女「こんな所に連れ込んで、ボクをどうする気だい?」男「……」 (114)

女「ふふ、キミだけはボクに手を出さない、今時珍しい純情少年だと思ったけど……」

男「……」

女「まさかこんな所に閉じ込めるとはね……独占欲、って奴かな?」

男「……」

女「ふふ、その顔は図星みたいだね……そんなにボクが皆に抱かれているのが気に食わなかったのかい?」

女「あ、それと、無理やりするのだけは辞めてくれ。この制服が最後の一着なんだ。」

女「言ってくれたらおとなしく服を脱ぐから……さ」

男「……また、来る」

男「必要なモノがあったら、言ってくれ」

バタン

女「……行っちゃった」

女「んっ……ふっ……」グチグチ

ガチャン

男「……何してる」

女「あはっ、見れば分かるだろ?キミが相手してくれないからっ、自分で慰めているんだっ」グチュグチュ

男「やめろ」

女「それは酷じゃないかい?ボクが皆になんて呼ばれているか知ってるだろう?」

女「ヤリマン、公衆便所、ちんぽキチ○イ……あはは、的確だよねっ……んっ」ヂュクヂュクッ

男「俺はやめろと言ったんだ」

女「……わかったよ、”ご主人さま”」

男「……男でいい」

女「でも立場は明確にしないとねぇ?で、何の用ですか?”ご主人さま”?」

男「……食事だ」

女「へぇ……ハンバーグかぁ、奴隷にしては好待遇だね」

男「……お前は奴隷なんかじゃない」

女「こんな所に閉じ込めといて何言ってるのさ」

男「……」

女「……」

男「何してる、食わないのか」

女「え?だって『仕上げ』が済んでないじゃないか」

男「……仕上げ?」

女「そうそう、ふふ、いーっぱいかけてくれよな?ボクは濃い精液じゃないと食が進まないんだ」

男「……断る」

女「……おっかしいなぁ、キミは……皆、我先にとボクの弁当に精液をぶっかけてくれたんだけど……」

男「……本当にそれが好きなのか。ずっとそういう食事をしてきたのか」

女「あー、そういや昔は苦手だったっけなあ」

男「……」

女「あの頃は味ってもんがわかってなかったからねぇ」

ガチャッ

女「おや、ご主人さま」

男「……食べてくれたみたいだな」

女「まあ、食べられない訳でもないからね」

男「……次は何が食べたい」

女「んー、精液がかかってたらなんでもいいよ」

男「……」

女「ふふ、期待してるよ?」

男「……シャワーは浴びたくないか?」

女「シャワー、浴びて欲しい?」

男「……勘違いするな」

女「ちぇっ、どうせなら、一息にヤッてくれたほうがボクも気が楽なんだけど」

男「……」

男「ここが風呂場だ」ガラッ

女「へぇ、てっきり何にもないシェルターかと思ってたけど案外色々あるんだねぇ」

男「今後、自由に出入りしても構わない」

女「そうか、思ったよりいい暮らしが出来そうで良かったよ」

女「セックスが出来ないのは、疼いてたまらないけどね」

男「……上がったらまた来る」


ガチャッ


女「……さて、彼の我慢もそろそろかな」

女「童貞っぽいから、念入りに洗っておいてあげなきゃね」シャワー

女「はぁ……精液で体が汚れてないのにお風呂に入るってのも新鮮だなぁ」フキフキ

ガチャ

男「上がったか」

女「あ、ご主人さま」

男「……ご主人さまからの命令だ。今後俺のことは男と呼べ」

女「えーっ、でもさ……わかったよ、男。これで満足?」

男「ああ、満足だ」

女「で、男、その手に持ったDVDはなんだい?」

男「……一緒に見ようと思ってな」

女「あ、いやらしいDVDだね?ふふ、先輩の一人が見ながらするの好きだったよ」

男「……」

女「おっと、気に触ったかな?」

男「いや、もう良い、とにかくDVDを見るぞ」

男「再生、と」ポチッ

男「じゃあ見るぞ……」

女「ふふ……」ギュッ

男「……なんだ」

女「手を握るくらいいいだろう?」

男「……まあな」

女「ふふ、DVDを見ている内に、どうせ我慢が出来なくなって……」

女「……ショーシャンクの空に……なんだいこれは」

男「何って、映画だ」

女「……はぁ、キミの紳士さには敬意を払うよ……」パッ

男「おい」

女「なんだい?」

男「手を離すな。握っていろ。画面を見つめろ」

女「……わかりましたよ、”ご主人さま”?」

男「……」

女「全く、どうしてこんな事を……」ブツブツ

男「……」


女「……へぇ、この人、気の毒だね」

男「……」


女「っ……だ、めっ……!」ギュッ

男「……」


女「……あぁ、良かった……うん、良かったぁ……」

男「……気に入ったみたいだな」

女「……ふん、大した話じゃないね」パッ

男「……他にも何本か映画のDVDを置いておく」

男「退屈でどうしようも無くなったら、見ろ」

女「……うん、考えておくよ」

男「……」

女「ふわぁ……映画って、結構体力を使うもんだねぇ……」

女「んん……あと5本はあるね、1日2本だけ見るようにしよう」カチャカチャ

女「さて、ボクの予想なら、そろそろ……」

ガチャ

男「おい」

女「来た来た♪」

男「歯ブラシを忘れていた。持ってきたから使え」

女「……キミは、EDか何かなのかい?」

男「……何を言っている、そんな訳がない」

女「おかしいねぇ……だったら他の皆みたいに、ボクに襲いかかると思うんだけど」

男「……それは、皆が女のことを……好きじゃないからだ」

女「あはは、何言ってるのさ!ボクの事が好きだからセックスしたくなるんじゃないか」

男「それは、違う」

女「……それ、どういう事だい?」

男「お前は、無理やり体を汚された、そうだろう?」

女「好きだからこそ、無理やり奪いたくなるんじゃないか」

男「傷めつけられ、辱められ、犯された」

女「独占欲って奴だよ。好きな相手には変わった事をしたくなるもんさ」

男「お前は、セックス以外に彼らと関わった事があるのか?」

女「ボクのとりえは体だけだって皆が教えてくれたからね。」

男「……もういい」

女「自分の間違いがわかった?ボクは、皆から愛されてるし、ボクも皆を愛しているんだよ」

男「……歯を磨いて、早く寝ろ」

ガチャ

女「……はぁ、強情だなぁ」

女「ん……ふぁ……はぁ、良く寝たぁ」

女「……お腹に違和感があるなぁ……一昨日からずっとセックスしてないし」

ガチャ

男「……おはよう」

女「あ、おはよう」

男「……置いてあった寝間着はどうした?」

女「ふふ、着ろという事だったのかい?気づかなかったよ」

男「……せめて下着だけでも付けろ」

女「……ねえ、男、ボク、昨日の夜考えたんだ」

男「……何を」

女「……キミが、どうしてぶかぶかのズボンを履いているのか、ね……!」ギュッ

男「!」

女「あははっ、やっぱり!ボクの体見て、勃起してんじゃん……!」

女「ふふ、これは包帯か何かかい?締め付けられてかわいそうだねぇ……今外してあげるよっ」サワサワ

男「……やめろ」

女「どうしてここまでして隠そうとするのさっ……本当はボクの体にむしゃぶりつきたい癖に……!」

男「……やめ、ろ……」

女「んっ……あはは、相当硬く縛ってあるねっ……」

男「やめろっ!!!」バシッ

女「あっ……!」

男「っ……」

女「痛いなぁ……ふふ、そういうのが好み?ちょっぴり濡れちゃったよ……♪」

男「……いいか、この際言っておく」

女「なんだい?」

男「俺は、お前を絶対に抱かない」

男「無理やり犯すこともしないし、お前の誘いにも絶対乗らない」

男「……殴ったりして、すまなかった。もう絶対にそんなことしない」

女「……なんだよ、それ」

女「やっぱり、そうなんだね?」

女「キミは、ボクの事を愛してなんか居ない」

女「こうして閉じ込めているのも、独占欲なんかじゃなくて、ただ苦しむボクを見たいだけなんだ」

男「……違う」

女「じゃあ、セックスしてよ!」

男「……」

女「苦しいんだよ……外に出れば、ボクはいっぱい愛されるんだ!!」

女「もしずっと、ここに閉じ込めるのなら、せめて、せめてキミだけでも、ボクを愛して……!」

男「……俺は、お前の事を、絶対に抱かない」

男「……絶対に、だ」

女「なん、で、だよぉ……」

男「……朝ごはん、食べろよ」ガチャ

女「! ッ外……!」

バタン

女「……どうして、どうしてボクを苦しめるんだよぉ……」

女「やっぱり、そうなんだね?」

女「キミは、ボクの事を愛してなんか居ない」

女「こうして閉じ込めているのも、独占欲なんかじゃなくて、ただ苦しむボクを見たいだけなんだ」

男「……違う」

女「じゃあ、セックスしてよ!」

男「……」

女「苦しいんだよ……外に出れば、ボクはいっぱい愛されるんだ!!」

女「もしずっと、ここに閉じ込めるのなら、せめて、せめてキミだけでも、ボクを愛して……!」

男「……俺は、お前の事を、絶対に抱かない」

男「……絶対に、だ」

女「なん、で、だよぉ……」

男「……朝ごはん、食べろよ」ガチャ

女「! ッ外……!」

バタン

女「……どうして、どうしてボクを苦しめるんだよぉ……」

女「……」

ガチャ

男「昼飯持ってき……」

男「……おい」

女「……」

男「……どうして、手を付けてないんだ」

女「……ハンガーストライキさ」

男「……俺が、お前を抱かないからか?」

女「わかってるじゃないか」

男「バカな強がりはやめろ。死ぬ気か」

女「強がりなんかじゃない。この先誰にも愛されない人生に未練はないさ」

男「……違う」

男「……俺は、お前を愛している」

女「あははっ!口ではなんとでも言えるよねぇ?」

男「……」

男「……昼飯を、ここに置いておくよ」

女「もう、持ってくるなよ」

女「キミに苦しめられるだけの人生なんてごめんだ」

男「……食べろよ、美味いぞ……じゃあな」ガチャ

女「……」

男「……晩飯だ……」ガチャ

男「……開かない……まさかっ!?」ガタンッ

男「くっ……開け、開けっ!!」ドォン、ドォン

男「うぉらぁぁぁ!!!!」ドォン!!!

女「……」

男「はぁっ……はぁっ……」

女「随分と騒がしいね……閉口するよ」

男「……よ、良かった……何か……早まった事をしてるんじゃないかと……」

女「……ふん、そんなキミから逃げるような卑怯な真似、する訳ないじゃないか」

女「ちゃんと、死ぬ時は、餓死してあげるよ」

男「……そんな、事を、言うな」

女「……」

男「晩飯……ぶちまけちまった……冷えてて悪いが、昼飯を食べてくれ」

男「じゃあな……おやすみ……」ガチャ

女「……」

男「……朝飯だ……今日は何も扉に立てかけてな……」ガチャ

女「……」

男「……何も、食べてないのか?」

女「……言ったじゃないか。もう人生に未練はないって」

男「……」

男「……」ヨロヨロ

男「……」ギュッ

女「……どうしたんだい?やっと、ボクとセックスする気に……」

男「……うっ……ううっ……」

女「えっ……なっ、なんだ……?」

男「お願い、だっ……食べて、食べてくれっ……」ボロボロ

男「しっ……死んで欲しく、ないっ……」

女「……っ」

男「ううっ……っ……お願い……お願いだ……」

女「あ、ああ、わかった、わかったから、泣かないでくれ!!」

男「っ……っく……ほ、本当か……」

女「ほ、ほら、見ろっ……食べて……」パクパク

女「!? っげほ、げほっ!!」

男「あっ、ああっ!ほら、水だ!」

女「んっ……んぐっ、んぐっ……ぷはぁ……!し、死ぬかと思った……」

男「何も食べてないのに、そんなに詰め込むからっ……もっとゆっくり食え……!」

女「わ、わかったよ……負けたよ、キミには」

男「み、水、あるからな……?」

女「うん……はは、久しぶりに食べると、精液がかかってなくてもおいしいもんだね……」モグモグ

男「……良かった……本当に……」

男「じゃあ、また来る……この昼飯は、こっちで処分しとくよ」

女「ああ、お願いするよ……」

男「もう、死にたいとか、言うなよな」

女「……キミの気が変わって、開放する気になるまでは生きるとするよ」

男「……それでいいんだ……じゃあ、な」ガチャ


女「……肩が、涙で濡れてる」

女「ボクが死ぬのが嫌だから、泣いたのか?」

女「キミは、ボクの事を愛しているのか、いないのか……どっちなんだ?」

――それから、一週間後


女「んっ……はぁ、はぁ……」グチュッグチュッ

女「苦しい……もう、限界だよ……んぁっ……」

女「はぁ……はぁ……欲しい……欲しいよぉ……」グチュッグチュッ

男「……」ガチャッ

女「あ……男……」

男「何してる。オナニーなんかするなって言っただろう」

女「そんな……そんなの酷いよ……ボクの体に触れない癖に……」

男「……」

女「お、お願いだよう……キミだって、キミだって、自分でしてるんだろ……?」

男「……」

女「辛いんだ……苦しいんだよ……せめて、せめておもちゃか何か……」

男「……」ガチャ

女「あっ……行っちゃった……」

女「ダメ……指なんかじゃ、全然足りない……このままじゃ、狂う……」

男「……」ガチャ

女「はぁ、はぁ……あ……男……何しに、来たんだい……?」

男「これを、使え」

女「んっ……こ、これは……バイブ!」

男「……」

女「あ、あははははっ!ありがとうっ……本当にありがとう!」

男「……」

女「さ、さっそく……ちゅっ……ぺろっ……」

男「……」

男「……」

女「んっ……どうしたんだい?出て行かないのかい?」

男「手を、握ってていいか」

女「えっ……?」

男「……」ギュッ

女「あはは、キミも好きだねっ……ボクの自慰をオカズにするんだろ……んっ……」グチュッ

男「……」

女「い、いいよ……いっぱい、いっぱい見て……ボクがイく所っ……」ウィンウィン

男「……」ブルブル

女「んっあっあっあっ……イグゥ~~~~ッッ!!!」ブルブルブルブルッ

男「っ……っ……!」ギュウウッ

女「はぁ……はぁ……久しぶりだったから……ちょっといじっただけでイっちゃった……凄かったよ……」

男「……終わったか」

女「うん……」

男「じゃあ、これは返してくれ」パッ

女「あっ……ど、どうしてだい!?」

男「どうしても我慢が出来なくなったら、また言え」

女「くっ……が、我慢できない!今、我慢できないんだ!」

男「誰が騙されるか……じゃあな」

女「あっ……い、行っちゃった……」

女「……ん?」

女「男が握りしめてた手……男が顔を付けてた所……」

女「……濡れて、る?」

男「……晩飯だ」

女「……うん、ありがとう」

男「DVD、何か希望はないか」

女「そうだな……」

男「……」

女「……ねえ、一つ聞きたいんだけどさ」

男「なんだ」

女「キミは、どうしてボクが、えっちな事を言ったり、したりすると、悲しそうにするんだい?」

男「……」

女「どうしても気になるんだ……ボクは、えっちな事をすると、心の中に幸せが、ほわーっと込み上げてくるのに」

女「キミは、なんだか、とても苦しそうにする……」

男「……」

女「単に、キミが、そういう人だから、かい?」

男「……大丈夫」

男「ゆっくり、ゆっくり思い出していけば良いんだ」

女「……」

男「じゃあな……」ガチャン

女「……わからない、わからないよ……」

女「っ……」ズキン

女「頭痛が……部屋にこもりっきりだもんなぁ……」

――それから、二週間


女「……随分と長い間、ここに居る気がするなあ……」

女「先輩達……クラスの皆……どうしてるかな……」

女「私が居なくなって、寂しい思いをしてるだろうなあ……」

女「はぁ……」

ガチャ

男「……よう」

女「あ、おはよう……今日はどうしたんだい?」

男「……今日は、読んで欲しいモノがある」ドサッ

女「……なんだいこれは……新聞かい?沢山あるね……」

男「ああ……一人の、赤ちゃんの記事が、連日載っているのに気付いたか?」

女「……へぇ、女の子の赤ちゃんが、誘拐されたのか」ペラ

男「……沢山の、沢山の人たちが、この赤ちゃんに言葉を投げかけてる……」

男「この子自身には、届いていないとしても……」

女「そうだね……」ペラ

男「……なあ、この人達は、この赤ちゃんと……したいと思っているのだろうか」

女「……え?」

男「皆、そんな感情は持たずに……心の底から、赤ちゃんの事を心配してるようには見えないか?」

女「……」

女「だからなんだい?」

女「キミは、思ったよりも頭が悪いね」

男「……どうしてだ」

女「どうやら、世の中には色んな愛ってモノがあるみたいなんだ」

女「突き放す愛、殴りつける愛、心配する愛、体を重ねる愛、体を重ねない愛、誰かの為に涙を流す愛……」

女「多分、キミも、ボクの事を愛してくれているのだと思う」

女「でも、だからなんだと言うんだ?ひとつの愛の肯定は、ひとつの愛の否定には繋がらない」

女「そして、ボクが求めているものは、体を重ねる愛なんだ……他の、どれでもなく、ね」

男「……」

女「さあ、話はそれだけかい?」

男「……ああ」

女「っはは、懐柔出来なくて残念だったね?」

男「……そうだな」

――そして、一ヶ月の時が過ぎた

女「……はぁ、さすがのボクも我慢の限界だよ」

女「なんとかして、逃げ出す算段を付けないと……皆が待ってる……」

ガチャ

男「……女」

女「わ、わっ!?」

男「……何を焦ってる」

女「う、ううん、なんでもないさ!」

男「……変なやつだ」

女「あ、あははは、それで、何の用だい?」

男「帰っていいぞ」

女「……え?」

男「……」

女「……な、何を企んでいるのかい?」

男「別に、何も」

女「で……出て行くよ?本当にいいのかい?」

男「良いと言っているだろう」

女「……」ソーッ

男「……」

女「……あ、外……扉開いてるっ!」ダッ

男「……」


女「あ……はは……眩しい……」

女「あははは!やった!やったよ!出られた、やっと出られた!」

女「あっははは、家だ!久しぶりの我が家!」

女「んっ……染み付いた精液の匂い……懐かしい……」

女「あはは、久しぶりにこの匂い嗅いだら、したくなっちゃったな」

女「……そういえば、携帯電話は、男に取られたままだな」

女「仕方ない……先輩の家に行くとするか!」






女「はぁ……足腰弱ってるなぁ……」トントン

女「おっと、ここだ、ここ!せんぱーい!」ガチャガチャ

女「……鍵かかってる……留守かな?」ソーッ

女「あ、あれ……靴はいっぱいあるなぁ……皆集まってるのかな……」

女「あはは、庭から入ろっと!」


女「おっ、居た居た!せんぱー……い……」

?「んん~~~~っ!!んぐぅ~~~!!!」ジダバダ

先輩A「おいおい、こいつまだ暴れてるぞ?いい加減に観念しろよな」パンパン

先輩B「はぁ……あいつさえ居りゃ、こんな面倒な事しなくて済むのによ」

先輩C「逃げたんじゃねーの?あんだけ色々やってりゃいくら精液漬けでもうんざりするだろ」

先輩B「ったく……だからさっさとクスリ漬けにしようぜって言ったんだよ!」

先輩C「まあまあ、こうして新しい便器もある訳だしさ!」

先輩A「そうだぜ!別にあいつじゃなくたって、良いんだよ!!」

?「んぎゅ~~~~~っっ!!!ぐぅ~~~~~~!!!」


女「……う、そ……なんで……」

女「つぅっ……」ズキッ

女「……っ……!」ダダッ

女「はぁっ……はぁっ……」

女「なんで……どうして……」

女「先輩は、先輩達は、私の事を愛して……」

女「どうして……他の……あんな……無理やり……」

女「うっ……」ズキン

女「さっきから、あ……頭、がぁ……」ズキンズキン


『んん~~~~っ!!んぐぅ~~~!!!』


女「あっ」

女『やだぁ~~~っ!!離してぇ~~~~っ!!!!』

先輩『うるせぇよ!!黙って股開け!!!』



女『っ……っ……』

先輩『随分慣れて来たみたいだな?へへ』



女『んあああっ!!気持ちいい、気持ちいいよぉっ!!!!』

先輩『ぎゃっはっはっは!!!マジ笑える!!!こいつ堕ちやがったぜ!!!!』



女『あひぃ……』

クラスメイト『大丈夫かい……女さん』

女『い……入れて……ボクを……犯してぇ……』

クラスメイト『……ゴクッ』

女「…………」

女「……ぷっ」

女「……そうか……くっく……そういう事だったんだ……」

女「くっくっく……あっはっはっはっ!!!!!」

女「あっはははははは!そうか!そうなんだ!!!」

女「壊れてたんだ……ボクは、ずーっと前に壊れてたんだ!!!!」

女「バカだな、ボクは……なんでこんな簡単な事に気づかなかったんだろう!!!」

女「あっははははははは!!!ぎゃははははははは!!!!」

女「……」フラフラ

女「……」

女「……」フラフラ

ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン

女「……」

女「……」フラフラ

プアーン

男「……おーい、居るか……」

男「……居ない……家に居ると思ったんだが……」

男「あいつらの家には居なかったし……」

男「クソッ……やっぱりまだ時期尚早だったか……!?」

男「嫌な予感がする……探さないと……!」





男「はぁ、はぁ……どこにも居ない……」

男「一体……どこ行ったんだよ、あいつはぁ……!」

男「……まさか、自殺なんて……」

男「くっ……まさか、そんな訳ないよな……」

男「……どこだ、女ぁ!!どこなんだよぉ!!!」


ポツ……ポツ……


男「雨……」

ザーザー

女「……」

男「……居た」

女「……」

男「はは……当たり。雨を凌ぐために、橋の下にいるって思ったよ」

女「……」

男「となり、いいか?」

女「……」コクリ

男「よっと……」

女「……」

男「……」

女「……キミに、謝らなきゃ、ね」

男「……どうしてだ?」

女「この前、ボクが言った事……あれ、見当違いだった」

女「全部キミが正しかったよ」

男「……」

女「ボクは、体を求められる事、それが愛だって……思っていた」

女「ううん、思うようにしていた……」

女「でも、でも……先輩たち……多分、クラスメイトも……」

女「ボクを抱いてきた、沢山の人達……彼らはボクを愛しているわけじゃなかった」

女「彼らは、ボクの体が与える快楽を、愛していたんだ」

男「……」

女「……」

男「……」

女「……ボクね、さっき死のうとしたんだ」

男「……!」

女「でも、それさえ出来なかった……」

女「もう、ボクには何にもない、何にも残されてないって、そう思ったのに」

女「電車に飛び込もうとした瞬間、キミの顔が浮かんできて……」

女「……どうしてだい?どうしてキミは、ボクを苦しめるんだい?」

女「こんなに辛いのに……苦しいのに、死ぬことさえ出来ない!!!」

女「……キミが、教えてくれなかったら、あのまま……狂ったボクのまま、幸せでいれたのに……」

男「……決まっているだろ。好きだからだ。愛しているからだ。」

女「……へへ、身勝手だなぁ……キミは……」

女「……ボクは、ボクの心は、壊されたんだ」

女「壊されてからもボクは弄ばれ続けた……」

女「でも、ボクは、壊れた心の欠片を集めてね」

女「新しい、ボクの心を作り上げたんだよ」

女「そして、皆もそれを良しとした……」

女「理解しているのか?キミは、ボクの壊れた心をもう一度壊したんだ」

女「それは、本当に愛なのかい?」

男「……わからない」

女「……はは、キミらしいね……」

男「……でも、このままじゃ、ダメだって思ったんだ」

女「うん……わかるよ」

男「……」

女「……」

ザーザー

男「……」

女「……」

男「……なぁ」

女「……なんだい?」

男「俺、引っ越すことにしたんだ」

女「……へぇ」

男「じーさんが死んでさ……山奥の辺鄙な所なんだけど、でっかい屋敷があってさ」

女「良いね……街から離れて、気ままな山暮らしだ」

男「……じーさんが残してくれた遺産のお陰で、俺は、どうやら何もしなくても、大金持ちだ」

女「……夢の様な話だね」

男「……あの、さ、それで、もし良かったら……だけど……」


ザーザー……ザーザー……

男「よいしょっと……!」ザッ

男「ふぅ……こんな山奥まで荷物を運ぶのは大変だな……」

女「おーい、男ー!」フリフリ

男「おっ、女ー!掃除終わったかー!?」

女「うん!最後の一部屋ー!終わったよー!」

男「へへ、三ヶ月もかかってやっとだ……ほいせっ!」ザッ

男「よーし、米も買ったし、今日は腕を振るうとするか!」

男「出来たぞー?」

女「おっ、美味しそうだー!」

男「さ、食ってくれ!」

女「言われなくてもっ!いただきまーす!」

男「あはは、あんまり詰め込むと喉詰まらすぞ?」

女「んぐ……っはは、心配しなくても大丈夫だよ!」

男「ならいいけどなっ」

女「……ごめんな、毎日キミに料理を作らせて」

男「良いんだよ、ゆっくり、ゆっくり覚えていけばいいんだから」

女「……そうだね」

男「おっ……そういえばさ、これ見てくれよ!」

女「ん?なになに?」

男「これだよ、これ!ついに取れたんだ、運転免許!」

女「うわーっ、頑張ったねぇ!見せて見せて!」

男「へへ……車買ったらさ、一緒にドライブしようぜ!」

女「いいねー!海、山……どこでも行けちゃうよぉ!」

男「海水浴にバーベキュー……楽しい事はなんでもしよう!」

女「うん!へへ……今から楽しみだぁ……」

女「……」

女「あ、そういえばさ、リビングにおっきな暖炉があるの、気付いた?」

男「ああ、そういえば……あるな」

女「あれ、使いたいなぁ……昔の映画に出てくる家みたいで、すっごくいいよ……」

男「はは、まだまだ夏だぞ?」

女「だっ、だから、冬になってからだよ!それくらいボクでもわかってるよ!」

男「っははは、ごめんごめん!」

女「もう……怒っちゃったもんねー」

男「おいおい、許してくれよ」

女「ふーんだ、じゃあ、明日はボクが料理を作るもんね」

男「えっ……作れるのか?」

女「作れないよっ!だから、キミにはボクの不味い料理を食べてもらうね!」

男「へへ、そりゃ楽しみだ!」

女「っはは……」

女「……」

男「……女、まだ寝てるのか?」

女「……んん、むにゃ……後、5分……」

男「ちょっと電球を街に買いに行くんだが……欲しいモノ、あるか?」

女「……お菓子」

男「わかった!じゃ、行ってくる!」

バタン

女「……」

女「……」ムクリ

男「思ったより時間かかっちまったな……もう昼だ」

男「暗くなる前に、電球付けちまうか……」ガチャッ

男「おーい、女ー!帰ったぞー!」

シーン

男「……女?」

男「おーい、女ー、どこだー?」










男「はぁっ……はぁっ……どうしてどこにも居ないんだよっ……」

男「畜生……どこに……なんで、なんで急に居なくなったりして……」ガサッ

男「ん?これは……」ガサガサ

男「……俺宛の、手紙……?」

男「……」ガサガサ

男へ
キミは、帰ってきたらボクが居なくてびっくりしてるかな。ごめん。
でも、顔を見ると、きっと挫けちゃうから、こうして手紙でボクの気持ちを伝えるよ。
誤解しないでね。ボクは、本当にキミの事が大好き。
キミとはもう離れたくないし、出来れば、このままキミと、なんでもない毎日を過ごせたらなって思う。

でもね、ボクは、君が教えてくれた事に、どうしても耐え切れないんだ。

キミの顔を見て、キミが、本当にボクを愛してくれてるって教えてくれる度に、
ボクは、ボク自身が、ボクの壊れた心が、ボクの汚れた体が、たまらなく嫌になるんだ。

正直に言うよ。ボク、ここに来てから、何度も死のうとしたんだ。
でも、その度に、あの日と同じように、キミの顔が目の前に浮かんで……出来なかった。
分かるかい?死にたいのに、死ぬことさえ出来ない、ボクの気持ち。
嫌な気持ちにさせてごめんね。でも、ここまで言わないと、多分わかってもらえないだろうから。

だからね、ボクは決めたんだ。

ボクが、ボク自身を、本当に大好きになれた時。胸を張って、キミの隣に並べるようになった時。
そんな日が、本当に来るのかわからないけど……。
その時まで、ボクはキミの前から姿を消すことにするって。

でも、もし、良かったらだけど……。
キミに、待ってて欲しい。ボクを信じて、待ってて欲しい。
もし、また会えた時には、出来れば、ボクを愛していると言ってくれた、優しいキミのままで居てほしいな。
最後まで、わがままばっかり言ってごめん。
嘘っぽく見えるかな。ボクは、キミを、愛しているよ。

ボクを愛してくれて、ありがとう。

男「……」

男「……は」

男「はは……なんだよ……なんだよ、それっ……!」

男「身勝手すぎるだろ!なんで、なんで言ってくれなかったんだよ!!」

男「料理、作ってくれるって言ったじゃねえか……!!」

男「暖炉、使おうねって……言ったじゃねえか!!」

男「色んな所に行こうねって……!!!」

男「どうして、どうして俺に何も言ってくれなかったんだ!!」

男「なんで!なんでだよおおおおおおお!!!!!」

男「うわあああああああああああああ!!!!!!!!!」

―それから、十年の月日が過ぎた。

刑事「……こんにちは」

男「ああ、こんにちは……」

刑事「……貴方が、その、彼女の心を癒やすと……?」

男「……やっぱり、信じられませんか」

刑事「いっ、いえ!ですが、思っていたより、若いな、と……」

男「大丈夫です。彼女のことは、昔から、新聞で見てきましたし……」

男「それに、彼女を、社会に復帰させるには、僕の経験が間違いなく役に立ちますから……」

男「どうすれば良いのか、どうすれば良かったのか……ずっと、そんな事ばかり考えていますから」

刑事「……そうですか……で、では……」ガチャ

???「っ……!」ダダッ

男「おおーっとぉ!!逃さないぜぇ!?お嬢ちゃん!!!」ガシッ

嬢「くっ……離せ!離しなさいってばぁ!帰る、お父様の所に帰るのぉ!!」ジダバダ

男「だーれが離すかぁ!!お前はこれから、俺と暮らすんだよぉ!!!」

男(……女、俺、頑張るよ)

男(女のお陰で、壊れた心の、触り方が、わかったから)

男(またいつか、君に会えた時に、昔のままだね、優しいキミのままだねって……)

男(そう、言ってもらえるように……頑張るから……)

おわりです。

お嬢様「いやぁぁぁぁぁ!!もう帰してぇぇぇ!」みたいなss書いた人か

>>106
うむ。

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