――練習後

凛「ってことがあったにゃ」

ことり「たしかに、最近海未ちゃんと遊ぶこと少ないかなぁ」

凛「凛、あんまり海未ちゃんの服ってみたことないかも」

ことり「うーん……練習着とか道着姿ならよく見るけど……」

凛「そうだねー」

ことり「じゃあ、今度海未ちゃんとお出かけしてみたら？」

凛「え？　でも次の休みって練習じゃなかったかにゃ？」

ことり「土曜日はお休みだったはずだよ」

凛「うーん……ことりちゃんは？」

ことり「ことりはバイトが入っちゃってて行けないんだ」

凛「そっかぁ……じゃあ誘ってみようかな」

凛「海未ちゃーん！」

海未「おや、凛。どうしました？」

凛「たまには一緒に帰ろー！」

海未「ええ、構いませんよ」

凛「やったにゃ！」

海未「ふふ、凛は元気ですね」

凛「それほどでもないにゃ！」

凛「そういえば、さっきの話だけど」

海未「さっき……？　あぁ、私服の話ですか？」

凛「うん。もしよかったら今度……」

海未「そうだ！」

凛「」ﾋﾞｸｯ

海未「凛、今度の土曜にアクセサリーを見に行きませんか？」

凛「急にどうしたにゃ？」

海未「練習の時、髪を結わえるようになりましたよね」

凛「うん」

海未「ですが、ゴムが少し質素ではないかと思っていたのです」

凛「ゴム……これかにゃ？」

海未「はい。凛のきれいな髪に合わせるには物足りないかと」

凛「そ、そんなことないんじゃないかな？」

海未「いえ、凛はかわいいのですから」

凛「かわいくなんて……ないよ」

海未「……そう、ですか」

凛「あ、あはは。なんかごめんね」

海未「大丈夫ですよ。ただ……」

凛「ん？」

海未「それとは関係なく、凛と出かけてみたいとは思っていたところです」

凛「そうなの？」

海未「ええ。あまり凛と関われる機会が少ないので」

凛「それもそうかも」

海未「土曜日、ご一緒しませんか？」

凛「わかったにゃ！」

海未「ありがとうございます。おっと、では私はこちらなので」

凛「うん。バイバイ！」

――土曜日

凛「たしか待ち合わせはこのあたり……あ、いた！」

海未「！」ﾋﾗﾋﾗ

凛「おーい！　海未ちゃーん！」

海未「ちょ、凛！　あまり叫ばないでください！」

凛「ご、ごめんにゃ」

海未「恥ずかしいじゃありませんか……」

凛「ところで、どこに行くの？」

海未「……」ﾌｲ

凛「え、なんで顔そらすにゃ」

海未「とりあえず歩きましょう」

凛「ねえ、海未ちゃん？」

海未「いいから、行きますよ」

海未（決められなかったなんて言えません）ｽﾀｽﾀ

海未（気が付いた時には当日になってるだなんて）ｽﾀｽﾀ

海未（……仕方ありません）ｽﾀｽﾀ

凛「海未ちゃーん……ちょっと早くないかにゃー……」

海未「……はっ、すみません、凛」

凛「ま、凛はこれくらいどーってことないけどね！」

海未「そうですね、凛は人一倍運動が得意ですからね」

凛「そうにゃ！　……じゃないよ！　結局どこに行くの？」

海未「それなのですが……」

凛「？」

海未「すみません。私から誘っておきながら、具体的には何も……」

凛「そうなの？　海未ちゃんのことだから、きっちり予定立ててくるのかと思ってたにゃ」

海未「ええ、私もそのつもりでいたのですが……」

凛「……ううん、海未ちゃん、大変だもんね。凛も少し考えてればよかった」

海未「いえ、大変だからと言って、何もしないのではよくありません」

凛「……」

海未「……そうだ」

凛「にゃ？」

海未「以前に髪ゴムの話をしたの、覚えていますか？」

凛「うん。ちょっと物足りない、って海未ちゃんが」

海未「お詫びと言ってはなんですが、凛に似合うものをプレゼントさせてください」

凛「お、お詫びって、そんな……」

海未「そうと決まれば、凛！　行きますよ！」ｽﾀｽﾀ

凛「あ、海未ちゃん！　待ってよー！」

――数日後

凛「ってことがあったんだー」

ことり「それが海未ちゃんにもらったの？　凛ちゃん、とっても似合ってるよ！」

凛「あ、ありがと……えへへ」

ことり「ところで、海未ちゃんの私服の話はどうなったの？」

凛「……にゃ？」

ことり「忘れてた……のかな？」

凛「うん。すっかり忘れてた……」

ことり「海未ちゃん、私服だったんだよね？」

凛「服、ちっちゃくなってるようには見えなかったから、つい……」

ことり「……今度の休みの時には、ちゃんと、ね？」

凛「うん、わかった！　凛にまかせるにゃ！」

――終わり