モバP「凛とまゆの仲良し劇場」 (26)

キャラ崩壊につきご注意を

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私とプロデューサーの間には絆がある。

私はプロデューサーがスカウトした始めてのアイドルなのだから、当然だ。

お互いを深く信頼しあった強固な関係。

二人の繋がりは誰にも消せはしない。

なのに。

そんな私たちの間に、割って入ってこようとする邪魔者がいる。

忌々しい赤色。

運命? 赤い糸? 馬鹿みたい。

そんなあやふやでふわふわしたもの。

私とプロデューサーが城砦の如く築き上げた絆の前には、まるで無意味だという事。

叩き込んででも教えてあげなきゃね。

元読者モデルだかなんだか知らないけれど。

プロデューサーは絶対に渡さない。

空気の読めない人って、何処にでも一人はいるものなんですよねぇ。

あの人と私の間には、運命の赤い糸が幾重にも張り巡らされているというのに。

それを、切れもしないのに、切ろうと必死になっている彼女。

……本当に、邪魔。

彼女が私の彼に恋慕の情を抱いていることは、一目見てすぐに分かりました。

彼はとてもとても、それはとても魅力的ですから、淡く恋してしまうこと自体は仕方がありません。

でも。

愛で結ばれた二人の関係を見て、まともな精神をしているならば素早く身を引くべきでしょう?

なのに、どうして、どうしてわからないの?

これ以上、その浅はかさに磨きをかけるようならば。

あの人と私との相思相愛に少しでも横槍を入れようとするならば。

一寸たりとも容赦はしない。

ある日事務所に行くと、私より先に来ていたあの女がプロデューサーにお弁当を渡していた。

手作りで、朝早くおきて頑張ったんです、なんて媚びた笑みを浮かべて。

プロデューサーも相手にしなければいいのに。

なんで快活に笑うふりまでしてお礼を述べているのだろう。

そんなふうに誰にでも優しく振舞うから、その女みたいな勘違いの身勝手極まりない連中が沸くのだというのに。

言っておくけどプロデューサー。

そいつは頭がおかしいから、気をつけなくちゃ駄目だよ。

プロデューサーの身を案じ、そのお弁当は私がこっそり捨てておいた。

何が入っているか分からない、得体の知れないお弁当なんて、私の大切なパートナーに食べさせるわけにはいかない。

あの女が泣き、プロデューサーが目を吊り上げて怒っていたけれど。

全部プロデューサーのためなんだから。

理解してくれるよね?

どのページも笑顔で溢れていました。

写真の一枚一枚が、幸と不幸とで彩られていて目に痛い。

あの人と彼女とが、隣り合い、時には手を取り合って写っている。

彼女は時に恥らいながらも幸せそうに。

それなのに、だからこそ、隣に並ぶ私の彼の、笑顔がなんとも痛々しくて。

無理をして笑ってあげる必要なんて、少しもありはしないんですよぉ。

嫌なら嫌と突き放してあげなければ、彼女の思い上がりは加速するばかりじゃありませんか。

それはあまりにも、可哀想です。

あの人の愛の全てが誰に向いているのかなんて、彼女以外は当然の如く知る事実だというのに。

しかし彼女は絆なんてものに縋るばかりで思考する努力が足りないのか、それを認められません。

心臓に直接捻じ込んででも、誰かが分からせてあげなければいけない。

小さくも重みのあるアルバムと、大事そうに切り貼りされたスクラップ帳。

こんなもの持ち歩くなんて、まるでストーカーみたいで、あの人にとっても迷惑でしょう。

刻んで正しいスクラップに直してあげる。

その後彼女は三日もお仕事をお休みしました。

彼が持ってきてくれた大事なお仕事に穴を開けるなんて、とてもプロとは言えませんよねぇ。

彼女の愚かさがこの上ないほど可哀想で、苦笑が漏れてしまいます。

許せない。

絶対に、絶対に許せない。

私とプロデューサーの思い出にまで手を出した。

かけがえの無いものを、あの女は無慈悲に切り刻んだ。

許さない、必要ない、あんな奴はもう、この世に必要の無い存在だ。

そう思った。

そう思ったから。

薄いお腹を一刺しにしてあげた。

プロデューサーへの醜い感情も、お腹の穴から漏らしてしまえばいい。

抵抗しようとでも思ったのか、私の服を力無くも掴んできたのでもう一刺し。

地に伏し、震える身体。

滑稽だね。

でも、自業自得だよ。

血に塗れて赤く黒くなっていく服とリボン。

あ、リボンは元々赤かったっけ、ふふっ。

私に言うべき言葉があるはずだけれど、その状態じゃ喋れないだろうから、特別に無言のままで許してあげるよ。

痛いでしょ、苦しいでしょ?

……。

今まさに生命が失われようとしているのに、ねぇ。

何で笑ってるの?

気持ち悪いから早く死んでよ。

確かに、驚きはしました。

けれど、それだけです。

あんなに浅く刺した程度で、人が死ぬわけ無いじゃありませんか。

白い部屋の窓から見える景色は、雨に滲んで形を曖昧に変えていました。

ベッドに横たわり、点滴の管に繋がれながら、灰色にくすむ町を見下ろす。

考えるのは、私の愛する、あの人のこと。

あの人もきっと、私のことを考えているのでしょう。

離れていても、それは感じられるんです。

でも。

繋がった想いの中に割り込んでくる、邪魔な彼女。

清い愛に満ちた心の中にまで浮かんでくるなんて、本当に、空気の読めない人ですねぇ。

彼女は今頃、元気にライブをこなしていることでしょう。

テレビをつければ、生中継が見られるはずです。

人を殺そうとしておいて、自分はのうのうとお仕事に励むだなんて。

……しかしこれは、仕方がありません。

私が、彼女に疑いの目が向けられないよう、嘘の犯人像を並べ立てたのですから。

捕まってしまっては、駄目なんです。

この傷が癒えたならば、二番目に、彼女の元を訪れようと思います。

その時、お父様とお母様のどちらがより大切かを尋ねますので、答えを考えておいて下さいねぇ。

相っ変わらず! まゆと凛は仲がいいな!

プロデューサーとして誇らしく思うよ!

まゆが事件に巻き込まれ、凛が足繁くお見舞いに通う。

美しきかなこの友情!

そんな中で俺はといえば、卯月が大好きだったので付き合うことにしました。

付き合って一週間でお突き合いもこなしちゃったりして!

初めての痛みに涙を流しながらも笑顔を作る卯月を見て、一生この子を愛していこうと決心しちゃったよ。

たまたま避妊具の切れていた日に打ち込んだ二連の砲に、卯月が見事! 妊娠しました!

おめでたい! 俺も嬉しいよ!

ご両親への挨拶も済ませたし、近々籍を入れようと思ってます!

えへっ、プロデューサーさんにプロポーズされちゃいました。

幸せでもう舞い上がっちゃって、天にも昇るような気分です!

凛ちゃんもまゆちゃんもプロデューサーさんのこと好きだって知ってたけど、でも結婚しちゃいます。

私だってプロデューサーさんのこと、誰にも負けないくらい大好きだし。

恋人とか、お嫁さんにしてもらえたらってずっとずっと思ってたし。

仕方ないよね!

プロデューサーさんの赤ちゃん欲しいって付き合った初めの頃から考えていたので、この度の妊娠はとってもとっても嬉しいですっ!

アイドル辞めることになっちゃって、ファンの人には心無いことを山ほど言われちゃったりしたけど。

泣いてる私をプロデューサーさんが一生懸命慰めて、何度も何度も愛してくれたので、今は元気はつらつです!

まゆちゃんも無事に退院できたし、凛ちゃんは見事にシンデレラガールだし、最近良いことがたくさん続いてる。

これからも、良い事ばっかり続けばいいな。

とりあえず、プロデューサーさんと二人で、卯月は幸せになっちゃいます。

今日は色んなことのお祝いを兼ねて、凛ちゃんとまゆちゃんがパーティーを開いてくれるそうです。

会うの意外と久しぶりだし、楽しみだなぁ。

可愛いお嫁さんになれるように、二人にお料理とか教わっちゃおう。

あーもうにやけちゃう!

えへへっ、しまむら大勝利♪

以上。凛もまゆも卯月も大好き。
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