櫻子「私の本気を見せてやる!」 (49)

向日葵「おじゃましますわ」


櫻子「おっ、向日葵」

撫子「ちょうどいいところに。どうこれ?櫻子の服なんだけど」

櫻子「ねーちゃんにもらったんだー」

向日葵「へえ、いいじゃないですの」

撫子「ちょっと櫻子にしてはしっかりしすぎかな?」

櫻子「そんなことないでしょ! 私だってこういうの着こなせるもん」

向日葵「櫻子、ちょっと静かにしてもらえません?」

櫻子「え?」

向日葵「一言もしゃべらないで」

櫻子「む…………」


向日葵「くるっと回ってみてくださる?」

櫻子「…………」くるっ

撫子「あ、良い」

向日葵「んー、黙ってるといい感じですわね」

櫻子「なんだよ! これ着るときは常に黙ってろってか!」がー

撫子「ああもう、大きい声出さないで」

向日葵「途端に子供っぽくなりましたわ」

櫻子「なんで私が喋るだけで子供っぽくなるんだよ!」

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花子「ただいましー」がちゃ

向日葵「あら、花子ちゃん」

撫子「花子にも見てもらおうか。どうこの櫻子」

花子「あ、撫子お姉ちゃんの服だ。……んー、でもちょっと櫻子には背伸びしすぎな感じが……」

撫子「いや、でもね?」

向日葵「はい、黙ってターン……」

櫻子「…………」くるっ


花子「おおー! 黙ってればいい感じだし!」

撫子「やっぱね」

櫻子「だからなんなんだよそれ! なんなんだよ黙ってればっていうそれは!」


撫子「違う違う、なんか櫻子って黙ってるだけでまるで別人みたいに綺麗な子に見えるんだよ」

櫻子「違くねーわ!! それのことを言ってるの!」

向日葵「喋り出すと一気に子供っぽくなってしまいますわ」

花子「なんなんだしこの差は」

撫子「あんた普段からもっと大人しい子になれば学校でも人気出るんじゃない?」

櫻子「今は人気無いってか! 友達たくさんいるんだぞ!」


花子「花子としても櫻子にはもう少しおとなしくしててほしいし」

櫻子「5つ下の妹にすごいこと言われた……」


向日葵「元の素材は良いんですわよ。もう少しおしとやかな子になりなさいってこと」




櫻子「…………どうなっても知らないぞ」きっ

向日葵「えっ?」



櫻子「みんな知らないだけだ……どういうことになるか……」ぼそぼそ

撫子「なんか言ってるよ」

櫻子「よーしわかった!! 見てろよな向日葵! 明日から私はおしとやかな子になってやる!」びしっ

向日葵「はあ」


櫻子「よく目に焼き付けておけ! 私の本気を!!」


撫子「また変なこと言い出したね……」

花子「知性が感じられないし」


櫻子「ねーちゃんたちも明日向日葵から、私が学校でどうだったかを聞いてみるといいよ!」

向日葵「え、明日から櫻子はおしとやかな子を目指すんですの?」

櫻子「目指すっていうか、おしとやかになるよ。 その結果がどうなるか……それをよく見ておいて。きっと “元に戻ってください櫻子様ぁ!” って泣きつくはずだから」


撫子「なんでよ、おしとやかになるんならいいじゃん」

花子「泣きつくわけないし」

櫻子「花子はそんなことないかもしれないけど……間違いなく向日葵は泣くね」

向日葵「はあ? なんで私が……」


櫻子「ええいうるさい! 明日になったらわかるから! じゃあ私部屋で精神統一してくるから、入ってこないでね!」だっ

撫子「まーたなんか企んでるよ」

花子「おしとやかになるっていうなら花子は楽しみだし」

向日葵「私も楽しみですわ」


撫子「あ、そうだひま子。今日お菓子作ろうと思ってたんだよ。ちょっと見てってくれない?」

花子「一緒に作ろうし!」

向日葵「わあ、いいですわね♪」




向日葵(昨日なんか変なこと言ってたけど、もう朝から始まるのかしら)


ガチャッ

向日葵「あ、おはようございます櫻子。それに撫子さんも」


櫻子「おはようございます、向日葵さん」にこっ

向日葵「は……?///」どきっ



向日葵「え!? え!? 今なんて!?」

櫻子「ですから……おはようございます、と」

向日葵「きゃーー! 櫻子が気持ち悪い!」

櫻子「気持ち悪いだなんて……ひどいですわ」しゅん

向日葵「口調!!!」がーん

撫子「起きた時からこんな調子だよ……ひま子みたいな口調になっちゃってさ」

櫻子「うふふ♪」

向日葵「まっ……///」


撫子「それに見てよこれ。早起きして髪もばっちりセットしてさ、目元ちょっとメイクしてんの」

向日葵「えっ……あら本当ですわ!」

櫻子「ほんの少しだけ。バレないとは思いますけど、先生には内緒にしてくださいね?」

向日葵「もう、調子狂いますわね……」



撫子「まあいいや。行ってらっしゃい二人とも」

向日葵「あっ、はい、それでは」

櫻子「行ってきます。撫子お姉様」

撫子(うわ……///)




向日葵「なんだ、あなたってちゃんとした言葉遣いできるんですのね」

櫻子「ええ、いつも隣で向日葵さんが使ってくれているおかげですわ」


向日葵「あっ、制服もちゃんとアイロンがけしてある……ほんとにぴしっと綺麗ですわ」

櫻子「このくらいはしませんと」


向日葵「これがあなたの本気ってことですのね?」

櫻子「まだまだ、こんなものではないですわ」


向日葵(本当に別人みたいになっちゃって……)

櫻子「向日葵さん、髪が少し跳ねてますわよ」

向日葵「えっ?」

櫻子「ちょっと……直しますからしゃがんで」

向日葵「い、いいですわよ!///」


櫻子「よくありません。女の子なんですから」

向日葵「あなただってぴょんぴょん跳ねた髪で出てくることあるじゃない!」

櫻子「それとこれとは話が別。大丈夫櫛も持ってますから」

向日葵「なんなんですの……」はぁ



櫻子「……ん、はいできました」

向日葵「どうもありがとうございますわ」

櫻子「うふふ♪」

向日葵(こんなことができる子だったんですのね……///)




あかり「あ、櫻子ちゃんおはよ~」

向日葵「おはようこざいます、赤座さん」


櫻子「おはようございます、あかりさん」ぺこり


クラス中『!!?』ざわっ


あかり「えっ……櫻子ちゃん……?」

生徒『い、今の誰の声……?』

生徒『さ、櫻子じゃなかった……?』

生徒『そんなわけないでしょ、櫻子が……』


向日葵「あ、あの皆さん、今日は櫻子は……!///」あせあせ


櫻子「おはようこざいます、皆さん」ぺこり


あかり「わぁ……!」

『ど、どうしたの櫻子!?』

『おかしいよ、いつものあんたじゃないよ!!』

『頭でも打った……?』

櫻子「皆さん、わたくしは今日からこういう感じでいきますので、よろしくお願いしますね♪」ふわり


『おおーーー!!』

『何!? 櫻子がいつもの数十倍可愛い!』

『ちゃんとしてるーー!』

きゃーきゃー……



あかり「ど、どういうことなの向日葵ちゃんっ?」

向日葵「言葉通りの意味ですわ……櫻子は今日からこんな感じでやってくみたいです」

あかり「ま、まるで別人だよお。いつもより格好もちゃんとしてる感じ」

向日葵「少しだけメイクしたりもして……何もかもばっちりなんですわ」

あかり「すごいねえ……」

ちなつ「おはよー」ガラッ

櫻子「あら、ちなつさん」

ちなつ「えっ……は?」ぽかん


櫻子「ちなつさん、もふもふのバランスが取れていませんわ。左の方がおっきくなっちゃってます」

ちなつ「うそ、ほんとに?」

櫻子「直して差し上げますわね」さっさっ

ちなつ「わわわ、いいよぉ! 自分でやるから!///」

櫻子「いけませんわ。せっかく可愛いもふもふなんだからきちんと整えてあげませんと」


ちなつ「ちょっと向日葵ちゃん! 櫻子ちゃんが壊れちゃってるよ!?」ぎゃーぎゃー


向日葵「今度は吉川さんがターゲットになってますわ」

あかり「面白いねぇ」

ちなつ「誰か助けてー!!」



櫻子「今日はクラスに活気があっていいですわね」

あかり「櫻子ちゃんのおかげだよ?」

向日葵「あなたを中心に周りの人が騒いでるだけですわ」

櫻子「確かに皆さんいつもより元気でしたわ」にこにこ

向日葵(まだこの口調に慣れない……)はぁ


ちなつ「…………」じっ

櫻子「ちなつさん、どうかしました?」

ちなつ「んえっ!? い、いやなんでも……?」


櫻子「うそ、どこか悩んでいるような顔をしてましたけど」

ちなつ「そんなことないよ! だいじょぶ!///」

櫻子「本当に……?」ずいっ

ちなつ「うっ……///」



ちなつ「うわぁ~~~!!」だっ

櫻子「あっ、どうしましたの!?」

あかり「ちなつちゃんが逃げちゃった……」

向日葵「ちょっと櫻子、あんまり吉川さんをからかわないでくださる?」

櫻子「からかうだなんて……私はただ心配していただけですのに」

向日葵「それがおかしいんですわよ。いつものあなたならそんなことはしないでしょう」

櫻子「じゃあ尚更良いことじゃないんですの? 皆さんに好かれるように、私もっともっと頑張りますわ!」


あかり「本当に別人みたい、櫻子ちゃん」

向日葵「いつまで持つやら……」

櫻子「うふふ……(それはこっちのセリフだっての……)」ニヤリ


ちなつ(う、うそでしょ……何この気持ち……///)ドキドキ



『櫻子ー!』

『次の教室、一緒にいこ?』

櫻子「ええ、今行きますわ」


あかり「なんかクラスの皆がいつもより櫻子ちゃんを気にしてるみたい……」

向日葵「本当ですわ……今までそんな関わってなかった人たちに囲まれちゃってますわね」


あかり「……なんか、櫻子ちゃんが遠くに行っちゃった気がするなあ」しゅん

向日葵(はっ!!)


あかり「ち、ちょっと寂しいよねえ」あはは

向日葵「ごめんなさい赤座さん……櫻子がこんなキャラを演じるようになったのには理由があるんですわ。確か櫻子が撫子さんの服を着させられている時に……」かくかくしかじか

あかり「……じゃあ、櫻子ちゃんはお遊び感覚でやってるだけなの?」

向日葵「ええ。私がやめろと言ったら、たぶんすぐ元に戻ると思いますわ」

あかり「良かったあ、これからずっとこんな調子なのかと思ってドキドキしちゃったよぉ」

向日葵「…………」



あかり「それで、いつやめてもらうの?」

向日葵「えっと……まだ、決めてなくて」

あかり「そう……」


向日葵(ど、どうしましょう……赤座さんを悲しませてしまうことになるとは)



先生「この式にはxとyの二つの記号が使われていますね。この場合は……」かっかっ



『その結果がどうなるか……それをよく見ておいて。きっと “元に戻ってください櫻子様ぁ!” って泣きつくはずだから』


向日葵(櫻子の本気っていうのはこういうことだったんですのね……)

向日葵(ちょっと人柄を変えるだけで、ここまで人気を集められる……)

向日葵(それで私が淋しい思いをして、泣きつくってこと?)

向日葵(確かに、今日一日ほとんど櫻子とは話せないくらいの人だかりができてますけど……)

向日葵(こうなることが最初からわかっていたなんて……ずるい子ですわ)


向日葵(でも赤座さんも悲しんでいるようでしたし、つまらない意地張ってないで、すぐにでもやめてもらった方がいいのかしら……)

向日葵(な、泣きはしませんけど……そうこれは赤座さんのために……///)

『古谷さん、櫻子から紙きたよ』こそこそ

向日葵「えっ? わ、どうもすみません……」

向日葵(なにかしら……?)



〈そろそろ降参する気になった?〉


向日葵「まっ……!///」


向日葵「…………」ちらっ

櫻子「…………」にやり


向日葵(だ、誰が降参なんて!!///)びりびり


先生「それでは次にここの発展問題を……ええと、大室さんお願いします」

向日葵(ほーらきた! ひねくれたことしてるからバチがあたりましたわ!)

櫻子「はい。ここはまず、左辺の項を整理するためにマイナスをかけて……」すらすら

『!?』ざわっ

先生(あ、あら……?)


向日葵(あー!! ここって確か昨日私と一緒に予習してたとこですわ!)


櫻子「…………となるので、答えはx=2、y=-3です」

先生「よ、よくできました! 大室さんさすがですね!」

『おぉーー!』ぱちぱち

『櫻子すごーい!』ぱちぱち

櫻子「み、皆さんそんなに騒がないでください……///」

『照れてる顔かわいーー!!』きゃー


向日葵(得意気な顔しちゃって!! 全部私のおかげじゃないですの!)きーっ

あかり(櫻子ちゃん……)

ちなつ「…………」じっ



『じゃあね櫻子、明日CDもってくるね?』

『ばいばーーい!』ぶんぶん

櫻子「さようなら、皆さん」ふりふり


向日葵「…………」

櫻子「向日葵さん、帰りましょ?」

向日葵「……ええ」

櫻子「どうしましたの? 元気が無いですわ」

向日葵「おかしなあなたを見てたら疲れてしまったんですわ……早く帰りましょう」

櫻子「では行きましょうか♪」


あかり「な、なんか二人が喋ってるとお嬢様同士みたいだねえ」

櫻子「うふふ♪ あかりさんも、また明日」

あかり「あっ、うん! またね~」

ちなつ「あ、あの櫻子ちゃん……」もじもじ

櫻子「ちなつさんも、また明日」

ちなつ「あっ……待って、そんな変な呼び方しないで……」

櫻子「??」


櫻子「……ばいばい、ちなつちゃん♪」にこっ

ちなつ「!!!」どきーん


あかり「ち、ちなつちゃんどしたのっ?」

ちなつ「あっ、や、え!? な、なんでもないよ……?」

あかり「お顔が真っ赤だよぉ……」

ちなつ「う、嘘っ! そんなことない……はず!」

あかり「ちなつちゃん?」


ちなつ「ど、どうしたのかな私、あははは……///」




〈昇降口〉

櫻子「今日はいつもと違った学校生活って感じがして楽しかったですわ」

向日葵「あらそう、それは良かったですわね」

櫻子「もう向日葵さん、そんなしかめっ面なさらないで……」



櫻子「あっ!!」

向日葵「どうしましたの?」


櫻子「…………やっば、もう来ちゃった」ひそひそ

向日葵「何が?」

櫻子「見てこれ……下駄箱に」

向日葵「えっ!? この手紙……まさか!」

櫻子「そのまさかでしょ……ハートのシールしてあるもん……ラブレターだよこれ。しかも3通もあるよ」

向日葵「だ、だってあなたつい今朝からそんな感じになったのに、一日でもうラブレターが来ちゃうんですの!?」

櫻子「いやぁ、これは私も予想外……」



櫻子「…………」

向日葵「…………」


櫻子「と、とりあえず今日は帰りましょうかっ」

向日葵「ええ……」



櫻子「ただいまー」

撫子「おかえり。あれ、キャラ戻したの?」

櫻子「予想外に疲れちゃって……せめて家でくらいいつも通りでいさせて」


花子「で、どうだったんだし? あの変なキャラ貫いた結果は」


向日葵「それが……今までそんなに関わりの無かった人たちまで踵を返したように櫻子に迫るようになって……学校一の人気者って感じでしたわ」

撫子「はぁ……? ほんとにそれ」

櫻子「大変だったよ。名前も知らないような子まで一生懸命話しかけてきてくれるし」

花子「マジかし」

撫子「まあ、確かに見てくれは抜群に良いからね……」

向日葵「極めつけはこれですわ」ぱさっ

花子「なんだしこれ」


櫻子「見りゃわかるでしょ……ラブレターだよ」

撫子「ええっ! 一日で!? みっつも!?」

櫻子「私もびっくりしてさ、ほとんど貰ったこと無かったから」


花子「な、内容が気になるし!」

撫子「読みたい読みたい!」

櫻子「だめー! 私が開けるの! 向日葵ハサミとって」

向日葵「え、ええ……」

〈大室櫻子様へ

手紙なんて初めて書きます。
読みづらかったらごめんなさい。
今日一日、傍であなたの笑顔を見ていて確信しました。
明るくて可愛いあなたの姿が大好きです。
お付き合いしたいと一気に思ってしまいました。
どうかお返事をお聞かせください。
明日の放課後、裏校舎の階段で待っています。〉


向日葵「うっわ……///」

撫子「ガチじゃん……ガチのラブレターじゃん!」

花子「櫻子がこんなの貰うなんて……」

向日葵「書いたのは違うクラスの人のようですわね……私この人と櫻子が喋ってるところ見たことありませんわ」

撫子「そんな子が急に櫻子に送るかね……」


櫻子「……あー、あとのふたつもおんなじような感じだ。参ったなあ」

撫子「すっごい……私でもこんなに貰ったことないよ」

花子「花子はまだ一回もラブレターなんて貰ったことないし」

櫻子「まっ! 私が本気出せばこんなくらい簡単ってこと! よーくわかったでしょ?」

向日葵「くっ……」

櫻子「私はおしとやか路線より、今まで通り気楽に思い通りにしてた方がいいってわけ。じゃないと友達が寄ってきすぎて、向日葵が近づけないもんね」にしし


撫子「どうするの、ひま子……?」

花子「は、花子たちのことは気にしなくていいし。おしとやかな櫻子も良いかと思ったけど……よくよく見たら不自然でむずがゆいだけだし」


向日葵「もっ、も……」


向日葵「元に戻ってください……///」ゲザァ

櫻子「ふふん! 参ったか!」

向日葵「参ったっていうか……大人しくなれば良いことが多くなるかと思ってたのに、調子が狂うだけでしたわ。赤座さんも悲しんでましたし……」

櫻子「あかりちゃんが寂しそうにしてたのは私もわかってるよ……明日謝らなきゃね」


撫子「でもだからって、今まで通りぐだぐだしてるのが良いってわけじゃないからね? ちゃんとできるってことがわかった以上、明日からもちゃんとするべき所はちゃんとしてもらうよ?」

櫻子「わー!! 余計なことしたなぁ……」


花子「明日からも早起きして身支度ちゃんとしろし」

櫻子「うぇぇ……早起きやだ……」

向日葵「ところで櫻子……これはどうするんですの?」

櫻子「ん?」

向日葵「このラブレターですわよ……せっかく貰ったんだから、返事しなきゃいけないでしょう」


撫子「どうするの? もし相手が櫻子のタイプの人だったら……」

花子「つ、付き合うのかし……?///」


櫻子「……よし、明日向日葵は私の傍から離れないでね?」

向日葵「?」

櫻子「お返事するときにも着いてきて欲しいんだ。そうすれば、『私は向日葵と付き合ってるから、君とは付き合えないんだ!』って言えるでしょ?」

向日葵「なっ、ななななな……///」かあああっ


撫子(ひま子すっごい笑顔になってる……)

花子(嬉しさを隠せてないし……)


向日葵「しっ、し、仕方ないですわね! そういうことなら私も手伝いますわ!///」

櫻子「頼むねー♪」

撫子「しかしまあ、昨日のうちからこうなることがわかってたみたいな口ぶりだったけど……前にもこんなことしてたの?」

櫻子「小学生の頃、向日葵がおっきい風邪ひいてしばらく学校休んでたとき……お遊びで向日葵の真似をしてたら、今日と同じ感じになってさ」

向日葵「そんなことが……」


櫻子「あーあ、可愛すぎるのも罪だねぇ……♪」

花子「なんかすごい腹立つし」むかむか

撫子「我が妹ながら……あんまり罪作りなことすんじゃないよ」

櫻子「もうしないもーん」



〈翌朝・学校〉

ぱかっ

櫻子「うわ、新しくラブレター増えてる!」

向日葵「新しいのが2通も……これにもお返事しないといけませんわね」

櫻子「大変だなぁ……やりすぎるんじゃなかった」

向日葵「自分のやったことに責任持ちなさいな」



櫻子「おっはよーみんな!」ガラッ


『…………』

『……あれ、櫻子だ』

櫻子「やーやー、おはよー」

『あれ? 昨日みたいな感じはどこいったの?』

『すっかり元に戻った感あるけど……』


櫻子「もう昨日みたいなのはやめた! いつもどおりよろしくー♪」

『えぇぇ……なんか一気に冷めちゃった』

『私も……』

櫻子「こらーー! どういうことだ!?///」

向日葵「一気に反応が変わりましたわね」

櫻子「まるで普段の私に魅力が無いみたいじゃないか……!」


あかり「良かったあ、櫻子ちゃん元に戻ってくれて」

櫻子「あっ、あかりちゃん! あかりちゃんだけだよ優しい言葉をかけてくれるのは……」ぎゅー

あかり「櫻子ちゃんはいつも通りが一番いいよぉ」

櫻子「だよねー! ほらみんなもあかりちゃんを見習って!」

あかり「あははは……」

ちなつ「櫻子ちゃん!!」がらっ

櫻子「あっ、おはよーちなつちゃん」


ちなつ「…………」てくてくてく

櫻子「早いねー今日は。いつももっと遅くに来るのに」


ちなつ「あの、今朝のやつ……読んでくれた……?」

櫻子「何を?」

ちなつ「ええっ、まだ読んでないの!?///」がーん


櫻子「読むって…………あーー! ひょっとしてこのラブレター!?」ぱさっ

ちなつ「きゃーー!! みんなの前で出さないで!///」


あかり「ち、ちなつちゃん……」

向日葵「吉川さん……まさか」

ちなつ「えっ…………ええいもう言っちゃう!! 櫻子ちゃん、私とお付き合いして欲しいの!」どーん

櫻子「えええぇぇーーー!?///」

向日葵「きゃあーーーー!!///」


ちなつ「私ね、昨日ずっとドキドキしてたの! 櫻子ちゃんってこんな子だったんだ!って思って……そしたらもう頭の中がいっぱいになっちゃって、櫻子ちゃんのことしか考えられなくて……!///」

櫻子「ちょちょちょ、ちょっと待った! 私もう戻ったよ!? 昨日のキャラもうやめたよ!?」


ちなつ「…………それでもいいよ!!」ぐっ

櫻子「いいのかよ!!///」


ちなつ「キャラがどうとか、そういうことは問題じゃないの! 今まで気づかなかった……こんなに可愛い子が近くにいたなんて。櫻子ちゃんがこっち見てくれたり、話しかけてきてくれるだけで嬉しくなったりするの……これってそういうことだよね!?」

『やばい……これ本気のやつだ』

『櫻子の魔法がちなつちゃんにクリティカルヒットしてる!』

あかり「あのね、ちなつちゃん……昨日あかりに相談してきたの。櫻子ちゃんのことが気になって仕方ないって……だからあかり、『言いたいことを全部伝えちゃえば?』ってアドバイスしたの」

櫻子「そこまで思いつめてたとは……!」


ちなつ「もう私、今まで通りに櫻子ちゃんと接することできないよ! だから答えを聞かせて……私と付き合ってくれますか?」

櫻子「い、いや、気持ちは嬉しいけど……///」

ちなつ「あっ、あのね? 付き合うって言ってもいきなりそんな深いことはしなくていいよ? ただ今まで通りおしゃべりしたり、今まで通り遊んだり……そういうのが少し増えてくれるだけでいいというか、それだけでも幸せというか……」ぽっ

櫻子「あっ、なーんだ。それならいいよ?」

ちなつ「ほんと!?///」


向日葵「ちょっと待ったぁーー!!」びしっ

櫻子「うわっ!」

向日葵「いっ、いくら吉川さんでも……櫻子だけは渡せませんわ! ほら櫻子、ちゃんと吉川さんに言ってあげてください!」

櫻子「えっ? ……あ、そうか! ごめんねちなつちゃん、私向日葵と付き合ってるから、ちなつちゃんとは付き合えないんだ……ごめんね」

ちなつ「ううん、いいの! 向日葵ちゃんとのお付き合いも続けて貰っていいから……私もその中に入りたいの!」

向日葵「どういうこと!?///」

櫻子「向日葵とちなつちゃんの両方と付き合うってこと……?」

ちなつ「そう!」

向日葵「いやいやいやいや! 吉川さん、それは流石に……」

ちなつ「言っとくけど私は向日葵ちゃんのことも好きだからね! 向日葵ちゃんとももっと親密になりたいって思ってる!」

向日葵「えっ……?」どきっ

櫻子「ま、待ってよ! 私の向日葵は誰にも渡さないぞ!」

ちなつ「だから盗る気は無いって言ってるでしょ! 私は二人のことがまとめて好きなの! だから二人ともっと仲良くなりたいってだけ!」

櫻子「あー、じゃあ……」

向日葵「いいかも……///」

あかり「そっ、そういうことならあかりも櫻子ちゃんたちとお付き合いしたいよぉ!!」どーん

櫻子「また増えたー!」


あかり「さ、三人だけそんな関係になるなんて……あかりを置いていかないで! あかりも皆のことが大好きだから!」

向日葵「確かに赤座さんは、昨日の櫻子に対して私以外に唯一寂しがった人の一人ですわ……」


櫻子「あ、あかりちゃんのことは私も大好きだから……えーと……いいよ!」

あかり「ほんと……?///」ぱあっ

櫻子「ええーい、みんなまとめて面倒見てやる!」

ちなつ「やったねあかりちゃん! これで櫻子ちゃんと一緒にいれるね!」

あかり「良かった……あかり、断られたらどうしようかと思って……」ぽろぽろ

向日葵「泣いてる!!」がーん


『なんなのこれ……』

『結局いつも通りの四人ってこと?』

櫻子「あー、すごいことになっちゃったなあ」

向日葵「櫻子を好きになった人がこんなに……」

ちなつ「櫻子ちゃん、今度皆でデートしない?」

あかり「櫻子ちゃん、あかり、また櫻子ちゃんのお家に行きたいな……?」

ちなつ「私、もっともっといろんな櫻子ちゃんが知りたいの!///」

あかり「あかりも、櫻子ちゃんに色々あかりのこと知ってもらいたくて……///」

向日葵「櫻子……こうしてライバルが増えてしまった以上、明日からもっとアプローチかけていきますから、そのつもりで……///」


櫻子「ど、どうしてこうなった……?///」



~fin~

カオスな話で申し訳ないです

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