雪歩「LOST」 (63)

—765プロ事務所 屋上

雪歩「…」

P「…」ガチャ

P「…ここにいたか」

雪歩「あ、プロデューサー」

雪歩「ふふ、主役が抜けてきていいんですか?」

P「主役はおれじゃないさ」

雪歩「…そうですね。プロデューサーはいつもそう言うんです」

雪歩「『がんばったアイドルの力だ!』って…ふふ」


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P「…」

雪歩「改めて…IA大賞受賞、おめでとうございます」

P「ああ…ありがとう」

雪歩「…」

雪歩「なんだか懐かしくなっちゃいました…」

P「…」

雪歩「…プロデューサー、覚えてますか?」

P「…なにをだ?」


雪歩「私が…最後の日、プロデューサーに」

雪歩「ここで歌を歌ったこと…」

P「…忘れるわけないさ」

雪歩「ふふ、嬉しいです」

P「…」

雪歩「ねえ、プロデューサー?」

P「…」

雪歩「私を…プロデュースしてくれませんか?」


—出会いの日

P『初めまして、今日から君をプロデュースすることになった!』

雪歩『…ええ!?』

雪歩『ぷ、ぷろでゅーす…プロデューサー、さん?』

P『ああ、今日から君のプロデューサーだ!』

雪歩『…ええと、あの、その…!』

P『?』

雪歩『ふ!ふつつかものですが!がんばりますぅ!』

雪歩『がんばりますので!』

P『あ、ああ…がんばろうな』


—出会いから一日後

雪歩『挨拶なんて無理ですよぅ…』

P『ってもなぁ…やっぱり営業先に挨拶ぐらいはできるようにならないと』

雪歩『うう…やっぱりこんな私じゃ…私なんか…』

P『ちょ、ちょっと…萩原…さん』

雪歩『穴!掘って!!』ジャキン!

P『!?』

雪歩『埋まってますぅぅぅぅぅうううう!!』ザクザクザクザク…



雪歩『で、電話ならなんとかだいじょうぶでしたぁ!』

P『うんうん!そうやって少しづつでいいから頑張ろうな』

雪歩『はい』

P『じゃ、戻ろうか萩原さん』

雪歩『あの!…ゆ、雪歩…で』

P『…え?』

雪歩『雪歩って…名前で、いいですぅ…』

P『…じゃ、戻るか雪歩』

雪歩『…はい!』


—1ヶ月後

雪歩『ぷぷぷぷぷ、ぷろっ…』

P『お、落ち着け雪歩』

雪歩『むむむ、無理ですぅ!』

P『あちゃー…』

P『…!』

P『雪歩!』

雪歩『ぅ…はい…』

P『あのな…最初の一曲はおれのために歌ってくれないか?』


雪歩『…は…え?』

P『MCもなにもいらん。取りあえずステージに出たらいきなり一曲歌ってくれ』

P『おれが観客席にいる。おれの姿を探しておれを見ながら歌うんだ』

雪歩『そ、それで…』

P『それで大丈夫だ。歌ってるうちに落ち着く』

雪歩『ほほ、ほんとですかぁ?』

P『大丈夫。おれを見て、いつものように歌うんだ…できるな?』

雪歩『は、はいぃ…』

P『一曲終わる頃にはステージに慣れてるさ…よし!』

P『いけ!雪歩!ステージデビューだ!』

雪歩『は、はい!行ってきます!!』



P『やったな!雪歩!』

雪歩『はい!やりました!私ちゃんとできました!私…あれ?』ペタン

P『はは、今になって足の力が抜けたか?』

雪歩『えへへ…私まだドキドキしてますぅ!』

P『…そうか』

雪歩『みんなが声援をくれて、私の声に応えてくれて…』

雪歩『私、アイドルやってよかったですぅ!!』

P『…そうか!』

P『今日のライブは成功だ!大成功だよ!』

雪歩『プロデューサー…はい!ありがとうございますぅ!』


—5ヶ月後

P『雪歩!この前のシングル…』

P『初動の売り上げが30万枚突破したんだ!』

雪歩『えーと…』

雪歩『それって…すごいんですか?』


—6ヶ月後

P『すまん…』

雪歩『もぉ〜なんでプロデューサーが謝るんですかぁ』

雪歩『まあぎりぎりトップ30に入れなかったのは残念ですけど…』

雪歩『でも私、そんなに落ち込んでませんよ?』

P『…』

雪歩『…正直、プロデューサーに初めて会ったころは』

雪歩『やっぱり私にはアイドルなんて無理なんだって思ってたんです』

P『え…?』


雪歩『でもプロデューサーに会って、よし頑張ろうって…思ったら』

雪歩『今度は社長に、一年間でIA大賞を取るべし!なんて言われて…』

雪歩『そんなの絶対無理ですぅ!ってまた落ち込んじゃったんです』

雪歩『でもそんな私をプロデューサーはいつも励ましてくれて…』

雪歩『プロデューサーの言うとおりに頑張ってたらお仕事も増えてきて…』

P『雪歩…』

雪歩『プロデューサーのやっていることは間違ってません!わかってるから私は落ち込んでないんです!!』

雪歩『だからプロデューサーも落ち込まないでください!』

P『雪歩…ああ、わかったよ』

P『…ありがとな』


—7ヶ月後

高木『祝!萩原雪歩くんアイドルアカデミー大賞ノミネート!』

『おめでとー!かんぱ〜い!!』

P『よし、これからが本番だな!』

雪歩『はい!あの…プロデューサー?』

P『ん?』

雪歩『あ、あのもし…もしですけど私たちがIA大賞を取ることができたら…』

雪歩『取れたら…私のことを…その…ずっと…!』

高木『…君ぃ、ちょっといいかね?』

P『あ、はい!…雪歩すまん、あとでな』

雪歩『は、はぃ…』


—8ヶ月後

雪歩「す、すいませぇん…」

P「いいって…次は気を付けような」

雪歩「はい…やっぱりプロデューサーがいないとだめですね…えへへ…」

P「…」

P「雪歩、話がある……」




雪歩「……海外…けん、しゅう……?」

P「…」


—9ヶ月後

雪歩「すいません…」

P「…この前も同じミスだったな?」

雪歩「…そ、そうでしたか?」

P「…雪歩」

雪歩「…」

雪歩「…私、やっぱりプロデューサーがいないと…じゃないと…」

P「…」


—10ヶ月後

雪歩「ダメ…!ダメです…やっぱりプロデューサーがいなくなるって考えると…うぅ…!」

P「雪歩…」

雪歩「だって…だって私、プロデューサーのことぉ…!」

P「雪歩!」

雪歩「…!!」

P「それ以上は言っちゃいけない…雪歩はアイドルなんだ」

雪歩「…そんなの!」

P「そしておれは…プロデューサーだ」

P「…プロデューサーなんだ」

雪歩「うぅ…うぐ……私…わ………!」


—11ヶ月後

P「トップアイドルにするっていう約束…守れなかったな」

雪歩「…」

P「…すまん」

雪歩「…行ってしまうんですね」

P「…すまん」

雪歩「…私、待ってます」

P「…」

雪歩「待ってますから」


—1年1ヶ月後

雪歩「あの、律子さん」

律子「ん…なぁに?」

雪歩「私に…アポの取り方とか、営業の仕方とか…」

雪歩「プロデューサーがやっていた仕事のことを教えてくれませんか?」

律子「…?」


—1年3ヶ月後

春香「雪歩、すごいね…」

雪歩「ん?なにが?」

春香「自分で仕事取ってきたり、スケジュール調整したり…」

雪歩「そうかな?」

春香「うん…私たちは律子さんにお願いしてるのに」

春香「でも、どうして急に?」

雪歩「…えへへ…ちょっとね」


—2年後

P「ただいま…かな」

雪歩「はい!お帰りなさい、プロデューサー!」

P「はは、変わらないな。なんだかホッとするよ」

雪歩「ふふ…それはよかったですぅ」

雪歩「あ、久々にお茶淹れてもいいですか?」

P「ああ、頼もうかな」


—2年1ヶ月後

P「雪歩、ちょっといいか?」

雪歩「はい?」

P「律子に聞いたんだが…」

P「仕事を取ってきたり、打ち合わせとかひとりでやってるらしいな?」

雪歩「はい」

P「なんでだ…プロデューサーがついたほうが…」

雪歩「ふふ…じゃあ、プロデューサーが私をプロデュースしてくれますか?」

P「それは…」

P「…」


—2年7ヶ月後

P「ドラマの方、無事クランクアップだな」

雪歩「はい。ありがとうございますぅ」

P「はは、『ありがとうございますぅ』か」

雪歩「あ…!うぅ…気をつけてるんですけど…」

P「まぁおれはその方が親しみがあっていいんだがな」

雪歩「えへへ…ねぇプロデューサー?」

雪歩「私をプロデュースしてくれませんか?」

P「…」

雪歩「…ふふ、いいんです」

雪歩「じゃあ私、もう少し挨拶してきますね」

P「ああ…」


—2年10ヶ月後

P「雪歩もハタチか…なんかあっという間だな」

雪歩「そうですねぇ…じゃあ20歳の記念に、私をプロデュースしてくれません?」

P「それハタチ関係あるか…?」

雪歩「ふふ…じゃあ今度お酒飲みに連れてってください」

P「…ああ」

雪歩「やったぁ!えへへ…楽しみだけど、なんだか変な感じがしますね、ふふ」

P「…そうだな」


—3年8ヶ月後

雪歩「そうですか…あずささんが」

P「ああ…」

雪歩「なんだか…やっぱり変わっていっちゃうなぁって…思います」

P「そうだな…」

雪歩「プロデューサー、私をプロデュースしてくれませんか?」

P「…」

雪歩「…そうですね。わかりました、えへへ…」


—3年11ヶ月後

雪歩「綺麗でしたね、千早ちゃん」

P「そうだな」

雪歩「来年度のプロデュース、私なんてどうですか?」

P「…それは」

雪歩「…そうですか」

雪歩「じゃあ、また今度言ってみたいと思います。気にしないでくださいね…えへへ」

P「…」


—4年3ヶ月後

美希「雪歩、さん?まだハ…プロデューサーに頼んでるの?」

雪歩「ん?うん」

美希「…正直、重いなって思うの」

雪歩「…あは、そうかもね。よく言われる」

美希「…」

雪歩「…でも、変わってくれないんだぁ」

雪歩「変わらないんだ、私の………困ったね、えへへ…」

美希「…かなわないの」

雪歩「え?」

美希「ううん、なんでもない」

美希「…」

美希「…かなわないなぁ」


—4年9ヶ月後

雪歩「今年もIA大賞ノミネートなんてすごいですねぇ」

P「はは、俺の力じゃないがな」

P「…美希は今度のIA大賞授賞式が終わったら、アイドル活動を控えていくってさ」

P「モデルの専門になるそうだ」

雪歩「…!知らなかった…です」


P「そう…するそうだ…」

雪歩「…プロデューサー、来年度の予定は決まってるんですか?」

P「いや…」

雪歩「それなら…」

雪歩「…」

P「…」

雪歩「…やっぱりなんでもないです…えへへ、気にしないでください」

P「雪歩」

雪歩「…はい?」

P「…もう少しだけ、時間をくれ」


—4年11ヶ月後

雪歩「…」

P「…」ガチャ

P「…ここにいたか」

雪歩「あ、プロデューサー」

雪歩「ふふ、主役が抜けてきていいんですかぁ?」

P「主役はおれじゃないさ」

雪歩「そうですね。プロデューサーはそう言うんです」

雪歩「『がんばったアイドルの力だ!』って…ふふ」


P「…」

雪歩「改めて…IA大賞受賞、おめでとうございます」

P「ああ…」

雪歩「なんだか懐かしくなっちゃいました…」

P「…」

雪歩「…プロデューサー、覚えてますか?」

P「…なにをだ?」

雪歩「私がいなくなってしまうプロデューサーに、」

雪歩「ここで歌を歌ったこと…」

P「…忘れるわけないさ」


雪歩「ふふ、嬉しいです」

P「…」

雪歩「ねえ、プロデューサー?」

P「…」

雪歩「私を…プロデュースしてくれませんか?」

P「…」

雪歩「ふふ、いいんですよ」

雪歩「私はいつまでも…」


P「雪歩」

雪歩「はい…?」

P「…」

P「…いろんなことがあったな」

雪歩「…そうですねぇ」

P「思えば1年目のおれはほんとに何もわからなかった」

雪歩「そうですか?私にとってはすごく頼もしかったですけど」

P「…わかってなかったよ」

P「まぁ今だから言えるのかもな」

雪歩「…」


P「…なぁ、なんで…自分で仕事を管理してるんだ?」

雪歩「わかってて聞いてませんか?」

雪歩「私のプロデューサーは…プロデューサー一人だからです」

P「…」

雪歩「美希ちゃんにも言われましたよ」

雪歩「『雪歩さんは重い』って」

雪歩「…やっぱり世間一般的に、私って『重い』んですかね?ふふふ」

P「…そうかもな」

雪歩「えへへ…実は自分でもそう思います」


雪歩「でも、変わってくれないんですよ」

雪歩「この気持ちは…変わってくれないんです」

雪歩「距離が離れても…何年経っても…」

P「…」

雪歩「だから、私だけは否定しないであげようって…そう思ってるんです」

雪歩「みんなに何か言われても…思いが届かなくても…私だけは」

雪歩「…あなたと過ごした…17歳の私の思いを」

P「…雪歩」

雪歩「あ、でもプロデューサーが『もう言わないでくれ』って思うなら今言っちゃってください」

雪歩「…思っているだけしますから」


P「…」

雪歩「…」

P「…ははは」

雪歩「む?笑うなんてひどくないですか?」

P「いや…」

P「雪歩は変わらないな」


雪歩「…そうですか?」

P「最初から何か…意志の強さみたいなのを感じたんだ。出会った時から」

P「…もうどのくらいになる?」

雪歩「…次に春が来たら、5年です」

P「5年…か」

雪歩「5年ですね」

雪歩「ふふ、すごく短かったです」

P「そう、感じるか?」

雪歩「はい。すごく幸せでしたから」


P「…」

雪歩「幸せでしたよ…私は」

雪歩「だからこれからも…」

雪歩「答えてくれなくてもいいんです。それでも…」

P「雪歩」

雪歩「…?」

P「待たせた…」

P「本当に待たせたな」


雪歩「ふふ、だからいいんですよ。例え応えてくれなくても、思っているだけで私は…」

P「雪歩を…」

P「…」

P「プロデュースさせてくれないか?」

雪歩「…」

雪歩「…え?」

P「すまない…」

P「おれは…17歳の時の雪歩よりも、子供だったみたいだ」

雪歩「…」


P「初めて会った時から…17歳の時から」

P「雪歩は大事なものが何か…きっとわかってたんだな」

雪歩「…」

雪歩「出会えてよかった…あなたで…」

P「雪歩…」



『出会えてよかった… あなたでよかった…』

雪歩(覚えてますか…あなたは初めて会った時から)


『「傍にいる」 それだけでただ嬉しくて… 笑ったときは 笑ってくれた…』

雪歩(私のことを気遣ってくれました)




『「一緒だね」 でも泣いた時は 抱いててくれた…』

雪歩(覚えていますか…あなたは初めて会った時からずっと)


『暖かなぬくもり 包まれてくやさしさ 私に喜びを 教えてくれた人』

雪歩(私を励まし続けてくれました)



『「あなたがすき」 いつからだろう ずっと傍にいたくて…』

雪歩(今の私がいるのは、全部あなたのおかげ…)



『甘えじゃなく 弱さじゃなく ねぇ…初めての恋でした』

雪歩(届かなくても、伝わらなくても、傍に居てくれるだけで—)



『「あなたがすき」 「あなたがすき」 ずっと言いたかったのに—』

雪歩(それだけでよかった…はずなのに)




『いつも言えなかった—』

雪歩(でも…それでもあなたには言葉にして言いたい。何度でも、何度でも—)




雪歩「「あなたがすき」 「あなたがすき」 ずっとずっとすきだから—」

P「…」

雪歩「今は泣いていいよね—」

雪歩「…」

雪歩「…う…………ひぐ…すいませ、っ……」

雪歩「なか…!……ながな、いっって………きめ…てた…ひっ…」

雪歩「…きめ…てたの、に……!」

雪歩「うぅぅ…」


P「…待たせた」

P「…本当に、長い間待たせてしまった」ギュ

雪歩「あ…」

P「すまん…あと、ありがとう」

雪歩「…ぅ…ひっぐ…ぁぁぁぁぁぁぁああ…」ギュウ



雪歩「…」

P「…」

雪歩「…プロデューサー」

P「…うん?」

雪歩「どうして…私をプロデュース…してくれる気になったんですか?」

P「…」

P「そうだな…いろいろ理由はある」


P「…前から雪歩の気持ちはなんとなくわかってたんだが」

P「雪歩はこれからどんどん伸びる子だと思っていたし、プロデュースしてた時はまだ17歳だったからな」

P「この先もおれ以上に素敵な人は現れる、それに」

P「…正直、おれに対する好意は憧れみたいなものだと思ってたんだ」

雪歩「…」

P「あとはまだまだプロデュースしなければならないアイドルもたくさんいたし」

P「…それも今年で終わりだ」

P「みんなもう仕事を取るんじゃなく、仕事が来るようにはできた」

雪歩「そうですね…だいぶみんな有名になりましたから」


P「とか…まぁ言葉にするといろいろあるんだが」

P「…単純にもう」

P「雪歩のことを、好きになってしまった…ってところかな」

雪歩「え…?」

P「はは…ハズい」

雪歩「…もう」

P「でも、きっと1年間活動した時からもう惹かれてたんだと思う」

P「でもプロデューサーとアイドルだからとか、他にも仕事が…とか」

P「雪歩の気持ちはきっと憧れみたいなものだとか」

P「…自分に言い訳をしてただけだったと思う」

雪歩「…」



雪歩『で、電話ならなんとかだいじょうぶでしたぁ!』

P『うんうん!そうやって少しづつでいいから頑張ろうな』

雪歩『はい』

P『じゃ、戻ろうか萩原さん』

雪歩『あの!…ゆ、雪歩…で』

P『…え?』

雪歩『雪歩って…名前で、いいですぅ…』

P『…じゃ、戻るか雪歩』

雪歩『…はい!』


変なの入りました。50はカットで。すいません


P「でも…雪歩は変わらなかった」

P「何年経っても、距離が離れても、な…」

P「…さっきも言ったが、雪歩はわかってたんだろうな」

P「本当に、大切にするべきものを」

雪歩「…」

雪歩「…そうなんですかね」

P「ああ…多分な」


雪歩「ふふ…じゃあプロデューサーの目は正しかったんですね」

P「え?」

雪歩「『出会った時から、意志の強さを感じた』ってさっき言ってくれたじゃないですか」

P「…そうだな」

雪歩「…」

雪歩「…私、最初は弱い自分が嫌いでした」

雪歩「何にでも怯えちゃうし、言いたいことも言えないし…」

雪歩「…でもプロデューサーが私を変えてくれました」

P「そうか…?」

雪歩「はい…もちろんプロデュースしてもらって教えていただいたことも大きいですけど」

雪歩「なんていうか、プロデューサーといるだけで私は強くなれたんです」

雪歩「…えへへ、なんだかうまく言えないです」


P「…そうだな、難しい。思っていることを伝えるのは」

雪歩「でもこれだけははっきりしてます」

P「?」

雪歩「私は、プロデューサーが好きです」

雪歩「そしてプロデューサーのことが好きな自分のことも好き」

雪歩「そんな2人が大好きなんです」

P「そうか…ありがとう」

雪歩「はい…」

P「…」


P「しかし…」

雪歩「?」

P「雪歩、歌がまた上手くなったんじゃないか?」

雪歩「そうですか?ふふ、ありがとうございますぅ」

P「はは…『ございますぅ』な…」

雪歩「あ…!もう…!」

P「はは…この歌は…」

P「『LOST』…か」

雪歩「…プロデューサーが行ってしまうときに歌ったのも、この歌でしたよね…」


P「そうだな…」

雪歩「ねぇプロデューサー…『LOST』って…失恋の歌…ですかね?」

P「ん…雪歩はどう思うんだ?」

雪歩「…そう思ってました…けど」

P「けど?」

雪歩「プロデューサーの言葉を聞いて、願いが…夢のように思っていたことが、叶って」

雪歩「そうしたら…自然に歌いたくなったんです」

P「…」


雪歩「泣いてもいいよね…うれしい時も…うれしくてどうしようもない時も」

雪歩「…涙って出ちゃうんですね、えへへ」

P「…そうだな」

雪歩「…あは、なんだか話がまとまってなくてすいません」

雪歩「だから、えーと…悲しい歌じゃなくって、その…歌っている人の気持ち次第というか、聞く人の…」

P「雪歩」

雪歩「はい?」

P「…来年から一緒に活動しような」

雪歩「…はい」


P「まだまだ成長した雪歩の歌が聞きたいな、『ALRIGHT』とか…あれ好きなんだよ」

雪歩「えへ、そうなんですか。いつでも歌いますよ!」

P「営業にもいかないとな。またプロデュースすることになりました!ってな、はは」

雪歩「そうですね」

P「地方に行くのもありだな。各地方を回って、部門賞を取って…」

雪歩「はい…」

P「…IA大賞を完全制覇とかな」

雪歩「ふふ…プロデューサーとならできる気がしてくるから不思議です」


P「それで…」

P「…」

P「いつまでも…一緒にいような」

雪歩「…はい!」





おわり


以上です。読んでいただいた方お疲れ様でした&ありがとうございました

乙乙
すごいよかったよ


雪歩はやればできる子

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