【ごちうさ×Fate】ココア「聖杯戦争?」【安価】 (977)

・独自の解釈、設定あり

・プロローグが終わるまで安価はありません

・このスレを読んで心がぴょんぴょんしなくても、当方では一切責任を負いません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406351237

○プロローグ

――甘兎庵――

ココア「ち、千夜ちゃん?」

リゼ「千夜、順を追って話してやれ。ココアは魔術について何も知らない……」

リゼ「いや、覚えてないんだから」

千夜「そうね。でも、どこから話そうかしら……」

ココア「魔術?それって、魔法のこと?」

リゼ「厳密には違うが……まあ、似たようなものだ」

千夜「ココアちゃんはね、魔術師なのよ」

ココア「えっ」

千夜「まずはこれを見て」ピッ

ココア「DVD?あ、ここって……」

リゼ「ああ、近所の公園だ。ココアも、よく知ってるだろう?」



「おじいちゃん、このもこもこしたのなーに?」

「うちで飼ってるうさぎだ」

「いいにおいがする」

「コーヒーの匂いだよ。喫茶店やってるからな」

「なら、おじいちゃんのごちゅうもんはうさぎさんになることだね」


ココア「ティッピーと……私?でも私、こんなの知らない……」









「じゃあおまじないかけてあげるね。いつかうさぎになれますよーに!」


リゼ「ティッピーの隣にいたのは、チノのおじいちゃんだ」

千夜「あの人は、この日を最後に姿を消してしまった……そう、ココアちゃんの魔術によって」

ココア「そ、そんな……でも、私、心当たりなんてないよ!?それに、魔術のことだって何も……」

リゼ「この町は守られているんだ。千夜のおばあちゃんとチノのおじいちゃんが共同開発した魔術によってな」

千夜「結界魔術『神秘殺しの神秘(デッド・ファンタズム)」

千夜「この中ではあらゆる魔術は使えず、ここを出た魔術師は、この町で起きた一切を忘れてしまう」

リゼ「だからココアも覚えていないんだ。チノのおじいちゃんに出会ったことも」

リゼ「彼の意思を、ティッピーの中に閉じ込めてしまったことも」

ココア「そ、そんな……」

リゼ「……なあ、ココア」

ココア「なに?」

リゼ「私が言うのもなんだが……疑わないのか?荒唐無稽にもほどがあるだろ?」

ココア「えぇ!?嘘だったの!?」

リゼ「い、いや、違う!ただ、どうして話しただけで信じてくれるんだろう、と思ってな」

千夜「ほかにも、いろんな証拠を用意しておいたのよ。ココアちゃんが信じてくれなかった時のために」

ココア「疑うはずないよ。ふたりとも、大事な話があるって私のこと呼び出して」

ココア「甘兎庵を貸し切って」

ココア「すごく真剣な顔で話すんだもん。それに私がチノちゃんのおじいちゃんを奪ったなんて話」

ココア「冗談でも、ふたりは……ううん。この町のだれも、そんなことしないよ」

リゼ「ココア……」

千夜「ココアちゃん……」

ココア「それで、今の話と聖杯戦争っていうのと、何か関係があるの?」

リゼ「そうだ。とても大事な話なんだ」

千夜「ココアちゃんはね、魔術協会っていう組織に狙われているの」

ココア「ね、狙われてる?」

リゼ「あいつらは、魔術に関する珍しいものと聞くと、人権無視で奪いに来るからな」

千夜「まずは、ココアちゃんが魔術的にどんな価値を持っているのか、説明しなくちゃいけないわ」

ココア(まずいよ……)

ココア(真剣な話だっていうのはわかるのに、二人が何を言っているのかわからない……)

――厨房――

ココア「リンゴとオレンジ……」

ココア「まさかのお料理タイムかな?」

リゼ「ココア、しばらくほのぼの系はあきらめてくれ」

ココア「えぇ!?チノちゃんモフモフもだめなの!?」

リゼ「それはいつもだめだろう」

千夜「ココアちゃん。魔術にはね、いろんな種類があるの」

千夜「そのなかでも、ココアちゃんが使ったのは『合成魔術』」

千夜「二つの物質を合成……合体させる魔術よ」

ココア「わ、私に合体能力が……?」

リゼ「その言い方は語弊があるぞ」

千夜「たとえば、ここにあるリンゴとミカンを合成すると……」

千夜「こんな風になるわ」

ココア「皮をむいたオレンジとリンゴを、お皿に載せただけのように見えるんだけど……」

リゼ「まあ、あくまでたとえ話だからな。さっきまで別々の存在だったリンゴとオレンジが、今は一つのものになった」

千夜「これが合成。AとBを、その両方の存在と性質を残したまま一つの物質として再構成する」

千夜「今回は、両方の形と味、って表現した方がいいかもしれないわ」

ココア「う、うーん……」

リゼ「難しいか?」

ココア「文系はちょっと……」

リゼ「…………」

リゼ「X+Y=Z」

ココア「わかったよ!」

千夜「さすがリゼちゃん、心得てるわね~」

ココア「でも、どうして私が狙われちゃうの?合成って、そんなに珍しいの?」

リゼ「いや、こんなのは魔術師ならだれでもできるさ。問題は……」

千夜「ココアちゃんの合成魔術は、ほかとは少し違うのよ」

ココア「違う?」

千夜「そう。ココアちゃん、見てて」

千夜「ここに、リンゴとミカンがあります」

ココア「手品かな?」

リゼ「ココアがいるとシリアスな空気になりづらいな……」

千夜「普通の合成は、さっきのようになるけど」

千夜「ココアちゃんの合成は、こうなります」

ココア「千夜ちゃんが、右手に持ってたオレンジを背中に隠しただけに見えるんだけど……」

千夜「このリンゴを食べると、ミカンの味がします」

ココア「ホントに手品だった!?」

リゼ「たとえ話だよ。もしココアがリンゴとオレンジを合成したら、オレンジ味のリンゴが生まれる」

ココア「そ、それが珍しいの?」

リゼ「ああ。ココアは魔術を使うことによって、オレンジの形と、リンゴの味をこの世から消滅させるんだ」

ココア「しょ、消滅……」

千夜「こんな魔術は他に類を見ない……だから協会も、のどから手が出るほどほしがっているのよ」

千夜「これまでは『神秘殺しの神秘』によって、魔術師の侵攻は防いできたし」

リゼ「純粋な武力に対しては、天々座家が粛清してきた」

ココア「水面下でそんな争いがあったなんて……」

千夜「でも、結界にほころびが生じ始めているの」

千夜「本当なら、おばちゃんとチノちゃんのおじいちゃんが張りなおさなきゃいけないんだけど……」

リゼ「ティッピーの中にいるんじゃ、魔術は使えない」

ココア「なるほど」

ココア「…………ん?」

ココア「ティッピーの中にチノちゃんのおじいちゃんが!?」

リゼ「さっきから何を聞いていたんだ!」

ココア「じゃ、じゃあチノちゃんも魔術のことを知って……ううん、それよりも」

ココア「私のせいでおじいちゃんがいなくなったと知ったら、嫌われる……!」

ココア「うわあああああん!」

リゼ「お、落ち着けココア!大丈夫だ、チノは魔術のことは何も知らない!」

ココア「ほ、ほんと?」

千夜「ええ。おじいちゃんがああなったことは、『なぜかこうなってしまった』と解釈しているみたいだわ」

ココア「よ、よかったぁ……」

ココア「ところで、結界の中で魔術を使えないんだよね?どうして私は使えたの?」

リゼ「それも不思議なんだよなぁ」

千夜「おばあちゃんは、ココアちゃんの魔術が強力だからかも、って言ってたけど」

千夜「正確なところはわからないわ」

リゼ「そろそろ、本題に入ろう。魔術協会が、交渉を持ちかけてきたんだ」

ココア「交渉?」

千夜「聖杯戦争に参加して、聖杯をふさわしい者に託すこと」

千夜「それができれば、結界が壊れても、ココアちゃんには手を出さないといっているの」

リゼ「聖杯っていうのは、万能の願望器……なんでも願いをかなえてくれるんだ」

千夜「それの所有者を決めるために、七人の魔術師が一騎ずつのサーヴァントを従えて戦う」

千夜「それが聖杯戦争よ」

リゼ「けど、邪な願いを叶えようとするやつも現れる。協会は、聖杯戦争による大きな事故を避けるために」

リゼ「こんな条件を提示したんだろう」

ココア「でも、私が参加できるの?魔術のことなんて、何も知らないのに……」

千夜「ココアちゃんが望むなら、私たちが協力するわ」

リゼ「ただ、参加するとなると命の危険が伴う。少なくとも、結界が壊れるまでは安全なんだ」

リゼ「そのときまで、決して無理をすることはないが……」

ココア「千夜ちゃん、リゼちゃん」

ココア「私は、この町が好き。この町のみんなが好き」

ココア「この町で、ずっとみんなといっしょにいたい」

ココア「だから…………」


ココア「戦うよ、私」


リゼ「ココア……よく言った!なんでも協力するからな!」

千夜「これから二か月間、猛特訓よ」

ココア「二か月しかないの!?」

――ラビットハウス――

ココア「ただいまー」

チノ「おかえりなさい」

チノ「ココアさん、お父さんから聞きました。当分お休みするそうですね」

ココア「うん、ゴメンね。その間は、千夜ちゃんのうちに泊めてもらうから……」

ココア「うぅ……」

チノ「コ、ココアさん?」

ココア「うわあああん!寂しいよおお!」ダキッ

チノ「ココアさん……//」

チノ「あ、あんまり抱きしめないでください」

ココア「チノちゃんは寂しくないの!?お姉ちゃんと会えなくなるんだよ!」

チノ「だから、ココアさんはお姉ちゃんじゃ……」

チノ「…………」

チノ「寂しくなくは、ないです」

ココア「チノちゃん……!」

チノ「ココアさん」

チノ「帰ってきますよね……?」

ココア「え……?」

チノ「おじいちゃんは、ある日突然いなくなってしまいました」

チノ「ココアさんは、帰ってきますよね?」

ココア「もちろんだよ、チノちゃん!」

ココア「かわいい妹を置いて、どこかに行くお姉ちゃんなんていないんだから!」

チノ「約束ですよ?」

ココア「うん、約束!」


ココア「あ、ティッピー借りて行っていい?」

チノ「ダメです」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「こんにちは、アオヤマです」

アオヤマ「ここは、ブルーマウンテン道場、ここではないどこか」

アオヤマ「こちら側の世界と皆さんの世界の狭間……いわば、2.5次元」

弟子一号「要するに、>>1の言葉を私たちが代弁する……」

弟子一号「ってなにこれ!?弟子一号!?私はシャ……」

アオヤマ「いけません、弟子一号さん。私たちは、どこにも存在しない存在」

アオヤマ「私は青山ブルーマウンテンにそっくりな誰か、あなたは桐間シャロにそっくりな誰かなんですから」

アオヤマ「わかりましたか、シャロさん?」

弟子一号「シャロって言っちゃってるじゃない」

アオヤマ「まあまあ、いいではありませんか。シャロ一号さん」

弟子一号「なんなの!?わざとなの!?」

アオヤマ「実は、みなさんに相談があるんです」

弟子一号「スルー!?」

アオヤマ「本来なら、プロローグにてココアさんたちが修行する様子や」

アオヤマ「ほかの登場人物とお話しするシーンを描写する予定でしたが」

アオヤマ「思いのほかプロローグが長くなってしまいました」

アオヤマ「そこで、アンケートを取りたいと思います」

弟子一号「人がいないようなら、また考えるわ」

アオヤマ「お好きな選択肢を選んでください」


1、「早く本編にいこう」

2、「もう少しぴょんぴょんしたい」

↓1~↓5

弟子一号「まさかこんなに人がいるなんて……」

アオヤマ「ご協力ありがとうございます。ではもうしばらく、プロローグをお楽しみください」

――ラビットハウス――

タカヒロ「帰っていたんだね、ココアくん」

チノ「お父さん、昼間からこっちに来るのは珍しいですね」

タカヒロ「ああ、今日は都合で、夕方には閉店することにしたんだ」

タカヒロ「ところで、チノ。ココアくんを借りていくよ」

チノ「はい、わかりました」

ココア「チノちゃん、忙しくなたらすぐ呼んでね。リゼちゃんも、もうすぐ帰ってくると思うから」

チノ「はい」


タカヒロ「もう、話は聞いているね?……親父」

ティッピー「うむ」ピョン

ココア「……!」

ティッピー「安心しろ、ココア。儂はお前を恨んでなどおらん」

ココア「ほ、本当ですか……?」

タカヒロ「本当さ。親父の目を見てごらん」

タカヒロ「この姿になってからの方が、感情がわかりやすくなったからね」

ティッピー「コラ!余計なことを言うでない!」

ココア「……ふふっ」

ティッピー「それじゃよ、ココア」

ココア「えっ?」

ティッピー「お前の笑顔のおかげで、チノは随分と明るくなった。儂も息子も、感謝しているんじゃ」

ティッピー「それに、この姿も慣れれば悪くない。チノが成長してゆく様を間近で見られるからな」

タカヒロ「夏は暑いとか、甘兎庵の兎に追い掛け回されるとかはいいのか?」

ティッピー「おのれ息子!いい話っぽく終わらせようとしているのに!」

タカヒロ「まあ、冗談はさておき。ひとつお願いがあるんだ、ココアくん」

ココア「は、はい」

タカヒロ「チノには、魔術のことは黙っておいてくれないか。香風家の魔術師としての素養は、親父の代で途絶えている」

ティッピー「じゃから、チノは知る必要がないんじゃ。儂のことも、受け入れておるしの」

ココア「わかりました。それがチノちゃんのためになるなら」

タカヒロ「ありがとう。これからもチノのこと、よろしく頼むよ」

ティッピー「何としても帰ってくるのじゃぞ!」

ココア「はい!」

ココア「ごめんねチノちゃん、大丈夫だった?」

チノ「はい、リゼさんも帰ってきたので、問題はありません」

リゼ「また間違えてミルクココア作ってたけどな」

チノ「リゼさん、それは言わない約束では//」

ココア「大丈夫だよ、チノちゃん。私はちゃんと帰ってくるから」

チノ「うぅ……//」

チノ「そ、それよりココアさん。早く仕事を……」

「ココアー!」

「ココアさーん!」

ココア「マヤちゃん、メグちゃん!いらっしゃ……」

マヤ「リストラってほんと!?」

メグ「泊まることがないなら、うちに来ても……」

ココア「話がこじれてる!」

ココア「ち、違うんだよ二人とも。実は……」


マヤ「えー!外の県で修業!?」

メグ「それまでは甘兎庵にお泊りー?」

ココア「うん!ラビットハウスを盛り上げるために、腕を磨いてくるんだよ!」

マヤ「そっかー。でも、会えなくなるのは寂しいな」

メグ「そうだねー……」

ココア「マヤちゃん、メグちゃん……!」

ココア「ありがとう!私も寂しいよ!」ギュー

マヤ「わわっ」

メグ「えへへー」

チノ「……………………」

リゼ「混ざりたいなら行ってこいよ」

チノ「なっ……べ、別にそういうつもりは」

青山「あらあら、今日もにぎやかですね」

ココア「青山さん!いらっしゃ……」

青山「ココアさん、私も一度失職した身です。私でよければ相談に……」

ココア「どこからうわさが流れてるの!?」

青山「そうですか、修行の旅に……寂しくなりますね」

青山「ココアさんは、ラビットハウスの太陽のような方でしたから」

ココア「私が太陽!?じゃあ、私がいないとチノちゃんが大きくならない!?」

チノ「私は植物ではありません」

メグ「こんなやりとりも、しばらく見られなくなるんだねー」

マヤ「好きだったのになぁ。ココアのコント」

ココア「コント!?」

リゼ「お姉ちゃんというより、芸人みたいな扱いだな」

シャロ「こんにち……って、なによこの騒ぎ」

チノ「シャロさん、こんにちは。今日はアルバイトはないんですか?」

シャロ「うん、ちょっと時間があったから。ココアにあいさつにね」

シャロ「悟りを開くために、甘兎庵に二か月も籠るんでしょ?」

ココア「なにそれ!?」

シャロ「あれ、違うの?千夜から聞いたんだけど」

ココア「え、えっと……」

ココア(そうだ、みんなには魔術のことは隠さなきゃいけないから……)

ココア(でも千夜ちゃん、もう少しまともな嘘があったんじゃ……)

ココア「う、うん、そんな感じかな」

シャロ「二か月で悟りを開こうなんて無謀な気がするけど」

シャロ「ココアならできる気がするわ。がんばってね」

ココア「う、うん。ありがとう」

――甘兎庵――

ココア「それからの私の修業は、熾烈を極めたのだ……」

リゼ「変なナレーション入れる暇があったら、練習するぞ。現実逃避してる暇はないんだ」

ココア「無理だよ!甘兎庵に地下室があっただけでもびっくりなのに」

ココア「なんで銃とかナイフとかがテーブルにたくさん載ってるの!?」

リゼ「ココア、お前は魔術師だ。聖杯戦争における魔術師の役割は」

リゼ「サーヴァントの維持とサポート、そして、最低限の自己防衛だ」

リゼ「ココアにとって最もネックになるのが、この自己防衛だ。戦闘経験は?」

ココア「あるわけないよ!普通の女子高生だよ!」

リゼ「だが、ココアはこれから普通じゃない領域に足を踏み入れる。言い訳はできないんだ」

リゼ「サーヴァントに勝てるようになれ、とは言わない。だが、一流の魔術師を相手に逃げ切れるだけの力は必要だ」

リゼ「とはいえ、期限は二か月。魔術だけじゃ、到底そいつらにはおよばない」

ココア「なんか、不安になってきたよ。私、大丈夫なのかな……」

リゼ「大丈夫にするために、私と千夜がついているんだ」

リゼ「ココア。魔術の魔の字も知らないお前だからこそ、できることがある」

リゼ「それは、武器を使うことだ。多くの魔術師はその誇りに縛られて、武器や兵器を使わない……いや、使えない」

リゼ「これは大きなアドバンテージだ」

ココア「じゃあ、私はいろんな武器を使う練習をしなきゃいけないってことだね」

リゼ「いや、そうじゃない」

ココア「え?」

リゼ「ココアの魔術が、理論の通りの効力を発揮できるなら」

リゼ「ココアが練習すべきは、この小型拳銃だけでいいはずだ」

ココア「わあ、小さいねえ。おもちゃみたい」

リゼ「殺傷力は、まぎれもなく本物だ。反動も小さいし、これだけを重点的に練習すれば、扱えるようになるだろう」

ココア「でも、これだけでいいの?」

リゼ「そこで、お前の合成魔術が重要なんだ」

リゼ「この拳銃の弾丸と、手榴弾を合成する。すると、弾丸の形をした手榴弾ができるはずだ」

リゼ「この要領で弾丸を量産すれば、ココアは拳銃一つを扱えるだけで、あらゆる兵器を扱えることになるはずだ」

ココア「で、でも……拳銃の中で爆発したりしない?そんなことになったら、戦う前に死んじゃうよ」

リゼ「…………」

ココア「どうして目をそらすの!?」

リゼ「そ、それを何とかするために訓練するんだよ。ダメなら、他の方法を考えるさ」

ココア「ところで、魔術ってどうやって使うの?」

リゼ「ああ、覚えてないんだったな。けど、前は複雑な工程なしでできてたみたいだし……」

リゼ「一回試してみるか」


リゼ「安全性を考慮して、リンゴとオレンジでやってみよう」

ココア「この間のたとえ話を、現実にするんだね!」

ココア「リンゴになーれ!」

リゼ「…………」

ココア「…………」

リゼ「何も起きないな」

ココア「何も起きないね」

ココア「千夜ちゃん助けて!」

リゼ「スタートラインに立つ前にくじけそうだ!」

千夜「あらあら、大丈夫よ。うちには魔術の資料もあるし、おばあちゃんから話を聞いておいたから」

ココア「で、どうすればいいの?」

千夜「奇跡を起こすには、起こしてやろう、っていう気持ちが大事なの」

千夜「だから問題は何を言うかじゃなくて、どんな気持ちで言うか」

リゼ「なるほどな。じゃあココアはさっき、心の底から合成魔術をしようと思えてなかったってことか」

千夜「だから、自己暗示を兼ねて、特定の言葉を決めておくといいらしいわ」

千夜「それこそ、魔法の呪文みたいに」

ココア「うーん、でも思いつかないよ」

千夜「そう言うと思って、いくつか考えておいたわ!」つメモ

ココア「わあ、ほんと!?」

リゼ「どれどれ……」


・『超銀河合体(ギャラクシー・ビッグバン)』

・『禁じられた深紅の果実(エデンズ・アップル)』

・『光と闇の境界線(サンシャイン・アンド・ムーンライト)』

・『合成開始(コネクト・スタート)』

・『破壊と創造(エターナル・クリエイト)』

・『神の写し身との接触(エルシャド-ル・フュージョン)』


ココア「…………」

リゼ「…………」

千夜「魔術師の界隈では、日本語をカタカナ読みするのが流行りらしくて」

千夜「どうかしら?」

リゼ「い、いいんじゃないか?ココアはどう思う?」

ココア「…………」

リゼ「ココア?」

リゼ(目が輝いている……さっきの絶句は、私のとは意味が違ったのか)

ココア「どれもすごくいいよ!」

ココア「でも、やっぱり戦闘中に使う可能性を考えると、短くて単純なのがいいかもしれないなぁ」

千夜「なら……」

ココア「『合成開始(コネクト・スタート)』……これがいいな!ありがとう、千夜ちゃん!」

千夜「どういたしまして。私は、リゼちゃんに比べるとできることは少ないけど」

千夜「それでも、何か困ったら頼ってね」

ココア「二か月は、あっという間でした」

ココア「チノちゃんやシャロちゃんたちがたまに差し入れを持ってきてくれたのが、とっても嬉しかったなぁ」

ココア「チノちゃん、結局モフモフさせてくれなかったけど」

ココア「私は……もう普通の女子高生じゃなくなっちゃったかな」

ココア「でも、いいんだ。みんなといっしょにいるために」

ココア「戦うって決めたから」

――出発当日――

チノ「リゼさんも同行するんですね」

リゼ「ああ、直前まで悩んだが……人手不足にしちゃって、悪いな」

マヤ「大丈夫!二人の留守中は」

メグ「私たちがお手伝い―」

ココア「ありがとう、ふたりとも」

マヤ「お土産、楽しみにしてるよ!」

メグ「けがとか、気を付けてね」

ココア「うん!」

シャロ(こ、これを機に二人の仲が急接近したらどうすれば……」

千夜「ココアちゃんはチノちゃん一筋だから大丈夫よ」

シャロ「こ、心の声が漏れてた!?」

何故もうひとつ建てた

>>53

失礼しました。操作を誤ったようです

失礼しました。依頼は出してきたので、続行します


青山「二人ともお気をつけて。お土産話、楽しみにしていますね」

ココア「小説のネタになるような話、たくさん持って帰るからね!」

青山「はい、待っていますよ」

タカヒロ「ココアくん、これを」つ箱

ココア「え、これ……」

タカヒロ「冬木にワイン好きの友人がいてね。十年前に亡くなったと聞いているが……」

タカヒロ「彼からもらったものなんだ。模造品らしいが、本物と遜色ない機能を有しているらしい」

タカヒロ「アゾット剣というそうだ。使ってやってくれ」

ココア「はい、ありがとうございます!」

チノ「ココアさん」

ココア「チノちゃん、それに」

ティッピー「……」

ココア「ティッピーも」

チノ「…………約束」

ココア「え?」

チノ「約束、忘れないでくださいね」

ココア「もちろんだよ!」

チノ「それと、選別と言ってはなんですが。今日は、特別に」

チノ「ティッピーをモフモフしていいです」

ココア「ほんと!?わーい!」モフモフ

ココア「私、がんばるよ、ティッピー」ボソッ

ティッピー「うむ、チノを悲しませたら、許さんからな」ボソッ

チノ「そ、それと……えっと……」

ココア「んー、どうしたの?」モフモフ

リゼ「ほら、チノ。言っちまえよ、私もモフモフしていいって」ボソッ

チノ「そ、そんなこと言えるわけ……というか思ってもいません!」

ココア「どうしたの、チノちゃん?」

チノ「あ、いえ、その……いってらっしゃい、です」

ココア「うん、行ってきます!」

千夜「ふたりとも、頑張ってね」

ココア「うん!」

リゼ「ああ!」


ココア「せっかくだし、『行ってらっしゃい、お姉ちゃん』って」

チノ「言いません」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「先ほどはお騒がせしました」

弟子一号「ともあれ、プロローグは終了。いよいよ本編ね」

アオヤマ「タカヒロさんのセリフから察していただけたように、ココアさんが参加するのは、第5次聖杯戦争です」

アオヤマ「これから、席を外します。本日の22時ごろに再開する予定です。すみませんが、今しばらくお待ちください」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「みなさん、こんばんは。そろそろ再開しますね」

弟子一号「まずは本編開始にあたって、舞台設定を安価で決めるわ」

弟子一号「ある程度はこっちで決めちゃうけど、そこは許してね」

アオヤマ「ほら、シャロさん。そこで可愛いポーズをとれば、画面の前の皆さんは許してくれますよ」

弟子一号「だ、だれが!」

弟子一号「っていうか、私はシャロなの!?弟子一号なの!?」

アオヤマ「ふふ、すみません。ところで、連取はどうしましょう?」

弟子一号「基本的には禁止ね。あんまり人がいなかったら、また考えるわ」

弟子一号「さっきも言ったけど、ココアが参加するのは第5次聖杯戦争よ」

アオヤマ「基本的には、staynightの設定をお借りします」

アオヤマ「まず、間桐臓硯は今回の聖杯戦争に↓2」

1、「マスターとして参加する」

2、「参加せず静観」

アオヤマ「間桐臓硯は参加せず静観、ですね」

弟子一号「あんなの参加したら、リゼ先輩死んじゃうかもしれないし……私はほっとしたわ」

アオヤマ「さて、これで参加するマスターが決定しましたね」


保登心愛

衛宮士郎

遠坂凛

間桐桜(間桐慎二)

言峰綺礼

葛木宗一郎

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン


弟子一号「あれ、七人そろっちゃった」

アオヤマ「何か問題が?」

弟子一号「ほら、原作だと、キャスターがアサシンのクラスが召喚されてなかったのをいいことに」

弟子一号「ルール違反をして佐々木小次郎を召喚したじゃない?」

弟子一号「でも、もう枠が七人分埋まっちゃったから、ちょっと手を加えなきゃいけないのよ」

弟子一号「それに、葛木宗一は魔術師じゃないし」

弟子一号「というわけで。今回の聖杯戦争では↓2」

1、「キャスターがルール違反してサーヴァントを召喚、葛木宗一郎は参加しない」

2、「キャスターはルール違反せず。原作と同じような経緯で、葛木宗一郎が誰かのマスターになる」

3、「キャスターがルール違反してサーヴァントを召喚、キャスターは最初のマスターを殺し、葛木宗一郎が途中参加」

弟子一号「キャスターはルール違反せず。原作と同じような経緯で、葛木宗一郎が誰かのマスターになる、ね」

アオヤマ「マスター七人の登場は確定しましたね」

弟子一号「キャスターにとっては厳しい戦いになりそうだけど……まあ、そこは頑張ってもらいましょう」

アオヤマ「安価はまだありますか?」

弟子一号「そうね、もう少し。人も少ないみたいだし、直下に変更するわね」

アオヤマ「次も、重要な選択肢ですね。安価次第で大きな原作改変になってしまいますが、そこはご了承ください」

弟子一号「英雄王ギルガメッシュは↓1」


1、「第4次聖杯戦争にて受肉(今回の戦争に参加)」

2、「第4次聖杯戦争にて敗退(今回の戦争には不参加)」

アオヤマ「あらあら?ギルガメッシュさんは不人気ですか?」

弟子一号「ファンは多いはずだけど……」

弟子一号「みんな、たまには慢心王がいない聖杯戦争を見たいのかもしれないわ」

アオヤマ「確かに、2つのルートでは彼が大きく物語をかき回していますからねえ」

アオヤマ「ほかのキャラにスポットを当ててほしいというファンの声、かもしれません」

弟子一号「それにしても、臓硯不参加に、サーヴァントもマスターも七人ずつとは」

弟子一号「珍しく聖杯戦争らしい聖杯戦争になったわね」

アオヤマ「だまし討ちで令呪を強奪した神父さんがいるんですがそれは」

弟子一号「ま、まあまあ」

弟子一号「じゃあ、舞台設定最後の安価……かもしれない安価を取るわ!」

アオヤマ「煮え切りませんねえ」

弟子一号「安価次第で変わるのよ」

弟子一号「今回の聖杯戦争、マスターとサーヴァントの組み合わせは↓1」


1、「原作と同じ(ココアはアサシンを召喚します)」

2、「原作と変える」

※今回、アサシンは正規のマスターが召喚するので、ハサン・サッバーハが召喚されます

弟子一号「原作と変える、ね。正直ほっとしたわ」

アオヤマ「どうしてです?」

弟子一号「こう言うのもあれだけど、臓硯とか英雄王とかのイレギュラーがない中で」

弟子一号「5次ハサンで勝てるわけないじゃない」

アオヤマ「まあそこは、マスターの腕の見せ所ですよ」

弟子一号「そういえば、あいまいな表現をしただけだったから勘違いしてる人がいるかも」

アオヤマ「なにがですか?」

弟子一号「今の安価は、組み合わせを変える、ってだけ。登場するサーヴァントは5次の7騎よ」

弟子一号「勘違いしてた人はごめんなさいね」

アオヤマ「ほら、シャロさん。今こそかわいいポーズで謝罪です!画面の前の殿方は、すぐに許してくれますよ!」

弟子一号「だからしないってば!」

シャロ「っていうか、私もうシャロでよくない!?」

アオヤマ「ダメです」

弟子一号「なんでここだけ無駄に厳しいのよ!」

アオヤマ「ところで、組み合わせを変えることになったということは」

弟子一号「ええ、安価はまだ終わりじゃないわ」

弟子一号「まずは、どういう方法で組み合わせを変えるか決めましょう」

弟子一号「方法は↓1」


1、「ランダムで決める(原作と同じ組み合わせが発生する可能性があります)」

2、「>>1が勝手に決める(原作と同じ組み合わせは発生しませんが、>>1の趣味が反映されます)」

弟子一号「ランダムで決める、ね」

アオヤマ「ランダムという混沌に自ら身を投じる……これが安価スレなのですね」

弟子一号「じゃあ、ランダムで決めるわ。みんな、てきとうに書き込んで頂戴。適当に埋めても、雑談してもいいわ」

弟子一号「一定数書き込みがあったら、再開するわ」

アオヤマ「一定数とは?」

弟子一号「秘密よ。まあ、勘がいい人はこれだけで気づくかもしれないけど……」

アオヤマ「では、皆さんご承知でしょうが、今回参加するサーヴァントを列挙しておきますね」


セイバー(アルトリア)

アーチャー(英霊エミヤ)

ランサー(クー・フーリン)

ライダー(メドゥーサ)

キャスター(メディア)

バーサーカー(ヘラクレス)

アサシン(ハサン・サッバーハ)

アオヤマ「ご協力ありがとうございました」

弟子一号「七つの書き込みを確認したわ。とりあえず再開ね」

弟子一号「さて、気が付いた人もいると思うけど」

アオヤマ「実は、>>83には、こんな意味がありました」


セイバー(アルトリア)↓1

アーチャー(英霊エミヤ) ↓2

ランサー(クー・フーリン) ↓3

ライダー(メドゥーサ) ↓4

キャスター(メディア) ↓5

バーサーカー(ヘラクレス) ↓6

アサシン(ハサン・サッバーハ)↓7


アオヤマ「これに、それぞれ対応するレスのコンマを参照します」

アオヤマ「すると、こんな風になります」


セイバー(アルトリア)66

アーチャー(英霊エミヤ)13

ランサー(クー・フーリン) 71

ライダー(メドゥーサ) 29

キャスター(メディア) 92

バーサーカー(ヘラクレス) 44

アサシン(ハサン・サッバーハ)22


弟子一号「さらにこれを、数字の若い順に並び替えるわ」

アオヤマ「それを、>>66のマスター一覧と照合します」

アーチャー13

アサシン22

ライダー29

バーサーカー44

セイバー66

ランサー71

キャスター92




保登心愛&アーチャー(エミヤ) 

衛宮士郎&アサシン(ハサン・サッバーハ)

遠坂凛&ライダー(メドゥーサ)

間桐桜(間桐慎二)&バーサーカー(ヘラクレス)

言峰綺礼&セイバー(アルトリア)

葛木宗一郎&ランサー(クー・フーリン)

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&キャスター(メディア)


弟子一号「なんか、うまくまとまったわね(セイバー陣営から目をそらしつつ)」

アオヤマ「ええ、コンマに恵まれましたね(セイバー陣営から目をそらしつつ)」

弟子一号「アオヤマさん的には、注目は?」

アオヤマ「そうですねえ、ライダー陣営でしょうか」

アオヤマ「リンさんがマスターなら、ライダーも真価を発揮できるでしょうし」

アオヤマ「シャロさんは?」

弟子一号「……もう突っ込まないわよ」

弟子一号「ココアとアーチャーの相性が気になるところね。やっぱり、性格的な相性って大事だから」

アオヤマ「そうですねえ」

弟子一号「ええ、ほんとに」

二人「………………(セイバー陣営から目をそらしつつ)」

アオヤマ「安価は終了ですか?」

弟子一号「そうね、もういい時間だけど……」

弟子一号「ついでにやっちゃおうかしら」

弟子一号「ココアとリゼ先輩の戦闘力を決めちゃいましょう」

アオヤマ「コンマ安価ですね?」

弟子一号「ええ。ああ、さっきのコンマ安価はドッキリみたいなものだから」

弟子一号「連取にはカウントしないわ」

アオヤマ「それと、断っておかなければなりませんが」

アオヤマ「このスレでは、マスターのスキル等は基本的に設定しないものとします」

アオヤマ「楽しみにしてた方はすみません」

弟子一号「さて、とりあえず三つ決めるわよ。コンマ一桁目を参照ね」


ココアの戦闘力↓1

ココアの魔力 ↓2

リゼの戦闘力 ↓3


※戦闘力とは、基礎体力に加え、戦闘中の機敏さや判断力などの総称とします。ココアの場合はこれに魔術の腕を加えます

※魔力とは、魔力量のことを指します。魔術の腕とは密接に関係しますが、イコールではありません

※リゼのコンマがココアの戦闘力より低い場合、ココアの数値+1に変更されます

※数字が大きいほど、能力が高い。0は10とする

アオヤマ「ココアさん、戦闘力1、魔力6」

弟子一号「リゼ先輩、戦闘力7」

アオヤマ「ココアさん、魔術師としては平均以上の素質があるようですね」

弟子一号「でも戦闘力1って……さすがに特訓二か月じゃ、どうにもならなかったのかしら」

アオヤマ「代わりと言ってはなんですが、リゼさんはすごいです。ただのミリオタではなかったんですね」

弟子一号「Zeroでいうところのマイヤさんのポジションになりそうね」

アオヤマ「今回はここまでにしましょうか」

弟子一号「そうね。ところで、アオヤマさん」

アオヤマ「はい?」

弟子一号「今回、ココアたちより私たちの方が出番多かったですよね」

弟子一号「いよいよ本編、とか言っといて始まらないし」

アオヤマ「そんなこともありますよ」

弟子一号「いいのかなぁ……」


アオヤマ「安価のご協力、応援コメント、ならびにミスの指摘等、ありがとうございました」

アオヤマ「更新は不定期ですが、あまり日を空けないようにしたいですね」

弟子一号「それじゃあ、また次回」

アオヤマ「さようなら~」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「こんにちは~」

弟子一号「さあ、ようやく本編が始まるわね」

アオヤマ「随所で安価を取りますが、選択肢安価は連取不可」

アオヤマ「コンマ安価は連取可とします」

弟子一号「今日もよろしくね」

――新幹線――

リゼ「結構遠くなんだな、冬木市って」

ココア「わあ、すごい!はやい!」

リゼ「あんまりはしゃぐなよ、ただの旅行じゃないんだから」

ココア「お土産、何がいいかなあ」

リゼ「……大丈夫だろうか」

ココア「ところでリゼちゃん、冬木市は初めて?」

リゼ「ん?ああ、初めてだな。千夜から今回の話を聞くまで、名前すら知らなかったぞ」

リゼ「ココアも初めてだろう?」

ココア「↓1」


1、「うん、初めてだよ。どんなところなのかなあ」

2、「実はねえ、一回だけ遊びに行ったことがあるんだ」

3、「今明かされる衝撃の真実!半年だけ住んでました!」

ココア「今明かされる衝撃の真実!半年だけ住んでました!」

リゼ「はあ!?」

リゼ「どうして黙ってたんだ!?」

ココア「え、言った方がよかったかな?」

リゼ「あ、いや……確かに、そういうわけではないな。ちょっとびっくりしただけだ」

リゼ「むしろ、多少は土地勘がある方がいい。私たちはよそ者だからな」

リゼ「現地の人間より不利になりがちだ」

リゼ「いつごろの話なんだ?」

ココア「うーんと……3、4年くらい前かな」

リゼ「ココアのことだ、半年だけでも、たくさん友達ができたんだろうな」

ココア「うん!みんないい人ばっかりだったよ」

リゼ「せっかくだ、まだ向こうにつくまで時間があるし」

リゼ「冬木の話を聞かせてくれないか?」

ココア「うん、任せてよ!懐かしいなあ」

ココア「やっぱり、↓1の話かな」


以下の表から、ココアの知り合いをコンマ安価で決定

コンマ一桁目と二桁目を参照

ぞろ目の場合、知り合いは一人だが、すごく仲がいい

1、「衛宮士郎」

2、「遠坂凛」

3、「間桐桜」

4、「間桐慎二」

5、「言峰綺礼」

6、「葛木宗一郎」

7、「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

8、「藤村大河」

9、「美綴綾子」

0、「柳洞一成」

ココア「えっとね、イリヤちゃんっていうんだけど」

リゼ「イリヤ……外国人か?」

ココア「うん、生まれはロシアって言ってたかな」

ココア「イリヤ……す、ふぃー…………」

ココア「イリヤちゃんだよ!」

リゼ「友達なら覚えててやれよ」

ココア「友達なんてとんでもない!イリヤちゃんは、私の妹なんだから!」

リゼ「3、4年前から、姉への憧れはあったんだな」

リゼ「どういう風に出会ったんだ?」

ココア「あれは、引っ越して間もない時だったかなあ」

ココア「町を散策してたら、いつの間にか森があってね」

ココア「冒険するような気持ちで入ってみたんだけど」

ココア「出られなくなっちゃって」

リゼ「ココアの方向音痴は筋金入りだからな」

ココア「何時間もさまよってたかな。へとへとになっちゃって」

ココア「私、このまま死ぬのかな、って泣きながら歩いてたんだ」

ココア「そしたら、急に目の前が開けて、大きなお城が現れたの」

リゼ「幻覚か?砂漠の、蜃気楼みたいな」

ココア「私も、最初はそう思ったよ。でも、もうどうしようもなくて」

ココア「大きな扉をたたいたんだ。助けてください、って」

ココア「そこで気を失っちゃったんだけど、気が付いたら大きなベッドに寝てて」

ココア「白い髪の可愛い女の子が、私を覗き込んでたんだ」



――アインツベルン城――

ココア「……ん、あれ、私…………」

???「あ、起きた!ねえ、大丈夫?」

ココア「誰……?」

イリヤ「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。この城に住んでるの」

ココア「城?よかった、夢じゃなかったんだ」

イリヤ「ねえ、お姉ちゃんはどうしてこんなところに……」

ココア「お姉ちゃん!?」ガバッ

イリヤ「わっ!?」

イリヤ「だ、ダメじゃない!急に起き上っちゃ」

ココア「い、いまお姉ちゃんって……ねえ、もう一回言って!」

イリヤ「え?う、うん……」

イリヤ「お、お姉ちゃん……?」

ココア「うわあああああ!」

ココア「お姉ちゃんって呼ばれた!」

ココア「アイ、アム、シスター!」

イリヤ「…………」

イリヤ(なに、この人……)

ココア「あ、私はココアっていうんだけど」

ココア「変わらず、お姉ちゃんって呼んでね!」

イリヤ「う、うん」

イリヤ「で、お姉ちゃんは……」

ココア「きゃああああ!」

イリヤ(話が進まない)

イリヤ「…………!」

イリヤ「ねえ、お姉ちゃん。私ね、妹のお話を聞いてくれるお姉ちゃんが、ずっとほしかったんだ」

ココア「い、妹……!」

ココア「ご、ごめんねイリヤちゃん。私、ちゃんとお話聞くから!」

イリヤ「うん、ありがとう!」

イリヤ(ちょろい)

イリヤ「で、お姉ちゃん。どうしてこんなところに来たの?」

イリヤ(どこかの刺客なら、手を打たなきゃいけないんだけど……)

ココア「冒険してたんだ!」

イリヤ「……え?」

ココア「私、最近この町に引っ越してきて」

ココア「だから、今日は町を散策してたんだ」

ココア「でも道に迷っちゃって」

イリヤ(うそ……)

イリヤ(勘でこの城にたどり着いたってこと……!?)

ココア「それよりイリヤちゃ……あ」バタッ

イリヤ「あ!もう、だから起きちゃダメって言ったのに」

イリヤ「疲れてるんだよ。今日はうちに泊まっていって」

ココア「いいの!?」ガバッ

ココア「あぁ……」バタッ

イリヤ「ふふっ」

イリヤ「泊まるって言っても、安静にしてなきゃ」

イリヤ「電話はそこにあるから、落ち着いたらおうちに連絡しておいてね」

ココア「イリヤちゃん、いてくれないの?」

イリヤ「え?」

ココア「イリヤちゃんに、そばにいてほしいな」

ココア「そしたら、元気になれる気がするから」

イリヤ「…………」

イリヤ「も、もう、しょうがないなあ」

イリヤ「世話のかかるお姉ちゃんなんだから」

ココア「えへへ」

――新幹線――

ココア「ていうことがあって……」

リゼ「へ、へえ」

リゼ(どっちが姉かわからないな)

ココア「半年間、ほとんど毎日、ずっとイリヤちゃんと遊んでたよ」

ココア「だから、別れるときは寂しかったなあ」



イリヤ「お姉ちゃん、ほんとに行っちゃうの?」

ココア「うん……私も、イリヤちゃんと離れたくないけど」

ココア「行かなきゃ。でも、きっと、また」

ココア「会えるから」

イリヤ「うん……」

イリヤ「あのね、お姉ちゃん」

イリヤ「私、ずっとひとりだった」

イリヤ「お父さんもお母さんも、帰ってくるって嘘ついてどこかに行っちゃった」

イリヤ「でも、お姉ちゃんの妹になれて幸せだった……!」

イリヤ「私、これからも、お姉ちゃんの妹でいていい……?」

ココア「!」

ココア「もちろんだよ!離れてても、血がつながってなくても」

ココア「私たちは姉妹だよ、イリヤちゃん!」

イリヤ「お姉ちゃん……」

イリヤ「お姉ちゃん!」

ココア「イリヤちゃん!」

――新幹線――

ココア「って、いうことが、あって」グスッ

リゼ「な、泣くなよココア」

リゼ(やばい、もらい泣きしそうだ)

リゼ(いい話じゃないか)

リゼ「お、もうすぐ着くみたいだぞ」

リゼ「イリヤって子に、また会えるといいな」

ココア「うん!」

――冬木市――

リゼ「さて、新幹線を降りて」

リゼ「なんやかんやで冬木市だ」

ココア「なんやかんやって?」

リゼ「察しろココア、冬木に新幹線が通ってるのかわからないから」

リゼ「ぼかすしかないんだ」

ココア「そういうことって言っていいのかなあ」

リゼ「さあ、さっそく私たちの拠点に向かおう」

ココア「リゼちゃんが用意してくれたんだよね」

リゼ「正確には天々座家だ。金はあるからな」

リゼ「拠点は↓1だ」


1、「郊外の空き家」

2、「新都のホテル(フロアひとつ貸切)」

3、「深山町の空き家」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「二人の拠点は深山町の空き家に決定しました」

弟子一号「今度は、その大雑把な立地を決めるわ」

弟子一号「二人の拠点は↓1」


1、「衛宮邸の近く」

2、「遠坂邸の近く」

3、「間桐邸の近く」

4、「柳洞寺の近く」

5、「上記のいずれからも離れている」

――深山町――

ココア「うわあ、大きな家がいっぱい」

リゼ「洋風の家屋が多いみたいだな。私たちの拠点もそうだと聞いているぞ」

ココア「へえ、楽しみだなぁ」


ココア「わあ、二階建ての洋館!ここが私たちの愛の巣なんだね!」

リゼ「変な言い方をするな!」

リゼ「掃除とかは必要なものとかは前もってお願いしておいたから、すぐに住めるようになってる」

リゼ「以前魔術師が住んでいたみたいで、地下は工房として利用できるそうだ」

リゼ「さて、これからどうしようか」

ココア「うーん……↓1」


1、「せっかくの拠点だからね。結界を張ったり、罠を仕掛けたりしておこうよ」

2、「管理者の遠坂さんが近くにいるんだよね?挨拶に行かなきゃ!」

3、「もう疲れたよ。ちょっとお昼寝」

連取だから1か

ココア「管理者の遠坂さんが近くにいるんだよね?挨拶に行かなきゃ!」

リゼ「え?でも、遠坂もたぶん聖杯戦争に参加するはずだぞ。律儀に挨拶に行く必要も……」

ココア「なに言ってるのリゼちゃん!少しの間とはいえここに住むんだから」

ココア「ご近所付き合いは大事にしなきゃ!」

リゼ「お前、聖杯戦争なんだと思ってるんだ」


リゼ「さて、この辺だったはずだが……」

こども「あ、お姉ちゃんたち、幽霊屋敷に行くの!?」

ココア「幽霊屋敷?」

こども「あれ、違うの?」

リゼ「私たちは、遠坂という人の家に行くだけだ。肝試しをするつもりは……」

こども「ううん、そこが幽霊屋敷だよ」

リゼココア「えっ」

>>137 そうでした やりなおしますね

どうでもいいだろうことでさらに亀だけど一応
アインツベルンはロシアじゃなくてドイツの家系だぞ

弟子一号「>>140さん。ココアがおぼえ間違えていたということでひとつ……」



ココア「せっかくの拠点だからね。結界を張ったり、罠を仕掛けたりしておこうよ」

リゼ「そうだな。戦争ともなれば、強行突破を試みる輩も現れるだろう」

リゼ「物理的な罠は私が担当しよう。ココアは魔術的な細工を頼む」

ココア「オッケー!任せてよ!」


ココアの結界の精度↓1コンマ一桁
(0は10扱い、戦闘力1補正により-3、魔力6補正により+1、コンマボーナスなし)

1、失敗
234、衛宮邸並(侵入者を察知)
56、並の結界(侵入者を察知、敵の動きが少しだけ鈍くなる)
78、上質の結界(上記に加え、攻撃機能付き)
90、要塞

弟子一号「コンマボーナスって何よ、ぞろ目ボーナスの間違いだったわ……」

アオヤマ「今後、特に注釈がない場合はぞろ目ボーナスはないものとしますね」


ココア「うーん、こんな感じかな」

ココア「ああ、疲れたー。魔術って結構疲れるなあ」

ココア「でも、割とうまくいった気がする。戦闘は苦手なままだし、こういうところで活躍しとかないとね」

アオヤマ「一応載せておきますね。9+1-3=7」

アオヤマ「上質な結界の構築に成功しました」


――拠点内――

ココア「わあ、広いリビングだなあ」

ココア「このソファもふかふか……ふぁ」

ココア「むにゃむにゃ」

リゼ「おーい、ココア……って」

リゼ「寝てるのか。まあ、無理に起こすのも悪いし」

リゼ「コーヒーでも飲むか」

ココア「むにゃむにゃ……」

ココア「はっ!?」

リゼ「おはよう、ココア。お疲れ様」

ココア「ご、ごめんね、寝ちゃってたよ」

リゼ「気にするな。まだ夕方だしな」

リゼ「ところで、ココア。必要なものはあるといったが」

リゼ「食材は買い出しに行かなきゃいけない。一緒に行くか?」

ココア「うん!」


商店街に買い出しに行きます。誰かに出会いますか?↓1

1、「出会わない」

2、「出会う(サーヴァント以外の、staynight登場人物のみ有効)」

――商店街――

リゼ「いっぱい買いこんでしまったな」

ココア「二人で毎日三食食べるんだから、多いくらいでちょうどいいと思うよ」

リゼ「そういうものか?」

ココア「そうそう、そういう……あ、うさぎ!」

ココア「わー、待って―!」

リゼ「ここにも野生の兎がいるのか(困惑)」

ココア「待って―、わぶっ」

???「あら、ごめんなさい。大丈夫?」

ココア「ううん、こちらこそごめんなさ……」

???「……あなた」

ココア「え?」

リゼ「ココア、ちゃんと前を見て……」

???「あなた、魔術師ね?」

リゼ「!ココア、離れろ!」

???「いいのよ、別に危害を加えるつもりはないわ。でも、随分と隠すのが下手なのね」

???「体中から魔力が発散してる。それなりの才能を持ってるみたいだけど、実力が追い付いていないのかしら」

ココア「ぎくっ」

???「でも、見ない顔ね。この町の魔術師を、私が知らないはずないんだけど」

リゼ「知らないはずがない……そうか、お前が遠坂だな」

凛「あら、知っているのね。そうよ、私は遠坂凛。冬木の管理者」

凛「あなたは?冬木市には観光スポットなんてあまりないけど」

ココア「私はココア」

ココア「聖杯戦争に参加するために冬木に来た、魔術師だよ!」

凛「!?」

リゼ「!?」

ココア「……え、なにこの空気。私、変なこと言ったかな?」

リゼ「バカ、マスターだってことは隠さなきゃいけないってあれほど……」

凛「…………ぷっ」

凛「あはははははははっ」

凛「なに、あなた、面白いわね」

凛「私が遠坂だと知ってそれを口にするってことは、宣戦布告ってこと?」

ココア「え?う、うーん、そんなつもりじゃないけど……」

ココア「でも、私は聖杯を正しく使う人に託さなきゃいけないんだから」

ココア「リンちゃんとも、戦うかも」

凛「託す?あなたは、聖杯がほしいわけじゃないの?」

凛「協会の回し者かしら」

リゼ「そうだとも言えるし……そうじゃないともいえる」

凛「ふーん……あなたたちも大変そうね」

ココア「リンちゃんは何してたの?」

凛「町の様子を見て回ってたのよ。そろそろサーヴァントが出そろうはずだしね」

凛「あなたも、令呪が宿ってるからって慢心してちゃだめよ」

ココア「大丈夫!今晩が予定だから!」

リゼ「出産予定日みたいな言い方をするな」

ココア「じゃあ、私たちは帰るけど……」

凛「あら、あなたちもそっち?」

凛「じゃあ、ご一緒させてもらおうかしら」

リゼ「いいのか?いずれ敵になるかもしれないんだぞ」

凛「今日くらいいいでしょ。魔術師なんて変な奴ばかりなんだから」

凛「あなたみたいな真っ直ぐな子を見ると、嬉しくなるのよ」

――拠点――

ココア「どうでもいいんだけどさ」

リゼ「なんだ?」

ココア「この家、名前付けない?ただ拠点って呼ぶのも味気ないよ」

リゼ「まあ、名前は大事だからな」

リゼ「ココアの好きにしろよ」

ココア「うーん、じゃあ……」

ココア「ラビットハウススノウ!」

リゼ「スノウ?」

ココア「冬木市だからね」

リゼ「……お前がいいなら、それでいいよ」

――ラビットハウススノウ・工房――

ココア「よし、できた!」

リゼ「へえ、これが魔法陣か……」

リゼ「思ってたより、複雑じゃないんだな」

ココア「千夜ちゃんに聞いた話だけど、サーヴァントの召喚には、そんなに難しい術式はいらないんだって」

リゼ「結局、触媒は用意できなかった」

リゼ「ココアの魔術師としての才能に、賭けるしかないな」

ココア「大丈夫、きっとうまくいくよ。私には、みんながついてるから」

ココア「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公」

ココア「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

ココア「閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)」

ココア「繰り返すつどに五度」

ココア「ただ、満たされる刻を破却する」

ココア「――――告げる」

ココア「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」

ココア「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

リゼ(素人の私にもわかる、この圧倒的な力が……これが、魔術……これが、奇跡……!)

ココア「誓いを此処に」

ココア「我は常世総ての善と成る者」

ココア「我は常世総ての悪を敷く者」

ココア「汝三大の言霊を纏う七天」

ココア「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手にょっ―――!」

リゼ(噛んだああああああぁぁっ!?)

ココア「うわあああ、やっちゃった!どうしよう、リゼちゃん!」

リゼ「やたら難しい言葉が並んでるからって、千夜と何回も練習したのに……!」

リゼ「最後の最後で気が抜けたか……!?」

ココア「な、何も起きない!私、失敗しちゃったの!?」

リゼ「落ち着けココア!令呪は消えてない、まだ何か方法が……」

ズドォォォォォォォン!

ココア「な、なに!?」

リゼ「上の階だ、いくぞ!」

ココア「う、うん!」

ココア「あわわわ、リビングがめちゃくちゃに……」

リゼ「違うだろココア、私たちが注目すべきなのは……」


???「随分と乱暴に召喚してくれたな」

???「それに、私のマスターだというのなら、もう少し落ち着きをもってほしいものだ」


ココア「ま、マスター……?」

ココア「ということは」

ココア「あなたが、私のサーヴァント……」


アーチャー「サーヴァントアーチャー、召喚に応じ、参上した」

アーチャー「君が、私のマスターだな?」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「アーチャー召喚成功、いよいよ聖杯戦争がはじまります」

アオヤマ「きりもいいですし、ひとまず中断しますね」

弟子一号「再開時刻は未定だけど」

弟子一号「今日中には戻ってこれると思うわ」

弟子一号「それにしても、イリヤと仲良し、結界構築も大成功とは……」

アオヤマ「ココアさんはコンマに恵まれていますね」

アオヤマ「それでは、また後程お会いいたしましょう」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「こんばんは~」

弟子一号「さて、そろそろ再開するわよ」


――ラビットハウススノウ・リビング――

リゼ「ココアの召喚が半ば失敗だったせいか、記憶が欠落している、か」

リゼ「それでも、戦闘に関しては問題ないらしい。まあ、そこはおいおい……」

アーチャー「入ったぞ」

ココア「ごくごく……あー、おいしい!最近はコーヒーばっかりだったけど、紅茶もいいなあ」

リゼ「……緊張感が行方不明だ。捜索願を出しておくべきか」

リゼ「それにしても、めちゃめちゃに荒れてたリビングはすぐ元通り、紅茶も美味いときた」

リゼ「なんだ、アーチャー。生前は執事かなんかだったのか?」

アーチャー「言ったはずだ、自身のことに関しては、ろくに覚えていないと」

アーチャー「ただの魔術師だったかもしれんし、名もない弓の名手だったかもしれんし」

アーチャー「正義の味方だったかもしれん」

アーチャー「それもこれも、マスター、君の……」

ココア「おいしい!おかわり!」

アーチャー「…………」ハァ

リゼ「溜息を吐きつつも、おかわりはくれるんだな」

アーチャー「求めているのは、仮にも私のマスターだ。拒むわけにもいかん」

アーチャー「それに、あの程度のコーヒーで満足しているようでは、日ごろの食生活もたかが知れているというもの」

アーチャー「私が召喚されたのも何かの縁だ。これを機に、舌を肥やしてやろうというだけさ」

ココア「むっ、ラビットハウスのコーヒーをバカにするのは許さないよ!」

リゼ「お前はただのバイトだろうが」

アーチャー「入ったぞ」

ココア「おいしい!」

アーチャー「ところで、この屋敷の結界はだれがこしらえた?」

ココア「私だよ!」

アーチャー「なに……?」

アーチャー「…………」

リゼ「なんだ、ココアの魔術に、何か問題が?」

アーチャー「逆だ。この結界はマスターが……」

アーチャー「サーヴァントの召喚もろくにできないような魔術師が構築できるような代物ではない」

ココア「えぇ!?でも、ほんとに私がやったんだよ!?」

アーチャー「君の言葉を疑っているわけではない。だが、そうだとしたら……」

アーチャー「君の魔術は……いや、魔術師としての在り方は、ひどく不安定なのかもしれない」

アーチャー「聖杯戦争中も、訓練を続けた方がいいだろう。私も協力する」

リゼ「親切なんだな」

アーチャー「そういうことじゃない。マスターが強いに越したことはないし、なにより」

アーチャー「制御を誤った魔術は、本人だけではない、周囲の無関係な人間にすら牙をむく」

アーチャー「そうならないようにしたいだけだ」

リゼ「へえ、そっか」

リゼ(口は悪いけど、悪い奴じゃなさそうだな……)

ココア「ところでアーチャー、異議あり!」

アーチャー「なににだ?」

ココア「私のこと、君とか、マスターとか呼ぶのはおかしいよ!」

ココア「私たちはこれから一緒に過ごすんだから、ちゃんとココアって呼んで!」

アーチャー「……君が」

アーチャー「いや、失礼。ココアが望むのなら、そうしよう」

リゼ「私のことも、リゼでいいぞ。アーチャー」

アーチャー「わかった、リゼ」

リゼ「そういえばココア、聖杯戦争に参加するマスターは、教会に届け出なきゃいけないんだろ?」

ココア「え?千夜ちゃんたちがやってくれたんじゃ……」

リゼ「確かに千夜はそう申し出たけど、そしたらお前が」

リゼ「教会!行ってみたいから自分でするよ!」

リゼ「とか言って断っただろう?」

ココア「あ、そうだった……」

リゼ「もう外は暗いけど……どうする?」

ココア「うーん……↓1」


1、「せっかくだし、直接行ってみよう」

2、「もう疲れちゃったから、電話でいいんじゃない?」

ココア「せっかくだし、直接行ってみよう」

ココア「新都の方も、まだ行ってみてないしね。夜のお散歩!」

リゼ「もう少し危機感を持った方がいいぞ……」

ココア「アーチャーも来てくれるよね?」

アーチャー「サーヴァントが留守番などお笑い草だ。可能な限り、ココアのそばにいたほうがいいだろう」


――冬木教会――

ココア「よかった、まだ明かりがついてるね」

リゼ「来るものを拒まないキリスト教の精神を反映している、のか……?」

リゼ「けど、丘の上にぽつんとある教会を夜に訪ねるのは、少し不気味だ……」

アーチャー「ほう、軍人を気取っているくせに、霊の類が恐ろしいのか?」

リゼ「ば、バカ言え!薄暗いと狙いが定めにくくて不便だな、と思っただけだ!」

アーチャー「そうか、まあ、そういうことにしておこう」

リゼ「ぐぬぬ」

ギギギギィィィ

リゼ「なんだよこの音、教会の扉が開く音じゃないぞ……」

ココア「あれ、だれもいない……」

アーチャー「いや、あそこにいるのが神父だろう」

ココア「あ、ほんとだ」

ココア「神父さん、こんばんは!」



――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「本編の途中ですが、失礼いたします」

弟子一号「今になって気づいたのよ、このSSの可能性に」

弟子一号「というのも、ココアが参加している第5次聖杯戦争には、ギルガメッシュが参加していない……」

アオヤマ「つまり、第5次聖杯戦争はもちろん、第4次聖杯戦争の様相も、原作とは異なっています」

弟子一号「ということは、第4次聖杯戦争の際に形成された言峰綺礼という人格は」

弟子一号「今回は、原作と違うのかもしれないってこと」

アオヤマ「要するに、言峰綺礼さんが、愉悦に目覚めているかどうかを、安価で決定します」

弟子一号「言峰綺礼は↓1」


1、「前回の戦争をきっかけに、愉悦に目覚めている(原作と同様に、バゼットから令呪を強奪している)」

2、「前回の聖杯戦争を経ても、愉悦には目覚めなかった(今回のサーヴァントは自力で召喚した)」

アオヤマ「前回の聖杯戦争を経ても、愉悦には目覚めなかった(今回のサーヴァントは自力で召喚した)、ですね」

弟子一号「ギルガメッシュが何も仕事をしてないわね……慢心して早々に敗退したのかしら」

弟子一号「というわけで、今回参戦するのは綺麗な綺礼……やばいわ、史上初のまともな聖杯戦争になりそうね」

アオヤマ「では、引き続き本編をお楽しみください」


――冬木教会――

ココア「神父さん、こんばんは!」

???「このような時間に来客とは、珍しい。なに用かな?」

ココア「聖杯戦争に参加するので、申告に来ました。こっちがサーヴァントの……」

???「いや、参加を表明されるだけで結構。もとよりこれは形式的なもの」

???「聖杯戦争は、聖杯によって管理されているのでね」

???「ああ、申し遅れた。私はこの冬木教会の神父……いや」

???「君たちには、聖杯戦争の監督役、といった方が通りがいいかもしれない」

綺礼「言峰綺礼だ」

ココア「私はココア……」

リゼ「お前はいい加減、フルネームで自己紹介する癖をつけた方がいい」

ココア「えへへ、そうだね」

ココア「私は、保登心愛です」

綺礼「結構。君が最後のマスターだ」

リゼ「っ!」

ココア「と、いうことは……」

綺礼「万能の願望器、聖杯を求める魔術師たちによる戦争」

綺礼「その火ぶたが、切って落とされたということだ」

綺礼「すでに承知しているだろうが、サーヴァントを失ったなら、ここに逃げ込むといい」

ココア「大丈夫、私たちは負けないよ!」

綺礼「……私とは違う、まっすぐで真摯な瞳だ」

綺礼「君の戦いに、幸あらんことを」

ココア「ありがとう!神父さん、さようなら!」


ギギギギィィィ

バタン

???「あなたも人が悪い」

綺礼「セイバーか」

セイバー「セイバーのマスターの言峰綺礼だ」

セイバー「あなたの自己紹介としては、これが最も妥当なはず」

綺礼「だが、監督役がマスターを兼任するなど、本来あってはならぬことだ」

綺礼「それに、私には相変わらず、聖杯に託すべき望みなどない」

セイバー「なにを言うか、綺礼。あなたが道を外して令呪を得たならともかく」

セイバー「聖杯があなたを選んだのだ。後ろめたく思う必要などない」

セイバー「それに、十年間、己に変化がないことをあなたは嘆くが」

セイバー「変わらぬことも、一つの在り方だ」

セイバー「この十年間、あなたは世にはびこる誘惑を、退けてきたのだから」

セイバー「来たるべき変化の時を、今は待てばいい」

綺礼「……そうだな。では、私は、その変化の時を」

綺礼「この聖杯戦争に求めるとしよう」

ココア「なんだか不思議な人だったねえ」

リゼ「そうだな。ん、どうした、アーチャー?」

アーチャー「いや、なんだろうな。言いようのない違和感を覚えたというか」

アーチャー「恐ろしい毒蛇がたくさん入っているぞ、と脅されて開けた箱の中身がトカゲ一匹だった」

アーチャー「そんな気分だ」

リゼ「なんの話だ?」

ココア「アーチャーは難しいことを言うなあ」


帰り道、誰かに遭遇する?↓1

1、「無事に帰宅」

2、「キャスターの使い魔と遭遇」

3、「アサシンと遭遇」

4、「バーサーカーと遭遇」

5、「ライダーと遭遇」

6、「ランサーと遭遇」

アサシンの目的は?↓1

1、「襲撃」

2、「同盟の誘い」

???「保登心愛、ですね?」

ココア「!?」

リゼ「なっ」

アーチャー「っ、アサシン……!」

アーチャー(ばかな、いかにアサシンといえど、私にさとられぬままココアの後ろをとるなど……)

アサシン「どうか、騒がぬよう」

アサシン「争う意思はございません。でなければ、この距離まで気配遮断を維持できるはずもない」

リゼ「争う意思はない、だと?ココアを人質に取っておいて、何を世迷言を!」

アサシン「ご容赦ください。こちらとて、無策でサーヴァントの前に姿をさらすは自殺行為」

アサシン「こちらの安全を確保してからでなければ、交渉もままならぬのです」

ココア「うぅ、アーチャーぁ、リゼちゃぁん……」

アーチャー「……いいだろう、話せ」

アサシン「賢明なサーヴァントだ」

アサシン「単刀直入にお話しいたしましょう。わが主が、あなたたちとの同盟を望んでいる」

リゼ「ど、同盟だと?ばかな、聖杯戦争の勝者は一組、同盟など成立しないだろう」

アーチャー「いや、それは違うぞ、リゼ。敵の数を減らすためや、自分が極端に苦手な相手を倒すためなど」

アーチャー「聖杯戦争において、短期の同盟は、そう珍しいことではない」

アーチャー「特にアサシンというサーヴァントは、諜報活動には長けているが、直接戦闘は不得手」

アーチャー「まして、マスターの力量がそう高くない場合は、同盟に頼らざるを得ない場合もある」

アサシン「お見通し、というわけですな」

アーチャー「そちらの目的は、三騎士の一角の確保だろうが」

アーチャー「こちらのメリットはなんだ?同盟を望むなら、それくらい用意してあるのだろうな」

アサシン「無論。私は早期に召喚され」

アサシン「他陣営の諜報を続けておりました」

アサシン「その情報、そして、これからの諜報活動で得られる情報の提供」

アサシン「これでは、不足ですかな?」

アーチャー「…………」

アーチャー(不足なものか、聖杯戦争において、情報はときに兵力よりも重んじられる)

アーチャー(条件としては悪くない、だが……)

アサシン「詳しい話をするために、マスターのもとへ案内するよう、仰せつかっております」

アーチャー「…………」

アーチャー「↓1」


1、「いいだろう、案内しろ」

2、「そちらの土俵に上がってやるつもりはない。同盟を望むなら、そちらから出向けとマスターに伝えろ」

3、「信用できん。貴様はこの場で討つ」

アーチャー「なるほど、確かに悪い話ではない。それに、ココアの安全を考えるならば、応じるのが最善だろう」

アサシン「ならば……」

アーチャー「だが」

リゼ「あ、アーチャー?」

アーチャー「そちらの土俵に上がってやるつもりはない。同盟を望むなら、そちらから出向けとマスターに伝えろ」

アサシン「ふむ……」

アサシン「これならばよさそうですな」

アーチャー「なに?」

アサシン「マスターからは同盟を組みたい、という方針だけ聞かされたものの、彼は戦慣れしていない」

アサシン「よって、あなたがたが同盟を結ぶにふさわしいものであるかどうか、この判断を、私に一任されました」

アサシン「今の要求、もしも二つ返事でのむようでしたら……」

リゼ「の、のむようだったら……?」

アサシン「……いえ、やめておきましょう。悪印象を、これ以上強めることもない」

アサシン「しかしこちらとしても、あなた方の拠点に近寄るのはいささか不安……」

アサシン「明日の十二時、新都の冬木中央公園にて、マスターとともに待ちます」

アサシン「同盟を望むなら、あるいは話だけでも聞く気があれば、おいでくださいますよう」

ココア「わわっ……き、消えた?」

リゼ「ココア、大丈夫か!?」

ココア「う、うん。ちょっと怖かったけど……あっ」フラッ

リゼ「こ、ココア!」ガシッ

リゼ(震えてる……やっぱり、怖かったんだな)

アーチャー「リゼ、私が抱えよう」

リゼ「あ、ああ。頼んだ」

ココア「ごめんね、二人とも……」

リゼ「心配するな、無事で何よりだよ」

アーチャー「帰って休め。いずれにせよ、明日は忙しくなる」


【一日目・終了】

アオヤマ「一日目が終わりました」

アオヤマ「ほかの陣営の様子を見ますか?」

↓1

1、「見ない。本編を進めよう」

2、「見る(どの陣営か、一つだけ明記。アーチャー、セイバー、アサシンは除く)」

【二日目】

リゼ「アーチャー」

アーチャー「リゼか」

リゼ「ココアはまだ寝てるのか?」

アーチャー「ああ、精神的な疲労が大きかったようだ」

リゼ「なあ、アーチャー」

リゼ「差し出がましいことかもしれないが、言わせてもらう」

リゼ「アサシンとの同盟、承諾しないか?」

アーチャー「私は、君たちの目的を理解している。リゼのその発言を、差し出がましいとは思わん」

アーチャー「一応、理由は聞かせてもらおう」

リゼ「ココアは、魔術師としては悪くない才能を持っているし、アーチャーや私もついている」

リゼ「だが、あまりにも戦いに対して……命のやり取りに対して、免疫がないんだ」

リゼ「あれじゃあ、勝つとか負けるとか以前に、ココアの精神が壊れてしまう」

リゼ「私たちは、今までの日常を守るために戦っているんだ」

リゼ「そのためにココアを犠牲にするなんて、本末転倒なんだよ」

リゼ「アーチャーはどう思う?」

アーチャー「おおむね同意見だ。彼女を……少なくとも今の彼女を、おいそれと戦場には出せない」

アーチャー「かといって、ココアを置いて、私だけで戦いに行くのも論外だ」

アーチャー「ここの結界が強固とはいえ、サーヴァントの進撃を阻めるほどではない」

リゼ「じゃあ……」

アーチャー「だが、この戦争は彼女の戦争だ。私には、聖杯に託す願いもない」

アーチャー「よほど考え方が破綻していない限りは、彼女の意向に従うつもりだ」

リゼ「……そうか」

ココア「おはよう、ふたりとも」

リゼ「こ、ココア!?いつからそこに……」

ココア「えっと、リゼちゃんの、ココアは魔術師としては、くらいかな」

リゼ「ほとんど最初からじゃないか!アーチャー、どうせ気づいてたんだろ、どうして黙ってたんだ!」

アーチャー「君の忌憚ない意見を、ココアに聞かせるためだ。君のようなタイプの女性には心当たりがあってね」

アーチャー「本人を目の前にすると、なかなか本心を言い出せないだろう?」

リゼ「ぐぬぬ」

アーチャー「ココア、君の意見を聞かせてもらおう」

ココア「うん、昨日、さんざん悩んだからね。もう、心は決まってるよ」

ココア「↓1」


1、「私、頑張るよ。ちゃんと一人で戦えるように。だから、同盟は必要ないよ」

2、「正直、今のままじゃ不安なんだ。だから、話だけでも聞きに行こうと思う」

ココア「正直、今のままじゃ不安なんだ。だから、話だけでも聞きに行こうと思う」

ココア「リゼちゃんにも、すごく心配かけちゃったみたいだし」

アーチャー「ああ、それがいいだろう。アサシンが嘘をついていたとも思えないしな」

リゼ「根拠があるのか?」

アーチャー「確かではないがな。奴が言っていたように、気配遮断というスキルは、攻撃する意思をもつと効果が下がる」

アーチャー「だから昨日のアサシンは、まぎれもなく、攻撃する意思がなかったといえる」

アーチャー「まあ、自身の深層意識すらコントロールできる化け物だったとしたら、手におえないが」

リゼ「約束の時間は十二時だから……あと二時間くらいだな」

リゼ「アサシンが言ってた公園までは、そんなに離れてないよな?」

ココア「うん、たぶん……」キュゥゥゥ

ココア「…………」

アーチャー「そうだな、ココアが遅い朝食を食べ終わるのを待っていても、余裕があるだろう」

ココア「うぅ、恥ずかしい//」

――冬木中央公園――

ココア「えっと、ここだね」

リゼ「む、あれは……」


???「どうしてよりによってここを指定したんだよ。俺、ここは苦手だって言わなかったっけ」


アーチャー「!」

リゼ「独り言……いや、霊体化したアサシンに話しているのか……?」

ココア「あの恰好だと目立つもんねえ。ん、アーチャー、どうかした?」

アーチャー「……いや、なんでもない」

ココア「ふーん、そう?じゃあ、とりあえず話しかけてみよう。こんにちは!」

リゼ「お前が、アサシンのマスターか?」

士郎「ああ、衛宮士郎だ。昨日はアサシンが驚かせちまったみたいで、悪かったな」

ココア(この人が、アサシンのマスター……)

リゼ(温厚そうな……というより、普通の学生にしか見えないな)

士郎「……あれ、黙っちまって、どうかしたか?」

ココア「あ、ううん、なんでもないよ。わたしは、保登心愛」

リゼ「私は天々座理世だ」

ココア「私たちと、同盟を組みたいって、本当?」

士郎「ああ、本当だ。詳しく話をしたいんだが、場所を変えたい」

士郎「長くなるかもしれないし、俺はここが苦手なんだ」

リゼ「どこかいい案はあるのか?」

士郎「あるにはあるが……えっと、保登?」

ココア「ココアでいいよ」

士郎「じゃあ、ココア。家はどこなんだ?」

ココア「深山町だよ」

士郎「なら、ちょうどいい。せっかく新都まで来てもらったけど、引き返そう」

――穂群原学園――

リゼ「ここは……」

ココア「学校だね。もしかして、士郎くんの?」

士郎「ああ、今日は学校は休みだし、部活やってる生徒も、屋上には来ない」

ココア「なるほど、屋上かあ。屋上って、なんかテンションあがるよねえ」

士郎「そうか?まあ、風がある日は気持ちいいけど」

???「ん?」

???「ああ、士郎!」

士郎「お、藤ねえ、ちょうどよかった」

大河「あのねえ、学校では藤村先生だって何度言えば……って違-う!」

大河「なに考えてるのよ、士郎!真昼間から、ほかの学校の生徒さんを堂々と学園の敷地内に入れるなんて!」

大河「しかも女の子!しかも二人!しかも美少女!ああ、私の知っている士郎はもうこの世にはいないのね……」

ココア「楽しい人だね。藤ねえってことは、士郎君のお姉さんかなあ」

リゼ(すごいテンションだ、このタイプは私の近くには……いや、テンションが上がったココアや)

リゼ(コーヒー酔いのシャロに近いものも感じるな……)

士郎「とりあえず話を聞いてくれよ藤ねえ。この二人は……」

大河「ふむふむ………ええ?」

大河「二人は切嗣さんを頼ってこの町に来たけど」

大河「肝心の切嗣さんがいないうえに通う学校も決めてなかったから、とりあえず案内してる?」

ココア(キリツグさんが誰なのかわからないけど)

リゼ(さすがに無理があるんじゃ……)

大河「じゃあしょうがないわね。学校の方には、私が報告しておくから。ちゃんと案内してあげるのよ」

士郎「ああ、わかってるよ」

ココア(いいんだ……)

リゼ(いいのか……)

士郎「ところで藤ねえ。桜は部活にも来てないか?最近、姿を見ないから心配なんだよ」

大河「部活にも顔を出してないわ。無断欠席なんて、今までなかったのにねえ。お家に行ってみようかしら」

士郎「俺もこの間行ってみたけど、その時は顔を見せてくれるんだ。調子は悪そうだったけど……」

大河「あら、そうなの?じゃあ、体調崩してるのかしらねえ」

士郎「……あ、ふたりともごめんな。じゃあ、藤ねえ。俺、行くから」

大河「ん。たまには弓道部にも来なさいよー」


――穂群原学園――

士郎「悪かったな、時間かかっちゃって」

ココア「ううん。それより士郎君、あの人、お姉さん?」

士郎「藤ねえか?まあ、姉みたいなもんだな」

アーチャー「そろそろ本題に入ってもらおう、衛宮士郎」

ココア「わわっ、アーチャー?」

アーチャー「サーヴァントを話し合いに参加させるために、一般人のいない場所を指定したのだろう?」

士郎「………………」

アーチャー「なんだ?」

士郎「……いや、なんでもない。出てきてくれ、アサシン」

アサシン「は」

リゼ「それで、同盟の話だが」

リゼ「お前は、アサシンの諜報活動によって、各陣営の情報を得ているのだろう?」

リゼ「その中で、どうして私たちを選んだんだ?」

士郎「俺たちが掴んでいるのは、アーチャー、ランサー、ライダーの情報だ」

アサシン「マスター」

士郎「いいんだ、アサシン。俺は、本気で彼女たちと同盟を結びたいと思ってる。隠し事は少ない方がいいだろ」

ココア「大丈夫だよ、士郎くん。私は信じてるから」

アーチャー「む」

リゼ「ココア?」

ココア「何もかも本当のことを話してくれるか、そこまではわからないけど」

ココア「士郎くんが、私たちを騙そうとしてるわけじゃないっていうのは、わかるよ」

士郎「ありがとう、ココア」

士郎「ココアたちの目的は、聖杯を正しく使う者に託すこと」

士郎「アーチャーは、特に叶えたい望みがあるわけじゃない」

士郎「間違いないか?」

ココア「うん、そうだよ」

アーチャー「…………」

士郎「無言は、肯定と受け取るぞ」

リゼ「つまり士郎は、私たちが必ずしも聖杯を手に入れる必要がないことに、目を付けたわけだな」

リゼ「アーチャー陣営とアサシン陣営が手を組み、それ以外の敵をすべて倒せば」

リゼ「聖杯をわがものにできるから」

士郎「そうだな、言葉を選ばなければ、そういうことになる」

ココア「士郎くんたちの願いは?答え次第だと、私はこの話を受けられないんだけど……」

士郎「俺も、聖杯に望む願いはない」

士郎「強いて言えば、ココアと同じだ。聖杯が悪い奴の手に渡ることは、何としてでも阻止したい」

士郎「もうひとつ、あるとしたら……アサシンの願いを、かなえてやることか」

リゼ「アサシンの願い?」

アサシン「聖杯戦争に臨むマスターなら、私の真名は知っていよう」

アサシン「私の願いは、生前、失われた顔と名を取り戻し」

アサシン「私の存在した証を、この世に残すこと」

ココア「…………」

ココア「わかったよ、士郎くん、アサシン。一緒に戦おう」

士郎「ココア……!」

ココア「リゼちゃんはそれでいい?」

リゼ「ああ、異論はない」

ココア「アーチャーは?」

アーチャー「それが君の出した答えなら、私は口をはさむまい」

アーチャー「だが、衛宮士郎、アサシン」

アーチャー「お前たちが今の言葉を曲げ」

アーチャー「聖杯を託すにふさわしくない願いを抱いたと、私が判断したら」

アーチャー「私はどんな手を使ってでも、お前たちを殺すぞ。それは肝に銘じておけ」

士郎「わかってるさ。何せ俺たちは聖杯戦争のセオリーを破って」

士郎「最後まで一緒に戦おうとしてるんだ。絶対に、お前たちを裏切るようなことはしない」

ココア「うん、大丈夫。私たちも約束するよ。これからよろしくね」

士郎「ああ、よろしく頼む」

リゼ「ところで、拠点はどうする?恒久的な同盟なら、一か所に固まるのも悪手ではないと思うが……」

士郎「そうだな、ココアはどう思う?」

ココア「うーん……↓1」


1、「私の家においでよ!」

2、「士郎くんのお家にお邪魔しようかなあ」

ココア「私の家においでよ!」

リゼ「そうだな、部屋も余ってるし、二人増えるくらいなら問題ないだろう」

アーチャー「私も賛成だ、結界も申し分ないしな」

ココア「どうする?士郎くん」

士郎「じゃあ、とりあえず一回お邪魔するよ。今後の方針は、それから決めよう」

士郎「アサシンもそれでいいか?」

アサシン「は、問題ないでしょう」



――ラビットハウススノウ――

士郎「へえ、立派な家だな」

士郎「わざわざ聖杯戦争のために家を買うなんて、リゼはお嬢様なんだな」

リゼ「わ、私はお嬢様なんてがらじゃないぞ」

リゼ「まあ、それだけこの聖杯戦争にかけてるんだ」

ココア「さあ、入って入ってー。私たちの愛の巣ー」

士郎「あ、愛の巣!?」

士郎「まさか、アーチャー……」

アサシン「まあ、英雄色を好むといいますからな」

アーチャー「濡れ衣だ!」

リゼ「ココア!お前、愛の巣の意味知らないだろ!」

ココア「え?愛する家族と一緒に住む家のことだと思ってたんだけど……」

士郎(本当に知らなかった!?)

ココア「違うの?ねえリゼちゃん、どういう意味?」

リゼ「な、なぜ私に聞くんだ!?」

ココア「だってさっきの言い方だと、リゼちゃんは知ってるみたいだったよ」

ココア「ねえねえ、おしえてよぉ、リゼちゃん」

リゼ「う、うぁ…………//」

リゼ「わ、私は知らない!が、えっと……」

リゼ「士郎は知ってるみたいだぞ!」

士郎「!?」

ココア「えぇ、本当!?士郎くん、教えてよぉ」

士郎「え、えっと……だな」

ココア「うんうん!」

士郎「…………」

士郎「ココアが最初に言ってたので、合ってると思う」

ココア「なぁんだ、そうなんだ」

アーチャー「ヘタレ」ボソッ

アサシン「ヘタレ」ボソッ

リゼ「ヘタレだな」ボソッ

士郎「俺が悪いのか!?」

士郎「って、アサシン馴染みすぎだろ!同盟結んだのさっきだぞ!?」

アサシン「暗殺者は闇に溶け込むことを生業としておりますゆえ」

アサシン「空気に溶け込むなぞ、造作もありませぬ」

士郎「やかましい!」

――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「アーチャー、紅茶ひとつ!」

リゼ「私も頼む」

士郎「え、なにこの喫茶店みたいな雰囲気」

ココア「アーチャーの紅茶、おいしいんだよ」

アサシン「では、私もいただけますかな」

士郎「暗殺者ってコミュ力高いんだな……じゃあせっかくだし、俺ももらおうかな」

アーチャー「衛宮士郎の分以外、承った」

士郎「俺は早々にいじられキャラになってしまったのか……!?」

ココア「アーチャー、意地悪しちゃだめだよ」

アーチャー「仕方がない、全員分用意しよう」

リゼ「さて、紅茶も飲んで落ち着いたことだし」

リゼ「今後の方針を決めよう」

リゼ「アサシンによって情報が得られているサーヴァントがいるなら、各個撃破を狙うのも手だ」

士郎「けど、半数の情報がないのも不安だ。こっちも疎かにはできないな」

ココア「うーん、難しいねえ」

ココア「ここは↓1」


1、「みんなで力を合わせて、調べがついてるサーヴァントを襲撃しよう」

2、「アーチャーも協力して、しばらくは全員で諜報活動に専念しよう」

3、「アサシンは残りのサーヴァントを調べて、アーチャーは調べがついてるサーヴァントと戦おう」

ココア「アーチャーも協力して、しばらくは全員で諜報活動に専念しよう」

ココア「っていうのはどうかな?」

アサシン「そうですな。情報は戦の命、ここを軽視しては、足元をすくわれましょう」

リゼ「せっかくアサシンもいることだし、その長所を生かさないのはもったいないもんな」

士郎「俺も賛成だ。アーチャーは?」

アーチャー「私も異論はない。こちらが暗躍している間に、ほかの陣営がつぶしあってくれれば御の字だな」

アーチャー(それに)

アーチャー(ココアの鍛錬の時間もほしい。それを考えれば、戦闘はできるだけ先延ばしにした方がいいだろう)

アーチャー(いや、鍛錬といえば……)

士郎「ん、なんだ、アーチャー?」

アーチャー「いや、なんでもない」

アーチャー(一見、バランスのいい同盟だが)

アーチャー(マスターは二人とも、爆弾を抱えているようだしな)

――ブルーマウンテン道場――

弟子一号「やばいやばい」

弟子一号「5次ハサンのしゃべり方がよくわからない」

アオヤマ「ココアさんと士郎さんの同盟が成立」

アオヤマ「その方針が決定したところで、今回は終了です」

弟子一号「今回も書き込みや安価の協力、ありがとうね」

弟子一号「また近いうちに更新すると思うわ」

アオヤマ「それでは、おやすみなさい~」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「士郎くんからSOSが来たので、記載しておきますね」

弟子一号「SOS?」


『このまま物語が進むと、俺はココアの家に泊まることになりそうだ』

『でもそうなれば、衛宮邸を空ける理由を藤ねえに説明しなくちゃいけない』

『だというのに、いい口実が思いつかないんだ』

『女の子を家に泊める言い訳はいくらでも用意できる気がするのに』

『俺が女の子のうちに泊まる言い訳が、まったく思いつかない』

『みんな、力を貸してくれ!』


弟子一号「え、こういうのありなの?」

アオヤマ「ここは2.5次元、常識は通用しません」

アオヤマ「というわけで、なにか良い知恵がある方は、書き込んでください」

アオヤマ「ひょっとしたら、士郎くんが、それを言い訳として使うかもしれません」

弟子一号「でも、使わないかもしれないわ。そこは了解しておいてね」

弟子一号「あと、もし採用された場合でも、これは安価に含まないわ」

アオヤマ「失礼いたしました。今度こそ、おやすみなさい」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「こんにちは~」

アオヤマ「士郎くんへのご協力、ありがとうございます」

弟子一号「何とかなるかもしれないわね」

弟子一号「アーチャー保護者説は盲点だったわ」

アオヤマ「それでは、本編を再開します」

弟子一号「ココアたちの、今後の方針が決まったところだったわね」

アオヤマ「今日もよろしくお願いいたします」


――ラビットハウススノウ・リビング――

士郎「ところで、ひとついいか?」

ココア「なに、士郎くん?」

士郎「俺はこの戦いで、マスターを殺すっていう戦法を」

士郎「とらないようにしたいんだ」

リゼ「不要な犠牲は避けたい、ということだな?それには、私も賛成だ」

リゼ(それに、もとは死者であるサーヴァントならともかく)

リゼ(人間の死を間近で見て、ココアが耐えられる可能性は低い)

ココア「うん、私も……」

アーチャー「ふざけているのか?衛宮士郎」

士郎「なに?」

アーチャー「これは文字通り戦争だ。敵は、お前たちが魔術師として三流であることに気づけば」

アーチャー「迷わずお前たちを狙ってくるはずだ。これだけでも大きなハンデだというのに」

アーチャー「私たちは敵のマスターを狙わない?これでは、勝てるものも勝てなくなる」

士郎「言ったはずだ、アーチャー。俺の目的は、聖杯が悪用されないようにすることだと」

士郎「だっていうのに俺が人を殺しちゃあ、意味がないじゃないか」

アーチャー「衛宮士郎。お前は本気で」

アーチャー「視界に入るすべてを救うつもりでいるのか」

アーチャー「救うことができると思っているのか」

士郎「っ……できるかどうかなんて」

アーチャー「これは、精神論で乗り越えられる壁なんかじゃない。すべての人間の前に立ちはだかる、世界のルールだ」

アーチャー「誰かを救うということは、誰かを救わないということだ」

リゼ「アーチャー、言いすぎじゃあ……」

アサシン「アーチャー殿の持論が正しいかどうかはともかく」

アサシン「私とアーチャー殿のコンビは、その性質上、索敵や奇襲に適性があるのは事実」

アサシン「この強みを最大限に生かすためには、敵のマスターを狙うのが最も効率が良いでしょう」

リゼ「確かに、そうだが……」

士郎「…………」

アーチャー「……らちが明かないな。ココア、君はどう思う?」

ココア「…………↓1」


1、「二人の言うとおりかもしれない。私は、負けるわけにはいかないから。アーチャー、積極的にマスターを狙って」

2、「二人の言うこともわかるけど……とりあえずは、士郎くんの方針でやってみようよ」

ココア「…………二人の言うこともわかるけど……とりあえずは、士郎くんの方針でやってみようよ」

ココア「私は、みんなとの平和な日常を取り戻したいけど」

ココア「そのために誰かが死ぬなんて、やっぱり嫌だから」

アーチャー「……だ、そうだが。どうする、アサシン?」

アサシン「どちらか一人だけならともかく、マスターが二人ともそうおっしゃるのなら無視はできますまい」

アサシン「それに、ここは民主主義の国ですからな。我々の負けですよ、アーチャー」

アーチャー「そうだな。だが、私はともかく、アサシンは聖杯を欲している。優先すべきは勝利だ、だから」

アーチャー「可能な限りは、衛宮士郎が提示した方針に従おう。ただし、我々の勝敗がかかった場合はこの限りではない」

アーチャー「これが、最大限の譲歩だ」

士郎「ああ、それで十分だ。みんな、ありがとう」

リゼ「よかったな、士郎、ココア」

ココア「うん!」

アーチャー「さて、そろそろ持っている情報を整理するべきだろう」

リゼ「ライダーとランサーについては、調べがついてるんだったな」

アサシン「はい。ライダーについては、マスターは遠坂凛。拠点はこの近くの遠坂邸」

アサシン「マスター、サーヴァント、ともに一流と言ってよいでしょうな。拠点の守りも堅い」

ココア「凛ちゃんが、ライダーのマスター……」

士郎「遠坂のこと知ってるのか?」

リゼ「ああ、一度だけ話す機会があってな……士郎も知ってるのか?」

士郎「同級生だよ。まあ、魔術師だっていうのはつい最近知ったんだけどな」

リゼ「?御三家のこと知らなかったのか?」

アサシン「マスターは魔術師といっても、もぐりのようなものですからな」

アサシン「魔術の世界の常識には疎いようで」

アーチャー「で、ランサーは?」

アサシン「マスターは外来の魔術師のようで、新都のホテルの一角を貸し切っておるようです。ただ……」

リゼ「ただ?」

士郎「あくまでアサシンの見立てだけど、どうもサーヴァントとマスターの仲が悪いらしい」

アサシン「あれが演技でないとすれば、仲間割れが起きても不思議ではありませんな」

リゼ「そんなにか……」

アサシン「マスターの力量は標準程度ですが」

アサシン「ランサーからは、ただならぬものを感じましたな。侮りがたい相手です」

アーチャー「ところで、ほかの3チームに関して、偵察が行き届いていないのはどういうわけだ?」

士郎「それが、ほかの3チームは引きこもって出てこないんだよ」

アサシン「拠点と思しき場所はいくつか候補がありますが」

アサシン「不用意に近づくのも危険ですからな。今日までは、拠点の外に出た者のみを監視しておりました」

アーチャー「なるほど。だが、同盟を結んだ今、もう少し強気でもよいかもしれないな」

アサシン「そうですな」

リゼ「やっぱり本名は、残りの御三家か?」

アーチャー「だろうな。無論、御三家だからと言って毎回参戦するわけではないが……」

ココア「…………」

リゼ「どうした、ココア?さっきから黙り込んで」

ココア「ねえ、リゼちゃん。ごさんけってなんだっけ?」

リゼ「お前……千夜からいろいろ教えてもらっただろ?」

ココア「あはは、やっぱり歴史は苦手で……」

リゼ「御三家っていうのは、冬木の聖杯戦争を創始した三つの家系のことだよ」

リゼ「遠坂、マキリ、アインツベルン」

リゼ「けど、それがどうかしたのか?」

ココア「…………」


↓1コンマ一桁が


偶数、「ココア、何も思い出さない」

奇数、「ココア、イリヤのフルネームを思い出す」

アオヤマ「>>235の『やっぱり本名は』は『やっぱり本命は』の誤りです。失礼いたしました」


ココア「…………」

ココア「…………」

ココア「…………」

ココア「あぅ」プシュー

士郎「ど、どうしたんだ、ココア!?」

ココア「ううん、なにか大事なことを思い出せそうな気がしたんだけど」

ココア「気のせいだったよ。気にしないで」

士郎「……あ」

リゼ「どうした、士郎?」

士郎「まずいことを思い出した。なあ、ココア。俺たちは今日からここに泊まることになるんだよな?」

ココア「うん、その方がいいでしょう?」

アサシン「無論ですな。あえて戦力を分散させることもありますまい」

士郎「ああ、それはわかってる。わかってるが……」

士郎「実は、藤ねえのことなんだ」

ココア「あの人がどうかしたの?」

士郎「藤ねえは俺の……なんだろう、保護者?みたいな人で、よく様子を見に来てくれるんだけど……」

リゼ「む、そうか。外泊の許可を取らなければならない、と。その藤ねえという人は、魔術のことは?」

士郎「何も知らない。もちろん、俺が魔術師だっていうことも」

ココア「魔術のことだけ隠して、正直に言っちゃうっていうのは?」

アサシン「そうなると、どういう感じになりますかな?」

アーチャー「魔術について隠すとなると、私たちのことも隠さざるを得まい。となれば」

アーチャー「思うところあって、ついさっき出会った年頃の少女二人と、一つ屋根の下で暮らすことにした」

アーチャー「こんな感じか」

士郎「言えるか!」

リゼ「じゃあ、なんとかしていい口実を考えないといけないな……」

士郎「そうだな……」

士郎「…………!?」ドクン

士郎(な、なんだ……?)

士郎(どんどんアイデアが湧き上がってくる……いや、俺の頭の中じゃないどこかから、降り注いでくるような感覚……)

士郎(これが、天啓ってやつなのか……!?)

士郎「……よし」

士郎「みんな、協力してくれ!」

アサシン「むむ、自信に満ちた表情をしておられますな」

アーチャー「独りよがりの愚策でないことを祈っておこう」

――衛宮邸・居間――

士郎「ただいま、藤ねえ。今日は部活、早かったんだな」

大河「おかえりなさい。ええ、そうなのよ、欠席した子が多くって、早めに切り上げちゃった」

大河「あ、そっちの二人は……」

ココア「こんにちは、保登心愛です」

リゼ「天々座理世です」

大河「はい、こんにちは。私は藤村大河。士郎にちゃんと案内してもらった?」

ココア「はい!冬木って、とってもいいところですね!」

大河「でしょう!私も好きよー」

士郎「ところで、藤ねえ。話があるんだ」

士郎「具体的な期間は未定なんだけど、俺、しばらく二人の家に泊まることにしたから」

大河「そっかー」

大河「……………………」

大河「……………………」

大河「……………………ん?」

大河「ええええええええええええええええ!?」

大河「なに言ってるの士郎!?お姉さん、そんなの許しませんからね!」ムキー

ココア「お、落ち着いてください!」

大河「離して、保登さん!私は切嗣さんから士郎を任されたんだから!不純異性交遊なんて……」

大河「それも、二人同時なんて、絶対許さないんだからああああああ!」

ココア「わぁっ!?り、リゼちゃんも手伝って!」

リゼ「お、おう!」

士郎「お、落ち着いてくれよ藤ねえ。そんなんじゃないんだ」

大河「そんなんじゃない!?美少女二人侍らせて、その二人と一緒に住もうとしてるくせに!」

士郎「本当にちゃんとした理由があるんだ、だから落ち着いてくれ、藤ねえ」

大河「…………」

大河「いいわ、そこまで言うんなら、聞かせてもらうわよ」

ココア「ふあぁ。すごい力だったねえ」

リゼ「日ごろから鍛えているんだろうな……」

士郎「いくつか理由はあるんだが、一つづつ説明するぞ」

士郎「まず、これはおれからお願いしたことなんだが、勉強を教えてもらおうと思って」

大河「なるほど、勉強合宿ってことね。でも、それなら同性の友達でもいいでしょう?」

士郎「そりゃあ、一成とか慎二とかに頼むのも考えたけど」

士郎「友達だからこそ、頼みづらいんだよ。藤ねえにはわからないかもしれないけど、しょうもないプライドっていうか」

大河「ふむ……ところで、保登さんたちは何年生なの?」

ココア「私が高1で、リゼちゃんが高2です」

大河「じゃあ、天々座さんに教わるってこと?」

士郎「いや、ココアだ」

大河「え?」

大河「なんかますます訳が分からなくなってきたんだけど」

士郎「ココア、143972+995559」

ココア「1139531!」

大河「!?」

士郎「学年なんて関係ない、数学と物理に関しては、俺よりココアの方がずっと上なんだ」

ココア「素数も任せてよ!」

大河「……い、いいわ、勉強合宿は認めてあげる。泊まった方が便利だっていうのもね」

大河「でも、それだけなら長くても2、3日でいいじゃない!なによ、しばらくって!」

士郎「ほかにもあるんだよ。ココアたちは最近引っ越してきたんだけど、家の備品とか設備とかが不調みたいで」

士郎「勉強を見てもらうお礼に、俺にできることをしてやりたいと思って」

大河「ぐ……確かに、それは泊まり込みの方が効率がいいわね……いつまでかかるかわからないし……でも……」

大河「そ、そうよ、保護者は!?いくらちゃんとした理由があるからって、監督する人がいないと……」

士郎「そうか……なら仕方がない。アーチャー」

アーチャー「…………」

大河「あ、あなたは……?」

アーチャー「私は切嗣の知り合いで、アーチャーと呼ばれている」

大河「切嗣さんの人脈ってすごいわね」

アーチャー「実は彼から生前、自分にもしものことがあれば衛宮士郎とココアたちの面倒を見るよう、頼まれていた」

大河「む、私以外にも……切嗣さん、士郎のことほんとに大事にしてたもんねぇ……」

アーチャー「私では、あなたの代わりは務まらないだろうが」

アーチャー「わずかな間だけでも、私が彼らの保護者の任を全うしたいと思っている」

アーチャー「どうだろうか」

大河「…………わかった。ただし」

大河「条件があるわ」

アーチャー「条件?」

大河「アーチャーさん」

大河「私と、剣で勝負して」


アーチャーVS藤村大河、見ますか?↓1

1、「見る」

2、「見ない。早く先に進めよう」

――衛宮邸・道場――

大河「おまたせ、アーチャーさん。真剣勝負だから、やっぱり道着じゃないと」

大河「アーチャーさんはそのままでいいの?」

アーチャー「これが私の正装だからな」

士郎「一応、俺が審判をするけど……」

大河「はじめ、の合図だけでいいわ。勝ったか負けたかくらい、自分でわかるもの」


ココア「タイガさん、凛々しくてかっこいいね」

リゼ「ああ、さっきまでとは雰囲気が違う。歴戦の戦士のそれだ」

リゼ(さすがに決闘っていう形で、サーヴァントが人間に負けるはずはないだろうが……)

ココア「そういえば、人間相手とはいえ、アーチャーが戦うところを見るのは初めてだね」

リゼ「弓兵の割には、竹刀の構えが様になっているな」


士郎「ふたりとも、準備はいいな?」

大河「うん」

アーチャー「いつでもいいぞ」

士郎「…………」

士郎「はじめっ!」

大河「先手必勝っ!」

アーチャー「!」

リゼ「迅い!?」


スパアァァァァン


ココア「…………?」

ココア「え、なになに!?終わったの!?」

大河「…………」

大河「うわああああああん!負けたああああああ!」

アーチャー(ほんの少し手を抜いて、拮抗させてみるという手も、ないではなかった)

アーチャー(だが、あなたはそういう勝負を望む人ではないだろう。あるいは……)

アーチャー(この結果も、覚悟の上か)

士郎「い、一本!勝負あり!」

リゼ(藤村大河も、相当な実力者だ。それは、最初の一太刀でわかる)

リゼ(だが、アーチャーはそれをあっさり後手で破った)

リゼ(これがサーヴァントか……竹刀どころか、身体の動きすら目で追えなかったぞ)

――衛宮邸――

大河「うぅ……」

大河「でも、負けは負けよね……アーチャーさん、士郎のこと、よろしくお願いします」

アーチャー「ああ」

大河「よかったら、士郎のことも鍛えてあげて。なんか、なんとなくだけど……」

大河「士郎が成長したらあなたみたいな戦い方をするようになるかも……」

大河「そんな気がしたから」

士郎「え……?」

アーチャー「…………」

アーチャー「考えておこう」

大河「保登さんと天々座さんも、士郎のことよろしくね」

ココア「はい!」

リゼ「今日は、お邪魔しました」

大河「うん。また遊びに来てね」


――ラビットハウススノウ――

アサシン「私はお留守番……」

アサシン「当然ですな、私のような者が一般人の前に姿を晒せば、恐怖以外に何を与えられよう」

アサシン「現代の服を着ようにも、仮面を外せない以上、余計不気味になるばかり……」

アサシン「…………」

アサシン「一人で飲む紅茶は、あまり美味しくありませんなあ」

――ラビットハウススノウ――

ココア「ただいまー!」

アサシン「おかえりなさいませ。いかがです、首尾は?」

士郎「なんとかうまくいったよ。みんなのおかげだ」

リゼ「これで、聖杯戦争に集中できそうだな」

アーチャー「基本的に、活動するのは夜間になるだろう。もう少し時間があるが、それまでどうする?」

ココア「↓1」


1、「魔術の練習をしよう。アーチャー、手伝ってくれる?」

2、「士郎くんの魔術を見てみたいなあ」

ココア「士郎くんの魔術を見てみたいなあ」

リゼ「そうだな、戦力を確認しておくのは重要だ」

ココア「確か、士郎くんの魔術って……」


この世界の衛宮士郎は、自分の投影魔術の可能性に↓1(コンマ一桁目)

1~9、「気づいていない」

0、「気づいている」

ココア「強化、だっけ」

士郎「ああ、モノに魔力を通して強化する……っていっても、まだまだ不安定で、なかなか成功しないんだ」

アーチャー「余っている時間は、訓練に回したほうがよさそうだな。まあ、いい。とりあえずやってみろ」

士郎「どうして上から目線なんだ……」

リゼ「これなんかどうだ、士郎?箒が少し余っててな」

士郎「おお、ありがとう」

ココア「わくわく」


士郎の強化魔術は↓1(コンマ一桁目)

1~7、「失敗」

8~0、「成功」

士郎「…………」

士郎「『同調、開始(トレース・オン)』……」

ココア「どきどき」

リゼ「…………」

バチッ

士郎「っ……」

ココア「わっ!?士郎くん、大丈夫?」

士郎「ああ……けど、失敗だ。悪い、箒、ダメにしちまった」

リゼ「別にいいさ。鍛錬のためなら、この家の品は、いくらでも使いつぶしてくれて構わない」

士郎「はは、ありがたいと同時にプレッシャーだな」

アーチャー「アサシン」ボソッ

アーチャー「衛宮士郎が強化魔術に成功したところを、見たことがあるか?」

アサシン「いえ、ありませぬ。鍛錬は毎日欠かさず行っておるのですが」ボソッ

士郎「失敗しちまったけど、今度はココアの魔術を見せてもらおうかな」

ココア「いいよ!ふふん、結界もうまくいったし、なんとかなるよね!」

リゼ「あんまり調子に乗るなよー」

士郎「ココアの魔術は、合成だったな」

ココア「うん、とりあえず……」

ココア「クラッカーと発煙筒を合成するよ!」

士郎「なんだそのチョイス」

リゼ「使えそうなものは、片っ端から持ってきたんだ」


ココアの合成魔術は↓1(コンマ一桁目)

(戦闘力1補正により-2、魔力6補正により+1)

※今のココアちゃんは魔術の行使に関して自信に満ちているので、下降補正が緩和されています

1~5、「失敗」

6~0、「成功」

5-2+1=4


ココア「『合成開始(コネクト・スタート)』 ……」

ココア「…………」

ココア「わぶっ」

ボンッ

リゼ「わあっ!発煙筒の煙があ!?」

士郎「窓!窓開けろ窓!」

リゼ「あ、ああ!」

パアンッ

ココア「ぴゃあっ!クラッカーが勝手に鳴ったぁ!」

士郎「驚いてる場合じゃ……ってなんだ、この煙の量!」

リゼ「この発煙筒は、天々座家特製の逸品だからな」キリッ

士郎「自慢してる場合か!」

アーチャー「…………」

アサシン「…………」

アーチャー「正座だ」

ココア「えっ」

士郎「アーチャー……?」

アーチャー「正座だっ!」クワッ

ココア士郎「ひえっ」

リゼ「……まあ、自業自得というか」

アサシン「これでは、夕食までアーチャー殿のお説教タイムでしょうな」

アサシン「いかがですかな、リゼ殿。私たちは体術の訓練でも」

アサシン「お望みなら、暗殺者としての技術も伝授いたしましょう」

リゼ「なに、本当か!?暗殺のエキスパートに教えてもらえるとは光栄だ!」

アサシン「気配遮断等のスキルもありませんし、人間の身で習得できるものには限度がありましょうが」

リゼ「構うものか!ぜひよろしく頼む」


リゼの暗殺者としての素養↓1(コンマ一桁目、数字が高いほど適性が高い、0は10扱い)

アサシン「ふむ……」

リゼ「ど、どうだ?」

アサシン「歯に衣を着せずに申しますと」

アサシン「向いていないようですな」

リゼ「ぐっ……そ、そうか」

アサシン「まあ、気を落とすことはありませぬ。もとより才能に大きく左右される分野」

アサシン「それでなくても、あなたは基礎能力は高い。暗殺者としての才能はなくとも」

アサシン「私から、なにかを盗むことはできましょう。精進なされ」

リゼ「アサシン……!」

リゼ「いや、教官と呼ばせてくれ!」

アサシン「教えるのは専門ではありませんが……あなたが望むのならば」

――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「つ、疲れたよぉ~」

ココア「アーチャー、話長いぃ……」

アーチャー「……ああ、自分でも、少し感情的になりすぎたと反省している」

士郎「けど、まあ、あれだけ言われると奮起する気になるってもんだ。ところで……」

リゼ「教官、こちらへ!」

アサシン「ああ、ありがとうございます」

リゼ「のどが渇いているだろう?なにを所望する?」

アサシン「そうですなあ、アーチャー殿の紅茶を」

リゼ「アーチャー!紅茶だ!」

士郎「あれはなんだ?」

アーチャー「随分となついているようだな。アサシンも、満更ではなさそうだ」

ココア「なんか、リゼちゃんかっこいい!雰囲気が軍人っぽいよ!」

アーチャー「ほら、入ったぞ」

リゼ「どうぞ、教官」

アサシン「ありがとうございます。ああ、おいしい」

士郎「もういい時間だな。泊めてもらう身だし、晩飯はおれが作るよ」

ココア「士郎くん、料理できるんだ!?」

士郎「自慢できるほどのものじゃないけどな。なにか、食べられないものとかあるか?」

ココア「うーん、トマトはちょっと苦手かな」

士郎「わかった。リゼは?」

リゼ「特にないな。好き嫌いをしては、強い体はつくれないからな」

士郎「リゼらしい言い分だ。じゃあ、少し待っててくれ」


――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「急に席を外してすみませんでした。このあたりで一度中断しますね」

弟子一号「今日中には、再開すると思うわ。それにしても、このマスターたちは大丈夫かしら?」

アオヤマ「まだまだ発展途上、ともいえますから」

アオヤマ「それでは、また後程お会いいたしましょう」

アオヤマ「では、そろそろ再開しますね」

アオヤマ「ちなみに、>>1さんには士郎くんのおいしい料理を描写する能力がないので」

アオヤマ「食事のシーンでは、ココアさんたちのリアクションのみをお楽しみください」

アオヤマ「気になる方は、原作を再プレイしてくださいね」

弟子一号「丸投げじゃない……」


――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「おいしい!」

ココア「士郎くんすごい!将来は料理人かな?」

士郎「そこまでほめられると、さすがに照れるな」

ココア「ハッ!」

ココア「街の国際バリスタ弁護士として小説を書きながら、パンを焼くのが得意な料理人として生きるのもいいかも……」

リゼ「夢が膨らみすぎだ」

リゼ「しかし、本当に美味いな。士郎の恋人になる女は大変そうだ」

士郎「ああ、いつだったか、藤ねえにも同じこと言われたなあ。相手なんていないけど」

アーチャー(どの口が……)

ココア「おかわり!」

士郎「お、もう食べたのか。ちょっと待っててくれよ」

アサシン「どうかしましたかな、アーチャー殿。眉間にしわを寄せて」

アーチャー「いや、少し思うところがあってな。食事中に話すのも気が引けてな」

アサシン「そうですな……」

ココア「おいしい!幸せ!」

リゼ「しかし、料理の腕で男に劣るというのは……く、恥を忍んでレシピを聞いてみるか……?」

アサシン「こうして見ると、皆年相応の若者ですからなあ」

アーチャー「そういえばアサシン、顔がないのに、どうして飲食が可能なんだ?」

アサシン「おやおや、それはタブーですよ、アーチャー殿」

アサシン「なんかこう」

アサシン「うまいことやって摂取するのですよ」

アーチャー「……そうか。まあ、深くは追及すまい」

ココア「ごちそうさま!」

リゼ「ごちそうさま」

士郎「お粗末様。悪かったな、片付け手伝わせちゃって」

リゼ「おいしい料理をごちそうになったんだ、それくらいさせてもらわないと罰が当たる」

ココア「ねー」

アーチャー「……もう外も暗い。動くなら、いい頃合いだ」

アサシン「そうですな。ところで、アーチャー殿。先ほどの、思うところというのは……」

アーチャー「ああ、昼の件でわかったことだが」

アーチャー「我々のマスターは、自衛可能かどうかすら怪しい程度の三流だ」

ココア「うっ」

士郎「ぐっ」

アーチャー「だが、5人という少数とはいえ、我々は一つの組織」

アーチャー「一度決めた方針をあっさり変えるのも、考え物ではある」

アーチャー「たまには、リゼの意見も聞いてみたいものだな」

リゼ「む、そうだな……↓1」


1、「一度決めたことだ。最低でも今日くらいは、総出で諜報活動を行うべきだろう」

2、「アーチャーの懸念ももっともだ。諜報はアサシンに任せて、ココアと士郎は訓練に専念した方がいいだろう」

リゼ「組織の秩序は重んじなければならない」

リゼ「一度決めたことだ。最低でも今日くらいは、総出で諜報活動を行うべきだろう」

アーチャー「そうだな。諜報に徹すれば、ココアたちが危険にさらされることもないだろう」

ココア「どこに行くの?アサシンが言ってた、拠点の候補?」

アーチャー「いや、敵陣営が出払っている可能性を考慮して……まずは、見通しのいい場所に移るべきだろう」

アーチャー「新都におあつらえ向きのビルがあったな」

士郎「ああ。それに、5人という手数も生かせる」

アサシン「敵を発見したなら、私が陽動、アーチャー殿が狙撃……こういうことですかな?」

アーチャー「そうだな。ココア、どうだ?」

ココア「うん、それでいこう」

――新都・センタービル――

ココア「わあ、風が気持ちいい」

士郎「新都で一番高いビル、その屋上。ここなら、問題はないな?」

アーチャー「ああ。夜間だが、私なら問題なく遠くまで見渡せる……む」

リゼ「アーチャー?」

アーチャー「サーヴァント同士が交戦している。どちらかが倒れるのを待つのも手だが……」

アサシン「ひとまず、私が向かいましょう。向こうでの行動は?」

アーチャー「お前に一任しよう。こちらも、勝手に判断して矢を放つ。巻き込まれるなよ」

アサシン「戯れを申されるな」

アサシン「では、アサシン。参る」

士郎「ああ、頼んだぞ。気を付けてな!」

アーチャー「さて、ここが襲撃される可能性も、無きにしも非ず」

アーチャー「お前たちはどこかに隠れ……」

ココア「ん?ねえ、なんだろう、あれ」

リゼ「あれ?」

ココア「ほら、上の……」

アーチャー「いかん!お前たち、あれを見ては……!?」

士郎「な、なんだ……!?」

リゼ「体が……」

ココア「動か、ない……」

???「ほんの少し、気づくのが遅かったようですね」

凛「まあ、仕方がないわ。新都で一番高いところの上に敵がいるなんて、思いもしないでしょうし」

アーチャー「石化の魔眼に、ペガサス……!」

凛「やって、ライダー」

ヒュッ

ビチャアッ


【DEAD END】


ラビット道場に送還されます

――ラビット道場――

ちの「このスレ初めての戦闘シーン(一方的な嬲り殺し)」

ちの「および初めてのDEADEND、おめでとうございます」

ちの「私はこの道場のちのです」

ちの「ごちうさのチノとは、見た目と声と性格が似ているだけで」

ちの「全くの別人です」

ちや「おなじく、ごちうさの千夜ちゃんとはただの似た者同士の、ちやよ」

ちや「よろしくね」

ちや「本当は、アオヤマさんたちのブルーマウンテン道場がBADEND救済を兼ねるはずだったんだけど」

ちの「思ったよりもアオヤマさんたちの出番が増えすぎたので、私たちに白羽の矢が立ちました」

ちの「本編でココアさんかリゼさんが死亡、もしくは再起不能な状態になったら」

ちの「皆さんは強制的にここに送られます」

ちや「じゃあ、本題に移りましょう。どうしてココアちゃんたちは死んでしまったのか」

ちの「自衛ができないのに戦場に行くなんて狂気の沙汰です」

ちの「あと、お気づきの方もいると思いますが」

ちの「諜報に素人がついて行っても何の足しにもなりません」

ちや「アサシンとアーチャーだけで十分なのよねえ」

ちの「戦の極意は適材適所、みんなが己の役割を理解しなければなりません」

ちや「まあ、それをかんがえると>>214の選択肢は不十分だった気がするけど……」

ちの「とりあえず、>>274にお戻りください。誤らなければ、先に進めるはずです」

ちや「それじゃあ、またね~」

ちの「挨拶はそれでいいのでしょうか」

リゼ「む、そうだな……」

リゼ「アーチャーの懸念ももっともだ。諜報はアサシンに任せて、ココアと士郎は訓練に専念した方がいいだろう」

士郎「ち、ちょっと待った!ということは俺とココアは」

ココア「朝も昼も夜も訓練……」

士郎ココア「アーチャーの指導の下!?」

アーチャー「なんだ、不服か?」

士郎「くっ……だが、俺の魂を揺さぶるような皮肉(助言)をくれるのも事実……!」

ココア「それに、みんなの足を引っ張るわけにはいかないし……」

アーチャー「決まりだな。リゼはどうする?」

アサシン「二人よりは、自衛の手段には長けております。ただ……」

アサシン「サーヴァントが私だけとなると、もしもの時に守りきれませぬ。私一人が逃げおおせる自信はありますが……」

リゼ「問題ないぞ、教官!先ほどの教えを我が物にすべく、決死で鍛錬する所存である!」

アサシン「では、私一人で行ってまいりましょう。アーチャー殿、任せましたぞ」

アーチャー「ああ。不要に藪を刺激して、蛇を出さぬよう用心しろよ」

士郎「頼んだぞ、アサシン!」

アサシン「は。サーヴァントアサシン、参る」

えーと・・・これは、このレス(>>281)で安価を再決定なのかな?
もしそうなら分かりやすくもう一度>>274を貼ったほうがいいかと
違うならすまん

どちらの様子を見ますか?↓1

1、「アサシンの偵察」

2、「ココアたちの修業」

アオヤマ「>>282さん、わかりにくい書き方になっていましたね、申し訳ありません。次があれば気を付けます」

アオヤマ「おっしゃるとおり、>>274の安価を>>281にて再決定した形です」


――ラビットハウススノウ・工房――

アーチャー「衛宮士郎、お前の投影魔術が特異であるという点は、さっきの問答で判明している」

士郎「問答っていうか……あれただのお説教……」

アーチャー「何か言ったか?」

士郎「……空耳だろ」

アーチャー「ふん、憎らしい男だ」

アーチャー「お前がやるべきは強化の鍛錬などではない、投影の鍛錬だ」

士郎「…………正直、俺自身にも俺の魔術はよくわからない」

士郎「なのになんで、お前はそう断言できるんだ?」

アーチャー「言うまでもない、強化の成功率が著しく低いのに対し」

アーチャー「投影はそうではないのだろう?」

士郎「けど、外側を模倣してるだけだ。これじゃ成功とは呼べない」

アーチャー「成功でないにしろ、失敗ではないはずだ。すくなくとも、強化に比べればな」

アーチャー「ならば、お前に馴染む可能性があるのは、投影魔術ということだ」

アーチャー「今日は、これをひたすら投影しろ。終わりに、成果を確認してやる」

士郎「これって……剣、か?」

アーチャー「この家から借りたものだ、魔術的な価値はない」

アーチャー「では、また様子を見にくる」

士郎「ああ」

アーチャー(我ながら、余計なことばかりしゃべっているな。奴に塩を送るなど)

アーチャー(マスターの意向で同盟を結ぶに至ったとはいえ、私の目的は変わっていないはず……だというのに)

アーチャー(なにが、私を突き動かしている……?)


――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「あ、アーチャーぁぁ……」

アーチャー「雪をかぶったように一面真っ白だと……」

アーチャー「な、なんだこれは。私は安全性を考慮して、画鋲とボールペンの合成をするように言ったはずだが」

ココア「うん、でも全然できなくて……ひょっとしたら、ほかのものならできるかもって……」

ココア「卵と小麦粉を……」

アーチャー「魔術は料理じゃないんだぞ……」

アーチャー「…………卵と小麦粉?」

アーチャー「…………」

ココア「どうしたの、アーチャー?急にウロウロしだして……」

アーチャー(間違いない。部屋に散布されたのは小麦粉だけ)

アーチャー(卵であったものは、殻も卵黄も卵白も、どこにもない)

アーチャー(ということは……)

アーチャー「……」ペロッ

ココア「あ、アーチャー?」

アーチャー(卵の味だ。ならば、これは成功している)

アーチャー(しかし、なぜ成功率にばらつきが出る?彼女の言うとおり、モノによるのか、あるいは……)

アーチャー「ココア」

ココア「な、なに?」ビクッ

アーチャー「そう怯えるな、叱責するつもりはない」

アーチャー「小麦粉と卵を合成するとき、どういう心境だった?何を考えていた?」

ココア「うーん……なんというか」

ココア「楽しい感じだよ。料理してるみたいで」

アーチャー「では、結果として失敗した……クラッカーや、ボールペンの時は、何を考えていた?」

ココア「えっと……成功しろ、成功しろー、って感じ」

アーチャー「楽しいとは、思わなかったか?」

ココア「え?うーん、どうだろ……」

アーチャー(ありえるのか……?)

アーチャー(ココアの合成魔術成功の条件が、ココアが魔術自体を楽しむことである、などということが……)

アーチャー「試してみる価値はある、か」

ココア「え?」

アーチャー「ココア、もう成功させなくてもいい。ただ楽しむことだけを考えて」

アーチャー「好きなものを、好きなように合成してみろ」

ココア「え、それでいいの?」

アーチャー「ああ、家も好きなだけ汚していい。後で私が片づける」

ココア「…………」

アーチャー「なんだ?」

ココア「……怒らない?」

アーチャー「ああ、怒らない」

ココア「!」

ココア「わかった、好きなようにやってみるよ!」

――ラビットハウススノウ・庭――

アーチャー「どうだ、リゼ。はかどっているか?」

リゼ「おお、アーチャー」

リゼ「理屈は理解したつもりなんだがな、どうにも難しい」

リゼ「手を足のように使い、足を手のように使う」

リゼ「壁くらい走れないと、サーヴァントには瞬殺されるといわれた」

アーチャー「それでさっきから塀に突撃していたのか」

アーチャー「人間が修得するべき技術ではない気がするが」

リゼ「だが私は、マスターでも……まして、魔術師でもないのに、この戦いに参加している」

リゼ「ココアの足を引っ張るわけにはいかないんだ」

アーチャー「…………」

アーチャー「リゼ、試合をしてみないか?」

リゼ「え?」

アーチャー「サーヴァントと相対する場面が、この先、絶対にないとは言えない」

アーチャー「お前は、自分が生き残れる可能性を知ったうえで、鍛錬をするべきだ」

アーチャー「私の攻撃を、ただ避けろ。反撃の隙も、逃げるチャンスもうかがわなくていい」

リゼ「わかった。よろしくたのむ」


リゼの回避力↓1(コンマ一桁目、数字が高いほど能力が高い、0は10扱い、戦闘力7補正により+2)

2+2=4


アーチャー「フッ!」

リゼ「ぐああっ!」ドサッ

アーチャー「やはり、鍛えているだけのことはあるな」

アーチャー「並の人間が相手なら、苦労はないだろう。だが……」

リゼ「サーヴァント相手だと、20秒はもたないな……いたた」

アーチャー「当面は、攻撃よりも回避に重点を置いた方がいいかもしれん」

アーチャー「攻撃は当てられなければ意味はないが、回避する力は、どんな敵が相手でも一定の効果を発揮する」

リゼ「わかった……手合せ、感謝する。アーチャー」

アーチャー「さて、今日はこのくらいにしておこう」

アーチャー「最後に、今日の訓練の成果を見せてもらうことにする」

アーチャー「まずは、衛宮士郎」

士郎「…………」

アーチャー「ものの数時間で、見違えたものだな。どうだ、手ごたえは」

士郎「どうだろうな。ただ」

士郎「昼間の俺とは、違うぞ」

アーチャー「期待せずに見守ってやろう」

ココア「士郎くん、頑張って!」

リゼ「いけるさ、お前なら!」

士郎「ああ、ありがとう」

士郎「…………」

士郎「……『投影、開始(トレース・オン)』」


士郎が投影した剣↓1(コンマ一桁目)

1234、「カタチは模倣できているものの、なまくら」

567、「本物ほどではないが、実用に耐える複製品」

890、「本物に迫る複製品」

ココア「これが……」

リゼ「投影魔術……!」

アーチャー「……」

アーチャー「ふっ!」

ヒュッ

バキンッ

ココア「あっ」

リゼ「塀にたたきつけただけで、砕けてしまった……」

アーチャー「話にならんな」

士郎「っ……」

アーチャー「だが……」

アーチャー「ようやくスタートラインに立ったな、衛宮士郎」

士郎「な、に……?」

アーチャー「これがなまくらなのは、お前のイメージが未熟だからだ」

士郎「イメージ……」

アーチャー「お前が想像すべきは、美しい剣でも、頑丈な盾でもない」

アーチャー「イメージするのは、常に最強の自分だ」

アーチャー「外敵など要らぬ。お前にとって戦う者は、自身のイメージに他ならない」

士郎「自身の、イメージ……」

アーチャー「また、しゃべりすぎてしまったな」

アーチャー「次は、ココアの番だ。見せてみろ」

ココア「ふふん、わかったよ!」

リゼ「な、なんだ、ココア。楽しそうだな」

ココア「そうだよ、リゼちゃん!魔術はねえ、楽しいの!」

士郎「ココアが持ってきたのは……ウサギのぬいぐるみと」

リゼ「バネ、か……?」

ココア「いくよ!『合成開始(コネクト・スタート)』!」

士郎「あれ、バネが消えた……?」

ココア「見てて見てて!それっ」ポーン

ビョンビョン

ビョンビョン

リゼ「なっ……ウサギのぬいぐるみが」

士郎「跳ねてる……!」

ココア「やった、成功!」

アーチャー「ココア、あれから行った合成魔術」

アーチャー「成功率はどの程度だった?」

ココア「えっとねー……↓1(コンマ一桁目)」


1234、「三割程度」

567、「五割以上」

890、「八割以上」

ココア「あれだけやって……あれだけ失敗したから……」

ココア「半分くらいは成功だったよ」

リゼ「おお、やるじゃないか、ココア!」

アーチャー「すぐに実戦に応用できるとまでは言えないが、悪くない結果だ」

ココア「えへへ」

アーチャー(問題は、戦闘で使用する合成魔術をココアが楽しいと思えるかどうか)

アーチャー(あるいは、戦場で楽しいという感情を抱けるかどうか、か)

アーチャー「結果にこそ差はあったが」

アーチャー「二人とも、今の方針で続けていけばおそらく芽が出るだろう。方向性は間違っていないはずだ」

士郎「わかった。必ずものにしてやる」

ココア「うん、もっと楽しいこと探すよー!」

アーチャー「最後はリゼだが……どうする?さっきの傷が痛むなら、無理にとは言わないが」

リゼ「バカを言うな、あんなのはかすり傷だ」

リゼ「たった数時間……だが、敗北の屈辱に突き動かされた数時間だ」

リゼ「さっきのようにはいかないぞ」

アーチャー「いい目だ。お前のような人間が味方であることを喜ぶべきか」

アーチャー「お前がマスターでないことを嘆きべきか……」

リゼ「御託はいい。こい、アーチャー」

アーチャー「いいだろう、失望させるなよ!」


リゼの回避力↓1(コンマ一桁目)

※リゼは敗北により成長しているので、4以下の場合は5として扱います

 また、数時間での急成長もありえないので、8以上の場合は7として扱います(0はこのかぎりではありません)

1→5


ココア「リゼちゃん、頑張れー!」

士郎「いけ、リゼ!」

リゼ「はっ……はぁっ……」

アーチャー(やはり、身体は動くな。私の動きなど、まともに見えていないはずだが……)

アーチャー(だが、耐えた時間は先ほどとあまり変わらないか……)

アーチャー「ふっ!」

リゼ「くっ……」

リゼ「あああっ!」

アーチャー「っ!」

アーチャー(避けたか……!)

ココア「リゼちゃん、すごい!」

士郎「いや、ダメだ!あの動きじゃあ……」

アーチャー(そうだ、あと二手で……)

アーチャー「詰みだ!」

リゼ「ぐぁっ!」

ココア「リゼちゃん!」

ココア「リゼちゃん、大丈夫!?」

リゼ「ああ、大丈夫、だ」

リゼ「ふう……大見得切ってみたが、やっぱり強いなあ」

士郎「いや、すごかったぞ、リゼ!」

アーチャー「ああ、わずか数時間で記録更新とは、大したものだ」

リゼ「まだだ、まだ足りない。アーチャー」

リゼ「これからも、付き合ってくれるだろうな……?」

アーチャー「もちろんだ」

アーチャー「頼まれずとも、やってやるつもりでいるが」

アーチャー「そろそろアサシンも帰ってくるだろう。お前たちは風呂に入って、すぐに休め」


アサシンの偵察の様子を見ますか?↓1

1、「見る」

2、「見ない(偵察の成果だけ確認します)」

アオヤマ「アサシンがラビットハウススノウを出たところまで、時間が巻き戻ります」


アサシン(偵察に出るのは初めてではありませんが……)

アサシン(敵が六人いるときとは、心の軽さが違いますねえ)

アサシン(これが、同盟という安心感……)

アサシン(いや、私が個人的に、彼らを好いているのかもしれませんな)

アサシン(さて、偵察については一任されましたが……どうするべきか)

アサシン(ここは↓1に行ってみましょう)


1、「新都」

2、「柳洞寺」

3、「遠坂邸」

4、「間桐邸」

5、「アインツベルンの森」

6、「冬木教会」

アサシン(以前はほとんど意図的に避けていましたが……同盟という後ろ盾がある今、強気に出るのも手)

アサシン(冬木で最高の霊地とされる、柳洞寺……!)

アサシン(ここを拠点とするマスターが現れても、おかしくはない)


――柳洞寺――

アサシン(……サーヴァントはおろか、人の気配もない。外れだったのでしょうか……)

アサシン(………………)

アサシン(人の気配もない……?)

アサシン(…………!)


――柳洞寺・内部――

アサシン(これは、間違いない)

アサシン(魂喰い……!)

アサシン(どうりで人の気配がしないはず。しかし、ということは)

アサシン(ここを拠点にしているマスター、あるいはサーヴァントは)

アサシン(過剰に魔力を欲している……もしくは、魔力不足に悩まされている、ということか)

アサシン(いま留守なのは、敵サーヴァントを探しに行っているのか、あるいは魂喰いの標的を求めているのか)

アサシン(…………)

アサシン(これ以上ここにいても収穫はなさそうですな)

アサシン(さて、もう一か所くらいなら行けそうですな)

アサシン(次は↓1に行ってみましょう)


1、「新都」

2、「遠坂邸」

3、「間桐邸」

4、「アインツベルンの森」

5、「冬木教会」

アサシン(こちらも、罠の匂いしかしないから避けていましたが)

アサシン(そろそろ、野放しにはできますまい)

アサシン(郊外の……たしか、アインツベルンの森と呼ばれていましたな)


――アインツベルンの森・入口――

アサシン(森自体にも結界が施されているようですが……)

アサシン(気配遮断さえ維持していれば、恐るるに足らず)

アサシン(突入しましょう……!)


――アインツベルンの森。内部――

アサシン(この手の込んだ、強力な罠の数々……)

アサシン(現代の魔術師に可能な業ではない……となれば)

アサシン(アインツベルンと契約しているのは、キャスターか……!)


――アインツベルン城――

アサシン(さすがに、城の周辺は守りがより堅牢……)

アサシン(これ以上近づけば、いくら私でも、気づかれるやもしれない)

アサシン(此度の任務は、あくまでも偵察……これ以上の無理はすまい)

アサシン(なんとかここから、見える範囲で敵情視察を……む、あれは)

アサシン(キャスターのマスターか……?)


イリヤの状態↓1(コンマ一桁)

偶数、「キャスターに操られ、傀儡にされている」

奇数、「キャスターと仲良し」

アサシン(強力な魔力を感じ……いや、これは)

アサシン(確かに、彼女自身も強大な魔力を宿している。しかし)

アサシン(同時に、彼女浸食するような魔力の流れが……それに)

アサシン(呆然と椅子に腰かけるだけ……目も虚ろだ)

アサシン(なるほど、キャスター……何が気に食わなかったかは知らないが)

アサシン(彼女を傀儡にしたか)


アサシン(さて、今日のところは撤退しよう)

アサシン(収穫も決して少なくはなかった。同盟による……いや)

アサシン(戦友のいる心の余裕の、なんと心地よいことか)


士郎たちの様子(風呂に入って寝るまで)を↓1

1、「見る」

2、「見ない、はやく三日目にいこう」

――ラビットハウススノウ・リビング――

リゼ「風呂だが、私は最後でいいぞ」

士郎「わかった。ココアはどうする?」

ココア「うーん……士郎くん、お先にどうぞー」

士郎「じゃあ、そうさせてもら……大丈夫か、ココア?」

ココア「うん、らいじょ、ぶ」

ココア「ふにゃあ」グテー

リゼ「疲れてるみたいだな。今日は忙しかったし、仕方ない」

士郎「先に入らせた方がいいんじゃないか?」

リゼ「いや、中途半端にぼんやりしたまま風呂場に行く方が危ない」

リゼ「先に入ってこいよ、士郎」

士郎「それもそうか」

士郎「ありがとう、先に入らせてもらうよ」

――ラビットハウススノウ・風呂――

ザバー

士郎「ふう」

士郎(屋敷自体は衛宮邸の方がでかい気がするけど)

士郎(風呂は似たようなもんだな。これなら二人くらい入っても余裕そうだ)

士郎(…………)

士郎(二人、か)

士郎「……っ、いかんいかん」

士郎(あの二人はともに戦う仲間だ、そんな目で見るわけには……)

士郎(……ただ、忙しくてそれどころじゃなかったけど、今思い出すと)

士郎(あの二人、けっこう可愛……)

ガラガラ

士郎(……………………)

士郎(……………………ん?)

士郎(い、今、更衣室の扉が開いた音がした気がしたが……)

士郎(そ、空耳だよな……俺、疲れてるし……)

士郎(そ、そうだよ、気のせいだ)

士郎(ガラスの向こうに小柄な影が見える気がするけど、それも全部俺がつかれてるからで……)

ガラッ

士郎「…………」

ココア「ほえ?」ボー

士郎「…………」

ココア「…………」ボー

士郎「…………」

ココア「…………」ハッ

ココア「ぁ、ああ……//」ワナワナ

士郎「落ち着けココア、これは事故で」

ココア「きゃああああああぁっ!」

ココア「なんで!?士郎くんなんで!?」

士郎「なんでもなにも……」

士郎「……ココア//」

ココア「え?」

士郎「前、隠せ//」

ココア「…………」

ココア「わあああああああああぁん!」

ピシャッ

オヨメニイケナイィィィ

士郎「あ、焦ったぁ……」

士郎「しかし、綺麗な肌だっ……」

バァン

リゼ「士郎ぉぉ!ココアに手を出すとはどういう了見だぁぁぁ!」ブンッ

桶「ダイレクトアタック!」

士郎「いや、それは勘違ブホッ!?」

リゼ「これに懲りたら……って」

リゼ「そ、そんなものを見せるなあぁぁぁっ!」

ピシャッ

ダダダダダダダダダッ

士郎「な……」

士郎「なんでさ……」ガクッ


この後めちゃくちゃアーチャーに怒られた


【二日目・終了】


ほかの陣営の様子を↓1

1、「見る(アーチャー、アサシン以外)」

2、「見ない、早く三日目にいこう」

1

アオヤマ「ほかの陣営の様子を見ます」

アオヤマ「どこにしますか?一つだけ選んでください」↓1


1、「キャスター陣営」

2、「バーサーカー陣営」

3、「ランサー陣営」

4、「ライダー陣営」

5、「セイバー陣営」

アオヤマ「>>325さん、了解しました」

アオヤマ「申し訳ありませんが、>>328はなかったことにしてください」

――アインツベルン城――

イリヤ「…………」

キャスター「…………」

キャスター「…………はあ」

キャスター「やっぱり悪いことしたかしら」

キャスター「でも、仕方ないわよね。召喚されてみたら、目の前に可愛い女の子がいてテンションあがってたのに」

キャスター「急にあんなものすごい令呪見せられたら、びっくりして洗脳しちゃうってものよ」

イリヤ「…………」

キャスター「とはいえ、いまさら洗脳を解除しても」

キャスター「彼女が私に洗脳されたことを覚えていたら、令呪で何を命令されるかわかったものじゃないわ」

キャスター「自害くらいならまだマシだけど、拷問とか、痛いのは嫌だし……」

キャスター「ねえ、マスター。私、どうしたらいいのかしら」

イリヤ「…………」

キャスター「…………はあ」

イリヤ「…………」

キャスター「こうなったら、これしかないわね」

キャスター「マスターがぼーっとしてる間に、何体かサーヴァントを倒す」

キャスター「で、そのあとで洗脳を解除して」

キャスター「じゃーん!もう敵も残り少ないわよ!」

キャスター「というサプライズを演出する」

キャスター「これでマスターと仲良くなって、聖杯戦争を勝ち抜く」

イリヤ「…………」

キャスター「幸い、マスターの魔力は底なし。彼女のバックアップを受ければ、私の魔術は真価を発揮できる」

キャスター「この城も、神殿としては悪くない。敵は聖杯戦争に勝利するためには、罠だと知ってても」

キャスター「ここに乗り込むしかない。私はそれを迎撃する」

イリヤ「…………」

キャスター「ふふふ、これよ、これしかないわ!」

キャスター「待ってて、マスター!必ずや、聖杯はわれらの手に!」

【三日目】

――ラビットハウススノウ・リビング――

士郎「おはよう……あれ、みんな早いな」

アサシン「昨夜の偵察、その報告をしなければなりませぬので、集まっていただきました」

士郎「そうだったのか。無事でよかったよ、アサシン」

アサシン「は」

ココア「し、士郎くん……おはよ」

士郎「お、おう、おはよう、ココア」

士郎「り、リゼも、おはよう」

リゼ「あ、ああ!おはよう」

アーチャー「なんなんだ衛宮士郎」

アーチャー「貴様のせいで、同盟結成二日目にして空気が悪く……いや」

アーチャー「甘たるくなっているぞ」

ココア「あ、甘っ!?」

リゼ「ち、違うぞアーチャー、私たちはそんなつもりは……」

士郎「そうだそうだ!それに、その話は昨日で終わったはずだろ!」

アサシン「私のいない間に、面白いことがあったようですな」

士郎「そ、それよりアサシン!早く報告してくれ」

アサシン「む、逃げ道としていいように使われた気がしますな」

アサシン「しかし、マスターの命とあらば、拒むわけにもゆきませぬ」

アサシン「まず、柳洞寺についてご報告を」

アサシン「私が行ったときはもぬけの殻でしたが、生活の跡や、魔力の残滓がみられました」

アサシン「いずれかのサーヴァントがあそこを拠点にしているのは、間違いないでしょうな」

リゼ「どのクラスかはわからなかったのか?」

アサシン「恥ずかしながら、そこまでは」

アサシン「ただ、魂喰いの痕跡がありました」

ココア「魂喰い?」

アーチャー「魔力を補給するために、魂を強奪することだ」

アーチャー「サーヴァントなら誰にでもできるからな、特定は難しいが……」

士郎「とすると昨夜の留守は、その獲物を探しに行っていた……?」

アサシン「それは考えられますな」

アサシン「それともうひとつ」

アサシン「アインツベルンの森、およびその奥のアインツベルン城についても、報告が」

アーチャー「ほう、そこまで入り込んだか。捕捉されなかったのか?」

アサシン「そのようなミスはいたしませぬ。とはいえ、慎重を期したため、城の偵察は不十分ではありますが」

ココア「…………」

士郎「ココア、どうした?難しい顔して」

ココア「…………↓1(コンマ一桁目)」


1~6、「ココア、イリヤのフルネームを思い出す」

7~0、「ココア、何も思い出せない」

ココア「…………」

ココア「…………」

リゼ「こ、ココア!大丈夫か!?」

ココア「…………」

ココア「うあー」

ココア「だめだ、やっぱり思い出せない」

ココア「この辺まで出かかってるんだけどなあ……」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「相変わらず思い出せないココアさん」

アオヤマ「今回は、ここで終了です。安価のご協力や書き込み、ありがとうございました」

弟子一号「それにしても、初DEADEND、なかなか成長しないマスター」

弟子一号「物覚えが悪いココア、傀儡にされちゃったイリヤ」

弟子一号「今回は、聖杯戦争の厳しさを目の当たりにした気がするわ」

アオヤマ「明日……というか、日付的には今日ですね」

アオヤマ「の更新は、夜になると思います。それではみなさん、おやすみなさい~」

弟子一号「お疲れ様」

そうだ、下一桁:9、補正:+2のときには
結果は、11として扱うのかそれとも、1として扱うのか
どちらになるのでしょう

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「みなさん、こんばんは~。更新を始めますね」

弟子一号「そのまえに、>>346の質問に答えるけど」

弟子一号「正直、指摘されて気づいたわ。その可能性を考えてなかったことに……」

アオヤマ「今になって思えば、昨日のリゼさんのコンマ安価で、10以上になる可能性があったんですねえ」

弟子一号「11以上の数字を認めちゃうとインフレするし……かといって、せっかく9が出たのに1にするわけにも……」

アオヤマ「では、もう補正は廃止するというのはいかがでしょう」

弟子一号「え?でも、それだとせっかく決定したみんなの戦闘力とか、魔術の腕が安価で生かせなくなっちゃうわ」

アオヤマ「ですから、皆さんの能力に応じて、コンマ安価の難易度を変更するんです」

アオヤマ「たとえば、リゼさんは戦闘力が高いですから、戦闘関連のコンマ安価は少しだけ甘めにしたり」

アオヤマ「逆に、ココアさんの戦闘力や、士郎くんの投影魔術には難がありますから、それらのコンマは厳しくする」

弟子一号「なるほど、それならわかりやすくていいかもしれなわね」

弟子一号「そういうわけで、今日からコンマ安価には補正は適用しないわ」

アオヤマ「昨日のココアさんの『自信』による成功率アップなどがあれば、その都度注記しますね」

弟子一号「コロコロ手法を変えちゃってごめんなさいね。要するに、コンマ安価は純粋にコンマだけを参照するわ」

アオヤマ「長くなってすみません。質問していただけるのはすごく助かるので、これからもわからないこと等あれば」

アオヤマ「遠慮せずおっしゃってくださいね」

弟子一号「それじゃあ、本編スタートよ」

――ラビットハウススノウ・リビング――

アサシン「ココア殿、報告を再開してよろしいかな?」

ココア「あ、ごめんね、邪魔しちゃって」

アサシン「いえいえ、お気になさらず。アインツベルンのサーヴァントは、拠点の様子から見て」

アサシン「まず、キャスターで間違いありませぬ。加えて……これは遠目に観察しただけなので断定はできませぬが」

アサシン「アインツベルンのマスターは、キャスターの傀儡にされております」

アサシン「言ってみれば、サーヴァントを維持するためだけの、タンクのようなものですな」

リゼ「酷いことをするんだな、キャスター……」

士郎「やっぱり、魔術で操られてるんだろうな……長期間そのままだと、やっぱり悪い影響が出るのか?」

アーチャー「どういった類の魔術かわからない以上、正確な回答は出せないが」

アーチャー「少なくとも、人体に良い影響を及ぼすものではないだろうな」

士郎「くそっ、マスターだって人間なんだぞ、それを道具みたいに……」

ココア「それに、魂食いっていうのも、やっぱりよくないよね……」

アーチャー「そうだな。君たちの倫理観からしても許されるものではないし」

アーチャー「あまりゆきすぎると、神秘の秘匿にも支障が出よう。教会が手を打つかもしれんが……」

リゼ「なにを言っている、アーチャー!私たちが同盟を結んだのは、ただ勝つためだけではないだろう」

士郎「そうだ、ここで動かないで、いつ動く」

アサシン「アーチャー殿、キャスターの拠点を強襲し、勝利できる算段はありますかな?」

アーチャー「自分で言わねばならぬのも不甲斐ないが、私の対魔力は、そう優秀なものではない」

アーチャー「現代の魔術師を相手にするならともかく、実力の不明瞭なキャスターにケンカを売るには心もとない」

アサシン「ふむ……私なら、城のすぐ近くまで近づくことはできますが」

アサシン「敵の土俵での一対一では、さすがに勝機は薄い」

ココア「じ、じゃあアインツベルンのマスターさんは助けられないってこと?」

アーチャー「落ち着けココア、そうは言っていない。今すぐに動けるだけの備えがないというだけだ」

リゼ「キャスターの拠点か、確かに相応の準備をしておかなければ、手痛い反撃を受けるだろうな」

士郎「なら、魂食いの方は?敵が終始、獲物を求めてさまよってるなら、こっちも手を出しにくそうだけど……」

アーチャー「いや、そっちはむしろ行動を把握しやすい」

ココア「ど、どういうこと?」

弟子一号「一部誤字があるわね、ごめんなさい。『魂食い』は、正しくは『魂喰い』よ」


アーチャー「さっきも言ったように、あまりに目立つ行動をとれば粛清されるからな、できるだけ姿を隠したいはず」

アサシン「つまり、よほどの理由がない限りは、魂喰いは夜間に行うはず」

士郎「と、いうことは……」

リゼ「日中は柳洞寺にいる可能性が高い、か」

アサシン「報告は以上にございます。いかがなされますか?」

アーチャー「我々がに与えられた選択肢……さしあたっては、日中の行動だが」

アーチャー「来たるべき戦いに備え、訓練を続けるか」

アーチャー「魂喰いを止めるため、柳洞寺を襲撃するかだ」

アサシン「まずは、ココア殿。どう思われますかな?」

ココア「そうだねえ…………↓1」


1、「魂喰いは見過ごせないよ!柳洞寺に行こう!」

2、「今のまま外に出ると足を引っ張っちゃう……せめてもう一日くらい、鍛錬に集中しよう」

昨日の今日で出撃しても二の舞な気がするので2

ココア「魂喰いも気になるけど……」

ココア「今のまま外に出ると足を引っ張っちゃう……せめてもう一日くらい、鍛錬に集中しよう」

士郎「けど、いいのか?まだニュースになったりはしてないけど……」

リゼ「私は賛成だな。ココアの言い分も尤もだし、夜、奴らが出てきたところを襲撃する手もある」

アサシン「私は、戦闘となれば夜間の方が力を発揮できますからな」

ココア「アーチャーはどう思う?」

アーチャー「賢明な判断だろう。それに、ココアが鍛錬にやる気を見せているのも、大きな進歩だ」

ココア「えっ、あ、そういうわけじゃ……」

アーチャー「ココア、衛宮士郎。今日もみっちりいくからな」

ココア「ひいいいい」

士郎「鬼教官!」

リゼ「教官!?」

アサシン「こらこら、リゼ殿。我々は外に出ましょう」

アサシン「アーチャー殿の話を聞いてから、私も手合せしたいと思いましてな」

リゼ「望むところだ!よろしく頼むぞ、教官!」

アーチャー「ふむ、すっかり暗くなってしまったな」

士郎「お、鬼……」

ココア「うぅ、疲れすぎてお昼ご飯食べられなかったし、もうぐったり……」

リゼ「なんだなんだ、だらしないぞ。と言いたいところだが……」

リゼ「魔術を使うことによる疲労は、肉体労働をはまた違うんだろうな。私がとやかく言えることではないか」

アサシン「しかし、リゼ殿もなかなか良い動きをする。一日でだいぶ上達されましたな」

リゼ「光栄だ、教官」

アーチャー「さて、今日も修行の成果を……」

Prrrrrrrr

リゼ「電話か?珍しいな。ちょっと待っててくれ、私が出よう」

リゼ「もしもし…………ん、士郎のことか?わかった、今かわる」

士郎「俺に?」

リゼ「ああ、藤村と言っているぞ」

ココア「タイガさん?」

リゼ「いや、男の声だが……」

士郎「ああ、わかった。ありがとう、リゼ」

士郎「かわりました、士郎です」

士郎「……はい、はい……え?」


士郎「藤ねえが、死んだ……?」


ココア「!?」

リゼ「なっ……」

士郎「…………」

士郎「…………っ」

ダッ

ココア「あ、士郎くん!」ダッ

リゼ「……あの人が、死……」

リゼ「って、ココア!まずい、ふたりとも、ココアを追いかけてくれ!絶対に迷子になる!」

リゼ「士郎は私が探すから!」

アーチャー「承知した、いくぞ、アサシン!」

アサシン「は」

リゼ「なんだ……何が間違いだったんだ……!」


ココア「士郎くーん、士郎くーん!」

ココア「おかしいなあ、どこ行ったんだろう?」

ザッ

ココア「あ、士郎く」

???「悪いな、嬢ちゃん。こっちにも譲れないもんがあってね」

???「その魂、貰い受ける――――――!」

ココア「え?」

ヒュッ

ビチャァッ

ココア「ぁ――――――」

ドサッ


【DEAD END】


ラビット道場に送還されます

――ラビット道場――

ちの「おかえりなさい、早かったですね」

ちや「こんばんは~。ところでちのちゃん、少し変じゃない?」

ちの「何がです?」

ちや「>>352さんが言ってるように、この選択は昨日の反省を生かしてるわよ?」

ちや「ちのちゃんも、『自衛できないのに戦場に出るなんて狂気の沙汰』とか」

ちや「『戦は適材適所』とかいってたわよね?」

ちの「はい、言いました」

ちの「ですが、それとこれとは別です」

ちや「ええ?」

ちの「狂気の沙汰だからといって、必ずしも誤答とは限りませんし」

ちの「正気の沙汰だからといって、いい結果が出るとは限りません」

ちや「うーん、それはそうかもしれないけど」

ちや「でも、だったら昨日のアドバイスはなんだったの?」

ちの「アドバイスをした覚えはありません。昨日は、ココアさんたちの死因を検証しただけです」

ちの「そもそも、万事に適用できる最適解が存在するならば、世の中に負け組はいません」

ちや「なんか、こっちのちのちゃんは難しいことを言うわねえ」

ちや「中二病だとしても、哲学にはまるのはやりすぎだと思うの」

ちの「そんなつもりはありません。では今回も、ココアさんの死因を検証しましょう」

ちや「引きこもっちゃったこと?」

ちの「まあそうなんですが、根本的には別です」

ちの「足を引っ張りたくないから修行しよう、一見まっとうですが」

ちの「柳洞寺に陣取っているサーヴァントは、魂喰いをするようなやつです」

ちの「少しでも放置すれば、誰かが犠牲になる可能性が増します。つまり、あの選択は」

ちの「ココアさんは誰かが犠牲になるかもしれないわずかな可能性を無視してでも、敗北から遠ざかろうとした」

ちの「つまり、当初の犠牲を出したくないという方針とずれているのです」

ちの「魂の在り方を自ら歪めたのだから、死という報復は当然です」

ちや「なるほど……聖杯戦争って難しいのねえ」

ちの「危険を承知で、誰かを守る」

ちの「ココアさんはそんな人だと、信じていますよ」

ちや「それじゃあ、頑張ってね~」

アオヤマ「>>351まで、時間が巻き戻ります」


アサシン「まずは、ココア殿。どう思われますかな?」

ココア「そうだねえ…………」


1、「魂喰いは見過ごせないよ!柳洞寺に行こう!」

2、「今のまま外に出ると足を引っ張っちゃう……せめてもう一日くらい、鍛錬に集中しよう」


ココア「魂喰いは見過ごせないよ!柳洞寺に行こう!」

士郎「俺も賛成だ、教会の抑止力だけに頼っているわけにはいかない」

リゼ「余計な犠牲を出さずに、聖杯をしかるべき者の手へ……それが、この同盟の目的だもんな」

アサシン「見事な団結力ですな……おや、アーチャー殿。不服ですかな?」

アーチャー「力もないのに、誰かを救おうとする彼女らの姿は……」

アサシン「愚かに見えますかな?」

アーチャー「そうだな、直視できん。私には眩しすぎるな」

ココア「じゃあ、全員で……」

アーチャー「まて、ココア。この作戦に、アサシンは動員できん」

士郎「な、アーチャー、どういうことだ!」

アサシン「みなさん、一度怒りを鎮めなされ。確かに、魂喰いを働く柳洞寺のサーヴァントは、成敗されてしかるべき」

アサシン「しかし、我らの目的はそれで終わりではありませぬ。柳洞寺のサーヴァントを倒したとしても、敵は多い」

アーチャー「当然、この件だけで考えれば、アサシンの力を借りた方がいい。だが」

アーチャー「長い目で見れば、アサシンが同盟を結んでいることは隠しておいた方がいい」

アーチャー「アサシンを戦闘員として投入するタイミング、これを誤れば」

リゼ「聖杯をしかるべき者に託す、という本来の目的達成に支障が出る……」

アサシン「そういうことですな」

士郎「っ……たしかに、冷静さを欠いていたな。柳洞寺のサーヴァント打倒は」

ココア「通過点、ってことだね……」

アオヤマ「説明不足で済みません。一度選んだ選択肢はもう選べませんので、やり直す際は自動で物語が進みます」


アーチャー「それにともなって、もう一つ問題がある。有事の際、私一人ではさすがに三人は守りきれん」

アーチャー「連れて行けるのは一人か、多くても二人だ」

アーチャー「むろん、私一人でも構わんが……」


アーチャーとともに柳洞寺を襲撃するメンバー↓1

1、「アーチャー単独で」

2、「一人だけ連れて行く」

3、「二人連れていく」

※2、3を選ぶ場合はココア、リゼ、士郎の中から選んで併記してください

士郎「俺とココアっていうのは、どうだ?」

アーチャー「理由を聞かせてもらおう」

士郎「ココアは、アーチャーのマスターだ。戦闘慣れしていないとはいっても」

士郎「令呪でお前をサポートできるのはココアだけだ」

アサシン「妥当な判断でしょうな。万一の場合も、令呪のバックアップがあれば、撤退という選択肢もできる」

アーチャー「では、戦闘力でリゼに劣るお前をメンバーに加える理由は?」

士郎「アーチャー、お前の言うとおり、確かにここでアサシンを晒すのは下策かもしれない。でも」

士郎「出し惜しみして負けました、じゃあ話にならない。マスターである俺がいれば」

士郎「もしものとき、令呪でアサシンを呼べる。少なくとも、負けるよりはましなはずだ」

リゼ「私は賛成だ。それに、戦闘力で勝るとはいっても、所詮は人間だ。今の私が行っても、そう役には立たない」

アーチャー「ココアは、それで?」

ココア「うん、頑張るよ」

アーチャー「よし、必要なものがあれば準備しておけ。出撃する」

――柳洞寺――

アーチャー「さあ、いくぞ。二人とも、不用意に前に出るなよ」

アーチャー「隙があれば敵のマスターを狙ってもいいが……決して無茶はするな、いいな」

ココア「う、うん……」

士郎「ああ、わかってる」

アーチャー「よし……突入する」


――柳洞寺・境内――

ココア「あ、あれ……誰もいない?」

士郎「いや、本堂の屋根の上に……」

???「おお、そっちから出向いてくれたか。捜しに行く手間が省けたな」

タンッ

スタッ

アーチャー「紅い槍……ランサーだな。魂喰いをしているのは、貴様か?」

ランサー「お、なんだ、説教しに来たってか?けど、別に禁じられてるわけでもねえし……」

ランサー「それとも、崇高な騎士道精神でももってんのか?」

アーチャー「戦場に持ち込む美学などに、心当たりはない。だが、マスターが業を煮やしていてな」

ランサー「ほう、そうか。まあ、止めてやってもいいんだが」

ココア「ほんとう!?だったら……」

ランサー「ただし、俺の望みがかなったらな」

士郎「望みだと……?聖杯を手に入れるまでは、魂喰いをやめるつもりはないってことか!?」

ランサー「いやいや、そうじゃねえ。オレは二度目の生にも、聖杯自体にも興味はねえ」

ランサー「ただ、死力を尽くした戦いを望むまでよ」

アーチャー「そうか……だが、ならばなぜ魂喰いなどに手を染めた。マスターからの供給に、それほど不満があったか?」

ランサー「いや、そもそも今、オレに魔力を供給してる魔術師はいない」

ランサー「マスターは、オレが殺したからな」

ココア「え……!?」

士郎「マスターを、殺した……!?」

ランサー「ほう、そこまで驚くか……お前らは、仲良くやってるんだな。羨ましいこって」

ランサー「まあ、気に入った戦友みたいなやつには巡り会えたからな。それは満足だよ」

アーチャー「戦友……?」

ランサー「気づいてなかったか?嬢ちゃん、坊主」


ランサー「お前らの後ろにいるぜ?」


ココア「え……」

???「…………」

アーチャー(ちっ、山門をふさがれたか……だが、いつの間に……!?)

ランサー「おっと、お前はオレから目を離すなよ?あいつは強いが、さすがにサーヴァント相手じゃどうしようもない」

ランサー「だが、お前があいつを狙うなら、オレは容赦なくお前を背後から殺すぞ」

ランサー「騙し討ちも奇襲も、恥だとは思ってないんでね」

士郎「く、葛木先生……!?」

宗一郎「衛宮か」

ランサー「ほう、知り合いだったか。そういや、高校の教師だとか言ってたな」

士郎「葛木先生、どうしてこんな奴に手を貸してるんです!?」

宗一郎「彼が私に、娯楽を」

宗一郎「教えてくれるというのでな」

ココア「娯楽……?」

ランサー「雰囲気が人間離れしてたからな、少し身のこなしを見せてもらったが、強ええのなんの」

ランサー「だっていうのに、こいつは笑いもしねえ。楽しむことを知らねえみたいにな」

ランサー「だから、オレに拠点を用意してくれる代わりに、戦いを楽しむことを教えてやりたくてな」

ランサー「あんなに強いのに、もったいないだろ?戦いの楽しさを知らないなんて」

士郎「娯楽、だと……?」

士郎「そんなことのために、柳洞寺の人々は犠牲になったのか!?」

宗一郎「そうか、そのことで怒っていたか。成程……」

宗一郎「それは悪いことなのか? 衛宮」

士郎「な、に……?」

ランサー「そら、浮世離れしてんだろ?」

アーチャー「衛宮士郎、それが倒すべき敵だというのは、理解したな」

アーチャー「身命を賭せよ。お前の後ろには、傷つけてはならぬ者がいるはずだ」

士郎「言われるまでもない。テメェの方こそ、ココアに傷一つつけさせるんじゃねえぞ――――!」


どちらの戦いから見ますか?↓1コンマ一桁目(見る順番を決めるだけです)

偶数、「アーチャーVSランサー」

奇数、「ココア&士郎VS宗一郎」

ギギギギギンッ

ランサー「ほう、双剣か。なかなかいい動きをしやがる……」

ランサー「だが、防戦一方じゃどうにもならねえぞ――――ッ!」

ガッ

パキィィン

ランサー「さあ、得物がなくなっちまったな!終いだ!」

アーチャー「さて、そいつはどうかな?」

ランサー「な、に――――!?」

ランサー「同じ武器、だと!?貴様、どんな手品を使いやがった!」

アーチャー「人聞きの悪いことをいう。こいつは私の、真剣勝負だ」

ランサー「ぬかせ!」

ヒュッ

ギィィンッ

アーチャー(さすがに迅い……槍捌きも足運びも見事だ。こちらの間合いには、用意入れてくれないか)

ガッ

パキィィン

ランサー(チッ、何度壊してもらちが明かねえ、なんなんだ、コイツは……)

ランサー(けど、いいじゃねえか、面白え――――!)

ランサー「盛り上がってきたなあ、双剣使い!その手品、いつまで保つかな!?」

アーチャー「攻めている方が常に優勢だと思うなよ、ランサー」

ギギギギギギッ

ギィンッ

ランサー(はったりか……? あるいは、防戦に徹しながらも反撃のチャンスをうかがっていると……)

ランサー(まあ、いい……どこのどいつかは知らねえが、お前の血なら、この槍も満足するだろうさ――――!)

ランサー「ふっ――――」

アーチャー「む……」

アーチャー(わずかに距離をとった……? ………………! 槍から発散する、あの濃密な魔力……)

アーチャー(いかん――――!)

ランサー「その心臓、貰い受ける———!」

ランサー「『刺し穿つ――――』」

ランサー「!」

ランサー(オレから大きく離れた……?まさか、この槍を、オレを知って……)

ランサー(あるいは、オレの挙動から、宝具を警戒したか)

ランサー「だが、抜かったな、この距離なら安全だと!?」

ランサー「行くぞ。この一撃、手向けとして受け取るがいい———!!」」

アーチャー(デカいのが……来る――――!)

アーチャー「――――I am the bone of my sword.(体は剣でできている)」

ランサー「『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』――――!」

アーチャー「『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』――――!」


アーチャー防御判定↓1(コンマ一桁目)

※ランサーは魂喰いによって魔力を補っているため、本来の力が発揮できていない可能性があります

1~4、「片腕負傷」

5~0、「防御成功」

ランサー「完全に防ぎやがった……!? いや……そもそも」

ランサー「アイアスの盾だと!? ますます素性がわからねえ」

ランサー「だが、まだだ。まだ、すべてが破られたわけじゃねえ――――!」ダッ

アーチャー(この距離、ギリギリだが)

アーチャー(ここを逃せば、次はない――――!)

ランサー「弓、か……! ようやく本領発揮ってことだなぁ!」

アーチャー「――――I am the bone of my sword.(我が骨子は捻じれ狂う)」


アーチャー攻撃判定↓1(コンマ一桁目)

※ランサーは本来の力を出せていないようです

1~4、「攻撃成功だが、反撃を受ける」

5~0、「先制攻撃成功」

ランサー「おおおおおおっ!」

アーチャー「――――『偽・螺旋剣(カラドボルグ)』!」


ランサー「へっ……あっけなく終わっちまったもんだな」

アーチャー「結果だけ見ればそうかもしれん。だが、お前が本調子であったなら」

アーチャー「この勝利、拾えていたか定かではない」

ランサー「勝者が敗者を憐れむのは、タブーってもんだろ」

アーチャー「なにを言う。あの状況で私に傷を負わせた、お前の槍兵としての武勲を」

アーチャー「改めて確認しているだけだ」

ランサー「そうかい……だが、本調子じゃねえなんて言い訳はしねえ。今の戦いが」

ランサー「今のオレの全力だからな」

ランサー「楽しいねえ、やっぱり。あいつにも、これを味わってもらいたいもんだ」


ランサーは、バーサーカーと交戦したことがあるようです

ランサー気まぐれ安価↓1(コンマ一桁目)

偶数、「バーサーカーのことを教えてくれる」

奇数、「ランサーが死んだ!」

ランサー「ああ、そうだ。気分がいいから、教えてやるよ。願いをかなえてくれた礼だ」

アーチャー「なに?」

ランサー「バーサーカーだよ。強かったが、どうにも変な感じだったな」

ランサー「あの程度のマスターが、あんな化け物を動かせるとは思えないんだが……」

ランサー「ああ、そうそう。あのマスター、喋りたがりだったみたいだから教えてくれたが」

ランサー「なんでも、十二回殺さなきゃならんらしい」

アーチャー「十二回……!?」

ランサー「オレが一回殺したからな、あと十一回か」

ランサー「……おっと、去り際に喋りすぎたかね」

ランサー「じゃあな、双剣使いの弓兵よ。最期の相手がお前で、オレは満足だ――――」


アオヤマ「士郎くんたちの戦闘に視点を移します」

弟子一号「少し時間が戻るわよ」

士郎(投影魔術は、まだ実戦投入できるレベルじゃない……)

士郎(一か八か、木刀を強化して戦うしかない――――!)

士郎「――――『同調、開始(トレース・オン)』

士郎(よし、成功……!)

士郎「おおおおおっ!」

宗一郎「…………」


士郎の戦況↓1(コンマ一桁目)

123、「無理」
4~8、「劣勢」
90、「辛うじて拮抗」

宗一郎「…………」

ヒュッ

ガッ

士郎「っ!?」

士郎(な、なんだ、今の……!?)

ヒュッ

士郎「ぐっ!?」

士郎「があっ!?」

士郎(どういうこと、だ)

士郎(相手は目の前にいるのに、どうして拳が死角からとんでくる……!?)

宗一郎「…………」

宗一郎「しっ――――!」

士郎「!」

士郎「おおおっ!」

ココア「! 防い……」

ヒュッ

ドゴッ

士郎「がっ……」ガクッ

ココア「士郎くん!」

士郎(だめ、だ。右ストレートに合わせるのが精いっぱい……)

士郎(左の拳が、見えない……)

宗一郎「…………」

宗一郎「終わりか。次は」

ココア「ひっ……」ガクガク

ココア「いやぁっ!」パシッ

プシュゥゥゥゥゥゥゥゥ

宗一郎「!」

ココア(も、持っててよかった、ココア特性発煙筒指輪……!)

ココア(い、今のうちに距離を……)

宗一郎「…………」

宗一郎「ふっ――――」

ヒュッ

ドゴォッ

ココア「!?」

ココア(う、そ……見えないのに、攻撃、され、た……)


ココア気絶判定↓1

1~8、「気絶」

90、「辛うじて気絶せず」

ココア(そう、だ…………危なくなった、ら、令呪を、使――――)ドサッ

宗一郎「…………」

士郎「待、ちやがれ」

宗一郎「頑丈だな、衛宮」

ヒュッ

士郎「ぐっ!」

士郎(強化じゃ、届かない……俺は、もう)

ココア「」

士郎「――――っ!」

士郎(バカ、なに弱気になってる! 言われただろう、あいつに……)

士郎(――――な、んだ? あいつの、剣……)

宗一郎「しっ――――」

士郎「――――『投影、開始(トレース・オン)』」


干将莫邪投影判定↓1

1~4、「なまくら」

5~8、「アーチャーのものほどではないが、実用には耐える」

90、「アーチャーのものに迫る、ほぼ完璧な複製品」

士郎(想像しろ――――)

――イメージするのは、常に最強の自分だ

士郎(創造しろ――――)

―― 外敵など要らぬ。お前にとって戦う者は、自身のイメージに他ならない

士郎「おおおおおおおおっ!」

ギィンッ

宗一郎「!」

士郎「まだまだああああっ!」

ブンッ

ギィンッ

士郎(っ、止められた……!? いや、まだだ!)

士郎「おおおおおおおおっ!」

宗一郎「しっ――――」

ヒュッ

ガッ

士郎「ぐあっ……!」

士郎(まだだ、まだ倒れるな……!)

ヒュッ

ガッ

ドゴッ

士郎「ぐっ、あああっ!」

ブンッ

宗一郎「ふっ――――!」

ドスゥッ

士郎「がっ……」ドサッ

宗一郎「…………」

宗一郎「そうか、ランサーは負けたか」

アーチャー「ああ。そして、いまだにココアも衛宮士郎も殺せていない」

アーチャー「貴様の負けだ」

宗一郎「すまない、ランサー。私は結局」

宗一郎「見つけることはできなかった」


【ランサー陣営敗退】


アサシンとリゼの様子を見ますか?↓1

1、「見る」

2、「見ない」

アオヤマ「少し時間が戻ります」


――ラビットハウススノウ・リビング――

リゼ「…………」ソワソワ

リゼ「…………」ウロウロ

リゼ「…………」イライラ

リゼ「あああああああああっ!」

アサシン「落ち着きなされ、リゼ殿」

リゼ「これが落ち着いていられるか!確かに士郎の言うとおり、令呪を持った二人が戦地に行くのは妥当な判断だが」

リゼ「アーチャーはサーヴァントの相手で手いっぱいなはずだ。そこに現れたマスターが」

リゼ「よくわからん拳法とか、よくわからん魔術とか、よくわからん暗殺拳とかを使ってきたらどうする!?」

リゼ「あの二人じゃあ瞬殺だぞ!」

アサシン「リゼ殿!」

リゼ「!」

アサシン「我らは単に置いて行かれたのではありませぬ。大事な拠点の、留守を任されておるのです」

アサシン「待つ者の務めは、そのようにいたずらに心配することではありますまい」

アサシン「戦地へ赴いた仲間を信じ、その帰りを待つこと。それが我らの使命でありましょう」

リゼ「っ……そう、だな。取り乱して、悪かった」

アサシン「いえ、あなたなら、言うだけでわかってくれると思っておりましたゆえ。それに、あなたにとっては」

アサシン「彼らは戦友である前に、友ですからな。不安がるのも無理はありませぬ」

アサシン「気分転換……といってはなんですが。どうです、少し体を動かしては」

リゼ「ああ、それがいい。付き合ってくれ」


修行の成果↓1(コンマ一桁目)

1~5、「やっぱり集中できない」

6~0、「戦闘技術が成長」

――ラビットハウススノウ・庭――

リゼ「ぐあっ!」

アサシン(やはり、鍛えているとはいえまだ子ども。精神面ではもろさが目立つ)

アサシン(全く身が入っておりませんな。このまま続けては、むしろ彼女のために良くない)

アサシン「リゼ殿、戻りましょう。気分転換には向かなかったようですな」

リゼ「そうだな……すまない」

アサシン(年頃の少女の心のケアなど、学んだことはありませんからなあ)

アサシン(とはいえ、動かぬわけにもいきますまい。彼女もまた、私の友なのですから)

アサシン「リゼ殿、少しお話いたしましょう」

リゼ「ん、そうだな」

アサシン「↓1」


自由安価、どんな話を振ろう?

アサシン「ココア殿とは、どこで知り合ったのです?随分仲がよろしいようですが」

リゼ「私は、遠くの町の喫茶店でバイトをしてるんだけど」

リゼ「ココアはそこの後輩だ。なんでも、学校の方針で、下宿先の仕事を手伝うしきたりらしい」

アサシン「ほう、お二人とも、すでに働いていらっしゃる。立派なものですなあ」

リゼ「そんなことはないさ」

リゼ「ああ、懐かしいな。ココアが突然更衣室に入ってきたものだから」

リゼ「銃を取り出して、気配を消して隠れちゃったんだよ。でも、なぜかすぐに見つかったから」

リゼ「ココアに銃を向けちゃったんだ」

アサシン「それはそれは……刺激的な出会いだったんですなあ」

リゼ「ああ、そうだな。どうやらココアは、私を泥棒だと勘違いしてたみたいなんだけど」

リゼ「そういえば、私のこと年上だって、しばらく気づいてなかったり」

リゼ「方向音痴がたたって学校にたどり着けなかったり」

リゼ「ああ、ラテアートが可愛いんだ!そうそう、それから……」

アサシン(元気になられたようでよかった。それにしても)

アサシン(話題に出すだけで人を笑顔にするとは……やはりココア殿には、不思議な力があるのでしょうなあ)

アサシン(それも、魔術や加護、呪いの類ではなく、純粋な彼女の魅力、か)

リゼ「……む、聞いているのか?」

アサシン「ええ、聞いていますとも。もっと聞かせてほしいくらいですな」

リゼ「し、仕方ないな、教官がそこまで言うなら……」

アサシン(ああ、すでに私は、その魅力にあてられているのかもしれません)

アサシン(彼女たちが平穏の中で生きることを、望むようになっているのだから)

――ブルーマウンテン道場――

弟子一号「DEADEND二回目に、ランサー陣営の敗退。今日も忙しかったわね」

アオヤマ「今回の更新はここまでとなります。ご協力、ありがとうございました」

アオヤマ「士郎くんのコンマはさすがでしたねえ。見事な投影魔術でした」

弟子一号「でも、あんまり活躍できてなかったわよね。根性で乗り切った感じだし」

アオヤマ「いえいえ、それは違います。あの投影で一度とはいえ、士郎くんは己の投影魔術の神髄に」

アオヤマ「片足を突っ込んだんです。この経験は、きっと生きますよ」

弟子一号「ところで、一つ心配なんだけど」

アオヤマ「はい、なんでしょう」

弟子一号「…………リゼ先輩とアサシン、フラグ立ったりしないわよね?」

アオヤマ「大丈夫だと思いますよ。両者の間に愛があるとしてもそれは」

アオヤマ「師弟愛とか、親子愛とか、そういう類だと思ます」

弟子一号「そ、そうよね」

アオヤマ「ではまた、次回の更新でお会いいたしましょう」

弟子一号「おやすみなさい」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「こんばんは~。遅くなってすみません」

弟子一号「再開するわよ。えっと今日は確か……」

弟子一号「アーチャーたちが帰還するところだったわね」

アオヤマ「おさらいしておきますと、ランサー陣営はサーヴァントマスターともに敗退」

アオヤマ「残る敵は四組ですね」

弟子一号「それじゃあ、今日もよろしくね」



――ラビットハウススノウ――

アーチャー「帰ったぞ、リゼ、アサシン」

アサシン「アーチャー殿、ご無事で何より」

リゼ「おお、待ってた……」

リゼ「って、二人が気絶してる!? アーチャー、今すぐベッドに運んでくれ!」

アーチャー「わかっている。ところで、リゼは魔術師ではなかったな?」

リゼ「ああ、私はただの人間だ」

アサシン「私も、魔術は扱えませぬ。あまり酷いようなら、病院に連れて行った方がよいでしょうな」

ココア「う、うぅ……」

ココア「あれ、帰ってきてる……?」

リゼ「ココア! 大丈夫か!?」

ココア「うん、ちょっと痛いけど、大丈夫だから」

ココア「おろしてもらっていいかな? アーチャー」

アーチャー「わかった。では、衛宮士郎を運んでしまおう」

アーチャー「そうだ、ココア。治癒魔術の心得はあるか? 衛宮士郎は重傷だからな」

ココア「え、っと……教わったには教わったけど、得意かどうかは……」

アサシン「とりあえず、やるだけやってみては?」

ココア「う、うん! 士郎君には助けてもらったみたいだし、頑張るよ!」


ココアの治癒魔術の才能↓1(コンマ一桁目)

1~4、「できなくはないが、苦手」

4~8、「平均程度」

90、「天才」

9→ココアは治癒魔術の天才

アオヤマ「Fateにおける治癒魔術の詠唱が不明なので、記述しません。あしからず」



――ラビットハウススノウ・士郎の部屋――

リゼ「な、何もない部屋だな。好きに使っていいって言ったのに」

アーチャー「遠慮しているわけではないだろう。そういう性格なのだ」

アーチャー「では、ココア。たのむ」

ココア「う、うん」

ココア(気絶してたからよくわからなかったけど、きっと)

ココア(夢見心地で聞いた士郎くんの声は、夢じゃなかった……私を、助けてくれた)

ココア「――――、――」

ココア(だから今度は、私が――――!)

ココア「――、――――――!」

アサシン「む、これは」

アーチャー「衛宮士郎の傷が……」

リゼ「どんどん治っていく……!」

ココア「…………」

ココア「ふう、終わった、けど……どうかな」

アサシン「見事ですぞ、ココア殿」

アーチャー「病院に行く必要はなくなったな」

リゼ「特殊な合成魔術にばかり気を取られていたが……魔術師としては普通に優秀なのか……?」



※ココアは戦闘力が低いので、戦闘中の治癒魔術はうまくいかない、あるいは本来の力を発揮できないことがあります

ココア「そっかあ、よかった!」

アーチャー「傷が治ったとはいえ、すぐに目覚めはしないだろう。我々はその間に」

グウゥゥゥゥゥゥゥゥ

リゼ「…………」

アーチャー「なんだ、リゼ。昼食はまだだったか。待っている間にとったものかと思っていたが」

アサシン「私は食べた方がよいといいましたが、今食べても喉を通らんの一点張りで」

ココア「心配させちゃったねえ、リゼちゃん。でも、みんな無事だったから安心してね」

リゼ「あ、ああ//」

リゼ「って、アサシン! それは言うなと言ったじゃないか!」

アサシン「おやおや、そうでしたかな」

――ラビットハウススノウ・リビング――

アーチャー「さて、食事も終わったし」

アーチャー「訓練の時間だな」

ココア「ZZZ……」

アーチャー「ココア、寝たふりなどしても」

ココア「ZZZ……」

アーチャー「まさか、本当に眠っているのか……? 数秒前に食べ終わったばかりだぞ」

リゼ「疲れてたんだろう。確かに訓練も必要だが、少しくらい休ませてやってくれ」

アサシン「女性の睡眠を邪魔すると、怖いですぞ。アーチャー殿」

アーチャー「……そうだな。今回くらいは、いいだろう」

アサシン「さて、これからどうしますかな」

アーチャー「ひとつ問題がある」

リゼ「な、なんだ?」

アーチャー「冷蔵庫が空だ」

――商店街――

リゼ「すっかり油断していた。人数が増えたんだから、食事量も増える」

リゼ「けど、アサシンには悪いことしたな。また留守番任せちゃって」

リゼ「さすがにちょっといじけてたぞ」

アーチャー「仕方あるまい。奴も人の形をしているとはいえ、服を替えるだけで現世に溶け込めるとは思えん」

アーチャー「仮面を外せぬのも痛いな」

リゼ「しかし、紅茶の時からもしや、とはおもってたが」

リゼ「アーチャーも料理、うまいんだな。士郎もそうだが、あんまり女子力高いとモテないぞ?」

アーチャー「受肉してハーレムを築きたいなどという願いもなし、私には関係のない話だ」

リゼ「誰もそこまで言ってないだろ」

リゼ「ん、あれは……」

リゼ「冬木教会の神父じゃなかったか?」

アーチャー「中華料理屋から出てきたようだな」

リゼ「↓1」


1、「ちょっとあいさつしてくるよ。待っててくれ」

2、「ま、いいや。帰ろう、アーチャー」

リゼ「ちょっとあいさつしてくるよ。待っててくれ」

アーチャー「律儀なものだな。まあ、そう急いでいるわけでもなし、行ってこい」


リゼ「こんにちは」

綺礼「ああ、こんにちは。まだ教会に逃げ込んでいないところをみると、順調なようだね」

リゼ「どうだろうな。まあ、前よりは強くなってる実感はあるけど」

綺礼「己の成長を自覚できるのはよいことだ。それが過信ではなく、客観的な考察の果ての結論ならば」

綺礼「君をさらに成長させるだろう」

リゼ「……聖書の一節か? ずいぶんと、滑らかに口が回るんだな」

???「まあ、説法が彼の仕事のようなもの。多少胡散臭く聞こえるところも含めて、ですが」

綺礼「聖職者に向かって、そんな言い方もないだろう」

リゼ(きれいな人だな……金髪だけど、シャロとはまた感じが違う)

リゼ(…………! この人、まさか……)


リゼは目の前の金髪少女がサーヴァントだということに↓1(コンマ一桁目)

1~7、「気づかない」

890、「気づく」

※リゼは魔術師でもマスターでもないので、こういうことには鈍いです

リゼ(…………! この人、まさか……)

リゼ「なにかスポーツをやっているな!? よく見ると、身のこなしとかも素人には見えないぞ!」

???「む、私ですか。そうですね、身体を動かすという意味では」

???「剣や乗馬には自信がありますよ」

リゼ(剣……剣道、いや、フェンシングか? 冬木には剣士が多いのかもしれないな)

リゼ(それに乗馬とは……お嬢様でもあるのかも)

綺礼「では、そろそろ失礼するよ。ぜひ健闘してくれたまえ。私は、聖杯がしかるべき者の手に渡ることを望むのみ」

???「失礼します」

リゼ「ああ、邪魔したな」


リゼ「待たせたな、アーチャー」

アーチャー「気にするな。では、帰ろう」

――ラビットハウススノウ・リビング――

士郎「おかえり、リゼ、アーチャー」

リゼ「ただいま。士郎、もう起きてて大丈夫なのか?」

士郎「まだちょっとだるいけど、痛みはない。ココアがやってくれたそうだな」

アーチャー「ああ。意外な才能に、私も驚いている」

リゼ「悪かったな、アサシン。留守番を任せてしまって」

アサシン「いえいえ、よろしいんですよ。それに」

アサシン「アーチャー殿の紅茶も美味いが、士郎殿の茶もまた、美味。留守番も悪くはありませぬ」

士郎「さて、みんなには迷惑かけたし、今日も晩飯は俺がつくるよ」

リゼ「ありがとう、士郎のご飯は美味しいから楽しみだ」

リゼ「けど、まだ早くないか?」

士郎「下準備をちゃんとやった方が美味いからな」

リゼ「そうか、ココアも喜ぶぞ」

アーチャー「私は、ココアの様子を見てこよう。ただ眠っているだけだから、心配はいらないだろうが……」

アサシン「では、リゼ殿。夕食前に、少し」

リゼ「望むところだ、教官!」



――ラビットハウススノウ・庭――

アサシン「では、リゼ殿。まずは、気配遮断の訓練をしましょう」

リゼ「え?」

リゼ「でも、私は暗殺術には不向きだったんじゃなかったか?」

アサシン「確かにそうです。しかし、気配を遮断できるだけでは暗殺者が務まらないのと同じように」

アサシン「暗殺の専門家でないからといって、気配遮断の技術をおろそかにしてはならないのです」

アサシン「それに、先ほどのリゼ殿の話……ええ、ココア殿についてお話です。その中で」

アサシン「気配を消した、とおっしゃっていましたな」

リゼ「ああ、気配を消す技術は必要だといわれて、教わっていたんだ」

アサシン「でしょうな。ですから今回は、そこを重点的に訓練しましょう」


訓練後、リゼの気配遮断能力は↓1(コンマ一桁目)

1~7、「やっぱり向いてない」

89、「足音は完全に消せるが、気配は残る」

0、「完全に消せる」

※暗殺技術は、やっぱりリゼには難しいようです

士郎「おーい、リゼ、アサシン。晩飯できたぞ」

リゼ「ああ、今いく!」

アサシン「お疲れ様でした、リゼ殿。では、修行の成果を試すため」

アサシン「気配を遮断して士郎殿の背後に回り込み、驚かせてきてください」

リゼ「イエッサー!」



――ラビットハウススノウ・リビング――

士郎「えっと、今日はこの皿と……」

リゼ(まだ準備の途中か……アーチャーとココアも戻ってきていない。今がチャンス!)

リゼ「…………」ヌキアシサシアシ

リゼ「…………」シノビアシ

士郎「…………」

リゼ(よし、もう少し――――)

士郎「あれ、リゼ戻ってたのか」

リゼ「わあぁっ!?」

リゼ「くぅう、失敗か……」

士郎「?」

アサシン(確かに気づかれましたが……足音は消せていましたし、気配も常よりは抑えられていた)

アサシン(やはり暗殺者に向いていないというだけで、戦士としては大いに期待できますな)

ココア「おいしい!」

アーチャー「寝起きでよくそれだけ食べられるものだ」

ココア「なに言ってるのアーチャー! おいしい料理は最強なんだよ!」

リゼ「昨日とはまた違った美味しさ……見事だ、士郎」

士郎「二人がよくほめてくれるから、こっちも作り甲斐があるよ」

士郎「アーチャーは全然ほめてくれないし」

アーチャー「天狗になられても困るのでな」

士郎「たまには飴もくれよ……あと、アサシンは美味しそうに食べてくれるけど画が不気味だからさ」

アサシン「なっ、心外ですぞ士郎殿!」

アサシン「私だってココア殿やリゼ殿のように、士郎殿の料理のファンだというのに!」

士郎「自分じゃわからないかもしれないけど、アサシン」

士郎「食べる姿勢がめちゃくちゃしっかりしてて、いつのまにか料理が仮面の下に消えていく」

士郎「シュールなホラーだぞ、これ」

アサシン「ぐぬぬ」

ココア「ごちそうさま! 今日もおいしかった!」

ココア「士郎くんはいいお嫁さんになれるね」

士郎「褒められてるん……だよな?」

リゼ「喜ぶべきかは微妙だが、ココア的には褒め言葉だろう」

アサシン「さて、今日はどのようにいたしましょう」

アーチャー「病み上がりが二人いるからな、無理はできん。昨日と同じく、アサシンに諜報を任せ」

士郎「俺たちは鍛錬、だな」


どちらから見ようか↓1(コンマ一桁目、見る順番を決めるだけです)

偶数、「アサシンの偵察」

奇数、「ココアたちの鍛錬」

アサシン(自分の諜報活動の成果を、仲間の皆さんが役立ててくれる)

アサシン(うれしいものです。今日も、なにか成果があればよいですが)

アサシン(まさか、今になって新たに拠点を構えるマスターはおりますまい。柳洞寺は除外してよいでしょう)

アサシン(それに、アインツベルンの森に行っても、これ以上の成果は見込めませぬ)

アサシン(まずは、↓1に向かいましょう)


1、「新都」

2、「遠坂邸」

3、「間桐邸」

4、「冬木教会」

アサシン(まずは、遠坂邸に向かいましょう)



――遠坂邸――

アサシン(さすが、というべきでしょうな。この強固な結界は)

アサシン(しかし、肝心のマスターもサーヴァントも留守……早期から、割と活動的な陣営でしたし)

アサシン(今日も出払っているのでしょうな)



アサシン(さて、もう一か所くらいなら)

アサシン(次は↓1ですな)

1、「新都」

2、「間桐邸」

3、「冬木教会」

――冬木教会――

アサシン(ふむ…………)

アサシン(なぜでしょうな、ここを選択肢に含んでしまったのは)

アサシン(教会は聖杯戦争の敗者を保護するための中立地、ここを警戒する必要などないはずですが……)

アサシン(なんとなく、それ以外にはない。あえて言うなら、暗殺者としての勘、か)

???「――――――」

アサシン(む、話し声? 神父以外に誰かいる……?)


???「綺礼、そろそろ腹を決めたらどうです? 引きこもっているばかりでは、状況は変えられない」

綺礼「しかし、サーヴァントの数は減っている。もう少し、様子を見てからでも……」

???「そういう戦略を否定するつもりはない。しかし、綺礼」

???「あなたのそれは戦略ではない。戦いから逃げている現状を正当化するための詭弁だ」

綺礼「…………」

???「なにを迷うのです、綺礼。あなたは私と同じく、あの日、聖杯が破壊されたことを悔やんでいるはずだ」

???「そして憎んでいるはずだ。私にとっては、聖杯を破壊させた張本人であるあの男を……」

???「あなたにとっては、聖杯を手に入れておきながら手放した愚か者であるあの男を……」

???「衛宮切嗣を……!」

アサシン(衛宮、だと…………!?)

綺礼「だがそれは、私が戦う理由には……」

???「綺礼、それは違う。この十年間、いや、今までの人生の中で何に対しても傾かなかったあなたの唯一の執着」

???「それは衛宮切嗣だ」

???「ならば、その衛宮切嗣が求め、そして自ら手放した聖杯。そこに近づけば」

???「あなたを変える何かが、見つかるかもしれない」

綺礼「!」

???「私は、参戦に消極的なあなたを戦場に引っ張り出すつもりはない。だが、覚えておいてほしい」

???「私には、聖杯を手に入れなければならない理由があるということ。そして」

???「あなたには、聖杯を手に入れられるだけの力があることを」


アサシン(両者の会話から察するに、神父の話し相手になっていたのは、サーヴァント……!)

アサシン(まさか、中立であるはずの彼がマスターの一人であったとは……)

アオヤマ「少し時間が戻ります」



――ラビットハウススノウ・工房――

アーチャー「衛宮士郎。今日は……いや、これからの鍛錬では」

アーチャー「私の双剣、干将莫邪の投影を重点的に行うといい」

士郎「! あの剣か」

アーチャー「ただし、複製することによってランクが落ちるとはいえ、あれは宝具に相当する」

アーチャー「今のお前の実力で短時間に何度も挑戦すれば、魔術回路や精神に異常をきたす危険性もある」

士郎「あまり数をこなすことはできないってことか」

アーチャー「そうだ。少ない試行回数で、かつ成功率を上げる」

アーチャー「お前の投影魔術を実践クラスに高めるには、この条件をクリアする必要がある」

士郎「成功ってのは、外見だけじゃない、完璧な複製ってことだよな」

アーチャー「当然だ」

アーチャー「対葛木戦での成功は偶然だった、という言い訳は許さんからな」

士郎「わかってる。――――」

士郎「『投影、開始(トレース・オン)」

アーチャー(だが、お前はすでにたどり着きつつある。おそらく、私がこれ以上口を出してやる必要はないだろう)

アーチャー(ここから先が本番だ……なまじ、一度成功しているからな)

――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「できたよアーチャー、触るとものすごく光る、電灯ウサギぬいぐるみ!」

アーチャー(合成魔術の成功率自体は上がってきている。現状から鑑みるに、楽しむ気持ちが重要だとというのは確定的)

アーチャー(これを戦闘に生かすには、戦闘中に合成するのではなく、合成したものを持参するのが無難か)

ココア「できた! 今度は、鼻を押すと風が吹く扇風ウサギ人形!」

アーチャー(ココアの趣味嗜好を考えれば、おそらく……)

アーチャー「ココア。成功率が上がっているようだからな、次のステップに進む」

ココア「ふふん、どんとこいだよ!」

アーチャー「戦闘に使用することを考えて材料を選べ。まあ、その電灯ウサギも、目くらましに使える」

ココア「な、なるほど。難しいけど、やってみるよ」

アーチャー(戦闘に使用する、そう意識するだけで、楽しいという気持ちは……成功率は、大きく落ちるだろう)

アーチャー(だが、お前の魔術はそこを克服してこそ生きる。乗り越えて見せろ)

――ラビットハウススノウ・庭――

アーチャー「アサシンから任されている、気配遮断を重点的に鍛えろとな」

リゼ「ああ、よろしく頼む」

アーチャー(すでに、駆け足でも足音を消せている。アサシンの言うとおり、この分野は有望かもしれん)

アーチャー「最後には試合も行う。気配を消せても、見つかる場合はあるからな」

アーチャー「近接戦闘の技術は、磨いておいて損ではない」


三人の修行の成果(コンマ一桁目)

士郎の干将莫邪↓1

1~7、「アーチャーのものには及ばないが、実用に耐える複製品」

890、「アーチャーのものに迫る、ほぼ完ぺきな複製品」


ココアの戦闘を視野に入れた合成魔術の成功率↓2

1~5、「1割程度」

678、「3割程度」

90、「5割以上」


リゼの気配遮断↓3

1~5、「変化なし」

678、「気配をより消せるように」

90、「攻撃しない限り、完全に気配を消せる」

アーチャー(衛宮士郎の投影は、以前よりは成長した。とはいえ)

アーチャー(今のままでは、あの成功は偶然と言わざるを得ない。あるいは、危機的状況が潜在能力を引き出したか)

アーチャー(とはいえ、平時に完璧な結果を出せなければ、会得したとは言えない。まだ発展途上、か)

アーチャー(ココアは……懸念したとおりになったか)

アーチャー(成功率0%でないだけマシ、と思うことにしよう)

アーチャー(リゼにも、これといった成長は見られない。まあ、数時間で気配遮断を習得されたら)

アーチャー(アサシンが商売あがったりだ。やはり難しい分野なのだろう)


アーチャー「今日はもう終わりだ。ゆっくり休め」

士郎「アーチャーがひきつった笑みを浮かべてるぞ……」ガタガタ

リゼ「私たちが不甲斐ないせいだろうか……」ガタガタ

ココア「ひいぃぃぃぃ」ガタガタ



修業後の三人の様子を↓1

1、「見る」

2、「見ない」

――ラビットハウススノウ・リビング――

士郎「昨日の一件を反省して、風呂に入るのは俺が一番最後というのがいいと思うんだが、どうだろう」

ココア「き、昨日はごめんね、士郎くん」

リゼ「わ、私も悪かった。勘違いした挙句、暴力を振るってしまって」

士郎「いや、俺にも非はあるからな。お互い様だ」

リゼ「そういってもらえると助かるよ。ところで、士郎の提案には賛成だ、その順番なら」

アサシン「俺ががわざと覗こうとしない限りは、鉢合わせることはないな(士郎の声真似)」

ココア「…………」

リゼ「…………」

士郎「…………」

ココア「士郎くん……?」ドンビキ

リゼ「士郎……?」ドンビキ

士郎「おいアサシン! 気配消して声真似とかえげつないことするんじゃない!」

アーチャー「そうか、つまり衛宮士郎はそういう奴なのだな」

士郎「事態をややこしくするんじゃねえ!」

――ラビットハウススノウ・風呂――

ザバー

ココア「はあー」

ココア「今日はすっごく疲れたなあ」

ココア(あんなに強い人たちと戦って、まだ一日経ってないのかぁ……)

ココア(実感が……)

ココア(っ!)ブルッ

ココア(うぅ、思い出したら怖くなっちゃった)

ココア(私も、リゼちゃんやあの人みたいに強かったらなあ)

ザパァッ

ココア(たとえば、こんな感じに)

ココア(てい、てい!パンチ、キッ……)

ツルッ

ココア「ク……え?」

ドテーン!

ココア「いったぁぁぁぁい!」

ココア「うぅ、慣れないことなんてするものじゃ……」

ドタドタドタ

ガラッ

士郎「どうしたココア!?」

ココア「え?」

士郎「あ」

アオヤマ「記述不足ですが、今日はアサシンはもう帰ってきています」



ココア「…………っ」

ココア「きゃああああああああああぁぁぁぁぁっ!」

士郎「わ、悪い!」

ピシャッ

ドタドタドタ

「士郎ぉぉ!お前ほんとに覗いたかぁぁぁぁぁ!」

「誤解だああああああ!」

ココア「…………」

ココア「また見られちゃった」ズーン

ココア「ホントにお嫁にいけないかも」



この後アサシンにめちゃくちゃ笑われた



【三日目・終了】


ほかの陣営の様子を↓1

1、「見る(キャスター、バーサーカー、ライダーのどれかを選んで併記)」

2、「見ない」

――遠坂邸――

凛「はあ」

ライダー「どうしましたか? 凛。浮かない顔をして、綺麗な顔が台無しですよ」

凛「メドゥーサに口説かれたなんて言ったら、時計塔で伝説になるでしょうね」

凛「っていうか、あんたに言われても嫌味にしか聞こえないんだけど。なによ、私にないモノもってるくせに」

ライダー「…………」

ライダー「…………?」チラ

凛「胸の話じゃないわよ! 身長!」

ライダー「ああ、そうでしたか。しかし、あっても邪魔なだけですよ?」

凛「もってる者の余裕ってやつかしら……」

ライダー「…………」チラ

凛「だ・か・ら! 胸の話じゃないってば!」

ライダー「で、どうして浮かない顔をしているんです?」

凛「そうね、その話だったわね」

凛「あのバーサーカー、どうなってんのかと思ってね」

ライダー「かの大英雄ヘラクレスですから、一筋縄でいかないのは当然でしょう」

凛「…………」

凛「出身が同じだからって、見ただけでわかるものなの?」

ライダー「わかりますよ。この国でたとえるならば」

ライダー「坂本龍馬などは、多少見た目が変わっていても見ただけでわかるでしょう」

ライダー「そういうものです」

凛「ふーん…………」

凛「まあ、それはいいわ。私が気にしてるのは、なんであの男が狂化したヘラクレスを制御できてるかってこと」

ライダー「彼を知っているのですか?」

凛「ええ、没落した魔術の家系の人間で、あれには魔術回路はないはずなのよ」

ライダー「…………」

ライダー「ひょっとしたら、別の供給源があるのかもしれませんね」

凛「別の供給源、ね」

凛「…………っ! まさか……」

――ブルーマウンテン道場――

弟子一号「今回はここまでよ、安価の協力や書き込み、ありがとね」

アオヤマ「さて、皆さんに報告があります」

アオヤマ「おそらく、ですが。土曜日までは更新することができないと思います」

弟子一号「予定が入ったの。ひょっとしたらもう少しかかるかもしれないわ」

アオヤマ「今回は、ココアさんが治癒魔術の才能に目覚めましたね」

弟子一号「癒しの力……なんかココアらしいわ」

アオヤマ「次回は、四日目の朝からスタートです。それでは、おやすみなさい」

弟子一号「またねー」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「お久しぶりです。それでは更新を始めますね」

弟子一号「今後も、二日以上間が空くようなら報告しようと思うわ」

アオヤマ「今日もよろしくお願いいたします」



――ラビットハウススノウ・ココアの部屋――

ココア「…………七時」

ココア「こんな時間に一人で起きたの、久しぶり」

ココア「変な夢見ちゃったからかな。でも、なんだったんだろ、あの夢」



――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「おはよー」

アーチャー「今日は起こしに行く手間が省けたな」

士郎「お、早いな、ココア。おはよう」

ココア「おいしそうな匂いー。リゼちゃんとアサシンは?」

士郎「庭だよ。朝から頑張ってる」

アーチャー「そういうお前も、さっきまでお粗末な投影に没頭していただろう」

士郎「そういうことは言わなくていいだろ……」

ココア「そっかぁ。私はねえ、変な夢見ちゃって」

士郎「それで目が覚めたのか」

アーチャー「変な夢、か。私の記憶を覗いたのかもしれないな」

ココア「記憶?」

アーチャー「ああ、マスターとサーヴァントは契約によって繋がっているからな」

アーチャー「夢という形で、互いの記憶が、もう一方の意識に侵入することがある」

士郎「そういえばアサシンも、似たようなこと言ってたな」

ココア「ふーん、そっかあ」

ココア「ということは、あれはアーチャーの夢だったんだね」

ココア「私はてっきり、士郎くんの夢だと思っちゃった」

アーチャー「!」

士郎「なんでさ。俺とアーチャーって、なにも似てないよな?」

ココア「言われてみれば、なんでだろうね。夢の中で、あ、士郎くんだ、って思ったのは覚えてたんだけど」

ココア「まあ、いいや。顔洗ってくるねー」

士郎「おお、ゆっくりでいいからな」

ココア「はーい」

アーチャー「…………」

リゼ「ごちそうさま。しかし、悪いな、士郎。結局ほとんど任せてしまって」

アーチャー「居候の身だ、そのくらいの労働は当然といえよう。リゼが気にすることではない」

士郎「それって俺が言うべきセリフだよな」

士郎「まあ、でもアーチャーの言うとおりだ。それに、俺が好きでやってることだし」

士郎「ほかの家事はやってもらってるしな。ほんとは、全部任せてほしいくらいだけど……」

ココア「そこはホラ、下着とかあるし……」

アサシン「士郎殿……」

士郎「気づかなかっただけだよ!」

アーチャー「そんなことはどうでもいい。アサシン、昨日の報告を」

アサシン「は。昨日は遠坂邸と冬木教会に行ってきましたが、遠坂邸の方は特に収穫はありませんでしたな」

アサシン「ただ、結界は強力です。無策で突入するのは控えた方がよろしいでしょう」

アサシン「それと、冬木教会ですが……」

リゼ「どうして教会に行ったんだ? 諜報が必要な場所じゃないだろう」

アサシン「さて、なぜでしょうな。私の勘とも言えますし……あるいは、天の導きやもしれませぬ」

アサシン「しかし、収穫はありました。教会にはサーヴァントがいます。マスターは言峰神父」

ココア「えぇ!?」

士郎「中立じゃなかったのか?」

アサシン「二人の会話を聞く限りでは、どうやら神父に令呪が宿ったのは偶然、彼にはさほど強い戦意はありませぬ」

アサシン「ただ、サーヴァントが必死に説得しておりました。戦地で相見える可能性もありましょうな」

ココア「クラスはわかる?」

アサシン「ライダー、キャスターはその所在とマスターが判明していますし、あれがバーサーカーとも思えませぬ」

アサシン「おそらく、あの金髪の少女はセイバーでしょうな」

リゼ「金髪少女……!」ガタッ

アーチャー「どうした? リゼ」

リゼ「会っているぞ、私はセイバーに!」

士郎「なっ、どこでだ!?」

リゼ「アーチャーと買い物に行ったときだ。確かに神父と一緒にはいたが、まさかサーヴァントだったとは」

アサシン「セイバーは言峰神父に、あなたには聖杯を手に入れられるだけの力がある、と言っていました」

アサシン「魔術か、あるいは体術か……なんらかの戦闘手段を有していると推測していた方がよいでしょうな」

アーチャー「セイバーに戦意があるのなら、説得は難しいだろう」

リゼ「それに、昨日の時点で三日目だったのにサーヴァントが現世に残っていることを考えると」

リゼ「あの神父は、参戦を渋っているだけで戦いたくないわけではなさそうだな」

アサシン「ああ、そうだ。士郎殿、少し聞きたいことが」

士郎「なんだ? 冬木の地理なら、アサシンもずいぶん詳しくなっただろう」

アサシン「いえ、これは地理というより歴史の問題」

アサシン「衛宮切嗣について、知っていることを話してもらえませんかな」

ココア「ああ、士郎くんの話に時々出てくる人だね」

士郎「ああ。けど、アサシンにはもう話したよな? 爺さんは俺を十年前の大災害から救ってくれた恩人で」

士郎「俺に魔術を教えてくれた正義の味方だよ」

リゼ「なるほど、そうだったのか」

アサシン「…………」

アサシン「ほかには?」

士郎「え?」

アサシン「たとえば、衛宮切嗣は前回の聖杯戦争に参加していた、とか」

ココア「そうなの!?」

士郎「いや、俺は知らない。爺さんの口からは、聖杯戦争のせの文字も出てこなかったからな」

アーチャー「……アサシン、衛宮士郎に嘘をついている風はない。どうしてそう思ったんだ?」

アサシン「セイバーが話しておりました。衛宮切嗣は前回のセイバーのマスターで、聖杯を破壊したと」

リゼ「聖杯を破壊した? なんだそれは」

アサシン「さあ、私にもわかりかねますな」

アーチャー「まて、アサシン。それはおかしいだろう。なぜセイバーに前回の記憶が残っているんだ」

アーチャー「仮に同じサーヴァントが別の時代に召喚されたとしても、記憶を引き継ぐことはできないはずだ」

アサシン「それはわかっていますよ、アーチャー殿。しかし、現にセイバーがそう言っていたのです」

アサシン「二人は私の存在に気づいていないのですから、演技や嘘であるとは思えませぬ」

リゼ「それもそうだな……ルールを外れた例外、か」

士郎「…………」

士郎「言峰綺礼は、爺さんを知ってるんだな」

アーチャー「変な気を起こすなよ、衛宮士郎。今や、冬木教会は敵勢力だ」

リゼ「たしかに、不用意に近づくのは危険だ」

ココア「ううん、士郎くんは話を聞きに行くべきだよ。危ないなら、私とアーチャーが一緒に行くから」

アーチャー「なにを言っている、ココア」

ココア「アーチャー、これは大事な問題だよ。血がつながってなくても、キリツグさんは士郎くんの家族なんだから」

ココア「家族のことが気になるのは、当たり前だよね」

士郎「ココア……ありがとう」

ココア「私だって、もしチノちゃんに好きな人ができたらすごく気になるもん」

ココア「好きな人ができて、お付き合いして……そしたら私と一緒の時間が少なくなって……」

ココア「結婚したら、旦那さんと一緒に……そしたら、住むところも離れ離れに……!」

ココア「うわああああああん!」

リゼ「お前は過保護な父親か」

アサシン「しかし、アーチャー殿。ココア殿の言うように、行かせてみるのも手ですぞ」

アサシン「戦場では、ほんのわずかな心の隙間が、敗北を呼び込むこともあります」

アーチャ「…………仕方ない。明るいうちなら、リスクも多少は軽くなるだろう。これ以上足を引っ張られても困るしな」

ココア「よかったね、士郎くん!」

士郎「ああ、ありがとうな、ココア」

アサシン「ココア殿は家族をとても大事にされているのですな」

リゼ「そうだな。ただのシスコン、と言われればそれまでだが」

ココア「妹…………? むむむ」

士郎「どうした? ココア」

ココア「なんか、頭が痛いというか……くしゃみが出そうだけど出ない、そんな感じの気持ち悪さというか……」

リゼ「思い出せそうで思い出せないあれか。確かにそういうのは精神的によくないからな」

士郎「頑張れココア! 思い出すんだ!」

ココア「ううぅぅぅぅん…………」


ココア思い出し判定↓1(コンマ一桁目)

1~7、「ココア、イリヤのフルネームを思い出す」

890、「ココア、何も思い出せない」

ココア「…………」

ココア「…………」

ココア「…………」

アーチャー「ココア、無理をするのもよくないぞ」

ココア「…………ン」

ココア「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン!」ガタッ

士郎「おわあ! ど、どうした!?」

リゼ「イリヤス……それって、新幹線で話してくれたイリヤの」

ココア「そう、フルネーム! イリヤちゃんは、アインツベルンの人だったんだよ!」

アーチャー「アインツベルンの人間と知り合いなのか」

ココア「うん、私の妹!」

リゼ「あ、血がつながってるとか、義理の、とかじゃないからな」

士郎「関係ないさ。そのイリヤって子は、ココアの家族なんだな」

ココア「うん!」

リゼ「待て、アサシン。アインツベルンのマスターは傀儡にされてたって……」

ココア「あっ…………」

アサシン「落ち着きなされ、ココア殿。まだ妹殿がそうだと決まったわけではありませぬ」

アーチャー「アサシン、アインツベルンのマスターはどんな姿をしていた?」

アサシン「魔術師の年齢を見た目から推測するのは危険ですが……少なくとも容姿に関しては、ココア殿よりも年下」

アサシン「座っていましたが、おそらく背は低いでしょう。体も細い。白い髪は長く、大きな瞳は赤い」

アサシン「強い魔力を宿した少女でしたな」

ココア「絶対イリヤちゃんだあぁぁぁぁぁ…………」

ココア「アーチャー! 今すぐイリヤちゃんを助けに……」

リゼ「だめだ、ココア。こういう時こそ落ち着かないと」

ココア「で、でも……」

アーチャー「ココア、ランサーの件からわかるように、サーヴァントにはマスターを殺すという選択肢がある」

アーチャー「だが、キャスターはそうせずに、あえて洗脳して傀儡にしている。おそらく、殺すよりも手間がかかる」

士郎「わざわざ洗脳したってことは、キャスターには何か考えがあって、そのためにはマスターを殺せないってことか」

リゼ「少々希望的な考え方ではあるが……筋は通ってるな。なら、しばらくは安全か?」

アサシン「むろん、悠長にしていていい、ということではありませんが。手を打つ必要はありましょう」

ココア「うぅ…………」

アーチャー「こんな状態のココアを外に出すわけにはいかんな」

士郎「教会には、俺とアーチャーで行ってくる。アーチャーは不服だろうけど……男に二言はないだろうな?」

アーチャー「安い挑発があったものだ。お前との口約束ならどぶに捨ててもよかったが、マスターの仰せだからな」

アサシン「では私たちが留守番しておきましょう。対キャスター用の作戦も考えておきます」

リゼ「たまには仲良くやれよ、ふたりとも」



――冬木教会――

アーチャー「私はこのあたりで待っておこう。セイバーによる襲撃があるようなら、すぐに駆けつける」

士郎「わかった」


ギギギギギィィィ

バタン


綺礼「おや、衛宮士郎。保護を求めに来たか?」

士郎「衛宮という苗字に、心当たりはないか? これは、俺の本当の性じゃない」

綺礼「…………」

綺礼「君の知っている衛宮切嗣について、私が話してやれることはない」

綺礼「父親としてのあの男について、君以上に知っている者もあるまい」

士郎「違う、俺が聞きたいのは……」

綺礼「引き返すなら今だ、衛宮士郎」

士郎「なに……?」

姓名だから性じゃなくて姓だね

綺礼「愛する者の過去を知ることは、義務でもなければ、許されているわけでもない」

綺礼「まして、たまたま知る機会がなかったのではなく、本人が意図的に隠していたのならなおさらだ」

綺礼「君の思い出の中で、衛宮切嗣という人間の存在は、すでに完成しているはずだ」

綺礼「その衛宮切嗣が過去を隠していたのなら、それは君や君の中の衛宮切嗣にとって、異物以外のなにものでもない」

士郎「…………」

綺礼「…………」

綺礼「十年前のことを、思い出したい気分だ」

士郎「!」

綺礼「客が来ているが、無様に独り言を垂れ流すことになるだろう」

綺礼「聞きたくなければ、今すぐここを去るがいい」

士郎「…………」

アオヤマ「>>490さんのおっしゃる通りです。失礼いたしました」



綺礼「第四次聖杯戦争、私はある人を勝たせるため、アサシンを召喚して戦いに臨んだ」

綺礼「調査を続けているうち、私はアインツベルンの雇われマスターである、衛宮切嗣に目を付けた」

綺礼「おかしな男だった。魔術師殺しと呼ばれ、魔術師でありながら、魔術を殺しの道具にしか使わない」

綺礼「己の魔術に誇りを持っている連中とは違い、武器や兵器を平然と使用し、魔術師の裏をかく」

綺礼「魔術師としては一流とは言い難かったが、あの男はそれでよかったのだろう」

綺礼「少なくとも、殺し屋としては一流だった。魔術師相手ならば、特に真価を発揮した」

綺礼「だが、私にとってこれらは些事に過ぎない。私の目を引いたのは、あの男の生き方だった」

綺礼「彼は若くして、己の身を幾度の戦火の渦に投げ込んでいる。私と、同じなのだと思った」

綺礼「自らの心の隙間を、どうやっても埋めることができない。自分の人間としての欠陥を自覚していたからこそ」

綺礼「自らの意思で、あえて苛烈な人生を選んだのだと。具体的な方法こそ違えど、私と同じように」

綺礼「前回の聖杯戦争で、彼は幾人もの人間をその手にかけた。一般人の犠牲者は皆無だったが」

綺礼「それが彼の良心なのか、ただ偶然そうなっただけなのかは定かでない」

綺礼「だが、聖杯戦争参加者には一切の容赦はなかった。ありとあらゆる手段を用いて殺した」

綺礼「混乱に乗じてマスターを狙撃した。魔術師の拠点を潰すためにビルごと爆破した」

綺礼「人質をとって令呪によるサーヴァントの自害を強要し、人質もマスターも殺した」

綺礼「衛宮切嗣は、そうまでして聖杯を求めたのだ。だのに」

綺礼「あの男は、手を伸ばせば届く距離にあった聖杯から手を引いた」

綺礼「自ら聖杯を求め、そして聖杯に選ばれたというのに……そのときになって、聖杯を拒絶した」

綺礼「私の期待は外れていた。あれは現実を受けれることができなかっただけの、ただの人間だった」

綺礼「己の願いが身に余るものであると自覚しながら、それを捨てることができなかった」

綺礼「だから聖杯に頼らざるを得なくなった。ただそれだけの男だ」

士郎「…………」

綺礼「……礼拝の時間だ。聖書も持っていないだろうが、参加していくか?」

士郎「いや、いいよ。邪魔したな」


ギギギギギィィィ

バタン


綺礼「…………」

綺礼「よかったのか? セイバー。あれを襲うこともできただろうに」

セイバー「あなたの胸の内を聞けただけで満足だ」

綺礼「そうか」

綺礼「セイバー、今晩から街に出ろ。戦うか偵察で済ませるかは、すべてお前の判断に任せる」

セイバー「わかりました、マスター。あなたの戦意だけが、悩みの種でしたから」

セイバー「これでようやく、心おきなく戦える」

士郎「帰ろう、アーチャー」

アーチー「ああ」

士郎(きっと、いつも悩んでたんだろう。自分のやってることは正しいのかって)

士郎(神経はすり減って、誰かを殺してでも、誰かを守ろうとした。それは、正しくないことかもしれない)

士郎(それでも理想を捨てなかった。だったら、やっぱり俺の知らない衛宮切嗣なんて、この世にはいなかったんだ)

士郎(やっぱり爺さんは、正義の味方だよ)



――ブルーマウンテン道場――

弟子一号「とりあえずこのあたりで中断するわ。今日中には再開できると思うけど」

アオヤマ「去り際に安価をとっておきましょう。留守番組の様子を見ますか?」

弟子一号「見ない場合は、士郎たちが帰ってくるところから再開、ってことになるわね」


ココアたち留守番組の様子を↓1

1、「見る」

2、「見ない」

――ブルーマウンテン道場――

弟子一号「ああびっくりした。見る見ないの安価っていらないのかな、って話をしようと思いながら戻ってきたのに」

弟子一号「みんながもうその話をしてるなんて」

アオヤマ「とりあえず、今回からは全部描写していきます。それによって展開がダラダラしてる、とお思いの方がいれば」

アオヤマ「また書き込んでいただければ幸いです」

弟子一号「みんなが意見を言ってくれるから助かるわ。それじゃあ、再開するわね」



――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「ううううう」

ゴチッ

ココア「にゃっ!?」

ココア「痛あああああい……」

リゼ「ココア、イリヤが心配なのはわかるが、座ってろ。部屋を歩き回るだけで壁にぶつかるなんて重症だぞ」

アサシン「この十数分の間に、十六度ですからな。大丈夫ですぞ、ココア殿。我らは妹殿を見捨てたわけではありませぬ」

ココア「うん、ありがとう。でも、やっぱり心配で……」

アサシン「ココア殿は、妹という存在を非常に大事にしておるのですな」

リゼ「ああ、そうなんだ。やっぱり、みんなに愛をあげてるから、みんなから愛されるんだろうな」

アサシン「ふむ…………」

アサシン「では、リゼ殿。ココア殿をお姉ちゃんと呼んでみてくだされ」

リゼ「はあ!? なに言ってるんだ、アサシン!?」

アサシン「たとえひと時でも、ココア殿の心に安寧を届けるためでございます」

リゼ「私はココアより年上なんだぞ!」

アサシン「年の差など些事でございます」

リゼ「これはそういう問題じゃないだろ!」

リゼ「……けど」チラ

ココア「うう…………」

リゼ「私が恥をかくだけで、ココアが元気になるのなら……」

リゼ「こ、ココア?」

ココア「なーに、リゼちゃん?」

リゼ「……げ、元気を出すんだ、姉貴!」

アサシン(まさかそうくるとは)

ココア「…………」


ココアの反応↓1(コンマ一桁目)

奇数、「頼れる妹……素敵!」

偶数、「……………………リゼちゃん。熱、測ろっか」

ココア「…………」

リゼ「…………」

ココア「…………」

リゼ「…………」

リゼ(や、やっぱりダメか……!)

ココア「頼れる妹……素敵!」

リゼ「えっ」

ココア「リゼちゃん! 私の頼れる妹!」ギュー

リゼ「お、おいココア! 抱き着いちゃ……」

ココア「めっ、だよ! リゼちゃん、さっきみたいに姉貴って呼んで!」

リゼ「う、あ……え、っと」

リゼ「その……元気出せ、姉貴」

ココア「うあああああ! 可愛い!」ギュー

リゼ「か、可愛い!?」

ココア「うん! リゼちゃん可愛い!」ギュー

リゼ「あ、ありがと、な」

リゼ(ココアに抱き着かれて……そうか、チマメ隊はいつもこんな気持ちだったのか)

リゼ(ああ、だめだ。心が洗われて、幸せな気持ちに……クセになってしまう……)

アサシン「私、感動いたしました。これが、日本の姉妹愛……!」

リゼ「……姉貴、そろそろ離れてくれ」

ココア「ええ!? リゼちゃん離れてほしかった!?」

リゼ「…………」

リゼ「……あ、姉貴がどうしてもっていうなら、そのままでもいい」

ココア「うん、どうしてもギューってしていたいな!」

リゼ「じ、じゃあ仕方ないな。このまま話すぞ、姉貴」

ココア「うん!」

アサシン「作戦会議ですな、リゼ殿」

リゼ「ああ。今は何とか持ち直したが、ココアのためにも、イリヤは優先して救出したいところだ」

ココア「ありがとー、リゼちゃん。みんなで頑張ろうね」

アサシン「ですが、私が偵察に行った時点で、工房は……いや、あれは工房のレベルなど、とうに超越しておりましたな」

アサシン「それに、キャスターが迎撃する側では、圧倒的にこちら側が不利。向こうの宝具もわかりませんし」

ココア「でも、待ってるだけじゃイリヤちゃんは救えないよ」

リゼ「ココアの言うとおりだ。圧倒的に不利でも、私たちはアインツベルンの森に攻め込まざるを得ない」

アサシン「わかっておりますとも。そのための作戦会議ですからな」

リゼ「…………なあ、姉貴。提案があるんだけど」

ココア「なあに、リゼちゃん?」

リゼ「イリヤを救出できたら、二人は久しぶりに再会することになるだろ」

リゼ「そのときのために、何かプレゼントを用意しておくってのは、どうだ?」

ココア「わあ、すごくいいよ! ありがと、リゼちゃん! なにか作ってみようかなあ」

リゼ「ああ、裁縫道具なら私の部屋にあるから、勝手に持って行っていいぞ」

ココア「ありがとう!」

トテトテ

アサシン「うまく逃がしましたな」

リゼ「殺されないように、相手を殺す計画だ。姉貴には荷が重い」

アサシン「美しい姉妹愛ですが……甘やかしすぎではありませんかな」

リゼ「そうかもしれない。けど、私は姉貴を甘やかすためについてきたんだ」

リゼ「汚れるのは、私だけでいいんだよ」

アサシン「ふむ…………」

アサシン「そこまで決意が固いのなら、私が口を出すことではありますまい」

――ラビットハウススノウ・リビング――

アーチャー「帰ったぞ」

リゼ「おお、お帰り。無事でよかった」

アサシン「士郎殿、どうでしたかな?」

士郎「ああ、何も問題はなかったよ」

アサシン「でしょうな。それどころか、以前よりいい顔をされている」

アーチャー「ココアはどうした」

リゼ「ああ、今は……」

ココア「できたよー!」


ココアの裁縫力↓1(コンマ一桁目)

12、「壊滅的」
3~7、「平均的」
890、「天才的」

ココア「じゃーん!」

士郎「お、ぬいぐるみか。なかなかよくできてるな」

アサシン「モデルはもしや……」

ココア「うん! イリヤちゃん!」

リゼ「きっと喜ぶぞ、姉貴」

アーチャー「姉貴?」

リゼ「あ」

リゼ「い、いや違うんだ。ココア、よくできてる……」

ココア「リゼちゃん、もう姉貴って呼んでくれないの?」

アサシン「おやおやリゼ殿。姉殿を泣かすとは、よくない妹ですな」

リゼ「あ、アサシン!」

士郎「へえ、リゼはココアの妹になったのか。よかったな、ココア。頼りになる妹ができて」

リゼ「し、士郎まで……!」

ココア「リゼちゃん……?」

リゼ「…………」

リゼ「…………わ」

リゼ「悪かったよ、姉貴」

ココア「えへへ、いいよ。リゼちゃん」

アーチャー「なんだ、なかなかお似合いじゃないか」

アサシン「アーチャー殿、士郎殿、よろしいかな」

士郎「ん、どうした?」

アサシン「此度の作戦……イリヤスフィール殿の救出および、キャスターの討伐に際して」

アサシン「私が戦闘に参加することをお許しいただきたく」

アーチャー「なるほど、それが三人……いや、二人で作戦を考えた結果か」

リゼ「そうだ。追いつめてからなら、キャスターを確実に倒せる見込みはある」

アサシン「しかし、そこに至るためには、ほぼ無策の状態から、キャスターを追い詰めねばなりませぬ」

士郎「やっぱり、難しいんだな。アサシンを隠したままなら、一層。アーチャーはどう思う?」

アーチャー「……もしも、この同盟が私とアサシンだけのものだったなら、迷わず反対しただろう」

アーチャー「少なくとも、バーサーカーの情報を集めるのが先だと」

アーチャー「だが、今の私はココアのサーヴァント。彼女の妹の救出となれば」

アーチャー「これ以上、後回しにはできまい」

ココア「アーチャー……! ありがとう!」

リゼ「決まりだな。ただ、もう一つ課題があるんだ。ココア」

ココア「えっ? 私?」

アサシン「左様。この作戦の要はもう一つ、ココア殿の合成魔術ですからな」

アーチャー「ほう、なかなかの奇策だな。確かに、材料をうまく選べば、ココアの合成魔術は戦闘にも流用できる」

士郎「けど、まだココアは……」

リゼ「だから、姉貴に頑張ってもらわないといけない。一度でいいんだ、ココア。成功させてくれ」

ココア「…………うん、頑張ってみるよ。私の力が人を傷つけるかもしれないっていうのは、すごく怖いけど」

ココア「それでも私は、イリヤちゃんを助けたい……! 私ががんばったら、イリヤちゃんが、助かるんだよね」

アーチャー「我々が全力でサポートする。ココアにはここで、すべての力を使ってもらって構わない」

アサシン「約束いたしましょう。必ずや、妹殿を救いだすと」

士郎「頼んだぞ、ココア。お前にしかできないことなんだ」

リゼ「愛する妹のためなら、壁くらい壊して見せろ。私の姉貴は、そういう奴だったはずだ」

ココア「…………うん、みんな、ありがとう」

ココア「わたし、やるよ」

アーチャー「試行回数は多い方がいい。材料は、なるべく多く用意しよう」

士郎「足りないなら、随時補充していくからな」

アサシン「いかがいたしますかな、ココア殿。一人の方が集中できるなら、我々は席を外しますが」

ココア「ううん、みんなここにいて。みんなと一緒なら、きっと大丈夫だから」

リゼ「ああ。姉貴なら、きっと大丈夫さ」


ココアの合成魔術↓1(コンマ一桁目)

1~9、「苦戦」
0、「覚醒」

ココア「…………っ、うう」

リゼ「一回休め、姉貴。もう限界だろ。一時間近くもぶっ続けで……」

ココア「ううん、イリヤちゃんの、ためだもん。私だって、役に、立たなきゃ」

ココア「でも、肩を支えてくれてるのは、助かるよ。そのままで、いいかな?」

リゼ「ああ、こんなことでよかったら、いくらでも力になってやる」

ココア「えへへ、ありがと…………『合成開始(コネクト・スタート」』」

バチッ

ココア「うぁっ!」

アーチャー「ココア、紅茶が入ったぞ」

ココア「あ、りがと。アーチャーの紅茶、おいしいから、力が出る、よ」

アサシン「士郎殿、そろそろ材料が」

士郎「わかった。多めに用意しておいた方がいいか?」

アサシン「そうですな。ココア殿には悪いですが」

ココア「っ…………また、ダメ。でも、諦めないよ……!」

アサシン「まだまだ、必要になるやもしれませぬ」

士郎「……やっぱり、心苦しいな。何もしてやれないなんて」

アサシン「仕方がありませぬ。計画自体が、ココア殿の才に依存している。彼女に任せるよりほかにありませぬ」

リゼ「士郎、次を!」

士郎「ああ、今いく!」

――ラビットハウススノウ・ココアの部屋――

ココア「…………むにゃ」

リゼ「よく頑張ってくれた、姉貴」

アーチャー「必要なものはそろった。ココアが目覚め次第」

アサシン「襲撃ですな」

士郎「ゆっくり寝かせてやりたいけど……ココアの気持ちを考えれば、むしろ早急に動くべきなんだろうな」

リゼ「そうだな。早くイリヤを救ってやりたいから、こんなに頑張ったんだ」

アーチャー「リゼ、衛宮士郎。ココアのことは任せたぞ」

アサシン「最後の詰めも、どちらかにお願いすることになるでしょうな」

アーチャー「危険とおもったら、ためらいなく令呪を使え。いいな」

士郎「ああ、わかってる」

リゼ「姉貴にも、そう指示しておくよ」

アサシン「では、お二人もお休みください。此度の戦は、厳しいですからな」

アーチャー「キャスターは、サーヴァント相手でこそ最弱だが、人間相手ならば最強クラスだ。気を引き締めておけ」

士郎「言われるまでもない」

リゼ「必ず、全員生き残ったうえで……イリヤを救いだす」


ココア起床は午後↓1(コンマ一桁目)時

※0は10とします。ここの数字次第で展開が変わるわけではありません

ココア「むにゃむにゃ」

ココア「はっ」

ココア「い、いま何時!?」ガバッ

リゼ「日は変わってない。午後8時だよ、姉貴」

ココア「そ、そんなに寝てた!?」

リゼ「気にするな、姉貴は頑張ったんだから」

士郎「お、起きたか、ココア」

ココア「士郎くん、それにみんなも、ごめんね」

アーチャー「無茶な材料だったのも災いしたのかもしれん。ともかく、ココアが気にすることではない」

アサシン「食事は終えてしまいました。ココア殿が食べ終わり次第、出発いたしましょう」

――ラビットハウススノウ・玄関――

ココア「遅くなっちゃった!」

リゼ「いや、ちょうどいい時間だよ。姉貴」

ココア「え?」

ブロロロロロロロ

キキッ

ココア「と、トラック?」

黒服「お嬢! お持ちしました!」

リゼ「ああ、悪かったな。トラックごと借りるから、タクシーでも拾っていってくれ」

リゼ「請求すれば、親父が出してくれるよ」

黒服「いえいえ、自分たちがお役にたてるのなら、タクシー代くらい!」

黒服「では、失礼します!」

アーチャー「スーツの上からでもわかるくらいには、よく鍛えられているな」

アサシン「リゼ殿には、よい師がついているのでしょうな」

士郎「あれじゃあ軍人っていうか、自由業の方じゃねえか……」

リゼ「アーチャーが運転できるんだったよな?」

アーチャー「ああ、任せておけ」


トラックの席を決めます。コンマ一桁目が最も大きい人が助手席、あとは荷台です(0は10扱い)


ココア↓1

リゼ↓2

士郎↓3

アサシン↓4

――トラック・運転席――

ココア「まあ、私がマスターなんだし、当然だよね」

アーチャー「そうだな」

アーチャー「ココア、お前は絶対に前に出てくるな。攻撃の回避と、令呪の使用にのみ神経を使うんだ」

アーチャー「危険を感じたら、躊躇なく衛宮士郎を盾にしろ」

ココア「そ、そんなことできないよ!」

アーチャー「冗談だ」

ココア「あ、アーチャーも冗談とか言うんだね。でも。全然冗談に聞こえないよ!」

ココア「ほら、アーチャー。笑って」

アーチャー「…………」

アーチャー「…………」ニヤァ

ココア「ひいいいいぃぃ」

アーチャー「まったく、にぎやかなマスターだ」

――トラック・荷台――

士郎「こんなにデカい荷台が、ほとんど埋まってるな。天々座家ってすごい」

リゼ「私も、まさか軍人の娘っていう境遇が、ここまで役に立つ日が来るとは思ってなかったさ」

アサシン「さて、お二人とも。今日の戦では」

キキーッ

リゼ「わわっ!?」

士郎「リゼ、危ない!」

ガタガタガタッ

士郎「だ、大丈夫か? リゼ」

リゼ「あ、ああ。すまな……」

士郎「…………? リゼ、どうした?」

リゼ「あ、い、いや。助けてもらったのはありがたいが」

リゼ「か、顔が近いぞ……」

士郎「わ、悪い!」

リゼ「き、気にするな! 嫌だったわけじゃないからな」

士郎「えっ」

リゼ「あっ」

アサシン「ふむ…………」

アサシン「決戦前のトラックの荷台すら甘い空気にするとは、いやはや、見事な手腕」

リゼ士郎「アサシン!」

――アインツベルンの森――

リゼ「着いたか。よし、荷物を全部おろして、準備に入ろう。姉貴はちょっと離れててくれ、見張りついでにな」

ココア「う、うん……リゼちゃん、これって」

士郎「リゼ、これは?」

リゼ「デカいのはアーチャーに任せてしまえ。アサシンは片手だから、それよりは小さめのをな」

士郎「わかった」

ココア「な、なにが始まるの……?」

アーチャー「仕事は迅速な方がいいだろう。すぐに次を手にとれるように、並べて配置しておこう」

アサシン「なるほど。では、そのように」

ココア「ね、ねえリゼちゃん? なんか、アニメとかに出てきそうなすごく大きい武器がいっぱいあるんだけど……」

リゼ「ああ。なんでも、魔術ってのは結構繊細なんだそうだ。罠とか結界みたいに、配置しておくタイプなんかは特に」

リゼ「それらも、魔術へ対策は施してあることが多いみたいだけど、物理的な攻撃には脆い場合が多いらしい」

リゼ「敵が魔術師として優秀なら、なおさらな。だから」

ココア「だから……?」

リゼ「火力で森ごと吹き飛ばす」

ココア「ええ!?」

リゼ「よし、準備できたな」

リゼ「――――――撃てぇっ!!」



――アインツベルン城――

キャスター「あら、ようやく敵さんのお出ましね。骨のある相手だといいけれど」

キャスター「マスター、見てて。あいつらには私の神殿をとっくり堪能してもらうんだから」

キャスター「まず入り口付近には……ん?」

キャスター「えええええええ!? あいつら何やってんの!?」

キャスター「神秘の秘匿はどうしたのよ!? っていうか普通に環境破壊じゃない!」

キャスター「森で暮らしてる生き物だっているのに!」

キャスター「……いいわ。ここまで来たら、私の魔術で直々に消し炭にしてやるわ!」

――アインツベルン城――

ココア「ああ、綺麗な森が丸裸にされて……」

アーチャー「さて、城にはたどり着いたが、さすがにここは物理的火力も通してくれそうにないな」

アサシン「と、なれば」

士郎「突入するしかないってことか」

リゼ「イリヤを奪還するだけじゃ意味がない。それに、罠は城中にめぐらされてるはずだ」

アーチャー「いっそ、正面から行こう。多少は、話を聞けるかもしれんしな」

アサシン「私は別のところから行きます。強力な結界が相手では、捕捉される危険性もありますが」

アサシン「私の短剣は、正面からでは真価を発揮できませんし」

アーチャー「ココア、君は二人の後ろに」

ココア「う、うん」

リゼ「絶対離れるなよ、姉貴」

士郎「必ず、俺たちが守るからな」

アーチャー「よし……突入するぞ」

――アインツベルン城・玄関――

キャスター「ようこそ、野蛮人の皆さん。そうまでして聖杯が欲しいのかしら」

リゼ「貴様……! マスターを傀儡にしている奴が言えるセリフか!」

キャスター(あ、そっか。客観的に見れば、私ってそういう奴に見えてるわよね……)

士郎「マスターだって人間なんだぞ! それを、お前は!」

ココア「イリヤちゃんは、返してもらうんだから!」

キャスター(ああ、なんかすごい睨まれてる。そうよね、今の私はどう見てもただの外道よね)

キャスター「はあ…………」

アーチャー(まずは、工房内でのキャスターの戦闘力を見極める……!)

アーチャー「――――I am the bone of my sword.(わが骨子は捻じれ狂う)」

アーチャー「――――『偽・螺旋剣(カラド・ボルク)』!」

キャスター「初めから全開ってわけね……!」


キャスター防御判定↓1(コンマ一桁目)

※イリヤと契約しているうえ、とくに魔力が制限されているわけでもないので、ここのメディアさんは強そうです

1~3、「防御は無理と判断、転移で回避」

4~8、「ほとんど相殺する」

90、「完全に防ぎきる」

キャスター「――――――!」

アーチャー「っ!?」

アーチャー(もとより、今の一撃が通るとは思っていなかった。だが……)

キャスター「あらあら、意気揚々と突入してきた割に、大したことないのね」

アーチャー(完全に防がれる、か……!)

キャスター「小手調べのつもりだったのかもしれないけど……果たして戦意が萎えずに済むかしら」

キャスター「今度は、こっちの番ね」

ココア「く、空中に魔方陣がたくさん……」ガクガク

リゼ「姉貴、私の後ろに」

アーチャー「衛宮士郎」

士郎「え? …………! わかった、やってみる」

キャスター「さあ、耐えてみなさい!」

ズドドドドドドドドド

リゼ「あ、あれが魔術だと……ただのレーザーじゃないか!」

アーチャー「――――I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)」

アーチャー「――――『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!」


アーチャー防御判定↓1(コンマ一桁目)

※メディアは強い(確信)

1~6、「完全に突破される」

789、「辛うじて突破され、負傷」

0、「防ぎきる」

『熾天覆う七つの円環』突破されました

リゼ回避判定↓1(コンマ一桁目)

1~8、「負傷」

90、「回避成功」

アーチャー「くっ……!」

リゼ「アーチャー、こっちは気にするな! 攻めろ!」

アーチャー「リゼ!?」

リゼ「姉貴は私が守るから!」

アーチャー「わかった、うまくやれよ、リゼ!」

ズドドドドドドドドド

リゼ「姉貴ッ!」

ココア「リゼちゃん、ありが……」

リゼ「っ! だめだ、姉貴!」

ココア「え?」

ズドォォォン

ココア「…………っ」

ココア「あれ、あんまり痛くない。よかった、外れたんだ」

ココア「リゼちゃ」

ベチャ

ココア「…………リゼ、ちゃん?」

ココア「なんで、血が出てるの……?」

リゼ「あ、ねき……よかった、ぶ、じで……」

ココア「リゼちゃん……? リゼちゃん?」

リゼ「…………」

ココア「あ、あ、あぁ」

ココア「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


ココアの次の行動↓1

1、「リゼの懐から銃を抜き、キャスターに突撃」

2、「令呪を以て命じる、リゼちゃんを連れて逃げて」

3、「令呪を以て命じる、キャスターを倒して」

ココア「いやだ、リゼちゃん、死んじゃやだ……」

ココア「令呪を以て命じる! アーチャー、リゼちゃんを連れて逃げて!」

アーチャー「っ、だめだココア、それは……」

ココア「…………」

ココア「よかった、これで、リゼちゃんは」

キャスター「令呪を使っての逃走ね。なるほど、これは」

キャスター「私が対策してないと思ったの?」

ココア「え?」

キャスター「令呪も所詮は魔術。発生しうる神秘は、あくまで魔術の範囲内」

キャスター「ここは私の神殿よ。当然、手は打ってあるわ。たとえば」

キャスター「神殿内から誰かが逃走した場合、それを自動で追尾する攻撃の術式、とか」

ズドォォォォォン

キャスター「ほら、いま撃ち落とされたんじゃない? 残念だったわね」

ココア「そ、そんな……」

キャスター「まあ、心配いらないわ。あなたも、もう一人のマスターも、同じところに逝かせてあげるから」

キャスター「もちろん、モルモットとして使いつぶしてからね」

ココア「あ、あ…………」



【BAD END】


ラビット道場に送還されます

――ラビット道場――

ちの「こんばんは。三度目のラビット道場、おめでとうございます」

ちや「ねえ、ちのちゃん。キャスター強すぎじゃない? これ、勝てるの?」

ちの「正直、偽・螺旋剣を完全に防がれるとは思ってなかったんです。正直やばいです」

ちの「でも、頑張れば活路は開けるはずです。なにやら、アーチャーが士郎さんに策を授けていたみたいですし」

ちの「絶望しかないわけではないはずです」

ちや「対魔力が低いのが致命的よねえ。干将莫邪にはそれを上げる効果があるらしいけど、たぶん、焼け石に水?」

ちの「そうだと思います」

ちの「ともかく、こんな終わり方はあんまりです。>>542に戻ってやり直しましょう」

ちや「頑張ってねー」



――アインツベルン城・玄関――

リゼ「あ、ねき……よかった、ぶ、じで……」

ココア「リゼちゃん……? リゼちゃん?」

リゼ「…………」

ココア「あ、あ、あぁ」

ココア「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


ココアの次の行動↓1

1、「リゼの懐から銃を抜き、キャスターに突撃」

2、「令呪を以て命じる、キャスターを倒して」

ココア「…………許さない」

ココア「私の大事なリゼちゃんに、こんな……許さない!」

リゼ「や、めろ……あね、き……」

ココア「うあああああああぁぁぁぁっ!!」

アーチャー「なっ!?」

士郎「ココア!? やめろ!」

キャスター「…………」

キャスター「戦闘狂の英雄どもが、こういうときに興ざめ、って言うらしいけど。今なら気持ちがわかるわ」

キャスター「私は敵を倒すんじゃない。気が動転して狂ってしまった哀れな少女を、介錯してあげるのね」

キャスター「いいわ、アーチャーのマスター。すぐに、治してあげるから」



【DEAD END】


ラビット道場に送還されます

――ラビット道場――

ちや「はい、ちのちゃん。お茶が入ったわよ」

ちの「ありがとうございます。あ、ちやさん。このあんみつとっても美味しいです。一緒に食べましょう」

ちや「あら、ありがとう。…………ん?」

ちや「あら、もう帰ってきたの?」

ちの「おかえりなさい。早かったですね。意気揚々と出勤したつもりが、すぐにお弁当を忘れたことに気づいて帰宅」

ちの「それくらい早いですね」

ちや「ごめんなさいね、くつろいでて。でも、もうしばらく来ないと思ってたから」

ちの「そういえば、BADENDフラグが潜んでる時の選択肢っていつも二つしかなかったな、と思ったので」

ちの「水増ししただけなんです。誰も選びそうにないモノを」

ちや「でも、選ばれちゃったわ。Fateのファンって、特殊な訓練を受けてるのかしら」

ちの「ひょっとしたら、裏をかいてこっちなら正解、と推測したのかもしれません。でも今回は、見た通り地雷でした」

ちや「もう選択肢が残っていないから、>>545で2を選んだことにして進めるわ」

ちの「今度こそ、頑張ってくださいね」

――アインツベルン城・玄関――

リゼ「あ、ねき……よかった、ぶ、じで……」

ココア「リゼちゃん……? リゼちゃん?」

リゼ「…………」

ココア「あ、あ、あぁ」

ココア「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ココア「り、リゼちゃん……」

ココア「っ、だめ……私には、まだ…………やれることが、あるんだから……!」

ココア「令呪を以て命じる。アーチャー、キャスターを倒して!」キィィィン

アーチャー「承った……!」

キャスター「令呪による魔力ブースト、ね。厄介だけど、起死回生には程遠いわよ」

アーチャー「やってみなければ、わかるまい!」ブン

キャスター「弓矢がダメなら、今度は短剣? 投げるのが好きなのね」

キャスター「でも、そんなのは届かない――――!」ギィィィン

アーチャー(結界に阻まれ、弾き飛ばされたか。次の攻撃まで、数秒も猶予はない)

アーチャー(だが……)

キャスター「さあ、今度こそ仕留め……っ?」

キャスター(なに? 背後から……!)

ギィン

キャスター(結界で弾けた……けど)

キャスター(さっきの剣が、戻って……!?)

キャスター「……なるほど、そこのあなたね。魔術師」

キャスター「投影魔術によって全く同じ武器を複製、両者が引き合う性質を利用して、幾度もの攻撃を可能にした」

キャスター「でも、そんな小細工も、私の魔術の前には無力よ!」

キャスター(今なら、すべての剣が私の前方にある……あれごと、一撃で焼き払う!)

キャスター「――――――!」

アーチャー(これで、条件はそろった)

アーチャー(キャスターが常時、自身の周囲に展開している結界は、攻撃の際には解除されている)

アーチャー(仮にそうでないならば、今の干将莫邪の連撃など気にせず、すぐに攻撃すればよかったからだ)

アーチャー(とはいえ、攻撃の際に全く無防備というわけではないだろう。おそらく、先のものよりは劣るが)

アーチャー(強固な結界が張られているはず。だが、それで干将莫邪を防げると判断しなかったのなら)

アーチャー(キャスターが攻撃するときに展開されている結界は、魔力は通さないが)

アーチャー(魔力が宿っているだけのモノは、貫通する。ならば)

ズドドドドドドドド

アーチャー(アサシンの腕も、通る――――!)

キャスター「なっ……アサシン!?」

キャスター「っ、ぐっ……」

キャスター(直撃は、避けた……でも、なに……この違和感は)

アサシン「勝負、アリですな。キャスター」

キャスター「!」

キャスター「それは、私の心臓のコピー……?」

キャスター「……なるほど、それがあなたたちの狙いだったのね。アサシンの宝具を用いた、不意打ち」

キャスター「でも、いかに宝具とはいえ……所詮は類感呪術。神殿内の私を、呪い殺せると思っているの?」

アサシン「では、やってみましょうか。私の宝具とあなたの魔術。どちらが上か」

アサシン「私がこの、あなたの心臓の二重存在を握りつぶすことで、確かめることができましょう」

アサシン「――――『妄想心音(ザバーニーヤ)』!」

キャスター「――――――!」

アサシン「…………」

キャスター「…………」

キャスター「ふ、ふふっ。あはははははっ!」

キャスター「残念だったわね! これで、万策尽きたんじゃない!?」

アサシン「ええ、そうですな。今の勝負は、私の負け。ですが」

アサシン「この戦いは、私たちの勝利のようですぞ」

ドスッ

キャスター「…………え?」

キャスター「なんなのよ、なんで……」

キャスター「私の胸に、ウサギの耳が突き刺さってるのよ……!?」

士郎「残念だったな、キャスター。これはココアの合成魔術によって、アーチャーの『偽・螺旋剣』の性質を合成された」

士郎「『兎・螺旋剣』だ」

アーチャー「キャスター。お前は、アサシンによる呪殺を防ごうとするあまり、運用できる魔力のほとんどすべてを」

アーチャー「魔術的な防御に使った。さっきの結界とはまた違う、魔力自体を遮断する結界」

アーチャー「これなら、形を持った宝具すら防御しうる」

アーチャー「だが、あらゆる形の宝具を遮断できても、純粋に物理的な攻撃への配慮を忘れてしまっていたようだな」

キャスター「純粋に物理的、ですって……? バカなことを」

キャスター「どんな形をしていようと、宝具の性質を内包しているならそれは宝具よ! 私の結界で、防げないはず……」

アサシン「驕りましたな、キャスター。己の魔術を、知識を、過信しすぎですぞ」

アーチャー「誰が何と言おうと、それは宝具と同じような効果を発揮するだけの」

アーチャー「ウサギのぬいぐるみだ」

キャスター「…………そう。奇策とはいえ、私は現代の魔術師に、魔術で敗れたのね」

キャスター「でも、魔術師としてひとつ言っておくわ。アーチャー」

キャスター「あなたの言葉が正しいなら、それは合成魔術なんかじゃないわ」

アーチャー「…………」

キャスター「あら、その様子なら気づいてるみたいね。はあ、結局、どうしようもなかったわね」

キャスター「ごめんね、マスター」


【キャスター敗退】

――ブルーマウンテン道場――

弟子一号「うわあああああ! リゼ先ぱあああああああい!」

アオヤマ「落ち着いてください、弟子一号さん。ちゃんと勝ちましたから。もう大丈夫ですよ」

弟子一号「うう、ぐすっ」

弟子一号「でも、よく勝てたわね、強かったのに」

アオヤマ「少なくとも攻め込む場合は、アーチャーアサシンペアは、キャスターと相性が悪いようですね」

アオヤマ「さて、キャスターを倒したところで今回の更新は終了です」

弟子一号「次回は四日目の夜、キャスターを倒した後からスタートよ」

弟子一号「安価の協力や書き込み、ありがとね」

アオヤマ「それでは、また次回。おつかれさまでした」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「こんにちは~。更新を始めます」

弟子一号「アインツベルン城からスタートね」



――アインツベルン城・空き部屋――

リゼ「すぅ、すぅ……」

ココア「いい感じに空き部屋があってよかったよ」

士郎「ココアの治癒魔術もさすがだな」

士郎「イリヤは俺たちが探してくるから、ココアはリゼの様子を見ててくれ」

ココア「うん。イリヤちゃん、大丈夫かな?」

アーチャー「洗脳がキャスターの仕業なら、あれが消滅した時点で魔術は解けているはずだ」

アサシン「城は広い。手分けして探しましょう」

ココア「よろしくね」

士郎「ココアも、あんまり無理するなよ」

ココア「うん、ありがとう」

ココア「また、助けてもらっちゃった。リゼちゃん、ありがとう」

リゼ「ん、んぅ……」

リゼ「あ、ねき……」

ココア「ふふ、姉貴、だって。可愛い妹がいっぱいで、私は幸せだなあ」

ココア「イリヤちゃんにも、また会えるし」

ココア「ふふ、楽しみだなあ」


イリヤ第一発見者↓1(コンマ一桁目)

123、「士郎」

456、「アーチャー」

789、「アサシン」

0、「イリヤがココアを発見」

――アインツベルン城・廊下――

士郎「……広いな。部屋も多いし」

ガチャ

士郎「うーん、ここも違うか」

士郎「洗脳したマスターを城から出すはずないんだから、どこかにはいるはずなんだけど……」

士郎「ん?」

タタタタッ

士郎「いま、一瞬小柄な影が見えたな」

士郎「おーい!」

???「!」

士郎「怯えなくていい、君に危害を加えるつもりはないんだ」

士郎「君が、イリヤか?」



イリヤの士郎への感情↓1(コンマ一桁目)

1~4、「裏切り者の息子(アハト翁に洗脳されている)」

5~7、「大好きなキリツグの養子さん(アハト翁に洗脳されていない)」

8~0、「顔も名前も知らない」

イリヤ「うん、私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

イリヤ「キャスターのマスターだったはずなんだけど……召喚した日から記憶がなくて」

士郎「キャスターは、イリヤを洗脳していたんだ」

イリヤ「えっ? そ、そうだったの……それじゃあ、お兄ちゃんは」

士郎「ああ、キャスターは倒した。けど、俺だけじゃない。俺と契約してるアサシンと、同盟を結んでるアーチャー」

士郎「それから、アーチャーのマスターのココアと……」

イリヤ「こ、ココア!? ココアおねえちゃん!?」

イリヤ「お姉ちゃんが来てるの!?」

イリヤ「お姉ちゃんが、私を助けてくれたの!?」

士郎「ああ。あいつも会いたがってたから、すぐに行ってやってくれないか」

士郎「空き部屋を勝手に使ってるけど……」

イリヤ「そんなの、どうでもいいよ! お兄ちゃん、早く行こう!」

タタタタタッ

士郎「お、おいイリヤ! そっちじゃないぞ!」

バン!

イリヤ「お姉ちゃん!」

ココア「!」

ココア「イリヤちゃん!」

イリヤ「…………あれ?」

ココア「…………あれ?」

イリヤ「お姉ちゃん、大きくなってる!」ガーン

ココア「イリヤちゃん、全然変わってない! 可愛い!」

ココア「えーい! ぎゅー!」ギュー

イリヤ「わわ……お姉ちゃん」

ココア「イリヤちゃん、よかった。無事だったんだね」

イリヤ「お姉ちゃんが助けてくれたから、だよ」

ココア「えへへー」ギュー

イリヤ「……お姉ちゃん、あったかい」

ココア「イリヤちゃんも、あったかいよ」

イリヤ「そっか……よかった」

士郎「本当の姉妹みたいだな」

――アインツベルン城・空き部屋前の廊下――


アーチャー「…………」

アサシン「おや、アーチャー殿。お戻りでしたか」

アサシン「お入りにならないので?」

アーチャー「いま入って行っても邪魔なだけだろう。もう少し、静かになってからな」

アサシン「左様ですか」

アサシン「いやはや、此度も無事で済んで何より」

アーチャー「辛うじて、な」

アサシン「令呪は、少々もったいなかったですかな?」

アーチャー「そうとも言い切れん。お前の不意打ちを成功させるには、極力、キャスターの注意をひかねばならなかった」

アーチャー「あの令呪によって、キャスターが私に注目せざるを得なくなったとすれば、失策でもないだろう」

アサシン「打ち合わせでもされましたかな?」

アーチャー「いや、少なくとも令呪の使用に関しては、ココアの独断だ」

アサシン「……さすがですな。戦闘は全くの苦手分野であるというのに」

アーチャー「さっき聞いてみたさ、どうして令呪を使ったのかと。なぜ、あの命令だったのかと」

アーチャー「曰く、妹を助けることしか考えていなかった、だそうだ」

アサシン「見事、ですな」

ガチャ

士郎「あれ、二人とも戻ってたのか」

アーチャー「ああ。中が急に静かになったが、どうした?」

士郎「それが……ああ、見た方が早いよ」

アサシン「おやおや、三人が同じベッドに」

アーチャー「ココアは戦闘直後、イリヤは病み上がりのようなものだからな、仕方ないだろう」

士郎「起こすのも忍びないし、ここで一泊していくよな?」

アーチャー「そうだな、結界はボロボロだが、あえて攻めてくるやつもあるまい」

アサシン「念のため、我らが見張りに立っておきましょう。士郎殿も、お休みくだされ」

士郎「ありがとう、そうさせてもらうよ」

アーチャー「ココアたちに手を出そうものなら……わかっているな?」

士郎「しねえよ!」



【四日目・終了】


ほかの陣営の様子を見ます↓1

1、「バーサーカー陣営」

2、「ライダー陣営」

3、「セイバー陣営」

――間桐邸――

慎二「ちっ、遠坂め……何が不満なんだ!」

慎二「僕のバーサーカーは最強なんだぞ! その僕が、手を組んでやろうって言ってるのに……」

慎二「桜! おい、桜!」

慎二「…………」

慎二「おい、さ……」

臓硯「そう声を荒げるでない、慎二。桜は今、蔵の外に出られるような状態ではない」

慎二「っ……!」

臓硯「カカ、そう身構えずともよい。お前が儂を邪険に思っていることも知っておるしな」

臓硯「だが、儂は機嫌がよいからな。多少の無礼は目をつむってやるぞ?」

臓硯「なにせ……くく、かかかかかかっ」

臓硯「望みなど持っていなかった此度の戦争に、勝機が見えておるのだからな!」

臓硯「とはいえ、あれが壊れてしまえば本末転倒」

臓硯「すべての采配はお前に一任するが、慎二。くれぐれも、バーサーカーを動かしすぎるなよ」

臓硯「かか、かかかかかかっ!」


慎二「…………ちっ、なんだよなんだよ! どいつもこいつも!」

慎二「見てろよ、死にぞこないめ。必ず聖杯をとって見返してやる」

慎二「そのためには……まずは遠坂だ。僕に恥をかかせやがって!」

慎二「行くぞ、バーサーカー! もう、同盟なんて知ったことじゃない」

慎二「全部ぶっ殺して、聖杯を手に入れるんだ!」

バーサーカー「■■■■■■■■――――!」


桜「……ぁ、あ…………」

桜「せん、ぱ…………」

【5日目】

――アインツベルン城――

リゼ「ん、ふあぁ~あ」

リゼ「朝か……」

リゼ「見知らぬ子が隣で寝てるが……この子がイリヤなんだろうな」

イリヤ「……ん」

リゼ「可愛いな。ココアが気に入るのも無理はない」

リゼ「…………」

ナデナデ

リゼ「ああ、サラサラだ……」

イリヤ「んぅ」

イリヤ「ん、朝……?」

リゼ「ああ、悪い。起こしてしまったな」

イリヤ「ううん、いいよ。あなたがリゼ? お姉ちゃんから聞いてるよ」

イリヤ「助けてくれてありがとう」

リゼ「私は何もしてないさ。みんなががんばったんだよ」

イリヤ「ふふっ」

リゼ「ん、どうした?」

イリヤ「ううん。私がお礼言ったら、みんなおんなじようなこと言うから」

イリヤ「なんだか、おかしくて」

リゼ「アーチャーもそういうこと言うのか」

アーチャー「似合わないことを言って悪かったな」

リゼ「おわあっ! い、いたのか、アーチャー!?」

アーチャー「いま戻ったところだ。そろそろ帰らねばな」

アサシン「森を派手に破壊しましたからな。なんの備えもない今、襲撃されればまずいことになりますゆえ」

リゼ「じゃあ、ココアを起こさないと……」

イリヤ「お姉ちゃん、起きて!」

ココア「はっ!」ガバッ

ココア「あ、みんなおはよー」

リゼ「ホントにわかりやすいな」

――アインツベルンの森――

イリヤ「な、なにこれ……森が……」

士郎(やばい)

リゼ(私たちのせいでイリヤがショックを)

イリヤ「だ、だれがこんなひどいことを……」

アーチャー「キャスターだ」

ココア「!?」

アーチャー「陣地作成に邪魔だったようだ。私たちがついたときには」

アーチャー「すでにこの有様だった」

イリヤ「そんな……」

イリヤ「……ううん、もう終わったことだもん、悲しんだってしょうがないよね」

イリヤ「みんな、本当にありがとう! 助けてくれただけじゃなくて、森の恨みも晴らしてくれて」

士郎(これは)

リゼ(さすがに)

ココア(心が痛いよう……)

イリヤ「ところで、アサシンは?」

アーチャー「道中、敵と遭遇する可能性もある。アサシンは先回りして、様子を見に行っているはずだ」

士郎「お、噂をすれば影、か」

アサシン「ただ今戻りましたぞ」

アサシン「↓1(コンマ一桁目)」


1~7、「敵はいないようですな」

8、「バーサーカーを発見」

9、「セイバーを発見」

0、「ライダーを発見」

アサシン「どうやら敵はいないようですな」

アサシン「トラックも無事でしたし、何事もなく帰れましょう」

ココア「そっかあ、よかった」

イリヤ「え、トラックで来たの?」

リゼ「ああ、いろんな武器をもがもが!?」

士郎「やめろリゼ! 俺たちのせいで森が壊滅したことがばれてしまう」ボソッ

リゼ「わ、悪い、そうだったな」ボソッ

ココア「どうしたの?」

リゼ「な、なんでもないぞ!」

イリヤ「……ねえ、私、なんとなくお姉ちゃんについてきたんだけど」

イリヤ「泊めてくれるの?」

ココア「もちろんだよ! イリヤちゃんは、私の妹なんだから!」

イリヤ「お姉ちゃん……ありがとう!」

――トラック・助手席――

イリヤ「私が助手席でよかったの?」

アーチャー「ああ。君はもう、聖杯戦争の関係者ではないからな、丁重に扱わねばならん」

アーチャー(それに、後ろに乗せると嘘がばれてしまうからな)

イリヤ「…………」

アーチャー「…………」

イリヤ「イメージと違う」

アーチャー「なにがだ」

イリヤ「聖杯戦争。聖杯を求めて、殺しあうんだよね?」

イリヤ「なのに、お姉ちゃんたちは楽しそうなんだもん」

アーチャー「そうだな。私も戸惑っている」

イリヤ「アーチャーにも、よくわかんない?」

アーチャー「ああ。ココアの影響だということ以外はな」

イリヤ「そっかあ。やっぱり、お姉ちゃんは変わってないなあ」

――トラック・荷台――

ココア「なんか、みんなで暗いところに入るのって楽しいよねえ」

アサシン「リゼ殿は少々苦手なようですが」

リゼ「そっ、そんなことはない! 外はまだ明るいし……あっ、違う! そもそも、怖くなんかないぞ!」

士郎「誰も怖がってるなんて言ってないだろ」

アサシン「そういえば、ココア殿。昨日はこの荷台で面白いことがありましてな」

ココア「え、そうなの?」

アサシン「リゼ殿と士郎殿が……」

リゼ「わああぁぁ! ダメだアサシン!」

士郎「そうだぞ、アサシン! 令呪使うぞ!」

アサシン「おやおや、止められてしまいましたな」

ココア「ちぇー、気になるなあ」

――ラビットハウススノウ・玄関――

イリヤ「わあ、ここがお姉ちゃんたちのおうち?」

ココア「うん! どう?」

イリヤ「すっごくいいよ! そっかあ、お姉ちゃんの一緒に、ここに住めるんだね」

士郎「空き部屋、あったっけ?」

アーチャー「あと一部屋あったはずだ。簡単に掃除すれば、すぐにでも使えるだろう」

イリヤ「えー」

アサシン「おや、イリヤ殿。ご不満ですかな?」

イリヤ「お姉ちゃんと同じ部屋がいい!」

ココア「いいよ! 毎晩一緒に寝ようね!」

イリヤ「やったあ!」

士郎「……俺さ、ココアが女の子でほんとによかったなって思うよ」

リゼ「奇遇だな、私もだ」

リゼ「けど、歯ブラシとかが足りないな。これからの期間も未定だし、食材も多めに買ってきた方がいいかもしれん」

ココア「歯ブラシ、いっしょでもいいよ?」

イリヤ「ねー」

士郎「歯ブラシ共有は恋人同士でもギリギリアウトだろ」

アーチャー「買い出しと、留守番で分担するか」

アサシン「そうですな。アーチャー殿が買い出し、私は留守番というのは確定として」

士郎「いじけるなって、アサシン。そのうちいい手を考えて、いっしょに遊びに行こう」

リゼ「じゃあ、じゃんけんで勝った二人が、アーチャーといっしょに買い出しな」


じゃんけん結果(コンマ一桁目が大きい二人が勝者、0は10扱い)

ココア↓1

リゼ↓2

士郎↓3

イリヤ↓4

リゼ「行くぞ! じゃんけん」

「ぽん!」

アーチャー「ほう、一度で決まったな。ココアと衛宮士郎がグー。リゼとイリヤがチョキか」

アサシン「では。リゼ殿とイリヤ殿は私といっしょにお留守番ですな」

イリヤ「お姉ちゃん、行ってらっしゃい。私たち、また離れ離れになっちゃうんだね……」

ココア「うう……でも、大丈夫だよ。私たちは離れてたって」

ココア「姉妹なんだから!」

イリヤ「お姉ちゃん!」

ココア「イリヤちゃん!」

士郎「ほら、バカやってないで行くぞ」

アーチャー「アサシン、リゼ、イリヤ。留守は任せたぞ」

リゼ「ああ、いってらっしゃい」

士郎「さて、今日も商店街で……」

ココア「ねえねえ、たまには新都の方に行ってみようよ」

アーチャー「悪くはないが、時間がかかるぞ?」

ココア「でも、せっかくイリヤちゃんと再会できたから、おいしいケーキでも食べたいなあ、とか」

士郎「ああ、そういうのなら、新都まで行った方が揃ってるだろうな」

ココア「ダメかな、アーチャー?」

アーチャー「……そうだな。たまにはいいだろう」

ココア「やったあ! さあ、行こ!」

士郎「待てココア! そっちじゃない!」



――新都――

ココア「わあ、賑わってるねえ」

士郎「ココアは、賑やかなのって好きなのか?」

ココア「うん! もう、そこにいるだけで楽しくなっちゃう!」

士郎「はは、そっか。ココアらしいな」

アーチャー「さて、これからどうする? 食材は、帰りに商店街で買った方がいいだろうな」

士郎「そうだな、ここから持って帰るのも大変だし。ケーキも、最後の方がいいだろ」

士郎「ココアは? どこか行きたいところあるか?」

士郎「っていねえ! なんでさ! ついさっきまでそこにいたのに!」

アーチャー「世話のかかるマスターだ。私が探してくるから、衛宮士郎はここにいろ」

士郎「わかった。頼んだぞ」

士郎「はあ、あいつがいると慌ただしくなるなあ」

士郎「……まあ、嫌ってわけじゃないけど」

士郎「ん? あれは……遠坂?」

士郎「一人みたいだな。まだこっちには気づいてないが……」


士郎の行動↓1

1、「そういえば、ココアたちが会ったことあるって言ってたな。ココアを見てないか聞いてみるか」

2、「今は敵同士だ。隠れてやり過ごそう」

3、「様子がおかしい。声をかけてみよう」

士郎「…………なんだろう、様子が変だな」

士郎「落ち着きがないというか」

士郎「おーい、遠坂!」

凛「!」


士郎と凛の関係↓1(コンマ一桁目)

123、「校外での付き合いはないが、学校では割とよく話す」

4~7、「顔見知り程度」

890、「魔術師としてかかわりがある」

凛「あら、衛宮君。こんな真昼間から堂々と敵マスターに声をかけるなんて、意外と肝が据わっているのね」

士郎「そんなことないさ。ただ、遠坂にしては珍しく、余裕がなさそうな顔してたからさ」

凛「!」

凛「……そう。傍から見てすぐにわかるくらい、乱れてるのね。今の私は」

士郎「なにかあったのか? 確かに俺たちは聖杯戦争では敵同士だけど、それ以外のことなら、力を貸すぞ」

凛「…………」

凛「ありがと。でも、気にしないで。誰かに手を貸してもらうべきことでもないから」

士郎「……そうか。遠坂がそう言うんなら、詮索はできないな」

凛「それじゃ、行くわ。心配かけてごめんなさいね」

凛「…………ねえ、衛宮君。桜のこと、どう思ってる?」

士郎「桜? なんで桜の話を……」

凛「いいから」

士郎「……大事な後輩だよ。最近会えないから、寂しいと思ってたところだ」

凛「……そう。これからも、大事にしてあげてね」

士郎「え……? 遠坂?」

士郎「あれ、見失っちまった。なんだったんだろうな……」


凛「よかったじゃない、桜。あなたにはちゃんと、帰る場所があるんだから」

アーチャー「戻ったぞ」

ココア「ごめんね、士郎くん。心配かけちゃって」

士郎「いや、無事だったならいいよ。けど、どこまで行ってたんだ?」

アーチャー「センタービルの屋上だ」

士郎「なんでさ」

ココア「そんなことより士郎くん、服屋さんに行こう!」

士郎「欲しい服があるのか?」

ココア「ううん、そうじゃなくて」

ココア「↓1」


1、「アサシンが外出できるように、変装用の服を見繕ってあげるの!」

2、「イリヤちゃんのために、可愛い服を買っていくの!」

3、「士郎くん、せっかく素材がいいのにもったいないよ! 私がコーディネートしてあげるからね!」

ココア「イリヤちゃんのために、可愛い服を買っていくの!」

士郎「ほんとに好きなんだな」

アーチャー「おい、衛宮士郎。移動中のみならず、常にココアに目を向けておけよ」

アーチャー「彼女の方向音痴は呪いの域だ」

士郎「そ、そんなにか……」

ココア「さ、早く行こ!」


――服屋(女の子向け)――

ココア「わあ、これ可愛い!」

ココア「いやいや、こっちもいいかも……」

ココア「むむ! あえてこれっていうのも……」

士郎「く、まずいぞアーチャー! そろそろ周りの視線が痛い!」

アーチャー「ココアが私たちに話しかけてくれないからな……下手をすると、ストーカーか何かだと勘違いされる恐れも」

アーチャー「だが、ランジェリーショップでないだけましだと思っておけ」

士郎「…………経験があるのか」

アーチャー「ノーコメントだ」

ココア「うーん、もうこのくらいで……あ」

ココア「士郎くん、アーチャー!」

士郎「や、やっとお声がかかったな」

アーチャー「なんだ、ココア」

ココア「服だけじゃなくて、こういうのはどうかな、と思って」

士郎「アクセサリーだな。お揃いってことか?」

ココア「お揃い! その発想はなかったよ!」

アーチャー「あげることしか考えてなかったようだな」

ココア「ありがとう、士郎くん! やっぱり、ウサギをあしらってるのがいいよねえ」

ココア「イリヤちゃんの分だけじゃなくて、私と、リゼちゃんと……」

ココア「でも、どれにしようかな。士郎くん、どう思う?」

士郎「え? そうだなあ」


士郎が勧めるのは↓1

1、「指輪」

2、「ペンダント」

3、「ブレスレット」

士郎「ペンダントとかどうだ? ウサギをあしらったものがいいんなら、それが一番目立ちそうだし」

ココア「いい! ありがと、士郎くん!」

ココア「じゃあ、私、リゼちゃん、イリヤちゃん、士郎くん、アーチャー、アサシン……六つ買ってくるね!」

士郎「ああ…………ん?」

士郎「俺も付けるのか!?」

アーチャー「ウサギ、か……」

ココア「え……? みんなでお揃いにしようかと思ったけど、ダメ、かな」

士郎(こ、ココアが)

アーチャー(泣きそうになっている……!)

士郎「い…………」

士郎「いやあ、ちょうどよかったなあ! なんか、ウサギのペンダントが欲しいと思ってたところなんだよなあ!」

アーチャー「戦場にも、癒しが必要だ。ウサギのペンダントなどあれば、ちょうどいいだろう」

ココア「そっかあ、よかった」

ココア「これください! あ、私たちはつけて帰るので、三つ出してもらえますか?」

士郎アーチャー「!?」

――ラビットハウススノウ・庭――

イリヤ「リゼ、頑張れー!」

リゼ(なるほど、ココアの気持ちがわかる。これは、嬉しいものだな)

アサシン「今日は、調子がよろしいですな」

リゼ「!」

リゼ(ここだ! これをかわして……)

イリヤ「リゼ、危ない!」

リゼ「っ!?」

リゼ(しまった、フェイントか!)

ヒュッ

ドゴッ

リゼ「ぐっ!」

アサシン「さて、このあたりにしておきましょう」

リゼ「そうだな。今日もありがとう、教官」

イリヤ「…………」

イリヤ「すごーい! リゼもアサシンもすごい!」パチパチ

リゼ「い、いや、褒められるほどのことではない。この間だって、ココアを守ることも……」

アサシン「謙遜はいけませぬ、リゼ殿。きちんとココア殿をお守りしたではありませぬか」

イリヤ「お姉ちゃんを? リゼ、やっぱりすごい!」

リゼ「そ、そんなに褒めても何も出ないぞ!」

リゼ「だ、だが、士郎もアーチャーもいないしな」

リゼ「昼食は、私が担当しよう」

イリヤ「なになに?」

リゼ「あんまり期待するなよ。カレーだ」

イリヤ「わーい、カレー!」

アサシン「おや、お好きですかな?」

イリヤ「うん! おいしいよね」

アサシン「リゼ殿の手料理は初めてですな。期待しておりますぞ」

リゼ「ハードルを上げるな!」


イリヤ「じゃあ、リゼが料理してる間に、テレビ見よ!」

アサシン「イリヤ殿は、テレビはよくご覧になるので?」

イリヤ「ううん、たまにだよ。でも、私が知らないことを教えてくれるから、とっても楽しいんだ!」

イリヤ「面白いのやってないかなー」ピッ

「最初の依頼者は――――」

イリヤ「あ、なんでも鑑定団だ!」

アサシン「渋いですな」

「借金のカタとして受け取ったんですけど、その後は音沙汰なしで――――」

イリヤ「ああ、死亡フラグだよ、アサシン」

アサシン「骨董好きの父が遺した、に並ぶ死亡フラグですな」

「狩野探幽と聞いております」

イリヤ「探幽! 本物だったらすごいよねえ」

アサシン「詳しいんですな、イリヤ殿」

イリヤ「ほとんど、鑑定団仕込みの知識だけど。でも、有名な作家は偽物が多いんだよね」

「本人評価額は?」

「思い切って、1000万で!」

アサシン「ああ、いけません。そんなにハードルを上げては」

イリヤ「本物だったらいいね」

「オープンザプライス!…………ええー!? 3万円!?」

イリヤアサシン「あー」

リゼ(…………)

リゼ(親子……いや、じいちゃんと孫か)

リゼ「さて、飲み物だけ並べとくからな」

イリヤ「リゼ! これ、どう思う?」

リゼ「ん?」

「畑を耕してたら、埋まっていたのを見つけまして」

リゼ「大きな皿だな」

アサシン「面白いこともあるものですな」

イリヤ「畑からお宝……ロマンがあるよね!」


三人の審美眼判定(数字が高いほどいい、0は10扱い、7以上で真偽を、9以上で具体的な価値を看破)

リゼ↓1

イリヤ↓2

アサシン↓3

リゼ「……本物のような気がする、が」

アサシン「偽物のような気もしますな」

イリヤ「うーん、でもボロボロだし、本物だとしてもそんなに高くは……」

「どうぞ! じゃかじゃん!」

「ええ!? 350万円!」

リゼ「おお!」

イリヤ「すごい!」

アサシン「お宝列島とは、比喩でもなんでもないのですな」

「いい仕事してますね~」

イリヤ「うーん、やっぱり難しいねえ」

リゼ「けどまあ、私たちにできてしまえば、こういう番組は成立しないだろ」

アサシン「ふむ、それはそうですな」

リゼ「じゃあ、私は調理に戻るからな。待っててくれよ」

リゼ(だらだらとテレビを見て、なんとなく楽しくなる)

リゼ(まるで、本当の家族みたいだな)

イリヤ「いただきまーす!」

アサシン「いただきます」

リゼ「…………」ドキドキ

リゼ「ど、どうだ?」

イリヤ「おいしい! リゼ、すっごく美味しいよ!」

アサシン「士郎殿やアーチャー殿の料理とは、また違った魅力がありますな」

リゼ「そ、そうかそうか。それはよかった」

リゼ「えへへ」

イリヤ「あ、リゼがにやにやしてる! 可愛い!」

リゼ「か、可愛い!?」

アサシン「ええ、そういう表情も、似合いますぞ」

リゼ「か、からかうんじゃない!」

イリヤ「あー! リゼ、顔真っ赤だよ!」

リゼ「なっ……これは、その」

リゼ「カレーが辛かったんだ! 恥ずかしいからではない! 断じて!」

アサシン「では、そういうことにしておきましょう」

リゼ「ぐぬぬ」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「ここで中断します」

弟子一号「今日中には戻ってくると思うわ。安価の協力、ありがとね」

アオヤマ「では、夜もよろしくお願いします」

弟子一号「またあとでねー」

弟子一号「再開するわよー」



――ラビットハウススノウ・リビング――

ココア「ただいまー!」

イリヤ「おかえりー!」

リゼ「遅かったな。何かあったのか?」

士郎「ああ、いろいろ買い物とか……」

アサシン「おや、士郎殿。胸元のそれは?」

リゼ「よく見たら、ココアとアーチャーも付けてるな」

イリヤ「ウサギのペンダント! 可愛い! ずるい!」

ココア「ふふん、イリヤちゃんたちにも買ってきたよー」

イリヤ「わあ、ありがとう!」

リゼ「なるほど、イリヤの歓迎会の準備、ってとこか」

アーチャー「そんなところだ」

アサシン「……私にもあるのですな」

士郎「あれ、アサシン感動してる!?」

アサシン「現代のもので着飾れる日が来ようとは思いませんで」

イリヤ「みんなお揃いなんだね。お姉ちゃん、ありがとう」

ココア「えへへ、どういたしまして。イリヤちゃんには、服もあるよ」

イリヤ「やったー!」

士郎「さて、夕飯の準備にかかるか。アーチャー、手伝ってくれ」

アーチャー「私の助力を求めるとは、珍しいな」

士郎「せっかくだからな、いいもの作ってやりたいだろ」

アーチャー「つくずく思うよ、お前は魔術師なんかより、主夫か何かの方が向いている」

士郎「お前には言われたくないよ」

リゼ「そうだ、士郎。昼間のカレーが少し残ってるんだが、使えるか?」

士郎「お、リゼのカレーか。じゃあ、ありがたく使わせてもらおうかな」

アーチャー「晩飯まで、時間を潰していてくれ」

リゼ「ああ、わかった」

リゼ「で、姉貴とイリヤはどこに行ったんだ?」

アサシン「二階の自室に向かわれましたぞ」

リゼ「よし、行くぞアサシン!」

アサシン「は」

――ラビットハウススノウ・ココアとイリヤの部屋――

ココア「じゃーん!」

イリヤ「これ……私だ。もらっていいの?」

ココア「もちろん! そのために作ったんだから」

イリヤ「ありがとう、お姉ちゃん。私、大事にするよ」

ココア「えへへ、気に入ってもらえてよかった」

リゼ「入るぞー、姉貴」

ココア「あ、リゼちゃん」

イリヤ「アサシンも」

アサシン「お邪魔いたします」

リゼ「飯ができるまで時間を潰して来いだと。そこで」

リゼ「こういうのはどうだ?」

イリヤ「トランプだー!」

ココア「イリヤちゃんも喜んでるし、トランプしよっか」

リゼ「まずは、ババ抜きだ。配るぞー」

イリヤ「わー、アサシン器用だねー。手札を持ったままカードを引くなんて」

アサシン「片腕での活動を強いられることがハンデになっては、暗殺者は務まりませぬ」

アサシン「指の一本一本を、独立させて動かす必要がありますぞ」

ココア「うーん。難しいことはよくわかんない……」

ココア「あ、そろった―。あと三枚!」

リゼ「む、早いな」

イリヤ「うう、私だって負けないんだから―!」

アサシン「勝負はこれからですぞ」


ババ抜きの敗者↓1(コンマ一桁目)

123、「ココア」

456、「イリヤ」

78、「リゼ」

90、「アサシン」

ココア「…………あれ?」

アサシン「一抜けですな」

イリヤ「アサシンすごーい!」

リゼ「さすがだな」

ココア「…………あれ?」

リゼ「よし、あがりだ!」

イリヤ「うー、リゼも早いなー」

ココア「一番最初に残り二枚になったのに、あがれない!」

イリヤ「お姉ちゃん、一騎打ちだね」

アサシン「愛する者との戦いを強いられる……これが、ババ抜き……!」

リゼ「そんなシリアスな感じにしなくても」

イリヤ「やったー! そろった―!」

ココア「うわああああ! 負けちゃったあああ!」

ココア「ううん、まだ勝負は始まったばかりだよ! リベンジ!」

イリヤ「望むところだよ、お姉ちゃん!」

リゼ「今日日、トランプでここまで盛り上がれる女子高生も珍しいんじゃないか」

アサシン「童心を忘れぬのは、よいことですぞ」

ガチャ

士郎「できたぞー。皿並べるの手伝ってくれないか?」

リゼ「ああ、それくらいなら任せておけ」

イリヤ「私もやる!」

士郎「ありがとう、イリヤ。で」

士郎「ココアはどうしたんだ。真っ白になってるけど」

リゼ「トランプでイリヤにいいところを見せたかったらしいが、負けがかさんでしまってな」

アサシン「それだけ、真剣に勝負していたということですな」

士郎「はは、そっか。ココア、今日はごちそうだから、元気出して下りて来い」

ココア「う、うん! そうだよね、今日はイリヤちゃんの歓迎会なんだもん!」



――ラビットハウススノウ・リビング――

アーチャー「イリヤ。ぬいぐるみを抱いたまま食事をすると、汚れてしまうぞ」

イリヤ「うう……でも、お姉ちゃんがくれた宝物だもん。離したくない」

ココア「イリヤちゃん……嬉しい!」

アサシン「ですが、せっかくの宝物が汚れてしまっては大変ですぞ」

リゼ「そうだな、少し離れたところに置いておくといい」

イリヤ「……そう、だね。うん、そうするよ」

士郎「じゃあ、食べようか。いただきます」

「いただきます」

イリヤ「おいしい……! ねえ、これも食べていい?」

士郎「ああ、好きに食べてくれ。口に合わないものは、俺たちが食べるから」

イリヤ「ありがとう! うん、おいしい」

ココア「士郎くんもアーチャーも、さすがだよ!」

リゼ「主賓より満喫してどうする」

ココア「だって、すっごく美味しいんだもん! リゼちゃんもそう思うでしょ?」

リゼ「ま、まあな」

リゼ(毎日毎日おいしいものばかり食べて……幸せだが、体重は大丈夫だろうか)

アーチャー「その年で体型など気にずるものではない。好きなだけ食べた方がいいぞ」

リゼ「なっ……乙女心を読むんじゃない!」

アーチャー「君のような女性には心当たりがあるといったろう」

ココア「ダメだよ、リゼちゃん! せっかく作ってくれたんだから」

リゼ「くっそう……太らない体質の羨まボディめえ……」

イリヤ「おいしい!」

アサシン「おや、イリヤ殿。口の周りが汚れていますぞ」

イリヤ「ありがと、アサシン」

アサシン「それでは、行ってまいります」

士郎「ああ、気を付けてな」

イリヤ「偵察? もう少し遊ぼうよ、アサシン」

アサシン「そうしたいのはやまやまですが、これもアサシンたる私の務め。疎かにはできませぬ」

アサシン「明日また、遊びましょう」

イリヤ「うん、頑張ってね」

アサシン「は」



アサシン(さて、今日は新都に向かいましょう。特に当てがあるわけではありませんが)

アサシン(そろそろ、ほかの陣営も動き出す……いや、すでに動いているやもしれませんな)



――新都――

アサシン(動いている陣営はあったようですな。サーヴァント同士の戦闘を発見)

アサシン(見つからぬよう、用心して近づきましょう)

バーサーカー「■■■■■――――――!」

ブンッ

ズドォン

ライダー「っ……さすがに、厳しいですね」

凛「ライダー、止まっちゃダメ!」

ライダー「わかっていますとも……ふっ――――!」


アサシン(戦っているのはライダーと……初見ですが、バーサーカーでしょうな)

アサシン(バーサーカーの戦闘力は絶大。それを相手にできているのは)

アサシン(ライダーの、あの並はずれた機動力ゆえ。バーサーカーの一撃がいかに必殺であろうとも、避ければいい)

アサシン(しかし…………)


慎二「は、はははははっ! なんだ、どうした!? 遅くなってきたんじゃないのか!」

慎二「やれ! バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■■■■――――――!」


アサシン(あのマスターの言うとおり、ライダーの機動力は徐々に落ち始めている)

アサシン(対して、攻撃を続けているバーサーカーに疲労は見られない。このままでは、ジリ貧ですな)

ズドォォォン

ライダー「っ!」

バーサーカー「■■■■――――!」

ライダー「はあっ!」

ブンッ

ズドォォォン


アサシン(ほう、よく避けた。しかし、もう限界でしょうな。このまま放っておけば、一分と経たずに決着はつき)

アサシン(ライダーは消滅、遠坂凛は死亡、ということになりましょう)

アサシン(…………)

アサシン(なにを、苦しむ必要がある。私がすべきは、彼らに見つからぬように状況を観察し)

アサシン(その結果を、士郎殿に届けること。それが、暗殺者である私の使命――――!)


アサシンの行動↓1

1、「このまま見届ける」

2、「マスターに短剣を投げれば、隙をつくることができるでしょうか」

3、「『妄想心音』で一度殺せば、逃げるだけの隙はつくれるはず」

アサシン(この心の変化は成長か、あるいは壊れてしまったのか……)

アサシン(まさか、誰かを見殺しにすることを、心苦しく思う日がこようとは――――!)

ダッ

アサシン(アーチャー殿の言葉によれば、バーサーカーは一度殺しただけでは死なない。しかし……)

アサシン(『妄想心音』で一度殺せば、逃げるだけの隙はつくれるはず――――!)

ギュアッ

ライダー「なっ……」

凛「まさか、アサシン!?」

ドッ

アサシン「捉えましたぞ、バーサーカー」

慎二「な、なにしてる、バーサーカー! とっとと殺せ!」

バーサーカー「■■■■■■――――――!」

アサシン「見事な反応速度……しかし、遅い!」

アサシン「――――『妄想心音(ザバーニーヤ)』!」

グシャアッ

バーサーカー「――――――」

慎二「な、なに……?」

ライダー「凛、今のうちに」

凛「っ……わかった、撤退よ」


慎二「くそおっ! またか、まただめなのか!」

慎二「なにやってるんだよ! 僕のサーヴァントのくせに!」

バーサーカー「――――――」

慎二「起きろよおぉっ!」

バーサーカー「■■■■――――!」

慎二「……ちっ、もういい。帰るぞ、バーサーカー」

――新都・センタービル屋上――

凛「……で、なにを考えてるの、あなたは」

アサシン「さあ、なんでしょうな。私が聞きたいくらいですぞ」

凛「ふざけないでよ! なによ、それ……」

ライダー「リン、落ち着いてください。彼は、私たちを助けてくれたのです」

凛「だから、それがわけわからないのよ! 言っとくけど、親切を押し売りされたからって」

凛「恩返しをしてあげるつもりはないわよ」

アサシン「必要ありませぬ。緻密な作戦行動に裏打ちされた行動では、なかったのですから」

ライダー「つい、やってしまったと? あなたほど、暗殺者に向いていない人材もありませんね」

アサシン「返す言葉もありませぬ。つい先日までは、バリバリの暗殺者だったんですがねえ」

アサシン「それでは、これにて。また戦場で相見えることが、あるやもしれませんな」

凛「…………待ちなさいよ」

ライダー「リン?」

凛「礼はしないわ。けど、私たちが勝てない相手に無謀に突撃する愚かなチームだと思われたら癪だから」

凛「教えてあげるわ。バーサーカーのマスターについて」

アサシン「…………こちらとしては、見返りを求めた覚えはありませぬ。しかし」

アサシン「話してくださるのなら、あえて断る理由もありませんな」

――ラビットハウススノウ・リビング――

イリヤ「ねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃんの魔術の訓練、横で見てていい?」

ココア「もちろん! 私、頑張るからね」

ココア「――――『合成開始(コネクト・スタート)』」

イリヤ「!」

ココア「…………できた! イリヤちゃん、このウサギのぬいぐるみ、触ってみて」

イリヤ「う、うん……」

ペカー

イリヤ「ひ、光った……!」

ココア「成功だね!」

イリヤ「…………」


イリヤ、ココアの合成魔術について↓1(コンマ一桁目)

1~4、「全く分からない」

5~8、「なんとなく理解する」

90、「理解したうえで、ある仮説を立てる」

イリヤ「……お姉ちゃん、もう一回見せてくれる?」

ココア「イリヤちゃんが望むなら、何度でもやってあげるよ!」

ココア「じゃあ今度は……ウサギのぬいぐるみと、団扇を合成するよ」

ココア「――――『合成開始(コネクト・スタート)』」

ココア「……できた! イリヤちゃんがそばにいるからかなあ、今日は調子がいいよ」

イリヤ「そっかあ、よかった」

イリヤ「ねえ、お姉ちゃん。アーチャーは?」

ココア「私たちの訓練を順番に見てくれるから、リゼちゃんのところか、士郎くんのところだと思うよ」

イリヤ「ありがと。お姉ちゃん、頑張ってね」

ココア「うん! イリヤちゃんも、また様子見に来てね!」


アーチャー「相談?」

イリヤ「うん。お姉ちゃんの合成魔術について。アーチャー、あれ、どう思う?」

アーチャー「正直、お手上げだ。普通の合成と違う、ということくらいしかわからん」

イリヤ「私はね、あれは合成魔術なんかじゃないと思う。仮に名付けるとしたら」

イリヤ「変換とか、上書とか、そういうのが正しいと思う」

イリヤ「あの魔術は、モノの根源を、外部からの干渉によって強引に変質させる危険なものよ」

イリヤ「もし、生物に使ったら……」

アーチャー「使ったことがあるらしい」

イリヤ「!」

イリヤ「どうなったの?」

アーチャー「老爺の意識がウサギの中に閉じ込められ、老爺の肉体と、ウサギの精神は消滅した」

イリヤ「…………」

イリヤ「それよ」

アーチャー「なに?」

イリヤ「あの魔術の真価はそれ。物と物による変換は、副産物でしかないの」

イリヤ「お姉ちゃんの魔術の本質は、すでに器に収まっている魂を、別の器に移し替えること」

イリヤ「しかもその際、最初の器は消滅し、選ばれた器に先に入っていた魂は追い出される」

イリヤ「強引な解釈をすれば、これは転生よ。魂が無事で、かつ新たな器を用意できれるなら」

イリヤ「不死にだって手が届く」

アオヤマ「>>632下から二行目『用意できれる』→『用意できる』です。失礼しました。



アーチャー「そこまで、危険なものだったか……」

イリヤ「まあ、モノに使う分には問題ないと思うわ。ちゃんと、育ててあげてね」

イリヤ「私の、大事なお姉ちゃんなんだから」

アーチャー「さて、今日の鍛錬の成果を確認する」

イリヤ「みんな、がんばれー!」

ココア「うん! イリヤちゃんが見てるからね、お姉ちゃん頑張っちゃうぞー!」

士郎「ココアはもう少し緊張感ってものをだな……」

リゼ「まあまあ、そこが姉貴のいいところだからな」

アーチャー「キャスター戦での経験を、しっかり生かせよ」


士郎の干将莫邪投影↓1(コンマ一桁目)

1~6、「アーチャーのものには及ばないものの、実用的な複製品」

7~0、「アーチャーのものに迫る、ほぼ完ぺきな複製品」


ココアの戦闘を視野に入れた合成魔術の成功率↓2(コンマ一桁目)

※イリヤの応援によって、成功率が上がっています

1234、「2割以下」

5~7、「4割以下」

890、「6割程度」


リゼの気配遮断↓3(コンマ一桁目)

1~5、「変化なし」

678、「より気配を消せるように」

90、「攻撃しなければ、ほぼ完全に消せる」


リゼの回避力↓4(コンマ一桁目)

1~5、「変化なし」

6~9、「成長」

0、「大きく成長」

士郎「――――『投影、開始(トレース・オン)』!」

イリヤ(やっぱりすごい、あんなに簡単に、宝具を投影するなんて)

イリヤ(でも……)

アーチャー「失敗がほぼゼロになったのは、評価すべき点だろう。だが、この程度では満足に戦闘をこなすこともできん」

アーチャー「自分が戦うべき相手を忘れるな」

士郎「ああ、わかってる」

アーチャー「ココアは……今日は調子が良かったな」

ココア「えへへ、イリヤちゃんのおかげだね」

イリヤ「お姉ちゃん!」ギュー

ココア「イリヤちゃん!」ギュー

アーチャー「まあ、精神状態によってムラがあるのは相変わらずだ」

アーチャー「肝に銘じておけよ」

ココア「はーい」

アーチャー「さて、リゼは…………リゼ?」

リゼ「呼んだか?」

アーチャー「っ!?」

士郎「なっ……」

ココア「り、リゼちゃんいつの間にアーチャーの後ろに!?」

イリヤ「ずごい、全然気づかなかったよ……!」

アーチャー「……リゼは」

アーチャー「見事、の一言だ。これからも精進しろ」

士郎「アーチャーから」

ココア「ダメ出しがない……!?」

イリヤ「そ、そんなに一大事なんだね」

リゼ「前の戦いで、あまりに不甲斐なかったからな。ようやく、身体が本気を出してくれたんだろう」

リゼ「それに、師がいいからな」

アーチャー「弟子が強く育って、アサシンも喜ぶだろう」

アーチャー「今日はここまでだ。もう休め」

ココア「はーい。おやすみ、アーチャー」

ココア「イリヤちゃん、一緒にお風呂に!」

イリヤ「うん!」

ダダダダダダダダダダ

リゼ「ホントに元気だな。なあ、士郎」

士郎「…………」

リゼ「士郎?」

士郎「リゼ、相談があるんだ」

リゼ「相談、か。私にできることなら、何でも言ってくれ」

士郎「今の自分が、情けないんだ。リゼやココアはどんどん成長していくのに」

士郎「俺だけ、一歩も前に進めない。魔術だけじゃない、身体能力でもだ」

リゼ「……私は、今日たまたま結果が出ただけだ。成果が現れるまでの期間には、個人差がある。気にすることは……」

士郎「それでも! それでも、情けないんだよ」

リゼ「士郎…………」

リゼ(そんな風に、悩んでいたのか)

士郎「だから、リゼ」

士郎「脚を見せてくれないか」

リゼ「士郎…………」

リゼ「……………………ん?」

リゼ「はあ!?」

リゼ「な、なななななななな何を言っているんだ!?」

士郎「俺だって、身体は鍛えてるつもりなんだ。けど、どう見ても俺より華奢なリゼの方が、いい動きをする」

士郎「俺は鍛え方を間違ってるんじゃないかと思ったんだ。だから、確かめたくて」

リゼ「っ…………」

リゼ(そ、そうだ、士郎は真面目な話をしているんだ。別に、は、破廉恥なことを考えてるわけじゃ……)

リゼ(いやいやいや、それでもおかしいだろ! それに、鍛え方を見るってことは、ふくらはぎとかじゃなくて)

リゼ(ふともも、とか、上の方……だよ、な)

士郎「ダメか? リゼ」

リゼ(こいつには煩悩がないのか!? いや、ココアの裸を見た反応からしてそれはないが……)

リゼ(ま、まさか私には魅力がないと……!?)

リゼ「」ガーン

士郎「ど、どうしたんだ、リゼ!?」

リゼ「い、いや、なんでもない。それより、士郎」

リゼ「いい、ぞ」ボソッ

士郎「え?」

リゼ「い、いいと言ったんだ! ただし、一回だけだからな……」

士郎「ありがとう、リゼ。リゼならわかってくれると思ってたよ」

士郎「じゃあ、頼む」

リゼ「あ、ああ」

リゼ「…………」

士郎「…………」

リゼ(ん?」

リゼ(まさか、私が自分で見せてやるのか!? む、無理だぞそれは! 恥ずかしすぎる!)

士郎「?」

リゼ(だ、だが、仕方ない、いいと言ってしまったんだ)

スッ

リゼ(う、うぅぅぅぅ、だめだ、爆発しそうだ)

リゼ(や、止めろ士郎、そんなにまじまじと見つめられたら恥ずかしくて死んでしまう……)

ガチャッ

ココア「WAWAWA忘れ物~」

イリヤ「WAWAWA忘れ物~」

ココア「あれっ」

リゼ「…………あ」

士郎「やっぱり、細く見えるだけで筋肉はしっかり……」

ココア「士郎君とリゼちゃんがえっちなことしてるうぅぅぅぅ!」

イリヤ「わー!」

リゼ「ち、違う! 誤解だ!」


【5日目・終了】


――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「少し早いですが、今回の更新はここまでとします」

弟子一号「今日も、書き込みや安価の協力、ありがとね」

弟子一号「また、次回の更新で会いましょう。お疲れ様」

アオヤマ「ではでは~。おやすみなさい~」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「こんばんわ~」

弟子一号「せっかく来たけど、今日はあんまり更新できそうにないわ。でも、少しだけやっちゃうときりが悪いから」

弟子一号「今日は番外編として」

弟子一号「『こころぴょんぴょんできるかどうかは安価次第! 聖杯戦争そっちのけ王様ゲーム!』」

弟子一号「をお送りするわ」

アオヤマ「ここでの安価や登場人物の行動は、基本的には本編には反映されませんので、お気軽にご参加ください」

弟子一号「時間軸的には、イリヤの歓迎会中よ。アサシンが諜報に出る前ね」



――ラビットハウススノウ・リビング――

イリヤ「王様ゲーム!」

ココア「いえーい!」

士郎「王様ゲームって、あれだよな。アサシンたちは知ってるのか?」

アサシン「聖杯によって、現世の知識はありますからな」

アーチャー「抜かりはない」

リゼ「聖杯はそんなことまで教えてくれるのか」

ココア「じゃあ、いくよ! せーの」

「王様だーれだ!」


王様↓1(コンマ)

0~16、「ココア」

17~33、「リゼ」

34~50、「イリヤ」

51~67、「士郎」

68~83、「アーチャー」

84~99、「アサシン」

リゼ「お、私だな」

ココア「私とサバイバル!」

ココア「とか、そういうのはダメだからね!」

士郎「ココア的にはリゼってそういうイメージなのか」

イリヤ「でも、大事なお姉ちゃんに、そんなこと言わないよねえ」

リゼ「と、当然だ! ははは……」

リゼ(私とサバゲー、って言おうとしたが、ダメなんだろうな……)


リゼの命令↓1

※「誰が」「何を」するかを明記してください

 「誰が」については、個人名を記してください

 「誰が」については、一人もしくは二人にかぎります(王様を含んでも構いません)

 「何を」については、R-18に分類されそうなもの、実行に時間がかかるものなどは無効とします

リゼ「よし、じゃあ……」

リゼ「三番が四つん這いになって、一番を背中に乗せて部屋を一周する!」

ココア「ええええええ!? 三番って私だよ!? アーチャーとかだったら死んじゃうよ!」

アーチャー「面白いことを考える。ちなみに安心しろ、ココア。私ではない」

アサシン「私でもありませんな」

士郎「俺でもないぞ」

ココア「ん? ということは……」

イリヤ「私だよ!」

ココア「イリヤちゃん!」

アサシン「おや、王様の命令という割には」

士郎「ご褒美みたいになっちまうな」

ココア「さあ、イリヤちゃん! 私の背中に!」

イリヤ「うん!」

リゼ「まあ、二人とも楽しそうだし、いいじゃないか」

リゼ「ホントは、士郎を乗せて悔しがるアーチャーとか」

リゼ「アサシンを乗せてプルプル震える士郎とかを見てみたかったが」

士郎「リゼって結構、イタズラ好きなところあるよな……」

イリヤ「さあ、行くよお姉ちゃん!」

ココア「振り落とされないようにね、イリヤちゃん!」

ダダダダダダダダ

イリヤ「きゃー! はやいはやい! 今の私は、騎乗スキルA! ライダーに勝るとも劣らない!」

ココア「ふふ、もっとスピードを上げるよ!」

イリヤ「わー!」


ココア「はあ、はあ……じ、じゃあ、第二回戦を……」

リゼ「結局、一周どころか十週くらい付き合わされてしまったな」

士郎「見てる分には、ほほえましくてよかったよ」

アーチャー「誰が王様かわからなくなっていたな」

アサシン「王様、満足ですかな?」

リゼ「ああ。イリヤも楽しそうだったし、ココアも楽しかったろ?」

ココア「も、もちろん……」

イリヤ「ほんと!? じゃあお姉ちゃん、またやってね!」

ココア「ふえっ!?」


次の王様↓1(コンマ、>>650の表参照)

アーチャー「む、次は私か」

士郎「な、なんか無茶な命令が飛んできそうで怖いな……」

ココア「あ、アーチャー。あんまり疲れるのは嫌だよ……」

アーチャー「む、信用がないのか、私は」

リゼ「そんなことはないさ。ただ、鬼教官だからな」

イリヤ「へー、アーチャーって鬼教官なんだねー」

アサシン「さて、いかがいたしますかな、アーチャー殿」

アーチャー「ふむ、そうだな」

アーチャー「↓1」

アーチャー「では、4番。5番になにか美味しいものを作ってやれ」

士郎「な、なんだその俺を狙ったかのような命令! 不正か!?」

アサシン「いえ、私が見た限りでは、不正はありませんでしたぞ」

リゼ「けど、時間がかかる命令は無効じゃなかったか?」

アーチャー「料理というのは、すべて時間がかかるというわけではない。それとも、なにか」

アーチャー「衛宮士郎は、じっくり時間をかけないとろくな料理もできない半人前ということか?」

イリヤ「あ、アーチャー。いくらシロウでもそんな挑発に乗るわけ……」

士郎「やってやろうじゃないか!」

リゼ「あ」

アサシン「乗りましたな」

ココア「あ、ところで5番は私だよ、士郎くん」

士郎「よし、待ってろココア。衛宮士郎の三分クッキングを見せてやる」

ココア「わー、楽しみ!」

士郎「できたぞ」

リゼ「さすがに三分とはいかなかったが、早いな」

ココア「焼きおにぎりだね! うーん、醤油のいい香り!」

ココア「それじゃあ、いただきまーす!」

ココア「!」

イリヤ「どう、お姉ちゃん?」

ココア「おいしい! なにこれ、なにか入ってる!?」

士郎「夕飯の残りを少し、な」

ココア「おいしい! さすが士郎くん!」

イリヤ「いーなー。お姉ちゃん羨ましいなー」

イリヤ「ちらっ」チラッ

士郎「…………」


リゼ「ごちそうさま、士郎」

アサシン「結局、全員分用意していただきましたな」

イリヤ「さすがシロウ!」

士郎「これで満足かよ、王様」

アーチャー「ギリギリ及第点だな」


次の王様↓1(コンマ、>>650の表参照)

アサシン「ほう、暗殺者たるこの私が、王として振る舞う日がこようとは」

イリヤ「あ、アサシンなんか嬉しそう!」

士郎「そうだな、なんだかんだで楽しんでくれてるんだろう」

リゼ「戦いの合間の休息、これは大事だからな」

アーチャー(どうしてみんな)

ココア(アサシンの表情がわかるんだろう)

アサシン「では、遠慮なくいきますぞ」

アサシン「↓1」

アサシン「では、1番の方が、2番の方に対して」

アサシン「いいところを10個言う、というのはどうでしょう」

ココア「平和! さすがアサシン!」

士郎「俺が2番だな。褒められるっていうのはちょっと照れくさいけど」

リゼ「1番は誰だ?」

アーチャー「…………」

イリヤ「あれー、アーチャーもしかして」

アーチャー「…………」

アーチャー「…………私が、2番だ」

リゼ「苦虫ってのを噛み潰したら、こんな顔になるんだろうな」

アサシン「キャスター戦の時より険しい顔をしていますぞ」

士郎「なんでさ! 普通にほめてくれればいいだろ!」

ココア「アーチャー頑張って! 恥ずかしいかもしれないけど」

アーチャー「……………………」

イリヤ「いっそ殺してくれ、って顔に書いてあるね」

士郎「そんなに嫌か!」

アーチャー「……料理が、うまい」

リゼ「なんだ、認めてるんじゃないか」

ココア「どうしたの、士郎くん? せっかくアーチャーが褒めてくれてるのに」

イリヤ「浮かない顔だねー」

士郎「いや、そりゃ嬉しいけどさ。ここまで全部家事の話だぞ」

アサシン「よいではありませんか。むしろ、家事だけで9つも褒めるべきところがある人材など、女性でも珍しいですぞ」

ココア「頑張って、アーチャー! あとひとつだよ!」

リゼ「どうしてこんなに苦しそうなんだ」

アーチャー「……………………」

アーチャー「理想を追いかけるひたむきさは、真似できるものではない」

イリヤ「おー」

士郎「…………今のって、褒められたか?」

アサシン「さて、きわどい気がしますが……」

アサシン「とはいえ、普段は聞けぬアーチャー殿の胸の内を垣間見られましたし、私は満足ですぞ」

アーチャー「はあぁぁぁぁぁ」

アーチャー「胃に穴が開いたぞ」

リゼ「重症だな!?」


次の王様↓1(コンマ、>>650の表参照)

アサシン「おや、また私ですな」

ココア「王様に向いてるのかもしれないね! 今だって、アーチャーと士郎くんの仲を取り持ってくれたし!」

アーチャー「語弊があるぞ」

イリヤ「王様、次はどんな命令?」

アサシン「ふむ、そうですな」

アサシン「↓1」

アオヤマ「初めて聞いたので調べてみましたが、うまく反映できる気がしませんので、もう一度安価をとります」

アオヤマ「せっかく書き込んでくださったのに申し訳ありません」

弟子一号「>>1の引き出しが少ないのが悪いのよ。ごめんなさいね」


アサシンの命令↓1

アサシン「では、5番の方が、全力で1番の方のものまねをする、でいきましょう」

ココア「あ、私1番だよ! 誰かなー、私のものまねしてくれるのは」

リゼ「これは、意外と難しいのが来たな」

イリヤ「うーん、私は関係ないなあ」

士郎「俺もだ」

アサシン「おや?」

アーチャー「…………私が5番だ」

リゼ「本日二匹目の苦虫!」

イリヤ「クールな人が女の子のものまねって、シュールだね」

士郎「いやでも中の人的には」

リゼ「ん?」

士郎「なんでもないです」

アサシン「では、アーチャー殿、どうぞ!」

ココア「わくわく」

イリヤ「わくわく」

アーチャー「…………」

アーチャー「…………」

アーチャー「ゴホン」

アーチャー「イリヤちゃ~ん(裏声)」

士郎「ぶっww」

リゼ「なんだその声ww」

イリヤ「あはははははは!」

ココア「うーん」

ココア「あんまり似てないと思うなあ」

アーチャー「言われなくてもわかっている!」

アサシン「いやあ、ゆかいですなあ」


次の王様↓1(コンマ、>>650の表参照)

イリヤ「やったあ! 私が王様ー!」

ココア「よかったね、イリヤちゃん!」

士郎「こういうゲームって」

リゼ「無垢なヤツが爆弾放り込んでくることがあるんだよな」

イリヤ「うーん、どうしよっかなあ…………」

イリヤ「決めた! ↓1!」

イリヤ「3番の人が女装! 女の子なら男装!」

士郎「怖ええええええ」

アーチャー「恥を上塗りするところだった……」

アサシン「私だったら放送事故でしたぞ」

リゼ「よかった、私も違うぞ」

ココア「私! え、男装? 男の人の格好?」

イリヤ「そういえば、男の人の服ってあるの?」

士郎「俺のなら」

ココア「ええ!? 士郎くんの服!?」

士郎「な、そんなに嫌か!?」

ココア「あ、ち、違うの、えっと……」

イリヤ「はーい、シロウの服とってきましたー!」

リゼ「仕事が早いな、王様」

イリヤ「じゃ、あっちで着替えよ、お姉ちゃん」

ココア「ま、待ってイリヤちゃん、心の準備があぁぁぁぁ……」

イリヤ「はい、お姉ちゃん入場!」

ココア「…………」

ココア「ど、どうかな……」

リゼ「これはこれでありじゃないか?」

士郎「あ、ああ。似合ってると思うぞ」

ココア「ああ、士郎くんぎこちない! 心にもないこと言ってるでしょ!」

士郎「そ、そんなことないぞ!」

士郎(ココアに着られて緊張してるとは言いづらい……というか、今後どんな心境であれを着ればいいんだ)

アーチャー「ただ、衛宮士郎の服だと、男装というより」

アサシン「間違えてメンズを買ってしまったどじっ娘に見えてしまいますな」

士郎「微妙なセンスで悪かったな!」


ココア「はあ、緊張したー。よし、次だね」

アーチャー「時間の問題で、次が最後になりそうだな」

イリヤ「えー」


次の王様↓1(コンマ、>>650の表参照)

リゼ「お、また私だな。しかし、最後の王様となると少し緊張するな」

士郎「そんなに深く考えなくてもいいと思うぞ」

ココア「あー、結局王様になれなかったー。イリヤちゃんとぎゅーってしたり」

ココア「リゼちゃんと手をつないだりしたかったのにー」

アサシン「まあまあ、また遊ぶ機会もありましょう」

アーチャー「そもそも、その程度ならいつもやっているだろう」

イリヤ「リゼー、どうするの?」

リゼ「そうだな……」

リゼ「↓1だ!」

リゼ「2番が3番をデコピン!」

ココア「だ、大丈夫? アーチャーのデコピンとか、頭吹き飛ぶんじゃない?」ガタガタ

士郎「怯えすぎだろ」

士郎「それに、2番は俺だから安心していいぞ」

イリヤ「そっかー。シロウなら大惨事にはならないね」

アサシン「で、されるのは」

アーチャー「…………」

アーチャー「そうだろう、すでに、そういう流れが出来上がっている」

リゼ「ゲームをしてるはずなのに、アーチャーのストレスがマッハだ」

士郎「いいんだな、アーチャー! お前は、ゲームで発生した私怨を訓練に持ち込むようなやつじゃない」

士郎「そう信じてるからな!」

リゼ「士郎がいつになく燃えている……!」

アーチャー「…………」

アーチャー「煮るなり焼くなり好きにしろ」

ココア「デコピンだよ!? なんでこんな空気になってるの!?」

アサシン「男と男の戦いですからな」

イリヤ「なんか違う気がする」

士郎「いくぞ、アーチャーアアアアアアァァァァ!」

アーチャー「来い――――!」

ペシッ

士郎「痛っ」

士郎「え、痛っ!? なんだよこれ、お前の額は鉄製か!?」

アーチャー「鍛え方が足りん」

士郎「デコピンするほうが罰ゲームとか斬新すぎるだろ!」

ココア「ああ、楽しかったー」

イリヤ「楽しかったー!」

リゼ「こういう時間も、いいものだな」

士郎「そうだな。またやろう、この六人で」

アサシン「楽しみですな」

アーチャー「個人的にはこりごりだがな……」



――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「番外編『こころぴょんぴょんできるかどうかは安価次第! 聖杯戦争そっちのけ王様ゲーム!』」

アオヤマ「こころぴょんぴょんしていただけたでしょうか。今日の更新はここまでです」

弟子一号「安価の協力、ありがとね」

弟子一号「ところで、明日からしばらく更新できなくなるわ」

アオヤマ「しばらくって、どのくらいですか?」

弟子一号「うーん、まだよくわからないけど、一週間くらいかしら。少し間が空くけど、許してね」

アオヤマ「それでは、おやすみなさい~」

弟子一号「お疲れ様」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「お久しぶりです」

弟子一号「それじゃあ、さっそく更新を……」

ズドォォォォォン

弟子一号「道場の扉が爆発した!?」

アオヤマ「道場破りでしょうか?」

イリヤ「私はイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン!」

イリヤ「異議申し立てに来たわ!」

弟子一号「え、本編のキャラはこっちには来ないんじゃあ……」

イリヤ「私は原作のイリヤよ。バーサーカーと契約してるほうのね」

弟子一号「なにそれ面倒くさい」

アオヤマ「それで、原作のイリヤさんが、どうしてここに?」

イリヤ「どうしてバーサーカーに『妄想心音』が効くのよ!」

アオヤマ「え?」

弟子一号「え?」

イリヤ「これだからにわかは……」

イリヤ「いい? 『十二の試練』には、11回の蘇生と同じ攻撃への耐性のほかに」

イリヤ「Bランク以下の攻撃を無効化する能力があるの。だから、Cランクの『妄想心音』は効かないはずよ」

アオヤマ「…………」

弟子一号「…………」

アオヤマ「忘れてましたねえ」

弟子一号「そうね」

イリヤ「なんなのよ!」

弟子一号「でも、もう物語は進んじゃってるわ。今更どうするの?」

イリヤ「過ちに気づいた以上、見て見ぬふりは許されないわ。安価で、それも多数決で決めてもらうわ!」

弟子一号「こ、こんな平日の真昼間から多数決ですって!?」

イリヤ「Fateファンにあるまじきミスなんだもの。適当に流して、すぐに本編再開なんておこがましいわ」

イリヤ「五人集まるまで、更新なんてさせてあげないんだから!」


どうしよう?↓1~↓5(多数決)

1、「>>624からやり直す」

2、「独自の設定(マスターが貧弱なので宝具弱体化)を追加、このまま本編を進める」

1で良いと思うがラビットハウス組の所はそのまま使っていいんじゃね?

イリヤ「6分弱、ですって……!?」

アオヤマ「そういえば、夏休みですね。あるいは、お盆休みとか」

イリヤ「休み!? 日本人は仕事のために死ぬ人種だって、お爺様に教わったのに!」

弟子一号「偏見がすぎるわよ」

アオヤマ「ご協力ありがとうございました。それでは、>>624からやりなおし、という形で再開です」

弟子一号「アサシンの諜報が無事に終われば、>>710のアドバイス通り、留守番組の様子は以前のを流用するわ」

イリヤ「よかった、バーサーカーは強いままなのね……」



――新都――

ズドォォォン

ライダー「っ!」

バーサーカー「■■■■――――!」

ライダー「はあっ!」

ブンッ

ズドォォォン


アサシン(ほう、よく避けた。しかし、もう限界でしょうな。このまま放っておけば、一分と経たずに決着はつき)

アサシン(ライダーは消滅、遠坂凛は死亡、ということになりましょう)

アサシン(…………)

アサシン(なにを、苦しむ必要がある。私がすべきは、彼らに見つからぬように状況を観察し)

アサシン(その結果を、士郎殿に届けること。それが、暗殺者である私の使命――――!)


アサシンの行動↓1

1、「このまま見届ける」

2、「マスターに短剣を投げれば、隙をつくることができるでしょうか」

3、「『妄想心音』で一度殺せば、逃げるだけの隙はつくれるはず」

アサシン(アーチャー殿がランサーから聞いた話によれば、バーサーカーは自らを蘇生させる術をもつという)

アサシン(なれば、たとえ隙をつくるだけであっても、バーサーカーを狙うは愚行)

アサシン(マスターに短剣を投げれば、隙をつくることができるでしょうか)

アサシン(……それにしても)

アサシン(この心の変化は成長か、あるいは壊れてしまったのか……)

アサシン(まさか、誰かを見殺しにすることを、心苦しく思う日がこようとは――――!)

ヒュヒュヒュッ

バーサーカー「!」

慎二「お、おいバーサーカー、なにしてる! とっととあいつらを……」

バーサーカー「■■■■■――――――!」

ブンッ

ギギギンッ

慎二「な、え、短剣……!? 僕を狙って……!」

ライダー「凛、今のうちに」

凛「っ……わかった、退くわ」

慎二「あ、おい! くそっ、逃げ足は速いな」

慎二「もういい! 帰るぞ、バーサーカー」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「これ以降の展開は、>>627>>645と同じになりますので、そちらを参照してください」

弟子一号「迷惑かけてごめんなさいね。それじゃあ、今度こそ本編を再帰するわ」



【6日目】

――ラビットハウススノウ・リビング――

アサシン「さて、皆さんお揃いですな」

アーチャー「まあ、揃ってはいるが……」

ココア「イリヤちゃ~ん」ナデナデ

イリヤ「えへへー」

リゼ「おい姉貴、作戦会議の時くらいは真面目に……」

ココア「あ、リゼちゃんもなでなでしてほしい? じゃあ、ちょっと待っててねー」

リゼ「ち、違う! そんなことは言ってないだろう!」

士郎「緊張感ゼロだな」

アサシン「まあ、あの三人はあれこそが自然体ですからな」

アーチャー「では、始めるか。アサシン、まずは報告を」

アサシン「そうですな」

アサシン「…………」

士郎「アサシン?」

アサシン(さて、どこまで話すべきか……)


↓1

1、「ライダーとバーサーカーが交戦していたことだけ話す」

2、「凛から聞いた情報も話す。ただし、バーサーカーの本当のマスターのことは黙っておく」

3、「凛から聞いた話を全て伝える」

アサシン(隠すべきでは、ないでしょうな)

アサシン「ライダーとバーサーカーが交戦しているところに出くわしました」

アーチャー「そうか。それで、どうなった?」

アサシン「ライダーが劣勢でしたので、加勢しました。結果、双方生存ですな」

アーチャー「なに?」

ココア「アサシンすごい! 人助けだね」

リゼ「バーサーカーから逃がすとは、さすがだ」

イリヤ「……ねえ、どうして助けちゃったの? 放っておいたら一組減ったのに」

アサシン「なぜでしょうな。そうしなければならないような気がしたのですよ」

士郎「そうか、よくやってくれたな、アサシン」

アサシン「……おや、アーチャー殿には怒られるかと思いましたが」

アーチャー「意外ではあるが、諜報に関してはすべて任せているのでな。文句を言うつもりはない」

アーチャー「ただ、助けただけで何も情報を得ていないとなれば、話は変わってくるが」

アサシン「心配はいりませんぞ。ライダー殿のマスターから、バーサーカー陣営について教えていただきましたからな」

アサシン「まず、現在のバーサーカーのマスターは、間桐慎二」

士郎「なっ、慎二!?」

ココア「士郎くん、知ってるの?」

士郎「ああ。けど、あいつが魔術師だったなんて……」

アサシン「いえ、彼は魔術師ではありません」

リゼ「なに? それはおかしいじゃないか。どうして魔術師でない人間がマスターなんだ」

アサシン「具体的な方法はわかりかねますが、どうやら、間桐慎二はバーサーカーの仮のマスター」

アサシン「一応の命令権をもってはいるものの、バーサーカーとのつながりはありませぬ」

イリヤ「契約してるのは、ほかの魔術師ってこと?」

アサシン「左様。そして、バーサーカーと契約している、間桐の正規のマスターは」

アサシン「間桐桜」

士郎「…………え?」

ココア「もしかして」

リゼ「また士郎の知り合いなのか」

士郎「ま、待ってくれアサシン。そんなはずないじゃないか。桜が魔術師だなんて……」

アーチャー「衛宮士郎。アサシンは信用に足ると判断した情報しか、私たちには公開しない」

アーチャー「現状考えるべきはそれが真実かどうかではなく、それがどのような問題を孕んでいるかだ」

イリヤ「問題? 確かに、魔力を供給するマスターと戦場に出るマスターが別々なのは奇策だけど」

イリヤ「問題にするほどじゃないんじゃない?」

アサシン「彼らを純粋に『敵』と認識するなら、イリヤ殿の言うとおりです。しかしながら」

アサシン「桜殿は、士郎殿にとって家族にも等しい存在。彼女が危険にさらされているなら、対策を講じなければ」

士郎「危険……? 桜に何があったんだ!?」

アサシン「バーサーカーの真名は、かのギリシャの大英雄、ヘラクレス」

ココア「カブトムシかな?」

リゼ「姉貴! 今はそういうボケをかましていい空気じゃないだろ!」

アサシン「ただでさえ格が高い英霊を、狂戦士として召喚している以上、マスターの負担は並大抵ではありませぬ」

アサシン「聖杯戦争もすでに6日目。桜殿はバーサーカーを維持するために、相当な無理を強いられているはずです」

士郎「そんな……桜…………」

ココア「桜ちゃんを助けるには、どうしたらいいの?」

アサシン「サーヴァントの維持そのものが負担になっている以上、バーサーカーを倒すよりほかにないでしょうな」

リゼ「けど、アーチャー。バーサーカーと戦うのは難しいんだろ?」

アーチャー「ああ、あれはかなりの強敵だ。アサシン、間近で見て、どうだった?」

アサシン「単純な身体能力では、此度の戦争において最強でしょうな。宝具も強力ですし」

アサシン「理性を失っていながら、マスターを狙った私の短剣を弾き返す技量と反射神経。侮れませんぞ」

イリヤ「シロウは、どうしてもサクラを助けなきゃいけないの?」

士郎「ああ、どうしてもだ。桜は俺にとって、妹みたいなものだからな」

ココア「妹……! わかるよ、士郎くん! 絶対助けなきゃね!」

リゼ「士気は上々。もう止められないぞ、アーチャー」

アーチャー「わかっているさ。君たちがどういう考え方をする人間なのかはな」

アサシン「それでこそ、命がけで情報を集めてきた甲斐があるというもの」

イリヤ「……すごいんだね、みんな」

ココア「え?」

イリヤ「みんなは勝たなきゃいけないのに、誰かを助けるために戦えるんだ」

イリヤ「魔術師なんて、目的のためなら家族だって裏切るようなやつらだと思ってた」

アーチャー「まあ、ここにいるのは魔術師の中でも異端ばかりだ。ほかと違うのは当然だろう」

ココア「ああ、イリヤちゃんに褒められた……」

ココア「イリヤちゃん、もっと褒めて!」

リゼ「姉貴……」

アーチャー「とはいえ、気合で何とかなる相手でもない」

アサシン「そうですな、可能なら、戦力を増強したいところ」

リゼ「そうだな……ココア、どう思う?」

ココア「↓1」


1、「凛ちゃんなら協力してくれるかも」

2、「人の命がかかってるんだもん、神父さん、助けてくれないかな」

3、「私たちだけで行こうよ」

ココア「教えてくれたのって、凛ちゃんなんだよね。凛ちゃんなら協力してくれるかも」

士郎「そうだな。お礼もしに行かなきゃいけないし」

イリヤ「もし、協力してくれるなら3対1……勝てるかな?」

アサシン「ようやく五分、といったところでしょうな」

アーチャー「準備ができ次第遠坂邸に向かう。いいな」

アサシン「お待ちくだされ、アーチャー殿。バーサーカー陣営の動きも見張る必要がありましょう」

アサシン「私とリゼ殿が、間桐邸へ監視に向かいます」

リゼ「わ、私も行っていいのか?」

アサシン「いまのリゼ殿なら、何の問題もありますまい」

士郎「わかった。遠坂との交渉は、俺たちで行ってくるよ」

アサシン「頼みましたぞ」

――遠坂邸――

ココア「わあ、立派なお屋敷だね」

イリヤ「……さすがね。ここの結界、とんでもないわ」

士郎「踏み込むのはまずいか……呼んだら出てくるかな?」

アーチャー「一応、気配だけでも探ってみよう。ココアたちで声をかけてみてくれ」

ココア「うん、わかったよ」

士郎「遠坂ー!」

ココア「凛ちゃーん!」



凛とライダーは↓1(コンマ)

偶数、「在宅」

奇数、「留守」

イリヤ「へんじがない。ただのしかばねのようだ」

士郎「縁起でもないこと言わないでくれよ……」

ココア「そういうの、どこで覚えるの?」

イリヤ「アーチャー、どう?」

アーチャー「留守のようだな」

士郎「おい、アーチャー。まさか……」

アーチャー「ありえなくはないな。アサシンの話では、ライダーのマスターはバーサーカー討伐に執心していたそうだ」

イリヤ「もう、向かったってこと?」

ココア「で、でも、まだ明るいのに」

アーチャー「いや、逆に考えろ。魔術師の義務は、魔術を隠すことにある。情報が漏洩するなら夜間であっても咎められ」

アーチャー「逆に、隠しおおせるなら、昼間であっても問題はない」

士郎「昼間でも、人が来ないところ……いや、それだけじゃない。慎二か遠坂が知っている場所、か……?」

――間桐邸――


リゼ「アサシン、私は結界というものには疎い。ここは大丈夫なのか?」

アサシン「あまり強力ではありませんな。侵入するのは、さすがにはばかられますが」

リゼ「……誰もいないようだな。留守か?」

アサシン「ふむ、そのようですな」

アサシン「……まさか」

リゼ「どうした? 心当たりがあるのか」

アサシン「凛殿は、バーサーカーを倒すこと……ひいては、桜殿を助けることに執着しておられました」

リゼ「間に合わなかったってことか!?」

アサシン「落ち着きなされ、リゼ殿。今からならば、間に合うやもしれません。双方が、どこで戦っているか」

アサシン「それさえ分かれば」

リゼ「…………」

リゼ「一か所、心当たりがある」

――柳洞寺・石段――


ココア「あ、リゼちゃん、アサシン!」

リゼ「姉貴! そうか、そっちも同じ考えだったか」

アーチャー「おそらくだが、ライダーとバーサーカーはこの上で戦っているはずだ」

イリヤ「わ、私も行くのね」

士郎「留守番させるのも危険だからな。大丈夫だ、お前には、頼れるお姉さんがいるだろ」

イリヤ「そうだね。もしもの時はよろしくね、リゼ」

ココア「私じゃなかった!?」

アサシン「では、向かいましょう」



ライダーVSバーサーカー戦況↓1(コンマ一桁目)

1~4、「ライダー、満身創痍」

5~8、「ライダー、劣勢ながらも奮戦」

90、「接戦」



アオヤマ「ちょっと中断しますね。再開は夜になると思います」

――ブルーマウンテン道場――

弟子一号「ただいまー」

アオヤマ「それでは、更新を再開しますね」



――柳洞寺・境内――

バーサーカー「■■■■■■――――!」


ブンッ

ドゴォォォン


ライダー「ふっ――――!」


ジャララララ

ギンッ


慎二「な、なんだ……?」

慎二「昨日は余裕だっただろ、バーサーカー! どうして手こずるんだ、こんな格下相手に!」

凛「借り物の令呪しかないあなたにはわからないでしょうね、間桐君」

慎二「なに……?」

凛「令呪にはね、強制的に命令を遂行させる以外に、サーヴァントの強化に使うこともできるのよ」

慎二「くっそお……どれだけ僕をバカにすれば気が済むんだ、遠坂ぁ……!」

凛(とはいえ、令呪込みでも劣勢、せめて挑発に応じて間桐君が前に出てきてくれれば私が仕留めるんだけど)

凛(全然出しゃばらないわね……自分の力量をわきまえてるのか、あるいは腰が引けてるだけか……)

バーサーカー「■■■■■■■――――!」

ライダー「っ……!」


ブオンッ

ギィンッ


凛「ライダー!」

ライダー「大丈夫です、リン。この戦い、退くわけにはいきませんから」

慎二「はっ……しぶとくなっただけで、なにも解決しちゃいないじゃないか。やっちまえ、バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■■――――!」

凛「来るわ!」

ライダー「…………!? いけない、リン、下がって!」

凛「え?」


ヒュッ

ズドォォォォォォン


凛「なっ、爆発!? なにが……」

ライダー(この輝き、威力……まさか『壊れた幻想(ブロークンファンタズム)』!?)

ライダー「誰がこんな無茶を……」

アーチャー「無茶をしなければ、土俵にすら立てん半端者でね。そこは容赦してほしいものだが」

士郎「遠坂、大丈夫か!?」

凛「衛宮君!? どうしてここに……」

ココア「私もいるよ!」

リゼ「凛、私たちは下がるんだ! アーチャーたちに任せて」

イリヤ「わあ、あれがバーサーカー……強そうだね」

凛「な、なにしに来たのよ! 助力を頼んだ覚えなんて……」

アーチャー「助力? はて、なにを言っているのかわからないな。私たちはバーサーカーと戦いに来ただけなのだが」

アーチャー「しかし、今は少しでも勝率を上げたい。どうだ、ライダー? あれを倒すまでの間だけでも」

ライダー「願ってもないこと。それでよろしいですね、リン?」

凛「…………」

凛「任せたわ、ライダー、アーチャー」

ココア「気を付けてね!」

アーチャー「ああ。いくぞ、ライダー!」

ライダー「はい」

凛「なるほど、アーチャーとアサシンが手を組んでたのね。見つからないはずだわ」

凛「最後までいっしょに戦うつもり?」

士郎「ああ、そうだ」

凛「ふーん……初めて会った時から、変な奴だとは思ってたけど。ここまでとはね」

ココア「ほら、士郎くん。変な奴って言われてるよ」

士郎「俺じゃないだろ。リゼのことじゃないか?」

リゼ「そ、そんなことない、私は普通の女子高生だ! 姉貴の方が変だろう!」

ココア「ええ!? リゼちゃんひどい!」

凛「戦場にいるとは思えない緊張感のなさね」

イリヤ「仕方ないよ。お姉ちゃんの固有結界みたいなものだから」

凛「でも、こういうのが仲間だと、救われるわね」

イリヤ「うん。私もそう思う」

凛「さて、最低限足を引っ張らないように、ちゃんと戦況を分析しとかないとね」

凛(令呪は残り2画……勝利を拾えるなら、ここでの消費は躊躇わない)

凛(桜…………)

慎二「衛宮……? はあ? なんだよ、あいつも魔術師なのか」

慎二「衛宮も、遠坂も、桜も…………どいつもこいつも、僕にないモノを持ってるのかよ……!」

慎二「ちっくしょう! なんなんだよ! やっちまえ、バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■■■■――――――!」


ブオンッ

ドガアッ


アーチャー「まるで台風だな……しかも、自分の後ろにいるマスターには一切の被害がない」

アーチャー「あの出力で守りながらの戦いをこなすのか……化け物だな。ライダー、勝算は?」

ライダー「私の宝具なら、彼を殺せます。しかし、それをとどめにしなければ、必ず反撃されます」

アーチャー「ライダーの一撃で仕留められるところまでは、ほかの手段で追い込まねばならぬということか」

バーサーカー「■■■■――――!」


ドガッ

ガシャァンッ


アーチャー「ちっ、作戦会議も命がけだな」

ライダー「3回……いえ、4回は殺してみせます。なんとかそこまで追い込めれば」

アーチャー「………………」

アーチャー「前線で、かつ単身で時間を稼げるか?」

ライダー「やってみましょう」

慎二「はっ、赤いのはもう諦めたのか? はははっ! そうさ、僕のバーサーカーは最強だからな!」

慎二「いまさら、お前ひとりで何とかできるわけないだろ! ライダー!」

バーサーカー「■■■■■■――――!」


ブンッ

ギインッ


ライダー「っ……」

ライダー(味方を巻き込む危険を考えれば、魔眼は使えない。けれど)

ライダー(彼らの助力には、それ以上の価値がある。頼みますよ、アーチャー!)

アーチャー「『――――――I am the bone of my sword.』」

バーサーカー「!」

バーサーカー「■■■■――――!」

ライダー「なっ!?」

ライダー(標的をアーチャーに変えた!? まずい、ここで足止めできなければ、アーチャーは……)

アサシン「おっと、あなたはここを動いてはなりませんぞ、バーサーカー」


ヒュッ

ギギギンッ


バーサーカー「■■■■――――!」

慎二「あの短剣……! くそう、バーサーカー、僕を守れよ! とっととライダーを倒して、あの仮面も殺せ!」

バーサーカー「■■■■■■――――!」

イリヤ「三人とも、息ぴったりだね」

凛「ライダーが速度で翻弄して、それが突破されそうになったらアサシンがマスターを狙って時間稼ぎ」

凛「その間にアーチャーが……ねえ、アーチャーはなにをしてるの?」

ココア「うーん……わかんない」

凛「自分のサーヴァントでしょ?」

リゼ「召喚でちょっとしたトラブルがあってな。記憶が混乱してるらしい」

士郎「…………」

ココア「士郎くん、どうしたの?」

士郎「……遠坂。お前、戦えるか?」

凛「そこいらの魔術師よりは動ける自信はあるわよ。どうしたの、急に」

士郎「リゼと遠坂はついてきてくれ。ココアは、イリヤと隠れてろ」

リゼ「士郎?」

士郎「気のせいなら、それでいいんだ。けど、そうじゃないなら……」

バーサーカー「■■■■■■――――!」

慎二「なにやってんだよ、バーサーカー!」

ライダー「ふっ――――」


ギインッ


アーチャー「『Steel is my body, and fire is my blood.』」

バーサーカー「■■■■――――!」

アサシン「まだまだ、やらせはしませんぞ!」


ヒュヒュヒュヒュヒュッ

ギギギギギッ


アーチャー「『I have created over a thousand blades.』」

バーサーカー「■■■■■■――――!」

ライダー「はあっ――――!」


ブオンッ

ギンッ

ライダー(やはりアーチャーを狙っている……そう長くはもちませんよ、アーチャー……!)

アーチャー「『Unknown to Death. Nor known to Life.』」

慎二「なにやってんだよ、バーサーカー! ギリシャの大英雄様もそんなもんかよ!」

バーサーカー「■■■■■■――――!」


ブオンッ

ギンッ

ブオンッ

ゴガアッ


ライダー「っ……」

ライダー(ばかな、さらに速く、重く……!?)

アーチャー「『Have withstood pain to create many weapons.』」

アサシン(いかん、ライダー殿!)


ヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ

ギギギギギギンッ


アサシン(なっ、後ろを向いたまま!? 私の短剣が完全に見切られた!?)

バーサーカー「■■■■■■――――!」

アーチャー「『Yet, those hands will never hold anything.』」

バーサーカー「■■■■■■――――!」


ブオンッ

ドガッ


ライダー「か、はっ……!」

アサシン「ライダー殿!」

慎二「ははっ! しぶとかったけど、ようやく終わりだな!」



アーチャー「『So as I pray, unlimited blade works.』」


――固有結界・『無限の剣製』――


慎二「…………は? な、なんだこれ……?」

ライダー「ま、さか……」

アサシン「固有結界……!?」

バーサーカー「…………」

アーチャー「待たせたな、狂戦士。ここからは、私が相手だ。だが、覚悟しておけ」

アーチャー「ご覧の通り、貴様が挑むのが無限の剣。剣戟の極地!」

アーチャー「恐れずしてかかってこい!」

バーサーカー「■■■■■■――――――!」

――柳洞寺・山門――


綺礼「ほう、これは驚いた。気配は消しておいたつもりだったが」

セイバー「いかに鍛錬を欠かさずとも、実戦から遠ざかれば衰えるは道理」

セイバー「とはいえ、我らの来訪を察知した魔術師に、賞賛を送るべきではありましょう」

凛「綺礼……!」

士郎「お前が、セイバーか」

セイバー「いかにも。ところで、お三方は何をしにここへ? 私たちの足止めにしては、役者不足でしょうに」

リゼ「セイバー、お前の望みはなんだ? 答えによっては、話し合いで解決できるかもしれない」

セイバー「…………」チラ

綺礼「構わん。こちらとしても、多数のサーヴァントを相手にするのは骨だ。話し合いで済むのなら、それに越したことはない」

セイバー「……わかりました。少し話をしましょう」



この世界のセイバーは、第四次聖杯戦争の聖杯問答において↓1

1、「ボコボコに言い負かされた(願いは選定のやり直し)」

2、「二人の王と対等に語り合った(願いは???)」

3、「そもそも、聖杯問答がなかった(願いはブリテン崩壊の阻止)」

セイバー「あれは、十年前。第4次聖杯戦争において、征服王、英雄王と語り合った時だ」

士郎「え、急に回想始まったけど」

凛「自白用BGMが流れ始めたわ」

リゼ「刑事ドラマなら断崖絶壁のシーンだな」



騎士王「私は、わが故郷の救済を願う。万能の願望器をもってして、ブリテンの滅びの運命を変える」

英雄王「…………」

征服王「…………」

英雄王「はははははははははははははははっ!」

騎士王「何がおかしい?」

英雄王「自ら王を名乗り、皆から王と讃えられて、そんなやからが悔やむだと?」

英雄王「これが笑わずにいられるか!」

征服王「騎士王よ。貴様、よりにもよって、自らが歴史に刻んだ行いを否定するというのか?」

騎士王「そうだ。王として身を捧げた故国が滅んだのだ。それを悼むのがどうしておかしい?」

英雄王「故国に身を捧げたwwwお前は極上の道化だなwww」

征服王「騎士王よ。王が捧げるのではない。国が、民草が、その身命を王に捧げるのだ。断じてその逆ではない」

騎士王「征服王、それは暴君の治世だぞ」

征服王「然り。我らは暴君であるが故に英雄だ。だが、自らの治世を悔やむ王がいるとしたら、それは暗君、暴君より始末が悪い」

騎士王「……自らの知世の末路を思い知らされた今でも、やり直したいとは思わないと?」

征服王「ああ、思わん。余の臣下たちの生き様の果てであるならば、悼みはしても、涙を流しても、悔やみはしない」

征服王「まして覆すなど! それは余とともに時代を築いた者たちへの侮辱だ!」

騎士王「否。正しき統制、正しき治世。民が望むのは、断じて滅びではない」

征服王「そんな生き方はヒトではない。確たる欲望を示してこそ、極限の栄華を謳ってこそ、民を、国を導けるのだ」

征服王「聖者では、正しさの奴隷では、人は導けん。無欲な王なぞ飾り物にも劣る!」

征服王「貴様は、ただ救うばかりだったはずだ。導かれなかったものの末路を、知らぬわけでもあるまい」

征服王「貴様は王ではない。王という偶像に縛られただけの、ただの小娘だ」

騎士王「………………」

英雄王「どうした、騎士王。征服王の在り方は、ただの娘にはちと刺激が強かったか?」

騎士王「…………感謝する、征服王。そうだ、私は、悔やんでなどならなかった」

騎士王「だが、それでも言わせてもらう。私は、王だ」

征服王「ほう?」

騎士王「確かに私は、救うばかりだったかもしれない。あなたのような治世であったなら、彼らを導けたかもしれない」

騎士王「けれど、私だからこそ救えた民がいる。私が王だったからこそ、忠誠を誓ってくれた騎士がいる」

騎士王「それは、征服王、英雄王、あなたたちには決してできなかった治世だったはずだ」

騎士王「私は、生粋の王ではなかったかもしれない。王の資質など、持ち合わせてはいなかったかもしれない」

騎士王「それでも、私は彼らの王だったのだ。私の非力をなじるのはいい。だが」

騎士王「彼らが信じ、忠誠を誓った王の在り方を否定することは、この私が許さない」

征服王「……面白い。かような王道が存在するとはな」

英雄王「確信したぞ、騎士王。お前に足りなかったのは、能力でも運でもない」

英雄王「対等に語らうことのできる、友だ。お前の歪みを外側から正す、無二の親友だ」

征服王「ほう。ならば、余は騎士王の友ということか?」

騎士王「それもよいかもしれません。征服王、英雄王。あなたたちのような王と、もっと早くに出会いたかったものだ」

英雄王「ははははははははは! 論争したかと思えば、もう仲直りか!」

英雄王「今宵の宴は愉快だな! さあ、飲め飲め! お前たちにならこの酒も惜しくはないわ!」

征服王「おう、さすがはすべての財を手にした王よ! 太っ腹だな!」

騎士王「今日は飲み明かしましょう。すべらない話百本勝負などいかがです?」

英雄王「侮るなよ騎士王! この世のすべてを背負った我は、話のレパートリーも無尽蔵だからな!」

征服王「余の臣下にも話がうまい奴がいてな……どれ、声をかけるか」

騎士王「ああ! 晩年の円卓もこれくらい楽しかったらよかったのに!」

セイバー「……ということがありまして」

リゼ「こいつ今、ほとんど真名ばらしたよな?」

凛「騎士王に円卓だもん、もう決定よね」

士郎「なんでさ。なんでココアがいないのにこんな空気なんだ」

セイバー「彼らと語らうことで、私は気づいた。己の治世を修正するのは間違いだと」

セイバー「だから、此度の聖杯戦争、私には願いなどなかった」

セイバー「あの日までは」

リゼ「あの日……?」

セイバー「泰山という名を、知っているか?」

凛「泰山って、中華料理屋の?」

セイバー「いかにも。私は綺礼に連れられ、あそこの麻婆豆腐を口にした」

セイバー「死ぬほど辛かった。騎士団の料理は雑だったが、あれは精巧な兵器だった」

セイバー「すると、見かねた綺礼がご飯を注文してくれた。それに麻婆豆腐をかけて食すと」

セイバー「信じられないほどに美味しかった。六回はおかわりした」

リゼ「この話はどこに着地するんだ……?」

セイバー「そのとき、確信した」

セイバー「日本の米は美味い。もしこの味が、ブリテンに、騎士団にあったなら」

セイバー「そう思うと、私は戦うしかなくなった。日本の米という世界の宝を、わが故郷に普及させるために」

セイバー「そうだ、私の願いは」



セイバー「米だ」



士郎リゼ凛「えー」

凛「っていうか、セイバー。あなた全然改心してないじゃない。それも過去改変でしょ?」

セイバー「私の治世を、ブリテンの滅びの運命を、変えるつもりはない。ただ、そのなかに日本の米を投じるだけだ」

士郎「間違っているぞ、セイバー」

セイバー「なに?」

士郎「お前の時代の料理があったから、今の料理があるんだ。そこに、今の味を介入させる?」

士郎「それは、試行錯誤を繰り返して料理を発展させてきた料理人たちに対する」

士郎「そしてなにより、時代とともに少しずつ形を変えていく食という文化そのものに対する」

士郎「許しがたい侮辱だ!」

リゼ「し、士郎が熱い……! さすが、料理に関しては思い入れが違うな」

凛「え、突っ込み私だけ!? ボケの過剰供給じゃない!」

凛「ちょっと綺礼、あんたのサーヴァントでしょなんとかしなさいよ!」

綺礼「…………」

凛「気配消してんじゃないわよ!」

セイバー「この時代に、それも日本に生きるあなたにはわからない! あの味があれば、食は娯楽になりえる」

セイバー「たったひとつ、食という娯楽があれば、私たちはもっと豊かだった!」

セイバー「願ってはならないのか! 隙あらば隣の奴を殺そうとするような殺伐とした円卓ではなく」

セイバー「みんなで卓を囲ってご飯を食べるような平和な円卓を、夢見てはならないのか!?」

士郎「それでも、お前たちの苦労の上に今の食文化があるんだ。それを否定することは、すなわち今を否定することになる」

セイバー「…………わかりました、あなたとは相容れない。ここで倒れてもらいましょう」

士郎「望むところだ。その歪んだ発想、俺が矯正してやる!」

凛「この空気のまま戦うの!? ちょっとは軌道修正しないとギャグ時空になっちゃうわよ!」



――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「今日の更新はここまでです。書き込み、安価のご協力、ありがとうございました」

弟子一号「明日は多分更新できないわ。ごめんなさいね」

アオヤマ「それでは、また次回~」

弟子一号「お疲れ様」

アオヤマ「こんにちは~。更新を始めますね」



――柳洞寺・山門――


士郎「セイバー、お前は俺が……」

リゼ「待て、士郎。今の精神状態では、本来の力を出せないだろう。セイバーは私に任せて」

リゼ「凛と二人で、言峰を止めてくれ。あいつも、ただ者じゃないはずだ」

凛「なっ、サーヴァント相手に一人で戦う気!? 無茶よ!」

リゼ「確かに、勝つのは無理だ。だが、耐えるだけなら何とかできるはずだ」

士郎「…………」

士郎「わかった。今回は、任せる。けど、無理はするなよ」

リゼ「ああ、わかってるさ」

リゼ「そうだ。士郎、干将莫邪を使わせてくれないか?」

士郎「それがお前の助けになるなら、断る理由はないな」

士郎「――――『投影、開始(トレース・オン)』」



士郎投影判定↓1(コンマ一桁目)

1~5、「実用に耐える複製品」

6~0、「アーチャーのものに迫る、ほぼ完ぺきな複製品」

士郎「……よし。頼んだぞ、リゼ」

リゼ「ああ」

凛「投影魔術……!? 衛宮君、あなた一体……」

士郎「話は後だ、遠坂。今は、どうやってセイバーの横を抜けて、言峰のところにたどり着くかを考えないと……」

セイバー「必要ありません。行きなさい、アサシンとライダーのマスターたちよ」

凛「……どういうつもり?」

セイバー「我らはともに聖杯を求める身だが、聖杯が手に入りさせすればいい私とは違い」

セイバー「綺礼はその入手の過程にも執心している。それだけのこと」

士郎「……よくわからんが、疑ってる時間がもったいない。行くぞ、遠坂」

凛「ええ」


タタッ


セイバー「いい剣ですね。しかし、使い手の技量が追い付いていない以上、宝の持ち腐れ」

リゼ「なぜそう言い切れる?」

セイバー「構えでわかります。体術に覚えがあっても、剣術は素人ですね?」

リゼ「……さて、どうかな」

セイバー「すぐに明らかになります。私に剣で挑んだ愚行を、地に伏して悔やむがいい!」

ヒュッ

ヒュオッ

ヒュッ


セイバー「!」

セイバー(悉くかわされる……! なるほど、ただの人間だと思わない方がよさそうですね)


ヒュッ

ヒュッ


リゼ(見えない剣……だが、私には関係ない。もとより、凡人の私にサーヴァントの動きを肉眼で見切れるはずもない)

リゼ(私の回避は視覚以外の感覚に依存する……なれば、奴の剣が姿を隠していようと晒していようと同じこと)


ヒュヒュッ

ヒュンッ


セイバー(捉えた……!)

リゼ(ここだ!)


ヒュッ

ギィンッ


セイバー「! そうか……」

セイバー(あの剣は、私を斬るためではなく、私の攻撃を受け流すために用意したモノか……!)

リゼ「っ……」

リゼ(重い……! 受け流したのに腕が痺れたぞ)

リゼ(けど、干将莫邪ならセイバーの剣にも対抗できる。感謝するぞ、士郎)

凛「無欲と信仰の化身みたいなあんたが、聖杯欲しさに戦いに参加するなんて信じられないわ。何が望みなの?」

綺礼「あえて明かすこともあるまい。明らかなのは、私とお前たちはすでに敵対したということ」

綺礼「セイバーが剣をとった以上、もはや和平はあり得ない。押し通らせてもらうぞ」

士郎「そうはさせない。遠坂、後方支援は任せるぞ」

凛「……おすすめはしないわ。綺礼はあなたが思ってる何倍も強いわよ」

士郎「それでも、遠坂を前に出すわけにはいかない」

凛「…………わかったわ。ただし、状況を見て私も前に出る。いいわね?」

士郎「……そうだな、そのあたりは任せる」

士郎「――――『投影、開始(トレース・オン)』」

綺礼「投影魔術……他者が使わぬような魔術を戦場に持ち込むあたりは、あの男に良く似ているな」

士郎「抜かせ――――!」

綺礼(衛宮士郎は魔術師としても、剣士としても三流だ。1対1なら、すでに勝負はついていた。だが……)

凛「――――!」


ドッ

ドガァッ


綺礼(衛宮士郎の隙を突こうとする私に、凛が的確にガンドを打ち込んでくる、か)

綺礼「即席のコンビにしては、随分と息があっているな。それに」

綺礼「お前に背を向けている衛宮士郎にはかすりもせず、私だけを的確に狙うガンド」

綺礼「凛、お前は魔術師より、猟師の方が向いているのではないか?」

凛「ふん、言ってなさい! 今にそんな減らず口も聞けなくしてやるんだから!」


ドドドドッ

ゴガッ


綺礼(む、足場を……!)

士郎「おおおおっ!」

綺礼「!」


ヒュッ

ズバッ


士郎「あの体勢から、後ろに跳んでかわした……!?」

綺礼「……2対1かつかすり傷とはいえ、私に血を流させるとはな。いいだろう」

綺礼「うまく避けろ。お前の力が半端なら、次の一撃でミンチになるぞ」

士郎「……!」

――固有結界・『無限の剣製』――


慎二「なんだこれ……なんだこれ…………!」

アーチャー「おおおおおっ!」

バーサーカー「■■■■■■■――――!」


ブンッ

ギィンッ

ギギギギギッ

ドスッ


バーサーカー「――――――」

慎二「バーサーカー! こんな、どこの馬の骨ともわからねえサーヴァント相手に」

慎二「何度殺されたら気が済むんだよぉっ!」

慎二「殺せ! こんなやつ、殺しちまえ!」

バーサーカー「――――――」

バーサーカー「■■■■■■――――!」

アーチャー「はあっ、はあっ……」

アーチャー(まだだ、せめてあと一つ……!)

バーサーカー「■■■■――!」

アーチャー「っ……おおっ!」


ギギギギギンッ

パキィンッ


アーチャー「がっ……!」

慎二「! 今だ、バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■――――!」

アーチャー「……!」ガクッ

アーチャー(まずい、足が……!)

アサシン「アーチャー殿!」

ライダー「アーチャー!」


ヒュヒュヒュヒュヒュッ

ジャララララララ


バーサーカー「!」

バーサーカー「■■■■―――――!」


ブオンッ

ドガッ


アサシン「ぐっ」ドサッ

ライダー「かはっ……」ガクッ

慎二「はっ、雑魚どもが出しゃばりやがって……バーサーカー、今度こそ」

慎二「…………あ、れ? アーチャーが、いない?」

アーチャー「――――鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ、むけつにしてばんじゃく)」


ヒュヒュッ


バーサーカー「!」

慎二「なっ……あんなところに」

バーサーカー「■■■■――――!」


ブオンッ

ギギンッ


慎二「はっ! 剣を投げただけで、バーサーカーを倒せるわけないだろ!」

アーチャー「――――心技、泰山ニ至リ(ちから、やまをぬき)」


ヒュッ


アーチャー「――――心技、黄河ヲ渡ル(つるぎ、みずをわかつ)」


ヒュッ


慎二「!? 戻って……!」

バーサーカー「■■■■――――!」


ブンッ

ギギンッ


慎二「だめだ、バーサーカー! 前だ前!」

アーチャー「――――唯名、別天ニ納メ(せいめい、りきゅうにとどき)」


ブンッ

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」


ブオンッ

バキィンッ


慎二「…………ははっ」

慎二「万策尽きたな、アーチャー! これで……」

慎二「………………おい、なんだそれ」

慎二「なんなんだよ、その剣はよぉ!」

アーチャー「――――両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら、ともにてんをいだかず)」


ブオンッ

ビチャァッ


バーサーカー「――――――」

慎二「くっそお、こんな奴に……けど」

慎二「まだだ。まだ負けたわけじゃないんだよ――――!」

バーサーカー「■■■■■■――――!」

アーチャー「……そうだな。もう、私にできることはない」

アーチャー「ところで、間桐慎二。ライダーはどこに行ったと思う?」

慎二「…………は?」

ライダー「――――『騎兵の手綱(ベルレフォーン)』!」


キィィィィィィィン

ズトォォォォォン


バーサーカー「■■■■――!」

慎二「ま、まだこんな宝具を残してたのかよ……!?」

慎二「け、けど、体当たりなら……バーサーカーが死ぬ前に、ライダーを殺せば勝ちだ!」

慎二「やれ! バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――――!」

ライダー(負けられない……! リン…………!)


――無茶を強いてごめんなさいね、ライダー

――ええ、私も、魔術師失格だと思うわ。遠坂から養子に出た桜のことを、魔術師として祝福してやれないんだから

――それでも、必死で自分を納得させた。

――でも、やっぱり……あの娘は、私の

――大事な妹だから


ライダー(妹を想う姉……私がリンのサーヴァントとなったのは、偶然なんかではありえない――――!)

ライダー「あああああああああああああっ!」

バーサーカー「■■■■■■■■――――!」

バーサーカー「…………」

ライダー「…………」

バーサーカー「見事。ただ一度の戦いで、この身を亡びへ誘うとは」

ライダー「あなたが、本来の力を発揮できていたなら、こうはならなかったでしょう……」ドサッ

慎二「え……? 負けたの、か?」

慎二「…………消えちまった」

慎二「ははっ、ははははははははははははっ。そうか、僕の聖杯戦争は、終わったのか!」

慎二「ははははははははははははははははははははっ!」


【バーサーカー陣営敗退】

――柳洞寺・境内――


アーチャー「さすがに、ライダーの宝具には結界が耐えきれなかったか」

綺礼「ようやくお戻りか、サーヴァントたちよ」

アーチャー「!」

アサシン「言峰綺礼……! それに」

セイバー「ほう、3対1とはいえ、バーサーカーを倒しましたか。見事ですね」

ライダー「セイ、バー……」

アーチャー「…………言峰綺礼。貴様がイリヤを抱えているのは、リゼたちの姿が見えないのは、どういうことだ」

綺礼「あとの質問については、心配するな。倒しはしたが、殺しはしていない」

綺礼「だが、先の質問は解せないな。お前たちは、これがなんなのか知らぬまま、抱え込んでいたのか?」

イリヤ「」

アーチャー「なに……?」

セイバー「…………」

セイバー「綺礼、やはり納得がいかない。なぜ今ここですべてのマスターを殺さないのです?」

セイバー「3対1とはいえ、相手は例外なく瀕死の状態。あなたの許可さえあれば今すぐにでも、聖杯を召喚できるというのに」

綺礼「十年前、衛宮切嗣は器を奪った私のもとを訪れ、殺し合った。その果てに聖杯を得、そして拒絶した」

綺礼「私が今、真に衛宮切嗣に勝利するためには、その状況を再現したうえで、聖杯をわがものにする必要がある」

綺礼「故に必要なのだ。器を奪った私のもとに現れる、最後の挑戦者が。だから、ここで殺してはならない」

綺礼「…………だが、そうだな。挑戦者は一組でいい」

綺礼「命令を修正する。セイバー、衛宮士郎とアサシン以外は殺して構わん」

綺礼「私はこれを連れて、先に戻る。武運を祈るぞ、セイバー」

セイバー「承知した」

ライダー「っ…………」

アサシン(この状況でセイバーを相手にするのは)

アーチャー(あまりにも無謀……だが、逃げおおせる算段も……)

「令呪を以て命じる! ライダー!」

「私とともに、セイバーを足止めするのよ!」


キィィィィィン


ライダー「……ふふ、実にあなたらしい」

ライダー「承知しました、リン」

セイバー「綺礼に倒されて、もう起き上れるとは」

凛「ふん、その澄ました顔、いつまでもつかしらね」

凛「さあ、あんたたちはマスター連れてとっとと逃げなさい」

凛「間桐君はこっちでなんとかしておくから」

アサシン「しかし…………」

アーチャー「…………」

アーチャー「わかった。生きて戻れよ、凛」

凛「言われるまでもないわね……あ、そうだ」

凛「衛宮君に、桜のことよろしくって伝えといて」

アサシン「承知しました」

アーチャー「いくぞ、アサシン」

アサシン「は」


タタッ


凛「ふーん、ちゃんと逃がしてくれるのね?」

セイバー「無理に追うことはない。あなたたちを1分で斬り伏せてから追えばいいのだから」

凛「なめられたもんね……いくわよ、ライダー!」

ライダー「はい!」

セイバー「囮役を自ら買って出る……その心意気に免じて、苦しまぬよう散らせてやりましょう!」




――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「このあたりで中断しますね。たぶん、夜から再開します」

弟子一号「またあとでねー」

弟子一号「再開するわよー」



――ラビットハウススノウ・リビング――


アサシン「ココア殿が軽傷だったのは、不幸中の幸いでしたな。二人の様子は?」

アーチャー「衛宮士郎は骨折と内出血が多数。リゼは傷は二つだけだが、いずれも深く出血が多い」

アーチャー「二人とも、ココアの治癒魔術で危機は脱した。まだ気を失ったままではあるが、安静にしていれば問題はあるまい」

アサシン「ココア殿は?」

アーチャー「眠っている。立て続けの治癒魔術に、ココア自身の傷。なにより」

アーチャー「イリヤを連れて行かれたショックが大きい。ココアは、自分のせいだと思っているようだ」

アサシン「ココア殿らしい。私たちに責任を押し付ければ楽でしょうに。……いや」

アサシン「実際に、私たちのせいでしょうな」

アーチャー「事態は深刻だ。自己嫌悪している暇はないぞ」

アサシン「わかっておりますとも。とはいえ、皆さんが回復するまでは動くことはできませんな」

アーチャー「そうだな」

アサシン「ああ、そうだ。聞きたいことがありましてな。アーチャー殿…………いえ」

アサシン「士郎殿、とお呼びすべきですかな」

アーチャー「…………」

アーチャー「何の話だ?」

アサシン「おや、勘違いでしたかな。でしたら私の独り言と判断していただいて結構」

アサシン「きっかけは、あの固有結界でしたな」

アサシン「あなたの使用した剣が宝具ではなく投影魔術による模倣品であることや」

アサシン「あなたが愛用する干将莫邪は、士郎殿と相性が良いこと」

アーチャー「証拠としては弱いな。あの特異な投影が、世界に一つしかないという保証もない」

アサシン「そうですな。魔術に明るくない私では、あの固有結界を根拠に、あなたが士郎殿であることを証明することはできませぬ」

アサシン「ですが、そもそも。二人はよく似ている」

アーチャー「なに?」

アサシン「気付いておりませぬか? 少なくとも聖杯戦争初日と比べれば、あなたは昔の自分を少しだけ取り戻している」

アサシン「まあ、私も言葉にすることはできませんが。なんかこう、そういう感じがするのですよ」

アーチャー「…………ふっ、そうか。かつての面影など、過去に置き忘れてきたと思っていたが」

アーチャー「で、どうする? 皆に話すのか?」

アサシン「アーチャー殿があえて隠していたことを、どうして私が暴けましょうか」

アサシン「アーチャー殿はアーチャー殿ですよ」

アーチャー「………………」

アーチャー「……私は、衛宮士郎を殺すつもりだった」

アーチャー「それで何が変わるわけではないということも、分かってはいた。だが、せめてそこに希望があると……いや」

アーチャー「終わりなき絶望の終着点があると、そう思わなければ、どうにかなってしまいそうだった」

アーチャー「だが、なぜだろうな。私は今、衛宮士郎とともに戦っている。あれを勝たせるために死力を尽くしている」

アーチャー「そも、あれを殺そうという考え自体がどこかに消えている」

アーチャー「どうしてしまったのだろうな、私は」

アサシン「………………」

アーチャー「さあ、見張りに出よう。ココアたちも、すぐには目を覚ますまい」

アーチャー「決戦は皆が目覚めてからか。……ああ、そうか。次で最後になるのだな」

アサシン「そうですな。では私は、言峰綺礼の動向を探ってきましょう」

アーチャー「あの口ぶりだと、私たちには場所を明かすつもりだろうがな。方法は知らないが」

アサシン「行ってまいりますぞ」

アーチャー「ああ」

――柳洞寺・境内――

アサシン(どうしてしまった、か)

アサシン(それは私とて同じこと。本来なら、囮役を買って出た者の安否など、気遣うべきではないというのに)

凛「……あ、ら。アサシン…………?」

アサシン「凛殿! 御無事で!?」

凛「無事、に、見えるのかしら…………」

アサシン「すぐに治療を……」

凛「ああ、そうだ。セイバーから、伝言、よ」

凛「アインツベルンの城で待つ、だって、さ」

凛「………………」

アサシン「凛殿! お気を確かに! 必ずお助けしますぞ!」



【ライダー陣営敗退】

【6日目・終了】

――interlude――


綺礼「破壊されているのは玄関だけ、ほかは健在か」

綺礼「とはいえ、重要なのは土地。城などあってもなくてもよいのだが……」

セイバー「戻りました、綺礼」

綺礼「早かったな」

セイバー「……それは、手負いのライダーに8分も粘られた私に対する皮肉ですか?」

綺礼「失礼。そんなつもりはなかったが」

セイバー「ところで、綺礼。大きな魔術には、土地も大きな役割を果たすと聞く」

セイバー「ここよりは、柳洞寺のほうがよかったのでは?」

綺礼「確かに、普通に考えればそうだ。だが、今回に限っていえば事情が違う」

綺礼「高い陣地作成能力を誇るキャスターが、魔術的な意味で城や土地を魔改造」

綺礼「そのうえ、兵器によって土地そのものが大きく破壊されたせいで、土地としての在り方が大きく変貌している」

綺礼「聖杯を顕現させるのに、この歪みはおあつらえ向きというわけだ。偶然に過ぎないが」

セイバー「なるほど、そうでしたか」

セイバー「しかし、イリヤスフィールが器だったとは」

綺礼「そうか、知っているのだったな。あの男の縁で」

セイバー「ええ。しかし、ただ気を失っているだけに見えますね」

綺礼「もう1騎、サーヴァントの魂を回収すれば機能し始めるだろう」

セイバー「では、彼らとの戦いが」

綺礼「ああ。私たちの、最終決戦となろう」



――interlude out――

【7日目】



――ラビットハウススノウ・リビング――


アーチャー「体調は、万全か?」

士郎「ああ、ココアのおかげだろうな。体が軽いくらいだ」

リゼ「昨日は後れを取ったが、今日はそうはいかない」

ココア「うん、過去を変えちゃうなんてよくないよね……私も、足を引っ張らないようにがんばるよ」

アサシン「凛殿は?」

ココア「私の部屋で寝てるよ。昨日、アサシンに起こされたときはびっくりしたけど」

ココア「きっと、治癒もうまくいったと思う」

アーチャー「もはや、ここを襲撃する敵もない。ライダーのマスターには、しばらく安静にしていてもらおう」

士郎「……いよいよだな」

リゼ「ああ。これで、全部終わるんだ」

アーチャー「私とアサシンで、セイバーを倒す。リゼたちには、言峰綺礼を抑えておいてもらいたい」

――アインツベルン城――


セイバー「来ましたね」

ココア「イリヤちゃんを、返してもらうよ!」

綺礼「返す、か。やはり、あれがなんなのかわかっていないようだな」

セイバー「関係ありません。綺礼、サーヴァントは私が」

綺礼「それがいいだろう。もとより、向こうもそのつもりのようだ」

士郎「そうだ。言峰綺礼」

リゼ「お前の相手は、私たちだ」

綺礼「敗北からわずか一日……その闘志はどこから来るのか、興味があるものだ」

リゼ「御託はいい、いくぞ!」

士郎「――――『投影、開始(トレース・オン)』」

ココア(みんな、どうか無事でいてね――――!)

セイバー「アサシンも、姿を晒すか」

アサシン「もとより、不意打ちが通用する局面でも相手でもありませぬゆえ」

セイバー「そうか。素直に、賛辞として受け取っておこう」

アーチャー「いくぞ、セイバー―――――!」

セイバー「来い――――!」


ヒュッ

ギンッ


セイバー(素晴らしい太刀筋だ。とはいえ、1対1なら容易に私に軍配が上がろう)


ヒュヒュヒュヒュヒュッ


セイバー「ふっ――――!」


ギギギギギンッ


セイバー(アサシンの投擲も、1対1なら容易に防げる。なかなかどうして)

セイバー(このコンビ、隙がないぞ――――!)

アーチャー(2対1でようやく互角……いや、私が押されている分、若干セイバーに分があるか)

アーチャー(弓の距離まで離してもらえる道理もなし……勝ち目があるとすれば、アサシンの宝具だが)


ヒュッ

ギンッ


アーチャー「っ!」

アーチャー(それだけの隙をつくるまでに、私がもつか……?)

セイバー「はあっ!」


ヒュッ

ギンッ

ヒュオッ

ギィンッ


アーチャー(速く、重い……これが騎士王…………!)


ヒュヒュヒュヒュヒュッ


セイバー「無駄だ、アサシン!」


ギギギギギッ


アーチャー(すでに、私たちのコンビネーションに対応できている。破られるのは時間の問題か……!)

綺礼「ふっ――――!」


ヒュッ


リゼ「っ!」

リゼ(速さや重さは、サーヴァントには及ばない……が)

リゼ(これが八極拳か! 厄介な動きだ……)


ヒュヒュッ

ドッ


綺礼(なるほど、セイバーを相手に時間稼ぎをするだけのことはある。回避に限れば、これほどの才能も珍しい)

綺礼(反撃の手段の乏しさが弱点か。だが……)

士郎「おおおおっ!」


ヒュッ

ヒュンッ


綺礼(私に隙が生じると、すかさず衛宮士郎が飛び込んでくる……なるほど)

綺礼「二人で一人前、ということか。面白い、この実力差に、抗ってみせよ!」

リゼ(くっ、士郎のタイミングは完璧のはずだ……なのに、届かないのか)

リゼ(いや、まだだ! 役割を見失うな、回避に徹すれば、必ず大きな隙ができる)

リゼ(それまで、ひたすら耐えるんだ……!)


ヒュッ

ヒュッ


リゼ(な、んだ……? 急に遅く……)

ココア「だめ、リゼちゃん!」

綺礼「ふっ――――!」


ドッ

ガッ


リゼ「がっ……!?」ガクッ

綺礼「この程度の緩急にも反応できないか。なまじ見えているだけに、セイバーよりも避けにくかったか?」

士郎「リゼ――――!」


ヒュッ


綺礼「思い上がるな、衛宮士郎。私がお前の攻撃を避けざるを得なかったのは、ひとえに」

綺礼「彼女の功績によるものだと理解しろ――――!」


ビュッ

ドガッ


士郎「がぁっ!?」

ココア「士郎くん!」

リゼ(正拳で、20メートルくらい吹っ飛ばした……化け物か、こいつは)

綺礼「筋はいい。だが、早かったな。あと十年、修行の期間があれば大成していただろう」

リゼ「バカを、言うな……今だから、戦うんだ」

綺礼「……やはり、わからない。お前たちも同じなのか。あの男のように、脆い理想に縋らねば立っていられないのか」

綺礼「脆い理想を守るために命を懸ける、愚かな人間なのか」

リゼ「さあ、な。難しいことはわからない。けど、一つだけ言わせろ」

リゼ「命を懸けているつもりはない。私たちの望みを果たすには……誰一人、欠けちゃならないんだ」

リゼ「私自身も含めてな」

綺礼「そうか。ならば、その望みは果たせない。なぜなら、お前たちはここで死ぬからだ――――!」

リゼ「っ…………」

リゼ(指一本、動かない……)

ココア「ダメぇっ!」

リゼ「!? 姉貴、やめろ! 来るんじゃない!」

綺礼「戦う意思も力もない者が、しゃしゃり出る場ではない」


ヒュッ

ドガァッ


ココア「ぁ――――」ドサッ

リゼ「姉貴ぃぃ!」

綺礼「何も思わないのか? お前が守りたがっているものは、こんなにもあっさりと崩れてゆくのに」

リゼ「それでも、私は…………」

ココア「…………」


プシュゥゥゥゥゥゥ


綺礼「っ……煙幕…………!」

ココア「リゼちゃん、こっち!」

リゼ「あ、姉貴!?」


ダッ


綺礼「…………」

綺礼(下手に動くのは危険、か。材質はそれほど上等でもなし、すぐに晴れるだろう)


リゼ「あ、ねき……大丈夫なのか?」

ココア「うん! おなかに鉄を合成した下敷きを入れておいたし」

ココア「ペンダントと発煙筒を合成しておいたんだ」

ココア「みんなの分を用意できればよかったんだけど……」

リゼ「十分だ……けど、どう打開する? 煙が晴れれば、もう……」

ココア「リゼちゃん、あれの準備、お願い」

リゼ「!」

ココア「次の一手は、士郎くんに任せるから」

士郎「げほっ……くっそ、また折れたな……」

士郎「けど、弓を引く分には問題ないはずだ」

士郎(まだ、一度も成功したことはない。けど、ここでやらないで、どうするんだ……!)

士郎(イメージしろ、アーチャーに迫る武器を…………いや、違う)

士郎(アーチャーに迫る俺自身の姿を――――!)

士郎「――――I am the bone of my sword.(体は剣でできている)」


投影判定↓1(コンマ一桁目)

※この世界の士郎君は、本番に強いようです

 また、窮地のため、潜在能力が引き出されています


1~3、「実用に耐える複製品」

6~0、「アーチャーのものに迫る完璧な複製品」

バチバチバチッ


士郎「っ――――」

士郎(耐えろ……! リゼとココアが、身体を張って作ったチャンスだろうが!)

士郎「――――『偽・螺旋剣(カラド・ボルク)』!」


ヒュッ

ギュオォォォォォッ


綺礼「っ!」

綺礼(衛宮士郎……! この距離で、攻撃手段があったか…………!)

士郎(かわされた……けど、これで、いい)

リゼ「体勢が崩れたな、言峰!」チャッ

綺礼「!」


パァンッ


綺礼「…………見事だ。だが、武器の選択を誤ったな」

綺礼「この修道服は、銃弾など通しはしない。とはいえ、よい銃を使ったのだろうな」

綺礼「辛うじて私の肉体には届いた。だが、それだけだ。致命傷にはなりえない」

綺礼「勝負あり……む」

ココア「…………」タタタッ

綺礼「君では無理だ。やめておけ」

ココア「ううん、まだだよ!」

綺礼(正面から突っ込んでくるとは……なにか策が? だが)

綺礼(ほかの二人はすでに動けない。捨て身の特攻、か)

綺礼「いいだろう、私の間合いに入った瞬間に、その体を砕いてくれる!」


士郎(ココアは、俺を信じてるんだ……! 動け、動けよ…………!)

士郎(この身の魔力、好きなだけくれてやる! だからもう一回だけ、俺に無茶を許してくれ――――!)

士郎「――――I am the bone of my sword.(体は剣でできている)」


バチバチバチバチバチッ


士郎「ぐっ、あああぁぁぁぁぁっ!」


ココア「……」タタタッ

綺礼「終わりだ――――!」


ヒュッ


綺礼(!? なぜだ、なぜ速度を緩めない……!?)

士郎「――――『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!」

綺礼「っ――――!?」ピタッ

ココア(いまだ!)

ココア「うわあああっ!」


トッ


綺礼(そこは、さっきの銃弾が当たったところ、か……?)

ココア「――――last(レスト)!」


ドッ


綺礼「!?」

綺礼「バカ、な。それは、アゾット剣の……」

ココア「あの銃弾にはね、アゾット剣を合成しておいたの」

綺礼「合成、だと……!?」

ココア「イリヤちゃんは、返してもらうよ、神父さん。だから、少しだけ。眠ってて」

綺礼「っ…………勝てない、のか。私は、理想を抱いた人間に、負ける運命なのか」

――ブルーマウンテン道場――

アオヤマ「今日はこのあたりで終了しますね」

弟子一号「ええ!? きり悪い! アーチャーたちは大丈夫なの!?」

アオヤマ「きりがいいところまで行ければよかったんですけどねえ」

アオヤマ「今日も、安価のご協力や書き込み、ありがとうございました」

弟子一号「またねー。お疲れ様」

弟子一号「いま気付いたけど、士郎の詠唱が間違ってるわね。『偽・螺旋剣』の詠唱の日本語訳は」

弟子一号「体は剣でできている、じゃなくて、わが骨子は捻じれ狂う、だったわ。訂正しておくわね」

弟子一号「遅くなってごめんなさい。はじめるわよー」



ヒュッ

ギンッ

ヒュッ

パキィン


セイバー「これで終わりだ、アーチャー!」


ヒュッ

ギィン


セイバー「!」

アーチャー「ふっ、残念だったな。何度目だ、セイバー? 私にとどめを刺しきれなかったのは」

セイバー「何度も何度も同じ武器を……往生際が悪いぞ、アーチャー!」

アーチャー「お前たちのような真っ当な英雄と違って、私の取柄は諦めの悪さだけだからな」

セイバー「戯言を……!」

セイバー「!」


ヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ

ギギギギギギンッ


セイバー「あなたもだ、アサシン! それは、私に通じる攻撃ではない」

セイバー(とはいえ……この二人、なかなかしぶとい)

セイバー(こちらが優勢のはずだが…………このあたりでひとつ、押してみるも手か――――!)


タタッ


アサシン「む……」

アーチャー(下がった? 何を狙って…………追うべきか?)

セイバー「躊躇しましたね、アーチャー。今度こそ終わりだ!」

セイバー(この位置なら、二人を同時に狙える)


ヒュゴォォォォォ


セイバー「――――『風王鉄槌(ストライク・エア)!』」

アーチャー「なに……!?」

ゴォォォォォォォ

ズドォォォォォン


セイバー(今度こそとどめを……)


タタッ

ビュッ


セイバー「!」

セイバー「なに――――!?」


ヒュッ

ビチャァッ


セイバー「…………」

アサシン「ぐ、があああっ!」ドサッ

セイバー「異形の腕に、風よけの加護、か。起死回生の手としては上等だったが、惜しかったな、アサシン」

アサシン「…………そう、ですな。しかし、これはこれで、成功ですぞ」

セイバー「なに……? …………! しまった、アーチャー!」

アーチャー「――――I am the bone of my sword.(わが骨子は捻じれ狂う)」

アーチャー「――――『偽・螺旋剣(カラド・ボルク)』!」


ギュオォォォォォォッ


セイバー(間に合うか――――!)

セイバー「――――『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!」


カッ

ズドォォォォン


セイバー「…………」

セイバー「あっけなかったな、アーチャー、アサシン。だが、これで…………」

「令呪をもって命じる――――!」

セイバー「なに……!?」


二人の窮地に駆け付けたのは↓1(コンマ1桁目)

奇数、「士郎」

偶数、「ココア」

士郎「宝具を使ってセイバーを倒せ、アサシン!」キィィィィン

アサシン「御意――――!」

セイバー「令呪の力で強引に立ち上がったか……!?」

セイバー(まずい、この距離、この立ち位置…………迎撃も回避も間に合わない――――!)

アサシン「――――『妄想心音(ザバーニーヤ)』!」


ドッ

グシャァッ


セイバー「まさか、すでに綺礼が敗北していたとは……」

セイバー「――――またも、届かないのか。私の、願いは……」

セイバー「ああ、日本の米よ、ありがとう。よい夢を、見られた――――」



【セイバー陣営敗退】

ココア「アーチャー! アサシン!」

アサシン「おお、皆さんご無事で」

アーチャー「喜ぶのはあとだ、まずはイリヤを……」


ゴゴゴゴゴゴゴ


リゼ「な、なんだ!?」

士郎「! おい、あれ!」

ココア「イリヤちゃん……!? それに、あの黒いのは…………」

アサシン「まさかあれが」

アーチャー「聖杯……!? まるで呪いの塊じゃないか」

士郎「…………アサシン」

アサシン「は」

士郎「もう、お前の望みを邪魔する敵はいない。どうする? あれ、使う気があるか?」

アサシン「御冗談を。あんなものに願いを捧げなどしたら、何が起こるか分かったものではありませぬ」

リゼ「だったら……」

ココア「うん、決まりだね。アーチャー」

アーチャー「ああ、令呪を使ってくれ。それで、終わりだ」

ココア「…………うん。全部、終わり」



ココア「アーチャー。聖杯を破壊して」キィィィィン



アサシン「イリヤ殿は?」

ココア「寝てるだけだよ。大丈夫」

アーチャー「そうか」

士郎「ごめんな、アサシン。お前の願い、叶えてやれなかった」

アサシン「何を仰っているのか、分かりかねますな。私の願いは、既に叶っておりますぞ」

士郎「え……?」

アサシン「私が存在した証を残す……私がここから消えても」

アサシン「士郎殿が、リゼ殿が、ココア殿が、イリヤ殿が。私のことを覚えていてくれる」

アサシン「これに勝る証がありましょうか。ただ名を残すだけよりも、ずっと尊い証となりましょう」

士郎「…………ああ、そうだ。俺たちは、お前を忘れない」

士郎「いっしょに戦ってくれて、ありがとう。アサシン」

アサシン「あなたという主に仕えられたことは、至上の幸福でありましたぞ、士郎殿」

ココア「いっちゃうんだね、アーチャー」

アーチャー「ああ。私がここにいるのは、世界にとっては手違いのようなものだからな」

リゼ「奇跡だろうと手違いだろうと構わないさ。お前と戦えて、よかった。アーチャーじゃなかったら、きっと勝てなかったよ」

アーチャー「買いかぶりすぎだ。この勝利はお前たちの努力と、意志の力ゆえだ。私はほんの少し、手を貸したにすぎん」

ココア「それでもだよ! それでも……ありがとう、アーチャー」

アーチャー「……ああ、それだ。ココアには、笑顔がよく似合う」

アーチャー「お前が守ってやれ、リゼ。何物にも代えがたい、この宝を。これと比べれば、聖杯なぞ石ころにも等しいな」

リゼ「ああ、わかってるさ。私の大事な姉貴だからな」

アーチャー「……ではな、ココア、リゼ。お前たちのおかげで、私は、少しだけ取り戻した」

アーチャー「もう、迷わなくて済むだろう」

リゼ「……ありがとう、アーチャー」

ココア「ほんとに……ほんとにありがとう! 楽しかったよ、アーチャー」

――ラビットハウススノウ・ココアの部屋――

イリヤ「う、ん……」

イリヤ「あれ、ここ…………?」

ココア「イリヤちゃん、気が付いた!? よかったあ、昨日からずっと寝たきりだったから心配したよ」

イリヤ「お姉ちゃん? え、どうして……」

リゼ「聖杯は破壊したんだ。だから、イリヤが死ぬ必要はなかった」

士郎「あの戦いのあと、言峰から聞いたんだ。イリヤがどういう存在なのか」

イリヤ「…………そっか。みんな知らないみたいだから黙ってたけど」

イリヤ「ばれちゃったんだね。私が人間じゃないってこと」

ココア「ねえねえイリヤちゃん! 聖杯戦争も終わったし、みんなで遊ぼう!」

イリヤ「え? で、でも私は…………」

リゼ「イリヤ。私たちの姉貴にとっては、お前が人間なのかホムンクルスなのかは、そんなに重要じゃない」

士郎「妹はみんな大事なんだよ。ココアはそういうヤツだろ?」

イリヤ「…………」

イリヤ「そっか、そうだよね……」

ココア「イリヤちゃん?」

イリヤ「うん! 遊ぼう、お姉ちゃん!」


どうする?↓1

1、「家の中で遊ぶ」

2、「外出する」

※なにをする、どこに行く(2を選ぶ場合のみ)、などを併記してくださっても構いません。可能な範囲で反映します

 現在、ラビットハウススノウにいるのはココア、リゼ、士郎、イリヤの四人です

 怪我などは完治しています

リゼ「イリヤは病み上がりだし、今日はうちで遊ぼう」

士郎「それがいいな。なにする?」

イリヤ「トランプがいいなー。面白かった!」

ココア「望むところだよ! 今日こそリベンジして、お姉ちゃんとしての威厳を……」

リゼ「無理すんなよー、姉貴」

士郎「まずは……ババ抜きから始めるか」

イリヤ「うん!」


最下位は↓1(コンマ1桁目)

123、「ココア」

456、「士郎」

78、「イリヤ」

90、「リゼ」

イリヤ「むむむ…………」

イリヤ「えい! これ!」

イリヤ「やったー、あがり!」

リゼ「お、やるな、イリヤ」

ココア「うう、リベンジならず……で、でも、まだ2番の可能性が――――!」

士郎「お、あがりだ」

ココア「!?」

リゼ「一騎打ちになったな、姉貴」

ココア「ふ、ふふん。今日は負けないよ、リゼちゃん」

ココア「勝負――――!」

リゼ「来い――――!」


イリヤ「す、すごい……」

士郎「またジョーカー……これで何回目だ」

ココア「今度こそ……」

ココア「えいっ」

リゼ「!」

ココア「や……」

ココア「やったあ! 私の勝ちー!」

リゼ「さすがだな、姉貴。いい勝負だった」

イリヤ「すごい! 二人ともすごいよ!」

士郎「俺たちも負けてられないな。よし、もう一回だ!」

――ラビットハウススノウ・リビング――


リゼ「かなり白熱したな」

ココア「イリヤちゃん強いー……うう、私がお姉ちゃんなのにぃ」

イリヤ「えへへ、楽しかったねー」

士郎「できたぞー。皿並べるの手伝ってくれ」

リゼ「私がやろう。二人は座っててくれ」

ココアイリヤ「はーい」

イリヤ「お姉ちゃん、テレビつけてもいい?」

ココア「うん、いいよ。見たいのがあるの?」

イリヤ「そういうわけじゃないけど。何かあるかなあ、って」

「今週は、もはや毎年恒例、ワイハのモヤモヤを探してみるみたいですよ」

イリヤ「あ、モヤさまだ! 再放送かな?」

ココア「モヤさま?」

イリヤ「ええ、お姉ちゃん知らないの!? さまぁ~ずっていう芸人が女子アナと一緒に街を歩くだけっていう」

イリヤ「テレ東の看板番組だよ!」

ココア「イリヤちゃんは詳しいねえ」

「お、喫茶店あんじゃん」

「まだはえーよ!」

イリヤ「ハワイかあ……いいなあ、行ってみたいなあ」

ココア「イリヤちゃん、外国人だよね? ハワイはなくても、どこか行ったことあるんじゃないの?」

イリヤ「うーん、私はお城に閉じこもってたから、あんまり思い出はないんだ」

ココア「そっかあ…………」

ココア「じゃあ、みんなで行こう! 旅行!」

イリヤ「え?」

ココア「チノちゃんたちも誘って……十人くらいになるかな。きっと楽しいよ!」

ココア「イリヤちゃんなら、みんなとも仲良くなれると思うし!」

イリヤ「…………ありがとう、お姉ちゃん」

イリヤ「うん、楽しみにしてる」

ココア「えへへー」

リゼ「旅行には金がかかるぞー」

士郎「まあ、いいなじゃないか。なんでも学生のうちにやっとくといいさ」

リゼ「爺くさいセリフだな……」

ココア「わあ、おいしそう!」

イリヤ「さすがシロウ! いいお嫁さんになれるね!」

士郎「…………血はつながってないとはいえ、姉妹だな」

リゼ「イリヤの方には、若干の悪意があるけどな」

イリヤ「えへへー」

「なにこの銅像。ドジョウ掬い?」

「そんなのハワイにねーよ」

リゼ「お、ハワイか」

士郎「行ったことあるのか?」

リゼ「いや、親父からたまに話を聞くんだよ」

イリヤ「いいなー。話を聞くだけでも楽しいよね」

ココア「だからテレビが好きなんだね」

イリヤ「うん!」

士郎「さあ、準備もできたし。冷めないうちに食べてくれ」

イリヤココアリゼ「いただきまーす」

士郎「みんな早いな、もう食べちまったのか」

ココア「だって美味しいんだもん」

イリヤ「ねー」

リゼ「もはや兵器だぞ……この一週間で確実に太ってしまった…………」

士郎「じゃあ、俺は片づけてくるから。少し待っててくれ」

イリヤ「はーい」

ココア「次は何して遊ぼっか」

リゼ「ゲームとかどうだ? ちょっと古いやつだが……」


――ラビットハウススノウ・リゼの部屋――


ココア「こ、これは……!」

イリヤ「ニン○ンドー64!」

リゼ「四人用と言ったらこれだろ。さて、士郎が来るまでに準備しとくか」

士郎「待ったか?」

リゼ「いや、ちょうどいいよ。準備ができたとこだ」

士郎「お、懐かしいのが出てるな」

ココア「士郎くんは4Pだよ」

イリヤ「はやくはやくー」

士郎「はは、わかったよ。ソフトはなんだ?」

リゼ「64で四人対戦といえば……」

イリヤ「スマブラ!」

リゼ「惜しい! マリカーだ!」

ココア「今度こそ……リベンジ!」



最下位は↓1(コンマ1桁目)

123、「ココア」

456、「士郎」

78、「イリヤ」

90、「リゼ」

イリヤ「やっちゃえ、クッパ!」

士郎「どわあっ!? イリヤ、ぶつかってきたら危ないだろ!」

イリヤ「ルイージなんて貧弱なもやしを使う士郎が悪いよ!」

士郎「なんでさ! なんでそんなに弟に辛辣なんだ!」

ココア「わあ!? アイテムボックスと全く同じ場所に偽物が!」

リゼ「ふふ、親父の部下たちと鍛えた私の実力、思い知らせてやるぞ、姉貴!」

ココア「経験値が違いすぎる!」


リゼ「圧倒的なワンツーフィニッシュだったな、イリヤ」

イリヤ「ねー。お姉ちゃんもシロウも敵じゃないね」

ココア「ぐぬぬ」

士郎「強すぎる……けど、さすがにビリは悔しいな」

士郎「もう一回だ!」

リゼ「望むところ!」

ココア「今度こそリベンジだよ!」

イリヤ「私のクッパは最強なんだから!」

ココア「…………数えきれないほど負けてたら」

士郎「いつの間にか日が沈んできたな。ちょっと買い出し行ってくるよ」

リゼ「私も行こう」

イリヤ「行ってらっしゃーい」

リゼ「ああ、行ってきます」


ココア「二人になっちゃったねー。なにしよっか、イリヤちゃん」

イリヤ「…………」

ココア「イリヤちゃん?」


テクテクテク

チョコン


ココア「……私の正面に背中を向けて座るなんて」

ココア「さては、ぎゅーってしていいんだね!?」

イリヤ「…………うん。してほしいな」

ココア「どうかしたの、イリヤちゃん?」ギュー

イリヤ(心配しつつも抱き着くのは躊躇わないんだ……)

イリヤ「ううん……楽しいなって」

イリヤ「ありがとう、お姉ちゃん。私のために、遊んでくれたんでしょ?」

イリヤ「私が、もう長くは生きられないって、知っちゃったから」

ココア「…………それも、ないわけじゃないかな」

ココア「でも」

ココア「イリヤちゃんが大好きだから、っていうのが一番だよ」

イリヤ「お姉ちゃん……」

ココア「ねえ、イリヤちゃん。私、もっと魔術の練習する」

イリヤ「え?」

ココア「私の魔術なら、イリヤちゃんの体が限界になった時に……イリヤちゃんの魂を、別のところに移せるかもしれない」

ココア「そしたら、イリヤちゃんは、もっと生きていられるんじゃないかな」

イリヤ「!」

イリヤ「…………でも、危険だよ。魂に直接干渉するなんて、お姉ちゃんも無事じゃあ済まないかも」

ココア「だから、練習するんだよ。でも、絶対に助ける。だって私は」

ココア「イリヤちゃんのお姉ちゃんなんだから」

イリヤ「……ありがとう、お姉ちゃん」

イリヤ「あ、そうだ」

ココア「?」

イリヤ「もし、その時が来たら。お姉ちゃんが作ってくれた私のぬいぐるみに、私を入れてほしいな」

ココア「え、あれ? う、うーん……ちょっと見た目が……」

イリヤ「じゃあ、ぬいぐるみの練習もしなきゃね」

ココア「ふふ、そうだね」

イリヤ「……ねえ、お姉ちゃん」

ココア「ん?」



イリヤ「大好き、だよ」



【END】

――ブルーマウンテン道場――


アオヤマ「お疲れ様でした。これにて、本編終了となります」

弟子一号「次回からは、後日談的なお話をお送りするわ。どのくらいの長さになるかは未定だけど……」

アオヤマ「安価のご協力、書き込み、ありがとうございました」

弟子一号「ところで、イリヤの話は後日談に入れてよかったんじゃないの?」

アオヤマ「そういうわけにはいきません。>>114の安価でココアさんとイリヤさんの関係が決定した段階で」

アオヤマ「ココアさんにとっての聖杯戦争の終結は、イリヤさんの救済でなければならなかったのです」

弟子一号「じゃあ、あのコンマ次第でエンディングは変わってたってこと?」

アオヤマ「基本的に安価頼りの行き当たりばったりだったので」

アオヤマ「ここでこれを選んでたら最後はこうなっていた!」

アオヤマ「という具体例を示すことはできませんが、おそらくそうでしょう」

弟子一号「じゃあ、桜がほぼ放置されてたのも、安価やコンマの結果なの?」

アオヤマ「…………」

弟子一号「…………」

アオヤマ「お疲れ様でした。次回の更新でお会いしましょう」

弟子一号「えー」

アオヤマ「こんばんは~。後日談、更新しますねー」



ココア「あー、帰ってきたね!」

リゼ「1週間か……もっと長く離れてたような気がするな」

イリヤ「わあ、すごい! 素敵な町だね!」

リゼ「それにしても、よかったな、士郎。外泊の許可が出て」

士郎「冬木を出て外泊、って言ったら藤ねえ、すごい剣幕だったもんなあ」

イリヤ(冬木を出ることより、女の子三人を侍らせてるのがまずかったんじゃあ……)

ココア「私たちの説得(美味しいお土産を約束)が、功を奏したんだね!」

士郎「ああ、助かったよ。ところで、これからどうするんだ?」

リゼ「昨日のうちに帰ることは連絡しておいたから、みんなラビットハウスにいるはずだ」

ココア「パーティーだね!」

イリヤ「パーティー!? やったあ!」

ココア「さ、早く行こう!」

リゼ「お、おい姉貴! そんなに走ると危ないぞ!」

士郎「はは、二人は変わらないな」

イリヤ「…………!」

イリヤ「ねえねえシロウ、耳貸して」

士郎「え? ああ」

イリヤ「…………」ゴニョゴニョ

士郎「え、ドッキリ?」



イリヤが提案したドッキリ↓1(コンマ1桁目)

偶数、「士郎をココアの彼氏としてみんなに紹介する」

奇数、「士郎をリゼの彼氏としてみんなに紹介する」

イリヤ「どう? 面白そうでしょ?」

士郎「うーん……すぐにばらすんだよな?」

イリヤ「うん! ちょっとした悪ふざけだから」

士郎「…………まあ、それくらいならいいか。いつも二人のペースに振り回されてるから」

士郎「たまには俺たちが振り回すのも悪くないかもな」

イリヤ「でしょ!?」

リゼ「おーい、二人とも。早く来いよー」

士郎「ああ、今いく!」

イリヤ「じゃあ、シロウ。私が主導するから、口裏を合わせてね」

士郎「わかった」

――ラビットハウス――


チノ「…………」ソワソワ

シャロ「…………」ソワソワ

千夜「ふたりとも、待ち遠しいのね」

チノ「なっ、違います! ただ、ココアさんがリゼさんに迷惑かけてないか心配で……」

シャロ「そうよ、悪い!?」

マヤ「ああ、おいしそう……ひとつだけ……」

メグ「めっ、だよ。二人が帰ってきてから、みんなで食べるんだから」

マヤ「はーい……」

青山「どんなお話を聞かせてもらえるんでしょうか……楽しみですね」


カランカラン


ココア「ただいまー!」

リゼ「帰ったぞ」

チノ「!」

シャロ「!」

マヤ「おかえりー!」

メグ「おかえりなさいー」

青山「お二人とも、お元気そうでなによりです」

千夜「…………おかえりなさい。また会えてうれしいわ」

シャロ「ち、千夜? ちょっと大げさじゃない?」

千夜「あら? じゃあシャロちゃんは嬉しくないの?」

シャロ「そ、そんなこと言ってないじゃない! 毎日寂しさを紛らわすためにワイルドギースに話しかけたりしてたんだから」

シャロ「嬉しいに決まってるでしょ!」

リゼ「そ、そうだったのか……」

シャロ「えっ!? あ…………」

リゼ「大丈夫だ、シャロ。私たちは、ちゃんと帰ってきたから」

シャロ「リゼ先輩……」

チノ「ココアさん……」

ココア「チノちゃん! 元気にしてた?」

チノ「は、はい。あと、その…………」

チノ「おかえりなさい」

ココア「うん、ただいま!」

ココア「あ、そうだ。みんなに紹介したい人がいるんだ! 入って」

イリヤ「おじゃましまーす!」

士郎「イリヤ、あんまり騒いじゃ……」

リゼ「さ、自己紹介してくれ」

士郎「ああ。衛宮士郎、だ。よろしく」

イリヤ「イリヤだよ! よろしくね!」

マヤ「よろしくー! ねえねえ、イリヤって、何歳なの? ひょっとして、私たちの後輩かー!?」

イリヤ「…………」

イリヤ(考えてなかった。生まれてから18年経つけど、18歳には見えないだろうし。何て言おうかな……)

イリヤ(ホムンクルスだと気付かれるわけには……)

メグ「イリヤちゃん?」



どうする?↓1(コンマ1桁目)


奇数、「正直に18歳だと言う」

偶数、「見た目と釣り合うように、10歳だと詐称する」

イリヤ「え、えっと……」

イリヤ「10歳、かな」

マヤ「おお! 後輩だ! 私のことは先輩って呼んでくれても」

イリヤ「よろしくね、マヤ!」

マヤ「……なんか今、ココアの気持ちがすっげーよくわかった気がする」

メグ「イリヤちゃんは、ラビットハウスで働くの?」

チノ「はい。居候……いえ、住込みのアルバイト、という感じでしょうか」

イリヤ「あなたがチノ? よろしくね!」

チノ「はい。よろしくお願いします」

ココア「ああ、妹がいっぱい……幸せ…………」

チノ「…………」

チノ「イリヤさんも、ココアさんの妹なんですか?」

イリヤ「うん! お姉ちゃんの妹だよ!」

チノ「!」

千夜「あらあら、ライバル出現ねー」

リゼ「まったく、姉貴は相変わらずだな」

シャロ「!?」

リゼ「あっ」

シャロ「姉貴!? どういうことですか、リゼ先輩!?」

リゼ「い、いや、これは……」

士郎「隠すことないだろ? リゼはココアの妹になったんだから」

リゼ「士郎!」

チノ「? リゼさんはココアさんより年上なのに、妹なんですか?」

シャロ「わ、わけがわからないわ……」

青山「年上の妹……いいですねえ、なんだか、創作意欲が刺激されます」

ココア「ね、いいでしょ!? リゼちゃんは、私の自慢の妹なんだから!」

千夜「大変よシャロちゃん、突っ込みが足りてないわ」

シャロ「なんでそんなに楽しそうなのよ!」

マヤ「ココアが帰ってくると賑やかだなあ。ラビットハウスはこうでなくちゃ」

メグ「ねー」

イリヤ「そうだ、みんな聞いて!」

青山「おや、どうしたんですか?」

イリヤ「なんと、シロウは」


イリヤ「リゼの彼氏です!」


リゼ「へー」

リゼ「……………………」

リゼ「はあ!?」

シャロ「!?」

メグ「おー」

マヤ「リゼすげー! りあじゅうってやつだな!」

チノ「りあじゅうってなんです?」

マヤ「え? えっと……」

マヤ「ココア、りあじゅうって?」

ココア「りあじゅう……リア獣?」

ココア「リアルな獣のぬいぐるみのことだよ!」

青山「おや、そうだったんですねえ」

リゼ「ち、ちょっと待て! 何かの間違いだ!」

リゼ「おい! 士郎もなんとか言ってくれ!」

士郎「…………」

士郎(口裏を合わせるっていっても、交際の経験がないんだからよくわからないな……)

千夜「リゼちゃんの彼氏さん? 一言どうぞ」

リゼ「千夜! お前は分かってやってるだろ!」

士郎(ああ、そうだ。慎二の真似をすれば……)

士郎「リゼは可愛いからな。放っとけなくて」

リゼ「!?」

リゼ「な、ななななななな」

リゼ「何言ってるんだ士郎!?」

千夜「あらあら」

青山「ラブラブですねえ」

リゼ(な、なんだ、なにがどうなってるんだ……!?)

シャロ「…………」

シャロ「衛宮士郎!」

士郎「え? ど、どうした、桐間?」

シャロ「リゼ先輩の彼氏だというのなら……リゼ先輩を愛してるというのなら」

シャロ「リゼ先輩の一番の魅力を言ってみなさい――――!」

リゼ「お、おいシャロ、落ち着け!」

士郎「魅力、か。リゼの一番の魅力は」

士郎「↓1」


※自由安価。士郎の気持ちになって、リゼの一番の魅力を一つだけ挙げてください

士郎「ホントは優しい奴なんだ。けど、それに気づかれると恥ずかしいからって、ぶっきらぼうな態度でそれを隠そうとする」

士郎「そういう、不器用で素直じゃないところかな」

リゼ「やめろぉ! 恥ずかしくて死んでしまう!」

シャロ「っ…………たった1週間で、それに気づくなんて」

シャロ「いえ、気づいたからこそ、たった1週間で惚れた、ってことかしら」

シャロ「……負けたわ、衛宮士郎。リゼ先輩のこと、よろしくね」

シャロ「リゼ先輩、お幸せに――――!」

シャロ「…………ぐすっ」

千夜「シャロちゃん……」

シャロ「うう……」

シャロ「カフェインよ! この世すべてのカフェインをここに!」

ココア「おっけー! ふふん、実はひそかに成長を続けている私のラテアートを見せてあげるよ」

マヤ「あ、私もラテアートやってみたい!」

メグ「私もー。イリヤちゃん、いっしょにやろ?」

イリヤ「うん!」

チノ「あんまり豆を浪費されると困ります」

青山「ええと、こういう時は……お赤飯、でしたっけ?」

千夜「賛成ー。家にあったかしら……?」

シャロ「いえーい! 自棄コーヒー! カフェインばんざーい!」カフェインテンションハイ

ココア「いえーい!」

イリヤ「いえーい!」

リゼ「…………」

士郎「…………」

士郎「じ、じつはドッキリだったり……」

リゼ「遅い! もう収拾がつかなくなってるぞ!」

マヤ「へー、イリヤが考えたドッキリだったのか! すごいな!」

イリヤ「へへん、でしょ?」

メグ「ふ、二人が悪い顔してるよー」

シャロ「Fooooo! リゼ先輩も飲みましょー!」

リゼ「まあ、半分くらいは私のせいだしな……けど、士郎も付き合えよ」

士郎「なんでさ……ちょっとふざけたかっただけなのに」

青山「お土産話なんてなくても、ココアさんがいるだけで本が書けそうです」

千夜「わかるわー。私も、新しいメニュー名が次々と……」

ココア「あー、楽しいねー」

ティッピー「隠れ家的な名店とはいったい……」

チノ「ココアさんがいるんです、諦めましょう」

ココア「ううう…………」

チノ「? ココアさん、どうしましたか?」

ココア「もふもふ成分が足りない! チノちゃん、ぎゅー!」ギュー

チノ「!? や、やめ…………」

チノ「…………」

チノ「き、今日くらいは、もう少しだけ、いいです」

ココア「!」

ココア「チノちゃん!」ギュー

チノ「……困ったお姉ちゃんですね」

――ブルーマウンテン道場――


アオヤマ「これにて『【ごちうさ×Fate】ココア「聖杯戦争?」【安価】』全編終了となります」

弟子一号「安価に協力してくれた人、書き込みしてくれた人、見てくれた人、ありがとね」

弟子一号「こころぴょんぴょんしてもらえたかしら?」

アオヤマ「ところで、二周目を希望される方が散見されましたね。支持していただいてありがとうございます」

弟子一号「正直、書いてて楽しかったから、二周目もやるつもりでいるわ」

弟子一号「だから、ここから先は二周目についての話になるから」

弟子一号「綺麗に終わったじゃん! 二周目とか蛇足だよ!」

アオヤマ「と思いの方は、そっとブラウザを閉じていただければ幸いです」

弟子一号「さて、二周目を始める前に、準備としていくつか多数決を行うわ」

アオヤマ「展開自体に大きく影響する重要な多数決ですので、少しい大目にとりますね」

弟子一号「人がいなかったら……まあ、また考えるわ」

弟子一号「じゃあ、一つ目! どん!」



「マスターとサーヴァントの組み合わせを変えますか?」↓1~↓9

1、「変える」

2、「1周目と同じで」

弟子一号「遅くなってごめんなさいね。これは……」

アオヤマ「人がいらっしゃらないのでしょうか? それとも、過半数が埋まったから書き込んでいない……?」

弟子一号「まあ、いいわ。まだ9票集まってないけど、過半数の5票が1に入ったから、これで決定するわ」

弟子一号「二周目は、サーヴァントとマスターの組み合わせを、もう一回変えるわ」

アオヤマ「方法については、また考えてきますね」

弟子一号「次の準備をしてくるから、少し待っててねー」

弟子一号「あ、そういえば主人公はまたココアでいいのかしら?」

アオヤマ「そこを変えちゃうと、二周目というよりは違うお話になりそうな気がしますが……」

弟子一号「せっかくだし、これも多数決しましょうか」

アオヤマ「ちなみに、同一の多数決に二票以上入れた場合は無効になりますが」

アオヤマ「異なる多数決には、何度でも参加することができます」

弟子一号「具体的には、この質問に2票以上投票すると無効になるけど」

弟子一号「>>877に投票した人がこの質問に投票するのはOK、ってことね」


「主人公は誰にしますか?」↓1~↓9

1、「ココア」

2、「ココア以外(ごちうさ主要メンバーから選出)」

※もし2になる場合でも、選出方法は後程考えますので、ここでキャラ名を併記する必要はありません

弟子一号「協力ありがとう。過半数が2に入ったから、二周目は主人公を変えるわ」

アオヤマ「これにともなって、1周目の設定は一切引き継げなくなりました。2周目は全く違う世界のお話となります」

弟子一号「じゃあ、さっそく2周目の主人公を決めるわよ」

アオヤマ「コンマ判定です。リゼさんは1周目で出番がたくさんありましたので、確立を低くしておきますね」



「2周目の主人公は?」↓1

01~33、「チノ」

34~66、「シャロ」

67~99、「千夜」

00、「リゼ」

アオヤマ「決定しました。2周目はシャロさんが魔術師の世界。シャロさんがマスターとして聖杯戦争に参加します」

弟子一号「だ、大丈夫かしら」

アオヤマ「まあ、ココアさんが魔術師という設定もずいぶん強引でしたから、何とかなると思いますよ」

アオヤマ「では、せっかく1周目の設定を無視できるので、思い切った安価をとってみましょう」

アオヤマ「シャロさんが参加する聖杯戦争はどっち?」

アオヤマ「で、多数決をとりましょう」

弟子一号「>>1の引き出しが少ないから、ムーンセルとか、聖杯大戦とかは勘弁して頂戴ね」


「シャロが参加するのは?」↓1~↓9

1、「第4次聖杯戦争」

2、「第5次聖杯戦争」

アオヤマ「ご協力ありがとうございます。過半数取得により、シャロさんが参加するのは第5次聖杯戦争に決定しました」

弟子一号「……え? セイバーに妄想心音って効かないの?」

アオヤマ「またもや調べが足りませんでしたねえ…………次は気を付けます」

アオヤマ「納得いかない方は……なんかこう、うまい具合に脳内補完しておいてください」

弟子一号「ラストバトルだったのに」

アオヤマ「では、次は細かい設定を決めていきますね。1周目で採用された選択肢は確率が低くなります」

アオヤマ「すべてコンマ1桁目を参照して決定します」


間桐臓硯はマスターとして↓1

1~4、「参加しない」

5~0、「参加する」


キャスターは↓2

1~4、「ルール違反をしない」

5~0、「ルール違反をする」


ギルガメッシュは↓3

1~4、「不参加」

5~0、「参加」


言峰綺礼は愉悦に↓4

1~4、「目覚めていない」

5~0、「目覚めている」


セイバーは第四次聖杯戦争の聖杯問答において↓5

1~4、「ボコボコに言い負かされた(願いは選定のやり直し)」

56、「二人の王と対等に語り合った(願いは???)」

7~0、「そもそも、聖杯問答がなかった(願いはブリテン崩壊の阻止)」

アオヤマ「決定しました。間桐臓硯はマスターとして不参加、キャスターはルール違反をします」

アオヤマ「ギルガメッシュは参加、言峰綺礼は愉悦に目覚めていて」

アオヤマ「セイバーは聖杯問答でボコボコにされています」

弟子一号「ひいいいいいい! ハードモードじゃない!」

アオヤマ「原作のFateルートに近くなってきましたね」

アオヤマ「ところで、キャスターが不正を働くとなれば、マスターが一人余ってしまいます」


「どうしよう?」↓1~↓9(多数決)


1、「マスターを一人ランダムで不参加にする」

2、「今回の聖杯戦争はおかしい。4次の世界から8人目のサーヴァントが召喚された」

アオヤマ「ご協力ありがとうございました。2が過半巣を獲得しましたので」

アオヤマ「今回の聖杯戦争には、4次の世界から1騎召喚されます」

弟子一号「ギルガメッシュ足したら9人じゃない! もう無理よ!」

アオヤマ「では、だれが召喚されるのか、コンマ1桁目で決定します」


「4次の世界から召喚されるのは?」↓1

12、「キャスター(ジル・ド・レェ)」

34、「ランサー(ディルムッド・オディナ)」

56、「ライダー(イスカンダル)」

78、「アサシン(ハサン・サッバーハ)」

90、「バーサーカー(ランスロット)」

アオヤマ「決定しました。8人目はバーサーカー(ランスロット)です」

弟子一号「バーサーカー二人相手にするとか考えたくないわ!」

アオヤマ「では、組み合わせを決めましょう。ちなみに、ギルガメッシュは言峰綺礼と同盟関係」

アオヤマ「アサシン(佐々木小次郎)はキャスターと契約します」

弟子一号「すでにとった手法だけど、コンマで組み合わせを決定するわ」

弟子一号「まず、マスター一覧がこれね」



桐間紗路

衛宮士郎

遠坂凛

間桐桜(間桐慎二)

言峰綺礼

葛木宗一郎

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

アオヤマ「サーヴァント一覧がこちらです」


セイバー(アルトリア)

アーチャー(英霊エミヤ)

ランサー(クー・フーリン)

ライダー(メドゥーサ)

キャスター(メディア)

バーサーカー(ヘラクレス)

バーサーカー(ランスロット)

アサシン(佐々木小次郎)

アーチャー(ギルガメッシュ)


弟子一号「それじゃあ、今回も適当に書き込んでちょうだい。既定の数になったら、組み合わせを発表するわ」

アオヤマ「ご協力ありがとうございました。七つ埋まりましたので、これから集計します」

弟子一号「ちょっと待っててね」

アオヤマ「今回も、以下の要領でレスを指定していました。コンマを参照、数字の大きい順に並べ替え、>>932の表と照合します」


セイバー(アルトリア) ↓1

アーチャー(英霊エミヤ) ↓2

ランサー(クー・フーリン) ↓3

ライダー(メドゥーサ) ↓4

キャスター(メディア) ↓5

バーサーカー(ヘラクレス) ↓6

バーサーカー(ランスロット) ↓7



桐間紗路&バーサーカー(ランスロット) 94

衛宮士郎&ライダー(メドゥーサ) 76

遠坂凛&キャスター(メディア) 72

間桐桜(間桐慎二)&ランサー(クー・フーリン)51

言峰綺麗&セイバー(アルトリア) 47

葛木宗一郎&バーサーカー(ヘラクレス) 26

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&アーチャー(英霊エミヤ) 12

弟子一号「無理無理無理無理」

弟子一号「敵が強いうえに、そもそもランスロットを維持できるかどうかすら怪しいじゃない!」

アオヤマ「まあまあ、それはコンマ次第です」

弟子一号「戦闘力と魔力量ね。これにかかってるわ……」



シャロの戦闘力↓1(コンマ1桁目)

※戦闘力=身体能力+戦闘中の魔術の質

 数字が大きいほどいい、0は10扱い

 ヤング綺礼が10、凛が6、一般人が1、が目安



シャロの魔力量↓2(コンマ2桁目)

1~4、「バーサーカーの維持が限界。動かすとしんどい(間桐雁夜と同格)」

5~7、「運用する分には問題なし。宝具を使うと厳しい」

8~0、「全面的に問題なし」

アオヤマ「魔力量はコンマ1桁目です。失礼しました」

アオヤマ「変なタイミングで書き込んですみません。でも、奇跡的に一致したので、よしとしましょう」

アオヤマ「シャロさんは、戦闘力2、魔力9です」

弟子一号「……あれ? いける?」

アオヤマ「シャロさんが狙われると厳しいですねえ」

弟子一号「ぐぬぬ」

アオヤマ「ご協力ありがとうございました。次回は、新しくスレを立ててスタートします」

アオヤマ「ここにもリンクを張りに来ますね」

弟子一号「スレタイは『【ごちうさ×Fate】シャロ「聖杯戦争?」【安価】』にする予定よ」

アオヤマ「強敵揃いの第5次聖杯戦争、シャロさんの運命やいかに!」

弟子一号「こんな時間までありがとねー。お疲れ様」

アオヤマ「スレ立てましたー。こちらにもリンクを張っておきますね」


【ごちうさ×Fate】シャロ「聖杯戦争?」【安価】

【ごちうさ×Fate】シャロ「聖杯戦争?」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408195598/)

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