春香「もし私が好きって言ったら」 (35)

《夕方、765事務所》


春香「プロデューサーさん」

P「どうした?」

春香「もし私がプロデューサーさんのこと好きって言ったらどうします?」

P「何だ?藪から棒に」

春香「ふと気になっただけですよ」

P「ふうむ・・・まあ嬉しくはあるだろうけど、同時に困るだろうな」

春香「・・・」

P「そらこんな可愛い少女に好きと言われて嬉しくない男はいないさ」

P「でも、正直返答に困ると思う」

春香「ですよね、ありがとうございます」

P「どういたしまして、で良いのかな?ここは」

春香「多分間違ってると思いますよ」

P「だろうな」

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春香「あ、そうだ」

春香「今日クッキー作ってきたんですよ、食べますか?」

P「勿論、ありがとう」

春香「じゃあちょっと待ってて下さいね、お皿に並べてきます」

P「なら俺は紅茶でも淹れようかな」

春香「お願いします」

P「春香」モシャモシャ

春香「どうかしましたか?」ムグムグ

P「もし俺が春香のこと好きって言ったらどうする?」

春香「・・・どこかに頭でも打ちましたか?」

P「地味に傷付くな・・・さっきのお返しだよ」

春香「そうですね・・・」

春香「ファンとしての好きなら嬉しいですけど、一人の人間としてと言われると困っちゃいます」

P「・・・」

春香「嬉しくない訳じゃないんですけど、プロデューサーさんと私はやっぱり仕事の関係でしかないから」

P「そうか、ありがとう。面白い話が聞けた」

春香「どういたしまして」

P「それは間違ってるんじゃなかったのか?」

春香「あれ?そうでしたっけ」

P「うん、やはり美味いな。春香を料理方向で売り出したのは正解だった」

春香「でも私普通の料理はそこまで得意じゃありませんでしたし・・・アイドルになってから結構練習したんですよ?」

P「それのお陰で今の地位があるんだ、良いじゃないか」

春香「それはそうなんですけどね」

P「ああそうだ、前作った春香の料理本のサンプルが明日来るぞ」

春香「確か弁当特集の本でしたっけ」

P「ああ、俺が春香の弁当を毎日のように食べさせられた頃のやつだな」

春香「・・もしかして嫌だったんですか?」

P「まさか、あれだけ美味しい弁当が毎日食べられたら幸せだろうな」

春香「今度また作ってきましょうか?」

P「良いのか?嬉しいな」

春香「楽しみにしてて下さいね」

P「そうさせてもらおう」

春香「プロデューサーさん」

P「・・・お次は何だ?」

春香「もし私に付き合って下さいと言われたら、どうしますか?」

P「また困る質問だな」

春香「たとえ話ですから肩の力を抜いて考えて下さい」

P「・・・やっぱり断るだろうな」

春香「それはどうして?」

P「こんな性格だ、どうしても世間体とか事務所の損害とかを考えてしまう」

P「そうすると今付き合うという選択肢は自動的に消えてしまうからな」

春香「相変わらずですね」

P「貶しているのか?」

春香「半分半分って所です」

春香「テレビ、千早ちゃんとあずささんが出ていますね」

P「先々週撮ったやつだな、確か軽井沢の別荘地の特集だったか」

春香「最近あの二人の抱き合わせ多くないですか?」

P「収録が割かしスムーズに行くコンピだからな」

P「あと自由なあずささんに千早が引っ張られる画が面白い。その点だと美希との抱き合わせも面白いな」

春香「当の千早ちゃんは『あず散歩の収録は毎回異常に疲れる』と言ってますけどね」

P「だろうな」

春香「別荘・・・少しだけ憧れますね」

P「そのうち管理が面倒になりそうだ」

春香「そういえばプロデューサーさんって将来住むならどんな家がいいんですか?」

P「俺はあまり住処に拘らないからな、マンションですら持て余すだろう」

P「今現在1LDKのアパートでさえ持て余してるしな」

春香「確かにプロデューサーさんの部屋って殺風景ですしね」

P「あれでも結構物が多くなったほうなんだぞ?まあ殆ど春香の私物だけど」

春香「それでもやっと千早ちゃんの部屋と同じ位ですよ」

P「俺から見れば春香の部屋はごちゃごちゃしすぎてるように見えるな」

春香「普通あんなものですって」

P「春香」

春香「何ですか?」

P「さっきの家の話で思いついたんだが、春香って結婚するとしたらどんな奴が良いんだ?」

春香「うぅん、そうですね・・・心から信頼できる人が良いですね」

P「信頼、か」

春香「信頼できないといつか一緒にいるのが不安になる時が来そうで」

春香「その点だとプロデューサーさんもまだチャンスはありますよ?」

P「八方美人は嫌われるぞ」

春香「ひ、ひどい!」

P「俺も早く結婚しなきゃとは思ってるんだがな」

春香「なんでですか?」

P「俺が男だからさ。未婚のままずっといればアイドルを誑かしていると週刊誌に書かれかねない」

P「まあ肝心の相手がいないんだけどな、それが一番の問題だ」

P「ただ合コンで相手探しってのは性に合わないんだよなあ」

春香「あぁ、分かります。無理矢理作るのって何か違う気がしますよね」

P「まあ未婚の癖にこれだけ色々言ってるから結婚できないんだろうけどな、俺は」

春香「たはは・・・」

P「そういえば今日はどこに泊まるんだ?」

春香「泊まるって?」

P「いや、明日は朝早くから収録だからここら辺に泊まっておかないと間に合わないぞって言っておいたよな?」

春香「あっ」

P「・・・まさか忘れてたのか?」

春香「それでも千早ちゃんなら、千早ちゃんなら何とかしてくれるはず・・・」

P「千早は今日大阪で泊まりだな」

春香「そういえばそう言ってた気が・・・」

P「今日は他も結構外に出ているな」

春香「あ、じゃあプロデューサーさんの家に泊まってもいいですか?」

P「・・・またか、先週末も来たじゃないか」

P「それに今日俺は帰りが少し遅いぞ?」

春香「夕ご飯作ってあげますから」

P「・・・全く仕方が無いな。わかった、うちに泊まってくれ」

春香「ふふ、ありがとうございます」

P「鍵は・・・ああそういえばまだ返してもらってなかったな」

春香「もうこれ貰っておいて大丈夫ですか?」

P「まあ一々借りて返しても面倒だしな、いいよ」

春香「ありがとうございます、夕ご飯作って待ってますね」

春香「じゃあさようなら」

P「気をつけてな」

春香「ああ、音無さんもさようなら」

小鳥「・・・え?うん、じゃあね春香ちゃん」

ガチャ

小鳥「ねえプロデューサーさん、春香ちゃんのことをどう思ってるんですか?」

P「何ですか?藪から棒に」

P「いやただの担当アイドルとしか思ってませんよ」

小鳥「見てる限りそうは思えないんですけど」

P「え?ごく普通に接してるだけじゃないですか」

小鳥「ごく普通に接してるなら家に泊めたりしないと思うんですけど」

P「なんか顔がちょっと怖いですよ音無さん・・・」

小鳥「あ"?ああ、いやすみません」

P「さて、ちょっと雪歩達を迎えに行ってくるので留守番お願いします」

小鳥「ああ、はい」

P「では行ってきます」

ガチャ

小鳥「・・・」

小鳥「・・・」

小鳥「・・・」

小鳥「・・・あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」

小鳥「・・・ふぅ」

小鳥「・・・」

小鳥「・・・」

小鳥「・・・」

小鳥「・・・ケーキ、安売り始まってるかしら」

おわり
十分クオリティってこわい

《P宅、二十時》

ガチャ

P「ただいま」

春香「あっ、プロデューサーさんおかえりなさい!」

春香「ご飯にする?お米にする?それともラ・イ・ス?」

P「何やってんだ」

春香「えへへ、一回やってみたかったんですよ」

P「色々と間違っている気がするが気にしないでおこう」

春香「まあ冗談は置いておいて、ご飯できてますよ」

P「ありがとう、先に食うか」

春香「そうしましょう」

P「ローストビーフ、カプレーゼ、ガーリックトースト、その他多数・・・」

P「いったいどうやってこんな物を?」

春香「プロデューサーさんのことですしクリスマスも仕事仕事だったでしょう?」

春香「なら今日くらいクリスマス気分になってもらおうと思って」

P「・・・優しさが身に沁みるな」

春香「これぐらいいつもプロデューサーさんにしてもらってることから比べたら」

P「それでも嬉しいものは嬉しいさ、ありがとう」

春香「・・・どういたしまして」

P「このローストビーフ美味いな、どこで買ったんだ?」

春香「ああこれ私が作ったんですよ」

P「え?ローストビーフってそんな数時間そこらで作れるものなのか」

春香「塊肉の表面を焼いて、お湯を張った炊飯器に入れておけば一時間か二時間でこうなりますよ」

春香「まあ私もこれを知ったのはつい最近なんですけどね」

P「ふうん、色々考えつく人もいるんだな」

春香「料理は奥がすごく深くて面白いですからね、仕事以外でもついつい自炊しちゃいます」

P「楽しんで仕事をやってくれてるなら良かったよ」

P「ふう、ご馳走様」

春香「お粗末さまでした」

P「さて、風呂はどうする?掃除は朝にしておいたから沸かせばいつでも入れるが」

春香「じゃあ早めに入っちゃいましょうか」

P「そうだな、沸かしてくるか」

~♪~♪

P「お、沸いたみたいだな」

春香「プロデューサーさん先に入りますか?」

P「終わらせておきたい仕事もあるし先に入ってくれ」

春香「もう・・・また家でも仕事ですか?」

P「まあ仕事はどれだけでも作れるからな」

P「別に趣味がある訳じゃないし、仕事やってたほうが落ち着くな」

春香「私達のために仕事してくれるのは嬉しいですけど・・・体だけは壊さないで下さいね」

P「はは、大丈夫さ」

P「パジャマはいつもの所に置いてあるからそれ使ってくれ」

春香「はあい」

ガチャ

P「さて、ああは言ったものの持って帰ってきてる仕事なんてないんだよな」

P「最近は仕事に慣れたからか事務が溜まることもないしな」

P「まあいつも通り今後の売り込み方の予定でもノートに書き溜めておくか」

ガチャ

春香「出ましたよー」

P「おう、じゃあ俺も入ってくるか」

春香「洗濯に使うのでお湯は抜かないで下さいね」

P「はいよ」

ガチャ

春香「ふぅ・・・さっぱりさっぱり」

春香「あ、プロデューサーさんのノートだ」

春香「・・・勝手に読んじゃうのはまずいかな」

春香「ま、まあ少し覗くくらいなら大丈夫・・・かな?」

春香「まあ読んでから考えよう」

春香「何々・・・『765予定ノート』?中身はどんな感じなんだろう・・・」

1:天海春香

おそらく基本は往年のアイドルの売り方で大丈夫だろう
ただ、少しドジな所をくどすぎない程度にアピール
あとライバルプロダクションとあまりかち合わないようにすべき、無理な売り込みは厳禁


歌が絶望的
しかし自分だけでは全てを改善することは不可能
仲のいい千早と多めに組ませて、歌についての色々を学ばせるべきか

→成功、歌は前よりも大きく改善
持ち前の楽しそうな歌い方と合わさって活力のある歌になった
これについては765の他のみんなの力、そして本人の努力も大きいだろう


どうやら料理について中々関心がある模様、特に菓子類
それを主軸に捉えることも視野に

→成功、この調子ならアイドル引退後でも主婦ドル系統として地位を残せるだろう

ーーーーー

ーーー


春香「・・・。」

春香「プロデューサーさん、やっぱり色々考えてくれてるんですね」

春香「歌が下手って書かれてたのはちょっと傷付いたけど」

春香「でも嬉しいなあ、ふふっ」

春香「私もこれから頑張らなくっちゃ」

春香「さて、プロデューサーさんが出てくる前に読んだ形跡を消してっと」

ガチャ

P「形跡がなんだって?」

春香「あっ・・・」

P「・・・あまり読んで欲しくはなかったんだがな」

春香「す、すみません・・・」

P「まあ書いてあったことは忘れてのびのびやってくれ」

春香「あの、プロデューサーさん。一つだけいいですか?」

P「何だ?」

春香「もし私がアイドルをやめたら、たぶん専業主婦になると思いますよ」

春香「アイドルはできるだけ続けたいですけど、一回やめちゃったらすっぱりと辞めたほうがスッキリしますからね」

P「・・・ああ主婦ドル云々の所を言ってるのか」

P「まあ、選択肢は作っておいて損はないさ」

P「春香も"懐メロ特集"や"あの人は今"の常連になる可能性だって高いしな」

P「しかし突然主婦になるだなんて、何か当てでもあるのか?」

春香「まだ淡い感情ですけど・・・実は一人だけ、この人ならいいかなって人はいます」

P「・・・えらい爆弾発言だな」

P「もし誰かと交際するなら一応こっちにも伝えてくれよ」

P「立場上あまり賛成はできないが、俺一個人としては応援するから」

春香「ふふ、ありがとうございます」

春香「でも、付き合うのはまだまだ先だと思いますよ」

春香「それこそ私がアイドルを引退する時くらいかもしれません」

P「そうなのか?なら当分心配はいらなそうだな」

春香「だって・・・いや、なんでもありません」

春香「さて、真面目な話は終わり!今日はもう寝ませんか?」

P「・・・まあ最近寝不足気味だし、早く寝ておくのもいいかもな」

春香「なら早めに洗い物しちゃいますね」

P「じゃあ俺は布団を用意しておくよ」

春香「はい」

春香(十二月二十六日)

春香(今日も一日何も変わらない日だった)

春香(ただ、自分の気持ちに一つだけ気付けたかもしれない)

春香(でもこの気持ちはまだ抑えておくべきだし、一生抑えることになるかもしれない)

春香(それでも、それでも私はいつかこう言いたい)

P「春香、布団の準備は終わったぞ」

春香「あ、はいもうすぐ行きます!」

春香(好きです。プロデューサーさん)

おわり

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