幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」淫魔法少女「皆死ね」 (1000)


なぞの空中城 星見塔



謎の狐耳 「横たわるいくつかの大きな世界。その中で」

謎の狐耳 「ときに交わり、ときにすれ違う、無数の小さな世界」

謎の狐耳 「それぞれの小さな世界で暮らす人々。彼らの多くは、自分たちの住む世界の外を知らずに生き、死んでいく」


謎の学者 「……うん。うんうん、そう、そうよん。うん、いったん撤収。えー、納得いかない?」

謎の学者 「だってしかたないでしょうが! 幼女魔王ちゃん、消えちゃったんだもの!」


謎の狐耳 「それぞれの小さな世界には、統治者がいる。勇者であったり、魔王であったり……それ以外であったり」

謎の狐耳 「彼らは自らの小さな世界の発展のため、ほかの世界へ渡り」

謎の狐耳 「ともすればぶつかり合う」


謎の学者 「え、今日のおやつ? イモ蒸しパン。……だから、イモ蒸しパン!」

謎の学者 「芋虫パンじゃないわよ、どうして芋虫よ! ただの芋よ。芋の蒸しパンよ!」

謎の学者 「べたっべたするやつ!」


謎の狐耳 「しかし、今、それどころではないことが始まろうとしている」

謎の狐耳 「数億年周期でありやなしや。ある大きな世界同士が交わろうとしている」


謎の学者 「だからパンよ。マンじゃないわよ! 内耳粉砕するわよ!?」

謎の学者 「アハハじゃないわよ、真面目にやんなさいよ! 芋虫マンの何が面白いのよ!」

謎の学者 「こちとら幼女魔王マンが大ピンチなのよ!」


謎の狐耳 「果たして、何が起こるのか。動植物の突然変異、世界の法則の崩壊、魔力の混沌」

謎の狐耳 「数えきれないほどの小さな世界が巻き込まれるだろう」

謎の狐耳 「私の世界の遺跡で発掘された古い文献によれば」

謎の狐耳 「かつて大世界同士が交わったとき、気の遠くなるほどの長きに渡る大戦争が起きたそうだ」

謎の狐耳 「多くの英雄がうまれ、そして歴史の瞬きに散っていったという」


謎の学者 「ああん、もう! だめだわ魔王さまん!」


謎の狐耳 「……取り乱しているね、謎の学者。私たちは話し合いをしていたはずだけれど、君はどこの誰と話していたのかな」


謎の学者 「取り乱すわよう。幼女魔王ちゃんがピンチなのよ!」


謎の狐耳 「そういうときこそ、落ち着くべきさ」


謎の学者 「でも大ピンチなのよ、幼女魔王ちゃんが! 幼女魔王マンが!」


謎の狐耳 「…………」


謎の学者 「幼女魔王ちゃんの幼女魔王マンが膜ごと大ピン……」


謎の狐耳 「落ち着け」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415249384




かんたん主要人物嘘紹介
(画像はイメージです
実際の人物像とは大きく異なる場合があります)




■幼女魔王N(幼女魔王)
http://i.imgur.com/oa2wW4u.jpg


所属:幼女魔王の世界
種族:???
職業:新米魔王 / 触手の主 / 回復術士
レベル:0000003 / 1 / 001
体質:軟体 / 世界渡り / 人見知り / ドMボディ / ドジッ娘 /???
そうび:触葬天使の杖 / 枯葉の服 / ウサギさんパンツ / 穴あきスパッツ / すごい保健の本


触手召喚士の幼女。野原と壊れた小城と森だけの小さな世界を治める、新米魔王。
いじめられると悦ぶ体に悩まされる、ちょっぴりおませでクールでアンニュイな夢見る幼女。

世界を渡り、契約した触手モンスターを召喚する。
知力体力ともに最低レベルだけれど、回復魔法の才能がわずかにある。
極度の人見知りとピンクの髪と殴りがいのある腹がチャームポイント。

自分の世界を守るべく、イージーモード序盤の雑魚に完敗できるステータスで
ベリーハードモードの人生に臨む。
仲間がいないので、補助魔法系の後衛ユニットながら強制的に前衛。

前スレ終盤に死亡し、幼女魔王Nという戒名をいただいた。



■淫魔幼女
(http://i.imgur.com/88az0CW.jpg)

種族:サキュバス?
職業:外道行商人 / 魔女狩り / 偽魔法少女
レベル:???


いろいろな世界を渡り歩く行商人。
自分のことを男だと言いはる見目麗しい鬼畜。
幼女魔王のことを姫と呼び虐待する。

いっこうに発展しない幼女魔王の世界を見かねて、幼女魔王を旅に連れ出した。

旅で集めた珍しいアイテムで強敵と渡り合う、
中~遠距離が得意な主力ユニット。でも裏切った。

魔法少女ギルドのひとつと敵対関係にあり、
魔法少女を加工したアイテムづくりに定評がある。

前スレ中盤、幼女魔王に詐欺商人の紋章をしかけ、
のちに破滅させることに成功した。






世界別 
おはなしにあまり関係ないどうでも良い人々100





中立の町の世界
(幼女魔王の世界の空に浮かぶお隣の世界)


■猫耳職人
しもべ紹介もしている傭兵ギルドの受付。
彼女のせいで、幼女魔王は「男のミルク」に興味を持つこととなった。

■兎耳店員
喫茶店の店員。
雰囲気が暗い幼女魔王のことを、迷惑な客だと思っている。

■狼耳店員
喫茶店の店員。兎耳店員のことが好き(食料として)。

■○本角シスターズ
布系の防具や装飾品をあつかう店の店員。
七本角の人だけはヒゲのナイスミドル。いつかもっと大きな世界に店を出したい。

■狸耳娘(魔法の糸売り)
「触手でショック死。なんつって!」
このレベルのギャグを初対面の幼女に繰り出す、たいそうかわいそうな娘さん。



商人の町の世界
(一日中夜の巨大な城下町だけの世界)


■死神メイド
淫魔幼女がよく利用する宿の従業員。
無表情クール腹パンチマシーン。幼女魔王の腹をしこたま殴った。

■宿オーク
淫魔幼女がよく利用する宿の主人。黒くてデカくて頼れる田舎豚。

■若ドワーフ
市場で石材と装飾品を売る若き職人。
無名ながら、淫魔幼女などの商人たちが一目置く腕前。



羽音の世界
(妖精と人間が争う触手の世界)


■可憐少女
幼女魔王の初めての親友。ぼっちで人見知り。
触手の苗床にされて惨死。

■牧師
可憐少女と幼女魔王をひきとり、家族のように大切にする。
心が迷いまくった結果地の底に消えた、なさけない男。

■不良妖精・乱暴妖精
妖精の村の落ちこぼれ。可憐少女を触手の苗床として捕獲した。
献上のさい、体を鍛え上げたわけでもない可憐少女を歴戦の戦士と偽る。
結果、可憐少女は体が耐え切れず死亡し、これが自らの首をしめることになる。

■大男
どこにでもいる普通の男の子。おいしくいただかれた。

■執事(波魔法少女)
幼女魔王がひきとられた教会の執事。
正体は異世界から来た正義(を狂信する魔法少女ギルド)の魔法少女。
前スレのラスボス。









世界不明


■魔貴族娘
幼女魔王の世界が属する大世界で有名な貴族……の、娘。
幼女魔王のことを馬鹿にするが、じつは大好き(嫁として)。
序盤のファンタスティックな活躍により、おはなしを2スレ目までズレこませやがった。

■詐欺商人
淫魔幼女の商人仲間。
パーティに一時加入し、幼女魔王に紋章とすごい保健の本をあげた。

■短パン魔王
特殊ダンジョン「界境の淀み」で出会った、ある世界の駆け出し女魔王。
元気で明るい女の子。底辺ぼっちの幼女魔王など比べるべくもないヒロインタイプ。

■大剣勇者
勇者なのに短パン魔王の世界発展につきあわされる苦労人。やれやれ系主人公タイプ。
やれやれ、なんで俺がお前なんかと……。

■短パン魔王の仲間
短パン魔王と一緒に狩りにきていた。主人公にふさわしいパーティ。

■蛇牙猫姫
ある世界にある神社の神。妖怪や霊の住む横丁に温泉宿をもつ。わらわ口調。
幼女魔王の城の風呂を仲間に修理させて飯食って風呂入って帰っていった。

■算術男
幼女魔王の城の風呂を修理した、人間の幽霊。ラッキースケベ。

■図形幼女
蛇牙猫姫の一行の中で、唯一の人間。よくできた幼女。田舎うまれ田舎そだち。
算術男は、夏休みにやってくるあこがれのいとこだった。


■シルフ娘
どんな世界でもお届けする、お届けギルドの配達員。よく「す」が「つ」になる。
行方不明になった仲間の捜索を淫魔幼女に依頼したが、
それは幼女魔王によって達成されることになった。

■道魔法少女
淫魔幼女と敵対しない方のギルドに所属する魔法少女。
元気で面倒見の良いお姉さんで、人外の冷酷な面も持つ。
八の字羊羹というお菓子を、配布用として常に100個装備している。



謎の世界


■謎の狐耳
幼女魔王を見守りつつ淫魔幼女にあれこれ指示を出すうるさい謎の人。
弱肉強食なので幼女魔王が死んでもしかたないけど、死んだら死んだでブチ切れる迷惑なスタンス。

■謎の学者
変態。メガネをかけた変態で、メガネを外すと変態。
幼女魔王のことが好きすぎる謎の女。何の学者かは不明。
謎の狐耳の秘書的な役割をつとめる美人眼鏡痴女。

■謎の馬頭
幼女魔王のことは正直どうでもいい謎の馬頭。淫妖蟲無印に出てくる馬みたいな感じの姿。

■謎の紙袋(旧:謎の南瓜頭)
頭に何かを被っておかないと、名前がとんでもなく長くなる謎のダークエルフ。
詐欺商人に惨敗してから、幼女魔王のパンツ、紙袋、と被るものが変わっていく。


■謎の精霊使い
向こう100レスくらいの重要人物。

■その他の謎の人々
謎の狐耳のその他の仲間たち。いろいろ謎。魔王とか食べるらしい。






知らなくても問題ないあれこれまとめ




■小世界
小さな世界。大きさ、発展具合はさまざま。
それぞれの小世界には統治者がいる。
ほぼすべての世界で魔法文明が栄える。

■小さな世界間の移動
ほかの世界の存在すら知らない世界もあれば、
いろいろな世界を巡る飛行船を出している世界もある。
また、個人的にほかの世界へ渡る方法を有している者もいる。


■大世界
たくさんの小さな世界はこの中に浮かんでいる。いくつか存在。
それぞれの呼び方は、第一大世界、第二大世界、など。

■第三大世界同盟
第三の大世界に浮かぶ多くの小世界の同盟。
参加すると素敵な特典が盛りだくさん。
幼女魔王の世界も(しぶしぶ)属している。




■紋章
その人自身の歴史や能力を目に見えるかたちにしたもの。
基本的に誰もがひとつ持っている。
他人の紋章を得ると、新しい能力を得ることができる。かもしれない。


■界境の淀み
紋章の記憶をもとにつくる特殊な世界(ダンジョン)の総称。
出入りには専用のアイテムが必要。もととなる紋章によって構造がかわる。
現実と変わらず、アイテムも持ち帰ることができる。
紋章の持ち主が出会ったことのないモンスターやアイテムは出てこない。

■界境の淀み(第三大世界バージョン)
「大多数の紋章で一つの界境の淀みをつくりだす」という試みによってうまれた。
利用者は自身の記憶にないモンスターやアイテムも得ることができる。
住みつくものも多く、第三大世界中もっとも大きな小世界と呼ばれる。



■男のミルク
幼女魔王が死ぬまでに食したいと思っている謎の食べ物。




見えない精霊の世界 森の町 



ヒヨヒヨ チチチ


少女巫女 「ここは精霊につかえる女性たちの町です」

少女巫女 「記憶に新しい魔王戦争で英雄的な活躍した、三人の戦士たちの魂もここに眠っています」

少女巫女 「最近、この町にも外から多く人が来るようになりましたが」

少女巫女 「精霊さまたちが怯えてしまわないか心配でなりません……」


ザワザワ


果物売り 「外の国じゃ珍しい、黄色い果物だよー」

果物売り 「黄色いよー」


母性巫女 「……あのう」


果物売り 「はいはーい……」

果物売り 「………!!」


母性巫女 「お、おはようございます」


果物売り 「こ、これはこれは、おはようございます母性巫女さま!」





ザワ


放浪詩人 「母性巫女だって!? さきの戦争の英雄じゃないか」


放浪楽士 「まさか。彼女は魔王との決戦で、魔王の呪いから勇者さまを庇って死んじまったんだろう」


ヒソヒソ


母性巫女 「…………」


果物売り 「そ、それで、今日はいったい何のご用で」


母性巫女 「……あ」

母性巫女 「はい、新鮮な果物を売ってもらいたくて……」


果物売り 「は、はい、今すぐ。とびきり新鮮なやつを!」


バサ ゴソゴソ


果物売り 「驚きました。母性巫女さまが森からのこのこ出てくるなんて……」

果物売り 「い、いえ、私の店に来てくださるなんて」


母性巫女 「あはは……」


果物売り 「それで、大丈夫なのでしょうか」

果物売り 「ええ、その……呪いの方は」




母性巫女 「え、ええ、まあ。なんとか……」


果物売り 「そ……そうですか! それは良かっ……」


グラ


果物売り 「ん?」


グラグラグラグラ


傭兵 「うおっ……」


少女戦士A 「きゃあ!?」


少女戦士B 「じ、地震だあ!」


グラグラ グラグラグラ


果物売り 「まずい、商品を守らなくては!」


母性巫女 「わ、私も手伝います……!」


ポヨン


果物売り 「!?」


母性巫女 「! や、やだ、油断して胸が……」


果物売り 「……の」

果物売り 「呪いだ……!」


母性巫女 「いえ、あの、これは」


フルルン ポイン


母性巫女 「ああ、また……!」


果物売り 「やっぱり!」

果物売り 「さきの戦争で、勇者パーティに倒された魔王が今際の際に力を振り絞り執念でかけたという」

果物売り 「胸が揺れるたびにそれっぽい効果音が鳴る呪い!」




果物売り 「うわああ! やはり呪いはとけていなかったんだ!」


母性巫女 「あの、それより果物が……!」


ユサッ


果物売り 「や、やめてくれ、近づかないでくれ呪われた魔女!」

果物売り 「アタシには揺れる胸なんて無いよお!」


母性巫女 「台から果物がこぼれて……ほら、これ」


タユン


果物売り 「もどすな!」


母性巫女 「!」


ブルルン


果物売り 「の、呪いがうつる前に、あんたが触ったのは持って帰ってくれ」

果物売り 「いや、果物なら好きなだけ持って行って良いから、早く森に帰ってくれ!」

果物売り 「あんな恐ろしい魔王の呪われた音を聞かせないでくれえ」

果物売り 「ひいいい!」


母性巫女 「…………」


グラグラグラグラ


母性巫女 「お代……」


果物売り 「ひいい、こっちを見ないで、話しかけてこないで魔王ー……」


母性巫女 「…………」


タッ タッ タッ タッ

ポヨン バイン ブルン ビョエーン……




聖域の森 木のトンネル



ソヨソヨ ザアアア


賢者キノコ 「この森の女たちも精霊の力を借り、戦士として魔王軍と戦い、死んでいった」

賢者キノコ 「当時最高の力を備えた二人の戦士も」

賢者キノコ 「一人は千年の無敗を誇る魔王軍の将と、壮絶な死闘の末に相討ち」

賢者キノコ 「一人は撤退する味方のため命枯れるまで殿を守り、最期は押し寄せる魔王の軍勢もろとも地の底へ消えた」

賢者キノコ 「勇者の小隊に所属した最年少の戦士は、魔王との決戦で勇者を庇い死んだとされるが」

賢者キノコ 「生き残り、この森で精霊たちとともにひっそりと暮らしているという」

賢者キノコ 「ふぅ……」


ザッ ザッ ザッ


母性巫女 「……おさまったようね、地震」

母性巫女 「地震なんて珍しい。何か悪いことの前触れでなければ良いけど」


タユン フニニ


母性巫女 「うぅ……」




母性巫女 (気を抜いたら、歩くたびに恥ずかしい音が鳴る)

母性巫女 (魔王の軍勢と戦うため森を出て、勇者様の隊に拾われて色々な経験ができたのは良いけれど)

母性巫女 (まさかこんな呪いを受けるなんて)


タプ ムニン


母性巫女 (おかげで、数年たった今でも人々から気味悪がられて近くの町にさえ出られず)

母性巫女 (森で隠居生活。私、まだ1X歳なのに……)

母性巫女 (人と話すのが苦手になった気がするし、何より)

母性巫女 (こんな暮らしも悪くないかもと思ってしまう自分がいるのが、なんだか余計にかなしい)

母性巫女 「いったいいつまで続くのかしら、この呪い」

母性巫女 「まさか、お婆さんになってもこのまま寂しく……」

母性巫女 「ん?」


ニュモン


??? 「…………」


母性巫女 「何かしら、道の向こう……」


??? 「…………」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「あらやだ」

母性巫女 「ピンク色のゴキブリが倒れてる」




母性巫女 「困ったわ、どうしましょう。洋服とゴキブリは苦手なのに」


テク テク プヨン モオー


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……まあ」

母性巫女 「ゴキブリかと思ったら、幼い女の子!」

母性巫女 「どうしてこんなところに。里の人以外は入ってはいけないはずなのに」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……お昼寝かしら」

母性巫女 「うふふ、あどけない顔。こっちも眠たくなりそう」


ティロン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「う、うぅ……」


母性巫女 「!」

母性巫女 「た、たいへん。とても苦しそう……」

母性巫女 「ひょっとしたら行き倒れかもしれない!」




……

…………


聖域の森 外れ 母性巫女の小屋 



カタタ シュッラ シュシュ コト

シュシュラシュラ カタカタ カタタタ

ピィーッ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ふんごおんごッ」

幼女魔王N 「………ムニャ?」


ムクリ パサ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (どこかしら、ここ)

幼女魔王N (……小さな木の家みたいだけど)


コトト シュシュシュシュ カタタタタ

ピィーッ


幼女魔王N (樽みたいなストーブの上でやかんが鳴っている)

幼女魔王N (……と、いうか)


チリーン チッ チッ チッ チッ

チリン ヂリリリン ボーン ボーン

ガチャ ジジー ジジジジ

カチ コチ カチ コチ

キュラキュラ カタン クルッポー クルッポー 


幼女魔王N (全体的に雑音が多いわね、ここ!?)





幼女魔王N (振り子の時計に鳩時計、砂時計に水時計)

幼女魔王N (よく分からない、セピア色の賑やかなガラクタもろもろ)

幼女魔王N (よくもまあ、こんなところで寝ていられたものね、私)


壊れた天球儀 『チキ、カチャチャ、チキ、カチャチャ……』


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (いやな夢を見ていた気がするわ)

幼女魔王N (とても悲しい夢)

幼女魔王N (けれど、何故かしら。大切なものをごっそり失ったようなのに)

幼女魔王N (頭がすっきりしている……)

幼女魔王N 「…………」


水の錬金模型 『モクモク……ザアアア』

水の錬金模型 『チョロチョロチョロチョロ……』


幼女魔王N 「……トイレ」




母性巫女の小屋 トイレ



シャン シャン シャン シャン


幼女魔王N 「トイレ。すんなり見つかったのは良いけど……」

幼女魔王N 「私の知っている便器のかたちじゃないわ」

幼女魔王N 「まるで白いスリッパ」

幼女魔王N 「これでどうやって用をたせと言うの……」


チリリン クワン クワン


幼女魔王N 「……この足甲カバーみたいなのを背もたれにするのかしら」

幼女魔王N 「…………」


ガサゴソ スルル

チョコン


幼女魔王N 「……ふむ」

幼女魔王N 「なんか違うわね」





…………


リーン リーン チョロチョロ

スイッチョン ギコギコ


幼女魔王N 「……どうにかしっくりくる姿勢を見つけた」

幼女魔王N 「まさかこんな恥ずかしい格好で用をたすことになるなんて」

幼女魔王N 「お城のトイレがなつかしい……」

幼女魔王N 「だいたい、どうして私はこんなわけわからん所にいるのよ」

幼女魔王N 「トイレの中にも変な音があふれているし」


コーン コーン コーン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ええと、ペニステの新作魔ゲームを買って……」

幼女魔王N 「えびを茹でて、赤ん坊をまたいで、脳みその町へ行って……これは違ったかしら」

幼女魔王N 「うー、思い出せない……」


コ…… カチ


幼女魔王N 「……音がやんだ」




ポロン ポーン


幼女魔王N 「……今度は悲しい音が鳴り出した」


石の自鳴琴 『ポロロロ……ポロン、ポーン』

石の自鳴琴 『ジャロン、コロロロ……』


幼女魔王N 「小さなガーゴイルのオルゴール……?」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「オルゴール……オルガン」


ポポロ ポロン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ああ、そうか」





幼女魔王N 「私、前の世界で……砦の町で大事なものをなくしてしまったんだわ……」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……うう、グスッ」


ポロン ヂャロン ロロン   


幼女魔王N 「みんな、みんな……」

幼女魔王N 「うう……ヒック……うぇえ……」

幼女魔王N 「どうして……」

幼女魔王N 「どうして私、こんなこと……」

幼女魔王N 「トイレしている最中に思い出すのよ……!」

幼女魔王N 「おしっこ止まらないし……ッ!!」

幼女魔王N 「グスッ、うえぇっ……」


チャラン ポロン ロ ロ ロ ロ……






…………


コト キイイ


幼女魔王N 「…………」


???の声 「だから、この騒音を消してくれと言っている!」


幼女魔王N 「?」

幼女魔王N (向こうの扉の向こうから女の人の声がする)

幼女魔王N (この家の人かしら)


ソロ ソロ


母性巫女の声 「は、はい、今すぐ」


幼女魔王N (今度は別の女の人の声)


ガチャガチャ ギギギ

ギギ……


幼女魔王N (音がやんだ……)




幼女魔王N (……扉、少し開いているわね)

幼女魔王N 「…………」



??? 「ふう」

精霊戦士 「耳がおかしくなると思った」



幼女魔王N (すごい薄着の人。お尻丸見え)

幼女魔王N (頭おかしいのかしら)



母性巫女 「ごめんなさい。呪いの音を聞きたくないかと思って……」



幼女魔王N (あっちの大人びた人はわりとまともな格好。黒い髪が清楚な感じ)

幼女魔王N (……でもあの胸の大きさは気が狂っているとしか思えない)



精霊戦士 「しかし、これでは精霊たちの声も聞こえない」


母性巫女 「そ、そうでしょうか……?」


精霊戦士 「ええ、あなたにはこれしき問題ないのだろう、魔王封印の英雄どの」

精霊戦士 「だけど私たち普通の戦士は、そうではないのです」


母性巫女 「ご、ごめんなさい」


タユン




母性巫女 「ああ、そうだわ……! 美味しいクルミのケーキがあるんですけど、お茶をいれましょうか」


ポイーン


精霊戦士 「せっかくですが、そのような気分ではない」


母性巫女 「ご、ごめんなさい」


パルン


幼女魔王N (黒髪の人が動くたびに、変な音が鳴ってる)


精霊戦士 「また、町に出たそうですね」


母性巫女 「……はい」


精霊戦士 「あれほど、他の者たちが怖がるから町に出るなと言ったのに」

精霊戦士 「どうしてですか!」

精霊戦士 「我々が、あなたが生きていくのに必要な、それ以上のものまで届けているというのに」

精霊戦士 「頼まれたものもなるべくお渡しできるようにしているのに」

精霊戦士 「どうしてのこのこ町に出てくるのですか」

精霊戦士 「あんた、自分が魔王に呪われた身だっつうこと自覚してんのか!」


幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N (魔王の呪い。この世界には魔王がいるのかしら)




母性巫女 「……わ、分かっています」

母性巫女 「でも、呪いといっても音が鳴るだけだし」

母性巫女 「ずっとここにいたら、私、だめになってしまいそうで……」


精霊戦士 「この愚乳!」


母性巫女 「きゃあっ……」


ワショワショ


精霊戦士 「各地で魔王の恐怖の傷跡が残っているというのに」

精霊戦士 「あなたのような者が人前に出たらどうなると思いますか」

精霊戦士 「逃げ出すうちは良いとして、下手すれば魔王の残り香根絶の的になる」

精霊戦士 「これはあなたのためでもあるのです!」


母性巫女 「ご、ごめんなさい……」

母性巫女 「でもその……子供が寝ているので大声は……ッ」


精霊戦士 「実害もすでに出ているのです!」

精霊戦士 「あなたが町におりてこのハレンチな肉の果実をタプタプフニフニ鳴らしてから、昼夜問わず数日」

精霊戦士 「外から来た旅行者の二十二割が性犯罪未遂を起こしている!」

精霊戦士 「あんたがそいつらをどうにかしてくれるとおっしゃるのか!」


母性巫女 「わ、わかりました。わかりましたから……!」


ダムダムダムダム


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (お尻を丸出しにした女の人が、服を着た女の人をハレンチだと罵倒している)

幼女魔王N (……この世界、一筋縄ではいかないようね)






(画像はイメージです。
実際の母性巫女はもっと裸です)



勇者パーティにいたころの
母性巫女さん14さい

http://i.imgur.com/L624WHp.jpg






母性巫女 「あ、あの……!」


精霊戦士 「な、何ですか」


母性巫女 「今日のことは反省します。だけど、やっぱり……」

母性巫女 「外の国との交流もはじまって、男の人もやってくるので」

母性巫女 「町のみんなも少し肌を隠した方が……」


精霊戦士 「だから言っているでしょう」

精霊戦士 「我々精霊の巫女は、精霊さまがたとより深く感じあうために」

精霊戦士 「肌を出しておかなければならないのです!」


母性巫女 「は、はい。ですが……」

母性巫女 「私も当時はあなたと同じような格好をしていたのですが」

母性巫女 「それで森の外に出て勇者さまの隊に加えてもらって……」


精霊戦士 「ええ、知っていますとも。あなたが勇者一行の主力の一人だったことは」




母性巫女 「そのとき、隊のかたがたと触れ合う中で知ったのですが」

母性巫女 「どうやら私たちの格好は、外の国の女性たちと比べて布が少ないというか、少なすぎるというか」

母性巫女 「へ、変態……と紙一重だそうで……」

母性巫女 「当時、自分の格好が普通だと思っていた私はとてもびっくりして……」


精霊戦士 「…………」


母性巫女 「し、知っていましたか……」

母性巫女 「じつは男の人って、目の前で女性が裸に近づくほど興奮して、その……」

母性巫女 「え、えええ、エッチな気持ちになっちゃうそうなのです……!」


精霊戦士 「…………」


母性巫女 「もう私、それを聞いて恥ずかしくて恥ずかしくて……」

母性巫女 「それまで、勇者隊の男の人ともよく一緒にお風呂に入っていたのですが」

母性巫女 「以来、男の人の前でおへそを見せるのも恥ずかしくなって……」


精霊戦士 「…………」


母性巫女 「ああ、どうしましょう! 思い出しただけだまた顔が熱くなっちゃう」

母性巫女 「私、知らなかったとはいえ男の人の前であんなことやこんなこと……」

母性巫女 「きゃー!」

母性巫女 「きゃー!!」


精霊戦士 「しゃらくせえ!」




>>35 訂正ごめんなさい



母性巫女 「そのとき、隊のかたがたと触れ合う中で知ったのですが」

母性巫女 「どうやら私たちの格好は、外の国の女性たちと比べて布が少ないというか、少なすぎるというか」

母性巫女 「へ、変態……と紙一重だそうで……」

母性巫女 「当時、自分の格好が普通だと思っていた私はとてもびっくりして……」


精霊戦士 「…………」


母性巫女 「し、知っていましたか……」

母性巫女 「じつは男の人って、目の前で女性が裸に近づくほど興奮して、その……」

母性巫女 「え、えええ、エッチな気持ちになっちゃうそうなのです……!」


精霊戦士 「…………」


母性巫女 「もう私、それを聞いて恥ずかしくて恥ずかしくて……」

母性巫女 「それまで、勇者隊の男の人ともよく一緒にお風呂に入っていたのですが」

母性巫女 「以来、男の人の前でおへそを見せるのも恥ずかしくなって……」


精霊戦士 「…………」


母性巫女 「ああ、どうしましょう! 思い出しただけでまた顔が熱くなっちゃう」

母性巫女 「私、知らなかったとはいえ男の人の前であんなことやこんなこと……」

母性巫女 「きゃー!」


ポヨヨヨヨ


精霊戦士 「しゃらくせえ!」



幼女魔王 (本当にしゃらくさい……)




精霊戦士 「もう結構。そのような不浄の話、聞きたくありません」


母性巫女 「で、でも……」


精霊戦士 「それより!」

精霊戦士 「魔法少女というものをご存知ですか」



幼女魔王N (…………!)



母性巫女 「いえ、聞いたこともありません」


精霊戦士 「そうですか。良かった」

精霊戦士 「どのくらい前だったか、魔法少女と名乗る者たちが」

精霊戦士 「しばらく滞在させてほしいと我々の森にやってきたのです」


母性巫女 「まあ……」


精霊戦士 「異世界から来たなどとふざけたことを言っていたのですが」

精霊戦士 「これがかなりの使い手で」



幼女魔王N (魔法少女……。界駆の人たちかしら)




精霊戦士 「森を傷つけることはしないということで、滞在は許可したのですが」

精霊戦士 「彼女らは精霊と交感する我々に興味を持ったらしく」

精霊戦士 「同盟を結び、親密な交流を持ちたいと言ってきたのです」


母性巫女 「まあ、素敵じゃありませんか」


精霊戦士 「どちらも女性のみという共通点もあります」

精霊戦士 「長老さまがたも、前向きに検討しています」

精霊戦士 「ですが……」


母性巫女 「?」


精霊戦士 「良いですか、母性巫女さま」

精霊戦士 「くれぐれも、彼女らに失礼の無いよう」


母性巫女 「え? ……は、はい」


精霊戦士 「万が一、もしかしたら! 彼女らがここを訪ねてくるかもしれません」

精霊戦士 「くれぐれも! 失礼の無いように」


母性巫女 「わ、分かりました」

母性巫女 「なにも、そんなに念をおさなくても……」


精霊戦士 「ただでさえ、この森に子供をさらおうとする魔乳の魔女が出るという噂もあるのです」


母性巫女 「そんなつもりは無いんですよ。ただ、ちょっとケーキでもご馳走しようと思って」

母性巫女 「でも、なぜだかみんな怖がって逃げちゃって……」


精霊戦士 「案の定あなただったか……」

精霊戦士 「良いですか。あなたはもはや英雄ではなく、魔王の呪いの虜なのです」

精霊戦士 「普通の人々と同じ感覚でおっとりお気楽に生きていくわけにはいかないと自覚してください」

精霊戦士 「分かっていただけますね!?」


母性巫女 「……わ、分かりました」


フルルン 


精霊戦士 「…………」

精霊戦士 「はあ……」





精霊戦士 「では、今日はこれで失礼します」


母性巫女 「はい。いろいろとごめんなさい……」


精霊戦士 「行為でしめしてほしいもんです」

精霊戦士 「私だって、呪われているとはいえ英雄的な人物にガミガミお説教するなど、胃が痛くなる」


母性巫女 「は、はい」

母性巫女 「あの……」

母性巫女 「町までお送りしましょうか?」


精霊戦士 「だから……ッ!」


ガミガミガミガミ

ペコペコ ユフォン ユフォン



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (魔法少女が来るかもしれない。早くここから逃げなきゃ……)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……そうね、どうでも良いわ)

幼女魔王N (なんだか、もう疲れたもの。何もしたくない)

幼女魔王N 「…………」


テク テク テク テク……




…………



母性巫女の小屋 寝室



幼女魔王N 「…………」


コン コン


母性巫女の声 『……起きていますか?』


幼女魔王N 「…………」


ガチャ


母性巫女 「失礼します。ミルクと薬草のケーキを持ってきまし……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「まだ寝ているのね」

母性巫女 「頭から毛布を被って……やっぱりうるさかったかしら」

母性巫女 「でも、私の呪いの音を聞いたらきっとびっくりするだろうし……」


幼女魔王N 「…………」






母性巫女 「それにしてもよく眠っている」

母性巫女 「あんまり目がさめないようなら、お医者さんにみてもらった方が良いかしら」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「何も食べないのも体に悪いわよね。倒れていたのだし」

母性巫女 「せめて、どうにか食べさせられると良いのだけど……」


ムヌ ギュム


幼女魔王N (放っておいてほしいわ)

幼女魔王N (いっそ魔王と名乗ってサクッとあの子のところに……)

幼女魔王N (……あ、あれ? あの子って誰だったっけ……?)


母性巫女 「そうだ……」

母性巫女 「たしか、勇者さまの隊にいた東の国のクノイチとかいう職業の人が」

母性巫女 「口でするみたいに、お尻で呼吸する方法があると言っていたっけ」


幼女魔王N (…………ん?)




母性巫女 「だったら、口でするみたいに、お尻で食事をすることもできるはずだわ」


幼女魔王N (ど、どうしてそうなるのよ……!)


母性巫女 「……ああ、でも、ミルクは良いとして、ケーキは食べにくいわよね……」

母性巫女 「お尻の穴なんて見たことないけど、小さいだろうし……」


幼女魔王N (……ホッ)

幼女魔王N (危ないわ……。この人、善意で犬畜生にチョコレートをやるタイプだわ)


母性巫女 「ああ、そうだ!」


幼女魔王N (!?)


母性巫女 「持ってきていただいた食料に、ソーセージがあったわ」

母性巫女 「ソーセージなら細長いから大丈夫かもしれない」

母性巫女 「さっそく取ってきましょう」

母性巫女 「うふふふ……!」


タッ タッ タッ タッ

トイン トイン プルルルン


幼女魔王N 「…………」


バサッ


幼女魔王N 「…………ど」

幼女魔王N 「どえらいことになった……!」




サアアア チュンチュン ヂュヂヂ


幼女魔王N 「やばいわよ……」

幼女魔王N 「やべーわよ!?」

幼女魔王N 「別に死んでも良いやって気分だったけれど」

幼女魔王N 「お尻からソーセージとミルク流しこまれて死ぬって」

幼女魔王N 「穢れなき乙女としてどうなのよ……!」

幼女魔王N 「に、逃げなきゃ……」


ガチャ


母性巫女 「うふふ、これだけあれば……」


数珠繋ぎソーセージ(極太)


幼女魔王N 「ぎゃあっ!」


母性巫女 「きゃあっ!?」


ボヨン




幼女魔王N 「あ、あわわわ……」


母性巫女 「あ、あの……」


タユン


幼女魔王N 「こ、来ないで!!」


母性巫女 「ッッ!!」

母性巫女 「ああ、やっぱり呪いのせいで……」


数珠繋ぎソーセージ(極太)


幼女魔王N 「何よその凶悪な肉の棒の連なりは!」

幼女魔王N 「おヘソでラーメンとか目でピーナッツなんてもんじゃないわよ!」

幼女魔王N 「乙女に尻から肉棒くわすってどういうつもりよ!」


母性巫女 「あ、あの、このソーセージは……」


幼女魔王N 「ふ、ふんだ。食べないわよ!」

幼女魔王N 「あいにく私のお尻はスライム専用なんだから!」

幼女魔王N 「専用じゃないわよ!」


母性巫女 「え、あの……」


幼女魔王N 「はっはーん……」

幼女魔王N 「さてはミルクもあれね。あなたのおっぱいから出たやつね!」

幼女魔王N 「魔王の呪いに支配されしミルクタンクから出た呪われし母乳で、私を体内から溶かし殺す気ね!」

幼女魔王N 「そうはいかんわよ、魔王におっぱいを支配されし女勇者め!」


母性巫女 「へ、変な言い方はやめてください!」


タプタプ トプン




幼女魔王N 「なめないでよね……」

幼女魔王N 「私が対人恐怖症で体が軟らかいだけのチビのペッタンコで」

幼女魔王N 「ピンク髪で底辺でマゾヒストで夢遊病もちで親指をしゃぶりながら寝る癖があるからって!」


母性巫女 「あの、落ち着いて……」


幼女魔王N 「数々の試練のハードルをくぐり抜けし私の」

幼女魔王N 「人間不信っぷりは大変なもんよ!?」


母性巫女 「ちょ、ちょっと……」


幼女魔王N 「もう良いわ……」

幼女魔王N 「みんなボッコボコにして泣かせてやるんだから!」

幼女魔王N 「いけ! ミロカ……じゃなくて美触手!」

幼女魔王N 「まずはこのミルクタンクをぶっ転がしまわしなさい!」


ズズズズズ


母性巫女 「!」

母性巫女 「女の子の影が……」


ズズズズズ


美触手 「…………」

美触手 「クュルル……」


母性巫女 「!!」

母性巫女 「モンスター……!?」




母性巫女 「うそ、こんなところで……!」


美触手 「…………」

美触手 「……!」


シュルシュルシュルシュル


母性巫女 「! 速い……ッ!」


タタ タンッ

ボヨーン

ビリッ


母性巫女 「きゃっ!?」

母性巫女 「新しい服が……!」


幼女魔王N 「ひひゃ……コホン」

幼女魔王N 「んなーはっはっはっはっ!」

幼女魔王N 「いかに英雄でも丸腰じゃどうにもならんでしょう」

幼女魔王N 「にゅふふ、そのソーセージは自分のお尻で食べることね!」

幼女魔王N 「そこよ! やっちゃえ、美触手!」



美触手 「クュルル……!」


母性巫女 「……もう!」

母性巫女 「めっ」



母性巫女 の お母さんチョップ攻撃

美触手 に 93025 のダメージ



美触手・幼女魔王N 「!?」




美触手 「! ……!?」


シュウウ

ズズズズ


幼女魔王N 「あ、ああっ、美触手がかえっていく!?」

幼女魔王N 「というか、そういう仕様なのね……!」


母性巫女 「ふう」

母性巫女 「…………」


ツカ ツカ ツカ

ウシッ ユサ ユサ


幼女魔王N 「ひっ……」


母性巫女 「びっくりしました。魔物使いだったんですね」

母性巫女 「とにかく、落ち着いてください」


幼女魔王N 「……は、はい!」


ズザザ


母性巫女 「!?」


幼女魔王N 「逆らいません! 逆らいません! 落ち着かせていただきます!」

幼女魔王N (……もう死ぬのもどうでも良いのに)

幼女魔王N (体が勝手に土下座をしてしまった。習性とは恐ろしい)

幼女魔王N (……情けないはずなのにすごくしっくりくる)

幼女魔王N (人の顔を見ずに謝り倒せば良いという、これが最底辺の安息感なのね……)


母性巫女 「あ、あの、私そんなつもりじゃ……」


幼女魔王N (でも、ああ、どうでも良い。本当にどうでも良い。何もしたくない)

幼女魔王N 「……ふう」


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「ごめんなさい、落ち着いたわ。見苦しいところを見せたわね」

幼女魔王N 「最近、一日の気分の浮き沈みが激しくて」


母性巫女 「え、は、はあ……」




幼女魔王N 「さあ、どうぞ、やると良いわ」


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「勇者よ、この私、幼女魔王を討てること、光栄に思いなさい」

幼女魔王N (どうせだから、魔王っぽく終わってやるわ)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……はい、幼女魔王さま」

母性巫女 「でもその前に、ちゃんと栄養をとってくださいね」


カチャカチャ


やくそうケーキ 巫女ミルク


幼女魔王N 「……あの」


母性巫女 「やっぱり、北の方からやってきたんですか?」

母性巫女 「以前、一緒に戦った魔物使いの人は針葉樹の国の出身だったので」


幼女魔王N (人間だと思われているのかしら)




幼女魔王N 「……ど」

幼女魔王N 「どうでもいい……」


母性巫女 「あら……」

母性巫女 「あの、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ」


ボヨン


母性巫女 「こ、この音だって、別に怖いものじゃありません」


幼女魔王N (あやしい)

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「じゃあ、これ、食べましょうか」


幼女魔王N 「………い」

幼女魔王N 「いらない。……食べたくない」

幼女魔王N (そうよ、大事な人を失ったのに。大事な人はとてもつらい死にかたをしてしまったのに)

幼女魔王N (私は、こんなものをほのぼの食べているわけにいかないのよ)




母性巫女 「……つらいことがあったんですか?」


ムチ ボイン


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「でも、何か口に入れなきゃ」


幼女魔王N 「……いらない」


母性巫女 「一口だけでも」


幼女魔王N 「……い、いらないったら」

幼女魔王N 「お願いだから、放っておいてよ」

幼女魔王N (ちゃんと悲しまなきゃいけないのに)


母性巫女 「……じゃ、じゃあ、私のためだと思って」

母性巫女 「あなたが弱って死んでしまうと、私、すごく悲しいですよ」

母性巫女 「ね?」


ポヨン ムギュ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (何なの、この人)

幼女魔王N (気持ち悪いくらいに優しい)

幼女魔王N (……気味が悪い。怖い)

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「じゃなきゃお尻から無理やり食べさせます」


幼女魔王N 「いただきます!」



…………



…………



森の町 精霊区



美老女 「…………」


プヒュルルル スヒュルルル


美老女 「………グゥ」


ドンドンドンッ 

ドンドンドンッ

バタン


星魔法少女 「やあ、失礼するよ!」


美老女 「ふんごっ!?」





ゾロゾロ


火魔法少女 「…………」


沼魔法少女 「…………」


岩魔法少女 「…………」


鋏魔法少女 「…………」



美老女 「……何じゃい、神聖な部屋にノックもなしでわらわらと入ってきおって」


星魔法少女 「ははは、したのだけどね美貌のお婆さん」

星魔法少女 「すまない。眠りを邪魔したようだね!」


美老女 「いんや構わんよ。どうせサボリじゃったし」

美老女 「そいで、何の用じゃ。寝首でもかきにきたんか」


星魔法少女 「いや、眠っているとはつゆにも思わなかったからね!」


美老女 「ここが一番よい夢が見られるんでねえ」


火魔法少女 「クスクス……」


岩魔法少女 「ふう、一団の長がこれとは、あきれますわ……」


美老女 「まあ、実質わしは飾りみたいなもんじゃ」

美老女 「悪いことが起きたら皆の盾として首を飛ばされる係じゃ」




星魔法少女 「火魔法少女、岩魔法少女!」


ツカツカツカ


火・岩魔法少女 「…………!」


星魔法少女 「歯を食いしばりたまえ!」


パシン


火魔法少女 「ああんっ」


岩魔法少女 「きゃうっ」


ドサ ドサ


星魔法少女 「失礼ではないか!」

星魔法少女 「このババアは責任感にあふれた素晴らしいババアだ!」


美老女 「あんた今さっき、わしんこと美貌のお婆さんとか言っとったよね」


星魔法少女 「よその組はどうか知らんが」

星魔法少女 「この私が長をつとめる星魔法少女組で、よその世界のババアを笑うことは許さないぞ!」

星魔法少女 「ババアを大事に!!」


美老女 「あ、聞いとらんねてめえ」


火魔法少女 「……お姉さま!」


岩魔法少女 「私たち、間違っていました……!」


星魔法少女 「お前たち……!」

星魔法少女 「よし、ならば復唱したまえ……」

星魔法少女 「ババアを大事に!」


火・岩・鋏・泥魔法少女 「ババアを大事に!」


美老女 「帰ってくれん?」




美老女 「わし、こう見えてもけっこう忙しいんじゃけど」


星魔法少女 「またまた。居眠りをしていたくせに!」


美老女 「そうじゃけど」


星魔法少女 「大事な話があってここに来たのさ!」


美老女 「うちの騎士団に、あんたらの傘下になるよう迫っているそうで」


星魔法少女 「傘下だなんて! ああ!」

星魔法少女 「友好、同盟と言ってくれたまえ!」


美老女 「まあ、今のうちじゃあ、あんたらと手を結ぶのもやむなしじゃろ」

美老女 「優秀な巫女はみんな戦士として死んでいった」


星魔法少女 「ああ、魔王との戦いのことだね!」

星魔法少女 「まったく、やはり魔物どもは一匹残らず死ぬべきだな!」

星魔法少女 「くうっ……我々がいち早くこの世界に来ていれば」

星魔法少女 「薄汚れた魔物どもに、麗しき花たちを散らせることなど許さなかっただろうに!」

星魔法少女 「おお、神よ! 私はこの二つの脚を呪う!」


沼魔法少女 「ああ、お姉さまが泣いていらっしゃる……」


火魔法少女 「おいたわしや、お優しいお姉さま!」


美老女 「ふーむ」




星魔法少女 「まあ、それは置いといて」

星魔法少女 「聞いたよババア!」


美老女 「てめえ友好の意味知っとる?」


星魔法少女 「死んだはずの英雄のひとりが、まだ生きているそうじゃないか!」


美老女 「…………」


星魔法少女 「なんでも、君らの聖域の森の片隅の木漏れ日の隠者の小屋で」

星魔法少女 「ひっそりと暮らしているとか」

星魔法少女 「ぜひ、会わせていただきたいと思ってね!」


美老女 「……それが、聖域の魔物たちを殺す口実でないと良いんじゃけどね」


火魔法少女 「な……あなた、ババアだからって!」


沼魔法少女 「いかにババアとて、私たちの隊長にそんな物言いは許さない……」


星魔法少女 「……はっはっは!」

星魔法少女 「そんなわけがないだろう!」

星魔法少女 「噂では、その英雄は湖の蒼き月影にたたずむ儚き一輪の花のごとしとか」

星魔法少女 「これは愛でないわけにはいかない!」


美老女 「よけい気が進まんわい。その噂もわけ分からんし」




美老女 「まあ、そこまで漏れてるなら、あんたがた相手に隠すのは無理じゃろうね」


岩魔法少女 「まあ、やはり隠していたのですね、ババア!」


星魔法少女 「それについては目を瞑ろう。頼む、ぜひその花の居場所を教えてくれ、ババア!」


美老女 「不思議じゃね、頼まれとる気がせん」

美老女 「喧嘩売られとる気分じゃわい」

美老女 「……教えても良いけど、あんたたちとは相性が悪いと思うよ」


星魔法少女 「ああ、出会いとはときに憎しみをともなうものだ!」

星魔法少女 「だからこそ、愛は燃え盛るのさ!」


美老女 「それに、たしかに美人じゃけど、花って感じじゃないし」

美老女 「むしろ、こう、胸とか尻とか胸とか、ボイーンと」

美老女 「見様によっちゃ下品な部類じゃし。他にも魔物……」


星魔法少女 「おっぱい!」




星魔法少女 「んああ、最高じゃないか……ぜひこの手に欲しいくらいだ!」


ワキ ワキ


美老女 「何じゃそのフニフニした手つきは」

美老女 「……以前からそういう子じゃったけど」

美老女 「魔王封印戦争を経た今では……断言しても良い」

美老女 「母性巫女はあんたらの仲間になることは無いよ」


沼魔法少女 「どういう意味」


美老女 「あれは、壊れとる。人として」

美老女 「慈悲深く、優しい子じゃが、それこそがあの子の狂気」


火魔法少女 「たしかに、甘さは戦士の足かせでしかありませんわね」

火魔法少女 「しかし、慈悲は美徳でしょう」


美老女 「厄介なのは、あの子は生まれながらにそうであったこと」

美老女 「普通の子供たちと変わらんように見えて、しかし」

美老女 「心のその一部分が狂っていた」

美老女 「たまたま、それが人間にとって美徳の範疇にあっただけのこと」




火魔法少女 「もどかしい言い方。はっきり言ったらどうかしら」


美老女 「まあ、穏やかで良い子じゃよ。隠居するまでは、年少組からはもちろん」

美老女 「年上の者からも甘えられる子じゃったし。まあそれも問題じゃったけど」

美老女 「……異常事態において、その異常性が浮き彫りになるだけで」

美老女 「素朴な良い子じゃよ」


星魔法少女 「甘やかし系か。最高だな! うちの新戦力にいただきたい」

星魔法少女 「戦いに疲れた心と体を、おもに体を癒してほしい!」

星魔法少女 「ようし、みんな、さっそく会いに行くぞ。春風のように!」


タタタタタタ


美老女 「せっかちじゃなー……」

美老女 「よくもまあ、会ったこともない相手にそこまで熱を上げられるもんじゃ」


火魔法少女 「ふんっ、星魔法少女さまの、そういう嗅覚は絶対なのですのよ」


火・岩・沼・鋏魔法少女 「お待ちになって、お姉さま~~!!」


タタタタタ


星魔法少女 「あっははは、そうら、はやくしないと置いていくぞ。わははははは……!」

星魔法少女 「アディオス、ババア!」


美老女 「もう来んな」




…………




聖域の森 母性巫女の小屋



ソヨソヨ カタタ


母性巫女 「……はい、あーん」


幼女魔王N 「あーん」


パク


幼女魔王N 「モキュ、モキュ、モキュ……」


母性巫女 「どうですか? 味付けはこちらのものですけど……」


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N 「おいちい!」


母性巫女 「良かった!」




母性巫女 「まだ食べられそうですか?」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「あの……」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「今度はNたん、お膝枕で食べたい……かも」


母性巫女 「ええっ? お行儀が悪いですよ」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……」


母性巫女 「……だから、ちょっとだけですからね」


幼女魔王N 「…………!」


母性巫女 「はい、どうぞ」


幼女魔王N 「う、うん……!」


ポス ムニ


幼女魔王N 「…………~~!」


母性巫女 「!? ど、どうしました?」


幼女魔王N 「ふええ……」

幼女魔王N 「太ももムニムニで気持ちいいよう」


母性巫女 「きゃっ……!?」


ポヨン 


母性巫女 「も、もう、そんなところ……」


幼女魔王N 「うへへへへへ」


母性巫女 「うふふふ」


幼女魔王N 「ぐへへへへへ……」


ムニムニ ポフポフ ヌルン ヌルン





幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (…………ふぅ)

幼女魔王N (……何をやっているのかしら、私)





幼女魔王N (こんなことをしていては駄目よ。ふってわいたようなこの人にのほほんと甘えていたところで)

幼女魔王N (私の深すぎる心の傷は癒せない)

幼女魔王N (癒せてはならないのよ)

幼女魔王N (それでは、失ったあの子が私にとってちっぽけなものでしかなかった)

幼女魔王N (そういうことになってしまう……)


母性巫女 「もう、へんなことしてないで」

母性巫女 「これを食べて栄養をつけてください」


幼女魔王N 「……え、あ」

幼女魔王N 「その、い、いら……」


母性巫女 「?」


キラキラ


幼女魔王N (ぐうっ。窓から射す光を背に受けて、まるで聖母! 女神!)

幼女魔王N (やめて。優しい目で私の悲しみを殺さないで)

幼女魔王N (いまさら、そんな優しさになんか負けないんだから……!)

幼女魔王N 「あ、あの……!」


母性巫女 「はい、あーん」


幼女魔王N 「あーん」


パク


幼女魔王N 「モキュモキュモキュ……」

幼女魔王N 「おいちーい!」




母性巫女 「うふふ……あ、口の端についてしまいましたね」

母性巫女 「じっとしていてくださ……」


ドンドンドン

ドンドンドン


幼女魔王N 「!?」


母性巫女 「あら、玄関の方。誰かしら」

母性巫女 「少し、出てきますね」


幼女魔王N 「う、うん」


トトトトト

カチャ

トトトトト


母性巫女の声 「はあい」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (何かしら。この感じ……嫌な予感がする)

幼女魔王N (これは、そうだわ、つい最近……)


ガチャ


星魔法少女の声 「やあ、失礼するよ!」




星魔法少女 「……!!!!」

星魔法少女 「おお……」


母性巫女の声 「あの……」


星魔法少女 「あ、ああ、私は星魔法少女」

星魔法少女 「世界を駆ける魔法少女ギルドの上級魔法少女さ!」

星魔法少女 「こちらは、私の仲間たちだ。みんな私と同じ魔法少女だ」

星魔法少女 「みんな、挨拶を!」


魔法少女たちの声 「ごきげんよう!」


母性巫女の声 「ご、ごきげんよう……」

母性巫女の声 「魔法少女。あなたがたが……」



幼女魔王 (界駆魔法少女……!)



星魔法少女の声 「君は、ああ、聞くまでもない」

星魔法少女の声 「母性巫女だね!」


母性巫女の声 「そ、そうですけど……」


星魔法少女の声 「ああ、やっぱりだ」

星魔法少女の声 「我が麗しき愛の花!」


母性巫女 「え、ええ……ッ!?」



幼女魔王N (うう、気持ち悪い。鳥肌が立って奇妙な笑いすらこみ上げる)

幼女魔王N (これが魔法少女のプレッシャーだというの)

幼女魔王N (私もとうとう、彼女らの強さを肌で理解できる次元にまでのぼってしまったのね……!)




母性巫女の声 「あ、あの、立ち話もなんですし、上がっていかれませんか」

母性巫女の声 「お茶もいれますので……」


星魔法少女の声 「おお、ありがたくごちそうになるよ!」


母性巫女の声 「あはは……」

母性巫女の声 「あ、できたら寝室は……」


星魔法少女の声 「もちろんだとも。淑女の寝室の扉を開くなど無粋なことはしない」


母性巫女の声 「あ、ありがとうございます……」



幼女魔王N (界駆魔法少女。あの人たちさえいなければ)

幼女魔王N (あの子はあんな風に死なずにすんだのよ)

幼女魔王N (……仇討ちしなきゃ)

幼女魔王N (相手が何人だって……死んだってかまわない)

幼女魔王N (いえ、むしろ、この命はあの子のために散らすべきなのよ)



岩魔法少女の声 「それにしても、すごいアイテムの量ですね」


沼魔法少女の声 「珍しい錬金装置もある。止まっているようだけど」


鋏魔法少女の声 「……ペンギンさんの置物も、います……」


火魔法少女の声 「うん、強い魔法の力を感じますわ」



母性巫女 「騎士団の人たちからの貰い物ばかりで……」



幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「…………っ! ッ!」

幼女魔王N (……体が動かない)

幼女魔王N (扉の向こう……行ったら確実に殺される。いえ、死ねたらマシなくらいの地獄が待っている)

幼女魔王N (まるで臨戦態勢の淫魔幼女がいっぱいいるみたい……)

幼女魔王N (怖い)

幼女魔王N (命なんて惜しくないはずなのに。あの子のためならこんな命なんてどうでも良いのに……!)




…………



母性巫女の声 「……そうですか。みなさん、本当に別の世界から」


星魔法少女の声 「ああ。この世界に魔動画でもあれば情報が入ってきたかもしれないが」

星魔法少女の声 「下級とはいえ私たちの大切な仲間が、このところ立て続けに行方不明になっている」



幼女魔王N (……ああ。そういえば城にいたころ、そんなニュース聞いた気がするわね)

幼女魔王N (一年くらい前のことのように感じるけど、きっと気のせいだわ)



星魔法少女の声 「やっと、その手がかりがこの世界の近くにあるらしいことは突き止めたのだがね」


母性巫女の声 「そうですか……」

母性巫女の声 「はやく見つかると良いですね」


星魔法少女の声 「おっと、失礼」

星魔法少女の声 「まだ君にこういう話をすべきではなかったかな」


母性巫女の声 「?」


岩魔法少女の声 「にっくき魔王軍との戦いで活躍したこと、聞いています」

岩魔法少女の声 「この里から多くの戦士が……あなたの仲間が散っていったことも」


母性巫女の声 「……そうですか」


火魔法少女の声 「仲間を失う。これほど悲しく忌々しいことはありませんわ」


星魔法少女の声 「すまない。思い出させるつもりはなかった」



幼女魔王N (そうよ。大事な人を失うのは悲しいこと)

幼女魔王N (なのに私は……)




母性巫女の声 「い、いえ。ごめんなさい、気をつかわせてしまって」

母性巫女の声 「みんな覚悟して戦っていたんですから……」


火魔法少女の声 「その通りですわね」

火魔法少女の声 「でも、あなたもそうだったのではなくて?」


母性巫女の声 「え、ええ、まあ」


火魔法少女の声 「人々のために死をも覚悟して戦い、生き抜いた果てがこんなさびれた隠居生活だなんて」

火魔法少女の声 「どうかと思うのだけど」


母性巫女の声 「私は魔王の呪いを受けてしまったんです」

母性巫女の声 「人とは交われないのです……」


火魔法少女の声 「まあ……」


沼魔法少女の声 「魔王の呪いは強力。特殊な練り方をされているから、本人以外が解くのは難しい」


母性巫女の声 「はい……」


星魔法少女の声 「くそっ! 卑劣な魔物どもめ!」


母性巫女の声 「…………」


鋏魔法少女の声 「……いっそ」

鋏魔法少女の声 「あの戦争で……死ねていたら」


母性巫女の声 「……!」




鋏魔法少女の声 「みんなと一緒に、死ねていたら」

鋏魔法少女の声 「みんなと一緒に……英雄になれたのに」

鋏魔法少女の声 「……ひとりで過ごさなくて、すんだのに………」


母性巫女の声 「…………」


鋏魔法少女の声 「……そう思うことは、ありませんか………?」


母性巫女の声 「…………」


星魔法少女の声 「こら、失礼だぞ鋏。鉄拳矯正ものだ」


鋏魔法少女の声 「ひっ。……ごめんなさい………」


母性巫女の声 「い、いえ、大丈夫ですから……」


岩魔法少女の声 「ううん、呪われているようには見えませんね」

岩魔法少女の声 「その大きな胸は気になりますが」


火魔法少女の声 「たしかに、不自然なところは見当たりませんわ」

火魔法少女の声 「みずみずしい大玉のスイカのようなその乳房以外は」


沼魔法少女の声 「呪われたら、普通は角や尻尾がはえたり、肉体や精神に大きな変化が出る」

沼魔法少女の声 「おっぱい」


母性巫女の声 「も、もう。そんな、胸ばっかり……」


星魔法少女の声 「たしかに分かりにくいな」

星魔法少女の声 「よかったら、どんな呪いか見せてくれないか!」


母性巫女の声 「え゛ぇっ!?」




母性巫女の声 「それは、ちょっと……」


岩魔法少女の声 「そうです。危険です! 魔王の呪いなんですよ」


星魔法少女の声 「できたらで良いさ」

星魔法少女の声 「それに、もしかしたら私たちで力になれることがあるかもしれないじゃないか!」


沼魔法少女の声 「……たしかに、この世界の解呪士よりはやれることは多いと思う」


母性巫女の声 「そっ、そうなんですか?」


沼魔法少女の声 「力強く言うことはできないけど、ぜったい解くのは無理とも言えない」


母性巫女の声 「…………」

母性巫女の声 「じゃあ、ちょっとだけ……」


魔法少女たちの声 「…………」


母性巫女の声 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……来る)



……

……

ポヨヨン



魔法少女たちの声 「!?」


ザワッ


※訂正ごめんなさい

>>75

名前表記

×沼魔法少女
○泥魔法少女




火魔法少女の声 「……鳴りましたわね」


岩魔法少女の声 「胸の揺れにあわせてポヨヨンと鳴りましたね」


星魔法少女の声 「こ、これが呪いなのかい?」


母性巫女の声 「はい……」

母性巫女の声 「胸が揺れるたびに音が鳴ってしまって、気味悪がられています」


泥魔法少女 「ほかに害はないの? 感度が上がって淫魔の魔法みたいに精神を侵食されたり、まわりに状態異常を起こすとか」


母性巫女の声 「今のところは、そういうことは何も」


星魔法少女の声 「ううむ」

星魔法少女の声 「自分でもたしかめてみたい」

星魔法少女の声 「たしかめさせてくれ!」


母性巫女の声 「え? ちょ、ちょっと……」


泥魔法少女の声 「害がないなら、それも良いこと」


星魔法少女の声 「その通りだ」

星魔法少女の声 「さあ、私と良いことをしよう!」


ワキワキ ジリジリ


母性巫女の声 「あの、ちょ、ちょっと? 手つきが変というかいやらし……」


星魔法少女の声 「さあ、じっとして。なあに、怖くないさ……」


火魔法少女の声 「声を上げるとただじゃおきませんわよ」


母性巫女の声 「そ、そんな。あの、やめてくださ……」


モニュ


母性巫女の声 「きゃんっ」



モニュモニュモニュモニュ 

パインパインパインパイン


星魔法少女の声 「おお、すごいぞ。揉んでも鳴るんだな!」


母性巫女の声 「やっ……ちょっと、強くしちゃ……」


岩魔法少女の声 「大きく揺らすほど音も大きくなるようです」


火魔法少女の声 「ひっぱたいてみましょう」

火魔法少女の声 「それ」


バチィン


母性巫女の声 「きゃあっ!?」


ボワヨン ブルルルッ


火魔法少女の声 「あら、大玉なのも手伝ってすごい音」


岩魔法少女の声 「気のせいでしょうか。ほんの少し声が湿っていやらしくなったような」

岩魔法少女の声 「まさかなにか呪いの効果が」


鋏魔法少女の声 「……ほっぺた、ピンクになりました。叩かれて喜んでるみたい………」


母性巫女の声 「そ、そんなことありません……ッ」


泥魔法少女の声 「ここ、弾くとどうなるの」


母性巫女の声 「は、うぅ……ぁあ、あの、もうやめ……っ」


鋏魔法少女の声 「……えいっ………」


ピシ ピコン クニ


母性巫女の声 「ひゃうぅうっ……!?」


ビクン フルルッ


魔法少女たちの声 「そーれそれそれそれ……!」


モニュ バシ チュウ ピコピコ


母性巫女の声 「きゃあああ!? もういやあぁん……!!」


ボヨン プルルル

フニュフニュ ムニニ


幼女魔王N (……何をしているのかしら、この人たちは)


…………



※おまけ


■謎の狐耳

http://i.imgur.com/902tWac.jpg
(画像はイメージです。実際はもっと男の娘です)


謎の玉座で幼女魔王を見守りながら謎の人々を動かす謎の人。
姿かたち、年齢、性格その他もろもろ以外はすべてが謎に包まれている謎の人物。
レベルはひゃくおくまんくらい。





…………


星魔法少女の声 「ゼエ、ゼエ……」

星魔法少女の声 「ん、ふぅ……」

星魔法少女の声 「最高だな!」


母性巫女の声 「もう、何なんですかいったい……」


火魔法少女の声 「反応がおもしろくて、つい夢中になってしまいましたわね」


岩魔法少女の声 「打てば響くって、まさにこのことですね」


母性巫女の声 「はあ……」


星魔法少女 「よし……」

星魔法少女 「母性巫女!」


母性巫女の声 「は、はい」


星魔法少女 「死ねっ」


キイイイ

ドゴン



幼女魔王N (!! 爆発するような音。何が起きたの!?)





グラグラ グラ


母性巫女の声 「……いきなり何をするんですか!」

母性巫女の声 「危ないでしょう!」


岩魔法少女の声 「しなやかな身のこなし。難なくかわしましたね」


火魔法少女の声 「胸や臀部の肉付きを見るに、戦闘向けの体つきじゃないと思いましたけど」

火魔法少女の声 「英雄に列せられるだけのことはあるようですわね」


母性巫女の声 「そんなことのために……」


星魔法少女の声 「よし……母性巫女!」


母性巫女の声 「……!」


星魔法少女の声 「私たちと一緒に行かないか!」


母性巫女の声 「……どこにですか。場をかえて戦うんだったら、すみませんが行きません」


泥魔法少女の声 「違う。私たちの仲間になってということ」


母性巫女の声 「?」


星魔法少女の声 「すまない。今のは警戒心や身体能力をためさせてもらったんだ」

星魔法少女の声 「素質があるのは直に会ってわかっていたから、必要はないんだけどね!」


母性巫女の声 「素質?」


星魔法少女の声 「ああ! 私たちと同じ魔法少女として、世界を股にかけて戦う素質さ!」




幼女魔王N (勧誘? 魔法少女って、勧誘されてなるものなのかしら)


母性巫女の声 「魔法少女……」

母性巫女の声 「ごめんなさい、ちょっと話についていけないというか……」


泥魔法少女の声 「大丈夫。あなたなら、煩雑な手続きは必要ない」

泥魔法少女の声 「魔法のアイテムを持って変身するだけで、すぐ魔法少女になれる」


岩魔法少女の声 「変身については、しばらくはギルドから支給される魔法のアイテムを使うことになりますが」

岩魔法少女の声 「いずれは、自分ごのみのおしゃれな装いでキメることもできるようになりますよ」


母性巫女の声 「は、はあ……」


火魔法少女の声 「んもう、若いのに何を迷ってらっしゃいますの」

火魔法少女の声 「自信を持ちなさいな。あなたもきっと、立派な魔法少女になれますわよ」


星魔法少女の声 「ああ」

星魔法少女の声 「よろしく、乳魔法少女!」


母性巫女の声 「胸を見ながら言わないでください……」




星魔法少女の声 「ふっふー。まあ待て、私と君の合体技もすでに考えている」

星魔法少女の声 「星と乳の織り成す夜空の合体魔法」

星魔法少女の声 「その名も、ミルキーウェイ!!」


ミルキーウェイッ!!


星魔法少女の声 「まず、私と君が服を脱ぎ……」


母性巫女の声 「わざわざ待たせて何てこと聞かせるんですか!」

母性巫女の声 「もう、あんまり言うと怒りますからね……」


魔法少女たちの声 「了解うぇ~~~いッ」

魔法少女たちの声 「(笑)」


母性巫女の声 「もうっ!!」



幼女魔王N (ミルキーウェイって何かしら)

幼女魔王N (きっとおいしい物ね)




星魔法少女の声 「良いと思うんだがなあ、乳魔法少女」


母性巫女の声 「もう知りません……っ」


鋏魔法少女の声 「お姉ちゃん……ならないんですか………?」


グス


母性巫女の声 「! あ……ご、ごめんなさい。意地悪な言いかたをして……」


鋏魔法少女の声 「私、私……お姉ちゃんなら……」

鋏魔法少女の声 「立派な玩具になると思うのに」


母性巫女の声 「おもっ……」


鋏魔法少女の声 「毎日、もんで遊んであげるのに……」


グス メソメソ


母性巫女の声 「い、いえ、あの、だからですね。私は別に……」


火魔法少女 「うまくやれると思いますわよ」

火魔法少女 「うちはサディスティックなサディストとマゾヒスティックなサディストが多めですので」

火魔法少女 「マゾヒスティックなマゾヒストであるあなたとは、きっと相性がよろしくてよ」


母性巫女の声 「変なもので相性をはからないでください!」


ボヨン




岩魔法少女の声 「では好きな食べ物ではかりましょうか」


母性巫女の声 「いえ、ですからそういうことじゃなくて……」


星魔法少女の声 「好きな食べ物か……」

星魔法少女の声 「魚の目玉だな!」


母性巫女の声 「あら、魚ですか。あまり食べる機会がありませんけど、私は海の魚が……」


星魔法少女の声 「いや、魚の目玉だ」


母性巫女の声 「目玉……」


星魔法少女の声 「ああ」

星魔法少女の声 「そこ以外はもうむしろ大嫌いだ!」


母性巫女の声 「え、ええー……」


星魔法少女の声 「魚の目玉以外のところを食う奴なんざ死んじまえと」

星魔法少女の声 「私はつねづね思っているよ」


母性巫女の声 「……そうですか」


火魔法少女の声 「どうやら、相性ばっちりのようですわね」


岩魔法少女の声 「そうみたいですね」



幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (どこがよ!)





星魔法少女の声 「母性巫女!」


母性巫女の声 「は、はい!」


パルパル


星魔法少女の声 「この世界の空の向こうに広がる途方もなく大きな世界には、まだまだ正義が足りない」

星魔法少女の声 「正義の体現者たる我々、世界を股に駆ける魔法少女の数も、まだまだだ」

星魔法少女の声 「ともに来てくれ、母性巫女。魔王に打ち勝った君の力が必要なんだ!」


母性巫女の声 「あれは、勇者さまをはじめたくさんの人々の力を合わせてなせたことですけど……」

母性巫女の声 「そうですか、私が、必要ですか……」


岩魔法少女の声 「この狭い世界で、あなたはどちらかというと住みにくいのでしょう」


泥魔法少女の声 「たとえ呪いが解けなくても、私たちはその程度で仲間を捨てたりしない」


母性巫女の声 「…………」



幼女魔王N (逃げた方が良いかしら)

幼女魔王N (……無理ね。それに、仇を前にしてへっぴり腰の私なんて、ここで殺されれば良いんだわ)

幼女魔王N (そして、あの世であの子と幸せに暮らすのよ)

幼女魔王N (ぬふふふふ……)




火魔法少女の声 「さあ、私たちと一緒に……」


星魔法少女の声 「悪の魔物どもを根絶やしにしよう!」


母性巫女の声 「…………」

母性巫女の声 「悪の魔物……」


星魔法少女の声 「そうだ」

星魔法少女の声 「魔物だちがいるから、世界から悪がなくならない」

星魔法少女の声 「世界に平和が来ない!」



幼女魔王N (あなたたちが戦いをふっかけるからじゃないかしら)



星魔法少女の声 「さあ、母性巫女! 一緒にいこう!」

星魔法少女の声 「一緒に魔物どもを殺し尽くそう!」

星魔法少女の声 「そしてときどきおっぱい揉ませてほしい」


母性巫女の声 「…………」

母性巫女の声 「……ごめんなさい」




魔法少女たちの声 「!」


星魔法少女の声 「な、なぜだい!?」

星魔法少女の声 「やっぱりおっぱいは嫌なのか!?」


母性巫女の声 「あ、いえ、おっ……胸を揉まれるのは別に嫌じゃないんですけど……」



幼女魔王N (嫌じゃないのかよ)



母性巫女の声 「魔物を根絶やしにするのは、ちょっと……」


魔法少女たちの声 「…………」



ミシッ



幼女魔王N (!!)

幼女魔王N (一気に空気が重たくなった)

幼女魔王N (こ……怖い、苦しい。湿った太いワームにお腹を締め上げられるみたいで吐き気がする……)




火魔法少女の声 「……ちょっと、何だというのかしら」


母性巫女の声 「やりたくないな、って」


泥魔法少女の声 「……どうして」


母性巫女の声 「魔王との戦いで、気が抜けてしまって」


岩魔法少女の声 「燃え尽きシンドロームということですか」


母性巫女の声 「いえ……」


星魔法少女の声 「では何だと言うんだい」


母性巫女の声 「……あの魔王の軍勢との戦いで、私たち人間側は一丸となって戦った」

母性巫女の声 「というわけではありませんでした」




母性巫女の声 「それまで、いくつもの国にわかれて殺し合っていた人々が」

母性巫女の声 「何の遺恨もなく手と手を取り合うのは無理だったのです」

母性巫女の声 「魔王の軍勢の力を自分たちのものにして、魔王なきあとの世界の覇権争いに備えたり」

母性巫女の声 「魔王軍との戦いを隠れ蓑に、他国の要人を亡き者にしたり……」


火魔法少女の声 「どこの世界にもいるものですわ、そのように腐ってしまった者は」


岩魔法少女の声 「ええ、それもこれも、すべて魔物のせいです」


母性巫女の声 「ある戦いのあと、私の殺した魔物にその魔物の子供が寄ってきて」

母性巫女の声 「何度も額を摺り寄せ、起きないことに戸惑って悲しそうに鳴くのを見て」

母性巫女の声 「よく……分からなくなりました」



幼女魔王N (…………)




星魔法少女の声 「それはしかたない」

星魔法少女の声 「信念を貫くとはつまり、その信念を頂かないものにとっては冷酷なんだ」


母性巫女の声 「…………」


星魔法少女の声 「しかし、君はあちら側……その信念を頂かないものの側ではないだろう」

星魔法少女の声 「もし君があちら側の立場でものを考えるようになってしまったら」

星魔法少女の声 「それまでの君の歩みと、君に触れた人々を裏切ることだ」

星魔法少女の声 「それを知っていたから、君は最後まで戦い抜いたのではないかな」


母性巫女の声 「…………」


星魔法少女の声 「誇りたまえ。君は悩みながらも、君を貫いたんだ!」


母性巫女の声 「…………そうですね」




幼女魔王N (……自分を貫く)

幼女魔王N (私は、貫き通すような自分ってあったかしら)

幼女魔王N (気が付けばふらふら旅をしてて、いつの間にか一城の主になって……)



母性巫女の声 「…………」


星魔法少女の声 「……ふむ」

星魔法少女の声 「魔王軍との戦いで負った心の傷は、目に見えない深いところから癒えていないようだね」

星魔法少女の声 「新米の魔法少女でもよくあることだ。初めて魔物を殺したあとなんかにね」


岩魔法少女の声 「本来はしっかりとケアをしなきゃいけないんですけど」


火魔法少女の声 「あのババアをはじめ騎士団のかたがた、それを怠ってこんな風にするなんて」

火魔法少女の声 「まことに遺憾ですわ。早期の抜本的改革をのぞみますわ」


星魔法少女の声 「こらこら、あのクソババアたちのことをそう悪く言うんじゃない」

星魔法少女の声 「弱者は強者をおそれ疎むものだ」

星魔法少女の声 「そんな哀れな弱者を守ってやってこそ、正義の魔法少女だぞ」




星魔法少女の声 「……まあ、今すぐならなければ死ぬというわけでもない」

星魔法少女の声 「そもそも、今日は挨拶程度のつもりだったんだ」

星魔法少女の声 「思わず先走ってしまった。反省だ」


火魔法少女の声 「ええ。思えば、あの弾力と反応に狂ってしまっていた気がしますわね」


鋏魔法少女の声 「……うふふ。弱点、全部わかっちゃいました………」


ムニ ピコ


母性巫女の声 「ぁん……っ!? そ、そんな急にやめ……んっ!」


ホワン フモ


星魔法少女の声 「素晴らしい」

星魔法少女の声 「そういうわけで、今日はこのへんで失礼するよ。ギルドの仕事もあるのでね」

星魔法少女の声 「泥魔法少女!」


泥魔法少女の声 「……これ、私たちからお近づきのしるし」


ズン


母性巫女の声 「あ、ありがとうございます」

母性巫女の声 「これはいったい……」


星魔法少女の声 「魔動画というものさ」




星魔法少女の声 「ああ、これを受け取ったからうちに入れとか」

星魔法少女の声 「そういうのぜったいないから。全然、まったく、これっぽっちもないから」


母性巫女の声 「そ、そうですか」


火魔法少女の声 「もともと壊れた中古品ですしね」


泥魔法少女の声 「妹の波魔法少女が一晩でなおしてくれた」


鋏魔法少女の声 「……裏魔法コードを入れると、すごいものも見れます………」


母性巫女の声 「……は、はい」



幼女魔王N (あのボソボソ声の魔法少女らしき声、どこか私に近いものを感じるわね)



星魔法少女の声 「それでは、ごきげんよう。また来るよ」

星魔法少女の声 「アディオス、びっくりおっぱい!」

星魔法少女の声 「ラララー、びっくりおっぱーーーい!」



ダダダダダ


母性巫女の声 「大声で言いながら行かないでください!」


星魔法少女の声 「はーーーはっはっは!」


魔法少女たちの声 「ほほほほほほほほほ!」


ラララー

ダダダダダダダダ



ガチャ


母性巫女の声 「……はあ」

母性巫女の声 「何だか、すごい人たちだった……」



幼女魔王N 「…………」




キイ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「あら」

母性巫女 「ごめんなさい、長引いてしまって」


幼女魔王N 「う、ううん」

幼女魔王N 「あの、それ……」


魔動画


母性巫女 「ああ、この大きな箱、さっきの人たちからいただいたものです」

母性巫女 「魔動画というものだそうですけど……」

母性巫女 「うふふ、どう使うんでしょうね」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……私、わかる……かも」




母性巫女 「ええっ?」


幼女魔王N 「た、たぶん……だけど」


母性巫女 「じゃあ、お願いしましょうか」


幼女魔王N 「う、うん、それじゃあ……」

幼女魔王N (うちの城のより旧型みたいだけど、そんなに違う感じじゃないから大丈夫よね)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……何か、背中にすごいワクワクを感じる)

幼女魔王N 「つ、つけるわね」


母性巫女 「はい」


幼女魔王 「…………」


カコ カコカコ カコン


魔動画 『…………』


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………?」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「こ、こっちだったかな……」


カチャコ バチン

ブゥン

ジ ジジジ ジジ


魔動画 『……ガガ……第三大……世界……こちら……』

魔動画 『第三大世界……ザザ…蒸気局……』


母性巫女 「……!」

母性巫女 「まあ、箱に絵が、音まで……」


幼女魔王 (よかった、うつった……)




魔動画 『この……ビガッ……ところ、問題となっている、ジジッ……交差魔電波障害について……ザザーッ、ザッ』


幼女魔王 (前より魔電波の乱れがひどくなってる……)

幼女魔王 (第三大世界。この世界、私の小世界と同じ大世界にあるのね……)


母性巫女 「すごいですね、N! こんなものを動かせるなんて」


幼女魔王N 「……え、えへへ」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「う、うーん。でも、ちょっとこれ、調子が悪いかなあ」


母性巫女 「そうなんですか?」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N 「本当は、もっときれいに絵もうつるし、音もきこえるんだけど」

幼女魔王N 「うーん、ここかしら……」


トントン ペシペシ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (ふふふ。でたらめに魔動画を叩いているだけなのに)

幼女魔王N (尊敬の目で私を見ているわ)

幼女魔王N 「……うーん、私もまあプロってわけじゃないからはっきりとは言えないけれど」

幼女魔王N 「オールト帯のムェロンα波とシーロ=ユエル第六波動の感応がよろしくないみたいね」

幼女魔王N 「スーパーカモガンテ回路……部品がひとつあれば、何とかなるかもしれないけど」

幼女魔王N 「まあ、この世界では手に入らないでしょうね」


母性巫女 「すごい……!」

母性巫女 「N、物知りなんですね!」


幼女魔王N 「え、えへへへへ……」

幼女魔王N (ああ、嘘が膨らんでいく……)




魔動画 『むふふー。ここで万聖節の白樫のドングリを投入して、さらに五分ほど地獄の炎で熱します』


母性巫女 「綺麗にうつるようになりましたね」


幼女魔王N 「ど、どうやら、魔電波が安定したようね」


母性巫女 「そうなんですか……」

母性巫女 「知りませんでした。こんなアイテムがあるなんて」


幼女魔王N 「あ、あのね、これにペニステ……他のアイテムをつないでゲームもできるのよ」


母性巫女 「ゲーム?」

母性巫女 「ボードゲームや、カードゲームですか?」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N 「でも、もっとすごいのもできる」


母性巫女 「まあ……」


幼女魔王N 「自分の分身を操作してすごく綺麗な世界を冒険したり、重力を操って空を飛んだり、おしおきしたり」

幼女魔王N 「遠くの人とも遊べて、まるで本当にその世界に住んでいるような……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「うーん……ふふふ、なんだか想像できません」


幼女魔王N 「と、とにかくすごいの」


母性巫女 「ええ。Nが言うなら、きっとそうですね」


幼女魔王N 「う、うん」


魔動画 『魔法少女連続失踪事件について新たな……』


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


魔動画 『こちら、星天観測所……』


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あ、あのね」

幼女魔王N 「本当にすごいのよ?」


母性巫女 「そうですね」




魔動画 『こちら、星天観測所。第……大世界より、愛をこめて……』


母性巫女 「不思議な音……」


幼女魔王N 「う、うん……っ」

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (この人のそばにいると、そわそわしてしまう)

幼女魔王N (いつも人前に出ると緊張でそわそわしてしまうけど、それとはどうも違うわ)

幼女魔王N (なんか会ったばかりなのに安心できるし……何なのかしら)


母性巫女 「……さて、カップを洗ってしまわなくちゃ」

母性巫女 「うふふ。これがあれば、もう他のアイテムは鳴らさなくて良いですね」


スク

ト ト ト ト

ポヨン ポヨン ポヨ ポヨ


幼女魔王N 「わ、私も手伝う……」


トトトト


魔動画 『こちら、星天観測所』

魔動画 『遠い世界のお友達へ、ここは今日も星が綺麗です』

魔動画 『遠い世界のお友達。いつか返事を聞かせてね』

魔動画 『星天観測所より、愛をこめて』

魔動画 『こちら、星天観測所』

魔動画 『こちら、星天観測所……』



…………



…………



見えない精霊の世界 どこかの聖堂



壊れたガーゴイル 『ガガ、今こそ集いたまえ、人の子……魔王、復活の……ガガ』

壊れたガーゴイル 『ガガ……ここは、南の聖堂。英雄、南の聖女の住まう……ガガ……巡礼のかたは……ガピー』


メラメラ パチパチ


群体触手 「ゴポゴポ」


グジュル グジュル ボコ ボコ


南の聖女 「うあぁ、あ゛……!! あう゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛!」


真幼女魔王 「……だからね、私は教えて欲しいの」

真幼女魔王 「聖域の森というのは、どうやって行けば良いの?」


南の聖女 「ぐぅ……」

南の聖女 「い、嫌です……ッ!!」


真幼女魔王 「そんなこと言わずに教えてちょうだい」


螺旋触手 「グジュルル」


グリュルリュリュ ボゴン ボゴ


南の聖女 「!?!?」

南の聖女 「い゛ぎゅいぃいいぃいぃい゛!?」

南の聖女 「いやあああ!! 私のお腹ぁあああぁあぁあああッッ!!?」




真幼女魔王 「…………」


パキィン


螺旋触手 「…………」


グリュリュリュリュ グリュ

ヌリュ……


南の聖女 「ッッ……はぁ……ッッ! ぁう……」


真幼女魔王 「ね? 言葉も触手も、お腹の中に溜め込むときついでしょう。お腹がボコォってなって」

真幼女魔王 「……ああ、うちの子たちは相手にも気持ちよくなってもらいたい紳士だから」

真幼女魔王 「そうでもないのかしら。耳まで真っピンクにしてとろけた目をしているし」


南の聖女 「……だ、誰が。これはこの魔物たちの………っ!!」


真幼女魔王 「そうね、どうでも良いわね」

真幼女魔王 「早く教えてくださいな。聖域の森はどこにあるの。そこで待ち合わせしているのよ」

真幼女魔王 「あなたが教えてくれないと、私、すごく困ってしまうの」

真幼女魔王 「他の子たち、腹を割って話そうにもお腹が破けちゃったりパーになっちゃったり……」



無尽卵触手 「ポコ……ポコポコポコポコ」


割腹少女司祭 「…………」


ビクン 

ボト ボトト 


振動触手 「ヴヴィイイイイ……」


眼鏡女賢者 「ばべぇっッ……! げへぇ……えべへへへへへぇえ……っ」

眼鏡女賢者 「じょくじゅぅう……まひゃイッひぇゆぅ……んぇっ、えへへへへへへええ……」


ガクン ガクガク ビクンッ



南の聖女 「……うぅっ」

南の聖女 「どうして、こんな………」





真幼女魔王 「ね、お願い、聖女さま」

真幼女魔王 「どう行けば良いのか教えて」


南の聖女 「……お、教えることはありません」

南の聖女 「あなたのような、邪悪なものになど、絶対に……!」


真幼女魔王 「まあ、ひどいわ。しくしくと傷つくわ、私」


南の聖女 「あの子たちは、教えると言ったでしょう!」

南の聖女 「それを、あんな無惨な……!!」


真幼女魔王 「? 何を言っているの」

真幼女魔王 「当たり前でしょう」

真幼女魔王 「あの子たち、嘘つきだもの」


南の聖女 「まだ話す前でした!」

南の聖女 「あの子たちが涙を流して、教えると言ったのに」

南の聖女 「あなたはその話の内容を聞こうともしなかった!」


真幼女魔王 「?」

真幼女魔王 「ほら、やっぱり嘘つきじゃない」


南の聖女 「……ッッ?」




真幼女魔王 「あの人たちは聖職者でしょう」

真幼女魔王 「私のようなものの甘い質問に、こたえてはいけないものでしょう」

真幼女魔王 「戦うべきでしょう」

真幼女魔王 「でも、こたえようとした」


南の聖女 「それは、あなたが……!」


真幼女魔王 「あの人たちは、自分の役割に嘘をついた」


南の聖女 「…………ッ」


真幼女魔王 「ある人が、世界は舞台だと言ったわ」

真幼女魔王 「私たちはそこで、自分を演じては去っていく役者だとも」

真幼女魔王 「自分の役割を曲げてまで舞台に残ろうとする人は、去ってもらわなくてはね」

真幼女魔王 「……それに私、嘘つきって嫌いなの」




真幼女魔王 「デウスエクスマキナだったかしら」

真幼女魔王 「彼女たちにとって、ゴンドラに乗った神様は私だったということね」

真幼女魔王 「素敵。反吐が出そう」


南の聖女 「……そんな風に、命を弄ぶなんて」


真幼女魔王 「こたえなかった人は殺さなかったでしょう。お腹、破らなかったでしょう」

真幼女魔王 「クルクルパーになっちゃったけれど」


南の聖女 「……許せない。許せない……」


真幼女魔王 「我ながら、難儀だわ」

真幼女魔王 「道は教えて欲しいのよ」

真幼女魔王 「でも、ほら、いま言った通り、あなたたちがもし私に教えてくれたりしたら」

真幼女魔王 「私はあなたたちを殺さなくちゃいけないの」

真幼女魔王 「それが、私の中のルールなのだから」




ガラッ

ダダダダ


??? 「…………!」


真幼女魔王 「?」


??? 「……聖女さまをいじめるな!」

幼信徒 「わるい魔王!」


真幼女魔王 「あら……」


南の聖女 「だ、だめ、出てきては……!」


幼信徒 「てやああああ……!」


ヒュルル

バシュ


幼信徒 「うがっ!?」

幼信徒 「!? !?」

幼信徒 「ま、魔法……ッ? どこから……」


??? 「…………」

幼女魔王A 「やったあ。当たったわ」




幼信徒 「そ、そんな……」

幼信徒 「魔王が二人……」


ゴギュ ブチ


幼信徒の頭 「…………」

幼信徒の頭 「…………?」


幼女魔王B 「…………」

幼女魔王B 「やったあ。私も当たったわ」

幼女魔王B 「必殺、頭もぎとり拳」


南の聖女 「あ、ああ、うそ、うそ、幼信徒……」


真幼女魔王 「おかえりなさい、私たち」


幼女魔王A・B 「ただいま、私」


真幼女魔王 「どうだった?」


幼女魔王C 「駄目だったわ。みんな恥ずかしくて誰にも尋ねられなかった」

幼女魔王C 「ところで、ただいま」


真幼女魔王 「おかえりなさい」

真幼女魔王 「まったく、駄目な私ね」


幼女魔王A 「だめだめね」


幼女魔王B 「しかたないことよね」




幼女魔王D 「ただいま」


幼女魔王たち 「おかえりなさい」


幼女魔王D 「ダメだったわ」


真幼女魔王 「まだ尋ねていないわよ、私」


幼女魔王D 「ごめんなさい、私」


真幼女魔王 「参ったわね」

真幼女魔王 「出口を間違えてしまうなんて」


幼女魔王B 「その通りね」


真幼女魔王 「格好つけて先に行くとか言ったのに」

真幼女魔王 「これじゃあ棺持ちさんに笑われてしまうわ」


幼女魔王E 「いまは棺持ちじゃないわ」

幼女魔王E 「淫魔幼女よ」


真幼女魔王 「そうだったわね」




南の聖女 「許さない……!」


幼女魔王たち 「…………」


南の聖女 「ぜったいに許しません、魔王の残党!」


幼女魔王A 「残党ですって」


幼女魔王C 「失礼ね、残り物あつかいなんて」


南の聖女 「私の命にかえてでも、あなたたちを滅してみせる!」

南の聖女 「神よ、どうか私の怒りをおゆるしください…………!」


キイイイ

キイイイ


幼女魔王たち 「えいっ」


触手たち 「グジュルルルルルルルル」


ドヂュン


南の聖女 「うぶぉえ゛ッッ!?」


ヌジュ ズルルル グチョ グチョ

ドリュリュ ボコ ベロベロ ジュルルルル

モコッ モコッ ゴチュン ゴチュン


南の聖女 「ぞんな゛っ、ごんな゛数……ッッ!? ッッ……ッ!」

南の聖女 「駄め゛っ、集ぢゅうッ……神、よ、かみ゛……神よぉ……ぁぉ゛ッ!? ォオオォ゛、オ゛ッ」

南の聖女 「ぉおおぉぉぉおお゛………!」




真幼女魔王 「良いわ。どうせ、遅くなったら向こうから探してくれるわ」

真幼女魔王 「触手は残したまま影に戻って、私たち」


幼女魔王たち 「わかったわ、私」


ズズズズズ


真幼女魔王 「……ふう」

真幼女魔王 「さて」


グジュ グジュ ブシャ グジュルルル


南の聖女 「ぉえ゛……ごお゛っ……負け゛、なぃ……!」


真幼女魔王 「…………」


淫針触手たち 「ギュララ」


ドス トス トス トス


南の聖女 「ひゅごっ!?」

南の聖女 「ぶごっ? 何、ご……ぉおおお……ぉ……ッ。……ッ」


真幼女魔王 「教えてくれる気になったかしら、聖域の森へはどう行ったら良いのか」

真幼女魔王 「教えてくれる気になったら殺すけれど、教えてくださいな」

真幼女魔王 「教えてくれる気にならないなら、なるまでたくさん拷問するわ。そして苗床にしてあげる」

真幼女魔王 「頑張ってね」


触手たち 「ジュルジュルジュル……」


南の聖女 「ぃ、ひゃぇ、嫌ぁ……」

南の聖女 「……誰が……だひゅげ……ぇ……」



…………



…………



聖域の森 母性巫女の小屋



シュ シュシュ カタカタ

ピフゥーーッ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (明日出ていこう、明日出ていこうと思いながら)

幼女魔王N (はや数日)


魔動画 『大世界の船窓から』

魔動画 『今日は魔貴族界、青の山岳地方を飛ぶ飛行船の……』


幼女魔王N 「……ケホッ」

幼女魔王N (風邪ひいた……)




ガチャ キイイ


母性巫女 「……起きてますか?」

母性巫女 「おいしい飲み物、持ってきましたよー……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……あ、起きているじゃないですか」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「喉かわいていませんか。栄養のつく美味しいジュースですよ」


幼女魔王N 「……い、いらない」


プイ


幼女魔王N (なるべく顔を見ないようにしましょう)

幼女魔王N (でないと、また甘えたくなってしまうわ)


母性巫女 「そ、そうですか……」


幼女魔王N (何て声だすのよ。ショックを受けながらも貴女に笑顔をつくるのが目に浮かぶよう)

幼女魔王N (い、いいえ、聞いてないわよ。聞こえない、聞こえない……)




幼女魔王N 「も、もうそっとしておいて」

幼女魔王N 「私、このまま死んでいくの。死んでしまいたいのっ!」

幼女魔王N 「ケホッ……」


母性巫女 「またそんなこと言って」

母性巫女 「長旅の疲れが出てきただけですよ」

母性巫女 「しっかり休んで栄養をとれば、元気になります」


幼女魔王N 「いいの! なりたくないの!」

幼女魔王N 「私、死ぬの! 死ななきゃだめなの!」


ガバ モフフ


母性巫女 「ああっ、もう、また毛布を頭からかぶって!」

母性巫女 「出てきてください。無理やり飲ませちゃいますよ」


幼女魔王N 「いいもん。そしたらそれを喉に詰まらせて溺れ死んでやるもん」


母性巫女 「そんな……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (ぬぉぉおおおおおおあああ!!)




幼女魔王N (何を言っているのよ。何をしているのよ私は)

幼女魔王N (人の家の、人のベッドの上で、バカみたいな我がまま言って)

幼女魔王N (…………そうよ)

幼女魔王N (我がままよ)

幼女魔王N (母性巫女、私の言葉はけっこうふわふわ受け流すくせに)

幼女魔王N (それでも、私のことは受け止めるんだもの)

幼女魔王N (私が悪いことを言ったら怒るくせに、私がお腹を出して寝ていたら毛布をかけてくれるんだもの)

幼女魔王N (だから、ついつい私ももっと我がままになって……)


母性巫女 「……あの、N。お願いだから出てきてください」


幼女魔王N (……信用できていないんだわ、私)

幼女魔王N (だって、私、そんな価値ないもの。ひどいこと言われてまで一緒にいる価値のあるものじゃあないもの)

幼女魔王N (この人だって、他の人よりちょっと優しいってだけで、いつかは私に愛想を尽かすんだわ)

幼女魔王N (私の悪いところをいっぱい知ったら、嫌になって離れていくのよ)

幼女魔王N (そのときが来ることにびくびくしながら暮らすのが嫌だから、私、いまのうちにどんどん我がままを言っているのね)

幼女魔王N (長く一緒にいるほど、嫌われたときが辛いもの)

幼女魔王N (きっとそうよ……)




母性巫女 「何があったんですか」

母性巫女 「そんなに死にたいなんて言って」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あ」

幼女魔王N 「あなたには、関係ない、もん……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………あ」

幼女魔王N (私、何てことを! 関係ないなんて)


バサ


幼女魔王N 「あ、あのね、今のはね……ご、ごめ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (何を謝ろうとしてるのよ、私。これで良いのよ。嫌なこと言って嫌われて追い出されて、そんでもって……)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あ……あわわわ……」

幼女魔王N (だ、駄目だわ。混乱して頭ぐるぐるする。わたし、何を言っているのかしら。何を言えば良いのかしら)

幼女魔王N (何を言いたいのかしら)

幼女魔王N (あたま、真っ白……)


母性巫女 「……ジュース」


ボヨンヨーン


幼女魔王N 「ひっ……」


母性巫女 「飲んでください」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……はい」




…………


チィチィ チチチチ


幼女魔王N 「…………」


コク コク コク


幼女魔王N 「……ぷへぇッ」

幼女魔王N 「………ジュース、おいち」

幼女魔王N 「…………」


チイ チイ ピチチチ

サワサワサワ ザザザ


幼女魔王N (……のどかな森。モンスターもおとなしいし)

幼女魔王N (私の世界にもお城のそば、野原を挟んで森があったけど、思えば見向きもしなかったわ)

幼女魔王N (……窓の風の香りを吸い込むと、熱がひいていくよう。胸の内側が爽やかに冷たい)




魔動画 『お笑いオークオークション!』

魔動画 『多くのオークファンのみなさまこんにちは。わたくし、司会の女騎士以外みんなオークでお送りします』


幼女魔王N 「あはははは」

幼女魔王N 「……はあ」

幼女魔王N 「…………」


チチチチチ クルックー


幼女魔王N (……大事な人がいなくなったのに)

幼女魔王N (おいしいものを口にするとちゃんとおいしいし、面白いものを見ると面白い)

幼女魔王N (私って、薄情な魔王だったのね)

幼女魔王N 「これじゃあボッチなのは当然だわ」




幼女魔王N 「…………」


サシャ トン

トテトテトテ

ガチャ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「?」

母性巫女 「あら……」


幼女魔王N 「ご、ごちそうさま。あの、コップ……」


母性巫女 「はい。でも、無理して持ってこなくて良いんですよ」

母性巫女 「今はしっかり休まなきゃ」


幼女魔王N 「だ、大丈夫。けっこう、元気になったから」

幼女魔王N 「あ、あの……」


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「ちょっと、外の風に当たってくる……」


母性巫女 「まあ。でも……」


幼女魔王N 「すぐそこだから。体かたまっちゃってて背伸びするだけだから」

幼女魔王N 「あと軒先でバケツとか持って佇んでるだけだから」


母性巫女 「バケツ……?」


幼女魔王N 「じゃ、じゃあ」


トテトテトテ


母性巫女 「は、はあ」

母性巫女 「……いってらっしゃい」


幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「い、いってきます」


ガチャ

キイイ




聖域の森 母性巫女の小屋前



ザザア ソヨソヨソヨ カサササ 


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「いってらっしゃい」

幼女魔王N 「いってきます」

幼女魔王N 「……だって」

幼女魔王N 「うふふふ」


チチチ バササ ガサガサ ザザア


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (やめよ)

幼女魔王N (あの人が私から離れていくときが辛くなるだけだわ)


ガササ

ズル ズル……


幼女魔王N 「……ん?」

幼女魔王N (向こうの下草が揺れている)

幼女魔王N (それに、変な音。何かを引きずっているのかしら)


ズル ズル

ガサササ ガサ


??? 「…………」

血涙幼女? 「……キキ」


ズル ズル


幼女魔王N 「!! あれは……」

幼女魔王N (……何だったかしら)

幼女魔王n (どこかで見たような気がするんだけど……)





血涙幼女? 「…………」


ズル ズル ガサ


幼女魔王N (何かを引きずっている。重たそう)

幼女魔王N (下草に隠れて見えないけれど……)


ズル ガサ ズルル ガササ


幼女魔王N (あ、出てく……)


ズルル ガササササ

ガサ



鋏魔法少女の死体? 「…………」



幼女魔王N 「……ッ!!」




血涙幼女? 「……キキ、キッ……」


鋏魔法少女の死体? 「…………」


ズル ズル ズルル



幼女魔王N (たっぷりした袖の服を着た小さな女の子? ……が、女の子の死体を引きずってる)

幼女魔王N 「な、何なの、あれ。あそこだけ粘ついた夜の滓が残っているみたい」



ズル ズルル ズル


血涙幼女? 「…………」

血涙幼女? 「………」


クルリ


幼女魔王N 「……!」


血涙幼女? 「…………」


幼女魔王N (目があった。……目は前髪に隠れて見えないけど)


血涙幼女? 「…………」

血涙幼女? 「キキキ」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (来る。こ、殺される!)

幼女魔王N 「……ひ」

幼女魔王N 「ひえーー!」


ダダダダダダ

ガチャ ギイイ

バタン




母性巫女の小屋



キュ キュ ゴシ ゴシ

キュ キュ ゴシ ゴシ


母性巫女 「ンーンンー……アックァボーン、アックァボーン……」


バタンッ


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「ハア、ハア、ハア、ハアッ……!」


母性巫女 「お、おかえりなさい」

母性巫女 「どうしたんですか、息を切らして」


幼女魔王N 「!!」


ダダダダダ


母性巫女 「あっ、ちょっと」




幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……いる。窓の向こう)



血涙幼女? 『…………』



幼女魔王N (こ、こっちをじっと見てる……)


母性巫女 「どうしたんですか。帰ってくるなり窓に鼻をくっつけて」


ミニュ プルン


幼女魔王N 「ぴーやっ!?」

幼女魔王N 「………っ」


カラ シャッ


母性巫女 「ど、どうしたんですか本当に。いきなりカーテンを閉めて」

母性巫女 「外に何かあるんですか?」


サ……


幼女魔王N 「開けちゃだめ!!」


母性巫女 「きゃっ」


ブルン


幼女魔王N 「………い」

幼女魔王N 「いるの! いるのッッ!」


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「窓の外、赤い血の滴る青白いマツザカ牛が!」

幼女魔王N 「黄色いタカの死体を引きずって勝利の空へ!」


母性巫女 「???」




母性巫女 「……あの」

母性巫女 「牛にでも襲われたんですか?」

母性巫女 「このあたりに牛なんていたかしら……」


幼女魔王N 「違う! 何を聞いていたの!」

幼女魔王N 「牛なんていないわよ!」

幼女魔王N 「耳垢の母乳がチーズにでもなっちゃったの!?」


母性巫女 「え、ええー……」

母性巫女 「え?」


幼女魔王N 「だからいるの! 窓の外からこっちを見てるの!」

幼女魔王N 「いるの! いるの! いるのったら、いるのったら、いるのったら」

幼女魔王N 「いるのったらいるのったらいるのったらいるのったらいるのったら……!!」

幼女魔王N 「いー」

幼女魔王N 「るー」

幼女魔王N 「のぅおおおおおーぉおおおおおおーおお!!!?」


ジタバタジタバタ

ダムダムダムダム


母性巫女 「わ、わかりましたからそんな地団駄……」

母性巫女 「あっ、晩ご飯はシチューにしましょうか」


幼女魔王N 「じゃがいも大きめがいいな!」


母性巫女 「はいはい」


クリスマスイブが来るころにはきっと完結させて、
死ぬほど三國無双7empiresやるんだ……



幼女魔王N 「あ、あの、今日は私もお手伝いする」

幼女魔王N 「私、料理はできるから!」


母性巫女 「あら……。それじゃあ、一緒にやりましょうか」


幼女魔王N 「! 一緒……」

幼女魔王N 「う、うん……!」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「N、すごいですね。魔動画……? をなおせる上に料理もできて」


幼女魔王N 「え、えへへ……」


母性巫女 「あ」

母性巫女 「それで、外に何がいるんですか」


ピラ


幼女魔王N 「ああっ、だめ外を見ちゃ……!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「あ、あの……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……うーん」

母性巫女 「何も変なものは見えませんよ」


幼女魔王N 「え……」

幼女魔王N 「そんなはず!」


ピラ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……いなくなってる)




幼女魔王N 「……あ、あのね」

幼女魔王N 「本当にいたの。とても不気味な人形のような女の子が」

幼女魔王N 「別の女の子の死体を運んでいたの!」


母性巫女 「ええっ……」


幼女魔王N 「本当よ! 嘘じゃない!」


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 「でも、やっぱり自分の目で見ないことには」

母性巫女 「とても信じられない光景だもの」


幼女魔王N (嘘つきと思われたらこの人に嫌われる!)

幼女魔王N 「う、嘘じゃないの。本当なの」

幼女魔王N (いやだ。この人に捨てられるのいやだ。怖い、怖い)

幼女魔王N 「あ、あのね、あの……本当だから、嘘じゃないから、嘘じゃなくてね……」

幼女魔王N 「……う。うぅー………」


母性巫女 「わ、分かりました。信じますから落ち着いて……」




母性巫女 「とにかく、もういなくなっているみたいですね」


幼女魔王N 「……うん。い、いや、隠れてこの小屋を見ているかも」

幼女魔王N 「木はたくさんあるもの」


母性巫女 「うーん。ここからだと分かりにくい……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……本当に、嘘じゃないからね?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「戸締りをきちんとして、ひとりで外に出ないようにしないといけませんね」

母性巫女 「ああ、騎士団の人にも知らせておかないと」


幼女魔王N 「うん……」


母性巫女 「それじゃ、私は少しこのあたりを見てきます」


幼女魔王N 「う……え?」




幼女魔王N 「な、何を言ってるのよ」

幼女魔王N 「外は危ないって言ったばかりじゃない」


母性巫女 「でも、ちゃんと確認しないと」

母性巫女 「放っておいたら、悪いことが起こるかもしれません」


幼女魔王N 「う……」


母性巫女 「あなたはしっかり戸締りして、ここにいるんですよ」


幼女魔王N 「うぅ…………」


母性巫女 「大丈夫。すぐに帰ってきますから」


ポム


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N (頭を撫でられた……)

幼女魔王N 「う……」

幼女魔王N 「うん」


母性巫女 「それじゃ、行ってきますね」


ガチャ


母性巫女 「……帰ってきたら、一緒にシチューとサラダを作りましょうね………」


幼女魔王N 「ちょ、それ」


パタム




…………



森の町 外れ



見回り新米戦士 「あの地震があった日から、森の様子がどこか変なのです」

見回り新米戦士 「どこも変わっていないようなのですが、精霊さまたちがどこかよそよそしいような」


見回り中級戦士 「未熟な頃にはよくあることだ。精霊さまとの感応が鈍るときがある」

見回り中級戦士 「昼間は分かりにくいだろうが、夜に星の位置を確認しておけば、それは予見できる」

見回り中級戦士 「また、もしものときに備え、普通の武器も携帯しておくことだ」



ホー ホー





森の町 外れ 魔法少女詰所



ホー ホー

ダダダダダ バタン



下級魔法少女 「た、大変です!」


岩魔法少女 「何ですか、静かな夜に騒々しい。しかもノックもなしに」


火魔法少女 「そのようなはしたない振る舞い、星魔法少女隊としての自覚が足りないのではなくて」


下級魔法少女 「す、すみません」


星魔法少女 「まあ良いさ。こんなに澄んだ夜、靴音を響かせて踊りたくなる気持ちもわかる」


火魔法少女 「星魔法少女さま、なんと心のひろい……」


岩魔法少女 「隊長の慈悲に感謝なさい」


鋏魔法少女? 「……それで、何のごようでしょうか………?」


下級魔法少女 「は、はい」

下級魔法少女 「あの、これをお届けに……」



波魔法少女の報告書



鋏魔法少女? 「…………」




鋏魔法少女? 「…………」


下級魔法少女 「あ、あの……」


星魔法少女 「ご苦労。部屋に戻って休んでくれたまえ」

星魔法少女 「礼は後日しっかりとさせていただくよ」

星魔法少女 「と言っても、この世界に滞在中のランチが一品増える程度だけどね!」


下級魔法少女 「は、はい。ありがとうございます」

下級魔法少女 「では、失礼いたします……」


岩魔法少女 「ごきげんよう」


火魔法少女 「くれぐれも、夜更かしはいたしませんようにね」


キイ ガチャ


鋏魔法少女? 「…………」


星魔法少女 「……では、はさみ、頼むよ」


鋏魔法少女? 「……はい………」


スチャ ギラリ



鋏魔法少女? は 偽裁ちバサミ を装備した




鋏魔法少女 「偽物をたて、偽裁ちバサミ」


ジョキン


鋏魔法少女 「…………」



波魔法少女の報告書



鋏魔法少女 「……たてない………」

鋏魔法少女 「……これ、本物の報告書です………」


泥魔法少女 「……定期報告はまだ先のはず」


火魔法少女 「もしかしたら、吉報かもしれませんわよ」


岩魔法少女 「成果が出たのでしょうか」

岩魔法少女 「あと300日はかかるとのことでしたが」


泥魔法少女 「だとしたら嬉しい」


星魔法少女 「かわいい妹だものな!」


泥魔法少女 「そ……そんなのじゃ、ない。ギルドのため」


火魔法少女 「あらあら。うふふ……」




鋏魔法少女? 「……どうぞ………」


星魔法少女 「うん。どれどれ……」


カサ


星魔法少女 「…………」

星魔法少女 「…………」

星魔法少女 「…………泥」


泥魔法少女 「? はい」


星魔法少女 「何ということだ」

星魔法少女 「……波魔法少女が死んだ」


泥魔法少女 「…………!!?」




ガタッ


鋏魔法少女? 「……まさか………」


岩魔法少女 「どういうことです!」


泥魔法少女 「波魔法少女。そんな。そんな……っ」


星魔法少女 「落ち着きたまえ、冷静な泥。我々の死は、一般的な死亡だけではない」

星魔法少女 「敵の手に落ちるなどして活動が不可能、復帰の見通しがたたなくなった場合も」

星魔法少女 「死んだものとして扱う」

星魔法少女 「人質として利用されてしまったり、洗脳され敵の手駒とされたとき、仲間が迷わないように」

星魔法少女 「……死んだとされていた魔法少女が復帰したという例も、ないわけじゃあない」


泥魔法少女 「はい……」


星魔法少女 「血を分けた妹のことだ。動揺してしまうのは分かるけれどね」

星魔法少女 「……例の小世界、地下庭園の研究所が魔法少女を名乗る敵に攻め込まれた」

星魔法少女 「その折に、戦死したようだ」




火魔法少女 「魔法少女。界架の者たちかしら」


星魔法少女 「……違うようだ」


岩魔法少女 「野良ということですか」


泥魔法少女 「……あそこは私とあの子の魔法で、出口のない迷路になっている」

泥魔法少女 「野良魔法少女が自由に歩き回れるとは思えない」


火魔法少女 「波魔法少女も上級魔法少女」

火魔法少女 「そしてあの魔法の迷宮にあっては、魔王級の敵とも渡りあえるはず」


岩魔法少女 「では、いったいあそこで何が」

岩魔法少女 「……もしかして、ここ最近の魔法少女の失踪と関係があるのでしょうか」


星魔法少女 「血の涙を流す幼女」


魔法少女たち 「?」


星魔法少女 「後半はもはや断末魔のような報告は、この言葉を最後に終わっている」





…………


母性巫女の小屋 夜



コトコト シュラシュラシュラ カタカタカタ

ピーッ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「あちち……フー、フー………」

幼女魔王N 「ハフッ……ホフ、ホフ、ハフッ……ゴクン」

幼女魔王N 「……おいちーい!」


母性巫女 「本当……」

母性巫女 「体の芯からあったまりますね」


幼女魔王N 「うんっ」


母性巫女 「うふふふ……」


幼女魔王N 「えへへへ……」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……そんなに話すわけじゃなくて、すごく楽しかったりもしないけど)

幼女魔王N (お城でひとりのときや、お風呂ができた日に知らないみんなの中でした食事と違う)


母性巫女 「……フー、フー」

母性巫女 「ハフ……」


幼女魔王N (すごく安心できる)

幼女魔王N (……おかしいわ。黙って誰かと一緒にいるのって、恥ずかしくて気まずいはずよ)

幼女魔王N (いままで、そうだったもの)

幼女魔王N (淫魔幼女とだと、いつ何を言われるかとヒヤヒヤしてたし)

幼女魔王N (他の知らない人とだと、沈黙に耐えられなくて逃げ出したくなったり吐いたりしてたし)

幼女魔王N (でも、今はそんなの全然ない。……不思議)


母性巫女 「ふぅ……。はあ、おいしい……」


幼女魔王N (この人のいったい何が、私をこんなに安心させているんだろう)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……胸、かな」


母性巫女 「?」





母性巫女 「はあ、本当においしい……」


幼女魔王N 「うん……」


母性巫女 「やっぱり、誰かと一緒にする食事は良いですね」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (そうとは限らないとは言えない)

幼女魔王N (……母性巫女。魔王に呪われてこんな風に独りで暮らしているのよね)

幼女魔王N (そうじゃなかったら、きっと周りに人がいっぱいいるはずだわ)

幼女魔王N (落ち着いてて、元気で、何でも受け入れてくれそうで、そばにいると安心できて……)

幼女魔王N 「……あ、あの」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「ここで暮らす前は、やっぱりみんなでお食事していたの?」


母性巫女 「え、ええ、そうですね。騎士団の寮で、みんなと」

母性巫女 「Nくらいの年少組の子と食べることも多かったですね」


幼女魔王N 「そ、そうなんだ」

幼女魔王N 「お母さんみたいだものね……」


母性巫女 「ふふっ……もう、まだ1X歳ですよ」


幼女魔王N 「えへへ。へえ、そうなんだ、意外と……」

幼女魔王N 「ぼへぇ!?」


ブパッ


母性巫女 「きゃっ!?」


タユン




母性巫女 「ど、どうしたんですか急に吹き出して」


幼女魔王N 「う……嘘よ」

幼女魔王N 「1X歳って、私と一桁違いじゃない!」


母性巫女 「本当ですってば」


幼女魔王N 「だって、どうみても……」

幼女魔王N 「年の頃XX歳」

幼女魔王N 「あどけなさの残る清楚な顔とは裏腹に、自己主張のつよい肉体は」

幼女魔王N 「みなぎるリビドーを押さえつける純白の拘束具のように引き締まり、しかし円熟した丸みと柔らかさをたたえ……」


母性巫女 「な、なんで急に話し方が変えるんですか……っ」


>>154訂正 ごめんなさい


×母性巫女 「な、なんで急に話し方が変えるんですか……っ」

○母性巫女 「な、なんで急に話しかたが変わるんですかっ……!」




幼女魔王N 「まだまだ若くハリのあるなめらかな肌の下からにじみ出す」

幼女魔王N 「熟れただれた芳醇な牝肉の色気が、鼻腔を挑発的に撫で突き、男の獣欲をぬらぬらとそそる……」


母性巫女 「や、ちょっと、もうやめてください……」

母性巫女 「そんな、本当に恥ずかしい……」


ユサッ タユン


幼女魔王N 「この女の肉体を、脳髄までむしゃぶりつくしたい」

幼女魔王N 「清白と慈愛に満ちたこの女の理性を、薄氷を舐めるようにとろかして」

幼女魔王N 「ただ快楽の炎に焼かれよがり狂うだけの、浅ましい一匹の牝となる姿を見てみたい」

幼女魔王N 「ほかでもない、この私の手でもって……」


ジリ ジリ


母性巫女 「あ、あの、大丈夫ですか。目がちょっと血走って……」


幼女魔王N 「血のたぎるような情欲に窒息しながら」

幼女魔王N 「私は砂漠の放浪者のように、彼女の白い胸元に手を伸ばした」


ワキ ワキ


母性巫女 「な、なんですかその手つき」

母性巫女 「いい子だから、落ち着いて……」


ムギュッ


母性巫女 「きゃ、ぁんっ……!!」




母性巫女 「胸を、そんな、やめてくださ……」


幼女魔王N 「…………」


ムニュ ムニュ モニュ モニュ モニュ モニュ 


母性巫女 「は、ぁあっ……指をいっぱいにひろげて、一心不乱に揉んでる」

母性巫女 「はぅん……なんて可愛いの……」


幼女魔王N 「…………」


コネコネコネコネ

グニグニグニグニ


母性巫女 「あ、んん……ッ! み、見とれてる場合じゃなかった……」

母性巫女 「やめてください、そんなにめちゃくちゃに揉まれたら……く、ぅんんっ……!」


幼女魔王N 「あまねく指に吸い付くように歪む、はちきれんばかりに実ったふたつの乳房」

幼女魔王N 「それはまさに、男のペルソナをズブズブと飲み込んでいく劣情そのもなのであった……」


モミュ グニュ グニュ グニュニュニュニュ

プニ ポニョン ムニュ ムギュウウ…… 


母性巫女 「なのであった、じゃありません……! あなた、女の子で……はぁんっ、正面から強く握ったら擦れ……ぁうっ」

母性巫女 「いい加減にしないと……ゃんっ……! お、怒ります、よっ……ふぅ、んくぅうぅ……ッ」

母性巫女 「ぉ、お尻ペンペン……しちゃいます、よっ……ゃん、そこ……ぉ…ずるぅい………ぃん……」


カク ガクン





幼女魔王N 「私の指を引き剥がそうとする手には力がなく、はたから見れば、まるで彼女自身が愛撫を先導しているようにも見えるだろう」

幼女魔王N 「拒絶する声は、短く弾むような熱い吐息にぼやけ、かえって嗜虐心をあおってくる」

幼女魔王N 「腰を抜かし、顎をそびやかし、喉をあらわにして私の責めに悶え震える彼女は」

幼女魔王N 「眉根を寄せながらどこかうっとりとしていた」


母性巫女 「わ、私、そんなこと……」


ピッ


母性巫女 「んふぅうッッッ!?」


クニュ クリリ コリ コリ

ツン ツン クニュウウ……

ピィンッ 


母性巫女 「……~~~んんんんっ………!! くふッ、ぅんう………っ!! っ!?」


ビクン ビクビクビクッ


幼女魔王N 「いまや指先ひとつで、彼女を思いのままに乱れさせられる」

幼女魔王N 「いつも周囲をつつみこむように落ち着いた笑みを浮かべている彼女が、私の前でみっともなくよがり狂っている」

幼女魔王N 「私はしばらく、初めて支配した獲物をなぶる優越感にひたった」

幼女魔王N 「そして、いよいよ」

幼女魔王N 「とどめのひと噛みを見舞う肉食動物のように」

幼女魔王N 「桃色の宝石をすくうようにして彼女の乳房を口いっぱいに含んだのであった」


母性巫女 「はぁ、はぁ……ぁ……ぁは……」


スル


母性巫女 「……え?」

母性巫女 「!! きゃっ、服……ちょ、ちょっと、まさか……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「だ、駄目です、そんな、今は駄目……!」

母性巫女 「ね? お願いですから、あとでいっぱい良いですから、今はやめ………!」


幼女魔王N 「はむっ」


レロ カプ


母性巫女 「~~~ッッ!?」





…………


チウ チウ チウ チウ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


チウ チウ チウ チウ


母性巫女 「ッ! ぁう……ッ、ま、た……、…ッ、ッ、……ッッ」


ピクッ

ビク カク カク ピクン


幼女魔王N 「…………」


チウ チ……


母性巫女 「……………ん」

母性巫女 「ふあ……」


幼女魔王N 「…………」


チュルルル ペロ チュピ

チウ チウ チウ……


母性巫女 「……ッ。……………」


幼女魔王N 「…………」


チウ チウ チウ チウ


母性巫女 「…………」


ポム ナデ



母性巫女 の 頭を撫でる 攻撃



幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (あれ、私はいったい何を……)




幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (母性巫女だ)

幼女魔王N (どうしたのかしら、半裸だわ)


半裸母性巫女 「…………」


幼女魔王N (床に倒れているし)


床に倒れている半裸母性巫女 「…………」


幼女魔王N (あ、私が馬乗りになっているのね)


幼女魔王Nに馬乗りされて
床に倒れている半裸母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……ん、何か手のひらにえもいわれぬやわらかい感触が)

幼女魔王N (なんと! まるで揉みしだくように、私の手が母性巫女の両胸を鷲づかみにしているではないか)

幼女魔王N (すごい。片手じゃ全然おさまりきれてない)


胸を掴まれながら
幼女魔王Nに馬乗りされて
床に倒れている半裸母性巫女 「…………」


幼女魔王N (あれ、胸のここ、ちょっとてらてら光ってる。……濡れてる?)


一部がよだれまみれで
てらてらぬめる胸を掴まれながら
幼女魔王Nに馬乗りされて
床に倒れている半裸母性巫女「…………」



幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (あ、やっべ、これ私殺されるわ)




幼女魔王N (何か、うっすらと記憶があるし)

幼女魔王N (いや、何ていうかはっきりあるし。何この記憶、何やってんの私!?)

幼女魔王N (しかもそのくせ感触は手にも口にも残ってないし)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……見てる。とろけたようにぼんやりしながらも、はっきりと私を見てる)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「………わ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「私は正気に戻った!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………こ」

幼女魔王N 「こうして、平穏な日常が戻り」

幼女魔王N 「みみみ、みんな末永く幸せにくら、暮らしたのでひたはは……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「めでたし、めでひゃひ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ひぇ、あ、あは、あははははは……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………か」

幼女魔王N 「かしこ……?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「く、くぅ……」


母性巫女 「お尻……」

母性巫女 「スペンスペン」


幼女魔王N 「ス!?」



…………





…………



シュラシュラシュラ コトコト



魔動画 『正義の魔法少女としての活動も行っていた、アイドル歌手の首輪魔法少女さんが』

魔動画 『パインケーキの月ごろから行方不明となっていたことが、お知らせギルドの火元素精霊記者により……』


幼女魔王N 「うう……」

幼女魔王N (お尻スペンスペン、まさかあそこまで恐ろしいお仕置きだとは。まだお尻が振動しているみたい)

幼女魔王N (何か、お尻がぽかぽかしてジ~ンとしてあったかい)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……また、やってくれないかな。今度は強めに……)

幼女魔王N (いやいや、そうじゃなくて……)


母性巫女 「……この国ではぜったい、あんなことしちゃいけませんよ」

母性巫女 「やってしまいそうになったら、さっきのお尻スペンスペンを思い出して」

母性巫女 「踏みとどまってくださいね」


幼女魔王N 「は、はい……」

幼女魔王N 「よく、分かりました……」

幼女魔王N (ついに母性巫女を怒らせてしまった)




幼女魔王N (私が出来の悪い人で、がっかりしたかしら)

幼女魔王N (血涙の子供の話も嘘だと思われるかもしれない)

幼女魔王N (こういう失敗が重なって、私の駄目なところが全部ばれちゃったら)

幼女魔王N (淫魔幼女みたいに、ゴキブリを虐げるように私のことを扱いだすかもしれない)

幼女魔王N (というか、どうして私はあんなことを)

幼女魔王N (好感度マックスからでも一気に最低値ぶち抜くじゃない、あんなの……!)

幼女魔王N (こんなことなら、嫌われる前にさっさと出て行けばよかったわ)


母性巫女 「……お風呂」


幼女魔王N 「……ひえっ!?」


母性巫女 「ご飯が済んだら、入りましょうね」


幼女魔王N 「あ……は、はい」





…………


カチャ コク コク

パクパク


母性巫女 「ふう……。変な汗かいちゃった」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「いったいどうしたんですか、あれ。途中からすごい目になっていましたよ」


幼女魔王N 「……そ、それが分からないというか」

幼女魔王N 「なんだか無性に甘えたくなって、よく分からなくなって……」


母性巫女 「甘えていたんですか、あれ……ッ!?」


幼女魔王N 「う、うん」


母性巫女 「そうだったんですか。そういえば、たしかにそんな感じも……」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……」


母性巫女 「本当にあんなこと、いきなり知らない人とかにやっちゃ駄目ですからね」

母性巫女 「とくに町に行ったりしたときなんか」


幼女魔王N 「ご、ごっつぁんです……」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……あれ、怒っていない?)

幼女魔王N (いや、怒ったけど、いつもと同じというか)

幼女魔王N (嫌われようとして色々やった私を叱ったときと同じ、本気の怒りかたじゃないというか)

幼女魔王N (理性的に怒っているというか……)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……やった私が思うのもなんだけど)

幼女魔王N (あんなことをされて、この程度なの?)

幼女魔王N (ひょっとしてこの人、心の底から本当に怒ったり、そういうのはないの?)


母性巫女 「あの……」


幼女魔王N 「へい!?」




母性巫女 「お風呂……」


幼女魔王N 「は、はいお風呂! 一刻も早く入らせていただきます!」

幼女魔王N 「肩までつからせていただきます。埋まる心意気で!」


母性巫女 「い、いえ、あの……いや、肩までつかるのはそうですけど」

母性巫女 「一緒に入りましょうか」


幼女魔王N 「はい!」

幼女魔王N 「……え」

幼女魔王N 「ええっ!?」


ガタッ


母性巫女 「お、落ち着いて……」


幼女魔王N (一緒にお風呂……一緒にお風呂!?)

幼女魔王N 「そそそそそそそそそそ、そ、そそ、そそそ」

幼女魔王N 「滅相もない! 私のごときモモイロベンジョゴキブリが」

幼女魔王N 「偉大なる母性巫女さまとお風呂になど!」


母性巫女 「どうしてそんなに卑屈な言葉はすらすら出てくるんですか。泣けてくるじゃないですか……!」

母性巫女 「……ほら、あんなこともあったことですし」

母性巫女 「一人で入るのは怖いかと思って」


幼女魔王N 「……あ、ああ」

幼女魔王N (外で見た、血の涙を流す子供のことね)




幼女魔王N (…………ブルルッ)

幼女魔王N (あの姿を思い浮かべるだけで、横隔膜を氷塊でおし上げられるみたいだわ)

幼女魔王N (埃だらけの暗い屋根裏から這い出してきたような、抜け殻のようなくすんだドレス)

幼女魔王N (灰を冷やして固めたような顔色、切りそろえられた前髪に隠れた目から血の涙……)

幼女魔王N 「……ど」


母性巫女 「ど?」


幼女魔王N 「どうして思い出させた!」


母性巫女 「きゃっ」


プモン


幼女魔王N 「せっかく忘れてたのに! せっかく忘れてたのに!」

幼女魔王N 「おかげでお風呂どころか、夜にトイレにもいけない!」

幼女魔王N 「というかその前に漏らす!」

幼女魔王N 「よって、眠れない! いや起きていても漏らすかも!」

幼女魔王N 「うわーん!」


母性巫女 「ご、ごめんなさい」

母性巫女 「あの、それでお風呂は……」


幼女魔王N 「よろしくお願いします!」




…………



母性巫女の小屋 浴室



コオン ザアア バシャ ジャパ

ポヨヨン ポヨヨヨ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (先にお湯につかっているように言われたけど……)


母性巫女 「…………」


バシャ ザアン

ボイーン


幼女魔王N (体を洗う母性巫女の後姿って、くるものがあるわね)

幼女魔王N (素朴だけど、においたつ厚い花弁を撫でるような色気のあるしぐさに、濡れた黒髪。うらやましいなあ、綺麗な黒い髪)

幼女魔王N (私も、こんなふうになりたい。人を幸せな気持ちにするような雰囲気をまとった、素敵なヒトに)

幼女魔王N (この人を先輩としよう。私の人生の先ぱ……)

幼女魔王N (あ、でも今はボッチよねこの巨乳先輩)

幼女魔王N (呪われボッチ)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……うう、のぼせてきた。いつもはこんなに早くないのに)

幼女魔王N (きっと、母性巫女のこんな姿を見ているからね)

幼女魔王N (私って、もしかしてそういう気があるのかしら、女の子相手に……)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (いやいやいやいや、まさかそんな、私に限って。ピンク髪の私に限って……)




母性巫女 「……ん、んしょ」


ギュ ギュ ジャバ パタタ


幼女魔王N (母性巫女の魅力が性別を超越しているんだわ)

幼女魔王N (肌とか心なしかぼんやりと白く輝いているもの。まさに女神の湯浴みだもの)


母性巫女 「ふう……」


幼女魔王N (女神、そう、女神よ)

幼女魔王N (この人は呪われていなくても、きっといずれ、人の中では生きられなくなるに違いないわ)

幼女魔王N (だって、すごく素敵な人だけど、そのせいで人と大きくずれてしまっているんですもの)


母性巫女 「さてと」


幼女魔王N (おかしてはならない人。触れてはならない人)

幼女魔王N (そんな感じ)


母性巫女 「さあ、どうぞ」


幼女魔王N 「は、はい!?」


母性巫女 「次はNの番ですよ。背中、流したげます」


幼女魔王N 「え!?」




幼女魔王N (背中を流す。え、それ、結婚しようってこと!? 来世でも一緒のお墓に入ろうってこと!?)

幼女魔王N (予想外だわ。ちょっとこれどうしたら良いの)

幼女魔王N (というか、何なの。どういうつもりなのこの人)

幼女魔王N (私の背中を流すなんて、ゴミ捨て場で濡れたパンを落として食べる趣味でもあるというの!?)


母性巫女 「どうしたんですか?」


幼女魔王N (……はっはーん)

幼女魔王N (読めたわ。これはアレね、復讐ね)

幼女魔王N (さっきの借りを返そうというのね。私が母性巫女にしたらしいように、私の体をトロトロのメロッメロにしようってのね)


母性巫女 「……あの、ごめんなさい、馬鹿にしているわけじゃないんですよ」

母性巫女 「騎士団にいた頃は、Nくらいの年頃の子たちの背中をよく流していたので……」


幼女魔王N (おかしいと思ったのよ。あんなことのあとで、一緒にお風呂なんて誘うんだもの)

幼女魔王N (なるほど、なるほど。これが目的だったのね)


母性巫女 「それじゃあ、自分で洗……」


幼女魔王N 「良いわ、受けるわよ。受けてたとうじゃないの!」

幼女魔王N 「この幼女魔王N、その挑戦を受けてさしあげるわ」

幼女魔王N 「みごと受けにまわってみせるわ!」


母性巫女 「は、はい」

母性巫女 「……受けにまわる?」




幼女魔王N 「最初に言っておくけど」


母性巫女 「は、はい」


幼女魔王N 「私のこの平たい胸に死角はないわよ。まさに向こう三千軒見通しの良い平野」


母性巫女 「……は、はい? 軒?」


幼女魔王N (もっとも、脇の下を通るように後ろから揉まれ)

幼女魔王N (指の腹で先っぽを弄ばれたり、ときどき脇をくすぐられたりするとフニャフニャのトロトロのメロッメロになるけど)

幼女魔王N (ふふふ、誰が教えるもんですか私の弱点なんて)

幼女魔王N (誰にも知らせない乙女の秘密よ)

幼女魔王N (知っているとすれば、そう、それはすなわち私のお婿さん)

幼女魔王N (私のこの弱点は未来永劫、私のお婿さんしか知らないのよ。うふふふ……)




幼女魔王N 「では始めなさい、巨乳先輩」


母性巫女 「きょにゅ……」

母性巫女 「じゃ、じゃあ、頭から洗いますね」


幼女魔王N 「ええ、どうぞ」

幼女魔王N 「絢爛に咲き乱れるが良いわ白百合!」

幼女魔王N 「けれど私はくじけない!!」


母性巫女 「危ないから急に立ち上がらないでください!」

母性巫女 「……料理にお酒でも入っていたかしら」


幼女魔王N 「私は幼女魔王N。私だけの小さな世界を最初の一人として、最後の一人として」

幼女魔王N 「魔王として守護する者!」

幼女魔王N 「勇者よ、勇気あふるる者よ。私の世界と覚悟と勇気を踏み越える、その勇気を示すが良いわ!」

幼女魔王N 「さあ、きんさい! どっからでもかかって来んさい!!」



…………




シャコシャコシャコシャコ


幼女魔王N 「ふおおおおおお……!」


母性巫女 「はあい、流しますからお目々をとじてくださいねー……」

母性巫女 「はじめはゆっくりかけますからね-……」


チョロチョロチョロ


幼女魔王N 「………おぉ……ほおおおおぉ…………」

幼女魔王N 「染み込んでくる。髪の毛の隙間から、じんわりと温かいお湯が私の地肌にユルーっと染み込んでくるぅ……」

幼女魔王N 「ふにゃぁん……あったかくて気持ちいいよぉ……気持ちがトローンってなっちゃうよぉ」

幼女魔王N 「えへへぇ。頭を洗うのってこんなに気持ちいいんだぁ……」


クテ


母性巫女 「あらあら、よりかかるのは後ですからね。次は体を洗いますからね」


幼女魔王N 「はあい……」



…………




コシコシコシコシ

ブクブク アワアワ


幼女魔王N 「ふおおおおおお……!」


母性巫女 「強くありませんか、痛くありませんか?」


幼女魔王N 「ふもっ! ふもっ!」

幼女魔王N (な、何これ)

幼女魔王N (幸せ。かつてないほどの幸せ! 肌に触れる泡の一粒までもが、私に多大なる幸せを与えてくる!)

幼女魔王N (幸せすぎて後々この幸せのしわ寄せが来ないか不安になる間もないほどの幸せ!)

幼女魔王N (人に体を洗ってもらうのって、こんなに幸せなの!?)


母性巫女 「はい、腕をあげてくださあい……」


ゴシゴシ ワショワショ ブクブク 


幼女魔王N 「ふおおおおお………!」

幼女魔王N (正直、お風呂なんて面倒くさいとしか思っていなかった)

幼女魔王N (楽しみなんて湯船で桃ごっこくらいしかなかった)

幼女魔王N (それが母性巫女と一緒に入るだけで、こんな幸せ時間、幸せ時空と化すなんて!)

幼女魔王N 「ふえっ、ふえええ……」

幼女魔王N (ま、まずいわ。幸せすぎて泣けてきた)

幼女魔王N (負けない。ぜったい負けないんだから……!)



…………






ポタ

ピチョン ポチャーン

モワ モワ モワ モワ



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女・幼女魔王N 「……ふぅ」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……髪」

母性巫女 「あとで、とかしましょうね」


幼女魔王N 「う……い、いい。いらない」


母性巫女 「あら……」


幼女魔王N 「ち、違うの。今のは嫌われようとしたんじゃないの!」


母性巫女 「もう、嫌われようだなんて」

母性巫女 「またそんなことを」


幼女魔王N 「だから違うの。……髪をとかすとか、面倒くさいだけ」


母性巫女 「面倒くさいって……」


※幕間おまけ


あけましておめでとうございます


ツッコミ待ち
http://i.imgur.com/FS4GB02.jpg

ある意味ツッコミ待ち
http://i.imgur.com/mIa9t3O.jpg


ageごめんなさい



母性巫女の小屋 寝室



シュオオオ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (あたたかい風が出るアイテム)

幼女魔王N 髪がさらさらして(気持ちいい……)


サラ サ サ


母性巫女 「痛くありませんか?」


幼女魔王N 「う……うん」

幼女魔装N 「う、ううん、まあまあかしら……」


母性巫女 「あらあら。そうですか」


シュオオオ サ ササ


幼女魔王N (……髪をといてもらうのって、こんなに幸せなのね)




母性巫女 「髪をとくのが嫌だなんて、もったいないですよ」


母性巫女 「だって、そんな時間があったら、ペニステやった方がいいもの」


母性巫女 「もう。。せっかく髪を伸ばしているんだから」


幼女魔王N 「き……きるのが面倒くさいだけ」

幼女魔王N 「お菓子とかペニステの新しい魔ソフトを買うほうが有意義だもの」


母性巫女 「まあ。Nは、おしゃれは好きじゃないんですか?」


幼女魔王N 「あんまり」

幼女魔王N 「おしゃれしても、そんなに意味ないし」

幼女魔王N 「スパッツも破れてた方が風通しが良いし……」


母性巫女 「ええー……」


シュオオオ




>>188-189訂正
ごめんなさい



母性巫女の小屋 寝室



シュオオオ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (あたたかい風が出るアイテム)

幼女魔王N 髪がさらさらして(気持ちいい……)


サラ サ サ


母性巫女 「痛くありませんか?」


幼女魔王N 「う……うん」

幼女魔王N 「う、ううん、まあまあかしら……」


母性巫女 「あらあら。そうですか」


シュオオオ サ ササ


幼女魔王N (……髪をといてもらうのって、こんなに幸せなのね)


母性巫女 「髪をとくのが嫌だなんて、もったいないですよ」


幼女魔王N 「だって、そんな時間があったら、ペニステやった方がいいもの」


母性巫女 「もう。せっかく髪を伸ばしているんだから」


幼女魔王N 「き……きるのが面倒くさいだけ」

幼女魔王N 「お菓子とかペニステの新しい魔ソフトを買うほうが有意義だもの」


母性巫女 「まあ。Nは、おしゃれは好きじゃないんですか?」


幼女魔王N 「あんまり」

幼女魔王N 「おしゃれしても、そんなに意味ないし」

幼女魔王N 「スパッツも破れてた方が風通しが良いし……」


母性巫女 「ええー……」


シュオオオ




幼女魔王N 「……ックシュン」


母性巫女 「あ」


ブチチ


幼女魔王N 「くぉっ!?」

幼女魔王N (髪がブラシに引っかかって……)


母性巫女 「だ、大丈夫ですか!?」


幼女魔王N 「う、うん。私、髪の毛多いから」

幼女魔王N 「……グジュ」


母性巫女 「ごめんなさい」

母性巫女 「……病み上がり、しっかり暖かくしておかなくちゃいけませんね」


幼女魔王N 「う、うん……」




…………



ホー ホー


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……あの」


幼女魔王N 「はひっ」


母性巫女 「そんなに離れるとベッドから落ちてしまいますから、もう少しこっちへ……」


幼女魔王N 「はっ……はひっ!」

幼女魔王N 「で、ででででは、失礼しやふっ……!」


モゾ モゾ ニジリ ニジリ


幼女魔王N 「…………」


ゾモ……


母性巫女 「どうしてまた離れるんですか……」


幼女魔王N 「い、いや、近づきすぎたかなって……」




幼女魔王N (まさか同じベッドで寝ることになるなんて)

幼女魔王N (嬉しすぎておねしょしてしまいそうだわ)

幼女魔王N (気を、つけなくてはね……)


母性巫女 「大丈夫ですよ」


幼女魔王N 「うぇいっ!?」


ピチョン


母性巫女 「うぇ、うぇいって……」

母性巫女 「怖いのが来ても、ちゃんとそばにいますからね」

母性巫女 「安心して眠ってください」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N (たしかに安心よね。美触手を一発でひっこめさせたし)

幼女魔王N (……でもこの人)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (どうしてこんな風に穏やかに笑っていられるんだろう)

幼女魔王N (私にあんなことされたっていうのに、そのあとすぐに一緒にお風呂に入って)

幼女魔王N (いまも一緒に寝ていられるの?)

幼女魔王N (怒るときも優しいし)

幼女魔王N (……考えると気味が悪い)

幼女魔王N (得体が知れない。怖い)

幼女魔王N (この人の笑顔が虚ろな、ぽっかりとあいた穴のように感じることがある)




幼女魔王N (きっとこの人は何でも受け入れてくれるけど)

幼女魔王N (誰にも優しくしてくれるけど)

幼女魔王N (それでも何か、多くの人に囲まれても、別のところに立っているような)

幼女魔王N (そんな人)


母性巫女 「…………?」


幼女魔王N (お城のお風呂がなおっていっぱいの人と食事した日、私は誰とも話せなくて疎外感を感じたけれど)

幼女魔王N (この人は、どうなのかしら)




母性巫女 「…………」


幼女魔王N (黒い髪、黒い瞳。カーテン越しの星明かりを受けてとても綺麗)

幼女魔王N (なぜかしら、とても懐かしい)

幼女魔王N (良いにおい……)


母性巫女 「……あら、N」


ソ


幼女魔王N 「にょんぽっ!?」


ビクンッッッッ


母性巫女 「わっ!?」


幼女魔王N (び、びっくりした。油断してたら、いきなり頭をさわられた)


母性巫女 「にょ、にょんぽ……?」




幼女魔王N 「ごめんなさい。ちょっとボーッとしてた……」


母性巫女 「そ、そうですか」

母性巫女 「Nの髪に何かついていると思ったんですが」

母性巫女 「光の加減だったみたい」


幼女魔王N 「そ、そうだったの……」

幼女魔王N 「まあ、私の髪はピンクの毛糸くずみたいなところあるし……」


母性巫女 「またそんなこと言って」

母性巫女 「髪、綺麗ですよ。夜の青さを帯びると、もっと綺麗」


幼女魔王N 「ほうっ……」

幼女魔王N 「そそそそそ、そんなこたあないっぴっ……」

幼女魔王N 「めめめ、滅相もない! 私の髪なんぞ、唾、ヘドロスライムの唾!」

幼女魔王N 「見たら石になる!」


母性巫女 「ああっ、また変なスイッチが入ってる……」

母性巫女 「……ヘドロなんとかの唾みたいでも良いです。見たら石になるわけじゃないでしょう」

母性巫女 「私は好きですよ」


幼女魔王N 「すっ…………」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……N?」


幼女魔王N 「……ぴぽ」


母性巫女 「ぴぽ?」


幼女魔王N 「ぽーーーーーーーーっ!!!」


母性巫女 「ええっ!?」




幼女魔王N (よいにおいのなつかしい母性巫女が私を好きって、好きって、好きスキスキスキスキス)

幼女魔王N 「スぽっぽぽ、ぽっ、ぽぽぽっぽ」

幼女魔王N 「ぽーーーー! ぽーーーーーーーっっ!」


母性巫女 「ちょ、ちょっとN、N……!?」


幼女魔王N 「すっぽんぽ!」

幼女魔王N 「すっぽんぽ!」

幼女魔王N 「すぽんぽぽっぽぽっ、ぽっぽぽ……」

幼女魔王N 「ぽザーーーーっ」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……え、N?」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……どうしよう」




幼女魔王N 「八尺さまの尺八がすぽぽぽぽ……」


母性巫女 「またわけのわからないことを口走ってる……」


魔動画


母性巫女 「魔動画……」

母性巫女 「そうだわ」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「Nはたしか、こうやって……」

母性巫女 「……ごめんなさい!」


ズバシンッ


母性巫女の お母さんチョップ(手加減) 攻撃!

幼女魔王NのHP が 1  になった!


幼女魔王N 「………くはっ」

幼女魔王N 「あ、あれっ、私は何を……」


母性巫女 「よ、よかった……」




母性巫女 「どこかおかしなところはありませんか? 頭以外で」


幼女魔王N 「う、うん、だいじょうぶ」

幼女魔王N 「なんか川みたいのが見える気がするけど大丈夫」

幼女魔王N 「……て、私、もしかしてまた母性巫女に変なことを……!?」


母性巫女 「え、ええ……いえ、あなたは変ですが私は大丈夫だったんです」

母性巫女 「でも、あなたを止めるために軽く頭の急所を叩いたのですが、そのときにうっかり」

母性巫女 「手癖で、魔王が死んじゃう前提でHP1になる手刀、をつかっちゃって……」


幼女魔王N 「え゛っ……」

幼女魔王N 「なにその名前!」


母性巫女 「あ、うふふ……じつは、私がはじめて名付けた技なん……」


幼女魔王N 「だせえわね!?」


母性巫女 「……!」


幼女魔王N 「いえ、違う違う、なんていうか、こう、すごく……」

幼女魔王N 「やっぱだせえわね!?」


母性巫女 「………!!」




ホー ホー

チク タク チク タク



母性巫女 「……え」

母性巫女 「だ、ださいんですか……?」


幼女魔王N 「うん。ださい」

幼女魔王N 「ネーミングの女神が便所サンダルで頭ハッ叩くレベルで」

幼女魔王N 「ださい」

幼女魔王N 「ださカッコイイとかじゃない。ただただ」

幼女魔王N 「ださい」

幼女魔王N 「ださださい」


母性巫女 「ださださ……」

母性巫女 「で、でもですね、そうじゃなかったら」

母性巫女 「勇者軍のかたがたが言っていた、お母さんチョップっていう技名になるところだったんですよ」


幼女魔王N 「それもひどいけど……」

幼女魔王N (ああ、でも、その方がしっくりくる。そして不思議と受けたい。メッてされたい……)


母性巫女 「うふふ、もう、私まだコウノトリ畑に行ったこともない歳なのに、お母さんだなんて」

母性巫女 「恥ずかしくて技を出せなくなるところでした」

母性巫女 「だって、第四永遠吹雪力や大開脚谷間打ちなんかにまじって」

母性巫女 「お母さんチョップだなんて、恥ずかしくて叫べませんもの」

母性巫女 「魔王が死んじゃう前提でHP1になる手刀、で良かった……」


幼女魔王N 「叫んでたの!?」


母性巫女 「大戦が終わった今も、つかうときは心の中で叫んでいますよ」




…………



どこかの世界 金の雲海 記録塔



ネーミングの女神Ⅰ 「うーん……」


トイレの女神 「どうしたの、魔法の記録書をめくりながらきばって」


秘書コウノトリ 「違いますトイレさま、いきんでるんですよ」


ネーミングの女神Ⅰ 「どっちでもないわよ」

ネーミングの女神Ⅰ 「技の名前なんだけど、認定したの間違いだったかもしれないと思って」

ネーミングの女神Ⅰ 「あった、ここのところだわ」


トイレの女神 「なになに…………」

トイレの女神 「お母さんチョップ!?」

トイレの女神 「…………」


ゴソゴソ スチャ

スパアン


ネーミングの女神Ⅰ 「いったい!?」

ネーミングの女神Ⅰ 「殴ったわね。しかもサンダルで!」


トイレの女神 「あ、ごめん、手癖で。ボケられるとつい……」


ネーミングの女神Ⅰ 「ひとつもボケてない。もしそうなら、この名前を考えた人よ。私は認定しただけだし」


秘書コウノトリ 「ですがネーミングさま、なかなかひどいですね。お母さんチョップって……」


ネーミングの女神Ⅰ 「でしょう。でもね、思い出したわ。これじゃなかったらこの技」

ネーミングの女神Ⅰ 「魔王が死んじゃう前提でHP1になる手刀、になっちゃうのよ」


秘書コウノトリ 「ま……!!」


トイレの女神 「…………!!」




ネーミングの女神Ⅰ 「そうよ、苦渋の決断だったんだわ。渋みの強い酒を飲んで永遠に忘れたくなるくらいに……そこ、サンダルかまえないで」

ネーミングの女神Ⅰ 「……でもね、この技の持ち主、私が認定した技名の方で技をつかわないのよ」

ネーミングの女神Ⅰ 「だから本来の威力を発揮できないでいるの」


コウノトリ秘書 「はあ、たしかに、良くてもHP1になるくらいでしょうね」

コウノトリ秘書 「いっそ魔王が死んじゃう以下略にかえちゃったら良いんじゃないですか」


ネーミングの女神Ⅰ 「簡単にできたら悩みはないわよ……」


トイレの女神 「…………」


ネーミングの女神Ⅰ 「……あなたは何してるの。サンダルを耳にあてて」


トイレの女神 「………」

トイレの女神 「サンダルフォン」

トイレの女神 「なんちゃって」


ネーミングの女神Ⅰ 「…………」


ゴソゴソ


トイレの女神 「ごめん。サンダル脱がないで……」


スパアン


…………




…………



幼女魔王N (あまりの衝撃で、ありもしない変な世界と交信してしまった気がするわ。現実から離脱していた気がするわ)

幼女魔王N 「……あれ、魔王が死ぬ前提って」

幼女魔王N 「わたし死んじゃうの!?」


母性巫女 「い、いえ、そうなるのは魔王だけで、他の人たちの場合は死ぬより痛いだけなので……」


幼女魔王N 「わたし魔王よ!」


母性巫女 「いえ、ですから……ああ」

母性巫女 「はい、そうでしたね、魔王さま」


幼女魔王N 「本当だもんっ」


母性巫女 「そうですね。大丈夫ですよ、本当にそうなるわけじゃありませんから」




…………


ホー ホー 


幼女魔王N 「……お風呂はひろくて、あと、玉座がかわいい。りんごの木」


母性巫女 「まあ」


幼女魔王N 「……空の、月よりも近いところにお隣の世界があって、自分の目で見ることができて」

幼女魔王N 「晴れた日は、そこを出入りする飛行船が鳥みたいに小さく、雲みたいにゆっくりと行き交って……」


母性巫女 「まあ、それはのどかですね」


幼女魔王N 「うん。野原に寝っ転がって見ていると、嫌なこともちょっと忘れられる」

幼女魔王N 「夜は緑とか青とかの星の帯、空のずっと遠くにあるいろんな世界がそんな風に見える……が綺麗。嫌なことがちょっとどうでもよくなる」


母性巫女 「嫌なこと、多いんですか……」


幼女魔王N 「うん、多い。よく生きているのが嫌になるし、死ぬのも嫌」


母性巫女 「そ、そうですか……」


幼女魔王N 「お風呂とか本当に嫌だった。沸かすところから面倒くさい。面倒くさい」

幼女魔王N 「ほんと鬱、面倒くさい。生きているのが嫌になる」

幼女魔王N 「そんなときに空を見る」

幼女魔王N 「……お風呂とか、どうでも良いなってなる。入らなくても良いな……って」


母性巫女 「良くなっちゃ駄目です」





母性巫女 「私の目が黒いうちは、お風呂には毎日いれますからね」


幼女魔王N 「お湯が男のミルクなら一日中でも入る。ミルクのかおりが全身に染み込むまで入る」


母性巫女 「男のミルク……」


幼女魔王N 「謎のミルク。きっとミラクルレアアイテム。欲しい。超ほしい。お腹プクーってなるまで飲みたい」

幼女魔王N 「男のミルクで溺れたい。喉ごしを味わいたい。がぶがぶ景気よく喉の奥にぶつけながら、ろくに味も分からない贅沢な飲みかたもしてみたい」

幼女魔王N 「むしろ男のミルクで窒息したい」

幼女魔王N 「全身で浴びるように飲みながら死にたい。男のミルクを全身にぶっかけられながら溺れ死にたい。体の内側も外側も男のミルク漬けで死にたい」

幼女魔王N 「男のミルクがもらえるなら、私の人生なんてどうなってもいい」


母性巫女 「そ、そうですか……」

母性巫女 「そんなにおいしいミルクがあるなんて、私も飲んでみたいですね」


幼女魔王N 「うん。一緒に男のミルク漬けになって死のう」


母性巫女 「一緒に、死なない程度に飲みましょうね」




ホー ホー


幼女魔王N 「ふあ……」

幼女魔王N 「だから、私は本当に魔王ってこと……」


母性巫女 「はい。そうですね、魔王さま」

母性巫女 「しっかりあたたかくして寝ましょうね」


ファサ スス


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N 「いつか、お城、連れて行ってあげる……」


母性巫女 「ありがとうございます。そうですね、行ってみたいですね」


ポム ポム……


幼女魔王N 「うん……一緒に、お隣の世界でショッピン……」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………グー」


母性巫女 「…………寝ちゃった」




母性巫女 「この世界とは違う世界。うまく想像できない……」


幼女魔王N 「………ムニャ」


母性巫女 「起きているときも寝ているときも、不安そうな顔」

母性巫女 「最近は自分から話しかけたり甘えてくれるようになったけれど、どこか申し訳なさそう。気にすることなんてないのに」


ホー ホー


母性巫女 「……もしかして私に問題があるのでは」

母性巫女 「私の接しかたが下手なだけで、ほかの人相手ならこの子も問題なく振る舞えるとか」

母性巫女 「……じゅうぶん有り得る」


幼女魔王N 「…………ンー」


母性巫女 「……この子を見ていると、そばについていなきゃいけない気になってくる」

母性巫女 「人と接することが少なくなって久しいから、そんな風に思ってしまうのかしら」


ナデ ナデ




幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「風邪、明日にはなおっているかしらね」

母性巫女 「……いつまでもこんな閉ざされたところにいさせては悪いわ」

母性巫女 「外の世界にひらいていかないと」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……でもこの子、外でやっていけるのかしら。心が人一倍やわらかいのに、世の中は優しいことばかりじゃないのに」

母性巫女 「人の心は、魔王よりも恐ろしくなることがあるのに……」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「ここにいる方が、この子の場合は正解なのかしら」

母性巫女 「人の感情の、何気ないさざ波くらいのうねりに触れても、ともすれば心に深い傷を負ってしまいそうな子だもの」

母性巫女 「誰かに勝つことも、負けることも、それ以前に仲間をつくることも怖がっているような子だもの」

母性巫女 「でも、やっぱり、危険でも子供の頃は人の中で過ごした方が……」

母性巫女 「駄目よ、決めるのはこの子だもの。私があれこれ決めつけては……」


幼女魔王N 「…………ムニャ」

幼女魔王N 「ごめんなさい、可憐少女ちゃん。ごめんなさい」

幼女魔王N 「ムニャ……グスッ……ごめんなさい……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「クスン……ごめんなさい。ごめんなさい……ムニャ」


母性巫女 「よしよし。ゆっくり、生きていきましょうね。幸せを見つけられるように……」


ナデ ナデ ナデ……


…………

…………




…………



精霊の森 深部



ブシュー ゴウン ゴウン ゴウン


毛玉触手 『うふふふふ、うふふふふ……』


淫魔幼女 「……思ったよりも時間のかかる」


真幼女魔王 「ごめんなさいね」


淫魔幼女 「……申し訳ありません、姫。そのようなつもりは」


真幼女魔王 「事実でしょう。私を探すという無駄な時間がなければ」

真幼女魔王 「もっと早く準備にとりかかれたもの」

真幼女魔王 「迎えに来てくれてありがとう」


淫魔幼女 「……ありがたいお言葉」


毛玉触手 『うふふふふ、うふふふふ』


ブシュー ゴウン ゴウン


真幼女魔王 「さきの世界で手に入れたこの子」

真幼女魔王 「ここの森と相性が良いみたいね」


淫魔幼女 「そのようで」


真幼女魔王 「棺持ちさん……淫魔幼女」


淫魔幼女 「はい」


真幼女魔王 「私はこの森でどれくらい、昔の私の幸せを取り戻せるの」

真幼女魔王 「王子さまとのお城での生活が恋しいわけではないの」

真幼女魔王 「私のいなくなっていた時間が悲しいの」


淫魔幼女 「……失ったものは戻ってきません。戻ってきてはなりません」

淫魔幼女 「でなくては、私のようになってしまいます」


真幼女魔王 「それは悲しいことなのかしら」


淫魔幼女 「何もないのです」



淫魔幼女 「悲しくもないのです」

淫魔幼女 「復讐の真似事をしてみても、何もないのです」

淫魔幼女 「知識で着膨れしただけで知恵のない正義気取りのゴミどもをいくつゴミのようにしてやっても、何もないのです」


真幼女魔王 「ゴミだからじゃないの」


淫魔幼女 「このアヒルさん人形、ヒッキーくん」

淫魔幼女 「行く先々の世界でこのヒッキーくんの勇姿を記録石におさめるという、ヒッキー君旅行記計画が」

淫魔幼女 「木々と精霊の息吹くこの森で、今まさに着々と進行していても」

淫魔幼女 「何もないのです」


アヒル人形 「…………」


淫魔幼女 「いいですねー、いいですねー」

淫魔幼女 「ぁ、ナイスですねー」


パシャリ パシャリ ピピピ パシャリ 


真幼女魔王 「時間がかかっているのはそのせいじゃないかしら」





淫魔幼女 「……何もないのです、何も。ですから、何も無い昔を惜しむことはありません」

淫魔幼女 「あなたはこの森で、新しい幸せのために動くのです」


真幼女魔王 「…………そうね」

真幼女魔王 「そういうことにしておきましょうか」


淫魔幼女 「…………」


毛玉触手 『うふふふふ、うふふふふふふふ』


ブシュー ゴウン ゴウン ゴウン


血涙人形 「………キキキ」



…………






精霊の森 母性巫女の小屋 寝室



ピィピィ チチチ


幼女魔王N (無意識のうちに、眠気にまかせて不吉なことを言ってしまった気がする)

幼女魔王N (いつか君を故郷に連れて行くよ、と戦いの最中に言えばもう連れて行く前に死に別れる)

幼女魔王N (そんな、口にした時点で結果がきまってしまうようなことを……)


フワン


幼女魔王N (パンの焼ける、甘くて香ばしいにおい)

幼女魔王N (すっかり、料理は母性巫女に頼りっぱなしだわ。……他のほとんどのこともだけど)

幼女魔王N 「…………」


パタン ポフ


幼女魔王N (母性巫女の寝ていたのはこのへん)

幼女魔王N 「クンクン……良いにおい。またとろとろ眠たくなってくる」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (私、ここに来てからいよいよ駄目になっているんじゃないかしら)




幼女魔王N (城にいたころは少なくとも自分で料理していた。献立とか考えていた)

幼女魔王N (それが今では、今日のおやつ何にしようか考えるのも面倒くさい)

幼女魔王N (一日の献立考えるとか途方もない。面倒くささが果てしない)

幼女魔王N (だって、黙ってても三食おやつつきで出てくるんだもの!)

幼女魔王N 「ああペニステがあれば……! ここに、ペニステがっ、あれば……っ!」

幼女魔王N 「あああああ、滅茶苦茶ぐうたらできたのにィ……!!」


ジタバタジタバタ グネングネン


幼女魔王N (違う違う違う違う。そうじゃない、そうじゃない!)

幼女魔王N (……献立どころか、生活の中で何かを考えることが少なくなってしまった気がする)

幼女魔王N (だって、考えなくても苦労なく生活できるもの)

幼女魔王N (勝手に用意されるふかふかのベッド、勝手に洗われて干されてたたまれる服、勝手に湯のはられるお風呂)

幼女魔王N (そして、無性に寂しくなったときに勝手に用意される母性巫女の膝枕と胸に)

幼女魔王N (無性に眠くない夜に勝手に用意される母性巫女の子守唄と胸!)

幼女魔王N (無性に快適すぎるッ!!)



幼女魔王N (もう母性巫女に嫌われて出ていこうとか思わなくなったけど)

幼女魔王N (このままじゃ、私は人としてまずい気がする)


フワン コトコト ピー


幼女魔王N (……そう。あの母性巫女)

幼女魔王N (ハイスペックすぎるのよ。なんでもできすぎるのよ!)

幼女魔王N (しかも人のために動くことをいとわない、というか積極的に甘やかすものだから)

幼女魔王N (あの人が頑張れば頑張るほど、周りはダメになっていく!)

幼女魔王N (どんなに勤勉な人間も、一緒に暮らせば瞬く間に、下着ひとつ自分で着られない怠け者になってしまう)


コトコト コトコト


幼女魔王N (つきあった男を駄目にするタイプね、母性巫女は)




幼女魔王N (……いえ、違う)

幼女魔王N (これは策略!?)

幼女魔王N (相手を徹底的に甘やかし、彼女なしでは生きていけないほどに依存させるという策略)

幼女魔王N (魔性の罠だというの!?)


ポワポワポワ



…………


魔王っぽいシックでえっちな衣装に身を包みし母性巫女 「をーほっほっほっほ」


ポヨヨン ポヨヨン


…………



ポワポワポワ


幼女魔王N (……恐ろしい。恐ろしい魔性だわ母性巫女)

幼女魔王N (まさに友好的侵略にして友好的支配)

幼女魔王N (このような支配のしかたがあったなんて)

幼女魔王N (私も、魔王? として見習うべきね)




幼女魔王N (って、感心しとる場合じゃないわよ?)

幼女魔王N (なんとか彼女の甘やかし、甘やか支配から抜け出さないと)

幼女魔王N (でも、どうやって……)


チク タク チク タク


幼女魔王N (……彼女にできないことをやってみるというのはどうかしら)

幼女魔王N (彼女にないものを手にすることで、自分の価値を高めるのよ。むしろ逆に依存させてしまう!)


ポワポワポワ



…………


ピンクっぽい母性巫女 「あはぁん、もう幼女魔王Nさまなしじゃ、私、生きていけなぁい」

ピンクっぽい母性巫女 「私、もう幼女魔王Nさまにメロメロなのぉ」


プルルン プルルン


母性っぽい幼女魔王N 「あらあら、困った母性巫女。私は母性巫女にできないことができるから」

母性っぽい幼女魔王N 「かわりに膝枕をさせてあげましょうね。うふふ」


…………



ポワポワポワ


幼女魔王N 「よっし、いける」




コトコトコトコト


幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (母性巫女にできなくて、私にできることって、存在するのかしら)


シュラシュラシュラシュラ ピィー


幼女魔王N (ステータス的に、平均的な人類の完全上位互換であろう母性巫女に対して)

幼女魔王N (私は平均的な人類の完全下位互換)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……ないわよね)

幼女魔王N (私にできることは母性巫女も絶対できて、母性巫女ができないことは私も絶対できないわよね)


カチ コチ カチ コチ


魔動画 『…………』


幼女魔王N (……まいったわ、どうしましょう)

幼女魔王N (ここは魔動画でプニキュアでも見て脳内をフレッシュに……)

幼女魔王N (ワーオゥ! 魔、動画ッ!!)


魔動画 『…………』


幼女魔王 「……そうよ、そうだわ」

幼女魔王 「母性巫女は魔動画とかペニステとか、この方面に滅法弱い!」

幼女魔王 「魔動画を叩いて直す技術とかをすでに別方面で応用運用されてしまった気もするけれど」

幼女魔王 「滅法弱い!」



>>233 訂正ごめんなさい

名前表記
幼女魔王を幼女魔王Nに



幼女魔王N 「そう、母性巫女はアニメのことを漫画とか言ってしまう」

幼女魔王N 「こっち方面ではずぶの素人!」

幼女魔王N 「やった、わたし勝てる!」

幼女魔王N 「あはははは、あはははは!」


ピョーンピョーン バフ バフ


幼女魔王N (そうよ、思えば私、けっこう母性巫女にないもの持ってる!)

幼女魔王N (落ちた洗濯バサミを拾うとき、母性巫女なら胸がつかえて通れなかったところを、私は通れた! ありがとうって言われた!)

幼女魔王N (圧迫されてムニッてなった母性巫女の胸のお肉、何とも言えない触り心地だった! また触ってみたいつつきたい!)

幼女魔王N (じゃなくて、あとは……えーと、えーと……)

幼女魔王N (すごい眠れる! 母性巫女より長いこと眠れる!)




幼女魔王N (母性巫女は寝坊が苦手だけど、いっぽう私は得意、がんがん寝坊する!)

幼女魔王N (あと私の方が敏感! とくにお尻とかおへそ! 母性巫女も敏感肌とか言っていたけどメじゃない!)

幼女魔王N (えーっと、あと……わたし、母性巫女に甘やかされてる!)

幼女魔王N (母性巫女は母性巫女に甘やかされないけど、私は母性巫女に甘やかされまくり! しかもときどきメッて叱ってもらえる!)

幼女魔王N 「あはははは、勝ってる、勝ってる! うへらうへら」


ピョーン ピョーン ギシ ギシ


幼女魔王N (あと触手! いまは調子わるいけど触手つかえる!)

幼女魔王N (こんど触手たちで母性巫女を手伝ってあげよう)

幼女魔王N (触手で、お風呂で背中とか流してあげよう! 触手風呂とかいれてあげよう!)

幼女魔王N (触手風呂は最高。お肌すべすべになる。あと何か気持ちいい、ふえぇ……てなる)

幼女魔王N (私はなった。ふえぇ……て、えへぇ……てなった。きっと母性巫女もふえぇ……てなる)

幼女魔王N 「あはははは、やった、やったあ、わたし無敵! あははは、えへへへ……!」


ピョーン ピョーン ギシ バフ

ギシ ギシ

ギシ……


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「笑いごとじゃ無いわよ……」




…………


シュラシュラ コトコト

ポヨン バイン


母性巫女 「……ルールルー。ルー」


プルルル フニョニョン


母性巫女 (Nが魔動画で見ていた何とかっていう漫画の曲)

母性巫女 (私の家事のリズムと合っている。料理がいつもより美味しそうにできる……)

母性巫女 「ンーンー……」


ユサッ ユサッ フワン……

ガチャ


幼女魔王N 「…………」


パタン


母性巫女 「あ、おはようございます、N」

母性巫女 「今日は早起き……」


幼女魔王N 「遅起き!」


母性巫女 「ええっ!?」


幼女魔王N 「とうっ」


ガバ



幼女魔王N の 土下座攻撃



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「おはようございます!」


母性巫女 「え、ええ……っ!?」




母性巫女 「お、おはようございます。どうしたんですか、何やってるんですかN」


幼女魔王N 「……仕事」


母性巫女 「は、はい?」


幼女魔王N 「仕事を、ください!」

幼女魔王N 「ここで、働かせてください!」


母性巫女 「……どうしたんですか、いきなり。変な夢でも見たんですか?」


ポヨヨ


幼女魔王N 「うんー、あのね、Nたんねー……」

幼女魔王N 「じゃ、ない!」

幼女魔王N 「何でも良いから!」

幼女魔王N 「どんな仕事でもやるから!」

幼女魔王N 「仕事を、おくれ!」


ガバッ

ジャジャジャーン



幼女魔王N の土下座のレベルが上がった!

幼女魔王N の奴隷体質Ⅰが最大になり 幼奴隷に転職できるようになりました



母性巫女 「と、とにかく顔を上げて……」




幼女魔王N (何か新しい力に目覚めた気がする)

幼女魔王N (生ぬるい現状を打破しようとした私へのご褒美のように!)

幼女魔王N 「……そうよ、このままじゃ私は駄目になるの」

幼女魔王N 「部屋に引きこもってぐうたら三昧の、駄目な人になってしまうの!」


母性巫女 「は、はあ……」

母性巫女 「でも、Nはちゃんと手伝ってくれるじゃないですか。洗濯物を干すのとか、お皿のかたづけとか……」


幼女魔王N 「あんた騙されてるんだよ奥さん!」


母性巫女 「わたし、独身ですけど……」




幼女魔王N 「たしかに私は手伝っている」

幼女魔王N 「でもそれはときどきで、いつもじゃない。しかも、お膳立てされたものをちょちょーっといじるだけの簡単なお手伝い」

幼女魔王N 「こいつ、重要な行程は何一つまかせられないポンコツだけど、せっかくいるんだから仕方ないちょっと働かせてやるか、と」

幼女魔王N 「お情けでわざわざ与えられるような、そんな仕事」

幼女魔王N 「誰がやってもとくにどうでも良い感じの、そんな仕事!」

幼女魔王N 「しかもそれすら失敗する可能性を秘めた、可能性のない私!」


母性巫女 「そ、そんなこと……」


幼女魔王N 「あなたは、たまーに積極的にどうでも良い仕事を手伝う私を見て」

幼女魔王N 「ああ、こいつ何一つできないくせにやる気はあるんだな、こいつ優しい子なんだなポンコツのくせに……と」

幼女魔王N 「騙されているに過ぎないお人好しなのよ!」

幼女魔王N 「このお人好し!」


母性巫女 「ええーっ……」




幼女魔王N 「でも、私もいつまでも甘ったれてはいられない。ポンコツではいられない。いいえ……」

幼女魔王N 「たとえポンコツでも、十の行程のうち九と四分の三番目の行程をちょちょっと手伝うんじゃなく」

幼女魔王N 「ポンコツなりに、一から十までのすべての行程ができるポンコツにならなきゃいけない!」

幼女魔王N 「ならなきゃいけないのよ!」

幼女魔王N 「すげえ面倒くさいけど!」


母性巫女 「N……!」


ジィン


幼女魔王N 「でもいきなりは無理だから、できれば段階をふませてほしい!」

幼女魔王N 「そのくらいのお膳立てはしていただきたい!」



母性巫女 「……分かりました」

母性巫女 「それじゃあ、大事なお手伝いを頼みます」


幼女魔王N 「! う、うん……」


母性巫女 「毎日、生きてください」


幼女魔王N 「はいっ……はい?」


母性巫女 「ごはんを食べてください」

母性巫女 「歯を磨いて、お風呂に入って、寝るときはしっかり寝てください」

母性巫女 「そして遊んで、本を読んで……なんでも良いので毎日、いっぱい心を動かしてください」


幼女魔王N 「あの、お手伝い……」


母性巫女 「Nが毎日いっぱい生きて、いろんな表情を見せてくれるのが」

母性巫女 「一番のお手伝いなんですよ……」


幼女魔王N 「! 母性巫女……!」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「母性巫女ぉー……」


ォー ォー ォー…… ォー………

タ  タ  タ  タ


母性巫女 「ふふっ……」

母性巫女 「おいで、Nー……」


ヌー ヌー ヌー……ヌー………


幼女魔王N 「あはははは……」


母性巫女 「うふふふ……」


タ  タ  タ  タ

タタタタタタ


幼女魔王N 「バーカぁあ゛!!」


ピョーン ムニュウ



幼女魔王N の 揉みしだく攻撃!



母性巫女 「ひぅんん……っ!?」


フニニ



幼女魔王N 「だから!」


グニ


母性巫女 「ちょ……やんっ」


幼女魔王N 「それじゃあ!」


ツムッ


母性巫女 「くぅんッ……」


幼女魔王N 「いかんのよぉお!!」


ムニュムニュムニュムニュ


母性巫女 「いやああん……!」

母性巫女 「で、でも、はぅっ……Nはまだ子供、です、し……んふっ、ぅ……!」


幼女魔王N 「あなたも子供寄りでしょうが! 胸がばかでっかいだけで、1X歳でしょうが!」


母性巫女 「わ、私の国では、15歳から成人で……はぅううぅんっ」

母性巫女 「も、揉むか話すかどっちかにしてくださぁい……!」


幼女魔王N 「…………」


グニグニグニ ムニュンムニュン ニョラニョラニョラ


母性巫女 「きゅぅううう……!?」

母性巫女 「ご、ごめんなさい、話す方で、離す方で……!」




幼女魔王N 「私を甘やかさないで! 優しく厳しくして!」

幼女魔王N 「私のかわりにやってくれるんじゃなくて、私にやらせてみて失敗させて!」

幼女魔王N 「私の失敗を許して! そしてまたチャンスを与えて!」

幼女魔王N 「あなたの役に立たせて!」


母性巫女 「N……」

母性巫女 「そうですね。ごめんなさい、分かりました」


幼女魔王N 「最初は難易度天国から!」


母性巫女 「わ、分かりました……」

母性巫女 「じゃあ、続きは朝ごはんを食べながらにしましょう」


幼女魔王N 「うん! いっぱい揉みしだくわ!」

幼女魔王N 「揉んでしだくわ!」


母性巫女 「話す方です!」




…………


カチャカチャ モグモグ


幼女魔王N (……さっきはずいぶんと言いすぎた気がする。ムシの良いことを)

幼女魔王N (ダメね、私。もうすっかり母性巫女とズベズベの関係ね)

幼女魔王N (……ズブズブ……だったかしら)


母性巫女 「……はあ、嬉しいですね」


幼女魔王N 「えっ、ズボズボの関係が!?」


母性巫女 「い、いえ……Nが、あんな風に言ってくれるなんて」


幼女魔王N 「……あ。え、えへへ……」

幼女魔王N 「それで、私は何を手伝えば良いの?」


母性巫女 「そうですね……」

母性巫女 「町で簡単なおつかいを頼みたいんですが……」


幼女魔王N 「いやだ!」


母性巫女 「ええっ!?」




幼女魔王N 「町でおつかいって、あれでしょ」

幼女魔王N 「その過程で人と話さなきゃならない、あれでしょ」


母性巫女 「私が頼もうとしたのは、そうですね」


幼女魔王N 「ごめんなさい。私には難易度が高すぎる」

幼女魔王N 「だってここ最近、母性巫女以外と話してないもん」

幼女魔王N 「きっと人で賑わう町の空気を吸うだけで、胃がキュンッってなる」


母性巫女 「な、なるほど……」

母性巫女 「私も町に行きますけど、それでも駄目ですか?」


幼女魔王N 「母性巫女も?」

幼女魔王N 「あれ、町に行って良いの?」


母性巫女 「本当は駄目ですけど」

母性巫女 「ほら、Nが見た血涙の子供のこと、騎士団に報告しなきゃいけませんから」


幼女魔王N 「あ、ああ……」

幼女魔王N (忘れてた。探しに出た母性巫女が何事もなかったように帰ってきたこともあって)

幼女魔王N (すっかり忘れてた)




母性巫女 「本当は私が報告している間に、Nにおつかいを頼もうと思っていたんですが」

母性巫女 「ほら、私と一緒に行動しているところを見られたら、Nも良く思われないかもしれないし」

母性巫女 「でも、どうしても駄目なら一緒に……」


幼女魔王N 「一緒に、町でおつかい……」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「怖かったら、手を繋いでいますから」

母性巫女 「それも駄目なら、留守番でも……」


幼女魔王N 「行く。行きたい」

幼女魔王N 「手を繋いで行く」

幼女魔王N 「繋がって、行く!」


母性巫女 「わ、分かりました」


幼女魔王N (母性巫女とお出かけ……)

幼女魔王N (うふふふふふふ)

幼女魔王N 「お出かけ、ふふふへへへへ……」


母性巫女 「お出かけですね。うふふ……」


幼女魔王N 「へへへへ、どぅへっへへへへ……ゲヘッ、ゴホッ、ゴホッ……」


母性巫女 「だ、大丈夫ですか。笑いながら食べるから……」


…………




…………


ガサゴソ ファサ ファサ


幼女魔王N (……髪をとかしてもらって、おめかしもした)

幼女魔王N (うふふ、鏡にうつる私がまるで私じゃないみたい。唇がつやつやのぷにぷに。まるで大人の女だわ)

幼女魔王N (そう、大人のミルクの味を知ってしまったかのような……)

幼女魔王N (……大人のミルクの味を知っているということは、はたして大人の照明になるのかしら)


コト コト


??? 「……じゃあ、行きましょうか」


幼女魔王N 「うん、母性巫……」

幼女魔王N 「ぎゃっ!?」


??? 「ど、どうしたんですか」

骨仮面母性巫女 「私の顔、何かついていますか?」


幼女魔王N 「ついてるどころじゃなくて、被ってる!」




幼女魔王N 「骨の仮面……」


骨仮面母性巫女 「良いものを見つけたでしょう」

仮面巫女 「これで、私が母性巫女だと分かりにくくなりますよ」


ポヨプルン


幼女魔王N 「どうだろう……」

幼女魔王N (でも、母性巫女が被る骨の仮面を見ていると、懐かしい感じがする)

幼女魔王N (こんな仮面をした爽やか笑顔のプリンスを護衛につけて旅をしながら、ラブラブイチャイチャしていた気がする。そんなわけないのに)


母性巫女 「それじゃあ、行きましょうか」



母性巫女 が仲間になった!

デロリロデロリロデロリロ

仮面の呪いが 仮面巫女(母性巫女) を襲う

仮面巫女(母性巫女) は呪われている!



仮面巫女 「……お昼のエビはエビドリアにしませんか」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (お昼の、えび……?)


テク テク

ガチャ ギイイ パタム


…………




精霊の森 町への道



テク テク テク


幼女魔王N 「わーかいー、ごにんのー」


母性巫女 「あの魔動画からときおり流れてくるような不思議な歌……」


幼女魔王N 「……う、うん」

幼女魔王N 「天使ファイブスリーのテーマ」

幼女魔王N 「いま大人気の休日朝の風物詩」

幼女魔王N 「私も大好き」


母性巫女 「まあ……」

母性巫女 「……ああ、そういえば」

母性巫女 「Nが珍しく早く起きて魔動画を見ている日がありましたね」

母性巫女 「思えば、そんな歌がかかっていました」


幼女魔王N 「うん」


母性巫女 「……うふふ」


幼女魔王N 「?」




母性巫女 「N、魔王さまなのに天使が好きなんですね」


幼女魔王N 「あ、うん……」

幼女魔王N 「……魔王だって、天使とか詐欺師とか好きになったりするもん」

幼女魔王N 「こ、これは常識なんだから」


母性巫女 「そ、そうなんですか。ごめんなさい」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


テク テク テク


幼女魔王N 「……本当よ?」


母性巫女 「ええ」


テク テク テク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あの、本当に、私は魔王だからね?」


母性巫女 「はい」


テク テク テク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (なぜかしら、そわそわしてしまうわ)

幼女魔王N (つくり手の精神状態がおかしかったに違いない仮面のせいで、母性巫女の顔が見えないからかしら)





チチチ クケー チョロチョロチョロ

ザワワ サラサラサラ


テク テク テク


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


テク テク テク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……もしかして嘘だったら?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「そうですねー……」


テク テク テク


母性巫女 「可愛いなあ、と思います」


幼女魔王N 「ぽっ……」

幼女魔王N 「……じゃ、じゃあ、本当だったら?」


母性巫女 「やっぱり、可愛いなあ、と思います」


幼女魔王N 「?」


テク テク テク




幼女魔王N 「……どっちでも同じなの?」


母性巫女 「うーん」

母性巫女 「本当だったら、頑張って本当のことを言っていたNが可愛いし」

母性巫女 「嘘だったら、頑張って嘘をついていたNが可愛いです」


幼女魔王N 「?」

幼女魔王N 「嘘をついても良いの?」


母性巫女 「そりゃあ、駄目です」


幼女魔王N 「??」


母性巫女 「でも、嘘をついても、私にとってNは可愛いんです」


幼女魔王N 「???」


母性巫女 「そういうこともあるんですよ」


幼女魔王N 「う、うん……?」

幼女魔王N (……どういうこと?)


テク テク テク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (そういえば、いっぱいかわいいって言われた。たぶん私の一生分)

幼女魔王N (これはもう、神友どころじゃ……っ)

幼女魔王N 「………ブーーーッ」


母性巫女 「わっ、鼻血!」




テク テク テク

ボヨン フヨン ポユン


母性巫女 「もうすぐ町ですよ」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……コヒュー! コヒュー! コヒュー!」


ガタガタガタガタ


母性巫女 「うわあ、いろんな汁を出して震えだした!」

母性巫女 「だ、大丈夫ですよ。私にくっついて良いですからね」


幼女魔王N 「う、うん……」




母性巫女 「……町で」


幼女魔王N 「……」


ビク


母性巫女 「だ、大丈夫ですからね……」

母性巫女 「……町で、何か欲しいものはありませんか?」

母性巫女 「ちょうど、勇者市がたっている時間です」


幼女魔王N 「……う、うーん」

幼女魔王N 「あ」

幼女魔王N 「男のミルク。男のミルクが欲しい」


母性巫女 「男のミルク?」




母性巫女 「ああ、男のミルクですね、Nが前に言っていた」

母性巫女 「売っているでしょうか」


幼女魔王N 「分からない。何せとても珍しいアイテムだから」


母性巫女 「うーん、どんなものなんでしょう」

母性巫女 「男の人がミルクを出せるなんて、聞いたこともありません」


幼女魔王N 「うん。だから、すごいミラクルレアアイテム」


母性巫女 「男のミルク……」


幼女魔王N 「男のミルク……」


テク テク テク




森の町 市



ザワザワ ワイワイ


流浪教師 「魔王軍侵攻の爪痕は、悪いものばかりではありませんでした」

流浪教師 「我々ヒトの結束が強まり、各国の交流が盛んになったことも、その一つ」


公社公示人 「勇者隊は世界各地を旅しました」

公社公示人 「さまざまな国で飲み食いをし、売り買いもしました」

公社公示人 「そんな勇者にちなみ」

公社公示人 「各国の特産物が集まるこのような市を、勇者市といいます」


ザワザワ ガヤガヤ


幼女魔王N 「ぜったい手を離しちゃダメよ? ダメだからね、ダメだからね?」


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですからね……」



私めが男ミルクを放出できる技を会得してまいりましたので幼女魔王ちゃんちょっと人気のない部屋にいこうか?




>>273

http://i.imgur.com/fy8p1om.jpg



■SS風紀委員長 湧魔江 ロマエ

SS界の公序良俗を守る風紀委員長。
「わきまえろ、お前」を意味する「わきまえろまえ」が口癖。

ローマ風呂巡りと世界各国津々浦々の縄を収集することが趣味という、お茶目な一面も。
ムッツリ。





森の町 市 お菓子の店



キャッ キャッ ワイワイ


飴細工士 「弾けるワタアメ、おいしいよー」


幼女魔王 「…………」


ジャム職人 「赤いジャムは体力回復、青いジャムは魔力回復……」


キャッ キャッ ワイワイ ザワザワ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「市を見てまわる前に、まず騎士団に報告を……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……何か食べながら行きますか?」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「……べつに? 私、子供じゃないし? おしゃレディだし?」

幼女魔王N 「お菓子なんて全然? もうぜんぜぜん興味ありまぜんぜん?」


母性巫女 「…………」




ぺろぺろキャンディ(大) を 手に入れた!



…………



騎士団施設前 噴水広場



チュン チチチチ

サラサラサラ チャポチャポ


幼女魔王N 「ペロペロペロペロ……」

幼女魔王N (母性巫女が騎士団に報告している間、外で待つことにした)

幼女魔王N (……さすがに正義の味方の拠点にはノコノコ入れないわよね)

幼女魔王N (ここ、人が少なくて良かった)

幼女魔王N 「ペロペロペロペロ……」


トテ トテ トテ


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (誰か来た……)

幼女魔王N (見覚えがあるけど……誰だっけ。同い年くらいかしら)


鋏魔法少女 「…………」


トテトテトテ

チョコン


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (隣に座られた……)




幼女魔王N 「ペロペロペロ……」


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (き、緊張するわ)

幼女魔王N (他にもベンチはあるのに、どうしてここに……)


鋏魔法少女 「…………」


ガサ


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N (細長い、小さな包みを取り出した)


鋏魔法少女 「…………」


クルクル ガサ


棒キャンディ・赤


幼女魔王N (棒のついた棒状のキャンディ……)

幼女魔王N (お子様も口に入れやすいよう、先が丸くやや細めになっているのが)

幼女魔王N (ニクい心遣いね)


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「……あむっ」


幼女魔王N (豪快にくわえた)


鋏魔法少女 「チウチウチウ……チュポッ」

鋏魔法少女 「……チュウチュウチュパチュパ」


幼女魔王N (おいしそうに食べるわね)

幼女魔王N (口の奥まで咥えてから、チュポンッて抜くの、変な音がして楽しそう)

幼女魔王N 「ペロペロペロペロ……」


鋏魔法少女 「チュパッ、チュパッ、チウチウチウ……」





鋏魔法少女 「チュッパッ、チュッパッ、チュポッ、チュポッ……」


幼女魔王N 「ペロペロペロ……」

幼女魔王N (本当に、どうして私の隣に座ったのかしら)

幼女魔王N (……! も、もしかして)

幼女魔王N (私とお友達になりたいから!?)

幼女魔王N (そういえば、さっきから右頬に視線を感じる)


鋏魔法少女 「チュパチュパチュパ…………」


幼女魔王N 「ペロ……ペロ……」


鋏魔法少女 「チュッッ……ポンッ……」


幼女魔王N 「……ッ!」


鋏魔法少女 「…………噴水」


幼女魔王N 「あひぇっ!?」


ビクッ




幼女魔王N (声がひっくり返っちゃった)

幼女魔王N (この人、いきなり話すんだもの)


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「噴水の前で舐めるアメ……美味しいのです」


幼女魔王N 「は、はひっ、まったくその通……い、いえ……ええ、そうね」

幼女魔王N (まずは共通の話題からというわけね。勉強になるわ)


鋏魔法少女 「ここ、ずっと昔から私の特等席です……五億年くらい前から」


幼女魔王N 「へ、へえ……」

幼女魔王N (あからさまな嘘をついてきた)

幼女魔王N (……もしかして冗談かしら。突っ込むべきだったかしら)


鋏魔法少女 「私、専用の、特等席……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……どけってことかしら)




幼女魔王N 「あ、あの……」


鋏魔法少女 「…………」


モゾ


幼女魔王N (動いた)

幼女魔王N (腹ドンパンチが来る……!)


鋏魔法少女 「…………アメ」


幼女魔王N 「ひっ……!」


鋏魔法少女 「交換して舐めっこするなら……一緒に座らせてあげてもいいです……」


幼女魔王N 「…………」




棒キャンディ・赤 を 手に入れた!



…………


ザワワ ザワザワ

サラサラサラ チャポチャポチャポ


鋏魔法少女 「ペ゚ロレロペロレロ」

鋏魔法少女 「…………。……男のミルク」


幼女魔王N 「う、うん」


鋏魔法少女 「売っているの見たことないけど……売っていたらこんど教える……」

鋏魔法少女 「レロレロレロ……」


幼女魔王N 「うん……あ、ありがとう……」

幼女魔王N 「……ヂュボ……チュル、ヂュルル……」

幼女魔王N 「プヂュチュ……んっ、レロ…ォ…んふ、グヂュ、ん……ふヂュッ、ヂュプ、ヂュプッ……」

幼女魔王N 「ヂュピチュピチュピ……チュプ……むは、ぁ……ッ」

幼女魔王N 「はへぁ……ぁふ」

幼女魔王N 「……棒キャンディって、舐めるの難しいのね」


鋏魔法少女 「そんなことない」

鋏魔法少女 「すごく、上手……」


幼女魔王N 「ほ、本当です……ほ、本当かしら?」


鋏魔法少女 「うん……」

鋏魔法少女 「もっと、舌でくすぐるようにすると、いいと思う……」

鋏魔法少女 「分からないけど、なんだか、男のミルクっぽい……かも……」


幼女魔王N 「へ、へええ……」

幼女魔王N (頑張ろう)

幼女魔王N 「チュプ、ヂュルッ………レロン……」

幼女魔王N (舌でちょっとくすぐると、舌もくすぐった気持ちいい……)


ペロペロペロ

レロレロレロレロ


…………





鋏魔法少女 「……チュパ」

鋏魔法少女 「……そろそろ、交換」


幼女魔王N 「……ニュポォ……ッ」

幼女魔王N 「あ、う、うん、どうぞ……」

幼女魔王N (どうしよう、思いっきりなめ回してしまったわ)


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (私のよだれまみれの棒キャンディをじっと見てる)

幼女魔王N (お、怒っているのかしら。そうよね、よだれまみれなんて汚いわよね……)


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (ドキドキ……)


鋏魔法少女 「……え゛へっ」


ニタリ


幼女魔王N 「!!」


ビクッ


鋏魔法少女 「…………間接……キッス……」




幼女魔王N 「…………か、間接……」


鋏魔法少女 「あなたが一生懸命しゃぶった、あなたのよだれでベチョベチョの棒を」

鋏魔法少女 「今度は私が舐めちゃう……」


幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「やめてくださ……や、やめてよ……そんな意地悪な言い方……」

幼女魔王N (うわあ、顔が熱くなってきた……)


鋏魔法少女 「首までピンク色になった……照れてる」


幼女魔王N 「そんなことありま……な、ないもん」


鋏魔法少女 「すねた顔で、照れ隠ししちゃって……可愛い」

鋏魔法少女 「……ねえねえ」


幼女魔王N 「な、なに……」


鋏魔法少女 「ほら……むふっ」

鋏魔法少女 「棒にねっとり絡まったあなたのよだれ……ペロペロっ……て、私の舌で舐めとってあげる……」


チロリ



鋏魔法少女 の 舌なめずり!



幼女魔王N 「……はぅ……ッ」


キュンッ


幼女魔王N (な、何かしら。ゾクゾクッ……て、気持ちが甘酸っぱくなる)

幼女魔王N (あんなこと言われたから、どうしても口元を見ちゃう……)




鋏魔法少女 「ほーら、ほーら……」

鋏魔法少女 「私の舌で、あなたのよだれまみれの棒……」

鋏魔法少女 「ショリショリショリ……て」


アーン


幼女魔王N 「ひ、ひぅ……」

幼女魔王N (し、舌が、棒キャンディに近づいて……)


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (ついちゃう……舌が、棒キャンディに……)


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「………チロ」


幼女魔王N (つく……!)


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (……あれ、舐めない?)

幼女魔王N (な、なぁんだ……)


ホッ……


鋏魔法少女 「ペロンッ」


幼女魔王N 「!?」

幼女魔王N 「ほょおっ!?」



幼女魔王N 「ぉ……はぇ……」

幼女魔王N (わ、私の舌の、敏感なとこ舐められたみたいに、くすぐった……)


鋏魔法少女 「どうしたの……変な声あげて」


幼女魔王N 「はぇ……べ、べひゅに、何も……」


鋏魔法少女 「ろれつ、回ってない……どうでも良いけど」

鋏魔法少女 「……くふっ……見て見て」

鋏魔法少女 「今度はこう舐めちゃう……」


ピト


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (ま、まさか、根元から……!?)


鋏魔法少女 「ゆっくり……あなたの唾液をトローッてすくいながら、先っぽまで舐めちゃう……」


幼女魔王N (小さくて淡い色だけど、生々しくうねるちょっと厚い舌……)

幼女魔王N (この舌に、私の舌が根元から先までぜんぶ舐められちゃう……)

幼女魔王N (ち、違う違う、舐められるのはキャンディよ)

幼女魔王N (それに、こんなの見なければどうってこと……)

幼女魔王N (ない……のに……目が離せない……)

幼女魔王N 「お、お願い、ちょっと待って……」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「レロオォォ……」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「ひにゅううぅうん……ッ!」





…………


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「ふふー……」


幼女魔王N 「……ぁ、へ」

幼女魔王N 「おほぇ……ぃひっ、へ……」


ピクッ ピク ピクンッ


鋏魔法少女 「だらしない格好」

鋏魔法少女 「そんなカエルみたいに脚ひらいてたら……はしたないよ……」


幼女魔王N 「ひょ、ひょにゃ……へ……」


鋏魔法少女 「……ねえねえ、見て、見て」

鋏魔法少女 「目、虚ろでうるうるしてるけど、見える……?」


幼女魔王N 「ぁ……ぉ……」


鋏魔法少女 「いいこ」

鋏魔法少女 「……今度はね、奥まで咥えてたくさんなめちゃう」


幼女魔王N 「っ……ぃ、ぁ……だ……」


フル フル


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「はむっ」


幼女魔王N 「ほッッッッッ………ぉぉお……ッッッ!?」


鋏魔法少女 「レロレロレロ」

鋏魔法少女 「ピチャピチャピチャピチャ………」


幼女魔王N 「………ッッ! ッッ!! ……ッ、ッ!!」


ペロペロペロ

チュパチュパチュパ……



……………




…………


騎士団施設前 噴水広場 ベンチ



テク テク テク


母性巫女 「ごめんなさいN、待たせてしまっ……」

母性巫女 「……!!?」


幼女魔王N 「……ぁえ……へへぇ……」


ピク ビクン 


母性巫女 「きゃあ!」


ポヨヨン


母性巫女 「どど、どうしたんですか、何があったんですかN!」

母性巫女 「スカートがめくれてパンツ丸見えだし、よだれと鼻水と涙で顔がぐちゃぐちゃだし……」


幼女魔王N 「にゅぇ……らひゅけへぇ……ぼひぇい、みほぉ……」


母性巫女 「と、とりあえずスカートをなおして脚を閉じましょうね」

母性巫女 「ただでさえ短いスカートなんですから……」

母性巫女 「あら、ベトベト……飴つけちゃったんですね」

母性巫女 「本当に、いったい何があったのかしら……」


幼女魔王N 「……ふえぇ……ぼひぇいみひょぉ………」


母性巫女 「おお、よしよし。はいはい、大丈夫ですからね……」



…………





森の町 バザー 本屋



ザワ ザワ

テク テク テク


幼女魔王N 「……まさに命のすり減るような攻防だった。お互い、まったく余裕がなかった」


母性巫女 「まあ……」


幼女魔王N 「それでも魔王たる私は、敵をあと一歩というところまで追い詰めた」

幼女魔王N 「しかしそこで、なんとスパッツの穴からくすぐりアリが列をなして潜り込んできた」


母性巫女 「くすぐりアリ?」


幼女魔王N 「すごく強いアリ。一生に一度出会えたらラッキーな珍しいアリ」

幼女魔王N 「……思わぬアリの介入により集中力が途切れた私に、不運にも敵の隠し超必殺技がクリティカルヒット」

幼女魔王N 「なおも続く敵とアリの攻撃に、私は懸命にあらがおうとしたが」

幼女魔王N 「それだけの体力は残っていなかった……」


母性巫女 「そ、それは、大変でしたね」


幼女魔王N 「うん。頑張ったのに、残念」


母性巫女 「そうですね……」


幼女魔王N 「…………め」

幼女魔王N 「珍しいアリだったから」

幼女魔王N 「普通のアリなら、全然だいじょうぶだったから……」


母性巫女 「そうですか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ほ、本当に頑張ったからね」

幼女魔王N 「頑張ったのは、本当だから……」


母性巫女 「はい。Nはいつも頑張っていますものね」


幼女魔王N 「う、うん……?」




幼女魔王N (何かしら。私、何を頑張っていたかしら)

幼女魔王N (料理の手伝い以外は基本的に魔動画を見てゴロゴロしてて)

幼女魔王N (その間、母性巫女は掃除、洗濯、お風呂わかしたりその他もろもろ……)

幼女魔王N 「……私、頑張っとりますかね?」


母性巫女 「かね?」

母性巫女 「はい。心配になるくらい頑張っていますよ」


幼女魔王N 「ふ、ふうん」

幼女魔王N (……目が節穴なのかしら)

幼女魔王N (たしかに、母性巫女ってそういうとこあるわよね)

幼女魔王N (何回教えても、漫画とアニメの区別がつかないし)


母性巫女 「あら、子供を寝かしつける絵本……」


幼女魔王N (……その辺、私がしっかりしないといけないわね)




白バク 「こっちは楽しい夢を見られる本。美味しいものの本、お姫様の本……」


黒バク 「こっちはスリルのある夢を見られる本。怪獣の本、お化けの本……」


幼女魔王N 「フンフン……へえ、ほお、ふうん……!」

幼女魔王N 「読み聞かせると子供が眠っちゃう本なんて、不思議なものもあるのね」

幼女魔王N 「ま、まあ、私はもう立派なレディだから効果ないだろうけど」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ぜ、絶対効果ないわよね。うん、効果ないわ、絶対……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……た、ためしに、何か買ってみますか?」

母性巫女 「私の知っている言葉で書かれているので、読み聞かせできますよ」


幼女魔王N 「…………し」

幼女魔王N 「しかたないなあ……!」




黒バク・白バク 「まいど」


冬の本 を 手に入れた!
地獄の本 を 手に入れた!


幼女魔王N 「わたし、私が持つ……!」


母性巫女 「うふふ、はいはい」


幼女魔王N 「えへへへ……」


ブー

レベルが低すぎて
幼女魔王N は これ以上本を持てない


幼女魔王N 「あら……私、何か本を持っていたわ」


ガサゴソ ポト バサ


幼女魔王N 「あ」


母性巫女 「あら、落ちましたよ……」


ヒョイ


すごい保健の本


母性巫女 「きゃっ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (詐欺商人にもらった本だ)


母性巫女 「お、男の人と女の人の裸が……!」


幼女魔王N (中身、そんな感じなんだ……)




母性巫女 「どうしてこんなものを持って……」

母性巫女 「こういう本、好きなんですか?」


幼女魔王N 「あわわわ……」

幼女魔王N (まずいわ。このままじゃ、私はエッチな子供だと思われてしまう)

幼女魔王N (せっかくこれまで、落ちこぼれだけどエッチなことはなにひとつない清純な乙女としてやってきたのに)

幼女魔王N (大人から子供まで安心して家族でご観覧いただけるような人生を送ってきたのに!)






ポワポワポワ

………


母性巫女 『幼女魔王Nって、役立たずのクソ虫のくせに、その上エッチだったんですね』

母性巫女 『目と髪の毛だけじゃなくて、頭の中もピンク色だったんですね』

母性巫女 『しもべになってあげようと思っていましたが、やめました、もうなってあげません』

母性巫女 『ペニステのゲームも全部中古魔法ショップに売っちゃいます』

母性巫女 『集めたプニマンも全部逃がしちゃいましょう』

母性巫女 『あと、今日から幼女魔王Nのごはんはゴキブリの煮っ転がしです』


幼女魔王N 『ひえ~』


…………

ポワポワポワ







ポワ ポワ ポワ



幼女魔王N 「……ひえ~」


母性巫女 「……N?」

母性巫女 「どうしたんですか、急にボーッとして」


幼女魔王N 「ち、違うの!」


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「これ違うの。そうじゃないの! 私、全然エッチな子じゃない!」

幼女魔王N 「だからお願い! マロカロスだけは、マロカロスだけは逃がさないで!」

幼女魔王N 「6Vだから……よく分かんないけどなんか6Vのプニマンだから!」


母性巫女 「分かんないのはこっちの方です! また漫画の話ですか?」

母性巫女 「……無理になおさなくても良いんですからね、N。あなたがエッチでも、私はあなたの味方ですから……」


幼女魔王N 「だから違うの!」


母性巫女 「でも……」


幼女魔王N 「……わっ」

幼女魔王N 「私ンじゃないから!」


母性巫女 「え?」


幼女魔王N 「そう、人ンだから! 私ンじゃないから」

幼女魔王N 「借りてる! 借りてるだけだから!」

幼女魔王N 「私、ぜんぜんそういうの興味ないのに、勉強しなさいって貸されただけだから!」

幼女魔王N 「私、ほんとぜんぜんだから。そういうの、ぜんぜんだから!」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「はいはい、うふふ」


幼女魔王N 「うわっ、ぜったい信じてない!」





白バク 「…………」


母性巫女 「でも、良かった」

母性巫女 「Nにもこういう本を貸してくれるお友達ができたんですね」

母性巫女 「頑張って前に進んでいるんですね」


幼女魔王N 「いや、けっこう前に貰ったから、むしろ今は後退してるんだけれどね……」

幼女魔王N 「とにかく、親愛の証として持っているだけで本の内容とかぜんぜんだから。読みもしないから」

幼女魔王N 「男の人の裸とか、興味あるけど見たってもう何? 何が面白いの? って感じだから」


母性巫女 「そうですね……私もそうでしたが、さきの魔王戦争の旅の中で、男の人の裸を見ることが恥ずかしくなりました」

母性巫女 「理由はよく分かりませんが」

母性巫女 「恥ずかしいのが良いのかもしれませんね」


幼女魔王N 「あ、うん。何となく分かるかも」

幼女魔王N 「夜が明るい日、城の外の野原に出て裸ででんぐり返りしまくるの。恥ずかしいけどすごく楽しかった」

幼女魔王N 「魔王の肩書きを脱ぎ捨てた私がそこにいた。私の内緒の遊び」


母性巫女 「そ、そうですか」


幼女魔王N 「あの……もしもね……母性巫女も私のお城に来たら……や……やらせてあげてあげる」

幼女魔王N 「内緒だけど、母性巫女は私にとってと……ととと、特別だから……」


母性巫女 「あ、ありがとうございます。Nこそ、私にとって特別ですよ」


幼女魔王N 「!!!」


母性巫女 「それじゃあ、いま買った本は私が持っておきますね」

母性巫女 「……あ、そうだ」

母性巫女 「すみません」


白バク 「……何だい、骨仮面の人」




母性巫女 「男のミルクというものを探しているんですが」

母性巫女 「何か知りませんか? 口に入れるものだと思うんですが……」


白バク 「……さあ」

白バク 「でも、食べ物だったら分からないけど、本ならあるよ」


母性巫女 「本?」


白バク 「子供向けじゃないけど、これだよ」


男のミルクの本


母性巫女 「まあ」


幼女魔王N 「お、男のミルクについて書かれているのかしら……」


母性巫女 「買えますけど、どうしますか?」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……欲しい」




森の町 えび処



骨仮面A 「移動えび喫茶、8番馬車へようこそ」


骨仮面B 「うちはえびの店だよ。ホットドッグがおいしいよ」


ザワザワ キャッ キャッ


幼女魔王N 「うふふ、読み聞かせの本いっぱい……」

幼女魔王N 「はやく開きたいけど、夜まで我慢しなきゃ。うふふ……」


母性巫女 「今日はどれを読みましょうか。やっぱり、この男のミルクの本からでしょうか」


幼女魔王N 「うーん、たいへんむずかしい問題ね……」

幼女魔王N 「うん、決めた。男のミルクは最後にする」


母性巫女 「うふふ。はいはい」




幼女魔王N (町ってけっこう楽しいのね。今までは怖かったのに)

幼女魔王N (……顔を上げて町を歩いたのはすごく久しぶりのような気がする)


母性巫女 「ああ、えび美味しいですねえび。最高ですねえび」


ムシャムシャ ポヨンポヨン


幼女魔王N (きっと、母性巫女がついてくれているからだけど)

幼女魔王N (……不思議。なんだかすごく安心できた。手を繋いでいたからかしら)


母性巫女 「決めた。今夜はえびカレーと、えびサラダにしましょう」


幼女魔王N (……母性巫女はどうなのかしら)

幼女魔王N (私のこと、特別って言ってくれたけど、優しい人だもの)

幼女魔王N (ほかの人にも言ってあげるに違いないわ)




カツカツカツ


骨仮面D 「こら、サボるなよそこぉ」


母性巫女 「?」


骨仮面D 「あれ、見覚えがないぞ。うちの者じゃないな」

骨仮面D 「すまんね。その仮面、うちのに似てたから」


母性巫女 「いいえ、すみません、紛らわしくて……」


ガサゴソ

母性巫女 は 骨仮面 をはずした
えびゆでの呪いがとけた!


母性巫女 「……やっぱり、今日の晩御飯は野菜ステーキと野菜シチューにしましょうか」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N (この骨仮面、やっぱり呪いのアイテムなのかしら)

幼女魔王N (でも、なぜか見ているとホッとするのよね……)


シュウ シュウ


母性巫女 「!!」

母性巫女 「大丈夫ですか、N。手から煙が!」


幼女魔王N 「んえ?」


シュウ シュウ


幼女魔王N 「ぬふぉ!?」


パ カラン

錆びたフォーク


幼女魔王N (煙の出ていた手で握っていたフォークが……)

幼女魔王N (手は、どうもなってない……)


骨仮面D 「お嬢ちゃん、フォーク落とし……あーあ! なんだこれ、錆びてボロボロじゃないか!」


幼女魔王N 「ひっ……ご、ごめんなさ……」


母性巫女 「あの、これは……」


骨仮面D 「お客さんにこんなモン使わせていたなんて、さてはあの新人ノッカーだな」

骨仮面D 「本当にすまんね。お代は返すから、どうか内緒にしていておくれ」


幼女魔王N 「は……はい」

幼女魔王N (ものが錆びるって、こういうこと、前にもあったような……)




…………


ワイワイ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (かわりのフォーク、持ってきてもらったけど……)


母性巫女 「はい、あーん……」


幼女魔王N 「あーん……」

幼女魔王N 「パクッ……モッチュモッチュ……」

幼女魔王N 「おいちい!」


母性巫女 「本当においしそうに食べますね、Nは」


幼女魔王N 「え゛へへ……」

幼女魔王N 「し、しかたないからね。また錆びちゃったら困るもんね」


母性巫女 「そうですね」

母性巫女 「はい、あーん」


幼女魔王N 「あーん……」

幼女魔王N (素晴らしいわ。楽園がここにおりてきているわ……)





ゴ ゴ ゴ

カタカタカタカタ


母性巫女 「?」


幼女魔王N (テーブルの上の食器がカタカタ震えてる)

幼女魔王N 「わ、私じゃないからね!」


母性巫女 「は、はい。地震みたいです」


幼女魔王N 「地震……ちょこちょこあるけど、ここって地震が多いの?」


母性巫女 「いいえ、そんなことは無かったんですけど……魔王戦争の影響なのかしら……」

母性巫女 「大きくないと良いけれど……」


カタカタ ガタガタガタ


骨仮面B 「お待ちど……あわわわ!」


ガシャン パリン

ゴゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴゴ


客A 「こ、今度の地震は大きいぞ!」


少女A 「うえーん。パパー、ママー」


ギャー ギャー キャー キャー

ゴゴゴゴゴゴ グラグラグラ


幼女魔王N 「あばばばばば、わんだばだばだば……」


母性巫女 「え、N、落ち着いて」

母性巫女 「こんなときは、まず、樫の木三本くらいの高さまでジャンプしましょう!」


ピョイーン


母性巫女 「さあ!」


幼女魔王N 「私にはとてもできないわ、母性巫女!」


グラグラ ゴゴゴゴゴゴ





グラグラグラ


母性巫女 「ではしっかり私にくっついて、舌を噛まないように口をとじていてください」


ポヨヨヨヨ プルルンプルルン

ババインババイン


幼女魔王N (母性巫女の胸が揺れてすごいことに……)

幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (私が止めていてあげよう。顔で)

幼女魔王N 「とうっ………うぷ」


ムギュ モニュニュ


母性巫女 「きゃんッ?」

母性巫女 「そ、そう、しっかり抱きついて……」


グラグラグラ


精霊戦士Vフロント 「この地震はおかしいですよ、皆さん! 頭を守って! 割れるもの、倒れてくるものの傍は危険だ!」


精霊戦士X字 「大きな地震だ。地割れに気をつけろ! あと、月は出ているか!?」


グラグラグラ ゴゴゴゴゴ


母性巫女 「…………」


ギュ


幼女魔王N 「…………」


グラグラグラグラ

ゴゴゴゴゴ


…………




…………


夕方

精霊の森 母性巫女の小屋前 



魔動画 『このところ、第三大世界の東の中世界で起きている異変について……』


コ パカ カラン


母性巫女 「こうやって薪を割ります。刃物で怪我しないように気をつけてくださいね」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「…………」


コト パゴ ガコ


幼女魔王N (刃はたったけど割れない。かたい……)


ガコ ガコ ガコ ガコ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ぬうぉおおおおお゛お゛!!」


ガコ ガコ ガコ ガコ


母性巫女 「ああ、ヤケクソになってる……!」






ホー ホー ウホウホ


幼女魔王N 「フヒー……フヒー……」


母性巫女 「どうどう……まだNには、薪割りは難しすぎるかもしれませんね」


幼女魔王N 「だ、だいたい、どうして薪なんて必要なの」

幼女魔王N 「魔法で火を起こせるのに」


母性巫女 「精霊さまたちのためです」

母性巫女 「精霊さまは、魔法の火より、自然の火の方が好きなんですよ」


幼女魔王N 「精霊……」

幼女魔王N (精霊の森のわりに精霊らしきものと会わないのよね)

幼女魔王N (商人の町で会ったシルフ娘とかを想像していたけど)


母性巫女 「この森には、目に見えない精霊さまたちが集まります」

母性巫女 「森で生きる人々は精霊さまを大切にし、特に騎士団の人々は」

母性巫女 「精霊さまの力を借りて戦うので、いっそう大切にします」


幼女魔王N 「……そうか、母性巫女も騎士団にいたのよね」


母性巫女 「はい。火の精霊さまの力をよく借りていました」


ポワ ユラユラ


幼女魔王N (母性巫女の手のひらに、小さいけど明るい火が浮いている……)

幼女魔王N 「きれい……」


母性巫女 「こうやって魔王に呪われ、騎士団から離れたいまも」

母性巫女 「精霊さまは私に力を貸してくれます……」


幼女魔王N 「母性巫女……」




母性巫女 「この森でNと出会えたのも、精霊さまの思し召しかもしれません」

母性巫女 「そうだとしたら、人生でこれほど嬉しいことはありません」


ユラユラ 


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……うれしい。母性巫女にそう言ってもらえて死ぬほどうれしい)

幼女魔王N (うれしいけど……)

幼女魔王N (心が痛い。私、母性巫女にここまで良く言われるほどの存在じゃないもの!)

幼女魔王N 「……あの」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「私、違いますから。ぜんぜん、本当そういうのじゃありませんから。出会えて嬉しいとかありえませんから」

幼女魔王N 「ほんと、つまらんクソのような女ですから。股間が180度ひらく程度が取り柄の、ピンクの雌ゴキブリですから」


母性巫女 「またそんなこと言って……」

母性巫女 「でも、不思議です。今まで年少組のお世話をすることもあって、それは楽しくて好きなことでもあったけれど」

母性巫女 「Nみたいな子は初めて」


幼女魔王N 「そらそうでしょう。私ほど出来の悪いお子さんはそうおらんでしょう」


母性巫女 「どうしたんですか、その話し方……。出来が悪いとか、良いとかではなくて。そういうのは関係なくて、何というか……」


??? 「……ほう」

星魔法少女 「君は体がやわらかいのか!!」


幼女魔王N 「!?」



星魔法少女 が あらわれた!






母性巫女 「星魔法少女……」


星魔法少女 「やあ、母性巫女。今日もダイナミックだね」

星魔法少女 「ところで、この艶かしい腰の子どもは誰だい。この前は見なかったように思うが」


幼女魔王N 「あ、あにょ…………」

幼女魔王N (魔法少女。この声、間違いない……どどど、どうしよう、魔王って知られたら殺される)


母性巫女 「さきの魔王戦争で知り合った子です」

母性巫女 「わざわざ、私を訪ねてきてくれて」


星魔法少女 「ふむ?」


幼女魔王N 「ひっ……」

幼女魔王N (近い……怖い……)


母性巫女 「あの……記憶喪失の上に人見知りする子なので、できたら……」


星魔法少女 「ああ、みなまで言ってくれないでくれ。魔王封印戦争の爪あとということだな」

星魔法少女 「魔物どもめ、やはり根絶やしにしなくては」

星魔法少女 「……驚かせて悪かったね、小さなレディ。私は君の敵じゃない」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (敵なのよね)




幼女魔王N (界駆魔法少女ギルド。魔物、もちろん魔王も討伐する魔法少女たち)

幼女魔王N (……怖いけど、戦わなきゃ)

幼女魔王N (でも……)


星魔法少女 「魔動画は気に入ってくれたかな?」


母性巫女 「ええ、とても不思議で面白いアイテムで……」


幼女魔王N (母性巫女に迷惑がかかるわよね。敵も私の正体に気づいてないみたいだし、おとなしくしてましょう)

幼女魔王N (……別に、戦わない口実を探しているわけじゃないのよ)


母性巫女 「あの、今日はひとりでここへ?」


星魔法少女 「ん、いや」


タタタタ


火・岩・泥・鋏魔法少女 「お姉さま~、お待ちになって~」


幼女魔王N 「!!」




幼女魔王N (し……死が駆けてきおった……四人で)

幼女魔王N (死だけに、四人で……フフッ)

幼女魔王N (うまいわね)

幼女魔王N 「うまかないわよ!!」


母性巫女 「!?」


ビクッ


星魔法少女 「遅いぞ、お前たち」


火魔法少女 「お姉さまが速すぎるのですわ」


泥魔法少女 「はしゃぎすぎ」


星魔法少女 「はっはっは!」


岩魔法少女 「やれやれ……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……あれ?)


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (この子、たしか……)






母性巫女 「みなさん、おそろいでいったい何が……」


星魔法少女 「君が騎士団に報告していた件で……」


ペチャクチャ


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (騎士団施設の前で会った人よね、たぶん。棒キャンディの人)

幼女魔王N (魔法少女だったのね……)

幼女魔王N (ということは、私は魔法少女と戦って生き延びた魔王ということ!?)

幼女魔王N (やった、私すごい)


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (見てる。じっとこっちを見ているわ)

幼女魔王N (私が魔王ってことがバレたのかしら)

幼女魔王N (い、いやいや、一緒に舐めっこしただけだし、飴を。分かるわけ……)


鋏魔法少女 「…………」


ニタリ


幼女魔王N 「!!」


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (笑った。いま一瞬、ジト目のまま笑った……!)




母性巫女 「……森の調査に? たしか、その必要はないということになったはずですが……」


星魔法少女 「ああ、魔王の呪いが君におかしなことを言わせているという」

星魔法少女 「見当違いの思い込みにとらわれていた騎士団のお偉方も」

星魔法少女 「大揺れで転げ落ち、重い腰を上げる気になったようだ」


火魔法少女 「と言っても、編成で何日か潰すようですけどね」


星魔法少女 「偶然、騎士団のお偉方の話を耳にした私たちは」

星魔法少女 「今日にでも森に入ると言ったのだけれどね。これがいけなかった」


岩魔法少女 「騎士団と一緒でなくてはならないとか」


火魔法少女 「まったく、何さまなんでしょうね」


星魔法少女 「こらこら、そう悪く言うものじゃない。はっはっは……!」


母性巫女 「……そうですか。よかった、調べてもらえることになったのですね」


星魔法少女 「君は参加しないのかい」


母性巫女 「私は……はい。こんな体ですから……」


星魔法少女 「もったいない。しかし、私としてはありがたい」





母性巫女 「?」


星魔法少女 「私たちが偶然耳にした、君の騎士団への報告にあったもののことだけどね」


泥魔法少女 「血の涙を流す人形……子ども」


母性巫女 「はい」


星魔法少女 「あれは是非とも私たちが接触し、必要とあらば私たちで始末をつけたい」

星魔法少女 「ここの騎士団でもなく、君でもなく、私たちの手で」


母性巫女 「そうですか。事情があるんですね」

母性巫女 「そう……そうですか、始末を……」


星魔法少女 「ふむ。戦争の傷の癒えない君は、参加しない方が良いのだろう。一人ならまだしも、迷いは他人を巻き込むからね」

星魔法少女 「……それで、実際に血涙の子どもを見たというのは」

星魔法少女 「もしかしてこの子なのかな」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (……視線が私に集まった。怖い)


母性巫女 「ええ、はい……」


星魔法少女 「なるほど」

星魔法少女 「……やあ、ピンクの小さなレディ」


幼女魔王N 「は、はひっ」

幼女魔王N (どうしても声が裏返っちゃう)


鋏魔法少女 「…………」


ニヤリ


鋏魔法少女 「かーわいい……」


幼女魔王N (笑われた)




岩魔法少女 「おや、珍しい。鋏は私たちの前でもそんな笑顔みせないのに」


泥魔法少女 「……ピンク髪のこの子が気に入ったみたい」


火魔法少女 「歳が近いからかしら」


鋏魔法少女 「う゛ふふ……」


幼女魔王N 「…………」


星魔法少女 「そんなにかたくならないで。君は全身の骨を粉砕したナマズのように体がやわらかいのだろう?」


ポム ツツツ サワサワ


幼女魔王N 「ひょっ……!? え、ええと……や、あっ……」

幼女魔王N (腰を触られた。敵に触られてるのに、どうしよう、そんなに嫌な気分にならない……)


星魔法少女 「そう、余計な力を抜いて……君が見たという血の涙を流す子どもについて、少し尋ねたいんだ」

星魔法少女 「いまのところ、ここでは君が唯一の目撃者らしいからね」




母性巫女 「あの、この子はそのことでとても怖い思いをしたようで」

母性巫女 「できたら、触れないでもらえると……」


星魔法少女 「おや、とても気持ちよさそうだが」


クルクル サワサワ 


幼女魔王N 「ふにゃ」


星魔法少女 「うん、なめらかでやわらかく、それでいて引き締まった良い腰だ」

星魔法少女 「歌や踊りをやれば、良い踊り子になれるぞ」


母性巫女 「血涙の子どものことについて触れないでという意味です……!」


星魔法少女 「おや、そうだったか」

星魔法少女 「話してはくれないのかい、君?」


幼女魔王N 「……はわ」

幼女魔王N 「は、話……はにゃしましゅうぅ……」


母性巫女 「N……」

母性巫女 「Nに何かしたんですか?」


星魔法少女 「そんな切ない顔をしないでおくれ、母性巫女。君は体こそ、はちきれんばかりに実っているが、心は若い」

星魔法少女 「その人が望んでいないことが、すなわちその人に必要ない……とは限らないのだよ」





火魔法少女 「ちなみに、何か魔法を使ったのかと言われれば、お姉さまは何もしていませんわ」


岩魔法少女 「その子がもとからチョロいのでは」


鋏魔法少女 「挨拶しただけで、好感度MAX……」


母性巫女 「ま、まさかそんな……」


星魔法少女 「さあ、話しておくれ。それはどんなものだったんだい」


幼女魔王N 「え、ええとぉ……絵本のお姫様みたいな服を着て、でもちょっと痛んでて……」

幼女魔王N 「私の腰かそのくらいの背の高さで……」


星魔法少女 「腰のこの辺りかい?」


サワワ


幼女魔王N 「ひゅうんっ……しょ、しょこぉ……」


カクカク フラ


星魔法少女 「良い子だ。支えていてあげるから続けて……」


幼女魔王N 「え、えっと……えっとぉ……暗がりで見えにくかったけど」

幼女魔王N 「切りそろえられた前髪に隠れた目元から血を流していて、頭に冠があって」

幼女魔王N 「あと、あと……にゃあぁんっ……ご、ごめんなひゃい……もっと弱く……」


星魔法少女 「良いさ。気持ち良いことは悪いことじゃない」

星魔法少女 「待っていてあげるから、もっと心と体を開いて、お姉さんに話しておくれ……」


幼女魔王N 「きゃうん……お、お姉さまぁ……!」


ナデナデ スルスル


母性巫女 「本当に何もしていないんですか……!?」


火魔法少女 「本当に何もしていませんってば」


岩魔法少女 「お姉さまの魅力を差し引いても驚異的なチョロさですね」


鋏魔法少女 「かーわいい……」




星魔法少女 「それで、その子どもはいったい何をしていたんだろうね」


幼女魔王N 「こ……子ども、女の子を……」


星魔法少女 「それは違う子ということかい。血の涙の子とは」


幼女魔王N 「う、うん……違う女の子……」

幼女魔王N 「女の子、たぶん死んだ女の子を、引きずって……」


星魔法少女 「……それは、波のような女の子だったかな」


ツン ニュニュニュ


幼女魔王N 「ひう゛っ……~~っ」


星魔法少女 「失礼、少し刺激が強すぎたようだ。こちらも好きなようだが」

星魔法少女 「それで、どうかな?」


幼女魔王N 「……わ、分からにゃい……暗かったから……」


星魔法少女 「そうか。死んでいたんだね」


幼女魔王N 「た、たぶん……ぐったりしてたから……」


星魔法少女 「死んでいなかったかもしれない?」


幼女魔王N 「う、うん。ご、ごめんなさい……怖くて、よく見られなくて、すぐ逃げちゃって……」


星魔法少女 「大丈夫。責めているわけじゃない。逃げたのは賢明な判断さ、蕾のようなレディ」


   殺人予告

  私は、今回あなた方西映のスタッフを[ピーーー]ことにした。

  まずは見せしめとして、このバイクにのっている男を[ピーーー]。
 
  そうすれば、お前らの面目は丸潰れし、簡単には行動できなくなるだろう。

  後は、お前らを一人一人殺し、西映という会社を潰してこそ、

  僕の存在意義は果たされる。

  今回の紙はバイクの男への殺害予告というより、

  お前らの殺害予告だ。

  取り違えるんじゃないぞ。

           忘却の死神

魔法少女達の乳比べはよ!

>>331


何かがおかしい……。

この脅迫文、前半と後半で一人称が違う。

さらに、メール欄(らぁん!)にsagaと入力されているにもかかわらず、

前半部分には文字フィルターがかかっている。

まるで、前半と後半で書いた人が違うみたいだ。

……!! そうか、分かったぞ!

これは別々の書き込みをつなぎ合わせて一つに見せているんだ!

だとすると、こんなことをするのはあの人しかいない。

だが、どうしてあの人は、あのときあんなことを……

……!! そうか……!!

読めたぜ……この事件のトリック……忘却の死神の正体がなぁ……!


             バーローの死神



>>332





母性>>>>岩>波>星>火>>泥>>>>鋏>ピンクゴキブリ


(淫魔幼女しらべ)
(画像による検証の必要あり)



星魔法少女 「では、引きずられていた子の特徴は」

星魔法少女 「何か思い出せないかな」


サワサワ


幼女魔王N 「え、えと、んとぉ……」

幼女魔王N 「たぶん、私と同じくらいの背丈で」

幼女魔王N 「あ……」


星魔法少女 「何だい」


幼女魔王N 「髪の色……そこの子と同じ色で……」


鋏魔法少女 「…………」



鋏魔法少女 「…………」


星魔法少女 「この子と?」


幼女魔王N 「うん……あと、月の夜の雪みたいな肌も……」


泥魔法少女 「鋏。あなた、死んだの?」


鋏魔法少女 「い、いいえ……」


火魔法少女 「というか、私たち、ずっと共に行動していましたし」


岩魔法少女 「幻か、よく似た誰かか……」


星魔法少女 「この子ではなかったのかな、ピンクのレディ」


サワサワ


幼女魔王N 「わ、分かりません……似ているとは思うけど……」


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「は、ぁ……! ふにゃ、ふにゃあああ……!」


ピクン ゾクゾクゾク


星魔法少女 「おっと、すまない。やりすぎたかな」


幼女魔王N 「はひゅ……」




泥魔法少女 「不思議なこともあるもの」


岩魔法少女 「敵が、鋏と入れ替わっているということもありますか」

岩魔法少女 「容姿や力さえ真似る魔物も、珍しいとはいえ過去に例が無かったわけではありませんし」


火魔法少女 「あーら、私たちの目を盗んで? まあ、一考はするべきだけれど」


鋏魔法少女 「うぅ……ひどいです、みなさん……」


泥魔法少女 「鋏の死体は偽者で、こちらの不和を狙ったのかも」

泥魔法少女 「だったらその子より、私たちに偽の死体を見せた方が良さそうだけれど」


火魔法少女 「ううん、真似るとはいえ、ここまでうまく真似る魔物もいないでしょうし……」


キャッキャ ウフフ


星魔法少女 「……ほかに、何か思い出せることは。何でも良いから」


母性巫女 「あの、そのくらいで……」


幼女魔王N 「あとは、あとは……」

幼女魔王N 「なんだか、血の涙の子の周りが不吉というか、夜がウゾウゾしているというか……」


岩魔法少女 「恐怖を与える魔法を纏っているのでしょうか」


幼女魔王N 「あ、あと……」


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「……手」

幼女魔王N 「袖に隠れて見えなかったけれど、たぶん、手の形をしてなかった……」

幼女魔王N 「生き物の手じゃなかった……」




母性巫女 「手?」


星魔法少女 「どうして、そう思ったんだい」


幼女魔王N 「分からないけど、そうだから……」


星魔法少女 「違うかもしれない?」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「でも、そうだから……はぅ……」


火魔法少女 「言葉があやしくなってきましたわね」


鋏魔法少女 「お姉さま、やりすぎです……」


岩魔法少女 「たしかに。今日の手つきは激しかったですね」


星魔法少女 「はっはー、張り切りすぎたかな」

星魔法少女 「母性巫女、君のピンクちゃんを返すよ」


ソ トス


母性巫女 「N……よしよし、頑張りましたね」


幼女魔王N 「ふへ……母性巫女ぉ」

幼女魔王N 「フニャ……グゥ……スゥ、スゥ……」


火魔法少女 「母性巫女さんの胸で、一瞬にして眠りにおちましたわね」


岩魔法少女 「魔王に呪われし乳、略して魔乳……おそるべしですね」


星魔法少女 「ああ、最高だな! 呪われおっぱい」


幼女魔王N 「ムニャ……」



…………





…………


母性巫女 『幼女魔王N、私も魔法少女になりました』


ポヨヨヨン


幼女魔王N 『え!?』


母性巫女 『魔法少女になったので、幼女魔王Nを殺します』


幼女魔王N 『ええっ!?』


星魔法少女 『よし、私が幼女魔王Nの腰をおさえていよう!』


火魔法少女 『では、私は左足を』


岩魔法少女 『それなら、私は右足を』


泥魔法少女 『私は左手』


波魔法少女 『私は右手』


鋏魔法少女 『……私は頭』


幼女魔王N 『ちょ、ちょっと、やだ、やめて、離して! 助けて、母性巫女……』


母性巫女 『うふふ……武器は、よく研いだ包丁二本にしましょう』


シャキ シャキ


幼女魔王N 『!! い、いや、やだ……』


母性巫女 『うふふ。友だちを死なせちゃうようなピンク髪の悪い魔王なんて、早く殺して』

母性巫女 『腸を引きずり出して焼きソバにしちゃいましょうね』


シャキ シャキ


星魔法少女 『おお、ソースは大腸の中だな!』


火・岩魔法少女 『焼き、ソバ! 焼き、ソバ!』


泥・波魔法少女 『焼きソバ! 焼きソバ!』


鋏魔法少女・血涙幼女 『ヤキソバ! ヤキソバ!』


シャキ ソバ シャキ サバ


幼女魔王N 『い……』

幼女魔王N 『いやあああーー!!』



…………




幼女魔王N 「これがホントのクソース焼きソバ……ってやかましいわ!」


ガバ



夕方

母性巫女の小屋 寝室



ホー ホー


幼女魔王N 「……あれ、ベッドの上」

幼女魔王N 「ゆ……夢?」


鋏魔法少女 「やっと、起きた……」


幼女魔王N 「ぎゃあ!?」




幼女魔王N 「え、えっと……」


鋏魔法少女 「鋏魔法少女。鋏って呼んで……」

鋏魔法少女 「私もあなたのこと、Mって呼ぶから」


幼女魔王N 「は、はい……いや、ええ、わかったわ」

幼女魔王N 「……M?」


鋏魔法少女 「ドMのクソビッチのM……」


幼女魔王N 「私のどこにも引っかからないじゃない!」


鋏魔法少女 「むしろあなたそのもの」




鋏魔法少女 「それでね、聞いてよMミさん……」


幼女魔王N 「自然に話をはじめないで。お願いだからNと呼んで」

幼女魔王N 「最悪、クズピンクで良いから」


鋏魔法少女 「分かった……じゃあ私はクズパープル」

鋏魔法少女 「二人で夜のクズレンジャー……ポチッとやっちゃおっ……か」


幼女魔王N 「お願いだから、話を変な方に繋げないで……!」


鋏魔法少女 「クズクズでキュアキュア」


幼女魔王N 「わけがわからない!」




鋏魔法少女 「そんなに声を荒げないで……癪にさわる」


幼女魔王N 「あなたの!?」


鋏魔法少女 「ごめん……間違い……」

鋏魔法少女 「さわるのは、あなたの体……」


ズイ サワ


幼女魔王N 「やっ、そのさわるじゃ無いでしょ……やんっ」

幼女魔王N 「ちょ、ちょっと、いきなりそんなとこ……まずは、頬っぺから……」

幼女魔王N 「じゃ、なくて!!」

幼女魔王N 「あなた、他の魔法少女と一緒に帰ったんじゃなかったの?」


鋏魔法少女 「ううん」

鋏魔法少女 「倒れて眠っちゃったあなたに、ずっとついてた……」


幼女魔王N 「えっ。ずっと……?」


鋏魔法少女 「うん。私たち……友だちじゃない……」


幼女魔王N 「とも……だち……」

幼女魔王N 「う、うん! ご、ごめんなさい、私ったら声を荒げて……」


鋏魔法少女 「友だちじゃない、あかの他人」


幼女魔王N 「ごっ……」




幼女魔王N (……いや、そうよね。魔物側である私が魔法少女と友だちだなんて)

幼女魔王N (いくら何でもあってはならないわよね。相手は知らないとは言え)


鋏魔法少女 「……嘘」

鋏魔法少女 「私たち、死力を尽くして戦い、キャンディを交換した仲」

鋏魔法少女 「ただの友だちじゃなくて、もはや戦友……」


幼女魔王N 「せんゆう……」


鋏魔法少女 「そう。たとえ敵として出会っても……拳を交えて分かり合えば……」

鋏魔法少女 「それはもう、戦友(とも)……」


幼女魔王N 「とも……」


ジーン


幼女魔王N 「……あれ」

幼女魔王N 「でもあのとき、あなた、私を捨てていったわよね」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「勝者が敗者に手を貸すのは……敗者への侮辱」


幼女魔王N 「……!!」


鋏魔法少女 「たとえ戦友であっても、涙をのんで……背中を向けなければいけない……」

鋏魔法少女 「それが戦いという荒野での……ただひとつの……掟」


幼女魔王N (……か)

幼女魔王N (かっこいい……!!)




幼女魔王N 「ごめんなさい。私、甘えていたわ……!」


鋏魔法少女 「大丈夫、気にしてない……」

鋏魔法少女 「だって、戦友だから」


幼女魔王N 「!! う、うん……!」

幼女魔王N (ああ、なんて心の広い、素晴らしい人なのかしら)

幼女魔王N (こんな人が私をトモと呼んでくれるなんて、怖いくらい……!)


鋏魔法少女 「よろしくね……チョロピンク」


幼女魔王N 「うん、鋏……チョロ?」


鋏魔法少女 「ごめん、間違い」

鋏魔法少女 「よろしくね、N……」




幼女魔王N 「ありがとう。ずっとついていてくれて」


鋏魔法少女 「戦友として、当たり前のことをしただけ……」

鋏魔法少女 「ずっとそばで、元気の出るおまじないを囁いていただけ」

鋏魔法少女 「焼きサバ……焼きサバ……って」


幼女魔王N 「そ、そうなんだ……」


鋏魔法少女 「あ、そうだ。これを渡すの忘れてた」


ジャララ

負け犬の首輪


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「は?」




鋏魔法少女 「勝負は勝負……」

鋏魔法少女 「けじめはつけなきゃいけない」

鋏魔法少女 「負けたあなたが犬で、勝った私が飼い主……」


幼女魔王N 「……はい?」


鋏魔法少女 「……豚が良い?」


幼女魔王N 「いや、そうじゃなくて……私たち、友だち……」


鋏魔法少女 「大丈夫。飼い主と犬の関係になっても、私たち、友だから……」


幼女魔王N 「鋏……」


キュン




…………


母性巫女の小屋 寝室前



母性巫女 「そろそろ目が覚めたかしら……」


ガチャ


幼女魔王N 「きゃうんっ、きゃうぅん!!」


母性巫女 「!?」


鋏魔法少女 「びっくり。一発目から完璧……」

鋏魔法少女 「調教してないのに、ちゃんと舌を垂らして、息遣いまですっかり犬になってる」


ジャララ


幼女魔王N 「きゃふっ……にゃふぅう……」


鋏魔法少女 「お尻をたたかれてトロけるこの表情……犬っていうよりメス猫……」

鋏魔法少女 「首輪もとっても似合ってる。くふふ……こういうの、やっぱり好きなんだ……」


幼女魔王N 「きゅぅん、はふぅ……」


鋏魔法少女 「次は豚……ブヒブヒって、鳴く以外だめだからね……」

鋏魔法少女 「ちゃんと、飼い主(とも)の私専用の豚になってね……」


幼女魔王N 「ともだち……」

幼女魔王N 「ひゅ……ぐぶ……ブヒ……!」


母性巫女 「何てことやってるんですか、あなたたち!」




幼女魔王N 「ぶヒィン……」


母性巫女 「ブヒじゃありません!」


ポケッ


幼女魔王N 「いてっ……」

幼女魔王N 「あ、母性巫女」


母性巫女 「なんて顔して……ああ、鼻水まで垂らして」

母性巫女 「どうして、こんなこと……ほら、首輪を外して」


幼女魔王N 「だめ!!」


母性巫女 「だめ……って」


幼女魔王N 「私の宝物なの。友情の証なの!」


母性巫女 「ええっ!?」


鋏魔法少女 「戦いの……荒野の、掟……」


母性巫女 「戦いの荒野?」




鋏魔法少女 「敗者は勝者のものになる」

鋏魔法少女 「これ、荒野の掟……」


幼女魔王N 「私は鋏……いいえ、ご主人さまに負けたの」

幼女魔王N 「でも大丈夫。私、そんなに嫌じゃないから……」

幼女魔王N 「だって、私たちの間にはゆ……友情が、あるもん……!」


鋏魔法少女 「N……」


幼女魔王N 「ご主人さま……」


母性巫女 「…………」


鋏魔法少女 「首輪……母性巫女の分もある」

鋏魔法少女 「私に揉み負けたから、つける資格はある。おまけで鼻輪も……」


幼女魔王N 「ええ、本当!?」

幼女魔王N 「ぼ、母性巫女、二人でご主人さまに飼ってもら……!」


母性巫女 「いいかげんにしなさい!!」


ピシャッ ドカン ゴロゴロゴロ




…………



森の町 騎士団施設



ドオン ゴロゴロゴロ……



幹部A 「まあ、雲もないのに雷鳴が……」


幹部B 「大気を震わすこの力」

幹部B 「地に続き、雷の精霊さま……いえ、大精霊さまがお怒りなのかもしれないわ」


幹部C 「ううむ。これは、森の調査の前に、精霊さまを鎮める儀式をしなくてはなりませんね」



…………




母性巫女の小屋 寝室



母性巫女 「良いですか、お友だち同士で飼うだとか飼われるだとか……」


グチグチ ガミガミ 


鋏魔法少女 「もしもしNちゃん、母性巫女はおっぱいの……を……されると、いちころだから……ボソボソ」


幼女魔王N 「は、鋏ちゃん……こんな近くで内緒話してもたぶん聞こえる……」


母性巫女 「聞いてるんですか!」


幼女魔王N・鋏魔法少女 「はい……」





ト ト ト ガチャ


星魔法少女 「おやおや、どこかで大きな雷が落ちたと思ったら」

星魔法少女 「ここだったか」


幼女魔王N 「……!!」

幼女魔王N (魔法少女。もしかして、ほかの人たちもここにいるの?)


母性巫女 「星魔法少女……」


星魔法少女 「どうしたんだい、母性巫女。二人を叱りつけていたようだが」


母性巫女 「は、はい……」


星魔法少女 「だったら、もう少し怖い表情ができるように練習するべきだね」

星魔法少女 「ただでさえ甘い顔なのだから」

星魔法少女 「さて……?」


鋏魔法少女 「……!!」


ビクッ

ガタガタガタ


幼女魔王N (星魔法少女に見られた途端、鋏魔法少女が震えだした……)




ジャラ


星魔法少女 「首輪か……」


鋏魔法少女 「…………」


星魔法少女 「すべて分かった。……すまないね、母性巫女。感謝する」


母性巫女 「は、はあ……」


星魔法少女 「私たち魔法少女は、当たり前だが、戦いでは常に命をかける」

星魔法少女 「負ければ全てを失う。悪の魔物どもに勝つからこそ……私たちは存在を許されるんだ」

星魔法少女 「戦火に身を焦がし、勝ち続けるという使命。それは、ときに自分を見失わせる」


母性巫女 「…………」


星魔法少女 「鋏と私の付き合いは長い方じゃない」

星魔法少女 「だが、この隊の誰よりも幼くして上級の魔法少女に数えられるこの子が」

星魔法少女 「どれほどの壮絶な環境に身を置いてきたか」

星魔法少女 「それを思うと……同じ魔法少女として、私も自然とこの子に甘くなってしまった」




母性巫女 「……ごめんなさい。私、何も知らずに怒って……」


鋏魔法少女 「うむ。今度から……気をつけるように……ついでにこの鼻輪もつけるように……」


母性巫女 「はい……」


星魔法少女 「君は猛省したまえ、鋏」


ドグシャボグァ


鋏魔法少女 「いてっ……」


幼女魔王N (いてっ……て、ものすごい音がしたけど)


星魔法少女 「感謝すると言った。気にすることはないさ、母性巫女」

星魔法少女 「だが、知っておいて欲しい、憶えておいてほしい……戦火に流れ閃く星のような私たちのことを」

星魔法少女 「勝たなければならない。どんなことがあっても、どんなことをしても」

星魔法少女 「耐え忍び、最後には勝たなければならない……!」

星魔法少女 「それが、魔法忍者少女!!」


母性巫女・幼女魔王N 「……忍者?」


星魔法少女 「忍者少女、星影!」




母性巫女 「あ、あの」


鋏魔法少女 「鋏影……!」


バッ


幼女魔王N 「鋏影て……」



ダダダ

ガチャ


岩魔法少女 「岩影!」


ドタ


泥魔法少女 「泥影」


バコ


火魔法少女 「火影!」


母性巫女 「ああっ、うちの天井と床が! いつの間にこんなしかけ……」


星魔法少女 「五人揃って……」


魔法少女たち 「マジニンジャー!」


ドオン


母性巫女 「ああ、部屋の中で煙なんて出したら……!」


幼女魔王N (何かしら、なんか、似たようなのを見たおぼえがあるのよね……)




火魔法少女 「本当は、これに波影が入るんですけれどね」


岩魔法少女 「ええ、惜しい人を亡くしました」


鋏魔法少女 「本当は、私……六人目」


母性巫女 「…………?」


幼女魔王N (何かしら、この気持ち。ああ、これがドン引きというやつなのね)

幼女魔王N (ふと見た窓に映る私の顔……淫魔幼女は常にこんな顔をして私を見ていたっけ)

幼女魔王N (いけないわ。ちゃんと温かく見守りましょう)


鋏魔法少女 「……おいで。クズピンク」


幼女魔王N 「うえ゛!?」


星魔法少女 「良いだろう。来い、桃影!」


火魔法少女 「いらっしゃい、ピンククズ!」


岩魔法少女 「クズ!」


泥魔法少女 「ゴミ」


母性巫女 「ちょっと、やめてくださ……!」


幼女魔王N 「黒影!」


バッ


母性巫女 「!?」




母性巫女 「N……?」


幼女魔王N 「……し、しまった」

幼女魔王N 「前世の黒い記憶が……!」


母性巫女 「前世?」


火魔法少女 「さて、あとは一人だけですわね」


岩魔法少女 「そうですね」


星魔法少女 「さあ来るんだ、乳影!」


鋏魔法少女 「母影」


泥魔法少女 「母乳」


母性巫女 「もうやめなさい!」


ポヨン




星魔法少女 「分かりにくかったかな。乳影というのはつまり……」


母性巫女 「なんとなく分かります」

母性巫女 「いつまでも遊んでいないで、ご飯にしますよ。もう魚も焼けているんですから」


火魔法少女 「ノリの悪いかたですわね」


岩魔法少女 「隠居で感性が老いたのでは」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……あ、あの、母性巫女」

幼女魔王N 「今日のご飯、なあに。野菜ステーキ?」


母性巫女 「あ、はい、いいえ、焼き魚です。実は、ちょうど立派なサバをいただいたので」


星魔法少女 「好きだが機会に恵まれないと言っていたからな。新鮮なものだよ」


母性巫女 「はい……ありがとうございます。本当に久しぶり……」


泥魔法少女 「そんな私たちの誘いを断った母性巫女」


鋏魔法少女 「狭量……」


母性巫女 「……ご、ごめんなさい」


星魔法少女 「良いさ。風呂で私たちの背中を流してくれさえすれば」


母性巫女 「は、はい」


幼女魔王N 「……わ」

幼女魔王N 「私も手伝うから……」


母性巫女 「ありがとうございます……」





…………


母性巫女の小屋 広間 食卓



カチャカチャ ペチャクチャ


星魔法少女 「……訓練もかねて、中級、下級の魔法少女は騎士団の方につけ」

星魔法少女 「合流するまで、私たちはここでお世話になることにしたわけだ」


火魔法少女 「私たちって、部下をつけずに動くことが多いですから、この方が楽なのよね」


岩魔法少女 「数が多い方が、かえって危ないのですが……いえ、上の考えもあるでしょうし文句は言えませんが……」


母性巫女 「は、はあ……」


幼女魔王N (どうしてあの星魔法少女だけ、魚の目玉の山盛りなのかしら)


母性巫女 「……あの、星魔法少女」


星魔法少女 「星で良いよ。何かな」


母性巫女 「魚の身も食べていただけませんか?」

母性巫女 「やっぱり、目玉だけというのは……」


星魔法少女 「お断りだ!」


母性巫女 「ええー……」




星魔法少女 「言っただろう。私は魚の目玉が大好きなんだ」

星魔法少女 「そしてそこ以外は憎んでさえいる」

星魔法少女 「メザシなんて死んでしまえと思っている」


火魔法少女 「メザシは死んでいますわ、お姉さま」


母性巫女 「そ、そうですか……でも」


泥魔法少女 「あなたの方こそ、変」


母性巫女 「?」


岩魔法少女 「その通りです」


母性巫女 「どこか、変でしょうか」

母性巫女 「はい、N、あーん……」


幼女魔王N 「あーん……パク」

幼女魔王N 「モッチュ、モッチュ……」


母性巫女 「うふふ、可愛い……」


火魔法少女 「甘やかしすぎですわね」




…………


ホー ホー




母性巫女の小屋 広間



魔動画 『あまり知られていませんが、この第三大世界のほかに大きな世界は……』


幼女魔王N (……ベッドを誰が使うか話し合った結果、みんな広間で寝ることになった)


ド アハハ


鋏魔法少女 「……盛り上がってる………」


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N (私と鋏魔法少女以外、別の部屋でまだ起きているみたい)

幼女魔王N (母性巫女もつきあわされて……)


鋏魔法少女 「私たちは子どもだからって、早く寝かせて、きっと美味しいもの食べてる……」

鋏魔法少女 「大人は………卑怯」


幼女魔王N 「いやいや、大人って……」




幼女魔王N (……でも、大勢での食事、楽しかったな)

幼女魔王N (たくさん話せたわけじゃないけれど、安心してみんなの様子を見られた気がする)

幼女魔王N (きっと、母性巫女が傍にいてくれたおかげね。だって……)


鋏魔法少女 「私たちも……盛り上がっちゃおっ……か……」


モゾ


幼女魔王N 「良いけど……な、何するつもりそんなに顔を近づけて……」

幼女魔王N (いま、とっても不安だもの)




鋏魔法少女 「とぼけちゃって、かーわいい……」

鋏魔法少女 「もちろん……寝室のアレの、つ・づ・き……」

鋏魔法少女 「首輪、鎖……」


幼女魔王N 「うぅっ」


ドキ キュン


幼女魔王N (ドキキュンじゃないわよ)

幼女魔王N 「だ、だめよ、アレは! 他のことにしましょ……」


鋏魔法少女 「どうして。嫌い?」


幼女魔王N 「き、嫌いとか、そうじゃなくて……」

幼女魔王N (駄目よ、はっきり嫌って言わなきゃ……!)


鋏魔法少女 「……可愛かったな、Nちゃんの……」

鋏魔法少女 「ワン……ワン……」


幼女魔王N 「はう……ッ!」




幼女魔王N 「……だ、だめよ、そんな」


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「だ、だって……」


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


ホー ホー

カチ コチ カチ コチ


魔動画 『今回の異変は、私たちの第三大世界に別の大きな世界が近づいたために……』


カチ コチ カ

チ コチ コチ カチ


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (魔動画もついているのに、時計の音が大きく聞こえる……)


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (鋏魔法少女、何も言ってくれない……)


鋏魔法少女 「…………したい?」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「…………」


ド アハハ

カチ コチ……




幼女魔王N 「……う」


鋏魔法少女 「冗談」


幼女魔王N 「な」


鋏魔法少女 「しちゃったら、私、殺されちゃう……」

鋏魔法少女 「ほかのこと……しよ……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「そ、そうよね! それが良いわよ、うん……」


鋏魔法少女 「がっかりした?」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「いや、そそそ、そんなこと無いですよ?」


鋏魔法少女 「かーわいい……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「あ、も、もう」

幼女魔王N (強引な人に弱いのね、私。自分からどうこうするより、誰かに流される方がほっとするんだわ……)


鋏魔法少女 「じゃあ………暴露……たーいかーい……」


幼女魔王N 「いやいやいや」


鋏魔法少女 「あなた、魔物側の人でしょ」


幼女魔王N 「!?」




カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「…………」


鋏魔法少女 「ひふふふ……」


幼女魔王N (この人、知っていたの!? いったいいつから)

幼女魔王N (……い、いや、当てずっぽうよね、きっと)

幼女魔王N (でも、本当に知っているとしたら。魔法少女はそういうの分かるなら)

幼女魔王N (他の魔法少女たちも、私のこと分かっていて……それで、ここに……)


鋏魔法少女 「知っているのは私だけ」


幼女魔王N 「……!」


鋏魔法少女 「私、鋏魔法少女……偽者をたつ鋏……そういうの、分かるから……」

鋏魔法少女 「キャンディ舐めっこしたとき……いろいろシちゃっ……た」


幼女魔王N 「……は、はわわ」


鋏魔法少女 「泣きそうな顔、かーわいい……」


ナデ ナデ


幼女魔王N (死ぬ。殺される……)


鋏魔法少女 「内緒にしてて、あげようか……?」


幼女魔王N 「……へ?」



幼女魔王N 「な、内緒にしてくれるの……」


鋏魔法少女 「……う゛ふッ」


幼女魔王N 「!!」


鋏魔法少女 「ふうー……ん……」

鋏魔法少女 「Nちゃん、本当に魔物側なん、だ……」


幼女魔王N 「な」

幼女魔王N (はめられた!?)

幼女魔王N 「ち、違うの。今のは、鋏ちゃんの暴露ごっこに付き合っただけだもん……」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「へーえ……そうなん、だ……」


幼女魔王N 「う、うん……」


鋏魔法少女 「……じゃあ」

鋏魔法少女 「ここのみんなに、言って……みようかな」

鋏魔法少女 「Nちゃんったら、魔物側かも……て……」


幼女魔王N 「!!」


鋏魔法少女 「魔物側じゃないなら、大丈夫よ、ね……?」


幼女魔王N 「…………や」

幼女魔王N 「やめて……!」




鋏魔法少女 「……やめて、ほしい?」


幼女魔王N 「……うん」


鋏魔法少女 「何でも、する……?」


幼女魔王N 「…………」


鋏魔法少女 「……母性巫女」


幼女魔王N 「!」


鋏魔法少女 「どうなる……かな。魔王に呪われて、しかも、魔物側の人と仲良く暮らしてた……なんて」

鋏魔法少女 「噂されちゃった……ら……」


幼女魔王N 「……な、なんでもする!」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「Nちゃん……やーさしい……」


ナデ ナデ


幼女魔王N (どうしよう。どうやっても、鋏魔法少女の思うとおりに流されちゃいそう)




鋏魔法少女 「嘘」

鋏魔法少女 「みんなに言ったりなんか……しない」

鋏魔法少女 「Nちゃんのことは、私たちだけの秘密……」


幼女魔王N 「私たちだけの、秘密……」


鋏魔法少女 「私たち、友だちだから……」


幼女魔王N 「友だち……!」

幼女魔王N (ああ、なんて優しいの、鋏魔法少女)

幼女魔王N (魔法少女の使命より、路上の片手袋みたいな私との友情を選んでくれるなんて)


鋏魔法少女 「というのが……ウ・ソ」


幼女魔王N 「!?」


鋏魔法少女 「なあんちゃって……」

鋏魔法少女 「Nちゃん……いっぱい表情がかわって、かーわいい」

鋏魔法少女 「くひふふふふ……」


幼女魔王N 「……は、はひ……へはははは………」

幼女魔王N (もう、疲れた、どうでも良いや……)




魔動画 『大きな世界同士が交わると、どうなるのか』

魔動画 『楽観的な意見に悲観的な意見、いろいろ入り乱れていますが』

魔動画 『こちら南中世界のとある小世界は完全にお祭りムード……』


鋏魔法少女 「Nちゃん」


幼女魔王N 「な、なに……」


鋏魔法少女 「魔動画……好き?」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (私がこの世界の住人じゃないこと……うん、知ってそうね)


鋏魔法少女 「知ってる? 魔動画の噂」


幼女魔王N 「?」


鋏魔法少女 「どこから発信されているか分からない、幻のチャンネルが……あるんだっ、て……」


幼女魔王N (ときどき、よく分からない謎のメッセージなんかが流れたりするけど)

幼女魔王N (それかしら……。これ言っちゃったら、また変に手のひらで転がされそう……)

幼女魔王N 「う……ううん」


鋏魔法少女 「こっちから、秘密の魔法で繋がないと……絶対に見られないの」


幼女魔王N 「へ、へええ……」

幼女魔王N (私の知っているものとは違う?)




幼女魔王N 「鋏ちゃんは、それ、見たことあるの?」


鋏魔法少女 「………ある。秘密の魔法、知ってるから……」


幼女魔王N 「本当!?」


鋏魔法少女 「しッ……! 声が……大きい。これはトップ……シークレット……」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……」

幼女魔王N 「どんなのなの?」


鋏魔法少女 「……本当に、知りたい……?」


幼女魔王N 「う、うん」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「くふふっ……!」


ニタリ


幼女魔王N 「ひっ」


鋏魔法少女 「いいよ……じゃあ、友だちだから、実際に見せてあげる」

鋏魔法少女 「言葉じゃ……説明できないし……」


幼女魔王N 「う、うんっ」


鋏魔法少女 「じゃあ……魔動画まで、前進……」


モソ モソ モソ モソ




モソ モソ モソ


幼女魔王N 「な、なんだか、いけないコトをしているみたい」


鋏魔法少女 「そう……いけないコト。夜にベッドで、お菓子を食べるくらいイケナイ……」

鋏魔法少女 「私たちだけの、秘密のミッション……」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (誰でも友だちができちゃう魔ゲームでも、誰ともイベント発生させられなかったのに)

幼女魔王N (現実でこんなことがあるなんて……!)


モソ モソ モソ


魔動画 『いっぽう、こちらの世界では、予想される大きな混乱に備えて入念な準備が……』


鋏魔法少女 「じゃあ、秘密の魔法、かけるね……」


幼女魔王N 「うん……」


鋏魔法少女 「百万分の一の確率で、忘却の死神のところに繋がって……魂を引っこ抜かれちゃうから」

鋏魔法少女 「気をつけて……ね」


幼女魔王N 「うん……ぼ、忘却? ……死神ッ!?」


鋏魔法少女 「ナールエガチリト」


幼女魔王N 「ちょっと待……」




魔動画 『第三大世界同盟幹部でもある三白ガ……』

魔動画 『ガガ……ザーザザッ……ザッ……ザッ』


鋏魔法少女 「繋がる……」


幼女魔王N 「だ、大丈夫なの。死神こない?」


鋏魔法少女 「あれ、嘘」


幼女魔王N 「えっ……」


魔動画 『ザ……オォォオ……オォ……コオオオオ……』


幼女魔王N (魔動画の画面と音が、不思議にうねりだした)

幼女魔王N (暗くて、吸い込まれそう……)

幼女魔王N 「これが、幻の……」


鋏魔法少女 「……あれ」

鋏魔法少女 「様子が変……」


幼女魔王N 「え!?」




幼女魔王N 「ま、間違えちゃった?」


鋏魔法少女 「ううん、合ってた」

鋏魔法少女 「し、死神に、繋がっちゃった……かも」


幼女魔王N 「あれは嘘って……」


鋏魔法少女 「世の中には、不思議なこともある……」


幼女魔王N 「そんなあ!」


魔動画 『オオオオオオ……オォォォオオオ……!』


幼女魔王N 「何か、音が大きくなって来ているわよ」


鋏魔法少女 「……だ、だめ。こっちから……切断できない……」


幼女魔王N 「母性巫女たちを呼んでこよう!」


鋏魔法少女 「……それは考えた……けど」

鋏魔法少女 「動けない……」


幼女魔王N 「んなアホな」


ググ グググ


幼女魔王N (……あ、本当だ。うたれた釘のように動けない)

幼女魔王N 「どどどどどどどど、どうするの!?」


鋏魔法少女 「大声で、助けを呼ぶしかない……」

鋏魔法少女 「こういうときの、お約束で……たぶん結界か何かで……声は届かないけど……」



魔動画 『オオオオオ……オオオオオ……!』


幼女魔王N 「……う」

幼女魔王N 「うわーーん、母性巫……!」


魔動画 『ザザザザザザ』

魔動画 『ブツンッ』

魔動画 『魂をよこせえ゛ぇ゛!!』


幼女魔王N・鋏魔法少女 「きゃああーーー!!?」


バサ コテン バタン


幼女魔王N 「い、いや、嫌いやイヤああ!?!?」

幼女魔王N 「足つかまれたああ! びえええ、びええええええん!!」


鋏魔法少女 「え、Nちゃんを、離せ……死神……!」

鋏魔法少女 「あ……毛布……」


幼女魔王N 「びええええええん!! ママぁ、ママぁ~~!」


鋏魔法少女 「す、すぐ……解くから……!」


??? 「ははははは!!」


ガチャ バタン


鋏魔法少女 「!?」


??? 「ははははは!」

星魔法少女 「引っかかったな、悪ガキたちよ!」




…………




母性巫女の小屋 広間



ホー ホー


魔動画 『マミーさんのお料理講座。今日はチーズのミイラのつくり方……』


火魔法少女 「……まったく、こっそりエッチ……コホン」

火魔法少女 「大人向けのチャンネルを見ようだなんて、マセた子たちですこと」


星魔法少女 「君がやったんだな、鋏」

星魔法少女 「清らかな正義の魔法少女たるもの、もうあんなものを見ないようにと」

星魔法少女 「きつく言ったのに」


鋏魔法少女 「……だって」


星魔法少女 「まずは、だってじゃない」


鋏魔法少女 「……ごめんなさい………グス」


泥魔法少女 「視聴防止トラップ、うまく働いて良かった……」


カチ コチ カチ


幼女魔王N 「びええええんッ……どべええええん!」


母性巫女 「よしよし、怖かったですね」

母性巫女 「もう、こんなことにならないように気をつけま……」


幼女魔王N 「ママぁ、ママ、ママぁああ!!」


母性巫女 「はいはい、ママですからね。安心して泣いて良いですからね」




魔動画 『無限の謎が眠る、神秘の霧深き第三大世界。西方開拓者募集』

魔動画 『参加資格は観測者、発掘者、守護騎士レベル55相当から。西中世界の味付けができる料理人レベル……』


星魔法少女 「鋏よ。あれが本当に敵の罠だったら」

星魔法少女 「君だけの問題じゃ済まなくなるんだぞ」

星魔法少女 「君の軽はずみな行動が、そこのピンクのクズを巻き込んでしまうことはもちろんとして……」


母性巫女 「ちょっと」


星魔法少女 「君を失った我々が、どれほど後悔し悲しみにくれるか」

星魔法少女 「少しは考えてくれたって良いと思うのだがね!」


鋏魔法少女 「……ごめんなさい」


母性巫女 「Nもですからね。もっと自分を大事にしてくださいね」


幼女魔王N 「う、うん……グスッ」




泥魔法少女 「というか、魔法少女がエロにつられて死亡とか、末代までの笑いの種」

泥魔法少女 「ねえ、岩」


岩魔法少女 「え? ええ、もちろん」


火魔法少女 「本当に、これが敵のトラップでなくて良かったですわ」

火魔法少女 「ねえ、岩」


岩魔法少女 「そ、そうですね」

岩魔法少女 「……お姉さま。幼い二人もよーく反省しているようですし」

岩魔法少女 「お説教はこの辺りにして……」


星魔法少女 「そうだな。では最後に一言くれてやれ、岩」

星魔法少女 「トラップにひっかかった者として!」


岩魔法少女 「お姉さま!?」




ホー ホー


火魔法少女 「岩は、トラップをしかけたその日にかかったのですわよ」

火魔法少女 「エッチ……コホン……大人向けのチャンネルに繋ごうとして」


星魔法少女 「しっとりと、そう、雨のそぼ降る夜だった」

星魔法少女 「岩に走る一筋のヒビのような悲鳴が……」


岩魔法少女 「ち、違います。あれは、そそそ、そう、知的好奇心で……」


泥魔法少女 「ほうほう、破廉恥的好奇心」


岩魔法少女 「黙らっしゃい!」

岩魔法少女 「うう、ですから、その……」


星魔法少女 「まさか、そんなものとは最も縁遠そうな岩が」

星魔法少女 「……と、しみじみ驚いたものだ」


岩魔法少女 「い、言わないでください。ああ、もう、許してくださいまし……」

岩魔法少女 「恥ずかしくて顔から火が出そう」


火魔法少女 「それは私たちの台詞ですわ」


魔法少女たち 「あっはっはっは……!」


カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「さあ、良い子はもう寝ましょうね」


鋏魔法少女・幼女魔王N 「はあい」




泥魔法少女 「ムッツリ岩さん」


岩魔法少女 「だから、もう言わないでと言うのに……」


星魔法少女 「そう言うな。今日が恥のかきおさめだ」

星魔法少女 「お岩さん」


岩魔法少女 「お岩さんて……」


火魔法少女 「いつまでもくすぶらせるより、ここですっきり笑い飛ばしてしまいましょう」

火魔法少女 「お岩さん」


岩魔法少女 「いえ、ですからお岩さんて……」


泥魔法少女 「お岩さん、パンツが」


岩魔法少女 「一枚足りな~い……」

岩魔法少女 「って、あの、それは何か違うんじゃありません……?」


ワハハハハ


母性巫女 「ねんころ、ねんころ……怖いのはもう来ませんからね」


鋏魔法少女・幼女魔王N 「ムッツリってなあに?」


母性巫女 「何でしょうね」




ホー ホー


母性巫女 「ねんねん、ころり……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (本、読んでもらう機会を逃したのは残念だけど、母性巫女の子守唄は良い気持ち……)


ウト ウト


鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N (鋏魔法少女も、眠たそう)


鋏魔法少女 「……あの」

鋏魔法少女 「母性巫女……さん」


母性巫女 「……はい。何ですか?」


鋏魔法少女 「気が散って眠れません」


幼女魔王N 「!?」


火魔法少女 「……まったく、眠るときに歌だなんて、何を考えてらっしゃるの?」


泥魔法少女 「目立ちたがり」


星魔法少女 「まあ、そう言うな。その土地にはその土地の文化というものがある」

星魔法少女 「たしかにぶん殴りたくなるが」

星魔法少女 「ここはおっぱいに免じて許そうではないか……」


母性巫女 「……ご、ごめんなさい」


星魔法少女 「なあに、謝ることはないさ」

星魔法少女 「なあ、お岩さん」


岩魔法少女 「……ムニャ」

岩魔法少女 「おっかあ……」





ホー ホー


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あ、あのね、私は母性巫女の歌、好きだからね」

幼女魔王N 「本当に……」


母性巫女 「あ、ありがとうございます」


幼女魔王N 「本当だから……」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ぼ、母性巫女のご飯、おいしかったなー……」


母性巫女 「………うふふ」

母性巫女 「気をつかってくれてありがとうございます」

母性巫女 「私は元気ですよ」

母性巫女 「こんな風に、たくさんの人と一緒にいられるのは久しぶりだし……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「う、うん。えへへ」

幼女魔王N (たしかに……母性巫女、魔法少女たちに振り回されて困った顔してたけど)

幼女魔王N (どこか嬉しそうだった)

幼女魔王N (賑やかなのが好きなのかな……)


ホー ホー


…………

……




…………




母性巫女の小屋 



チィ チチチ

グツグツ コトコト ポコポコ


母性巫女 「うーん、やっぱり、大きな鍋を買った方が良いかしら。でも……」


幼女魔王N (魔法少女って、よく食べるのね)

幼女魔王N (材料を調達してきてくれるから良いけど)

幼女魔王N 「こっち、よく分からない生き物の死体、切ったよ……」


母性巫女 「ありがとうございます。……N、遊んでこなくて良いんですか?」


幼女魔王N 「い、いいの。お手伝いしてる方が良い」


母性巫女 「そ、そうですか……そうですね……」


幼女魔王N (魔法少女と一緒にいると気が休まらないのよね)





幼女魔王N 「母性巫女は、調査とかいうのに参加しないの?」


母性巫女 「ええ。参加しようとも考えたんですが」

母性巫女 「気を抜くとこんな状態なので、他のかたの迷惑になると……」


バインパイン ポヨンポヨン プイーン


幼女魔王N 「な、なるほど、魔王の呪い……」

幼女魔王N (調査どころじゃないわよね)


母性巫女 「……魔王の軍勢は、それほどまでに恐れられる存在だったんです」

母性巫女 「勇者さまと、それに迫る力をもつ人々を先頭に、すべての人々が死力を尽くしても」

母性巫女 「魔王の全てを滅ぼすには至らず、扉の向こうに押し込めるのがやっとでした」


幼女魔王N 「扉の向こう……」


母性巫女 「私たちとの地は違う空を仰ぐ、魔王の軍勢の住まうところです」


幼女魔王N 「ふうん」


母性巫女 「悪いことすると、思わぬところで扉が開き」

母性巫女 「引きずりこまれてしまうので、良い子にしているんですよ」


幼女魔王N 「ブルブル……はあい」

幼女魔王N 「って、私だって魔王だもん。そんなの怖くないもん」


母性巫女 「うふふ、はいはい」

母性巫女 「魔法少女たちの前で、そういうこと言っちゃいけませんからね」


幼女魔王N (やっぱり、信じてないのかしらね)




幼女魔王N 「……魔法少女になると、呪いは解けるかもしれないんでしょ?」

幼女魔王N 「ならないの?」


母性巫女 「ならないと思います」

母性巫女 「……魔物とも、人とも、戦わずにすむ道があると良いのだけど」


幼女魔王N 「ふ、ふうん……」


母性巫女 「それに……なっちゃうと、魔王Nさまとも戦わなくちゃいけなくなりますものね」


幼女魔王N 「むー!」


母性巫女 「うふふ。ごめんなさい」

母性巫女 「調査中は、間違っても森の奥には向かわないでくださいね」

母性巫女 「何が起こるか分かりませんから」


幼女魔王N 「うん……」



幼女魔王N 「避難とかしなくて良いの?」

幼女魔王N 「ここも一応、森の中なんでしょ?」


母性巫女 「調査はもっと奥、森の聖域を中心に行われるので」

母性巫女 「ここは大丈夫だとは思いますが……」

母性巫女 「そうですね、本当は、した方が良いのかもしれませんね」


幼女魔王N 「しれませんね……て」


母性巫女 「家の中にいた方がいくらか安全かと思って」

母性巫女 「町にもいられませんし……」


幼女魔王N 「あ……」

幼女魔王N 「じゃ、じゃあ、他の土地に行くとか。旅行とか」


母性巫女 「…………!」

母性巫女 「……他の土地。そうですね、思いつきませんでした」

母性巫女 「それも、良いのかもしれませんね」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ここを離れるのは嫌?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「どうでしょう。分かりません」




幼女魔王N 「……わ、私、前は外に出るの嫌だったけど、今もあんまりだけど」

幼女魔王N 「母性巫女に会えたから、旅して良かったなって思う……」


母性巫女 「……そうですね。私もNと会えて幸せですよ」


幼女魔王N 「う、うん!」


母性巫女 「…………この森で生まれて、死んでいくものだと思っていたけれど」

母性巫女 「疑問にも思わなかったけれど」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「こうやって未練がましくしがみついているより」

母性巫女 「私も、外に出た方が良いのかもしれませんね……」


幼女魔王N 「…………」


グツグツ

コトコト 





数日後 朝

母性巫女の小屋前



チイ チチチチ……

バサ バサ



星魔法少女 「ではこれより、精霊の森、聖域へ向かう」


火魔法少女 「ずいぶんと、待たされましたわね」


岩魔法少女 「まったく……」


星魔法少女 「まあ、そう言ってやるな」

星魔法少女 「私たちを出し抜くつもりが無かっただけ良しとしよう」


泥魔法少女 「敵がまだ待っていると良いけれど……」


岩魔法少女 「珍しい。泥が焦りを見せるなんて」


星魔法少女 「実の妹のことがある。しかたないだろう」

星魔法少女 「だが、泥よ。軽率な行動で連携を崩さないよう頼むぞ」


泥魔法少女 「……ごめんなさい。ちゃんとします」





鋏魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「……や、やっぱり、行くの?」


鋏魔法少女 「うん」

鋏魔法少女 「私、魔法少女だから」


幼女魔王N 「そ、そう……」


鋏魔法少女 「……あなたが怖がって、どうするの」

鋏魔法少女 「あなたは……大丈夫。私たちが、勝つから」

鋏魔法少女 「この人も……ついてる」


母性巫女 「……はい」


幼女魔王N 「う、うん……」




母性巫女 「本当に、気をつけてくださいね」

母性巫女 「聖域は空気が独特で、また、迷いやすくなっています」


星魔法少女 「はっはっはっ、心配は無用だ」

星魔法少女 「どうせなら、今夜私たちにふるまう料理について心配してほしいね」


火魔法少女 「期待していますわよ」


母性巫女 「……ええ、はい」

母性巫女 「たくさん用意しておきます」


鋏魔法少女 「……N」


幼女魔王N 「なあに」


鋏魔法少女 「私たち、お友達……」


幼女魔王N 「う、うん……!」


鋏魔法少女 「終わったら、いっぱい遊ぼうね」

鋏魔法少女 「首輪と鎖を使って……」


幼女魔王N 「うん!!」


母性巫女 「駄目ですからね」




星魔法少女 「……各自、準備は良いな」


魔法少女たち 「はい」

魔法少女たち 「…………」


チイ チチチ……

ザザザ ザアア


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (魔法少女たちの空気が変わった)

幼女魔王N (ピンと張り詰めて、森の音が遠くに聞こえる)

幼女魔王N (動くと一瞬で殺されてしまいそう)

幼女魔王N (……そしてこんなときに、くしゃみが出そうな私)


星魔法少女 「……出発」


ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……ッ。…………ッ」

幼女魔王N (た、耐えるのよ。せめてあの人たちが行ってしまうまで……!)


プルプル 


母性巫女 「N……」

母性巫女 (魔法少女たちの張り詰めた様子に、怖くなってしまったのかしら)





ザ ザ ザ……


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……行ってしまいましたね」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「大丈夫ですよ、N」

母性巫女 「もう怖くありませんからね」


幼女魔王N 「…………は、へっ」

幼女魔王N 「ぶぇくしッッ!!」


母性巫女 「ぎゃっ」



……………





母性巫女の小屋



トントン コトコト



幼女魔王N 「こっち、皮むいたわ」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「……あの人たち、もう終わったかしら」

幼女魔王N 「そろそろ帰ってくる?」


母性巫女 「さあ……もう少し、かかるかもしれませんね」


幼女魔王N 「う、うん……」


コトコト シュシュシュ


幼女魔王N 「なんだか、外がとても静か。変な感じ……」

幼女魔王N 「つくりものみたいな……」


母性巫女 「……そうですね」




幼女魔王N 「……あ、あの」

幼女魔王N 「外に出るとか……えっと……の、こと……」


母性巫女 「?」

母性巫女 「……ああ、あのことですね」


幼女魔王N 「あ、あの、わひゃ、私、えっと……」

幼女魔王N 「ぼぼ、母性巫女と、一緒に住みたい……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「な……て……」

幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……」


母性巫女 「……だったら」

母性巫女 「やっぱり、この国の外で住む場所を探さなくちゃいけませんね」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「……私のような出来の悪いお子さんは」

幼女魔王N 「恥ずかしくて知り合いには見せられませんでしょうか」


母性巫女 「どうしてそんな言葉はスラスラ出てくるんですか……!」




母性巫女 「魔王に呪われた私と暮らしているなんて知られたら」

母性巫女 「Nも悪く言われてしまいます。とくに、この国では……いいえ」

母性巫女 「きっと、ここ程じゃなくても、ほとんどの国で」


幼女魔王N 「それは大丈夫」

幼女魔王N 「なぜなら、ゴミのように扱われるのは慣れているから」


母性巫女 「自信満々に、そんなこと言わないでください!」

母性巫女 「……んもう。やっぱり、そばで見ていないと、本当に心配です」


幼女魔王N (あれ。良く言われていないのに、何だかうれしい……)

幼女魔王N 「い、今の、心配のところ、もう一回言って……!」


母性巫女 「え……」

母性巫女 「や……やっぱり、そばで見ていないと、本当に心配です」


幼女魔王N 「ママ!」


ダキ


母性巫女 「きゃっ」

母性巫女 「もう……よしよし」


ナデ ナデ




幼女魔王N 「……あ、あのね」

幼女魔王N 「もしね、良かったらだけどね……」


母性巫女 「はい」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「私の住んでいたところなら……えへへ」

幼女魔王N 「母性巫女もきっと……うふふ……やっていける」

幼女魔王N 「強いし……ふにゃあああー……」

幼女魔王N 「えへへへ、もっと頭なでなでしてえ……」


母性巫女 「撫ですぎた……だ、大丈夫ですか」


幼女魔王N 「えへへへ……」


母性巫女 「騎士団時代……幼少組の乱暴な子も、泣き虫な子も、それなりに見てきたけれど」

母性巫女 「こんなに心配な子、本当にはじめて……」




幼女魔王N 「ふにゃ……」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「あなたが私を必要としてくれるように、私も一……」


カタ カタタ

カタタタタタ

ゴゴゴゴゴゴ


母性巫女 「!」


幼女魔王N 「ふにゃ……じ、地震!?」




グラグラグラグラ

グラグラグラグラ


幼女魔王N 「あわわわわわわ」

幼女魔王N 「今度のは大きいし、長い……!」


母性巫女 「落ち着いて、安全な場所でおさまるのを待ちましょう」


ポヨポヨポヨ タプププププ


幼女魔王N 「あはははは」


母性巫女 「笑ってないで……」


ゴゴゴゴゴ

グラグラグラ

グラグラグラ




…………


シン


幼女魔王N 「……おさまった?」

幼女魔王N 「もう歩いていい?」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「不安定なものや、散らばったものに注意して……」

母性巫女 「…………!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「窓の外、暗い……」


母性巫女 「そうですね。……まだ、昼前だったのに」





幼女魔王N 「……暗くなったらしかたない」

幼女魔王N 「寝よう!」


母性巫女 「ええっ」


幼女魔王N 「だって」

幼女魔王N 「怖いもん!」

幼女魔王N 「おかしいもん! 昼なのにいきなり夜とか!」


母性巫女 「そ、そうですけど」


幼女魔王N 「こんなときは寝て、この現実から逃避すべきよ!」

幼女魔王N 「さあ、胸枕の準備を!」

幼女魔王N 「どうせ死ぬなら母性巫女の母性に包まれて死にたい!」


母性巫女 「お、落ち着いて……」





母性巫女 「でも、こんなことは初めてです」

母性巫女 「外に出て様子を確認するか、ここにいた方が良いのか……」


幼女魔王N 「…………」


ガタガタガタガタ


幼女魔王N 「あれ、また地震?」


母性巫女 「体がすごい震えてる……」

母性巫女 「だ、大丈夫ですからね。ちゃんと私が守りますから」


幼女魔王N 「そういう思い上がりは良くありません!」

幼女魔王N 「もしかしたら外には、あなたなんか一発でやられちゃう魔物が」

幼女魔王N 「この森の中の小さなおうちを、ヨダレ垂らして待ち受けているかもしれません」

幼女魔王N 「一緒に寝ましょう!」


母性巫女 「ああ、混乱しすぎて変なことになってる……」




ドゴン


幼女魔王N 「!?」


母性巫女 「扉が……!」


幼女魔王N (玄関の扉を何かが破った……)


しもべ触手A 「…………」


グニョル グニョル



しもべ触手 が あらわれた!



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「私のしもべじゃないの……」




しもべ触手A 「…………」


グジュ ウネウネウネ


母性巫女 「しもべ……?」


幼女魔王N 「なんで出てきているのかしら」

幼女魔王N 「しかもこんな乱暴に……」


トコトコ……


母性巫女 「駄目ですよ、近づいちゃ」


幼女魔王N 「だ、大丈夫よ」

幼女魔王N 「エッチだけど良い子だから……」


母性巫女 「え、エッチって……」


幼女魔王N 「ちゃんと戻すから、ね」


トコトコトコ


母性巫女 「……あ、だめ……!」


しもべ触手A 「グニョラ」


グジュルルッ


しもべ触手 の こうげき!


幼女魔王N 「えっ……?」




母性巫女 「…………!」


タッ

ズパ


しもべ触手A 「…………!」


母性巫女 は 炎の紐 で斬りつけた!

しもべ触手 は 倒れた!

しもべ触手 の 体液 が飛び散る!


ビシャ ピチャ


母性巫女 「……!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (母性巫女の腕輪から炎の紐がたくさん……)


母性巫女 「大丈夫ですか!?」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N 「母性巫女こそ……」


母性巫女 「これは返り血のシミです」


幼女魔王N 「そ、そう……」




しもべ触手Aの残骸 「…………」


ビク ビク


幼女魔王N (……私に攻撃しようとした)

幼女魔王N (じゃれつくことはあっても、そんなことしないはずなのに)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……母性巫女?」


母性巫女 「……あ、はい」


幼女魔王N (……そういえば)

幼女魔王N (できれば魔物とも戦いたくないって言っていたっけ)




母性巫女 「あの」

母性巫女 「ごめんなさい。Nの……」


幼女魔王N 「う、ううん。私のこと、守ってくれたんだし……」

幼女魔王N 「……でも、本当に良い子なのに、どうして」

幼女魔王N 「ちょっと奇抜な見た目だから誤解されやすいけど、でも……」

幼女魔王N 「いたずらしてても、私のお願いもちゃんと聞いてくれるし……グズ……」


母性巫女 「ごめんなさい……」


幼女魔王N 「……ち、違うの。悲しくて泣いているんじゃないの」

幼女魔王N 「悲しいのに、怖くて泣いているの……」

幼女魔王N 「悲しくて泣かなきゃいけないのに……」


母性巫女 (私がこの森から出なかったせいで)

母性巫女 (……後悔するのはあとにしないと)

母性巫女 「……急いで森を出ましょう」





…………



精霊の森 深部


タン タタ

ガサ ガササ

タタタタタ


星魔法少女 「……止まれ」

星魔法少女 「枝の上の二人もだ」


ガサ ガササ


火魔法少女 「……どうしましたの?」


星魔法少女 「結界だ」


泥魔法少女 「これ以上進めない」


ガササ


岩魔法少女 「聖域の結界でしょうか」


鋏魔法少女 「合流地点はまだ先のはずです……」


火魔法少女 「誰かが仕掛けたのかしら」

火魔法少女 「私たちを進ませないために」


岩魔法少女 「まさか、この森の騎士団が……」


星魔法少女 「それはないだろう」




星魔法少女 「泥」


泥魔法少女 「……すぐには破れそうにない」


火魔法少女 「まあ……!」


岩魔法少女 「泥にそう言わしめるとは……」

岩魔法少女 「彼女らには、こんな結界を扱うほどの力は無いはずですが」


火魔法少女 「母性巫女は……私たちが見ていましたし」

火魔法少女 「別の誰かということですかしら」


星魔法少女 「そういうことだ」

星魔法少女 「血の涙の子供と関係があると良いが」


火魔法少女 「けれど、これほどだなんて」

火魔法少女 「……騎士団についた子たちは大丈夫かしら」


星魔法少女 「良い試練さ」




泥魔法少女 「……まわり道?」


星魔法少女 「悩むところだ」


岩魔法少女 「あとは、引き返すか」


星魔法少女 「面白い冗談だ」


鋏魔法少女 「……あの」

鋏魔法少女 「このあたり……」


火魔法少女 「何かしら」


ザ ザ ザ


火魔法少女 「……おや」

火魔法少女 「心なしか、薄いような」


星魔法少女 「泥」


泥魔法少女 「はい」


ザ ザ


泥魔法少女 「……うん」

泥魔法少女 「ここなら、すぐに破れそう」




キイイ キイイイ

バリ パリン


泥魔法少女 「……行ける」


星魔法少女 「よし」


ザ ザ ザ ザ


火魔法少女 「結界にムラがあるなんて」


泥魔法少女 「広範囲の結界をつくると、脆い部分ができやすくなる」


岩魔法少女 「早く見つかったのは幸いですね」


泥魔法少女 「…………」


星魔法少女 「……ふむ」


ザ……


火魔法少女 「お姉さま?」


星魔法少女 「また結界だ」


泥魔法少女 「……たくさん結界を作っても」

泥魔法少女 「脆い部分は出来やすくなる」

泥魔法少女 「結界を破る回数が増える分、広範囲のものを一つ作られるより厄介」


火魔法少女 「私たちの進行を遅らせながら、少しでも消耗させる気かしら」

火魔法少女 「面倒になりそうですわね」




グジュルルル


しもべ触手B 「…………」


ドリル触手 「…………」


鋏魔法少女 「ひっ……!?」


岩魔法少女 「モンスター……!」

岩魔法少女 「それにしても不潔な……」


火魔法少女 「醜悪すぎて、哀れなくらいですわね」


泥魔法少女 「結界と結界の間が狭いことを利用するように、出現」

泥魔法少女 「こっちの動きを制限するつもり?」


星魔法少女 「わざわざ戦う場所を区切ってくれるとは好都合だ」

星魔法少女 「一気に片付けるぞ」


スチャ


触手たち 「…………」


グジュル グジュル


…………




…………



精霊の森 入口付近



母性巫女 「……そんな」


幼女魔王N 「どうしたの?」


母性巫女 「…………」


母性巫女 の こうげき!
結界 には 効果がない!


母性巫女 「見えない壁みたいな……結界でしょうか」


幼女魔王N 「ええっ」

幼女魔王N 「出られなくなったの?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……そうですね、この辺り一帯に結界がはられています」




母性巫女 「こんな強力なものが存在するなんて」

母性巫女 「困りましたね。出られないとなると……」


幼女魔王N (もしかして、この世界より外の人がやったのかしら)

幼女魔王N (……いやいや、そんなまさか)

幼女魔王N 「……あ」


母性巫女 「うーん、時間をかけたら破れるかしら……」


幼女魔王N 「あ、あの!」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「結界を破らなくても、外に出られるかも」




母性巫女 「ほ、本当ですか?」


幼女魔王N 「うん、ちょっと待ってて。すぐ来てもらうから」


母性巫女 「……?」


幼女魔王N (そうよ、別の世界に渡る力を持つ美触手を呼び出して)

幼女魔王N (この世界に風穴をあけて私の世界に渡れば)

幼女魔王N (何かいろいろ触手で触手な展開をすっとばしてハッピーエンド!)

幼女魔王N (人型のしもべを手に入れて甘えるのも概ねクリア!)

幼女魔王N (第二部、私と母性巫女のほのぼのファンタジーライフが幕を開けるのよ!)

幼女魔王N 「さあ……」

幼女魔王N 「出てきて、美触手!」


シン……


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


シィン……


幼女魔王N の 触手召喚!
幼女魔王Nの声 は むなしく消えた……


幼女魔王N 「……フフ」

幼女魔王N 「やっぱりね!」




幼女魔王N 「あーあ、終わった! わたし死ーんだ!」


母性巫女 「あの、N……?」


幼女魔王N 「腹パンとかスライムの卵とかセクハラとか耐えて生き延びてきたけど」

幼女魔王N 「今度ばかりは終わった!」

幼女魔王N 「触手だもん!」

幼女魔王N 「魔貴族娘とかならたぶん余裕で返り討ちにできたけど、触手だもん!」


母性巫女 「N、そんな大声を……」


幼女魔王N 「しかも、しもべだった触手だもん!」

幼女魔王N 「もうだいたい分かるもんね。言うこと聞かなくなったしもべと、超クールな孤高の女魔王」

幼女魔王N 「はい、下克上! 私いじめ開始!」




パタッ


母性巫女 「! N、仰向けに寝ている場合じゃ……」


幼女魔王N 「もうどうにでもな~あれ!」

幼女魔王N 「さあ、ピンクのド貧乳がここにいますよー。触手たち来~い!」

幼女魔王N 「煮ろ! 焼け! そして食え!」

幼女魔王N 「ふふふ……はははっ……はーっはっはっはァ!」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「はっはははにゃひゃははは!」

幼女魔王N 「煮ろフィナーレ! おかわり!」


母性巫女 「N!」


ズメキョ


母性巫女 の お母さんチョップ!

幼女魔王NのHP が 1 になった! 

幼女魔王Nの混乱 が 解けた!





幼女魔王N 「……ッ。私は何を……」

幼女魔王N 「そうだ、たしか母性巫女の脚の間に鎮座して」

幼女魔王N 「魔動画で年末恒例の紅白オーク歌合戦を見ていたはず……」


母性巫女 「……早く、ここから出ましょうね」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N 「……どうやって?」


母性巫女 「……ええと」

母性巫女 「結界が弱まるまでやりすごせば……」


幼女魔王N 「……母性巫女」

幼女魔王N 「私を安心させようとしてる?」




幼女魔王N 「私、何となくわかるの。人の言葉の裏にあるもの……」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「例えば……褒めてもらったと舞い上がり、ルンルンランランとおうちに帰り」

幼女魔王N 「喜びの余韻をかみしめているとき、ふと……」

幼女魔王N 「実はあれって高度な悪口を言われたのでは……と気づいちゃう」

幼女魔王N 「勘が鋭いのね、私……」


母性巫女 「ええ……え、ええ?」

母性巫女 「それは被害妄想……」


幼女魔王N 「母性巫女」


母性巫女 「は、はい」


幼女魔王N 「私、今とても怖いけど、安心したいけど」

幼女魔王N 「良いの」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「怖いのも、不安なのも、痛いのも」

幼女魔王N 「死ぬのだって良いの」

幼女魔王N 「ただ……寂しいのが嫌なの」




母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「私、人に嫌われるのが怖くて、びくびくしてた」

幼女魔王N 「思ってた。嫌われないようにしていたら」

幼女魔王N 「もしかしたら、誰か私を見つけて好きになってもらえるかもって」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……気がついていたの」

幼女魔王N 「嫌われないからって好きになってもらえるわけじゃないこと」

幼女魔王N 「私が誰かを好きになっているわけじゃないのに」

幼女魔王N 「ただ内側を向いて黙って縮こまっているだけなのに」

幼女魔王N 「誰かに好きになってもらおうなんて、むしが良すぎる」

幼女魔王N 「でも、分からなかったの」

幼女魔王N 「好くのも、好かれるのも、どうしたら良いか分からないの」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「伝説のプニマンを育ててテラスで待つしか、できなかったの……」


母性巫女 「ぷに……おまんじゅう?」




幼女魔王N 「でも、母性巫女に拾われて、少し変わった」

幼女魔王N 「誰かの前であんなにワガママ言って、悪い子になったの、初めて」

幼女魔王N 「誰かにあんなに優しくされたの、初めて……」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「もう良いから。いっぱい幸せだったから」

幼女魔王N 「私のことは気にしないで。気をつかわないで」

幼女魔王N 「何なら私を置いていって。私、本当に役立たずなの」


母性巫女 「……!」

母性巫女 「なんてことを言うんですか、N……」


ザアア サヤサヤ ソヨソヨ


幼女魔王N 「役立たず……」

幼女魔王N 「私は本当に役立たず……」


キイイ ギイイ


母性巫女 「……?」



幼女魔王Nの紋章 の 力が解き放たれる!
しかし 幼女魔王N は レベルが低すぎた! 



幼女魔王N 「お願いします。お願いします……」

幼女魔王N 「誰かの足を引っ張るのは嫌」

幼女魔王N 「私のせいで、みんな死んでいくのはもう嫌……!」

幼女魔王N 「お父様、お母様、お兄様……」


母性巫女 「N……?」





ガサ


??? 「あら」


母性巫女 「……!」


??? 「そんなところに」

幼女魔王A 「私がいるわ」


母性巫女 「Nとまったく同じ……!?」


幼女魔王N 「…………」


幼女魔王A 「駄目じゃないの、私」

幼女魔王A 「ちゃんと私の言うことを聞かないと」


幼女魔王N 「…………」


幼女魔王A 「……あれ」

幼女魔王A 「ねえ、そこの私、あなたいったい誰なの?」




ガサ


??? 「どうしたの、私」

幼女魔王B 「何かあったの……て、あら」


母性巫女 「また……」


幼女魔王A 「ああ、私」

幼女魔王A 「ちょっと見てよ、私」

幼女魔王A 「私の知らない私がいるわ」


幼女魔王B 「何を言っているの。そんなの……」


幼女魔王N 「…………」


幼女魔王B 「あら、本当」

幼女魔王B 「誰かしら、あの私」




母性巫女 「N、N……」


ユサ ユサ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「ぴくりともしない……」


幼女魔王A 「どうしましょう」


幼女魔王B 「……良いんじゃない」

幼女魔王B 「どうせ私だし」


幼女魔王A 「そうね」


母性巫女 「あ、あの、あなた達は……」


幼女魔王B 「……人間のメスがいるわ」


幼女魔王A 「若いメスね……」


ゾ ゾ ゾ ゾ


幼女魔王たち は 仲間を呼んだ!


傘触手A 「…………」


網触手B 「…………」


グジュルル ウゾウゾ


母性巫女 「…………!」




母性巫女 「あなたたちが、魔物を……?」


幼女魔王A 「……若いのになんだかお母さんって感じね」


幼女魔王B 「たくさん産めそうね」

幼女魔王B 「おっぱいも大きいわね」


幼女魔王A 「たくさん貯められそうね」


幼女魔王B 「たくさん育てられそうね」


幼女魔王A・B 「良い苗床になりそうね」


触手たち 「…………」


グジュル グジュル


母性巫女 「……!?」




傘触手A 「…………」


網触手B 「…………」


グネ グネ ズルルル


母性巫女 「待ってください」

母性巫女 「私たちに危害を加えるつもりなら戦います……!」


ヒュン ヒュン


幼女魔王A 「両腕の腕輪から炎が出たわ」


幼女魔王B 「炎の紐が1、2……2より多いからたくさんね。蜘蛛の巣みたい」

幼女魔王B 「メスグモだったのかしら」


幼女魔王A 「人間よ」

幼女魔王A 「……強そうね」




幼女魔王B 「どうしましょう。私たち、私じゃないから、一体しかしもべがいないわよ」

幼女魔王B 「倒されたら大ピンチ」


幼女魔王A 「そうだわ。ここは交渉しましょう」

幼女魔王A 「……ねえ、そこのオッパイの人」



母性巫女 「…………」



幼女魔王A 「そこの黒髪尻デカ女」



母性巫女 「あ、はい」



幼女魔王A 「すぐに脳みそ馬鹿になるくらい喜ばせてあげるから」

幼女魔王A 「触手を産み続ける家畜になってくれないかしら」



母性巫女 「……?」



幼女魔王A 「人間じゃできないエッチで気持ちいい攻撃を死ぬほどくらわせてやるから」

幼女魔王A 「これから一生、死後も、目以外の穴という穴から触手の卵や赤ちゃんを産み続けて」

幼女魔王A 「ついでにミルクもあげ続ける」

幼女魔王A 「奴隷になってくれませんか良い子ぶりっこブス」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「エッチだなんて、女の子がそんなこと言っちゃですよ」


幼女魔王A 「……断られたわ」


幼女魔王B 「たぶん言われたことほとんど理解してないわよ、あれ」


>>443 訂正ごめんなさい



幼女魔王B 「どうしましょう。私たち、私じゃないから、一体しかしもべがいないわよ」

幼女魔王B 「倒されたら大ピンチ」


幼女魔王A 「そうだわ。ここは交渉しましょう」

幼女魔王A 「……ねえ、そこのオッパイの人」



母性巫女 「…………」



幼女魔王A 「そこの黒髪尻デカ女」



母性巫女 「あ、はい」



幼女魔王A 「すぐに脳みそ馬鹿になるくらい喜ばせてあげるから」

幼女魔王A 「触手を産み続ける家畜になってくれないかしら」



母性巫女 「……?」



幼女魔王A 「人間じゃできないエッチで気持ちいい攻撃を死ぬほどくらわせてやるから」

幼女魔王A 「これから一生、死後も、目以外の穴という穴から触手の卵や赤ちゃんを産み続けて」

幼女魔王A 「ついでにミルクもあげ続ける」

幼女魔王A 「奴隷になってくれませんか良い子ぶりっこブス」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「エッチだなんて、女の子がそんなこと言っちゃ駄目ですよ」


幼女魔王A 「……断られたわ」


幼女魔王B 「たぶん言われたことほとんど理解してないわよ、あれ」




幼女魔王A 「しかたないわ。もしかしたら死ぬけれど」

幼女魔王A 「私たちも参戦しましょう」


幼女魔王B 「そうね。死んだらしかたないけれど」

幼女魔王B 「戦いましょう」


幼女魔王A 「勝てるかしら」


幼女魔王B 「大丈夫よ。触手がいるもの」

幼女魔王B 「オークでもゴブリンでも人間でも淫魔でも」

幼女魔王B 「相手がメスならこっちが有利よ」


ザ ザ ザ

ゾル ゾル ゾル


母性巫女 「…………!」

母性巫女 (やっぱり、戦うつもりなのね)

母性巫女 (Nの顔と声で……)


ヒュン ヒュ


幼女魔王B 「……何か戸惑っているわよ。紐の動きがにぶった」


幼女魔王A 「例の私のあれが効いてきたのかしら」

幼女魔王A 「私じゃない私を庇うみたいだし、チャンスかな」

幼女魔王A 「……ん?」


ガサ ガササ


幼女魔王C 「あら」


幼女魔王D 「おや」


幼女魔王E 「まあ」


母性巫女 「……!」


幼女魔王A~E 「大チャンスね」


ゾゾゾゾゾ

グジュル グジュル グジュル


母性巫女 「…………」

母性巫女 「N。私は……」


幼女魔王N 「…………」



…………




…………


精霊の森 聖域(汚染)
淫魔の迷宮結界 深部



モウ モウ モワ

ガサ ガササ ガサ


少女戦士 「ハアッ、ハアッ……!」


タ タ タ……


少女戦士 「ハア、ハ……」

少女戦士 「また、知らないところだ……」

少女戦士 (みんなで聖域の入口にいたのに)

少女戦士 (この変な霧が出て、バラバラに……)

少女戦士 「先輩、隊長……みんな、どこ……」


シイン




シイン

モウ モウ モウ


少女戦士 「……うう」

少女戦士 (怖いくらいに静か)

少女戦士 (まわりには誰もいない。私ひとりだけ……)


カササ


少女戦士 「わひっ!?」


小さいオッサン 「わんわん」


少女戦士 「……ホッ」

少女戦士 「な、なんだ、小さいオッサンか……」


モワ モワ モワ


少女戦士 (……お、落ち着かなきゃ。見習いだけど、私も戦士だもん)

少女戦士 (精霊さまの声に耳を傾けて、力を貸していただくのよ)

少女戦士 (この状況を生き抜く力を……)


キイイ


少女戦士 は 銀のナイフに 祈りを込め始めた!
純粋な精霊への祈り が 溜まっていく……


キイイイ


少女戦士 (大丈夫、きっとできる。ここは精霊さまの森だもの……)

少女戦士 (社会的に死んだ母性巫女さまも、私くらいの歳には騎士団の戦士として戦えていたというもの)

少女戦士 (……騎士団なのに戦士って、変だな)

少女戦士 (だ、だめだめ、集中しなきゃ……!)


ガササ


ブラシ触手 「ニョッキ」


しもべ触手 が あらわれた!


ニョロロ グブニョニョ


少女戦士 「……き、きゃああーー!?」




ブラシ触手 「…………」


グニョロロロロ


少女戦士 「ひ、ひぃっ!?」



しもべ触手 の からみつく 攻撃!



ブラシ触手 「グニョロロロ」


ネト ヌチ ヌロロ

ニュチュ ヌルルル


少女戦士 「い、いや、いやああ……!」

少女戦士 「気持ち悪い……! こ、このっ、はなし……」


ギュウウ


少女戦士 「んぎゅっ……!?」

少女戦士 「ぐっ……くる゛、し……ッ……」




ブラシ触手 「……………」


ギュチ ギュウウ

ギュウウウ


少女戦士 「……ッ………ッ」

少女戦士 (私……ぃ、嫌だ……こんな、ところで……)

少女戦士 (死………。…………)

少女戦士 「…………」


ブラシ触手 「…………」


グチュ ヌロロ グイ

ピ ビリリ……ビリ……


少女戦士 「…………」


キイイイ


ブラシ触手 「!?」




ブラシ触手 「グギュル……」


バラララ ドサッ


少女戦士 「……! ゲホッ、ケホッ、ぉえ゛っ……」

少女戦士 (な、何、拘束がとけた?)


キイイ


銀のナイフ


少女戦士 「武器が、光ってる……」


ブラシ触手 「…………」


少女戦士 「モンスターが慌ててる……」

少女戦士 「そうだ、私の武器に精霊さまの力を宿せたんだ……」

少女戦士 「だったら……ええい!」


少女戦士 の 攻撃!


ヒュン ズバ


ブラシ触手 「!!」

ブラシ触手 「…………」


ドサ




ブラシ触手 「…………」


少女戦士 「倒せた。私が、モンスターを」

少女戦士 「精霊さまの力を借りて……あ、あはは……」


ブラシ触手 「…………」


少女戦士 「ありがとうございます、精霊さま……」

少女戦士 「これで私、みんなと肩を並べて」

少女戦士 「一人前の騎士団の戦士として戦える……!」


ザ


少女戦士 「私もこの力で」

精霊戦士 「この森とみんなを守るんだから……!」


タ タ タ タ タ……




…………


少女戦士 の 昇級!
精霊戦士 になった!


…………



精霊の森 聖域(汚染)
淫魔の迷宮結界 ???



モワ モワ モヤ モヤ

タ タ タ タ タ


精霊戦士 「また知らないところ……」

精霊戦士 「ずいぶん、ひらけたところに出ちゃった」

精霊戦士 「……霧も一段と濃い」


ザ ザ ザ


精霊戦士 (この霧が濃いと)

精霊戦士 (精霊さまとの感応が悪くなる気がする……)


ザ ザ ザ


精霊戦士 「……ん?」


??? 「…………」


精霊戦士 「…………」

精霊戦士 (茂みのところ、誰か倒れている?)




??? 「…………」


精霊戦士 (木の根みたいにも見える……)


ザ ザ ザ


精霊戦士 「…………」

精霊戦士 「……!?」


??? 「…………」

下級魔法少女 「…………」


精霊戦士 (うつ伏せで、女の人が倒れている)

精霊戦士 「……この人、私たちに合流していた」

精霊戦士 「たしか魔法少女とかいう戦士……」


下級魔法少女 「…………」


精霊戦士 「……腰から下がない」

精霊戦士 「……ぅ」

精霊戦士 「ぉ、ぉええ゛……!」




モワ モワ モヤ


??? 「霧、薄められるかしら」


精霊戦士 「!?」

精霊戦士 (女の子の声。幼い……)


モヤ サアア

ザザアア


精霊戦士 「……霧が、薄くなっていく」


??? 「…………」


精霊戦士 (いた。小さな女の子。声はきっとあの子だ)

精霊戦士 (その後ろに、大きな……)


毛玉触手 「…………」


精霊戦士 (たぶん、毛むくじゃらの……)

精霊戦士 (こんがらがった糸を垂らす毛玉みたいな魔物)

精霊戦士 (……浮いてる?)


??? 「…………」

真幼女魔王 「ごきげんよう」

真幼女魔王 「待っていたわ、強い人」




モヤ サアァ モワモワ

モヤモヤ サマァ


精霊戦士 「……あなたが、この霧の犯人?」


真幼女魔王 「あら、ずいぶんと小さいのね」

真幼女魔王 「私よりちょっとお姉さんというくらいかしら」

真幼女魔王 「できれば、大きい人の方が良いんだけど……」


精霊戦士 「こ、こたえなさい!」

精霊戦士 「この神聖な地で、何をしているの!」


真幼女魔王 「ゆるくしすぎたかしら」

真幼女魔王 「けっこう、いらないお客さんが多いわ」


精霊戦士 「あなた、小さいからってそんな態度は許さな……!」

精霊戦士 「……ッッ!!」


魔法少女の残骸B~J 「…………」


戦士の残骸A~C 「…………」


精霊戦士 「……ッ。そんな……」

精霊戦士 (あの子のまわりに……ひどい状態の死体がたくさん……)

精霊戦士 「ひ……はひッ……!」


ドサ


真幼女魔王 「怒鳴ったり尻餅ついたり、忙しい人ね」




真幼女魔王 「……こちらも、大変なのよ」

真幼女魔王 「私って不器用で、触手しかしもべにできないの」

真幼女魔王 「で、兵力として強いしもべがたくさん欲しいけど……」

真幼女魔王 「ここだけの話、ほとんどの触手って」

真幼女魔王 「女の子以外にはてんで弱いの」

真幼女魔王 「他の種族の女の子に頼らなきゃ繁殖もできないし」


精霊戦士 「……ッ」

精霊戦士 (た、立たなきゃ……早く……!)


ズル ガクン ズル


真幼女魔王 「強い生き物の女の子に、強いしもべの卵や赤ちゃんをうませるのが一番だけど」

真幼女魔王 「それもけっこう骨が折れるのよね」

真幼女魔王 「強い生き物なんだけど、肉体の強さだけじゃなくて、魔力も必要」

真幼女魔王 「オークやゴーレムは頑丈だけど、魔力がからきしだし……」


精霊戦士 (せ、精霊さま……精霊さま……!)


ズル ズズ


真幼女魔王 「……さっきから何しているの、尻餅ついたまま、脚で地面を削って」




モヤ モヤ モワ


??? 「ぃぎゃあああぁぁああぁあ!!?」


真幼女魔王 「あ、始まったのね」


精霊戦士 「!?」

精霊戦士 「な、何……どこから声が……新しい魔物……!?」


真幼女魔王 「まあ、ひどい」

真幼女魔王 「あなたと同じ人間じゃない」


精霊戦士 「!?」


??? 「ぁおおおおッッ!」

??? 「ぉほ、おほぉおッッ! おっほぉぉおぉお!! んほぉおぉぉおおおッッ!」

??? 「ぁおぉお、ぉ、ぉ、ぉ……!」


精霊戦士 「う、嘘、こんなの……こんなのが人の……」


真幼女魔王 「自然のなかで思いっきり声をはりあげて、気持ち良いでしょうね」

真幼女魔王 「ちょっと前に来た人だけど、傷ついていたから癒してあげていたの」

真幼女魔王 「私のこと怖い顔で睨んできていたけれど、良かった、気に入ってくれたみたい」

真幼女魔王 「……よく聞いておくと良いわ、あの間抜けな獣みたいな声を」

真幼女魔王 「もしかしたらあなたの未来かもしれないんだから」




精霊戦士 (……せ、精霊さま、精霊さま……!)


真幼女魔王 「……耳をすませば聞こえてくるわ。ぢゅぷぷっ、ぢゅぽぽっ……て、すごい速さで」

真幼女魔王 「女の子の体力が多く残っている方が、しもべも本気でかかれるものね」


精霊戦士 「な、何を……」

精霊戦士 「私に何をすす……ッ。する……つもりなの!」


真幼女魔王 「……今のとこ、しもべを産んでもらうのに一番良いのはね」

真幼女魔王 「エルフとかドワーフとか、人間とか……そういうかたちのものなのよ」


精霊戦士 「う、産ん……産……!?」


真幼女魔王 「人間は良いけど、難しいのよね。丈夫なのは少ないし、群れるし」

真幼女魔王 「魔法少女とか正面からぶつかったら被害は甚大だし」

真幼女魔王 「たとえば、罠にかけやすい、魔力の高い女の子だけの騎士団とか」

真幼女魔王 「あったら良いんだけど……」


精霊戦士 「……! 騎士団……!」




真幼女魔王 「運が良かったわ」

真幼女魔王 「まさか魔法少女も罠にかかるなんて」


精霊戦士 「あ、あなた……私たちの森で、そんなこと……!」


真幼女魔王 「怒らないで。怖がらないで安心して」

真幼女魔王 「そんなことって言うけど、よっこいしょ……」


ズル ズズズ


精霊戦士 (戦士の死体を引きずってくる……!)

精霊戦士 「ひ、ひぃっ……!」


真幼女魔王 「ほら、見てよこの娘の表情」


ゴロン


ビキニ戦士の死体 「……………」


精霊戦士 「!!」


真幼女魔王 「全然しまりのない、幸せいっぱいの顔でしょ」

真幼女魔王 「鼻の舌はのびきって、唇はゆるゆる」

真幼女魔王 「まぶたの降りかたまで左右ばらばらで、うっとり夢見るように白目むいて」

真幼女魔王 「余力の一片も残さず、精一杯気持ちよくなった証拠よ」


精霊戦士 「ぅぐ……ぉえええ……!」


真幼女魔王 「だから、あなたにとって悪い話じゃないのよ」

真幼女魔王 「そりゃあ、人間としては終わるけど」

真幼女魔王 「触手と交尾する苗床として、普通に生きていたらぜったい味わえない幸せが」

真幼女魔王 「死ぬまで続くのよ」

真幼女魔王 「背中さすってあげましょうか?」


精霊戦士 「交……く、狂ってる……!」

精霊戦士 「あなた……狂ってるッッ!」


>>459 
ごめんなさい
ごめんなさい


真幼女魔王 「鼻の舌は~~

真幼女魔王 「鼻の下は~~



真幼女魔王 「狂うのはあなたなのよ」

真幼女魔王 「あなたたちって、ちょっとその辺にぶいみたいだから言うけど」

真幼女魔王 「触手と、交尾して、幸せに狂うの」


精霊戦士 「!!」

精霊戦士 「…………ッ」

精霊戦士 「……わ」

精霊戦士 「私たちの森……を、汚す、悪魔……!」


キイイ


真幼女魔王 「……ナイフ?」

真幼女魔王 「今まで来たあなたの仲間の武器は、みんな腕輪だったけど……」


精霊戦士 「せ、精霊さまに誓って……」

精霊戦士 「騎士団の戦士たる私が、あなたを討ち滅ぼします!」





真幼女魔王 「…………」


ズズズズズ


しもべ触手A が あらわれた!
しもべ触手B が あらわれた!
しもべ触手C が あらわれた!
しもべ触手D が あらわれた!


精霊戦士 「…………!」

精霊戦士 (……ま、負けない。敵がどれだけいたって)

精霊戦士 (私の命と引き換えにしても、みんな倒してみせる!)


真幼女魔王 「…………」


シュウウウ ボロ


精霊戦士 「……?」


真幼女魔王 の 魔法こうげき!
無情の風(笑) が 吹き渡る……
銀のナイフ は 壊れてしまった……


精霊戦士 「え……」


しもべ触手E が あらわれた!
しもべ触手F が あらわれた!
しもべ触手G が あらわれた!
しもべ触手H が あらわれた!




…………


精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ モヤ


星魔法少女 「……!!」


星魔法少女 の 攻撃!


細触手 「ギャッ」


鱗触手 「ギピ」


ドサ バタ


星魔法少女 「……どうだ」


火魔法少女 「ええ……」


中級魔法少女 「…………」


火魔法少女 「駄目ですわね。すでに死んでいます」





岩魔法少女 「これで何人目でしょうか」


泥魔法少女 「騎士団20……魔法少女5」

泥魔法少女 「みんな、身体にひどいことされてた……」

泥魔法少女 「それより、こっち」


幼女魔王Mの死体 「…………」


幼女魔王Oの死体 「…………」


泥魔法少女 「これ、母性巫女の小屋にいた子供」


鋏魔法少女 「N……」


火魔法少女 「どういうことかしら」

火魔法少女 「この子供が魔物を操っていたように見えたけれど」


岩魔法少女 「小屋にいたものと、関係はあるのでしょうか」




星魔法少女 「今までの死体の位置からすると、味方は分断されてから」

星魔法少女 「各個撃破されてしまったようだ」

星魔法少女 「……泥」


泥魔法少女 「……ここも」

泥魔法少女 「霧に紛れて、いくつか魔力の門が移動してる」

泥魔法少女 「また、急に消えたり、現れたり」


火魔法少女 「魔力の門……ワープですわね」

火魔法少女 「触れたら、おそらくこの森のどこかに飛ばされる」

火魔法少女 「私たちも、泥がいなければ危なかったかも」


岩魔法少女 「信じられません。高度で不安定な空間系の魔法を」

岩魔法少女 「いくつも操るなど……」


星魔法少女 「はっはっは、実際に起こっているのだからしかたない」




ガサササ


魔法少女たち 「!」


ガサ ガササ

ガサガサガサガサ


星魔法少女 「…………」


火魔法少女 「何か、茂みを移動していますわね」

火魔法少女 「私たちを囲むように」


岩魔法少女 「あまり大きくはないようですが」

岩魔法少女 「何でしょうか……偵察の魔法で捉えるのが若干難しい……」


ザザザザザ ガサササ


星魔法少女 「……火、岩、泥、これより陣を敷く」


岩魔法少女 「!」


星魔法少女 「ここ一番だ」

星魔法少女 「魔王級を相手にすると思え」


火魔法少女 「……は、はい」


泥魔法少女 「…………!」


キイン キイイ……




キイイ

ガサガサ ザワザワザワ


岩魔法少女 「……防御魔法、全員に渡りました」


星魔法少女 「よし……」

星魔法少女 「鋏」


鋏魔法少女 「……はい。いけます……」


火・泥魔法少女 「…………」


キュイイイ キイイイイ


星魔法少女 「火と泥も行けそうだ」


ガサ ガササササ

ザ ザ ザ ザ


鋏魔法少女 「違う足音が、増えました……」


星魔法少女 「予想外の事態はつきものだ。覚悟しておけ」

星魔法少女 「……来るぞ」


ザ ザ ザ ザ

ガサ


??? 「…………」

波魔法少女 「…………」




泥魔法少女 「!!!」


火魔法少女 「波魔法少女、なぜ……いえ……」

火魔法少女 「その姿、お腹、何てこと……」


波魔法少女 「……ぁ……はへ、ぁ………」


■波魔法少女
そうび : 奴隷の首輪
じょうたい : 妊娠


波魔法少女 「ひ……はひひ……ぃひ……」

     
泥魔法少女 「な、波……波……!」


星魔法少女 「うろたえるな、泥」

星魔法少女 「あれは敵の罠だ」





ジャララ グイ


波魔法少女 「ぁえ゛っ……」


鋏魔法少女 「……波魔法少女の……首輪の鎖」

鋏魔法少女 「誰かが、引っ張ってる……」


星魔法少女 「泥、詠唱を止めるな」

星魔法少女 「今は姉ではなく、魔法少女として動くんだ」

星魔法少女 「誰よりも冷静な君らしく」


泥魔法少女 「………はい……っ」


ジャララ 


波魔法少女 「……ボ、ボク……ひっ……わた、私」

波魔法少女 「波、魔法少女……は……」


泥魔法少女 「………!」


火魔法少女 「こらえて、泥……!」





モヤ モヤ モヤ

ガサササ


波魔法少女 「正義の味方ぶって……」

波魔法少女 「調子に乗って……生意気にも、魔物さまに刃向かって、いました……」

波魔法少女 「で、でも……魔物さまに調教していただき……魔物さまの……す、素晴らしさを……」

波魔法少女 「全身に……皮膚から染み出るくらい、教え込んでいた……いただき……!」


星魔法少女 「…………ッ」


波魔法少女 「ボ、ボク、私……私ぃい……!」


モォ ボヨン


鋏魔法少女 「ひっ……お腹、波打って……」


星魔法少女 「目を閉じるな……」


グギュルル ボコ モコ


波魔法少女 「ボ、ボクガッ……正義の味方じゃなくて!」

波魔法少女 「敗北して屈服させられるのが、だ、だい、大好きな、ブタ! ブタだと……思いッ、思い知り……!」

波魔法少女 「思い知りましたぁッッ!」


モコ モコ モコ

ボコボコボコ


波魔法少女 「ひっ、ぎ! お腹ぁ、気持ぢいぃいい゛」

波魔法少女 「いっぎぃいいいいぃぃいいいいーー!!」


ブシッ ブシュシュ ビチャ

モ゛コモ゛コモ゛コモ゛コ


岩魔法少女 「い、嫌……こんな……」


火魔法少女 「おのれ、魔物……!」





ビク ガクンッ ガクガクガク

ビクッ ビクンッ ビクンッ


波魔法少女 「ブタ……ブタぁあああ!」

波魔法少女 「ボク、魔物さま専用のエロブタなのぉお!」

波魔法少女 「イグッ……いっぱい、いっぱい着床したのぉおお!」


ボゴ モコ

ズルルルル


波魔法少女 「あひぇえぇええぇえぇえぇえ!?」

波魔法少女 「くる゛ッ……お腹おりてるぅう゛……!」

波魔法少女 「産むの゛ッッ!! 産ませでいだだぎまず!!」

波魔法少女 「魔物さまの赤ちゃんッ……! エロブタ魔法少女が産ませでいだだぎまずぅう゛うう゛う゛!」


モコモコモコ

ズル ズルル……

ズギュル


波魔法少女 「ん、ぎッッッ……!!」


ブジュルルル ブジュ


波魔法少女 は 仲間を呼んだ!
赤ちゃん触手の群れ が あらわれた!


赤ちゃん触手1~24 「…………」

赤ちゃん触手1~24 「グキュィイイ!」


グネグネグネグネ




波魔法少女 「はへ……はひぇへへへ……」

波魔法少女 「ぁあー……あぁああ゛ーー……!!!」


赤ちゃん触手25~? 「フジュルルル」


ビジュル グジュルル

ボト ボトト

グニョグニョグニョグニョ


泥魔法少女 「……う……くぅうう……!」


岩魔法少女 「そんな……魔法少女が、魔物を産み……!」


ガササササ

ガサッ


魔物の影 が いきなり飛び出してきた!


??? 「…………」

血涙人形 「……キキキッ!」


泥魔法少女 「!?」

泥魔法少女 「しまっ……」


ザク ブチッ



鋏魔法少女 「…………」


ブチチ

ジョキンッ


血涙人形 「…………」


ズル ボト ドサ


血涙人形の頭 「…………」

血涙人形の体 「…………」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「大丈夫……ですか……」


泥魔法少女 「鋏……」

泥魔法少女 「ごめんなさい。もう大丈夫」

泥魔法少女 「……波」


モヤ モヤ モヤ


星魔法少女 「…………」


波魔法少女 「…………」


ズル ズルル

ドサ


波魔法少女 「…………」

波魔法少女の死体 「…………」


触手の死体 「…………」


星魔法少女 「……さよならだ、波」


ゴオオ メラメラメラ


波魔法少女の死体 「…………」

灰 「…………」




鋏魔法少女 「…………」


血涙人形の頭 「…………」


岩魔法少女 「異様な魔物です」

岩魔法少女 「人間の子供のようなかたちですが、気持ちが悪い」


火魔法少女 「……静かになりましたわね」

火魔法少女 「もしかして、これで終わりなのかしら?」


星魔法少女 「……いや、まだだ」


ザッ ザッ……


火魔法少女 「また足音……」


星魔法少女 「…………」


モヤモヤ ユラ ユラ

ザ ザ ザ ザ


鋏魔法少女 「…………」


泥魔法少女 「…………ッ」


ザ ザ ザ ザ

ガサ


??? 「…………」

淫魔幼女 「…………」






淫魔幼女 「…………」


岩魔法少女 「黒外套の……子供?」


火魔法少女 「ただの子供じゃありませんわね」

火魔法少女 「死臭を引きずっていますわ」


淫魔幼女 「…………」


星魔法少女 「……この森で私たちの仲間を殺しているのは」

星魔法少女 「君か」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「使えないメスだった」


魔法少女たち 「…………!」




淫魔幼女 「波魔法少女と言ったか」

淫魔幼女 「まあ良い、ゴミだ」


泥魔法少女 「…………!」


淫魔幼女 「偉そうにふんぞり返っていた割に」

淫魔幼女 「大して戦力にならない魔物しか産めなかった」

淫魔幼女 「処理するのも面倒だから、敵だらけのこの森を散歩させていたが」

淫魔幼女 「ちゃんと殺されて良かったよ」


岩魔法少女 「あなた……!」


火魔法少女 「ずいぶんと育ちの悪い子のようですわね」





泥魔法少女 「もう口を閉じて。あなたの声、不快……!」


淫魔幼女 「そうか」

淫魔幼女 「この結界に入った時点で、貴様らは埋葬されたに等しい」

淫魔幼女 「無駄な抵抗をするなとは言わないが」

淫魔幼女 「おれの前に立った以上、楽に死ねるとは……」


ジョキン


鋏魔法少女 の こうげき!


淫魔幼女 「…………!」

淫魔幼女の下半身 「…………」

淫魔幼女の上半身 「…………」


ドサ


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「あなた……うるさい、です……」





火魔法少女 「あらまあ」


岩魔法少女 「真っ二つ」


淫魔幼女(上) 「…………」


星魔法少女 「………!」

星魔法少女 「鋏、そいつから離れろ!」


鋏魔法少女 「?」


淫魔幼女(上) 「…………」


グバ

ギュルルル


鋏魔法少女 「!?」

鋏魔法少女 「外套が、絡みついて……!」


ギュルルル ゾゾゾゾ


鋏魔法少女 「このっ……は、離し……」

鋏魔法少女 「きゃあっ!?」


バササ ガサササ


星魔法少女 「鋏!」


岩魔法少女 「上に逃げられた……!」




ガサササ ガサ

ザザア


岩魔法少女 「……だ、駄目です。枝葉に加えて、この霧と暗さでは……!」


星魔法少女 「くそ、鋏……」

星魔法少女 「火、泥!」


火魔法少女 「ええ!」


泥魔法少女 「はい!」


キイイ ゴゴゴゴゴ


火と泥魔法少女 の 大魔法 こうげき!
森の地形 が 変わっていく……


ドロ ドロロ ボコン

グツ グツ


泥魔法少女 「……火と泥の重ね魔法」


火魔法少女 「ここは今や燃える沼」

火魔法少女 「魔王すらも飲み込み、平らげますわよ……!」





ザアア ガサササ


淫魔幼女の声 『……魔力減退の結界も張ってあったはずだが』

淫魔幼女の声 『上級魔法少女というだけはあるのか』


ガサ ガササ


泥魔法少女 「やっぱり、木の上にいる」


火魔法少女 「お姉さまの攻撃、当たったはずですけれど……」


淫魔幼女の声 『魔法少女どもには影響がないようだが……』


ガササ

ヒュルル ボト


岩魔法少女 「何か落ちて……」

岩魔法少女 「!!」


鋏魔法少女の腕




ボタ ボトト ボト 


木の枝
鋏魔法少女の足
鋏魔法少女の腕
鋏魔法少女のハツ
淫魔幼女のパンツ
鋏魔法少女のミノ
鋏魔法少女のサガリ


ボチャ


鋏魔法少女の頭 「…………」


岩魔法少女 「ッッ! 鋏……!」


ボオオ

ズブ ズブブブ


淫魔幼女の声 『……魔法少女の死体以外は燃えたな』

淫魔幼女の声 『魔法少女だけが、火の沼の影響を受けないのか』

淫魔幼女の声 『とりあえず、降りて戦うのは難しそうだ』





ガサ


魔法少女の顔 「…………」


星魔法少女 「……!」


岩魔法少女 「枝葉の隙間から、少女の顔……?」


星魔法少女 「見知った顔だ。中級魔法少女の隊にいた」


魔法少女の顔 「…………」


ズルルルル


岩魔法少女 「く、首が、蛇みたいに伸び……!」


泥魔法少女 「首のところは、あの子供の外套……」


星魔法少女 「頭と外套が、同化しているのか」


魔法少女の顔 「…………」

魔法少女の顔 「ぁお゛お゛お゛……」

ヒュドラの頭A 「お゛お゛おおおお゛お゛!」


ヒュドラの頭 が あらわれた!




ガサ ズルル

ズルルルル


ヒュドラの頭B 「…………」


ヒュドラの頭C 「…………」


ヒュドラの頭D 「…………」


ズルルルル


火魔法少女 「……あらあら、見た顔ばかりですこと」


岩魔法少女 「どうしますか。鋏がいない今、私が前衛に……」


星魔法少女 「いや」

星魔法少女 「私ひとりで問題ない」


ガサ ガサササ

グツグツ ボコン

ズルルル


ヒュドラの頭 が あらわれた!
ヒュドラの頭 が あらわれた!
ヒュドラの頭 が あらわれた!
…………


…………



…………


精霊の森 



ザ ザ ザ


母性巫女 「……ここも駄目」

母性巫女 「この辺りいったいが、結界に囲まれているのかしら」


幼女魔王N 「…………」


ズルル


母性巫女 「……よいしょ」


ユッサ


幼女魔王N 「……スウ」


母性巫女 「急に様子がおかしくなったときは驚いたけれど」

母性巫女 「……安らかな寝顔」


ザ ザ ザ


母性巫女 「子供をおんぶして歩くの、久しぶり……」





モヤ モヤ

ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」


モヤ モヤ


母性巫女 「ここ、結界かしら。森を囲んでいるものと違うみたい」

母性巫女 「霧に隠れるように、たくさん……」

母性巫女 「触れないように気をつけないと」


ヒョイ フワ ヒョヒョイ

ポヨン ポヨヨ


母性巫女 「もう、こんなときも魔王の呪いが……」

母性巫女 「それにしても、あっちもこっちも結界だらけ」

母性巫女 「本当にどうしちゃったのかしら、この森」


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……ムニャ……うへへ、むにむに……ムニャ」


母性巫女 「……ちゃんと守りますからね、N」




シイン

モワモワ モヤ 

ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」


巨木のうろの休憩所


母性巫女 「……あたりに魔物はいない」

母性巫女 「少し、休んでいきましょうか」


幼女魔王N 「…………」


ザ ザ ザ





精霊の森 うろの休憩所


キイ キイイ

チカ チカ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「騎士団がつくった、休憩所」

母性巫女 「夜間訓練のときなんかに、よく使ったっけ……」


幼女魔王N 「…………スウ」


母性巫女 「この状況、どのくらい続くんだろう」

母性巫女 「ここって食料は……」


ガサゴソ

フルルン フルン


母性巫女 「……けっこう、あるのね」

母性巫女 「森にも食べ物はあるし、大丈夫かしら」


幼女魔王N 「……ムニャ」


モソ


幼女魔王N 「ママ……ママ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「……グウ」




母性巫女 (戦いから遠ざかってけっこうたつけれど)

母性巫女 (体が動いて良かった……)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (Nとそっくりのあの子たち、いったい何だったのかしら)

母性巫女 (魔物を操るところまでそっくり……)

母性巫女 (私、子供をこの手で……)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (魔物にも、親子や仲間の絆があることを知って)

母性巫女 (戦わないと決めたはずなのに。騎士団の傍から離れられなくて)

母性巫女 (結局、いざとなると躊躇わずに命を奪ってしまう)

母性巫女 (私は中途半端にふらふらしていただけ……)

母性巫女 (進むことも、逃げることもできずに……)


幼女魔王N 「ムニャ……」


母性巫女 (でも今は、この子を守ることだけ考えましょう)

母性巫女 「……絵本」

母性巫女 「帰ったら、読みましょうね」


幼女魔王N 「……ムニャ」




…………


精霊の森 うろの休憩所



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ムニャ……男のミルク」

幼女魔王N 「ゲットだよ!」


ガバ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……あれ、ここはどこかしら)

幼女魔王N (床が地面むき出しだし、狭くてちょっと汚れてて)

幼女魔王N (落ち着くわ。大きくて綺麗なお店とか、苦手なタイプなのよね)


母性巫女 「N!」


幼女魔王N 「母性巫女……」




…………


チカ チカ

ユラ ユラ


幼女魔王N 「そ、そんなことがあったの」

幼女魔王N 「私にそっくりな人たちが出てきて、触手まで召喚したなんて……」


母性巫女 「びっくりしましたよ」

母性巫女 「Nは急にあんなことになるし……」


幼女魔王N 「うーん、たしかにその辺の記憶があやふやなような」

幼女魔王N 「……おへそ出しっぱなしがいけなかったのかしら」


母性巫女 「今度から、寝るときくらいはおへそを隠す服にしましょうね」

母性巫女 「はい、あーん……」


幼女魔王N 「あーん……パク」

幼女魔王N 「……えへへへ」




幼女魔王N 「いいのかしら、こんなにのんびりしてて。それに……」


母性巫女 「調子が悪いんですから、休むことも必要ですよ」

母性巫女 「休みなしで戦うと余計に悪いことになります」

母性巫女 「さあ、こんなときなのでたくさんは無理ですけど、しっかり食べてくださいね」


グツグツ

コトコト カチャ


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (やっぱり、家事をしている母性巫女の姿は素朴で綺麗だなあ)

幼女魔王N (本当に、私もこういう感じを目指そうかしら)

幼女魔王N (おしとやかな家事系魔王……胸さえあればいけそうね)


母性巫女 「まだ熱いかしら……」


幼女魔王N (……すごく薄着になっていることは触れないでおこう)


母性巫女 「フゥ……フゥ……」

母性巫女 「はい、あーん」


幼女魔王N 「あーん……パク」

幼女魔王N 「……えへへへ」


母性巫女 「うふふふ……」




…………


精霊の森 聖域(汚染)



ヒュドラの首G 「アーン……」


ヒュドラの首 の 火魔法 こうげき!

ゴオオオ


星魔法少女 「この魔法の組み立て方」

星魔法少女 「やはりもとになった魔法少女の力を使えるのか……!」


泥魔法少女 「それが最後の一体」


火魔法少女 「どうやら、火に耐性があるようですわね」

火魔法少女 「私たちの火の沼では動きを鈍らせるくらいで、ダメージをあたえられていませんわ」


星魔法少女 「じゅうぶんだ……!」


星魔法少女 の こうげき!

ズバ


ヒュドラの首G 「ぎゃっ」


ボト

ズブ ズブブ




グツグツ ドロ ドロロ

モヤ モヤ


岩魔法少女 「終わった……?」


星魔法少女 「まだだ。本体が残っている」


ガササ

フヨ フヨ フヨ


淫魔幼女 「…………そうか」

淫魔幼女 「ヒュドラと沼や岩は相性が悪いのだったな」


フヨ フヨ


火魔法少女 「……来ましたわね」


星魔法少女 「やはりダメージはなかったか……」


泥魔法少女 「断たれた外套も元に戻っている」


岩魔法少女 「恐らく、魔法のアイテムでしょう」

岩魔法少女 「これまでのことが本体とアイテムどちらの仕業か、はかりかねますが」





フヨ フヨ


淫魔幼女 「…………」


地形効果!
火の沼の熱気が 魔物の体力を奪っていく……
淫魔幼女 に 3200 のダメージ!


星魔法少女 「……いまだ闇深き第三大世界」

星魔法少女 「かつてただ一人その深奥を見た者が持ち帰ったという秘宝」

星魔法少女 「時の地層の底に失われてしまったが」

星魔法少女 「それを持つ者は、外套のように不死の闇を纏ったという」


火魔法少女 「……あれがその宝だと言うんですの?」


星魔法少女 「分からない」

星魔法少女 「ただ、ふと思い出しただけだ」


岩魔法少女 「その話は私も聞いたことがあります」

岩魔法少女 「たわい無いおとぎ話だと思っていましたが……」

岩魔法少女 「平然と浮かんでいるあの魔物の姿を見ていると」

岩魔法少女 「信じてしまいそうになりますね」


淫魔幼女 「…………」


フヨ フヨ





泥魔法少女 「関係ない」

泥魔法少女 「あいつは仲間を二人も手にかけた」


淫魔幼女 「……お前たちはどうだと言うんだ」

淫魔幼女 「どれだけの魔物を殺してきた」


泥魔法少女 「?」


火魔法少女 「おかしなことを言いますわね、あいつ」


岩魔法少女 「ええ、本当に」

岩魔法少女 「ああ、これだから魔物は分からない」


星魔法少女 「魔物は魔物である時点で死ぬべきだ。存在するだけで罪なんだ」

星魔法少女 「もちろん、この森の魔物たちもいずれ殺させてもらう」


火魔法少女 「精霊騎士団の皆さんも、私たちがよく言って聞かせれば分かるはずですわ」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「……この世界があるところより深くに」

淫魔幼女 「強大な魔王の治める世界があった」


火魔法少女 「何か語り始めましたわよ」


泥魔法少女 「死ねば良いのに」


星魔法少女 「…………」



星魔法少女 は 力をためている……



淫魔幼女 「その世界より遠く離れた世界で、やがて一人の赤ん坊がうまれる」

淫魔幼女 「母親は魔王の孫娘。父親は、勇者の力を持つ人間」

淫魔幼女 「桃色の髪の、花のような娘だった」




グツグツ ドロドロ


淫魔幼女 「ある日、その世界にかの魔王の軍勢が攻め込んできた」

淫魔幼女 「魔王の孫娘を引き戻すためだ」

淫魔幼女 「しかし彼女は男とともに自身の娘をかばい、死んでしまう」

淫魔幼女 「そして娘は、母の代わりに魔王の世界へとさらわれてしまった」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ


火魔法少女 「わざわざそんな話を聞かせるために」

火魔法少女 「私たちをここへ誘き寄せたのかしら?」


泥魔法少女 「……外套の動きが妙」


星魔法少女 「あれに触れるのは危険だ。まずは距離をとって戦う」


岩魔法少女 「まるで呪いの竜退治ですね……」




淫魔幼女 「魔王の城で、娘は貴重な存在だった」

淫魔幼女 「魔王と勇者の血を持ち、しかしその誕生を祝福されない存在だ」

淫魔幼女 「娘は魔術の実験台として、多くの呪いをその身に受けた」


グツグツ ボコン


地形効果!
淫魔幼女 は 4050 のダメージ!
淫魔幼女 は 痺れて動けない!


火魔法少女 「外套を揺らすばかりで大した動きを見せませんが」

火魔法少女 「私たちの攻撃を待っているのかもしれませんわね」


岩魔法少女 「だとしたら、慎重にかからなくては……」


淫魔幼女 「……生き延びていた父と仲間たちが救出に訪れたとき」

淫魔幼女 「娘はすでに心と体を壊し尽くされ、呪いを振りまくだけの肉人形と化していた」




淫魔幼女 「魂を引き裂かれる痛みを知っているか」

淫魔幼女 「おれは知っている」

淫魔幼女 「ただ一度だ。ただ一度だけ……」

淫魔幼女 「ただ一度だけでも耐え難いものだったのに」

淫魔幼女 「姫はそれを何度も味わわされたのだ……」



地形効果!
淫魔幼女 は 2300 のダメージ!



星魔法少女 「……波と鋏の不在が痛いな」


岩魔法少女 「?」


火魔法少女 「話が終わらないうちに地形効果で押し切れる気もしてきましたが」




■淫魔幼女
HP : 5320/??????
MP : ?????



淫魔幼女 「彼女を救い出すために、魔王の城では多くの血が流された」

淫魔幼女 「強大な魔王の軍勢と、近隣世界による連合軍の戦い」

淫魔幼女 「勇者と魔王も倒れ、世界そのものも崩壊させたその戦いの果て」

淫魔幼女 「姫は数少ない生存者となった」



星魔法少女 「……やはり、あいつが話しているのはあの事件のことだ」


火魔法少女 「あの事件?」


岩魔法少女 「まさか、凶悪な金狐の魔王の世界が崩壊したという」

岩魔法少女 「謎の多いあの事件ですか?」


グツグツ ボコン


地形効果!
淫魔幼女 に 5020 のダメージ!



淫魔幼女 「しかし、魂の損傷は深刻だった。その殆どが消滅してしまっていた」

淫魔幼女 「残りカスのような魂をつぎはぎして、やっと目覚めさせた姫は」

淫魔幼女 「姫ではなかった」

淫魔幼女 「記憶も、力も、心も……それまでの彼女のほとんどが永遠に失われてしまったのだ」

淫魔幼女 「花のような桃色の髪を残して」




淫魔幼女 「それを受け入れられなかった者は」

淫魔幼女 「姫の魂からつくられたあのゴミ人形の中から、姫だけを取り出す方法を探し」

淫魔幼女 「多くの世界を渡り歩いた」

淫魔幼女 「それらしい力を持つ紋章や魔法の噂を頼りに」

淫魔幼女 「……ただのゴミだと思っていた姫の残りカスは、日に日に人らしくなっていった」


ゾ ゾ ゾ ゾ


淫魔幼女 「……ある世界を見つけた」

淫魔幼女 「魔法少女の有する世界」

淫魔幼女 「魔物に、魔物を殺す魔物を産ませる実験が行われている世界」


火魔法少女 「波も夢中になっていた実験ですわね」




グツグツ ボコン


泥魔法少女 「成功すれば、波は特級魔法少女になれたのに……いや、成功していた」

泥魔法少女 「それをあいつが台無しにした……!」


淫魔幼女 「その実験場に……壊れた姫のいたあの城で見た光景」

淫魔幼女 「それと全く同じものが広がっていた」


星魔法少女 「…………」


淫魔幼女 「数多の世界を駆ける魔法少女……界駆魔法少女ギルド」

淫魔幼女 「自白剤漬けにして、そこの長はやっと吐いた」

淫魔幼女 「かつて、ある魔王の城に呪術師として潜入していたことも」




星魔法少女 「……復讐か」


淫魔幼女 「魔法少女。魔法少女」

淫魔幼女 「どうして貴様らは魔法少女なんだクソの肉袋め」


火魔法少女 「気持ちが悪いですわね」

火魔法少女 「魔物のくせに、心だとか魂だとか、人間のふりをして」


星魔法少女 「泣かせるじゃないか」

星魔法少女 「お姫様なきあとも、揺るぎない忠誠を捧げる騎士のようだ」


淫魔幼女 「……死ね、魔法少女ども」

淫魔幼女 「皆死ね……」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ





星魔法少女 の 分身 こうげき!



星魔法少女A 「魔物風情が」


星魔法少女B 「虫酸の走る……!」


ズバ バシュン


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女(右) 「……貴様らの未来は明るいか」

淫魔幼女(左) 「まるで興味はないが」


泥魔法少女 「……!」


岩魔法少女 「真っ二つになったまま、話している……!」


星魔法少女 「魔力を纏わせた杖の攻撃も、効果なしとは……」




淫魔幼女 「心折れるとき」

淫魔幼女 「未来はその量と同じだけの絶望となってのしかかってくる」

淫魔幼女 「未来量分の重みに沈め、魔法少女ども……」


キイイイ


火魔法少女 「……魔物が、光に包まれていく」


キュイン キュイン キュイン


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「ぬかるむ明日へ」

淫魔幼女 「トキメキチューーーーン!!」


ペカー


淫魔幼女 の 変身!
魔法少女の力 を 解き放った!


淫魔幼女 「…………」

淫魔法少女 「…………」


ゴ ゴ ゴ ゴ……


火魔法少女 「そんな……! 魔物が……」


岩魔法少女 「魔法少女に!?」


星魔法少女 「そうか。奴は第三の魔法少女ギルドの……!」


淫魔法少女 「……もう一度言おう」

淫魔法少女 「貴様らは、皆死ね……!」




…………



精霊の森 うろの休憩所



チカ チカ

ユラ ユラ


母性巫女 「……うっすらと、星」

母性巫女 「暗くて分からないけれど、もう夜になるんですね」


幼女魔王N 「美触手」

幼女魔王N 「……やっぱり、駄目みたい」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「事態が収束するまで、へたに動かずやり過ごすのが良いでしょうか」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「ごめんなさい。母性巫女ひとりなら、楽にやれるはずなのに……」


母性巫女 「もう、またそんなこと言って……」

母性巫女 「…………!」


幼女魔王N 「?」




幼女魔王N 「どうしたの?」


母性巫女 「いえ、ちょっと……」


幼女魔王N 「…………」


キュピン


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N (そうか、母性巫女のこの様子)

幼女魔王N 「トイレね!」


母性巫女 「違います」

母性巫女 「誰か来たみたいです……」


幼女魔王N 「ええっ!?」

幼女魔王N (……まったく、分からない)


母性巫女 「……移動しましょう」

母性巫女 「少し行けば、他の休憩所があるはずです」




幼女魔王N 「う、うん……」


ビィン


幼女魔王N 「はうんっ……!?」

幼女魔王N 「あ、足が痺れて、立てない……」


母性巫女 「ええっ」

母性巫女 「わ、分かりました。じゃあおんぶして行きますからね」


ダキ トス

ビィン


幼女魔王N 「はぅっ、ひゅぅうん……っ!」


母性巫女 「ご、ごめんなさい。もっとゆっくりしますね」


幼女魔王N 「い、いいの……!」

幼女魔王N 「もっと、きちゅくビリビリさせて……」


母性巫女 「は、はい?」




母性巫女 「……よし」

母性巫女 「音を立てないよう気をつけてくださいね」


幼女魔王N 「うん……」


母性巫女 「では、走ります……!」


ダダダ

ボヨン ボヨヨーン


??? 「む!」

??? 「なんだ、この音は!!」


母性巫女 「し、しまった……!」




幼女魔王N 「……見つかっちゃった?」


母性巫女 「……こうなったら全力で走ります」

母性巫女 「首がとれないように気をつけてください」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「……首?」


母性巫女 「せーの」


幼女魔王N 「ちょ……」


ダ……


??? 「母性巫女さま!」

??? 「もしや、近くにいらっしゃるのですか!」


母性巫女 「……!」


幼女魔王N (あれ、聞いたことのある声だ)




??? 「私です。騎士団の精霊戦士です!」


幼女魔王N (思い出した)

幼女魔王N (私がはじめて母性巫女のところに来たとき)

幼女魔王N (母性巫女と話していて……)

幼女魔王N (お尻丸出しで母性巫女の胸をしこたま揉んだ人だ)


母性巫女 「精霊戦士……」


ガササ ガサ


??? 「……よかった、あなたも動いてくれたのですか」

精霊戦士 「これで百人力……」

精霊戦士 「!?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (あ……前もけっこう丸出しなんだ)


精霊戦士 「……桃色髪の悪魔!!」




幼女魔王N 「え?」


精霊戦士 「何をしているのですか、母性巫女さま」

精霊戦士 「なぜそんな悪魔を背負っているのです!」


母性巫女 「こ、これは……」


精霊戦士 「その者が呼び出す魔物のせいで、森も我が騎士団も大変なことになっているのです!」

精霊戦士 「そんなもの、早く殺してください。魔物を呼ばれる前に!」


幼女魔王N (そうか……私のそっくりさんが出没しているんだった……)


母性巫女 「……だ」

母性巫女 「駄目ですよ、そんな。この子は違うんです……」


精霊戦士 「!?」

精霊戦士 「何てことだ!」





精霊戦士 「分かっているのですか。それは魔物なのですよ!」

精霊戦士 「あの魔王の軍勢と同じ!」


母性巫女 「……だ、だから」


精霊戦士 「奴らのせいで、我々がどれだけの恐怖と悲しみを味わったか」

精霊戦士 「まさか、さきの魔王戦争の英雄たるあなたが忘れてしまったのか!」


母性巫女 「それは……」


精霊戦士 「多くの子供たちが故郷や親を……命まで失ったのです」

精霊戦士 「我々の仲間たちも、多くの命を散らした!」


母性巫女 「そ、それは……それは、そう……ですけど……」


幼女魔王N (母性巫女、やっぱり押しに弱いわね)


母性巫女 「で、でも、この子は違うんです」

母性巫女 「悪い子じゃないんですよ。優しい子で……」


精霊戦士 「黙れ愚乳!」




母性巫女 「だって、子供ですよ」

母性巫女 「魔物にだって、家族があるんですよ……」


精霊戦士 「な……何を子供のようなことを言っているんだ、あなたは……」

精霊戦士 「だったら、魔物が家族のために人間の子供を殺して食らうのを」

精霊戦士 「あなたは黙って受け入れるというのですか!」

精霊戦士 「あなたは騎士団の誇りだけでなく、人間であることも捨てるのか!」


母性巫女 「でも、この子は違って……」


精霊戦士 「現に、その子供が魔物を呼んで我々に襲いかかっている!」


幼女魔王N 「あ、あの……」


精霊戦士 「!!」


幼女魔王N 「私、本当に……」


精霊戦士 「うるさい、悪魔!」


幼女魔王N 「ひっ……」


精霊戦士 「母性巫女さま。お願いですから、その背中の魔物を早く殺してください」

精霊戦士 「それとも、人間に危害を及ぼす魔物が育ちきるまで待つおつもりか!」


母性巫女 「……この子の言葉、ちゃんと聞いてください」


精霊戦士 「!」




母性巫女 「私が勇者隊の一員として魔王と戦ったとき、仲間に魔物使いだっていました」


精霊戦士 「……その悪魔がそうで無いことは、あなたが一番わかっているはずだ」

精霊戦士 「そしてあなたの言う魔物使いは結局、魔王の側だったではないか」

精霊戦士 「勇者隊が……あなたがたが打ち倒したのではないか!」


母性巫女 「…………ッ」


精霊戦士 「人間同士のはかりごと、裏切り、寝返り……」

精霊戦士 「さきの戦争で、若くして魔物だけでなく人間の闇をも多く見たあなたの」

精霊戦士 「心に負った傷がとれほど深く大きかったか、察せないわけではありません」

精霊戦士 「加えて魔王の呪いもある」

精霊戦士 「だからこそ、騎士団もあなたの現状を憂いながら、破格の扱いをしてきました」


幼女魔王N (母性巫女……)




精霊戦士 「ですが、そろそろ目をさましてください。この世は絵本のような優しい物語ではないのです」

精霊戦士 「我々が聖域の魔物を不可侵のものとしたのも、やむを得ない理由があってのこと」

精霊戦士 「新しくはさきの魔王戦争……歴史は、魔物が人間の敵であると語っている」

精霊戦士 「そして今、この森は魔物の襲撃を受けている」

精霊戦士 「そうでないのは、あなたが一場面を切り取って勝手に膨らませた、妄想の中だけだ」

精霊戦士 「現実から目をそらして逃げ込んだ、夢の中だけだ!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (まいったわね)

幼女魔王N (言い返そうにも、この人の言葉の半分も理解しきれない)

幼女魔王N (何より怖い)


精霊戦士 「母性巫女さま!」


母性巫女 「……もう、ちゃんと聞いてください」

母性巫女 「本当に違うんですよ、この子は」


精霊戦士 「……!」

精霊戦士 「自分の都合の良い夢が壊れることを恐れて引きこもった、わがままな子供が……!」





精霊戦士 「もうけっこう……」

精霊戦士 「あなたは妄想の中で、魔物の子供とままごとでもしていなさい」

精霊戦士 「その魔物は、私が殺します……!」


ヒュオオオ


幼女魔王N (風……?)


母性巫女 「……!」


ピュン


幼女魔王N 「…………?」


ドゴオン

メキメキメキ


幼女魔王N 「!?」

幼女魔王N (後ろの木が、いきなり大きくえぐられた)




母性巫女 「……いきなり何をするんですか」


ヒュン ヒュン


幼女魔王N (母性巫女の炎の紐……)


精霊戦士 「……魔物を守るとは。裏切るつもりですか」

精霊戦士 「あなたを育ててきた騎士団と、この森と」


母性巫女 「いいえ、そんなつもりはありません」

母性巫女 「この子を見逃してくれるなら……」


精霊戦士 「まだそんなことを」


母性巫女 「心のやわらかい、良い子なんですよ」

母性巫女 「……それに、魔物だって呼べないんです」

母性巫女 「きっと、他の者たちは他人の空似です」


精霊戦士 「次から次へと妄想を並べて……」

精霊戦士 「殺してみれば分かることです」

精霊戦士 「少しの犠牲はしかたのないこと」


母性巫女 「なんてことを……!」


精霊戦士 「それはこちらのセリフだ!」




精霊戦士 「未練がましくこの森に居座り」

精霊戦士 「へらへらと愛想を振りまいて、わけのわからない綺麗事ばかり吐き散らして……」

精霊戦士 「気持ちの悪いバカ女!」

精霊戦士 「我々がどれだけ気をつかってきたと思っている」

精霊戦士 「もはや戦士としても人としてもまるで役に立たない、呪われた過去の英雄に!」

精霊戦士 「……恐怖、憎悪……私がどれほどの感情を押し殺して」

精霊戦士 「魔王の残り香を宿すあなたに付き合ってきたか!」


母性巫女 「…………!」


精霊戦士 「なのにあなたはのほほんと日々を過ごし……自分勝手に町へ出て」

精霊戦士 「そしてこの期に及んで、また馬鹿みたいなことを言う!」

精霊戦士 「あなたなど、魔王に呪われたときに死んでおくべきだった」

精霊戦士 「そうでなければ、この森に戻ってくるべきではなかった!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「そ、そんなこと言っちゃ、駄目なんじゃないかな!」


精霊戦士 「…………」


ヒュン ドゴン

メキメキ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……やめてください」

母性巫女 「この子を怖がらせないでください」

母性巫女 「こんな幼い子供を」


精霊戦士 「だからそれは魔物だ! ああ気が変になりそうだ!」




母性巫女 「落ち着いてください」


精霊戦士 「これで最後だ。その子供をよこしなさい!」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「嫌です」

母性巫女 「どうしてもと言うのなら、私は全力で戦います……!」


ヒュン ヒュン


精霊戦士 「……! ……~~!!」

精霊戦士 「なぜですか、よりによって、どうしてそんな魔物を!」


母性巫女 「分かりません」


精霊戦士 「分から……そんな分からないことのために」

精霊戦士 「あなたが生まれ、これまでしがみついてきた場所さえ簡単に捨てるのか!」


母性巫女 「理由が分からないからといって」

母性巫女 「それは大事じゃない感情だって言うんですか……!」


精霊戦士 「それでは本能で動くだけの動物ではないか!」


母性巫女 「だったら私は動物でかまいません!」




母性巫女 「あなたの言うとおり」

母性巫女 「私は身も心も大人になりきれない、わがままな子供……」


精霊戦士 「身が子供だとは一言も言っていない!」


幼女魔王N (まだ成長する気なのかしら)


母性巫女 「外の世界は優しいものばかりじゃないこと」

母性巫女 「誰かを傷つけたり、誰かに傷つけられたりするかもしれないこと」

母性巫女 「私はそれに立ち向かうのが怖くて、逃げていました」

母性巫女 「呪いのせいにして……ひとりでいることを嘆きながら、どこかで安心していました」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「でも」

母性巫女 「この子のためなら怖くない」

母性巫女 「誰かを傷つけることも、誰かに傷つけられることも」


精霊戦士 「なんと恐ろしいことを……!」


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「私だって怖い」

母性巫女 「この子を守るためなら、きっと私は私でいることも捨てられる」

母性巫女 「けれど、この気持ちを嘘だと思いたくありません」

母性巫女 「私はこの子を守ります!」






精霊戦士 「……狂人め!」

精霊戦士 「やはり魔王の呪いは頭まで侵食していたか」

精霊戦士 「つまりは、その魔物に依存しているだけではないか!」



精霊戦士 の 風の槍 こうげき!



ヒュゴ


母性巫女 「……!」


ヒュン

ドゴオン メキメキ


精霊戦士 「……! 力は劣らずか。動かずに私の攻撃をしのぐとは」

精霊戦士 「忌々しい。精霊さまはどうしてこんな者に力を…!」


母性巫女 「見逃してください」

母性巫女 「でなければ、殺してでも押し通ります!」


精霊戦士 「ここで魔物を逃がすくらいなら死んだ方がマシだ……!」


幼女魔王N 「……ゴパッ」



幼女魔王N の 吐血 こうげき!
幼女魔王N に 200 ダメージ!



精霊戦士 「!!」


母性巫女 「ええっ……!?」




母性巫女 「N!?」


幼女魔王N 「だ、大丈夫だから……」

幼女魔王N (言えない。母性巫女の言葉を聞いて、嬉しさのあまり鼻血が出そうになって)

幼女魔王N (空気を読んで我慢していたら逆流して口から出ちゃったなんて……)


ポロ トサ


幼女魔王N 「あ、何か落ちた……」



すごい保健の本(実践編)



幼女魔王N 「おふっ……」




母性巫女 「あ、足がすべった……」


カコン ヒュルルル


幼女魔王N 「…………あ」

幼女魔王N 「あわわわわ……」

幼女魔王N (すごい保健の本が蹴っ飛ばされて……)


トサ


精霊戦士 「……! な、何だ」

精霊戦士 「本……?」

精霊戦士 「!!!」



すごい保健の本(実践編)



精霊戦士 「こ、これは……」


幼女魔王N 「?」

幼女魔王N (すごい保健の本を見た尻まるだしの人が)

幼女魔王N (うろたえている……)




精霊戦士 「ひ……」

精霊戦士 「ひえ~~~!」


ダダダダダ



精霊戦士 は 逃げ出した!



幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「え、逃げた!?」


母性巫女 「あ、あの本って、あの……」

母性巫女 「エッチ」

ボソ

母性巫女 「……な、本ですよね」

母性巫女 「Nの大好きな……」


幼女魔王N 「好きじゃないわよ!」

幼女魔王N 「でも大事なものだから、すぐとってくる」


ザッ

トトトト


母性巫女 「あ、危ないですよ、走っちゃ!」


タタタタ




幼女魔王N 「……ふう。こんな本で逃げ出すなんて」


すごい保健の本(実践編) を拾った!


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「N……」

母性巫女 「きゃっ!?」


幼女魔王N 「!!」


パタム


母性巫女 「い、今……その本……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「裸の男の人と女の人がチュ……」


幼女魔王N 「違う!」


母性巫女 「でも……」


幼女魔王N 「人んだから! 私んじゃないから!」


母性巫女 「それは聞きましたけど……」




幼女魔王N 「……で、でも、どうしてこんな本で」

幼女魔王N 「あのお尻の人はあんなに取り乱して逃げ出したのかしら」


母性巫女 「……じつは」

母性巫女 「私たち精霊の森の騎士団は女性ばかりで」

母性巫女 「男の人の裸を見ることに慣れていないんです」

母性巫女 「ほとんどの人が、どういうわけか男の人そのものを不浄のものとして極端に恐れ」

母性巫女 「遠ざけようとします」

母性巫女 「彼女もそうだったんでしょう……」


幼女魔王N 「そうなんだ」

幼女魔王N (詐欺商人に感謝しなきゃ。きっと、このことを見越していたんだわ)

幼女魔王N 「……母性巫女も、男の人の裸は駄目なの?」


母性巫女 「私は勇者隊でお世話になっていたころ」

母性巫女 「お風呂のときなんかに見てきましたから、そんなに恐ろしくはありません」

母性巫女 「今は、ちょっと恥ずかしいですけど……」


幼女魔王N 「ふうん」




母性巫女 「だ、だって、男の人は女の人の裸を見るとエッチな気分になるんですよ」

母性巫女 「そしてキャベツ畑に行くんです」

母性巫女 「それを知っちゃったら、なんだか見るのも触るのも恥ずかしくなって」


幼女魔王N 「触ってたの?」


母性巫女 「私の体とぜんぜん違ったので珍しくて……」


幼女魔王N 「……もしかして、お返しに触らせたりした?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「Nも、服が邪魔だな、脱ぎたいなって急に思っても、男の人の前で脱いではいけませんからね!」


幼女魔王N 「うん、大丈夫。脱ぎたいとか急に思わないから」

幼女魔王N 「私そんなにエッチじゃないから」


母性巫女 「ええっ?」


幼女魔王N 「私、ホント、そういうの普通だから。普通の女の子だから」

幼女魔王N 「母性巫女と違って、エッチな性癖とかまったくないから」


母性巫女 「わ、私、エッチなんですか?」

母性巫女 「だって、精霊さまと感じ合うには裸に近い方が……」


幼女魔王N 「うん。急に脱ぎたいとかなかなかのエッチ」


母性巫女 「そ、そんな……」


幼女魔王N 「あ……で、でも大丈夫」

幼女魔王N 「母性巫女がエッチでも、私、ぜんぜん大丈夫だから……」

幼女魔王N 「母性巫女のこと、だ、だだだい、だいすけ……大好き、にゃかにゃ……!」

幼女魔王N 「だから……!」


母性巫女 「……N」


幼女魔王N 「え、えへへ……」


母性巫女 「うふふ……」




…………



しもべ触手 が あらわれた!



母性巫女 「たあ!」


バシュ


しもべ触手 「ギャッ」


毒ガス触手 「グエッ」



精霊騎士団 が あらわれた!



幼女魔王N 「どりゃああ!」

幼女魔王N 「くらえ、すごい保健の本!」


バッ


戦士見習い 「きゃああ!?」


幼女魔王N 「おりゃあああ!」


バッ


中級戦士 「いやああ!」


初級戦士 「殿方の裸体だわ。お助けぇー!」


ダダダダダ


幼女魔王N (分かる……)

幼女魔王N (この戦いの嵐の中で、私は着実に強くなっている!)



精霊騎士団 は 逃げ出した!
幼女魔王N は 0 経験値を獲得した!



幼女魔王N 「あはははははは!」

幼女魔王N 「目指せ、レベル10!」

幼女魔王N 「あーっはははははは!」


母性巫女 「あ、川」


ボチャン



…………




…………


精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ


淫魔法少女 「…………」

淫魔法少女 「火と泥の魔法を重ねて練った地形変化の魔法」

淫魔法少女 「なかなかに厄介だったな」


グツ グツ……


火魔法少女 「も、もう、駄目。魔力がもちませんわ。こんなに早く尽きるなんて……」


泥魔法少女 「私たちの火の沼、維持できない。どうして……」


岩魔法少女 「いつもならこんなに早く魔力が尽きることは無いのに」

岩魔法少女 「それに、温存していたはずの私の魔力も……」


星魔法少女 「いっぽう、強力な魔法を連発していた敵の魔力に底が見えない」

星魔法少女 「どういうわけだ」


ハア ハア フウ ハア


淫魔法少女 「…………」




淫魔法少女 「おれは世界をいくつも渡り歩く商人だ」

淫魔法少女 「こういう珍しいものも手に入る」


蒸気杖


淫魔法少女 「……あの世界には世話になった」

淫魔法少女 「奴隷として出来損ないのハルピュイアの捨て場を探して、たまたま立ち寄っただけだったが」

淫魔法少女 「おれに必要なものが多く手に入った」


岩魔法少女 「あの、杖。あれが、私たちの魔力を……」


淫魔法少女 「さて」


シュウウウ


淫魔法少女 の 魔法詠唱
蒸気杖 が 泥魔法少女の魔力 を吸い取る! 


泥魔法少女 「……!」





淫魔法少女 「……では、いくぞ」

淫魔法少女 「自身の魔力で練られた魔法で死ね、魔法少女」


キイイィ


泥魔法少女 「……!」


星魔法少女 「させるものか」


タンッ 


淫魔法少女 「……向かってくるか」


星魔法少女 「他人の魔力を奪って魔法を練る杖」

星魔法少女 「魔法詠唱の長さは把握済みだ……!」

星魔法少女 「……!?」


ズボ ズボ


血涙人形A 「…………」


血涙人形B 「…………」


血涙人形C 「…………」


星魔法少女 「火の沼の中からだと……!」


岩魔法少女 「そんな、魔物が生きていられるはずは……!」


血涙人形たち 「……キキキ!」


淫魔法少女 「ひどいことを言う」


キイイ バシュ


淫魔法少女 の 魔法こうげき!
痛恨の一撃!


星魔法少女 「……ッッ!」





星魔法少女 「ッ……」


ドシャ

シュウウ シュウゥ


地形 が 元に戻った……



淫魔法少女 「火の沼が消えたな」

淫魔法少女 「残ったのは、変身を維持するのも難しい、魔力の底ついた魔法少女……」


泥魔法少女 「ハァッ……ハァッ……!」


火魔法少女 「……く、屈辱ですわ。魔物風情に……!」


岩魔法少女 「お、お姉さま……」


星魔法少女 「…………」


淫魔法少女 「直撃させた。しばらくは目を覚まさないだろう」

淫魔法少女 「さて……」


ザ ザ


血涙人形たち 「…………」


泥魔法少女 「囲まれた……」




血涙人形たち 「…………」


ジリ ジリ


岩魔法少女 「絶体絶命、ですか……」


火魔法少女 「……あらあら。本気ですの?」


泥魔法少女 「私たちは誇り高き、世界を駆ける魔法少女」

泥魔法少女 「最期まで、魔物を殺し続ける」


火魔法少女 「……ええ、そういうことですわ」


岩魔法少女 「…………」

岩魔法少女 「いけませんね。弱気になっていたようです」

岩魔法少女 「回復アイテムも尽き、魔法が使えないだけだというのに……!」




淫魔法少女 「……まだ立つか。やめておけ」

淫魔幼女 「そいつらは、今のお前たち程度でどうにかできる相手ではない」


血涙人形たち 「……キヒヒ」


泥魔法少女 「よけいなお世話……!」


火魔法少女 「ええ、ご心配なく。正義は必ず勝つのですわよ」


岩魔法少女 「変身をといたその余裕、後悔させてさしあげます!」


淫魔幼女 「……そうか、最期まで誇りを胸に戦うつもりか」


ゾル ゾル ゾル


淫魔幼女 「素晴らしい。感動した」

淫魔幼女 「貴様らはぜったいに殺してやらん」

淫魔幼女 「胎という胎、穴という穴が壊れるまで使い潰し」

淫魔幼女 「魔法少女として、生き物として、持てる尊厳のおよそすべてを奪い尽くし」

淫魔幼女 「惨めに血の涙を流し続ける肉塊にしてやろう……」


淫魔幼女 は 黒い外套 を外した
淫魔幼女 は 黒い棺桶 を装備した


血涙人形たち 「……キキキ」


ジリ ジリ ジリ


…………

……




…………


精霊の森 うろの休憩所(南)



パチ パチ


幼女魔王N 「へえっくしょん!!」

幼女魔王N 「ううー……ズビズビ……」


母性巫女 「まだ寒いですか?」


幼女魔王N 「う、うん、大丈夫。あったかい」

幼女魔王N (母性巫女の膝の上で、焚き火にあたっている)

幼女魔王N (こんなときなのに、すごく幸せ)

幼女魔王N 「というか、もういっそ死んでもいい……」


母性巫女 「死んじゃだめですからね」




チカ チカ

ユラユラ


幼女魔王N (天井? ……から吊り下がった明かり)

幼女魔王N (小さいのに強くて綺麗)


母性巫女 「……やっぱり、下着もかえた方が良いでしょうか」


幼女魔王N 「いま、かえの下着ないから……」


母性巫女 「大丈夫ですよ。持ってきています」


ウサギさんパンツ


幼女魔王N 「!?」


母性巫女 「町に行ったときに、他にもいくつか買っておいたんですよ」

母性巫女 「とりあえず、子どもに人気のものをいくつか」


ポサ


紐のパンツ
破れた葉っぱ
えっちなパンツ
夢魔のパンツ
媚薬パンツ
食い込むパンツ
シップ


幼女魔王N 「!?」




幼女魔王N 「なにこれ!?」


母性巫女 「下着ですよ」


幼女魔王N 「なんで持ってきてんの!?」


母性巫女 「うふふ。他にもいろいろ持ってきていますよ」


よい子の歯磨きセット
ウサギさんハンカチ
美味しいおしゃぶり
こどもタイツ(白)
妖精のリボン
スヤスヤまくら
………


幼女魔王N 「何かいっぱい出てきた!」

幼女魔王N 「これだけあって、なぜ絵本は忘れたのか……」

幼女魔王N 「あっ、これは……」


哺乳瓶


幼女魔王N 「……入ってる」

幼女魔王N 「……ゴクリ」




幼女魔王N (……だ、だめよ。私はクールなビューティー)

幼女魔王N (哺乳瓶で摂食するなんて、赤ちゃんみたいな真似できるわけ)

幼女魔王N 「ゴクゴクゴクゴクッ……!」


母性巫女 「ああっ、それ一気飲みしちゃ……!」


幼女魔王N 「ゴクゴク……」

幼女魔王N 「ッッッ!!」

幼女魔王N 「~~~!?!?!?」

幼女魔王N (辛い!? ……辛い辛い辛い辛い!?)

幼女魔王N (よく見たらなんか中味真っ赤だし!)

幼女魔王N 「ごふぇっ……ごっ……ぉお゛ッッふぇ……ええ゛!!」


母性巫女 「オエーッてしてください、オエーッ!」


幼女魔王N 「ぉ、ぉえ、おえぇ……びぐ……ぇ、うぶぅうう゛!」

幼女魔王N 「……ら、だひぇ。ぶぇ……おに゛ゃか、ビクビク震え゛ひぇ、出な゛い゛……!!」

幼女魔王N (どうして。どうしてこんな目にばっかりあうのよ……)

幼女魔王N 「う……グズ……うぅううう゛……ヒグッ、ヒック……ぉえっ!」




母性巫女 「ほら、これで口をすすいで……」


哺乳瓶B


幼女魔王N 「ぅぅう……ゴキュ」

幼女魔王N 「チュウチュウチュウ……ゴクゴクゴクゴク」

幼女魔王N (辛い辛い辛……あ、これおいしい)

幼女魔王N (ほんのり甘くて、コクがあって、喉ごしなめらか。辛さがひいていく……)


母性巫女 「あ、そっちの瓶は……」


幼女魔王N 「チュパ、チュパ……チュウ、チュウ」

幼女魔王N 「コクコクコクコク……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「ま、いいか」


幼女魔王N 「チュウチュウチュウチュウ……」




幼女魔王N 「……ぷへぁ」


チュポン


母性巫女 「一生懸命吸っちゃって……」

母性巫女 「おさまりましたか?」


幼女魔王N 「ばぶぅ……あ、うん」

幼女魔王N 「このミルクおいしいね。はじめて飲んだ」

幼女魔王N 「母性巫女が持ってきたミルク」

幼女魔王N 「母性巫女のミルク」


母性巫女 「そ、そうですか」

母性巫女 「いつものカピバラのミルクと同じようなものですよ」


幼女魔王N 「ふうん……」


チカ チカ

ユラユラ


幼女魔王N 「……人と遭遇しなくなったわね」

幼女魔王N 「私のそっくりさんも出なくなって、触手ばかり」


母性巫女 「そうですね……」




パチ パチ


母性巫女 「……焼けたみたいですね」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「焚き火で焼くと、こんなに良いにおいが出るんだ……」


母性巫女 「どれどれ。モグモグ……」

母性巫女 「うん、プリプリしておいしい。吸盤がついているから不安だったけれど、大丈夫みたいです」

母性巫女 「はい、どうぞ」


何かの串焼き


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「……あ、本当だ、おいしい……」


母性巫女 「これで、食べ物は心配いりませんね」


幼女魔王N 「うん。……触手って、食べるとおいしいのね」


アハハ ウフフ


イカ触手の死体 「…………」


タコ触手の死体 「…………」


触手の胃袋からこぼれた精霊戦士の死体の頭部 「…………」


パチ パチ





…………


精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ

ズル ズル グチュ


岩魔法少女 「……う、ううん……」


星魔法少女 「岩」


火魔法少女 「起きましたわね」


岩魔法少女 「火。ここは、いったい……」

岩魔法少女 「それに、これは……!」


磔触手C 「グジュルグジュル」


グネグネ グチュ グチュ


岩魔法少女 「くぅ……なんておぞましい……!」


泥魔法少女 「動くと余計に体力を奪われる。きっと魔力も」

泥魔法少女 「手足を埋め込まれているだけなのに、力が入らない」


火魔法少女 「屈辱ですわ。上級魔法少女たるこの私が……」





星魔法少女 「気をつけろ。魔法を練ろうとすると……」


磔触手A 「グニュル」


星魔法少女 「うしろの魔物に魔力を吸い取られる」


岩魔法少女 「そ、そんな……」


磔触手C 「グギュルグギュル」


岩魔法少女 「くっ……」


火魔法少女 「あまり見ない方が良いですわよ。遅かったみたいだけれど」

火魔法少女 「ほんと、醜悪な生き物の内臓のよう……」


モワ モワ

モヤ モヤ


岩魔法少女 「霧が濃くなって……」


火魔法少女 「甘ったるくて、嫌なにおいですわね」


泥魔法少女 「きっとここが、森にただよっている霧の発生源……」


??? 「その通り」


魔法少女たち 「……!!」




ザ ザ ザ


??? 「……良かったわ、あなたたちが来てくれて」

真幼女魔王 「これで、目標が達成できそう」


岩魔法少女 「……魔物をあやつっていた子供」


火魔法少女 「これまでとはずいぶん雰囲気が違いますわね」

火魔法少女 「あの黒髪の子供はいないのかしら」


星魔法少女 「いや……」


ズズズズ


淫魔幼女 「…………」


岩魔法少女 「闇から染み出すように……」


星魔法少女 「やはり、いたか」





真幼女魔王 「ここまで来たこれまでの娘たちは、みんな期待はずれだったけれど」

真幼女魔王 「今回は大丈夫そう」

真幼女魔王 「わざわざ捕まえてきてくれてありがとう、棺持ちさん」


淫魔幼女 「……ありがたきお言葉」

淫魔幼女 「ですが、こいつらは汚くしぶとい」

淫魔幼女 「けっして油断なさらぬよう」


真幼女魔王 「ええ、そのつもりよ」

真幼女魔王 「他の娘たちならとうに理性が蕩けている量の」

真幼女魔王 「この子の霧に耐えているんですものね」


毛玉触手 『うふふふふ……うふふふふ』


バフ モワ

モヤモヤモヤ





泥魔法少女 「あの毛むくじゃらで趣味の悪いクラゲみたいな形の魔物」

泥魔法少女 「霧の発生源。そんなに強力には見えないのに……」


岩魔法少女 「いくつかの触手が地に刺さっています」

岩魔法少女 「どこまで伸びているのか……。あれで霧を森全体に送っているのでしょうか」

岩魔法少女 「しかし、止めようにも、私たちがこの状態では……」


火魔法少女 「本当に屈辱。舌を噛み切ってしまいたいくらいですわ……」


淫魔幼女 「この程度でか。軟弱な雌が」


火魔法少女 「……口に気をつけなさい魔物。あとで死ぬときに後悔しますわよ」


真幼女魔王 「あら、怖い」


淫魔幼女 「…………」


ポイ

ドサ ドサ


鋏魔法少女の死体 「…………」


火魔法少女 「…………!」


淫魔幼女 「ゴミが。楽に死ねると思うなよゴミが。クソゴミが」

淫魔幼女 「食い散らかされたクソのゴミのように転がるこのバラバラのガキが羨ましいと」

淫魔幼女 「心の底から思えるようになるほどの惨めな目に合わせてやる」




火魔法少女 「……所詮は魔物。やはり、品性のかけらもありませんわね」


泥魔法少女 「好都合。私たちを長く生かすほど、あなたたちが死ぬ確率は高くなる」


淫魔幼女 「そうやって強気でいた魔法少女が舌と涎を垂らして許しを請うようになる様を」

淫魔幼女 「おれは何度も見てきた」


真幼女魔王 「……待って、棺持ちさん」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「そんなこと言っちゃ駄目よ」

真幼女魔王 「敵同士だけど、あの子たちも私と同じ女の子」

真幼女魔王 「そんな風に悪くあつかっちゃ可哀想だわ」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「ちゃんと気持ちよくなってもらわなくちゃ」

真幼女魔王 「これからずっと、私のお城で触手を産み続けてもらうんだから」




岩魔法少女 「なっ……」


真幼女魔王 「うふふ、どんな子を産んでくれるのかしら」


淫魔幼女 「一応、魔王を討伐出来る程度の力はそなえています」

淫魔幼女 「強さも、大きさも、それなりのものを産めるでしょう」


真幼女魔王 「そう。それじゃあ、大事にしなくちゃね」

真幼女魔王 「防腐処理もちゃんとして、永遠につかえる触手の苗床になってもらわなきゃ」

真幼女魔王 「棺持ちさん」


淫魔幼女 「はい」


ポイ ポポイ

ドサ ドサ


精霊戦士の死体
動物の死体
キノコの死体




岩魔法少女 「種族問わず、あれほどの数の死体を……」


泥魔法少女 「何をするつもり……」


ドサ ドサ


淫魔幼女 「……以上です」


真幼女魔王 「ありがとう」

真幼女魔王 「ちょうど良かったわ。森の私たちは全滅したみたいだし」

真幼女魔王 「では、はじめましょうか」

真幼女魔王 「…………」


バキ ボキ ブヂンッ


真幼女魔王 は 真幼女魔王の首を捩じ切った!


ブシュ バシャ バシャ




泥魔法少女 「……自分で自分の首を」


岩魔法少女 「気が狂ったのでしょうか」


星魔法少女 「違う」

星魔法少女 「……化け物め」

星魔法少女 「あの黒外套の幼女など可愛いものだ」


岩魔法少女 「お姉さま……?」


星魔法少女 「あの桃髪の幼女に流れる血」

星魔法少女 「一滴が、万の禁呪に匹敵すると思え」


真幼女魔王の頭 「さあ、たっぷり浴びなさい、私たち」

真幼女魔王 「…………」


死体たち 「…………」


ダバダバダバ ブシュ

ゴボボボ




死体たち 「…………」


ゴキ ゴキ

グニュニュニュ


岩魔法少女 「死体の形が変わっていく……」


グネ グネ グネ グネ


死体たち 「…………」


グネ グネ グネ


死体たち 「……………」

幼女魔王たち 「…………」

幼女魔王たち 「うーん、ムニャムニャ」


ムクリ ムクリ


真幼女魔王 「おひさしぶり、私たち。はじめるわよ」


幼女魔王 「おひさしぶり、私。わかったわ」


幼女魔王A~M が現れた!
幼女魔王O~Z が現れた!


ズズズズ


しもべ触手A~M が現れた!
しもべ触手O~Z が現れた!




真幼女魔王 「念のため、まずはそこの魔法少女たちの全身に媚薬を染みこませましょう」

真幼女魔王 「薄めずに、それぞれ違う成分のやつ」


幼女魔王A 「はあい」


幼女魔王B 「いけ、しもべ触手」


しもべ触手たち 「グニュルグニュル」


ウネ ウネ

ニュルルル


岩魔法少女 「来ます……」


火魔法少女 「気をしっかり。奴らが何をしてこようと無駄ですわ」


磔触手A~D 「グブ……グブ……」


ズブ ズブ ズブ


星魔法少女 「手足がさらに飲み込まれていく」

星魔法少女 「……駄目か。あいかわらず力が入らない」


泥魔法少女 「ふ、太もも……気持ち悪……」


ズブ ズブブ


しもべ触手たち 「ニュルニュルニュル」


サワ 


泥魔法少女 「……ッ」


ニュルルルル


火魔法少女 「く、ふっ……な、何ですの」

火魔法少女 「こんな触り方……」


岩魔法少女 「……ふ、服の隙間からも」

岩魔法少女 「この、や、やめさない!」


ヌリュ ズルルル

サワサワサワ





幼女魔王C 「この人たち薄着だけど、ピッタリした服のせいか触手が入りにくいわね」


幼女魔王D 「本当ね」


幼女魔王E 「ねえ、見てこの人」


岩魔法少女 「…………!」


幼女魔王E 「おっぱいが大きいから、谷間からいれやすいわ」


幼女魔王F 「あら本当? 私もやらせて」


幼女魔王たち 「私も私も」


しもべ触手たち 「ニュロロロ」


ズニュルル ズニュズニュ


岩魔法少女 「……!」


ヌロロロロ ヌロン ヌロン

グニュニュ プルルルル


岩魔法少女 「や、やめ……入ってきては……」

岩魔法少女 「そんな乱暴に…………ひゃうんっ!?」


ヌロンッ ヌロンッ ヌロンッ 

クリュ クニ クリュリュ


星魔法少女 「岩……っ」


火魔法少女 「何て声を出していますの!」


岩魔法少女 「ご、ごめんなさ……くふぅぅ!」

岩魔法少女 「で、でも……ッ、これ、気持ち悪い触手の腹が胸の……ッッ」

岩魔法少女 「先っぽ……ぉ、擦……んヒッ!?」


カクン


触手たち 「ヌロロロ」


ヌロロロロロ

クリュリュリュリュリュ


岩魔法少女 「駄目、だめっ……!」

岩魔法少女 「速く擦っては駄目ぇええ……!!!」





火魔法少女 「しっかりなさい、岩! この程度……」


ビクン ビク ビクッ


岩魔法少女 「あひゅ、熱い……!」

岩魔法少女 「どうして、私の体、どうなっひぇ……」

岩魔法少女 「はッッ、はへ、はへへえええ……ッッ!」


幼女魔王G 「結界も触手たちの媚薬も、良い感じにきいているみたいね」


幼女魔王H 「先っぽが弱いみたいだから、たっぷり塗ってあげましょう」


しもべ触手 「ジュルルル」


ビチュ ニュルン ニュルルルッ


岩魔法少女 「くひゅううううう!?」

岩魔法少女 「りゃ、らひぇ、魔物にゃんかに、わらひッッ、負けにゃひィ……ッッ」


ゴシュ


岩魔法少女 「ッッ!!?」

岩魔法少女 「……ぉ……ッほぉ、お……っっ」


ブラシ触手 「ジュルル」


ゴシュゴシュ グシュシュシシュ

ニ゛ュニ゛ュニ゛ュニ゛ュニ゛ュ


岩魔法少女 「はぉおおぉおぉおおおッッッ!?」

岩魔法少女 「ほへぉッッぉおおッ、ぉおぉッッ! ぉ、ぉ、ぉ、お゛ッッ!!」


火魔法少女 「岩……!」


岩魔法少女 「何これ、なにこれええええ!?」

岩魔法少女 「来るッッ、お腹ッ、熱いのが来るぅうううッッ!」

岩魔法少女 「いや、いやあああああ!!」


ニュロロロロロ

ビクン ガクガクガクガク




岩魔法少女 「おおおおおッッ!! ぉ……んぉ……ぉへ……」


ビグン ガク ビクビク

ビクン ピクン


幼女魔王J 「イッたわね」


幼女魔王K 「胸だけで見事にアクメったわね」

幼女魔王K 「魔物にエッチなことされて、蕩け顔であっけなくイって」

幼女魔王K 「変態ね」


岩魔法少女 「ちッ……ハヒュッ……わらひ、違……」


幼女魔王L 「絶頂後で全身敏感になっているわ。この状態で続けたら壊れるかも」

幼女魔王L 「続けましょう」


ブラシ触手たち 「ジュルル」


ニュルルルル


岩魔法少女 「ふひいいいいい!?」

岩魔法少女 「嘘、まひゃ、もうまひゃぁあぁあ!!?」

岩魔法少女 「ぉぉぉおおおおお……ッッッ……ッッ!!!」


ニュロロロロロ 


幼女魔王M 「一回イッたら抜け出せないわ。終わりね、あの人」


幼女魔王O 「触手、休まないものね。あの人これからずっとイキまくりよ」

幼女魔王O 「面白い」


幼女魔王P 「ねえ、こっちのちっこい人も、面白いわ」


泥魔法少女 「…………!」





しもべ触手たち 「フシュルル」


サスサス

コシュ コシュ


泥魔法少女 「………ッ。ッッ……ッ」


幼女魔王W 「ちっこいくせに、先っぽがすごく敏感」


幼女魔王X 「服の上からでも結構きいてる」

幼女魔王X 「というか、服の上から擦られるのが好きみたい」


幼女魔王Y 「あと……」


平触手 「ピキィ」


ペシ ピシ ペシ


泥魔法少女 「……ッッ!! ふっ……ぅぅ……!!」


ゾクゾクゾク ブルル

ガクン ガク ガク


幼女魔王Z 「イッたわね。声を殺して」


幼女魔王K 「お尻を軽く叩かれて見事にアクメッたわね」


幼女魔王Y 「あのおっぱいの人より前から、イッてたのよ、この人」

幼女魔王Y 「冷静ぶって、一番の変態だわ」

幼女魔王Y 「しかも敵におしおきされて悦ぶドM」


幼女魔王X 「ドMは良いことよ」


幼女魔王W 「そうよ。ドMは正義よ」


幼女魔王Y 「その通りね」




星魔法少女 「岩、泥……」

星魔法少女 「ぐっ、う……!」


ギュウウ


首吊り触手 「ギチチチ」


火魔法少女 「おやめなさい! 汚い手でお姉さまを……」


幼女魔王H 「なんかこいつ……この人の話し方、むかつくわ」

幼女魔王H 「葉巻を吸いたくなるわ」


幼女魔王A 「何を言っているの」


幼女魔王M 「むかつくのは事実よ」


幼女魔王A 「そうね」


幼女魔王K 「話し方が良くないのよ」


幼女魔王I 「じゃあ話せなくしましょう」


耳かき触手 「チュルルル」


ヒュン ヒュン

ズプ


火魔法少女 「きぅっ……!?」


幼女魔王H 「あはは、良い気味。鼻と耳に突っ込まれて間抜けな顔」




火魔法少女 「ふがっ……ひゃ、やめなひゃ……」


耳かき触手 「グプププ」


ブチュ


火魔法少女 「きゃうっ!?」


ヂュルルルルルルル


火魔法少女 「な……何!? 何をらひているんですの!?」

火魔法少女 「やへなひゃい、魔物! わたくひの中に汚いものを出ひゃないれ!」

火魔法少女 「ひ、ひひゃ……!? は……あ゛……?」


幼女魔王M 「きくのかしら、馬鹿になる液」


幼女魔王K 「大丈夫よ、鼻と耳からいっぱい注入しているもの」

幼女魔王K 「脳みそダプダプで、すぐに馬鹿になるわ」


チュウウウ チョロロロロ

ドク ドク タプ タプ


火魔法少女 「……だ」

火魔法少女 「だめ゛……ッッッッ!!

火魔法少女 「やべで、これ゛ッ……!! 絶対、だめ゛ええええ゛え゛!?」


幼女魔王I 「きいてるきいてる」


幼女魔王K 「もっと勢いを強くして、媚薬もたっぷり混ぜましょう」


耳かき触手 「ヌプヌプ」


ビュ ビュビュ

ビューッ ビューッ


火魔法少女 「ふぎゅぉおおぉおぉおぉ゛お゛!?」

火魔法少女 「あ゛ーッ!!」

火魔法少女 「あ゛ーーーーーーーッッッッ!!」


ガクン ガクン

ビクッ ビクッ ビクッ





しもべ触手たち 「グヌンプグヌンプ」


グジュルル

ニ゛ュルルル ピシ ペシ

ビュルルルル


岩魔法少女 「ほぎゅっ……いっぎゅ、ひにゅ、きゅふううう……ほぉおおお゛お゛!」


泥魔法少女 「ひっ、ふぐぅ゛……ぁふ……ぁ……だ、め…また、ぁ……!」


火魔法少女 「えべっ……わだじ、脳みしょ……も゛っぎゅ、やべで……えべえぇえ゛!」


星魔法少女 「…………! ッ!」


プシ

プシャ チョロロ

ビクン ビクン


真幼女魔王 「……思ったより早く、触手との交尾を受け入れてもらえそうね」


淫魔幼女 「……結界はあと数日はもちます」


真幼女魔王 「それだけあったら、お城に帰る前にすっかり苗床にできそうね」

真幼女魔王 「私たち、さっそく種付けをはじめさせて」


幼女魔王A~M 「はあい」

幼女魔王O~Z 「いけ、しもべ触手」


しもべ触手たち 「ドルドルドルドル……」


グジュルルル

ウゾウゾウゾ


毛玉触手 『うふふふふ……うふふふふ』


バフ モワ

モヤモヤモヤ




…………


精霊の森 うろの休憩所(南)



ザ ガサ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (このあたりを調べてみたけど、やっぱり、森から出る手段は見つからなかった)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (母性巫女、何だかボーッとしてる)

幼女魔王N 「母性巫女?」


母性巫女 「……え」

母性巫女 「ええ」


幼女魔王N 「大丈夫?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「……霧が、濃くなってきましたね」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N (もう前がぜんぜん見えなかった。木の根で何回もこけたし)

幼女魔王N (まあ……)

幼女魔王N (よくこけるのは、いつもどおりだけど)




母性巫女 「もう休みましょうか」


ポヨン


幼女魔王N 「うん……昼か夜かも分からないけど……」


母性巫女 「霧が薄くなったら……森から出る方法、探してみましょう」


ユッサ プルル


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N (母性巫女、やっぱり様子が変)

幼女魔王N (なんだかツヤっとしてる。息も湿っているような)


母性巫女 「少し冷えますし、くっついて寝ますか?」


幼女魔王N 「う、うん……」


ギュ


幼女魔王N (……母性巫女のにおい)

幼女魔王N (いつもどおりだわ。すごく安心して眠れる)

幼女魔王N 「えへへ」

幼女魔王N 「おやすみなさい」


母性巫女 「おやすみなさい」


ナデ ナデ


幼女魔王N (……大丈夫よね)

幼女魔王N (母性巫女だもん。私が不安だから、ちょっと変に見えているだjけよ)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「クカー」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ ナデ


…………




…………



X時間後 

精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ 

グニュルル  グチュ……


螺旋触手(太) 「ドリュドリュ」


ヌ゛ッヂュ ヌ゛ッヂュ ヌ゛ッヂュ


岩魔法少女 「ふひいぃぃいいい!?」

岩魔法少女 「ひぐッッ、まひゃイギにゃがやイッッ……」

岩魔法少女 「ぉほッッッ、ほぉおお゛ッ! んほぉおおお゛!」


ブシャ バシャ バシャ


磔触手C 「グニュニュ」


螺旋触手(太)B 「ギュルル」


ヌ゛ポポポ グヂュヂュヂュヂュ


岩魔法少女 「はひゃへえぇええ!? おっほッッ、ほぉおお゛ぉおおお゛ッッ!!」

岩魔法少女 「イッてる゛のに゛ぃ! ひぃい゛い!! にひぃいいいいい!!」


ガクガクガクガク

ガクンッ ビククク


岩魔法少女 「もうやめ゛で! 許してッ! 触手交尾とめてええぇええ゛」

岩魔法少女 「イクッ! イクイクイクイクイクイ゛グ! い゛ぐッッ! ぐぅうう……」

岩魔法少女 「ぉおおお゛ッッ、お゛ッッ……ぉおおッッ……んおぉおおお゛!!!!」

岩魔法少女 「もういや゛あああ゛! トぶ! わだじのあだま、アクメ逝クぅううううう!」


星魔法少女 「ぃ……わ……ッッ」


グジュルル ニュジュル


真幼女魔王 「残念だわ。嫌なのね、触手」





真幼女魔王 「あなたなら一番先に喜んで苗床になってくれると思ったのに」

真幼女魔王 「魔力も、赤ん坊のミルクもたっぷり絞れそうだし」


岩魔法少女 「ぃや゛ッッ……いグ……そんな゛の゛、いやああああ゛あ゛!」


真幼女魔王 「そう言わずに」

真幼女魔王 「どうかしら。苗床になってくれたら、私が責任をもって」

真幼女魔王 「もっと気持ちの良くなる媚薬が充満した肉牢の触手壁に埋め込んで」

真幼女魔王 「もっとすごい触手責めで休みなく、もっとすごく気持ちよくしてあげるわ」

真幼女魔王 「魔法少女も人間もやめて、何も考えずに子宮をほじくられてブヒブヒイっていれば良いのよ」


岩魔法少女 「んぃッッ……ぎひいぃいぃ……!」

岩魔法少女 「わっ、私はっ、正義の……はヒッ……魔法少……」


螺旋触手たち 「ズリュリュ」


ズロロロ グリュリュリュ

グプグプグプグプ


岩魔法少女 「ふぎッひいぃぃいい!?」

岩魔法少女 「ひぐぃっ! んぎぎぎいぃぃいいぃい゛!」              

岩魔法少女 「イッ……」

岩魔法少女 「ッッッ!! ッッ! ~~~~~ッッ!!!!」


ビク ビクン

ズロロロロ グリュリュリュリュ


真幼女魔王 「鼻水までたらして泣いて、本当に嫌なのね」

真幼女魔王 「じゃあ良いわ。使い捨ての苗床として」

真幼女魔王 「強いしもべの相手をさせて、早く潰してしまいましょう」





真幼女魔王 「そっちはどうかしら、棺持ちさん」


淫魔幼女 「問題なく……」


グニュルル ニチュ ニチュ


泥魔法少女 「……ッ……ッ」


淫魔幼女 「……また気をやったか」


泥魔法少女 「……ッ」


淫魔幼女 「妹の仇を目の前にして、呑気なことだ」


泥魔法少女 「!!」

泥魔法少女 「くふっ……ぅうう……!」

泥魔法少女 「波……!」


淫魔幼女 「…………」


泥魔法少女 「負けない……魔物なんか……!」


電気触手 「バリバリ」


スルル ニョロニョロ


泥魔法少女 「!!」

泥魔法少女 「ひっ……」




淫魔幼女 「やれ」


幼女魔王I 「はあい」

幼女魔王I 「いけ、しもべ触手」


電気触手 「バリバリ」


ユラ ユラ


泥魔法少女 「や、やめ……それ……」


淫魔幼女 「負けないのだろ」


ピト


泥魔法少女 「ひっ……!!」

泥魔法少女 「……い、いや。やめて、そこ……胸……」

泥魔法少女 「やめてやめてやめてやめて……!」


電気触手 「…………」


パリ


泥魔法少女 「ひぎっ……!」


ビリビリ バリバリ


泥魔法少女 「!!! ッッ!!」

泥魔法少女 「ッ! ッ! ッ! ッ!」


ガクン ビク ビクン

ガクガクガクガク




バリバリ ビリビリ


泥魔法少女 「ッッ!! ッッ!」


幼女魔王I 「おー、イッてるイッてる。さすがドМ」

幼女魔王I 「はい、休け……」


淫魔幼女 「休ませるな」


幼女魔王I 「これ以上ビリビリし続けたら死んじゃうわ」


淫魔幼女 「かまわない」


幼女魔王J 「死なせたら駄目よ。貴重な苗床が減っちゃうわ」


淫魔幼女 「…………」


ザシュ ズパ


幼女魔王J 「ぎゃっ」


ゴト ゴロゴロ


幼女魔王Jの頭 「…………」


幼女魔王I 「ひっ……」


淫魔幼女 「……やれ」

淫魔幼女 「この程度で死ぬ苗床なんて無い方がマシだ」


幼女魔王I 「はあい」


バリバリバリ ビリビリ


泥魔法少女 「!!!! ッッ! ぁ゛ッ!」

泥魔法少女 「ぁぁ゛ぁ゛ぁ……ッッ! ッッッ!!」


ガク ブシュ ブシャ

バリバリ ビリビリ




■星魔法少女隊
http://i.imgur.com/NA0QI5S.jpg

星魔法少女/Lv.7200
火魔法少女/Lv.4250
岩魔法少女/Lv.3920
泥魔法少女/Lv.2950
波魔法少女/Lv.1970

画像はイメージです
実際の星魔法少女隊はもっとファンタジーです



真幼女魔王 「あ、また私を殺したのね」


淫魔幼女 「申し訳ありません」


真幼女魔王 「良いわ」

真幼女魔王 「そこに転がっているバラバラのそれ」


鋏魔法少女のバラバラ死体


真幼女魔王 「代わりにしましょう」


淫魔幼女 「はい」


真幼女魔王 「でも、ちょっと試してみたいことがあるの」


淫魔幼女 「……?」




真幼女魔王 「そのバラバラのそれ」

真幼女魔王 「魔法少女の胎内で私の血をあげたら」

真幼女魔王 「魔法少女の魔力で、すごく強い私になるんじゃないかしら」


淫魔幼女 「……かもしれません」


真幼女魔王 「ではやってみるわ」

真幼女魔王 「そうね……」


グチュグチュ ズポ ヌポ

ビリリリ バリバリ ズピュ ズピュ


岩魔法少女 「おっごおぉぉお! 子宮゛まひゃいッぎゅっ、ひゅんごぉおお゛ほぉおおお!」

岩魔法少女 「孕む! これ絶対孕むぅうううう!」


泥魔法少女 「ぁぁ゛ぁぁあ゛ああ゛ッッ、も゛、も゛ッッ、ぎぼぢいい電気やべでぇえ゛ッえ゛ッえ゛ッ」

泥魔法少女 「ごめんなさい゛ごめ゛んなさい゛ごめ゛……くっひゅぃぃいいいい!?」


火魔法少女 「ひに゛ゅッ、フビッ、びひひひひッ、イヒッ、いひひいひい゛い゛いひひひひ」

火魔法少女 「だずけでッッ、わだくぢのにょうみひょはひゅッ、はひゅへべええ!!」

火魔法少女 「脳みしょッッ、触手でびぢゃびぢゃにさひぇえ殺ざれ……!」


ドピュンッ ズピュピュ

ドク ドク ドク ドク


火魔法少女 「あはひッッ、はひゅっ、はひゅっっ、イッッひぃぃぃいぃいいいひひひ……!」

火魔法少女 「ひーーーーーッッ! ふひッ! ふひひッッ! いッッッひぃいいいいい゛い゛ーーー……ッ!!」


ブチュ ビチャ ビシャビシャ


真魔法少女 「……ほとんど魔法少女として終わっちゃってるわね」

真魔法少女 「でも……」


星魔法少女 「……ッ……ッ」


真魔法少女 「この子はまだ大丈夫そう」


>>594
※訂正ごめんなさい


真幼女魔王 「そのバラバラのそれ」

真幼女魔王 「魔法少女の胎内で私の血をあげたら」

真幼女魔王 「魔法少女の魔力で、すごく強い私になるんじゃないかしら」


淫魔幼女 「……かもしれません」


真幼女魔王 「ではやってみるわ」

真幼女魔王 「そうね……」


グチュグチュ ズポ ヌポ

ビリリリ バリバリ ズピュ ズピュ


岩魔法少女 「おっごおぉぉお! 子宮゛まひゃいッぎゅっ、ひゅんごぉおお゛ほぉおおお!」

岩魔法少女 「孕む! これ絶対孕むぅうううう!」


泥魔法少女 「ぁぁ゛ぁぁあ゛ああ゛ッッ、も゛、も゛ッッ、ぎぼぢいい電気やべでぇえ゛ッえ゛ッえ゛ッ」

泥魔法少女 「ごめんなさい゛ごめ゛んなさい゛ごめ゛……くっひゅぃぃいいいい!?」


火魔法少女 「ひに゛ゅッ、フビッ、びひひひひッ、イヒッ、いひひいひい゛い゛いひひひひ」

火魔法少女 「だずけでッッ、わだくぢのにょうみひょはひゅッ、はひゅへべええ!!」

火魔法少女 「脳みしょッッ、触手でびぢゃびぢゃにさひぇえ殺ざれ……!」


ドピュンッ ズピュピュ

ドク ドク ドク ドク


火魔法少女 「あはひッッ、はひゅっ、はひゅっっ、イッッひぃぃぃいぃいいいひひひ……!」

火魔法少女 「ひーーーーーッッ! ふひッ! ふひひッッ! いッッッひぃいいいいい゛い゛ーーー……ッ!!」


ブチュ ビチャ ビシャビシャ


真幼女魔王 「……ほとんど魔法少女として終わっちゃってるわね」

真幼女魔王 「でも……」


星魔法少女 「……ッ……ッ」


真幼女魔王 「この子はまだ大丈夫そう」




星魔法少女 「…………」


真幼女魔王 「私の腕程度の太さを十本近く突っ込まれて」

真幼女魔王 「お腹ボッコボコのグニャグニャにされているのに、声ひとつ上げずによく耐えるわね」

真幼女魔王 「あなたが不甲斐ないせいで、部下がみんなあんな風になっちゃったんだもの。まあ言葉もないわよね」


星魔法少女 「…………ッ」


真幼女魔王 「出てきて、しもべ触手」


ズズズズ


袋触手A 「ダプンダプン」


真幼女魔王 「これ食べて」


鋏魔法少女のバラバラ死体


袋触手A 「ムシャ、ムシャ……」


真幼女魔王 「よく噛んでね」


バクバク パキ ポキ グチャグチャ ゴリゴリ


袋触手A 「……ゲフ」


真幼女魔王 「よくできました。じゃあ、いま食べたものを」

真幼女魔王 「あの子の胎内で全部吐き出して」


袋触手A 「…………」


ズル ズル ズル


星魔法少女 「……ッ」




袋触手A 「…………」


ズル ズルル


星魔法少女 「……おのれ、魔物」

星魔法少女 「おぞましいことを考える……」


真幼女魔王 「経験してなかったら思いつかないわよ」

真幼女魔王 「しもべたち。責めの途中で悪いけれど、道をあけてあげなさい」


しもべ触手たち 「ショクショク」


ガパ グバ グニイ


星魔法少女 「…………ッ」


真幼女魔王 「まあ、こんなに開いちゃって。奥まで丸見え」

真幼女魔王 「魔法少女って普通の人間よりずいぶん軟らかい肉をしているのね」

真幼女魔王 「丈夫だし……きっと魔物の苗床になるために生まれた存在なのよ」


星魔法少女 「馬鹿を……言うんじゃない……!」


真幼女魔王 「口数がすこし増えた。動揺しているのかしら」

真幼女魔王 「心も素直になれば良いのに。その体みたいに魔物の交尾用として」


星魔法少女 「ふざけるな、魔物……! 魔法少女は魔物を殺す誇り高き存在」

星魔法少女 「魔物に屈するなど……」


真幼女魔王 「じゃあ、ブウブウ鳴いているあなたの仲間たちは」

真幼女魔王 「魔法少女失格の雌の肉塊というわけね」


星魔法少女 「…………ッ」




星魔法少女 「……思い上がるなよ、魔物風情が」

星魔法少女 「ここで私たちを殺そうとも、必ず……」


袋触手A 「オエッ」


ベチャ ドロロ

鋏魔法少女の眼球
鋏魔法少女の髪留め


星魔法少女 「……!」


真幼女魔王 「あらあらダメじゃない、オエーしちゃ」

真幼女魔王 「ちゃんと、この子の胎内で吐かなきゃ」


星魔法少女 「……ッ。……ぅ、ぉえ……」


真幼女魔王 「魔王さえ討つ魔法少女と聞いたけど、心も大したことないのね」

真幼女魔王 「そんな顔しちゃひどいわ」

真幼女魔王 「変わり果てたとはいえ、あなたの仲間じゃない」

真幼女魔王 「なにも気持ち悪いことなんてないでしょう」


袋触手A 「…………」


ズル ズル

ピト グニ


星魔法少女 「……ッ。く、ぅ……」


真幼女魔王 「さあ、下の口からたっぷり飲んでね」

真幼女魔王 「あなたの仲間一人分」




袋触手A 「…………」


ズブ ブチュヂュ


星魔法少女 「!! ふ、くゥ……」


ズブ ズブ ズブ


真幼女魔王 「すごいわ、難なく入ったと思ったら、みるみる飲み込んでく」

真幼女魔王 「……うふふ、近くで見ると、腰が嬉しそうにビクビク踊っているわ」

真幼女魔王 「敵視している魔物に無理やりエッチなことされて嬉しがるなんて」

真幼女魔王 「正義の魔法少女さんの正体は、マゾ狂いの女の子なのね」

真幼女魔王 「戦っているとき、いつもメチャクチャにされるのを期待していたんじゃないの」


星魔法少女 「……だ、黙……」


ゴボン


星魔法少女 「ぐ、きゅぅっ……!?」


ゴボ ゴポッゴポッゴポッ


真幼女魔王 「うふふ、出てる出てる」

真幼女魔王 「赤ちゃんの部屋にドロドローって」


ゴポポ ギュルルルルル

グギュウウウ


星魔法少女 「ふぅッ……ふぐっ……」


真幼女魔王 「聞こえるかしら。あなたのお腹も喜んでいるわよ」

真幼女魔王 「喉を鳴らして水を飲んでいるみたい。どんどん膨らんでく」

真幼女魔王 「どこまで膨らむかしら。人一人分だものね」

真幼女魔王 「おいしい? あなたの仲間の血肉に骨は」


星魔法少女 「く……そ……くそ……ぉ……」


ゴポ ゴポ ゴポ

ギュルルル




…………



しもべ触手たち 「グニョグニョグニョ」


ズチュズチュズチュズチュズチュ


岩魔法少女 「ふぎゅっ! ひぎゅっ! ひぎぎゅぅ゛!」

岩魔法少女 「んぉぉおおおお゛! んお゛っ、んお゛っ、お゛っっほぉぉおおおお゛お゛!」


泥魔法少女 「びりびりぃ、びりびり゛ぃぃいいい゛い゛!!」

泥魔法少女 「ぎぼひいぃ、ぎぼっぢいぃいひい゛い゛!!」


火魔法少女 「イひまひゅひゃッ! みゃんひょ! 耳みゃんこひょぉ!」

火魔法少女 「イひゅえへッッ、ひゅへえへへええべえぇえ゛!」


ダプン トプン


星魔法少女 「……ぅ、ゴプ……うぶぇ……」


袋触手A 「ゴボ……」


真幼女魔王 「全部出し終えたようね。頑張ったわね、しもべ触手」


星魔法少女 「ふぅっ……ふぅう……ッ」


真幼女魔王 「……うふふ、すごいお腹。ぱんっぱんになってる」


サワ サワ


星魔法少女 「ぐっ……ふくぅう゛……」


真幼女魔王 「他の子たちみたいに涙と鼻水と涎まみれで顔はグチャグチャのくせに」

真幼女魔王 「目はまだ光を失っていないわね。でも……」


グ


星魔法少女 「ぁう……! く、ふぅううう……!」


真幼女魔王 「ぎりぎりね。ちょっとお腹を押しただけで、そんなに追い詰められちゃって」




星魔法少女 「…………ッ」


真幼女魔王 「……じゃあ、さっそく」

真幼女魔王 「あなたの赤ちゃん部屋にいるあなたの仲間に」

真幼女魔王 「私の血をまぜてみましょうか」


ブヂ


真幼女魔王 「っ……やっぱり、手首を切り落とすより、頭をちぎった方が痛くないわね」


淫魔幼女 「ご無理をなさらず。あなたの血の呪いは……」


真幼女魔王 「大丈夫よ、棺持ちさん」

真幼女魔王 「……さあ、召し上がれ魔法少女」

真幼女魔王 「まずは私の拳から」

真幼女魔王 「……しもべ触手、これを入れてやって」


多触手 「キュラキュラ」


ワサワサ グルグル 

ズル ズル ズル

ズプン


星魔法少女 「……!」


真幼女魔王 「あら、簡単に入っちゃった」

真幼女魔王 「もう拳程度じゃ物足りないかしら」





真幼女魔王 「次はいよいよ私の血」

真幼女魔王 「うふふ、肩まで突っ込んで、あなたの中にたっぷり注いであげるわ」


ピト グチュ


星魔法少女 「……ッ、や、め……」


真幼女魔王 「あら、取り乱した。何かに気づきでもしたかしら」

真幼女魔王 「……ああ、本当にどうなるんでしょう」

真幼女魔王 「魔法少女の子宮で、魔法少女を種にして私を増やすなんて」


淫魔幼女 「錬金術のフラスコが子宮をかたどるように」

淫魔幼女 「魔力と子宮は深い繋がりがあると言う魔術研究家もいます」

淫魔幼女 「普段とは異なる可能性は高そうですが、やはり何とも言えません」


真幼女魔王 「じゃあ、試してみましょう」


ズブブブ


星魔法少女 「やめろ、やめ……ッッ!」

星魔法少女 「ッッ……!」




真幼女魔王 「うーん、魔法少女の中、グチョグチョであったかいわ。あついくらい」

真幼女魔王 「あんなに開くからガバガバだと思ったら、きつく締め付けてくる」


キュプ


星魔法少女 「……!!」


真幼女魔王 「それでいて、やわらかい」

真幼女魔王 「動かすと吸いつきながら、ぴったりと私の腕の形に歪む」

真幼女魔王 「手首から先があったら、開いたり閉じたりして遊びたいくらい」

真幼女魔王 「しもべ触手たちも夢中で動くわけだわ」

真幼女魔王 「こんなふうに」


グボ グボ グボ


星魔法少女 「ふぅ……ぐぅぅうううう!」


真幼女魔王 「そーれ、奥をガンガン突いてあげる」


グチュンッ グチュンッ グチュンッ


星魔法少女 「ぁぐっ……ッ……ッッ」


真幼女魔王 「へえ、まだ声を我慢しようとする気力があるの」

真幼女魔王 「まあ、どうしようと私の手首から流れる血は」

真幼女魔王 「あなたの赤ちゃんの部屋にいる、あなたの仲間にかかるんだけれど」


ズチュ ズチュ ズチュ







ズグチュ グヂュグヂュ

ズボズボズボ ビリビリ


岩魔法少女 「~~ッ! ぉ……お゛っ……ッ……」


泥魔法少女 「ぉ゛……ぐげ……ぇ゛……」


火魔法少女 「ッッ……ぁ゛ー……ぁ゛ーー……」


グヂュ グヂュ グヂュ


真幼女魔王 「ほらほら、分かる?」

真幼女魔王 「あなたの中で、あなたの仲間とあなたの魔力、そして呪いまみれの私の血が」

真幼女魔王 「混ざり合っているのが」


星魔法少女 「ッ……ッッ……ぅぶ……」


真幼女魔王 「あら、また吐きそうなの?」

真幼女魔王 「良いわよ、たくさん吐いて。その分たくさん入るものね」

真幼女魔王 「私が下から押し上げてあげ……あら」


星魔法少女 「……ぅあ……?」


ドクン ドクン


星魔法少女 「な、何だ……これ、は……」


真幼女魔王 「遅いと思ったら、どうやら」

真幼女魔王 「先にあなたの体の方に、私の血が効いてきたようね」




ドクン ドクン


星魔法少女 「な……やめ……」


真幼女魔王 「もう無理よ。止まらないわ」


ドク ドク

ボヨン


星魔法少女 「!!」

星魔法少女 「……え。……わ、私の胸が……」


星魔法少女の職業 が
上級魔法少女 から 下級苗床 に変化した!


真幼女魔王 「すごい! 一気に頭より大きくなったわね!」


星魔法少女 「こ、こんな……」


ピュル ビュルル


星魔法少女 「!?」


真幼女魔王 「あら、ミルクも出るのね」


淫魔幼女 「多く魔力を含んでいます。良い魔物が育つでしょう」


星魔法少女 「や、やめろ、出るな、出るな……!」


ビュルルル ピュウウウ


真幼女魔王 「何もしてないのにミルクが噴き出してる。本当、苗床って感じ」




真幼女魔王 「うらやましいわあ。私は私の血で巨乳になれないもの」


星魔法少女 「くそ……くそぉ……!」

星魔法少女 「止まれ、止ま……」


ドクン


星魔法少女 「!?」


ドクン ドクン


星魔法少女 「ま、まさか……」


ドク ドク……

ボヨン ボヨヨ ボヨヨンッ


星魔法少女 「!!」


真幼女魔王 「まあ!」

真幼女魔王 「すごいわ。頭どころか、一気に体を隠すくらい大きくなっちゃった!」


ユサ ダプン


星魔法少女 「ぅ、嘘……こんな……ッ」


ドプ ブシュウウ

ドプ ドプ ボトト ビチャビチャ


真幼女魔王 「先っぽは壊れた蛇口みたいに、濃いミルクをドバドバ垂れ流して」

真幼女魔王 「こんなんじゃ、もう魔法少女なんてできないんじゃないかしら」

真幼女魔王 「というか、魔物と間違われて討伐されちゃうんじゃない?」




真幼女魔王 「苗床。もう苗床よあなたは」

真幼女魔王 「魔物をいっぱい産んで、魔物にミルクをたくさん飲ませる苗床」


星魔法少女 「違う……私は世界を駆けて、悪しき魔物を殲滅する魔法少女……この程度……!」


ボゴン


星魔法少女 「ふぐぉおッッ!?」


真幼女魔王 「今度はお腹が激しく波打ちはじめた」

真幼女魔王 「何が起こるのかしら」


星魔法少女 「うぎっ……がっ……ぐぇ……!?」


ボコボコボコ

グニョングニョングニョン


真幼女魔王 「……ああ」

真幼女魔王 「あなたのお腹の中で、あなたの仲間が私になったのね」


グネグネグネ

ボコボコボコボコ


真幼女魔王 「暴れてる、暴れてる。驚いているでしょうね、目が覚めたら窮屈で真っ暗なんだもの」

真幼女魔王 「……魔法少女って本当にすごいわね。こんなになってもお腹が破れないなんて」

真幼女魔王 「とても人間に見えなくなっているけれど」


星魔法少女 「がッ……ぶぇ……ぇおお゛……ッッ」


真幼女魔王 「……そうね。他の子たちもほぼ苗床化しているし」

真幼女魔王 「棺持ちさん」


淫魔幼女 「……はい」


真幼女魔王 「今ここにいる私たちを半分殺してちょうだい」

真幼女魔王 「そして同じ数の種を用意して」


淫魔幼女 「はい」

淫魔幼女 「すり潰しますか」


真幼女魔王 「おねがい」

真幼女魔王 「……どうなるかしらね。一人だけでもこんなんなのに」

真幼女魔王 「十人以上の私をお腹の中に詰め込んだら」


ボコボコ モコモコモコ

ブピュ ビュルルルル ブピュ ブピュ


星魔法少女 「ふぎっ……わだじ、はぁッッ……!!」




…………



精霊の森 うろの休憩所(南)



パチ パチ


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 「安らかな寝顔」

母性巫女 「前はあんなに不安そうだったのに」


幼女魔王N 「うへへーい……母性巫女、スライム……お風呂、一緒に……ムニャ」


母性巫女 「どんな夢を見ているのかしら」

母性巫女 「目を覚ましたらがっかりしないように、状況を良くできたら……」


クラ


母性巫女 「……森の空気、いよいよおかしくなっている」




母性巫女 「えいっ」


キュロリン

母性巫女 の 気合い!
母性巫女の全状態異常 が消えた!


母性巫女 「ふう……。精霊さまの気配も希薄になっている」

母性巫女 「困ったわ。たいていの問題は切り抜けられると思っていたけれど」

母性巫女 「これじゃ、五千日程度しかもたない……」


幼女魔王N 「……ンー」


モゾ モゾ


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「ムニャ……スゥ、スゥ」


母性巫女 「だめね、私。この子のためなら、正しいことも悪いことも」

母性巫女 「この子以外のこと、どうでも良いと思えてしまう」

母性巫女 「子供をもったら危ない種類の人間だわ……」


幼女魔王N 「スゥ……スゥ……」




…………


精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ

ズルルル ボト バチャ 


ブニブニ卵


幼触手A~H 「ピキュイイ」


ビチビチ バシャバシャ


岩魔法少女 「かひゅ、ふひゅッ……」


泥魔法少女 「コヒュ……コヒュ……」


火魔法少女 「ぉあ゛……ぁ゛……」


ガク ビクン


真幼女魔王 「おめでとう。みんな無事出産できたようね」





真幼女魔王 「さすが、棺持ちさんの選んだ苗床だわ」


淫魔幼女 「しかし、期待していたより質も量も悪い」

淫魔幼女 「兵としては使えず、辛うじて城の魔力源になるくらいでしょう」


真幼女魔王 「兵としては一級でも、雌としては駄目だったということね」

真幼女魔王 「使えるだけありがたい。と、いうことにしましょう」

真幼女魔王 「さて、こっちは」


星魔法少女 「ゴボ……ボギョ、グジョグジョ……」

星魔法少女 「ボビュベ……ブビュビュ」


ボコン ボコン

ブビュゥゥ ブシュウウ


真幼女魔王 「悪趣味な巨大オブジェね」

真幼女魔王 「上から下から、私たちの手足がはみだして」

真幼女魔王 「口もお腹もおっぱいも、最初の頃の何倍も膨れて歪んで」


淫魔幼女 「まだ息はありますが、他はすべて壊れました」

淫魔幼女 「口からは声ではなく、音が漏れているだけです」


真幼女魔王 「全身からいやらしい音を出しているけれどね」


淫魔幼女 「魔法少女としての彼女はもうどこにもいません」

淫魔幼女 「身も心も、ただの生きた肉の袋につくりかえられたのです」

淫魔幼女 「姫の血を体内に取り込んでしまったのが主な原因でしょう」


真幼女魔王 「ふうん。私の血って、ややこしいのね」






真幼女魔王 「とりあえず、この子たちは攻略完了ということで良いのかしら」


淫魔幼女 「……よろしいかと」

淫魔幼女 「あとは城に帰り、防腐処理を施せば、通常より長く使える苗床になるでしょう」


真幼女魔王 「ふむふむ」

真幼女魔王 「良かったわ。苗床が二体以上も手に入っちゃった」


淫魔幼女 「お疲れさまでした」


真幼女魔王 「あなたのおかげよ、棺持ちさん」

真幼女魔王 「そんな可愛い姿になっちゃって大変かと思っていたけれど」

真幼女魔王 「今では以前より逞しく感じるわ」

真幼女魔王 「これからも、私を助けてね」


淫魔幼女 「……そのつもりです」


真幼女魔王 「ありがとう」

真幼女魔王 「嘘でも嬉しいわ」


淫魔幼女 「…………」




真幼女魔王 「嘘をついているとき、あなた無表情で無口になるわ」

真幼女魔王 「体が変わってもそうなのね」


淫魔幼女 「口下手なのは生まれつきです」

淫魔幼女 「表情に乏しいのは、この体になったときからです」


真幼女魔王 「その姿になったときから、嘘をついているのね」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「女性の表情のつくりかたが分からないだけです」


真幼女魔王 「そう」

真幼女魔王 「……ねえ、棺持ちさん」


淫魔幼女 「はい」


真幼女魔王 「私、棺持ちさんのこと好きよ」

真幼女魔王 「でも、嘘をつかれるのは何より嫌い。嫌われるより嫌い」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「私、あなたを嫌いになりたくないわ。だから本当のことを話して」

真幼女魔王 「あなた、どうしてここにいるの」

真幼女魔王 「どうして生きているの」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「おれが忠誠を捧げるのは、もはやあなただけなのです」


真幼女魔王 「……もとのあなたって、そんな話し方だったっけ」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「そういえばあなたって、私が生まれる前から、私の両親と親交があったのよね」

真幼女魔王 「そう、たしかお母さまがお城にいたころから……」


淫魔幼女 「よしましょう」


真幼女魔王 「あら」


淫魔幼女 「昔のことです。もう終わったことです」

淫魔幼女 「もうどうしようもないことです」

淫魔幼女 「そんなことの話をしてもしかたがない」

淫魔幼女 「掘り出して黒い縁取りをしたところで、誰の得にもならない」


真幼女魔王 「そう」

真幼女魔王 「……あなたは今、誰のためにここにいるの」

真幼女魔王 「死んだ私の両親のため? 死んだあなたの妹のため? それとも」


淫魔幼女 「あなたのためです」

淫魔幼女 「あなたのために、私はここにいるのです。姫」


真幼女魔王 「…………」

真幼女魔王 「嘘つき」




??? 「…………」


カササ トス


真幼女魔王 「……?」

真幼女魔王 「何、誰か来……」


ジョキン


真幼女魔王 「…………」

真幼女魔王 「?」


??? 「…………」

鋏魔法少女 「…………」


真幼女魔王 「あら、あなた……」




鋏魔法少女 「…………」


真幼女魔王 「魔法少女がまだ残っていたのね」

真幼女魔王 「……あなた、どこかで会わなかった?」


鋏魔法少女 「…………」


真幼女魔王 「良いわ。さっそく苗床にしてあげましょう」

真幼女魔王 「棺持ちさんのことはその後でね」

真幼女魔王 「おいで、しもべ触手」


シン


真幼女魔王 「……出てこない。どういうことかしら」

真幼女魔王 「しかたない。残っている私……」


バシャン


真幼女魔王 「?」


血溜り


真幼女魔王 「あれは……」


幼女魔王H 「…………」


パシャン


幼女魔王H 「…………」

肉塊H 「…………」


真幼女魔王 「私の呪いが、解けていく……」




パシャ バシャン


真幼女魔王 「…………」


ヘナヘナ ペタン


真幼女魔王 「力が抜けていく」

真幼女魔王 「何が起きているの……」


パシャ バチャン


淫魔幼女 「……やはりあなたは死んだのです、姫」


真幼女魔王 「棺持ちさん」


淫魔幼女 「棺持ちなど、もういません」

淫魔幼女 「ずっと昔に死んだのです」


真幼女魔王 「だったらあなたは何だというの」


淫魔幼女 「亡霊です」




淫魔幼女 「妹の抜け殻を借りて歩く、残りカスです」

淫魔幼女 「そして、あなたも」


真幼女魔王 「何を言っているの」


淫魔幼女 「魂をばらばらにされて死んだあなたは」

淫魔幼女 「完全には死にきれていない」

淫魔幼女 「姫、今のあなたは、あなたの体に残っていたあなたの魂の残りカスを集めたものなのです」


真幼女魔王 「…………」


シュウウ

ボロ ボロ


真幼女魔王 「……体が崩れていく」


淫魔幼女 「本当なら、せめて心を壊される前のあなたとして、ちゃんと死なせてあげたかった」

淫魔幼女 「けれど、それは無理だった」

淫魔幼女 「申し訳ありません」


真幼女魔王 「何を言っているの。何をあやまっているの」


シュウウ ボロ ボロ


淫魔幼女 「最後の仕事です」

淫魔幼女 「私は棺持ち。天国だろうと地獄だろうと、ところかまわずお送りします」

淫魔幼女 「遅くなって申し訳ありません、姫」

淫魔幼女 「ご両親のもとで、いつまでも安らかに」


淫魔幼女 は 棺(子供用) を装備した


真幼女魔王 「…………」


ボロ ボロロ




真幼女魔王 「……可愛くないわ」

真幼女魔王 「兎さんの柄のやつはないの」


淫魔幼女 「ありません」


真幼女魔王 「そう」


シュウウ ボロロ


真幼女魔王 「私の体、灰か砂みたい。砂糖だったら良かったのに」

真幼女魔王 「……あなたは、私を殺すためにここにいるのね」


淫魔幼女 「はい」


真幼女魔王 「嘘つき」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「私の血にはいろんな呪いが詰まっているのよ。嘘ついたって、すぐに分かるんだから」

真幼女魔王 「私が邪魔なだけでしょ」

真幼女魔王 「私のお母さんみたいに」


淫魔幼女 「…………」


真幼女魔王 「気持ち悪いわね、あなた」


シュウウ

ボロ ボロロ




ボロロ ボト


真幼女魔王 「…………」


鋏魔法少女 「……頭が、落ちた……」


淫魔幼女 「完全に崩れたら、棺に入れて送る」

淫魔幼女 「それで終わりだ」


鋏魔法少女 「……聞いていた、棺と違う」

鋏魔法少女 「あなたの武器の棺、大きくて、禍々しいって……ギルド長は、言っていたのに……」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「……信用できない?」

鋏魔法少女 「私は、あんなに頑張って……あなたに、協力したのに……」




鋏魔法少女 「クソみたいな、界駆魔法少女ギルドの仲間のふりして……」


淫魔幼女 「たまたまお前が潜入していただけで、今回のためじゃない」

淫魔幼女 「それに、おかげで上級魔法少女を含めてたくさん殺せただろう」


鋏魔法少女 「あんなの、クソ」

鋏魔法少女 「私たちのギルドじゃ、中級にもなれない」

鋏魔法少女 「どうせなら、出世してもっと大物を狩りたかったのに」

鋏魔法少女 「あなたのために……妥協してあげた」


淫魔幼女 「近づく前に殺されている。奴らを甘く見ないことだ」

淫魔幼女 「幹部級なら隊を組まずとも、単体で魔王を完封する」


鋏魔法少女 「魔王なんて、二秒で私のペットにできる。できた」

鋏魔法少女 「お尻たたいてあげたら、いろんな所からヨダレたらして喜んでた」


淫魔幼女 「あのクソピンクを魔王に数えるな」




鋏魔法少女 「そんな呼び方、だめ。幼女魔王Nちゃんは、お友だち……」

鋏魔法少女 「こっちの方が、クソピンク」


真幼女魔王 「…………」


鋏魔法少女 「私をミンチにしたばかりか、あのクソ魔法少女のクソの子宮に詰めた……本当にクソ」

鋏魔法少女 「しかもS、サディスト……絶対的Mを超越した幼女魔王Nちゃんの足元にも及ばないクソ」


淫魔幼女 「あのお前は偽者だ」


鋏魔法少女 「そう、それ」

鋏魔法少女 「かく乱のためにって、偽の死体になってあげた……」

鋏魔法少女 「あなたのために」


淫魔幼女 「違う。あれは人形だ」

淫魔幼女 「つくったのはおれだ。運んだのは、おれのつくった人形だ」


血涙人形 「……キキキ」


鋏魔法少女 「…………」




鋏魔法少女 「……あたしのニセモノ運んでいるところ、幼女魔王Nちゃんに見つかったくせに」

鋏魔法少女 「あのおっぱい魔人が騎士団施設に報告に来たとき、ひやひやした」


淫魔幼女 「魔人……? ああ、あのピンクのゴミを拾ったという奇特な奴か」

淫魔幼女 「この世界の魔王を封じたとかで、英雄扱いされている人間だったか」

淫魔幼女 「同じような存在の南の聖女とやらは、姫の触手で簡単に壊れたようだから」

淫魔幼女 「まあ、大したことはないのだろう」


鋏魔法少女 「そう。世界のことを何にも知らないくせに、余裕ぶる勘違い偽善者」

鋏魔法少女 「子どもを可愛がる私って可愛いでしょ、というのが透けて見えるクソ女」

鋏魔法少女 「でも、甘えさせてくれるから嫌いじゃない」


淫魔幼女 「…………ふむ」




淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「また何か企んでる」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「あなたがころころ計画を変えるから」

鋏魔法少女 「みんな迷惑してる……」

鋏魔法少女 「最初は、幼女魔王Nちゃんを狐耳の管理から解放するだけのはずだったのに」

鋏魔法少女 「いつの間にか、幼女魔王Nちゃんの中に残っていたオリジナルの幼女魔王の消滅になってた」


淫魔幼女 「お前の上司からの依頼、お届けギルドからの依頼、その他状況の変化など鑑みつつ」

淫魔幼女 「なるべく面白くない行動をとっただけだ」

淫魔幼女 「自然科学、非魔法的量子論その他もろもろをあれやこれやして」


鋏魔法少女 「そんな、辺境世界の原始猿が生み出したご当地学問なんて、大きな世界じゃゴミ」

鋏魔法少女 「科学なんてその世界の周辺でしか役に立たない。答えを得るための万能の通貨にはなりえない」

鋏魔法少女 「大きな世界の一部を世界のすべてと思い込んでしまった哀れな生き物の夢にすぎない」

鋏魔法少女 「光が粒だとか、波だとか、どうでも良いのに」




鋏魔法少女 「知ではおよそ支配できない魔法の力を、知ある生き物の最下層は認めたがらない」

鋏魔法少女 「知らないことが怖い、知にとりつかれた知恵遅れども」

鋏魔法少女 「魔法という無限の可能性を恐れて否定して、自分達が理解できるものしか理解しようとしない」

鋏魔法少女 「自分の思い通りにならないと我慢できない猿ども」

鋏魔法少女 「自分の理解できないものを理解したふりして理由づけて、よってたかって見下して安心する、傲慢で臆病な猿山の猿ども」

鋏魔法少女 「被害者ぶって、正義ぶって、やっていることはガキのいじめ」

鋏魔法少女 「気持ち悪い生き物」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「界駆のクソ魔法少女どももそう」

鋏魔法少女 「魔物が怖いだけ」

鋏魔法少女 「たまたま食料が人間の魔物とか、人間を苗床にしないと繁殖できない魔物とかいるから……」

鋏魔法少女 「百歩譲ってそれは良い。種の存続のために戦うのは生き物として当然」

鋏魔法少女 「気に入らないのは、自分たちだけが正義だと大声でわめいていること」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「だから私たちはいる。正義は星の数ほどあることを思い知らせてやる」

鋏魔法少女 「世界を駆けて魔物を狩る魔法少女たちを狩る魔法少女のギルド」

鋏魔法少女 「私は鋏魔法少女」




淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「…………」

鋏魔法少女 「……もう良い……終わった……」


淫魔幼女 「そうか」

淫魔幼女 「名乗り口上、また長くなったんじゃないか」


鋏魔法少女 「最近……追加された。噂によると、もっと長くしようとしているみたい……」

鋏魔法少女 「これ以上増えると、おぼえるの大変……」


淫魔幼女 「そうか」

淫魔幼女 「……おれに振り回されるのが嫌なら、無理に付き合うことはない」

淫魔幼女 「お前達の力を借りなくても、いずれ目的は達成できた」


鋏魔法少女 「あなたに協力するように、て。ギルド長のお願いだから、逆らわない」

鋏魔法少女 「なぜなら私は……」

鋏魔法少女 「辺境世界の原始猿が生み出したご当地学問なんて、大きな世界じゃ……」


淫魔幼女 「いい。もう名乗るな」


鋏魔法少女 「何度も言わないと忘れそう……」


淫魔幼女 「知るか」






鋏魔法少女 「……好き勝手するのは良いけど、忘れない方が身のため」

鋏魔法少女 「ギルド長がその気になったら、あなたなんて羽をもがれたハエみたいに潰される」


淫魔幼女 「そうか」


鋏魔法少女 「……気にいらない」

鋏魔法少女 「アメをあげても、ムチをあげても、あなたはいつも無表情」

鋏魔法少女 「幼女魔王Nちゃんは、いじめたら色んな顔してくれるというのに」


淫魔幼女 「悪かったな」


鋏魔法少女 「……あなた、本当に何のために動いているの」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「私、本当に頑張ったのに」

鋏魔法少女 「見て、今日のために魔力をこめた鋏」


シャキ

壊れた魂切り鋏


鋏魔法少女 「幼女魔王Nちゃんのオリジナル、すごくかたかった」

鋏魔法少女 「魂も、血の呪いも……」


淫魔幼女 「貴様が未熟というだけだ」


鋏魔法少女 「修理しても使えないかも。おばあちゃんから貰った宝物なのに」

鋏魔法少女 「私はこんなにあなたのために頑張ったのに、あなたは私の質問さえのらくらかわすだけ」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「……とくに話すことでもない」

淫魔幼女 「姫が完全に灰になるまでに終わる話だ」


鋏魔法少女 「聞かせて……」

鋏魔法少女 「……ギルドに拡散して笑いのタネにするから」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「姫の両親に世話になった。その義理を果たしただけだ」


鋏魔法少女 「うそ臭い」


淫魔幼女 「おれにも歴史というものがある」

淫魔幼女 「棺ひとつつくれない、ただの淫魔の子どもだったころ」

淫魔幼女 「父と母について棺持ちについて学んでいたころ、本当に世話になったのだ」


鋏魔法少女 「…………」


淫魔幼女 「……壊れた姫をもとにつくられた、姫とは程遠い幼女魔王を支えることが」

淫魔幼女 「亡き人への恩返しになると考えていたが」

淫魔幼女 「いまやその必要もなくなったか」


真幼女魔王 「…………」


バカ ボロロ シュウウ




淫魔幼女 「……これで姫は完全に退場できる」

淫魔幼女 「姫と幼女魔王が、本当に別のものになれる」


鋏魔法少女 「肉体は、オリジナルのままなんでしょう」

鋏魔法少女 「私の鋏で命ごと切ったけれど、呪いもいくつかもとの肉体に帰るはず」


淫魔幼女 「いわば、どこからが晴れで、どこからが曇りかという問題だ」

淫魔幼女 「……おれにとってあれはもう、姫でないと言える」

淫魔幼女 「姫に似た乗り物に乗った、別の誰かだ」

淫魔幼女 「おれとも関係なくなった。あとは勝手にすれば良い」

淫魔幼女 「力はまあ、餞別で良いだろう」


鋏魔法少女 「いいかげん……」

鋏魔法少女 「……それに、あなたのお姫様のためというより……」

鋏魔法少女 「幼女魔王Nちゃんの邪魔になるから、残ったオリジナルの部分を取り除いたみたい」




淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「複雑な……乙女心?」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「あなたって、その体になる前は、男と女、どっちだったの」


淫魔幼女 「いつまでも、関係ない過去に振り回されていては、始まることもできない」

淫魔幼女 「おれも終わった存在だ。姿を消してやるべきだろう」

淫魔幼女 「……使えそうな紋章も手に入れさせてやった。これで潰されるようなら、あとは知らん」

淫魔幼女 「他勢力の魔王の奴隷なり、兵士生産用の苗床になりなれば良い」


鋏魔法少女 「……へえ……」


淫魔幼女 「……そろそろ良いか」

淫魔幼女 「姫を棺にいれる」


鋏魔法少女 「手伝って……あげようか……」


淫魔幼女 「いらん。それより……」



??? 「……関係ない過去って、私たちのことかしら」


キイイン

ニョンニョンニョンニョン


淫魔幼女・鋏魔法少女 「?」




ニョンニョンニョンニョン


鋏魔法少女 「空気が渦巻いてる。空間系の魔法?」

鋏魔法少女 「……ここ、結界の中じゃないの……」


淫魔幼女 「この程度の結界などものともしないということだ」

淫魔幼女 「……甘く見ていたか。もう見つかるとは」


鋏魔法少女 「?」


ニョンニョンニョンニョン

ニョンニョンニョンニョン

バリン ガシャン


謎の学者 「あっはぁ~~ん!!」



謎の学者 が あらわれた!





モヤ モヤ


謎の学者 「見つけたわよう、淫魔幼女」


淫魔幼女 「…………」


鋏魔法少女 「…………」


謎の学者 「私たちの言いつけも守らずに、幼女魔王ちゃんをさらっちゃって」

謎の学者 「おかげで、幼女魔王ちゃん冬眠前異世界旅行計画もパーになっちゃったわ」

謎の学者 「みんな必死でかくし芸とか練習したのに!」

謎の学者 「私も、サプライズプレゼントの……盗撮記録石を仕込んだ媚薬たっぷりの子どもパンツを渡せなかったし!」


淫魔幼女 「……早い到着だ」


謎の学者 「……嬉しい偶然があったのよん」

謎の学者 「ねえ」


ニョンニョンニョン

ピョイン


謎の精霊使い 「よいしょ」



謎の精霊使い が 現れた!



鋏魔法少女 「お尻とかいろいろ丸出しの恥ずかしい服……」

鋏魔法少女 「この森の騎士団の戦士?」




謎の精霊使い 「おー、懐かしの森だ。すごく空気悪いけど」


謎の学者 「謎の精霊使い、ここの出身なのよね」

謎の学者 「この子がいなかったら、今でもあなたを見つけられていなかったと思うわ」


淫魔幼女 「…………」


謎の精霊使い 「いやあ、何だか急に里帰りしたくなってね」

謎の精霊使い 「無理に頼み込んで、来た甲斐があったね」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「びっくりしたわあ、淫魔幼女。ぜんぜん見つけられなくなるんだもの」

謎の学者 「……こんなすごい結界もつくれるなんて」

謎の学者 「良い協力者でも見つけたのかしら」

謎の学者 「……そこのあなたのしわざ」


鋏魔法少女 「…………」


謎の学者 「……じゃあ、なさそうね。んー」


淫魔幼女 「…………」


ゴソ……


??? 「動くんじゃねえ」


淫魔幼女 「……!」


ヒュン 

ザ バサ ガコン

棺(子ども用) が 壊れた……


??? 「ああっ、動きやがって」

謎のパンツ 「言うとおりにしてなきゃぶっ壊れなかっただろうに」





鋏魔法少女 「ウサギさんパンツをかぶった変態ハードボイルド少女……」


謎のパンツ 「違う。かぶる紙袋が間に合わなかったんだ」

謎のパンツ 「くっ……殺せ!」


鋏魔法少女 「?」


淫魔幼女 「関わるな」


鋏魔法少女 「……後ろにいたの、ぜんぜん気づかなかった」

鋏魔法少女 「なんなの……この謎っぽい変態たち……」

鋏魔法少女 「三流推理モノの犯人役のみなさん……?」


淫魔幼女 「違う」




淫魔幼女 「……こんなところまで、仲良くお出ましとは」


ザ ザ ザ


??? 「それだけ奴が本気ということだ」

謎の馬頭 「淫魔のチビが、少々遊びすぎたな」


淫魔幼女 「……馬頭までもが」


謎の馬頭 「しかし、あの狐耳もまだまだガキだ」

謎の馬頭 「ガキのいたずらに本気になるとは」


鋏魔法少女 「馬の頭。ナイトメアの獣人……」

鋏魔法少女 「……淫妖ちゅ……」


淫魔幼女・謎の馬頭 「黙れ」




淫魔幼女 「あまり刺激するな」


謎の学者 「そうよん。怖いのよお、この馬」

謎の学者 「上級夢魔で馬並みのくせにインポテンツで」

謎の学者 「性欲の分戦いの能力に全振りしたら、魔王とか鼻息で百回殺せるくらい強くなっちゃったのよ」


謎の馬頭 「おれはインポテンツじゃない」

謎の馬頭 「そういうものに興味がないだけだ」


謎の学者 「……みんな持て余しているのよ」

謎の学者 「きたる大世界の衝突を前に、幼女魔王ちゃんが楽しく冬眠に入れるよう、頑張って芸をみがいてきたのに」

謎の学者 「誰かさんが台無しにしちゃったから」


謎の精霊使い 「そうだそうだ、私、超怖い話を用意してたのに」


謎のパンツ 「オレは裸踊り」


謎の馬頭 「腹話術」


鋏魔法少女 「……ポンコツクソ芸人の集まりなの……?」


淫魔幼女 「深い魔王の軍勢だ」




淫魔幼女 「おれは最初から反対していたはずだ」


謎の馬頭 「…………」


フンッ ビュ

ボコン

謎の馬頭 の 鼻息(微) こうげき!
淫魔幼女 に 52000 のダメージ!


淫魔幼女 「………ッ」


鋏魔法少女 「!」


謎の馬頭 「おれたちを敵に回そうという心意気はかってやろう」


謎のパンツ 「威力がいまいちだ。ケケッ、衰えたな、馬の旦那」


謎の精霊使い 「ああ、この森、いま花粉舞いすさぶ時期だから」


謎の学者 「鼻の穴のデカイ馬にはきついわよねん」

謎の学者 「馬並みインポで花粉症とか、どんだけ面白属性盛るのよ」


謎の馬頭 「吹っ飛ばすぞ」




鋏魔法少女 「深い魔王……」


淫魔幼女 「さきに滅んだ金狐の魔王の力を最も強く受け継いだ、九番目の子ども」

淫魔幼女 「勇者と魔王、歴戦の兵たちが散っていった戦いを生き抜き」

淫魔幼女 「自身も魔王の称号を得、わずかな時間で大世界の深層まで食い込んだ、若き狐耳」

淫魔幼女 「姫の遠い姉だ」


鋏魔法少女 「…………」


淫魔幼女 「……兄だったかな」


鋏魔法少女 「……そこ、大事なとこじゃないの……」




淫魔幼女 「……狐耳のかわりに、おれを消しにきたか」


謎の学者 「あ、はん?」


淫魔幼女 「だが姫は死んだ」

淫魔幼女 「もう幼女魔王は姫でもなんでもない」

淫魔幼女 「お前達に監視され、管理される必要もない」


謎の学者 「あら、まだ死んでいないわよん」

謎の学者 「死にかけというだけでしょう」


キイイ パキン パキン


真幼女魔王 「…………」


鋏魔法少女 「色つきの壁が、クソ姫様を囲んでいく」

鋏魔法少女 「結界の魔法……?」


パキン パキン パキン




謎の学者 「観測されてはじめて、それはそれとして成り立つという考え方があるのよ」

謎の学者 「Aは誰かに見られることで、Aとして確定する」

謎の学者 「それまでは、AはAではなく、何ものでもない」


鋏魔法少女 「?? ?」


謎の学者 「この壁は、囲んだものを何ものでもなくしてしまう」

謎の学者 「いま囲んでいるのは幼女魔王ちゃんの生死」

謎の学者 「私たちがいくら見ても、幼女魔王ちゃんの生死は確定されない」

謎の学者 「つまり、幼女魔王ちゃんが死んでいくのを、食い止めることができるということ」

謎の学者 「……上位錬金術によって発明した擬似魔法よん」


淫魔幼女 「……………」


謎の学者 「二番煎じっぽくてぜったいカブっているだろうなあと思って、封印していた魔法だけど」

謎の学者 「使いどころがあって良かったわん」


パキン パキン


謎の人々 「…………」


謎のパンツ 「……おう」

謎のパンツ 「良かったぜ」


謎の精霊使い 「うん、良かった良かった」

謎の精霊使い 「観測で、確定なところが良いよね」


謎の馬頭 「命拾いしたな、淫魔幼女」

謎の馬頭 「……Bだったら、死んでいるところだ」


淫魔幼女 「……化物どもめ」


謎の学者 「無理しなくて良いわ」




謎の学者 「幼女魔王ちゃんの魂はこちらの手の内に移ったということよん」

謎の学者 「つまり、死なない」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「あなたを殺すつもりもないわ」

謎の学者 「だって、あなたなりに幼女魔王ちゃんを思って動いたのでしょう」

謎の学者 「えらいえらい。淫魔幼女ちゃん、えらい」

謎の学者 「雑魚のくせに、よく頑張りました」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「残念だったわね」

謎の学者 「思い通り殺すことができなくて」

謎の学者 「あなたがもう少しできる子だったら、結果は変わっていたかもしれないけれど」


淫魔幼女 「…………」




謎の学者 「次からは、頑張らなくてもこれ以上のことができるようになると良いわーね」

謎の学者 「私、応援しちゃう」


淫魔幼女 「…………」


謎のパンツ 「おい、淫魔幼女」

謎のパンツ 「あのフェドラ帽の詐欺な男はいないのか」

謎のパンツ 「返したい借りがあるんだがな」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「やめておけ。貴様では、まともに戦うこともできず返り討ちにあうだけだ」


謎のパンツ 「お前……!」


淫魔幼女 「さっさと帰れ、頓狂謎軍団」

淫魔幼女 「用がすんだのなら」


謎の学者 「そのつもりよん」

謎の学者 「その方が、あなたも都合が良いものね」


淫魔幼女 「…………ッ」


鋏魔法少女 「…………?」




謎の馬頭 「……行くぞ」


謎のパンツ 「……チッ」


謎の精霊使い 「残念だなあ」

謎の精霊使い 「知り合い……母性巫女くらいには会いたかったのに」

謎の精霊使い 「ねえねえ、あの子のおっぱい、私がいっぱい揉んで大きくしたんだよ」


謎の馬頭 「知るか」


ニョンニョンニョンニョンニョン


鋏魔法少女 「……また空間魔法」


淫魔幼女 「…………」


謎の学者 「……あなたの頑張りに免じて、魂だけで勘弁してあげる」

謎の学者 「でも、もうちょっと頑張らないといけないかもしれないわよ」


淫魔幼女 「…………!」




…………


精霊の森 うろの休憩所(南)



パチ パチ


幼女魔王N 「…………スウ」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「……えへへ……ムニャ……スウ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……?」


ユラ ユラ

チカ チカ


母性巫女 「明かりが、弱くなる……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……!」


ビクン


母性巫女 「!」


幼女魔王N 「……ぅう。ぅううう……!」


ガクガクガクガク


母性巫女 「急に震えだした……!」

母性巫女 「N、N……!?」




幼女魔王N 「……んぎっ、くひ……ひっ……!」

幼女魔王N 「母性巫女ッ、母性巫女……ッ」


ガタガタ ガクガクガク


母性巫女「はい。はい、ここに居ますからね……ッ」

母性巫女 「発作かしら。こんなこと今までなかったけれど……!」


ガクガクガク


幼女魔王N 「頭痛い! 痛い、痛い! 痛い痛い痛い痛い!」


ジタバタ


母性巫女 「N、N……!」


キイイイ パキ キイイイ

幼女魔王Nの紋章 が あやしく光る!


幼女魔王N 「きぃいいいいい!?」

幼女魔王N 「いだいいだいいだいいだいいだい!?」

幼女魔王N 「いだいよぉ! あたま痛いよぉ、母性巫女、母性巫女ぉ!」


母性巫女 「N、N……!」


幼女魔王N 「うえええ、うえーーーん!」

幼女魔王N 「痛いよお、痛いよお!!」


ジタバタ ゴロゴロ

ガシャン

ガクガクガク


母性巫女 「どうしよう、どうしよう……」


キイイ パキン パキン 





母性巫女 「く、薬、頭痛をおさえる薬があったはず……」


幼女魔王N 「ぎゃあああああああ! うぎゃああああ!」

幼女魔王N 「痛い痛い痛い! 頭いたいよ! ガンガンするよう!」

幼女魔王N 「怖いよお! 真っ暗だよう! どこにいるの、母性巫女、母性巫女!」


ガタガタ ガクガク

ジタバタ ガシャン


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですから。ちゃんと、なおりますから……」

母性巫女 「……目が見えてないの? いったいどうしたら……」


ポヨヨン ボヨヨ

キイイイ パキン


幼女魔王N 「母性巫女、怖いよ、母性巫女!」

幼女魔王N 「私が消えていくよう!」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女ぉ!」


キイイイイ バキ


幼女魔王N 「ぎゃああああ……ッ……ぉえ」

幼女魔王N 「うぶぇええ!」


ゴポ ビチャビチャ


母性巫女 「N、N……!」


幼女魔王N 「み゛こぉ、母性巫女ぉ……」

幼女魔王N 「……うぎッ、ぎいいいいい!」


ガクガク ゴロゴロ

バシャ ビチャビチャ 

ガクガクガク





キイイ キイイイ


幼女魔王N 「うぎゃあああああああ!?」

幼女魔王N 「いだい、いだいいだいいだい痛いぃいいい!!」

幼女魔王N 「まそっぷ」

幼女魔王N 「ふぎいいいいいいいい! ぎぎぎぎぎぎ!」

幼女魔王N 「いだいいだいいだい、頭いたいよぉお゛!」


ガタガタガタ バシャン 


母性巫女 「苦しみ方がひどくなった」

母性巫女 「落ち着いてください、N。いま薬を飲ませますから……」


ガシ


幼女魔王N 「うぐぐぐぐ、ふぐっ、ひっく、ふぐううう!」


母性巫女 「すごい力……ッ」

母性巫女 「さ、さあ、薬を飲んでください。きっと今より良くなるはず」

母性巫女 「ほら、口をあけて……」





幼女魔王N 「……ッ……ッ」

幼女魔王N 「……母……」

幼女魔王N 「性巫女……」


母性巫女 「はい。私ですよ」

母性巫女 「怖くありませんよ。落ち着いて」


幼女魔王N 「……ヒック、グスン、グスン」


母性巫女 「良くなるお薬ですからね。さあ、口をあけて、水を飲んで……」


幼女魔王N 「…………」


ガパ


幼女魔王N の 呪いブレス攻撃!


母性巫女 「!?」




幼女魔王N 「…………」


ドカ ゲシ


母性巫女 「きゃっ……!」

母性巫女 「ケホッ、ケホッ……な、何を……」


幼女魔王N 「………ふひ」

幼女魔王N? 「ふはははははは!」


母性巫女 「N……?」


幼女魔王N? 「母性巫女……母性巫女!」

幼女魔王N? 「おぼえているぞ。勇者の仲間だ」

幼女魔王N? 「魔王たるこのわしに、屈辱を味わわせた!」


母性巫女 「…………!?」




幼女魔王N? 「ここは、精霊の森か」

幼女魔王N? 「ここの女どもには手を焼かされたわ」

幼女魔王N? 「千年の無敗を誇る我が軍勢の将を、どれほど失ったか」

幼女魔王N? 「捕えて恥辱の限りを叩き込んでやりたかったが、殺すのみにとどまった……」


母性巫女 「……な、なぜ」


幼女魔王N? 「だがまあ良い」

幼女魔王N? 「勇者、南の聖女、北の魔女、石髭のドワーフ……」

幼女魔王N? 「もっとも復讐すべき勇者隊の一人がここにいる!」


母性巫女 「あなたは、私たちが封じたはずです……!」


幼女魔王N? 「そうだ。手足ともいえる我が将たちを失い、打たれた釘のように」

幼女魔王N? 「しかしこちら側へ戻ってきた!」

幼女魔王N? 「この体を器として!」


母性巫女 「……Nの体を、乗っ取ったというの……?」




幼女魔王N? 「母性巫女。感謝をするぞ、母性巫女」


母性巫女 「……感謝?」


幼女魔王N? 「くふふ……やられ際の呪いなど、わしの魔王美学に反するが」

幼女魔王N? 「やっておくものだ」


母性巫女 「……!」


幼女魔王N? 「お前をむしばむ呪いとなって、わしの一部がお前の体に残っていた」

幼女魔王N? 「お前のおかげで、こうやって戻ってくることができたのだ!」

幼女魔王N? 「ふはははは」


ボヨヨーン ボヨヨーン


母性巫女 「そ、そんな……」




幼女魔王N? 「感謝している。感謝しているぞ、母性巫女!」


ボガ


母性巫女 「きゃうっ……」


幼女魔王N? 「こんな乗っ取りやすい体まで用意してくれるとはな!」

幼女魔王N? 「ふはははは! 呪いをかけたのがお前で良かったわ!」


ドガ ドガ


母性巫女 「あうっ、ふぐっ……」


幼女魔王N? 「最終決戦に裸同然の格好でのぞんで」

幼女魔王N? 「目の前で飛び跳ねてポヨポヨポヨ揺らしおって」

幼女魔王N? 「気が散って戦いどころではなかったわ!」


ドゴ ドゴ


母性巫女 「ぐっ、きゃうっ……」


幼女魔王N? 「だいたい……」

幼女魔王N? 「おっとり童顔で爆乳とか、ドストライクすぎるであろうが!」


母性巫女 「し、知りません……!」


幼女魔王N? 「黙れ!」


ゲシ


母性巫女 「ああん……ッ」




ゲシ ゲシ ゲシ ゲシ


母性巫女 「ッ……ッッ……」


幼女魔王N? 「人間の子宮はここだったか」

幼女魔王N? 「安心しろ、ここだけは攻撃せずにいてやろう」

幼女魔王N? 「我が軍団再編のため」

幼女魔王N? 「強い兵を産んでもらわんといかんからな!」


ビリリ ビリ


母性巫女 「……ッ!」


幼女魔王N? 「恥じらいでもおぼえたか。布の多い服を着て」

幼女魔王N? 「ふはははは、光栄に思え。わしの復活に利用させてもらった礼だ」

幼女魔王N? 「残った我が軍の残党どもを集めて、貴様と交わらせよう」

幼女魔王N? 「人間相手では味わえないありとあらゆる快楽を与えてやる」

幼女魔王N? 「にっくき勇者隊の一員ゆえ、それこそ念入りになあ!」


ゲシ ゲシ


母性巫女 「ッッ……ッ……」

母性巫女 「……交わ……快楽……ッ?」


幼女魔王N? 「体を取り戻した暁には、わし自ら相手をしてやる」

幼女魔王N? 「貴様は我が配下を産み続ける……」

幼女魔王N? 「新生魔王軍の母となるのだ!」

幼女魔王N? 「ふはははははははは!」


ゲシ ゲシ




母性巫女 「……N、N……!」


幼女魔王N? 「うん?」

幼女魔王N? 「この体の持ち主の名前か」

幼女魔王N? 「何を思って魔族などを傍に置いていたか知らんが」

幼女魔王N? 「ふはははは、もうわしが食い尽くしてやったわ!」


母性巫女 「……!」


幼女魔王N? 「安心するがいい」

幼女魔王N? 「子どもなど、お前はこれから何千、何万と産むのだからなあ」

幼女魔王N? 「ふははははは!」

幼女魔王N? 「はっ……ゲホ、ゲホ。声帯が弱いな、この体は」

幼女魔王N? 「わし自慢の魔王笑いをひかえねば」


母性巫女 「…………N。N」


幼女魔王N? 「…………」


ガシ


母性巫女 「…………ッ」


幼女魔王N? 「散歩だ。外に出よ」


ズル ズル ズル




精霊の森(汚染)


モヤ モヤ


幼女魔王N? 「ふむ、良い空気だ。わしの帰還を祝福しておるようだ」

幼女魔王N? 「そら……」


ドサ


母性巫女 「……ッ」


幼女魔王N? 「くくく、ちょうど、わしと戦ったときのような服装だな」

幼女魔王N? 「裸にひんむいて犬のように散歩をさせてやろうと思っておったが」

幼女魔王N? 「このままの格好でやらせるのも屈辱的か」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N? 「さっさと立て。四つんばいでな」


ゲシ ゲシ


母性巫女 「…………」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N? 「ふん。心が折れたか」

幼女魔王N? 「くふふ、無理もない」

幼女魔王N? 「勇者隊の一人といえど、単体でわしに挑むなど狂気のさたよ」

幼女魔王N? 「……む?」


ゾゾゾゾゾ

ヒュン ヒュン


幼女魔王N? 「!」


タンッ

ザザ


幼女魔王N? 「……黒い布のように見えたが」

幼女魔王N? 「このわしに攻撃をしかけたのか?」




ザ ザ ザ


??? 「…………」

淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N? 「……ほう」

幼女魔王N? 「淫魔、魔族のようだが、この体と同じく見ない顔だな」

幼女魔王N? 「珍しい外套をまとっている」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「遅かったか……!」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ


幼女魔王N? 「……わしに挑むつもりか」

幼女魔王N? 「千年の無敗を誇る魔族を束ねる、魔王たるこのわしに」

幼女魔王N? 「ふはははは………」

幼女魔王N? 「貧乳風情が、片腹痛いわ!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ




淫魔幼女 「……まったく」

淫魔幼女 「どこまでも手のかかる……!」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ


幼女魔王N? 「ふはははははは!」


ダダダダダ


幼女魔王N? 「死ねぇい……!」


ボガ

淫魔幼女 の 外套(手抜き)こうげき!
幼女魔王N?のHP が 1 になった!


幼女魔王N? 「!?」




幼女魔王N? 「……なぬ?」


ガクガク ベタン

ポヨヨーン


幼女魔王N? 「ば、馬鹿な……このわしが、一撃で……!?」


淫魔幼女 「詐欺商人から貰った最高級の紋章を、使いこなすどころか」

淫魔幼女 「体を乗っ取られるとは」

淫魔幼女 「どこまで貧弱なんだ……」


ザ ザ ザ


幼女魔王N? 「……ま、待て、仕切りなおし……これは何かの間違い……」


淫魔幼女 「……死ね」


ゾ ゾ ゾ ゾ


幼女魔王N? 「うおわああああ……!」


ガキン


淫魔幼女 「……!」


母性巫女 「…………」




母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「炎の紐……」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「貴様か。バカピンクバカゴキブリを拾った奇特な奴というのは」

淫魔幼女 「不愉快だ。真っ直ぐ光の流れる黒髪が、あの女に似ている」

淫魔幼女 「……何のつもりだ」


母性巫女 「それ以上やっては死んでしまいます」


淫魔幼女 「そのつもりだ」


母性巫女 「いけません」

母性巫女 「Nが死んでしまいます」


淫魔幼女 「…………」




幼女魔王N? 「……ふは」

幼女魔王N? 「ふはははははは!」

幼女魔王N? 「そうだ、わしが回復するまでわしを守れ、母性巫女!」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「お前がNと呼ぶ奴は死んだ」

淫魔幼女 「……説明するのも面倒くさい。どけ」

淫魔幼女 「でなければ、もろとも死ね」


ゾ ゾ ゾ


母性巫女 「…………」


ヒュン ヒュン

ガキン


淫魔幼女 「……どうやら、人間にしてはやるようだ……」


ズゴン

母性巫女 の お母さんチョップ こうげき!
淫魔幼女 に 79000 のダメージ!


淫魔幼女 「な゛ッッ!」




淫魔幼女 「……何だと」


ヘナヘナ ペタン


淫魔幼女 「ば、馬鹿な……このおれが、ただの人間の一撃で……?」


母性巫女 「駄目ですよ。そんな乱暴な言葉を使って」

母性巫女 「Nは死んでなんかいません。頭が痛くて、少しおかしくなっているだけです」


淫魔幼女 「馬鹿が、貴様……」


母性巫女 「一緒にお風呂に入って、一緒にご飯食べて、絵本を読んで寝かしつけてあげたら」

母性巫女 「ちゃんと元通りになるにきまっています」

母性巫女 「うふふ。魔動画だって、ちゃんとなおるんですから……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「お前は……」




幼女魔王N 「……ふ、ふはは」

幼女魔王N 「この体の弱さは予想外だったが、何とかなりそうだ……」


ズズズズズ


幼女魔王N 「む?」

幼女魔王N 「何だ、わしの影が……」


ズズズ


??? 「…………」

美触手 「…………」


幼女魔王N 「何だ、この魔物は」

幼女魔王N 「わしの影から現れたのか?」


美触手 「…………」


ユラ ユラ


幼女魔王N 「……見事な」

幼女魔王N 「なんと、美しい」


美触手 「…………」

美触手 「……クュルル」


ズパン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王Nの首 「…………」




母性巫女 「!!」


幼女魔王Nの首 「…………」


ヒュルル

ポト


首なし幼女魔王N 「…………」


ブシャ

ブシュウウ ビチャ ビチャ


母性巫女 「……いや」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「嫌ああああ!」


美触手 「…………」


ズ ズ ズ ズ ズ

トプン




ザアアア バシャ バシャ


淫魔幼女 「……美触手」

淫魔幼女 「心を決めたか」


母性巫女 「……N。N……」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「違う。それはただの生首だ」


母性巫女 「ごめんなさい。ごめんなさい……」


淫魔幼女 「……貴様は、人間側の英雄だったのだろ」

淫魔幼女 「この森にいながら、何をしていたのか。何をしているのか」

淫魔幼女 「お前の仲間たちが大勢死んだぞ」


母性巫女 「N、N……」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「…………」




母性巫女 「…………」

母性巫女 「あなたが、この森をこんな風にしたんですか」


淫魔幼女 「……ああ」

淫魔幼女 「だが、もうすぐそれも終わる」

淫魔幼女 「おれも消えさせてもらう」


母性巫女 「……この子のこと、知っているんですか」


幼女魔王Nの首 「…………」


淫魔幼女 「それなりに」

淫魔幼女 「今となっては関係ないが」


母性巫女 「そうですか……」




モヤ モヤ モヤ

ギャア ギャア


淫魔幼女 「……統率する者がいなくなり」

淫魔幼女 「還ることのできなくなった触手たちが暴れだす」

淫魔幼女 「しかも、繁殖しか頭にないような連中だ」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「数日とせず、この森の結界は消える」

淫魔幼女 「貴様なら、それまで生き延びられるのだろうよ」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「好きにするが良いさ」

淫魔幼女 「ではな」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ

ザ ザ ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」




…………


X時間後

精霊の森 聖域の森 深部



モヤ モヤ モヤ


毒ガス触手 「クリュクリュ」


バフー モワモワ


母性巫女 「…………ッ」


ヒュン ヒュン

ザク バシュ


毒ガス触手 「ギャッ」


触手たち 「グゲッ」


ボト ビチャン


母性巫女 「…………」




母性巫女 「…………」


ザ ザ ザ ザ


精霊戦士の死体 「…………」


魔法少女Aの死体 「…………」


魔法少女Bの死体 「…………」


戦士見習いの死体 「…………」


母性巫女 「…………」


ザ ザ ザ ザ ザ




…………


精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ モヤ

グチュグチュグチュ


高熱触手たち 「グチュグチュグチュ」


爆弾卵触手たち 「グチュグチュ」


電撃触手たち 「グチュグチュ」


グニュルグニュル

ズポ ズポ


岩魔法少女 「…………」


泥魔法少女 「…………」


火魔法少女 「…………」


星魔法少女 「…………」


ドピュ ブビュルルル

ムリュリュ ボト ビシャ


幼高電熱触手 「プキャアア」


母性巫女 「…………ッ」


モヤ モヤ モヤ


??? 『……うふふ……うふふふふ……』


母性巫女 「…………」




??? 『うふふふ……』

毛玉触手 『いらっ……しゃい、お姉ちゃん』


フヨ フヨ フヨ

ウネ ウネ

モヤ モヤ モヤ


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『……言葉、分かる』

毛玉触手 『うまれた。人間から』


母性巫女 「……あなたが、この霧を出しているんですか」


毛玉触手 『得意。そういうの、だから』

毛玉触手 『たくさん。ここ、材料も』

毛玉触手 『淫魔の女王も、簡単に、狂わせる』





母性巫女 「…………」


毛玉触手 『つらそう、お姉ちゃん』

毛玉触手 『近づいたら、こんなに私に……人間、もろいから』


母性巫女 「霧を、止めていただけますか」


毛玉触手 『うふふふ……うふふふふ……』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『分かる。お姉ちゃん、立っているのも精一杯』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『私の霧、もっと強くなった。お姉ちゃん、吸いすぎた。浴びすぎた』

毛玉触手 『交尾……頭の中、もうそれだけ』


母性巫女 「…………」





毛玉触手 『女の子、人間の。私の霧に弱い、とくに、若い、戦う人たち』

毛玉触手 『交尾とか、そういうの、避けるから。汚いって』

毛玉触手 『だから、簡単。耐性、ないから』


母性巫女 「…………」


ヒュン ヒュ

シュウウ


毛玉触手 『無駄。お姉ちゃんも、使うから、精霊』

毛玉触手 『材料……霧の』

毛玉触手 『妖精たち』

毛玉触手 『いっぱい食べて、妖精、とかして、霧にする』

毛玉触手 『精霊も』


母性巫女 「……精霊さまを」


毛玉触手 『ここ、いっぱい。材料、精霊、食べ放題』

毛玉触手 『私、いっぱい強くなった』


母性巫女 「…………ッ」




毛玉触手 『女の子じゃ、私に、勝てない』

毛玉触手 『お姉ちゃんも、餌。転がり込んできた、間抜けな』


母性巫女 「…………」


クラ クラ

フラ フラ


毛玉触手 『うふふふふ……うふふふ』

毛玉触手 『いなくなった、幼女魔王ちゃん』


母性巫女 「……!」


毛玉触手 『可憐少女、連れて行ってくれるっていったのに』

毛玉触手 『誰だっけ。可憐少女、って……』


母性巫女 「…………」


ガクン ヘナヘナ


毛玉触手 『……私、増やす。この森で』

毛玉触手 『仲間、いっぱい、いっぱい』

毛玉触手 『苗床、つかって……』


ウネ ウネ スルルル


母性巫女 「…………」



…………






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>>685

1



シュルル ヌルルル


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『うふふ……ふふふふ……』

毛玉触手 『捕まえた……』


母性巫女 「…………ッ」


毛玉触手 『もっと濃いの、霧になる前の』

毛玉触手 『お姉ちゃんの全身、いっぱい塗りこんであげる』


ニュルルル 


母性巫女 「………ッ」

母性巫女 「お願いします。森の霧、とめてください」


ヌルル ヌル……


毛玉触手 「…………」


グニュウウ


母性巫女 「ふあっ……!?」

母性巫女 「……ッ」


グニ グニ


母性巫女 「や、やめ……」


毛玉触手 『……うふふふ』

毛玉触手 『気持ちいい? お姉ちゃん、おっぱい』


グニュ グニュ

ムニュ ムニュ


母性巫女 「……ッ……ッッ」





毛玉触手 『もっと、なりたい、気持ちよく?』


ムニ ムニ


母性巫女 「……き、霧を、とめてください」


毛玉触手 「…………」


毛玉触手(腕)A 「…………」


ユラ ユラ グパ

トロロ


母性巫女 「…………きゃっ!?」

母性巫女 「な、なに、冷た……」


毛玉触手 『一番、強い原液、霧の』

毛玉触手 『一滴で、魔王も、勇者も、天使も悪魔も、女の子なら交尾の奴隷』


母性巫女 「……!」


トクン


母性巫女 「……ッ」


毛玉触手 『もう効いてきた』




毛玉触手 『…………』


サワ


母性巫女 「……!?」


ゾクゾクゾク


母性巫女 「……ん。ふ、くぅ……ん……」


ピク ピクン


毛玉触手 『お姉ちゃんの体、私に縛られている』

毛玉触手 『分かる。ピクン、ピクンって、可愛く跳ねてる』

毛玉触手 『気持ち、いい?』


母性巫女 「こんな、悪ふざけやめて……」

母性巫女 「……き、霧を、止めてくださ……」


毛玉触手 「…………」


毛玉触手(腕)たち 「…………」


ユラ ユラ ガパ

トロロロロ


母性巫女 「!?」


毛玉触手 『強さ、何十倍。この森中の、霧の』

毛玉触手 『皮膚から、脳みその芯まで』

毛玉触手 『お姉ちゃんの全部に、しみこませてあげる』





毛玉触手 『顔、お腹……おへそ……』


ニュルルル ヌルルルル


母性巫女 「……ッ。……ッッ」


毛玉触手 『太もも、お尻……』


ニュルル ペタペタ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「ふ……ぅう……ッ」


ビク ビクン


毛玉触手 『お姉ちゃん。お尻、敏感』

毛玉触手 『いっぱい、塗ってあげる……』

毛玉触手 『ほ……ーら……』


ウネ ウネ ウネ


母性巫女 「………ッ」


ニュルン


母性巫女 「ひゃん!?」


毛玉触手 『うふふふ……間違えて、指の股、しちゃった』


ニュルルン コシュコシュコシュ


母性巫女 「ひゃ、うぅ!? あふ、ぅうう……ッ」


毛玉触手 『指の股も、好きなの?』

毛玉触手 『全部、してあげる。手と、足』


ニュルルル ニュルルルル

ヌリュヌリュヌリュ


母性巫女 「……ッッ……~~ッ」




ヌルヌルヌル

ニュルル

ニュルル


母性巫女 「……ッ。は、くぅ……」


ゾクゾクゾク

ピクン ビクン ビクン


毛玉触手 『……だいぶ、塗りこめた』


母性巫女 「ハア……ハア……ッ」


毛玉触手 『お姉ちゃん』

毛玉触手 『気持ちいい?』


母性巫女 「………き」

母性巫女 「霧を、止めてください……」

母性巫女 「私のこと、どうしても良いですから……」


毛玉触手 『……うふふふふ』

毛玉触手 『次は、ここ』


トロロロロ


母性巫女 「……!」


毛玉触手 「おっぱい、トロトロにしてあげる」




トロロ ポタタ

ピチャ ドロロ


母性巫女 「……ッ」


毛玉触手 『お姉ちゃんは、ただのメス』

毛玉触手 『霧を止めるためじゃなくて』

毛玉触手 『交尾してもらいたくてここに来た、交尾狂いのメス』

毛玉触手 『だから、言わないの。霧を止めて、なんて』


母性巫女 「………! ……ッ」


トクン トクン

ゾク ゾク


毛玉触手 『お姉ちゃん、知ってる?』

毛玉触手 『お姉ちゃんのパンツから、トロトロ流れてる。私のじゃない、お汁』


母性巫女 「………ッ。はぅ、ん……ッ」


カアア


毛玉触手 『お願いして、お姉ちゃん』

毛玉触手 『毛玉触手さま、おっぱい、思いっきりもんで、気持ちよくして……って』


母性巫女 「……お、お願い……します」

母性巫女 「……霧を、止めてください……」


毛玉触手 「…………」




母性巫女 「N、怖がりだから……こんな霧の中じゃ」

母性巫女 「安心して、眠ることが出来ないのです」


毛玉触手 『知らない』


ムニュウウ


母性巫女 「!!!」

母性巫女 「くぅうううん……!」


毛玉触手 『お姉ちゃんは、ただのメス』

毛玉触手 『交尾用の、肉の袋』


ムニュ ムニュ ムニュ ムニュ


母性巫女 「あっ、はふ……くふぅん………ッッ!」

母性巫女 「や、やめ……胸、もうやめ……」


ムニュ ムニュ

グニュウウウ


母性巫女 「!?」

母性巫女 「ッッッ!」

母性巫女 「ッッ! ~~ッ!! ~~~~ッ! ッ!!」


ガクガクガク ガクンッ

ビクン ビクン


毛玉触手 『……うふふふ』


母性巫女 「……っ。……は……ぁ……ッ」


毛玉触手 『イッちゃった』

毛玉触手 『お姉ちゃん、おっぱい揉まれて、イッちゃった』

毛玉触手 『うふふふふ……うふふふふ……』




母性巫女 「……ッ」


毛玉触手 『気持ち良かった?』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『イッたくせに』

毛玉触手 『素直に答えるまで、交尾はしてあげない』

毛玉触手 『ずっと、原液、すりこんであげる』


トロロロ

ニュルル ニュルルル


母性巫女 「!! ……はひゅっ……ふきゅ……!?」

母性巫女 「う、うそ……ッ。体、こんな……はぅ……!?」


毛玉触手 『イッたら、もっと敏感になったでしょう』

毛玉触手 『もっと、敏感にしてあげる。中からも』

毛玉触手 『口あけて』


毛玉触手(腕) 「…………」


ヌッ グイ グイ


母性巫女 「……! ぅ……!」


毛玉触手 『開けない、頑固。気持ちよすぎて怖くなった、お姉ちゃん?』

毛玉触手 『でも、無駄』


毛玉触手(腕) 「…………」


グパ パク


母性巫女 「!?」


毛玉触手 『頭、全部おおってあげる』

毛玉触手 『吸い込み放題。鼻からも、口からも、耳からも』




ブシュウウウ ブシュ ブシュ


母性巫女 「……! ……!!」

母性巫女 「むぐ、んー! んんんんーー!」


ガク ガク


毛玉触手 『暴れて発散なんてさせない。体、触手でがっちりかためてあげてるから』


グイ ペロ


毛玉触手 『……うふふふ、ぷっくり膨れてる。お姉ちゃんの、丸くて大きなおっぱいの……先っぽ』

毛玉触手 『いじってほしくてたまらないって、すぐ分かる』

毛玉触手 『でも、お姉ちゃんが素直になるまで、触ってあげない』

毛玉触手 『お預け。ずーっと、体、気持ちよくなって、おっぱいでイけないまま』


ニュルルルル ヌルル

ニュリュニュリュ シュコシュコ

ブシュウウ 


母性巫女 「んーー! ~~~ッッ!」


ビクン ビクン





…………


精霊の森 うろの休憩所(南)



チカ チカ


幼女魔王N 「…………1」

幼女魔王N 「……って、言ったじゃん!」


ガバ


幼女魔王N 「……あれ?」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「私のお城じゃ無い」

幼女魔王N 「ここ、どこ?」


チカ チカ

ユラ ユラ




幼女魔王N 「いたたた……首、寝違えたかしら」

幼女魔王N 「…………えーっと」

幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「そうだわ。森に霧が出て……ここに避難して」

幼女魔王N 「母性巫女に寝かしつけてもらって……えへへへへ」

幼女魔王N 「へへへ……へへ……」


チカ チカ

ユラ ユラ


幼女魔王 「……母性巫女」

幼女魔王 「どこ?」




ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……見回りに出たのかしら」

幼女魔王 「私を残して?」

幼女魔王N 「どうせ私だし……」

幼女魔王 「母性巫女は優しいもん。そんなことしないわ」

幼女魔王N 「そうだと嬉しいわね……」


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……ん?」

幼女魔王N 「私、誰かと話していた?」

幼女魔王N 「…………」


チカ チカ チカ

ユラ ユラ

シィン


幼女魔王N 「……まあ、良いわ」

幼女魔王N 「待っていましょう」

幼女魔王 「探しに行くべきじゃないかしら」

幼女魔王N 「怖いわ」

幼女魔王 「大丈夫よ。死んでもすごく痛いだけ」

幼女魔王N 「それもそうね」


ザ ザ ザ




ザ ザ ザ

ガチャ

ガツン


幼女魔王N 「ぎょん!?」


ドサ


幼女魔王N 「い……痛い痛い痛い痛い!」

幼女魔王N 「頭うったあ!」

幼女魔王N 「どうして出られないのよ、うわああん!」


ゴロゴロゴロゴロ


幼女魔王N 「えーん……グス」

幼女魔王N 「入り口、見えない結界でもあるの?」




幼女魔王N 「……参ったわ。出られない」

幼女魔王N 「出られないなら、ここで待つしかない」

幼女魔王N 「ぐうたらごろごろして待つしか道はない」

幼女魔王N 「大丈夫よね、母性巫女だもん」


コテン ゴロゴロ


幼女魔王N 「あーあ、寝返りうつたびにレベル」

幼女魔王N 「上がらないかなーっと」


ズンズン ゴロゴロ




幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「これは違う気がするわね」


ズズズズ


幼女魔王N 「……私の影が、波打ち始めた」

幼女魔王N 「これって……」


ズズズズ


美触手 「…………」

美触手 「クュルル」


幼女魔王N 「美触手!」

幼女魔王N 「出てこなかったと思ったら、勝手に出てきて!」


美触手 「…………」


ペロ ペロ


幼女魔王N 「あはは、くすぐったい」

幼女魔王N 「久しぶりね……」


ナデ ナデ


美触手 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ああ、そうか」




精霊の森(汚染)



キン キン キン

パリィン

ガシャン ガラガラガラ


幼女魔王N 「ふっ……空間など、触手の主たる私の前では無意味」

幼女魔王N 「よいしょ」


ピョン クイ


幼女魔王N 「きゃっ」

幼女魔王N 「スカートが割れた空間の尖った部分に引っかかった!」


ビリ


幼女魔王N 「スカートが破れた!」


ドタ


幼女魔王N 「こけた!」

幼女魔王N 「うわーん、母性巫女ーー!」


美触手 「…………」




幼女魔王N 「母性巫女。やっぱり、いない」

幼女魔王N 「……ヒック、グスン」

幼女魔王N 「何よ、何よ。平気だもん、慣れてるもん……」


美触手 「…………」


幼女魔王N 「……母性巫女がいないというか」

幼女魔王N 「死んだように、森が静かね……」

幼女魔王N 「変な霧の中で、私たちしか生きていないみたい」

幼女魔王N 「いったい、何が起きているの」




美触手 「…………」


幼女魔王N 「美触手、母性巫女のいる場所までの道をつくって」

幼女魔王N 「……て、知らないから無理よね」

幼女魔王N 「うーん……」


美触手 「…………」


幼女魔王N 「……そういえば」

幼女魔王N 「霧に紛れて、この森の別の場所に繋がる入り口が漂っているって」

幼女魔王N 「母性巫女が言っていたっけ」

幼女魔王N 「うまくいけば、母性巫女のもとまで行ける? ふむ…………」

幼女魔王N 「よし!」


美触手 「…………」


幼女魔王N 「慎重に行きましょう」

幼女魔王N 「臨戦態勢のラスボスの前に放り出されたら、たまったもんじゃないものね」


ザ ザ ザ

コケ


幼女魔王N 「ああっ、足が滑った!」


パキイ


幼女魔王N 「霧に紛れる何かに触れた!」


ウニョンウニョンウニョン


幼女魔王N 「何かワープっぽいのが始まった!」

幼女魔王N 「ちきしょう、巧妙な罠にはめられた!」


ニョンニョンニョン

バシュウウ




…………



精霊の森 聖域(汚染)



モヤ モヤ モヤ

ニョンニョンニョン

ドサ


幼女魔王N 「もぷっ!」

幼女魔王N 「いたたたた」

幼女魔王N 「……む、ここは」


モヤ モヤ モヤ


幼女魔王N 「深く、それでいてひらけた場所。静寂」

幼女魔王N 「……まずいわね」

幼女魔王N 「ボスの部屋の前という感じだわ」

幼女魔王N 「変なオブジェもあるし」

幼女魔王N 「……オブジェなのかしら、あれ……」


ウニョウニョウニョウニョ


幼女魔王N 「うごめいてる」

幼女魔王N 「……ああ、駄目よ。気にしては駄目」

幼女魔王N 「調べたらぜったい後悔する。そんな気配をびんびん感じる」


テク テク テク


幼女魔王N 「と、言いながら調べに行ってしまう」

幼女魔王N 「村人全員に話しかけないと安心できない私……」


テク テク テク




変なオブジェ?A~D 「ウニョウニョウニョウニョ」


幼女魔王N 「何なのかしら」

幼女魔王N 「磔台のように見えなくもない」


ザワワ


幼女魔王N 「あ、表面を覆っていた触手? ……が、割れていく」


変なオブジェ?B 「…………」

磔触手B 「…………」


泥魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「ぎゃっ」

幼女魔王N (気が狂ったような、しまりのない泣いているような笑っているような顔)

幼女魔王N 「……あれ、どっかで見たような」

幼女魔王N 「そうだわ。母性巫女の小屋に押しかけてきた、界駆の魔法少女」

幼女魔王N 「触手に捕まったのね……」




泥魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「この人、こんなに太っていたかしら。胸もこんなに……」

幼女魔王N 「って、ああ、触手とかミルクが詰まっているのね」

幼女魔王N 「そうよね。魔法少女なんて、触手の苗床として最高」

幼女魔王N 「……と、淫魔幼女なら言うところかしら」


泥魔法少女 「…………」


幼女魔王N 「ウヒヘヘって感じで白目を剥いて……あ、顔がかすかにひくついている」

幼女魔王N 「生きているのかしら」

幼女魔王N 「こんなになってまで。かわいそう……」


泥魔法少女 「…………」




幼女魔王N 「……母性巫女のところに押しかけてきた魔法少女は」

幼女魔王N 「えーっと……」

幼女魔王N 「五人だったわね」

幼女魔王N 「他のオブジェにもこんな風に魔法少女が埋め込まれているとして」


磔触手B

変なオブジェ?A・C・D


幼女魔王N 「ひとつ足りないわ……」

幼女魔王N 「あの人たちが揃って捕まっているというのは」

幼女魔王N 「考えすぎかしら」


美触手 「…………」




モヤ モヤ モヤ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ブルル……」

幼女魔王N 「深い霧の森って、やっぱり怖いわね」

幼女魔王N 「私のお城のある世界じゃ、霧なんて滅多になかったし」

幼女魔王N 「こんなんじゃ、夜は怖くて眠れな……あら、あれは」


壊れた魔王の日傘
触手姫の杖


幼女魔王N 「……なんか少し変わっているけど、間違いない」

幼女魔王N 「私の武器だわ」

幼女魔王N 「どうしてこんなところに……」




幼女魔王N 「……ん? 武器の落ちていたところに」


うさぎさんパンツ


幼女魔王N 「いつかなくしたと思っていた、私のパンツ」

幼女魔王N 「どうしてこんなところに……」


美触手 「…………」

美触手 「……!」

美触手 「クュル……」


幼女魔王N 「美触手?」

幼女魔王N (霧の向こうを、じっと見つめている……)

幼女魔王N 「向こうに、何かあるの?」


ザ ザ ザ ザ




聖域(汚染源)



ザ ザ ザ ザ

モヤ モヤ モヤ


幼女魔王N 「…………」


ザ ザ ザ コケ

ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「…………」


美触手 「…………」


モヤ モヤ モヤ

ウフフフ ウフフフフ……


幼女魔王N 「…………!」


ザ ザ ザ

モヤ モヤ モヤ

モヤ……


??? 『うふふふふ……うふふふふ』

毛玉触手 『ふふ……フフフフフ』


幼女魔王N 「…………」




毛玉触手 が 現れた


モヤ モヤ

ゴウン ゴウン


毛玉触手 『フフフ……ウフフフフ』


幼女魔王N 「……触手よね」

幼女魔王N 「宙に浮かぶ巨大な毛玉から、太い触手が絡まりあって……」

幼女魔王N 「根っこみたいに地面に突き刺さっている……」

幼女魔王N 「美触手みたいな、大物ということね」


美触手 「…………」


毛玉触手 『…………いらっしゃい』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『……あなた、どこかで会ったかしら』


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「うわああああああぁあぁあ!?」

幼女魔王N 「しゃべったああああぁぁぁぁあぁあ!?」




毛玉触手 『まあ、どちらでも良いわ』

毛玉触手 『いらっしゃ……』


幼女魔王N 「逃げる逃げる逃げる!」

幼女魔王N 「美触手、逃げ道つくって! 私、触手の主とか言ってみたけど……」

幼女魔王N 「こんなん無理! 契約も使役も絶対無理!」


美触手 「…………」


ヒュン ヒュン ヒュン

パキ ピシ


幼女魔王N 「頑張って! 早く離脱、離脱……!」


毛玉触手 『そんなに怯えないで』

毛玉触手 『幸せにしてあげるから』

毛玉触手 『ほら……』


ミチュ グジュル グジュル


幼女魔王N 「ぎゃあああ!?」

幼女魔王N 「毛玉の下で絡まりあっていた触手が割れていく! 怖い!」

幼女魔王N 「と言いつつ肩越しに目を離せない私!」


グジュル ウネウネ

ヴァカ


磔触手E 「グジュル グジュル グジュル」


??? 「…………」

母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女」

幼女魔王N 「そんなところにいたの」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N (泥魔法少女が埋め込まれていた磔台みたいなものに、同じように捕まってる)

幼女魔王N (腕輪を残して、裸で)

幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」


毛玉触手 『失神しているだけよ』


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「母性巫女に何を」

幼女魔王N 「した……ので、ございましょうか」


毛玉触手 『やっと素直になったから』

毛玉触手 『たくさん気持ちよくしてあげたの』


幼女魔王N 「……!」


毛玉触手 『いっぱいイカせて、失神したら、もっと気持ちよくして起こして』

毛玉触手 『それを繰り返したら、何も反応しなくなっちゃった』


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」


毛玉触手 『大丈夫。生きているわ』

毛玉触手 『これから、もしかしたら殺すところ』


グニュル グニュル


毛玉触手(腕)たち 「…………」


ユラ ユラ


幼女魔王N 「ひっ……」

幼女魔王N (いつの間にか囲まれてる……)




幼女魔王N 「美、美触……うわっ」


ギュルル グルン


幼女魔王N (……あっさり捕まった)

幼女魔王N (しかも逆さ吊り。スパッツはいてて良かった……)


毛玉触手 『少ないお客さまだもの』

毛玉触手 『特等席で見せてあげる』


幼女魔王N 「……!」


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『……このお姉ちゃん』

毛玉触手 『最初は悲壮な顔で、自分をどうしても良いから、森の霧をとめろと言っていたの』

毛玉触手 『でも、そんなのは全部、嘘』

毛玉触手 『私が原液とマッサージでほぐしてあげたら』

毛玉触手 『森の霧なんてどうでも良いから、気持ちよくしてって』

毛玉触手 『おっぱいを突き出しながら、ヨダレだらだら垂らして懇願するようになったわ』


幼女魔王N 「……う、嘘」


(じつはそんなに続けて書いてないから……)



毛玉触手 『すごかったわよ』

毛玉触手 『落ち着いたお姉ちゃんぶっていたのが』

毛玉触手 『余裕なくして、アヘアヘの笑顔で獣みたいな声を張り上げてイキまくって』

毛玉触手 『おっぱいイク、先っぽクニクニ気持ちいいッて、バカみたいに叫んで』


幼女魔王N 「……ふ、ふざけ……!」


毛玉触手 『…………』


幼女魔王N 「なさんなよ……あんた……さま」


毛玉触手 『ウフフフフ……フヒヒヒ』

毛玉触手 『お姉ちゃんとの交尾を見せてあげようと思ったけど』

毛玉触手 『先にあなたにしてあげようかしら』


幼女魔王N 「ひっ……」


ニュルルル シュルル


幼女魔王N 「い、いや、服の中……」


ニュルン


幼女魔王N 「きゃうんっ!?」

幼女魔王N 「そ、そこ、おへそぉ……」


シュルルル

ニュルン


幼女魔王N 「はにゅぅん……ッ!?」

幼女魔王N 「服の中……先っぽ、ヌルヌルでくすぐっちゃだめぇ……!」




毛玉触手 『ウフフフ。いやらしい女の子』

毛玉触手 『二つの先っぽ、もうこんなに張り詰めて……』

毛玉触手 『そおれ』


コリュコリュコリュ


幼女魔王N 「はふうぅ……!」

幼女魔王N 「はにゃ、ふきゅうぅ……」


グタ


毛玉触手 『あら、ぐったりしちゃった』

毛玉触手 『ウフフフフ……すごく敏感。ちょっといじめられただけで、こんなに可愛い顔でうっとりして』


ニュルル ナデ ナデ


幼女魔王N 「ふにゃあ」


毛玉触手 『ウフフ……それ』


ピコ


幼女魔王N 「ひぃんっ」


チロ チロ ニュリュ ピコ


幼女魔王N 「はわわ……やめ、はぅうん……やめてえ……」


毛玉触手 『ウフフフフフ』

毛玉触手 『原液すりこんだら、どうなるか楽しみ』


ニュルル




ニュルルルル


幼女魔王N (駄目なのに……触手で身動きとれなくされて)

幼女魔王N (いじめられるのが、こんなに気持ちいいなんて……)

幼女魔王N 「あはああ……わらひ、らめへぇ、許ひへえ……」


毛玉触手 『ウフフフフ。いじめるとどんどん可愛くなるのね』

毛玉触手 『でも、やっぱりあなたはあとで』





幼女魔王N 「はぅ」

幼女魔王N 「…………ぁ」

幼女魔王N (…………あ)

幼女魔王N (危なかった。何とか持ちこたえたようね、私)

幼女魔王N (ナイス私)

幼女魔王N 「まずは、引き分けといったところね……」


毛玉触手 『?』





幼女魔王N 「今の攻防で、私の手ごわさの片鱗は分かっていただけたと思うわ」


毛玉触手 『防はどこにあったの』


幼女魔王N 「私たちを解放なさい」

幼女魔王N 「でなければ、あなたも無事ではすまない」


毛玉触手 『……そろそろ、お姉ちゃんを起こしましょう』


ニュルルル


母性巫女 「………ッ」


ビクン


幼女魔王N 「……あ、あの、ちょっと?」

幼女魔王N 「聞いてる……ますか?」


毛玉触手 『ウフフフフ……まずは耳のを抜いて……』


幼女魔王N 「ど、どんなことをしても無駄なの!」

幼女魔王N 「解放して!」

幼女魔王N 「私たちは、エッチなことなんかに屈さな……」

幼女魔王N 「あひぃん!?」


ブラシ触手 「…………」


ニュルル

サワサワサワサワ


幼女魔王N 「ちょ、どこから、やめ……スパッツ入ってこないで……あふぅッ」

幼女魔王N 「そんな細いのいっぱいでお尻サワサワしたって無……いやあん!」


ピクン ヒクヒクヒク


幼女魔王N 「ふにゅ……も、許して」

幼女魔王N 「Nのお尻いじめないで……お尻、いじめ……」

幼女魔王N 「いじめて、くださあい……!」


クイ フリ フリ




毛玉触手 『ウフフフフ……』

毛玉触手 『休めたでしょ。起きて、お姉ちゃん』


ペチ ペチ ヌルル


母性巫女 「………ッ」

母性巫女 「………ぅう」


幼女魔王N 「……母性巫女」

幼女魔王N 「母性巫女!」


母性巫女 「…………母性、巫女……私……」


毛玉触手 『お姉ちゃん、お客さん』

毛玉触手 『お姉ちゃんの交尾を観に来てくれたんだよ』


母性巫女 「……交尾………」

母性巫女 「は……ぁあ……ッ」


ゾクゾク キュウン


幼女魔王N 「ぼ、母性巫女……?」




毛玉触手 『交尾したくてたまらないんだよね、お姉ちゃん』


ニュルルルル


母性巫女 「あ……ぁ、ぁ……あっ……」


毛玉触手 『グジュグジュで切ないアソコから』

毛玉触手 『霧の原液たっぷりの触手をズップリつっこまれて』


母性巫女 「……ッ、ハァ……ぁ、アハ……ハ……ッッ」


毛玉触手 『奥の奥まで征服されて、お腹の裏側、ゴリュゴリュって乱暴に蹂躙されて』

毛玉触手 『熱いミルクを中にドパドパ出されて、メチャクチャにされたいのよね』


母性巫女 「ぅ、くふ……ふぅう……ん……はぅ!」


モジ モジ

ビク ガク ガク


毛玉触手 『想像してたまらなくなっちゃったの?』

毛玉触手 『でも、そうだよね。エッチなお姉ちゃんは早く味わいたいもんね』

毛玉触手 『こうやっておっぱいで気持ちよくなるより、何倍も良いものだもんね』


毛玉触手(腕) 「…………」


グパ

ムニュ ギュウウウ


母性巫女 「!!」

母性巫女 「ッッ! ~~~ッッ」


ガクン ビク ビク ビク


毛玉触手 『塗りこみすぎちゃったかしら』

毛玉触手 『先っぽに触れなくても、首をさらして全身突っ張って、痙攣イキしちゃうんだもの』


幼女魔王N 「そんな、母性巫女……」



※淫魔幼女のモンスターメモ


■磔触手(母性巫女)
http://i.imgur.com/M1dDIA6.png

主に暗いダンジョンに生息(?)する、嫌がらせ系のモンスター。
いったん捕まると、脱出するのは難しい。
他の魔物に、獲物を捕えたり保管するために利用されることが多い。
育ってきた環境によって身につく能力が違う。
???「焼くより茹でた方がうまい」



18歳以上の魔物以外
閲覧注意



ギュウウウ


毛玉触手(腕) 「…………」


パッ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「ぷはァッ!」

母性巫女 「カヒューッ、コヒュッ、コヒューッ……」


ビクビク ガクガク 


毛玉触手 『だらしないわね、お姉ちゃん』

毛玉触手 『お客さんもいるのに、一人だけ』

毛玉触手 『のんびり絶頂の余韻にひたってちゃ駄目じゃない』


ペチン


母性巫女 「きゃふっ」

母性巫女 「ぉ……お尻、叩かないで、くださ……」


毛玉触手 『なに言っているの』

毛玉触手 『エッチなことしか頭にない人間失格のメスブタお姉ちゃんは』

毛玉触手 『しつけてあげなきゃいけないのよ』


バチン ベチン


母性巫女 「ッッ! はひィっ! ……くひんッ!」


毛玉触手 『生意気に口ごたえしたから、強く叩くからね』


バチン ベチン

ブルル プルン


母性巫女 「ひにゅっ……ふひぃッ!」

母性巫女 「だ……駄目、だめ…ぇえ……ッッ」


バシィン


母性巫女 「!!!」

母性巫女 「~~~~ッッ!!」


ビクン カク ガクガクガク……





毛玉触手 『……あら』


母性巫女 「……ッ。……あふ……ぁ……」


毛玉触手 『お姉ちゃん、イッちゃったの?』


母性巫女 「ぁ……ぁは、あ……」


トロン

ピク ピク


幼女魔王N 「母性巫女……」

幼女魔王N (いつも優しくて包み込んでくれるようなのに)

幼女魔王N (いまは全部をゆだねたような蕩けた顔。私のことも見えてないみたい……)


母性巫女 「ぁ……はへ……」


毛玉触手 『うふふふ……脳みそトロトロって顔してる』

毛玉触手 『おしおきで気持ちよくなるなんて、本当にだめなお姉ちゃん』

毛玉触手 『もう触っただけでイクんじゃないの?』


ススス ピト


母性巫女 「ッッッ!」


ゾクゾクゾク


母性巫女 「ぁあッッ……ッ……ぁ、ぁおぉ゛……ッ!」

母性巫女 「そんっ、な……ぁ、ぉお……ぉほッ……ぉおお゛……!」


ガクン ピク ピクン


毛玉触手 『あはははぁ……! お腹触っただけで本当にイッちゃった』

毛玉触手 『もう全身性器になっちゃったのね、お姉ちゃん』

毛玉触手 『救いようのない変態ね』




幼女魔王N 「…………び、美」

幼女魔王N 「美ひょ……触、手……」

幼女魔王N (こ、怖くて声が震える……)


美触手 「…………」


幼女魔王N 「お、お願い、母性巫女を……」


グジュルル


幼女魔王N 「たす……むぶッ!?」


毛玉触手(腕) 「ニチュニチュ」


幼女魔王N (口に触手を突っ込まれた……!)

幼女魔王N 「ん゛ーっ、んん゛ーーー!!」


毛玉触手 『変なことしたら、さっきよりひどいことするからね』


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「……ん゛……」


ズルル ニュポン


幼女魔王N 「ぷほぇッッ」

幼女魔王N 「ゲホ、ゲホッ……」

幼女魔王N (母性巫女、助けなきゃ……美触手にお願いして……)

幼女魔王N 「……………ッ。……ッ」

幼女魔王N (……こわい。逆らったらひどいことされる……でも、た、助けなきゃ……)

幼女魔王N (そ、そうよ、私は触手を使う魔王。この触手ともなんとか契約……)


毛玉触手 「…………」


幼女魔王N (……こわい。こわい……殺される)

幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『うふふふ……はい、言うことちゃんときけて、良い子ね』


幼女魔王N 「…………ッ」




幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『さあ、お姉ちゃん』


ニュルル


母性巫女 「…………ッ」


毛玉触手 『交尾の時間よ』


母性巫女 「……ッッ……ぁ、は……」


ゾク ゾク


毛玉触手 『うふふふ……たまらないって顔ね。上手におねだりできたらやってあげる』

毛玉触手 『でも、その前に』

毛玉触手 『せっかくお客さんがいるんだから……』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『ちゃんと自己紹介しなきゃね』


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『小さい子にも分かるように、気持ちいいってどんなことか説明しながら……』


母性巫女 「………ッ」


毛玉触手 『できないと、交尾おねだりもさせてあげない』


母性巫女 「……ッ……ぁ」

母性巫女 「ぁ……わ、私……は……」



幼女魔王N 「……ひゃ」

幼女魔王N 「やめなひゃあい!!!」




毛玉触手 『…………』


幼女魔王N 「……い、いますぐ、母性巫女を……グス……は」

幼女魔王N 「はなしなさい!」

幼女魔王N 「じゃないと、ゆ、許さないんだから……!」


毛玉触手 『……うふふふふ、震えてる。強がっちゃって、可愛い』

毛玉触手 『でも駄目じゃない。いまはあなたと遊ぶ時間じゃないって言ってるのに』


幼女魔王N 「……こ、こちとら」

幼女魔王N 「遊びでやってんじゃねえのよね!!」


キイィ


毛玉触手 『…………!』





幼女魔王N 「……わ、私だって魔王なんだから」

幼女魔王N 「触手ある生き物を駆って世界を渡る、魔王なんだから」

幼女魔王N 「あなたも触手なら、私の言うことをききなさい!」


毛玉触手 『…………』


幼女魔王N 「いけ、美触……」


ズドン


幼女魔王N 「げえ゛ッッ!?」

幼女魔王N (……お、お腹、串刺しにされた……!?)

幼女魔王N 「ぞ、ぞぎゅ……が……ゴポ」


毛玉触手 『あーあ、ちょっと叩くつもりが、貫通しちゃった』

毛玉触手 『これじゃ遊べないわね。残念』


ギュルルル

ビチャ ブチャ


幼女魔王N 「ぴきぃいい!?」

幼女魔王N (お腹、貫通した触手が進んで……!)

幼女魔王N 「い゛だ……いだいいだいいだいいだい゛ぃ゛い゛!」

幼女魔王N 「お腹、わだじのおな゛がぁ゛ああ゛ッッ、めぎゅ、めぎゅれ゛る゛ぅぅうう゛う゛う!!」

幼女魔王N 「ぎゃががっ、ぎぎゅッッ……ぼひぇ、巫ご、ぉおおぉおぉお゛……!」


ギュルルルルル

メギュ バキョ


幼女魔王N 「ッ!!」


毛玉触手 『ふひひひ……顔面、串刺ししちゃったぁ』


幼女魔王N 「…………」


ビクン ビクン




美触手 「…………」


幼女魔王N 「…………」


ドクドク

ビシャ バチャ バチャ


母性巫女 「…………」


毛玉触手 『うふふふ……うふふふふ』

毛玉触手 『さあ、お姉ちゃん。お客さんいなくなっちゃったけど』

毛玉触手 『続けましょうか……』


母性巫女 「…………」

母性巫女 「………N」


毛玉触手 『お姉ちゃん?』


母性巫女 「……N。N」

母性巫女 「ああ、こぼれちゃう……集めなきゃ……私のN……」


毛玉触手 「…………」


ニュルル ズチュ


母性巫女 「きに゛ゅッ!? ……み、耳、ぃ……!?」


毛玉触手 『…………』


グチュグチュグチュ


母性巫女 「くきゅぅうううッッ!?」

母性巫女 「か……かきまわひひゃ……駄目……ッッ!!」

母性巫女 「脳みひょ……こわっ……壊れれ゛……」


毛玉触手 『なにを言っているの』

毛玉触手 『ここに来たときに、もう壊れていたくせに』




毛玉触手 『中途半端だったから、心も体も私がちゃんと壊してあげるってのに』

毛玉触手 『妙なところで踏ん張っちゃって』

毛玉触手 『馬鹿みたい』


グチュグチュグチュグチュ

ブピュルルルル ピュルルル


母性巫女 「はがっ……!!」

母性巫女 「ま……た、頭の中……出しひぇ……」


ドロ トロロロ


毛玉触手 『うふふふ……耳から出した原液が、鼻と口から溢れてきちゃったわね』


母性巫女 「……はへ……ぇへ」

母性巫女 「ふひぇへへへへへへ……」

母性巫女 「えへええ、んひっ……ひへぇへへへへ……!」


毛玉触手 『やりすぎちゃったかしら。顔の筋肉がもうめちゃくちゃに動いてる』

毛玉触手 『壊すと言っても、話せる程度に調節するつもりだったけれど』




毛玉触手 『ほら、自己紹介して。お姉ちゃん』


グチュ


母性巫女 「ふきぃっ……」

母性巫女 「……わ、わひゃ……私は……」


毛玉触手 『良かった。話せるわね』


母性巫女 「母性巫女……です」


毛玉触手 『ただの母性巫女じゃないでしょ。ちゃんと教えたのに』


クチュ


母性巫女 「んっひ……! ……は、はぃ、ごめ、ごめんなさい゛」

母性巫女 「毛玉……触手さま、の……交尾奴隷として、飼っていただいている……」

母性巫女 「変態卵袋の……母性、巫女ですぅ……!」


プシ トロロロ トクトク


毛玉触手 『うわぁ……自分のいやらしい言葉でアソコをビチャビチャにしてる』

毛玉触手 『お姉ちゃんって本当に変態なのね』


母性巫女 「あ、はぁあ……!」


ゾク ゾクン




毛玉触手 『どのくらい変態なの?』


母性巫女 「……ぁ、う」

母性巫女 「む……胸、お、おっぱいを」


毛玉触手 『ただの?』


母性巫女 「お、おっぱい……はしたない、ぶくぶく太った下品なおっぱい」

母性巫女 「ぎゅーって掴まれただけて……体中の表面がゾワゾワして、キュンキュンして」

母性巫女 「脳みそがアクメ電気で痺れて……いっぱいイッてしまいます……ッ」


毛玉触手 『違うでしょう?』


サワサワ ツツツ


母性巫女 「はひゅぅううう!?」

母性巫女 「さ、さわられただけっ!」

母性巫女 「体のどこでもさわられただけで、イッてしまう変態女です……ッ」


毛玉触手 『うふふふ……まあまあね……』

毛玉触手 『じゃあ、交尾したい?』


母性巫女 「………は」

母性巫女 「はい……!」


毛玉触手 『……くふふふふ』




毛玉触手 『じゃあ、おねだりしてみせて』


母性巫女 「こ、交尾……私と交尾、してください……!」


毛玉触手 『どういうふうに?』


母性巫女 「わ……私の、アソコに、毛玉触手さまの……」

母性巫女 「たくましい触手を出し入れして……」

母性巫女 「私のアソコ、子宮の奥までゴリュゴリュ削ってください!」


毛玉触手 『私の、あなたの腕より太いよこもあるから、お腹、ボコンボコンってなっちゃうわよ?』


母性巫女 「イイですっ……お腹めちゃくちゃにして……」

母性巫女 「毛玉触手さまの、せ、精液を、たっぷり出してください……ッ」


毛玉触手 『卵もたくさん出すわ。お腹、破れちゃうかも』


母性巫女 「くださいっ……卵もくださいっ」

母性巫女 「お腹やぶれても良いから、交尾してください……ッ」


毛玉触手 『お尻にも挿れるわ。口まで貫通したら、またお尻に入れるの』


母性巫女 「はいっ……」


毛玉触手 『おっぱいにも挿れたいなあ』


母性巫女 「挿れてくださいッ……母性巫女の全部の穴を使ってください……ッ」

母性巫女 「だから交尾……交尾ぃ……ッッ!」


プシュ ブシュ


毛玉触手 『……うふふふふ、うふふふふ!』

毛玉触手 『本当に、みっともない。処女のくせに交尾狂いの、臭くて汚い変態便器だわ』

毛玉触手 『でもおねだりできたから、交尾してあげる』

毛玉触手 『あなたがおねだりしたこと、みんなやってあげる……!』


ズ ズ ズ ズ


母性巫女 「……ぁ、あは……あは、ぁ……!!」


グネ グネ ニュヂュル

ニュルルル ジュプ……

ズプンッ


…………




幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………ッ」


ビクン


毛玉触手 「……?」


幼女魔王N 「……ッ……ッ」


カチャ カチャ パキン

シュウウウ


幼女魔王N の 血の呪い! 
幼女魔王N に 刻まれた 力の記憶がよみがえる…… 


シュウウウ

ボロロ ボロロロ


毛玉触手 『………!』

毛玉触手 『私の腕が、崩れる……』 





幼女魔王N 「…………」


カチャカチャ パキン


幼女魔王N の 血の呪い!
幼女魔王Nの魂と肉体 が 再生していく……


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………ッ」


シュウウウ ガチャン

幼女魔王N の 復活!
HP が 全回復した!
全状態異常 が 回復した!
幼女魔王Nの全ステータス が 激減した! 
幼女魔王Nの婚期 が すごく延びた!


幼女魔王N 「おふぇ!」

幼女魔王N 「げっほ、げほっ……!」

幼女魔王N 「な、なにが起きたの……」





幼女魔王N 「ケホッ……え、ええと」

幼女魔王N 「母性巫女を探して……見つけて」

幼女魔王N 「捕まって、お腹ぶち抜かれて……」


毛玉触手 「…………」


幼女魔王N 「ぬふぉへっ!?」

幼女魔王N 「なんて大きな触手つき毛玉……」


毛玉触手 『生き返った……』

毛玉触手 『……死んでなかっただけ?』


幼女魔王N 「…………い」

幼女魔王N 「いやあああああーー!?」

幼女魔王N 「しゃべった! 触手がしゃべったぁああ!?」





幼女魔王N 「……ん?」


母性巫女 「……はへっ……交尾、交尾ぃ……」


幼女魔王N 「ぼ、母性巫女……」

幼女魔王N (……そうよ、母性巫女)

幼女魔王N (はやく母性巫女を助けなきゃ)

幼女魔王N (母性巫女、母性巫女、母性巫女!)

幼女魔王N 「行け、美触手!!」


美触手 「キュロロロ……!」


ヒュン ヒュン

ズパッ


毛玉触手 『……! なぜ、体が、重い……!』


幼女魔王N 「やった、触手が切れた!」

幼女魔王N 「よおし、私も魔法で追い打ちを……」


毛玉触手 『こ、この……』


ブォン

ブチ


幼女魔王N 「ぎゃっ……!」

幼女魔王Nの生首 「…………」


ボト


美触手 「…………!」


ヒュン ヒュン

ズパン ズパン


毛玉触手 『……と、とまらないの?』

毛玉触手 『今まで石像みたいに動かなかったくせに……!』


幼女魔王Nの生首 「…………」

幼女魔王Nの生首 (いたい母性巫女いたいいたい母性巫女)

幼女魔王Nの生首 (母性巫女、母性巫女、母性巫女!)


カチャ カチャ ガチャン

幼女魔王N の 復活!
幼女魔王Nのスキル「料理」 が レベル激減した!
幼女魔王Nの婚期 がものすごく遅れた!




美触手 「キュロロ!」


ヒュン ヒュン


幼女魔王Nの生首 「……母性巫女」

幼女魔王N 「母性巫女ぉお!」


ダ ダ ダ ダ


毛玉触手 『………!』


ブォン グシャ


幼女魔王N 「うがっ」

幼女魔王N (両脚が吹っ飛んだ!?)


毛玉触手(腕) 「…………」


ブォン ズドン


幼女魔王N 「げふーっ」

幼女魔王N (うつぶせで背中、串刺しにされた!)


毛玉触手 『殺さなくても、このまま地面に縫いとめてしまえば……!』


幼女魔王N (虫の標本みたいに、動けない……!)

幼女魔王N 「ぼ、母性巫女、ぼぜいみ゛っ……」


ブチ ズ ズ ズ


毛玉触手 『体を千切りながら……っ。それなら、もう一本……!』


幼女魔王N 「ゲポッ……美じょくじゅ!!」


美触手 「キュロロロ!」


ヒュン ズパン


幼女魔王N 「ぎゃっ」

幼女魔王Nの生首 「……くひっ、くひひひひ!」


毛玉触手 『自分から首を……!』


幼女魔王Nの生首 「母性巫女を助けられるんなら、死ぬ痛みなんてどうでも良いわ!」

幼女魔王Nの生首 「ノーリスク、ハイリターンよ!」


カチャ カチャ ガチャン

幼女魔王N の 復活!
幼女魔王Nの胸の将来性 が 絶望的になった!
幼女魔王Nの婚期 が 果てしなく遅れた!



幼女魔王Nの生首 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ!」


毛玉触手 『し、しまった、懐に……!』


キュイン

ポシュ ヘロ ヘロ 


幼女魔王N の 火魔法!
磔触手E に 1 のダメージ!


美触手 「キュロロロ」


ヒュン ヒュン ヒュン


美触手 の 触葬乱舞!
こうか は ばつぐんだ!
磔触手E に 6200 のダメージ!
磔触手E に 5700 のダメージ!


磔触手E 「ブジュル……」


バチャン


幼女魔王N 「やった、倒した!」

幼女魔王N 「私の魔法で!」





ドサ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」

幼女魔王N 「しっかりして、母性巫女!」


毛玉触手 『よくも……!』


ギュルルル ギュルル


幼女魔王N 「母性巫……うわっ」

幼女魔王N (母性巫女ごと触手に捕まった……)


毛玉触手 『死んでもよみがえるなら、何度も出産死にさせてやる!』


幼女魔王N 「美触手……!」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………ッ」


ヒュン ヒュン

メラ メラ ゴオオオ


毛玉触手 『!』


幼女魔王N 「母性巫女……」

幼女魔王N (壊れかけの腕輪から、たくさんの炎の紐を伸ばしている……)


毛玉触手 『そんな……お姉ちゃん!』

毛玉触手 『もう戦う力なんて……!』


母性巫女 「……この、霧を……」

母性巫女 「止め、て……ください……!」


ヒュン ヒュン


毛玉触手 「…………!!」


ヒュン ヒュン ヒュン

メラメラ メラメラ

ゴオオオ



…………



…………


精霊の森 聖域



パチ パチ

メラ メラ


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『……うふふふ、うふふ』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 『……幼女魔王、ちゃん』

毛玉触手 『……連れ、て、いって……私……一緒……』

毛玉触手 『外の……世界……幼……ちゃん……』


幼女魔王N 「…………」


毛玉触手 「…………」


幼女魔王N 「………か」


ザ


??? 「おいこら」

淫魔幼女 「何をボーッとしている」


幼女魔王N 「ひょえっ!?」




淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「いいいい、淫魔幼女!」

幼女魔王N (殺される!)

幼女魔王N 「美触手!」


美触手 「キュロロ」


ヒュン ヒュン


淫魔幼女 「…………」


ゾルゾルゾル


淫魔幼女 の 外套こうげき!
美触手 に 2300 のダメージ!


美触手 「……!!」


ズズズズ


幼女魔王N 「ああっ、美触手!」


淫魔幼女 「余計な体力を使わせるな……」


ヨロ ヨロ


幼女魔王N (淫魔幼女、弱ってる……?)

幼女魔王N 「……くらえ大魔法、炎獄滅殺火球!」


キュイン ポシュ ヘロヘロ

幼女魔王N の 火魔法!
淫魔幼女 に 0 のダメージ!


淫魔幼女 「…………」


ボガッ


淫魔幼女 の 幼女パンチこうげき!
幼女魔王N に 120 のダメージ!


幼女魔王N 「素手ッ!?」




幼女魔王N (何という重い拳であろうか)

幼女魔王N (7000ダメージはかたいわね。私でなければやられていた……)


淫魔幼女 「……はやくその毛玉触手と契約しろ、駄ピンクまな板」


幼女魔王N 「……契約」

幼女魔王N 「駄ピ……何だって?」


淫魔幼女 「ある世界では神格化されるほど強力な触手系の魔物だ」

淫魔幼女 「本来、貴様程度では使役できないレベルだが」

淫魔幼女 「触手に限りレベル差関係なく契約できる、貴様の力を使えば可能だろう」


幼女魔王N 「う、うん……」


淫魔幼女 「美触手級の戦力となるだろう」

淫魔幼女 「……契約のしかたを忘れたわけじゃないだろうな」


幼女魔王N 「お、おぼえているわよ。私の存在意義そのものよ」

幼女魔王N 「えーっと、触手ンボール。触手ンボールはどこだったかしら」

幼女魔王N 「スカートの中だっけ……」


ガサゴソ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「貴様……!!!」


ユラユラ ワナワナ


幼女魔王N (淫魔幼女のツインテ-ルが炎のように怒髪天……!)

幼女魔王N 「じょじょ、冗談よ。冗談だってば」




フィヨフィヨフィヨ

キュイイイ ピロリン


毛玉触手 が しもべになった!
毛玉触手のHP が全回復した! 


毛玉触手 「…………」


フヨ フヨ


幼女魔王N 「……これで良し」

幼女魔王N (でも、複雑な気分だわ。母性巫女にあんなことしたし……)


淫魔幼女 「強さを確認しておくか」


淫魔幼女 は アクセサリレベル5 を装備した!


淫魔幼女 「どれどれ……」


■毛玉触手
 種族 :触手
 職業 :魔王のしもべ
 レベル:0180
 そうび:妖精殺しの腕
 わざ・とくしゅ :毒霧、妖精特攻、女性特攻、浮遊、指揮


淫魔幼女 「ふむ……まあまあか」

淫魔幼女 「弱体化はしかたあるまい」


幼女魔王N 「え、弱くなってるの?」


淫魔幼女 「というか、姫……もとの召喚者のレベルが高すぎたのだ」

淫魔幼女 「主によって、強さも多少は左右される。召喚系はそういうものだ」


幼女魔王N 「ふうん」

幼女魔王N 「もとの召喚者?」


淫魔幼女 「……お前には関係ない」





淫魔幼女 「ちなみに、貴様のしもべになる前のレベルは」

淫魔幼女 「2000強だ」


幼女魔王N 「ふむ。今より20ほど高かったというところね」

幼女魔王N 「どっちの強さも確認してないけど」


淫魔幼女 「…………」


グシャ


幼女魔王N 「ああっ、どうしてアクセサリを壊したのよ!」

幼女魔王N 「私も見せてもらおうと思ったのに!」


淫魔幼女 「……あそこで横になっているあの女は?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あ、うん」

幼女魔王N 「毛玉触手を倒したあと、倒れちゃって」

幼女魔王N 「美触手に頼んで、平らな木陰に運んでもらったの」




ザワワ サワサワサワ

ザ ザ ザ


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


キュイイイ キュロリン


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「よっぽど疲れたのね」

幼女魔王N 「回復魔法をかけても、眠ったまま」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「……で」

幼女魔王N 「どうしてあなたは、そんな離れたところに立っているの?」


淫魔幼女 「気にするな」




母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「人間の女が」

淫魔幼女 「淫魔の結界をはじめ、女性を無力化する罠をくぐりぬけ」

淫魔幼女 「天敵とも言える触手系……しかも上級のものを倒すとはな」


幼女魔王N 「ふん、だ。母性巫女はすごい女の子(?)なんだから。英雄なんだから」

幼女魔王N 「女の子を奴隷にして売り買いするようなあなたには、意外でしょうよ」


淫魔幼女 「……言っておくが、おれは女を尊敬している」

淫魔幼女 「奴隷として売り買いするのも」

淫魔幼女 「女の方が、男よりも優れた奴隷になると思うからだ」


幼女魔王N 「何よ、それ……」


淫魔幼女 「分からなくてかまわない。同じ種族でも、価値観は大きく違う」

淫魔幼女 「種族が違えば、なおさらだ」

淫魔幼女 「世界の理は過不足なく無情で」

淫魔幼女 「ただそれぞれの色眼鏡をかけた者たちが、そこにいるだけだ」




幼女魔王N 「……ねえ」


淫魔幼女 「黙れ」


幼女魔王N 「………はい」


淫魔幼女 「冗談だ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ねえ」

幼女魔王N 「私って、何なの」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「今回のことで思い出したんだけれど」

幼女魔王N 「私、これまで何度も死んでいるわよね」

幼女魔王N 「さっきも、可憐少女ちゃんのときも、あなたが私の頭に……」


淫魔幼女 「町で偶然聞いたシャワー療法というものを実践し」

淫魔幼女 「たまたましもべにいたシャワー触手を胸や股間に猿のように当てまくりトロ顔で壊れたところを」

淫魔幼女 「見かねた美触手に殺されたり」

淫魔幼女 「すごく楽しいと聞いたデビルキュウリ遊びを実践しようとして」

淫魔幼女 「間違えて尻の方にデビルキュウリを突っ込んで死んだり」

淫魔幼女 「うつぶせで爆睡し枕で窒息死したこともあったな」


幼女魔王N 「冗談は良いから」


淫魔幼女 「…………」





淫魔幼女 「……貴様の血には、貴様自身の紋章を通して多くの呪いが込められている」

淫魔幼女 「その一つが、不滅」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「完全に死ぬことはできるが、後に復活するという呪い」


幼女魔王N 「……無敵ということ?」

幼女魔王N 「ちょっとちょっと、大丈夫なの。私ったら一気に最強じゃない」


淫魔幼女 「うかれるな。ステータスはスライム以下だ」

淫魔幼女 「想像してみろ。何度踏み潰しても元通りになるトマト大福があったとして」

淫魔幼女 「何か困るか?」


幼女魔王N 「特には……」


淫魔幼女 「……魔王の肩書きと、何度死んでも蘇る体を持ち、しかも弱いなど」

淫魔幼女 「他勢力の魔王などからすれば恰好の標的だ」

淫魔幼女 「永遠に繋がれて致死級の実験を繰り返し施されたり」

淫魔幼女 「小山ほどある魔物を生み続けさせられたり……」

淫魔幼女 「その呪いのせいで、かえって危険な目に合う可能性もある」


幼女魔王N 「ぐっ……」




淫魔幼女 「……貴様の世界は辺境にあり、何重もの結界で守られ」

淫魔幼女 「他の勢力からは見つかりにくいようになっている」

淫魔幼女 「しかし、過去、たまたま貴様の存在を知り」

淫魔幼女 「貴様を無理やり花嫁にしようとした魔王の勢力がなかったわけでもない」


幼女魔王N 「えっ」


キュンッ


淫魔幼女 「ときめくな、ピンクスイーツ」

淫魔幼女 「貴様の体目当てのろくでもない連中だ」


幼女魔王N 「私の肢体が必要とされている……!?」


ジュンッ


淫魔幼女 「駄目だこいつ」

淫魔幼女 「……まあ、奴らはことごとく謎の何かによって謎の壊滅をとげてしまったが」


幼女魔王N 「そ、そう……」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「血の呪いには厄介なものも多い」

淫魔幼女 「復活など自動で発動するもの以外、貴様では制御もできないだろうし」

淫魔幼女 「ランダムで何か良い効果が出るのを期待するくらいしかないだろう」


幼女魔王N 「そう……」

幼女魔王N 「私の血の呪いとやらは、魔王になったから身についたの?」


淫魔幼女 「違う」

淫魔幼女 「血の呪いは、貴様が生まれる前から貴様が持っていたものだ」

淫魔幼女 「触手を操る力とともに」


幼女魔王N 「生まれる前から?」


淫魔幼女 「……お前……貴様が思い出せる最も古い記憶」

淫魔幼女 「それが貴様の生まれたときだ」


幼女魔王N (古い記憶……)

幼女魔王N 「私、あなたに連れられていろんな世界を旅をしている頃しか」

幼女魔王N 「思い出せないわ」


淫魔幼女 「……だったら、そういうことだ」




幼女魔王N 「待ってよ」

幼女魔王N 「そんなのおかしいわよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「だって、そのときもう私、クールな乙女だったわよ」


淫魔幼女 「お前は馬鹿な幼女だが」


幼女魔王N 「パパは、ママは!?」


淫魔幼女 「いない」

淫魔幼女 「お前にそんなものいない」


幼女魔王N 「……!」


淫魔幼女 「お前には、お前が知る過去以外の過去なんてない」




淫魔幼女 「……もうない」

淫魔幼女 「もう、姫は戻ってこない」

淫魔幼女 「戻ってこさせない」


幼女魔王N 「淫魔幼女……?」


淫魔幼女 「……過去がなくても生きていける」

淫魔幼女 「理由がなくても、生きていける」

淫魔幼女 「お前は馬鹿で臆病だが、お前はお前だ」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「びくびくするな。おどおどするな」

淫魔幼女 「しっかりしろ。しっかりやれ」

淫魔幼女 「……とは言わん」

淫魔幼女 「ただ、お前だけはお前を手放すな」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「たとえ貴様が、馬鹿でマヌケで臆病でピンク髪で貧乳で」

淫魔幼女 「マゾで貧弱でぶははははははは」


幼女魔王N 「ちょっとはこらえなさいよ!」




淫魔幼女 「……幼女魔王」


幼女魔王N 「……何よ」


淫魔幼女 「欲しいものは見つかったか」

淫魔幼女 「貴様の心の孤独を癒してくれるものは、見つかったか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (城を出る前に、淫魔幼女が言っていたこと)

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……ええ」

幼女魔王N 「何となく、そんな気がするわ」


淫魔幼女 「そうか……」

淫魔幼女 「そいつ、死んでるぞ」


幼女魔王N 「はぁあ゛ッッ!?」


母性巫女 「…………」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「なに言ってるの、死んでないわよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「回復魔法を続けていれば、目がさめるんだから」


淫魔幼女 「脈はあるか」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「心臓は動いているか。目は生きているか」

淫魔幼女 「息はしているか」

淫魔幼女 「もう、確認したんじゃないのか、お前は……」


幼女魔王N 「死んでないもん」

幼女魔王N 「母性巫女が、死ぬはずないもん」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」




サアア ザワ ザワ


淫魔幼女 「…………」


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……寝るとき、絵本、読んでくれるって言ったもん」


淫魔幼女 「…………」


ザ ザ ザ


幼女魔王N 「グスン……初めて、だったもん」

幼女魔王N 「そばにいると、怖いのも辛いのも、どうでも良いやって思えて……」

幼女魔王N 「それまで、嫌われるのが怖くてびくびくしてたのに」

幼女魔王N 「母性巫女の前だとわがまま言ったりして、怒られもして」

幼女魔王N 「でも、怖くなかった。怒った母性巫女は怖かったけど」

幼女魔王N 「怖くなかった。優しかった」

幼女魔王N 「私、安心して、いろんな気持ちになれた」


淫魔幼女 「…………」


ザ……


幼女魔王N 「どうしよう、淫魔幼女」

幼女魔王N 「やだよ」

幼女魔王N 「私、ぎゅって抱きしめてもらえないと、もう眠れないよ……」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女……」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……おい」

淫魔幼女 「こいつ、生きてるぞ」


幼女魔王N 「はぁ!?」




幼女魔王N 「どういうことよ」

幼女魔王N 「あなた、さっき死んでるって言っていたじゃない!」


淫魔幼女 「遠目だったからな」


ズザザザザザザ


幼女魔王N 「だからどうして遠ざかるのよ!」

幼女魔王N 「しかもすごい速さ!」


淫魔幼女 「気にするな」

淫魔幼女 「……お前が欲しかったものは」


幼女魔王N 「……何よ」


淫魔幼女 「お前が欲しかったものは、そういうものだ。まずはそれだったんだ」

淫魔幼女 「親友とか、お前の力に集まってくる者とか、どうであれ他人ではなく」

淫魔幼女 「無条件にお前を愛し、そして何よりお前が無条件に愛して委ねられる、親のようなものなんだ」

淫魔幼女 「母親とか、父親とか、そういうものなんだ」


幼女魔王N 「…………」




淫魔幼女 「まずはそこからなんだ、お前は」

淫魔幼女 「過不足なく無情な世界でおそらく初めに受けるであろう愛」

淫魔幼女 「親の愛」

淫魔幼女 「欠落したお前は無意識に、それだけを渇望していたんだ」

淫魔幼女 「それは血など身体的なものでなく、精神的なもので良かった」

淫魔幼女 「もっとも、不器用なお前は、友達やしもべで埋め合わせようとしていたが」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「幼い心の生まれるところ。与えずとも与えられる愛に包まれた場所」

淫魔幼女 「ただ享受するだけで良かった頃。心の故郷」

淫魔幼女 「……旅人として生まれたお前は、自分の世界と城を手に入れたが」

淫魔幼女 「お前の心は、ずっと行くあてのない帰郷を続けていたんだ」

淫魔幼女 「帰り方も知らないのに」

淫魔幼女 「その行く道のなんと寂しく辛いことか。本当に……」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「笑えるな。笑えるよ。馬鹿馬鹿しくて、まったく笑える」

淫魔幼女 「ふはははは……」


幼女魔王N 「あなた……ッ」

幼女魔王N 「………!!」


ザアアア ソヨ ソヨ


淫魔幼女 「……ははははは……ああ」

淫魔幼女 「笑えるなあ」

淫魔幼女 「笑えて、笑えて……」

淫魔幼女 「涙が出そうだ」


幼女魔王N 「……淫魔幼女」

幼女魔王N 「あなたは知っていたの?」

幼女魔王N 「それを」


淫魔幼女 「……どうだったかな」

淫魔幼女 「なにせ、いろいろな物を売り歩いてきたから」




淫魔幼女 「思い出も、涙も、弱さと一緒に売り払っちまった」

淫魔幼女 「だが、皮肉にも最後まで残ったのは弱さだったよ」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「魔王。幼女魔王」


幼女魔王N 「……はい」


淫魔幼女 「良かったな」

淫魔幼女 「欲しいものが見つかって」


幼女魔王N 「……ええ」

幼女魔王N 「あなたにはいろいろと苦労させられたけれど」

幼女魔王N 「いちおうお礼を、言っておくわ」

幼女魔王N 「ありがとう」


淫魔幼女 「ふん……」


幼女魔王N 「ふふ……」


淫魔幼女 「……よし」

淫魔幼女 「じゃあ、その母性巫女とやらを殺せ」


幼女魔王N 「はあ!?」




幼女魔王N 「何を言っているの!?」

幼女魔王N 「なに言っとるのあんた!?」


淫魔幼女 「そいつが大切なんだろう」


幼女魔王N 「大切よ。それでなんでそうなるのよ!」


淫魔幼女 「しもべにするには、一度殺した方が都合が良い」


幼女魔王N 「そ、そうなの……?」

幼女魔王N 「て、別にしもべじゃなくても良いもん!」

幼女魔王N 「なんなら、城を捨てて、この世界で一緒に暮らしても……」


淫魔幼女 「子供らしい浅薄な考えだ」

淫魔幼女 「想像してみろ」

淫魔幼女 「いくら強力でも、ただの人間であるその雌が」

淫魔幼女 「あとどれだけの歳月、貴様と生をともにできると思う?」



※年齢高い順(換算なし、詐欺申告あり)


■美触手(初代)
■おっぱいの呪いの魔王

□屋久杉

■詐欺商人
■宿オーク、謎の馬頭、謎の学者
■謎の狐耳

■アヒルさん人形(ヒッキーくん)
■猫耳蛇娘
■道魔法少女
■星魔法少女隊の皆さん

■牧師
■魔貴族娘、猫耳職員
■淫魔幼女、死神メイド、シルフ娘
■母性巫女、短パン魔王
■可憐少女
■幼女魔王、鋏魔法少女

■美触手
■毛玉触手



幼女魔王N 「ぐっ……」


淫魔幼女 「……魔王や勇者の称号を持つものは、永遠を生きると言われている」

淫魔幼女 「言われているというのは、大世界開拓史上」

淫魔幼女 「永遠に生きているものが観測されていないからだ」

淫魔幼女 「なぜされていないかは、分かるな」


幼女魔王N 「ええ、プリュミエンスγ-119銀河団のアルトラーガ星系群に漂う非REAL010物質が……」


淫魔幼女 「そんなものに、たかだか数百年の寿命の人間がよりそえる時間は」

淫魔幼女 「塵芥に等しい」


幼女魔王N 「人間の寿命って数百年だっけ」


淫魔幼女 「そのくらいだろう。低く見積もって」


幼女魔王N 「ふうん」




淫魔幼女 「詐欺商人は長生きだから、もっと生きている」


幼女魔王N 「うーん」

幼女魔王N 「……で、でも」

幼女魔王N 「だからって、どうして殺しちゃうのよ!」


淫魔幼女 「お前の眷属にするためだ」


幼女魔王N 「?」


淫魔幼女 「お前がその女の命を支配し、使役する」

淫魔幼女 「つまり、しもべとするためだ」


幼女魔王N 「?」


淫魔幼女 「貴様……!」

淫魔幼女 「読んでいなかったのか」

淫魔幼女 「魔王マニュアルを!」


幼女魔王N 「お、怒らないでよ。そんなものの存在、初めて知ったわよ……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「それが、お前の魔王としての力なんだ」




淫魔幼女 「魔王など世界統治級の職業に就くと得られるものがある」

淫魔幼女 「不死に近い膨大な命。程度の違いはある」

淫魔幼女 「しもべを生み出す力。方法はそれぞれ」

淫魔幼女 「異世界へと渡る力。これも方法はそれぞれ」

淫魔幼女 「その他、魔王としての何か特殊な力ひとつ以上」

淫魔幼女 「……それぞれ珍しいものの他職業で得られない力でもない」

淫魔幼女 「しかし、一度に、しかも就いた時点で得られる職業はなかなかあるまい」


幼女魔王N 「ふむ……」

幼女魔王N 「……私の特殊な力って何かしら」

幼女魔王N 「触手を操る力……は、魔王になる前から持っていたし」


■ポンコツ魔王
全ステータス下降補正。
職業レベルが上がると成長力ダウンのスキルも習得。
処女を失うと消滅する。


淫魔幼女 「知るか」


幼女魔王N 「きっと良いものね」




淫魔幼女 「……ここ最近」

淫魔幼女 「触手を呼び出す力が弱まったことがなかったか」


幼女魔王N (美触手が来なかったときがあったっけ)

幼女魔王N 「ええ。今も本調子じゃないけれど」


淫魔幼女 「そのとき使えていた力が、お前本来の力だろう」

淫魔幼女 「何か無いか」


幼女魔王N 「鋏……同い年くらいの女の子にお尻を叩いてもらって」

幼女魔王N 「すごく気持ちよかった」


淫魔幼女 「それはお前の本来の性癖だ」


幼女魔王N 「ち、違うわよ。いじめられるのなんて、嫌だもん」


淫魔幼女 「まあ良い。いまはしもべを生み出す力だ」




幼女魔王N 「ちょ、ちょっと、どうして私の力が弱まったこと知って……」


淫魔幼女 「殺してそのままというわけではない」

淫魔幼女 「しもべを生み出す儀式を行えば」

淫魔幼女 「すぐに魔王のしもべとして生まれ変わる」

淫魔幼女 「能力はそのままに、大幅に寿命がのびた状態で」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「それとも、わずかな時間をともにするだけで良いのか」

淫魔幼女 「その女がみるみるうちに老い、弱っていく姿を見たいか」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「永遠に若い貴様を見て、自分よりも長く生きる者の傍にいて」

淫魔幼女 「その女は平気でいられると思うか」

淫魔幼女 「おさえきれない嫉妬に悩まされることが、ないと言い切れるか」

淫魔幼女 「もっとも信頼していた者の心が狂っていくのを見たいか」


幼女魔王N 「…………」




幼女魔王N 「……やっぱり、だめよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「殺すなんて……そんなの、駄目」


淫魔幼女 「何度も死ねるお前が、それを言うか」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「美触手とともにあっても、ぬぐえない孤独感に苛まれていたのはどのくらいだ?」

淫魔幼女 「永遠を生きるなら、孤独な時間はその女といられた時間をすぐに押しつぶす」

淫魔幼女 「死んで終わることもできないぞ。お前は復活してしまうのだから」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「そしてお前は、その女という唯一無二の存在を永遠に失う痛みも知る」

淫魔幼女 「さっきはお前とおれの勘違いという笑える結果となったが」

淫魔幼女 「いずれ本当に起こることだ」


幼女魔王N 「……!」


淫魔幼女 「お前は、永遠に続く孤独と喪失に耐えられるのか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……この、悪魔」


淫魔幼女 「何をいまさら」

淫魔幼女 「言っただろう。いろいろと売り払ったと」




幼女魔王N 「……どうして」

幼女魔王N 「どうして、母性巫女を私のしもべにさせたがるの」


淫魔幼女 「その理由をおれから知ってどうにかなるのか」

淫魔幼女 「たとえば、永遠に他勢力の奴隷として鎖に繋がれ」

淫魔幼女 「人としての形を保っていてはとうてい耐えきれないような、苦痛の限りを味わい続ける未来を」

淫魔幼女 「強い力を持ったしもべを傍に置いておけば回避できるかもしれない」

淫魔幼女 「とか、そういう話で背中を押してもらいたいのか」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「……結界が消えるまで時間がある」

淫魔幼女 「儀式の方法は教えておいてやろう。よく考えるが良いさ」


幼女魔王N 「……! あなた、知っているの!?」


淫魔幼女 「…………」


ゾル ゾル ゾル

ズプン


幼女魔王N 「……き、消えた」

幼女魔王N 「……あれ、淫魔幼女のいたあたりに……」


ザ ザ ザ


門外不出魔王マニュアル(複製)


幼女魔王N 「…………」





…………


夕方

母性巫女の小屋 寝室



カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「…………」


幼女魔王 「…………」


母性巫女 「……ぅう」


モゾ


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女……!」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……N」


幼女魔王N 「母性巫女……!」

幼女魔王N 「うん! わ、私、私よ! 分かるのね!?」


母性巫女 「……え、ええ」





…………


カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「そうですか、Nが私をここまで運んで、介抱を……」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N 「ほとんど美触手に頼ったんだけど……」


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「美触手にも、お礼を言わなくちゃいけませんね」


幼女魔王N 「わ、私はいいの」

幼女魔王N 「だって、逃げているときずっと母性巫女の足を引っ張ってばかりだったから」


母性巫女 「そんなことありませんよ」

母性巫女 「Nがいたから、私は頑張れたんです」





母性巫女 「それに、こうやって生き延びることができたのだから」

母性巫女 「いまはそれを喜ばなくちゃ」

母性巫女 「それに……」

母性巫女 「……ッ」


ピョン


幼女魔王N 「だ、だめよ、まだベッドから降りちゃ」


母性巫女 「……ふふ」


幼女魔王N 「?」


母性巫女 「消えてしまいましたね」

母性巫女 「呪い……」


幼女魔王N 「あ……おっぱいの音が鳴る呪い……」

幼女魔王N 「う、うん……!」


ウフフ アハハ




カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「……母性巫女の家、たくさん壊れちゃったわね」


母性巫女 「そうですね……」

母性巫女 「でも、ちょうど良かったのかもしれません」

母性巫女 「この森を離れるためには」


幼女魔王N 「森、出るの?」

幼女魔王N 「呪いはとけたのに」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「私は、もう騎士団にいる資格はありません」


幼女魔王N 「……私のせい?」


母性巫女 「いいえ、私のせい」


カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あ、あの!」


母性巫女 「は、はい」


幼女魔王N 「私、頑張るから! 何でもいっぱい手伝うから!」

幼女魔王N 「一緒にいて良い? 一緒にいたい!」


母性巫女 「N……」

母性巫女 「ええ、もちろん。でも……ふふっ」


幼女魔王N 「?」


母性巫女 「いけませんね。私、当たり前のように、Nと一緒に暮らすつもりで考えていました」

母性巫女 「Nの意見、まだ聞いていなかったのに」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「おっかさんっ!」


ダキ


母性巫女 「あらあら、もう、また……」


ナデ ナデ




母性巫女 「……ッ」


クラ ビクン


幼女魔王N 「……母性巫女?」


母性巫女 「……な、何でもありませんよ」

母性巫女 「大丈夫……ハァ、ハァ……ッ」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「ちょ、ちょっと、お風呂、入りますね……」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「背中、ながそうか?」


母性巫女 「駄目……!」


幼女魔王N 「!」


ビク


母性巫女 「い、いえ……ごめんなさい」

母性巫女 「ひとりで、大丈夫、ですから……」


ヨロ ヨロ


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「…………」




…………


ザバ ザアア


母性巫女 「…………!!」

母性巫女 (火照りをさまそうとしたのに)

母性巫女 (水が皮膚をうつだけで、体中が気持ちよくて、頭が甘く痺れる……ッ)

母性巫女 (Nを抱きとめたときも、私……)

母性巫女 「……私の体……どうして……ッ」


ビクン ビク


母性巫女 「ハァ……ハァ……」

母性巫女 「……………」


サワ


母性巫女 「…………ッ」


ムギュ


母性巫女 「ッッ!!」

母性巫女 「~~ッ!! ……ぷぁッ……は……ぁッ!」

母性巫女 「……ッ」

母性巫女 (わ、私、何をしているの)

母性巫女 (近くにNもいるのに、自分でこんな風に胸を掴んで……)

母性巫女 (今すぐ、やめなきゃ……)


ムギュウウウウ


母性巫女 「くひぃんッ!?」

母性巫女 (そんな……やめたいのに、手が勝手に……!)

母性巫女 「駄目。駄目、ぇ……!」


ムニュウウ

ガクン ビク ビク ビク


更新多いの嬉しいけど体調には気を付けてー



母性巫女 「ぁは……ッ、ぁあぁ……」


カクン カク クイ クイ 


母性巫女 (私……こんないやらしい姿勢で……)

母性巫女 (腰、カクカク動かして……)

母性巫女 「だ、駄目……こんなの続けたら……」


ドクン


母性巫女 「ッ!!」

母性巫女 (火照りが、ひどくなる……!)


トロロ


母性巫女 (おさめなきゃ……)

母性巫女 (一回……一回だけ……)

母性巫女 (アソコで気持ちよくなれば……)


ソロ ソロ

ススス


母性巫女 「…………」


クチュ……


母性巫女 「!!!」

母性巫女 「は……ぁ……ッッ!」


ニチュ クチュ クチュ…… 

クチュ クチュクチュ クチュヂュヂュ

グチュ グチュッグチュッグチュッグチュッ……


母性巫女 「ふくぅうう……! んふっ……ふぅうッッ……!」


ガク カクカクカク ビクン ビクン

グヂュグヂュグヂュグヂュ


母性巫女 (一回……一回だけ……!)


ニヂュ グヂュヂュ

ムギュ ムギュ

グチュグチュグチュグチュ



…………




この巫女さんもらっていいですか?

>>796
ありがとうございます
>>798
Nさん「では、まずあなた様の種族と目的から……」



……………


母性巫女の小屋 



カチ コチ

カチャカチャ モグモグ


幼女魔王N (……ご飯、あんまりおいしくできなかった)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (母性巫女、どうしたのかしら)

幼女魔王N (お風呂から出てくるのもすごく遅かったし)

幼女魔王N (ボーッとする時間が増えてる……)

幼女魔王N 「母性巫女?」


母性巫女 「……え」

母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「ご飯、おいしいですよ……」


カチャ カチャ モグ モグ


幼女魔王N 「そ、そう、良かった……」





モグ モグ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「~~~~ッッ!」


カタン


幼女魔王N (いきなり食器を落として、自分の体を抱きしめて縮こまった……)

幼女魔王N 「母性巫女!?」


母性巫女 「……ッ。……ッ」


モジ モジ


母性巫女 「だ、大丈夫……ッ」

母性巫女 「大丈夫……です…ッ」


幼女魔王N 「だって、こんなに震えて……」

幼女魔王N (毛玉触手にされたことの後遺症?)

幼女魔王N (変な液を塗られて全身ドロドロにされてたし……)


母性巫女 「す、すこし待てば、落ち着きます……から……」


幼女魔王N (あの液をつけた触手で触られただけで、私はおかしくなりそうだったもの)

幼女魔王N (きっと、つらいのね……)




…………




母性巫女の小屋 寝室



ホー ホー



母性巫女 「……こうして王子さまは、ロバ耳のお姫様と」

母性巫女 「いつまでも幸せに暮らしました」

母性巫女 「……おしまい」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (母性巫女、落ち着いてる)

幼女魔王N (もう良いのかしら)


母性巫女 「ふう……一冊、一気に読んでしまいましたね」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N (母性巫女のことが心配で集中できなかったけれど)

幼女魔王N (やっぱりこういうの、幸せ)

幼女魔王N 「でも、体、大丈夫なの?」


母性巫女 「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ」


ナデ ナデ


幼女魔王N (優しくて、あったかい手)

幼女魔王N 「……えへへ」




ファサ モソ モソ


母性巫女 「……明日は別の絵本を読みましょうか」


幼女魔王N 「……私、ぜったい最後まで寝ない」

幼女魔王N 「途中で……寝ちゃったら、ベッドで母性巫女に」

幼女魔王N 「ぎゅーってしてもらえないもん」

幼女魔王N 「……ふあぁ」


母性巫女 「うふふ、可愛いあくび」

母性巫女 「じゃあ、次からはベッドの上で読みましょうね」


ギュ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N (幸せ……幸せ)

幼女魔王N (いつまでも続けば良いのに)




幼女魔王N 「ねえ、母性巫女」


母性巫女 「何ですか」


幼女魔王N 「長生きしてね」


母性巫女 「うふふ……どうしたんですか、いきなり」

母性巫女 「そうですね。長生き、できたら良いですね」


幼女魔王N 「800歳くらい?」


母性巫女 「そんなには、無理でしょうかね」


幼女魔王N 「700歳?」


母性巫女 「100歳くらいまで生きられたら、すごい方でしょうか」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「そ、そうなんだ……」


ギュウウ





母性巫女 「……N?」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (いつか母性巫女がいなくなっちゃうなんて)

幼女魔王N (ううん、いなくなるだけじゃなくて、私より先に、ずっと早くに死んじゃうなんて)

幼女魔王N (もう二度と戻ってこなくなるなんて)


ギュウウ


母性巫女 「N、あの……」


幼女魔王N (やだな、怖いな)

幼女魔王N (……うん、想像しないようにしましょう)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (だ、駄目だわ。怖いこと考えたくないのに、そうしようとするほど)

幼女魔王N (頭の中でぐるぐるまわって、大きくなっていく)

幼女魔王N (……母性巫女、いなくなっちゃう。ぎゅーってしてもらえなくなる)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N 「………ぅぐ、グス」

幼女魔王N 「うええぇん………」


母性巫女 「N!?」




幼女魔王N 「ヒック、グス、グス……」

幼女魔王N 「ぶええええ……」


母性巫女 「ど、どうしたんですか、急に泣き出して……」


幼女魔王N 「母性巫女、私よりずっと早く死んじゃうの?」


母性巫女 「そ……そうですね。私の方がおか……お姉さんですから」


幼女魔王N 「やだ」


母性巫女 「ええっ」


幼女魔王N 「母性巫女いなくなるのやだ。私が先に死ぬ、一緒に死ぬ!」

幼女魔王N 「死のう!」


母性巫女 「駄目ですよ……!」

母性巫女 「Nに先に死なれたら、私は嫌です。悲しいなんてものじゃありませんよ」


幼女魔王N 「私だって母性巫女に先に死なれたら悲しいもん!」

幼女魔王N 「わがまま言っちゃ駄目!」


母性巫女 「ええー……」




幼女魔王N 「うぐっ……グス……」


母性巫女 「……だ、大丈夫ですよ」

母性巫女 「私が死んだら、幽霊になって化けて出ますから」


幼女魔王N 「……でも、ぎゅーってしてもらえないもん」


母性巫女 「……て、てきとうな体を見つけて」

母性巫女 「動く死体になりますから」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「腐るからやだ。ぎゅーってしたら壊れちゃう」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「……でも、N」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「先に生まれた人が先に死んじゃうのは」

母性巫女 「しかたないことなんですよ」


幼女魔王N 「…………」


ギュウ


幼女魔王N 「……やだもん」


母性巫女 「N……」


ナデ ナデ




幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「……そ、そうだ」

母性巫女 「友達をつくりましょう」

母性巫女 「同い年くらいの」


つうこん の いちげき!
幼女魔王NのHP が 1 になった!


幼女魔王N 「ゲフーッ」


母性巫女 「!?」


幼女魔王N 「グスッ……ひ、ひどいわ、私にそんなこと言うなんて」

幼女魔王N 「オークをしゃぶしゃぶに誘うようなものなのに……!」


母性巫女 「ご、ごめんなさい……」




母性巫女 「…………」


ナデ ナデ ナデ


幼女魔王N 「……グスン」


ウジウジ メソメソ


母性巫女 「……心配かけて、不安にさせてしまいましたね」

母性巫女 「Nをちゃんと守り抜くつもりだったのに」

母性巫女 「逆に、助けられてしまいました」


幼女魔王N 「……あ」

幼女魔王N 「う、ううん……」


母性巫女 「助けてくれて、ありがとうございます」


幼女魔王N 「…………う、うん」


母性巫女 「びっくりしましたよ」

母性巫女 「甘えんぼうのNに、そんな勇気があったなんて」


幼女魔王N 「あ、甘えんぼうなんかじゃ……」


ギュ


幼女魔王N 「……むぅ」


母性巫女 「……大丈夫。Nは大丈夫ですよ」

母性巫女 「私がいなくなっても、負けない子ですよ」


幼女魔王N 「……そんなこと、言わないで」




幼女魔王N 「私、大丈夫じゃないの。駄目な子なの」

幼女魔王N 「勇気なんか全然ないの」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ダメなの。本当にダメなの……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「そうですね。それも、Nのかわいいところですね」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「今は、それで良いですからね」

母性巫女 「いっぱい私に甘えてください」

母性巫女 「悔いがのこらないように、遠慮せずにたくさん甘えてください」


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「そうしたら、きっと」

母性巫女 「誰かを甘えさせてあげられるようになれますからね」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ずっと、甘えっぱなしでいいもん……」


ギュ


母性巫女 「あらあら」


ナデ ナデ




母性巫女 「本当に甘えんぼうですね、Nは」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「甘えんぼうだもん」


母性巫女 「それなのに、危険になった森の奥まで行くなんて」

母性巫女 「頑張りましたね」


幼女魔王N 「あれは……夢中だったから」

幼女魔王N 「母性巫女、いなくなっちゃったから」


母性巫女 「そ、そうですか……」

母性巫女 「でも……本当にもう駄目かと思いましたよ」

母性巫女 「Nの首が落ちたときは」


幼女魔王N 「え?」


母性巫女 「ちゃんと、目が覚めて良かったです」


幼女魔王N 「母性巫女……?」

幼女魔王N (私の復活のこと、知っていたのかしら)




母性巫女 「なのに、あの子ったらNが死んだなんて言って」

母性巫女 「そんなわけありませんよね」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「首が落ちたくらいじゃ、Nは死にませんものね」


幼女魔王N 「……え?」


母性巫女 「でも、あまり首が落ちないようにしましょうね」

母性巫女 「きっと、とても痛いから……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「…………」



…………




…………



どこか 墓地



ガランゴロン ガラン…… 

シクシク グスグス


牧師 「……N」


幼女魔王N 「牧師さま……」


牧師 「さあ、お別れの挨拶をして」


幼女魔王N 「お別れ?」


石棺


幼女魔王N 「……棺?」


ガコ ガララ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (棺の中身は母性巫女だった)

幼女魔王N 「な、なんで……」




毛玉触手 「しかたないのよ」


幼女魔王N 「……!」


毛玉触手 「しかたないのよ」

可憐少女 「死んじゃったから」


大男 「頭と心、両方壊れていたからね」


幼女魔王N 「そんな……母性巫女……」


淫魔幼女 「では出棺です。さようなら」

淫魔幼女 「よいしょ」


ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「ま、待ってよ。母性巫女を持っていかないで、まだ……」


可憐少女 「さようなら」


大男 「さようなら」


波魔法少女 「さようなら」


牧師 「さようなら」


みんな 「さようなら」


ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「ま、待って。待って……!」


リインゴオン ガランカラン

カランカラン……


…………




…………



母性巫女の小屋 寝室



幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……夢?)


カチ コチ

ホー ホー


幼女魔王N (窓の外……まだ夜か)

幼女魔王N 「…………」


シイン


幼女魔王N 「……母性巫女、いない」




幼女魔王N (きっと、トイレね。すぐ戻ってくるわ)

幼女魔王N (……いやな夢だった。思い出せないけど、すごく怖い夢)

幼女魔王N (母性巫女、はやく戻ってこないかな)


カチ コチ


幼女魔王N (……いつか、母性巫女も死んじゃう)

幼女魔王N (私の魔王の力で儀式をして、しもべにすれば、母性巫女と長くいられる……)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (だ、だめよ。それでも、一回殺さなきゃいけないんだから)

幼女魔王N (母性巫女にそんなこと、しないもの。母性巫女だって嫌がるわよ……)


カチ コチ


幼女魔王N (……いっぱい甘えて良いって言ってくれた)

幼女魔王N (頼んだら、良いよって言ってくれるかも……)

幼女魔王N (だ、駄目よ。死ぬのって、すごく痛くて怖いもん)

幼女魔王N (いくら母性巫女が優しいからって、許してくれるのはおっぱい飲ませて、くらいまでよね)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (怖い夢だった……)


カチ コチ


幼女魔王N 「母性巫女、遅いな……」




母性巫女の小屋 浴室前



ト ト ト


幼女魔王N 「…………」


ト ト


幼女魔王N 「……?」


母性巫女 『……ッ。……ッッ』


幼女魔王N (……浴室から荒い息遣いが聞こえる)

幼女魔王N (母性巫女よね)

幼女魔王N (何してるのかしら。明かりもつけずに)


母性巫女 『……ッ……ッ』


クチュ ニヂュ グチュチュ……


母性巫女 『……ッ。ふ、くぅ……!』


幼女魔王N (うめき声!)

幼女魔王N (とても辛そう。まだ調子が悪いんだわ)

幼女魔王N (助けなきゃ!)




チッ チッ チッ チッ


選択肢

1.こっそり覗くように浴室の扉をあける
2.明かりをつけつつ勢いよく浴室の扉をあける


チッ チッ チッ チッ

チーン


幼女魔王N 「母性巫女!」


チカ バアン


母性巫女 「……!!!!!」


幼女魔王N 「だいじょう……」

幼女魔王N 「……!」


母性巫女 「……え、N」


幼女魔王N (母性巫女、ほとんど裸)

幼女魔王N (涙目で、息があらくて)

幼女魔王N (……そしてなんだか、いやらしい姿勢)

幼女魔王N 「ぼ、母性巫女……」


母性巫女 「ち、違うんです……これは……」

母性巫女 「きゃっ……!」


ヨロ


幼女魔王N (立ち上がろうとして失敗した。足に力が入らないみたい)

幼女魔王N 「だ、だいじょうぶ!? 立てないくらいつらいの!?」


母性巫女 「だいじょうぶ、だいじょうぶですから……ッ」


幼女魔王N 「声も弱々しいじゃない!」

幼女魔王N 「ほら、手を貸すから……」


母性巫女 「あ、さ、触っちゃ……ひゃあんッ」




幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (か……かわいい!)

幼女魔王N (なに今の母性巫女の声。かわいい!)

幼女魔王N (……じゃないわよ!)

幼女魔王N 「そんなに辛いのね……!」


母性巫女 「ち、違いま……」


ゾクゾク ゾクン


母性巫女 「すぅ、んっ……ッ! ……ぅ、う……ッ」


幼女魔王N 「母性巫女……」

幼女魔王N (結界で閉じられた森に充満していた呪いと)

幼女魔王N (毛玉触手のせい……)


母性巫女 「だ、だいじょうぶ……心配いりません、から……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……出てきて」


キイイ キイイイ


母性巫女 「え、N……?」


キイイイ キイイ

ポワ


可憐な毛玉


フワ フワ


母性巫女 「?」


フワ フワ

ボワン


可憐な毛玉 「…………」

毛玉触手 「…………」

毛玉触手 『うふふふふ……ふふふふふ』


母性巫女 「!?」




毛玉触手 『うふふふふ……』


母性巫女 「そ、そのモンスターは……!」

母性巫女 「どうして……」


毛玉触手 『うふふふ……うふ』

毛玉触手 『ふ……うぶっ』



浴室 が 狭くて動けない!
地形効果!
毛玉触手の移動力 が低下した!



幼女魔王N 「……体、つらいんでしょ」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「それ、一生なおらないの」

幼女魔王N 「病気とかそういうものじゃなくて」

幼女魔王N 「体を別のものにつくりかえるものだから」


母性巫女 「な、なにを言っているんですか。はやく逃げ……!」


幼女魔王N 「ハンバーグをもとの動物に戻すの、すごく難しいでしょう」

幼女魔王N 「それよりも、難しいこと」

幼女魔王N 「だから、無理なの」

幼女魔王N 「母性巫女の体はもう人間じゃない」

幼女魔王N 「こ、こう……こ……」

幼女魔王N 「交尾狂いの、苗床にされちゃったの……!」


母性巫女 「…………!」




母性巫女 「ほ、本当に何を言っているんですか、N」

母性巫女 「私が、そんなもの……」


幼女魔王N 「…………」


チラ


門外不出魔王マニュアル(複製)
淫魔幼女のカンペ


幼女魔王N 「……毛玉触手の毒、いっぱい体に塗られたでしょ?」


母性巫女 「!」


幼女魔王N 「獲物を苗床にするために、そうするの」

幼女魔王N 「身も心も苗床になってしまえば、逃げ出さないから」

幼女魔王N 「苗床が増えても、管理しやすいから」


母性巫女 「……あ、あはは」

母性巫女 「N……どうしたんですか、そんな冗談……」

母性巫女 「首が落ちて、まだ調子が戻らないんですか?」


幼女魔王N 「………ッ」

幼女魔王N 「心だって! 心も! 母性巫女、我慢してるけど」

幼女魔王N 「母性巫女の心も、一部はもう苗床なんだから!」




母性巫女 「……!」


幼女魔王N 「…………」


チラ

淫魔幼女のカンペ


幼女魔王N 「……いきなり、どうしようもなくエッチな気持ちになるんでしょ?」

幼女魔王N 「いまだって、そうだったんでしょ。我慢できなくなったんでしょ」

幼女魔王N 「だから浴室で、この子の……毛玉触手の触手にされたこと思い出しながら……」


母性巫女 「……ッ。ち、ちが……」


幼女魔王N 「普通の女の子は、そんなにならないもん」

幼女魔王N 「母性巫女は、体全部と心の一部で……半分以上苗床なの!」


母性巫女 「……!!」

母性巫女 「やめてくださ……やめなさい、そんなこと言うの……っ!」


幼女魔王N 「ヒック……グス……じゃ、じゃあ!」

幼女魔王N 「この毛玉触手を見て、そんなこと言える!?」

幼女魔王N 「私がしもべにした、この子を見て……!」


母性巫女 「……しもべ」

母性巫女 「N……」




母性巫女 「なんで、N、どうして……」


幼女魔王N 「言ってみて! 触手と交尾なんかしたくないって!」

幼女魔王N 「母性巫女は苗床なんかじゃなくて母性巫女だって」

幼女魔王N 「し、しる……しょう、あか……証明して!」


母性巫女 「……っ」

母性巫女 「…………」


毛玉触手 『ぶふふ……ふご……ふぅ、ふぅ……』


ニジュル ウネ ウネ


母性巫女 「……私は」

母性巫女 「触手と……こ、交尾……」


ゾクン


母性巫女 「……ッ! 触手と交尾……ッ、なんて……」

母性巫女 「したくありませ……」


毛玉触手(腕) 「…………」


ヌッ


母性巫女 「ッッ!!!」




毛玉触手(腕) 「…………」


ユラ ユラ


母性巫女 「……ッ」

母性巫女 「こ、交……尾、したく……な……」

母性巫女 「交…………だ、駄目……」

母性巫女 「触手と……交尾ッ、なんて……ッ!」


ヨロ ガク ガク


毛玉触手(腕) 「…………」


グパ グジュルル

グニュ ビク ビク

ニギュ ニギュ……


母性巫女 「……ぁ」

母性巫女 「ああ……ぁは……ぁ」

母性巫女 「交、尾……胸、あんな風に、握られながら……」

母性巫女 「お腹いっぱいに……こ、交尾……」


毛玉触手 「…………」


母性巫女 「毛玉触手……さま……ぁん……」

母性巫女 「……ッ……だ、だめ、我慢しなきゃ……がま、ぁ……!」

母性巫女 「毛玉触手さま……毛玉触手さまぁ……ッッ」


モジモジ クネクネ




幼女魔王N 「……ほら、駄目だったじゃない……っ!」


グス ポロポロ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……!」

母性巫女 「ち、ちが……N……」


幼女魔王N 「違わないもん!」


母性巫女 「!!」


幼女魔王N 「……そんなんで、どうやって暮らすつもりなの」

幼女魔王N 「これからずっとそうなのよ!」

幼女魔王N 「私みたいなゴミが一緒にいて、生きていけるの!?」


母性巫女 「N……それは……」


幼女魔王N 「でも……わ、わた、私なら」

幼女魔王N 「私なら、なおしてあげられる……」





母性巫女 「……N?」

母性巫女 「きゃっ」


毛玉触手 「…………」


グニュルルル ギュウウ


母性巫女 「や、やめ……はなしてくださ……」


幼女魔王N 「ただの回復魔法じゃだめ」

幼女魔王N 「苗床を回復しても、苗床のままだから」

幼女魔王N 「でも、私の力なら……私の儀式、特別だから……」

幼女魔王N 「魔王のしもべとして生まれ変われば、心も、体も、なおしてあげられる」


母性巫女 「魔王……生まれ変わる……?」


幼女魔王N 「私、本当に魔王なの。遠い小さな世界から」

幼女魔王N 「触手を駆って、この世界にやってきたのよ」


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「魔王はね、選んだ人をしもべにすることができるの」

幼女魔王N 「魔王のしもべになった人は、魔王と一緒に、長い時間を生きられるようになるわ」


毛玉触手 「…………」


ギュウウウ ミシ


母性巫女 「うぁっ……!」


幼女魔王N 「だけど、そのためには」

幼女魔王N 「魔王のしもべに生まれ変わるために、いちど死ななきゃいけないの」


母性巫女 「何を、言ってるんですか。そんな滅茶苦茶なこと……!」


幼女魔王N 「信じられない?」

幼女魔王N 「やっぱりそうよね、母性巫女は優しいから、信じたふりしてくれてただけだもんね……!」

幼女魔王N 「でも、そうなの。世界は滅茶苦茶なことばかりなの」

幼女魔王N 「ごめんね、いっぱい説明したつもりだけど、私、話すの苦手だから……」

幼女魔王N 「でも、大丈夫、大丈夫だから……!」


毛玉触手 「…………」


ギュウウウ ミシ ミシ





母性巫女 「N……ッ」


幼女魔王N 「……大丈夫。大丈夫、大丈夫だから……!」

幼女魔王N 「魔王のしもべになれば長生きできるから、母性巫女もうれしいから……!」


ギチ ギチ ミシ ミシ


母性巫女 「……ッ。N……!」

母性巫女 「お願い、やめ……やめてくだ……ッ」


幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「言ったもん……」

幼女魔王N 「母性巫女、私に、いっぱい甘えて良いって言ったもん!」

幼女魔王N 「一緒にいてくれるって言ったもん!」

幼女魔王N 「だから、良いんだもん! 私のせいじゃないもん!」

幼女魔王N 「母性巫女のためだもん!」

幼女魔王N 「ずっと母性巫女に甘えるんだもん!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ずっと一緒。母性巫女は、いなくなったりしない……!」

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女!」


毛玉触手 「…………」


ギリギリギリ ミシ ミシ


母性巫女 「ぁぐぅう……ッ!?」


幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女、母性巫女……!!」



…………




…………


母性巫女の小屋



ギイイ

コツ コツ コツ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「どうやら、決断したようだな」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「……目が赤い」

淫魔幼女 「やれやれ、少しは魔王らしくなるかと思ったら」

淫魔幼女 「結膜炎とは」


幼女魔王N 「泣いてんのよ……!」


淫魔幼女 「この程度、魔王というか魔物側の存在なら普通だというのに……」

淫魔幼女 「先が思いやられることだ」


幼女魔王N 「……何をしにきたの、この鬼畜」


淫魔幼女 「八つ当たりか、ガキが」

淫魔幼女 「お前も鬼畜側に来ることを選んだじゃないか」

淫魔幼女 「……あらかじめ答えの書いてある二択テストで無得点を叩き出す貴様だ」

淫魔幼女 「マニュアルだけでは不足かと思ってな」


幼女魔王N 「ずいぶんと優しいことね」

幼女魔王N 「もう森は出られるの?」


淫魔幼女 「ああ。準備しろ」

淫魔幼女 「忘れ物のないようにな」


幼女魔王N 「……ええ」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」



…………



…………



森の町 精霊区 騎士団施設



ガチャ


暗部戦士 「美老女さま」


美老女 「何じゃい。せっかく人が良い気持ちで眠っとるときに」


暗部戦士 「森を閉ざしていた未知の結界が消滅しました」

暗部戦士 「現在、騎士団で現地調査を行っております」


美老女 「無用心じゃな。南の聖女の件もあるというのに」


暗部戦士 「森のいたるところから、我が団の戦士たちと魔法少女(笑)、そして未知の魔物の死体が」

暗部戦士 「次々に発見されております」


美老女 「困ったもんじゃ。人手が足りんというのに」


暗部戦士 「また、母性巫女さまの姿はなく、小屋にあった私物もほぼすべてなくなっておりました」


美老女 「……そうかい」

美老女 「骸布娘、謎の精霊戦士、母性巫女……」

美老女 「魔王封印戦争の英雄。私らの森から出た三人の」

美老女 「最後の一人も消えてしまいおったか」


暗部戦士 「失礼ながら、まだ死んだとは……」


美老女 「……忘れられんよ。あやつが戦士になった日のことは」

美老女 「年端もいかん娘が、目の前で親を殺した外来の魔物を討ち取ったのだ」

美老女 「しかし、あやつは親の弔いよりも先に」

美老女 「その魔物の子供を保護するよう求めてきおった。怪我をしているからと」


暗部戦士 「…………」


美老女 「……本当に、気味の悪い女じゃったよ」

美老女 「あの魔法少女(笑)どもとともに消えてくれるとは」

美老女 「良いこと、良いこと……」



…………




幼女魔王Nの世界 野原 城前



ソヨ ソヨ ザアア

……パキン パリィン


幼女魔王N 「よっこいしょ」

幼女魔王N 「美触手、母性巫女を落とさないようにね」


美触手 「…………」


スルル スル


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……よ」

幼女魔王N 「ようこそ、母性巫女」

幼女魔王N 「こ、ここ、ここが、私の世界よ」

幼女魔王N 「私と母性巫女が、い……一緒、一緒に暮らしゅ……!」


淫魔幼女 「死体相手に気持ち悪い奴だな」


ドカ


幼女魔王N 「あいた!!」

幼女魔王N 「け、蹴らないでよ……」




淫魔幼女 「さっさと儀式を始める」

淫魔幼女 「玉座の間へ行くぞ」


幼女魔王N 「儀式ってそこでやるんだ……」


淫魔幼女 「儀式の間が作れるレベルではないからな」

淫魔幼女 「まあ、問題はないだろう」


幼女魔王N 「……う、うん」

幼女魔王N 「じゃあ、美触手。玉座の間まで、母性巫女をよろしくね」


母性巫女 「…………」


美触手 「クュ」


スルルル

ザ ザ ザ ザ




幼女魔王Nの城 玉座の間



…………

カリ カリ ギギギ


幼女魔王N 「えーっと、真っ直ぐひいて、最後に、ここをこう繋いで……」


淫魔幼女 「違う、それはこっちでやった。西と西にしてどうする」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N 「マニュアルにお手本があっても、魔法陣ってかくの難しいわね……」


淫魔幼女 「簡単な方だ。あくまで、魔王の力を支える補助的なものだからな」

淫魔幼女 「本格的な魔法陣は、芸術の域になる」

淫魔幼女 「貴様みたいにヘロヘロでガタガタな線しかひけない奴には」

淫魔幼女 「できないだろうよ」


幼女魔王N 「う、うるさいわね……」

幼女魔王N 「……よし、できた」

幼女魔王N 「次は……しもべを魔法陣の中心に置く」

幼女魔王N 「美触手、お願い」


美触手 「キュロロ」


スルルル

ソ トス


母性巫女 「…………」




幼女魔王N 「……儀式を終えたら、母性巫女とずっと一緒にいられるのね」


淫魔幼女 「そうだな」

淫魔幼女 「お前は念願の人型しもべを手に入れ」

淫魔幼女 「その女は永遠に近い命を得られる」

淫魔幼女 「良いこと尽くしというわけだ」


幼女魔王N 「う、うん……」


淫魔幼女 「……悪いことをしているのではない。普通のことだ」

淫魔幼女 「考えようによっては」

淫魔幼女 「はじめから殺すためだけに、動物を檻の中で生まれさせ育てることの方が罪深い」

淫魔幼女 「己のものであれ押し付けられたものであれ、善悪というものを、決断のための絶対の基準とするな」

淫魔幼女 「してしまえば、どの道、後悔することになるのだから」


幼女魔王N 「…………」




淫魔幼女 「善悪というものは、同じ種族の間で適用されるものだ」

淫魔幼女 「だから人は、人が人を食らうことを罪と考えるが、人が他種族を食らうことを罪と考えない」

淫魔幼女 「人食いの魔物は、人食いの魔物が人を食らうことを罪としない」


幼女魔王N (分かってる。頭では分かっているのよ……)


淫魔幼女 「……生きていなければならないのが生き物ならば」

淫魔幼女 「生きるために他の命を食らい利用しなければいけない生き物は」

淫魔幼女 「生きるために必要であることを罪と考えない」

淫魔幼女 「でなければ、生き物は生きられない」


幼女魔王N 「分かってるわよ、分かってるのよ……」

幼女魔王N 「でも、母性巫女は私と同じ、人型の……」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」


バイーン


幼女魔王N 「…………」


ツルテン


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「違うじゃん」


幼女魔王N 「じゃん、て……!!」




淫魔幼女 「同じ種族でも、群れごとに善悪が異なることもある」

淫魔幼女 「豚を食らうことを罪としたり、牛を食らうことを罪としたり」

淫魔幼女 「ある群れでは許可されている薬草が、別の群れでは許可されていなかったり」

淫魔幼女 「……知性や自我の強さに比例して、その傾向は濃くなる」

淫魔幼女 「そして、究極、個という単位になる」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「大きな世界。生物の分水嶺は種族ではなく、個だ」

淫魔幼女 「自分が生きていくために、同じ種族の者も利用しろ」

淫魔幼女 「己が生きるために必要なことだと思うなら、ためらうな」

淫魔幼女 「まずは、そこからだ」




幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「魔王。幼女魔王」

淫魔幼女 「貴様の世界を統治するのは、ほかでもない貴様だろう」

淫魔幼女 「他の世界が……他人が決めた善悪に縛られるな」


幼女魔王N 「そのせいで、私はこのざまなのよ」


淫魔幼女 「違う」

淫魔幼女 「貴様は、他人の善悪で自分の善悪を決定しようとしているだけだ」

淫魔幼女 「たとえば自分の行いによって他人が怒ったら無意識的に、絶対に自分が悪いことをした、失敗したと思ってしまう」

淫魔幼女 「……今は笑顔を向けてくれる人に、いつかは怒られたり嫌われたりするかもしれない」

淫魔幼女 「それがたまらなく怖くはないか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「心当たりは……あるわね」

幼女魔王N (母性巫女とはじめて会ったころも、そう思う部分はあったし)


淫魔幼女 「……貴様が抱く、他人への恐怖は二つある」

淫魔幼女 「一つは、他人の善悪が分からないこと。他人の価値観で成り立つ貴様にとって、それは自分を見失うことを意味する」

淫魔幼女 「また一つは、他人の善悪を知るために、他人にとっての悪を知らなければならないこと。つまり失敗しなくてはならないこと」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「お前は、好意的に自分に接してくれる者にさえ恐怖を抱いてしまう」

淫魔幼女 「分からないからだ。いつか失敗して、その者が怒ったり悲しんだりすることを知らなければならないからだ」

淫魔幼女 「お前は他人といるとき、何をしても不安なのだ」

淫魔幼女 「他人のすべてを知ってはじめて安心できるが、それは果てしないことだ。何度も失敗しなくてはならない」


幼女魔王N 「…………」




淫魔幼女 「さらに他人の善悪など、それこそ無数に存在する」

淫魔幼女 「他人の善悪で成り立つ貴様は」

淫魔幼女 「自分が接する者ごとに、自分の善悪のありかたを変えていかなくてはならなくなる」

淫魔幼女 「忙しいことこの上ない。いつか処理しきれなくなり混乱する、破綻する」

淫魔幼女 「リンゴが好きな者とリンゴが嫌いな者がいたとして」

淫魔幼女 「その二人の間で、お前は生き方を見失う」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「やがて貴様は、失敗から自分を守るために心を内側に閉ざしがちになる」

淫魔幼女 「他人がいないと自分でいられないのに、他人と関わることを避けるようになる」

淫魔幼女 「自分が何者なのかも分からないという、気が狂いそうな現実に打ちのめされ」

淫魔幼女 「いっそ死にたいと思いながら、ゴミのように生きる」

淫魔幼女 「仄かに、誰かに見つけられることを願いながら。それすらも浅ましいと自己嫌悪の種としながら」

淫魔幼女 「自己否定を重ね続ける」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「何故だか分かるか」







淫魔幼女 「逆なのだ、順序が」

淫魔幼女 「まずは、拙くともお前という存在を確立しなくては」

淫魔幼女 「他人に合わせることも、他人と交わることもままならない」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「……殺すほどに必要だったのだろう、その女が」

淫魔幼女 「殺すほどに必要だったのだ。貴様には、その女が」

淫魔幼女 「その衝動を忘れるな」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「貴様の今の戸惑いは、すなわち、むき出しの心への戸惑いだ」

淫魔幼女 「……ああしなければならない、こうしなければならない」

淫魔幼女 「そんな他人の価値観で覆い隠してきた、本当の心のかたち」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「いつか確立する貴様の起源だ。未来の起源だ」

淫魔幼女 「どれほど醜く思えても、お前はそこから輝くしかないんだ」

淫魔幼女 「目を背けるな。手放すな。また覆い隠してしまうな」

淫魔幼女 「かえりみないほどの強い思いを、殺してしまうな」


幼女魔王N 「…………」




幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「そんなにたくさん言葉を使って、もったいないわ」

幼女魔王N 「知ってるでしょう。私が馬鹿だって」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「心配してくれてありがとう」

幼女魔王N 「ごめんなさい。たくさん迷惑をかけてしまって」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「いつまでも足踏みしてもらっては駄目よね」

幼女魔王N 「あなたがあなたの旅に戻れるように」

幼女魔王N 「私、頑張ってみるわ」


コツ コツ コツ


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


コツ コツ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」



キイイイ

幼女魔王N の しもべの儀式レベル1
魔法陣 が あやしく輝きだす……



フィヨ フィヨ フィヨ

キュイン キュイン





キュイン キュイン キュイン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (次は、魔王のくちづけで、しもべに洗礼)

幼女魔王N (くちづけ……)


淫魔幼女 「嫌なら、触手で尻から口まで貫通する」


幼女魔王N 「く……くちづけるわよ!」

幼女魔王N 「平気だもん。女の子同士だもん。あいさつみたいなものだもん……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


モミ


淫魔幼女 「おい」


幼女魔王N 「……ハッ」

幼女魔王N 「しまった、つい……!」




淫魔幼女 「さっきの今でそれか。もっと頑張れよ」


幼女魔王N 「頑張るわよ!」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (えっと、歯がぶつからないように焦らず……)

幼女魔王N (……こうして見ると、母性巫女ってどことなく幼い顔なのね)

幼女魔王N (…………)


……チュム


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……唇、やわらかい)

幼女魔王N (まずは、母性巫女の魂をゆっくり吸い出すように……)


チウ チウ チウ


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (あたたかいものが、私の中に入ってくる)

幼女魔王N (うぅ、酔っ払いそう)

幼女魔王N (でも、続けなきゃ……)


チウ チウ チウ



淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 は 記録石 を使った
記録石 が 世界の情景をうつしとる!


淫魔幼女 (若い魔王のしもべの儀式は、ひそかな人気がある。とくに幼女魔王くらいの年頃のものは貴重だ)

淫魔幼女 「タイトルは、幼女な魔王はキッスに夢中……とかで良いか」




チウ チウ チウ


幼女魔王N (……たっぷり吸い込んだ)

幼女魔王N (今度は、それを私の中で、私の魂と混ぜ合わせるイメージ……)

幼女魔王N (場所は、お腹の下の方)

幼女魔王N (背筋を伸ばして、天を仰いで……)

幼女魔王N 「…………」


キュン

トクン トクン


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「はぅ……ふっ……ぅん……」

幼女魔王N (下腹が熱い……)

幼女魔王N (そうなったら、次に)

幼女魔王N (吸い出したものを、しもべに戻すように……)

幼女魔王N 「…………」


チュ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


チュム チュム チュム


幼女魔王N (母性巫女……)

幼女魔王N (ずっと一緒……)


チュム チュム チュム

チュム モミ チュム チュム




母性巫女 「…………」

母性巫女 「……!」


ピクン


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N (母性巫女が動いた)

幼女魔王N 「母性巫女、母性巫女……!」


母性巫女 「…………ぅ」

母性巫女 「う~ん……」


パチ ムクリ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (起き上がった。儀式、成功した……?)


母性巫女 「…………」

母性巫女 「おはようございます、魔王さま」


幼女魔王N 「……ぼ」

幼女魔王N 「母性巫女!」


ダキ


母性巫女 「うふふ……」


ナデ ナデ




幼女魔王N (母性巫女だ)

幼女魔王N (月明かりみたいに優しい顔。変わらない母性巫女だ)

幼女魔王N (もうずっと母性巫女と一緒にいられる!)

幼女魔王N 「えへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「うへへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N (あれ、何か変。どこからどう見ても母性巫女だけど、どこか変)

幼女魔王N 「……母性巫女?」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「……命令しなくては動かないぞ」

淫魔幼女 「生まれてすぐだからな」


幼女魔王N 「……へ?」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……どういうこと」


淫魔幼女 「魔王のしもべとしてのありかたを、お前が色々と教えていくんだ」

淫魔幼女 「育て方は自由自在。あなた好みのしもべにしたてあげよう」

淫魔幼女 「レッツ、カスタム隷……」


幼女魔王N 「話が違うわよ!」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「能力はそのままだ。寿命ものびた」

淫魔幼女 「おれの言った通りのはずだが」


幼女魔王N 「…………!」

幼女魔王N 「だって……だって、これじゃ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「私の知ってる母性巫女じゃ無いじゃない……」




淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「近しい者が、懐かしい姿のまま別人となってしまう辛さを」

淫魔幼女 「理解できる頭はあるのか」


幼女魔王N 「……?」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「まあ、悲観することはない」

淫魔幼女 「うまくやれば、もとの通りに振舞わせることもできる」


幼女魔王N 「振舞わせるって……」


淫魔幼女 「それとも何か。もう昔のそいつではなくなったから、ボケた母親を捨てるみたいに破棄するか」

淫魔幼女 「おれが下取りしてやるぞ。どうぶつビスケット五枚くらいで」

淫魔幼女 「洗脳しなおすのは骨が折れるが、能力的にいろいろと需要があるだろう」


幼女魔王N 「いろいろ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「だ、だめ!」




淫魔幼女 「そんなに悲観することでもないぞ」

淫魔幼女 「……貴様がそいつと共に暮らしだしてどのくらいだ」

淫魔幼女 「長くはないだろう」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「で、でも、それでも母性巫女は大事よ」

幼女魔王N 「一緒にいた時間が短くても、関係ないもん」


淫魔幼女 「だからこそだ」


幼女魔王N 「?」


淫魔幼女 「はじめのうちは、その人物の良いところばかりが見えがちだし、悪いところも好意的にとらえられても」

淫魔幼女 「いずれは悪いところばかりが目や鼻につくようになる」

淫魔幼女 「一緒にいた時間がほどよく短いからこそ、貴様はそいつに夢中でいられるんだ」


幼女魔王N 「そ、そんなこと……ない、もん」


淫魔幼女 「これからそいつの悪いところを見ずに済むじゃないか」

淫魔幼女 「もしうまくいかなくても、貴様の指示のしかたが悪いだけということにできる」


幼女魔王N 「…………」




母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「母性巫女……」


淫魔幼女 「その母乳巫女という雌は……」


幼女魔王N 「母性巫女」


淫魔幼女 「苗床・発情という凶悪な状態異常を解除し、長い寿命を得るかわりに」

淫魔幼女 「ほんの少し感情やらの表現のしかたが変わってしまったが」

淫魔幼女 「本質的なところは変わっていない」


幼女魔王N 「……そ、そうなの?」


淫魔幼女 「そいつに抱きついて、頭を撫でられたとき、どうだった」

淫魔幼女 「そいつそのものだと思ったのではないか」

淫魔幼女 「くそ気持ち悪い締まりのない顔をしていたし」


幼女魔王N 「……う、うん」


母性巫女 「…………」


淫魔幼女 「その感情は正しい」

淫魔幼女 「そいつは、しもべになる以前の、お前が必要としたそいつのままだ」

淫魔幼女 「少し貴様の調整……介護が必要なだけのこと」


幼女魔王N 「う、うーん……?」





母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あの、母性巫女……?」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N (やわらかい表情)

幼女魔王N (やっぱり、見れば見るほどいつもの母性巫女のまま……)

幼女魔王N 「さ、さっきの、もう一回して……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「さっきみたいに、その、マ……お母さんみたいに、撫でてほしい……な……」

幼女魔王N (言葉にすると恥ずかしいものがある……!)


母性巫女 「はい」

母性巫女 「……いらっしゃい、魔王さま」


幼女魔王N 「!」

幼女魔王N 「う、うん!」


ダキ


母性巫女 「うふふ……」


ナデ ナデ


幼女魔王N (ああ、母性巫女だ)

幼女魔王N (サラッとした甘いにおい、このなで方、私を受け止める手の置き方、母性巫女だわ)

幼女魔王N 「どぅふ、でへへ、えへへへ……」


スリ スリ


母性巫女 「うふふふ……」


幼女魔王N 「えへへ、母性巫女ぉ、えへへへ」

幼女魔王N 「きゃふ、うふふ、うふふふ」

幼女魔王N 「きゃは、あはははっ……」


キャッ キャッ

ナデ ナデ スリ スリ



淫魔幼女 「…………」



…………







幼女魔王の世界 幼女魔王Nの城

野原 飛行船発着場



ゴウン ゴウン


船員子鬼A 「五番綱、おろせー」


蒸気子鬼たち 「えっほ、えっほ……」


ガコン ブシュウウ

……コツ コツ コツ


??? 「…………あぁ~ら」

魔貴族娘 「ずいぶんと可愛らし……小さな世界ですこと」

魔貴族娘 「幼女魔王さんにふさわしい可憐……コホン……お似合いの貧乏世界ですわね」


魔執事 「お嬢様、この世界は日差しが強い。日傘を……」


魔貴族娘 「いりませんわ。日に焼けてこそ魔の乙女」


男装執事 「お嬢様、やはり私もついていきます」

男装執事 「今日は老執事さまがいらっしゃいません。もしものことがあれば……」


魔貴族娘 「いりませんわ」


男装執事 「しかし……」


天パ執事 「おいおい、やめとけよ。お前は執事四天王でも最弱……」


男装執事 「なんだと、貴様、私を愚弄するか!」


天パ執事 「何だよ、おれはひよっ子のお前のためを思って……!」


男装執事 「いらぬ世話だというのだ、わかめ!」


天パ執事 「ワカ……ッ。お前、元貴族騎士団だからって偉そうに!」


ドン フニ


男装執事 「あっ……!」


天パ執事 「……え?」

天パ執事 「お前、もしかして……」


ドキ ドキ ド……


魔貴族娘 「おやめなさい」

魔貴族娘 「ここでぶっ込まれると、いよいよ収拾つかなくなりますから」

魔貴族娘 「まじで」






幼女魔王Nの城Lv.3

城門前



魔貴族娘 「……あらあら、鐘つきどころか門番もいないとは」

魔貴族娘 「さすが、貧乏世界ですわねえ」

魔貴族娘 「お城もまるで廃墟。上の方は崩れているではありませんの」

魔貴族娘 「……夜は星明かりの降りるこの廃墟の、きっとかたい石の玉座の間で、幼女魔王さんは儚くたたずんでらっしゃるのね」

魔貴族娘 「…………」



ポワ ポワ ポワ



幼女魔王N 『……今日もみかんの皺のところの白いやつしか食べられなかった。ああ、ひもじいわ』

幼女魔王N 『ひもじくて死んでしまうわ。お願い……誰か、助けて……』


魔貴族娘 『……シュタッ、ビシッ』

魔貴族娘 『待たせましたわねッ』


幼女魔王N 『あなたは、魔貴族娘さま……!』


魔貴族娘 『話は分かっていましてよッ。さあ、これをお食べなさい。みかんのフルコースですわッ』

魔貴族娘 『私は貴族ですから、こんなディナーを容易するなど朝飯前ですわ!』


幼女魔王N 『すごい、本物のみかんの実だわ!』

幼女魔王N 『恋人にしてほしい!』


魔貴族娘 『よろしくてよ! ついでにこの廃墟同然のお城も』

魔貴族娘 『私のポケットマネーでエレガントにリフォームしてさしあげますわ!』


幼女魔王N 『でも、ああ、申し訳なくてしかたがないわ』

幼女魔王N 『私、魔貴族娘さまにあげられるようなものは何ひとつないのに……』


魔貴族娘 『……夫婦になってしまえば、問題ないじゃない……』


幼女魔王N 『えっ……?』


トクン





魔貴族娘 『……私の子供、産んでくださる?』


幼女魔王N 『魔貴族娘さま……』


魔貴族娘 『ご主人さま、で良いですわよ……』


幼女魔王N 『………!』

幼女魔王N 『うん……』

幼女王妃N 『ご主人さま……』


魔貴族娘 『よろしくてよ……。これからはかたい石の玉座ではなく、私の上にいなさい』

魔貴族娘 『狂おしいほどやわらかく、とろけるように熱く、ときに責め立てるように激しく、包み込んでさしあげますわ』


幼女王妃N 『はうん……ッ』

幼女王妃N 『はい、ご主人さま……ッ』



ポワ ポワ ポワ



魔貴族娘 「…………」

魔貴族娘 「よーっしゃあ、よ~~っしゃ!」

魔貴族娘 「いけますわ! いーっけまっすわあ~ッッ!」


ピョ-ン ピョ-ン




魔貴族娘 「……コホン」

魔貴族娘 「さて、ええと……」


魔法のブザー・中古


魔貴族娘 「これかしら」


ポチ


魔法のブザー 『ピンポロン、ピンポロン、ピンポロン……』

魔法のブザー 『…………ガチャ』

魔法のブザー 『……ひゃっ……コホン』

魔法のブザー 『はい、何でしょ……何かしら』


魔貴族娘 「……これは、幼女魔王さんのお声!」

魔貴族娘 「い、いけませんわ。久しぶりに耳にすると想定以上に甘く愛らしくいじめたくなるお声……!」

魔貴族娘 「これでは鼻血が……」

魔貴族娘 「ブーーーッ」


ダバ ダバダバ


魔法のブザー 『!?』




ガコン ゴゴゴ


幼女魔王N 「……ど、どうしたの。物騒な音がしたけど……」


魔貴族娘 「! ……何でもありませんわ。お気になさらず」


幼女魔王N 「そ、そう」

幼女魔王N (魔貴族娘さん……だったかしら。私の世界が属している大世界の東界域……の、偉い人……)

幼女魔王N (……の、娘。こんなところに一人で来たのかしら)

幼女魔王N 「いきなり、どうしたの」


魔貴族娘 「ええ、大した用事ではございませんわ」

魔貴族娘 「ですので、この場で結構」

魔貴族娘 「それに、おほほ……こんなみすぼらしい廃墟……失礼、お城なんて入りたくもありませんし」


幼女魔王N 「……わ、分かったわよ」

幼女魔王N (相変わらず近寄りがたい人だわ)

幼女魔王N (きっと価値観が違うのね。この人は生まれながらの貴族で、こっちはただの元旅人だし)


魔貴族娘 「本当に何ですの、ここは。小さくて地味すぎて、見つけるのに苦労しましたわ」

魔貴族娘 「飛行船をとめる場所もガタガタで……」


幼女魔王N 「し、しかたないでしょ。レベル低いし、人手も足りないんだから……」


魔貴族娘 「をほほほ、そうでしたわね。弱小世界は大変ですわねえ。をほほ、をほほ、をほほほほ」


幼女魔王N (この人と話すと、自分の教養のなさに泣けてくるのよね)

幼女魔王N (そんなことも知らないのって笑われるのが怖くて、ちょっと疑問に思ったことも尋ねられない)

幼女魔王N (そのせいで、名前もうろ覚えのまま確認できていないし……)

幼女魔王N 「……何なのよ、用事って」




魔貴族娘 「何の用事……」

魔貴族娘 「何の用事!?」


幼女魔王N (あ、しまった……)


魔貴族娘 「あぁ~ららぁ! 幼女魔王さんってばあいも変わらず察しが悪いんですのねーえ!」

魔貴族娘 「この御時勢……」

魔貴族娘 「第三大世界同盟の幹部を父に持ち、由緒正しき召喚師家はじまって以来の天才召喚師たる兄を持ち」

魔貴族娘 「自称ジュブナイル小説家の無職の姉を持つこの私が」

魔貴族娘 「わざわざ出向くほどの用事といえば、ひとつしかないでしょうに!」

魔貴族娘 「まーったく、魔動画も見ないんですかしら、このピンクのへそ出しちゃんは」


幼女魔王N 「……ぐぬぬ」

幼女魔王N (用事をきいただけでこの有様……!)


魔貴族娘 「あぁっ、ごめんあそばせ」

魔貴族娘 「魔動画を見るお金も無いんでしたかしら」

魔貴族娘 「しもべひとり雇えない貧乏魔王かと思ったら、魔動画ひとつ買えない極貧魔王でしたのね!」

魔貴族娘 「をほほほ、をほ、をほほほほほほ……!」


幼女魔王N 「……………」




魔貴族娘 「をほほ……」

魔貴族娘 「ですが、まあ? あんまりかわいそうですし?」

魔貴族娘 「こ、この私が? 救世的に? あわれな幼女魔王さんの面倒見てあげてもよろし……」


幼女魔王N 「あー、あー、コホンコホン」


魔貴族娘 「?」


幼女魔王N 「あー、そういえば、飲み物ひとつ出さないのも失礼よね」

幼女魔王N 「待ってて、いまお水もってこさせるから」


魔貴族娘 「もってこさせる……?」


幼女魔王N 「……マイしもべ」

幼女魔王N 「キャムヒア!」


幼女魔王N の 指パッチン!
ミス! 音が鳴らなかった!
ミス! 音が鳴らなかった!
ミス! 中指に 1 のダメージ!


幼女魔王N 「…………」


ペチョッ ペチッ



幼女魔王N の 手拍子!
情けない音 が 城の闇にとけていく……



幼女魔王N 「……………」


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女ー……」




母性巫女 「……はーい」


ヒョコ


魔貴族娘 「!?」


母性巫女 「何かごようですか、魔王さま」


幼女魔王N 「お客さまが来たから、飲み物入れてきて。水で良いから」


母性巫女 「はい」


テク テク テク


魔貴族娘 「…………」

魔貴族娘 「ちょ、ちょっと、幼女魔王さん!」


幼女魔王N (……むふっ。驚いてる驚いてる)

幼女魔王N 「にゃ……コホン。あら、どうかしたのかしら?」


魔貴族娘 「な、なな、何ですのあの……破れた服を着た凄まじい胸のかたは!」


幼女魔王N 「何って……あー、コホンコホン……ただの、しもべだけど?」


魔貴族娘 「……な、何ですって」

魔貴族娘 「冒険者ギルドから入手した情報では、人型のしもべはいなかったはず……!」


幼女魔王N 「ああ、まあ、つい最近ちょっと手に入って……」

幼女魔王N 「いやね、私もどうしても人型が良いってわけじゃなかったけど」

幼女魔王N 「たまたま私にふさわしい優秀なしもべがあの人だったってだけで」

幼女魔王N 「いや本当、どうしても人型が良いってわけじゃなかったけど」


魔貴族娘 「二人ですのッッ!?!?!?」


幼女魔王N 「ひっ!?」


魔貴族娘 「このお城にいるのは、あなたと、あのかたの、二人っきりなんですの!?」


幼女魔王N 「え、ええ、そうだけど……」

幼女魔王N (しまった。何百人もしもべがいる魔ナントカ娘さんにとって)

幼女魔王N (私のしもべの少なさは、嘲笑の的でしかないわ。触手も常時出していることにしていれば……)


魔貴族娘 「そ、そんな……私の幼女魔王さんが……どこぞの女と二人暮らし……」

魔貴族娘 「……はへ」


フラ ヨロヨロ

パタン


幼女魔王N 「倒れた……!?」





魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「ちょ、ちょっと、大丈夫……!?」

幼女魔王N 「……完全にのびてる。どうしよう」


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「……お風呂の残り湯でもかけようかしら」


魔貴族娘 「樽でいただきますわ!」


ガバ 


幼女魔王N 「きゃっ」

幼女魔王N 「何なのよ、いきなり倒れたと思ったらいきなり立ち上がって……!」


魔貴族娘 「んなこたぁどうでも良いですわ! いったいどういうことですの!?」

魔貴族娘 「私というものがありながら……!」


幼女魔王N 「???」

幼女魔王N 「悪いけど、貴族以外にも分かるように話してくれないかしら……」






魔貴族娘 「ぐぬぬぬ……こうなってはしかたありませんわ」

魔貴族娘 「別荘の倉庫で見つけたフタナールの秘法をつかって、無理やりにでも既成事実を……」


ブツブツ


幼女魔王N (今度は独り言。なんかお腹の底に寒気が……)

幼女魔王N 「ねえ、ちょっと、本当に大丈夫……?」


魔貴族娘 「幼女魔王さん!!」


幼女魔王N 「ひっ。……な、なによ」

幼女魔王N (心臓に悪いわ、この人)


魔貴族娘 「スパッツをお脱ぎになって!」


幼女魔王N 「へっ?」


魔貴族娘 「良いから、はやく!」


幼女魔王N 「あ、は、はい……」


スルル……


母性巫女 「魔王さま、水を持ってきました」


幼女魔王N 「! 母性巫女」


グイ 


魔貴族娘 「ちぃっ!!」





幼女魔王N 「ほら、水でも飲んで落ち着いて」

幼女魔王N 「人にいきなりスパッツ脱げなんて、普通じゃないわ」


魔貴族娘 「……いただきますわ」

魔貴族娘 「…………って」

魔貴族娘 「何ですの、これは……」


ワナ ワナ 


幼女魔王N 「?」


魔貴族娘 「ただの水ではありませんの!」


幼女魔王N 「ひっ!?」

幼女魔王N (怒らせた!? やっぱり貴族は水も高級なものしか飲まないのかしら)


魔貴族娘 「残り湯は……幼女魔王さんの桃色エキスたっぷりの、お風呂の残り湯は!?」


幼女魔王N 「はえ゛……っ?」

幼女魔王N 「お、お風呂って……いくらうちでも、お客さんにそんなもの出すわけないじゃない……!」


魔貴族娘 「かぁ~~~~!!」

魔貴族娘 「ペッ!!」


幼女魔王N 「ちょっ……何やってんのよ人んちの前で!」


魔貴族娘 「なっとりませんわ!」

魔貴族娘 「お客にはまずお風呂の残り湯を出して、自らの人となりを伝える」

魔貴族娘 「それが礼儀というものでしょう!」


幼女魔王N 「……え、そうなの?」


母性巫女 「知りません」


魔貴族娘 「そうなのですわ!」


幼女魔王N 「そ、そうなんだ……」


魔貴族娘 「そうなのですわよ!」

魔貴族娘 (幼女魔王さん限定で!)





幼女魔王N 「たしかに、風呂の残り湯を出すということは」

幼女魔王N 「ありのままの自分をさらけ出し、相手への信頼を表すことにつながるような気がするわ」

幼女魔王N 「ごめんなさい、気がきかなくて……」


魔貴族娘 「コホン……ま、まあ、分かれば良いんですのよ、分かれば」

魔貴族娘 「本来なら生きたまま産卵期のジャイアント洞窟ミミズの巣に放り込むところですが、今回は大目に見てさしあげますわ」

魔貴族娘 「なにせ、無教養の田舎者のしたこと。貴族的な心のひろさで許してあげましょう」


幼女魔王N 「あ、ありがとう」

幼女魔王N (許してくれるなんて、なんと心がひろいのかしら。私、この人のことを誤解ていたみたい)


キュン


魔貴族娘 「ま、まあ、この話はここまでにしましょう」

魔貴族娘 「こんなことをするために、こんな浮遊大陸の欠片みたいな田舎世界に来たのでは無かったのですわ」


幼女魔王N 「はい」


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「……?」


母性巫女 「…………」


魔貴族娘 「お二人は、恋人同士ではないのですわよね?」


幼女魔王N 「当たり前でしょう。女の子同士なのに……」


魔貴族娘 「……よっしゃあ!」


幼女魔王N 「……ッ」


魔貴族娘 「ま、まあ、分かっておりましたけどね!」

魔貴族娘 「をほほ、をほほほほ……!」


幼女魔王N (……もしかして、場を和ませるための小粋な貴族ジョークだったのかしら)

幼女魔王N (きっとそうね。笑っておかないと失礼だわ)

幼女魔王N 「……お、おほほほ」

幼女魔王N 「魔にゃららゴニョゴニョ……さんったらぁ。おほほほ……」


魔貴族娘 「をほ、をほほほほほ……!」


オホホホホ


母性巫女 「…………」





ピヨ ピヨ チチチ

ザワワ サアア


魔貴族娘 「幼女魔王さん、あなた」

魔貴族娘 「このところ、というかずっと」

魔貴族娘 「優雅なる第三大世界東方界域貴族会議例大祭カーニバルフェスタフォレスト超にっこにこ」

魔貴族娘 「……を、欠席なさっていますわよね?」


幼女魔王N 「え゛……あ、うん」

幼女魔王N (優雅なる第三大世界東方界域貴族会議例大祭カーニバルフェスタフォレスト超にっこにこ……)

幼女魔王N (正式名称、第三貴族茶会)

幼女魔王N (いやなものを聞いてしまったわ……)


魔貴族娘 「第三大世界同盟に加盟している支配者級の者はなるべく参加するようにと」

魔貴族娘 「呼びかけがおこなわれているにも関わらず」

魔貴族娘 「いったい、どういうつもりですの?」


幼女魔王N 「どういうつもりって……」

幼女魔王N (はじめて出席したとき、誰とも話せず、ひたすら飲み物を飲むことしかできなかった)

幼女魔王N (あれほど時間がはやく過ぎるのを願ったことはなかった。地獄だったわ……)




幼女魔王N 「飛行船で行くと遠いし……」


魔貴族娘 「能力による世界渡りは許可されているはずですが」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (だめだわ。とっておきの完璧な言い訳を潰されてしまった)

幼女魔王N (もう言い訳の余地がない)


魔貴族娘 「……むふ。分かってますわよ」


幼女魔王N 「……!!」


魔貴族娘 「服が……ないんですわよね」


幼女魔王N 「……ほえ?」


魔貴族娘 「そうですわよねーえ!」

魔貴族娘 「以前出席なされたときの服、穴をあけたゴミ袋みたいでしたものね」

魔貴族娘 「あんなんじゃ、とても外に出られませんもの」

魔貴族娘 「ましてや貴き人々の会合になど……をほほほほ!」


幼女魔王N (精一杯のおしゃれのつもりだったのだけど)

幼女魔王N (でも、そうね、なかなか良い着眼点だわ。今度の言い訳に使わせてもらおう)


魔貴族娘 「ですが心配ご無用!」

魔貴族娘 「そんな服ひとつ買えない幼女魔王さんに」

魔貴族娘 「私がスッペッッッサルなプレゼントを、用意してあげましたわ!」


幼女魔王N 「……?」




幼女魔王N 「服と酸っぱい猿と、何の関係があるの?」


魔貴族娘 「我が召喚師家おかかえのテーラーに仕立てさせた」

魔貴族娘 「超高級な服一式をさしあげますわ!」

魔貴族娘 「それさえあれば、どんな貧乏人もセッレェブの仲間入り」

魔貴族娘 「しかも、生命を宿し私の命令に従うように調整された魔法の布を使うことによって」

魔貴族娘 「幼女魔王さんの滑らかでやわらかくミルクのように香りたつ肢体を、好きなときにまさぐり放題のムフフなしかけつき!」


幼女魔王N 「……へえ」

幼女魔王N 「貴族のおかかえなんだぁ……」

幼女魔王N 「あ、でも、申し訳ないわ」

幼女魔王N 「そんなもの貰っても、お返しできるようなものは何ひとつないのに……」


魔貴族娘 「……フッ。良いのですわよ」

魔貴族娘 「あわれな貧乏人を助けるのも、貴族のつとめ」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (かっこいい……!)


キュン


魔貴族娘 「では、受け取りあそばせ!」


幼女魔王N 「あそばせって、そんなのどこにも見当たらないけど……?」

幼女魔王N (あ、飛行船が泊まってる。見たことない型だわ)

幼女魔王N (高貴そうだし、きっと魔ナントカさんの物ね)

幼女魔王N (個人で飛行船を所有するとは、さすが貴族……)


魔貴族娘 「むふふ……お忘れになって?」

魔貴族娘 「私が高貴なる召喚師の血をひく者であることを」

魔貴族娘 「すなわち、異世界より服を召喚するなどへのカッパ!」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N (……この人、召喚師だったんだ)




魔貴族娘 は 扇 を装備した!
魔貴族娘 の 召喚魔法Lv.1!
魔貴族娘 は 呪文を詠唱している……



魔貴族娘 「……我、大界の魂名を統べるもの。両の手は漏刻をすくう聖杯なり」

魔貴族娘 「なれば汝、理を穿つ我が言の葉の、汝を呼ばわるを至上の言祝ぎとすべし……!」


キィン キイィン


幼女魔王N 「…………ゴクリ」


魔貴族娘 (むふふ、見てますわ見てますわ……)

魔貴族娘 (幼女魔王さんが幼い瞳を輝かせて、この私を……!)

魔貴族娘 (ここは優雅にきめて、一気に心をゲッチュウですわ!)

魔貴族娘 「出でませ……」

魔貴族娘 「服!」


バッ


幼女魔王N 「…………!」


母性巫女 「…………」


シィン


魔貴族娘 「…………」


幼女魔王N 「…………?」


魔貴族娘 「……コホン」

魔貴族娘 「おかしいですわね……」




幼女魔王N 「失敗したの?」


魔貴族娘 「とにかく」

魔貴族娘 「未確認の大世界が接近しつつある今」

魔貴族娘 「我々は交流を密にし、来たる衝突の日に備えねばなりません」


幼女魔王N 「ねえ、今の……」


魔貴族娘 「ですので!」

魔貴族娘 「今度の第三貴族茶会には出席なさるように」


幼女魔王N 「召喚、失敗……」


魔貴族娘 「絶対に!」

魔貴族娘 「出席なさいますように!」


幼女魔王N 「服がない予定があるから欠席するわ」


魔貴族娘 「堂々となに言ってますの!?」


母性巫女 「…………」




幼女魔王Nの城 食堂



幼女魔王N 「お茶会のお知らせ……」


ピラ


幼女魔王N 「今度のお茶会は……結構遠い世界でやるのね。あら、隣の世界でお祭りがある日だわ」

幼女魔王N 「……面白い一発芸を披露すること(しもべにやらせても可)」

幼女魔王N 「一発芸?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「困ったわね。私、面白い要素なんて何一つ持っていないわ」




幼女魔王N 「……ね、ねえ、母性巫女」

幼女魔王N 「何か面白い一発芸をしてみてくれない?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「…………」


ガサ ゴソ ガサ ゴソ


母性巫女 は 髪留め を装備した!



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (黒髪ツインテール……)


母性巫女 「…………」

母性巫女 「巫ッ女巫女にしてあげる」


幼女魔王N 「……!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「困ったわね……」




幼女魔王Nの城 大浴場



カポーン

ザバ ゴシゴシ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「えへへ、母性巫女のシャンプーきもちいい」


母性巫女 「ありがとうございます、魔王さま」


シャコ シャコ シャコ


幼女魔王N (……本当にほとんど母性巫女のままなのね)

幼女魔王N (料理の味付けも、洗濯物の干し方もそうだったし)

幼女魔王N (ただ、指示が必要ってだけで、それ以外はもとの母性巫女のまま……)


母性巫女 「…………」

母性巫女 「魔王さま、いちど流しますよ。しっかり目をつぶってくださいね」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (一度指示したらおぼえてくれるし、すごく優秀なしもべだわ)


ザパ 


幼女魔王N (……でも、困ったわね)

幼女魔王N (お茶会、偉い人にあそこまで言われたら出ないわけにもいかないし……)


母性巫女 「…………」


ザパ チャプン


…………





幼女魔王Nの城 寝室



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……明日は、一緒に中立の町へ買い物に行こうね」

幼女魔王N 「母性巫女の洋服とか買わないと」

幼女魔王N 「いつまでも破れた服じゃいけないものね……」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「はぐれないように、手をつないで歩くからね」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「それから……くぁ……ふあァ」

幼女魔王N 「……もう、眠たくなっちゃった……」


母性巫女 「絵本、読みますか?」


幼女魔王N 「……絵本はいいわ」

幼女魔王N 「怖くないように、ぎゅっと抱きしめて」

幼女魔王N 「お母さんが抱きしめるように」


母性巫女 「はい」





ギュ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「痛くありませんか、魔王さま」


幼女魔王N 「………ん」

幼女魔王N (母性巫女、しもべになる前と同じ抱きしめかた)

幼女魔王N (私のことを本当に大切にしてくれていたのね)

幼女魔王N 「うれしいわ、とても……」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「魔王さま」


幼女魔王N 「……なあに」


母性巫女 「泣いているのですか」


幼女魔王N 「……いいえ。そんなわけ、ないじゃない」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「…………」




…………



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……ムニャ」

幼女魔王N 「………スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」


ナデ ナデ



…………




…………


謎の空中城 玉座の間



ゴオオ パチ パチ


謎の狐耳 「今日はあついね」

謎の狐耳 「もっとも、影の動かないこの城で」

謎の狐耳 「そんなことはありえないが」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「来てくれてうれしいよ、棺持ち」

謎の狐耳 「ここまでたどり着くお客は少ないから」


淫魔幼女 「……姫の魂はどこに」


謎の狐耳 「かけらだ」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「あれはかけらであって、あの子そのものじゃあ無いのだよ」

謎の狐耳 「あの子はもうどこにもいないのだよ」

謎の狐耳 「君も分かっただろう」





淫魔幼女 「……ちゃんと殺してやるべきだ」


謎の狐耳 「だから死んでいるじゃないか」

謎の狐耳 「ある世界には、死者の体の一部をお守り代わりに持つという風習があるのだけど」

謎の狐耳 「魂のかけらをそうしても、何の問題もないだろう?」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……まあ、君にとっては問題なのだろうね」

謎の狐耳 「ある人は心臓が止まったらそうだと考えるように、またある人は万物の記憶から消えたときがそうだと考えるように」

謎の狐耳 「君は、魂が完全に消滅することが死ぬことだと考えている」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「死人にくちなしとは言ったものさ」

謎の狐耳 「周りの人々が、勝手にその人の死を決めるんだもの」




淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……うん。このことについて、僕たちの意見は交わらないのだろう」

謎の狐耳 「ぐだぐだと話してもしかたがない」

謎の狐耳 「それに僕は、言葉で説得するというのは得意ではない」

謎の狐耳 「とにかく、今、真幼女魔王は僕の掌中にある」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「つまり、君は僕の許しを得るか、僕を殺しでもしないと」

謎の狐耳 「真幼女魔王に手出しはできないということだ」

謎の狐耳 「僕は真幼女魔王を殺そうとする君に許しは出さないし」

謎の狐耳 「僕が食中毒と口内炎とおたふく風邪とうつ病と水虫を併発していたとしても」

謎の狐耳 「君が僕を殺すことは絶対にできない」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「……姫の魂をどうするつもりか」


謎の狐耳 「大事にするさ」

謎の狐耳 「今となっては数少ない肉親の形見だから」

謎の狐耳 「悲しいことだ。深い世界に名を轟かせた大魔王の血族が、今ではこれっぽっちさ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「では、あのクズピンクは」

淫魔幼女 「予定通り、世界ごと封印するつもりか」


謎の狐耳 「こだわるね」

謎の狐耳 「それとも、魂なんかより見た目の方が大事かい」

謎の狐耳 「あの男の面影を濃く残す、髪と瞳の色が」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「気持ちの悪い話さ」

謎の狐耳 「……封印した方があの子のためだよ」

謎の狐耳 「どうやら、世界の衝突は避けられない」


淫魔幼女 「姫の魂を失ったあいつはもう姫ではない」

淫魔幼女 「あの子には、あなたが受け継いだ深い魔王の力は残っていない」

淫魔幼女 「あの子が母と父から受け継いだものはとうの昔に壊された」

淫魔幼女 「あなたとは関係のない存在だ」

淫魔幼女 「あなたが管理する権利はないはずだ」


謎の狐耳 「……なるほど」

謎の狐耳 「そう言うか」

謎の狐耳 「真面目すぎる子どもが、柔軟になったじゃないか]

謎の狐耳 「棺持ちのお嬢さん」


淫魔幼女 「…………ッ」


謎の狐耳 「おお、怖い目をするね」

謎の狐耳 「懐かしいなあ。あのときも君は、僕が城で同じことを言ったらそんな目をした」




謎の狐耳 「……君の一番の願いは結局、君の言うところの姫の完全な死などではなく」

謎の狐耳 「どうにかして幼女魔王と僕を切り離すことだったのだろうね」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「姫のかけら……真幼女魔王についても」

謎の狐耳 「殺すほかに、僕に幼女魔王から手を引かせる餌にするという案も、君の中にあったんじゃないかな」

謎の狐耳 「……どうだったとしても、謎の学者によって阻まれたわけだけれど」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……死者は去るべきだ。過去は去るべきだ」

淫魔幼女 「永遠に失われたあの子の過去を知る我々が、あの子にかかわっていては」

淫魔幼女 「どちらも苦しむだけだ」

淫魔幼女 「我々はあの子の人生から去るべきなのです、王子」


謎の狐耳 「……そうか」

謎の狐耳 「姫のためでも、幼女魔王のためでも、君は誰のためでもなく」

謎の狐耳 「君自身のために動いていたのだね」




謎の狐耳 「そしてそれは、君の体の、もとの持ち主のためでもある」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「幼女魔王と君は似たようなものだ」

謎の狐耳 「幼女魔王は姫の肉体と魂からつくられた存在であり」

謎の狐耳 「淫魔幼女は、その体を器として、その体の元の持ち主の魂を生贄に呼び戻された存在」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「君は幼女魔王を肯定しなければならなかった。君という存在を肯定するために」

謎の狐耳 「君という存在を作り出した、その体の元の持ち主の行いを肯定するために」

謎の狐耳 「幼女魔王から姫であった痕跡を消そうとするのも」

謎の狐耳 「君が、棺持ちでも体の元の持ち主でもない、淫魔幼女として生きなければならない苦悩からくるものだ」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「そう、苦悩している。君はいっぽうで自身の存在に否定的だからだ」

謎の狐耳 「そこに感情がどれほど複雑に絡んでいるのかは知らないが」


淫魔幼女 「……よくもそこまで、他人について考えるものだ」


謎の狐耳 「職業柄やることがなくてね。しかし良い経験さ」

謎の狐耳 「弱すぎる者の心についてなんて、考えることがなかったから」


淫魔幼女 「…………」




謎の狐耳 「……魂が僕のもとにあることは良いことだと思うよ」

謎の狐耳 「なにせ、あの子の髪と瞳の色はあの子の父に似て、魂はあの子の母に似ている」

謎の狐耳 「これから君は、あの子に関わるとき、大好きな勇者さまを君から奪ったお姉さま……女性の影を」

謎の狐耳 「見なくてすむのだから」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……気持ちの悪い話さ」

謎の狐耳 「ねえ、棺持ちのお嬢さん」


淫魔幼女 「…………!」


ズ ズ ズ ズ



淫魔幼女 は怒りをためている
淫魔幼女の外套 が あやしく波打つ……



謎の狐耳 「ありし日の城で、君があの男を見るときの目は、恋する少女そのものだったよ」

謎の狐耳 「あの男がお姉さまと一緒にいるときの目も」


淫魔幼女 「黙れ。私は、おれは男だ……!」


ズ ズ ズ ズ


謎の狐耳 「そこが君の矛盾なのだよ」

謎の狐耳 「もっと喜ぶべきだ。良かったじゃないか」

謎の狐耳 「今の体は君にぴったりさ」

謎の狐耳 「おかげで、後ろめたさを感じることなく」

謎の狐耳 「幼女魔王を見ながら、あの男との思い出にひたることが出来るだろう」

謎の狐耳 「その体をくれた君の妹に感謝しなよ」


淫魔幼女 「そんな汚らわしいことのために、あの子は魂を差し出したんじゃない……!」


謎の狐耳 「おやおや……!」

謎の狐耳 「自分をそんなに卑下するものじゃないよ」

謎の狐耳 「淫魔族のお嬢さん」


淫魔幼女 「…………!」


ズ ズ ズ ズ



淫魔幼女 の こうげき!
謎の狐耳 の 後の先!
謎の狐耳 の ウインクLv.0!
淫魔幼女 に **ミ゛$ペペ のダメージ!
淫魔幼女の武器 が 壊れた!
淫魔幼女の防具 が 壊れた!
淫魔幼女の特殊能力 が 封印された!
淫魔幼女の婚期 が 時空(とき)のかなたに消え去った!


バサ ドシャ


淫魔幼女 「…………ッ」


謎の狐耳 「……あつくなりやすいのは、君の良い点であり、悪い点だよ」



ジュー ジュー



謎の悪魔 「モグモグ……ひゅー、生きてやがるぜ、あの淫魔のガキ」


謎の石像 「ムシャムシャ……子どもにしちゃあやるじゃないか」


謎の鎧 「ちょっとあんたら、食べかた汚いわよ」


謎の学者 「さあ、どんどん焼くわよお」


謎の学者 は 竜の肉 を焼いている!
謎の学者 は ニンジン を焼いている!
謎の学者 は 謎の肉 を焼いている!


謎の馬頭 「おい、にんじんはやめろ」


謎の精霊戦士 「変なのも混じってるんですけど」


ジュージュー



淫魔幼女 「…………」


ヨロ


淫魔幼女 「あと、少しだけだ」


謎の狐耳 「…………」


淫魔幼女 「それ以後は、もうあのバカピンクに関わるつもりはない」


謎の狐耳 「…………」


淫魔幼女 「あなたも、あの子を手放してやるべきだ」




謎の狐耳 「……言っておくが」

謎の狐耳 「あの子から過去を切り離したことで、僕があの子への興味をなくすことを期待しても、無駄だよ」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「正直、僕は君のような弱い生き物の顔は見分けもつかなかったし、守ってやるのも嫌だったが」

謎の狐耳 「お姉さまの忘れ形見ということでしかたなく守ることにしたあの子のおかげで、考えは変わった」

謎の狐耳 「あの子は突き抜けて弱く、ちっぽけな生き物だった」

謎の狐耳 「はじめは鼻で笑っていた僕だったが、みじめに生きる彼女をしだいに愛おしく思えるようになった」

謎の狐耳 「新鮮だったのだろうね。僕はあの子の間逆に立つ生き物だから」

謎の狐耳 「つまり、手放す気はない」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……現状でもかなり距離をとっていると思うけどなあ。あの子は僕のことを知らないはずだ」

謎の狐耳 「僕に見守られていることも、僕の結界にあの子の世界が守られていることも」


淫魔幼女 「そのせいで、あの子は歪んでしまったと言っている」

淫魔幼女 「莫大な金に外敵を遠ざける結界。何の努力もなしに最低限生きていける環境をあなたが与え続けるから」

淫魔幼女 「他人とまともに話すことすら出来ないことをはじめ、一個の生き物として欠陥が多くなってしまった」


謎の狐耳 「心外だね」


淫魔幼女 「分厚い殻の中で成長しすぎた雛なのだ」

淫魔幼女 「餌のとりかたはおろか、鳴きかたも知らず、羽根は錆びた針金のように醜く折れ曲がってしまった」

淫魔幼女 「守られていれば安全だろう。しかし、いつまでもそれでは駄目だ」


謎の狐耳 「…………」

謎の狐耳 「それの何がいけないんだい?」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「ひとりでふらふら飛んでいくことがない。管理しやすいじゃないか」

謎の狐耳 「前も言っただろう。あの子が生きていることが大事なんだ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「強い生き物だと。ふざけるな」

淫魔幼女 「だったらあなたこそ、弱者ではないか」




謎の狐耳 「……ふうん?」


淫魔幼女 「良いことも悪いことも起きる世界」

淫魔幼女 「そこから逃げ出すことは、そこで生きていくよりは簡単だ」

淫魔幼女 「そしてあなたは、あの子に逃げ出す道を歩ませた」

淫魔幼女 「つまり、そうさせることでしかあなたはあの子を守れないと思い」

淫魔幼女 「易きに流れ逃げたのだ」


謎の狐耳 「……言うじゃないか」


淫魔幼女 「あの子に必要なのは、金や保障ではない」

淫魔幼女 「泣かずに済む環境ではない」

淫魔幼女 「泣いているときに、許し慰めてくれる者だ」


謎の狐耳 「…………」


淫魔幼女 「……ただ傍に行って優しく抱きしめてやれば良かった」

淫魔幼女 「しかしあなたはしなかった。できなかった。臆病者のように遠くから見守り、金をよこすだけだった」

淫魔幼女 「偉そうに言っても、あなたはあの子と向き合うのが怖かっただけなのだ」


謎の狐耳 「…………」





謎の狐耳 「……勇敢なことだ、棺持ち」

謎の狐耳 「その言葉が君にも刺さることを恐れずに」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「言いたいことはそれだけかい?」


淫魔幼女 「……あなたが」


謎の狐耳 「うん?」


淫魔幼女 「本当にあなたが強いのなら」

淫魔幼女 「大世界同士の衝突にそなえて、あの子の世界をさらに閉ざすのではなく……」

淫魔幼女 「衝突そのものを防いでみせろ」


謎の狐耳 「…………」

謎の狐耳 「へえ」

謎の狐耳 「そう来るか」


淫魔幼女 「できないのか」


謎の狐耳 「大きな世界同士の衝突を止めるなんて」

謎の狐耳 「雲より高い山の頂から転がり落ちてきた巨大な岩を、足のもげた蟻が押し返そうとするものだ」


淫魔幼女 「つまり、あなたは世界に対して、足のもげた蟻ほどでしかない弱者というわけだ」

淫魔幼女 「それでよく強者を自称できたものだ」

淫魔幼女 「ペッ」


謎の狐耳 「…………」

謎の狐耳 「はっはっはっはっは!」





淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「無茶苦茶を言うなあ」

謎の狐耳 「そんなに、あの子を僕から解放したいのかい」

謎の狐耳 「僕の加護がなくなれば、あの子は生きるどころじゃなくなるとしても」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「生きている屍みたいな今よりはましだ」


謎の狐耳 「違うね」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「君は君の理想とする結界であの子の世界を守るつもりだ」

謎の狐耳 「どこにも行けない殻ではなく、扉のある家みたいな」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「君は例の魔法少女ギルドとつながりを持っているね」

謎の狐耳 「界駆でも、界架でもない」

謎の狐耳 「……有能な結界術士とも知り合ったのかな」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「例の森での結界からして、そうなのだろうね」

謎の狐耳 「……もしかして君は、彼女らと何か約束したんじゃないかな」

謎の狐耳 「例えば」

謎の狐耳 「界駆の魔法少女と敵対する彼女らを支援するかわりに」

謎の狐耳 「彼女らには、幼女魔王の世界を守ってもらう……とか」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「……そんな都合の良い約束が」

淫魔幼女 「組織と商人一匹の間で結ばれるものか……」


謎の狐耳 「さあね。しかし、あの子を僕から離していきなり独り立ちさせるなんて」

謎の狐耳 「お節介な君がするとも思えない」

謎の狐耳 「うちには妙な情報が入ることも多いしね」



ジュー ジュー


謎の悪魔 「おお、何だこの謎の肉。謎だけどおいしブクブクブク……」


謎の石像 「おい、どうしブクブクブク……」


謎の胃痛 「ああ、二人が謎の肉を食べたとたん泡をふいて倒れた」

謎の胃痛 「顔色がすごいことに!」


謎の双子 「お医者ー、お医者ー!」


謎の馬頭 「おい、何を焼いたんだ学者……ッ」


謎の学者 「さあ、まだまだ焼くわよおん!」

謎の学者 「むほほ、むほ、むほほほほ!」


謎の南瓜頭 「くそ、やめろ!」


ジュー ジュー

ワイワイ



淫魔幼女 「…………ッ」


謎の狐耳 「……だが」

謎の狐耳 「なるほど。世界そのものを相手に……思えば、なぜそう考えることができなかったのだろう」


淫魔幼女 「…………」


謎の狐耳 「……よし」

謎の狐耳 「挑発にのってあげようじゃないか、淫魔幼女」


淫魔幼女 「……?」


謎の狐耳 「大世界の衝突を食い止める」

謎の狐耳 「それができなかったら、僕は彼女から手をひこう」


淫魔幼女 「…………な」




…………




幼女魔王Nの城



魔動画 『……ええ、不思議なのです』

魔動画 『……不思議とは、いったいどういうことでしょうか、不細工な天文鬼さん』

魔動画 『……大世界同士の接近が、このところ緩やかになってきているのです』

魔動画 『ええ、衝突は確実なはずなのですが、まるで目に見えない巨人が大世界を押し返しているような』

魔動画 『……たとえは下手くそですが、不思議なことですね』



母性巫女 「…………」


幼女魔王N (夕飯のあと、母性巫女の膝枕でまったりする)

幼女魔王N (私の至福の時間……)

幼女魔王N 「えへへ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N (城に来る前からの母性巫女の笑顔だわ)

幼女魔王N (……はじめは人形みたいだった母性巫女も)

幼女魔王N (どんどん学習して)

幼女魔王N (すっかり、もとの母性巫女みたいになった)






















魔動画 『……ええ、ありえないことです。現在透明な巨人は発見されていませんし』

魔動画 『それに、小世界をどうにかするにも莫大な魔法エネルギーが必要というのに』

魔動画 『その小世界の集まりである大世界に影響を与えるなど。そもそも、我々学者の常識では、引き合う大世界というものは……』

魔動画 『……以上、天文鬼さんのつまらないお話でした』




幼女魔王N (母性巫女を連れて歩くようになってから、いろいろ変わった)

幼女魔王N (おとなりの世界の町に行っても……)



以前の他人A 『ちょっと、なにあの子。このあたりじゃ見ないタイプだわ』


以前の他人B 『みすぼらしいピンク髪ね。きっと下水溜まりみたいな世界から来たのよ』


以前の他人C 『おら、邪魔だよ、どけクソガキ』


以前の他人D 『いらっしゃいませ一名さまですね空いた席かその辺の床にお座りください』



幼女魔王N (……だったのが)



他人A 「ちょっと、なにあの人。このあたりじゃ見ないタイプだわ」


他人B 「黒い髪が素敵。どこかのお姫様かしら」


他人C 「へへへ、綺麗なお母さん、クソ……可愛いお嬢ちゃん、風船はいかが」


他人D 「いらっしゃいませ、二名様ですね。お席へ案内いたします」



幼女魔王N (……だもの)

幼女魔王N 「えへへへへ……」





母性巫女 「……魔王さま、あとでちゃんと歯を磨きましょうね」


幼女魔王N 「うん」


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N (いつもの優しい笑顔)

幼女魔王N 「えへへ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (そういえば、夕食後はこの歯磨きのやりとりばかりだわ)

幼女魔王N (新しいのも混ぜましょう)

幼女魔王N (ええと……夕食後のひととき、母性巫女はほかにどんなことを言ったかしら)

幼女魔王N (……そうだわ)

幼女魔王N 「ねえねえ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」




幼女魔王N 「こうしているときね、ときどき、母性巫女が」

幼女魔王N 「明日の夕ご飯、どうしましょうか」

幼女魔王N 「って、聞くの」

幼女魔王N 「そうしたら私が」

幼女魔王N 「いっぱい食べたのに、明日の夕ご飯のことことなんて考えられないわ」

幼女魔王N 「って、答えるの」

幼女魔王N 「そうしたら、母性巫女はいつもみたいにうふふって優しく笑うの」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「そういうことが、前にあったの」

幼女魔王N 「……おぼえているでしょ?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……だから、今度から、歯磨きじゃなくて、そういうやり取りの日も混ぜてね」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ




母性巫女 「魔王さま」

母性巫女 「明日の夕ご飯、どうしましょうか」


幼女魔王N 「お腹いっぱいなのに、明日の夕ご飯なんて考えられないわ」


母性巫女 「うふふ……」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「い、良い感じ!」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「えへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N (母性巫女の優しい手、笑顔)

幼女魔王N (……幸せ)

幼女魔王N 「……母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「絵本……」

幼女魔王N 「……ううん、何でもない」


母性巫女 「はい」


ナデ ナデ ナデ


幼女魔王N (……幸せ)

幼女魔王N (幸せだわ。私は幸せなのよ)

幼女魔王N (……幸せなのよね?)


母性巫女 「…………」




…………




幼女魔王Nの世界 城の見える草原



幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「……星が綺麗ね」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「風が良い気持ち」

幼女魔王N 「みずみずしい草のにおい。もうすぐ暑くなるわ」


母性巫女 「はい、魔王さま」


幼女魔王N 「母性巫女に膝枕してもらいながら、一緒にこの星空を見られて」

幼女魔王N 「私はとっても幸せ」


母性巫女 「うふふ、そうですね」


ニコ


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (何か、物足りない)


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「そうだわ!」


ガバ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「あははは、そうよ、そうだったのよ」

幼女魔王N 「母性巫女は、私のことを怒ることもあるのよ!」




幼女魔王N 「そう、そう、そうよ!」

幼女魔王N 「私が悪いことすると、母性巫女は私を怒るの」

幼女魔王N 「でも、優しいの」

幼女魔王N 「怒っても、私のことを捨てないの!」


母性巫女 「あらあら」


幼女魔王N 「そうよ……うふふ、なあんだ、物足りないのはそういうことだったんだわ」

幼女魔王N 「ええと、母性巫女はどうやって怒るんだったっけ……」

幼女魔王N (お尻スペンスペン……お母さんチョップ……めっ……)

幼女魔王N (そういえば、頬っぺたペチッ……もあったわ)

幼女魔王N (私を励ますときにもしてくれるやつ)

幼女魔王N 「まずはこれにしましょう……」

幼女魔王N「ねえ、母性巫女」


母性巫女 「はい、何ですか、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「私がこれからいたずらするから、母性巫女は私を怒ってね」

幼女魔王N 「もう、駄目ですよ……って、私のこっちの頬っぺたを手でペチッて叩くの」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「あ、ううん、叩くっていっても、優しくよ」

幼女魔王N 「ええと……」

幼女魔王N (母性巫女は美触手も軽く退けるから……)

幼女魔王N 「一割! 一割くらいの力で!」


母性巫女 「はい」


ニコ




幼女魔王N 「じゃ、じゃあ……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「えいっ」


スルスル トサ


幼女魔王N 「……あははは、外でパンツを脱いでやったわ!」

幼女魔王N(ノーパン) 「しかもそのまま、これから、太ももさえ隠せないスカートをバサバサいわせてこの草原を駆け回ってやるわ!」


母性巫女 「…………」


スク


母性巫女 「……もうっ」

母性巫女 「駄目ですよ、魔王さま」


幼女魔王N (来る、来るわ)

幼女魔王N 「うふふふ……」


母性巫女 「…………」


ヒュン ゴオオオオ


幼女魔王N 「ふふ……」

幼女魔王N 「え?」


スパアン


母性巫女 の ビンタこうげき!
幼女魔王N に 99999 のダメージ!


グルグルグルグル


幼女魔王N (……わあ)

幼女魔王N (景色がぐるぐるまわってる)


グルグルグルグル

グルグルグルグル

ブチ

スポーン

ドサ



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王Nの頭 (一割でも強すぎたのね)

幼女魔王Nの頭 (頭、吹っ飛んじゃった)





ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N (足音。母性巫女かしら)


ザ ザ……


??? 「…………」

死神メイド 「…………」

死神メイド 「良い夜ね」


幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (誰だっけ、この白い人)

幼女魔王N (……ああ、そうだわ、確か商人の町の宿にいた)

幼女魔王N (私のお腹をグーで思い切り殴り抜いてくれる人)

幼女魔王N (名前は……駄目だわ、意識が遠くなってきた)


死神メイド 「…………うん」

死神メイド 「元気そうね」


幼女魔王N 「まさに死にかけてるんだけど」



キュイイイ カチャカチャカチャ

ゾルゾルゾル

キュロリン


幼女魔王N 「…………」


ムク


幼女魔王N 「……ふう。死ぬかと思った」

幼女魔王N 「死んだけど」


死神メイド 「……幼女魔王N。あなた、いったい何をしていたの」

死神メイド 「満天の星の下、草原でパンツを下ろして頭がもげているなんて、普通の神経じゃないわ」

死神メイド 「一度死ぬべきよ」


幼女魔王N 「死んだのよ」


死神メイド 「そう」


幼女魔王N 「あなたこそ、こんなとこで何をしているのよ」


死神メイド 「あなた、じゃないわ幼女魔王N」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「私たち、友達じゃない、幼女魔王N」

死神メイド 「友達のことくらい名前で呼びなさい、幼女魔王N」


幼女魔王N (狙いすましたかのように……)

幼女魔王N (でも、私のことを友達って言ってくれた)


キュン


幼女魔王N (嫌われたくないわ。何とか思い出さなくちゃ)

幼女魔王N 「えーっと、んーっと……んーっと……」


死神メイド 「大丈夫、わかっているわ」


幼女魔王N 「?」


死神メイド 「あなた、馬鹿だもの、幼女魔王N」

死神メイド 「私の名前をおぼえていられるわけ、ないものね」

死神メイド 「馬鹿だから」


幼女魔王N 「友達……?」




死神メイド 「私は商人の町(仮称)、黒オークの宿で働く死神もやし」

死神メイド 「あなたのお母さんよ」


幼女魔王N 「嘘よね」


死神メイド 「ええ」

死神メイド 「私は死神メイド」

死神メイド 「あなたの娘よ」


幼女魔王N 「ふざけないで」

幼女魔王N 「だったら私は勇者と魔王の娘よ」


死神メイド 「……ふざけないでもらえるかしら」

死神メイド 「人が自己紹介をしているのに」

死神メイド 「そんなんだからお漏らし癖もなおらないのよ」


幼女魔王N 「なっ……ふざっ……!」


死神メイド 「という冗談なのだけど」


幼女魔王N 「……じょ……?」


死神メイド 「どうかしら」

死神メイド 「面白かった?」


幼女魔王N 「……はらはらした」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「よかったわ」




幼女魔王N 「それで、何のご用?」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「あの……」


死神メイド 「……傷つくわ」


幼女魔王N 「え?」


死神メイド 「……友達」


幼女魔王N 「……!」


死神メイド 「友達の家に遊びに行くのに、理由が必要なの?」


幼女魔王N 「……!」


キュゥン


幼女魔王N (この人、そこまで私のことを……!)

幼女魔王N 「……な」

幼女魔王N 「ない。ぜんぜん必要ない! いつでも来て、毎日来て、どんどん来て、!」

幼女魔王N 「私、歓迎する。何でもする!」


死神メイド 「冗談よ」


幼女魔王N 「ごっ……」


死神メイド 「重たすぎるわ」

死神メイド 「正直、あなたと毎日あうのは苦行だと思う」

死神メイド 「半年に一回くらい近況を手紙でうかがう……そのくらいの友達でちょうど良いと思うの」


幼女魔王N 「ど………」


死神メイド 「私、次のヒロインに決まったから、お使いのついでに引き継ぎの挨拶に来ただけよ」


幼女魔王N 「ひろ…………?」

幼女魔王N 「………はあ」

幼女魔王N 「お願いだから、呼吸するように嘘をつかないで……」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「図々しいお願いだけど、水をいただけるかしら」

死神メイド 「少し喉がかわいているの。もう暑い季節なのね」




幼女魔王Nの城 食堂




魔動画 『シリーズ史上初』

魔動画 『淀みネットワークで構築された魔法のオープンワールドで、素敵な出会いを探しに行こう!』

魔動画 『ゼクシィビーチ・プレミアムリゾート。近日発売!』


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「…………」



コツ コツ コツ


母性巫女 「……お待たせしました」

母性巫女 「水と芋パンです」


死神メイド 「ありがとう」


母性巫女 「はい」


ニコ

コツ コツ コツ


死神メイド 「…………」

死神メイド 「悪いわね。安物のパンまで出させて」

死神メイド 「舌を鞭打っておいしくいただくわ」


幼女魔王N 「あなた、よくそれで宿で働けるわね……」




魔動画 『もうミミックなんか怖くない!?』

魔動画 『ダンジョン用ウソ発見器に、新型が出ました!』


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (会話がまったくない。空気が重たい)

幼女魔王N (この人、ぜんぜん話さないで見つめてくるだけだし、私も何を話したら良いかわからないし)

幼女魔王N (……私の家に招いているのだから、私が話題を提供するのが礼儀なのかしら)

幼女魔王N 「……こ、この前ね」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「お風呂で体を洗っていたら、石鹸を落としちゃって」

幼女魔王N 「それが椅子の上で、拾おうとしたら手が滑って、石鹸が股の間に入って」

幼女魔王N 「それでもなんとか拾おうと、座ったまま手を動かすけど、石鹸はつるつる滑るばかりで」

幼女魔王N 「指で弾くたびに股の間をぬるぬる擦って、そしたら、なんだか胸の奥が甘酸っぱいような、切ない感じになって」

幼女魔王N 「気がついたら二時間ほどそうしていたわ」

幼女魔王N 「おかげで、見たかった魔動画を見逃してしまったの」

幼女魔王N 「股の間を石鹸でぬるぬる擦ると、時間があっという間に過ぎるのね」

幼女魔王N 「あなたも、気をつけた方が良いわよ?」


死神メイド 「あなた、何を言っているの」



死神メイド 「私、いま初めてあなたに恐れを抱いているわ」

死神メイド 「この痴幼女はここで殺しておかねばと、私の魂が警告しているわ」


幼女魔王N 「ひっ……!?」

幼女魔王N 「だ……だって、何か面白い話をしなきゃと思って……」


死神メイド 「冗談よ。そんなに怯えないで」

死神メイド 「あと、お腹をかばっても無駄よ」

死神メイド 「私、やるときはお腹じゃなくて脳を狙うから」

死神メイド 「目と耳と口と鼻と毛穴をかばうべきね」


幼女魔王N 「……ご、ごめんなさい、もう面白い話、しません……」


死神メイド 「……ごめんなさい、やりすぎたようね。冗談をおぼえたばかりで、はしゃいでいたみたい」

死神メイド 「でも、そんなに怯えなくても良いじゃない」

死神メイド 「あなた、死んだって行き返るんでしょ」


幼女魔王N 「痛いものは痛いし、怖いものは怖いわよ……」


死神メイド 「……そうだったわね」

死神メイド 「忘れていたわ」




母性巫女 「…………」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「……しもべ」


幼女魔王N 「…………ッ」


死神メイド 「手に、入れたのね」


幼女魔王N 「う、うん」


死神メイド 「良かったわね」


幼女魔王N 「……うん」


死神メイド 「うそ」


幼女魔王N 「…………」




>>943 訂正ごめんなさい

誤:死神メイド 「あなた、死んだって行き返るんでしょ」
正:死神メイド 「あなた、死んだって生き返るんでしょ」




母性巫女 「…………」


死神メイド 「あなた、しもべの儀式をしたでしょ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「無理やり人を従わせて」

死神メイド 「その業に耐えられるような強い心は持っていないのに」

死神メイド 「あなた、不幸せな顔をしているわ」

死神メイド 「会ったときよりも、空っぽな顔をしているわ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「……淫魔幼女、そういうところあるから」

死神メイド 「幸せとかそういうの、忘れてしまったから」

死神メイド 「彼、もう壊れて久しいから」


幼女魔王N 「…………」




死神メイド 「でも、恨まないであげてね」

死神メイド 「とても頑張ったのよ、彼」

死神メイド 「あなたのために」

死神メイド 「大嫌いで、大嫌いで、大切なあなたのために」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「恨まないであげてね」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「やりたくなくて、やらなくて良いのに、やらなきゃいけないこと」

死神メイド 「そういうことをやるのは、とても大変なのよ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「淫魔幼女のこと、大切なのね」


死神メイド 「ええ、大切」

死神メイド 「私は彼のおかげで生きているの」

死神メイド 「あなたは友達だけど、淫魔幼女のためならどうでも良いわ」

死神メイド 「殺すのだって、悲しいけれどためらわないわ」


幼女魔王N 「……そう」




死神メイド 「……しもべの儀式」

死神メイド 「やったこと、後悔してる?」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「しもべの儀式をすると、生きた人形になってしまうものね」

死神メイド 「もとの彼女のまま、しもべにしたかったのでしょう」


幼女魔王N 「……母性巫女だもん」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「私に、ちゃんと優しく笑いかけてくれるもん」

幼女魔王N 「一緒に寝るとき、ちゃんとふんわり抱きしめてくれるもん」

幼女魔王N 「……ちゃんと教えていけば、ちゃんと母性巫女になるわ」


死神メイド 「その言葉がどれほど虚しいものか、あなたは分かっているの」


幼女魔王N 「…………」




幼女魔王N 「幸せよ。私、幸せ……」


死神メイド 「あなたは気づいているわ」

死神メイド 「漠然と、これは違うんだって」


幼女魔王N 「幸せだもん」


死神メイド 「彼女があなたの知る彼女に近づくほど」

死神メイド 「あなたは辛い思いをするのよ。しているはずよ」

死神メイド 「嫌なことを忘れようと無理やりお酒に酔うように、目をそらして幸せだけを見るようにしているけれど」

死神メイド 「そのうち、耐えきれなくなるわ」


幼女魔王N 「やめて」


死神メイド 「だってあなたは知っているもの」

死神メイド 「どんなに彼女らしくなっても、本当は違うということを」

死神メイド 「よりにもよって、あなたが一番、知ってしまっているんですもの」


幼女魔王N 「やめなさい!」


死神メイド 「せめて、別の人がやってくれたら」

死神メイド 「あなたが事実を知らなければ、良かったのに」




幼女魔王N 「…………や」

幼女魔王N 「やめてよ……」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「何よ、何よ、いきなり来て、そんなこと言って」

幼女魔王N 「これで良いの。これが一番良い方法なの。この母性巫女が一番良いの」

幼女魔王N 「な、何も……なにも知らないくせに……!」

幼女魔王N 「失礼よ……!」


死神メイド 「……ごめんなさい」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……彼女」

死神メイド 「もとに戻したい?」


幼女魔王N 「……!」




幼女魔王N 「で、できるの、そんなこと?」


死神メイド 「絶対とは言えないけれど」

死神メイド 「……戻したい?」

死神メイド 「今の彼女が一番良いそうだけれど」


幼女魔王N 「…………っ」

幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「私も、昔は儀式で縛られたしもべだったわ」

死神メイド 「淫魔幼女に助けてもらうまで」


幼女魔王N 「ふざけないで。こんなときまで冗談を言って……!」

幼女魔王N 「淫魔幼女が人助けなんて、雪ダルマがサウナに行くようなものじゃない!」


死神メイド 「ふざけないで」

死神メイド 「……あなたは、死神と呼ばれる種族がどういうものか、知ってる?」


幼女魔王N 「……神様の何かじゃないの?」


死神メイド 「知らないのね」

死神メイド 「……死神と呼ばれているけれど、私たちは本当に死神というわけではないわ」

死神メイド 「死神のようなことをするけれど」

死神メイド 「死を司っているわけではなく、むしろ、死の子どもでありしもべなのよ」

死神メイド 「詳しい説明は面倒くさいので省くけれど」

死神メイド 「ただ、流れに従って死者を連れて行くだけの存在。それが私たち」

死神メイド 「私たちは、生まれながらにしもべの儀式の虜にされているようなもの」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「……だった。私は、そうだった」

死神メイド 「けれど、しもべとして生まれた私は今、自分の意志で黒オークの宿で働いている」




幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「しもべだった者が自我を持つ方法は、あるのよ」


幼女魔王N 「……ほ、本当?」

幼女魔王N (この人って、危ないくらい淫魔幼女を崇拝しているのよね)

幼女魔王N (ただ助けられただけじゃ、こうはならないはず)

幼女魔王N (本当なのかしら……)


死神メイド 「もっとも、私の場合」

死神メイド 「もともとほぼ自我のない状態からの話だったから」

死神メイド 「同じ方法をとり成功したとして、彼女が」

死神メイド 「もとの彼女としての自我を持つのかは分からないけれど」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「それに、彼女がしもべの儀式から解放されて、もとの自我を取り戻したとして」

死神メイド 「あなたにどんな感情を抱くのかも、分からない」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「……方法、聞いておく?」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「……教えて」


死神メイド 「……そう」

死神メイド 「教えるわ」

死神メイド 「主人が死ねば良いのよ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「あなたが、死ねば良いのよ」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「ごちそうさま」

死神メイド 「またね」



…………




…………




幼女魔王Nの城 玉座の間



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……これで良いのよ)

幼女魔王N (元に戻ったら、今度こそ嫌われるわ)

幼女魔王N (いえ、嫌われるなんてものじゃない)

幼女魔王N (だって、しもべにするために、私、母性巫女を)

幼女魔王N (こ、殺し……ころ……)


カタカタ


幼女魔王N 「……ぅ」

幼女魔王N 「ぉえ……ぇっ……ぇ゛っ……ッ!」




母性巫女 「…………」

母性巫女 「……! 魔王さま」

母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま!」


幼女魔王N 「だ、だいじょ……ぅぷ」

幼女魔王N 「ありがとう。大丈夫……だから……!」


母性巫女 「魔王さま……」


ナデ ナデ サス サス


幼女魔王N 「……え、えへへ」

幼女魔王N (母性巫女。優しい母性巫女だわ)

幼女魔王N (私の指示した通り)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ぼ、母性巫女」


母性巫女 「はい」


幼女魔王N 「私、母性巫女がいてくれて幸せ」

幼女魔王N 「すごく幸せ……」


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「私も、魔王さまといられて幸せですよ」


ギュ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「えへ、えへへへ」

幼女魔王N 「幸せ、幸せよ……」

幼女魔王N 「えへへへ……」


母性巫女 「うふふふ……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「えへ、えへへへへ……」



…………

…………




?日後

幼女魔王Nの城 天上のない廊下



シト シト

ピカ ゴロゴロ……

シト シト シト


魔動画の音 『一時停滞していた大世界の接近ですが』

魔動画の音 『ここのところ、徐々に速度を増しており……』



フヨン フヨン


??? 「…………」

淫魔幼女 「…………」


フヨン フヨン フヨン


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王Nの頭A 「…………」


淫魔幼女 「…………」


シト シト



魔動画の声 『魔天観測所と星天観測所の見解によれば……』



淫魔幼女 「…………」


幼女魔王Nの頭B 「…………」


幼女魔王Nの頭C 「…………」


幼女魔王Nの頭たち 「…………」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……!」


ひよこさんパンツ


淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 は ひよこさんパンツ を手に入れた!


淫魔幼女 「…………」


フヨン フヨン フヨン




幼女魔王Nの城

天上のない廊下 天守玉座前



ガコン

ゴ ゴ ゴ ゴ


淫魔幼女 「…………」


フヨ フヨ フヨ


淫魔幼女 「……暗い」


??? 「……今日は星が無いもの」


淫魔幼女 「…………」


シト シト シト

ピカ


??? 「…………」

幼女魔王N 「…………」


ゴロゴロゴロ……

シト シト シト シト


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「……よく来たわね」

幼女魔王N 「淫魔幼女」




幼女魔王N 「遠くからごめんなさいね」

幼女魔王N 「ちょっと今、頭がとれてるから動けなくて」


淫魔幼女 「……かまわない」

淫魔幼女 「王は玉座にあるものだ」


フヨ フヨ フヨ


幼女魔王N 「…………」


キイイ

カチャ カチャ カチャ


幼女魔王N の 復活!


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「何をしに来たの」


淫魔幼女 「近くの世界で雨に降られて、立ち寄っただけだ」

淫魔幼女 「傘がなかったので」


幼女魔王N 「そう」

幼女魔王N 「悪いわね。うちの世界も雨の上、天井もなくて」

幼女魔王N 「傘も、日傘しかないわ」


淫魔幼女 「……構わない」


幼女魔王N 「今日はずいぶんと優しいのね」


淫魔幼女 「…………」




幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


母性巫女 「……!」

母性巫女 「魔王さま、服に血が」


幼女魔王N 「撫でるのをやめないで、母性巫女」

幼女魔王N 「私が悲しいとき、母性巫女は優しく撫でてくれるの」

幼女魔王N 「だから、撫でるのをやめないで」


母性巫女 「……はい、魔王さま」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「きっと、もうすぐ良くなるわ……」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「……ここにいるのは、貴様たち二人だけか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ええ」

幼女魔王N 「もう私ひとりじゃないの」


淫魔幼女 「本当か」


幼女魔王N 「ええ」

幼女魔王N 「ねえ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「……そうか」

淫魔幼女 「ここに来るまでに、貴様の死体をいくつか見たが」


幼女魔王N 「死体でしょう」

幼女魔王N 「まあ、いつか消えるわよ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「以前よりも荒廃して見えるのは、雨のせいか」


幼女魔王N 「私、いそがしいの」

幼女魔王N 「悪いけれど、雨がやんだら出て行ってくれるかしら」




淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「ごめんなさいね。あなたには感謝しているわ」

幼女魔王N 「あなたのおかげで、母性巫女を手に入れられたもの」

幼女魔王N 「ねえ、母性巫女」

幼女魔王N 「私、幸せよね」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

ナデ ナデ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「主人が死ねば、しもべが解放されることもある」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「死んだのか。すぐに生き返るのに」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「……儀式をしたこと、後悔しているのか」


幼女魔王N 「そんなわけないわ」

幼女魔王N 「それに、あれしか方法はなかったんでしょう」


淫魔幼女 「……英雄であろうとその女が人間である限り、あの状態で普通の生活を送るのは無理だった」

淫魔幼女 「そう経たないうちに、身も心も苗床として生きることしかできなくなっただろう」


幼女魔王N 「……だったら良いのよ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「お前は、幸せなのか」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「幸せよ」




シト シト シト


淫魔幼女 「……そうか」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「うらやましいよ」

淫魔幼女 「おれは幸せというものを、知識でしかおぼえていないから」


幼女魔王N 「……そう」

幼女魔王N 「そうよ、幸せよ」

幼女魔王N 「私は、幸せなのよ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「幸せとは」

淫魔幼女 「自分で言い聞かさなければ、感じられないものなのか?」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「ひどく面倒なものなのだな」



幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「おれには、お前が苦しんでいるように見えるが」

淫魔幼女 「不幸せな現実をねじまげて、無理に幸せに見ようとしているように見えるが」


幼女魔王N 「……違う」


淫魔幼女 「かさを増す不幸せで心が溺れそうになりながら、それでも沈んでいく底から足を離せない」

淫魔幼女 「哀れな遭難者のように見えるが」

淫魔幼女 「幸せとはそういうものなのか」


幼女魔王N 「うるさい」


淫魔幼女 「…………」


シト シト シト シト

ピチャン チョポン


淫魔幼女 「お前が欲しかった幸せとはこんなものなのか」

淫魔幼女 「想像もできなかったよ」


幼女魔王N 「うるさい!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「うるさい! うるさい! うるさい!」




幼女魔王N 「あんたが教えたくせに!」

幼女魔王N 「あんたが! あんたが!!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「あ、あんたのせいよ……」

幼女魔王N 「全部あんたのせいよ!!」

幼女魔王N 「ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ」

幼女魔王N 「ぜんぶ……!!」


ズ ズ ズ ズ


美触手 「…………」


美触手 の こうげき!


ヒュン

ドゴ


淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 に 20 のダメージ!


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「ぜんぶ……グスッ……ぜんぶ! ぜんぶッッ!」

幼女魔王N 「ぜんぶあんたが!!」


美触手 「…………」


ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ……


淫魔幼女 に 20 のダメージ!
淫魔幼女 に 20 のダメージ!
淫魔幼女 に 20 のダメージ!
…………


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「ふグっ……うぅ……ぅううぅう゛ッ」

幼女魔王N 「ぅううう゛う゛……ッ!!」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……そうだな」




淫魔幼女 「お前がいま不幸せなのだとしたら、おれのせいなのだろうな」


幼女魔王N 「…………ッ」


ズ ズ ズ ズ


母性巫女 「魔王さま、落ち着いてくださ……」


幼女魔王N 「もうやめて!」


母性巫女 「…………!」


幼女魔王N 「あなたは母性巫女になれないの」

幼女魔王N 「母性巫女と同じ材料でできでいるだけなの」

幼女魔王N 「母性巫女じゃないの……!」

幼女魔王N 「どんなに近づいても、真似しても、その分悲しいだけなの!」


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「………ッ」

幼女魔王N 「……幸せ。幸せだった……」

幼女魔王N 「母性巫女と一緒に暮らせて、私、幸せだったのよ」

幼女魔王N 「幸せだったのに……!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「本当の母性巫女が、幸せだったのがもう戻ってこないって思ったら……」

幼女魔王N 「どうしてこんなに悲しいのよ!! 苦しいのよ!」

幼女魔王N 「ひとりだったときより辛いのよ……胸が苦しい……苦しい、苦しい、苦しい!」


ギュウウ

ギリ ギリ


幼女魔王N 「私は幸せだったのに!!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「苦しいのよ、悲しいのよ……」

幼女魔王N 「こんなんなら、母性巫女に会わなければ良かった。幸せなんて知るんじゃなかった」

幼女魔王N 「ずっとひとりの方が良かった」

幼女魔王N 「外の世界になんて出なければ良かった!!」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「……失うことが怖いなら、得なければ良いということか」

淫魔幼女 「しかし、この世に生を得てしまった以上、それは無理というものだ」

淫魔幼女 「不滅の命を持つお前でも、同じようだな」


幼女魔王N 「…………ッ」

幼女魔王N 「あなたはいつも、いつも……!」


ズ ズ ズ ズ


幼女魔王N の 命がけ召喚!
命と引き換えに すべてのしもべ触手 を 召喚した!


美触手 「…………」


毛玉触手 「…………」


ヒュン ブォン

ドゴ バコン ポケ ドゴ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「不滅の命は死を遠ざけるが、生もまた遠ざけてしまうのだろう」

淫魔幼女 「本来、人が最も大切にするであろう自身の命」

淫魔幼女 「自身の不死性を本能的に知っていたお前は、それを軽くしか感じられなかった」

淫魔幼女 「否定的ですらあった」


ドゴ バキャ ドゴ


淫魔幼女 「……だから、自分の外側に求めようとしたのだろう。自分の命に代わるものを」

淫魔幼女 「お前の生を実感させてくれるものを」

淫魔幼女 「しかし、自身すら肯定できない者が、そう外側を向けるものではない」

淫魔幼女 「結果お前は、お前の世界という殻に逃げ込み」

淫魔幼女 「生きているのか死んでいるのか自覚もあやふやなまま生きることになった」


幼女魔王N 「うるさい! うるさいうるさいうるさい……!」


ダ ダ ダ

ヨロ コケ ズテン


幼女魔王N 「……うるさい、うるさい!!」


ダ ダ ダ


幼女魔王N 「うるさいぃ!」


ブオン バキャ


幼女魔王N の ヘロヘロパンチ!
淫魔幼女 に 0 のダメージ!
幼女魔王N に 800 の反動ダメージ!


淫魔幼女 「…………ッ」




幼女魔王N 「あああ゛! あああ゛あ゛! うあああ゛あ゛!」


ポカ ポカ ポカ


淫魔幼女 「……雛だったのだ」

淫魔幼女 「殻の中で大きくなりすぎてしまった」

淫魔幼女 「生まれてもいない雛鳥だったのだ、お前は」


ポカ ポカ ポカ


淫魔幼女 「その女と会って、お前は初めて自身の命にかわるものを得た」

淫魔幼女 「幼女魔王として、やっと生まれることができた」

淫魔幼女 「雛が自身で殻を破るように。母親から生まれるように」

淫魔幼女 「……そして、得るとともに失ってしまった」


幼女魔王N 「…………!」


淫魔幼女 「狂うほどのその辛さを、むなしさを」

淫魔幼女 「お前のその姿を見た今なら、理解できるつもりだ」

淫魔幼女 「……かわいそうに」


幼女魔王N 「ッッッ!! ッ……~~~~!!!」

幼女魔王N 「あなたが……あんたが!」

幼女魔王N 「あんたがそれを言うなぁあ゛!!」


ボカ バキョ


淫魔幼女 に 10 のダメージ!
幼女魔王N に 200 の反動ダメージ!
部位破損!
幼女魔王Nの右拳 が 砕けた!
素材アイテム を手に入れた!


幼女魔王N 「あんたのせいだ! あんたのせいだ!」


ボカ ボカ ボカ ボカ

バキョ


幼女魔王Nの左拳 が砕けた!


幼女魔王N 「あんたの! あんたの! あんたの、あんたの……!」


ポカ ベチャ ポカ ベチャ


淫魔幼女 「…………」




シト シト シト

ザアア


幼女魔王N 「ヒグッ……グスッ……!!」


ベチョ ポカ ベチョ ポカ……


淫魔幼女 「…………」


ガシ


幼女魔王N 「…………っ」


淫魔幼女 「……おれなどを殴るために、自分の手を痛めつけるな」

淫魔幼女 「これ以上は、死ななければ治らなくなる」


幼女魔王N 「……ッ」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「どうしてよ……」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「近くにいたくせに……」

幼女魔王N 「どうして……なんであなたはいつも……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「おれでは無理だからだ」


幼女魔王N 「そんなの、そんなこと……!」


淫魔幼女 「……おれの命は、ひとつだけだった」

淫魔幼女 「そしておれは、その命を一度うしなった」

淫魔幼女 「終わった存在なんだよ、おれは」




幼女魔王N 「……なによ」

幼女魔王N 「何を言って……」


淫魔幼女 「どうでも良い」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「どうでも良い。どうでも良いんだ」

淫魔幼女 「おれのしたことで、誰が喜ぼうと、悲しもうと」

淫魔幼女 「お前が幸せになろうと、不幸せになろうと」

淫魔幼女 「魔法少女ギルドの連中がどうなろうと」

淫魔幼女 「その実、おれにとってはどうでも良いんだ」

淫魔幼女 「……どうでも良くなってしまたんだ」

淫魔幼女 「そういう存在になってしまったんだ」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「復讐とか、忠誠とか、心を燃料とするものでおれは動けない」

淫魔幼女 「おれを動かしているものは記憶だ」

淫魔幼女 「感情の記憶にすがりついて、それらしく動いているだけだ」


幼女魔王N 「そんな……」


淫魔幼女 「ほとんど空っぽなんだよ、おれの心は」

淫魔幼女 「お前の心の空虚を埋められるものなんざ、持っていやしないんだよ」

淫魔幼女 「おれはお前を好きでもないし、嫌いでもない」

淫魔幼女 「好きにもなれないし、嫌いにもなれない」

淫魔幼女 「おれの心に残っているとすれば、それは、そうなってしまったことの空しさだけだろう」


幼女魔王N 「…………」


ザアア シト シト シト


淫魔幼女 「……ああ、そうか」

淫魔幼女 「そうだ。すべておれのせいだ」

淫魔幼女 「世界は無情と説きながら、馬鹿なことをしてしまった」

淫魔幼女 「まったく、殻を破れない雛鳥を助けようなどと、間違ってもするものではない」



…………



幼女魔王Nの城 夜

母性巫女の部屋



カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」


ホー ホー


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」


キイイ


母性巫女 「……ッ」


キイン キイン

フィヨフィヨフィヨフィヨ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………ぅ」


ヨロ ガク


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「……ここは?」




ホー ホー


母性巫女 「私の部屋じゃない。森でもないみたい……」


クラ


母性巫女 「うぅ、頭に鈍い痛みが」

母性巫女 「……とにかく、ここから出ましょう」


コツ コツ コツ


母性巫女 「……あら」


大きな鏡


母性巫女 「私、知らない服を着ているわ」

母性巫女 「肌がほとんど隠れてる。頭が痛むのはこのせいかしら」

母性巫女 「……やわらかくて気持ちがいい」





幼女魔王Nの城 廊下



コ カ コ カ


母性巫女 (靴音の響く場所だから、気をつけて歩かないと)

母性巫女 (布をあてているとはいえ)


コ カ コ カ


母性巫女 「……大きな家」

母性巫女 「というより、お城みたい」

母性巫女 「本当にどこかしら、ここ」

母性巫女 「勇者さまについて旅していたときも、こんなお城は見たことがないし」

母性巫女 「それに、すごく荒れている」

母性巫女 「敷き物も、壁の明かりも、窓も、置物があったような台もボロボロ」

母性巫女 「……掃除したい」


コ カ コ


母性巫女 「……いけない、いけない」

母性巫女 「今はとにかく現状を把握しないと」


コ カ コ カ




母性巫女 「…………」


コ カ コ カ


母性巫女 (星明かりがたよりになるとはいっても)

母性巫女 (荒れた廊下では暗いところが多い)

母性巫女 「……崩れた天井に囲まれて、星が降ってくるような、吸い込まれるような」

母性巫女 「夜なのに明るくて、にぎやかで、でも静か」

母性巫女 「こんな星空、はじめて」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「と、駄目。だからこんなことをしている場合じゃ……」


ズル ズル


母性巫女 「!!」


ズル ズル


母性巫女 (……引きずるような、足音かしら? 近づいてくる)

母性巫女 (蛇型のモンスターが、こんな足音だったような気がする)

母性巫女 (まずいわ。武器が無いし……)

母性巫女 「…………」

母性巫女 (精霊さまとの感応も調子が悪いみたい)

母性巫女 (ここは隠れてやりすごしましょう)


コソ コソ


母性巫女 「…………」


ズル ズル


母性巫女 「…………」

母性巫女 (いよいよ近づいてきた。姿が見えてくるかしら)


ズル ズル

ズル……


??? 「…………」

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……N?」


ズキン


母性巫女 「うぅ……!?」

母性巫女 「頭が……また……」




ズキ ズキ


母性巫女 「…………そ、そうだわ」

母性巫女 「私、森で、大きな毛玉のモンスターに……それで……」

母性巫女 「N……Nが……そのモンスターを……」


ズキン ズキン


幼女魔王N 「……………」


ズル ズル


母性巫女 「Nが操るモンスターに……私、こ……殺されて……!」


ガタガタ


母性巫女 (体が震える。お、おさえなきゃ……)


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ……」


ズル ズル


母性巫女 「……!」


幼女魔王N 「母性巫女……母性巫女ぉ……」


ズル ズル


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 (……ど、どうしよう。どうしたら良いの)


幼女魔王N 「母性巫女ぉ……母性巫女ぉ……」

幼女魔王N 「どこぉ……」

幼女魔王N 「ムニャ……グゥ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「ね、眠りながら歩いている……?」


幼女魔王N 「ムニャ……ムニャ……母性巫女ぉ…グスン……」

幼女魔王N 「さみしいよう……母性巫女、絵本よんでよう……」


ズル ズル ズル


母性巫女 「……………」




幼女魔王N 「母性巫女、どこぉ……」

幼女魔王N 「いじわるしないで、出てきてよう……」


ズル ズル


母性巫女 「…………」

母性巫女 (森を荒らしていたモンスターを、Nは操っていた)

母性巫女 (でも、あの怯えかたは嘘じゃなかったと思うし……)

母性巫女 (それに、私も死の記憶はあるのに、こうしてここにいる)

母性巫女 (いったい、何がどうなっているのかしら)


幼女魔王N 「母性巫女、母性み……」


フミャ ズテン


母性巫女 「!?」

母性巫女 (パジャマの裾を踏んづけて顔から転んだ!)


幼女魔王N 「…………」


ムク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………う」

幼女魔王N 「うえええええん! うあああん!」

幼女魔王N 「痛いよう、母性巫女ぉ。ふええええん……ムニャ、びええええん!」


母性巫女 (……ね、眠りながら泣いてる)


幼女魔王N 「グスッ……ヒック、グス、グス……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」




幼女魔王N 「母性巫女ぉ……どこぉ……グスッ、グジュ……」


コ カ コ カ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……まったく、もう」


ギュ フワ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……母性巫女」


母性巫女 「はい、はい……ここですよ」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………ふへ」

幼女魔王N 「ふへへへへへへ……」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「ムニャ……グウ……」


母性巫女 「…………」


ズキン 


母性巫女 「……ぅう」

母性巫女 (頭に、靄がかかっていく……)


キイイイ キイン

フィヨ フィヨ フィヨ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (私、この子に殺されてしまったのに……)

母性巫女 「……可愛い、寝顔」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………ムニャ」


母性巫女 「…………」


フィヨ フィヨ フィヨ

キイン キイン


…………







幼女魔王Nの城 寝室



幼女魔王N 「……クウ、スウ」

幼女魔王N 「……フニャ?」

幼女魔王N 「…………」


ムク


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N (私の部屋……ベッド)

幼女魔王N (私、こんなところで寝ていたかしら)

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「気持ちの良い朝だわ」





幼女魔王N 「なんだか、どこか気分が晴れやかな気がする」

幼女魔王N 「こんなに爽やかに目をさました朝は、いつ以来かしら」





幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「きっと良い夢を見ていたのね」

幼女魔王N 「ずっと寝ていられたらよかったのに」

幼女魔王N 「起きていても、楽しいことなんて何ひとつ無いもの」




玉座の間



コツ コツ コツ

コケ ドシャ

コツ コツ コツ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (……なんだか、廊下が片付いていた気がする)

幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「おはようございます、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「……おはよう」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「母性巫女……?」


母性巫女 「はい、魔王さま」

母性巫女 「今日は遅かったですね」


幼女魔王N (いつもと違うような気もしたけど、そんなわけないか)

幼女魔王N 「だったら起こしてくれたら良いのに」


母性巫女 「ごめんなさい」


幼女魔王N 「いいわ……」

幼女魔王N (私が起こさなくて良いと言ったのだし)


玉座レベル1


幼女魔王N 「よいしょっ、と」


チョコン


幼女魔王N 「……はあ」



※理由は見当もつかないけれど
 残りレス数ではぎりぎり終われそうにないため、
 新しいスレッドへ移ります。ごめんなさい



以下、死神メイド劇場




商人の町 第一層 魔物区

黒オークの宿



ザワザワ

ガチャ


死神メイド 「……買い出しに言ってきたわ、黒オーク」


黒オーク 「おう、おかえり。すまんかったな、今日は休みだっちゅうに」

黒オーク 「どうにも、お客さんが多くて。いや、良いことだけんども」


死神メイド 「良いのよ。いつもお世話になっているもの」

死神メイド 「はい、どうぞ」


ガサ ガサ


豚肉


黒オーク 「……おれが頼んだのぁ、野菜だったと思うんだが」


死神メイド 「そう」




黒オーク 「もしかして、怒っとるかい?」


死神メイド 「そんなこと、あるはず無いわ」

死神メイド 「友だちと遊びに行く予定が、ちょっと狂っただけだもの」


黒オーク 「いや、ほんとにすまんこって」


死神メイド 「良いのよ」

死神メイド 「あなたが豚肉をおいしく調理してくれたら」


高級黒豚肉


黒オーク 「いやあ、さすがのおれでも、これは包丁がにぶるっちゅうか……」


死神メイド 「好き嫌いは良くないわ」


黒オーク 「そういう問題でなくて」


死神メイド 「では見せて」

死神メイド 「同系種族の肉を切り刻んで調理する最低なところを、私に見せて」


黒オーク 「分かってやっとるね」




黒オーク 「うーん、どうすっかなあ、野菜」


死神メイド 「……私」

死神メイド 「友だちと遊ぶためのお金を崩して、この豚肉を買ってきたの」


黒オーク 「嘘だろう」


死神メイド 「ええ」


黒オーク 「うーん……」


ガチャ


??? 「おーい」

女郎蜘蛛 「いつまで待たせんのよ」


死神メイド 「……友だちが来たわ」


黒オーク 「おう」


死神メイド 「(一緒に遊びに)行くはずの友達が、(呼んでもいないのにノコノコと)来てしまったわ」

死神メイド 「不思議なことね」


女郎蜘蛛 「あんた、サブテキストに変なモノ混ぜてねえ?」


黒オーク 「いや、すまんこって」




女郎蜘蛛 「ちょっと遅れるって言うから、待ってたけどさ」

女郎蜘蛛 「あたし、待つのって考えることと同じくらい嫌いなわけ」

女郎蜘蛛 「で、待ってると変なこと考えちゃったりしちゃうわけ」

女郎蜘蛛 「つまり、待つのは考えるより嫌いなわけ」

女郎蜘蛛 「わかる?」


黒オーク 「いや、申し訳ないこって」


死神メイド 「口の減らない蜘蛛女ね」

死神メイド 「手足もげれば良いのに」


女郎蜘蛛 「ぅをい」


死神メイド 「ごめんなさい」


女郎蜘蛛 「もう、早くしてよ」

女郎蜘蛛 「桃尻淫魔なんて待ちすぎて男が寄ってきて大変なんだからさ」

女郎蜘蛛 「いまごろきっと涙目だよ」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「これは陰口だけれど、彼女って淫魔に向いていないと思うのよね、私」


女郎蜘蛛 「堂々と陰口たたいてんじゃねーよ」


死神メイド 「彼女のためを思って言っているのよ」


女郎蜘蛛 「本人に言ってやれよ!」


黒オーク 「すまんけど、野菜買ってきてくれんかね?」


女郎蜘蛛 「分かったよ!」




ガチャ

バタン


死神メイド 「……行ったわね、あのクソ女……あの蜘蛛女」

死神メイド 「頼もしい、私の友だちだわ」


黒オーク 「うーん……」


死神メイド 「待っているあいだ、退屈だわ」

死神メイド 「テーブルトークRPGでもして待っていましょうか」


黒オーク 「一日つぶす気かい」

黒オーク 「……地下の隠し部屋から卵をとってきといておくれ」


死神メイド 「淫魔幼女の保管庫ね」


黒オーク 「旦那の許可はとってあるから」


死神メイド 「かしこまりまする、ご主人さま」


黒オーク 「…………?」


死神メイド 「この前、偶然立ち寄った世界のとある町で習得したの」

死神メイド 「ねじとか、オーディンの缶詰とかで有名な町らしいわ」


黒オーク 「ふうん」


死神メイド 「また行くわ、私。あそこに新しい友だちの波動を感じるの」


黒オーク 「……ふうん」

黒オーク 「よく分からんが、死神ってのはすげえなあ」


死神メイド 「卵をとってくるわ」




地下 隠し部屋

淫魔幼女の保管庫



コツ コツ コツ


死神メイド 「…………」

死神メイド 「……あら」


グジュル グジュル


??? 「むぐぉおお゛! んむぉおお゛おお」

魔法少女 「ふうう゛、うぅ゛ううう゛……む゛ひぃいいい゛い゛!」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「元気そうで良かったわ」

死神メイド 「拘束具で表情は見えないけれど」


魔法少女 「ふむぅんんん゛!」

魔法少女 「はひゅふぇへ! 許ひひぇぇえ!」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「卵を産んでくれるのね」

死神メイド 「助かるわ。貴重な種族の卵だもの」

死神メイド 「普通は、一度卵を産んだだけで死んでしまうから」

死神メイド 「あなたみたいに丈夫な体のヒトがうちに来てくれて良かったわ」


魔法少女 「ひひゃ……ひひゃぅうう!」

魔法少女 「ほほはんぁ出ひ……」


ギュルルル モコ モコ モコ


魔法少女 「ふぎぃいいい!?」


ムリュリュ ミチ ミチチ……

プリュンッ 


魔法少女 「ふひゅっ!?」


ポコ ポコ ポコ


魔法少女 「ふひゅッッひぃ゛いいいぃいぃい……~~~ッッ!」


ブヨン ポト コロコロ


魔法少女 は ぶよぶよ卵A を産んだ!
魔法少女 は ぶよぶよ卵B を産んだ!
魔法少女 は ぶよぶよ卵C~F を産んだ!
魔法少女 は 
………







ポト コロ

ポト コロ


石鶏 「コケー……」


死神メイド 「ありがとう。助かるわ」

死神メイド 「鳥型のガーゴイルの卵なんて、なかなか手に入らないものね」


石鶏 「コケー」


死神メイド 「じゃあ、引き続き、淫魔幼女の保管庫1の見張り、頑張ってね」

死神メイド 「外に出たくなったら、いつでも言ってちょうだい」


石鶏 「コケッ」


フギィイイイ ム゙ヒィイイイ


死神メイド 「……なんだか、壁の向こうが騒がしい」

死神メイド 「新しい幽霊でも住み着いたのね。ここは未知の隠し部屋が多いから」

死神メイド 「鳴き声からして、きっと豚の幽霊ね」


石鶏 「クルッポー」


死神メイド 「……さて、少し掃除でもしましょうか」


チリリリリリ チリリリリリ


死神メイド 「……魔法の呼び鈴が鳴っている」

死神メイド 「黒オークが呼んでいるわ」




黒オークの宿 一階



ト ト ト 


死神メイド 「何かしら、黒オーク」


黒オーク 「おう……」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「久しぶりだな、死神メイド」

淫魔幼女 「調子はどうだ」


死神メイド 「良いわ」

死神メイド 「おかえりなさい。部屋の準備をしてくるわ」

死神メイド 「今日は暇なの」


黒オーク 「うーん……?」


淫魔幼女 「……糸巻き棒を買いたい」


死神メイド 「駄目よ。あなた、死ぬ気なの」


淫魔幼女 「おれ用ではない。少し、必要になった」


死神メイド 「あの、桃色の彼女のため?」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「ついていくわ」


淫魔幼女 「助かる」


黒オーク 「すまんこって。おれは、手がはなせんくて」


死神メイド 「良いわ。行きましょう」

死神メイド 「黒オーク、保管庫の掃除、お願いね」


ト ト ト ト


黒オーク 「へえっ? だからおれは……」


バタン


黒オーク 「……行っちまった」





ガチャ バタン


女郎蜘蛛 「買ってきたわよー」

女郎蜘蛛 「ほれ」


黒オーク 「おう、早かったなあ」


ガサ ゴソ


新鮮野菜一式


黒オーク 「こりゃすげえ。いいもんばっかりだ」

黒オーク 「短い時間で、よくやってくれたもんだ」


女郎蜘蛛 「勘よ、勘。小難しいことは分からんもの」

女郎蜘蛛 「……って、おたくの死神メイドは?」


黒オーク 「出かけた」


女郎蜘蛛 「はあ!?」


黒オーク 「誰にも止められん」

黒オーク 「そんな用事でがす」


女郎蜘蛛 「何じゃそりゃ」


黒オーク 「地下の隠し部屋の掃除、してきてくれん?」


女郎蜘蛛 「はあ!?」


黒オーク 「いや、手がはなせんもんで」


女郎蜘蛛 「ああ、もう、いつになったら遊びに行けるんだよ!」


黒オーク 「いや、すまんこって」


女郎蜘蛛 「掃除道具、どこだっけ!?」


黒オーク 「やってくれるんかね」




商人の町 第一層 通り



ザワザワ

コツ コツ コツ


淫魔幼女 「……すまない、貴重な休暇を」


死神メイド 「あなたのためなら、どうでも良いわ」

死神メイド 「恩人だもの。私の命は、あなたのものだもの」


淫魔幼女 「……昔のことだ。忘れて良い」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「傷つくわ」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「小指の糸を指ごと削ぎ落とされたみたい」

死神メイド 「……あなたと出会ったのも、そう、こんな日の……」


淫魔幼女 「…………」


死神メイド 「ごめんなさい」

死神メイド 「過去編とか、嫌いだったわね」


淫魔幼女 「……いや」

淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「死神メイド」


死神メイド 「なにかしら」


淫魔幼女 「お前はいま、幸せでいるのか」


死神メイド 「明日よりは幸せかもしれないし、そうでないかもしれないけれど」

死神メイド 「幸せを数えたり比べたりなんて、寂しいこと、したくないわ」


淫魔幼女 「……そうか」


カツ カツ カツ カツ




…………


商人の町 広場



ワイワイ ガヤガヤ



紳士 「やあ、お嬢さん、良い店を見つけたんです。一緒に行ったあと宿屋に行きませんか」


ゴブリン 「へい、淫魔の彼女。おれと遊んだあと宿屋に行かないかい」


ケンタウロス 「私の背に乗って、宿屋に行きませんか」


ワラワラ ガヤガヤ


桃尻淫魔 「ひ、ひえええん……」

桃尻淫魔 「死神メイド、女郎蜘蛛、みんなどこに行ったのぉ……」


ワラワラ ガヤガヤ

ザワザワ

…………

…………





おまけおわり




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