【安価】ゾンビ「……ぁ゛あ゛ー……」 (815)


記憶の片隅に、視界がまるで真っ赤だったのを覚えている。

故に見えない、だから私は彷徨い歩いていた。


ゾンビ「……ぁ゛あ゛ー……」


無秩序、そして人間が地上から絶滅しかけていた時。

私はまだゾンビの一人でしか無かったのだ。



単純で尚且つゾンビらしい行動を指定して下さい。
>>2


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マイケルのスリラーを踊る


ゾンビ「……ぁ゛……あ゛」ズリ…ズリ…

    ♪
< スリィラァー! スリィ!ラァー! ナァーイッ! ♪



ゾンビ「……」


何処からか流れてきた音楽に、私は足を止める。

リズムが頭の中で一部残り、何処か体が動きたくなる衝動があった。

だが。


ゾンビ「……」ズリ…ズリ…


この時の私では踊る事はなく、ゾンビの中で初めて『音楽は無視』する事が出来ただけだった。


【ゾンビの知能が僅かに上がりました】
【ゾンビの個性が僅かに生まれました】



……夕暮れの時だった。

まだ記憶力が皆無だった時ではあるから、さっき話した時より数日は経ってると思う。

私はツタにまみれた廃屋の裏を歩いていた。

そこで私は物音を聴いたのだ。


他のゾンビではない、扉を閉める音だ。


ゾンビ「ぁ゛ー……ぁ゛ぁ゛……」


近づいていくと、アルミ質の薄汚れた扉があった。

微かに脳を擽る匂いがする、人間の生存者だ。

しかし……この時の私はただ扉を押したり引っ掻くしかできないでいた。

何か、どうすれば扉は開くのだろうか。



扉をどうすれば開きますか、押しては開かない様です
>>7

蝶番ぶっ壊せ


ふと、私は真っ赤な視界の中で見える扉の蝶番を見た。

錆びかけてはいるものの、しっかり固定されており壊せるとは思えなかった。

が、思考力の足りない頭でもゾンビに『なる前の体』が蝶番の特徴から1つの想像が浮かんだ。



この扉は引いて開くのではないだろうか。



ゾンビ「…………あ゛…ぅ…」


『扉に関する安価』達成
扉は引けば開く様です、どうしますか
>>10

引いてあける


震える手を伸ばそうとする。

感覚はこの当時は殆ど無い、故にドアノブを何となく手で握るのは少し時間がかかった。

だが直に私は扉を引いて……開ける事が出来た。

本来のゾンビでは決して、有り得ない行動だというのに。



少年「えっ?」



扉の先には毛布で体を包んだ少年が立っていた。

手には包丁を持ってはいたが、よほど油断していたのだろう。

私が扉を開けて入ってきた時にキョトンとした声と共に落としてしまっていた。



人間『13歳級-男子』と遭遇しました。
どうしますか?
>>12

とりあえず、ロボットダンスだ!


ゾンビ「……ぁ゛……あ?」


落とした包丁を見て、反射的に拾おうとした。

恐らくこれもゾンビになってからの私にとって、初めての行動だったろう。

しかし細かい動作が感覚が無い私の体では、難しい。

まるでロボットダンスのようにカクカクしながら、少年の足元へ近寄っていった。


少年「うわ、うわぁああっ!!」ダッ



少年が逃げました。
どうしますか?
>>15

捕まえてどこかに監禁


走り出した少年の背中を見て、私は咄嗟に追いかけた。

ブラブラと手足を振り乱しながら、全力で。


少年「ひぃっ、ひぃっ、ひぃっ、ぃひっ……ひうわぁあああああああ!!!??」

ゾンビ「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」ガシイッ!!


そして捕まえた。

私は掴んだ少年の腕を引き寄せると、顔を殴打されながらも噛みついた。

しかし、そこで私は思い付いた。

これを後に取っておけばいいのでは。

そう思ったが、しかし食欲には抗えない。


細身ではあるものの、幼い匂いが脳を擽る。


監禁までの行程は未だ知能が足りません。
少年を補食します。
食べる部位を選んで下さい。

「腕」
「足」
「頭」
「腹部→追加イベント&戦闘」

>>19

機動力を削ごう


   ガシュッ……ッヂュンッ!!


私は容赦をしない。

人間は私や他のゾンビに喰らいつかれた瞬間、痛みで思わぬ力で抵抗する。

だから、私は噛みついた足を骨ごと噛み砕き、喰い千切る。


少年の絶叫が廃屋全体に響き、そして全身が激しく暴れだす。

だから私は直ぐに足を更に噛み進めた。

久しぶりの食事だ、だが今までと違うのを私は感じていた。


少年の足をよく味わう様に……筋肉の繊維を小さく噛み千切っては飲み込む。


何故だろうか、この時の私は今よりも遥かに足を好んでいた気がする。



【ゾンビの好物が『足』になりました】
【ゾンビの知能が上昇しました】
【ゾンビの脚力が上昇しました】



……次に覚えているのは、殆ど今の私と変わらない状態になる所だった。

少年を食してから、再びどこをともなく彷徨い歩いていた時。

とても高い、赤く塗られた細い建造物の近くで私は脳を擽る匂いに足を止めた。

血。

だがしかしそこに集まるはずのゾンビの匂いはしなかった。


   「いやぁ!! やめて、お願いやめてぇっ!!」


建造物を半周した位置から聴こえてくる、悲鳴。

私は……


声のした方向へ向かいますか?
>>28


私は血の匂いに興奮して走り出した。

それまでとは違う、直線的に走れる様になっていたからだ。

そう何分もしないうちに私は声のした位置と思われる場所に着いた。

路面に二人程の人間が倒れている。

男だ、それも死んで間もない様だった。


ゾンビ「ぁ゛……あ゛ー……」



「頭」と「腕」が欠損していますが、補食しますか?
>>32

する、そして出来ればゾンビして仲間にする


   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


【ゾンビの脚力が上昇しました】
【ゾンビに僅かな脂肪が二時間後に付きました】

【ゾンビの脚力が僅かに上昇しました】
【ゾンビに微々たる脂肪が二時間後に付きました】


ゾンビ「ぁ゛……あ……あ」ヨロッ…


私はそれらの死体を食した。

二人目の死体は少し時間が経ったのもあってか、かなり味が悪かった。

恐らく、『同類』に近くなっていたからだろう。

そうしてから、私は背後の茂みから一発の銃声が上がってから他の人間の存在に気づいた。

二人の男の体が一部欠損していたのは、他の人間が何かしたからなのだ。

だからゾンビがいないのに、人間が死んだのだ。



   「やだぁぁ…!! やだよぉ、目を開けて……死なないでぇ!!」


茂みを抜けると、公園らしき広間に出た。

芝生が一面に敷かれている中で、八人の男女がいる。

倒れている男に、黒髪の女が寄り添って何かを叫んでいた。

しかしその姿は……何も身に付けていない、裸だ。


黒髪「なんで! なんで殺したの……!」

黒髪「この人だけは殺さないでって……殺さないでってぇえ……っ!」




   ッッ!!


黒髪の女と芝生に脳漿を撒き散らした男の死体を、六人の男が取り囲んでいた。

そのうちのヘルメットを被った男が、手にしていた銃らしき物を女に向け、発砲したのだ。

私の真っ赤な視界の中で、黒に近い色の血と肉片が散らばった。


ゾンビ「……」


瞬間、私の脳は抗えない程の何かに擽られた。

今になれば分かるが、この時に死んでいた男と、殺された女は特別な血液だったのだろう。

私は茂みから飛び出し、六人の男達に向かって走り出した。



【戦闘を開始します】


ゾンビ「あ゛ぁ゛……!」ガバッ

ヘルメットA「なっ、うわぁ! やめっ……」


    ガシュッ……!!


ヘルメットA「ぎゃぁああああああ!!!」


黒ヘルメット「!」




【『後から迫る』事に成功、人間『成人級-男性』を一人に感染させました】

【周囲にいた人間を動揺させました、距離を取らなければ発砲されなくなりました】


ヘルメットB「くそ、血に誘われて来やがったか……!」


私が即座に噛みついたヘルメットの男は、ジャケットの上からとはいえ少なくない血を撒き散らしている。

思わず倒れ込んだその人間に覆い被さりたくなるが、背後から他の男が何かを手に迫ってくる。



どうしますか、現在のゾンビに出来る行動を考えて指示して下さい。
尚、ゾンビが死亡した場合は特殊イベントの後に他のステータス初期のゾンビに変わります。

>>40


腕を振り回す



    ベチンッ!


私はその場で、腕を関節が抜ける程に振り回した。

背後に迫っていた男は予想外だったのだろう、振り回した私の手が頭部に当たったらしく大きくよろけていた。


ヘルメットB「ぅ…お…ッ!?」ヨロッ


黒ヘルメット「……!」ジャカッ

ヘルメットC「まて撃つな! ショットガンじゃ巻き込んじまうだろが!!」

ヘルメットD「構わねえだろ、Aは殺しても」

ヘルメットE「なにやってんだよB、手を貸してやろうか」


口々に何かを言い合いながら男達は私に銃を向けたり怒鳴ったりしている。

薄いパーカーを着たヘルメットの男が、小振りの鉈を手に私に近寄ってくる。

同じく、今度は腕を振り回している私を警戒しながら先程のヘルメットBが近寄ろうとしている。

手にしていたのは、サバイバルナイフのようだったが、当時の私には包丁と脅威は変わらない気がした。


どうしますか?
>>43


【尚、散弾銃を携帯しているのは黒ヘルメットのみ】
【他はそれぞれ腰に拳銃を一丁ずつ携帯しています】

襲って自分と同じゾンビしよう


ゾンビ「……あ゛ぁ゛……」ユラッ


ヘルメットE「よっと」ヒュッ


男は、手の鉈を振り上げると私の頭に振り下ろそうとするが、そこへ私は襲い掛かった。

間髪入れずに走り出した私に、ヘルメットの中で男が驚愕の声を挙げる。


    ドサァッ!!

    
ヘルメットE「うぉあッ!? なんだコイツ、やけに攻撃的……」

ゾンビ「あ゛あ゛っ!!」

    ガシュッ

ヘルメットE「ぎぃい!!? たすっ、助けてくれ!! こいつを撃てぇ!!」


手足をばたつかせ、私に飛びつかれた際に落とした鉈を探ろうとする。

その男の肩に、ジャケットやチョッキの様な装備ごと私は噛みつき、骨ごと噛み砕く。

ブチブチとした音と共にジャケットの布ごと噛み千切って、私は立ち上がった。

何故だか、放置したくなったのだ。


ヘルメットE「ぐ、ぁあああああっ!!! いてぇ、痛ェエッ……!!」


ヘルメットC「なんだコイツ……そのまま食おうとしないで立ち上がったぞ」

ヘルメットB「やっぱりなんかおかしくねえか、撃ち殺そう……周りのゾンビが来る心配なんて今更だ」


【人間二人を行動不能にしました、うち一人のAは死亡した様です】
【残り四人が『警戒状態』になりました、発砲を許せば頭を撃たれるかもしれません】

どうしますか?
行動を1人1つ指示して下さい、安価2つの行動を組み合わせて実行します


>>47
>>48



攻めたら引くことも大事

一発殴って怯んだ隙に逃げよう



    ダダダッ・・・!


拳銃を構えだした男達に向かい、私は走り出す。

いま思えば、もしも私がゾンビではなく人間だったなら、間違いなく死んでいただろう。

だがしかし。

彼等にとって私は、人間に歩き近寄って喰い殺そうとするゾンビでしかない。

だからだろう、通常の人間よりも明らかに少しだけ速い私を見て、それまでのように頭を狙えなかった。


    ッッ!! ッッ!!


ゾンビ「ぉ゛あ゛っ……う゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」ダダダッ


ヘルメットB「と、止まらねぇ! 」ガゥンッガゥンッ

ヘルメットD「俺達の銃じゃ衝撃がねえんだよ! 貫通しちまう!」

黒ヘルメット「……」ジャカッ




【『攻める→退避』の行動に決定しました】
【『そのまま攻める安価』に関する安価が指示された為、即死する可能性が出てきました】

【次の男達から一人襲う相手を選んで下さい、正解の一人以外を選んだ場合、ゾンビが死にます】


「ヘルメットB」
「ヘルメットC」
「ヘルメットD」
「黒ヘルメット」


>>50

黒ヘルメット



    ガバッ!!


黒ヘルメット「……ッッ」ズキッ

ゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ……ッッ!!!!」ガジュッ…メキメキィッ


    ッッ!!

黒いヘルメットに、黒いライダースーツの男に飛び掛かった私は、その勢いで男の手首に噛みついた。

その衝撃か、それとも手首に噛みついた事による現象か。

男の散弾銃は暴発し、私の背後にいたヘルメットCを吹き飛ばした。


ヘルメットB「やッ……」チャカッ

ヘルメットD「馬鹿が! また暴発したらどうする気だてめぇ!!」

ヘルメットB「だからあの女を撃つんだろうが! 本社には適当に言えば……」


黒ヘルメット「……っ、ッ……!」ゴッ…ゴッ…!!

ゾンビ「ヴヴあ゛……」ガジュッ…ガジュッ…


【黒ヘルメットに感染させました、また状況から一人を巻き添えにしました】
【残り人間は三人です、噛まれたEも今死亡した様です】

【黒ヘルメットが『成人級-女性』と判明しました】

どうしますか?
>>53

もっと感染させよう、

というか、チーム半壊した時点で逃げればいいのにこのメットたち
A死亡 感染済み B生存 警戒 C生存? 負傷 D生存 警戒 E死亡 感染? 黒生存 負傷 感染済み
あれ?四人じゃ・・・それともCが死亡した?

統制とれてないし生存者っぽい

実際ゾンビとか遭遇したら腰抜かしてそのまま食われる自信あるわ

ゾンビ「う゛あ゛あ゛あ゛!」タッタッタ

お前ら「うわああ!!!逃げろおおお!!!……ってぇ!!」ゴロン

ゾンビ「あ゛あ゛あ゛」

お前ら「来るなあああ来んなって!!!誰かああ!!!!」ズリズリ

これはゾンビ増やすよりは自分の質を高める中心がいいのかな?(唐突)



    ガシュッ……グブヂュッ……!!


黒ヘルメット「 ────────!!? …………」


ヘルメットとジャケットの襟をどけながら、私は首筋に噛みついた。

先程から私が噛みついた人間から『同類』の匂いが漂ってきている。

直感……そう呼べるものなのか、この時の私の知能で有り得るかは分からない。

どちらにせよ、私は人間を一刻も早く仕留めて濃厚な擽る匂いを放つあの二人の死体を食したかった。

直後にヘルメットを脱がしながら茶髪の女だったらしいこの人間、私は再び喉を喰い千切ってから立ち上がった。



【初めての『追い討ち』に成功しました】
【動脈二ヶ所から感染させたので黒ヘルメットを即死させました】

【『一度の戦闘で三度以上の最適解指示を出した』ので、ゾンビの知能が上昇しました】


ヘルメットB「見ろ!! どう見ても普通じゃねぇ! 本社の奴が言った新種だ!」

ヘルメットD「……畜生が、バイクのとこまで退くぞ、奴の頭を撃てれば撃ちながらな」チャカッ

ヘルメットB「ッよし!」チャカッ


ヘルメットを被った男達は、残り二人。

拳銃を構える余裕と判断が落ち着いた彼等は、下がりながら今にも引き金を引こうとしている。

私は今までぼんやりとしていた意識がこの時点で初めて、僅かにはっきりとした感覚があった。

左手の小指が、正確にはその先端……ヘルメットを持つ手の中で唯一感触があった。


ゾンビ「ぁ゛……ぁ゛……あ゛?」


拳銃を見て、それからゆっくりとヘルメットを見た。

逃げるつもりもあった筈なのに、何かを初めて思考しようとしたのだ。



ゾンビの行動にあった『逃走』が、知能が上昇した事により一時的に無くなりました。
どうしますか?
>>69

拳銃でBを射撃、怯むようならDも


ゾンビ「……ぁ゛……あ゛?」ジャカッ


私はゆっくりと黒ヘルメットの隣に落ちていた散弾銃を手にする。

左手の小指で支えながら持ち、男達のように向けようと持ち上げた。

途中でポキッと小指が斜めに折れたが、私は中指で銃の引き金を…………


    …………


引けない。


ゾンビ「ぁ゛ぁ゛あ゛……」カチッカチッカチッカチッカチッカチッ


私は掠れた声を出しながら引き金を引き続けるが、引けなかった。


ヘルメットB「……っ、嘘だろあの野郎……ショットガン撃とうとしたのか」

ヘルメットD「気を取られてる場合か! セーフティだか弾切れだか知らねえが逃げるぞ!!」

ヘルメットB「くっ……!」ガゥンッガゥンッ


そんなゾンビらしからぬ行動を取った私を見た人間は、片方はバイクのある街道へ走り抜き、片方は私に銃撃して去った。

二発の銃弾は私の肩と、右耳を抉ったが問題なかった。


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛……」ズリッ……ズリッ……


少し離れた所で、最初のヘルメットの男が這って銃声の方向へ向かっていた。

だが追い付けず、直ぐにバイクが走り去るのが聴こえた。



ゾンビ「ぁ゛……あ゛ー……あ゛……」カチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッ…


しばらくの間、私は引き金を引いていた。

撃てなくとも引き金を引く行為に、何らかの意味があると知った私にとっては食事よりも重要だったからだ。



【『深追いをしない』『その場から移動をしない』により、即死の可能性を回避しました】
【ヘルメットAが『特殊新生者-成人級』となりました】


【ヘルメットの男二人が生存、次回のイベント戦闘時の難易度が上昇しました】
【ゾンビの『現在編』にての装備品に散弾銃が追加されました】
【ゾンビの知能が上昇しました】
【ゾンビの感染速度が僅かに上昇しました】
【ゾンビの個性が僅かに上昇しました】

【戦闘を終了します】






ゾンビ「ぁ゛……あ゛……あはっ……ぁ゛」



……一通り落ち着いた私は、僅かに『同類』の匂いが立ち込めて来たのに気づいた。

例の、私をこれ程に狂乱させ、人間を襲わせた匂いに混ざっているのである。

頭を散弾銃で撃たれた男女はゾンビになる事は無いが、稀に『ゾンビでもない何か』になる事がある。


ゾンビ「ぁ゛……あ゛あ゛ー」ダダッ


駄目だ、駄目だ。

その時の私はゾンビとしての意識を持ち始めてから初めて焦りの感情を覚えた。

近づき、頭を潰された二人の死体を前にした時に私は僅かに悩んだ。

どちらからも、特別な匂いがする。

どうすれば良いのだろう。

しかし食欲は最早暴走に近かった、私は直ぐに ──────────





────── ゾンビの性別、現時点以降の身体能力の伸び代、伸びる速度を決定します。

二人のうち、一人を選んで食して下さい。




「黒髪の女」

「黒髪の男」




……一通り落ち着いた私は、僅かに『同類』の匂いが立ち込めて来たのに気づいた。

例の、私をこれ程に狂乱させ、人間を襲わせた匂いに混ざっているのである。

頭を散弾銃で撃たれた男女はゾンビになる事は無いが、稀に『ゾンビでもない何か』になる事がある。


ゾンビ「ぁ゛……あ゛あ゛ー」ダダッ


駄目だ、駄目だ。

その時の私はゾンビとしての意識を持ち始めてから初めて焦りの感情を覚えた。

近づき、頭を潰された二人の死体を前にした時に私は僅かに悩んだ。

どちらからも、特別な匂いがする。

どうすれば良いのだろう。

しかし食欲は最早暴走に近かった、私は直ぐに ──────────





────── ゾンビの性別、現時点以降の身体能力の伸び代、伸びる速度を決定します。

二人のうち、一人を選んで食して下さい。




「黒髪の女」

「黒髪の男」



>>81



──────── 黒髪の女の、撒き散らされていた脳漿を舌で舐め取った。

その瞬間に、私の全身に火でも付けられたように高揚した。

ゾンビの私が、興奮したのだ。


ゾンビ「ハァァア……ガジュッ…ガジュッ……ガジュッ…!!」


その血肉は甘く、切なく、舌を、喉を、食道を、何もかもを焼く様に染み込んできた。

私は夢中でその女の全身を喰らった。

通常では有り得ない質量を喰らった為か、それとも飲み込んだ肋骨か。

途中、私は多量に血を吐いた気もしたが、直ぐに食べ続けた。

そして……足を。

美しかったであろう、その白い肌と、筋肉。

骨ごと噛み砕き、飲み下す。

私は恍惚とも言える表情で、最後まで味わった。






……これが、私がゾンビとしての最後の記憶だ。

記憶力が芽生えたばかりだから朧気な部分はあるものの、こんな所だろう。

だが。

食べ終えた私に何が起きたのか、それは分からない。

分かるのは直後に私の意識が途絶えた事。

目が覚めた時には周囲にいた三人のゾンビが私を待っていた事。


そして、私は人間の女とほぼ変わらない姿になっていた事だ。




【ゾンビが『特殊新生者-成人級』から、『女性擬態型-変異種』になりました】
【ゾンビの脚力が遥かに上昇しました】
【ゾンビの知能が上昇しました】
【ゾンビは黒髪ゾンビになりました】
【黒髪ゾンビの腕力が遥かに下がりました】
【黒髪ゾンビの耐久力が遥かに上昇しました】

【『特殊新生者』の『親』となりました、以降から行動可能なゾンビを交えて指示出来ます】



黒髪ゾンビ「……ぁあ…ぅ?」


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛……」ズリ…ズリ…

ヘルメットEゾンビ「ぉ゛お゛ー……ぉ゛ぉ゛……」ズリ…ズリ…

茶髪ゾンビ「ぁ゛ぁ゛ー……」ズリ…ズリ…



日付も変わったので、ここで一度区切ります。
女性型になったので改めてシナリオと展開に関するキーワード設定を見直します。

これまでで私が回答すべきレスを返します。

>>56
ヘルメットCは散弾銃の暴発により即死です。

>>67
どちらでも構いません、主人公がまともに噛んだ相手ならば感染しゾンビとなります。
能力を上げていけば安価で可能な事も増えます、ダンスも踊れれば性交も出来るでしょう。


ちなみに、現時点でのステータス(全身)を見ますか?
>>89

見なければここで寝ます

見る


知能:13  腕力:6  脚力:41  
個性:4   脂肪:13  感染速度:62


他にも魅力や射撃、耐久力等がありますが、こちらは展開の都合上隠させて頂きます。
あえて言えば、脚力と感染速度は化け物で後は一般の身長156cmの女性と同じとお思い下さい。


ちなみに一般のステータスが


【人間(成人級)】

知能:24  腕力:12  脚力:18

個性:16(ゾンビでの推定)  脂肪:15  感染速度:5(他のゾンビの場合)

【人間(13~16歳級)】

知能:21  腕力:7  脚力:10~15
個性:16  脂肪:13  感染速度:5(他のゾンビの場合)


となります。

他に無ければ寝ます。

脚力が成人の2倍以上ということは
腕振り回すより蹴りのほうが与えられるダメージでかいのかな


尚、脚力と腕力の補正と描写への影響ですが。
脚力は走行速度と格闘での補正、腕力は投擲と握力、また格闘での補正となります。

>>94の考察が正解です、但し勘違いしてはならないのが『それでも一般人の二倍以上程度』である事をお忘れなく。
未だちょっと強いゾンビでしかない事を忘れなければ恐らく即死はないと思われます。



……目が覚めた私が最初に感じた違和感は、近くにいた三体のゾンビだった。

これまでに朧気ながら覚えている、出会ったゾンビ達。

それらとは全く異質な『気配』があった。

何より。

私が意識を三体のゾンビいずれかに向けると、聴こえてくるのだ。



─────【カア……サン……】─────

─────【……ウマク…アルケナ…イ……】─────

─────【……カアサン…………】─────



私を見ながら、周囲を徘徊し続けるゾンビ達。

そこで私は思いついた。

もしかしたら、彼等は私と同じ存在なのではないか。

だから私は語りかけた。

それまで人間のような会話をしたことが無かった筈なのに、不思議と意志疎通が出来ると思ったのだ。



何を話しかけますか?
>>103

心配しないで私の言うとおりにすれば大丈夫



黒髪ゾンビ「ぁ……あぅ…あ…………」


しかし声は出せない。

どれだけ私が彼等に話しかけようとしても、身体と知能は人間の様には動いてくれない。

だけど。



─────【心配……イラナイ】─────

─────【私ノ、言ウ通リニスレバ……大丈夫】─────



声ではない。

だけど私は彼等にしか聴こえない『何か』を頭の奥から吐き出した。

そしてそれは彼等に届いた。


ヘルメットAゾンビ「ァ゛……ァ゛ア゛ー」

─────【カアサン……ワカッ…タ……】─────


ヘルメットEゾンビ「ぉ゛ー……」

─────【ウン……ウン……】─────


茶髪ゾンビ「……あ゛ぁ゛ー」

─────【ハァ……ィ】─────


口々に、静かに聴こえてくる囁きの様な『言葉』は、私の言いたい事を出来た様だった。

恐らく簡単な言葉や指示なら彼等も聞いてくれそうだ。

私はこの瞬間から、一人ではなくなった。



そうして周囲の『仲間』に話しかけてから、私は辺りに異臭が漂っている事が分かった。

そう、意識を失い私が起きる前まであった筈の……黒髪の男の死体が無くなっていた。

当時の私では予想も出来ず、ただ首を傾げるばかりだった。

ふと。

私は視界が随分広くなったと思った。

今までとは確実に違う、すっきりとした明快な景色。

何よりも『色』があった。

芝生の緑や空を覆う曇った灰色。

全てが鮮明に見えていた。


黒髪ゾンビ「……ぁ…」

そして、若干どこか麻痺している様な感覚はあるものの。




私に全身の感覚が生まれていた。

まるで、人間の様に。



【黒髪ゾンビの感覚が人間と同一になりました】
【細かい動作の指示が以前よりも可能になりました】


探索を行います。
どうしますか?
>>106

じゃあここでゾンビダンスだ

  ♪          ♪
♪< スリィラァー! スリィ!ラァー! ナァーイッ!
       ♪


黒髪ゾンビ「…?」


以前、ゾンビとして徘徊していた時にも聴いた曲だ。

懐かしい様な、どこか慣れた音に私は立ち上がった。

独特ながらも何かを身体の底から沸き立てるそのリズムと歌声に、身体を動かそうとする。

ただ、踊るという知識がない私では少しステップの様な、スキップの様な、微妙な姿になってしまった。

しかも裸だからか、胸の辺りにある脂肪の塊が少し揺れた気がした。

小さいが。


黒髪ゾンビ「…ぁ……あ…ぅ?」


そこで私は曲が流れている方へと歩き出した。

何処から流れているのか気になったからだ。


【黒髪ゾンビの知能が微かに上昇しました】



< フォー!


黒髪ゾンビ「……?」


歩き出した私は、公園の端に停めてあるバイクから流れているのを知った。

しかし、音源が微妙に違う。

バイクのハンドルに掛かった、携帯電話から鳴っていたのだ。


黒髪ゾンビ「…ぁ……あー……ぅん?」ペタペタ


触ってみるが、未だ鳴っている。

そこで私は……



携帯電話をどうしますか?
携帯の色は『黒色』の様です
>>112


何故ダンスに尽くすのか


と、触っていると画面の何かがスライドされて音が止まった。

何か、携帯の向こうから音が漏れているのに私は気づくと、それを耳に当ててみた。



『何故ダンスに尽くすのか』

『君は分かるかね、全ての宇宙を作り出したその可能性が』



突然低い声の人間が話しかけて来ていた。

私は咄嗟に携帯を投げ捨てた。



【『指定された安価が雑談等』に当てはまった為、ユニークイベントが発生しました】
【次回のイベント戦闘にて、特殊エンディングが発生する可能性が生まれました】



現在、黒髪ゾンビは全裸です
散弾銃を片手で引き摺りながら移動していますが、未だ『知能が低い』『知識が無い』事が原因により使用不可です

探索を続けます、どうしますか?
>>117

携帯に小便をかける


黒髪ゾンビ「……」スッ…

黒髪ゾンビ「……ぁ…ぅ?」


投げ捨てた携帯に近づき、しゃがんでもう一度画面を見た。

液晶が砕けた上にバッテリーも何処かへ飛んでいったのか、もう通信はされていないらしい。

だがそれよりも、その時の私は気になった。

果たして『以前の自分』にこんな割れ目があったのだろうか、と。

人間の女を食した事、それは私にとってあの特別な匂いを出していた黒髪の女だけだった。

故に、以前の私は男性のゾンビだったかもしれないが、今となっては女の身だ。


しゃがんで見える自分の性器は、不思議な感覚がした。


【黒髪ゾンビに代謝や、人間と同じ機能の器官は存在しません】
【後で安価次第で起きるかもしれませんが、性行為についても特殊な効果があるものの他は意味がありません】

【『便に関する安価』にギリギリ当てはまったので、とりあえず放尿の描写はありません】
【但し、後の展開次第で必要となればその時の知能によっては可能となります】


他にもバイクが三台有るようですが、『仲間』を置いてきています。
探索を続けます、どうしますか?
>>135

仲間を呼んで辺りを警戒させつつ探索


つい先程の音楽に気を取られていたせいか、いつの間にか周囲に三人の『仲間』がいない。

私はやはり初めて寂しい感情を覚えながら、辺りをくるりと見回した。


黒髪ゾンビ「……ぁ…あー…!」


─────【皆、来テ……周リヲ見テ欲シイノ……!】─────


どうにか呼ぼうと、私は『声』を出す。

すると一人、二人と、公園の方からヘルメットを被ったゾンビがヨロヨロと近づいて来るのが見えた。

しかし、一人だけ来ない。

茶髪の……元は黒いヘルメットを被っていた女のゾンビ、彼女だけ反応が無かった。

否、呼ぼうと『声』を出していて気づかなかった。

早くも警戒した結果が出ていたのだ。


─────【……カア…サン、タベモノ……アッタ】─────

─────【ァレ……オイシィ……カナ?】─────


黒髪ゾンビ「……ぁー…あぁ…ぅ?」


【『仲間』が周囲を警戒した結果、人間を発見しました】

合流してから、様子を見ますか?
合流しない、または様子を見ないならば細かい指示を出して下さい。
>>137

合流する


……茶髪の『仲間』がいたのは、赤く染められた巨大な鉄塔の下だった。

そこにはガラス張りの入り口があるのだが、周囲にはゾンビの死体が幾つか転がっている。

ガラス張りの向こうに居るのは人間、それも複数だった。


茶髪ゾンビ「…ぁ゛あ゛ー」

黒髪ゾンビ「…………」


私は『仲間』と合流すると、ガラス張りの入り口へ視線を向ける。

そして思わず驚いた、人間は全て子供だったからだ。



人間『13歳級-男子』、『13歳級-女子』合わせ5人と遭遇しました。
しかしいずれも警戒しガラス張りの入り口を隔てて建造物に籠っている様です。

どうしますか?
>>140

ガラスを割って中に入る


私は、ゆっくりとガラス張りの入り口へ近づいて行った。

入り口の近くにいた少女達は悲鳴を挙げながら建物の中へ逃げていくが、少年達はそれぞれ手にバットや刺又を持って構えている。

戦闘の刺又を持った少年は私の身体を見ている、何よりも引き摺っている散弾銃を。


黒髪ゾンビ「……」スタスタ…


    カリカリカリカリ・・・


今思えば若い少年達も、ゾンビが徘徊する世界になってから初めて見た光景だった筈である。

全裸の傷一つない黒髪の女が、ショットガンを引き摺り他の三人のゾンビから一人だけ近づいて来るのだ。

どれ程の異常な光景かは、今の私ならば想像がつく。


少年「…な、なんだこの人……」

少年B「ゾンビだろ! 自然に感染した人は噛まれた後は無いんだから!」

少年「じゃあなんで銃なんか…………」

少年C「来るよ」


黒髪ゾンビ「ぁ……あ……」ガンッ…ガンッ…



『以前』の様に、入り口のガラス扉の取っ手を引いたり押したりするが、開く事が無かった。

後で知る事になるのだが、これは扉の鍵を施錠されていたからだ。

未だ私は人間程の知識も知能も無い、だから施錠の存在は知らずとも……


黒髪ゾンビ「……」ジャカッ


少年B「うわっ……!?」


散弾銃なら破壊出来るかも、とは思ったのだ。

しかし引き金を引いても発砲はできない。

だから私は散弾銃を構え……後ろへ大きく引いた。


直後にガラス扉を破ろうと、叩きつけたり蹴りつける等の行動をしたのだ。




    バンッ!バンッ! ゴンッッ!!

    ……ドゴッ!!


何度も散弾銃を叩きつけ、何度も蹴りつけても、一向に開く気配も割れる気配も無い。

それなりの強度があるらしいガラス扉を、私は綺麗になった白い手で音もなく引っ掻いた。

開く事はない。

ただ、初めての悔しいという衝動に任せて身体を動かした結果、すりすりと指の腹で引っ掻いたのだ。


少年C「……いつもなら、ある程度様子を見て開けてから袋叩きにするけど」

少年C「やめた方がいいね……食事を探しに行くのは中止かな?」


少年B「開けたら殺される……っ、上の大人を呼ぼう!!」

少年「シャッターの電源を復旧させなきゃ、上の階にいる大人は戻って来れないんだよ……!」

少年B「そんな……」



【黒髪ゾンビの手持ちでは破壊が出来ない様です】

どうしますか?
>>145


ゾンビを呼んでみんなで押す


開かない。

中にはこんなにも人間がいるのに、折角私はこんなにいい気分なのに。

私は僅かに空腹感というものに焦らされていた、今までの腐った身体とは違う綺麗な身体で早く食事がしたかった。

だから、急ぐ事にした。



─────【此処ヲ壊シテ……!】─────



何となく、指示の出し方に慣れてきていた私は肉声を漏らさずに『声』を出す。


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ー……ア゛ー……」トトトッ

ヘルメットEゾンビ「ぉ゛お゛ー……!」ダダッ

茶髪ゾンビ「ぁ゛……あ゛……」ズリッ…ズリッ


直後に私の『仲間』が後方から近づいて来る、どうやら私の指示が分かったらしい。

そうしている内に始まった。

ガラス張りの扉へ何度も体当たりし、三人とも全力で破壊しようとしていた。

ここで私も散弾銃が撃てれば良かったのだが、未だにセーフティの存在を知らなかった私では無理だ。


黒髪ゾンビ「……ぁぅ…」


黒い髪の毛が前を隠すので、邪魔そうに掻き上げてから私は茶髪の女ゾンビを見た。

そういえば彼女は分かるだろうか、この散弾銃のセーフティをかけたのは人間だった時の彼女だが……。



あと少し何かあれば、扉を破れそうです。
どうしますか?
>>150


突入後全員で踊る



    ダダッ・・・!

    ガッッ!!


黒髪ゾンビ「……ぁ…うっ」ドサッ


突入を試みるが、ただ走って体当たりでは意味がないらしい。

ただ蹴っても、腕力に物を言わせようとしても、扉は軋むだけのようだった。

既にガラス扉の向こうにいた少年達はいない、余りの異常事態に逃げ出したらしい。


【黒髪ゾンビ含め、『仲間』の体当たりでは開かない様です】

どうしますか?
>>154


寝る

裏口を探す


黒髪ゾンビ「……ぁ…あ」ユラッ…


私は正面から、建物の周囲を見た。

ガラス扉の向こうに見えるエレベーター……当時の私ではそれを理解出来ていなかったが。

つまりエレベーターホールがあるだけで、何処にも上へ行く方法が無いように見えた。

なら、内部には何処かに上へ登る方法がある。

この赤い鉄骨で組まれた様な建造物はかなり大きい、ここ以外にも入る方法があるかもしれない。


黒髪ゾンビ「……ぁ…ぅ」


─────【此処……止メル】─────

─────【他ヲ探ソウ……?】─────


三人を呼ぶと、私は建物の周りを歩き出した。


【黒髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【『特殊新生者』への支配力が僅かに上昇しました】



結果は、あった。


建物の裏側に、鉄塔と同じ赤く染められた剥き出しの階段が遥か上まで続いている。

ただ一つ問題があるとすれば、階段の手前でフェンス扉が閉まっている事だ。

私一人ならこの時の脚力で階段の手すりをかけ上がって、二階相当の踊り場へ外側から侵入出来るのだが、『仲間』の三人は入れないし跳べない。

上に中へ入れそうな扉があるのを確認した。

つまりガラス扉を破れないならここを登るしかない。


黒髪ゾンビ「あぁ……ぅ」



フェンス扉は南京錠で施錠されており、散弾銃の使用可能状態になる安価指示を出さなければ突破は出来ません。
登るなら『仲間』を置いて旧東京タワーに一人で乗り込む事になります。

どうしますか?
>>153



結果は、あった。


建物の裏側に、鉄塔と同じ赤く染められた剥き出しの階段が遥か上まで続いている。

ただ一つ問題があるとすれば、階段の手前でフェンス扉が閉まっている事だ。

私一人ならこの時の脚力で階段の手すりをかけ上がって、二階相当の踊り場へ外側から侵入出来るのだが、『仲間』の三人は入れないし跳べない。

上に中へ入れそうな扉があるのを確認した。

つまりガラス扉を破れないならここを登るしかない。


黒髪ゾンビ「あぁ……ぅ」



フェンス扉は南京錠で施錠されており、散弾銃の使用可能状態になる安価指示を出さなければ突破は出来ません。
登るなら『仲間』を置いて旧東京タワーに一人で乗り込む事になります。

どうしますか?
>>158



茶髪に散弾銃使わせてみる


黒髪ゾンビ「………」


─────【……使エル? コレ…】─────


重量感のある黒い、散弾銃をそのまま茶髪ゾンビに手渡そうと持ち上げる。

茶髪ゾンビはユラユラと近づいて来ると、私が差し出した散弾銃を両手で抱き抱えてからゆっくりと構え始めた。

そして、一度だけ彼女は引き金を引いた。


    カチンッ


茶髪ゾンビ「……あ゛ー…」


─────【カアサン……ワカン…ナ……イ】 ─────


やはり彼女は、セーフティの知識がある事は無かった。

だが。




    クルッ……ジャカッ…パチンッ!




銃身を麻痺している筈の両手で器用に回転させながら、片手でセーフティを瞬時に解除して見せたのだ。

茶髪ゾンビの表情に変化は無い、今の行為に何かしらの意味があるのか自分でも理解出来ていなかったからである。

私は今の動きを……『どうにか覚える事が出来た』。



【おめでとうございます】
【散弾銃のセーフティを解除した事で黒髪ゾンビが発砲可能になりました】
【現在の散弾銃に装弾されている三発を撃ち尽くしても、知能が上がっていれば茶髪ゾンビに指示を出して再装填が出来ます】

【黒髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】

茶髪ゾンビに何かしますか?
>>166

褒めちぎる


黒髪ゾンビ「ぁ……あぅ…ぅ?」

─────【アリガトウ……コレデ…多分大丈夫?】─────


─────【茶髪……イイ子………イイ子……】─────


茶髪ゾンビ「……ぁ゛………ぇ…へ…」



【茶髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【茶髪ゾンビの個性が遥かに上昇しました】

【『仲間』が何かしら役に立てた時はなるべく褒めてあげましょう、『親』に褒められたゾンビは個性が育ち易くなります】



    ガゥンッ!!    
             バギンッ…!!



【扉を解放しました】
【散弾銃の残弾:2】




    カン……カン……カン……………


私と『仲間』はそれぞれ赤い階段を登り始めていた。

少し赤錆びているのか、塗装が古びているのか、少し血のような色に思えた。

だがこの時の私にとって心配……に似た感情は、『仲間』達が時折階段で躓く事だった。


ヘルメットEゾンビ「ぉ゛……ォオゥフッ」ガクッ!!

ヘルメットAゾンビ「ァ゛ー!」ドサァッ


彼等と違って以外にも転ばなかったのは、茶髪ゾンビ位のものである。

彼女も足がしっかりとしているのかもしれない、これは個体によって違うという事か。


黒髪ゾンビ「ぁ……ぅ…」


    ガチャッ……


そうして登ってきた私は、途中の踊り場で現れた扉を開いた。

中は何処か荒れた形跡のある通路が広がっている。

奥は様々な店らしきものが見えた。

……思えば、ゾンビとしての私が見た中で初めてまともな『店』だった気がする。

今の世界で完全に密閉された建造物や空間でなければ、無事な場所などないのだから。



3Fフロアを探索します
どうしますか?
>>171


人間を探す


    カリカリカリカリ・・・


黒髪ゾンビ「ぁ…ぁ……ぁぅ」スタスタ…

ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛……」ズリ…ズリ…

茶髪ゾンビ「あ゛ー……」

ヘルメットEゾンビ「ぉ゛……お゛ぉ゛ー…」


私が散弾銃を引き摺る音が、静寂に包まれたフロア内に響き渡る。

私に続いて『仲間』もフロア内を思い思いに彷徨い歩いている様だった。


辺りには様々な物が散乱しているが、どうやら飲料水等は中央にあるエレベーターの前に集められているらしい。

脳を擽るあの匂いは無い、薄暗いフロアを私は歩き続けた。



    カリカリカリカリカリカリ・・・



【人間を発見する事は出来ませんでした】

内部に上へ登る階段と、下へ降りる階段があるようです。
どうしますか?
>>174


安価↑


─────【皆、下ニ行ッテ】─────

─────【人間ヲ見ツケタラ教エテ……?】─────


私は上へ階段を登りながら、『仲間』達に声をかけておく。

フロア内のあちこちから『声』が返された事から、恐らく彼等は下へ向かった筈だ。



………しかし、登りきった所で私は足を止める事になる。

どうやら屋上へ出られるらしく、風が吹いているのが『外へ続く入り口を塞ぐシャッター』が揺れて分かった。

それと同時。



  「……おい、誰かいるのか!」



シャッターの下からポールの様な棒が差し込まれており、僅かな隙間から匂いが風と共に入り込んで来る。

人間、それも複数……そのシャッターの向こうにいた。


【人間を発見しました】
【まだ黒髪ゾンビをゾンビと認識していません】
【恐らく、何らかの人間離れした様子を見せなければ気づかないでしょう】

どうしますか?
>>179

隠れて様子をうかがう


黒髪ゾンビ「……」スッ…


人間に悟られない間に、私は少し階段を降りて身を低くしながら様子を伺ってみた。

不思議な気分だった。

それまでの私なら、やはり直ぐに襲いかかろうとしていたのに。

この綺麗になった身体だと、不思議と全ての動作の前に一度考える余裕がある。


私からの返事がないと分かったのか、人間はシャッターの隙間から溜め息らしき声を漏らした。


   「一体、何処に行ったんだあいつら……大丈夫なのか」

   「さっきの女の子達が言っていた話では、裸の女性がゾンビと来ていたとか……何かあったんじゃ」

   「ここの正面エントランスは私が防弾ガラスと交換してる、余程の衝撃や半月前の『大移動』でなきゃ破られない」

   「……何にせよ、いい加減寒くなってきた……食べ物取ってこいとか言わなきゃ良かったぜ」

   「シャッターの内側にある緊急レバーを直してからこちらでコードを繋げば、シャッターが上がるんだけどなぁ」

   「感電すんだろ、それって」

   「二階にあった雑貨店でゴム手袋がありました、あれが2つあれば……」

   「だぁー…………おーい! 誰かいるのか! いたら返事してくれ来てくれ助けてくれー……」



【人間達は外に閉じ込められている様です】

黒髪ゾンビ「……ぁぅ」


どうしますか?
>>184

>>183


……二階、その単語自体は半分解るようで分からなかった。

だが私はそれが下の階であると、そう考えた。

人間の言葉が少しずつ理解出来てきたのだ。

或いは、思い出しているのだろうか。


黒髪ゾンビ「……」スタスタ…


そうして私は、人間達の言っていた言葉を思い出して二階へ来ていた。

ゴム手袋、それを探す為に。


茶髪ゾンビ「ぁ゛あ゛ー……」


ヘルメットEゾンビ「ぉ゛……」


ヘルメットAゾンビ「お゛ー…ぉ゛……」


見れば二階フロア内にはまだ『仲間』があちこちを歩いていた。



【雑貨店はエレベーター側と、東側トイレの傍に二ヶ所あるようです】

どちらから探しますか?
>>189

エレベーター


……エレベーター前のショップに向かうと、そこには荒れたカウンターと周囲に何かのキャラクターがプリントされたシャツや瓶、コップが棚に陳列されていた。

私はそれらの棚を見ながら、店内を歩く。

様々な色が物に描かれているのは見ていてどこか食事とは違う楽しさがある。


黒髪ゾンビ「……ぁ…ぅ…」スタスタ…


手袋。

その単語でぼんやりと思い浮かぶ物を探すが、見つからない。

……と、そこで私はあるものを手に取った。


【『コンマ以下ゾロ目』がボーナスにより、出来る範囲での自由安価と上昇させたいステータスを選択します】

何かしますか?(服に関してでも可能)
>>192

どのステータスを上昇させますか?

「知能」
「個性」
「腕力」
「脚力」
「脂肪」
「耐久力」
「感染速度」
「支配力」

>>199

支配力

支配力


黒髪ゾンビ「あー…ぅ」ガサッ


……背中に黒の、恐らくこの建造物と同じ鉄塔がプリントされ、胸の辺りには白黒のハートが描かれている。

少し丈が長いTシャツだった。

別に寒さや羞恥を感じていた訳ではないが、茶髪や他のゾンビは服を着ているのに、この身体になって目が覚めた時には裸になっていたのだ。

私としては、どこか寂しい気持ちがあった。


    ガサガサ……


そして、私はそれを着た。


茶髪ゾンビ「……」ユラッ…ユラッ…

茶髪ゾンビ「……!!」


黒髪ゾンビ「……ぁー…ぅ」

その時は少しキツいかと思ったが、思いの外ぴったりだった。

胸の辺りが妙に裸の時より強調されている気もする、シャツの下……不健康では無い程度に白い柔らかそうな肌の太股も露出している。

それでも丁度下腹部迄ならシャツの布地で隠される。

そう私が満足していると、フロアにいた『仲間』がいつの間にか集まっていた。


そして、私の姿を見て何故か胸を見てから『声』で。




─────【………イイ……】─────



何がイイのか、それは未だに私でも分からない。


【黒髪ゾンビに『古き東京タワーへの愛Tシャツ』が着せられました】
【黒髪ゾンビの支配力が遥かに上昇しました】
【魅力が遥かに上昇しました】

探索を続けます、トイレ側の雑貨店に向かいますか?
>>209

はい


……トイレ側の雑貨店に来ると、私はそこで立ち止まった。

少し狭い店内には、棚に毛糸やビーズ、カッター等の雑貨が置いてある。

漂っていた。

脳を直接擽る様なあの匂い……人間だ。

ついほんの数十秒は前だろうか、かなり最近に通ったか居た匂いだ。


黒髪ゾンビ「……」


私はそこで立ち止まったまま、棚に視線を移す。

丁度あった、ゴム手袋。

2つ、必要と言っていた気がするので、私は余分に3つ持って行く事にした。



    ………カタンッ…



黒髪ゾンビ「!」バッ


何かが店内奥のバックヤードで鳴った様です
どうしますか?
>>220


ダンスする


  ♪          ♪
♪< スリィラァー! スリィ!ラァー! ナァーイッ!
       ♪


黒髪ゾンビ「…?」


以前、ゾンビとして徘徊していた時にも聴いた曲だ。

懐かしい様な、どこか慣れた音に私は立ち上がった。

独特ながらも何かを身体の底から沸き立てるそのリズムと歌声に、身体を動かそうとする。

ただ、踊るという知識がない私では少しステップの様な、スキップの様な、微妙な姿になってしまった。

しかし今回はシャツだからか、胸の辺りにある脂肪の塊が揺れても余り気にならない。


と、その時だった……。


< ピッ……


小さく何かが鳴ると、途端に鳴っていた音が止まる。

そして店内奥の扉が開いて一人の少女が出てきた。


少女「……あ、あの…もしかしてゾンビじゃないんですか……?」


【人間『13歳級-女子』と遭遇しました】
【しかし、一連の行動を試すように見て話しかけて来ています】

どうしますか?
>>225


話してみよう


黒髪ゾンビ「……ぁ……」

黒髪ゾンビ「ぉ…ぁ、ろぅ……?」


少女「!……え? なんて? それより、やっぱりゾンビじゃないんだね……!」

少女「皆は怪しんでるけど、お姉さんはゾンビじゃないよね? だって、さっき見たの……そのシャツを着てるの……」

少女「だから、ね? お願い、違うよね……違うよね……?」


あの時の私では、まだ完全に人間らしく話すことは出来なかった。

だからゾンビでは出さない様な声を出したとはいえ、人としての言語能力はかなり危うかった筈だ。

なのにそのときの少女は、私を見たまま話続けた。

チラチラとその後方でバックヤードの扉を僅かに開けてもう一人の少女がこちらを見ていた、彼女もこの少女の仲間なのだろう。

少し目の下に隈を作った少女は私に問いかけてくる。

その声に、フロア内にいた『仲間』はとっくに反応し近づいて来ていた。


少女「お姉……さん…?」



どうしますか?
>>228

少女にキスする


……その瞬間。

たった一瞬、私は想像しただけだ。

そう言えば今まで意識していなかったが、噛む以外でも『仲間』になるのだろうか。

人間は。


黒髪ゾンビ「……」スタスタ…

少女「……っ」ビクッ


それ以外でも『仲間』になるなら、それを知れるなら、今しか無いのではと。

私はそう考え、そして静かに少女に近づいた。

私の様子に今更ながら迂闊な自分に後悔でもしたのか、一歩下がろうとする少女を私を片手で引き寄せると……。


少女「んぅ……っ、んんっ…!?」

黒髪ゾンビ「…………」チュッ…レロ…クチュ…クチュ……


唇に唇を重ねてから無理矢理口を開かせると……その口内に私の舌を入れて掻き乱していきながら、ゆっくりと少女の味を楽しんだ。

それなりに抵抗されてしまうが、少女の身体を抱き締めながら続けるといつの間にかぐったりとされるがままになった。


【『性行為による感染』が成功しました】
【感染速度は遅いですが、戦闘になる事なく確実に人間を『特殊新生者』にする事が可能となります】



    ガチャッ

少女B「少女ちゃん……!」バッ


【人間『13歳級-女子』がこちらに向かってきました】

どうしますか?
また、そろそろ『仲間』が到着して少女達を食べます
>>231

Bにもキス
そして特殊新生者になりおわるまで食べさせないようにする


    ガシッ……!


少女B「っ、やっ……やめて、離してぇ!」

黒髪ゾンビ「…………」チュゥ…レロ…ッ、チュルッ……

少女B「んっ……はぁ……っ、っ……っ……」


後から来た少女にも同じく口内を蹂躙する。

こちらも、私が身体を抱き締めながら続けるとやはり動かなくなっていった。

しかしそれらは『仲間』になる過程での現象ではないらしい。

突然の大人の味を覚えさせられて、驚きと不思議な脱力感に抗えずに崩れ落ちただけである。

後で話すが、『今の私』も恐らく長時間やられれば同じようになるかもしれない。


    ドサッ

少女B「はぁ……はぁ……っ」

少女「ん……っ、はぁ…ぁ……」


少女達はそれぞれ顔を真っ赤に上気させながら、床に座り込んで息を乱している。

その時、私の横を『仲間』が通った。


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛……」

少女B「ひっ……ぃ!?」


黒髪ゾンビ「……」



─────【その子も私達の仲間になる、食べちゃ駄目】─────



はっきりと、透き通る様な『声』を初めて出した私。

自分でも僅かに驚くそれは、少女達との接触で何となく人間の話し方を学習した結果なのかもしれない。


直後に『仲間』は全員止まった。

静かに変わっていく少女達を見守る為に。


【少女に感染させました】
【少女Bに感染させました】
【黒髪ゾンビの知能が上昇しました】



【バックヤード:倉庫】


少年「あ、あれ? 少女達は?」

少年C「あいつらなら中に入ってきたゾンビを見張ってる」

少年「は!? なんでそんなことやらせてんだよ! この倉庫の扉なら破られないってのに!」

少年B「静かにしろよ! 外に聴こえたらどうするんだよ……」

少年「でも……!」


少年C「ゾンビが近づいてきたら、僕に伝える様に言ってある」

少年C「数は少ないみたいだから、狭いバックヤードに入ってきてもこれがある」チャカッ…


少年B「それ……撃てるの?」

少年C「撃たなきゃ分からないし、死んだら元も子もないよ」

少年C「弾は六発しかないけど……大人達に渡されたんだ、皆を守るって」

少年C「…………」


少年「……はぁ、とりあえず見てくる」

    ガチャッ……ギィィ……


少年(……なんか、怖いな…………)



……あれから数十分が経過した。

私が噛めばほぼ数十秒で『仲間』になるために死ぬ。

しかしどうやら粘膜から私の唾液を摂取しただけだからか、随分時間はかかってしまった。

観察すると分かるのだが、段々と彼女達は顔が赤くなり……次第に弱っていった。

そして。


少女ゾンビ「……ぅ…ぅ゛う゛……」ユラァ

少女Bゾンビ「あ゛……ァ゛はッ……ぁ゛ー」ユラァ


─────【オカァ……サン…………】─────

─────【……ママ…ドコ…………ドコ……】─────


【少女が『特殊新生者-13歳級』になりました】
【少女Bが『特殊新生者-13歳級』になりました】


ゴム手袋2つを入手しました。
どうしますか?
>>240


先に進もう、シャッターを開けて



    カツン……カツン……


私は新たに『仲間』になった少女達を連れて、四階のシャッター前まで来る。

隙間から足元を見られるかもしれなかったから、当然すぐ下の踊り場には待機させたが。


黒髪ゾンビ「…………」スッ

< ガサッ…


シャッターの隙間にゴム手袋を2つ、私は手を伸ばして差し込んだ。

するとゴム手袋の入った袋の音に気づいたのだろう、中から声が入ってきた。


   「ぉお!? 誰だ、持ってきてくれたのか! 今どうなってるんだ!?」

   「良かった、無事のようだ」

   「他の子供達は?」


黒髪ゾンビ「…………ぁ…んぅ…」


色々話しかけて来ていますが、何と答えますか?
たった1つだけの単語なら言えそうです
※ダンス等不可
>>243

話しかけてるけどこれ裸Tシャツなんだよな…

安価ならたどたどしく「てぶくろ」


私は、それまでで言えそうな言葉を初めてその口から出した。


黒髪ゾンビ「…ん、てぶくろ……」


掠れた声を漏らしたのではない。

なにかを言おうとして、喘ぐだけで終わったのではない。

私はその瞬間に初めて『声』とは違う、自らの肉声が細くも耳によく通る女性の声だと認識した。

楽しいと思った。


   「そうか、持ってきてくれたんだな」

   「さっき居たのは君みたいだな、ゾンビじゃないかとハラハラしたんだ」

   「なぁ! 悪いが手伝ってくれ、シャッターの横の壁にフタがあると思う……それを開けたらレバーを上に上げてくれ」


黒髪ゾンビ「…………」


どうしますか?
>>246


言われたとおりにしてみる


人間の言った通り、シャッター横の壁に何かしらの赤文字が入ったフタがある。

私はそれを指先で開くと……中にある赤い小さなレバーが下に降りているのが分かった。

そして、それを上へ上げた。


    コンッ!


   「よし、シャッター開くから離れとけよー」


そう人間の男の声がすると、一度シャッターを下まで閉めた。

詰まる事を恐れての事だったのだろう。

そうして数十秒程した時、遂にそのシャッターはガラガラと電子音と共に上がり出した。


金髪男「いやぁ助かったわぁ……って、うわ!?」


黒髪ゾンビ「……ぁ…ぅ?」

【人間『成人級-男性』五人、『成人級-女性』四人、『16歳級-男子』八人、『16歳級-女子』五人と遭遇しました】
【全員の携行武器は無いようです】
【先頭の金髪男『16歳級-男子』のみ警戒状態に入りました】

持っているショットガンに気づいた為に、一人だけ警戒状態となりました。
シャッターが上がり切れば後方の階下踊り場にいる『仲間』に気づき、集団戦闘となります。

どうしますか?
>>249

おじぎする


黒髪ゾンビ「…………」

黒髪ゾンビ「……」ペコリ


金髪男「ぅえっ? ぁ、あー……え? 誰?」

【『人間らしい一面を見せる』事に成功しました】
【金髪男の警戒状態が解除されました】


    ガラガラガラガラ・・・


音を立てて、シャッターが開き切る。

最初にシャッターを潜って来た金髪男の背後から、見たこともない人数の人間がこちらを見ていた。

同時に、何人かの男女が悲鳴を挙げる事となった。


JK「わぁあああ!!? 」

女性「後ろ!!」


角刈り男「ッ、下がれぇえ!!」

スーツ男「うわぁあああああ!?」



【集団戦闘を開始します】



黒髪ゾンビ「…………」


─────【皆、食事だよ】─────


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」ダダッ

ヘルメットEゾンビ「ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛!」ダダッ

茶髪ゾンビ「……ぁ゛あ゛ーっ」ダダッ


少女ゾンビ「ぅ…う゛……」ユラッ…ユラッ…

少女Bゾンビ「あはッ……ァ゛……あー」ユラッ…ユラッ…


『不意討ち』が可能な人間が二人います、どちらにしますか

「スーツ男」
「金髪男」

>>256

では、美味しく頂きます 金髪の男性から頂きます


背後の悲鳴、そして私の存在に気を取られた金髪の男。

私はその男が抵抗する事がない内に、邪魔が出来ないようにする事にした。

噛んでは後で食事をする前に……これだけの人数の人間を殺すのは初めてだ、もしかしたら『仲間』になってしまうかもしれない。

私や『仲間』はお腹が空いていた、だから私は噛まずに ───────


────────── ドッッ!!!
               パキパキィッ…ゴリッッ


金髪男「っー!!」

黒髪ゾンビ「……」


力強く階段を飛び越え、その勢いを乗せ壁を蹴ってから両足を金髪男の胸に突き入れた。

鈍い音と、私の足を通して感じる粉砕される人間の骨。

金髪の男は人形のように全身を投げ出しながら、人間達に向かって吹き飛ばされ動かなくなった。

叩きつけられた何人かの男達も頭を打ったりしたのか、下がりながらかなり警戒をしている。


【『先頭を不意討ち』に成功、複数の人間を後退させました】

続いてどうしますか?
>>259

さっき仲間にした少女二人をスーツの男性を襲わせる


黒髪ゾンビ「……」

─────【君達はあの人間を襲って】─────


少女Bゾンビ「ァ゛……ぁ゛、はァ゛…ッ」ダダッ

少女ゾンビ「ぅ゛ヴ…ッ!」ダダッ


私は他の『仲間』よりも先に、さっき『仲間』にしたばかりの二人を先行させた。

特に意味は無いつもりだった。

身体が小さい彼女達は気弱そうな人間に当てるのが良いと考えたからだ。

だが、それは予想外の展開にさせた。



角刈り男「っ、な…! やめろ、おい少女!!」

女性B「やだ、嘘でしょ……?」


スーツ男「うわ、うわぁああああ!! 誰か、なんで助けてくれないんだ!! ひぃぅああああっ!!?」

少女ゾンビ「ヴヴゥ……ッ!」ガシィッ

スーツ男「嘘だ嘘だぁ…! やめろ、やめてくれ少女ちゃん……!!」

スーツ男「ギィィぃぃぃぃァァあ……ッッ……!!!」

少女Bゾンビ「ァ゛ア゛ア゛……ぁ゛はッ……」グパッ…


    ガシュッ……ガブゥッ……!!

    グシュッ、ブチィッ……!!


角刈り男「………………」ヘタン

短髪男「ぃ……ひぃっ……」ガタガタ…


< 「いやぁああああ!! 誰か、助けて! 助けてぇえええ!!」


そう、それまで共に過ごし守ってきた少女達が生前とほぼ変わらない姿で襲ってくる。

その光景を目にした彼等の半数が、その瞳に絶望の色を宿してその場で立ち尽くしたのだ。


【『味方だった者で襲わせる』が成功しました、人間側を『恐慌状態』にさせました】
【ヘルメットAゾンビが女性を襲いました】
【ヘルメットEゾンビが女性Dを襲いました】
【茶髪ゾンビが男性Bを暗殺しました】
【少女ゾンビがスーツ男を襲いました】
【少女Bゾンビがスーツ男を襲いました】

【黒髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】


男子学生「オラァッ!!」ブンッ

茶髪ゾンビ「……」ヒュッ

    ガシッ

男子学生「!? う、うぉ……」

茶髪ゾンビ「ぁ゛あ゛あ゛……」クルンッ

< ゴキンッ!!

男子学生「」ドサッ


─────【カアサン……ワタシ、デキタヨ……】─────


混乱に陥る中で、私と同じく噛まずに人間を襲っている『仲間』がいた。

茶髪ゾンビが殆ど無意識で動いて、抵抗する人間を瞬時に殺害している。

噛んだ訳では無いので、ゾンビになるまでにはかなり時間がある。

なるほど、人間は首を反対側に回すと死ぬのだ。

私は茶髪ゾンビと同じように動こうと……。


男子学生B「畜生!! うわぁああああ!!」ダダッ

男子学生C「死ねぇ!!」バッ


黒髪ゾンビ「……」


【黒髪ゾンビの知能が上昇しました】
【一定の知能に達した為、細かい技術を要さない格闘が安価で指示出来るようになりました】

どうしますか?
>>268

残りも美味しくいただきます


ヘルメットEゾンビ「ぉ゛お゛お゛!!」ガバァッ!!
男子学生B「ぎゃぁ!?」ドサァッ


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛ア゛!!」ガバァッ!!

男子学生C「ヒィッ……ごぁァ゛ッ!?」


私に向かってきた人間の男達は横から駆けてきた『仲間』に弾き飛ばされ、そこへ覆い被さっていった。

直後に響く男達の悲鳴。

私の頭にはあちこちから『仲間』の『声』が響いている。

美味しい美味しいと、残りも美味しく頂きますと言わんばかりに。


【いただかれました】
【ヘルメットAゾンビの全ステータスが僅かに上昇しました】
【ヘルメットEゾンビの全ステータスが僅かに上昇しました】


黒髪ゾンビ「……」

    ゴッ!

黒髪ゾンビ「~~っ!?」ドサァッ


元巡査「女性を下がらせて!! 素手でやり合おうとせず、エレベーターまで逃げて下さい!!」シャカッ!

元巡査B「くそ……このゾンビどもめ! この!この!このぉおおお!!」ガッ! ガッ! ガッ!


黒髪ゾンビ「~~ぁ……ぅ!」


後方から他の人間達を庇うように現れた二人の人間。

服装が何故か同じで、どちらも金属の棒……警棒を握っていた。

一人が私へ殴り付け、倒れ込んだ私へ容赦ない蹴りを浴びせて来る。

頭を殴られたせいだろうか、上手く身体が動かず揺れていた。


【『自分で動かないでいる安価』が指示された為、人間『成人級-男性』が二人追加されました】

どうしますか?
>>276

周囲の仲間を自分の方に集めて
成人男性を美味しくいただく



    ガッ! ガッ! ガッ……ゴシャッ!!


私が咄嗟に頭を散弾銃で守ると、蹴りの嵐が止まる。

が、それと同時に襲ったのは私の肘を警棒が砕く音だった。

痛みは無い。

ただ、痺れる様な……何かが肉の内側で擦れ散らばる感触は酷く不快だった。


黒髪ゾンビ「……ッ!!」ギロッ



─────【皆、この人間達を喰い殺せ!!】─────


弾かれる様に、また初めて抱く人間の感情を私は覚える事となる。

怒り。

肘を砕かれた左腕は上手く動かない、そこへ追い討ちをかける様に警棒を叩きつけてくる人間を私は初めて睨み付けた。


元巡査B「……っ…」

茶髪ゾンビ「……」ユラァ


    ガシィッ……バキッ…………


元巡査B「」ドサァッ


【『仲間で人間への不意討ち』、『一斉に集合させる』により人間一人を殺害しました】


ヘルメットEゾンビ「……ガシュッ…ガブッッ…グチュ……」

ヘルメットAゾンビ「ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ガシィッ

元巡査「ぁぐぅッ……B巡査……!」

元巡査「に、逃げるんだ!! エレベーターで上へ急げぇええ!!」

元巡査「がぁ……ひぎぃぃいいいいいい!!!!」ブシュゥッッ

少女Bゾンビ「ぁ゛ア゛……ァあ……ははッ……ァ゛」ガシュッ…ガシュッ…

少女ゾンビ「ゥ……ッ…ガブッッ」



黒髪ゾンビ「……っ」ヨロッ


四階の屋上に幾つか倒れている人間の死体、それらを踏み越えて他の人間達が中央のエレベーターへ走っているのが見える。

……この時の私に、何故か逃がすつもりは無かった。


【『戦闘時のコンマ以下ゾロ目ボーナス』が安価で指示されました】
【次のステータスから一つお選び下さい】

「知能」※散弾銃の残弾全消費が確定

「腕力」

「脚力」

「感染速度」


>>283

感染速度


……その時は、何も感じなかった。

ただ私は初めての感情に振り回されていただけなのかもしれない。

だとしてもあの時、私は逃げる人間達を食べ物とは思わなかった。

殺意を向けるべき者。

捕食対象ではない、敵である。



黒髪ゾンビ「ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ッ!!」ミシミシミシィッッ

    グチャァッ!! ギュルルルッッ……グチュグチュミシミシミシミチミチィィ……ッッ



砕かれた左腕の肘から先が突如破裂し、鮮血が飛沫を上げる。

だがその飛沫がまるで……否、触手そのものの動きで形を変えて私の左腕を造り上げたのだ。

但し……、それが人間と同じ腕とは限らない。


肘から先が歪に湾曲した腕になり、手は鋭い鉤爪が三本……地面に着く程の長さである。

しかし私は直感的にその腕の本来の役割を理解した。

巨大なその左腕を振り上げ、風切り音を辺りに鳴らしながら降り下ろし一閃した。



────────── ビュルンッッ!!




……そうして私は、その結果を見届ける事なくその場に膝をついた。

全身が今だかつてない程に消耗した感覚があった。



【エレベーター内】


< ガコンッ

< ウィィーン……


パーカー男「はぁっ……はぁっ……な、何人生き残ったんですか?」

女性C「……貴方と私含めて八人…………かな」

JK「もう、やだ……なんで? 今までずっと上手くやれてたのに……」

スーツ男B「とにかく一度上へ行ったらどうにかしてエレベーターを使用出来ないようにしよう……」

スーツ男B「もう……無理だ、餓死の方が百倍マシだ」


< パカッ

女性D「……?」クルッ

女性D「ひぃっ!?」ドサッ


デブ男「…………た、卵……?」

女性D「開いてる! 何これ!? 何これェェ!!?」



    ブシュゥゥゥゥ……ッ……


パーカー男「うわぁ!? なんだこのガス……ぅォえ゛っ…!!」ゲホッゲホッ

デブ男「お゛ぇえええ……ッ、ごっほ…ぉあ…!?」ゲホッゲホッ


女性C「いやぁああああ!! げぇっほ、げぇッぇ…え゛っ……!」


< ウィィーン……



黒髪ゾンビ「……はぁ…はぁ…………」ヨロッ…


かなり離れていても、私には人間達の乗ったエレベーターでの変化が直ぐ分かった。

『声』が複数上のエレベーター内から聴こえて来るのだ。


─────【……カアサン…】─────

─────【オナカ……スイタ…………】─────

─────【…ァ……カァ…サン……】─────


最初に三人、そこから六人、そして八人。

恐らくエレベーターへ逃げ込んだ人間は全て死に、そして『仲間』になっただろう。

そして私の指示無くてはいずれエレベーター内で朽ちるか、エレベーターを呼んだ人間を襲うのだ。

私はそれを思うと


黒髪ゾンビ「……ぁ、あはっ……」


思わず笑いが込み上げて来てしまった。


私が瞬時に腕の手先から投擲し、エレベーター内に接着させたのは『卵』である。

それも、私の『子』を生み出す特殊な空気が内蔵されている……本物の卵。

私はあの一瞬で分かった事がある。

人間は食べ物であるが、決して味方ではない。

絶対の敵。


奴等を喰い殺す為ならば、一度私の『仲間』に変えた上で滅ぼす事も考えられる程に。


黒髪ゾンビ「はぁっ……はぁっ……」


しかし先程の卵を使うのは余りにも疲労が出るらしい、ゾンビの時の私でもこれだけ疲れきってしまったのは良くない。

多用は不可能だと考えた方が良さそうだった。


【黒髪ゾンビが『女性擬態型-変異種』と『女性擬態型・特殊感染母体-変異種』になれる様になりました】
【戦闘、捕食の際に変異する事で様々な姿になって能力を行使できます】
【ただし、今回取得した能力は一度使用すると一定時間動けなくなります】

【集団戦闘を終了します】
【リザルトへ移ります】




【人間『成人級-男性』を六人、『成人級-女性』を二人】
【『16歳級-男子』を五人、『16歳級-女子』を三人を殺害しました】

【ステータスの振り分け、即ち食事に移ります】

【今回の戦闘で茶髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【今回の戦闘でヘルメットAゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【今回の戦闘でヘルメットEゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【今回の戦闘で少女ゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【今回の戦闘で少女Bゾンビの知能が僅かに上昇しました】


【現在の各ゾンビ達のステータスを開示します】


────黒髪ゾンビ────

【知能】…21.5☆☆   【腕力】…6   【脚力】…41

【個性】…9    【脂肪】…13   【感染速度】…72☆

【耐久力】…20☆  【魅力】…85★   【支配力】…21

☆……70から『特殊感染母体』への変異が可能、変異後の耐久力に40を追加
☆☆……次回から、簡単な人間の言葉を使えるようになっている
★……『仲間』のゾンビを見られていなければ、男女関係なく初見のみ人間として近づき性行為が可能

【散弾銃:残弾2】


────茶髪ゾンビ────

【知能】…14   【腕力】…10   【脚力】…15

【個性】…15★  【脂肪】…16   【感染速度】…8

【耐久力】…12  【魅力】…5※   【支配力】…0

★……生前の動きが一部可能
※……喉と手首が抉られている為マイナス

【左足ブーツに仕込みナイフ有り、個性と知能が20越えて格闘として行使可能】


────ヘルメットAゾンビ────

【知能】…6   【腕力】…9   【脚力】…9

【個性】…3  【脂肪】…12   【感染速度】…8

【耐久力】…8

【ヘルメット着用により、頭部への打撃を防御】


────ヘルメットEゾンビ────

【知能】…7   【腕力】…9   【脚力】…9

【個性】…4  【脂肪】…14   【感染速度】…8

【耐久力】…9


【ヘルメット着用により、頭部への打撃を防御】


────少女ゾンビ────

【知能】…4   【腕力】…4   【脚力】…5

【個性】…3  【脂肪】…7   【感染速度】…5

【耐久力】…8


────少女Bゾンビ────

【知能】…5   【腕力】…4   【脚力】…8

【個性】…3  【脂肪】…7   【感染速度】…5

【耐久力】…8


【以上が現在の各ゾンビ達のステータスとなります】
【知能と装備品の都合により、一部のステータスは非公開とさせて頂きます】

【これより食事を行います】
【死体は合計十六体、その内八体は『16歳級』となります】
【『成人級』と比べ身体が未発達な彼等の死体では余り良い栄養は期待出来ないでしょう】

先ずは黒髪ゾンビの食事から割り振ります、一度に食べれる人数は『八人まで』です。

何人食べますか?
>>327


6


黒髪ゾンビ「ん…す…ぃ…た……」スタスタ


【六人は食べる事にしたようです】


黒髪ゾンビ「……?」

黒髪ゾンビ「ぁ……ぅー……」


【どの年齢の人間を食べますか?】


各年齢の人間を選び、それぞれ人数を指定して下さい

「『成人級』」

「『16歳級』」

※片方6で片方0でも可能

>>329

成人4
16 2



   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


【黒髪ゾンビの脚力が遥かに上昇しました】
【黒髪ゾンビに半日後に脂肪が3付きました】
【黒髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【黒髪ゾンビの腕力が3上昇しました】
【黒髪ゾンビの耐久力が僅かに上昇しました】


黒髪ゾンビ「……ふぅ…ぁー」ケフッ


茶髪ゾンビ「ぁ゛ー……」ユラァ

ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛……」

ヘルメットEゾンビ「……ぉ゛お゛ー」


他の『仲間』達も食事を取ります。
残りをそれぞれに割り振って下さい


茶髪ゾンビ「成人級…・16歳級…」

ヘルメットAゾンビ 「成人級…・16歳級…」

ヘルメットEゾンビ 「成人級…・16歳級…」

少女ゾンビ 「成人級…・16歳級…」

少女Bゾンビ 「成人級…・16歳級…」


残り死体人数……「成人級4・16歳級6」

>>333


安価↑





   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……




茶髪ゾンビ「……ん…ぁーぅ」ケフッ


【茶髪ゾンビの知能が3上昇しました】
【茶髪ゾンビの腕力が上昇しました】
【茶髪ゾンビの脚力が上昇しました】
【茶髪ゾンビの耐久力が上昇しました】
【茶髪ゾンビの身体的損傷が治りました】

【茶髪ゾンビに半日後に脂肪が付きました】


ヘルメットAゾンビ「ぁ゛あ゛ー……」モグモグ


【ヘルメットAゾンビの知能が上昇しました】
【ヘルメットAゾンビの腕力が上昇しました】
【ヘルメットAゾンビの脚力が上昇しました】
【ヘルメットAゾンビの耐久力が僅かに上昇しました】
【ヘルメットAゾンビの脂肪が僅かに減りました】

【ヘルメットAゾンビに半日後、筋肉が付きました】


ヘルメットEゾンビ「ぁ゛あ゛ー」ケフッ

【ヘルメットEゾンビの(以下ヘルメットAと同文)


少女ゾンビ「ぅ……う゛」

【少女ゾンビの知能が上昇しました】
【少女ゾンビの腕力が僅かに上昇しました】
【少女ゾンビの脚力が僅かに上昇しました】
【少女ゾンビの耐久力が僅かに上昇しました】

【少女ゾンビに半日後に脂肪が付きました】


少女Bゾンビ「ァ゛……はッ……はァ……」

【少女Bゾン(以下少女ゾンビと同文)



【現在の各ゾンビ達のステータスを開示します】


────黒髪ゾンビ────

【知能】…22.5☆☆   【腕力】…9   【脚力】…51

【個性】…9    【脂肪】…16   【感染速度】…72☆

【耐久力】…21☆  【魅力】…85★   【支配力】…21

☆……70から『特殊感染母体』への変異が可能、変異後の耐久力に40を追加
☆☆……次回から、簡単な人間の言葉を使えるようになっている
★……『仲間』のゾンビを見られていなければ、男女関係なく初見のみ人間として近づき性行為が可能

【散弾銃:残弾2】


────茶髪ゾンビ────

【知能】…17   【腕力】…12   【脚力】…17

【個性】…15★  【脂肪】…18   【感染速度】…8

【耐久力】…14  【魅力】…75★★   【支配力】…0

★……生前の動きが一部可能
★★……『仲間』のゾンビを見られていなければ、男女関係なく初見のみ人間として近づき性行為が可能

【左足ブーツに仕込みナイフ有り、個性と知能が20越えて格闘として行使可能】


────ヘルメットAゾンビ────

【知能】…8   【腕力】…11   【脚力】…11

【個性】…3  【脂肪】…11   【感染速度】…8

【耐久力】…9

【ヘルメット着用により、頭部への打撃を防御】


────ヘルメットEゾンビ────

【知能】…9   【腕力】…11   【脚力】…11

【個性】…4  【脂肪】…13   【感染速度】…8

【耐久力】…10


【ヘルメット着用により、頭部への打撃を防御】


────少女ゾンビ────

【知能】…6   【腕力】…5   【脚力】…6

【個性】…3  【脂肪】…9   【感染速度】…5

【耐久力】…9


────少女Bゾンビ────

【知能】…7   【腕力】…5   【脚力】…9

【個性】…3  【脂肪】…9   【感染速度】…5

【耐久力】…9


ここで一度区切ります

茶髪女をゾンビにせず喰っていた場合、東京タワーと近辺の建物内での戦闘で即死する可能性を含んだ安価を二度行う所でした。
かなり性能の良いゾンビですが、生前に死んだ理由は

『主人公ゾンビの噛む力は作中内におけるゾンビ系で最強』だからです。
この設定は作中で明かす必要も描写も減るので、ここで説明させて頂きます。

ではまた今夜に



……既に辺りは夕陽に赤く染められ始めていた頃だったか。

私と『仲間』は口元を血で汚しながら、人間を漸く食べ終えた。

かつてただのゾンビとして様々な街を歩き、そして一人二人と人間を食べたがこれ程多くの人間を食したのは初めてだった。

私は『仲間』を褒めた。

『仲間』達も嬉しそうにして私の傍で口元を拭いていた。


そうしていた時。


私は、自らの変化に気がついた。


黒髪ゾンビ「……」

黒髪ゾンビ「……皆、私の言葉…分かる?」


今なら出せる。

そして今なら、出来ると思った。

私は遂に人間と同じく言葉を口に出しながら、『仲間』に語りかける事が出来たのだ。



だが、しかし。


私がそれまで人間の言葉の殆どを理解出来なかったのと同じ様に。

『仲間』達は皆、私の声に反応しなかった。


黒髪ゾンビ「……」


この時の私は、何故だか酷く落胆した。

何故だか、酷く孤独に思えた。


茶髪ゾンビ「……」

茶髪ゾンビ「ん…ぁーぅ……?」


─────【私は分かるよ、お母さん】─────


茶髪の女、私の『仲間』の一人がそう『声』で私に語りかけてきた。

私は驚いた。

彼女はもう、ほんの数時間前の私とほぼ同じなのかと、私と同じなのだと。

思えば彼女と他の『仲間』はここまでずっと私の傍に居た。

私が人間だった彼等を噛んだ事で、私の為に生まれた子供達なのだ。


黒髪ゾンビ「…………」

黒髪ゾンビ「うん」


─────【ありがとう、私の子供達】─────


私は一人ではない。

人間とは違う、私は彼等の親であり……ゾンビなのだ。

それをこの瞬間に確認し『声』で伝えた後、私は立ち上がった。

特に行く場所は無い。

なら、もっと食べようと思った。






そうすれば私の子供達は成長していくのだから。


黒髪ゾンビ「……どうしようか」


私と『仲間』は三階へ降りてくると、フロア内を歩きながら考えた。

理由は二つ。

一つは数時間前に来た時と明らかに様子が違う、フロア内のあちこちに邪魔な紐が張られており、下へ降りる階段とエレベーターを封鎖されていたからだ。

封鎖とは言うが、結局はテープで一面覆われているに過ぎない。

そしてもう一つ。

下る階段にあるバリケードの先から、人間の匂いがするからだ。

それも妙な匂いもする、何かを階段に撒いてあるのは間違いなかった。

私一人ならどうにか出来る気もするが……。


数時間前の屋上で、私は人間の持つ棒に頭を殴られ一瞬だけ身体が動かなかった事がある。

今までの私は体に銃で何かされたが、目に見えての攻撃を受けるのは久しぶりだった。

私が思っているより、『私達』は死なない訳では無いらしい。


黒髪ゾンビ「……ね、私の考えてる事を教えるから茶髪の考えも教えて」

─────【……】─────


私は茶髪の女ゾンビである『仲間』に、ここまでの状況と考えを教える。

私ほどでは無いにせよ、彼女は恐らく子供達の中では一番頭が良い。

そして一通りの『声』を伝えた後、私は彼女の反応を待った。

彼女は



これまでの黒髪ゾンビが教えた事から、どうするかを考えて下さい
>>358

子共達に名前を付けてあげよう



─────【……名前、つけてくれないの…?】─────


茶髪ゾンビ「……」

黒髪ゾンビ「……名前?」


不意に、私の話を聞いた筈の彼女からそんな事を告げられた。

名前。

茶髪では駄目なのだろうか、と私は思う。

その時に、彼女は小さく首を傾げながら再び『声』で言った。


─────【冗談だよ、ここを出たらお願いねお母さん】─────


黒髪ゾンビ「……仕方ない」


私は静かに頷いて、彼女の話をもう一度聞こうと待った。



これまでの黒髪ゾンビが教えた事から、どうするかを考えて下さい。
>>364


361

ところで>>1 エレベーターと階段とバリケードの位置関係とこのエレベーターって中央エレベーターでいいの? 

>>368
位置関係としては下ろうと階段を見た半ばにボードや棚が置かれており、他の紐はビニール製、様々な高さに張られています

中央エレベーターです


黒髪ゾンビ「……」


私は彼女の『声』を聞きながら、どうしたいのかを考えた。

つまり、こういうことだ。

少女の『仲間』二人を、人間の匂いがする階段……バリケードから見える少しだけ上段に配置する。

そして、茶髪の彼女とヘルメットの男を少女達が見える位置に潜ませる訳だ。

……同時に私はもう一人の『仲間』を連れてフロア内の紐を外していく。

ビニール紐の性質をよく知らない私であったが、多分蹴り千切れば良いだろう。

今なら然程の音すらさせずに足を振り抜ける気がする。

私はそう思った。


黒髪ゾンビ「わかった……それでいこう、茶髪」


そして私はフロア内の『仲間』に『声』で指示を出した。


【茶髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【黒髪ゾンビの脚力が微かに上昇しました】



─────【……カァ……サン…】─────

─────【ママ……マダ、ココ……イナキャ…ダメ?】─────


少女ゾンビ「…………」

少女Bゾンビ「…………」ユラ…ユラ…


黒髪ゾンビ「……」

─────【うん、もう少し待っててね】─────

黒髪ゾンビ(それにしても……)


……結果として、私は無駄にフロア内の紐を外していく必要は無くなった。

効果は抜群、少女達を配置させた時点でバリケードの向こうから物音と言い争う少年達の声が聴こえてきたからだ。

これがただのゾンビなら既に駆け寄っている所である。

だが逃げる気配はない。

どうやら本当に何らかの策があるらしい、私は念のため警戒して紐の先を一つずつ辿って行った。

どれも柱や、物によっては確実にほどけない様にするためだろうか、どうやらバリケードの向こうまで続いて結ばれた紐もあった。

いずれにせよ触れて良いことは無さそうだった。

私は少女達の方へ再び視線を移す。

茶髪の『仲間』とヘルメットAが後方でしゃがんで様子を見ているが、未だに動きはない。


黒髪ゾンビ(……おなか、空いた…)


人間の匂いを嗅ぎ続けているからか、空腹感を覚えた私は溜め息を吐いた。


どうしますか?
>>373

穴を掘ってみる


黒髪ゾンビ(…………)


人間の匂いがする。

複数。

駄目だ、食欲が私の嗅覚を鋭くさせていた。

人数は三人、いずれも恐らく少年だろう……未熟な人間特有の匂いが私の脳を擽ってくる。

考える事が出来る様になったとはいえ、今の私も人間を食すゾンビだ。

……駄目だ。


黒髪ゾンビ「……うう……ッ!!」ガッ!!


ダダッ!!
    ヒュッッ ──────────
          ダダダダダッッ!!!


瞬時に私はその場を飛び出し、数々の紐を潜り抜けながら少女達の上を飛び抜いた。

そして階段に着地するよりも速く私は全身を回転させ、踵からバリケードに落とし込んだ。

刹那、何処からか小さく息を飲むような悲鳴が聴こえた。



    バゴォッッ!!



金属質な棚が壮絶な音と共に潰れ、様々な障害物らしき物が階下に吹き飛んでいくのが見える。

私は全身を階段に打ち付けたものの、何のダメージも感じなかった。


少年B「うぁぁぁ……!!?」

少年「ひぃぃ……ッ」

少年C「二人とも早くやれ!!」チャカッ


黒髪ゾンビ「……ぁ…っ」

悲鳴を挙げてはいるものの、何か赤く揺らめく何かが瓶の先に着いた物を少年二人は持っていた。

そして更に後方の少年はその手に拳銃らしきものを持っているのだ。


墓穴を掘ったと、今となっては思う。



火炎瓶を持った少年二人と、拳銃を持った少年が待ち伏せしていた様です。
『脚力が一定を越えている』ので、一度だけ安価を取ります。


どうしますか?
>>379

全力で飛び退く


咄嗟に私は背後の階段上へ飛び退いた。

しかしその直後、私は身を以て後悔する事になった。


    ガシャァッ!

    ゴォオオオオオッッ


少年達が投げた瓶が割れたのと同時に、階段に撒かれていた液体と共に膨大な赤色が広がったのだ。

その赤い光は水の様に揺らめき、直ぐに私の身体に移った。


黒髪ゾンビ「……ひぁあッ!?」


シャツが、髪の毛が、全身が周囲の赤色に飲まれていく。

この時の私は炎の存在を生まれてから一度も知らなかった。

その脅威も、厄介さも、この時が初めてであり、私に相当の深手を負わせたと言えた。


一瞬にして燃え上がった炎は階段上を焼きながら、私の肉体を焦がしていく。


黒髪ゾンビ「ッ……ッ~~!!」


    ッッ!!

炎を振り払おうとしていると、私の肩が大きく後ろへ弾かれる。

目の前の少年が拳銃を使ったのだ。

痛みは無いが、既に顔も燃え始めていた私には関係ない。

全力で私は踏み込み、数瞬で少年達の中へ突っ込んだ。


少年C「……!?」

黒髪ゾンビ「……」スタッ!



だいぶ燃えてダメージがありますが、少年三人の中心へ突撃しました
どうしますか?
>>384

回し蹴りでなぎ払う



────────── パァンッッ!!


瞬く間に鳴り響く破裂音。

それまでで最も力を籠め薙ぎ払った私の蹴りが、周囲で怯えた目をしていた少年達を首から上を飛ばしたのだ。

私の軸足が回転を止めた時に、燃える床との間で高い音を出したのが分かった。

直後に凄まじい量の血液を噴き出しながら倒れる少年達。


燃え盛る炎は彼等も飲み込もうとしたが、私はそれを許さなかった。


黒髪ゾンビ「っ……ァ゛ア゛……」ヒュンッッ


両手で一人ずつ抱えて、燃え移る前に二階フロアに投げ捨てて行く。

最後の一人だけは、燃え移りながらも私は抱え、そしてフロアへ下りてから千切れ飛んだ首の断面に噛みついた。



   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……



骨を噛み砕き、皮を食い破り、余す所なく食す。

私は分かっていた、ある程度の身体の傷はこうすれば良いのだと。


黒髪ゾンビ「ハァ……はぁ、ふー…………」ジュゥゥゥ


焼け爛れていた皮膚、撃たれた肩、焼け落ちた髪の毛が数十秒で治癒していく。

私は『そういうもの』だと考えたが、今にして思えばこういった驚異的な回復力は一部の『仲間』にしか備わっていなかった。

少年一人を食した私は、まだ火傷が最も酷かった下半身を治す為に他の二人も食べた。

『仲間』の皆には悪かったと思う。


【黒髪ゾンビの脚力が3上昇しました】
【黒髪ゾンビの腕力が僅かに上昇しました】
【黒髪ゾンビの身体的損傷が治りました】

【『不正解の安価』が複数回選ばれた為、『仲間』にする安価と『仲間と食事』が出来ませんでした】


……暫くして、私達はフロア内を見てから外へ出た。

夕暮れも大分暗くなり、静かな外は一層死の臭いを漂わせている。

人間の世界は夜になるとまず人間は歩いていない。

建物にいる筈の人間ですら姿を消すのだ。


恐らく私達『ゾンビ』を恐れているからだろうが。


黒髪ゾンビ「……うん」

< カチャカチャ……


二階フロアから再び同じシャツを取った私は、一枚は着て他に袋に入れてきた十枚位のシャツは茶髪に持って貰った。

服というのは良い、皮を取り替えた訳でも無いのに新しい自分が見えるからだ。

……それとは関係なく。

私は今、少年の一人が持っていた拳銃を見ていた。

かつてヘルメットA達も持っていた銃とは違い、小さく、そして中にクルクル回転する塊が着いている。

引き金を引けば多分銃弾が出る。

余りにも早いので、その弾は私は避けられない。

人間の持つ武器の中では恐るべき威力だ。

炎もかなり厄介だったが。


黒髪ゾンビ(私では上手く使えないかもしれない)

黒髪ゾンビ(とは言っても、茶髪はまだ……)


『仲間』の中には無意識に散弾銃のセーフティを外した茶髪の女ゾンビがいるが、どう考えても使いこなせるとは思えない。

まだ私達は知能が低い、頭がまだ悪いと思った。

その時だった。

暗くなった建造物前の広場を歩いていると、私はあることを思い出す。




黒髪ゾンビ「……名前、欲しいんだよね」


茶髪ゾンビ「……」

─────【欲しいな、お母さん】─────


黒髪ゾンビ「うん」


なら、頭の良い彼女にだけ今はつけてあげようと思った。

ある程度頭が良くなれば、他の『仲間』にもつければいい。


黒髪ゾンビ(どんな名前をつければいいのかな)

私はこの時に、頭の中を空にして考えた。

すると、生前の知識だろうか?

それとなく良い名前が思い浮かんだ。



名前をつけます。

>>396までに候補を並べ、そこまでに皆さんが納得した物があれば、そちらを採用させて頂きます

現在の茶髪の服装やイメージに合ったものがつけられると良いですね。

カカオ


ここまででの候補としては

「茶髪」

「緑子」

「チャチャ(表記は茶々とします)」

「カカオ」

でしょうか


では>>408までで多数決をとります。

皆さんの票が多かった名前を茶髪ゾンビに命名させて頂きます。

茶髪で



黒髪ゾンビ「名前はね……」


私は彼女に近づくと、そっと茶色い……栗毛色の髪に触れた。

今は暗くなってきたからか、その髪色に光は無い。

しかし夕陽に照らされていた時の彼女の髪はとても綺麗だった。

私は、頭に思い浮かんだ名前を口に出す。


黒髪ゾンビ「茶髪、かなぁ……君は」

茶髪ゾンビ「……ぁ…ぃ…?」

─────【……ちゃがみ…?】─────


黒髪ゾンビ「うん、君の髪の毛はとても綺麗だから」

黒髪ゾンビ「茶髪」


茶髪ゾンビ「……」

茶髪「……」コクン…


─────【ありがとう、黒髪のお母さん……】─────


私でも出来るか分からない笑顔を自然に作った茶髪は、私にそう言った。

何故だろう、私よりも彼女は人間らしく思うのと同時に……私も何かが暖かかった。


【茶髪ゾンビの名前が茶髪になりました】
【茶髪の個性が5上昇しました】
【黒髪ゾンビの個性が5上昇しました】

【少女Bゾンビの腕力が5上昇しました】



【東京タワー前・広場】


ゾンビ「ぁ゛あ゛あ゛ー……」ズリッ…ズリッ…

ゾンビB「ぉ゛お゛……」ズリッ…ズリッ…


かつてまだ私がゾンビだった頃、今の姿になった広場へ私は戻ってきた。

そこには他のゾンビが二体歩いていたが、私と『仲間』には目もくれない。

やはり違う種、ということなのかもしれない。

それより。


あの時にゾンビにならずに死んだ黒髪の男。

そう、あの黒髪の男の死体が無いのが私は今になって気になっていた。

これも成長したが故の事なのだろうか。


『私達』は頭を殴られたり、刺されたり、撃たれると死ぬ。

そして、人間が同じ様に死ぬと何故かゾンビとなって人間を襲う事がない。

そのまま頭の無い死体として後でゾンビに喰われるだけなのだ。


なら、何故黒髪の男は潰れた頭すら残さず消えたのだろう。

私とは違い、他のゾンビが喰ったのだろうか。

それとも。


黒髪ゾンビ(……『アレ』になったのかな)


夜の広場は一部の街灯に照らされている。

その中で私は芝生にシャツの裾をお尻の下にして座り、思い出し始めた。

ゾンビだった時に、一度だけ見た生物を。



・・・【黒髪ゾンビより数十キロ離れた街・ビル内】


< シュコォー……シュコォー……

「……全く嫌になる、これが本社の言っていた新種とやらか」

B「そうらしい、気持ち悪ぃ……これが本当に地球上で生まれた生物なのかねぇ」

「宇宙から来たエイリアンなら笑えたんだがな、本社の開発局の連中が言っていたよ」

「『彼等は全て、人間なんだ』……ってな」

B「笑えないなそりゃ」

「ああ、笑えない」

「こいつら新種は、俺達人間の新種って事だ」


    ガシャッッ!


……「!?」ゾルルルルッッ


B「来るぞ、全身を包んでいた鱗が形状を変異させてる……タイプAだ!」ガシィンッ

「俺達の装甲なら問題ない、突っ込むぞ! こいつらは遠くの仲間すら呼びやがるからな!」ガシィンッ


……「……ぎぃぃぃぃいいいいいいい!!!!」



─────【wmd/.59gpあjqwらゎadwpa/jmahtmdh鬱nt-@M.wDッッ!!!!】─────




──────── 私が見た『アレ』は、そもそも人の形をしていなかった。


──────── 武装した人間が三人ほどだったか、それぞれ鉄の棒や刃物を持っていた。

──────── そんな彼等は一人の年老いた人間を殺した、背負っていた食料を奪う為に。

──────── その時だ、当時ただのゾンビだった私がそのまま素通りする直前に見たのは。



B「糞ッ……本社に通信を入れろ、俺達の装備じゃ駆除は不可能だ」

「もうやってる、だが何だ? 通信がさっきから何度も途中で途絶えちまう……」

B「タイプC、AとB両方の性質を持ってるらしいな……んなの化け物だと思ったが本当だったのか」

「不味いぞ、12.7mm弾の連射が通じない奴とこんな密室で殺り合えるか!!」

B「脱出だ……! 本社に通信が開けないなら、受付の奴でも誰でも良い、俺達が『サンプル』を救出した事を送れ!!」


……「……ギュィンゥァアアグヴヴゥィヴヴヴッッ」カシャカシャカシャッッ


B「援護する! 外の装甲車まで逃げるぞ!!」ガシャッ

< シュルンッ

B「ッ!?」ギギギィッ!!

「どうした!?」

B「触碗が……絡みついて離れねぇ!! うわぁぁあ!! うわぁぁあ!!」

「スプレッドを起動しろ!」

B「ひぃッぎ……ぁ、アーマーが! 耐久率が下がって……ぎぃぃぃぃぃっ!!!」


< バキバキバキバキィッ……

< グシャァッ……ビチャッ……


「……なんだ、この化け物は…………これが新種のゾンビ……?」



──────── 私が見た『アレ』は、全身を光沢のある小さな何かで覆われていた。

──────── それらはとても鋭い刃であり、そして固そうだった。

──────── 『アレ』は最初こそただの糸状の肉塊でしかなかった、しかしそれすら目にも止まらない速度で人間を串刺しにした。

──────── 何より私がゾンビだったにも関わらず、印象付けてきた一番の理由。


──────── 『アレ』の声は周囲の機械を壊す為、火花が散って私はどこか嫌だったのだ。



……翌日。

私は『仲間』を連れて広場を探索する事にした。

僅か一日で人間とそう変わらない知能を得たのだ、ならば今なら使える物もあるだろう。


黒髪ゾンビ「皆、手分けして色々探そうね」

─────【皆、手分けして色々探そうね】─────


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ア゛……」

ヘルメットEゾンビ「ぉ゛お゛……」

少女ゾンビ「ぅ゛ぅ……ヴ……」

少女Bゾンビ「………アハハ」


茶髪「……」ガサゴソ

─────【はーい】─────


広場を探索します。
探索する場所を選択して下さい。

「中央広場」

「街道付近」

「進化した時の芝生」

>>423

進化した時の芝生


黒髪ゾンビ「………」スタスタ…


他の『仲間』があちこちを探索している中、私だけは今の姿になった時の……あの芝生のある所へ来ていた。

あの黒髪の男女がいた芝生は僅かだが茶色に変色している。


黒髪ゾンビ(……何か無いかな)


周囲を見回し、私は芝生を注意深く見ながら歩き出した。

コンマ以下での確率安価。
>>428

全身の感覚を使って、危険がないか確かめる


酉= #kirin20chang

20%+69%=89%

【物資調達、難易度】
85%

89%-85%=4%

【おめでとうございます】
【『一定の確率を越える』事に成功しました、物資を二つ発見した様です】


黒髪ゾンビ「これ………」


私は芝生に落ちていたある物を見つけた。

黒い質感と、一定の重量感。

そして手に納まるグリップの厚み。

拳銃だ、よく見れば少し離れた所にもある。


【ヘルメットAとCの『ハンドガン』を入手しました】
【残弾はそれぞれ15発、リロード用マガジンはヘルメットAゾンビが二本『合計30発分』あります】


黒髪ゾンビ「何かの役には立つかな…?」



「進化した時の芝生」での調査を終えますか?
終われば他の場所での探索が可能ですが、続けた場合は高難易度の探索をして失敗すれば強制的に戦闘となります。

どうしますか?
>>431

とるあえずここから引き上げる


………二丁の拳銃を持った私は、一度『仲間』と合流する事にした。

ビニール袋を持っているのは茶髪だけだからだ、流石に二丁も拳銃を持ってるのは面倒だったし渡そうと思った。

ところが。


黒髪ゾンビ「………?」


いない、何処へ行ったのだろう。

試しに『声』で呼びかける。


─────【茶髪…? どこ?】─────


ヘルメットAゾンビ「…?」

ヘルメットEゾンビ「?」

少女ゾンビ「………」ユラユラ

少女Bゾンビ「………」


他の『仲間』達は何かあったのかと、私の元へ戻ってきた。

私はその内のヘルメットAとヘルメットEのベルトに拳銃を差し込むと、周囲を見渡した。

何処へ……行ってしまったというのか。


黒髪ゾンビ(………茶髪…?)


探索する場所を選択して下さい。

「中央広場」

「街道付近」

「街道」

>>435

街道


街道まで歩き続けた私は、やはり茶髪の姿がない事に焦り始めた。

一体どうしたというのか。


黒髪ゾンビ「茶髪………」


私が再び『声』で呼びかけようと、静かに集中する。

しかし、それより先に別の『声』が私の中に響いてきたのだ。


─────【お母さん……来て】─────


それは茶髪の『声』だった。

私はその『声』が何処からなのか、僅かに集中させて知る。

広場から少し離れた建物の影にいたのだ。

一体、なぜ?

私はそう思いながらそこへ向かった。


途中、視界の端に何かが落ちていたが。

私は………



コンマ以下での確率安価。
>>438

ほい


【作者が確率安価用の酉をつけ忘れたペナルティとして自動的に物資を一つ入手しました】


黒髪ゾンビ「……これって、ヘルメットAとかの……?」


【『防弾ヘルメット(黒)』を入手しました】


黒髪ゾンビ(茶髪に持って行ったら、見せてあげようか)


黒いヘルメットを脇に抱えながら、私はそう呟く。

とは言うものの、私と同じく生前の記憶があるわけは無いのだが。

あちこちで乗り捨てられ、荒らされ、または破壊された車両のある街道を私は歩いていった。

茶髪は、やはり建物の影にいた。



茶髪「……」

黒髪ゾンビ「茶髪、どうしたの」


─────【お母さん……このゾンビ、私知ってる】─────


黒髪ゾンビ「……?」


建物の影で茶髪は、何かを抱きながら壁に背をつけて座っていた。

私はそれに近づいて行くと……茶髪の腕の中で一体のゾンビが彼女のライダースーツに包まれた胸元に顔を埋めていた。

ヘルメットごと。


黒髪ゾンビ(………あの時の)


そう、近くの広場で私と人間だった頃の茶髪が揉み合いになった際に暴発した散弾銃に撃ち抜かれた………ヘルメットC。

何故か私の興味は黒髪の男ばかりに向いていたから忘れていた。

考えてみれば彼も私に噛まれた訳ではない、ならばゾンビになって当然だった。

しかし。

私は眉を潜めながら気づく、茶髪はなぜこのヘルメットの男だけ生前の記憶として思い出しているのか。

と、そんな事を考えていると茶髪は横にゾンビの仲間となったヘルメットCをずらした。

ゾンビとは思えないほどに静かだった。

否、茶髪や『仲間』はともかく……私にはそもそもゾンビの臭いがしなかった。

つまり


黒髪ゾンビ「……殺したの?」

茶髪「……ぁ……ぁぅ」

─────【出会い頭に……人間と同じ様に首を……】─────

黒髪ゾンビ「そう……」



茶髪になんと言いますか?
>>441

良くできました


黒髪ゾンビ「良くできました」

茶髪「…?」

黒髪ゾンビ「茶髪が、その『同類』を殺してしまったのは、なぜ?」

茶髪「………」

─────【な……ぜ…?】─────


黒髪ゾンビ「反射的にやったのなら、私は誉められない」

黒髪ゾンビ「けれど君は頭が良いから違うよね? 」

茶髪「………」

黒髪ゾンビ「私達は、食べたいから人間を殺す……全力で」


黒髪ゾンビ「なら、食べられないゾンビや『仲間』を殺すとしたらどんな理由だと思う?」


茶髪「……」

─────【わかん……ない……】─────


黒髪ゾンビ「自分を守る時だよ」

黒髪ゾンビ「私達は一人では人間に負けてしまう、きっと容易く殺されてしまう」

黒髪ゾンビ「人間の子にさえ私は殺されかけたのだから」

茶髪「………」

─────【……どういう、こと?】─────


黒髪ゾンビ「私達は皆と共に在るから、人間を食べられるんだよ」

黒髪ゾンビ「だから一人では戦わない、自分を守る為に殺すんだよ」

黒髪ゾンビ「それが頭が良い私と茶髪、『仲間』にとって大切な事だって考えよう」

黒髪ゾンビ「だから一人でも自分を守れた茶髪は、良くできましたって」


茶髪「………」

─────【お母さんは…いつも一人で戦ったりしてない……?】─────


黒髪ゾンビ「………」

黒髪ゾンビ「ふふ………」



─────【皆のお母さんだから、私は相手が誰でも殺せるし戦えるんだよ】─────



【『慰める』に関する安価が指示された為、茶髪の『射撃』ステータスが次回から開示される様になりました】
【黒髪ゾンビの知能が上昇しました】
【茶髪の個性が僅かに上昇しました】

広場へ戻る前に探索しますか?
するならば場所を選択、しないならばしないと指示して下さい

>>448

そのまま戻ろう



……私は茶髪と広場へ戻ってきた。

いつの間にか『仲間』は集まっており、私の事を待っていたらしい。

何故だろう、人間に近い感情を知っていく内に嬉しい事が増えていく。


黒髪ゾンビ「……」

─────【それじゃあ、そろそろ行こうか】─────


私は半分ニヤケながら、広場を後にする。

当然直ぐ後ろには茶髪が歩いている。

その更に後ろから『仲間』達が、それぞれ未だ知能が足りないらしく唸り声を漏らしながら着いてきていた。


黒髪ゾンビ(……さて)

黒髪ゾンビ(私もそろそろ……お腹が空いた)



【『旧東京タワー周辺』を出ます】
【行き先を選択して下さい】

「東」

「西」

「北」

「南」

>>452


……それから荒廃しつつある街を、私達は歩き続けた。


最後に食事をしたあの赤い鉄塔からは、一度も人間と遭遇はしなかった。

当たり前だ。

この世界はかなり前から、ずっと人間を追い詰めに来ていたのだから。

そして、人間とほぼ同等の知能を得た私はそれをより深く理解する事ができた。


    ザッ………


黒髪ゾンビ(……やっぱり)


理解する事が出来る、今なら人間がどういった建造物を好み、そしてどういった風に生き残ったのか。

訂正しよう。

私が認識していたよりも、人間はまだまだ秩序を失ってはいない。

彼等は『私達』と同じく生きるために戦い続けていた。

だが、それは『私達』と同じなのだ、だから私は、私達ゾンビは。


黒髪ゾンビ「……食事をしよっか」


茶髪「……ぁ…ぅ」

─────【皆、行くよ?】─────


ヘルメットAゾンビ「ぉ゛ァ゛ア゛……」

ヘルメットEゾンビ「ぉ゛お゛お゛……」

少女ゾンビ「ゥ゛ヴヴ……」

少女Bゾンビ「ぁ……あ゛はッ………」


【『ショッピングモール』に辿り着きました】


【ショッピングモール内・1F東シャッター】


元警備員「……あ、ゾンビだ」

元巡査「!」ガバッ


    ガシャッ……


元巡査「……ヘルメットを被っているな」

元警備員「服からして、バイク乗りか」

元巡査「バイクねぇ……この時代にそんなもの乗るかね」

元警備員「いや、もっと前に乗ってたんじゃ?」

元巡査「へぇ」


< 「ァ゛ア゛ア゛……」


元巡査「………近づいて来たな、殺るか?」

元警備員「シャッターは開けないで、とりあえず槍で突き刺そう」



黒髪ゾンビ(………ああ、あのシャッターに覗き窓を付けているんだ)


私は人間の匂いが濃くなっている建造物を、少し離れた場所から眺めていた。

近くを『仲間』のヘルメットを被った男に偵察させに行かせたのだ。

人間の匂い以外にも、閉じたシャッターの周囲からは死肉の臭いが漂っていた。

恐らく人間達は鉄塔の時のように、入口に近づくゾンビに対して常に警戒しているに違いない。

そしてその予想は当たっていた。

シャッターが、丁度頭のあたり程度の高さで小窓の様な横長四角に開いたのだ。

そこから鋭利な切っ先が見える。

何かしらの刃物、それも持ち手である柄はシャッターの内部まであり、奥が見えない。


黒髪ゾンビ(………人間の武器、それも近づかないで殺すつもりだね)


ヘルメットAゾンビに、なんと指示を出しますか?
>>459

石を投げさせる


ヘルメットAゾンビ「ァ゛ァ゛ア゛」ユラユラ…


私が指示を出すと、ヘルメットAがゆっくりと近くにあった石を拾った。

そして、その石をゆっくりと投げつける。


    カンッ


元巡査「うぉ……」

元警備員「どうしたの」

元巡査「いや、今あのゾンビが石を投げてきたから」

元警備員「ゾンビが?」


小石がシャッターに当たった直後に、小窓が閉じた。

何かを警戒したのか、それとも物珍しいゾンビがいて驚いたのか。

今の私が思うに、後者が強いだろうが。


【『ゾンビらしくない行動』の安価が指示された為、東シャッターが完全に閉鎖されました】

どうしますか?
>>466


……鉄塔の時のように、私は『仲間』を連れてシャッターが閉じた入口から建物を回り始める。

裏側にも同じくシャッターがあったが……こちらは完全に封鎖しているのか、人間もゾンビも死肉の臭いすらしない。

そう考えていた時。


少女Bゾンビ「ぁ……ァ゛はッ……」ギィィ…


─────【……シタ…………】─────


黒髪ゾンビ「……下?」


見れば、少女の『仲間』がいつの間にか建物の裏口横にある……鉄扉を開いていた。

何処へ通じているのか、階段が地下へと続いていた。

だがそれより、妙な事に気がついた。

その鉄扉は南京錠らしき物が付いていたらしく、建物内側のドアノブ上に歪んで壊れた錠がぶら下がっていた。

何をどうすれば、この鉄製の物がこんな風に壊れるのだろうか。


黒髪ゾンビ「……」


少女Bゾンビ「……ぁ…ッひ、はッ…ァハッ………」


ショッピングモールの従業員用地下通路へ進みますか?
>>469

警戒しながら進もう


黒髪ゾンビ「……うん」

─────【警戒しながら行こう、私が先頭になるから茶髪は後ろをお願い】─────

─────【他の皆は私の後ろ、茶髪より前をついてきて】─────


    カツンッ……カツンッ……

    
誰のか分からない足音が階段で鳴り響き、私はそっと散弾銃を両手で抱き構えながら下りていく。

横に二人しか並べない程度の狭い通路。

しばらく下りていくと、灰色のコンクリート質な開けた空間が現れ、私はそこで足を止めた。


   「……でね、彼ったら私の事を口説きながらチャーハンを振ってて……」

   「何なんだあのコック」

   「それより俺はアイツの近くにいる国の役人の方が気になるけどなぁ」


人間の声、それも複数。


黒髪ゾンビ「……」

─────【皆、静かにしててね】─────


【人間『成人級-男性』二人と、『成人級-女性』を発見しました】

まだこちらには気づかれていません。
従業員用の受付が開けた空間にあり、その前で三人は雑談しているようです。
現在の黒髪ゾンビ達は階段の僅か上部で息を潜めています。

どうしますか?
>>473



    ……コンコンッ


男「ッ!?」バッ

女「誰!」

元警備員B「銃を持ってるぞ……!」


私だけ階段から出ると、受付のガラス越しに散弾銃でノックした。

すると人間達は一斉に私に気づきながら、腰に、或いは私に見えない机の下に手を伸ばしている。

恐らく、拳銃だろうと私は考えた。


黒髪ゾンビ「……ふぅん」


元警備員「君は人間だな、済まないが合言葉を答えて貰う」

黒髪ゾンビ「知らない」

元警備員「……となると、やはり外から……まぁいいか、ここまで大変だったろうがその銃を下に置いてくれるか」

黒髪ゾンビ「……」


【『人間として接触する』に関する安価が指示されたので、人間達の状態は普通です】

散弾銃を床に置くよう要求されています、どうしますか?
>>477

そちらも同時に銃を置いて貰うように要求


黒髪ゾンビ「……そっちも銃を置いてくれる?」


元警備員「!……あー…勿論だ」チラッ

女「う、うん……」スッ

男「……」スッ


黒髪ゾンビ「……」ゴトッ


私の言葉に頷いて見せた人間達、手を上げて何も持っていない事を見せて来るのを確認すると……私は散弾銃を床に置いた。

帽子を被った男が一人、受付の中から出て近づいてくる。


元警備員「……一人か? そんな格好でここまで来たのか……」

黒髪ゾンビ「……」コクン


近づいて来た人間の言葉を聞いてか、他の二人も受付室から出て私に近寄ってくる。

私の格好を見て、人間の女は口元に手を当てて可哀想に……等と呟いていた。


【『人間らしいままでいる』に関する安価が指示されたので、『油断』状態にさせました】

不意討ちが可能となりましたが、どうしますか?
>>482

ランチタイム


黒髪ゾンビ「……食事だよ」

女「え?」


私は人間に聴こえない『声』で、最初のランチタイムだと告げた。

それと同時に、大体の距離まで近づいていた人間達を私は視線で捉える。


    …ッッターン……!!


刹那、私をぼうっと見ていたショート髪の女が横合いから薙ぎ飛ばされた。

首だけを。


男「ッ!!?」ダッ!


横にいた人間の男が即座に逃げようと踏み出す。

私はその背中に女の首を千切り飛ばした蹴りを突き立てた。


    ドッ……ボキッ…


裸足の爪先が服を突き破って体内へ刺し込まれる。

直後に鳴るのは背骨を突き抜いた音。

私はその足を引き抜いてから背後にいるであろう帽子の男に振り返った。


元警備員「」

元警備員「」ドサッ…


茶髪「……」ニコッ


黒髪ゾンビ「ふふ、ありがとう茶髪」


【人間『成人級-男性』と『成人級-女性』を殺しました】

【黒髪ゾンビが一人を補食します、残り二人は誰と誰が食べますか?】

二人、『仲間』を選んで下さい
>>492


茶髪とヘルメットE




   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……


   ガシュッ……ヂュ、クチャッ…クチャッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガシュッ……バキッ……
    ボリッ……ボリッ……



黒髪ゾンビ「……ふぅ」ゴクンッ

【黒髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【黒髪ゾンビの脚力が上昇しました】
【黒髪ゾンビの腕力が僅かに上昇しました】
【黒髪ゾンビに二時間後、微かに脂肪がつきました】


茶髪「……ん…」ゴクン

【茶髪の知能が僅かに上昇しました】
【茶髪の腕力が僅かに上昇しました】
【茶髪の脚力が僅かに上昇しました】
【茶髪の耐久力が僅かに上昇しました】

【茶髪に二時間後、微かに脂肪がつきました】


ヘルメットEゾンビ「……ァ゛ア゛…あ゛」

【ヘルメットEゾンビの知能が僅かに上昇しました】
【ヘルメットEゾンビの腕力が僅かに上昇しました】
【ヘルメットEゾンビの脚力が僅かに上昇しました】
【ヘルメットEゾンビの感染速度が0になりました】

【ヘルメットEゾンビに二時間後、筋肉がつきました】
【一定の筋肉量を越えた為、ヘルメットEゾンビの腕力が3上昇しました】



……血と肉片に汚された受付室の前で、私は血で汚れたシャツを脱いで口元を拭いていた。

人間と何ら変わらない姿と、私が女という事。

これらは非常に役立っていた。

なら、それを損なう事の無いように、なるべく綺麗に見せなければならなかった。

私は裸のままで、受付室の内部へ入って行った。


黒髪ゾンビ「……これ、は…………?」


そこには九台のモニターがあり、それぞれ六ヶ所を映していた。

私はこの映像こそ恐らくこの建物の内部を映しているのだと悟った。

同時に……それにしても、と私は驚いた。

今まで鉄塔の時にも思ったが、こうも人間が多く生き残っているとは知らなかった。

モニターにはほぼ全てのカメラに人間がいるのが見える。

呑気にも雑談をして歩く人間。

そんな光景が見られるとは思わなかった。


黒髪ゾンビ(人間が沢山……こんなに食べれない)


そう感想を溢すと、とりあえず茶髪の所へ行ってから私は新しいシャツを着る事にした。

少し、胸元の肉塊が大きくなった気がする……気のせいだろうか。



─────【人間が沢山いるね、お母さん】─────


そんな事を言う茶髪を、私は片手で撫でた。


黒髪ゾンビ「……さて、どうしようか」


数は、相当の人間がいた。

1つのモニターに映る六ヶ所のカメラ映像、そこで見れる人間は明らかに百を越えている。

当時の私に計算能力はないものの、見た目でそれとわかる数だった。

私と『仲間』がそのまま乗り込めば素手の人間に殺されかねない程に。


黒髪ゾンビ(何より、ここにいる人間達はどのくらいの人数分……武器を持たせてるんだろう)


私は受付室を探っている内に、拳銃を三丁と銃弾らしき物が入った小箱を七箱も見つけた。

豊富な武器、そして人数。

何よりもこれだけの人間がこの世界で生き残っているのだ、それだけゾンビへの対処が出来た者達だろう。


黒髪ゾンビ(……)


『仲間』を連れて突入は難しいようです。
現在、『人間らしくない行動』を取らなければ初見で人間に警戒されないのは

「黒髪ゾンビ」

「茶髪」

「少女」

「少女B」

となります。
また、ショッピングモール内については監視カメラの映像に関する安価(ただし知りたい事を詳しく)指示すれば、いつでも知れます。

どうしますか?
>>504

人数が少ないところで人間と性行為を試してみる


……私はモニターを見渡す。

それぞれ様々な場所や広場を映し出している。

だがそんなカメラの映像の中で、私は幾つか人の出入りが薄い場所を見つけた。


黒髪ゾンビ(ここなら、人間の目にもつかない)

黒髪ゾンビ(それに少女達で私は一度試してる、あの方法なら『仲間』を増やせるかも)


私は静かに頷くと、背後を振り向いた。

未だ知能は私以外に人間の言葉を話すに至っていない『仲間』では、少し難しい。

性行為で『仲間』を増やすからには、やるなら私一人。

その間……茶髪達をどうしようか、と私は考えた。


黒髪ゾンビ(……)


受付室の中にある、着替えや制服を収納するロッカー。

丁度六個もあったのでそこに『仲間』を隠れさせる事にした。

茶髪だけは不満そうな顔だったが。



黒髪ゾンビ(……確かあの鉄塔の中にもあった、あの時は使わなかったけど)


私は受付室から出て、上への階段以外の通路を進んだ先にあるエレベーターを眺めていた。

矢印の様なマークがあるボタンを押せば、恐らく人間の乗れる様に扉が開くのだろう。

そうして眺めながら、ボタンを押す。

私はエレベーターを待ちながら、行き先を考えていた。

散弾銃は置いてきたものの、ここからは初めて人間の住み処へ単独で行くのだ。

僅かながら私は不安だった。


黒髪ゾンビ「なるようになるだろうけど……」



『ショッピングモール』内で人間が少ない目的地は次の三つです。
1つ選んで下さい。

「2F……レストランフロア『厨房裏』」

「4F……インテリアフロア『従業員用トイレ前』」

「8F……『屋上』」

>>514

厨房裏

【『厨房裏』を選択された為、即死安価の可能性が生まれました】



……私は、エレベーターに乗り込むと鉄塔の時に見ていた階層の表記と同じ事に安堵し、行き先のボタンを押した。

従業員用エレベーターの行き先は基本的に表側のエレベーターとは違い、人間の少ない所へ行くのが容易だった。

モニターの映像を見ていても、このエレベーターを使う者は稀だ。


    ウゥゥ……ン


エレベーターが静かに移動する音を聞いていると、直ぐに途中で止まった。

エレベーター内のボタン上にある電子板にはまだ1Fとなっている、人間だろうか。


黒髪ゾンビ「……」

< ガー……


コック「……更衣室か何かと間違えたかな」


白の服、そしてエプロン。

僅かに白髪の混じった黒髪を……何かで塗り固めて、ポニーテールにした男が入ってきた。

男は私の姿を見て、平然としながら眉を上げて続けた。

何故か、エレベーターの閉じようとする扉を片手で抑えたまま。


コック「行き先は二階か、そんな格好でうちの厨房に何か用かね」


黒髪ゾンビ(……)


【人間『??級-男性』と遭遇しました】
【即死する可能性があります、慎重に応答しましょう】

なんと答えますか?
>>519

ごめんなさい、お腹がすいてたんです。
何かないかな~って思って。
すいませんでした。すぐ帰りますね。
といって他の場所に行く


黒髪ゾンビ「……ごめんなさい、お腹がすいてて…」

コック「ほう」

黒髪ゾンビ「何か無いかと思ったの、でも……悪いから直ぐ帰ろうかな」


そう私は言い、男の横からエレベーターの外へと行こうとする。

だが。


コック「その格好で良い娘さんが彷徨くのは関心しないな、それにお腹が空いたんだろう?」

黒髪ゾンビ「……」

コック「うちの厨房に来るといい、何か一品作ってやる」


私とエレベーターの外の間を腕で遮り、私の目を見る。

男は私の横を通り中へ入ると扉を閉めた。


【『逃走』に関する安価が指示された為、強制的に二階へ行く事になりました】
【以降、全ての安価で即死する可能性が生まれました】

何かコックに言いますか?
>>528

あ、ありがとう…ございます…


黒髪ゾンビ「あ、ありがとう…ございます…」


なんという人間なのだろう、これほど強引なのは初めて(ゾンビにそれだけの知能の者がいないのもあるが)で、思わず引きつった顔になる。

すると、男はこちらを振り向きもせずに言った。


コック「着る物も渡そう、わざわざ俺の所へ来るのは下の三人位だ……あいつらに勧められたんだろう?」

コック「理由は聞かないが見ない顔でもある、よくここまで来れたな」


黒髪ゾンビ「……」


< ゥゥ……ン

< ガー


そうしている内に、エレベーターは着いた。

薄暗い通路の先で扉が開いたままになっていた。

その先では何やら様々な匂いが漂っている。


コック「ここで待ってろ、いま服を持ってくる」


【即死の可能性があります、慎重に行動しましょう】

どうしますか?
>>531

大人しく待つ


黒髪ゾンビ(……)


私は待つことにした。

人間の男に興味は無いが、そろそろ私も人間以外の食糧というのを探すつもりではあった。

そして今から人間の食べ物を出されると言うのなら、私は是非それを食べてみたかった。

だから、大人しく待つ。


コック「やぁ、こんなのを貰ってきたんだが」


少しして、あの男が戻ってきた。

手には深紅……とは言っても、血液ほどではなく、鮮やかな赤と蝶を模した柄が入った服だ。

後に知ったが、この服はチャイナドレスと言うらしい。

この時に着ていたシャツとは違い、足首まである丈の長さに私は感動した。

茶髪のライダースーツも良いが、私はこちらの方が着てみたいと思った。


目を輝かせている私を見て、微笑みながら男はドレスを渡し……


コック「着てから食べるか、それともそのまま?」

黒髪ゾンビ「……ん、と…」


どうしますか?
>>539

着替えるときにゃまたセガールどっかいくかな、その間になんか仕込めるかもしねんから
きがえてから


黒髪ゾンビ「着替えてから、かな」

コック「そうか、なら俺は料理でもしてよう」

コック「着替えるならそこのエレベーター隣にある部屋を使うといい、中から鍵をかけられるから着替えには丁度良いだろう」

黒髪ゾンビ「ありがとう」


【即死する可能性が無くなりました】

【少女Bゾンビの腕力が5上昇しました】


    ガチャッ……ギィィ……

    カチャンッ


黒髪ゾンビ「……♪」


少し狭い、長机とパイプ椅子が二つ程ある部屋に入った私はチャイナドレスに着替えていく。

着てみた私は、何故か高揚した気分になった。

多少の我が儘を言うなら胸の辺りが僅かに服がキツい、やはり前より大きくなったのではないかと思った。

だが、悪くない。


黒髪ゾンビ(後で茶髪達に見せてあげようか、きっと羨ましいだろうなぁ)


現在、黒髪ゾンビは『厨房裏・休憩室』にいます。
コックは通路へ出てエレベーターとは反対の西側にある厨房にいますが、どうしますか?

>>545

少女Bがメキメキ強くなっていってるのはこの親(黒髪)のせいなのか……?

安価下


……暫くして、私は部屋にあったパイプ椅子に座っていた。

このまま『仲間』の元へ戻る事も考えられたのだが、やはり待つ事にした。

厨房へ向かうよりも待ってた方が都合が良い。

直ぐに戻れないのなら『仲間』に指示を出さなければならなかったからだ。


─────【茶髪、どう?】─────


─────【……大丈夫だよお母さん、それよりお母さんはどうしたの】─────


そう、あの白服の男に下の階を気にされた可能性がある。

だから私は『声』で茶髪に、モニターでエレベーターの動きを監視させる事にした。

茶髪以外はロッカーに入っていて、何一つ変わりは無いらしい。


私はチャイナドレスの両サイドのスリットの端を持ち、ヒラヒラさせながら得意気に言った。


─────【あとで良いの見せてあげるね】─────


─────【……むぅ?】─────


茶髪はやはり不満そうな『声』を私に送ってきた。


【黒髪ゾンビの知能が僅かに上昇しました】


    コンコンッ


部屋にノックがされ、私は静かに耳を扉の方へ向けた。

数秒の間を置いてあの男の声がする。


「出来たぞ」

黒髪ゾンビ「うん」


    ガチャッ


コック「似合ってるじゃないか、やっぱり日本人とはいえ黒髪に赤は映えるな」

黒髪ゾンビ「……ニホンジン?」

コック「ああ、気にしないでくれ」

コック「さぁ来てくれ、キッチンで他のコックに負けた事は無いんだ」

黒髪ゾンビ「……?」

コック「少し余ってた素材で作りすぎてね、フルコースを作ってしまった」


白服の男……コック。

私は高身長な彼の後ろを歩きながら、丸腰なのを確認した。

料理を作ったのなら、彼を生かしておく理由は無い気がする。

だが、何故だろう。

……どこか、普通の人間とは『匂い』が違う気がした。


【逃走成功確率が上昇しました】
どうしますか?
>>575

まあ、とりあえず食べてみよう


黒髪ゾンビ(……ま、いっか)


    タンッ


裸足で通路の床を蹴り、一瞬でコックの背後へ私は

──────── ゴッッ!!





黒髪ゾンビ「っ~~ッッ!!」ドタンッ!…ゴロゴロゴロッ……ズサァッッ……!!




視界が一瞬で天井へ向かされ、全身が浮遊感に包まれた。

着地もままならず、私は強く後頭部から床に叩きつけられ……無様に薄暗い通路を転がりエレベーター前まで体が滑り擦れた。

何が起きたのか。

この時の私は痛みこそ感じないが強い目眩を覚えていた。

即座に私は……ゆっくりと立ち上がり、コックの方を向いた。


コック「ゾンビではないのは分かってた、身体の筋肉の動きがおかしかったからな」

コック「人間の目が見てから脳が出す反応は、速い事は速いが君はそれより更に速い」

コック「例えば……『眼球の動きが殺意を持ってから俺の隙ばかり見て動き続けていた』のが、お前さんの人間離れした能力か」


黒髪ゾンビ「……!?……??」


何を言っているのだろう、この人間は。

そう思わずには居られなかった。

だから、僅かに反応が遅れて……私は…………


【人間『超人級-男性』と遭遇しました】
【『超人級』との戦闘を開始します】

即死する可能性があります、次のステータスから1つ選択して生き延びて下さい。

「腕力」

「脚力」

「感染速度」※確率安価に以降後、失敗すれば即死


>>585


あれ?とりあえず食べてみるじゃ


【作者の解釈ミスにより、>>573からコンティニューします】
【『作者のミス』により、最も総ステータスの低いゾンビに全ステータス+3するのですが……】

【今回はミスで生じたネタバレの内容が内容なので、特に無しの方向で進行します】
【楽しんで頂いていた方々には深くお詫びします】

【あと、次回は荒れてくる前に皆さん落ち着いて>>1のアナウンスを待ちましょう】



黒髪ゾンビ「……とりあえず、食べてみたい」

コック「ああ、お嬢さんの舌に合えば良いがね」

黒髪ゾンビ「?」


舌に合えば、という意味が少し分からなくて私は首を傾げる。

だが私の事を見ずコックは厨房へ入っていった。

続いて私も中へ入る。

清潔……と言えば良いのか、厨房は何処も汚れがなく、調理器具や調理場含め不自然な程に綺麗だった。

料理、つまり人間の食べ物とは汚れないものなのか、と……この当時の私は思っていた。


コック「店は今は皆のお茶をする場になっていてな、残念だが君には厨房で食べて貰おう」

黒髪ゾンビ「別に良いよ」


私の知能が上がったのか、それともやはりこの男が特別なのか。

匂いが漂って来てもまるで食欲から襲おうとは思わない。

分からないが、それよりも目の前の食べ物だ。


黒髪ゾンビ(……)


洋食のようです、どの程度食べますか?
>>612

食えるだけ食っとく


    チャプッ……ゴクッ……ゴクッ……

コック「……」


コックは私が黄金色をした水を飲んでいるのを見ている。

味は……血とは違う、舌先にピリピリとした香りを漂わせ、喉を通して全身に広がる様なものだ。

何より、温かかった。

指先から伝わる温もりと、透明になった柔らかい何かが心地良い。

私はその……『スープ』を筆頭に、食べられるだけ食べた。

他にも……ドロドロとした茶色のスープがあり、ビーフシチューやワインソースをかけた上に焼いてある肉も食べた。




   クチュッ……ヂュ、ズルルッ……
  ……ブチュッ…ズルッ…………ガブッ……むしゃむしゃ……
    くっちゃ……くっちゃ……





結局完食してしまったのだが、何故かコックの表情は強張っていた。

コック「……まさか手掴みで食べるとはな、正直驚いた」

黒髪ゾンビ「……?」フキフキ

コック「良かったらテーブルマナーでも教えようか、今夜泊まる所が無ければ……まぁ無いだろうが、俺の部屋にでも」



どうしますか?
>>619

コックにキスする


    カタッ……


私はそっと立ち上がり、コックの瞳を見つめる。

黒い瞳は私を映しており、恐らく彼も私の事を見ていた。

今なら、この男を引き込めると思った。

『仲間』である……ゾンビに。


コック「おいおい……」

黒髪ゾンビ「……んっ…」チュゥ…


少し背伸びをしながら、コックの唇に私の唇を重ねる。

こうなれば、直ぐにでも感染するだろう。

人間の少女と、目の前の成人男性では感染速度に差はあるだろうが、既に私は唇の間から舌先を侵入させ唾液を絡ませている。

男の方も私の舌を貪ろうとしてきている。


長い間、私と男は絡み合っていた。


【人間『??級-男性』を『油断』状態にさせました】
【即死の危険が今は無くなりました】

【少女Bゾンビの腕力が5減少しました】



……暫くしてコックは私が食した後の食器を片付けていた。

一人だというのに同時に幾つもの食器を洗い、並べ、物によっては布巾で水滴すら拭き取っている。

私や茶髪でもあのような動きは出来ないと思った。


だが、それ以上に私が感じたのは……。


黒髪ゾンビ(…………『仲間』になる気配がない)

黒髪ゾンビ(どういう事だろう、匂いは人間……の筈なのに、どうして感染しないの…?)


既にそれなりの時間が経っていた。

自分の感染力はかつてゾンビだった頃の記憶が恐ろしく強い事を証明している。

おかしい、何故これほど平然としていられるのか私には分からない。

段々と初めての異物を見る様な目になっていると、コックが振り向いた。


コック「どうかしたのか、そんなに俺の事を見つめたりして」


黒髪ゾンビ「……」


なんと答えますか?
>>630

同時にたくさんできて凄いなって思って見てたの


黒髪ゾンビ「……同時に沢山出来て、凄いなって思ったの」

コック「ほう? そんなに凄かったかな」

黒髪ゾンビ「うん」

コック「慣れれば誰でも出来るさ、君もやってみるといい」


数枚の皿を宙に投げながら拭いたりして、コックは笑みを浮かべて見せた。

……どうしたものか、と私は考える。

不思議とこの男に対して強烈な食欲が、会った時から湧かないのだ。

まるでかなり遠くに人間の死体を置かれた様な、手が届かない感覚。

私はコップの水を飲んでから、ゆっくりと顔を上げた。


【少女Bゾンビがロッカーを出ました】
【暫くしなければ少女Bゾンビの状況を黒髪ゾンビは知る事が出来ません】


どうしますか?
>>648

コックにフェラしてみる


コック「ん? なんだ」

黒髪ゾンビ「……」


ここに至るまでに、私はヘルメットA達の身体で男性と女性の違いを把握していた。

男性は人間という種において生殖行為に及ぶ際、股間の肉棒を柔らかな刺激で固くさせて……子種を出すのだ。

ゾンビになった者から出るのは褐色の死臭漂う汚液だったが、私が舐めて『理解』した感覚ではそれで合っている筈だった。

だから、私はコックを理解する為に試すことにした。


コックの足元に膝をつき、エプロンの上から私は手を……


コック「おい」

黒髪ゾンビ「…?」

コック「いきなり会ったばかりの男にする行為じゃない、よせ」

コック「こんな美人が俺みたいな平凡なコックにそんな真似をするものじゃない」

黒髪ゾンビ「……そうなの?」

コック「少なくとも俺のキッチンでそんな真似はさせられないな」

黒髪ゾンビ「そっか」


【人間『??級-男性』に性行為を再び行おうとした為、『軽度警戒』状態になりました】
【即死の可能性が生まれました】

まだ『逃走』に関する指示を出す事も出来そうです、どうしますか?
>>658

素直に謝って
>>650


フェラ描写は見れなかったか…残念。
コックも流石に警戒して頷いてくれなかったのだな

コックりと…

【審議中】
    |∧∧|       (( ) )   (( ) )  ((⌒ )
 __(;゚Д゚)___   (( ) )   (( ⌒ )  (( ) )
 | ⊂l >>662 l⊃|    ノ火.,、   ノ人., 、  ノ人.,、
  ̄ ̄|.|.  .|| ̄ ̄   γノ)::)  γノ)::)   γノ)::) 
    |.|=.=.||       ゝ人ノ  ゝ火ノ   ゝ人ノ
    |∪∪|        ||∧,,∧ ||∧,,∧  ||  ボォオ

    |    |      ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
    |    |      ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
   ~~~~~~~~     | U (  ´・) (・`  ). .と ノ

              u-u (    ) (   ノ u-u
                  `u-u'. `u-u'


黒髪ゾンビ「……ごめんなさい、これ位しかお礼出来るものが無いから」

コック「……」

黒髪ゾンビ「気を悪くさせたかな」

コック「いや、気にしてはいないが」

黒髪ゾンビ「美味しい食べ物ありがとう……『仲間』と約束してたの思い出したから、帰らなきゃ」スッ……


コック「今夜、俺の部屋には来ないのか?」


黒髪ゾンビ「『行くとは言ってないから』……ね」ニコッ


【黒髪ゾンビの『魅力』が一定以上を越えていた為、逃走に成功しました】


    スタスタ………


コック「……ふむ」

コック(やれやれ、フラれたか)

コック(せめて靴でも買ってやりたかったが、あんな目で見られてはなぁ)

コック(……人間、だとは思うが)

コック(分からないな、俺自身人間かも判断出来ないんだからな)


【即死の危険が無くなりました】
【コックの『軽度警戒』状態が解除されました】


……厨房を出てから、私はエレベーターへ向かいながら静かに頷いた。

食感、味、そして香りや喉越し。

豊富に変わる食べ物としてのバリエーション。

確かに私や『仲間』、ゾンビでは味わえない物と思えた。

だが。

やはり駄目だった。


黒髪ゾンビ「ふぅぅ……なん、だろう……これ」


肉体が望む物と全く見当違いな異物を取り込んだ私は、初めて覚える吐き気を堪えていた。

同時に、喉が焼ける様な激痛。

痛みを感じずにこれまで過ごしていた私は、それに耐えながら壁に手をつきながら歩くしか無かったのだ。

熱い。

気持ち悪い。



【『食べられるだけ食べ過ぎた』為、三度の安価を行う間、最も高いステータスが半分となります】

【黒髪ゾンビの感染速度が半分になりました】
【感染速度が一定を下回った為、『変身』が使用不可となりました】

>>658により、人の少ない目的地へ移動します】

行き先を指定して下さい。


「4F……インテリアフロア『従業員用トイレ前』」

「8F……『屋上』」

「B1……『従業員用受付』に戻る」


>>696

勿体ないが4Fに行ってちょっと吐いてこよう


    ウゥ……ン……


< ガー……

黒髪ゾンビ「はぁ…ふぅぅ……ぅ…っ」

黒髪ゾンビ(確か、鉄塔の中にもトイレはあったから……あれと同じ筈……)タタッ


私はエレベーターを降りると、モニターで確認した通りの光景が映った。

従業員用のトイレ、人気は確実に無いものの人間がたまに来る場所である。

私は左右に別れている内の、青い人型のマークが描かれた方へ入った。

そして直ぐに洗面台で私は多量の食した料理を、喉の奥から流れ込むがままに吐き出した。


酷い音と共に、私の体が徐々に落ち着きを取り戻し始めた。


【『直ぐに吐き出す』に関する安価が指示された為、ステータスが元に戻りました】


従業員用男子トイレに入りました。
どうしますか?
>>705

一旦仲間のところに戻る


黒髪ゾンビ(……スッキリは…したけど、何だかもやもやする)

黒髪ゾンビ(そうだ、せっかくだからこの服見せてあげる為に戻ろうかな)


─────【茶髪、そっちの様子はどう?】─────


……私は多量の吐瀉物が洗面台に撒き散らされたままの状態を無視して、従業員用男子トイレから出た。

そしてゆっくりと歩き、エレベーターに向かいながら地下のモニターを見ている茶髪へ『声』を送ったのだ。

私はその返事を待ちながら、エレベーターを呼ぶボタンを押した。

一度、下のエレベーターが少ししてから上であるここに向かい始める。

と、その瞬間。


─────【お母さん、『仲間』の少女達が……!】─────


黒髪ゾンビ「!」


明らかに茶髪が取り乱した『声』を送ってきたのに気付き、私は思わず下の床を見た。

別に何が見える訳ではないが、茶髪に何が起きているのかと不安になり、彼女達がいる地下へ視線を向けたつもりだった。

何が起きているのか。

そう問いかけようとするが、私より先に茶髪が言った。


─────【少女達が……くっついてる…………】─────



【少女Bゾンビの知能が遥かに上昇していました】
【少女Bゾンビの腕力が遥かに上昇していました】
【少女Bゾンビの脚力が遥かに上昇していました】
【少女Bゾンビの耐久力が遥かに上昇していました】

【少女ゾンビが少女Bゾンビに取り込まれました】

【少女Bゾンビの異変が『早期発見となる安価』に関する指示がされた為、現在判明しました】
【『ロッカーの外に出ている『仲間』』で少女ゾンビ以外は生存出来ました】

【黒髪ゾンビの支配力が遥かに上昇していました】



【地下一階・従業員用受付前】


茶髪「……っ…!」


< ニチュッ…グプププッッ……ジュァァア……

少女Bゾンビ「ぁ…はッ……あははははははは」

少女ゾンビ「…」ズブブブ……

少女Bゾンビ「しょ……」


少女Bゾンビ「しょぅ…じょ、ちゃんは……ゥチ…が、まもる……からァ…ッ」

少女Bゾンビ「ァハハハハッ……ほ…ら、おいで……ショー…じょ、ちゃァン……ぎひぁっははは…ッ」ガシィッ!!


< ウジュルウジュルッッ……グチュゥゥ……ジュゥゥ……


茶髪「…………」

茶髪「………」

─────【これは……なに?】─────

─────【『私達』は、こんな生き物になれるの……?】─────




少女Bゾンビ「ぁ……はっ」ジュゥゥ……

少女B?「あはは…は、少女ちゃんと一緒になれちゃったぁ………」

少女B?「あははははははは……アァハハハハハハハハハハハハ!!」


【少女Bゾンビの全ステータスが5上昇しました】
【少女Bゾンビは『感染母体-幼生態』になりました】
【少女B?の個性と知能が一定を越えた為、生前の記憶が取り戻されました】


【黒髪ゾンビの到着まで持ち堪えます】
【戦闘を開始します】


初撃の回避を行います、次の茶髪の組み合わせたステータスから1つ選択して下さい。

「知能+腕力」

「知能+脚力」

「射撃+脚力」

「腕力+脚力」

「耐久力+知能+腕力」


>>731

>>730


    シュッ……!


茶髪「……っ!!」ドタァンッ

茶髪(【危なかった……咄嗟にステップで下がったけど、下手に受けようとしたら首を持って行かれたかもしれない】)

茶髪(【この子、まだ体が人間程の耐久が無い『仲間』を襲ったりしたら……皆死ぬかもしれない】)


少女B?「ぁはははァ……外しちゃッたァ」

少女B?「リーチが足りないの……かなァ?」

< ミシッ……ミシミシミシィィッ


茶髪(【……あれは、形は違うけどお母さんみたいに…腕が形を変えてる?】)



【『回避に成功する選択肢』が指示された為、無傷で回避出来ました】
【『感染母体-幼生態』の腕力が一時的に+40されました】

【少女B?が『感染母体-強襲型・幼生態』になりました】
【腕力が一定を越えた為、少女B?の脚力ステータスが半分になりました】


下がっても逃れる事が出来ません。
どうしますか?
>>745


脚を狙って転倒させる


茶髪(【くっ……お母さん…ッ】)バッ


─────【茶髪、もう地下に着くよ】─────

─────【大丈夫? 何があったの】─────


茶髪(【逃げずに進む……ッ!!】)


    タンッ……!


少女B?「死んじゃえ……『ゾンビ』共ぉぉおっ!!」ビュッッ




< ズサァァアッ!

茶髪(【……ッ、腕が伸びた…けどこれなら潜れる…】)バッ!!

茶髪「ぁぁあああ!!」ダダダッッ




少女B?「あはははははははは!!? 私を、少女ちゃんを、殺したのは、奪ったのはあんた達の癖にィッ!!」ブルンッッ

茶髪「シッ…!」ヒュッ


< ガッッ!!

少女B?「あぅッ」ガクンッ

少女B?「………!!」ギロッ       <ミシッ…ミシミシィィッ…

茶髪「!」ピクッ


【『尚も後退する』に関する安価ではなく、『接近戦を挑む』を指示した為、無傷で回避に成功しました】
【無傷で回避に成功した為、安価の指示を実行しました】

もう黒髪ゾンビが到着します。
そしてこれが今回の戦闘最後の安価です。

少女B?の両腕が端から金属質な刃の細かな羽根に変異しているようです、次の茶髪の組み合わせたステータスを1つ指定して下さい。

不正解の指示を選択された場合は、安価のコンマ以下数字……確率による自動処理での行動をします。
コンマ以下数字が『作者の酉に含まれた数字』と足して75を越えなかった場合は茶髪が暫く行動不可となります。


「知能+射撃」

「個性+射撃」

「知能+個性」

「腕力+脚力+耐久力」


>>752

ここは知能と個性で


────────── 『特殊感染体、タイプA』


────── 『我々の任務では外を移動……または護衛する事が殆どだ』

────── 『諸君等は米国から派遣された優秀なエージェントだと聞いている』

────── 『机に資料、そして数枚の写真を用意した』

────── 『ここ、日本で近年確認されつつある異常固体……そして先に教えたタイプAに関しての情報だ』



茶髪「……!!」

茶髪(【これ…は……】)



少女B?「ァァァアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!」ジャギギギッ……!!



────── 『奴等と遭遇した者は僅かだが、いた』

────── 『だがその殆どは死亡……私もこの通り車椅子での生活送りだ』

────── 『奴等は生身で立ち向かった所で、まず殺す事は不可能である』

────── 『変異し、肉体を変形させ…多くに見られる金属質な刃の鱗で覆われた奴等には近づく事も難しいからだ』

────── 『……しかし、この後に控えている訓練を積めば、恐らく無傷で逃走を成功させる事が可能となる』


────── 『覚えておいて欲しい、タイプA……化け物と出会った時に必要な事を』



茶髪(……)

茶髪「重心となる下半身の傾きから、初動が決まる」

茶髪「……右……」


< ヒュンッッ!!




………時間にして、恐らく僅か八秒。

私が茶髪を通して地下で起きた異常事態を知った時、既にエレベーターは着いていた。

即座に中へ入り、そしてボタンを押し……下の階に辿り着くまで。

その時間は、八秒程度なのだ。


黒髪ゾンビ「………!」

─────【茶髪、もう地下に着くよ】─────

─────【大丈夫? 何があったの】─────


二階を過ぎた頃、私は茶髪へ『声』を送った。

しかし、その反応は無い。

更に言えば……


黒髪ゾンビ(何故……?)

黒髪ゾンビ(茶髪の近くにいる『仲間』に、『声』が届かない……っ)


私はこの時、それまでに無かった焦りと奇妙な気配を背中に感じていた。

それを後押しする様に、エレベーターが地下に到着した瞬間。



    「 ァァァアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!! 」



黒髪ゾンビ「!?」ビクッ


少女Bの、絶叫。

それが分かったのと同時に、私の目の前でエレベーターはその扉を開いた。

私は、エレベーターから飛び出した通路の先へ視線を走らせる。


そこに見えたのは。



────────── ッッゴシャァアア!!

          タンッ……! ──────────


突如として巻き起こされた破壊の鞭が、コンクリートの柱と受付の窓口を縦に叩き込まれた。

目の前で無数に散るガラス片と灰色のコンクリート片。

それらを縫うかの様に、私の眼前で一人の女が跳び避けていた。

……黒のライダースーツと、そこから僅かに見せる白い肌と揺れる栗毛色の髪。


あの茶髪が、凄まじい反射速度と動き……そして半分は直感的に無数の刃の翼を潜り避けていたのだ。


少女B?「……~~ッ!!」ギリィッ


      カシャカシャカシャッッ

   ゾルンッッ!!


醜悪な表情に顔を歪めた少女Bを見て、私は更に驚く。

茶髪が避けている……形状を幾重にも変化させる刃、その根元に少女Bがいたからだ。


       ヒュォッ!!


黒髪ゾンビ(茶髪……!)


一本の槍と化した刃が殺到するのを見て、私はその脚に力を込めた……


茶髪「大丈夫だよ」トンッ



……脚に力を込めたその時、茶髪が私に微笑んでから、宙を舞った。


私はその姿を『綺麗』だと思った。


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