貴音「あな……ぷろでゅーさーを監禁します!」 (117)

プロデューサー。
出会った当初、わたくしは、あなたを、
遥かな頂きへと至る道を進む手助けになれば良いほうだと、そう考えておりました。
本意を申せば、わたくしは、あなたに期待など微塵にもしていなかったのです。

何と愚かな。そうお考えなのでしょう?
わたくしも、そう思います。
もしわたくしに、時を遡る術があったなら。
自分自身を赦すことは、決してできないでしょう。

しかし、そうしなければ、こうしてあなたを想うことはない。
……叶わぬ想いを胸裏に秘めることも。

あなた様。あぁ、あなた様!
わたくしは、この想いをひた隠しにしてまいりました。
でも、もうそれももう限界のようです。

あなた様。愛しい人。
こんなわたくしを赦してくれますか……?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369497126

765プロ

ガチャ

P「ただ今戻りました」

小鳥「あ、プロデューサーさん。それに、春香ちゃんも。お帰りなさい」

春香「ただいまですー……」グデー

P「ふぃー、やっと一息つけるな」

小鳥「二人とも、お疲れですね。首尾はどうだったんですか?」

P「まったく問題なしです。なんですけど、やっぱり端で見てると、自分まで変に緊張しちゃって」

春香「そうですよ、プロデューサーさん! 始まる前なんか私より緊張しちゃってて」

P「あはは、面目ない」

春香「まぁ、そのおかげで緊張はほぐれたんですけどね」



小鳥「ふふふ、まぁ、何事も無くてよかったです」

P「本当に。……っと、そろそろ次の準備しないとな」

春香「えぇー! プロデューサーさん、もう行っちゃうんですか!?」

P「皆売れっ子だからな。出来るだけ隣で見ててやりたいし」

春香「ちょっとお話できるかとおもったのに……」

小鳥「春香ちゃんは、これでもう上がりよね。じゃあ、次は、えっと……」

P「貴音、です」




支援

とりあえず期待で�

小鳥「……大丈夫ですか? 何だか、顔色が…」

P「えっ、あ、いや、大丈夫ですよ。あはは」

春香「言われてみれば……。やっぱり無理してるんじゃ」

P「多少の無理は承知の上。これぐらいでめげてちゃ春香たちのプロデューサーは勤まらないよ」

春香「プロデューサーさん……」

ガチャ

貴音「こんにちは」

小鳥「あ、貴音ちゃん。こんにちは」

P「お、来たな。調子はどうだ、貴音」

貴音「お陰さまで。今日はよろしくお願いします、あ……ぷろでゅーさー」

P「こちらこそ。もう出れるか? まだ多少時間あるから、ゆっくりしていくこともできるが」

貴音「いえ、ご心配には及びません。余裕を持って、現場の空気に慣れることも重要かと」

P「真摯だな。貴音のひた向きなその姿勢、好きだぞ」

貴音「な、何をおっしゃって……」///

春香「あー! プロデューサーさんが貴音さんを口説こうとしてるー!」

小鳥「ピヨピヨー!」

P「あ、いや、そんなつもりじゃ……」アセ

貴音「そ、そうです春香! あまりぷろでゅーさーを困らせるものでは……!」

春香「あれ、じゃあ貴音さんは困らないんだ?」ニヤ

貴音「も、もう春香……」///

P「ほ、ほら、もう行くぞ」

貴音「は、はい……」///

小鳥「いってらっしゃーい」二ヤ

P「小鳥さんまで!」

バタン

P「ふー、えらい目にあったな」

貴音「あの、申し訳ありません……ぷろでゅーさー」

P「……いやいや、何で貴音が謝るんだよ。俺こそ、こんなくたびれたおっさんと、なんてからかわせて申し訳ない」

貴音「そ、そんなこと……!」///

P「ま、こうやってからかえるのも、仲の良い証拠だからな。貴音もあまり気にするなよ」

貴音「……は、はい」

P「じゃ、行こうか」

〇〇テレビ

控え室

貴音「ぷろでゅーさー!」

P「貴音、おつかれさま。今日も良かったぞ」

貴音「誰よりも、あな……ぷろでゅーさーにそう言ってもらえると、肩の荷がようやく降りた気持ちです」

P「……そ、そうか。俺も嬉しいよ」

貴音「ぷろでゅーさー? どこか具合でも……」

P「いや、大丈夫、何でもない。貴音はこれで終わりだよな?」

貴音「えぇ、そうですが」

P「俺も後は書類仕事だけだから、どうする? 送っていこうか?」

貴音「……」

P「貴音?」

貴音「……は……これ……」ボソ

P「貴音……?」

貴音「! も、申し訳ありません!」

P「今日は忙しかったからな。疲れが溜まってるんじゃないか?」

貴音「そ、そうかもしれません」

貴音「……」

P「……」





P「よし、決めた! 今日は何と言われようと、貴音を送っていく!」

貴音「あ、そ、そんな!無理をなさらなくても」

P「いーや、もう決めたんだ。ほら、行くぞ」

貴音「本当に宜しいのですか……?」

P「当たり前だ。何てったって、貴音のためだからな。俺でよければ助力は惜しまないよ」

貴音「……」

貴音「…あ……様……」

P「おーい、大丈夫か?」

貴音「え、えぇ。では、ありがたく甘えさせていただきます」

貴音「……ぷろでゅーさー」ニコ

かわいい

P「よっと……着いたぞ」

貴音「……」

P「……寝ちゃったのか?」ユサ

貴音「! もう、ですか」

P「よっぽど疲れてるんだな。今日はゆっくり休めよ?」

貴音「はい……」

貴音「……」

P「……」

P「……春香とかやよいと違ってはっきりしてるわけじゃない」

P「けど、俺だって貴音のプロデューサーだからな」

P「元気が無いなぁ、ってのは、すぐに分かるんだぞ?」

貴音「……?」

P「まぁ、貴音が何かに思い悩む姿も、それはそれで綺麗かもしれないが」

P「ファンの皆は、そんな貴音を見たくないんじゃないか?」

貴音「……そう、ですね」

P「……ま、まぁ、その、なんだ」

P「俺も、貴音には笑っていて欲しい、し」//

貴音「!」

貴音「……そ、そう、ですか」///

貴音「……」///

P「……」//

P「……その、貴音?」

貴音「な、何でしょうか」

P「えっと……降りないのか?」

貴音「!」

貴音「……っ」///

貴音「も、申し訳ありません!」

ガチャ バタン

P「何もそんなに慌てなくても……」

ガチャ バタン

貴音「と、遠くまで送っていただき、ありがとうございました!」ペコリ

P「おう、また明日」

ガチャ

貴音「そ、それで! その……」

P「うん?」

貴音「……」

P「どうしたんだ?」

貴音「その、ご迷惑でなければ、ですが」

貴音「少し、お話を……」


P「へぇ、意外と普通なんだな」

貴音「わたくしとて、平凡な人の子ですから」

貴音「適当にお座りになっていて下さい。今、お茶を淹れます」

P「あんまり長話はできないぞ? 週刊誌の目とか、これでも結構ギリギリだからな」

貴音「承知しております。……話自体は、すぐに、済みますから」

P「そうか? なら、良いんだが」

貴音「……」

カサ 

貴音「……」

サラサラ…

貴音「……」ニコ




ん?

貴音「お待たせいたしました」コト

貴音「雪歩のものと比べると拙いものですが……」

P「……」

貴音「あな……ぷろでゅーさー?」

P「っと、ごめんな。ちょっとぼーっとしてた」

P「ありがとう、頂くよ」ゴク

貴音「……」

P「……」

貴音「……あの、ぷろ」

P「なぁ、貴音」

貴音「? ……何でしょうか?」

P「俺も、聞きたいことがあったの思い出した」



貴音「わたくしに答えられることであれば、なんなりと」

P「俺、貴音に嫌われるようなことしたかな?」

貴音「っ……な、何故、そのようなことを?」

P「いや、根拠があるわけじゃ、ないんだが」

P「何となく、壁をかんじるっていうか」

貴音「……」

P「ほら、いつからか、よんでく、れ……なく」

P「……」

貴音「……ぷろでゅーさー?」

P「ん? ……はは、これじゃ、たかねのこと、いえないな」

P「すまん、たかね……すこしだけ……」

P「……」zzz




昏睡レイプ!野獣と化したお姫ちん!

貴音「……」スッ

貴音「……ふふ、暖かい」ナデナデ

貴音「わたくしが、あなた様を嫌う?」

貴音「そんな、そんな莫迦なこと」

貴音「……わたくしは、ただ、怖かったのです」

貴音「あなた様に嫌われてしまうことが」

貴音「……私の成す全てが、気づかぬ内に、あなた様の負担になっていたのではないかと」

貴音「それが、恐ろしかったのです」

P「う……ん……」

P「こ、こは……?」

P「うぅ……頭いてぇ」ガチャ

P「!?」ガチャガチャ

P「何だ? ……これ、手錠か?」

P(後ろ手に掛けられててよくは見えないが、おもちゃじゃ、ないよな)

P「……落ち着け、落ち着け俺」

P(見覚えのない部屋に椅子と手錠か……)

P「……」

P(えっと……俺……どうしたんだっけ?)

P(話があるって、貴音の家に行って、それで……)

ガチャ

P「!」

貴音「あ、ぷろでゅーさー! お目覚めになられたんですね」

P「貴音か?」

貴音「えぇ、そうですよ、ぷろでゅーさー。ふふ、どうしたのですか、狐につままれたようなお顔で」

P「どうしたって……どういうつもりなんだ、これ」ガチャ

貴音「一言でいうなら、熟慮の結果、でしょうか」

貴音「どうしたらぷろでゅーさーが、わたくしを見てくれるのか」

貴音「そのことを、無い知恵を絞って考えた結果です」

P「何言ってるんだ、俺はいつでも貴音を……」

貴音「……お優しいのですね」

貴音「でも今は、その優しささえ悩ましい」








かわいい(白目)

病んでる貴音もイイと思う

P「た、貴音……?」

貴音「はぁ……ふふ、何時にも増して、貴方の声が魅力的に聞こえます」

貴音「何故でしょう。貴方がそばにいるから? 貴方の瞳に映るのがわたくしだけだから?」

貴音「何故でしょう……ふふ、ねぇ、ぷろでゅーさー?」ニコ

P「……っ」ゾク

P「た、貴音、何か悩みがあるなら……」

貴音「ありませんよ。あろうはずがないでしょう」

P「っな、なら、これを外してくれないか?」ガチャ

P「まだ、何とでもなる。朝なら二人で事務所に行って、仕事をしよう」

P「今日ここであったことは、お互いに忘れて、な?」




はよ

P「貴音、頼む……っ!」

貴音「……」

P「貴音っ!」

貴音「……明哲なぷろでゅーさーなら、答えはお分かりですよね?」

P「そんな……」

貴音「事務所には、ぷろでゅーさーの携帯から体調不良と連絡済みですからご心配無く」

貴音「喫飯は、わたくしが帰るまでお待ちいただくことになってしまいますが……」

P「……! と、トイレは! トイレはどうす」

貴音「失礼ながら、むつきを着けさせていただきました」

貴音「堪えられなければ、そのまま出してしまって構いません。後の処理はわたくしが致します」


貴音「わたくしから説明することは、そのぐらいでしょうか」

P「ま、待ってくれ」

貴音「では、わたくしは仕事をして参ります」

P「待ってくれ! 貴音!」

貴音「貴方と離れなければならないのは、身を切られるような思いですが」

貴音「起居をともにする以上、仕方ありません」

P「貴音ぇ……」

貴音「わたくしが帰るまで、いい子にしていてくださいね」クス

貴音「改めて、行って参ります」

ガチャ

バタン

P「……はは、何だ、これ」

P「昨日まで、普通の生活してたのに」

P「貴音……どうしてなんだ」

P「俺が、悪いのか」

P「どうして、何で、こんなことに……」

P「……くそっ!」

P「くそくそ、くそっ!」

P「はぁ……はぁ……」

P(落ち着け、落ち着くんだ俺)

P(とりあえず自由になるんだ)

P(貴音が帰ってくる前に)

765プロ

ガチャ

貴音「お早うございます」

小鳥「おはよう、貴音ちゃん」

春香「あ、おはよう、貴音さん」

千早「おはようございます」

亜美・真美「おっはー☆」

雪歩「お、おはようございますぅ」

やよい「うっうー! おはよーございますっ!」

貴音「今日は珍しいですね、これほど揃うなど」

小鳥「プロデューサーさんから急に休むってメールで連絡があってね」

小鳥「とりあえず、今日仕事がある子に伝えたら、あっという間に回っちゃったみたいで……」



いいねぇ
期待機

雪歩「私がちんちくりんなせいで……うぅ」

千早「確かにプロデューサーが無理していたのは事実よ。でもそれは萩原さんだけのせいじゃないわ」

やよい「そうですよ、雪歩さん!」

ガチャ

律子「はい……はい、では、そういうことで。あ、いえ、期間のほうは何とも……」

律子「すいません、私からもキツーく言っておきますので。ええ、では、失礼します」

律子「ふー……」

亜美「兄ちゃんの話?」

真美「けっこーヤバそうなふいんきだったね」

律子「それを言うなら、雰囲気、ね。……実際それほどヤバいわけじゃないわ」

律子「向こうも驚いてるだけよ。まさか、あの鉄人プロデューサーが……ってね」

律子「ホント、辛いなら、辛いって言ってくれれば……」

真美「律っちゃん……」


律子「……とにかく、今日を乗り切らないと」

律子「私も出来るだけのことをするけど、皆も協力よろしくね」

真美「兄ちゃんをしっかり休ませたげないとね!」

亜美「兄ちゃん抜きでもやれるんだってところを見せたるぜい!」

やよい「うっうー! がんばりまーす!」

千早「できることをやりましょう」

小鳥「律子さん、私にできる仕事は、どんどん回して下さい」

貴音「……」コク

春香「皆で協力すれば、こんなの楽勝です!」

律子「みんな……」

律子「……そうと決まれば、じゃんじゃん行くわよ」

律子「とりあえず、年長組は一人で仕事に行ってもらうことになるわ」

律子「でも、相談があれば、いつでも私に電話して、出来るだけ出られるようにしておくから」

律子「私は、ええと……まずはやよい、行くわよ!」

やよい「はい!」

律子「双海姉妹も準備だけはしておいて」

亜美・真美「りょーかい!」

律子「じゃあ、行ってきますね。小鳥さん、後よろしくお願いします」

小鳥「はーい!」

ガチャ バタン

春香「さ、私たちも仕事、仕事!」

春香「あ、千早ちゃん! 場所近いし、途中まで一緒に行かない?」

千早「良いわ、すぐに準備するわね」

貴音「……」

春香「行ってきまーす!」

千早「行ってきます」

小鳥「気をつけてね!」

ガチャ バタン

小鳥「さて、あたしも仕事しなきゃ!」

貴音「……」

小鳥「? 貴音ちゃん、どうかしたの?」

貴音「いえ……ぷろでゅーさーは、やはり万人に慕われる存在なのですね」

小鳥「なんてったって、765プロのプロデューサーですもの、ね?」

貴音「ふふ、真、そのとおりです」

小鳥「そういえば、昨日最後にプロデューサーさんといたのって、貴音ちゃんよね?」

小鳥「そのとき様子はどうだった?」

貴音「どう、と言われましても、わたくしとぷろでゅーさーはテレビ局を出てすぐに別れてしまったので」

小鳥「あら、そうなの? 『事務仕事を片すために、貴音を送ったら戻ってきます』ってメールがあったんだけど」



貴音「っ……それは、わたくしが丁重にお断り致しました」

小鳥「そうだったのね。その後連絡が無かったから事故にでもあったんじゃないかって、心配してたのよ」

小鳥「体調不良ってわかって、少しほっとしたわ」

貴音「……わ、わたくし、仕事に行って参ります」

小鳥「あぁ、ごめんなさい! 気をつけてね」

貴音「はい……」

ガチャ バタン

P「……っ!」ガバッ

P「……眠るとか……くそ、何安心してんだ、俺」

P(……状況分かってんのか。俺、監禁されてんだぞ)

P「早く抜け出さないといけないのに」

P「……っ」ズキ

P(手首が……力押しはやっぱり厳しいか)

P「……」

P(今、何時なんだ)

P「……事務所、ちゃんと回ってるのか」

P「……律子と小鳥さんがいるから、大抵のことは対処できるだろうけど」



P「はぁ……戻ったら、何て説明しよう」

P(……体調不良、ってことになってるんだったか)

P「あんまり長いと、言い訳効かなくなるな」

P「どうにかしないと」

P(足まで手錠掛けられてるのが痛いな……)

P(下手に動いて、倒れた詰みっぽい)

P(……いっそのこと倒れてみるってのも有りか?)

ガチャ

P「!」

貴音「遅くなりました、ぷろでゅーさー」

P「貴音……」

貴音「今すぐ夕餉の準備をして参ります、少々お待ち下さいね」

P「……」

P(貴音……どうして、こんなことを……)

おいおい!なんでこの>>1は俺の現状を知ってんだ?

ケータイもってんなら助け呼べよwwwおらおらwww

貴音「お待たせいたしました」

P「……」

貴音「ぷろでゅーさー?」

P「……」

P(無視するんだ)

P(無視しつづければ、突破口が開けるかも……)

グゥ〜

P「……っ!」

貴音「ふふ、良い返事ですね」

P(そういや、今日一日何も食べてないんだったな……)





P「……良い匂いだな、何なんだ?」

貴音「これです」スッ

P「なるほどな……」

P(ラーメン、か……貴音らしい)

貴音「みそらぁめんはお嫌いでしたか?」

P「いや、何にせよ、今は腹ぺこだからな」

P「手錠、外してくれるか?」

貴音「?」

P「え?」

貴音「いくらわたくしでもわかりますよ。外したら、逃げるおつもりなのでしょう?」

P「疑うのは分かるが、そんなことは……」

貴音「いいえ、わたくしを謀ろうとしても無駄です」

P「……」

P(いきなりは無理、か)

P「……じゃあ、どうやって食べたら良いんだ?」

貴音「それはもちろん、ご心配なく」

P「?」

貴音「ふー……ふー……」

貴音「ぷろでゅーさー、はい、あーん」

P「……」

P(なん……だと……)

貴音「あーん」

P「……あ、あーん」パク ズズー

貴音「ふふ、どうですか? お気に召しましたか?」

P「……うん、上手い」






貴音「それは何よりです」

P(何だ、これ)

貴音「ふー……ふー……」

P(思った以上に、破壊力が強いぞ……)

貴音「はい、あーん」

P「あ、あーん」パク ズズー

貴音「ふふ、ぷろでゅーさー、まるで童のようです」

P「誰のせいだ、誰の」

貴音「そうでしたね、ふふ」




P「はぁー。食った、食った」

貴音「お粗末様でございました」

P「すまないな、貴音は良かったのか?」

貴音「えぇ、既に済ませました」

P「そうか」

貴音「えぇ」

P「……」

貴音「……」

P(何故だ、不思議と沈黙が心地良いぞ……)

P(これは、不味いんじゃないのか)

P「……っ」ズキ

貴音「どうなされ……!」

貴音「……何と、お労しい」

貴音「すぐに治療いたします。お待ちを」

P「……」

P(逃げ出そうとしてたことには、何も言わないんだな)

貴音「♪」

P(鼻歌なんて歌って、相当機嫌が良いんだな)

P(手錠も外して。逃げられちまうぞ、わかってるのか?)

貴音「……ここを、こうして……」

貴音「これで終わり、です」

P「ありがとう。こんなこともできるんだな、意外だったよ」

貴音「お安い御用です」

貴音「……」

P「どうした?」



貴音「湯浴みをして頂こうと思っていたのですが、その怪我では……」

P「まぁ、気にするな。ほとんど自業自得だしな」

P「それに、今もそうだが、風呂に入るなら手錠を外してもらわなくちゃならないぞ?」

貴音「?」

P「え?」

貴音「そんなこと、共に……」

P「わかった! 俺が悪かった!」

貴音「?」

P(危ない……非常にアブナい)

P「……ま、まぁ、風呂は大丈夫だ」

貴音「そうですか」

貴音「では……」ガチャ

P「あ」

貴音「明日に備えて眠りましょうか」

貴音「すぅ……すぅ……」

P「……」

P(まぁ、別々な訳ないよなぁ)

貴音「んん……」

P(人を監禁してくれてる身で、気持ち良さそうに寝てくれちゃって)

P(手錠は片手だけ。でも、これは……)

貴音「……」ギュ

P(……無理だな)

P「はぁ……」ナデナデ

貴音「……すぅ……」

P(はぁ、香り、手触り、この暖かさ)

P(……はぁ)

貴音「ん……」モゾ

P「?」

貴音「……っ」

貴音「……いか、ない……で……」

貴音「……あな……様……」ギュッ

P「……」

P「……」ギュ

貴音かわいいよ貴音

貴音「……すぅ……」

�貴音……?�

貴音「……ん……」

�え、俺と、貴音が?�

貴音「………ふふ……」

�……恋人?�

貴音「……っ」

�……ははっ�



�有り得ないだろ�



貴音「っ!」ガバ

貴音「……はぁっ……はぁっ……」

貴音「!」

P「……zzz」

貴音「……」

貴音「……夢、ですか」

貴音「……」

貴音「……あなた様」スッ

貴音「……これほど近くにいるというのに」

貴音「貴方の心には、触れられない……っ」

P「ん……?」

貴音「!」バッ

P「貴、音……?」

貴音「あな……ぷろでゅーさー、お早うございます」

P「どうした? 大丈夫か?」

貴音「いえ、何も、何もありません」

P「……そうか」

貴音「えぇ」

貴音「……」

P「……今、何時なんだ? もう、朝なのか」

貴音「おそらくは、そうです」

P「そうか」

P(眠れるかどうか不安だったが、意外とすっきりだ)

貴音「わ、わたくし、支度をして参ります」

P「あ……」

P(何か、あったんだろうな、あれは)

貴音「……では、行って参ります」

P「……」

P「……貴音」

貴音「……何でしょうか?」

P「ここに連れてこられる前に、聞いたよな」

P「俺のこと嫌いになったのか、って」

P「……答えてくれないか」

貴音「……そ、それは」

貴音「……」

P「言いにくいなら、今すぐじゃなくても良い」

P「でも、きっと聞かせてくれ」

P「……ふー」

P「どうなるかな」

P「……」

P「……!」カチャ

P「相当慌ててたんだな。貴音」

P「さて、思いがけず自由を得たわけだが」

P「……どうするかな」

765プロ

ガチャ

真「ただい……ま?」

律子「……ダメね、でない」

春香「それって、電話にでれないくらい、体調が悪いってことですか?」

真「えっと……」

真「!」コソ

真「ね、ね。何かあったの?」ボソ

真「何て言うか……空気が重い気がするんだけど」ボソ

貴音「……」



真「……えっと、貴音?」

貴音「……先日、ぷろでゅーさーがお休みになられたのは、知っていますね」

真「びっくりしたよね。あのプロデューサーが?っていう」

貴音「今日も、お休みになられているのです。……連絡無しで」

真「えっ、そうなの。心配だね」

真「……あ、じゃああの二人……」

貴音「……」コク

律子「そもそも、昨日のメールからしておかしかったのよ」

律子「いくら調子が悪いからって、欠勤連絡をメールでする?」

律子「他ならぬプロデューサーよ?」

春香「確かに……そうかも」

春香「言われてみれば、誰もプロデューサーさん自身の声、聞いてない……」

律子「考え過ぎだとは思うけど……」

春香「……」

律子「……」

春香「……はいっ!」

律子「な、何、春香」

春香「私、良いこと思いついちゃいました!」

春香「お見舞いに行きましょう! お見舞い!」

律子「!」

律子「……なるほど、良いわね」

貴音「……」

真「……? 貴音?」

貴音「……わたくし、先に帰らせて頂きます」

真「あ、うん……」




P宅

春香「ここが、プロデューサーさんの家ですか……」

律子「あんまり、口外しちゃダメよ。一応、個人情報なんだから」

春香「は、はい」

律子「……何? 緊張してるの?」

春香「えへへ、勢いでここまで来ちゃいましたけど」

春香「プロデューサーさんの家、なんですよね」

律子「……そ、そんなの家は家よ。関係ないわ」

律子「い、行くわよ!」


春香「プロデューサーさーん?」コンコン

律子「いるんですかー? いるんですよねー?」

シーン

春香「……やっぱり、いないのかな」

律子「……寝てるのよ、きっと」

律子「……プロデューサー! ちょっと自覚が足りないんじゃないですか?」コンコン

律子「調子悪いにしても、アイドルを心配させないぐらいの配慮、してくださいよ」コン

律子「プロデューサー……」



ガチャ


律子・春香「!」

P「はいはい、ったく、もう夜なんだから……」

P「あれ、律子? ……と、春香? ど、どうしたんだ?」

律子「……」

春香「……」

P「ふ、二人とも……?」

春香「……よ、よかったぁ……」ジワ

P「春香!?」

律子「はぁー……」ヘナ

P「律子!?」

P「な、何がどうなってるのか、俺にも分かるように……」

律子「プロデューサー!!」

P「ひゃい!」

律子「欠勤は携帯メールなんかじゃ無く、きちんと手順に則って下さい!」

P「……あ、あはは、体調悪すぎて、ちょっとくらいならサボっても良いかなー、なん……」

律子「それと!」

P「て、思ってません!」

律子「長期間休むなら、きちんとその旨を報告して下さい!」

P「は、はい!」

律子「私も、春香も! ……っ事務所の皆も!」

律子「皆、みんな、心配、したんですから……っ」グス

P「……」

春香「プロデューサーさん!」

P「おっとと」ダキ

春香「よかった……本当に……」

P「……」ナデナデ

P「……余計な心配をかけさせたみたいだな」

律子「本当ですよ、まったく」

P「何なら、入っていくか? 大したものは無いが……」

律子「……いえ、無事を確認できたので、これで失礼します」

春香「えぇー! 私見てみたいです、プロデューサーさんの部屋!」

律子「こら、わがまま言わない。さ、行くわよ」

春香「うぅ、はい」



P「まぁ、もう夜遅いしな。また改めて来てくれ」

P「俺の部屋でよければ、いつでも歓迎するから、な?」

春香「わかりました。プロデューサーさん、約束ですよ、約束!」

P「あぁ。明日は行けると思うから、心配しないでくれ」

律子「わかりました、では、また明日」ペコ

P「あぁ」





ガチャ

貴音「ただ今戻りました。ぷろでゅーさー」

貴音「……ぷろでゅーさー?」

貴音「!」

貴音「ぷろでゅーさー!」

貴音「どこにおられるのです?」

貴音「かくれんぼですか? ふふ、良いですよ。童心を忘れないことは良いことです」

貴音「おれらるのでしょう、ぷろでゅーさー?」

おつ?

貴音は「らる」とかいう奴の所有物だということだけはわかった(適当)

やってしまった……

「おれらる」→「おられる」

申し訳ない

もう少しだけ続きます



貴音「隠れるのがお上手ですね、ぷろでゅーさー?」

貴音「……どこに、いるのですか」

貴音「やはり……貴方は……」

貴音「いえ、当然ですね。このような……こんな女など」

貴音「嫌われて、同然、です……っ」

貴音「……うぅっ……」ジワ

貴音「…………あなた、さまぁ……」










貴音「……あなた様」

貴音「わたくしは、貴方が憎い」

貴音「わたくしを、拾い上げて下さった貴方が、憎い」

貴音「貴方と出会わなければ、こんな想いを抱くことも無かったでしょうに」

貴音「あなた様、愛しい人」

貴音「わたくしは、貴方を傷つけた報いを、享けねばなりません」

貴音「ごめんなさい、そして、さようなら」グッ





バンッ


P「貴音っ!」


これ、ただのヤンデレとはだいぶ違うなぁ・・・優しさが見え隠れしてるし。手口は野獣先輩だったけど・・・

貴音「あ、あなた、様……?」

P「この馬鹿野郎っ! 何してんだ!」グイ

貴音「あっ……」

P「大丈夫か? 怪我、無いか?」

貴音「……」スッ

P「貴音?」

貴音「……あたたかい」

P「おい、大丈夫なのか!」

貴音「……とに……本当に、あなた様?」

P「あぁ、俺だ」

貴音「……」ジワ

貴音「……あなたさまぁ……っ」







P「落ち着いたか?」

貴音「ぐす……はい」

P「もう、大丈夫だよな?」

貴音「……はい」

P「はぁ……っんとに焦った」

貴音「……でも、あなた様は、何故……?」

P「いなくなったかって?」

P「本当は事務所に欠勤の連絡入れて、貴音とゆっくり話し合おうと思ったんだけどな」

P「携帯見つけたら、充電切れててな。もし怪しまれて、誰かが家に来たりして、話がややこしくなるのを防ぎたかったんだ」

P「体調不良だってのに、公衆電話使うわけにもいかないだろ?」

P「今思えば、書き置きぐらい残しておけば良かったな。すまん」





貴音「……」フルフル

P「?」

貴音「……わたくしが聞きたいのは、何故、戻ってきたのかということです」

P「何故って、それは貴音と話し合うためだろ」

貴音「わたくしのことなど、放っておけば、それで……」

P「……」

P「……貴音、何でこんなことしたんだ?」





貴音「それ、は……」

P「言っとくが、話してくれない限り、離すつもりはないからな?」

貴音「……」

貴音「……わかりました。でも、一つだけ、宜しいですか」

P「何だ?」

貴音「あなた様。きっと貴方は、わたくしのことを軽蔑するでしょう」

貴音「何を下らないとお怒りになるかもしれません」

貴音「……そのことを、心の内に留めておいて下さい」

貴音「お願い致します」ギュ

P「わかった」


数ヶ月前

765プロ前


貴音「ふぅ……」

貴音(日々の労働も重なると、さすがに疲れますね)

貴音(幸い、明日は休日。ゆっくりと体を休めると致しましょう)

貴音(事務所に戻る必要もなく、帰宅しても良い、と仰せつかってはおりましたが)

貴音(……少し話をしても、罰はあたりませんよね)

貴音「……ふふ」

貴音「!」ブンブン

貴音(い、いけません、貴音! 貴女は頂きを志す身)

貴音(そのような邪な想いは、妨げにしかなりません)

貴音(……い、今は、まだ)


もう少しと言わず>>1000まで続けていいんだよ

貴音「……」

貴音(……そう、今はまだ、その時ではないというだけのこと)

貴音(いずれ、その時が来たら)

貴音(この想いを伝えられれば……それで)


貴音「……? おや?」

?『ほら、真美も帰ってきたんだから、さっさと帰る準備しろよー』

?『はーい』

?『えー、帰ってきたばっかなのにー! もうちょっと、話そうよー』

貴音「この声は……」

貴音(わたくし、一人ではないのですね……)

貴音「!」ブンブン

貴音(よ、邪な考えは捨てなさい、貴音!)

P「ダメだ。何時かわかってんのか」

真美「えぇー! 真美たちもう中学生だよー?」

P「中一なんて、小学生に毛が生えたようなもんだろ。良いから、家に帰って、ちゃんと寝るんだ」

亜美「おうおうおう! 兄ちゃんといえど、それはちょっと聞き捨てならんなー!」

真美「そうだそうだー! 真美達はもう、立派なれでーなんだからね!」

亜美「ねー!」

P「わかった、わかった。立派なレディーだなー、よしよし」

P(元気有り余りすぎだ! お前ら!)

真美「馬鹿にしてんなー!」



(Pめ、貴音の回想に直接!?)

亜美「……んー?」

真美「どしたの、亜美?」

亜美「兄ちゃん、なーんか怪しくない?」

亜美「何か、必死っていうかー。亜美達にいて欲しく無い理由でもあるのかな〜?」ニヤ

P「深読みしてないで、さっさと帰れ」

P(強いて言えば、お前らが騒いでいると仕事が進まん!)

P(仕事が終わらなきゃ、俺は帰れないんだよ!)

真美「……わかった、お姫ちんだ!」

P「なっ……」

P(何で、ここで貴音の名前が出てくるんだよー!)

貴音「!」ドキ

貴音(な、何故わたくしの存在が……)

貴音(い、いえ、そんなはず……双海真美の言動は偶然の産物に決まっています)

貴音「……」

貴音(悶々としたせいで、ドアを開ける時機を逃すとは……)

貴音(四条貴音……不覚、です)

貴音「……!」

貴音(し、しかし、これは、ともすれば、ぷろでゅーさーの本心を知る好機……?)

貴音「……」

貴音(た、多少遅くなっても、明日は休日、ですから)

貴音(も、もう少しだけ、ここに……)



亜美「おやおや〜? 図星ですかな〜?」ニヤニヤ

P「な、何で、貴音? 何が、貴音?」

真美「だって〜、兄ちゃん、最近、お姫ちんと仲良いしー?」

亜美「うんうん」

真美「しょっちゅう一緒にいるしー?」

亜美「うんうん」

真美「そして、必死に私たちを帰そうとするその態度!」

真美「それらの事実から、みちびかれる手段はただ一つ!」

亜美「ひとーつ!」

真美「兄ちゃんは、夜の事務所で、お姫ちんといちゃいちゃするつもりなのだ!」

亜美「な、なんだってー!」

P(何言ってんだこいつー!?)

亜美「な、なんてことだー。亜美、ぜんぜん気づかなかったー」

P「いやいや、本当に何言ってんだよ」

真美「ん〜? 違うというのかね?」

P「俺は仕事してんの! いちゃいちゃしたくてもできないの!」

真美「え、したいの?」

P「あ、いや、違う違う!」

P(くそー! ペースに乗せられるな、俺!)

亜美「でもでも、亜美、冗談抜きでお似合いだと思う」

真美「えっ!?」


P「え? 誰と、誰が?」

亜美「兄ちゃんと、お姫ちん」

P「え、俺と貴音が?」

亜美「うん」

真美「ちょっと、亜美!」

亜美「真美もそう思うっしょ?」

真美「え、あ、えーと」

P(亜美め、またとんでもないことを……)

P「おいおい、勝手に話を進めるなよ」

P(とはいえ、双海姉妹の連続攻撃に、俺のメンタルはもう限界だ)

P(ここは下手なことをいうより、思いっきり否定しておくべきか)

P(貴音は、人気急上昇中のアイドルだ。例え小さくても、俺から種を巻くわけにはいかない)

真美「わ、私は、その……」

真美「に、兄ちゃんは、どう思うのさ?」

P「俺に何を聞きたいんだよ……」

真美「い、良いから! 嬉しいの? 嬉しく無いの?」

P(ここで、いっとくか)

P「貴音と……恋人?」

真美「う、うん」

P「んー……」

P「……ははっ、いや、有り得ないだろ」

真美「そ、そうなの?」

P「ま、そもそも、アイドルとプロデューサーだろ?」

P「好きあっても、害しかもたらさない」

真美「……っ」

P「そんなの迷惑なだけだよ、お互いにな」

真美「そう、なんだ」

P「あぁ。俺と貴音がそういう仲になることは、絶対に無いんじゃないか?」

P「貴音はそういうとこストイックだから」

真美「……」

亜美「真美、どったの?」

真美「ううん! 何でもない!」

真美「はぁー、いっぱいしゃべって疲れちゃったよ」

P「お、気が済んだか?」

真美「……うん! ありがと、兄ちゃん!」

真美「亜美、帰ろ?」

亜美「あ、うん、りょーかい」

亜美「じゃ、またね、兄ちゃん」

P「おう」

真美可愛い

貴音「……」ツー

貴音「……」スッ

貴音(これは、涙……?)

貴音(そんな、何故?)

貴音(ぷろでゅーさーのいうことは正しいのに)

貴音(わたくし自身も、伝えられれば、それで良いと)

貴音(その答えが先に分かってしまった、ただそれだけのことではないですか)

貴音(なら、どうして)

貴音「……っ」ポタ ポタ

貴音(どうして、涙が止まらないのでしょう)

貴音(どうして……)


?『亜美。帰ろ?』

?『あ、うん、りょーかい』


貴音「!」

貴音(離れないと、早く)タッ

どうせなら次スレまで続けてええんやで

まだ100もいってないのに何言ってんだ











貴音「……」

P「貴音……」

P(あれ、聞かれてたのか……)

貴音「……わたくしが、愚かだったのです」

貴音「あなた様の言い付けを守らず、莫迦なことを……」

P「そんなこと、ないだろ」

貴音「わたくしのような、はしたない女には、相応しい報いです」

P「……」

貴音「……軽蔑、しましたよね」

P「……いいや」

貴音「……ふふ、やはり、貴方は優しい人ですね」

P「違う、違うんだ、貴音」



P「……」

P「……今度は、俺の話を聞いてくれないか?」

貴音「わたくしで良ければ、いくらでも」

P「貴音の話な、後日談があるんだよ」

貴音「……そう、なのですか」

P「聞きたくないかもしれないが、我慢して聞いてほしい」

貴音「……わたくしは、あなた様とこうして話せるだけで、幸せですから」ニコ

P「……」

P「……それと、信じられないかもしれないが、これから話すことは、全部真実だ」

P「そのことだけ、覚えておいてくれ」

貴音「……はい」









亜美「じゃ、またね、兄ちゃん」

P「おう」


ガチャ  バタン


P「……ふー」

P(まったく、双海姉妹には、毎回手を焼かされるな……)

P「ま、それもあいつらの個性、か」

P(それをどう魅せていくか、考えるのが、俺の仕事だ)

P「……」

P(それにしても……)

P(どうにか、誤魔化せたが、まさかあの双海姉妹に気づかれるとはなぁ)

P(俺としては、全員に、平等に接しているつもりなんだが……)

P(何が違うのか)

P(態度、声の調子、表情……)

P(俺としては、変えてるつもりはないんだがなぁ)

P(むしろ、意識して抑えてるくらいだし)

P(……それが、いけないのか?)

P「……んー……」

P「……はぁ」


P(何悩んでいるんだ、俺)

P(だって、アイドルとプロデューサーだぞ?)

P(考えること自体、どうかしてる)

P(俺は、プロデュースするのが仕事だろ)

P(その対象に……恋、するとか)

P(笑えねぇよ)

P「……はぁ」

P(ってか、俺、認めてんのな、恋だって)

P(駄目だろ、それじゃ)

P(トップアイドルにするって、約束したじゃないか)

支援


P(あー、何か、すげー恥ずかしくなってきた)

P(何をべらべらと……声、出てないよな?)

P(……)

P(……別に、良いか)

P(要は、外に漏らさなきゃ良いんだから)

P(どうせ、こんなおっさんに興味なんか、あるわけないし)

P(考えるぶんには問題ないだろ)

P「……」

P(俺、もう小鳥さんのこと言えないな)

P(あー……仕事しなきゃいけないのに)

P「……」テクテク

ドサ

P(あー、ソファに寝転がっちゃったわー。これもう仕事しないフラグだわー)

P(……)

P(……ホント、どうしてこうなったんだろうな)

P(出会った当初は、こんなこと、全然無かったのに)

P(むしろ、全然、相手にされてない感じで、こなくそ、って思ったの、今でも覚えてるよ)

P(それが、いまじゃ……)

P「……はぁ」

P「……貴音ぇ……」ボフ

P「何で、俺は、お前を……」





P(好きになっちまったんだ)












貴音「……」

P「……と、まぁ、そういうわけなんだが」

貴音「……ふふ」

貴音「……ふふふ」

貴音「……冗談が過ぎますよ、あなた様」

P「いや、その、冗談じゃ……」

貴音「その話ではまるで、あなた様がわたくしのことを好いているようではありませんか」

貴音「いくらわたくしのような救いようの無い阿呆だからといって、その話が嘘であることぐらいわかります」

P「おい、貴音……」

貴音「何故なら、今の話には証拠がないからです。あなた様は信じてくれとおっしゃいましたし、わたくしもそうするつもりでした」

貴音「ですが、その話には突拍子が無さ過ぎます。わたくしは確かにあなた様の声を聞いたのですよ?」

P「……」

貴音「百歩譲ってわたくしはあの時、直接あなた様の姿を見た訳ではありませんでした」

貴音「しかし、それでも、確かな証拠を見せて頂かないことにんむっ!?」



P「……ん」

貴音「……んん」ビク

P「……」チュー




貴音「……ぷはぁっ」

P「……はぁ、はぁ」

P「……これで、どうだ?」

貴音「……」ポケー

P「貴音?」ユサユサ

貴音「……! ……あ、あな、あなな、あなた様!?」

貴音「と、突然、何を為さるのですか!」ギュ

貴音「そ、そんな、心の準備もないままに、そのようなことをするなど」ギュー

貴音「お、驚いてしまうでは、あり、ません、か……っ」

貴音「……うぅっ……ぐす……ひぐっ……」

P「……」ナデナデ

貴音「ず、ずるいです……っ……ずるいですよ……あ、なた、さまぁ……っ」

貴音「ま、た……っ……涙が……うぅっ……」






貴音「……ぐすっ……二度もこんな失態を……お恥ずかしい」

P「貴音は、意外と泣き虫だったんだな?」ニヤ

貴音「あ、あなた様!」///

P「はは、冗談、冗談だ」

P「……」

P「……俺な、貴音に助けられたんだよ」ナデ

貴音「……わたくしに、ですか?」

P「あぁ」



P「……ちょっと前から、貴音に何だか距離を置かれているような気がしてな」

貴音「わたくしの言動が、知らぬうちにあなた様の負担となっていたのではないかと」

貴音「考えれば、考えるほど、深みに嵌っていって……」

P「優しさ、だったんだな。気づけなかった俺は、本当に馬鹿だ」ナデ

貴音「そんなことは!」

P「……たまにな、貴音の表情が陰るのはわかってた」

P「悲しそうな、寂しそうな、そんな顔して」

P「悩みがあるのかって聞いても、笑うだけで何も答えてくれなくて」

貴音「……」

P「そのうち、嫌われたんじゃないかと思い始めたんだ」

P「そういう視点から見ると、全部辻褄があってるような気がしてきてな」

P「ただ、その理由だけが分からなくて」

P「気にしてないふうを装ってはいたけど、内心かなり思い詰めてたんだと思う」

P「事務所の皆から心配されたりするぐらいだから、相当参ってたんだろうな」

貴音「あなた様……」

P「貴音に監禁されてなかったら、俺が同じことしてたかもしれない」

P「あの日は、それぐらいヤバかった」

P「でも、貴音が俺を監禁してくれたおかげで、目が覚めたんだ」

P「俺は、何てことをしようとしてたんだろうって」

P「貴音を止めなきゃ、とも思った」

貴音「……」

P「それで、気づいたら、こうなってた」


P「……貴音」

貴音「何でしょう?」

P「……もう一度言う」

P「俺は、貴音が好きだ」

貴音「……はい」

P「……」

P「……た、貴音はんむっ!?」

貴音「……ぷはっ」

貴音「ふふ、わたくしに、それを聞くんですか?」

P「……はは、それもそう、か?」

貴音「そう、ですよ」

P「……あはは」

貴音「……ふふ」

P「あーぁ、本当は、貴音がトップアイドルになるまで、抑えておくつもりだったのになぁ」

貴音「……」

貴音「あなた様? わたくし、今、とても幸せです」

P「何よりだな」

貴音「幸せすぎて、あいどるの頂点に興味がなくなってしまうかも」

P「そ、それは困る!」

貴音「ふふ、では、わたくしが頂点に立つまで……いえ、その後も」






貴音「わたくしの隣で、しっかり導いて下さいね。あなた様」






おわり


大変ようございましたあなた様


以上で終了となります。

いかがでしたでしょうか。

ヤンデレ貴音を書いてみようと思い立ったものの、結局ハッピーエンドに落ち着いてしまいました。

貴音かわいいよ貴音。



一週間以上もかかってしまい、本当に申し訳ありませんでした。

考え、考え書いていたので、伏線や、話の流れ等々、
矛盾していたり、説明が足りないような部分があるかと思いますが、どうかご容赦下さい。


最後まで読んで下さった方々へ、本当にどうもありがとうございました。

おつ
このPならヤンデレ化した貴音も救えそうなのでもっとドロドロしても良かったんだよ!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom