ベルトルト(魚が食べたい)(141)

食堂 昼食

ベルトルト(さて、今日の昼食は)

ベルトルト(トースト、緑のポタージュスープ、キュウリとトマトのポテトサラダ)

ベルトルト(……そして、チキンソテーだ)

ベルトルト(嬉しい肉だけど、見た目はやたら脂っぽい)

ベルトルト(となると、清涼感のあるポテトサラダがカギになりそうだ)

ベルトルト(とはいえ、まずは食べてみないとな)

ベルトルト(それじゃ……)


ベルトルト(頂きます)

前作 ベルトルト(グリーンピース入ってる) - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/lite/read.cgi/internet/14562/1370360753/l30)

あと今回食事シーンが無い


あれから幾ばくかの月日が流れた。

今日も僕は、命を頂いて生きている。

この時代、決して豊かとは言えないけど、それでも食っていけないことはない。

おかげで僕は、僕達は、今日も元気に生きていける。笑いあえる。

ただただ、有難い。

だから僕は今日も、明日も、出来ればずっと、

真剣に食卓と向き合う。向き合っていきたい。


おかげで僕も皆も今日も健康だ。

ライナーも元気だ。相変わらずどうしようもないうんこ野郎で、

まるで雑巾みたいに生きているアホで救いようのない彼だけど、

それでも僕の親友だ。元気でいてくれて僕も嬉しい。

あと、なぜかクリスタと若干話す機会が多くなった。気がする。らしい。

訓練でもたまに組む。図書室で一緒に勉強することも割とある。

未だにクリスタが何考えて生きてるのかわからない。基本的に女って怖い。

それで思うことも無いわけじゃないが、そのせいでライナーとか男連中によく絡まれる。

その様は、まるでうんこと金蝿の関係のように思えて、面倒臭いけれど微笑ましい。

やっぱ面倒臭いだけだわ。うんこ臭い。

本当にどうしようもないな君たち。

だから童貞なんだよ。僕もだけど。

昼食後 食堂 自由時間

ベルトルト「……」ボーッ

ベルトルト(やること無いな……)ボーッ

ベルトルト(ライナーは……、どっかいったのか……)キョロキョロ

ベルトルト(一声くらい掛けてくれともいいのに、……いや)

ベルトルト(そういや、昨日ライナーにまた絡まれたんだった)

ベルトルト(捨て台詞が確か……)

ベルトルト(『うるせーばーかっ! ちょっとクリスタと仲いいからってな……』)

ベルトルト(『もう! 頼む、一発でいいから殴らせてくれないか……?』)

ベルトルト(『ホホ? ウホホ? ウッホホーイ!』とかそんなん……。ちょっと違うけど、もうこれでいいや)

ベルトルト(なんかもう最近はゴリラのイメージしかないな。凄くしっくりくる)

ベルトルト(まさかまだ根にもっていたのか……?)

ベルトルト(めんどくさいな……。というか言うほど僕ら仲良くないだろ……)

ベルトルト(まあどうでもいいや。今からどうしよう……)

ベルトルト(取り敢えず男子寮に行くか……)ダラダラ

男子寮

ベルトルト「……」ガチャ


ワイワイ


ベルトルト(賑わってるな……)

ベルトルト(なんかやってるみたいだ。アレは……)


アルミン「……」ジッ

マルコ「……」ムーン

ベルトルト(将棋か……)

ベルトルト(ちょっと興味あるな。じっくり見てみよう)テクテク

ベルトルト(……)ジーッ

ベルトルト(持ち駒はトントンだけど、アルミンがいいのが多いな)ジーッ

ベルトルト(盤面が……、なんだこれ? なんか凄いばらけてる)ジーッ

ベルトルト(膠着……、してる? 詳しくないから全然わかんないな)ジーッ

マルコ「……」パチッ

アルミン「……」ウデクミ

モブa「……」カチッカチッ


ベルトルト(あ、動いた)

ベルトルト(そういや時間制限とかあるのかな……。今なんかしてたし)

ベルトルト「ねえ」

モブb「ん?」

ベルトルト「これ持ち時間あるの?」

モブb「おお。二十分で、今はえーと……。お互い大体十分使ったくらいか」

ベルトルト「ありがとう」

ベルトルト(ということは、そんなに長考できないってことかな……?)

ベルトルト(まあしばらく観戦してみよう)

マルコ「……ありません」

アルミン「……」ッフー

マルコ「ありがとうございました」

アルミン「ありがとうございました」


ベルトルト「……」

ベルトルト(高度過ぎて全然わかんなかった……)

ベルトルト(なんでマルコが負けたかすらわかんない。これって詰んでるのか……?)

ベルトルト(でもわかんないなりに面白いもんだな。観戦するの楽しい)

ザワザワ


ベルトルト(……ん?)


「しゃっ! アルミン安定だな!」

「ざっけんなよクッソ! 折角期待してマルコに賭けてたのによー……」

「よーし換金するぞ。倍率は……」

「飯とか日用品でもオッケーだ。品当たりで換算すると……」


ベルトルト(……賭けてたのかよ)

ベルトルト(折角いい試合見たのに、なんか胸糞悪いな……)

ベルトルト(腹立ってきた……)

ベルトルト(まあいいや。マルコ達と話そう)テクテク

小休止

川があるなら川魚もいるだろ
川くらいあるよねあの世界 でも たぶん

再開

ベルトルト「お疲れ。マルコ、アルミン」

マルコ「あ、ベルトルト」

アルミン「来てたんだ」

ベルトルト「途中からだけどね」

ベルトルト「素人だからよくわからなかったけど、いい試合だと思った」

ベルトルト「二人ともよくやるの? あまり見たことないけど」

アルミン「たまにね。僕らが始めたのは割と最近だけど」

マルコ「倉庫に転がっててね。二人で始めたんだ。戦術の鍛錬になるかと思って」

ベルトルト「二人とも相変わらずだなぁ。指南書とかあるの?」

アルミン「あ、興味ある? 図書室にあったから借りてきたよ」

ベルトルト「ちょっとね。やるかどうかは分かんないけど、空いたら貸してくれる?」

マルコ「僕らはもう大体読み終わったから……。いいよね?」

アルミン「うん。後で渡すよ」

ベルトルト「ありがとう」

アルミン「なんだか嬉しいな。こうして興味持ってくれる人が増えると」

マルコ「うん」

ベルトルト「はは……。あんまり期待しないでね……?」

「よう」


ベルトルト「え?」


ライナー「……」ザッ

ベルトルト「あ、ライナー」

ライナー「……」

ベルトルト「どうしたの?」

ライナー「ほう……? ベルトルト、将棋に興味があるのか?」

ベルトルト「あ、うん。面白そうだし、見てて凄く白熱してたから」

ライナー「ほう? なるほどな……」

ベルトルト(……なんか、なんだこの、口調? なんだろ、なんかキモいな……)

ベルトルト(なにか企んでる? 嫌な予感がするな……)

ライナー「……アルミン達に教えてもらったらどうだ?」

アルミン「え?」

ライナー「ルールはわかるのか?」

ベルトルト「あ、うん。大体のルールとか、駒の動かし方くらいはなんとなく」

ライナー「そっちは結構慣れてるのか?」

マルコ「僕ら? そうだなあ……」

マルコ「始めてから大体三ヶ月くらい立つし、どうだろ?」

アルミン「うん。僕らで良ければ」

ライナー「決まりだな」

ライナー「じゃあ早速、どちらかと一戦してみたらどうだ?」

ベルトルト「え、いきなり……?」

マルコ「まあ、習うより慣れろっていうしね。いいと思うよ」

アルミン「ホントは同じくらいの力量の人同士でやるのが一番なんだけどね」

ライナー「まあいいじゃないか。どっちがやる?」

マルコ「うーん……。頼めるかい?」

アルミン「僕? わかった。宜しくベルトルト」

ベルトルト「う、うん。」

マルコ「アルミンは教えるの上手いからね。この役は僕より適任だ」

ライナー「よし。じゃあ俺はあちらで観戦するとしよう……」スタスタ

ベルトルト(な、なんなんだ? 流れるように対局が決まってしまった)

ベルトルト(何を企んでいるんだライナー、彼の動きに注意しないと……)

アルミン「じゃあ、早速始める?」

ベルトルト「あ、う、うん。よろしくお願いします……」

アルミン「あはは。なんか強引だったね、ライナー」

アルミン「ええと、どんな風にやろうか……。取り敢えず横でマルコに見ててもらって……」

ザワ……


アルミン「ん?」

ベルトルト「……!?」


「さあ張った張った!!」

「よし! じゃあ俺はベルトルトだ!!」

「マジかよ。大穴だな」

「アルミン頼んだぜ~……」

「さっきは負けたからな。やっぱここは安定のアルミンでいくか……」


アルミン「なっ……!?」

マルコ「え、ええ!?」

ベルトルト(な……!? 賭けが始まっている!?)

ベルトルト(まさか……!!)

ライナー「……」ニヤニヤ


ベルトルト(やはりライナーか……!)

ベルトルト(僕らが対局しようとしてから、レスポンスが早すぎる! この連中を動かしたのは間違いなくライナーだ!!)

ベルトルト(しかし……)

ベルトルト(流石にこれは無い! アルミンかマルコが止めるはず……)


アルミン「……」

マルコ「……!?」キョロキョロ


ベルトルト(……!? これは……)

ベルトルト(アルミンの様子が変だ。動く気配が無い。なにか考えてる様子だ)

ベルトルト(マルコは……、この状況と、アルミンの態度が気になって動けないみたいだ)

ベルトルト(ライナーの狙いについて、アルミンはなにか察しているのか……?)

ベルトルト(だとしたら、何故君がこの流れを許すんだ……?)

ベルトルト(ライナーとアルミンが共謀しているようには見えなかったぞ。アルミンは本当に驚いている様子だった)

ベルトルト(……ライナーの狙いはわからない。しかし……)

ベルトルト(ライナーはアルミンが静観することが分かってたんだ。そう考えるのが自然だ)

ベルトルト(とすると……。僕を嵌めることで、二人が得をする、なにかがある……?)

ベルトルト(……)

ベルトルト(え? まさか……。いや、でも……)

ベルトルト「……」

ベルトルト「……クリスタ」ボソッ


アルミン「」ピクッ

ライナー「」ピクッ


ベルトルト「……」

ベルトルト(……嘘だろ!?)

ベルトルト(ライナーはともかく、君はもっと聡明な人間だったはずだろう!?)

ベルトルト(……ああ、でも。男連中でそういう動きがなかったわけじゃなかったな……)

ベルトルト(『イチャイチャしやがって。あいつやっちまおーぜ』的な、アレが……)

ベルトルト(童貞をこじらせると、アルミンですらここまで屈折するのか……?)

ベルトルト(君らまだ十代だろう……? なんか悲しくなってきた……)

ベルトルト(……恐らくライナーの目的は、この状況で僕を惨敗させ、僕に恥をかかすことだ)

ベルトルト(だからライナーは賭けを始めさせて、見物人を充分に集めた)

ベルトルト(まあそれならそれでいいや……。ここは僕が泥をかぶろう)

ベルトルト(まあそれで、しばらく連中が大人しくなればいいやもう)

ベルトルト(あー……。なんか既に凄い疲れた……)

ザワザワ


「おせーぞ!」

「こっちは待ってんだ! 早く始めろー!」


アルミン「ご、ごめんね……? なんか変な流れになっちゃって」

ベルトルト「しょうがないよ。ここまで場が湧いちゃったらもう止められないし」

ベルトルト「仕方ない。始めよう。こうなったら手加減はしなくていいよ」

アルミン「……わかった。じゃあ悪いけど本気でいかせてもらうよ……!」

マルコ「い、いいの? ベルトルト」

ベルトルト「いいよいいよ。気にしないで。ね、アルミン」

アルミン「……」ニコッ

ベルトルト(うわっ)

ベルトルト「あ、じゃあ……、お願いします」

アルミン「お願いします」


ザワッ

ベルトルト(……)

ベルトルト(なにから動かせばいいんだ?)

ベルトルト(まあ適当でいいや)パチッ

アルミン「」パチッ

ベルトルト(早っ)

ベルトルト(あー、でもアレだな……。さっきの様子から察するに)

ベルトルト(最初、アルミンはまだ非情に徹しきれてなかった。恐らく……)

ベルトルト(すぐにアルミンはライナーの意図を察した。そして僕と似たような予想を立てた筈だ)

ベルトルト(アルミンはライナーと共感を示しつつも、ここまでやっていいものかと迷っていた。んだと思う)

ベルトルト(で、僕に自分の気持ちを看破されたことを察した。クリスタ発言で)

ベルトルト(そして僕と同じくこの場の落としどころを決めた。あの笑顔は、やるからには本気でやるという覚悟を示してきたんだ。多分)

ベルトルト(まあライナーじゃあるまいし。アルミンはまっとうな思慮をもった人間だからな)

ベルトルト(あー、どこに指せばいいんだ? えいっ)パチッ

アルミン「」パチッ

ベルトルト(ほんと早いな)

ベルトルト(もういいや。取り敢えずなんとなく適当に打とう)パチッ

アルミン「」パチッ

ベルトルト「……」パチッ

アルミン「」パチッ


ザワザワ


「この勝負、見ものだな……」

「ああ……。なんせこの二人の対決だ……」


ベルトルト(なんだ? なんか変に注目されてるな)

ベルトルト(アルミンはともかく、僕にそんな注目される要素あったっけ)

「一人は『軍師』だ。俺らの知る中でも最高の棋力をもつ男……」

「ああ、その実力はこの中の誰もが認めている……」


ベルトルト(軍師って……、もしかしてアルミンのこと?)

ベルトルト(なにそれ二つ名? 確かにピッタリかもしれないけど、言ってて恥ずかしくないの?)


アルミン「……」


ベルトルト(あ、やっぱり本人は恥ずかしそうだ)

ベルトルト(というかそんな呼ばれ方してたとか知らなかったな……。僕人見知りだし、あんま皆とそういう話しないし……)

ベルトルト(悲しくなってきた……。なんだこの疎外感……)

「そしてもう一人では……」

「ああ、最近になってその頭角を現してきた……」

「『食事台の軍略家』、『魔術師』、『エンターテイナー』、『食卓のリアリスト』……」

「あのベルトルトがここで参戦してくるとはな……」

「奴がどんなマジックを俺達に披露してくれるのか……」

「ああ、楽しみで仕方ねえ……」


ベルトルト(誰だよ。リアリストとか)

ベルトルト(あ、僕か)

ベルトルト(……)

ベルトルト(え?)

ベルトルト(え? ……え!?)

ベルトルト(え!? なんで僕にそんな二つ名がつくの!?)

ベルトルト(身に覚えが全くないぞ!? 普通に考えたらサシャじゃないのか!?)

ベルトルト(ていうか二つ名多いな!! 多分君たち完全に悪ノリで決めただろ!!)

ベルトルト(しかもなんかそのせいでハードル上がってるし……)

ベルトルト(食事台の軍略家ってなんだよ。将棋と関係あるのか……?)

ベルトルト(ないよな……。僕がここで将棋やったの初めてだし……)

ベルトルト(もうホント止めてよ……。ホントイヤになってきた……)

ベルトルト(もう疲れた……)

このあと、僕は普通にボロ負けした。

僕達の戦いに期待で胸を躍らせていた観客たちは落胆を隠せなかったらしく、

彼らや、賭けに負けた人達、クリスタ関係で僕に嫉妬していた連中の鬱憤がここにきて爆発した。

小さなブーイングから始まったそれらは連鎖的に沸き起こってゆき、

最後には聞くに耐えない罵声と怒声が飛び交う、まるで阿鼻叫喚の地獄絵図の鬼達のような有様になった。

僕は何かを人に言い返すことが得意な人間じゃない。こうなってしまったら僕には止めようがなかった。

そしたらなんかライナーがキレだした。

最初ニヤニヤして観客を煽っていたライナーだったが、

次第になんかオロオロしだして、それが怒気を含めた表情に変化してゆき、

最後には凄い剣幕で皆に説教し始めた。

僕としては彼が説教することに違和感しかなかったが、

さすが皆の兄貴ライナーさんである。見事に場を沈静化させた。

そのあとしばらくして、アルミンとライナーが入れ替わるようにして僕に謝ってきた。

アルミンは自分の嫉妬心をさらけ出した上で、僕に現在の男子達の状況を説明してくれた。

どうやら一定数の人間が僕に対して嫉妬しているらしい。

その中には結構危ない思想の連中もいて、近々ガス抜きの必要性を感じていた彼は今回のアレをしたらしい。

結構僕のことも考えて動いてくれていたみたいで、僕の中で凄い好感度上がった。

人間臭いとこも含めて、彼は聖人かなにかに違いないと思う。

ライナーは完全にその場の勢いと嫉妬心だけで動いていた。

僕達が集まっているところを見て、その場であの作戦を思い付いたらしい。

最初はちょっと痛い目あわせてやるー、とか簡単に考えていた彼だが、

思ったよりブーイングが激しかったらしく、なんか実際に僕が罵声を浴びせられるところを見ていて死ぬほど頭にきたらしい。

だから君はライナーなんだよ。でもそういうとこが嫌いになれない。卑怯だろこいつ。


あと、僕の謎の代名詞について二人に尋ねてみたところ、微妙な笑顔だけ返された。


まあ、なんだ。


夕食で旨い物が出たらいいな……。久しぶりに魚が食べたい……。



ベルトルトが阿鼻叫喚の地獄絵図とか鬼とか知っている筈がないよね
宗教が壁のアレしかないみたいだし

続きはほら、君たち皆の心の中にあるとかそんなアレで まあ気が向いたら書く

この世界でも将棋というか盤上遊戯はあると思うけど多分それは日本の将棋とは違うんじゃないでしょうか……?
故に将棋の描写とか書けるわけねーだろ というか僕が将棋よく知らない
違和感とか言われても……何? 心情を説明すればいいの? 恥ずかしいんで無理です

あ、そうなの……
じゃあ将棋=チェスみたいに補完しといて下さい
あんま原作読み込んだ訳じゃないんで アニメ見てないし なんかすいません

投稿する

ライナーがうんこっていうか
ライナーはゴリラだからうんこ投げつけてくる
よってライナーはうんこ野郎ってことで
話をまとめるとライナーはうんこってこと

その後 休憩時間 食堂

ベルトルト(あー、どっと疲れた……)グダー

ベルトルト(もうすぐ休憩終わっちゃうじゃないか、全然休んだ気がしない……)

ベルトルト(……)ハァー

ベルトルト(……えーと、次の科目なんだっけ。確か……)

ベルトルト(……あー、格闘術だっけ)

ベルトルト(出来れば講義とか技巧とかそっちのがよかったな……。兵站行進とかよりいいけど)

ベルトルト(今なにもしたくない……。ダラダラしたい……)

ベルトルト(……)

ベルトルト(寝たい……)グダグダ

ベルトルト(……)

ベルトルト(あー……、格闘術、誰と組めば楽かな……)

ベルトルト(……)

ベルトルト(なんか男子はアレだな……、クリスタ絡みのトラブルが起きそうでなんか……)

ベルトルト(あの人達の人間関係なんか知らないし、普段話とかしないから……)

ベルトルト(……)

ベルトルト(女子は……、アニとクリスタくらいしか組めそうな人がいないな……)

ベルトルト(今回はクリスタはないとして、やるとしたらアニか……)

ベルトルト(……)

ベルトルト(取り敢えずアニは置いとこう……。アニ怖いし。あの目が未だに慣れない)

ベルトルト(何考えてるかわかんないんだよな。僕が言えた話じゃないけど)

ベルトルト(……)

ベルトルト(駄目だ。全然頭回んない)

ベルトルト(……)ハァー

ベルトルト(ホントなんでこんなことになったんだろ……)

ベルトルト(好きなら話しかけるなり告白するなりすればいいだろ……。なんで僕が責められるの……)

ベルトルト(僕別にクリスタに積極的に関わってる訳じゃないのに……。ただなんとなく、流れでそうなっただけっていうか)

ベルトルト(大体僕だけが特別クリスタと仲いいって訳でも無いだろ、多分……。あの子、人によって態度変えるとかしなさそうだし)

ベルトルト(……)

ベルトルト(かといってさあ、君らがそうだからって、僕からクリスタと距離置くのもなんか……)

ベルトルト(それってなんか筋が違う気がするし……。なんで僕が後ろめたい気持ちになんないといけないのさ……)

ベルトルト(なんか腹立ってきた……)

ベルトルト(……)

ベルトルト(……よし)フゥー

ベルトルト(忘れよう! 取り敢えずこの問題は忘れる!)

ベルトルト(正直めんどくさいし! 大体人間関係の問題とか僕の管轄外だろ!!)

ベルトルト(僕はアレだ! ご飯のこととか趣味とか勉強とか仕事とかの事だけ考えればいいんだ!!)

ベルトルト(そういうことだけ考えて生きていきたい!!)

ベルトルト(うん! 取り敢えずもうそれでいいや!!)

ベルトルト(この話おーわり!!)

ベルトルト(……)

ベルトルト(で、誰と組もう)

ベルトルト(気持ちを切り替えたのはいいけど、目下のソレがまだ解決してなかったな……)

ベルトルト(……)ムー

ベルトルト(パッと思いつく中で大丈夫そうなのは……)

ベルトルト(ライナーとかアルミンとか、マルコ、それにコニーとかジャンとか……。なんだ、結構挙がるな)

ベルトルト(ライナーとアルミンは今回は無しだな……。ひとまず問題から距離を置きたい……。思い出したくない……)

ベルトルト(マルコ……。マルコはいいな。彼、癒し系のオーラが半端ないし。癒されたい)

ベルトルト(癒し……)

ベルトルト(……あ)

ベルトルト(エレン……)

ベルトルト(エレンは……、エレンはいいな……!)

ベルトルト(もうなんの問題もなかったかのように、真面目に訓練に付き合ってくれそう)

ベルトルト(そういう意味での彼の癒しオーラに勝る者がいないからな)

ベルトルト(なんの悪意もない笑顔で『ベルトルトすっげーな!』とか褒めてくれる場面が目に浮かぶ……)

ベルトルト(よし。エレンで決まりだ)

ベルトルト(先を越される前に頼みに行こう……)テクテク

料理しつつ犬の散歩しつつおじいちゃんの携帯のバイブ設定直してくる

再開
おじいちゃんはバイブ設定を自力で直した

男子寮

ベルトルト「……」ガチャ

ベルトルト「……」

ベルトルト(よし、さっきの騒ぎはもう静まってるな)

ベルトルト(エレンは……)キョロキョロ


エレン「ははは……」


ベルトルト(いた)

ベルトルト「エレーン」スタスタ

エレン「ん?」

ベルトルト「今ちょっといいかな?」

エレン「おう。なんだ?」

ベルトルト「次の格闘術、組んで欲しいんだ」

ベルトルト「空いてるかな」

エレン「おお。いいぞ」

ベルトルト「じゃあ宜しく……」

ベルトルト「……!?」

アルミン「……」

ベルトルト(なんだアルミンのこの目)

アルミン「」ニコッ

ベルトルト(あ、なんか多分僕の思惑感づいてるな)

ベルトルト(察しよすぎるだろこの子……。怖い)

午後 格闘術

エレン「よっしゃ。いいぞー」バシッ

ベルトルト「……」コク

ベルトルト「……」ダダダッ

ベルトルト(まずは牽制の薙ぎ……)

ベルトルト「ふっ!」ヒュッ

エレン「……」グワッ

ベルトルト(む……)ピタッ

ベルトルト(両の掌を前に出した鉄壁の構え)

ベルトルト(こちらの薙ぎや突きを逸らして、同時に袖を掴んでくる)

ベルトルト(袖を取られたらあっという間に引き寄せて投げに入ってくる)

ベルトルト(エレンはこういうのが上手い。なら……)

ベルトルト「せっ」ヒュヒュン

エレン「おっ……」ピタッ

ベルトルト(手首や肘の返しを利用した、弧を描くような撫で切り。それを絶え間なく放つ)ヒュヒュ

ベルトルト(小回りの利くこれなら、簡単に袖は取れない)ヒュヒュン

ベルトルト(こちらの方が間合が広い。体を半身にして更にそれを拡げる)ヒュヒュヒュ

エレン「くそっ!」タジ

ベルトルト(あとはひたすら圧力を掛ける!)ヒュ

ベルトルト(隙を見つけたらそのまま撫で斬りか突きで仕舞いだ!)ヒュヒュヒュヒュン

ベルトルト「はっ! せっ!」ヒュヒュン ヒュヒュン

エレン「……」

エレン「だらっ!」バッ

ベルトルト(強引に前に出てきた! ナイフを平手で払うつもりか!)

ベルトルト(でも甘い! 一旦肘をたたんで、返しの薙ぎで前に出た手を落とす!)グッ

エレン「」スカッ

ベルトルト(よし……)

エレン「……」グググッ

ベルトルト(!? 更に前に出た……!?)

ベルトルト(ち、近すぎて僕の間合じゃない! これじゃ突きも薙ぎも……)

エレン「ぜぁっ!!」バシッ

ベルトルト「あっ……」カラン

ベルトルト(返しの裏拳でナイフを叩き落とされた……)

エレン「よっしゃ! 勝ったぜ!!」

ベルトルト「……やっぱりエレンは強いなあ」

ベルトルト(腹立ってきた)

ベルトルト「いいとこまでいったと思ったんだけど」

エレン「いや。それでも凄いぜベルトルトは」

エレン「あのなんだ? ヒュンヒュンする奴とかすげーやりづれーし。驚いた」

ベルトルト「エレンの防御が硬かったからね。軽くて広い手にしたんだけど」

ベルトルト「まさかあそこで前に出てくるなんてね」

エレン「ああすればいけると思ってな」

ベルトルト「まだ隙があったみたいだね」

エレン「そうだなあ。ベルトルトは割と動きが読み易いとこがあるかな」

ベルトルト「え……」

ベルトルト(なんだこの……、なんだこの感情……)

ベルトルト(君からそんな台詞を聞くなんて)

ベルトルト「そうなの……?」

エレン「おお。フットワークつーの?」

エレン「足の動きとか見ると割と予想がつきやすい、かな。重心っつーか」

エレン「うまく説明できないけど、その辺がまだ改善できんじゃねーか」

ベルトルト「なるほど」

ベルトルト(……)

ベルトルト(……ああ、なんかコレ……)

ベルトルト(エレン優しいな……。凄い癒される……)

ベルトルト「わかった。ちょっとその辺考えてみるね」

ベルトルト「ありがとう」

エレン「おう!」ニカッ

ベルトルト(抱きしめたい)

食堂 夕食

ベルトルト(やっと夕食だ)

ベルトルト(今日はなんだか異様に長かった気がする……)

ベルトルト(コレ食べたらもう速攻寝たい)

ベルトルト(……)

ベルトルト(うん。食べよう)

ベルトルト(さて、今日のご飯は)

ベルトルト(なんとメン類。これはペペロンチーノパスタか)

ベルトルト(なぜかメン類が出ると異様にテンションが上がるな……)

ベルトルト(パスタの他には、汁物とサラダが一品ずつ)

ベルトルト(品数が少ないのは、パスタが主食とか主菜も務めているせいか)

ベルトルト(さて、まずどれから見ていこうかな)

ベルトルト(まずはサラダからいこうか)

ベルトルト(オーソドックスな、千切りのキャベツとトマト、コーン)

ベルトルト(それと脇に小さくポテトサラダが付いている。これは憎いな)

ベルトルト(このコーンは邪魔だな。さきに処理してしまおう)ポリ

ベルトルト(……)ポリポリ

ベルトルト(毎回思うけど、これ面倒なんだよな……)ポリポリ

ベルトルト(このコーン得する人いるのかな……)ポリポリ

ベルトルト(やっと片付いた)

ベルトルト(ドレッシングは荒みじんの玉ねぎ、オイル、塩、酢とその他調味料香辛料ってとこか)

ベルトルト(パスタがオイリーだから、このサラダは箸休めに使えるな)

ベルトルト(ポテトサラダは……、これはマヨネーズであえてある。これも中身に色々入ってるな)

ベルトルト(人参のみじん切りに、……ん?)

ベルトルト(これは……)モグ

ベルトルト(こっちも荒みじんの玉ねぎが入ってるのか。どっちも酢系で、これじゃ味に変化が……)ゴクン

ベルトルト(いや、そうでもないか。どっちも箸休めだけど、だいぶ色が違う)

ベルトルト(調理する人の手間を減らす為の工夫ってとこか)

ベルトルト(次は汁物。コレは……、ポトフか)

ベルトルト(具はトマト、カブ、キャベツとほんの少しソーセージ)グルグル

ベルトルト(それと……、じゃがいも)

ベルトルト(さっきからじゃがいも多くない? いいけどさ……)

ベルトルト(味は……)ズズッ

ベルトルト(うん! 出汁がよく出てて旨いな)

ベルトルト(僅かばかりだけど胡椒も効いてるみたいだ……)ズッ

ベルトルト(じゃがいものおかげか全体的にトロっとしてて……)ズズッ

ベルトルト(体があったまる……。なんだかホッとする味だ)

ベルトルト(いよいよペペロンチーノだ)

ベルトルト(……)クン

ベルトルト(ニンニクの香りがここまで漂ってくる)

ベルトルト(具はベーコンと、キャベツに野沢菜)

ベルトルト(珍しいことに具はどちらもたっぷりだ)

ベルトルト(ベーコンの油の旨みを考えると……)ゴクリ

ベルトルト(ツバが出てきた)

ベルトルト(待ちきれない。早く食べよう)

ベルトルト(……)ズル

ベルトルト(うまい)

ベルトルト(……)ズルズル モグモグ

ベルトルト(……)ズルズル モグモグ

ベルトルト(……)ズルズル モグモグ

ベルトルト(……)ピタ

ベルトルト(しまった。一息でこんなに食べてしまった)

ベルトルト(なんてことだ。滅多に食べられないのに、もったいない……)

ベルトルト(味わって食べよう……)

ベルトルト(口が油でベッタベタだ)ハンカチフキフキ

ベルトルト(うん……。うん……)ズルズル モグモグ


ライナー「ベルトルト……」ヒソ……

ベルトルト「ん」

ライナー「これ食うか……?」ヒソ……

ベルトルト(カブ……)

ライナー「繊維がな……」ヒソ……

ベルトルト「……」

ベルトルト「自分で食べなよ」

ライナー「!?」

ライナー「え……?」

ライナー「カ、カブ嫌いだったか……?」

ベルトルト「そういうことじゃないよ」

ライナー「……」

ベルトルト「……」モグモグ

ライナー「……」ションボリ


ベルトルト(あーあー。あんなに背筋丸めちゃって……)モグモグ

ベルトルト(まあ今回はライナーのせいで結構苦労したんだし)ズルズル

ベルトルト(たまには怒ってるって態度にしないとね。あんま僕そういうことしないし)ズズッ

ベルトルト(ていうか君はそろそろ好き嫌いの多さをなんとかしたほうがいいんじゃないか……?)ズルズル

ベルトルト(代わりに食ってきた僕がいうのもなんだけどさ)ズズッ

目の前には、だだっ広い草原が広がっている。

雲一つ無い青空を背景に、太陽がサンサンと輝く。

とても軽やかな風が吹くと、サワサワと緑が鳴いて、そこに綺麗な波紋をつくった。

そんな春の日のような、とても気持ちの良い爽やかな情景。

そんな中で、モゾモゾと動く、ひとつの大きな影が映った。

なんだろうと、目を凝らしてそれを見る。

それはやはりライナーだった。

四足歩行でノシノシと歩くライナー。その姿はとても威風堂々としている。

こんないいお天気の日に、ライナーは一体どこへ向かっているのだろうか。

僕はしばらくライナーの歩く姿を眺めることとなった。

ふと、ライナーが足を止めた。

ライナーが警戒した様子でキョロキョロと辺りを見回している。なにかの気配を感じたのだろうか。

すると突然、わぁっという可愛げのある声がライナーの背後から聞こえた。

視線をずらすと、とても小柄な少女がそこに居た。

クリスタだ。彼女は花が咲いたような、茶目っ気たっぷりの愛らしい笑顔ではにかんでいた。

おやおやクリスタさん。駄目じゃないか、迂闊にそんなことをしたら。

案の定ライナーは興奮した様子で、雄たけびをあげながら胸を手のひらでしきりに叩き始めた。

ドラミングだ。それはゴリラにみられる特徴的な仕草で、相手を威嚇するときなどにその動作を行う。

ゴリラは臆病な気質だ。きっと急に後ろから音がしたから、ビックリしちゃったんだね。

クリスタは相変わらず笑顔だ。ニコニコと目を細めてその様子を眺めている。

興奮覚めやらぬライナーは、鋭い目つきでクリスタを睨みながら片手を後ろに回して、そのまま軽くしゃがんだ。

彼はなにをするつもりなのだろうか。

しばらくして、配管から粘着質の液体が気泡と共にゴボッと溢れ出るような、形容しがたい音が辺りに響いた。

音の発生源はライナーからのようだ。

彼はそのまま前方に大きく腕を振るった。追いかけるようにべちゃりという音が別の方向から聞こえた。

反射的にクリスタの方に目をやると、彼女の顔面にねっとりとした黒色の物体が付着していた。

それはうんこだった。

ご存知の通り、オスのゴリラは警戒した相手に対してうんこを投げることがある。

ましてや相手はライナーだ。どうなるかは推して知るべしである。

結果はわかりきっていたにも関わらず、何故彼女はこのような暴挙に及んだのだろうか。

そう思っていると、ところどころで声が聞こえてきた。

それらはどれも、どこか聞いたことのある響き。

そこには104期訓練兵団の皆がいた。

クリスタのピンチを知って駆けつけてきたのだろうか。

皆は両の手を打ち合わせ音を鳴らし、口々に俺を狙えとライナーを威嚇する。

繰り返すがゴリラは臆病だ。

ライナーは悲鳴に近い絶叫をあげ、絶え間なくうんこを投げ続けた。

僕は悔しくなって、ぎり、と歯を鳴らした。

ご存知の通りライナーのうんこは無限に湧き出てくるのだ。

皆がどれだけ頑張っても弾(うんこのこと)が底を突くことはない。

ライナーと皆との戦いは日が暮れても続いていた。

日が落ちて、また日が昇って、また日が落ちる。

いつしか僕の意識はぼんやりとして、そのまま眠るように意識が途絶えた。

それからどれくらいたったのだろう。僕は再び目を覚ました

目を開けた瞬間飛び込んできた景色に、僕は驚愕した。

なにもない。ひたすら同じ色の地面だけが、地平線の先まで続いている。

僕はくらりと目眩がして、思わず足を前に出した。するとずぶずぶと嫌な感触をさせて地に足が飲み込まれていく。

僕は確信した。今踏みしめているこれは、間違いなくライナーのうんこだった。

とうとうライナーのうんこは地上を埋め尽くしてしまった。

ライナーは地上を征した。

いまや生物の頂点は人類でも巨人でもない。ライナーに取って代わってしまった。

僕はひたすら歩いた。行けども行けども景色が変わることはなかったが、それでも歩き続けた。

まだどこかに希望があるんじゃないか。そう信じて歩いた。

それ以外に僕に縋るものなどなかったのだ。

5分くらい歩いたところで、僕は地面に穴が開いているのを見つけた。

穴の中を覗き込み、オーイと声をかけてみる。

するとぞろぞろと人が出てきた。104期訓練兵団の皆だ。

皆は生きていた。僕らはお互いが生きていたことに喜び合った。

クリスタも無事だ。ただ、彼女の顔にはまだうんこがついたままだった。

本人にそのことを尋ねると、あの時の悔しさを忘れないようにするためとのことだった。

恐らく頭でも打ったのだろう。

彼らは地上の王たるライナーに反旗を翻すレジスタンスなのだという。

僕は協力を申し入れ、皆は僕を快く迎え入れてくれた。

さあ、待ってろよライナー。

僕達を生かしておいたことを後悔しろ。

僕が、僕達が、お前への反撃の嚆矢だ!


そんな妄想をしながら床に就いた。割と楽しい。凄く寝つきよく眠れた。



以上で終わりです。これのせいで勉強が全く進まないので。
我ながら感動的なラストだったので文句のある人は誰一人としていないのだろう。
仮に、文句のある人がいるとしたら、その人はもはや人ではない。
人ではないとしたら、一体なんなのでしょうか。
そうですね。ライナーですね。
つまりうんこ。
なんか中途半端になってすいませんでした。続きを期待してる人がいたらごめんなさい。

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