美希「プロデューサーのお仕事」 (46)


美希「お疲れ様でした、プロデューサー!」

P「お疲れ様、美希。ちゃんと帰ってからも身体のケアするんだぞ」

美希「うん!プロデューサもちゃんと休んでね?」



P「さて―――と」

P「美希は帰ったけど俺はもうひと頑張りだな」

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高木「身体の具合はどうかね?」

P「もう大分良くなりました。まだしばらく通院は続きますけれど……」

高木「こうして無事に戻ってきてくれて嬉しいよ。君達は我が765プロの宝だからね」

P「美希の方が何ともなくて本当に良かったです」

高木「私としてはもう少し静養してくれてもよかったのだが」

P「一刻も早く美希のプロデュースに戻りたかったので」

高木「……そうだね。美希君もいよいよランクCのメジャーアイドルだ」


P「美希を大分待たせてしまいました。遅れを取り戻す勢いで頑張ります」

高木「ランクCともなれば日本の各地で出演する機会も増える。当然疲労も負担もたまりやすい」

高木「美希君も大きな転換期を迎えている頃だ。しっかり彼女を支えてランクBを目指してくれたまえ」

P「はい!」

高木「それとだね。今後美希君がイメージチェンジするのであれば一言相談をしてくれると有難いかな」

P「あー……。それはその、すみません」

高木「いやいや。似合っているじゃないか、今の髪型も」


P「―――それじゃ来週はレッスンな。今の状態も確認しておきたいし」

美希「ね、プロデューサー。ミキは家で何をしてればいい?」

P「何って……好きな事をすればいいと思うけれど」

美希「そうじゃなくて。レッスン以外にも自分で出来ることってあるでしょ?」

P「学校の勉強とか身体を休める事とかじゃ駄目なのか?」

美希「早く他の子に追いつきたいから。出来ることはやっておきたいの」

P「そっか。それじゃあ例えば―――」

P(……ちょっと気持ちが先走ってるかな)


<ユーガットメィール!!
小鳥「プロデューサーさん、携帯なってますよー」

P「ありがとうございます―――っと」ポチポチ

<ユーガットメィール!!
P「うお」

小鳥「美希ちゃんからですか?」

P「最近頻繁に来るようになりまして」

小鳥「一応お仕事中ですからね?」

P「仕事に関するメールだからご心配なく。あ、これ今週の美希のスケジュールです」

小鳥「はい♪ ふーむ……随分レッスンの比重が高いですね?」

P「色々考えましたけど一度基本に立ち返ろうかと思っています」

小鳥「今の美希ちゃんだったらもっといろんな事が出来そうですけれど」

P「どこまで出来るか、何が出来るか。それを先ずは実感として知ってほしいんです」


ダンストレーナー「いやーPさん!最近の美希ちゃんイカしてますねー」

P「先生にも伝わってましたか」

Da.T「イメチェンした時はボクもびっくりしたけど……いやはや、変わってるのは見てくれだけじゃなかったか」

P「今はまだ何となくでしかありませんが、実際のステージで実感を掴めれば一気に広がるとみています」

Da.T「けどまだ身体が追い付いてないな。ボクらがケアしてあげないと」

P「まだまだ勉強することばかりです。今後もよろしくお願い致します」

Da.T「任せて頂戴。今は難しいけどこの調子ならいい方向に受け止められるんじゃないかな?」


テレビ局ディレクター「あのねえ、ウチが求めてんのはパッと見のビジュアルなんですよ」

TVD「それがこんなさっぱりしちゃって、これじゃ全然映えないんですよねえ」

P「申し訳ございません、事前に一言お伝えしておくべきでした」

TVD「あぁいいのいいの済んだことは。ただ今後の出演は考えさせてもらいますよ」

TVD「まあ夏にふさわしいポロリの需要はあるかも知れませんけどね!」ゲラゲラ

P「」イラッ


高木「君ぃ……早速衝突とはなかなか元気だねえ」

P「その、ついカッとしてしまって」

高木「まあこの件は私からも一言『ご挨拶』をさせて頂こうかな」


高木「ところで先日話してた美希君の今後についてだが」

P「あ、はい。こちらに方針をまとめました」

高木「ありがとう。―――ふむ」

P「時期的にも丁度いいので新曲を一つと、芝居を経験させようかと思っています」

P「特番枠なので比較的短期間に集中でき時間帯もいいです。監督も非常に信頼できる方ですし今後の為にも狙っていくべきかと」

高木「うむ、いいじゃないか。内容を詰め次第スケジュール調整に入ってくれたまえ」

P「はい!」

高木「ただプロモーションに少し掛け過ぎかな。もう少し節約してくれると助かるよ」

P「う……やっぱランクが上がるとかかるお金も増えますね」

高木「うむ。私の楽しみである珍味の探求も難しくなる」

P「………………」

高木「勿論還元する用意もあるよ。この後どうかね?」

P「御馳走になります」



P「―――ですので、次のシングルは曲調を強めにしたいんです」

作曲家「軽めのが続いていましたからそこから切り替えるのは悪い手ではないと思います」

作曲家「ただ彼女中学生でしょう?上っ面だけの言葉になりませんかね?」

P「今の星井美希はただ唄うだけじゃない。歌の世界を自分の物にすることが出来ることが出来ます」

P「ファンの皆様にも先生にも、必ず響く一曲を完成させることができる筈です」

作曲家「ふーむ……」



P「新曲についてはこれで良し、と。次は特番への売り込みだ!」バタバタ



―――――――――



―――――――――


小鳥「プロデューサーさん、MTVさんと作曲家の先生から連絡を頂きました」

P「!」

小鳥「番組出演に関する契約とレコーディングにあたっての打ち合わせ。どちらも今週中に返答を頂きたいとのことです」

P「はー……良かったぁ」

小鳥「美希ちゃんもいよいよお芝居でゴールデン進出ですね」

P「アイドルとしての知名度もこれで一気に上がります。時間をかけた甲斐がありました」

小鳥「ふふ。営業上手なプロデューサーさんのお陰かしら?」

P「え」

小鳥「新曲も今回の件も、相当熱心にアプローチしたんでしょう?」

P「美希の頑張りに比べたらまだまだです。俺もやれることをやらないと!」


美希「よろしくお願いします! ………はふぅ」ガチャ

P「これで製作スタッフの皆様へのご挨拶は済んだかな」

美希「ミキ、ちゃんと話せてた?」

P「ちょっと堅かったけど砕けすぎてるよりかはいいさ」

美希「それじゃ次のスタジオまでレッツゴーなの!」

P「まーった!その前に何か少し食べて行くぞ」

美希「ミキ達は早めに入った方がいいんじゃないの?」

P「時間に余裕は持たせてるし大丈夫だよ。美希だってそろそろお腹空いてるんじゃないのか?」

美希「その……ちょっとだけ」

P「必要な時にはちゃんと身体を休めような。『腹が減っては戦は出来ぬ』だ!」

美希「うん、わかった。収録中にお腹ぐーってなったら恥ずかしいもんね」

P「それはそれで聞いてみたい気もする」

美希「そんなの聞いちゃ、や!」


―――――――――



―――――――――


ディレクター「OK!星井美希さんクランクアップです!」

美希「はふ……。お疲れさまでした!」


監督「いい物が撮れた。ただの素人じゃなかったみたいだな」

P「監督が美希に気をかけて下さったお陰です」

監督「いきなり飛び込み営業掛けてきた時は驚きを通り越して呆れ果てたけどな」

監督「日一日と……成長がはっきりと見て取れる。この先を見たくなる逸材だ」

美希「プロデューサー!ミキ、どうだった?」パタパタ

P「ああ、良かったよ。完成品を見るのが楽しみだ」

監督「またあの子を撮らせてほしい。どんな作品でも協力は惜しまんよ」


ディレクター「それじゃあ曲紹介の後に歌っていただきますので、よろしくお願いします」

P「トリを務めるのは初めてですね」

D「今週は激戦区だったのにそれを抑えてのトップですから。期待してますよ」

カメラマン「美希ちゃんは撮り甲斐があるからなー。こっちも振ってて楽しいですよ」

P「それが美希の武器でもありますから」

D「ああ、そうだ。後日そちらに一つお話がいくかと思いますのでご検討ください」

P「?」


P「サマーフェスティバル……美希が、出られるんですか」

高木「正確には選考オーディションへの参加権かな」

P「あまりフェスの方にはアプローチしていなかったのですが」

高木「フレッシュアイドルが今回のテーマらしくてね。新曲トップと先日の特番出演を併せて美希君を推薦しておいた」

P「こんな早くチャンスが回ってくるなんて……」

高木「見事オーディションを勝ち抜き出演を果たせば今後への大きな弾みになる。活動もやりやすくなるだろう」

P「ありがとうございます、社長。このチャンス無駄には致しません」

P「アイドル『星井美希』を印象付けるためにもこのチャンス必ずものにします!!」


P(……やっぱりこれまでのステージと比べて規模も観客も桁違いだ)

P(『マリオネットの心』はアップテンポに魅せる曲、配分を考えないと体力続かないぞ)

P(けどせっかくのサマーフェスティバルだ、出来る限り大きく使いたい)

P(カメラの位置は……ここと、ここ。ここか)

P(美希だったら多分ここでアピールする。スムーズに移動できるようステップ変更しなきゃダメかな)

P(俺はこっちに動いて……あ、ダメだ。これじゃ反対側に回れねえや)

P「うーむ」カリカリ



P「―――よし、この流れで行こう!ブレイクも挟むしこっちとの疎通も取りやすい筈だ」

P(後はちゃんと俺がサポートしてやれるか……状況を見て適切に判断しないと!)


―――――――――



―――――――――



美希「はぁっ……はぁっ……。 ただいま、プロデューサー!」

P「―――」

美希「……プロデューサー?」

P「あ、ああ……ごめん。ちょっと見とれてた」

美希「あはっ、嬉しいかも。プロデューサーが喜んでくれるステージだったってことだもん」

P「なんというか……今まで見たこともないような一体感だった」


美希「あのね、前プロデューサーに『たくさんのカメラの中でどう動けばいいか』って話したでしょ?」

美希「そんな感じでファンの人たちの目を意識したら、一番ノッてくれる魅せ方が何となく伝わってきたの」

P「……あの数の目を相手にしたってのか!?」

美希「うん!まだ全然だしすごく疲れるけど……上手くいって良かったぁ」

美希「これもぜーんぶ、プロデューサーがミキを見ててくれたおかげなの!」



P(事務所でもレッスンでも一度も触れなかったのに……歌っている最中に、動きを掴んだって言うのか)

P(美希お前―――一体、どこまでやれるんだ?)


―――――――――


美希「あのね、前プロデューサーに『たくさんのカメラの中でどう動けばいいか』って話したでしょ?」

美希「そんな感じでファンの人たちの目を意識したら、一番ノッてくれる魅せ方が何となく伝わってきたの」

P「……あの数の目を相手にしたってのか!?」

美希「うん!まだ全然だしすごく疲れるけど……上手くいって良かったぁ」

美希「これもぜーんぶ、プロデューサーがミキを見ててくれたおかげなの!」



P(事務所でもレッスンでも一度も触れなかったのに……歌っている最中に、動きを掴んだって言うのか)

P(美希お前――― 一体、どこまでやれるんだ?)


―――――――――


P「おはようございまー……うわ、何だこれ!?」

小鳥「全部美希ちゃんへのお仕事です。サマフェス終わってからずっとこんな調子で……」

P「俺のメールの方もえらいことになってますね」

高木「私の方にもいくつか来ている」

小鳥「―――こ、ここって!今度日本橋に出店する海外の超有名ブランドじゃないですか!」

高木「サマーフェスティバルでの美希君のステージにはこれほどまでに訴える物があったということだね」

小鳥「ランクCの時期が一番変動が大きいとは聞きましたけれど……」

P「いざ目の前にすると気押されますね」

高木「ここから先は売り込んでいくだけでなく、手元へ届いた依頼を選別していく力も必要になってくる」

高木「より一層プロデューサーの力量が試される時期だ。内容の整理と取捨選択を怠らないように努めてほしい」

P「分かりました。えっと……小鳥さん、先日撮った写真集のサンプルあります?」

小鳥「それは―――はい、こちらになります」


P「ありがとうございます―――と」パラパラ

小鳥「相変わらず写真映りいいですね~。なんだか随分露出度が高いですけれど」

P「美希なりに考えた上で『水着を増やしたい』らしいですから」

小鳥「……美希ちゃんやっぱり大きいなあ。うぅ」

P(カメラ相手だったら分かる。もとから撮られる事は得意だったからな)ピラ

P(けどステージから観客相手に、それも万単位の視線を意識して自分を魅せるなんて)

P(それが美希の武器に成り得るなら伸ばしたい。けど……どんなアドバイスをしてやればいいんだ?)

P「―――」

P(とりあえずこの写真は焼き増しして貰おう)


P「それじゃ今日も先生来る前にやっておくか。まずは昨日の確認からだけど」

美希「ね、プロデューサー。最初から通してみてもいい?」

P「もう通してできるのか?」

美希「うん。ちゃんと合ってるかどうか見てて欲しいの」パタパタ


美希「えっと。……いち、に、さん」キュッ

P「!」

美希「に、に、さん。さん、に、さん。 ―――どう?」

P「いや、凄いよ。視線の流し方や腕の使い方に美希らしさを感じる」

美希「あは、ありがと!時間なかったからまだ全然だけど」

P(もう短時間で自分のモノに出来るてことか……)

美希「ね。2番入ってからなんだけど、ここでぎゅーってしてすぐにババーって移るでしょ?」

美希「ミキ的には、ここのぎゅーって所をギュッてして。その後ふわーって感じに広げてみたいんだけど―――」


美希『みんなー!もっともっとミキと一緒に、キラキラしようね!』


スタッフA「お疲れさまでした!今日のステージも一段と素晴らしかったです!」

P「皆さんの協力あってこその今日のステージでした。ありがとうございます」

スタッフB「いやぁしかしますます目が離せない存在になってきちゃいましたね」

A「チケットの倍率も凄いことになっていたみたいですね。電話が鳴りやみませんでしたよ」

C「整列も大変だけどステージ間近で見られるのは約得だよな、ホント」

B「それ目的でここのバイト応募増えてるしなあ……」

P(……結局全部美希一人でやりきっちまった、か。)


P「戻りました!遅くなってすみません!!」バタバタ

小鳥「おかえりなさい。あの、帰ってすぐで申し訳ありませんが先日の試算出てますか?」

P「期限は来週までじゃ……―――!?」パラパラ

P(締め切りの記入ミスってる。混同して間違えたのか!?)

P「す、すみません!今すぐ計算して―――」

小鳥「でもこれからすぐ美希ちゃんの収録でしょう?」

P「……う」

小鳥「今回は私が進めておきますから。どこまでできています?」

P「まだ、ここまでしか」

小鳥「これならまとめるだけですから大丈夫です。次気を付けて下さいね?」

P「本当にすみません小鳥さん。この埋め合わせは必ず!!」


高木「……最近の彼、少し焦りがちだね」

小鳥「お仕事の忙しさで色々な事に手が回りきってないみたいです。けど落ち着いてやればちゃんとできる筈なのに」

高木「彼も懸命に頑張っている。そう言う時こそ我々が支えて行かなければ」


監督「―――悪いがもう一度練り直してきてくれ」

監督「いくらなんでも企画が曖昧過ぎる。もっと詰めて具体的にしてくれないとこっちも動けんよ」

P「すみません、今週中に修正します」

監督「なあ、最近なんかあったのか?前までの勢いが感じられないぞ」

P「はは……。ちょっと、バタバタしてまして」

監督「……あの子について悩む気持ちは分からんでもない」

監督「けど悩むくらいなら以前のように自信を持ってアプローチした方がいい。プロデューサーが弱気だと付込まれるぞ」

P「ご迷惑を、おかけします」

監督「今月中に連絡してくれれば予定はこじ開ける。日程は好きに指定してくれ」


美希「プロデューサー、一緒に番組出てた人達に挨拶してきたよ」

P「よし、次の収録があるから急ぐぞ!」グイ

美希「ひゃっ!?ま、待って―――」

P「今回の収録は規模が大きめだし出演者も多い。早めに行って番組進行の確認とリハーサルを―――」

美希「―――ぃたっ」

P「っ! 大丈夫か!?」

美希「ミキは、だいじょぶ。けどサンダルが……」

P「……ごめん、買ったばっかりだったのに」

美希「こういうついてない日だってあるよ」

P「それでもごめん。埋め合わせは必ずするから」


美希「………プロデューサー」


美希「あ―――――。あ、あ、あ、あ、あ。あ―――――……」


Vo.T「今日も星井さん残りますか?」

P「すみません、後30分だけお願いします」

Vo.T「承知しました。私としてはここで切り上げてもいいと思いますが」

P「自分の中でまだ納得していない部分があるみたいです」

Vo.T「納得、か。以前は如何に早く終わらせるかを考えてばかりにしか見えませんでしたね」

P「どこまでも行ってしまうような気がします。俺の手なんて……及びもしない所まで」

Vo.T「道を照らしてくれる存在がいたからこそここまで来れたのでしょう」

P「………。全部美希の頑張った結果ですよ」


―――――――――



―――――――――


小鳥「プロデューサーさん、どうかしましたか?」

P「でかい会場だな、と」

小鳥「トップアイドルへの登竜門……遂に美希ちゃんもここまで来たんですね」

P「それがこの武道館……か」

小鳥「ふふ。なんだかこっちまで緊張してきちゃいます」

スタッフ「765プロさーん!物販の搬入についてお伺いしたいことが」

小鳥「はい!それじゃプロデューサーさん、また後で」パタパタ


P「こんなデカイ場所で……美希が、歌うのか」


高木「おや」

P「!」

高木「遅くまでご苦労様。作業の邪魔をしてしまったかな?」

P「いえ……丁度一通り確認し終わった所ですから」パタパタ

高木「美希君の武道館、いよいよ明日だね」

P「その、社長も来られるとお伺いしましたが」

高木「君たちの晴れ舞台だからね。最前列で応援させてもらうつもりだ」

P「ご期待を裏切らない様頑張ります。じゃあ戸締りを―――」

高木「ところでまだ少し時間はあるかい?どうだろう、休憩がてら一杯」

P「……前日に酒はちょっと」

高木「ただのお茶菓子だよ。君も暫く作業していたのだろう?」

P「でしたら……お言葉に甘えて」


P「―――美味い」

高木「それはよかった。ここの金唾は絶品でね」

P「これも社長の珍味の探求とやらの成果ですか」

高木「うむ。君のこれまでの働きが、今日の金唾に繋がっていたと言う訳だな」

P「還元される機会がそれ程無いように思いますが」

高木「確信が持てる逸品を振舞いたいからね。それに、明日見られる素晴らしいステージの前祝もある」

P「―――」

高木「やはりまだ心配ごとでもあるのかね?」

P「い、いえ!そんなことないです。大丈夫ですよ」

P「明日のため入念に準備してきましたし、美希のコンディションもほぼ万全です」

P「会場万全、天候良好。問題はほぼありません。後は……大丈夫です!」

高木「『大丈夫』、か。私には君が自分に言い聞かせているように聞こえるよ」

P「―――っ」


高木「美希君が君の事、心配していたぞ」


美希『ね、社長。プロデューサー……何か悩みごとでもあるのかな』

美希『ミキ、これまでたくさんプロデューサーさんに助けてもらったから。今度はミキがプロデューサーさんの力になりたいの!』


P「……直接言ってくれればいいのに」

高木「彼女も自分が今やるべきことを分かっている。君からの言葉を待っているんだろう」

P「―――。 正直言うと、自信がありません」

高木「それは会場のコンディションや美希君の状態が万全ではないということかね?」

P「美希は問題ない!ダメなのは……俺の方です」


P「あの日から美希はどんどん伸びています。懸命に努力するようになりましたし仕事を投げ出す事も無くなりました」

P「分からない事を出来るようになる為に熱心に聞いてきてもくれます。けど……どう教えてやればいいのか、分からなくて」

高木「ふむ」

P「レッスンの精度もステージのパフォーマンスも、俺が考えるより美希がやった方が素晴らしいものが出来てしまうようになっています」

P「何か力になれればとは思っているんですが……最近では、俺の方が足を引っ張ってばかりで」

高木「確かに傍目から見ていても今の君は焦り過ぎだね」

P「俺……ダメですね。満足に仕事も出来ないで、仕舞いには担当アイドルを不安にまでさせて」


高木「それなら、美希君に聞けばいい」

P「え」

高木「ステージに立った時君がどこに居れば安心できるのか、それは美希君が一番知っているだろうからね」

P「明日本番なのに余計混乱させないでしょうか」

高木「だが聞かなければ、何もわからないままだ」

P「………」

高木「不安な姿を見せたくない気持ちもわかる。けれど一番不安なのは、近くに居るのに遠くに感じられることだ」

高木「プロデューサーはアイドルに教えるだけではない。アイドルから学びながら、二人で壁を越えて行くものだと思っているよ」


『一生懸命落とされないようにするから。いろいろ助けてね?』

『ああ。力を合わせて、一緒に乗り越えて行こうな』


P(……そういったのは俺だったっけな)


高木「確かに今の君に技術的な指導は難しいかもしれない」

高木「けれど美希君の心に寄り添い言葉を交わす事は、今の君にしかできない事だ」

P「……俺、美希に格好悪い所見せたくなかっただけかもしれませんね」

高木「技術的なことはこれから学べばいいさ。かつて美希君がそうだったようにね」

P「情けない事ばかり言ってすみません、社長」

高木「ここ最近碌に話も出来ていなかったからね。私としても君と話せて良かった」

高木「それに明日の詳細は私も見たがほぼ問題ない。だから君は君が出来る最善を尽くしたまえ」


高木(なに、いざとなったら私が一肌脱ごう。実は最近従弟から手品を習っていてね)

高木(後ろには音無君も私もいる。大船に乗ったつもりで安心して欲しい)


<プルルルル
P「!」

P「……そういや最近、メールも碌に返してなかったんだな」

P「―――」ピ、ポ、パ

P「こんばんは美希。遅くなってごめん―――」


――――――――――



―――――――――


P「―――そろそろ本番だ。準備はいいか?」

美希「いよいよだね。やっぱりちょっと……ドキドキしてるかも」

P「俺もドキドキしてる。情けないけどさ、足震えてんだ」ケラケラ

美希「ね、プロデューサー」

P「うん?」

美希「ありがと、プロデューサーの本当を話してくれて」

P「それはこっちの台詞だよ。見栄ばっか張って、美希のサンダルまで駄目にしちゃったし」

美希「全くなの!あのサンダル、すっごくお気に入りだったんだからね?」

P「ホントごめん。このライブが終ったら新しいの買いに行こうな」

美希「でもね……昨日の電話で、もっとプロデューサーに近づけた気がするの」

P「多分この先、もっと美希に聞くことが増えると思う。その時は……よろしくお願いします」ペコ

美希「あはっ☆ こういうのってなんかいいパートナーってカンジかも♪」

P「けど見てろよ。そのうち格好いいプロデューサーとして拝み倒させてやるからな」


美希「それじゃ、行ってくるね」

P「おう」

美希「ミキ、プロデューサーの事信じてる。だから……ずっと見ててね!」

P「ああ。俺も美希の事を信じてる」

P「美希ができる精一杯と俺ができる最善を尽くして、この先のステージを越えていこう」



―――――――――

――――――

―――


P「―――うーむ」

小鳥「またメール見てるんですか?」

P「っと、小鳥さん」

小鳥「先日発売の写真集、35万部突破したみたいですよ」

P「まだまだ伸びそうだなあ……。追加の発注かけておきます」

小鳥「アイドルランクもBに昇格しましたし、美希ちゃんもいよいよスーパーアイドルの仲間入りですね」

P「けどまだまだここからです。ガンガン攻めまくって更なるランクを目指します!」

小鳥「その意気ですよ、プロデューサーさん♪」

P「あそうだ。ちょっとお聞きしたい事があったんですけれど」

小鳥「?」


P「『ハニー』てあるじゃないですか、呼び方で」

小鳥「はい」

P「男性が『ハニー』って呼ばれたら、女性に『ダーリン』って返さなきゃダメなんですかねえ」

小鳥「………何の話ですか?」



おわり

以上でおしまいです。ここまでありがとうございました。

本編では割とあっさりでしたが、あそこまで覚醒したら
プロデューサー側にも感じる所があると思ったので。

酉が変になっちゃってますが、>>18>>17の訂正です。ご了承ください。

なるほど…乙

乙です

おつ


良い着眼点、良い説得力だった

乙、良い話だった。
やっぱ、美希は良いな覚醒も含めて 掛け値無しに

やっぱり無印も良いな

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