まど神「悪魔ちゃんバレンタイン」 (31)

いまからまどほむバレンタインを書けるだけ書きます

地の文ありのまど神様視点バレンタイン

14日超えたら申し訳なす

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ほむらちゃんがチョコレートを作っているのを、わたしは十四人いる使い魔の子達の中に混ざりながら見ていた。

ほむら「……」

ほむらちゃんはせっせと手を動かしてチョコレートを作っている。その手際はてきぱきしていて、無駄がない。こういう調理にも、性格というものは現れるらしい。

まど神「……」ジー

偽街の子供達「……」ジー

わたしは使い魔の子達と一緒にほむらちゃんをじいっと見ているけれども、ほむらちゃんに私の姿は見えていない。見える見えないの問題じゃなくて、たぶん鹿目まどかだったころのわたしが引き裂かれた後の概念のわたしを見る気がないから見えないんだと思う。

それはちょっと悔しい。

まど神「むぅ」

ほむらちゃんがどうしてこの日にチョコレートを作っているのか。それを考えると、概念らしくもなくちょっとした羨望が湧く。

ヒガミ「?」

ほっぺたを膨らませていると「どうしたの?」とでも言いたげな顔で、使い魔の子のうち一人がわたしを見る。

お団子を二つ作って、おしゃれなシルクハットをかぶった子だ。

まど神「ううん。なんでないよ」

ヒガミ「……」

首を横に振ってごまかすと、その子は興味がなくなったようですぐに視線をほむらちゃんの手元に戻した。

使い魔の子達はわたしのことをきちんと認識できる。ほむらちゃんと違って。


ほむら「……」

一体なにを想っているのか、ほむらちゃんは無言のまま一心不乱にチョコレートを作っていた。

ワガママ「……」ソワソワ

ミエ「……」ワクワク

使い魔の子達は、甘い匂いにつられて浮足立っている。いつもはニタニタした感じの口元も、今は期待でうきうきしている。

まど神「あなた達はかわいいね」

ほむらちゃんと違って素直な使い魔たちに笑みがこぼれる。けれども、どの子もわたしの言葉よりチョコレートのほうに関心があるみたいで、何の反応もない。

まど神「あらら……」

きっと、ううん。まず間違いなく、この子達の分じゃあないのに。

期待した分、その後に訪れるがかりは今のわたしより大きいかもしれない。


まど神「っていっても、わたしの分でもないんだけね」

自分で言って、ちょっと落ち込んだ。

期待してるわけでもないし、もらえるなんてちっとも思ってないけど、それでもちょっと恨めしい気持ちになっちゃうのだ。

まど神「ほむらちゃんが最高の友達って言ったのも、概念になったわたしなのに……」

正確には概念になりかけるちょっと前のわたしだけど、大して変わらないはずだ。その頃のわたしは引き裂かれることなくわたしの中に残ってる。

だから、ほむらちゃんのことを世界で一番知っているのは、間違いなくわたしだ。

まど神「でも、ほむらちゃんは人間だった頃のわたしのほうが大切なんだよね」

初めてほむらちゃんと出会ったわたし。ほむらちゃんと約束を交わしたわたし。ほむらちゃんが迷い込んでいた迷路の出口になる願いを望んだわたし。

それは確かにわたしだったけれども、その人間だった頃のわたしはもうなくなってしまっている。

人間だった頃より、ずっとずっと長い時間と世界の積み重ねがあるから、それを失ったからと言ってどうなるというわけでもない。

けれども、だからこそ、この世界で生きている人間のわたしは

まど神「……むぅー」

とっても、ずるいと思う。

ヤキモチ「……?」

さっきとは違う、髪の長い赤毛の使い魔の子が首を傾げてこっちを見る。

まど神「なんでもないもんっ」

ヤキモチ「……」

ちょっと乱暴になっちゃったわたしの答えに、使い魔の子といえば「ふーん?」という感じだった。


ほむら「……できたわ」

完成の言葉とともに、ほむらちゃんの手が止まる。

まど神「わぁ! すごく良くできてる!」

偽街の子供達「!」

ほむらちゃんの手元にできあがったチョコレートは、とっても良くできていた。

職人のように、というのはさすがに言いすぎだけど、中学生の女の子が作ったというなら最上級のものだと思う。

完成を目にした使い魔の子供達の期待も頂点に上っている。

ほむら「……はぁ」

けれども、ほむらちゃんはなぜか暗澹たる表情でため息をついた。

ほむら「なんでこんなもの作ってしまったのかしら……」

なんでも何も、人間のわたしに渡すためじゃないのかな。

まど神「それじゃないとしたら、もしかして他の女の子のために……?」

オクビョウ「!?」ビクッ

まど神「え!? あ、ご、ごめんね? 怒ってないよ?」

おびえさせてしまったみたいで、ふっさりした髪の量が多い使い魔の子がぷるぷる震えている。


ほむら「こんなもの作って……そもそも何を言ってあの子に渡すつもりだったのかしら、私は」

おびえさせちゃった使い魔の子の頭を撫でてなだめていると、自虐的な呟きが聞こえた。

ほむら「それにもし渡したとしても、気味悪がられるだけだわ」

まど神「あ、ほむらちゃん、そっちの心配してたんだ……」

今のほむらちゃんとこの世界のわたしは、実はそんなに仲が良くない。ケンカをしてるわけじゃないんだけど、ちょっと疎遠気味だ。

ほんの少し遠いところにいるクラスメイト。

言葉に表すなら、そういう関係だ。

目でよくほむらちゃんを追っているこの世界のわたしの視線を、他ならぬほむらちゃん自身が意図して振り払っているんだから、当たり前だと思う。

ほむら「はぁ……」

ネクラ「……」クイクイ

ちょっと意地悪なことを考えていると、シスターさんみたいな帽子をかぶった子がほむらちゃんの袖をちょこんと引っ張った。

とうとう見えているだけでは耐えきれなくなったらしい。


偽街の子供達「……」ワクワク

ほむら「……ああ、そういうこと」

鈍感なほむらちゃんでも、純真なまで期待に満ち満ちたこの子達の笑顔が何を意味してるかは気が付いたみたいだ。

ほむら「そうね。食べられないチョコレートほど、無駄ないものはないもね」

それがほむらちゃん自身を騙して納得させるだけの言い訳だってことは、もちろんお見通しだ。

ほむら「好きに食べなさい、あなた達」

偽街の子供達「!」

ほむらちゃんの言葉を皮切りに、十四人の子供達は遠慮なくチョコレートに群がった。

まど神「……むぅ」

その輪には加わらず、わたしは一言だけ呟く。

まど神「ほむらちゃんの、意気地なしな意地っ張り」






見滝原中学の土曜日は、昼までの授業でおしまいだ。

まどか「……」チラッ

そのたった四つしかない授業の三つめが消費された休み時間、人間のわたしはちらちらと一人の女の子へ視線を投げかけていた。

ほむら「……」

ほむらちゃんはと言えば、気が付いてるくせにそっぽを向いている。

まどか「……うぅ」

さやか「どしたの、まどか?」

あんまり気が強くないわたしを見かねて、さやかちゃんが声をかけてくれる。もっとも、ちょっと呆れ交じりだから、事情は半分くらい察してるんだと思う。

まどか「うぇ!? う、ううん。なんでもないよ……」

さやか「そう? まあ、まどかがそういうならそれでもいいけどね。――あ。今日はチョコレート、ありがとね」

にやりと笑ってそんなことを言うあたり、やっぱりさやかちゃんは鋭い。

まどか「気にしないでよ。わたしもさやかちゃんからもらったし」

さやか「あー、そうだね。ま、友チョコなんて今じゃ当たり前だしね。……もっとも、もらうばっかりの奴もいるけどさ」

杏子「なーんだ、さやか? なんか含みがある言い方だな」


さやか「おうおう、来たね。あんた、今日はもらってばっかりじゃん」

杏子「おう! 大量だ! あれ見ろよ」

からりと笑う杏子ちゃんは、自分の鞄を指さす。

さやか「うっわ……」

まどか「わぁ!」

杏子ちゃんの鞄の中は、いろんなチョコレートでぎっしりだった。その中には、人間のわたしとさやかちゃんが今日の朝に渡し分も入っている。

さやか「あんたみたいなやつが良い目にあう日だね、今日は」

まどか「杏子ちゃんが人気なのもわかるよね。もしかして、学校で一番もらってるんじゃないの?」

杏子「そうかぁ? ま、お菓子をたくさんもらえるのは悪くねえよな」

苦笑交じりの二人の言葉はもっともだ。

杏子ちゃん自身は自覚がなくても、面倒見が良くてボーイッシュなからりとし性格は女子から人気がある。

さやか「お返しは、三倍返しでしょ。大変そーだね、杏子」

杏子「いや、宗教的根拠のないホワイトデーとか知らねえし」

さやか「都合良い解釈するな!」

まどか「あ、あはは……」

人間のわたしが仲の良い二人の会話に苦笑を漏らしながらも、ちらっと自分の鞄に視線をやった。

まど神「……あんまり、時間ないよ?」

鞄にずっと思いをしまっても、何にも進展しない。

ほむらちゃんからは、残念だけど来てくれないし。

まどか「……はぁ」

そう思った助言は、残念だけど今のわたしには届かなかった。


和子先生「――というわけで、バレタインに浮かれている暇なんてないんですよ? わかりましたか、みなさん!」

まどか「……」

結局、三時間目が終わった休み時間。

気がそぞろな人間のわたしは、和子先生のちょっとヒステリックな授業を右から左に聞き流しているみたいだった。

まどか「……」チラッ

ほむら「……」

まどか「……うぅ」

今日一日で、何度目になるのか。

ほむらちゃんに視線を投げて、すぐに取り下げてしまう。

まど神「……大丈夫かなぁ」

四時間目が終わったら、すぐにHRだ。ほむらちゃんにチョコレートを渡すタイミングは、下校の時間しかない。

つんと澄ましちゃってるほむらちゃんのことだから、今日は絶対にいつも以上に足早に帰るつもりだろう。

まどか「……」

ほむら「……」

人間のわたしのチョコレートが、鞄の中で溶けて消えてしまわないか。

まど神「……はぁ」

ちょっとだけ、心配だった。

きんこんかんとチャイムが鳴る。

ざわざわとクラスメイト達がざわめいて、がたごと椅子が動く音がする。

まどか「……っ」

ほむら「……」

そんな喧噪のなか、人間のわたしの視線は、不自然なくらいすたすたと足早なほむらちゃんを追っていた。

杏子「それじゃ帰ろーぜ、まどか」

まどか「えっ、と……ご、ごめんね。ちょっと今日、用事があって……!」

杏子「ん? なんだ、まどか。今日、何かあんのか?」

まどか「え、えっと、その……」

悪気のない杏子ちゃんに足止めされたわたしが、あたふたと視線をさまよわせる。

ほむらちゃんはもう視界の端こっで、このままだと見失っちゃうだろう。

さやか「あー……杏子。まどかは今日、大切な用事があんの。追及はしないであげて」

杏子「んー? そんなに探るつもりないけど……」

あえて声をかけていなかったさやかちゃんが、そっとフォローをしてくれる。

まどか「ごめんね、杏子ちゃん。それと、ありがとうっ、さやかちゃん!」

さやか「気にすんなって。じゃーね、まどか」

杏子「んじゃ、またな」

まどか「うん。また明日!」

大切な友達二人に見送られて、人間のわたしはもう見えなくてしまったほむらちゃんに追いつくべく、駆け足で教室から出て行った。

杏子「……なんなんだ、まどかの用事って?」

さやか「馬に蹴られたくなきゃ邪魔しちゃダメな用事」

杏子「は? なんだそりゃ」

まど神「ふふふっ」

わたしにとっても大切な二人の友達の会話に笑い声を漏らしてしまう。

まど神「じゃあ、わたしも馬に蹴られちゃわないぐらいにのぞき見しに行こう」

ちょっとだけ嫉妬が混じっちゃうかもしれないけど、わたしだってわたしの幸せを邪魔する気はない。

……ホントだよ?


まどか「はぁっ、はぁっ……ぁ!」

わたしが人間のわたしに追いついたのと、人間のわたしがほむらちゃんの背中を見つけたのは同時だった。

まどか「あと、ちょっと……!」

ここまでのかけっこで息が切れてしまっているわたしだけど、後ちょっと距離だ。

ほむらちゃんの背中が見えて安心したのか、人間のわたしは一度足を止めて鞄からチョコレートを取り出す。

まどか「よしっ」

追いついたら、決心が鈍らないうちに渡すつもりなんだろう。握りこぶしに気合を込めた私が再び走り始める。

ほむら「……?」

たったった、という背後に迫る足音に、ほむらちゃんが不意に振り返った。

まどか「ほむらちゃ――」

一瞬視線が合って、それにわたしが声をかけようとしたけれども

ほむら「……」フイッ

ほむらちゃんは、わざわざ視線を外してまた前を向いた。

まどか「――ぁ」

ほむら「……」

そのまま、何事もなかったかのように前を向いたまま歩き始める。


まどか「ほ、ほむらちゃ……」

それでも声をかけようとして、でもわたしの声はしぼんで消える。

ほむら「……」

ほむらちゃんも、決して振り返ろうとしない。

必要以上強く拳を握っていても、唇をかみしめていようとも、自分が関わらないことがわたしのためになると思い込んでいるみたいに、ただ前を歩く。

まどか「……」シュン

ほむら「……」ギリッ

このままだと、二人の距離はどんどん離れて行ってしまう。

渡せなかったチョコレートは、いつか溶けて流れていってしまう。

まど神「……仕方ないなぁ」

まど神「……ほむらちゃんの意地っ張りの意気地なし」

ほむらちゃんの悪口を呟いてから、わたしは人間のわたしにそっと近づく。

まどか「……ぁ」

ほむら「……!」

ぴたり、とほむらちゃんの足が止まった。

わたしはそのまま、わたし自身と視線を合わせる。

まどか「あれ……わたしは……」

目が合わないはずなのに、わたしの目を見ていると吸い込まれていくような心地がする。

そのままどんどんと近づいて行って、裂けて欠けてしまったその部分にすうっと一体化しそうになって――

ほむら「だめっ!」

まどか「――ぇ」

ぱちん、とわたしが弾かれた。

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ほむら「……ぁ」

ほむらちゃんに抱き付かれたわたしが身じろぎすると、ほむらちゃんがはっとして体を放した。

ほむら「その……ごめんなさいね。あなたが、何かぼんやりしてふらふらしていたから、支えようと思ったの。それだけよ」

まどか「そ、そうなの? えっと……ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「いいえ。……それじゃあ、失礼するわ」

まどか「ちょ、ちょっと待って、ほむらちゃん!」

ほむら「……何かしら」

まどか「えっと、実は、ほむらちゃんに渡したいものがあるの!」

ほむら「私に……?」

まどか「う、うん。手作りで作ったチョコレート何だけど、よかったら――」





まど神「……うぅ」

ほむらちゃんを引き留める手伝いをしたくせに、わたしとほむらちゃんのやり取りを見てられなくてなって先に帰ってきてしまった。

まど神「くすん……」

偽街の子供達「?」

ほむらちゃんの家でお留守番をしていた使い魔の子達は、うじうじしているわたしを見てはてなマークを浮かべていた。

別にいいのだ。わたしがほむらちゃんにチョコレートを渡すのは。きっとほむらちゃんだって喜んでくれる。

だから、うじうじしている理由は別にある。

まど神「またほむらちゃんに拒絶されちゃった……」


マヌケ「?」

頭のてっぺんにお団子を作った子が「それが?」という顔を向けてくる。

まど神「だって人間のわたしに抱き付いてわたしのことを拒否するんだよ? ほむらちゃん、ちょっとひどいと思わない?」

ナマケ「……」フイッ

グチグチと文句を言っていると、一番背の高い金髪の子が「面倒……」とでも言いたげに顔をそらした。

まど神「うぅ……聞いてよぉ」

レイケツ「……」

まど神「うぅ……」

羽根つき帽子をかぶった子の冷たい視線に迎撃されて、がっくりうなだれる。

まど神「ほむらちゃん、いつかわたしを見てくれるのかなぁ……」

Look at me

いつの世界にかそうやって見えないところで叫んださやかちゃんの心が今になってよくわかる。


見えないから見て欲しい。見てもらえないから見て欲しい。

いまわたしのことを見てくれるこの子達に愚痴をこぼしてしまうくらい、見てもらえるということは重要だ。

まど神「……ふぅ。ごめんね。愚痴なんてこぼしちゃって」

ウソツキ「……」

この子達には、どうしようもないことだ。

謝ってほほ笑むと、短髪の赤毛の子になんでかじぃーっと顔を見られた。

まど神「どうしたの? なにか顔に――」

そんなあるわけのないことを聞こうとした時、がちゃりと玄関の鍵が回る音がした。

ほむら「……帰ったわ」

まど神「ぁ……」

隠そうとしてるけれども、ちょっと弾んだほむらちゃんの声にますます気分が落ち込んだ。

偽街の子供達「……」

ほむら「あら? あなた達、出迎えてくるなんて珍し――痛ッ。な、なに? いきなりトマトを投げつけてきて……!?」

イバリ「Gott ist tot」

ガンコ「Gott ist tot」

ほむら「痛ッ、イタタっ――ええい、やめなさい.あなた達!」


偽街の子供達「……」

ほむらちゃんの一喝に、トマト投げは終わる。

ほむら「もう、何なのよ……」

いきなり一方的にトマトを投げつけられたほむらちゃんの文句はいたって真っ当なものだ。真っ当なものなんだけれども……

まど神「ふ、ふふふっ」

ほむらちゃんには悪いけど、ちょっと笑ってしまった。

ほむら「……まあいいわ。今日は気分がいいし、おとがめなしにしてあげる」

偽街の子供達「……」

わたしと使い魔の子達に見送られつつ、ほむらちゃんは自分の部屋に引っ込んでいく。

きっと自分の部屋で、大切にチョコレートを食べるのだろう。

でも、その光景を思い浮かべても、嫌な心が浮かび上がらなかった。

まど神「あなた達のおかげかな?」

ノロマ「……」チョイチョイ

笑顔で聞くと、一番背の低い金髪の子が、机を指さした。

まど神「うん? どうした――あれ? これって……」

指先をおってみれば、そこには一個だけチョコレートが残っていた。


まど神「朝の……? 残してくれたの?」

偽街の子供達「……」コックリ

まど神「……そっか!」

良い子達だ。

それとも、もしかしたらこの子達に仲間だと思われているのかもしれない。

けどそれもいいかもしれない。

十四人いるこの子達の、次。

まど神「十五番目、かぁ」

机の上のチョコレートに手を伸ばす。触れるなんて思ってなかったけど、何の奇跡だろうか。

偽街の子供達「Fort Da」

まど神「あれ?」

なににも触れないはずの指先が、どうしてチョコレートをつまんでいた。

どうしてだろうか。思わずなんの変哲もないチョコレートを、しげしげと眺めてしまう。

しばらく考えてみたけれども、結局わからない。けれども、こういう奇跡があってもいいとかな、と思う。

だって、いまのわたし、神様だもんね。

まど神「……ね。ほむらちゃん、いつか迎えに来てくれるかな?」

偽街の子供達「Fort Da!」

子供達のよくわからない答えに微笑んで、わたしは人間のわたしが貰えなかったチョコレートを口に放り込む。

ほむらちゃんの愛は、とっても甘かった。

お終い。

まどほむを書くつもりが、なぜかどんどんまど神ドールズに流れていった。反省はしてる

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