男「ファムファタール?」同級生「どっちかというとオムだよ?」 (17)

夕方 体育倉庫


友「──コッチコッチ! 早く来いって!」クイクイ

男「なんだよ本当に。お前が付いて来いって言うから来たけどよ」スタスタ

友「多分今がドンピシャなタイミングの筈だぜ。ほら、ここの小窓から覗いてみ」

男「……。誰か中に居んのか? この時間帯は倉庫の鍵は閉まってるはずだろ」

友「お前ココが不良の溜まり場になってんの知らないの? つか、今はそんな話は後で!」ヒソヒソ

男「…んだよまったく、覗いてみろって何があるって───」


『あ──んっ…はぁ! んっ! ダメだってばぁ……っ』


男「──……」

友「うっわー噂はマジものだったんですかぁーうおぉおぉお……ガチで輪姦されてるじゃん、アレ」

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男(薄暗い倉庫内で数人の生徒の姿が見える。殆どが髪を染めていて、)

男(その集団の中央には、何処か見覚えのある生徒が一人──半裸になって囲まれていた)

友「うげぇーおぇえええー、アイツら本当に頭イッてんな」

男「…待て、なんだよコレ、お前見せたいものって…」

友「ああ、うんコレコレ。どう? 凄いだろ? びっくりしただろ? 気分転換なった?」

男「お前何言って、むぐっ!」

友「ハイ怒鳴るのは止めてくれよな、うん。言いたいことはたくさんあるだろうし、みなまで言うな。十分コッチもわかってる」コクコク

男「……」

友「お前は一つ勘違いをしている。いや二個かもしれないけど、とりあえず説明をさせてくれ」

男「…んだよ」

友「まず一つ目。あれは案外皆楽しんでヤッてる、ヤルほうもヤラれるほうも、どっちも同意の上だ」

男「…本当か?」

友「マジで本当。オレの情報収集能力舐めんなよ、後最後の二つ目───」

友「──ヤラれてる生徒。あれ女子生徒じゃない、お前のクラスの同級生の奴。性別、男」

男「………え、ホント?」

友「本当。だから見に来たってコト、今後生きていく中でナマで見れる機会絶対訪れるワケがないぜー?」

男「オトコって、嘘だろ、えっ? それをアイツ等……やってんの……?」

友「うん衝撃的だよな。そりゃーここは近代社会から隔離されたど田舎な町だけど、流石にココまで頭がおかしいやつがさ…」

男(そうだ、見覚えもあるもなにも──彼処に居るのは確かに俺の同級生だ)


『ひぁっっ!? うっ──んんっ……んあっあっ! あっ! あんっ!』


男「っ……」ビクッ

友「おーい男さんやーい」ツンツン

男「っ──な、なんだよ…?」

友「何ガン見してんのさ。混ざりたいの?」

男「ち、違うっ! というか平然としてるお前のほうがおかしいだろ…!」

友「いやいやいや。これでも結構心臓バクバクよ、ドン引きしてるし、それよか見せたいものって──ヤラレてるやつじゃなくって、ほら、ヤッてる方」

男「やってる……ほう……?」チラリ

友「人影で見難いけどよ、ホラあそこにいるって──お前の所の元野球部の先輩じゃね?」

男「あ……」

友「やっぱりな。なになに、人ってのはここまで落ちぶれるのな。数ヶ月前は丸坊主のだったのに…」

友「今じゃあんなんだぜ。人ってのは変わるもんだ、うむうむ」

男「………」

男(──一体何を考えてるんだ、わからない、それが確かに同意の上だったとしても…こんな事が、)



『あぁっ! うんっ! キモチいい────………?』チラリ



男「っ…!?」

友「ど、どした?」

男「やばい見られたかもしれん」ザザッ

友「うっそ!? お前なにやっちゃってんの!? に、逃げるぞホラ!」

男「あ、ああ…!」ダダッ

友「うひぃー! やべぇー!」

男(確かに見られた、見られちまった、よな? だってアイツ最後に俺の顔を見て───)



同級生『……』ニコ



男「──……っ……」ギュッ



~~~~~~



男「………」ボー

「おーい男そっちボールいったぞ──ってお前お前お前ぇ!?」

男「ぇあ?」

ゴスゥッッ!

男「うぐぅ!?」

「オイオイ! 大丈夫かよ…?」ダッダッダッ

男「スミマセン…痛たた…っ…ちょっと呆けてましたッス」

「しっかりしろよ、まったく…いい加減そろそろ立ち直らないと、お前ピッチャーから降板されるぞ」

男「………ハイ」ペコ

「あの【騒動】はアイツが退部で収まったんだ。全部お前が責任を感じることはない、わかってるか?」

男「…………」

「はぁー言って治ったら世話ないか。もういい、今日は上がって良い」

男「えっ? ちょっとキャプテンそれは……!!」

「違うバカ。変な勘ぐりをするな、今日はもう休めと言ってるんだよ。うちの大切なピッチャー様にケガを増やされても困るからな」

男「あ、ハイ。スンマセン本当に…」

「気をつけて帰れよ──お前らもっと声出せー!!」

男「……………」トボトボ

自転車置場

男(今日は部屋で大人しくしてるか、姉貴もう帰ってきてるかも)カチャン

男「…あー晩飯どうすっかな。冷凍チャーハンで良いか…」スッ


同級生「うーん」ヒョコ


男「…………」

同級生「どこに落としちゃったんだろー、んん?」チラリ

男「…あ、えっと」

同級生「──ああ、ごめんね。邪魔になってたよね、よいしょっと」ニコニコ

男「………」

同級生「どうぞどうぞ。通ってくださいな」ススス

男「お、おお…どうも…」ペコリ

同級生「うん!」

男「…………」スタスタスタ

男(死ぬかと思った、息が数秒止まってた──だが今見て確信した。昨日の倉庫に居たのは確かに、アイツだ)チラ


同級生「……」キョロキョロ


男「オイ、そこの──えっと、なんて言ったっけか、えっと、同級生」

同級生「ぇ? 僕のこと呼んだ?」

男「あ、おおっ、そうだよ。お前のことだって」

同級生「うん? なに?」ニコニコ

男「…なんか落としたのか?」

同級生「え? あーうん、あはは。実はね、自転車の鍵をおっとこしちゃってさ。多分このへんだと思うんだけどなぁー的な感じで探してます」

男「それは、なんつーかその、すぐに見つかりそうなのか…?」

同級生「どうだろ? かれこれ三時間ぐらい探してるけど、」

男「さ、三時間…!?」

同級生「うん。流石にここまで来ると諦めたくなってきちゃうよ、もう徒歩で帰ろっかなぁなんて思ってたトコロ」

男「教員に落し物届けを出して、さっさと帰ったほうが良いだろ…」

同級生「そっかその手があった! あはは、ごめんねお世話掛けました。ありがと」ペコリ

男「……いやお礼なんて言われるほどじゃ」

同級生「そお? でも素直に嬉しいけどな、こうやって話しかけてくれたことは──僕にとっては助けになったもの」ニコ

男「……ッ…」びくっ


同級生『……』ニコ


男「そう…かよ、なら良かったけど、も」スッ

同級生「うんっ! それじゃあまた明日、学校で!」フリフリ

男「…おう」


~~~~~


男「…やっぱ見られたの気のせいだったかもな」シャー

男(じゃなきゃ、あんな普通に話しできるわけ無いし。うん、そうだろ、そういうことにしとこう)

男「はぁ~年越し苦労だった、変に頑張って話しかけたけど、むしろやらない方が良かったのかもしれん…」ギッ

男「………あれ? 待てよ? 確か今日って事務室開いてたか…?」

男(何時も野球部の部室の鍵を返しに行く時、確か当番制で家に持って帰る曜日があって───)

男「──つか今日だ、マジかよ落し物届け出せねえだろ…」

男(あー駄目なアドバイスしちまったクソ! でも明日出せば良いし、気にしないで帰るだろ、多分)

男「……そろそろ暗くなるな」チラリ

男「…………」

自転車置場

同級生「…やっぱり無いなぁ」キョロキョロ

同級生「というか、もう暗すぎて何がなんだかわからないや」


「オイ」


同級生「うん? あれっ?」

男「…何やってんだよ」

同級生「わーどうしたの? 忘れ物でもした?」

男「俺のことはどうだっていい。それより、お前なんで…」

同級生「…もしかして気にして見に来てくれたの?」

男「………」

同級生「あはは。ごめんよ冗談だって、うん、君のアドバイスに従おうと思ったんだけどね」

男「開いてなかったんだろ、鍵」

同級生「あれ? 知ってたの?」

男「…すまん、後から気づいた」

同級生「なるほどね、うん? もしかしてそれを謝りに来たの…?」

男「…そんなんじゃない、ただ」

同級生「?」

男「……」ゴソリ

カチリ

同級生「うわっ!? まぶしっ」

男「どこら辺で落としたか俺にも教えろ」

同級生「…え?」

男「俺も探してやるから。携帯のライトがあれば、暗くても見つかるだろ」

同級生「………」きょとん

男「どうした。言わないなら、勝手に探すぞ」スタスタ

同級生「え、あ、えっと……ありがと?」

男「見つかってから言ってくれ、礼なんて」

同級生「えへへ。そうだね」

男「………」キョロキョロ

同級生「その辺はもう探したから無いと思うよ。あとは、うん、このへんかな」

男「わかった。お前携帯持ってないの?」

同級生「うん。親が持たせてくれなくて、いいよねー携帯。僕も欲しいよ~」

一時間後

男(大分時間経ったな。これだけ探してないなら…誰かに拾われたか)

同級生「………」ジッ

男「もしかしたら、誰かに拾われたかも知れないな…」

同級生「ねぇ! 今気づいたんだけど、それってファムファタールちゃんじゃない?」ずいっ

男「うおっ!? な、なに…? ふぁむふぁたーる…?」

同級生「そうそう! その携帯に付いてるストラップ、もしかしてそのキャラ好きなのっ?」

男「ああ…このネコの形したやつか。いやこれは、」

同級生「意外だね! 男くんって、そういうの好きなんだっ?」キラキラキラ

男「い、いや違う! これはその…っ」

同級生「実は僕も大好きなんだー……子供向けっぽい絵柄なのに、内容が結構ハードなんだよね~」

男(コレ姉貴から貰ったもんなのに…むしろ姉貴から貰ったという方が恥ずかしいのか…?)

同級生「ねぇねぇ! 男くんはどの話が一番好き?」

男「んっ!? え、えーとその…」

同級生「うん!」

男「……コイツが宇宙に行く話とか、好き、かも、しれない」

男(ええい。適当に答えて失望させよう、あ、コイツろくに見てないな的な感じで)

同級生「あ。その話ー! 僕も実は大好きなんだよ!」ニコニコ

男(あれ!? あるんだ!?)

同級生「主人公のファムファタールちゃんが、大好きなオムファタールくんを追って──自作のロケットに乗って向かう話は…素晴らしかった…」ぽやぽや

男「そ、そうだな…素晴らしかったよな…」ダラダラ

同級生「あ。そういえば、自転車の鍵にオムファタールくんが付いてるんだよ」

男「え? ああ、そうなのか」

同級生「うんうん、あれ? じゃあ──男くんがファムちゃん持ってるのなら、探すのも簡単かもしれない!」ポン

男「へ? な、なんで……」

同級生「男くんも早く言ってくれればよかったのに~」

男「……そ、そうだな! 確かにそうだ!」

同級生「だけどこれだけ暗いと、見つかるものも見つからないね。…あのね、だからさ、男くん」

男「お、おう?」

同級生「明日また……探すの手伝ってくれない、かな?」

男「明日っ? 明日って…土曜日で休みだけど、お前学校来るの?」

同級生「うん! ちょっと用事であって登校するんだー……その、だめかな…?」

男「別に俺も部活あるから平気だが……」

同級生「ほんとっ? わーありがとー!」ニコニコ

男(思わず返事をしちまった…)ズーン

同級生「…本当に、ありがとね男くん」

男「ああ、良いよ。別に…」


「コラー! こんな時間に誰だー!!」


男「!? や、やばい警備の人来たんじゃ…!」

同級生「え?」

男「ボケっとするな! 見つかったら部活に影響出ちまう!」ガタン

同級生「……」

男「早く後ろ乗れ! ついでだ…っ…家まで送ってやるから!」ガシッ

同級生「うわぁっ!?」

男「っ……!!」グィー


シャー


男「見つかるなよ見つかるなよっ…うぉおっ!? 曲がれ曲がれ…!!」

同級生「ぶつかるよーっ!?」

~~~~

男「はぁっ……な、なんとかここまで逃げ切れたか……」

同級生「……」ポケー

男「おい。大丈夫か…?」

同級生「あ、うん。大丈夫っていうか……うん、大丈夫」

男「…。勢いでここまで来ちまったけど、お前の家ってどこなんだ?」

同級生「……え? なに?」

男「だから、お前の家ってどこらへんにあるんだよって。もうこの際だから、家まで送ってやるから」

同級生「そっち…かな…うん、そっちらへん…」

男「そっちな。わかった、逐一言って案内してくれ」

同級生「……なんだか…」

男「どうした」キィコキィコ

同級生「身体がふわふわしてる感じがする…まるで夢の中みたいな感じ…」

男「そりゃーな。さっき壁にぶつかって死にかけたもんな」

同級生「うん…死にかけたもんね……」

同級生「…毎日こんな思いしてるの?」

男「なわけ無いだろバカ。警備員に見つかりかけて逃げ出すのなんて、今回が初めてだ」

同級生「……だよね、そうだよね」

男「………」

同級生「──ふふっあはは! くくっ!」プルプル

男「お、おい? どうした急に…?」

同級生「んーん、別に───ただなんとなく、ちょっと楽しくなっちゃって……なんでだろ、本当に色々と危なかったのに…」

同級生「今こうやってのんびりと……自転車に乗っけてもらってることを考えると、あはは、なんだか面白くて…っ」

男「…変なやつだな」

同級生「うんっごめんね、すぐに止めるから、っくく、けど駄目だ収まんないよっ…ふふふっ」

男「別にいーけどさ。ほら、道案内は忘れるなよ。どっちだ、次は」

同級生「あ、うん! 次は───」


~~~~


男(やっと家に帰ってこれた…)キィ

男「案外遠出になっちまったな。疲れたー…」ガチャ

男「ただいまー」

姉「おせーぞタコ。今までなにやってた」

男「あーうん、部活だ。部活」

姉「嘘言え今何時だと思ってんだ。九時だぞ九時、いつから善良野球少年ちゃんから不良野球少年ちゃんになっちゃったの?」

男「善良でも野球少年でも、帰る時間は遅くなる。そういった理由があったりする、だから───」

男「──スーパーで色々と買ってきた。バイト代から出してるから好きに喰え」

姉「お。やるじゃーん、…つか本当にアンタって頭おかしいわ。部活もやっててバイトもしてるとか、どれだけ時間と体力あんのよ」ガサゴソ

男「好きなことを十分にしてるだけだ、じゃ俺は風呂はいるから」

姉「はいはーい、生真面目さんは風呂入ってサッパリしておいで」フリフリ

男「……俺の分も残してくれといて」

姉「前向きに考慮する、と思う」


次の日 昼休み


男「…………」ぐぅるるるるるる

友「うわっ! すげー腹の音、なに、お腹痛いの?」

男「…違う。昨日の晩から今の今まで、水とお茶しか胃に入れてない」

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