老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」(ネタバレ編) (999)



隣の老人「また言っておるのか」

老人「良いじゃろ別に。夢を見るのは勝手じゃ」

隣の老人「夢ねえ。まあいいけどあまり人に胸張って語るような夢ではないな」

老人「わかっておる。だからお主にしか語っておらん」

隣の老人「本当になれると思っているのか?」

老人「……夢を見るのは勝手じゃ」

隣の老人「大体なんでそんなにピチピチギャルに憧れているんだ?」

老人「……笑わんか?」

隣の老人「一応羞恥心は備えてあったんだな……」

老人「絶対笑わんと約束しろ」

隣の老人「わかったわかった」

老人「では教えてやろう。それはな───」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376997079

前作
老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」
老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374833811/)

の伏線回収編です。先に前作を読んで欲しいです

ここは時系列でいうと前作の始まりよりも少し前の話からになります


───勇者の国

勇者の妻「ねえ、せめてもう少しあの子が大人になるまで待てないの?」

勇者「すまない。わかってくれ。俺は少しでも早く平和を取り戻したいんだ。皆のためだけじゃない。お前とあの子のためにも」

勇者「……わかっているわ、あなた。ごめんなさい。でも無茶だけはしないでね」

勇者「ああ、行ってくる」

勇者の妻「あなたに神のご加護がありますように……」

───

ザー ザー

従者「──────」

勇者「──────」

東の勇者「──────」

ザー ザー

勇者「なん……だと……?」

従者「申し訳ありません!私を逃がすためにお二人は……」

東の勇者「あいつらがやられただと!?そんなこと……信じられるか!」

───

ピチャッ ピチャッ

従者「魔王城の周りには人間を通さない結界が張られていました」

勇者「結界?」

従者「はい。私は人間ではないので全く気付かなかったのですが……お二人は結界に捕らえられ動けなくなったところを……」

東の勇者「最後の力を使ってお前を救ったのだな。あいつら……いつの間にか立派な勇者に成長しやがって……」

勇者「彼らが命懸けで得た情報だ。絶対に無駄にはせん」

東の勇者「無論だ。まずはその結界を破る方法を探すぞ」

待ってた

───

勇者「ここがオーブに詳しい人物がいるという祠か」

従者「はい。この上で間違いないと思います。登っていきましょう」

東の勇者「やけに高い場所にいるのだな……」

───

東の勇者「ううー、寒い。上に行けば行くほど凍えてくる……本当にこんなところに人が住めるのか?」

従者「こういう場所だからこそ、あまり知られていないんですよ」

勇者「行けばわかることだ……む、着いたみたいだな」

従者「ここは……」

東の勇者「なんとも神秘的で美しい……」

勇者「中央に誰かいる。一人ではないな」

東の勇者「そしてなんだ?あのバカでかい卵は……」

従者「あなたたちは……?」

双子「「私たちは、卵を守っています」」

───

従者「やはり文献に記されていたことと、今聞いた話では全然違う……」

勇者「赤・青・黄・緑・紫・銀……全てのオーブを揃え、この台座に捧げる……」

東の勇者「破邪の力を持つ伝説の不死鳥が甦り、その背に乗って大空を飛ぶ、か……壮大だな」

従者「まるで夢の中かおとぎ話のような……」

双子「「お願いします。私たちを信じて下さい。力を貸して下さい」」

東の勇者「はっはっは。私はその手の話は大好きだぞ。子供の頃よく妄想しなかったか?」

勇者「私は子供の頃からすでに勇者としての自覚はあったからな。妄想することが大体現実に起こってしまっていた。今さら疑うことなどないさ」

双子「「……ありがとうございます」」

従者「私だって別に疑っているわけじゃ……」

双子「「……」」

従者「うっ……」

東の勇者「はっはっは!嫌われたか?お前は女運がなさそうだから一生結婚できんかもな」

従者「……放っておいて下さい」

───とある洞窟

勇者「ここに構える怪物だな?」

怪物「なんだお前は?」

勇者「答える義理はない。オーブを知っているな?」

怪物「なぜオーブのことを?目的はオーブか!?」

勇者「どうやら当たりらしいな。そしてオーブから距離をとったところで守っているらしいが……」

怪物「お前、一体何者だ……?」

勇者「どこにある?」

怪物「ふん、今から死に行く者が知る必要はない!」

───

怪物「ぐああ……!」バタン

勇者「はあ……はあ……これがオーブを守る怪物……手強かった」

怪物「うぐぐ……」

勇者「こんなところで手こずっているようでは、まだまだ修行が足らない……」

怪物「見事だ……オーブはその奥にある……」

勇者「なかなか潔いな……あれか。ではもらっていくぞ」

怪物「好きにしろ……」

勇者「これがオーブ……銀に耀くシルバーオーブか。なんとも不思議な───」

怪物「だが……ただではやらんぞ」

勇者「なに?」

怪物「この洞窟、目を凝らしてよく見てみるがいい」

勇者「……」チラッ

ギロッ

勇者「壁に目が?いや、これは壁ではない!」

怪物「出てこい!僕ども!」

ゴロゴロゴロゴロ

魔物「「「……」」」

勇者「こ、こいつらは……!?」

怪物「知っているようだな。この数ならば逃げ道はない」

勇者「しまっ……」

怪物「貴様もこれで終わりだ。自爆しろ!爆弾岩!」

魔物「「「グギャアアア!」」」カッ

勇者「う、うおおお……!」

ドゴオオオオン

───洞窟跡

ガラガラ

勇者「はあ……はあ……」

勇者「なんてやつだ……自分も巻き込むとは……」

勇者「甘かった……すぐにとどめを刺しておくべきだった……」

勇者「魔法力を全て防御に使ってしまってもう……魔法が使えん……」

勇者「どこか……人のいる場所へ……」

───

勇者「はあ……はあ……体力も尽きた……私はもう……」

勇者「……」

勇者「……バカなことを……」

勇者「……何を弱気になっている……彼らの分も……私は諦めない……諦めるわけにはいかない……!」

───

勇者「……はあ……はあ……」

勇者「……村が見えた……」

勇者「……誰か……」バタッ

勇者「」









?「おじさん、どうしたの?」

?「こんなところでねてたらまものにたべられちゃうよ」

?「ねえねえ───」

───とある村

孫「ねえねえ、おじいちゃん!おもてにへんなかぶとをかぶったおじさんがたおれてるよ!」

老人「そりゃいかん!父さんを呼んでおいで」

孫「うんっ!」タッタッタッ

嫁「あの子ったら、また村の外に出ていたのね」

老人「あまり怒らないであげとくれ」

嫁「お義父様はあの子に甘いんですから……」

老人「それより旅人など珍しいのに、まさか行き倒れとはの。やれやれじゃ」

嫁「心配ですね。私たちも行きましょう」


ワイワイガヤガヤ


隣の老人「やれやれ騒がしいな……散歩でもしてくるか……」

これで今日は終わります
少し話が飛び飛びでごめんなさい
urlもちゃんと貼れているか心配です。貼れてなかったらどなたか優しい方お願いします
待っててくれた方はありがとうございます

urlのことありがとうございます
ペースは遅くなるけど生温かい目で見てって下さい
これからよろしくお願いします

───

勇者「……」パチリ

孫「あ、おじいちゃん。おきたよ」

老人「良かったの。酷い怪我じゃったからもう目覚めんと思ったぞ」

勇者「……ここは?」

老人「最果てにある小さな村じゃ」

勇者「……そうか。こんな所まで来てしまったのか」

老人「こんな所って」

勇者「ああすまない。そういう意味では……」

老人「こんな所ではまともに治療もできんくて悪かったの」

勇者「……あなたが手当てをしてくれたのか?」

老人「わしは何もしておらん。手当てはわしの息子たちがやってくれた」

勇者「それでも私のために貴重な時間を使わせ、この部屋を使わせてもらっている。感謝しないわけにはいかない」

老人「礼なら孫にしてやってくれ。お主を発見したのがこの子じゃ」

孫「えへへ」

老人「本来なら勝手に村の外に出るのは危険だから咎めるべきなのだが、今回はこのいたずらっ子に救われたみたいだからの」

勇者「そうか……ありがとう。本当に助かったよ。私はどうしても死ぬわけにはいかなかった。君には感謝してもしきれないな」

孫「えへへ。いいよ」

孫「おじさんなんであんなところでたおれていたの?」

勇者「……旅の途中魔物と戦っていてね、油断していたらやられてしまったんだ」

老人「この辺の魔物にか?鍛え方が足りんな。わしの若い頃はそんなズタボロにやられることはなかったぞ」

勇者「いや……ここから少し離れた場所でだが……ひょっとしてここでは魔王の存在が知られていないのか……?」

老人「魔王?ついにそんな輩が現れよったか」

勇者「ああ、だからあなたの若い頃とは魔物の強さも違う。外に出るなら油断しない方がいい」

老人「ふん、わしの若い頃は強かったんじゃぞ」

孫「おじさん、ひとりでたびしてるの?」

勇者「今は別に行動しているが……仲間がいるよ」

孫「なんでたびしてるの?」

勇者「あるものを探していてね……そうだ、これと同じようなものをどこかで……っ!?」

孫「どうしたの?」

勇者「ない……」

老人「なんじゃ?失くし物か?」

勇者「わ、私が倒れていた場所に落ちていた荷物は!?」

老人「それなら全てここに運んでおる」

勇者「私の荷物の中身を勝手に荒らしたりはしてないだろうな……?」アセアセ

老人「さっきから失礼なやつじゃな……」

勇者「ああ、すまない……気が動転してしまったようだ」

老人「別に気にしておらんけど」

勇者「くそっ、どこにもない……途中で落としたか。こうしてはおれん、探しに行かないと……!」ガバッ

老人「何を言っておる。無理をするな、休んでいろ」グイッ

勇者「くっ……」

老人「こんなじじいにも負けているようでは村の外なんて歩けんぞ」

勇者「……」

孫「だいじなものなの?」

勇者「ああ……だが仕方ない。もう少し良くなってから探しに行くよ」

孫「じゃあ、おじさんがなおるまでぼくがおせわするー」

勇者「ありがとう……ただ、おじさんと呼ばれるのは些か抵抗があるのだが……」

孫「わかった。じゃあおじさんのなまえなんてゆうの?」

勇者「私は勇……いや、ポ……ポカパマズだ」

老人「……ポッ……」

孫「ポカ……えっ?なんて?」

勇者(勇者と名乗れば面倒なことになりそうだからな。私にとっても、この村にとっても……)

勇者(私が負傷していることが魔物に知られたら村を襲いかねん。しかし咄嗟に付けたにしてはなかなかのネーミングセンスだな)

老人(なんて変な名前じゃ……名付け親はセンスの欠片もないの……)

───数日後

村人A「やあ、ポカパマズさん。調子はどうだい?」

ポカパマズ「ああ、この通り大分良くなってきた。まだ貧血気味だが歩くには十分だ」

村人B「ポカパマズ、今日はウチで飯食っていけよ!」

ポカパマズ「そうだな、ご馳走になるか。メニューはなんだ?」


ワイワイガヤガヤ


村人C「なんかもう、すっかり溶け込んじゃいましたね」

息子「うちの子も懐いちゃって……無愛想なのに謎のカリスマ性があるんだよな、あの人」

「た、大変だー!」

ポカパマズ「む?」

───村の外

魔物「ガルル……」

孫「い、いたいよう……ヒック……たすけて……」

魔物「ガルルー!」バッ

孫「ひっ───」

ダッ

ポカパマズ「はあ!」ズバッ

魔物「グギャアア……」バタッ

孫「えっ……?」

魔物「」

ポカパマズ「……」カシャン

孫「ポカパマズさん!」

ポカパマズ「村の外は危険だと言われていただろう!」

孫「あ……」ビクッ

ポカパマズ「私がいなかったら間違いなく殺されていたんだぞ!」

孫「……ごめんなさい……ヒック……」

ポカパマズ「両親にも何度も言われていただろう。それだけ心配されているんだ」

孫「うん……ヒック……」

ポカパマズ「わかったな?もう二度と危険な真似はしないでくれ」

孫「うん……」

ポカパマズ「よし、いい子だ。悪かったな、怒鳴ったりして」

孫「ううん……」

ポカパマズ「ああ、頭に怪我をしているな。見せてみろ。回復呪文!」キュイイイン

孫「ありがとう……ヒック……」

ポカパマズ「ふう、しかしなぜ逃げ遅れたんだ?」

孫「……」

ポカパマズ「いつもなら魔物とはち会う前に村に帰れたと聞いていたが?」

孫「……ポカパマズさんのだいじなもの……まだみつかってないから……」

ポカパマズ「!?」

孫「ずっと……さがしてたら……まものにきづかなくて……だけど……みつからなくて……ごめんなさい……ヒック……」

ポカパマズ「私の……ために……?」

───出発の日

ポカパマズ「思いの外、長く居座ってしまい申し訳なかった」

息子「むしろこんなに早く回復してしまうなんて驚きですよ」

嫁「まだゆっくりしていても私たちは構いませんのに」

ポカパマズ「お心遣いはありがたいが、あまりのんびりもしていられないので」

嫁「残念ですわ……」

息子「本当に……あなたには息子もすごく懐いていたから」

孫「またきてね」

ポカパマズ「ああ、旅が終わったら是非また寄らせてもらう」

孫「わーい、まってるよ」

ポカパマズ「ああ……忘れるな。何があろうと一番優先するものは命だ」

孫「うん」

ポカパマズ「もう頭に怪我なんかして家族に心配かけるんじゃないぞ」

孫「うん。ポカパマズさんもね」

ポカパマズ「……」

孫「どうしたの?ポカパマズさん」

ポカパマズ「私は君に謝らなくてはならない。いや、君だけじゃない。村人全員に」

ポカパマズ「私はポカパマズではない……オルテガというんだ。事情により本当の名は隠していた。つまらない嘘をついてしまい、申し訳なかった」

孫「そうなんだ。でもポカパマズさんはポカパマズさんだよ」

ポカパマズ「……そうか……ではここではこれからもポカパマズと名乗らせてもらおう」

孫「じゃあ、ぼくにもおもしろいなまえつけてほしいな」

ポカパマズ「面白い……?君の名も親から受け取ったものだ。その名前を大事にしてくれ、ポポタ」

孫「うーん……わかった。げんきでね。ポカパマズさん」








ポカパマズ「あの人にも挨拶しておきたかったが……いないのか。仕方ないな」

───隣の老人の家

隣の老人「今日はあの旅人が出発するんだろ?見送り行かんでいいのか?」

老人「なぜわしが?わしはあいつが嫌いじゃ。孫を取られた身にもなってみろ」

隣の老人「毎日愚痴を聞かされる身にもなってほしいな」

老人「それは悪いと思っているが、どうせ家では一人じゃろ」

隣の老人「まあね」

老人「あいつがいる間、ずっとお主の家に居座っても何も問題なかった。あいつら、わしがいなくても楽しそうにしおって。腹が立つからあいつとはほとんど顔を合わせておらん」

隣の老人「子供か。うちと神殿以外に行くところがないなら散歩でもしていたら良かったのに」

老人「最近腰痛がの……」

隣の老人「たまにいいものが落ちていることがあるんだぞ。この間も───」

老人「乞食か。わしはそんなに生活に困っているわけではないぞ」

隣の老人「わかっておらんな。何かを求めて得るものではない」

老人「お主の考えは相変わらず訳がわからんわ」

隣の老人「ファッファッファ」

老人「しかし変な名前に変な兜の旅人か……しばらく忘れられそうもないな。嫌な意味で」

隣の老人「お、ポカパマズが見送られているようだぞ」

老人「やっと出ていくか。清々するな」

隣の老人「ん?たしか変な兜を被っとるんじゃなかったか?頭に何も乗っけてないが」

老人「本当だ。大事なものを失くすような人間だし、忘れていったのかもな」

隣の老人「届けてあげなくていいのか?」

老人「わしにはどうでもいいことじゃ」

今日はこれで終わります
殺された勇者たちはミスリードの犠牲となり、使い捨てどころか登場すらないかもです
老人の前職については難しいことは考えてないです。前スレの>>478にヒントが
細かいことを色々覚えていてくれる方々がいて嬉しいです
ありがとうございました

───洞窟跡

勇者「また戻ってくることになるとは……あまり思い出したくない場所だ」

勇者「くそ、ここまで遡って来たがオーブが見つからん。このルートにあることは間違いないはずなのに……」

勇者「魔物に持っていかれたとは考えにくい。余程の強者でもない限り触るのも一苦労らしいからな」

勇者「せめてどの辺りで失わくしたかさえ覚えていれば……いや、後悔している暇はないのだった」

勇者「まさかこの瓦礫の中に残っているのではあるまいな……だとすると……想像もしたくないぞ……」

勇者「この辺りはよく魔物も現れるし長期戦になることも考えると、どこか休憩できる場所を探さなくては」

ああ~ポカパマズとかポポタとかめっちゃ聞いたことあるのに思い出せないのがもどかしい…

ポポタの方は全然覚えて無いな……

テクテク

魔物「「グギャアアア!」」

勇者「ふん!」ズババッ

魔物「「グギャアア……」」バタッバタッ

勇者「しかし、よくこれほど多くの魔物とはち会わずにあの村まで辿り着けたものだ。ここに来るまで気が付かなかったが村までは相当距離があるぞ」

勇者「ん?あれは人か……」

?「おや?こんなところに人がいるなんて珍しい」

勇者「同じ言葉を返そう。ここで何をしているんだ?この辺りには集落などないし、旅をしているような格好でもないが」

?「私はここから海を渡った国で鍛冶屋を営んでいる者。この辺りでは精製に使う鉱石が採れるのでよく来るのですよ。あなたは?」

勇者「私は旅の者だ。そんな場所に国なんてあったのか。知らなかったな」

鍛冶屋「そうでしょうね。我が国は外交を行っていない。だから外から人が来るなんて滅多にあることでもない」

勇者「そうか。ここへはよく来ると言っていたな」

鍛冶屋「ええ、今回は先ほど着いたばかりですが」

勇者「実は探し物をしていてな。この辺りで落としたと思うのだが……これくらいの大きさで宝石のような丸い玉なのだが、見なかったか?」

鍛冶屋「玉ですか……いえ、見ませんね」

勇者「そうか……」

鍛冶屋「このような場所まで探しに来られるとは余程価値のあるものなのでしょうか?」

勇者「そうだな……触れてみたらわかるが温かく、不思議な力を感じるものなんだ」

鍛冶屋「不思議な……?似たようなものなら心当たりはありますね」

勇者「本当か?一体どこに!?」

鍛冶屋「しかし、それはきっとあなたのものではありません。我が日出る……精霊の眠る国の国宝なのですから」

勇者「精霊の眠る国……聞いたことはあるがこの地域に存在していたのか。教えてくれ、その玉は何色に輝いている?」

鍛冶屋「たしか……紫色だったと思います」

勇者「パープルオーブか……」

勇者「たしかに私の落としたものとは違うようだ。だがそれも探し物の一つに違いないだろう」

鍛冶屋「あの国宝が探し物ですか?」

勇者「私が落としたものは銀色……色は違うがおそらくその国宝と同じものだ」

鍛冶屋「何やら事情がおありのようですね」

勇者「そうだな。君の国のオーブなら隠していても仕方ない。私は勇者だ。魔王を滅ぼすだめにオーブが必要となり、譲ってほしいと思っている」

鍛冶屋「勇者……?魔王……?世界ては有名な人なのですか?」

勇者「……多分」

鍛冶屋「すみません。外界の情報が私の国に入ることはほとんどありませんので。私がこうして外の人間と話すのも何年ぶりか……」

勇者「……いや、気を遣わなくていい」

鍛冶屋「すみません……しかし国宝を譲ることは不可能だと思います。ましてや外の人間に」

勇者「だろうな……どうするか……」

鍛冶屋「そのオーブというのですか、国宝と同じものが他にも存在していることはおそらく誰も知らないでしょうから、他のオーブを見せれば興味を持ってもらえるかもしれませんね」

勇者「そうだな……うまくいけばいいが」

鍛冶屋「ただ、あまり期待しないで下さい。私は詳しいことはわかりませんが、国の発言権を持った人物がオーブをいつも何かに使っているようなので」

勇者「いや、有益な情報をありがとう。これから取るべき行動が見えただけでも大きな進展だ」

鍛冶屋「しかし道は長そうですね。まさかそんな大切なオーブを失くしてしまうとは」

勇者「ああ……自分の首を絞めているようでは世話ないな」

鍛冶屋「おや……?」

魔物「「グギャアアア!」」

勇者「魔物か。下がっていてくれ」

鍛冶屋「私に任せて下さい」

勇者「なに……」

鍛冶屋「私も道楽で来ているわけではないのですよ」スッ

勇者「その道具は……?」

鍛冶屋「これは強力な爆発であらゆるものを破壊する玉」ポイッ

ドガアァン

魔物「「グギャアア……」」バタッバタッ

鍛冶屋「自分の身も守れないようではわざわざこんな場所まで来ません」

勇者「すごいな……その道具は見たことがないが、君が作ったのか?」

鍛冶屋「いえ、私の国では一般的な道具としてどこにでもあります。私は採掘用に使用していますが」

勇者「そうなのか……」

鍛冶屋「精霊の力を色濃く受けた我が民族は不思議な道具を作る才に恵まれていまして」

勇者「なるほど、精霊の眠る国の名は伊達ではなかったな。私にもその不思議な道具とやらをいくつか売ってほしいものだ」

鍛冶屋「残念ですが、決まりごとで国から外部に物を持ち出すことは禁止されているのです」

勇者「それでは仕方ないな。事情はそれぞれある」

鍛冶屋「本当はこうして情報を外に出すこともよくないのですが、あなたは悪い人ではないとわかります」

勇者「すまないな。感謝する。君の迷惑になるような真似はしない」

鍛冶屋「それに私はそんなしきたりが無くなればいいと常々思っていました。国のいい部分を残すことは必要でしょうが、もっと外の世界を知りたい」

鍛冶屋「本当ならあなたのように世界を旅してみたい。しかし、それですら我が国では犯罪となるのです」

勇者「君は閉鎖的な国の人間にしてはやけに話がわかると思っていたが、そういうことだったんだな」

勇者「それぞれに事情があるのだからあまり勝手なことは言えんが、私個人としては君の意見のほうが理解できる」

鍛冶屋「私は鉱石を採取するために特別に外出許可をもらっていますが、ここより先の世界を知らない」

鍛冶屋「この近くに私専用の宿泊場があるので、良かったらそこであなたの旅のお話を聞かせていただけませんか?」

勇者「ああ、私もちょうど休憩場所を探していた。ありがたく寄らせてもらおう」

鍛冶屋「本当ですか?楽しみです!」

勇者「私のつまらない話でも君にとっては財産になるのならば喜んで語ろう」

魔物「「グギャアアア!」」

勇者「む、また出たか」

鍛冶屋「任せて下さい」ポイッ

ドガアァン

魔物「「グギャアア……」」バタッバタッ

勇者「あまり見せつけないでくれ。また欲してしまうではないか」

鍛冶屋「ふふふ、すみません。当てつけのつもりです」

魔物「「グギャアアア!」」

勇者「またか。ここまで来るときも思ったが、この辺りは魔物が多いな」

鍛冶屋「いえ、おかしいです……これほど現れることはなかったはず」ポイッ

ドガアァン

魔物「「グギャアア……」」バタッバタッ

勇者「なんだと?」

魔物「「グギャアアア!」」

鍛冶屋「また……しまった、手持ちが無くなった!」

勇者「はあ!」ズババッ

魔物「「グギャアア……」」バタッバタッ

鍛冶屋「えっ!?」

魔物「「」」

鍛冶屋「すごい……それほど強かったのですね……さすが世界を旅していることだけはある」

勇者「しかしこれではきりがない。君の宿泊場へ急いで向かおう」

鍛冶屋「そうですね。こちらです」

やはり3こそ至高

>>47
>>48
ポポタはム◯◯の村でオ◯◯◯の兜をくれる少年です
自分でも現在プレイできる機器を持っていないので記憶が曖昧な部分もあり、細かい設定など飛んでいるかもしれません

>>59
です

ポカパマズの兜はルカナンをほぼ無効化してくれる優れもの

仲間全員99程度はやりすぎですがFC派の方はごめんなさいです
SFC版しかやったことがなく、FC版は実況動画でしか見たことがないので話の内容は偏ると思います

───宿泊場

勇者「ここは……宿泊場というより……」

鍛冶屋「ええ、勝手に工房を作ってしまいました。やはり鉱石を持ち帰るよりここでの方が仕事をしやすいもので」

鍛冶屋「いいものが作れそうなときはここで仕上げてしまいます」

勇者「国の許可はないのか?」

鍛冶屋「ありませんよ。採掘のため宿泊場は認められていますが、これだけ物を持ち出しているだけで十分処罰の対象になります」

鍛冶屋「不可能だとわかっているのですが、いつかここを住居として移り住めたら……」

勇者「大胆だな。見つかるとは考えなかったのか?」

鍛冶屋「ここに人が来ることはないので大丈夫ですよ」

勇者「あまり家族に心配かけるな。先ほどの魔物の襲撃もそうだが、世の中には何が起きるかわからないんだ」

鍛冶屋「そうですね……そういえば急にあれほど魔物が増えるとは何があったのでしょう?」

勇者「私はこの地域のことはわからない。君の方が詳しいだろう」

鍛冶屋「うーん、この辺りの魔物は洞窟の主の支配下にあるのですよ」

勇者「……洞窟の主?」

鍛冶屋「ええ、近くの洞窟に住む魔物なんですが……統治が乱れているのですかね」

勇者「……」

鍛冶屋「洞窟の主に何かあったのか……?」

勇者「……そいつは私が倒した」

鍛冶屋「なっ!?」

勇者「主がいなくなったことで魔物が好き勝手暴れているのだな……私の都合で間接的に君の迷惑になってしまったようだ」

鍛冶屋「あ、あの魔物を倒したのですか!?恐ろしく強くて私たちの道具も役には立たないと聞いていたのに……」

勇者「正確には相討ちだ。倒した後、爆弾岩数匹の自爆を喰らってしまい危うく死ぬところだった」

鍛冶屋「爆弾岩数匹の自爆!?あなた……なぜ生きているのですか……?」

勇者「……これが私だからとしか言いようがないな」

鍛冶屋「……」

勇者「……」

鍛冶屋「あなたに興味が湧きました。お話を聞かせて下さい。これまでの旅や旅の目的、あなた自身のこと、聞かずにはいられないッ!」

勇者「あ、ああ……」

───

鍛冶屋「洞窟の主よりさらに強い魔王……それを討伐する勇者……世界を救う旅……私には想像すらできなかったことばかりです。それほどまでにすごい人だったのですね……」

勇者「まだ何も成し遂げていない。それに魔王の手下に殺されかけるほど私は弱いと思い知った」

勇者「仲間がいるとはいえ、今のままでは魔王に勝てるかもわからない……」

鍛冶屋「……」

勇者「すまない。私は勝つしかないんだ。今のは忘れてくれ」

鍛冶屋「いえ……そんな顔しないで下さい。精霊様はあなたを導いてくれるはず」

勇者「……そうだな。私もそう信じている」

鍛冶屋「ええ……そうだ、一つお願いがあるのですが」

勇者「なんだ?」

鍛冶屋「あの洞窟には今まで近づけませんでした。でもあそこは珍しい鉱石が多く採れる鉱脈なのです」

勇者「そうだったのか」

鍛冶屋「このチャンスを逃したくない。あなたなら外の魔物の群れも問題ないはず。一緒に行っていただけませんか?」

勇者「勿論だ。君には迷惑をかけてしまったからな。それくらいはさせてくれ」

───洞窟跡

鍛冶屋「……見事に崩れていますね……」

勇者「ああ……これでは……」

鍛冶屋「……いや、大丈夫です。ここにはずっと来たいと思っていた。鉱石を見分けることくらい大したことではありません」

勇者「そうか、私もここでオーブを探すから手伝うことがあれば言ってくれ」

鍛冶屋「ありがとうございます……おや?これは……見たことがない物質だ……」

勇者「ああ、それは爆弾岩だ」

鍛冶屋「えっ!?」

勇者「大丈夫だ。ここにあるのは全て死骸の欠片だ。爆発はしない」

鍛冶屋「そうですか……これにも鉱石が含まれていますね。すごい、ここは宝の山だ」

勇者「ある程度なら私の魔法で運べるから思う存分見つけてくれ」

鍛冶屋「世界は広い……」

───宿泊場

鍛冶屋「ありがとうございました。おかげでいい材料がたくさん見つかりました」

勇者「……オーブを探すついでの労力しか出していないのに寝床を与えてもらえて……感謝するのは私のほうだ」

鍛冶屋「そんなことはありません。オーブが見つかるまで何日でも使って下さい」

勇者「助かるよ。君はもう国に戻るのか?」

鍛冶屋「私は今、創作意欲に溢れています。国に戻る時間すら惜しい。しばらくはここに滞在します」

勇者「そうか、ほどほどにな。国に目をつけられたら台無しだぞ」

鍛冶屋「はい、頑張って作ります!」メラメラ

勇者「……聞いているのか?」

───洞窟跡

ガラガラ

勇者「ふう……何日も探しているのに見つからないか……」

勇者「これはもう後回しにしたほうがよさそうだな。いつまでもここにいるわけにはいかん」

勇者「最後に彼に顔を見せてから出発しよう」

───宿泊場

勇者「今日もダメだった。ここは後回しにして他の場所へ向かおうと思う」

鍛冶屋「そうですか……私のほうも作業を終えましたので、これから国へ帰ります」

勇者「完成したか。随分熱心に打ち込んでいたからな。おめでとう」

鍛冶屋「ありがとうございます。おかげでいいものが作れました。私の最高傑作です」シャキン

勇者「剣か……すごいな。こんな業物は見たことがない。君は私が知る中で一番の職人だ」

鍛冶屋「ありがとうございます。世界を知る人にそんなことを言ってもらえるなんて光栄です」

勇者「それは絶対に手放さないほうがいい。おそらく何代にもわたって君の家の家宝になる」

鍛冶屋「ははは、残念ですけれどもう手放すことは決まっているのですよ」

勇者「そうなのか、国に寄贈するのか?」

鍛冶屋「これは、あなたのものです」

勇者「なに?」

鍛冶屋「初めからあなたのために剣を打とうと決めていました」

勇者「……」

鍛冶屋「ああ、お代はいりません。私にも世界を救うお手伝いをさせてほしいのです」

勇者「心遣いは有り難いが、国の決まりを破ってまですることではない。君の身を危険にさらすことになる」

鍛冶屋「国の決まりは、国から物の持ち出しを禁止するということ。ここは国の中じゃない」

勇者「屁理屈だ。法とはそんな単純なものではない」

鍛冶屋「……今のままで魔王に勝てますか?」

勇者「それは……」

鍛冶屋「世界が魔王の支配下となれば法どころではないのですよ。あなたは魔王に勝つ可能性が上がるならどんなものにもすがるべきだ」

勇者「……」

鍛冶屋「それに私のことなら心配いりません。この剣は私の国の力で作ったものだと誰にもわからないでしょう……何か特別な力があるわけではない、普通の剣ですから」

勇者「そうなのか……?とても普通の剣には見えんが……」

鍛冶屋「その分攻撃力は保証しますよ。切れ味、剛性がそこらのものとは違います。持ってみて下さい」

勇者「重いな……剣の重みだけじゃない。君の覚悟の重さを感じる」

鍛冶屋「こんなに良くできたものを眠らせておくなんて残酷ですよ。剣は使ってこそ剣で有るべきだ」

勇者「……」

鍛冶屋「私には作ったものの声がわかるんです。あなたに持ってもらってとても嬉しそうだ」

勇者「……わかった。有り難く使わせてもらう。君の覚悟を無駄にはしない」

鍛冶屋「ありがとうございます。そうだ、せっかくですからあなたがこの剣の名付け親になってもらえませんか?」

勇者「私が……いいのか?」

鍛冶屋「勿論です」

勇者「そうだな……」

鍛冶屋「ふふふ……」ワクワク

勇者「ポカパマズソード……」ボソッ

鍛冶屋「!?」

勇者「いや、それではさすがに捻りがないか……自己主張もし過ぎな気が……」

鍛冶屋「……」ドキドキ

勇者「無難にバスタードソードとか……」

鍛冶屋(無難に決めるの!?どっちもどっちだがポカパマズはダメだ。ポカパマズだけは絶対ダメだ!)

勇者「なあ、君はどっちがいいと思───」

鍛冶屋「バスタードソードがいいですね!」

勇者「えっ、バスタードソード?」チッ

鍛冶屋「はい!さすが勇者さんだ!センスを感じますね」

勇者「……そうか?ならば剣も喜んでいるのではないか?」

鍛冶屋「え、ええ……泣いているみたいです」

勇者「そこまで喜んでくれるとは。バスタードソードよ。これからよろしく頼むぞ」

鍛冶屋「……」

勇者「君は世界を見る目がある。これからも国という枠に囚われずに視野の広い考えを持ち続けてくれ」

鍛冶屋「はい。あなたには多くのものを受け取った。是非またお話を聞かせて下さい」

勇者「いつか君の国に行くことになる。その時は会いに行くよ。君もまたいいものを作って、見せてくれ」

鍛冶屋「私はそれを最高傑作にしておくつもりはないですよ。いつかより良い物質を探し当て、それが鈍と思えるようなものを作るつもりです。その時は……」

勇者「ああ、楽しみにしている。その時も……」

鍛冶屋「私が名前を付けますね」

勇者「む……そうか」

───精霊の眠る国

門番「お、鍛冶屋じゃないか。今回も採掘に時間がかかったみたいだな。収穫はあったか?」

鍛冶屋「ええ、とても大きなものを」

門番「それは良かったな。ところで占い師様がお前に用があると言っていたぞ」

鍛冶屋「占い師様が……?一体何のご用でしょう?」

門番「さあな。お前に悪いものでも見えたのかもな」

鍛冶屋「……!?」

門番「なんて冗談だよ。そんな顔すんなって」

鍛冶屋「え、ええ……」

───占い師の家

鍛冶屋「失礼します。私をお呼びでしょうか?」

占い師「わざわざすみません。お掛けになって下さい」

鍛冶屋(占い師様は工房のことや、勇者さんのことがわかっていたのだろうか?)

占い師「早速ですが重要なお話です。あなたもわかっていると思いますが……」

鍛冶屋(やはり……私も終わりか……)

占い師「あなたは採掘場で、ある人物と出会いましたね?」

鍛冶屋「占い師様の目に見えぬものはないのですね。申し訳ありませんでした」

占い師「その人は一体何者ですか?」

鍛冶屋「……彼の詳細はわからないのですか?」

占い師「私の占術はそこまで万能ではありません。ただ、あなたが大きな力を持つ者と接触したことはわかります」

鍛冶屋「なんだ……そうですね。あなたも知っておいたほうがいいかもしれない。お話しします」

───

占い師「……そうですか。やっと理解できました。私が感じたあの邪悪で大きな力は魔王と呼ばれる魔物の長……」

鍛冶屋「魔王の存在は見えていたのですね」

占い師「ええ……数日前からですが。そしてそれに反発するように輝く光も」

鍛冶屋「世界は魔王の脅威と戦っている。私たちも無関係ではないのに何も知らないことは恥です」

鍛冶屋「私は国という垣根を越えた、人の力を合わせるべきだと考えています。だから私は彼に剣を作った」

占い師「剣を……?」

鍛冶屋「あ……」

占い師「大丈夫ですよ。この場に留めておきます。あなたの言いたいことは理解できますから」

鍛冶屋「あ、ありがとうございます!」

占い師「あとはやはり……」

鍛冶屋「はい。勇者さんがこの国に来たとき、オーブを譲ってあげることはできないでしょうか?」

占い師「そうですね……その人物と会ったとき、私の目で見て決断を下します」

鍛冶屋「よろしくお願いします!」

占い師「あなたは随分と広い目を持っておられるのですね」

鍛冶屋「私は元々世界を見て回りたいと思っていました。そして勇者さんに世界のことを教えていただき、ますますその気持ちが強くなりました」

占い師「ではあなたがそこまで必死になれるのも……」

鍛冶屋「実はこのことがきっかけで国も変われるのではないかと、僅かばかり期待しているのですよ」

占い師「そうですか……あなたのような人が世界を変える、世界を救うきっかけになるのかもしれませんね」

鍛冶屋「私が……?」

占い師「だとしてもこの国が変わるのはまだ先のことでしょう。このように国の者に安易にお話ししないほうがいいですよ」

鍛冶屋「あ、そうですよね。すみません……占い師様には何でも話せる気がしてつい……」

占い師「いえ、私もあなたのお話を聞くのは楽しいですよ。ここなら誰にも聞かれる心配はない。またお話を聞かせて下さいませんか?」

鍛冶屋「は、はい!勿論です!」

───

剣士「ついに来た。神殿の建つ大陸」

剣士「私の冒険の第一歩だな。神殿に行き、仲間を募り、怪物を倒す……完璧な計画だ」

剣士「気の合う仲間に出会えるといいな」

剣士「よし、神殿周辺の地図も買ったし何も問題はない。順調過ぎて怖いな」

剣士「えーと、まずはどっちだ?地図によると……多分……こっちだな……」

───神殿

老人「ピチピチギャルになれますように……」

老人「……」

老人「よし、お祈り終わり。神官様にちょっかいだしてから帰るかの」

老人「ん?いつもの神官様と違う人じゃな……」

老人「前の人はどうしたのかの?まだ元気そうじゃったのに」

老人「……まあいいか」

これでやっと前スレに続きます。くぅ疲れました
ここまで急ぎすぎて自分でもわけがわからないことになりそうで怖いです
今日は終わりです。ありがとうございました

酉バレしてる
変えたほうがいい

───森

剣士「はあ……はあ……どこだここは?」

剣士「くそっ、油断した!すぐ神殿があると地図を頼りにしてきたのに私は地理が苦手だった!」

剣士「森で迷って3日……なんとか抜けたいが、もう限界だ」

剣士「ここで寝よう……」

剣士「zzz」

───

ペロッ

剣士「ん?……なんだ……?もう少し眠らせて───」

魔物「ガルルルル……」

剣士「うわああああ!」ガバッ

剣士「くそ、寝込みを襲うとは卑劣な!」

剣士「あれ?剣がない……あ、魔物の向こうにあるじゃないか……」

剣士「これは逃げるしかない」ダッ

魔物「ガルルルル……」

剣士「う、後ろにもう一匹……囲まれた……」

魔物「ガルルルル……」

剣士「こ、これまでか……!」

女「閃熱呪文!」ゴオオォ

剣士「えっ?」

→前スレ>>8

前スレ>>39

───

剣士「はあ……はあ……買ってきたぞ。ありったけの薬草と食料だ」

女「よし、わしらも装備を整えておいたぞ」

剣士「装備……それが?」

女「文句あるか?」

剣士「旅人の服だけ?」

女「十分じゃろ」

剣士「武器はいらないのか?賢者様だって杖を持っているじゃないか」

賢者「これは長旅用について歩きたいから持っているだけだが?」

剣士「……」

女「大体お主がテンプレ過ぎるんじゃ。軽量化してあるみたいだが長旅で鉄の鎧はきついぞ」

剣士「これくらいは当然だと思うが……」

剣士(この人たち……不安だ……)

書いていてなんとなく想像していた装備品
(特に重要なことでもないのでいつの間にか変わっているかもしれないです)


旅人の服(マント付き)

剣士
鋼の剣
鉄の鎧(軽量化)

賢者
裁きの杖(武器としては使用しない)
旅人の服(マント付き)
皮の帽子


>賢者
>裁きの杖(武器としては使用しない)

いや、使用しようぜ

前スレ>>42

───

女「ではやってみろ」

賢者「うむ、火炎呪文!」ボウッ

女「おお……」

賢者「出たぞ。これでいいのか?」

女「いきなりできるとは……これは期待できるかもしれんな」

賢者「今の感覚をメモしておこう」メモメモ

女「意外と真面目じゃな……次は回復呪文じゃ。これはさっきのとは感覚が全然違うからな。いわゆる僧侶系の呪文じゃ」

賢者「ふむふむ」

剣士「なあ……君はなんで魔法使い系と僧侶系の両魔法が使えるんだ?しかも結構なレベルの……まさか君も賢者だったのか?」

女「いや、わしは魔法使いに転職し、10年くらいかけてようやく一人前と認められた。その後僧侶に転職してまた10年は頑張ったかの」

女「おそらく転職できるレベルにはなっていたとは思うが身体がついていかなくなっての……一線から身を引いてしまった」

女「一番最初は戦士の見習いとして修行を重ね、次に転職した武闘家もやはり約10年ずつかけなければ一人前と認められんかった」

女「だから特に才能があるというわけでもない」

剣士「なるほど。それだけ修行すれば納得だな。10年ずつで合わせて40年か。40ね…………ん!?」

女「1年じゃ!何を聞き間違えておる!10年なわけなかろう!」

剣士「そ、そうだよな……どう見ても20歳にすらなってないだろうし……しかし4年でそこまでのことができるなんて、私が思った以上にすごい子だったんだな君は」

女「は、ははは。そうだぞ。わしは才能の塊じゃ……敬え……」

今日は全然進んでないけど終わります
登場人物が誰かわかってくれるのは嬉しいです
鍛冶屋はFC派の方にもわかるかと思います
あとは今まで出てきたネタはほとんどSFC版なのでごめんなさい

裁きの杖を使わないのはその効果に気付いていなかったからということにしておきましょう
あの村に売っている杖がそれしかなかったので

ありがとうございました

───都会の街・酒場

東の勇者「はっはっは、そりゃ災難だったな」

勇者「笑い事ではない!本当に死ぬかと思ったんだ!」

東の勇者「それでオーブを失くすなんて、お前はやっぱり運がないな」

勇者「運など関係ない!俺の不注意だ!それに百歩譲って運がなかったとしたら、村人に助けられることもなかったはずだろう?」

東の勇者「そりゃお前、村の近くで倒れてりゃ誰かしらに気づかれるだろうよ」

勇者「……」

東の勇者「そこまで瀕死状態で辿り着いたお前がすごすぎるんだって」

勇者「……すまなかったな。オーブは探したがどうしても見つからなかった」

東の勇者「なーに、大体の場所は割れているんだ。いくつか他のオーブを持っていけば共鳴してすぐに見つかるだろうよ」

勇者「そうだな……」

東の勇者「それより怪物を倒してくれたことのほうがでかいしな。俺はまだ怪物の情報すら掴めていないのに」

勇者「そう言ってくれると助かるよ……俺が愚痴れるのはもうお前しかいないんだ」

東の勇者「はっはっは、任せておけ。酔っぱらっているとはいえ、こんな姿のお前を拝めるのは俺の特権だからな」

勇者「勇者なんかやめて……家族と一緒にいられたら……」

東の勇者「おっと、とうとう弱音を吐き出したな。今だけだぞ?許すのは」

勇者「わかっている。今だけだ……妻に……息子に会いたい……」

東の勇者「俺も小さい息子を置いてきたから気持ちはよくわかる。が、今会っちまったら決意が鈍る。俺たちは死を覚悟した旅を始めたのだからな」

勇者「そうだな……」

東の勇者「それとも俺だけじゃ不満か?色気はないが世界を背負うにはこれほど心強い相棒もいないだろう?」

勇者「ああ、俺とお前が勇者なんだ。だから頼む、お前だけはいなくならないでくれ……」

東の勇者「……無論だ」

勇者「zzz……」

東の勇者「……立ち直ったように見えても、死んじまったあいつらのことはわすれられないか……」

勇者「zzz……」

東の勇者「優しすぎるなお前は……いつかその優しさが身を滅ぼしそうで怖くなるよ」

東の勇者「いや、そのために俺がいるんだよな。覚悟はできているが、俺だってお前を失いたくない」

マスター「勇者というものは我々の想像を絶する覚悟を背負っているのですね」

東の勇者「こりゃ恥ずかしい。聞かれてしまったか」

マスター「ふふふ、あなたとあろう者が油断していましたね。ですが、それだけこの場所が心を許していただけている証拠。名誉と判断しています」

東の勇者「ああ、いつも感謝しているよ。こいつに強めの酒を出してくれたのだろ?」

マスター「差し出がましい真似をしました。以前いらしていただいた時より、少しお痩せになっているように見えましたので」

東の勇者「いつも難しい顔をしているからな。心休まる時は魔王を倒すまでないのかもしれん」

マスター「ああ、あなたには必要ないと思い、いつもと同じものを出させていただきました」

東の勇者「おいおい、まるで私が苦労してないみたいじゃないか。まだ私には馬車馬のように働けというのか」

マスター「ふふふ、その通りです。私の暇潰しにも付き合って下さい」

東の勇者「こりゃ参ったな。朝までおしゃべりするつもりか?これでも一応予定は埋まっているんだぞ」

マスター「今度はどちらに向かわれるのですか?」

東の勇者「とりあえず西の国に行くよ。知り合いと合流する」

───塔の前

剣士「これが怪物のいる塔……でかいな」

女「わしも見るのは初めてだが、この地域では知らぬ者はいない。その名も───」

賢者「ガルナの塔。わしでも知っている」

女「賢者ならもっと幅広い知識があってもいいはずなんじゃが……」

賢者「なんのために存在している塔かは知らんな」

女「それはわしもわからん。怪物が根城にしているくらいだから魔物が建てたのかもしれんの」

剣士「ガルナの塔か……」

賢者「それより早く実戦してみたいんだが」

女「なんじゃ。お主にしてはやる気じゃな」

賢者「努力をしたら結果を求めるのが本能だろ」

女「お主から努力なんて言葉が聞けるとは……ん?」

魔物「「グギャアアア!」」ノソノソ

女「ちょうど良い。あいつらで試してやれ」

→前スレ>>43

前スレ>>49

───塔・奥の部屋

タッタッタッ

ピタッ

剣士「もう一度だけ試す価値はあるかもしれない……」

剣士「ここは特別な力を感じるわけでもないし、機械仕掛けの罠である可能性が高い」

剣士「だとしたら……まずオーブを取り出す」ムンズ

ガシャン

剣士「この空っぽになった宝箱に何か他のものを入れてみたらどうなるか」

剣士「何かないかな……」 ゴソゴソ

剣士「幸いにもあの子が色々持たせてくれたからな。単に自分が楽したかったからだろうけど……」ゴソゴソ

剣士「入れるならオーブと同じ重量のもの……」ゴソゴソ

剣士「ん?これは……ちょうどいい重さだ」

剣士「どうだろ?」スッ

ウイーン

剣士「やった!思った通りだ!」

剣士「でもこれは賢者様の……」

剣士「ええい仕方ない!後で死ぬほど謝ろう!」

剣士「ともあれ手に入れたぞ。緑色に輝くグリーンオーブだ」キラリーン

剣士「賢者様が持っていたのはたしかシルバーオーブだったか。伝承通り一つ一つ色が違うみたいだな」

───最上階

タッタッタッ

剣士「!?」ピタッ

剣士(あ、あいつが塔の怪物……?)

剣士(文献で見たことがある……ドラゴン……本物だ……)

剣士(ドラゴン族の中でも空を飛ぶスカイドラゴンか……なんてことだ)

剣士(私に勝てるのか……?)

剣士「!?」

剣士(いかん!二人が危ない!考えている暇はない!)

ダッ

剣士「やめろおおおおぉ!」

→前スレ>>50

前スレ>>61

───神殿・宿屋

剣士「今日は疲れたし寝ましょうか」

賢者「何をおっしゃる。夜はこれからだろ」

女「なんじゃ?何かあるのか?」

賢者「わしの取り巻きが差し入れを持ってきてくれるそうだ。ここは酒場もないからな。この部屋で祝杯をあげるとしようぞ」

女「おお、賢者という名前だけでも役に立つものじゃな」

コンコン

取り巻き「失礼します。お酒お持ちしました」ガチャ

賢者「うはっ、来た!わしが酒好きと言っただけなのに催促したみたいで悪かったな」

取り巻き「いえいえ、足りなかったら言って下さい。まだありますから」

剣士「うう、休みたい……2週間戦いっぱなしで、しかもついさっきまで塔の怪物とやり合ったばかりなのに……」

賢者「お主、わしには借りがあるだろ?今晩は付き合うまで許さんぞ」

剣士「え?そんなのありましたっけ?」

賢者「わしの日記帳をオーブの部屋から脱出するために置き去りにしてきた」

剣士「あ……」

賢者「あれはただの日記帳じゃないんだぞ?わしのこれまでの人生、考えを全て認めてきたものなのに……塔の最上階にもう取りに行けんよな?」

剣士「うう……」

賢者「魔法使い系と僧侶系の魔法を出す感覚の違いだって事細かにメモしたのに、忘れてしまったらどうしてくれるんだ?おい?」

剣士「申し訳ないです……」

女「お主の考えなんてどうせ大しものじゃないじゃろ。大事にしていた割に今晩付き合うだけでチャラにするくらいだし」

取り巻き(賢者様の日記……?)

───

女「うう……気持ち悪い……」

賢者「一杯飲んだだけで……弱くなったなお主……」

剣士「ここで嘔吐されても困るので介抱してきます」

賢者「逃げるなよ?」

剣士「に、逃げませんよ。はは……」ドキッ

女「吐く……」

剣士「待て待て!ここで吐くな!仕方ない、抱くぞ?」ヒョイ

剣士(軽い……こんな身体で……)

賢者「そんなやつ適当にして早く戻ってこいよ」

剣士(タチ悪いなもう!)

───

女「──────」

剣士「ふう、間に合った……ん?」


「本当だって!塔の最上階に賢者様の思想を認めた本が!」

「それが本当なら是非とも読みたいな。もしかしたら俺も賢者に……!」

「塔の怪物もいなくなったし見つけられるかも!」

「賢者の日記……いや、賢者様の所有物と知られるわけにはいかないからな。悟りの書とでも呼ぼう」


ワイワイガヤガヤ

剣士「悟りの書か……私が置いてきたものが、えらいことになってしまったみたいだ」

剣士「まあどうせ見つけられるわけがない」

剣士「最後に宝箱が見張りの魔物と共に落ちたと思われる場所に入る扉はなかった。隠し部屋みたいな場所だろう」

剣士「行くとしたら崩れた最上階からその場所へ落ちるしかない。自殺行為だ」

剣士「しかし今さら本当のことを教えるのも酷か……塔はそれほど危険ではないし、伝説として残すのも面白いかも」

剣士「それよりもう戻らないと賢者様に怒られる」

剣士「大丈夫か?そろそろ───」

女「zzz」

剣士「……また私が運ぶのか?」

今日は終わります
読み辛いですごめんなさい

FC版しかやってなかったけど、いまSFC版で悟りの書とるところまで来たよ
ポポタから兜ももらったよ
カンダタはなんか放置しててまだ倒していない

>>126
是非一人旅でカバを倒してみて下さい

検索して下さいごめんなさい

→前スレ>>64

前スレ>>66

───都会の街

賢者「すごいな。見るもの全てが新鮮だぞ」

賢者「こんな街がトラウマになるなんて可哀想なやつだ」

テクテク

賢者「お?」

賢者「ベリーダンス?面白そうだ」

賢者「いいぞー!脱げー!」

───

街娘「こんばんは。素敵なお兄さん」

賢者「ん?わしのこと?」

街娘「あなた以外に素敵なお兄さんは見当たりませんわ」

賢者「ふふふ、わかっておるな」

街娘「一回どうですか?」

賢者「どうって何を?」

街娘「あら、やっぱり旅の人ね?この街は初めてかしら?」

賢者「うむ、何かあるのか?」

街娘「やだなあ言わせるの?……ぱふぱふよ」

賢者「!?」

───

賢者「……危ない危ない」

賢者「これが例のぱふぱふ詐欺か……あやつのトラウマの原因……」

賢者「これは事前に知っておかないと騙されるわ。田舎者には遊ぶのも一苦労だな」

賢者「さて、次はどこへ行こうかな……」

賢者「……」

賢者「えっと、何しに来たんだっけ?」

賢者「あ、怪物の情報を集めるんだった」

賢者「酒場にでも行くか……」

───酒場

マスター「いらっしゃいませ」

賢者「安くてうまい酒を頼む」

マスター「承りました。この街は初めてですか?」

賢者「やっぱり田舎者だとすぐわかってしまうか」

マスター「誘惑溢れるこの街で、こんな小さな酒場に来るお客様は珍しいですからね」

賢者「そうなのか?ただ適当に選んだ店だったんだが」

マスター「この街の黒い匂いのする方は私の店には入りたがらない。店がお客様を選んでしまいましてね」

賢者「なんだ。結局自分の店の自慢か」

マスター「ふふふ、その通りです。さて、お待たせいたしました」スッ

賢者「ほう、なかなかいけるぞ」グビグビ

マスター「恐れ入ります」

賢者「ところでマスター、何か面白い話はないか?」

マスター「面白い話ですか……」

賢者「強い怪物の噂話などあったら嬉しいんだが」

マスター「そうですね。怪物の話はありませんが……少し趣向を変えて、とある勇者の物語でもいかがですか?」

賢者「勇者か……まあいいや。聞かせてくれ」

マスター「承りました。これは後の勇者となる少年のお話です」

───

偉大な父親の子として生まれた少年は、いつか父親を越えるだろうと世間の期待を一身に背負っていました

すくすくと成長を続ける少年ですが、やがて一人では乗り越えられない壁にぶつかってしまいます

しかし少年は苦労して壁を乗り越えることができました

力を貸してくれたのは突如現れた謎の女でした

どこからともなく現れた女

その女の正体は誰にもわかりません


女は少年の人生の道標となりました

そして少年は女に恋をした

「彼女にもう一度会いたい」

少年の旅の目的は魔王討伐ではなく、女を探すこと

それを知った神様は怒りました

少年は勇者となりました

けれど神様は認めませんでした

神様の怒りはあまりにも悲しい結末を引き起こしてしまいます


勇者は長い冒険の末、再び女に会うことができました

しかし、彼の目の前にいた女は変わり果てた姿となっていました

勇者は昔恋した相手だとは気づかずに、女を永遠に探し続けるのでした

───

賢者「……怖い話だな。それは実話なのか?」

マスター「それは女の正体同様、謎のままです」

賢者「ふーん……この辺りに伝わる昔話なのか?」

マスター「この辺りといってもこの店だけでしか聞けないお話です」

賢者「なんだよ、結局お主が作った話か」

マスター「ふふふ……謎のままということにしておいて下さい」

賢者「……もっと現実的ないい話が聞きたいのだが」

マスター「では勇者繋がりで……勇者様が冒険の旅に出ていることはご存知ですか?」

賢者「いや、田舎にいたからそんな情報は入っていないな」

マスター「魔王討伐のため、現在世界中を旅していますよ」

賢者「それは初耳だったな」

マスター「ふふふ、そのご一行が昨日までこの店にいたという自慢がしたかった」

賢者「ほう、すごい偶然だな」

マスター「あなた方には有益な情報かと思いますが」

賢者「そうか?まてよ……そうだな。どこへ向かったかわかるか?」

マスター「西と聞きました」

賢者「うむ、いい話をありがとう。またこの街に来たら寄らせてもらおう」

マスター「それはありがとうございます」

賢者「では……」ガタッ

賢者「……」

賢者「……次来るときまでに、とある賢者の話でも用意しておいてくれ」

マスター「ふふふ、お待ちしております」

→前スレ>>68

今日も短いですが終わります
トラウマを舐めてはいけません
ありがとうございました

乙です
時系列的になぜマスターが?と新たな疑問も出るけどそういうことだったのか……
まさかの打ち切り風味がそこまで深いとは思いもしなかったよ

ふふふ、前スレでは書きたいことがほとんど書けなかったからここでは新たな謎も盛り沢山にしていきたいです
打ち切りのように見えてありとあらゆるところに伏線を置いてきたのでよければ100回くらい見直してみて下さい

───西の国

勇者「従者はまだ来ないか?」

東の勇者「待ち合わせにはまだ時間があるぞ」

勇者「そうなのだが……」

東の勇者「じっとしていられないか?」

勇者「……」

東の勇者「わかったよ。先に出発していいぞ。従者には俺から言っておこう」

勇者「……すまない」

東の勇者「その代わり船は俺が使わせてもらうぞ」

勇者「ああ、俺はこの地域のまだ行っていない場所で情報を集めるよ」

東の勇者「そうだ、もう一度オーブの特徴を教えてくれ」

勇者「これくらいの大きさで、輝きは宝石よりも美しいと感じたな」

東の勇者「うーむ……やはりどこかで見たような気がするのだが思い出せん」

勇者「思い出したら教えてくれ。一人で深追いするな」

東の勇者「ああ、またここで会おう」

勇者「うむ、では先に行く」

前スレ>>70

───

剣士「うわ!猿だ……いやいや君のことじゃなくて」チラッ

女「わかっておるが……なぜ確認した?」

魔物「ウッホ!」

賢者「以前戦ったキラーエイプとは別の種だな」

剣士「こいつは……あばれ猿だ……!」

賢者「見たまんまかよ」

女「猿系の魔物は総じて力が強いから気をつけねばな」

剣士「だったら」ダッ

女(早い!)

ズバッ

魔物「ウッホ……」バタッ

剣士「攻撃に当たる前に倒せばいい」

賢者「やるな。塔を攻略してまた一段とレベルアップしたようだ」

女(おそらくもう、わしより強い……)

───山奥

青年「……はあ……」

青年「見つけてしまった……あの熊の怪物が入っていった……ここが住み処か……」

青年「どうしよう……村の皆には素手で倒してくるなんて言っちゃったけど……」

青年「まあ当然のようにこっそり武器は持ってきたけどさ……こんな鉄の爪なんか使っても無理なものは無理だよ……」

青年「……」ゴクリ

青年「一旦心を落ち着かせてこよう。近くに水辺があったな」

───

チャポン

青年「さて、どうしたものか……寝込みを襲う作戦でいくか」

青年「でもそうすると一瞬で倒さないと怒り狂うだろうし、反撃が怖いな……」

青年「毒針でも持ってくればよかった……ああ、素手で倒すなんて言わなければ……」


ザバーン


青年「なんだ!?魔物か!?」ビクッ


バチャバチャ


青年「いや、動物か……?こっちに来る……!」ドキドキ

女「しかし汗があんなに気持ち悪く感じるとは……」スイー

青年「ん?」

女「え?」

青年「猿……じゃない人間……?女か……?」

女「おお、人がおった!」ザバッ

青年「!?」

女「ラッキーじゃ───」

青年「きゃあああああ!」

女「うるさいな!急に叫ぶな!」

青年「は、はだ……あわわわわ……」

青年(は、初めて見た……///)ドキドキ

女「……おーい?」

→前スレ>>73

今日は終わります

前スレ>>80

───深夜

青年「zzz」

剣士「……おい」

青年「zzz」

剣士「なんて屈託のない寝顔なんだ……どうして今そんな顔で眠れるんだよ」

剣士「しかもいつの間にか彼女の近くに移動しているではないか。やはりこの人は彼女に気があるとしか思えない……」

青年「ぐへへ……お……おっぱ……女のおっぱ……」

剣士「は?」

青年「zzz」

剣士「寝言か……なんて下劣な。聞くに耐えんな」

青年「……もっとよく見せろや……」

剣士「まさか彼女のことを言っているのか?」

女「……いかん……」

剣士「えっ?」

女「zzz」

剣士「二人とも寝ているんだよな?なんで会話しているんだよ」

青年「……触らせろや……」

女「……女じゃない……」

剣士「女じゃない……?なんのことだ?それよりやたらと息が合っているなこの二人……まさか彼女もこの人のことが……?」

青年「……」スルスル

剣士「!?」

青年「ぐへへ……zzz」スルスル

女「zzz」

剣士「やめろ!」ガシッ

青年「……ちっ……zzz」

剣士「て、手が真っ直ぐ彼女の服の中に……本当に寝ているんだよな?どんだけ飢えているんだよ……」

女「zzz」

剣士「君は男に無防備すぎるし……襲ってくれと言っているようなものだぞ」

剣士「まあ、君を襲う人間などそうはいないと思うが」

剣士「大体触るほどの胸がどこにあるんだ……」チラッ

女「zzz」

剣士「いかん、失言だ。すまん。君と旅をし始めてからどうも調子が狂う」

剣士「それより私は眠いんだ。早く彼を起こそう」ユサユサ

青年「zzz」

剣士「……起きない」ユサユサ

青年「zzz」

剣士「なんで起きないんだよ。手を止めたことを根に持っているのか?自分が悪いんだろ」ユサユサ

青年「zzzzzz」

剣士「くそ、大声を出せば二人も起きてしまう。声を出さずになんとかして起こさなくては」ユサユサユサユサ

青年「zzzzzzzzzzzz」

剣士(くそおおおおお、起きろおおおおおお!)ユサユサユサユサユサユサユサユサ

→前スレ>>81

前スレ>>91

───山奥の村

青年「……」

青年「くそ、せっかく若い女が来たのに。あの剣士め、余計な邪魔を……!」

青年「見た目や性格はこの際置いといて、嫁にできるならしておきたかった……」

青年「村の女は皆出て行くか既婚者ばかりだし、また旅人が来るのを待つしかないか……」

青年「はあ……」

青年「……いや、だったらその前に僕が村を変えよう。若者が住みたくなるような村に!」

青年「年寄り用の武器しかないのもいけないと言っていたな……よし、毒針の生産を中止させてもっといい武器や防具を流通させよう」

青年「そして若者が憧れるような存在も必要だ」

青年「勿論僕がなるとしても、熊を倒しただけじゃちょっとインパクトがな……うまく素手で倒したことになってはいるが……」

青年「もっと武勇伝を作らないと……武勇伝武勇伝……」

青年「いっそのこと皆の前で瓦割りとか……ダメだ。失敗したら終わりだ」

青年「僕が得意なことなんて……人よりよく食べることくらいだし……」

青年「……」

青年「水を飲まずにつきたての餅を一気食いとかどうかな……」

今日は終わります

青年は元ネタのほうでも出ていた方です
元ネタでは死んでいるので何か適当な死因をつけた結果が……ごめんなさい
地の性格が底辺なのはやっぱりミスリードのためでした

山奥の村の回は話の中に入れなくても無問題でしたが、剣士が女を意識し始める場面が欲しかったので無理矢理出しました
ありがとうございました

───西の塔

勇者「ここが……有名な盗賊が住み処としている塔か」

勇者「こんな人里離れた場所で暮らしているんだ。一般人が知らない情報を知っていてもおかしくはない」

勇者「話の通じる相手であればいいが……」

勇者「行くか、シャンパーニの塔」

───

勇者「想像はしていたが、中は魔物だらけではないか」ズバッ

魔物「グギャアア……」バタッ

勇者「弱い魔物しかいない点が救いだな」ズバッ

魔物「グギャアア……」バタッ

勇者「こんな魔物だらけの場所を拠点にしているということは、やはり噂の盗賊もかなりの手練れということ」

勇者「気を引きしめて行かなくては」

勇者「しかしこのソードオブポカパマズ……いや、バスタードソードの攻撃力は凄まじいな」

勇者「これ以上強い武器など世界で見たことがないぞ。本当に鍛冶屋には感謝だ」

勇者「……と、あれよあれよという間に最上階か」

勇者「ここまで誰にも会わなかったからな。いるとしたらここしかない」

勇者「ん?この部屋は……」ガチャ

勇者「!?」

そういや、この勇者は鉄の斧を装備した半裸覆面マスクになるのか?

勇者「こ、これは……」

勇者「机、椅子、ベッドに絨毯……まさしく人間が暮らしている住まいではないか。それも上流階級の……」

勇者「どうやら間違いないようだ……ん?」

?「誰だ?お前さんは」

勇者「お初にお目にかかる。あなたが盗賊か?」

?「……そうだが」

勇者「あなたに用があって伺った」

盗賊「そうか。俺を捕まえにきたか」

勇者「いや、そうでは───」

盗賊「俺は捕まらない」ポチッ

ガタッ

勇者「!?」

ヒューン

ドサッ

勇者「うぐっ……こんな仕掛けを……」

勇者「やはり一筋縄ではいかないか。だが、これくらいで諦める私ではない」ダッ

タッタッタッ

勇者「おい……」ガチャ

シーン

勇者「いない……」

勇者「まだ遠くには行っていないはず……ん?ここから下へ降りられるのか……」

キョロキョロ

勇者「む、いた」

盗賊「げっ、もう来やがったか」

勇者「そこを動くな」ピョン

盗賊「飛び降りただと!?しまった!もう逃げ道が…………なんてね」ポチッ

ガタッ

勇者「!?」

ヒューン

スタッ

勇者「おのれ……まだ罠があったのか」

勇者「絶対に逃がさん!」ダッ

タッタッタッ

盗賊「早いな。どうやら只者じゃないらしい」

勇者「観念しろ」

盗賊「嫌だね」ダッ

勇者「待て!」ダッ

ガチャ

バタン

勇者「……怪しげな部屋に入っていったな。確実に罠だろう」

勇者「行くしかないのだが」ガチャ

勇者「……いない」

バタン

勇者「!?」

盗賊「はっはっは、簡単に引っ掛かりやがったな」

勇者「……閉じ込められたか」

プシュー

勇者「!?」

勇者「なんだ……ガスか……?」

盗賊「催眠ガスだ。眠ったら魔物のいる階まで運んでやるよ。最近餌が来なすぎて飢えているだろうからな」

勇者「それは困る」ガチャガチャ

盗賊「あー、無理無理。ここは特別な鍵がないと出られないぜ」

勇者「だったら悪いが無理矢理開けさせてもらう」

盗賊「え?」

勇者「ふん!」バキィ

盗賊「!?」

勇者「さあ、大人しく私の話を───」

盗賊「ちっ、なんてやつだ!」ダッ

勇者「聞けえ!」

───

ボオオオオオオ

盗賊「火炎を放射し続ける像だ。こちらには来られまい」

勇者「ふん!」バコォン

盗賊「像を壊した……」

───

ガタガタガタガタ

盗賊「吊り天井だ!」

勇者「ふん!」バコォン

盗賊「天井に穴が……」

───

盗賊「ほらほら宝箱だぞ」

勇者「む……」パカッ

魔物「グギャアアア!」

盗賊「バカめ!ミミックだ!」

勇者「ふん!」ズバッ

魔物「グギャアア……」バタッ

盗賊「……」

勇者「いい加減私の話を聞いてくれないか?2分だけでもいいんだ」

盗賊「……お前さんは俺を捕まえにきたわけじゃないのか?」

勇者「そうだ。私は───」

───

盗賊「なるほど……お前さんが勇者か。まあ納得だよ」

勇者「信じてもらう手間が省けたな」

盗賊「強い怪物か……」

勇者「聞いたことはないか?」

盗賊「まあな。俺はそういった情報には敏感なんだ。でないと生きていけないからな」

勇者「ということは知っているのか?」

盗賊「ああ、俺が知っているやつだと神殿の北の塔、最果ての南の洞窟、西の国の近海、辺境の地の無人島、砂漠の国の王家の墓、南の国の遺跡といったところだ」

勇者「そんなにか……最果ての南の洞窟の怪物は倒したな。ついでに言えばそこは崩れて洞窟は消滅した」

盗賊「マジかよ……」

勇者「助かるよ。君の情報は本物のようだ。聞いた場所全てにオーブがあるといいが……」

盗賊「ふん、お尋ね者の俺が世界を救う助けになるとはね」

勇者「最上階にあったものはやはり盗品なのか?」

盗賊「そうだ。俺は盗賊としてでしか生きていけないからな」

勇者「罠は全て君が造ったのか?」

盗賊「……俺を追ってくる連中は後を断たないからな。まあ最近はめっきり減ったが」

勇者「それだけ器用なら他の道でも生きていけそうな気はするが……」

盗賊「刺激のない生活はごめんだね」

勇者「……ならば私の協力者にならないか?」

盗賊「なに?」

勇者「私と一緒に世界を救うために働かないかと聞いている」

盗賊「わけのわからないことを言うな。なんで俺が……」

勇者「君の情報網とその器用な腕は私の力になってくれそうだ」

盗賊「へっ、勇者様ともあろうお方が罪人を味方に入れようってのか?」

勇者「盗品は勿論全て返してもらう。それから、もう罪を犯さないと誓うことが大前提だが」

盗賊「それで今までしてきたことを許してくれるほど世の中甘くないぜ」

勇者「君が手伝う気があるなら魔王討伐の援助をするということで、罪の償いになるよう国に交渉してみるが」

盗賊「そんなことが……」

勇者「あまりこういうことには利用したくないが、勇者は顔が利くんだ」

盗賊「……でも、どうせ断ったら俺を取っ捕まえて国に売り渡すんだろ?」

勇者「君には恩がある。今は何もしない。だが、次に会った時は敵同士だ」

盗賊「……」

勇者「……」

盗賊「へっ、面白いやつだな。わかったよ。お前さんと一緒にいたほうが面白そうだ」

勇者「そうか、ありがとう。面白いかどうかはわからないが、これは命を懸けた旅だということは覚えておいてくれ。おそらく君を危ない目に遭わせることはないが……」

盗賊「……まあ、ある程度は自由にやらせてもらう」

>>168
今のところ想像している勇者の装備

バスタードソード
皮の腰巻き
皮の盾

くらいです

───

勇者「今一番近い場所は西の国の近海か……西の国には何度も行ったが聞いたことなかったな」

盗賊「そいつはよく動くからな。昔から色んな場所で悪さしているって話だぜ」

勇者「なに……ではオーブを守っている怪物ではないのか」

盗賊「昔は西の国によく現れたらしいが……最近は聞かなくなったな。だが、おそらくそう遠くない場所にいると思う」

勇者「そうか……船は今他の者に使わせてしまっているからな。海に近い場所を探りながら情報を集めるか」

盗賊「オーブを持っていない可能性が高いのに倒しに行くのか?」

勇者「当然だ。放ってはおけない」

盗賊「へっ、さすが勇者様だね。俺も一緒に行ったほうがいいか?」

勇者「いや、まずは君の情報が確実なのか確かめる必要がある。だから君は別の場所に行ってくれたほうが効率がいい」

盗賊「おいおい、いきなり疑い始めたな」

勇者「信用していないわけではないが、洞窟の怪物のようにすでにいなくなっている可能性もある」

盗賊「うっ……たしかにそんなに新しい情報じゃないが」

勇者「だから他の場所でも確実に生息しているのか調べてきてもらいたい」

盗賊「ちっ、面倒臭えな」

勇者「こういうことは念入りに調べないと後で後悔することになる。怪物の情報が確かなら私ともう一人の勇者で向かい、戦う」

盗賊「随分慎重なことで」

勇者「後で後悔しても、遅いんだ……」

今日は終わります
わからない部分は聞いて下さい
答えにくい質問はうまく誤魔化します
ありがとうございました

───西の国

従者「勇者様はもう出発されたんですか?」

東の勇者「ああ、ただじっとしていることが苦痛らしい。本当に自分に厳しいやつだよ」

従者「そうですか……私がもっと早く到着していれば……」

東の勇者「気にするな。何か面白い話でもあったか?」

従者「砂漠の国・王家の墓に恐ろしい怪物がいるとの情報があります」

東の勇者「そうか……怪物はあいつでも苦戦したらしいからな。合流したら二人で一緒に戦うとして、まずはその情報の信憑性を確かめに行くか」

スッ

旅人「初めまして。勇者さんかい?」

東の勇者「ん?そうだが何か用か?」

旅人「やはりそうか。俺は特に目的があるわけではないが、世界中を旅している」

東の勇者「ほう」

旅人「勇者か……格好いいな。魔王を倒しに行くのだろ?色々話を聞きたいもんだ」

東の勇者「おお、私の格好良さに気づくとはお主も話がわかるじゃないか!なんなら一緒に魔王退治にでも行くか?」

旅人「え?いや、俺はそんなつもりじゃ……」

東の勇者「はっはっは、冗談だ!わざわざ死にに行くような旅になんて誘わんわ!」

旅人「ははは……」

旅人(なんだこの人……勇者のイメージが……)

東の勇者「話を聞きたいんだろう?まあ座ってくれ。たっぷり語り合おうではないか」

従者「……出発しましょうよ」

前スレ>>100

───

魔法戦士「へえ、あんたがあの賢者ねえ……」

賢者「サインいるか?」

魔法戦士「いらないよ。で、あんたも賢者並みにたくさんの魔法が使えると」

女「う、うむ」

魔法戦士「そんなに若いのに大したもんだ」

女「わ、わしは天才じゃからな。お主こそ同じようなものじゃろ。何回転職したんじゃ?」

魔法戦士「転職……?そんなのしたことないよ。あたいは最初から魔法戦士さ」

剣士「そうなのか?ならばよほどいい血筋に生まれたのだな」

魔法戦士「……」

女「?」

→前スレ>>101

前スレ>>116

───北の村・道具屋

女「どのような人物じゃった!?」

旅人「かなり陽気な兄ちゃんだったが、威厳は感じたな」

女「これは思わぬところから情報が出てきたな。感謝するぞ」

剣士「ああ、もう明日にでも出発できるな。しかし陽気か……私の想像していたイメージとは違ったな」

旅人「明日って、西の国への船はしばらく出ないぞ」

女「ん?歩きでは問題があるのか?」

兵士「関所で徴税される。一般人にはきつい額だぜ」

女「なに!?」

旅人「うむ、俺は船で越えてきた。そのほうが安上がりだし、何より早い。明日出発するのなら陸路のほうが早いだろうが……」

兵士「どうせ魔法の鍵なんて持ってないだろ?あれがあれば他の国の管理下の扉から行けるから関所なんてスルーだが」

女「そんな鍵聞いたこともない。どうするか……せっかく勇者の情報を得たというのに……」

兵士「たしか今の関所の番は俺の後輩だったな……」

剣士「本当か!?ならばあなたが斡旋してくれないか?」

兵士「そうだな……俺が紹介状でも書いてやれば通してくれると思うぜ。あいつはよく可愛がってやったからな」

女「助かったぞ。よろしく頼む」

兵士「ただし条件がある」

女「なに……まあ仕方ないか。お主もノーリスクというわけではないからの」

剣士「そうだな。できることなら何でもやろう」

兵士「酒場で暴れている海賊を捕まえてこれるか?」

女「なんじゃ。そんなことか」

剣士「どんな条件かと思ったら、普通にいい人じゃないか」

兵士「それを俺の手柄ということにして真相は他言無用。それが条件だ」

女「どこがいい人じゃ」

剣士「なんで一瞬でもこの人を信頼してしまったのだろう……」

踊り子「最低ね」

リア充「クズですね」

兵士「おっと、お前らも誰にも言うんじゃないぞ?それができなければこの話はなしだ」

女「仕方ないな。お主らも頼む。黙っていてくれ」

踊り子「あなたたちが言うなら……でも本当に勝てるの?」

女「うむ、多分」

リア充「勿論村のためなら黙っています。それより彼女に会いたい」

女「うむ、消えろ」

村娘「誰にも言いません。だから海賊をなんとかして下さい」

女「うむ、行ってくるぞ」

旅人「我ら道具屋同盟の名に懸けて約束は守る」

女「うむ、またここで会おう」

店主「道具屋同盟じゃないよ。早く酒場を空けてくれよ。商売の邪魔だ」

女「うむ、その前にこの服を買いたい」

店主「随分悩んで選んでいたな。だがさすがお目が高い。これは身かわしの服といって、相手の攻撃が避けやすくなる効果がある優れ物だ」

女「おお、やはりただのハイカラな服ではないと思っておったんじゃ。だったらあと5着は欲しいの」

店主「今から戦いに行くならこれに着替えてからがいいだろう。ちょいとオマケしておくぜ」

女「ありがたい。しかし、こんなときにも普通に接客するとはさすが優秀な道具屋じゃの」

剣士「なにのんびり買い物して称え合っているんだ!賢者様がやられていることはないと思うが逃がしてしまうかもしれないだろ!急いで捕まえに行くぞ!」

女「そうじゃったな。ちょっと待っていろ」ヌギヌギ

剣士「やめろー!///」

→前スレ>>117

前スレ>>121

───酒場

兄貴「うおおおおおお!」バッ

剣士「うわっ!」サッ

兄貴「ちっ、すばしっこいな。大人しく捕まれや」

剣士「あれがやつの攻撃の方法なのか?殴りかかってくるわけでもなく、まるで私に抱きつこうとしているように見えた」

賢者「抱きつこうとしているのだ」

剣士「やはり……絞め技主体ということか」

賢者「いや、目的はそうではないと思うが……捕まったらそこで終わりと思え」

剣士「わかっていますよ!」ダッ

賢者「と言いつつなぜ正面から!?」

兄貴「バカめ、もらったぁ!」バッ

ヒョイ

剣士「やああああ!」

バコッ

兄貴「ぶっ!」

賢者「おお!綺麗にカウンターが決まったな」

魔法戦士「すごい……」

兄貴「……へへへ、なかなか気持ちのいいパンチじゃねえか」

剣士「!?」

賢者「効いていない!?」

魔法戦士「あいつのタフさは尋常じゃないよ!」

兄貴「捕まえたあ!」ガシッ

剣士「しまった!」

兄貴「さあて……たっぷりと味わえ」ギン

賢者「あわわわ……や、やめろー!」

女「攻撃力上昇呪文」ボソッ

剣士「!?」ギュイーン

兄貴「うほっ!いくぜ!」

剣士「う……うおおおお」メキメキ

兄貴「なに!?」

剣士「ああああ!」バッ

魔法戦士「力ずくで振りほどいた!」

剣士「はあ……はあ……」

賢者「あ、危なかった……」

兄貴「てめえに……そんな力が……!」

剣士「私たちの力だ!」ダッ

兄貴「うおおおおおお!」

バコッ

老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374833811/)
コピペできているかは確認できないです

→前スレ 老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374833811/122/)
って事じゃないのかしら

>>207
それで大丈夫だが>>2の説明すら見れないのまで相手する必要無いだろ

>>208
しつこいけどもう一度確認させて下さい
ちゃんと貼れていますか?
できているようなら今後はそういう形で進めていこうと思います

>>209
ナイスフォローありがとうございます
見にくいのは自覚してますので改善できるところはしていきたいです

>>210
コピペは出来てるよ

スレのURL
老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374833811/)
にレス番 >>122 を付けてやってで

老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374833811/122/)
ってやると読みやすいのではないかなあと

ちなみに俺は>>206さんじゃないよ

ありがとうございます

───道具屋

女「うーん、今日は疲れたな。さっさと宿をとりに行こう」

剣士「私のほうが確実に疲れている。君をおぶって、買い物に付き合わされて、海賊と戦って……」

女「はいはい、御苦労じゃった。これでいいか?」

剣士「……疲れが吹き飛んだよ」

女「それより宿はどこにあるのかの?」

賢者「まだ探してなかったのか?」

剣士「ずっとここにいましてね……」

賢者「おいおい、空いてないなんてことないだろうな?」

女「大丈夫じゃろ。こんなド田舎に泊まる客などそうは……」

旅人「あ、俺は一部屋とってあるな」

村娘「私も宿屋暮らしなので一部屋……」

兵士「俺たち警備の人間も泊まっているぞ」

魔法戦士「……ちょっと急ごうか」

賢者「ここまで来て野宿は嫌だぞ」

女「いざとなったらこの道具屋にでも寝場所を見つけよう」

剣士「それは本当に最後の手段だろ!行くぞ!」

タッタッタッ

店主「……ん?今なんて言った?」

踊り子「それにしてもすごいわねえ。本当にあの海賊を捕まえてきちゃうなんて」

リア充「同じ旅人でどうしてこうも違うのか」

旅人「なんだと!?」

踊り子「この人みたいにのんびり旅行って感じじゃないものね」

旅人「お、俺をバカにしているのか!?」

踊り子「事実じゃない。悔しかったらあの人たちについて行ってみたら?」

旅人「い、いやそれは……」

踊り子「情けないわねえ……」

兵士「それよりお前らいいな?俺の手柄ってことにするの忘れるなよ?」

村娘「わかっていますよ。あの人たちがいてくれて本当によかった」

旅人「お、俺も頑張ったんだぞ……」

村娘「魔法戦士さん……強くて勇敢で格好良かったな……それに美人だし憧れます。まるで勇者様のよう……」

旅人「村娘さん、今晩一緒にお食事でもいかがですか?」

踊り子「どういうタイミングで口説いてんのよ」

リア充「はあ……あなたは女性を何だと思っているんですか」

旅人「なんだと!?まだわからんではないか!ねえ村娘さん!」

村娘「結構です」プイッ

踊り子「ほら見なさい」

兵士「ざまあ」

旅人「なんで、なんで!俺も勇気だして負傷までして頑張ったのにー!」


ワーワーギャーギャー


リア充「やれやれ……」

リア充「……」

リア充「そうだな……あの人たちなら……」

旅人「お、俺も頑張ったんだぞ……」

村娘「魔法戦士さん……強くて勇敢で格好良かったな……それに美人だし憧れます。まるで勇者様のよう……」

旅人「村娘さん、今晩一緒にお食事でもいかがですか?」

踊り子「どういうタイミングで口説いてんのよ」

リア充「はあ……あなたは女性を何だと思っているんですか」

旅人「なんだと!?まだわからんではないか!ねえ村娘さん!」

村娘「結構です」プイッ

踊り子「ほら見なさい」

兵士「ざまあ」

旅人「なんで、なんで!俺も勇気だして負傷までして頑張ったのにー!」


ワーワーギャーギャー


リア充「やれやれ……」

リア充「……」

リア充「そうだな……あの人たちなら……」

ミスです>>217>>218同じなのでどっちか無視して下さい

→前スレ>>124

老人「わしはピチピチギャルになりたいのう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374833811/)

前スレ>>142

───次の日・村の外

リア充「ここで待っていれば通るだろう」

リア充「もうあの人たちに懸けるしかない」

リア充「どうか僕を……僕たちを救いだして下さい」

リア充「あ、来た来た。早速───」

ゾクッ

リア充「……」

リア充「この気配は……あの人か……」

リア充「どうやらもうすぐそこまで来ているみたいだ……」

リア充「時間がない。急ごう!」ダッ

───森

女「zzz」

剣士「zzz」

リア充「色々ありがとうございました。僕は帰ります」

賢者「お、おう」

リア充「あの人と少しお話をしていくので、そのときにお二人の眠りも解いてもらいますね」

賢者「いいのか?本当に」

リア充「はい。後悔のない選択をしました」

賢者「しかし、彼女と別れるくらいなら死ぬとまで言っておったのに諦めるなんて……」

リア充「諦めましたよ。ただし諦めたのは彼女のことじゃない」

賢者「え?」

リア充「いえ……なんでもありません。本当にありがとうございました。あなたに認められて僕の心は救われた気がします」

賢者「……どんな道であろうとも幸せになれよ」

リア充「……」ペコッ

タッタッタッ

賢者「……」

賢者「……色々謎の多い男だったな」

ありがとうございます。そうさせてもらいます
あなたに救われた気がします

>>226
同じこと>>212で説明してくれてるんだけど……
ちなみに最後を/159-165/とかに変えると159~165を表示するようになります



ストーカー「彼らへの呪いは解きました。間もなく目覚めるでしょう」

リア充「ありがとうございます」

ストーカー「それにしても私がストーカーだなんて酷い言われようですね」

リア充「すみません。さすがに僕たちのことを理解してもらう時間もありませんでしたので……」

ストーカー「まあ、あなたがあの子を諦めてくれるならなんでもいいのですけれども」

リア充「……」

ストーカー「では私はもう行きます。二度と会うことはないでしょう」

>>228
ありがとうございます。使わせてもらいます
携帯からだと全部同じようにしか表示されないので気づけませんでした。言い訳すみません
>>212の人ありがとうございました。ポンコツですみません

リア充「……お義母さん」

ストーカー「あ?」ギロッ

リア充「ひっ……すみません……女王様」

ストーカー「……なんですか?」

リア充「僕は彼女を愛してしまったことを後悔していません。だから……すみません」

ストーカー「……?わけのわからないことを……」

───深夜・彼女の家

コソコソ

リア充「……起きてくれ」

彼女「……うーん……ムニャムニャ……」

リア充「……」

彼女「……ん?やだ、どうしたの?こんなところまで忍び込んで……お母様に見つかったりしたら……」

リア充「大丈夫。女王様はいないみたいだ。でももう時間がない」

彼女「えっ……」

リア充「どこか遠くへ行こう。こんなところから逃げ出して、二人で一緒に暮らすんだ」

彼女「……そっか。やっぱりそうなっちゃったか……」

リア充「ごめん。僕がもっとしっかりしていれば……」

彼女「謝らないで。これはしょうがないことなの。お母様も、君のご両親だって、絶対誰も認めてくれない」

リア充「そうだね……でも僕たちを祝福してくれる人もいるよ。きっとあの人たちなら」

彼女「あの人たち?」

リア充「後で話すよ。これからはいっぱい時間がある。誰にも気兼ねすることなく、朝から晩までいっぱいお話ししよう」

彼女「そっかー……そういうことになるんだよね……ふふ、楽しみ」

リア充「誰も起きないうちに出発しなきゃ。急いで抜け出そう。幸せへの第一歩だ」

彼女「うん……私もう十分幸せだなあ。こんなに愛してくれる君がいるんだもん」

リア充「僕もさ。僕たちは幸せにならなきゃいけないんだ。この先どんなことがあっても君を絶対放さない」

彼女「ありがとう。ずっと……愛しているからね」

リア充「僕もだよ……アン」

今日は終わります
最初からやり直したい
色々ありがとうございました


普通に前スレの内容も貼ったら良かったんじゃないか?
1スレに収まらなくなるとか?

いい話だったのに横やり入れて雰囲気台無しにしたてらすまん。終わるまで待てば良かった
アン可愛いよアン

リア充ってやっぱあそこの村の住人だったか

乙です
最初からってことは3周目への布石ですね期待します

>>235
それ思ったことあるけど内容的に安価の1レスだけじゃなく安価から数レスいる場合
ややこしくなるから止めたんだと勝手に解釈してた

>>235
理由はあります。1スレに収まらなくなる可能性もそうだし、>>238で書いてあることもそうだし、そもそも長文のコピペができないし……

>>236
個人的にはありがたいです。いつでも気にせずどんどん欲しいです

>>237
そうです

>>238
そんな気力が欲しいです

えらい練ってあるストーリーだったんだな感動するわwwリア充の株上がりすぎww
アドバイスとかは投下中は避けたほうがいいかもね
>>1が投下終了後まで無視してくれればいいけど

───数日後・北の村

魔法戦士「逃げられた!?」

兵士「不覚だった……あの海賊ども、いつの間にか縄を切っていたらしい」

魔法戦士「それであんたはやられて伸びていたってわけね……」

兵士「いや、今回はやられてないぞ。貞操は無事のようだ」

魔法戦士「は?」

兵士「そんなことより俺の手柄が……じゃなくて村は無事か?」

魔法戦士「いたって平和だ。こりゃ外に逃げられたね」

兵士「ああ……どうしよう……ただでさえ俺たちではどうしようもないのに仲間を連れて来られたりしたら……」

魔法戦士「嘆いていてもしょうがないだろ、情けない男だね。どうするか会議だよ!」

───道具屋

店主「だからなんでウチなんだ」

魔法戦士「集まったか……」ズン

踊り子「リア充の姿が見えないわね」ズン

旅人「放っておけ。所詮のろけ話しか能のないやつだ」ズン

兵士「ああ……やつの代わりなどいくらでもいる」ズン

魔法戦士(そういえば剣士たち見送った後、それらしき男がついて行ったような……)

スッ

村娘「お茶入りました」

魔法戦士「ありがと、気が利くね」

村娘「これでも現役酒場店員なんで。私にできることなんてこれくらいですし」

店主「じゃあ酒場行けよ。なんでウチの台所も使ってんだよ」

魔法戦士「おそらくあの海賊どもは村に剣士たちがいると思っているんだろうね。そうでなければ村から逃げる必要はない」

旅人「だとしたら村に戻ってこない可能性もあるわけだ」

兵士「それは困る。もう上に報告しちまったよ……逃げられたなんて知られたら……」

村娘「村の総意でありがたいですけれど」

踊り子「妙なのはあいつら海賊だっていうのに、たったあれだけの人数ということよね」

魔法戦士「そうだね。他に仲間がいるだろうとは思っていた。仲間を呼びに行ったってのが妥当な考えだろう」

踊り子「ただ村の近海に海賊船を見たという目撃情報がないのよね。それに仲間がいたとしたら、なぜあいつらだけ村に来たのか。それが引っ掛かるわ」

旅人「海賊というのが嘘ということも考えられないか?」

村娘「接触したとき潮の香りはしたので海にいたのは間違いないと思います。しかもあんな暴力的な人たちは海賊としか思えません」

魔法戦士「ああ、あたいも感じた。あれは汗の匂いとは違う」

旅人「しかし肝心の船が見当たらないんじゃあな……」

───森

タッタッタッ

海賊A「はあ……はあ……ここまで逃げれば……」

海賊B「追手は来ないだろうな……」

海賊C「休憩するッスよ」

兄貴「はあ……はあ……ちくしょう……なんで俺がこんな目に」

海賊A「もうじき海に着きますから」

海賊B「それまでの辛抱ですよ」

海賊C「船に戻ったらお頭に報告するッスか?」

兄貴「あまりあいつらの力を借りたくないのだが……」

海賊A「兄貴、前方に人影が!」

兄貴「ひっ!村のやつらが追ってきたか!?」

海賊B「落ち着いて下さい!村とは反対方向です!」

兄貴「そ、そうか。だったらビビることはねえ。追い剥ぐぞ!」ダッ

海賊C「兄貴は休んでいて下さいッス!」ダッ

兄貴「待てよ。俺にもぶん殴らせろ!ムシャクシャしてんだ!」


ダダダダ


勇者「む……」

───

海賊A「」

海賊B「」

海賊C「」

兄貴「ぐはあ……」バターン

勇者「いきなり襲いかかって来たんだ。これくらいの応報は当然だと思ってくれ」

兄貴「なんなんだ……なんで強いやつに最近出くわすんだ……」

勇者「さて、一応犯罪者だからな。しっかりと刑は受けてもらうぞ」

兄貴「頼む!これっきり心を入れ替えるから許してくれ!な!な!」

勇者「そんな都合のいい話が許されるか。私でなかったら被害が出ていた」

兄貴「そんなこと言わずに頼むよ!な!な!」

勇者「この近くに村があるはずだ。そこで引き渡す」

兄貴「そんなこと言わずに頼むよ!な!な!」

勇者「実は少し迷ってしまってな。ちょうど人影が見えたから尋ねようと思っていたんだ」

兄貴「そんなこと言わずに頼むよ!な!な!」

勇者「村の場所を知らないか?」

兄貴「そんなこと言わずに頼むよ!な!な!」

勇者「……」

兄貴「……」

勇者(こいつ、それでまかり通す気か……?む、よく見たら斧を片手にパンツにマントマスク姿……なんて前衛的なんだ。真似したくなるファッションセンスだ)

兄貴(ここは絶対引かねえ。ここで負けたら牢獄生活だ。なんとかして船まで辿り着かねえと……ん?よく見たらいい男だな。興味あるぜ)

勇者「本意ではないが仕方ないな。力ずくで……」

兄貴「わかったよ、観念した。村の場所は知っている。こいつら起こして一緒に行こう」

勇者「む……そうか。ところでその装備一式はどこで売っていたんだ?」

───海辺

勇者「おい、ここはもう海ではないか。村はもっと内陸にあったと思ったが」

兄貴「あれ?おかしいな。この辺だと思ったんだが。ちょっと周辺を探してくるぜ」

勇者「逃げても無駄だぞ」

兄貴「大丈夫、逃げねえよ。探してくる間こいつらが人質だ」

海賊A「そういうこと。ここで待っていましょうぜ、旦那」

海賊B「へっへっへ、俺たち物覚えが悪くてすいやせんね」

海賊C「ちっとも怪しくないッスよ」

勇者「……」

───

兄貴「バカめ、たっぷり後悔させてやる。そして終わったらたっぷり……うほっ、みなぎってきた」

兄貴「この辺だったかな?よし、これを使って……」スッ

カラカラカラカラ

兄貴「まったく不思議なものもあったもんだぜ。こんな骨で船が現れるんだもんな」


ズズズズズ


兄貴「おお、出た出た。ここでずっと彷徨っていてくれたか」


ズズズズズズズ


兄貴「段々はっきりしてきたな。もうちょっとだ」


ズズズズズズズズズ


兄貴「さあ、またお前らの力を貸してくれ」


ザッパアアアン


兄貴「俺たちの幽霊船よ」

今日は終わります
>>240
あれがリア充たる所以ですね
ありがとうございました

さあ……?変態の考えることはわかりません

───

ザッパアアアン


勇者「なんだあれは?」バッ

海賊A「船じゃないですか」

海賊B「へっへっへ、船だ」

海賊C「どこからどう見ても船ッスね」

勇者「先ほどまで近辺には何もなかったはずだ。いつの間に近づいた?あんな巨大な船に気づかなかったなどあり得ん……」

兄貴「がっはっは!待たせたな!」

勇者「貴様の仕業か?」

兄貴「その通りだ!がっはっは!」

勇者「やはり最初からそのつもりだったか……一体なんだそれは?何をした?」

兄貴「何って俺たちの船だよ。ただ他とはちょっと違うところがあってな。なにしろこの船は乗組員ごと闇の次元から来てくれた幽霊なんだからな!」

勇者「闇の次元だと……?」

兄貴「さあ、幽霊どもがお前の相手をしてくれるらしい。滅多に経験できることじゃねえから楽しんでいきな!」

勇者「!?」

勇者「……それは幽霊自体の意志なのか?」

兄貴「そりゃそうだ!闇の住人である前に海賊なんだからよ!」

勇者「それを聞いて安心した」

兄貴「あん?どういうことだ?」

勇者「手荒くなるが船ごと沈めて成仏させてやる」

兄貴「なに?」

勇者「真空呪文!」シュルルルルル


ゴゴゴゴ


バチバチバチバチ


メリメリメリメリ


海賊A「嘘!?」

海賊B「あ、嵐だ……」

海賊C「こいつとんでもねえッス!」

兄貴「うおお……すげえ……」

勇者「常世の住人が現世を彷徨うものではない!」シュルルルルル


カッ

勇者「なに!?」バッ


バリバリドゴオオオン


勇者「……」スタッ

勇者「なんだ……今のは……」

兄貴「がっはっは、よく避けたな!でもあんまり船をいじめないでやってくれや。頭が怒っているじゃねえか!」

勇者「頭だと?そいつの仕業か?」

兄貴「そうだ。あと二度と船を沈めようなんて思わないほうがいい。こいつは奴隷船でな、普通の人間の奴隷どもが混じっているんだ」

勇者「なんだと……?」

兄貴「嘘じゃねえぜ。証拠に一人連れてきてやった」ポイッ

ドサッ

奴隷の青年「……た、助けて……」ガタガタ

勇者「!?」

奴隷の青年「はあ……はあ……」ガタガタ

勇者「大丈夫だ。私におぶさっているんだ」ヒョイ

兄貴「さあ正義の味方さんよ!罪もない人間を巻き込んで続けられるか!」

勇者「おのれ……」ガシッ

海賊C「うわッス!」

勇者「一緒に来い!」バッ

海賊C「あ、兄貴ー!」

勇者「一先ず退散だ。こいつは預かる」

タッタッタッ

兄貴「ちっ、殺すんじゃねえぞ」

───森

海賊C「俺を人質にしてどうするつもりッスか!?ケツはやめてほしいッス!」

勇者「ケツ……?とりあえず近くの村に案内しろ。彼を休ませてあげたい」

奴隷の青年「はあ……はあ……」ガタガタ

勇者「すまなかった。もっと慎重に行動を起こすべきだった」

海賊C「あんなこと普通は思いつかないッスよ……」

勇者「その後は対策を練るため、洗いざらい情報を吐いてもらう」

海賊C「そう簡単には吐かないッスよ!海賊舐めんじゃねえッスよ!」

勇者「どっちだ」ギロッ

海賊C「あ……このまま真っ直ぐでいいッス……」

勇者(おそらく西の国の近海にいたという怪物の噂はやつらのことだろう)

勇者(奴隷……こんな人間がまだ何人も捕らえられているのか……なるべく急ぎたいな)


「……シクシク……」

勇者「!?」ピタッ

海賊C「い、今変な泣き声が……」

勇者「やつらが追ってきたのか……?」

海賊C「そんな早く追いつけるわけないッスよ……しかも今のは女の声ッス。俺たちの仲間の海賊は男しかいないッス」

勇者「ならば……ここで亡くなった者の霊か……?」

海賊C「なんで幽霊って決めつけてんスか!?感覚麻痺しちゃってんじゃないッスか!?幽霊なんてそう簡単にいるわけないッスよ!?」

勇者「貴様らの仲間が幽霊なのだろう?」

海賊C「俺たちが勝手に幽霊って呼んでるだけで、あれは人間とそんな変わらないッス」

勇者「そうなのか?だったら紛らわしい呼び名を付けるな」

海賊C「化物染みているんスよ。なんせ……」


「……シクシク……」

勇者「!?」

海賊C「また聞こえた!近いッスよ!」

勇者「こっちか……」ガサガサ

海賊C「い、行くんスか?」


「……タスケテ……」


海賊C「……はっきり聞こえたッスね」

勇者「助けを呼んでいるようだ」ガサガサ


「……タスケテ……」


勇者「近いな……」ガサガサ

海賊C「用心したほうがいいッスよ」

勇者「わかっている……む、いた」

?「ああ、こんなところで誰かと会えるなんて……精霊様の思し召しですわ……」

海賊C「綺麗な女ッスね……でも血まみれで埋まっているッス」

勇者「あなたは……?」

?「私はストーカー……もとい、エルフ女王です」

勇者「エルフか……なぜエルフがこんな森に?」

エルフ女王「ある目的のために外出して、帰る途中に綺麗な蝶々がいたので追いかけ回していたら、道がわからなくなってしまい彷徨っていました」

海賊C「女王様でドジッ娘ッスか……たまんないッスね」

勇者「それで……誰にこんなことをされたのです?」

エルフ女王「それが……」

エルフ女王「森で魔物に襲われ、一匹は呪い殺したのですが背後にもう一匹いたのに気づかず、思わず慌てて逃げようとしたら周りの蔦に絡まって身動きが取れなくなり、必死で解こうともがいていたら勢い余って転んでしまい、そのまま転がり回って逃げたらますます蔦が絡まって芋虫のようになってしまい、崖から転げ落ちて、その拍子に土砂が崩れてきて首から下が埋まり、それでも追いかけてくる魔物を呪いで眠らせることに成功したものの慌てていたので自分にもかけてしまい、しばらく眠っていたようなのですが落石がいくつか頭にぶち当たって、その拍子に目覚めたらこの状況だったのです……」

勇者「……」

海賊C「……」

エルフ女王「シクシク……」

勇者「これはドジで済ませていいのか……?」

海賊C「さらっと呪い殺したとか言わないでほしいッス……」

エルフ女王「お願いです。助けて下さい……シクシク」

勇者「わかりました……」

───

エルフ女王「ありがとうございました。ありがとうございました。このご恩は一生忘れませんわ」ペコペコ

勇者「それより頭が心配だ。かなり流血して……」

エルフ女王「ところどころ記憶がぶっ飛んでいますが、外傷は自分で治したので平気ですわ」

勇者「大丈夫なのかそれは……?」

海賊C「それにしても女王様自ら出向かなきゃいけないなんてエルフも大変ッスね。ある目的のための外出って何してたんスか?」

エルフ女王「それが……覚えておりません……きっとどうでもいいことなのでしょう」

海賊C「自分に起こったことはあれだけ鮮明に覚えていたのに……災難だったッスね」

エルフ女王「悪いことばかりではありませんでしたわ。ここからは綺麗なお星様がたくさん見えるのですよ。毎晩数を数えたりして……」

海賊C「毎晩って……どんだけ埋まってたんスか……」

エルフ女王「何か助けていただいたお礼がしたいのですけれども」

勇者「いや、結構です。それより早くエルフの里に帰ったほうがいい。女王が行方不明なんて騒ぎになります」

エルフ女王「それは大丈夫ですわ。何のためかは忘れましたが私外出癖があるので、里の皆も慣れていることと思います」

海賊C「エルフが大変というより、この人がトラブルメーカーのような気がするッス」

エルフ女王「それより何より里の場所が思い出せないのです。思い出すまでご一緒させて下さいな」

勇者「そういうことならば仕方ない。我々は近くの村に向かうので、そこまでは無事を約束しましょう」

エルフ女王「ありがとうございます。人間は優しいのですね」

今日は終わります
ありがとうございました

───北の村・道具屋

魔法戦士「わからないものを考えていたって仕方ないね。あたいらにできることは海賊が村にやって来たときのために備えておくことだ」

旅人「そうだな。結局それしかなさそうだ」

魔法戦士「でも仲間を連れて来るにせよ来ないにせよ、今のままじゃ戦力不足には変わりない」

踊り子「兵はもっと要請できないの?」

兵士「冗談じゃない!そりゃ俺の失態をバラせってことだろ!?」

魔法戦士「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!バカ野郎かあんたは!そのあんたの失態で村がピンチなんだよ!」

兵士「大体来るかもわからない海賊に対しておいそれと兵なんか出さねえっての。結構ぞんざいな扱いなんだぜ、この村」

村娘「そ、それは薄々感じていましたけど……」

踊り子「派遣されて来る警備兵のやる気の無さからもわかるわね……」

兵士「だけど今兵士なら俺の他にもいるだろ」

旅人「村の入口のところにいるやつらを合わせても3人ではな。兵士なんて皆同じような強さだろうし戦力とは言えんな」

兵士「雑魚にやられたお前が言うんじゃねえよ!」

旅人「黙れ!俺なんて村とは関係ないのに巻き込まれただけなんだぞ!」

村娘「巻き込まれただけなのですか……?」ウルッ

旅人「い、いや。俺はこの村が好きだ!なぜなら死ぬほどあなたが───」

門番兵士1「おい、逃亡していた海賊が来たぞ!」

魔法戦士「なに!?」

旅人「くそ!いいところで……じゃなくて何も準備ができてないのに!」

門番兵士2「大丈夫だ。もう捕まっている。旅の者が村に寄る途中、偶然捕まえたそうだ」

魔法戦士「えっ?」

兵士「ほ、本当か?よし、通してくれ」

店主「俺の許可は?」

───

海賊C「いやあ、お久し振りッスね」

兵士「なんだ……一人だけか」

勇者「すまない。一人を捕らえるだけで精一杯だった。まさか脱走犯だったとは」

海賊C「全滅寸前だったッスけどね」

踊り子「文句言ってんじゃないの!すごく有り難いことでしょ!」

魔法戦士「悪かったね、ウチの者が無礼を」

勇者「いや、それより彼を休ませてあげたいのだが……」

奴隷の青年「う……う……」ガタガタ

魔法戦士「あ、ああ。店の中に寝室がある。案内するよ」

店主「よく知ってるな。人ん家の間取りを」

エルフ女王「この村は……来たことがあるような気もするけれど思い出せませんわ……」

踊り子「エルフ……初めて見たわ。普通に混ざっているけどいいのかしら?」

村娘「たしかに……人間とはあまり仲が良くないと聞いていましたが……」

旅人「美しい!人間とは違った妖艶なオーラが眩しくて直視できませんな!」

踊り子「バカには関係ないみたいね……」

エルフ女王「まあ、ありがとうございます。でも人間も魅力的だと思いますわ」

旅人「俺が魅力的……そんなこと言われたの初めて……」

踊り子「あなたじゃなくて人間全体ね」

旅人「ふん、魅力のない人間なんていくらでもいる。たとえ君が目の前で寝ていたとしても俺は何もする気が起きないしな」

踊り子「なんですって!」

村娘「そんなこと言わなくても……」

旅人「村娘さんはとても素敵ですよ」

踊り子(ふーん、私ってそんなに魅力ないのかな……)

今日はこれで終わりです
ありがとうございました

───

旅人「闇の世界の海賊か……そんなものが存在するなんてな」

踊り子「でも謎が解けたわね。あいつら船を自由に出したり消したりできるってことでしょ」

兵士「便利だな。逃げ放題じゃねえかよ」

海賊C「幽霊は俺たちと違って気性が荒いッスよ。村は滅ぼすためにあると思っているような連中だから、おそらく今夜中にはここにも襲撃に来るッス。幽霊は勿論、奴隷どもも加わるはずッス」

兵士「なんだって!?くそ、事態は思っていたより深刻な状況じゃねえか」

踊り子「奴隷どももって……さっきの人は一般人だったんでしょ?そんな人も加わるの?」

海賊C「脅して無理矢理参加させるに決まってるッス」

魔法戦士「……奴隷……」

勇者「一般人がいなければ私一人でどうにでもなるものを……」

海賊C「言っておくけど俺たちの仲間はめちゃくちゃ強いッスよ。お頭にいたってはあんたより上だと思うッス」

勇者「なに?」

海賊C「俺たちが仲間を幽霊って呼んでいる理由……あいつらは不死身なんス。死なないんスよ」

勇者「!?」

踊り子「嘘でしょ……」

旅人「そんな人間が存在するのか!?」

海賊C「だから幽霊なんスよ」

兵士「ダメだ……村は潰される。逃げる準備をしたほうがいい」

奴隷の青年「うう……お願いします……仲間を助けて下さい……」ヨロッ

魔法戦士「あんた、起き上がって平気なのかい!?」

奴隷の青年「身体は大丈夫です……」

海賊C「闇は飯食わなくても生きていられる世界だから体調面は心配ないッスよ。それより精神的にやられているんスよ」

勇者「無理もない。あの環境下で強制労働を強いられた挙句、闇の世界へ送られているのだからな」

奴隷の青年「……」

勇者「それもこいつらの都合で現世と闇を何度も往復しているのだ」

海賊C「たしかに、一回興味本意で船に乗って闇に行ったんスけど、あの感覚はもう味わいたくないッスね。並の人間の精神じゃ立ち直れ───」

バキッ

海賊C「ッぶべら!」ガシャーン

店主「ああ……陳列されている商品が……」

魔法戦士「……」

兵士「魔法戦士?」

村娘「ど、どうしたんですか……?」

魔法戦士「あんたらは許せない……そうやって罪もない人間を奴隷にして……使えなくなったら殺してまた別の人間を襲い……」

勇者「おい……?」

魔法戦士「逃げ出した奴隷は地獄の果てまで追いかける……まるでゲームのように、人の命を玩具のように……!」

海賊C「痛た……随分俺たちのやり方に詳しいッスね。ひょっとしてあんたも元奴隷───」

バキッ

海賊C「ッぶべら!」ガッシャーーン

店主「ああ……罪もない商品が……」

魔法戦士「……」

兵士「怖え……」

勇者「少し落ち着いてくれ」

魔法戦士「……あんたに聞きたいことがある。頭ってのはどんなやつだ?」

海賊C「痛た……俺たちも詳しいことは知らねえッスよ。たまたま見つけた骨が幽霊船を出す道具だっただけッス。俺たちは元々海賊でもなかったッスからね」

魔法戦士「あんたの話はどうでもいいんだ。知っていることを教えろ」

海賊C「へえ、聞いただけの話だと過去は有名な悪党だったらしいッスね」

魔法戦士「子供は……いたのか?」

海賊C「子供はなかなかできなかったらしいッスね。奴隷との間に一人だけやっと生まれたけど不幸なことに女の子だったらしいッス。そんで生んだ女は殺したらしいッス」

魔法戦士「……」ギッ

勇者「……」

海賊C「仲間の話だと結構な上玉だったらしくて勿体ない話ッスよ。赤ん坊は知らないけど殺したんじゃないッスか?それからずっと子供はいないらしいッス」

魔法戦士「……そうか」

村娘「酷い……」

踊り子「本当にね……ずっとそんなやつらの言いなりなんて可哀想」

兵士「気持ちはわかるが、このままじゃ村の人間も殺されるか捕虜となるかだろ」

奴隷の青年「もう奴隷生活も……あの暗闇の世界に戻らされるのも嫌だ……!」ガタガタ

勇者「……」

魔法戦士「やろう。この人たちを救いたい。あたいは一人でも戦う」

旅人「勝算はあるのか?」

魔法戦士「わからない。でもこのまま放ってはおけないよ!」

勇者「私も勿論戦う。だが村を襲われてはひとたまりもない。こちらから攻めるしかないだろう」

魔法戦士「あんた……」

勇者「囚われている人間を救い出すことが最優先だが……」

エルフ女王「あの……よろしいですか?」

勇者「何か案が?」

エルフ女王「いえ、そのことについてお話ししておかなくてはならないことがあります」

勇者「……なんでしょう?」

エルフ女王「その幽霊と呼ばれる闇の海賊を生み出したのは……」

エルフ女王「……私です」

今日は終わります

勇者「なっ!?」

海賊C「マジッスか!?」

魔法戦士「……」

エルフ女王「十数年前、エルフの里は海賊に宝物を狙われました」

旅人「海賊とはまさか……?」

エルフ女王「はい。元々彼らはこちらの世界の海賊だったのです」

勇者「……」

エルフ女王「私たちは彼らの武力に太刀打ちすることはできませんでした。宝物も奪われ、里は崩壊寸前に陥ったのです」

兵士「うわあ……やっぱり危険なんじゃねえかよ」

海賊C「初耳ッスね。宝ってそんなに価値のあるものなんスか?」

エルフ女王「……はい。しかしそれは人間が持っていても意味のないもの。私たちエルフの力がないと効力を発揮できないと知った海賊は私の娘に目をつけました」

旅人「なんだと……あなたに子供がいたのか……じゃなくてとんでもないやつらだ!」

海賊C「どんなお宝なんスか?」

エルフ女王「それは……」

海賊C「教えてくれッスよ!」

バキッ

海賊C「ッぶべら!」ドンガラガッシャァァァン

魔法戦士「あんたは黙ってな……」

店主「くそ……!」ドン

海賊C「痛た……あの姉ちゃん手が早すぎるッスよ」

村娘「あなたがいると話が進まなそうだから店の奥に行きましょう」

海賊C「おふっ、奥で何するッスか?」

村娘「手当てです。私にできることはこれくらいですから」

店主「だったら崩れた品物の片付けを手伝ってくれるかな?」

海賊C「……俺は敵ッスよ。なんであんたが?」

村娘「敵であれ傷ついた人を見過ごせません。だからと言ってあなた方を許したわけではありませんから」

海賊C「あんまりお人好しだと間抜け見るッスよ」

村娘「そうですね。言いたいことがあるなら続きは向こうに行ってから聞きますよ」グイッ

海賊C「あ、ちょっと!俺もお宝の話聞きたいッスよ!」ズリズリ

旅人「羨ま……けしからんやつだ」

エルフ女王「すみません。これはまた争いの原因になる恐れがあるので人間には知られたくないこと。特に今のように悪用しそうな方には……」

魔法戦士「わかっている。気を遣ってくれた村娘ちゃんに感謝だね」

エルフ女王「こんなことになってしまった責任は私にあります。あなた方にはお話ししますが……」

踊り子「勿論誰にも言いません」

兵士「そ、それほどまでにすごいものなのか」

エルフ女王「……エルフの里に伝わる宝物の名前は夢見るルビー」

エルフ女王「使用者の夢を現実に変えてしまう力を持った宝石です」

兵士「なにそれすげえ」

旅人「そうか……そのようなもの、使用する者次第では世界がひっくり返ってしまうな」

勇者「精霊に認められたエルフにだけ持つことが許されたアイテムというわけか。エルフなら自らの欲のために使用することはない」

エルフ女王「……いえ。私は己の欲のために、彼らの夢を現実にしてしまいました」

踊り子「えっ?」

旅人「まさか……」

エルフ女王「彼らの望みは永遠に大海を支配し続けたいということ。娘が拐われ、脅された私は……彼らに不死の身体を与えてしまったのです」

勇者「……」

兵士「マジか……」

エルフ女王「ですが、その海賊たちを野放しにしておくことはできませんでした」

エルフ女王「里、更には世界の危機を感じた私は彼らを『闇』という異次元に閉じ込める呪いをかけた」

エルフ女王「そして彼らは永遠に闇を彷徨うことになったのです」

エルフ女王「神に逆らうような、命を弄ぶ行為に手を貸してしまった」

エルフ女王「それ以来、私はルビーそのものを禁忌とし、里の復興にも使用することはありませんでした」

勇者「……」

魔法戦士「……」

踊り子「……」

兵士「……」

旅人「……現実離れしすぎていてついていけない……」

海賊C「随分静かになったッスね。話は終わっちゃったッスか?お宝はなんだったッスか?」ヌッ

村娘「空気読みましょうよ……戻りますよ」

踊り子「大事な部分は終わったから大丈夫よ」

魔法戦士「ありがとうな村娘ちゃん。あんたががいてくれて良かったよ」

村娘「い、いえ。お役に立てたのなら……」キュン

海賊C「なんだ……つまんないッスね」

奴隷の青年「そんなことがあったなんて……」

エルフ女王「闇に閉じ込めたときに罪もない人間が一緒にいるとは思いませんでした。あなた方には非常に申し訳なく思っております」

奴隷の青年「元々奴隷として闇に閉じ込められた人たちはあの世界に耐えられず……生き残っている人はほとんどいません……」

海賊C「今の奴隷は俺たちが幽霊を復活させて以降捕まえたやつらばかりッスね」

奴隷の青年「僕はあの船に囚われてから日が浅いのであなたに謝られても……」

エルフ女王「いえ、原因を作ったのは私です。闇に閉じ込められることがどれほど辛いことか……」

海賊C「そういやお頭たちも闇の世界に閉じ込めれられた時は気が狂いそうになったらしいッスね」

魔法戦士「……」

海賊C「最初は仲間もたくさんいたらしいッスけどほとんどが廃人になっちまって、闇で捨ててきたとか」

旅人「そいつらは死ぬこともできず、闇のどこかで生きているんだよな……」

勇者「肉体が不死身でも精神が追いついていないのであればそうなるだろう。地に足がつかないほど高い理想……いや幻想に支配されてしまった結果だ」

兵士「今、幽霊は何人残っているんだ?」

海賊C「お頭の他に残っているのは精神力が半端ない幹部10人だけッスけど、こいつらがまた強い」

踊り子「でも、どうしてそこまでして封印した海賊が蘇ったの?」

エルフ女王「先ほどお話に聞いた骨の存在が誤算でした。私の呪いから解放してしまう道具なんて信じられませんわ」

海賊C「俺たちは船乗りの骨って呼んでるッス」

旅人「船乗りの骨……闇の海賊を蘇らせるだけに存在する道具なのか……」

兵士「ということは海賊の封印後、誰かが作った?そんなもの一体誰が……?」

勇者「……魔王」

踊り子「えっ?」

魔法戦士「魔王だって!?」

勇者「そんなものが作れる存在は他に考えられない」

兵士「おいおい、ただでさえどうしようもないのに魔王まで出てきたんじゃ絶体絶命だぞ」

勇者「いや、魔物が関わっていないところを見ると大丈夫だろう。船乗りの骨を作った後、どういう経緯かわからないが人間の手に渡ってしまった」

海賊C「お、俺たちはたまたま拾っただけッスよ!」

勇者「今はおそらく諦めたか……いや、探索中と考えるのが妥当か」

海賊C「ママママジッスか!?俺たちが持っているって魔王に知られたらやばいじゃないッスか!?」

勇者「そうだ。そんなものは即処分してしまったほうがいい」

旅人「それでもあんたの推測でしかないだろう?ここが魔王に目をつけられない保障はない!」

勇者「そのときは私がなんとかする」

村娘「なんとかって……あなた一体……?」

勇者「……私は勇者。魔王を滅ぼすことが私の使命だ」

今日は終わります
ありがとうございました


店主が何したんだよww

きっと>>1は店主に何度も殺されたんだなwwww

魔法戦士「ゆ、勇者!?」

エルフ女王「まあ」

踊り子「本当に!?」

村娘「あなたが……勇者樣?」

兵士「こりゃラッキーだぜ!なんとかなるかもしれねえ!いや、勝ったも同然だ!」

奴隷の青年「勇者……」

海賊C「俺たち勇者を相手に追い剥ぎしようとしてたんスね……最初に教えてほしかったッス」

店主「あんたが今座っている椅子にサインしてくれ!」ガタッ

旅人「あれ?俺は西の国で別の勇者に会ったぞ。あっちはなんなんだ?」

勇者「おそらくそれは私の仲間、彼も本物の勇者だ。勇者は特別な血をひいた者だけがその資格をもつと云われている。私一人だけではない」

旅人「そうだったのか。だったらあの人にも助けてもらいたいな」

勇者「すまない。今は別で行動している。決戦が今夜ならば間に合わないだろう」

旅人「でも味方は多いほうがいい。勇者は他にもいるのでは?」

勇者「……」

魔法戦士「無理強いしてもしょうがないだろ。呼べるならそうしてくれるはず。この人にも事情があるんだ。わかってやりなよ」

勇者「……すまない」

旅人「あれ?俺は西の国で別の勇者に会ったぞ。あっちはなんなんだ?」

勇者「おそらくそれは私の仲間、彼も本物の勇者だ。勇者は特別な血をひいた者だけがその資格をもつと云われている。私一人だけではない」

旅人「そうだったのか。だったらあの人にも助けてもらいたいな」

勇者「すまない。今は別で行動している。決戦が今夜ならば間に合わないだろう」

旅人「でも味方は多いほうがいい。勇者は他にもいるのでは?」

勇者「……」

魔法戦士「無理強いしてもしょうがないだろ。呼べるならそうしてくれるはず。この人にも事情があるんだ。わかってやりなよ」

勇者「……すまない」

ミスです
>>301>>302同じです。どっちか無視して下さい

旅人「いや、こちらこそ悪かった。だが、あなた一人いるだけで十分だ」

勇者「このケースは私一人ではどうしようもない。皆の力を貸してほしい」

兵士「ああ、勿論だ。勇者と一緒に戦えるなんて国中のやつらに自慢しても収まりきらねえしな」

魔法戦士「あたいもやるよ」

旅人「お、俺だって戦うぞ!」

踊り子「私は戦闘はちょっと……」

村娘「私も野蛮なことは……でもできることならなんでもやります!」

勇者「ありがとう。戦闘を行うばかりが力ではない。とても心強く思う」

村娘「勇者樣……」キュン

旅人「お、俺だって戦うぞ!」

村娘「聞きましたよ」

旅人「……大事なことなので」シュン

勇者「では作戦を立てる前に聞いておきたいことがある」

兵士「作戦か。本格的になってきたな」

勇者「海賊は頭と幹部10人と貴様を抜いた生身の海賊3人を足して14人。あとの構成人数は?」

海賊C「あとは奴隷ッスよ。奴隷の数は男19人と女1人の20人。闇の世界では全く女が欲しくならないんスよ」

旅人「そうなのか……ある意味可哀想だな」

魔法戦士「何言ってんだ。女にとっては救いだろ」

海賊C「あ、あとお頭の側近の女が1人。この人は幽霊以外で最初に闇に閉じ込められた唯一の生き残りッスね」

踊り子「女性なのにすごい精神力ね」

海賊C「そこがお頭に気に入られているッス」

勇者「村に攻めてくるとしたら全員で来るのか?」

海賊C「いや、お頭はいつも船に残るッス。残りの10人と奴隷数人で侵攻するのがパターンッスね。俺たち生身の海賊は自由にやらせてもらってるッス」

旅人「敵なのにペラペラよく喋るやつだな……」

勇者「船乗りの骨は誰が持っている?」

海賊C「闇の世界に持っていくことはできないから兄貴がいつも持っているッス」

勇者「それを使えば再び闇に帰すことはできるのだな?」

海賊C「幽霊が全員船に乗っている状態であれば帰すことはできるッス」

勇者「やつらは闇に帰ることに抵抗はないのか?」

海賊C「お頭たちは今や闇の住人なんで向こうにいるほうが心地いいらしいッス。たまに俺たちが呼び出したいとき……適当にこっちの世界に来るのが丁度いいみたいッスね」

勇者「そうか。だがもうやめたほうがいい。魔王に狙われることになる。渡してもらおう」

海賊C「でも……お頭を裏切ることになるんスよね。お頭も魔王と同じくらい怖いッス」

勇者「そんなことを言っている場合ではない。魔王が船乗りの骨を作ったということは、闇の海賊の力を利用したいと思っているはずだ」

海賊C「もしそれが本当なら……」

勇者「貴様らは魔王側の人間になる」

海賊C「それは無理ッス!」

勇者「だろうな。魔王が貴様らを生かしておく保障がない。今のうちに幽霊を永遠に闇に閉じ込めておければ怖くないだろう?」

旅人「なるほど、船乗りの骨があれば戦わずに済みそうだな。あのパンツマスクを説得できれば……いや、できずともうまく奪えればいいが……」

兵士「全員が船にいないとダメなんだろ?救出する人間も一緒に船の中にいると難しそうだな」

エルフ女王「海賊を闇に送るだけなら船に乗せなくとも私にできます」

兵士「そうか、こっちには女王樣がいるんだ。また封印してもらって、その後だったらいつでも骨を奪えればいいな」

海賊C「でも、また魔王が新しく船乗りの骨を作ったら意味がないッス!」

勇者「それまでに私が魔王を滅ぼす」

村娘「格好いい……」キュン

旅人「お、俺だって頑張るぞ!」

勇者「では救出する人間だが……」

奴隷の青年「奴隷の仲間は全員助けてあげたい」

兵士「だって奴隷の中には罪人もいるんじゃねえのか?いいのかよ」

奴隷の青年「罪人といっても生きるために盗みをしてしまった人とか、普通ならもう刑期は終わっているような人たちばかりなんです。勿論反省もしている。皆、根はとてもいい人たちなんです」

勇者「勿論だ。闇の住人でないのならたとえ重罪を犯した人間でも助ける」

奴隷の青年「あ、ありがとうございます!」

勇者「君にも協力してもらうぞ」

奴隷の青年「はい!あと、側近の女性の人も僕たちにはとても優しくて……僕たちと同類に見えるんです……彼女も船から降ろしてほしい」

海賊C「俺にはそうは見えなかったッスけどね。あの人も結局闇の住人ッスよ」

勇者「わかった。では作戦を言う。各々頭叩き込んでくれ」

今日は終わります
ありがとうございました

>>298
>>299
道具屋の店主に罪はありません。恨みもありません
ただ元ネタの道具屋にはテーブルやら椅子やら丁度いいたまり場スペースがあったので自然に皆集まってしまったということにしておいて下さい
店主の扱いはやり過ぎでした。店主ごめんなさい

乙です
何気に1エピソードのボリュームとしてはシリーズで一番長くなりつつある?

2重投稿とかはみんな慣れてるから気にしなくて良いかと

登場人物が増えてきたな

>>312
きっと長くなりますね。ここまでももっと長くなりそうなのを説明口調で会話して無理矢理短くした感じです

>>313
ここで名前が出てきた人物現在地まとめておきます

北の村
・勇者
・魔法戦士
・旅人
・兵士
・踊り子
・村娘
・奴隷の青年
・エルフ女王
・海賊C
・店主
・門番兵士1、2
・リア充(離脱)

幽霊船
・お頭
・側近
・幹部10人
・兄貴
・海賊A、B
・奴隷20人


女、剣士、賢者は西の国へ移動中

───海岸

旅人「あれがやつらの船か……でかいな」

兵士「まだやつらは船の中みたいだな」

勇者「では最後にもう一度作戦を確認しておく」



?船が見える場所で勇者、魔法戦士、エルフ女王、旅人、兵士、奴隷の青年が隠れて待ち構える。

?海賊が村に向かうために出てきたら、幽霊に対してはエルフ女王が闇へ封印していき、生身の海賊もいる場合は勇者が捕らえる。

?残された奴隷は幽霊が消えるので混乱する。それを魔法戦士、旅人、兵士、奴隷の青年が誘導し、村へ集める。

?村では踊り子、村娘が先導して奴隷を受け入れる準備を進める。

?勇者は船に乗り込み、幽霊以外の人間を連れて脱出する。

?全員降りたらエルフ女王が船ごと封印する。

ミスです
?は上から123456です

兵士「完全に勇者ありきの作戦だよな……」

勇者「これは女王樣がカギになる。よろしく頼みます」

エルフ女王「はい、任せておいて下さい」

奴隷の青年「僕は乗組員全員の顔を覚えているから数の確認は大丈夫です」

勇者「まあ、うまくいけば危険なことはない」

兵士「俺たちに危険なことはないと思うが……すまないな。村に関係ないあんたに一番危険な役割を任せちまって」

勇者「いいんだ。私は世界中の人々の想いを背負う宿命にある。これくらいの危険はいくらでも経験してきた」

旅人「格好いい……」

勇者「君たちこそ村の人間ではないのだろう?それなのに命を懸けて守ろうとしている。私と何も変わらない」

兵士「へへ、やめてくれよ。あんたは世界を軽々と背負えるが、俺たちなんて村一つの重みで潰れちまう」

勇者「軽々と、か……」

旅人「それに俺たちにとってもうあの村は命を懸けて守るものなんだ。なあ、魔法戦士……」

エルフ女王「彼女ならお花を摘みに行きましたよ」

兵士「あれ?いつの間に……」

エルフ女王「随分前ですけれど野暮かと思い黙っていました」

旅人「それにしたって遅くないか?」

勇者「……まさか!?」

───船

魔法戦士「皆、ごめん……あたいはどうしても……」

魔法戦士「村へ襲撃するのはまだみたいだね。このまま見つからないように船長室へ……」

魔法戦士「作戦は破綻だね……でもあたい一人いなくてもうまくいくよ。村を守るために皆こんなに一生懸命なんだ」

魔法戦士「それになんてったって、あたいらの仲間には勇者がいるんだし」

魔法戦士「仲間か……いいもんだよね。男とか女とか関係ない。こんなに頼れる人たちと出会えることができて良かったよ」

魔法戦士「……最後にこんなこと気づくなんて勿体なかったな……」

勇者「最後にする必要はない」スッ

魔法戦士「あんた……」

勇者「作戦前に勝手な行動……慌てたぞ。ここに一人で来るのがどれほど危険なことか……」

魔法戦士「すまないと思っているよ」

勇者「やつらは不死身だと聞いたはず。それでも行くのか?」

魔法戦士「ああ。どうしても頭に一泡吹かせてやりたい。せめて一発でもぶん殴ってやらなきゃ気が済まないよ」

勇者「そうか……」

魔法戦士「……」

勇者「……やはり君は頭の娘か」

魔法戦士「!?……気づいていたのか……やっぱりあんたは只者じゃないね。参ったよ」

勇者「あの話を聞いている君の様子はおかしいと思っていた」

魔法戦士「……」

勇者「しかしこれは村の命運を懸けた重要な作戦。遂行してくれると思ったが、それほどまでに憎む相手だったとはな」

魔法戦士「……」

勇者「差し支えなければ何があったのか話してくれないか」

魔法戦士「……」

勇者「……」

魔法戦士「そうだね……そう、あたいはそいつの娘。さっきも聞いただろうが母親はあたいを産んだ直後殺された」

勇者「ああ、そこまでは」

魔法戦士「その後、あたいも殺されそうになったらしいんだが、母親と同じ奴隷だった人が寸前で助けてくれてね、逃げ延びた後も赤ん坊のあたいを育ててくれた」

魔法戦士「その人があたいにとっての母ちゃんだ───」

今日は終わります
ありがとうございました

乙です
>>314の短くしたってのも考慮したら
今更ながらこの辺りのエピソードは番外的な別スレとして投稿しても
余裕で1本成立してた気がするだけに勿体無く思えてくる

>>324
そーですね。そのやり方はいいですね。幅が広がったかもしれない
でも一足遅かった
もうやっちゃったんで……諦めて続けます
そういった意見をくれるのは有り難いです
ちゃんと読んでくれているって実感もできるので有り難いです

急にドラクエらしさがなくなったかも
でもキャラが一人一人しっかりしてる分団体戦でもごちゃごちゃしなさそう
こんな感想しか書けんが

───十数年前

魔法戦士『ごちそうさまー』

魔法戦士『母ちゃんも早く食べちゃいなよ。あたいが片付けるからさ』

魔法戦士『え?ホントにもらっていいの?全然食べてないじゃん』

魔法戦士『えー、またつまみ食いしてたの?ずるいよー』

魔法戦士『もう、食料の減りが早いと思ったんだ』

魔法戦士『なに笑ってんの!悪いことしたら謝るの!』

魔法戦士『もう……』

魔法戦士『いいよ。母ちゃんの笑う顔見てたら怒る気も無くなったよ』

───

魔法戦士『母ちゃん……なにしてんの……?それ、あたいらの食料だよね……?』

魔法戦士『ダメだよ!なんで見ず知らずの人に分けてんだよ!』

魔法戦士『あたいらも食料には苦労してんだぞ!』

魔法戦士『え……?』

魔法戦士『ずっと……?じゃあつまみ食いしてたってのは……』

魔法戦士『……』

魔法戦士『わからないよ!そんなことしてたら母ちゃんが死んじゃうだろ!』

魔法戦士『……』

魔法戦士『ずるいよ……今笑わないでよ……怒れなくなるだろ……』

魔法戦士『いいよ……悪いことしてないんだから謝らないでよ』

魔法戦士『皆笑ってる……ほら、母ちゃんのおかげで皆幸せそうだよ』

魔法戦士『母ちゃんは太陽みたいだね』

───

魔法戦士『母ちゃん!外で怖い連中が暴れてるよ!』

魔法戦士『え……知り合い……?』

魔法戦士『あたいらを追っているって……?』

魔法戦士『逃げよう!こんなところじゃすぐ見つかっちゃう!』

魔法戦士『え?』

魔法戦士『うぐっ……』ドサッ

魔法戦士『母ちゃん……なにを……?』

魔法戦士『謝らないでよ……どこ行くんだよ……』

魔法戦士『やだよ……置いてかないでよ……』

魔法戦士『母……ちゃん……』

魔法戦士『』

───

魔法戦士『……』パチリ

魔法戦士『はっ……!』ムクッ

魔法戦士『母ちゃん!』バタン

魔法戦士『母ちゃん!どこ!?』

魔法戦士『あたいを置いてかないでよ!』

魔法戦士『……いた!あ……』

魔法戦士『……酷い……あいつら母ちゃんに……!』

魔法戦士『どうしよう……あたいだけじゃ助けられないよ……』

魔法戦士『くそ!待ってて母ちゃん!』

ダッ

魔法戦士『誰か!母ちゃんを助けて!』

魔法戦士『誰か……!』

魔法戦士『え……?』

魔法戦士『なんでだよ……』

魔法戦士『あんたら母ちゃんに食料を分けてもらった恩を忘れたのかよ!』

魔法戦士『ちくしょう……それでも男かよ!』

魔法戦士『もうお前らなんか頼らない!あたいが助ける!』

ダッ

ガシッ

魔法戦士『なんだよ!放せよ!』

魔法戦士『え……母ちゃんは……わざと捕まった?』

魔法戦士『あたいを守るために……?』

魔法戦士『……関係ないよ!あたいは母ちゃんを助けるんだ!』

魔法戦士『……』

魔法戦士『……わかってる……母ちゃんの想いを無駄にするってことくらい……』

魔法戦士『だからって放っておけるわけないだろ!放せ!』ガブッ

ダッ

魔法戦士『い、いない……』

魔法戦士『どこだ!母ちゃん!』

魔法戦士『母ちゃん!母ちゃん……!』

魔法戦士『うわああああああん!』

魔法戦士『……うっ……うっ……』

魔法戦士『ちくしょう……ちくしょう……!』

魔法戦士『母ちゃん……』

───

魔法戦士「……母ちゃんは近所のやつらに予めあたいらのことを話し、海賊に襲撃された時のために頼んでいたんだ」

魔法戦士「あたいだけは見つからせないようにって」

勇者「……」

魔法戦士「それからあたいは一人で生きてきたんだ。強くなって復讐することだけを思って……やっとそのチャンスが来た」

勇者「そうか……知らなかったとはいえ君の気持ちを無視する作戦を立ててしまったこと、申し訳ない」

魔法戦士「何言ってんだ。これはただの我儘だ。あんたは最善の策を練ってくれた」

勇者「……私は君の様子がおかしいと気づいていながら、村を守るには障害になると心のどこかで判断していたんだ」

魔法戦士「……」

勇者「たとえ作戦が成功しても君を救ったとは言えない」

魔法戦士「ははは、世界を救おうって勇者がこんなに甘い男だったとはね」

勇者「君も含めて世界だ。だから救いたい」

魔法戦士「……頼むよ。あたいにはこれが全てなんだ」

勇者「このまま行かせても無駄死にするだけだ。やつは不死身だからという理由だけで強いわけではない」

魔法戦士「ひょっとして……頭のこと何か知っているのかい?」

勇者「……闇の世界から復活させるために魔王が動いたこと。そして私を攻撃した時の放った呪文……」

勇者「頭もおそらく勇者だ」

魔法戦士「な……なんだって……勇者……?」

勇者「魔王が暗躍する以前、そいつは勇者の力を己の欲望のためだけに使い、人々から恐れられていた」

勇者「そのうち海賊として名が知られ、人々はそいつをこう呼んだ……闇の勇者、と」

魔法戦士「闇の勇者……」

勇者「やつが猛威を奮っていた時代、私はまだ勇者としての自覚はなかった」

勇者「だから人から聞いた話でしか知らなかったが、しばらくしてその名は聞かなくなった」

勇者「どこかで死んだものと伝えられていたが、まさかエルフ女王樣の仕業だったとはな……闇の勇者が闇の住人になるなんて皮肉もいいところだ」

魔法戦士「そんなこと……初耳だよ……」

勇者「勇者は人々にとって希望でなくてはならない。やつは歴史上抹消されているんだ」

魔法戦士「あんたが他の勇者の話をした時、浮かない顔してたのはそのせいだったのか……」

勇者「……」

魔法戦士「……だけじゃないみたいだね」

勇者「私には三人の仲間の勇者がいた。だが、そのうちの二人は魔王の毒牙にかかり…………死んだ」

魔法戦士「!?」

勇者「魔王はそれほどの相手なのだ」

魔法戦士「……」

勇者「そして魔王は闇の勇者の力を利用しようとしている。もはや君だけの問題ではない」

魔法戦士「勇者が……そうか……あんたも辛い目に遭っているんだね」

勇者「ああ……」

魔法戦士「あたいの我儘のせいで作戦がめちゃくちゃになったら、世界を危険に晒しちゃうよね……」

勇者「……」

魔法戦士「……わかったよ。復讐は諦める。作戦通り女王樣に封印してもらおう」

勇者「私が君の代わりに戦う。だから任せてくれないか?」

魔法戦士「!?」

勇者「本来、復讐など褒められるものではないが相手はもう人間ではない。少しばかりは大目に見てもらおう」

魔法戦士「ホントに甘い男だね……それすら通り越してバカだよ、あんた」

今日は終わります

>>327
ドラ◯エらしさはもう皆無ですね……さりげなく軌道修正しときます
団体戦は……どうなりますかね
ご意見ありがとうございました

乙です
団体戦となると地の文メインでもまとめづらそうだね
丁度連休突入で時間の掛かりそうなこの状態になるようタイミングを測ってたとしたら凄すぎます
ここまで来たらこのエピソードはドラクエにこだわらず進めてほしい気がします

>>327
もうドラクエ以外のSSと割りきって読んでるよwwww

>>341
タイミング計るとかないです
常にいっぱいいっぱいです

ドラ◯エってわかりやすいストーリーなのにそこを掘り下げ続けた結果、なかなか収拾つかなくなりました

(個人的にドラ◯エはよく親が死ぬイメージなんですよね……鬱はやだ……)

───海岸

ゾロゾロ

「久々に暴れられるな。腕が鳴るぜ」

「お頭はいつものように船に残ってんのか。ストレス溜まんねえのかね」

「闇にいればそんなもん関係ないからな。あそこにいると、ここでの感情すら忘れちまう」

「昔に比べたら大人しくなったな俺たち」

「でもこっちに来てまで船にいたらストレス溜まるんだよ」

「それじゃあ俺たちはお頭にストレス感じてるみたいじゃねえか」

「おいおい、絶対お頭の前では言うなよ」

ゾロゾロ


兵士「き、来た……あれが幽霊か」

旅人「見た目はやはり皆人間か。見分けがつかんな」

エルフ女王「1、2、3……全部で20人ですか」

奴隷の青年「ええと、前5人と後ろ5人が幽霊です。間にいる10人は全員奴隷仲間です」

兵士「生身の海賊がいねえ。船に残っているのか。好都合だ」

エルフ女王「わかりました。魔法戦士さんは間に合わないようですね。作戦は多少ズレましたが、皆さんよろしくお願いします」

旅人「任せておいて下さい。我々は誘導するだけですし」

兵士「覚悟は決まっているぜ」

奴隷の青年「……」コクン

エルフ女王「ではいきます……むん!」

ドサドサドサドサ

「!?」

「おい、どうした?」

奴隷「「「zzz」」」

「何が起こった?急に奴隷どもが眠っちまったぞ」

「やい、てめえら起きやがれ!」


コソコソ

旅人「……どういうことだ?幽霊が……封印されないではないか」

兵士「人間は一人残らず寝ちまったようだが……」

エルフ女王「ああ……ついうっかり人間を眠らせる呪いをかけてしまいました。頭を打った影響からか、うまくいかなかったようです」

奴隷の青年「何してんですか!?」

兵士「ちょっとお願いしますよ!もうすぐそこまで来てんすよ!」

旅人「勘弁して下さいよ!え?そういう人?」

エルフ女王「大丈夫。今度こそ……むん!」


「ぐああ……身体が……熱い……!」

「な、何が起こったんだ……?」

「ダメだ……立ってられねえ……」

ドサドサドサドサ



旅人「おっ、どんどん幽霊どもが倒れていくぞ!」

兵士「ふう、これで封印されるのか」

奴隷の青年「一時はどうなることかと……」

エルフ女王「ふふふ、申し訳ありませんでした。さあ、人間の方々を起こすとしましょうか」


ムクムクムクムク


旅人「おお、どんどん起きてますな。少しでも疑ってすみませんでした」

エルフ女王「あら?私まだ何もしておりませんが?」

奴隷の青年「……え?」

兵士「お、おい!しかも起き上がっているのは幽霊だ!」


闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」


旅人「なんだ!?」

奴隷の青年「様子がおかしいです……」

エルフ女王「ああ、ついうっかり幽霊に魔物化する呪いをかけてしまっていたようです。頭を打った影響で……」

旅人「あなた……やはり元々天然なのでは……」

兵士「おいおい、どうすんだよ。これじゃあ女王様は期待できねえし……」


ザッザッザッ


奴隷の青年「こ、こっちに来ます!」

兵士「まずい、俺らに気づいたか!隠れるぞ!」サッ

ザッザッザッ

兵士「……」

ザッザッザッ

旅人「……」

ザッザッザッ

奴隷の青年「……」

ザッザッザッ

エルフ女王「……」

ザッザッザッ

ザッザッザッ








コソコソ

旅人「……ふう、やり過ごせたか。どうやら俺たちに気づいたわけではなさそうだったな。自我もなく、ただ行進しているだけのようだった」

兵士「しかしどうする?放っておいていいのか?かなり強いって話だったよな」

エルフ女王「私がもう一度呪いを……」スクッ

奴隷の青年「やめて下さい!何が起きるかわからないなんて怖すぎる!」

兵士「あんな集団、このまま野に放っておくのは危険だよな」

旅人「集団……?おい、やつらはなぜ集団で同じ方向へ向かった?何か目的があって、そこへ向かっているような……」

兵士「この先だって村しかないぜ……まさか!?」

エルフ女王「彼らは自我をもっていたとき村へ向かおうとしていましたね。おそらく村を襲うという本能が彼らを動かしているのでしょう」

旅人「悠長に言っている場合か!どうするんだ!?」

エルフ女王「ああ……申し訳ありません」

兵士「くそ!俺は船に乗り込んで勇者に伝えてくる!お前らは村に先回りして住人を避難させてくれ!」

奴隷の青年「僕も船に行きます!勇者さんの代わりに僕が仲間の解放をする!」

旅人「わかった、急いでくれ!女王様行きますよ!」

エルフ女王「え、ええ……」

今日は終わります
ありがとうございました

───船・船長室

闇の勇者「どうだった?久しぶりの光は」

側近「……」

闇の勇者「わしはやはり暗闇の方が居心地がいい。そして船の中が一番落ち着く」

側近「……」

闇の勇者「せっかく二人でいる時間なんだ。少しは甘えてみてもいいんだぞ?お前の声も久しく聞いていない」

側近「……」

闇の勇者「……まあいい。今攻めている村には面白いやつがいるようだ」

側近「……」

闇の勇者「嵐など起こして、この船が壊れかけた。かなりの魔法の使い手だ。わし自ら収めなければ海に放り出されていたかもしれんな」

側近「……」

闇の勇者「だが不死身のわしらには取るに足らないこと。所詮は生身の人間。もうすぐ手下どもに殺される運命だ」

側近「……」

闇の勇者「それよりも今、こちらの世界では魔物の王が猛威を奮っているらしいな」

側近「……」

闇の勇者「わしらがこの世界に戻ってこられたことも無関係ではないと考えている」

側近「……」

闇の勇者「だとすれば魔王がわしの力を利用しようとしていることは明白」

側近「……」

闇の勇者「だが……わしは誰の言いなりにもならん。魔王が愚かだったと証明するだけだ」

側近「……そうだろうね。あんたに怖いものなんてないだろう」

闇の勇者「わはは、その通りだ。わしは気に入らぬ者は誰であろうと殺す」

側近「……」

闇の勇者「わしと魔王、もし戦ったとしたらどちらが勝つと思う?」

側近「……興味ないね。魔王も、あんたにも」

闇の勇者「わはは、強気な女だ」

闇の勇者「わしにそんな態度をとることができる者はお前以外におらん。その並外れた精神の強さで闇の世界を生き抜いてきたのだからな」

側近「自分が強いなんて思ったことはない。もしホントに強かったらあんたの船に乗ってまで生にすがろうとしなかった」

闇の勇者「余程こちらの世界に未練があるということか。なぜわしの傍にいてまで生きようと思った?」

側近「……」

闇の勇者「憎き相手のはずだが?」

側近「……」

闇の勇者「まあ大方の予想はつく。残してきた家族が理由だろう?」

側近「よしな。あんたの口から家族なんて聞くと虫酸が走る」

闇の勇者「わはは、よいではないか。わしにも大いに関係あること───」

パチン

側近「……それ以上喋るな」

闇の勇者「……ほう」

側近「……」

闇の勇者「わしはお前も気に入っているが、暴力・虐殺に勝るものはない」

側近「……」

闇の勇者「わかっていると思っていたが?」スッ

バコッ

側近「うぐっ……」バタッ

闇の勇者「お気に入りだからと思って安心していたか?少しばかり仕置きが必要のようだな」

側近「……好きにしなよ」

闇の勇者「いい目だ。たまには苦痛に歪む顔も見てみたい」

───船長室の前

勇者「闇の海賊は皆船から降りたようだな」

魔法戦士「……案外楽にここまで来れたね。ガラガラすぎるよ」

勇者「それだけ余裕があるのだろう」

魔法戦士「まさかここに忍び込むなんてやついないと思うだろうしね」

勇者「生身の海賊は見当たらなかったが、当面は目の前の部屋にいる頭に集中しなくては」

魔法戦士「……あんた、ホントに不死身の相手となんて戦えるのかい?しかも相手も勇者で……」

勇者「私を信頼してくれ」

魔法戦士「でも……」

勇者「それより船上の安全は保障できない」

魔法戦士「ああ……」

勇者「だから囚われた人間の解放を君に任せる」

魔法戦士「……そうなるよね」

勇者「生身の海賊もどこかに潜んでいるかもしれんから気をつけて───」

バゴオオオオン

勇者「!?」

魔法戦士「なんだ!?壁をぶち破って部屋から人が飛び出した!」


ドサッ

側近「う……」ガクッ


魔法戦士「女の人だ!ってことはあの人が側近か」

勇者「おそらく突き飛ばされたのだろう。やつに」ギロッ


闇の勇者「……」テクテク


魔法戦士「こいつが……!」

闇の勇者「……」ピタッ

闇の勇者「これは珍しい。こんなところにお客が」

側近「」

魔法戦士「おい、死んでないよな!?しっかりしな…………え?」



闇の勇者「おや?お前はたしか嵐を起こした魔法の使い手ではないか」

勇者「貴様が闇の勇者か。仲間にまで手をあげるとは噂通りの外道のようだな

闇の勇者「ほう、わしのことを知っていたか。一体それで何しに来た?」

勇者「決まっているだろう。貴様はこの世に在るべき存在ではない」

闇の勇者「わはは、面白いやつだ。わしを知っていながら歯向かいに来るとは。只者ではないと思っていたが……お前は何者だ?」

勇者「勇者だ」

闇の勇者「勇者だと……?なるほど、わしの後を継ぐ世代が育っていたというわけか」

勇者「貴様に勇者を名乗る資格はない」

魔法戦士「勇者……この人は……か、母ちゃんだ……」

側近「」

勇者「なに?」

魔法戦士「母ちゃん!しっかりしてくれ!」

側近「う……うう……」

魔法戦士「母ちゃん!良かった……あたいがわかるかい!?」

側近「あ、あんた……」

闇の勇者「どこかで見た顔だと思ったら、あの時側近が逃がした赤ん坊か。孕んだ奴隷に瓜二つだ」

魔法戦士「……」キッ

闇の勇者「そして一応わしの娘ということにもなるのだな」

魔法戦士「黙れ!あんたを親とは認めない!」

闇の勇者「わはは、強気な性格は育ての親に瓜二つだな」

魔法戦士「母ちゃん……生きていたんだね……良かった……」

側近「……」

闇の勇者「死んだと思っていたか?まあ当然だ。わしはそいつを直接殺すためにわざわざ探しだし、船に連れてこさせたんだ」

魔法戦士「この野郎……」

闇の勇者「わしから逃げようなんて小賢しい真似してくれて、舐められたままではいられなかったからな」

魔法戦士「そんなことのために母ちゃんを……ふざけるな!」

闇の勇者「お前も本来なら捕まえてこさせるはずだったんだが、無能な手下どもはそいつだけを連れて帰ってきやがった」

闇の勇者「色々お楽しみだったようでな、目的をすっかり忘れていたのか……勿論そいつらはその場で殺した。お前は運が良かった」

魔法戦士「どこまでクズなんだ……!」

闇の勇者「そいつはしばらく拷問漬けの日々を送らせてやったが、お前のことは何も喋ろうとしなかった」

側近「……」

魔法戦士「母ちゃん……」

闇の勇者「その後、わしらは一時的に常人では耐えられない世界に隔離された……だが、そこでもそいつは壊れなかった」

魔法戦士「だからってなんでお前の側近なんかに……!」

闇の勇者「わはは、それですっかり気に入ってしまってな。わしの側に置いておくことにした。そいつもそれを望んでくれた」

魔法戦士「嘘だ!母ちゃんがそんなこと望むはずがない!嘘だよな?母ちゃん」

側近「……」

闇の勇者「その世界に行けばわかるが諸々事がどうでもよくなる。わしもお前のことなどすっかり忘れていたよ」

魔法戦士「ふざけるなぁ!」

勇者「冷静になれ。己を見失うな」

魔法戦士「くっ……!」

勇者「おかしい点に気づかないか?その人が君の育ての親にしてはあまり君と年齢が変わらないようだが?」

魔法戦士「あ……なんでだ……母ちゃんを見間違えるわけがない!」

勇者「やつの口ぶりからも彼女は本物だろう。まさか彼女も不死の身体になったということか?」

魔法戦士「そんな……」

闇の勇者「なるほど、こちらの事情も多少調べていたか。だが残念ながらそうではない」

側近「……」

闇の勇者「闇の世界では肉体的な時間は変化しないのだ」

魔法戦士「!?」

勇者「そういうことか……」

闇の勇者「向こうにいれば寿命はないわけだから、不死というのもあながち間違いではないがな」

魔法戦士「そうか……母ちゃんが化け物になっていなくて安心したよ」

闇の勇者「わはは、化け物か。この素晴らしさを理解しろと言っても不可能だろうな。境地に辿り着くことはできん、所詮望まれずに生まれた失敗作だ」

魔法戦士「なんだと!」バッ

ガシッ

側近「何しに来たんだい?余計な真似するんじゃないよ」

魔法戦士「母ちゃん、なんで……」

側近「ここはあんたの来る場所じゃない」

魔法戦士「あたいは一日だって母ちゃんのことを忘れることはなかった!それがやっと会えたんだ……一緒に帰ろうよ」

側近「母ちゃんか……そんな風に呼ばれていたこともあったね」

魔法戦士「え……?」

側近「あたいはもう闇の住人さ。助けてくれなんて頼んだ覚えはない。そっちの男を連れてさっさと帰りな」

魔法戦士「母ちゃん……」

闇の勇者「わはは、それが賢明というものだか
せっかく玩具がのこのこやって来てくれたのだぞ」

勇者「命は玩具などではない」

闇の勇者「もてなさずにただ逃がすのも失礼だろう」

勇者「元より逃げるつもりもない。貴様はここで滅ぶのだ!」ダッ

闇の勇者「わはは、面白い!わしを楽しませてくれ!」ブン

勇者「そんな余裕があるのか?」ヒョイ

闇の勇者「なに!?」

ズバッ

闇の勇者「うぐっ……なんだこの強さは……」ヨロッ

勇者「私は元々貴様の蛮行を止めるために育成された。貴様の実力はわかっている」

魔法戦士「強い……これが勇者……」

側近「無駄だよ」

シュウウウウ

闇の勇者「……ふん」

魔法戦士「き、傷があっという間に……魔法じゃない。自然治癒なのか」

闇の勇者「これが不死の力だ。誰であろうとわしに勝てる者はおらんのだ」

勇者「……ならは跡形もなく消し去ってやる。君は彼女を連れて離れていろ。もはや加減はできない」

魔法戦士「あ、ああ……母ちゃん行こう!」

今日は終わりです

───北の村

門番兵士1「あー、暇だな」

門番兵士2「もうすぐ忙しくなるよ。大量の人間が連れてこられるんだから」

門番兵士1「村の中が慌ただしいからさ。今俺たちにできることはなさそうだし」

門番兵士2「門番って大事な仕事だと思うんだけど」

門番兵士1「勇者の作戦だと敵が攻めてくることはないんだろ?だったら俺たちがいる意味って……」

門番兵士2「……ま、まあ海賊じゃなくてもそこらの魔物が入ってくる可能性が……」

門番兵士1「今まであったか?」

門番兵士2「……」

門番兵士1「こんなこと言いたくないけどさ……俺たちってこの先出番が───」

門番兵士2「やめろ!」

門番兵士1「……悪い」

門番兵士2「きっとあるさ。俺たちでも輝ける機会が」

門番兵士1「それって村としては良くないことだよね。敵が攻めてくるって暗示だよね」

門番兵士2「なーに、海賊なんて所詮はビビって逃げ出したチキン野郎だ。大したことないよ」

門番兵士1「そうだな!来れるもんなら来てみろよチキンが!はっはっは」

門番兵士2「はっはっは」

海賊A「はっはっは」

門番兵士1「はっはっは」

海賊B「はっはっは」

門番兵士2「はっはっ……は?」

兄貴「呼んだか?」

門番兵士1「……」

門番兵士2「……」


バキッボコッ

門番兵士1「」

門番兵士2「」

兄貴「がっはっは、思った通り戦えるやつは船にいきやがったな。もう村に邪魔するやつはいねえ。一足早く行動して正解だったな」

海賊A「兄貴の読みはさすがですね」

海賊B「へっへっへ、早いとこ海賊Cのやつを救出しちゃいましょうぜ」

兄貴「あいつを取り返したらあとは幽霊どもに任せよう。いくら強くてもあの野郎が頭に勝てるとは思えねえが、万が一帰ってこられたら厄介だからな」

海賊A「毎度のことのように高みの見物ですね」

海賊B「へっへっへ、なんだかんだ俺たち人を殺したことねえですもんね」

兄貴「そりゃあ……あいつらが野蛮すぎるんだよ」

コソコソ

兄貴「……お、いたいた。前と同じように幽閉されてやがる。脳のない連中だ」

海賊C「あ、兄貴!やっぱり助けにきてくれたんスね!」

兄貴「おう、ケツは無事だったか?」

海賊C「はい!死守したッス!」

海賊A「……よし、縄を解いた。さっさと行きましょうぜ」

カラーン

兄貴「!?」クルッ

村娘「あ……あなたたち……何を……!」

兄貴「おっと見つかっちまったな。見張りかい?ご苦労さん」

海賊B「へっへっへ、何も奪わねえのもなんだから、この女でも拐って行きやしょうぜ。ここにいてもどうせ殺されちまうんだ」

兄貴「好きにしたらいいが邪魔になるようだったら捨てていくぞ」

海賊A「というわけだ。一緒に行こうぜ」

村娘「きゃ……モゴモゴ!」

海賊B「へっへっへ、騒ぐんじゃねえよ。俺たちゃお前さんを助けてやるんだからよ」

村娘「んー!んー!」ジッ

海賊C「すまないッスね。そんな目で見ないでほしいッス。これが俺たちなんスよ」

───森

ザッザッザッ

闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」



タッタッタッ

旅人「はあ……はあ……くそ!幽霊どもめ、意外と進行スピードが速い!」

旅人「ぜえ……ぜえ……もう村に着いてしまうぞ……このままでは村人を避難させる時間がない」

旅人「女王様は走るのが遅くてずっと後ろだし……いや、あの人には何も期待できないが……」

旅人「はあ……はあ……」

旅人「……」

旅人「勇者が来るまで俺がやつらを食い止めるしかない」

旅人「これは確実に死ぬな……」

旅人「……だが村には絶対に行かせん。村娘さんは俺が守る!」

ダッ

旅人「うおおおお!幽霊め、覚悟!」

闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」

───船・甲板

タッタッタッ

魔法戦士「母ちゃん、早く」

側近「あいつは死なないんだ。本気で勝てると思っているのか?」

魔法戦士「大丈夫だよ。また闇に封じ込めたらもう復活させない。エルフの女王様が協力してくれるんだ」

側近「エルフが人間に協力……?そんなバカな……」

魔法戦士「エルフを誤解しているよ。あたいも直接会うまではわからなかったことだけど」

側近「あたいはそいつに闇に送られたんだ」

魔法戦士「それは……女王様にも事情があったんだ」

側近「でも、仮にそうだとしてなぜ最初からエルフを使わなかった?なぜわざわざあんな化け物を相手にしようとした?」

魔法戦士「それは……あたいの我儘に勇者を付き合わせちまったんだ。どうしても母ちゃんを酷い目に遭わせたあいつが許せなくて……」

側近「……」

タッタッタッ

兵士「あ、魔法戦士!こんなところにいやがったのか!」

魔法戦士「ああ、あんたか。何も言わずに消えてホントに申し訳なかった。後でどんな罰でも受けるよ」

兵士「そっちの人は……奴隷って身なりじゃねえな。頭の側近か?」

側近「……」

魔法戦士「そうだ。この人は───」

兵士「いや悠長に喋っている場合じゃねえや!勇者はどこだ!?」

魔法戦士「奥に進んだところの船長室の前だが……どうしたんだ?まさか、あたいのせいで作戦が失敗したのか?」

兵士「いや、お前は関係ないが作戦は大失敗だ。女王様が考えうる最悪の事態を起こしちまった。このままじゃ村がやばい!」

魔法戦士「なんだって!?」

兵士「幽霊どもが魔物化して村を襲おうとしている!俺たちにはもう止める方法がないんだ!勇者に頼むしか……」

魔法戦士「勇者は頭と戦っている……動くことができない……」

兵士「なんてこった……」

側近「エルフに頼ろうとするからそうなるんだ」

兵士「えっ?」

側近「女王ってのは信用できるのかい?あいつらは人間とは相容れないはずなんだ。村を滅ぼすために一枚噛んでいそうだね」

兵士「そ、そうなのか。たしかに女王様とはさっき初めて会ったばかりで詳しくは知らないが、あんなミスは普通考えられないぜ」

側近「何か村に恨みでもあったんじゃないのかい?」

兵士「そんな……あれは全て演技だと……?」

───森

ザッザッザッ

兄貴「お、あれは……」

海賊A「幽霊どもだ……早かったな。船に行ったやつらをもう倒して来たのか?」

海賊B「へっへっへ、タイミング的には丁度よかったな」

海賊C「でも奴隷どもは見当たらないッス。今回は置いてきたんスかね?」



闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」

バキッボコッ

旅人「ぐはっ!ぐはっ!」



兄貴「おうおう、早速誰かをいたぶってんな。村のやつか?」

村娘「!?」

海賊C「あれは……」

村娘「んー!んー!」

海賊C「ああ、村のやつッスね。大人しく逃げていればあんなことにならずに済んだのに」

村娘「んー!んー……んっ……んっ……」

海賊C「泣くくらいなら見ないほうがいいッスよ……」

闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」



兄貴「なんか様子がおかしいな。暗くてよく見えねえが、まるで魔物のような……」

海賊C「魔物……そうッス兄貴!船乗りの骨は危険なんス!あれは魔王が失くしたもので、ただ今絶賛探索中らしいッスよ!」

兄貴「なに!?本当か!?」

海賊C「村のやつらが話していたッス!」

海賊A「村のやつらのデマじゃないのか?俺たちを混乱させるための」

海賊B「でも、あんなもの作れそうなのは魔王ってのは信じたくなるな。それにあの幽霊どもの狂気……ありゃ魔物そのものだ」

兄貴「たしかにやばそうだ……これは勿体ないが命には代えられねえ。捨てていくか」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バッ

海賊A「うわ!こっちに来やがった!」

闇の海賊「ウガアアアァ!」

兄貴「おい、やめろ!俺たちがわからねえのか!」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バキッ

海賊B「うげえ!」バタッ

兄貴「なっ……!」

海賊B「」

兄貴「て、てめえ!よくも俺の子分を!」

闇の海賊「ウガアアアァ!」

海賊C「こいつらもう……理性がないみたいッス……」

今日は終わります
場面コロコロ変わってごめんなさい
ありがとうございました


めっちゃ面白い
このクオリティで毎日更新できるって尊敬する

>>379
ありがとうございます
嬉しすぎて眠れない

キャラは全員元ネタに出ているの?何人かは誰なのかわかった

───船・船長室前

勇者「ぐ……」ヨロッ

闇の勇者「跡形もなく消し去るだと?わしを侮りすぎだ」

勇者「……なるほど、そう簡単にはいかないようだ……」

闇の勇者「たしかに実力はお前の方が多少上かもしれん」

勇者「……」

闇の勇者「だが!わしはこの身体に成ってからは防御など考えたことがない。お前に対しても全てを攻撃に集中している。その差が出たな」

勇者「だとしてもいくらでもやりようはある!」ズバッ

闇の勇者「うぐっ……!」

ボトッ

闇の勇者「……ちっ、片腕を斬り落とされたか」

勇者「これで自慢の攻撃力も半減だ」

闇の勇者「まだわかっていないようだな」ガシッ

勇者「なに?」

闇の勇者「片腕が取れたところで……」ピトッ

シュルルル

闇の勇者「こうしてくっ付けておけばすぐに元通りだ。たとえ腕を失ったとしても、バラバラになったとしても、時間が経てば再生するぞ」

勇者「……なるほど」

今日はもう終わります
短い……短いけど終わります

>>381
9割は元ネタに出ています
見つけてみて下さい
ありがとうございました

───森

兄貴「おらあ!」バコン

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

兄貴「おらあ!」バコン

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

海賊A「あ、兄貴すげえ……」

兄貴「てめえらなんか、このカンダタ様の敵じゃねえんだよ!おらあ!」バコン


ゴソゴソ

海賊C「ほら、解いたッス。今のうちに逃げるッスよ」

村娘「ぷはあ!はあ……はあ……あなた、なんで……?」

海賊C「あんたのお人好しがうつっちまったみたいッスね」

村娘「あなたは悪い人じゃないです。ただ、人の優しさに触れる機会が足りなかっただけ」

海賊C「それはないッスよ。俺は間抜け見るのはごめんッス」

村娘「……そうですか……」

海賊C「あんたは敵である俺を手当てして……さっきも奴隷どもを村に入れる準備で忙しいのに俺に飯を持ってきたんスよね」

村娘「……」

海賊C「その結果がこれッスよ。こんな間抜けがあるッスか?」

村娘「……本当ですね。つくづく自分がバカみたいです」

海賊C「だからあんたは死なせたくないッス!ここから逃げてくれッス!」

村娘「……ありがとう、お人好しの海賊さん。でも私だけ逃げたくない。私はバカだけどそれでもいい」

海賊C「……」

村娘「村のために戦っているあの人を見捨てられない。すぐに手当てしないと……」



旅人「がはっ……はあ……はあ……」



海賊C「あんたって人は……」

村娘「私にできることはそれくらいですから」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バッ

村娘「きゃあ!」

海賊C「ええい!邪魔ッスよ!」ドカッ

闇の海賊「ウガッ!?」バタッ

村娘「海賊さん……」

海賊C「今のうちにあの半死人を助けるッス!」

村娘「……ありがとう」

タッタッタッ

海賊C「……男の元へ駆けつける女を助けてしまったッス……この切なさはなんなんスかね」

闇の海賊「ウガアアァ……」ムクッ

海賊C「!?」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バッ

海賊C「うわ───」

ザクッ

海賊C「あ……」

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

海賊A「危ないところだったな」

海賊C「……死ぬかと思ったッス」

海賊A「お前もつくづく間抜けだな。悪者が主役面しようとすんじゃねえっての」

海賊C「すまないッス。助かったッス」

海賊A「だがこの状況はまずいぞ」

海賊C「そうッスね……海賊Bが起きなきゃ俺たちも逃げられないし……」

海賊A「兄貴の体力にも限界がある。それに比べて幽霊どもは……」



ムクムクムクムク

闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」

兄貴「はあ……はあ……化け物どもめ……」

───船・奴隷たちの部屋

奴隷の青年「皆、早く逃げよう!」

奴隷A「逃げてもどうせ捕まるんだ。あいつらのしつこさは尋常じゃないしな」

奴隷B「一回逃げたやつがどんな目に遭っているか見てただろ?俺は酷い目に遭うくらいなら大人しく死んだ方がいいよ」

奴隷C「だよな……俺も諦めてる……」

奴隷の青年「何言ってんだよ!せっかくのチャンスなんだぞ!」

奴隷D「俺たちはここに残るって決めた。逃げるならお前一人で───」

奴隷の女「私は助かりたいな……」

奴隷「「「えっ?」」」

奴隷の女「私たちのために頑張ってくれている人たちがいるんでしょ?だったら私はそれに応えたいよ」

奴隷「「「だ、だけどよう……」」」

奴隷の女「……」イラッ

奴隷の青年「僕も同じ気持ちだ。あの人たちを信じ───」

奴隷の女「私たちだけでも逃げよう。あんな腰抜け玉無し[ピーーー][ピーーー][ピーーー]野郎みたいな連中放っておいて」

奴隷の青年「えっ?」

奴隷E「こ、腰抜け玉無し[ピーーー][ピーーー][ピーーー]野郎だと!?」

奴隷F「わかったよ!逃げてやろうじゃねえかよ!」

奴隷G「女にできて俺にできないなんてことはねえ!」

奴隷の女「よーし、じゃあ皆私に続けー!」

奴隷「「「おおー!」」」

奴隷の青年「……単純というか、僕のときとは全然ノリが違うじゃないか……」

奴隷の女「ふふっ、彼らにはあれくらいで丁度いいみたい」

奴隷の青年「ああ、ありがとう。君には敵わないな」

───森

旅人「うう……村娘さん……なぜここに……」

村娘「あなたがやられているのが見えたから」

旅人「お……俺を助けに……?」

村娘「当然です。大事な仲間です」

旅人「うおお……もう死んでもいい……俺のことはいいから……逃げてくれ……」

村娘「え、いいんですか?では───」スッ

旅人「嘘です!言ってみたかっただけです!行かないでほしいです!」

村娘「冗談ですよ。それだけ元気があって良かったです」

旅人「こんなときにあなたという人は……」

村娘「ごめんなさい。でも……」

旅人「でも?」

村娘「生きていてくれて……本当に良かった」グスッ

旅人「うおお!もう本当に死すら怖くはない!」

村娘「またそんなこと……」

旅人「この命、なんのためでもなく、あなたのために投げ出そう!死んでもあなたを守るぞ!」

村娘「え……」キュン

エルフ女王「そうはいきませんよ」スッ

村娘「女王様!」

旅人「くそ、いいところで……!」

今日は終わります

───船・船長室前

勇者「落とした腕を拾えぬよう両腕を斬り落とす!」

闇の勇者「そんなわかりきった攻撃を受けてやるほどわしは甘くないぞ」キィン

勇者「防御はしないのではなかったのか?」

闇の勇者「お前……!」

勇者「言ったはずだ。貴様を倒す方法などいくらでもある」バキッ

闇の勇者「ぐっ……!」バタッ

勇者「あえて勝負に挑んでやることを感謝しろ。腕の次は頸部を斬り落とす」

闇の勇者「おのれ……」

勇者「その後はどうなるか勝手に想像するんだな」テクテク

闇の勇者「雷撃呪文!」カッ

勇者「なに!?」バッ

バリバリドゴオォン

闇の勇者「よく避けたな。勇者を名乗るだけあって、お前もこの呪文は熟知しているようだ」

勇者「貴様……雷撃呪文を放つとは……船を壊す気か?」

闇の勇者「わっはっは!」

勇者「何がおかしい……?」

闇の勇者「そこを見てみろ」

勇者「船長室…………はっ!?」

闇の勇者「戦いに夢中で気づかなかったようだな」

勇者「最初にやつが破壊した壁が……修復している……?」

闇の勇者「そこだけではない。今の雷撃呪文で壊した床も……」


ガタガタガタガタ


勇者「なに?」

闇の勇者「加減しすぎて小さい穴が空いた程度だったから再生が早かったようだな」

勇者「再生だと?」


ガコッガコッ


闇の勇者「この船も不死身の術の影響下にある。わしの船は何があろうと絶対に沈まないのだ!」

勇者「……そういうことか」


ガコッピタッピタッ

闇の勇者「今度は船を粉々にするほどの威力で放つぞ!船上に逃げ場を無くしてやる!」

勇者「船にはまだ船乗員が乗っているはずだ。巻き込むつもりか」

闇の勇者「側近はまあ仕方あるまい。代わりの玩具を見つけるさ」

勇者「……」

闇の勇者「奴隷など論外だ。どこにでも転がっている」

勇者「……」

闇の勇者「何か問題あるか?」

勇者「……外道が」

───森

エルフ女王「遅くなりました」

旅人「女王様!あなたがいてもここはどうしようもない。俺が食い止めるからあなたは村娘さんと村へ行って、避難を呼び掛けて下さい!」

村娘「無茶です!本当に死んでしまいますよ!」

旅人「もうそれしか村を救う手段がない!行ってくれ!今度は嘘じゃないです!」

エルフ女王「……」スッ

ピカッ

旅人「う、これは……動けない!?」

村娘「女王様!何を!?」

エルフ女王「……」

───船・甲板

側近「エルフは人間の敵だ」

魔法戦士「そんなことあるはずない!」

兵士「……」

側近「……なんで言い切れるんだい?」

魔法戦士「女王様は敵じゃない。仲間だからだ。あたいは仲間を信じる」

兵士「やっぱりそうだよな。一緒にいたからこそわかるってもんだ。種族は違えど同じ仲間だ」

側近「……あたいは事実を言っているだけだ。仲間だろうが関係ないよ。あんたらがいくら庇ったところでどうなるわけでもない」

魔法戦士「母ちゃん……あたいはあんたに育ててもらって人の温もりを教えてもらった。あんな救いようのない環境でも忘れたことはない」

側近「……」

魔法戦士「お天道様に顔向けできるように、母ちゃんみたいな強い女になるって……ずっと頑張って生きてきたんだ」

側近「……」

魔法戦士「母ちゃんがいなくなってから初めてなんだ。村の人たちに同じ、家族のような温かさを感じた……勿論女王様だって」

側近「……」

兵士「そうだぜ母ちゃん……ってこの人お前の母親なのかよ!若えなおい!」

魔法戦士「……今はここで言い争っている場合じゃない。勇者に───」


バリバリドゴオォン

魔法戦士「!?」

兵士「なんだ!?雷がこんな近くに落ちやがった!耳が痛え!」

側近「頭の仕業だ」

兵士「なっ……そんなこともできんのかよ!」

魔法戦士「……」

側近「もうこの船に安全な場所はない。さっさと逃げな」

魔法戦士「……今逃げたら勇者に知らせに行くことができないよ」

側近「え……」

魔法戦士「それに、あたいだって戦える!」ダッ

タッタッタッ

側近「あ……」

兵士「ああもう!ちくしょう俺も行くぞ!」

側近「待ちな」

兵士「なんだよ逃げるなら一人で逃げてくれ」

側近「あんたに頼みがある」

兵士「ああん?」

───森

旅人「女王様!何を考えているんだ!」

村娘「解いて下さい!こんなことしている場合じゃありませんよ!」

エルフ女王「申し訳ありません」

旅人「なに……?」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バッ

旅人「村娘さん!」

ガキィン

闇の海賊「ウガッ!?」

旅人「え……」

村娘「あれ……?攻撃を受けたはずなのに……」

エルフ女王「私の魔法であなた方を鋼鉄化させていただきました」

旅人「そんなことが……いや、あなたは頭を打った影響で何もできないのでは!?」

エルフ女王「呪いの類はコントロールが効きませんが、この程度の簡単な魔法はうまく使えるようでした」

旅人「ならばこの魔法を幽霊どもに……」

エルフ女王「どうやら魔物には効かないようなのです」

村娘「じゃあどうしようというのですか!?こんなことしても状況は変わりません!」

エルフ女王「これは全て私の責任。巨悪を生み出し、さらに危うく村を滅ぼしてしまうところでした」

旅人「それは……」

エルフ女王「足を引っ張るどころか、これでは私など最初からいなければ良かった話です」

旅人「それは違う!あなたは元々人間に巻き込まれただけだ!」

エルフ女王「……」

旅人「それにあなたがわざとこんな状況を作り出したなんて思ってない!あなたは俺たちの仲間なんだ!」

村娘「そうです!自分を追い込むのはやめて下さい!」

エルフ女王「……ありがとうございます」

エルフ女王「しかし私のように体力のない者が村に知らせに行こうと海賊にすぐに追い付かれてしまいます」

村娘「だからって……」

エルフ女王「それは村娘さんも同じでしょう。旅人さんは傷を負っている」

旅人「俺なら大丈夫だ!だから……!」

エルフ女王「ならばせめてあの方が、希望の勇者が来るまで足止めするのみです」

旅人「無茶だ!早く解いてくれ!俺が戦う!」

村娘「仲間が死ぬところなんて見たくありません!」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バッ

エルフ女王「心配無用!」ゴオオオォ

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

エルフ女王「私は魔法もかなり上手なのですよ」

村娘「すごい……」

旅人「いや魔法もって……他に何か成功したところを見てないが……」

今日は終わりです
場面コロコロごめんなさい

説明ってどんな風に入れたらいいのですかね

酉変えます……>>1です

ありがとうございます
参考にします

──────

────

──




勇者「ぐあ……」バタッ

闇の勇者「わはは、ついに倒れたか。早く起き上がらねば次の雷撃が来るぞ」

勇者「はあ……はあ……」

闇の勇者「さあ、船に落とさぬようその身に受け続けろ」

勇者「はあ……はあ……」ヨロッ

闇の勇者「立てたか。だが随分と辛そうじゃないか」

勇者「はあ……はあ……」

闇の勇者「ならばそろそろ楽にしてやるとしよう」

タッタッタッ

魔法戦士「勇者!」

闇の勇者「ん……?」

魔法戦士「な……なんだよこれ……酷い……」

闇の勇者「お前か。まだ残っていたのか」

勇者「何をしている……逃げろ……」

魔法戦士「あんたが死にそうじゃないか!放っておけるか!」

闇の勇者「バカめ。そいつはお前らを守るために雷撃を受け続けているのだぞ」

魔法戦士「え……」

闇の勇者「お前らがさっさと逃げないからこうなっているというのに、報われないな勇者というものは」

魔法戦士「そんな……勇者……」

勇者「私のことは気にするな……」

闇の勇者「勇者の名を背負う辛さは凡人にはわからないものだ。お前はここで死ぬが……わしのように闇に堕ちる姿も見てみたかったな」

勇者「……他の人間は脱出できたか?」

魔法戦士「まだだ……すまない……」

闇の勇者「なるほど。奴隷どもを解放しようと企んでいたわけか。だがもうその心配をする必要はないぞ。これで全員あの世へ向かわせてやる」

魔法戦士「勇者……ホントにすまない。あたいが我儘さえ言わなければ……」

勇者「諦めるな。最後まで希望を捨てるな。きっと活路はある」

魔法戦士「あんた、もう立っているのが精一杯じゃ……また受けたら死んじゃうよ」

闇の勇者「どう足掻こうと無駄だ。雷撃呪文!」

カッ

勇者「剣で受け止めろ!」

魔法戦士「!」シャキン


バチィィィィ

バリバリバリバリ


闇の勇者「なに!?」

魔法戦士「こ、これは……!」バリバリバリバリ

勇者「うまくいったか……」

闇の勇者「わしの魔法を制御しただと……?お前、一体どこでそんなことを覚えた?」

魔法戦士「な、なんだよこれ……!うわっ!」パリーン

ジュワァ

勇者「剣が消滅した……?魔法の威力に耐えられなくなったのか」

魔法戦士「はは……夢中で何が起こったのか全然わからないよ。運良くまぐれが出たみたいだ……」

勇者「運などではない。君が諦めなかった結果だ」

闇の勇者「まぐれか。そうであろうな!しかももう剣はない!今度こそ終わりにしてくれる!」

勇者「これを使え!」ヒュン

魔法戦士「う、うん!」ガシッ


カッ

バチィィィィ

バリバリバリバリ


勇者「よし!」

魔法戦士「やった!止められたよ!」バリバリバリバリ

闇の勇者「い、一度ならず二度までも……」

勇者「その剣は私専用の特別製だ。その程度の魔法で壊れることはない」

ゴゴゴゴゴゴ

魔法戦士「その程度って……こんなもの一体どうすればいいんだよ。もう持っていられないよ!」バリバリバリバリ

勇者「そのままやつを斬るんだ!」

魔法戦士「そ、そうか。わかった」バリバリバリバリ

ゴゴゴゴゴゴ

闇の勇者「ふん、いくら威力があろうとそんな二流の剣がわしに当たると思っているのか?」

勇者「余程焦っているようだな。足元の状況にさえ気づかないとは」

シュルルル

闇の勇者「これは……真空呪文か!?」

ズバババ

闇の勇者「ぐっ……!」ヨロッ

勇者「さあ今のうちだ」

魔法戦士「くらえ!」バリバリバリバリ

闇の勇者「よせ───」

ズバッ

闇の勇者「ぐわあああああ!」バチバチバチバチ

魔法戦士「……」

闇の勇者「わ、わしが……こんな小娘に……」バチバチバチバチ

バタッ

闇の勇者「」

魔法戦士「やった……」

勇者「ああ、よくやった。これでしばらくは再生できないだろう」

魔法戦士「でも、もう限界だ……あたいも腕がボロボロだよ……」

勇者「それだけの威力だったのだ。仕方ない」

魔法戦士「痛た……あんたがやってくれたらよかったのに。あたいはあまり才能がないからさ……うまくいったから結果オーライだけど」

勇者「私も何度も試していた。一度もうまくいくことはなかったが……」

魔法戦士「そうだったのか……だからってあたいに賭けるなんて無茶もいいとこだよ」

勇者「他人の魔法をコントロールすることはとても難しいんだ。嫌だと思うだろうが君はやつの血をひいている」

魔法戦士「……」

勇者「それが君ならうまくいくと思った一番の理由だ……すまない」

魔法戦士「……いいって。あんたは命懸けであたいらを守ろうとしてくれたんだ」

勇者「……」

魔法戦士「そして守ろうとした結果があたいを使うことだっただけだしね。役に立てて嬉しいよ」

勇者「……だが間違いなく君の力で勝ったんだ。誇ってくれ」

魔法戦士「うん……あいつの血をひいていることは嫌だけど、おかげで一泡吹かせてやったんだ。ざまあみろって感じだね」

勇者「そうか……君の復讐は終わったんだな」

魔法戦士「ああ、あたいの手で決めたんだ。母ちゃんも生きていることがわかったし、ありがとうな」

勇者「礼など……私は何もしていない」

魔法戦士「謙遜しないでよ。それよりどうするんだ?あれでもまた復活するんだろ?」

勇者「もう作戦通り女王様に任せれば大丈夫だ。そろそろ向こうも終わっているのではないか?」

魔法戦士「……あ」

──────

────

──




海賊A「」

海賊B「」

海賊C「」

闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」

兄貴「はあ……はあ……ちくしょう……キリがねえ……」

エルフ女王「はあ……はあ……あなたはなぜ戦っているのですか?むん!」ゴオオオォ

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

兄貴「はあ……はあ……決まってんだろ!仲間を守るためだよ!」

エルフ女王「……」

兄貴「あんたもじっくり顔を拝む暇もねえが、着ている物を見るといいところの人間なんだろ?」

エルフ女王「……」

兄貴「偉い人間ってのは自ら血反吐を垂れ流す戦いなんて普通しねえもんだ。おらあ!」バキッ

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

エルフ女王「そうですか……私も同じですよ。愚かな私を仲間だと言ってくれた仲間のために!」ゴオオオォ

兄貴「へっ、ふんぞり返っているだけの偉い人間は嫌いだが、あんたみたいなやつは好きになれそうだ!」バキッ

エルフ女王「ではこの場だけ協力し合いましょう」ゴオオオォ

兄貴「乗ったぜ!少し下がっていな。あんたはあまり近距離戦が得意じゃなさそうだ。俺の援護をしていろ!」バキッ

エルフ女王「助かります。では……」キュイイィン

兄貴「おっ?」

エルフ女王「体力を回復させました。これでまだ戦えますね?」

兄貴「あんた、どこの人間だか知らねえが助かったぜ」

エルフ女王「……人間か……」

今日は終わりです
少しは良くなったのかな
ありがとうございました

──────

────

──




勇者「なんだと!?」

魔法戦士「早く村へ……ってくそ、あんたもボロボロだったんじゃないか……」

勇者「私なら大丈夫だ。だが、闇の勇者が復活する前に戻ってこられるか……」

側近「それならあたいに任せておきな」

魔法戦士「母ちゃん!」

勇者「……」

兵士「と、俺もいるぜ」

勇者「信用していいのか?」

側近「ああ、信用してくれ」

勇者「……」

側近「……」

勇者「わかった。どうするつもりだ?」

側近「これを取りに行っていたら遅くなっちまったんだ。頭を倒していたなんて好都合だよ」スッ

兵士「それの入った宝箱の鍵が見つからなかったからずっと探していたんだけどな」

勇者「それは?」

側近「これは以前どこからか奪ってきたものだ。名前はしらないが……魂を封印することができる道具さ」

魔法戦士「魂を……?」

勇者「……なるほど。誰かを封印するためでなく、自分たちが封印される可能性を危惧して奪ったわけか」

側近「その通り。不死身のこいつらにとって唯一恐れていたものさ」

側近「ただ、封印する対象が瀕死状態じゃないと使えないからね。こんなチャンスがあるなんて思いもしなかったよ」

魔法戦士「よくわからないけど大丈夫そうだ、勇者!」

勇者「ああ、では任せた。行ってくる」

魔法戦士「あ……」

勇者「……なんだ?」

魔法戦士「あんたにばかり頼ってすまない。村を頼む」

勇者「ああ」

魔法戦士「あんたも……絶対生きて帰ってきてくれ」

勇者「勿論だ。瞬間移動呪文!」

ギュイイイイン

兵士「頼む……か。お前が男に頼る光景を目の当たりにするなんてな」

魔法戦士「ホントにね。あいつには不思議と頼りたくなっちゃうね」

側近「……」

魔法戦士「……いや、もうどうでもいいことさ。仲間に頼るなんて当然のことじゃないか」

側近「……いい男と出会ったね」

魔法戦士「ああ……って何言ってんだよ!そんなんじゃないよあいつは!」

側近「くすっ、あんたもそんな歳になったんだね。いいじゃないか、せっかく美人に生まれたんだ。青春しなよ」

魔法戦士「もう、母ちゃん!」

兵士「こんなの魔法戦士じゃない……」

側近「……ごめんな。あたいは……」

魔法戦士「いいんだよ。わかってる」

側近「え……」

魔法戦士「わざと変な態度とってあたいを避けようとしてたんだよね。この海賊と関わらせないようにするために」

側近「……」

魔法戦士「ずっとあたいを逃がそうとしていただろ?気遣っていたのがバレバレだよ」

側近「そうか……」

魔法戦士「あたいは誰より母ちゃんの近くにいたんだよ?」

側近「……ごめんな」

魔法戦士「いいって、もう」

側近「あんたの仲間を疑うつもりもなかった」

魔法戦士「わかってるさ」

側近「……ごめんな 」

魔法戦士「悪いことしてないんだから謝らないでよ」

側近「ごめん。ずっと独りにさせて……」

魔法戦士「……」

側近「寂しい思いをさせて……普通の人生を送らせてあげられなくて……」

魔法戦士「……」

側近「ごめん」

魔法戦士「母ちゃん……あたいさ……腕が上がらないんだ……だから」

側近「うん……」スッ

ギュッ

魔法戦士「……ありがとう母ちゃん……温かい……」

側近「こんなことしかできないけど……」

魔法戦士「……」

側近「あんたに会うために今日まで生きてきた」

魔法戦士「……うっ……うっ……」

側近「こんな……こんな母ちゃんでごめんな……」

魔法戦士「うっ……うっ……会いたかったよ……」

兵士「ちくしょう……目から汗が溢れてきやがる」グスッ

──────

────

──




闇の海賊「ウガアアアァ!」バッ

村娘「きゃあ!」

ガキィン

闇の海賊「ウガッ!?」

村娘「……ふう。いくら鋼鉄化しているとはいえ怖いです」ドキドキ

旅人「この状態に慣れるまで時間がかかりそうそうだな……」

闇の海賊「ウガアアアァ!」ガキィン

村娘「へ、へーんだ。全然痛くないんですからね。このスカポンタン!」

闇の海賊「ウガアアアァ!」

旅人「村娘さん、あまり挑発しては……はっ!そうか、こちらに意識を向けさせて女王様の戦いを少しでも楽にしてあげようという心優しき村娘さんの作戦……」

闇の海賊「ウガアアアァ!」ガキィン

村娘「うふふふ、ばーかばーか」

旅人「……なんだよね?本性じゃないよね?」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バキッ

エルフ女王「きゃあ!」バタッ

旅人「女王様!」

兄貴「おい!大丈夫か!?」バキッ

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

エルフ女王「」

兄貴「おい、どうした!?やられちまったのか!?」バキッ

闇の海賊「ウガアァ……」バタッ

シュウウウウ

旅人「あれ?身体が動く……」

村娘「ひょっとして……女王様が意識を失ったから魔法が解けた……?」

闇の海賊「ウガアアアァ!」バッ

村娘「早速きゃあ!」

旅人「また村娘さん!」

ガキィン

村娘「……え?」

旅人「あ……」

兄貴「げ!あいつは!」

勇者「待たせてすまない」

村娘「ゆ、勇者様!」

旅人「まるで見計らったかのようなタイミングで仲間のピンチに颯爽と駆けつけるありがちな格好いい登場……くそ、遅いぞ勇者!」

勇者「すまない。頭を倒すのに時間がかかった」

旅人「なんで頭と戦ってんだよ……」

兄貴「マジかよ……頭を倒しちまったって……ん?勇者だと!?」

勇者「私が倒したわけでは……おい、そこのイカしたパンツマスク」

兄貴「は、はい!なんでしょう勇者さん!」

勇者「船乗りの骨を持っているな?渡してもらおう」

兄貴「はい!喜んで!」

勇者「幽霊を闇に帰すにはどうしたらいい?」

兄貴「幽霊を船に全員乗せた状態で骨に縛り付けてある紐を解けば消えます!ただし、闇に帰すには夜のうちでしか効果がありません!」

勇者「夜か……もうすぐ明けてしまうな。ではこいつらを動けなくしてから運ぶとするか」

旅人「油断するな!こいつらかなり強いぞ!」

勇者「ああ、全員遠くへ離れていろ」

旅人「えっ?」

勇者「試してみたい技がある」シャキン

闇の海賊「「「ウガアアアァ!」」」

勇者「急ぐのでな、一撃で終わらせるぞ。雷撃呪文!」

カッ

今日は終わります
ありがとうございました

──────

────

──




側近「あいつが船乗りの骨と残りの海賊を連れて帰ることができれば、これも使う必要ないんだけどね」

兵士「そういやそうだな。船乗りの骨を使った方が確実だよな。女王様はあれだし」

魔法戦士「勇者でもそれは時間かかるよ。さっさと魂だけ封印しちまった方がよくないか?」

兵士「まあ休憩がてらもうちょっと待ってようぜ。せっかくの親子水入らずなんだからよ。積もる話もあるんだろ?」

魔法戦士「もう、そんな余裕あるのかよ。大人っぽいキャラ気取っているんだろうけどね、あんたが水なんだよ」

兵士「なんだよちくしょう……俺だってこんなこと言いたくなかったよバカ野郎」

側近「はいはい喧嘩しない。この馬の骨も心配してくれていたみたいなんだからさ」

兵士「馬の骨じゃねえよ……」

側近「ふふ、悪かった。ほら……あんたも、悪いことしたらどうするんだっけ?」

魔法戦士「……悪かったよ。あたいはあいつの強さを目の当たりにした分、どうしても復活させたくなくて……」

兵士「んなことわかってんだよ。俺なんかに謝ってんじゃねえよ」

魔法戦士「なんだよ……怒っているのか?悪かったって」

兵士「……」

側近「はいはい、そこまでだ。続けたいなら後でやってくれ」

魔法戦士「続けたいの?」

兵士「いや……悪かった」

側近「じゃあ、やっちまおうかね」

魔法戦士「頼んだよ、母ちゃん 」

側近「任せときな。使い方は……たしかこうやって……」


ブイイイイイン

闇の勇者「」スウゥゥゥ


魔法戦士「すごい……あれが魂か。肉体から出てくるのがはっきりわかるよ」

兵士「気味悪いな……」

側近「これで……終わるんだ……」

──────

────

──




バチバチバチバチ

闇の海賊?「「「」」」

勇者「む、やりすぎた。魔法剣か……思った以上に強力な技だな」

旅人「本当に一撃で……これが勇者の力……あんたってやつは本当に───」

村娘「素敵……」キュン

旅人「最悪だよちくしょう……」

勇者「バラバラにしすぎた。これではどれを船に運べばいいかわからないな……」

闇の海賊?「「「」」」

勇者「今夜中に闇に帰すのは諦めるしかないか。船に戻ればあの道具でこいつらの魂も封印できるだろうし、もはや急ぐこともないが」

兄貴「おいおい冗談じゃねえぞ……魔物化した幽霊どもが一瞬で消し炭だと……化け物だ」

海賊A「うん……なんだ今のでかい音は……?」

海賊B「俺、気を失っていたのか……?」

海賊C「……幽霊は?いや、村娘さんは無事ッスか!?」

兄貴「お前ら起きたか。気づかれないうちにとんずらこくぞ」コソコソ

勇者「再生するまで時間がかかるから君たちを村へ送り届けよう。先に休んでいてくれ」

村娘「はい……あの、勇者様……ありがとうございました」

勇者「君たちも頑張ってくれたことはわかっている。よく村を守ってくれた」

村娘「は、はい!私頑張りました!」

勇者「皆ボロボロだな。村に行く前に怪我を治療するか」

村娘「私、胸の辺りが痛いです」キュンキュン

勇者「回復しよう。見せてくれ」

旅人「ちょっとそれは羨ま……けしからん!女性の胸を……!」

海賊C「大体あんた怪我してたッスか?」

勇者「外傷は見当たらないが、一応回復呪文をかけておこう」

村娘「ああ、たくましい腕……勇者様……」キュン

旅人「俺たちが必死で築いたフラグを……」

海賊C「一瞬で持っていかれたッス……」

今日は終わります
ありがとうございました

──────

────

──




側近「はあ……はあ……」

魔法戦士「母ちゃんも体力がやばくなってきたね……こんなに時間がかかるものなのかい?」

側近「いや、これはおかしい……」

魔法戦士「あんた、ちょっと代わってやってくれないか?あたいは腕がこんなだし……」

兵士「あ、ああ……」

側近「冗談じゃない。もう少しで……こいつに長年の恨みを晴らすチャンスなんだ。あたいの手で終わらせなきゃ……」

兵士「……」

魔法戦士「でも……」

グワン

側近「!?」

魔法戦士「なんだ!?」

兵士「おい、魂が肉体に戻ってるぞ……」

側近「くそ!抵抗してやがるのか!」

魔法戦士「どういうことだよ!魂だけになっても動けるものなのか?」

側近「こいつならあり得そうだね……」

魔法戦士「逃げたほうがよくないか?このままじゃ元に戻っちゃうよ」

側近「……こいつは野放しにはできない。今が封印するチャンスなんだ」

魔法戦士「そんなこと言っている場合じゃないよ!勇者に任せよう!」

側近「あいつは平気そうな顔をしていたが、普通の人間なら死んでいてもおかしくないほどダメージを負っているはずだよ」

魔法戦士「……」

側近「いくらなんでもここで復活されたらもう勝ち目はない」

魔法戦士「……何かいい考えがあるのかい?」

側近「ああ。あたいに任せてくれ。だから……」

魔法戦士「うん?」

側近「ごめんな」

ドスッ

魔法戦士「う……か、母ちゃん……?」

側近「元気でな。愛してるよ」

魔法戦士「母……ちゃん……」ガクッ

側近「……嫌な予感ってのは当たるもんだ」

兵士「本当にこんなことになっちまうなんて。こいつが救われねえよ……せっかくあんたに会えたってのに……!」

側近「あんたにも厄介な仕事押し付けて悪かったね」

兵士「一番辛いのはあんただろうがよ!俺なんかに謝るなよ……」

側近「こうするしかないんだ。でも、最後にこの子に会えて良かった」

兵士「……本当にいいのか?」

側近「ああ、あたいはもう助からない。早くこの子を連れて脱出してくれ」

兵士「……」ガシッ

側近「もう、暗い人生を送るんじゃないよ。あんたはあんたの人生を歩むんだ……幸せにおなり……」スッ

魔法戦士「」

側近「……」

兵士「こいつのことは任せてくれ」

側近「……」

側近「……ありがとう。頼んだよ」

──────

────

──




勇者「生身の海賊どもはいつの間にか消えていたな。私としたことが……」

勇者「む、皆を村へ送っている間に再生し始めていたか」


ウネウネウネ


勇者「原型がわかり始めたな。1、2、3……10と。よし、全部いるな」

勇者「一ヶ所に纏めて……」ガシッ

ドサッ

ガシッ

ドサッ

勇者「……ふう、早く休みたいものだ」

勇者「残っている魔法力は瞬間移動呪文が二回分といったところか」

勇者「船で何事もなければ問題ないが……」

今日は終わります

──────

────

──




側近「すまないね。あんたたちを巻き込んじまって」

奴隷の青年「僕たちはあなたがいたから生きてこられたんですよ、側近さん」

奴隷A「そうだぜ。あんたには何度も救われた」

奴隷B「俺たちにはどうせ帰る場所も待っている家族もいないからな。気にしないでくれ」

奴隷C「最後に海賊に痛い目見せてやれるんだ。悔いはない」

側近「皆、ありがとうな」

奴隷の女「もうすぐ目的の場所に着きます」

奴隷の青年「いよいよか……」

側近「……本来ならあんたら二人はここから逃げ出せたら結婚するつもりだったんだろ?それだけが心残りだ」

奴隷の青年「気にしないで下さい。元々助かるなんて思ってませんでしたし」

奴隷の女「それに最期まで二人一緒にいられる。こんな幸せはないですよ」

奴隷D「ちっ、見せつけやがってよ。最後だから言うけど俺だってあんたのこと好きだったんだ」

奴隷の女「えっ?」

奴隷E「俺もだ。っていうか皆好きだったろ」

奴隷の女「ええっ?」

奴隷F「こんなところじゃ女に会うことなんて滅多にないから当然っちゃ当然だろ」

奴隷G「でも、お前らが本気だってことはわかっているから誰も水をさすようなことはしなかったんだよ」

奴隷の女「……気がつかなくてすいません」

側近「ちょっと、ここにもいい女はいるだろ。あたいを口説こうってやつはいなかったのかい!?」

「頭の女だと思ってたからなあ……」

「気が強すぎる女はどうも……」

「大体いくつだよ……」

側近「誰だい!?今さりげにあたいを貶しただろ!」

奴隷の青年「ははは、まあまあ……ん?」


ギュイイイイイン

スタッ

勇者「はあ……はあ……さすがにこの数を運ぶのはきついものがあるな」

ドサッドサッドサッドサッ

闇の海賊「「「」」」

側近「あ、あんた……」

勇者「ここは……沖か?陸が見えない場所まで移動したのか」

側近「……ああ」

勇者「どういうことだ?しかもまだ人間が残っているではないか」

奴隷の青年「船を出すためには最低でもこの人数が必要だったんですよ」

勇者「君は……船に乗っていたのか」

側近「すまないね。封印はうまくいかなかった。もうすぐ頭の魂は肉体に戻っちまう」

勇者「なに!?」

側近「どうやらそいつは魂だけでも動けるみたいでね」

勇者「神鳥は魂になっても生きると聞いたが……まさに不死鳥そのものだ」

勇者「ならば今度は完全に魂を肉体から離してやる」

側近「魂が離れた状態の肉体にいくらダメージを与えても意味がない」

勇者「……一体何を考えている?」

側近「ここから少し離れた場所に嵐が来る。肉体から魂を引っぺがすのにこんな都合のいいものはないからね」

勇者「なんだと?それでは……」

側近「皆覚悟があるからここに残ったんだ」

勇者「そんなことを認められるわけがないだろう!」

側近「じゃあどうする?もう夜が明けた。船乗りの骨は使えない。エルフの女王様ってのも当てが外れたんだろ?」

勇者「……」

側近「こいつが復活したら夜になるまでまたあんたが戦うかい?現実を見な。それは不可能だとあんたもわかっているはずだ」

勇者「だがそれでは……」

側近「意地悪な言い方をして悪いと思っているよ。でもあんたならどうすればいいかわかるだろ?世界を救うためにはさ……」

勇者「……」

側近「魂さえ船に残っていれば船乗りの骨は使えるはずだ」

勇者「……」

側近「夜になったら闇に帰してくれ。あたいらの亡骸と共に……」

勇者「……」

側近「陸へ帰る分の力くらいは残っているだろ?」

勇者「……私だけ帰るわけには───」

側近「現実を見ろと言ってるんだ!皆の覚悟を鈍らせる真似はしないでくれ!」

勇者「……」

奴隷の青年「……一応聞きますが、誰か一緒に連れて帰ることはできますか?」

勇者「……今の残っている力では一人を連れていくだけで精一杯だ……」

側近「一人か……だったらお願いするよ」

奴隷の青年「……」

奴隷「「「……」」」コクッ

奴隷の青年「ありがとうございます……連れて帰るのは彼女にして下さい」

奴隷の女「えっ!?」

側近「こうなったときのことを考えて話しておいたんだ。もし、一人だけ助かることができるならあんただってね」

奴隷の女「な……!」

側近「皆納得しているよ。もうここまで来たら一人くらい欠けても目的の場所には着けるだろう」

奴隷の女「嫌!私だけ帰るなんて!私もあなたと一緒に残る!」

奴隷の青年「お願いだ……わかってくれ」

奴隷の女「なんでそんな勝手なこと……なんで私なの……!」

奴隷の青年「君は僕の……いや、ここにいる皆の希望だったんだ」

奴隷の青年「暗闇の世界でも君という光があったから笑うことができた。死んだほうがましだと思える世界で生きる希望になってくれた」

奴隷の青年「君はここで死ぬべき人間じゃない。世界に僕たちと同じように希望を与えてほしい」

奴隷の青年「生きてくれ、僕たちの分も。そうすれば君の中でいつまでも生き続けることができる」

奴隷の青年「僕たちがいたという証をどうか残してほしい」ギュッ

奴隷の女「……うっ……うっ……」

側近「そろそろ嵐に巻き込まれちまう。行ってくれ」

勇者「君たちと一緒に戦えたことを誇りに思う」

側近「あんたこそ真の勇者だと思うよ。あたいらのことを引きずったりしないでおくれ。まだやることが残っているんだろ?」

勇者「ここにいる全員が勇者だ。私は何もできなかった」

側近「あんたはあたいらの仲間だ。仲間に頼るなんて当然のことだろう?」

勇者「ああ……絶対に世界は守ってみせる。君たち勇者の残したものを無駄にはしない」

側近「ふふふ、あたいの残したものは大きいよ。とても強くて温かいんだ」

勇者「そうだな……」

側近「泣くんじゃないよ。勇者ともあろうお方が。こういうときは笑って見送るもんさ」



奴隷の女「……絶対忘れないよ……エリック」

奴隷の青年「……さようなら……オリビア」

今日は終わります
途中で気づかれたのかな?多分その通りです
ありがとうございました

──────

────

──

海岸


兵士「はあ……」

魔法戦士「」

兵士「辛えな……こいつに話すのは……いっそこのまま目を覚まさないでほしい気分だぜ。ってそんなわけにいくかよ……はあ……」


ギュイイイイイン


兵士「!?」


ドボーン


兵士「なんだ!?」


ザバァ

勇者「はあ……はあ……ギリギリ届いたか……大丈夫か?」ヨロッ

奴隷の女「はあ……はあ……ええ……」

兵士「勇者じゃねえか!それにあんたは……」

兵士「ひょっとして船に行っていたのか?」

勇者「……ああ」バタッ

兵士「そうか、事情は大体わかっているみたいだな」

勇者「……ああ」

魔法戦士「う……うん……」パチリ

兵士「お、こっちも気がついたか」

魔法戦士「……母ちゃん!母ちゃんは!?」

兵士「……」

勇者「……」

魔法戦士「……そうか。やっぱり……」

兵士「なんだよ。こうなることがわかっていたみたいに……」

魔法戦士「昔、あたいは母ちゃんに助けられたことがあった。母ちゃんと離れ離れになった日だ」

勇者「……」

魔法戦士「……そのときと同じ目をしていた」

兵士「そうかよ……」

魔法戦士「何があったんだ?教えてくれ」

兵士「ああ……」

──────

────

──

数時間前


魔法戦士『それに、あたいだって戦える!』ダッ

タッタッタッ

側近『あ……』

兵士『ああもう!ちくしょう俺も行くぞ!』

側近『待ちな』

兵士『なんだよ逃げるなら一人で逃げてくれ』

側近『あんたに頼みがある』

兵士『ああん?』

──────

────

──

宝物庫


兵士『頼みって宝箱の鍵を探すことかよ。管理くらいちゃんとしとけよ』

側近『仕方ないだろ。今探している物はあたいでも近づくことを許されていないんだ』

兵士『側近なのにか?』ゴソゴソ

側近『側近なんて形だけだよ。あたいは誰にも信用されてないからね』ゴソゴソ

兵士『随分ややこしいことになってんだな……』ゴソゴソ

側近『あと頼みたいのはそれだけじゃない。あの子のことさ』

兵士『おいおい、俺にあいつをもらえってのかよ』

側近『バカ言うんじゃないよ!どこの馬の骨かもわからない野郎なんかに大事な娘をやれるもんか!』

兵士『酷い。馬の骨じゃねえよ』

側近『……悪かったよ。あの子を頼むってのは、この後もしものことがあったら船から一緒に脱出してやってほしいんだ』

兵士『もしものことって……うまくいくんじゃないのかよ。あんたは逃げないのか?』

側近『今探している物を使えば、あたいは助からない』

兵士『え……』

側近『それを知ればおそらくあの子は止めるだろう。その時は力ずくにでも……』

兵士『ちょ待てよ。助からないってどういうことだよ!?』

側近『あれは魂を封印する道具。いくら不死身でも、あれがあれば頭も終わりだ』

兵士『そりゃあ……不死身相手にはもってこいの道具だな』

側近『だが、使用する見返りとして使用者の魂も抜きとっちまう危険なものなのさ』

兵士『え……』

側近『それと、使うには対象者を瀕死状態にしなくちゃならなくてね。もしかしたらあの男なら……』

兵士『勇者ならやってくれるだろうが……おいおい、まさかあんたが使うのか?』

側近『そりゃ使わないに越したことはないよ。万が一って話だ。その万が一の時はあたいが使う。だから誰にも使い方は教えないよ』

兵士『……そうならないことを祈るぜ』

兵士『でもあんた、冷たい女かと思っていたけど娘思いのいい母親だったんだな。少し驚いたぜ』

側近『あの子には辛い思いばかりさせてきちゃったからね……せめてもの償いさ』

兵士『何言ってんだ。あいつがあんたのことを恨むはずがないぜ』

側近『……』

兵士『あんたもあいつがどんな人間かわかっているだろ?親子なんだ。そっくりだよ、あんたらは』

側近『……』

兵士『償いなんて考えるのはやめろよ。あんたはあいつを守りたい。それでいいじゃねえか』

側近『……そうか、そっくりか……ふふ、ありがとな。親としてこんなに嬉しい言葉はないよ』

兵士『あとよ……現実に戻して悪いが、万が一それを使うことになって……百万が一勇者が負けちまったらどうする?相手を瀕死にしないと使えないんだろ?』

側近『それは……』

奴隷の青年『ここから少し離れた沖に嵐がきますその中に船を突っ込ませましょう』

側近『あんた……』

奴隷の青年『そうすれば瀕死状態に……たとえならなくても嵐の中なら無理矢理魂を引っ張り出せるかもしれない』

兵士『お前、仲間の救出は……?いや、それより船ごと突っ込むだと?』

奴隷の青年『仲間は皆ここにいます。それで、すみません。お話を聞いてしまいました』

奴隷A『嵐がどこに来るかなんて、長年船に乗っていた俺たちならわかっちまうからな』

奴隷B『あんたを見殺しにして俺たちだけ助かるなんて、できっこねえだろ』

奴隷C『こんな命が役に立つなら喜んで差し出すぜ。頭を仕留めないと、どうせ逃げ出した俺たちは殺されるんだ』

側近『あんたら……』

奴隷の女『この人数でなら船を動かせます。いざというときのために待機していますね』

兵士『ま、待てよ。だったら俺も……』

奴隷の青年『あなたはあなたの役目があるでしょう?あなたが船にいても役には立てない』

兵士『ぐっ……!』




側近『嵐か……これが天から与えられた運命なのかもね……』

今日は終わります
ありがとうございました

──────

────

──


兵士「皆、守りたかったんだよ。大切なものを」

奴隷の女「……」

魔法戦士「……やっぱりあの人はすごいね。自慢の母ちゃんだ」ニコッ

兵士「お……おう?」

勇者「笑って見送ろう。勇敢な者たちの船出を」

魔法戦士「うん……」

兵士「……そうだな」

奴隷の女「……」

兵士「あとここで女王様に眠らされている連中も保護してやらないといけねえし、やることはまだ残ってるぜ。つっても……」

魔法戦士「……」ボロボロ

奴隷の女「……」グッタリ

勇者「……」ヘロヘロ

兵士「まともに動けるのは俺だけか……じゃあひとっ走り村まで行って助けを呼んでくるぜ」

勇者「ゆっくりでいいから彼女たちも一緒に連れて行ってやってくれ。私は眠っている彼らを見守っている」

兵士「大丈夫かよ。こんなときに魔物に襲われでもしたらいくらあんたでも……」

魔法戦士「あたいも残るよ。両腕は使えないけど、今のあんたよりは戦える自信があるよ」

勇者「……わかった。頼りにさせてもらう」

兵士「お、おう。じゃあ行こうぜ」

奴隷の女「……」コクッ

スタスタ

勇者「……」

魔法戦士「……」

勇者「本当なら今は一人にしてやりたかったのだが……すまないな。動くこともままならないようだ」

魔法戦士「なに言ってんだ……今……一人にされたら困るよ……」

勇者「……泣きたいときは泣けばいい」

魔法戦士「なんだよ……さっきは笑ってとか……言ってたくせに……あんたが泣いてどうすんだよ……」

勇者「……私も人間だ。感情を抑えるのも限界がある」

魔法戦士「……胸を貸してよ……」

勇者「ああ……」ギュッ

魔法戦士「……」

魔法戦士「……」グスッ

勇者「……」

魔法戦士「うっ……うっ……うええぇん……」

勇者「……」

魔法戦士「母ちゃん……行っちゃやだよ……」

勇者「……」

魔法戦士「置いていかないでよ……」

勇者「……」

魔法戦士「あたいを……一人にしないでよ……」

勇者「……」

魔法戦士「うわあああああん───」

──────

────

──


勇者「すまなかったな……私の力が足りなかったばかりに」

魔法戦士「あんたも謝ってばかりだね。そこまで背負い込むことはないよ」

勇者「これほど自分を情けなく思ったことはない……!」

魔法戦士「……正直さ、あんたが勇者だって知ってからなんて言うか……近寄り難いと思っていたんだ」

勇者「……」

魔法戦士「でも勇者だって万能じゃない。今のおかしな泣き顔とか」

勇者「……」

魔法戦士「弱い部分も見ることができて……だから支え合うことができて」

勇者「……」

魔法戦士「これが仲間のいいところなんだなって思えたよ」

勇者「そうだな……」

魔法戦士「あんたには感謝の気持ちしかない。あんたがいてくれてホントによかったよ……ありがとう」ニコッ

勇者「……逆に君から勇気づけられてしまうとは」

魔法戦士「へへ……」

勇者「まだ辛いだろうが、いつかは乗り越えられる」

魔法戦士「わかってる。これで二度目だしね」

勇者「……これからどうするのか決めているのか?」

魔法戦士「いいや……もう生きていく目標は達成したって感じだし」

勇者「生きていく目標か……」

魔法戦士「あたいは復讐が全てだったからね」

勇者「……」

魔法戦士「……」

勇者「……私の話をしてもいいか?」

魔法戦士「ふふっ、いちいち確認とらなくていいよ。あまり自分のことは話し慣れていないんだね」

勇者「そうだな。仲間の勇者と妻以外では初めてだ」

魔法戦士「えっ!?」

勇者「ん?」

魔法戦士「あんた……奥さんがいたのか?」

勇者「ああ、しばらく会っていないが息子も一人いる」

魔法戦士「……」

勇者「だが魔王を滅ぼさない限り、家には帰らないと決めている」

魔法戦士「そっか……早く会えるといいね」

勇者「ああ、きっと息子は私の小さい頃によく似ているに違いないからな。成長が楽しみだが、会ったらなんて会話をしたらいいかわからないのが問題だ」

魔法戦士「くすっ、ただの親バカじゃないか。意外な一面だね」

勇者「君も子供ができたらわかるよ。親とはそういうものだ」

魔法戦士「あたいに子供か……うん、想像できない」

勇者「早くいい相手を見つければいいのではないか?」

魔法戦士「余計なお世話だよ」

魔法戦士「でも、それよりあんたの小さい頃の方が想像できないね」

勇者「……私は自分で言うのもなんだが、素直で明るく後先のことを考えない真っ直ぐな子供だった」

魔法戦士「えっ?」

勇者「同年代の友達も多く、皆から慕われるような……いわゆるガキ大将だった」

魔法戦士「嘘だろ……ってかホントに自分で言うのもだよ。話し慣れていない感じがひしひし伝わってくるよ」

勇者「む……これを話すときは皆同じ反応だったな。やはりやめた方がよかったか」

魔法戦士「いや、面白いよ。もっと聞かせてよ。なんでそんな堅物になったのとかさ」

勇者「……」

魔法戦士「気にしてたらごめん」

勇者「いや……大丈夫だ」

魔法戦士(ホントかよ……)

勇者「年齢が二桁になるかならないかの頃だった───」

今日は終わります

いい加減長いですかね
ウンザリですかね

ありがとうございます
代わり映えしないシーンが続き、書き出したらまだまだ長くなりそうなので少し予定していた話はカットします
いつかどこかでぶちこめたらいいかなと

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────

──


魔法戦士「……」

勇者「……」

魔法戦士「……あんたの覚悟……すごすぎて何も言えないよ……」

勇者「人にはそれぞれ覚悟を決める決断が必要だ。私にはそれがたまたま勇者であることだっただけ」

魔法戦士「でも……やっぱりあんたの運命は普通じゃない」

勇者「運命か……」

魔法戦士「そうだよ。あんたは特別なんだよ」

勇者「そんな言葉では片付けたくないが、君にも大いに言えることだ」

魔法戦士「あたいは……望まれて生まれてきたわけじゃないし……」

勇者「……」

勇者「闇の勇者に子供ができなかったのはきっと、天の指針だったのだろう」

魔法戦士「……」

勇者「それでも生まれてきた君の運命……だとすればそれは一体何を意味するのか」

魔法戦士「あたいの運命……」

勇者「君は生まれるべくして生まれた。世界に必要な存在だったんだ」

魔法戦士「なんだよそれ……あたいに何ができるのさ」

勇者「それはわからない。だが、実際私の命を救ってくれた」

魔法戦士「だって、あたいと出会わなければそもそもあいつと戦うこともなかったろ」

勇者「私がこの地に来たのは怪物の噂を聞いたからだ。闇の勇者のことだとは思わなかったが……つまり、いずれは相見えていた」

魔法戦士「そうだったのか……」

勇者「それに、私は君に会うことができて良かったと思っている」

魔法戦士「な、なんだよ。そ、そんなこと……!」

勇者「君だけではない。皆に会うことができて、私は一層強くなれた。この世界を守りたいという気持ちが溢れてくるんだ」

魔法戦士「そ、そうだよな。皆に会えたから……」

勇者「ああ」

魔法戦士「……」

勇者「運命とは誰かに決められるものではない……だが、これだけは言える」

勇者「世界は君を望んでいる」

魔法戦士「……」

勇者「きっと、この先も君を必要とする者が現れるだろう」

魔法戦士「……」

勇者「そのためにも君は君の道を見つけてほしい」

魔法戦士「……」

勇者「何より君自身のために」

タッタッタッ

兵士「おーい!待たせたなー!」


勇者「む、ちょうど迎えが来たみたいだな」

魔法戦士「……」

勇者「どうした?」

魔法戦士「あんた、それが言いたいがために?」

勇者「説得力があるだろう?」

魔法戦士「……」ポカーン

魔法戦士「……」

魔法戦士「……ふふっ……ホントだね」ニコッ

兵士「ん?」

魔法戦士「こんな回りくどい話して……あんた以上に説得力があるやつなんていないよ」

勇者「そうか……」

兵士「どうした?やけに盛り上がってんじゃねえか」

魔法戦士「ふふっ、なんでもないよ」

兵士「ずりいよ。教えろよ」

魔法戦士「やーだよっ」


ワーワーギャーギャー

今日は終わります
コメントありがとうございました

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────

──

北の村・道具屋


旅人「では勝利を祝して、乾杯!」

踊り子「なんであんたが仕切ってんのよ」

旅人「えっ?」

魔法戦士「そういうことは勇者にやってもらうもんだろ。一番の功労者なんだし」

旅人「お、俺だって頑張ったから……」

魔法戦士「大体乾杯って空気じゃないだろ。目覚めてない人たちもいるのに」

踊り子「女王様がまだ気を失っているから、何とかしてもらわないと呪いが解けないのよね」

旅人「あの人が目覚めたところでなあ……呪いは解けるのか怪しいもんだ」

魔法戦士「縁起でもないこと言うんじゃないよ。だからモテないんだよ」

踊り子「なっ……!お前だってそんな性格じゃ嫁にもらってくれる者は現れんぞ!」

魔法戦士「へん、この性格は親譲りなんでね。直そうとも思わないよ」

旅人「可愛げのないやつめ……親の顔が見てみたいな」

魔法戦士「あんたに紹介するほど安くないよ、あたいの母ちゃんは」

旅人「な、なんだとー!」


ワーワーギャーギャー

兵士「……どうやらいつものあいつに戻ったみたいだ。全部あんたのおかげだな」

勇者「私は何もしていない。それと、あれは彼女の精神の強さが支えてくれているだけだ。まだ完全に立ち直ってはいないだろう」

兵士「いや……あんたがいなきゃ、あいつはここで笑っていられることもなかった。礼を言う」

勇者「君から礼を言われるのも妙な気分だ」

兵士「……お袋さんに、頼まれちまったからな」

勇者「そうか……」

──────

────

──

道具屋・奥の部屋


奴隷の女「……」

村娘「あなたも少し休まないと……お身体に障りますよ」

奴隷の女「……大丈夫」

村娘「……」

奴隷の女「眠っている人たちは私が見てるから……少し一人にさせてくれない?」

村娘「でも……」

奴隷の女「お願い」

村娘「……わかりました。決して無理しないで下さい。私たちがいますから」

奴隷の女「ありがとう……」

村娘「……」スッ

テクテク

奴隷の女「……」

エルフ女王「う……うん……」パチリ

奴隷の女「あ……」

エルフ女王「私は一体……?ここは……?」

奴隷の女「ここは北の村ってところ」

エルフ女王「北の村といえば……たしかリア充とかいう男の……」

奴隷の女「?」

エルフ女王「……はっ!そうか……私は……」

奴隷の女「なに……?どうしたの?」

エルフ女王「思い出しましたわ……なんてこと……私は人間などと協力してしまったの……」

奴隷の女「……あなたのことは話に聞いていたけど……大分様子が違うみたい」

エルフ女王「里に帰らなくては」ムクッ

奴隷の女「待って。あなたが呪いにかけた人たちがまだ眠っているの。このままにしておく気?」

奴隷×10「「「zzz」」」

エルフ女王「そうでしたね。彼らには悪いことをしました……むん!」

「う……ん……」パチリ

「あれ……?ここは……?」パチリ

「俺たちはたしか海賊と……」パチリ

ムクムクムクムク

奴隷の女「皆……良かった」

エルフ女王「ふう。ちゃんと使えましたね」

奴隷の女「あなた、本当に話に聞いていたのとは別人みたい」

エルフ女王「もう用はありませんね。帰らせていただきます」

奴隷の女「……」

エルフ女王「……まだ何か?」

奴隷の女「少し話がしたいの。ここじゃちょっと……」

エルフ女王「……?」

──────

────

──




エルフ女王「お話とは?」

奴隷の女「まず自己紹介しなくちゃね。私はオリビア……幽霊船に乗っていた奴隷」

エルフ女王「!?」

奴隷の女「あなたが闇に送った船の奴隷よ」

エルフ女王「……そうでしたか」

奴隷の女「それで……あなたは能力が不安定だったとはいえ、今回も私たちに災厄をもたらした」

エルフ女王「……」

奴隷の女「……この戦いで、私は大切な人を失った」

エルフ女王「……」

奴隷の女「あなたに全ての責任を押し付けるのはお門違いだってわかってる……でも、この先私はきっとあなたを恨み続ける」

エルフ女王「そうですか……そうですね」

奴隷の女「行き場のない恨みの矛先を、あなたに向け続けると思う……」

エルフ女王「……ならば私にどうしろというのですか。私にはあなたの悲しみを癒すことなど……」

奴隷の女「……私に呪いをかけてほしいの」

エルフ女王「はい?」

奴隷の女「彼と……エリックと同じ苦しみを分かち合いたい」

エルフ女王「……それがどういうことなのかわかっていますか?」

奴隷の女「……よく考えた。私のこの先の人生を」

エルフ女王「……」

奴隷の女「でも、どう考えたって曇った心が晴れることはない」

エルフ女王「……」

奴隷の女「だから私の魂が晴れるまで……解けない呪いを───」

──────

────

──




側近「はあ……はあ……やった!完全に魂を肉体から隔離したぞ」

奴隷の青年「頭の肉体がどこかへ吹っ飛んでいった……やはり嵐の中に来て正解でしたね」

側近「でも……他の皆もほとんどが行方不明になっちまった」

奴隷の青年「今さらですよ。皆の覚悟をお忘れですか?」

側近「……そうだったね。ホントにあんたらには感謝している」

奴隷の青年「良かった。あなたに恩を返すことができて」

側近「だがここからだよ。あいつは魂だけでも抵抗する。さっき一度使ったからあたいも魂が半分持ってかれたみたいでね……封印する力が残っているか……」

奴隷の青年「だったら僕の魂も使って下さい。どうせ失う命だ」

側近「そうか……じゃあ有り難く使わせてもらうよ」

側近「これに手を添えてくれ」

奴隷の青年「はい」スッ

側近「あんたの魂は半分だけ使わせてもらう。ここに半分を預けるんだ」

奴隷の青年「魂を預ける?そんなことができるんですか?」

側近「わからないけど、さっき魂を持ってかれたときは完全に封印されたような感覚じゃなかったんだ」

奴隷の青年「それって……」

側近「どうせなら楽しいことを想像しようよ。あたいならこう考える」

側近「次にこれを使えばあたいの魂は頭と共に完全に封印されるだろう」

側近「でも、あんたは少し力を貸しただけ。半分の魂は封印されることなくギリギリで留まるんだ」

側近「例えるなら同じ建物内でもあたいらは牢獄、あんたは宿屋にってね」

側近「そして誰かが宿を訪ねてきて、願ってくれたらあんたの魂は解放される」

奴隷の青年「ははは、ロマンチックですね。訪ねてきてくれるのが彼女だったら言うことなしだ」

側近「いいね。王子様とお姫様が結ばれるハッピーエンドだ」

奴隷の青年「王子様か……僕は彼女にプレゼントすらあげられなかった甲斐性なしですけどね」

側近「何言ってんだ。十分あげたと思うよ。愛の思い出をさ」

奴隷の青年「クサいですね」

側近「ロマンチックなの結構好きなんだ……そうだ!」

奴隷の青年「どうしました?」

側近「魂になって、あんたの愛の思い出はずっとこの中に生き続けるんだ。この道具の名前……"愛の思い出"って呼ばないか?」

奴隷の青年「いいですね。背中が痒くなってきます」

側近「ははは……まだまだ青いね」

奴隷の青年「あなたはよくも照れずに」

側近「人を愛することは恥じらいの連続だよ……永遠に続く恥を乗り越えられるかどうかがうまくやっていける秘訣さ……」

奴隷の青年「身に染みますね……じゃあ、ハッピーエンドの向こうまで愛の思い出を語りに逝きましょう」

側近「ああ……楽しみだ……」

奴隷の青年「では"愛の思い出"よ、僕の魂半分と引き換えに力を貸してくれ」

ギュイーン

奴隷の青年「ううっ……!」ヨロッ

奴隷の青年「はあ……はあ……うまくいったか……頭の魂は無くなった……」

奴隷の青年「やりましたよ、側近さん」

奴隷の青年「……」

奴隷の青年「……半分だけなのに、魂を抜かれることがこんなにきついなんて……」

奴隷の青年「あなたはずっとこんな状態だったのですね……」


側近「」


奴隷の青年「……ありがとう側近さん……」

今日は終わります
ありがとうございました

──────

────

──


村娘「た、大変です!」タッタッタッ

踊り子「どうしたの?そんなに慌てて」

村娘「女王様とオリビアさんがどこにもいなくて……!」

魔法戦士「えっ!?」

村娘「お仲間の方たちは目を覚ましていて……二人で出ていったっきり戻ってないそうなんです」

勇者「女王様も……?」

兵士「あいつらが起きたってことは女王様が呪いを解いたってことか」

旅人「力が戻ったのか」

村娘「どうしよう……私が一緒にいてあげなかったから……」

魔法戦士「落ち着きな。村娘ちゃんのせいじゃないよ」

勇者「うむ……だが心配だ」

勇者「周辺を探してくる」

兵士「勇者はいい加減休んでいろ。元気なやつで探してくるからよ」

魔法戦士「そうだね。行こう」

村娘「はい!」

踊り子「急ぎましょう」グイッ

旅人「えっ?俺も?俺だって怪我して……」

踊り子「治してもらったでしょ。文句垂れない」

旅人「そんな……」ズルズル

勇者「……」

店主「あんたはよくやってくれたよ。これ以上頼れないさ。それとも彼らに任せるのは不安かい?」

勇者「む……そうだな……任せたぞ」

──────

────

──


ガタッ

勇者「む……物音が」

店主「えっ!?」

勇者「裏口の方から……妙だな。彼らが帰ってきたら正面口から来るはずだが……」

店主「ひっ!泥棒か?な、なあ……様子を見てきてくれないか?」

勇者「ん?」

店主「なあ、頼むよ」

勇者「……」

──────

────

──

裏口

勇者「……あなただったか」

エルフ女王「……」

勇者「今までどこへ?」

エルフ女王「……」

勇者「眠っていた者たちが目覚めたそうだ。もしやあなたの仕業か?記憶が戻ったのですか?」

エルフ女王「ええ……あなたにはお世話になりましたね」

勇者「……」

エルフ女王「記憶が蘇り、後悔しているところです」

勇者「……」

エルフ女王「なぜ人間に力を貸してしまったのか、と……」

勇者「そうか……」

エルフ女王「オリビアさんは出て行きました。一人で生きる覚悟を決めたようです」

勇者「……」

エルフ女王「……本当に最後まで後味の悪いことになりました」

勇者「……」

エルフ女王「もう私はあなたの知っている私ではない」

勇者「……」

エルフ女王「オリビアさんのことを伝えるために戻ってきただけです。もう用はありません」

エルフ女王「里に帰り、人目に付くことなく暮らしていきますよ」

勇者「そうか……」

エルフ女王「私たちは決して相容れることのない種族。もう会うことは……」

勇者「種族など関係ない。あなたは私たちの誇りだ」

エルフ女王「……」

勇者「忘れないでくれ」

エルフ女王「……さようなら」

──────

────

──


勇者「……ということだ」

村娘「そんな……せっかく仲良くなれたのに……」

踊り子「受け入れるしかないのかな……」

旅人「記憶を失っていたときの女王様が特別だったってことになるのか」

魔法戦士「そうかな……あれもホントの女王様じゃないのかな」

踊り子「……」

村娘「……」

旅人「……だよな」

兵士「今さらあれが違うとか言われても信じられねえよ」

踊り子「簡単に呪いとか使っちゃうけど、基本的には優しい方なのよね」

村娘「命を救ってもらいました」

旅人「自分より俺たちの命を優先してくれたな」

勇者「そうだな……人間に嫌な思い出しかなかった頃を思い出しただけだ。その頃とは……」

勇者「しかし、これは私たちが思っている以上に根深い問題であるのだろう」

勇者「簡単にクリアになるものではない」

今日は終わります
ありがとうございました

踊り子「女王様は仕方ないとしても、オリビアはどこへ行ったのかしら?」

勇者「私も周辺は探したが……」

魔法戦士「はあ?休んでろって言っただろ!」

勇者「……すまん」

兵士「勇者も形無しだな……」

旅人「しかしあれだけ探しても結局見つからなかった」

村娘「心配です……」

「うおーいおいおい……オリビアー……」

「どこ行っちまったんだよー……」

「せっかく俺たち自由になれたのに、オリビアがいないんじゃ……」

兵士「完全にこいつらのアイドルだったんだな……」

魔法戦士「……」

勇者「君たちはよくやってくれた。私は回復したら再び旅に出る。その際に見つけたら様子を窺ってみる」

魔法戦士「そうか……」

勇者「勇者様も行ってしまわれるのですね……」

踊り子「仕方ないわよ。ずっとこの村にいるわけにはいかないし」

兵士「そうだな。こうなった以上、後は勇者に任せようぜ。俺たちは俺たちの役割があるだろ」

旅人「ああ、今後は俺たちだけで村を守っていかなくてはな」

踊り子「あら?あなたは村に残るの?」

旅人「当然だ。もうここは俺にとって大切な───」

踊り子「仕事なんてないわよ」

旅人「!?」

踊り子「村を守るにしては頼りないし」

旅人「!?」

兵士「ははは、せめてお前みたいに魔法でも使えたらな。なあ魔法戦士」

魔法戦士「……」

兵士「……?」

踊り子「次に行く場所は決まっているの?」

勇者「私の旅の鍵となるアイテムを探さなくてはならない。東にその手がかりを聞いたから向かおうと思う」

踊り子「東か……大きい国もあるからオリビアの手がかりもあるかもしれないわね」

勇者「ああ」

旅人(鍵……鍵といえば魔法の鍵か?)

踊り子(きっと魔法の鍵のことね)

村娘(東にあるという噂は本当だったんだ)

兵士(勇者でも魔法の鍵を必要としてたのか)

勇者(オーブがあるといいが……)

──────

────

──




勇者「皆、眠ってしまったようだな……無理もないか。相当疲れていたのだから」

勇者「……」ゴソゴソ

勇者「さて、ここでの最後の仕事だ」スッ

勇者「……」

勇者「……」

勇者「君たちのことは生涯忘れない」ムンズ

魔法戦士「待って」

勇者「まだ起きていたのか。疲れが残っているだろう」

魔法戦士「大丈夫だよ。それよりそれ……」

勇者「ああ……船乗りの骨を使う」

魔法戦士「……闇に送ってしまうんだね」

勇者「ああ……」

魔法戦士「……」

勇者「……」

魔法戦士「……なあ、その役目あたいにやらせてくれないか?」

勇者「……」

魔法戦士「前に進むための、これを最初の一歩にしたい」

勇者「……そうか」

魔法戦士「うん……」

勇者「これは君がやるべきなのかもな」スッ

魔法戦士「ありがとう」ガシッ

魔法戦士「……」

魔法戦士「……」



魔法戦士「……」



魔法戦士「……」



魔法戦士「……母ちゃん」



魔法戦士「じゃあね……」スルッ


ギシギシ……シュン……


勇者「……」

魔法戦士「あたいはあたいの道へ、行ってくるよ」

──────

────

──




奴隷の青年「……うう……」

奴隷の青年「海賊たちの魂は……全部封印できたか……」

奴隷の青年「今……誰が生き残っているのかもわからない……」

奴隷の青年「でも全員死ぬんだ……関係ないか……」

奴隷の青年「……僕はもうすぐ逝く……オリビア……」


側近「……」パチリ

側近「……」キョロキョロ

側近「……」ムクッ

奴隷の青年「!?」

側近「……」キョロキョロ

奴隷の青年「側近さん!?えっ!?なんで!?」

側近「……うまくいったか……」

奴隷の青年「!?」ゾクッ

側近「……」

奴隷の青年「側近さんじゃない……」

今日は終わりです

側近「ちっ、こんな身体じゃあうまく動きがとれんな」

奴隷の青年「お前は……」

側近「しかしわしの身体は一体どこに……」

奴隷の青年「頭なのか……?封印される前に側近さんの身体を乗っ取ったのか!?」

側近「誰だ?お前は」

奴隷の青年「奴隷の顔なんて覚えてないってのか……!」

側近「ふん、奴隷か。お前もこの状況、一枚噛んでいるようだな。わしの身体はどこにある?」

奴隷の青年「お前の手の届かないところさ」

側近「……死にたいらしいな」

奴隷の青年「何言ってるんだ?もう死ぬんだよ。僕も、お前も。この嵐に飲まれて」

側近「わしは死なない」

奴隷の青年「お前は不死の身体を失った」

側近「……」

奴隷の青年「今まで通りにいくと思ったら大間違いだ!」

側近「……ふん、今にも死にそうな顔でほざきおって。お前程度ならこの身体でも十分殺せる」

奴隷の青年「好きにしろ。死ぬのが少し早まるだけだ」

側近「ならば極上に苦しませてから殺してやる」

グサッ

奴隷の青年「!?」

ポタッ……ポタッ……

側近「な……」ドクドク

奴隷F「せっかくよぉ……いい気分のままいられたんだ。このまま死なせてくれよ」

奴隷G「他のやつらは見当たらなくなっちまったが」

奴隷H「おらたち3人はまだ生き残っているだよ」

奴隷の青年「皆!」

側近「お前ら……全員奴隷か……」

奴隷F「そういうこと。今まで世話になったな、船長さんよ」

側近「ちっ……!」

奴隷G「外見は側近さんだが中身は憎き悪魔だ。恨みを晴らさせてもらう」

奴隷H「油断するでねえ。仮にも頭だ。何してくるかわかったもんじゃねえぞ」

奴隷の青年「大丈夫だよ。そいつは魂だけで動くことはできても、肉体から自在に出ることはできない」

側近「はあ……はあ……」

奴隷F「なんでわかる?」

奴隷の青年「魂を抜かれて空っぽの身体なら他にもいるはずだ。そいつの部下が何人も転がっている」

闇の海賊×10「「「」」」

奴隷の青年「生き残るためなら普通は強靭な身体のほうを選ぶだろう」

側近「はあ……はあ……」

奴隷の青年「なのにそれをしなかったのは、そいつが封印される瞬間に空いている身体は側近さんしかいなかったからだ」

側近「……」

奴隷の青年「お前にもう逃げ道はない」

奴隷の青年「今ここで側近さんの身体を殺しても、それでもお前は生きるかもしれない」

奴隷F「だけどもよぉ、せめて人間だった頃の痛みを思い出させてやるぜ」

側近「くそ!」ダッ

奴隷G「逃がすか!」バキッ

側近「ぐあ……!」バタッ

奴隷H「側近さんの顔で苦しむ姿は目の毒だべ。今楽にしてやるだよ」メラメラ

側近「たいまつ……?や、やめろ……!」

奴隷H「じゃあな」スッ


ボウッ


側近「うわああああああ!」ゴロゴロ

奴隷F「……」

奴隷G「……」

奴隷H「……」

側近「ああああ!熱い!ああああ!消してくれ!」ジタバタ

奴隷の青年「……」

側近「あああああ───」

──────

────

──


奴隷の青年「まだ……生きているのか……」

側近「あ……熱い!熱い……!わはははは!熱いぞ!」

奴隷F「……だが、ありゃもうダメだ。身体は骨だけになっちまったのに死ねない。地獄だな」

奴隷G「精神も壊れちまったみたいだ」

側近「わは……わはは……はは!」

奴隷H「おら……人を……頭と一緒に側近さんを殺しちまっただな」

奴隷の青年「生きているさ。側近さんは、この中にずっと……」


ズズズズズズズズ


奴隷の青年「ん?」

奴隷F「これは……」

奴隷の青年「どうやら勇者さんたちが……船乗りの骨を使ってくれたみたいだ……」

奴隷G「あれ……?ってことは俺たち助かるのか?」

奴隷の青年「少なくとも嵐からは脱出できる……でも……」

奴隷H「また闇に閉じ込められるだけだべな」

側近「わはははは!わしは死なない!」

奴隷F「待てよ……それじゃあ」

奴隷G「闇では身体の変化はしない……つまり」

奴隷の青年「皆、死にかけだったのに……こんな状態でずっと生きることに……」

奴隷H「何言っているだよ。おらたちは大したことねえ。お前が一番苦しそうだべ……」

奴隷の青年「ははは……僕は幸せなんだ……いつかきっと、オリビアが僕を救ってくれるって信じられるから……」

奴隷H「そっか……」

側近「誰であろうとわしを倒すことはできんのだ!わはははは!」


ズズズズズズズズ


奴隷F「闇の中で待っていようぜ。助けてくれるって信じてよ」

奴隷G「そうだな。あの世界は辛いが、もう俺たちは自由なんだ。皆がいれば頑張れるさ」

奴隷H「さあ、少しの間だけ見納めだべ」

側近「わは……わはははは!嵐が来ようとわしの船は絶対に沈まないのだ!」


ズズズズズズズズ


奴隷の青年「オリビア……いつかきっと……」




フッ

──────

────

──




兄貴「やれやれ、ここまで逃げればいくら勇者でも追っては来ないだろう」

海賊A「なんか、疲れましたね」

海賊B「もうあんな危険なことには関わりたくないな」

海賊C「俺たちの海賊生活も終わりッス」

兄貴「ああ……海賊という冠も捨てることになっちまったな。これからどうするか」

海賊A「そんなものどうだっていいですよ。俺たちにあんな野蛮なこと似合わなかったんですよ」

海賊B「これからは俺たちらしくせこせこやっていきやしょうぜ」

海賊C「別の冠を探すッスよ」

兄貴「そうだな。あれこれ考えるのはやめだ。どうなるかわからねえが、それでも俺についてきてくれるか?」

海賊A「当然」

海賊B「そんなこと聞かんで下さい」

海賊C「俺たち一蓮托生ッスよ」

兄貴「そうか……ありがてえ」グスッ

海賊A「泣かないで下さいよ」

海賊B「へっへっへ……涙脆くなっちまってまあ」

海賊C「兄貴……」

兄貴「じゃあ景気づけにケツ出せお前ら」

海賊ABC「「「」」」

海賊A「ま、待って下さい兄貴!」

兄貴「お?」

海賊B「俺たち持病のおしりぴりぴり病がまだ治ってなくて……ゴホゴホ」

兄貴「そうなのか……早く治せよ」ガックリ

海賊C「ほっ……」


「──────」


海賊C「ん?」

兄貴「どうした?」

海賊C「歌声が聞こえるッス」


「──────」


海賊A「本当だ……女の声だ。それもなんて悲しげな……」

海賊B「へっへっへ、こんな森の中にいるなんて危ないな。様子を見に行きやしょうぜ」

海賊C「賛成ッス」

兄貴「好きだなお前ら。でも不思議と俺もこの歌声には引き寄せられるぜ」

──────

────

──


奴隷の女「──────」


海賊A「いた……ってありゃ奴隷の女じゃないですか?」

兄貴「そういや見覚えがあるな。何してんだ?こんなところで」

海賊B「きっと迷っちまったんじゃないですか。へっへっへ、仕方ねえな。助けてやるか」

海賊B「あくまでも助けるためッスよ。おーい」タッタッタッ


奴隷の女「……」

海賊C「こんなところで何を……」

海賊A「あれ?」

海賊B「え……?」


タッタッタッ

兄貴「お前らこういうときだけ早いよな」

海賊A「……」

海賊B「……」

海賊C「……」

兄貴「どうした?揃いも揃って突っ立ったまんま……」

海賊A「いない……」

兄貴「あん?」

海賊B「確かにそこにいたはずなのに……」

兄貴「何言って……」

海賊C「まさか、本物の幽……」

兄貴「……」

海賊A「……」

海賊B「……」

海賊C「……」

兄貴「……逃げるぞ」

タッタッタッ









スッ

奴隷の女「……」


奴隷の女「……エリック……」

今日は終わりです
ありがとうございました

──────

────

──

北の村


魔法戦士「……ねえ」

勇者「なんだ?」

魔法戦士「この船乗りの骨、あたいに預からせてくれないか?」

勇者「なに?」

魔法戦士「どうやったって壊れなかったし、持ち歩くのも邪魔だろ?」

勇者「そんなことはないが……それは」

魔法戦士「危険なことも承知だよ。でも今までずっと魔王に見つからなかったんだ。隠し通す自信もある」

勇者「……」

魔法戦士「心配しないで。これを使うようなことはしない」

勇者「……」

魔法戦士「ただ、今は傍に置いておきたいんだ」

勇者「そうか……」

魔法戦士「どうしても必要ってんなら諦めるけどさ……」

勇者「いや、わかった。君が預かっていてくれ」

魔法戦士「ホントかい!?」

勇者「魔王を倒せば何も問題ない」

魔法戦士「ふふ、ありがとな」

魔法戦士「さて、これでやれることはやったかな」

勇者「ん?」

魔法戦士「もう心置きなく行けるよね、うん」

勇者「どういうことだ?」

魔法戦士「……あたいはこれから村を出るからさ」

勇者「なに?」

魔法戦士「こんな形だけど、あんたとはお別れできそうで良かった」

勇者「……急な話だ。皆には黙って行くのか?」

魔法戦士「うん、やっと決意できたのに後ろ髪引かれそうで怖いからさ」

勇者「……」

魔法戦士「あんたからうまく言っておいてよ」

勇者「それはいいのだが……皆悲しむだろうな」

魔法戦士「まあこれで最後ってわけじゃないしさ」

勇者「……行く当てはあるのか?」

魔法戦士「あたいのやりたいこと……なんとなくだけど見えてきたんだ」

勇者「そうなのか。どうする気だ?」

魔法戦士「へへ、まだ秘密だよ。あんたにはまたどこかで会える気がする。その時までに形になっていたら教えてやるよ」

勇者「そうか。楽しみだ」

魔法戦士「それでいてもたってもいられなくてさ。一歩を踏み出せたことだし、このまま進んでいきたいんだ」

勇者「うむ……しかしもう日が落ちて魔物が活発に動き出している。さすがにまだ腕も治っていない今の君一人では危険だ」

魔法戦士「一人じゃないんだこれが」

勇者「なに?」


ゾロゾロ

奴隷×10「「「……」」」

魔法戦士「ついでにこいつらの面倒を見てやることにした。どうせこの村に居座ったって、こんな大人数じゃ働き口も見つからないだろうしね」

「うるせえよ。何が面倒見てやるだ。あんたも同じようなもんだろ」

「もう準備はできてんだ。行くならさっさと行こうや」

「お、俺は別にあんたについて行きたいとかじゃねえんだからな。オリビアを探すついでなんだ。勘違いするなよなっ!」

勇者「君たちは……」

魔法戦士「女王様に眠らされていた連中さ」

勇者「驚いた……いつの間にそんなに親密になったんだ」

魔法戦士「親密じゃないよ。こいつらと話してたら、あたいと母ちゃんがダブって見えるらしくて嫌でも懐いてくるんだよ」

「酷え言い方だな」

「本当に側近さん、まんまだな」

「お、俺実は側近さんのこと……」

魔法戦士「へへ……」

勇者「そうか……」

魔法戦士「それと、オリビアを探したいって気持ちもあるんだ。会って色々話したい」

勇者「……」

魔法戦士「あたいは全然話ができなかったから、どんな人間かもわかってない」

魔法戦士「だから今オリビアが目指している道も、それがホントの彼女が選んだ道なのかもわからない」

魔法戦士「もし、彼女が絶望の壁に囲まれているなら助けてやりたい。あたいほど図太くないだろうし、誰かが傍にいてやらなきゃいけない気がする」

魔法戦士「彼女にだっていずれ必要としてくれる人が現れるんだ。世界は見捨てたりしないってことを教えてあげたい」

勇者「そうか……」

魔法戦士「それに、まずこいつらがオリビアを必要としているからね。まずはその旅に出ることにするよ」

「べ、別に感謝なんてしてねえんだからな。でもあんたがどうしてもって言うんならしてやらねえことも……うん」

「く、口は悪いが優しいところも……あれなんだよな」

「お、俺実はあんたのこと……」

魔法戦士「ジロジロ見るんじゃないよ。気持ちの悪い連中だね」

奴隷×10「「「……」」」

魔法戦士「こんなさ、船を動かすことしか取り柄のない連中だけど、うまくやっていける気がする」

勇者「……君のことは何も心配ないか。これほど頼もしく……まるで仲間の勇者たちを見ているようだ」

魔法戦士「ふふ、魔法戦士なめんなよ」

勇者「いつかまた会える日を楽しみにしている」

魔法戦士「あたいもだよ。でもあんたは無茶しそうだから死んでいる可能性もあるね」

勇者「む……気をつける」

魔法戦士「ちょっと、冗談だから難しい顔しないでよ。こういうときは……」

勇者「……笑って見送るものか」

魔法戦士「うん」ニコッ

勇者「……」ニタッ

魔法戦士(うわあ……)

魔法戦士「ああ、そうだ。お別れする前に一つ」

勇者「なんだ?」

魔法戦士「年寄り口調の可愛い女の子が、旅をしながらあんたを探してるんだ。途中会ったら話を聞いてやりなよ」

勇者「わかった。覚えておこう」

魔法戦士「あたいより年下だけど、すごく年上に見える時もあるんだ。あんたには相性がいいと思うよ」

勇者「だといいがな……」

魔法戦士「ふふ、頑張れよ。じゃあな!」

勇者「また会おう」

──────

────

──

北の村・出口


ザッザッザッ

魔法戦士「……」

「もう村を出る。これで見納めだな」

「本当は寂しくて泣きたいんじゃねえのか?俺の胸でよければ……」

「いや、だったら俺の胸を───」

魔法戦士「うるさいね!泣いてないし、あんたたちに胸を借りてやるほどあたいは安くないんだよ!」

奴隷×10「「「……」」」

魔法戦士「大体こんな大所帯で夜逃げみたいな真似、目立ってしょうがないんだから大声で喋るんじゃないよ!」

兵士「お前が一番目立ってんだよ」スッ

魔法戦士「あ、あんた……起きていたのか?」

兵士「……」

兵士「……ふざけんなよ。黙って出て行こうなんてよ」

魔法戦士「……」

兵士「でもお前はそういうやつだ。今回のことで身に染みてわかっていたぜ」

魔法戦士「だから作戦を無視したことは悪かったよ……」

兵士「お前のことはお袋さんに頼まれてんだ」

魔法戦士「そっか……母ちゃんも厄介な仕事押し付けたもんだ」

兵士「……」

魔法戦士「でも、もういいんだよ。厄介者は消えるからね」

兵士「だから俺もついて行く」

魔法戦士「えっ!?」

兵士「驚いてんじゃねえよ。そういう流れだろうが」

魔法戦士「でも、あんた兵士の仕事が……」

兵士「おいおい、俺が仕事してるところを見たことあるのか?」

魔法戦士「……ないね。そういえば」

兵士「そこは冗談でもよくやっていたって言ってくれよ……」

魔法戦士「悪い悪い。でも……」

兵士「ああ、そうだよ。実際俺なんて役立たずだよ。俺なんていなくなってもすぐに代わりの人間が派遣されて───」

魔法戦士「嬉しいよ。あんたみたいな心強い人間が傍にいてくるなら」

兵士「そ、そうかよ」

魔法戦士「うん」

兵士「……言っとくが、お袋さんに頼まれたからだけじゃねえぞ」

魔法戦士「そうなのか?だったらなんで仕事を辞めてまで……?」

兵士「……言わせんなよ」

魔法戦士「言ってくれなきゃわからないよ」

兵士「……」

兵士「……お前たしかどんな罰でも受けるって言ってたよな」

魔法戦士「そうだね。今さら村に引き返せないし、あんただけの罰になりそうだね」

兵士「これは罰ゲームだ」

魔法戦士「は?」

兵士「俺なんかを一緒に連れて行くことが何よりの罰ゲームになるだろう」

魔法戦士「な、なんだよそれ……」

兵士「ずっと一緒にいてやるってことだよバカ野郎」

今日は終わりです
ありがとうございました

──────

────

──

エルフの隠れ里


エルフ女王「ただいま帰りました。長らく空けてしまい、申し訳ありませんでしたね」

エルフ「じょ、女王様!今までどちらへ!?」

エルフ女王「いつものところですよ。今回は少し問題事に巻き込まれましてね」

エルフ「そうでしたか……それより大変なのです!」

エルフ女王「なんですか騒々しい。頭に響くのでもう少しお静かに」

エルフ「……アン様がいなくなりました」

エルフ女王「なんですってー!?」

エルフ「もう何日も戻られていません。それから……夢見るルビーが無くなっていました」

エルフ女王「アンが……夢見るルビーを持ち去ったということですか……?」

エルフ「アン様の失踪と同時に無くなっていたのでおそらく」

エルフ女王「なんということでしょう……アンが禁忌を犯すなんて……」

エルフ「そのことですが、アン様は人間の男と何度か密会しておりましたね」

エルフ女王「まさか!?」

エルフ「私たちの意見は一致しています」


『僕は彼女を愛してしまったことを後悔していません。だから……すみません』


エルフ女王「……!」

エルフ「いかがいたしましょう。あの男の村に攻め入り、アン様の居場所を聞き出しましょうか?」

エルフ女王「……まだそう決まったわけではありません。私が直接あの村に向かいます」

──────

────

──

北の村


エルフ女王「……」キョロキョロ

リア充父「あ、女王様……」

エルフ女王「……」ピタッ

リア充父「お話は伺いましたよ。まさかあなたが村を守って下さるなんて。ありがとうございました」

エルフ女王「……」

リア充父「いやいや、エルフと人間が手を取り合える時代が来たのでしょうか」

エルフ女王「……」

リア充父「私らはね、そろそろ息子たちのことを認めてあげてもいいんじゃないかって話をちょうどしておったのですよ」

エルフ女王「……」

リア充父「お互いにちゃんと考えた結果なんですからね。あれでもしっかりした男なんですよ。私に似てね。なんちゃって」

エルフ女王「……」

エルフ女王「……息子さんはどちらに?」

リア充父「あ、息子に用でしたか。すみません、ちょっと前に家を出て行ったっきり戻っておらんのですよ」

エルフ女王「!?」

リア充父「黙って出かけることはありましたが何日も───」

エルフ女王「人……間……!」ゾワッ

リア充父「えっ……」ビクッ

エルフ女王「やはり……お前の……息子か……!」ゴゴゴゴ

リア充父「え……ど、どういうことでしょうか……?」

エルフ女王「……私の大切な……娘を……連れ去った……!」ゴゴゴゴ

リア充父「ま、まさか駆け落ちを!?」

エルフ女王「諦めるとは……そういうことか……私を騙すような真似を……許さない……!」ゴゴゴゴ

リア充父「し、しかし息子にも非がありますが二人は愛し合っていました。御嬢さんにも───」

エルフ女王「あ?」ギロッ

リア充父「ひっ、すみません!」

エルフ女王「私の娘を……騙したんだ……夢見るルビーをも奪って……!」ゴゴゴゴ

リア充父「……」ガタガタ

エルフ女王「歴史は繰り返すのか……あれを持ち出すことが……どれだけ重い罪かわかるまい……!」ゴゴゴゴ

リア充父「え……と、人間の刑期でいうとどれくらいの罪でしょうか……私が代わりに───」

エルフ女王「村人全ての命でも足りないわ!」

リア充父「そ……そんな……」

エルフ女王「許さない……お前らは殺す……その命で償え……!」

リア充父「申し訳ありません!私が償いますのでどうか村だけは……!」

エルフ女王「黙れ!こんな村!」


『俺たちにとってもうあの村は命を懸けて守るものなんだ』


エルフ女王「……こんな村」

エルフ女王「一人残らず……」


『仲間が死ぬところなんて見たくありません!』


リア充父「……?」

エルフ女王「殺して……」


『あなたは俺たちの仲間なんだ!』


エルフ女王「私は……」


『あんたみたいなやつは好きになれそうだ!』


エルフ女王「人間を……」


『種族など関係ない。あなたは私たちの誇りだ』

エルフ女王「……」

エルフ女王「私は人間を……」

エルフ女王「……」

エルフ女王「……」

エルフ女王「……許さない……!むん!」


「うっ……なんだ……?」バタッ

「意識が……」バタッ

バタッバタッバタッバタッ


リア充父「ああ!皆……すまん……!」

リア充父「息子のせいで……ってあれ?わしだけ生きてる?」


「ぐうぐう……」

「すやすや……」


リア充父「あれ?皆も死んでいない……眠っただけ?」

エルフ女王「ああ、ついうっかり眠らせる呪いをかけてしまいました。まだ頭を打った影響があったようです」

リア充父「えっ?」

エルフ女王「仕方ありませんね。都合よくあなたは起きているようですし、私の大切なアンとルビーを探し出し、里に帰す役目を授かりなさい」

リア充父「えっ?えっ?」

エルフ女王「それができなければ永遠に村人が目覚めることはない!わかったな!」

リア充父「ひっ、都合よく誰も死ななかったけどそれで許してくれるみたいだし、都合よくわしだけ呪いにかからずに済んで良かった……」

エルフ女王「……」

リア充父「なんとしても見つけてみせますのでどうかお許しを」ペコペコ

タッタッタッ

エルフ女王「……」

エルフ女王「必ず探し出して下さい。アンのため、里のため、そして……あなたたちのために」

エルフ女王「何年後になろうと眠っているあなたたちの身体は今と同じ状態を保っているはず」

エルフ女王「……これでは里の皆は納得しないかもしれない」

エルフ女王「目覚めて全てを知ったとき、あなたたちは私を恨むでしょうね」

エルフ女王「ふふ……里からも人間からも嫌われてしまいますね……」

エルフ女王「……」

エルフ女王「エルフと人間が手を取り合える時代か……少なくとも私は信じていた」


『人間は優しいのですね』

『人間も魅力的だと思いますわ』

『……人間か……』


エルフ女王「……」

エルフ女王「でも、もうあなたたちと会うことはない。仲間に対して合わせる顔がない」

エルフ女王「こんな気持ちになるくらいなら私はもう、人間なんて……」





エルフ女王「さようなら……」

これでとりあえず長かった海賊編も終わりです
多分元ネタに繋がるまでの分は拾えたと思うけど
おかしな部分わからない部分あったら教えて下さい

話の本筋とは今のところあまり関係ないので>>241→582は飛ばしてくれても通じると思います
こんなに長くなるとは自分で引いています
このスレに収まる可能性 10%です

次まで少し間空けます
ありがとうございました

──────

────

──

西の国・酒場


賢者「うっほい。久しぶりに酒が飲めるぞ」

グビグビ

賢者「くうぅー、うまい!これぞ長旅の醍醐味だな」

船長「はっはっは、そんなにここの安酒がうまいか?」

賢者「ん?そうだぞ。わしはこの一杯のために生きているようなものだから」

船長「おいおい、大袈裟な人だな」

賢者「ファッファッファ。だが、何日も酒を絶ってみて色々発見できたこともある」

船長「へえ、どんなことだ?」

賢者「結局わしにはこの安酒が一番合っているということかな。ファッファッファ」

船長「はっはっは、そいつは大発見だな!」

賢者「回り道をすることにより、今まで見えてなかった道が見えてくる。これも長旅の醍醐味だ」

船長「なるほど、たしかにそうかもしれないな」

賢者「目的を達成すること自体より、その道程がどれほどの財産になるか」

客「……」

賢者「わしはこの旅が楽しくてしょうがない。人生なんて、急がば回れだ」

客「……」

船長「俺は職業柄回り道なんて許されないんだ。そんな考えが羨ましいぜ」

賢者「お主は船乗りか?」

船長「お、なんでわかった?」

賢者「似たような連中を前に立ち寄った村で見てきたから適当に言ってみただけだ」

船長「はっはっは。そうか、こりゃ参った」

賢者「まあ、そいつらに比べたらお主は真っ当な人間っぽいが」

船長「あんた面白いな。よかったら酒の肴に旅の話でも聞かせてくれよ」

賢者「んー、わしの話はちょっと高いぞ?」

船長「いいぜ。ここは俺の奢りだ。どんどん持ってこい。ただし一番安いやつをな!」

賢者「高い酒でも一向に構わんぞ」

ワイワイガヤガヤ


客「……急がば回れ……なるほど。これが真実か」

と、今日はここまでになります
待っていて下さった人ありがとうございます
長い間待たせてごめんなさい
またちらほら書き始めます

──────

────

──




剣士「ふう、長いこと船の上にいては身体が鈍ってしまうな。魔物もそれほど現れるわけでもないし」

剣士「だが夜の海もいいものだ。この静寂が黄昏の夜を───」


ワーワーギャーギャー


剣士「……うるさいな。こんな時間に一体誰だ?」


ワーワーギャーギャー


剣士「ちょっと注意してくるか」

──────

────

──

船室


コンコン

剣士「失礼───」ガチャ

船員1「よっしゃ!また俺の勝ちだ!」

女「あああ!なぜ勝てん!?」

船員2「嬢ちゃんはギャンブルに向いてねえな。まだやるかい?」

女「当たり前じゃ!このまま負けっぱなしで引き下がれるか!」

船員3「引き際もわからないか……こりゃ本当に向いてないな」

船員1「俺が言うのもなんだがもう止めといたほうが……」

女「次で絶対勝つ!わしの全財産じゃ!」

剣士「待て!何しているんだ!」

女「何ってポーカーじゃ。お主も見ておけ。わしの勇姿を」

剣士「バカなのか君は!?こんなところで旅費を使い果たす気か!」

女「取り返せば済む……負けるわけがない……わしが負けるわけがない……」

剣士「ダメだこれは……何も聞き入れない顔だ……」

──────

────

──


女「……」ズーン

船員1「終わったな。もうすっからかんだろ」

剣士「なんて……なんてこった……」

女「……まだじゃ!次はわしの身ぐるみを賭ける!」

船員1「おお、マジか!」

船員2「ストリップが見られるぞ」

船員3「よし、身ぐるみ全部剥がしてやれ!」

剣士「そ、それは待て!代わりに私がやる!」

船員2「えー、せっかく乗ってきたのによ」

船員3「空気読めよー」

女「情けなど無用じゃ……自分の撒いた種は自分で……」

剣士「旅費の心配をしているんだ!」

船員1「兄ちゃん、あんまり賭け事はやってきてねえだろ?無理すんなよ」

剣士「はあ……」

船員1「どうした?怖気付いたか?」

剣士「……」ギッ

船員1「な、なんだよ……」ビクッ

剣士「……私は勝負に負けることは嫌いなんだ」

船員(目つきが変わった……?)

女「お主……」

船員1「へ、へえ。面白いじゃねえか。嬢ちゃんより楽しませてくれそうだ」

女「ぐっ……おい、絶対負けるなよ」

剣士「任せておけ。ところで質問だがポーカーとはどういうルールだ?」

──────

────

──

甲板


ヒュルルルル

剣士「……」ズーン

女「ひっくし!」

剣士「……」

女「……寒いな」

剣士「……」

女「あの威勢の良さはなんだったんじゃろうな」

剣士「……大体君のせいだ」

女「ルールも知らんやつに助けを呼んだ覚えはないが」

剣士「所持金を全て賭け事に使った君に言われたくない」

女「……すまんかった」

剣士「どうするんだよ。これでもう無一文だし、装備は取られてこんな布の服一枚だし、旅を続けられる状況じゃないぞ」

女「うう……」

剣士「賢者様になんて言われるか……」


「なんだこりゃあ!」


剣士「なんだ?」

女「魔物が出たか?」

剣士「操舵室のほうだ。行ってみよう!」

──────

────

──

操舵室


女「どうした!?」バタン

船員4「か、舵が効かねえ!流される!」

剣士「なに!?」

女「故障か?」

船長「違う……この海流に飲まれているんだ」

船員4「せ、船長……この辺りは……」

船長「いけねえ!この近くの無人島には怪物が住み着いてんだ。捕まっちまったか」

剣士「えっ!?」

女「怪物!?」

船長「やべえな……いつもならあれだけ離れてりゃ安全だったってのに、なんで今回は……」

剣士「海の怪物か……厄介だな」

船長「こうなっちまった以上、俺たちにはどうすることもできねえ」

女「……今向かっている方向にある島。あれがその無人島か?」

船長「ああ……船ごと引き寄せられてからそこで食われるって話だ」

女「怪物の元へ行けるのか。丁度良いな」

船長「えっ?」

剣士「そうか。直接対峙できるならいくらでもやりようがあるな」

船長「……まさかあんたら怪物を退治するつもりか?」

女「うむ。それがわしらの元々の目的だしな」

剣士「もうすぐ到着するか。賢者様を起こしてこよう」

──────

────

──

無人島


女「着いたが、ここで待っていれば現れるのかの?」

船長「そこまでわからねえよ。噂でしか聞いたことねえんだ。ただ……」

女「ただ?」

船長「ここに流れ着いて、生きて帰った者はいないそうだ」

今日は終わりです
ありがとうございました

乙です
生きて帰ったものは居ないのに「その島で最後を迎えた」と伝わる不思議ながんだーら
女とか剣士って出てたっけ?としばらく思い出せなかったのは内緒だよ?

乙乙
新章かな?
女と剣士忘れるなんてありえないとも言い切れないww

──────

────

──


女「……何も起こらないな」

剣士「現れる気配がない……」

賢者「わしなんて寝ていたところを叩き起こされたというのに……」

船長「何事もないってことはないと思う。現に船が全く動かねえんだ」

女「ここで生殺しという手段も考えられるな」

剣士「やめてくれよ……どんな陰湿な怪物だよ……」

女「仕方ない。船から降りてその辺りの様子を見に行ってみるか」

剣士「そうだな。ここで待っているより何か得られるかもしれない」

賢者「わしは船を守っているとしよう」

女「動くのが面倒なだけじゃろうが」

賢者「だって本来ならまだ夢の中だったんだもの……」

剣士「いいですよ。ここの守りは任せます。我々も何かあったら戻ってきます」

女「はあ……行くぞ」

──────

────

──


テクテク

女「なあ」

剣士「なんだ?」

女「ここまで歩いてきてしまってなんだが、せめて装備はなんとかしたかったな」

剣士「ああ……私も思っていたよ。こんな状況なんだから言えば返してもらえたかも」

女「わしは装備自体は大して変わらないが、この夜の寒さが堪えるの」

剣士「私は剣がないと不安だ……」

女「あー寒い寒い。こんな薄布一枚じゃ何事もなくとも身体に支障をきたしてしまうわ」

剣士「そうだな。もう少し先まで偵察したら戻るか。船の様子も気になるし」

女「おい」

剣士「断る」

女「まだ何も言っておらんじゃろうが」

剣士「嫌な予感しかしない。どうせ服をよこせとか言うんだろ?私だって寒いんだから我慢してくれ」

女「お主の中でわしのイメージはそこまで鬼畜なのか」

剣士「……否定はしない」

女「そんなこと言わんわ。ただ疲れたからおぶっていけと」

剣士「十分鬼畜じゃないか!」

女「恒例じゃろ。観念しろ」ガシッ

剣士「何も了承していないのに勝手にもう……」

女「おお、こうして引っ付いていれば寒さも多少は和らぐな」

剣士「そうだな。着ているものが薄いから体温が伝わりやす……」

ピタッ

剣士「……」

女「どうした?」

剣士「……」

剣士(こ、この背中に当たっている……いかん!何も考えるな!しかし歩くたびにこの……こんなにはっきりわかるものだったのか?こ……こんなに…… )

女「おーい」

剣士(初めて会ったときは絶壁だと思ったのに……女の成長速度はわからない……)

ゴンッ

剣士「痛っ!」

女「おお、起きておったか。急に黙りこくるから幻でも見ているのかと思ったぞ」

剣士「小突くことないだろ……私が悪いわけじゃないんだから」

女「なんじゃ?何かしたのか?」

剣士「い、いや……なんでもない」

女「しっかり前を向いて歩けよ。ボーッとしてていきなり目の前が絶壁の崖だったなんて洒落にならんぞ」

剣士「やはり私が悪かった……すまん」

女「?」

──────

────

──


剣士「あれ?遠くに明かりが見えないか?」

女「……」

剣士「……?」

女「zzz」

剣士「おい」

女「……はっ!な、なんじゃ?怪物か!?」

剣士「気持ちよく寝ていたところ申し訳ないが、独り言を喋っていたい気分じゃないんだ」

女「ちょっと気を緩めていただけじゃろうが。そこまで嫌味ったらしく言わんでも」

剣士「私はずっと気を張っているんだ!」

女「ん?前を見ろ。明かりが見えるぞ」

剣士「いや、それを言いたかったんだが」

女「よし、あそこまで慎重に進むぞ」

剣士「だったらまず降りてくれよ……」

テクテク

女「おい……あれって……」

剣士「どう見ても建築物だな……」

女「無人島じゃなかったのか」

剣士「わからない。窓があるから様子を窺ってみよう」

コソコソ

チラッ

女「えっ?」

剣士「あれは……」

女「人間……?」

今日は終わりです

>>611
なんか日本語おかしいですね。どうにか誤魔化します
一応メインキャラなので覚えていてくれたら嬉しいです

>>612
全く新しい話です
一応メインキャラなので……

ありがとうございました


また脱線かwwそれでも楽しみにしてるよ

乙です
なるほどそのためにあえて装備を返さなかったのかwwww

トントン

剣士「!?」ビクッ

?「窓から中を覗くなんてはしたないですね。ひょっとして田舎者ですか?」

女「びっくりした……お主も人間か」

剣士「中に夢中で接近に気づかなかった……」

?「私は紳士の国から来た紳士です。あなた方はどちらの田舎から?」

女「田舎田舎うるさいの。わしらは旅をしている途中、ここに流されてしまったんじゃ」

紳士「ほう、旅人ですか。通りで田舎くさい格好をしておられるわけだ」

剣士「こ、この服は……いや、何も言うまい」

女「それより中の連中も紳士の国の者か?」

紳士「ええ、そうです」

女「ここで一体何をしておるのじゃ?」

紳士「見てわかりませんか?さすが田舎者だ。パーティーもわからないとは」

女「そんなこと聞いておるのではないわ!田舎者と言うのをやめい!」

剣士「この地は怪物が住み着いていると聞きました。なのにあなた方は平然とパーティーなど……」

紳士「なに、私たちはその噂の怪物を始末しにやってきているわけですから」

女「なんじゃと?お主らが?とても戦えるようには見えんが」

剣士「たしかに……今まで生きて帰れた者はいないという話だった」

紳士「あなた方のような田舎者には理解することもできないでしょうね」

女「……」イラッ

紳士「戦いとはただ腕力があればいいというものではない」

女「……なかなかの自信じゃの。ならばお手並み拝見といこうではないか。わしらは一切手を出さんからな」

紳士「ええ、最初からそんなつもりは全くないのでご安心を」

女「……」イラッ

女「なんじゃと?お主らが?とても戦えるようには見えんが」

剣士「たしかに……今まで生きて帰れた者はいないという話だった」

紳士「あなた方のような田舎者には理解することもできないでしょうね」

女「……」イラッ

紳士「戦いとはただ腕力があればいいというものではない」

女「……なかなかの自信じゃの。ならばお手並み拝見といこうではないか。わしらは一切手を出さんからな」

紳士「ええ、最初からそんなつもりは全くないのでご安心を」

女「……」イラッ

ミス
>>626なしです

剣士「怪物の居場所がわかっているのですか?」

紳士「ええ、勿論」

剣士「作戦があるのですね。一体どんな……」

紳士「関係のない田舎者に教える義務はありませんね」

剣士「……」イラッ

紳士「でも私は紳士なので決行日くらいは教えてさしあげましょう」

剣士(紳士とはなんだろう……)

紳士「決行するのは……明日です」

女「なんと。それはいいタイミングで来られたの」

剣士「前日だというのに随分余裕だな……」

紳士「前夜祭というものですよ。私たちは何よりもパーティーを好むものでしてね」

女「理解し難い連中じゃ。そんな国に生まれんで良かったわ」

紳士「所詮田舎者か……そうだ。ならばあなた方も参加してみるといい」

剣士「はい?」

紳士「我々の文化の素晴らしさを、身をもって知ってみて下さい」

紳士「ただその格好では……ふむ、こちらにいらして下さい。ドレスを用意してさしあげましょう」

女「……」ビクッ

剣士「いや、私たちは参加するなどと……」

女「まあ、少しばかりは他国の文化に触れてみるというのもいいかもな」

剣士「おい」

紳士「女性の方は素直だ。華やかなものに憧れるのが人間です。本能には逆らえませんね」

剣士「何を考えて……」

女「こんな格好しているよりいいではないか。多少は寒さも凌げるぞ」

剣士「だが船には皆を待たせている。そんなことをしている場合では……」

紳士「田舎のお仲間がいるのですね?だったら船に使いを出しましょう。全員参加してもらうといい。船の場所を教えて下さい」

女「おお、悪いの。さすが紳士じゃな」

剣士「よってたかって我々をバカにしたいだけじゃないのか……?」

──────

────

──

紳士の館


淑女「ええ!?ドレスを着たことがなかったのですか!?」

女「さすがにわしがこれを着ることは……」ヒラヒラ

淑女「可哀想……一番お洒落をしたいお年頃でしょうに」

女「わしは今のままで満足しておる。そのゴミ虫を見るような目、なんとかならんか」

淑女「動かないで下さい。メイクができませんわ」

女「はあ……なぜメイクなど……」

淑女「女性なら当たり前でしょう」

女「そうなのか……」

淑女「はい、終わりました。田舎くささがなくなりましたわ、ええ」

女「田舎くさい言うな」

コンコン

紳士「着替えは済みましたか?」

女「うむ、終わったぞ」

ガチャ

紳士「ほう、やはり淑女のドレスコードとメイクは映えますね」

淑女「ふふ、ありがとうございます」

女「……素材を褒めんか」

剣士「……」

女「お?お主も着替えたか。まあまあ様になっておるぞ」

剣士「そ、そうか。ありがとう」

女「わしはどうじゃ?」ヒラヒラ

剣士「え、えっと……馬子にも衣装といったところじゃないか?」

女「馬子か……まあやはりそんなもんじゃの」

剣士「あ、いや……」

紳士「ではホールに行きましょうか。そこで仲間に紹介しましょう」

──────

────

──

ダンスホール


キラキラ

剣士「すごい……」

女「お主ら……ただ怪物を征伐するためだけにやって来て、こんな建物を用意する必要があったのか?」

紳士「長旅をすると船上パーティーも飽きるでしょう?新しい会場を作らないでどうしろと?」

女「そこまでパーティーに拘るか」

紳士「彼らが私の仲間です。見ての通り立食形式ですので歩きながら紹介していきましょう」

女「こ、こんな豪勢なものを好きなだけ食べていいのか?」

紳士「……構いませんが、食事がメインではありませんので───」

女「丁度腹が減っておったのじゃ。こんなご馳走が食べられるなんて」ガツガツ

紳士「……」

女「やっぱり来て良かったな」ガツガツ

剣士「変な目で見られるから行儀よく食べろ。あ、すみません。これのおかわりありますか?」モグモグ

紳士「……」


ザワザワ

「なんですかね。あれは」

「嫌ですわ。田舎者でしょう」

ザワザワ

女「行儀だのなんだの言うなら、あそこで寝ているやつのほうがよっぽど悪いじゃろ」ガツガツ

剣士「本当だ。あんなところで……」モグモグ

?「ぐうぐう……」

剣士「紳士の国といってもマナーなどそれほど厳しいものではないのかもな」モグモグ

紳士「一緒にしないでいただきたい!」

女「!?」ガツガツ

剣士「!?」モグモグ

紳士「あの方もあなた方と同じように流されてきたただの旅人です!せっかく招待してさしあげたというのにとんだ田舎者でした!」

女「いきなり怒るなよ」ガツガツ

剣士「そんなに自分たちと一緒にされるのが嫌なのか……」モグモグ

紳士「我々とあんな田舎者の区別もつかないとは……!」

今日は終わりです

>>621
今回の脱線は完全に本筋とは関係ないです
船の旅のこと何も書いてないなと思って見切り発車です
このスレに収まらなくていいんだと吹っ切れて調子に乗りました

>>622
そのためです

ありがとうございました


あの国かwwこのままだと全部の国が出てきそうだなww

乙乙
あれ今どこにいるんだ?
西の国(ポルトガ?)から辺境の村(テドン)の間でいいの?
それかエジンベアの辺?

乙です
最近やっと解った
前スレを国語の教科書とかと考えれば教科書って名作の一部だけを抜粋してるだろ?
ネタバレ編ではその抜粋した元の本を紹介してるんだよ
だから超長い脱線に見えるだけで実は長くて当たり前だったんだよ!(AA略
でも後半の鬱展開と言えるあの辺りは……(´・ω・`)

──────

────

──

女「あー、食った食った」

剣士「見ず知らずの私たちにこんなに親切にしてくれるなんて……ありがとうございました」

紳士「な……なんて有り様だ……」

剣士「ああ、そうだ。食事に夢中で忘れていたが私たちのことを紹介してくれるのでしたっけ?」

紳士「……もうこれまでの行動で十分な自己紹介になったと思います」

女「そりゃ手間が省けたな」

紳士「我々はここにいる者と他数名で討伐隊を編成しており……」

女「そうか。わしらは長居するつもりないからお主らの顔など覚える気はないがの」

紳士「……本当に礼儀のない田舎者だ」

──────

────

──


淑女「あなた方はなぜ旅などなさっているのかしら?」

剣士「目的はそれぞれありますが、とりあえず人探しですね」

淑女「こんなに飢えるほど貧しい思いまでして可哀想に……」

剣士「食欲は平常運転だが無一文になってしまったことは否定できない……」

淑女「長旅なら剣の腕にも自信がおありで?」

剣士「私が剣を扱う者だとわかりますか?」

淑女「ええ、勿論ですわ。私も多少は剣をかじったことがありますので、その美しい手と筋肉を見ればわかりますわ」

剣士「そ、そうですか。身体を褒められたのなんて初めてです」

淑女「ふふ、もしよろしければ私に剣を教えて下さらないかしら?」

剣士「え?私が?」

淑女「はい」

剣士「今ですか?」

淑女「はい」

剣士「ここで?」

淑女「いえ、ここではあまりいい目をされませんから別室で」

剣士「いいですけれど……」チラッ

女「なぜわしを見る。勝手に行け。わしはここで食休みしておる」

剣士「……わかったよ。じゃあ行きましょうか」

淑女「ふふ、では彼をお借りしますね」

女「別に返さんでもいいぞ」

剣士「……」

──────

────

──


女「さて、どうするか。気のせいか周りから避けられているような気がするの」

女「船から賢者たちが来るのを大人しく待っているとするか」

女「しかしこの館……」キョロキョロ

女「ん?」

寝ている男「ぐがー……ぐがー……」

女「あの男……さっきからずっと放っておかれておるな。連中はパーティーに夢中だし」

女「紳士のくせに誰も寝室に連れていってやらんとは。一応客じゃろ」

女「仕方ない……わしが運んでやるか」

女「よっこいしょ」ガシッ

寝ている男「むにゃむにゃ……」

女「重い……やめときゃよかった」


バタン


女「ええと、ホールから出たはいいがどこへ運べばいいかの?」キョロキョロ

女「暇そうなやつを見つけて案内させるか」

女「どこかに───」

ガシッ

女「!?」

寝ている男「……」

女「お主、起きて───」

寝ている男「騒ぐな」

──────

────

──

別室


剣士「なかなか素晴らしい太刀筋です」

淑女「まあ、ありがとうございます。光栄ですわ」

剣士「ここの人たちは剣など持ったこともない頭でっかちばかりかと思っていたが……あ、いや失礼」

淑女「ふふ、いいのですよ。お気になさらないで下さい」

剣士「すみません……それにしても思った以上でした」

淑女「我が国では剣は教育の一環として習うものなのです」

剣士「それは素晴らしい試みですね」

淑女「競技としても結構栄えていますのよ」

剣士「へえ……旅が終わったら訪ねてみようかな」

淑女「まあ、是非いらして下さいな。あなたなら大会優勝も狙えましょう」

剣士「そ、そうですか。でもいきなり優勝というのも」

淑女「本当ですわ。こんなに逞しいのですから」スッ

ピトッ

剣士「あ、あの……」

淑女「……あなたのことがもっと知りたい」

剣士「え……?」

淑女「こんな気持ちになったのは初めてです」

剣士「……」ドキドキ

淑女「今夜は……私のものになって下さい……」

──────

────

──




賢者「zzz」

船長「おい、一応ここは怪物の領域なんだから起きていてくれよ」

賢者「ん……ふわぁあ……」ゴシゴシ

船長「はあ……あの二人は一向に帰ってくる気配がないし、やられちまったんじゃないだろうな」

賢者「それは困るな……ふわぁあ……」

船長「……本当に思ってんのか?」

船員1「船長!島の向こうから何者かが近づいてきます!」

船長「剣士たちか?」

船員1「いえ、違うようです!影は一つしか見えません!」

船長「なんだと」

賢者「……」



?「……」ヒタッ ヒタッ



船長「……たしかにこっちに向かって来てやがる」

賢者「……わしが降りて様子を窺おう」

船長「頼んだぜ。船にはなるべく近づけないでくれ」

──────

────

──


?「……」ヒタッ ヒタッ

賢者「そこで止まれ」

?「……」ピタッ

賢者「……」

?「商業船か……」

賢者「魔物……?噂の怪物か?」

今日は終わりです

>>637
全部出したら何スレ消費しますか?

>>638
前者が正解です
エジなんとかは反対方向です

>>640
やっとわかってくれましたかそうです教科書が名作を抜粋やらなんやらです(納得)
長くなるのは仕方ないのです(震え声)

ありがとうございました

──────

────

──

ダンスホール


紳士「もうこんな時間か」

紳士2「余計な客のおかげでパーティーも台無しですね」

紳士「まったくです……おや?あの男はどこへ?」

紳士2「あれ?いつの間にかいなく───」


ガシャーン パリーン パリーン

フッ


紳士「!?」

紳士「照明が……何事です!?」


「きゃああ!」

「ぐわああ!」

「ぎゃああ!」

紳士「どうしました!?」

紳士2「暗くて見えない……」

女「た、助けてくれえ……」

紳士「その声は……どうしました!?何者の仕業ですか!?」

女「さっきまでそこで寝ていた男じゃ。捕まってしまった……殺される……」

寝ていた男「余計なことは言うな」

女「……」ゴクリ

紳士「おのれ……しかしこの暗闇では……」

紳士2「ここは危険です。窓から外に出ましょう」

紳士「そうするしかありませんね!」ダッ

女「あ、こら!わしを置いて行くのか!それでも紳士か!」

──────

────

──

別室


剣士「なんだ……今の悲鳴は……」

淑女「お、おそらく私たちの仲間の……」

剣士「……様子を見てきます」

淑女「待って!残されるのは怖いです……一人にしないで下さい」

剣士「そ、そうですね。わかりました。一緒に行きましょう。私から離れないで下さい」

淑女「はい。頼りにしています」ギュッ

剣士「……」ドキドキ

淑女「あ、ごめんなさい。こんなにくっついていたら歩きにくいですよね」

剣士「い、いえ。そのままでいて下さい」

淑女「……ふふ。わかりました。行きましょう」ギュッ

剣士(……調子が狂うが悪い気はしない……いや、むしろ……)

──────

────

──




紳士「……ここなら月明かりでまだ見える」

紳士2「ぐは!」

紳士「!?」

紳士2「」ドサッ

紳士「な……」

寝ていた男「あとはお前だけだ……」

紳士「どこだ!?くそ、声はするのに……どこかに隠れているな」

寝ていた男「ふふふ、こちらからはお前の怯えた顔がよく見える」

紳士「く……なぜ我々に危害を加えるのです!?」

寝ていた男「なあに……ただの趣味さ」

紳士「なんて野蛮な……とんだ田舎者を招いてしまったか」

寝ていた男「さあて、どう殺すか……」

紳士「ちっ……こうなれば仕方ない」ダッ

寝ていた男「ふふふ、どこへ逃げるんだ?」

──────

────

──

ダンスホール


剣士「……暗くて全然見えない」

淑女「それにこの静けさは……誰もいないのでしょうか?」

剣士「……」

淑女「誰か返事を───」

ガシッ

淑女「しむっ……モゴモゴ!」

剣士(声を出してはいけない)ヒソヒソ

淑女「……」コクコク

パッ

剣士(まだ犯人が潜んでいるかもしれない)ヒソヒソ

淑女(は……犯人?)ヒソヒソ

剣士(こんなこと言いたくないが、何者かによって荒らされたのでしょう)ヒソヒソ

淑女(……!ではここには皆が倒れているというのですか?)ヒソヒソ

剣士(おそらく……)ヒソヒソ

淑女(そんな……怖い……)ヒソヒソ

剣士(大丈夫。私がついています)ヒソヒソ

淑女(剣士様……)ヒソヒソ

剣士(私から離れないで下さい)ヒソヒソ

淑女(……ありがとうございます)ヒソヒソ

ギュッ

剣士「……」

淑女(剣士様?)ヒソヒソ

剣士(あ、はい。すみませ……ん?あそこ、月明かりで見えるが窓が開いている)ヒソヒソ

淑女(あそこから潜入してきたのでしょうか?)ヒソヒソ

剣士(……逃げたという可能性もある)ヒソヒソ

淑女(あ……!)ヒソヒソ

剣士(どうしました?)ヒソヒソ

淑女(外に……誰か倒れて……)ヒソヒソ

剣士(本当だ……とりあえずここは危険だ。あそこに行ってみましょう)ヒソヒソ

──────

────

──




淑女「しっかり、しっかりして下さい!」

紳士2「う……」

淑女「ああ、良かった……」

紳士2「し、淑女……?無事だったのですか……」

淑女「はい。私と剣士様はなんとか……これは一体誰の仕業なのですか!?」

紳士2「最初に……招き入れた男です……」

剣士「なに!?あの寝ていた男か」

紳士2「明かりを消され……暗闇に乗じ全滅……させられた……」

剣士「全滅……」

淑女「そ、それでその男はどこに?」

紳士2「紳士がおそらく例の場所へ逃げた……それを追い……」

剣士「例の場所?」

淑女「……剣士様、私たちも行きましょう」

剣士「あなたが行くのは危険です。そこにこの惨劇の犯人がいるのですよ」

淑女「でも剣士様だけでは居場所がわからないでしょう」

剣士「それはそうですが……」

淑女「私なら大丈夫」ニコッ

ギュッ

剣士「……?」

淑女「……」ブルブル

剣士(手から震えが伝わってくる……当然だよな。なのに無理矢理笑って……)

剣士「……わかりました。あなたの思いを受け取りましょう」

淑女「頼りにしています」

剣士(彼女の言葉一つ一つに勇気をもらえる)コクッ

淑女「行きましょう」

剣士「……あなたのことは守ってみせる」



剣士(女性から頼りにされることが今までなかったからか……これほど気が高揚するものなのか)

今日は終わります
ありがとうございました

──────

────

──


タッタッタッ

寝ていた男「……」キョロキョロ

紳士「私をお探しですか?」

寝ていた男「!?」

紳士「やっと姿を見せてくれましたね」

寝ていた男「だから何なんだ?逃げ切れたと思っているのか?」

紳士「ええ。私は崖の上、あなたは崖の下」

寝ていた男「……」

紳士「ここまで来るにはややこしい道を通ってこなくてはならなくてね。それこそ私たちしか知らない」

寝ていた男「……だからそれが何なんだ?」

紳士「もう私の元へは来られない」

寝ていた男「……」ガシッ

紳士「え?」

寝ていた男「……」ヨジヨジ

紳士「な!?なんて身体能力……崖を登って……」

寝ていた男「お前などすぐに捕まえてやる」ヨジヨジ

紳士「……」

寝ていた男「ふん、動かんか。観念したか」ヨジヨジ

紳士「ふ……ふふふ」

寝ていた男「……?」ヨジヨジ

紳士「ふふふ……いや、失敬。それで私を捕まえられると思っているようで」

寝ていた男「なに?」ヨジヨジ

紳士「もう逃げられないのはお前のほうだ」

寝ていた男「……」

紳士「気づきませんか?さすがは田舎者」

寝ていた男「ん……?」

紳士「いいでしょう。教えてさしあげます」

寝ていた男「……」

紳士「そこは元々海だったのですよ」

寝ていた男「なんだと?」

紳士「しかしなぜそこには何もないか……答えはこのアイテムのおかげです」スッ

寝ていた男「なんだそれは?」

紳士「これは海をも干上がらせることができる世界に二つとない貴重な壺です」

寝ていた男「なに?」

紳士「その名も渇きの壺」

寝ていた男「渇きの壺……そんなもので」

紳士「信じられませんか?世の中には想像を越える現実が存在するのですよ」

寝ていた男「……」

紳士「ここにセットしておいた壺を私が今外してしまった。ということは……」

寝ていた男「ちっ……!」バッ

紳士「遅い」


ゴボッゴボゴボゴボゴボ

紳士「さあ、濁流に飲まれて溺れなさい」


ザッパアァァン


寝ていた男「!!」

ゴゴゴゴゴゴ

紳士「いくら身体能力が獣並みでも自然に逆らうことは不可能だ」

寝ていた男「くあ……!」

ザバアァン




紳士「……田舎者め、これが天罰だ」

──────

────

──


ザー ザー

紳士「さすがに上がってくる気配はない。溺れ死んだようですね」

紳士「まったく……やつは一体何だったのだ」

紳士「誰か生き残っている者はいるのでしょうか」

紳士「とりあえず屋敷に───」

グラグラグラグラ

紳士「なんだ!?地震?」ヨロッ

ピキッピキッ

紳士「地面に亀裂が!このままでは海に……!」

バキバキバキバキ

紳士「いかん!崩れる!」

ズドドドドド

紳士「うわあ!」

ザッパアァァン

ゴボゴボゴボゴボ

紳士(う……ぐぐ……)ブクブク

紳士(こ、このままでは私も溺れ死んでしまう……!)ブクブク

紳士(か……渇きの壺で……!)スッ


スウウウウ

紳士「はあ……はあ……ごほっごほっ」

紳士「い……一体何が……?」

ザッ

紳士「!?」

寝ていた男「……うまくいったか」

紳士「な……お、お前の仕業か?何をした!?」

寝ていた男「世の中には想像を越える現実が存在する、ということだな」

紳士「くっ……!」

寝ていた男「さあ、観念しろ」

ザッ

淑女「お待ちなさい!」

寝ていた男「ん?」

剣士「なんて光景だ……地面が割れたり、海が干上がったり……」

紳士「おお、あなたたちは無事でしたか!」

寝ていた男「……」

剣士「随分なことをしてくれたな。我々以外は全滅だ」

淑女「剣士様、あなたのお力を見せて下さいまし」

剣士「はい。お任せを」シャキン

紳士「……助かりましたよ」

今日は終わりです
ありがとうございました


サスペンス風から一転したww

……これ、男が何もしなくても水を戻したとこで崖崩れるんじゃね?

ファンタジーやで
細かいこといいなさんな

剣士「行くぞ!やああ!」バッ

寝ていた男「……」カキィン

剣士「え?」

寝ていた男「ほう」

剣士「直立不動で……あ、あっさり止められた……!」

淑女「嘘……」

寝ていた男「お前は弱くはない。だが相手が悪かった」

剣士(私の本能が言っている……こいつは私より遥かに強い)

寝ていた男「さて……」

淑女「剣士様」

剣士「はっ……!」

淑女「頑張って!」

剣士「……私は負けるわけにはいかない!」

寝ていた男「折れんか。見上げた精神だ」

剣士(しかしどうする……このままでは)

モワーン

寝ていた男「……!」

剣士「ん?」

寝ていた男「これは……」

剣士「今だ!」バッ

寝ていた男「!!」

剣士「やああ!」ズバッ

寝ていた男「くっ……!」ヨロッ

剣士「いくら強かろうと、戦いの最中にスキを見せればそうなる。私を甘く見すぎたな」

寝ていた男「……ふう」

紳士「その調子です!さあ、止めを!」

剣士「……」

寝ていた男「……」

淑女「剣士様、お願いします」

剣士「はい。わかっています」シャキン


タッタッタッ

女「待て!」バッ

剣士「君も生きていたか。良かった。だが邪魔しないでくれ。こいつは殺さねば」

女「相手は人間だぞ」

剣士「こんなやつは魔物と同じだ。生かしておく価値もない」

女「それはお主が勝手に定めた価値じゃろ。人を斬るという大きな覚悟と責任がお主にあるのか?ここで人を殺めればきっとこの先後悔するぞ」

剣士「……いいからどいてくれないか?」

女「え……?」

剣士「これ以上邪魔をするなら君も斬るぞ」

女「お主……おかしいぞ。どうしたんじゃ?」

剣士「どうもしない。おかしいのは私の邪魔をする君のほうだ」

女「……」

剣士「この男を殺せと淑女さんに頼まれた。だったら殺すしかないだろう」

淑女「どうやら剣士様はあなたではなく、私の味方のようですの」

女「……こいつに何を唆した?」

淑女「そんな野暮なこと聞かないで下さい」

女「は?」

淑女「ただ一つ言えることは……」

剣士「……」

淑女「今夜の彼は私のものです」

剣士「今夜と言わず、私はずっとあなたの味方ですよ」

女「目を覚ませ!そんなキャラじゃないじゃろ!」

寝ていた男「無駄だ」

女「えっ?」

寝ていた男「そいつはおそらく催眠による混乱状態に陥っている。これじゃあどんな言葉も届かないぞ」

女「催眠……どうにか戻せんのか!?」

寝ていた男「方法がないことはないが……」

女「なんじゃ?教えろ!」

寝ていた男「痛撃による強制解除」

女「!?」

寝ていた男「仲間を攻撃はできまい。だから───」

女「なんじゃそんなことか。任せろ」ブンブン

寝ていた男「!?」

剣士「いい加減どいてくれ。そいつ殺せないだろう」

女「まったく世話が焼ける。こうなったら思いっきりぶん殴ってやるわ」

剣士「……君も私の敵だったか」

女「たわけ。すぐ本当のお主に戻してやるわ」

剣士「本当の私……?」

女「ああ」

剣士「君に私の何がわかるんだ」

女「わからんな。わかろうとも思わん」

剣士「……そうだよな。だったら放っておいてくれ」

女「いつまでも小さいことをグチグチ言う男のことなどどうでもいい」

剣士「……」

女「年頃の女子を猿だの馬子だの言う男など……」

剣士「君も大概に根に持っているじゃないか……」

女「だが不器用ながらも、どんな言い争いしても、結局困っている者を見過ごせない……紳士より紳士たる男じゃ」

剣士「……」

女「そこらの男に比べたら芯の通った強い意志も持っておる。あんな軽い女に惑わされるような男ではない」

剣士「……」

女「わしはそんなお主を少しだけ評価しているし、ほんの少しだけ頼りにもしておる」

剣士「……」

淑女「剣士様を唆さないで下さい。返さなくてもいいとおっしゃったのはあなたですよ」

女「そうじゃな。こいつは自分で帰ってくる」

剣士「……」

女「こっちへ戻ってこい」

剣士「……君の……?」

女「そうじゃ」スッ

剣士「私が……君の……?」

淑女「あっ!」

女「スキありじゃ。いい加減に目を」

淑女「剣士様!危ない!」

剣士「……」

女「覚まさんか!」バコォン

剣士「がっ!」ドサッ


淑女「なんで……剣士様ならあれくらい避けられたでしょ……」

剣士「痛た……」

女「正気に戻ったか?」

剣士「……ああ」

女「拳を痛めてまで殴ってやった甲斐があったな」

剣士「……だったら何も本気で殴ることないだろ」

女「なんかムカついたんじゃ」

剣士「そんな……ただ混乱していただけなのに」

女「ん?助けてもらっておいて文句垂れるのか?」

剣士「……」

女「……」

剣士「いや……やはり私が悪かった。すまん」

淑女「……もう、あと少しでしたのに」

剣士「!」

淑女「お目覚めのご気分はあまりよろしくないようですわね。剣士様」

剣士「あなたは、私を催眠にかけるなんて何を考えているのです!」

淑女「せっかく親密な関係になれたのに残念ですわ」

紳士「これが田舎者の限界か」

剣士「……」

女「そいつらまともに答える気はないぞ」

剣士「……そのようだな」

女「もう気づいておるじゃろ。わしらの本当の敵は……」

紳士「……」

淑女「……」

女「あいつらじゃ」

今日は終わりです

>>675
サスペンスなんて書けません

>>676
ご都合主義万歳

>>677
ファンタジー万歳

ありがとうございました

剣士「一体どういうことなんだ?君は何を知っている」

女「話は後じゃ。まずはあいつらを捕まえるぞ」

剣士「……わかった」

紳士「捕まえるか……私たちをなめないほうがいい」

剣士「行くぞ!」ダッ

紳士「ふふ……」フッ

剣士「!?」

紳士「私たちを捕まえることは難しいですよ」

剣士「き、消えた……」

寝ていた男「……」

紳士「さて、お前には……」スッ

シュルシュル

寝ていた男「ん?これは……」

紳士「しばらくそこで大人しくしていなさい」

寝ていた男「動きが……」グイグイ

紳士「まだらくも糸ですよ。お前は後でゆっくり始末してあげます」

寝ていた男「……」

剣士「バカな……声はするのにどういうことだ?」

寝ていた男「消え去り草だ」

剣士「えっ?」

寝ていた男「一時的に身体を消す薬草を使ったんだ」

剣士「……もうなんでもありだな」

紳士「ほう。詳しいですね」

寝ていた男「一度経験したからな」

紳士「そうか。館から出たときに使っていたのですね。我々の消え去り草を盗んで」

寝ていた男「ああ。なかなか面白いものだった」

紳士「減らず口を……田舎者は自分の置かれている状況がわかっていないらしい」

寝ていた男「……」

紳士「だがまずは……」

ジリッ

剣士「……」

紳士(あなたから死になさい!)バッ

剣士「そこだ!」キィン

紳士「え……?」

剣士「よし」

紳士「な、なぜ私の居場所が!?」

剣士「私は毎日生き抜くための実戦を繰り返している。それだけ魔物のような殺気を漂わせていれば気配くらい嫌でもわかるさ」

寝ていた男「ほう」

紳士「まさに野生……田舎者め……」

剣士「そんな小細工は私に通用しないぞ」

紳士「おのれ……」フッ

剣士「姿が……!」

寝ていた男「時間切れだ。使うにしても持続時間が短いのと使用する者の力量が欠点だったな」

紳士「田舎者……なめやがって……!」

剣士「もう諦めたほうがいい」

紳士「……ふん」

剣士「……」

紳士「何を勝った気でいるのです?」

剣士「……そうか。ならば容赦はしない」シャキン

淑女「ふふ」

剣士「……何がおかしいのです?まだ小細工を残しているのか?」

淑女「いいえ。小細工なんて元々必要はありませんでしたから」

剣士「え?」

淑女「剣士様。いいことを教えてさしあげましょう」

剣士「……」

淑女「その方は剣に関して右に出る者はいない。我が国の大会優勝者ですのよ」

今日は終わります
展開はノリです。ありがとうございました

乙です
冗談めかしたレスをしようとしたら先読みっぽくなってしばらく悩むとは思いもしなかったww

乙乙
そういやエジンベア=渇きの壷だったね
普通に忘れてた

──────

────

──


剣士「あなたの言った通りだ」

紳士「」チーン

淑女「そんな……そんなまさか……!」

剣士「これなら私でも優勝が狙えそうですね」

淑女「こ、こんなに強かったの……?」

女「実際それほど技量に差があったわけではないがの。勝敗を分けたのは実戦による経験値もさることながら……」

女「どれだけ己を信じることができたかじゃ。お主らには迷いのない絶対的自信が欠けていた」

女「小細工に頼っていたツケが回ってきたな。慢心せず己を鍛え続けていたなら多少はマシな戦いもできたじゃろうに」

淑女「うう……」

剣士「私が目指す先は競技剣術という狭い世界では届かない高みだ。上にはまだ上がいる」

寝ていた男「……」

淑女「……こうなったら消え去り草で」フッ

剣士「あっ」

淑女「この場は去らせていただきます」コソッ

剣士「また消えた!今度は襲いかかってくるわけではないから正確な位置が……!」

ガシッ

淑女「えっ?」

寝ていた男「逃がさんよ」

剣士「速い……」

寝ていた男「大体の位置さえわかっていれば問題ない」

淑女「あ……あなたも気配だけで……何者なの……?」

寝ていた男「さあな」

女「切り札が先に見せた小細工では世話ないの。それよりわしの出る幕なしか」

剣士「では何があったのか教えてくれ。まずこの男は何者なんだ?」

寝ていた男「……」

女「一応わしらの味方みたいじゃ」

剣士「だからといって……敵とはいえ人間を惨殺するような者に……」

女「その言葉、さっきのお主に聞かせてやりたいの」

剣士「う……」

女「あの館の連中は全員生きておる。ちょっと眠ってもらっただけじゃ」

剣士「えっ?」

──────

────

──

少し前・紳士の館


ガシッ

女『!?』

寝ていた男『……』

女『お主、起きて───』

寝ていた男『騒ぐな』

女『……なんの真似じゃ?』

寝ていた男『安心しろ。危害を加える気はない。お前たちも海でこの島に流され、連中に招待されたのだろう?』

女『寝たふりなどしよってどういうつもりじゃ?』

寝ていた男『ん……この館の調査のためだ』

女『怪しいわ。なぜそんなこと……』

寝ていた男『……ここは昔、教会だったんだ』

女『えっ?』

寝ていた男『無人島ではあるが、旅人のために建てられた教会だった』

女『……言われてみれば、たしかに造りは教会のそれに似ておる』キョロキョロ

寝ていた男『昔、ここに来たことがあるからそれは間違いない。あの頃は近くの大陸の人間もよく礼拝に来ていた』

女『では何らかの理由で使われなくなり、連中が拠点に利用しているということか?』

寝ていた男『……』

女『はっ、そうか!この島に生息する怪物が教会を襲って廃墟となったのじゃな』

寝ていた男『違うな』

女『えっ?』

寝ていた男『教会がなくなった理由自体、やつらの仕業である可能性が高い』

女『ど、どういうことじゃ?』

寝ていた男『まず、この島に怪物は存在しないからだ』

女『なんじゃと!?』

寝ていた男『私も船で流されてきた身だ。だがそもそも怪物の噂など知らなかったから海流の原因を調べ回ったんだ』

女『だから怪物の仕業以外に何があると……』

寝ていた男『島中を探索したが怪物と呼べるような魔物はいなかった』

女『……そういえばわしらも結構歩いたがほとんど魔物もいなかったな』

寝ていた男『しかし途中面白いものを見つけた』

女『なんじゃ?』

寝ていた男『まるで海の水が干上がったような、不自然な浅瀬地帯だ』

今日は終わります

>>698
この話はあまり先を考えていないので先読みでもいいですよ

>>699
唯一の存在理由ですね

ありがとうございました


黒幕の扱いがひどいww

女『海が干上がった?』

寝ていた男『何か壺のようなものが近くに置いてあった。その不自然な地帯と関係していると思う』

女『いきなり何を言い出すんじゃ?意味がわからんぞ』

寝ていた男『ここからはただの推測だが、あの壺を使ったことにより海の水が干上がった。そこで傾斜流が発生し、島に船が流されるという現象が起こったのだろう』

女『そんなバカな』

寝ていた男『この辺は証明するにも難しいが』

女『……そんな眉唾でやつらの仕業と断定するのはな』

寝ていた男『……』

女『怪物の噂はわしらの乗組員も知っていた。怪物に目をつけられたら生きて帰った者はいないという逸話もあるほどじゃ』

寝ていた男『ならば生きて帰った者がいないのになんでそれが船を引き寄せる怪物の仕業と知られたんだ?誰がそれを見たんだ?』

女『……あ』

寝ていた男『明らかに人為的な情報操作だ。その噂はやつら自身が作り、流したものだろう』

女『い、一体何のために?』

寝ていた男『それを調べようとしている』

女『……』

女『……なぜわしに話した?』

寝ていた男『これから調査するにあたって多少手荒なことになるかもしれんからな』

女『えっ?』

寝ていた男『被害者であるか弱いレディに不安を与えることはないからな。ホールから連れ出してくれて丁度良かった』

女『な……お主が一人で?あの人数を?』

寝ていた男『まあなんとかなるだろう』

女『なんとかって……お主、この一連の所業がやつらの仕業だと証明できんのか?』

寝ていた男『証明か……』

女『一応連中には一飯の恩がある。手荒な真似と聞いてはわしも黙ってられんぞ』

寝ていた男『……できないことはないが』

女『なんじゃ。だったらしてみせろ』

寝ていた男『まずはあの壺の効力をその目で見るといい』

女『そうじゃな。そこからじゃ』

寝ていた男『ただ、壺が置いてある場所には辿り着くことができなくてな。やつらしか知らない抜け道があると思うのだが』

女『おいおいそんなんでどうするんじゃ』

寝ていた男『やつらをその場所まで誘導し、勝手に使ってもらえばいいかな』

女『えっ?』

寝ていた男『そのために協力してくれ』

女『何かおかしな話になっておるぞ……突拍子もないことを言われ、まだ何を信じたらいいのかわからんというに』

寝ていた男『そうだよな。うーむ……』

女『だから───』

寝ていた男『紳士の国はあまり信仰深くない。噂では教会すらないとか……』

女『ん?そうなのか?』

寝ていた男『そんな連中だからこそ、この教会だった場所を自分たちの都合のいいよう改築して利用できるんじゃないか。でなければ余程の悪人だ』

女『うーむ……』

寝ていた男『……あまり見せたくなかったが』

女『ん?』

寝ていた男『外に来てくれ』

女『……?』

──────

────

──




女『ここは、ただのゴミ置き場にしか見えんが』

寝ていた男『このゴミ置き場は……墓地があった場所だ』

女『!?』

寝ていた男『元々そこに立ててあったと思われる十字架も棄ててあるだろう』

女『あ……』

寝ていた男『おそらく邪魔だったという理由で、ああやってご丁寧に纏めて積んでいるんだ』

女『なんてことを……信じられん』

寝ていた男『あの下には多くの傷つき倒れた旅人が眠っている』

女『……』

寝ていた男『正義感を見せろとは言わん。だが、やつらが信じられるような連中ではないことは確かだ』

女『……わかった。これは信仰あるなしに関係なく許せるものではない。とりあえずお主を信じることにする』

寝ていた男『おお、やっと決心してくれたか』

女『しかしよく調べたな。ずっと寝ていたようにしか見えんかったが』

寝ていた男『それはな……』バッ

女『ん?あれっ?』

ぬいぐるみ『……』

女『これは……?』

寝ていた男『どうだ?驚いたか?』

女『!?』クルッ

寝ていた男『この身代わりの術でホールには私の分身を置き、抜け出していたのだ』

女『分身ってただのぬいぐるみではないか。こんな子供騙しに誰が引っ掛かるんじゃ』

寝ていた男『はっはっは、実際お前たちは食事に夢中、連中はパーティーに夢中で誰も気に止めていなかったぞ』

女『な、なんて間抜けなわしら……』

今日は終わります

>>707
溢れ出る小物臭に蓋をしきれませんでした

ありがとうございました

おかしいな?
女ってキャラが働いてるように見えるがこれに女って同名キャラ2人もいたっけ?
それとも別のスレを見ているんだろうか……?

女『しかしお主が只者ではないということはわかった』

寝ていた男『まあ私のことはどうでもいいさ。それより寝ていたふりをしながらずっと考えていた作戦があるのだが』

女『いや、なんだかんだお主が一番気になるぞ』

寝ていた男『私が猟奇殺人鬼になり、ホールの人間を皆殺しにする』

女『という設定だよな?』

寝ていた男『あらら、驚いてくれなかったか』

女『段々お主のキャラが掴めてきたわ』

寝ていた男『つまらんな……』

女『つまらん言うな』

寝ていた男『そう、皆殺しにしたように見せかけるだけだ。一人の男を騙すために。ターゲットはリーダーである紳士という男』

女『あいつか……どうやって騙すのじゃ?』

寝ていた男『2、3人気絶させる。いかにもやられた!という感じで悲鳴を上げてもらえば十分だな』

女『それで死んだと思うかの?』

寝ていた男『ホールの照明を壊せばいい。暗闇の恐怖から冷静な判断ができなくなるだろう。残りは魔法で眠らせれば全滅したと思うはずだ』

女『お主は魔法も使えるのか……』

寝ていた男『そうしたらお前は捕らえられたふりをして、猟奇殺人鬼である私の仕業だと紳士に告げる』

女『げ……わしはそんな役か』

寝ていた男『あと他の者が目覚めたとき、逃げられないようどこかに縛りつけておいてくれ』

女『ええ、あの人数をか……まあ仕方ない。お主はその間どうする?』

寝ていた男『恐怖からやつは外に逃げるだろう。そこを襲う』

女『ふむ、それが自然じゃろうな』

寝ていた男『もう一人くらい一緒に逃がしてもいいな。外にでそいつを襲撃し、さらに恐怖心を仰ぐ』

女『徹底しとるの』

寝ていた男『まだまだここからだ。やつらは色々面白い道具を持っていてな。その中のこれ』スッ

女『なんじゃ?薬草ではないのか』

寝ていた男『ふふふ……』フッ

女『消えた!?』

寝ていた男『消え去り草というものだ。少し拝借してきた』

女『な……なんと完全に見えなくなった。声はそこから聞こえているのに……』

寝ていた男『これでさらに恐怖するだろう』

女『……もう訳がわからん。わし、ついていけているか?』

寝ていた男『どこからか声はする。だが姿は見えない。すぐ近くに隠れていると思うだろう。木の陰か?建物の上か?』

女『たしかに怖い』

寝ていた男『おそらく私の姿が捉えられるだだっ広い場所まで逃げるはず。それが……』

女『例の不自然な浅瀬か』

寝ていた男『そうだ。きっとやつはそこに自分が誘導したと思い込む』

女『なるほど……』

寝ていた男『そこは崖で登ることはできないが、登りきれるという雰囲気を出してしまえば慌てて罠にかけようとするはず』

女『罠?』

寝ていた男『十中八九その場所に海を出現させるだろうな』

女『!?』

寝ていた男『これで壺の効力を確かめられるというわけだ』

女『待て、それじゃあお主は……』

寝ていた男『大丈夫。そこまでわかっていたら対策はとれる』

女『いや、普通は防ぎようないわ。下手したら死ぬぞ』

寝ていた男『ん?私の心配をしてくれているのか?不思議な壺の存在は認めないのではなかったのか?』

女『そ、それとこれとは話が別じゃ。いい、なら勝手にしろ。わしは知らん』

寝ていた男『ああ、最初だけ協力してくれれば十分だ。感謝するぞ、優しいお嬢さん』

女『な……』

女(なんじゃこいつ……いつの間にか変なペースに巻き込みよる……しかし不思議と信じてみたくもなる。おかしな男じゃ……ん?)

女『おい』

寝ていた男『なんだ?』

女『これ最初からわしが入っておる……お主、わしが協力する前提で作戦を立てておったな!?』

寝ていた男『あ、バレたか』

女『わしを掌で転がしておったのか!わしが断わるとは考えなかったのか!』

寝ていた男『あー、それは考えていなかった。多分いける気がしたから』

女『そ……そんな適当な作戦じゃったのか』

寝ていた男(それは本当なんだよな……なぜかわからないがこの娘を一目見たときからなんの不安もなかった。何者か気になるところだが……)

今日は終わりです

>>716
ナチュラル催眠ごめんなさい
女は一人です

ありがとうございました

──────

────

──


淑女「わ、私たちは全てあなたの思惑通りに動いてしまったというのですか……?」

剣士「……」

寝ていた男「大正解。ここまでうまくいくとは思っていなかった。何も知らない旅人を催眠にかけるなんて、自ら悪事を晒してくれたのだからな」

淑女「くっ……!」

女「とまあそんなことがあったんじゃ。この男については何も知らん」

寝ていた男「はっはっは。謎の男というのも格好いいだろう?」

剣士「な、なんだこの人のキャラは……今までの怪しかった雰囲気が一変した」

寝ていた男「そのほうが信じ込ませやすい。仕方ないだろう」

女「何が仕方ないじゃ。ノリノリで演じておったではないか」

寝ていた男「はっはっは。そうだったか?」

女「さて、お主らはなぜこんなことをしたのか吐いてもらおうか」

淑女「……言えませんわ」

女「往生際の悪い。このままでは終わらせんぞ」

淑女「……」

女「少々痛い目に合ってもらわんといかんか。拷問も覚悟するんじゃな」

剣士「待ってくれ。そこまですることはないだろう」

女「何を言っておる。お主はもしかするとずっとこいつらの言いなりになっていた可能性もあったのじゃぞ」

剣士「それでも……私は……」

女「お主、まだこの女に未練があるのか?あー、やだやだ情けない」

剣士「そんなんじゃないよ。人道に反したことはできないだけだ」

淑女「……」

女「お人好しにも程があるぞ。だったらお主がなんとかしてみせろ」

剣士「う……それは……どうしよう」

寝ていた男「なに、簡単に口を割らせる方法があるじゃないか」ヒョイ

淑女「あ……私の剣を……」

女「その剣で脅すのか?」

剣士「そんな単純な……」

寝ていた男「これがお前を催眠にかけていた道具だ」

剣士「え?これで?」

女「またおかしな道具が出てきたな」

剣士「こんなもので私を……たしかに妖艶な雰囲気は感じていたが」

女「なら気づけよ」

剣士「いくらなんでも剣だとは……なんでそんなに詳しいのですか?」

寝ていた男「お前と戦っている最中にこれを使って私も誘惑しようとしていたのが見えたからな」

剣士「え?あのときに……?それじゃあスキを見せたのは……」

寝ていた男「ああ、あのときは少し妙な感覚があったからな。このままではまずいと思い、お前に攻撃させて催眠を解除しただけだ」

剣士「な……わざと?では私の与えたダメージというのは……」

寝ていた男「すまん。それほど効いていなかった」

剣士「……なんて人だ」

淑女「はたしてそんなにうまくいくでしょうか?」

寝ていた男「なに?」

淑女「それは女性にしか使えない剣ですのよ」

寝ていた男「こちらにも女はいる」チラッ

女「ん?」

寝ていた男「お前が使ってあの紳士を催眠にかけるんだ」

女「は?」

淑女「ふふ……」

寝ていた男「何がおかしい」

淑女「その剣は女性特有の艶かしさを感じとり、相手を誘惑する効果を発揮するものだからです」

剣士「艶かしさ……」

淑女「つまり色気というものです。そちらのお嬢さんには少し荷が重いのではなくて?」

女「……」

剣士「そ、そんなに厳しい査定があったのか……」

寝ていた男「くそ!別の方法を考えなくては」

女「なんじゃお主ら!なぜ最初から諦めておる!」

剣士「えっ?」

女「そこまで言われて引き下がるか!わしがそいつを落とせば問題ないじゃろ!」

剣士「無理することはない。君には───」

女「うるさい!」

淑女「ふふ、一体いつまでかかるでしょうかね」

女「……」

淑女「私は剣士様にはずっと使い続けていた。でも、私ですら完全に落とすには時間がかかりました」

剣士「……」

寝ていた男「効き難いタイプの人間もいるということか」

淑女「ええ、ましてやその方は誰にも落とすことはできない。紳士の中の紳士ですのよ」

剣士「……やっぱり君には」

女「黙って見ておれ!ええい起きろ!」グイグイ

紳士「う……うん……」パチリ

女「え……えっと、わしの言いなりになれ!うっふーん」

紳士「な……」

淑女「……」

寝ていた男「……」

剣士「……やるなら真面目にやってくれ」

女「うう……そんなこと言われてもやっぱり……」

紳士「……なんて艶かしい」

剣士「!?」

──────

────

──


紳士「私たちがこの島にやって来たのは……」

淑女「ちょ、紳士様!目を覚まして下さいまし!あなたはそんな簡単に誘惑されるような方では」

女「聞く耳持つな」

紳士「はい。私はあなたの言葉しか受けません」

淑女「そんな……そんなまさか……」

剣士「単純過ぎるだろ……」

女「ふふん、わしの実力じゃ。思い知ったか。では続きを話せ」

紳士「はい。私たちがこの島にやって来た理由は……」

淑女「紳士様……」

紳士「平穏のためです」

今日は終わります

ある意味、女がやれば剣士も一発で掛かりそうだな……

女「平穏じゃと?」

紳士「はい」

女「どういうことじゃ?」

紳士「私たちは紳士の国の盗賊です」

剣士「えっ?」

女「盗賊……」

淑女「……」

紳士「国内で目立ち始めましてね。逃げ場を失った私たちは国外へ逃亡したのです」

女「お主、剣の腕は国で一番だったのではないのか?普通は英雄扱いじゃろ」

淑女「……先ほどあなたのおっしゃった通りですよ」

女「なに?」

淑女「一度頂点に立ってしまってからです。甘い蜜の味に慣れ、己を鍛えることなく驕り、いつしか名声は悪名として知れ渡ることになりました」

女「……」

紳士「ふふ、私は今の暮らしのほうが充実していますがね」

女「なんと愚かな……」

淑女「……元々紳士様と私は盗賊ではありませんでした」

淑女「館で眠らされている私たちの仲間……基の盗賊団を結成していたのは彼らでした。私たちが行き着く先は自然とそういう場所になっていた」

女「そういうことか……」

淑女「紳士様の実力は彼らもすぐ認めてくれたので、問題なく溶け込むことはできましたが……」

紳士「ふふ、まあそんなことはどうでもいいですよ。それより口を挟まないように。今は私が彼女に説明しているのですから」

淑女「……はい。申し訳ありませんでした」

女「わしが悪いみたいな空気を作るな」

紳士「国外へ逃亡後、その先々で様々な珍しい道具や武器などを盗み、追手から逃れるための武力を蓄えた」

剣士「あれらは全て盗品だったのか」

紳士「ええ、世界は広い。どんな小さな田舎に宝が眠っているかわかりません。実際、渇きの壺と消え去り草は少数民族が暮らす村から盗んだものですから」

紳士「そしてこの無人島に辿り着いたのです。運よく丁度いい建物があったのでそこを略奪し、拠点となる場所を作った」

女「やはり……」

紳士「しばらく落ち着くまでの住処としました。ああ、元々は教会のようでしたね」

女「……」

紳士「しかし、この島にもいつか追手はやって来る。逃げることに疲れていた私たちは架空の怪物という存在を作り上げ、その噂を流したのです」

女「……それも本当にお主らの仕業だったか」

紳士「はい。先ほど使った渇きの壺のおかげで噂は信憑性を高めてくれたようでした。島に近づこうとする船は現れなくなりましたよ」

剣士「……たしかにあれは怪物の仕業としか考えられなかった」

紳士「しかしね、ずっとこんな無人島で暮らしていると色々な物資が不足してくる」

女「だろうな……」

紳士「困りますよね。そこで私たちが目をつけたのは……」

女「……まさか」

紳士「ふふ、たまに通り過ぎる船です」

剣士「!?」

紳士「海流を変え、船を引き寄せる。そしてあなたたちと同じように乗組員を招き入れ……」



紳士「全員次の日に殺しました」

女「!?」

剣士「な……なんてことを……」

淑女「……」

紳士「誘惑の剣を使ってこの場所に誘き寄せます。たまに女性もいましたが、まさか仲間が操られているとは思わずのこのことついてきて下さいました」

女「……」

剣士「……」

紳士「乗組員が全員揃ったところで海に戻す。そうすれば皆勝手に溺れ死んで下さいましたからね」

女「……」

剣士「……」

紳士「そして簡単に残った船から物資をいただけるという寸法です」

女「なんということじゃ……」

紳士「今日はたまたまうまくいきませんでしたが、良い方法だと思いませんか?なにしろ死体の処理も───」

女「もういい。黙っておれ」

紳士「はい。わかりました」

剣士「……」

女「とんでもない話じゃ……危うくわしらも殺されるところだったのか」

剣士「……」

女「この男がいなかったらどうなっていたかわからんな。本当に助かったぞ」

寝ていた男「お、素直だな。感心感心。やはり女子は素直なほうが可愛げがあるぞ」

女「なんじゃ能天気な……今の話、聞いておったのか?」

寝ていた男「まあ大体予想通りだったから、それほど驚きはないのが正直なところだ」

女「なんと……本当にとんでもない男じゃな」

寝ていた男「さて、話も聞けたしこいつらをどうするかだが」

淑女「お好きになさって下さい。もう逃げられないことはわかっています」

女「こんな話を聞いて、お主ならどうする?」

剣士「……許せるわけがない」

女「うむ……」

剣士「だが、私たちに裁ける問題でもない」

女「……」

寝ていた男「そうだな。私が後始末をしよう」

女「えっ?」

寝ていた男「海を見ろ」

女「え……あ、あれは」



船長「おーい!」



寝ていた男「どうやらお前たちのお迎えのようだな」

──────

────

──

船長「やっと船が動いたんだ。急いで乗ってくれ!予定より結構遅れちまっている!」

女「そうか……わしらは乗せてもらっている立場じゃったな。迷惑はかけられん」

寝ていた男「急ぐのだろ?行ってくれ」

女「しかし……」

寝ていた男「後は任せておけ。私がいいと思う方法でけりをつけておく」

剣士「……」

女「すまんな。最後まで任せっぱなしで」

寝ていた男「はっはっは、気にするな。お前らなかなか楽しかったぞ」

剣士「……すみません。なんのお礼もできず」

寝ていた男「気にするなって」

剣士「あなたには是非また会いたい。負けっぱなしでいたくはありませんから」

寝ていた男「お、私だって負けんぞ。まだまだ強くならねばならんからな」

剣士「た……楽しみです」

剣士「……」チラッ

紳士「……」

淑女「……」

剣士「……」

女「何をしておる。急げ」

剣士「あ、ああ……」

紳士「待って下さい!私もあなたと一緒に……」

女「げ、まだかかっておったのか。うっとおしい。そこで寝ておれ」

紳士「はい。zzz……」

女「では後は任せた」

寝ていた男「ああ。道中気をつけるんだぞ」

剣士「ありがとうございました」ペコッ

タッタッタッ

──────

────

──




女「ふう。なんとも慌ただしく終わったの。無事で何よりじゃが」

剣士「ああ……」

女「お主も振り回されっぱなしで大変じゃったな」

剣士「ああ……」

女「……すっきりしないか」

剣士「色々な感情がぶつかり合って、自分が何を考えているのかもわからなくなった」

女「……」

剣士「……彼らに何か言おうと思ったのだが、何も言葉が出てこなかったよ」

女「あんなの、何も言えんわ。あまり考えるな」

剣士「……そうだな」

賢者「ん、戻ったか」ヒョコ

女「おう、皆無事だったようじゃな」

賢者「なんだお主らその格好は?パーティーにでも行ってきたのか?」

剣士「……」

女「……まあの」

──────

────

──




紳士「zzz」

寝ていた男「一つ疑問なんだが」

淑女「なんでしょう?」

寝ていた男「紳士が没落していったのはわかる。だがお前は……」

淑女「……」

寝ていた男「そんな必要なかっただろう?」

淑女「……いいえ」

寝ていた男「なに?」

淑女「私たちは幼馴染みでした。幼い頃からずっと一緒だった」

寝ていた男「……」

淑女「だからこの先もずっと一緒にいたいと思うのは当然じゃありませんか?」

寝ていた男「……」

淑女「私は紳士様を……愛しているのだから」

紳士「zzz」

寝ていた男「そうか……」

──────

────

──




剣士「多分、彼女は紳士に特別な感情を持っていたんじゃないかな」

女「ん?そうなのか?」

剣士「紳士が館から逃げたと聞いたとき、震えていたんだ。きっとあれは彼の身を案じてのことだったと思う」

女「ふーん。そんなこと今さらどうでもいいがの」

剣士「……彼女は紳士が悪の道に堕ちたとき、自分が支えになるようついていったのかもしれない。それが間違った道だとわかっていても」

女「……」

剣士「彼女たちの本当の気持ちなんてわかりはしない。でも彼のことを思うなら他にも方法はあったんじゃないかって……言いたかったのかな」

女「……」

剣士「まあ、結局何も言えなかったんだけどね」

女「そうか……」

剣士「人間の感情なんて、どうコントロールしたらいいのか全然わからないよな」

女「……」

剣士「もし私が彼女と同じ立場だったら───」

女「わしが何度でもぶん殴って元の道に帰してやる」

剣士「……」

女「……」

剣士「あ……」

女「ただし、わしにとって害になると判断したときだけじゃがな」

剣士「……」

女「……」

剣士「……ふっ」

女「文句あるか?」

剣士「ふふ……ははは。ないよ。そのときはまたガツンと頼む」

今日は終わります

>>735
どうなりますかね。さっぱり読めません

ありがとうございました

──────

────

──




紳士「zzz」

淑女「誘惑の剣が効きやすかったのは、紳士様の心には誘惑に立ち向かう存在……つまり愛する者がいなかったということでしょう」

寝ていた男「……」

淑女「私はこれまでずっと彼に愛されていなかった」

寝ていた男「……」

淑女「それはとても辛いことです……でも」

寝ていた男「……」

淑女「剣士様を見ていたら、昔の紳士様を思い出してしまったのです。あの頃を思い出すことが、今の私にとっては一番辛い」

淑女「あの時、私がもっと強かったらなって」

淑女「そしたらこんな……」

淑女「……」

寝ていた男「……」

淑女「なんでもありません……忘れて下さい」

ヒタヒタ

?「あ、こんなところにいたんですか」

寝ていた男「おお、従者。ご苦労だったな」

従者「あなたこそお疲れ様でした。東の勇者様」

東の勇者「旅人たちの船は無事出航したぞ」

従者「そうですか。では、やはりあなたの予想通り……」

東の勇者「ああ、全てここにいる紳士の国の者たちの仕業だった」

淑女「勇者……あなたが……?」

紳士「zzz」

従者「でしょうね。私はここで怪物を見たなんて情報知りませんでしたから」

東の勇者「お前の方はどうだった?紳士の仲間たちが船に向かっていただろう」

従者「その者たちより私が先に船を見つけたので乗組員に事情は伝えましたが、裏付けが何もなかったから信用してもらうのに時間がかかりましたよ」

東の勇者「はっはっは、そりゃそうだな。お前の方が何倍も怪しいもんな」

従者「……放っておいて下さい。幸いにも乗組員の中に切れ者の賢者がいたので、何が正しいかはちゃんと理解してくれました」

東の勇者「ほう、賢者か。やはりあいつら普通の旅人とは違ったようだ」

従者「ええ、私が何もしなくても簡単に紳士の仲間を捕まえてくれました」

東の勇者「そうか。今度会ったときはそいつとも戦ってみたいな」

従者「何を言っているんですか。私たちの旅の目的は」

東の勇者「わかっているって。役目を果たした後の話だ」

従者「本当でしょうね……?」

東の勇者「それよりその捕まえた紳士の仲間はどうした?」

従者「紳士の館です。眠っていた連中と一緒のところに置いてきました」

東の勇者「そうか。ではあとは……」

従者「紳士の国へ行った戦士を待つだけですね」

東の勇者「あいつ無愛想だからな。この連中を引き取りに来てもらえるよう、ちゃんと交渉できているといいが」

従者「あなたが調査したいとか言い出すからあんなやつに任せる羽目になったんじゃないですか。ホビットの私は問題外ですし」

東の勇者「仕方ないだろう。気になってしまったのだから」

従者「こんなことしている場合じゃないのに……海流に流されたところで東の勇者様の力なら簡単に脱出もできていたのに……」

東の勇者「はっはっは。今さら色々言っても遅いがな」

従者「はあ……まあ戦士の方は大丈夫でしょう。あいつの性格は問題ですが勇者の船を使い、勇者の使者として向かったのですからそれだけで信用は勝ち取れます」

東の勇者「はっはっは、役に立つよな。勇者という名前は」

淑女「……随分用意がよかったですのね。確証を得る前に私たちを引き渡す段取りまでつけていたなんて」

東の勇者「確証なんて私の勘だけだからな。間違っていたらごめんなさいじゃ済まなかったと思うぞ。はっはっは」

淑女「……なんて人」

従者「本当に……」

東の勇者「やはりお前たちの処遇はお前たちの国に任せるのが一番だ。国の方でも色々調査するだろうから出向いてもらうことにしていた」

淑女「本当に全て読まれていての行動……勇者であるあなたから見れば、私たちなんてちっぽけな存在なのでしょうね」

東の勇者「そんなことはないさ」

淑女「え……?」

東の勇者「人間はそれぞれ色々な考えを持っている。何が正しいことなのかも本当のところはわからない」

東の勇者「一人一人理解して全てを丸く収めるなんて私には到底できないしな」

東の勇者「誰しもが誰かと向き合うことができるわけじゃない。たとえそれが自分の傍にいる者でも」

淑女「……」

東の勇者「間違いもそりゃ起こすさ。だから、うまい言い方ではないかもしれんが……」

東の勇者「お前の行動がどうであれ、一人の男のためにそこまで真剣になれたことは誇りに思っていい」

淑女「……」

東の勇者「あ、館を調査しているときに見つけたんだが……」ゴソゴソ

淑女「……?」

東の勇者「様々な価値のある盗品ばかりあったが、これだけは安っぽいし何のために置いてあったのかわからなくてな。後で聞こうと思って持ってきてしまった」スッ

淑女「ロケット……ですか?どなたの持ち物でしょうか。見たことがありませんが……」

東の勇者「あったのは紳士の部屋だ」

淑女「え……」

東の勇者「中を見てみろ」

淑女「……」パカッ

淑女「!?」

東の勇者「……」

淑女「な……なんで……紳士様……」

紳士「zzz」

東の勇者「先ほども言ったが他人が何を考えているのかなんてわからない。そんなものを大事にとっておいてあった理由も全く見当がつかない」

淑女「なんで……なんで……」

東の勇者「だがその理由、お前ならわかるんじゃないか?」

淑女「……」

東の勇者「人間は可能性を秘め、私の考えでは及ばない部分を誰もが持っている」

淑女「……」

東の勇者「今のお前を見れば、ちっぽけなんて思えないさ」

淑女「……」

東の勇者「難しいよな。人間を相手にするのは」

淑女「……本当ですね……」グス

東の勇者「勇者なんて役目は魔物を相手にするだけだ。簡単だろ?ある意味こんな楽な仕事はないぞ」

従者「楽は言い過ぎです」

東の勇者「そうか?あ、人間ではないがお前も尊敬しているぞ」

従者「……わかってますよ。ついでみたいに言わないで下さい」

淑女「ふふ……」

従者「ああ、笑われたじゃないですか」

東の勇者「はっはっは!笑いたいときは笑っておけ」

淑女「ふふふ」

従者「もう……」

東の勇者「はっはっは!」

淑女「勇者は……」

東の勇者「ん?」

淑女「勇者とは……魔物を相手にしていればいいなんて嘘」

東の勇者「……」

淑女「魔物なんて関係ない。人々に勇気を与える者……それが勇者なのでしょうね」

東の勇者「……」

従者「……」

東の勇者「そうなれたらいいな」ニコッ

今日は終わりです

──────

────

──




剣士「その、ありがとう」

女「どうした?急に」

剣士「私の催眠を解いてくれただろ」

女「あんなの、お主を殴りたかっただけじゃ。おかげでわしもすっきりさせてもらったわ」

剣士「そうか……」

女「そうじゃ」

剣士「あの、あのとき言っていた言葉は……」

女「ああ、スキを作るために適当に言ったセリフじゃ。何を言ったかは忘れた」

剣士「……」

女「大成功だったじゃろ?」

剣士「……」

剣士「ああ……しっかり作られてしまったよ」

女「それにしてもドレスは動きづらくて敵わんな。また布の服を借りて着替えるとするか」

剣士「……」

女「いや、待てよ。このドレス高そうだし、売ればわしらの服を取り戻せるんじゃないか?」

剣士「……」

女「しかしこれも盗品かもしれんな。わしは気にせんが、お主はそんなこと許さないんじゃろう?」

剣士「……さっき聞いたが、事件解決の礼として持ち物と所持金は返してくれるそうだ」

女「なんと、それはついておる。ではこのドレスはまたポーカーの掛け金の足しに……」

剣士「おい」

女「くそ、冗談じゃ。本当に冗談じゃって、くそ」

剣士「ポーカーもそうだが、それを売ってはダメだ」

女「ふん、わかっておるわ」

剣士「違う」

女「何がじゃ?」

剣士「違うんだ。とにかくそれは売ってはいけない」

女「お主……何が言いたい?」

剣士「あの……いや、なんだ……そのドレス、君には……やっぱり……」

女「は?」

剣士「……馬子は言い過ぎた。反省している」

女「なんじゃ。そんなことか」

剣士「そんなことって……」

女「気にするようなことでもないじゃろ。バカバカしい。お主もさっさと忘れろ」

剣士「そんなわけにはいかない」

女「うわ、頑固じゃの」

剣士「だって……」

女「だって?」

剣士「……」

女「?」

剣士「……似合っているから」ボソッ

女「……」

剣士「……」

女「まだ催眠の中みたいじゃな。よし、歯食いしばれ」スゥ

剣士「!?」



ボコッ

──────

────

──

数日後・島


東の勇者「よっ、戦士。ご苦労だったな」

戦士「別に……」

東の勇者「私と離れていて寂しくなかったか?ん?」

戦士「いや……」

東の勇者「本当は寂しかったんだろ?表情が暗いぞ」

戦士「……」

従者「それはいつものことです」

東の勇者「はっはっは。そうだったか?」

戦士「……」

従者「ともかく紳士の国の者も連れてきてくれたのだし、我々はもうこの件を引き渡してもいいでしょう」

東の勇者「そうだな……」チラッ

東の勇者「……」

戦士「……そこは教会として建て直してくれるそうだ」

東の勇者「そうか、それはよかった」

戦士「盗賊どもの処罰は……」

東の勇者「……」

従者「……さあ、旅を再開しましょう。砂漠の国へ行く途中でしたね」

東の勇者「ん……そうだったな」

戦士「そういえば途中聞いた話によると勇者も砂漠の国へ向かったらしい」

従者「なんと。では勇者様も王家の墓へ?」

戦士「さあな。だが怪物と一戦交えるなら、一緒にいて都合が悪いということにはならないだろう」

従者「これは久々に心強いですね。東の勇者様」

東の勇者「……」

東の勇者「……そうだな。あいつにも勇気を与えに行ってやるか」

今日は終わりです
ありがとうございました

おつうん
剣士を目覚めさせる時どんな会話したっけ?→何時頃だっけ?→(探しつつ)あれ?こんな展開だっけ?
ちょっと確認のつもりがこの島の話を最初から読みなおしちゃいましたよ(´・ω・`)
でもやっぱ女たちメインメンバーの話のほうが思い入れの分もあって好みだと判りましたまる

表現をぼかす手法がうまい
剣士は女を好きって言ってるよね

───都会の街・酒場

マスター「今日はお一人ですか?」

勇者「ああ、人と待ち合わせをしている。いつもすまないな。この店を利用させてもらって」

マスター「いえ、見ての通り他にお客さんもいませんしご自由にお使いになって下さい」

勇者「私はこの店の雰囲気が好きだがな。客が少ないのは不思議なところだ」

マスター「ふふふ。それは光栄です」

バタン

盗賊「よう」

勇者「ああ、来たか。無事のようで何よりだ」

盗賊「こんな程度の仕事で危険を感じていたら勇者の協力者なんて断っているよ」

勇者「そうか。頼もしいな」

盗賊「ここがお前さんの行きつけか?この街の酒場にしちゃしけてんな。おまけに分かりにくい場所にあるから案の定客なんて俺たちしかいねえじゃねえか」

勇者「……」

マスター「……」

バタン

盗賊「よう」

勇者「ああ、来たか。無事のようで何よりだ」

盗賊「こんな程度の仕事で危険を感じていたら勇者の協力者なんて断っているよ」

勇者「そうか。頼もしいな」

盗賊「ここがお前さんの行きつけか?この街の酒場にしちゃしけてんな。おまけに分かりにくい場所にあるから案の定客なんて俺たちしかいねえじゃねえか」

勇者「……」

マスター「……」

バタン

盗賊「よう」

勇者「ああ、来たか。無事のようで何よりだ」

盗賊「こんな程度の仕事で危険を感じていたら勇者の協力者なんて断っているよ」

勇者「そうか。頼もしいな」

盗賊「ここがお前さんの行きつけか?この街の酒場にしちゃしけてんな。おまけに分かりにくい場所にあるから案の定客なんて俺たちしかいねえじゃねえか」

勇者「……」

マスター「……」

酷い
>>776×
>>777×

勇者「マスターすまない。彼が待ち合わせの人物だ」

マスター「いらっしゃいませ。このような店ですがゆっくりしていって下さい」

盗賊「おう。高いのを適当に持ってきてくれ」

マスター「かしこまりました」

勇者「……君はあまり人付き合いに慣れていないようだ」

盗賊「俺は自分で認めた人間にしか敬意を払う気はないね」

勇者「君のために言うが、人から恨みを買うようか生き方は変えた方がいい」

盗賊「はいはい。覚えておくよ」

買うようか×
買うような○

盗賊「それより西の国近海の怪物は見つかったのか?」

勇者「ああ……見つけ、倒した」

盗賊「本当かよ!?とんでもねえな」

勇者「……」

盗賊「でも怪物とはもう一人の勇者と戦うはずじゃなかったか?」

勇者「……ああ」

盗賊「何があったんだ?勿体ぶってないで教えてくれよ」

勇者「……」

──────

────

──


盗賊「闇の勇者か……聞いたことあるよ。でもあの伝説の海賊なら怪物扱いされてもおかしくないな」

勇者「ああ……」

盗賊「その闇の勇者を倒しちまうなんて、やっぱり俺の見込んだ男なだけあるぜ」

勇者「私の力では勝てなかった」

盗賊「そんなことないだろ。世界の勇者様が弱気になってどうすんだ」

勇者「……そうだな。すまない」

勇者「君の方はどうなっている?」

盗賊「おう、よくぞ聞いてくれた。一ヶ所だけだがオーブを守っていそうな怪物の居場所は特定した」

勇者「本当か。早いな」

盗賊「ふふん。俺の情報網を甘く見るなよ」

勇者「どこなんだ?」

盗賊「南の国の遺跡だよ」

勇者「南の……地球のへそか」

盗賊「そう。そしてそこはとにかく広い。準備はしっかりしておいた方がいい。ただ、オーブらしきものの情報もあった」

勇者「なるほど。それは可能性が高いな」

盗賊「あと、噂のあった怪物の居場所はまだ調査中だが、オーブを所持しているかは怪しいと思う」

勇者「怪しいとは?」

盗賊「まず神殿の北の塔……ガルナの塔と呼ばれる場所だが、そこは怪物が存在していた」

勇者「していた?」

盗賊「まだちゃんと調査したわけじゃないが、三人の旅人によって倒されたそうだ」

勇者「なに?それはすごいな」

盗賊「そこでオーブの話は全然聞かなかったな」

勇者「そうか……持ち出された可能性も考慮しなくてはな」

マスター「あなた方以外にも怪物と渡り合える人がいたのですね。ふふ、驚きです」

盗賊「なんだよおっさん。いきなり客の会話に入ってくるなって」

マスター「これは失礼しました。ご注文されたものはここに置いておきます」

盗賊「お、なんだ。それならそうと言ってくれよ」グビグビ

勇者「気を遣わせてすまない」

マスター「いえ、ただの店主が余計な口出し失礼しました」

盗賊「うん。まあまあの酒だ」

マスター「……」ペコッ

盗賊「そうそう。そうやって黙っていてくれ。これは俺が命懸けで集めた情報なんだ。本当なら勇者以外には誰にも聞かせたくないんだぜ」

勇者「マスターは信用できる人物だ。心配することはない」

盗賊「へっ、厚い信頼だね」

マスター「……」ペコッ

勇者「続けてくれ」

盗賊「ああ、それから辺境の無人島……それは実際見た者がいないからまだ噂レベルだ」

勇者「なるほど」

マスター「……」

盗賊「それから砂漠の王家の墓……ピラミッドと呼ばれる場所だが」

勇者「ああ、前に君からもらった情報を頼りに今目指している」

盗賊「だろうな。ここからそんなに遠くないし、そうだと思ったよ」

勇者「そこも信憑性がないのか?」

盗賊「怪物は生息している。目撃情報もある」

勇者「何か問題が?まさか墓を守る亡霊だとでもいうのか」

盗賊「それはないと思う。なぜなら怪物の噂が出始めたのが最近の話だからだ」

勇者「なに?」

盗賊「最近ってことは墓守の線は薄いだろうし、オーブの怪物ってことも……」

勇者「そうだな……可能性は低い」

盗賊「それでもやっぱり行くのか?」

勇者「ああ、人に害を及ぼす魔物かもしれんからな」

盗賊「よくやるよ。本当に」

勇者「これから砂漠の国へ行き、ピラミッドに入る許可をもらう。その後もう一人の勇者を連れ、探索に向かう」

盗賊「探索なんて勝手にやればいいじゃねえかよ」

勇者「そうはいかない。怪物が住み着いているとはいえ王家の墓なんだ」

盗賊「面倒臭いな。真面目な旅は」

勇者「明日出発しようと思っているが、君も行くか?」

盗賊「え?」

勇者「ピラミッドには王の亡骸とともに宝を眠らせる習慣がある。そのため昔から墓荒らしが多く、厳重な罠が仕掛けられているそうだ」

盗賊「……なるほど。そこでトラップのスペシャリストである俺の知識と経験が必要になる、か」

勇者「ああ、だがそこは怪物の住み処で危険だ。無理強いはしない」

盗賊「……面白そうじゃねえか。一緒に行くぜ」

勇者「そうか。助かるよ」

盗賊「まあ俺様に任せときゃ大昔の古臭い仕掛けなんてイチコロよ」

勇者「ただし宝には手をつけないでくれ」

盗賊「えっ」

勇者「そのつもりだったのか?」

盗賊「……」

勇者「……」

──────

────

──


盗賊「じゃあ明日まで自由時間ってことで」

勇者「こんな時間に出掛けるのか」

盗賊「この街に来たんだ。楽しませろよ。お前さんも行かないか?」

勇者「いや、せっかくだが私はこの店が一番落ち着くんだ。君だけで楽しんできてくれ」

盗賊「へえ……まあいいや。それじゃあ明日な」

スタスタ

マスター「ふふ、あの方がどこへ行くのかわかっていますか?」

勇者「いや、わからないが夜も活気に溢れた街だ。出掛けたい気持ちはわかる」

マスター「人間の欲望が色濃く表れた街ともいえます」

勇者「そういう場も必要だろう」

マスター「おや、意外な答えですね」

勇者「うまくバランスがとれた街だ。少し羽目を外したところで問題にならない」

マスター「ふふ、よく見ていらっしゃる。あなたなら街の長にもなれますね」

勇者「私には無理だよ。まず人の上に立つのは苦手だ」

マスター「それは残念です。店の売り上げが伸びるような条例でもお願いしようと思ったのですが」

勇者「この店はこれで丁度いいと思う」

マスター「ふふ、商売人としてはもう少しお客さんがいてくれた方がいいのですがね」

勇者「そうか。そうなると私が来にくくなるな」

マスター「それはありません」

勇者「む?」

マスター「……いえ。私もこれで一番バランスがとれていると思いますから」

マスター「あなたは物事をよく見ている」

勇者「性分なのだろうな」

マスター「そのせいで見なくてもいいものまで見えてしまう」

勇者「……」

マスター「たしかにこの街は闇の部分が表立って成り立ち、バランスがとれている。ただ、世界にはそうでない場所の方が遥かに多いのです」

勇者「……」

マスター「人間の底を、あなたはこの先きっと目にするでしょう」

勇者「……」

マスター「でもあなたは人間を守る存在。そこから目を背けることがあってはならない」

勇者「大丈夫だ。私は自分の使命から逃げはしない」

マスター「……そうですね。ご自身の信じた道を進んで下さい」

勇者「忠告ありがとう。いつになく弁が熱かったな」

マスター「ふふ、失礼しました」

勇者「さて、明日に疲れを残さぬようそろそろ宿に行くとする」

マスター「そうですか。寂しくなりますね」

勇者「またいつか寄らせてもらうよ。今度は騒がしいのと一緒に」

マスター「ふふ、楽しみですね」

勇者「ではまた」

マスター「さようなら」

バタン

マスター「……」

マスター「……最後にあの人にも会っておきたかった」

今日は終わります
また長い間空けてしまいました

>>771
分かりにくくてごめんなさい
あとストーリー上メインメンバーはもうあまり出番ないですごめんなさい

>>772
手法なんて大それたものではないですがぼかすという感覚は好きです
そのせいで盛り上がる場面も盛り上がらないのかなと思ったりもしました

ありがとうございました

──────

────

──

辺境の村・村の外れ


村長「彼にはここで療養して頂きます」

女「なんじゃと……?これではまるで……」

賢者「仕方ないことだ……村長さんも悪気があるわけではない」

女「うう……あんまりじゃ……こいつが救われん……」

剣士「私の……ために……泣いて……くれて……いるのか……?」

女「な、泣いてなどおらん!なんでわしがお主のために……!」

剣士「ふふ……そうだな……」

女「……」

ギィ……

村長「お入り下さい」

賢者「歩けるか?」ガシッ

剣士「はあ……はあ……はい……」ヨタヨタ

ドサッ

剣士「はあ……はあ……」

賢者「大変な一日だったな。しばらくここで休んでいろ」

剣士「ありがとう……ございます……」

村長「お付きの方は出て下さい」

賢者「……ああ、わかりました」スッ

テクテク

村長「……」

賢者「出ましたが、これで───」

ガシャン

女「おい!何を……!」

村長「食事は運ばせますので。では……」ペコッ

スタスタ

賢者「……そこから出るなということだな」

女「なんなんじゃ一体……これはまるで牢獄ではないか」

賢者「だから仕方ないだろ。呪いなんてもん持ち込まれたというのに面倒まで見てくれるんだ。文句は言えん」

剣士「すみません……私が枷に……なってしまい……」

賢者「そんなわけあるか。お主がいなければ確実にこやつは死んでおった」

女「……」

剣士「……君は……気にするな……」

女「……」

剣士「私が……力不足……だっただけだ……」

女「もういい」

女「わしは何も気にしておらん。その通り。お主が弱いからダメなんじゃ」

剣士「ふふ……ああ……そうだ……」

賢者「……」

女「その程度でよく魔王討伐などとほざいていたの。1000年早いわ」

剣士「そんなに……生きて……られないよ……」

女「わしも呪いをうつされたらたまらん。宿に行って寝るとするかの」

剣士「ああ……そうしてくれ……」

女「……」

スタスタ

賢者「……」

剣士「賢者様も……行って下さい……」

賢者「……あれは本心から出た言葉ではないと思うぞ」

剣士「そうですかね……ふふ……もう今さら……いいですよ……」

賢者「つれないこと言うなよ。せっかく励ましてやってんのに。もう諦めたのか?」

剣士「すみません……そういう……わけでは……」

賢者「わしらはお主の呪いを解くために最大限の努力をする。お主も精一杯生きろ」

剣士「はい……」

賢者「お主はよくやった。あとはわしに任せておけ」

剣士「……」

賢者「どんなことがあってもお主を死なさんからな」

剣士「賢者様……あなたは……」

賢者「ゆっくり休め。じゃあな」

テクテク

剣士「……」

剣士「なんだ……あの目は……何を考えて……」

──────

────

──

宿屋


女「……」

賢者「大人しいな」

女「こんなときに元気などでるか」

賢者「こうなってしまったものは仕方ないだろ。これから何をすべきかを考える方がよっぽど有意義だぞ」

女「……わかっておる」

賢者「……」

女「……わしは何をすべきかの」

賢者「ん?」

女「この村を出発するまで、あいつに……何かできることはあるのかの」

賢者「はーん」

女「なんじゃ」

賢者「いやいや、そんなの簡単ではないか」

女「え?」

賢者「傍にいてやればいい」

女「は?」

賢者「それだけでも元気がでてくると思うぞ」

女「んなこと言ったって、あの剣幕で別れてしまったから何を話していいかわからん」

賢者「……」

女「あいつは優しすぎる。その優しさがわしを傷つける」

賢者「はあ……」

女「自分への苛立ちを……よりによってあいつにぶつけてしまうのじゃ」

賢者「面倒臭い……」

女「うぐ……」

賢者「何も考えんでいいんだよ。ただ傍にいてやれば」

女「……」

──────

────

──

村の外れ


剣士「はあ……はあ……」

剣士「苦しい……」

剣士「私は……このまま……」

剣士「……こんなところで……独りで……」

剣士「はあ……はあ……」

剣士「くそ……!」ガン

剣士「やり残したことが……」ガン

剣士「……多すぎる……!」ガン


ズルズル


剣士「……?」


ズルズル


剣士「なんだ……?」

女「……」ズルズル

剣士「え……」

女「夜中にうるさいぞ。檻を壊して脱走でもするつもりか」

剣士「君か……お迎えが……来たのかと……思ったよ……」

女「ふん。まだ減らず口を叩けるなら大丈夫じゃな」

剣士「それは……?」

女「見ての通りベッドじゃが?」

剣士「いや……わかるが……」

女「その中寝床もないじゃろ。だから持ってきてやったんじゃ。有り難く思え」

剣士「……鍵がないと……開かないぞ……」

女「……あ」

剣士「……」

女「……」

剣士「はは……わざわざそんな重い物……」

女「村長さんを叩き起こすわけにもいかんし、とんだ無駄骨じゃったな」

剣士「でも……ありがとう……嬉しいよ……」

女「……これをまた持っていくのは疲れるな。わしが使うとするか」

剣士「え……?」

女「よし、そうしよう。わしはここで寝るぞ」

剣士「私の近くは……危険だ……どんな呪いかも……」

女「このベッドは賢者に結界を張ってもらったから大丈夫じゃ」

剣士「え……?それじゃあ……」

女「……」

剣士「……」

女「なんじゃ。文句あるのか?」

剣士「いや……」

女「だったら話しかけるな。わしだって疲れておるんじゃ」

剣士「……ありがとう」

──────

────

──


女「飯は食えたのか?」

剣士「いや……」

女「苦しむか?」

剣士「少し……」

女「ここは明かりもないのか。もうすぐ夜が明けそうじゃが、まだ何も見えんな」

剣士「そうだな……」

女「つまらん。もっと何か言えんのか」

剣士「君が……話しかけるなと……」

女「そんなことどうでもいいんじゃ。お主は何か言いたいことはないのか?」

剣士「相変わらず……だな……」

女「……」

剣士「そうだな……」

女「……」

剣士「……ありがとう……」

女「またそれか。お主はボキャブラリーというものがないのか」

剣士「はは……なぜかな……それしか……出てこないや……」

女「まったく……」

剣士「はは……」

女「出発は明後日じゃ。もうすぐ夜が明けるから明日になるのか。それからしばらくお別れじゃな」

剣士「……そうか……寂しい……な……」

女「まあ、こんな村の外れにいたら人間より魔物と仲良くなれるかもしれんぞ」

剣士「……」

女「お……見ろ。これから寝るというのに空が白んできた」

剣士「……」

女「心配せんでもこの高い空は繋がっている。寂しいはずがない」

剣士「……」

女「……」

剣士「……」

女「……寝たのか?」

剣士「……」

女「なんじゃ。せっかく……」

剣士「……」

女「……」

剣士「……」

女「……本当にすまなかった」

剣士「……」

女「わしが必ず元に戻してやるからな」

剣士「……」

女「おやすみ」






剣士「」

今日は終わります

──────

────

──

夕方


女「うーん……」パチリ

女「……あれ?ここは……?」キョロキョロ

女「あ、そうじゃった。村の外れの……」

女「……」

女「もう夕方か。昼夜逆転してしまったな。誰か起こしにきてくれてもいいのに」

女「まあ用がなければ誰も近づきにくることもないか……」

女「……あまりに不憫じゃ。早くどうにかしてやらんと」チラッ

剣士「」

女「まだ寝ておるのか」

剣士「」

女「疲れておるものな。寝かせておいてやるか」

剣士「」

女「しかしピクリとも動かんな。まるで死ん……」

剣士「」

女「……」

剣士「」

女「……おい?」

剣士「」

女「寝ているだけだよな……?」

剣士「」

女「おい!起きろ!」ガンガン

女「悪い冗談はよせ!目を覚ましてくれ!」ガンガン

剣士「」

女「くそ、待っておれ!すぐ戻ってくるからな!」ダッ

──────

────

──

村長の家


賢者「……ではそういうことでお願いします」

村長「はい。後のことはお任せ下さい」

バタン

女「村長さん!失礼する!」

村長「ん……?」

賢者「おお、やっと起きたか。何回か様子を見に行ったのに二人して熟睡しておったから放っておいたんだ。夜更かしか?何してたんだ?ん?」

女「お主……なぜここに?」

賢者「剣士の今後について色々お願いしておった」

女「その剣士の様子がおかしい!」

賢者「どうした?」

女「全く動かんのじゃ!息もしているように見えんかった!」

賢者「なに?わしは遠巻きでしか見なかったから気づかなかったが……」

女「村長さん、あの部屋の鍵を貸してくれ!」

村長「事情はわかりました。鍵の使用は私の管理下にあるのでご一緒します」

賢者「わしは神父さんを連れてくる」

女「急いでくれ!」

──────

────

──


村長「はあ……はあ……」ドタドタ

女「村長さん!もっと早く!」

村長「そんなこと言われても……もう暗くて向かう場所もよく見えない……」ドタドタ

女「あそこに明かりすら付けてくれなかったお主の責任じゃろ!」

村長「ひぃ……すみません……」

女「お主がもっとちゃんとした療養所を用意してくれていれば───」


「やめてくれ」

女「え……?」

剣士「村長さんを責めないでほしい。私はここまでしてもらって感謝しかないよ」

女「お……お主……」

剣士「なにをそんなに焦っているんだ?」

女「生き……起きたのか。大丈夫なのか?」

剣士「ああ、一度寝たら昨日の苦しみが嘘のように消えたよ」

女「な……なんじゃ……わしの見間違いじゃったか……」ヘナヘナ

剣士「もしかしたら呪いも解けたのかも……」

女「本当か!?」

神父「いえ、呪いはなくなっておりません」ザッ

女「……」

剣士「神父様……そうですよね。そんな甘くはないか」

賢者「でもよかった。お主が死んだんじゃないかって喚いていたのが静かになって」

剣士「え?」

女「……いちいち言わんでいい」

剣士「心配かけてしまったようだな。私なら大丈夫だよ」

女「……」プイッ

賢者「それでもまだ呪いは解けておらんのだ。安静にしていろ」

剣士「はい……でもどうして苦しみがなくなったのか……」

賢者「うーむ……神父さん、この呪いはどういった厄が起こりうるのかな」

神父「わかりませんが、おそらく彼の様子だとそれほど心配することはないでしょう」

女「そうか。なら安心じゃな」

賢者「……うむ……」

剣士「でも私は呪いが解けるまではここに……」

賢者「それがいい。村長さんにも色々頼んでおいた」

村長「はい。お任せ下さい」

剣士「すみません。お心遣いありがとうございます」

女「……さっきは言い過ぎた。悪かったの」

村長「いえ、私も出来る限り力になりたいと思っているので」

女「感謝する」

剣士「はは、こんないい人たちが周りにいてくれるなら私は大丈夫です」

──────

────

──




剣士「今日もそこで寝るのか?」

女「有り難く思え」

剣士「……ああ、嬉しいよ」

女「……素直に返すな」

剣士「でも眠れそうにないな」

女「わしもさっきまで寝ていたからの。しかし起きていては腹が減るな」

剣士「本当だ。そういえば何も食べていなかったよ」

女「そう思って……」ゴソゴソ

剣士「あ……」

女「勝手に食料をもらってきた。食おうぞ」

剣士「いいのかな……」

女「わしらに夜食の一つも用意してくれないで寝てしまった方が悪い」モグモグ

剣士「まあいいか。今日ぐらい」

女「おう、食え食え」

剣士「……」

女「今日ぐらいは……な」

剣士「……もうすぐ行ってしまうんだな」

女「早朝に出るらしいから、多分暗いうちじゃろうな」

剣士「そうか……」

女「まあ、どうせわしはずっと起きていることになる。お主もわしの暇潰しに起きておれ」

剣士「勿論だ。君には言いたいことが……」

女「ん?」

剣士「言いた……い……うっ……」

女「どうした?」

剣士「また……苦しみが……」

女「大丈夫か!?」

剣士「ごめん……少し……横になる……多分……寝たら……よくなると……思う……から……」

女「おい!本当に大丈夫か!?おい!」

剣士「ごめん……最後だというのに……」

女「最後じゃない!また迎えにくる!」

剣士「暇潰しに……付き合えなくて……ごめん……」

女「そんなこと言っている場合か!いいから寝ろ!出発にはまだ時間があるから!」

剣士「ああ……ありがとう……」

女「……」

剣士「……」

女「……」ゴクリ

剣士「スー……スー……」

女「……ほっ」

剣士「スー……スー……」

女「……」

女「安心している場合じゃない」

女「早く勇者を探さなくては……どこにいるんじゃ……!」

今日は終わりです
いつになるかわからないけど最後までは書きます
ありがとうございました

──────

────

──

砂漠の国


勇者「着いた。ここが城下町だ」

盗賊「オアシスがあるとはいえ……それでも暑いな」

勇者「ピラミッドはここからさらに遠い場所にある。弱音を吐くにはまだ早いぞ」

盗賊「へいへい、わかってますよ」

勇者「では探索の許可をもらいに行くか」

盗賊「俺はその辺ウロウロして怪物の情報でも仕入れてくる。城なんて大それた場所、盗みでもしない限り行きたくないからな」

勇者「そうか。ならば待っていてくれ。それほど時間はかからないと思う」

盗賊「ああ、別にゆっくりでもいいぜ」

──────

────

──

砂漠の国


勇者「着いた。ここが城下町だ」

盗賊「オアシスがあるとはいえ……それでも暑いな」

勇者「ピラミッドはここからさらに遠い場所にある。弱音を吐くにはまだ早いぞ」

盗賊「へいへい、わかってますよ」

勇者「では探索の許可をもらいに行くか」

盗賊「俺はその辺ウロウロして怪物の情報でも仕入れてくる。城なんて大それた場所、盗みでもしない限り行きたくないからな」

勇者「そうか。ならば待っていてくれ。それほど時間はかからないと思う」

盗賊「ああ、別にゆっくりでもいいぜ」

>>828×

従者「あ、勇者様!」

勇者「む?」

東の勇者「おお、遅かったな。我々の方が早く着いてしまったぞ」

戦士「……」

勇者「お前たち……なぜここに?」

東の勇者「王家の墓に行くんだろ?私たちも怪物の話は聞いた」

従者「勇者様がこの国に向かっていると聞いたから合流しようと慌てて来たのですよ」

勇者「そうだったのか。呼びに行く手間が省けたな」

盗賊「これがもう一人の勇者……」

従者「そちらの方は?」

勇者「ああ、紹介しよう。新しく協力者となってくれた盗賊だ。ダンジョンの探索は彼がいればかなり順調に進むと思う」

盗賊「……」

東の勇者「そうか。私は東の勇者だ。よろしくな!はっはっは!」ガシッ

盗賊「うげ……(苦手なタイプだ……)」

勇者「情報収集も得意で怪物の居場所も突き止めてくれた」

従者「へえ……」

東の勇者「怪物の?もしやお前も遭遇したのか?」

勇者「……お前も?」

──────

────

──


東の勇者「……とまあ怪物自体はそいつらの作り話だったわけだが」

勇者「そうか。可能性が一つ消えて無駄足にならずにすんだ」

盗賊「辺境の無人島はやはりガセだったか」

東の勇者「お前の方も大変だったな。一人でそんな化物を相手にしたのか」

勇者「一人ではなかったが……それにしてもまた人間か」

東の勇者「そうだな。闇の勇者も元々人間だったわけだしな。怪物の噂の正体がほとんど人間とは……」

勇者「人間の底か……」

東の勇者「ん?」

勇者「いや、なんでもない。それより私はこれから城に行ってくる」

東の勇者「探索の許可をもらいに行くのか?」

勇者「ああ、私一人で行くからお前たちは盗賊と親睦を深めておいてくれ」

盗賊「なっ……」

勇者「いい機会だろう?これから共に旅に出るんだ。少しでもお互いを理解し合った方がいい」

盗賊「……」

東の勇者「はっはっは。それもそうだな!」

盗賊「いや、俺は別に……」

東の勇者「仲間じゃあないか。コミュニケーションは必須だぞ」

盗賊「……あ、そうだ。怪物の情報を仕入れてこなきゃ」

東の勇者「お前たちが来るのが遅かったから大体は調べておいたぞ」

盗賊「……」

戦士「……被害者はまだそんなに多くないらしい」

従者「実際に遭遇した人の話だと、美しい女性タイプのようです」

東の勇者「怪物なのに美しい女性とは厄介だな。はっはっは」

勇者「なるほど。よかったじゃないか。歩き回らずにすんで」

盗賊「……やっぱり早く戻ってきてくれ」

今日は終わります
ありがとうございました

──────

────

──

砂漠の城


砂漠の女王「そうですか。怪物の噂を聞きつけわざわざいらしてくれたのですね」

勇者「はい」

砂漠の女王「わかりました。怪物には我々も頭を悩ませていたところ。こちらからも是非お願い致します」

勇者「必ず良い結果をご報告します」

砂漠の女王「ただ、お恥ずかしながら墓の罠は私どもも全てを把握しているわけではなく、あなたに有益な情報をお伝えすることはできません」

勇者「お気を遣わずとも」

砂漠の女王「え……」

勇者「他国の者に国のトップが機密を話すわけにもいかないでしょう」

砂漠の女王「……」

勇者「罠ならば対策をとってあります。勿論宝には手をつけません」

砂漠の女王「……ふふ。噂の勇者様は私の想像通りの頼れるお方でしたね」

勇者「勿体ないお言葉」

砂漠の女王「最初に一目見たときから思っておりました。うんうん」

勇者「……?」

砂漠の女王「頼りになる勇者様に一つ、私からお願いしたいことがありまして」

勇者「……なんでしょう?」

砂漠の女王「実は数日前から私の娘……砂漠の姫が行方不明なのです」

勇者「な……」

砂漠の女王「怪物退治の道中でいいのです。その間だけでも探していただきたいのですが」

勇者「……」

砂漠の女王「お願いできますか?」

勇者「お伺いしてもよろしいでしょうか」

砂漠の女王「はい。なんでしょう」

勇者「姫様というのはあなたの後継者ということになるのでしょうか」

砂漠の女王「はい。我が国では代々女王が国を治める……つまり私の跡を継ぐ女王に即位する者です」

勇者「……そうですか」

砂漠の女王「何か?」

勇者「いえ、わかりました。発見次第お連れします」

砂漠の女王「ああ、よかった。あなたがいらしてくれたことは神のお導きなのでしょう。お願い致します」

──────

────

──


テクテク

勇者「……」チラッ

勇者「……」

勇者「どうも引っ掛かる……跡継ぎが行方不明だというのに、城内が落ち着き過ぎている」

勇者「このことは知られていないということか……?」

勇者「いや、何日も見つかっていないなら城の兵を総動員して捜索してもおかしくない」

勇者「それほど被害が出ていない怪物の討伐より、娘の捜索の方が序列は遥かに上のはず。私にもそちらを優先して依頼するべきだ」

勇者「一体何が……形だけの依頼だとでもいうのか?」

勇者「……」

勇者「……国の内情に私が深く関与するものではないな。余計なことは考えなくていい」

勇者「……」

──────

────

──

城下町


東の勇者「なるほど……姫が行方不明とな」

従者「なのに城内の様子がおかしいと……」

勇者「ああ」

盗賊「ついでに探してくれって言われただけだろ?だったらそうすりゃいいじゃねえか」

勇者「そうだな……」

東の勇者「……」

盗賊「なんだよ。納得してねえのか?」

勇者「……女王様はおそらく何かを知っているのだと思う」

従者「えっ……もしや姫の行方を……?」

勇者「わからない。だがきっと何かを隠している」

盗賊「だとしてもお前さんが突っ込んでいい話じゃないだろ?下手すりゃ国際問題だ」

勇者「わかってはいるのだが……姫の安否が不明では」

東の勇者「……」

勇者「私は……」

東の勇者「わかった。お前は姫を探せ。ピラミッドには私たち四人で行こう」

従者「え?」

盗賊「何言ってんだ。怪物はどうすんだよ」

戦士「……」

東の勇者「怪物といってもなあ。被害もそんなにない、数少ない被害者には逃げられる。最近出てきたぽっと出の姉ちゃんだろ。オーブの怪物に比べりゃ脅威ではないよ」

従者「しかし……」

東の勇者「こんな上の空のやつを連れていっても逆に足手まといだ」

勇者「……」

盗賊「そこまで言わなくてもいいだろ。だったら俺が残るぜ。人探しなら俺の方が……」

東の勇者「お前は罠対策に必要だ。いいんだよ。こいつが勝手にやりたいって言ってんだから」

勇者「……すまない」

従者「勇者様……」

東の勇者「それに、お前の心はもう決まっているのだろ?」

勇者「……お前には助けられてばかりだな」

東の勇者「こっちはさっさと終わらせてくるからそれまでには姫を見つけておけよ」

勇者「ああ」

従者「わかりました。こちらは私たちにお任せ下さい」

勇者「すまない」

戦士「危険と判断したら逃げればいい」

東の勇者「バカ言うな。私がいれば何も問題ないぞ」

盗賊「不安だ……」

東の勇者「おおい」

勇者「大丈夫。私が世界で一番信頼している男だ」

東の勇者「はっはっは!聞いたか?これでも不安か?」

盗賊「わ、わかったって」

東の勇者「じゃあ私たちは早速出る。もう準備は出来ているからな」

勇者「ああ。それでも無理はするな」

東の勇者「わかっている。じゃあな、相棒」

──────

────

──

魔王城


魔王「あの人間にかけた呪いはそろそろ効果が安定してきた頃かな……」

魔王「永遠に生死を繰り返す地獄……芸術だな。ククク」

魔王「おっと、笑ってばかりもいられんか……オーブを奪われていたということは僕がやられたということ……」

魔王「やつらが持っていたのは俺のイエローの他に……」

魔王「グリーンとシルバーだったか……よりによって乗っ取りが難航していた神殿周り……」

魔王「まあいい……神殿も俺がその気になればすぐに潰せる」


「それはよくないな」


魔王「!?」

今日は終わります

魔王「て……てめえは……!」

?「こちらの世界に来て正解だった。やはりお前は大魔王様の意図を理解できておらぬようだからな」

魔王「いつの間に現れやがった……」

?「そこを退いてもらおう」

魔王「な、何言ってんだ……ここは俺の───」

?「退け。はらわたを喰らい尽くされたいか?」

魔王「ぐっ……!」

魔王「てめえ……何しに来やがった」

?「先ほど言った通りだ。お前は一つの命令すら守れないと大魔王様が判断された」

魔王「なに……?」

?「大魔王様の命令は人間を滅ぼせ、ではない」

魔王「……」


『すべての命をわが生け贄とし、絶望で世 界をおおいつくせ』


魔王「だから面倒だがやっているじゃねえか!一つ一つ国の乗っ取りなんて真似をよ!」

?「ほう、まったく成果が見られないが」

魔王「今準備中なんだよ……東の国と精霊の眠る国はそろそろ最終段階に入る」

?「ここにもかつて国があったようだな」

魔王「……」

?「なぜ滅ぼしたか答えてもらおうか」

魔王「……俺が住む城に丁度いいと思ったんだよ。人間は邪魔臭えから消した」

?「……野獣が」

魔王「だから面倒だがやっているじゃねえか!一つ一つ国の乗っ取りなんて真似をよ!」

?「ほう、まったく成果が見られないが」

魔王「今準備中なんだよ……東の国と精霊の眠る国はそろそろ最終段階に入る」

?「ここにもかつて国があったようだな」

魔王「……」

?「なぜ滅ぼしたか答えてもらおうか」

魔王「……俺が住む城に丁度いいと思ったんだよ。人間は邪魔臭えから消した」

?「……野獣が」

>>849×

魔王「だがこんな辺境にある小さな国一つくらい潰しても大した問題じゃねえだろ!」

?「もういい。これ以上話しても無駄だ。お前が退くことは既に決定している」

魔王「てめえ……」

?「放っておいたら神殿とやらも滅ぼされていただろう。これより地上はわしが治める」

魔王「……俺はどうなるんだ?」

?「知らぬ。だが、大魔王様はお怒りであると覚えておけ」

魔王「っ……!」

──────

────

──




魔王「……」

魔王「冗談じゃねえぞ。あのカバ野郎……俺がどれだけ苦労してここまできたと思ってやがる……それを……!」

魔王「くそ!」ガン

魔王「……このままじゃ追放どころか大魔王様に殺されるのは確実じゃねえか」

魔王「……」

魔王「……待てよ」

魔王「ククク……あるじゃねえか。まだ俺の株を上げるチャンスが」

魔王「実に簡単な方法が……」

魔王「ククク……」

魔王「必ずこの城をあのカバから取り戻し……地上を俺のものにする」

魔王「そのために───」





魔王「勇者を殺す」

魔物「魔王様!」 バッ

魔王「ん……?」

魔物「申し上げます!」

魔王(まだ俺を主だと思ってやがるか……まあいい。利用できるもんはさせてもらう)

魔物「北の村近海に例の海賊……闇の勇者が現れました!」

魔王「なに?」

魔王「……ついに見つけたか」

魔王(そうだ。俺にはまだあれがある。闇の勇者を利用できればカバの戦力すら越えられる)

魔王(そうすりゃ大魔王様だって俺が地上に相応しいと認めてくれる)

魔物「そこで人間と一戦交えていたようです」

魔王「骨はどうした?」

魔物「それが……再び闇の勇者を封印した後、人間に持ち去られたようで」

魔王「チッ……役立たずが」

魔物「その人間というのが……勇者とのことです」

魔王「!?」

魔物「骨を取り戻そうにも我々では歯が立たず……」

魔王「……勇者の居場所はわかっているのか?」

魔物「はっ、砂漠の国に滞在中とのことです」

魔王「砂漠……」

魔王「……ククク、丁度いい。砂漠の国にはアイツがいるはず」

魔王「アイツだけでも十分だろうが、念のため俺も向かうか」

魔王「骨を奪いに行くついでに片付けてやる」

今日は終わります

乙っす
細かいことだけど「魔王」と「魔物」が並んでると判りづらいねww
もう「王」と「物」でもいいんじゃね?とか思ったり思わなかったり

──────

────

──

砂漠の国・城下町


砂漠の民A「姫?いや、どんな人かは知らないな。えらい美人だって聞いたことはあるが」

勇者「そうか……ありがとう」


勇者「さすがに詳しい事情は知られていないか……」

砂漠の民B「姫ねえ……王族はこの炎天下でも城で涼んでいるんだろう?羨ましいだけだな」

勇者「そうか……ありがとう」


勇者「……それに行方不明とは話題にもならないか」

勇者「それにしては……」キョロキョロ

勇者「街中にいる兵士の数は多めだな。公開せずに捜索しているのか」

勇者「少々厄介だな……」

勇者「私の行動は盗賊が言っていたように下手をすれば国際問題だ。目立たぬよう動かねば」

勇者「……あれを使うか」

──────

────

──

宿屋


勇者「まさかこんな場面で役に立つときがくるとは」ゴソゴソ

勇者「手に入れておいてよかった。この……」

勇者「イカしたマントマスク」バサッ

スポッ

勇者「これを被って変装していれば、誰も私が勇者だと思うまい」

勇者「本当ならセットのパンツできめたいところだが直射日光が強いからな。これだけで我慢せねば」

──────

────

──

酒場


あらくれ「あーあ、最近はやたらと兵士の数が多くて仕事がし辛えな」

砂漠のマスター「地下は国の統治外って暗黙の了解があるんじゃないの?」

あらくれ「あのなあマスター、俺の仕事がどういうもんかわかってるか?」

砂漠のマスター「お金に困っている人間を救済するんだよね」

あらくれ「そう言うと聞こえはいいが、何も知らない一般人をどす黒い世界に連れていくんだぜ?要するに娑婆と地下を繋ぐ役目だ。さすがにそんな場面を兵士に見つかったらまずいだろ」

砂漠のマスター「裏の事情はよくわからないが大変みたいだねえ」

あらくれ「落ち着くまではしばらく大人しくしているかね……」

勇者「すまない。ちょっと聞きたいことがあるのだが」

あらくれ「あん?」

勇者「人を探していて……」

あらくれ(こ、こいつ……なんて怪しいやつだ……ん?)

勇者「……で……」

あらくれ(よく見たらなんていい剣を持ってやがる。あんなの見たことないぜ……欲しい)

勇者「……か?」

あらくれ「え?悪いな。よく聞いてなかった。それよりその剣凄そうだな。ちょっと見せてくれねえか?」

勇者「……構わないが、私の話も……」スッ

あらくれ「悪い悪い。後で───」ガシッ

ズシッ

あらくれ「!?」

あらくれ「お……重……」

勇者「見た目よりかなり重いと思う。気を付けてくれ」

あらくれ「あ……ああ……こりゃあ……」

あらくれ(こんなんで斬られたらどんな魔物もイチコロだろ。今まで見た中で最強の武器じゃねえのか……?)

勇者「大丈夫か?」

あらくれ「なあ、この剣売ってくれねえか?」

勇者「なに?」

あらくれ「頼むよ」

勇者「……君には扱いにくそうだが」

あらくれ「俺は剣コレクターでな。実際使うことはない。飾っておくだけだから問題ねえよ」

勇者「……」

あらくれ「いくらだ?かなり高かったんだろうが覚悟するぜ」

勇者「悪いがそれを売るつもりはない」

あらくれ「そこをなんとか!」

勇者「返してくれ」

あらくれ「っ……!どうしてもダメか?」

勇者「ああ」

あらくれ「……」スッ

勇者「……」ガシッ

あらくれ(くそ!諦めきれねえ)

勇者「邪魔をした」スッ

あらくれ「待ってくれ。あんたの話もあるんだろ?よし、飲みながら聞こうじゃないか。気分を悪くさせた詫びに奢るぜ」

勇者「すまない。私はまだやることが残っている。酒は控えたい」

あらくれ「そうかよ……」

あらくれ(ダメか……だったらしょうがねえな)

あらくれ(お前ら、頼んだ。報酬ははずむぜ)コクッ



あらくれ仲間×10「「「……」」」 ニヤッ

──────

────

──




勇者「ふう……進展なしか」

勇者「酒場なら情報が集まると思ったが……む」

ドン

あらくれ仲間1「おう兄ちゃん、痛えじゃねえか」

勇者「……君からぶつかってきたようだが?」

あらくれ仲間1「てめえ、難癖つけようってのか?上等だ」

勇者「……」

あらくれ仲間1「ここじゃ目立つ。ちょっと面貸せや」

勇者(仕方ないな……私も目立つ真似は避けたい)

──────

────

──

路地裏


勇者「む……」

あらくれ仲間×10「「「へっへっへ……」」」ゾロゾロ

勇者「なるほど。そういうことか。目的はなんだ?」

あらくれ仲間1「その立派に携えた剣を置いていきな。そうすりゃ見逃してやる」

勇者「また剣か……生憎だが手放す気はない」

あらくれ仲間2「へへ、この状況でそんなこと言える勇気は買ってやる」

あらくれ仲間3「だが勇気なんてなんの役にも立ちゃしねえ。バカとしか言えねえな」

あらくれ仲間4「じゃあお望み通り力づくでいただくとするか」

勇者「……仕方あるまい」

──────

────

──


あらくれ「さーて、そろそろ終わったかな?」

あらくれ「あの剣を平気で使っているようなやつだ。結構な手練れだろう」

あらくれ「だがさすがにあの人数じゃ───」チラッ


あらくれ仲間×10「「「うう……」」」


あらくれ「!?」

勇者「これに懲りたら二度とこのような真似はしないことだ」

あらくれ仲間1「は、はい!申し訳ありませんです!お前ら行くぞ!」

あらくれ仲間×10「「「失礼しましたー!」」」ドドドドド

勇者「……」

勇者「さて……む?」

あらくれ「……」ポカーン

勇者「君はさっきの……」

あらくれ「あ、やべ」

勇者「見ていたのか?」

あらくれ「いや、その……」

勇者「悪いのだが、今の出来事は誰にも言わないでくれるか?」

あらくれ「え……?あ……ああ。し、しょうがないから黙っていてやろうかな……なんて」

勇者「すまないな。目立った行動はとりたくないんだ」

あらくれ仲間1「あ!どこにいたんだよお前!」

あらくれ「!?」

あらくれ仲間1「あんなに強いなんて聞いてなかったぞ!」

あらくれ「ちょっ!バカ……」

あらくれ仲間1「もうこんなことはいくら貰っても懲り懲りだ!これっきりにしてくれ!じゃあな!」タッタッタッ

あらくれ「あ……」

勇者「……」

あらくれ「あ……あはは……」

勇者「……」

あらくれ「すみませんでした!」

勇者「狙われたのが私でよかった」

あらくれ「ゆ、許して下さい!あ、そういえば人探ししてるんでしたっけ?その道のプロのいる場所まで案内しますのでそれで……」

勇者「君を追い詰めてしまったのは先ほどの私の態度に問題があったからだろう?悪かった」

あらくれ「はい?」

勇者「これを売れないのはただの剣じゃないから……友が私のために決死の覚悟で打ってくれたものなんだ」

あらくれ「あ……はい。そうですか」

勇者「今回は私の責任ということで身柄を引き渡そうとは考えていない」

あらくれ「本当か!?」

勇者「ああ」

あらくれ「ふう、助かった。じゃあさいなら」

勇者「待て」

あらくれ「あ……はい」

─────

────

──

地下1階


勇者「ここが……」

あらくれ「ここに情報屋が来ますんで待っていて下さい」

勇者「……わかった。ありがとう」

あらくれ「じゃあ俺はこれで」

あらくれ(もうこいつとは関わらない方がいい。こいつだけはやばい)タッタッタッ

勇者「……」

勇者「地下か……」

勇者「……嫌な雰囲気だ」

今日は終わります

>>857
判り辛くてごめんなさい
書いてても思ったけど、面倒くさくなって考えるのをやめました。雰囲気で感じて下さい

ありがとうございました


関係ないが申し上げますで吹いたw

情報屋「こんにちは」

勇者「む、君が情報屋か?」

情報屋「うん」ジー

勇者「……私の顔に何か付いているか?」

情報屋「いや布でよくわからないけど……ちょっと気になって」

勇者「?」

情報屋「おそらくあなたのことかな」

勇者「何がだ?」

情報屋「街で姫のことを嗅ぎ回る怪しい男」

勇者「なっ……」

情報屋「図星だね」

情報屋「僕に聞きたいこともそれなんでしょ?」

勇者「私はそれほど噂になっているのか……怪しい男……」

情報屋「噂ってほど広まってはいないけど、僕のところにはそんな小さな話も舞い込んでくる」

勇者「そうか……これからは慎重に進めなければ」

情報屋「その格好が問題なんじゃ……」

勇者「君が姫のことを知っていればもう怪しい行動をとらなくても済むのだが」

情報屋「……知っているよ」

勇者「!?」

情報屋「一応失踪した日のことから何があったのかも……ね」

勇者「本当か。情報屋としての能力は本物のようだ。助かる」

情報屋「ただこれは王族の情報……最高機密だからね。高いよ?」

勇者「む……金か」

情報屋「大体……」カチャカチャ

勇者「ある程度は覚悟せんとならないか」

情報屋「これくらいかな」バン

勇者「!?」

情報屋「払える?」

勇者「こ……こんな額払えるわけないだろう!家が何軒も……いや、城が買えるほどではないか!」

情報屋「そうだよね。じゃあ僕にできることはない」

勇者「……」

情報屋「さようなら」