久「クリスマスが今年もやって来る~♪」 (68)

和「今年も早いもので、残すところあと一ヵ月ですね」

咲「うん、流石に12月に入ると、めっきり寒くなって来たね」

和「そうですね。今日は寒いので優希を誘って学食で食べましょうか」

咲「そうしようか……」

 ガラガラ……。

優希「おっ、咲ちゃんのどちゃん、お昼にしようじぇ」

和「優希、丁度よかったです。今、優希を誘って学食へ向かおうと話していた処です」

優希「おっ、それはタイミングがよかったじぇ。私も今日は弁当を忘れたから学食に行こうと思ってたんだじぇ」


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咲「それじゃあ、学食が混まないうちに行こ……」

 と、私が言い止したその瞬間であった––––。

 耳を劈くような轟音を上げ、天井が突如として崩れ墜ちて来たのだ。

 クラス中がざわめく。間もなく、土煙の立ち昇る中から一つの影が輪郭を露にした。

 その人は、風越キャプテン––––福路美穂子である。

美穂子「ふぅ……なかなかの熱烈歓迎っぷりですね染谷さん」

美穂子「折角、皆さんの迷惑にならないよう、屋上で戦っていたのに……」

 ちなみに、この一年の教室は一階にある。彼女が屋上で戦っていたと云う事は、この穴は三階、二階を貫通していることとなる。

まこ「しぶといのう……。その儘、ワンダーランドへと旅立ってくれればよいのに……」

 大きな穴の空いた天井から、もう一つの影が降りて来た。染谷先輩だ。

美穂子「アナタの攻撃程度では、くたばりませんよ」

まこ「ふん。どうやら、わざと床を崩して衝撃を分散させたようじゃのう。小賢しい真似をしおって……」

美穂子「小賢しいのは貴女ですよ。私と久を遭わせないで、クリスマスの約束をさせない気ですね」

まこ「部長は優しいからのう。おんしに無理矢理誘われたら厭でも断れんのじゃ」

 だから––––。

 と、言って染谷先輩は拳を強く握ると、

まこ「このわしが替わりに、断ってあげてるだけじゃァ––––ッ!!!」

 福路さん目掛け、ストレートを放った。

美穂子「アイヤァァ––––ッ!!!!」

 福路さんも拳で返す。

 二人の拳は虚空で搗ち合い、さながら鉄と鉄がぶつかり合うかのような、轟音と火花をあげた。

まこ「ふん……。なかなかのなかなかじゃのう」

美穂子「えぇ……あまり清澄の皆さんに迷惑も掛けたくないので、ここで速攻で終わらせてあげますよ」

 否––––。

 此処で喧嘩するのは止めて下さい……。

まこ「アイヤァァ––––ッ!!!!」

美穂子「ハアイヤァァ––––ッ!!!!」

 と、云う間もなく二人は拳を突き合わせた。 

美穂子「ヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサヒサァ––––ッ!!!」

 数秒間に––––何十発もの拳が行き交う。

 愛の連呼(ヒサヒサのラッシュ)だ––––。

まこ「ぬっ––––!!!」

和(ぬっ?)

 一気呵成に打ち込まれる鋼の拳の数々––––染谷先輩は防御するので手一杯だった。

 それだけでも両者の力の差は歴然であることは疑う余地もない。

まこ「グギャ–––ッ!!!」

 染谷先輩は、福路先輩の攻撃を受けて大きく後退する。やがて、教室の窓側の壁を突き破り、グラウンドへ出てしまう。

 外では、少ない休み時間を鍛錬へと費やす運動部の部員や、スポーツを楽しむ一般生徒で溢れている。そこへ突如として、染谷先輩が吹き飛んで来たので、辺りは一斉にざわついた。

美穂子「さぁ、降参して久の居場所を教えて下さい。今なら肋骨の二三本で許しますよ」

 染谷先輩は先ほどから仰臥してぴくりとも動かない。

 おかしい––––。

 幾ら、染谷先輩でもこの位でやられる程度では––––。

美穂子「どうしたのですか?」

 と、福路さんが近付く––––。

 すると––––。

和「あっ!?倒れているのは、染谷先輩ではなく只の稚海藻の人形です!?」

美穂子「しまっ––––」

 何時の間にやら––––。

 稚海藻の人形を身代わりに、福路さんの攻撃から脱出していたのである。

どういうことなの……

まこ「ふふ……どうやらわしの方が一枚も二枚も上手じゃのう」

 稚海藻だけに––––。

美穂子「い、何時の間に抜け出したんですか!?」

まこ「クックッ……わしの能力––––キング・クリムゾンで時間を飛ばしたんじゃよ……」

咲・和・優希・美穂子「な、なんだって!!?」

 福路さんのパワーは強い。

 しかし––––それ以上に染谷先輩は狡猾であった。

まこ「さて、第二ラウンドと––––」

 行こうのう––––。

 と、言うと、染谷先輩はその拳で福路さんのみぞおちを突いた。それは、一瞬の出来事である。

まこ「わしの–––––」

まこ「キングクリムゾンは––––」

まこ「基本無敵じゃァ––––ッ!!!!」

 拳を受け、よろめいた福路さんの躰にここぞとばかりに拳のラッシュを与える。

まこ「ワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシワシァ––––ッ!!!!」

美穂子「ぐっ!!!?」

 やがて––––。

 爆発が起きて、グランドには数十メートルもの大きなクレーターが出来た。土煙のあがる中、立ち上がったのは勿論、

まこ「わしの勝ちじゃァ––––ッ!!!」

まこ「フハハハハァ––––!!!!勝ったァ!福路美穂子に勝ったァ!!」

まこ「福路美穂子、これにてカン!じゃァ––––ッ!!!」

「ほう……なら、来月のヤンガンから、誰が久の正妻を務めるのかしら?」

まこ「なっ––––」

まこ「何ィ––––ッ!!」

 染谷先輩の顔が、ストロボの写真のようにぎこちなく振り向く。

 そこに居たのは––––。

美穂子「ふん!!」

まこ「グワァ––––ッ!!!?」

 後ろへ回っていた福路さんが、染谷先輩の脚に蹴りを喰らわす。

まこ「貴様ッ……生きて––––」

美穂子「私が時を止めました––––貴女のキングクリムゾンが発動するほんの僅か0.1秒前にね」

美穂子「さぁ……決着を付けましょう––––どちらが、久とクリスマスを過ごすのにふさわしいか」

まこ「ぐ、ぐぬぬっ……」

 とっとっと……。

久「あら?美穂子とまこじゃない。どうしたのこんなところで?」

咲「あっ、部長……」

美穂子「久♪」くるりっ……

まこ「ちっ……」

優希「副会長も居るじぇ」

一太「ひぃぃ……何ですかこれ?ゴジラでも現れたんですか!?」

和「ある意味、近いですね……」

美穂子「えぇ、久への愛の水爆が産んだ怪物ですよ……//」てれっ……

一太「はぁ……これ、どう教師達に説明したら……」

美穂子「ところで、久––––」

久「?」

まこ「なっ……!?しまっ––––」

美穂子「今月の24日と25日––––」

美穂子「ご予定はありますか?」

美穂子「無ければ私と……//」ぽっ……

久「あら?貴女もなの?」

美穂子・まこ「貴女も?」

久「えぇ、さっき鹿児島の滝見さんと、姫松の愛宕さんと、靖子にもその日の予定を聞かれたわ」

美穂子「そ、そ、それで……なんて答えたんですか!?」

久「いえ……まだ判らないって……出来るだけ開けるつもりだけど……」

久「それにしても、みんな何でその日に?ゆみの誕生日は21日よね……」

咲「部長……それは––––」

和「クリスマスだからかと」

久「あっ!そういえばそうね!」

優希「部長、忘れてたのか?」

久「そうよ、この私がそんなすばらなイベントを忘れてたなんて……」

まこ「ところでのう。あらためて、クリスマスうちで過ごさんかのう?」

久「roof-topで?」

まこ「そうじゃ、久の為に特別に特大クリスマスケーキ焼いちゃる!」

久「まこの特大クリスマスケーキ……」じゅるっ……

美穂子「まっ!?抜け駆けですか!?」

まこ「うるさいわい!あんさんの方が先に久に手をつけたんじゃろ!?」

美穂子「久!わ、私もクリスマスケーキくらい焼きますよ!そうだ、カジキマグロのステーキや、鹿児島黒豚の黒糖和えなんかもどうですか?デザートに桃のシロップ煮もつけますよ?」

久「美穂子の料理も魅力的ね……」じゅるるっ……

まこ・美穂子「どっちにするんですか(じゃ)!!?」

久「ん~……どうしようかしら?」

咲・和・優希(私達さっきから空気だ……)

久(クリスマスかぁ……どうせなら他の皆も誘いたいわね……鶴賀とか)

久「ん~……ひとまず保留ってことで♪」

まこ・美穂子「は?」

久「他の皆のこともあるし、一旦考えさせてもらうわ。じゃあ♪」どひゅ~ん!

一太「あっ!会長待って下さい!この惨状をどうするんですか!?」

和「行っちゃいましたね」

咲「部長、絶対何か企んでるよね?」

優希「あっ!?もうこんな時間だじぇ!」

咲「わわ!?早くしないと昼休みが終わっちゃうよ!」

優希「咲ちゃん!のどちゃん!急ぐじぇ!」

どひゅ~ん!

美穂子「……」

まこ「……」

 時は経ち、久の家––––。

久「クリスマスかぁ……」

久(それで春も洋榎も靖子も誘って来た訳ね……)

久(私としては別に用事は無いんだけど……)

久(どうせならゆみと二人っきりで……)もわわ~ん……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ピンポーン

ゆみ「やぁ、久遅くなって済まない」

久「ふぁ~あ……何の用よ、もう深夜よ」

ゆみ「勿論、久にクリスマスプレゼントを届けに来たのさ」

久「プレゼントって……手ぶらじゃない?まさかゆみがプレゼントだなんて言う訳じゃないわよね?」

ゆみ「ふふ……まさか、ほら久。外に出よう」久の手をにぎり……

久「ちょっ……外って––––真夜中よ!?」

久(ゆみの手、すごく冷たい……)

 しーん––––。

久「もう、何処まで連れて行くのよ!」

ゆみ「ほら––––雪が降って来ただろ」

 辺りには、ぽつぽつと雪が降っていた。

久「知ってるわ。今日は真夜中から雪が降るって天気予報で––––」

久(まさか、ゆみの手が冷たかったのって今まで外で雪が降り始めるのを待っていたから––––)

ゆみ「君へのプレゼントだ––––気に入って貰えたかな?」

久「ゆみのバカっ……//」ドキドキ……

久(こんな事して風邪でも引いたら……)

ゆみ「綺麗だな––––」

久「そうね……綺麗––––」

ゆみ「そうだ、あらためて君にプレゼントしなければな……」ガサゴソ……

久「?」

 ゆみは足許を探ると、小さな箱を私に差し出した。

ゆみ「ほうら、雪の結晶が落ちていたぞ––––久へのプレゼントだ」

 箱を開けると、そこには白いダイヤの指輪が入っていた。

久「!?」

ゆみ「久––––好きだ、受け取ってくれるかな?」

久「はい––––勿論……//」ドキドキドキ……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

久「な~んちゃって……キャー//」バタバタ!!

久「って……一昔前のトレンディードラマじゃないんだから、我ながらあり得ないわね……」

久(さて、クリスマスどうしたものやら……)

今日はここまでです。

部長がタラシじゃない上にオトメ

序盤はなんなのなの…と思ったけど乙

あれ、この部長たらしどころか超がつくほのの乙女だった
素晴らしい



一途な部長がよりもよってそこを選ぶとは
ステルスさんが黙ってないな

のっけからワラタ

 ––––言ってる間に次の日の放課後。

 トントン!

一太「ごめん下さい。会長はいますか?」

 ガラガラ……

咲「うるせぇ、俺は宗教なんかに興味は……違った、部長なら今御留守ですよ」

ロッカー「……」

一太「えぇ……昨日の損害の件で話があるんのに––––と言うより、学校中から苦情が……」

咲「あぁ……昨日の……」

優希「逃げたんだな……」タコスうまー

ロッカー「……」

一太「ほんとうに何処行ったんですかね?」

和「生憎ですが、ここへ来て開口一番に『龍門淵に行って来る!』って出て行きましたよ」

ロッカー「何ですって!!?」

咲「ひぃぃ……ろ、ロッカーが喋った!?」

和「咲さん、落ち着いて下さい。ロッカーが喋る筈ありませんよ。中に人が入ってるんです」

パーン!!!

美穂子「ひ、久が龍門淵に……ま、まさかあのマジシャン痴女に––––」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一「よく来てくれたね……久」

久「あなたが呼んだんでしょ?それで、用事って何?」

一「ふふ……ボクがなんの為に久を呼んだか判ってる癖に……」さわさわ…

久「!?」ぞくっ!?

久「躰から力が……」

一「ちょっと縛らせて貰うよ……大丈夫痛く––––うん、すぐ気持ちよくなるから」

久「や、やめて……」

一「北九州に居る知り合いに教えてもらったんだ……こうすればもっと久を感じられるって……」

久(嫌ぁ……鎖で縛られてく……)

一「それじゃあイクよ……リザベーション––––」ぎゅっ!

一「セブン!!」

久「あっ……!?んっ……//」

久「駄目っ……私、美穂子の手でしかイキたくないのに……//」ビビクンッ!!?

一「これで久はボクのものさ……」





美穂子「あわわ……あわわ……」

咲「福路さん?」

美穂子「『久と狭いところがおちつくってなんだろうねあれ』ごっこを楽しんでる場合じゃありません!あのマジシャン痴女から久を守らなくては!」

どひゅ~ん!!

優希「行っちゃったじぇ……」

咲「あわわ……どうしよう?あの様子はただ事じゃなかったよ……」

和「万が一部長や龍門淵の皆さんに迷惑が掛かるといけません––––私達も追いましょう!」

 此処は龍門淵––––。

洋榎「イースーチーリャンウーパーチッチ チッチ クンロク八万っと♪」

洋榎「いやぁ……三日で八万も稼げるなんて、ボロいなぁ。これで暫く長野に滞在出来るで」 

洋榎(久とホワイトクリスマスを過ごすにはたっぷりあるな……)ニシシッ……

漫「主将……なんで私が全身タイツで劇をやらなきゃいけないんですか?しかも役が『鰻の神様』って……」

洋榎「まぁまぁ、三日でこないに稼げるんやから文句言いなはんなや。龍門淵さんが劇をしたいって言って、あんたに白羽の矢が立ったんや。光栄に思いな」

漫「はぁ……麻雀の修行や言われて来てみれば、まさかこんな間抜けな格好して衆人に晒されるなんて、聞いてませんよ……」

洋榎「子供達には人気みたいやで」

衣「鰻の神様~衣にも握手してくれ~」

蒲原「ワハハ。私もサイン欲しいぞ!」

洋榎「こらこら、順番は守りいや。はいはい、サインはこっちやで」

 ガヤガヤ……

咲「うわわ……」

和「なんだかすごい人だかりですね」

透華「おっほほほ~貴女達もわたくし脚本、監督の舞台『ご注文はうなぎですか?』を見にいらっしゃったの?」

和「貴女は!」

咲「龍門淵の––––えっと……」

透華「龍門淵透華ですわ!!お約束じゃありませんのよ!」

和「すみません……咲さんは人の名前を覚えるのが苦手みたいで……」

咲「えへへ」

菫「おっ!照の妹さんじゃないか?」

咲「あっ!お姉ちゃんの友達の弘世菫さん」

透華(名前覚えるの苦手じゃなかったのですの!?)がーん!?

和「なんでここに?」

透華「おっほほ~それは……」

菫「私がこの劇の主役に抜擢されてな。まぁ、役者料もはずむらしいから数日程ならと……今日でクランクアップらしいからな、もう帰るが……」

一「ここに居るお客さんも九割『弘世様追っかけギャル』とか言う人達で……」

和「なるほど……だからこんなに人が」

 キャー!キャー!弘世様ー!!

智紀「透華のあんな御粗末な脚本でこんなに人が集まる訳ない……」

透華「なっ!?」ががーん!!?

龍門淵×

龍門渕○

字が細かいから間違えた……

純「まぁ、当初予定してた劇団が不祥事で来れなくなって、その埋め合わせに急遽作った劇にしては良く出来てるんじゃねーの?」

一「色々影響され過ぎてる気がするけどボクはなかなかだったよ、透華」

透華「うぅ……一だけですわ、わたくしのセンスと脚本を解ってくれるのは」うるうる……

和「あっちの姫松の人も劇の出演者ですか」

洋榎「♪~」

 ドタドタドタ!!

美穂子「はぁはぁ……久……」

洋榎「おっ?アンタは風越の……」

美穂子「貴女は久にまとわりつく唐揚げ女……」

洋榎「何や?自分何の用や?」

美穂子「貴女こそ……久の居場所を教えなさい!」

洋榎(ふぅ~ん……久を探して……それならもしかしたら……)

洋榎「もしかして、うちがクリスマスを久と一緒に過ごす事知らへんの?」

美穂子「は?」

洋榎「久はなぁ……うちに遭うなり『私はあなたとクリスマスを過ごしたいの』って行ってくれたんやで//」うっとり……

美穂子「あわわ……あ、あ、ありえません……」ぶるぶる

洋榎「えっ!?もしかしてアンタ、久にクリスマス誘われてへんの?」

美穂子「あわわ……あわわ……」がくがく

洋榎「可哀想に……久に振られたんやな」ニシシッ……

透華(わたくしも誘われたことは言わないほうがよろしいのかしら?)

洋榎「そう言えば長野にはステルスなんちゃら~って子が居たなぁ……」

洋榎「さしずめ、今のアンタは捨てレズ美穂子やな」ニシシッ……

美穂子「そんな!?久……」きゅ~ばたん……

洋榎「久はどうやら用事があってうちと約束した後、鶴賀に向かったけど……って聞いてないな」

美穂子「そんなの間違いです、そんなの間違いです。そうです、そんなオカルトありえません。きっとようえのきさんのかんちがい……ひさのまさづまはわたし、ひさのまさづまはわたし……」

洋榎「誰が『ようえのき』や!洋に榎って書いて『ひろえ』って読むんや!!」

美穂子「は!今、鶴賀って言いましたね!?」ゆさゆさ!!

洋榎「ぐぇぇ!!?く、苦しい……」

美穂子「鶴賀って言えば、あの加治木とかいう獣が……」わなわな……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

久「~♪」

???「ワハハ……ターゲット発見……」

???「蒲原!狙った獲物を逃がすな!」

???「撃ち落とせばいいんだろ?竹井久を」

???「うむ!」

久「あら?何かしらフォルクスワーゲンが私の前に止って……きゃっ!?」

???「ワハハ。捕獲成功!」

???「蒲原でかしたぞ!」

???「うむ!」

久「ちょっ……何するの!?貴方達は誰?今すぐ開放しなさい!」

ゆみ「ふふ……まだ自分の置かれている立場が解らないようだな」

蒲原「ワハハ。お前は私達にハイエースされたのさ」

???「うむ!」

久「な!?何の為に……?」ぶるぶる……

ゆみ「勿論。君の体をじっくり堪能させてもらう為さ……」

ゆみ「エロ同人みたいにな!!」

久「いやぁ!?こないで……私には美穂子という心に決めた人が……」

ゆみ「さて、じっくり愉しませてもらうぞ……」

 ビリビリ!!

久「いやぁぁぁぁ!!!?」

ゆみ「蒲原!何処か人気の無いところ……エロ同人みたいな処へ移動しよう!」

蒲原「ワハハ。了解!エロ同人みたいにしゅっぱーつ!!」

???「うむ!」

久「美穂子……助け……」





美穂子「ひぃぃぃ……久のピンチ……こうしちゃいられません!!」

 どひゅ~ん!!

和「はぁはぁ……また何処かへ行ってしまいましたね……」

咲「私達も追掛けよう!」

優希「龍門淵の食堂でタコス食べてたら何やら大変だじぇ」

洋榎「きゅ~……」

菫「おっ!そうだ、宮永さん。照から伝言があるんだが……」

咲「お姉ちゃんから?」

短いですが今日はここまでです

いいぞ
でもクリスマスまで10日しかないぞ

鶴賀は危ない
正しい意味で危ない

 鶴賀学園!

桃子「先輩をクリスマスにお誘いするっすよ」

桃子(クリスマスの為に、通販サイト『赤坂生活』で注文した媚薬入りのシャンパンを先輩に飲まるっす。欲情した先輩はきっと私に……名付けて『ゆみは夜更け過ぎに野獣へと変わるだろう』作戦っすよ!)

桃子「先輩と二人っきりでクリスマス、二人っきりでクリスマス」むふ=3

桃子(あっ……!先輩、あんなところに……それに、あれは清澄の––––)

久「––––」

ゆみ「––––」

桃子「ここからじゃ上手く聞こえないっすね……」

久「クリスマス––––どう?」

桃子「!?」

桃子(竹井さん……先輩をクリスマスに誘う為にわざわざ––––それって、もしかして……)

ゆみ「––––久とか?」

桃子(先輩、断って下さい……先輩……)

久「どうするの?」

ゆみ「そうだな––––」

ゆみ「良いね」

桃子(そんな……先輩が取られちゃうっす……)

桃子(先輩と竹井さんが……これでは『ステルスモモ』ならぬ『捨てレズモモ』っすよ……)

桃子(自分で言っといてなんっすけど、あまり上手くなくて落ち込むっす……)

久「ありがと」にっ

桃子(そんなの––––嫌)

桃子「先輩!」

ゆみ「モモ!?居たのか」

久「あら?」

桃子「行っちゃ嫌っす。先輩、先輩はその……私とクリスマスを!」

ゆみ「あぁ、丁度良かった。モモもクリスマスに来るだろ?」

桃子「へ?」

久「今度、龍門渕でクリスマスパーティーをやろうと思ってね?みんなを誘ってるのよ」

桃子「何だ……てっきり竹井さんが……」ちらっ

ゆみ「?」

久「あら?それも良いわね」

桃子「なっ!?」わなわな……

ゆみ「どうしたんだ?モモ……」

桃子「先輩!で、どうするっすか!?」

ゆみ「えっ?あ、あぁ……クリスマスパーティーか……我が鶴賀学園麻雀部も参加しようかと……」

久「そういうわけね♪ゆみも勿論参加するわ。モモちゃんはどうするの?」

桃子「そ、それなら私も参加するっす!どんな形であれ加治木先輩とクリスマスを過ごすのは私っすからね!」

ゆみ「ど、どうしたんだモモ?そんなに興奮して?」

久「ふふ……そう♪まぁ、私も一緒に過ごすんだけどね♫」

桃子「勝負っすよ!竹井さん!」

久「あら?いいわよ」

ゆみ「一体何を言ってるんだ?」

桃子「言っときますけど、先輩のことは私がいっぱい!いっぱい!いっぱ––––い!!知ってるんっすからね!」

久「あらそう?」

桃子「そうっす!竹井さんには絶対まけないっすからね!」

久「ふぅーん…確かにモモちゃんの方が若干有利かもしれないけれど……」

桃子「そうっす!私と先輩との絆は簡単には破れないっす!!」

久「私、分の悪い賭けって好きなのよね♫」

桃子「むきー!!」ぷんすこ=3

ゆみ「なぁ……さっきから二人は何の話をしてるんだ?勝負?もしかして練習試合の申し込みか?」

久「はぁ……本当ににぶちんね……」

桃子「それには同意っす」

ゆみ「???」

咲「部長ー!」

久「あら?咲じゃない?」

和「わ、私も居ますよ……」はぁはぁ……

優希「タコスうまー」

ゆみ「清澄の嶺上使いに、原村と片岡……こんなところまで何をしに?」

和「そうだ部長、福路さん来てませんか?」

久「美穂子?来てないわよ?」

咲「どうやら、追い越しちゃったみたいだね」

久「美穂子がどうしたの?」

咲「そうです、福路さんが大変な状態になってこっちへ向かって来てるんですよ!」

久「はぁ?」

優希「これはまぁ……部長が悪いじぇ。色んな人をクリスマスデートにたらしこんでるから」

久「あら?なんのことかしら?」

咲「なんのことって、現に愛宕さんや加治木さんをクリスマスデートに誘って……」

久「クリスマスデート?あぁ!私は只、みんなでクリスマス会を開こうと思って誘ってるだけよ?」

和「クリスマス会?」

久「そそ。それで龍門渕さんや洋榎、鶴賀の皆も誘ってるわけ。別に誰かとデートするために誘ってる訳じゃないわ。あっ、勿論あなた達も参加するわよね♫」

咲「はぁ……なんだ……」

久「それじゃあ、次は風越に行くわね♫」どひゅ~ん

和「あっ、待って……」

優希「私達も帰るじぇ」

咲「そうだね……」

「久ー!」どどどっ!!

ゆみ「?」

美穂子「ぜぇぜぇ……道行く途中、偶然出会った泥棒猫(藤田靖子)に天誅を下していたら、すっかり遅くなってしまいました……久、久は何処に……」

ゆみ「ひ、久ならさっき出て……」

美穂子「オラオラァ––––ッ!!久を何処やった、このド外道ッ!!」ボディーブロー!

ゆみ「グホォ––––ッ!!」

咲「あ、あの……部長なら風越に……」

美穂子「何ですって!?久が風越に––––はっ!もしかして私に愛の告白をしに……」

ゆみ「きゅ~……」ちーん~……

美穂子「こうしちゃいられません!久、待って下さい!」どひゅ~ん!

咲・和・優希「……」

 風越にて。

美穂子「久久久ヒサヒサひさァ––––ッ!!」

未春「ひぃぃ……きゃ、キャプテン!?」

深堀「どうしたんですか?」

美穂子「はぁはぁ……ひ、久は?」

文堂「えっ?あぁ、竹井さんですか?」

美穂子「久はァ––––何処にィ––––ッ!」

文堂「グゲェェ!?く、苦しい……」

未春「あわわ……なんだが今日のキャプテン、おかしい!?」

池田「どったの?みはるん」

美穂子「クリスマス!久とクリスマスゥ!!」

文堂「た、た、竹井さんならここを出て……慥か––––そう、『roof-top』に待ち人が居るとかで」

美穂子「なんですって!?まさか、あの稚海藻」わなわな……

 どひゅ~ん!

未春「行っちゃった……」

 雀荘roof-top––––。

春「久、お待たせ」

久「嬉しい♪来てくれたの?ありがとう」

春「久の為なら鹿児島から長野くらい、どうってことない……」

久「あら?そう言えば、まこの姿が見えないわね?」

春「ワカメなら私が〆て––––じゃなかった、ちょっとニュージーまで出前に……」

久「そっ……まこにも遭わせてあげたかったのに、残念ね」

春「私は別にワカメには遭いたくなかった……」ぼそっ……

 ヒサ––––!

久「あら?この声は何だか聞き覚えが……」

春「気のせい……」

 ヒサヒサヒサァ––––!!

久「でも何だか美穂子の––––」

春「ちょっと行って来る……久はここで待ってて」

美穂子「久ァ!!私です。美穂子です!」

春「久はお取り込み中……さっさと帰れ」

美穂子「は?黒糖コミュ症が久に何の用ですか?」

春「ちっ……せっかく無傷で帰してあげようと思ったのに……」

春「どうやら、あのワカメのようになりたいの?」

美穂子「あのワカメって––––」

美穂子「あのワカメのことかァ––––ッ!!!」ブワワァ!!!

 美穂子の髪が逆立ち、全身にオーラのようなものを発する!!

「忘れてもらったらこまるなぁ––––」

美穂子「!?」

洋榎「うちも居るで?さっきの借りを返しになァ!!」

美穂子「生きてましたか……」

まこ「わしも居るぞォォ……ちょっとばかしそこの黒糖莫迦にやられとったけどのう……」

美穂子「ワカメまで!?」

 ゴゴゴゴッ!!

美穂子「くっ!?本当の地獄はここからですか……」

 ––––クリスマスを賭けた闘いが!!

 今、始まる––––ッ!!!





咲「お姉ちゃん、クリスマスには帰ってこれるって♪」

和「よかったですね」

優希「咲ちゃんのお姉ちゃんもクリスマスパーティーに参加するらしいじぇ」

池田「あっ!そういえば竹井さんからクリスマスパーティーのお誘いが……ま、あとで伝えておけばいいか♪」

 ちゃんちゃん♪

乙です


誰かキャップを浄化してやってくれ

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