも来たのに」

奈緒「うぐ、……ちょっとは興味あるけどさ」

加蓮「なら……」

奈緒「でもっ。そっちだって後輩できたばっかなんだろ?」

奈緒「加蓮たちも、最近人気上がってきてるし。変装しなきゃ、こうして遊べないくらいにさ」

奈緒「そんなとこに、素人同然のあたしが今入るわけにもいかないよ」

加蓮「奈緒……」

奈緒「って、言い訳……してみる。……アイドルになるのが嫌なわけじゃないんだ、ほんとだよ」

加蓮「……ふふ、そっか。ありがと、こっちの心配してくれて」

奈緒「し、心配とかじゃなくて……!」

加蓮「いいのいいの、分かってるって♪」ニコニコ

奈緒「その顔は分かってない!」

加蓮「ふふふ♪」

奈緒「ったく……。――あ、やばっ。そろそろ時間だ」

加蓮「え、なにか予定でもあるの?」

奈緒「うん、ちょっとね。行くところがあるんだよ」

加蓮「ふーん……あっ分かった、アニメグッズの限定――」

奈緒「ちっがう! はぁぁぁ……もう行くっ。じゃあな加蓮、お仕事頑張れよ、応援してるからっ」

加蓮「ふふ、うん。ありがと、またね」

奈緒「うん、またなっ」タタッ


ありがとうございましたーっ


加蓮「――行っちゃった。……もぐもぐ」

加蓮(ポテト、冷えちゃった……私もそろそろ事務所行こうかな)

加蓮「……ん?」


「――ねー、今日どこ行くー?」

「んー……そろそろ冬物欲しいなぁ――」


加蓮(あのセーラー服……李衣菜のと同じ、かな?)

加蓮「…………」ジーッ


「きゃっきゃ」

「きゃっきゃ」


加蓮(……やっぱりそうだ。李衣菜と同じ学校の――)


「ん? ……ね、あの子」

「え、なに? ……あれ? もしかして――」


加蓮(ってやばっ! そりゃそうよねジロジロ見てたら……!)ガタッ

加蓮「……もったいないっ」モグモグモグ…


――ありがとうございましたーっ

加蓮「ふう……セーフっ。……だよね?」


てくてく

  てくてく……


加蓮(セーラー服……いいなぁ。着てみたい……)

加蓮「あっ。ちひろさんに頼めば……いやいやいや、絶対着せ替え人形にされるっ」

加蓮「李衣菜、貸してくれないかなぁ……でもわざわざ持ってきてくれるかな……」テクテク…


―――事務所


がちゃっ


李衣菜「あ。おはよう加蓮!」
http://i.imgur.com/Jaqg0A1.jpg

加蓮(セーラー着てたー!?)

今回とっても長いのでちょっとここで区切り

再開

加蓮「お、おはよみんな……びっくりしたぁ」

李衣菜「びっくり? なにが?」

加蓮「う、ううんなんでも」


凛「……おはようございます」ペコ

未央「おっはよーほーちゃんっ」


加蓮「おはよ。……凛、別にいいよ、そんなにかしこまらなくても。あと未央、ほーちゃんやめて」

凛「でも、一応先輩だし……」

加蓮「むー、じゃ先輩命令。もっとフランクに。っていうか先輩後輩の前に、友だちでしょ?」

凛「……ふふ。そだね」テレ…

凛「――じゃ、あらためて。おはよ、加蓮」

加蓮「うん♪」

未央「さっすがほーちゃーん。しぶりんの心の壁を容易く壊しましたねぇ☆」ダキッ

加蓮「っきゃ……ちょっと未央、急に抱きつかないでよっ。それとほーちゃんはやめてってば!」

未央「やーだー♪ ほーちゃんほーちゃん~☆」スリスリ

加蓮「あははは、くすぐったいってば未央! もー、こうしてやるっ!」グリグリグリ

未央「きゃははは! ……お? なにやらいい香りが」クンクン

加蓮「ウソ匂う!?」

未央「これは……フライドポテイトゥ! くんくんくんくんはぁほーちゃんイズグッドスメル」クンカクンカ

加蓮「きゃあああああバカー!? 助けて李衣菜、凛ーっ!」

李衣菜「あははははっ♪」

凛「くすくす……♪」



―――


加蓮「はぁ……はぁ……!」グッタリ

李衣菜「生きてるー?」

加蓮「な、なんで止めないの李衣菜ぁ……!」

李衣菜「楽しそうだったし。……未央が」

加蓮「~~~ッ!」ペシペシペシ

李衣菜「へへへ♪」


未央「はー、楽しかったぁ☆」

凛「ふふ。どんな匂いだったの?」

未央「爽やかミントな感じ!」

凛「へえ……。よし」グッ

加蓮「待って凛、その『よし』ってなに? ねぇなに?」

凛「なんでもないよ。ねぇ未央?」

未央「ソーダヨナンデモナイヨ☆」

凛「ふふっ♪」

未央「えへへ♪」

加蓮「アンタたちね……。はぁ、もういい……泰葉と卯月は?」

李衣菜「あ、二人なら今日はグラビア撮影だよ。ちひろさんがついてってる」

加蓮「そうなんだ。って、ちひろさんが? Pさんじゃなくて?」

未央「うん。なんか、プロデューサーは別件があって今日いないんだって」

凛「なんだか、最近はいつもと違うスタジオに出入りしてるみたい。トレーナーさんが言ってた」

李衣菜「私も詳しく知らないんだよね……なにしてるんだろ、Pさん」

凛「あんまり詮索してもしょうがないよ。必要ならプロデューサー、ちゃんと言ってくれると思うし」

李衣菜「だね。……へへ、凛もいい感じにPさん信頼するようになってきたね」

加蓮「ふふ、ほんとにね。デレ期に入ったかな?」

凛「え、え? そ、そんなこと、別に普通だよ……っていうかデレ期ってなに!?」

未央「おやおや? しぶりんさんったら、もしかして……☆」

凛「ちょ、ちょっと未央まで……もう、からかわないでよっ」カァッ

未央「えへー♪ 大丈夫大丈夫、私だってこの前プロデューサーとデートしたし♪」

凛「へっ――」

加蓮「ちょっとお話を聞こうか未央後輩」ムニーッ

未央「いひゃいいひゃいほーひゃんいひゃい」

李衣菜「か、加蓮ストップストップ。そのデートもどき、私もいたから」

未央「ぶー、ネタばらししないでよりーなぁ」

李衣菜「あのね……。Pさんに会ったのは偶然だったでしょ」

凛「ん、どういうこと?」

李衣菜「未央とゲーセン行った帰りにね、たまたま車でPさんが通りかかって――」


P『夕飯でも一緒にどうだ?』


李衣菜「――まぁそれだけ。……未央、あんまりPさん関係で色々言うと、加蓮先輩が怖いよ?」クスッ

未央「り、了解でありますっ! 肝に銘じるであります!」ビシ

加蓮「なんで本人の前でそういうこと言うかな」

凛「ふふふ……。でもいいな、プロデューサーと――」

李衣菜「ん? プロデューサーと?」ズイ

未央「おっとぉ? おっとっとっとぉ?」ズズイ

凛「な、なんでもないっ! 近いよ!」

「「あはは♪」」

加蓮「息ピッタリ……ふふ、凛も二人の前で迂闊なこと言わないほうがいいかもね」

凛「うん、そうする……はぁ」

加蓮「でも、Pさんと食事なんてラッキーだったね。私、もうどのくらい一緒に行ってないかな……」

李衣菜「あ……ごめんね。呼ぼうかと思ったんだけどさ、そのとき……」

加蓮「んーん、分かってるよ。私がお仕事中だったからでしょ? ふふ、謝んないで」

李衣菜「ん……うん」

凛「泰葉も含めて、三人とも本当に忙しいもんね……。今日みたいな日が珍しいくらい」

加蓮「まぁね。さっき駅前で駄弁ってたんだけど、バレそうになっちゃったし」

未央「アイドルって大変だね!」

凛「未央もアイドルでしょ……」

李衣菜「あはは。未央も凛も、もちろん卯月も。三人だって、今注目株だよ?」

凛「そう、なのかな……。うん、頑張る」

未央「うんっ。私たちも、先輩たちに負けないよっ」

加蓮「おおっぴらに遊べるのも今のうちだからね、ふふふ」

未央「なるほど、確かに! よーしっ、しぶりん、りーな、ほーちゃん! 今から街に繰り出そうZE!」

凛「留守番中でしょ」ペシ

李衣菜「確実に大騒ぎしてバレるでしょ」ペシ

加蓮「なんで李衣菜だけあだ名じゃないのよ」ペシ

未央「あれ怒るとこ違う人がいる!?」

凛「そういえば。李衣菜だけ普通に呼ぶんだね」

加蓮「…………」ギリギリギリ

李衣菜「加蓮、さすがに歯ぎしりやめよう?」

加蓮「ほーちゃんて、ほーちゃんって……!」

凛「しぶりん……」

未央「りーなはりーなって感じだもん! しぶりんはしぶりんで、ほーちゃんはほーちゃん!」

李衣菜「すごい、説得力がまるでない……」

未央「しぶりんはいいって言ってくれたもんね☆ ねーしぶりん♪」ギュッ

凛「……まぁ、悪くないかな」

未央「ほら☆」

加蓮「ほら、じゃない! ほーちゃんとか、なんか間抜けだし!」

未央「むー、じゃあなんて呼べばいいのさー?」

加蓮「普通に名前でいいからっ」

未央「加蓮ちゃん?」

加蓮「…………。そ、そう。それでいいの」

李衣菜(……お?)

李衣菜「……未央~」

未央「ん? なーに、りーなっ」

李衣菜「ふむふむ。じゃあ未央、凛のこと呼んでみて?」

未央「?? うん、よく分かんないけど。しーぶりんっ♪」

凛「うん。……なにこれ」

李衣菜「それじゃ加蓮は?」

未央「ほーちゃ――加蓮、ちゃん」

加蓮「…………」


凛(……加蓮、なんかすごく納得いかない顔してる)

李衣菜(よし、誘導成功)

加蓮「……でいい」ボソ

未央「ほえ?」

加蓮「ほーちゃんで、いい。未央の呼びたいように呼んで」

未央「いーのっ? じゃあやっぱりほーちゃんでー☆」ムギュ

加蓮「だ、抱きつくのは許してないっ! 離れなさいよ、このっ!」


凛「……普通に李衣菜みたいに呼び捨てじゃダメなのかな」

李衣菜「しー。黙っといてあげて、凛」ニコニコ

凛「……ふふ、うん。分かった」

未央「んー、ほーちゃんほーちゃん♪」

加蓮「はいはい分かったってば……。そ、そういえば李衣菜、さっき李衣菜の学校の子見たよ」

李衣菜「へ? なんで分かったの?」

加蓮「制服。この辺でセーラー服って言ったら、李衣菜のところくらいでしょ?」

李衣菜「あー、なるほど」

凛「確かに……そうだね。私の学校はカッターシャツにカーディガンだし」

李衣菜「未央のところはブレザーだったよね、確か。……未央はいつも上、ジャージだけど」

未央「えへ☆ ピンクでかわいいっしょ?」

凛「ふふ、未央らしい……」

加蓮「今日は珍しいね、李衣菜が制服で事務所に来るなんて」

李衣菜「うん、進路相談で時間かかってさ。家に寄らないでこっち来たから」

凛「進路」

未央「相談」

加蓮「……李衣菜が?」

李衣菜「ここ、怒るとこだよね?」

凛「李衣菜は……年上って感じが……ね?」

未央「う、うんうん。……い、いい意味で! いい意味でだよ!」

凛「そ、そうだよ、いい意味で!」

李衣菜「いいんだいいんだ……私なんて、ちっこいし童顔だし子供っぽいし……」イジイジ

加蓮「あはは、いじけないいじけない。でも、なら……ねぇ李衣菜」

李衣菜「……なに?」


加蓮「ちょっと服脱いでくれない?」

李衣菜「!?」

未央「……聞きましたしぶりんさん?」

凛「……そっか。うん。そうだったんだね」

加蓮「ん? あれ? どしたの?」

李衣菜「か、かかか、加蓮さん? きゅ、急に脱げとはいったいどういうことなんでしょう……?」

加蓮「? 李衣菜、なんで逃げ――あっ!?!?」

加蓮「ちっが!! 違う! 違う、そうじゃない、そうじゃなくて!! 違うくて!! ね!!!?」

李衣菜「は、ははは……はは」ススス

加蓮「ごめん李衣菜待って!? ほんっとごめん言葉足りなかった!! 違うからね!!?」

凛「ヒソヒソヒソヒソ」

未央「ヒソヒソヒソヒソ…」

加蓮「アンタたちも待って!!」



―――


李衣菜「――なんだ、セーラー服着たかっただけなのか……びっくりしたぁ」

凛「セーラー服いいよね。かわいいし。私は中学のとき着てたから馴染みあるけど」

李衣菜「へー、そうなんだ? ね、今度卒アル見せてよっ」

凛「え、は、恥ずかしいな……うん、分かった。持ってくる」


加蓮「良かった……! 誤解が解けてっ……本当に……ッ!!」グスングスン

未央「よ、よしよしほーちゃん……」ナデナデ

李衣菜「一応レッスン着持ってきてて良かった。加蓮、ちょっと待ってて。着替えてくるよ」

加蓮「え……?」

李衣菜「着てみたいんでしょ? セーラー服」

加蓮「う、うん……いいの?」

李衣菜「いいよ、全然。その代わり、次は加蓮の制服着させてよねっ」

加蓮「あ、……うんっ。えへへっ」

未央「……私たちも交換してみる?」

凛「私は卯月や泰葉の制服着てみたいな。……未央のは……いいや」

未央「ふ、普通にショックなんですけど……!?」

凛「ふふ、嘘だよ。冗談」

未央「し、しぶり~ん……!」

凛「ごめんごめん。今度みんなで、制服交換してみるのもいいかもね」

李衣菜「いいね! 意外と話題になったり?」

加蓮「ふふっ、いい企画になるかも!」

未央「わ、私のブレザーちゃんも着ていただけると嬉しいのですが!」

凛「分かってるってば。心配性だね、未央は」

未央「誰のせいだよ~! このーっ!」ペシペシ

凛「あはは……♪」

加蓮「ふふ♪ さ、李衣菜っ。早く早く~っ」グイグイ

李衣菜「わわ、押さないでよ……慌てない慌てない、へへへ」



―――


未央「――レディースエンッ、ジェントルメン! 今宵も素敵なショーが始まるよ! チェケラ!」

凛「ジェントルメンはいないし、まだ夕方だよ未央」

未央「無粋だなぁしぶりん! こういうのは気分だよ気分☆」

凛「はいはい」クスッ

李衣菜「なんか撮影みたいでいいね、こういうの。照明とかあればもっといいんだけど」


『……ねー、こんな大げさにされると出にくいんだけどー』


未央「みなさん、撮影は自由ですよ! スマホを構えてー!」

李衣菜「おっけー♪」

凛「……連写モード、初めて使う」


『ねぇ聞いてる? 聞いてないよね?』

未央「さぁさぁ、こちらが本日の目玉! ほーちゃんセーラー服バージョンだぁー!」


がちゃっ


加蓮「ちょ、まだ心の準備が――!」

李衣菜「お、おおお! いいね加蓮! 見慣れた自分の服でもかなり新鮮!」

加蓮「に、似合ってるかな……うわ、なんかすごい恥ずかしいっ」

李衣菜「うんうん、似合ってるよっ。ポニテもいい感じじゃん!」

加蓮「そう? ついでだから結ってみたんだけど……えへへ、ありがと♪」

未央「…………!!」

加蓮「未央? ふふ、どうかな。着こなせてる?」

未央「……ほーちゃーんっ!!」ピョンッ

加蓮「きゃあああ!? あ、危なっ! ば、バカ、なに飛びついて……!?」

未央「かわいいよー! おっ持ち帰りぃー!」

加蓮「なっ、なに言ってんのアンタ……もう、落ち着いて!」

未央「えっへへー☆ すっごく似合ってる♪」

加蓮「ふふ、ありが――」


凛「…………」パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

加蓮「アンタはどんだけ撮るのよ」

李衣菜「いやー、いいねこういうの! やっぱりみんなと制服交換してみるの、本当にいいかもね!」

未央「本気でプロデューサーに言ってみたら案外……☆」

加蓮「ちひろさんも味方に付けたら完璧かなっ」

李衣菜「よしっ、企画書書いてみよっか!」

「「おーっ!」」


凛「…………」パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

加蓮「凛、そろそろ怒るよ?」

凛「満足……!」ムフー

加蓮「あっそ……。なんだかだんだん凛のキャラが壊れてきてるような」

凛「そうかな?」

未央「しぶりんもだけど、しまむーもわりとはっちゃけるようになってきたよねー?」

李衣菜「あぁ、うん……加蓮と一緒にはしゃいでるのはよく見るけど」

加蓮「ギャルメイク卯月、かわいかったでしょ?」

凛「う、うーん。意外ではあったけど……」

未央「しまむーは普通が一番、かなぁ……」

加蓮「えー、けっこう自信作だったんだけどなぁ」

李衣菜「いや、あれは正直やりすぎ感が……。卯月、やけくそ気味だったし」

加蓮「そうかなぁ……むぅ」

凛「あ、でも。卯月、ネイルに興味持ったみたいで……たまに私の爪、整えてくれるよ」

未央「そーそー、加蓮ちゃんに教えてもらったんですー♪ って、私のも綺麗にしてもらったよっ」

加蓮「そっか……そうなんだ、卯月が……」

李衣菜「へへ。良かったね加蓮、弟子ができたみたいで」

加蓮「で、弟子って……」

李衣菜「私はギター弾くし、泰葉はドールハウス作りで細かい作業するみたいだし。教え甲斐があるんじゃない?」

加蓮「……うん、さすがに私ひとりでみんなのネイル、お世話するの無理だし。卯月に私の技術、教えちゃおっかな」

凛「うん。よろしく、加蓮」

未央「うちのしまむーをよろしくお願いしますっ」

加蓮「誰目線よ、それ。ふふっ」


凛「ところで李衣菜ってギター弾けたんだね」ヒソヒソ

未央「ね」ヒソヒソ

李衣菜「聞こえてるよ? 今日だってギター担いで来たの見てるよね? ねぇ?」

加蓮「意外とサマになってきたよね、李衣菜」

李衣菜「ふふん。でしょーに」

加蓮「2ヶ月くらいホコリ被ってたのにね」

李衣菜「うぐぅ!?」

未央「あぁ……」

凛「うん……」

李衣菜「ねぇその『やっぱり……』って顔やめて? 泣くよ?」

凛「だって、ねぇ……?」

未央「アイドルになる前からラジオとか聴いてたから……その、知ってるし」

李衣菜「ああああやめてぇー! ある意味黒歴史だからぁー!」

加蓮「にわか以下だったもんね」

李衣菜「」グサッ

凛「あ、死んだ」

未央「南無……」

李衣菜「へ、へへ……! い、いいさ。言ってればいいんだ」ムクリ

李衣菜「なんて言われたって、私は私の好きなもの、追いかけ続けるんだから!」

李衣菜「そのために、どんなことだってチャレンジして……成長し続けるんだぁーっ!」

加蓮「だぁーっ……だぁー……だぁ……」

李衣菜「エコーやめてくんない?」

凛「ふふ♪」

未央「あは☆」

加蓮「まぁ、自分の曲を弾けるようになっただけ大進歩じゃない?」

李衣菜「うーん、まだおぼつかないけどね……。やっぱり練習が足りないって感じるよ」

加蓮「Pさんいわく、『足りない自覚ができたらスタートライン』らしいけど」

李衣菜「あはは。アイドル以外のことでもほんとだね、それ」

凛「あ……そっか」

未央「なるほど……。レッスンにしても、お仕事にしても、ってことかなっ?」

加蓮「うん、そういうこと。二人はどう? 『足りない自覚』、ある?」

凛「足りない自覚、か……」

未央「私は……あるかな。芸能界、楽しいだけじゃないんだって、飛び込んでから気づいた」

未央「全力で挑まなきゃ、すぐに置いてかれちゃう……覚悟決めなきゃって思ったよ。やっちゃんにも言われたし。てへへ」

凛「未央……」

李衣菜「そっか、泰葉が……。へへ、泰葉が言うと重みが違うね」

未央「もちろん、楽しまなきゃ意味がないわ、とも言われたけどね!」

加蓮「……地味にモノマネ上手いよね、未央」

凛「さっきの卯月の真似もね」クスッ

未央「い、一応真面目に言ったつもりなんですけど……!」カァ

加蓮「ふふ、ごめん。……くす、顔真っ赤だし」

未央「うぁー、もー! ほーちゃんのばかー!」

加蓮「あははっ、ごめんってば♪」


凛「……ふふ。私も、右も左も分からないまま、アイドルになったけどね」

李衣菜「うん」

凛「自分がやりたいこと、自分に足りないものがなんなのか、分かった気がする。……みんなのおかげで」

李衣菜「へへ、そっか」ナデ

凛「ちょ、なにを……!」

李衣菜「あれ、撫でられるの嫌い?」

凛「や、そうじゃなくて……いきなりだったから」

李衣菜「凛って大人っぽいかと思ってたけど、そうでもないしね。ちょっとぶっきらぼうなだけでさ」

凛「かなり失礼だよ、それ……。李衣菜だって自分で子供っぽいって言ったくせに」

李衣菜「な、なんだとう! 後輩のくせに生意気だっ」ワシャワシャ

凛「きゃあっ!? や、やめてよ!」


加蓮「仲いいね」クスクス

未央「んじゃ、私たちも仲良くしよー☆」ムギュ

加蓮「だ、だからって抱きつかないのっ、もう!」

未央「まぁまぁいいじゃんいいじゃん☆ ……って、お?」ギュー

加蓮「お、重い――へ? な、なによ」

未央「くんくん」

加蓮「アホ未央ー!」ベシッ

未央「いったー!? なにすんのほーちゃん!?」

加蓮「こっちのセリフよバカ! なんで急に嗅ぐの!?」

未央「だってりーなの匂いも混じってるんだもん! なんかお得!」

加蓮「そりゃそうでしょ李衣菜の制服なんだし! って嗅ぐなってばぁぁぁあああ!!」バシバシバシ

未央「いたいいたいいたい!?」


李衣菜「これ私も恥ずかしいやつじゃん……こら、未央~!」

凛「あ、あはは……」


―――

――

シャンシャンしてくる
もうちょっとだけ続くんじゃ


すばらです

再開(2回目)



―――その頃、とある撮影スタジオ


ちひろ「――二人とも。今日もばっちりでしたね♪」


泰葉「あ、ちひろさん。ふふっ、もう少し時間がかかると思ってましたけど……」

卯月「えへへっ、順調にいきましたね。ぶい、です!」

泰葉「ええ、卯月ちゃんもだいぶ撮影に慣れたようだし。ふふふ」

卯月「泰葉ちゃんがアドバイスしてくれたおかげです♪」

泰葉「ううん、卯月ちゃんが」

卯月「いえいえ、泰葉ちゃんが」

泰葉「いやいや」

卯月「いやいやいや」

ちひろ「は、はいはーい。そこまでにしましょう?」

卯月「で、でも! 本当に泰葉ちゃんのおかげで――」

泰葉「ふふっ、卯月ちゃん面白い……♪」

卯月「ふえっ!? え、えええ! か、からかったんですか泰葉ちゃん!?」

泰葉「さぁ? どうかなぁ……うふふっ」

卯月「う、うぅ……! ひどいよぉ……泰葉ちゃん、いじわるですっ」プクッ

泰葉「えいっ」プニッ

卯月「うにゅっ! ……もぉー!」

泰葉「くすくす……♪」

ちひろ「ほらほら、もう行きますよー? ちゃんとスタッフさんに挨拶しないと、ね?」

泰葉「ふふ、はいっ。今行きます」

卯月「あっ、ま、待ってくださいーっ」



―――


「「お疲れさまでしたっ」」


「はい、お疲れさま。また今度の撮影も頼むよ」

泰葉「次もよろしくお願いしますね。ありがとうございました」ペコリ

卯月「あっ、ありがとうございました!」ペコッ

「はっは、君は初々しいねぇ。じゃあ、またね」スタスタ…

卯月「――ふはー。き、緊張しました……」

泰葉「こればかりは慣れだからね……。ふふ、卯月ちゃん、撮影より緊張してたんじゃ?」

卯月「か、かもしれないです……あはは」

泰葉「大丈夫、場数を踏めばすぐに――」


「――泰葉先輩っ。お久しぶりですっ!」


卯月「へっ?」

泰葉「あ……。あなたは――乙倉さん?」


悠貴「はいっ。乙倉悠貴ですっ、泰葉先輩っ!」ニパッ



―――


泰葉「――あらためて紹介するね、卯月ちゃん。こちら、ジュニアモデルの乙倉悠貴さん」

悠貴「初めまして、卯月さんっ。乙倉悠貴ですっ!」ペコリッ

卯月「あ、はい! えへへ、島村卯月っていいます♪」ニコッ

悠貴「えへっ。聞いてたとおり、笑顔が素敵な方ですねっ……♪」

泰葉「ふふ、有名人ね、卯月ちゃん」

卯月「え、えへへ……♪ って、私まだ、そんなにメディアに露出はしてないような……?」

悠貴「――あっ! え、えっとっ……モデルのお仕事をしていて、たまたま耳にしてたんですっ」

卯月「そうなんですか?」

悠貴「そ、そうなんですよっ」


泰葉(たまたま、ね……。卯月ちゃん、モデルのお仕事はまだ少ないけど……)

泰葉(まぁ、ポテンシャルはかなりのものだし……分からないでもない、かな)


卯月「撮影のときは見かけませんでしたけど、別のスタジオだったんですか?」

悠貴「はいっ。今日は偶然、隣のスタジオだって聞いて、挨拶に来ましたっ♪」

泰葉「ふふ、相変わらず生真面目ですね、乙倉さん……」

悠貴「むっ、泰葉先輩だってあまり変わってないかとっ。年下に敬語使うところとかっ」

泰葉「ああ……えっと。どうしたらいいかな、卯月ちゃん?」

卯月「え、ええっ? 私ですか?」

悠貴「あれっ……泰葉先輩、卯月さんには敬語じゃないんですねっ?」

泰葉「え? ……あ」

卯月「あ。……えへへへっ♪ 泰葉ちゃん、もう、『今』の泰葉ちゃんでいいと思いますよ♪」

悠貴「……!」キラキラキラ…!

泰葉「うっ、視線が眩しい……!」

卯月「えへへ♪」

悠貴「えへっ……♪」

泰葉「……はぁ、分かった。私の負け」


泰葉「――悠貴ちゃん。こうでいいの?」

悠貴「……はぁぁぁぁ……っ♪」フルフルッ

泰葉「え、えっと……悠貴、ちゃん?」

悠貴「嬉しいですっ! ついに、ついに泰葉先輩が私のこと名前でっ!」

卯月「良かったですね、悠貴ちゃんっ♪」

悠貴「はいっ、ありがとうございますっ♪♪」

泰葉「も、もう……どうして卯月ちゃんまではしゃぐの? ……ふふふっ」



―――


悠貴「――それでは、待たせている方がいるので、この辺でっ」

泰葉「ええ、悠貴ちゃんも元気でね」

悠貴「~~~っ!」フルフル…

泰葉「だ、だからいちいち名前に反応しないの……」

卯月「あはは♪ それくらい嬉しいんですもんね?」

悠貴「えへっ♪ 泰葉せんぱーいっ♪」

泰葉「はいはい……。それじゃ、またどこかで一緒にお仕事できたら……」

悠貴「はいっ。これからもよろしくお願いしますねっ、泰葉先輩、卯月さんっ!」

悠貴「ではっ!」テテテッ


卯月「あ……ま、またどこかでー! ……行っちゃいました」

泰葉「ふう……。快活なんだけど、慌ただしいというか……」

卯月「ふふ、ハキハキしてましたね。私なんかよりずっと大人っぽいし、背も凛ちゃんくらいありましたし……」

泰葉「ふふ……あの子、まだ中学一年生だけれどね」

卯月「ええ!? そ、そうなんですか! ぜ、全然見えませんでした……」

泰葉「可愛いものとかが好きで、背丈や印象で子供っぽく見えないのを気にしてた……はずなんだけど」

卯月「けど……?」

泰葉「ただ、さっきの様子だと、もう気にしてるふうには見えなかったから……なにかあったのかな」

卯月「『女子三日会わざれば刮目して見よ』、ですよきっと!」

泰葉「……それって男子じゃなかったかな?」

卯月「あ、あれ? え、えへへ……」

泰葉「ふふっ……♪」


泰葉(……『これからもよろしく』。うーん、会う機会なんて今の今までほとんどなかったのに、これからも……?)

泰葉(……まぁ、考えても仕方ないかな)


泰葉「――さて、ちひろさんを探して、私たちも事務所に戻りましょうか」

卯月「あれ、いつの間にかいませんね……。ちひろさーん、どこですか――」



―――


ちひろ「――うふふ♪ 挨拶、済ませてきました?」

悠貴「はいっ♪ 卯月さん、プロデューサーさんに聞いてたとおりの可愛らしさでしたっ」

悠貴「それに、泰葉先輩もっ。以前とは全然違ってて、楽しそうでしたっ。私もいつか、あんなふうに……!」

ちひろ「ふふ。なれますよ、きっと」

悠貴「えへへっ♪」

ちひろ「それじゃ、私は二人のところに戻りますので……一人で大丈夫?」

悠貴「はい、レッスンスタジオまでの道、もう覚えましたからっ。行ってきますっ!」


―――

――



―――いつもと違うレッスンスタジオ


がちゃっ


悠貴「お疲れさまですっ。乙倉悠貴ですっ」


P「――お、来たな。お疲れさま、悠貴ちゃん」

悠貴「あ、プロデューサーさんっ。すみません、遅れちゃってっ」

P「いや、大丈夫だよ。モデルの仕事だったんだろ?」

悠貴「えへ、撮影スタジオ、泰葉先輩と卯月さんと一緒だったんですっ♪ それで、挨拶しようと思ってっ」

P「あれ、そうだったのか。二人とも元気でやってたか?」

悠貴「はい、とってもっ。……あ、ちょ、ちょっと『このこと』バレちゃいそうになりましたけどっ……」

P「あはは、まぁバレたらバレたでそのときだ。気にしないでくれ」

悠貴「そ、そうですかね……で、でもっ、お二人とお話して、ますますやる気が湧いてきたのは確かですっ!」

P「そっか、よし。疲れてるかもしれないけど、今日も頼むぞ!」

悠貴「はいっ!」


「――あたしがいるのも忘れないでくれよー」トコトコ…


悠貴「あっ――奈緒さんっ! お疲れさまですっ♪」

奈緒「お疲れ、悠貴。……いいなぁ、あたしも早くお仕事したいよ」

P「すまんすまん、忘れてたわけじゃないよ、神谷さん。仕事の件はもうちょっと待っててくれ」

奈緒「別にいいって。レッスンも楽しいしさ、まだまだ力不足だって分かってるよ」

P「いやいや、そんなことないぞ? 特に表現力や演技力には自信持ったほうがいい」

奈緒「そ、そうかな……? って、アイドルはそれだけじゃダメだろ?」

悠貴「私はまだモデルの方だけですし……私も、ステージで可愛く歌ったり踊ったりしたいですっ」

P「まぁ、レッスンに集中するための秘密の特訓だしな。それにあいつらが来てみろ、大騒ぎ確実だ」

奈緒「あー……加蓮ならあり得るなぁ」

悠貴「んー、泰葉先輩がそんなにはしゃぐところは、想像がつかないですけどっ」

P「いやー、事務所だとそうでも……。悠貴ちゃんもウチに来れば分かるよ」

悠貴「あはっ、楽しみにしてますっ♪」

奈緒「あれ、まだ悠貴はモデル事務所にいるのか?」

悠貴「はい、お別れのご挨拶は済んでますけど、移籍はまだなんですっ」

P「あとはこっちの事務処理だけだな。あらためて、そちらに伺うつもりでいるよ」

悠貴「えへ、お待ちしてますねっ」

奈緒「んー、あたしは……どういう立場なんだろ? 準所属ってやつ?」

P「何度か見学に来たろ? 所長が根回しして、すでに正所属扱いになってるはずだ」

奈緒「えええ、あれだけで正所属かよ!?」

P「と言っても、ウチの子たちにはまったく話してないんだけど。充分力を付けてから紹介しようって考えてる」

悠貴「私も黙ってて良かったっ。サプライズですねっ」

P「ふふ、そういうことだな」

奈緒「――あ、やば……。加蓮には感づかれた、かも……。今日、あいつにまた勧誘されたんだよなぁ」

P「加蓮か……。まぁ、もう話しちゃっても良かったけどさ」

奈緒「いやいや……あたしが困るんだよ。絶対容赦なくイジってくるから……」

P「あー……だろうなぁ」

奈緒「た、多分バレてないよ、誤魔化したし。……でもちょっと大げさだったかなぁ、あの言い方じゃ……」

悠貴「きっと大丈夫ですっ、奈緒さんの演技力ならっ!」

奈緒「……べ、別にそんなでも……」テレ…

P「あれ? 顔が赤いぞ、神谷さん」

奈緒「なっ! あ、赤くねーし! こっち見るなよプロデューサー!」

P「あはは。はいはいっと」

悠貴「あ、私知ってますよっ。奈緒さんみたいな人、ツンデレって言うんですっ」

P「おお、悠貴ちゃんは物知りだな!」

奈緒「おいこら悠貴ぃ!?」

悠貴「えっへへーっ♪」

奈緒「待て、こんにゃろーっ!」

悠貴「奈緒さんが怒ったーっ♪」


どたばた――!


P「……ふふ、そろそろ頃合いかもな」


P「おーい! ――悠貴、それに……奈緒! 時間も押してる、レッスン始めよう!」

悠貴「あっ、はーいっ。……あれ、今呼び捨てにっ……?」

奈緒「な、ななな名前……ッ!!?」カァァッ

P「ゆーきなおゆーきなおゆーきなお! ……ほい、やるぞー!」

悠貴「あはっ♪ おーっ!」

奈緒「ちょ、ま、待てって!? あぁぁぁもぉぉッ!!」


P(さて、いつみんなに紹介しようかな。とにかく……)


P「――今日もレッスン、頑張ろうな!」

「「よろしくお願いしますっ!」」



おわり

というお話だったのさ
制服だりーなにボイス付いたし、劇場ネタを拾った形ってことでひとつ


日常をストーリーでサンドイッチした感じ……だけど、
これプロローグからエピローグまで書いたら1スレ軽くぶっ飛ぶやろなぁ……書きたいけど

おっつおっつ

2スレくらいぶっ飛んでもいいんだぞ

いつまでも書き続けていいんだよ?
ついでにそろそろデレステに泰葉出してくれていいんだよ?

未央は「かれん」呼びだからこういうあだ名呼び新鮮。
まあ元からあだ名みたいな名前だけどもっとちゃんと考えてくれて良かったのよ本田君…と思ってたしw
おつー

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