銀河機攻隊マジェスティックプリンスで短編集 (24)

気づけば落ちたので再放送記念に。
前スレ①
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前スレ②
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406235600

ときどき、想像してみることがある。

たとえば、こんな話。

僕らがまったく違う環境に生まれて、育って、出会って…。
そう、政治とか、戦争とか、そういうのなんて無関係な世界。
あったらいいな、と思ってしまうこともある。

「イズル」

って僕の名前を優しく呼んで、寝ぼけ眼で朝の目覚めの、ちょっとした気だるさを感じる僕を揺り起こしてくれるお母さん。

それからゆっくりと着替えて、リビングに行く。

たぶん、そこには。

「イズル、遅い。今日こそ置いていっちまうぞ」

僕と違って身支度なんてとっくに済まして、完全に意識をはっきりとしてる、呆れ顔のお兄ちゃんと。

「まったく…少しはアサギを見習いなさい」

ちょっと困ったような顔で僕を見て苦笑いするお父さんがいる。

そんな家族に向かって、僕は照れ笑いでもしながら『いつも通り』に朝食を済ませて、急かすお兄ちゃんを追いかけて。

それで、『普通』の学校に向かうんだ。

もちろん、登校するときはご近所さんに会ったりとかして。

例えば――

「やぁ、おはよう」

「今日も兄弟仲良くかい?」

一緒の会社に向かう、近所の頼れるお兄さんたち。

「あらおはよう。今日は寄ってく? サービスするわよー?」

個人経営の小さな食堂を営むお姉さん。

「よう! アサギ、今日も遊べよー」

お兄ちゃんにすごく懐いている、勝気で、でも一人っ子が寂しい、近所に住む女の子。

それで。それで。

「あら、イズル。アサギ。おはようございます」

僕の憧れの、近所に住む大学生くらいの不思議なお姉さん。

きっと、朝から会えたら、もう、一日全部が幸せに思うんだろうなぁ。

照れながら挨拶する僕をお兄ちゃんがからかったりとかして。




それから、学校。

まず着いて、お兄ちゃんと別れて、自分のクラスに入る。

それから席に着くと、待ち構えていたように三人が来るんだ。

「よう」

「おはようなのらー」

「おはよう、イズル」

小学生とか、それくらいのときからの仲の良い人たち。

僕らの中で一番軽口で、クラスの中でも僕ら以外の人たちとも仲良くしてる男の子。

クラスの皆には、話していて楽しい人で、結構、軟派な人と思われてる。

でも、本当は僕らの間にいると、かなりへたれたところを見せるお喋りなミリタリーオタク。

スルガとはまたちょっと違うけど、クラスの皆の中で癒しみたいな存在の女の子。

元気ハツラツとしてて、ちょっぴり単純な考え方をしてて。

僕らの中では一番幼い、妹分みたいな子。

そんな二人(と僕)のことを何歳か上くらいの目線から、面倒を見てくれている女の子。

クラスの中でも、頼れる人、として皆には『クラスのお母さん』なんてこっそり言われてる。

大人っぽくて、美人だからか、上級生にもよくお付き合いの申し込みを受けるらしい。

僕らの間では、たぶんそんなことする人がいても、長く続かないんだろうな、ともっぱらの噂になっている。

それは彼女の殺人的なお菓子をさんざん食べさせられてきた僕らにしか言えないけれど。

あの子と付き合えるのは、味覚異常者じゃないと無理だろう、なんて前にお兄ちゃんも言っていた。

とにかく、そんな昔馴染みの仲間たち。

後は、そうだなぁ……。

いつもいつも、男だけの付き合いも大事、なんてケイやタマキを除いた三人とつるもうとする先輩たち。

有無を言わさないアニキ調の人と、それに意見を言うクールな人、二人の間を取りまとめられる無害そうな人。

一つ下の学年で、僕らのことを慕ってるんだか慕ってないんだかよく分からない、ときどき毒舌な後輩。

それと…。

「さぁ授業を始めるわ。席に着きなさい」

そうそう、担任の先生。

私物でムチを持ってきて、騒がしくなるクラスを静める、ちょっと怖いけどかっこいい、美人の先生。

実は結構泣きやすい人で、卒業式の日なんかは、卒業生に渡された花束で、別れの挨拶もできないくらいに大泣きしてしまったらしい。

来年、大丈夫かなぁ。

後は、担任の先生の友達の体育の先生。

大きな胸が邪魔そうだけど、それを苦にしない運動能力。それと、さっぱりした性格で男子に大人気なんだ。

担任の先生が号泣して場の収拾がつかないときも、うまく収めてくれたりする。

そんな人たちで彩られる学校生活を僕は過ごす。

普通の勉強をして、普通の部活動をして。

自分の進路に悩んでみたり、人の相談に乗ってみたり。

誰かに告白したり、告白されたり。

きっと。『僕』には絶対にできない体験の数々。



たとえば、こんな話。



もちろん、これは現実なんかじゃない。

実際の僕を取り巻く環境は、この話とはかけ離れている。

僕のいる世界は、よく分からない世界情勢に、戦争の相手、戦う手段、とこういうモノに取り囲まれている。

戦いの勉強をして、戦いの練習をして。

悩む暇もなく出撃して、人の悩みを聞く余裕もなくて。

誰かの遺した言葉を伝えたり、誰かに言葉を遺したり。

『僕』が何度もしてきた体験の数々。

今はこれ以外に道はない、と思う。

でも、僕は。

この先にまで同じ道が広がっているとは思っていない。

戦いには終わりがいつかは来る。

そのときに――それが何年先であっても――僕は初めて新しい道に出会えるんだ。

さっきの話とは絶対に同じことにはならないけれど。

それに近づくことはできるはずだ、と思う。

いや、それ以上にだって、きっと。

だから、僕は。

「――ブラスト、オフッ!!」

仲間のために、未来のために。

今、飛び立った――――!

とりあえず、久しぶりにひとつ。
時系列的には最後の出撃のときのイズル。第三次Zのイベント見てて思ったネタでした。
イズルならシモンたちみたいに多元宇宙迷宮も突破してくれるはず。
ではまた。

気付いたら一ヶ月以上も経ってた…。短いながら一つやります。

祝! 発売!

スターローズ――食堂

イズル「」ボー

タマキ「おまたせー、皆ー」

アサギ「おう、来たか」

イズル「」ボー

ケイ「? イズル? どうかしたの?」

スルガ「ああ、気にすんなよ。ちょっとショック受けてるんだ」

タマキ「どゆこと?」

アンジュ「いえ、あれを見れば分かりますよ」

ケイ タマキ「「?」」

テレビ『AHSMB-005 RED FIVE アクションフィギュア、本日発売!』

レッド5「」キラキラ

ケイ「あれって、イズルの…」

スルガ「そ。GDFの広報活動の一環なんだとさ。資金稼ぎと…まぁ、ついでにMJPの宣伝も兼ねてってトコだろうよ」

タマキ「へー、それでイズルはこんななの?」

イズル「」ボー

アサギ「しっかし、結構な値段取るんだな」

アンジュ「ああいったメタリック塗装のフィギュアはあれくらいが普通だそうですよ。いろいろとオプションも付くそうですから」

スルガ「くっそー、いいなー。何で俺のゴールド4は立体化されねーんだー? あんなに男のロマンが詰まってんのに」

タマキ「スルガなら自分で作れちゃいそー」

スルガ「できたらやってるっての…」

ケイ「イズル? 大丈夫?」

イズル「」ハッ

イズル「」ガタッ

ケイ「…イズル?」

イズル「買わなきゃ!」タタッ

アサギ「おい、飯は…」

ダダダッ

シオン「はーい、お待たせー、今日の日替わりランチ…あれ? イズル君は?」

タマキ「行っちゃったー」

アサギ「ったく、慌てることもないだろうに」ヤレヤレ

ケイ「よほど嬉しかったのね」ニコリ

スルガ「だからってせっかくのお姉さんのランチを…もったいねー」

シオン「しょうがないわねぇ。じゃ、これスルガ君に」

スルガ「ホントっすか!? へへっ、やりぃ」

アンジュ「あの…」

アサギ「どうした? アンジュ」

アンジュ「そもそも、宣伝活動の一環なら、スズカゼ艦長辺りに頼めば普通にもらえたのでは…と」

ラビッツ「あ」






スターローズ――イズルの部屋

イズル「♪」ガサゴソ

イズル(よかった、買えて。結構ギリギリだったもんなー。…でも、それってこれが売れてるってことでもあるわけだよね…ちょっと嬉しいや)

イズル「!」パァ

レッド5「」キチッ

イズル(箱に入ってるの見ただけで楽しみになってきちゃった…!)

イズル「」ワクワクドキドキ

イズル「」カパ

レッド5「」ドーン

イズル(うわぁ…! 思ってたよりもずっと迫力があるなぁ……それに)

レッド5「」キラキラ

イズル(装甲の色がすっごくキレイだ…実物の方よりも、なんていうか、見せるため、って感じがして…)

イズル「」ソー

イズル(そんな簡単に壊れはしないらしいけれど…何か、ついそっと扱っちゃうなぁ)

イズル「」カチカチ

レッド5「」ジャキッ

イズル「か…」

イズル「かっこいい……」キラキラ

イズル「いろいろ武装もあるし、えっと、これはマルチランチャーと、こっちは…HEPキャノンか」

イズル「あ、ちゃんとチェーンソーも付いてるんだ、えっと、換装は…こうか」

レッド5「」オラオラ

イズル「すごい、すごいや! かっこよすぎるよ、レッド5!」

イズル「ようし、次はこのフィギュアとプラモデルと一緒に…」

ヒーローガイッパイダ! スゴイ スゴイヤー!

アサギ「…今は放っといたほうがよさそうだな」

スルガ「そーだなぁ」

タマキ「イズル大丈夫なの? 一人で叫んで…何か食べたのら?」

アンジュ「いや、そういうことではないんじゃ…」

ケイ「いいから行くわよ。一人にしてあげましょう」



その後、予想よりも遥かに人気を博したアクションフィギュアは姉妹品がいくつか発売され、様々なコラボを果たした、らしい。
さらに加えさせてもらうとスターローズの商店街では、新作が出るたびに一番に買いに来る少年の姿もあったという。

本当は発売日に書き上げるつもりだったのに…。
いつの間にかプラモも発売決定したとか。おめでたい限りですね。
ではまたいつか。

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