キョン「この中に宇宙人、(略)朝倉涼子のところに行きなさい。以上」 (150)

※前回は失敗して書きたい方向から外れたのでやり直しです。

※前回がどのスレとは言いませんが、解る人は解るし、解らない人は気にしないでください。

※前回と重複的表現があっても仕様です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1411256482

サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことはたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、
それでも俺がサンタを信じているかと言うとこれは確信をもって言えるが今でも信じている。

事実、幼稚園のクリスマスイベントにサンタが現れた。

そんなこんなでクリスマスにしか仕事をしないサンタにあこがれを持っている賢しい俺なのだが、
宇宙人や未来人や幽霊や妖怪や超能力や悪の組織やそれらと戦うヒーローたちの存在も信じている。

俺は心の底から宇宙人や未来人や幽霊や妖怪や超能力や悪の組織が目の前にふらりと出てきてくれることを望んでいる。

俺が朝目覚めて夜眠るまでのこのフツーな世界に比べて、あのような世界の、なんと魅力的なことだろう。

宇宙人にさらわれてでっかい透明なエンドウ豆のサヤに入れられている少女を救い出したり、
レーザー銃片手に歴史の改変を計る未来人を知恵と勇気で撃退したり、悪霊や妖怪を呪文一発で片づけたり、
秘密組織の超能力者とサイキックバトルを繰り広げたり、つまりそんなことをしたい!

いや待て冷静になれ、仮に宇宙人や(以下略)が襲撃してきたとしても俺自身には何の特殊能力もなく太刀打ちできるはずがない。
ってことで俺は考えたね。

ある日突然謎の転校生が俺のクラスにやって来て、
そいつが実は宇宙人とか未来人とかまあそんな感じで得体の知れない力なんかを持っていたりして、
でもって悪い奴らなんかと戦っていたりして、俺もその闘いに巻き込まれたりすることになればいいじゃん。
メインで戦うのはそいつ。俺はフォロー役。おお素晴らしい、頭いーな俺。

しかし現実ってのは意外と厳しい。

実際のところ、俺のいたクラスに転校生が来たことなんて皆無だし、UFOだって見たこともないし、
幽霊や妖怪を探しに地元の心霊スポットに行ってもなんも出ないし、
机の上の鉛筆を二時間も必死こいて凝視していても一ミクロンも動かないし、
前の席の同級生の頭を授業中いっぱい睨んでいても思考を読めるはずもない。

中学校に入学したのを機に俺は俺なりに、積極的にそういう不思議なものを求めた。
ところが、やっぱり不思議なものに出会うことが出来ず、半ば失望していた。

そんなことを頭の片隅でぼんやり考えながら俺はたいした感慨もなく高校生になり----、朝倉涼子と出会った。

俺が通うこととなった山の上にある高校の入学式も終わり、
俺は配属された一年五組の教室へ入った。

担任となった岡部という若い教師が自己紹介を終えると

「みんなに自己紹介をしてもらおう」

と言い出した。

出席番号順に男女交互で並んでいる左端から一人一人立ち上がり、氏名、出身中学、趣味、軽口等を銘々に言う。

そして俺の番がやってきた。

例によって、氏名、出身中学を言い終えて、最後に、

「この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、朝倉涼子のところに行きなさい。以上」

俺は前から二番目に座っている。飛び切りな笑顔の持ち主の名を出して着席した。

当の朝倉涼子は驚いたような顔をしてこちらを見ている。

こうして俺たちは出会っちまった。

俺の自己紹介が終わると、当然後ろの奴の番となる。

後ろに座ってた女は立ち上がり、

「東中学出身、涼宮ハルヒ」

とだけ言って沈黙した。

だからと言って着席するわけでもなく、自己紹介が終わった訳でもなさそうだ。

どうしたものだろうと振り返ると、勝気そうな美少女が悔しそうに俺を睨みつけていた。

何かを迷っている。そんな感じの表情を一瞬見せたが、それを振り払ったのか、咳払いを一つし、

「この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、朝倉のところではなく、あたしのところに来なさい。以上」

ハルヒは喧嘩でも売るような目つきで俺をじろりと睨むと、にこりともせずに着席した。

これってギャグなの?

少女の真意が解らぬまま自己紹介は終了した。

数日経ったある日のこと。後ろの席の美少女、涼宮ハルヒに話しかけた。

もちろん話題はあのことだ。

「なあ」

と、俺はさりげなく振り返りながらさりげない笑みを満面に浮かべて言った。

「しょっぱなの自己紹介、どういうつもりなんだ?」

腕組みをして口をへの字に結んでいた涼宮ハルヒはそのままの姿勢でまともに俺の目を凝視した。

「それはこっちの台詞よ」

真似した癖に酷い言い草だ。そして不機嫌な口調のまま続けて聞いてきた。

「なに?あんた朝倉の知り合いなの?」

「お前は朝倉の自己紹介を聞いていなかったのか?
 市外の中学から着て知り合いが居ないと言っていたじゃないか」

「じゃあ、なんで朝倉なのよ」

「いいか、よく見ろ。あの柔和で花でも咲きそうな笑顔、程よい太さを持ちながら見るからに弾力溢れる太もも、
 白くて現実のものとは思えないまるで人工的にまで美しい肌、太くて輝くような眉毛、
 ポニーテールでもしようものなら振り返らない男はいないであろう腰にまでかかるロングヘア、
 さらには出ている所は出ていて引っこむところ引っこんでいる体型。ここまで言えば解るだろ?」

「全然わかんないわよ」

ハルヒは面白くなさそうに答える。

「物わかりが悪い奴だな。これらが織りなす朝倉のカリスマ性で常に朝倉の周りには人が居るだろ?」

「カリスマかどうかは別として、人気者なのは認めてあげる」

「入学からわずか数日で人気者になれる朝倉なら、
 それこそあの笑顔に惹かれて宇宙人の方から一人や二人は集まると思うんだ。
 もっと言えば、朝倉自体のあり得なさから、異世界人だって告白されても俺は信じるね」

「あっそ」

ハルヒは呆れた様な言い方だ。

「お前も宇宙人とかを求めているようだが、そんな仏頂面で、
 しかも自分のところに来いとかガツガツしてたら近くにいたとしても逃げてしまうぞ?」

「大きなお世話よ!」

ハルヒはそう言うと、俺に向けていた目をフンとばかりに逸らすと、黒板の辺りを睨みつけ始めた。

ハルヒの自己紹介の意図を聞く機会を逸したまま、岡部がやってきてHRとなってしまった。

昼飯は中学が同じで比較的仲のよかった国木田と、
たまたま席が近かった東中出身の谷口という奴と机を同じくすることにしていた。

焼き魚の切り身から小骨を細心の注意で取り除いていた国木田が口を挟んだのはその時である。

「まだ不思議探しとか言ってるの?」

普通は面白くないと思っているからな。まぁ、うなずいておこう。

「一人で探すのは構わないけど、他の人を巻き込むのはどうなのかなぁ」

谷口はゆで卵の輪切りを口に放り込み、もぐもぐしながら、参加してきた。

「お前の趣味は兎に角として、朝倉を選んだのはナイスチョイスだな」

口の中の物を飲み込み、

「市外の中学からの進学者で知り合いがいない美少女に唾をつけたって感じだったぜ」

と心底感心したような口振りだった。

「朝倉は、俺の見立てだと一年の女の中でもベスト3には確実に入るね」

と谷口は聞いてもいない朝倉の評価を語る。

「一年の女子全員をチェックでもしたのか」

「おうよ。AからDにまでランク付けしてそのうちAランクの女子はフルネームで覚えたぜ。
 一度しかない高校生活、どうせなら楽しく過ごしたいからよ」

「朝倉さんがそのAなわけ?」と国木田。

「AAランクプラス、だな。俺くらいになると顔を見るだけで解る。
 アレはきっと性格までいいに違いない」

ああ、俺も同意する。朝倉の魅力で宇宙人さえも虜にするはずだ。

「だが、俺のイチオシはあいつだな、涼宮ハルヒ」

谷口が意外なことを言い始めた。

「自己紹介で宇宙人とか募集してた子?」

問う国木田は谷口の半分も箸が進んでいない。

「ああ、中学時代はあんなことを言う奴じゃなかったんだがな。
 あの発言を差し引いても最低でも………」

谷口はそこまで言って固まった。

「本人を前にして好き勝手言ってるわね」

ハルヒが右手に弁当箱持ち、腕を組んで仁王立ちとなり谷口を見下ろしていた。

「あ、あれ………学食組じゃございませんでしたっけ?」

慌てた風に谷口が応じる。

ハルヒは机に弁当を置き、

「そんなのあたしの勝手じゃない。まぁ、いいわ。
 ここで食べるから、あたしの素晴らしさをこの不思議大好きクンに聞かせてあげるといいわよ」

と椅子を持ってこようとする。

「悪いな涼宮。この机は三人用なんだ」

俺は残酷な真実をハルヒに突きつける。

「はぁ!?」

ハルヒと谷口が同時に声を出す。

「なにを言ってるのよ!?」
「お前、なに勝手なことを言ってるんだよ!」

「まぁ、落ち着け!俺は食い終ったから不思議を求めて校内散策に行ってくる。
 だから空きが出来る。よかったな、涼宮」

俺はそう言うと弁当を片付ける。

谷口が「まぁ、それならいいか……」と呟いているのを他所に、ハルヒが抗議の声をあげる。

「ちょっと!それならあたしも行くわよ!」

「いや!お前はまだ昼飯を食っていないだろ?それにお前が騒いだら不思議が逃げ出す気がするしな」

俺はそれだけ言うと教室を後にした。

そんな感じで過ごしているうちに入学から一ヶ月が経った。

そろそろゴールデンウィークになろうかと言う時にハルヒが話しかけてきた。

「ねぇ、キョン。あたしの髪型どう思う?」

実はハルヒの曜日によって変わる。

月曜日のハルヒはストレートのロングヘアを普通に背中に垂らして登場する。
次の日、どこから見ても非のうちどころのないポニーテールでやって来て、それがまたいやになるくらい似合っている。
その次に日、今度は頭の両脇で髪をくくるツインテールで登校し、
さらに次の日になると三つ編みになり、
そして金曜日の髪型は頭の四ヶ所を適当にまとめてリボンで結ぶといった塩梅だ。

ちなみにキョンというのは俺のあだ名だ。おそらく国木田から聞いたのだろう。

「宇宙人対策とか、そんな感じなのか?」

「え!?あ…うん、まぁそんな感じ。あんたは何曜日の髪型がいいと思う?」

ハルヒは一瞬意外なこと言われた様な顔をしたが、直ぐに何時ものハルヒに戻り、再度質問してきた。

ポニーテール萌えの俺としては断然火曜日なわけだが、素直に言うと負けな気がしたので、特別なんでも無い様な素振りで、

「俺に聞かれてもな………宇宙人から連絡があったら教えてくれ。お前の所にはこないと思うがな」

と突き放すように言っておいた。

「………そう」

ハルヒは言葉短く返事をすると黙り込んでしまった。

翌日、ハルヒは髪の毛をバッサリと切って登校してきた。

髪の毛を肩の辺りで切りそろえ、黄色いカチューシャの横に同じく黄色のリボンを付けていた。

「どう?この髪形?」

俺の顔を見るなり、どうだと言わんばかりの笑顔で聞いてきた。

俺は、「あ、ああ…いいんじゃないか?」と答えた。

俺の返答を聞いたハルヒは満足げな笑顔を浮かべていた。

人間、正直にならないといけないと思った日であった。

こうしてゴールデンウィークを迎えたが特別何かある訳もなく、そのまま明けた。

強いて何かをあげるなら、一度ハルヒから電話がかかってきたことくらいだろう。

一緒に不思議探索をしないかというお誘いだったが、
妹と共に田舎に引っこんでいた俺に選択肢はなかったわけだ。

電話番号は国木田から聞いたらしい。あいつは人の電話番号をなんだと思っているんだ?

ゴールデンウィークが明けて暫く経ったある日の朝のHR前でのこと。

俺はハルヒに話しかけた。

「全部の部活に入ってみたりとかしてないのか?」

「え!?何のためにそんな事をするの?」

ハルヒはびっくりしたような顔をして返してきた。

「なにを言っているんだ?これだけ部活動があれば一つくらい面白そうな部があるかもとかと思わないのか?」

「え…あ、ああ、そうね。あんたがどうしても調べてみたいって言うのなら、それに付き合ってあげてもいいわよ」

ハルヒは恩着せがましく聞いてきた。

「いや。それには及ばん。必要なら一人でやる」

ハルヒがいると不思議が逃げると言っているのに理解していないのか?

「それに俺はフォロー役だ。怪しい部活動を探し出して、朝倉を入部させないとダメなんだ。
 まぁ、その際には俺も同じ部活に入るつもりだがな」

ハルヒは一気に不機嫌になり、

「あんた朝倉、朝倉って言う割にはほとんど話したことがないでしょ」

「ああ、俺はフォロー役だからな。今はそれで十分だ。いざとなったら強引にでも動くしな」

「はい。はい。電話番号すら知らないでしょうにどうやって動く気やら」

「電話番号は知っているぞ」

「え!?何時の間に聞いてたのよ?」

「ああ、入学した日のうちにな」

ハルヒが狼狽えながら聞いてきた。

「あ、あたしは聞かれてないわよね?」

「ああ。俺の記憶が確かなら聞いたことはないはずだ」

なにを当り前な事を聞いているんだ?

ハルヒは納得できないといった表情で、

「……そ、そう…」

と呟いたあとに、

「それで怪しい部活動はあったの?」

と聞いてきた。こいつも不思議探しをしているから興味があるのだろう。


「それが一つもなかったな」

「ふーん。それはご愁傷様。朝倉と同じ部に入れなくて残念ね」

と、嫌味っぽく、かつ、勝ち誇った様に言ってきた。

「心配には及ばん。もうすでに手は考えてある」

「ふ~ん。具体的には?」

ハルヒの追及に答える間は岡部担任によって遮断された。

俺としては不思議探しのライバルでもあるハルヒに早々アイデアを開示するつもりはなかったので助かった。

なにせコイツは俺の自己紹介で不思議募集をするアイデアをパクった前科があるからな。

その日の放課後、かねてからの計画を実行することにした。

終業のベルとともに、俺は朝倉の元に行きその腕を掴んだ。

「え!?何の用かしら?」

朝倉は驚きつつも、いつもの笑顔で聞いてきた。

「付いてきて欲しい」

俺は朝倉の返事を待たず、腕を引っ張りながら強引に歩き出した。

「どこに行くのよ!」

朝倉の再度の質問に対して、

「部室っ」

と短く答え、旧館の文芸の前にまで連れ出した。

「ここだ」

俺はそう言うと文芸部のドアを開けた。

俺が何かを言う前に朝倉が口を開いた。

「長門さん!?」

文芸部の部室の奥で本を読んでいる少女を見るなり驚いた様な声を上げた。

「知り合いか?」

朝倉は市外からの進学者でクラス外には知り合いが居ない筈と思いながらも聞いてみた。

「パーソナルネーム朝倉涼子とは同じマンションから通っている」

部室の奥にいた少女が代わりに答えた。

「そうなの。長門さんとは同じマンション内に住んでててね、それで知り合いになったの」

両手の指を合わせながら、軽くウィンクをしながら答えてきた。
あのウィンクの前では異世界人も蕩けてしまうだろう。
朝倉はもしかしたら超能力者なのかもしれない。

「それで何の用なの?」

朝倉はそのまま質問してきた。

「ああ…宇宙人や超能力者、未来人と遊ぶための部活を作ろうと思ってな----」
「あ、長門さん。帰っていい?」

「許可。わたしもこれから帰還する」

「----というわけなんだ。あれ?」

俺が一通り、すなわち、文芸部が今年新入部員を迎えなければ休部になっていたこと、
文芸部員は長門しかいなかったこと、休部も同然なのでこの部室を使わせてもらうことなどの説明を終え、
辺りを見渡すと朝倉も長門も居なくなっていた。

長門は我関せずと読書にふけっていた。

白い陶器の様な肌、人形の様に整った顔立ち、そしてやはり人形の様に無表情だった。

こうしてみると長門は神秘的美少女であり、クールビューティーとも表現できる気がした。

長門なら朝倉は別格として、朝比奈さんほどではないにしろ、
魅力に気が付いた超能力者の一人か二人なら引っかかるのではないであろうか?

俺がそんなことを考えているとハルヒが朝比奈さんに声をかけていた。

「こいつに付き合う必要なんてないのよ。それに二年生ならもう部活に入っているでしょう?」

そんなハルヒに朝比奈さんは律儀にも答える。

「今は書道部に入っているのですが、長門さんが居るのも気になりますし入部します」

「勧誘もなしに、いきなり入部って……」

ハルヒが言っている途中で俺が介入した。

「俺の部は文芸部なんかじゃありませんよ」

そんな俺に朝比奈さんが一言、

「あなたの部じゃありません」

そして続けて、

「文芸部が何をする部か知りませんが、わたし入部します」

ときっぱりと、異論を挟ませない勢いで宣言をした。

ハルヒが「ちょっと----」と言いながら、長門の様子をうかがう。

視線を投げかけられた長門はハルヒに対して、

「私としては構わない。あなたに任せる」

とハルヒに丸投げ宣言をした。

丸投げを受けたハルヒはと言うと、「う、うん…じゃあ、まぁ」などと返事をしていた。

「それじゃあ、これから放課後はここに集合だな」

俺が話をまとめた。

「なんであんたが取り仕切るのよ!文芸部員じゃないでしょ!」

ハルヒから抗議を受けた。

「一応あんたもここの部室を使っていいらしいから、
 部室の端っこにござでも敷いてあたしに感謝しながら大人しく座ってなさいよ」

「なんで俺がお前に感謝しなきゃいけないんだ?」

俺の当然の疑問に対してハルヒは、

「そりゃ、あたしがキョンにも部室を使わせてあげてって有希に頼んだんだから当然でしょ」

なんて言って恩を押し売りしてきた。

これ以上恩を着せられても敵わないが、これでハルヒを追い出せば、
何か不思議なものが呼び寄せられる気がした。

そう思って、淡々と本をめくる神秘的美少女の長門を暫し眺め目の保養をする。

それから可愛らしい小動物である朝比奈さんを満足するまで見つめ、
満足したら視線をそのまま下げて小動物に不釣り合いな脂肪の塊の揺れを堪能した。

さらに今はここに居ない朝倉の笑顔や太ももを思い浮かべると自然と笑みが浮かんでしまった。

「なにニヤニヤしてんのよ!気持ちが悪いわね!」

ハルヒに突っ込まれてしまった。

「おい!朝倉はまだきてないのか?」

「なに?朝倉を思い浮かべてニヤニヤしてたの?」

「ああ、正確には朝倉の笑顔と太ももだがな」

「なにを堂々と言ってるのよ!」

「あれほどの笑顔と太ももだぞ?さらには部室にはこれだけの美少女が揃ったんだ。
 遠からず、宇宙人や未来人が訪ねてくるはずだ。
 これで笑みがこぼれなかったらどうかしてると思わないか?」

「思わないわよ!でも、まぁ、確かに美少女だらけね…
 あたしとかあたしとかキョンもそう思うでしょ?」

「俺としてはお前が居ると宇宙人とか未来人とかが避けていきそうだから勘弁して欲しいのだがな」

「なによその言い方!頭に来るわね」

ハルヒはそう言うと腕を組み、口をへの字に曲げてそっぽを向いた

「今日は朝倉が来ないみたいだし、俺は帰る。またな」

「ちょっと!待ちなさいよ!」

ハルヒが何故か怒鳴っている。不思議が逃げそうである。全く持って迷惑な奴だ。

それは兎に角、明日からが楽しみだ。俺はそう思いながら部室を後にした。

翌日の教室はある話題で一色だった。

何でもえらく格好の良い転校生が他のクラスにやってきたらしい。

ハルヒも転校生が気になるようで、朝のHR前に話しかけてきた。

「ねぇ、『謎の転校生に違いない!』とか言って騒がないの?」

「うん?だって男って話だろ。そんなのは親の転勤とかだ。どうせな」

「……文脈が繋がらないんだけど」

「しかも噂によれば大層なグッドルッキングガイなんだろ?」

「なんだか随分と含蓄のある言い方だけどそうらしいわね」

「益々もって興味がない」

「なんでよ。あんたの理屈ならイイ男に釣られてホイホイと宇宙人とかが来るんじゃないの?」

「そんなのに釣られてくる奴は面食いな只の女かホモくらいだ」

「それなら朝倉とかみくるちゃんでも谷口とかしか釣れないんじゃないかしら?」

「正直に言おう。お前が何を言っているのか、俺にはさっぱり解らない」

「信じらんない」

「俺もお前の常識の無さが信じられん。上級生をみくるちゃん呼ばわりとはな」

「みくるちゃんとはあんたが帰った後に仲良くなったの!呼び方も自分で指定きたんだし」

ここで担任が教室に入ってきたので会話が終了した。

その日の放課後は朝倉の所に直行した。

「なんで昨日は部室に来なかったんだ?」

朝倉は困惑を隠しきれない表情で、

「え!?そんな事を言われても……」

何故かこんなことを言ってきた。

「頼む!今日は来てくれ!!」

俺は深々と頭を下げた。

「ま、まぁそこまで言うのなら、後で行ってみるけど……何かあるの?」

「ああ!きっと何かあるはずだ!!待っているぞ!」

俺は期待を胸に教室を後にした。

部室には既に長門がきており、暫くすると朝比奈さんもやってきた。

なにが言いたいかと言うとハルヒが居ない。

これで朝倉がきてくれれば、俺の計算では約120%の確率で、
宇宙人か未来人か超能力者か異世界人が部室を訪れる計算だ。

計算式は内緒だが一人以上はやってくる計算だった。

そしてドアが開く。ドアを開けたのはなんと朝倉だった!!

朝倉は遠慮がちに、主に長門に尋ねるかのように、

「えっと…あたしもいいのかしら?」

と部室に入らずに声を出した。

「わからない。涼宮ハルヒ次第。それまで部室内で待つことを許可する」

長門が平坦な発音で答えた。

「そう…それじゃあ、暫くお邪魔するわね」

朝倉はそう言って部室内に入り、手短な椅子に腰を掛けた。

俺は心の中で小躍りした。

朝比奈さんに「何で踊ってるんですか?」って聞かれた気がするが気のせいだろう。

こうなると宇宙人か未来人か超能力者や異世界人が部室を訪れるのは確定的に明らかだ。

暫しドアを凝視する。だが、俺は考えた。彼らがそんな平凡な所から訪れるのだろうか?

それならば窓からか?否、それでは只の侵入者ではないか。
彼らが脚を伸ばし、窓枠を跨ぎながら頑張って窓から入ろうとする図など見たくない。

俺が思うに彼らは天井を豪快に破り訪れる。俺はそう考え天井を見上げた。

朝比奈さんが「天井に何かあるんですか?」と聞いてきたので、

「いや、ちょっと」と笑ってごまかしておいた。

そうこうしながらも、今か、今かと天井を凝視し待ちわびていたら首が痛くなった。

そろそろ限界かと思った時にドアの開かれた音がした。

そっちかよ!と心の中で突込みながら、急ぎドアの方を見た。

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