勇者「魔王!」魔王「……来たか」 (68)

勇者「行くぞ!」

炎の魔神「おう!」

風の魔神「ああ!」

土の魔神「ま、今まで通りに行くんだなー」

水の魔神「ええ。私達は私達の力を信じましょう」

ガチャ

勇者「魔王!」

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魔王「……来たか」

剣士「勇者!」

魔法使い「魔王様……守る」

格闘家「来るなら来やがれ!」

僧侶「魔王様!」

魔王「……勇者よ」

勇者「貴様が魔王か! 人間ぽい顔つきだな!」

魔王「貴公こそ……青白い顔といい、尖った耳、白い髪……まるで魔族ではないか」

勇者「ふん! 魔族などと一緒にするな! この魔剣の錆にしてくれる!」

魔王「ならば、我は聖剣の力で……」

勇者&魔王「「……」」

勇者&魔王「「……?」」

勇者「何かおかしくないか?」

魔王「貴公もか……我もそう思っていた」

勇者「この疑問が片付くまでは休戦ということで」

魔王「良かろう」

炎の魔神「おい! 勇者! 正気かよ!?」

風の魔神「まあ、待て……勇者には勇者の考えがあるのだろう」

土の魔神「だなー」

水の魔神「勇者様にお任せしましょう」

勇者「……すまん。みんな」

勇者「先ずーー先ずは、だ」

魔王「うむ」

勇者「……お前が着ている神々しい鎧はなんだ?」

魔王「代々の勇者が眠っているという聖なる祠に……」

勇者「待て。あそこは勇者にしか入れない筈だ……」

勇者「だとしたらその鎧は……」

魔王「勇者の鎧だ」

勇者「魔王であるお前が勇者の神殿に入れて、勇者の鎧を着れただと? 馬鹿げている……」

魔王「我に言われてもな……我は魔王。そのような常識など通じぬ」

勇者「なるほど……魔王なら仕方ないのかもな」

魔王「貴公の見にまとっている鎧も絶大な闇の力を感じるが?」

勇者「これか?」

魔王「うむ。その禍々しさ……魔王の鎧であろう?」

勇者「ああ。ある夜……不思議な夢を見てな」

魔王「ふむ」

勇者「夢に出てきた男が。お前は最悪の魔王となる……力を授けようと言ったんだ」

魔王「何と。貴公は勇者だと言うのに」

勇者「だろ? 失礼な話だ」

魔王「うむ……敵とは言え、同情しよう」

勇者「ありがとう」

魔王「……だが」

勇者「ん?」

魔王「うむ……それは魔王の一族しか身につけられないはず……」

勇者「勇者だからな」

魔王「道理」

勇者「何で魔王が聖剣を?」

魔王「うむ。この聖剣が我を選んでな……聖剣に光を歩む者よ。闇を恐れるな、我は汝と共にあるーーと言われた」

勇者「俺も。魔剣に、魔に属し、魔を超越せし者よ……みたいな事を言われた」

魔王「……面妖だ」

勇者「だな」

勇者「……装備を変えてみるか?」

魔王「何故だ?」

勇者「いや。違和感を抱えたままじゃ、戦えないだろ」

魔王「道理」ぬぎぬぎ

勇者「ばっ……脱ぐなら俺が見ていない所でしろ!」

魔王「? 良かろう」

数分後。

勇者「か、体が消えるぅーー!」

魔王「ならぬ、出来ぬ……! 民を手にかけるなど……!」

数分後。

魔王「我に魔王の鎧は着こなせぬようだ……」

勇者「俺も無理だった……何故だ?」

魔王「……これは憶測だが」

魔王「我が長期に渡って着たことにより、勇者の鎧は闇の力を。魔王の鎧は光の力を得たのではないか」

勇者「? 勇者だから魔王だから大丈夫なんじゃ……」

魔王「魔王や勇者を何だと思っている。無理な物は無理だ」

勇者「なるほど……なら、無理に着ることもないか!」

魔王「うむ」

勇者「じゃあ、返してくれ」

魔王「わかった」ぬぎぬぎ

勇者「だからここで脱ぐな!」

勇者「それで俺の仲間を見てくれ」

魔王「む……?」

炎の魔神「クズどもが! まとめて灰にしてくれる!」

風の魔神「吹き荒れる風には触れることもままならぬ。触れられぬ恐怖にもがき苦しむがいい……!」

土の魔神「大地よ! 震え雄叫びを上げよ!! ……イマイチなんだなー」

水の魔神「身近にあり、生きていく上で必要なのだけれど恐ろしい物。それは何かしら? そう……それは水」

魔王「あそこでエンカウント時のセリフを練習している連中か」

勇者「ああ……なんか他の奴らが連れているパーティメンバーと違う気がするんだよ」

魔王「……そう言えば」

勇者「何だ?」

魔王「数十年前から四魔貴族が跡形もなく行方不明に……ま、考えすぎだが」

勇者「だな」

勇者「後はお前の仲間だ」

魔王「仲間である前に友だ。我の大切な」

勇者「ああ。すまない……」

魔王「うむ」

戦士「……」精神統一中

魔法使い「……」ぼーっ

格闘家「ふっふっふっ!」筋トレ中

僧侶「神を。我らをお導きください」

勇者「随分と人間的だな」

魔王「人間だが?」

勇者「何!?」

魔王「友に人間など魔族など……その様な蟠りは無粋よ」

勇者「……そうだな」

戦士じゃなくて剣士です。すみません。

勇者「……だが、魔族からの差別はなかったのか?」

剣士「? いや……」

格闘家「ふっふっふっ! 同じ土地に……ふっふっふっ!住んで同じ飯を食えば……ふっふっふっ! 種族関係無しに仲間だってよ」

僧侶「私は教会を作るのを手伝って頂きました……宗教は個人の自由だそうで」

魔法使い「魔法教えてくれた」

勇者「そう言えば、ここまであまり戦っていないな……むしろ親切にして貰った」

魔王「他人への親切は、いずれ自分の為。皆の為になるからな」

勇者「……話が脱線したな」

魔王「うむ」

勇者「聖剣や魔剣はどう説明をつける?」

魔王「……突然変異?」

勇者「もうそれでいいか」

魔王「うむ」

勇者「得意な魔法は?」

魔王「光魔法、回復系、治療系が得意だ」

勇者「俺は闇魔法。破壊魔法、消滅魔法だ」

魔王「闇魔法だけは極める事が出来んのだ……何かに飲まれてしまうような気がしてな」

勇者「俺も……何か寄せ付けないんだよなぁ……」

魔王「得意不得意があるのだろう」

勇者「そうか……そうだな」

勇者「……違和感の正体はわかったか?」

魔王「……もしや」

勇者「何だ?」

魔王「我々は逆なのではないか?」

勇者「……?」

魔王「……我が勇者でお前が魔王ではないか、っと言っている」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……ははは」

魔王「……ふふふ」

勇者「冗談はよしてくれ」

魔王「我としては上出来な冗談だったのだが」

勇者「ああ……傑作だったよ。何故か悪い気はしなかった」

魔王「うむ……我も自分で言って、違和感がなかった」

「……とうとう、話す時が来たか」

勇者「誰だ!?」

魔王「この声は……父上!」

魔王父「まさか……自分達で答えにたどり着くとはな」

勇者「?」

魔王「……?」

魔王父「魔王よ……お前は」

魔王父「私の実の息子ではない」

勇者「な……なんだと……?」

魔王「……父……上……?」

側近「魔王様が……前魔王様の……実のご子息ではない……?」

魔王父「……信じられぬか。だが、事実なのだ」

「待て……私からも勇者に言っておきたいことがある」

勇者「な……あんたは……父ちゃ……親父!」

勇者父「……勇者よ。お前は」

勇者「……」

勇者父「私の本当の子供ではないのだ」

勇者「……な」

側近「何だって!? 勇者まで……実の子供ではない、だとぉ!?」

魔王「側近。うるさい」

側近「御意」

魔王「……皆は……知っていたのか……?」

剣士「……」

僧侶「……」

魔法使い「……」

格闘家「ふっふっふっ!」

魔王「何故だ。何故、何も言わんのだ……何も言ってくれないのだ!」

勇者「……お前達もか?」

炎の魔神「……」

風の魔神「……」

土の魔神「……」

水の魔神「……」

勇者「ははは……何だよ……そりゃあ……」

魔王父「息子よ。勇者よ……そのもの達に罪はない」

魔王「……父上」

勇者父「ああ……全ては、我々の責任だ」

勇者「……親父」

魔王父「あれは……確か、今日のような雨が降った日であった」

側近「たった今、晴れましたが」

魔王父「……確か、今日のような雨が降った日であった」パチンッ

ザーザー(雨の音)

側近「!?」

若き日の勇者父「……」そわそわ

若き日の魔王父「……」そわそわ

勇者父「……おや」

魔王「む……もしや、あなたもお子様が?」

勇者父「はい。今、妻が頑張っているところで……」

魔王父「……無力ですな」

勇者父「……はい」

魔王父「私はそれなりの魔力と力を持つ者です……ですが、妻が苦しんで頑張っているというのに、何も出来ない」

勇者父「……私も己の無力に嘆いているところでした」

魔王父「妻に何か出来ることはないかと考えたのですが……」

勇者父「私には神に祈ることしか出来ない……」

魔王父「妻を守ることは出来ましょう。ですが、妻を手助けする事は出来ないのです」

バタン!

勇者父&魔王父「「!?」」

「勇者様! 元気な女の子です!」

「魔王様! 元気な……」

勇者父「……む」

魔王父「……むむ?」

ミスです。

「勇者様! 元気な男の子です!」

「魔王様! 元気な……」

勇者父「……む」

魔王父「……むむ?」


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魔王父「魔王と勇者は引かれ会うと言うが……」

勇者父「あんな形で会うことになるとは」

側近(何で同じ所で取り上げてるんだよ)

魔王父「私達の戦いは」

勇者父「何日も続いた」

魔王父「……そして」

魔王「父上。それが我々と何の関係が……」

魔王父「私の戦いのいざこざでな……」

勇者「……?」

勇者父「げ、現場も混乱していたんだ」

勇者父「早い話が……」

魔王父「……赤ん坊をな」

「「取り違えたのだ」」

魔王「……な」

勇者「……な」

魔王「つまり……我の本当の父は」

勇者父「私だ」

勇者「俺の父ちゃんは……」

魔王父「……私だよ」

勇者「……なあ、魔王」

魔王「……うむ」

勇者「これが違和感の正体だったんだな!」

魔王「うむ! まさか、こんな真実だったとは……実に愉快!」

勇者父「……え?」

魔王父「……ふむ?」

勇者「つまり後で取り違えに気づいたものの、引き返せない理由が出来たんだろ?」

魔王「うむ……魔族の子だとバレれば勇者は殺されていただろう。我もそうだ」

魔王「今ならまだしも、昔なら……我が人の子などとバレていれば命はなかっただろう……」

勇者「だから、あなた達はそれを突き通すことにしたんだ」

魔王「無論。強引に、我々を返す事も考えただろうが……」

勇者「それじゃ、幼い俺たちにどんな影響があるか、わかったもんじゃない……だからあんた達は」

魔王「我々を育てることにした……違うか?」

魔王父「……」

勇者父「……」

勇者「お前達は魔王の方の親父が送り込んだんだろ?」

炎の魔神「……ああ」

土の魔神「だなー」

風の魔神「……隠す意味はないな」

水の魔神「前魔王様にあそこまで頭を下げられたら、ね……断れる訳が無いわ」

魔王「……皆の場合は、勇者父殿が我が寂しがらぬよう、歳の近い皆を派遣したのだろう」

魔王「……今思えば出来すぎていたな」

剣士「すまない! 騙してたのは事実だ!」

格闘家「……剣士」

剣士「だが、貴方に剣を捧げたのは嘘でもなんでもない! 心から捧げたつもりだ!」

僧侶「魔王様に全てを捧げたのは、私自信の意思です!」

魔法使い「……私も」

格闘家「……俺の拳はアンタの為に使う。後、筋肉も」

魔王「……それなら良い。それがあるなら……我は何とも思わぬ」

魔王父「……そうではない」

勇者父「……ああ」

魔王「……?」

勇者「何だよ?」

勇者父「そんな複雑な事情があったかも知れない……いや。あったのだろう」

魔王父「だが、一番の理由は……同じ時を過ごす内……愛してしまったのだ」

勇者父「離れたくないぐらいに……敵である魔族の子を」

魔王父「憎い筈の……人の子を……ただ、愛してしまった」

勇者「……そうか」

魔王「……ならば」

勇者「……過去なんて知らない。俺の父ちゃんは……アンタだけだ」

勇者父「!?」

魔王父「確かに、我が尊敬すべき父が他にいるのかも知れない……だが、我が唯一尊敬し、敬愛する父は……貴方だけだ」

魔王父「……魔王」

魔王「……勇者よ。我はどうあっても魔王だ」

勇者「……ああ。俺も偉大な勇者の……子供だ」

魔王父「確かに、我が尊敬すべき父が他にいるのかも知れない……だが、我が唯一尊敬し、敬愛する父は……貴方だけだ」

魔王「確かに、我が尊敬すべき父が他にいるのかも知れない……だが、我が唯一尊敬し、敬愛する父は……貴方だけだ」

勇者「魔王!」

炎の魔神「へっ……前振りは長くなったが!」

風の魔神「結局はこうなる」

土の魔神「まあ、仕方ないんだなー」

水の魔神「……そうね」

魔王「……来たか」

剣士「俺は魔王の剣……魔王が戦うならば、何であろうと斬る」

格闘家「拳と筋肉で打ち砕いてやるぜ!」

僧侶「神よ……我らに光を」

魔法使い「……負けるのはあなた達」

魔族の勇者と

人の魔王。

その戦いがどうなったかは……また別の話。

end

側近「……ふー……久々の故郷帰りだ」

側近「ん? 手紙……」

勇者&魔王『結婚しました』

側近「何でだよ!?」

ene

勇者のギャグ物を一度は書きたかった。反省はしていない。

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