モバP「俺って特徴ないよな」 (51)

凛「うん?」

P「同僚の先輩方と比べると、俺って無個性だなって思ってさ」

P「本田未央や城ヶ崎美嘉を担当している先輩はハゲだし、佐久間まゆや緒方智絵里を担当している先輩はホモだし」

凛「先輩に対してそんな容赦ない評価を下せるプロデューサーはすごいね」

P「事実だから仕方ない」

P「とにかく、あの人達ほどの個性は俺にはないな、と」

凛「ふーん」


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凛「そんなんでいいなら、プロデューサーにも立派な個性があると思うけど」

P「なんだ」

凛「ブサイ」

P「おっと携帯が鳴っている。メールか」

凛「………」

P「ごめんごめん。それでなんだって?」

凛「ブサ」

P「あ、空に虹がかかってる。きれいだなー」

P「っと、すまない。それで」

凛「ブ」

P「あっ!」

凛「なに」

P「いやなんでもない」

凛「………」

凛「ところぶで今日のさ仕事は午後からい写真撮影だくっけ」

P「サブリミナルでねじ込んでくるのやめてくれ」

凛「頑なに無視しようとするほうが悪い」

凛「これでもスルーするようならブサデューサーって呼ぶところだったよ」

P「いくらなんでもひどすぎる」

P「というか、ブサイクが第一の特徴だなんて残酷だと思わないか」

凛「人のことハゲだのホモだの言ってるくせに虫が良すぎると思う」

P「……おお、確かに」

凛「今気づいたんだ……」

P「でも俺ってそんなにブサイクかな? そりゃイケメンだとは言わないけどさ」

凛「だってぴにゃこら太に似てるって穂乃香が」

P「似てるのは雰囲気だけだからセーフ」

凛「最近ライラにアルパカに似てるとも言われてたよね」

P「あれもなんとなく似てるって言っただけだからセーフ」

凛「必死だね」

P「大事なことだからな」

凛「……わかった、降参」

凛「確かにプロデューサー、そんなにブサイクってわけじゃないよ」

P「ほ、本当か!」

凛「うん。多分平均か、それよりほんのちょっとだけ下ってくらい」

P「それくらいなら俺も自覚してるな」

凛「でも、周りの他のプロデューサーがイケメンだから。ホモでもイケメンだし、禿げててもイケメンだし。相対的にプロデューサーの顔の評価が落ちるんだよ」

P「なるほど。俺がブサイクという風潮が生まれたのはそういうわけだったのか……」

P「そうなると、何か他に個性を見つければどうにかなるかもしれないな」

凛「どういうこと?」

P「あくまで相対的にブサイクってだけなら、俺にそれ以外の目立つ特徴があれば、顔の要素はあんまり意識されなくなるかもしれないだろう?」

凛「うーん、わかるようなわからないような」

P「たとえばヘレンさんだが、彼女は事務所の中でもかなりの豊満なバストを持つ女性だ」

P「だがその要素も、世界レベルという強烈すぎる個性の前にはあまり目立たない」

P「つまりはそういうことだ」

凛「ああ、今のでなんとなくわかったかも」

P「というわけで、俺は俺自身の個性を探すことにする」

P「早速だが凛、顔以外で何かないか?」

凛「いきなり人に聞くんだ」

P「自己分析は他人に質問することも大事なんだよ」

凛「ふーん」

凛「そうだな……うーん」

凛「改めて聞かれると、なかなか……あ、ひとつ思いついた」

P「おお、それは」

凛「ギャグセンスがない」

P「え?」

凛「楓さんの親父ギャグでいつも笑ってるし」

P「それってダメなのか? 普通に面白いと思うんだけど」

凛「えぇ……?」

凛「やっぱりちょっと感性がずれてるよ」

P「そうかなあ。ステッキが素敵とか笑えないか?」

凛「笑えないよ」

凛「楓さんがダジャレ言うこと自体は、美人の女の人が持ってる可愛い一面、みたいでいいと思うんだけどさ」

凛「ギャグの内容自体は、正直あんまり面白くない」

P「本当に?」

凛「もちろん」

凛「あれでいつも笑える人は、センスがずれてるか相当な笑い上戸かのどっちかだよ」

P「そうなのか」

P「だそうですよ。楓さん」

凛「え」クルッ


楓「しょぼーん」

楓「そう……私、凛ちゃんにそんな風に思われていたのね」

凛「か、楓さん。いつの間に」

P「ホモとかハゲとか言ってたあたり」

凛「結構前じゃん! 言ってよ先に!」


楓「いじいじ。いいんです、どうせつまらない女だから……」

凛「か、楓さん? あの、別に私はそういう意味で言ったわけじゃ」

楓「ずーん」

凛「ああもう……!」


P「時間かかりそうだし他を当たるか」

P「(楓さん口元にやけてたから、落ち込んでる演技してるだけだろうし)」

今日はここまでです

春菜「Pさんの個性ですか?」

P「ああ、そのことについて悩んでいるんだ」

春菜「なるほど。確かに、人間だれしも自分のアイデンティティを考える時はありますよね」

春菜「私も昔、似たような悩みを抱えていました」

P「春菜も?」

春菜「ええ。小さい頃の私は、特に目立った個性もない平々凡々な女の子でしたから」

P「そうだったのか……」

春菜「でも、そんな私を変えてくれたものがありました」

P「(あ、流れ読めた気がする)」

春菜「視力が落ちてメガネをかけたその瞬間、世界が変わったんです」

春菜「メガネをかけるだけで生への活力が湧きあがり、すべてが救われるのです」

春菜「私の周りでも、メガネをかけたところで人生変わりました! という声が相次いでいます」

春菜「メガネこそ神が与えし救いの使者。言うなればエンジェル」

春菜「というわけでこのメガネを」

P「君は怪しい壺を売る商人か」

春菜「壺じゃなくてメガネです」

P「知ってるよ。ただの比喩だよ」

文香「プロデューサーさんの、個性ですか」

P「うん。何か気がつくことがあったら言ってほしい」

文香「そうですね……」

文香「………」

文香「強引なところ、でしょうか……」

P「GOIN'?」

文香「強引です」

P「そうか、強引か」

P「(最初に挙げた個性が悪いところ……あまりものをはっきり言えない文香が言うってことは、よっぽどなんだろうな)」ガーン

P「(自分じゃ気づかなかったけど、反省しないとな……)」

P「(次いこう)」ドンヨリ


文香「強引といっても、悪い意味ではなくて……私の手をひいて、アイドルの世界に連れ出してくれたことに感謝しているんです」

文香「で、ですから……本当に、ありが――」

ぽつーん

文香「……いない」

文香「………」

文香「人の話を聞かない、も追加です……」プクー

飛鳥「キミの個性?」

P「うん」

飛鳥「ふうん……その問いに対して、ボクはひとつの解答を与えることができるかもしれない」

P「それは?」

飛鳥「キミはボクの理解者、そして観測者だ。ボクのひねくれた精神世界を見通せるその想像力は、ボクにとっては十分魅力的さ」

飛鳥「……それとも、ボクにそう思われるだけでは不満かい」

P「いや、そんなことはない」

P「なんか同類扱いされているような気がするのは引っかかるが、貴重な意見だ。ありがとう」

飛鳥「どういたしまして」

P「ところでさ」

飛鳥「なんだい」

P「なんでメガネかけてるんだ」

飛鳥「もらった」

P「誰に」

飛鳥「答える必要はあるのかな」

P「ないな。わかりきってるし」

穂乃香「Pさんの個性ですか?」

穂乃香「でしたらもちろん、ぴにゃこら太に似てかわいい……あれ、Pさんどこに行くんですか? ちょっと!」

加蓮「Pさんの特徴?」

加蓮「過保護なところかな。私に対してだけ」

P「なんかただの愚痴になってないか?」

加蓮「事実だからしょうがないよ」

P「とはいってもな。もともと身体が強い方じゃないってことを考慮すると、どうしても」

加蓮「病弱だったのは昔の話。今は違うって」

加蓮「それに、私だってもう子供じゃないんだよ? 自分の体調管理くらい自分でやれるよ」

P「そうか?」

加蓮「そうそう」

P「……わかった。今後はその辺考えて行動する」

加蓮「ありがと」

加蓮「あ、でもさ」

加蓮「時々は、過保護になってくれたらうれしいかも?」

P「加蓮……」

加蓮「Pさん……」


P「あざとい」

加蓮「あはは、やっぱり?」

周子「個性ねー」

周子「無理に作る必要なんてないんじゃない?」

P「え?」

周子「今のままでいいってこと。少なくともあたしは、今のPさんと話してると気楽で落ち着くしー」

周子「あ、なんならこれを特技にする? シューコちゃんを癒すことができまーすって♪」

P「いや、それはなんか違うような」

周子「いーじゃんいーじゃん。そのくらいでいいんだよ、個性なんて」

P「そうかなあ」

P「(周子と話してると、あっちのペースに飲みこまれそうになってしまう)」

留美「個性がなくて悩んでいる?」

礼「そんなことを考えるのは、日頃のストレスが溜まっているからよ」

瑞樹「そんな時はパーッと飲んで騒ぐのが一番!」

志乃「というわけで今夜は飲みましょう。決まりね」

P「この人達は豪胆すぎる」

千秋「アナタの個性?」

晴「んなもん、決まってるだろ」


千秋・晴「変態なところ」

P「いやなんでそのセリフが揃うの」

晴「忘れたとは言わせねーぞ。何度も何度も嫌がってんのに変な衣装着せやがって」

千秋「この前の公演の衣装……私、あの後『女騎士』という単語について調べたの。そしたら」

晴「なんて出てきたんだ?」

千秋「アナタはまだ知らなくていいことよ」

千秋「とにかく、Pさんは変態よ」

晴「おう。そーだそーだ」ブーブー

P「あ、あれはファンの人達の意向を読み取った結果であって、決して俺個人の趣味が現れた結果ではない!」

千秋「本当に?」

P「本当に!」

P「……まあ、似合うと思ったのは事実だけど」

千秋「ふうん」

晴「やっぱり変態だ」

P「本当に違うんです! 信じてください!」

晴「お前は一週間の謹慎処分だ!」

千秋「(謹慎って……何かのネタかしら)」

つかさ「個性って……そりゃお前、個性がないのが個性ってやつだろ」

P「え?」

つかさ「正確に言うと、尖った個性がないってやつ。お前、ここに来るまでにいろんなアイドルにいろんな個性を指摘されたっしょ」

P「ああ、確かに」

つかさ「本当に個性のない人間なんていないっつーか……無個性ってのは、要は大多数に指摘されるような特徴がないってことなわけよ」

つかさ「けど、上手い具合に尖っていないからこそ多様なアイドルの相手ができるわけ。ある意味裏方としては最高クラスじゃねぇの?」

P「なんか微妙な言われ方だな」

つかさ「これでも褒めてんだけど。部下にするとしたら都合のいい駒になるわけだし」

ヘレン「フフ、甘い。甘いわね、つかさ」

P「あ、ヘレンさん」

つかさ「ん? なんか意見あるわけ」

ヘレン「アナタの答えの中には、ひとつ大事な要素が抜けているわ」

ヘレン「ただ尖っていないというだけなら、私はPを認めていないわ。彼には彼なりの芯というものがきちんと存在するのよ」

ヘレン「だからこそ、世界レベルたる私のパートナーが務まる。これなら立派な褒め言葉でしょう」

つかさ「……ははっ、なるほど。確かにその通りだ。ただの人形は駒にもならないってか」

つかさ「一本取られたわ。やるね世界レベル」

ヘレン「ふふふ、当然ね」

つかさ「アタシも目指すなら世界レベルの社長かねー」

ヘレン「ええ、夢は大きく設定するものよ」

つかさ「いいねいいね。いっそ世界一とかいっとく?」


P「なんか2人で会話が盛り上がっている」

P「でも、いろいろ大事なことを教えてもらった気もする」

P「というわけで、無理して個性を探す必要もないかと思い始めました」

P「今のままが、いろいろとバランスがいいみたいだし」

楓「そうですね。プロデューサーは、きっとそのままでいいんだと思います」

楓「ね、凛ちゃん」

凛「HAHAHA! THAT'S RIGHT!」

P「誰ですかこのアメリカンガールは」

楓「ちょっとからかいすぎたら、些細なダジャレでも笑うタイプの陽気なアメリカンみたいになってしまいました」

凛「HAHAHA」

P「………」

P「やっぱり、個性って無理にどうこうするものじゃないな」


おしまい

おまけ


凛「はっ! 私はいったい何を」

P「お、ようやくもとに戻ったか」

凛「プロデューサー……あれ、もう夕方?」

P「ああ。ちょっと悪い夢でも見ていたみたいだぞ」

凛「そっか……あれ、午後の仕事は」

P「覚えてないのか? ちゃんとやってたぞ(アメリカンガールのままで)」

凛「そう……ならいいけど」

凛「プロデューサー」

P「うん?」

凛「個性がどうとか言ってたけど、私はやっぱり気にしなくていいと思うよ」

凛「相対的にブサイクだったとしても、私はそんなプロデューサーのことがいいと思ってるから」

P「凛……」



P「ブス専だったのか」

凛「……その顔、もっとブサイクにしてあげるよ?」

P「はは、冗談だ」

P「ついでに言うと、その辺の問題はすでに解決済みだったりする」

凛「なにそれ。私結構いいこと言ったつもりだったのに、言っただけ損だったってこと?」

P「そうかも」

凛「かもって、まったく……ふふっ」

凛「ねえプロデューサー。今日は駅まで一緒に帰る?」

P「俺はもう少し仕事が残ってるけど」

凛「待つよ」

P「そうか。なら早めに終わらせよう」

凛「うん」


おまけ終わり

終わりです。お付き合いいただきありがとうございました

一応関連作紹介しておきます

モバP「アイドル達にモテてつらい」(モバP「アイドル達にモテてつらい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435723686/))
佐久間まゆ「Pさんって、ホモですよね」(佐久間まゆ「Pさんって、ホモですよね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436793637/))

ちなみに私はCoPとPaPを兼任していますが最近抜け毛が増えてきた気がします

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