凛「真姫ちゃんの泣き顔がみたいにゃそのに」 (97)


乱立したくないけど続き書こうとしたら書けなかったので新スレで失礼するにゃ

前スレ
【ラブライブ】凛「真姫ちゃんの泣き顔が見たいにゃ」
【ラブライブ】凛「真姫ちゃんの泣き顔が見たいにゃ」 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423382001



西木野真姫蟹みかん箱事件から数日後 部室


穂乃果「みんな、ばいばーい!」

海未「お疲れ様でした」

ことり「また明日〜♪」


絵里「さ、真姫たちも。戸締りするから、帰りなさい」

真姫「いつもありがと、エリー」


真姫「花陽、凛、私たちも…」

にこ「ねぇ真姫ちゃん、帰りちょろっとツラかしなさいよ」

真姫「はぁ? あなた、喧嘩売ってるの?」

希「にこっち、ダメやん。デートの誘い方がそんなんじゃあ、真姫ちゃんも了承してくれんよ」

にこ・真姫「「デ、デートってなによ!」」

にこ・真姫「「あっ……」」

希「ふふっ。仲良しさんやね」

にこ「ふんっ」

真姫「べ、別に、仲良くなんか…」




帰路



凛「とかなんとか言いつつ、結局ほいほいついて行っちゃった真姫ちゃん、ある意味将来が心配だにゃ〜」

花陽「うーん、まあ真姫ちゃんだし、大丈夫だよきっと」



凛「…時に、かよちん」

花陽「うん?」

凛「やっぱり凛は、真姫ちゃんの泣き顔が見たいにゃ」

花陽「!! り、凛ちゃん! 何言ってるのっ?」

凛「あわよくば写メ撮って待ち受けにしてクラスの皆でシェアして皆で毎晩ペロペロしてることを真姫ちゃんに知らせた時の顔も見たいにゃ」

花陽「ほんとに何言ってるの」




花陽「この前あんなことして、未だに真姫ちゃんやみんなに自首できてないっていうのに… 少しは反省しようよ」

凛「そ、そうだけど。それでも、見たいものはやっぱり見たいし…」

花陽「凛ちゃんっ!!」

凛「にゃっ!」ビクッ

花陽「あのね、好奇心旺盛なのは凛ちゃんのいいところだけど、やって良いことと悪いことは、きちんと分別しなきゃダメです!」

凛「うっ…」

花陽「凛ちゃんは親友だから、喧嘩なんて本当はしたくないけど… 」

花陽「親友だからこそ、間違ったことをしたら怒るし、しそうなときは止めなきゃいけないと思うんだよ」

花陽「大きな声出して、ごめんね。でも、分かって? 凛ちゃん」

凛「かよちん…」

凛「かよちんがそこまでいうなら、仕方ない」

花陽「凛ちゃん…!」


凛「かよちんが早弁禁止なのにこっそり隠れておにぎり食べてるのチクって二度と早弁できないようにするしかないにゃ」

花陽「やっぱり真姫ちゃんを泣かせるなら対面で何かするべきだよ。あまり面識のない相手に対しては特に強気だし、かといってこの前みたいなホラー戦法は封印された記憶が蘇る可能性もブツブツ」



凛「ていうか、意外と真姫ちゃん、ホラー苦手だったね。部室の電気を消して絵里ちゃんを怖がらせるとかしてた割に」

花陽「やるのはよくても、やられるのはダメって感じなんだろうね」

凛「性格悪いにゃー。極悪非道、眉目秀麗、悪魔の鏡だね、真姫ちゃん」

花陽「凛ちゃん、言いすぎだよ。途中で褒め言葉を挟んでも中和されないよ」

凛「…? ほ、褒め言葉?」

花陽「あ、意味は知らないけど語呂のニュアンスで言っちゃったんだね…」



凛「あーあ、なんか妙案が浮かばないかにゃー」

凛「かよちん、なんかない?」

花陽「なんか、って言われてもなぁ」

花陽「うーん…」


花陽「あっ!」

凛「おっ! かよちんのその顔は、まさしく何かいい方法を思いついたときの顔にゃ!」

花陽「休憩中に食べる予定だったおむすびならあるよ!」ジャーン



凛「あーあ、なんか妙案が浮かばないかにゃー」

凛「かよちん、なんかない?」

花陽(無かったことにされたぁー!!)

時間やばいのでまた深夜に
といっても途中までしかまだ出来てないけど



凛「今度ふざけたら、いくらかよちんでも、凛怒るからね? ついでに、穂乃果ちゃんも怒るから」

花陽「ご、ごめんね… でも穂乃果ちゃんは怒らないんじゃないかなぁ」

凛「えぇっ? なんで怒らないなんて言えるの?」

花陽「へっ? だ、だって今いないし、そもそも穂乃果ちゃん、なんにも関係ないし…」

凛「それでも怒るよ!」

花陽「怒らないよぉ…」

凛「怒る!」

花陽「怒りません」

凛「怒るよ!」

花陽「怒りません!」

穂乃果「怒るよっ!」

花陽「怒りませ…ぇえええ!?」



花陽「穂乃果ちゃん、なんでここに…?」

穂乃果「あー、あはは… まぁちょっとね」

穂乃果「それで、何の話だったの? 穂乃果が怒るとか、怒らないとか」

花陽「えーっとぉ」

凛「穂乃果ちゃんは一切カンケーない話にゃ」

穂乃果「いやいや〜、穂乃果の名前が出てきたのに穂乃果は関係ないなんてことないでしょ」

花陽「本当に関係なかったんだけど…」

凛「穂乃果ちゃん、名前がついてるのにその名前が関係ないなんてよくあることだよ」

穂乃果「えー? 例えば?」

凛「東京ディズニーランドとか、新東京国際空港とか、どこにあるか知ってる?」

穂乃果「そりゃあどっちも……… 千葉…だね」

凛「そんな感じだにゃ」

穂乃果「え? でも…… えー?」



凛「ま、無益とはいえせっかく穂乃果ちゃんいるし、何かヒントもらえるかもだから聞いてみようかな」ヒソヒソ

花陽「え、いいの? 真姫ちゃんのこと、穂乃果ちゃんに知られちゃうんじゃ…」ヒソヒソ

凛「そこは、うまく隠す感じでいこうよ」ヒソヒソ

穂乃果「ねえ、凛ちゃん今こっそり穂乃果の悪口言わなかった?」



凛「とりあえず、穂乃果ちゃんに質問タイムにゃ」

穂乃果「なになに質問? よし、ドンと来いっ!」

凛「じゃあ質問を……かよちん!」

花陽「えぇっ!? 私っ!?」

穂乃果「へー、なにかな? 花陽ちゃん」

花陽「え、えっとぉ…」

花陽「ご趣味は…?」

穂乃果「趣味かぁ。うーん、趣味とはちょっと違うけど、今はやっぱりアイドル活動かな? アイ活だね!」

花陽「な、なるほど!」

穂乃果「うんうんっ」

花陽「……」

穂乃果「……」

花陽「あのっ!」

穂乃果「は、はいっ」

花陽「えっと… い、いい天気、ですね」

穂乃果「うん? あ、うん、そうだね」

花陽「……」

穂乃果「?」

凛「慣れないお見合いテンプレ見たいな会話だにゃー」



凛「かよちんかよちん、そんな緊張しないで、もっとゆるっとした質問から入ればいいんだよ」

花陽「ゆ、ゆるっとって?」

凛「ふと気になったこととか、テキトーに聞くにゃ」

花陽「そう言われても… それなら凛ちゃんが聞いてよ」

凛「ダメダメ。かよちんは自分の消極的なところ、直したいんでしょ? こういうところから頑張らなきゃ」

花陽「う…」

花陽「わ、わかったよ凛ちゃん。私、頑張ります!」

凛「その意気にゃ!」


花陽「ほ、穂乃果ちゃん!」

穂乃果「はーい」

花陽「えっと…」

穂乃果「……」


花陽「り、凛ちゃ〜ん… やっぱり、すぐには質問が思いつかないよぉ」

凛「えー? なら今日のパンツの色とか聞けばいいにゃ」

花陽「パン…!? な、ななに言って…」

穂乃果「白だよ?」

花陽「えぇっ!? 答えちゃうノォ!!?」

凛「なるほどなるほど」


花陽「凛ちゃん… もっと別な質問にしようよ」

凛「うーん」

凛「じゃあガラッと変わって、今日のパンツの柄とか聞けばいいにゃ」

花陽「全然ガラッと変わってないよ! 柄だけに! いや、ガラだけど!?」

穂乃果「無地のリボン付きだよ?」

花陽「それも答えちゃうノォ!!?」

凛「なるほどなるほど」



凛「さーて、かよちんの発声練習も済んだところで、そろそろ凛から穂乃果ちゃんに質問するけど」

穂乃果「お、ようやく本気声調[マジトーン]だね!」

花陽(いまの発声練習だったんだ… しかも私が発声練習したのに、質問するのは凛ちゃんなんだ)


凛「穂乃果ちゃんは、どんなときに泣いちゃうかにゃー?」

穂乃果「泣いちゃうとき、ねぇ。これもいろいろあるけど、すごく感動したときか、すごく悲しいときかな」

凛「それってどんなこと?」

穂乃果「良い映画とか、あと、もしかするとライブで大成功したら感動して泣いちゃうかも」

花陽「わぁ、素敵だね」

凛「ふむふむ。悲しいときは?」

穂乃果「うーん、これは逆にライブでお客さんが誰もいなかったり、最後までやり遂げられなかったり… あはは、実例だね」

凛「ノーコメントにゃ」



穂乃果「あとは、友達関係かな」

凛「海未ちゃんと、ことりちゃん?」

穂乃果「うん。そのふたりは特にだね。ことりちゃんとは無いけど、海未ちゃんとは昔、1回だけ大ゲンカしたことあるんだ」

花陽「穂乃果ちゃんと海未ちゃんが…?」

凛「穂乃果ちゃんと海未ちゃんはわりといつも言い合ってない?」

穂乃果「あんなのケンカじゃないよ〜。海未ちゃんがちょっと厳しいだけ」

凛「そっかぁ」

穂乃果「ケンカのきっかけはちょっと複雑だから今は言わないけど、大したことじゃないんだ。でもいろいろ膨らんじゃって、お互い引くに引けなくなっちゃって」

穂乃果「結局どっちも譲らずに、穂乃果が最後に『海未ちゃんとはもう絶交だよっ』って」

花陽「あわわ……ぜ、絶交…」

穂乃果「うん…勢いでね。あの時の海未ちゃん、驚いた顔したあと、目の色が消えてったんだよね。『では、そういうことで』って言って帰っちゃったんだ」




穂乃果「お母さんに話したら、早く謝って仲直りしなさいって言われたけど、穂乃果は絶対に謝らないって決めてて」

穂乃果「翌日、いつもの待ち合わせ場所に海未ちゃんが来なくて、ことりちゃんが『風邪かなぁ?』って心配してたよ」

凛「海未ちゃんとはどうなったの?」

穂乃果「初日はお互い見て見ぬフリ。当然ことりちゃんが穂乃果に何があったか聞いてきたんだけど、『知らない』としか答えなかった」


穂乃果「海未ちゃんも穂乃果も頑固でね、3日くらいそんな感じがずっと続いたんだ」

穂乃果「穂乃果はケンカの熱が冷めてきてて、なんで絶交なんて言っちゃったんだろう、ってすごい後悔した」

穂乃果「そうなって、やっと穂乃果は海未ちゃんに謝ろうって思ったの。一言謝れば仲直りできるって、たぶんその時は思ってた」

穂乃果「そう思ってたんだけど…」


凛・花陽「「だけど…?」」ゴクリンコ



穂乃果「まず、登校のとき。早起きして待ち合わせのところで最初に待ってたら、海未ちゃんが来たんだ。おはよう、って声かけたんだけど… 顔も見ずに通り過ぎちゃった」

花陽「えっ…」

穂乃果「これは思ったより、何かきっかけがないとダメかなって思って、いろいろやってみたんだ」


穂乃果「体育のとき。二人三脚をすることになって、ことりちゃんと一緒だったから海未ちゃんを誘おうとしたら、すぐ別のグループに入っちゃって」

穂乃果「給食で余ったデザートじゃんけんで買って、プリンを半分こしようと近づいたら、すぐ席を立たれちゃって」

穂乃果「帰りの会のあとも、一緒に帰ろうとして声かけたのに、何も言わずに帰っちゃって…」

凛「きっついなぁ…」



穂乃果「次の日もずっと無視されて、すごい辛かった。いつまでもそんな態度を取る海未ちゃんを怒るより、相手にされない悲しさと、絶交なんて言っちゃった後悔がずっと強かったんだ」


穂乃果「週末だったし、今日を逃したらもう終わりな気がして、とうとう私は強行手段。先に帰った海未ちゃんを走って追いかけて、手をつかんで」

穂乃果「『無視しないで。話を聞いて』って、お願いしたんだ」

花陽「う、海未ちゃんは…?」


穂乃果「……」


穂乃果「『あなた、誰ですか?』」

穂乃果「って、言われたんだ… あはは」



花陽「……」

凛「……」




穂乃果「本当に、赤の他人を見るような目で、声もすっごく冷たくて」

穂乃果「思わず力が抜けて、へたりこんじゃった。海未ちゃんが去っても、しばらく呆然としてたかな」

花陽「…ひどい」


穂乃果「通りかかったことりちゃんが『どうしたの?』って声かけてくれて、やっと現実に帰って。ことりちゃんの顔を見るなり、思い出したように急に涙が込み上げてきて」

穂乃果「ことりちゃんにしがみ付いて、大泣きしちゃった…」

穂乃果「そこで始めて、ことりちゃんに海未ちゃんとのケンカのことと、それまでのこと、今起きたこと… 全部話したんだ」



凛「でも結局、海未ちゃんとは仲直りできたんだよね?」

穂乃果「うん。その後すぐ、ことりちゃんが海未ちゃんを無理やり引っ張って戻ってきたんだ」

穂乃果「普段のおっとりしたことりちゃんからは想像も出来ない剣幕で海未ちゃんに怒って、そのあと、『こんなの嫌だ。ふたりが仲直りしないんなら私も2人と友達やめる』って、穂乃果以上に泣き始めちゃって…」

穂乃果「ふたりでずーっとことりちゃんをなだめるうちに、いつの間にか海未ちゃんと普通に喋るようになってたよ」

凛「な、なるほどにゃー」

穂乃果「海未ちゃんは穂乃果の『絶交』って言葉をずっと気にしてて、途中からは半分意地になってたみたい」

穂乃果「海未ちゃんもいっぱい謝ってくれて、穂乃果ももうあんなこと言わないって反省して、やっと仲直りできたんだ」

花陽「よかったぁ… ことりちゃんのおかげだね」

穂乃果「ほんとだね」



穂乃果「ともかく、言い争ったことよりもずっと、海未ちゃんに避けられたり相手にされなかったことがショックだったなぁ」

穂乃果「だからさ、いつも言い合ってるのなんて、それがむしろ安心できちゃうのかも」

花陽「ケンカするほど仲がいいって、そういうことなのかもしれないね」

穂乃果「うんっ。穂乃果もそう思うよ」

凛「かよちんとは全然ケンカしないから… 本当は仲良くないのかな」

花陽「ええっ!? そ、そんなことないよっ」

穂乃果「ケンカしないと仲が良くないわけじゃないし、凛ちゃんと花陽ちゃんはそのままで十分仲良しさんだよ」

凛「そっか! よかった〜」


凛「あ、でもそういえばさっき、かよちんに怒られたにゃ」

花陽「え?」

穂乃果「うそっ? 花陽ちゃんでも怒ることあるんだね! なんでなんで?」

凛「それがね、真姫…」

花陽「り、凛ちゃんっ!」

凛「にゃ?」

花陽「……」フルフル

凛「あ……」

穂乃果「??」




穂乃果「まき…? 真姫ちゃん? が、どうかしたの?」

花陽「あ、あはは、えっと…」

凛「マッキントッシュか窓派で揉めてただけだよ」

穂乃果「マッ… え? 窓?」

凛「穂乃果ちゃんにはまだ早いにゃ」

穂乃果「まだ早い? ……はっ!」

穂乃果「そういう話!? は、破廉恥ですっ!」

花陽「えっ」

穂乃果「えっ」

凛(違うけどまーいいや)

花陽(穂乃果ちゃんって意外と…)

海未「破廉恥ですって!?」

花陽「ぴゃあっ!?」ビクッ

穂乃果「げっ」

花陽「う、海未ちゃんも急に出てくるタイプなノォ」

海未「失敬な。どういうタイプですか。私は破廉恥と聞こえたから湧いて出たまでです」

花陽(破廉恥って海未ちゃんの召喚呪文か何かなのかな…)



穂乃果「や、やぁ海未ちゃん。奇遇だネ…」

海未「ええ、実に。13分71秒振ぶりといったところでしょうか」

穂乃果「あはは……海未ちゃん、秒数がなんか変だよ?」

海未「特に意味無いです」

凛(伝わりにくいにゃ)

穂乃果「目の角度もなんとなく上がっていらっしゃるようで…」

海未「そうですね。逃亡した誰かさんを探して、疲れて苛立ってしまったせいでしょうか」

穂乃果「そ、そうなんだ〜? 誰だろう〜? 探すの手伝おうか?」

海未「いえ、結構です。もう見つけましたので」

穂乃果「……」

海未「……」

穂乃果「……」


ガシッ


凛「にゃっ?」




穂乃果「放て! 心に刻んだ、夢を」

穂乃果「放て! 腕に抱えた、凛を」

凛「え、ちょっと」


穂乃果「園田さえ…置き去りしてっ」グワッ

凛「やめっ…」



穂乃果「ーーー 超星空砲[ニャールガン]ッーーー!!」ブンッッ!!!

凛「ニャーーーー!!?」ビューン!

花陽「凛ヂャアアアアアアン!!?」


メコッ

海未「かはぁっ!!」


穂乃果「うんっ!」

穂乃果「じゃあね、凛ちゃん花陽ちゃん! あどゅー!!」ピュー

花陽「え、ええ!? 穂乃果ちゃん!?」

凛「」

花陽「きゃあああ凛ちゃあああん!!!」


海未「こ、小癪な…」ヨロッ

海未「待ちなさい、穂乃果ぁー!!」ダッ!


タタタタタ…



マテトイッテイルデショウ!!

ヤーダヨー!



花陽「なんだったんだろう…」

凛「」



凛「酷い目にあった…」

花陽「まさか弾丸にされるなんてねぇ」

凛「『凛ちゃん よく飛ぶ やゐゆゑよ』にゃー」


凛「でも、収穫はあったかな」

花陽「収穫?」

凛「稲じゃないよ? まったく、かよちんはなんでもすぐお米のこと想像するよね」

花陽「し、してないよぉ! 穂乃果ちゃんの話から、でしょ?」

凛「そうそう。穂乃果ちゃんは、海未ちゃんに避けられたり、相手にされなかったりしたことが、言い争いのケンカよりもずっと辛かったって言ってた」

花陽「そうだよね… そのまま疎遠になったりしたら、それこそ一生モノの壁ができちゃいそう」

凛「うん。そこで閃いたんだけど」

花陽「えっ」

花陽(…嫌な予感しかしない)


凛「真姫ちゃんを無視してみようと思うにゃ」

花陽「やっぱり……」ガーン



凛「ただでさえ凛とかよちん以外にクラス(= 学年)に友達がいない顔してる真姫ちゃんのこと」

花陽(近頃の凛ちゃんって、さらっと毒舌だなぁ)

凛「凛たちが完全スルーを決め込んだら、いずれ泣いてすがってくるに違いないにゃ」

花陽「そうかなぁ… 真姫ちゃんプライド高いし、そもそもクールだから動じなそうだけど」

凛「ちっちっ。もーまんたいだよ、かよちん。あの手のツンデレを無視した時の反応はおおよそ相場が決まってるんだから」

花陽「そ、そうなの?」

凛「たぶんこんな感じにゃ」



凛「『ねえ、聞いてるの?』」

凛「『なによ、私を無視する気? イミワカンナイ』」

凛「『はぁ。どうして無視するの? 説明してよ』」

凛「『…ははーん、なるほど。私への挑戦ってわけね。いいわ、受けてあげる』」

凛「『無理しなくてもいいのよ? どうせ私が勝つんだから』」

凛「『あのさぁ、そろそろ本気で怒るわよ?』」

凛「『今なら謝れば許してあげるから、返事しなさいよ』」

凛「『……………』」

凛「『ねえ、私、何かした?』」

凛「『教えてよ。悪いことしたなら謝るから』」

凛「『ねえ……どうして無視するの…?』」

凛「『…ねえってば………』」

凛「『…お願い……無視…しないでよぉ…!!』」

凛「『(号泣)』」



凛「ドッキリ大成功にゃー!」

花陽「ええー…」



花陽「そう上手く行くかなぁ。ただ険悪なムードになって終わりそうだよ」

凛「カンペキな真姫ちゃんのことだから、きっとカンペキにテンプレ通りの反応を辿ってくれる。そうなれば泣くまでは時間の問題、待つだけだよ」

凛「すなわち、『泣かぬなら、泣くまで待とう、ニシキノス』。かつての徳川家康も言ってた気がするにゃ」

花陽「そう…」


凛「そうと決まれば、明日から早速実践だよ、かよちん!」

花陽「で、でも、真姫ちゃんに話しかけられたら無視できそうにないよぉ」

凛「できるだけ凛も一緒にいるから大丈夫。もし困ったら、すっとその場を離れればいいよ!」

花陽「どうしてそんな活き活きしてるの、凛ちゃん」

凛「それもこれも真姫ちゃんの泣き顔を見るため! 燃えて来るにゃ〜!」

花陽「うぅ…」

凛「かよちん、そんな意気じゃダメだよ! 無視するってのは体力より精神力の勝負なんだから、心を強く持たないと」

凛「ほら。ファイト、オー!」

花陽「オー…」

凛「声が出てないにゃ。ファイト、オーッ!!」

花陽「お、オーッ!」

凛「オーッ!!」

花陽(うぅ… 気が乗らないなぁ)

起承転結の起が長いのはいつものこと
また少し間空くけど、書きためるまで待ってね
前スレ見てくれてる人いて嬉しいにゃー

ダウンしてた
遅くなってすみませんにゃー



〜 泣かぬなら 泣くまで待とう ニシキノス 〜



凛「おはよ、かーよちんっ」

花陽「あ、凛ちゃん! おはよう」


凛「今日もいい天気ですにゃ〜」

花陽「そうですにゃあ〜」

凛「おっ、なんかかよちんのノリがいい!」

花陽「えへへ、そういう日もあるよぉ」

凛「でも昨日の話、忘れてないよね?」

花陽「うっ… ほ、本当にやらなくちゃだめ?」

凛「トーゼンにゃ! たった数日の辛抱、100歳まで生きる凛たちの人生に比べたらどってことないにゃー」

花陽「凛ちゃん、長生きだね… って、花陽もなんだ」

花陽(そのたった数日で、私たちの人生が変わっちゃいそうで怖いよぉ)



凛「返事しない、反応しない。さりげなさなんて要らないよ。露骨に避けて、とにかく目を合わせないこと! おーけー?」

花陽「う、うん」

凛「よーし、ファイトだにゃ!」

真姫「なにを頑張るの?」

花陽「なにってそれは……わぁっ!?」

真姫「そんなに驚かなくてもいいじゃない。ふたりとも、おはよう」

凛(早速おでましにゃ… でも、ぜんぜん気配がしなかった。まさか、こやつ)

凛(……陰が薄いと見たッ!)クワッ

真姫「…なんか失礼なこと考えてない?」

凛「……」

花陽「……」

真姫「ねえ、聞いてるの?」

凛「かよちん、遅れちゃうよ。行こう?」グイッ

花陽「う、うん」

スタスタ

真姫「え? あ、ちょっと!」


真姫「……? なによもう」



花陽「はぁ…びっくりした〜」

凛「どいつもこいつも、突然現れるのがブームなのかにゃー」

花陽「心臓に悪いなぁ」



休み時間


凛「かよちん、先生はなんでここの角度わかったの? エスパー的なやつ?」

花陽「うん? あ、これはね、ここの辺が円の直径だから、向かいの角が直角になって、残りの90°から引き算すればいいんだよ」

凛「なるほど〜。先生そんな説明してくれなかったよ。かよちんのほうが分かりやすいにゃ!」

花陽「そんなことないよぉ」

真姫「そこは2回前の授業で説明してたじゃない。当然分かってるものとして、先生も解いていったんでしょ」

花陽「ま……っ」

凛「かよちんは先生に向いてると思うよ! 将来、なってみたら?」

花陽「へっ? 先生に? そ、そうかなぁ」

凛「そうだよ! 高校より、幼稚園か小学校の先生がいいかなって凛は思うけどね」

花陽「先生かぁ。えへへ、少し考えてみようかな」

真姫「確かに、花陽って優しいだけじゃなくて夢中になると強いし、生徒からの信頼も厚い良い先生になれそうよね」

花陽「………」

真姫「……?」

凛「かよちん、次体育だから着替えに行こう!」グイッ

花陽「り、凛ちゃんっ…」

真姫「あ、待っ……」

真姫「ちょっとー! 私を無視する気? なによ、イミワカンナイ!」




昼休み



凛「お昼休みにゃー!」

花陽「凛ちゃん、サッカーであれだけ走ってたのに、全然元気そうだね。やっぱりすごいな… 花陽はもうヘトヘトです…」

凛「かよちんはゴールキーパーがんばってたから仕方ないよ!」

花陽「ほとんど動けてないよぉ。というか、相手のシュート防いだの全部、フォワードから戻ってきた凛ちゃんでしょ? 長友もびっくりの走力だよ…」

凛「そうだったっけ? それより、かよちん」

花陽「うん?」

凛「ほらほら。お昼休みと言えば〜?」

花陽「お昼ごはんだよぉ!!」シャキーン!

凛「あはは、かよちんも元気だにゃー」

花陽「えへへ… 体育の後はいつもよりお腹ペコペコだから、ごはんもいつもより美味しいんだよ」

凛「わかるわかる〜!」



花陽「お米の神様、生産者の皆様、おかずを作ってくれたお母さん、ありがとうございます。いただきますっ!」

凛「いっただっきまーす」

mgmg

trtr

花陽「うぅ… 美味しい、美味しいよぉ」

凛「かよちん、三日間ごはん抜きのあとに食べましたみたいな顔してるにゃ」




花陽「あれ? 凛ちゃん、そのお弁当箱、新しい?」

凛「むっふっふ。気づいたー? お母さんが買ってくれたんだ。どんぶり型魔法瓶お弁当箱!」

花陽「す、すごいね。お店のラーメン食べてるみたい…」

凛「これで毎日あったかラーメンが学校で食べられるよ! テンション上がるにゃー!」

花陽「よかったね、凛ちゃん! でもお野菜もちゃんと摂らなきゃだよ? 花陽のほうれん草分けてあげるね」

凛「いただくにゃ! かよちん、あーん」

花陽「はいはい。あーん」

凛「むぐむぐ。んむ〜、胡麻和えおいしいにゃー」

花陽「ふふ。よかった」

真姫「…仲がよろしいことで。隣、いいかしら?」


凛「あ、ごぼう巻きももーらいっ」ヒョイパクッ

花陽「ああっ! それは一個しかないのに!」

凛「むぁーまー、ひんほめんまあえうかあ」スッ

花陽(メンマ… ちょっと割りに合わないけど…)

花陽「うん、ありがとう。凛ちゃん、ちゃんと飲み込んでからじゃないとお行儀悪いよ?」

凛「ふぁーい」mgmg

花陽「もうっ…」

真姫「………」イラッ



真姫(これは…たまたまとかでは無いわね。明らかに無視されてる)

凛「かよちん、ごぼう巻きにメンマじゃ割りに合わないって思ってるでしょ?」

花陽「お、オモッテナイヨォ!?」

凛「ばればれにゃ。でもね、このメンマは新作で、そこらのクソメンマとは一線を画する星空家の超特製、超新星だよ! 食べて食べて!」

花陽「ええー? メンマひとつでそこまで違うなんてこと…」パクッ

花陽「…!!?」

花陽「お、お、オイヒィ!! オイヒィオインアン!!!」mgmg

凛「かよちん、食べながら喋るとお行儀悪いにゃ」

花陽(噛むほどに滲み出るまろやかな甘みと旨味、遅れて届く唐辛子の淡い刺激……ひときれでごはん300メートルってレベルじゃあない! これほどまでメンマを極めるなんて、星空家おそるべし…!!)

真姫「ねぇ…」

花陽「すごい、このメンマすごく美味しいよ、凛ちゃんっ!」

凛「自慢のメンマ、名付けてジメンマにゃ!」

花陽「ジメンマ… 本当にすごいよ、ジメンマ… 凛ちゃんまジメンマーだよ! これから凛ちゃんのこと、マジメンマーって呼ぶね!」

マジメンマー「それはおことわり申し上げ奉り候だにゃー」


真姫「……ねぇってば!!」ダンッ!

花陽「っ!」ビクッ

凛「………」mgmg

真姫「無視、してるわよね?」

花陽「………」

凛「………」mgmg

真姫「はぁ。あのさ、どうして無視するわけ?」

真姫「なにか言ってくれなきゃ、私には何がどうなってるのか全く分かんない。だから説明してよ」

花陽「………」

凛「………」mgmg

真姫「っ……」



真姫「なんなの……」

真姫(理由もなく、ふたりがこんなことするとは思えない。かと言って、私がふたり、あるいはどちらかに対して何か気に障るようなことをした覚えはない)

真姫(罰ゲームか何か? それとも穂乃果たちとなにか企んでいたり…?)

花陽(ま、真姫ちゃんのほう見れないけど、顔が恐いのが分かるよぉ…)

凛(ごぼうが歯に挟まったの取りたいにゃー)

真姫(………)


真姫「ははーん。分かったわ。いや、よく分からないけど、アレでしょ? 私と我慢くらべとかそういうことなのよね?」

花陽(どういうことなの…)

凛(取れない… ベロ痛くなってきたし、爪楊枝ほしい)

真姫「私への挑戦ね。いいわ、受けてあげる。知ってると思うけど、勝負事なら私は負けないから、覚悟しておくことね」

真姫「…それじゃ」クルッ


花陽(行っちゃった…)

凛(爪楊枝と楊貴妃って、ちょっと似てるにゃ)



翌日 放課後



海未「ワン・ツー・スリー・フォー、ワン・ツー・スリー・フォー」

海未「花陽、今度は少し早いです! そこは隣の真姫と並んでなくてはならないところですよ!」

花陽「は、はいっ!」

真姫「……」

花陽(今の真姫ちゃんの隣、並びにくいなぁ…)


絵里「それじゃ、全体の練習はこれくらいにして、少し休憩したらユニット練習にしましょう」

海未「通常ユニットの練習もいいですが…」

海未「次のミニライブは学年ユニットも1曲控えていますし、そちらの練習もそろそろ本格的にすべきではないでしょうか?」

凛・花陽「「!!」」

絵里「うーん、BiBiとしてはユニット曲の振り付けとかで変更したところがあるから、そっちもやりたいんだけど」

絵里「…そうね。1曲とはいえ、学年ユニットも広いところで練習を始めるべきかしら」

真姫「………」

花陽(あわあわ…)

凛「凛はリリーホワイトの練習したいにゃー」

絵里「えっ?」

凛「昨日、失敗しやすいところ頑張って家で練習してきたから、早く3人で合わせてみたいんだ」

海未「凛… 個人練習にもきちんと励んでいるのですね」

凛「…ダメ?」

海未「う…… ですが、学年ユニットも…」

希「いいやん。せっかく練習してきたんだもん、感覚忘れんうちにウチらと合わせたいんやろ?」

凛「うん!」

希「ほら、学年ユニットも別になんも手ぇつけてないわけやないし、来週からでも十分間に合うと思うよ?」

海未「それはまあ、間に合うとは思いますが」



穂乃果「ユニット練習なら、プランタンも試してみたいことあるから丁度いいかも!」

ことり「えっ? そんなのあった?」

穂乃果「なかったよ?」

ことり「わぁお…」

穂乃果「穂乃果が今思いついたんだけど、忘れないうたに試してみたくなっちゃって」

花陽「い、いいんじゃないかな! 花陽もそれやってみたいよ、すっごく!」

穂乃果「本当に? ウケる代わりに花陽ちゃんが恥ずかしい思いしちゃうかなって心配してたんだけど」

花陽「えっ」

穂乃果「花陽ちゃんがそういうなら、やるしかないよねっ」

花陽「あの、穂乃果ちゃ…」

穂乃果「ね、絵里ちゃん、海未ちゃん! いいでしょ?」


絵里「どうする? 海未。私はBiBiのこともあるし、賛成なんだけど」

海未「そうですね……全ユニットにそれぞれ練習したい意志があるなら、そうしましょうか。学年にこだわる理由も弱いですし」

凛・穂乃果「「わーい!」」

花陽(ホッ…… って、学年じゃなくて安心したけど、穂乃果ちゃんの思いつきが怖いよぉ)ガタガタ


真姫「………」

にこ「…? 真姫ちゃん、どうかしたにこ?」

真姫「ふん。別に、何もないわ」

にこ「ふーん。ならいいけど」


にこ(これは、何かあったわね)



日曜日 午前練習後 昼下がり



凛「どる〜ん、待ったー?」

花陽「あ、凛ちゃん! ううん、花陽も今来たところだから大丈夫っ」

凛「よかった。かよちんの服、お花いっぱいでかっわいいにゃー」

花陽「えへ、ありがとう。凛ちゃんも、ロングスカートとっても似合ってるよ!」

凛「久しぶりにかよちんとデートだから、気合入れちゃった」

花陽「そんな、デートだなんて…」テレテレ

凛「かよちんはどっか行きたいとこある?」

花陽「うーん、あるにはあるんだけど、少し遠いんだよね。凛ちゃんは?」

凛「凛はねー、バッセンでしょ、ボーリングでしょ、あと去年できたスケート場と… あ、ゲーセンでダンレヴォもしたいにゃ!」

花陽「り、凛ちゃんらしいけど、アクティブすぎないかなぁ。一応、休養のための午後休みなんだし」



凛「なら一番行きたいのはバッセンかな。打ちたくて打ちたくてウズウズしてるもん」

花陽「じゃあ、まずはそこに行こっか。いつものとこだよね?」

凛「うん!」



バッティングセンター KAKKING



凛「とりゃーっ!」

カキーン! カキーン!

花陽「わあっ、スクフェスみたいな音がする!」

バコーン

< ホーームランッ! テレレッテレレッ

凛「ドヤァ」

花陽「すごい! ホームランだよ、凛ちゃん! 何か貰えるんだっけ?」

凛「5回券がもらえて、1スタンプ押されるにゃ」

花陽「スタンプを集めるの?」

凛「スタンプは10個たまったら、記念ボールに、月間パスポートが貰えるらしいよ。記念写真も撮って、入口近くのとこに飾ってもらえるんだって」

花陽「へぇ〜。盛りだくさんだね」




凛「次はどこ行こっかな」

花陽「どうしようね」

凛「そういえばかよちん。かよちんの行きたいところってどこにゃ?」

花陽「えっと、前から気になってた折り紙のお店があるんだけど… ちょっと遠くて」

凛「ならそこに行こうよ。かよちん、折り紙好きだもんね」

花陽「いいの? 白山のほうまで行かないといけないんだけど…」

凛「大丈夫! 隣の県だろうと国だろうと、ひとっ走りしたら着けるよ!」

花陽「いやいや、都内だけど、ひとっ走りじゃ無理かなぁ… さすがに電車使わないと」


ジーッ


凛「!」バッ!

花陽「凛ちゃん?」

凛「………」

花陽「どうかしたの?」

凛「…なんでもないよ。たぶん気のせいにゃ」

花陽「そ、そうなんだ…?」


凛「とにかく、かよちんが行きたいそのお店に行ってみるにゃ!」

花陽「うん! ありがとう、凛ちゃんっ」

凛「凛もね、この前とうとうITカードデビューしたんだよ。ほらほら見てかよちん!」ジャーン

花陽「あ、SUICA買ったんだね!」

凛「ぐふふ。ITカード一枚持ってるってだけで、なんか社会人になった気分。改札もすーいすいにゃー!」

花陽(ITじゃなくてICだけど… 嬉しそうだから教えるのは後にしよう)




折り紙屋さん



花陽「わあ〜!」

凛「想像してたより明るいとこだにゃー。ボロくて嗄れた声のおばあちゃんがやってる感じかなって思ってた」

花陽「折り紙は昔からあるけど、いまでも折り紙の作家さんや先生がいて続いてる分野なんだよ。紙さえあれば誰でもどこでも作れちゃうのが、親しみやすくていいところだよね」

凛「折り紙の先生なんているの?」

花陽「うん。日本折紙協会っていう団体さんが、折り紙に詳しくて上手な人に資格を与えてるんだって」

凛「へぇー。かよちんもなってみたら?」

花陽「わ、私じゃ無理だよぉ…」




凛「いろいろ飾ってあるにゃー」

花陽「うんっ。どれもよく出来てて見惚れちゃうよ」


凛「あれ? 折り紙じゃないのもあるよ」

花陽「よく見て凛ちゃん、これも折り紙だよ」

凛「えっ!? ほ、ほんとだ… ぱっと見じゃ全然分からないや」

花陽「ほんとにね。職人の人がつくったものだと、素材が紙だってことも忘れちゃうくらいの出来栄えだったりするよ」

凛「そうだねー」

花「きっと私たちが想像もつかないくらいの折り紙を折って、勉強をして、研究を積み重ねた上に作られた作品なんだろうね。基本構造の組み合わせで辿り着く素晴らしい作品もあるけど、この作品みたいに何十種類もの折り紙を様々な大きさで準備して折って、そのひとつひとつをドメインとして高次構造を組み立てるのを、糊もテープも使わずただ紙と紙との重ね合わせや折り込みで成し遂げるのは本当にお見事だよ」

凛「う、うん。そうだね…」


花陽「こういう完成度の高い作品を見るといつも感じるのは、やっぱり折り紙の可能性は無限大なんだってことかな。もとはただの薄い紙でしかないのに、自らの手指で折っていくことで留まることのない無数の形を表現することができる。もし思いのままの形を作り出せるようになったらどんなに楽しくて素敵なことか、考えただけで心が躍るよね。もちろんそんな高次元の領域に誰しもが踏み入れるわけじゃないよ。日本に折り紙作家さんはたくさんいるけど、その中でプロである人はほんの一握りしかいなくて、そこはアイドルとか歌手とか、他の芸能と同じなんだと思う。でもね、花陽が小さい頃に大好きなアイドルをまねっこしていたみたいに、折り紙だって好きな子は好きなだけ、好きなようにチャレンジできる。そこから始まる可能性もまた無限大で、世になかった未知なる作品が、常識を覆すような素晴らしい作品が、いつかその手によって生み出されるかもしれない。現状で満足せず進化し続ける分野のひとつなんだよね、折り紙って。だからって、必ずしも至高を極めようと努めないといけないなんて決まりはなくって、例えば誰かへのメッセージやプレゼントに添えて使ったり、もしくは折り紙そのものをプレゼントとして贈るなんてこともできるし、安くて簡単だからパーティの飾りにもよく使われてる。専門の作家さん、職人さんがより高度で完成度の高い作品を求める一方で、生活の中でアクセントとしても折り紙は役立っていね、すなわち……」



花陽「あ、あれ? 凛ちゃん、どこ?」




凛「あ、かよちん終わった?」

花陽「置いていくなんて酷いよぉ!」

凛「ごめんにゃ。紙だけにあまりにペラペラ喋ってたから邪魔しちゃ悪いかなって」

花陽「うぅ… 1人しゃべりなんて胃じゃなくて視線が痛い」

凛「視線…」


ジーッ


凛(またにゃ……)

花陽「凛ちゃん?」

凛「かよちん、もう十分見れたよね。目的達成?」

花陽「え? まあ……あ、でも折り紙と教本を買いたいかなぁ」

凛「じゃ、それ買って早く出よう。あっちに売ってたよね」グイッ

花陽「わっ、ちょっと、凛ちゃん?」



カケコミジョウシャハ オヤメクダサイ

ドアシマリマス


凛「とりゃー!」


プシュー


凛「ふー、駆け込み成功にゃー」

花陽「はぁ…はぁ……どうして、凛ちゃん、急に走ったり…」

凛「かよちん、感じなかった?」

花陽「へっ? な、なにを?」

凛「視線にゃ。凛とかよちん、誰かにずっと後をつけられてたよ、たぶん」

花陽「つけられてたノォ!? 全然気づかなかったよぉ」

凛「でももう撒いたから大丈夫。気にせず遊ぶよー!」

花陽「う、うん。でも一体どうして…… まさか、ついにに私たちにも追っかけが!?」

凛「そうだとしたら凛たち人気者にゃ〜。けどこっそり写真とか取られてたらイヤだし、今度気づいたら凛がとっ捕まてみせるよ」

花陽「でも、万が一危ない人だったら怖いし、その時は皆に相談しようよ」

凛「大丈夫だと思うけど… そうするかにゃー」



真姫「ふうん。そこで撒かれちゃったってわけね」

にこ『うん。にこの変装は完璧だったから、気づかれてはないと思うんだけど』

真姫(あのグラサンとマスクじゃないわよね…)

真姫「それで、なにかわかった?」

にこ『行動や聞こえた会話からは、目ぼしい情報は得られなかったわ。いたってフツーのお出かけね』

真姫「そう。ご苦労様、にこちゃん。私のほうでも調べてみるわ」

〜♪

にこ『っていうか、真姫ちゃんどこにいるのよ? なんかBGMっぽいのが聴こえるんですけど』

真姫「今? カラオケだけど」

にこ『はぁ!? 人に浮気調査みたいなストーカーやらせといて、自分は呑気にカラオケとか、おかしくない!?』

真姫「私にはそういうの向いてないから自分に任せろ、って言ったのはにこちゃんでしょ!」

にこ『そりゃそうだけど…』

真姫「その……感謝してるわよ。ありがと、にこちゃん」

にこ『ん。まあいいわ、ヒトカラの邪魔しちゃって悪いわね。それじゃ、ごゆっくり〜』

真姫「ひ、ヒトカラじゃないから! クラスのお友達と…っ」

ツー ツー

真姫「………」

真姫「クラスのお友達、ね…」


真姫「久しぶりだからフリータイムにしたけど、やっぱり1人で歌うには長かったかしら」



凛「いっちねんせーになったーらっ」

花陽「一年生〜になったーらっ」

凛・花陽「「ともだち100人できるかなっ」」


テーン フタリノアイショウハ〜

ジャカジャカジャカジャカ……ジャンッ!


凛「相性95%だって! ここのカラオケの相性採点って、シビアに判定してくれてけっこう当たってるって噂なんだよ」

花陽「えへへ、嬉しいなぁ。次は何歌う?」

凛「あ、凛の飲み物なくなったからドリンクバー行ってこよっかな。かよちんは?」

花陽「私はまだ烏龍茶残ってるからいいけど… つぎにいくなら凛ちゃんについて行こうかな」

凛「じゃあ一緒に行くにゃー!」



テテーン!オミゴト!


真姫「98.4点…… もう、なんで100点じゃないのよ! 音程もリズムも完璧なのに。ビブラート多すぎてもダメ、とかあるの?」

真姫「あら? 99点以上でお部屋代半額 お好きなデザート1品サービスなんてあるのね。もう少しでいけそうだし挑戦してみようかしら」

真姫「あ、でもドリンクなくなっちゃった。入れてこないと」


真姫(午前練の後だし、ちょっと疲れたかも。さっきのチャレンジが終わったら帰ろうかな)

真姫(はぁ。本当は凛や花陽も誘いたかったけど、あの感じじゃ無理ね。三人だったら何時間いても楽しいのに)

真姫(どうして、無視なんか…)


真姫(うわ、危うくオレンジジュース押すとこだったわ。隣、隣っと)


コツン


真姫「あっ、ごめんなさい」

凛「ううん。こっちこそごめ…」


真姫「あっ…」

凛「にゃっ…」

花陽「あっ…」



真姫「凛、花陽も…」

花陽(あ、アチャ〜〜)

凛(これは予想GUY DEATH NYA〜)


真姫「き、奇遇ね。二人とも、同じカラオケに来てるなんて」

花陽(これ、まだ話しちゃいけないんだよね…)

凛(早く飲み物ついで立ち去ろう)

真姫「あ、私? もちろん1人なんかじゃないわ。クラスの……じゃなくて、アレよ、世界のYAZAWAと来てるの」

凛「………」ピッ ゴウンゴウンゴウン

真姫「本当よ? こんな天気の良い休日に昼間っからフリータイムでヒトカラなんかするわけないでしょ。私も暇じゃないんだけど、YAZAWAがどうしてもっていうから、仕方なく付き合ってあげてるの」

花陽(たぶん1人なんだろうなぁ)

凛「………」カチャ スタスタスタ

真姫「それなのにYAZAWAったら採点で……って、待ちなさいよぉ!」



凛「かよちん、行こ」

花陽「うん…」

真姫「ふ、ふーん… まだその勝負? 続ける気なのね」

真姫「意地になってないで諦めたら? 無理しなくていいのよ。どうせ、私が勝つんだから!」

凛「あれ、何号室だっけ?」

花陽「私も忘れちゃったけど、そこの角を曲がってすぐだよ」

真姫「っ……」

真姫「あ、あのねぇ! 本当に、何のつもりか知らないけどっ… いい加減にしないと、本気で怒るわよ?」


真姫「………」

真姫「……馬鹿みたい。帰ろ…」




凛「びっくりしたにゃー」

花陽「ね、ねえ凛ちゃん」

凛「どしたの? かよちん」

花陽「やっぱり、こういうのはよくないと思う。真姫ちゃんが可哀想だし、花陽も心苦しくて、辛いよ…」

凛「ええ!? 今さら何言ってるの! ここまで来たならとことんやるしかないよ」

花陽「でも……」

凛「まさか、かよちん、凛を裏切るつもりじゃあ…」

花陽「ち、違うよ! そういうつもりじゃ…!」

凛「だよね。よかったにゃー。ささ、時間なくなっちゃうからどんどん入れよう!」

花陽「そうだね…」



その夜



凛「ごちそうさまでしたー……ふぁあ」

凛ママ「凛、なんか眠たそうね。お風呂入って早く寝たら?」

凛「うーん… お昼にシャワー浴びたし、明日起きてから入るよ」

凛ママ「そう? 寝る前にちゃんと歯を磨くのよ」

凛「もー。ちっちゃい子じゃないんだから、分かってるよ〜」


凛「あれ、メール… 1時間も前に来てたんだ」

凛「えっ? 真姫ちゃん?」


ーーーーーーーーーーーーーーー
from: 真姫ちゃん
件名: ねえ

なんで無視するの?
少しくらい返事しなさいよ。

ちゃんと理由を話して。
今なら謝ったら許してあげるから。

ーーーーーーーーーーーーーーー


凛「これは…なんというか」

凛「怖いくらいに順調にゃー!」


凛「このままいけば、あと2、3日で真姫ちゃんの泣き顔が拝めそう。テンションあがるにゃー!」

凛「もしかしたらかよちんにも連絡行ってるかな? かよちんのことだから返事しちゃってたり…」

凛「いやいや、大丈夫だよね。なんかいい夢見れそう! おやすみにゃ〜」



真姫(返事、こないわね)

真姫(そりゃそうよね。あの本気で無視してる様子を見ると、ちょっとやそっとじゃ変わりそうにないし)

真姫(はぁ。もしかして私が凛と花陽にだけ透明人間になっちゃった? とか考えてた頃が懐かしいわ)

真姫(…う、うそようそ。そんなアホくさいこと、私が考えるわけないでしょ)


〜〜♪


真姫「来たっ…!? 凛? それとも花陽!?」


ーーーーーーーーーーーーーーー
from: YAZAWA
件名: 宇宙No.1 アイドルより

にっこにっこにー♪
今日はぁ、あんまり役立てなく
てごめんにこー
でも調査は調査だし?依頼料が本
当はほしいとこなんだけど、にこ
の大ファンであるマッキーの頼み
だし、特別にタダでいいにこ!
その代わり、今度にこのお願い、
聞いてよね? 約束にこよ?
それじゃ、もんもんとして寝れな
いマッキーのために、おまじない
してあげるね♪
ねむぅくなぁれっ☆にっこにっこ
にー
はい、眠くなったでしょ?
それじゃ、おやすみにこ♪

ーーーーーーーーーーーーーーー


真姫「チッ」


真姫「まあでも、にこちゃんなりに心配してくれてる…のよね。それなりに返事しといてあげるわ」



真姫(やっぱり私、何かしたのかな)

真姫(そうでなきゃ、あんな風に無視なんてしないわよね…)

真姫(もし、もしだけど、もしこのまま、凛と花陽との関係がなくなったりしたら…?)

真姫(なくなったりしたら…)


真姫(………)ジワッ


真姫(……っ!)

真姫(そんなの……!!)



ピッ



翌日 日曜練習後



凛「かーよちんっ、帰るにゃー」

花陽「あ、凛ちゃん、今日はちょっと…」

凛「えー? 一緒に帰れないの?」

花陽「えっと、その…」

希「プランタンでミーティングするんだよね?」

花陽「希ちゃん…… そ、そうそう。だから、ごめんね、凛ちゃん」

凛「そっかぁ。じゃあ、凛は先に帰るね」

穂乃果「えっ? ミーティングなんむぐぅ」

ことり「めっ、だよ」

穂乃果(あ、そっか。今朝花陽ちゃんからメールで回ってきたんだっけもぐもぐ)

ことり「やぁん! 穂乃果ちゃん、ことりの指はおやつじゃないよぉ」




さらに翌日 月曜日



凛(ゲームして夜更かししてたら寝坊しちゃった。でもこのペースなら滑り込みセーフかな)


タッタッタッ


凛(ふー、教室が見えたから一安心…… あ、かよちんだ)

凛「お〜い、かよちーん! おっはよー!」ブンブンッ


花陽「…!」ソソクサ


凛「あれ? 教室に入っちゃった。一瞬凛のほう見たと思ったけど、気づかなかったのかな」



先生「この問題はベクトルを考えて解くこともできるんですが…」

凛(はぁ〜、数学ってなんで数学なんだろう。名前の響きがもう苦手だにゃー)


先生「ここで先ほど説明した定理が効いてきますね。じゃあ… 星空さん、前に出て続きを書いてください」

凛「えーっ!?」

凛(全然話聞いてなかったし、そもそも凛に解けるわけないじゃん…)

凛(真姫ちゃ…はダメだ、かよち〜ん!)チラリンコ

花陽「……」ジーッ

花陽「……」ニヘラッ

凛(いや、ノートに描いたおにぎりみてニヤニヤするときじゃないよ! 凛の大ピンチだよ!)

先生「星空さん?」

凛「う…… 分かりません」

先生「そうですか。それでは、西木野さんはどうですか?」

真姫「はい」


真姫「………」カツカツ スーラスラ

先生「あ、最後まで解いちゃう感じですね」

真姫「終わりました」カンッ

先生「…はい、そうですね。補足の余地もない綺麗な途中式です。皆さんそのままノートに写していいですよ」

真姫「………」クルッ スタスタ


凛(クールビューティーとはまさに真姫ちゃんのことにゃ…)

真姫「………」チラッ

凛(……!)

凛(わわ、思わず目で追いかけてたら視線が合っちゃった)



真姫「……………」プイッ

凛(あっ…)

凛(真姫ちゃん、つり目の角度がいつもより2°大きいから少しだけ不機嫌になってるね)

凛(順調、順調。このあと真姫ちゃんは無言タイムが終わって、だんだん自分に非があると考えるようになって…)

凛(ぐっふっふ。唇を噛んで目尻に光るものをたたえた真姫ちゃんが、もう目と鼻の先まで迫ってきてるにゃー)



お昼休み



凛「はー、おなかすーいた。今日もあったかラーメンだもんね」

凛「かーよちん! お昼どこで…… って、あれ?」


穂乃果「ほらほら、行くよ花陽ちゃん!」グイグイ

花陽「ほ、穂乃果ちゃん、引っ張りすぎだよ〜」


凛「!? かよちんが穂乃果ちゃんに連行されてるにゃ…」


凛「このあと彼女の身に、信じられない出来事がっ! その真実とは…… CMのあとで(ドーン)」


凛「ってやってる場合じゃないにゃ! かよちーーん!!」



凛「はぁ、はぁ…」タッタッタッ…


部室


凛「かよちん!」ガラッ!

にこ「きゃあっ! ちょっと、ノッk」

凛「お前じゃないにゃ!」ピシャッ!

にこ「!?」



屋上


凛「かよティン!」ガチャッ!


ミカ 「「「あれ? 星空さん」」」
コデヒ

凛「!!?」バタンッ!



アルパカ小屋


凛「かよとぅうぃん!」ガラッ!

アルパカ「メェェ」(逃走)

凛「アルパカァ!!」ピシャッ!



二年生の教室


凛「小泉ィ!」ガラッ!

古泉「んっふ」

凛「まっがーれ↓!!!」グニャッ!

古泉「アッ↓」



凛「はぁ、はぁ… かよちん、どこ?」

凛「そういえば真姫ちゃんもいないや。音楽室かな」

凛「………」

凛「もうみんなお弁当食べ終わってるし…… 仕方ない、自分の席で食べるにゃ」



放課後



凛「なんかひと雨きそうな雲だにゃー」

ポツ ポツポツ

凛「あ、言ったそばから降ってきちゃった」

ザーーッ…

凛(うわ、これじゃ練習中止かなぁ)

凛「ってまたいつの間にかかよちんも真姫ちゃんもいなくなってるし」

凛(うーん、とりあえず部室行ってみよっと)



凛(電気がついてないってことは)

ガラッ

凛(やっぱり誰もいないや)

凛(連絡のメールも来てないからどっちかわかんないし… 一応屋上も見てみよう)



凛(雨、やみそうにないなー)ガチャッ

凛(穂乃果ちゃんならいるかなと思ったけど、そんなことないか)


凛(教室戻ってきちゃった)

凛(かよちんからも返事ないし、困ったな〜)

凛「あれっ?」

凛「あの黄色の傘……もしかして、かよちん?」



凛「絶対そうだ! 凛と交換した黄色の傘!」

ガラッ

凛「おーーーい! かーよちーーーん!!」

凛「かよちんってばーーーー!!」


花陽「…!」ピクッ

花陽「………」


凛「まあ、この雨じゃ聞こえない…よね」

凛「さむさむっ」ピシャッ


凛「そういえば、かよちんの隣にいた子、誰だろ? 赤っぽい傘だったような……まさかね」



花陽(凛ちゃん…)

真姫「花陽、どうかした?」

花陽「う、ううん。何でもないよ」

真姫「そう。ならいいけど」



翌日


凛(なんか昨日はよく眠れなかったにゃー)ボーッ

真姫「………」スタスタ

凛「あ、真姫ちゃん、おは…」

凛(っと! 間違えて挨拶しかけちゃった)

真姫「………」スタスタ

凛「………」

凛(真姫ちゃんまだご立腹かな? そろそろ折れてくる頃だと思うんだけど)


花陽「………」テクテク

凛「あ、かよちん!」

花陽「……!」ビクッ

凛「もう、昨日はひどいよ! 勝手に帰っちゃうし、メールも返してくれないし。どうしたの?」

花陽「っ…!」ダッ

凛「えっ? ええっ? かよちん!?」


凛「な、なにがどうなってるにゃー…?」



先生「じゃ、今日はこの辺で授業を終わります」

凛「…zzZ」スヤスヤ


ガヤガヤ


凛「むにゃ… あ、あれ、もうお昼休み?」

凛「かよちんってば、起こしてくれたって…… またいないし」

凛(うーん、なんか様子がおかしくないかにゃ)



放課後 部室


穂乃果「今日はいい天気だね。昨日できなかったぶん、いっぱい動かなきゃ!」

ことり「そうだね、がんばろうっ」

真姫「私たちも負けてらんないわね、花陽」

花陽「うんっ。練習前にもう一個おにぎり食べちゃおうかな?」

にこ「やめときなさい。お腹痛くなるわよ」


凛(今日はみんないるみたい。考えすぎだよね)

ガラッ

凛「さー、練習にゃー!」


一同「…………」


凛「……あ、あのー」

穂乃果「あ、やっほー!」

凛「!」

凛(穂乃果ちゃん! よかった〜)

穂乃果「絵里ちゃん、希ちゃん。遅かったね」

凛「…えっ?」

絵里「ごめんなさい。少し先生と話してて」

希「えりちが頭髪検査で引っかかっちゃってなぁー」

絵里「違うでしょ! 軽く進路相談してただけ! もう、変な嘘吹き込まないでよ」

凛「………」



凛(と、とにかく着替えないと……… あっ)

凛「教室に着替えのかばん置いてきちゃった。ごめんみんな、すぐ取ってくるからちょっと待ってて!」

海未「では、私たちは先に屋上に向かいますね。絵里、鍵は頼んでも良いですか?」

絵里「もちろん。すぐ着替えて行くから、アップ始めててもらって構わないわ」

海未「はい。了解しました」

穂乃果「よーし、れっつらごー!」

凛「ちょ、ちょっと? だから凛も着替えを…」

真姫「花陽。私たちも行きましょ」

花陽「そうだねっ」

凛「!?」


凛(な、ど、どういうこと!? なんでかよちん、真姫ちゃんと普通に話してるの?)

凛「待ってよ、かよちん!」ガシッ

花陽「いたっ!」

凛「あ…ごめん」

花陽「………」

真姫「ほら、早く」

花陽「う、うん」

凛「ま、待ってってばー!」




凛「はっ、はっ… 急いで着替えたけど、もうアップ始まっちゃってるよね」スタタタタ


ガチャッ


凛「遅れてごめんにゃ!」


海未「では、次はペアで柔軟しましょう」

穂乃果「わーい! 私は海未ちゃんとやるよ!」


絵里「まあ、言うまでも」

希「ないやん?」


凛(…はっ! この流れはマズい、先手を打たないと)

凛「かよちん、凛と…!」

ことり「じゃあことりは花陽ちゃんとやーろうっ」ギュッ

花陽「ぴゃあっ!」

凛(ことりちゃん!? ハノケチェンに目もくれずかよちんを取るなんて、どうかしてるにゃ!)

凛「ちょっと、ことりちゃん! かよちんは凛と組むんだよ!」

ことり「花陽ちゃん、体はかたくても、ほっぺは柔らかいよね♪」プニプニプニプニ

花陽「プニプニしないでぇ〜!」

凛「聞いちゃいねェ」


凛「くっ、真姫ちゃ……」

凛(はダメだった! 残るは…)

凛(残るは……)


凛(………)イチニーサンシ、ゴーロク、ナナハチ



凛(あ! にこちゃんか!)




にこ「真姫ちゃんだめにこねー、こんくらいで痛がってちゃ、体かたすぎてダンスのキレが悪くなるにこオラオラ」

真姫「痛い、痛い! 負荷かけすぎ! そんなすぐ柔らかくならないからぁ!」

凛「って考えてる間にペア出来上がってるし」


凛「あれ? じゃあ凛は誰と組めば…?」


ほのうみ「いち、にー、さん、しー」


のぞえり「ごー、ろく、はら、しょー」


ことぱな「ぷに、ぷに、ぷに、ぷに」


にこまき「にこ、にこ、にこ、にー」


凛「……先生と組むことすらできない体育の時間にゃー!」



にこ「それにしても、ペアが組みやすくていいわねー」

真姫「そうね。『8人だと』キリがいいわ」

凛「へっ…?」

凛「な、何言ってるの真姫ちゃん!? 8人って…」

真姫「ね、花陽もそう思うでしょ?」

花陽「えっ?」

凛「…!」

真姫「思う、でしょ?」


花陽「う、うん… そうだね」

凛「…!?」

凛「かよちん…まで……」


凛「もう、知らないにゃーー!!」ダッ!


ガチャッ バタン!


花陽「り、凛ちゃん!」

にこ「ダメよ、花陽!」

花陽「っ……」



凛「はぁ、はぁ…」


凛「……誰も追いかけてこないにゃ」

凛「ふんっ! 真姫ちゃんも、かよちんも、みんなもう知らない!」

凛「8人だなんて、まるで凛がいない者みたいに言ってくれちゃって。なんで、みんなして凛のこと無視するの? 意味わかんないよ!」



凛(あれ、でも、もしかして… )

凛(これって、凛が真姫ちゃんにしてたこととおんなじなのかな)


凛(挨拶も無視して、会うのを避けて、何を言っても聞かなくて…… まるで本当にそこにいないかのように無視して)

凛(そこになにもない、好きでも嫌いでもない、唯一あるのは『無関心』…… 繋がりを断ち切られた、本当の孤独)


凛(これから先ずっと、真姫ちゃんに、かよちんに、みんなにも無視されたら……)

凛(凛は、どうすればいいにゃ…?)



凛「………」ジワッ

凛「っ……」


タッ!


凛「はぁっ、はぁっ…!」

凛(戻らなくちゃ…屋上に)

凛(屋上に戻って、真姫ちゃんに、謝らなくちゃ…)

凛(こんな辛い思いをしてたなんて…! 後でドッキリでしたって言えば済むと思ってたなんて、バカにゃ、大バカにゃ!)


凛(かよちんにも、みんなにも謝らなくちゃ)

凛(取り合ってくれないかも知れないけど、また無視されちゃうかもしれないけど)

凛(それでもとにかく、今は謝ろう。精一杯、反省の気持ちを…真姫ちゃんに、みんなに、伝えよう…!)




ガチャッ!!


凛「みんなっ!!」





凛「みん…なっ…」




凛「………えっ」








凛「だ、誰も………いないにゃ」




凛「……………」



凛「……うっ…」

凛「うぅっ……うわあああああん!」ブワッ



凛「ごめん…なさい! ごめんなさああい…」

凛「凛……まぎぢゃんの気持ちも…考えずに…! 無視したりして… ひどいこと…いっぱいして…っ」

凛「ほんとにっ……えぐっ…ごめんなさい…!」


凛「無視…されるのが…ごんなに苦しいなんてっ……こんなに……独りが…怖いなんて…思わなくてっ」

凛「ひぐっ……ぐすっ……」

凛「もうしないから…… 凛……ぢゃんと反省するから…!」

凛「……お願い…だからっ…」

凛「…うっ……」


凛「ひっく……嫌…だよぉ…」


凛「ひとりは……怖いよっ…」




ギュッ



真姫「その通りよ、凛」


凛「……えっ?」



真姫「すごく怖いんだから。ひとりぼっちって」


凛「真姫……ちゃん…?」



凛「真姫ちゃん、どうして…?」

真姫「どうしてって」


にこ「どうしてもこうしてもないわよ!」

凛「に、にこちゃん!?」

にこ「ったく、こんな面倒なお芝居やらせてくれちゃって」

凛「お、お芝居?」

穂乃果「そっ! お芝居だよ」

ことり「ドッキリ大成功〜だね♪」

凛「穂乃果ちゃん…それにみんなも…!」

希「よーしよし。怖かったやろ、凛ちゃん」

絵里「はぁ。この忙しいときに…」

海未「まったくです…」




花陽「ごめんね、凛ちゃん。私がみんなに話しちゃったんだ」

凛「かよちん…!」


花陽「一昨日の晩、真姫ちゃんから連絡がきたんだ」



ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーー


花陽(真姫ちゃんからのメール、どうしよう… 凛ちゃんに相談したほうがいいかな)

花陽(凛ちゃんはやっぱり無視してって言うんだろうなぁ。もうすぐだって言ってるけど、こんなことして、真姫ちゃんはどれだけ傷ついてるんだろう)

花陽(はぁ……)


〜〜〜♪


花陽(ふんふふーふふん、むしろごはんがおかずだよ〜)

花陽「って電話だコレ! えっ!? しかも、ま、真姫ちゃん…!? えっと、えーっと」ピッ

花陽(ああっ! 通話タップしちゃったあ!)



真姫『もしもし、花陽? 一回目で出てくれると思わなかったわ』

花陽(あばばばば)

真姫『もしもし? 聞こえてるかしら?』

花陽(ええそりゃ聞こえていますとも。そんなハッキリ棒よゲフンゲフン)

真姫『花陽…… 聞いてるのよね?』

花陽(ああ、真姫ちゃんの声がだんだん不安気に)

真姫『………』


真姫『ねえ、私、何かした?』

花陽「……….」

真姫『お願い、教えて… 悪いことしたなら謝るから』

花陽「……っ」

真姫『………』



真姫『花陽……』

花陽「……….」

真姫『ねえ…ってば……っ』

花陽(えっ……?)


真姫『ぐすっ……』ズズッ

真姫『無視…しないでよぉ…』


花陽(真姫ちゃん、泣いてる!?)

真姫『なんで無視するのよぉ…うぇええん…』

花陽(……っ!)


花陽「真姫ちゃんっ!」

真姫『……花陽…?』




花陽「真姫ちゃん、ごめん」

真姫『うっ、花陽、やっと返事…してくれた』

花陽「うん…もう真姫ちゃんのこと、無視なんてしない」

真姫『……どうして…なの? 私、花陽と凛に、なにか…』

花陽「ううん、違うよ。真姫ちゃんは何も悪くない」


花陽「真姫ちゃん、明日の練習のあと部室に残って。真姫ちゃんとみんなに、お話があるから」

真姫『明日……?』

花陽「明日。みんなの前で、今回のこと全部話すよ。だから、今は少し待って」

真姫『………』

真姫『わかったわ』


ーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー



花陽「それでね、昨日凛ちゃんが帰ってから、みんなに今回のこと話したの」

花陽「本当はこんなことせずに、凛ちゃんを説得して一緒に謝るほうがよかったんだと思う。でも、このお芝居も、私がみんなにお願いしたんだ」

凛「かよちんが、みんなに…?」


花陽「凛ちゃんは頑固だし、花陽は凛ちゃんに弱いから、なかなか考えを変えてくれないとも思ったよ。でも一生懸命お願いしたら、凛ちゃんは聞いてくれたと思う」

花陽「目には目を、歯には歯をって言うけど、こんな仕返しみたいなやり方はきっとよくないことのほうが多いよね」

花陽「それでもなお、花陽がこのお芝居をみんなにお願いしたのは…」


花陽「凛ちゃんに、孤独の辛さを知ってほしかったから」

花陽「一緒にいれない辛さを、大好きな人に気づいてもらえない怖さを、知ってほしかったから」




凛「孤独の…辛さ」

花陽「うん。そういうのって、言葉じゃ伝えきれなくて、実際に感じてみないとわからないことだと思ったんだ」

凛「うん……身に染みたよ。こんな目に遭わなかったら、凛はたぶん想像もしなかったと思う」

花陽「凛ちゃん…! 分かってくれたんだね」



凛「ともかく凛は、真姫ちゃんと、巻き込んじゃったかよちんに謝りたいにゃ」

花陽「ううん。偉そうなこと言っちゃったけど、凛ちゃんを止められなかった花陽にも同じだけ責任があるもん。一緒に謝ろう、凛ちゃん」

真姫「凛… 花陽……」



凛「真姫ちゃん、本当に、ほんっとーに、ごめんなさいにゃ」

花陽「私からも、本当にごめんね、真姫ちゃん…」

真姫「………」


真姫「はぁ。もう、そんなに素直に謝られたら、許してあげないわけにはいかないじゃない」

凛「真姫ちゃん!」

花陽「真姫ちゃん、ありがとう…!」

真姫「その代わり、二度とこんなこと、しないでよね」

凛「約束するにゃ」

花陽「うんっ。ずーっと、仲良くいようね」

真姫「あ、あたり前じゃない。二人とも、私の…その……」

真姫「親友…なんだから」

凛「…!」

花陽「真姫ちゃん… えへへ」

真姫「ふん……」KKM

凛「もー、真姫ちゃんずるいにゃー!」ダキッ

真姫「何がよっ! ちょ、こら凛、くっつかないー!」




ことり「イイハナシダナー」

穂乃果「パンウマだねっ」



海未「これにて一件落着、ですか」

希「そうやね。カードも明るい未来を示してるし♪」

絵里「ねえ、KKMって何かしら…? ねえ?」


にこ「んで、二人とも。にこにも何か言うべきことがあるんじゃないの?」

凛「え…… 貧乳?」

にこ「なんでよっ!? てか凛にだけは言われたくないわっ!」

にこ「ほら、にこ達にもいろいろ迷惑かかったでしょ?」

凛「あー」

花陽「そうだね… ごめんね、にこちゃん」

にこ「胸を抑えながら言うと意味が変わってくると思うんですけどぉ!?」



凛「みんなも、迷惑かけてごめんなさいにゃ」

花陽「協力してもらうのは少しの間だけのつもりだったとはいえ、練習も妨げちゃったし…ごめんなさい」


穂乃果「うんうん。とにかく仲直りできてよかったよ」

海未「まあ、結果的にこれで今後の練習がギクシャクせずにできるようになったわけですし」

にこ「てゆーか、理由がくだらなすぎよ。真姫ちゃんの泣き顔が見たいからだなんて」

にこ「こんなことになるって分かってたら、にこに言えばいくらでも真姫ちゃんの泣き顔写メあげ…」

凛「えっ」

花陽「えっ」

真姫「ちょ、ちょっと、にこちゃん!?」

にこ「あ……」

凛「にこちゃん」

花陽「にこちゃん」

真姫「にこちゃん?」

にこ「に、にっこにっこにー♪」ニコッ



凛「にこちゃん、ちょろっとケータイかしてにゃ」

真姫「にこちゃん? 渡したりしたらどうなるか、分かってるわよね?」

にこ「えーっと、えーっと…」


にこ「くっ!」ダッ!

花陽「逃げたっ!」

真姫「速いっ…!」


凛「甘い」シュッ

にこ「ヒィッ!?」

凛「捕まえたにゃ。さあ、ケータイを差し出すか手渡すかこちらに寄越すか、選ばせてやるにゃ」

にこ「一択じゃないの!」

凛「あと10秒で渡さないと、限界突破ワシワシされるよ。10、9…」

希「にししし」

にこ「の、希っ! 凛の味方をするつもり!?」

希「ちゃうよ。ウチが味方するんはワシワシだけや」

にこ「意味わかんない!」



凛「5、4…」

にこ「くっ……」

真姫「にこちゃん…!」

希「準備完了やん」ワキワキ

凛「いーちっ…」

にこ「っ……」


にこ「だ、ダメよっ!!」

凛「!?」

にこ「どんな手を使ったって、真姫ちゃんを裏切るなんてできない」

希「にこっち…」

にこ「ケータイは渡せない。にこがどうなろうとね。さあ、ワシワシでもなんでもするがいいわっ」

凛「………」

真姫「にこ…ちゃんっ…!」

凛「………」ピッ


『無視…しないでよぉ…』


真姫「えっ…?」

にこ「!?」ピクッ


『なんで無視するのよぉ…うぇええん…』


にこ「!!?」



真姫「ちょ、ちょっと、これまさか」

凛「ここに真姫ちゃんのお宝ボイスがあるじゃろ?」

真姫「ヴェエエ! やっぱり私なの!? そんなものいつの間に…」

凛「謎の送信者『おこめ食べろマン』からついさっきデータが送られてきたにゃ」

真姫「花陽ォ!!」

花陽「デモワタシカンサイジンジャナイデス〜♪」シャカシャカ

真姫「くっ、こいつら反省してるとか言ったそばから…!」


真姫「で、でもそんなもので、にこちゃんが揺らぐと思ったら」


にこ「よりどりみどりにこ。何枚と交換してくれるにこ? これなんかオススメなんだけどにこ」

凛「フォッフォッ、お主も悪よのう」


真姫「にこちゃああああん!!」




海未「……まともに練習できるのはいつになるのでしょう」

ことり「あははー」

絵里「ねえ、KKMって」

穂乃果「パンウマ日和、だね!」



凛「こうして、かよちんの犯罪的活躍のおかげで凛たちは真姫ちゃんの泣き顔および泣き声を手に入れることができた」

凛「どちらも本物ではなくデータであるところが歯痒くもあるが、いつでも再生できるというのは生にはない利点である」


凛「あれから真姫ちゃんはしきりに凛やかよちんのケータイを奪おうとするようになった」

凛「データはすでに別のHDDに保存してあるため、こちらとしてはボディタッチの機会が増えてラッキーくらいにしか思っていないが、真姫ちゃん自身がその可能性に気付くまで黙って真姫ちゃんの感触や香りにブヒブヒする所存だ」



凛「……しかしながら、浮かび上がった謎がまたひとつ、凛とかよちんを唸らせた」




凛「ねえ、かよちん」

花陽「うん?」

凛「どうしてにこちゃんは、真姫ちゃんの泣き顔の写真をあんなに持ってたんだろ?」

花陽「うーん… 確かに、不思議だよね」

凛「真姫ちゃんは1年生で、にこちゃんは3年生。学校で真姫ちゃんといちばん一緒にいるのは凛たちのはずにゃ」

花陽「それなのに、凛ちゃんや花陽が普段見ることすらできないような真姫ちゃんの写真をにこちゃんが持ってるってことは…」


花陽(が、学校以外で、あの二人に何か秘密の関係が…!?)

凛「にこちゃんには、真姫ちゃん泣かせの極意があるってことにゃ!」


花陽「えっ」


凛「そうと分かれば、こうしちゃいられないよ。にこちゃんを締め…にこちゃんに相談しに行こう!」ガタッ

花陽「凛ちゃん!? もうお昼休み終わっちゃうよ!」

凛「大丈夫! すぐ済むにゃー!」

花陽(ああ… またもや嫌な予感が…)

花陽「ま、待ってよ、凛ちゃん〜!」



にこ「へくちっ!」

希「どうしたん、にこっち? 風邪?」

にこ「いや……」


にこ「わかんないけど、逃げないといけない気がするわ」









凛「真姫ちゃんの泣き顔がみたいにゃそのに」

fin.



以上です。

もともと続きの予定じゃなかったからインスピレーションが湧かず…
あまり期待には沿えなかったかもだけど、見てくれた方どうもありがとう

ちなみにKKMはカミノケクルクルマキチャンにゃー

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