冬馬(女子トイレから出れなくなっちまった……) (40)

「春香、まだなの?」

「ごめん千早ちゃん、もう少し待って。ふんぎぎぎ……」

「まったく、普段から食物繊維を多く摂らないから便秘になるのよ」

「ま、まさか千早ちゃんからそんなお説教を……ふんぬぅ~~……!」



冬馬(ちくしょう、早くしねぇと収録が始まっちまうぜ……!)ソワソワ…

冬馬(765プロめ、さっさと出すモン出してトイレから出てけってんだ!)


冬馬(くそ……便意さえ催さなければ……というか男子トイレさえ空いていれば……!)


………………


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~冬馬の回想~

「よっしゃあ、ちゃんと時間前に控え室に着いたぜ!」

「うっ!? ま、まずい、急にお腹が痛くなったぜ!」ゴロゴロ…!

「昼に食ったカレーがいけなかったか!? とにかくトイレに急ぐぜ!」


「うおぉっ! くそっ、どのトイレも全部個室が使用中だぜ!」

「何てこった、もう一度上の階から……はうっ!? や、ヤバイぜっ!」グギュルル…!

「こ、こうなったら……!」ダダダ…!



「ふぅ~~……タッチの差だったぜ」

「誰かが来る前に、さっさと流して出ねぇとな」


ガチャッ

「!?」

キャッキャ アハハ…!


(ま、まずい……誰かが入ってきやがったぜ……!)


………………

………………

冬馬(声の感じから察するに、おそらく765プロの天海春香と如月千早だな)

冬馬(如月千早の方はすんなり用を済ませたのに、天海春香は随分時間かかってやがる)

冬馬(ったく、ちょっと踏ん張れば済むことじゃねぇか。アイドルならビッとしやがれ!)

冬馬(その点、如月千早はさすがってところか。余計なトコに時間をかけねぇのはプロだな)

冬馬(って冷静に分析してる場合かよ! ちきしょう、まだか~!!)ソワソワ…



「ん~~……ヴぁいっ!!」プヒッ

「はっ、う、産まれた……」

「やめなさい、春香」

「えへへ、もうちょっと待っててね千早ちゃん」ガラガラ…

ジャアァァァァァァ…

ガチャッ

「おっまたせぇー! おかげさまで快便ですよ、快便!」

「はしたないからやめなさい、春香」

「今日の収録、すっごく上手く行きそうかも! さっ、早く行こう!」

「きっとプロデューサーも心配しているわ」

ガチャッ バタン





冬馬(…………出たか? 出たよな!?)

冬馬「よしっ!!」ガチャッ!


ガチャッ

冬馬「!?」バタンッ!


「うー、トイレトイレぇー!」タタタ…

ガチャッ バタン

冬馬(ま、また誰か入ってきやがった……!)


コツッ…

「響、大丈夫ですか?」

「うぅ、な、なんくるない……でも、これはさすがの自分でも強敵さー」

「なんと! それは一大事です、すぐに救急車を」

「わわっ、そこまでしなくていいよ貴音、てうっ! うぐぐ……」

プププ…


「うっ、く、くひひっ……」

「ちょ、貴音!? 何で笑ってるさー!」

「わ、笑ってなどおりませんよ、響。んふっ」

「うそっ! 絶対笑ってるでしょ!」

「だ、だって、プププって、面妖なほ、放屁…」

「うぎゃあーー!! だから外で待っててって言ったのにぃ!!」

「あっ、ぐぐぐ……余計なおしゃべりしてたら引っ込んじゃったぞ、ぬぅー……!」

「なんと」


冬馬(ちきしょー! 今度は我那覇響と四条貴音かぁー!!)

冬馬(何でお前らこんな時間差で来るんだよ。ていうかヤツら一緒の仕事なのか?)

冬馬(いい加減、そろそろ出ないと本当にまずいぜ……!)

冬馬(そ、そうだ携帯! 携帯で北斗達に助けを……)スチャッ

冬馬(いやダメだ! アイツらにこんな事知られたら、喜んで弄ってくるに決まってる!)

冬馬(うおおぉ、くっそぉー!! どうすりゃいいんだこのもどかしさぁー!!)ソワソワ…!



「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー……」

「響、あと少しです。頑張って、ほら、吸って、はい、吐いて」

「貴音、ちょっと黙ってて」

「い、いけずです、響……」


「う、うおぉっ……んはぁっ!」ププッ

「んへっ」

「だから笑わないでよ、もうっ!!」ガラガラ…

ジャアァァァァァァ…

ガチャッ

「やれやれ、無駄に時間かかったさー」

「真、良く頑張りましたね、響」

「貴音のせいだぞ!」

ガチャッ バタン





ガチャッ

冬馬「………………」ソォーッ…


ガチャッ

冬馬「」バタンッ!


「ひぃーん、も、漏れちゃうぅ!」タタタ…

ガチャッ バタン

冬馬(こ、今度は誰だ!?)

冬馬(さっきの気弱そうな感じ……あっ、萩原雪歩!)ティン!


「うぅ……本番直前でトイレに行きたくなるなんて、私、ダメダメですぅ……」


冬馬(っしゃあ!! 当たったぜ、どうだ見たか765プロ!!)グッ!

冬馬(って何喜んでんだ俺は! くっそ、さっさと出て……)



「ん、んぅ……」


チョロチョロ…



「ん……ぁ………あ、ん…………」

「………ん、んっ……く……」



「あ……は、ぁっ………うぁ…………っ!」



「ん、はっ……!」

ポチャッ…



「ふ……ぅ……くっ……」

冬馬「………………」

冬馬(な、何か……)

冬馬(何か、エロい……)ドキドキ…

冬馬(さっきまでのヤツらは、色気の欠片も無かったのに……)



「あっ……」

冬馬「!」ドキッ!



「………あぁ……ん……んっ……!」



冬馬「………………ッ」ドキドキ…!

ヴィー!… ヴィー!… 『アーイーシーテル アイシーテル イツカーミラーイデー♪』

冬馬「ッ!?」ビクッ!


「えっ……?」


冬馬(や、やべぇ! 携帯が……!)ゴソゴソ…!

冬馬(くっそ、翔太かよ! こんな時にかけてくんじゃねぇ!)ピッ!



「あ、あの……」

冬馬「!!」ビクッ!


「隣……どなたか、いらっしゃるんですか?」



冬馬「………………!」ドキドキドキ…!

「ジュピターさんの、ファンなんですね……」


「私も……好き」

冬馬「!?」


「かっこいい、ですよね……リーダーの、冬馬さん」

冬馬「!!!?」ガタッ!



「いつか、一緒に、お仕事したいなぁ、なんて……えへへ」



「あっ、ご、ごめんなさい! 私、何でこんな事……し、失礼しますぅ!」ガラガラ…


ジャアァァァァァァ…


ガチャッ ガチャッ バタン



冬馬「………………」

冬馬「…………う……」

冬馬(うおおおおおおおおぉぉぉっ!!!)グアァッ!


冬馬「グゥゥッド!! イナフッ!!!」ズビシィッ!


冬馬(さ、最近何かが足りないと、いつも思っていた……)

冬馬(おっさんの期待に応え、北斗や翔太達を引っ張り、765のヤツらを打ち負かして……!)

冬馬(着実に、俺は、俺達は、頂点に上っている……だけどよ!)


冬馬(本当に、それだけか? 俺が求めているものは、トップアイドルの座、だけか……!?)

冬馬(トップアイドルになって、何がしたかったんだ……その先に求めるものは……そう)

冬馬(俺にも、ようやく春が……!!)

冬馬「春がっ…!」


ガチャ

「うあうあー、もうリミットブレイク寸前だよ真美ぃー!」

「真美もだよぉ! いいからさっさと済ませてよぉ、亜美ぃー!」

ガチャッ バタン


冬馬(俺の馬鹿っ……!!)

冬馬(さっき、余裕でトイレ出る時間あったじゃねぇかクソッたれぇー!!)

冬馬(し、しかも入ってきたのは、あの……!)


ジャアァァァァァァ…

ガチャッ

「ふぃー、すんごい開放感だYO!」

「は、早くどいてぇ!」

バタンッ!


冬馬(双子の、双海姉妹か! うるせぇヤツらが入ってきやがった……!)

冬馬(しかし、どうやらコイツらはどっちも小さい方のようだな)

冬馬(トイレ入ってきた時の気配からして、そんな気がするぜ)



チョロチョロチョロ…

「ふあぁー……危なかったぁ。ちょっと待っててね亜美」

「早く行こうよー、真美ー」


冬馬(ゲッチュウ! もうトイレを出そうな雰囲気だぜ!)グッ!

冬馬(もう下手は打たねぇ!)

冬馬(コイツらが出た瞬間、すかさず脱出してやるぜ! 見てろよ765プロ……!)


ガラガラ… カラン

「あれっ?」

「どったの、真美?」


「うあうあー! トイレットペーパーが無くなっちゃったよ亜美ぃ!」

「えぇーっ!?」

冬馬(な、何ぃっ!?)

冬馬(ていうか、女って小さいヤツの時でもトイレットペーパー使うのか。当たり前か)


「ど、どっかその辺に無い、亜美!?」

「な、無いよ! どこにも無い!」

「そんな……どうしよう!」



「そうだ! と、隣の人ぉっ!」

冬馬「!?」ビクッ!

「もし、替えのトイレットペーパーあったら、真美に……ううん、隣にください!」

「お願いだよ! 真美のレディーとしての尊厳がかかってるんだYO!」

「上から投げて! お願い!」


冬馬(そ、そう言われても……)キョロキョロ

冬馬(! あ、ある……替えのトイレットペーパーがあったぜ)スッ


「あった!? お願い、投げて!」



冬馬(ちっ……ええい、ままよ!)ポイッ!


「う、うわあぁっ!? な、投げる時は投げるって言ってよ!」

「でもありがとう! これでトイレから出れるよ!」

冬馬(………………)


「あ、あれ? ねぇー、ありがとうってば。何も言ってくれないの?」

冬馬(………………)


「おーい。もしもーし」



冬馬「…………ど、どういたしまして(裏声)」

ジャアァァァァァァ…

ガチャッ


「お待たせ、亜美!」

「んもう、長便だよ真美!」

冬馬(………………)


「それじゃあ、行こっか!」

「うん! …………あれっ?」


「亜美、どったの?」

「これ……何か落ちてる……」

「どれどれ……」


「あぁーっ!!」

冬馬「!?」

「これ、もしかして……ほくほくがいつも付けてるネックレスだ!?」

「えぇーーっ!?」

冬馬(ええぇっ!?)

「絶対そうだよ! だってここに名前書いてあるもん!」

「あ、本当だ!」

冬馬(ウソだろ!? アイツ自分のネックレスに名前書いてんのか!?)

冬馬(ていうか、何でアイツのネックレスが女子トイレに……まさか、アイツもか!?)


「どうするこれ?」

「とりあえず、届けるしかないっしょ」

「そだね。でも、男なのに女子トイレ使ってたってことだよねーこれ」

「うんうん。変態だね」

冬馬「!」

「ド変態だよ。兄ちゃんだってそんな事しないよ」

「亜美達が使った後を狙って、こっそりトイレに入ってたりして……」

「うわあぁぁっ! あまとう達ならやりかねないよ!」


「大体、一緒にレッスンの場所がかち合っちゃった時だって、おかしかったよね」

「絶対、亜美達より先にレッスン室出てたもんね」

「真美達が入る前に、先に女子更衣室に入って、下着の匂い嗅いでたりして……!」

「うあうあー! やめてよ真美、あまとうでチョ→リアルにイメージ出来ちゃったじゃん!」

「これだからあまとうは、ねぇー!?」

「本当しょうがないよねぇー、あまとうは!」

冬馬「あまとうじゃねぇっ!!」



冬馬「あっ」

「んっふっふー」


冬馬(し、しまった! バレちまった……!!)

「やーっぱりあまとうだったんだねぇ」

「女子トイレに潜り込むなんて、お主もエロよのぅ、あまとう?」

冬馬(まさか、コイツら知った上で俺をハメやがったのか!?)


「さーて、どうしようかねー亜美」

「そりゃー皆に言いふらすっきゃないっしょー真美!」

「だよね!」

冬馬「ま、待て……これには事情がっ!」

「ノンノン、どんな事情でも事実じゃん」

「そうそう。あまとうが女子トイレ使ってましたって、事実を亜美達は言うだけだよん♪」

冬馬「ふ、ふざけんな! そんな事してただで済むと…!」


「うーん、そうだねぇ。ただじゃあ済まないよねぇ、あまとうは」

冬馬「!?」

「黒井社長がいんぺーしてくれるって思ったのかな?」

「むしろ黒井社長があまとうをいんぺーしちゃうんじゃない?」

「そんな変態アイドルの事など私は知らん! ってさ?」

冬馬「なっ、な……!!」

「よぉし、それじゃあ…」

冬馬「ま、待て! 頼む、お願いだから内緒にしてくれ! 何でもするから!!」


「ん?」

「今……」

「何でもするって……」

「言ったよね?」

冬馬「うっ……!?」


「さーて、それじゃあ何してもらおっかなー?」

「じゃあさじゃあさ、あれ歌ってもらおうYO!」

「ミキミキの、ふるふるフューチャー! それもチョ→ノリノリで!!」

冬馬「な、えぇぇっ!?」

「あーっ、それいい! すっごくいい!!」


「だいすきハーニィ~~♪」

「いちごみたーいに~~♪」


「アハハハハハハハハハハハハハッ!!」

「うん、決まり! そうと決まればさっさとトイレから出て…」


ガチャッ!

「こぉらぁっ!! 二人とも何やってんの!!」

「げぇーっ!! り、りっちゃん!?」

冬馬「!?」


「さっきから全然出てこないと思ったら、ずっと油を売って、まったく……!」

「次の仕事があるんだから、ほらっ! さっさと行くわよ!!」


「ま、待ってよりっちゃん、まだあまとうのふるふる…」

「おだまりなさいっ!! もう皆車で待ってるんだから!!」

「うあうあー! そんな、堪忍だよりっちゃぁん……!」

ガチャッ


バタン…

冬馬「………………」



冬馬(た、助かった…………のか?)





冬馬(………………)

冬馬(物音ひとつしねぇ……どうやら本当に帰ったみてぇだな)


冬馬(良かった……あんな歌をノリノリで歌うなんざ、考えただけでゾッとするぜ)

冬馬(よし、そうと決まればさっさとココを出ねぇと!)

冬馬(やべぇ、もうこんな時間だ! あと二分! 急いで…!)ガチャッ!



亜美「…………」ニヤニヤ

真美「……んっふっふー」ニヤニヤ



冬馬「」

冬馬「ば、馬鹿な……何でお前らがここに……」

冬馬「さっき、あの765プロの、あ、秋月とかいう、ぷ、プロデューサーに……」


亜美「えっ、りっちゃん?」

真美「りっちゃんは、この女子トイレの中に入ってきてないよ?」

冬馬「えっ」


冬馬「い、いやそんなはずはねぇだろ! さっきまで確かに声が…」

亜美「もう、分からず屋だなぁあまとうは。来てないってば」

冬馬「!?」


真美「ついでに言うと、はるるんや千早お姉ちゃんも来てないよ」

亜美「ひびきんやお姫ちん、あとゆきぴょんもね」



冬馬「な……あ………あ…………?」



亜美・真美「んっふっふー」ニヤァ…

亜美「えへへっ! おかげさまで快便ですよ、快便!」

冬馬「!?」


真美「はしたないからやめなさい、春香」



亜美「う、うぎゃあーー!! 全然出ないぞ、貴音ぇ!!」

真美「なんと! それは一大事です、すぐに救急車を!」


真美「さっきと違くない、亜美?」

亜美「ん、そうだっけ? まぁいいっしょ!」



亜美「うぅぅ……こんなトイレに行っちゃう私は、冬馬さんが大好きなんですぅ!」

冬馬「!!?」



真美「こぉらぁ、二人とも!! さっさとトイレから出てきなさいっ!!」



亜美「イエーイ!! 真美、いえいっ!」

真美「いえいっ!!」パチンッ!

冬馬「あっ………あ…………」ガタガタ…

冬馬「そ、そんな…………す、全て、お前ら……」


真美「あまとうが女子トイレに入る瞬間を、真美達見てたんだよね→」

亜美「ちなみに、翔太にあまとうの携帯にかけるようにお願いしたのも亜美だよん♪」


真美「グゥゥッド!! イナフッ!!!」ズビシィッ!


亜美「ど、どういたしまして(裏声)」



亜美・真美「アハハハハハハハハハッ!!!」キャッキャ!

真美「亜美、いえいっ!」

亜美「いえいっ!」パチンッ!



冬馬「………………」


   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|

   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   もう二度と女子トイレに入るもんか……!
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. 
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ    
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ


この後、亜美真美はちゃんとりっちゃんからお叱りを受け、
冬馬は人としての尊厳を保ちました。

~おしまい~

https://www.youtube.com/watch?v=5_mFSMaIDxk

同じイタズラを仕掛けられたら無理ゲーだと思う。

皆様も、女子トイレに入るときはくれぐれもご注意ください。じゃあの。

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