女 「やろうよ、合唱!」 男 「嫌だ」(19)

体育館 倉庫

女 「えーと、この辺りにあったはずなんだけど…」ゴソゴソ

女 「あった! 去年の文化祭のプログラム」

女 「いやーよかったよかった。これで部長から怒られずにすむよー」

『―――――♪』

女 「ん、なんだろ」

女 「裏からかな……?」

体育館裏

男 「尽きない、尽きない思い―♪」

男 「ふぅ……」

女 「あのっ!」

男 「!?」

女 「今の、なんて曲?」

男 「……別に」

女 「えー、いいじゃん教えてよー」

男 (なんだこいつ……)

男 (あ、同じクラスにこんな奴いたなぁ)

女 「てか男くんじゃん。どしたの放課後にこんなとこで」

男 「勝手だろ……」

女 「なによそれー」

女 「それより歌うまいんだね。でなんて曲?」

男 「話に脈絡が無さすぎる」

女 「よく言われるよー」

女 「曲名くらいいいじゃん。教えてよー」

男 「めんどいなぁ……」

女 「おんなじクラスじゃーん」

男 「初めて話しただろ……」

女 「今日から話せばいいじゃない?」

男 (本格的に面倒になってきた……)

女 「私は女。知ってるよね」

男 「…………」

女 「じゃあ私は名前教えたから男くんは曲名教えてよ」

男 「なんだよその超理論」

女 「気にしたら駄目だって~」

男 (うぜぇ……)

男 「エレファントカシマシ」

女 「あ知ってる」

男 「聴いてたなら後は自分で調べてくれ。じゃあな」

女 「あ、ちょっと待ってよ!」

男 「なにさ……」

女 「歌、好きなの?」

男 「…………」

女 「ねぇ、どう?」

男 「……別に」

女 「うっそだー」

男 「嘘じゃない」

女 「好きじゃなきゃこんなところで歌わないよ」

男 「好きな奴はカラオケにでも行くだろ」

女 「あそっか」

男 「もういいだろ、じゃあな」

女 「待って待って!」

男 「またかよ……」

女 「合唱とか、興味ない?」

男 「……興味ない」

女 「えー、上手だったのになー」

男 「一人で勝手に歌うのが好きなんだよ」

女 「ほら、好きなんじゃん」

男 「あん?」

女 「歌うの、好きなんでしょ?」

男 「…………」

女 「見るだけでもいいからさ、来てみない?」

男 「…………」

女 「みんなで歌うのも楽しいよ」

女 「どうかな?」

男 「…………」

男 「気が向いたらな……」

女 「ほんと!? 約束だよ?」

男 「気が向いたらだからな」

女 「うんっ」ニコ

女 「じゃーねー」ブンブン

男 「ああ……」ヒラヒラ

男 「なにいってんだろ、俺」

男 「…………」

男 「……帰るか」

翌日 教室

女 「ねぇ、気は向いた?」

男 「……向いてない」

女 「そっかぁ、残念……」

女 「あ、あの曲リッスントゥザミュージックって言うんだね。いい曲だったよ~」

男 「そうか……」

女 「エレファントカシマシ好きなの?」

男 「……まぁな」

女 「なんかオススメとかあったら教えてよ」

男 「別に……」

翌日

女 「気は向いた?」

男 「……向いてないな」

女 「そっかぁ」


翌日

女 「向いたでしょ?」

男 「まだだな……」


翌日

女 「向いてよね?」

男 「気分が優れないな……」


翌日

女 「向くしかないでしょ!」

男 「…………」

女 「なんなのよもー!?」ムキ-

男 (お前こそなんなんだ……)

友 「どうしたんだよ男。最近やたら女と仲良いみたいじゃん?」

女 「マブダチよマブダチ」

男 「仲良くない」

友 「そ、そうか……」

女 「友くんはどう? 合唱部」

友 「遠慮するよ」

食堂

友 「どうすんだよ」

男 「どうって」

友 「女だよ女」

男 「どうもしない」

友 「本気か~?」

男 「どうにかできるのか?」

友 「……できそうに無いな」

男 「だろう」

女 「空いてる?」ガタッ

男 「答える前に座るな」

女 「空いてたしいいじゃない?」

友 「はは……」

女 「ぶちょー、こっちですよー!」ブンブン

男 (部長……?)

部長 「ふう、人が多くて敵わないな……」

部長 「おや?」

女 「彼が男くんですよっ」

部長 「じゃあこちらは?」

女 「オマケです」

友 「おい」

部長 「男くんか。私は部長だ、よろしく」

男 「はぁ……」

部長 「それで、合唱に興味があると」

男 「はぁ?」

女 「そーなんですよ、彼とっても歌がうまいんです」

部長 「それは是非とも入部して頂かないとな」

男 (部長を使ってきやがった……)

友 (部長さん美人だなー)

放課後

男 (なんだかんだで連行されてしまった……)

部長 「はい、それじゃあ。夏休みが始まる前に文化祭の曲を一通り覚えようか」

部員 「「「はい!」」」

男 (そんなに多くないんだな……)

部長 「じゃあ声だしからいこう」

cosmos

http://m.youtube.com/watch?gl=jp&hl=ja&client=mv-google&v=0alpzrlze0m



男 (ひっでぇ、全然一本になってねぇじゃんか)

男 (女と部長はそこそこ上手い、男子も少ないながら頑張ってる)

男 (だが他が酷いな)

男 (まだ練習中だったとしても酷い)

男 (……何を真面目に考えてんだろ)


支援o(^▽^)o

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