翔太「そろそろだねー」 北斗「あぁ、そうだな!」 (18)


翔太「待たされた分、思いっきり暴れようね!」

北斗「あぁ、ファンやプロデューサーも待ってるからな」

翔太「うん! 楽しみだねー♪ 冬馬くんも楽しみだよね?」


冬馬「ハァ……」ドヨーン


翔太「って、えええ!?」

北斗「おい、冬馬どうした!?」

冬馬「アー、ヤッテランネェー」ダルーン

翔太(ちょっとちょっと北斗くん、冬馬くんどうしちゃったの?)ヒソヒソ

北斗(いや、俺に聞かれてもな……)ヒソヒソ

北斗「待ちに待ちに待った俺たちの出番、冬馬は楽しみじゃ無いのか?」

冬馬「そりゃ……楽しみだけどよ……」

翔太「なんかいつもの勢いが感じられないね。冬馬くん、なにかあった?」

冬馬「……まぁ、ちょっとな」



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北斗「冬馬、それは俺たちには相談できないことか?」

翔太「僕たち仲間なんだからさ、相談くらいして欲しいなー」

冬馬「……」

冬馬「……誕生日」ボソッ

北斗・翔太「はぁ?」


冬馬「2/28から始まってよ……、本当なら最初に俺がファンの皆に祝って貰うはずだったんだよ……」

冬馬「それが緊急事態で延期だよ」ハァ…

翔太(え、なに? 冬馬くんそんなことで落ち込んでたの……?)ヒソヒソ

北斗(ちょ、ちょっとありえないな……;)ヒソヒソ

北斗「あー、えーっと、冬馬、誕生日くらい大したことじゃないだろ? また来年祝ってもらえばいいじゃないか?」

翔太「そうだよー、それを言ったら僕だって4月だから今年は祝って貰えなかったんだからさー」

冬馬「……それだけじゃねぇよ」

北斗・翔太(まだあるのかよ……)


冬馬「この前、ワンフォーオールに出演したじゃねーか?」

北斗「あぁ、久しぶりの大舞台だったな」

翔太「楽しかったねー♪」

冬馬「あぁ、そうだな。だが……」


冬馬「……誰だよ玲音って!? 完全に俺たちのポジション取られてんじゃねーか!!!」ガッシャーン!!

翔太「ちょっ!? 冬馬くん落ち着いて!」ガシ

冬馬「これが落ち着いてられるか!!」ドーン

北斗「落ち着け、冬馬!」ガシ


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冬馬「はぁはぁ…… まぁ、そんなわけで俺は今、モチベーションが上がらねぇんだよ……」

翔太(なんというか、冬馬くんも子供だねー)ヒソヒソ

北斗(まぁ、そういってやるな)ヒソヒソ

北斗「しかし冬馬、そんな事で落ち込むなんて情けないぞ」

冬馬「……なんだよ、そんな事って」

北斗「俺たちはこれまで、様々な苦難を乗り越え、そして耐えてきたじゃないか? それに比べたら大したことないだろ?」

翔太「そうそう。その分、次の企画で思いっきり暴れてやろうよ!」

冬馬「そうは言うけどよ……」

北斗「それに今度の企画『SideM』のメインビジュアル、冬馬、お前がセンターになってるんだぞ」

北斗「センター、いわば主役のお前がそんな事じゃ、成功させることだってできないぞ?」

冬馬「……!」

翔太「それに冬馬くんがそんなんじゃ、ファンの皆だって喜んでくれないよ」

冬馬「!!」


冬馬「……そうか、そうだな。俺は何て小さなことで落ち込んでたんだ……!」

冬馬「待ってくれているファンが居るなら、最高のパフォーマンスを見せてやる、それがアイドルじゃねーか!」

冬馬「俺はそんなことも忘れてたのかよ……!!」

北斗「そういうことだ、さぁ、いつまでも暗い顔してるんじゃないぞ」

冬馬「あぁ!」

翔太「やっと、いつもの冬馬くんに戻ったねー♪」

北斗「やれやれ、手間を掛けさせやがって」

冬馬「ぐっ…… わ、悪かったな……」


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翔太「さてっと、じゃー、改めて皆で次に向かって……」

黒井「ハァァァ……」ドヨーン

北斗「!?」

冬馬「く、黒井のおっさん!? てか居たのかよ!?」

翔太「元々黒いぶん、さっきの冬馬くんより重苦しい感じだよ!」

黒井「ヨノナカクソダナ……」ズーン


冬馬(おい、黒井のおっさんどうしたんだよ)ヒソヒソ

北斗(……あー、なんとなく察しは付くが)ヒソヒソ

翔太(そうだねー、さっきの冬馬くんに比べたらねー)ヒソヒソ

冬馬(なんだと!?)ヒソヒソ

北斗「……さて、黒井社長、どうしたんですか? そんなに落ち込んで」

黒井「なんだお前たちか…… フン、放って置いてくれ……」ハァ…

翔太「いつもエラソーにしてる黒ちゃんがそんなんじゃ、放っておけないよー」

冬馬「そうだな、961プロを離れたとはいえ、アンタがそんなんじゃな」

黒井「ふん、何を言うのかと思えば……」

黒井「新天地でこれから活躍する人間は余裕があっていいことだな!」

北斗(あー、やっぱりその件か……)

翔太(だよねー)


黒井「企画『SideM』だったか? それを聞いたときはこの961プロも当然、参戦するものだと思っていた……」

黒井「それがどうだ!? 蓋を開けてみたら我が961プロは参加一覧に居なかったわけだ!」

北斗「ま、まぁまぁ黒井社長、今後追加で参戦するかもしれないですし……」

黒井「ふん……どうだかな」

翔太「っていうか、黒ちゃんのところ僕ら以外にアイドル居なかったんだし、オファー無くて当然じゃないの?」ボソッ

北斗「翔太、余計なことを言うな!」

黒井「それだけじゃない!」

冬馬・北斗・翔太(まだあるのかよ……)


黒井「この前のワンフォーオールだったか? アレにも私は一切出番が無かった!」

黒井「この黒井崇男に出番が全くないというのは、一体どういうことだーーー!!」ガッシャーン!!

冬馬「お、おい、おっさん落ち着けって」ガシ

北斗「黒井社長、落ち着いてください」ガシ

翔太(なーんか、さっきの冬馬くんと同じ感じだなぁ;)


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翔太「やれやれ、ようやく大人しくなったねー」

北斗「ふぅ……、あっちこっち物が壊れてしまったな」

冬馬「んで、黒井のおっさん、少しは冷静になったか?」

黒井「……ふん」

黒井「……、私には……かも……な……」

冬馬「あん? なんだって?」

黒井「私には、アイドルを育てる才能は無かったのかもしれんな……、と言ったんだ」

翔太「ちょ、ちょっと黒ちゃん、何言ってんの!?」

黒井「お前らは私の元を去っていった、そしてSideMにも呼ばれなかった。つまりはそういうことなんだろう」

北斗「らしくないですね、黒井社長がそんな後ろ向きな事を言うなんて」

黒井「事実は事実だ。良い機会だ、この辺でアイドル業界から手を引くのも悪くないかもしれんな」

翔太(ちょっと、これどうすんの……)ヒソヒソ

北斗(まいったな。冬馬、何か良い案は……、っておい冬馬?)ヒソヒソ


冬馬「……ふん、アンタがそんな腰抜け野郎だったなんて思わなかったぜ」

黒井「なんとでも言うがいい……」

翔太「ちょっと冬馬くん!?」

北斗「おい、冬馬!」

冬馬「なるほどな。俺はアンタのことを買いかぶってたってわけだ」

黒井「……なんだと?」

翔太(北斗くんマズいよ、冬馬くんを止めないと)ヒソヒソ

北斗(……いやまて、ここは冬馬に任せてみよう)ヒソヒソ


冬馬「確かに俺たちはアンタの元を離れたよ」

冬馬「だがよ、俺たちジュピターをアイドルとしてここまで連れてきたのはアンタの力があったからじゃないのか?」

黒井「……」

冬馬「やり口はともかく、アンタの人を見る目、経営者としての力、そういうのは本物だと俺は思ってたんだがな……」

黒井「冬馬、お前……」

北斗「そうだな、その点は俺も同意しますよ」

翔太「うん、そうだね」

黒井「お前たち……」


冬馬「まぁ、そんだけだ。 北斗・翔太、315プロとの打ち合わせがある、行くぞ!」

翔太「ちょ、ちょっと冬馬くん!?」

北斗「冬馬……いいのか?」

冬馬「……あぁ」スタスタ

黒井「…………待て!!!」

冬馬「……なんだよ」

黒井「この私が、そこまで言われて黙ってると思ったか?」

翔太「黒ちゃん、それじゃあ……?」

黒井「あぁ、先ほどの発言は撤回だ! お前たちに、この黒井崇男の真の実力見せてやる!」

冬馬「へっ、やっとらしくなってきたじゃねーか」

北斗「さっきまで部屋の隅で落ち込んでたお前がよく言うよ」

翔太「ほんとほんとー♪」

冬馬「ぐっ……お前ら!」


翔太「んで、黒ちゃん、実力を見せるって言ってたけど、具体的にはどうすんの?」

冬馬「そうだな、今の961プロにはアイドルは居ないんだろ?」

黒井「うむ、その点については考えていることが1つある……が、まずはその前に」

黒井「私は一からアイドルというものを学び直して来ようと思っている」

翔太「えっ!?」

黒井「私が目指すのは常に頂点。それはどのジャンル・業界であろうと同じこと」

黒井「アイドルならば、ランクS! IE制覇! IU優勝! それを成さなければ意味が無いのだ!」

黒井「今の私の力でも、それは可能だろう……だが、だ」

黒井「やるからには完全完璧な勝利だ! そのためにも私は自分自身を鍛え直し、更に高みへ行く必要があると感じたのだ」

北斗「な、なるほど……流石は黒井社長ですね」

冬馬「……おっさん、本気なんだな?」

黒井「ウィ」


翔太(黒ちゃん、マジみたいだね)ヒソヒソ

北斗(だな。まぁでも、これならもう大丈夫だろう)ヒソヒソ

冬馬(俺たちも負けてられねーな!)ヒソヒソ


冬馬「っと、そろそろ行かないと間に合わねーな。黒井のおっさん、俺たちは行くぜ」

北斗「黒井社長、お世話になりました」

翔太「じゃーねー、黒ちゃん」

黒井「ウィ。まぁ、せいぜい努力することだな」フンッ


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冬馬「さて、今日から315プロでの活動がスタートだ、北斗、翔太、準備はいいか!?」

北斗「あぁ!」

翔太「うん!」


翔太「そういえば、あれから黒ちゃんどうしたんだろうね?」

北斗「そうだな、気にはなるが……」

冬馬「あのおっさんのことだ、そう簡単に消えたりはしないだろ」

翔太「あはは、そうだねー」


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……ウィ……然だ…

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北斗「ん? 今黒井社長の声がしなかったか?」

翔太「噂をすればなんとやらー? ってどこにも居ないじゃん?」

冬馬「いやまて、テレビを見ろ!」


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司会「いやー、すばらしいパフォーマンスでしたねー」

司会「それでは、改めてご紹介しましょう」

司会「デビューからわずか一ヶ月でAIRAのアイドルランクBに到達! 今話題の注目アイドル、961プロ社長兼アイドルの黒井崇男さんです!」

黒井「ウィ、よろしく頼む」

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ジュピター「はぁぁぁ!!!???」

翔太「ちょ、ちょっとどういうこと!?」

北斗「黒井社長、実力を見せるとは言っていたが、まさかそういうことだったのか!?」

冬馬「」ポカーン


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司会「さて黒井さん、まさかの社長からのアイドル転身、一体何があったのでしょうか?」

黒井「そうだな、私の事を認めてくれた奴らと同じところで戦ってみたくなったから……と言ったところだな」

司会「ほぅ、これは意味深な発言ですねー」

黒井「あー、この場を借りて1つ言いたいことがあるんだが、構わんかな?」

司会「あ、はい。時間はありますので問題ありませんよ?」

黒井「それでは……」

黒井「冬馬! 北斗! 翔太!、宣言通り、私の真の実力をみせてやろう! さぁ、思う存分戦おうじゃないか!!」


黒井「……ウィ、以上だ」

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翔太「あ、あはは……黒ちゃんとんでもないねー;」

北斗「まったくだな。なぁ、冬馬? ……冬馬?」


冬馬「……あははは! そうかそういうことだったんだな!」

冬馬「いいぜ! 黒井のおっさん! やろうじゃねぇか! アイドルとして最高の勝負をな!!」


翔太「うわぁ……、冬馬くんが燃えてるよ……」

北斗「冬馬…… やる気満々だな……」

冬馬「北斗! 翔太! 俺たちも負けてられねーぞ! さぁ行くぞ!!!」ダッ!

翔太「ちょ、ちょっと冬馬くん待ってよー」

北斗「やれやれ、また忙しくなりそうだ」




おわり

短いですが、以上となります。

SideM再開おめでとう!! というわけで、一つ書かせてていただきました-。

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