教官「必ず、生きて帰ってこい」(31)

教官「訓練プログラムの見直しは完了」ピッ

教官「生徒の能力も数値としては把握」

教官「…それにしても、この四人」

教官「どうやって上手くまとめるかな…」

教官「とにかく会ってみないことには始まらない」

教官「……よし!」スタスタ

訓練用仮想空間

教官「今日から君達に魔法を教える教官だ」

教官「今、この国は魔法を扱える者が不足している」

教官「君達に是非、この国の即戦力になってもらいたい」

一同「はい!」

教官「まずは1人1人、自己紹介してもらおう」

黒髪「え、えっと…名前は黒髪です!」

黒髪「得意魔法とかは特になくて…」

黒髪「どんな魔法も平均くらいです」

教官「ふむ、つまり万能型なんだな」

黒髪「そ、そんな…万能なんて!」

黒髪「強いて言うなら防護魔法が少しだけ得意かも…です」テレ

教官「防護魔法か…なるほど」

教官「これからよろしく頼むよ、黒髪」

黒髪「は、はい!よろしくお願いします!」ペコ

茶髪「次は私だね!」

茶髪「名前は茶髪だよー」

茶髪「得意魔法は風魔法、とにかくめちゃくちゃ速いよ」ニコ

教官「風魔法による強化魔法か?」

茶髪「そうそう!そんでもって、風魔法の近接武器も錬成出来ちゃうんだー」フフン

教官「それは凄いな、二つ合わせれば強力な攻撃が出来る」

茶髪「突破力なら誰にも負けないよ」ニコ

教官「わかった、これからよろしくな」

茶髪「よろしくね、教官!」

金髪「名前は金髪です」

金髪「得意魔法は雷魔法と分析魔法です」

教官「ほう、分析魔法が使えるのか?」

金髪「はい、相手を隅々まで分析し」

金髪「相手の弱点を的確に狙うのが私の戦闘スタイルです」

教官「自分のこともしっかり分析出来てるみたいだな」

金髪「最初に分析すべきは、自分自身ですから」

教官「なるほどな、これからよろしく頼む」

金髪「はい、よろしくお願いします」

銀髪「…名前は、銀髪」

銀髪「…得意魔法は、氷と水魔法」

銀髪「…………終わり」

教官「えっ…あ、あぁ…えっとよろしくな」

銀髪「………」コクリ

教官(なんというか、不思議な奴だな)

教官「さて、この後なんだが」

教官「早速、一対一で戦ってもらいたい」

教官「実際にお前達の実力を見せてくれ」

一同「はい!」

教官「まずは金髪と銀髪、いけるか?」

金髪「問題ありません」

銀髪「…同じく」

金髪「よろしくお願いします」

銀髪「…よろしく」

教官「では、始め!」

金髪「全てを貫く雷球よ」バチバチ

金髪(まずは、これで相手の動きをみる)

金髪「はぁぁぁぁ!」ヒュンヒュン

銀髪「………」スッ

金髪「?!」

ドォォォン!!

黒髪「ちょ、直撃……?!」

茶髪「雷魔法は速いし防護魔法が間に合わなかったねー」

教官「いや、よく見てみろ」

二人「…………?」

銀髪「…………」パキパキ

黒髪「氷魔法で防いでる!」

茶髪「で、でも魔法詠唱してなかったよね?」

金髪「…驚きました、まさか詠唱破棄で氷魔法を発動させるなんて」

銀髪「…これくらいの魔法なら詠唱は必要ない」

教官「銀髪は本当に氷魔法が得意みたいだな」

銀髪「…今度は、こちらの番」ダッ

金髪(来るっ!)バッ

銀髪「…凍てつく槍よ」パキパキ キン

黒髪「錬成魔法で氷の槍を…」

教官(金髪は、どう対処するかな…)

金髪「……………」バチチバチチ

茶髪「わわっ、金髪ちゃんが何か放電してる!」

黒髪「何してるんでしょうか?」

教官「アレを集めてるのさ」スッ

茶髪「アレって…砂鉄?」

金髪「雷に集いし黒き鎧よ」サァァァ

金髪「防護魔法!」バッ キュイン

銀髪「……………」ヒュン

ガキィィン!!

教官「砂鉄の鎧に防護魔法が追加されている」

教官「あの状態じゃ金髪に攻撃は与えられない」

銀髪「…………」バッ

金髪(距離をとった!)

金髪「黒き矢よ、貫け!」キン ヒュン!

銀髪「…貫きの氷矢」キン ヒュン

キィン キィン キィン!!

銀髪「…怒れる水達よ」ピタ

ドン ドン ドン!

金髪「っ?!」

黒髪「じ、地面から水が噴き出してる」

茶髪「すごーい!」ワァ

銀髪「…下まで守りきれる?」

金髪「…黒き刃よ!」ダッ

茶髪「刀を錬成して近接戦だー」

教官「……………」

銀髪「…今度は、上から」キュインン

銀髪「…降り注ぐ氷槍」パキパキ

黒髪「落ちてくる水を氷に変えてる!」

茶髪「あれじゃ逃げ場がないよ!」

銀髪「…これで終わり」ヒュンヒュン

ドン ドン ドン ガキィィン!

茶髪「金髪ちゃん串刺し?!」

黒髪「……………」

教官「……………」

茶髪「あれれ、二人とも黙ってどうしたの?」

黒髪「金髪ちゃん、凄い…」

教官「かなり危険な賭けをしたみたいだな」

茶髪「??」

金髪「…………」バチバチ サァァァ

茶髪「砂鉄の鎧と防護魔法で降り注ぐ氷を全部防いだの…?」

黒髪「それだけじゃないよ!」

金髪「これで終わりですね」サァァァ

銀髪「……………」ピト

茶髪「銀髪ちゃんの喉元に地面から飛び出してる砂鉄の刀が…!」

教官「そこまで!二人とも魔法を解除しろ」

教官「二人とも良い戦いだった」

教官「銀髪は水魔法からの氷魔法の応用が素晴らしかったぞ」

銀髪「………」

教官「金髪も最後のあの戦術は、なかなか思い付くものじゃない」

金髪「そんなこと、ありません」

教官「ただ、完璧とはいかなかったみたいだな」

金髪「……流石です、教官」

茶髪「どういうことー?」

教官「一発だけ貫通してたんだよ」

教官「金髪には当たってなかったけどな」

金髪「はい…当たっていれば致命傷でした」

教官「とにかく二人ともご苦労様」

教官「良い戦いだった」

金髪「ありがとうございます」ペコ

銀髪「…………」ペコ

教官「うむ、じゃあ次…黒髪と茶髪いけるか?」

茶髪「いけるよー♪」

黒髪「は、はい!」

茶髪「よろしくねー、黒髪ちゃん!」

黒髪「うん、お互い頑張ろうね!」

茶髪(黒髪ちゃんには悪いけど…この戦い一気に終わらせてもらうよー)

茶髪(教官に少しでもアピールしなきゃ!)

黒髪「ふぅ…」スーハー

教官「…………」

金髪「黒髪さんの事が気になるんですか?」

教官「あぁ、少しな」

教官「黒髪の魔法能力はどれも平均的」

金髪「本当にある意味では万能ですね」

教官「あぁ、でも平均なのはあくまでも攻撃魔法だけだ」

金髪「攻撃魔法だけ…?」

銀髪「…黒髪は、強い」

教官「どうして、そう思うんだ?」

銀髪「…雰囲気が普通とは違う」

教官(普通とは違う…か)

金髪「黒髪さんの戦闘…よく見ておきます」

教官「あぁ、そうだな」

教官「では、始め!」

黒髪「はい!」

茶髪「いっくよー!!」

茶髪「天駆ける風の翼よ!」ゴォォォ

金髪「風を足に纏わせている」

教官「風の強化魔法か」

茶髪「錬成魔法、風の太刀!」キュイン

茶髪「よーい、ドン!!」ゴォ!!

金髪「速い!」

茶髪「いっけー!」ブォン!

黒髪「……防護魔法」スッ キュイン

ガキィィン!!

茶髪「わわっ、防がれちゃった」

黒髪「び、びっくりしたぁ…」

茶髪「えへへ、ガンガンいっくよー!」ブォンブォン

キィン キィン ガキィィン!!

金髪「茶髪さん、一気に勝負を決める気ですね」

教官「あぁ」

黒髪「…………」バッ

茶髪(距離なんかとらせないよ!)ゴォ!

茶髪「えいっ!!」ブォン

ガキィィン!!

教官「茶髪の速さの前じゃ遠距離攻撃は難しいな」

金髪「あの速さは驚異的ですね」

黒髪「…………」ガキィィン ガキィィン

茶髪「守ってばっかりじゃ勝てないよ、黒髪ちゃん!」ブォンブォン

黒髪「えっと…そ、そうだよね」ガキィィン!!

黒髪「神の慈悲に守られし盾よ」キュイン

金髪「全方位型の防護魔法?!」

銀髪「…どんどん広がっていく」

茶髪「くっ……!」バッ

金髪「茶髪さんが距離をとった」

茶髪「全方位型でも結局は守ってるだけじゃん!」

黒髪「……………」スッ

茶髪「?!」

金髪「全方位型の防護魔法で守りつつ攻撃魔法を当てる気ですね」

黒髪「鬼神の洗礼よ」フォン

茶髪「………え?」キュインン

金髪「き、鬼神の洗礼…?」

金髪「あれって………」

教官「あぁ、魔法の威力を高める強化魔法だな」

教官「しかも強化したのは自分ではなく茶髪だ」

金髪「ど、どうしてそんなことを?!」

銀髪「…………」

茶髪「く、黒髪ちゃん…何してるの?」

黒髪「ふぇ………?」キョトン

茶髪「どうして私に強化魔法なんか………」

黒髪「あぁ…えーとね…」

黒髪「これが私の『攻撃』…だからかな」

茶髪「…………攻撃…?」

黒髪「うん!」スッ

黒髪「鬼神の洗礼よ」フォン

茶髪「っ…また?!」キュインン

黒髪「鬼神の洗礼よ」フォン

茶髪「黒髪ちゃん…私のこと馬鹿にしてるの?」キュインン

黒髪「し、してないよ?」

茶髪「ふぅん…何だか私…」

茶髪「ちょっと怒っちゃいそうだよ」ゴォォォ

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