P「冬馬の死を目の当たりにした二人」 (63)

前作
北斗「童貞を拗らせ過ぎた冬馬が」翔太「765プロと共演する事になった」

※シリアスになる予定だから、ギャグのまま終わりたい人は双子の無事を祈りつつ、そっ閉じで





―朝 双海家―

真美「亜美!兄ちゃん、もう着くって」

亜美「あり?なんで兄ちゃんが亜美たちの家に来るの?」

真美「もー!メール読んでないの?今日は現場が真美たちの家から近いから、迎えに来てくれるって言ってたっしょ?」

亜美「あっ、そうだった!」

真美「何やってんのさ!もう兄ちゃん来ちゃうよ?」

 ピンポーン

真美「うあうあ→!来ちゃったじゃん!兄ちゃーん!今行くー!」

真美「ほら!亜美、急いで!」バタバタ

亜美「うあうあ→!」ドタドタ

P『入るぞー?』

 ガチャ

P「準備出来てるかー?」

 ドタドタッ!

真美「ごめん兄ちゃん!おは……よ……」

亜美「おはよ!兄、ちゃ……」

P「亜美、真美おはよう!準備出来てるなら行く ぞー?」

亜美真美「……」

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P「ん?どうしたんだ?」

亜美「…………」ガタガタ

真美「…………」ブルブル

P「? 何やってるんだ?準備出来てるなら早く――」スッ

亜美真美「ひっ!?」ビクッッ!!

亜美「ぎゃああぁぁぁ!!!」

真美「ひぃゃあああぁぁぁ!!!」

P「!?」

亜美「うわああぁぁん!!やだぁぁぁ!!」

真美「来ないでよぉぉぉ!!」

P「お、おい……どうしたんだ、二人とも」スッ

亜美「ひぃっ!?やめてぇぇぇええ!!」

真美「ぃやあっ!!やめてっっ!!来ないでえぇええ!!」

P「亜美……?真美……?」

亜美真美「いやああぁぁぁああ!!!!」

―765プロ事務所―

 ガチャ

律子「ただいま戻りました」

P「おかえり、悪いな……」

律子「いえ、大丈夫です……」

P「それで、二人は?」

律子「はい、薬で眠ってもらって今は自宅で寝かせてきました」

P「そうか……で、二人は一体どうしたんだ?」

律子「それが、極度の男性恐怖症のようです」

P「男性恐怖症……?」

律子「はい……医師の話だと、原因は昨日の天ヶ瀬冬馬の死を目の当たりにしたのと、その死因によるものではないかと」

P「…………」

律子「あの子達は中学一年生で心身ともに成長途中です」

律子「授業等で性や異性に対する知識が増えると同時に、興味心や羞恥心も増していきます」

律子「また学校という色々な子が集まる場所ですから、女子生徒男子生徒問わず、色々な話も耳にすると思います」

律子「特に男子は開けっ広げにそういった話をする子もいますし」

律子「二人がアイドルという事もあって、そういう目を向ける子だって少なくないでしょう」

律子「そんな中で昨日、天ヶ瀬冬馬が大量の……その……体液を出す所を目の当たりにしてしまった」

律子「自分達が、男性にどう見られているのか……その最極端な例を目の前で見せ付けられてしまった」

律子「そういった様々な要因が重なり、今回のようになっしまったのではないかという事です」

P「そういう事か……」

律子「今後についてですが、二人とも症状が治まるまでは、活動は休止」

P「ああ」

律子「治療は症状故に通院、入院が不可能なので自宅療養という形にしまして」

律子「週に三回、女性のカウンセラーに二人の家に行ってもらい、カウンセリングを受けてもらう事になりました」

P「そうか」

律子「…………」

P「…………」

律子「プロデューサー?」

P「どうした?」

律子「……どうした?は、こっちの台詞です」

律子「どうしたんですか?心配している以上に、なんだか心ここにあらずというか……」

P「あぁ、悪い……少しな」

律子「どうしたんです?」

P「……今朝の二人を迎えに行った時の」

P「俺を見た時の、二人の顔が目に焼き付いて離れないんだ……」

P「あんな顔、始めて見た……」

P「人間て本当に恐ろしい物を見た時、あんな顔になるんだな……知らなかったよ」

P「ドラマや映画でも見たことない……そんな生易しいもんじゃなかった」

律子「………」

P「しかも、そんな顔にしてる恐怖の原因が俺だったんだ」

律子「そんな……違います!原因は昨日の――」

P「発症の原因は昨日だが、今朝の2人の恐怖の原因は間違いなく俺だ」

律子「っ……!」

P「俺はプロデューサーだ」

P「あの子らを守る事も大事な仕事の一つだ」

P「でも昨日、俺はあの二人を守る事が出来なかった」

P「もうあんな目にはあわせない、今度こそ守ってみせると決めた」

P「そう思ってたのに……」

P「守るどころか、近付く事さえ出来なくなった……」

P「俺が今2人に出来る事は、近付かない事だけ……」

P「その程度しか出来ない自分が情けなくてな……」

律子「プロデューサー……」

P「悪いな、こんな姿見せちまって」

律子「いえ、そんな……」

P「ちょっと外の風に当たってくるよ」スッ

律子「……はい、気を付けて行って下さい」

P「あぁ、行ってくる」スタスタ


 ガチャ バタン

―――――――――

冬馬「おい!」

真美「ん?おっ!あまとうじゃん!」

冬馬「」

真美「? どったの?」

冬馬「」


 ビシャァァァァーーー!!!!

真美「!?」

 ビチャビチャッ!

真美「え……なに……?」スッ ピト

 ドロォ

真美「ひっ!?」


―――――

真美「ひぃゃああぁぁ!!!」ガバッ

亜美「真美!?」

真美「はぁっ……はぁっ……あれ……はぁっ……亜美………?」

亜美「真美、大丈夫!?」

真美「……夢……?」

亜美「もしかして、おとといのことが夢に?」

真美「……うん」

亜美「亜美もまだ夢に見るんだ……ねぇ真美」

真美「どうしたの?」

亜美「クラスの男子も話してたし、男の人ってみんな、あまとうみたいに亜美たちのことを見てるのかな……?」

真美「……ぅ」

亜美「……もしかして、兄ちゃんも……?」

真美「っ!」

亜美「うぇぇ……やだよぉ、恐いよぉ……真美ぃ」ポロポロ

真美「うぅっ……真美も恐いよ……亜美ぃ」グスグス

 コンコン

律子『亜美ー、真美ー、起きてるー?』

亜美「ふぇ?りっちゃん……?」グスッ

律子『……大丈夫?今入っても平気?』

真美「うん、いいよ……」

 ガチャ

律子「亜美、真美、大丈夫っ?」

亜美「うぅ……りっちゃあぁん……!」ボロボロ

真美「今、夢で……あま、あまとうがぁ……!」ボロボロ

律子「! 良いのよ、無理して話さなくて……恐かったでしょ……」ギュ

亜美真美「ううっ……うあぁぁぁん!!」ギュー

律子「こんなに泣いて……可哀想に……大丈夫よ、私がついてるから」ナデナデ

―――――

律子「……落ち着いた?」

亜美「……うん」

真美「……それで、どうしたの?りっちゃん」

律子「今日から亜美達の話を聞いてくれる先生を連れて来たのよ」

女性「宜しくね亜美ちゃん、真美ちゃん」ニコッ

真美「このオバチャンが?」

女性「オバッ……!」

律子「そうよ、今日は私もついてるから安心しなさい」

亜美真美「うん」

律子「それじゃ、お願いします」

女性「はい……それじゃ、亜美ちゃん真美ちゃん、お姉さんとお話しましょう?恐い事は無理して話さくて良いからね」

亜美真美「うん」

女性「それじゃ……――」

亜美「―――」

女性「そう……うんうん、わかるわ」

真美「―――」

女性「そうよね、よくわかるわ」

亜美「―――」

女性「そうなの……うん、とってもわかるわ」

真美「―――」

女性「えぇわかるわ、わかるわ」

亜美「―――」

女性「わかるわ、本当にわかるわ」

―――――

女性「……それじゃ、今日はこの辺にしましょう」

女性「亜美ちゃん真美ちゃん、今日はお話してくれてありがとう」

女性「またあさってに来るからね」

亜美「うん、じゃあねオバチャン」

真美「うん、またねオバチャン」

女性「…………」

律子「それじゃ私は先生を送ってくるから、二人はゆっくり休んでなさい」

亜美真美「あーい」

律子「私もまた来るからね……それでは先生」

女性「……はい」

律子「亜美真美、またね」

亜美真美「またね、りっちゃん」

 ガチャ バタン

 ガチャ バタン

律子「プロデューサー、終わりましたよ」

P「あぁ、ありがとう……それで先生、二人は……?」

女性「……正直に言うと重症ね、かなり長引くわ」

P「っ……そうですか」

女性「辛いわよね、わかるわ」

P「…………」

女性「でも諦めないで、必ず良くするから」

P「はい、よろしくお願いします」

律子「ではプロデューサー、私は先生と今後について話してきますので、先に事務所に戻っていて下さい」

P「あぁ、頼む」

律子「それでは先生」トコトコ

女性「えぇ」トコトコ

P「…………」

P「……本当に何も出来ないんだな、俺は」

―765プロ事務所―

 ガチャ バタン

P「…………」

雪歩「あ……プロデューサー、お疲れ様ですぅ」

P「ん?あぁ、雪歩か……お疲れ」

雪歩「……もし良ければ、お茶を淹れてきますけど」

P「あぁ、悪い……頼む」

雪歩「わかりましたぁ」トテトテ

P「………」スタスタ ガタ

P「……はぁ」

雪歩「はい、どうぞ」コトッ

P「あぁ、ありがとう」ズズッ

P「ん、うまい……お茶、変えたか?」

雪歩「はい……気に入ってもらえたみたいでよかったです」

P「あぁ、ありがとう」

雪歩「えへへ」

雪歩「……あの、プロデューサー」

P「ん?」

雪歩「亜美ちゃんと真美ちゃん、あまり……その、良くないんですか?」

P「……ああ、先生から聞いたけど、かなり長引くらしい」

雪歩「そうですか……」

P「…………」

雪歩「……あの、私たちがお見舞いに行ったりしても大丈夫ですか?」

P「ん……それは大丈夫だ」

P「寧ろ、気にかけてやってくれ」

P「あいつら家からも出られないし、まだ心細いだろうから」

雪歩「はい、わかりました」

P「うん、そうだな……特に雪歩は、最近は慣れてきたけど」

P「男性が苦手って事で、あの二人の事もわかってあげられるだろうし、良いかも知れないな」

雪歩「……そうですね、それじゃ早速この後に行ってみますね」

P「ありがとう……頼むな」

雪歩「はい」

雪歩「……………」

―――――

 コンコン ガチャ

雪歩「お邪魔しますぅ、こんにちは亜美ちゃん真美ちゃん」

亜美「やっほ→」

真美「ゆきぴょん、来てくれてありがとう」

雪歩「心配したんだよ?でも、思ったより元気そうだね」

亜美「……まぁ、カゼとかじゃないからね」

雪歩「そっか、そうだよね」

真美「……ねぇゆきぴょん」

雪歩「なぁに?真美ちゃん」

真美「ゆきぴょんもさ……今の真美たちほどじゃないけど、男の人を恐がってたでしょ?」

雪歩「そうだね」

亜美「でもさ、今は前ほど恐がらなくなってるし、兄ちゃんは全然平気でしょ?」

雪歩「うん」

真美「その、ゆきぴょんはどうやって治したの?」

亜美「やっぱり、時間かけるしかない?」

雪歩「……うん、今日はね、その事で話そうと思って来たんだ……聞いてもらえる?」

亜美真美「うん」

雪歩「実はね、まだ男の人が恐いのが治った訳じゃないんだ」

真美「えっ?」

雪歩「それこそ、泣いて逃げ出したくなるくらいね」

真美「そうなの!?」

亜美「でも最近は逃げなくなったし、兄ちゃんは全然平気そうじゃん!?」

雪「それはね……私、プロデューサーの事が好きなの」

真美「え……」

亜美「? そんなの亜美たちもそうだよ?」

雪歩「そうじゃなくてね……」

真美「それって……」

雪歩「異性として……男の人として、プロデューサーが好きなんだ」

亜美「えっ……うええぇぇ!?そうなのっ!?」

真美「ゆきぴょんも!?どうして!?」

雪歩「……二ヶ月くらい前の話なんだけど――」

―――――――――

雪歩「う……ぐす……ひっく……」ポロポロ

P「えーと……あ、いたいた!おーい、雪歩ー!」タッタッタッ

雪歩「ひぅっ!?」ビクッ

P「っと、悪い……大丈夫だ、これ以上は近かないから」

雪歩「うぅ……すみません」グス

P「大丈夫だよ……悪かったな、俺がもう少しスタッフさん達に言っておけば……」

雪歩「そんな……私が男の人が恐いからって、すぐ逃げちゃうのがいけないんです……」

P「……なぁ雪歩」

雪歩「はい?」

P「雪歩の男性が恐いのって、何か理由というか原因があるのか?」

雪歩「……原因ですか……?」

P「あ、嫌なら無理して言わなくても良いんだけど」

P「もし原因とかあるなら、それが分かれば対処の仕方とかも考えられるかと思ったんだけど……」

雪歩「……私、小学生の頃から身長や体型が殆ど変わってなくて」

雪歩「いまだに小学生の頃の服が着られるんですけど」

P「あぁ、それは前に聞いたかな」

雪歩「だから中学の1、2年ぐらいまでは身長とかも高めだったんですけど……」

雪歩「だからなのか、中学の時くらいから男子が、その……なんだかいやらしい目で見てくる事が多くなってきて……」

P「……あぁ」

雪歩「それで、男の人って女の子を皆そういう目で見てるのかなって思ったら、段々恐くなってきて……」

P「…………」

雪歩「高校に入ってからも、そういう目で見てくる男子は減らないし」

雪歩「アイドルになってからは、むしろ増えてきちゃって、それで……」

P「うーん……なるほどなぁ……」

雪歩「うぅ……やっぱり、こんなひんそーでひんにゅーでちんちくりんな上に」

雪歩「弱虫でダメダメな私にアイドルなんて……」ジワァ

P「雪歩っ」

雪歩「……なんですか?」

P「これは、対策とかにはならないかもしれないけど」

P「雪歩は、もっと自信をもった方が良い」

雪歩「自信、ですか?そんな、急に言われても……」

P「それに、雪歩は断じてひんそーでちんちくりんなんかじゃないって事を、今から証明してみようか」

雪歩「えっ?」

P「まず、雪歩は高校に入ってアイドルになってから、自分を変な目で見てくる男子が増えたって言ったよな?」

雪歩「……はい」

P「言ってしまえば、これが雪歩がひんそーでちんちくりんなんかじゃない」

P「魅力的な女の子だっていう証明になる」

雪歩「えっ、どういう事ですか?」

P「まぁ、男なんてのは魅力的な女の子を、そういう目で見てしまうものなんだよ」

P「顔が可愛いとか、胸が大きいとか……そういった女性的な部分を性的に見るのは」

P「より良い子孫を残そうとする、男の本能みたいなもんなんだ」

雪歩「そうなんですかぁ」

P「ま、極端に言ってしまえばな」

P「それに雪歩のファンだって少しずつ増えて来てるよな?」

雪歩「……はい」

P「例えばの話、顔も全然カッコ良くない可愛くない」

P「ダンスも歌も下手、性格も悪くて努力も魅力も感じられない、そんな男性なり女性アイドルがいたとして」

P「雪歩はその人のファンになろうと思うか?」

雪歩「……いえ」

P「だろ?」

P「更に言うと……これはちょっと嫌な話かもしれないが」

P「俺だって仕事だから、魅力を感じられない子をアイドルとしてプロデュースしようなんて思わない」

雪歩「えっ」

P「でも765プロの子達は違う」

P「雪歩も含めて皆、アイドルとして輝ける子達だと信じてる!」

P「だから俺も頑張れるんだ」

雪歩「プロデューサー……」

P「……あと、雪歩は自分の事を弱虫でダメダメって言ってたよな?」

雪歩「はい」

P「じゃ、聞くけど、雪歩は男性に会って恐くて逃げてしまったこの状況をどう思ってる?」

雪歩「良くない事だと思いますし、治したいと思ってます」

P「そうか……じゃ、アイドル業はどうしたい?」

雪歩「続けたいです」

P「うん、よく言った!雪歩、本当に弱虫でダメダメな奴はな」

P「自分の悪い所は認めないし、変えようと思わない」

P「辛い事からも逃げ出して、全部投げ出してしまう」

雪歩「…………」

P「でも雪歩は、この状況を変えたいしアイドルも続けたいと言ったな」

P「今はまだ、辛くて恐くて逃げてしまうかもしれないけど」

P「最後には、投げ出さずにちゃんと立ち向かおうとしてる」

P「だから雪歩は弱虫なんかじゃ無い、とても芯の強い子だ」

P「だから雪歩!」ガシッ

雪歩「!」

P「自信を持つんだ、自分を信じるんだ」

P「お前は決して、ひんそーでダメダメなんかじゃ無い」

P「もっともっと輝ける、アイドルとしても女の子としても魅力的で、とても芯の強い子なんだって」

雪歩「プロデューサー……」

P「……あっ!っと、悪い!つい熱くなっちゃって……」パッ

雪歩「あっ……いえ、大丈夫です」

P「お、そうか……」

雪歩「プロデューサー、ありがとうございます」

P「俺は思ってた事を言っただけだよ」

雪歩「…………」

P「さ、落ち着いたなら戻ろうか?」

雪歩「……はい!」

―――――――――

雪歩「――……って事があってね」

亜美真美「…………」

雪歩「そう言って、プロデューサーは私に勇気と自信をくれたの」

雪歩「だから恐くても、泣かないで逃げ出さないで頑張ろうって思えるんだ」

真美「そうだったんだ……」

雪歩「亜美ちゃん真美ちゃん、片手を出してくれる?」

亜美「え?……うん」スッ

真美「こうで良いの?」スッ

 キュッ

亜美「ふあ……」

真美「あっ……」

雪歩「……どう?亜美ちゃん真美ちゃん」

亜美「……あったかいね」

真美「うん……それにやさしいね」

雪歩「そう、良かった……プロデューサーが、あの時に私の手を握ってくれた時もそうだった」

真美「兄ちゃんの手も……?」

雪歩「うん。男の人だから私より大きくて、力強くて」

雪歩「でもすごく優しくて、とてもあたたかかった」

亜美真美「…………」

雪歩「……プロデューサーね、今とっても苦しんでる」

雪歩「あの日、亜美ちゃんと真美ちゃんを守る事が出来なかったって……」

亜美「兄ちゃんが……」

雪歩「今の自分は何も出来ない、二人を恐がらせる事しか出来ないって……」

雪歩「見ていて本当に辛そうだった……」

真美「…………」

雪歩「私も、そんなプロデューサーを見てるのがとても辛いの」

雪歩「だから、お願い……!」

雪歩「私のすごく勝手なお願いだけど……」

雪歩「……プロデューサーを信じて……!」

真美「兄ちゃんを……」

雪歩「亜美ちゃんと真美ちゃんを恐がらせたりなんかしないって」

雪歩「二人を必ず守ってくれるって……信じて」

雪歩「お願いっ……!」

亜美「ゆきぴょん……」

真美「……うん、わかった」

雪歩「……!」

亜美「亜美たち……兄ちゃんに会ってみる」

――――――――――

雪歩「……プロデューサー、もう着くって」

亜美「……うん」

雪歩「大丈夫だよ、私もついてるから……ね?」ギュッ

真美「……うん」

 コン コン

P『……亜美?真美?雪歩?』

亜美真美「っ!」ピクッ

P『大丈夫か?……入るぞ……?』

亜美「……うん」

真美「……いいよ」

 カチャ キィー…

P「……亜美……真美」

亜美「………っ」カタカタ

真美「………!」プルプル

雪歩「大丈夫だよ、二人とも……」ギュッ

P「……なぁ雪歩、やっぱり――」

雪歩「大丈夫です」

P「………」

雪歩「信じて下さい」

P「……わかった」

雪歩「プロデューサー、ゆっくり私達の方に……」

P「…………」ペタ ペタ

雪歩「……両手を二人の前に伸ばして下さい」

P「……こう、か?」スー

亜美真美「っ!」ビクッ

雪歩「亜美ちゃん真美ちゃん、片手をプロデューサーの方に伸ばして」

亜美真美「……っ」スー

雪歩「プロデューサー、二人の手を」

雪歩「……握って下さい」

P「…………」

  …キュッ

亜美真美「……あっ」

雪歩「……どう?」

亜美「ゆきぴょんの……言った、通りだ……っ」ポロ

真美「とっても……あったかくて、やさ、しくて……」ポロ

P「!? 亜美、真美やっぱり無理して――」

亜美「兄ちゃ……違っ……」ポロポロ

真美「真美、たち……安心……して……」ポロポロ

亜美真美「ふ……うああぁぁぁん!!」ガバッ

P「おわっ!?」

亜美「ふええぇぇ!兄ぢゃぁぁぁん!」ボロボロ

真美「兄ちゃぁぁん!!」ボロボロ

P「っ!……よく頑張ったな、二人とも……頑張ったな……!」

亜美「うぅ……ぐすっ、うえぇぇ」ギュー

真美「ふぐっ、うっ……兄ちゃぁん」ギュー

雪歩「…………」

雪歩「……良かった」

――――――――

 ガチャッ

律子「お疲れ様です!ただいま戻りましたー」

亜美「ただいま→!」

真美「お疲れ→!」

P「お疲れっ!大丈夫だったか?二人とも」

亜美「んっふっふ→、カンペキっしょ→」

真美「もうバッチシっしょ→」

P「そうか、頑張ったな!」

真美「ねー兄ちゃん!スタッフの兄ちゃんたちから逃げないでお仕事できたから」

亜美「ゴホウビに遊んで→!」

P「え!?待て待て!俺は今、仕事中で――」

亜美「いいじゃん!そんなの!」

真美「ちょっとくらい遊んでよー!」グイグイ

P「うわっ!ちょっと待てって!」

亜美「ねーえー!兄ちゃんてばー!」グイグイ

真美「遊んでってばー!」グイグイ

P「こらっ!だから俺は仕事中だって――」

亜美「あっ!?」ビクッ

真美「ひっ!?」ビクッ

P「っ!……わ、悪い!大丈夫か?二人とも……」

亜美真美「…………」

亜美「……なんちてー!」ガバッ

P「うわっ!?おまっ、騙したな!?」

亜美「ひっかかった→!」

真美「…………」プルプル

P「ったくお前らは……って真美、大丈夫か?」

亜美「え……真美?」

真美「ちょ……ちょっと怖くて……」カタカタ

P「え!?だ、大丈夫か!?悪い……えっと、どうしたら……」

真美「ん……」スッ

P「えっ?」

真美「昨日、みたいに……ギューッて抱きしめて、くれ、たら……安心するかも……」

P「え、いやでも、そんな事したら逆に……」

真美「は、早くぅ……」

P「いや、そしたら俺じゃなくて、音無さんや律子の方が……」

真美「兄ちゃん……!早く……!」

P「わ、わかった……こうか?」ギュッ

真美「ダメ、そんな弱くちゃ安心できない……もっと強く……」

P「こ、こうか……?」ギュー

真美「ん……ちょっと落ち着いてきたかも……」

真美(へへへっ、作戦成功っしょ→!んっふっふ)ニヤニヤ

雪歩「……真美ちゃん、何してるのかな?」ニコニコ

真美「っ!」ビクッ

真美「……げっ、ゆきぴょん……」

雪歩「そんなに嬉しそうな顔してどうしたの?」ニコニコ

P「ん?嬉しそうな顔?」

真美「あっ……うっ……」

雪歩「もう大丈夫だよね?」ニコニコ

真美「ぁぅ……兄ちゃん、もう大丈夫っぽいよ」

P「ん、そうか、良かった」パッ

真美「うぅ……」シュン

亜美「ほら兄ちゃん!真美も良くなったんだから遊ぼーってばー!」グイグイ

P「うわっ!もう、わかったから引っ張るなって」

キャッキャッ バタバタ

真美「……ゆきぴょん」

雪歩「なぁに?真美ちゃん」

真美「……負けないかんね」

雪歩「……そんなの、私もだよ?」

真美「えへへっ」

雪歩「ふふっ」









終わり

んー……いざという時の芯の強い雪歩を書きたかったが、上手くいかんかったなぁー

なんか無理矢理な感じになっちゃったし、三文芝居みたいになっちゃった……

ギャグのままで終わらせておくべきだったな

こんな話でも、最後まで読んでくれた人達、ありがとう

あと、あまとうはギャグで殺した上に悪役にしてすまんかった

あまとうファンには悪い事をしました、すみません

読んでくれた人達、ありがとー

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