Ⅳ「城ヶ崎莉嘉……?」 (76)


Ⅳ「誰だよそいつは」

トロン「ぷぷっ、もしかして知らないのかい?」

Ⅳ「……俺を煽りたいだけなら部屋に戻らせてもらうぜ」ピキピキ

トロン「Ⅳはそうやってすぐ怒る」

Ⅳ「トロン……ッ!」

Ⅲ「お止めください、Ⅳ兄様、父様」

Ⅴ「もうすぐデビューする予定のアイドル候補生だ」

トロン「えー、教えちゃうの?」

Ⅳ「……それでそのアイドル候補生がどうしたって言うんだ」

Ⅴ「その娘にデュエルを教えてやって欲しい」


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Ⅳ「ハァ? いくらなんでも唐突過ぎやしねえか」

Ⅴ「仕事とはそういうものだ」

Ⅳ「テメエが仕事を語るのかよ。つーかなんで俺がそんな面倒なことしなくちゃならねえんだよ」

トロン「反抗期かい? パパは悲しいなぁ」

Ⅳ「……ッ!」ギロッ

Ⅴ「最近アイドル界隈でもデュエルが流行しているのは知っているな?」

Ⅳ「……ああ、プロデュエリストとアイドルを兼任してる奴もいるらしいな」

Ⅴ「デュエルとアイドル、今やこの二つの業界は密接に繋がってると言ってもいい」

Ⅲ「アイドルが人気を得るために、デュエルをやることもあるみたいですね」

Ⅳ「んなこたぁ知ってんだよ。俺が聞いてんのはわざわざこの俺がそいつにデュエルを教えなきゃなんねえ理由だ」

Ⅴ「お前はプロデュエリストになったばかりで、まだ知名度が低い」

Ⅴ「ナンバーズ回収を円滑に進めるには、地道な活動で知名度を上げていくしかないのだ」

Ⅴ「そうしていくうちにファンが増え、自然とナンバーズ所持者がお前の周りに集まってくるだろう」

Ⅴ「それに城ヶ崎莉嘉のいる『シンデレラプロ』は、誰もが知っている大手プロダクションだ」

Ⅴ「縁を作っておけば、何かと役立つ時も来る」


Ⅳ「あのなぁ、そもそも俺はプロデュエリストになること自体が嫌だったんだ」

Ⅳ「ましてや”あんなこと”までしてなったプロに、やる気なんて出るはずが――――」

Ⅴ「行ってくれるな?」

Ⅳ「……っ!」

Ⅳ「チッ、拒否権なしかよ」

Ⅴ「そういうことだ」

Ⅳ「分かったよ。行きゃいいんだろ行きゃあ」

トロン「最初からそう言えばいいのに」

Ⅳ「黙れッ!」

Ⅴ「私が車で送っていく、行くぞ」

Ⅳ「あーあー、分かりましたよ」

Ⅲ「行ってらっしゃいませ、兄様方」

トロン「…………」クスクス

Ⅳ「チィッ……」


――――シンデレラプロ


Ⅴ「帰りはタクシーを使え」

Ⅳ「テメエの仕事は見送りだけかよ、長男ってのは気楽だねえ」

Ⅴ「まだ私が動く時ではないということだ」

ガチャッ、ブロロロロロ――――

Ⅳ「シカトかよ」

Ⅳ「で、ここからどうすりゃいいんだ。このデカいビルの前に放置されても困るんだが」

Ⅳ(……ん? ビルの中から誰かが来るぞ)

???「貴方がⅣさんですか?」

Ⅳ「ああ、そうだが。アンタは?」

???「申し遅れました。私は城ヶ崎莉嘉の担当プロデューサーのモバPと言う者です」

モバP「本日はお越しくださいありがとうございました。早速ですが莉嘉のところまでご案内しますね」スタスタ

Ⅳ「あ、おい――!」

Ⅳ(ったく、どいつもこいつも勝手だな!)スタスタ


――――シンデレラプロの一室


莉嘉「あっ、Pくん! 久しぶりっ、待ってたよ☆」

モバP「久しぶりって……数日会わなかっただけだろ」

莉嘉「アタシはチョットでもPクンに会えないのは嫌なの!」

モバP「はぁ……全く莉嘉は」

莉嘉「えへへ~☆」

Ⅳ(完全に蚊帳の外じゃねえか)

モバP「ところで莉嘉、もう美嘉とは仲直りしたのか?」

莉嘉「……ッ!」ビクッ

Ⅳ(美嘉……?)

莉嘉「お姉ちゃんなんか知らないっ!」

モバP「おい、莉嘉!」

莉嘉「せっかくアタシと会ってるんだから、お姉ちゃんの話なんかしないでよ!」

モバP「でも美嘉は気にして……」


莉嘉「ところでPクンの後ろにいるお兄さんは誰なのかな~?☆」

Ⅳ(露骨に話題逸らしやがった)

Ⅳ「話聞いてないのか?」

莉嘉「ぜんっぜん☆」

Ⅳ「……そうかよ、俺はⅣだ」

莉嘉「ふぉー? ヘンな名前」

Ⅳ「本名ってわけじゃねえよ」

莉嘉「だよねっ いくらなんでもヘンすぎるもん☆」

Ⅳ(うるせえよ)

莉嘉「それに髪型もヘンだし、左目のキズがちょっと怖いかなっ☆」

Ⅳ「ッ!」

莉嘉「そこそこ顔はいいのに、そんなんじゃオンナノコにモテないよっ!」

モバP「莉嘉、失礼だろ! すいませんⅣさん」

Ⅳ「…………」

モバP「Ⅳさん?」

Ⅳ「ん? あぁ、別に気にしてねえよ」


Ⅳ(傷、か……)

莉嘉「ゴメンネ☆ ところでⅣクンは何しに来たの?」

Ⅳ「本当に聞いてねえのか、俺はお前にデュエルを教えに来たんだ」

莉嘉「えっ、デュエル?」

Ⅳ「あん?」

莉嘉「…………」

Ⅳ(急に表情が変わったな、どうなってんだ?)

Ⅳ(まぁいい、仕事を終わらせてとっとと帰るぜ)

Ⅳ「モバP、俺はこいつにデュエルを教えてやればいいんだな?」

モバP「はい、よろしくお願いします。基本的な部分は分かっているのですが、それ以上のことはからっきしなので」

Ⅳ「分かったよ。だがどうしてこいつにだけ特別にデュエルを教えるんだ?」

Ⅳ「普通なら専任の講師を呼んで、もっと多くの奴に一斉に教えるだろ」

モバP「それなのですが、先日莉嘉にデュエル番組への急なオファーが来ました」

モバP「けれども莉嘉はデュエルの知識が不足していて、番組に出るには無理がありました」

モバP「なので急遽勉強する必要ができたのです。しかし急なオファーだったので普段来ていただいてる講師の方のスケジュールが埋まっていました」

モバP「それで困っていたところに貴方の御兄様からお電話をいただき、Ⅳさんに来ていただくことになったのです」

Ⅳ(トロンの奴、余計なことしやがって)


Ⅳ「だが、知識の不足してる奴にどうしてオファーが来るんだ?」

モバP「それは――――」

莉嘉「Pくん!」

莉嘉「今日は、今日は一緒に居てくれるんだよね……!?」

モバP「ああ、そのつもりだ。今日は俺とⅣさんの二人でお前にデュエルを教える」

莉嘉「よかった……!」

イマカコミライモー♪

Ⅳ「着信音? 俺のじゃねえぞ」

モバP「俺のだ……ん、美嘉から?」ピッ

莉嘉「っ!」ビクッ

モバP「どうした美嘉……は? なに? 本当か? 分かった、すぐ行く」ピッ

モバP「悪い、今すぐ美嘉のところに行かなくてはならなくなった」

莉嘉「そんな! 今日は一緒にいてくれるって言ったじゃん!」

モバP「ごめんな、でも仕事なんだ。すいませんⅣさん、莉嘉のことお願いできますか?」

Ⅳ「いや待て、急に押し付けられても困るんだが」

モバP「それではよろしくお願いします――――!」タッタッタッ


Ⅳ(ものすごいスピードで走り去っていった……)

莉嘉「約束したのに」ウルウル

Ⅳ(おいおい、これどうすんだよ)

Ⅳ「おい」

莉嘉「はぁ」チラッ

Ⅳ「俺の顔見て露骨に溜息吐くんじゃねえ。モバPって奴がいなくなって残念なのは分かるが」

Ⅳ「とりあえずお前がデュエルについてどこまで知って――――」

莉嘉「知らない」

Ⅳ「は?」

莉嘉「デュエルなんて全然知らない! キョーミない!」

Ⅳ「おいおい」

莉嘉「デュエルなんて大っキラい!!」


Ⅳ「ッ!」

Ⅳ(こんな奴にデュエルを教えろってか? 冗談キツいぜ)

莉嘉「……」プイッ

Ⅳ(こっちの顔も見やがらねえ)

Ⅳ「おい、テメエの事情は知らねえがこっちは仕事で来てんだ。嫌でもデュエルの勉強はしてもらうぜ」

莉嘉「絶ーっ対にヤダ!」プイッ

Ⅳ「いい加減にしやがれ! こうなったらふん縛ってでも!」

莉嘉「そんなことしたら大声出してやるんだから! ベーッ!」

Ⅳ「このガキ……!」

Ⅳ(このままじゃ埒が明かねえ、何かいい手を考えねえと……)

Ⅳ(ん、城ヶ崎莉嘉……美嘉?)


Ⅳ「お前、もしかして……城ヶ崎美嘉の妹か?」

莉嘉「っ!」ビクッ

Ⅳ「その反応、どうやら図星のようだな」

莉嘉「知らない! お姉ちゃんなんて知らない!」

Ⅳ「お姉ちゃんって自分で言ってんじゃねえかよ」

莉嘉「あ」

Ⅳ「バカか」

莉嘉「…………」

Ⅳ「…………」

莉嘉「……どうしてお姉ちゃんを知ってるの?」

Ⅳ「知らねえ奴の方がどうかしてるだろ、アイドルとプロデュエリストを兼任してる有名人だ」

莉嘉「そっか、お姉ちゃんやっぱり人気なんだ」パーッ

Ⅳ「随分と嬉しそうだな」

莉嘉「う、嬉しくなんかないもん!」

Ⅳ「そうかよ」

Ⅳ(この反応、大体事情が読めたぜ)


Ⅳ「もしかしてお前、姉貴と喧嘩でもしたのか?」

莉嘉「……」

莉嘉「………………」

莉嘉「……うん」コクリ

Ⅳ「やっぱりそうか。喧嘩したのもデュエルが原因なんだろ?」

莉嘉「どうして分かるの!?」

Ⅳ「どうしてだろうな」

Ⅳ「んなことより、喧嘩の詳しい経緯を話してみろよ」

莉嘉「なんでⅣクンにそんなこと話さなくちゃいけないの」

Ⅳ「俺はデュエルを教えにきた。だがテメエはデュエルをやりたがらねえ」

Ⅳ「だったらその原因を解決するしかねーだろ」

莉嘉「でも……」

Ⅳ「でももだっても無え。俺はさっさと帰りたいんだ」

莉嘉「うぅ……わかったよ。じゃあ話すね」


莉嘉「さっきPクンがアタシにデュエル番組のオファーが来たって言ったでしょ?」

Ⅳ「ああ、素人のテメエにオファーが来るのは意味分かんねえがな」

莉嘉「それね、お姉ちゃんがいるからなの」

莉嘉「アイドルデュエリストのお姉ちゃんと、その妹のアタシにデュエルをさせたら面白いかもって、偉い人が考えたんだって」

Ⅳ「そういうことか」

莉嘉「でもね、最初はとっても嬉しかった」

莉嘉「お姉ちゃんと一緒の番組に出れるし、お姉ちゃんとPクンがデュエルを教えるって約束してくれたから」

莉嘉「デュエルのことはよく知らなかったけど、頑張ってルールも覚えたし、お小遣いで好きなカードで買ってデッキを作ったの」

莉嘉「それでお姉ちゃんとPクンがデュエルを教えてくれる日が来たんだけど」

莉嘉「お姉ちゃんったらこのカードは必要ないとか、絶対にこれは入れたほうがいいとか」

莉嘉「酷いよね! アタシはこのデッキでデュエルがしたいのに!」

莉嘉「それで喧嘩になっちゃって……もう何日も話してないの」

莉嘉「お姉ちゃんはオシゴトが忙しいし、Pクンもお姉ちゃんに付きっ切りになっちゃって」

莉嘉「今日は久しぶりにPクンがアタシと一緒にいてくれると思ったら、すぐにお姉ちゃんのところ行っちゃったの」

莉嘉「こんなところだよ」

Ⅳ「なるほどな」


莉嘉「大体お姉ちゃんは――――」

Ⅳ「それでお前はどうしたいんだ?」

莉嘉「えっ?」

Ⅳ「俺に愚痴を吐くだけで満足するのか、それとも姉貴と仲直りしたいのか」

Ⅳ「どっちなんだよ」

莉嘉「そんなの……!」

Ⅳ「俺はどっちでもいいぜ、自分で決めな」

莉嘉「そんなの……そんなの……」ジワッ

莉嘉「……そんなの、決まってる」

莉嘉「お姉ちゃんと、仲直りしたい」

莉嘉「お姉ちゃんと何日もお話できなくて辛いし、それに寂しいもん……」ポロポロ


Ⅳ「ならとっとと行くぞ」

莉嘉「どこへ……?」

Ⅳ「決まってんだろ、姉貴のところにだよ」

莉嘉「い、いきなり!? いくらなんでも突然すぎない?」

Ⅳ「当たり前だろ。本人がいないのに仲直りもクソもあるか」

Ⅳ「それにな、俺はとっとと帰りてえんだよ。お前らが仲直りするのを悠長に待つ気はねえ」

Ⅳ「姉貴の仕事してる場所くらい知ってるだろ?」

莉嘉「それは、知ってるけど」

Ⅳ「だったら行くぞ、もたもたしてんな」スタスタ

莉嘉「あ、ちょっと! 置いてかないでよ!」スタスタ


――――某テレビ局


Ⅳ「ここで間違いないんだな?」

莉嘉「うん、今日のオシゴトは時間掛かるって言ってたし、まだここにいると思う」

Ⅳ「いてくれなきゃ泣くぜ、とっとと行くぞ」

莉嘉「でもテレビ局のどこにいるかは分かんないよ?」

Ⅳ「んなもん、虱潰しに探せば見つかるだろ」

莉嘉「……Ⅳクンって案外無計画だね」

Ⅳ「ト……父親みたいなこと言うんじゃねえよ」

莉嘉「そもそもどうやって撮影所に入るつもりなの?」

Ⅳ「あ」

莉嘉「……Ⅳクンっておっちょこちょい?」


Ⅳ「うるせえよ。ちょっと待ってろ。おい、そこの警備員!」

警備員「はい、なんでしょうか」

Ⅳ「こいつは城ヶ崎美嘉の妹の莉嘉、俺はその付き添いだ。美嘉が忘れものをしたから届けに来た」

莉嘉「えっ」

警備員「本当にそうなんですか?」チラッ

Ⅳ「……」ギロッ

莉嘉「え、えーっと…………そうだよ☆ お姉ちゃんがお弁当忘れたから届けに来たの!」

警備員「お弁当なら楽屋で注文してるはずですが」

莉嘉「そ、それは……お、お姉ちゃんは好き嫌いが激しいからママが作ったのじゃなきゃダメなの!」

警備員「……」

莉嘉「……キラッ☆」


警備員「まぁ、いいでしょう。この入館証を付けてください」

Ⅳ「どうも。ついでに美嘉がどこにいるかも教えてくれねえか?」

警備員「城ヶ崎さんなら今は四階の楽屋にいらっしゃいますよ」

Ⅳ「ありがとよ、じゃあな」

莉嘉「警備員さん、ありがとー☆」

Ⅳ「上手く言っただろ?」ヒソヒソ

莉嘉「アタシが頑張っただけじゃん! しかも忘れものなんて真っ赤なウソだし」ヒソヒソ

Ⅳ「悪さしに来たわけじゃねえからいいんだよ」

莉嘉「Ⅳクンのフリョー」

Ⅳ「知能犯と呼びやがれ。美嘉の居場所も聞き出したんだぜ?」

莉嘉「まぁ、そうだけど」

Ⅳ「四階だ、エレベーターを使うぞ」


――――美嘉の楽屋の前


Ⅳ「ここか、張り紙もあるし間違いねえな」

莉嘉「……」

Ⅳ「なに黙りこくってんだよ」

莉嘉「だって」

Ⅳ「もう部屋の真ん前まで来てんだ、引き返すわけにも行かねえだろ」

莉嘉「でも、お姉ちゃんになんて言えばいいか分かんないよ」

Ⅳ「テメエらしくもねえ。初対面の俺に散々言いやがった口はどこ行った?」

莉嘉「Ⅳクンとお姉ちゃんは違うもん!」

Ⅳ「そりゃそうだが……って、ん?」

美嘉「……莉嘉?」


莉嘉「っ!」ビクッ

Ⅳ(後ろから来やがった)

美嘉「なんでここにいるの? つーかその人ダレ?」

莉嘉「……」

美嘉「莉嘉、答えて!」

Ⅳ「耳元で大きな声出すんじゃねえよ。俺はⅣ、こないだの大会で優勝したっていえばアンタなら分かるだろ?」

美嘉「確か、対戦相手が不正で失格になった……」

Ⅳ「……そうだ」

美嘉「そのチャンピオンがなんで莉嘉と一緒にいるのよ」

Ⅳ「そこには色々と深い事情がある、だが要件は一つだけだ」

Ⅳ「こいつとさっさと仲直りしやがれ」

美嘉「はぁ? なんでアンタに命令されなきゃなんないわけ?」


美嘉「ていうかさ、アンタ、こないだのことこの人に言ったの!?」

莉嘉「うん」コクリ

美嘉「うわぁ、なんでそんな恥ずかしいことするのさ」

莉嘉「だ、だって」

美嘉「最悪! こんな知らない人にまで姉妹喧嘩のこと知られるなんてホント最悪!」

莉嘉「ひ、酷い! なんでそんなこと言うの!?」

美嘉「莉嘉が馬鹿なことするからでしょ!」

Ⅳ「ハァ……その辺にしとけよ、テメーら」

美嘉「部外者は口突っ込んでこないで!」

Ⅳ「俺は部外者じゃねえ、コイツにデュエルを教えなきゃならねえんだ」

美嘉「だったら二人でやってればいいじゃん!」

Ⅳ「テメエと喧嘩したせいで、こいつがデュエルやりたくねえって言ってんだよ!」

美嘉「意味分かんない! アタシは関係ないし!」


美嘉「大体デュエルを教えるだけなら、ここまで首突っ込む必要無くない?」

Ⅳ「ああ、俺もそう思うよ」

美嘉「はぁ?」

Ⅳ「テメエの言う通りだ。コイツがデュエルやりたくねえって言うなら、そのまま帰っちまってもよかったはずだ」

Ⅳ「だがな。ああ、クソッ! こんなの俺らしくもねえ」

莉嘉「Ⅳクン……?」

Ⅳ「見てらんねえんだよ! テメエらがそうやって喧嘩してんのが!」

Ⅳ「しかも喧嘩の原因がデュエルだ? 馬鹿か! デュエルなんかで何日も口聞かねえような喧嘩してんじゃねえ!」

美嘉「ア、アンタには関係――――」

Ⅳ「兄弟ってのはよ、永遠じゃねえ」

Ⅳ「いずれはみんな独り立ちして、家族の元を去ることになるんだ」

Ⅳ「それだけじゃねえ、ちょっとしたことで関係が壊れちまうこともある」

Ⅳ「俺は知っている。仲良かったはずなのに今では互いの名前すら呼ばなくなった兄弟を」

Ⅳ「分かるか? 人と人ってのは簡単に変わっちまうんだよ」

Ⅳ「テメエらは二人ともアイドルなら、普通の姉妹よりも一緒の時間は少ねえはずだ」

Ⅳ「だったらせめて一緒にいる時間くらいは大切にしやがれよ!」

Ⅳ「テメエらはまだやり直せるじゃねえか!」


莉嘉「……」

美嘉「……」

Ⅳ「ったく、なんでこの俺がこんな説教臭えこと言わなきゃならねえんだ。こういうのは兄貴の専売特許だろうが……」

莉嘉「…………お姉ちゃん、ごめんね」

美嘉「え」

莉嘉「あの時、アタシのことを思って言ってくれたんだよね」

莉嘉「素人のアタシが作ったデッキじゃ番組で恥掻いちゃうから、色々と教えてくれてたんだよね」

莉嘉「なのに、アタシが……ワガママばっか……言うから怒ったんだよね」

莉嘉「アタシが……アタシが全部悪いから……お姉ちゃんを怒らないで」

莉嘉「アタシが、全部……全部……うぅぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

莉嘉「わあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


美嘉「……泣かないでよ、莉嘉」

莉嘉「うわああああ……ああああああああん!!!!」

美嘉「莉嘉が謝ることじゃない。悪いのは全部アタシだから」

美嘉「強ければいいってわけじゃないのに、莉嘉が一生懸命作ったデッキを何も考えずに否定して……」

美嘉「こんなんじゃアイドルとしても、プロデュエリストとしても、お姉ちゃんとしても失格だよね」

美嘉「だから、だから……ごめんね莉嘉。悪いのは全部お姉ちゃんだから」

莉嘉「違う、違うよぉ……」

Ⅳ(ったく……)

Ⅳ(ホント、なんで俺がこんなことしなくちゃならねえんだ)

Ⅳ(ムカツクぜ)

モバP「おい美嘉! 騒がしいけど何かあったのか……ってⅣさんと莉嘉? なんでここに?」

Ⅳ「はぁ、ようやくお出ましか。おせーよ」

モバP「一体、何が……」

Ⅳ「詳しいことは後でこいつらから聞け」

Ⅳ「後で、な」


――――十数分後


モバP「ありがとうございました。本当なら俺が解決しなきゃいけない問題だったのに」

Ⅳ「気にすんなよ。こいつらが喧嘩してるのが気に入らなかっただけだ」

美嘉「いきなり来た時はびっくりしたけどねー」

莉嘉「Ⅳクンったら、いきなりお姉ちゃんのところに行くって言うんだもん、ビックリしたよ!」

Ⅳ「もう二度と俺の前で姉妹喧嘩なんかすんじゃねえ」

莉嘉「はーい☆」

美嘉「分かりましたー★」

Ⅳ「すっかり元通りかよ、調子のいい連中だぜ」

モバP「仲直りしてくれたなら俺は良かったよ」


莉嘉「ねぇ。Ⅳクン」

Ⅳ「なんだよ」

莉嘉「さっき言ってた、互いの名前すら呼ばなくなった兄弟ってもしかして……」

Ⅳ「ッ!」

Ⅳ「……俺の知り合いの兄弟だ」

莉嘉「……そっか、ならⅣクンの知り合いの兄弟の人に伝えて欲しいな」

莉嘉「君たちもいつかアタシ達みたいに仲直りできるよ、って」

Ⅳ「……」

Ⅳ「――ああ、伝えておく」

莉嘉「お願いだよ! 絶対だからね!」

Ⅳ「分かったって言ってんだろ、しつけえなあ」

莉嘉「わ~、お姉ちゃんたすけてー☆」

美嘉「莉嘉をいじめたら許さないよ★」


Ⅳ「もう帰ってもいいか?」

莉嘉「あ、待ってよ!」

Ⅳ「なんだよ」

莉嘉「Ⅳクンはアタシにデュエル教えに来てくれたんでしょ?」

莉嘉「今ならアタシもデュエルやってみたいからデュエル教えてよ☆」

Ⅳ「あー、すっかり忘れてた」

莉嘉「ちょっと~!」

Ⅳ「テメエらが喧嘩なんかするからだろ」

莉嘉「うっ……それを言われると返す言葉もない」

Ⅳ「本来の仕事はそれだし、全然構わねえけどよ」

莉嘉「やったー! お姉ちゃんもPクンももうオシゴト終わってるんだよね?」

モバP「ああ」

美嘉「三人でデュエルを教えたげるね!」


Ⅳ「って言っても、俺は他人に教えるなんてのは苦手なんでな。方法は一つだ」キラーン

Ⅳ「実戦で教えてやる。基本的なルールは覚えてんだろ?」カシャッ、キーン

莉嘉「えっ、えっ、いきなりデュエルするの!?」

Ⅳ「そうだ」

莉嘉「でもアタシ、まだ一回もデュエルしたことないよ?」

モバP「分からないことがあったら俺達でサポートする」

美嘉「だから思いっきり行きな!」

莉嘉「えーっと……うん、分かった! お姉ちゃんとPクンが一緒ならやってみる☆」

Ⅳ「心の準備はできたか?」

莉嘉「うん、いつでもいいよ!」

Ⅳ「それじゃあ行くぜ」




Ⅳ(LP4000)「「デュエル!」」莉嘉(LP4000)



Ⅳ「サービスだ。先攻か後攻、好きな方を選ばせてやるぜ」

莉嘉「なら先攻をもらうよ! アタシのターン!」

莉嘉「アタシはモンスターを一体セットして、さらに罠カードをセット!」

美嘉「あちゃ~、セットしたカードが魔法か罠かは言わなくていいんだよ!」

莉嘉「あ……」

Ⅳ「聞かなかったことにしといてやるよ」

莉嘉「あ、ありがと……ターンエンド☆」


莉嘉 手札×3 LP4000

モンスター
裏守備×1

魔法・罠
伏せ×1


Ⅳ「俺のターン、ドロー! テメエに良いことを教えてやる。このデッキは初めて使うデッキだ」

莉嘉「ってことは、アタシが初めてそのデッキと戦うってこと!?」

Ⅳ「そういうことだ。感謝しろよ。俺は《ギミック・パペット-シザー・アーム》を召喚!」

シザーアーム「ウヒヒヒヒヒ……」(ATK1200)

莉嘉「うぇ~、なにモンスターー、Ⅳクン趣味悪い~」

Ⅳ「おいおい、人の趣味にケチ付ける気かよ」

Ⅳ「子供の頃からホラー映画が好きだったんだ。だから【ギミック・パペット】はピッタリだろ?」

莉嘉「ふーん、Ⅳクン、ホラー映画スキなんだ」

Ⅳ「まぁな。それにこいつらは趣味だけで組んだわけじゃねえ。《シザー・アーム》の効果発動!」

Ⅳ「デッキの《ギミック・パペット》を一枚墓地に送ることができる。俺は《ギミック・パペット-ネクロ・ドール》を墓地へ送るぜ」


Ⅳ「そのままバトルだ、テメエの裏守備モンスターに攻撃!」

シザーアーム「ヒヒ……ヒヒヒヒヒ!!」ジャキジャキジャキ(ATK1200)

ダンディライオン「ポンデリング!」(DEF300)

Ⅳ「裏守備モンスターは《ダンディ・ライオン》か」

Ⅳ「《シザー・アーム》の攻撃翌力より守備力の劣る《ダンディ・ライオン》は破壊される、が……」

莉嘉「《ダンディ・ライオン》は破壊された時、《綿毛トークン》を二体特殊召喚するよ☆」

綿毛トークン×2「ワタゲッ!」(DEF0)

Ⅳ「けっ、俺はカードを一枚伏せて、ターンを終了するぜ」


Ⅳ 手札×4 LP4000

モンスター
《ギミック・パペット-シザー・アーム》(ATK1200)

魔法罠
伏せ×1


莉嘉「アタシのターン! アタシは手札から《超栄養太陽》を発動!」

Ⅳ「なるほど、テメエのデッキは【植物族】か」

莉嘉「そうだよ☆、今から私のデッキのエースを召喚するからね!」

Ⅳ(エース? 《ローンファイア・ブロッサム》を経由して呼ぶのか?)

Ⅳ(あいつの効果でデッキから高レベルモンスターを呼ぶのが【植物族】の基本戦法だ)

莉嘉「行っくよー、アタシは綿毛トークンをリリースして《ボタニカル・ライオ》を特殊召喚☆」

ボタニカルライオ「ガオー」(ATK1600)

Ⅳ「なっ!?」

美嘉「やっぱ驚くよねー」

モバP「そりゃあなぁ」

Ⅳ「まさかとは思うが、そいつがお前のエースなのか?」

莉嘉「そうだよ、この子が私のデッキのエースだよ☆」

Ⅳ「マジかよ。つーか《ローンファイア・ブロッサム》を呼ばねえんだ?」

莉嘉「え? 《ローンファイア・ブロッサム》なんて入れてないよ?」


Ⅳ「はぁ? 【植物族】で《ローンファイア・ブロッサム》を入れてないだとぉ!?」

莉嘉「だって、可愛くないんだもん」

Ⅳ「可愛くねえって……確かにアイツは可愛くねえけどよ」

莉嘉「アタシのデッキだから、アタシの自由でいいの!」

Ⅳ(美嘉達が色々言いたくなるのも分かるぜ)

Ⅳ(真面目にデッキを組むなら、【植物族】で《ローンファイア・ブロッサム》を入れないなんて有り得ねえ)

莉嘉「アタシのデッキはね、【ライオン】なんだ!」

莉嘉「今度初めてのライブをするんだけどね、その時に着る衣装をPクンが持って来てくれたの」

莉嘉「それがライオンみたいな衣装でね! とっても可愛いんだよ☆」

莉嘉「だからデッキを作るならライオンを使ってみたくて、それでこのデッキを考えたの」

Ⅳ(《ダンディ・ライオン》に《ボタニカル・ライオ》……なるほど、どっちもライオンのモンスターだ)

莉嘉「アタシ、このデッキでお姉ちゃんみたいなアイドルデュエリストになりたい!」

美嘉「莉嘉……」


Ⅳ(……そうか)

Ⅳ(こいつには夢があるんだな)

Ⅳ「だったらこれからたくさんデュエルの勉強をしねえとダメだな」

莉嘉「言っとくけど、アタシだって何も考えずにデッキを作ったわけじゃないからね!」

莉嘉「セットしておいた《リミット・リバース》を発動! 墓地の《ダンディ・ライオン》を蘇らせるよ!」

ダンディライオン「フッカツ!」

莉嘉「そして《綿毛トークン》と《ダンディ・ライオン》をリリース☆」

莉嘉「出てきて! 私の切り札! 《姫葵マリーナ》!」

マリーナ「ヤッホー」(ATK2800)

Ⅳ「最上級モンスターのお出ましか」

莉嘉「それだけじゃないよ! 《ダンディ・ライオン》が墓地に行ったからまた《綿毛トークン》を二体特殊召喚☆」

綿毛トークン×2「ワタゲッ!」(DEF0)

莉嘉「《ボタニカル・ライオ》は自分の場の植物族モンスター一体につき、攻撃翌力が300上がるよ!」

Ⅳ「テメエの場の植物族モンスターは四体、《ボタニカル・ライオ》の攻撃翌力は2800まで上がるってわけか」

ボタニカルライオ「グォォォ!!」(ATK1600→2800)


莉嘉「行っくよー、バトルフェイズ! 《マリーナ》で《シザー・アーム》に攻撃!」

マリーナ「ソーラービーム!」(ATK2800)

シザーアーム「カクイチ!」(ATK1200)

Ⅳ「ぐっ……」LP4000→2400

莉嘉「《ボタニカル・ライオ》! Ⅳクンにダイレクトアタックだ☆」

モバP「この攻撃が通れば、ⅣさんのLPは0だ!」

Ⅳ「そう上手く行くかよ! 俺は《ガード・ブロック》を発動!」

Ⅳ「この戦闘で発生するダメージを0にして、カードを一枚ドローする」

モバP「ってことは」

美嘉「《ボタニカル・ライオ》の攻撃は意味がなくなっちゃったね」

莉嘉「あとちょっとだったのにぃ~、悔しい~」

Ⅳ「チャンピオンがそう簡単にやられて溜まるかって話だ」

莉嘉「もうやることないし、アタシはこれでターンエンドするね」


莉嘉 手札×2 LP4000

モンスター
《姫葵マリーナ》(ATK2800)
《ボタニカル・ライオ》(ATK2800)
《綿毛トークン》(DEF0)
《綿毛トークン》(DEF0)

魔法・罠
なし


モバP「トドメは刺せなかったけど、結構莉嘉に有利な状況だな」

美嘉「うーん、どうだろ」

モバP「違うのか?」

美嘉「このくらいの状況なら、簡単に覆されちゃうんじゃないかな」

Ⅳ「何も考えずにデッキを組んだのかと思ってたが、ちっとはやるじゃねえか」

莉嘉「だからちゃんと考えたって言ったでしょ!」

Ⅳ「だが、甘い、甘すぎるぜ。こんなのピンチですらねえ」

莉嘉「Ⅳクンの強がりー、攻撃翌力2800のモンスターが二体もいるんだよ?」

莉嘉「しかもⅣクンの場には何もカードがない、ここからどうやって逆転するつもりなの!?」

Ⅳ「それで安心しちまうから甘いって言ってんだよ! 見せてやるぜ、【ギミック・パペット】の力を!」

Ⅳ「墓地の《ネクロ・ドール》の効果を発動! こいつは墓地の《ギミック・パペット》を除外することで墓地から蘇る!」

Ⅳ「《シザー・アーム》の骸を糧として蘇れ! 《ネクロ・ドール》!」

ネクロドール「フフフ」(DEF0)

莉嘉「最初にデッキから墓地に送ったモンスターにそんな効果が!?」

Ⅳ「さらに俺は手札から《ギミック・パペット-マグネ・ドール》を特殊召喚!」

マグネドール「マーグネ」(DEF1000)

Ⅳ「こいつは相手の場にモンスターがいて、なおかつ自分の場にいるのが《ギミック・パペット》だけの時、手札から特殊召喚できる」


莉嘉「レベル8のモンスターを一気に二体も出すなんてすごいね!」

莉嘉「でもその子たちじゃ私のモンスターは倒せないよ! ていうかレベル8なのに弱すぎない?」

美嘉「まずい、全然気付いてない」

モバP「レベル8のモンスターが二体……エクシーズ召喚が来るな」

Ⅳ「俺は《ネクロ・ドール》と《マグネ・ドール》でオーバーレイ・ネットワークを構築!」

Ⅳ「見せてやるぜ、このデッキの真の力の片鱗ってやつを」

Ⅳ「現われろ、《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》!」

ヘブンズストリングス「……」(ATK3000)

モバP「ナンバーズ? 聞いたことないカードだな」

美嘉「あんなモンスター、アタシも見たことない」

莉嘉「えっ、えっ、二体のモンスターが合体して大きくなったの?」

Ⅳ「おいおい、まさかとは思うが【エクシーズ召喚】を知らねえのか?」

莉嘉「全然知らない☆」

Ⅳ「威張ることじゃねえ!」

モバP「エクシーズ召喚を教える前に、莉嘉と美嘉が喧嘩し始めたからなぁ」

美嘉「うっ、その話はもういいじゃん」


Ⅳ「はぁ、しょうがねえ。特別に教えてやるよ」

莉嘉「わーい、ありがとっ」

Ⅳ「エクシーズ召喚ってのは、同じレベルのモンスターが二体以上いる時に行える召喚法だ」

Ⅳ「同じレベルのモンスターを重ね合わせて、そいつらのレベルと同じ数字のランクのモンスターエクシーズをその上に置くんだ」

Ⅳ「モンスターエクシーズはメインデッキじゃなくて、エクストラデッキっていう別のデッキに入ってる」

Ⅳ「こんなとこか、どうだ、理解したか?」

莉嘉「うんっ、アリガト☆ でも《ヘブンズ・ストリングス》だけじゃアタシのモンスターを一体しか倒せないよ」

Ⅳ「見縊られたもんだな。いいか、二つ教えておいてやる」

Ⅳ「一つは何もカードを伏せずに相手にターンを回すのは、あまりにも危険だってこと」

Ⅳ「もう一つは、手札の数はそのまま勝敗に直結するってことだ!」

Ⅳ「俺は手札から魔法カード《鬼神の連撃》を発動!」

Ⅳ「こいつはモンスターエクシーズのオーバーレイユニット(エクシーズ素材)を全て捨てる代わりに、このターンだけ二回攻撃できるカードだ!」

Ⅳ「《ヘブンズ・ストリングス》の効果は使いづらいんでね、代わりにこいつを使わせてもらうぜ!」

ヘブンズストリングス「……」ORU2→0


莉嘉「二回攻撃ってことは、《マリーナ》も《ボタニカル・ライオ》もやられちゃうってこと!?」

Ⅳ「それだけじゃねえ。さらに俺は《ジャンク・アタック》を《ヘブンズ・ストリングス》に装備するぜ」

Ⅳ「バトルだ! 行け!  《ヘブンズ・ストリングス》!」

ヘブンズストリングス「……」ヘブンズブレード!(ATK3000)

マリーナ「キャー」(ATK2800)

莉嘉「キャッ!」LP4000→3800

Ⅳ「ここで《ジャンク・アタック》の効果発動! 破壊したモンスターの攻撃翌力の半分のダメージを相手に与える!」

莉嘉「ウソ! 《マリーナ》の攻撃翌力の半分のダメージってことは……」

Ⅳ「1400のダメージだ、受け取れェ!」

莉嘉「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」LP3800→2400

Ⅳ「そして今度は《ボタニカル・ライオ》に攻撃! 消し飛べぇ!」

ヘブンズストリングス「……」ヘブンズブレード!(ATK3000)

ボタニカルライオ「オォン、アォン」(ATK2800→2500)

Ⅳ「《ジャンク・アタック》と合わせて、合計で1300のダメージだ!」

莉嘉「きゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」LP2400→1100

美嘉「莉嘉ぁぁぁぁぁ――――ッ!!」

Ⅳ「ざっとこんなもんだ。俺はカードを一枚伏せて、ターンを終了するぜ」


Ⅳ 手札×3 LP2400

モンスター
《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》(ATK3000)ORU:0

魔法罠
《ジャンク・アタック》(対象:ヘブンズ・ストリングス)
伏せ×1


モバP「さすがはチャンピオン、全く容赦がない」

美嘉「少しくらい手加減してくれてもいいのに、いくらなんでも酷くない!?」

モバP「それだけ真剣ってことだろ。だがあの《ナンバーズ》ってカード、すごく嫌な感じがする」

美嘉「うん、なんていうか、怖いよ、あのカード」

モバP「莉嘉、大丈夫か……?」

莉嘉「やっぱり……Ⅳクンは強いね」

Ⅳ「当たり前だろ、俺を誰だと思ってんだ」

莉嘉「えへへ、そうだよね。始めたばかりのアタシなんかが勝てるわけなかったのかな」

Ⅳ「はぁ……?」

莉嘉「どうしてだろ……勝てるわけがないって分かってたのに」

Ⅳ「おいおい」

莉嘉「勝ち目が見えてきたら、やっぱり勝ちたいって、負けたくないって思ったんだ」

莉嘉「Ⅳクンやお姉ちゃんが、アタシに真剣にデュエルを教えてくれたんだもん。負けるのヤダよ」

Ⅳ(莉嘉のやつ、様子がおかしくないか?)

莉嘉「でも、今の手札じゃ、もうどうしようも――――」


――――負けたくないか?

莉嘉「えっ」

――――負けるのが嫌か?

莉嘉「誰? 誰なの? Pクン!?」

モバP「莉嘉、どうしたんだ!?」

美嘉「なんか変だよ!」

――――このデュエル、勝ちたいか?

莉嘉「負けたくないよ、勝ちたいよ。デュエル、やっと楽しいって思えたんだもん」

美嘉「ダメ! プロデューサーの声が全然聞こえてないよ」

モバP「クソッ、なにが起きてるんだ!?」

莉嘉「負けたくない負けたくない負けたくない……絶対負けたくない!」

――――なら、俺を使え!

莉嘉「う……ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

Ⅳ「おい莉嘉! 大丈夫か!?」


莉嘉「――――アタシのターン、ドロー」

Ⅳ(雰囲気が変わった……?)

莉嘉「アタシは手札から《死の花-ネクロ・フルール》を召喚」

ネクロフルール「アアァァ……」(ATK0)

Ⅳ「《ネクロ・フルール》? 莉嘉があれを可愛いと思ったのか?」

美嘉「違う、莉嘉のデッキにあんなカード入ってなかった!」

莉嘉「さらに《フレグランス・ストーム》を発動」

莉嘉「自分の場の植物族モンスターを破壊してカードを一枚ドローする。アタシは《ネクロ・フルール》を破壊してドロー」

莉嘉「この効果でドローしたのが植物族モンスターだった場合、もう一枚ドローすることができる」

莉嘉「アタシが引いたのは《桜姫タレイア》、よってもう一枚ドロー」

莉嘉「そして破壊された《ネクロ・フルール》の効果を発動、デッキから《時花の魔女-フルール・ド・ソルシエール》を特殊召喚する」

フルールドソルシエール「アハハハハハハハ」(ATK2900)

莉嘉「《フルール・ド・ソルシエール》の効果を発動、相手の墓地のモンスターを特殊召喚できる」

莉嘉「アタシが蘇らせるのは、《ギミック・パペット-マグネ・ドール》」

マグネドール「……」(ATK1000)


美嘉「プロデューサー! さっきから莉嘉おかしいよ! デッキに入ってないカードが入ってるし、喋りかたもヘンだし!」

モバP「分かってる! おい莉嘉! しっかりしろ!」

Ⅳ「何が起きてるのか分かんねえが、やったのは《マグネ・ドール》をパクるだけかよ」

Ⅳ「《フルール・ド・ソルシエール》の攻撃翌力は2900、《ヘブンズ・ストリングス》の3000には僅かに及ばないぜ」

Ⅳ「そもそも《マグネ・ドール》を奪うことに、何の意味が――――」

Ⅳ(《フルール・ド・ソルシエール》に《マグネ・ドール》……両方ともレベルは8?)

Ⅳ「ッ! まさかッ! だがそのはずはない。莉嘉はさっきまで知らなかったはずだ」

Ⅳ「アイツが、アイツが――――エクシーズ召喚をできるわけがッ!」

莉嘉「レベル8の闇属性モンスター・《フルール・ド・ソルシエール》と《マグネ・ドール》でオーバーレイ・ネットワークを構築」

莉嘉「No.22! 死者の魂を継ぎ接ぎし、地の底より蘇る人造人間!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド



莉嘉「《不 乱 健》!」



不乱健「オ……オ……オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」(ATK4500)

Ⅳ「ナンバーズだと!? どうしてテメエがそれを持ってやがる!?」

莉嘉「うーんとね、お姉ちゃんと喧嘩した後に拾ったんだ」

莉嘉「あれ? でもあの時はカードなんか見たくもなくて捨てたような……」

莉嘉「ま、いっか。この子がいればⅣクンに勝てるんだもん」

莉嘉「《不乱健》で《ヘブンズ・ストリングス》に攻撃! 不乱拳ッ!」

不乱健「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!」(ATK4500)

ヘブンズ・ストリングス「……」(ATK3000)

Ⅳ「グオアアアァァァァァァッ!!!!」LP2400→900

モバP「Ⅳさん!」


莉嘉「アハハハハハ! やっぱり強いね! 攻撃力が4500もあるんもんね!」

美嘉「ヤバいよ! さっきから嫌な感じはしてたけどあの《ナンバーズ》ってカード、普通のカードじゃない!」

美嘉「プロデューサー! デュエルを中止させようよ!」

モバP「ああ、分かってる! Ⅳさん! デュエルを中止してください!」

Ⅳ「無理だ!」

モバP「なっ、どうして!?」

Ⅳ「アイツは《ナンバーズ》に乗っ取られちまってる」

Ⅳ「デュエルで負かさない限り、ずっとあのままだ」

モバP「そんな……」


Ⅳ「安心しろ、俺の本当の仕事は《ナンバーズ》を回収することだ」

Ⅳ「莉嘉は絶対元に戻す」

美嘉「デュエルで勝つ以外の方法はないの?」

Ⅳ「無い」

美嘉「……任せていいんだよね?」

Ⅳ「くどいぜ。この俺が絶対って言ったんだ」

美嘉「……分かった。プロデューサー、悔しいけどここはⅣに任せよう」

モバP「ああ。どの道、俺達じゃ何もできないな……」

莉嘉「アタシはカードを一枚伏せ、ターンエンドだよ」


莉嘉 手札×2 LP1100

モンスター
《No.22 不乱健》(ATK4500)
《綿毛トークン》(DEF0)
《綿毛トークン》(DEF0)

魔法・罠
伏せ×1


Ⅳ「俺のターン、ドロー!」

Ⅳ(トロンの奴、最初から全部知ってやがったな)

Ⅳ「俺は手札から魔法カード《ブラック・ホール》を発動!」

Ⅳ「フィールド上の全てのモンスターを破壊するッ! 消し飛べッ! 《不乱健》!」

莉嘉「無駄だよ! アタシは《不乱健》の効果を発動!」

莉嘉「オーバーレイユニットを一つ消費、手札を一枚捨て、さらに《不乱健》を守備表示にすることで」

莉嘉「フィールド上のカードの効果を無効にする!」

Ⅳ「なっ、4500の攻撃力でさらにメリット効果持ちだと!?」

莉嘉「アタシが無効にするのは《ブラック・ホール》だよ!」

Ⅳ「チィッ……ッ!」

Ⅳ(《不乱健》の守備力はたった1000、本来なら下級モンスターでも破壊することはできる)

Ⅳ(だが、《ナンバーズ》は《ナンバーズ》で無ければ戦闘破壊できねえ)

莉嘉「それで終わり?」

Ⅳ「けっ、随分と言うようになったじゃねえか」

Ⅳ(だがこの状況、下手に動かねえ方が良さげだな)

Ⅳ「俺はモンスターと魔法・罠を一枚ずつセットして、ターンエンドだ」

Ⅳ 手札×1 LP900

モンスター
裏守備×1

魔法罠
伏せ×2


莉嘉「アタシのターン、ドロー。《不乱健》の強さに何もできないみたいだね」

Ⅳ「どうだかな」

莉嘉「まずは《不乱健》を攻撃表示に変更して、手札から永続魔法《増草剤》を発動するよ!」

莉嘉「通常召喚の代わりに、墓地の植物族モンスターを復活させることができる」

莉嘉「復活して! 《桜姫タレイア》!」

タレイア「オホホホホ」(ATK2800)

モバP「いつの間に《タレイア》を墓地に!?」

美嘉「《不乱健》の効果を使った時だよ、抜け目がない」

莉嘉「《タレイア》は自分の場の植物族モンスター一体につき、攻撃力が100上がる」

莉嘉「アタシの場の植物族モンスターは三体、だからタレイアの攻撃力は3100!」

タレイア「オーッホホホホホホホ」(ATK2800→3100)

莉嘉「バトル! 《不乱健》で裏守備モンスターに攻撃!」

Ⅳ「罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》を発動! 相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

モバP「上手い! これなら《不乱健》の効果を発動せざるを得ない」

美嘉「発動しないと《不乱健》は破壊されちゃうからね」

モバP「《不乱健》は効果を使っても守備表示になるから、どのみち攻撃は防げる!」


莉嘉「甘いよ! アタシは伏せていたカウンター罠《ポリノシス》を発動!」

美嘉「なっ……《ポリノシス》!?」

モバP「あのカードはマズい!」

莉嘉「自分の場の植物族モンスターをリリースして、相手のあらゆるカードの発動を一回だけ無効にすることができる!」

莉嘉「《綿毛トークン》をリリースして《聖なるバリア -ミラーフォース-》を無効にする!」

Ⅳ「……」パリーン

莉嘉「《ミラーフォース》が破壊されたことで、《不乱健》の攻撃は続行!」

モバP「まずい! 莉嘉の攻撃できるモンスターは二体もいるのに、Ⅳさんの場にはモンスターが一体しかいない!」

不乱健「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!」(ATK4500)

死の木馬「ニーサマ!」(DEF2000)

ボカーン!

莉嘉「これで終わり! 《タレイア》でⅣクンに直接攻撃!」

モバP「この攻撃を受けたらⅣさんの負けだ!」

美嘉「莉嘉――――ッ!!!!」


シャドーフィーラー「ウヘヒヒヒ」(DEF1000)

莉嘉「!?」

Ⅳ「俺は《不乱健》に破壊された《ギミック・パペット-死の木馬》の効果を発動していた」

Ⅳ「こいつが破壊された時、手札の《ギミック・パペット》を特殊召喚することができる」

Ⅳ「この効果で俺は《ギミック・パペット-シャドーフィーラー》を特殊召喚したんだ」

莉嘉「へぇ、粘るね。でも《タレイア》なら《シャドー・フィーラー》を破壊できるよ! やっちゃえ!」

Ⅳ「生憎だが《シャドー・フィーラー》には戦闘で破壊されない効果があるぜ」

タレイア「ハナフブキ……!?」(ATK3000)

シャドーフィーラー「コウカガナイヨウダ……」(DEF1000)

莉嘉「ちぇーっ、アタシはこのままターンエンド」


莉嘉 手札×2 LP1100

モンスター
《No.22 不乱健》(ATK4500)
《桜姫タレイア》(ATK3000)
《綿毛トークン》(DEF0)

魔法・罠
増草剤(対象:桜姫タレイア)


莉嘉「確かに前のターンでは倒せなかったけど、Ⅳクンの手札はたったの一枚」

莉嘉「他はずっと発動しないセットカードと《シャドー・フィーラー》だけ、逆転できるわけないよ」

莉嘉「次のターンに《不乱健》で《シャドー・フィーラー》の効果を無効にすれば、アタシの勝ちだ!」

莉嘉「やった! Ⅳクンに勝っちゃった!」

Ⅳ「馬鹿言うなよ、テメエに次のターンなんざもう来ねえ」

莉嘉「負け惜しみを言ってもみっともないだけだよ!」

Ⅳ「――――俺は今日この仕事をするのが嫌でしょうがなかった」

莉嘉「え?」

Ⅳ「どうしてこの俺が全然知らねえガキにデュエルを教えなきゃいけないんだって、そう思ってた」

Ⅳ「しかもいざ来てみたら、テメエはデュエルを教わる気がゼロ」

Ⅳ「挙句の果てに姉妹喧嘩に巻き込まれるし、真剣に帰ってやろうか考えたさ」

莉嘉「え? なに、なんなの?」


Ⅳ「でもな。こうやってデュエルを始めてみたら楽しかったんだよ」

Ⅳ「ただの遊びのデュエルだってのに、相手はド素人だってのに、久々に楽しいデュエルができたんだ」

莉嘉「さっきからなに言ってるの? 意味分かんない」

Ⅳ「だが、今のテメエとのデュエルはなんも楽しくねえ」

Ⅳ「お前、姉貴みたいなアイドルになりたいんだろ?」

Ⅳ「姉貴みたいなアイドルデュエリストはよ、観客も、相手も、そして自分も楽しませなきゃいけねえんだ」

莉嘉「Ⅳクンには関係ないよ!」

Ⅳ「今のテメエのデュエルはどうだ?」

Ⅳ「姉貴やモバPをあんなに心配させて、俺もデュエルしてて面白くねえ」

Ⅳ「何より、お前は楽しめてんのかよ?」

莉嘉「そんなの……」

Ⅳ「自分のデッキにあんなにこだわり持ってたお前が、そのこだわりを破っちまって楽しいのかよ」

莉嘉「うっ……でもアタシ、負けたくなくて……」

Ⅳ「デュエルってのは勝ち負けだけじゃねえんだ」

Ⅳ「勝ち負けが大事になる時もあるけどよ。お前にはそれだけに拘ってほしくねえ」

Ⅳ「あんなに楽しそうにデュエルしてたお前に、勝ち負けでしかデュエルを楽しめなくなってほしくねえんだ」


莉嘉「……」

莉嘉「……アタシ、なにやってるんだろ」

莉嘉「Ⅳクンの言う通りだよね。こんなデュエルじゃお姉ちゃんみたいなアイドルデュエリストになれないよね」

莉嘉「そんなこと初めから分かってる、分かってるのに……」

莉嘉「勝ちたい、勝ちたいって頭の中で声がするの」

莉嘉「ごめんね、Ⅳクン」

莉嘉「アタシ、どうかしちゃったのかな」

Ⅳ「よっぽど負けず嫌いなんだな、お前は」

Ⅳ「安心しろ、お前はどうもなってねえ。《ナンバーズ》の影響でちょっとおかしくなっちまってるだけだ」

Ⅳ「すぐ元に戻してやる」

Ⅳ「俺のターン、ドロー」

Ⅳ「俺は《死の木馬》を除外し、墓地の《ネクロ・ドール》の効果を再び発動する」

Ⅳ「蘇れ、《ネクロ・ドール》!」

ネクロドール「フフフ」

Ⅳ「これで俺の場にはレベル8のモンスターが二体、行くぜ」

Ⅳ「俺は《ネクロ・ドール》と《シャドー・フィーラー》でオーバーレイ・ネットワークを構築!」


Ⅳ「現れろ、No.15! 地獄からの使者、運命の糸を操る人形……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ガチッ、ガチガチッ



Ⅳ「《ギ ミ ッ ク ・ パ ペ ッ ト - ジ ャ イ ア ン ト キ ラ ー 》!」



ジャイアントキラー「……」(ATK1500)

モバP「なんて不気味なモンスター……」

美嘉「二枚目の《ナンバーズ》……でも攻撃力じゃ《不乱健》に遠く及ばないよ」

Ⅳ「こいつは攻撃力こそ低いが強力な効果を持っているのさ、《ジャイアントキラー》の効果を発動!」

Ⅳ「相手の特殊召喚されたモンスターを破壊し、それがモンスターエクシーズなら攻撃力分のダメージを与える!」

モバP「これで《不乱健》が破壊されたら4500のダメージだ」

莉嘉「《不乱健》の効果を発動。《ジャイアントキラー》の効果を無効にする」

ジャイアントキラー「……」ピシュンピシュンピシュン

不乱健「オオオオォォォォォォォォ……!!!!」ブチブチブチッ

美嘉「そうだ、《不乱健》には無効化効果がある」

モバP「いくら強力な効果があっても、無効にされちゃ意味が無い!」


Ⅳ「そんなの計算済みだ。俺の本当の狙いは《不乱健》を守備表示にすることだ」

Ⅳ「《ジャイアントキラー》も《ナンバーズ》だから、《不乱健》をぶっ壊すことができるぜ」

莉嘉「でも次のターンに攻撃表示の《ジャイアントキラー》を《タレイア》で攻撃すれば、Ⅳクンのライフは0だよ」

Ⅳ「だから言ってるだろうがよ」

Ⅳ「テメエに次のターンは来ねえって。俺はセットしていた《アームズ・ホール》を発動!」

Ⅳ「デッキの上からカードを一枚墓地に送り、デッキか墓地にある装備魔法を手札に加える」

Ⅳ「墓地に落ちたカードはどうでもいい。大事なのは装備魔法を墓地から回収できるってことだ」

Ⅳ「俺が回収するのは……当然《ジャンク・アタック》だッ!」

Ⅳ「こいつの効果は忘れてねえよな?」ニヤッ

莉嘉「破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える……」

モバP「《不乱健》を破壊すれば、2250のダメージで莉嘉のLPは0になる」

美嘉「決まったね」


Ⅳ「《ジャンク・アタック》を《ジャイアントキラー》に装備するぜ」

莉嘉「……」

莉嘉「あー、やっぱり負けちゃったか」

莉嘉「やっぱりⅣクンは強いね」

Ⅳ「当然だろ」

莉嘉「ファンになっちゃうかも」

Ⅳ「そうか、ならとっておきのファンサービスをしてやるぜ

Ⅳ「行け《ジャイアントキラー》! 《不乱健》に攻撃だ!」

ジャイアントキラー「……」ファイナルダンス!(ATK1500)

不乱健「オオオオオオオオオオオオ!!!!」(DEF1000)


莉嘉LP1100→0

WINNER Ⅳ !


美嘉「――――嘉! 莉嘉!」

莉嘉「あれ、お姉ちゃん……ってうわわわっ!」ギュッ

美嘉「アンタ大丈夫なの!? もう元の莉嘉に戻った!?」

莉嘉「うん、もう大丈夫。ゴメンネ、心配掛けちゃって……」

美嘉「もう……心配掛けさせないでよ。あんな変なカード使って」

莉嘉「く、苦しいよ~、そんなに強く抱きしめないで~」

美嘉「アタシはもっと苦しかったんだから、このくらい我慢しなさい!」

莉嘉「ご、ごめんなさい~~」

モバP「はぁ、ようやく一件落着って感じかな」

Ⅳ「そうみたいだな」

モバP「あっ、Ⅳさん! 莉嘉を助けてくれて本当にありが――――」

Ⅳ「そういう堅苦しいのはいらねえよ。それよりも莉嘉のところに行ってやれ」

モバP「分かりました。莉嘉――――!」


Ⅳ(莉嘉の持っていた《ナンバーズ》は回収しておいたが、こいつが俺の回収した初めての《ナンバーズ》になるわけか)

Ⅳ(たった一枚回収するのもこんなに大変なら、これ以降はどうなっちまうんだ?)

Ⅳ(今日はさすがに疲れたな。タクシー呼んでさっさと帰るとするか)

莉嘉「あ、待ってよ! Ⅳクン!」

Ⅳ「なんだよ、俺が教えられることは全部教えたはずだぜ」

莉嘉「うん、今日はⅣクンに色々教えてもらっちゃったね」

莉嘉「途中から変なことになっちゃったけど、それでもデュエルしてる間はとっても楽しかった!」

莉嘉「だから、ちゃんとお礼を言いたかったの」

莉嘉「Ⅳクン……アリガト☆


Ⅳ(莉嘉の持っていた《ナンバーズ》は回収しておいたが、こいつが俺の回収した初めての《ナンバーズ》になるわけか)

Ⅳ(たった一枚回収するのもこんなに大変なら、これ以降はどうなっちまうんだ?)

Ⅳ(今日はさすがに疲れたな。タクシー呼んでさっさと帰るとするか)

莉嘉「あ、待ってよ! Ⅳクン!」

Ⅳ「なんだよ、俺が教えられることは全部教えたはずだぜ」

莉嘉「うん、今日はⅣクンに色々教えてもらっちゃったね」

莉嘉「途中から変なことになっちゃったけど、それでもデュエルしてる間はとっても楽しかった!」

莉嘉「だから、ちゃんとお礼を言いたかったの」

莉嘉「Ⅳクン……アリガト☆」


Ⅳ「……ああ、俺も楽しかったよ。久々に楽しいデュエルだった」

莉嘉「えへへ、Ⅳクンもアタシのデュエルで楽しんでくれたんだ」

莉嘉「ってことは、Ⅳクンはアタシの一番最初のファンってことだね!」

Ⅳ「どういう理屈だよそれ。別にいいけどよ」

莉嘉「それにこれからⅣクンもプロデュエリストとして売ってくんでしょ?」

莉嘉「だったらアタシがⅣクンの一番最初のファンってことだね!」

Ⅳ「おいおい、俺のファンなら既にいっぱいいるはずだぜ」

莉嘉「細かいことは気にしないの!」

Ⅳ「はぁ……しょうがねえ、そういうことにしといてやるよ」

Ⅳ「じゃあな、今度こそ帰るぜ」

莉嘉「うん、またね」

莉嘉「また、デュエルしようね☆」

Ⅳ「――――ああ、またな」


――――トロン邸


Ⅳ「戻ったぜ」

Ⅲ「おかえりなさいませ、Ⅳ兄様」

トロン「おかえり、Ⅳ。回収したナンバーズは僕に渡してくれるかな」

Ⅳ「やっぱり知ってやがったか、気に入らねえな」

トロン「おいおい、僕は君をそんな口の利き方する子供に育てた記憶はないよ?」

Ⅳ「テメエ……!」

Ⅳ「……」

Ⅳ「ほらよ、回収したナンバーズだ」サッ

トロン「あれ? 突っかかってこないの?」

Ⅳ「そういう気分じゃねえんだ。俺は部屋に戻らせてもらうぜ」


Ⅴ「待て、Ⅳ。夕食はどうするんだ?」

Ⅳ「んなもん後で一人で……いや、兄貴達はもう食ったのか?」

Ⅴ「……? いや、まだだが」

Ⅳ「なら少し部屋で休んだら食いに行く。今のうちに人数分用意しとけ」

Ⅴ「何故私が食事の用意など」

Ⅳ「めんどくせえ奴だな。Ⅲ! このニート兄貴の代わりにやってくれ」

Ⅲ「ちょっ、Ⅳ兄様!?」

Ⅳ「頼んだぞ」タッタッタッ


――――Ⅳの部屋

Ⅳ「はぁ、ようやく一休みできる」ネコロガリ

Ⅳ(今日は本当にかったるい一日だった)

Ⅳ(だが、悪い一日じゃなかったな)

Ⅳ(プロデュエリストか。最初は全然やる気が出なかったがアイツを見ていて少しだけ考えが変わった)

Ⅳ(あんなにアイドルを夢を見てる奴がいるんだ)

Ⅳ(任務と関係ない時くらいは、俺もプロデュエリストとして振る舞ってやろうかね)

Ⅳ(初めてのファンもできたことだしな)

Ⅲ「兄様ーッ! 食事の用意ができましたよーッ!」

Ⅳ「……随分と早いな」

Ⅳ(なんだかんだで兄貴も手伝ったのか?)

Ⅳ「あぁ、すぐ行く!」



END

以上です。
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